文教委員会 第10号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/12/15
会議録
○理事(松永忠二君) これより文教委員会を開会いたします。 委員の変更について報告いたします。 去る十二日、林屋亀次郎君及び上林忠次君が辞任され、その補欠として鹿鹿島守之助君及び井野碩哉君が選任されました。 ―――――――――――――
○理事(松永忠二君) 本日の委員長及び理事打合会の経過について報告いたします。 本日の日程について協議いたしました結果、まず重要文化財の災害対策に関する件を議題とし、次に来年度文教関係予算について取り上げることといたしました。 以上、報告の通り、取り運ぶことに御異議ございませんか。 「異議なしとと呼ぶ者あり〕
○理事(松永忠二君) 御異議ないと認めます。 ―――――――――――――
○理事(松永忠二君) まず重要文化財の災害対策に関する件を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○吉江勝保君 私、重要文化財の災害復旧に関して少し文部当局並びに文化財保護委員長にお尋ねいたしたいと思いますが、その前に、これはこの文教委員会の理事の一員といたしまして私、少し文部大臣に申し上げておきたいと思うのであります。私、文教の委員として参議院で勤めておりまするが、どうもこの委員会に文部省の御出席が非常におくれまして、私ども国会の審議に支障を来たしておるような状況であります。今までもたびたび大臣や局長、次官のおいでがおそいので、そういうことを申し上げよらかと思っておったのでありますが、まあ、そのうちには、というような気持で控えておったのであります。ところが、文教委員会ばかりではなしに、参議院のほかの委員会におきましても、ごく最近の例を申しますならば、昨日参議院の風水害対策特別委員会が開かれまして、そのときには文部当局の出席があるものとしてわれわれ文教関係の理事も出ておりまして、文部省の説明を求めようとしましたときに、委員長から文部省の係官はまだ出ていないので、これはあと回しにしてくれ、こういうことを言われるのであります。これは昨日の風水害対策特別委員会だけではないのであります。いつも文部省の関係の方々の参議院の委員会においでになることがおくれておるのであります。こういうことは、文部省に対しまして非常に熱意を持って審議しようとしておる者にとりましては、非常に落胆と申しますか、力をそがれるのであります。ほかの者も相当忙しいだろうと思うのでありますが、定刻までに来て、順番に席に着いてみんな説明をし、発言をされておるのであります。ところが、どらも文教委員会におきまするのみならず、ほかの委員会においてもこういうような、いわばふんどしがゆるめられておるといいますか、少しだらけておるといいますか、というような感じがいたすのであります。そういう点につきまして、少し文部大臣におかれましても感じておられるのかどうか、あるいはそういうことに対しまして将来配慮をいたしていただけるのかどうか、取初にまことに言いにくいことでありまするが、大臣の将来におきまするお気持でも最初に承りまして、質問に入らしていただきたいと思います。
○国務大臣(松田竹千代君) たびたび時間におくれたことはまことに申しわけないと思います。時間に来たこともあることはあるのでございますが、またそういうときにはおりあしく委員会がまだ始まっていないというようなことでありまして、たまたまその後、ただいまお話のようにおくれたことに対しまして、まことに相済まぬことである、自後努めて時間に来るようにいたします。
○吉江勝保君 今、文部大臣は私の好意ある話に対しまして何か逆襲せられるようなつもりでおっしゃっておられますが、そういうお気持でいらっしゃるのですか。
○国務大臣(松田竹千代君) ゆめゆめそういう気持じゃありません。事実として申し上げただけでありまして私も努めて来るつもりでおる。それを今あらためて申し上げるわけであります。
○吉江勝保君 国会で審議しますときには、当局が先へお見えになっておりまして、私どももできるだけ待たせないように、そのときにだれもおらぬということはないだろうと思うのです。大臣がおいでになったときには、必ず国会議員の数名は出ておりますので、全員を集めますのには、こちらも数が要りますので、少し大臣をお待たせすることもそれはあったかもしれませんが、一人も出ておらぬということは私はないと思うのであります。しかし、われわれが定数をそろえましても文部省の関係者が一人も出ていないということがあるのでありまして、どらか参議院の出席に対しましていま少しく御督励をお願いいたしておきます。 それでは次に災害につきまして実は私、参議院の風水害対策特別委員会の方にすっと出ておったのでありますが、そうして文教関係の災害対策にも関係いたしておったのでありますが、ほかの省の災害対策に比べまして文教一般と申しますか、文部省の関係はどらも少し手薄いような感じがいたしておったのでありまして、これはそのつど特別委員会でも主張いたしておったのでありますが、特にその弱い文部省関係の中におきましても、また一番弱いように感じられまするのが文化財保護関係でありましてこういう方面に対しまする今次災害につきまして、大体災害の特別委員会の作業も終わったのであります。法案も終わり、予算も済んだのでありますが、一ぺんここで重要文化財についてのことしの災害に対しまして、結論としてどういう収穫が重要文化財には得られておるのか。私は一番弱いと思うております、見ておりますこの重要文化財関係の災害復旧につきさまして、一応ここで御報告といいますか、していただきたいと思うのでありまして、あるいは文部大臣がなんでございましたら、委員長がおいでになっておりますので、委員長から一つお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(松田竹千代君) お話のように、従来も重要文化財の保護について必要と認められる予算を要求して参ったものが、しばしば削減のうき目を見て参っておるのでありまして、われわれといたしましては、市要文化財の保護の見地から、またこれがいろいろ教育、文化の点からその必要を認め、強く推進して参りたいと思っておることでありますが、御指摘のように、どうももう一そうの文化財の保護の必要性を強調することによってこれを十分に必要な限度において、この予算を獲得いたして参らなければならぬと考えておるのでありますが、今回の文化財の災害に対しましては、とりあえずの急を正要するものに対しては、予備金の支出によって応急の修理をするということに努めて参りまして、今後の完全な復旧に対しましては、明年度の予算にこれを十億円余を要求いたしておる次第であります。それだけを申し上げて、具体的な点は委員長から……。
○説明員(河井彌八君) 今年の第七号台風、それから伊勢湾台風、それがおもなものであります。それによりましても、重要文化財として推定されてありまするものの被害の報告がございますが、それによりますると、まず建造物関係において五十五件、棟数にいたしまして六十三件、損害全部として六千六百九十九万七千円、それから宝物関係といたしまして六件、被害総額が三百六万五千円、それから史跡天然記念物関係あるいは名勝といたしまして名古屋城のっ二の丸の経費というようなものがありまりして、件数からいいますと、百四十九件、一億七千八百万円の損害という報告が出ております。文化財保護委員会といたしましては、これが復旧対策を立てまして、まずそれには相当な復旧費が要るということで、昭和三十四年、今年度においての応急の措置といたしまして、予備費使用といたしましてそれを大蔵省に正要求中であります。それからなお三十五年度の予算の追加というものを要求するということになっておるのっであります。大体において申しますと、三十四年度、これは予備金支出になりますが、の区要求といたしまして、建造物と、それから史跡、名勝、天然記念物の補助金の合計が二千八百九十万三千円、それから名古屋城の二の丸の費用、百五十万円、それを合わせまして三千四十万三千円の予備金支出の要求をいたしているのでございます。さらに三十五年度におきましては、引き続きまして建進物においては三千二百二十五万六千円、それから史跡、名勝等において二十四年度と同様に六百六十五万円、これはすべて補助金でありますが、補助金の合計としまして三十四年度におきましては三千四十万三千円、三十五年度におきましては三千二百二十五万六千円、これがつまり台風に対する被害の復旧の要求であります。これを合わせますと総計で六千二百六十五万九千円というようなことであります。それから、そのほかに宝物の関係であるとか、あるいは復旧の緊急性の少ないもの等につきましては次年度以降の予算において適宜これを要求する、こういうことになっております。
○吉江勝保君 被害の総額、今ずっとおっしゃっているのを聞いておりまして、被害総額一億七千四百万というふうにおっしゃったように聞いたのでございますが、そうでございますか。
○説明員(河井彌八君) 一億七千八百万円であります。
○吉江勝保君 けっこうです。一億七千八百万円に対し、今要求されているものが六千二百六十五万九千円というふうにお話になりましたね。そうすると、あとの分はどうなるのですか。一億七千八百万円に対して所求されているものが六千二百円というと、一億幾らというものはどういうようになるのですか。
○説明員(岡田孝平君) 一億七千八百万円と申しますのは、これは各府県からのこれは報告の数字でございまして、で、この数字を受けまして私どもは直ちに関係の府県に係員を派遣いたしまして実地調査をいたしました。それから場所によりましては都道府県の教育委員会みずからが実地調査をいたしまして、そういたしまして正確に復旧に必要な額を算定いたしたわけであります。その結果、大蔵省に要求中のものが先ほど委員長からおっしゃいました六千二百六十余万円であります。 なお、この文化財の災害の復旧につきましては、あるいは建造物、あるいは史跡、名勝、天然記念物等がございますが、いずれも災害を受けなくても本年もしくは来年にすでに修理の計画に上っているものがあるわけであります。そのたまたま修理計画に上っているものが災害を受けました場合におきましては、それはその既定の計画と合わせまして考えていきたいという考えを持ちましてそれらの計画と合わせて考えておりますので、必ずしもその被害を受けました文化財の修理が全部災害予算というふうに全額を組み入れませんで、そのうちどうしても災害の復旧に直ちに必要な分ということで災害の方の予算に要求をいたしたのでございます。それと、補助額十万円以下というようなこまかいものは……。
○吉江勝保君 なるべく質問した程度でけっこうです。あと続けて質問いたします。
○説明員(岡田孝平君) それは除きましてそういたしまして今今回緊急にどうしてもこの際予備金として要求しなければならぬというものを計算いたしましたものが六千二百六十余万円でございます。
○吉江勝保君 この六千二百万円というのは、これはもう大体補正予算も成立しておるのでありますので、これは要求々々とおっしゃっておりますが、この六千二百万円というのは予算も通っておるので、これは話が、完全にそれでは六千二百万円だけでもついておるのですか。
○説明員(岡田孝平君) 六千二百万円のうち、三千万円は本年度の予備金支出を要求中であり、残りの三千二百万円は来年度の追加区要求として大蔵省に出しており、まだいずれも予算折衝中でございまして、確定いたしておりません。
○吉江勝保君 大体ことしの被害の総額一億七千力円と、ことしの災害復旧に要するものを三千万円としてそれを要求されておるという段階であるということが、結局しぼった結果がそういう話になるのだ。で、ことしの災害などの一つの特徴というものは、これは今まであまり論じられなかった重要文化財でありますとか、あるいは宗教法人関係の災害でありますとか、こういうものが特別にことしの災害の特殊なものであるとして相当強く関心を呼んでおったのでありまして、そのときに、この文化財関係の被害復旧として今要求されておるものがわずかに三千万円程度のものである、しかも予備金の中から支出をしてもらうというような程度の話に決着がなっておる、こういうようなことで文化財の維持管理、復旧というものがやっていけるのかどうか、そういう大局に立ちました御所見をと一つ委員長からお伺いしたいと思います。
○説明員(河井彌八君) 吉江委員の御質問でありますが、実は、ただいま説明も申し上げましたが、報告によるところの一億七千八百万円に対しまして、六千二百六十余万円の要求というものは少ないではないかという点であありますが、これははなはだ遺憾なことでありまするが、どうも何といいますか、文化財に関します予算というものは私、三年前に就任以来、非常に手薄であるということを常に感じておったのであります。これは災害ばかりではありませんが、毎回の予算の折衝のときにこれはずいぶん努めてきたのでありますが、遺憾ながら思うように進んでおりません。それから今回のこの二回の災害の復旧の補助費につきましても、やはりこれは予算補正によって相当額を計上いたしたいということを大蔵省に内交渉をいたしましたけれども、そこに、それにまで入りませんで予備金支出ということになってそれで、この額を要求したのみでありましてまだこれが確定というところまではいっておりません。はなはだ私は遺憾だと考えます。そこで、その被害者がどういう人であるかと申しますると、今お話のありましたように宗教法人というようなものが主であります。そうしてそれらは何といいますか、自力でもってこれを復旧していく力が割合に乏しいのであります。従いまして国といたしましてはできるだけの補助をいたしまし、て、それが復旧が容易にできるようにいたしたいということは考えておりまするけれども、まだそれまでに、今日の何といいますか、予算上の取り扱いが十分になるまでに至っておらないという、そういう点非常に遺憾とするのでありまして今後なおわれわれといたしましてはできるだけの努力をいたすつもりでおります。
○吉江勝保君 ここで私は責任者として日本の重要文化財を担当され、取り扱っておられます文部大臣並びに保護委員会の委員長が平素の予算において文化財の維持管理に十分な予算が取れていない、そこへ今度は今次のような災害が起こってまた一そう打撃を文化財が受けておるというときに、この平素の予算でも十分な維持管理ができていない、そこにまた災害が加わって一そうの維持管理に支障を来たしておるというようなときに、それをもっと強く大蔵省なり世人にも訴えましてこの文化財保護の災害復旧になぜもっと全力をお尽くしにならないのか、実にこの点が歯がゆいのであります。、率直に申しまして、私ども国会が、いわゆる選挙民からいろいろな陳情を受けまして、ときにはいろいろな場所へ選挙民を連れていって陳情をするようなことをややもするとやりがちなのであります。そういうときに、国会がよくそういう方に引きずられるのでありますが、主要文化財を連れてくるにも車要文化財は連れてこられない、こういう陳情をしない。こういう方面の維持管理は文部大臣でありますとか、保護委員会の委員区長がそれだけ特に力強く強調なさらないと予算も取りにくいし、法案も通りにくいのでありまして、それを普通の程度の御努力をなさっておる、あるいはその努力が普通よりさらに希薄な努力になっておるということでは、私は日本の文化財というものの維持管理が非常に嘆かわしい、心配だと考えられるのでありまして、今申されておりますような程度のお話ではどらも最善の努力をお尽くしになっておるような感じはしないと思うのでありまして、風水害のあのときにも、別に文化財関係で特別立法の要求もなければ、あるいは特に重要な発言もなさっておらない。こういうようなことでは、私は非常にわが国の文化財の維持管理に欠けるところが将来起こってくるのじゃないか、こういう懸念を持つのであります。これはこれ以上御答弁を求めましても、えらい究明するようでありまするので、これは御答弁要りませんが、ただいま局長のお話によりますと、災害の起こった、災害として要求すべきものではあるが、しかし、それは何らかの維持修理を将来やろうと考えておったものであるので、その一般の維持修理の方でやることにして、災害の方からは、今度の六千二百万円の中には、そういうものは査定の中から吾としておるような感じを受けるような説明を受けたのであります。重要文化財の災害であるならば、なぜことしの災害の復旧にその予算を要求にならなかったか、その点をもう少し御説明いただきたいと思います。
○説明員(岡田孝平君) 将来修理の予定になっておるようなものにつきましてそれが災害を受けたという場合には、もちろんこれは今回の災害の予算に計上いたしております。先ほど申しましたようなものは、ちょうど本年修理中のものしかやっていない。あるいは来年度に修理するというものは、これは災害がなくても当然普通のケースで修理されることになっておりますので、そういうものは原則としてはずしました。もちろん、たとえば山梨の善光寺は本年修理中ではありましたが、修理以外の部分は非常な災害を受けたので、こういうものは計画中のものでも災害として予備費を要求しております。その他のものはすべて実査をいたしまして災害の先ほど申し上げました額の中に含めて要求中でございます。
○理事(松永忠二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(松永忠二君) 速記をつけて。
○吉江勝保君 ただいま予算の要求の仕方について幾らか詳しく説明があったのでありまするが、これは質問でありますから、それに対してしかるべく私は答弁されておるように思うのです。本年度、明年度の修理の経常費に区要求すべきものと、災害を受けたというものの修理とこれは性質が違っておる。また、受けたその被害も、普通のままの修理と、災害を受けた場合とは、これは修理の仕方も違うのだろう。そこで普通にことし、明年に一般の予算の中に計上されておる、しょうと計画しておったものでも、ことしのああいう有史以来の珍しい大災害で被害を受けられた、その被害に対する完全な予算を、災害復旧の予算を組んで、こういう機会に積極的にその修理をして、年平度には要文化財の予算が十分に取られておらないのでありますから、こういうときに幾分だけでも修理を促進するというような積極的な予算の組み方、要求の仕方をなさるのが私は責任者として考えられなければならぬ立場といいますか、態度じゃないか、そういう点は委員長はどういうふうにお考えになっておるか、また局区長がおっしゃったような、そういうお考えで予算正要求をなすっておったのですか。
○説明員(河井彌八君) その点は、どうしても大蔵省を相手にして十分とはいかないので、局長の説明したような程度にしか伸びていかない、ということは非常に遺憾に思います。実情はそういうわけでございます。
○吉江勝保君 私は、そういうことでは今度文部大臣の方に少しお聞きをしたいと思うのでありますが、非常に文化財保護委員会の方では消極的といいますか、そういう立場でおられるようであります。こういう面こそ文部大臣が力を貸して、そういう予算を特に力を入れて要求をしていただくべきものじゃないかと思うのです。今のような保護委員会の立場を文部大臣は肯定なすっておるのでしょうか。
○国務大臣(松田竹千代君) 文化財の予算は従来もなかなか取りにくいというか、ともかく毎年要求しておることがいつもはずれております。しかし、私は重要文化財というものの保護、これが完全な維持管理ということの必要性を十分認めておるわけでありまして今回の予算では、現在強く要求されております各般の文化財関係の予算には強く強力にこれが折衝いたす所存でございます。
○吉江勝保君 これは私から申し上げるまでもなく、文化に関することは非常に現在文部省は力を入れておられる。日本の文化の集積したものが重要文化財になっておるのでありましてこういう重要文化財について力を入れずに文化文化ということをおっしゃるのは、何を一体ほんとうの文化に考えておられるのか、もう少し文部省の文化財に対する認識と力の入れ方を河井委員長もそうでありますが、文部当局も力を入れていただいて、先ほど申しますような、声ない文化財方面にどうか立ちおくれがないようにお願いをいたしたい気持なんであります。 そこでもう少し話を進めて聞いてみますが、日本にありまする文化財全体に対しまして一体平素においてこれを全部修理をしていくというような計画が文部省に立っておるのかどうか。あるいは維持管理をしていきますのに、日本全部の司要文化財の維持管理とその修理をやっていけば、これは滅失していかないとか、あるいは壊滅をしていかないとかいうような、そういう基本的な計画が文部省に立っておるのかどうか。災害から突き進んで参りまするが、私はそういう方面のことにつきましても一つ御説明をいただきたいと思います。
○説明員(岡田孝平君) 文化財全体の修理の問題は、もちろんこれは私どもといたしましては、できる限り計画的にこれを実施いたしたいという考えからいきまして、文化財全体の修理のプランを持っております。けれども、これは遺憾ながらそのブランを立てましてもその計画通りに予算が取れませんために、その計画がとかくおくれがちでありまりして、従ってその計画は随時これを修正していかなければならないというような状況になっております。来年度の予算要求に当たりましても、さらに従来の計画を再検討いたしまして、そうして来年以降におきましてどういう案のもとに実施を進めていくかというプランを作りまして、それに基づきまして数字を算定いたして、そうして来年度予算の正要求は実はいたしたのであります。文化財といいましても非常に種類が多くありまして建造物あるいは美術工芸品、史跡、名勝、天然記念物、無形文化財といろいろございますので、そのおのおのによって違いまして画一的なことは計画が立ちにくいのでございます。それぞれ必要に合わせまして、腐朽いたして緊急を要するというものから順次に復旧修理をいたしたいという方針のもとに計画を立て、また実施に移していきたい、かような考え方に立っております。
○吉江勝保君 今のお話は、計画が立っておるかと言えば、何かやりたいと思っております、というような話なんですね。それは何といいますか、公務員として事務を担当しておればやりたいということは皆考えられるでありましょうが、そういう計画があるならば、それを文化財保護委員会の一つの権威ある計画として、それを文部省とつして省議できめていく、さらにもっと言うならば、大臣に持ち出して閣議でも決定してもらう、そういう段階がどの程度進んでおるのか、ただ局長の手元に、あるいはその中にその案があるという段階なんですか、それとも文化財保護委員会としては一応委員会としての案をおきめになっておるのですか、一つ委員長にお伺いします。
○説明員(河井彌八君) ただいまの御質問でありますが、文化財保護委員会といたしましては、ただいま局長が説明しました通り、すべての計画というものは委員会において決定いたしてその決定に基づきまして相当額の予算を大蔵省から与えられるように相当強く努力をいたしております。ただこれは局だけの思いつきというようなことではありません。しかし、実際にそれが大蔵省から毎年の予算として与えられる額というものは、どうしても十分でないということを遺憾に思っておる次第であります。
○吉江勝保君 ただいまのお話でありますと、そういう計画は保護委員会としては立っておる。しかし、その計画に必要な予算が大蔵省からはいつも得られておらない。こういうような御説明であったようでありますが、それならば、予算を要求するのにも、やはり世人が納得するというか、あるいは大蔵省の納得するようなものをもって強く交渉しなければいかぬだろうと思うのであります。保護委員会だけでなしに、文部大臣が交渉されるのでありましょうから、なぜその文部省の省議というようなところまで持ち込んでもっと文部大臣に御努力をお願いされないのか、そういう点はどういう理由があるのですか。
○説明員(岡田孝平君) 毎年の予算を大蔵省に要求いたします場合に、まず文化財保護委員会の方で計画を立てまして、そしてそれに基づきまして数字を計上いたし、それを文部本省に出すのでありますが、文部本省との折衝におきまして、常にやはりその根拠であるべきプランが検討されます、そして検討されましたプランに基づきまして数字がやはり一般には修正され、そして大蔵省に出されるのでありまして、文部省で大蔵省に予算を出します場合には、一応その前提となるべき計画に基づきまして予算を出すのでありますから、これは本省において認められたということになるわけであります。ただプランそのものは、実は非常にこれは、たとえば建造物等につきましては比較的立ちますけれども、美術工芸品等は非常に数も多うございますし、また所有者の関係からいたしまして、非常にその調査も複雑でございまして、なかなか完全なプランは立ちにくいのでございます。当面の、たとえば、五カ年なら五カ年というようなブランを立てておる場合もございますが、ブランそのものといたしまして特に本省で承認の手続というようなことはいたしておりませんが、予算の場合には、その前提となるべき計画を承認されたものとしてその予算の数字を本省で承認される、そして大蔵省に提出いたしておる、こういう手続になっております。
○吉江勝保君 今のお話でだんだんわかってくるのでありますが、文化財の維持管理についての計画を持っておるというその書面は、全く内輪のものだけでありまして、文部本省の方に要求してもその通りのものが通るのでなしに、さらに削られておるというようなことでは、計画というものは、参議院のここに持ってきて計画が立っておりますとか、ありますとかいうようなことは、私は少しおかしいのじゃないかと思います。もっとそういう計画は保護委員会の中で立てるのみならず、文部本省にもその計画が承認されておるとか、さらにもっと言うなら、内閣自体でそれを承認しておるというところまで持っていってこそ計画が立っておると、こう言えるのでありまして、計画が立っておると私は認めにくいのでありまして、もう少しそういうところでも、保護委員会が強く文部省の中でこういうもの一切をさらけ出して事情をお話しになって、文部大臣の協力も得られるようになさることが必要じゃないかと考えるのですが、いかがでしょう。あるいは文部大臣、そういうようになさって一つ予算を十分文部省の方でも、ほかの局も同様でありまするが、保護委員会の予算も力強く要求し、通してもらうように御努力を一つなさる必要があるのじゃないかと思います。これは文部大臣が先に席を立ち上がるようですから、重ねてもう一ぺん文部大臣から……。
○国務大臣(松田竹千代君) 私も文化財というものは、日本の持っている最も貴重なものの一つであると考えているわけでありまして、専門家によってこれこれのものはどうしても維持し改築していかなければならぬというものに対しては、極力それをそのまま予算化して、大蔵当局と強く折衝いたしたいと、かように考えているのであります。
○吉江勝保君 予算の問題、さらにその計画をしっかり立てるということ、このことについては、もっとお聞きしたいのでありますが、時間がないので次の機会に譲りまして、もう一つ次の問題、これは大臣がおられる間に伺ってみたいと思うのでありますが、こういうような計画を立てて予算を取って、そして文化財の維持管理、修理をなさっていくのでありますが、実際に当たると、そういう修理は特別な技術者といいますか、こういう人でなければ文化財のこの修理というものはできにくいだろうと思うのでありまして、一般の、普通の建築土木のようなものじゃなかろうと思うのでありましてこういうような面で日本の文化財を維持し管理していくのに必要な技術者の面については、保護委員会で十分お考えになっているかどうかということを、委員長の方からお伺いいたしますが、時間がありませんので大臣に……。こういう面につきまして特に優秀な技術者がおりまして、日本の文化財の修理あるいは維持につきまして非常な功績を上げているといいますか、珍しい話を耳にしたのであります。実は風水害対策特別委員会の分科会におきまして相当詳しく私も質問をやってみたんですが、大臣がお知りにならぬ、こういう席に保護委員長もおいでになっているわけではないので、文部省を代表して大臣が出ておられるので、そういうような人に対して大臣は関心を持っておられるか、知っておられるかということをお聞きしましたら、初めてだというお話だったのです。そのときに、大臣、じゃお調べおき願いますということを申したのでありますが、大臣はお聞きいただいたでしょうか。
○国務大臣(松田竹千代君) この前にそのお話がありまして、そういう特殊な研究をされてそして特別の技術によって多額の普通ならば費用を要しなければ修理ができないものを、きわめて、技術の巧妙さというか、特異な考え方によって、きわめて少額でこれを成就し得たというお話は、先般吉江委員から伺いまして、そういう貴重な人材こそ、これは表彰するというようなことも考えるべきであるし、さらにまたそういう人の力を借りて、この文化財の保護、改修等に今後も大いに協力してもらわなければならぬと思い、私もそのことをちょっとすぐあとで聞きましたけれども、聞いた人も詳しいことを知らないという事情でございました。さらにその後まだ聞こうといたしておりませんけれども、そういう人の協力を今後も十分に得ていかなければならぬ、かように考えております。
○吉江勝保君 私はその問題はもちろん、多額の予算が要るのを、その人の技術によってその経費を非常に減少したという面につきましても推賞をいたしたのでありまするが、そういう面だけでなしに、あれだけ、まあ日本の全体から申しましても第三番目か四番目というような大きな建造物ですね、そういう大きな建造物が傾いたときに、これをそのままの位置で復旧さすというようなことは、解体する以外にはできなかろうといわれておったのを、その人の特殊な技術で解体をせずに、そのままこの大きな建築を原状に戻したという技術は、私は世界のああいう方面における技術者としてもたぐいまれなる技術だろうと思うのでありましてそういうものを文部省が地元に持っておられて十分に活用もされたり、あるいはそれを認識もしたりしていってこそ重要文化財に対する関心をお持ちになっている熱意があると思うのです。予算を軽減したという面だけでなしに、それだけの日本に技術者もおるということも大きな誇りじゃないかと思うのです。そういう面で文部大臣に特に関心を持ってもらいたい、こういうようにお話をしておいたのでありまするが、またこれは保護委員会の委員長でありまするが、委員長の力におかれましてもそういうことは御認識になっておるのか。できるだけそういうような、こういう文化財を予算だけ取ればいいというような問題ではないのでありまして直す技術者がなければ何ぼ予算を取ってもこれは直らないのでありまして、そういう技術者を優遇していくといいますか、養成していくことに十分な御配慮を願いたい。そういう面の一つの具体的な生きた例として実は先日風水害対策の機会に述べた次第であります。 これも一応文部大臣のお話がありましたのでまた次に譲りましてあまり時間がありませんので、なるべく定刻に文部大臣に席を立っていただく意味で次の話に移っていきたいと思います。 これは文部大臣とあわせて文化財保護委員長に御一緒にお伺いをいたします。この参議院の文教委員会で調査に出向きまする機会に、必ずその調査の機会には重要文化財についての調査報告というものが加わっておると、毎回の調査の際に必ずこの文化財関係のことが取り上げられて報告書の中にはそれが報告されてあるのでありまして、これだけ関心を持って報告をしておりまする、あの報告に対して委員長は御記憶になっておりますか。どういうものを参議院の文教委員会が今までに報告しておるかということを御記憶になっておりまするか。大臣もそういう点につきましては何らかの処置を講じてもらっておるかどうか。何ぼ自分らがここで熱を入れまして論じましても、なに参議院の文教委員会へ行ったら居眠りしておればいいのだ、聞いておればいいのだ、こういう程度では私どもがせっかく力を入れておりましてもこれは何にもならぬ。今まで参議院の文教委員会で取り上げました問題を一体保護委員会はどういうように解決されておるかということを委員長並びに文部大臣からお聞きをいたしたいと思います。しかし、これもきょうの限られた時間では無理だろうと思いますし、また今御記憶にないのもあるだろうと思いますので、ぜひ次の機会には今まで参議院で出しましたもので相当報告書もありますし、ここでも発言もしておりますから、そういうものを一つお調べになって、私の見るところでは処置せずにそのままに聞きおいてあるというのも相当あるように感じられますので、これは委員長、文部大臣、御両所にお聞きをいたしますからぜひお調べ願いたいと思います。
○荒木正三郎君 今答弁してもらったらいいじゃないか。
○吉江勝保君 それじゃここで一つだけ……。ごく最近私どもが報告しました和歌山県の速玉神社の神幸船の問題、これは一体どういう処置をされましたか、お伺いをいたします。
○説明員(河井彌八君) まだ処置はしておりません。
○吉江勝保君 それではああいう文化財が滅びていくのを座視しておられるか、というようなことになると思うのですが、それはどういうようにお考えになるのですか。
○説明員(河井彌八君) それはやはり相当な何といいますか、調査を遂げまして、そして復旧といいますか、改善ということができるようにしたいと思います。
○吉江勝保君 それは予算を取って修理をするという問題じゃないのでありまして、ただ措置をされれば済む問題なんでありまして、現在の神幸船を浮かべておる、そういうものを差しとめになっておけば、維持管理の措置だけをすれば、それで済む問題なんです。それさえもおやりにならないということであれば、何をやってもほかのものは推して知るべしだと思う。
○説明員(岡田孝平君) 今、和歌山県の速玉神社の神幸船の問題が出ましたが、参議院で調査報告になりましてそれからこの席でも委員からもおっしゃいましたが、この問題につきましてただちにいろいろ事情を調べたのであります。ところが、やはりこれは長年神社がこの儀式に使っておりますので、これを急にまあ一ぺんに使用差しとめというわけにもいきませんので、使用差しとめをするためには、その代用品を使わなければならない。しかし代用品を作ります場合には文化財の方からは予算は出ませんので、やはりこれは相当地元から出さなければならないということになりますので、そういう点は至急に一つ県の方でも研究して、なるべく早くこの問題を解決するように、というふうに県の方に申し込んでおるのでありまして、まだ解決には至っておりません。できるだけ早くこの問題はそういう方向で解決いたしたい、かように思っております。
○岩間正男君 時間がないようですから、私も簡単にお聞きしたいのですが、この文化財保護政策ですね、こういうものと関連するのですが……。
○理事(松永忠二君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(松永忠二君) 速記を始めて。
○吉江勝保君 岩間君の言うところは、私が言っておるところで尽きておるのです。だから、聞いても記憶がないのでは答弁も不十分だと思うから、次回にそれを大臣並びに委員長から聞くから、よく今まで自分らが報告したり、ここで論議したことを調べて、次のときには資料も出してもらい、説明も一つしてもらう、こういうことに私が言うたら、なるべくここで一つくらい言うたらいいじゃないかということで、速玉神社を実は出したわけです。だから、もともとはこの次に十分資料を一つ研究しておいてもらって資料も出してもらって処置をした結果を一ぺん報告をしてもらわないと、委員会の調査報告を、ここで国会に報告だけしておっても少しも私らこの効果が上がらぬ。このことを要求をいたしておきます。 それでその次に、私は大体もう時間がきましたから文部大臣にお尋ねいたしますが、今申しました文化財の修理の計画が保護委員会だけで立てておるというようなことでは不十分だと思う。その点につきましては、文部省としての省の決定のような計画を立てられる意思があるかどうかを最後にもら一ぺんお聞きいたします。文部大臣の方から一つ。
○国務大臣(松田竹千代君) 先ほどの委員会の報告に基づいて、どういう措置をしたかということについては詳しく私は報告を受けておりませんので、それに対してはお話のように、取り調べをいたしまして、次回に御報告をいたすことにいたします。 ただいまの件につきましては、保護委員会委員長も見えておられるのですが、十分な協議を遂げて、そうしてその委員会の方針を文部省においても検討して、その上でこれを推進していくようにしたいと思います。
○岩間正男君 私もまた関連して簡単にお聞きしたいと思う。それからこれに関連する資料もほしいと思う。 大臣には日本の文化財保護費というのが、これは全体の予算の何%になっているか、それから世界各国の文化財保護政策というのはこれはどうなっているか。従って、予算ですね、この面で全体の国費の何%になっておるか、こういう調査を一体文化財保護委員会はやっておられるのか、やっておられないのか、こういう点でぜひこれは調査をしてそのような資料を一つこの次出してもらいたい。 その次に、やはり各国の文化財保護政策というやつをもう少し具体的に調べて、これがどういうふうになっておるかという点ね。これは日本の文化財保護政策を進める上にはやはり非常に参考になると思うのです。こういう世界の情勢がわからないで、日本の段階だけで井戸の中のカワズでは、この問題は私は非常に重要な問題だと思うのですが、こういうものが打開されるとは思われない。私最近中国に参りまして、中国を見たんですが、新中国の文化財保護政策というものは実に聞きしにまさるものがあります。これは大へんなものです。第一に紫禁城の故宮を今大復旧しておりますが、これは莫大なものです。それからあそこの西安に参りましたが、西安では、あそこに半破遺跡というやつが、最初何か工場を建てようと思って発掘を始めようとしたら、あそこに五千年前の遺跡が発掘された。それで驚いてその跡に今大きな外屋を建てて、そして雨ざらしにしない。ところが、私登呂の遺跡のことを聞いたのですが、登呂の方がもっとスケールが大きいそうですが、ここへ今水がたまってボウフラがわいて蚊の培養地になっておるということを聞いたんですが、これは大へんな違いだ。それから今度はあそこの十三陵のところに参りましたが、あそこでは最近紹介されました地下宮殿が――明時代のものですが、これも相当大きな地下宮殿が発掘されて、ここを見る人だけでも一日に二万人近くの人が来ている。こういう実情を見て参りました。それから太原に参りましたが、太原で、やはり昔の王室時代の新祠といいますか、この新祠に対して、これも大復旧工事をやっておりましたが、私たちの歩いたところは至るところでこういう文化財保護の政策を見てきた。そうすると、これはやはり非常に国の政策の中で、民族の伝承された文化というものは、今後の文化建設の上に非常に取り入れられて、そしてこれが骨となり血となって民族の文化の発展のために役立たされておるという実態を見たわけです。そういうものを見たときに、日本の今までの文化財をほんとうに保存し、発掘する、これをもっと発展させる一つの原動力に使うというところに文化財保護委員会の根本的な私は使命があると思う。世界各国これはどうなっておるか。アメリカはどうなっておるか、イギリスはどうなっておるか、フランスはどうなっておるか、それからアジアの諸国においては一体これはどうなっておるか、ソビエトはどうなっておるかというふうに、これは一応御検討されておると思う。そうでなければ文化財保護政策なんというものは立てるわけにはいかぬと思う。これはどうなっておりますか。ただこの点をお聞きしたい。一体、そういう調査機関があって、そういうものについても討議されて世界的な一つのこの傾向、そういうものを把握されてその上に立って日本の文化財保護政策というものが立てられておるか。この点が先ほどの吉江委員の質問を聞いておりましても非常に重要な点だと思う。これと関連してやはりこのようなものを裏づけする調査並びに研究というものは非常に重要だと思いますが、この点だけお聞きいたします。
○説明員(岡田孝平君) 世界各国の文化財に関しまする行政につきましては、実は調査がきわめてまだ行き届いておりませんので、御満足な回答ができないのでありますが、しかしおもな国、たとえばフランスであるとか、イギリスであるとか、アメリカだとか、そういうようなところはできるだげ資料を集めまして、ある程度は調べておりますが、まだ世界各国の全体の調査というところまではいっておりません。しかしながら、これはお話の通り、私どもといたしましては、そういうことはどうしてもしなければならぬと考えておりますので、今後できるだけ一つ努力いたしまして、いろいろ資料を収集いたしまして十分調査をいたしたいと考えております。 それから、きょうちょっとまだ答弁いたしておきませんでしたが、参議院で文化財の調査をされた場合には必ずその報告を私ども伺っておりますし、それからその速記録は必ず私ども各課長全員にこれを読ませましてそうしてその対策をすみやかに講ずるように、また措置すべきものはすぐやるようにということを関係課長にはすべて申し渡してあります。そういたしまして、関係の課ではそれぞれそれを検討いたしまして、直ちに処置できますものは処置いたしますし、また検討するものはそれぞれ検討して、なるたけ早くその問題につきましてできるだけ意を体するようにというのでできるだけの努力はいたしております。まだきわめて不十分でございますので御満足なことはいっていないと思いますけれども、できるだけの努力をいたしますし、今後もそういうことでいきたいと思っております。
○理事(松永忠二君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(松永忠二君) 速記をつけて。
○岩間正男君 大臣にこれは特にお願いいたしたいと思うのですが、私の要求したいのは、第一に予算、つまり国家の予算に対して文化保護費というものはどういうふうに各国はなっておるか、この資料をやはり調査して出してもらいたい。第二には、世界各国の文化財保護政策、これはあなたたち今つかまれた範囲内で最大の努力をしてこれはやはり出していただく。調査機構というのはどのようになっておるのか、文化財保護委員会自体の調査機構ですね、これが非常に私は弱いんじゃないかと見ております。この問題について大臣はどう見ておられるか。これなしに、私たちがここでやいやい言ってみても、実際にそのような機構がなくてやれと言っても無理だと思うのですが、これはそういう問題を打開するそういう機関が出ておりますか、どらですか。これは大臣にその点をお伺いいたします。
○国務大臣(松田竹千代君) 私といたしましては、やはり相当専門家の集まっておる文化財保護委員会において十分お調べを願ってそのお調べに基づきまして今後の施策を進めていきたいという考え方に立っておるわけであります。しかし、そうしたとにもかくにも文化財保護委員会というものがあってその検討、調査等に基づいて文部省としては日本の文化財の保護管理に当たって参りたい、かように考えております。
○岩間正男君 資料を出してもらう、その二つ、いいですか。
○国務大臣(松田竹千代君) 資料は十分できる限りの努力をいたして提供するようにいたしたいと思います。
○近藤鶴代君 一つは、ただいまほかの先生方から御発言がありました中にも含まれておりますけれども、国宝とか、あるいは文化財の保護という点についてほんとうに何か力の足らないというようなものを感じるわけなんですよ。いろいろな文化財が失われるとか、あるいは国宝のものに傷がついたというときに、ときどき文化財保護委員会というようなものを思い浮かべるような状態であるということは、将来にとっても非常に大事なことだと思いますので、私も何か保護委員会……、文化財とか国宝というものを認定するとかなんとかいうことについての専門的な方々が集まっておられる保護委員会というものがもら少し力を持つというような形にならないか、それからまた文部大臣は、たとえば学校の教育の設備を充実するとか、あるいはいろいろな点について教員の給料をどうとかいうような問題がここでしょっちゅう繰り返されておるのですが、声を出すことのない文化財にかわって文部大臣がもう少しこれらのものに対して深い関心を持っていかれるようにしていただきたいということが一つのことなのです。 それからもら一つは、具体的な問題になりますけれども、非常に大事な奈良の正倉院の問題についてときどきいろいろ聞くわけなんです。御物が非常に侵されていくのではないかというような話で、たとえば周辺の道路の問題であるとか、あるいは最近新聞を見ておりますと、通るバスの排気の関係で銀なんかくもってくるとかいうようなことも出ておったのでございまするが、道路のことに関してのこと、そういうことについて私はどういうふうになっておるのか、どういうふうに処置をされこておってそうしてなおかつああいう新聞の記事が出るのかというようなことについてちょっと伺っておきたいと思います。
○国務大臣(松田竹千代君) お話のように、まことにわが国の区重要な文化財の保護ということについて当局がいささか力が弱いのではないかという考えは、われわれも正直そらした点はあるということを告白せざるを得ないと思うのであります。しかし、今後は大いに考えを新たにして、その必要は認めておるのでありまするから、十分に注意をして力を注いで参りたいと、かように考えます。また私は文化財ということは、対外的にも日本の文化財を外国に十分に認識してもらうことが日本を認識してもらうことになると考えておりまするので、先般も実は伝統工芸品の問題について、いかにもこれはりっぱな展示会が毎年行なわれておるのにかかわらず、その観客が割合に少い、しかも特に外人にも見てもらいたいという場合に、外人がほとんど来ておらぬというようなことを私は見にいきましてそうして感を深くいたしたのであります。従って特にある一定の時間、外人を呼んで見てもらおうということで、特に招待状を文化財の関係の方からも出し、また私もそれに添えて特別の招待状を出してそうして相当多くの百五十名ばかりに出したのですが、せめて外交団員にでもということで百五十名出したのですが、百名ばかり見えて相当の関心を持たれて成績が上がったわけでありまして、そういう点についても、これは一例でありまするけれども、深く私も関心を持っておるわけであります。 正倉院の御物に対しての御心配につきましては道路、バスの排気等についても非常に御心配いただいておる通りの実情でありますので、道路の関係をよくして、そういうことのないように努力いたしております。これはやがてその心配がないように、そばの道路を廃して遠いところへつけるということにいたして計画を進めております。
○北畠教真君 簡単に御質問いたしたいのでございますが、いろいろと文化財保護の面につきまして質疑応答が重ねられておりますが、たとえ保護をやる、維持をやると申しましても、技術者のよしあしによってその程度が違ってきようかと思っております。こういう意味合いにおきまして現在技術者の養成がどういう方向に向かっておるか、一言お答えを願いたいと思います。
○説明員(岡田孝平君) 文化財の技術者は、これは特別の知識を要するものでございまして、だれにもできるというものでもないのでございますので、その養成あるいは質の向上につきましては、特にふだんからいろいろ心配いたしております。中でも建造物関係の技術者につきましては、これは主任技術者あるいはその下に助手というものがございまして、これが全国の文化財である達造物の修理を次々に担当いたしておるのでございますが、それにつきましては、大体その数もきまっておりますので、その技術者の配置につきまして文化財委員会で計画を立てまして次々に文化財の建物の修理を、甲の建物の修理が済めば乙の建物の修理を済ますというふうに、全体の配置を文化財委員会みずからやっておりますが、なお主任技術者の養成ということで毎年講習会形式で約一カ月ないし、あるいは場合によればニカ月でありますが、毎年講習会形式の技術者の養成施設をいたしております。ずっと例年これを続けております。それによりまして、できるだけ建造物の修理の主任クラスのものを養成していきたい、また質の向上をはかりたいというようなことをいたしております。 それから、美術工芸関係では、仏像、あるいは経師屋でございますが、そういうものの技術者がこれまた非常に少ない、これはしかりし全部が民間の商人でございますが、それらを対象にいたしましてこれも毎年講習会形式の養成をしつつあります。まあその程度でございまして、もっとこれは根本的に技術者の増加あるいは質の向上をいたしたいと、かように考えております。
○北畠教真君 ただいま技術者の養成について御説明がありましたけれども、それではまだ非常に手ぬるいのじゃないかと思います。たとえば人間国宝というものが指定されておりますが、こういう方々に対する国の援助というようなものと同様な、一つの力強い技術者養成方法というものがあるのではなかろうか、こういう問題につきまして大臣はいかなることを考えてやっておるのか、またそういう具体的な案をすみやかに作成していただいて本委員会に報告を、願えるかどうか、一言だけ質問をいたしておきたいと思います。
○理事(松永忠二君) 一つ一緒に答弁いただきたいのですが、文化財保護の法律を今度通常国会に出そうということを“ろいろ発表されておるのですが、これはやはり文化財保護についての特別な立法をする用意をされて次の通常国会に出されるという、そういうことはすでに決定されておるのかどうか。
○国務大臣(松田竹千代君) 北畠さんのなににお答えいたしますが、人間国宝と言ってもいい、しかるべきような特殊の技術者が、これはもう格別の奨励とか保護の道を講じなければ、だんだんそういう人がなくなっていくおそれがあるのでありまして、こういう点についてはとくと考えてその道を講じたいと考えております。また、委員長からのただいまのお話につきましては、そういう話もありますので、文部省内でも出ておりまするので、これは検討して、できればなるたけ一つ来たるべき国会に提案したいと考えて検討中でございます。
○北畠教真君 よくわかりましたが、まだ具体的な方法につきましてははっきりしたお示しがないのでございますが、どうぞこの点につきましては事務当局におきましても十分検討をいたされまして、こういうふうな技術者を養成をいたしたいというふうな案を一つ速急にお示し願うように要望いたしておきます。
○近藤鶴代君 ちょっと重ねてお尋ねしますが、正倉院のこの問題はかなり前から問題になっていると思うのです。そこで、ただいま大臣は道路をつけかえたりなんかしてということをおっしゃったのですけれども、私大臣は御存じないと思うのですが、事務当局として、はっきりその見通しがついていて、どういうふうになるのかということをちょっとお伺いしておきたいのです。
○説明員(岡田孝平君) 正倉院の道路問題は、根本的解決方法といたしましては、路線のつけかえでございます。それにつきましては文部省、宮内庁、建設省、それから奈良県、奈良市とたびたび会合いたしまして、そうして早く路線のつけかえをいたしたいということで、その基本方針を決定いたしました。それは正倉院の北側になりますが、やまの中腹から北西の方に新しい路線をつけましてそうしてすでにあります国道と結びつける新しい路線を設定することになります。で、その基本は決定いたしましたが、それを奈良市の都市計画の道路としてこれを設置するということで、それに対しましては国から三分の二を補助いたします。あとの三分の一の金につきまして、奈良市でなかなか負担しにくいというのでございまして、それにつきましては奈良県、市、自治庁といろいろと相談中でございます。 もら一つの問題は、すでにできました路線、これは会社が作りました路線でございますが、その一部を廃道にいたしますので、その廃道に対する何らかの補償的措置が必要であるということで、この補償の措置を宮内庁がするか、建設省がするかというような問題につきまして、いろいろ協議を重ねておりますが、大体宮内庁側が措置をすべきものであろう、正倉院のために措置をすべきものであろうということで、宮内庁におきましていろいろその補償について検討いたしております。その二点が解決すれば、これは直ちに着手するという段階になっております。
○近藤鶴代君 そうしますと、今検討中である、いつ着手するという具体的な話にはなっていないわけですか。
○説明員(岡田孝平君) 基本方針は関係者の覚書まで交換いたしましてもうできておりますが、具体的の着手はただいま申しました二点のことがきまりますれば直ちに着手する。まだ着手には至っておりません。
○説明員(河井彌八君) ただいまの御質問に補足しておきますが、官内庁当局におきましても、現在の正倉院の建物、あれがもう相当に古くなっておりましてそれで何といいますか、やはり内部の宝物の保存の上にはまあ十分でないということでしたから、来年度の予算でまあ一つ――今一つ鉄筋コンクリートの倉庫ができております。そこに格納しますれば非常に保存力が多い、つまり言いかえれば侵されないということでございましてそれと同じような倉庫を作る計画を立てております。来年度の予算に多分これはきまりますだろうと思います。まあそういうようなことができますると、道路の問題ばかりでありませんで、その倉庫に格納する方法において、相当完全なものができてくるということを考えております。
○理事(松永忠二君) それじや私一つ最後にお聞きをするのですが、今大臣からお話のあった来年通常国会に出したいという法律は、今話のあった正倉院の御物の、まあ道路の問題もそういうふうなことについて、特にそれを法律で規制していこうという法律だと聞いているのですが、その内容はどういうふうな大体構想ですか。
○説明員(岡田孝平君) ただいま検討中の法律の改正案は、これは正倉院の問題とは関係ございません。ただいま検討いたしておりますのは、埋蔵文化財の保護の規制を強化しよう、埋蔵文化財の発掘につきましては、現在は届出制度になっておりますが、これを許可制度にするか、あるいは届出制度でありましても、もう少し強い規制を加える、たとえば必要ある場合には埋蔵文化財の発掘を禁止、中止、あるいは停止を命ずることができるというような、強い規制の方法をとることができるようにしようというような点で、ただいま検討中であります。これは非常にまあ関係省も多うございまして、公共事業等も埋蔵文化財と常に矛盾いたしまして、関係者との非常に折衝がとまっておりまして、それが話がつけば、また埋蔵文化財の許可の点につきまして法律を改正していきたいという点で、ただいまいろいろ検討し、関係省とも折衝しております。
○理事(松永忠二君) それで、埋蔵文化財ということも非常に必要だけれども、たとえば今お話の出ているように、文化財を保護するために、たとえば日光のいわゆる杉を保護するために道路の建設を法的に制限することもできる。現在ある文化財を保護するための法規制というものも実は足らないのじゃないかと思うのです。ただ埋蔵された文化財を保護するということでなくて、現在ある文化財を一体保護するために、その工事等の規制ができるというようなことでないと、実はそういう点ですでにいろいろ問題が出てきていると思うので、せつかく立法されるならば、そういうことについても積極的な規制ができるような方向にいくべきだと僕らは思うのですが、この点はいかがですか。
○説明員(岡田孝平君) 埋蔵文化財の国で指定いたしました文化財につきましては、いやしくもその文化財の現状を変更しようという場合にはすべて文化財保護委員会の許可が必要であります。これは現行の法律でそうなっておりますので、従ってこれは許可権を発動することによりましてすべて現状変更を制限することができますので、文化財の保護に支障のないように、そういう現状変更の申請があった場合にはあらゆる点から考慮いたしまして他のたとえば公共事業、道路とか、あるいは他の私有権の行使等も制限できます。これは法律の建前から言いましても、すでにそういう制限ができることになっておりますから、その点は法令の改正が必要ないのでありましてただ実際問題といたしまして他の公共事業あるいは私有権等と常に矛盾衝突する場合がございまして、それにつきましては非常に私ども苦慮いたしているのでございますが、できる限り文化財の本質はどこまでも守る、しかし、また他の道路等の場合も、これは相当の理由がありますので、その理由等も考慮に入れまして、そうして文化財の本質はどこまでも守るという点でいろいろと他の面を勘案して解決点を見いだしたい、ただいまそういうように考えております。
○理事(松永忠二君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめ、明年度文教関係予算に関しては次回冒頭に質疑を行なうことといたしたいと思うわけであります。なお、散会後に栄養士の関係の方の陳情がありますので、時間がつきましたらお聞きをいただいてお帰りをいただきたいと思うわけでございます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十四分散会