風水害対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 73 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1959/11/05
会議録
○委員長(郡祐一君) ただいまから風水害対策特別委員会を開会いたします。 本日は、通商産業省、労働省及び郵政省関係の被害状況及び対策について、それぞれ説明を聴取し、質疑を行ないます。 まず、通商産業省関係の被害状況及び対策について説明を聴取いたします。池田通商産業大臣。
○国務大臣(池田勇人君) 伊勢湾台風による産業被害の概況と通産省がこれに対しまして講じました諸般の対策につきまして、その概要を申し述べたいと思います。 まず伊勢湾台風による産業被害額は、愛知、三重、岐阜の三県で八百八十億円、その他の府県で約五十億円、また公益事業関係で約四十五億円、合計約九百七十五億円でございます。このうち中小企業関係のみでも約八百十五億円の巨額に達している次第でございます。三県において特に工場被害のはなはだしかった地域は名古屋市の南部工業地帯を初め津島地区、半田地区、四日市工業地帯、岐阜西南地方でございまして、業種別には繊維、機械、化学、陶磁器等の諸産業が著しい被害を受けておるのであります。通産省におきましては、災害発生後直ちに本省に災害対策協議会を、名古屋通産局に災害対策本部を設置いたしました。また、大阪通産局は中部日本災害対策本部の大阪連絡所の庶務担当局といたしまして、まさに全省をあげて被害状況の把握に努めるとともに、適正価格による民生用物資並びに復旧用資材の被害地向け優先出荷を促進いたしました次第でございます。亜鉛鉄板を初め、くぎ、板ガラス、セメント、スレート等の諸資材は、関係業界の御協力と国鉄の優先配車措置によりまして被害地に緊急出荷をされました結集、現地においては一時的な価格の上昇は見られましたが、その後はきわめて安定的に推移した次第でございます。 また電気、ガス等の公共事業におきましては、みずから多大の被害をこうむりましたが、迅速に復旧作業を進めるとともに、九、十月分早収料金の一〇%割引期間を三十日間延長して五十日とする等、料金面においても需要者側の利便をお計りいたしましたことは、すでに御承知のことと存じます。これらの資材面よりする緊急対策と並行いたしまして、被害企業の復旧、立ち直り資金の確保に努めまして、種々対策を進めて参りましたが、特に今回の台風が、いわゆる中小企業に多大の被害を及ぼしました事情にかんがみまして、復旧金融対策の重点を中小企業金融に置き、かつその対策を、山梨、長野の諸県に被害を及ぼした七号台風以降の被害にまで拡張させたのでございます。すなわち中小公庫、国民公庫、商工中金及び不動産銀行の四行に貸出財源として財政資金を百五十億円増額し、年末融資は別途百億円出しておるのであります。また、中小企業の範囲もふやしまして、昭和二十八年のときには、中小企業川特別融資金利の低下を三十人ということにいたしておりましたが、今回はこれを三百人まで中小企業の範囲を拡張いたしました。ただし、商業サービスにつきましては三十人以上ということにいたしておるのであります。そうして百万円までを年六分五厘の特別利率とすることにいたしたのでございます。なお、組合につきましては百万円を三百万円まで拡張いたすことにいたしております。 また、こういう融資のほかに、信用保険公庫に対しまして十億円を出資し、中小企業者の借り入れの円滑化をはかっておるのであります。しこうして、中小企業信用保険公庫の取り扱いますものにつきましては、保険料率を三分の一軽減いたしまして、そして填補率を七〇%から八〇%に引き上げることといたしたのでございます。なお、こういう中小企業に対します措置と同時に、大企業に対しましても、金融の円滑をはかるために、日本興業銀行、あるいは長期信用銀行を主体といたしまして、この二つの銀行が中心になって復興資金をまかなうよう手配いたしたのでございます。しこうして、この二つの銀行に対しましては、従来割引債券の発行を制限いたしておりましたが、災害復旧のために要する資金を確保するために、この割引債券の発行限度の制限を解く等、あらゆる方面に意を用いておるのであります。手形等につきましても、災害関係の手形につきましては、期限を猶予するような措置もとっておるのであります。 なお、今後におきましても、われわれとして、できるだけの災害復旧対策を講じ、せめてもの被害者のお気持を慰めたいた念願しておるのであります。
○委員長(郡祐一君) 以上で説明を終りました。 ただいまの説明に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。
○大竹平八郎君 一点だけお尋ねいたしたいのでありますが、これは、まあ特に伊勢湾関係でありますが、公益事業の中心としての電力のことでありますが、この電力は、中部電力は大体水力発電の可能出力が、御承知の通り大体百九万キロワット、その中の六十九万キロワット、六六%というものがほとんどあの際停止をされたわけであります。それからまた、その近接でございます北陸電力が六十七万キロワットの中の二十七万キロワット、約三六%というものが、これもほとんど停止のような状態になったわけでございますが、私ども現地を見まして、当時、公益事業としての電力関係の非常措置というものに、私ども非常に賛嘆をいたしたのであります。ということは、ふだんの九電力のチーム・ワークというものが非常によくとれていて、災害と同時に、関西電力並びに東京電力その他からたくさんの応援部隊がやってきて、非常的な措置をやっておられたわけでありますが、しかしながら、何と申しましても基幹産業でございます電力事業がこういうようにとにかく発電不能になった。しかし、四日市方面の大きな所では、全部ではありませんが、相当早い機会に操業を開始をしておるというような所もあるのでありますが、こういう点において、今の状況はどの程度まで電力というものは回復いたしておるのでありますか、その点を一つ伺いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) お話の通りわれわれといたしましても電力の被害につきまして非常に心配をいたしておったのでありまするが、四日市、名古屋地区の新鋭火力発電所は水浸しを免れまして、早急に復興ができたわけでございます。先般参りましたときに聞きますと、九月の二十八日には電力が四割程度でございます。二十九日が五割、三十日が六割くらいでございました。先月二十三日に私参りましたときは、九六%まで回復しておるということでございまして、電力のために災害復旧がおくれたとか、あるいは電力会社が非常な被害を受けたために被害を受けない工場が休まなければならないというふうな事情は、今回は幸いになかったと聞いておるのであります。
○大竹平八郎君 非常に私どもにとって意の強い御答弁なんでありますが、しかし実情は、今、大臣もお答えの通り、非常に公益事業全体としても五十億に近い損害、そのうちの相当量というものが電力関係にあるわけなんでありますが、私は詳細知りませんが、たとえてみれば、この三重地区あたりにいたしましても電柱が約五、六百本折れておる。それからまた鉄骨の送電の塔が幾つかやられておる、そういう点から、非常に資材とかそういう点においてかなり緊急を要するものもたくさんあるのでありますが、こういう点において——いろいろな価格の面とかあるいは特別なこれに対する措置とかという点につきましては、どういうような方針をとられましたか、そういう点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 災害を聞きますと同時に、東京電力並びに関西電力から数百人の工員を派遣いたしまして復旧に参加さしたのでございます。送電線の方は、これは関西電力でございまして、中部の方にはございませんでしたが、電柱は相当被害を受けました。先月の二日の日に参りましたときに、電力の社長は一万数千本の電柱を契約したというような話でございまして、電力の復旧につきましては、他の霊力会社の協力と、中部電力の適切な措置が行われた。ただいま申し上げましたように、思ったよりもうまくいったと私はひそかに喜んでおる次第であります。
○川上為治君 中小企業関係の金融機関に対しまして、財政投融資を多額にふやしましたことは、これは非常にけっこうなことなんですが、問題は、この資金を迅速に貸し出すということが、これは一番大事な問題ではないかと思うのでありますけれども、この機関のうちで、特にその中小企業金融公庫につきましては、従来から貸し出しが非常におそくて、貸付も三カ月あるいは長いのになりますと六カ月というような状況にありますし、またその原因としましては、結局人手が非常に足りないとか、あるいはまたこの愛知県とか三重県とか、そうした方面に対しましても、支店が愛知県だけしかないというような状況でありますので、これに対しまして何か特別な措置をとりませんというと、中小企業金融公庫の金というものは迅速に出しにくいのじゃないかというふうに考えますけれども、これに対しましては何か特別な措置をとられたと思いますが、その点はどうなっておるのでしょうか。
○国務大臣(池田勇人君) お話の点のあることを考えまして、中小企業金融公庫は理事を交代に派しますると同時に、人員もふやしまして、また東京への稟議の制限も緩和する等、いろいろな措置も講じておるのであります。出足は非常に早うございまして、十月末までに災害地への貸し出しが中小企業公庫が十億円をこえております。国民金融公庫が四億、商工中金が九億円、合計ただいままで二十三億三千万円出ている状況でございます。
○栗山良夫君 私は、今度の災害は、特に中部地方を襲いました災害は、日本の三大工業地帯の一つを襲ったわけでありまするから、その意味では、今後の日本の産業が台風に対してどういう工合に対処していくかという一つの試験問題を提示をせられたものと考えてよろしいと思うのであります。そこで、この十五号台風が工業地帯、産業地帯に与えましたところの大きな教訓を土台にして、今後、日本の産業立地について、どういう構想を持って指導せられるか、この点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。特に、前の国会におきましては、工場用地造成に関する法案あるいは工業用水の調査に附する法案等もすでに通過いたしております。従って、通商産業省としては、工場立地について一つの見識を持って当たろうとする用意のあることは、われわれは具体的に法律案を審議する過程において承知をいたしております。ところが、今度のような、災害を直接前提としての配慮が行なわれておったかどうかということについては、多くの疑問を持たざるを得ないわけでありまして、この点についてのお考えを伺いたいと思うわけであります。 第一には、今度の災害で、私どもが非常に国家的に大きな損失であったと思いますのは、国産あるいは輸入機械を問わず、精密工業に属するような、非常に高級な工作機械が、長期間にわたって海水の浸すところとなりまして、そうして、それの復元には非常に大きな努力と、そうして費用を投入しなければならぬと思うのであります。なお、それだけでは足りないで、あるいは廃棄処分しなければならぬようなものも一部には出てくるかもしれません。従って、今後工場用地を指導し、そうして多くの精密工業等を行ないまする場合には、通産省としてはどういう覚悟でその指導をせられようとするか。 また、工場用地を臨海工業地帯に設けるにいたしましても、その埋め立ての高さでありますとか、あるいは高潮の対策でありますとか、こういう問題につきましても、運輸省なりあるいは建設省に一任をすることでなくて、産業的な見地から、通商産業省として、やはり強い意思表示があってしかるべきだと私は思うのであります。この点について、通商産業外としての御見解はいかがなものであるか、伺いたいと思うのであります。 それから、さらに第三の問題といたしましては、こういうおそるべき台風が再び、三たび東京なり、大阪なり、北九州を襲わないという保証は何もございません。従いまして、もし不幸にしてそういうことが他の地域に出現をいたすといたしますならば、東京においても、近畿地帯においても、これはおそるべき損害を受けなければならぬのであります。これらの工業地帯に対して、今後通商産業省としては、どういう対策で臨まれようとするか、これについての御所見を伺いたいのであります。 それから第四といたしましては、今度の災害の一つの大きな特色は、工業地帯に加えられましたために、各工場が半身不随に陥りまして、長期にわたって操業不能に陥ったというだけでなく、その工場を動かす実態でありますところの会社の役職員、従業員諸君が、生活の根拠である住居を全部破壊されたのであります。従いまして、各工場を被害直後に訪れてみますと、その会社でやっておりますことは、工場の復旧ではなかったのであります。自分の工場の中に働く職員の身辺の安危を気づかって、これの手当をする、あるいは犠牲者の収容、始末、そういう職員対策がまず中心でありました。それが済んで、一応会社の工場の運転に入るためのいろいろな復旧措置をしようといたしまするというと、従業員の家庭がやられておりまして、十二分に出勤をしない。従って職員がいない所にやはり労働力はありませんので、操業ができない。こういうまことに今まで経験もしなかったような状態が現出したのであります。これらのことも、工場と労働者等の住宅地の問題とか、あるいはその間の交通の問題とか、いろいろな将来に教訓を残していったわけであります。これらのいろいろな問題について、一、二例をあげてお尋ねをいたしましたが、さらに研究をして取り上げなければならぬ問題がたくさんあると思います。そういう問題を通商産業省は、克明にしかも迅速に研究調査をせられて、そして今度の災害対策の一環として、関係各省に強力なる協力を要請される用意があるかどうか。また既存の工業地帯に対して、不幸なる災害を受けたときの予防措置として、通商産業省は、いずれ通常国会における通常予算に対しても、しかるべき費用が計上せられるでありましょうが、そういうときに強く要望されるかどうか。ただいまの災害復旧の特別委員会に提案される説明の内容あるいは予算等を見ましても、通商産業関係は被害を受けました企業の当面のつなぎ資金等を手当するという非常に狭義なものに限られておるのであります。通商産業省の本来の任務は、それも必要でありますが、さらに広範な、産業を台風から守っていくという高度の抱負とそれから識見があり、そこから具体的な方針が出されて、内閣としての一つの大きな台風対策の中にくさびを一本通商産業省として打ち込んでもらわなければならぬ、そういう工合に考えるのでありますが、そういう御用意があるかどうか、この点につきましては通商産業大臣からお聞きをするわけでありますが、さらに緊急に具体的な構想だけでもよろしいから、もしできていなければ、まとめて、そして当委員会に提出されることを要請しておきます。
○国務大臣(池田勇人君) ごもっともな点でございまして、われわれといたしましては、当面の対策につきましても、努力をいたし、今後のわが国の産業立地等いろいろな点から検討いたしまして、こういう災害を二度と受けないような措置を講じなければならないと思います。御承知の通り尼ケ崎あるいは大阪方面につきましては、昭和九年の室戸台風によりまして経験済みでございまして、尼ケ崎方面の防潮に関しては相当関心を持ってやっておったのでありますが、伊勢湾につきましてはその関心が薄かったということは免れないと思います。大阪方面につきましては、おおむね避難場所等、台風に対する対策が官民ともになれておったのでございます。今回はそれが十分でなかったということは、まことに遺憾とするところであります。従いまして、四点にお分けになりましたが、要は海岸工業地帯についての対策を考えろということだと思います。従いまして、当面、伊勢湾に対しますると同様、やはり大阪湾あるいは東京につきましても、十分な対策を立てていかなければならぬと思います。 精密機械の点につきましても、私は高野精密を見ましたが、もう一、二寸というところで、スイスからの高級機械は助かりまして、二十三日に参りましたところ、もう七割、八割動いておりました。被害が免れたことは、非常に不幸中の幸いであったと思いますが、他の会社につきましては、お話の通り非常にやられた所もございます。こういう点は、要はやはり海水になるべく襲われないように、こういう予防措置をとることが必要でありますと同時に、名古屋地区は生産面で全国の一割五、六分でございます。やはり工場の分散ということも考えなければならぬ、これがやはり、みな農村問題、産業問題、あるいは所得の地域別の格差等の是正なんかに非常に役立つので、できるだけ工場を分散していくということも、対策として考えなければならぬ問題だと思います。私は今回の災害で非常に学んだことは、最後にお話しになりました、工場は早く復旧できるけれども、工員のいろいろな手当、家族手当、家族に対する措置等で復興がおくれたということは、一つの実例で教訓を受けたのでございます。おおむね工場の付近に工場住宅を置きますが、その工員住宅が非常に粗末なものであります。また工場は高いけれども、住宅は低い、こういうようなことはよほど考えなければならぬ。もう一つ教えられたことは、大工揚が災害を免れても、関連中小企業が災害を受けたために、大工業も動かぬ。いわゆる中小企業の産業に占むる地位というものが非常に変わってきて、大企業に中小企業がたよっているのでなしに、逆に中小企業に大企業がたよるという産業状態であるということも私は教えられたのであります。いろいろな点を考えまして、このたびの災害が、今後のわが国の産業のやり方につきまして、ためになったというふうに私はやっていきたいと思います。通産省といたしましては、今後に対する災害対策につきましては十分検討を加えまして、そうして建設あるいは港湾等と十分な打ち合わせをしていきたいと考えております。
○栗山良夫君 ただいま、将来は工場の分散設置を考えるべきであろうということをおっしゃったのでありますが、これは一つの考え方としては私も理解し得るところがたくさんあります。しかしながら、やはり大工業を中心にして、一つの工場地帯を設定いたします場合には、何と申しましても臨海工業地帯でなければならぬことは、これは理の当然であります。現にこの伊勢湾の愛知県から四日市にかけての方面におきましては、われわれが承知している限りにおいても、一千万ヘクタールに近い工場埋め立て計画を持っているのであります。ここに東海製鉄を初め多数の重工業地帯を中心にして、総合工業地帯を作ろうという熱心な計画が、ただいま着々実行されようとしているわけであります。符に精密工業のことを私申しましたが、これは通産大臣は高野精密をごらんになっている、ところが高野精密の近所は今度の海水の浸水を受けました所と受けない所との境界線ぐらいの所にあるのであります。そこで危うく助かったのであります。あれがもう少し南部にあるならば、あの優秀なスイスの高級工作機械は全部だめになってしまうところでありました。特に純精密工業はそういう工合でありますが、最近の重工業的な大企業におきましても、各部分々々を見ますれば、工作機械は、トンをもってはかるような大きなものも全部精密化しておるのであります。全部オートメーション化しておるわけでありますから、海水が入れば完全に操作はストップしてしまうのであります。従って、工場の大小、工場の種類等によって精密であるとか精密でないとか言うべきではないと思います。私は、全産業がやはり精密化しておるのでありますから、そういう意味では高潮対策というものを立てなければならぬ。特に一つの例といたしまして申し上げますというと、あの工業地帯においても相当干拓地がやられた、すぐ隣にありまする海水の中に埋め立てをして作った愛知製鋼の工場は、今度は災害を受けておりません。これは堤防がしっかりしておりますために全然受けていないのであります。もうあくる日から操業に入っておる。それからもう一つの問題は、私の記憶が間違っていれは訂正をいたしますが、少くとも名古屋の今度の浸水地帯を見ますというと、昭和になってから埋め立てした所は、一応水はかふっておりますが、すぐ引いております。それ以前の地帯が私は低かったと思うのであります。最も新しい例は、名古廃港の埠頭方面を初め、ごく最近中部電力が作りましたあの新名古屋の火力発電所のごときは助かったとおっしゃいますが、あれはまだごく最近まで海であったのであります。海であった所を埋め立てて、将来八十万キロの大発電所を作ろうというので、一期工事が終ったところでありますが、それは助かっておる。それはやはり埋め立ての計画が、今までよりも非常に大規模でありまして、高く埋め立てておるからであります。そういう意味で、これは通産省の指導でそうなったのかどうか知りませんが、とにかく臨海工業地帯を造成するにしても、従来のような観念ではいけないということであります。半田へ行って非常に奇異な感を受けましたことは、知多半島の、今度八幡が進出をし、中山製鋼が進出するという半田市におきましては、半田港の周辺は一メートルちょっと越すくらいの護岸のコンクリートの壁がほとんど全部めぐらしてあります。そうして通路になるところは、鉄板を入れて、高潮が来たときには防げるようにしてあります。これは二十八年災のときの貴重な経験を土台にして、これだけの高さのもので、万里の長城のような海岸線にへいを作っておけば高潮が防げる、こういう目算のもとにやったわけです。ところが今度は、その作ったへいよりも一メートル以上も高く水が越してしまって、何のためにみっともないへいを、金をかけて作ったかという疑問が市民から沸いております。これのごときは、全くその台風に対する根本的な計算の誤まりというのか、研究の誤まりというのか、一つの失態であろうと私は思うのです。そういう点を通商産業省としては根本的に考えてもらわなければならぬ、こういうことであります。そこで、私が今提案をいたしました考え方からして——これはこまかい具体的なものは必要ございませんが——ごく項目的にしても、こういうことであるべきだというような、基本的な構想は、緊急に通商産業省としてまとめていただいて、要するに建設省なり運輸省なりに通産省として物申すという物の申し方をまとめて、当委員会に私は提出をせられてしかるべきだと思うのでありますが、そういう御用意が願えるかどうか、これを大臣に重ねて伺っておきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 検討いたしまして、案ができましたらお渡しいたします。
○吉江勝保君 先ほど質問がありまして、関連してお尋ねした方がよかったかと思いますが、電気のことなんでありまして、今回の災害、三県の災害につきましての送電関係が非常に迅速に行なわれたということは、非常に私も喜びにたえないのでありまして、締め切りの堤防あるいは道路ということはよく人も言うのでありまするが、実際ああいう地帯がみな電気が消えましたときに、早く電気を送る、こういう作業がおくれますというと、一帯は暗黒になり、工場もとまる。この送電関係につきましては特に重要な配慮をしておかなければいけないと思うのでありまして、今回それが非常に迅速に行なわれたということは非常に喜ぶ次第でありまするが、あの地帯が大体農村地帯でありましたので、そういう工事もやりやすかったのではないかと思うのでありまして、これが大阪でありますとか、あるいは東京の低い地帯というような、舗装されておりまするような場所に起きますというと、ああいうように迅速な送電の作業が行なわれるかどうかということは、これは今回の作業にかんがみましても、将来考えなければならぬ問題ではないかと思っておるのであります。それとともに、今回の十五号のみならず七号にいたしましても、年々起こっておりまする災害が、山間地帯におきまして非常に多量の土砂を押し出しております。この土砂が今日河川におきまする天井川を現出いたしておりまして、川の方が田畑よりも高くなっておる、こういうような現象を起しておりまするときに、発電所の施設というものが年々こういうような災害によりまして、あるいは貯水が浅くなるとか埋めてしまわれるとか、こういうようなおそれはないのかどうか、あるいは本年の災害におきましてそういう事例があったかどうか、また、ありましたものに対しましては、どういうような措置を通産省では講じておられるかどうか、この点につきましてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) お話の、ダムが土砂によって埋まっていくというふうなことは、私は今回の災害について聞いておりません。それは自然的にある程度埋まっていくということは考えなければなりませんが、中部電力の方にも二、三回会いましたが、私、今回耳にいたしておりません。
○吉江勝保君 民間の発電事業ばかりでなしに、もう少し公営企業でやっておりまする発電中業等につきましてもお調べを願いまして、そういうような所がないとも言えないと思うのでありまして、私どもも心当たりがないことはないのでありまして、そういうような公営小業でやっておりまするものに対しましても、通産省の方におきましてもやはり民間の発電事業と同じように御配慮をいただきたい。重ねて何かその点につきまして、局長でありますか、ほかの方からでも御存じでありましたらお話を聞きたいと思います。
○委員長(郡祐一君) 通産大臣は衆議院の予算委員会に出席をされますから、政務次官がおりますので、政務次官その他に御質疑を願います。
○政府委員(齋藤正年君) 前に何らかの機会で御質問があったことでございますが、別に公営電気事業の災害による損害について、何らか通産省として処置をとったかどうかということの御質問と存じますが、これにつきましては自治庁関係で公営企業に対する災害の特別起債のワクがございまして、それで起債で処理をする、従来公営電気事業は、やはり経済的に採算に乗る事業というような御念で、他の公共事業のように補助金その他を従来支給いたしました例はございません。今回も公営事業の起債のワクの中で財政資金を借りて復旧してもらう、こういうことでございます。それ以上の特別の対策はいたしておらない次第でございます。ただ、現在そういう状態でありますが、それ以上何らか他の公共事業等と比較いたしまして、さらに対策をすべきかどうかという点につきましては、現在まだ検討中でございます。これ以上どうというはっきりした具体的なものは、まだ決定いたしておりません状態でございます。
○清澤俊英君 ちょっとダムの話が出ましたからお伺いしておきたい。 今通産大臣は、ダムに泥がたまるということは、僕はまだ聞いておらない、そういう実例は知らない、こういう御答弁であった。そこで、常識から言えば、何らかの清掃をやらなければ、ダムに泥がたまることは間違いない、これは常識だと思う。その清掃は、いかなる時期にいかにして行なわれておるか、これは水害等に非常に関係がありますし、たまっておらないんですから、その清掃はいかなる方法でいつ処理が行なわれておるか、はっきり一つ教えていただきたい。
○政府委員(齋藤正年君) 大へん技術的な問題でございますので、私からお答えするのは適当でございません。もし必要でございましたら、専門の技術者を呼んでお答えいたすというわけでございますが……。
○清澤俊英君 ちょうどいいところへぶつかりましたから、一つ専門の人に来てもらいたい。幸い時間がありましたら、一番最後でもいいから、明確にしていただきたいと思います。
○委員長(郡祐一君) 速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
○藤田藤太郎君 これは非常に幼稚な質問ですけれども、各府県商工関係被害及び中小企業被害状況という、こういう表をいただきましたが、きょう三重県から表が来て、商工関係が二百五十三億、通産省の調べでは百三十億、これはどういう工合になっておりますか、ちょっと説明をいただきたい。
○政府委員(小山雄二君) お手元にお配りいたしました商工関係並びに中小企業被害状況の調査は、今回の被害がありました当座は、被害の実情によって、被害状況がはっきりつかめなかったのですが、その後、たびたび県の方に照会しまして、これは最近までのところで確定した数字を通産局を通じて県が集めた数字でございますが、もう一つおっしゃいましたのは、どういう資料か存じませんが……。
○藤田藤太郎君 三重県の資料です。
○政府委員(小山雄二君) おそらく三重原なり、いろいろな県としていろいろ資料を出しておりますが、役所関係でこの数字は私どもが県から確認を得た数字でございます。
○委員長(郡祐一君) 通商産業省に対しましては、なお質疑もあるのでありますが、それは後日に譲ることといたします。
○大倉精一君 私は、この際提案をしたいと思います。皆さんも新聞等で御承知の通りに、桑名市におきましては、災害後一カ月以上にもなって水没しになっておりましたものが、再び一日から二日の豪雨によって、この仮締め切りの堤防が約百メートルにわたって決壊をしまして、四百ヘクタール、三千五百戸が再び水の中につかっております。さらにまた、新聞紙上の報道によりますというと、この工事が基礎工事をやらすに、高さが四メートル幅五メートルの土のうをもってのみ仮締め切りをやっておりましたので、非常にもろい堤防であった。加えて補強工事もやっていなかったために、こういう結果になったということを新聞は報道しております。この真偽のほどはわかりませんけれども、いずれにいたしましても、現在再び水につかって、悪くすれば今月一ぱい水の中にいなければならぬ。現地の被災民は、ほとんど空疎な表情でもってあきらめの状態にある、こういうことを聞いております。さらにまた、もしこの締め切りが早急にできない場合におきましては、堤防の外にある干拓地がいまだに水につかっておりますので、この水が堤防の中に流れ込んできて、桑名市の南部は再び水に浸されなければならぬというような危険にあるということもいわれております。これから非常に寒さに向かってくることでありまして、この状態の中にあって、桑名市民の不安な状態というものは、全く想像にあまりがあると思います。さらにまたこの工事は、桑名市長が一札を入れまして、桑名市の責任において施行するということで施行された工事でありますけれども、これは言うまでもなく工事の能力というものは、国によって、県によって、市によって、相当の開きがあるということは言うまでもないことでありますが、特に十一月三日の毎日新聞によりますというと、高野中部地建局長はこういうことを申しておられます。これはあくまでも仮定であるという前提のもとに言っておられるのでありますけれども、桑名市南部の仮締め切り工事を建設省にまかせてもらえば、もっと機械などを使った補強ができたかも知れないということを、地建局長も言われております。従って、私はこの際提案を申し上げることは、国の工事能力を動員して、すなわち国の力をもってこの桑名市の締め切り工事を早急に完了する、こういうことをこの委員会におきまして何らかの方法によって、意思表示をしなければならぬではないか、かように考えております。でありますから、その方法等について、この際御相談を願いたいということを提案いたします。
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。 ただいまの大倉君の御発言につきましては、理事諸君と御協議をいたしまして、すみやかに関係省から事情を聴取する等の措置をとることにいたしたいと思います。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 次に労働省関係の被害状況及び対策について説明を聴取いたします。
○国務大臣(松野頼三君) 今次風水害関係について、労働省がこれまでにとってきた措置及び今後の対策について申し上げます。 まず、風水害による労働関係の被害状況について申し述べますと、今回の風水害により被災した事業場数は、伊勢湾台風関係だけで三万四千余であり、これら事業場に使用されている労働者数は六十二万五千人余の多きに達しているのであります。これが対策としましては、まず被災労働者の生活の安定をはかるため、労働基準第二十五条の規定により、賃金の非常時払いを行うよう事業主に指導いたしました。 次に、事業場被災のため休業した場合には、再雇用の条件つき一時離職の取り扱いをとり、失業保険金の支給を行なうよう措置いたしました。このような措置とともに、被災地域の労働者の生活確保のため、失業保険の適用事業場が被災のため事業を停止し、その被保険者が休業し、賃金の支払いを受けることができない場合には、これを失業とみなし、失業保険金を支給することとする「昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案」を、今国会に提出することといたしております。 被災地における失業対策事業につきましては、当初罹災のため公共職業安定所へ出頭することができなかった労務者に対しては、一定期間賃金相当額を支給する特別措置をとったのであります。また今後において、被害のため一時的な失業者の発生も予想されますが、一方には災害復旧手業も相当量に達するものと考えられますので、復旧事業と失業対策事業の事業量の調節をはかりつつ、失業者の吸収に遺憾なきを期して参りたいと存じます。これら地方公共団体が実施する失業対策事業につきましては、補助率を引き上げ、これら団体の財政負担を軽減して、事業の円滑な運営をはかるため、この国会に失業対応事業に関する特別措置法案を提出いたします。 なお、被災事業場につきましては、必要な場合には、失業保険料、労災保険料及びけい肺等負担金の納付期限の延長を認め、延滞金及び追徴金の徴収並びに滞納処分は行わない等の措置をとったのでございます。
○委員長(郡祐一君) 以上で説明を終わりました。ただいまの説明に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。
○藤田藤太郎君 今の、賃金が払えないという推定のもとに保険料を支払うというのは、期限はどれくらいですか。それが一つです。 それからこの財源は、今の保険の経済の中からまかなうのかということ、これが二番目です。 それから今おっしゃったのですけれども、工場が閉鎖されて失業者が出た場合に、新たに一定のワクをこしらえて緊急失業対策事業をおやりになるかどうか。そのワクはどれくらいか。この大筋三つ。
○政府委員(百田正弘君) 第一の、保険料の延納措置でございますが、これは労災保険と失業保険ということであります。現存労災では大体六カ月ということになっております。失業保険も必要の限度ということにいたしておりますので、六カ月程度延ばす、こういうことにいたしております。 それから保険金、特に失業保険金の財源でございますが、これは、現存予備費が百億近くございますので、十分これでまかなえる、こういうふうに考えております。 第三に、失業者の多数発生いたした場合の失対事業のワクの問題でございます。これにつきましては、現存、先ほど大臣からも説明がございましたように、新たなる失業者の発生ということも見込まれますが、同時に、一方において災害復旧事業あるいは救農土木事業というのが行なわれまして、これとの調整を考えておりますが、これにつきましても、われわれとしては、現在のところワクの拡大について約一億円程度は必要とするのではないか、こういうふうに考えております。
○藤田藤太郎君 それでは、大体今の見通しで、これはまあ本則じゃないわけですが、他の財源を持ってきてやるというのが建前だと思いますけれども、そういう支出をされるのですけれども、どれくらいの原資になる見通しですか。
○国務大臣(松野頼三君) 失業保険の特例に関するいわゆる高率適用をいたしますと、その差額分が大体一億円。ワクの拡大は、これは失対事業総ワクの中からやりくりいたしますので、もちろん失業の発生状況によりますけれども、一億、二億程度のものはこの中から可能であるという推定でありまして、今後の失業状況によって採用するものであります。この財源の余裕と申しますのは、上半期における失業状況というのが、ある程度民間就労が順調に進んだために、政府のいわゆる補助事業というものが、ある程度節約ができましたので、まだ今後の見通しはわかりませんが、今直ちに想定され得るのは、一億あるいは一億数千万円というものは今日準備しなければならない最小限度ではなかろうか、これは、現在の会計内においてやりくりでき得るという見込みで今回の措置をいたしたわけであります。
○藤田藤太郎君 今おっしゃったのは、失業対策事業の方ですね。
○国務大臣(松野頼三君) そうです。
○藤田藤太郎君 いや、それはわかったんですが、失業保険を、休業とか賃金不払いということで支出されるわけですね。その災害からくる失業保険用の原資ですね、これは幾らぐらいになりますか。
○政府委員(百田正弘君) これは七月以降の分について適用するということに今度の法案はなっておりますので、関係県について現在調査中でございますが、一応の推定といたしましては約十七億円程度必要とする、こういうふうに考えております。
○向井長年君 ただいまの報告に若干関連を持ちますが、特に今の報告は、いわゆる被災事業に働く労働者の失業問題が中心だと思いますが、工場を持たないところのいわゆる山林労務者の関係、こういう人たちの現在の失業状態について、これにかわる何らかの措置を考えておられるかどうか、この点。
○国務大臣(松野頼三君) 山林の、いわゆる山林労務者というものに対しましては、今回救農土木というのがございまして、原則としてはこれは農地を失いました農家に対するものでありますがもしかし、やはり山林と農業経営というものは厳格に区分けすると申しましても、山林経営者もやはり農業の一員でもありますので、今回の予算に一応被災農家という意味で救農土木に入っておりますが、この拡張によりまして、あるものは山林のものもこれによって救農土木が実施せられる、またこのワクにはまらない純然たる労務者と言われまするならば、これはやはり一部の失対事業というものを起こさなければならないと、こういう準備をいたしておりますが、その両方の予算によってこれは私は救済し得るものだ、こういう意味で今回の予算を計上いたしました。
○向井長年君 農家とは違うと思うのですよ。いわゆる純然たる林産部面における労働者だと、従って県道、林道等が破壊されて、ほとんど林産部面の仕事ができ得ない。従って配給される米すらもらえない、こういう状況が特にこれは奈良県において多いと思います。吉野あるいは宇陀方面、こういう地域の山林労働者が、つまり千名程度そういう状態であろうかと思います。これについて失対事業のような方法をとられる、こういうことを言われておりますが、現実に地域的に失対事業という問題については、やはり一応業者が請負ってやるという形になっております、大体各公共団体においては。これについてどういう形において労働省においては失対事業に当てはめていくか、あるいはまたそれに対する賃金はどういう方法でやるか、現在の失対事業をやられているああいう形でやられるのかどうか、この点もう少し明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 救農土木実施の内容ですが、おそらく林道とかいうものは、救農土木事業のワクの中に入る事業であります。同時にこれが救農土木に入らないというならば、それは市町村経営における失対事業の対象にもなり得るものであります。ということでまだこれは両方でどちらだという権限を明確にする必要はありませんが、大体救農土木の対象は林道とかいうものがその中に入ってくるならば、それもその対象に加えていただけるんじゃなかろうか、予算上の編成のときにはそういう解釈でおりますが、しかし場所によっては救農土木がそういう形に出てこない場合には、山林事業者が確かにお因りですから、そのときは市町村から林道等いろいろのものがありましょうから、山林に合わした失対事業を起こしていただくということで、これは市町村が主として経営される、あるいは事業主体になられることでありますので、当然ここに吸収していただけるんじゃなかろうかという意味で、両方の実は運用で遺漏のないようにして参りたい、こういう考えでおりますが、特に今までのように登録失業者でなければならないというふうな古い過去の実績ばかり今回はとる必要もございませんので、このために事業所がなくなったという証明が出て、市町村においてこれの事業をやるというならば、今回の措置法によってこれを当てはめてやるべきものだ、過去の登録失業者の数によって今回限定するということはいたしません。特例としてそれは当然やるべきものだ、こう考えております。
○向井長年君 そうすると、労働省としては地方公共団体と連携をとりつつ、いわゆる全部そういう方法でその人たちの救済をやるという指導をするというのですか。
○国務大臣(松野頼三君) 今回特に災害の場合にだけは、失対の登録とかいう過去におけるものを別にして、事業を失ったという事業所の証明なり何なりあれば、これは当然過去における登録者とみなして今回の運用をはかるつもりでおりますので、それは当然被害を受けたということを前提にしませんと、すべての登録事務を今回改めるのだというのでは、これは非常に災害を拡大解釈すると被災民だけに参りませんので、今回の災害だけに限りそういう観点をとるべきだとこう考えております。
○小酒井義男君 先ほど大臣の御説明の中に、災害のために操業できなくなった工場の従業員を再雇用の条件つきで一時離職をさせる、それに対して失業保険の適用も行なう、こういうことでしたが、その再雇用の条件が確実に一〇〇%守られるという自信をお持ちになっておるか、もしそれが完全に守られない場合にはどういうような指導をされるお考えか、その点をまず一点。
○国務大臣(松野頼三君) 失業保険の本質は、失業者にならなければこの保険金は給付できない、こういう解釈で、どちらかといえば失業保険をもらうために解雇をしなければこの適用にはならないというのを、今回は、それではあまりにおかしいじゃないか、いわゆる形式的な解雇にしろ解雇というものを促進することは、被災者にとってはこれはありがたいことじゃないというので、いわゆるこれは在職のままで失業保険を差し上げられる、こういう意味でありまして、これが解雇されてしまったというのは、これは事業所における特殊性があるかもしれません。これを私たちは促進する意味じゃありません。失業にならなくても失業保険を差し上げますという逆の立場から、再雇用ということを考えずに、失業にさせないというままで失業保険を与える便法を講じようじゃないかという意味でありまして、再雇用が前提にあらずして、在職のまま実は失業保険を差し上げるというのが趣旨でありまして、従って再雇用するかしないかということじゃなしに、失業者にしないでも失業保険金を差し上げますと、こういう趣旨でありまして、今回の立法は、実はそういう趣旨でできたわけであります。
○小酒井義男君 そうすると、これは労働省の直接関係事項にはならぬ問題ですが、それらの工場に勤めておる従業員の勤続年数というものがずっと続いていくのだ、そういうことになってもそういう扱いをすることができるわけなんですね。
○国務大臣(松野頼三君) 従ってこれは勤続年数の通算はいたします。雇用者という意味で通算はいたします。ただこの失業保険を給付いたします関係上、ある程度失業保険をもらった者ともらわなかった者との差は多少あるかもしれません。継続はいたします。ただその保険金を給付された期限を大体通算のときにある程度の割引をするかという問題は残りますけれども、原則的にはこれは全部通算をいたします。じゃ、そのままで何にもないのかというと、それは保険金を一回給付を受けましたから、どうとか、何カ月の保険金の給付をいたしました場合には、将来五年以上の勤続者の場合には何カ月差し引くという条項はございますけれども、継続はいたします。
○小酒井義男君 それから、これたしか失業保険の給付を受けるには離職をしてからどれだけかの期限がありましたね、一週間ですか。ところが今回の場合は突発的なああいう事態でやむを得ず、これは会社の方も従業員の方も予測せざる事態で離職をすることになるわけなんですが、こういう場合には一週間という期限を置かなくても出すようなことが考えられていいのじゃないかと思うのですが、この点はどうなんでしょうか。
○政府委員(百田正弘君) そういう考えもあり得るかと思いますが、この特例は今大臣からお話がありましたように、休業を特に失業とみなしまして、現在失業保険法のべースに乗せようという特例でございますので、他の失業保険に関するすべての要件ですね、これまでは実はやっていないのでございまして、現在の失業保険のべースに乗っけていく、休業を失業と見なすということで普通の失業保険をそのまま適用していくようにしていこう、こういうことであります。
○小酒井義男君 これは一つ私は御検討願いたいと思うのです。こういう突発の場合には一週間という期間を置かなくても出せるようなことが実情としては私は必要じゃないかと思うのです。これは今御答弁いただかなくても宿題として一つ研究をしていただければけっこうだと思うのです。
○国務大臣(松野頼三君) 宿題というよりも、実はこれは昭和二十八年のときに適用いたしました法律を、一応そのときは是なりという世評で非常に好評を博しましたので、今回も実はそれを適用したわけでございます。失業保険の本法まで触れるとなると、なかなかこれは失業保険の会計は御承知のごとくこれは政府の金というよりは保険金によって成り立っておる金でございますので、なるべく乱給を避けながら過去においてやりましたいいところだけをとって参りたい。小酒井さんのおっしゃいましたように一週間待たなくともいいじゃないかというごもっともな御意見、私どもはそれは絶対にいけないというのではございませんが、一応法律の建前として失業保険法になるべく矛盾のないように、無理のないように、また保険会計は政府だけの金ではありませんので、一応そういう過去のよかったところを、特徴をとって参りたい、もちろん一週間がなければよりベターだということもわからなくはありません。それは一応過去にやりましたので、今回も一週間だ、ただ事業主には延納というものを認めますので、事業主が災害を受けて直ちにその日から無財産になったという事情ではございますまい、ある程度の財産としての今までの経営上の基礎もあるのじゃなかろうかという考えで、そのかわり事業主には延納を認めるという形でやっておりますので、これが非常に無理だというほど大きな問題ではなかろうというふうに考えております。
○小酒井義男君 もう一点。ほかの問題ですが、御承知のように最近の各工場には臨時工というのが非常に多いわけです。特に伊勢湾台風の被災地などでは中小企業というのですか、そういう工業の数も非常に多いわけで、臨時工でやはり被災者というのが相当数が多いのです。これに対する扱いについて何かお考えになっておるかお尋ねしたいと思います。
○政府委員(百田正弘君) 臨時工に対する扱いでございますが、今の問題を失業保険に限って申しますと、臨時工でもたとえば二カ月という期間がきめてございます。二カ月だけというものでは失業保険の適用はございませんが、これが大体普通の臨時工というのは期間の更新が行なわれるという場合が多うございます。この場合には二カ月、二カ月、二カ月で六カ月経つと受給資格がつくわけでございます。ある程度のものは私はこれで救えるというように考えております。
○小平芳平君 先日のこの委員会でもお話があったのでございますが、大工とか左官とか、そういう特殊技術者が非常に現地で足りなくて困っているのではないかということでございますが、今回の労働省のこの予算の中にそういう点が考えられておるかどうか。 それからもう一つ、先ほどの通産大臣のお話にあったのですが、工場は水に浸っていないのに労務者の住宅が水に浸っていて仕事ができないというような実情なのでございますが、そういう点について労務管理の上から工場で住宅を作る場合に、これを労働省の方で何か考えておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 大工、左官が非常に不足するから至急にあっせんしろという話は、実は各地からも要請が出まして、各地方の職安を通じて、大工、左官を広域職業紹介によってなるべく災害地に行くように募集はしましたけれども、大工、左官は何と申しましても、今日東京のように平常の場合でも必ずしも余剰のある職業じゃありませんので、なかなか希望者がそんなに実は出て参りませんので、といって強制的に送るというわけにも参りませんが、平常から大工、左官は非常に人手の少ない職業でございますので、大工、左官を急激に送るということになると、今日強制的に指令もできませんので、各職安を通じて御要望に応ずるように指令、通達をはかって、なるべく大工、左官を募集はしておりますが、まだそれが集団的に参るほどいっておりません。しかし、縁故によって行かれた方はよほどございますが、集団的に送り込むというところまで今日はいっておりません。 もう一つは住宅でございますが、これは建設省の産業住宅が、労働基準局長と協議をして産業住宅を作れという産業住宅の実は特例というのがこの国会に一応住宅問題の中に入っておりますので、それに応じて基準局から要請をしながら、非常に労務者の住宅の少ないところは産業住宅の規定によってこれを作っていただくように計画を立てております。
○大竹平八郎君 私は今度の伊勢湾台風の中小企業関係の工員の対策の基本的な問題についてお尋ねいたしたいのでありますが、御承知の通り愛知県を初めといたしまして、あの付近は非常に中小企業の多い所であります。これは当局の数字でありますから、信頼してよろしいと思います。たとえば繊維関係の例を一つ見ましても、三県で今度の被害が大体二百三十億、そのうち中小企業だけでも百億円、それから金属機械等を見ましても四十九億のうち中小企業が三十六億、それからさらに窯業関係を見ますると、六十億のうち実に五十億に達しているというようなわけでございます。大企業関係の従業員は直ちにこれは配置転換ということができるのであります。現に直後でもその方針をとってどんどん実行せられていったのでありますが、しかし中小企業関係は、たとえば桑名あたりの鋳物関係にいたしましても、これはいつ再起をするやらわからぬわけであります。ほとんど再起不能というものもたくさんあるわけなんでありますが、一応は保険その他におきまして、とにかく一時をつなぐというようなこともありましょうけれども、基本的にはこれは将来離職をせなければならぬというような例が非常に多いと思う。これは今後ますます出てくるのじゃないかと思うのでありますが、こういう点につきまして、この中小企業工員の基本的な対策、その点一つ大臣から伺いたい。
○国務大臣(松野頼三君) ことに今回非常な被害を受けられました所は、日本でも中小企業として最も優秀な場所でありますし、それだけ被害の金額も大きかったのであります。労働省として雇用問題から申しましても、一日も早く中小企業の再建を実は希望しておるわけであります。いかなる場合があろうとも失業者を一人でも出したくない、あるいはより以上な産業の復興のために、特に今回は通産大臣とも協議をいたしまして、中小企業の復興に関してはあらゆる努力をして参りたい、これが労働問題の基本である。労働省の対策というものはどちらかといえば消極的なものであって、第一には産業政策としてぜひこの復興を一日も早くしてもらいたいということが閣議でも常に同省大臣は実は協議の問題点でありまして、先ほどの通産大臣の御説明にあったかと存じますけれども、今後の立ち上がり資金とかあるいは復興資金とかいうものに関しては、中小企業には特にあらゆる面において注意を払っていただいておる。こういうことで、私は名古屋の過去における実績あるいは将来の見通しを見ましても、中小企業がこの災害でつぶれたままでおるということは、これは断じて労働対策からいっても好ましいことじゃない。一日も早く中小企業の復興と立ち上がりは労働省として、縁の下の力持ちかもしれませんが、一番大事なことだ、労働対策というものは、何と申しましても明るい産業の下において初めて労働対策が立つのであって、労働省が雇用の促進をいかにやりましても、あるいは失対事業をやりましても、これは明るい労働政策ではありませんので、私の方も一そうの中小企業の立ち上がりということが労働問題の基本であると考えて、常に通産大臣と連絡しながら政府全体としてこの問題を取り扱い、一つの工場もこの災害でつぶれることがないようにというのが私の念願であります。
○委員長(郡祐一君) 労働省に関してはなお質疑もありますが、それは後日に譲ることといたします。 —————————————
○委員長(郡祐一君) 先ほど清澤委員より御要求のありました公益事業局の担当官が出席しておりますので、清澤委員の御質疑に対する答弁を求めます。
○清澤俊英君 先ほど風水害の問題で、水害のあとでダムに土砂がたまらぬか、こういう質問に対して、通産大臣は、こういう場合でもいまだかつて、現在でもダムの中に土砂のたまっているということはない、こういう御答弁だった。そういう事実はないと思うのですが、そこでお伺いしたいのは、われわれが常識をもって判断するところによれば、ダムがああやって締まっておれば常にでもたまりやすい。従いましてこれだけの風水害でありますれば、通常の方法でおけば必ず土砂はある程度たまってきます。それがたまらぬということになると、何らかの形で常に清掃をして土砂を取っておかなければそういう状態は確保できない。なかなかめんどうな問題で、あなた方そうはっきりお答えできるかどうかは別としまして、今大臣がそう言われる限りにおいて、どういう方法で常にそれを清掃をしておるのか、これを一つ明確にしていただきたいと思います。
○説明員(三谷昇君) ダムに土砂のたまる問題でございますが、今お話にございましたように、風水害に限らず、大雨が降ったりいたしますと、土砂はやはりたまって参ります。ダムにおきましては大きな水の出たときに、ダムにはいろいろ種類ございますが、簡単に申し上げますと、ダムには門扉がついているのがございまして、門扉をあけまして、そうして水でもって一緒に土砂を下へ吐き流す、そういうふうなことをやっております。そのほかに平常時、ダムを掘る場合でもドレッジャーで掘っていく、こういうようなやり方もしております。しかしたまった土砂が完全に一〇〇%吐ききれるとは、はっきりこれはいえないので、どちらかというと幾らかたまっていく、こういうことはあります。
○清澤俊英君 それで大体見当はつきましたが、それは掘ってといわれるが、掘った土砂がそのダムの近所にたまった、こういうのはまだ見たことがありません。おそらく掘ってということは、これは一つの考え方であって、実際行なわれておるのがないのじゃないか、こう思っておりますが、大雨等で川の水が非常に増水する場合に門扉をあけて土砂を流す、これは事実だと思います。そこで問題は、それを中心にしてしばしば問題を起こしておるのでありますが、一昨昨年は、猪苗代の阿賀野川の上流のダム開閉のために大洪水を起こして、下流に非常な損害を与えたということで補償問題が起きたことは御承知の通りであります。それからこのたびの風水害、これは大体八月豪雨かと思いますが、信濃川のごときは、大体におきまして一秒間五千六百立米とかの土砂が流れました。それらも上流千曲川地帯における地質等の関係で土砂が多かったかもしれませんが、上流ダムは二十九あるそうでございまして、これが一斉開閉したことによって一時増水を起こした。こういうことも考えられますので、こういう問題については、私は建設省についても、ダム開閉の取り扱いについていろいろその点を究明しているのでありますが、通産省としては、こういう事実が現にこの水害等で非常にあるのであります。ことに常時水流を上流において幾つもせきとめられておる。従いまして、下流においては、われわれも幼時に見ましたが、私は新潟県ですが、信濃川の水量から見ますと、十分の一にも足らぬというような水量が常に流れているのであります。従って河川には常時土砂が堆積している、そうして堤防等は常にかわいておるのでありますから、あるいはモグラモチがつきましたり、ヘビが穴をあけたりして、堤助を破壊する原因を持っておる。そこにもってきて水害時になりますと、門扉をあけてだあっと出される。上流でもって二十九も三十もあるのが一時に出される。こういうものが一つの大水害となって現われることなしとは私は断言できない情勢だと思うのです。こういうことについて、少なくとも電気事業の大もとである発電所を管理しておられる通産省としては、ただ電気事業だけが重要であるという考え方では私は問題にならぬと思うのですが、これは常時問題になっているダムの開閉に対して、通産省ではどういうお考えを持ち、それに対してどういう常に指導と処置と監督とを行なっておられるのか、この際明確に一つお知らせを願いたいと思います。
○説明員(三谷昇君) ダムの開閉の問題でございますが、ダムは結局門扉がございまして、それで上の方で雨が降りました場合にその水が出て参ります。それをほっておきますと、門扉のために妨げられて上流の方に非常な災害を及ぼします。そういうようなわけで、上からくる水に従いまして門扉を操作して、上から流れてきたのがダムがあってもそれがじゃまにならないように下の方へ吐いていく、こういうようなやり方でダムの操作につきましては、ダムの操作規程というのがございまして、それを通産省の方で監督いたしておりまして、高堰堤にはダム主任者というのを置きまして、責任のある者にその処理をさせる。そういうようなやり方をして監督をいたしております。
○清澤俊英君 この問題は、建設省の河川局長と合同でやっぱり審議していただかぬと工合が悪いと思いますから、もしできましたら門扉開閉規程ですか、それを一つ参考として出していただきたい。ただいまもおっしゃる通り、洪水等になれば当然門扉をあけるのだ、あけられるのが、二十九も三十もあるのに一どきにあけられる。これじゃ必ず土砂と一緒になって出てきて、倍くらいもしくは三倍ぐらいの水量と重量になって、多大の被害を与えると思うのです。電気も私は日本の産業基本として重要性があるかもしれませんけれども、それがためにこういう大きな洪水の問題が出てくる基本的な問題になるとするならば、もっとやっぱり取り扱いについて考えていただかなければならぬ。さっき言われたような常に機械をもってこう取り上げる、こういうようなことを始終やっておりますれば、そう無理なあけ方をする必要もないと思うのです。あけたところが大した問題がないと思うのです。ところが実際は機械でもって、土砂がたまった場合に取り上げてどこかへ積んであるという場所がありますか。あったら一つ知らして下さい、私、見に行って来ます。そういうことをしないで、ただ門扉だけあけて土砂を出すのでは、それは大洪水になればあけて流すに違いないのです。そういう場合には常に通産省というものは電気会社だけの肩を持って、下流民の災害による損害に対して、常にそれを擁護する立場に立っている。これはとんでもない話だと思う。
○説明員(荒尾宗夫君) 今の、機械で掘るという御意見がございましたが、ちょっと補足いたしますと、現在そのたまった土砂を機械で掘るというところは、まだ機械の性能、それからそれをどうして跡処理するか、それの具体的な結論が出ておりませんので、現在はまあ研究段階というような状態でございます。
○清澤俊英君 だから私は初めからそう言っているのですよ。機械でも掘っていると言うでしょう。こういうこともやっていると言ったでしょう。そんなものは一つも見たことはない。だからダムの開閉と洪水の問題は、今日始まった問題じゃないのですよ。しばしばこの問題は補償問題等で問題を起しておるのです。なぜほうっておくのです。始終その被害を受けているわれわれ下流民としては全くがまんできないのです。ただ通産省だからといって、電気を起こして安い電気さえ送ればいいんだ、それで事は済みません。もっと日本国全体の上に立った考え方でやってもらわなければ問題にならぬと思う。やる方法はあるでしょう。今言ったようなやり方で幾らでもあると思う。機械がどこにすわっているのです。これだけ機械が発達しておれば、土砂くらい掘って、積む場所くらいどこにでもあると思うのです。そういうことを少しも考えないところに私は問題があると思う。私はもうきょうはこれでやめます。通産省と建設省と一緒に一つやっていきますから。
○藤田藤太郎君 私も今のお話を聞いておって、関西でも二カ所問題が起きている。そのは、このダムはこれだけのゲートからこれだけ放水するのは、通産省の許可を受けたのだから、あと水を使うのなら——建設省で河川を直せばいいんだというような、こういう言い方はこれはとんでもないことだと思うのです。私は今はやりませんけれども、今のような問題は一つ両方来てもらって、そのときに議論したいと思います。
○委員長(郡祐一君) 先ほど理事の諸君と協議をいたしました結果、明六日は付託法案につき各省から私案理由の説明を聴取し、なお大蔵省から災害予算の概要、関係省から災害対策等につき説明を聴取し、質疑を行ないたいと思います。 明六日は午後一時から委員会を開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。 午後三時五分散会