法務委員会 第6号
- 発言数
- 125 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/12/17
会議録
○委員長(大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 本日は検察及び裁判の運営等に関する調査といたしまして少年犯罪対策に関する件を議題といたします。 少年犯罪対策に関しましては、先国会以来すでに数次にわたって調査を継続いたして参ったのでありますが、今国会におきましては少年法改正の問題、矯正補導等の運用問題のみならず、一般問題につきましても、各方面の権威者から参考意見を聴取したほか、科学警察研究所、久里浜少年院の実地調査等をあわせ行なって参りましたので、本日はこれまでの調査の結果に基づき、法務大臣及び関係当局に対し総括的質問を行ない、もって一応の中間的結論を得たい、かように考える次第でございます。 それではこれより質疑を行ないます。御質疑のお方は順次御発言を願います。
○高田なほ子君 法務大臣に、先般から当委員会は青少年問題についていろいろの方面から意見をお聞かせいただきまして大へん勉強して参りました。総括的な意味において特に大臣の御出席をいただいて御質問を申し上げたい。わかり切ったことのようでありますが、きわめて基本的な問題をこの際明確にしておく必要があるかと思います。それはヒアリングの中でもしばしば述べられましたように、最近の青少年犯罪が非常に激増しているという問題、この問題も御説の通りであろうかと考えておりますが、しかし警察の統計そのものが犯罪の実態そのものを把握しているかどうかという点について、かなり異論のあるような御説も実は承っておるわけでございます。従ってこの青少年の犯罪の増加ということだけを一枚看板にしまして、これが対策に尽力することはもちろんでありますが、この対策として刑罰主義に走っていくような傾向にある。このことについてはかなり警戒を要さなければならない問題じゃないか。そこでこの青少年の犯罪問題の根本的な理念として、犯罪を犯した青年は正常な社会秩序を乱すところの加害者であるという立場に立って、この加害者を懲罰し、この加害者を罰則によって拘禁していく、これを排除していくといういわゆる社会防衛としての見地からみる少年犯罪対策、もう一つは、そうではなくして、最近のいろいろの社会悪の中で、この社会悪に抵抗し得ないという、犠牲者という立場に立つ犯罪少年、従ってこの社会悪の犠牲者というような立場に立った少年犯罪に対しては、これをあくまで守っていかなければならない。特に少年犯罪者の中には、過去に充分な保護やあるいは教育を受けない者が多いし、そしてまた教育を受けたとしても、被らを罪悪に陥れしめた原因というものが本人自体よりはむしろ社会の中にある。従って社会の中から子供を悪くするというようなこの社会悪を除去して子供を防衛していくという、児童防衛という観点に立たなければならないという二つの議論がヒアリングでも開陳せられたわけであります。私はこの両説にはそれぞれの主張があり、それぞれのお考えのあり方があると思いますけれども、一体大臣は最近の青少年犯罪の増加に伴う社会防衛の見地からの対策を進めていこうとするのか、あるいは特に少年、青年という見地に立って児童防衛ということを中心にしてこれが対策を強化せられようとするのか、二者択一ということを迫るわけではございませんが、最近やや重点がぼけてきたような感なきにしもあらずです。従ってこの基本的なお考えのあり方というものについて、少年法に基づいて、いかなる見地に基づいてこの青少年犯罪対策を進めていかなければならないかということについて、とくと御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(井野碩哉君) ただいま御質問の点でございますが、私も、あの各方面の方々の御意見を述べられた際には、ちょうど本会議がございまして欠席して、おりまして拝聴いたしませんでしたが、後に速記録を詳細に読みまして、いろいろの御議論のあることも十分承知をいたしました。もちろん私としましても、今日の刑事政策というものは昔の刑事政策とは違いまして、かなり報復主義というようなことから離れて、その犯罪面をしてできるだけ社会の適順性を可能ならしめるような刑事政策に変わってきております。これは、おとなに対してもそうであります。まして子供は、単なる社会悪からこれを防衛するというだけでなしに、むしろ保護的な見地から児童というものを再び善良なる国民として社会に復帰せしむるように考えていかなければならぬ。これが青少年に対する私は刑事政策の根本であると、こういうふうに実は考えておる次第であります。
○高田なほ子君 御意見によると、社会悪の犠牲者という観点に立って児童防衛中心の考えはお変わりになっておらないようであります。そうだといたしますならば、今日までも、特に青少年の犯罪の鎮圧防止というそういう立場から見るときに、いろいろな機関があるわけです。少年警察、少年検察、家裁の少年審判、それからそれに伴って少年鑑別所、少年院、救護院、養護院、保護観察所、少年刑務所、こういうふうにずうっと機関が並んでいるわけです。これらの機関はいずれも現行少年法の中心的な家裁の保護処分が中核になって処分されてきていると思うのです。先般のヒヤリングの中でも明らかになったように、少年鑑別所に現在収容されている者が二千五百人、少年院にざっと一万名、救護院、養護院にそれぞれ四千五百名ぐらい、保護観察所に千人、それから少年刑務所に五千人というように最近の数字が上げられているわけです。しかし、これらの数字とこれらのいろいろの機構を総括して見ますと、必ずしも効果が上がっていない。なぜなれば、最近の犯罪が激増したということは、これらの諸施設があるにかかわらず効果が十分に上がっていないということがこれは指摘せられても仕方がない点ではないかと思うのであります。なぜ、このように効果が上がらないのだろうか。これは、数々ヒヤリングの中でも述べられてきておりますが、総括して、これらの国としての施設、国としての準備、態勢というものがありながら、なぜ十分な効果を期することができないのだろうか。一体、この原因はどこにあるのだろうか。こういう点について、大へんめんどうな御答弁ではないかと考えますけれども、大まかな効果の上がらないという理由について一応の御答弁をわずらわしたい。
○国務大臣(井野碩哉君) 御説のごとく、今日の少年犯罪の効果につきましては、われわれが期待しておりますほどの効果が上がっていないことは私も認めております。その原因をいろいろ考えてみますると、多々あると思います。たとえば、青少年の年令を二十才まで引き上げた、従ってまあ設備を拡充しなければならぬのに、他の庁舎を借りて一時その収容所に充てておるというようなことから、設備の不十分から十分な教化が実行できないという点も大きな原因だろうと考えます。また、これに当たります保護観察官でございますとかあるいはその他の少年院の職員の数が足りないために、一人当たりの受け持つ数が非常に多いので、十分に目が届かない、りっぱな教養もできにくいという点も聞いております。また、少年犯罪の数がふえたということもいろいろ御議論があるようでございますが、これはまあ統計的にははっきりふえておるのでございますが、ふえたというほかに、また最近は少し質が悪くなってきたことも見逃せないと思うのでございます。これらは単なる犯罪後の設備の問題でなくて、やはり社会環境の問題が影響すると思います。あるいは教育の問題でございますとか、あるいはテレビその他ラジオ等のいろいろの点が影響しているところもあると思いまするし、そういう点につきましても、これは法務省だけの問題ではございませんが、十分に考えていかなければ、なかなか少年犯罪の減少ということを考えることは困難である。しかもまた、犯罪を起こしましてからのいわゆる非行少年のあとの社会復帰に対する効果というものにつきましても、今申し上げましたようないろいろの点に不十分な点がございますので、十分の効果が上がらない、これは法務省当局としても認めざるを得ないと考えております。
○高田なほ子君 あらゆる観点から今御答弁があったわけでございますが、私もその通りだと思うのです。ですから、ここにことあらためて大臣の御答弁をわずらわす必要はなかったかとは思いましたけれども、一応大臣がこの問題に真剣にお取り組みいただくためには、やはり効果が上がらないということの原因を十分にお互いに認識してかからなければ所期の目的を達成することができない意味でお答えをいただいているわけです。ただしかし、この年令の引き下げの問題については、大臣は、検察と申しますか、十八才引き下げというような問題の若干ひっかかりがあるような御答弁でありましたけれども、年令をいったい十八才に引き下げて少年犯罪が減少するかしないか、これは即断できないと思う。しかし、先般来のヒヤリングでは、年令を今十八才に法を改正して引き下げるということが必ずしも妥当な方策ではないという圧倒的なこれは議論であった。これは大臣も御承知だと思います。もし十八才にかりに引き下げますると、今度十八才以上の少年には保護処分ができない。十八才以上の少年がかりに保護処分ができないとすれば、彼らに待っているのは刑罰だけである。これでは第一番の質問に対して答えていただいたように、社会防衛の見地から少年犯罪を見るのではなくて、あくまでも児童を防衛するという見地に立ってものを見るということになれば、年令を引き下げて十八才以上の少年には保護処分ができなくなって刑罰だけが待っていて、刑罰や法規でもってこれらの悪に走った子供たちを矯正できないということは、これは当然のことなのでありますから、年令の引き下げというような問題については、大臣としてもこれはもう少し慎重な御検討を私はわずらわすべきものだと思っているのです。この点について再度お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(井野碩哉君) 非行少年の少年法に対しまする年令関係でございますが、これは私率直に申しますと、実は法務省へ私が参りますまでには、どうも最近少年犯罪が非常にふえてきた、十八才以上のはほとんどおとなに近くて、むしろ保護主義よりは刑罰主義で行ったほうがいいのじゃないかという気持を持っておった。ところが、法務省へ参りましていろいろそういう問題を研究してくれということは次官、局長に命じましたが、それをすぐやろうという考えはもちろん持っていない。ただ、研究してくれということは申しました。その後だんだんといろいろの情勢なりまた御意見を伺いますと、私の考えが必ずしもよかったとも実は思っていない。しかし、これは研究の価値のある問題だと思う。現に、ドイツでも、十八才から二十三才までは別な扱い方をしておりますし、単なる保護主義でいいかあるいは刑事政策を多少加えたほうがいいか、そういう点についても研究の余地はあると思いますけれども、今私は少年法を改正して十八才にまで引き下げようという考えは法務省に参りましてからは持っておりませんが、研究だけはして、必要があればまたそういう点についても触れていきたいと、こう考えております。
○高田なほ子君 まあ承りましたわけですが、くどく申し上げますけれども、少年犯罪については、犯罪の事実そのものよりは、むしろこの原因、それからここに至った環境、少年のいろいろの性格、家庭の環境と、すべてのものを総合的に検討しながら人間救済というようなそういう観点に立っていくとするならば、十八才に引き下げて、十八才以上の君が刑罰ではなくて、何といいますか、試行錯誤といいますか、刑罰に当たらないのですけれども、何でもためしてみたがる子供が時に誤まり、エラーを起こす、そのエラーを直ちに刑罰に該当するからというようなことで、刑罰だけが待っているというような仕組みに、にわかに変更するということについてはほんとうに研究しなければならない問題で、大臣が研究してみる価値があるものだという意味での御研究ですと、私どもも研究そのものには、どんな研究でも悪い研究はないわけでありますから、大いに賛意を表したいわけでありますが、にわかに青少年の犯罪が増加したという理由をもって十八才にこれを引き下げるという一部の意見そのものについても、相当慎重にお考えいただけるということを期待して、一そう研究をしていただきたいというふうに考えます。 続いて、あまり問題がたくさん出てきてしまいましたのでございますが、少し分けて質問をしたいと思うのですが、第一番に予算の問題なんですが、予算の問題は大臣も御指摘のように、現行法というものを完全に実施するためには現在の予算ではどうもあまりに少な過ぎるわけです。これは閣議等においても相当大臣は主張なさって、予算を獲得されるために非常に奮発されているのではないかと思いますけれども、一体、閣僚の皆さんというのは現在の青少年問題についてどういう認識を持っているのですか、これをちょっと伺わしていただきたいと思う。これは閣僚の批判を大臣がなさるという意味ではないのでありますけれども、少し軽視され過ぎていやしないかという気がするわけです。 幸い、きのうは国連憲章の中にある児童の権利宣言が本会議で採択されたわけでありますけれども、きのうの議場でも議員の数がうんと少なくなっていたわけですね。子供の問題はみなおとなが責任を持つということになれば、どうもあんなふうなからっぽな議場ということでは私もいささかさびしかったし、できるならば大臣があそこにずらっと並んでほしかったわけです。ところが不幸にして、きのうの本会議場では青少年対策は重要政策の一つであるというので大へんに力んでいらっしゃる総理大臣を初め、閣僚の皆さん方があの席にお見えにならなかった。せっかくのいい決議が何だかすうっと冷たい風の中を通っていくような気がしてならない、非常にさびしかったのです。そういう意味でお尋ねするわけです。これは全閣僚の認識というものが高まらなければ、法務大臣一人ががんばっても迫力がない。一体どういう認識をお持ちになっていらっしゃるのか。岸内閣は言うことはうまいんです。しかしおやりになることはどうも遺憾ながらうまくないんですね。再軍備の増強問題は別として、こういう問題はおっしゃることはおっしゃるけれども、薄情です。だからどうしてもこれは大臣にがんばっていただいて、実のある予算を獲得していただくためには、閣僚の皆さん方の認識というものを高める意味において、ときには法務大臣もその閣議の席上で大演説でもぶちまくるくらいの迫力を出していただきたいと私は思っておりますけれども、皆さん一体どういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか、大へん失礼な質問でありますけれども……。
○国務大臣(井野碩哉君) 各大臣が青少年問題についてどういう熱意を持っているかは、私も一々にぶつかってみませんからわかりませんが、少なくとも総理以下党の幹部はこの青少年問題は非常に重要視しております。総理は絶えず日本の再建に対して、今後の日本を背負って立つのは第二国民である青少年であるということから、青少年対策につきましては非常な熱意を持っております。この二、三年の予算でも相当に青少年に関する予算もふやして参りました。また今回の党の政調会の重要政策の予算の中にやはり青少年問題を大きく取り上げて、政調会としてはこれを政府に要望しているようなわけでございます。閣僚一々については私は知りませんが、党の幹部並びに政府の首脳部は青少年に対しましては非常な熱意を持っているということは申し上げていいと思うのであります。私もこの問題は大事と思いまして、本年度の予算には相当に法務省としても予算を組みましたが、つい先日も大蔵大臣と一時間ほど話をしまして、この問題については十分皆さんに理解してもらえるように要望はしておきました。ただ、昨日の児童の権利擁護のあの決議案のときに、だれも閣僚はいなかったと申されましたが、実は私どもは議席におりました。これは、参議院の決議なんですから、大臣席には並ばないで、議席に参議院の連中はみんな並んでおりました。ほかの大臣は各いろいろの委員会で出なかったと思いますが、熱意がないというのでなく、私どもも、所管の大きな問題でありますから、議席において決議案に賛成の起立をいたしましたような次第でございまして、そういうようなわけで、決して熱意がなくはないということだけははっきり申し上げ得ると思います。
○赤松常子君 この間、久里浜の少年院を視察いたしまして、非常に私ども、今、高田議員のおっしゃられましたように、予算の不足をしみじみ痛感いたしました。 この間、時間もございませんでしたけど、少年だけの意見を聞く座談会を持ちまして、そのときには院の職員の方全部に退席していただいて、ほんとうに子供たちの気持々聞いてみたわけです。ところが、時間もございませんでしたし、何か初めて会うわけですから、少しぎこちない空気もあったようですけれども、だんだん口をほぐして、ほんとうの気持を語ってくれた次第です。そのとき、一番強く申しましたことは、やはり予算の不足から食事のまずさ、たとえば、けさは何でしたかと聞いたら。御飯とおみおつけだけ、おこうこはつかなかったかと言うと、つかないと言うのです。こういうふうに、ほんとうに寒々とした食事――それがけさの食事だったと言うのです。このことは、その子供たちの座談会のあと、職員の方だけまた集まっていただいて座談会をいたしましたときに、どうしておこうこがつかないのでしょう、そういたしますと庶務の課長が、いや四日に一ぺんぐらいつかない日はございますが、あとは何とか補充しているという、全く想像外の粗末な食卓費用、結局そうなるわけです。それから石けんの不足、紙の不足、これが一番耐えられないと申しておりましたわけです。こういうふうに、子供たちのほんとうの院の中における生活は、何か足りない、足りない、寒々とした状態で、果して子供たちがほんとうに楽しい食事ができるだろうかということ。非常に私はこういう点、子供たちの生活を守るその環境すら十分でないということを教えられるわけです。 それから、今大臣もおっしゃいましたように、いわゆる職員の不足から、毎日曜日外に出て空気を吸うその時間がないと言うのです。ただ部屋の中に蟄居して本を読むのだということなんですけれども、あのエネルギーに燃えている子供たちを何で外に出さないのかと、こう申しますと、やはり、職員が不足しておって目が足りないから逃走や何かを防ぐ意味かららしい。こんなことで私はほんとに子供たちにのびのびした毎日の生活が与えられるかどうかということを非常に不安に思いましたし、職員の不足ということから所期の目的が達せられない、こういう実情も見て参りました、 それからまた、子供たちが、職業補導にもっと名称の施設をしてもらいたい。ある一人の子供にあなたは何が習いたいかと聞きましたら、機械工になりたい、この前行った少年院では機械を少し教えてもらい、設備があって、いろはは習ったけれど、ここへくるとさっぱりないから、その次の過程が習えない。私はそういう技術を身につけたいけれどそれができない、こういうことも嘆いていたわけでございます。ですから、ほんとうに実際のそういう諾設備が実に不足している。足りないし、寒々としている、これではよくなって下さいと言う方が無理だというふうに私どもは痛感した次第でございますが、今の予算の点については、そういう点がどのくらい一体増額されるか、もし何でございましたら簡単でよろしゅうございますけど、お聞かせ願えればと思う次第でございます。
○国務大臣(井野碩哉君) 先般法務委員の皆様が久里浜を御視察をいただきましたことを非常にありがたく存じております。やはり施設を見ていただきまして、足らざるところを御指摘いただくことが一番大事でございますし、ことに先般一々児童に会われたお話を直接あなたからお伺いをいたしまして、非常にけっこうなことだと、なかなか私ども参りましても子供がそんなことを訴えませんが、まあお母さんのような気持でお訴えを申しあげたと思うのであります。そういうことは非常にけっこうだと思います。それらについての予算の関係は一応要求はしてございますけれども、矯正局長から詳細にまた御説明々申し上げさせたいと思います。(赤松常子君「大まかでよろしゅうございますから」と述ぶ)
○説明員(渡部善信君) 食糧費の関係でございますが、実は少年院の食糧費は副食費が、十三円五十銭でございます。まことに、一日二十三円五十銭の副食でまかなっていくということはなかなかむずかしいことでございまして、職員は非常な努力を払いまして、最も効率的な食糧を給することを努力いたしておるのでございますが、大体少年院の食糧費は副食費と主食費になっておりまして、主食費の方が四十二円十銭ということになっております。合わせまして、一日の食糧費は六十五円六十銭ということになっておる次第でございます。まあこれで現在では、熱量その他の点ではまずまず少年たちの給与に最小限度の線を確保いたしておるのでございます。もちろんわれわれといたしましてはさらにこの食糧費の増額をこいねがっておるわけでございまして、いつも努力を続けて参っておるのでございます。今後ともこの増額をいたしたいということは、毎年予算要求でお願いをいたしておるのでございます。 特に少年たちは発育盛りでございますので、蛋白質、動物蛋白質の不足ということが現在でもガンになっておるのでございます。この動物蛋白質を給与いたすにつきましては、やはり食糧費ことに副食費の増額ということが大切でございまして、この点今後とも努力を重ねたいと思っております。 なお、石けん、紙等の日用品の問題でございますが、これも十分とは申せませんので、今後とも努力を重ねたいと存じております。 それから日曜等の少年たちの運動の点でございます。これもわれわれといたしましては、なるべくはち切れるような精力を持った子供たちでありますので、その発散の道がないとどうしてもうまく参りません。そこで、この日課の中に運動を取り込んで、極力やるようにいたしておるのでございます。御指摘のように、職員の不足というところからその点不十分の点も出て参っております。で、これがやはり職員の不足というところから、今度は職員の過重負担というようなことにもなって参りますので、その辺が非常なわれわれの苦労の種でございます。で、来年度におきましても職員を充足いたしまして、そのような面の不都合を何とか解決していきたいということを考えておる次第でございます。
○赤松常子君 あれてございますね、何もかにもということはとても一ぺんでむずかしゅうございますけれども、子供たちが一番要求しておりますのは、日用品をもう少し、紙をもう五枚ふやしてほしい、何とささやかな要求でございましょうか。それから食事のあれでございますね、おこうこを毎回つけてもらいたいなんということは、ほんとうに胸が詰まるような気がしますが、そのために前年度と今年度はその点ではどのぐらい増額になっているんですか、少しふやしていただいているんですか、その点だけお伺いしたいと思います。それだけでもしてもらいたいと思います。
○説明員(渡部善信君) 実は菜代が副食費一円ふえたのでございます。わずかに一円でございますが、それと、もう一つは特別菜というのがふえたのでございます。この特別菜といいますのはお正月等の特別菜でございますが、これがございませんために、実はこの平生の副食代を少し上前をはねましてお正月等に菜をやるわけでございます。そういたしますと、それが毎日々々の菜代に響いてくるわけでございます。それを特別菜を五十円ふえたわけでござい示す。これがまあふえまして日々の副食費は潤ってくるわけでございまして、さような面からまあ形を変えまして、副食代の値上げというところをまあねらっているわけでございます。まことにささやかなことでございますが、一歩々々改善していきたいというようなわけでございます。
○高田なほ子君 続いてお尋ねを大臣にしたいと思います。 いろいろ政府の方としても下級機関の充実整備に当たられるということは承知しております。しかし、何といっても現行少年法の実施を一番完全にするための緊急な方策としては保護観察に主力を注ぐ、というような重点主義がとられなければならない。なぜなれば、家庭裁判所で扱って逆送されて検察庁へくる、そうして今度は刑事処分相当という判断が下されても、その中の七〇%は執行猶予処分になっている、で、この七〇%の執行猶予処分になっている者の措置についてはほとんど野放しの状態である。これでは前にも大臣に申し上げましたように、一つの悪い要素があると、純真な子供たちに対する影響というものはおとなが想像するよりはもっと大きな力で伝播していく、こういうようなことを考えましたときに、この刑事処分相当と認められるものを執行猶予した者に対する措置というものについて、どうしても保護観察というところに主力をおいて施策をしていかなければならないというように私考えております。幸いに今度の予算ではこれらの保護観察員に対する増員計画がなされるように私伺っているわけでありますが、現存の保護観察を要する対象少年が現在は二万人、これに対してわずかに五百五十人、そうすると一人の観察員は四十名のこの子供たちを観察してお世話していかなければならない、一対四十という数字はこれはあまりにも非科学的な非現実的な数字であって、せっかくのこの政策というものの実を結ばない原因がここらにあるのではないか、大臣の御腐心のほどはわかりますけれども、実際問題としての保護観察というものについてのこの対策というものについて、まだまだ力不十分の気がするわけでございます。従って大臣にお答えいただきたいことは、今後この保護観察という面にどういうよう心計画的に増員をしようとするのか、そうして七〇%にわたる執行猶予のこの子供たちをいかに救済するか、こういう大きな問題に取り組んでいただくために、この点についての事務的な説明は担当官からお願いいたすにしても、大臣の迫力のある一つ御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(井野碩哉君) 高田委員のお説の通り、青少年の家裁から回されて参りましたいわゆる執行猶予的な非行少年に対する保護観察制度の重要性は、これはもう私どももきわめて大切だと考えております。今までそういう方面に対しまする予算なり、またその他の点が欠けておりますことも十分理解しておりまして、実は、昨年この保護司の方の予算を多少愛知法務大所がおふやしになったのでありますが、観察官の方の関係はあまりふえていなかった。ことしはその方面の、せっかく保護司の方をふやしましても、観察所の方を十分にいたしませんと効果が上がらぬわけでありますから、ことしはその方面に力を入れまして、その方面の予算を大蔵省に目下大きく要求いたしております。その詳細の数字は保護局長から御説明いたさせます。
○説明員(井嶋磐根君) お答えいたしますが、お尋ねの保護観察官の増員の計画でございますが、三十五年度の予算におきまして倍増の要求をしております。ただいま仰せの通り、既存の定員は五百五十九人でございますが、これを一応のめどといたしまして、少年の場合には一人の観察官に百人が一応のめどという計算にいたしまして、この倍増のお願いをしたわけであります。ところが現存の実情でございますが、私、着任いたしましてまだ日もございませんので、詳しく把握はいたしておりませんが、東京の観察所のごときは、一人が三百人ないし四百人を持っておるということで、ほとんど観察という本務に従事し得ない。大部分の時間を事務的な方面に消耗されてしまうというようなことでございまして、青少年犯罪の対策といたしましては、まことに不十分であるというような見地から、少年の場合には一人百人、成人の場合には一人百五十人というものを一応のめどといたしまして、倍増の要求をしておるものでございます。
○高田なほ子君 いかがですか、大臣。今の事務当局からの御答弁について御感想はありませんか。一人の観察員に対して百人の少年のお世話をしていかなければならない。これは容易ならざる難問題じゃないかと思うのです。私寡聞にして、一体一人の人がどのくらいの少年の保護観察を、時間的に労力的にする能力を持つのか存じませんが、私、一人で百人というのは、ちょっとこれは奇跡的な数字じゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(井野碩哉君) 今保護局長から御説明申し上げました通り、予算的にはそういうふうになっております。ただ、保護観察官一人百人の児童を受け持つということは、非常に大きな数字に見えますが、実は観察官は御承知の通り保護司を監督しているのでありまして、一人々々の児童を受け持つのは保護司が受け持っておりますが、それを総括的に保護観察官が観察いたしておりますので、一人で百人受け持っておるというような形になっておりまして、これも決してそれだけで十分とは申し上げませんので、ますます受け持ち数を少なくしていくことは大事だと考えておりますけれども、現在はそういったような状態であるそうであります。
○高田なほ子君 そのことはよくわかるわけですけれども、一体、一人について百人という数字というものは、これは私は科学的な数字じゃないと思うのです。予算から逆算してきて、大体まあこのくらい見て今押さえておいて、もっと予算がとれれば何か減していくという一つの暫定措置じゃないかと思うのです。これは法規か何かありますか。一人について百人という基準数字は、どういうところから割り出した数でございますか。
○国務大臣(井野碩哉君) それはただ予算措置だけだと思います。法規の根拠はないと思います。
○高田なほ子君 よくわかりました。くどく申しますけれども、この保護観察に主力を注ぐということは、大臣、私は緊急の問題だろうと思います。どうかこの点は事務担当の皆さんからも、十分にやはり大臣に事情をお話を下さって、大いに奮闘をしていただけるような素材を大臣に提供していただきたいと思う。 それからもう一つは、先ほど保護司の予算の増額問題が出て、これはけっこうだと思います。実費弁償という形にだんだん近づけるようでありますが、実費弁償であるならば、なぜ保護司の実費弁償というものが、今日まで都市、町村等によって差別があるのか。私は保護司の待遇の差別について、はなはだ納得がいかない。現在どういうふうにこれはなっているのか。そうして予算を増額したら今度はどういうふうになるのか。この点について、これは事務当局からの方がいいと思いますが、御説明いただきたい。
○説明員(井嶋磐根君) 実費弁償金につきまして、前年度の予算で相当増額になりましたように私も承知しておりますが、現在で一人預かりまして日に百九十円の実費弁償金でございます。これではとうていお報いするのに道が遠いのでございますので、三十五年度の予算要求におきましてはこれの八割増、総予算の金額に対しまする八割増加の要求をお願いいたしております。目標といたしましては、特にその中で具体的な方策といたしまして、青少年の相談保護司というものを新たに設置するという構想をその中に含めておるわけなんでございますが、この構想は、御承知の各地方にございます一保護区に二人程度の専任保護司を指名いたしまして、その二人の方が、少なくとも月に四日の日にちを指定していただいて、その指定日に青少年に面接していただく。そういたしまして非行者の不良化をできるだけ早期に防止するということがねらいでございますが、そういうねらいのもとに、新たに青少年相談保護司というものを置きたいと存じまして、その予算も含めまして、三十四年度に対しまする八割増の予算をお願いしておるのでございます。
○高田なほ子君 これは保護司の定員の増加に伴う増額が大部分含まれておるようでありまして、ですから百九十円の単価というものは、依然として見るべき改善が行なわれないという気がいたします。大臣、この点御認識いただきたいことは、百九十円の実費弁償を今いただいておりますが、全部いただいておるかというと、そうじゃない。たとえば栃木県の宇都宮のちょっと在におる保護司の方なんかは七十円だそうです。この七十円の金でもって宇都宮にある保護観察所へたびたび連れて行って、また親とも会ったりして、いろいろ措置すると、そうするとバス代だけで、はやもう七十円に足が出てしまう。私は百九十円というのは、認識不足にして、全部そうかと思ったら、そうではなくて、地域的にやはり違うらしいんですね。こういうことはやはりまずいんじゃないか。実費弁償というからには都市、町村の別を問わず、やはり低いところであるのに、さらに低くするような区別というものはとるべきものでないと私は思います。で、今お答えいただいたのは八割増の要求ということで、これはあくまで要求であって、実現するかしないかはこれはわからないし、百九十円の単価そのものについてもこれは問題があるわけであるし、もう一つは、今こういうように地域的な実費弁償の差があるということについては、これははなはだまずいことでありますから、この点については、即刻一つ御研究いただいて、地域的な不均等の実費弁償が行なわれるというようなことを極力避けていただき、八割増の要求額は定員増に伴う予算増であるという御認識のしに立って、これはいま一奮発していただきたいような気持がするわけですが、この点大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(井野碩哉君) 私も保護司の予算につきましては、法務省に参りまして、月に百八十円の実費弁償なんというものは実にわずかなもので驚いたのですが、それでも一昨年からみると、七十円愛知法務大臣は努力されてとられたということを伺いまして、なかなか保護司に対する予算の薄さを痛感したわけであります。しかし、これはもともと保護司というものは、実費でございますから弁償するのは当然でございますが、金はなくても、自分でほんとうに子供を愛する心から保護司になっておられる方がずいぶんおられるので、金なんかどうでもいいんだという方が相当おられて実に私は美しい社会的存在だと思っているのでございます。ですから、あまり金の面でお報いするというよりは、他の方法を法務省としても十分考えていかなければならぬじゃないかとも考えております。しかし何分にも、実費がそういうふうに少ないのでございますから、これは機会あるごとにふやしていかなければならぬとも考えております。ただ、今のお話の、地域的に非常に差別があるというお話でございますが、法務省としては地域的の差別なく出していると思うのでございます。私も三重県でございますが、三重県の保護司にこの間も会って事情を聞きますと、相当金持が保護司になっているところは、その金をむしろ保護観察所に寄付したり、保護観察所は何分予算が少ないものですから回したりして、自分のもらう分は少なくしているというような実情と聞きました。あるいは、栃木県でもそういうようなことで、栃木県の保護司の方は相当金がある方が奉仕的にやっておられて、その金をほかへ回しておられるのじゃないかと思いますが、予算面におきましては、決して地域的の差別なく百八十円という金額で保護司の方に渡っておると私は信じております。しかし、なおそういう点は研究いたしまして、そういうことのないように努力をいたしたいと思っております。
○高田なほ子君 これはあくまで保護司の仕事は精神的なお仕事にはもちろん違いないと思うのです。観察所の方の予算が貧弱だものだから、ついやはりお金も自分であり余るからこれを寄付なさる、その行為は大いに私はお礼を申し上げたいところなんですが、しかし一面こういう考えもあるでしょう。ああ、これくらいのものをもらうに忍びないという気持も私はあると思う。たとえば、お寺の住職のような方は、現金収入というものはほんとうにないんです。人がなくなったとか、あとは盆とか、そんなようなときのお布施が現金収入になるというようなことが多いでしょう。そういうような方は、それはもちろんお金を目当てにしてやっているわけじゃないんですけれども、やはり経済的な負担というものは、お互い様なかなかつらいものでございますから、その活動を活発にしていただくためには、要するにそれだけの経済的な裏づけというものは社会的な常識としてこれはすべきものである。大臣の言うように、あまりおうように物事をお考えにならないで、もう少し経済的な裏づけというものを政治家としてはお考えになる必要があると思うのです。どうぞ一つこの点は御奮発願いたいというふうに考えます。 それから少年の犯罪激増ということがひどくあげられてきておるわけですが、この反面、またいいことをやる子供もふえてきているわけなんですね。これはこの間のヒアリングの中で私はこのお説を非常に傾聴したわけなんです。悪い面だけ、暗い面だけがアピールされておって、子供たちの自主的な善行というものは、どうもあまり取り上げられない、これはやはり大臣お考えになっておくべき問題じゃないかと思う。子供というのは、その教育に欠かすことができないのは、やはり子供の名誉心というものを、あまり増長さすようなことをしてはいけませんけれども、そういう面についての措置というものは大切なんじゃないかと思います。ここに警察庁の方お見えになっておられますか。これは最近の青少年の善行というものは、どういうふうに増減しておりますか、今おわかりになっておりますか、数字的でなくてようございますが、傾向はどんなふうでございますか。
○説明員(木村行蔵君) 統計はただいまのところ警察庁にもありませんし、ほかの省にもあるかどうかは、はっきりいたしませんが、傾向といたしましては、善行青少年というものがふえておるように私は思うのです。というのは、私個人として関係しております社団法人の善行会というのがありまして、二十年くらいやっていますけれども、毎年春と秋に表彰いたして、善行少年の表彰を千人ばかりいたしております。数においてもふえておるだけでなしに、非常に涙ぐましい美談がありまして、いい傾向が芽ばえているのじゃないか、しかもある程度ふえているのじゃないかと思うのですけれども、客観的に統計は今ありませんので、大体大まかな推定であります。
○高田なほ子君 明るい御答弁をいただいて非常に私はうれしく思います。私も実際そうだと思う。しかしこういう点については、法務大臣あたりが、やはりその子供に小さなメダルでも贈って、そうして、特に集団的な犯罪が多くなっているというようなときには、集団的な善行というものについては大臣としても相当これを取り上げて、積極的な善導方向に向かわせるようなやり方というものは考慮されていいのではないか、私はこういう意見を持つのです。それは、なぜそういうことを私申し上げるかというと、三年くらい前からですか、自動車のタクシーの運転手に優というマークがはられるようになりましたね。あれが、私は警視庁のヒットだと思うのです。乗る方も感じがいい、それからあれは実際運転している運ちゃんも、ものすごくプライドを持っているのです。あのプライドというものは、これはおとなだって子供だって同じだろうと思うのです。やはりそういう積極面、そういう明るい面に手を伸ばしてやるということは、青少年犯罪対策の、これはつめのあかほどの問題かもしれませんけれども、そういう方面についての方策というのは、あまり金もかからない、そうして効果は非常に大きい、とするならば、明るい面を助長するやり方というものについても、御工夫を願う必要があるのではないか、この点について大臣の御意見はいかがなものでありますか、伺いたい。
○国務大臣(井野碩哉君) 法務当局としましては、非行少年のことばかりやっておりますので、善行少年のことをあまり考えてないとお叱りがあるかもしれません。しかし私も、法務大臣としてでなく政治家としてやはり善行少年に対してはできるだけ優遇もし、国家の褒賞もしたいと考えております。しかし、これは所管がおのずから違いますので、総理大臣にもよくそういう点も申し上げ、また、そういったような施設をできるだけ多く作るようにしたいとも考えております。
○高田なほ子君 これは所管が違うということになると、どういう所管にこれは属するものでしょうか。非行少年に対して善行少年というのは、おまわりさんが大へん疲れているからというので、子供がかわり番こに交番に花を持っていってあげたとか、それから交通整理のお手伝いをずっとしてきたとか、そういうような若干法務に関係するような面のものもあるわけです。こういうものに善行の表彰をするということには、私はやぶさかであってはいけないと思うのです。所管外というふうにお考えにならないで、所管外の問題だけでも、せめて具体化するようなお考えは全然ございませんか。
○国務大臣(井野碩哉君) 一般の少年の善行に対しまして、法務省が表彰するとかなんとかということは、これはなかなかちょっとやりにくい問題だと思うのです。警察のごときは一般国民に直接接しておりますから、国民のうちで善行少年に対していろいろほうびをやるとか、またその他の感状を出しますことは、これはやりいいと思うのですが、法務当局としては、所管のことにおいての善行が現われれば、それはもちろんいたしております。たとえば伊勢湾台風のときに、少年院の子供たちが非常に献身的な努力を払いまして、伊勢湾台風のいろいろの作業をやってくれました。これに対しては表彰をいたしておりますし、その他いろいろの少年院におる少年の善行に対しましては、いろいろ法務大臣としても考える余地がございますけれども、一般の国民のうちの少年の、善行少年に対してどうしようということになりますと、これは内閣の他の省の仕事、たとえば文部省でありますとかあるいは厚生省でありますとか、そういったような方面の他事になりますので、それらの連絡を十分尽しまして、今御説明の点はよく一つ申して、そういうように実効をあげたい、こう考えております。
○高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは、先ほど赤松議員からの御発言にございましたが、それに関連することになるわけでございますが、このごろ職業訓練法に基づいて、施設に入っている子供たちが国家試験を受ける、いわゆる受験資格、これを獲得することになるようでありますけれども、現在は国家試験を受けるという資格がなかったのを今度新たにそういう方法になったのか、なったとするならば、それに対応する施策というものが計画されておるのじゃないかと思うのです。この点について事務当局から一応説明を承りたいと思います。
○説明員(渡部善信君) 少年院の職業訓練につきましては、われわれも実は口に矯正教育と申しましても、ただお説教ばかりではだめなんでありまして、仰せのごとく、手に職を覚えさせることによりまして立ち上がっていくという心のよりどころを持たせ、また、腕にも自信を持たして退院さしたいということを念願しておるわけでございます。この職業訓練規定を設けまして、現在各少年院の訓練課程を織り込みまして、今実施しつつあるところでございます。ただ、この少年院で、国家試験を受けるだけの資格を与えるということはなかなかむずかしいものでございますから、この点は労働省ともよく連絡をとりまして、その所定の時間数等を確保するように仕組んでおるのでございます。これには、まだ少年院の設備内容等も十分整備いたさなければなりませんので、その整備のための予算も明年度相当多額盛り込んでおるのでございます。これは各職業を一ぺんに全部取らすというわけには参りません。従いまして、一つの少年院では木工関係の試験を受けさせる、あるいは乙の少年院では金属関係の資格を与える、丙の少年院では理髪の試験を受けさせるというふうに、それぞれの少年院によりまして特色を持たして、逐次充実さしていくというふうなことを今考えているのであります。この職業訓練は、少年院の矯正教育上一番重大なことだと思って、その充実に目下努力いたしておる次第であります。
○高田なほ子君 大へんおもしろい計画を今承るわけでございます。甲の少年院では理髪とか、乙の少年院では洋服専門というふうな特色のある職業訓練、こういうようなことになると、やはり抜本的に私は改革が必要になってくるのじゃないかと思うのですね。そうすると今の少年院は、混合収容といいますか、の形になっているわけですね、そうすると、混合収容の形を別の収容方法に切りかえようとなさるのか、この点との関連が私よくわかりませんから説明していただきたいと思います。
○説明員(渡部善信君) 混合収容とおっしゃいますと、ちょっとこの点実はむずかしいところでございますが、現在でもなるべく資質の鑑別をいたしまして、それぞれの類別に従った収容をいたしておるのでございます。現在では御承知のように初等、中等、特別医療、この四種類が法律では定められておるわけでございますけれども、今私が申し上げますのは、この職業適性を検査いたしまして、その適性に応じた者をその職につけるということでございますが、これも、現在でもいたしておることはいたしておるのでございます。少年院でも、各少年院に木工あるいは印刷、それから洋裁とか靴とか、あるいは農耕とかいうような、一通りの職業訓練の内容は持っておりますけれども、ただいま仰せのごとく全体が、何と申しますか、どっちつかずというような形が現況でございます。従いまして、これをほんとうの職業訓練の波に乗せた、規定に乗せたものに全部をするということは、なかなか困難な点がございますので、各少年院の立地条件を勘案いたしました上で、たとえばこの少年院は洋裁というものを中心にやっていくというふうな形に持っていきたいと考えておるわけでございます。従いまして、その充実した職業にはそれに適した者を各管区から寄せ集めていく、管区内で集めていくというようなことは今後考えていかなければならないことと思っております。
○高田なほ子君 一応理想論としてはわかりますが、しかし職業選択の自由というのは、憲法に保障せられる基本的人権です。そうだとすると、自分が理髪屋をあまり好かないというのに、無理々々その理髪専門だからといって、それをおっつけるということは、これは私もっと研究されていいのではないかと思います。特に最近の産業界というのはオートメーション化されてきております。こうなって参りますと、職業教育というものも、きわめて近代的なセンスが必要になってくると私は思う。たとえば少年院を見に参りますと、久留米がすりなんか、がっちゃんがっちゃん織っていますが、あれが社会に出て、はたして久留米がすりを織ることにある人は専念するだろうか。せっかく技術を覚えても、疑問があったり、また、中の子供に聞いてみると、脱走しかかって、身柄拘禁といって、謹慎をさせられている子供に聞いてみると、なぜそうなったかというと、きわめて遠慮勝ちに、僕は自動車の運転を習いたかったのです。こういうふうに、それほど自動車の運転を習いたがっているものを、無理々々豚のようなものを預ければ、これはやっぱり好き嫌いもあるのですから、非常に不満が起こってくる。職業の選択、それから重点的職業教育の施策というものについて、これはやはり研究されなければならないと私は思うわけです。もちろんこれは研究課題だろうと思いますが、どうかとこの点は一つ十分に研究していただきたい。それには、何よりもまず、今日の過剰拘禁の状態をどういうふうに解決するかということを、私、大臣にこれは伺いたいと思う。先般石黒委員からの北海道の視察についての報告を拝見しますと、北海道地方のある地区では、過剰拘禁二・七倍に上るという数字がある。十四人入れるところを、それの二・七倍入れているのですから、これは大へんなことだと思う。この過剰拘禁を一体どういうふうにしたならば解決するかですね。これは、みんなおとなどもが額を集めて考えなければならないところですけれども、この過剰拘禁を緩和するために何とか方途はないか。法務省の中で、こういう点について額を集めて何か研究していないか、この点を私は大臣に伺いたい。
○国務大臣(井野碩哉君) 過剰拘禁の実情も、私ども伺っております。これは何とかして解決しなければならぬ。しかしこれはやはり予算措置によりまして設備の拡充をはかるのが一番いいと思っております。そうしてそれと同時に職員をふやしまして、そうして過剰拘禁のないようにしていかなければならぬと考えております。従って今度の予算も、そういう点に重点を置いて要求をいたしたような次第でございます。
○説明員(渡部善信君) 私からお答えいたします。職業訓練のこと、ちょっと申し上げますが、職業訓練を私らももちろん少年のこの意向というものは十分尊重いたすつもりでございます。現に尊重いたしております。で、ただ仰せのごとくこの自動車の訓練をしたいと申す希望はございましても、なかなか頭がそれに伴わない者が望む場合が非常に多いのでございます。これもまあ自動車が習いたいという者の知能指数等からいたしまして、とうていそれにマッチできないような者も実はおるのでございます。まあこういう者はよく言い聞かしてやらなきゃなりませんが、なかなかそれを言い聞かすのもむずかしい点でございまして、まあ今後も十分その点は本人の意思を尊重いたしますとともに、本人のほんとうに生きていくべき道を探してやるのが少年院の一つの任務だと私思っておりますので、その点は今後とも仰せの趣旨は十分お伺いいたしまして、今後とも努力をいたしたいと思っております。それから久留米がすりでございますが、これも実はございます。これは今も申し上げましたように、少年院では久留米がすりは今いたしておりませんですが、刑務所ではやっております。で、少年刑務所等でもやっておりますが、これもいわゆる職業につかせてやりたいのでございますが、なかなかそれに乗ってこない者が相当おるのでございます。まあこれらを一体どうしたらいいかということがわれわれの一番の悩みでございます。そういうようなのはやはりお目にもとまったかと思いますが、袋張りとか、こういうふうなものの作業もまた低額作業でございます。われわれとしては一つも残さないようにやりたいのでございますが、どうしてもそういうものにならざるを得ないような者もおるわけでございます。しかし現在は、この久留米がすりとかあるいは袋張りとか、そういうふうな業種が多すぎます。これも私は痛感いたしておるのでございまして、なるべくこれを早くもっと実のあるものに切りかえたいということも考えて、目下その整備の計画も立てておるのでございまして、逐次これは早急に解決をつけたい問題だと思っております。 それからこの過剰収容の点でございますが、石黒先生おいでになりまして北海道の状況をつぶさにごらんになりまして、二・七倍の収容力というふうなことはまことにひどいというおしかりを受けたわけでございます。われわれも十分その点は考えておるのでございまして、北海道では現存北海少年院、中等少年院が大へん多いのでございます。北海少年院の今整備をいたしております。これは現在百十なんぼの収容定員でございますが、これをとりあえずのところ改築をいたしまして三百名程度の人員に拡充をいたしていきたく現在手をつけておるのでございます、とりあえずこれを北海道の方ではいたしまして、さらに初等少年院がなお不足いたしておるのでございます。この初等少年院も北海道では拡充いたしたいということを考えておりますが、一ぺんに二つちょっとむずかしいものでございますから、とりあえずのところ、北海道の方はまず一番問題になっております中等少年院の拡充というところで北海少年院の拡充を今実施いたしております。なおこの過剰収容の特に目立っておりますのは九州でございます。この九州も昨年中津の少年院を軍の施設をもらい受けまして、これも拡充計画を立てておるわけでございまして、これも中津の少年院が拡充されますと、これも二百名程度の収容力を持つことになりますので、北九州の過剰収容をこういう面からとりあえず緩和さしていきたい。もう一つは東京地区でございます。東京地区もこれは過剰収容になっておりますので、これは東京地区に来年度三少年院を増設してこの過剰収容を緩和したいというふうに考えておる次第でございます。
○高田なほ子君 私その計画一度この間御説明になりましたからアウトラインはわかるのです。しかしそれだけでは私は方策としてまだ足りないと思うのですが、幸いこの間中央青少年問題審議会で精薄児の対策について議論をされた。その場合に、青少年犯罪者の中には知能指数の今言うような低いのもいろいろいるわけで、このものは別個に精薄児対策として適当な場所を設置して国の負担と地方負担とを織りまぜて、常時ここに収容する施設を新たに考えたらいいじゃないかという議論が出た。これは大へん私は実のある考え方で、青少年の犯罪の中にある知能指数の低い者をここに入れておいたってこれはどうにもならないので、こういう者を新たな観点から拾い上げていくという二本建ての方策というものを考えますと、かなり緩和される方向にいくのではないか。これはもちろん厚生行政の中に入ると思いますが、一つこの点は厚生大臣とも十分に法務大臣も御連絡下さいまして、われわれ審議会の結論が実現できるように一つ御推進いただきたいと考えております。これはお答えいただかなくていいでしょう。その次、質問がたくさんこまかくありますから簡単にお答えいただいて、私も簡単に……。 それから職業補導の問題か今出たのですが、これと賞与金の関係、今の賞与金というのは聞いてみると一カ月に三十五円くらいだそうですね。これはもう前近代的な賞与金だと思う。賞与金というものはもう少し額を上げて、そして生産と、かれらの生活というものをマッチさせるような、いわゆる社会の経済生活の中における自分たちの生産がどういう役割を持っているか。自分たちの出席というものが生活とどういうふうに直結しているかというような積極面についての施策が私は足りないのじゃないかと思う。これは日本の教育の場合もそうですが、デンマークあたりに行くと、子供の理科の教授に街路樹を皆リンゴの木にしてしまって、社会人もそのリンゴの実を取ったりしない。そうして理科の教授のときにそのリンゴを取って、そのリンゴをジャムにする生産過程で勉強して、そしてそれが生活協同組合から家庭にどういうふうに流れていくかという、そういう社会の生産と生活のシステムを教育の中でやっていくというところに教育効果をねらっているようですが、やはり少年補導という中における職業訓練の中では、どうしても社会生活と切り離せないシステムというものが新しく樹立されなければならないのじゃないかと思うのです。現在の賞与金をこれを格上げして、かれらの生活自体の中にこの賞与金制度というものが何らかの希望のともしびを与えるような施策というものをお考え願うことができないものかということが一つと、それからもう一つは前委員会でも大臣に私は申し上げましたが、農耕作業の中における問題であります。かれらの農耕した作物は一たん政府が買い上げて、それを消費するという形になっておるようでありますけれども、どうもこれはもう少し研究されて生産そのものがかれらの生活を補っていくというような形に変えるような行き方はできないものか。特に果物類は今お正月の特別食を五十円引き上げたといっても、五十円引き上げても大ぜいの子供ですから国の予算は容易ならぬものだと思う。だからそんなところで一々予算でさわがなくてもできると思う。かれらになまで食べられるものを、トマトでもキュウリでも、それからマクワウリでも夏分はできますけれども、ああいうものを作らせて、ああいうものをじかに食べさせたらいいじゃないでしょうか、生鮮食料は。そして買い上げたり、そんなけちなことをしないで。そうすればかれらは生産を上げるでしょう。それを横流しするような職員はこれは絶対いませんよ。あの中にはそういう悪らつきわまるような職員はいない。やはり政府はこれを信頼して、そしてかれらのために生産と生活を結びつけるようなやり方を新たに考究すべきではないでしょうか。私はそういう意見を持つのですが、この点、大臣いかがでしよう。
○国務大臣(井野碩哉君) 私も高田委員と同じような気持を持っております。そういうことができるようにこれからも考えていきたいというふうに考えております。
○高田なほ子君 これから考えていくとおっしゃいますが、さっそく考えて手をつけていらっしゃいますか、いかがですか。
○説明員(渡部善信君) まず職業の補導の賞与金のことから申します。賞与金は確かに仰せのごとく、ことに微々たるものでございます。
○高田なほ子君 幾らです。
○説明員(渡部善信君) これは出院者が一人当たり平均支給額は三百七十二円ということになっております。これは大体在院期間が一年になっておりますので、一月に計算いたしますと三十何円ということにならざるを得ないと思っております。それでこれは実は賞与金を渡しますのは、やはり労働についての励みというものを与えてやろうというところから賞与金を支給していくようにいたしておるのでございますが、あまりに三十何円であっては励みにならぬじゃないかということになるわけでございますが、これを支給するということにつきましては、大蔵当局の理解を受けることがなかなかむずかしいのでございます。大体少年院で職業訓練を受けて職業を受けるのじゃないか、教育してもらうのじゃないか。その教育してもらうのが報酬を受けるというようなことは、もう考えも及ばないことなんだし、さようなものをやるべき筋合いじゃないんじゃないかという強い抵抗があるわけでございます。それを、それでは少年たちの今後の励みというものをつけるわけにいかないということで極力賞与金の増額をわれわれも企図いたしまして、毎年努力を重ねております。まあ少なくとも出るときには、ああ、これだけ自分が働いて、やはり出たときのシャツでも買える、着物でも買えるということになりますと、本人たちの励みも出てくると存じますので、われわれは今後とも賞与金の増額ということは努力を重ねたいと思っております。 なお、農耕作業から生まれてきた果実の何と申しますか、始末でございますが、やはりこれは財政上から、国有財産で上がってきた果実の処置というようなことから、国庫の収益に入れておるわけでございますが、この点も十分大蔵当局とも折衝を重ねまして、今、高田委員の仰せのごとく、少年たちの励みになるもとにするように今後とも努力を重ねたいと思っておる次第でございます。
○高田なほ子君 これは大蔵当局に一つ大臣説明して下さい、教育というものはどういうものだかということを。教育というものは、読み、書き、そろばんを教えることが教育じゃない。社会生活の中でほんとうに役立つ人間を作ることが教育であり、なかんずく非行少年の場合にはそのこと自体が保護処分の目的だと私は思う。それを大蔵省の役人がそういうことを知らない。どうかこれは大臣同士お話し合い下さって、最近のやはり生産教育というものを、これのやはり本質を教育していただきたい。三十五円もらって、ちえっと思うのは、私は普通の人間だってちえっと思いますよ。一日三十五円の賞与金なんというものはばかばかしくてお話にならない。こういうところにやはり少年に対する愛情の欠陥というものを露呈しているのではないかという気がする。これは早急に解決策をおとりいただきたい。 それからレクリエーションの問題になります。これはぜいたくといえばぜいたくかもしれません。しかし、最近の少年院の中における定員不足からくる不祥事件、こういうものを未然に防ぐためには、魂のよりどころというものが必要だと私は思う、そういう意味での。そうだとすると音楽施設なんというものについては御考慮になったことがあるでしょうか。この音楽のコーラスなんというものはそうお金のたくさんかかるものではない。やはり彼らに歌を与え、その歌から魂のよりどころを見出していくというなごやかな空気、特にコーラスの指導なんかはそう大へんな大事業ではない、こういう点についても大臣としてはお考えいただく必要があるのじゃないか。ピアノとは私申しません。合唱の指導はオルガンで十分です。ベビー・オルガンでもできるのです。でありますから、各収容所の歌を好む若い世代の子供たちにこういう方面の指導と申しましょうか、その指導の施設というものについてもお心を配っていただきたい。 同時に、潤湿地帯における雨天体操場の問題、ことに寒冷地帯における雨天体操場の問題はきわめて緊急な問題だと思う。最近の義務制教育の中でも、ようやく雨天体操場の問題がほぼ計画完了の域に達しております。保護少年がどうしても体力の発散の場所というものを必要とするわけでありますから、どうか一つ雨天体操場の施設の整備という問題について本腰を入れて取り組んでいただきたい。この雨天体操場の計画はどういうふうになっておりますか。
○国務大臣(井野碩哉君) お説の通り、青少年のレクリエーションについては、これは大事な問題だと、決して私はぜいたくな問題とは考えておりません。先般府下の少年院を二、三視察して参りましたが、相当みんなオルガンくらいは置いているようで、しかも、集会する場所で音楽に合わせて体操している現状を見て参りました。また最近では、少年院の初等には音楽隊を作りまして、そしていろいろそういうような方面のことをやらしておるそうでございます。非常にいいことでございますので、ますますそういうことは奨励して参りたい。 それから雨天体操場については私存じませんので、矯正局長からお話を申し上げます。
○説明員(渡部善信君) この雨天体操場をかねました講堂でございますが、特に私もこの北の国、北海道、それから東北方面、それから北陸等のこういう雪国等におきましては、特にこの雨天体操場をかねた講堂の設置ということの必要性を痛感いたしております。北海道の方も逐次これを作っておりまして、女子の筑紫少女苑の方にはこの講堂を作ったのでございます。それから最近は長野県の有明高原寮、これは少年院でございますが、ここにも体育館をかねました講堂を作っております。こういうふうに逐次北の方からこの講堂を整備して、全部の少年院にそのような雨天でも体操のできる、運動のできる設備を与えるように目下計画を立てております。
○高田なほ子君 私、一々こうお答え聞いていると、みんなもっともで、とてもいい答えなんですけどね、実際そういうふうにやられているか、全部がそういうふうになっているかということに、質問の途中でこんないやみを言いたくないのですけれども、だんだん失望を感じながら今質問しているわけなんです。やはり計画性というものをはっきりしてもらいたいと思う。今だんだん北の方からと言うけれども、そんならば北陸方面については、一体潤湿地帯がどうなっているのかと聞きたくなる。寒い方は寒い方でいいんですよ。けれども、潤湿地帯の方なんかについては、やはりこれは計画性を持って大蔵省に迫らなければならない。その迫るためには、精密なやはり計画というものを出して、それでおやりになることが大切であり、過剰拘禁の現状ではこれは緊急な問題としてお取り上げいただかなければならないと思う。多分そういうふうに御答弁になると思いますけれども、ちょっと迫力が欠けるのですよね、これはいやみじゃないですけれども。それからさっき私の発言中一日三十五円と言いましたが、一月三十五円ですから、一日一円です。これは訂正していただきます。 それからこれはいかがでしょうか。少年院の職員というのはひどいですよね。赤松委員も指摘されたのですけれども、特に僻地の方にやはり少年院というのが置かれやすいですね。そう立地条件のいいところばかりじゃない。そうなってくると、職員の勤務条件の中で必要なのは、やはり住宅問題ということになる。何から何にまで私が一々指摘しますと、またああいうふうに言うというようなお感じを持つかもしれませんが、やはり委員会としては、職員の住宅問題というのはこれは計画的に取り上げていただかなければならない。それから教職員の場合も、僻地における教職員の住宅問題というのは、かなり大きな問題になってきている。非行少年の問題もやはり教育ということに私は重点を置かなければならないと思えばこそ、この職員の住宅問題というのは、一般の刑務所の職員というのも当然であるかもしれないけれども、一そうこの職員の住宅対策というものは急いでいただかなければならない。現在これはどうなっているのか、どれだけ不足しておるのか、そしてこれをどういうふうに解決しようとする計画を持っておるのか、この点について私は特にこれは大臣に御答弁いただきたい。数字的な問題は、事務当局からでけっこうです。
○国務大臣(井野碩哉君) 職員の住宅問題につきましては、私も過般各地を回って痛感して参りました。しかしまあ、何分にも少年院のことでございますから、職員はその少年院に泊まりまして朝晩子供を教育するということから、むしろ少年院の中に宿舎があることの方がいいので、そういうような方針で宿舎を設けておるようでございます。足りないということは、もう確かでございます。どのくらい足りないかはよくわかりませんけれども、そういう点は改善して参りたいと考えております。
○説明員(渡部善信君) 仰せのごとく、少年院は都市から離れましたへんぴなところに大体できております。職員も割合現地採用の職員も多いのでございますけれども、現存は官舎を持っておりますのは、職員のうち一五%ということになっております。これでは仰せのごとく確かに少ないのでございまして、われわれといたしましては、少なくとも半数、五〇%は住宅を持たしたいということを考えております。この官舎の問題は、やはり全体の営繕計画の中で考えてもらっておるのでございますが、特に少年院のかような状態からいたしまして、ことに少年院は四六時中見ていかなければならない施設でございますので、ほかの官舎とは趣を異にいたしております。さような特殊性を十分考慮してもらって、少年院の官舎の充実ということは、今後とも努力いたしたいと思っております。
○高田なほ子君 どうでしょう。大臣にさっきリクリエーションの話が出たのですけれども、これは来年度の予算の中に若干大ワクというような面について予算化される面が少しでもございましょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(井野碩哉君) 金額は覚えておりませんが、要求してございます。
○高田なほ子君 これはどのくらい要求していますか。
○説明員(渡部善信君) ちょっと数字は今ここに持っておりませんので、あらためて数字を申し上げたいと存じます。ちょっとしばらく御猶予を。
○赤松常子君 やはり情操教育の点が取り上げられたわけでございます。私これは大臣にちょっとお願いをしたいことなのでございますが、職員の増加になさいますときに、婦人の中年及び何と申しましょうか、お母さんくらいの年令の方を御採用なさっていただきたい。それはこの間も子供たちが申しておりまして、病気になったときにやはりおばさん、お母さん、そういう方に見てもらった方が楽しいし、うれしいということを、ある子供が申しておりました。こういうことはやはり本気にお考えいただいた方が、情操教育上もまた非常に大事じゃないかと思うのでございますが、今後御研究していただきたいと思うのですが、その点についてちょっとお考えを承りたい。
○国務大臣(井野碩哉君) お説のように、子供に対しましては、お母さんのような気持を持たれておられる方が必要でございます。矯正教育から申しますと、やはり子供にいろいろ職業補導をしなければならぬので、こういう人ばかりでもまたいけない面もありますので、そういう点に重点を置きつつ、現在採用の方針をとっております。しかし、詳細は局長から申し上げます。
○説明員(渡部善信君) 少年たちの指導にお母さんの必要なことは、われわれも痛感いたしております。ただ実は、現在少年院にはさような御婦人があまりついていただいておりません。これはなかなか適任者を得られないということも一つはございますが、御承知のように、これは全体の職員の少ないことも一つの原因でございます。御承知のように教官はやはり夜間の勤務をいたさなければなりませんので、さような点から、ちょっと御婦人の方でございますと、男子の職員と一緒に終夜勤務というものはできない。さような面から職員が少なくなっておりますために、女の方を避けて、やはりそういうような勤務にうまくいくような男子の方を選ぶというようなことになりがちになっております。この点はもう少し職員を充実させまして、さようなお母さんの立場の方も、十分採用していきたいと思っております。なお、来年度は実は医療法の関係から看護婦の方を増員したいと思っております。もちろん、この方はお母さんの立場で、若い方でなくて、ほんとうにお母さんとして病気になった場合によく見ていただけるような女性の方を採用したいと思っております。
○高田なほ子君 次は、これは政治的な問題になりますが、社会悪に対する子供たちの影響の問題ですが、これは非常に大きな問題になりますが、競輪廃止の問題がこのごろ出てきております。これはもちろん、法務大臣と管轄は違う点でございますが、私はあの競輪廃止には青少年の犯罪という面から、社会悪という面からも、非常に賛成をするわけです。積極的に賛成論、反対論を私ここで大臣に要求するのは、ちょっと無理かと思いますけれども、とにかく青少年の犯罪の防止をするという意味から、それから予防をするという意味から、社会的にこの問題は考えていかなければならぬ内容を含んでいる問題だろうと思います。従いましていかがでしょうか、青少年対策から見た競輪廃止論について、大臣はどういうような見解を持っておられますか、こういう点が一つ。 もう一つは、汚職、選挙違反の問題、これはおとなも不愉快な問題ですが、分けても青少年の政治に対する不信、おとなに対する不信感これより大なるはなしというくらいに私は考えております。もちろん、これらの摘発については、検察当局も本腰を入れていられるわけでありますが、たまたま指揮権発動というような事態も、ときには政治的に生ずることもあり得る。私は青少年に希望を持たせ、おとなに信頼を持たせ、社会に信頼を持たせ、そして政治そのものに彼らが十分に信頼するというようなものを作り上げるのは、おとなの責任であって、子供の責任ではないと思う。こういうわけでありますから、汚職とか、選挙違反は、単に刑事処罰の対象とするのみでなくして、青少年の対策、特に健康な社会に彼らを生活させるという大きな観点に立っても、この意味はきわめて重大であると、私は考えます。この二つの問題について、青少年対策という点から大臣の御意見を私は拝聴さしていただきたいと思います。
○国務大臣(井野碩哉君) 青少年対策から競輪問題と汚職あるいは選挙違反の問題は、どういう考えを持つかというお尋ねでございますが、競輪の廃止問題は、今世間の非常に大きな議論になって参りました。これは戦後発達した一つの競技でございますけれども、これが青少年に及ぼす影響も相当少くなくないと私ども見ております。できれば、むろん廃止してもらいたいと思いますけれども、廃止しますには、いろいろ地方財政の関係もございましょうし、その他いろいろな関係もあって、すぐ廃止ができるかどうか、それらの点は自民党内部にも委員会を作りまして研究しております。社会党内部でもやはり御研究願っているような次第でございますので、それらの党のいろいろな御意見も伺って、政府としては善処して参るというよりこれは仕方がない、こう考えております。選挙違反その他汚職の犯罪につきましては、これは青少年対策からももちろん大事でございますけれども、それ以上に法の秩序維持という点、すなわちわが国の法治国としての立場からいたしましても、犯罪があれば、それを厳正に取り扱っていくというのは当然なことでございますので、刑事政策の面からして、それらについて厳正主義をもって臨んでおる次第であります。
○高田なほ子君 競輪廃止の問題については、きわめて大臣は消極的な御意見ですね。これはまあどうでしょうね。やはり子供を犠牲にして地方財政の均衡をかはるということは、私は政治がさかさまになっていると思うのです。地方財政の貧困の中から民衆の射倖心を利用してこういうものがパチンコとともに隆盛をきわめていって、たまたま、今日家庭の破壊なり社会に与える影響の大きさを考えられて競輪廃止問題が出てきたのだと私は推察しておる。もしそうだとするならば、青少年の犯罪予防という見地から、これはもう大臣は率先、自民党の中でも有力な発言権をお持ちになっている大物なのでありますから、やはりあなたが先頭を切って、青少年のためにこれが廃止の方向に行くべきであるという、一つやはり強硬論ぐらいをおぶちになった方が私はいいような気がするのです。自民党の意見も伺がって云々というのは消極的ですよ。法務大臣としてもったいないですよ。大臣はやはり子供たちのために何をなすべきか、こういう点に重点をお置きになって、むしろ、それよりは大口滞納者の徴税でもびしびし取ったり、いりもしないものを買うような防衛庁にくぎをさしてでも、こういう世論の支持する競輪廃止という問題については、熱心に一つ御研究を願いたい。私はこれ以上大臣に確約を取るという意味の、言質をここで求めているわけでは決してないのです。もう少し法務大臣として、青少年のために積極的に御研究が願いたいのでございます。これは私の意見でございます。 それから、その次に今度は主として家庭裁判所と少年警察の問題に二、三点触れてみたいと思います。この家庭裁判所の少年審判に国選付添人が必要ではないかという意見が先般の公聴会の中に出ておりました。私は、この意見は非常に妥当な意見ではないかというふうに自分では考えたのです。なぜなれば、犯罪を犯した者は、いつでも弁護の機会が与えられなければならないととは、当然の基本的な人権だろうと思うのです。従って一部のお金がある子供さんの場合には、国選弁護人ではございませんが、弁護人をつけて、そうして子供の立場というものが十分に弁護されるような方策が講ぜられているようでありますが、しからざる者はそういう機会がない、擁護の機会がない。これでは片手落ちではないか。少年審判では、家裁の判事が生殺与奪の権限を持っています。このオールマイテイに対して、試行錯誤に陥りた子供のような場合には、実際気の毒だと思う。言うことも言えない。そういうような場合もたくさんあるのでありますから、これはどうしても擁護の機会というものを与える方策というものが考えられていいのではないか。そのことが即家庭裁判所の最善の決定に協力するという、消極的にです、協力するという形になってくるのではないか。この場合、私は特別に弁護士でなければならないということは考えておらない。教育者でもようございます。宗教家でもいいと思います。民間の有識者でもいいだろうと思います。そうしてまた、そういう前例もあるはずなんです。そうだとするならば、やはり制度的に国選付添人というものがつけられるようなシステムというものを具体的にお考えになることは、決して当を得ないことではないと思いますが、この点に関して大臣の御見解、それから家庭裁判所からおいでになりました、その実態がどういうふうになっているのか、こういう意見についてはどういう一体見解を持っているのか、これを明らかにしておいていただきたいと思います。
○国務大臣(井野碩哉君) 非行少年について、家裁において、弁護人といわず、そういった人のつくことは好ましいことかもしれませんが、こと制度の問題でございまして、ことに家裁は法務省所管ではないのでございますので、家裁の方からお見えになっておられましたら、その方から一つ御答弁願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(市川四郎君) ただいま高田委員からの御質問でございますが、家庭裁判所の判事は、別にお話のように生殺与奪の権を持っているとは実は考えていないのであります。しかし、先日来の本委員会における公聴会の中に出ました意見からみましても、家庭裁判所の調査官あるいは裁判官といったようなものが、事件について非常に強い影響力を持っているのじゃないか、いわば独断的にやっているのじゃないか、こういうような御意見も出たかに存じております。そういう点につきまして、従来裁判所内部におきましても、会同その他の機会にいろいろ意見を徴しております。そういうときに出た意見といたしまして、そういう誤解を解く意味からも、この際国選付添人というような制度を設けるのがいいのじゃないか、それからもう一つは、現在仮審判につき、ましては、参与員制度というものがございますが、そういう参与員制度に似たものを少年審判にも採用してはどうだろうか、こういう意見が出ているようなわけでございまして、こういう点は、今法務大臣もお話がありましたように、制度に属する問題でございますので、今後少年法改正等の機会に十分検討してその採否をきめていきたい、かように家庭局としては考えております。
○高田なほ子君 続いてお尋ねしたいことは、先般の公聴会の中での記録でございますが、東京家裁の場合には、事件数が十万、これは一年に十万でしょうね。判事一人について月に二百五十件を扱っている。そうすると一人の判事さんは、一日に十件ずつの案件をさばいていかなければならない、起スピード、超労働であります。これらの現実の問題を見ますと、ずいぶんこれは無理があると思うのです。けしからん判決が出るというわけじゃない。やはり人間には能力の限界というものがありますから、自分が一生懸命やりましても、エラーはなきにしもあらず、エラーを私は申し上げて、それだけを重点に申し上げようとは思わないのですが、そうすると、適量主義というのは文化社会の常識ですね。ところが、この家裁の場合には社会常識がはるかにくずれている。これは少年判事の数が足りないというようなことに起因するということがあげられております。少年判事の数が少ない原因については、私、公聴会では意見を聞く機会がなかったのですけれども、少院判事というものは、普通の裁判所の判事さんよりも安っぽく見られるのではなかろうか、大へん失礼なざっくばらんの言い方ですけれども。すぐ、刑事とか、民事の方に、この判事さんがとんでいってしまって、少年審判専門の判事さんというものが永続できないということは、非常に不幸なことだと思う。こういうような現状に対して、少年判事の増員についての計画はないのか。そうして、少年判事さんが、専門家としてこの重責に携わるということの適当な措置というものは考えられ得ないものかどうなのか、こういう点についてお尋ねをしたいことと、少年判事増員については、どうしても専門職養成の機関というものが私は必要になってくるのじゃないかと思うわけです。現在は、これら専門家養成の機関がどうなっているのか、こういう点について現状と計画をお述べいただきたいと思うのです。
○最高裁判所長官代理者(市川四郎君) ただいま少年裁判官の問題につきまして御質問がございましたのですが、少年係の裁判官も、実はこれは一般の裁判官と全く同じ任用から、その後の資格、その後の経過は全く変わりがないわけであります。お話しのように、とかく少年係の裁判官になることをきらう傾向があるのではないか、こういうお話が出たのでございますが、これの一番大きな問題は、裁判官全体の数が足りないために、どうしても公判の方が中心になる、民事、刑事の方が中心になりまして、専務の少年係なり、あるいは家事係なり、そういう裁判官の配属されていないところでは、地方裁判所の事件と家庭裁判所の少年事件、そういうものを兼務で取り扱っているような格好になります。そういう関係から、どうしても、少年事件の方には手が回りかねる、ほんとうに良心的に物を考える裁判官は、そういう片手間的な仕事をやるのはいやだというふうにおっしゃる向きもございます。それからまた、家庭裁判所ができましてから、何分にもまだ十年にしかなりませんので、これまでの経過から考えてみますると、どうしても家庭裁判所でやっている仕事の内容というものが、裁判官自身にもよく理解されていないわけでございまして、そういう関係から、つい家庭裁判所で少年事件を取り扱うということについて、非常におっくうな気持をお持ちになるのではないかと思うわけで、そういうようなことが、これが重なり合って、とかく家庭裁判所には裁判官が行きたがらない、こういう傾向があったと思います。しかし、最近、ここ二、三年このかた、私ども見ておりまするというと、家庭裁判所の仕事の内容も十分に理解されてくるようになりまして、その結果相当若い人、あるいは中堅階級の裁判官でも、進んで家庭裁判所で少年事件を取り扱ってみよう、こういう意向をお持ちになっていらっしゃる方もぼつぼつ出てきているような次第でございまして、こういう点は、非常に私どもとしても、これからの見通しは明るい、こう感じております。それから、そういうふうな次第で、とにかく少年係裁判官の負担というものが、特に東京のような大きな裁判所になりますと、ただいま高田委員のお話になりましたように、一人が数百件の多い事件を担当しなければならぬという状態になってきております。ですから、この状態を解消するために、裁判官の増員ということを、われわれとしては常に要求はいたしておりますけれども、裁判官になる資源というものは限られております関係上、なかなか私どもの希望するような増員というものは得られないわけであります。そういうことから、それと同時に、先ほどお話のありましたように、少年事件については、特殊の専門的な知識というものを必要とする、こういう観点から、たとえば少年係の非常に優秀な調査官に補助裁判官的なそういう仕事をやらせてはどうだろうか、いわゆるアメリカの各州の少年裁判所で採用されております、いわゆるレフェリー制度のようなものを採用することはどうであろうか、こういう意見も出ておりまして、この問題の採否につきましても、これは判事補制度とか、あるいは簡易裁判所の判事の制度とか、そういうものと関連した非常に重要な問題でございますので、裁判所全体の制度として目下検討いたしておるような段階でございます。ですから、お答えにならないようなことになるかもしれませんが、現在の段階では、できるだけ家庭裁判所の事情を裁判官自身にわかってもらって、みずから進んで家庭裁判所で少年事件を担当しよう、こういう気持になってもらうことと、それからできるだけ弁護士とか、あるいは検察官とか、そういう方面からも裁判言になっていただく人を募りまして判事の定員をふやしてもらう、こういう方向に持っていく以外にない、こう考えておる次第でございます。
○高田なほ子君 それはもっともなことだと思うのですが、弁護士から判事さんになる場合に、この間の委員会で問題になったのですが、それはなかなか理想的だけれども、そう簡単に実現できないんじゃないかというような、そういうお話も出たのです。なるほどいろいろ伺っていると、そのことはそうだと思うのです。そうだとするならば、この適量主義というものを実際にやるためには、レフェリー制度といいますか、これをやはり速急に実現するような方向にいかれたらどうかと思うのですね。それは二年ほど前から家庭局でも研究することになっておったのです。担当責任者がおかわりになりましたものですから、また同じことをここで御答弁になる。いつも繰り返し繰り返しになるのですから、今そういう時期じゃないですかね。特に少年審判の中に、この十万件の事件数の中で八万件が交通違反に関係する問題だというんでしょう。そうだとしたならば、このレフェリー制度を今採用するということは、私そうむずかしいことじゃないように思う。わけて現在の調査官の採用というものは、かなりむずかしい試験を受けて採用になっているようですね。そうだとすれば、もう少しこれは積極的にこの制度の実現のために御努力になる、こういうようなふうにいかなくちゃいけないと思いますけれども、ただ弁護士さんからこちらの判事さんの方に回っていただくということでは解決つかないように思う。どうしてもこの少年専門の審判官というもの、判事さんというもの、これは重要な方策として増員を考究されるか、しからずんば、今いうところのレフェリー制度というものをもっと積極的に進めていくということをしていただきたいと思う。それであれですか、次の質問になりますがね、家庭裁判所は児童相談所と何かいつも連絡でもとれるようなしかけになっておるのですか、何か方法がありますか。
○最高裁判所長官代理者(市川四郎君) 制度の上では、児童相談所から家庭裁判所の少年部に事件が回ってくる、こういうルートができているわけでございます。それ以外に常時やはり少年の問題でございますので、特に十四才未満の少年につきましては、その処遇とか、そういうものに関連いたしまして、常時児童相談所とは家庭裁判所は連絡をとっておるわけでございます。
○高田なほ子君 理屈はそうなんですよ。しかし、実際問題として警察から児童相談所に行く触法少年、これは当然家裁の方に回したらいいという者も家裁にはほとんど回ってこないのだというような意見の開陳があったわけなんです。またよくあとで尋ねてみたら、何だかそういう余裕がお互いになさそうだと、こう言うのですね。やはり公聴人の御意見というものは、私は聞いていてなるほどもっともだ、もっともだと思うことばかりなんですね。なぜこの触法少年が、家裁に回した方がいいと思う者でも回ってこないのか。ここらの原因というものを一つ突きとめられて、法律の上で関連性があっても、実際にそれが運営できないというところの欠陥などについても御研究いただきたいと思うのです。
○最高裁判所長官代理者(市川四郎君) ただいまの御質問まことにごもっともな点でございまして、実は触法少年について児童相談所から家庭裁判所にあまり回したがらないとか、あるいは家庭裁判所がそれをあまり歓迎しないとか、そういったような事情は、これは私は私の聞く限りにおいては、そういう事情はないと存じますけれども、ただこういうことはあると思います。この触法少年を収容する施設、いわゆる教護院と申しますか、厚生省所管になりますが、こういう施設が非常に不十分である。そういう施設がないために、せっかく家庭裁判所へ持ってこられてもその跡始末に困る、こういうことをよく裁判官から私どもは聞かされております。で、まあ家庭裁判所の裁判官の希望といたしましては、そういう場合に安んじて収容してもらえるような教護院を作って整備してもらうということと、あるいはそれがむずかしいようならば、現在の少年院の初等少年院でございますが、これは現在十四才以上しか収容できないのですが、特にそういう者については初等少年院に収容することができるというような、そういう施設の面で何かの取り計らいができれば、家庭裁判所の裁判官としては非常に安んじてそういう少年を処遇することができるのではないかと、こういう、ふうに私は感じております。
○高田なほ子君 矯正局長に、今施設の問題が出たのですけれども、これで今思い出したのですけれどもあれですか、東京の施設では他府県の子供が、これはすぐ収容した方がいいと思うような者でも、他府県の方は入れないということになっているそうなんですが、それはどういう法律でそういうことになっているのですか。
○説明員(渡部善信君) 少年院関係ではさようなことはございませんが、この児童関係ではさようなことが、これは府県補助とかというふうな関係からあるのではなかろうかと思いますが、少年院関係ではさようなことはございません。
○高田なほ子君 これは更生保護の面になるかもしれませんが、一つこの点は法務大臣と厚生大臣とお話し下すって、ここへ今収容した方がいいと思うのに、他府県の者だから入れない、それじゃまた野放しですね。これはやはりいけないと思いますから、この点については御連絡いただいて、子供たちを野に放り出さないようなあたたかい手当というものをお願いをしておきたいと思います。 それから裁判所の方にお尋ねというよりは、むしろ注文をつけたいところなんですが、これは調査官の待遇問題については私はこの前、守田局長ですかに御質問申し上げておりますから、私の意のあるところはもはや御存じだと思うのです。ただ、この調査官の待遇や、それからこういう意見を持っているというような上申書が、三十三年の七月初めに出ているようですし、三十二年の十月十日にも、最高裁人事局長あての上申書が出ております。この上申書の表書きには「昭和三十二年十月十日」人事局長あてに「先般の給与改正に際」、東京家庭裁判所長代行佐藤信一郎判事から東京家庭裁判所少年部職員に対し「新給与に不満がある人は申出るように」との懇切な指示がありました。そこで私は私一人の問題を離れて私が平素痛感しています家庭裁判所調査官の待遇に関する根本的な問題とその解決への要望を人事局長に上申することを切望し、上申書を認め、その進達を佐藤所長代行にお願いしました。御多忙中恐縮ながら御一読下さいまして、意のある所をお酌みとり頂き、よろしくお願いします。これは調査官山本晴雄の名前で出されている。非常にこの内容は読んでみて敬意を表しているわけです。これに対してほとんど失礼な申し分でありますけれども、裁判所側としては御研究いただいておらない面がある。なかんずくこの家裁における調査官の職階制の問題についての不当性などというものは、きわめて条理を尽くしている。しかし、このことはほとんど具体的に御研究になっているのかなっていないのか。どうもなっていないようなんです。この間の守田局長の御答弁を伺っても、きわめてこの点については納得のいかない御答弁なんです。従ってこういう上申書は、人事局長にあてられた上申書というものは、どういうふうに取り扱われてきたのか。三十三年の七月初めにも同じようなこれは東京家裁の調査一同、こういうことで上申書が出されております。この上申書も、この内容はほぼ同じような問題であります。これらの内容にあるところは、単に待遇だけではなく、いわゆる適量主義に対して調査官はどういう使命を持っているものかというようなきわめて内容のある上申書なんです、単にこれは待遇改善というだけではなくて。今後のわが国の青少年の審判問題にとってはきわめて重要な意見が具申されているものでありますが、この二つの上申書というのは、あなたは御存じでしょうか。何か引き継ぎがございましたでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(市川四郎君) 今、高田委員からお話になりました上申書が総長あてに二通、それから人事局長あてに一通出ておるということは、私も存じております。その問題につきましては、人事局で十分に検討いたしておると思いますが、その検討の結果を実は私まだ存じておりませんので、ここで御答弁申し上げることができないことを非常に遺憾に存じております。なお、適当の機会がありましたら、そういう点について十分御満足のいくような答弁ができるように人事局へその旨を申し伝えたいと存じております。 なお、この機会に、調査官の待遇の点についてお話がありましたので、ひと言申し上げたいと思いますが、お話のように家庭裁判所の調査官は、非常に、私の口から申し上げて自画自賛のようになりますけれども、非常に優秀であります。最近特に優秀な人材を集めることができるようになったと考えております。ところが、それに対する待遇は、必ずしもそれに匹敵するほどいいものとは実は私ども考えておりませんので、できるだけその待遇をその地位あるいはその職責に見合うような、りっぱなものにしていきたい、こういうことで寄り寄り私ども、まあ私はまだ就任してから間もないのですけれども、就任後第一にそういう点についてやはり意を用いて、人事局とも相談して、できるだけその地位を高めていきたいということを考えておりますので、その点につきましては、高田委員の御趣旨にそうように今後とも十分努力いたしていきたいということを確約いたしたいと思います。
○高田なほ子君 この調査官から出た上申書というのは、これは私は一つの民主的なシステムだと思うのです。全司法という労働組合もあるようですけれども、労組の主張もさりながら、一調査官がこういう大部のものを研究をされて上申したということは、単に一個人の問題でなくて、やはり聞くところは聞くべきであるというような民主主義的なあり方というものを裁判所の中に吹き込んでいきたいと私は思うのです。特にあなたにお尋ねしたのは、この上申書の中には、家庭局長に上申しているところがある。つまり裁判所法の六十二条の二の削除、同じく第八十条の改正、こういうような法改正も含まった一つの意見具申であり、従いまして、これは家庭局長に上申している。だから当然私は家庭局長にもこういう問題は取り次がれて研究されているものだと思ったら、御存じなかったようでありますが、これ私の手元にありますから、よろしければ、これはあなたに差し上げますから、どうか一つこの内容について研究をされ、今の御答弁のように、調査官の待遇等については、将来の制度改正もあることでありますから、十分に御研究いただきたい。 それからもう一つの問題は、教職員の場合、たとえば大学の教授をして、それから調査官に進んでいかれたという方、あるいは弁護士をしておられたけれども、一つ少年のこの問題のために献身的にやろうということで、弁護士から調査官になられる方もある。なかなか識見の高い方もどんどん今調査官におなりになっている。あなたのおっしゃる通りなんですが、この間も委員長の御同席になったところで、この教職員の経験者が調査官に希望してなられる場合に、現存もらっている俸給よりも下回るというような採用の方法はまずいということで、実は守田局長にこの点質問した。そうしたら教職員から調査官になられる場合には、現在の既得権が侵害されるということはないというお話でした。しかし、実際には今もらっている俸給よりも調査官の場合の方が格下げになる場合があるようですけれども、特にやはり調査官の採用の場合に、これは研究問題ですよ。教育者というりっぱな経歴を持ち、進んで自分がこれになりたいというような方には、現俸給の格付けを下げて採用するというようなことがないように、むしろこれは少しくらい上げて、よい調査官をおとりになるという一つの過程ですね、そういうような過程について御研究願いたいと思いますが、この点はどうなっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(市川四郎君) 実は先般も委員会でそういうふうな意見が出たということで、私もそういう事実があるかどうかということで、人事局に確かめてみたのでございますが、その結果によりますと、昭和二十五年から二十九年ごろまで調査官を補充するために外部から特に教職員の方とか、それ以外の方面からも入っておりますが、採用したわけでありますが、その当時の給与の規則によりますと、やはり一定のワクがきめてありまして、そのワクをこえることができないという、そういう事情がありまして、一部の人にとっては、その当時もらっておられた教職員としての給与よりも若干下回る程度のところで入ってもらった人も確かにあった、こういうことを私聞いております。これはその当時の給与の規則がそういうふうになっておったために、やむを得ずそういうことでその点は御本人にもよくお話をして、その了解のもとに多少不利益にはなるけれども、仕事に魅力があるからということでお入りになった。こういうふうに私は説明を聞いております。ところが、二十九年以後はほとんど調査官補の試験を受けて、それに合格して採用された人、そういう人たちがだんだん昇格して調査官になり、さらに主任調査官になると、こういう形をとっておりますので、昭和二十九年、三十年ごろ以降はお話のような、そういう事例は一件もない、こういう報告でございましたので、この点申し上げておきます。
○高田なほ子君 どうでしょう、将来の問題ですが、その二十九年以前の問題について何か号俸調整するというような機会はございませんか。そういう意思はないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(市川四郎君) どうもその点は私の所管外のことでございますので、十分お話の趣旨を人事局に伝えまして、さらに検討するようにいたしたいと思います。
○高田なほ子君 それでは竹内局長に今度お尋ねしたいと思います。この少年警察の場合、家出をした少年、それから街頭補導で送検された虞犯少年、これに対しては家裁に少年警察の場合は通告するだけで、そうして保護措置は今の法律ではとれないようになっているという意見の開陳があった。これは大へんに不備であるから、何とか保護措置がとれるような方法を至急にしてもらいたいという意見があった。私初めてこのことを伺うのですが、任意同行とか、一時保護というようなことで暫定的にやっているようですけれども、これは少し法の点を改正したらどうかという意見があったのです。これについてはどうか、それが一つ。 続けてお尋ねしますが、それから警察で保護する段階に、少年を保護する場合に、適当な保護施設があまりないというのです。あるところもあるけれどもないところもある。警察の雰囲気というものが非常に暗い雰囲気なので、何とか一時保護するところの施設というものについて考慮してもらう余地はないか、こういう御意見が開陳された。私はこれはもうもっともな話だと思う。この点はどういうふうになっており、今後どういうふうにしようとなさるのか。 もう一つは、少年警察の場合に凶器を持っている子供がある。その凶器のある場合は、飛び出しナイフの場合は五・五センチ以下の場合は、これは法に該当しないからちょっと取り上げることはできない。何とかこの凶器保持の場合にも、刃わたり五・五センチ以下のものについても、適宜な処分が少年の場合にはされた方がいいのではないかという意見なのです。この意見については、いつかここでもあいくちに類するものという項で拡大解釈したらどうかということを私意見として申し上げたのですけれども、この点は一体どうなのか。 それから第三点は、何か事件の捜査段階に十四才未満の者が犯罪対象としてひっかかってくる場合がある。しかし調べてみると、それは十四才未満であるということがわかると、刑事手続を打ち切って任意調査という形になっていく。これはそれでいいと思う。その任意調査の場合に、今度は児童福祉法によって児童相談所に送ることになるけれども、しかし事件は児童相談所にただ送るだけではなくて家裁に回した方が都合がよいという場合がある。従って任意調査からその後の法的な措置というものがきわめて不備であるということが指摘された。これも私非常にもっともな意見であると思う。この点についてどういう見解をお持ちになっているか。 もう一つの問題は、家出人の捜索願いは雇い主または家族から出されなければ受理しないという法的手続になっているようであるが、しかし、保護司の場合にもこれは捜索願いを、家族の者にもたもたさしておいてはいけぬから、保護司から出したいという場合には、法的にこれが押えられる。だから保護司にも家出人の捜索願いを出せるというような法的な根拠というものが与えられる方が便利である、こういうような御発言があった。これももっともだと思う。この点は一体どういうふうにお考えになっているか。 最後に、これは刑事局長、それから裁判所、法務大臣、それから矯正局にもそうなんですけれども、いずれもみんなひっくるめての質問になりますが、これは神崎清氏から指摘された問題でありまして、非常に私教えられるところがありましたが、一人の少年がとにかく最終的な措置を受けるまでに警察の少年係、それから家裁の調査官、判事、鑑別所、こういうふうにまあ普通の場合でなる。しかしそうでない場合には、さらに今度警察の少年係、それから検察庁の検事、それから今度事務官それから家裁の調査官、技官、判事、それから今度鑑別所の技官、そうしてまかり間違えば、家裁から今度また検察庁に逆送されて検事、事務官の取り調べを受けて、そうして裁判所に行く。その裁判所に行ってまた今度逆送される場合がある。その間にこの警察の方の証拠収集の場合には、またそこに人間が入ってきて捜査ということで尋問するということになると、もう十六人もの人に同じことを少年たちが聞かれてまことにどうも気の毒のような気もするし、何とかこれは総合的なもっとスピードの簡素化と申しますか、そういう方策はないものかという御発言があったのです。私もいじくり回される子供のことを考えると、かわいそうだなという気もしたのだし、そうしなければ結論が出なければ仕方がないという気持もしたのだし、きわめて複雑な心境にあるのですが、もう少し何とかならないか、特に交通違反なんかの場合には、もう少し簡素な方法がないものか、あくまでもこれは少年に希望を持たせ、少年を保護するというこの建前において質問しているのですから、うまい方法があったら一つここで教えていただきたい。
○政府委員(竹内壽平君) 私に御指名があって御質問を受けました事項の最後のものを除きまして、大部分はこれは警察当局の御所管の問題でございまして、私からお答え申し上げるのは適当でないと思いますが、ただ立法に関する部分がございますので、その点を申し上げますと、最初の補導の問題につきまして法的不備の点でございますが、これは私どもも実は考えておるのでございまして、昨年警職法改正で、警職法改正案そのものは葬り去られたわけでありますが、あの中に法的不備、少年に関する部分につきまして私どもといたしましては補充的規定を特に警察にお願いいたしまして、法務省側からも強くお願いして入れていただいた次第でございました。これは少年法改正の場合に当然考慮すべき条文であると思いますが、とりあえず法的規制からはずれている部分でございますし、警察官も少年補導の上において適正に職務を執行することが困難な事情もございましたので、警職法の際にそれを一部入れて将来少年法改正の場合には少年法に移そうというような考え方でこの問題の解決をはかったわけでございますが、まあ、警職法そのものがつぶれましたので、ただいまでは御指摘のような任意な形で取り扱っておるということを余儀なくされておると思います。 それから保護センターの問題、飛び出しナイフの問題、十四才天満の者の取り扱いにつきましても、いわゆる触法少年でございますが、これは補導の関係と同じような考え方でございまして、また突出人の捜索願いを保護司からやってはいかぬかどうかという、私はつまびらかにいたしませんが、これらの点も実際に運用せられております警察の方から御答弁申し上げるのが適当と存じます。 最後のたらい回しの点につきましては、神崎さんも御指摘になっておりますし、この席へ出ました警察官出身の平出検事正もその点御指摘になっております。これは私どもも全く同感でございます。このように複雑な機構のもとで少年を取り扱うというところに反省すべき点があるわけでございます。昔は御承知のように少年審判所というようなところで、かなりこれは一貫的にやっておったわけでございますが、現憲法下におきましては人権の尊重という点もありまして、やはり裁判所関与という形がどうしても必要でございます。さらに警察の扱うべき面、それから検察の扱うべき面、裁判所の扱うべき面、また鑑別所というような制度もできましたし、あるいは少年院、それぞれ職務が別でございますので、それぞれの人が抜けてしまうというわけにも参らぬ。そういたしますると、これは運用の面で何が一番いけないのかと申しますと、神崎さんも御指摘になっているように、同じことを少年に繰り返し繰り返し聞く、特に調査の対象になる少年が一人であって、聞く方は御指摘のように十六人もいる、こういうことになりますと、それこそ舌打ちでもしたくなるような気持になると思うのでございます。そこで、科学的な捜査ということをやはりどの関係の機関も考えるわけでございますが、そういうような調査資料というものは共通して使えるようにする必要があるのじゃないかというようなことも実は私ども考えておるのでございます。たとえば家庭裁判所の調査官が作成されました調査記録というものは、その者が保護処分になり、あるいは少年院に入りました場合には、少年院にもその調査資料が回ってきて繰り返し同じことを聞く必要もないのじゃないか。付加すべきものがあればそれに付加していく、それで歴史を作ればいいわけであります。そういうふうな形もたらい回しの弊を矯正する一つの実際的な方法ではあるまいかというふうに考えます。 それからなお機構といたしまして考えますと、警察、検察、裁判、保護、矯正とこうあるわけでございますが、特に大部分の関係しておりますのは、法務省所管の検察、保護、矯正という面は、これは法務大臣の法務行政は統一して行なうという設置法の規定もございます。そういう趣旨からいたしまして、法務省部内の関係機関だけでも統一ある一貫した刑事政策で進んでいくということは、これは運用の面で、法務大臣の権限でできるはずでございます。なかなか実際には運用しにくい面もありますけれども、先般来私ども関係部局の者が集まりまして、このたらい回し的な弊害から生ずるいろいろの悪い影響を除去するために関係部局で研究会も開き、またその結果はすぐ実践に移しましてやるようにいたしております。逐次効果が上がってきていると思っております。
○説明員(木村行蔵君) 警察の関係で若干お答えをいたしたいと思います。ことに、問題少年で警察でタッチしました場合に、保護司といいますか、あるいは補導司と申しますか、この関係で確かに従来十分でない点がありまして、かえって逆に警察に補導して連れて参りましても、心理的にいろいろデリケートな影響を児童に与える逆効果もあるということも十分予想されますので、そういう関係を考えまして警察における少年補導の部屋というものは特別に研究いたしまして、児童が、非行少年がその部屋で安心しててしかもできるだけ打ち解けたような気持で補導を受けられるような色彩なりあるいは構造なり、部屋の格好なり、設具の置き工合なり相当科学的に研究いたしているわけであります。それに関しまして、予算を要求いたしまして、特にそういう非行少年の問題、少年の対象の多い警察署を一応定員として見ましたのですが、百人以上の定員を持っている大きな警察署、そこではやはり問題少年が多うございますので、全国で百五十警察署でございます。この百五十の警察署につきまして補導室ないし保護室といいますか、それが非行少年のメンタリティにいい影響を与えるような施設でできますように、二カ年計画で要求いたしました。二千万円要求いたしまして、ことしの予算から入っています。来年も要求いたすわけでありますが、この二千万円というのは補助金でありますので、県費でさらにそれが倍になりあるいはもう少し大きく額が上がってくると思います。それ以外に保護センターといいますか、家出人あるいは酔っぱらいなどで、非常に他人も迷惑し本人も生命、身体、からだに危険があるというような関係のものなどにつきまして、保護センターをやはり研究いたしまして、これも今年から入りまして、全国で十四の府県を、大きな都市を対象にしてことし七都市、それから来年度の三十五年度に七都市、合計十四の重要都市を対象にしまして、保護センターを考えております。これはもちろん少年だけの問題じゃありません。しかし、家出人なり要保護人というものにつきまして、それらも対象にしまして考えておるのであります。 それから例の問題少年についての保護といいますか、これらにつきまして、法上の手だてといいますか、これにつきましては、先ほど竹内刑事局長からもお話がありましたように、現行法で必ずしも十分でないと思いましたので、先般の国会で警職法を改正していただいて、自殺のおそれのあるものにつきまして十分に保護をいたし得るような手だてのできる改正をいたしたいと思いまして出したわけでございますけれども、それが十分に通りませんで流れたような状況であります。そのほかに、少年法で緊急同行というような権限もあり、あるいは児童福祉法によりまして児童福祉司に一時保護を委託するというような措置も現行法ではありますけれども、これだけでは十分でないと思いますので、今後の問題としてやはりさらに研究し、できるだけ法的に整備していただきたい、また整備すべきだというふうに思います。 それから家出人の捜索願いの関係でございますが、これにつきましては、警察庁におきまして家出人捜索要綱といいますか、家出人の取り扱い要綱を作りまして、数年前に全国の警察に通達いたしております。で、家出人につきましては、全面的に積極的にできるだけ早くこれを発見しまして、自殺されたり、あるいは非常な何といいますか、不幸なことにならぬように警察の手で全面的に協力する、あるいは手だてをするという手を打っておるわけであります。その中には、両親あるいは適当な後見人から捜索願いがあれば、全面的に至急家出人の捜索をしなければならぬという精神で貫いておるのでありますけれども、しかし、これは必ずしも後見人といいましても、それだけということでありませんので、場合によって保護司などが十分にいろいろな状況からこれは適当な捜索願いであるというふうに判断される場合には、そういう場合につきましても全面的に協力いたしておりまして、必ずしも両親あるいは後見人だけに限っておりません。実際の運用といたしましては、そういう場合についても幅を拡げてやっております。 それから飛び出しナイフの問題につきまして、この前も高田委員から御指摘がありまして、ことに刃わたり五・五センチメートルを下る、現行法においては所持を禁止されていない飛び出しナイフにつきましていろいろ質疑があったわけでありますが、現行法におきましても、もちろん私たちも現行法が万全だとは言えませんけれども、実際の行政指導といたしまして、たとえば問題少年を補導する、犯罪少年を扱ったという場合に、飛び出しナイフがかりに現行法で許されておりますところの五・五センチメートル以下の刃わたりのものにつきましても任意に提出させる、それをかりに預っておくという例はございます。そういうことで、行政指導である程度やっておりますけれども、これを強制的にはできませんので、多少それには限界があるというふうに思われます。 それからたらい回しの件について、これはむしろ法務省のあるいは家庭裁判所の方の御関係で、私の方で申し上げるのは筋違いかもしれませんけれども、少年問題を扱う警察の実地の第一線の少年警察担当官などから熾烈に言われていることでありまして、できる限りたらい回しのないように、できるだけ簡素な、そうして同じ人間について何回も何回も同じようなことを聞く、そうしてメンタルに非常に悪い影響を与えるというようなことのないような手だてといいますか、法的な整備といいますか、これは非常に警察内部でも熱望しておるようなことでありまして、ただいま高田委員から御指摘のことにつきましては、全面的に共鳴を感じております。
○最高裁判所長官代理者(市川四郎君) 高田委員の最後の御質問のいわゆる少年のたらい回しの問題でございますが、この点は裁判所といたしましても全く同感でございます。家庭裁判所といたしましては、昭和二十七年の四月から、そういうふうなことも考慮に入れまして、調査官が調査いたしました記録は、その後の保護の施設にはそのままつけて差し上げる、いわゆる社会記録をそのまま提供してそれを利用に供すると、こういう方法をとって参っておるわけでございまして、そういう社会記録を各施設でどの程度まで御信頼いただけるかの問題じゃないかと存じます。私どもといたしましては、できるだけ調査官の質を向上させることによりまして十分か調査ができ、また医務室あるいは少年鑑別所、そういうものを十分に活用いたしまして、家庭裁判所の審判の資料になるそういう社会調査資料は、あくまでこれを権威のあるもとして皆が信頼していただくような態勢に持っていきたいと、こう考えておるわけでございますので、どうか関係機関におかれましても、家庭裁判所の調査、審判にでき得る限り御協力いただくことが、現在のように機関が分化されておる段階におきましては、ぜひともお願いいたさなければならない点じゃないかと、かように考えている次第でございます。
○国務大臣(井野碩哉君) 高田委員の最後の御質問の、非行少年のたらい回しの問題につきましては、私もお説の通りだと思います。少年が十数人の人々に同じようなことを調べられるということは、非常に迷惑なことであります。これらのことは現在の制度においていろいろ所管が違っておりますが、所管の間で十分な連絡をとって、そうしてそういったことのないようにしていかなければならぬことだと思います。現にそれを、今まで各方面の担当者のお答えではしておるようでありますが、しかし、そういったことは、ただしていると言うだけで、実際に行なわれなくちゃこれは何にもならないことでございますから、今後十分そういう点につきましては考慮いたして参りたいと思いますが、結局一人の少年についての刑事政節が個々の機関に分かれているために、その少年が非常に迷惑するということは、これは刑事政策上考えなければならぬと思います。ですから刑事政策の面からも、一貫した一つの方針でいくということには努めていかなければならぬと思いますが、それが処理の問題で十分でないということでありますれば、制度の問題として考えなければならぬ、こういうふうに考えております。
○高田なほ子君 ずいぶん長い時間をかけていろいろの問題を御答弁いただいたわけです。結論としてこの青少年の、特に非行青少年の問題は、世界的にも大へん緊急な問題になっており、現在のわが国でもまことに重要な問題になっています。しかし現行制度のもとでは、この非行少年対策は、いうところの刑事政策だけではなくて、福祉厚生の面、あるいは教育の面というふうに、きわめて多方面にわたる問題を含んでおりますが、何としてもこの中心になるのは法務大臣である。どうしてもあなたが日本の非行少年問題をしょって立つというようなお気持のもとに、今、各省各機関に分散しているものに対しても、ぜひ一つ積極的な対策をお立て下さいまして、あなたの肩にかかっているこの重要な任務を十分にお果しいただけるように、私ども大いに激励いたしますから、がんばっていただきたいと思います。 今、淺沼懲罰問題が出まして、私どもの党ではきわめて重要な段階になって、委員会もこれ以上続けて御質問申し上げる機会がないことを非常に残念に思うものでありますが、一つよろしくきょうの質問を通して意のあるところをお察し下さって、それぞれの機関で十分に一つがんばっていただけるようにお願いして、一応私の質問を終ります。
○委員長(大川光三君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(大川光三君) 速起をつけて。 ―――――――――――――
○高田なほ子君 この際、少年犯罪対策に関する決議案の上程を動議として提出いたします。
○委員長(大川光三君) 御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川光三君) 高田君の動議は成立いたしました。高田君の動議を議題といたします。 まず、決議案について御説明を願います。
○高田なほ子君 決議案を朗読いたしまして提案の説明にかえたいと思います。 少年犯罪対策に関する決議案 最近少年犯罪が激増し、かつ兇悪、集団化の傾向あるにかんがみ、政府は少年犯罪防止のため、その実態を充分に把握し、少年法等の整備強化、矯正・保護関係機関の充実強化、少年犯罪の早期発児及び収容少年矯正保護対策として科学的調査研究機関の充実等に特段の施策を推進し、特に予算の増額に鋭意努力すべきである。 右決議する。
○委員長(大川光三君) ただいまの高田委員の提案御説明に対して、他に御発言はございませんか。
○井川伊平君 少年犯の最近の諸趨勢につきまして思いをいたしますときに、この決議案はきわめて必要なものであろうと存じ上げますゆえに、賛成の意を表します。
○委員長(大川光三君) ほかに御発言もなければ、高田君提出の決議案についてこれより採決を行ないます。 高田君提出の決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大川光三君) 全会一致と認めます。よって、高田君提出の少年犯罪対策に関する決議案は、本委員会の決議として決定いたしました。 なお委員長は、ただいまの決議を即刻内閣総理大臣に対し送付いたしますが、この際法務大臣からただいまの決議に対する御所見をお伺いいたしたいと存じます。
○国務大臣(井野碩哉君) ただいまの御決議に対しましては、法務当局といたしましては、十分にその御趣旨を尊重いたしまして、できるだけ努力をいたしたいと考えております。 ―――――――――――――
○委員長(大川光三君) 次に、請願八件を議題といたします。 まず最初に百十六、三百五、二件を議題といたします。専門員に説明をいたさせます。
○専門員(西村高兄君) 請願百十六号は、岐阜県中津川簡易裁判所の支部昇格に関する件でございまして、この中津川裁判所の管轄は、中津川、恵那の二市及び恵那郡の十一カ町村でございまして、その面積は千百五十平方キロに及び、人口は約十四万人という大きい区域と人口を擁しているものでございまして、支部に属する事件が多く、現在の機構では管内民衆の不利不便がはなはだしい上に、現在の庁舎は、昭和二十三年地元中津川市が管轄内町村の援助のもとに建築いたしました資材統制時代のものでございますため、建物も悪く非常に雨漏りがいたしまして、法廷もお粗末なことでございますので、これを新築し、また簡易裁判所を支部に昇格してもらいたいという願意でございまして、請願者は中津川市長、紹介議員は古池信三先生でございます。 なお、申し添えますと、この中津川簡裁庁舎の新築に関します請願は、二十八国会にございまして、これは本委員会で採択されております。なお、現在この支部は多治見にございます。事件を調べますと、それほどたくさんあるとも思いませんけれども、地元の希望は十分理由があるものと思料いたすわけでございます。 それから三百五号。これは鹿児島県の地方裁判所、鹿屋支部の甲号昇格に関する件でございまして、その請願の内容は、この鹿屋支部は昭和二十二年五月鹿屋市に設置されまして、その管轄区域は二市十七カ町村にわたっております。取扱い件数も乙号に属する件数はもとより、甲号に属する件数も年々増加し、今日その件数は非常な数に上っておるわけでございます。甲号事件については、乙号の支部ではこれを取り扱わない関係がございますので、鹿児島地方裁判所に行かなければなりません。その管轄区域の人口面積等を考慮いたしますと、交通がはなはだ不便でございますので、本地区から鹿児島市に参りますには長時間を要し、経済的にも多大の不便を感じておりますので、鹿屋支部を甲号に昇格せられたいという願意でございます。請願者は鹿屋市長、紹介議員は田中茂穂先生でございます。 なお、申し添えますと、鹿児島には離島の名瀬に甲号支部がございまして、本県の方にはないのでございますが、ほかの地方の事情なんかを見まして、やはり甲号支部があっても差しつかえないように存じております。 なお、営繕関係は、昭和三十四年、三十五年と二カ年にわたりまして、この営繕が目下進行中でありますことを申し添えておきます。
○委員長(大川光三君) 御質疑並びに御意見のおありの方は、御発言を願います。
○井川伊平君 両件とも採択すべきものと存じますので、さような意見を述べます。
○委員長(大川光三君) なお、法務省当局に御意見があればお述べ下さい。
○説明員(津田実君) ただいまお申し述べになりました中津川市に簡易裁判所支部を設置されたい旨の請願の趣旨は了解いたしました。裁判所支部の設置に関する事項は、最高裁判所の権限に属しておりますので、この請願の趣旨を最高裁判所に伝達いたしまして、考慮を促すようにいたしたいと存じます。さよう御承知おき願いたいと思います。 次に、鹿児島地方裁判所鹿屋支部の権限を変更されたい旨の請願の趣旨は了解いたしました。裁判所支部の権限変更に関する事項は、最高裁判所の権限に属しておりますので、この請願の趣旨を最高裁判所に伝達いたしまして、考慮を促すようにいたしたいと思っておりますから、これもさよう御了承おきを願いたいと存じます。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 中津川簡易裁判所の昇格等に関する請願に対して御説明申し上げます。 中津川簡易裁判所の支部昇格についての御請願は、中津川市に岐阜地方家庭裁判所中津川支部設置の御趣旨かと存じます。この請願の要旨にございますように、当支部の予定管轄区域内の各地、特に恵那郡の北部及び海部から現在の管轄裁判所である岐阜地方、家庭裁判所多治見支部、乙号支部でございますが、多治見支部への交通事情は、相当の御不便がおありになると存じます。 地裁支部を設置した場合の仮定受理件数を全国の乙号支部の順位にあてはめてみますと、百五十六位中百三十二位であります。 家庭裁判所の事件につきましては、現在中津川出張所があり、家裁支部を設置した場合の件数も、ほぼこれと同一であると考えられます。 支部を設置した場合の仮定受理事件数は近年必ずしも著しい増加の傾向を示しているものとは認められず、乙号支部設置に必要な条件が具備しているかどうかにつきましては、なお不十分な感があるようにも思われます。また、文部を設置した場合の裁判所職員の増員という問題もございまして、これらの点を考えますと、中津川支部を設置することは、現段階におきましては、いささか困難かとも存ぜられますが、今後の事件の推移等も勘案いたしまして、慎重に検討いたしたいと存じます。 なお、庁舎の新築の御要望がございますが、現在の庁舎は中津川市から借り受けておりまして、昭和二十三年建築の木造平屋建てでありますが、相当老朽化しておりますことは、御指摘の通りでございます。ただいまのところ、庁舎の新築は予算化いたしておりませんが、いずれ新築をしなければならないと考えておりますので、できるだけ早い機会に予算化して、御要望に沿いたいと存じております。 次に、鹿児島地方裁判所脇屋支部の甲号昇格に関する請願について申し上げます。鹿屋支部の甲号昇格につきましての御要望は、この支部の管内の範囲は、大隅半勘一円に及びまして、他の支部に比較して広大で、しかも山間僻地も多く、管内の各地からは相当遠距離であり、しかも、交通の不便な鹿児島地方裁判所の本庁まで行かなければならない現状であります。従いまして、事件の当事者その他の関係人に大きな負担をおかけしていることなどから見まして、ごもっともな御請願と存ぜられます。当支部が甲号に昇格しました場合、全国の支部の順位に当てはめてみますと、八十一位中の五十九位に当ります。 なお、昭和三十三年の合議事件の仮定受理件数を調べてみますと、民事訴訟事件が十件、刑事訴訟事件が二十二件で、合議事件の数が近年著しい増加を示しておらない状態であります。 なお、甲号支部に昇格いたしました場合には、職員の増員あるいは庁舎のさらに一そうの増改築をも必要になりますが、これは予算上の制約があり、直ちに実現は困難かと存ぜられます。従いまして、当支部の昇格につきましては、なお今後の事件数の推移を確かめました上で善処いたしたいと存じております。
○委員長(大川光三君) 以上二件は、いずれも採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川光三君) それでは百十六号、三百五号、二件は採択することに決定いたしました。 次に千百八十四号を議題といたします。専門員に説明をいたさせます。
○専門員(西村高兄君) 千百八十四号は大分地方裁判所庁舎改築促進に関する件でございまして、その願意は、庁舎が終戦直後、資材難のおりに旧陸軍航空しょうの建物を取り壊しました古材を使用して建築され、その後十余年を経過しておりますため、老朽はなはだしく、かつ白アリによる被害も激しいので、二階会議室のごときは、多人数の集合は危険視されているような現状でございます。 本庁舎の改築につきましては、すでに昭和三十八年ごろから上申を続けておりましたが、まだその実現のきざしが見られない状態であります。その窮状を黙視することができませんので、なるべくすみやかに本庁舎の改築を実現するようにという願意でございまして、請願者は大分県知事、紹介議員は矢嶋三義先生でございます。これは過般法務委員会として、法務委員長御自分で御視察になったところでございまして、事情は十分御承知でございます。 なお、この請願書に書いてございますけれども、事実は三十五年度の予算要求書に計上されておることでありますので、事実がもうすでにそこまで来ておりますので、これは御採択いただいてしかるべきものだと存じます。御参考までに申し上げます。
○委員長(大川光三君) 御質疑並びに御意見のおありの方は御発言願います。裁判所の方の御意見いかがでございましょうか。
○最高裁判所長官代理者(長井澄君) 予算に計上されておることでありますから、ほかに御説明申し上げることはありません。
○委員長(大川光三君) 本件請願は採択することにいたしまして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川光三君) それでは千百八十四号は採択することに決定いたしました。 次に、百九十二号、二百六十七号二件を議題といたします。専門員に説明をいたさせます。
○専門員(西村高兄君) 百九十二号は、鹿児島地方法務局垂水出張所庁舎新築に関する件でございまして、この舎屋は田神部落所有の建物を利用しておりますが、すでに相当年を経て損傷が激しいのであります。それからなお台風常襲地にあります。そんなことで今後の使用年限などもはなはだ心細い状態にございますので、垂水市が提供いたします市の中央部の適当な個所に、鹿児島地方法務局鹿屋支局垂水出張所を新築せられたい、こういう願意でございまして、請願者は垂水市長、紹介議員は光村甚助議員であります。 なお、御参考までに申し添えますと、この建物は大正七年の建物で三百五十二坪の土地に四十四坪あまりの建物が建っておるのでありまして、この実情はここに請願された通りのようでございます。三十五年の予算を見ますと、枕崎、阿久根は新築の予定でございますけれども、この建物は三十六年以降ということになっておりますけれども、実情はこの請願にあるようなことでございますようで、これを願意妥当と認めることが適当かと存じますので、御参考に申し上げます。 それから二百六十七号は九州地方更生保護委員会及び福岡保護観察所の合同庁舎新築に関します件で、この両庁舎は建築後二十一年を経過しております。しかも、戦後ほかの庁舎が不足いたしております関係上、一時家庭裁判所とか、矯正管区及び地方更生保護委員会などが同居いたしまして、そのつど場当たり的に内部の改造を行なったということでございまして、非常に建物が破壊され、腐朽を生じておるわけでございます。それでこの両庁舎の合同庁舎を急いで新築してもらいたいというのが願意でございまして、請願者は福岡県知事、紹介議員は吉田法晴議員であります。 なお、申し添えますと、これは収容人員は三十名ぐらいが、現存六十人ぐらいを収容されておるようなことでございますが、事実は請願の通りであったと存じます。なお、予算といたしましては法務省といたしまして三十五年度にAクラスとして要求されておるようでございますから、そういう意味で願意をおくみ取りいただくことが適当かと存じて御参考に申し添えました。
○委員長(大川光三君) 御質疑並びに御意見のおありの方は御発言下さい。法務省当局に御意見あれば、お願いしたいと思います。
○政府委員(竹内壽平君) 鹿児島地方法務局垂水出張所はただいまも御説明にありましたように、経過年数四十年あまりを経た公有の建物を借り上げましたのでございますが、老朽建物で法務省といたしましても改築計画を進めております。ただ、営繕計画全体の構造からいたしまして、昭和三十六年度以降に予算措置を講じたいと考えておりまして、措置ができるならば請願の趣旨に沿うことになるかと存じます。 九州地方更生保護委員会及び福岡保護観察所でございますが、昭和十二年福岡市が建築をいたしましたものを、昭和十四年寄付を受けまして現在に至っておりますが、その後白アリのために腐朽はなはだしいのでございまして、至急改築の要が認められるのでございます。法務省といたしましても、合同庁舎として立案計画しているのでございますが、残念なことに本年度の、昭和三十四年度の予算要求におきましては承認を得られませんでしたが、さらに本年度はただいま御説明にありましたように、鋭意予算措置に努力をいたし、請願の御趣旨に沿いたい所存でございます。
○委員長(大川光三君) 以上二件は、いずれも採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川光三君) それでは百九十二号、二百六十七号二件は採択することに決定いたしました。 次に、三百三十二号、六百九十五号二件を議題といたします。専門員に説明いたさせます。
○専門員(西村高兄君) 三百三十二号、六百九十五号を一括して御説明申し上げます。 三百三十二号は、岐阜県明智町の法務局明智出張所存置に関する請願でございまして、請願者は明智町長、紹介議員は古池信三先生でございます。それから六百九十五号は同じく岐阜県地方法務局岩村出張所の統合に関する件でございまして、請願者は岩村町長、紹介者は古池信三先生でございます。 この明智町とそれから岩村町、この二つは恵那郡にございまして、ごく近所でございますが、現在両方に法務局の出張所が設けられておるのでございます。あそこが日本全体の町村合併に基づきます法務局出張所の統廃合ということを法務省でやっておいでになりまして、その御方針はそれぞれ根拠があることでございましょうけれども、この地方の事情といたしましては、まず明智町としては、もしか統廃合するならば、郡内全体の廃置転換をしてもらいたい、こういう希望であります。 それから六百九十五号の方の意向といたしましては、もしか統廃合をやむを得ない場合には、岩村の方にこれを設けてもらいたい、こういうのでございまして、明智町、岩村町といたしましてはそれぞれの理由がございます。この地方々々で事情がそれぞれ異なるのでございますが、ごくこまかい事情については、まだ十分調査が調査室としてできておりませんけれども、地方の事情はそれぞれの理由があることと存じまして、願意をそれぞれおくみ取りいただくことが適当かと存ずる次第であります。
○委員長(大川光三君) 御質疑並びに御意見のある方は御発言下さい。
○後藤義隆君 紹介議員の古池信三氏の話では、でき得るならば今まで通りに現存さしてもらいたいということを希望しておるわけです。そういうことを一応申し伝えておきまして、やはりこれは採択すべきものだということを申し上げます。
○委員長(大川光三君) 法務省当局の御意見を伺います。
○説明員(池川良正君) まず、明智出張所の存置に関する請願でございますが、法務省の出張所は明治の半ばごろから大正の初期にかけて設置されたものでございます。大半が職員が一名ないし二名というきわめて小規模な機構であって、これら小規模の出張所において、逐年増加する複雑多岐にわたる登記台帳等の事務を適正迅速に処理するについては、人的、物的その他の面に多くの隘路を生じており、また一面、国民の不動産に関する権利の得喪変更の確立を期するためにも遺憾な点があるのであります。そこで、登記台帳事件を適正迅速に処理する必要から、取扱い件数及び交通費用等を十分勘案の上、小規模出張所を利用者の利便をも十分考慮に入れて適正規模の出張所に再編成するため関係市町村と折衝の上必要な統廃合を実施している次第でございます。明智出張所は岐阜地方法務局管内出張所のうちで、登記取り扱い事件数が比較的少ないのでございますが、交通事情その他を十分考慮の上その処置につき慎重に検討いたしたいと考えておる次第でございます。 次に岩村、明智出張所の統合に関する請願について申し述べます。出張所の統合を実施している事情は、先に申し上げた通りでございますが、本件につきまして、明智出張所と岩村出張所の統合につきましても、その取り扱い事件数、交通事情及び管轄区域等を勘案の上その処置につき慎重に検討いたしたいと考えております。
○委員長(大川光三君) 以上二件は、これを採択することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川光三君) それでは三百三十二号、六百九十五号、二件は採択することに決定いたしました。 次に、千三百六号を議題といたします。専門員に説明をいたさせます。
○専門員(西村高兄君) 千三百六号は、死刑廃止の立法化に関する件でありまして、その請願の趣旨は、人間の生命は全宇宙よりも重く、いかなる理由にせよ、人間の手によって生命を奪うことは罪悪であるから、死刑を廃止するよう、これが立法化について格段の善処を願いたいということでございまして、請願者は東京都の関屋正彦氏外十一人でございまして、紹介議員は高田なほ子先生であります。なおこれにつきましては、昭和三十一年第二十四国会に、参議院といたしまして死刑廃止の法律案が発議されまして、それが昭和三十三年二十八国会まで継続いたしまして、審議未了になったことがございます。これを申し添えておきます。
○委員長(大川光三君) 御質疑並びに御意見のおありの方は、御発言を願います。法務省当局の御意見をお聞かせ下さい。
○政府委員(竹内壽平君) 死刑廃止に関する請願の御趣旨は、まことに貴重な御意見でございまして、傾聴に値いするものがございます。死刑の適用が慎重でなければなりませんことは、これは何人にも異論のないことでございますが、現下の犯罪情勢、特に凶悪犯罪が依然として少なくない状況のもとにおきましては、直ちに死刑を全面的に廃止するということは、相当でないというのが法務省の意見でございます。
○委員長(大川光三君) それでは本件請願につきましては、ただいまの竹内局長の御意見もございますが、願意は死刑廃止の立法化について善処せよとのことでございまするが、当委員会といたしましては、今後重要な研究課題に値いするものとして、適当の機関を設けて検討されたい旨の意見書を付して、採択することにいたしたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませかん。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川光三君) それでは意見書案につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。(「異議なし」と呼ぶ者あり) なお、ただいま採択いたしました請願は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定してよろしゅうございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大川光三君) それではさよう決定いたしました。 審査報告書につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十六分散会