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34回国会衆議院1960/07/12

外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号

発言数
29
登壇者
6
会派数
1
開催日
1960/07/12

会議録

小泉純也自由民主党

○小泉委員長 これより外務委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  私が案件を所管する委員会の委員長でありますので、委員長の職務を行ないますので御了承を願います。  原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。     ―――――――――――――

小泉純也自由民主党

○小泉委員長 まず政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。小林外務政務次官。

小林絹治自由民主党外務政務次官

○小林(絹)政府委員 ただいま議題となりました原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  わが国は、昭和三十二年七月国際原子力機関に加盟し、同機関の理事国として原子力の平和利用についての国際的協力及び管理機構の整備発展に積極的に努力して参りましたが、それとともに政府は、原子力平和利用の基礎的研究及び動力用原子炉開発の分野における活動を推進するため、米英両国との間にそれぞれ原子力平和利用のための協力協定を締結し、二国間における協力関係を通じてわが国の原子力平和利用の研究開発の促進にも意を払ってきた次第であります。  同様の趣旨により、政府は、また、カナダとの間にもかかる協力を実現するための協定の締結について同国と話し合いを行ない、昨年四月以降オタワにおいて両国政府代表の間に具体的交渉が行なわれました結果、昨年七月二日オタワにおいて在加萩原大使とグリーン外務大臣との間でこの協定に署名が行なわれ、同時に、この協定の特別適用に関する議定書にも署名が行なわれました。この協定は、日米、日英両協定と同様、原子力の平和的用途への利用によって生ずる多くの利益を増進するための日加両国間の協力関係を規定したもので、これにより両国の政府、政府企業、民間人の相互の間で原子力に関する情報、設備、施設、資材、原料物質、特殊核物質、燃料等を提供し、入手することが可能となり、わが国の原子力活動の発展の上に少なからざる意義を有するものであります。また、特に、カナダが世界有数の良質天然ウランの産出国であるということは、天然資源に乏しいわが国にとっては、原料物質の確保という意味において、わが国の原子力計画の円滑な進展のために大きな貢献をするものと考えます。  よって、右の利益を考慮し、この協定の発効のため必要な手続をできるだけ早急にとりたいと存じ、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。     ―――――――――――――

小泉純也自由民主党

○小泉委員長 次に質疑に入ります。村瀬宣親君。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 日本とカナダとの原子力の平和利用に関する協定の全文を通覧いたしますると、日米協定よりもはるかに寛大になっておりまするし、また対等の立場においての協定であることが各条項にみなぎっておるのでありまして、私はこの協定自体は非常によくできておる、かように考えるのであります。しかしながらこれを実際に運営する上にあたりまして、若干お尋ねをしておかないことにはあいまいな問題を生じはしないかとも心配をされますので、以下若干のお尋ねをしてみたいと存ずるのであります。  今日原子力問題、特に原子力発電等の問題が一ころの熱意よりも少し低下してきている傾向が世界的な波となっているように見えるのでございますが、それらに対する基本的な問題は本日は時間の関係から省略いたしまして、ささいな問題かもしれませんが、運営に疑いを起こしてはならぬという意味から、この条文の字句についてとりあえずお尋ねをしてみたいのであります。  それは第一条の一の(d)でありますが、「設備及び施設へ近づくこと並びに設備及び施設の使用」ということがあるのであります。この「近づくこと」という意味でございますが、将来この協定を実施していく上におきまして、この近づくということは互いに手に触れて、日本からもカナダへ行き、カナダからも日本に来て査察等も行なうという意味を含んでおるのでございましょうか。まずその点から伺いたいと思います。

高橋覺外務事務官(国際連合局外務参事官)

○高橋説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の第一条(d)の「設備及び施設へ近づくこと」これは英語ではアクセスといっておりまして、設備及び施設への立ち入りというような意味でございます。次に「設備及び施設の使用」立ち入ってそこで関係官に情報を求める、そういうようなものは入ると思います。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 日本の方からもカナダへ行って立ち入って査察あるいは検査をすることもあり得るわけでございますか。

高橋覺外務事務官(国際連合局外務参事官)

○高橋説明員 さようでございます。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 その次に、これも日米協定にもあることと思うのでありますが、第二条の3の終わりの方に「その政府企業又は同政府の管轄の下にある許可された者に供給し、又はこれらから受領することができる。」とあるのでありますが、この供給という意味は、売却または貸与、両方を意味するのであるか。売却というふうに限定をして解釈をいたしますならば、当然所有権が決定するわけでありますから、その次に出て参りますもろもろの条件に対しまして、こちらに所有権があるという観点から貸与ができるわけでございます。こういう点はどのようなことになっておりますか。

高橋覺外務事務官(国際連合局外務参事官)

○高橋説明員 ただいまの供給するというのは、英語ではサプライという字が使ってございまして、売却及び貸与双方の場合を含むものと解しております。従いまして、所有権が完全に移転することも含まれておるのであります。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 あまりに小さいことになりまして、移転することがあるというようなことになりますと、私が次の条項等いろいろ聞きたいことが出ますけれども、それは飛ばしまして次へ参ります。  第三条の(b)の(ⅰⅰⅰ)でありますが、「特定物質及びこの協定に基いて入手した原子炉は、供給当事国政府の文書による事前の同意がないときは、受領当事国政府の管轄外に移転してはならない。」かようにあるのであります。これはこの条項が特に入りましたことは、カナダからも原子炉を購入することを考えた上でのこの条項でございますか。カナダからの原子炉購入につきましては、何らかの今までの予備交渉と申しますか、あるいはカナダの原子炉、イギリスのコールダーホール、アメリカのいろいろ重水炉もありますが、これらに対するこの条項との関連を、ちょっと今までのような何か妙な小学校の先生のやりとりのようなことでなしに、少し政策的に一つお伺いしたいのであります。

高橋覺外務事務官(国際連合局外務参事官)

○高橋説明員 ただいま御指摘の点は、この協定ではカナダからも原子炉を買う可能性ができるというのが、この規定の目下のところの意味でございまして、現在のところはカナダから特に原子炉を買う計画は別に持っておられないそうであります。しかしカナダからも、もしも日本がカナダが非常にいい原子炉を作って、買いたいというときには、この協定で買える余地を残しておくというのが、この規定の意味でございます。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 私はきょうはできる限り簡単に一つ連合審査の目的を果たしたいと思いまして、きわめて静かな質問をいたしておるのでありますが、あまりに幼稚園的な質疑応答になりますならば、連合審査の意味はなくなります。いま少し政策的なお答えが願いたい。もし私の質問が幼稚園的であるから答弁もそうだというならば、私は質問の観点を変えて参ります。英国、米国、カナダ、その三国間における今日の原子炉の進行の状態、また進み方の姿並びに将来原子力発電のこれら三国間における水準、それらについての政策的な、もっと高度な御答弁を要求いたします。

法貴四郎総理府技官(科学技術庁原子力局次長)

○法貴政府委員 ただいまの御質問は多少原子炉の技術的な問題にもわたりますので、原子力局の方から答弁させていただきたいと存じます。  大綱的には今外務省の方から御説明があったような状況でありますが、ただいまの御質問で世界的環境のもとにおけるカナダの原子炉というものをどう考えるかというお話でございましたから簡単に申し上げますが、カナダは例の天然ウラン・重水型の原子炉それ一本で初めから開発してきておりまして、現在でも例のNRXに続きましてNRUあるいはキャンドゥというような、相当大きな二十万キロから三十万キロ程度に及ぶ原子炉の設計、建設を始めております。これは世界的に見ましても非常に興味のある行き方でございまして、まず天然ウランを使いましてこれを燃やせるだけ燃やす。それでプルトニウムができましても、それをさらにできた場所においてそのまま燃やしてしまうというふうな行き方で、天然ウランを燃やせるだけ燃やすというような観点からこういう開発を進めておるのでありまして、非常におもしろい行き方で、わが国としましても大いに参考になるわけなのでございますけれども、しかし何と申しましてもわが国では重水を使うというふうなことに難点がございますところから、研究はいたしておりますけれども、これを具体的にわが国で採用するというところまで考えておらないわけでございます。目下長期計画に関連いたしましてさらに再検討を加えておりますが、現在のところでは、カナダの行き方は非常に興味のある行き方をしておると考えますけれども、これを直ちに日本に適用するということまでは具体的に考えておらない状況でございまして、その点すぐにカナダの原子炉をわが国に取りつけるというふうなことまでは思い及んでいない次第でございます。大体の状況はそういう次第であります。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 主としてきょうは私は外務省のお考えを明らかにしておきたいために質問をいたしておるのでございますので次に進みますが、第三条の(c)項によりますと、「その政府企業又は同政府の管轄の下にある者の使用に必要の量をこえる特殊核物質のいかなる量をも平和的目的にのみ使用するため購入する優先権を与えることを条件として、供給されるものとする。」とあるのであります。これを例をあげて申しますならば、かりにプルトニウムを例にとった場合におきまして、日本から必要な量をこえたとして当然優先的にカナダに売り戻しをせなければなりません。その場合にこの必要な量をこえたかいなかということは、どのような機関でどのような判定をなさるのでございますか。これは一つ局長に答弁してもらいたい。どうも先ほどからの説明員の答弁では何か私は満足ができません。  それから日本からカナダに売り戻しをいたしましたプルトニウムも、この協定によりまするならば、これまた平和的にのみ使用されねばならないはずであります。そういたしまするならば、必要な量をこえたということでカナダへ売り戻しをいたしましたプルトニウムは、はたして平和的に利用されておるかどうかということを確認するのには、どのような方法で日本の独立国としての任務を果たすか、それらの点につきまして具体的に局長から御答弁願いたいのであります。

小泉純也自由民主党

○小泉委員長 村瀬君に申し上げます。鶴岡国連局長は目下ジュネーブに出張中でございますので、代理として高橋国連局次長が答弁に当たっておる次第でございますので、御了承を願います。

高橋覺外務事務官(国際連合局外務参事官)

○高橋説明員 ただいま御質問の第一点の、「政府企業又は同政府の管轄の下にある者の使用に必要な量をこえる」この必要量と申しますのは、日本国内全部で平和的利用し得るもの、政府と民間の原子力研究開発計画を考えまして、そうしてこれを決定する。その場合将来の計画のために大体このくらい要るだろうというような不特定の需要量も入れて計算することができます。どうしても日本の計画で使い切れない分は向こうが買い戻しの優先権を持っている、こういうことになっております。  それから御質問の第二点の、先方が買い戻した場合には、これが平和的目的にのみ使用されるということは当然のことでありまして、日本が買いましてこれをカナダが買い戻したときには、日本側が平和的利用にだけ使われているかどうかということを確保するために査察することが認められているわけでございます。それはお手元の、交渉過程においてできました協定に関する合意議事録の(5)に、「供給当事国政府が、特定物資の使用から得られた特殊核物質を購入する優先権を第三条(c)の規定に従って行使した場合には、そのようにして購入された物質については、その購入された物質がこの協定に基いて優先権を行使した当事国政府に返還された後に、第四条に定める保障措置が適用される。」こういう了解になっております。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 私の受けます感じでは、アメリカとの日米協定よりも寛大な協定だから運用にあたっても大したことはなかろうというような、安易な気持から、そう御研究もしてないのじゃないかという感じがするのであります。しかし実際これをやっていく上におきましては、たとえばただいま御答弁の問題でも、日本は原子燃料公社という大きな機関を作っておるのでありまして、これは人形峠その他から低品位のウラン鉱の製錬にすでに成功しておりまするし、さらに第二段としては再処理の問題をも手をつけようという情勢に相なってきておるのであります。それらとの関連を考慮されまして、私はこの条項の運用についてはもっと明確なはきはきした御答弁が用意されてもよいのではないか、かように考えるのでございまするけれども、本日はまあこの程度にとどめておきます。私は、私の用意しておりますることをほとんど割愛いたします。これ以上お尋ねいたしましても私の満足するような御答弁があるかどうかわかりませんので、大半を割愛いたします。しかしどうしても明らかにしておかねばならない点がなお二、三あると思います。それは第四条の第四項であります、と申しまするのは、日本は何といっても海運国でございまするから、原子力船に対しましてももうすでに研究も続けておりまするし、またこれを成功させねばなりません。原子力商船に続いてはあるいは原子力潜水艦とか原子力を使った海防艦その他にもこれは進んでいかねばならない時期がくると存ずるのでございまするが、この協定によって供給される物質で日本が潜水艦または小さい軍艦等を建造する場合、第四条の第四項に抵触することはないかどうかという点を、これは一つ前列におすわりになっておるえらい方から御答弁を私はお願いいたします。

杠文吉総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○杠政府委員 私からお答え申し上げます。ただいまの原子力船、潜水艦、小型軍艦等の例をおあげになりましたので、この第四条の4におきましては原子力船は商船だと考えられますけれども、潜水艦につきましてはたして平和的なものであるかどうか、あるいは軍事的な目的のみであるかどうかということにつきましてはなお検討を要するのではないかと思います。おそらくは軍事的目的ということに相なろうかと思うのでございますが、小型軍艦のごとく軍艦というはっきりしたことでございませんので、そうとばかりも割り切れませんので、なお検討を要する問題ではないかと考えております。近くはおそらくはサバンナ号の問題が起こってくるだろうと思いますが、そういうことで日米間の協定におきましても、潜水艦の取り扱いというようなことは非常に問題があるわけでございまして、今直ちにこれは軍事目的であるというふうに定義することは、その時期ではなかろうと思うわけでございます。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 外務政務次官にお伺いをいたしますが、原子兵器というものは、日本はまだ定義を下してないように私は承知しておるのでございます。ただ日米協定の十二条の(f)に、「原子兵器」とは、原子力を利用する装置で、その主たる目的が兵器、兵器の原型又は兵器の試験装置としての使用又はそれらの開発にあるものをいう。ただし、その装置の輸送又は推進のための手段は、それが装置の分離されかつ分割されうる部分である場合には含まれない。」、こういうふうに書いてあるのでありまするが、その後政府におきまして原子兵器の御解釈について何か進展がございまするかどうか。現にこの条約には、原子兵器ということが使われてあるのでございまするから、ほんとうにこれを日時をかけて審議をするとなれば、こういう点が非常に時間を要するところであろうと思うのでありますが、私はそうしつこくは質問しようとは思いません。この日米加条約の条項以外に何か政府で御発表になったことがあるならばお聞かせを願いたいと思います。

小林絹治自由民主党外務政務次官

○小林(絹)政府委員 ただいま御質疑の(f)の原子兵器、これは予算委員会その他においても外務大臣、総理大臣がこの趣旨のことをお答えいたしておりましてきわめて明白だと思うのであります。なお核兵器を入れないということも政府の方針としてたびたび言っておるのでありますから、原子力の兵器が――ここに書いてあるのは、つまり分離されたもの、一緒に合わせれば兵器になる、別々になればそれは核兵器じゃないのだというような趣旨だと思うのであります。将来この原子力がどういうことに使われるか、いろいろ国際情勢の変化等もありましょうが、わが国として現にとっておるところの態度は核兵器は入れない。これははっきりしておる。なおここに提案いたしております日加間の原子力の条約は、さきにアメリカあるいはイギリスとやっておる条約とほとんど違わないのです。しかし大体見てみますと、アメリカとの分なりイギリスとの分に比べてよほどわれにとって有利な条項を入れておるわけであります。またカナダは御承知の通りこういうものの非常な豊富な生産地であって、値段もほかから比べたら安い。それでわれわれはこの条約を守っていけば十分な原料を授受することができるといろ点でございますから、どうぞそういうふうに御承知を願いたいと思います。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 私は、冒頭に政務次官がお話しになりました通りの所見を述べてから、質疑に移ったわけでございまして、確かに日米原子力協定よりも日加原子力協定の方が各個所において寛大であり、また対等の独立国としての立場で結ばれておることを非常にうれしく存じておるところであります。ただお尋ねいたしておりまする理由は、たとえば第四条の4に「各当事国政府は、特定物質が軍事的目的を助長していると決定したときは、他方の当事国政府に対し是正措置を執ることを要求する権利を有するものとし、」云々とあるのでございまして、この軍事的目的を助長しておるということに対して意見が一致すればよいのでありまするが、われわれが日本の国の発展をはかるためにいろいろこの原子力を利用していく上におきまして、こちらは全然軍事的目的を助長することはない、こう考えました場合に、相手方で、いやそれは軍事的目的を助長するかもしれぬ、こういうふう言われる。そこに分界点ができやしないか。それで私は先ほどいろいろ原子力商船その他の問題を持ち出したわけであります。従ってこの軍事的目的を助長していると決定するのは、どういう協議によるのでありますか。これは将来意見が分かれることがあるかもしれないのであります。科学技術の進歩というものは日進月歩ではなくして、日進秒歩、一秒ごとに進んでおる。そういう進み方のときに、われわれがこのいろいろな原子燃料を使って平和目的を果たそうとするときにあたって、それは軍事的目的を助長しやしないかというようなことに難くせをつけられるおそれというものは、あるいは向こうでは難くせではないのだ、その心配だ、こう言われるかもわからないが、あるのでありまして。そういう点に対し、外務省としてはどういうきぜんたる態度をお持ちになり、また条約上の根拠を持っておられるか、それを伺っておきたいのであります。

小林絹治自由民主党外務政務次官

○小林(絹)政府委員 ただいま村瀬委員のおっしゃいますそういうことが、将来起こるかもしれぬ、起こらぬかもしれぬ。でありますから、今日の場合においては、この条約面によってこれならばよかろう、大体そういうおそれはなかろうという考えでいきたいつもりでございます。また将来いろいろただいま御心配のようなことができたらできたときの場合、わが方にとってはこの条約を忠実に守っていく、向こうさんもこの条約を忠実に守ってもらうということのほか、今日ただいまそれ以上に種々想像を加えた事柄についての意見は申し上げにくいのじゃないかと思います。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 忠実にお互いが守っていくためにこれを明らかにせねばならぬのであります。忠実に守ろうとするから、その軍事的目的を助長する基準というものが大事になるのであります。ですが、私はきょうはこれはこの程度でとどめておきます。  では最後に一つ、言葉だけのお尋ねをして私の質問を終わります。  第四条の(d)の2というところによりますると、「いずれか一方の当事国政府の代表者その他の職員は、この条の規定から生ずる自己の公的任務により産業上の秘密又は他の秘密の情報を入手したときは、それらの情報を漏らしてはならない。ただし、この条に基く自己の政府に対する責任に従う場合は、この限りでない。」この条項でございます。まあ漏らす必要はないのでありまするが、万一漏れた場合に、また事実悪意で漏らした場合に、日本側においては一体行政罰によるか刑事罰によるか、あるいは公務員法によった処置によるのであるか。ではカナダの方はどうなっておるか。カナダの方が漏らしたときには一体どういう処罰をすることになっておるか。それを伺っておきたいと思います。  それからもう一つは、第七条の(e)のところに「「特殊核物質」とは、プルトニウム、」云々とあります。それから(g)のところに「特定物質」とは、この協定に基いて入手された原料物質、特殊核物質若しくは燃料又はこの協定に基いて入手された原料物質、特殊核物質若しくは燃料から生じたか若しくはこの協定に基いて入手された原子炉で生産された特殊核物質をいう。」とあり、ここでまた特殊核物質が出てきておる。この(e)の特殊核物質とは云々というのと(g)の特定物質というのとはどう違うのか。(g)によると、特殊核物質と何かほかのものと加わったものが特定物質であるのか、同義語なのかどうか、それを明らかにしてもらいたい。  もう一つ同じく第七条の(d)でありますが、(d)の「「原料物質」とは、次のものをいう。ウランの同位元素の天然の混合率からなるウラン同位元素ウラン二三五の劣化ウラン」とあります。ところが同じく(e)には「同位元素ウラン二三三又は二三五の濃縮ウラン、」というようなものもあるのであります。この劣化ウラン二三五の劣化ウランという意味と、(e)に書かれた「同位元素ウラン二三三又は二三五の濃縮ウラン、」というようなものとの関係を明らかにしていただきたい。

高橋覺外務事務官(国際連合局外務参事官)

○高橋説明員 御質問の第一の四条の2でございます。いずれか一方の当事国政府の代表者その他の職員は、秘密の情報を入手したときは、それを漏らしてはならない。これは、わが方でこういうような場合が起こりましたときには、公務員法で取り締まる、カナダ側はカナダ原子力法に秘密保護の規定がございますが、それによる、こういうことになっております。  御質問の第二点の第七条の(e)の特殊核物質云々とそれから(g)の特定物質という定義や関係がはっきりしないというお言葉でございますが、(g)の特定物質というのは、この協定を適用することによってカナダから入手した原料物質とか特殊核物質あるいは協定に基づいて入手した原子炉から出た特殊核物質ということで、この協定の適用を受けるものは特定物質ということで定義を与えているわけなのです。従いまして、この協定で保障措置のかかるのはこの特定物質というものに限られるわけなのであります。協定上の特別のもの、保障措置の対象になるものということで別の定義に出てきているわけであります。

法貴四郎総理府技官(科学技術庁原子力局次長)

○法貴政府委員 第三点の御説明をいたしますが、最初の(d)項のウランの同位元素の天然の混合率からなるウランは、まさに天然ウラン〇・七%を含みました天然ウランそのものをいうわけです。それから同位元素ウラン二三五の劣化ウランといいますのは、天然ウランよりもその二三五の分量の少ないものをいうわけです。〇・七%以下の分量しか同位元素二三五を含まないもの、天然ウラン以下にその割合が減っているものを劣化ウランと申しております。これは使用済み燃料から出ますウランはこういう形になっております。それからもう一つ(e)項の同位元素ウラン二三三、または二三五の濃縮ウランと申しますのは、天然にある同位元素の分量をこえたもの、つまり劣化ウランの逆でありまして、二三五でありますれば〇・七%以上の割合で二三五を含むものをすべて総称して濃縮ウラン、二三五もそうでございます。

村瀬宣親自由民主党

○村瀬委員 以上をもって一応私の質問を終わりまするが、最後に外務省に私はこの協定に関連をいたしまして、特に要望をいたして御質問にかえたい点があるのであります。  それは、日本がアトム爆弾の洗礼を受けたただ一つの国であり、そのことを世界の人数が承知をしておりますのみならず、さらにこの方面における日本の頭脳というものが、湯川博士の例を申すまでもなく、非常にすぐれたものもあるゆえをもちまして国際原子力機関等におきましても、高く日本の能力を評価しておるわけであります。またこの原子力平和利用に対する熱意に対しましても、おそらく日本民族以上に骨身にこたえてこれを熱願しておる民族はないと思うのであります。この意味におきまして、将来国際原子力機関の中枢に座して、原子力の平和利用の最高の能力を発揮せしめるように日本が努力をせねばならないと思うのでございますが、これらの分野に入りますと、それは原子力局、科学技術庁にまかしておけばよいといった性質のものではございません。どうしても第一には外務省が率先してその努力を傾けていただかねば所期の目的は達成できないのであります。きょう私はきわめて幼稚なお尋ねをしてみたのでございまするが、それに対しましても、あまりに事務的でございまして、日米協定があるのだから、それより軽い、それより寛大な協定だから、まあ問題はないだろう――確かに問題はないのでありますけれども、しかしそういう安易な気持でなしに、ほんとうに核燃料物質、ひいては原子力平和利用、これに対しましては、日本民族がその精魂を打ち込んで、全人類のために、知能を傾けるのだという熱意を持って、外務省におかせられましても、一つこの原子力平和利用については十分御努力を願いたいと思っております。  本日のこの日本とカナダとの原子力平和利用の協定につきましての質疑に対する御答弁に対しまして、私はあえてこのことを要望申し上げまして御質問を終わることにいたします。

小林絹治自由民主党外務政務次官

○小林(絹)政府委員 ただいまの御趣旨は全く同感でございます。おそらく世界人類の今後は原子力の発達であろうと思うのです。御指摘の通りわが国は原子力の洗礼を受けて、わが国民は今後永久にこれを忘れません。今後この原子力が世界人類の幸福になるように、これはわが国はどこよりも率先して努力していかなければならぬと存じます。御同感でございます。

小泉純也自由民主党

○小泉委員長 これにて連合審査会の質疑を終了いたし、散会いたします。     午前十一時十分散会

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