農林水産委員会 第20号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/12/25
会議録
○委員長(堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。 最初に、委員の異動について御報告いたします。 昨日、羽生三七君が辞任され、小林孝平君が選任され、本日、森八三一君が辞任され、杉山昌作君が選任されました。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) 前回に引き続いて、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題にし、中田委員、清澤委員の質疑が残されておりますので、質疑を続けます。
○中田吉雄君 間もなく議題となっております法案が採決をされ、政府手持ちの糸が放出されるかもしれないので、そういうことと関連しまして、少しお尋ねしておきたいと思う次第であります。ただ、あまり時間をとってもなりませんので、その点は心得てやりたいと思っています。 政府からいただきました蚕糸業安定化のための検討資料、これは大澤局長は、白書でない、こういうことの強い言明でしたが、私重ねて全部拝見しまして、これはまあ一つの一貫した立場で、総括的に、あっるいは生糸の需要、養蚕業というものを分析して、大澤さんが農林水産委員会で言明されているいろいろな御所論というものは、かなり私はこの分析の仕方と符合をまあ合わしているものというふうに見ているわけであります。それはともかくとしまして、この法案が決着がつきまして、どのように政府手持ちを放出されるか、処理されるかということについては、やはり来生糸年度に対する見通しをはっきりされておくことが非常に大切だと思うわけであります。そしてまあ経験の示すところでもそうですが、この分析でもその点は正しいと思うのですが、生糸の価格、まあ需給に対しては、特に需要に対しましては、内外の、世界経済の動向、景気が好況であるか停滞しているか、後退しているかということが、結局一番大きな生糸の需要に対するモメントのようであります。私もそうだと思うのですが、そういう点でどれだけ手持ちを放出したらいいかというようなことも、やはりそういう見通しの上に立ってやることが大切だと思うし、今後立てらるべき蚕糸業の政策というものは、そういう見地からやらねばならぬと思うのですが、一体来年度の、日本を含む特に生糸の需要関係諸国等の景気をどういうふうに見ておられるか、この点をお伺いしたい。
○政府委員(大澤融君) 来年、今後の景気の見通しをどういうふうに見るかという御質問ですが、これは非常に私むずかしい点だと思います。ただ、私どもが生糸のこれからを考えます場合に、そうしたことを、たとえば口銭の先般発表されましたようなああいう景気の動き方、四十ヵ月週期で起こるというようなああいう見方ですとか、ああいうものを参考にして、生糸のこれからということを考えるわけであります。具体的に、しからばお前はどういうふうに景気を見るかということですが、これはなかなかお答え申し上げるのはむずかしい問題だと思いますが、一般に言われておりますように、来年の夏ないし九月ころまでは景気は持ちこたえるのじゃないかというふうな常識的なことしか申し上げられないと思います。
○中田吉雄君 まあ資本主義の社会ですと、景気が上昇すれば、やがて調整もあるでしょうし、そういう点では、来生糸年度一ぱい今年のような好調でいくかどうかということは、なかなかこれは困難だと私も思います。しかし、大体資本主義の関係諸国といえども、景気を調節する、いろいろなコントロールをする金融なり財政政策というものはかなり進んで、大きな変動が予測されるというふうには私とれぬじゃないかと思うのです。そういうふうな見地から、需要の面においてはそう大きな変動はないのじゃないか、こういうふうに、全くの予測ですが、するのですが、いかがですか。
○政府委員(大澤融君) 将来の見通しということは非常にむずかしいと思いますが、この間来、参考人の方からもいろいろお話がございまして、具体的にたとえば西陣というような地帯を考えますと、あすこは袋帯式のもの、ネクタイあるいは着尺というようなものを作っておるようでありますが、特に着尺については、この春物は五割くらい減るのじゃないかというようなことを言われ、あるいは長浜ちりめんということを考えましても、すでに十二月の半ばから三割操短をしている。あるいは丹後ちりめんというようなところも操短をしているというようなことを見ますと、内需が去年に比べてことしは相当伸びておりますが、この勢いがそのまま続いていくということはなかなかむずかしいのじゃないか、こういうふうに思います。輸出にいたしましても、アメリカへ出ますものが十月ころを頂点にして多少落ちてきとているというふうなことも、数字の上では見られるわけです。 〔委員長退席、理事櫻井志郎君着席〕 あるいはまた、ヨーロッパについても、六ヵ月くらいはいいのじゃないか、こういうふうなことも言われてはおりますけれども、たとえば、スイスなんかの話を聞いてみますと、ことしの夏は非常に気候がよくて長かった、乾燥する夏が続いた、そのために、絹の売れ行きが非常によかったということを言われ、あるいはまた、絹というようなものがパリでことし取り上げられたので、今やヨーロッパでも流行、全盛期にあるのだ。全盛期ということは、これから落ちるじゃないかというようなことも考えられます。まあそれやこれや考えますと、今の状態がこれからずっと長く続くというふうに楽観するのは、私、非常に危険ではないかというふうに考えます。
○中田吉雄君 私も手放しで楽観する立場をとるわけではないのですが、その点はその程度にしまして昨日ですか、いただきました「昭和三十四、三十五生糸年度牛系需給見通し試算」ですね、この需要の方は、そういうふうに不確定な分子が多いわけですが、供給の面ですが、前の生産高がAとBとあって、最近三ヵ年の趨勢値をかけて若干の増産のような試算になっているわけですが、私は、はたしてこの程度で済むかどうか、この点はもう少し供給がふえるじゃないかというふうな推定をするわけです。それは、三十三年度に三億一千ですか、二万九千ヘクタールの老廃桑園の整理をやられて、ことし第二年度を迎えているわけです。今度また三億六千ですか、計上されて、ずっとやってきておるわけですが、これは実際われわれが整理されているのを見ても、なかなか最盛期の、桑のとれる、非常にいいコンデションのものは整理されていないので、全く老朽化し、ほとんど廃園に近いようなものが整理されているという傾向がきわめて顕著で、割合桑園の整理というものは減収には響かぬのじゃないかというふうに思うわけなんです。そうして昭和三十四年度夏秋蚕の実収繭量というやつを見ましても、養蚕の立地が非常に移動してきて、集約的な関東地帯等には非常に集中してきておる。そういう傾向が顕著なんですが、関東地区では、掃き立て卵量では五・一%増であり、収繭量では前年対比で八・四%増というようなことがあって、その他減収になっている方もありますが、私は、今のような好況というものはもう少し増産の面に響くのではないかというふうに見るのですが、どうでしょうか。福田農林大臣は群馬ですから、群馬なんかはもう八%程度も増収をするというような顕著な傾向です。あの辺に立地が集中しつつあるというような条件もあるでしょうが、そういう中で、過去三ヵ年の趨勢値をかけて試算をしておられるが、非常な不況なときでの率なんです、ある程度いえば。三ヵ年間の不況時の趨勢値をかけてこれを出しておられるわけですが、そういうことはどんなものでしょう。
○政府委員(大澤融君) この間御要求がございましたので、三十五年の生糸の需給見通しを、こういう考え方で一応試算をして、非常に大胆に試算をしてお目にかけたわけでございますけれども、ただいま申されたように、繭生産を来年どういうふうに見るかというような点については、私どものこの試算が一番いいんだという自信は必ずしもないわけでございます。今御指摘になりましたように、来年の繭生産、昨年あれだけの桑園整理をいたしましたにかかわらず、夏秋蚕につきましては、もし被害がなかったならば去年よりふえているというふうなことを見ましても、また、ことしの繭生産のたとえば反当収量を見て見ましても、昨年よりは、あるいは一昨年よりは非常に伸びているというような点を見ましても、あるいは今申されたように、養蚕地帯集中化の傾向がある、むしろ割合規模の小さい農家はやめていって大きい農家に集中していくというようなことを考えますと、今より以上に、今までのトレンドを伸ばした以上に反当収量もふえるというようなことは、来年考えられるという要素もあろうかと思います。そういう点についての御指摘だったと思うのでありますが、そうした考え方も十分あり得るというふうに私どもも考えます。 〔理事櫻井志郎君退席、委員長着席〕
○中田吉雄君 二万九千ヘクタールですか、二ヵ年間に整理するというのは、どの程度の進捗率ですか。
○政府委員(大澤融君) 従来、去年の暮れから整理を始めまして、三十四年の五月までに約二万ヘクタール、桑園面積の一一%ぐらいが桑が抜かれたわけでありますが、残りの九千ヘクタール、これはこれから整理がされるということになろうと思います。そういうことでございます。
○中田吉雄君 大体三十四年度は予定通りは来そうですか。こういう点は。
○政府委員(大澤融君) 全養連が中心になりまして指導をしておられますけれども、去年計画いたしますときに、半分は全血抜株、半分は隔畦抜株というようなことで考えたわけでございますが、昨年は計画より以上に全面抜株ということになりましたので、今年度はほとんど全部を隔畦抜株で整理をするという考え方で指導をしておりまして、今のところそのように計画通り進むのではないかというふうな見通しでございます。
○中田吉雄君 私はもう少し繭生産はふえるのじゃないかという見通を持っておるのですが、それはいろいろな見方があるわけですが、それにしても、いろいろな需給の大胆な一試案ですが、これを見ても非常に需要高を固く、非常に用心深く踏んであるというふうには、この表ではとれませんか。これでは、A案は非常に、合計三十五万九千、B案は三十六万六千というふうに見ておるようですが、非常に用心深い試算ではないかということを私申し上げておるのです、世界景気等から見て。
○政府委員(大澤融君) 景気をどう見るかという問題にも関連すると思いますが、そういう景気をどう見るかというようなこととも関連して、これは少し逆大じゃないか、あるいは過少じゃないかという御批判は、十分あり得る試算だと思います。
○中田吉雄君 それから、この試算で、A案で三十五生糸年度の初期在庫ですね、政府生糸の初期在庫が三万四千六百七俵、こういうふうに見てあるわけですが、たびたびお伺いしているのですが、私はっきり記憶はないのですが、今の政府の在庫は幾らなんです。
○政府委員(大澤融君) 約四万九千俵だと思います。
○中田吉雄君 そうしますと、この問題はあとでも御質問したいと思うのですが、放出量の問題について四万九千あって、三十五生糸年度に初期在庫として三万四千六百七俵残す、こういうことになるのですが、これからそれまでに、本生糸年度中に一万五千くらいの放出、こういうことになるわけですか。
○政府委員(大澤融君) 繰り返して申し上げることになると思うのでありますが、ここでごらんいただいておる生糸の需給見通し、先般お目にかけた三十四生糸年度の需給見通し、これらいずれも算出基礎に書いてありますように、たとえば三十四生糸年度の需給見通しという場合には、一月から十月までのような調子で今後も続くものと見るならば、こういうふうになるのじゃないかという見方であります。そこで、その見方がそのまま実現するかどうかということにはいろいろ問題があるのです。それからまた、この三十五生糸年度についての大胆な見方についても、今申されたような問題がございます。ですから、確実にこれだけの量があれば済むはずだという結論にはなかなかなりにくいと、こう思います。
○中田吉雄君 いただきました資料で、価格と輸出の問題ですが、この資料でわかります非常に重要な点は、生糸の値段が下がるとロ・シルクで出て、なまの生糸で出て、そうして絹織物の輸出が割合少ない。値段が張っていると、なまで出る量が少なくて絹製品で出る。これは非常に私は重要な問題だと思うのです。この表によりますると、値段が非常に安いと、生糸で出る。そうして組織物で出ておる玉が非常に少ない。それから割合張っておる最近においては、ロー・シルクで出るものよりか織物で出る、それが多い。これは私は、アメリカにおいて値段もさることながら、何よりも安定を欲しておるということを示す。しかも、生糸が安ければ高いアメリカの労賃で加工してもやれる。しかし、生糸が高ければアメリカの高賃金で加工することができぬから、製品で行く、こういう関係じゃないかというふうに自分なりに見ているのですが、一体これはどういうわけでしょうか。そうして、ですから、私はあまり安く出すことも必ずしもいいことじゃないじゃないかということも申し上げたいと思う。これは非常に突拍子もない値段では別ですが、そういう最近の傾向はとにかく絹糸で、生糸で出るものよりか割合織物で出ている量が多い、前に、非常に安いときには逆だ、こういう関係はどうでしょう。
○政府委員(大澤融君) 私、中田委員のお話のように、必ずしもそういうことになっておるかどうかということには多少疑問がございますけれども、最近の傾向といたしましては、生糸の輸出の伸びよりは絹織物の輸出の伸びの方が、何といいますか、成長率は高くなっていると思います。そこで、一体生糸で輸出する方がいいか、あるいは絹織物で輸出する方がいいかということは、いろいろ議論があるところでございますが、先般安田参考人だったと思いますが、言われましたのは、やはり内需が育たぬようでは輸出も伸びない、こういうことだと思うので、私も同意見なんですが、そのためには内需はそう高い値段ではなかなか食いついてこない、しかも昔のように七十万俵のうち五十万俵を輸出に向けられたという時代と違いまして、今は三分の一以下に輸出がなっておる。こういうようなときでございますので、内需も育てないと輸出も伸びないということだと思います。
○中田吉雄君 この白書でよくとっておられる年度ですが、二十七年から三十一年までこう趨勢値でとっておられますが、この間ずっと値段が下がっておる。その間は外国に対して大体七万二千から、多いときは八万八千というふうに生糸で出ておる。そうして綿製品では二万五千から四万四千、最近では、三十二年度では生糸で五万六千、織物でやはり五万六千、こういうふうにほとんど対々になってきておると思うのです。私がいろいろ聞いてみると、日本で織る技術が進んで十分アメリカの要請にこたえるような織り方のものができるということですが、私は、一つは値段が安ければ生糸でアメリカの高い賃金で織っても十分ペイする。しかし、生糸が非常に高くなれば、アメリカの高い賃金で加工すればやはりどうしても割りが合わぬから、製品で買う、こういうふうなことになるんじゃないかと思う。そこで、私は局長に申し上げたい点は、値段もほどほどにせぬといけないじゃないかということをしろうとなりに申し上げたいわけです。 そこで、聞きでたいのですが、この組製局全部とは言えぬですが、オーガンジーとかいろいろあるのですが、最も出る商号関の価格の中で一体生糸部分は何%占めるか、こういう問題なんです。これは非常に重要なんです、ある意味では非常に。全体の価格から見れば、綿製品では賃金なりその他染色とかが多くて、生糸の値段はネグリジブルじゃないか。まあそうまではいかぬでしょうが、一体どうなんですか、その関係は。
○政府委員(大澤融君) その点は織物によって私非常に違うと思いますが、たとえば羽二重なんかにとってみますと、製品の相場が八十円ぐらいのときに、その中に占めます原料代は六十円ぐらいというようなことになっております。また、オーガンジーなんかにおきますと、製品の相場が百四十円ぐらいのときには、原料代の中で原糸代は八十円ぐらい。あるいは丹後の一越ちりめんというようなものを見ますと、二千三百円ぐらいのときに二千円ぐらいを占めているというように、織物によってまちまちで、織屋さんの工賃といいますか、それは織物によってずいぶん違っているようでございます。
○中田吉雄君 私は、非常に統計的に見て顕著な傾向は、とにかく偶然の一一致かもしれませんが、十七年から三十一年までずっと値段が趨勢的に下がっている。その際には七万台の生糸が出て、そうしてその三分の一ぐらい絹製品が出ておった。最近のかなり建て直してきた中で、非常にこの一、二年は、特に昨年から本年度は絹製品が出ているので、この辺のところもやはり全体の商品の中で、生糸の値段の高低というものが影響してくるということが、非常に私は全体の値段で中和されるのじゃないか。まあ突拍子もない値段はいけませんが、だから、好んで下げてみても、その辺が一つの問題の所在点ではないか。しろうと考えですが、そういう点が私はこの説明をいただきました表から学びとり得る一つの問題点じゃないか、こういうふうに思っているわけであります。そういう点で、やはり国会議員の人が、私だけでなしに、たくさんの絹に関心を持つ人が、昨年欧米に回って、かなりニューヨークその他で調査をされても、もう十九万円でもいい、とにかく値段の変動はもうかなわね、こういうふうな意見というものがやはりそういうところにある。六十キロの一儀ですが、それが一万円違っても、全商品に与える影響はそう大きなものじゃないというふうに私は見ている。そういう意味で、やはり低ければ原料で出て、とにかく五年の傾向というものは、最も低いときには、ずっと下がっているときには原料で出て建て直してくると製品と生糸がだんだんと対々になってくるということは、非常に考えねばならぬ点ではないかということを、まあ主張申し上げたいために申し上げているわけであります。そういう点で、私は、あとでもちょっと申し上げたいが、この点は十分考えてみなくちゃならぬ点じゃないかというふうに、まあ最近なぜ生糸よりか綿製品の伸び率がふえたかということは、もっといろいろな角度から検討せねばならぬと思うのですが、その点を申し上げておきたいと思うわけでありっます。 次に、この法律が通りますると、繭一貫目千八百円、十八万円ということになると、一体こういう価格で、政府の調査されて、先度出された、きのういただきましたサンプル調査で、一体どれだけの全養蚕農家がこのバルク・ラインに入ってくるか、製糸家はどうかという点を一つお伺いいたしたいと思うわけであります。
○政府委員(大澤融君) 計算がちょっとむずかしいのですが、大体千四百円で三、四〇%くらいということが考えられるのじゃないかと思います。間違いがありましたら後ほど訂正いたします。
○中田吉雄君 これは一キロの単価ですね。そうしますと、これは千四百円というと、どこですか。
○政府委員(大澤融君) 四百三十円くらいを考えて下さればいいのじゃないかと思います。
○中田吉雄君 これによりますると、四百から四百五十円、まあその千四百円くらいなところがサンプル調査をやられて三七・六%、三百十から四百、ずっと低い方をトータルしまして、その生産費を償わぬ農家が非常に多いわけなんです、養蚕農家が。まあ今の市況がそういう状況なのに、最も多いのは五百円ですから、これはだいぶ……、幾らになるか、五百円というと千七百七十五円というようなのが一番ピークの、度数分布の最も高いところなんです。そういうものは、みなはずれていくわけなんです、生産費を償わぬわけですから。全部の農家の生産費を償うということは引っ込めるといたしましても、限界生産のものはバルク・ラインかららち外に出るわけですから、全部のトータルを出して平均ということもできぬですが、十八万、千四百というのでは、この貴重な資料から、農林省がやられたこの度数分布を見て、あまりにも生産費を償わぬ政策じゃないか、これは時間がありませんから申し上げませんが、生糸の生産費にしても、これはまあ政府のやられた一キロ当りの生産費を見ても、どんなにしても十八万円でははまってこぬわけなんです。そうすると、私は、すぐ不況になるということも予想されるのに、そういうドラスチックに十八万円、たった三七・六%しか生産費を補償しないような値段を政府の政策で強行することは、もうこれにもありますように、価格を安定するのと、価格水準を維持するという二つの中で、一つの方は全面的に放棄してそういうドラスチックな、過激な形でやられれば、結局、非常に条件の悪い養蚕農家と中小の製糸業者を、そういう形で、実際はできもしますまいが、結果的にはそういうふうになるのじゃないか。もっと養蚕も合理化して千四百円くらいで作れるようにならなければいけないという、努力目標としてはわかりますが、たった三七・六%というようなことで、もっと高い生産農家、もっと多いようなところをはずしちゃってやるような価格政策が妥当かどうか、もう少し刺激も徐々に与えて、やはり漸進的な形を政策として私はとるべきじゃないか、過渡的な手段ですから、私もわからぬことはないのですが、その点は、この政府がやられました貴重なサンプル調査の生産費別の度数分布を見ると、そういうふうになっておるわけであります。そういう点は一体いかがなものでしょう。これでは、もうこの安定法なり臨時措置なりが期待している、全くこれは需給均衡の立場にも立たぬ、こういう形で当初考えておった政策に持っていこう、実際はそんなことをやったって、もう大海の一粟で、大きなカでできもしないのにやろうとする意図が、これにはっきり出ていないかどうか、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(大澤融君) 確かに今私どもがやって、それを基礎にして価格をいろいろ考えておるわけですが、こういうやり方がいいのかどうか、あるいは今のような生産費調査、こういう農家を選んで、こういう総和平均でやるような生産費調査がいいのかどうか、いろいろ問題があるわけであります。そういう点、私どもいろいろ研究をしております。ですから、この調査から見れば、おっしゃったような問題がございますけれども、そういうことも含めて、われわれ今後の価格安定制度のあり方、安定制度をやる場合の価格のきめ方というようなことの一環としていろいろ研究をしているところです。
○中田吉雄君 私は、まあやはり刺激も与えねばいけない、保護一本ではそれはやすきにつくでしょうし、いろいろな諸情勢から、いけないと思うのですが、まあ米にしても、調査された生産費調査の八〇%をバルク・ラインとして、その生産費を補償するというような制度がとられているわけなんです。ですから、これは来年度予算等ともからんで、政府が養蚕を合理化して、もっと低い価格で繭を生産してもペイするような予算的措置を伴いながら漸を追うてやられるのなら了承できますが、この点は、私はこの表は非常に問題の所在をはっきり示すものとして御指摘を申し上げたいと思うわけであります。あまり私が時間をとっても御迷惑でしょうが、そういう点を一つ考えて今後運用していただきたい。私も合理化には賛成です。当然やるべきです。中共糸あるいは化繊の准出等を考えれば、十分競争能力のある産業にせねばならぬが、あまりにも急激かつドラスチックじゃないか、こういうふうに思うわけであります。 次に、一体こういう形で、国際的な商品である生糸をコントロールすることが実際できるかどうか、こういう問題なんです。まあだんだん私の質問を終わりたいと思うのですが、一番国際商品として大きな統制をやったのは南方のゴムであります。これは、マライその他を中心とした独占的なああいう産物を、第一次大戦後に、イギリスが、アメリカに負った戦債を払うために、強度な統制をして、独占ですから、その値上がりで、アメリカに対する賠償を完全に払ったいう有名な国際統制があるわけです。ところが、それが、アメリカがそれに対して人造ゴムをもって対抗して、それができてから、もうマライの国際統制は崩壊しちゃって、できなくなった。こういう点は、私はまあフランスやイタリーが養蚕業が没落して、日本がある意味では独占しておった、だんだん中共が作り、化繊ができたという競争関係の現状は、これはやはり天然ゴムに対する人造ゴムが出て、一つのゴムの統制が国際的に破綻したと同じような問題を提起する、こういう統制蚕糸政策がはたして妥当なのかどうか。ということは、私はこの際、私まあ実はこの問題の翻訳をやったので、かなり……。国際統制——これはまあ世界的な商品を完全にイギリスの独占でやられた世界的な統制だ。ところが、人造ゴムが出てその政策が破綻した。そういう点は、やはり中共の糸、日本の四分の一も作り、しかも強度に内需を抑制して外貨をかせぐために奔放に輸出をする、化繊はますます発展することが予想される際に、こういう統制がいいかどうかという問題は、私はまあ非常に、もう局長が夜の目も寝ずにやられてみても、なかなか横浜と神戸のあの諸君を相手にすることができぬということは、一つはそういうところにあって私は、そういう点では、やはり一つもう一ぺん考え直してみるべきじゃないか。こういう量的な統制がいけないというのではない。去年二百数十億の政府資金をもって買い上げて、そうして在庫を持ったということが値段をてこ入れしていますし、やはり非常な限界があるということを私は考えねばいけぬと思うのですが、その点はいかがでしょう。
○政府委員(大澤融君) 非常に大事な点の御指摘だと思います。ゴムの例を引いてお話がございましたけれども、ゴムに限らず、日本でもまあ除虫菊の問題もそういうことであったわけです。天然繊維に対して化学繊維はどんどん発達してくるということでございますから、いたずらに保護的な、あるいは統制的なことだけをし続けていっていいのかどうかということは、大いに反省してかからなきゃならないと思います。そうした問題も含めて審議会あたりで御議論を願って将来の方向を考えなきゃいかぬと思います。先ほども御指摘がございましたように、要は徹底的な合理化とコスト切り下げということで、中共の糸なり化繊なりに対抗していく競争力がある産業ということを検討しようといっていますが、そうした方向でやっていくことが必要じゃないかと私は考えております。
○中田吉雄君 為永という係長ですか、神戸ですかへ参りまして、来国会には繭糸価格の安定法その他を根本的に変えると、こういう言明がなされていましたが、そういう用意があり、またそういうことなら、それはいずれ予算措置を伴うものと思うのですがどうなんでしょう、その点は。
○政府委員(大澤融君) 為永技官のお話ということで新聞面に出たことがあるようでありますが、それはあのようなことを為永技官が神戸でおしゃべりをしたということは、私ども調べた限りではないようでございます。
○中田吉雄君 まあ為永係長ですか、技官がやったやらぬは別にして、やはり臨時措置で親法をもう根本的に変えてしまわざるを得ない現状ですからね。やはりもう一ぺんいろいろな角度から再検討する時期にはきているのじゃないかと思うのですが、その点は。
○政府委員(大澤融君) 安定法を根本的に考え直すという時期であると思います。と申しますのは、ことし一年間、臨時措置法を延長して、臨時措置法で価格安定をやっておるわけでございますが、これをやります場合に、基本的にいろいろ問題があるからということで、私どもとしては宿題として預けられております。いろいろ研究を重ねております。
○中田吉雄君 もう二点だけお伺いしたいと思うのですが、生糸を斜陽産業だと、こういうことはやはり蚕糸業の、まあ蚕糸局が言われたというのではなしに、巷間ああいう説のあるということは、昨年度等の異常な下落等からきていると思いますが、この考えは私はやはり払拭すべきじゃないか、こういうふうに思うわけであります。そういう点では、羊毛にしたって綿だってこれはもう同じ競争関係です、化繊と。あるいは鉄道にしてもこれは欧米の状況を見ればあるのですが、それはもうよほど長期のことで、政策さえよろしければ、私はまあ新しくだんだんと立地が移動している、集中している主要養蚕地帯を見ても、新しい農村経営等々と不可分な関係で組み合わさってきて、やはり政策がよろしきを得れは、十分その絹の特殊性からして耐えていけるものだというふうに見ておるのですが、そういう迷妄といいますか、一般に流れている浮説を何とか払拭して蚕糸業をあるべき地位に置く必要があるのじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
○政府委員(大澤融君) 全く御同感で、斜陽産業にしないように、日ごろ私ども努めておるつもりでございます。
○中田吉雄君 最後に、この法律がいずれ通るのでしょうが、きのうもちょっと質問しましたように、どれだけの量を放出済するかということは、値段に非常に影響するのですが、この生糸の現物の売り渡しを見ても、毎月大体まあ昭和三十四年の一月には、ここで法律が通ってだんだんと下がる、今年の一月には二万二千俵、二月には二万六千俵、三月には二万七千俵、まあ二万俵台の生糸が動いているわけであります。これだけ動いているのに、ここで四万数千俵あるやつを、一挙に二万俵なりかなりの量を出しますならば、これは非常な影響を及ぼしてくる重大な問題で、実は価格をどうするかということは、放出をどうするかということに非常に関係のある、これはもうこの法律のキー・ポイントです。私はそういう点で、大体今年の一月には二万二千、三月には三万六千、三月には二万七千、最も多かった七月に三万四千、こういう月別の動きであります。これを一挙に一万五千、二万五千というような放出をいたしますならば、これは先日来来て、この措置法の改正を奇貨として一もうけしようとする諸君に、どかっと干がって諸情勢からして立て直ってくる。みすみす二、三万、二万程度もうけさして、そして安定を阻害する結果になって、非常に重要なことだと思うのです。この点が一体——そこで聞いておきたいことは、二万二千内外の生糸が動いているが、私はその放出の量で非常に影響がくると思うのですが、この限界効用は大きいと思うのです。この点は機微に触れますから、いずれ決議にも出ると思うので申し上げませんが、三万二千内外月別渡されているのに、一挙にそれ相当額を出せば、これはもう値段は大へんなことになって、そしてすぐまた元に戻って安く買って高く売る、そういう結果になってこの点は一つ十分注意をしていただきたい。答弁はもう決議で、いずれ皆さんの総意はその辺にあろうと思うので私は申しませんが、そのことを申し上げておきます。 最後に、福田大臣がおいでになったので申し上げたい。きのう帰りまして「畑地かんがい」という雑誌がきまして「農政に想う」「危機はらむ蚕糸政策」針生健次郎という、これは日本経済新聞の論説委員です。この人が、わが社会党がもう長い間国会で言ったと同じことをきびしく指摘しているわけであります。私、偶然きのう帰りまして、封を開いて見ると、こういうことが書いてあるわけであります。「昨年度までに繭もふくめて十一万俵に達した政府手持ち生糸が五万俵を割っているのに、昨秋あたりに考え出した「臨時」高価格十八万円に未だにこだわって、政府保有糸全量を、この値段で売り出そうとしているのである。 臨時国会提出出の繭糸価格安定臨時措置法の改正もそれがネライだが、その国会審議がはかどうないのを見て、繭糸価格安定法の買い換え規定をタテにして十八万円売り出しと来たのである。需要三十七、八万俵、供給三十二、三万俵という需給バランスでは、値上りは必至だろう。こういう形勢を前にしてもなおかつ十八万円での安値放出をしようとする福田農政はさっぱりわからぬ。」こういうふうにかなりきびしく、はっきり名前をあげて福田大臣を批判しているわけであります。この点は、私はずっと見て、総明な福田大臣のまあ意中をそんたくせぬでもないのですが、こういう日本経済、経済記事の正確さをもって鳴る日本経済、この記事でもはっきりしておる。みすみす高値になる状況を見て十八万円で売ろうとする福田農政はわけがわからぬ、こういうことをはっきり言っているわけであります。私はまあ、初めて国会に出て農林水産委員会に来て、大臣の言明と局長の言明とはっきりニュアンスが違っている。大臣が言われたのを、大胆に大澤局長が全くそれと逆な言明を堂々とやられるところには、どこかに背景にすごい何ものかがないと私はやれない、こういうふうに見ているわけであります。とにかく、このなににも書いてありますように、この点はやはり福田大臣はたびたび時価という問題で、委員会の要望についても十分考慮するように言われましたが、まあ一つ、ベトナム賠償、ロッキードと、数々国民の疑惑を受けることが問題になっています。ロッキードにしても、ベトナム賠償にしても、これは将来のことなんです。しかし、ここで数万俵、二万五千俵を十八万近い値段で放出すれば、みすみす数億円だれかが受益して、市場を混乱して、繭糸価格の安定にはならぬと、こういうことですから、一つその辺の機微は養蚕県でもあり十分お気づきだと思いますので、特に放出する量と時期というようなことについては、こういうことの批判にもなりませんように、一つ福田大臣に申し上げて、所信の一端をお伺いしまして、わしの質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 法案の内容につきましての御質問につきましては、累次お答え申し上げた通りでございます。何か大澤局長と私が意見が違うようなことのお話のようでございますが、さようなことはないのじゃないかというふうに私も考えますが、責任は私が全部持っておりますから、さように、私のお答え申し上げた通りに御了承願いたいと、かように存じます。 なお、また、ベトナム賠償と並びまして何か疑惑でもあるようなお言葉でございましたが、これはもうはなはだ私は心外千万でございます。私は養蚕農家、また業界、全部がこぞって発展するようにもうほんとうに誠心誠意念願しているのであります。私はそういう熱意におきまして、またその努力におきまして、もう私以上に考えている人はないというくらいにまで考えております。またさような気持で実践しておるので、さようなお言葉だけは一つお返しさしていただきたいと思います。かように思います。
○中田吉雄君 私は福田大臣がゆめそということがあろうとは思いません。ただ、やはりまあ巷間には、福田大臣は自分のところが養蚕県でもあり、製糸業者もあり、養蚕農家もあり、そういう点ではやはり日本でも有数な養蚕地帯の立場に忠実で福田大臣が云々というようなことを、私も言ってもおりませんし、巷間にも伝えておりません。ただ、それにもかかわらず、これが強行されるというところにはいろいろうわさがされて、私たち、ここでは言いませんが、もっと別な名がうわさされているのですが、まあそういうことが単なる風説でありますように運用で一つあかしを立てていただきますことを希望しておきます。 —————————————
○委員長(堀本宜実君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、田中茂穂君が辞任され、谷口慶吉君が選任されました。 —————————————
○清澤俊英君 私はごく大臣も非常に今予算の折衝で忙しいのでしょうから、簡単にお伺いしたいと思う。ということは、今、最後に中田君が申されたこととほぼ似た問題なんです。ということは、本日から横浜の取引所が開始せられ、そこで、神戸がまだきのうまで同時開場するかどうかきまらんが、おそらくまあ外国の信用もあるから、片方がやって片一方がやらないというようなことではいかぬというので、折衝しておるからおそらく同時開場になるだろう、これがまあ前提であります。そこで、まず申し上げたいことは、こうした開場を中心にして現われて参りました一つの姿、そこで審議中にいろいろ問題になりました悪代官的な引き渡し格の拡大、これが横浜ではA格、三格を落として正格が代表になった、それから、まあ神戸では二格に逆戻りしたというようなことも聞いているのです。そうした中で、ここで開場すると、必ず横浜は、もう政府がこの法案がきょう通るのであるから、通ったらこれが中心になって糸が渡ると、こういうことを中心にして相場は下がるのだ。従いまして、これはこの新聞にも出ておりますが、そういう情勢が出て参りますと、結局商売人としては横浜で買って神戸で売るというような趨勢が出てくるのだ。そこでそれを調和するためにいろいろと今横浜と神戸で話し合っておる。神戸は高値になるのだ、どうしても高価になるのだから、こういうことで今話し合っておるということをけさ聞いた。そこで新聞を見ますと、それにほぼ似たような配下が日経に出ております。そういうことをしておりますうちに、そのうしろでは、この法案が通ると至急糸価安定審議会を開くのだからというので、大澤局長が——信じてはおりませんよ、おりませんが——盛んに策動して審議員の一人々々をくどいて歩いておる。そうしておそらく二万九千俵くらいのものが投げ出されるであろう。こういうことが反映して、おそらく見ておりなさい、相場は下がりますよ、こういう話なんです。そこで非常におかしな話だと、こう思っておりましたところ、いよいよ立ち会いが始まって、横浜では現実にこの新聞で予想せられたいろいろ の批判が飛んでおりました。そういう飛語に似た形勢が出てきておる。「横浜の相場は大幅の高値を見せておるが、これは神戸と違ってまだ制約下にあるためで、高値を売った。すみやかに……ほどいていくためで」というのですが、これは私はよく相場のことは知りませんからどういうことをするのかよく知りませんが、そのためにぐんぐんと下げておる。必ず神戸は上がるであろうから、神戸の相場を見なければこれがどうであったかということはまだはっきりしませんと、こういう電話が入ってきておる。こういうらわさが飛び、新聞には妙なことが書かれておるとき、決して私は福田農林大臣の良識が、それに類似するような大量の投げはないだろう、こう信じております。信じておりますが、少なくとも局長を中心にしてそういう工作が行なわれておるとか、現に売り出す支度をしたとか、蚕糸局においては売り出し準備が整っておるとか、こういううわさが出ることには、非常に敏感な商売人——とでも言いますか——などの勘ぐりもありましょうし、それこそ思惑もありましょうし、いろいろなことがあるかもしれませんが、まことに不快にたえない。そうして片っ端からそういうものと符節を合わしたような形で現実が出て参りますと、これは非常に農林省の威信も傷つくことであろうし、われわれ国会議員も同時に威信を傷つけられることだと思うのです。大体あれまでやったところの格の拡大が独断的にこれを改正せられるというようなこと自身が、もう農林省を全く無視した、監督権を無視したやり方である。われわれ、農林省に対して挑戦してきておるのではないか、こういうことも考えられる。私は農林省に対する挑戦だと思う。あなた方の監督などは何だい、やれるならやってみれ、こういう態度だと思う。そこで大臣はこういうこの点についてどうお考えになっておるか。今まで中田君が言うように、そういうような点があるから、ここでそういう無理な放出はしませんなんて言うことは、これはなかなか重大ですから、言っていただかぬでもよろしいでしょう。そんなことをしたらまた相場に響く。それほど敏感なものですから、そこまで言っていただかぬでもよろしいが、一つ何とかわれわれが安心をせられる御答弁を巧妙に一つお願いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) なるべくすみやかに安定羅議会を開きまして、伊様の大多数の御意見を尊重いたしまして善処して参るつもりでおります。
○清澤俊英君 われわれが心配していることがないように……。 これで終わります。
○委員長(堀本宜実君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀本宜実君) 御異議がないと認めます。 ちょっと速記をとめて。 午後四時二十一分速記中止 —————・————— 午後四時五十三分速記開始
○委員長(堀本宜実君) 速記をつけて。 それではしばらく休憩いたします。 午後四時五十四分休憩 —————・————— 午後四時丘十六分開会
○委員長(堀本宜実君) 委員会を再附いたします。 議題に追加して、果樹農業振興の件を議題にいたします。 この件について櫻井委員から発言を求められておりますので、この際、発言を願います。
○櫻井志郎君 果樹振興につきましては、政府はいろいろ御努力をなさっておられることは、私もよく承知いたしておるところでありまして、昭和二十五年の生産と三十三年とを比べましても、二・五倍になっておりますし、また、最近内需はもちろんのこと、輸出の点を見ましても、昭和三十三年には二十六年に比べまして五倍、八十三億という数字になってきております。今後、日本の農政を推進していく立場において、畜産の振興の問題と、果樹園芸の振興の問題は非常に重大な問題だと、かように考えておるわけでありますが、政府の方におかれては、その振興に関する法律案もいろいろ考えておいでになるようでありますし、また、現在の果樹園芸等に関する行政機構は、生産につきましては振興局、流通及び消費については農林経済局、加工については食糧庁というふうに、三つの局、庁にわたっておって、その間必ずしも円滑な行政が行なおれておるとも考えておりません。政府においては、と申しましょうか、農林省においては、園芸果樹部の新設という構想もお持ちになっておるようであります。私どもは、農政の推進という立場において、この問題を強力に推進実現していくために、この農林水産委員会において決議をいたしたい、かように考えるものでございます。その決議案文についてお諮り申し上げたいと存じます。 果樹農業の振興に関する決議(案) 果樹農業は、わが国農業発展の基本的な方向として期待されるところ極めて大なるものがあり、かつ、社会経済上及び国民生活上も重要な役割を担つていることにかんがみ、政府は、この際果樹農業振興のため次の措置を講ずべきである。 一、果樹農業振興に関する法律の制定を図ること。 二、果樹農業振興のため必要な予算を確保すること。 三、果樹農業振興に関する行政機構を整備し、農林省に「果樹農業部」(仮称)を設置すること。 右決議する。 かような決議案をお諮り申し上げたいと存じます。
○委員長(堀本宜実君) ただいまの櫻井委員の提案にかかる決議案を当委員会の決議とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀本宜実君) 御異議がないと認め、そのように決定いたします。 この際、本決議案について政府の所見を求めます。
○国務大臣(福田赳夫君) 果樹農業が非常に重要な地位を占めて参りました今日の段階におきまして、ただいまその推進に関する決議をいただきまして、まことにありがとうございました。政府といたしましては極力この御決議の御趣旨に従いまして善処、努力をいたしたいと思います。(拍手)
○委員長(堀本宜実君) ここで三十分間休憩いたします。 午後五時一分休憩 —————・————— 午後七時十三分開会
○委員長(堀本宜実君) 委員会を再開いたします。 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題にいたします。本案は、先ほど質疑を終局しておりますので、直ちに討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○櫻井志郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。 このところ、斜陽産業とさえ酷評されておりますわが蚕糸業は、最近、内外における生糸及び絹織物の需要の増大にささえられて盛況を取り戻し、今後に明るい希望を持つことができるような傾向を示して参りました。しかして、その原因としては、内外における景気の上昇がおもなるものであることはもちろんでありますが、さらに、繭糸価格の安定に関する臨時措置法の制定と、これにあわせて、政府においてとられたいろいろな措置が効を奏したことも事実であると思うのであります。ところが、最近、臨時措置法によって、政府が取得した生糸がなくなるに伴って、糸価は漸次上昇を続け、これをこのままに放任するときは、ついには糸価の異常な高騰を来たし、その結果は、需要の減退を招き、せっかく復興のきざしの見えた蚕糸業は、再びかつて経験した悲運に陥ることが心配されるのであります。かような情勢に対処して、政府が繭糸価格安定法によって取得し、保有している生糸を活用して糸価の適正安定をはかろうとする本法律案による企図は、まことに当を得たものと認められ、ここに賛意を表する次第であります。 しかしてこの法案が提出されてから今日まで相当の時日を経たため、その間に事情はだいぶ変わってきたのでありますが、政府はかかる変化に対処して即応の措置をとることを言明しておられるのでありまして、この点も了解できるところであります。しかし、本法律案は、一度その運用を誤りますときはきわめて重大な結果を引き起こすことが心配され、また、蚕糸業の現況は将来の安定的発展のため絶好の時期と思われるのでありますが、従来の蚕糸政策並びに繭糸価格の安定制度は検討を要する点が多く残されておりますから、この機会に政府においては本法案の運用を適正ならしめるとともに、蚕糸業の振興に最善を尽くすことを求めて、次の付帯決議案を提出いたします。すなわち、 この法律案が成立後において、生糸の売渡方法等について、政府は速かに繭糸価格安定審議会の意見をきき、次の十項を考慮して遺憾なく措置すべきである。 一、売渡の際、その予定価格は生産者等の立場を尊重し生糸の実勢価格の推移を検討してこれを決定すること。 二、売渡の時期及び数量については、これが直ちに市価に影響を与えることを考慮し其の放出に当つては一時に全量放出することなく打続的安定を得る様慎重を期すること。 三、売渡先の選定に当ってはこれが直接輸出並びに織物の生産等の実需者に限定し、実需を伴わない転売等によって投機的利潤を与える結果にならないよう充分留意すること。 以上であります。全会一致の御賛成をお願いいたします。
○清澤俊英君 私は日本社会党を代表して、本案に反対の意見を述べたいと思います。 本案は、わずか時間にして百時間足らずで、ただ一ヵ条を変更する、表から見ますると、非常にまあ大した問題でないように見えておりますが、本改正案が通りますれば、繭糸価格安定法を死文化しまして、実質的に廃案とするのであります。そういう結果が出てくるのであります。繭糸価格安定法の精神が、上値を二十三万円で抑えて、下値を十九万円で抑え、その値幅の中において糸価を安定せしめていくことを目的とした法律でありまして、その目的を達するために、下値を割った場合、政府がある程度の糸を買い上げて保有し、上値を破って高騰するというおそれが出ました場合に、売り払って高騰を押える仕組みであることは、私が申すまでもありません、皆さんよく御承知のことであります。しかも、支持価格は繭糸価格安定審議会に諮問して政府が定めることになっておるのであります。 本改正案は、本委員会における審議の過程及び本年一三月三十一日の繭糸価格安定審議会会議録等において明白のごとく、政府は十八万円を上値とし、下値十四万円として、理想糸価を十七万円とするために提出された改正法案であります。このことは、まず繭糸価格安定法を空文化しまして、実質上廃案とするのであって、重大な内容を持つものであります。私は、かかる重大なる支持価格を変更する法案を提出をするものならば、当然価格安定審議会に諮り、かつ価格安定審議会において、かりに十八万円、十四万円の線が決定せられたとしまするならば、当然振興審議会にかけてその見を徴すべきが正当であると考えるのであります。ともに十八万円の糸価にては、政府提出資料をもっていたしましても、繭価は原価割れとなり、生産農民が重大な破滅に陥るのであります。これらの点に一つの省みるところもなく、独断的に、何らの手続も踏ます、政府の考え方だけで本案を提出するがごときは、全く法の精神を踏みにじる独善的思い上がりもはなはだしいものと思うのであります。 なお、手持ち糸全部を放出するがごときは繭糸価格安定法を全く死文化するのであります。その活用を軽視する暴挙と言わなければなりません。しかも、本文正案が通過後、繭糸価格安定法にいろいろ改正すべき点があるから、抜本的改正の要があるから、事が済んでから、いろいろ御相談をいたしまして繭糸価格安定法を新たに変えるというに至りましては、われわれはあぜんたらざるを得ないのであります。 われわれは、かかる不法な手続によって思い上がった法案には、ます第一番に手続上反対をして参りたいと思うのであります。 第二番目には、私は支持価格の問題であります。私は上値十八万円、下値十四万円、標準価十七万円という独断支持価格の不当性については、先にも申し上げました通り、生糸の生産費、農林省算出によっても繭一貫目当たり千五百五十六円、指導費三十四円、製糸費四万七千九百十一円といたしまするならば、生糸一俵当たり二十万一千八百四十一円となっておるのでありまして糸価が十八万円とすれば繭価は千二百円ほどとなり、最低十四万円の場合は千十二円十一銭となり、養蚕農民にみすみす生産費に合わない損害を与えるのでありまして、農業経営の破綻を来たし、生活の安定を欠くがごとき無謀な法案には何としても賛成できないのであります。しかし、繭も商品でありますから、売れぬ場合は、幾ら損だから得だからと申しましても、損して売らねばならぬ場合もありましょう。こういう場合どう農民を守り、経営を維持せしめるかか農林省の役目であるとわれわれは考えておるのであります。農林水産委員の重要な任務もここにあると思うのであります。市価の債勢をどう見るかということは、これは重大な問題であります。昨年の異常な混乱相場から生糸並びに織物の需要は世界景気の立ち直りを裏づけといたしまして、最近におきましては、昨年の手持ち糸の不足もあり、内外ともに需要が増大してじわじわと値段は引き返し、昨今は高値二十万五千円にも達しておるのであります。しかもこの間政府は十八万円価格支持をもって臨時措置法による保有生糸の約五万六千俵が市場に流されておるのであります。しかも、二月から七月までの間において現われた糸価の動きは、ことに重大な問題であると思うのであります。二月から七月までの間に、政府は臨時措置法による現物を約五万七千俵を流されたのでありますが、現物の景気も、いずれも十八万円以下、十六、七万円台を動いておる際に放出しておられますが、しかも、その放出価格は十八万円で売れているということには、これには重大なものがうしろに隠されておると考えなければならぬのであります。こういう状態に対しまして、政府は最も慎重な態度が必要なのでありますが、しかるに、政府はあくまで十八万円を固執して、十八万円で政府手持糸を流そうとしておるのであります。支持価格については、正当の機関に諮り、十分に議を尽くすべきであったと返す返すも残念に思うのであります。大体十八万円、十四万円の支持価格は、正当の価格ではない、異常価格と申されているのであります。すなわち、この価格が出て参りましたことは、皆さんが御承知の通り、昨年三十三年度におきまして繭が異常に下落をいたしまして、その際に臨時に政府がとって参りました処置としていわゆる十四万円糸価、二千円繭を決定せられた際に、その手持糸を処理するために異常な価格の中にきめられたのがこの十八万円並びに十八万円を最高とし、底値十四万円とし、繭価を一千円とする価格になっているのであります。これは全く異常価格であって、決して平常な価格とは申されぬのであります。だから、世間一般にこの価格を異常価格と申しているのであります。そこで、その後かかりましたところの蚕糸審議会におきましては、これに対しまして、だから繭糸価格安定法の精神を生かしまして、二十三万円という最高価格を一方にきめ、臨時措置法によりますところの価格を十八万、同じ一つの繭価格に対しまして、二つの価格を、最高値をもっているのであります。これは少なくとも、たんのうなる業者が考えました、これは非常に考慮のある、深みを持った私は決定であると思うのであります。従いまして、先ほど申しましたような値段がじりじりと上がって参りますることは、これは当然でありまして、しかもこの趨勢の中から敏感な商人が、敏感な業者が決して異常な何か経済界の変動でもない限り、私は決して無理な相場は立ってこないと思うのであります。結局しますならば、ほっておきましても、糸が売れなくなり、あるいは織物が売れなくなるとしますならば、それは買っていくものがだんだんなくなって、自然に適正な実勢価格というものが生まれるという目安のもとに二十三万円という線を残して、そうして二つの上値決定をしておいたのだと考えるのであります。それを政府がただ単に売れるということだけを中心にして十八万円だけで、本法案のようなものを強行せられるといたしましたならば、これは重大な問題になるのであります。今日いろいろな問題が生じておりますることは、とりもなおさず私は十八万円で出すという、それを中心にした一つの混乱が出ていると思うのであります。その混乱を簡単に申し上げてみまするならば、少なくとも織屋さんでありますとか、あっるいは生糸の輸出商とかいうものが、これは安価であればよく売れるのでありますから、これを支持したいと考えるのであります。あるいは製糸屋さんであるとか、高い繭を買った生糸屋さんであるとかになりまするならば、これはとうてい売れない値段でありまするから、従いまして、十八万円には反対している。そしてそういういろいろな利害得失が相錯綜した中に、おのおのの立場を中心にした思惑が生じてくると思うのであります。その思惑がいろいろな疑惑を今生んで混乱しているのが最近の私は相場であると考えておるのであります。そうしてしかもそういう混乱の中で出ておりまする一つの姿を見まするならば、これはいろいろな思惑が講じられている、こういうことを聞くのであります。そのはなはだしいものにおきましては、この十八万円というものを同じ製糸屋さんの中でもこれを支持している一部があるのであります。関西五社を中心にした製糸家は十八万円で抑えて、そして損のいく価格を、これを支持しているという話も聞いているのであります。これは結局しまするならば、今日の、後ほども申し上げますが、今日の製糸業に一番障害を来たしておりますることは、製糸の過程におきまして、坐繰り、機械製糸、自動機というようないろいろな機械がありまして、しかもその機械を中心にした経営形体が種々雑多になっておるのであります。従いましてそういう状態が不自然な繭の買付競争等によりまして、経営上の大混乱を来たしておりまするから、従いまして、大製糸はこの年末において糸価の暴落を来たしてそうして手持糸をたくさんかかえこんでいる小さい糸屋さんが困って投げ出すことを待って、整理をしようというような含みがあるというような評判さへ立っておるのでありますが、この評判がはたしてほんとうであるか、あるいはうそであるかは別といたしまして、大きな関西五社というようなものが十八万円を支持し、その他の残余の製糸業者がこれに対しまして、絶対反対をしておりますることは、高い繭を買った製糸家として、先日も安田さんが証明せられた通り、これは無理からぬことであろうと思います。これは当然起きる一つの混乱だと思う。そういういろいろの思惑は、これは雑多に今起きていることでありまして決して今ありまするところの市場に現われておる糸価というものは、こういう思惑をいろいろ総合した上に立っているのでありますから、これはわれわれとしては正当な実勢とも考えられない状態であります。だから糸がどこへいくのだか、値段はどこへいくのだか、何が何だかさっぱりわからないというような現実の状態であります。これはちょうど昨年、三十二年度の末から三十三年度にかけまして、糸価がするする暴落して参りましたとき、高い手持ちの糸を持っております者たちが、非常にあわ食いまして十九万円の最低の価格で政府に買い上げてもらおうという運動を強力に進めるために、いろいろな方便をして、そうして十分に買い上げてもらうことを中心にして、みずから価格を下げた手合いが断じてないとは言われません。そうすることによってその一つの現われとして出て参りましたことが、いわゆる早引き、早逃げ、そうして政府に早売り、こうした言葉がはやりました当時、手持ちの繭をどんどんと生糸にして、短操をやれというのに短操もへちまもあったものではないということばかりにどんどんそれを糸にしてしまいまして、そうして政府に売りつけております。そうして繭の損害を、原料仕入れの損害を政府に肩がわりしようとした、それを合理化するために誇大な声を上げましたことがみずからの勢いをだんだんと大きくして、相場を混乱さしたと同じ結果が、今政府が十八万円で売るのだということを中心にして、大混乱を起こしているのであります。そうしまして、昨年は結局しまするならば、それに馬乗りしまして、政府はしまいに夏秋蚕の対策に対しましては十六万円、千二百円繭が正当であるとか、あるいはこれに決定するのであるなどということを新聞なども放送して、その後に至りましては十月ごろになりますれば十四万円、千円繭を放送して、そうして最後には十二月に至りまして十四万円最低価格、千円繭を決定して、そうしてはとんど夏秋蚕全体を、農民の上には千円で決定さしたという、はなはだもって農民自身に全部をしわ寄せた形で今出ておるのであります。こういう形が出て参りましたことも、私に言わせまするならば、昨年、三十三年度の繭の混乱に対しまする政府の定見がなかった、見通しがなかった、ただその混乱にあわてふためいて、そうしてただ大勢と申しますか、あるいは回りの示唆といいますか、そういうものに追随したということが、とれもなおさず昨年のような大混乱を来たしたので、その際きめられたのが、いわゆる十八万円最高、十四万円最低の異常価格であります。それをもって全体を今ここで安定価格としようとするのがこの法案の骨子でありまするから、従いまして、私はこの十八万円価格というものは、まだどうしても安定価格として用うべき線であるかどうかということはわからぬのであります。世間一般ではこれはまだ異常価格の部類に属すると言っておるのであります。そこで大きな思惑ができて、その思惑が先に申しました通り、いろいろな私どもの審議のうちに現われました通りの、いろいろな今問題を起こしている。あるいは先日来また政治上にも見のがすことのできない忌まわしい声もかかるのであります。結局すれば、十八万円でどうしても政府がこれを投げ出すことは、自由党の大親分がうしろについていてこれをやっているんであるとか、あるいは——私はそういうことは信じませんよ——やっておるのであるとか何とかいうようなことがありましたり、あるいは横浜取引所と政府の局長——蚕糸局長が結託して、そうして相場を下げてもうけるんだろうとか何とかいうようなことが、盛んに言われるような混乱状態を来たしておるのが、結局こういう無理をしたからでありまして、こういう価格を私はきめられますることは 一つは価格それ自身が私は不当であると同時に、農民から見まするならば、現に生産費を割るごとき、こういう十八万円というようなものの価格決定に対しては、社会党は断固反対していかなければならないのであります。これが反対の第二であります。 私は第三番目として申し上げたいことは、この価格決定をかりにいたしまするとするならば、先ほども申し上げました通り、すでに養蚕が生産費割れをいたしまして、そうして先ほどの中田君等の質問に答えられている通り、約七割の農民が現に損をすることがわかっているのであります。そのわかっているにかかわらず、何らそれに対する処置を講じないで、これはどうなるんだと聞きますれば、これからやるんだ、一方において価格は安定して販売は伸びていく、こういうことを考えられましても、生産農民から見まするならば殺されるということであります。それに対する何らの処置も講じておられない。そこで私どもは、本年の予算書をとりまして、蚕糸の予算がどれくらいであるか、こういうことを考えて見ましても、これらに対する考慮は一つも考えていないのであります。養蚕農民は消えてなくなれ、こういうことだから、こういうものを放置して参りますれば、先日内林君がここで証言いたしました通り、農民はしまいにあきれ返って、損してまで繭は作られませんから、幾ら価格を安定さして、これがだんだん輸出の振興をはかるなどと言いましても、農民の方からごめんこうむりまして、だんだん作らぬことになるでありましょう。これが続けられますならば、私は常に農民と一結におりますが、農民の心理としては、ほんとうにこの繭が五百円でも、八百円でも、千円でも作らなければならないところに置かれる農民だけが作ることであって、少しでも他に利益のあるような場所の農民は全部やめるでありましょう、こういうことが私は考えられる。その上、ほんとうにこれまでの価格を統制して、そうして振興をするとしまするならば、先ほども申し上げました通り、この糸価を決定し、蚕糸を正しくして参りまするには、私は製糸の段階において政府がもっとしっかりした打つべき手をとらなければならぬと思います。今日の繭の価格の混乱は、まず製糸段階において、先ほども申しまする通り、製糸機械である設備を中心にして、大きな設備もあり小さな設備もあり、しかも、その持ちまするところの製糸機械が座繰りであるとか、あるいは機械製糸であるとか、自動機であるとか、こういうようなばらばらな製糸機械が、しかも、繭の需要を上回った倍くらいの生産能力を余した生産力を持って存在しておるのでありますから、従いまして、そこには大きな繭の買い入れの不当な競争が行なわれたり、いろいろなそこに無理ができて参りまして、それらがまず混乱の第一原因をなしていることは、はっきりわかっているのでありますから、従いまして、生糸製造設備の整備法をもって、国費を投じてこれの整理に当たっておられまするが、聞きますところによりますならば、これによって整理をせられた機械というものは、ほとんどスクラップであって、使われないものがまあ売れた。こういう格好で、たまたま売れたとしまするならば、これは自動機に変わった、かえって生産を増大する、決して生糸製造設備の整備の目的は達しておらない、これが一般の人が言うておる実情であります。私は政府でないですから、これは調べておりませんが、これはすべての人が言っている。こういうものも全部放置して、十八方円だけで物を片づけようなどということは、これはとんでもない話だと思う。これはあまりに私はずさんなものの考え方であり、小さい製糸家や、あるいは養蚕家だけを犠牲にして、そうして一方的な考え方をもって他の物を顧みず、ただ売れればよい、これだけのことできめられたのが、この十八万円の価格を堅持していこうとする無謀な法案であると思いますので、右三点を中心にして、われわれ社会党は絶対反対をするのであります。(拍手)
○千田正君 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案がただいま上程されておりまするが、こういう法案が出なくちゃならなかった、こういうことは、まことに私は残念に思うのであります。しかしながら、われわれ農水委員会の一員として、私はもしこの法案が出なかったらどうなったかということを逆に考えまするというと、国際的な生糸並びにこれを中心とした思惑投書等が盛んに行なわれる結果が、そのしわ寄せが、農民あるいは中小企業者に押し寄せてくる。その大体の問題としましては、すでに皆さん御承知の通り、繭糸価格安定法ができでておるにもかかわりませず、現在あのような取引が行なわれて何かをもってこれを一応押え、そうして農民のために、あるいは消費者のために安定した方法をこの際とらなくてはならないというところに追いやられたところに、この繭糸価格の安定に関する臨時措置法が出たものと思うのであります。しかしながら、いろいろ論議の過程におきましても、幾多の欠点があげられ、これを今後においても、この法案が出た後におきましても、いろいろ工夫をし、また規制もしなければならない問題があると思います。とりあえずの問題としましては、この法案と同時に、先ほど機井君から提案されておりますところの付帯決議が出ておりますので、この法案に、さらにその裏づけとしての三項目にわたる付帯決議を付けまして、そうして今後農林当局といたしましては、あくまで生産者あるいは企業者の立場を守って、今後の運営に十分なる措置を講ずるよう、特に希望いたしまして、私はこの法案に賛成の意を表すると同時に、付帯決議を合しました法案に賛成をするものであります。(拍手)
○小笠原二三男君 討論の段階における手続上の問題から、本案に対しましては、同僚委員の清澤君から反対討論のあった趣旨の通りでございますが、こうして見ますと、多数党の支持を得てこの原案が成立する可能性が大である。従って、私は本案が葬り去られることを期待するのでありますが、討論の手続としましては、ただいま通過されまして、この法案が実施に移るにあたって、運用について、櫻井君から提案されました各会派共同作成になる付帯決議案に対して賛成の意見を述べておき、政府にも善処を促したいと思うのでございます。衆議院におきまして、本案成立に関し決議がなされております。その決議には、繭糸価格安定審議会を開いて意見を聞いて、この法案の執行に当たれということでございますが、私たちもその意見に賛成しまして、結局、本案が提案されました動機は、清澤委員が申し上げたごとく、強くこれを排除しなければなりませんが、審議の経過から申しまして現行の臨時措置法による十八万円堅持の線がくずれ去ったのでございますから、従って、これが適正な最高価格とはみなされないとわれわれは断定するのであります。そこで、売り渡しの価格並びにその時期、その数量、あるいは売り渡し先等について、十分な配慮をすることによって、本案の傷を少しでも救済する必要がある、こういう考え方で、審議会にはかる場合の政府の態度として、櫻井君提案のような三項にわたる趣意が必ずや生かされるように処置してもらいたい、このことについて、われわれも心から賛成をし、主張するものであります。 そこで、まず第一項の、売り渡しの際の予定価格と記載しましたのは、これは衆議院の付帯決議を受けて、公正な競争によって入手させるということでございまするから、指名入札、一般入札等の方法がございましょう。しかし、本審議会の審議の経過から言いますと、どういう方法でいきたいかということについては、政府の言明がありますのでそれを了としてこの第一項は受けているために、予定価格についての配慮を願っておるわけであります。その際、生産者等の立場を尊重するということは、あくまでもやはり繭糸価格の安定という精神に沿い、われわれ当委員会の使命とする養蚕農家の立場が守られなければならぬという趣意に立つものであります。正直申しまして安定法による最高価格三十三万円、政府発表の生産費二十万一千円、こういうものが一応あり、今日の実勢価格が最低の十九万をはるかに上回るような十九万八千程度になっておる段階におきましては、少なくとも、それらの配慮なくして十八万円の線でこのことが売り渡される、それが入札によるからそれがイコール時価であり、やむなしとする態度については私たちは同意しがたいのであります。そこがすなわち「実勢価格の推移を検討して」ということとうらはらになって、新しい実質最高価格がいかにあるべきであるか、そのことによって売り渡しも売りどめもするという自由な立場が蚕糸行政として政府側に現にあるということを示しておかなければならない、こういう建前をとってこの第一項を趣旨として賛成するものであります 第二項の「売渡の時期及び数量について」はこの通りでありますが、「一時に全量放出することなく」という言葉に拘泥して、二度ならよかろう、こういうようなその反対解釈をして便宜措置に出るということでは断じてないのでありまして、その後段にありまする「持続的安定を得る様慎重を期する」というところに主眼があると考えるのであります。持続的安定を期するということを願うのは、来年度の生糸年度におきましても春繭の相場その他に直ちに影響してくることでありまするから、それらも十分勘案されることを期待しつつこういう表現をもって慎重を期していただきたいと願っておるのでございます。参考人の公述等の大勢を占めた意見等を聴取します際に、われわれとしては、放出の仕方については、その数量については幾多意見は持っておりますが、この点については、各方面に影響するところが大きいと思いますので、この際その主張は申し上げません。しかし、この一も二も、われわれ審議の過程において秘密懇談会で自由な懇談をいたしました際に大勢を支配した当委員会の意見というものがあるのでございまするから、その点は政府側においても十分尊重していただかなければなりませんし、本日の理事打合会におきましてこの原案を作成する過程において政府当事者より各種の意見を聴取いたしましたが、それらの意見が十分実行し得るようにわれわれとしては期待したいところでございます。 三の売り渡し先の選定という点につきましては、衆議院の付帯決議にもございますように、実需者をして公正な競争により確実にこれを入手せしむるという趣意をこの際生かし、なおかつ、これを具体化したものでございまして、真に実需者に直接渡るように、そしていろいろな操作によって不当な利益を受けるというようなものにこの貴重な現物が渡っていくというようなことのないように慎重に配慮してもらいたいということを申し上げておるのでございます。残念ながら本法案が通過する大勢にありますので、次善の策として、少なくとも本法案をあくまでも生産者の立場に立ち、また輸出その他各般の状況も考慮しつつ今日までの不当なる十八万堅持の実質最高価格を破棄した新しい態勢で進められるということを私は期待するのであります。しかも、衆議院の付帯決議におきましては、すみやかに蚕糸業振興審議会に諮って蚕糸業総合対策価格安定制度等について成案を得て通常国会にこれを提案することを求められておりますので、政府はこの意見を、意思を尊重する建前であろうと思います。従って、本法案によって放出されたものの価格の推移等を見る段階には抜本的な対策に関する法案が当委員会においても審議せらるる立場になるのでありますから、当委員会の意思をみだりにじゅうりんして、そうして政府がこの是案の動機となったようなそういう過去の事態のままにおいてこの四万五千俵のそれを放出するというようなことになるならば、われわれとしては抜本的な対策法案を審議するにあたっては、これは非常に重大なものの考え方をしなければならぬのであります。あくまでも当委員会の意思のあるところを政府としては了とせられて慎重な配慮のもとにこれが執行に当たられるように期待するものであります。 以上申し述べまして櫻井君提案の決議案に賛成するものであります。
○委員長(堀本宜実君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(堀本宜実君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 次に、討論中に申し述べられました櫻井君提出の付帯決議案を議題といたします。 櫻井君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(堀本宜実君) 全会一致と認めます。よって、櫻井君提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀本宜実君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。 ただいまの付帯決議について政府の所見を伺います。
○政府委員(小枝一雄君) ただいま御決定になりました本案に対する付帯決議は、本委員会において全会一致をもって御決議になったものでございまして、政府といたしましては、その御趣旨を尊重いたしまして善処する所存でございます。
○委員長(堀本宜実君) 本日はこれをもって散会いたします。 午後八時三分散会