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34回国会衆議院1960/02/19

商工委員会 第7号

発言数
93
登壇者
11
会派数
2
開催日
1960/02/19

会議録

中村幸八自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許可いたします。松平忠久君。

松平忠久日本社会党

○松平委員 私は、日本の経済の根幹となっておりますことは、一つは鉄鋼だと思うのです。一つは米だろうと思うのです。この二つを解決すれば、大体日本の経済の基本的な問題がある程度解決できると思います。その中で鉄鋼についてお伺いしたいのですが、それは、現在鉄鋼は昭和三十四年度で、ことしの三月の終わりまでに大体千八百万トン粗鋼として生産が上がる、ところが昭和三十七年度に計画しておったものが千八百八十万トン、こういうことなんです。昭和三十七年度の計画量というものが、昭和三十四年度にもり達成されてしまった、こういうのが現在の鉄鋼の状態であります。そうして、さらにそういうテンポをもって今後進むというわけで、前からの計画があって、三十五年度から、いわゆる高炉八社というものが、十基の高炉を増設するという計画があったわけであります。そこでこの八社の設備投資というものをめぐって、この間自主調整が一応決裂した。決裂したが、通産省ではもう一度自主調整をやれというのでもって、八社に対しましては自主調整を慫慂しておるという実情なんです。この自主調整というものはどういうことかというと、これは独禁法の精神に違反するというふうな議論もあり、この点についても御見解を承りたいと思うのですが、それはともかくといたしまして、自主調整ということは、結局営利を目的とする鉄鋼業が、やはり営利を中心にして調整をするということになるだろうと思うのです。しかし、日本における鉄鋼業の重要性というものからいいますと、ただ単なる営利主義による自主調整ではいけないのじゃないか。つまり日本の各般の産業の立地条件、あるいは産業構造、あるいは能率、そういうような方面で営利以外の国家的な利益のもとに、やはり調整をはかっていくということでなければならないのであって、通産省自身がそういう最も重要な基幹産業に対して自主調整でまかせっぱなしという工合にしておるのは、一種の責任のがれみたいにも思える。しかも、その結果は、おそらく時間の問題として決裂になるでありましょう。そこで、こういう鉄鋼業の増設というものに関して、通産大臣はどういうふうにお考えになっているか。ただ自主調整でまかせっぱなしで、営利を中心としたやり方でいいというのかどうか。通産省はもっと計画的に、高い立場に立って、増設に対してみずから進んで調整を行なっていかなければならない、私はこういうふうに思うのですが、その点に対する御所見を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 日本の経済のもとは木と鉄と言われますが、私から言えばもう一つやはり繊維くらい加えたらどうかと思うのです。それは余談でございますが、鉄鋼はお話の通り千八百万トン、ことに三十四年度は前年に比べて粗鋼四割、画期的の増加でございます。しかるところ、お話の通りに、三十七年度あるいは四十年度を目標にいたしまして八社がいろいろ計画をしておるようでございます。しかし、われわれの見るところから申しますと、計画があまりに膨大過ぎるのじゃないかという気持を持っております。従ってむだをできるだけ少なくするように各位の間で話し合って、適正な増産計画を立てられたらどうかという気持は持っております。われわれといたしましては、関係各社がおのおの他の会社の意見を聞きながら、しかも尊重しながら、お互いに全体として経済の発展と調和のとれた生産計画を立てられることを期待いたしておるのでありますどの程度までいっているかよく存じませんが、困難な問題ではございましょうが、世間で言っているように、自主調整で、お互いに相手方を尊重しながら、自分の会社もうまく立っていくように相談されることを期待いたしておるのであります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 大臣は調和のとれた発展の仕方を期待しておるということでありますが、この自主調整をめぐっての意見の対立というものは、いわゆる稲山試案というか、従来の実績主義に基づいたシェアーの議論と、新興製鉄会社の川鉄のいわゆる積み上げ方式というか、そういった旧勢力と新勢力との衝突というふうにも見えるわけです。そこで、これは、そういう期待をしておっても、結局営利を中心とする彼らとしては調整が至難である、こういうふうに私は思いますが、それに対して通産省は一体どういう態度をもって最後的にこれを解決していくという御方針なのか、そういう方針があるのかないのか承りたいと思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 先ほどお答え申し上げましたごとく、業者の間でうまくいくことを期待するのみでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そうすると業者間でうまくいかない場合には決裂しっぱなしということで無統制になると思うのですが、それでもいい、こういうことでございますか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 期待するのみでございまして、それが決裂するとかなんとかいうことは、私はただいまのところ考えておりません。お互いに相手方の気持を知りながら、調整し合うことのみを期待しておる。それができなかったときにはどうするとかこうするとかいうことは今考えておりません。

松平忠久日本社会党

○松平委員 現在のところは考えていない、こういうことであります。  しからばお伺いしたいのですが、昭和三十七年度までの鉄鋼の計画というものが現在出ておるところはどことどこで、どういうふうなものを作るのかということを、これは事務当局だろうと思うのですが、お答え願いたい。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 私は各社の計画等は一切存じておりませんので、事務当局がわかっておれば申し上げますが、これはなかなか微妙な問題でございますから、あまりここで個人の計画につきましてのことを論議するのはいかがなものかと思います。たとえば今お話があった、できなかったときにはどうするかということについて通産大臣が意見を言うことは、せっかく望んでおる自主調整が変なものになりはしないかという気がいたしておりますので、今各社の計画につきましてもそそうはないと思いますが、適当に質疑が行なわれることを期待いたします。

小出榮一通商産業事務官(重工業局長)

○小出政府委員 各社と申しましても、今問題になっておりますのは、いわゆる高炉八社をまず中心に、これが全体の生産の中で約八割近いものを占めております。それ以外に二十八社一応の計画をとっておりますが、特に八社を中心にいろいろ検討いたしております。それぞれ高炉、転炉、平炉あるいは圧延部門につきまして、線材なりあるいは板の圧延機械につきまして建設計画を持っております。  会社別に具体的に申し上げるのは、適当かどうかということでございますが、全体といたしましては、たとえば高炉で申しますれば、現在のところ三十一基稼働しておりまして、さらにこれに対してすでに第二次の合理化計画において認められておりますものが七基ございます。そのほかにさらに二基、各社の計画を合計いたしますと三十七年度には四十一基高炉を建設したいというような各社の案になっております。それから転炉部門につきましては現在八基ありますが、三十七年度までにはそれを二十七基にふやしたい。それから圧延部門につきましては、たとえば線材のミルにつきましては現在十五基ありますが、それを二十一基までにふやしたい。それから板の関係におきましては、ストリップ・ミル——、ホット・ストリップにつきましては現在七基ありますが、それを十一基までに伸ばす。それからコールド・ストリップにつきましては現在十八基ありますが、それを三十二基までにふやす。厚板のミルにつきましては現在二十四基あります。それを二十六基までにふやす。鋼管のミルにつきましては継ぎ目なし鋼管につきましては現在七基、これは老朽設備の整理等によりまして、むしろこれは数が減っております。大体そういうようなおもな製鉄、製鋼あるいは圧延部門、こういうようなそれぞれにつきまして各社の計画を総合いたしますと、そういうような姿になっておるということでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そういう計画はいろいろな資料にも出ております。そこでそれらの計画を実施すると、昭和三十七年度には粗鋼として千八百八十三万トンということをいっておるけれども、それは先ほど申しましたように昭和三十四年度で、すでに千八百万トンの台を越してしまうというふうに生産が上がってしまっておるというふうになると、もし十一基の高炉を建設するということになると、これは膨大な生産額になって、あなた方が第二次合理化計画として数字をはじき出しておる千八百万トンなんというものではなく、もっとはるかに膨大な数字になる、こういうふうに思うのですが、それはどうでしょうか。つまり十一基建設しなくても、本年の三十五年三月末には千八百万トンを越してしまう、こういうことになる。第二次計画によると、そういうものを作って、そうしてその後において、作ってから稼働して初めて千八百八十三万トンという計画なんだ。そこのところの数字のずれと申しますか、それは一体どういうことになっているのですか。

小出榮一通商産業事務官(重工業局長)

○小出政府委員 これは御承知の通り鉄鋼連盟におきまして全体の生産計画を各社で立てます際に、まず需要の想定、これをかなり長期にとりまして、昭和四十五年度までの長期の需給見通しというものを、まず需要面から測定をした作業が御承知の通り昨年行なわれたのでございます。それで、それとこれは四十五年度までの長期のものでございますが、私どもといたしましてもやはり一応長期の需給見通しを立てるという作業はいたしてみたのであります。それは四十二年度までを一応見通しまして、それにつきましてはたとえば作業の前提といたしまして、かりに国民総生産、GNPの伸びを年々六%ないし七%というような伸び率で見たと仮定いたしました場合におきましてその伸び率が適当であるかどうかということについては、もちろん議論があろうかと思いますが、大体その辺のところを目安にして、それからそういう国民総生産の伸びと、鉱工業生産指数の相関値、それから鉱工業生産指数と鉄鋼生産の伸びとの弾性値というものの相関関係を基礎にいたしまして四十二年度までを一応試算してみる。それと鉄鋼連盟でも四十五年度まで試算いたしましたものを、かりに年率平均して四十二年度くらいまで割り戻してみる、あるいは四十年度というようなところの線を一応とってみるというようなことをいたしてみました場合におきましては、大体需要想定は一致しておるわけでございます。ただ問題は、その需要想定に対しまして、しからばそれだけの需要に見合う生産計画というものはどの程度の生産規模であるべきかということを作業してみた資料もあるわけでございます。その生産規模の想定に対しまして今各社の計画しておりまする現在の設備計画、それらの設備がすべて合理的な稼働率をもって稼働するといたしますと、かなり生産部面においてオーバーする、こういう結論になっておることは確かでございます。その意味におきましてこれはやはり何らかの調整が必要ではないかということが、この自主調整ということの必要性を生じた事の起こりでございます。今松平先生御指摘の通りそれらの生産——かりに需要想定が一応正しいものである、一応適正なものであるといたしますれば、それに見合う生産量というものについては、今の設備計画とは多少食い違いができておる、こういうことは事実でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 まあその通りだと思いますが、多少どころでなくて非常な食い違いが出ているのではなかろうかと思うのです。それは昭和三十七年度に十一基作って、ようやく千八百万トンの稼働率というか、生産ができる。昭和三十四年度には十一基作らなくてもう千八百万トン、これは鉄くずその他の平炉あたりの増産が行なわれたかと思うのですけれども、いずれにしてもそういうふうなものができなくても千八百万トンできてしまった、こういうのでありますから、第二次合理化計画なんというものの、その生産面における数字なんというものは、非常なでたらめなものではないかというような印象を、これは与えていると思うんですよ。その点はしかし追及いたしません。これは直していただきたい。第三次なり——第三次もありますけれども、全体を通じて今後の鉄鋼政策というものについて、やはり正確な数字をある程度通産省として把握して、そうしてやっていかなくちゃならぬ、こういうふうに私は思うのです。  そこで次に伺いたい点は、これは昨年の十一月でありますか、資源調査会から廃ガスの利用についてという報告書が出されておるわけであります。それは前から言われておったことであって、八幡と富士の広畑、それから日本鋼管ではそれぞれこの廃ガスを利用してアンモニアを作る、こういう計画が進められておって、昨年われわれが国会議員として国政調査に行った際には、広畑において隣接の地区に、別府化学工業の硫安工場の敷地を求めてそういうことを始める、こういうことを聞いてきたわけでありますが、この廃ガスの中でコークス炉のガスの化学工業への利用ということが、主として資源調査会の報告には盛られておるわけであります。そこでこの報告書によりますと、現在アンモニアは石炭でやった場合においては一トン当たり三万五千円、天然ガスでやった場合には二万円、しかし廃ガスでやった場合には一万九千円だ、こういう数字を報告書にはあげておるわけであります。ところが昨年の肥料二法律というものの延長した際におきましては、肥料は国内相場四十七ドル、輸出は四十五ドル、こういうことで、あれを延長いたしまして約四百億程度の金を開銀その他の融資によりまして、肥料の合理化をはかって値段を下げていく。しかもその下げる大体の方法としては、石炭を重油にかえて免税措置を議する。こういうことによりましてあの法律というものの延長が行なわれたことは御承知の通りなのです。ところが昨今のインドにおける硫安の国際入札相場は、四十ドルを割る三十九ドル五十セントというような値段まで出ておるということであると、去年の合理化二法律を延長する際における想定である四十七ドル、四十五ドルという線は、これは大幅にやはり下げていくということにしなければならない状態に追い込められてきているのではないか。他方において一トン当たり一万九千円というような安いアンモニアができるような、いわゆる鉄鋼の廃ガスというものを利用するということになりますと、それは四十二ドル以下に下がるかもしらぬ。そういうデータもこの報告書には出ておるわけでありますが、この廃ガスの利用というか、それによる日本の硫安工業のてこ入れ、全般的に硫安工業というものを鉄鋼と結びつけて考えるような国策の樹立というようなものは、一体大臣はお考えになっておりますか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 お話のような点がございますので、御指摘になりました富士製鉄の広畑工場と別府化学、そうして日本鋼管と昭和電工、これはすでに契約ができました。八幡の廃ガスにつきましていろいろ関係会社の間で話があったようでございます。最近新日本窒素と契約ができる状況でございます。お話の通り廃ガスを使うことが一番いいのでございます。それに努めて参りたいと思いますが、何分にも今硫安の生産は四百二、三十万トン、しこうして現存の廃ガスを全部使いましても、私の計算では大体五十万トンくらいじゃないかと思います。室蘭におきます廃ガスが相当あるようでありますが、まだこれは相手方になる肥料会社との話がつかぬようであります。方向といたしましては、今までのように電解法とかあるいは石炭ガス法というふうなものはもう時代おくれになりまして、行く行くは今の流体原料、ガス原料で三十七年くらいまでには、七、八割がそれに向かっていくように、通産省としても指導いたしております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そういう方向で三カ所の契約ができて、すでに着工しておるところもある。こういうことによって硫安の値段を下げるということは、きわめて当然のことだというふうに思うのですが、この計画が昭和三十七年度になるとそれだけの廃ガスができる。すなわち化学工業に使える分が二億二千万立米、未確定のものが二億立米ということで、今の計画がなっているわけです。そのときの粗鋼は千八百八十万トン、ところがすでに今日千八百万トンの粗鋼ができている。従って廃ガスも、この調査報告にある数字以上に今日は上がっておるということは、これは推測できることなんです。そこで今おっしゃいましたように、かりに今後十一基できるということになりますと、廃ガスはこの資源調査会の報告以上できる。おそらくそれの五割増しくらいの廃ガスができると思う。そういたしました場合においていろいろなことを節約して、そうしていわゆるCガスというものを使っていくということになると、われわれの計算でいくと百万トンくらいできるのではないか。大臣は今五十万トンとおっしゃいましたが、昭和三十七年度、さらに昭和四十年度といういわゆる第三次計画というものを見ると、その廃ガスを利用した場合においては百万トン近いものができるという計算になると私は思うのです。そこでそうなった場合におきましては、硫安もかなり値段が下がるのではないか、こういうふうに思います。ところが現在においてすら今大臣がおっしゃいましたように、室蘭はかなり出ております。出ておりますが、これは全然むだに使われておる。それから川鉄は、これもかなり出ておるけれどもむだに使われておるのではないか、こういうように思う。そういたしますと、将来室蘭にいたしましても川鉄にいたしましても、あるいはその他十一基できるという高炉の増設の事態において、これらの硫安との結びつきということを、もう少し積極的に国策として考えていってしかるべきではないか、こういうふうに思うのですが、その辺に関する大臣の御所見を承りたいと思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 お話の通り硫安価格を引き下げるということは、農業並びに輸出関係から申しても非常に重要な点でございますので、通産省といたしましてもこういう廃ガス利用の話がありますと、積極的に相手方の会社との間に話をさせるように努力をいたしているのでございます。こまかい数字の点につきましては事務当局からお答えいたします。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 先ほど大臣から申し上げました約五十万トンという硫安の数字は、現在計画がすでにでき上がりあるいはでき上がりつつある、すなわち八幡製鉄の戸畑の関係、富士製鉄の広畑の関係、それから日本鋼管の川崎の関係、この三カ所でのガス量から計算いたしました数字でございます。なおその他にただいま松平先生から御指摘がございましたような、未解決の問題として室蘭の製鉄所、これが約一億二千万立米ぐらい出る計算になるのですが、これもできれば何らか肥料あるいは適当な化学工業の原料として活用することを考えているのでございますが、会社自身の資金繰りその他の関係もあろうかと思いますが、一時立てられかけましたそういう計画が目下のところさたやみという形で、私の方からただいま積極的に現在の硫安メーカーとの結びつきについての方策を計画し、慫慂しようとしている途中でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 今の計画においても、現在の計画ですでに五十万トンは廃ガス利用、こういうことで説明があったわけであります。そういたしますと、さらに第三次合理化計画というようなことになりますと、三千八百万トンという計画になっているが、これはもう実に膨大な廃ガス利用の価値がある、こういうことになりまして、私が先ほど言った工合に百万トンは廃ガスだけでできる、こういうふうに私は推定しているわけです。そういたしますと日本の他の硫安工業はかなり採算的に立場が悪くなる、そういうこともあるのではないかと思うのですよ。そうすると、これは他方において石油の廃ガスを使うということもやっていかなければならないということになりますと、硫安の昨年延長した二法律に伴っての合理化計画というものは、根本的に考え直す必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、その点はどうですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 お説の通り鉄鋼関係のみならず、石油化学その他からも相当の余剰水素を生じて参りますので、これをいかに活用するかということをただいま実は私どもの方で事務的に検討を進めております。ことに石油化学関係が当初われわれが予想いたしましたよりも相当急速に広がってくるという状況になりましたので、炭化水素のうちの炭素分を使い尽しました残りの水素というものをよほどまく活用いたしませんと、むだにしてしまうということになろうかと思います。ただ非常に悩みとなります点は、御承知のように固型肥料全体が操短をやっております。輸出が思うように伸びないというようなこともございますが、過去における増設、もちろんそれは合理化のためであったわけでございますが、過去における増設がただいま非常に生産過剰を来たしているという状況でございまして、これをただいま申しましたような余剰水素に置きかえて参ります場合に、机の上の数字の計算だけであれば、これはきわめて簡単に置きかえができるのでございますが、現実には、工場をそう大規模に移すということはなかなかむずかしいという問題もございまするし、その他いろいろ立地条件等もございまして余剰水素と現に硫安水素を製造しておる工場とをいかにして具体的に、実質的に、また効率よく結びつけるかというところが、われわれに課せられておる問題でございます。この点を、ただいまいろいろ各方面から検討をいたしておる最中でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 肥料の合理化ということになりますと、その中でコストの高いところは、何かやはりそこに転換産業を考えてやるとかなんとかいうことでやっていかなければならないと思う。そうして硫安自体の伸びが、ことに内需においては少し減ってきておる。しかし、輸出の方は、これは無理をしているためかどうか知りませんけれども、かなり伸びて、この四、五年来で約倍近く輸出がふえておるというようなことから見てみますと、やはり硫安のコストを下げる、あるいはその類似の肥料のコストを下げていくということがどうしても必要になる。そうすると思い切ったようなことを、やはりあるときには考えなければならぬのじゃないか。それを鉄鋼の伸びと合わせてあるいは石油化学工業の伸びと合わせて、やっぱり相当腹をきめて考えていく必要がある、こういうふうに思うのですが、これはやはり大臣がそういう決心をしないと、なかなか事務的には私は運ばぬと思うのです。ことに原局においては、たとえば肥料会社で作る硫酸滓というものをなるべく高く買ってもらいたいということを軽工業局では考えているでしょうが、しかし製鉄屋さんの方からは、なるべく安く買いたいというので買いたたかれているというのが現状だろうと思うのだが、そういったような問題があって事務当局間では、今の通産省の機構の中では、重工と軽工と分かれておる、また別に鉱山局もあるというようなことで、なかなかこれがうまくいかないのじゃないか。従って、これは政治的に大臣が配慮をして、一つの方針というものを立てさせて、大所高所から見てこれを実行していくということでなければならぬと思うのですが、それについては、大玉は何かお考えがございますか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 通産省において内部で検討をいたしておりますのみならず、硫安工業会の方につきましても、今後の硫安界の建て直しにつきまして検討を加えるよう、命じておるのでございます。お話の点は、以前からとにかく積極的に合理化の方へ進むように話をいたしております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そこで、そういうことに関連いたしますと、重工業局と軽工業局との所管の、つまり製鉄と肥料というものの結びつきによって、ここに双方の関連した産業の合理化ということをはかっていく、こういうことにしなければならぬわけですが、それと非常に関連の深いのは、鉄鉱石の問題だろうと思うのです。鉄鉱石の数字を見ますと、今後伸びる鉄鉱石について、一体外国の鉄鉱石にどの程度依存していくのか、あるいは国内の鉄鉱石の開発というものをどの程度やっていくのかという、そういう根本的な方針というものが、私は立っていないのじゃないかと思うのです。これは事務的に承っておるところによると、鉄鉱石につきましては、いわゆる宮沢試案ですか、宮沢課長の試案というものがあって、そうして、現在昭和三十四年度には、全部で一千七百五十万トンの中で五百八十万トンを国内で開発していく、こういう計画である。ところが、昭和三十七年度になりますと、二千百八十万トンの鉄鉱石が要るが、その中で六百八十万トンを国内で生産する、四十年度は二千八百五十万トンであって、その中で七百八十万トンを国内で生産する、こういうのが宮沢試案だということを聞いておるのですが、一体どこにこのポイントがあるのか。ただその年度によって、百万トンずつ国内の方をふやしていくというような目安のように私は思うのです。そこで現在は約三割ちょっと以上国内のものを使っておる。ところが昭和三十七年度になりますとそれが減ってきて、外国のものをよけい使うようになる。昭和四十年度になりますと、なおさら外国のものに依存するという格好がこの宮沢試案なんです。私はそれで日本の鉄鋼政策としていいかどうか。大体砂鉄にいたしましても、硫化鉱にいたしましても、これは貧鉱であります。貧鉱であるけれども、貧鉱処理ということを考えて、やはり三割ぐらいは日本のものを使うなら使うという方針を立てられる必要があるんじゃないか、こういうふうに思う。その点に関しましては一体どういうふうにお考えですか。これは大臣に所見を伺います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 日本の鉄鋼業が急速に伸びて参ります、その原料手当につきましては、われわれとしても十分先を見通しながら考慮しなければならぬ問題だと思います。御承知の通り、国内の資源は貧弱であります。しかもまた貧鉱でございます。できるだけ国内でたくさんまかなっていこうということは、通産省としての方針でございます。だから一二十五年度予算におきましても、新鉱床のために従来の五千万円の倍額の一億円を予算に計上して、極力国内資源の開発に努めよう、また別の面から、鉄鋼連盟あるいは通産省等から、この国内資源の開発に二億数千万円出しまして、鉄の方につきましてもその相当部分を使っていこう、こうやっておるのでございます。何と申しましても資源の乏しい国でございますから、生産がどんどん伸びていくときに、その割合で日本の国内を探そうといっても、やはり一つの採算点があるわけであります。私は極力やってみての計算ではないかと思います。もちろん砂鉄の方もやります、それからまた鉄鉱石もやります、そうしてまたお話の硫化鉄鉱から硫酸を取ったあとのものもふやしていこうと申しまするが、硫化鉄鉱の問題にいたしましても、それから硫酸を取ったあとの問題でありますが、硫酸の処理がまた困る。硫酸の処理がうんと伸びるのならば、硫化鉄鉱は日本には非常に多いのでございますから、そういう点につきましてはいいのですが、実は硫酸の処理というものがなかなかやっかいである。ことに硫安に使いまする硫酸も、お話の通りなかなか伸びにくい。ことに尿素なんかの伸びがいいということになりますと、硫化鉄鉱の利用もある程度の制限を受けるという状態であるのであります。しかしいずれにいたしましても、そこにやっぱり工夫を要することでございます。政府といたしましてはできるだけの工夫をいたしまして、国内資源の開発利用ということが、やはり通産行政の大きい一つの問題でありますので、予算面におきましても、できるだけそういう方向で進んでいっているわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 私は国内の砂鉄なりその他の貧鉱処理ということを考えていく必要があるんじゃないか、日本の鉄鋼政策というものは、国内で資源が貧弱だというので、すべて外国に依存するというようなことで、今の日本の鉄鋼というものができ上がっておる。貧鉱処理のことがまことにどうも研究が薄い、こういう実情なんです。日本の鉄鋼は今そういう方向に来ておる、一つの傾向がそうでありますけれども、しかしやはりこれは国内の資源の開発ということは、すべて国内に金が落ちるということになりますので、そこはやはりある程度の保護政策も加えて、日本の貧鉱処理というようなことも考えていかなくちゃならない。御存じでございましょうが、日本が満州へ進出したころ、鞍山の煤鉄公司は最も貧鉱なんです。日本は大冶の鉄を使っておった。ところが満州へ行くとなかなか大冶から取り寄せられない。鞍山で貧鉱を処理するということであの会社を日本は作ったわけです。従って日本にも技術はあるわけなんです。だから、日本の鉄鋼政策は初めから外国に依存することを考えておったから、貧鉱処理ということをしなかったということになるだろうと思う。私は、日本の鉄鉱石はやはり三割ぐらいは使っていくという一つのめどを立てていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思います。  そこで今おっしゃいましたように、たとえば硫化鉱が十億トンくらいあるといわれておるが、この硫化鉱を使って硫酸を作り、そして硫安もそれによって作っていくが、あとの硫酸滓を売るという場合において、現在の状況で一番肥料会社が苦情をいうのは、この硫酸滓、シンダーの値段がどうも買いたたかれるということです。これは一体どういう理由でしょうか。どうも日本の製鉄屋さんは国内でできたシンダーを値よく買わない、それは焼却して固めなければならないという手間もありますけれども、しかしそういうものも全部コストに入れていろいろやってみても、なおかつ非常に値段が低いという苦情をいっておるのだけれども、これはどういうわけでございましょうか、何か理由がございましょうか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 硫酸滓の価格が安いという苦情と申しますか、議論は聞いたことがございます。しかし私はそれが適切であるかどうかということについては、実はまだ検討をしたことがございません。業者の間で話し合って、そうして国策ということを考えながら国内の資源活用をはかっていってもらいたいと思っております。硫酸滓の値段がどうかということにつきましては、お答えするだけの材料を何も持っておりませんから、事務当局からお答えいたさせます。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井政府委員 硫酸焼鉱の値段は、私どもの承知いたしておりますところでは、大体五九%含有のものに換算いたしまして四千七百円前後と承知いたしております。これはそういった鉄鉱石の輸入価格と比較いたしますと、若干安い、数字上からはそういうことに相なっておるようであります。ただ焼結の手続でありますとか、そのほかいろんなメリットを計算しての取引がそういう価格形成をなしておるのじゃないかというふうに見ておりますが、私ども、こういう硫酸焼鉱がどんどん製鉄会社で喜んで使われるということができますならば、国内の生産上からは非常に喜ばしいことである、かように考えております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 これはやはり国策としても若干安いというような買い方では困るのであって、正当の値段で買わせるようなことを考えていかなければ、硫安の値段も下がらぬと思うのですよ。それから何と申しますか、不純物も前にはあったというようなことでありまして値段が下がっておるのかとも思うのですが、最近は非常に不純物を取り除く技術が発達したというようなことも聞いておる。そうしますとやはりこれは外国の鉄鉱石並みに買わせるという方針を立ててもらわぬと、硫安としては困るのじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そこで次に伺いたいのは、今局長もおっしゃいましたけれども、硫化鉱をよけい使うと硫酸ができて硫酸の始末に困る、これは今まではそうであったようであります。そこで硫安の市場を拡張しなければならぬということになると、どうもやはり中共貿易というようなことも考えざるを得ないことになる。たしか本年は硫安の対外輸出は九十六万トンくらいじゃないかと思うのですが、中共は御承知のようにこの前の話し合いでは五十万トンほしい、こういうことであった。そうして、御承知かとも思うのですが、水田地帯には絶対に硫安でなければならない。畑作では硫安でなくてもいいわけだけれども、水田地帯は絶対に硫安でなければならぬ。従って日本における消費というものもそう減少はしない、こういうふうに私は見ておるのみならず、南方諸地域並びに揚子江を中心とした南支那というところは、ほとんど水田地帯であるということになりますと、どうしても硫安によって今の中国も農民の生活を上げていかなければならない。今日中共の悩みは労働者の賃金と農民の収入のバランスがなかなかとれないというところで、やはり人民公社というようなものを作っていかなければならぬという段階にきておる。そういたしますと、これはわれわれも行ってよく話もしているのだけれども、結局農民の生活を上げていかなければ、あの国の経済も非常にやりにくくなる。ということになると、手っとり早く硫安を利用するよりしようがないということでありますので、われわれの認識からするならば、百万トンくらい出すことはそうむずかしくない、こういうふうに思う。そうすると今の硫酸の問題も解決するということになるわけであって、そういうところにも相当高い見地からやっていかなければならぬと思うのです。これは私の意見として申し上げるわけであります。  そこでお伺いしたいのは、硫酸の輸出はきわめて困難だということで、来年度の計画においてもたしか一万トンくらいの輸出計画があるようでありますが、これはどこへ出るのですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 硫酸の価格が非常に国際市価に比べて高いものでありますから、事実上はほとんど輸出はされておりません。わずか出ておりますのはきわめて小口で、ごく近辺、台湾その他に若干出ておるという程度で大口はございません。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そこで、硫酸の値段の高いというのは、結局今までのやり方がああいうやり方で、合理化されてないから高いのであって、これを今言うように廃ガスを利用したらきわめて安い値段でできるということになると、硫酸の海外輸出ということも考えられるわけだろうと思うのです。そこで、日本は火山国だから硫黄がたくさんあって、硫酸がどんどんできるが、中国は火山がないから硫黄、硫酸がないのです。硫酸がなければ化学工業は発達できないということになるのであって、硫酸として出せる可能性も出てくるだろうと思う。  もう一つ伺いたいのは、硫酸の固型化ということは現在一体どの程度研究されておるか。私が聞いたところによると、固型化できたということを言う人もあるが、どうもその点がはっきりしない。もし固型化ができればこれはどんどん出せるのじゃないかと思うが、それは今どうなっていますか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 硫酸の固型化の問題は、実は私もあまり承知しておりませんので、ただいまお答え申し上げかねます。調べましてお答え申し上げます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 固型化ができたということを私は聞いておるのです。ところがある通産省の人に聞いたらそれは別のもので、亜硫酸じゃないかということを言っております。そこで私はまだよくわからないのだけれども、硫酸の固型化というようなものは、一体どこで研究しているのですか。

秋山武夫通商産業事務官(軽工業局長)

○秋山政府委員 まことに不勉強でございますが、硫酸の同型化が行なわれるということ自体、私今まで承知をいたしておりませんので、どこかおそらく研究所あたりの研究段階にあるものだろうと考えますが、事実を確めました上でお答え申し上げます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それは重工業局の人がよく知っているのです。課長さんあたりがよく知っているのです。それで今どの程度になっているとか、あるいはそれが成功に近いとかなんとかいうことも私は聞いておるし、その固型化についての報告もございますよ。だからこれはちょっと不勉強だと思うのだが、その点は注意してもらいたい。いずれにしても、要はやはり日本の貧鉱処理ということを考えると、やはりそこにある程度の保護政策というものを加えなければならぬ。日本の鉱業政策と申しますか、私は常に思うのですが、いつでもふらふらしておる。一貫した鉱業政策というものが日本にはない。それは需要者が非常に発言権があって、政治力があるから、起りないというとすぐ外国から持ってこいということになる。外国から持ってくると、日本の鉱業は打撃を受けて非常に困ったことになる。AA制というようなことになりますと、それは非常に顕著に現われるのではないかと思う。そこで、日本の貧弱な鉱山であるけれども、やはり日本の基礎産業として保護していって、そして一つの確固たる方針のもとに安定さしていくということが必要なんです。その安定が従来は需要者側の発言権が強くて、生産者はいつも困っておる。こういうことになっておるのですが、これに対して大臣はどういう印象を一体持っておるか、過去における通産行政の鉱山政策というものは、まことに不安定なんです。これじゃ日本の中小の鉱山は困ってしまうというふうに思うのですが、この点はどうですか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 お話のような点もありますし、また鉱山側の古いところもございまして一がいにはいきませんが、先ほど来申し上げましたごとく、国内資源をできるだけ活用していこう、こういう方針には変わりはございません。ただそのことによって全般の産業、あるいは輸出貿易に非常に支障を来たすということになりますと、これは考えものでございます。そこで関税政策、国内の保護政策、こういうものとにらみ合わして措置すべき問題だと思います。

松平忠久日本社会党

○松平委員 私は今大臣の国内の産業をどうしてもある程度堅持していかなければならぬということに賛成なんです。それは従来、ともすると不安定がちであった鉱山政策というものに対して、ほんとうに一つ実施をしてもらいたい、こういうふうに思います。そこで、私ばかり時間をとってもなんですから、最後に申し上げたいのですが、日本の鉄鋼業というものが鉄鋼業だけではなくて化学工業との結びつき、それからさらには都市ガスとの結びつきを相当考えなくちゃならぬということになると思うのです。そういった総合的な発展策というものを考えていく上において、何らかやはり通産省あるいは科学技術庁という方面との間に強力な研究機関のようなものを設けて推進していかなければ私はなかなかうまくいかないのじゃないか、あっちへ突っかかりこっちに突っかかるということになるのじゃないかと思うのですが、そういうお考えはございませんか。聞くところによると、大臣は事務当局に対して、日本の鉱山資源というものを一つどういうふうに利用していくかということを関係各課あたりと相談するようにということを言われたということを聞いておるのですが、何か政府部内でそういった基幹産業をただ単にばらばらでなくて、一貫したコンビネーションのもとに計画的に推進していくために必要な措置というものをおとりになるつもりはあるかどうか、これを聞きたい。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 私就任のとき各業界の人に別々にお集まりいただきまして、今までお話の硫酸滓の問題を、合理的な方法で国内資源の利用ということを考えてもらいたいということを、鉄鋼関係の業者に出したことがございます。そういう気持で私は言っております。御質問のまた各種試験研究所、こういうものが独自にやるだけでは効果が十分ではございませんので、試験研究所の経費をふやしますと同時に、他の研究所また大学の研究所等々と連絡を密にして総合的にいろいろの点を相談しながら研究し合うという方針は、私通産大臣としてとっているわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 昨年でありますか、八幡製鉄の島村常務が島村構想というものを発表しているわけであります。その島村構想というものを読んでみますと、それは鉄鋼業というものと他の産業、すなわち、鉄資源の硫化鉱との関連における硫化鉱の増産計画と、それから都市ガスとのコンビネーション、それから先ほど申した硫安とのコンビネーション、さらには電力とのコンビネーション、そして最後にはセメントとのコンビネーションをしなければならぬ、そしてそれはすでに実行されているものもあり、まだ研究中のものもあるだろうと思うのですが、そういうことによって、構想というものを一応発表し、そしてそれに基づいて実施するという段階にきているように思うのです。そしてそのためには、あらゆる面における関連産業と連絡を密にしてやらなければならないということで、硫化鉱の問題については同和鉱業との間に契約ができた。そして同和鉱業の社長の小川栄一君が論文を書いているわけでございますが、そういうことをお聞きになりましたか、島村構想。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 聞いておりません。しかしお話の通りに、製鉄関係を中心としましていろいろセメントの問題とか硫安の問題、こういうことは聞き及んでおりますが、だれだれ構想として聞いたことはございませんし、書物を読んだこともございません。一応の筋道のことは他から聞いております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それはだれが考えても私はそういう構想になると思うのです。  そこで、一つ最後の要望でありますが、日本の基幹産業というものを考えた場合に、どうしても総合的にいろいろ考えていかなければならぬ。それはやはり責任の衝に当たる者が考えて立案もさせ、そしてこれはかなり勇気を持って実行しなければならぬ、こういうふうに思いますので、一つ思い切った施策を今後講じてもらいたい、そういうことを要望しまして私の質問を終わります。

中村幸八自由民主党

○中村委員長 次に板川正吾君。

板川正吾日本社会党

○板川委員 私は前会に引き続きまして池田通産大臣及び菅野企画庁長官、それから公取委員長に若干の質問を申し上げたいと存じます。  まず、池田通産大臣に貿易自由化の問題についてお伺いいたしたいのでございますが、今回の為替貿易の自由化に関して、総合的な対策を立てる機関というものが、どうも私ども明らかでないように感じておるのであります。まず第一に、一体この為替貿易の自由化についての総合的な対策及び責任をとる機関というのはどこでありましょうか。為替の自由化については、大蔵省とか、あるいは貿易の自由化については通産省とか、さらに経済企画庁あるいは外務省、こういう機関がタッチしておるのでありますが、もしこの各関係官庁で意見の相違があったりした場合には、一体だれが責任を持って、この自由化政策というのを推し進めようとしておられるのか、これを第一にお伺いいたしたいと思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 原則は所管大臣でございます。しかし事重大な問題でございますので、今年一月の閣議で、為替貿易自由化に関する閣僚懇談会というものを内閣に設けまして、その懇談会できめていこうということにいたしております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 懇談会の責任者はどなたでございましょうか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 内閣総理大臣でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 今回の自由化政策といいますか、今回の為替貿易の自由化政策は、欧米、主として米国より押しつけられた自由化ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点がどうかということであります。日本自身が、日本の必要によって自主的な判断から自由化政策を行なおうとしておるのか、あるいはまた、今回調印されて審議になっておりまする日米新安保条約の日米経済協力の条項として、こういう自由化を急速にやるようになったのか、どうも国民としては自由化政策というのが、あまりにも唐突に強行されんとしているように思えるわけであります。なぜそう急ぐのか、理解に苦しんでおるというのが実情であろうと思うのでありまして、その間の事情を明らかにしていただきたいと思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 御承知のごとく戦前、戦時中、また戦後しばらくの間、日本の経済は統制経済であった、戦後におきましても内外ともに非常に不自由な統制経済でありました。昭和二十四年に為替相場を設定いたしまして、国内経済の自由化をはかって参りましたので、ほとんど自由化されたのでございます。しかし国際的に見ますると、まだまだいわゆる統制経済で、政府の外貨予算によって、従来の基準その他による割当制度で、非常に不自由な経済でありました。従いまして、日本がこの上とも経済的に拡大強化していく上におきましては、私は自由化で国際的な発展を期し、国内経済の向上をはかるよりほかに手がないと、日ごろから考えておったのでございます。また私以外に、政府におきましても、昨年の一、二月ころからだんだん自由化の方向をとってきておったのであります。たまたま通産大臣になりまして、ぜひともこれをなし遂げたいという私の日ごろの考えから出ておるのでございます。しこうして、他面国際的に見ますると、日本のいわゆる為替管理、貿易管理につきましてかなり非難の声もございます。しこうして、私は日本のこれ以上の発展を期するためには、日本のためにも、また日本が国際社会の一人として国際経済を拡大していくためにも必要であるということでやっておったのでございます。何も外国から押しつけられたというのではございません。世界の大勢がそうなってきておるというのでございます。早い話が、今も問題になっておりまする大豆のAA制の問題、これはもう、対ドルだけはAAにしておるのですが、他の対ドル以外のところはAA、自由でございます。その場合におきまして、私は、昭和三十二年の二、三月ころだったと思いますが、石橋内閣の大蔵大臣をしておるときに、大豆はAA化すべし、こういう議論で、当時の通産大臣、農林大臣、そして総理臨時代理の岸さんとも話をいたしまして、踏み切りかけておったのでございますが、御承知の通り三十二年の四、五月ころから国際収支の関係が表面悪化したように見えましたので、関税だけはとりましたけれども、自由化に踏み切らなかった。こういうことは、私は年来から考えておることでございまして、ぜひこの際必要だ、しかしこのためには、それを実施するための万全の措置を政府として考えると同時に、業者の意見を十分聞いて、円滑にいくような方法をとらなければならぬことはもちろんでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 今の自由民主党が自由主義経済の建前をとっておりますから、早晩自由化をしようという方針であるということはわかりますが、しかしその自由化をするにしても、タイミングがあると思うのです。一般の気持から、これは自由主義経済を前提にしている人々からいっても、どうも今回の自由化が日本としては少し早過ぎてはいないか、こういう気持を持っておる。早晩いずれはやらなくてはならぬとしても、どうも早いのじゃないか、急に昨年の秋から自由化々々々ということで、世間がやかましくなったことは、昨年の秋にガットの総会が東京にあったときに、米国の国務次官のジロン氏が日本に来て、強硬に日本に自由化政策を迫った。特に米国は、ここ一、二年金ドルの流出が激しい、国際収支は逆調である、また大統領選挙を控えて緊縮政策はとれないというようなことから、この岸内閣に自由化政策を強く要望したために、急に繰り上げて自由化政策があわただしく行なわれようとしておるのじゃないか、こういう見方がありますが、これは大臣どうお考えですか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 私はそうは考えていないのでございます。私が通産大臣に就任したときに、通産大臣としてどういうことをするかというときに、貿易為替の自由化ということをはっきり言っております。これは去年の就任当初のあいさつでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そういう自由化が池田さんを含む岸内閣の方針だというのでありますが、どうもそれには事前のPRといいますか、準備が私は明らかでなかったと思うのです。西欧の自由化政策が一体どういうふうにとられたか、これは申し上げるまでもないことと思いますが、このヨーロッパ共同市場が自由化するには、十年の一つの準備があったと思う。一九四八年に、マーシャル・プランに基いて、ヨーロッパ経済協力機構ができて、五〇年には、その目的を達成するために、ヨーロッパ決済同盟ができて、五二年には、鉄鋼、石炭の共同体ができて、五六年及び五七年でヨーロッパ共同市場の了解点に達した、五七年の三月にローマでヨーロッパ共同市場体の条約を調印した、五九年から発足した、こういうふうに十年の歳月を持ち、関係各国がその間に何回か協議を持ち、しかも共同市場の小型である鉄鋼、石炭の共同市場を作って、これなら心配ない、国民にもそういう方向を明らかにして自由化をしたのでありますが、この自民党及び岸政府が自由主義経済をとるのだから、自由化するのは当然だ、こういうお話でありますが、しかし、こういうように外国では十分の準備をして、国民にもそれを明らかにしておった。ところが、日本の岸さんの政治では、それは明らかになっていない。たとえば昨年の一月二十六日かの総理大臣の施政方針、自由化政策を推し進める責任者である総理大臣の施政方針の中には、自由化政策については一言も触れていない。そうすると、国民は少なくとも昨年は総理大臣の方針にないということは、まだまだ当分先のことであろう、こう思っておったに違いないのであります。それが暮れからことしの正月にかけて、あわただしく自由化自由化という態勢になってきておるのでありまして、池田さん自身は昨年ですか、昨年の通産大臣に就任と同時に、そういう考え方を持っておる、こう発表されておりますが、岸内閣ではそういうことを言っていない、これをどうお考えですか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 私は年来の主張でございまして、岸内閣の通産大臣になりましても、当然やろうと思っておったので、岸さんも賛成しておるのであります。昨年の施政方針になかったからといって、これは当分やらぬというわけのものじゃございません。今お話しになりましたが、ヨーロッパ経済共同体のあの自由化と日本の為替貿易の自由化とは、これはもう対照にするのがいかがかと思います。あれは経済共同体で、関税も資本の流通も一体化するようなやり方だ、日本の方はそれじゃない、自由化と申しましても、今三割のものを、今年の十月ぐらいに体よくいけば大豆まで入れて四割程度、そうして繊維関係を来年の四月から、これは十分の準備期間を置いて、できるものからやっていこうというあれでございます。日本の経済の姿を健全、正常化するということは、日本の経済の健全化、こうなってきたからには当然のことで、三十三年の状態では、あのころはまだ国際収支も五億五千万ドルの国際収支の黒字とは思っていなかったし、政府はそのときは一億五千万ドルの黒字と言っておった。しかし、三十三年に五億六千万ドルの黒字が出た。そうして三十四年にも四億五千万ドルの黒字が出る、こういう状態でございます。私は三十四年の黒字は三十三年に近い四、五億ドルの黒字だということを、去年の今ごろから言っておるわけです。日本の国際収支がかくもよくなるということを考え、しかもまた三十五年におきましても、形式収支はやはり四億ドルをこえましょう、こういうような状態のときに、やらなければならないこの自由化ということを、何もじんぜんとくさいものにふたをするというようなことは、私はとるべき策でないと思います。昨年の三月に岸内閣も自由化方針について閣議決定をしておるそうでございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 私は自由化の内容、自由化率の問題というよりも、そういう従来の管理貿易、ある意味の統制経済のなごりといいましょうか、そういう政策から自由貿易主義になるならば、そういう建前を国民に明らかにして、そうして協力を願ってやるということがいいのじゃないかと思う。そういう意味では、責任者である岸さんは昨年の一月にもそれを発表していない。こういうことから考えると、どうも急に自由化自由化になり、国民の中に相当な危惧を持ち、あるいは無用の混乱かもしれませんが、とにかく一つの不安を持っておる、こういうことは事実なのであります。だから、そういうことをあらかじめ明らかにしてやるべきでなかったか。それをしないところを見ると、自由化しなくちゃならないが、それは当分先のことだろう、しかし、アメリカさんの方から強い圧力があったために、やむを得ず三割、五割、七割と計画だけ先に発表しておく、国民は一体これで準備は十分なのか、こういうことで不安を持っておるのでありまして、自由化の率の内容というより、政府の心がまえというのが問題じゃないか、こういうことを私は聞きたいのであります。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 政府の心がまえは問題ではないと思います。今聞きましたら、私が閣僚でない昨年の三月閣議決定をしておる。私は六月に通産大臣になりまして自由化いたします、こういうことをはっきり申しております。そうして昨年の十月には大して影響のないものをやり、一月からは御承知の通り対ドル差別の四品目を施行いたしまして、大して影響はございません。この四月からやりまするくず鉄、牛脂、粗製ラード、これにつきましても円滑にいくと考えておるのであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 時間がないから先に急ぎますが、それでは貿易為替の自由化をやると、経済的に一体国民にどのような利益があるのか、そういう点を具体的に話してもらいたいと思う。大臣の所信表明の中にも自由化をする必要、しなくてはならぬ、自由化の計画はこれだ、こういうことは明らかにしてあります。しかしなぜ自由化をしなければならぬかというのが明らかになっていない。それから通産省で「貿易及為替自由化について」というパンフレットを出しておりますが、これにも自由化の必要性は説いており、自由化のスケジュールは説いてあるが、なぜ自由化をしなければならぬかということについて説明がないのでありますが、この点なぜ自由化をする、これを明らかにしてもらいたい。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 あなたも御経験がございましょうが、国内経済であの切符制度のときの方がわれわれの生活はよかった。しかしながら切符制度はよくない、統制経済はよくないということは立証済みでございます。と同じように国際経済で、たとえば羊毛とか原綿を輸入いたします、割当制度でございますから御承知の通り高いときには三割近くのプレミアムがかかっておった。それは即消費者に転嫁されるわけです。こういう経済はほんとうの姿ではない。プレミアムをかせいで、そうした安易なやり方でいこうというのは、ほんとうの経済ではないと思う。でありますからそのためとは申しませんが、一時高いときに一ポンド二千円をこえておった毛糸、普通のときでも千七、八百円の毛糸が今は千四百円台になっておる。これは自由化ばかりではございません。そういう本然の姿に経済がなっていく効果があるのであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 この自由化に対する懸念の声として、一体手持外貨が十三億ドルでは不十分ではないか、こういう心配があることは御承知の通りであります。イタリアの例を見ましても、イタリアは昨年六月外貨が二十八億ドル、そして昨年の十月にガットや国際通貨基金から自由化を迫られたのでありますが、イタリアの二十八億ドルは輸入の十カ月から十一カ月くらいだと思います。日本の外貨勘定をイタリア式に計算してみますると、日本で約二十億ドルくらい必要だ、こういうふうな説がございます。山際日銀総裁は三十億ドルくらいないとどうも不安だ、こういう説を出しておることは御承知の通りであります。西ドイツは一九五一年に手持外貨六十億ドルのときに、ガットや国際通貨基金から自由化を迫られたのであります。これから見ますると、日本の手持ち外貨十三億ドル、イタリア流の計算で十七億ドルだそうでありますが、どうもまだまだ不十分ではないか、こういう心配を持っておるのであります。特に、この間新聞に報道されましたように、四・四半期分の消費物資の輸入割当五百万ドルに対して、十三倍もの申請があった、こういうことが出ておりまして、どうも日本人は舶来品を尊重する空気が強い。ですから、自由化して、どうも日本の品物よりも外国の品物の方が安くてよい、こういうふうになって外国物の輸入を多くするようになりますと、十三億ドルぐらいでは不十分だ。外貨が少ないと、あるいは思惑買いをするという声も——これは金解禁のときのドル買いではありませんけれども、金解禁が失敗したことは、手持ちが少ないからどうせこれは失敗するだろうということで、当時の金で二億円という金が流出したために、さらに不況になって失敗したというような例がありますが、十三億ドルで十分かどうか。これに対して大臣は、いや、イタリアと西ドイツはそうかもしれぬ、しかし、イギリスやフランスは日本と同じくらいの割合いで——輸入に対して手持ち外貨の割合いは日本と同じくらいではないか、だから心配はないということを言われますが、イギリス、フランスのような戦勝国であって、ある程度信用のある国より、戦敗国であった西ドイツあるいはイタリア、こういう例の方が日本には私は向いていると思う。そういう意味で、十三億ドルの手持ち外貨というのは不十分である、もう少し先にいって徐々に自由化をすべきではないか、こういう意見がありますが、大臣はどうお考えですか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 各国の輸入総額に対しまする外貨の持ち高というものは、今お話の通り、イタリア、西ドイツ、オランダ、ベルギーというものは相当高うございます。しかし、イギリスにおきましては大体日本と同じであり、フランスは日本より少ないくらいでございます。しかし、これは外貨が多いか少いかということを言う前に、日本経済がどうかということを考えなければなりません。そこで、昭和三十二年のときに思惑輸入がございまして、外貨は四億ドル減りましたが、輸入原材料は十億ドルふえました。だから、決して日本の経済は心配要らないのだ、三十二年の十月から黒字になるということを、大蔵大臣をやめるときに言っておきましたが、その通りであります。そのまた外貨が減りましたが、十億ドルになんなんとする輸入の原材料がありましたから、三十三年、三十四年は非常によく伸びていったわけであります。だから、外貨が幾らあるかというときには、日本の輸入原材料がどれくらいあるかということを考えなければなりません。今の十三億二千万ドルに対しまして、イギリス、フランス並だ。しかし、三十五年の結果を見ますと、今の十三億二千万ドルに対しまして四億ドル余りの追加が出てきます。これは政府でも一億五千万ドルの黒字と言っているように、私の見るところでは、今あなたの言う十三億二千万ドルという数字は十七、八億になるということは必定であります。もしならなかったならば輸入原材料が日本の倉庫にたくさんある、私はこういう経済の見通しであります。今の十三億二千万ドルを外国のそれに比較してもらっては困る。だから、今までは、日本という国に対してあのアメリカが、経済的、政治的にほとんど口にしていなかったアメリカの大統領の教書が、ことしは西ヨーロッパ諸国そして日本と、こう言っておる。日本の信用が非常に上がっております。今の十三億二千万ドルの数字にいたしましても、実際は、昭和二十四年から今までの外貨の獲得を見ますと、十三億二千万ドルじゃなくて、十八億五千万ドルで、六億数千万ドルというのは別に置いてあり、これは出しておりません。そういうことを考えましてやってみますると、私は、山際君が三十億ドルなければ為替自由化はできないということを言ったとは思いません。しかし、いずれにいたしましても、日本の経済力がどうかということで考うべきです。それから、今あなたのお話は、為替貿易の自由化といったら、すぐやってしまって、何でもかんでも、いろいろなぜいたく品もすぐ入れるかというと、決してそうじゃありません。来年の四月ごろまでにヨーロッパ諸国は九七、八%の自由化率になっております。これは日本の自由化率とは計算の方法が違いますから、九九%まで輸入物資を自由化したとお考えになってはいけませんが、一定の基準年次と比べて九八%、九九%にヨーロッパ諸国はいたしております。しかし日本は、来年の四月になってまだ七〇%程度、ぜいたく品とかあるいは中小企業に影響を及ぼすもの、また産業の基盤に大変革を来たすというものにつきましては、まだまだ自由化いたさない、まあできるものから自由化していこうというのでございますから、そう心配は要りません。今まで統制しておるときでも、ある程度為替につきましてもゆとりをもって組んでいっておりますから、徐々にスムーズにできることと私は確信しております。これは角をためて牛を殺すというそしりを受けてはいけないので、決してそういうことのないように進んでいきたいと考えます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 日本には自由化政策でタイミングを誤まって失敗した経験があるわけです。金解禁のときとか、あるいは池田さんには失礼かもしれませんが、三十二年のときにも多少そのきらいがあったと思うのですが、しかし今回は心配ない、こういうことですから、それでは先へ行きます。  ヨーロッパの共同市場の貿易構造を見ると、共同市場の中では、六カ国で人口が一億六千五百万人、年間の輸出額が二百三十億ドル。自由貿易連合、これはイギリス中心の七カ国ですが、ここでは人口九千万人で、輸出が百六十二億ドル。米国は一億七千万人おって二百億ドル、こういうふうにヨーロッパの共同市場、貿易連合の経済圏規模というものは、大体米国に匹敵した大きさを持っております。特に問題にしたいのは、このヨーロッパ共同市場の諸国、たとえば西ドイツを見ますると、六割が域内から、近くのヨーロッパから物を買っておる、こういうのであります。こうした諸外国が共同市場を持って日本に貿易の自由化を迫って参りますと、どうしても日本としては、これに対抗するためには、アジアの地域における貿易の密度というものを高めなくちゃならないと思う。これはこの前もちょっと触れたのでありますが、どうしても日本は中国貿易をやらなくちゃならない運命を持っておると思うのですが、しかし現在、ココムの協定による制限があると思います。しかし、このココム制限はすでに実質的には効果がなくなってきております。しかしこれは、心理的には、やはりこれに触れれば米国との通商上いろいろの支障があるということで効果を持っておるようでありますから、この際貿易の自由化とともに、日本では、日本が中心になって、このココムの条約の解消、こういうのを提案して、そうしてほんとうの貿易自由化をやるなら、東西貿易の自由化をやらなければ日本としては対抗できませんから、一つ日本が中心にココム協定の解消に努力すべきだと思うのですが、大臣の見解はいかがでしょうか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 ココムあるいはチンコムの制限につきましては、従来からいろいろ問題がございまして、パリにおける会議におきまして、これをはずすように努力してきたので、よほど緩和されて参ったのであります。しかし、今中共との貿易につきましては、ココムなんかの問題じゃなしに、私はとにかく積み上げ方式というものでも何でも一つ貿易を始めたいという気持には、あなた方と変わりがないのであります。なかなかそれが今のところ困難な状況にあることは御承知の通りでございます。今後お互いに理解し合って、この貿易が再開され、さらに増進することを念願してやみません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 もう一つ。輸出入取引法の改正をめぐって、大臣の見解を確かめておきたいのですが、大臣は二月九日の予算委員会で、わが党の永井委員の質問に答えて、独禁法は改正しない、こういうことを言明されておりますが、間違いありませんか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 独禁法には手をつけないつもりでおります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 独禁法は改正しないというのですが、しかし今度の輸出入取引法の改正の内容を見ますると、実質的に独禁法の改正、こういうふうになろうかと思いますが、どうですか。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 内容をごらんになったと申しまするが、私はまだ内容を見ていないのでございます。できましてから一つ御議論願いたいと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 行政関係について、公取委員長及び、大臣がおりませんから次官にお伺いをいたします。  まず第一に次官にお伺いしたいのですが、大臣が、御承知のように、一方においてこの貿易の自由化を自分の念願だといって主張せられておる。で、今度の輸出入取引法の改正内容を大臣の所信表明の中の文章で見ますと、国内カルテルを強化しようとしておるのであります。一方において自由化政策をとって、一方においてカルテル政策を強化する。これはどうも私は矛盾した行き方じゃないか、こう考えるわけです。たとえば、自由化政策というのは、まあオリンピックに出よう、こういうことである。世界の競争にうち勝っていこう。ところが、オリンピックに出るについて、国内ではお互いに八百長で、背の高い者が一番速いとして、これを一番にして順位をきめていく、そういう態勢で競技場へ臨んだら、日本の産業が競争して勝つはずはないじゃないか、こう思うのですね。だから、一方において自由化をしながら、一方において輸出入取引法を改悪して、そしてカルテルを強化するというのは矛盾した行き方じゃないかと思うのですが、次官と、それから公取委員長の見解を承りたい。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 貿易為替の自由化は、御承知のように戦後いろいろの統制がありまして、それがだんだん廃止をされて参りまして、今残っておりまする統制行政というものの最大の部分が為替と貿易の管理であると思います。形式的にも、今日現在におきましては、総貿易量の七〇%程度が官僚統制のもとに置かれておるという状況であります。国際的には、板川さんよく御承知のように、これは西欧等、ブロック内ばかりでなしに、ブロックよりも広いOEECとか、あるいはドル地域などにつきましても、九〇%以上の貿易自由化が行なわれているという状況にありまして、わが国産業あるいは社会のもろもろの弊害が、私は残されておる貿易為替の自由化と、日本の経済がこれから飛躍をしなければならぬ際の足かせになっておると思いますので、これは廃止しようという決意を政府はいたし、またその準備をいたしておるわけであります。従って外から冷たい風が当たる、今まで貿易為替の管理で保護されておった産業なり企業の態勢、秩序というものが冷たい風に当たるわけでありますから、そういう甲の温室から出して、板川さんが指摘されるように、もしトラストとかカルテルとかいうような乙の温室にすっかり入れてしまうということならば、今おっしゃる通りでありまして、貿易自由化をやってみても仕方がないじゃないか、無意味じゃないか、甲の温室から乙の温室へ移しただけじゃないか、こういう議論になることと思いますが、そうなっては自由化の意味がありませんので、一方自由化をやるにつきましては、もちろん各種の角度からの自由化を私どもは所期いたしております。しかし経過的には、自由化によりまして、産業秩序、貿易秩序及び取引の混乱摩擦が非常に起きます。でありますから、ある部分につきましては、これも御指摘があるかもしれませんが、関税制度というようなものを、今後の貿易あるいは産業政策の一つの大きな根幹として取り上げることも一つ検討いたしますと同時に、過渡的には前の温室を復活するようなことにならない範囲で、独禁法は改正いたしませんけれども、たとえば繊維につきましては繊維工業設備臨時措置法とかいうようなものを存置したり、あるいは若干の手直しをするとか、あるいはまた今御指摘の輸出入取引法というようなものを、はなはだしく企業連合、企業合同等の弊害の生じない範囲において、必要な修正をやろうということを私どもは考えております。ことに、それもこの際カルテルとかトラストなどをやろうということよりも、たとえば、今までは協定貿易というようなものがありまして、輸出と輸入のバランスを保っておった。あるいは後進国からの輸入に対しましては、特別の外貨割当制度によって後進国からの輸入を維持しておった。ところが自由化になりますと、後進国からの価格条件の悪い輸入が行なわれなくなる。そうすると後進国に対する輸出もできない。そこで今のままで放っておきますと、そういう状態になりますので、今度私どもが輸出入取引法の改正をやる際の内容といたしておりますおもな部分は、そのような場合に輸出入業者が共同して輸出入の事業を行なうようにいたしますとかいうようなことをも含んでおるのでありまして、板川さんが心配されるようなカルテルやトラストの強力な復活ということは考えておりません。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤(基)政府委員 貿易の自由化に伴いまして独禁法の改正につきましてのお話でありますが、貿易の自由化は、先ほど通産大臣からのお話もありました通り、順次やっていかれるので大した心配はないというようなことでありまして、私どもといたしましては、ただいまのところ独禁法に手をつけるという考えはございません。もちろん先ほどお触れになりました輸出入取引法については若干改正の考えがあるようでありますが、この点につきましては、私の方と通産省との事務当局の間で意見の交換をしております。その交換につきましては、私といたしましては、とにかくわれわれ公取としては一般消費者、関連産業、こういうものの利益を不当に害されては困るから、そういう方針で十分相談しておる、こういう状態であります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 松尾通商局長にお伺いしますが、二月十六日の日本工業新聞によりますと、松尾局長は、独禁法は改正すべき時期だ、こういうふうに講演をされたという報道がございます。局長はこの報道をどうお考えになりますか。事実独禁法の改正をする時期だというふうに確信をお持ちでしょうか。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局長)

○松尾(泰)政府委員 私がどこで申したのかわかりませんが、そういう発言はした覚えは全然ございません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 では一つ松尾局長の名誉のために、誤解ならばこれは取り消したいと思いますが、この十二月十六日の日本工業新聞によると、「通産省通商局長松尾泰一郎氏並びに三井物産副社長水上達三氏は、十五日、東京大手町の産経会館で開かれた産経懇話会に出席、「貿易自由化に伴う影響と対策」について講演した。」その席上松尾局長が、産業秩序については、独禁法の改正を考えるべき時期だと思う、こういうふうに言われておるのですが、この報道は間違いでありましょうか。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局長)

○松尾(泰)政府委員 そういう発言はした覚えは全然ございません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そうですか、わかりました。それではこれは新聞の方が間違いだということで、このままにいたしたいと思います。  公取委員長にお尋ねしたいのですが、独禁法は、ただいま委員長から申されましたように、消費者や関連産業、まあ中小企業者とか農民とか、こういう人たちの利益を守る、これが独禁法の建前だろうと思います。ところが最近、これが間違いだからいいんですが、たとえば通産省関係、産業関係の者あるいは大資本、大企業の者、こういう者が盛んに独禁法を改正すべきだ、こういう主張をしばしば新聞紙上で発表しておるのであります。どうも例としてはまずいかもしれませんが、まあ法を犯す方の者が、少し取り締まりの方を緩和してくれ、そうでないとやりずらいということでありまして、こういう声に耳を傾けて独禁法は改正すべきだということを考えたら、私は大へんなことになるだろう、こう思うのであります。  そこで委員長にお伺いしたいのでありますが、最近の海外の独禁法制の中で、輸出入に関しまして国内カルテル、これを認めておる国がありますか、輸出入関係について国内のカルテルまで認めておる国があるかどうか、ありましたら、それを一つ教えていただきたいと思います。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤(基)政府委員 輸出入に関して国内カルテルを認めておるところがあるかどうかというお話でありますが、これはもうごく例外でありまして、御承知の通り、アメリカみたいなカルテルの禁止法制のはっきりしているところはありませんが、ドイツでもないのでありますが、ただ、西独については例外があるのでありまして、国内市場における競争を実質的に制限するおそれがないことを条件にして、国内のカルテルを認める、国内市場の規制を認めるということを聞いておるのでございますが、実はそれ以上詳しいことはわかりません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そのドイツのは何条ですか。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤(基)政府委員 それは局長から一つ……。

坂根哲夫総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○坂根政府委員 西独のをただいま板川先生から突然言われまして、条文を見ておりますが……。六条の二項でございます。

板川正吾日本社会党

○板川委員 次に、輸出入カルテルを、主として輸出カルテルだと思いますが、その輸出入カルテルを認可している国の名前と件数、これを一つ外国の独禁法の運営のあり方として、どういう水準を持っているかということを聞きたいのでありますが、一体外国では輸出入カルテルをどの程度認めておるか、わかりましたらそれを一つ。

坂根哲夫総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○坂根政府委員 その申し出の実態が実はなかなかつかめませんが、各国の独占禁止法を施行しております官庁の年次報告を見ますと、アメリカでは一九五七年六月三十日現在、輸出カルテルが三十六件、西独では一九五九年一月一日現在で、輸出カルテルが九件、こういうことであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 日本は一体どのくらいカルテルを認めておりますか。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局長)

○松尾(泰)政府委員 輸出組合におきまして、輸出取引に関する組合員の順守すべき事項をきめておりまするのが七十九件、それから輸出業者が輸出取引に関する協定をしておりますのが四十八件、輸入業者の輸入取引に関する協定が二件ということになっております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 貿易の割合には非常に日本のカルテルは多いと私は思うのですが、そこで公取委員長にお伺いしたいのでありますが、日本の輸出入カルテルが各国に比較して非常に多い、こういうことで最近ガットの総会で問題になったことはございますか。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局長)

○松尾(泰)政府委員 外国に比べまして、日本の輸出貿易の面におきまして、輸出組合及び輸出業者の協定の多いのは、これは確かに事実でありますが、これは日本の貿易の特殊性に基づくものでありまして、各国はどちらかといいますと、日本側のオーダリー・マーケッティングを非常に強く要望しております。自主的な調整を要求しておるのであります。わが方から諸外国における輸入制限運動に対する対策としてやった場合もありますし、いろいろな場合がございまするが、わが方のこういう輸出面における調整につきまして、歓迎こそすれ、反対をされた事例はこれまで全然ございません。もちろん輸出面における調整ということになりますと、たとえばニューヨークのある輸入業者から見れば、若干輸入の業務がやりにくいということで、日本に来ました場合にわれわれの事務所をたずねて、苦情を言う場合は若干ございましたが、全体的に見て、そういう国際会議あるいは各国政府から、輸出面については、どちらかといえば、もっとどんどん輸出調整のためにオーダリー・マーケッティングをやってくれという要求が非常に多く、困るということは全然ございません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 カルテルをやってもらいたいという——向こうの政府の人がどういう建前で言っているのか知りませんが、これは独禁法は政府側の関係者がそういう文句を言う筋合いじゃなくて、あるいは注文する筋合いじゃなくて、向こうの業者がそれは大へん迷惑だという声になるかと思うのです。歓迎されておっても文句を言われた筋合いはないと言うのですが、これは私、証拠もありますから、あとで調べてまたよくお聞きしたいと思うのです。  もう一つ、輸出入カルテルのアウトサイダー規制を認めておる国、この現代世界独占禁止法法令集という、各国の独占禁止法の法令集がございますが、この中には輸出入カルテル——輸出の場合は多少のカルテルを認めておりますが、しかし国内にアウトサイダー規制まで認めている国はないと思うのですが、どこか日本以外で認めている国はありますか。

坂根哲夫総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○坂根政府委員 その本で紹介している限りにおいてはございません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 いや、この本にはないが、これは本が間違っているか、抜けているかもしれませんから、公取として、諸外国の独禁法体制というものを見て、そういう例があるかないかということを聞いているのです。

坂根哲夫総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○坂根政府委員 ございません。

板川正吾日本社会党

○板川委員 そうすると、どうも私は今度の輸出入取引法を改正しようとする方向は、諸外国の独禁法制の上からいっても、どうも行き過ぎがあるように思うのです。しかしこれはまだ法案が出ておりませんから、大臣の言う通り、出たら内容を見て議論をいたしたいと思います。ただ通商局長に一つ申し上げておきたいのですが、輸出入取引法は、一つこうした諸外国の独禁法制というのともにらみ合わして、慎重にこれが対策といいましょうか、改正するなら一つ諸外国から文句を言われないような、もっと緩和する方向へ改正すべきだと思うのでありますが、そういう点を要望として申し上げておきます。  それから最近独禁法制といいましょうか、従来は独禁法は国内だけの規制であったのであります。しかし最近は貿易が自由化され多角的になって参りますと、この独禁法が国内法規でなくて国際法的な傾向を帯びてきたと思うのです。御承知のように日米通商航海条約の十七条の第一項及び十八条の第一項では、競争を制限してはいけないという日米間の通商上の取りきめもありまするし、ガットの十七条一項においても同様な趣旨があるし、またヨーロッパ共同市場の条約の八十五条を見ましても、域内の各国はこういう競争を制限する法律を緩和していこう、こういう制限を撤廃していこう、取り除いていこう、こういう空気に世界各国がなってきて、条約の関係等で、国内法ではどういうことをやってもいいのだ、こういうような独禁法というのは国内法だから、国外には関係しないという、従来の考え方ではいかなくなってきておるのではないか。また最近の新聞の報道によると、アメリカの独禁法の裁判で、アメリカは外国の資本家に対しても独禁法の裁判をするというようなことが新聞に報道されています。こういうように独禁法が国内法から国際法的になってきている。そこでこの問題が、御承知のようにガットの十三回の総会ですか、一九五八年十一月五日に行なわれた総会で、国際カルテル及び国際トラストの活動が世界貿易の拡大及び諸国の経済発展を妨げ、これによる関税引き下げ及び数量制限撤廃の利益を無効にし、ガットの諸目的を侵害していることを認め、これらの有害な制限的取引慣行を処理するため、専門委員会を設置する。その専門委員会にどうしたら、その制限的取引慣行を処理するかということを研究させ、総会に勧告をせしめる。これの報告が本年のガット総会に提出される予定になっておる、こういうことで競争を制限する法律、カルテルやトラストをなるべく緩和していこう、強化していかない、こういうのが世界各国の最近の独禁法行政のあり方だ、こう思うのであります。公取委員長は一体こういうような世界各国の独禁法の変化している事実というものをどう見ておられるか、これを一つ公取委員長にお伺いしたい。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤(基)政府委員 独禁法制につきましては、アメリカとか西独とか厳禁主義をやっておるところと、それからイギリス等、たとえばカルテルについては届け出で自由にさせる。しかしながらその内容、運用を見て、これが何といいますか、独禁政策上まずいという場合に、これを取り締まるという二つの建前があるので、国際関係においてどうするかという問題は、各国だいぶ法制の態度が違うので、どうやっていくかということはなかなかむずかしいことでありまして結局つまるところは、たとえば手形であるとか、小切手につきまして国際条約を結んでおりますが、意見が一致してあそこまで進めばこれは非常にいい。しかしながら今申します通りアメリカ、西独等のカルテルの厳禁主義のところと、イギリスのような届け出で、あとから運用で悪いやつは押えるという、こういう二つの主義が相当対立しておりますからして、国際条約で規制するという面までいくことは、なかなか困難じゃないかと思います。少なくとも日本の現行法におきましては、もちろんこれは国内法でありますけれども、国際契約につきまして、その契約を公取に届ける。しかしてその契約につきましては不当な取引制限、または不公正なる取引方法に該当する事項を内容としてはいかぬ。もしそういうものを内容とする場合におきましては、公取においてこれを審判に付して排除する、こういう建前になっております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 私はこの貿易問題が自由化すると、ガットで取り上げたようなやはり国際的な取りきめ——最初はそれは多少包括的なゆるやかなものかしれませんが、やはり取りきめをして、そうして競争制限するあり方というのは排除されていく方向になろう、こう思うのです。その点は公取委員長は、はなはだ悲観的見解を持っておるようでありますが、私はまあそうなるだろうと思うので、これはまたやがて事実が示すだろうと思います。そこでこれは公取委員長にお願いしたいのですが、最近海外における独禁法制の動き、その運用の状況、こういう点を一つあとで資料で報告をしていただきたい。これは委員長にお願いをいたします。特に輸出入取引法の審議をめぐって重要な参考資料になりますから出してもらいたいと思います。  それから次にお伺いしたいのですが、独禁法は御承知のように大企業や大資本の都合のために作られた法律じゃない、これは中小企業者あるいは農民、消費者、こういう利益を守るために作られた法律なんです。今度の輸出入取引法は実質的には国内のカルテルを強化し、さらにそのアウトサイダーの規制ができる、こういう範囲を拡大していくのでありますから、実質的には独禁法の改正と同じであります。従ってこういう重要な独禁法の改正と内容を同じくする輸出入取引法の改正のような場合には、大資本や財界やそういう人の意見を聞くべきではなくて、独禁法が守っておる中小企業者や農民や消費者、こういう人たちの了解を求めて法律を改正する、できればそういう建前であるべきだと思うのです。そこで今度の輸出入取引法の改正にあたって、そうした中小企業者とかあるいは農民とか、消費者団体とか、こういうような各層の意見を聞いておられるかどうか一つお伺いしたいのです。

松尾泰一郎通商産業事務官(通商局長)

○松尾(泰)政府委員 われわれといたしましては、通商面の取引の規制でございまして、今先生がるる強調されました、国内カルテルと言われますが、いわゆる独禁法で禁止しておりますような国内カルテルの強化という観念は、全然考えておらぬわけであります。輸出秩序を確立するため、あるいは輸入の過当競争防止のための輸入秩序を確立するための組合の設定なり、業者間の協定ということでありまして、いわゆる独禁法にいう国内カルテルではございません。従いまして、主として貿易商に関することでございますので、関係業界とは十分に打ち合わせをいたしております。確かに今御指摘のように農民、一般消費者までには実は相談をするすべもございませんのでやっておりませんが、関係省あるいはわれわれ省内におきましても中小企業庁その他関係局とは、十分相談をして進めておるわけであります。

板川正吾日本社会党

○板川委員 輸出入取引法は輸出入に関してカルテルを強化し、さらにアウトサイダーを規制する。もちろんこれはその意味では独禁法と違う分野もあるでしょう。しかし今国内の重要産業で輸出入に関係ないような品物があるかどうか、これはほとんどが輸出入に関係ある産業であろうと思うのであります。そうでなかったら、ここに全国農業協同組合中央会の会長荷見安氏から、輸出入取引法の改正は日本の農民として、消費者として困るから反対してくれ、こういうことをいってくるはずはない。なるほど農協が直接輸出をするかしないか知りませんが、農協が輸出入に直接関係はしていないでしょう。しかしやはり輸出入の関係を受けるのですよ。だから反対しておるのだろうと思うのです。そういう意味で聞いておるのでありますから、そこで私は公取委員長にもう一ぺん聞きたいのですが、大資本とか、大企業とかそういう層から、私どもは、日本の独禁法は世界に類例のないほどきびしいものだ、だからこれを正直に守っておったならば、とても日本は国際競争に勝つことはできない、ちょうど食管法のやみ米取り締まりのようなものであって、その通りに守っておったら生きていけない、だからやみしてもしようがないというような意見をしばしば聞くのであります。だから独禁法なんというものは有名無実にしてもやむを得ないんだ、こういうことを特に大企業あるいはそういう人たちの代弁者と思われる人から、しばしば聞くのであります。そこで私は、日本の独禁法というものが一体世界各国から比較して、ほんとうにきびしいものかどうかということを、はっきりと資料をもって比較して出してもらいたい、こう思うのです。これは委員長にお願いします。なぜかというと、なるほど日本の独禁法が作られたときは確かにそういう批判もあったでしょう。われわれは別な見解をとるとしても、そういう見解をとる人があったとしても仕方がないと思う節があります。しかしその後独禁法は再三改正されて、相当に緩和されてきておる。しかもカルテルなんかは諸外国から見たらば許可の率が非常に多い、ゆるやかなんです。こういうようなことを考えると、日本の独占禁止法の行政というものは、世界各国から比較して特別きびしいものとは私は思わない。しかし一部の人が——一部の人か大部分の人か、とにかくそういう声がありますから、別にわれわれの方に有利なように資料を出せというのではなくて、ありのままに比較検討して、いずれがきびしいか、あるいはそうでないかということを一つ出してもらいたい、こう思うわけであります。それは委員長の許可を得て一つお願いをいたします。  それから、御承知のように貿易為替の自由化が行なわれて、やがて資本取引の自由化も行なわれてくると思います。そうしますと、日本は低賃金である、高金利の国である、だから外国資本が大量に日本に流入されてくる、これは私は自然の形だと思うのです。すでに新聞等では、外国の資本家、投資家がたくさん日本に来て、今度はどういう日本の産業に投資したらばもうかるかということで、お客さんが大へん東京に来ておるそうであります。ここで外国の巨大資本が日本に入ってきて、しかもそれが日本の中小企業者と提携するのではなくて、日本の大資本と提携して事業活動を行なってくると、どうしても国際カルテルあるいは国内カルテル等を支配して、日本の中小企業者の層を圧迫してくる、あるいは消費者、農民の利益を無視してカルテル支配を続ける、こういうおそれが私は今後相当出てくると思うのです。これを野放しにしておったのでは、日本はアメリカなど外国資本の植民地になって、香港みたいなことになってしまうのではないかというおそれもある。そこで、対外投資を拒否しろというわけではないのですが、それが不公正な取引をもって行なわれる場合は、独禁法を断固として適用して、悪いものは悪い——アメリカの裁判所が外国の資本家にも裁判するように、私は何も外国を目のかたきにして外国資本をやれというのではない、日本の法秩序に触れる場合は、今度は一つ新聞と違って断固たる態度をとって、公取がほんとうに骨のあるところを示してもらいたい、こう要望するわけであります。  以上をもって私の質問を終わりますが、最後の、外国の大資本が入ってきて、国内カルテル、国際カルテルで、不公正な取引で日本の経済界を支配する、こういう場合にどうされるか、公取委員長の決意というものを、一つ発表していただきたいと思います。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤(基)政府委員 お話の点ごもっともで、私もそういう点については心配しております。しかしその点につきましては、先ほど申しました国際協定あるいは国際契約と申しますか、その内容が不当なる取引制限または不公正な取引方法に該当する場合には、これを普通の審判と同じようにやって排除するということができることになっております。  なお今の問題に関連してお話がありましたアメリカのやり方でありますが、アメリカのやり方はわれわれの法律観念とはだいぶん違う。と申しますのは、甲という親会社、日本に本店を有する日本法人が、自分の仕事をやらせるために子会社をアメリカに作る。これはアメリカ法人です。だからアメリカ法人がアメリカの法律の支配を受けること、これは一般に問題ないのでございます。ところがお話のありましたのは、どうも子会社でない親会社、アメリカの法域外にある親会社を、アメリカの裁判所が呼びつける、こういう問題だと思うのです。これがどういう理由かということは、こういう認定らしいです。子会社たるアメリカ法人のやっている行為は、外国法人、すなわち日本法人たる親会社がその子会社にやらしているんだ、それが代理関係というか、委託関係というか、委任関係というか、実質は親会社がやっているんだからして、親会社をやっつける、こういう考えらしいのでありますが、これは法律的には非常に問題があると思います。こういうことがありますから、先ほどもお話のありましたような、国際的な条約を結んで、その法的な関係をきちんとして、対外的に不当な権力を使うというような、外国の主権を侵すようなことはしてもらいたくない、こういうふうに思っております。

板川正吾日本社会党

○板川委員 通産次官に、最後に一つ御要望申し上げます。輸出入取引法については、今通産省としても関係各省と打ち合わせ中で、まだ最終的に決定を見ていないと思いますが、どうか一つ海外の独禁法制のあり方、見通し、そういうものを勘案の上、慎重な審議をされたい。せっかく出して、たとえばむりやりに通して、それがやがてガット総会で問題になり、非難される、こういうことになればまずいのでありますから、一つ慎重な検討をされるよう要望いたします。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 板川委員の御注意、よく了承をいたしました。ただこの際お願いをいたしておきますことは、輸出入取引法につきましては、たしか三十国会でありましたか三十一国会でありましたか、両度の国会にわたりまして改正案を提出いたしましたが、いろいろな事情もございまして、遂に審議未了、不成立になりました。これには板川さんが指摘されたような心配の点を含んでおったことが、主要な原因であったと思います。でありますから、通産省におきましては、現在それらの過去の改正の内容等も検討いたしまして、その当時一番問題になりました輸出振興カルテルに関する条項でありますとか、あるいは貿易商社の登録制でありますとか、そういうことは少くとも今度はいたしません。でありますから、どうか委員各位におかれましても、あつものにこりてなますを吹くということではなしに、輸出入取引法は自由化に対応する一つの措置として、おっしゃるように中小企業者なり農民なりあるいは消費者に害を与えないで、自由化に即応し、それを補完する措置である限り、何とぞ十分の御理解を持って御審議願いたいと思います。

中村幸八自由民主党

○中村委員長 佐藤公取委員長に申し上げます。先ほど板川君より要求のありました資料につきましては、すみやかに取りそろえて本委員会に御提出を願います。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後三時五十五分散会

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