科学技術振興対策特別委員会 第13号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/05/18
会議録
○村瀬委員長 これより会議を開きます。 まず、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
○石野委員 昨日お尋ねしましたが、ちょうど防衛庁関係の方、調達庁の方がおいでになりませんでしたので、きょう、引き続いてお尋ねいたします。委員長、まだ防衛庁関係の方が来ておられませんけれども、一つ、ぜひ出席してもらうように連絡をとっていただきたい。
○村瀬委員長 今連絡をしております。
○石野委員 調達庁の方からおいでになっておられまするが、これは非常に失礼でございますけれども、沼尻さんは、大体どの程度のところまで責任を持って御答弁いただけるのでございましょうか。
○村瀬委員長 調達庁連絡調査官沼尻君であります。——質問をお願いいたします。
○石野委員 沼尻さんにお尋ねいたしまするけれども、五月九日、十日、十一日、十二日と、ある人はこの四日間、茨城県東海村の原子力研究所の上空を双発のジェット機が低空飛行をして帰って行ったということを見ているわけでございます。そのことについては、この機種は何であるかもわからないし、あるいはまた、国籍も不明であるというふうに言われております。調達庁の方では、そのことについてどのように情報を得られておりましょうか、この際、一つ御説明願いたい。
○沼尻説明員 先週終わりの、去る五月十一、十二日の両日、午後三時ごろから四時ごろにわたりまして、東海村の原研施設の上空を航空機が旋回飛行したというような記事が新聞に掲載されて以来、あるいはこの原研の土を飛んだ飛行機は在日米軍機ではないかというような疑問が生じてきましたので、本件につきまして、その当日における米軍機の演習状況、東海村上空周辺における航空機の飛行等について、さっそく、この一両日来米軍の見解をただしたわけでございますが、私の連絡調査官という仕事は、調達庁におきましては、対軍関係の仕事の一応事務的には責任者ということで交渉することになっておりますので、府中の方へ、そういう点について軍側の見解をただしたわけでございます。昨日までに判明いたしましたことを申しますと、軍側の三十五年五月十一日における演習は、A3Dという海軍機が演習をしておりますが、その演習時間は、第一回の飛行が九時三十五分から九時五十分まで、二回目が十時から十時十分まで、三回目が十一時から十一時十五分まで、四回目が十六時から十七時まで、五回目が十七時五十分から十八時五十分までということになっております。海軍機のA3Dは、上記五回にわたりまして当日演習に参加しましたが、標的に対する接近方位は磁針方位一九〇度であり、投下後は〇一〇度の磁針方位をとるので、決して新聞の報ずるような飛行はしていない、在日米軍としては、昨年十二月二日、日米間に合意されたこの合意によりまして、演習としては東海村の上を飛ばないということになっているわけでございますが、合意された条件通り、東海村の原研の施設の上空は飛んでいない、日本の新聞等に掲載されている記事によれば、問題の航空機は午後二時半から三時半ごろにわたって飛行したということになっておりますが、A3Dの行動は、申し述べましたように、その航空機の行動とは一致しない、また、新聞に出ているような写真もこのA3Dというのとは違うというようなことでございました。 それから、三十五年五月十二日における演習、当日の演習参加機はB57でありますが、これは第五空軍管下のもので、新聞紙に報ぜられるような飛行の事実はない、この水戸演習場を使用する在日米軍パイロットには、演習場の使用条件等は徹底周知されておりまして、米軍のいうところでは、報ぜられるような飛行はおよそ考えられない。これは会談になるかもしれませんが、新聞掲載の写真を米側で検討したところでは、どうも原研上空を飛行しているところをとったものとも見えないけれども、通常、ジェット機が通過する際には、騒音が最も強く響くのはジェットの直下面、ま下ではなくて、進行線と四十五度の角度を持った後方の延長線にある下面であるから、あるいは海軍機が制限水域上空の一九〇度の磁針方位を飛行しておるのを間違って判断して、原研上空を通過したというような間違いがあるかもしれない。しかし、時間や何かからいっても、そういうふうにもとれないし、軍としては、とにかく、この原研上空を飛んだ、という事実はない、それに、地上には監視員がおりまして、飛行機の進入方向について絶えず監視をしておりまして、原研の方に行くような可能性があるようなことがいささかでも生じた場合には、地上から警告するというようなことになっておりまして、当日のレーンジ・オフィサーも、そういう飛行をしたような飛行機は見当たらなかったということでございます。
○石野委員 ただいまのお話によりますと、それは在日米重の海軍機あるいはB57ではなかったということは大体よくわかりました。しかし、沼尻さんの方で御連絡になっておられること、また、承知しておることでは、米軍機であるかどうかわからないけれども、原研の上をある種の飛行機が飛んだということについては、大体確認といいますか、そういうことはできておるのでございましょうか。新聞報道によりますと、レーダーへの合図を求めておるけれども、その合図には答えなかったというようなことも出ているわけでございますが、そういうようなことなどは、連絡事項の中では何かありませんでしたか。
○沼尻説明員 原研の上を飛行したかどうかという事実は、私たち、調達庁といたしましては新聞紙上の報道また現地の調達事務所にも照会しましたが、調達事務所でもその事実は知らないわけであります。そういううわさが現地である、そういう報告に基づいておるわけでございます。
○石野委員 現地の調達事務所では、それではその報告に基づいてどういうようなことをやられましたか。
○沼尻説明員 現地といたしましては、そういう原研の上を飛んだというようなうわさがあり、そしてこの原研の近くには演習場がございますので、米軍の飛行機が飛ふという可能性もある、そこで、飛んだ飛行機が米軍のものではないかどうかということを、軍に調査を申し込んだということでございます。
○石野委員 調査を申し込んで、それからその後、あなたが米軍との間の連絡をされた経過は、ただいまお聞きした通りだと思うのでございますけれども、そのほかに、たとえば、米軍は、こういうような問題があります場合には、常に、日本の自衛隊と在日米空軍とが、日本の空を守る責任の場に着いておると思うのです。従って、わが国の上空におかしげな飛行機が入ったときには、当然それを十分確かめるという仕事はしておるのだろうと思いますし、また、そういうことについても、連絡官であるあなたは関心を持って御連絡なさっておることと思いますが、そういうようなことについての何かお話し合いなどはございませんでしたか。
○沼尻説明員 調達庁の責任としましては、ここに施設・区域を提供しておる、そうして、この提供にあたりまして、演習川の飛行機は原研、東海村の土は飛ばないという協定ができておりますので、その協定を守らせるというような義務が調達庁としてはあるわけでございます。しかし、その他に、そういう演習機以外のものがここを飛んだかどうかということは調達庁としてはわからないわけでございますが、私たちの聞いておるところによりますと、この原研上空は米軍との協定によって演習機は飛んではいけないということになっておりますし、その他の飛行機も、ここは制限区域ということになっておりまして、演習機でない米軍機でも、また、日本の飛行機も飛んではいけないという地域になっておるということに——これは車輪省の方の所管でございますが、そういうふうに聞いております。
○石野委員 従って、現状では、原子力研究所の上空というものは、前渡の米軍射撃演習場に近接しておる関係上、あそこに対しては特に調達庁と関係の深いところだと思いますし、また、そこの上空を飛んだものが何機であり、また、どこの国籍であるかということが明確になるまでは、他の省よりもより一そう調達庁としてはそれを追及する責任があるだろうと思うのです。また、責任感を持っておられるだろうと思います。そういう意味から、たとえば、調達庁としましては、今、沼尻さんが米軍との間の折衝をして、とにかく、米軍は飛んだ覚えはないのだということを聞いてきたから、それでもう調達庁長官はすべて連絡がついたということで一応終えておるのでございますか、それとも、その後の作業は何かしておるのでございますか。
○沼尻説明員 先ほども申しましたように、調達庁としましては演習場の使用条件ということについて責任を有する官庁でございまして、米軍以外の民間機が飛んだかどうか、その他の飛行機が飛んだかどうかというようなことになりますと、調達庁では調査の方法等もない。これはやはり、国内では運輸省の航空同等の所管かと存じます。
○石野委員 本日は、政府の方は防衛庁が出られないで、調達庁が政府を代表して出るからということの連絡が先ほどあったわけです。しかし、ただいまのお話を聞くと、ただ事務連絡のことだけしかわからないわけで、十分意を尽くすことはできませんので、これはまた一つ防衛庁長官に来てもらわないと話が進まない。 ただ一つだけ沼尻さんにお聞きしたいのですが、新聞によりますと、米軍の地上の司令部との間に、上空を飛行する場合は無電通信をすることになっておるそうでございます。その通信が十二種類あるそうでございますが、そのうちの三種類か四種類の連絡をとったけれども、何も応答がなかったということがいわれておるのでございますが、そういうようなことについて、連絡官であるあなたは何かお聞きになっておられますか。
○沼尻説明員 新聞等にそういうことが出ておりましたので、私の方でもそういうことを問い合わせましたが、そういう点についての詳しい報告は得られませんでした。
○石野委員 沼尻事務官にお尋ねしますけれども、おいでになって、この問題に関連するあなたの報告することは、先ほど言われたことだけでございましょうか、まだほかに何かありますか。
○沼尻説明員 先ほどのことだけでございます。
○石野委員 これでは話が一向に進まないわけです。これでは、聞こうとしてもちっとも聞くことはできませんし、先ほどは政府の代表を調達庁でやるからということであったのでございますけれども、私の聞きたいことが、これでは全然聞けないわけです。すぐ一つ防衛庁の長官、それから、これは関連しておりますから、調達庁の方も帰ってもらっても困るのです。といって、調達庁の方々だけおってもらってもしようがありませんから、防衛庁の方にちょっと来てもらうようにして下さい。
○村瀬委員長 石野委員に申し上げますが、防衛庁長官は、本日、後刻当委員会にも出席できるであろうということでございましたから、御了承を願います。
○石川委員 関連してちょっと。今の質問で大体尽きておりますが、ただ、私も一昨日内閣委員会で質問をした、それに対する一応公式の回答であるというふうに見てよろしゅうございますか。
○沼尻説明員 了解してけっこうでございます。
○石川委員 実は、今も話がありましたけれども、県の方から現地の飛行場の隊長に問い合わせをしておるわけですね。そのときの隊長の説明では、波長が合わないからF100でもB57でもない、従って、正体は不明であるという回答があった。しかし、事実飛んだことは、波長でもって応答を確かめたという事実によっても明らかである。飛んだ事実は向こうは認めているわけです。ところが、今の回答によりますと、どうも飛んだのか飛ばぬのかわからぬというようなことを調達庁がそのまま受けて、そのまま公式的な答弁をするということだけでは、この問題は解決しない。現実飛んだという事実は認めていることは間違いないと思うのですよ。日本の飛行機は絶対に飛ばないということは、防衛庁長官も答弁をしておる。アメリカのものでないことも間違いない。これはB57でも、F一〇〇でもない、今聞きますと、A3Dだという話が新たに出て参ったわけでありますけれども、時間が違うからそうじゃないだろう、というようなことでは、全くこれは黒いジェット機じゃございませんけれども、国籍不明の飛行機か何かわけがわからぬ。日本では全然監視ができない。しかも、それは普通の協定のところとは違って、いやしくも原研の上空だというような、きわめて危険性の大なる上空になっておるわけですから、これは今のような答弁だけでは、とてもわれわれは満足できないわけです。従って、これは委員長に石野委員からも要求申し上げたように、防衛庁の責任ある立場での回答を要求したいというふうに考えております。 ————◇—————
○村瀬委員長 次に、原子力損害の賠償に関する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。前田正男君。
○前田(正)委員 まず最初に、この法律案の提案理由の説明にもあります通り、原子炉の災害というようなことは、万々一にもあってはいけないことでありますので、災害の予防のためには十分な処置をしてもらわなければいけないと思うのでありますが、しかし、万々一の災害がありました場合において、その責任の所在を明確にしていかなければならない。また、それに対する賠償等の問題をきめていかなければならないというのが、この法律の趣旨であろうと思うのであります。ところが、この第一条に書いてありますのは、「賠償に関する基本的制度を定め、もって被害者の保護を図り、」こういうことが書いてあるのですが、この被害者の保護をはかるということは、要するに、その補償の責任というもの、特に、国家が限度をこえた分に対する補償の責任というものをこの際明瞭にしておるのかどうか、きょう御出席の大臣初め大蔵政務次官もすでに御存じだと思うのでありますが、第三十一国会、すなわち、昭和三十四年三月十一日に、当委員会におきましては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案というものを満場一致で可決しておりまして、民間の保険の限度をこえる分については、国家の補償責任を明らかにする立法その他必要な措置を講ずべきであるということを申しておるのであります。そういう趣旨もこの法案の目的の中に入っておるのかどうかということを、一つ科学技術庁長官及び大蔵政務次官からおのおのお答えを願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 この法律の目的は、万々一の際の原子力損害の場合における第三者、すなわち、被害者の保護ということと、原子力事業の健全な発達と、二つが目的になっておるわけであります。それで、法案の建前としては、無過失責任あるいは集中責任、責任の集中性等は事業を行なうものに帰せしめてあるわけでありまして、第三者に対する保護等の場合は、第一次的には、これらの事業者が責任を負うという建前になっております。しかし、事業者だけにまかせていいというものではありませんので、民間保険でカバーできない分については、補償契約を背景として国家が出動して第三者の保護をはかるという考え方であります。それから五十億円をこえる場合についても、国会の授権の範囲内において国家が出動して被害者の援護をはかるということになっております。そういう意味におきまして、企業体と国家が協力して第三者のために措置を講ずるという考えであると思います。
○奧村(又)政府委員 ただいま中曽根科学技術庁長官の御答弁になった通りであります。
○前田(正)委員 われわれの附帯決議にありますのは、民間の保険の負担の限度を越えた分については国家の補償責任を明らかにするということで、これは、また後に項目別に一つ御質問をしたいと思いますけれども、どうもその補償の責任というものが多少不明確になっておるように思うのであります。 それから、次に問題となりますのは、第二条の原子力の損害であります。原子力の損害というものは、これは今後非常に広範な問題が予想されるのでありまして、たとえば、もしも災害が起こった場合の放射能の影響する範囲というようなことから退避命令を出すとか、あるいは近所に放射能の汚染を受けたために野菜類とか魚介類の損害も出るとか、こういうようなものが出た場合は、前にもマグロの漁船が補償を受けたようなものもあるようでありますが、そういうような例から見て、こういうような広範にわたったものは全部原子力損害の中に入っておるのかどうか、これを一つ御答弁を願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 この第二条の第二項に書いてありますように、原子力損害とは、原子核分裂の作用、つまり、原子炉の内部における作用の影響による分、または核燃料物質によって汚染されたものの放射線の作用、つまり、これはその結果出てきたものの放射能による汚染の作用、それから、これを吸引したとかなんとかいうような場合の毒性作用、こういう損害をいうのでございまして、たとえば、輸送途中におけるいろいろなそういう事故等もこれに入ってくるのであります。
○前田(正)委員 具体的に申し上げますならば、放射能をかぶった場合の退避命令、そういうものの立ちのきによる退避の費用などは入っておるわけですか。
○中曽根国務大臣 それとこれとの相当因果関係がどの程度あるか、そういう判定の問題になりますが、その辺は法律解釈の問題でございますから、原子力局長から答弁いたさせます。
○佐々木(義)政府委員 事故が発生した場合の退避の際に要した費用等に関しましては、もちろん、相当因果関係を持っている場合には賠償額の中に入りますが、ただいま御指摘になりました、いわゆる原子力損害とは何ぞやという損害そのものの定義の中には、そういう費用は入っていないというふうに解釈しております。
○前田(正)委員 そうすると、損害の中には入ってないけれども、補償の中には、民法の相当因果関係の範囲のものは全部入る、こう解釈していいわけですか。
○佐々木(義)政府委員 その通りでございます。
○前田(正)委員 その次に、第三条で問題になっております「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたもの」というのは、国の処置の方で補われることになっておるのでありますけれども、実は、きょう資料として提出願いました賠償補償契約に関する法律案と原子力損害賠償責任保険普通保険約款とを対照いたしますと、普通約款の方では、「地震または噴火によって生じた賠償責任」は除くと書いてありますが、補償契約に関する法律案の三の(1)では「地震又は噴火による原子力損害」というものが入っておるわけであります。それから、約款第七条の(5)の「こう水・高潮・台風・暴風雨等の風水災によって生じた賠償責任」、これは第三条の「異常に巨大な天災地変」と表現が多少違うように思うのですが、どっちへ入るのですか。いわゆる巨大な場合の天災とか地変は、もちろん、十七条の「国の措置」の方に入ると思うのでありますが、異常に巨大でない範囲の洪水・高潮・台風・暴風雨等の風水災によって生じた賠償責任は、この普通保険約款では除かれて、責めに任じてないと思うのですが、それはどこへ入るのですか。
○佐々木(義)政府委員 ただいまお話のございました洪水。高潮・台風・暴風雨等、異常かつ巨大という範疇に入らぬ、その前のようなものは、「風水災危険担保特約条項」という、お手元に差し上げました普通保険約款の二枚目にございますが、特約条項でカバーしてございまして、その方で特約料金のもとに保険金を支払うという建前になってございます。ただ、第十条にございます意味は、地震または噴火等によります、各国にあまり例のないような非常な損害に対しましては、この約款では、再保険等の関係上無理でございますので、そういう問題に対しましてはこの補償契約でカバーするということにいたしまして、いずれにいたしましても、その面からの損害に対しては、カバーし得ない面がないようにというふうに配慮いたしております。
○前田(正)委員 そうするとこの特約条項の分も、第七条の「一工場著しくは一事業所当たり五十億円と」いうところに該当するわけですか。
○佐々木(義)政府委員 第七条でカバーされます。
○前田(正)委員 それじゃ、次に、第三条の「原子力事業者周の核燃料物質の運搬により生じたものである」というところがありますが、もちろん、この「運搬」ということは、国の内外全都を含めた意味だと思いますが、そういう意味に解釈していいわけでしょうか。
○佐々木(義)政府委員 その通りでございます。
○前田(正)委員 そうしますと、第七条のところでありますが、一応問題になると思うのは、特にこの中で「一隻当たり五十億円」ということが書いてあります。実際問題として、アメリカの場合のように、濃縮ウラン等のような核燃料物質を、日本とアメリカの門だけで船が往復して運搬する場合は、日本とアメリカだけの間でありますから問題ないと思うのでありますが、これが各国に寄っていく場合——特に一番問題になるのは、コールダーホールの場合には、使用済み燃料等は返さなければならぬ、そういうものが、イギリスに行くまでの間に各国に符っていくようなときに、この一隻当たり五十億の保険で十分であるかどうかという問題が出てくるのじゃないか。さらに、原子力船が実際に就航できるようになった場合においては、一隻五十億というようなことで原子力船の寄港ができるかどうかという問題が出てきて、五十億では「一工場著しくは一事業所当たり」はいいかもわかりませんが、船の場合は足りないのじゃないか。いずれ、船の場合については、国際的な条約の関係で自家保障体制というものがある程度できると思いますけれども、アメリカの場合なんかは五億ドルも出すことになっておる。これはどう考えておるのか、その点もお聞かせ願いたいと思います。
○佐々木(義)政府委員 国際間の損害賠償額等に関しましては、別途処置する必要があろうかと思います。おそらく、この五十億は国内的な、内海に入った場合の、日本の保険会社対日本の事業者周の保険契約の額を定めてあるわけでございます。
○前田(正)委員 そうすると、別途というのはどういうふうにやるのですか。さっきの三条では、内外の運搬にかかわらず、全部それは原子力事業者が損害の賠償の責めに任ずるようになっておる。国際間のものはどこにも出ていない。あるいはそういう処置を再保険か何かでやられるのかもしれませんが、そういうところはどう考えておられるか、それをお聞きしておきたい。
○佐々木(義)政府委員 この五千億で相手国の加工業者等が承知する場合には、もちろん、それで問題ないわけでございますが、それ以上を要する場合においては別途の処置が必要だ、こういう意味でございます。
○前田(正)委員 別途の処置が必要であるというけれども、それはどう処置を講ぜられるのか、それをお聞かせ願いたい。
○佐々木(義)政府委員 それは、私契約等で、保険契約あるいは契約の内容等で処理をする問題であります。
○前田(正)委員 その点、どうもちょっと不明確のように思いますが、もう一ぺん、国際間の場合の補償体制はどうするかというようなことに対する外国の資料とか、あるいはもう少し考え方があったら、まとめて一つ出していただいて、また、次の機会に私は質問をいたしたいと思います。
○中曽根国務大臣 その点は非常に重要なポイントでございまして、現在、国際原子力機関におきまして、こういうインターナショナルな場合の損害保険あるいは補償という問題につきまして、どうすべきかということを、専門家を集めて研究しております。それから、最近、海上における人命の安全のための国際条約という例の海事機構に関する膨大な条約の総会が近くロンドンで聞かれることになっておりまして、その際、原子力船をどうするかということも議論の主題になっております。それらの問題と合わせまして、日本の場合における各船の寄港地その他における補償の問題も検討いたしたいと思いまして、もう少し国際的標準が確立するのを見まして、国内的法体系の整備を行ないたいと思っております。
○前田(正)委員 大臣の答弁で大体わかりましたけれども、そういうときには、また国内的に必要な法体系その他の整備をされるということでありますから、一つ政府の善処をお願いいたしたいと思うのでありますが、今、日本として具体的にそういう事態が起こってくるということは、コールダーホールの燃料を返す場合とか、あるいは日本で原子力船が建造された場合で、時間的余裕があると思いますけれども、十分な対策を一つ政府としてお願いをいたしたい、こう思います。 それから第十条についての資料をきょういただきました。いただきましたけれども、補償料のところがどうも不明確であります。保険料的考え方を基礎として算定すると書いてありますけれども、大体こういう補償料というようなものは、保険に対しましては、民間としては相当の責任があるから十分な保険料を払っていると思うのでありますが、民間の保険でカバーできないようなものによって生ずることであります。しかもまた、これはほとんど起こり得ない。災害自身が大体起こり得ない特別の場合のことでございます。特に地震とか噴火によるというようなことはめったに起こり得ないことでございますが、政府はそれを補償しようというのでありますから、当然この補償料というものは、非常に金額の低い管理手数料的なものでなければならぬと思うのでありますが、この政府の案によると、保険料的な考え方ということになると、多少採算を考えたような補償料ということになるのじゃないかとも思います。この点は、一つきょう資料を出された原子力局にまずお聞かせ願って、それに対して大蔵政務次官からの御答弁を一つお願いをいたしたいと思います。
○奧村(又)政府委員 お答え申し上げます。第十条の二項にありますように「補償契約に関する事項は、別に法律で定める。」ということで、今御提案の法律が成立後、政府の方針を検討し、定めるわけでありますが、その中において補償料をどのようにきめるかということでありまして、ただいま各国の例その他いろいろ調べておりますが、はっきり御答弁申し上げるような材料が実はまだございませんので、御了承願いたいと思います。
○前田(正)委員 各国の例等は調べておられると思いますけれども、大体各国とも、こういうものに対しましては賠償措置によって保険でできないものに対する政府の補償というような考え方のものであります。それからまた、原子力の賠償補償でありますから、保険でカバーできないような特別の事態ということでありますので、これは保険料的な考え方でやってはとても事業者としては成立しないのであります。従って、これは政府の補償でありますから、特別な管理手数料的な考え方でやってもらわないと、政府補償という意味が成り立たないのです。保険料的な考えなら保険なんです。人体政府が補償してやろうということでありますから、管理手数料的な考え方できめてやってもらわなければ、これは大体、今、別の法律で定めるということでありますけれども、その考え方というものは、この法案を通すときに私は非常に重要な考え方じゃないか。先ほどから言うように、私たちは、国家補償というものを強く要求して、この法案をぜひ早く作るようにということを再三要求しておるところでございまして、特にこの分については、もう一ぺん、一つ政務次官から、管理手数料的なもので政府としては補償される、そういう考えでおるということを——率は幾らにするということは今明確にはできなくても、考え方を一つ述べていただきたい、こう思います。
○奧村(又)政府委員 重ねてのお尋ねでありまして、大蔵省としても、はっきり申し上げられる限りにおいてはできるだけはっきり申し上げたいと思いますが、お説の通り、こういう災害はあってはならぬし、また、万々一あった場合、その補償料をどう考えるかということであります。科学技術庁の原子力局からも案を持ってきておられます。大蔵省もいろいろ検討しておりますが、ちょっと私としてははっきりお答えいたしかねます。
○前田(正)委員 それでは、その点は一つそういう希望であるということで、われわれとしては、はっきり政府に善処をお願いいたしまして、いずれまた法律で出てくると思いますから、われわれもまた審議さしていただきたいと思います。 それでは、次に、一番問題でありまする十六条の問題について、一つ明快な御答弁を願いたいと思うのであります。この十六条の最後に「必要な援助を行なうものとする。」とありますが、「必要な援助」の範囲というものは、損害が起こりまして、賠償する必要がある場合には、その必要な範囲すべてに対して、この事業者が自分の責めに任ずべきものは自分の責めに任じ、あるいはまた、保険でやるべきものは保険でやりますけれども、それでカバーできないものに対する必要な援助というものは、すべての賠償を事業者ができるような程度までの必要な援助をするというふうにわれわれは解釈したいと思うのであります。そうしないと、もし一部でも残るということになれば、それから先のことは、結局被害を受けた公衆の方が自分で負担しなければならない、こういうことになるわけでございますから、当然必要な援助というものは、賠償する必要な範囲のもの、それを全部にわたって賠償ができるまでの援助をする、こういうふうに解釈していいと私は思うのでありますけれども、これは一つ大蔵政務次官から明瞭に御答弁願います。
○奧村(又)政府委員 ごもっともなお尋ねでございます。しかし、一体どんな損害が発生するのかということがわかりませんで、それをすべて援助できるかというお尋ねでありますと、これは非常にむずかしい答弁であります。そこで、十六条の第二項におきまして「国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において」とありますので、御趣旨の通り、あらゆる援助をしなければならぬが、そういう建前でもって国会の議決を求めておるということでありますから、その程度で御了承いただきたい。それ以上は、私はちょっとお答え申し上げられないと思います。
○中曽根国務大臣 第十六条の法文解釈は、第一条に本法律案の目的が明記されております通り、「被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資する」これが大きな目的になっておるわけであります。このために必要がある場合において必要な援助を行なう、すなわち、五十億円をこした場合に、ある事業体が自分で被害者に賠償し得る能力がある、そういうふうに客観的に認められる部分は事業者が出しますけれども、その限度を越えて、しかも、客観的に認定された損害額との間の部分というものは、これは当然第三者に対して賠償すべきものでありまして、その部分に関しては国家が満配するという意味であるとわれわれは解釈しております。そういう立法の趣旨でありますから、第一条に「被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資する」という目的が、実は明記されておるのでございます。ただし、それは国会の議決によって、政府に属させられた権限の範囲内においてという制約がございますから、国会の御意思によって、それが修正されるということもあると思います。法律を作るのは国会でございますから、国会の権限の範囲内ということになるとは思いますが、立法の趣旨は、第三者にいささかも不安なからしめるという意味がございますので、そのように解釈しております。
○前田(正)委員 国会の議決ということは、もちろん、われわれの方も、政府からの報告を受け、また、原子力委員会からの報告をもらいまして、十分に必要な処置を議決しなければならぬとは思います。もちろん、政府は、国会の議決のないものに対してやるわけにはいかぬと思いますが、ただ、きめられている予算の範囲内でやるというわけではないと私は思うのであります。必要ならば補正予算等も出せるわけでありますから、この点については、特に一番関係あると思うところの茨城県の知事からも、われわれ委員全部にあてて陳情が出ておりまして、政府は被害者に対して完全な補償を行なうよう明定されたい、こういうふうに陳情が出ておるわけであります。この点は、大臣の今のお話のように、目的からいっても、必要な援助というものはやるのだということでありますから、いやしくも、被害者の負担になるということのないように、われわれの国会の方においても、政府が必要な議決を求めるなら、当然それをやらなければならぬと思うのであります。とにかく、必要な援助は、保険あるいは事業者自身、あるいはまた、政府の援助というもので、被害者の方には負担がかからないように完全に行なえるのだ、こういうことでなければ、この法律を作った目的は達成できないと思うのでありまして、その点、当事者であります茨城県知事からもそういう陳情が出ておりますので、重ねて大臣と政務次官から、そういう必配はないということだけはっきり御答弁願いたい。
○中曽根国務大臣 第十六条の第一項の後段をすなおに読んでみましても、「原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。」とあるわけです。従って、損害が客観的に認定されて確定された場合には、原子力事業者が、自分で払える分はもちろん払いますが、それで払い切れない部分については、損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。行なうものとするという意味は、行なうを要すというところまで強くはありませんが、国はするものであるという意思表示をしているわけであります。従いまして、その原子力事業者でカバーできない残りの部分については、これは国が行なうという意思表示をしておりますから、法文をすなおに読んだ意味におきましても、そこに空間はないということになると私は思います。
○奧村(又)政府委員 建前として、ただいま科学技術庁長官のお述べになりました通りでありまして、しかも、それを実行するために、二項において「国会の議決により」とありますから、私は、これは補正予算をも組むという場合も想定しておると思うので、それも含めまして、政府に属せられた権限の範囲内において援助を行なうということでありますから、ただいまの御趣旨に沿うものと存じます。
○前田(正)委員 今の御答弁の通りであれば、非常に一般の人は心配はないと思うのであります。また、われわれ国会におきましても、政府が完全に必要な援助を行なうために必要な議決を求められれば、政府からの報告もありますし、また、原子力委員会からの報告もありますので、当然私は議決ができる、こう考えますので、一つ政府は、一般の人が心配ないような処置を行なってもらいたいと思います。 〔委員長退席、西村(英)委員長代 理着席〕 ただ、ここで一つお聞きしておきたいと思いますのは、原子力事業者が、なるほど保険でカバーできるものはもちろんでありますが、保険でカバーできないものに対しても、自分の許す範囲のことはやるべきであると思うのであります。しかし、原子力事業者は、それじゃ破産をするまで全部の負担をしていかなければ、政府は必要な援助をしないのか、こういうことが一つ問題でありまして、原子力事業者というものは、もし破産するまですべて責任を負わなければならぬのだということになってくると、事実上原子力事業者に対しましての原子炉の売買契約というものが、なかなか成立しにくいという問題が出てくるのではないか。だから、当然保険とか、あるいは国家補償ということでやることはやらなければならないし、また、原子力事業者自身も、自分でできる範囲のことはやらなければならぬと思いますが、突き詰めて、破産するまでやらなければ政府が必要な援助をしない、こういうことではないと思う。それでは、この第一条の目的の「原子力事業の健全な発達に資する」ということにはならないと私は思うのでありますが、これはどういうふうに解釈いたしますか、お伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 その点は、御趣旨の通りでありまして、第一条の「原子力事業の健全な発達」ということもこの法案の目的でございますから、原子力小業が健全に発達できないような措置は含まれないと解釈しております。たとえば、発電会社のような場合には、電気料金というものは、公益事業で統制されて、政府の認可を要するわけであります。電気事業者が勝手に上げるというわけには参らないものであります。そういう面からしましても、発電会社等の経営というものは、一定の限度があり、また、公共性があると思うのであります。そういう上から統制を受けておるものについて、会社が壊滅的打撃を受けて原子力事業が発達できないような措置を、この第十六条において期待しているものではないのであります。やはり国が料金を統制している以上は、ある程度原子力事業あるいは発電事業というものの健全な発注、あるいは大衆に迷惑がかからないようにするということも考慮の中に含まれているものでありまして、御趣旨の通りであるとわれわれは考えております。
○奧村(又)政府委員 これはむずかしいお尋ねでありまして、この法律では、損害が起こった場合に被害者の保護をはかり、それから原子力事業の健全な発達に資するという趣旨でありまして、被害者の保護という規定については、民間における損害に対する保険と、それから、それを補完する意味の政府の補償措置と、それでも足りない場合の第十六条の国の措置というものでありまして、それ以上に国としても、また、財政上の立場もありまして、何かほかに具体的にせよというお尋ねでありましょうが、私は、これで一応被害者と原子力事業者を守る規定は完備しておると思います。
○前田(正)委員 そういう意味じゃなしに、今、大臣から御答弁がありました通り、国が必要な援助を行なうというときには、原子力事業者というものは、保険とか政府の補償とか、あるいは自分で負担できる範囲のものは負担して、それでも足りないところは政府の必要な援助を受けるわけでありますけれども、しかし、原子力事業者が事業として成り立たない、破産をする程度までやらなければ、国は補償しないということではこの法律の目的を達しないから、やはり原子力事業の健全な発展に資するという程度において、国が必要な十六条の援助をする、こういうことでどうか。それは、今、大臣もその通りであるというような御答弁であったのですが、政務次官はどう考えるかということをお聞かせ願いたい。
○奧村(又)政府委員 先ほどの私の答弁は、少し言葉が足りませんでしたので、つけ加えて申し上げますと、原子力事業者が、第十六条の規定の場合に、破産してもかまわぬのかということでありますが、決してさようなことは考えておりません。つまり、第三章の損害賠償措置において、賠償措置が十分できない、その額をこえた場合において、原子力事業者に対して必要な援助を行なう援助の内容というものは、補助もあるし、貸付もあるし、融資もありますし、つまり、国の力を相当加えて、被害者に対しての援助を十分いたしますという意味でありますから、逆に言えば、原子力事業者を破産に追い込むまで、原子力事業者だけで被害者の損害を埋めろという意味を持っていない、こういう意味で、中曽根大臣の御答弁と同一でありますから、御了承願いたいと思います。
○前田(正)委員 わかりました。それでは最後に一点だけ。 さっき労働省の人がおられなかったので、ちょっと労働省の人にお聞かせ願いたいと思うのでありますが、第二条の第二項でありますか、「原子力事業者の従業員の業務上受けた損害を除く。」ということになっておるのであります。これに対しましては、労働省において別途の処置を考えておられるそうでありますけれども、現在どういうふうにその作業が進行しておられるのか、また、いつごろにその労災法等を修正して提出される考えであるか、そこの作業と時期を一つお聞かせ願いたいと思います。
○村上説明員 今の従業員の損害補償の問題につきましては、立法の過程におきまして、科学技術庁と十分連絡いたしまして検討して参ったわけであります。その点につきましては、私ども、外国のこの種の災害に対しますところの従業員の災害補償という制度がどのように行なわれておるかという点についても十分関心を持ち、検討をいたしたいと思っておりますが、何分にも、外国の例は数少なうございまして、現在のところ、一般の労働者災害補償法の体系で処理しておるというのが大部分のようでございます。従いまして、にわかに、労働省として、労働者の災害補償、特に業務上の災害補償という点から特別な制度を新設するという点については、十分慎重に検討を要するのではないかというふうに考えておるわけでございます。 なお、前田先生御承知の通り、業務上の災害補償につきましては、たとえば、炭坑の爆発であろうと、あるいは火薬爆発であろうと、災害原因の種類を問わず、一律に、災害が生じた場合には使用者の責任として、労働基準法に基づく使用者責任ということで問題を処理しておるわけでございます。それ以上の災害補償という問題になりますれば、これも前田先生御承知の通りと存じますが、労働基準法の、使用者の災害補償責任と申しますのは、いわば労働基準の最低基準を定めたものでございますので、それ以上の補償をどうするかという点については、労使の問題として、労使間の自主的な取りきめにゆだねておるという制度になっております。そのような関係もございますので、なお慎重に研究、検討させていただきたい、かように考えておる次第であります。
○中曽根国務大臣 従業員の業務上の損害につきましては、労働大臣と私との間で、労災法をどういうふうに修正するか、たとえば、後発症というような問題で、今までの労災法の特例のような長年月のものも出てくるかもしれない。そういういろいろな面からいたしまして、原子力従業員の特殊性、あるいは日本の独特な事情、外国の立法例等々も考慮してよく検討しようということで、いずれ、これがための審議会のようなものを設けまして、関係各方面から権威者を網羅して御意見を承りまして、その結論によって労災法に関する措置を行なう、こういう打ち合わせになっております。
○西村(英)委員長代理 松前さんに発言を許しますが、実は、奥村政務次官が建設委員会から出席を求められておりますので、もし奥村政務次官に対する質問がありますれば、先にお願いいたしたいのであります。 〔西村(英)委員長代理退席、委員 長着席〕
○松前委員 政務次官はけっこうです。 この法案に関連して大臣の所見を伺いたいのでありますが、原子力損害の賠償に関する法律案の提案理由の大体の御趣旨は、もっともなところも相当にあるのでありまするけれども、ただ、私どもが非常に心配することは、原子力損害の賠償というような問題を今世間に出す場合において、原子力には損害があるという前提の上に立って、そうしてそれは賠償しなければならないというような印象を、日本の特殊性として与える可能性が非常に強いのであります。御承知のように、原子炉の設置に関しては、東海村は別として、あらゆるところで、日本においては、まことに笑止千万な現象ではありまするけれども、反対運動が起こって、そうしてこのために設置が阻害されてきておる現状であります。それはすなわち、原子力というものは損害を与えるものであるという前提の上に立っておるのでありまして、それに、今度の原子力損害の賠償というような問題をまた発表された場合におきましては、これはまた、国民の中に不安感を与える可能性が非常にあると思う。西欧諸国やアメリカあるいはソビエト等の国情と日本とは、その歴史的な特性が相当違うし、いろいろな意味において社会条件が違うのでありまするから、外国のまねをして、一律にこのような意味においての法律案を出すことに私は反対であるというのではないのでありまするけれども、こういうような出し方について、よほど気をつけなければならないというふうに考えるのであります。そこで一言申し上げたいことは、原子炉の設置に関して、従来原子力委員会は何らの基準も定めておりません。あるいはたった十ワットぐらいの小さな原子炉が危険であると言うてみたり、あるいはコールダーホール型のような膨大なものは危険でないと言うてみたり、一体どこに基準があるのか、感情でやっておるのか、お手盛りでやっておるのか、それがわからない。これが私は現在の原子力委員会の状況であると思う。まことに学者らしくない態度をもって、具体的な数字をもって提示せよという公開質問状を出しても、それに対しては具体的な数字が出てこない。そのような非科学的な取り扱いのもとにおいて、国民はやつはり不安を感ずるであろうと私は思う。こういう意味におきまして、まずもって原子炉設置の基準を、どのぐらいまではどの程度の施設をやれば大丈夫だ、どのくらいのパワーまではどの程度だ、どのくらい以下はこの程度でよろしい、安全でありますよということを、国民の前にまず提示するのが前提条件ではないかと思う。その前提条件の上においてのみこういう問題があとから付随してくるのである、こういうふうに私は思う。今までの原子力委員会並びに科学技術庁全体の取り扱い方を見ますると、まことに支離滅裂、ほんとうにそこに科学的基準というものは一つも定めてない。大体これはよかろう、長たらしく何か理由が書いてありまするけれども、そこにせつ然たる一つの基準というものはない。そうして、つまらぬ、小さなものを危険と言うてみたり、それの何億倍大きなものを危険でないと言うてみたり、一体何のことやら全然わからない。しかも、そういうことを決定したところの委員会におけるその委員というものは、初めから終わりまで変わっていない。同じ委員によって、そういう支離滅裂な結論が与えられておる。こういったような状況において、はたしてこの原子力損害賠償に関する法律案が提案されたときに、やはりこれは原子力に対しては損害があるんだ、賠償まで政府はしなくちゃならないじゃないか、さあ危険だという印象を与えることによって、日本の原子力の発展を阻害するおそれがある。すなわち、前提条件である原子炉の設置の基準が定められてないというところに基本的な欠陥がある、私はこう思う。だから、そういう意味において、科学技術庁長官は、原子力委員長としてどのようなお考えであるかを伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 従来の審査におきまして、支離滅裂であったとは私は思いません。安全審査部会におきまして、一定の基準をもって——まあ抽象的な基準では、平和目的とか、あるいは人員の点とか、技術的能力とか、あるいは資本的要件とか、あるいは炉自体の安全性の確保とか、そういう項目がございまして、それを一々検討してやっておるわけでありますし、安全性につきましては、炉の内部における放射性の限度、あるいは炉体を置いておりまする部屋の中における放射性の限度、あるいは構内におきまする放射性の限度等々、正確に測定いたしまして、そうして、大体国際水準よりもっときびしい限度の放射性の基準限度というものをもって、安全基準をはかっておるわけであります。ただ、日本のような特殊な場合には、周囲に対する環境ということもございますので、まわりの住民との関係とか、あるいは下水、排水というようなことも考慮しなければならぬのでありまして、そういう点は、それぞれのケース・バイ・ケースで考慮しておるのでございます。小さいものだからといって特に重要視するわけでも、軽視するわけでもありませんし、大きいものだからといって、不当におそれるものでもありません。要するに、科学的基準によって、数学的計算をもってはじき出してやっておるのであります。
○松前委員 科学的基準がおありになるそうでありますが、それを一つお示しいただきたいと存じます。今まで二、三の原子炉をお取り扱いになっておられるようですが、あなたの御就任前の問題から引き続いての一連の原子力行政に対するあり方について申し上げておるので、従って、今日もし基準ができておったならば、それを一つちょうだいしたい、そうしてまた、論議をいたしたい、こう思うのです。よろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 技術的な問題でありますから、私の方の法貴次長から答弁させますが、大体何レムぐらい出たらどうであるとか、あるいは周囲の環境におきましては、大体の基準として、この前のファーマー報告というものもある程度考慮に置きながら、日本の状態を考えつつ設置の安全を考える等々、そういう考え方の基準がございます。
○法貴政府委員 ただいま大臣の御説明にありましたように、ある程度の基準があるわけでございまして、たとえば、原子炉の周辺何メートル程度に稠密な人家がないことであるとか、その他、今の大臣のお話にもありましたように、放射線の許容量につきましては相当明確な、国際的な取りきめもございますし、それから規制法でそれを定めておりますし、それから緊急時退避線量等についても、最近、放射線審議会等に諮問しまして、ある程度の具体的な数字が出ております。それから、単なるそういう数字だけでなしに、その数字に対する取り扱い方と申しますか、許容量の与えられた数字と、その廃棄物処理の具体的な方法等に関しましても、ある程度のめどがございますので、そういう点を取りまとめまして、現在考えておりますごく大よその基準的なものというものは、資料としてお出しできるかと思います。しかし、まだ一般的に申しまして、原子炉というのは非常に多種多様でございますので、非常に技術的なこまかい点まで、具体的に基準としてはっきり仕立てるということは非常に困難で、そのために、現在でも安全基準部会において、たとえば、気象条件を安全審査にあたっていかに統一するか、それから立地条件等をいかに統一的に考えるか、それから、緊急時線量の大体の数字はあっても、それを実際に当てはめて——たとえば、それと大気条件との関係において、どういうようにそれが地表に沈降し、それからそれが農作物に入っていって、摂取制限を行なわなくちゃいけないかというような、具体的な考え方を統一するというような問題は、まだすっかり共進的に考え方が統一されておりませんので、今後安全基準部会並びに放射線審議会等の御意見を聞きまして、十分固めていきたいというように考えております。
○松前委員 私が申しまするのは、先ほどお話しをしたように、大体国民の中には、まことに遺憾ながら不安感が残っておりますから、それらの不安感を除去するために、必要なる政治的措置をとる必要がある。しかし、単なる政治的措置だけではこれはできないのでありまして、どうしても科学的根拠を持ったところの基準を通じて、この政治的な行為によってこれを国民に了解せしめる、こういうようなことが非常に私は大事であると思うから、このことを申し上げておる。それがないと、いかにも原子炉は危険だ、危険だというような印象を国民に先に与えてしまっておる歴史的な事実に基づいて、国民は考えるのでありまするから、こういう場合においては、どうしてもやはり、この程度のものならばこのくらいの措置を講じ、この辺でやれば大体大丈夫だ、非常に大きなやつはこういうふうな防護措置を講じ、そうしてまた、こういう環境を整えれば大体これでよろしいのだ、小さいやつはもう大したことはないが、とにかくこの程度やりたまえ、こういうような大体の基準を与えて、国民に——まあこれだけやっておけば大丈夫なんだ、あとは政府で適当にやるからまかしてくれ、こういうふうなところで、国民に対するアピールをする必要があるし、政府はまた、その責任があると実は私は思うのです。これは、私は前からそのことを考えておったのでありますが、完全なものは、もちろんまだ原子炉の開発の途上にありますから、これは永久にできないと思う。これは学問のことはそうだと思います。けれども、現在の段階において、一応の見通しをつけて、そこに基準は私はでき上がるものだと思う。今お話しの個々のもの、いわゆるどの程度の放射能のやつは許容量はどうであるとか、外国よりも少なくしたとか、多くしたとかいうようなお話がありますけれども、それは多くしょうが少なくしょうが、私はそういうこと言っておるのではない。多くても少なくてもいいが、とにかく、われわれは、少なくとも、政府はこの程度ならば、こういう環境のもとにこの程度の施設をし、そしてまた、この程度の運転要員をもってやるならばよろしいというような基準を一つ作って国民に示す必要がある。しかも、それはおおらかなものでよろしい。あまりこまごましたものを一々長たらしくなにせぬでもいいのでありまして、そういうものを国民に示して、こういう基準に基づいて原子炉をどんどんやりなさい、政府はできるだけ援助しましょう、こういう方向に持っていかないと、原子力の開発というものと、これに対する国民的な意欲というものはなかなか沸いてこないし、また、あっても、これがだんだんつぶされていく、こういうふうになると私は思うものだから、実は質問をいたしておるのでありまして、こういう政治的な意味においての国民的アピールとしての、政府の現在の原子力研究の段階における確信ある設置基準、そして、その設置基準なるものについてはいろいろあります。しかし、それも大体大別をして大中小その他に分けて、もちろん、原子炉の型やその他によって違いますけれども、それらのことも多少中に織り込んで、そうして大体の目安を国民に与えてやって、それならよかろう、あとは政府が監督するから大丈夫だろう、こういうふうなところに国民を了解せしめる、こういう必要があると私は思うのでありますが、この点について国務大臣の御意見を承りたい。
○中曽根国務大臣 御趣旨は同感であります。国民に対する啓蒙的意味における安全基準というものを作りまして、一般国民にそれを示して安全感を与えるということは、日本の現在の状態から見ますと、非常に重要であるように思います。従いまして、その方向に向かっていろいろ努力していきたいと思います。
○松前委員 この点はぜひ一つ、あなたの在任中にまずやっていただきたいと思うのです。特にできるだけ早くこの問題をやっていただきたいと思うのは、このような原子力損害賠償に関する法律案等が出てくると、今のところ、少し新聞記事が多いものだから、これが大きく出ませんけれども、ふだんならばこれはだいぶ大きく出る。そうすると、これはまた危険なものだ、政府まで危険だと認めた、こういう印象を与えたのでは、これは開発どころか、むしろ開発を抑制する法律案になりやすい。私がそういう感覚を持ったのは、体験からいっておるのでありますから、この点は政府でもよく考えて、早急にこの問題は、一つ国民に対する指導的な立場においてのアピールを考えていただきたい。アピールだけではありません。それはある程度確信ある科学的基準に基づいてやっていただきたい、こういうふうに思います。 その次は、いろいろだくさんありますけれども、きょうはちょっと急いでおりますので、後日に譲りまして、要点だけ申し上げて御質問してみたいと思うのです。それは原子力保険と申しますか、この保険に加入するのに、お金を出さなくちゃならないという。原子力業者がお金を積まなくちゃならぬ、こういう話です。これはどうでしょうか。お金を出して原子力をやってもうけようなんという人は、今のところ、だれもおらぬだろうと思うのですけれども、もうけようという人間がいないときに、お金まで出さなければ原子炉設置を許さぬということになると、原子炉設置希望者というものは、よほど篤志家は別として、原子炉設置を誘発し、それから原子力の研究をどんどんやるという政策ではなさそうな感じがするのです。ただし、それに対しては、大蔵政務次官は助成か補助かを出すという話でありますが、助成か補助を出すことはまことにけっこうでありますが、助成か補助かを出されますその金額によって、原子炉の設置という数、その規模というものは制限される、それ以上のものは許されないということになる。そうすると、政府成立の予算以上に原子力開発が行なわれようとしても、それ以上はまかりなりません、それだけは限度として許しましょう、こういうことになるのであります。それ以外は自分で負担なさい、こういうふうになるので、先ほど前田君の御質問まことにけっこうな質問でありましたが、それに関連したものとして、そういう感じを私は持つのであります。原子力の開発を、こういうことによって誘発するのではなくて、抑制しはしないだろうかということ、もう一つは、助成をするとしても、その助成金額によって原子炉開発の限度、アッパー・リミットを完全に押えてしまいはしないか、こういうふうに感ずるのです。これに対して中曽根国務大臣、どういうふうにお考えですか。
○中曽根国務大臣 企業体が行ないます原子炉、たとえば発電というような場合には、当然、保険料等もコスト計算の中に含まれまして、原価に入っていくわけであります。ただ、先ほど御質問がありました補償契約の場合は、一方においては保険料を払い、保険でカバーできないものについては補償料を払うということになると、かなり企業に対する負担も増と考えられますので、保険料等については、原子力事業の健全な発達ということを考えて、考慮しなければならぬと思います。もう一つ考えられますのは、大学等の研究用の原子炉でありまして、日本の現在の状態からいたしますと、研究用原子炉は非常に必要であります。しかし、これが設置にはかなりの費用もかかります。そういう面から見まして、このために、保険料支出等で、相当な負担が大学の公私立を問わずかかるということは、この発展を阻害するおそれがあると思います。従いまして、この法案ができましたらば、当分の間は、原子力委員会といたしましては、そういうような大学等の研究用原子炉につきましては、何か助成を行ないまして、保険料の負担等は軽減せしむるような措置を講ずるように、関係各省と協議して、実現いたしたいと思っております。
○松前委員 大蔵省の御意見はいかがですか。
○奧村(又)政府委員 私は、実は御質問の途中から入りましたので、詳しい内容をちょっと聞き漏らしておるかと思いますが、供託のことをおっしゃっておられるのであろうかと思います。私も、実はこの供託ということは、実際はほとんどないだろう、それよりも、損害賠償措置として、責任保険契約あるいは政府の補償契約ということで、万一の場合に備えるというふうに考えますので、供託はほとんどなかろう。しかし、これは法律の建前として、両方ともない場合には、供託ということも、一応建前としてつけ加えたので、決してそのために原子力事業者がふえないというようなことはないと考えます。
○松前委員 なかなかここはむずかしい問題だと思います。むずかしい問題だと思いますが、いずれにしても、現在のいろいろな経済機構の中で、体制を絶対にくずさないで、そうしてこの原子力開発を促進するような行政、ことに災害に対する補償その他の問題を解決するということを、現在の経済機構をくずさないでやるということは、多少矛盾があるのではないか。この法案の内容に、非常に苦心して作っておられるのでありますが、現在の経済機構というものをあまりくずさないでやるという気持があるものだから、少し割り切れぬところが出てくるのではないか、こういうふうに思っております。たとえば、原子力だけの保険会社でも作って、保険料を払い込ましてやるような会社を作れば、原子炉がどのくらい設置されるか知りませんけれども、たくさん設置せられた場合、非常にもうかる会社だと実は思うのです。災害は起こりませんよ。私は起こらないと信じます。それは、コールダーホール型は災害は起こるだろうという注意はしなくちゃいかぬのでありますが、大体原子炉というものは、これでもかこれでもかと三重、四重に、災害を起こすことが困難中の困難のようにでき上がっておるのです。これは少し原子炉の安全機構を調べてみるとわかります。災実は起こりません。ある意味においては、こんなものは必要ないといっても実は差しつかえないくらいだと思うのでありますが、起こった場合にはどうするかということに対する措置として、一応国民を安心させる意味においても、このことは必要だと思うのです。しかし、災害が非常に例が少ないという話でありましたが、ほんとうに例は少ないのであって、大きな災害等はない。そうすれば、もしこの原子力だけの問題の保険会社を作っても、これはめちゃくちゃにもうかるだろう。もし政府がやらしてくれるならば、われわれがやってもちっとも差しつかえないというくらいに、災害というものは起こらぬだろう、こういうふうに思うのです。そこで、供託とか、保険の金額の問題とか、こういうような問題が、私は、具体的には非常に大きな問題になってくるだろうと思うのでありますがどうも全体から見て、私、詳しい数字を検討したわけじゃございませんけれども、従来の保険会社に押されるような感じがする。やはり原子力は原子力としての主体性の上に立って、そして原子力災害というものはなかなか起こらぬというような前提に立って、また、起こさないという前提の上に立って、この保険その他の問題をここで取り扱っておかなければ、なかなか原子力の開発というものは困難じゃないか、経済負担にたえないのじゃないかという感じが私はするのです。漫然とそういう感じがします。いずれまた、この次に、もう少し勉強して、具体的に御質問いたしますけれども、これは感じであります。どうもこれは、もう少しその辺に対するいろいろな折衝その他において、主体的な立場から、原子力の開発に必要なる特異な問題としてこれを取り扱う、そうして現在の経済的な構造その他に対しましても、原子力に関する限りは特例として認めしめるというようなふうにしないと、なかなか原子力の開発というものは困難ではないか、こういうふうに私は思うのでありまして、その点に対して中曽根国務大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
○中曽根国務大臣 原子力関係の事業あるいは研究体制というものは、まだほんとうの初期でございまして、また、国民の上には非常な誤解もあることでありますから、政府といたしましては、ほかの部面以上に力を入れて助成しなければ、日本における発展を期することができないと思います。私は御趣旨には同感でありますので、この趣旨に沿うべく努力して参りたいと思います。
○松前委員 今の問題、御答弁はこの法案の内容に多少影響があるかと思うのでありますが、もう少し私も詳しいことを勉強さしていただいて、再質問をいたしたいと思います。 そこで、大蔵当局に伺いたいのでありますが、原子炉の災害による損害賠償等の問題に対して、大きな、たとえば原子力発電株式会社のごとき会社は、これは一つの経済的な企業体でありますが、そういうものは別として、研究用の原子炉とか小さな原子炉、そういうふうなものに対して大蔵省から直接助成をなさるのか、文部省を通じてなさるのか。たぶん文部省を通じて助成されると思うのでありますけれども、その文部省を通じて助成されるといたしますならば、一つの弊害を生じてくるおそれがあると思います。官立の学校も、また研究機関も、原子炉を方々に設置するでありましょう。また、設置しなければならないと思う。私学もまたやるでしょう。そのときに、結局圧迫されるものは私学である。現在でも、文部省の私学圧迫と申しますか、私学に対する指導方針は、非常に峻厳にして冷たい。そういうふうな、いわゆる官学偏重の方向に向から可能性がある。そういうことでありますから、この助成に対する何らかの基準をおつけにならなければならないのじゃないか、こういうふうに私は考えるのであります。すなわち、こういうふうな原子力開発に必要なる研究機関並びに教育機関、こういうものの原子炉設置に関して、公平なる助成を行なう措置をどのように講ぜられるつもりであるか、その辺のところを伺いたいと思います。
○奧村(又)政府委員 お尋ねの御趣旨は、非常に広範な問題でありまして、大学における原子力の研究について、私学と官学との間に不公平な措置をするなということについては、まことにごもっともな問題だと思います。そのようにできるだけ配慮して参りたい。この法律に関連しましての大学の原子力研究につきましては、ここにありますように、政令で定めまして、特別の措置を講ずる。また、保険などについては、中曽根大臣が先ほど御答弁申し上げましたように、保険料に対する国の補助ということも、これは研究してみるべき問題であろうと考えるわけであります。
○松前委員 たとえば補償の問題等におきまして、私が申し上げるのは、災害は私は起こらぬと思いますが、しかし、あるかもしれぬから、こういう法律が出る。そのあるかもしれないレア・ケースが起こったときに、これを補償しなくちゃいけない。それから政府はある程度それを補助するということになります。そうなりますと、私学やあるいはいろいろな私企業に対しては、補助金を出すけれども、全額じゃないのです。先ほど前田さんから質問したときの御答弁のように、全額ではないが、国立の研究所やあるいは国立大学等において、何か災害が起こって補償しなければならないときには、補償されるのは全額ですね。そこに大きな差があるということを申し上げておる。そこにどのような考え方をお持ちであるか、伺いたい。
○奧村(又)政府委員 国の施設についての保険とか損害賠償というのは、国が全額賠償をいたします。私学が原子力の研究施設を持つということになれば、これはこの法律に基づく損害賠償の措置が必要になるわけであります。そうしますと、ただいまお尋ねのように、官学と私学との間に非常に差が生ずるということでありますから、私学の場合にどうするかということも、これは十分検討いたしまして、私学の原子力研究も促進できるように善処しなければならぬと存じておりますが、これは今後の検討を待ってお答えいたしたいと思います。
○松前委員 これは非常に大事な問題です。原子力の研究は、御承知のように、まだ緒についただけなのです。従って、今、官学、私学を問わず、あるいは官立の研究所、あるいは私立の研究所を問わず、会社の研究所を問わず、すべてにやはり政府は相当に親心を持ってこれを育成してやらなくちゃならないときだと私は思うのです。民間のものにはその危険性と責任を負わせて、そうして、お前やれというようなことでは、なかなかこれは伸びないと考える。その点は特に大蔵省としてはお考え願って、次の機会に責任ある御答弁を願いたいと思います。 私は、これで終わります。
○石野委員 私は、前田委員の先ほどお尋ねになりました点について、一つだけ関連してお伺いいたします。 それは、第十六条の「国の措置」の問題でございますが、先ほど中曽根大臣、それから奥村政務次官の御答弁によりますると、大臣は、第十六条によりまして災害が起きたときには、被害者に対してはこの必要な措置——ということの意味は、国家が満配をするんだという話をなさったと思います。しかし、第十六条を読んでみますると、私は、そういうふうに読めないのであります。ここに書かれておりますのは結論的にいいますと、「原子力」業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。」原子力事業者が損害を賠償するということは、第三条によって規定されておる。第三条によりますと、ただし書きによって損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない。というように免責されておる。そうしますと、この原子力事業者が損害賠償するということは、第三条によって免責されておるわけです。そのはずされたものに対する必要な援助をするわけです。そういうように読まなければいけないわけです。第十六条の前段においても「原子力事業者が第三条の規定により損害を賠償する責に任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため」とある。大臣は、この法の目的を達成するため、第一条の目的規定にあります被害者の保護をはかるということを言っておるわけでありますが、しかし、その次には「この法律の自的を達成するため必要があると認めるときは、」と書いて、それを「原子力事業者に対し、」と受けてきているわけです。その原子力事業者に対して国家が損害賠償するために必要な援助を行なうわけですから、免責されたものに対しては援助がないということになってくる。ですから、第十六条を、大臣が言われたようにするためには書き改めなければいけないし、この条文解釈からいきますと、どうしても免責事項に対しては国家は何も援助する必要はないということになってくる。そのことは、第十六条の二項においてあるいは保護されるかもしれないけれども、大臣が先ほども言っておりましたように、第二項は国会の議決によって制約をするということまで言っておる。制約という言葉の意味は、損害が出て、それが全額何億になるか何兆円になるかわかりませんけれども、それが全部補償できないときには国会の議決によって制約をされるということの意味であろうと思うし、また、その通りであるとわれわれは理解するわけです。従って、大臣が先ほど言われたように、第十六条というものは災害を受けたものに対する満配規定ではないということに私は理解するのですが、私の理解の仕方は間違っておるのでしょうか。
○中曽根国務大臣 今の点は、少し誤解があるようでございまして、第三条におきまする天災地変、動乱という場合には、国は損害賠償をしない、補償してやらないのです。つまり、この意味は、関東大震災の三倍以上の大震災、あるいは戦争、内乱というような場合は、原子力の損害であるとかその他の損害を問わず、国民全般にそういう災害が出てくるものでありますから、これはこの法律による援助その他でなくて、別の観点から国全体としての措置を考えなければならぬと思います。戦争のような場合に船が沈む、その保険の支払い等いろいろな問題も出てきましょうし、戦災にあうこともございましょう。従って、そういう異常巨大な社会的動乱あるいは天災地変というような場合には、これは別個のもので取り扱われるので、その限りにおいては、政府に法律上責任はない、そういうことになるのであります。それで第十六条に書いておりますのは、五十億円までは保険をかける、ところが、五十億円以上の、イギリスでやっておる再保険を引き受けてくれませんから、その五十億円以上の再保険にかからない、保険ではカバーできないものをどうするかということをここで規定したわけであります。その部分については、ここに書いてありますように「必要な援助を行なうものとする。」と書いたのは、行なうことができるというのではないのでありまして、国がやるのだということを明言しておるのです。しかも、それは「原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助」というのですから、その業者の企業能力によっては、銀行から金を借りて、そして被害者に払うという場合もありますし、国が国家融資をしてやるという場合もございましょうし、あるいは補正予算を組んで補助金をやるという場合もありましょう。しかし、いずれの場合にせよ、客観的に損害額が確定された場合に、業者が自分で支払える限度まできて、しかも、もうそれ以上払えない、原子力事業の健全なる発達という面からしましても、これ以上払えないという限度以上の損害額があって、まだ第三者に払ってない、そういう場合には、その全部についてこのような必要な援助を行なって払わせる、そういう意思表示なのでございます。
○石野委員 私は、この第三条のただし書き規定、いわゆる免責事項というものが第十六条においては排除されているものであるということがわかれば、それはそれでよろしいのです。しかし、そういうことになりますると、先ほど前田委員が聞かれておりましたことは、やはり被災者というものは、受けただけのものをなるべく満配してほしい、特に茨城県知事からの要望書というのは、その免責事項に関連する、しないにかかわらず、出たところの損害に対して満配してほしいということの要望が出てきているわけでございます。また、そういうような意味において前田委員は質問されたと私は受け取っておるわけでございます。だから、前田委員の質問は、その第三条の免責事項の意味を排除しておるという意味ではなかったと私は理解しているし、また、それを排除しているものと理解するならば、茨城県の知事から出ているところの意味をはき違えているといわなければならないと思います。だから、私は、この第十六条が、第三条のいわゆるただし書きの免責事項というものが排除されておることによって、その他のものに対する満配という意味ならば、私はそれはよく理解いたします。その場合でも、ここで問題になりますのは、この第三条のただし書きの規定の中にある「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」というものの内容が、今度問題になって参ります。ただいまのお話によりますると、関東震災の三倍大のもの以下のものは「異常に巨大な天災地変」ではない、それ以上のものであるという理解の仕方のように見受けられます。しかし、今度、そうなりますると、第三条におきまするところの「異常に巨大な天災地変」と、いうものが、その三倍以下のものは、そうすると、どこで救済されるのかということが事実上なかなか不明であります。この条文だけを見ますると、かりに、天災地変の内容が、地震及び風水害だという理解に立ちました場合に、地震の限界、風水害の限界というものを正しく出さないと、第三条を正しく読めないということになってくるわけであります。しかし、その第三条の私の懸念するそういう正しい読み方というものは、条文のどこに書かれておりますか。
○中曽根国務大臣 条文のどこに書いてあるということはございませんが、この語の定義というものが、そういうふうに立法のときに了解してあるわけであります。そうして今お話になりました、しからば、その異常に巨大な場合にはどうするかという問題については、第十七条に規定してありまして、「政府は、第三条第一項ただし書の場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする。」この場合は、一般の災害救助法もありますし、それ以外のこともありましょう。とにかく、そういう場合には、国民の民生に関することでもあり、生命財産に関することでもありますから、最善を尽くして必要最大の措置を行なうわけであります。しかし、それは、十六条とか、そのほかの場合における損害賠償という意味ではなくして、国の一般政策として当然これは行なうべきことでありますが、特に念のためにこれは書いてあるのでございます。
○石野委員 第十七条の「第三条第一項ただし書の場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずる」、この場合の救助の内容はどういうものかということが、またここで問題になるのであります。「被害の拡大の防止」というのは、これは読んで大体わかります。しかし、今、大臣が答えようとしている内容は、この「被災者の救助」という問題にかかっていると思うのでございます。救助という意味は、普通の意味からいたしますと、助けるのであって、その助ける仕方には、全部を助ける場合もありますし、ごく一部分を助ける場合も出てくるわけでございまして、被災者の側からすると、この問題についてはきわめて不安定であります。私は、この問題は、後日にまたもう少し突っ込んだお尋ねをしなければならないのでございますけれども、しかし、さしあたって、先ほどお話がありました、前田委員も尋ねておられたことに対して、満配できるんだから、国民諸君は不安を持たないようにというような意味の御答弁がありましたけれども、明らかに、第三条のただし書き規定は排除されておる。異常巨大な天災地変は排除されたということになるし、また、社会的動乱によるものも、国の責任はないのだということになって参るわけでございますから、これはなかなか被災者の側としてはそう安心はできないことになる。特に茨城県知事から出ておるところの要望書というものは、ちょうど今私の論じていることを問題にしておるわけでございますので、その点に関する限り、先ほど前田委員にお答えになったことの意味は、非常に限定的であるということをここで私は理解いたしたいと思っております。そこで、この第十七条の「被災者の救助」という問題について、政府はどういう解釈をしておられるのか、この際、一つお聞かせ願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 これは災害救助法もございましょうし、ともかく、戦争や内乱が起きた場合に、国が乱れていろいろな事故が起きる、そういう場合におけるいろいろな応急措置、その他全般が入るわけでありますので、今からどうというように限定するわけには参りません。少なくとも、災害救助法程度のことはやるという、最低限のことは言えると思いますが、それ以上は、そのときの情勢によって、政府なり国会なりがきめることになるだろうと思います。
○石野委員 私は、また他日質問をいたしますが、もう一度だけ念を押しておきたいと思います。 この茨城県からわれわれのところに参っております要望書というものは、法の第十六条に対しましては、「当該賠償措置額をこえる額の全額を補てんする措置を講じ、原子力事業者が被害者に対し原子力損害を完全に賠償し得るよう明定されたい。」このことに関しては、今、大臣から御答弁になったことと大体合致するものと思うのです。しかし、第二項の、第十七条の規定にありますところのものは、「政府は被害者に対し、完全な補償を行なうよう明定されたい。」ということが出ておるわけでございます。こういうことになりますと、この第十六条の規定の読み方は、茨城県の方々の読み方ももうすでに不十分であり、また、第三条ただし書きの規定の問題についても十分な理解が行き届いていないのじゃないかとも思いますし、また、それが行き届いておるとすれば、十七条の規定の方に持ち込んできていることも理解されるわけで、いずれにしても、二つの要望事項は、ひっくるめて申しますと、あそこで出るところの被害については全部満配してほしいということを言っておるわけであります。そういう意味からいたしますと、先ほどの大臣の答弁、また、ただいまいただきました救助の問題につきましては、いわゆる救助法の問題の範囲にとどまるのであって、茨城県の出されておるような意味の満配とか、被災者が受けたものに対する全額補償ということにはほど遠いものであるということが言えるのじゃないか、こう考えます。そうではないのでございましょうか。
○中曽根国務大臣 外国の立法例で、第十七条のようなものを置いたものはないのであります。しかし、日本の場合は、特に国民の皆さんが心配されるという関係があって、第十七条というのを置きました。さらに「報告及び意見書の提出」というような条文が第六章にございまして、第十九条「政府は、相当規模の原子力損害が生じた場合には、できる限りすみやかに、その損害の状況及びこの法律に基づいて政府のとった措置を国会に報告しなければならない。」また、第二項に「政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力委員会が損害の処理及び損害の防止等に関する意見書を内閣総理大臣に提出したときは、これを国会に提出しなければならない。」こういう条文を特に置きました。これは各国の立法例にはございません。これはすべて国会に事態を報告して、国会の措置を仰げるようにしよう、国会は国民代表の機関でありますから、国家財政等とにらみ合わせて、国民の納得のいく措置をやっていただけるとも考えまして、条文を置いたのであります。茨城県の御要望の後段の方、異常、巨大というような場合まで、すべて国家が、法律上明記して、賠償に応ずるというようなところは書いてございませんけれども、それはほかの立法例にもございません。外国はすべて異常巨大の災害並びに社会的内乱という場合には免責されておりますので、大体外国の立法例にも従っておるのでございます。
○石野委員 私は関連ですから、またあらためてやりますが、ただ、今の大臣からの御答弁の中に、十九条の問題が新たに出て参っております。十九条の問題は、十六条第二項の問題に集約されてくる問題でございます。十六条第二項の問題は、いわゆる国会が最高の議決機関であるから、そこできめるんだ。外国の例にもない。しかし、外国の例にもないかわりに、前田委員からも言われましたように、アメリカのごときは、やはり五億ドル、千八百億円というものがあり、その上になお六千万ドルというものが加わっておりますから、大体全体で二千億円をこえるところのものが一応限度として置かれているわけです。日本の場合は五十億円が限度になっておる。それ以上のものは国が幾らにするということははっきりしていない。西ドイツの場合におきましても、やはり五億マルクというものが出ておるわけでありますが、その額は四百二十九億円になっているわけです。それらと比べると、全く雲泥の差がある。しかし、事実上からいいますと、災害の被災率というものからいえば、人口密度の状態とか、あるいはその国の地震とかなんとかという、いわゆる立地的な諸条件からいうと、むしろ、これらのアメリカとか、あるいは西ドイツよりも、もっと厳格に、もっとシビアに、もっと大きい幅で国民に対する安心感を持たせるようなものを政府が処置すべきが当然なのです。それが行なわれていないということになりますから、やはり国民の側からすると、これは災害賠償を受ける面で非常に不安であるということをわれわれは論じておるわけでございますので、今大臣から言われた、外国の立法例にもないようなことがここには書いてあると言うけれども、書いてはあっても、事実上は、むしろ外国の方がそれよりもっと有利な諸条件が規定されておるということをわれわれは頭に入れなくてはいけませんので、政府としてはむしろかえって責任を回避されて、非常にずるい形で国会へしょわせているというようなことになるのじゃないか。また、われわれの常識からいいましても、この場合、国会が臨時的に予算措置をするというようなこともありましょうけれども、ややもすれば、予備金処置とかなんとかということになってしまいまして、これは非常に不安定であるということになろうと思います。しかし、この問題は、後日またあらためて質問させていただきます。 —————————————
○村瀬委員長 この際、資料要求に関し発言の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 昨日要求をしておりました資料の中で、三点はいただきました。残りの、改正された労災法の中で、従業員の放射能による障害等に関連した条章を抜き書きにしてぜひ一ついただきたい。ということは、きょうも、話を聞いておると、労働省の説明員は、科学技術庁と相談をして今度の労災法の改定をやった。原子力委員会では、従業員の災害補償については、外国の立法例も調査して、あらためて考え直さなければなるまいというようなことを言っておる。従業員に対する災害に対する補償が、政府としても非常に定見がないように思われるので、これはやはりケース・バイ・ケースについて具体的に私どももはっきりとした審議を尽くしたいと思います。 それからもう一つは、理論的に可能な大型動力炉の災害についてどの程度のものであるかということは、やはりこの際はっきりとお示しを願えれば、非常にけっこうだと思う。というのは、国が補償するということになると、やはりどの程度の補償までが期待できるかということは、私は問題だと思う。たとえば一九五七年ですか、アメリカのマッカラン報告があって、あの報告で見ると、理論的に可能な大型動力炉の最大の災害は、七十億ドルといわれておる。そこで、これがきっかけとなって、プライス・アンダーソン法のあの改正法ができた。そこでは国の一応の責任の限度を五億ドルと設定し、一方では、原子力法に一条を設けて、原子力の安全審査についてはより権威あらしめておるという経緯等もあるので、そういうわけであるから、具体的に、援助か補償かというような問題を論ずる場合にも、どの程度の災害が理論的には予想されるか、また、その確率はどの程度だというようなことは示されてもいいのではないかと思う。そういう意味で、せっかく私どもも責任ある審議を尽くすという意味から、できるだけ資料をお示しを願いたい。 それから奥村政務次号に特にこの機会にお願いをしておきたいのですが、大蔵大臣にぜひ私は御出席を願いたいと思う。特に昨年、日英動力協定の際、私は大蔵大臣にこの点についても若干質疑をいたしました。私の記憶によると——記憶というよりも、こういう問答があったわけです。あの日英動力協定では、英国側から買った炉については、万一事故が起こっても英国は責任をとらない、こういうように政府と政府との門で英国側を免責しておる以上は——しかも、日英交渉の議事録を見ると、向こう側ははっきり議事録の中で言っておる。原子炉の燃料については、万一にも瑕疵があると災害が起こり、それは予想すべからざる大きなものになるのである。だが、英国側は、これに対して完全であることを努力するが、しかし責任は持てませんよと言っておる。そういう交渉の過程であの免責条項ができておる。だから、政府と政府との間で、責任を持たないでよろしいといって日英動力協定を結んだ。そこで今度は、日本の方でその炉を受け入れたということになると、万一事故が起こった場合、政府としても政治的な責任があるのではないか、だから、国は万一の場合に補償するのかという点を、私は大蔵大臣に御出席を願ってるる申し上げた。そのときの大蔵大臣の御答弁は、どの程度のものが災害として起こってくるのかというようなことについては、まだ何の資料もない。であるから、もっと具体的に数字が固まる段階にくれば、政府としてもやはり明確な態度を申し上げられるのだが、今のところ、入れるか入れないか、協約を結ぼうという段階だから、まだはっきりしたことは言えないかというような御答弁であった。しかし、こうした法律の上で、先ほど中曽根長官の御答弁を聞いておると、原子力事業者は、一応保険なら保険で、政府との補償契約で五十億までは損害賠償をやる、あとは国が援助するということになると、そしてどの程度のものが予想されるかという数字が出てくれば、政府としてもやはりそれについての補償の限界もあろうし、またその態度もあろうと思うので、大蔵大臣にぜひ御出席を願って、その際はっきりとした御答弁を伺いたいと思います。そういう点でぜひ一つ大蔵大臣の御出席を、これは委員長もぜひお取り計らい願いたい、そう思います。
○奧村(又)政府委員 ただいまの大蔵大臣に対する当委員会の出席に関する御要求につきましては、なるべく早く御趣旨に沿うように大蔵大臣に伝えまして善処いたします。 —————————————
○前田(正)委員 ちょっと、先ほど石野委員の御質問で、私の質問に関連した御発言があったので、特にこの際、奥付政務次官にも明瞭にしておきたいと思うのでありますが、私は、十七条の問題は、先ほど大臣からも御答弁がありました通り、こういう非常事態でありますから、普通の大規模の災害救助と同じようなことで国が十分な処置を講ずるものと、こう考えておるのでありますけれども、この前条の十六条の二項の場合は、保険と、国家補償と、さらに国が援助するわけで、その場合は、国会の議決によってきめられた範囲の援助を満ぱいにおいて十六条で援助されるわけでありますが、十七条の、国のやる処置というようなものは、これに対しましては、当然、国としては完全な処置を講じなければならぬし、同時に、この措置については、われわれも、政府から十九条で報告を受け、また、原子力充員会からも報告を受けまして、国会としては、政府のやるその措置に対しまして十分監督もできるし、要求もできるし、また、国会のきめましたことに対して政府は十分それを尊重して措置を行なうものと思うのでありまして、この十九条に関しては、単に十六条の第二項の援助の、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲ということだけじゃなしに、十七条の政府の措置に対しましても、国会が、十九条で政府からの報告を受け、あるいはまた原子力委員会から報告を受けて、国会としてもこういうふうな措置を講ずべきであるというようなことは当然きめることもできるし、申し出ることもできる。また、政府もそういう国会の意思を尊重して、被災者の救助とか、あるいは被害の拡大の防止、こういう特別の事態でありますから、完全な措置を十分にやる、こういうように私は思うのでありますが、その点について大蔵政務次官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○奧村(又)政府委員 この十七条の場合は、先ほど中曽根大臣の御答弁にもありましたように、「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたもの」というのでありますから、原子力損害だけじゃなしに、あらゆるり災害が起こるという——十六条は原子力の損実賠償だけに限る、十七条は、ほかに一般の災害もあるわけでありまして、主として行政措置として行なうという意味で書かれてあるので、規定の性格が全然違っておる、かように存ずる次第であります。
○前田(正)委員 そうすると、これは中曽根大臣の方がいいかもわからぬけれども、この第十九条の報告の義務の場合は、この第三条第一項ただし書きの場合とは違うわけですな。第三条第一項ただし書きの場合はこの十九条は適用しないで、普通そういう大きな災害があれば、当然政府は国会に報告をしなければならぬでしょうが、また国会も黙っていることはないと思いますけれども、十九条自身、「相当規模の原子力損害」という場合は、第三条第一項のただし書きが入っているのですか、入っていないのですか。
○奧村(又)政府委員 政府部内でその点についてまだ検討しておりませんが、この法律の趣旨からいきまして、十九条の規定は、主として十六条の規正を受けておるのでありまして、十七条はごらんの通り一般的な規定で、率直に言えば、この規定は法律にあってもなくても当然政府のなすべき規定でございますから、十九条は十六条を受けておる、かように私は読みます。もちろん、十九条もこれは含んでおる。しかし、主たるなには十六条であって、十九条の場合は、十七条ももちろん受けてはおりますが、十六条の方を主として受けておる、かように考えます。
○前田(正)委員 一応十六条は受けているけれども、十七条の第三条第一項ただし書きの場合も、相当規模の原子力の損害ということに一応入るだろうと私は思いますから、その点は一つよく解釈して——どうせ、こういう場合には国会の方も黙っていないし、政府の方も完全な措置を講じてもらわなければならぬと思うのです。 それから、さっきの質問で、どうも原子力局長の答弁によくわからないところがあるのですが、普通保険約款における原子力災害というものとこの法律の原子力損害というものの範囲、特にさっき話しました相当因果関係の範囲内の損害というものとどういうふうに関連しているのですか。約款の方は「原子力災害」と書いてあるし、この法律の第二条では「原子力損害」と書いてありますけれども、民法の担当因果関係の範囲内、さっき言った退避等の場合はどっちに入るのですか、不明確ですから明らかにして下さい。
○佐々木(義)政府委員 損害と書いており、あるいは災害と書いており、この二つの書き方がある、この点はどうかという御質問だと思いますけれども、法的な意味から申しますと、損害の報告の方が主文だと読んでいただきたいと思います。従来の保険約款等では、あるいは災害と書いてあるかもしれませんけれども、一応法律通り損害というふうに読んでよろしいと思います。
○前田(正)委員 そうすると、先ほど私がちょっと聞いたら、退避の費用とか、そういった民法の相当因果関係は、損害の中には入らないけれども、賠償の対象になっているという局長の答弁があったのです。そういう退避命令の退避の費用は、保険では対象にならない。そうすると、原子力事業者が自分の費用でそういうものは賠償する責任を負う、こういう意味ですか。そうして、原子力事業者が自分の責任でやろうと思うけれども、やれない部分は国の援助に行ってやろう、こういう意味ですか。その辺のところを、さっきの答弁でははっきりしないので、一つ御答弁願いたいと思います。
○佐々木(義)政府委員 原子力損害そのものを担保した保険でありますれば、原子力損害は、ここに書いてあります暴走あるいは放射能による損実、あるいは重金属毒性といいますか、こういったような三種類の損害のみをさしているわけでありますが、退避等の費用ということになると、損害額の中には当然入ってくるわけでございます。しからば、その損害額は一体たれが払うのか、こういう問題になって参りますと、これは法律自体の問題というよりは、むしろ、一般民法等で措置する問題でありまして、当然事業者がそれに対して支払い、あるいは事業者が支払えない場合は国が助成するというふうに措置することになってくると思います。
○前田(正)委員 大体わかったのですが、もう少しはっきりするために……。 今の民法の相当因果関係のようなものは、原子力事業者が支払って、足りないものは国が援助するのですか。保険の対象にはなっていない、あるいは国の保険の対象にはなっていない、こういう意味ですか。
○佐々木(義)政府委員 その通りでございます。
○前田(正)委員 その対象にはなっていないけれども、当然賠償すべきものの範囲に入っておって、今、局長の答弁した通り、原子力事業者がこれを賠償し、足りないところは国が必要な援助を行なう、こういうふうに解釈してよろしいのですか。最後ですから、もう一ぺん確かめておきます。
○佐々木(義)政府委員 その通りであります。
○村瀬委員長 石川次夫君。
○石川委員 大臣もお帰りになってしまったのですが、当委員会及び政府与党に対しまして、この際、特に要望申し上げておきたいと思います。質問ではございません。質問はあらためて申し上げるつもりでございますが、今度の原子力損害の賠償に関する法律案は、前々から多数で要望されて、その要望にこたえて出たものでございますから、われわれとしても、根本的な立場において賛成であることは言うまでもないわけです。ところが、この法律は、説明するまでもなく、日本で初めてこういうものができたという画期的なものだと思います。たとえば、企業が社会共同生活でもってきわめてウエイトの重い役割を有するものとされて、その実態を持つ企業に対して、一体どういうふうに保険というものを課すべきか、また、国家がどういうふうに介入すべきかという点で、民事責任の特例としての無過失有限責任ができた、それから、原子力責任保険としての責任保険というものを強制するという新しい試み、それから、国家補償という問題も出ておるというようなことでございまして、きわめて画期的なものだということが言えると思うのです。ただ、われわれといたしましては、非常にこの前提条件としても問題点がたくさんあるというふうに考えているわけであります。それは、一つは、たとえてみますと、きのうもちょっとお話申し上げたのでございますけれども、原子方の都市両辺整備法案というもの、あるいは従業員の、たとえば健康管理というもの、あるいは付近居住地の人たちのふだんの健康管理がなければ、当然出た災害というものは、この因果関係でもって、証明されないというような、いろいろな関連する法案というものがないがために、これだけ一つ出たのでは、ほんとうにこれは、有名無実とまではいかないまでも、浮いた、効力のないものになってしまうのじゃないかというような危険を感じておるわけです。 それから、この法律の出た前提といたしまして、実は、この原子力産業というものは国家でやるべきだという意見が非常に強く出たのを、政府の有力者が押し切りまして、経済企画庁であったかと思いますけれども、民間でも完全にコマーシャル・ベースに合うのだというような立場で強力に推し進められて今日にと至り、そして電発が今度は設置をされて、コールダーホールの原子炉ができるようになったというような経過をたどっておるわけでございます。従って、この場合、大蔵省の立場としては、民間の企業に対してはその損害を国家で補償する必要はないのだというふうな論拠もそこから生まれてきたように思うわけです。しかしながら、これを設置される付近の住民の関係としては、民間の事業だという感覚は全然持っておらない。あくまでも公共的な、国家の事業だという立場でこれに協力するという結果が、東海村にコールダーホールの原子炉ができたという結果になっておるわけです。それで、そういうふうな基本的なものの考え方で多少食い違いがあるのじゃないか。従って、それから出てくるいろいろなものの考え方につきましても、たとえば、無過失責任というふうになっておりますけれども、これについては、相当の免責事項というものを残しておるわけです。ところが、西ドイツあたりでは、不可抗力の免責事項というものは除外しておる。施設から出たところのいろいろな損害というものは、その因果関係というものは当然在任があるのだというふうな考え方で、不可抗力による免責というものを除いておるというふうな事情もあるわけであります。それから、最高限の補償金額は、日本と比較にならぬほど高いという比較もあるわけです。それから、国家が現実に責任を持つという意味での、国家補償の保険制度に切りかえるべきじゃないかという考え方があるわけです。また、その他のこまかい点では、災害の認定の問題とか、それから安全審査機構の問題は、モニターを完備して、先ほど申し上げたような因果関係を明確にするというふうな条項を整備しなければいかぬという問題、それから、常備機構として、安全審査部会ができておらなければならないのじゃないかというふうな問題とか、その他一条々々についてはいろいろなこまかい問題がこれにたくさん含まれておるというふうに考えておるわけです。 ところで、この問題は、今度出て、聞くところによりますと、早急に通常国会で上げたいというふうな意向をお持ちになっておる方もあるように聞いておりますけれども、ちょっとやそっとでは、とてもケリがつかないんじゃないか、相当慎重に、日本で初めてできた法律であるだけに慎重に討議もし、検討をする必要があるというふうに考えておりますので、ぜひこの点はおくみ取りいただいて、悔いのない法案に修正をするという心がまえを作っていただきたい。われわれは、ないよりはある方がいいという考え方でなしに、もちろん、ないよりはあった方がいいことはきまっておれますが、できて固定してしまうならば、それでは非常に不安だということ、この案ができたならば、非常に地元の不安が多いので、この法案のままでは協力は得られないんじゃないかというふうな不安を持っておりますので、ぜひ慎重な審議を特に御要望申し上げております。
○村瀬委員長 本日出席予定でありました防衛庁長官は、日米安全保障条約等特別委員会に出席中でありますので、防衛庁長官に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。 次会は明十九日午後一時理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十五分散会