農林水産委員会 第9号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/11/27
会議録
○委員長(堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。 蚕糸政策に関する件を議題にいたします。この件について、清澤委員及び中田委員から御質問の御要求がありますから、この際、御質疑を願うことにいたします。
○清澤俊英君 ただいま当委員会に繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法案が出ておりますが、これは諸般の情勢で、まだ衆議院の方で提案の説明も済んでおらないような様子でありますので、従いまして、参議院の本委員会も、この法案についての審議は差し控えたいと考えておりますので、従いまして、法案に関する部分はなるべくのけまして、ごく簡単に蚕糸政策に対して最近政府のとられておる方向について一、二お伺いしておきたいことがあります。ということは、いずれ臨時指貫法の一部改正案が提案されました際、いろいろ参考資料として重安性を持つと思いますのでお伺いしたいと思っているのです。 まず第一点としてお伺いしたいことは数点ありますが、今年の五月ころかと思いますが、政府が手持ち乾繭を糸にひくために、入札をもってこれを数日に分けて割り当てられたのでありますが、その後両回にわたって、新聞を拝見しますと、繭のひき代といいますか、請け負いました繭に対する糸を、十二月まで納期を延ばしてもらう、それが決定されたという新聞を見たのでありますが、その後また当然繭を受け取って、その上糸をひきまするひき賃の代金を政府から受け取ってやるのでありますから、従いまして、工賃ひきをするその糸の納入を、大体当時の糸価格になるまで当分の間延ばすというような新聞を見ておりますが、この工賃ひきに出された糸が今どういう形になっていますか。詳細に一つお知らせを願いたい。
○政府委員(大澤融君) 昨年春繭をたな上げいたしまして、その繭を今年の二月の末であったと思いますが、それで繭をずっと保管会社が持っておるわけにいきませんので、繭を渡して糸にかえてもらう、その交換の差金を払った。糸にひくという措置をとったわけです。そこで今お話がありましたように、五月末をその糸の納期というふうにしておったわけでありますが、御承知のように、生糸の端境期でありまして、生糸の需給関係も強含みというような状態でありましたので、糸を納入するために市場から生糸が引き上げられるということは、むしろない方が需給関係にとってはよろしいということで、納期を十二月末まで延長したわけです。そこで今日までの納入の状況でございますが、今、私手元に数字を持っていますが、十一月二十五日の集計が四千九百五俵、それから納めました保証金を差し出したまま契約を解除いたしましたものが今までのところ二千四百三十俵、こういうことになっております。納める数量といたしまして、全体として正確な数字をちょっと記憶しておりませんが、約一万二千俵だったと思います。そこで今の数量を引きまして、あと残っておりますものが約五千俵程度でございます。
○清澤俊英君 これは原糸でお取りになったのですか。それとも代金相殺でお取りになったのですか。
○政府委員(大澤融君) 糸で納入をした分でございます。それが今申し上げましたように四千九百五俵、それから繭を持っていって、保証金が入っておるわけですが、保証金を捨てて契約を解除したものが二千四百三十俵、ですからこっちは糸で入ってない、こういうことです。
○清澤俊英君 保証金を捨てて、繭を政府の方に返して、そして契約を破棄した、これが二千四百三十俵というのですか。
○政府委員(大澤融君) 繭代部分だけの保証金を金利を含めて取ってあるわけです。それを捨てて契約を解除する。繭はこちらへ戻すというわけではございません、実質的には。ですから、その保証金にさらに金利を含めた分でその繭を買い取ったという実質的な形になっております。
○清澤俊英君 そうすると、売ったということになるのですね、形は。
○政府委員(大澤融君) 実質的にはそういうことであります。
○清澤俊英君 それをしましたあとが五千俵分残っておる、こういうことになるのですか。
○政府委員(大澤融君) ですから実質的に繭として引き取って、糸を持ってこない分が申し上げました二千何俵、それから繭を引き取って、糸を持ってきて工賃を受け取ったというのが申し上げました四千九百五俵、四千九百五俵と二千四百三十俵を足したものを全部の予定の一万二千俵から引いた残りが約五千俵、こういうことです。その約五千俵というものがまだ解決がつかないで、納期までに解決をつけたい、こういうことになっております。
○清澤俊英君 この二月の末日に賃びきをさせられた繭の全量は大体幾らに納っておるのですか。
○政府委員(大澤融君) これも正確な数字をちょっと記憶しませんが、約百二十が貫です。正確な数字は後ほどお手元までお届けいたします。
○清澤俊英君 そうすると、今手持ちの繭はどれくらいでありますか。
○政府委員(大澤融君) 政府としては、保管会社には繭としての手持ちはございません。
○清澤俊英君 それだからどうもわからぬで弱るのですね。昨年の夏秋蚕対策で、いろいろ手持ち繭が問題になった際、私が養連からもらいました資料からしましても、大体二百七十万貫ほどになっておりまして、なお三百万貫に達するであろう、こういっているのですが、そのうち百二十万貫、その分だけ余りますね。
○政府委員(大澤融君) 先ほどの百二十万貫は昨年の春繭のときにたな上げした分です。それから今おっしゃった三百万貫というのは、夏秋蚕のときに三百万貫を一貫目一千二百円で買うという法律ができたわけですけれども、それによりまして買わせようという予定で共同保管した数字が今清澤先生が言われた数字だと思いますけれども、結果において夏秋蚕は一つも買わなかったのです。ですから、政府なり保管会社の手持ちになりましたものは、昨年の春繭のときの大体百二十万貫、それだけでございます。
○清澤俊英君 ちょうだいしましたこの資料の中に払い下げの数字が別々に出ていたと思いますが、ちょっと見つかりませんが、季別に書いてあったと思うのですがね。これとはどういう関係になりますか。ちょうだいしました資料の二ページの政府売り渡し俵数欄にある二万六千三百六十三俵との関連ではどうなっておりますか。
○政府委員(大澤融君) これは政府が持っている臨時措置法の糸の売り渡し数量です。従いまして今日まで五万俵程度の交換生糸が入っておりますが、それが政府の手に入って、また売り出されたというものがあるはずですが、その数量もこの中には入っておるはずです。
○清澤俊英君 ただいま保証金を投げ出して繭を引き取ったというこの分は、大体いつごろ行なわれたのですか。一ぺんで行なわれたのですか、数ヵ月にわたってこれが行なわれたのですか。
○政府委員(大澤融君) そうです。その通り数ヵ月にわたって行なわれているわけです。
○清澤俊英君 これはあまりこまかしいことを幾らなにしていても切りがありませんから、あとで資料でちょうだいすることにいたします。俵数ではどうも納得しませんので、これは、繭を買ったならば、どこへ何月、どういう契約発注による引き渡し繭何貫目というふうにして、契約当時の状況と一緒に知らせていただきたいと思います。 それからあとの五千俵というやつは、五千俵じゃどうもこれもおかしな話ですから、やはりこれは繭で出していただきたい。残ったものは、引き取りにならぬければ、渡したものは繭なんですから、そういう資料を出していただきたい。 それはそれで終りますが、それで、納期が非常におくれておる五千俵等のものは、契約の内容がどうなっておりますか存じませんが、これらに対する価格と同時に、現品でない場合には、どういうふうにしてこれを解決せられるのか。あるいはどうしても現品をとられるのか。または現品でなかったならば、契約納期から今日まで遅延しました繭の原価に対しての金利等の計算は、どういうふうに取り扱っていられるのか、そういう点を一つお伺いしておきたい。
○政府委員(大澤融君) 繭を引き取って、糸にして持ってくるわけでありますから、その繭の価格と、それから納期が十二月までということならば、十二月までの二銭三厘の金利を加算したものを、現金でない面がありますが、手形で保証金としてとっております。従いまして、そういう納期までに納めないというものは、その金額を、金利を含めたものを、保管会社の方へ差し出す。ですから、先ほど申し上げましたように、繭を実質的にその価格で買い取るという形になるわけです。それから、今度は、納期までに交換生糸を現物として持ってこられる方には、その保証金を返して、それから、交換差金として契約しております差金を支払っておる、こういうことになって解決するわけです。いずれにしましても、納期までにそういう形で解決がつくわけであります。
○清澤俊英君 問題は、そこらにあるのじゃないでしょうかね。契約したときは、二月の末日だというのですから、二月の末日といいますと、約十七万円に達したかどうか、こういうことになるわけです。十七万円の契約で、金利をつけた手形を受け取る、繭は糸にしてしまう、かりに、悪くいえば、それを売り払ってしまう、そこで納品する生糸そのままにして現在まで持ち越せば、昨今のごとく値上がりして、二十万台となっておる。従いまして、少しくらいの金利がついたとしても、これはだれでもとりたい方法です。全部がしたい方法だと思うんです。私でもやります。これじゃ、商売を知らない農林省とはいいながら、あまりおかしな話じゃないかと思うんだ。糸なんて一つも返ってこないという方法なんです。そこらが、私は実は聞きたいのです。今までどういうふうにそういう点を取り扱っていられたか、あと約五千俵分あるというのですから、約五十万貫繭があります。農民は、大体幾らの繭を政府へ売ったことになっているんですか。大体私はわかっている。ほとんど生産費につかないぎりぎりの千円という繭を農民は出しているんだから。いたずらにある部分の者に、自然的にもうけさせるような方法になってしまっているのじゃないか、私は全く不満にたえない。お伺いしますが、だれが一体そういう処置をとるのだということをきめられたのですか、まずそれからお伺いします。
○政府委員(大澤融君) 今の御質問の点ですが、繭代金といたしましては、概算でありますが、一俵当たり約十六万円、それに、たとえば十月までに納めるということならば、それに相当する金利といたしまして約一万円、そのほかにそれだけの保証金を納入しておるわけです。従いまして、政府なり保管会社といたしましては、現実の繭代金、それから、それに相当する金利というものは、保証金でとっておるのでありまして、今、先生が言われたようなことはないはずであります。
○清澤俊英君 十六万円をとっているといいましても、十六万円というのは、一儀の値段でしょう。
○政府委員(大澤融君) 繭の代金であります。
○清澤俊英君 繭の代金というのは、どういう代金なんですか。一貫目幾らになるんですか。
○政府委員(大澤融君) 一貫目約千六百円です。
○清澤俊英君 これはまたあとで一つ調べてお伺いします。どうも納得しません。 次にお伺いしたいのは、最近、今月の十人日ごろに、今、提案せられておりまする臨時措置法が、国会においてもたついておりますので、それの別法としてですか、繭糸安定法の十二条でしたかを適用せられて、手持ち糸のうち三万俵を交換糸として市場へ売り出す、こういうことを決定せられて、そのうち五千俵を入札に付せられた、入札に付せられましたので、これの申し入れの数量が売り出しの数量よりは非常にたくさん売り出された、こういう申し込みの数量があった、こうことを聞いているのでありますが、その数字がどんなふうになっているのか、大体売り出された価格は、十八万円なのかどうか、あるいは、入札等によって、時価で売り出されたのかどうか、そういうような点を詳しく教えていただきたい。
○政府委員(大澤融君) 今おっしゃいますように、安定法の十二条に買いかえという制度があるわけです。実は、政府糸を持ちましたのが三十年、その後毎年糸を下値で買わなければならないというような不況が続いておったわけです。実はもらそういう古い糸を持っているものですから、チャンスがあれば、早く買いかえて新しいものをしまっておくということが必要なわけです。御承知のように、生糸というのはその年に作られて、その年に使われるというものですから、たとえば三十年に買った糸ならば、売れないで持っているならば、三十一年になれば買いかえをやるというようなことが物品管理上は適当のことだと私思うわけです。ところが、ずっと下値が続いたものですから、そういうふうなときに買いかえのために売り出すというようなことは、さらにまた値段を下げるおそれがあるということで、今日までそういうチャンスがなかったわけです。ところが、今のような状態で、糸の売れ行きが非常によろしい、需給関係が強いというときで、こういうときにこそ買いかえのための売り渡しをするというのが時期であるというふうに判断をしてやったわけであります。その量といたしましては、約五千俵であります。しかし、今申し上げましたように、これをやりましたときに、そのものに思惑的に殺到するというようなことで、よい結果でありませんでしたので、私ども買いかえの措置は一時中止をしております。 それから価格の点ですが、これは政府が十四万、十八万という価格安定をやり、十八万円の実質的には最高価格ということでやっておりますので、随意契約で十八万円という価格で売り出しをしたわけであります。
○清澤俊英君 どれぐらいの申し込みがありましたか。
○政府委員(大澤融君) これは約一万くらいの申し込みがあったように記憶しております。
○清澤俊英君 これは業界新聞その他のわれわれが外部から得た情報からいうと、約四万くらいの申し入れが殺到したというのですが……。
○政府委員(大澤融君) 私の正確の記憶でありませんので、後ほど正確の数字はお調べしてお届けいたします。
○清澤俊英君 それで、かりに一万と仮定しまして、五千俵を一万のものにはどういう方法でお分けになったのですか。
○政府委員(大澤融君) 従来の臨時措置法の売り渡しと同様な方法で、ある売り口に対しまして大ぜいのものが殺到したというようなことは通常の場合は予想してなかったのでありますが、この場合も今までの方法とずっと同じような方法をやるということでありましたので、抽せんによってやっております。
○清澤俊英君 それは参加者全部の抽せんですか。申込者全部の抽せんですか。
○政府委員(大澤融君) その通りであります。
○清澤俊英君 その明細をここで知らしていただけませんか。幾口くらいになっているかしりませんが、明細をずっとあとで資料をちょうだいしたいですが、払い下げをした人の住所と姓名でもいいし、資格者なら資格者、それと大体何俵……。
○政府委員(大澤融君) 公開の場でなくてなら、資料として差し上げたいと思います。
○清澤俊英君 公開の場所であっても差しつかえないと思うのですね。何もしたら悪いという何かありますか。その理由を一つお伺いした。
○政府委員(大澤融君) 商取引の個々の方の利益にも立ち入ることでありまし上うから、もう少し考えさせていただきますが、なるべく公開でなく資料として提供いたしたいと思います。
○清澤俊英君 その理由はどういうわけなんですか。
○政府委員(大澤融君) 今申し上げましたように、商取引の、個々の人の商取引の内容にもかかわる問題でもございますので、なるべくなら公開でない方が私いいと思います。
○清澤俊英君 内科にかかわるということはどういうことですか。取引の内容にかかわるというのは、おかしい話ではありませんか。
○政府委員(大澤融君) たとえば商取引をやる場合に、だれが何千俵持っているというようなことが相手方にわかることは、たとえば買いたたきの材料になるとかいうようなこともあろうかと思いますので、公開をするということはやっぱりはばからしていただきたい、こう思います。
○清澤俊英君 どうもそれは納得できないな。買いたたきせられるとかせられないとかということは、少なくともただいま局長が、政府が臨時措置法を改正して、十八万円に押えようと努力せられておることは思惑であるのか、大体今日の糸価高騰は思惑なんだから、思惑を排除して公正な価格で押えて、蚕糸業の発展を期するのだという御説明になったように私は受け取っているのですが、だれがたくさん持っているからどうだとか、これがたくさん持っているからどうだとかいうことは、みんな思惑に帰する問題だと思う。しかもそういうものをはっきりさせた方が、そういう思惑をなくして、ことに相場を中心にした商戦の撲滅ということで私はすっきりするのであって、だれがどれくらい持っているといろぐらいは初めからわかっておるのですから、商売人として——糸を引き取っていく、この限られた範囲のものでありまする限りにおいては、おそらく私はだれがどれくらいの実力を持っていて、どれくらいのものを持っているぐらいなことはちゃんと知り抜いていると思う。知らぬのはわれわれらいのものだと思う。私らどうもそいつがわからない。それで、そういうことを公表するとどういう……あなた言われるように、だれがどれだけ持っているから、それによって相場が思惑的に売ったり買ったりという、いわゆる勝負に入るのだから、趣旨とは私は逆の結果になるのじゃないかと思うのですが、その点どうお考えになりますか。
○政府委員(大澤融君) 思惑的なものがあるということは、確かにない方がけっこうだということは私も清澤先生の御意見の通りだと思いますが、この場合は、ある特定の人と特定の人との取引というような場合に、相手方がたくさんの糸を持って売り手を探すのに因まっておる、あるいはもうほんのわずかしか持っていないのだというような、相手のふところ工合がもしわかれば、それの相手になっている取引者というのは、おそらく有利な立場に立つというふうなことも考えられるわけです。個々の取引について、個々の取引に立ち入って妙な資料を提供するというようなことになってもいけないと思いますので、私どもが知っていることは一向差しつかえないでしょう、先生が知っていることは一向差しつかえないと思いますが、そういう意味で公のものにしないで資料として差し上げたい、こういうのです。御了承願いたいと思います。
○清澤俊英君 資料はいつごろまでに出していただけますか。
○政府委員(大澤融君) 来週初めぐらいまでにはできると思いますが、もっと早くできれば早く差し上げます。
○清澤俊英君 委員全部に配付できるのですね。
○政府委員(大澤融君) そのように取り扱っていきたいと思います。
○清澤俊英君 いずれそれを見ましたあとでお伺いしたいが、非常にこの取り扱いについては、業界でいろいろのデマが飛んでいます。蚕糸局長などは非常な泥をかぶっておられる。そうでしょう。今、現在二十万円する糸を十八万円で売り出したのですから、買った人間は、かりに十枚、五十仮払い下げを受けたとすれば、直ちに百万円ふところへ入るというようなものですから、こんなばかにうまい話はないのですから、いろいろ悪い評判もたっておるのでありますから、一つ至急明確にしていただきたいと思うのです。それから、このあと引き続いてやはり売り出されるつもりなんですか。
○政府委員(大澤融君) 先ほど申し上げましたが、五千俵やってみて、むしろもえ草になるような逆効果もありますので、私ども中止しております。
○清澤俊英君 中止ということは、当分やめる、この安定法の審議が済むまで、一部改正の審議が済むまではやめると、こういうお考えなのですか。
○政府委員(大澤融君) 大体そういうふうにとっていただいてけっこうだと思います。
○清澤俊英君 今売り出された五千俵は買い入れを進められるのかどうか。
○政府委員(大澤融君) もちろん買いかえでございますから買い入れをすると、こういうことでございます。
○清澤俊英君 その買いかえの準備は済んでおりますか。
○政府委員(大澤融君) いついかなる時期にやるかということを目下検討中でございます。
○清澤俊英君 まあ、ほかにいろいろありますので、この上やりますと臨時措置法とだいぶ近寄って参りますから、ここらで私はやめておきます。
○中田吉雄君 この繭糸価格の安定に関する臨時措置法の改正についての質問、政府の出されている白書その他については、清澤議員の申されているような理由で後日に譲りたいと思いますが、最近桑の萎縮病が非常にはやっておりますので、技術改良課長もおいでのようですし、最後にはこれに対する蚕糸局長の対策についてのお話も聞きたいと思いますので、技術改良課長でけっこうだと思いますが、最近桑の萎縮病の蔓延の状況はどういうふうになっていますか。
○説明員(熊本盛順君) 蔓延の状況でございますけれども、正確な桑園の面積はわかりませんけれども、激甚地は愛知、島根、鳥取、それから九州各県、それから四国の愛野県、こういうところが激甚地のようでございます。
○中田吉雄君 正確な数字がわからないということですが、あとでも、対策でも申し上げたいと思うのですが、大体これも斜陽産業だというようなことで、対策もさることながら、そういう実態課査もおろそかにされているというようなことはありませんか。
○政府委員(大澤融君) 決してそのようなことはございません。昭和二十八年ごろからふえ出したということで、三十一年には植物バイラスの方の研究者が一緒になりまして研究委員会を作って中央の私ども蚕糸試験場、それから府県の蚕糸試験場、あるいは大学というようなところも協力いたしまして、これのいろいろむずかしい原因がなかなかわかっていないようでございますが、そういうようなことについての原因を究明する、あるいは防除法を見出すというような努力を続けてきておるのであります。この問題非常に大切な問題だと、こういうことで私ども力を尽しておるのでありますが、最終的にまだ解決の方法を見出していないという状態でございます。
○中田吉雄君 この萎縮病、古くからあるわけですが、年次別に見て蔓延の傾向はどうなのですか、減っているのですか、ふえているのですか。
○説明員(熊本盛順君) 最近だんだんふえているような傾向にあると思っております。
○中田吉雄君 もう少し詳しく、木で鼻をくくった答弁でなく、もう少し詳しく。
○説明員(熊本盛順君) 終戦後九州地方などでは非常に増雄が行なわれまして、晩々秋蚕なんかも飼うというようなこと、それから農作業の関係か、だんだんと掃き立て時期がおくれてくる、そういたしますと、夏切りをする時期がだんだんおくれますものですから、そういう関係からふえてきているのじゃないか、こういうふうに考えております。
○中田吉雄君 大体まあ傾向はわかったのですが、これについて今まではどういうような指導をなされたのですか、防除その他の。
○説明員(熊本盛順君) 的確な防除対策は、先ほど局長申されましたように、まだはっきりしておりませんけれども、いろいろ今までの実態調査などからいたしまして、桑の品種などにも抵抗性のあるものもありますし、抵抗性のないものもある。それから土壌の関係にいたしましても、出るところと出ないところがあるというようなこと、それから排水のいいところ、排水の悪いところというようなところでも出るところがある、出ないところがあるというので、正確な一定の傾向はございませんけれども、現段階ではやはり強い品種、抵抗性のある品種を植えるということ、それからなるべく夏切りをしないで春切りをするということもいいのじゃないか、そういうふうに考えております。
○中田吉雄君 対策について概括的な何ですが、一体病原について諸説はどうなんですか。
○説明員(熊本盛順君) 病原につきましては、明治三十年に萎縮病の調査所を設けまして、約六年間大々的な調査をいたしました。当時の農商務省が大々的な調査をいたしました。その当時は、桑の発育をしている段階に過度の伐採をするとか、葉を取るとかいうことから起こる生理的な現象じゃないか、生理的な病気じゃないかというふうに考えられましたけれども、その後だんだん研究を進めまして、継ぎ木をいたしますと伝染をする、あるいはひしもんよこばいで伝染をいたします。それから、電子顕微鏡などで見ますと、エックス体があるというようなことから、現在のところではバイラスということが有力になってきております。
○中田吉雄君 植物病理学会等でも、バイラスの病原体、その生理、対策等は相当研究されておるのですが、まだ根本的な対策は立たぬのですか、それはどうですか。
○説明員(熊本盛順君) このバイラスにつきましては、桑だけじゃありませんで、ほかの作物、あるいは果樹、花等にもございまして、それぞれ研究は進めております。それから、稲等におきましては、はっきりしました病気もありますけれども、まあ大体はまだ防除策がわかっていないというようなことになっています。やはり、進んでいるのは、桑が一番進んでいるのじゃないかと私どもの方は考えております。
○中田吉雄君 そうしますと、バイラスによるものだということはわかったが、対策はない、根本的なこれの駆除法はまだ見出されておらない、こういうことですが、今、技術改良課なんかでまとめられて、たとえば品種であるとか、仕立ての方法であるとか、桑の取り方であるとか、そういうことで、これらの被害を最小限に防ぎ得るというようなことを、秩序立てて少し述べていただけませんか。実は非常に最近ふえまして、さきに言われたように、御指導によって桑苗を抜いて、景気がはなはだよくなって、従って、その残存桑園で無理な市況の好況に備えて養蚕をたくさんやるというような地帯が非常に起きて、これにはかなり因って、特に衆議院の農林水産等であっちこっち災害等とからんで調査に行かれたような際に、かなりこの問題を、ぜひ早急に根本的な防除方法、それがなければ、今与えられている条件の中でどういうふうにしたら最小限にこれを防ぎ得るかというようなことを非常に養蚕農家が求めているのです。そういうことを一つ、もう少し体系的に述べて下さい。
○説明員(熊本盛順君) 現段階におきます防除対策と申しますと、桑の品種で申しますと、現在普及しております一の瀬等は弱いので、改良鼠返しの方による方がいいのじゃないかと、こういうように考えております。それから、なるべく夏切りをおそくしないように、早くする。これはまあ掃き立て時期との関係もございますけれども、農家はやはり、収容量を多くする、繭を多くするというために、だんだんと掃き立て時期がおそくなってきております。それを、掃き立て時期を早くしまして、そうして春蚕を飼って、桑を夏切るときの時期を早めるというようなこと、あるいは夏秋蚕の専用桑園にして、桑に休養を与える、一年間桑を取りますのをやめまして、春は飼わないで、夏秋だけ飼うと、翌年はまた一年間飼うというふうな、二年サイクルで桑の使い方をやっていくというようなことが現在の防除対策じゃないかと、こういうふうに考えております。
○中田吉雄君 県の蚕糸課、蚕業指導所、試験場等では、今申し述べられたようなことですら十分徹底していないので、非常に弱っているのです。ですから、そういうことを一つ至急に技術改良課でおまとめになって、試験場、県の蚕糸課等に至急に、蔓延の激甚地等に御指導願いたいと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(大澤融君) 私ども個々的には、そういうような話を県の方がお見えになってやっておることがあるのですけれども、PRに不足の点があったかと思います。今申されたようなことを中間的にまとめて、県あるいは指導所等で農民の指導に遺憾ないような材料を提供したいと、こう考えます。
○中田吉雄君 この桑の病気で一番多い病気は何ですか。
○説明員(熊本盛順君) 桑の病気で一番多いのと申しますと、やはり、現在解決がついていなくて困っておる問題は、紋羽病萎縮病でございます。それから被害が割合多くかかるというものは、細菌病、芽枯病等がございます。
○中田吉雄君 このバイラス病だということが、病原菌はわかっておるのですが、これと取っ組んでおるところは実際どこなんですか。農林省の研究部ですか、蚕糸試験場ですか、大学ですか、そういうところを一つはっきりして下さい。
○説明員(熊本盛順君) バイラスにつきましては、冬作物にございものですから、各農林省の直轄の試験場でもやっておりますし、それから大学等でもやっております。蚕糸におきましては、中心になるのは蚕糸試験場でございます。この蚕糸試験場では、三十二年から予算をいただきまして、萎縮病の研究室を設けて、本格的に始めております。
○中田吉雄君 三十二年から予算を計上してやっておるということですが、どの程度ですか。
○説明員(熊本盛順君) 当初いただきましたのは、設備費等も入れまして二百六十三万円程度でございまして、翌年からその初度設備費を落としまして、百五十三万円ほど技術会議からいただいて現在やっております。そのほか補助金といたしましては、九州の各県——福岡、熊本鹿児島というようなところに補助金を出しまして、一緒に研究をやっております。
○中田吉雄君 私の聞き及んだ限りにおきましても、最近年とともにふえておるようですが、来年度予算編成のときですから、その点十分気をつけていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(大澤融君) 非常に重大な問題だと私は心得ておりますので、技術会議等ともよく連絡をとって、来年の予算的な措置にも遺憾のないように措置していきたいと、こういうふうに考えております。
○委員長(堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。 残余の議案は後言に譲り、本日はこれをもって散会いたします。 午前十一時三十一分散会