予算委員会 第9号
- 発言数
- 434 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1959/11/25
会議録
○委員長(小林英三君) ただいまから委員会を開会いたします。 まず、委員の異動につきまして御報告申し上げます。十一月二十四日付をもちまして、委員村尾重雄君、杉原荒太君、草葉隆圓君が辞任され、その補欠といたしまして、基政七君、松野孝一君、小柳牧衞君が委員に選任せられました。 ―――――――――――――
○委員長(小林英三君) 次に、昭和三十四年度一般会予算補正(第2号)、同じく特別会計予算補正(特第1号)、同じく政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して議題といたします。 前回に引き続きまして、一般質疑を行ないます。
○木村禧八郎君 質問に入る前に、簡単に議事進行につきまして委員長に御要望を申し上げておきます。 それは財政法第二十八条によりますと、政府は、国会に参考のために、予算審議に資するため資料を提出しなきゃならぬことになっておりますが、二十八条に基づく資料を提出されてないのであります。従いまして、その資料の提出がなくて、本来ならば、こういう予算審議を進めることにつきましては問題があると思うのです。私どもはやはり議事を進めるために御協力いたしたいと思いますから、この点については、ここであまりこだわりたくはないのでありますが、本来ならば、この資料を提出されなければ質疑に入れないわけです。それは各目明細書であります。歳出予算における各目明細書は出されてないのであります。この点委員長の方から政府に対してこれは要求していただかなければならないと思います。その点をただしていただきたいと思うのです、政府に。(「異議なし」「怠慢だぞ」と呼ぶ者あり)
○委員長(小林英三君) 今の点について、大蔵省主計局長。
○政府委員(石原周夫君) お答えを申し上げます。 財政法二十八条は、本予算の際におきまする添付書類を記載をいたしておりまして、補正予算の場合におきましては、必ずしも、従来の扱いといたしましても、二十八条の所掲の書類を提出いたすという扱いをいたしておりません。その点は、今回は補正予算のことでもございまするので、二十八条につきましての書類を提出をいたすという運びに至っていないのであります。(「従来のやり方が間違いだよ」と呼ぶ者あり)
○木村禧八郎君 その点はおかしい。そういう取りきめになっておりません。二十八条は、「国会に提出する予算には、参考のために左の書類を添付しなければならない。」、こうなっておりまして、本予算なんという制限がありません。しかもまた、部分的には出ているのであります。国会とか総理府とか、厚生省あたりは出ております。各目明細書は。ところが、今度の予算に一番重要な関係のある建設省、運輸省、労働省、そういったものの歳出各目明細書が出てないのであります。各目明細を見ないでどうして予算の具体的審議ができますか。今度は非常に重要な災害予算じゃありませんか。ですから、特に建設省の各目明細、運輸省の、さらに炭鉱の問題については労働省であります。ほかのものは出ている。委員長ご存じのように出ておるのです、ほかのは。ところが一番肝心のこの補正予算に関連のある歳出予算の各目明細書が出ていないのです。しかも部分的に出ております各目明細書を見ましても、内容は人員と単価については、これは何も書いてないのです、ブランクです。このような歳出予算の各目明細書の出し方はこれは国会を侮辱するものですよ。われわれはこれでどうして判断できますか。人員も単価も何も書いてない、ブランクです。こんなものを出されてどうしてわれわれの審議ができますか。この点はこの際委員長、小さい問題として扱わずに、やはり国会の権威にかけても、特にこの重要な予算でございますから、それは政府に対して厳重な警告を発していただきませんと、今度は三十五年度予算のこともございますから、一応釈明を求めまして、不十分でございましたら、委員長から十分その点については今後はそういうことのないようにお取り計らい願いたいと思います。
○委員長(小林英三君) 木村君に申し上げます。今の木村君のお話がありましたような点につきましては、今後委員長から政府に厳重に申し出ることにいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど主計局長がお答えいたしましたように、これは別に本予算だとか、補正予算とかいうことはないと思います。今木村さんの御指摘の通りだと思います。それで、できるだけ資料をそろえるというのが私どもの当然の責務でございます。ところで今回は、まあ慣例もございますが、別に慣例をたてにとってとやかく申すわけではなくて、現にできておるところは出しております。ところが今回の補正予算は毎回申し上げておりますように、災害に対する緊急予算を編成し、全部の実地調査が終わらないうちにこの予算案の御審議を願っております。そういう実情がございますので、特に怠慢しておるわけじゃございません。実情がやむを得ない状況にある。この点を一つ御了承いただきたいと思います。今回の予算提出の当初からの経過を御了承いただきますならば、この二十八条についての問題もおのずから御了承をいただけるのじゃないかと思います。
○木村禧八郎君 委員長から十分……。
○委員長(小林英三君) 木村君、今大蔵大臣から釈明がありましたことを了とせられまして、直ちに御質問に入られんことをお願いします。 〔鈴木強君「議事進行」と述ぶ〕
○委員長(小林英三君) 簡単に願います。
○鈴木強君 私はきのうのこの委員会の運営について、院の権威にもかかることですから、委員長に一応所信を承っておきたいと思うのです。御承知の通り二十一日の土曜日の日に委員長がそこでお読み上げになりまして、この委員会で確認されておりますように、少くとも昨日は午前中外務大臣の御出席をいただいて、終了を目途にしてやるということが確認されておった。ところが昨日はわれわれは十時から始めるつもりでおったところが、こういう両党の話し合いと委員長がそれに基づいて確認したことが実際には実現できなくて、とうとう災害予算が一日間ブランクになった。この責任は私は非常に重大だと思うのですよ。私はこの院の権威として、委員長がやはりこれが確認したことに対して実現できなかったということに対しては、これは重大問題ですからね。ただこの委員会を開いて審議に入るというわけにはいかんと思うのです。委員長はこの委員会を運営する最高責任者でありますし、いろいろ御苦労されたことはわれわれ理事会を通じて知っていますし、この委員会において委員長はどういう態度であなたの確認をしておったことが実現できなかったことに対して責任を感じていますか。そして運営についてどういう責任を持っているか、私は承っておきたいと思います。
○委員長(小林英三君) 今鈴木君から、委員長に対する予算委員会運営についての今後の態度、並びに御意見のありました点についての委員長の釈明を求めておられるようでありますが、去る土曜日におきまして委員長から申し上げました、いわゆる二十四日は午前十時から開会をして、そして外務大臣に対する答弁は午前中に終了することを目途として委員会を開きましたことはまさにその通りであります。委員長といたしましては、必ず外務大臣をここへ辿れて来て、そして十時から予算委員会を聞くということは確約はいたしておりませんでしたが、ただ問題といたしましては、その前の前々日の理事会におきまして、各派からいろいろの御意見が出ました。そこで委員長といたしましては、二十四日は午前中にぜひ努力をして外務大臣をここへ連れて来て、そして残された二人の方々の質疑を終了いたしたいということで、それを目途としてそういうことを申し上げたのであります。従いまして、委員長といたしましても昨日は極力努力をいたしたのでありますが、まことに遺憾ではございましたけれども、御承知の通りの結果に終わりましたことは申しわけがないと思っております。しかし、今日外務大臣も出席されておることでありますから、どうか今日はできるだけ早く皆さんの御協力によりましてこの補正予算案を終了さしていただきますことを希望いたしたいと思います。まことに遺憾であります。
○鈴木強君 私たちもこれから審議に入ることについては認めておりますからやりますが、ただあなたが今触れられましたように、努力をするというようなそういうことではなかったはずですよ。二十一日の委員長理事打合会においては、この問題については、われわれは二十四日一日ほしいというのに対して、自民党はだめだとこういう意見が出まして、そこで委員長から発言があったと思いますが、妥協案で午前中と午後に分けたらどうか、こういう話が出まして、それではここではきまらないから両党が帰って国会対策が打ち合わせして、その上でもって、じゃ二十四日どうしようかということを協議をしたはずですよ。その結果、委員長はよろしいということになって、そこで読み上げたのでしょう。そういう経過がない中でわれわれがきめて外務大臣の出席を要求するということになれば、あるいは努力目標になる場合もあるかもしれない。しかし、少くとも経緯の中でお互いに話し合いをして両党が打ち合わせして、その上に立って委員長が報告されたと思うのですよ。ですから、そんなできるだけ努力をしてここに出てもらうんだというようなことではなくて、もう必ず出てくるということの約束でもってわれわれは委員長の報告を了承しておった。それを理不尽にもそういうふうに一方的にじゅうりんするということは、院の運営というものに対して非常に問題があると思うのですよ。私はこれは委員長に言っても――多少これは自民党に言いたいところだが、ここでは言えないから、委員長に私は言っているんですが、何か自民党の方は災害予算が大事だと言いながらベトナム問題に集中して、こっちがきのう夕刻までに終わるという約束をしておきながら、やれないということについては、これは重大だと思うのです。だから私はこれ以上追及したいとは思いませんけれども、しかし少くとも院の権威があると思うのです。ですから、われわれがいろいろ話し合いをやって、両党がきめたことだから、それが実現できるように委員長は最大の努力をすることがあたりまえだ。大事ですよ。それはやったと思いますが、しかしやれなかったということは現実ですから、私は今後の参議院の運営についてもこういう汚点を残すことは非常に残念ですから、少なくとも委員会の開会する前に委員長みずからその経過を報告されて、釈明があると私は思っていた。ないから私はあえて発言するんですよ。今後のこともあるから、私はその点をはっきりしておきたいと思ったからそういうふうに申し上げたわけです。
○委員長(小林英三君) 今申し上げた通りであります。(「議事進行」「だめだよ、審議できないよ」「悪いことは悪いとはっきりしたらどうだ」「あっさり言えばいいんじゃないか」と呼ぶ者あり)それでは委員長からも一言申し上げたいと思います。ただいま鈴木君の御意見にありましたような予算委員会の昨日の運営につきましては、委員長といたしましては最大の努力をしておいたつもりでございましたけれども、ああいうことになりましたことは、まことに遺憾千万でございまして、今後予算委員会の運営につきましては、なお一そうの気をつけてやって参りたいと思いますから、御了承を願いたいと思います。
○木村禧八郎君 私は日米安全保障体制及びMSA体制とわが国の経済、国民生活との関連について、さらに所得倍増計画、明年度の予算編成方針等につきまして、時間がありましたら御質問いたしたいと思うのであります。 最初に、この安保体制とわが国の経済、国民生活との関連について御質問いたしたいと思いますが、まず外務大臣に御質問申し上げたいと思います。今回の伊勢湾台風による惨害及び石炭鉱業の不況はその規模の大きさ、あるいは被害、影響の深刻さ、そのよって来たる原因の深さ等から見ましても、わが国の有史以来の現象であると称しても差しつかえないと思うのであります。これらの事態はわが国の政治、財政、経済、国民生活の安定を著しく阻害するに至っていると認められるのでありますが、この点につきまして外務大臣はどういう御認識をお持ちになっておりますか。まず、お伺いいたします。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回の伊勢湾台風が最近における最も大きな天災であった、しかも死傷者が非常に多く出まして、この点は私も当時外国におりましたが、外国でも各新聞が死傷者の数が多いということについて非常に驚いておるわけであります。そういう状況でありますから、この大きな天災に対して、できるだけの、将来再び起こらないような措置をとっておかなければ、非常に巨額な国の富を喪失している現状だというふうに考えております。
○木村禧八郎君 こういう災害、石炭不況による離職者その他国民的不幸の対策として予算措置を講ぜられる、そういう方面を担当しておられる大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。ただいま申し上げましたような今度の災害とか炭鉱不況とか、そういうものは、日本の政治経済、国民生活に非常に大きな影響を与えておりますが、それに対する大蔵大臣の御認識です。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今回の伊勢湾台風なりあるいは石炭の不況なり、こういうことが今の国内の経済にどういう影響を与えるか、あるいは国民生活にどういう影響を与えているか、こういうことのお尋ねでございますが、非常に簡単なお尋ねでございますので、あるいは御期待に沿うような答えになるかどうか私自身も疑問を持つのですが、私ども財政的な立場に立ちましてこの対策を樹立することの急務であること、これのまた緊要性なり重要性、十分これを考えますが、同時に、今日当面しておりますわが国経済の実勢、実態というもの、これを十分把握いたしまして、これがただいま御指摘になりました台風対策なりあるいは不況――ひとり石炭ばかりではございません。石炭あるいは紙類あるいは肥料というようなものが続くものでございましょうが、いわゆる取り残された産業に対する対策、これとの現在の経済のあり方また将来の経済のあり方というものとの関連におきまして、十分の対策を講じたいというのが私どもの感じでございます。
○木村禧八郎君 今度の災害とかあるいは石炭不況というものは、これまでの日本の歴史になかった被害それから性格の点からいっても、かなり深刻な影響をもたらしているのです。そこで、この災害対策と関係ある建設大臣は、どういう御認識を持っているか、その対策というよりも、その事態に対する御認識を一つ伺いたい。
○国務大臣(村上勇君) お答えします。今回の災害は全く予則しないほどの大規模の台風でありまして、このために、すでに相当古い堤防に対しましては、建設省といたしましても、二十八年の十三号台風の実績にかんがみまして、これは相当改良する必要があろうというので、その改良をやりつつあったのでありますが、その改良を全部いたさないうちに今回の大きな台風が襲来いたしまして、かような大被害をこうむりましたことは、まことに遺憾でありまして、今後われわれはあらゆる努力をいたしまして、絶対にかような災害を繰り返すことのないように抜本的な対策を講じて参りたいと、かように思っている次第であります。
○木村禧八郎君 赤城防衛庁長官の御認識を伺っておきたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 防衛そのものも国民生活の安定の上に立っておらなければならないと思っております。そういう点におきまして、国民生活の水準が上がり、基盤が確立するということは非常に望ましいことでありますが、今度の災害におきましてそういう面が破壊されたことは、まことに残念に思っております。でありますので、この点はすみやかに復旧いたしまして、国民生活の安定をはかり、こういうところに力を入れ、その基盤の上に自衛隊というものは整備していきたい、こういう考えを持っております。
○木村禧八郎君 池田通産大臣は今お見えになったようですが、通産大臣の御所見を高いたいのです。質問の要旨は、今度伊勢湾台風とかあるいは炭鉱の不況等によって離職者が出山ているのです。こういう事態は、その被害の影響の程度からいっても質からいっても、日本の歴史あって以来の非常に重大な事態だと思うのです。こういう事態に対してどういう御認識を持っておるか、日本の経済、国民生活あるいは政治等についてその、安定に非常に大きな影響を与えていると思うのですが、その影響の程度等に対する御認識について伺っておきたいのです。
○国務大臣(池田勇人君) 伊勢湾台風によりまする被害は、従来のそれと違いましてその被害規模の大きいこと、また被害者が中小企業関係方面に多いということは、従来よりもよほど違っておるのであります。従いまして、御審議願いました方法でこれの善後措置を講じていっております。日本経済に対する全体の影響と申しますると、大体名古屋、岐阜、三重県地方は生産の全体の一割五分程度であるのであります。従いまして物によりましては、たとえばナイロン等は全国の七割五分をあすこで生産している、それから羊毛につきましては二割程度になっておりまするが、全体としては大体一割五分、しかも復興の念に燃えまして復旧がよほど早くからできまして、全体としては、大したおくれはとらぬと私は考えておるのであります。しかし、金融その他で十分の対策を講じつつある次第でございます。石炭問題の離職者につきましては、今回御審議願っておりますように、従来とは変わった――分とは申せませんけれども、相当の対策を講じましたが、今、完全失業者である二万一千人というものに対しまして補正予算あるいは先般の予備費によって大体まかなっていこうと、いたしておるのであります。
○木村禧八郎君 大体災害とか、あるいは炭鉱不況、そういうものの影響について大きな影響があるということはお認めのようですが、しかし、その御認識の深さにつきましては非常に私は不十分だと思うのです。現に臨時国会を開いてまでも、その対策を講じなければならないというような事態、街頭には黒い羽根運動が起こっております、炭鉱ではストライキが起こっておるのです。そういう今の事態に対する認識の深さにつきましては、非常に不十分だと思うのです。前に大蔵大臣は、非常にこれは政治問題でもあると言われておるのです。日本の政治、日本の国民生活にも大きな影響言を与えておると思う、また不安を与えておると思うわけです。 そこで次にお伺いいたしたいことは、一つ具体的にお伺いをしたいのですが、今度の伊勢湾台風の被害が非常に甚大でありました根本の原因は、一体どこにあるとお考えか、まず建設大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(村上勇君) 台風の非常に規模の大きかったことは、ほとんど従来の日本のあらゆる統計にも出ていないという大台風であったことは御承知の通りであります。従いまして、私が先ほどお答え申しましたように、二十八年の海岸提防の災害の実績にかんがみまして、どうも少しあの地方は全然あの当時の台風の被害を受けていなかったので、あの状態から見ますと、どうもこの程度の堤防では将来非常に不安があるというので、政府といたしましては例年予算を計上して、あの地域の改良復旧をいたしておったのであります。ところが、施設の完備しないうちにあのような大規模な台風が襲来しましたので、まことに不幸なことでありましたが、そういうために被害が非常に大きくなったということでありまして、私どもは、ともかく台風の襲来の前に国土の保全を完璧にする必要があるということを痛感いたしておる次第であります。
○木村禧八郎君 大蔵大臣に御答弁願います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま建設大臣がお答えいたしましたように、おそらく台風が今までに経験しないものであった、これがまあ一番大きな原因でございましょう、しかし、いろいろ名方面から検討いたして参りますと、何やかやと問題になるものがあるだろう、あるいはもう少し連絡方法が十分でありますならば、人命の損傷等をももっと小さくとめることができたであろうとか、あるいは気象観測の基本的な問題に欠くるところがありはしないか、あるいはまた従来の二十八年災の復旧工事等についても、これがもっと進捗しておればよかったであろうとか、いろいろ数え上げれば幾つもあろうと思います。思いますが、やはり一番大きな原因は、何と申しましても、台風が異常台風であったということ、その一語に尽きるのではないか、かように私は思います。
○木村禧八郎君 この根本の原因は、ただいま建設大臣、大蔵大臣から御説明がありましたが、私は結局は予算が不十分であったということにあると思うのです。気象の予測などにつきましても、ほとんど定点観測船、ああいうものをアメリカからの援助がなくなってからやってないような状態でしょう。ことに日本海などには観測船が出ていないのです。聞くところによると、日本海における気象観測というのはゼロなんです。ですから洞爺丸の事件とか、その次の羊蹄丸の事件などが起きたのです。日本海の気象につきましては、観測船が出ておりませんから、全然材料がないのです。そうして被害を大きくしているのです。それから伊勢湾台風につきましても、予報の方は一応当たったけれども、受け入れ態勢の住民の方の措置が不十分であったのも、今までの気象に対する信頼感が薄いから、十分の予算措置を講じて気象予側に対して完備してないからで、やはりこれも予算に原因があるのです。さらに建設大臣は根本的な治水対策の必要なことを痛感すると言いますが、前から痛感されておるのです。十三号台風のときから痛感されておる。週刊朝日の十月二十五日号に、建設省の元中部建設局長ですよ、現在の道路公団の東京支社長立神弘洋さんがこう述べています。「伊勢湾台風の被害が大きかったのは、予算をきびしくしたせいだ。昭和二十八年の十三号台風のあと、堤防をつくるのに、ずいぶん、予算をけずられた。予算がないので、堤防のうらをコンクリートではれなかったところもあった。そういうところが、今度やられている」というのです。予算に関係あることはこれでも明らかであると思うのです。そう思いませんですか。
○国務大臣(村上勇君) そういう点もあると思います。
○木村禧八郎君 そういう点も、じゃない。そういう点が根本で、あなたは建設大臣でしょう。三十四年度の国土建設の現況、あなたの方でお出しになっている、これに何て書いてありますか。昭和二十八年、十三号台風のときに水害が大きかったので、十カ年計画で一兆二千七百億の治水基本対策を立てたのでしょう。せいぜい二十九年から実施して五カ年同、三十三年まで五カ年間に一四・一%しか事業が進捗していませんよ。千八百億円しか使っていないんです。そのために建設白書でははっきり、こういう状態では水害を激化することになるであろう、ということが書いてあるんですよ。そうしてその根本の原因はどこにあったかというと、予算の都合上こうなったということが書いてあるんですよ。あなたの方で書いている。それもあった、なんていう、そういう御答弁でいいですか。それが被害を大きくした根本の原因なんですよ。台風が吹くということは天災です。しかしそれによって受ける被害というものは人災ですよ。これは天災と人災とは区別すべきものです。これなどは、伊勢湾台風は、明らかにこれは人災である。毎日新聞十月十九日の学芸欄に載りました、気象庁の海洋気象部長の御意見では「災害地をまわってみて、こんどのような災害は、人災のにおいがしてならなかったのである。」あそこを回って。あなたはあそこをごらんになったんですか。海洋気象部長さんは現地を回って、人災のにおいがしてならなかったというのです。あなたはどういう御感想を抱きましたか。
○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。私も現地を幾たびかよく視察して参りましたが、ちょうど二十八災の被害を受けた前面堤防につきましては、設計上の十分な施設ができておりましたが、入江の部分にもう少し施設を施しておきたかった、これをやって、その点のいろいろ予算づけなんかもいたしまして、その工事の施行中に今回の災害が襲来したのでありまして、まことにこの点、年次的に繰り上げて、二年なり三年なりというような短期間に復旧を完備しておくべきものであった、かような点については、やはり私も強く痛感いたしているところであります。
○木村禧八郎君 大蔵大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 人災というのを、どういうようにお話しになりますか。先ほど私もちょっと触れましたように、二十八年の復旧工事でもおくれていた、あるいは三十四年、あるいは来年度完成するというような部分もあったのでございます。そういうところへ台風が来た、それが、予算の支出が不十分であった、こういうことですが、国会全体からいたします場合に、やはり緊急度というものをいろいろ考えるのであります。しかして災害台風の来る所にも、予定されておれば、非常に使い方が楽でしょうが、それもなかなか参りません。そして私は建設省なり大蔵当局として財政の許す範囲においての処置は十分したと思います。しかして異常災害、異常台風であったということ、たまたま工事のおくれていた点について、そういうような台風を受け、あるいは被害がそこに発生している、こういう事態はあるだろうと思います。ところで、もともと二十八年災、あの非常にひどい災害を受けまして、今度がまたそれに上回るような人命等の損失を来たしており、まことに悲惨な災害でございますが、この二十八年災に対する対策から、国会におきましても特に御審議を願って、緊要工事については三、五、二の三カ年完成という一応の基準を立てていただきまして、大体災害復旧の最近のものについては、ただいま申し上げるような復旧計画も、二十八年災の当時とは取り扱い方が変わって参っております。従いまして、それ以後のものにつきましては、比較的国会の承認を経た方針のもとに予算等も計上ができておる、かように思います。ただ、遺憾ながら二十八年災の復旧というものにつきましては、非常におくれていた、たまたまそこに台風が来た、まことにこの点は私どもも遺憾に思っております。
○木村禧八郎君 昭和二十九年から三十四年度までの治水対策費は幾らですか、建設大臣に伺います。それから昭和二十九年から三十四年度までの防衛費は幾らでございますか、防衛長官に伺います。それから昭和二十九年――三十四年度までの社会保障質は幾らですか、厚生大臣に伺います。
○国務大臣(村上勇君) 治水事業費だけですと、国費で千五百億、それから事業費で千七百五十億ということであります。
○国務大臣(渡邊良夫君) 厚生省関係の予算におきまして、ちょっとお答えいたします。三十二年度は十百九十二億でございます。三十三年度は千三百億、それから三十四年度は千四百四十八億と、こうなっております。
○木村禧八郎君 二十九年からですよ。(「合計幾らと聞いておる」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(渡邊良夫君) 合計は、これを三つ足していただけば……。(笑声)
○国務大臣(赤城宗徳君) 二十九年度から三十四年度までの合計が八千四百七十七億であります。
○木村禧八郎君 厚生省は二十九年からというのを、それを要求の通り答えていません。
○国務大臣(渡邊良夫君) 後ほど資料を差し上げます。三十二年から今ここにちょうど持ち合わせております。
○木村禧八郎君 後ほどでは、質問を続けるのに困るのですよ。
○国務大臣(村上勇君) 先ほど私が御報告申し上げましたのは、治水事業費だけでありまして、千五百億が国費、事業費としては千七百五十億円、それから災害復旧が大体国費で千五百億円、事業費二千億ということでありますので、両方合わせますと三千七百五十億になっております。
○国務大臣(渡邊良夫君) 社会保障関係といたしまして、ただいま二十九年からの分がわかりました。二十九年におきましては九百四億、三十年度におきまして九百八十七億、三十一年度におきましては一千九十五億、先ほど申しましたように、三十二年度におきましては一千百七十三億、三十三年度におきましては一千二百五十七億、(「さっきと全然違うじゃないか、でたらめ言うな」と呼ぶ者あり)三十四年度におきましては千四百七十九億、(「全部違うじゃないか」と呼ぶ者あり)これは社会保障関係として今申し上げたわけでございます。でございまするから、社会保障関係におきましては、建設省の住宅、あるいは労働省の失業保険の、この失業対策費等も加わっておりまするから、数字は違ってきております。念のために申し上げておきます。
○亀田得治君 ちょっと議事進行。 こういう数字を、そんな間違ったものを簡単に言われちゃ、こちらは戸惑いします。だから、前の数字と今発表した数字と違うのは、どことどこが一体違ってそういうことになるのか、そこを明確にしてもらいたい。前の数字も正しい、今の数字も正しいという意味のことをおっしゃるのだから、どことどこが違うのか、はっきりしてもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今一応申し上げます。大へんこういう数字ですから、前もって御要求がございましたら正確のものをみなはじき出しましてお答えしたのでございますが、急でございますので。質問が悪いとは申しません。あるいは細部の数字が少しずつ違っておるかもわかりませんが、これは切り上げ、切り捨ての関係がございますから御了承願いたい。同時に、今私が申し上げますのは、補正を加えての数字でございます。先ほど厚生大臣が申しておりましたのは、当初予算のようでございますから、その点で少し違う。二十九年九百三億、三十年九百八十七億、三十一年千九十六億、三十二年千百七十二億、三十三年千三百億、三十四年千四百七十八億。それから防衛を申し上げます。二十九年千三百二十七億、三十年千三百二十七億、三十一年千四百七億、三十二年十四百千一億、三十三年千四百六十一億、三十四年千五百三十六億。災害復旧の費用、二十九年六百五億、三十年五百七億、三十一年四百三十三億、三十二年三百九十九億、三十三年四百二十億、三十四年三百二十九億。それから治山治水でございます。二十九年三百六十五億、三十年三百四十七億、三十一年三百六十三億、三十二年三百七十九億、三十三年三百九十三億、三十四年四百二十九億、かようになっております。
○亀田得治君 厚生大臣、さっきのやつ、中身を説明して下さい。どうして違うのか。
○国務大臣(渡邊良夫君) 先ほど申しました当初よ算に補正が入っております。それで内訳を言いまするというと、生活保護費、それから児童保護費、それから国民年金、社会保険、住宅、結核対策、失業対策、以上七つの費用でございます。
○木村禧八郎君 ただいま大蔵大臣が整理して御報告して下さいましたので、質問上非常に都合がいいことになりました。ただいまの御帳告によりましても、防衛費が災害復旧費、社会保障費よりも飛び抜けて大きいのです。一番大きいのです。そこで、過去の災害、その他社会保障、国民のもろもろの不幸と防衛費との関係がないかどうか、防衛費と災害及びその他社会保障関係の不十分ということについて、関係があるかないか、この点を大蔵大臣に伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 過去の数字は、ただいま申し上げた通りでございまするから、防衛費が他の費目より多いこと、これは御指摘の通りでございます。しかし、最近社会保障の金額が漸増して参っております。これは新しい予算の性格だと思います。おそらく今後も社会保障の関係の予算が防衛費とほぼ一緒になるのではないか、かように私は存じます。ところで、来年度の予算の問題について申し上げますと、来年は災害復旧なり、治山治水、これが予算編成上の根幹をなすといいますか、大柱の一つであるということをしばしば申し上げております。私どもといたしましては、特にこの点に重点を置くつもりでございますし、また防衛費につきましては、本会議等でも御説明をいたしておりますように、防衛費の激増は避ける、この基本的な考え方で予算を編成する考えでございます。
○木村禧八郎君 建設白書にも、予算上の都合によって十分な治水対策ができなかったということが、はっきり書かれておる。こういう伊勢湾台風みたいな大きな災害が起こるであろうことは、ちゃんともう予想されておるのです。そこで社会保障の不十分なこと、あるいは災害対策、治水対策の不十分なことは、予算上の都合に関係があるということは明らかでありますし、また防衛費が非常に大きい、従って防衛費との間に関係のあるということは明白であると思う。しかもこの災害とか、炭鉱不況、そういうものが日本の経済なり、国民生活に大きな影響を与えて、政治的にも大きな不安を与えているということは明白だと思うわけです。 そこで私は、次に外務大臣にお伺いいたしたいのです。MSA協定の第八条の内容を伺いたいのです。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 政府委員より答弁いたさせます。
○木村禧八郎君 条文的なことはよろしいのです。どういうことが規定されておるか内容です。条文を言っているのじゃない。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 八条におきましては、御承知のように自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲内で、その人力、経済力、資源力というものを使っていくということ、一般的な条件の許す限りに自分の防衛力を増加していく、こういう意味が書いてあるわけです。(「自分だけですか、ちょっとよく読んで下さい。そんなでたらめな答弁ないじゃないですか」と呼ぶ者あり)
○木村禧八郎君 政府委員に条文を、どういう条文ですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろんMSA協定のことでありますから、自国というのはそれぞれの国という意味に解釈していただけばけっこうだと思います。
○木村禧八郎君 これは防衛義務と二つ規定してあります。防衛義務と防衛義務の範囲、限界を規定したものだと思うのです。それで、今まで私が大威大臣とか、あるいは建設大臣、厚生大臣、通産大臣等、防衛庁長官にもお伺いしましたのは、外務大臣はこういう条約を改正する場合、特に日本の防衛に関係ある条約を改正する場合には、日本の経済との関連についてよく御認識の上でこういう交渉をされなければいけないという点で、これまで経済関係閣僚に御質問してきたわけです。そこで、今、外務大臣から御答弁がありましたように、MSA協定第八条は、防衛義務――防衛義務につきましてはあとでまた御質問いたしますが、防衛義務の範囲、限界が示されておる。この条約には、自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲。これまでの質疑を通じて災害とか伊勢湾台風の被害が、日本の有史以来の大きい被害である、そうして補正予算が出ている、しかも来年度の予算編成は、流水対策費が基本であると書いてある。こんな大きな影響を与えている、また社会保障も不十分なことは明らかだ。従いまして、MSA協定からいいましても、当然、日本の政治及び経済の安定と矛盾した場合には防衛費を削っていいわけでしょう。そうお考えになりませんか。この防衛の範囲、義務の範囲というのは、どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろんMSA協定等におきまして、それぞれの国の経済の許す限度で防衛力というものを考えるということは当然のことでありまして、これは単にMSA協定ばかりじゃなく、それぞれの国が経済力以上に、その能力以上に力を尽すというわけに参らぬと思います。そういう意味からいいましても、われわれとしては、安保条約が必要であるというふうに解釈をいたしておるのであります。
○岩間正男君 関連して……。先はどの第八条の内容についての質問に対して、外相の答弁は非常に不十分だと思うのです。これは条文を心を静めて読んでもらいたいと思う。自国の防衛力、あなたは自国と言ったけれども、自国だけじゃないでしょう。自国世界の防衛、「自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、」こういうことをうたっているわけですね。そうすると、単に自国だけの問題じゃないわけです。これは当然、自由世界の防衛力、こういうようなことがうたわれているのでありますから、この範囲は非常にこれは広いことになります。今度のベトナム賠償とも関連して、たとえば、一方では、電電公社が向うの施設のために動員されておるとか、軍需車両が特殊の名前で出されておる、こういう問題も、まさにこのMSA協定の発動と考えられるふしがある。これは非常に安保改定の問題、さらに今のベトナム賠償の関連において非常に私は問題が起こっていると思う。この点が明確にならなければならぬと思うのですが、この点どうなんです。あなたは隠しておられたんじゃないと思う。にわかだから、そうしてうしろの万からささやかれて条文を半分読んでおられるでありますが、半分の重大な面が隠されていると思うのでありますから、この点をもう一ぺん読みなおして答弁していただきたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 条文には、自由世界の防衛のために協力するという意味の条文が書かれております。むろんこれは、それぞれの国が、自国の防衛というものを自由世界の国家の一員として考えていきます以上は、それを通じて自由世界のための防衛になるという意味と解すべきだと私どもは考えております。
○木村禧八郎君 さらに伺います。このMSA協定の前文には、どういうことが書いてあるのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 現在の安保条約の前文をそのまま大体引用しております。
○木村禧八郎君 その内容は、どういうものでありますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 「日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従って平和及び安全保障を増進すること以外に用いられるべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを、アメリカ合衆国が期待して、平和及び安全王保障のために暫定措置として若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持するとある趣旨」を思い起こすということでありまして、安全保障条約の前文にあります通り、国際連合憲章の目的及び原則に従いまして、平和及び安全を増進する以外に用いられる軍備を持つことを常に避けていかなければいかぬという趣旨がうたわれております。
○木村禧八郎君 もう一つ重要な点を御説明は落としています。「日本国のための防衛援助計画の策定に当っては経済の安定が日本国の防衛能力の発展のために欠くことができない要素」である経済の安定というものは、防衛の先決問題なんです。そういうことが書いてある。そうしてMSA協定によって、アメリカの援助を受ける場合、むやみに日本の防衛負担が多くなって、日本経済なり国民生活を圧迫してはいけないから、ここに自国の政治及び経済の安定と矛盾しない限りということが書いてあるのでしょう。そうじゃございませんか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) その通りの趣旨が書いてあるわけでございます。
○木村禧八郎君 大蔵大臣に伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) その通りのことが書いてあります。
○木村禧八郎君 それでは、自国の政治及び経済の安定と矛盾しないその限界については、どういう御認識ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これに基きましていつも私どもが申し上げておりますのは、自国の防衛力が国力に相応する防衛力ということをいつも表現をいたしております。この点で漸増的な計画を持つということでありますが、もちろん民生を圧迫することは避けなければならない、この点が、この問題を取り扱う上の基本でございます。
○木村禧八郎君 民生を、あるいは日本経済を、これが圧迫しておらないと考えておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 過去の予算の編成についても、これは見方はいろいろあると思いますが、政府といたしましては、国方相応の言衛方、その必要の予算を計上した、かように考えております。
○木村禧八郎君 外務大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 大蔵大臣の言われた通りに考えております。
○木村禧八郎君 外務大臣は財界出身ですから、経済のことをよくお知りになっているはずです。このMSA協定を結んだ経過からいって、そんなこと言えた義理じゃありませんよ。これはアメリカから経済援助をもらうはずであったのじゃないですか。エコノミック・エイドをもらうはずであった、ところが期待がはずれたのです。ミリタリー・エイドになっちゃったのです。軍事援助しかもらえない、よその国は、みなエコノミック・エイドを得ているのです。そうして、これによって日本は防衛力を増強しなければならない義務を持ったのです。ミリタリー・オブリゲーションを持ったのです。義務を持ったときに、それでは日本の国力を圧迫してはいけないから、経済的援助をもらおうと思って交渉したのです。よその国は、アメリカと安全保障条約を結んだ場合も、防衛の義務を負うから、その国の経済に負担を与えるから経済援助をもらったのです。ところが、日本の場合は、期待したところかできなかったのじゃありませんか。そうして、エコノミック・エイドをもらえないで、朝鮮戦争のお古の兵器を援助されて、そうして防衛力増強だけの義務を負ったから、治山治水対策費とか社会保障費とか、そういうものにしわが寄ってきているのじゃないですか。そういう経過は十分知っておらないと思うのです、そういうことは。そういうわけで、先ほど詳しく予算を、防衛費と災害復旧費、社会保障費とを、これを数字的に伺ったわけです。これで民生を圧迫していないと考えておりますか、民生を、日本の経済を。災害予算は、今度の補正で出てくる、来年の、三十五年予算の根幹が治水対策費だと、こう言うのでしょう。そういう際に、予算の各費目のうちで一番たくさん防衛費を組んでいるんでしょう。一番たくさん組んでいるんでしょう。それで、関係がない、圧迫してないと言えますか、大蔵大臣は。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申し上げました数字だけで比較してみて、たとえば治山治水費と防衛費の関係は、これは防衛費が多いと、また、社会保障も、防衛費が多い、最近はだんだん近づいてきた、こういうことは、その経過は私が申し上げるまでもなくおわかりになると思います。問題は、私どもがこの防衛費が総予算に占める割合は一体どうなるか、そういうことが国民生活、経常の予算編成として許されるかどうかということを私どもは実は絶えず念頭におくわけであります。全体のバランスがとれた経済発展といいますか、国民生活の確保ということが望ましいのでありまして、その一部々々がやはり権衡がとれなければならないというので、毎回の編成に際しては、十分その点を考えて参りました。総予算に占むる防衛費の割合というものは、おそらくどこの国に比べても日本のこの防衛費の占むる割合は非常に低いと思います。これはもちろん日本の経済自身がそういう段階にあるということで、これがいいと申すわけではないが、やむを得ない状態ではないかと私は思います。しかし、今後の予算編成のあり方というか、来年度予算につきましては、先ほど来私どもの力を入れる点を御指摘いたしておりますので、今後の予算をも実は考えていただきたい、かように私は思うのであります。
○木村禧八郎君 特に今度の安保改定の担当大臣である藤山外務大臣は、この点どうお考えですか。防御費と日本経済と国民生活との関連ですね。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 軍事費が非常に増大することは、むろん一般経費を圧迫することになることは当然であります。従って、できるだけ防衛費をふやさないという、またふやさないことによって一般経費の方を、ことに社会保障費と申しますか、あるいは建設的な仕事に金を回していくということは必要だということをむろんわれわれも痛感しております。そのこと自体が経済を圧迫するということについては、当然お話の通りだと思います。従って、できるだけ今日まででも、わが国の財政におきまして、防衛費が圧縮されてきておるし、現に大蔵大臣も今後できるだけ防衛費の増強については注意していきたいという考えを述べておられると私は信じております。
○木村禧八郎君 実際にそう願っていないですよ。大蔵大臣の御説明がありましたが、これは予算編成ではバランスということが重要である。均衡予算の性格はバランスに現われると思います。ところが三十四年度予算をごらんになりましても、そのバランスで何が一番大きい比重を占めているかというと防衛費です、ほかに比べて。社会保障費千四百七十七億でしょう。防衛費が千五百三十六億じゃないですか。そういう非常な不均衡になっておる。ですから、私はこのせっかくMSA協定におきまして、八条において、自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲という、そういうことをちゃんと書いておきながら、また、経済の安定が日本国の防衛能力の発展のために欠くことのできない要素である、こういうことをきめておきながら、それと矛盾した防衛費を多額に計上しておる。今冷静に考えた場合、日本の経済は防衛費なんか計上できる経済じゃございません。ほんとうはアメリカからエコノミック・エイドをたくさんもらって、そうして資本蓄積の不足を補おうとしたから、エコノミック・エイドがなかったから、国内産業は非常な低賃金で資本蓄積を強行しておる、そうして財政面ではエコノミック・エイド、経済援助でないために、防衛費を多く計上したために、民生安定、社会保障、治山治水対策費か犠牲になって現在のような状態が現われているのじゃありませんか、この点の認識が私は足りないと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 防衛費を計上することの当否ということにつきましては、不幸にして木村さんと私どもと立場が違っております。私どもは、防衛力は必要だと考えているのでございます。問題は、この防衛費の計上が、非常な国民的な負担になっているかどうかということでございますが、三十三年から三十四年への増加の金額をごらんになれば、社会保障におきましては、三十三年の補正を合わせましても百七十八億ふえております。防衛費の関係においては九十五億の増であります。だからして社会保障に特に私どもが力を入れていることは、金額の増加によりましても御了承がいただけるのじゃないか、防衛費自身を計上することは絶対反対だと言われますが、それはもう立場が違っておりますので、その議論は省略させていただきます。
○木村禧八郎君 時間がありませんからあれしますが、私は社会保障費がふえる傾向にあることを否定するものではないのです。今の私の質問の前提は、一応私は憲法九条によって再軍備はすべきではない、私は憲法を守る意味から反対しているわけです。しかし、一応現実の問題として防衛費を計上しなければならぬとすれば、その民生安定との、あるいは日本経済との、考えた場合の限界をどういうふうに考えているか、この条約にある限外をどういうふうに考えているか、これは今後の予算編成とも重要な関係があるのです。どういうふうに考えているか。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのつど、予算を編成いたします際に、一番最初のお尋ねにもお答えしたように、繰り越してやるべきことは非常に多いのですが、現在の実勢力というものを十分勘案いたしまして、その正確な認識の上にやはり財政金融政策を樹立していくということでなければ、日本の国の経済なり国民生活の安定向上ということは期せられない、かように考えます。従いまして、この金額の増減を、やはりその時点についてそれが適当であったかどうか、これはやはりお考えいただきたいと思います。将来の問題といたしましては、冒頭にお尋ねがありましたように、緊要な、また重要な事柄にいたしましても、十分経済状態の当面している事態を正確に認識し、将来の経済の発展を阻害しないように、やはり財政経済金融政策は樹立すべきだ、かように考えております。
○木村禧八郎君 時間がありませんから次の質問に移ります。外務大臣にお伺いしますが、MSA協定第八条に書かれている防衛義務ということは、具体的にどういう内容でございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) MSA協定ができました当時の事情から申しまして、一応基地を提供するということだと考えております。
○木村禧八郎君 わからない、もう一度、失礼ですが。
○国務大臣(藤山愛一郎君) MSA協定ができました当時の事情から申しまして、基地を提供するということが一つの大きな義務だと思っております。
○木村禧八郎君 基地だけのことなんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 軍事的な義務と申しますか、それが基地を提供するということになると思います。
○木村禧八郎君 このデフェンス・キャパシティ、防衛能力を増強するということも軍事義務にならないのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん防衛能力を増強するということは、これは一つのお互いに言い表わしました責任の表現と申しますか、義務という感じにおいて表現されていることはむろんでございます。
○木村禧八郎君 なるんでしょう。安保条約に基づいてこういう軍事義務というものを定めたといいますが、安保条約はそういう義務は書いてありません。安保条約のどこに義務がございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん安保条約に義務という言葉は書いてございませんし、この場合にもそれでありますから、先ほど申し上げましたように、そういう表現による責任を分担するのだという意味でございます。
○木村禧八郎君 安保条約には漸増することを期待するというふうになっているでしょう。ところが、ここでは義務になっているのですよ。期待と義務とどう違うか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 安保条約におきます防衛国に寄与するという、その軍事的の義務を負っておるわけでございます。
○木村禧八郎君 安保条約には義務なんということはないのですよ。期待と義務と同じですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今申し上ましたように、安保条約には期待と書いておりますが、その期待を遂行するように、われわれはできるだけの責任をとる、こういうことでございます。
○木村禧八郎君 責任をとるということは、これは義務ですよ。オブリゲーションですよ。オブリゲーションは、なるべくわれわれは責任をとるようにするというような、そういういいかげんのものじゃないでしょう、条約ですから。はっきり明確にしていただかないと、防衛費の計上に重大な影響が出てくるのですよ。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま申し上げましたように、安保条約において寄与するという言葉を使っておりますが、その寄与するということに対してできるだけ義務として遂行していこう、こういうことであります。
○亀田得治君 ちょっと……。また同じような答弁を繰り返されますと、質問者が大へん迷惑するのだ。御承知のような順序で進行しておるわけですから、だから、もっと質問者の問いに対して明確にやっぱりやってほしい。ただいま木村委員が言っているのは、安保条約の期待というのは、義務と解釈しておるのか、そのことを聞いておる。はっきり答えて下さい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 安保条約における寄与というのは義務ではございません。一般にそういうものを期待するということでございます。
○木村禧八郎君 そうなると、非常に重要な問題が起こってくると思うのです。これには、「安全保障条約に基いて負っている軍事的役務を履行することの決意を再確認する」というのですよ。これによると、安保条約において義務を負っていることになる。ところが、今のお話では、安保条約は義務じゃない、こう言われるのです。じゃ、いつから安保条約で義務を負ったことを再確認することになったのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 基地提供の義務でございます。詳しいことは、政府委員から答弁いたさせます。
○政府委員(高橋通敏君) 補足的に答弁させていただきます。第八条には、御指摘のように、第一点といたしましては、アメリカ合衆国との間の安保条約に基づいて負っている軍事的義務を履行することの決意を再確認するとともに、軍事的義務ということがうたわれておる次第でございます。 第二点といたしましては、ただいま御指摘のように、自国の防衛力の維持発展に寄与する。それも、先ほど御指摘のように、経済力その他の一般条件の許す限りに防衛力の発展に寄与する。しかしこれは、防衛力の発展に寄与するということは、すぐさま個々的に具体的に発展の義務をここで負うわけではございませんので、一般的の問題として、このような維持発展に寄与するという趣旨をうたったものであると考えます。
○木村禧八郎君 時間がありませんから、じゃ、その次に会合の御答弁、あとで御質問することに矛盾してくると思うのですが、次に移りますが、MSA協定の第一条に、「アメリカ合衆国政府がこの協定に従って使用に供する援助は、千九百四十九年の相互防衛援助法、千九百五十一年の相互安全保障法、この二法律を修正し又は補足する法律及びこれらの法律に基く歳出子算法の当核援助に関する規定並びに当該援助の条件及び終了に関する既定に従って供与するものとする。」 そこで、今防衛庁が援助を受けているアメリカの兵器は、アメリカのこの二つの法律に基づいて援助を受けているのかどうか、その点をお伺いします、外務大臣から。
○国務大臣(藤山愛一郎君) その通りであります。
○木村禧八郎君 それでは、この二つの法律の援助に関する期待の部分はどうなっておりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 条約局長より御答弁いたさせます。
○木村禧八郎君 詳しい条文的解釈は条約局長でけっこう、あとでまた御質問します。この二つの法律について御質問します。それは重要な要点だけですよ。どういう期待に基づいて援助を受けているのか、その点ですよ。そういうことを知らないで、安保改定やなんかやられたらとんでもないです。
○国務大臣(藤山愛一郎君) たとえば、秘密の保護というようなことも一つの条件でございます。
○木村禧八郎君 そんな簡単な考えで援助を受けていることはとんでもない話ですよ。これから質問すればわかると思うのです。それじゃ政府委員の方から、具体的に条文にわたって御説明願いたいと思う。外務大臣がそういう御認識でアメリカから援助を受けておる。そんなことで、日本の自主性なんかとても保持できません。
○政府委員(森治樹君) ただいまここに本文を持っておりませんから、直ちに取り寄せますから……。
○木村禧八郎君 それでは、私これをお貸しします。ここにありますから、これによって答えてください。(「そんな大事なものを持ってこないで、なんだ」「休憩々々」「何の政府委員だ」「不勉強もはなはだしい」「資料も持ってきておらないとはなんだ」「参議院をばかにするなよ」「委員長議事進行について」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○亀田得治君 議事進行について。こんな、政府委員が勉強する問われわれを待たすなんという、べらぼうなことはないですよ。ちょっと、たとえ暫時でもいいから休憩してください、何もしないで。こういうばかげたことはないですよ。
○木村禧八郎君 私は、外務省の方に、MSA協定について質問するということを話してある。(「委員長、休憩の動議がある」「暫時休憩」「外務官僚の養成所じゃないよ、ここは」「ABCじゃないか、そんなことは」と呼ぶ者あり)
○政府委員(森治樹君) ただいま外務大臣がお答えになりましたように、たとえば、援助の提供条件の一つとして、これを援助を受けた国は、その援助の内容に伴う機密を米側の許諾なくして他国に公表してはいけない、そういうような規定がございますし、また、アメリカとしましては、この援助を提供するにあたりましては、四百五条等にいろいろの条件をやっております。たとえば、大統領が、援助を受けた国が十分な防衛の努力をやっていないと認めるような場合には、この援助を終止することができる。そういう援助の終止等に関する事項を規定しておる次第であります。
○木村禧八郎君 それだけじゃありませんから、せっかく資料を貸したのですから、その中で、安全保障法とそれから相互防衛援助法、その二つの法律の中で、この援助を受ける資格に関する規定があります。それと、援助を終了することに関する規定があります。で、私は時間がございません。私がそれを読んでいると、質問時間が少なくなりますから、その規定をここでゆっくりわかるように読んでいただきたいのです。
○政府委員(森治樹君) 援助を受ける資格といたしましては、この援助法をまだ内容等検討したわけではございませんが、(「おかしいぞ」「内容を検討したことがないなんて、そんなばかなことあるか」と呼ぶ者あり)一般的に申しますれば、この相互の……、その概念といたしましては、たとえばバンデンバーグ決議等にもありますように、それぞれの自国及び自由世界の各国と及び……(「何だそれは」「そんなことで政府委員として勤まるか」「片言隻句をつかまえて言わないで一応聞けよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長(小林英三君) アメリカ局長、ちょっと待って下さい。 アメリカ局長の発言中に申し上げますが、もう少し明瞭に大きい声で一つ初めからやって下さい。
○政府委員(森治樹君) アメリカといたしましては、援助の提供にあたりましては、バンデンバーグ決議等にもありますように、それぞれの国が自国の努力によりましてその国の国防力を充実いたしまして、そして結果的には自由世界全般としての防衛力を強化するような仕組みに持っていく。そういう意思と実行力を持っている国に対して援助を行なうというのが基本的な精神でございます。従いまして、そういう基本的な精神を持っている国に対してのみ援助を与えるというのが趣旨でございます。
○木村禧八郎君 これは非常に重要な御発言です。バンデンバーグ決議は、相互防衛をやらなければ援助をやることが取り消されるのですよ。今度安保改定におきまして、バンデンバーグ決議のあの相互防衛というものによってあれを結んでいるのじゃないということを外務大臣言っているが、これは、あとでまた質問します。しかし条約局長は、この安保条約の第一条の、日本がアメリカから武器の援助を受ける場合の前提になっている法律について検討したことがないという御発言で私に説明しております。それじゃもう権威がありません、そういう御発言では。ですから、十分にこういう条約を結ぶ場合にはアメリカの二つの法律、この前提になっているのですよ、その法律について十分検討した人から御答弁を願いたい。責任のある人から御答弁を……。
○政府委員(森治樹君) 援助のための資格といたしましては、五百十一条に規定がございまして、「国際間の理解及び親善の増進並びに世界平和の維持に協同すること。国際間の緊迫の原因を除去するため相互に合意されることのある行動をとること。合衆国が一方の当事国である多数国間有しくは二国間の協定又は条約に基いて自国が受諾した軍事的義務を履行すること。自国の防衛力及び自由世界の防衛力の増進及び維持のために、自国の政治的及び経済的安定と矛盾しない限りにおいて、自国の人力、資源、施設及び一般的経済状態が許す限り全面的寄与を行うこと。自国の防衛能力を増大させるために必要な一切の合理的な措置をとること。合衆国が供与する経済及び軍事援助が有効に利用されることを保証するために適当な手段をとること。」、こういう資格がございます。
○木村禧八郎君 終了に関する規定があるのですよ、そればかりでなく。それは、今のは相互安全王保障法でしょう。
○政府委員(森治樹君) そうです。
○木村禧八郎君 それから、相互防衛援助法にもございますよ。両方ですよ。
○政府委員(森治樹君) 一九四九年相互防衛援助法の終了の規定は、「大統領は次のいずれかの場合、この法律によって承認されたすべての援助の全部又は一部を終止しなければならない。」(a)としまして、「援助を供与しているいずれかの国から要請があったとき。」「大統領が、いずれかの国に対する援助の供与がもはや合衆国の国家的利益若しくは安全保障又はこの法律の政策及び目的に合致しないと認定したときあるいは、大統領が、援助の提供が国際連合安全保障理事会の決定に反すると認定したとき、又はそれ以外に大統領が、いずれかの国に対する援助の提供が国際連合が予防的若しくは強制的措置を執っているか又は総会がそのような援助の継続が望ましくないと認めたいずれかの国に対しては援助を与えることを快しまなければならないという国際連合憲章に基く合衆国の役務に反すると認定したとき。北大西洋条約のいずれかの国の場合には、大統領が」、これは北大西洋条約の場合ですから略します。「この法律に基くいずれかの国に対する援助は、大統領によって一層すみやかに終止されない限り、議会の両院の共同決議によって終止させることができる。但し、この法律に基いて使用することができる資金は、」、これは資金の関係ですから略します。
○木村禧八郎君 もう一つ終了に関する規定があるのですよ。今のは援助法の方でしょう。
○政府委員(森治樹君) 一九五一年相互安全保障法の方にも終了規定がございます。これは、「大統領は、いずれかの国に対する援助の供与が、もはや合衆国の国家的利益若しくは安全保障又はこの法律の政策及び目的に反するか、又は国際連合安全保障理事会の決定に反するか、又は国際連合加盟国は、安全保障理事会又は総会が平和に対する脅威若しくは平和の破壊又は侵略行動の場合において制裁措置を勧告されている国に対しては援助を与えることをひかえるという原則に抵触すると認定したときは、この法律に基いて供与されるすべての援助の全部又は一部を終了しなければならない。」という規定になっております。
○佐多忠隆君 議事進行。政府委員が事務当局として名然に答えなければならないようなことを議員から具体的に指示をされて、ただそれを、各条文を読むというようなことは、何ら答弁になっていないと思う。おそらくこれは、あるいはアメリカ局長の所管でなくて、国際協力局長の所管であるかもしれない。それならば、しかるべき責任者を出していただきたい、ちゃんと事前に通告をしてあるはずですから。それがいなくって、かわった者が何かよろよろとそういう答弁をしたって、答弁に何らなっておらない。予算委員会を侮辱するもはなはだしいと思う。そういう意味においてちゃんとした資格者がここへ来るまで暫時休憩されることを提案いたします。
○委員長(小林英三君) 佐多君に申し上げますが、今のアメリカ局長が朗読いたしましたのは、委員長が聞いておりましたのでは、質問者が朗読してみてくれということで朗読したと思っております。
○亀田得治君 関連して。佐多君の要望にこれは関連するわけですが、委員長からちょっと確かめてもらいたい。このMSA関係の外務省の責任の局長を確かめて下さい。
○政府委員(高橋通敏君) 私、条約局長でございますが、この協定、その法令を整理するのは、私の責任でございまして、その点を申し上げます。
○亀田得治君 それならなぜさっきから答弁せんのか。おかしいじゃないか。協力局長でしょうが。――それを、読んだら時間がかかるからというので、あなたが出てきてそんなことを言うんでしょう。いいかげんなことじゃないか。それだったらちゃんと外務省の中のいろんな分掌規程というものがあるはずだ。それを明確に示して下さい。
○政府委員(高橋通敏君) この点、国際協力局長の主管ではございません。条文のことでございますから、私、条約局長の責任でございます。
○亀田得治君 これは納得できない。ちょっと外務省の、まあ名前は違うかもしれませんがね、各局の職務というのはみんなあるでしよう。それをちょっと沈んで下さい。第一、あなたが責任者なら、なぜあんた、さっきから出てこんのか。横にいて、だれが責任者かと聞かれたら、私ですなんて、ばかげたことあるもんですか。外務省のまずその規程を読んで下さい。それからにして下さい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) MSA協定を扱います関係は、条約局でございます。しかし、今お話のように、アメリカの法律その他の問題につきましてはアメリカ局が主管いたしております。
○亀田得治君 また条約局長と逢うじゃないか。ちょっと休憩してもらって、その責任関係というものをわれわれにも調べさしてもらいたい。今の御答弁ですと、さっきの条約局長の答弁と若干違いますよ。わけがわからんじゃないですか。
○委員長(小林英三君) 亀田君、今の問題につきましては、外務大臣の御意見の通りだろうと思います。
○亀田得治君 だろうではだめですよ。
○委員長(小林英三君) 外務大臣、もう一度御答弁願います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) MSA協定を締結します事務は、条約を締結いたしますことでありますから、条約局がこれを扱っております。ただいま御指摘のようなアメリカのこのMAS協定の基本になりますアメリカ国内の法律関係――法律というものは、それはアメリカ局の主管でございます。
○岩間正男君 議事進行。佐多君から休憩の動議が出ておるのです。これはもっともだと思うのです、私は。第一、六年間結んだ条約の内容を今検討しておるというふうな外務当局の答弁は了承することができない。現実に生きているんだ、われわれ国民生活と深い関係のある条約です。その問題を今研究しておるというような外務当局の混乱ぶりをもっとちゃんと整理して、そうして頭を冷やして答弁してもらいたい。これに対して佐多君の動議は当然だと思いますので、これを取り上げて、そうしてこれをはっきり処置してもらいたい。休憩の動議を問題……(「その必要はない」「休憩、休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長(小林英三君) いかがですか。今休憩の動議が出たようでありまするし、これに対しまして反対という声も相当あるようであります。休憩をしないでこのまま進行して参りたいと思います。 ただいまの問題につきまして、外務大臣から仰せになりました内容と、(「仰せとは何だ」と呼ぶ者あり)外務大臣が言われました内容と、条約局長並びにアメリカ局長の言いました内容と多少食い違いがあるようでありますから、この際、アメリカ局長並びに条約局長から発言を求めます。
○政府委員(高橋通敏君) 訂正さしていただきます。事務所管につきましては、ただいま大臣の仰せの通りでございます。
○政府委員(森治樹君) 所管につきましては、大臣の御答弁の通りでございます。
○木村禧八郎君 先ほど条約局長が、アメリカの法律については自分は十分研究していないが、資料も持ち合せていないというので、私は議事進行上、私が外務省からいただいた資料をお貸ししたわけです。そうして委員長のお話ですと、貸したものを読んだだけだ、そんなことじゃないのです。御便宜をはかるためにお貸ししたのです。それで、これは十分検討しておらなくて、今お読みいただいたものに責任持てますか。
○政府委員(森治樹君) 私は責任をもって御答弁申し上げます。
○木村禧八郎君 十分検討しないで先ほど読んだことの意味を、あなたは正しく理解できますか。
○政府委員(森治樹君) 私は条文の正確な字句を覚えておりませんでしたので、ああいう御答弁を申し上げましたので、趣旨は私は承知しております。
○木村禧八郎君 それでは趣旨はおわかりだというのですから、このMSA協定によって日本が兵器の援助を受けることになっていますが、その資格とそれからその終了に関する条件、それを、この条文を離れて具体的に、さっきのは条文ですから、こういう場合に資格がある、こういう場合に援助は取り消される、その点をお話し願いたい、責任を持ってですよ。
○政府委員(森治樹君) 援助をもらう資格といたしましては、重要な点は、先ほどもお答え申し上げました通りに、自国の防衛力の充実に意を尽くして、そして結果的には、自由世界の全体としての防衛力の増強に寄与するということが最も重要な資格であろうと思います。 これが終了の規定につきましては、そういう義務を、そういう義務といいますか、そういう期待を十分満たしていない、あるいは国際連合の加盟国としての義務に違背したとき等が、最も重要な終了の要因となる事項でございます。
○木村禧八郎君 先ほど条約局長は、バンデンバーグ決議の趣旨に沿わないときはこれが終了されるということを御発言になった、そうですが。
○政府委員(森治樹君) アメリカといたしましては、二国間の相互安全条約を結ぶ、あるいは相互安全でなくても、他国の安全を保障する条約を結びます場合には、一九四八年に上院で決議されましたバンデンバーグの条項によりまして、いわゆるその援助を与えられる国が何にもしないで全部をアメリカに依存するという国に対しては、援助を与えないし、その防衛の援助もしなというのがアメリカの基本精神でございます。従いまして、そういう意味におきましては、バンデンバーグ精神が充実されていなければ援助が停止されるということになるのでございます。
○木村禧八郎君 外務大臣に伺いますが、今度の安保の改定も、やはりバンデンバーグ決議の精神に沿うてと解していいですね。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今度の条約締結に当たりまして、バンデンバーグ決議の精神というものは、われわれはこれを受け入れていきたい。と申しますのは、バンデンバーグ精神というものは、今アメリカ局長も申し上げましたようにつまり自分の国の防衛力というものを、自分でできるだけそのときの経済なり、あるいはいろいろなその国の事情に対応しながらも、できるだけやっていこうという意思を持つということが、バンデンバーグ決議の趣旨だと思います。従いましてそういうような趣旨はこれを取り入れていくということでございます。
○木村禧八郎君 先ほど条約局長が読んで下すったように、このMSA協定に基づく日本の自衛隊に対する兵器の援助は、大統領はその援助の供与が合衆国の安全保障を強化するものであると認めた場合ですよ、そういう資格がついておるのです。それと、終了に関する規定も、合衆国の国家的利益と安全保障にもはや役立たないと認めたときにはこれを終了させることができるというのでしょう。ですから合衆国の国家的利益と安全保障が、これが第一になっているのです。もし大統領が終了させないときには、議会の両院の共同決議によって終了させることができる、合衆国の国家的利益と安全保障が第一なんですよ。ですからこのMSA援助の一番基本になっているアメリカの法律によって、今自衛隊は兵器を援助されておりますが、自衛隊は、合衆国の国家的利益と安全保障のために毎日訓練しているわけでしょう、そうでありませんか。そうでないと認めたときには、この援助を終了させる、大統領が終了しないときには、両院の共同決議によって終了させる、こうなっている、そう解釈してよろしいか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 合衆国が他国を援助することでありますから、むろん、合衆国の利益に反して援助するということは、これは考えられないです。しかし、合衆国の利益というものが、アメリカだけの利益というふうに狭く解釈することは、私は適当でないと思うのです。やはり自由世界全体の防衛ということを目標にした立場において、合衆国はこれを考えておるというふうに私どもは考えております。
○木村禧八郎君 合衆国の国家的利益と安全保障に合致するかしないかは、だれが決定するのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろんこれはアメリカの法律でございますし、アメリカにおいてそれを決定することは当然でございます。
○木村禧八郎君 MSA協定の第七条に規定してあります軍事顧問団は、何のために来られるのですか。その任務は何ですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 援助と申します中に物的援助もございましょうが、同時に訓練等の人的援助もあるわけでございます。それらのものを合わせて、それぞれの国に対して話し合いをしていく機関として軍事顧問団があるとわれわれは了解いたします。
○木村禧八郎君 そんなことを聞いているのではない、軍事顧問団を聞いているのだよ。
○政府委員(森治樹君) 第七条に規定してございますように、MSA協定に基づいてアメリカ政府が供与する援助の進捗状況を観察するために、日本に駐留しておるわけでございます。
○木村禧八郎君 援助の進捗状況の観察ということは、どういうことですか。
○政府委員(森治樹君) あるいはこの点は防衛庁にお答え願った方が適当かと存じますけれども、あるいは年度間の計画が計画通りに進捗しているかどうか、あるいはいろんな援助によって受けます物資の積出港の指定ですとか、そういう点について日本が希望がありますので、それとアメリカ側との折衝の仲介をやってくれるものと承知いたしております。
○国務大臣(赤城宗徳君) アメリカから供与された資材、あるいはその他のものにつきまして十分に供与の目的に沿うて使用されているか、こういう進捗状態を監察する、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 それでは防衛長官に伺います。このMSA協定に基づいて自衛隊は、アメリカからどういう種類の兵器をどれだけ受けて、自衛隊はどういう訓練をしておるか、伺いたいのです。
○国務大臣(赤城宗徳君) 供与を受けておりますのは、船舶、航空機、武器、車両類、通信機材、弾薬、及びこれらのものに対する装備等でございます。これは日本の自衛隊の中に編成されまして、自衛隊全体としての訓練の中に組み入れられてございます。
○木村禧八郎君 それは全額にしてどのくらいの兵器であって、額はどのくらいですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 三十四年の三月三十一日までのことを申し上げます。陸の万においては二千八十二億、海のがが一千五十六億、空の方が七百十七億、合計して三千八百五十五億に上っております。装備の万では四千二百九十五億になります。以上であります。
○木村禧八郎君 それは日本の自衛隊の装備の何%に当たりますか、アメリカの援助は。
○国務大臣(赤城宗徳君) 年度によって違いますが、三十年度には防衛庁費と供与額との対比は一〇・四割になっています。それから、三十一年度は四・五割、三十二年度は三・六割、三十三年度は四・八割、三十四年度は二・七割、こういう率になっております。
○木村禧八郎君 それはどういう意味なのですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 防衛庁費に対します供与額との比較です。対比です。
○木村禧八郎君 それは具体的にどういうことを意味するのですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 一つの例を申し上げますならば、三十年度には供与額が九百五億でございます。それから、防衛庁の予算が八百六十八億であります。でありますから、この防衛庁費で供与額を割ったB分のAの比率、すなわち、供与額が防衛費に対しまして一〇・四になっておる、こういうわけでございます。
○木村禧八郎君 ただいまの御説明でわかりましたが、日本の自衛隊は、その多くがアメリカの援助に依存しておるということは、これは明白であります。そうして、アメリカにMSA協定によってこういう援助を受けて、そうしてその援助が、この基本法である相互安全保障法あるいは相互防衛援助法の終了に関する規定あるいは援助の資格に関する規定に反する場合は、この援助を終了させることができる。取り消すわけです。そこで、アメリカから供与を受けている援助つが、アメリカの国家的利益及び安全保障に役立つように使われているかどうか、日本の自衛隊がアメリカ防衛のために役立つように訓練しているかどうかを、その進捗状況を観察しに来ているのが軍事顧問団ではないですか。その軍事顧問団にわれわれの税金の二億八千万円、これを支出することになっています。第七条で。これでは、日本の軍隊といえますか。 さらに、防衛庁長官に伺います。今伺ったアメリカから受けている兵器はお使いになるのですか。使いものになっておりますか。八月二十六日の第六回の合同委員会におきまして、アメリカに対してこの兵器に関してどういう要求をされたか、外務大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) 顧問団の職責は、今お話の通りだと思います。私ども自衛隊をあずかっておる者といたしましては、これは日本の平和と安全のために、自衛隊の行動をその線で進めておるわけでございます。それがアメリカの利益とかあるいは安全に害ないということには相なろうかと思いますが、アメリカの安全とアメリカの利益のために行動しておるのではありません。日本のために行動しておりますが、その点がアメリカにも害にならぬということに相なっておるわけであります。
○木村禧八郎君 外務大臣に伺います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今、防衛庁長官が答弁されましたように、日本におきます兵器の供与もしくは軍事顧問団によるそれらの供与された兵器の使用方法その他の指導、そうしたものはむろん、日本の自衛隊を育成し強化する。日本の自衛隊というものは、防衛庁長官も言われました通り、日本を防衛することが自衛隊の本旨でございますから、その限りにおいて日本の自衛力に寄与していると思っております。同時に、日本の自衛隊が日本の国の安全と平和を守っていくということ自体は、先ほど申し上げましたように、世界の平和と安全ということを所期しておりますアメリカの考え方にも貢献してくることは、これは当然のことだと思います。
○木村禧八郎君 外務大臣、注意して下さい。そんな質問をしているのじゃありません。
○委員長(小林英三君) 外務大臣、質問者の質疑に明らかに御答弁願います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) どういう御質問でしたか、もう一ぺんそれを。
○木村禧八郎君 私は時間がありませんから、繰り返して言いません。(今のは時間に入れないで一つ」「それはそうだ」と呼ぶ者あり) 昨年八月二十六日の第六回日米合同委員会において、現在自衛隊がアメリカから借りている兵器、その兵器に対してどういう要求をされたか。こういう質問をしている。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 昨年の八月二十六日ですから、記憶がはっきりしておりませんけれども、何かそういう問題を取り上げたようには私記憶しておりませんが、はっきりした記憶を持っておりません。
○秋山長造君 議事進行。今、木村委員の質問はきわめて具体的な事実をあげて明確に質問しているわけですから、大臣の方はただ記憶ではっきり覚えていないということでなしに、議事録がきちっとあるでしょう。日米合同委員会なんか、いつ幾日どういう問題についてどういう話し合いをしたという記録が、きちっと残っているのだから、その記録に基づいて具体的にはっきりした答弁をしていただきたい。そうでなければ意味がない。はっきり覚えていないというような答弁は、これは答弁にならぬですよ。記録があるはずですから、記録を見てはっきり答弁して下さい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日米合同委員会というのはたびたびやっておりますので、今、八月二十六日と御指摘になりましたけれども、その日どういう議事があったということは、ここの席でははっきり記憶しておりませんということを申し上げておるのであります。(じゃ、暫時休憩して調べて下さい」と呼ぶ者あり)
○委員長(小林英三君) 木村君、今の答弁は後刻御答弁があると思いまするが、御質疑を進行お願いいたします。
○木村禧八郎君 それがないと、ちょっと質問できないですね。それによって……。 〔秋山長造君「答弁から次の質問が出てくるのですから、だから暫く休憩して、その答弁の正確な材料をちょっと調べて下さい。電話一本で……」と述ぶ〕
○委員長(小林英三君) 秋山君に発言を許しておりませんから……。
○亀田得治君 議事進行。非常に不勉強ですからね。質問者、残り特間少なくて、非常に困惑しているわけですよ。だから、暫時ここで、時間も何しておりますし、ちょっと十分でも休憩してもらって、ちゃんと、これは電話で私は外務省と打ち合わせてもらったらわかると思う。明確にして一つ進めてほしい。委員会の権威のためにも、やはりそういうふうにやってもらいたい。 だから、休憩の動議を出します。(「異議なし」と呼ぶ者あり)諮って下さい。こんなものはみんな全員賛成のはずだ。(「必要なし」と呼ぶ者あり)参議院という立場からだったら、みんな賛成のはずだよ。休憩の動議を出しましたよ。
○委員長(小林英三君) 亀田君、すぐ来るそうですから、このままの形で待っていていただきたい。
○亀田得治君 暫時休憩して下さい。何もしないで行っているというような、そんな不見識なことはいかぬ。休憩の動議を出しているのですから。
○委員長(小林英三君) それでは、今せっかく休憩の動議がありますから、委員長がこれを勝手にきめませんで、この際休憩の動議に対しまして賛成があったようでありますから、採決をいたします。亀田君の休憩の動議に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成書建立〕
○委員長(小林英三君) 少数と認めます。
○亀田得治君 ちょっと待って下さい。両方きちっと諮って下さい。一人くらいの違いなんですから、はっきりして下さい。棄権の人もあるのですから、数を数えて。
○委員長(小林英三君) ただいまの採決について御報告申し上げます。総員三十六名のうち、休憩に賛成の諸君が十七名、反対の諸君が十九名名、(「どうしてすわっているのが反対だとわかるのだ、保留もあるじゃないか」と呼ぶ者あり) それでは、ただいまの採決をもう一度御報告出し上げます。出席人員三十六名、この動議に賛成の諸君が十七名であります。少数でございますから、よって休憩の動議は否決せられました。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(小林英三君) 速記を始めて。 議事を続けます。外務大臣。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま八月二十六日という御指摘でございましたけれども、八月二十七日でございました。訂正いたします。 それから、当日の日米安保委員会におきましては、米軍の日本における配備の計画並びに自衛隊の装備の近代化という問題について話し合いをいたしました。
○木村禧八郎君 このニューヨーク・タイムスの特派員の報ずるところによりますと、アメリカから借りたタンク八百十六、それが非常にもう古くなっている、使いものにならない。それから、十六万個に上る地上兵器、これがそのパーツ、部品がなくて使いものにならない。こういう意味の特電が報ぜられているのです。それで、日本ではアメリカに対して装備の近代化を要求した。アメリカは好意的なフェーバーな態度を示した、と書いてある。これによりますと、MSA協定によってアメリカから受けた援助の大部分の地上兵器につきましては、使いものにならぬということになってくる。こういう装備の状態は、今どうなんですか、防衛庁長官。アメリカからMSA協定によって受けた援助が、装備の近代化を要求したというけれども、言葉は近代化だというのですけれども、現実においては使いものにならない状態じゃないのですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 今その例として特車が出ましたけれども、これにつきましては、やはり十分に使えないものが出てきましたので、二百だけを破棄しました。その部品を他の方に移しまして、他の特車に使えるような装備にかえております。その他飛行機等におきましても、当時パイロットの養成その他日本の状況等から、向こうから返還を要求されたものもありまして、昨年の国会等におきまして申し上げました。そういうものもありましたが、現在のところは、向こうから供与されたものを十二分に活用できる、こういう状況になっております。
○木村禧八郎君 あとでそういう装備の今の実態ですね、等について資料を一つ御要求したいのです、後ほどでいいですが。先ほど御答弁になったこととあわせて、装備の種類、全額、それから現在の状態ですね、能力の状態等。 で、大体、今の防衛庁長官のお話でも、アメリカから援助を受けた兵器が廃棄しなければならぬものも出てきておる、こういう状態です。そうして非常に多くはアメリカから受けた援助によって日本の自衛隊は装備をし、そうして訓練をしておる。そうして、その訓練がアメリカの国家的利益、安全保障にもはや役立たないと認めたときには、これを収容させることができるという条件で、これを借りている。今後こういう形の援助を続けるつもりかどうですか、こういう形の援助をですね、防衛庁長官。
○国務大臣(赤城宗徳君) 日本の自衛隊を充実していく、こういうことにおきまして、日本の財政だけでは足りませんので、アメリカの援助を私ども期待しておるわけでございます。しかしながら、御承知のように、アメリカ国会等におきましても、対外軍事援助費用がだんだん削減されつつありまして、そこで最近話し合いを進めようということになっておりますのは、従来のような無償援助というものは、これはだんだんアメリカとして減らしていく、なくしていく、こういう傾向でありますので、無償援助といいますか、ものによってのコスト・シェアリングの方式によって有償援助で進みたい、こういうのがアメリカの希望であり、私どもとしても援助を全然打ち切られるということは、これは非常に苦痛でありますので、そういう方向に従って援助を要請する、こういうことにしたいと考えております。
○木村禧八郎君 そうなりますと、MSA援助は、やはり続けるということになりますわけですね、そういうことなんでございましょう。
○国務大臣(赤城宗徳君) その通りでございます。
○木村禧八郎君 そうしますと、先ほど来御質問して参りましたように、MSA援助を続けるとなれば、実際において、日本の自衛隊はアメリカの相互安全保障法及び相互防衛援助法によってその資格及び終了に関する規定に基いて、この援助を受けるのでありますから、日本の自衛隊はアメリカの国家的利益、安全保障に役立つように毎日訓練していなければならぬ、そうしてアメリカの国家的利益、安全保障に役立つか、役立たたないかは、アメリカが判断するということになっておるのでしょう。それで安保改定において、藤山外務大臣はあれほど事前協議ということを強調されているのですが、こういうことについて、事前協議ということによって、ほんとうに日本の自衛隊がアメリカの国家的利益、安全保障に役立というにとが、第八条による日本の経済と日本の政治の安定と矛盾しているかどうかということを、これを協議する機関がなければ、アメリカの一方的判断によって、もはやアメリカの防衛、安全保障に、国家的利益に役立たないというときには取り消される、こういう状態になっているのでしょう。名前はみずから守る隊、自衛隊というのは、実態はアメリカを守るための軍隊、そのために私たちの三十四年度防衛費千三百六十億、われわれの税金を使っている、そのほか行政協定二十五条2の(b)項による駐留費の半分の百千一億を負担する、さらに二十五条2の(a)項による施設提供費六十億を使い、軍事顧問団経費として四億八千万円、合計一千五百三十六億、三十四年度の社会保障費千四百七十七億、申告納税六百八十一億の二倍以上のものをアメリカ防衛のために使われる。それは先ほど、今の自衛隊は日本の国家的安全上のためになっているのだということを御答弁になりました。主観的にはそうかもしれません。しかし、この条約から行けば、主観的にはどうあろうとも、日本の自衛隊はアメリカの国家的利益、安全保障のために役立つように訓練していなければならない。そうでなければ援助を取り消される、現にそういう訓練をしていると思います。日本の自衛隊じゃないと思います。そのために千五百三十六億も三十四年度はわれわれの税金を使っている。それで税金が高い、社会保障費が不十分である、災害対策費は不十分である、こういう関係になっていると思う。 そこで、藤山外務大臣にお伺いしますが、今度の安保改定におきまして、MSA協定との関係はどういうことになっているのか。そうしてこれは中間報告におきまして、外務大臣が自衛力の規模、態様等は各自その国力、国情等に応じ自主的に決定すべきものであるということを申されておりますが、MSA協定によれば、自主的に決定できないのです。アメリカの国家的利益及び安全保障に役立たなければならぬ、そういうことになっているのに、自主的にきめられますか。ですから、今度の安保改定において、対等性とか、あるいは自主性とか、双務性を確保しようとすれば、当然MSA協定もそういうふうに変えなければそうならぬと思うのです。MSA協定をそのままにしておいて……。
○委員長(小林英三君) 御発言中ですが、時間が相当超過しております。
○木村禧八郎君 その点についてMSA協定と安保条約改定との関係、それから安保条約改定と関係してMSA協定を改正するか、改正するならばどういう点を改正するか、その点について伺いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今度の安保条約の改定に当たりましては、MSA協定には、字句上の問題、今度の安保条約との関連におけるごく事務的な字句上の問題以外には訂正はしないつもりであります。そうしてわれわれ、先ほどお話のありました自主的な決定というのは、むろん日本の防衛庁当局その他自分の防衛に必要な点につきましては、これを自主的に決定するわけでありまして、その決定の範囲内において援助が得られるか得られないかという問題だろうと考えております。
○木村禧八郎君 時間がなくなりましたので簡潔にやりますが、今御答弁でどうして自主的に決定できますか。中間報告の第三に、自主的に決定できるということを述べておりますけれども、MSA協定の、さっきからずっと御質問して参りましたが、ああいう取りきめを前提としてどうして自主的にきめられますか。アメリカの方の法律でも変えればともかく、そういう点、それを御答弁願いたい。 それから私も時間がなくなりまして御迷惑をかけますので、最後に大蔵大臣に、MSA協定の改定によって防衛分担金は三十五年度から百千一億ですね、これは一体なくなるのかどうか、その点。
○委員長(小林英三君) 木村君時間がありませんから……。
○木村禧八郎君 最後に簡単に、大蔵大臣とそれから通産大臣がおりますので、簡単に伺っておきます。過般岸内閣の三大政策の一つの所得倍増計画につきまして、自民党の基本構想ができました。ところが、政府のはまだできていない。これについては新聞等を通じて佐藤大蔵大臣あるいは池田通産大臣についても、かなりいろいろな御意見があるように承っております。これは岸内閣の三大政策の一つで重要な政策でございますから、最後にこの点について、大蔵大臣とそれから通産大臣は前から賃金二倍論等を御主張になっておりまして、こういう点については非常に豊富な御研究をされているようにいろいろ私は雑誌でも拝見しておりますが、非常に所見が違ってもまじめに御検討されているということにわれわれも敬意を表しておりますので、そういう点についても一つ御所見を、日本の経済の見通し、物価の見通し、そういうものと関連してこの所得倍増の基本の構想について、この際ぜひお伺いしておきたい。三十五年度予算の問題を考える場合の参考にしたいと思うのであります。
○国務大臣(藤山愛一郎君) もちろん日本の防衛力というものは、日本の経済事情あるいは社会事情のそれぞれの条件に従って日本が決定することでありまして、御指摘のようにMSAにおいても、その国の経済を害しないということを主体にいたしております。そういう関係から申しても、日本が自主的にきめていく、それに対しアメリカの援助ができるかできないかということをきめていくことになろうと思うのであります。自主的に決定し得るものとわれわれは考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 安保改定に伴って日本の経済にどういう影響があるか、特に財政面では分担金はどうなるかというお話でございますが、いろいろ私どもも国内経済の面、財政面、私経済あるいは国際関係にどういう影響があるか、各方面十分検討しなければならないことであります。そのうちで直接予算に関係のある分担金、これは当然廃止されるべきであるということで、廃止という方向で私どもは努力しておる。
○木村禧八郎君 三十五年度も。
○国務大臣(佐藤榮作君) はい。三十五年度も。それから所得倍増計画についての問題でございますが、これは御承知のように、党においてはすでに具体的な基本構想を発表いたしております。政府におきましては、企画庁が中心になりましてこれの検討を続けておるのですが、企画庁では御承知のように、経済審議会にかけまして最終的な案をきめるわけでございますが、まだその段階に達しておりません。計数等の整理もあり、ことに財政計画等の問題もございますので、具体的な立案はおくれております。しかし、すでに取り上げられております基本的な問題は、三十五年度の予算に何とかそれが出てくるように、反映するように、私どもは工夫したい、かように考えております。
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。政治の目標は国民生活の安定向上と雇用の増大でございます。そういう意味におきまして生産を伸ばして国民生活の向上をはかるということが目標でございますから、私はそういう主張をいたしておるのであります。いつどれだけということは言っておりません。ただ党の万でこの前お考えになったことは、主として生産の伸びを中心にして考えておられます。しかし、大事なことは、片一方に生産が増加したものをどういうふうに国民の消費水準を向上させるか、また、どういうふうな方法で外国へ輸出をするか、そしてまた財政政策をどういうふうにやっていくか、また対外投資等についてどういう関係にするか、いわゆる増加された生産物をいかに有効に健全に使っていくかということとうらはらの問題でございますから、その点を十分検討しなければならないというわけでございます。私は自分自身としても検討を続けて、今後も続けていきたいと思います。
○委員長(小林英三君) 木村君の質疑は終了いたしました。
○亀田得治君 議事進行。ちょっと今、食事のことで相談しております。大体十五分か二十分くらいなにして、きっちり食事時間を守ってそれでやろうじゃないかと言うておる。まだ委員長のところまで、そこへ行くまでになっておらぬわけですけれども、大体そういう話を今しておるところなのですが、それは委員長の腹で常識的にやって下さい。引き続いて討論もやらなければならないわけですから。
○委員長(小林英三君) 質問を続行して、それから休憩しましょう。
○亀田得治君 いや、それは質問者も途中で目まいして倒れたりしたら困りますから、適当にやってもらいたい。
○委員長(小林英三君) それは交代でお食事を願って……。
○亀田得治君 それは全員がここへ詰めておるわけですから……。
○委員長(小林英三君) 継続してやりましょう。佐多君、お願いします。
○亀田得治君 それは委員長の良識でやって下さい。
○委員長(小林英三君) 一つやって下さい、最後だから。
○小林孝平君 議事進行。
○委員長(小林英三君) 休憩ですか。
○小林孝平君 いや、休憩じゃないのです。
○委員長(小林英三君) 小林君。
○小林孝平君 当委員会はわれわれも非常に協力いたしまして順調に進んで、あと佐多委員の質問だけ残すことになったわけであります。そこで私は、先般ベトナム賠償に関連いたしまして、ぜひ日本工営社長、外務省調査員久保田豊氏外二名の参考人としての当委員会への出席を要求しておったわけでございますが、本日に至るまで委員長から何らのごあいさつもないのですが、一体どうなっておるのですか。これは承るところによりますと、呼んでもこの予算の審議には差しつかえないけれども、呼ぶと非常に困るから呼びたくないというような御意見であったそうでございますが、そういうことで今後参考人の委員会の出席を拒否されるのは前例になるのですか、どうか。委員長のあわせて所見を承りたいと思います。一体どうなっておるのですか。
○委員長(小林英三君) 小林君の今の中間報告、いや、御意見につきましては、委員長から御返事を申し上げます。 この問題につきましては、先般の委員長・理事打合会におきまして、小林君のせっかくのそういう御要求がございましたが、これは結論を得ないでそのままになりまして、結局そのままになっております。
○小林孝平君 結論が得られないというのは、どういうことなのですか。結論が得られないで、そのままうやむやにするということはおかしいじゃないですか。そういうことは私は国会運営上おかしいと思う。
○委員長(小林英三君) 理事会の申し合わせにつきまして、あなたの方の理事の方からあなたにお話を願うことになっておったのでございますが、まだお聞きになっておりませんか。
○小林孝平君 それはほんとうですか、聞いておりませんよ。おかしですよ。そういう話があったということはちっとも聞いておりません。委員長、ちょっと相談したらどうですか。現に聞いておらぬですよ。
○委員長(小林英三君) それではもう少し詳しく理事会の模様を申し上げます。せっかくの御要求でございましたが、理事会といたしましては、この委員会においてそういう参考人を呼ぶことは必要ないだろうということが、圧倒的多数でございましたので、そのままになっているのでございます。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)
○亀田得治君 それはちょっと違う。まあいろいろ予算委員会としての審議の期間等の関係もありますし、いろいろな関係で、われわれもこれは当然そういう要求がある以上は呼んで調べたいというのがわれわれの気持であった。ただし、今申し上げたような事情等もあるから、これは一つ小林委員ともよく話し合って善処しよう、そういうことは言っているけれども、そんな呼ばぬのが適当だ、それが圧倒的な多数の意見だ、そんなことは絶対これはないです。それは理事会の数は、自民党の万がわずか四名しか出ておらないのです。数から言いますと、そんな圧倒的に呼ばないのがいい、そんなことにはこれは実はなっておりませんので、そういうことを言われては、われわれは理事としてはちょっと工合が悪いです。ありのままに言ってもらいたい。
○委員長(小林英三君) それでは亀田君のただいまの御意見もございましたから、私の先ほどの小林君に対する発言が誤解を受けてはいけませんからもう一度申し上げます。理事会の大方の空気は、予算審議促進上取り上げることは困難で、他の機会に譲られたい、こういうことでございました。(鈴木強君「それはちょっとおかしい」と呼ぶ)
○委員長(小林英三君) 鈴木君。
○鈴木強君 それは今書いたのでしょう。それは委員長、もう少し親切な報告をしてもらいたいです。というのは、あなたの方も聞いて下さい。これは重大問題です。理事会でやりましたのは、確かに委員長のおっしゃるように予算委員会でやることは、非常に予算審議上困難があろうということも出ました。それでそのときにも、外務関係の問題であるから外務委員会等においてやることが適当であるという意見も自民党から言われたわけです。しかし、ちょうどそのとき小林さんが要求しておられたので、理事会に私どもは出席してもらいたいと思っていたが、前からの約束の問題があって出られなかった。きょうは直接の要求者である小林さんがおられないので、あとに問題を残しておくということで持ち越しているのですよ。そういう外務委員会の関係もはっきり出ている。むしろ外務委員会でやることは自民党の方から言われた。そういう点を含めて委員長から言って下さい。
○委員長(小林英三君) それでは今誤解がありますようでございますので、そのときの理事会の模様を社会党の方の理事の諸君はぜひこれを取り上げて参考人を呼んでもらいたいということを強く要望されたのであります。しかし、他会派並びに自民党の方の理事から、今、私が申し上げましたようなことによりまして、呼ばないことにしようということに大体なったのでございます。ただしそのときには、申し上げていいかどうかわかりませんが、亀田君にお願いをいたしまして、亀田君も小林君にそのことを了解を得るようにいたそう、こういうことで理事会は散会いたしたのでございます。 ―――――――――――――
○委員長(小林英三君) 佐多忠隆君。
○佐多忠隆君 まず号最初に、非常にこまかい技術的な問題をお尋ねをいたすのですが、本年度当初予算の総則第八条で、三十億円を限り災害その他緊急の必要に応ずるための国庫債務負担行為が認められております。ところが、今回の補正で右の三十億円がどうなったのか明瞭でありませんが、別に三十六億円の国庫債務負担行為を要求をしておるのであります。私にはその要求の根拠が明瞭でないし、さらに、以前された三十億と今度の新規の要求との関係がよくわかりませんので、それらの点を御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。本予算を組みましたのはいろいろ年度内までに予測しないようなことが起きた場合に、費用が出た場合に、それに充当さすということでございます。その意味からは、災害が起きたのだからこれに使ってもいいじゃないかという考え方が当然生まれてくるだろうと思いますが、今回は災害に対しまして、特に工事の進捗状況その他等を勘案いたしますと三十五億程度の国庫債務負担行為はこれは当然の必要だと思います。従って、これは担当具体性を持った三十五億を今回議決をお願いしておるわけであります。在来の三十億そのものをそれではやめてしまうのかと言われますと、これはそのまま残しておきまして、まだ年度末まで相当の期間がございますので、いろいろ不慮の、考えない不側の必要等もありはしないか、かように考えますので、それはそのままにしておくということでございます。
○佐多忠隆君 このときの緊急に必要な災害のための国庫責務負担行為、当初予算できめた場合には現在のようなことがあることを予測しながら、そういう場合との関連において具体的に問題を考えていたわけですから、従って、こういう時期にまずこれを使って、そしていろいろ配分をし使用計画を立ててみたが、それでもなお足りないから新たに追加して加えるということであるならば意味があるでしょうが、今までのは現実に今まで使用の計画その他見込みがないのにかかわらず、これはこのままにしておいて新たにこういうものを追加をする、こういう点はあまりにも国庫債務負担行為の責場をあまりにルーズに考え過ぎていはしないか。国庫債務負担行為自体が予算の体系をくずすものとして非常な批判の的になっている項目でありますから、特にこれについては厳重に考慮しなければならないと思うにかかわらず、こういうふうな態度をとられた根拠について。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申し上げましたように、予備費なり、あるいは国車債務負担行為、こういうふうなものは、いわゆる緊急なもの、国会等が開会されない場合にこれを使うのが普通の考え方だと思います。今回はすでに補正予算を計上しておりますし、従いまして、これが今必要ではないわけでございます。ただ今後、国会が審議中ではございますが、補正予算を組まないで処理するような事態が起こる場合の三十億というものはそのまま残しておいていいのじゃないか、実はさように考えております。ただいま御指摘になりますように、私どもも財政をふくらますことにつきましては、御指摘の通りこれは十分注意をいたさなければならないことは申すまでもないと思います。この点は、債務負担行為でありますから、これの使い方につきましては、御注意の点も十分考えて参るつもりであります。
○佐多忠隆君 次の問題に移りますが、このたびの補正予算において財政の規模は相当膨大なものになったのでありますが、従って、これに関連して、来年度予算の編成という問題が非常に重要な、しかも、困難な問題に立ち至りつつあると思いますが、その内容についてはこれから逐次御質問をしたいと思いますが、来年度の予算編成の基本的な方針はいつ頃お作りになるつもりか。そうしてまた、それの大綱あるいは政府案は、時期的にはいつごろに決定をされる御予定になっているのか、それらの予測をまず聞いておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。予算編成の基本方針は、与党におきましてはすでに発表いたしました。けれども、私の方は作業にもう少し時間がかかるように思います。しかして、十二月の上旬には編成の基本方針を定めたい、かように考えておりますし、また、年内には昨年同様予算の取りまとめをしたい、かように考えますので、さように考えますと、二十日から年末までが本予算の編成にかかる、こういうような段取りになりはしないか。もちろん、数日のそこにズレはございましょうが、最終目標は、年内に来年度予算を作るということを目標にいたしております。
○佐多忠隆君 この新たに編成されるべき来年度予算方針その他についてどういう態度をとるかということは、非常に重大な、今われわれが十分に論議をしておかなければならない問題があると思いますが、それらの方針なり態度をきめます前に、事態が一体現実にどういうふうになっているのかという点を一応明瞭にしておいていただきたい、そういう意味から御質問をしたいのでありますが、まず、来年度の予算を編成するにあたっての歳入面の予測並びに検討、そういうものをどういうふうにお考えになっているか、お答えを願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 歳入りの面で、まず第一は税の自然増加の画であります。税収の面であります。税収につきましては、最近の経済の好況を反映いたしまして相当税の伸びは考え得る、かように考えます。しかし、十二月――ただいま作業中でございますが、九月の法人決算、さらにまた、中小企業や申告の状況など、これが大きなデータになるものですから、ただいまのところ、まだ金額をきめかねております。また歳入の面でマイナスとして考えられますのは、剰余金が昨年と比べて非常に小さくなっておる。あるいはまた、たな上げ資金がないということ、この二つは歳入の面の大きなマイナスだろうと思います。しかし、税の伸びと、税外取入等も好況を反映いたしまして、相当の伸びが予想される、かように考えます。
○佐多忠隆君 税の自然増収の問題は後ほどお尋ねしたいと思いますが、その前に、今、お話の財源のマイナス予側でありますが、たとえば今おあげになったたな上げ資金あるいは前年度剰余金、そういうものが三十四年度をどういうふうに見積もっておられたか、それが今度はどういうふうに変わってくるというふうに予想をしておられるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 三十四年度予算編成にあたりましては、八百四億の剰余金を見積もったのでございますが、出たのでございますが、今回は百七十億程度ではないかと思います。従いまして、六百三十五億程度のマイナスになる、また、たな上げ資金は御承知のように二百二十一億です。これは全部まるまる今回はないわけです。合計いたしまして八百五十八億程度でございます。
○佐多忠隆君 大体、今の八百五十八億という数字は、何といいますか、歳入規模としてのあれだと思いますが、今、お話のように前年度剰余金は半分程度が新規財源に使われるでありましょうから、新規財源としては大体どのくらいの減少というふうにお考えになっておるのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 新規財源として考えられますのは、国債費をどれだけ減らすかということが一つございます。もう一つ、税収入をどういうふうに見積もるかという問題がございますが、その点は作業が少しおくれておりますので、ただいま申し上げかねます。
○佐多忠隆君 先ほどの税の自然増収の問題でありますが、これは現在までの実績から見ても、さらには、すでに政府の方でお立てになった来年度の予測、経済の伸び、それとの関連において、自然増収がどういうふうになるというふうにお考えになっておるのか。特に今度の伊勢湾台風その他の台風がマイナスとして、あるいはプラスとしてはほんどないと思いますが、マイナスとしてどういうふうな作用を及ぼすというふうに予測しておられるのか、それらの点をもっと詳しく御説明を願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 税の自然の伸びは、ただいま御指摘になりますように、本年度における法人税その他の伸びた実績、さらに、これから出て参ります申告の状況、これらを考え、また経済の成長率をあんばいいたしまして一応増収分が出る、それから伊勢湾台風等の災害のマイナスの面、減税あるいは減収というようなものを差し引いて、そうして最終的な集計を作るわけであります。しかし、いずれにいたしましても、歳入の根幹をなす税収入でございますので、私ども非常にこれが算定には正確を期したいと思いまして、ただいま精査中でございますので、そういう意味でその金額を申し上げることができないのを残念に思います。
○佐多忠隆君 特にその台風の影響でありますが、それが税収の減に立てられると思うのですが、その減はすでに今年度分としても見積もっておられるでありましょうから、本年度から来年にかけて全体としてどのくらいの減になるのか、従って、それが特に来年度としてはどのくらいの減をお考えになっておるのか、そこいらはもう少し具体的にわかるはずでありますが。
○国務大臣(佐藤榮作君) 本年度百五億の減収を見込んだのでございますが、百五億五千四百万円という数字が出ております。源泉所得税その他に分けなくてもよろしゅうございましょう。
○佐多忠隆君 それはあとで資料として……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 来年度におきまして、これがさらに五、六制程度ふえるといいますか、減取がふえるのではないかという考えでおります。
○佐多忠隆君 五、六割程度ふえるというと、来年度はどのくらいと見られますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の、不正確であるいは誤解があったかと思いますが、三十四年度が百五億、それに三十五年度といたしましては五十七億、六十億くらい、こういうことで合計して百六十三億ということになるわけであります。
○佐多忠隆君 それから、先ほどの新現財源のマイナスでありますが、これは自然増収が正確に今のところまだつかまれていないからはっきり言えないというお話でありましたが、それは別として、たな上げ資金なり、あるいは前年度剰余金を原因としたところの新規財源、これは全都でどれくらいマイナスになるというふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 主計局長から説明させます。
○政府委員(石原周夫君) 先ほど大蔵大臣からお答えを申し上げましたように、来年度の国債費をどう見るかという問題でございまするから、今、そこら辺の未定ファクターを含むことは一つ御了承いただきたいと思いますが、前年度剰余金の中で先ほど佐多委員が仰せられました二分の一は債務償還に使うということを抜きまして、どういうような計数に相なるかという点についてのお答えを申し上げますれば、昨年は御承知のように八百四億の剰余金でございますが、その中から、ガソリン税ないしは交付税に参りますもの、これを差し引き、それに国債の償還費を除きました自由財源と申しますか、一般財源と申しますか、そういう金が三百三十億ございますもの、が、本年度は百六十八億の剰余金になりますが、同様のものを差し引きまして、すなわち、国債償還以後に残ります金が七十八億差し引いてみますと、そこに二百五十二億という数字が残りますから、これと先ほどのたな上げ資金二百二十一億、合わせますと四百七十三億という数字がこれまた一つの数字でございます。ただ冒頭に申し上げましたように、これは国債あるいは交付税、そういった関係でいろいろプラス、マイナスが生じまするから、それだけがまとまったファクターだというふうにお考えいただいては困る。一応実質的な剰余金関係の減ということの一つの数字であります。
○佐多忠隆君 今のような御説明をいろいろ勘案をいたすと、正確に数学的にはいまだここで言われないでしょうが、来年度の新規財源の規模としてはそんなに大きなものは得られないというふうな感じがするのですが、そこいらを大ざっぱには大蔵大臣はどういうふうな見当でおられるのか、総合的な御判断を一応願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大ざっぱに申すと、なかなかこれはいろいろ誤解を受けたりいたしますので、やはり数字の問題でございまするので正確を期したいというので、ただいまの段階では数字を申し上げることは差し控えさしていただきたい、かように考えます。ただ、新聞等でいろいろ伝えられておりますように、あるいは自然増収が千五百億あるいは千六百億というような数字が今まで出ておりまするから、そういう点を私どもはさらに検討をつけ加えてもっと検討してみたいと、かように考えておりますが、いずれにいたしましてもこの税の問題が大都分の中核をなすものですから、この扱い方で非常に数字が変わってくるだろう、かように考えます。その点は御了承いただきたいと思います。
○佐多忠隆君 いや、数字的には相当変わってくるのでしょうが、もう今お話のような、予算編成方針をきめ、予算をきめる時期的な考え方からいえば、数字的に幾らという正確な予測を言ってほしいと言っているのではないのですから、感じとして、大体来年度の予算を編成する態度をきめる背景としてそういうものをどういうふうに考えておられるか、それは今もうおのずから言えることだろうと思う。その一応の判断をここでお示しを願いたい。その上で議論を進めて参りたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はこの予算を作ります場合に、特に最近の経済の動き等から考えてみまして、性格的には中立的な予算を作りたいと実は考えております。その考え方から見ますと、今の経済の伸びそのものを基準にしていろいろ判断される材料が出てくるだろうと思いますが、そういう、その刺激を財政や金融の面からあまり与えない、いずれにしてもこのブレーキにもならず、またこれがさらにその上昇のささえというか、ささえ以上の刺激を与えないような、そういう予算を作りたい、こういう意味でいろいろ検討をいたしているわけであります。で、その数字そのものは、ただいまのところ先ほど来申しますように、まあそれぞれの立場においてそれぞれ検討されることだと思いますが、私の見るところでは、自然増収が経済の上昇から見まして、在来しばしばはじき出されているような率で直ちに自然増収を出すことはむしろ無理がきていはしないかというような感じが実はいたしているのであります。
○佐多忠隆君 予算編成の基本的な態度をいかにすべきか、たとえば中立予算、あるいはこの刺激を与えるようなものは避けたいというような態度なりお気持、そういう結論的なものはもっと後に議論をしたいしお尋ねもしたいので、そっちを聞いているのではなくて、むしろそれよりもさっきから言っているように、歳入面としてほぼどういうふうな規模、ここからおのずから規定をされてくるのですから、それを今お尋ねをしているのですが、そっちをもう少し正確に――今その結論が、中立予算、その他をあまり刺激してはならぬとかいうような結論が出るその前提には、今の歳入規模の問題、特に新規財源の規模の問題等についての一応のあらかじめのお見通しがあってのことだと思いますので、そこのところをもう少し明瞭に言っていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 歳入の面はただいま申し上げますように、なかなかむずかしい状況にございますが、支出の面で私どもどうしても当然考えなければならないものが、もうすでにきまったものがございます。たとえば税収の増加を見積もりますれば、当然交付税で二八・五%参りますので、従って歳入の税の自然増収というものが、国として使えるものがもうその点だけはすぐ減額しなければならない。あるいは国民年金は第二年目になりますが、またこれ約二百億程度は要るだろうと思います。また、軍人恩給もこれが三十五年度がそのピークになります。これは七、八十億程正度のものが要るのではないかと思います。その他、社会保障、義務教育、その他一般人件費、さらにまた今当面しております三十四年度の災害復旧金額、あるいはまた治山治水の本格的な計画遂行、これらのことを考えて参りますと、相当の規模のものが必要であるということがいえるだろうと思います。ただいまそういうものが、歳入歳出両方の面から十分検討を加えていく必要があるという状況でございます。
○佐多忠隆君 それでは、歳入の面はどうもはっきりしたお答えがないので、次に歳出の面をお尋ねをしていきたいと思いますが、これも若干あらかじめ今お答えになったのですが、今おあげになった国民年金あるいは軍人恩給の増は、ほぼ当然増を示されたいのですが、人件費が最近の情勢その他から見ると、特に人事院の勧告その他を勘案をすると、相当増にならなければならないと思いますが、これをどういうふうにお考えになっておるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一般人件費と申しますか、人事院勧告のこれは実施の問題でございます。これはもうすでに指示されておるものであります。
○佐多忠隆君 従ってこの昇給自然増、それから今の勧告それらを含めて人件費増をどういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまおあげになりましたものは、さらに検討を必要としますが、人事院勧告だけはこれは百二十億程度になっております。しかし、それだけでは済まないのでありまして、その他とやはり十分査定を必要とします。
○佐多忠隆君 それから、先ほど木村君の指摘によって非常に問題になったのでありますが、社会保障関係費、あるいは道路整備費等もこれは当然増が必ず見込まれなければならないでしょうし、それらの点をどういうふうに考えておられるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 社会保障の関係は、さっき申しました二百億程度、それから道路の方は御承知のようにガソリンの消費の伸びが相当ありますので、そでういうことでまかなっていくということになろうかと思います。
○佐多忠隆君 さらに今この補正予算を出して非常に問題になっております災害復旧費、これが今後どういうふうに増加していくという予測を立てておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 災害復旧費は、来年度は二年度になります。重要災害復旧は三、五、二といいますか、その二年目の五に該当するのでありまして、これは当然相当の増額になるということを考えなければなりません。ただ、それもただいま金額を申せませんので、伊勢湾だけ特別処置をしておりますが、伊勢湾の工事企画というものをまだ検討中でございまして、ただいままだ終了いたしておりません。そういうことで、金額としてはまだその面で未定のものがあります。あるいはまた工事査定等におきましても査定を終わっておらないものがあります。そういうことでございますが、まあ今年の補正予算に計上いたしましたものから見ますると、相当大幅な増額を必要とする、かように私も考えております。
○佐多忠隆君 今おあげになったような当然増その他を大体集計をしてみますと、すでに一千億以上になるような見当のように思いますが、この辺はどれくらいの見当をつけておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも予算の話で数字を申さないのは非常に申しわけなく思いますが、私は先ほど来申し上げておりますように、相当の金額になるだろうと、かように思います。さらに私ども査定を加える場合もございますので、この全額を申し上げておきまして期待はずれでは非常に申しわけないのでございまして、そういう意味で私は慎重に扱っておりますから、先ほど来申し上げておりますような説明で、およそ見当はつこうかと思います。
○佐多忠隆君 今のお話のような歳入歳出両面における数字を勘案すると、新規財源の規模としてはほとんど考える余地のない当然増その他をさっ引いて参りますと、ほとんど新規財源なるものは残らないのではないか、五百億あるのか、三百億あるのつか、あるいは二百億足らずになるのか、そこいらについて一応の見当なりなんなりをつけることなしには新しい編成方針なりなんなりはできないと思いますが、そこいらの見当を大臣としてはどういうふうにおつけになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) お説の通りただいま五百億か三百億か二百億かと言われるそこらのところが私どもの一番の頭を悩ましている点であります。どうも御意見をそのままお答えにしているようで不十分でありますが、こういう点がございますので、私どもも十分数字を財源的にも見たいし、また歳出の面でも十分勘案したい、かように考えておるわけでございます。
○佐多忠隆君 それならば、これまでの過去数年におけるそういう意味での新規財源なるものは大体どれぐらいあったのか。これは、主計局長でけっこうですが、この三、内年の数字を出していただきたい。
○政府委員(石原周夫君) 今、宙でお答え申し上げますので、正備な数字を今申し上げるについてのちょっと手元に資料がございませんが、一つ非常に国難でございまするのは当然増と申し、政策増、新規増と申しまする定義が非常にあいまいと申しまするか、ある線を引いて考えなければならないものでございまするから、それがなかなかこれは政策増である、これは当然増であるということの線がつけにくい、そういうような意味でなかなか数字を申し上げがたいのでありまするが、最近数年間のごくラフな見当で申し上げますれば、大体政策増ないし新規増と出しまするかそこら辺は分類のいかんによりまするが、三百億とか五百億とかというような数字に相なっておる場合が多いと思います。とりあえずの印象で申し上げておきまするが、繰り返して申し上げますように、定義のいかんによりまして非常に異なります。そこら辺はあまりきっちりした分類だというふうにはお考えいただかないようにお願いいたします。
○佐多忠隆君 今お話の通りに、そういう何を当然増に考えるか、何を新規政策の増に考えるか、区分は非常にむずかしいかもしれませんけれども、これまで予算を細まれるときには毎年あらかじめそういう検討をやられたはずでありますから、もう少しその点ははっきりした数字的な説明ができるはずだし、準備があるはずだと思うのですが、それは今ここに手元にないという意味でそういうふうにおっしゃっているのか、そういうことをおよそやったことがないという意味でそうおっしゃっているのか、そこのところを明瞭にしていただきたい。
○政府委員(石原周夫君) 私どもいろいろな作業をいたしておりまして、定義のいかんによりまして、相当数事が多くなりますから、むしろ誤解のないように一般的にここではお答え申し上げた万がいいと思ったのであります。それは定義のつけようによりまして二百億とか三百億とかいうふうに動くのでありますから、あまりきっちり何はどうということを出し上げることはかえって誤解を生ずるかという感じがいたしますので、一般的な意味で申し上げたので、そういうことで御了承願います。
○佐多忠隆君 しかし、当然自然増と新規政策、それは若干の出入りはありましょうけれども、大きく判断をいろいろに変えるようなほどの大きさではないのじゃないか、しかも今までやられたことによると、これも私非常に記憶がはっきりしないので特にお尋ねをしているのですが、もう少し大きな新規財源増があったはずじゃないか、それに対して今度は非常に少ないので、そこが今度の予算編成の非常に重要な態度をきめる場合に問題が出てくると思うのです。従ってこの点は、今資料がないのかどうか。お作りになったことがないのかどうか。いやそういうものはちゃんと資料を作ってあるのだけれども、今ここに手持ちがないから出せないというふうにおっしやるのか、そこのところをはっきりしていただきたい。
○政府委員(石原周夫君) 今手元に持ち合わせがございませんので、大体の印象を申し上げたのであります。
○佐多忠隆君 それならば至急取り寄せて、それを数字的に正確に説明をしていただきたい。どうも外務省でもそうですが、特に資料その他は十分に整備しておられるはずの大蔵省がそういうことを言われる。特にある数字をここに持ってきておられない等のことはまことに困ると思います。もう少しそれらの点は資料を作られることも、それから作った資料をちゃんと手持ちしていること等ももっときちっと準備をしおかれたらどうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来お答えしておりますように、当然増だとかいうものをどういうように見るかでだいぶ数字が違ってきます。従いまして、大体予算がどれくらいふえておるかという程度なら、これはもうすぐ出てくることでございますが、当然増というものからその全額を出せと言われることは相当時間をかけないと、前もってそういうお話を伺ってないと、これは少し無理な話ではないか、さように考えております。
○佐多忠隆君 そうすると今の大臣のお話では、そういう資料は今まで作ったことがないと――手元に、ここにないのじゃなくて、大蔵省としてそういうものは作ったことがないと、こういう意味ですか。今の主計局長のさっきの話ではそうではなくて、そういうものをいろいろ作ってあるが、向こうにはあるが、ここに、手元にはないからすぐに問に合言わないと言われたんですが……。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、先ほども少し御説明しましたと思いますが、主計局長が申しておりますように、当然増というものの考え方でこの数字が変わりますから、従いまして、どういうものと言われると、今までそういうものを作ってはおらないと思います。で、総体の予算、予算の金額がどういうふうにふえているかというようなことでいつも判断をして参っておる、それが多いのでございます。ただいま申すように、当然増というのもやはり予算の増加のうちに当然含まれて参りますから、予算規模自身ということでいつも考えておるということでございます。
○佐多忠隆君 それは予算が編成されてしまって、できた予算について規模がどういうふうに変わってきたかということは、それはもうあなた方にお示し願わなくったって、われわれ自身でできることなんです。ただ、私が当然増あるいは自然増、そういう形において新規財源がどうなるということは、例年どういうふうにこの数年間変化してきたか、この来年度丁、編成がそれらの点においては一つの転機にきているのではないか、私はばく然としかわからないから、この点は数字的には当局から示してもらって、その上でなければ具体的な判断ができないと思うがゆえに、私は特にこの点をお願いをしておる。それでなければ、私だって数字は拾えますよ。
○政府委員(石原周夫君) 予算の編成の前後におきまして、いろいろ基礎的な計数の取りまとめをやっておるわけであります。ただ、先ほど来申し上げておりまするように、当然増、政策増というようなことの限界がきわめて不明なものでございますから、従いまして何年の政策増は幾らか、何年は当然増が幾らだったというような意味におきまして、ここでお示しを申し上げ得るようなものはちょっとできておりませんということを申し上げておるわけで、この点は繰り返して申し上げまするように、非常に数字が相当な幅で動くものでありますから、今ここでお示しを申し上げるようなものはできておりませんというふうに御了承願いたいと思います。
○佐多忠隆君 それは、それじゃ数字として一応過去数年のそういうものを至急に、あとでいいですから数字を検討していただいて、資料として提出をしていただきたいと思います。よろしゅうございますね。 今までのお話によって、大体今三十五年度予算を編成するに直面をして、その現実の実情がどういうふうになっているのかというようなことはあらましわかるような気がいたしますが、それらの現実を前提にして、三十五年度、の予算編成における問題点を大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておるか、どういう点が問題になるというふうに今は検討をしておられるのか、その点のあらましの御説明を願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど支出のそれぞれの柱になるようなものを五つばかり示しましたが、これらのものが今日当面しております経済にどういうような影響言を持つか、予算規模がどういうような影響を持つかということで、経済の動向と十分にらみ合わしておるつもりでございます。経済の動向で、最近特に私どもが気をつけなければならない問題は幾つもあると思いますが、最近の活発な経済活動、これが一体どういうようにこれから推移していくか、あるいは今、物価の動向が一体どういうふうになっていくか、あるいは金融基調にこれが変わりがないか、あるいは設備投資意欲の強さがどうなっているか、これらの国内問題を中心にして考えまして、さらにそれが国際貿易の面に今後どういうような影響を持つか、それぞれの観点から十分検討を加えていきたいと、かように実は考えておるのでございます。
○佐多忠隆君 今お話の点で、特に物価の問題が出ましたが、物価の問題を、最近の実情から、来年度にかけてどのようなふうに予測をされているか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはなかなかむずかしい問題ですが、最近までの物価の動向は、景気を反映いたしまして、いわゆる強含みであるということはこれはもう見のがせない事実でございます。特に伊勢湾台風の後におきましては、建設関係の資材など相当物価が上がって参っております。あるいはまた食種の一部です、肉その他の関係で相当高くなっております。こういうものを除きましては、その他一般の物価は大体横ばいか、また動くにいたしましてもコンマ幾らという程度の動きのように思いますので、大体横ばいの状況と見ていいのじゃないかというような見方をいたしております。ことにこの物価を左右するのに、需給の関係で、この需給の関係から物価の変動を来たしておる、特に物価の騰勢を来たしておると、こういうような生産状況のものがあるか、言いかえますならば、生産上の隘路とでも申しますか、そういうものが出てきているかどうかということでございますが、比較的今の状況では、特に取り上げて、声を大にして注意しなければならない、それほどの心配は実はないのではないか。しかしもちろん、あるいはその輸送の画で滞貨ができたり、あるいは電気銅、アルミ等、やや物価が高くなっておるとか、こういうものもありますので、これは見のがすわけには参りません。電気、電力自身も、やや十二月などになって参りますと少し不足の状況になりはしないか、こういうように思いますが、こういうものは、ただ、やや非常に活発になってきた。それから一般の操業度等もただいま八〇%程度になっておると思いますので、これらの点で注意は要しますが、いわゆる隘路を形成して、その結果物価をつり上げていると、こういう状況ではまだないように考えております。
○佐多忠隆君 物価の問題を非常に楽観をしておられるのですが、三十四年度予算を編成されるとき、経済の見通しとしては大体物価は横ばいだというくらいの間に三%も上がっている、これはある意味では、急上上昇をしたというふうに考えていいのじゃないか。そうだとすると、号最近になって急上昇をしておるわけでありますから、これは今年度中においては相当な値上がり考えなければならないし、従ってこれが来年度継続をする、特に補正予算あるいは来年度の予算編成の結果によって、さらに大きな上昇をするというような予側も考えられる。特に国際的な物価の強含みというような問題を考えると、それらの点はもっとやはり警戒的に考えなければならないのじゃないかと思うのですが、その点を大蔵大臣どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今、物価が年率換算で、総体で五%上がったということをお話しになりましたが、私どもの統計ではそういうようにはなっておらないのです。どういう統計をとられたか……、ことしの三―九月の上昇率は総合で八%、食糧を除くと一・六%、こういうことになっております。各品で相当違っておりますが、比較的上昇いたしましたものは金属があると思いますが、金属が三十九月間で、これは三・三%、これは年率にすれば六・六%、こういうことになるようです。あるいは鉄鋼が四・四%、これは年率にして八・八%、これなどは先ほど申しますように、台風の影響の建築資材、こういうことも実はいえるのじゃないかと思います。しかして私はこれが、先ほど来申しますように、生産の隘路からきた、こういうことだとよほど警戒を要することだと思いますが、これがいわゆる生産の隘路じゃなくて、国際物価にだんだん近づいているとか、こういうような点を考えると、この程度の動き、しかも非常に季節的な動きは、もちろん楽観する筋ではございませんが、絶えず注意はしなければなりませんけれども、この一事で、非常な危険な状態だと、かように言うことは言い過ぎじゃないかと、こういう言い方を実は私はいたしておるわけであります。誤解のないように願いたい。
○佐多忠隆君 非常に季節的なものであり、あるいは物資需給についてはそれほど窮迫をしていないのだというようなお話でありますが、それらの点はもっと後ほど論議をすることにして、それならば、今申し上げたような事情で、問題はいろいろあると思いますが、一番やはり問題は何といっても治水事業あるいは治山、そういうものの拡充という問題だと思うのですが、これは新聞の伝えるところによると、あるいは特別会計を作って新しい拡充計画を推進をするというようなお話があるようですが、これまでわれわれに示されたいわゆる長期計画、五カ年計画と、今新たに考えておられる五カ年計画、特に新たに考えられた五カ年計画の場合に、事業総額あるいはそれの特に国庫負担分、そういうものがこれまでのものと対比してどういうふうに変わっていくのか。それからさらに制度としては新規に特別会計を設置するというようなことも伝えられておりますが、これについてどういうふうなお考えを持っておられるのか。まず建設大臣から御説明願いたい。
○国務大臣(村上勇君) 建設省におきまして策定いたしておりまする治水五ヵ年計画につきましては、その基本的なものは変わるわけはありませんが、今次伊勢湾台風の被害の非常に甚大にかんがみまして、特に東京湾、あるいは大阪湾、また有明湾等の海岸堤勢の状態等を検討いたしますと、すでにわれわれの策定いたしておりまする五カ年計画にいささか追加しなければならないと、かように思っております。検討の結果につきましては、まだはっきりしたことは申し上げられないと思いますけれども、大体、河川あるいは砂防また高潮対策等の事業費として二百七十億程度を増加すると思います。従いまして国費では二百十億程度であります。なお、特別会計につきましては、ただいま政府部内におきましてあらゆる角度から検討いたしておりますが、いずれにいたしましても治水事業閣僚懇談会におきましてその結論を得た上ではっきりと決定するものと、かように思っておるのであります。
○佐多忠隆君 今のように規模が若干追加して拡大をされる、のみならず、今、問題は特別会計という新しい制度に変わるかどうかという題であると思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(村上勇君) 建設省といたしましては、とうてい事業の規模から申しまして、一般会計のみではまかない切れないだろうと思います。従いまして特別会計をここにどうしても設けてもらいたい、かように思って今各方面と交渉いたしておる次第でございます。
○佐多忠隆君 その点についそ大蔵大臣はどういうふうに……。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま建設大臣からお答えいたしましたが、基本的には治山治水計画、こういう長期計画を持つかということでございます。で、建設省はすでに長期計画を持っておりますが、さらにこれに対して、最近の海岸の関係から、あるいは東京、あるいは大阪、あるいは有明だとか、こういうようなところのものをも含めての一つの災害対策事業というものを考えている。もう一つは、農林省関係の治山の問題とか、こういうもつのを合わしてどういう規模になるか、これをきめることがまず第一ではないかと思います。その第一の規模がまだきまっておりません。それぞれの関係のところで、それぞれの希望のものがあるようでございますが、しかもこれは長期計画でございますから、その長期計画五年なら五年というものがどういうような計画を立てるか、これがまず第一の先決問題になるように思います。この長期計画が立たないうちに、ただいま言われております特別会計の扱い方というものを最初からきめてかかることはまだ早いように思います。ただいま建設大臣もお答えいたしておりますように、おそらく一般会計だけではまかなえないだろう、そういう意味で特例会計を、こういうことを言っておられるようでありますから、まずその規模をきめてかかる、しかる上で事業遂行をいかにするかということを考えてもらいたい、かように私ども思っております。
○佐多忠隆君 そうすると、大体建設大臣の事業費総額あるいは国庫負担に関する数字その他は建設省限りの数字である、まだ政府自体の数字じゃないのだというふうな意味ですか。
○国務大臣(村上勇君) 建設省といたしましては確信を持った数字でありますが、これを経済企画庁、あるいはまた大蔵省等におきましては、その規模等についていろいろと議論があります。その議論を調整いたしまして、そこにはっきりした治水事業の五カ年計画が決定されるものと思いますが、これの審議に当たりましては治水事業閣僚懇親会で万事その数字を取りまとめるということになっておる次第であります。
○佐多忠隆君 そうすると、まだその規模自体、あるいは事業費総額自体が確定をしていないというふうに考えていいかと思いますが、先ほどお話のあった当初の五カ年計画、これは三千五百億ですか、事業費総額、これは一体、今までの決定は政府内の第一次五カ年計画として政府全体として決定をしていたのかどうか。そうでなくて、ただ建設省だけで一つの見通しとして話があっただけなのか、その点はどうなんですか。
○国務大臣(村上勇君) 建設省としては、いわゆる五カ年間に三千五百億程、度の事業を遂行することによって、従来の十年間平均二千四百億円という毎年のこの被害を、この事業遂行によって一千億程度被害を軽減することができる。こういうような見地から三千五百億程度のものをどこまでも施行して参りたい、というのが従来からの建設省の考え方であります。従いましてそれをもって、建設省の意見としてはそういうようなことになっておりますが、これに対しまして経済全画庁、あるいは大蔵省等において、それぞれの意見があるようでありますので、まだはっきりとこの建設省の五カ年三千五百億円というものが政府部内で決定いたしたものではありません。
○佐多忠隆君 そうすると、それ自体が非常にまだ不確定なものであり、それからもしそういうふうにきめるとすれば相当大きな金額を必要とすると思うのですが、それ以外にいろいろ先ほどの御説明の社会体障関係その他の当然増もあるし、これらも十分に配慮をしなければならない。にもかかわらず今のような予算の歳入歳出の規模でありますから、当然増だけは社会保障その他を何とか見ても、それ以上の新規のいろいろな政策その他は何ら考慮されない。そういう意味では、先ほど木村委員が指摘をしていた、非常にそういう問題は困難になっており、むしろ削減をされていく危険があるのじゃないか、圧迫をされているというようなことを指摘をされたのですが、そういうふうに考えざるを得ないと思うのでありますが、それとの関連において特に問題になりますのは、先ほどもお話のあった防衛力増強に関する経費でありますが、この点については、これまで防衛庁自体の経費はどういうふうに増加してきたか。それをまず示しそいただきたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) 防衛庁費は昭和二十九年が七百四十三億、三十年が八百六十八億、三十一年が一千二億、三十二年が一千千億、三十三年が一千二百億、三十四年が一千三百六十億と、こういうふうになっております。
○佐多忠隆君 今お示しになった数字によりますと、昭和二十九年以降百五十億あるいは二百億づつ大体毎年増加をいたしておりますが、そしてまたMSA援助協定その他によって、さらには一昨年ですか、きめられた国防の基本方針によって、さらに漸増をするというふうにきめておられると思いますが、そういう意味においては、来年度予算もまた増加をするというふうにお考えになってるのかどうか。
○国務大臣(赤城宗徳君) 予算全体の規模もあるかと思います。防衛庁といたしましては国力、国情に応じて予算合体のワクの中で漸増を期待しております。
○佐多忠隆君 現在軍縮あるいは軍備撤廃が非常に大きな問題となって考慮をされはじめている。従ってそれに関連をして世界各国においては軍備費を増強しない、少なくとも金額はストップしておくというのが世界的な状況であると思うのですが、これに対して防衛庁長官あるいは大蔵省大臣さらには外務大臣は、おのおのそれらの軍事費に関連をする世界的な情勢をどういうふうにお考えになっておるのか、御説明を願いたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 東西両陣営の雪解けということに伴って軍縮をしていこう、こういう傾向にあるというふうに私も承知しております。従って各国とも軍事費はなるべく増さないような方向に進んでいると思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 各国の世界の情勢はただいま防衛庁長官がお答えした通りだと思います。わが国の防衛費のあり方でございますが、これは国防会議におきまして防衛力増強計画を立てましてただいま実施中でございます。最近新聞等におきまして第二次防衛計画云々の記事を散見するのでございますが、この点は防衛庁長官も他の委員会でお答えしたことと思いますが、まだ国防会議にかかっているものではございません。私ども、わが国の防衛庁費をいかに扱うべきかということは、これは一般の産業なりあるいは国民所得なりあるいは国民経済なり、そういうものと実は関連を持たして考えて参るのでありまして、いわゆる国防の見地に立ってのみの防衛力増強でなくて、わが国の国情並びに国力に相応した漸増計画を立てておるわけであります。 ところで来年度の予算編成に当りまして、一部言われております戦闘機の新規採用もございますが、私どもは防衛費としてはこの際にはこれを激増させたくない、という考え方で対処して参る考えでございます。ただいま具体的にどういうことになるのかという点につきましては、そのときどきの経済情勢なり一般の政策と十分にらみ合わせて、そこには相当ゆとりのある処置をとらなければならないと思います。過去におきましても二十九年度、三十年度、これはほとんど防衛庁も防衛庁費に増減がない、こういうような事態もありますし、最近の三十一年度も三十二年度も大した変わりはなかったように思いますが、そういうようにそれぞれの経済力と見合ってこの点を取り上げて参るつもりでございます。
○佐多忠隆君 激増しない、従って漸増程度だというふうに言われたいという気持なんでしょうが、しかし私が先ほどからお尋ねしているように、世界的な情勢はどうかという問題でありますが、あまりお答えがないようですが、アメリカでは申し上げるまでもなくトルーマン自身が指示をして、これまでの四百十億というワクをこえてはならない、少なくとも四百億ドルを目標にして軍事費の編成をすべきだということをやかましく言っておる、これが一つの目安になっておると思うのです。この点は単にアメリカだけでなく西ドイツにおいても、同じように来年度以降は防衛費をふやさないという方向で問題を措置していきたい、こういうふうに言っておるのみならず、イギリスではむしろ若干減少をせしめようという方向で、軍事費の問題なり防衛力の問題が考えられておると思うのです。これらはひとえに現在の軍備撤廃の問題、あるいは少なくとも縮小の問題等を考慮するし、さらにはアメリカにおいては合後の景気の行き過ぎ、インフレの危険、そういうものも考慮しながらそれらの問題が考えられておると思うのですが、それらの界的な情勢その他を考えるならば、日本としてはもう増加をしない、漸増方針というような問題はこの際あらためて再検討をして、増加をしない、ストップする、さらにはそれを漸減をして廃止の方向に持っていくということを今この時点、時期においてやらなければならないときになっている。それは世界的な情勢がそうであるのみならず、国内における今私が聞きました予算事情等から見ても、その点は特にやかましく主張されなければならないと思うのでありますが、この点をどういうふうにお考えになるか、これは大蔵大臣にお聞きをしたいのですが、その前にまず防衛庁長官から御説明を願いたい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 日本の防衛費は御承知の通り国民所得から見ても一・七%程度でございまして、国民所得に対する比率から見ますと世界でも最も低いところにあります。予算に対しましては約一割と、こういうことに相なります。ことに日本の防衛カは終戦後ゼロから出発して、先ほど木村委員から御指摘がありましたが、了援助等に頼っておるところが非常に多いのであります。この援助等も無償援助はだんだん打ち切られる、こういう傾向にありますので、コスト・シャリングといいますか有償援助に切りかえたいと、こういうふうに思っております。そういう諸般の事情から考えますならば、日本の防衛力というものはやはり同力、同情に応じて、まだある程度増していかなければならないと、こういうふうに考えておるわけであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま防衛庁長官が申しますように、わが国の防衛費の国民所得に対する割合は、三十二年以降一・七になっております。それから一般会計と防衛費のパーセンテージを見ますと、二十九年が一三・三%、それからあとは三十年一三・一、また三十一年一三・六、三十二年一二・四、三十三年一二・四、三十四年一〇・六と、実は一般会計の歳出に占める割合は順次パーセンテージも減って参っております。問題はこういう予算規模自身が変わってきた、あるいは国民所得会体がふえました場合に、総額としては幾分かふえましても、いわゆる一・七という非常に低い負担、これを見ますと、独立国家としてこの程度の防権力、これは必要じゃないかという見方もあるのじゃないかと思います。一般に軍縮傾向にある、さらにそれが軍備撤廃の方向に進んで参りますならば非常にけっこうでありますが、国内の治安維持というような観点に立ちましても、ただいま言われる程度の防衛庁費というものは独立国家として普通計上されるのじゃないか、かように考えております。ただ私ども考えますのに、防衛庁の関係の費用は非常に一般国民生活を圧迫するとか、あるいは民生に悪影響を来たす、こういうようなたえられないものは計上する考えはございません。そういう意味で漸増ということを申し上げましたが、漸増は必ずしも率自身を高めていくということを意味しておるものではございません。この点誤解のないように願いたいと思います。
○佐多忠隆君 いや、漸増は率を上げるものではないと言われるけれども、絶対金額は逐次上がる、それからそれを上げることで漸増方針をきめておられると思うのですが、今申し上げたように世界的な情勢は逆な方向へ行っておる。のみならず日本の現にことし当面をしておる財政事情は増加を許さない、そういう事情にあると思うのです。のみならず、どうも今防衛庁長官のお話を聞いておりますと、ちょうど日米安保条約が改定をされるときでありで、その改定に関連をしてさらに新しい増強計画が作られなければならないというのが、どうも防衛庁当局なり政府の考え方である。先ほど示された防衛庁費の増高から見ても、三十二年度以降が特に大きく増強されておる。これは国防方針がきまってからだと思うが、しかもそれが国防方針をきめられる前に、岸総理が渡米をされる前に防衛の第一次計画をきめて、それをみやげにこの間は行かれた。今度は一月十五日に出発される、そのためにそれのおみやげとして第二次防衛計画を来年の一月の十日までにはきめて、それをおみやげに向うに持っていって、同時に日米安保条約の改定をやろうということが計画をされている、と伝えられております。防衛庁長官はそういうつもりで今度の二次計画をおきめになるのかどうか、しかもその第二次計画がきめられた場合には、大蔵大臣はそれをそのまま受けて来年度の予算編成に織り込まれるつもりなのかどうか、これら一連のものがすべて安保条約改定に関連をする問題と私たちは考えるのでありますが、その点をどういうふうにお考えになるか。 さらに、時間がありませんから私はここで一括して申し上げておきますが、安保条約の改定をやられるという話が出てきたときに、安全保障に関する日米共同委員会なるものが設けられて、この会合を数回やられた、しかもその数回やられた内容がどういうものであったか、少なくとも経過的な議事録程度のものはおありであると思うから、それに基づいてその点の御説明を願いたいことと、それには共同声明を発表しておられるので、その共同声明を資料として出していただきたいと思うのですが、外務省はこれまでしばしば要求をしているにもかかわらずそういうものを何ら出しておらない、そういうものを秘密にした。
○委員長(小林英三君) 佐多君、御発中ですが、ちょっと御注意申し上げます。もう時間も相当経過しておりますので……。
○佐多忠隆君 だから一括して今まさにこれから始まるところを(「議事妨害か」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)……。
○委員長(小林英三君) 時間が超過しておるということを御注意申し上げます。あなたの持ち時間が終了をいたしておるということを申し上げております。(「発言中だ」と呼ぶ者あり)発言中ですがと申し上げております。
○佐多忠隆君 それらのものを秘密のうちに進めて、安保改定を強行をしようとしておられるとしか思えないのでありますが、それらの資料はいつお出しになるのか、それもあわせて責任をもって御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(赤城宗徳君) 防衛の第一次計画というものができておりまして、これは三十五年度が終期になっております。大略を申し上げますれば、陸は十八方、あるいは船でいえば十二万四千トン、飛行機は千三百と、こういうことで第一次計回が三十五年度を終期といたしておるのでありますが、その第一次計画が達成されないものや、あるいは延ばすものや、変更をされるものが生じてきておるわけでございます。そういうことでありますので、防衛関係といたしましては、やはりその年その年で業務計画は立てますが、ある年度を画して計画を立てる必要があります。第一次計画がそういうふうに達成されなかったり、延ばさなくちゃならなかったり、あるいは変更さるべき年に際会しておりますので、ことしの六月ごろから第二次計画の策定を防衛庁内でしてきておるわけであります。別に安保条約と関係を持ってやっておるわけではございません。そこで、その策定をしておるときに、今三十五年度の予算組成に際会しております。でありますので、当初の考え方といたしましては、三十五年度を始期として四十年度を末期とした六カ年、こういうことで内部で策定をしておったのでありますが、予算の策定を控えておりますから、三十五年度の予算を控えておりますから、今のところこれを国防会議に出すということになりますならば、三十五年度の予算をも拘来するような格好になると思いまして、私どもは差し控えておるわけであります。でありまするので、三十五年度の予算の策定が大体済みましたあとで、三十六年度を始期として四十年度を末期とした第二次国防計画を国防会議に提出したい、こう考えております。しかし、このものは別に総理がこれを携行してゆくとか何とかということは、私どもは関連を持っての話ではございません。それから、この計画は一応の目標でありまするから、この計画によりまして毎年度の予算を拘束させる、こういう意味を持っておるわけではございませんので、毎年度、毎年度には業務計画ができまして、業務計画に沿うてまた予算の折衝、こういうことがあるのであります。しかし、私どもといたしましては、国防の関係から見まして、長期の計と画は必要だ、こういう観点に立ちまして、今策定を進めておるわけでございますが、国防会議にかける時期等につきましてはまだ決定いたしておりません。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 安保条約の関係におきます書類その他のことにつきましては、ただいま検討中でありまして、まだ最終的結論に達しておりませんので、はっきりしたことは申しかねるわけであります。また日米共同委員会におきましてどういうことをしておるかと申しますと、日米共同委員会の目的にございましたように、われわれは話し合いをいたしておるわけでございますが、今日までやりましたことにつきましては、たとえば国連憲章に準拠する――現在の安保条約は国連憲章に基礎を置いておりません、準拠しておりません。従いまして、それに準じて取り扱うということでありますとか、また安保改定の問題についても話し合いをいたしましたし、また防衛庁長官といたしましては、先ほどもお話がありましたように、自衛隊の装備の改善、その他についての意見の交換もしておられるのであります。毎回の会合についての、お話のありました声明につきましては、一回ごとに声明を出しておりまして、それを取りそろえましてお届けすることにいたしたいと思います。
○委員長(小林英三君) 佐多君の質疑は終了いたしました……。
○佐多忠隆君 今のをもう一ぺんちょっと念を押して、もうやめますが、防衛庁長官は、この第二次防衛計画は、安保条約と関連をするものではないし、また安保条約改定と関連するものではないし、従ってまた、総理がこの案を携行するという性質のものでないから、そういうことは考えていない、というふうな御答弁でありました。しかし同時に、予算がきまる前にはこれをやらないが、予算がきまったらやるというふうに言っておられますが、伝えられるところによると、予算がきまると、ことしの暮れあるいは来年の一月十日までにこれをやって、そうして総理に携行させるということがかなり確実らしいものとして報道をされて、そういうことは絶対にないんだと、しかも今お話しの三十六年度以降の計画であると言われるのならば、その必要は絶対にないと思いますがゆえに、そういうふうにここで言明をされるかどうか、その点を特に確かめておきたいと思います。同時に……。
○委員長(小林英三君) 佐多君、時間が超過しましたから、中止いたします。超過いたしましたから、許しませんよ。
○佐多忠隆君 同時に外務大臣は、日米共同委員会でいろいろ輪議があったということですが、ここではすでに記録がはっきりしておりますように、極東の戦略体制、それから海上、空軍等の防衛体制についてもっぱら議論が行なわれて、その話が済んだあとでこの安保条約の改定の条約的な問題が行なわれておる、こう私は思っております。従って、この点は資料が出てからさらに検討をいたしますが、至急にこの資料をお出し下さることを要求して、私の質問を終わります。ただその言明だけはして下さい。
○国務大臣(赤城宗徳君) 第一次計画にいたしましても、第二次防衛計画にいたしましても、安全保障条約に全然関係ないとは言いません、直接関係ないということであります。 それから、それを一月中に第二次計画を国防会議にかけて、総理が携行するのかどうか、これは私は存じておりませんが、携行しないだろう、こういう私は考えでございます。
○委員長(小林英三君) 佐多君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(小林英三君) この際、安保改定の日米交渉に関する資料要求に関連いたしまして、特に亀田得治君に五分間の質疑を許します。
○亀田得治君 ちょっと議事進行ですが、十分間というふうに私委員長から言われていて、そのつもりでいたんですが、いつの間にそういうふうに手分になったんですか。
○委員長(小林英三君) さっき自民党の理事の諸君も言って、私も言って、あなたの御了解を得て五分間にいたしました。
○亀田得治君 委員長の方からは十分と提案されて、われわれが了承しておるものを、あとからあなたの方から半分にせいと言われても、それは了承できぬ、そう言うておるわけなんですよ。だからその点の経過を含んで運営されれば、私は特に訂正を求めるまでのことはいたしませんがね、いいですか……。 私、その議事録の問題についてお伺いするわけですが、ただ私の今までの質問の中で、外務大臣として調査するということが一つありましたので、本論に入る前に一つお伺いしておきたい、これが最後ですから。二十の日にベトナム外相が餓死者二百万人ということを記者会見で言うた。この点をあなたは調べるとおっしゃったんですが、どういうふうな状況でありましたか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま調査中でございますので、いずれわかると思いますけれども、まだ正確な回答がきておりませんので、回答次第お答えいたします。
○亀田得治君 これはちょっと、委員長、議事進行。こんなもので私は再発言したくないんですが、ベトナム賠償で今あなた重大な問題が起きているときに、こんなことはあなたさっそく調べるべきことじゃないですか、おかしいですよ。
○委員長(小林英三君) 亀田君の御質問は、日米交渉に関する資料要求に関連しての御質問ですね。
○亀田得治君 まあそうなんですけれども、ただ私時間の範囲内で……。
○委員長(小林英三君) いや、これは理事会で御相談申し上げましたのは、私が先はどから申し上げておりますように、安保改定の日米交渉に関する資料に関する問題としてあなたに質問を許したのです。ですからそのほかのことは御遠慮願いたいと思います。(亀田得治君「委員会として正本明確なんです、調査するということになっていて」と述ぶ)いや、今はっきりと亀田君に申し上げております。
○国務大臣(藤山愛一郎君) この間の亀田さんの御直間は、ベトナムの外務大臣がマレー、もしくはその他の地区でいろいろいったということでありますので、ただいま調査をいたしておりますが、若干日がかかりますけれども、調査次第お届けをすることにいたしたいと思います。
○委員長(小林英三君) 亀田君にお願いいたしますが、これは委員長が発言を許しましたのは、安保改定の日米交渉に関する資料の問題に関連しての御質問に願います。
○亀田得治君 念を押しておきます。新聞報道のような事実があれば、取り消しを求めますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 新聞報道でありますから、正確であるかどうかはわかりません。従って、それらの点について事実を調査した上でなければ、今何とも申し上げかねると思います。
○亀田得治君 それから、日米会談がその後も行なわれたようですが、それはいつでしたか。内容と……。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 土曜日に行ないました。そして内容につきましては、安保条約改定に伴います行政協定の問題について論議をいたしました。
○亀田得治君 それは妥結したんですか。あとにさらに予定されておる日米会談はいつになるのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) まだ完全にすべて妥結はいたしておりません。行政協定につきましては、従いまして今後まだ会合をしなければならぬのでありますけれども、時日はただいま私が議会等で忙しいものでありますから、決定をいたしておりません。
○亀田得治君 じゃあ私は本論に入りますが、この十六日のこの委員会で、最初は、外務大臣の答弁がはなはだ不明確だから、議事録を出してもらいたい、これに対しては外務大臣は断わった。そこで仕方がないから私も譲歩をいたしまして、十六回の日米会談について日付順に決定事項を明確に整理したものを出してもらいたい、こういうまあ要求もいたしましたが、これに対しても消極的にお答えになった。それから理事会でいろいろ相談をいたしまして、委員長からもこれはあなたの方に交渉があったはずですが、それでもこれはどうもいけないというふうに委員長からはこれは開いております。そこであなたにお聞きしますが、これはわれわれ議員としての非常に重要な、これは要求権なんでありまして、予算委員会が外務大臣に対してその提出を求めることを委員会で決議したならば、あなたとしてはお出しになる気持があるかどうかを端的に聞いておきます。
○国務大臣(藤山愛一郎君) もちろん予算委員会が資料の要求に対して御決定がありますれば、われわれはそれにできるだけ対応して参らなければならぬことはもちろんでございます。ただ現在外交交渉が進行しておりますその間におきましてそれらのものを出しますことは、相手国のありますことでありまして、日本が一方的にそれらのものを出すわけには参らないのでありまして、その点は御了承を願わなければならぬと思います。
○亀田得治君 この委員会が決定しても出せない、そういうことをどうして言えるのですか、感じだけではだめですよ。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 申すまでもなく、外交交渉でございまして、その交渉の過程におきまして記録というものを一々世間に発表することはできないわけであります。しかも日本側がこれを一方的に発表するということはとうてい許されるべきことではないわけであります。これは相手国がどこでありましようとも、やはり両国同意の上で出すのが慣例でもございます。従ってその意味においては出せないものはどうしても出せないと申し上げるよりほかないのでございます。
○亀田得治君 あなたは最初からもう出さないつもりでそういうことを言っておるからだめなんです。あの国会法の百四条に基づく私たちの要求権ですね、これは何らの例外はないのですよ。出さぬのなら、その根拠を示してほしい、法的な根拠を、どういう根拠に基づくか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん国会法によりまして、われわれは国会法に準拠して、できるだけのことはいたさなければならぬことは当然でございます。しかしながら、外交上の秘密、交渉上の秘密ということは、これは厳に守って参りませんければ、国際信用にも関することでございまして、国際的な慣例でもございます。従って一方的にこれを破るというわけには私はいかないことだと考えております。
○亀田得治君 そんなことはないんですよ。国会には秘密会があります。秘密会の議事録は削除することもできる。それから、おそらくアメリカの国会にしたって、必要なことは一方的にそういうことをやっていると思う。外部に発表するのじゃない。内部だけで十分説明を聞くというようなこと、それから前例から言っても、そういう措置はないんですよ。私調べましたが、委員会が要求して出さなかったことは三回ございます。しかし、これは全部政府自体として手の届かないところの問題についてのものばかりです。不可抗力の問題です。政府の手元に問題があって、それを出さないといったような前例はありませんよ、国会に。(「外交上の問題だから」と呼ぶ者あり)外交上の問題なんて、そんなことはわかってるよ。たとえば民訴にしても、あるいは刑事訴訟法にしても、どういう問題でも、たとえば証言を拒否するとか、そういう場合にはみんな法律上の根拠がある。こういう場合には拒否できる、証言を拒否できる、あるいは損出を拒否できる――この国会法の百四条にはそんなものはないんです。(「国会法知らないんだ」「外交上のことだから仕方がない」と呼ぶ者あり)うるさいことを言うなよ、君ら。まじめなことを聞いてるんだ。法律上の根拠を明確にしてほしい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん国会法によりましてわれわれは提出しなければならぬことは、承知をいたしております。しかしながら、外交上の関係におきましては、やはり相手国との話し合いによってすべての問題を解決していかなければならぬのであります。従って今日の段階においてそういうものを出しますことは、外交上の慣例からいいましても適当でないわけでありまして、その点はお許しをいただかなければ私はならぬと思います。むろん条約の批准を国会にお願いいたしますときに、それらに関係しまして、どう論議が起こったかというようなことは、私からいろいろ申し上げる機会があろうと思いますけれども、現在の段階におきまして、交渉の内容を一々、逐一発表いたしますことは適当でないと思いまして、どうぞその点をお許しをいただきたいと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)
○亀田得治君 こんなことを、その通りといっているのは、国会法を知らない人だ。 たとえば、国会で証人を呼んだ場合には証言を拒否する場合があります。しかしその場合は、最終的に内閣が、これは国家の重大な事項だという声明を発しなければ、その証言は拒否できない、どんな秘害なことであっても……。これは法律上、明確にちゃんとされておるわけなんです。国会決の百四条には、そういう例外規定等はない。それを単なる一大臣の主観的なことで、そういうことをされたら……。それが乱用されたら、各大臣ともみんな提出したくないという資料等があれば、みんなそういうことでやられたら、これは大変なことになる。そうじゃないですか。
○委員長(小林英三君) 外務大臣にちょっと申し上げますが、当委員会では、今亀田君の言うような要求はいたしておりませんから、それをあらかじめお含みおきをお願いいたします。
○亀田得治君 議事進行……。そんなことは私は初めから言っているでしょう。外務大臣に、もし、委員会できめれば出すかという前提で開いておる、大事なことだから……。 ところが、実際問題として外務大臣が委員会できめれば出すということになれば、これは私は委員会は、満場一致できめてもらえると思う。(「満場一致なんて……」と呼ぶ者あり)そんなものですよ。外務大臣が出すというのに、委員諸君が、それの提出をはばむ理由がどこにありますか。おかしいですよ。君らは国会議員の特権というものを知っていないのか。ばかげたことを言うなよ。そんなことは、委員長が言わなくたって、その前提でこの問題を私は聞いている、解釈として……。
○委員長(小林英三君) 委員長は、前回の理事会における模様をよく承知しておりますからこれを注意している……。
○亀田得治君 外務大臣の言われておるのは、単なる普通の何と言いますか、古い常識です。きまったことをきちっと整理して出して下さい。きまったいきさつなどを書いていてくれとは言っていないでしょう。きまった結論について、それを整理をして出してもらいたい。こういうことが、一体国家の重大な利益をどうして侵害することになりますか。
○委員長(小林英三君) 亀田君、五分たちました。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 申すまでもなく今日交渉の過程にございます。でありますから、むろん交渉中には、一応きめて参りました問題も動くこともございます。それらの問題については、交渉が妥結しませんければ、最終的に、これで全部決定したというわけには参りません。 そういう意味において御了承を願いたいと思います。
○亀田得治君 まあ交渉の過程にあることは、これはわれわれも了承しております。しかし交渉自体が、はなはだ不明瞭だ、あなたの答弁も不明瞭だ。そういうことから、これは要求が出てきておる。おそらく国会の論議を見ておって、この問題については、だれだって不明確でよくないといっているじゃないですか、そういう不明確なことが……。 そういう事態であるから、私はこれを出すことがむしろ国の利益になる。そうしてみんなの、批判を受けた方がいいんですよ。その批判が、むしろ日米交渉に対する……。まああなたたちの立場はあるでしょうが、政府の立場から見たって、いろいろな世論が、それを土台にして起きてくる、これはいいことじゃないですか、交渉の過程にあることに対して、いろいろな世論が出てくる、これが一体悪いことだと、あなたはお考えですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 交渉の過程におきまして、いわゆる世論と申しますか、国民各層に交渉を理解してもらうということは、これは非常に必要なことだと思います。 従って私にいたしましても、できるだけの機会に、交渉の内容等につきましては、言える限りのことは、ある程度申しておるわけであります。また中間報告等も喜んでいたしておるわけでありまして、私は決して、それを秘匿しようという考えはございませんし、今お話のように、国民が心配しているものを、できるだけ解明するためにも、そういうことを言うことが必要であろうということは、私も亀田委員と同じ考えでございます。
○亀田得治君 国民がいろいろな意見を出すということを、むしろ希望するという趣旨では私と意見が一致しているのです。それならば、どんな論設等を見たって、はなはだ外務大臣の、何か不明確だ、みんながこれは指摘しているところなんです。 だから、そうではない、こういう状態だということを、はっきりさせることが私はあなたの義務だと思うのです。結論と進め方というものが違うじゃありませんか。もう時間が……大体含み時間に、若干これはもう人っておりますから、私はあまり同じことを事ねて言うことは遠慮しますけれども、なぜ、そういうことを一体、なんですか、あなただけの立場でお考えになっているのか、あるいは閣議等でも、そういうことは、こういう要求を受けておるが、どうかといったような検討でもされたのか。国会で証言を拒否する場合には、内閣としてこれはやる閣議の重大なり決定事項として……。そんなことをあなたはしないで、ただ従来から、外交というのは秘密がいいといったような、そういう古いくさい考えで、そういう態度をとられることは、これは外務大臣のためじゃない。ますます疑惑を深めるだけなんです。あなたの、もっとしっかりとした見解を聞いておきたい。 そんなことはたした問題じゃないというので相談をしておらぬのじゃないですか、どうなんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 申すまでもなく、ただいまもお話のありましたように、何か決定があって、それを拒否する、国会の決定があって、それを拒否するというような場合には、非常に重要な問題だと思いますので、政府としても、当然決定をいたして、それに対処して参ることだと思います。 しかし先般来のお話のことから、仏が御答弁申し上げておりますのは、要するに現在の段階におきましては、われわれとして、そういうものを交渉の過程において日本が一方的に出すわけには参らぬという外交担当者としての立場を申し上げておるのでありまして、そういう意味において、御了解を願いたいと思います。
○委員長(小林英三君) 亀田君、含み時間は、もう経過いたしました。
○亀田得治君 もう一回……。あなたは一方的に出すという点について、非常に気にしておられるようでずが、しからば一方的でなく、米国側の方に、日米交渉について、国本でこういう要求がある、だからこの程度は出す、そういうことをあなたはやってみたのですか、やらないで、ただ一方的にすまずいとか付とかいったって、こっちは了承できませんよ、そとにまでやっておりますか、あなたは……。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん今日まで申しておりますことは、当然われわれが申してもいいことを話し合いの上で申しておるわけであります。アメリカにおきましても、アメリカの上院というものがございまして、従ってアメリカとしても上院との関係において、やはりその問題を考えなければならぬのであります。 でありますから、アメリカ側が上院の関係におけると同じように、日本側においても、アメリカのそういう立場というものはやはり考えていかなければならない、これは、相手国がアメリカであろうと、いずれの国であろうと、条約の交渉中に、その内容を、経過を、事こまかに発表するというわけに参らぬことは、これは今日までの、決して秘密外交でなくとも、今日までの慣例として、そういう状態にあることを御了承願いたいと思います。
○亀田得治君 私、これでやめようと思ったのですが、どうも、話を一般論にそらされるから困る。
○委員長(小林英三君) 亀田君、時間が……。
○亀田得治君 私たちが要求したことについて、米側にあなは連絡をとって検討してみたかということを聞いておるのです。しないならしないでよろしい。
○委員長(小林英三君) 亀田君、時間が来ましたから……。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 先般の亀田君の御質問自体に対しては、別に米側に話し合いはいたしません。
○亀田得治君 それじゃ、あなた、一方的……
○委員長(小林英三君) 亀田君……。
○亀田得治君 それでは、私は質問しません。発言だけにしておきますが、そういうことでは、あなただめですよ。実際に米側と、この程度は要求があるから出してみようと思うがどうか、そう言って、なおかつだめだというなら、それはやむを得ないとは言いませんがね。――やむを得ない場合もあるかもしらん。しかし、そこまでもやらないで、古くさい外交は秘密だというような立場で、いいかげんにごまかすということは、了承できません。
○委員長(小林英三君) 亀田君……。
○亀田得治君 これで、私の発言を終わります。
○委員長(小林英三君) 亀田君の質疑は終了いたしました。
○委員長(小林英三君) 最後に、二十一日に保留されました岩間正男君の運輸大臣及び国鉄副総裁に対する質疑を行ないます。残り時間は一分にも達しませんから、要点のみをお述べを願います。
○岩間正男君 議事進行。
○委員長(小林英三君) 質問を願います。質問を願います。質疑者、質問を願います。
○岩間正男君 議事進行。
○委員長(小林英三君) 議事進行で質問しちゃいけません。質問願います。
○岩間正男君 委員長に……
○委員長(小林英三君) いや、質問を願います。御質問を願います。
○岩間正男君 委員長、どうして僕だけ許さないのだ。
○委員長(小林英三君) 質問を許しております。(「最後だからいいじゃないか」と呼ぶ者あり)じゃ簡単に。
○岩間正男君 私の時間は一分ということでありますが、今まで見ますというと、大てい四、五分は許しております。特に、この前の緑風会の奥さんには、御婦人だからではないと思うのですが、十分も許した例があります。そこで、私もできるだけ持ち時間の範囲内でやりたいと思いますが、少し、そこからはみ出すかもしれない、重要な問題ですから。
○委員長(小林英三君) それは困ります。岩間君には、たびたび質問をじゅうぶん許しております。
○岩間正男君 国鉄副総裁と運輸大臣に伺いたいのでありますが、運輸審議会の答申などを見るというと、国鉄運賃の値上げというのは必至のように思うのですが、どうですか。
○国務大臣(楢橋渡君) 国鉄の運賃は、今日国鉄が諮問機関といたしました運賃制度調査会の答申等がありまして、国鉄の中間報告によりますと、いろいろ制度の上に不合理な点が多々あるので、この点を是正する勧告を受けておるのでありますが、この運賃の値上げが、社会的に及ぼす影響等も十分考慮いたしまして、目下その実施について、いろいろと研究をいたしておるような次第であります。
○説明員(小倉俊夫君) ただいま運輸大臣から御答弁がありました通りに、目下その運賃制度調査委員会の答申に基づきまして研究いたしております。これは、趣旨といたしましては、運賃の従来のでこぼこを是正するという点に主眼を置いている次第でございます。
○委員長(小林英三君) 岩間君、時間がきました……。じゃもう一問だけ。
○岩間正男君 運賃値上げの問題については、これを調査するために、どうしても最近の経理状況、あるいは三年前に始まった五カ年計画、この実施状況をお聞きしたいと思う。 この内容は、どうなっているか、それについて述べてもらいたい。
○説明員(小倉俊夫君) お答え申し上げます。 五カ年計画につきましては、大体順調に進んでおりまするが、投下資金の不足から、若干のおくれを生じております。また、財政状態は、三十三年度には、なべ底不景気のために、相当大きな減収がございましたが、三十四年度になりましてから輸送量も回復いたしまして、現在のところでは、三十四年度の決算におきまして、国会予算を若干上回る収入が得られるのではないかと、こういう予想を立てております。
○委員長(小林英三君) もう時間が来ております。
○岩間正男君 質問の体をなしませんよ。
○委員長(小林英三君) もう時間がないから。……じゃ、あと一問許します。
○岩間正男君 運賃値上げの問題では、運輸大臣のただいまの答弁によりますというと、これは今研究中だ。しかし、ほかの物価値上げとも関連してまた、国鉄経営の内容を見るというと、この点はどうも非常に運賃値上げの構えをはらんでおると思う。これは、国民の生活に深い関連を持つもので、国民は非常に心配しておることです。こういう点から考えて、私はあえてお聞きしたいんですが、この場合、昨年の二月二十八日の運輸委員会において、私の質問に対して十河総裁は、「私の在任中は運賃値上げはいたしません。」と、はっきり、これは明確に答えておる。ここに速録を持ってきておるわけですが、そうすると、これは国鉄総裁が、はっきりそう述べておる。そうして現在十河総裁は総裁として就任されておる。これは重大問題だと思うんですね。しかも、運賃値上げはしないと言っておるけれども、学割のごときは、すでにしておる。しているんですよ、現在も。そうすると、すでに、前言は食言されておることになるでありますが、これは私は重大問題だと思うのだが、国鉄総裁の言ったことに対して、はたして副総裁は、どういうふうにこの問題を考えるか。あなたは総裁の言ったこのような確約、はっきり国会の論議を通じて明らかにした確約を守るか。運輸大臣の立場から、またこのように国鉄総裁が明言した――もしも食言すれば、やめざるを得ない。いや、やめなければ、運賃値上げはできないというのが実情だと思うんです。重大な一つの公言なんだ。 私は、この問題について現在の態勢の中では、国鉄総裁のこのような発言を尊重する建前に立てば、絶対に運賃値上げはできないと、こういうふうに考えるものでありますが、この予算委員会を通じて、この点を明確にしておいていただきたい。
○国務大臣(楢橋渡君) 国鉄総裁が前回の国会で、去年ですか、とう言つたか、私も速録を読んでいないから知りませんが、御存じのように、国鉄は、今日国家の公共的な要請といいますかによって約五百億くらいのつまり公共割引をさせられておりまして、一方には、運賃に対しましては、いろいろ先般も問題がありまし農産物物資に対しても、八月末で改訂するものが、国会等の強い要請がありまして、これもできずに十二月までに国鉄全体の運賃その他を検討して、その問題を処理するという段階に来ておるのでありまして、一万に、御存じのように、国鉄の財政は、五カ年計画しおきまして貨金べースその他によって、約四百億くらいの予定しない、そういう費用等がかかって、五カ年計画も、ややそのために鈍行しておるという状態なのでありまして、いずれにいたしましても、運賃問題は、国鉄が今日二律背反的な立場に立っておる国鉄を、いったいどうするかという基本的な問題等がありますから、そういうことを勘案して、一方に運賃の改訂から来る社会的影響等も十分に考察しながら、国鉄の問題を解決しなければならないと思っておるような次第であります。
○岩間正男君 十河総裁のあれに対して、どうだかということを開いているんです。
○国務大臣(楢橋渡君) 十河総裁が、どういうことを言われたかは、私は……
○岩間正男君 いや、ここにありますよ
○国務大臣(楢橋渡君) 今申されました点について、おそらく運賃制度調査会等の勧告等もあり、国鉄自体の内部的な経済上の立場から、国鉄総裁が学割については、あるいはその権限においてやったと思うのですが、その点につきましては、学割については小倉副総裁から、その辺のいきさつを説明させたいと思います。
○説明員(小倉俊夫君) 十河総裁が、在任中は云々と言われたことは確かであろうと存じます。しかしながらこの運賃の問題あるいは経済の問題というものにつきましては、いろいろ前提があるのでございまして、国鉄としましても、健全財政を維持するために、できるだけ低位の運賃で――国鉄としましては、公共企業体の本質ににかんがみまして、できるだけ低い運貨でサービスするのが当然だと存じまするが、経済界の変動その他におきまして、いろいろ予測しがたい将来性が生ずることがあると思いますし、また当時は、総裁は専任ということも約束せられておらなかったと存じます。 それから、ただいまの学割の問題につきましては、先ほど私が是正と申しましたんですが、それは、いろいろな解釈がございましょうが、戦前におきましては、学割は割引が二割でございました。その後、インフレにあいまして国鉄の運賃がすべてフフットで上がって参りましたときに、学割たけは押えに押えて現在五割になっております。それを、部修正いたしまして、大体現在におきましては、距離にもよりますけれども、三割ないし四割引きくらいはいたしておりまするので、戦前から比較しますれば、かえって割引率が多くなっているような次第でございまして、これは私どもは、運賃のでここぼこの是正というふうに考えております。
○岩間正男君 最後に、それじゃ……
○委員長(小林英三君) 岩間君、時間です。
○岩間正男君 今の答弁は、非常に私は不満です。こういうような答弁を国会論議でやっておって、公約をして、国鉄の最高責任者が、はっきり国会の論議を通じて確約した、そういう問題について、今のような答弁じゃ、これはけしからぬと思うのです。そのときは、小倉副総裁もいたはずだ。私は、この点を明値に言ったわけです。たとえば、最近は経営が非常に不振だ、赤字だ、しかし国家の、これに対する投資も不十分だ。当然これは、大衆負担によってまかなうというような国鉄の常套手段に出るのじゃないか……。
○委員長(小林英三君) 岩間君、時間ですから、次の機会に……。
○岩間正男君 ……五カ年計画はうまくいかない。こういうような態勢の中では、当然これまた、大衆に転嫁してくるのじゃないか。この点を、私は明権にすべく追及した。しかしそれに対して、私は在任中、絶対に運賃値上げはいたしませんと、明確に答えている。それに対して、今のような答弁をするということは、私は、けしからぬことであると思う。国会論議というものは、これじゃいけないと思う。 これは委員長からも注意をしてもらいたいと思います。
○委員長(小林英三君) 注意いたします。 以上をもって、質疑通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は、終局したものと認めます。 ただいまより三十分の休憩の後、三時四十五分より昭和三十四年度予算補正三案の討論、採決を行ないます。 暫時、休憩いたします。 午後三時千五分休憩 ―――――・――――― 午後四時十八分開会
○委員長(小林英三君) ただいまから委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告を申し上げます。 本日付をもちまして、委員占部秀男力君が辞任せられ、その補欠といたしまして、米田勲君が委員に選任せられました。
○委員長(小林英三君) 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、同じく特別会計予算補と正(特第1号)、同じく政府肉係機関予算補正(機第1号)を一括して議題といたします。 なお、本日は補正予算に関係の大臣は全部列席になっております。 これより討論に入ります。東隆君。
○東隆君 私は社会クラブを代表して政府提案の補正予算三案に対し遺憾ながら反対せざるを得ません。 反対の理由は、わが社会クラブが衆議院において組みかえ案を出した際の説明と討論によって明らかなのであります。不幸、組みかえ案は少数をもって否決されました。社会党も組みかえ案を出されましたが、否決されますと、手の裏を返すごとく政府原案に賛成されたのであります。従って、本委員会においては、野党第一党をもって任ずる日本社会党の諸君は、われわれ社会クラブが反対する以上の難くせをつけて賛成されるでありましょう。われわれは、わが社会クラブの反対理由が、与野党はもちろん、罹災民その他が納得するものであることを確信しておるのであります。 補正予算の中心は災害対策費であります。政府はこれで十分であり、再び補正の必要はないと言い張っております。災害地に首相は皇太子と御同行になり、罹災民を安心させるためでありましょう、相当お上手を罹災民に言っているのであります。罹災民は首相の言を信じております。私はこの予算の中身が現地のものにわかるときには猛烈な抗議が出ると思います。またそれとともに不測の事態が起きはしないかと心配をいたしておるものであります。 今回の臨時国会の会期はいつになく長期であります。政府はこの間にベトナム賠償協定の承認を取りきめ、安保条約改定を進めようとしています。ために準備のないままに補正予算の提案をしたに相違ありません。すなわち、あらかじめ災害予算のワクを作られたようであります。この歳入で支出を押えるやり方は真の災害関係の予算にはなりません。ここに今回の災害関係予算編成上の基本的な誤まりがあります。ここから施行前すでに災害関係費に予備費を充当するの不見識を暴露しております。議会は行政府のかくのごときずさんな予算編成を認むべきではないのであります。 さらに明らかな証拠をあげまするならば、激甚地の指定が十一月の十二日に至ってようやくきめられたことであります。衆議院において本補止予算の通過したのは十一月十四日でありますから、激甚地の指定という最も災害対策費算定の基準になるものが逆にあとから決定されたのであります。これは本末を転倒したものであります。さらに高率補助をする地域は被害地域の六割と最初から定められておるのであります。これは冷酷な査定の基準であります。しかも激甚地指定には、現地出身の与党議員のやっさもっさの突き上げで、条件はだいぶゆるやかになったと聞いております。これでは八十億の予備費は大部分事前に支出予定ということになりそうであります。われわれは激甚地の指定を八〇%の地域にすべきであるとの主張をいたしております。災害の少い地帯の小部分の激甚地を救済することが公平な政治の見方であると、こういうふうに考えておるのであります。豊作地帯の中の凶作地帯、全国が豊作のときに北海道が凶作というようなわけで、常にこのみじめさを身をもって感じている私は、この政治の不公平を胆に銘じているからであります。今からでもおそくございません。激甚地の地域を被害地域の八〇%に広げ、真の災害復旧の目的を達し、親切にして心ある政治を行なうべきである。これをやらぬ以上、岸首相の視察の際の言葉は、二枚舌になるわけであります。 次に、年度内進行を三〇%にすることにも問題がある。年度内は四半期だから、残っているのは三〇%というのでこれを制限し、次年度に五〇%、次に二〇%ということにし、災害の復旧を三年計画にすることは未曽有の災害に対する認識を欠くものといわなければなりません。これは次年度以降の治山治水の一般経費の中に食い込む以外の何ものでもなく、治山治水に政府が金を使うかのごときごまかしをやっておるというよりほかに弁解の余地はないと思うのであります。われわれは五〇%でも少いと思っている、一〇〇%計上し、年度内にできぬときには繰り越しをして昼夜兼行で復旧すべきであると考えております。今回の災害の地帯は、まさに復旧には最も好適した時期に当面をしておるのであります。北海道のように冬将軍の威力を発揮する地帯ではないのでありますから、最小五〇%の進行率で予算を修正すべきであるという意見であります。 今回の災害で破れた堤防は、日本人が海にいどんで国土を拡張したところであります。自然の復讐はいつくるかわかったものではありません。復旧の中途で自然の猛襲がきたときには、またもとのもくあみになるのであります。従って災害の復旧は事によりけりであって、今回は三〇%などという進行率で国費を海に投ずるの悔いを、国民になめさせるべきではないと思うのであります。少くとも三〇%の進行率を五〇%に、これは国民の名において政府に要求するところであります。 次に、石炭離職者対策費は、政府の見積りはきわめて少く、真に石炭関係離職者に生活の援護と職業保障の万全を期するには、社会クラブが組みかえ案に提示したごとく、政府の七億二千八百万円では問題になりません。この際、離職者に対する就労対策事業費を離職者に見合って計上する必要があります。その額は政府の四億程度では問題になりません。一日単価八百五十円として百二十日分の一万七千人とすると十七億三千七百万円になるのであります。政府の離職者の推定は過少であります。本費目の中心は援護会の仕事になるのでありますが、政府の考えている援護会の中身は、援護会を作るにとどまっています。自立更生資金も、転職移動資金も、住宅資金も、職業訓練費も、失業の手当金も、広域職業紹介相談費も皆無であって、ただ広域職業紹介経費に六百万円、遠賀川水系汚水処理調査費に五百万円を計上して、これで石炭鉱業対策に終末をつけようとしておるのであります。これでは問題を解決するのではなく、問題に火をつけるようなものといわなければなりません、政府はこの対策費に七億二千八百万円を計上しているが、われわれは二十七億七千四百万円を計上して万全を期しているのであります。このようなことで第二、第三の同一事態が発生せざれば幸いであります。われわれはそのことを憂いているのであります。以上は支出の面におけるわが社会クラブの政府原案に反対する根拠であります。 次に、すでに問題にした歳入面について反対の理由を述べます。 政府はこの国会に十分なる準備をせず、歳入のワクをまずきめて、しかる後に支出を計上したことはすでに述べた通りであります。政府の歳入の財源の第一は、四百九十億円を計上してある税その他印紙収入の自然増であります。われわれは税その他の自然増を過大に見積もることは、社会党の諸君が言われるように苛斂誅求になることを十分に承知をいたしております。しかし政府の所得税、法人税、酒税の三税及び物品税、有価証券取引税、印紙収入の自然増の見債もりは過小であります。政府は社会党と同様国民の苛斂誅求のそしりをおそれておるにすぎません。われわれは政府案より百九十億円の歳入増を見込みましたが、これは本年災害による滅取分百二十億円を差し引いたものであります。すなわち三税の増加分は百七十五億円、物品税十億円、有値証券取引税五億円は、本年度の下記の好況によって容易に考えられるところであります。政府の経済見通しの改訂後における鉱工業の生産実績は、政府の予想を上回っていることは、政府みずからが答えられているところであります。大企業を中心とする法人税及び所得税の自然増、酒税、物品税、有価証券取引税を中心とする間接税の自然増収は、政府案より百九十億円の増収を見積もり得ることは、その道の専門家もすでに推算をしているところであって、これらは低所得者を苦しめることには断じてならないのであります。 次に、政府は重大な過誤を繰り返しております。それは各省の経費節約額を歳入に見積もっていることであります。政府は税その他の自然増を過小に見積もったために、各省に大蔵大臣が節約額をあらかじめ明示して、七十五億八千八百万円の節約を強要しているのであります。これは俗に財布のひもを握っているものは強いのでありまして、節約額の半ば以上が農林、建設両省で削られている事実から見ますると、今回の予算の補正が災害関係でありますため、政府の治山、治水に対する考えが那辺にあるかを疑わざるを得ません。 われわれは今次の災害が日本の中枢部に起きた災害であるため、すみやかなる復旧を期待したため、政府の原案より四百三十八億円増の歳入源を求めました。既定経費を節約して、政府みずからのずさんな予算を暴露するよりも、歳入源になし得る外国為替特別会計より三百二十四億一千五百万円を計上したのであります。国会の決議を経なければ増額補正ができぬ政府が、既決の予算を過去の災害の場合の経費即約の惰性で経費節減によって歳入源を求めることは、官僚の便宜主義によって国会の決議が踏みにじられることにもなるのであります。社会党が防衛関係費の繰り延べを計画されたことは年来の主張でありますが、われわれは、既定経費の節減は、年間を通して合理的な節減によって、極力年度末の不用額を増額すべきである、増額することが国民の則待にこたえる方途であると考えておるのであります。そのためには、一般会計はもとより、特別会計において検討すべきものが多々あるはずであります。政府は今次の災害に当たって、自衛隊の活躍を宣伝し、現地の人たちも、自衛隊の活躍に感謝しておるのであります。このことは、国土の保全と、災害に当たって人命救助等の面を担当するものが、日本では自衛隊という憲法違反の戦力以外にないからであります。昔、日本には義賊というのがありました。金持ちは義賊を非常におそれたが、一般の庶民は、この義賊をありがたがったのであります。災害に当たって自衛隊の活躍は、この義賊の活躍にさも似たりの感じがいたしますが、政府も私のこの自衛隊義賊論に冠を曲げる前に、日本の国土保全、災害の防止に役立つ自衛隊改組をやっていただきたいと思うのであります。 私は屯田兵のせがれでありますが、屯出兵制度というのは、北辺を守るとともに、北海道を開拓するために、貧乏な明治政府が、ロシアその他の植民方法を研究して考案した一石二鳥の制度であったのであります自衛隊を改組し屯田兵制度を作れとは出しませんが、屯田兵制度の精神をくみ取って、自衛隊が広義の国土保全のために近代的な装いをこらすにとは、アメリカの使い古しの武器を後生大事にして戦争ごっこをやるよりも、十分な意義があると思うのであります。現在の日本は、政府の考えているように金持ちではないはずであります。今回の自衛隊の活動費を防衛庁以外から支出しないように、われわれは自衛隊に要請をするものであります。確かに自衛隊の活動は、演習以上に効果があったと万人は認めたと考えるのであります。 次に、政府関係機関予算補正並びに特別会計予算補正、すなわち財政投融資計画の変更についての政府の原委に対する反対の理由を述べることにいたします。 第一は、中小企業金融関係であるが、中小企業の災害復旧融資による低利資金の融資は豊富かつ迅速を要っするし、年末融資は供給資金の三倍に近い申し込みがすでに殺到しているはずであります。従って各関係機関が計画している最低必要額を計上しなければ、中小企業対策にはならず、かえっていたずらに銀行の食いものになるおそれがあるといわなければなりません。 農林漁業金融公庫の資金は、農漁民が災害復旧に十分に低利資金を受け得るとともに、本来の目的、融資に支障を来たすようなことを厳に避けるべきであります。このために、政府原案より十億増を計上したものであります。 住宅金融公庫は、被災地の住宅建設戸数は政府原案よりも多いのでありますから、この際増額して住宅建設という住民安定の道をすみやかに講ずべきであります。これらの金融機関のと原資の増加は、産業投資特別会計の原資及び本年度下期の好況による郵便貯金、簡易保険あるいは厚生年金等の増収を政府は過小に見損もっておりますが、これを是正して増取分を財源に充当すれば、今回の財政投融資の計画変更はもっと時宜を得たものになると思うのであります。政府の財政投融資は、今回のごとき場合、庶民階級のために大きく変更さるべきものであります。独占資本その他に気がねをして故意に財源を僅少に見積もる必要はございません。郵便貯金や簡易保険や厚生年金や、およそ国民大衆から預かった政府の財政投融資の資金源は、かくのごとき際には、大企業の面やこれに類する面への供給を控えて、そうしてこれらに供給することはほんとうの政治であるとわれわれは日ごろ考えておるのであります。この点についても政府の猛省を私は促したいのであります。 以上、述べたところは、ただ、わが社会クラブの組みかえ案を中心にして、政府案に対すると反対理由のよって起こるところを述べたのであります。一言にしていえば、政府の予算補正は糊塗以外の何ものでもないと思うのであります。政府の原案に対し心ある各位の反対されることを期待して三案に対する反対の討論を終わります。 ―――――――――――――
○委員長(小林英三君) 大谷藤之助君。(拍手)
○大谷藤之助君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十四年度予算補正三案に対しまして賛成の意を表するものであります。 わが国は本年に入りまして、六号、七号、十四号、続いて十五号と数次にわたって台風の襲来を見、ことに十五号台風は伊勢湾一帯を中心として、数県にまたがって多くの人命と一千二百五十億円に達する未曽有の損害をもたらしましたことは、まことに遺憾のきわみであります。ここに多数の犠牲者並びに被災者の方々に対しまして心から深く御同情の意を表しますと同時に、私どももあとう限りの支援をいたしまして、一日も早く被災者の方々が物心ともに立ち直られんことを心からお祈りしてやまないものであります。政府はこのたびの災害が起きますと同時に、実情に即して予備費の支出、地方交付税の繰り上げ、つなぎ融資等、各般の行政措置による応急対策を講じますと同時に、急遽、臨時国会を召集し、現地調査を進めつつ予算補正を行なうことにしましたことは、まことに機宜に即した措置であると評することができます。しかも、私はこのたびの予算補正が次の基本的観点に立って、第一、今次災害がわが国産業経済の重要地域に発生したこと、第二、災害の深刻さが異例かつその影響は広範多岐にわたっておること、第三、直接災害復旧の衝に当たる地方自治体の財政負担、第四、逐年の災害対策に顧みて単なる、原形復旧にとどまらず改良復旧の実をあげ、さらに復旧進捗度の強化と、明年出水期に対処すべきこと、第五、当面の対策にとどまらず国土保全の抜本的総合対策の推進、第六、財源の確保と現下の経済基盤との調和、これらの諸点から見まして、補正額、一般会計におきまして六百十四億円、正味の災害関係諸費は約四百三十億、これに当初予算の予備費の流用額五十五億円を加えますと、総額は実に約四百八十五億円となります。これに財政投融資による災害対策費四百一億を見込んだ政府提案のこの内容は、おおむね私どもが満足すべき解決を与えたものということができます。 以下、具体的に内容の諸点に触れてみたいと思うのであります。 すなわち第一は、予算補正における災害対策の策定にあたりまして、その激甚さにかんがみまして、事業の全般にわたって補助の範囲を拡大する。同時に、補助率あるいは国庫負担率を大幅に引き上げるなど、合計二十数本の特別立法の措置を背景としまして、格段の配慮がなされておるのであります。災害激甚地の指定基準につきましても、実情に即して範囲を拡大し、昭和二十八年災の基準を下回らないという考慮のもとに、この経験を生かして適切なる決定をいたしております。特に災害関連事業については、今回は一般災害復旧あるいは直轄災害復旧とも、特にその補助率を引き上げるなど、その工事の完璧を期しております。 第二、伊勢湾高潮対策に対しましては、その甚大な被害に顧みまして、単に原形復旧にとどまらず、相当大幅に改良復旧を織り込み、愛知、三重両県のこの被災地に接続する沿岸一帯及び河川都の堤防についても、本格的工事を総合的かつ計画的に実施するなど、きわめて積極的な対策が構ぜられております。 第三番目、災害復旧事業費の進捗率につきましても、先ほどお話も出ておりましたが、いわゆる三・五・二の原則に従って本年度二五%を計上するほかに、さらに国庫責務負担行為によりまして三・五%を加えて二八・五%という高率の、しかも、実行可能限度の進捗率を策定して復旧の迅速を期しており、さらにまた、明年の出水期にもこれによって対処しておりますことは、まことに適切有効な措置というべきであります。 第四番目、地方交付税につきましては、補正予算に伴う地方交付税の増加額八十五億円中四十一億円は、特別交付税として被災地に、また普通交付税四十四億円の相当部分も被災地中心に配分されるのでありまして、地方債の政府引き受け百六十億円の増加と相待ちまして、今回の予算措置は、直接衡に当たられる地方自治体財政の負担に関しましても、二十八年災害に比べて、はるかに内容を充実し、対策実施の促進なり円滑化が期待できるものであります。 第五、財政投融資の面におきましても、見込み得る原資の増加をすべてこれに充当し、いわゆる伊勢湾周辺の産業経済の重要なる地位にも対処して、中小企業対策、農林漁業、土木、住宅復旧対策等、総額四百一億円を追加援助していることも、きわめて適切な措置と考えられます。 第六、石灰鉱業につきましては、世界的なエネルギー革命に対処して、エネルギー資源の根本的な、あるいは総合的な対策が慎重に検討されるべき段階に来ておりますことは、もちろんのことでありますが、問題の解決にはなお日時を要するものと思われます。とりあえず窮状にありますこの炭鉱離職者の援護なり再就職のあっせんなり、あるいは職業訓練等の措置を講じて、炭鉱労務者二万一千人程度の生活の安定救済をはかっておりますことは、適当な措置と考えるものであります。 最後に、所要財源の調達についてでありますが、今回の補正歳出の追加は六百十四億円の一般会計の巨額に達しておりますが、もとより、かかる災害の対策費でありますから、あとう限りの国費の支出を惜しむべきでないことは、これは当然であります。しかしながら、ややもしますれば、景気過熱のおそれもあるといわれている現下の経済情勢を十分に考慮して、健全財政の基調を堅持して、着実、順調な上昇を続けて参っております。今日の国民経済の安定と均衡に支障を来たさないようにすることは、最も大切なことであろうと思います。従いまして、政府原案が財源の調達に当たりまして、租税その他の経常財源の自然増収を充当して、なお足らないところは既定経費の節減でいくということは、この意味においても適当な配慮であると考えます。いたずらに現実を無視されまして、予算規模の拡大ができるかのごとく擬制するような人気取り的な数字をあげたり、あるいは実際に消化できないような工事進捗率を主張するようなことは、責任ある政府や、あるいは政党のあえてとらざるところであります。 以上の理由から、私は、政府提案の予算補正三案に賛成の意を表するものでありますが、今回の苦い経険にかんがみまして、かような惨害を二度と繰り返さないように、特に災害を未然に防止するという見地から、防災気象観側基本業務の飛躍的な整備、治山治水、高潮対策等につきましては、国土保全下の見地から、すみやかに一つ抜本的対策を樹立するとともに、対策の実施にあたりましては、関係各省同の緊密な通性のもとに、元的、円滑な推進をはかり、特に過去の苦い経険にもかんがみまして、事業量が増大いたします明年度の地方財政の対策につきましては、十分の配慮を加える等、この際特に期待いたしまして、本予算の成立を心待ちに待っておられる被災者の方々の手元に、一日もすみやかにこの予算が実効を上げて届きますことを心から祈りまして私の賛成討論を終わります。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(小林英三君) 岩間正男君。
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の補正予算三案に対して反対するものであります。 岸内閣が、国民の血税で、一機五億円、二百機一千億円もの戦闘機を買うことをきめ、不当な南ベトナム賠償に二百億円も払おうとしている反面、肝心の伊勢湾台風を初め、最近の風水害による被害の復旧と被災者の救援には、一般予算でわずか三百四十億円、さらに、当面の十万人にも上がる石炭労働者の失業対策費としてわずかに七億円しか計上していないのであります。今度の災害は、単なる天災ではない。政府の施策によって被害が倍加した人災であり、政災であります。それにもかかわらず、政府はその責任をひた隠しにし、その上、昭和二十八年の西日本の災害当時よりも後返したものでごまかそうとしているのであります。現に、現地には、水びたしのまま年を越すことを余儀なくされている数万の被災者がいる。肉親を失い、家と土地を流失して冬を迎えようとしている地元民の要求は、政府の補正予算とはまつるでけた違いであります。また、目下大きな社会問題となっている石炭対策を見るに、政府は、経団連や日経連の命令による出炭鉱資本家の指名解雇を中心とした、全く非人問的、非社会的な首切り、合理化案を積極的に支持し、それを法他化しようとしているのであります。これが炭鉱離職者臨時措置法であり、七億円の離職者対策費であります。これはロッキード二機分にも足りない額であります。独占資本家の首切り、合理化案は、一口に言って労働者の職場活動や労働組合の合法的な活動を押え、低賃金と失業によって石炭産業を再建しようというものにほかならないのであります。これは、石炭産美の不況のしわ寄せをすべて労働者に押しつけ、同時に労働組合を骨抜きにし、分裂させることをねらいました、まさに一石二鳥の考えであります。 政府は、この独占資本のやり方を全面的に支持し、このような不当な資本家を押えるどころか、逆に労働者を抑えるにとに積極的に協力しているのであります。その証拠には、政府は、炭労を中心とした全労働者の反対闘争が激しくなることを予想し、これを権力で押えつけるために、治安対策と称して膨大な警察力を現地に集結させているのであります。さらにまた、政府は、全逓労働組合に対しても、みずから労働組合の自主性と合法性を頭から否認して、これを弾圧し、労働組合を分裂させようとやっきになっているのであります。そのために、年末年始を控えて郵便物が殺到し、遅配や誤配が続出して、国民がはなはだ迷惑をすることは百も承知で、組合との団体交渉にさえ応じようとしていないのであります。あまつさえ政府は、警察力を動員して混乱を拡大し、そのすべての責任を労働者になすりつけるという、陰険でしかも卑劣な態度に終始しています。この政府の真のねらいは、この問題を口実としてILO条約の批准を延ばし、その実施をサボろうとする意図の現われにほかなりません。 以上、これらの事実は、岸内閣の軍国主義復活の政策と、労働者に対する弾圧政映を余すところなく暴露するものであります。今国会の審議を通じて、国民が平和、独立、民主、中立の立場から追及してきた安保条約改定の政府の意図がますます明らかになってきました。極東の平和と安全の名のもとに、ソ連や中国の奥地にまで出動できるという政府の答弁は、安保条約改定によって、日本がますますアメリカの原子戦略体制の一環として従属的に組み入れられ、中ソを敵として戦う体制を整えるものであることを最も露骨に暴露したものであります。この安保条約の改定と関連して、南ベドナム賠償二百億の正体も、今、国会審議の過程で国民の前に一そうはっきりと浮き彫りにされたのであります。すなわち、南ベトナム賠償二百億が、休戦と南北統一、南ベトナムの非軍事化を規定したジュネーヴ協定を踏みにじり、ベトナムの実情を無視した全く不法、不正なものであること。その内容が、まず第一に、アメリカの南ベトナム軍事基地化政策についての日本の協力であり、第二に、それを通じて事実上NEATO結成の既成事実を作り上げようとするものであること。さらに、第三に。日本の軍需工業の維持育成と、東南アジアヘの帝国主義的進出の一拠点を南ベトナムに築き上げようとするものであることは明らかであります。これは今、政府が強引に推し進めようとしている新安保体制の重要な一環であり、最も露骨な中日敵視政策の現われであります。これこそは、一部のアメリカ帝国主義者のお先棒をかついで、国際緊張の経和をことさらに妨害し、アジアの平和をかき乱そうとする岸内閣の本心を言最も端的に示すものであります。 以上、本補正予算は、国民の災害救済復旧の要求を無視し、炭鉱労働者を初め数百万の失業者の救済をかえりみず、さらに三十五年度予算における赤字公債の発行及び増税を前提として安保改定をしゃにむに強行しようとする炭内閣の反国民的な意図の呪われであります。 日本共産党は、このような政府の補正子算案に絶対に反対するとともに、安保条約の改定交渉を即時日ち切り、南ベトナム賠償協定案を直ちに撤回し、災害対策費と石炭対面費の大幅増額、さらに国家賠償法による災害全被災者に対する完全賠償を要―するものであります。 ―――――――――――――
○委員長(小林英三君) 鈴木強君。
○鈴木強君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和三十四年度一般会計予算補正第二号ほか二案に対し、以下申し述べる意見を付して賛成せんとするものであります。 まず最初に、わが党が賛成の態度をとったことについて、その理由を明らかにしておきたいと思います。 われわれの賛成は、自民党さんのように政府原案を自画自賛するものとは違うのであります。すなわち、わが党はこの予算補正は、きわめて不満足なものであり、被災者の要望になかなかこたえられないものであるという観点に立ち、衆議院段階の審議において、千三百四十四億七千八百万円に上る組みかえ案を提案したのでありますが、自民党の反対によって遺憾ながら否決されてしまったのであります。社会党は、安保条約の改定、ベトナム賠償問題等については、妥協のない戦いを続けて参りますが、この予算補正はきわめて緊急を要する災害対策を中心としたものであることの性格にかんがみ、また審議を通じて佐藤大蔵大臣が、必要が生ずれば災害第二次補正についても善処するとの言明をなされておりますので、この言明を信ずるとともに、わが党は政府原案によっては、とうてい前古末曽有の今次大災害に対する救済措置と改良方式を加えた復旧工事の完全な進捗は絶対不可能であるということを確認して、今後も執拗に第二次補正を強く要求することとし、わが党組みかえ案が否決されたという現実の上に立って、次善の策として、ここにきわめて不満ではありますが、政府原案に賛成するという態度をとった次第であります。従いまして、本予算補正が成立をし、実施段階に入ってから、幾多の矛盾と問題点をかもし出すことは必至であると存じますので、特に、この際、希望意見になるとは思いますが、以下順を追って、わが党の見解を申し上げますので、岸総理大臣以下各大臣を初め、自民党の諸君もよくお聞き取りを願いたいと思うのであります。 さて意見の第一について申し上げます。政府原案によりますれば、予算補正総額は六百十四億円で、その内訳は災害関係三百四十三億円、地方交付税増額分八十五億円、義務教育費国庫負担金等義務費増額分九十一億円、石炭対策費七億円、予備増額分八十億円となっております。これが財源として租税の自然増収分四百九十億円、税外収入四十八億円、既定経費の節約七十五億円をもって充当することになっております。本年度の風水害は御承知の通り七月に入っての局地的豪雨に始まり、八月十四日には山梨、長野等に台風七号が、また九月には愛知、三重、岐阜等に未曽有の台風十五号が襲来し、日本全土のほとんどが甚大な被害をこうむる結果となっておるのであります。被害の状況は死者、行方不明者合わせて約六千名、建物の全壊流失約四万五千、半壊十五万、被害世帯五十万世帯、公共土木施設、農林水産施設の被害は総額二千億円をこえており、その他民間個人災害等の被害額を加えると優に六千億円を突破する額に達しておるのであります。かくのごとく六千名に上る貴い犠牲者と漠大なる被害を出した台風災害を単に天災によるものとして片づけるわけには絶対に参りません。むしろ、そのほとんどの原因が今日までの歴代保守党内閣の治山治水に対する根本的政策と予防措置の欠除にあったことは明らかであり、まことに許すことのできない重大責任問題だといわなければなりません。鍋田干拓の悲劇はなぜ起きたのか、私は岸総理以下各大臣に反省を求めるため一つの実例として申し述べておきたいと思います。鍋田干拓は昭和二十年十一月、時の幣原内閣が緊急開拓実施要領をきめ、六カ年間に十万ヘクタールを干拓して失業した工員や復員軍人を救済する構想を立てたのでありますが、この中に鍋田干拓も入っておったのであります。最初の計画は堤防による湖どめ工事は農林省がやることになっていたのでありますが、昭和二十一年末に着工したときには、いつの間にか堤防の設計施工は運輸省の所管に移っていたのであります。その理由を調べてみますと、当時農林省には技術者が少なく、干拓事業をもてあましていたのに対し、運輸省は港湾事業があまりなく、手が余っていたということにあるようでありますが、すでに今回の悲劇を起こす大きな種が一つそのときにまかれていたのであります。すなわち、荒波の脅威をまともに受ける干拓堤防と、港海とか河川護岸の堤防とは全く構造が違うものを、手が余っているとかいないとかいうだけの理由で所管の官庁をとっかえたことが大きな間違いであったといわなければなりません。伊勢湾台風では潮位が最高五・三メートルに達し、波返しではね上がった荒波が風に吹かれて堤防の内側に流れ込み、堤防の裏側や天端がコンクリートで固められていなかったために堤防を越えた波は堤防の上をどんどん掘りくずし、盛り土をえぐり取り、ささえを失った石垣を倒してしまったのであります。昭和二十六年農林省が運輸省から工事を引き継いだ際、農林省は天端が盛り土だけでやってあるのに不安を感じて昭和三十年に補修工事を行なっていますが、これも天端と堤防の裏側を十センチの粘土で固めたにすぎません。このようなその場限りの思いつき的やり方が鍋田干拓全滅の最大の原因であったことを知るとき、わが党は大いなる憤激を感ずるとともに政府の責任をどこまでもきびしく追及せずにはおられません。七号台風によって山梨県の武川部落がほとんど流失した原因も水源より河口に至る一貫した水防工事がなされていなかったのに基因することは明らかであります。甲斐駒は山津波によって随所に山はだを見せ、山腹砂防が何らなされておらなかったことを立証しています。今度の災害が人災だといわれる理由はここにあると思います。国土の防衛は憲法違反の自衛隊の増強にあらずして、年々歳々必ず来襲する台風の脅威からいかにして祖国を守るかにあると信じ、そのための予防対策と、抜本的治山治水の大政策を確立することが焦眉の急務であると思います。今や自衛隊に対する国民の世論は銃持つ手からシャベル持つ手にと国土建設隊への切りかえを強く要求していると信じます。一機五億四百万円もする戦闘機を二百機も購入するようなお金があるならば、根本的な災害対策に使ってもらいたいというのは全国民の切実な願いであります。東京、大阪初め臨海地域の都市住民が、もし十五号台風が東京や大阪等に上陸していたらどうなっていただろうか、また来年あのような台風が襲来したらどうなるだろうかと、やり切れない不安と焦燥と危惧にかられておるのでまして、一日も放置できない重大問題であります。政府はよろしく過去のあやまちを率直に反省され、全国民が安んじてそれぞれの生業にいそしむことのできるようあらゆる努力を尽くして台風の災害からわが国を守るよう、確固不抜な台風防止対策を打ち立てられんことを、強く強く要求しておきます。 災害地を訪れた岸総理初め各大臣は、金は惜しみなく出す、心配するなと激励をいたされておったのでありますが、それにしては本補正予算の中の災害関係費が、予備費八十億円のうち五十億円を使うとしても、三百九十三億円で、あまりにも少な過ぎると思います。総理の言明を信じていた被災地の人々は、ほんとうにがっかりしています。そして岸総理の言のうこととやることとが違うことがよくわかったと、ぷんぷん怒っているのであります。 第二に申し上げたいことは、罹災者援護についてであります。わが党は、本年度災害が民間に対してきわめて大きな被害を与えておりますので、民生の安定に重点を置くべきであると信じ、約五十万世帯に上る罹災者に対して一戸当たり二万円の見舞金、また死者、行方不明者の約六千名に対して二万円ないし三万円の弔慰金を給すること、さらに生活再建資金として、十万円を限度に二カ年間据置、十年返済、無利子貸付を内容とした罹災者援護法案並びに生活保護特別措置法案を提出しましたが、政府はこの点については見るべき対策を示さず、きわめて遺憾であります。政府は今後この問題について慎重に対処されるよう、要望しておきます。 第三に、農地農業用施設、公共土木施設等の復旧工事については、従来三・五・二の比率で復旧をはかってきたのでありますが、今回の措置は初年度がこの比率を下回っているのであります。このことは絶対納得ができません。わが党は従来の比率を引き上げて五・三・二の比率とするよう主張して参ったのでありますが、いれられなかったことは残念でなりません。特に、直轄工事の場合の初年度進捗率五五%と、補助工事の進捗率二八・五%とによって生ずる進捗率の差は、工事施行に不都合を生ずるので、十分注意をされ、後に問題を起こさないように配意されたいと思います。 また、わが党は、災害復旧にあたっては、過去の苦い経験にかんがみ、単なる原形復旧にとどめることなく、改良復旧を旨とすることを要求して参りました。この点につきましては、岸総理の施政方針演説の中にも取り上げられており、わが党の主張を認めておられたのでありますが、実際には、予算審議の中で明らかになりましたように、たとえば仮締め切り工事費の単価を建設省が一メートル当たり二十万円を要求したのに対し、大蔵省が一方的に十五万円に押え、堤防の高さも建設省が七メートル五十必要だというのを、大蔵省は六メートル七十でよいといい、伊勢湾高潮対策も九十七億円の要求が五十四億円に、公共土木施設復旧費百八十六億円が百四十六億円に、砂防工事のうち特に緊急を要すると認められる分十五億円が九億円に、都市災害四億七千万円が二千万円にと、それぞれ削減されてしまったので、これでは来年の雨季台風期までに原形復旧することさえ困難ではないかと案ずるものであります。 また、激甚地の指定の問題でありますが、政府は、当初激甚地指定を二、三の県に限定して補正予算の編成を終わり、国会に提案したようでありますが、わが党の追及にあって、十一月十二日に至り、ついに政令基準は大幅に変更されて、十六府県が激甚地の指定を受けることになり、予算算定の基礎が大きくくずれて参ったのであります。従って、補正予算のかなめである激甚地指定が大きく変更を見た以上は、あらためて基準拡大に伴う予算の増額措置を行なうべきことはけだし当然であるにもかかわらず、このことは行なわず、わが党要求の政令基準によって、具体的に十六府県の中の幾つの市町村が指定を受け、その結果予算が幾ら増大するか明きらかにせよという重要問題についても、調査不十分のゆえをもってこれを意識的に行なわず、言を左右にして、予備費もあり何とかやれるといって逃げを打っていることはまことに卑怯だと思います。 前述の通り、改良復旧が大蔵省の一方的査定によって不可能となっていることの事実と、激甚地指定の拡大問題等あわせ考えるとき、本補正予算だけではとうていまかない切れないことは明々白々になって参ると存じます。わが党が強く災害予算の第二次補正を要求するゆえんのものはここにあるのであります。佐藤大蔵大臣は、あなたの言明をゆめ忘れることなく、特段の善処をなされるよう、重ねて強く要望しておきます。 第四の意見は、石炭対策についてであります。国内エネルギーのうち、総体の四七・六%は石炭によって占められていることは御承知の通りであります。エネルギーの乏しいわが国においては、石炭が最大のエネルギー資源となっていることは明らかであります。この重要資源である石炭鉱業が、今日重大なる危機に当面し、合理化の美名に隠れて首切りのあらしが吹きまくっておりますが、根本的には石炭鉱業に対する政府の無為無策が今日の事態を招来し、その犠牲が労働者の上にしわ寄せされているという矛盾した姿がはっきりと出ているのであります。従って、政府は、みずからの責任において今後の石炭鉱業のあるべき基本方針を直ちに決定して、具体的な解決策を実行に移さなければならないにもかかわらず、このことは来たるべき通常国会に持ち越し、今回の予算補正においてはわずかに七億円余の離職者対策費を計上したにすぎません。これでは、当面大きな社会問題となっている石炭問題を解決することはできません。 わが党は、離職者対策については政府の予算補正のほかに、転職移動資金、離職者公営住宅建設資金、離職者失業特別手当の支給などが緊急に必要であると考えまして、強く要求したのでありますが、認められなかったことは非常に遺憾にたえません。今後、政府は、これらのことについても慎重に検討を加え、実施に移されるよう要望しておきます。 第五に、既定経費の節約についてであります。本予算補正のために、七千五億円の財源を既定経費の節約に求めておりますが、私がその内容を検討してみまするときに、まことに不思議に思われてなりません。すなわち、全額を防衛庁予算の節減に求めるならば、不要不急の在在である防衛庁費であるだけに国民は納得をすると思うのでありますが、こともあろうに、農林、建設、文部等、当面の緊急実施を必要とする関係省の経費を節減することは了解に苦しむところであります。特に文教関係については、公立文教施設備五カ年計画が昨年度より実施に移されておりますが、実際には予算の裏づけが十分でなく、右に左によろめいていることは周知の事実であります。かくのごとき実情であるにもかかわらず、今回一億五千万円の文教予算の節減を行なったことは暴挙であり、国民の絶対納得できるものではありません。この点については、政府に対し厳重な警告を申し上げておきます。 第六に、地方財政について申し上げます。大蔵大臣は、地方財政が昭和二十八年当時より好転をしておるという見解をとって、各種の特例法の国庫負担または補助率を二十八年災以下に押えようと努めたらしく、二十八年災より率がよくなったものは、海岸堤防の国庫負担分を政令地域に限り一律に八割としたくらいのものであります。また、自治庁は、地方公共団体の起債の特例分として二百億円を要求したのでありますが、結局、大蔵省に百六十億円に押えられ、しかも、特例法のうち国が元利補給するのは農地等の小災害についての地方債だけで、あとは結局地方公共団体の借金として残り、今後地方財政が相当に圧迫される要因を作り上げているのであります。この点についての政府の特段の配意を要求しておきます。 最後に、財政投融資について申し上げます。財政投融資による災害対策費として、年末融資分を含めまして、総額五百一億円の追加を行なっておりますが、もちろん、民間被害のきわめて甚大なる本年度災害の特質にかんがみるとき、これではまことに不十分でありまして、中小零細商工業者や農民が立ち上がることはできません。わが党が、一千億円の追加要求をいたしましたのは当然のことでありますから、政府が今後善処なされるよう希望しておきます。 その他本予算補正に際し、大蔵省初め各省が故意に各省被害要求額と査定額の公表を避けた態度はまことに遺憾であり、審議に支障があったこと。さらにまた政府機関関係予算のうち、特に国鉄、電通等の損害がかなり多かったにもかかわらず、具体的な予算措置をとらなかったこと等、まだまだ幾多出し上げたいことがございますが、時間の関係で省略をいたします。 以上申し上げましたように、本予算の補正には幾多の不満はございますが、罹災以来すでに数カ月、寒空のもとにふるえながら悪戦苦闘を続けておられる被災者の身の上と、壁と屋根だけの家の中で飢えに苦しむ炭鉱離職者の心情に思いをいたし、この当面する緊急事態を一まず切り抜けるため、ここに政府原案に対し賛成の意を表し、私の討論を終わります。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(小林英三君) 千田正君。
○千田正君 私は、ただいま議題となりました昭和三十四年度予算補正三案に対しまして、無所属クラブを代表して、多くの不満を残しつつも、年末と寒さに向い苦しみつつある罹災者並びに炭鉱離職者に思いをいたして、賛成を表明し、若干の点について希望意見を付して、ごく簡単に賛成討論を行わんとするものであります。 史上空前の惨事といわれた伊勢湾台風の襲来による被害の大きかったことは、さなきだに、台風常襲地帯として例年の合風による波害にもあきらめを伴い、ややなれていたかのごとき観を呈しつつあった政府には大きな衝撃を与え、臨時国会の召集と補正子算の提出を見ることになったのでありますが、そうしてまた、多くの国民とともに、われわれもまた、この国会において政府側が抜本的な台風対策を示すと同時に必要なる予算措置を講ずるであろうということを切に期待した次第であります。さらにまた今日、わが国の産業経済の上に暗影を与えている石炭危機と炭鉱離職者の援護処置についても同様であったのであります。しかしながら、現実に示された六百十四億円余の今次補正予算は、一面において財政事情の許す範囲内において、速急に処置を必要とするものに限られるというやむを得ざる制約を受けていたとはいうものの、その内容においてまだまだ多くの小満足の点を残していることは否定できない事実と言わざるを行ないのであります。ここに思い起こすべきことは、伊勢湾台風はいわゆる人災であって、決して避けることのできない天災ではなかったという厳然たる事実であります。それが人災であるならば、政府の施策よろしきを得ることによって十分避け得たであろうということも、また見のがし得ない事実なのであります。われわれはかかる観点によりまして、役にも立たない中古戦闘機に一機約五億四百万円もかけるよりも、例年台風の被害に泣く国民のための施策こそむしろ肝要であるとの見地に立って、従来から総合的国土開発計画を前提とし、それと相待って抜本的風水害対策の樹立を強調して参ったのでありますが、今次補正予算についてこれを見るに、これはほんの一例にしかすぎないのでありますが、押え切った六百十四億のうち六四%にしかたらない三百九十三億がいわゆる災害対策に充てられるのみであり、これと民間災害の復旧について十分なる考慮をなされておらない現実をあわせ見るとき、そのあまり寡少であるのに一篤を喫するものであります。 すなわち、政府提出の昭和三十四年度発生災害復旧補助事業費所要見込額調査によれば、一千七十二億円余が見込事業費であり、現行法による国費所要額だけでも七百九十九億といわれているのであります。われわれはいたずらに誇大な数字をもてあそんで政府の無策を責めるものではありませんが、この一事をもってしましても、例年のように襲い来たる風水害についての認識の欠除と、その対策の場当たり的であることを悲しまずにはおられないのであります。 さらにまた、われわれとしてまことに遺憾にたえないのは、今次補正予算の所要財源を調達するために行なわれました既定経費の節約分六十九億円余、特にその中に二億円千七百万余に上るところの公共事業費の節約、あるいは建設省、農林省、文部省等の予算のたな上げが見込まれておるということであります。これらはいずれも漁港、港湾、河川、道路あるいは教育設備費等の改修を初めとして、必要にして不可欠の分が含まれておるのであって、これらを削除することは、ただ単に本末転倒であるのみにとどまらず、ここにもまた政府の風水害対策に関する根本的対策の欠除と、その認識のあいまいさを偽わることなく露呈してしまったと言わざるを得ないのであります。これらは今次補正予算に示された多くの事例のうち、ほんの一端を申し述べたにとどまったのでありますが、総じてわれわれとしては、この伊勢湾台風を一つの転機として、新たなる構想想のもとに、面目を一新した風水害に関する根本的施策の速急なる樹立と、その予算措置の実行とを期待してやまない次第であります。またわれわれといたしましても、今後かかる見地より国会における審議に力を尽くすべきであると考えるのであります。 次に、石炭危機の克服と炭鉱離職者の援護について見ましても、刻下の急務である総合エネルギー対策の見地からする基本的態度の設定については、政府側の明快なり答弁を得られなかっただけでなく、台風罹災者と同じような悲惨な状況のもとに冬を迎えようとする多くの離職者に対してあたたかい手を差し伸べるには、炭鉱離職者臨時措置法案や七億二千万の予算ではまことに不十分というのほかはなく、かくては民間の援助、黒い羽根運動にあたかも責任を転嫁するがごときと同じだけの結果を生ずるにひとしいものであると言わざるを得ないのであります。 今、はしなくも三十五年度本予算の編成則にあたり、その規模、効用、財源等々を初め、基本方針について種々活発なる論議を呼び起こしておるおりから、以上ごく簡単に述べました。来年度予算の編成に際し政府の英断を期待しまして、今次災害の復旧に対する緊急措置を内容とする補正予算のすみやかな成立を願うために、かつまた、被災者諸氏が一日も早く打撃から回復され、立ち上ることを祈りつつ私の賛成討論を終わる次第であります。(指手) ―――――――――――――
○委員長(小林英三君) 杉山昌作君。
○杉山昌作君 私はただいま話題となっております補正予算三案に対しまして、緑風会を代表して賛成の意を表わそうとするものであります。 補正予算第三案のうち、その中心をなすものは、申すまでもなく一般会計の歳出補正の六百千四億円でありますが、そのうち予備費の一部五十億円を含む三百九十川億円が災害復旧関係の経費となっておるのであります。本年はしばしば台風の来襲を受けまして災害も各地に続出いたしておりましたが、九月の伊勢湾台風は史上まれに見る強烈なものでありまして、それがために被害は言語に絶するほどの激甚なものがございました。これに対する援護と復旧とは何をおいても実施しなければならない国の大きな施策であります。政府が急遽補止予算を編成いたしまして、必要な災害復旧関係の経費を計上して国会に捉出されましたことは、わが意を得た憤置と存ずるのでありまするが、この予算案は編成を急ぐのあまり、幾つかの難点を包蔵しているということはまたやむを得なかったかと存ずるのでございます。 しかしてその難点の一番大きなものは、計上された予算をもって、はたして完全に事業ができるかどうだろうか、換言すれば、予算額は少なきに失しはしないだろうかどうかということでございます。すなわち、予算編成時、実態の調査不十分のために、一応の見当で計上した金額が、その後事態が漸次判明するに従いまして、当初の見込みよりも多額の経費を要する事項が多いのではないかと考えるのであります。たとえば特に高率の補助金を交付すべき被害激甚地の指定にいたしましても、また高潮対策として築造される海岸堤防の延長の問題にいたしましても、さらにはまた今回の補正予算執行の基礎となるべきいろいろな臨時立法におきまして、衆議院段階における、または本院の段階におきまして政府原案に対して幾つかの修正が行なわれようとしておりますが、これらはいずれも経費の増額を伴うものであることは御承知の通りでございます。しかし現に困窮のどん底にある被災者を接護し、将来に万全の備えを築こうとするならば、予算がないからといって途中で事業を打ち切る、もしくは縮小するというようなことがあってはなりません。必要なことであるならば、さらに予算の補正増額をも辞してはならないと思うものでございます。この点に関しまする政府の答弁は必ずしも明確ではなかったと思いますけれども、しかし政府においては必要なものに事欠かして、被災地の援度または復旧に事欠くようなことはしないというふうな意図がはっきり読み取られたものでございますので、私は今後予算の執行において、もし不足がくる場合には、今の政府の善処しようということに大いに期待を持つものであることを特に申し上げておきたいと存じます。 次に、今回の補正予算を加えまして、本年度の一般会計予算は一兆四手九百八十一億四、約一兆五千億となっております。長い問いわゆる一兆円のワクをもちまして予算の膨張を抑制して参りましたのが、三十二年度予算において初めて一兆一千億というふうな、いわゆる一兆円予算を上回る予算を始めましてから、たった三年目の本年度に、すでに一兆五千億円というふうに非常に大きく躍増しておりますることは、一方において国民経済の目ざましい成長があるといたしましても、これは大いに注日すべきことではないかと思うのでございます。しかもこの財政規模の膨張が、財政資金受け払いの面におきましては、巨額の散布超過となっている事実は、さらに一段と注目しなければなりません。すなわち、本年度の財政資金の散布超過は、年度当初におきましては、二千四百億円と見込まれておりましたものが、今日では二千九百六十億円というふうになっております。これは三十年度の二千七百六十億円を上回る、戦後最大の散布超過の数字でございますので、これが今後の景気動向に及ぼす影響は、かなり刺激的なものとなるのではないかと考えるのでございます。しかも一方物価の趨勢を見ますると、これにもまた注目すべき傾向が見られるのでありまして、日銀の卸売物価指数は昨年の十月からことしの十月上旬までの一年間には五・二%、十一月から十一月上旬まででしたら四・八%、それからさらに十一月七日経企庁の発表しておりまする卸売物価によりまするならば、昨年九月の一番安いときから、今度の十一月までには実に七・四%の騰貴をしているのでございます。しかもそのうちで最近の八月以降特に伊勢湾台風以後の物価の上昇は、物にもよりますけれども相当顕著なものがあるのであります。こういう際に今度は補正予算が出て参るのでありまして、予算の追加経費の三百九十余億円が、これから年度末へかけまして物価の動向に対しては、これを押し上げる要素であるところの需要力として立ち向かってくるということでございますので、こういうことでありまするから私は今回補正によって増額せられました本年度の予算の執行にあたっては、政府においては十分の御注意を願いたい。必要な経費でありまするから、これを削減しろとは申しません。むしろ私は災害予算は必要あれば、第二次補正をも必要であろうというくらいに申しておりまするので、財政の面とは違ったあるいは金融の措置その他の方法におきまして、この現在数量景気といわれているわが国の景気が、価格景気になるということのないようなために、万全の御用意を願いたいと思うものでございます。 以上二つの点に関しまして所見を申し添えて、予算三案に賛成をいたすものでございます。(拍手)
○委員長(小林英三君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全都終了いたしました。討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、同じく特別会計予算補正(特第1号)、同じく政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して問題に供します。右三案に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(小林英三君) 起立多数と認めます。よって右三案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。(拍手) なお本院規則第七十二条によりまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。よってさように決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十八分散会