社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/11/24
会議録
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。 まず、委員の異動を報告いたします。十一月二十日付をもって草葉隆圓君が辞任し、その補欠として大谷藤之助君が選任されました。また、十一月二十一日付をもって千葉信君が辞任し、その補欠として藤田藤太郎君が選任されましたので、御報告をいたします。 —————————————
○委員長(加藤武徳君) それでは炭鉱離職者臨時措置法案を議題といたします。政府からは、労働省から松野労働大臣、百田職業安定局長が出席をいたしております。通商産業省からは樋詰石炭局長が出席をいたしております。 これより質疑に入りますが、初めに本法案の細部について政府委員から説明を聴取いたしたい、かように考えています。
○政府委員(百田正弘君) 本法案の内容につきまして逐条的に御説明を申し上げたいと思います。 お手元にございまする「炭鉱離職者臨時措置法案関係資料」のちょうど中ほどに「主要条文説明」を入れてございますので、御参照願います。 第一条の目的は、再三労働大臣からの提案理由の御説明にございますように、石炭鉱業における失業の情勢が非常に深刻になってきた事実にかんがみまして、政府におきましても、従来からあるいは職業紹介、職業訓練、公共事業への吸収といったような一連の措置をとって参ってきたのでありますが、現状におきましてなお多数の離職者が産炭地に滞留しており、その後におきましても、失業者の発生を見ておる状況にかんがみまして従来だけの措置をもってしては不十分である、特に石炭産業の離職者というものは特定の地域に集中して発生すると同時に、その地域全体が非常に労働事情が悪くなるばかりでなく、石炭産業の労働者の特殊性から考えましても、これらの人が職業を転換していくという場合にも普通の人よりは非常に困難な状態にあるわけでございますので、この法律によりまして、特にこの施策の強化をいたしますために、第一には広域にわたる職業紹介の強化、それから炭鉱離職者を吸収するための特別の事業の実施、炭鉱離職者緊急就労対策事業、特別職業訓練の実施、あるいは炭鉱離職者の再就職を援護するための特別の機関の設置というような措置を強化してやっていくことが必要であるというようなことから、本法案を提出いたしましたわけでございます。第一条の目的はその意味のことをうたってあるわけでございます。 第二条におきましては、この法律の中で使われまする用語の定義を書いてございます。第一に「炭鉱労働者」というのは、「石炭の掘採又はこれに附属する選炭その他の作業に従事する労働者」とする。今申し上げました趣旨から、炭鉱労働者というものは、非常に就職が困難であり、その地域において多数発生し、かつ、炭鉱労働者の特殊性からして就職が困難であるという事情からいたしまして、特に炭鉱労働者を明記したのでございます。 「炭鉱離職者」と申しますのは、これは特別な制限がございませんので、炭鉱労働者として離職した労働者でございます。現在失業している、あるいは何らかの収入を得ている者でありましても、社会通念上その職業がきわめて不安定であるといったような、いわば失業と同様の状態にあると認められるもの、これも含めて対策の対象としていくというふうにいたしておるわけでございます。 「鉱業権者」につきましては、他の法律にある通りでございます。特に説明を要しないわけであります。 第二章は、職業紹介等でございます。これは今職業紹介と炭鉱離職者緊急就労対策事業並びに職業訓練、それから炭鉱離職者の優先雇用、四つの事項を規定してございます。 第一の、職業紹介でございますが、先ほども申し上げましたように、炭鉱離職者の多数発生している地域と申しますのは、非常に一地区に多数発生しておって、それがその場所におきましては非常に再就職が困難であるという現在実情にあるわけでございますので、そうした炭鉱離職者につきましては、まず第一に、職業の転換ないしは他産業への吸収ということをはかっていく必要があるわけでございます。これも単に通常の手段をもってしては非常に困難でございますので、政府におきましては、積極的にこれらの炭鉱離職者が他産業、他地域へ吸収され得るような措置を講ずる必要があるわけでございます。従いまして、それについての職業紹介に関する計画をここで作成して、その計画に基づいて必要な措置を講ずることといたしたわけでございます。 職業紹介に関する計画と申しますと、その地域における他地域への転出の希望者並びにその実態、職業訓練を必要とするかどうか、また、他産業においてどこにどれだけ吸収できるか、政府におきましても、そうした、積極的にこれらを吸収するための措置を講ずるための計画を立てるわけでございます。そういうことによりまして、広域職業紹介を実施することによって、他産業にできるだけ吸収していくことのために必要な職業紹介の措置を講ずることにいたしておるわけでございます。第二に、炭鉱離職者の緊急就労対策事業でございますが、原則は今申し上げましたようなことによりまして、職業安定機関の努力ないし産業界一般の協力によりまして、これをできるだけ他産業に吸収していくということを建前といたすわけでございますが、多数の離職者のことでございますので、この措置によっても職業につくことが非常に困難であるという炭鉱離職者につきましては、現地におきまして暫定的に就労する機会を与えるための炭鉱離職者緊急就労対策事業というものを新たに設けるということにいたしたわけでございます。この計画は、従いまして今申し上げました趣旨によってこれを計画していくわけでございますが、これを定めようとする場合には、あらかじめ、地方々々で行なわれます事業でございますので、関係地方公共団体の長の意見を聞くことといたしたわけでございます。 なお、この緊急就労対策事業におきまして、大体地方公共団体の長が実施していくということになるわけでございますが、その地方の産炭県におけるところの地方公共団体の財政の実情にかんがみまして、その要する費用につきましては五分の四の補助をするということにいたした次第でございます。で、今回の補正予算におきましては、緊急就労対策事業によって吸収を予定しておりますのが五千五百人、補助金額にいたしまして四千四百八十万円ということになっているわけでございます。 で、この緊急就労対策事業につきましては、これに第四項によりまして一定数の炭鉱離職者の使用を義務づけているわけでございまして、労働大臣がこの事業につきましては幾ら以上ということをきめることになっております。現在考えておりますのは、率におきまして八五%以上を吸収する、こういうふうな計画でございます。 その次の第五条の職業訓練でございますが、第三条の措置における広域職業紹介を実施していくという場合におきましても、炭鉱離職者の前職の関係からして、そのままでの転換が非常に困難であるという事情等もございますので、その再就職を容易にするために、職業訓練につきまして特別の措置を講ずることといたしております。で、特別の措置と申しますのは、第一には、できるだけ炭鉱離職者の前職に適するような職種並びに就職しやすいような職種を選定する。それから入所時期等につきましても、従来のような四月あるいは十月というようなことでなくて、入所時期についても特別の措置を講じていく。同時に、職業訓練の期間につきましても、その実情に即した措置を講じていく。これがために従来の職業訓練施設のみでなくて、職業訓練施設の増設ないし新設を考慮いたしたいと考えているわけでございます。 で、第二項の職業訓練に要する費用でございますが、これに対する国庫の負担につきましては、職業訓練法に基づいて規定がございますが、それによるほか、「政令で定めるところにより、その一部を負担する」、これは施設費につきましては二分の一でございますが、運営費につきましては一般の二分の一を三分の二に引き上げて負担するということにいたしているわけでございます。 第六条の炭鉱離職者の優先雇用につきましては、鉱業権者に対しましては、相当現在におきましても炭鉱労働者の雇い入れというのが毎月一定の数があるわけでございます。そうした場合におきましては、従来の経験からいっても、できるだけ、地元には多数の離職者がいるのでございますからして、その炭鉱離職者を優先的に雇い入れるようにしてもらいたいということを第一項に規定いたしております。 従いまして第二項におきましては、鉱業権者が炭鉱労働者を雇い入れたいという場合には、公共職業安定所に求人の申し込みを義務づけたわけでございます。それによりまして、その安定所に登録してあるところの炭鉱離職者をまず優先的に採用してもらうというような措置を講じまして、炭鉱労働者が非常に一般的には就職しにくい状態にありますのを、こうしたことによりましてできるだけ就職可能になりますように、通常のものと同様な程度までそのハンディキャップが克服されますように、こうした優先雇用の措置を講じたわけでございます。 第三章は炭鉱離職者援護会に関する規定でございます。で、これらの措置を政府が講じていきます場合におきまして、やはり炭鉱労働者の特殊性から考えましてこれらの人の就職が通常の者よりも非常に困難であるという実情にかんがみまして、やはり特別な援護の手を差し伸べる必要があるということからいたしまして、本援護会を新設することにいたしたのでございます。 第七条、第八条、第九条、この辺は法人に関する例文でございますので、特に御説明をすることを省略させていただきたいと思います。 第二節の役員及び職員につきましても、役員は、理事長一名、理事三人以内、監事二人以内。あとの権限は通常の場合と同様でございます。第十五条におきましては役員の任命及び任期。理事長及び監事は、労働大臣及び通産大臣が任命する。理事は、両大臣の認可を受けて理事長が任命する。役員の任期は、三年といたしました。 その他の十六条以下の条文は、特に説明を省略さしていただきたい。 第三節の、十一ページの業務でございます。業務の範囲につきまして御説明いたします。 第一は、二十三条の第一号は移住資金の支給でございます。援護の業務の主といたしまして、移住資金の支給を掲げておりますが、この移住資金は、炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住する地域からその他の地域に移住する者に移住資金を支給するということになっております。この内容といたしましては、大体、第一に移住資金の支給の標準でございますが、これにつきましては、その者の扶養家族の状況あるいは炭鉱における勤続の状況、と申しますのは炭鉱労働者としての貢献の度合いと申しますか、それから移住する所の距離等によりまして、多少の区別をいたしていくわけでございますが、大体の標準といたしましては、標準家族世帯数三・三人ということにいたしまして、九州を基準にして考えまして、関西地区、大阪地区あたりまで移住するという者につきましては、十万円程度を一つの目途といたしまして、予算的には本年度内四千人分、平均単価七万五千円—三億円を一応めどにいたして計上いたしてございます。扶養家族を有する者と単身者の場合にはそこに区別をつけていくというようなことを考えております。 その次の職業訓練を受ける炭鉱離職者に対する手当の支給でございます。これは今回の措置によりまして職業訓練を実施して参るわけでございまして、しかしながら、失業保険の受給期間中はとにかくといたしまして、その以降につきましてはその間の生活の問題もございますので、なかなか訓練を受けられないというような状況にある人もあるわけでございまして、これらの者に対しまして訓練手当を支給することにいたしておるわけでございます。 それから次の職業訓練を受ける炭鉱離職者の宿泊施設でございますが、これは今回の予算によりまして、従来総合訓練所は北九州にも山口等にもございますが、これらの総合訓練所を拡充いたしまして、これに炭鉱離職者のための職業訓練の特別の施設を作りたい。そういう際に距離的に離れております関係上そこに行って受けなければならぬという場合が生じますので、その人たちのために寄宿舎を援護会が設置するということにいたしております 第四号は「炭鉱離職者を雇い入れる事業主に対して労働者用の宿舎を貸与すること。」、これは公共事業その他の建設事業、あるいはその他の事業に雇用される労働者に対しまして、必要な場合に移動式の飯場と申しますか、移動式の宿舎をその事業主に貸与することによって、その人たちのそういう地域において働くことを可能ならしめようというために移動式の宿舎を貸与することといたしました。 第五号は、今の四号は多少今度は、職業訓練の場合とはもう少し軽微になりますけれども、短期間の訓練というところまではいきませんけれども、短期間のいろいろな、再就職のためのいろいろな必要な知識ないしは簡易な技能の習得というための講習会を実施する。 六は求職活動についての安定所との連絡。 七は、炭鉱離職者でみずから事業をやりたいという人たちに対しまする相談、並びにそれに対する金融等につきましての相談を行なうということができるようにいたしたい。 八、九、十につきましては特に御説明を要しないと思います。 第二項は、これらの業務を行ないます場合に援護会として大体どういうふうなことでやっていくかということでございますが、特に今回の場合におきまして移住資金の支給と訓練手当の支給というのが一つの大きなウエートを占めているわけでございます。これを、一号、二号の業務とこれに付帯する業務につきましては、第二項によりまして主として次のような各五号に該当するようなものにつきまして行なうということにいたしたわけでございます。三号以下の業務につきましては、この各号に該当しなくても全部の人にやっていくということでございます。第一号は「当該離職がその者の責に帰すべき重大な事由又はその者の都合によるものでないこと。」、これはいわゆる任意退職でございますとか、あるいは懲戒退職というものは含まれない。その者の責めに帰すべからざる事由によってやむを得ず炭鉱を離れるという人を重点的に置く。その「当該離職の日が昭和三十年九月一日以降の日であること。」、三十年の九月一日と申しますのは合理化法の施行された日でございますが、一応そこに区切りを置きまして、それ以降に離職した者を対象といたしたい。 第三号は、この場合におきまして、その者が炭鉱に対する貢献度と申しますか、炭鉱にわずかの期間しか働いていなかったものと、一定の期間以上働いておったものとはおのずからそこに差異があるわけでございますので、この三号におきましては、一年以上引き続き炭鉱労働者として雇用された経歴を持つものであること。昭和三十年九月一日以降の離職者であること。二十九年の九月一日といたしましたのは、この三十年九月一日以降の離職者で、その前に一年以上いることを明確にするための念のための表現でございます。 第四号は「この法律の施行後において新たに安定した職業に就いたことのないこと。」、この法律が施行されましたあとにおきまして、炭鉱というものは非常に離職者の発生が多いし、また、今後もそうしたものが見込まれるというときにおきまして、法律施行後もうすでに社会通念上安定した職業と認められるものについた人たちにつきましては、これは対象としないということでございます。 第五号は「この法律の施行の際現に、炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住している地域に住所を有すること。」これは、もうすでにほかの地区に安定した職業を求めて行っておるという人たちが、この後におきまして新たに━━それまでは対象といたさない。現にその産炭地帯におきましてそこに住居を有し、前四号の要件を持っておる、これだけにつきましては、移住資金並びに訓練手当の対象としていこうということでございます。 第三項は、第一項第十号の特別の業務を行なうわけでございまするが、これは特に説明はございません。 第二十四条の業務の運営でございまするが、「援護会は、炭鉱離職者の発生の状態その他の雇用状況を考慮して、援護の必要の大きい地域について重点的に業務を行うものとする。」援護会がやっていきます場合におきましても、いろいろおのずから限りがございまするので、援護の必要の大きい地域について重点的に行なう。具体的に申しますれば、福岡県、北海道、福島県、山口県、佐賀県、長崎県というような地区になろうかと思います。 「援護会の業務は、前項の規定によるほか、炭鉱労働者としての経歴、離職の原因、離職後の生活の状態その他の事情を考慮して行うものとする。」同じ援護をいたします場合につきましても、その緊要度という問題があるわけでございまして、そういう点を十分考慮してやっていくというのが二十四条の業務の運営の指針でございます。 二十五条は、これらの点を具体的に業務方法書で援護会が明確に規定いたしまして、両大臣の認可を得ることにいたしたい。 第四節の財務及び会計につきましては、例文でございまするので説明を省略さしていただきたいと思います。 第五節の監督でございますが、これも特に御説明を申し上げる事項はございません。 第六節の補則につきましては、援護会の解散の時期につきましては別に法律で定めるということになって、援護会の解散はいつする━━この法律全体が五年以内に廃止することになっておりますが、援護会の解散につきましては、別に、その以前におきまして必要がなくなる場合もございましょうし、あるいはこの法律等を運用する場合もございます。これは、その状況等によりまして別に法律で定めることにいたします。 第四章の雑則につきましては、第四十条で、前の鉱業権者につきまして炭鉱労働者の優先雇用ないしは安定所に対する求人の申し込みを義務づけたわけでございまするが、これの実行を確保いたしますために、安定所長に対しましては、定期的に、そこの雇用ないし離職の状況はどうであるかというようなことを安定所長に対して報告を命じるという、鉱業権者に報告の義務づけをいたしてあるわけでございます。 第四十一条は、援護会と安定所の相互の連絡、協力について記載してございます。 第四十二条でございますが、これは共済組合の組合員期間の特例でございますが、これはきわめて事務的な規定でございまするが、今度援護会ができました場合に、国家公務員がこれに対しまして出向と申しますか、そういうことでこの業務を行なう、で、組合の職員になる━━援護会の職員になるといった場合におきまして従来のいわゆる恩給通算でございまするが、十月一日から共済組合の長期給付ということになっておりまするので、その場合におきましては、これが本人の希望によって通算できるというような方法を規定いたしたわけでございます。 次に二十四ページの四十四条でございます。移住資金または第二十三条一項二号、これは勤勉手当でございます。これの権利は譲渡、差し押えの禁止の規定を設けまして、これに対する保護をはかったものでございます。 第五章は罰則でございますが、これに対しましては特別な御説明は省略さしていただきます。 附則につきましては、税法におきまして他の特殊法人の例によりまして、租税の免税を規定いたしておるわけでございます。この附則によりまして、石炭合理化臨時措置法の改正をいたすことにいたしておるわけでございます。これは援護会の、先ほどちょっと私落としましたが、援護会に対しましてこの石炭鉱業整備事業団から交付金を交付するということになっております。この点を合理化臨時措置法の関係におきましても、援護会に対して交付金の交付につきましてこれを行ない得る規定を設けたわけでございます。でこれによりまして、援護会といたしましては、石炭鉱業整備事業団からの交付金並びに国の補助金その他寄付金によって業務を行なっていくわけでございます。 この法律の廃止の時期でございますが、本法におきましては、施行の日から五年以内に廃止するということになっております。このことは、五年以内といたしましたのは、今後五年以内にできるだけ政府としては、こういう措置を講ずることによって石炭離職者の問題に対処していきたいということでございます。 以上、非常に簡単でございまして、聞きづらかったと思いますが、逐条につきまして簡単に御説明申し上げました。
○委員長(加藤武徳君) それでは御質疑をお願いいたします。
○阿具根登君 午前中あまり時間がございませんので、簡単に質問申し上げたいと思いますが、ただいま局長の説明でアウトラインだけはわかったんですが、これは現在の失業者のものであるか、今後も含めた、失業者を含めた対策であるか。これを一つ労働大臣にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 今回予算で計上いたしましたものは、ただいま緊急に対策を要するものについて予算の計上を補正予算でいたしました。しかし、今後の石炭鉱業の前途及び離職者の状況を見ますると、やはり五年間というものは相当長い期間でございますけれども、一度に補正予算だけでこれが完了するとは考えられませんので、また同時に、今後の石炭の状況というものもおのずから相当長期的な方向もきめなければならないのじゃなかろうかと、こう考えて、本年の予算は今日必要な緊急なものに対する予算を計上いたしまして、法律はそれを五年間、今後やはり同じような状況がかりに出た場合でもこれに対処し得るという意味で五年間という期限をきめたわけで、予算はただいまのものであります。しかし、法律そのものは、これで済んだと言えませんし、今後長期的にある程度のものも含めて法律というものはきめなくちゃなるまいということで法律は五年という期限をきめまして、予算というものはおのずからそういう意味で今回は計上いたしました。
○阿具根登君 予算と法律を分けられて、予算は現在のものだ。法律は今後五年間こういう傾向があるかもわからないということできめられておる。こうしますと、この法律の趣旨からみれば、今後出るのだ、こういうことになると私は思います。そうでなかったら、初めがあって終りが五年後になっている。三十年の九月一日以降であって、現在だけであるならば、現在までの日にちにすべきである。そうすると、今世上に言われておる十万人云々というのは、これは相当に根拠があるものと見なければならない。そういう場合に一体どうなるのか。これで救えるのか救えないのか。
○国務大臣(松野頼三君) 阿具根委員御承知のごとく、石炭合理化法というものを私たちの方は一応基礎においたわけであります。それが三十年から、ですから約四年何カ月━━まあ五年ばかり今日たってきたわけです。同時に、石炭合理化法の施行というのは今年で終わるわけじゃございません。今後ある程度のものはやはり同じような状況が進むだろう。そうすればやはり過去の五年間の石炭合理化だけの例を見ましても、こういうものが必要であった。それならば今後なお必要じゃないかという意味で、年限は石炭合理化の年限と合わしたわけではございませんが、そういつまでも無制限にやることはこれは妥当を欠きますので、五年の間には今のような不況をなるべく、いわゆる労働市場における不況をこれから排除したい。こういう意味で援護というものの万全を期したわけでございまして、それでは将来十万人といわれている、世間でいわれている数字とこれが━━それとこれとは私の方では合致させる意味はございません。やはり石炭合理化というものの促進ということは、これはある程度の一つのきまったルートでございますので、その方向だけはまず万全を期していきたい。さらにいろいろな石炭鉱業そのものの不況によってはそれにプラス・アルファが加わるかもしれない。好況なときにはあるいはこれが非常に軽く済むかもしれない。しかし、この法律の趣旨は、軽くあろうが重くあろうが、離職者というものに対するものは、今後五年間というものは、石炭合理化法という法律があります以上は、これがないとは言えないという万全の策を考えたわけで、来年の予算はどうだ、失業者はどうだ、これはまだ予想いたしておりませんし、この法律の必要から言うならば、やはりその必要性は妥当であろうと、こう考えております。
○阿具根登君 そうすると、これは合理化法によって石炭山を買い上げられた失業者が主体になっている。たまたま今度は法律という形で出てきましたけれども、昭和三十年の場合三百三十万トンの石炭山を買い上げた。そのときの二万千数人の失業者に対する予算はそのときも組まれたはずです。法律はそのときなかったけれども、当時の予算ではそれだけの人が十分吸収できるのだということで予算も組まれた。さらにまた、昨年百万トンの買い上げがふえて四百三十万トンになった。その際にも確かに予算はついておったと思うのです。ところが、現実はこういう法律案まで出して、さらに七億二千万円からの予算を組まなければならなかったということは、いつも予算は組んでおられるけれども、失業者に対する手が届いておらなかった。だから今日三たびこういうものを出さねばできないようになった。私はこういうことになると思うのです。松野労働大臣がおられた当時でないからこれはやむを得ないとしても、そうすると、この予算を現在予算委員会で審議されておりますが、この予算を認めたとしても、今までのわだちを踏む結果になって、失業者は救われない。私はこういうことになると思うのですが、どうですか。
○国務大臣(松野頼三君) 石炭合理化法ができました当時は、御承知のような経済事情、及び雇用事情という面がありましたから、必ずしも石炭が非常にあれで手薄かったというわけでもありません。あの当時には私はあれでよかったと、こう思いますが、やはり今日の場合は、非常に石炭という特殊性が極端に現われてきた。従ってそれだけでは今日、合理化法における移住資金とかあるいは退職金だけではどうしてもその石炭の━━これが私は特殊性じゃなかろうかと思いますが、石炭従業員あるいは石炭労務者というのは、石炭内部の移動はある程度ございますが、石炭外の産業にというと、やはりその仕事の性質、あるいは地域的な条件がありまして、必ずしも他の職業にはなかなか転業ができない。同時にまた、地形的あるいは地理的に考えましても、石炭鉱業によってそのすべての産業が行なわれているというために、なかなか移動性━━他の職業への移動性が非常に少なかったということがこの四年間の経験及び実績を見ますと、非常に顕著になってきた。そこに私たちがなおさらに合理化案の成立当時はあれでよかったと思いますが、最近の経済事情及び労働事情というものは変わってきた、また同時に、そういう特殊性が極端に現われてきたという意味から、なおその不況━━不況と申しますか、労働市場における移動性の少ないのを他の産業への転出を容易にするということはやはり今日必要じゃなかろうか。こういう過去の実績を見ながら将来を見通すと、やはり石炭だけは特別なこれは労働性質を持っているのだという顕著なことが現われたから今回はやったわけです。私も必ずしも、今日想定されます、予想されますものはこれが私は万全なものだ、相当手を尽くしたものだと思って、再びこれが修正すべき時期とかいうことはまだ今のところは予想しなくても、まず万全の措置と思う。三十年のときは不備だったと思いますが、三十年のときはおそらくあれが最善だというのであの法律ができたのだと思っております。しかし、過去を振り返ってみれば、ちょうどまる四年、足かけ五年になりますが、振り返って将来もこれを改善していきたいと、その意味でこれは当然必要なものだと、こう考えております。
○阿具根登君 予算を組まれる場合、あるいは法律案を出される場合には、いつもこれで十分だ、これを出される以上はそれだけの責任を持って出されるのが当然だから、そうなると私は思うのです。しかし、こういう公式の場所で質問をすればそうしかお答えできないと思うのですが、非公式な場合に、今度プライベートで尋ねる場合にはほんとうのことをおっしゃる。通産大臣も三十年にあれをきめた場合には公共事業で吸収すると言ったが、公共事業では何も吸収できない、できないことを言ってもだめじゃないか、こういうことを言われるわけですよ。私はそれがほんとうだと思うのです。公共事業を、これを置いているけれども、実際公共事業で吸収できるかどうか、私はこれはいわゆるこういう公式な場所では、そうしなければほかに使うところがない、金を出す以上は、ということになるかもしれませんが、実際は公共事業等を叫ばれても、私はほとんど吸収されておらない、こういうことだと思うのです。今度は公共事業で予定通りあくまでも吸収しますか。
○国務大臣(松野頼三君) 公式の場合とプライベートの場合に意見が違いますというのは、そういうことはないと思いますが、ただこれは阿具根委員御承知のごとく、一応の想定されるすべての場合を考えてこの数字というものが出てくるわけです。必ずしも個々の人がこれに従うという義務もなければ、また、私の方もそういうものは義務づける意味じゃございません。従って、この前の三十年のときを振り返ってみましても、公共事業に吸収しようと思ったが、たまたまそういうときには石炭が逆に一時的には好況を来たしまして、石炭業者内における移動によって吸収された。こうなると、公共事業というのはおのずからここに求職者というのが減ってきたというので、ある場合には公共事業における求職というようなのが統計上は減っておるわけであります。今回もこれは想定されるあらゆる数字を実は予想してこういうふうな対策を立てたわけで、各人の家庭の事情、各人の希望、あるいはいろいろな家庭の事情でこの通りいかれる方もありましょうし、いかれない方もある。すべての場合を想定して、こういうふうな道もございますという意味でこうやって想定をある程度いたしたわけでございますが、その通りなるかならぬかは実はそれは各人の状況によって変わってくるわけです。三十年のときには、私は過去四年を振り返ってみると、それが顕著に現われておる。それがなおかつ今回は手直ししながら万全を尽くすという意味で変わってきたわけでありまして、変わるということは、確かにこれは前進、万全を期する場合、ある意味においては過去の経験を生かしたという意味でありまして、公共事業ももちろん過去におきまして吸収をしております。しかし、今回特に地方的に、ことに福岡県というところは県自身が非常な御要望と熱意がある。また、そういう事情に立ち至ったのですから、過去がそうであったといって今回もまた悪いんじゃないか、そういうわけには参りません。今回非常にすべての状況がこういうように熱してきた、また、それだけ逼迫してきたという意味であって、過去にできなかったから今回もできないのだという議論は今回なかろう。まず公共事業のやり方も適当にどうだこうだ、いろいろなまた不備なところは改正しながら進めて、今回はこういう道を万全に開いて参りたいと、こう考えております。
○阿具根登君 百田局長にお尋ねしますが、この法律案が通れば援護会等ができますが、これによって援護会等の事務職員あるいは訓練所の増員等、全部でどのくらいふくれますか。
○政府委員(百田正弘君) 援護会ができますことによりまして、役員並びに職員含めまして、援護会は本部と支部それから各枢要な地区に支所があります。
○阿具根登君 職業訓練所とか、全部合わして……。
○政府委員(百田正弘君) これは大体援護会だけで九十数名というような人数であります。それから職業訓練所につきましては、これは新設分につきましては一カ所大体人数によりますけれども、所長並びに事務、一カ所大体一種目につきまして三十人━━四十人の訓練生といたしまして七人程度になろうかと思います。そうしますと、今度の場合に予算措置を講じております分につきましては、主として定時制訓練あるいは施設の増強による分でございますが、これは主として指導員の増強ということになりまして、従いまして、指導員につきまして一種目大体二名といたしまして三百二十人につきましては十六名程度、こういうことでございます。
○阿具根登君 これは数は非常に少ないんですが、まあ二、三百人のところらしいのですが、そのためにわざわざ共済組合法の一部改正までここに出されておる、極端にいえば、こういうのができるに従ってお役人さんの失業対策には非常に役立っておる。ところが、こういうので失業者を救うことはできない。一体この中においてもこれは直ちにできるのだから、通ったらすぐ炭鉱労働者をどのくらい使う考えでございますか。それは全部炭鉱労働者ということはできぬでしょう、しかし、炭鉱労働者も石炭を掘っておるものもあれば、事務系統をやっているものもある、法律系統をやっておるものもあるとするなら、そういうものこそ最優先的にこれは炭鉱労働者の失業者を使うのだ、こういうことになって法の精神というものは私は生きるのだと思う。ところが、役員さんのことはこれにちゃんと退職年金の通算まで算定されておるのですね、何もやめていく必要もない人たちにはこっちへ来て下さればこれだけの通算をいたします、年金の通算をいたします、退職金もこうなりますということをいっておる。そこまで親切であるなら、このもとになっておる炭鉱の失業者をこの中で、もちろん試験もありましょうが、これは三分の二なら三分の二は使うのですよということがあって法の精神というものが私は生きるのだと思う。そういう点が全然ない、労働大臣、これはどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(松野頼三君) 特別なもの以外は特に役員の通算といいましたのは、ここで申しましたのは特に技術者が援護会にどうしても必要だという場合には、やはり若い優秀な技術者である場合には援護会に移転といいますか、移転する場合もあるという道を開かないと、優秀な技術者という特殊なものが得られないのじゃないかという意味であります。実は恩給通算といったところで、全員が恩給通算の対象になるとは私どもは考えておりません。もちろんその中には優秀な技術者をしばらくこの機構をやっておったものをどうしても必要とするという何人かであって、九十何人が全部恩給通算の対象者をそこへ移すのだ、そんな考えはこの法律にはございません。たまたま課長になる前の若い優秀なものをどうしてもしばらくは置かなければ事務が動かない、あるいは連絡がなければ困るという何人かであって、九十九人を全部恩給通算の対象にすること等は考えておりません。従って、どっちかと申しますと、民間の方というとおかしいのですが、炭鉱の民間人を相当ここに吸収するということがより円滑にいくのじゃないか、それと行政的に強力なものを部署に入れて、両方かみ合わせて援護会を作る意味で阿具根委員のおっしゃるように、私の方は炭鉱の経験者あるいは希望退職としていろいろされた方の中から、あるいは援護会になるべく入れたい、その方がほんとうに援護の手が届くのじゃないか。逆に言えば、ほとんど大部分はそちらの方である。しかるに、中には行政連絡上、職場におった者、あるいはそういう職業訓練所におった者も必要であるというので、特にこの条項のために入れたわけであります。九十九人全部を入れるという考えじゃございません。援護会の中に炭鉱の経験のある方を採用いたしたい、こういう考えでおりますが、それはどうぞ誤解のないようにお願いいたします。
○阿具根登君 今までの法律案を見てみますと、たとえば合理化法で数百名の人たちが働いておられるけれども、これもほとんど会社の幹部の方です。会社の課長以上の方なんです。ところが、新規採用になる事務員の女の方とか、年若い方とか、これは別個からいろいろな形で採用されておる。労働福祉事業団が出てくれば、ほとんど幹部から中堅どころまでは、お役人さんのこれは仕事になっておる。こういうことで、実際その守らねばならない人たちが、こういう法律からいつもはみ出されておる、こういうことが今までずいぶんあっているわけであります。御疑問があったならば、福祉事業団も、あるいは石炭鉱業整備事業団も、お調べ下さればわかることで、そういうところにやはり法の精神というものを私は生かしてもらいたい。数の大小じゃなくて、やはり法の精神というものはここにあるんだ。しかし、仕事の性質上これはその監督なり、あるいは技術者なりというものは当然のことでございますが、そうでなくて、当然炭鉱の失業者でも採用できるようなところにも、別個の人が採用されておるという姿が非常に多いようでございますので、これは法の精神を考える場合に、私は強く要望いたしておきますが、石炭局長が見えておりますから、一つ通産省の方に少し御質問を申し上げておきます。 現在の炭鉱の離職者をどのくらいに踏んでおられるか。さらに今非常に新聞、ラジオ、あるいは週刊誌等で騒がれております福岡県の炭鉱の離職者が、まあ電燈もついておらない、水道もついておらない、こういうような生活をしておるのは、一体合理化後の失業者であるのか、合理化前の失業者であるのか、そういう点を少しお知らせ願います。
○政府委員(樋詰誠明君) 現在どのくらいの炭鉱の人間が離職しておるかというお話でございますが、私ども労働省と十分連絡をとりましていろいろ調査をいたしました結果、今日対策を要する人間といたしましては、大体二万一千名の人間に対策が必要じゃないか、そういうふうに考えております。それから合理化法施行以来今日まで、事業団で買い上げました炭鉱に働いておる人、結局買い上げられたことによって失業した人は大体二万一千名、偶然にほぼ一致したような数字になっております。先ほどの二万一千は、必ずしも買い上げ炭鉱だけではございません。現在買い上げられなかった炭鉱から出て困っているという方も含んでございます。なお、現在それじゃ失業者が幾らおるかということでございますが、これは御承知のように、毎年、たとえばことしを例にとってみますと、解雇者が大体二万七千ぐらいあるんじゃないか。一方、採用者が五万名くらいあるんじゃないか。その差が二万三千名ということになってくれば、合理化法施行以来の各年月をとりましても、八万名採用されて六万名解雇されたというような年もあれば、逆に、今申し上げたような年もあるということで、解雇者そのものの数は、毎年大体六、七万ずつあります。これはほとんど数年間大体同じであります。新規採用がそのときの景気によって五万ないし七万というぐらいで、皮肉にもこの合理化法ができましたあとの三十一年、三十二年は御承知のように、全体でふえておりますが、三十二年から少しずつ減り出したという格好になっております。
○阿具根登君 その三十一年、三十二年というときは、政府が長期計画を打ち出されて、そして石炭をこれだけ使うんだ、そのために縦坑をどれだけ掘るんだと、非常に馬力をかけられたときなんです。もう予算委員会の蒸し返しはやりませんけれども、だから人も採用した、設備も拡充した、こういうことになっておると私は思うんです。ところが、この五年間という精神もございますが、今後今のように、たとえば二万七千名解雇になって、五万名の採用があってということは考えられない。どこで一体炭鉱労働者を採用するか、これは考えられぬ。おそらくもう解雇のしっぱなし、首の切りっぱなし、私はこう思うんです。これに対して局長、どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(樋詰誠明君) 政府の方で石炭を掘れといったような長期計画を示したために、各炭鉱が人間も採用し、設備も大いにやってそうして今日の不況を来たしたのではないかといったような御質問でございますが、この点につきましては、実は御承知のように、七千二百万トンを昭和五十年に掘るんだという、一応長期エネルギー計画の見通しが立てられましたのは昭和三十二年の年末でございます。ところが、そのころから、これは石炭がだんだん斜陽といいますか、落ち目になりまして、そうしてこの計画が発表になってから投資も減り、そういう人間も減るという、非常に皮肉な現象を来たしておるわけでございます。七千二百万トンの計画が発表になってからは、これは人間もだいぶ減っております。それから投資の方も、予定額に比べて、だいぶ金繰りが苦しいというようなことで、スロー・ダウンをされて、とりあえずわれわれの方では、将来のために大規模な縦坑を開発したいと思ったのですが、なかなかそこまでいかないので、とりあえず現在の規模で合理化するということで、安く炭があがるという方向へいきたいということから、具体的に申し上げますと、三十三年度に二百八十億というものがここではあったわけでございますが、三十四年度は二百五十五億というふうに下がっておる。それから大部分石炭の投資というものは継続投資でございますので、三十二年度からの引き続きという格好で、三十三年度は、これはもう七千二百万トンが発表されましたころにおいて、実際に工事に入ったというものについて二百八十億をやらざるを得なかったのでありますが、三十三年度に入りましては、新しいところはやらないという格好で縮小したのでございます。それから人間も、三十二年の十二月末の常用労務者が三十一万九百九十人おったわけでございますが、大体それから毎年少しずつ減って参りまして、三十三年の三月でありますから、大体計画がはっきり発表されましてから二、三ヵ月後には三十万八千人に減り、一年後には二十九万八千人、大体計画が発表されたころをピークにして、実際には統計的に少し前からだんだん人間は減りつつあったといったような格好になってきております。
○阿具根登君 そうすると、これは大へんなことになりますね。三十年に合理化法が出されたときは、合理化法を行なうということは、炭価を下げて石炭をうんと使うためだということがあったわけです。それが二十七年に六千四百万トン、さらに三十二年度に七千二百万トン、これだけの石炭を使えとおっしゃったのが三十二年の末だということになれば、僅々二年にならないのです。この徴候が現われたのは、もう一年前から現われておるのです。そうなると、通産省は何も知らない、世界的な恐慌だ、世界的な不況だということがいわれておるのに、一年前に通産省はそういうこともつかみ切らずに七千二百万トンの長期計画を立てられたということになれば、一体通産省は何をしているかということにならざるを得ぬ、私はこう思うのです。この不況が叫ばれたのは、もう一年前ですから、そうすると、たった一年前にこれだけの世界的な油の進出が見えなかったというのは、これは通産省の責任というものは、これは重大なものだと思うのですが、どうですか。
○政府委員(樋詰誠明君) 昭和五十年に七千二百万トンとれるというのじゃございませんで、あの当時の規模で大体鉱工業生産が伸びていくということになれば、大体全体として一億七千万トン程度の石炭換算でエネルギーが要るであろう、その場合、物理的に、一応掘り得る石炭というものをいろいろ考えてみた場合、これは外貨の事情その他も十分に考慮して、できるだけとにかく国内で使うということでやった場合に、一体どこまで供給できるかという、供給力のサイドから見たところの一応の見通しが七千二百万トンということでございまして、これはあくまでも経済計画に基づく長期エネルギーの見通しでございまして、このために掘るんだ、このために各社はこういう対策をとれといったような強制、これはもちろん全然ないわけでございます。これは言いわけがましくなってはなはだ恐縮でありますが、実はちょうどそのころ、ヨーロッパの各地におきましても、石炭は今後相対的には下がるけれども、依然としてやはり非常に重要な国民的エネルギー源であるということで、大いに掘らなければいかぬということが叫ばれて、各国ともいろいろ検討されたのでございますが、最近二年ぐらいの間に、急激にいわゆるオートメーションに伴う流体エネルギーに対する需要といったようなものや、あるいは石油価格の低落、石炭価格の上昇というような経済性の問題から、急激に需要構成が変わってきたということで、ドイツにいたしましても、イギリスにいたしましても、大幅に出炭計画の見通しを改定し、あるいは国営をやっておりますところでは、出炭計画そのものを改定しているのは御承知の通りでございますが、われわれ三十二年度に七千二百万トンという一応の計画を立てましたときには、経済企画庁が中心になりまして、全体的なエネルギー計画からやったわけでございますが、最近の趨勢にかんがみまして、目下経済企画庁の方で、大体年度内に一応の結論を得べく、新しい長期エネルギーについての見通しというものの作業をいたしておりますので、われわれといたしましては、その新しい作業の結果を待って、今後の合法的なエネルギー政策というものに石炭をどうかみ合わせるかということについても慎重にやっていきたいというふうに考えております。
○阿具根登君 そうした場合、政府が計画を発表した場合に、強制したのではないから責任を持てないんだというようになると、それでは国民は何を信頼していいか、政府の政策が発表された、その政策によって事業を進められていくものと、私はかように思うわけです。今の言葉は、これは予算委員会でも、通産大臣も総理大臣も言って、時間がなかったので追及できなかったんですが、それでいけば、今度また通常国会に出される長期エネルギー計画を考えてみる場合でも、責任はありませんよ、どうなるかわからぬのだ、一年後にどうなるかわからぬから、責任はありませんけれどもこのくらいエネルギーは要るでしょう、こういうことじゃ、私は、国民は信頼して政府の言うことについていけないと思うのです。やはりそれは政策だから、あるいは間違いはあるかもしれない。しかし、それに対する責任を持ってくれなければ、だれが信用していくか、私はこう思うんです。この三十二年度の末に出した長期エネルギー計画というのは、これは企画庁で出したやつです。今度また出すのも、責任を持てないやつをお出しになるんですか。これは国民としては、炭鉱労働者や炭鉱の経営者としては、政府は出したけれども責任は持てないんだ、いわゆる政府の政策は、これはどうなるかわからぬのだからついていけないんだ、こういう不信感で仕事をしていいんですか。
○政府委員(樋詰誠明君) 先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、七千二百万トンのときには、これはもっぱら国内でどれだけのものが物的に供給できるかという能力的な面からの量というものを、一応あそこに計上したわけでございます。で、そのときに価格の面、すなわち競争エネルギーを一応自由に選択し得るといったような前提というものにつきましては、これは何ら触れることなしに、とにかく国内でできるものがどのくらいあるかということだった、そのために価格面の検討が十分になされた結論というものをお示しすることができなかったために、ああいうことになったわけでございまして、今後は計画の前にすっかり前提をつけて、こういうふうなあれである程度コンペティティヴであるということになるなら、このくらいの需要があるはずだという、その前提を明らかにした上で計画というものを発表すべきじゃなかろうか、そういうふうに考えております。
○阿具根登君 私は、そればかりじゃなかったと思うのです。昭和五十年度は二億七千万トンのエネルギーを使うけれども、一億四千万トンは外国のものを輸入し、一億三千万トンは国内炭だということになってくれば、それに対して何億ドルと、ちゃんとドルまで割ってあると思うのです。それは日本の輸入に、ドルを無制限に安いからといって出すわけにいかぬ、これは皆さんがよく御存じの通りです。それなら、日本の経済からみて、ドルをどのくらい出されるのか、また、どのくらい切られるかということで、国内炭と競合しないように政策を立てられてほしいものだと私は思うのです。それはただ量だけじゃなかったと私は思うのです。そうすると、予算委員会の質問では、エネルギーはふえます、今、すでにふえておりますということになると、総エネルギーというのは、私は違っておらないと思うのです。逆にふえるかもしれぬ、今のような伸び方でいくならば、もっとふえるだろうと思うのです。そうすると、按分の問題になってくるのです。それには外貨の問題がからんでくる、油が日本でどんどん出るならいいが、九八%は外国のものです。そうするなら、外貨を切るのに、計画がなくて外貨を切るということは、私はあり得ぬと思う。そうすれば、必ず、すでに考え方はきまっておるのだ、きまっておらなければならないと思うのです。そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(樋詰誠明君) 今、御指摘のように、今後のエネルギー全体について考えます際には、外貨の問題、いわゆる国際収支の問題、あるいはいわゆる国内の雇用の問題、あるいは投資効果というようないろんな面を総合勘案してやらにゃいかぬということは、阿具根委員の御指摘の通りだと思います。ただし、この前、五十年に七千二百万トンというときには、これは一応、大体二十億ドル程度のあれにはなるだろうということは、試算はいたしましたけれども、しかし、実はそのときには、必ずしも外貨面の支払いというものをそれだけやることによって安い国内のエネルギーがどうなるかといったようなそのあたりの考慮ということは、先ほどの物的面からどれだけ確保できるかというような問題と同じように、あまり大きな観点を置かずに、一応全体のエネルギーはこれだけ伸びるはずだということを中心にして、それをただ割り振ってみたら、物理的に供給できる電力は幾らくらい、石炭は幾らくらい、そうすれば結局、残りの四八%くらいは輸入にたよらざるを得ないということになるのじゃないかというような全体のエネルギーの規模を出しておるわけでございます。現在、われわれのエネルギーの規模というものは、当時に比べて非常に小さくなるというようなことはないと思います。それは今後、この中でどう配分していくかという際に、先ほど、競争エネルギーとの価格の関係、どちらにより投資した方が、輸出が伸びるのか、あるいは雇用が結局ふえるのか、あるいは国際収支ではどっちがプラスになるのだといったようなことを総合的見地からにらみ合わせて判断して、今度は間違いないような見通しを立てるということに努力したいと思っております。
○阿具根登君 大臣が見えておりませんので、局長の見解を承っておきますが、今のままで、石炭は値段が高い、重油は安いからということで、石炭の値下げをしなさいということを通産大臣は指示されておるが、今のままで重油と太刀打ちできるかどうか、そういう見通しはどうですか。
○政府委員(樋詰誠明君) 御承知のように、石炭が石油に対して非常に今、劣勢にあるという一番大きな原因は、これは価格の割高ということと同時に、供給が不安定だという面があるわけでございます。これは私から申し上げるまでもないことと思いますが、結局ほしいと思うときに必ずしも手に入らないといったようなことのために、やむを得ず輸入エネルギーでとにかくやっていこうというようなことをとらざるを得ないということが今までも再三あったわけでございまして、結局値段が高いということと、それから供給が不安定だ、むしろ質的に申しますならば、供給をまず安定さしてくれ、そうしたらある程度それからできるだけ一つ値段を下げてくれというのが需要者の方の希望でございますので、われわれといたしましては、今後石炭が安定的の供給を続けることができるということになるという前提に立つ限りにおきましては、だんだん値段を下げていくということで、必ずしも百パーセント重油に対して競争的でないからといったようなことでなしに、ある程度合理的の競争価格というところまでいくならば、これは使う方の産業も、国民経済としてとにかくこれだけの三十万からの雇用を持っている大産業というものはどうしても維持しなければいかぬのだということになれば、これはある程度の割高くらいは、私は大体各産業とも寛容して使っていただけるのじゃないか。従って、石炭の生産規模といたしましても、今後今よりも若干質でもふやすという方向に堅実な発展をするように一つ努力すべきじゃないか、そういうふうに考えておりまして、割高だからそれでも小っちゃくなれというようなことを軽々に結論は下せ得ないのじゃないか、そういうふうに考えております。
○阿具根登君 需要が安定しない、必要なときに石炭が手に入らないということを言われたのですが、そういう点も一、二回ありました。しかし、石炭は油みたいに簡単に片づけられるものじゃないと思うのです。御承知のように、去年私が質問したときは三百万トンの雨が降った。今までと比べて、そうすると、三百万トンの石炭を一体どこに置くか、だれが持っているのか、そういう問題が解決できない限りには、私は需要の安定ということはできないとするならば、安定機関はどこに置くか、だれが責任を持つべきかという問題が私は起こってくると思うのです。ただ漫然と石炭の需給の安定だ、需給の安定をしなさいということでは、これはあれだけの場所をとり、また、しばらく置いておけば風化する、質が下がる、こういうことでは私は安心した需給の調節ということは考えられない、どっかにポケットを作らねばできない。こういうことになると思うのです。これは政府の責任だと私は思うのです。そういうものをしてやって初めて需給というものが調節できてくる。また、価格の面については、これは重油と石炭と太刀打ちせいという人が私は間違っているのじゃないかと思う。重油の外国資本を全部一つ教えていただきたい。重油がどのくらい入っていて、スタンタードならスタンダード、その他の外国資本をここで一つ教えていただきたい。おそらく半数以上は外国資本だと私は思うのです。そういう外国資本が入ってきておる重油がどうして石炭が値段が下がったからといって、そのまま高い重油をそのまま持ってくると思われるか、私は思われないと思う。また、重油も今もう飽和状態になってきている。世界の実情から見て重油業界は、先走った人は重油の寿命はあと十五年だと見ている。何ぼ使ってもよろしい。今のうちうんと掘ってしまってもよろしい。そのあとは固形燃料だ。ソ連の月に飛んでいったあれは重油を積んでいったわけじゃない。そうすると、今後将来固形燃料だ、こんなものは時代おくれだ、こういうことまでも先を見ている人は言っているわけです。そういうことになってくるならば、政府の保護がないならば、すみやかに今の産業というものはつぶれていってしまう、こういうことを考える。 もう一つは、英国の話しもございましたが、英国では大体一億トン以上の石炭を使っています。現在二億八百万トンといわれておる。その中で四百万トンをどうしようか。四千人という人間はどうしようか。六十万名おる労働者の中で、四千名の人間はどうしようか。二億八百万トンの中で、四百万トンの石炭をどうしようかというのだ。日本のようにわずか三十万足らず、今二十八万ぐらいしかいない、その中で十万も切ろうか、三分の一も首を切らねばならないという状態と、五千万トン出る石炭を三千万トン台に押えようかと、まるで事情が違うのです。それにもかかわらず、英国等では、その四千人の大部分は六十五才以上の老人であって、すでに生活保障は政府が認めておる。生活扶助はなしておる。だから英国の労働組合でさえも、その炭鉱の失業者に対してはそんなに心配する必要はないと言っている。そこまで政府はやっておるわけだ。日本はそれよりもうんと悪い条件にありながら、政府は責任をちっとも感じないように私らには思われる。そうして出てきた失業者をこういう法律案で救うとか、あるいは七億二千万の金を追加して一つ救おうじゃないか、こういうことになってきておる。そうすると、私はもっと通産省の責任というものは大きいのじゃないか、もっと積極的に考えていいのじゃないか、こういうように思うのですが、こういう問題についてどういうふうにお考えですか。
○政府委員(樋詰誠明君) 今イギリスのお話しがありましたが、私ども在外公館からもらっておる資料によりますと、イギリスにおきましても、さしあたりは今四千人というお話しでございましたが、追っかけまして六五年まで、昭和四十年までに三万五千からあるいは八万五千人の人間というものを、今の六十六万から吐き出さざるを得ないのじゃないかということで、将来も大体二億トン程度、あるいは多くて二億一千五百万トン以上には石炭は掘っても無理だというふうにいって、そういう配置等をどうするかということについてのいろいろ検討をしているというふうに聞いております。ですからこういう点につきましても、今後やはり大きな方の見方によりますと一年間に一万人以上です、その人間というものを他の産業に回さざるを得ないということになるのじゃないかと考えます。 それから前半の方のいろいろお話しがございましたが、私ももちろんこれは非常に大きなエネルギーのもとでございますので、これは一定割合はこれは国産のエネルギーでしっかり産業基盤として確立させる必要があると思います。百パーセント重油と競争できるというふうにわれわれも思っておりませんが、しかし、市場の方で、置きかえ得ないで不安定だというのはこれは困るので、まずそっちの方を安定していただきたい。それからとにかくあまりにも割高では困るから合理的なところまでは一つ値段を下げてくれということをいっておりますので、安定してあるところまで下がるなら、これは重油よりもある程度割高でも、これは国民経済として使おうじゃないか。そのときにどうやって使わせるかという問題も出てくると思いますけれども、この問題は必ずしも今の段階においては触れる必要がないので、その間はだまっていても一応使ってもらえる程度の国民経済的な考慮ということは、各産業においても十分払ってもらえるというふうに確信いたしております。
○阿具根登君 そういう問題じゃなくて、それは局長のお話しを聞いておればほとんど他力本願で、政府は自由経済だからこれは知らないのだ、重油と太刀打ちのできるくらい、多少高くても外貨その他で押えてやるから安くしなさい、こういうことを言っておられると思うのですよ。私が言っておるのはそういう意味じゃなくて、それはドイツの問題も御承知の通りだから、外国の問題はあまり言いたくないのですが、それは外国の石炭に対してはどのくらいの税金をかけるとか、重油に対してはどのくらいの税金をかけるとかということをいわれておるわけです。おそらくフランスあるいは英国、ドイツ、アメリカは別個に考えましても、この三国の重油の値段と、日本に入ってきておる重油の値段とどれだけの値段の開きがあるか教えていただきたいと思います。
○政府委員(樋詰誠明君) まず前段の方でございますが、政府は何もしないというのではございませんで、石炭界を安定させるというためには、これはたとえば長期契約、ことに大口の需要者との間に長期契約を結んで、弾力性の乏しい石炭鉱業が安心して炭を掘っていけるという格好に持っていくのが、これが一番いい方法ではないかと存じまして、われわれの一番大きなお得意さんは電力でございますが、一般炭の三分の一を占める電力というようなものに対しましても、できるだけ一つ長期契約を結ぶようにということを業界に指導をしてきたわけであります。大体東京電力あたりで一年間の所要量の約八割近いものにつきましては、一応の長期契約というような格好にしております。中には、量だけでなしに、価格も何もきっちりきめて、三年、五年というふうにやっておるものもぼつぼつ出て参りましたので、今後そういうような方向でいきますならば、これは石炭業界としては、関連業界との共同歩調のもとに、一応自分自身を安定させることができるのではないか。われわれといたしましては、必要がありますれば、たとえば共同貯炭場というようなものを設けさせて、それに必要な開発銀行の金を投ずるといったようなことも考えておりまして、大体業界同士の話等ができますならば、今後ともそのように進めて参りたい、かように考えております。 それから重油の値段でございますが、これはドイツがこの前石油と石炭との間にカルテルを結ばして、競争をしばらくしない、石炭と石油が仲よくやっていこうじゃないかという休戦を、エアハルトの指導のもとにやった、ところが不幸にして破れた、これは御存じの通りでありますが、あのときの一応カルテルの価格が八十八マルクでございますので、大体日本の円にしまして、八十二、三円ですから、七千円程度になるかと思います。ところが、それが五十八マルクでダンピングするものが出たということのために、いろいろ問題になって、課税するといったような案も用意されたわけでございますが、現在わが国に入ってきております油は、CIFにいたしますと、大体製品輸入でほぼ七千二、三百円ですから、ドイツが安定させようと思ったというものと、製品輸入の場合の値段はほとんど変わりません。ただ御承知のように、国内における重油の価格というものは、これは国内炭の値段に相当引きずられるということで、C重油で九千円、A、B重油では一万円をこえるという格好になっております。
○阿具根登君 さらにドイツで三十マルクの関税をかけるということが論議されておるということは御承知ですか。
○政府委員(樋詰誠明君) 重油に対しまして三十マルク、二千五百円でありますが、この消費税を取ろうという案が連邦参議院に提出されたのでございますが、これは先月の二十三日に一応参議院で否決されました。ただ御承知のように、ドイツは連邦議会がそれを可決すれば、あらためて参議院に送られて、そこの同意が得られないという場合、もう一度戻って連邦議会で議決すれば、それは法律になるということになっておりますので、まだ全体としてアウトになったわけではありませんが、第一段階の、まず先議する連邦参議院の方は、二十三日に否決という格好で、連邦議会に送られております。
○阿具根登君 そのように、同じような事情にある西ドイツでは、たとえ否決になっても、政府としては、国内産業を守るためには、これだけの関税をかけるのだというところまで論議しているわけですよ。わが方ではどうですか、これだけの失業者を出さなければならぬといっておるのです。私らが何ぼ追及しても、税金のことは一切言われない、いかに油業者が強く動いているかということもわかりますが、しかし、たとえ否決されたとしても、今おっしゃるように、まだ審議中なんです。しかも政府は三十マルクの関税をかけなければできない、そうしなければ炭鉱はつぶれる、こういうことまで言っておる。それと日本の政府と比べた場合、まるで月とすっぽんのような違いがあるではありませんか。日本の政府は、ここまできておっても一切そういうふうな政策を立ててくれない、そうしてこれはあなたが一番よく御存じですが、石炭協会は三十八年度までに五千五百万トンの石炭を掘るとしても、大手で六万名、六万百二十名ですか、こまかい数字でいえば……、それから中小で三万六千名、九万六千名、大体十万というものを首切っても、八百円しか値は下がりません。これがぎりぎりの最後ですということを言っておるのです。ところが、電力会社は何と言っているか。そんなことではつまらぬ。千二百円下げにゃだめだ、こういうことを言っておる。石炭協会の方は千二百円下げろというならば、少なくとも三分の二の従業員を首切らねばできません、炭鉱も三分の一に減ります、そうしなければ、とてもじゃないが、そんな値段にはなりません、こういうことを言っておる。それに対しても、何にも政府はこれに対して対策を持っておらない。たとえば電力会社の話も出ましたが、電力会社でも現在一〇%以上の重油を使っている。九州だけ見れば五%です。これは公益事業である、公共事業である、こういうものに対しては、油は何%という割当をしていいはずです。政府がこれだけ世話しておるところです。そういうのにも全然そういうことはやっておらない。ただ、今言われました共同貯炭場という構想は、私はいいと思うのです。しかし、それもお互いに話し合って、そうして作りなさいといったところで、片一方は十万名首切って八百円の値下げをしますと言っておるのに、片一方は千二百円の値下げをしなければ買わないのだ、こういうことを、まるで王者が自分の勝ちに乗じておるような態度をとっておるのに、共同貯炭場を作れといわれてもできっこない。政府がこれをやる。政府が何らかの手を打たなければ、お互い、やりなさいと言われても、今のようなことでは、私はやれないと思うのです。政府はそういうふうに両方いがみ合わしておいて、いがみ合わしていがみ合わして、その結果出てきたものに対して、政策を考えようということをとっておられると私は思うのです。だから日本のこの政府のエネルギー政策というものは、諸外国から比べて一歩も二歩も、十歩も後退しておるのではないか。なぜもうちょっと前進しないか。その上で、法律案なら法律案、あるいは失業対策なら失業対策というものも、私は考えられてしかるべきであるけれども、そうではなくて、力のあるものとないものを自由に競争させて、そうしてこれだけの、十万人からの失業者を出そうとしておるというところに、私は政策の誤まりがあるのではないかと、こう思うのですが、いかがですか。
○政府委員(樋詰誠明君) 諸外国に比して日本の政府は、石炭の保護の方策をとっていないじゃないかというお話でございますが、私は逆に、少なくとも今まで日本ぐらい石炭を保護してきた国はないのではないか。これは御承知のように、重油ボイラーの設置を規制しているというような国は、世界にどこにもございません。それから厳重な外貨割当で、とにかくどんどん入ってこようというのをしゃにむに抑えつけて、たとえば先ほどお話のありました電力会社等につきましても、大体一五%以上は油が使えないというような割当しかないという格好でやっておりますので、これは今までどこの国でもやってなかった、非常に厳重な油の統制というものをやることによって、石炭の需要を何とか維持しようということにつきましては、政府としてはできるだけの努力をしてきたつもりでございます。ただ、今後どうするかということにつきましては、当時予想しました以上に急速なる需要業界の方の需要構成の変化というようなことも、これは無視できませんので、今関係各省がせっかく協力して、この次の通常国会には、根本的なエネルギー政策というものに基づく石炭政策というものが打ち出されるようにということで、われわれ事務当局も、それに間に合わせるように、今、作業をいたしている最中でございますので、これは私から申し上げるのもおこがましい次第でございますが、今度の通常国会あたりには政府として対策をお示しすることができるようになるんじゃないかということで、われわれ事務当局で作業を進めております。
○阿具根登君 日本みたいに石炭業界を援護しているところはないとおっしゃるけれども、事実、日本の業者に対するいろいろな金融面その他で援助されたことは私も認めます。これは日本の業界に対して非常な、まあ戦後でも政府が保護してきたことは私も認めます。しかし、たとえば重油ボイラー法案が日本でできたからこれは雨期的だと、こうおっしゃるけれども、それは価格であなた方は押えずに、使用で押えただけのことなんです。日本は一番、油の少ないところです。出ないところ……。極端に言うならば、大東亜戦争は油が日本にあったならばああいうことにならなかったかもしれない、油がほしいから向うに進出して侵略したんだ、これも私は過言でないと思うんですよ。それに対して、油に対する規制をせずに━━金額の点において野放しにしておいて、そうしてこれを規制したのが、重油ボイラー法を作ったのが、それが日本で各国に全然見られないことをやっておるんだというのは、私は当たらないと思うんです。外国はそういう規制をしておらないかわり、私が言ったように、その価格の、関税の面においてでも十分な処置はとってある。日本だってどうです、一〇%の関税をかけるようになっておるのを、現在までかけていないでしょう。それは重油に対する保護政策ですよ。だから、片一方だけ一つだけとって、石炭にこれだけの保護政策をしているんだということは当たらない。現実問題としてどこが一番苦しんでおるかというようになってくると、日本の石炭が一番苦しんでおるのではないかということになってくるならば、特に、日本に九八%も外国から輸入しなければできない重油だというならば、その方の政策を考えるべきじゃなかろうかと、私はこう思うんですが。
○政府委員(樋詰誠明君) 量の規制だけやって価格の方の規制をやらなかったのは、というお話でございますが、量の規制をやったために一〇〇ある需要に対して九〇しか入ってこないということのために、これは市場価格が上がって、石炭の価格に近いようなものになって、じゃ石炭を使おうかというようなことにもこれはなるわけでございまして、現実にこの前の石炭不況期あたりには━━三十一年あたりは御承知のように、石炭の値段の方が重油の値段よりもカロリー当たり一割以上安い、というようなことのために相当石炭がふえるというようなことになっておりますので、これは量と価格と両方を規制するということをすれば一番はっきりするかもわかりませんが、しかし、一応、量の規制だけでも価格のコントロールということはある程度できるんじゃなかろうか、こう考えております。それからなお、関税をかけておらぬじゃないかというお話でございますが、これは阿具根委員御承知のように、現在六・五%の関税をかけております。
○阿具根登君 それは六・五%かかっています。しかし、これは一〇%取るように大体法律はなっている。暫定措置でこれをやっているんです。 それで、通産省の石炭局長の言われるのは、おれたちは間違っておらないんだと言われるけれども、現実は、間違っておらなかったなら、炭鉱労働者がこんな失業者が出て、こんな法律案を今われわれが審議せぬでも、また、今後十万人も十五万人も出るというような心配をしなくても、また、炭鉱労働者がその上、食えない、子供が学校に行って昼飯がないから漫画の本を見ている、こういう惨たんたる実情になり得ないんです。こういう現実面に立ってお互いが反省しなければならないのに、政府自体何にも悪いことはないんだと言われるのが攻撃したい本心なんですよ。何も今までしたのが悪いことがなかったのなら、こんな現実は出てこない。こんな現実は出てこないというために政府というのはあるはず、政策というものはあるはずだ。その政策が誤まっておったからこういうことになる。誤まっておらなかったにしろ、こうなるのならば政策を変えなければいけない。その政策がいまだに変わっておらない。そうして僅々二年前に出した長期エネルギー計画がすでにもうだめだ。あれじゃもうやっていけませんというなら、そのかわるものを持っておらなければならない。そうしてそういう悲惨な状態が救われなければならないのに、これもまた通常国会までということになっておる。そんなら政府としてはそこまで━━通常国会まで待ってくれというなら、通常国会までは石炭事情についてはこういうわけだから、一つ首切りも待ってくれ、まだ首切り対策もできておらないから待ってくれ、重油も一つ待ってくれ、こういうくらいの政策を持たなくて━━政治力を持たなくて、どうしてこの炭鉱の不況だ、あるいは日没だというのが防げるか、私はこう思うのだがね。
○政府委員(樋詰誠明君) 私はもちろん政府が全然責任なかった、自分らのやってきたことは今まで間違っていなかったというような、そういう大それた思い上がったような気持は持っておりません。ただ当然われわれも相当の責任があるということにつきましては、応分の責任を分かちあわなければならない、こういうふうに考えておりますが、しかしそれは、それじゃその責任というのは、やはり今後はそういうあやまちを繰り返さないといった努力で実証すべきじゃないか、そういうように考えて、現在必要な面から再検討しておるわけでございまして、七千二百万トンの長期の見通しも、従いまして、政府全体といたしまして、話もあれば、再検討もしておるけれども、看板はまだおろされておらない。とにかく、おろすかおろさぬかというようなことを再検討の上で、結局今度の通常国会あたりに、大体今後はこういうふうな見通しで所要の策をとるべきじゃないかといった結論が出されるのじゃないか、こういうふうに、私は私なりに想像して申し上げたわけでございまして、われわれといたしましては、今までわれわれの見通しが大きく狂ったということが、今日の石炭不況に多分に片棒かついでおるということについては十分な責任をもって今後の努力をいたしていきたい、かように考えております。
○阿具根登君 もう昼休みにしてこれでやめますが、石炭局長を私は責めたような形になっておるけれども、通産省を見た場合に……これはまず与党の方も一つ考えてもらいたいと思うのです。通産大臣おられないから。大体、石炭局というのは一番古ぼけたきたないところに追いやられて、そうして石油なんというのは大臣のおひざ元の堂々たるところに置いておる。この姿そのものはどっちを優先的に考えておるかということの端的な表われだと私は思う。石炭局長が気の毒だと思うのです。石炭局長がものを言えば重油関係の人がどっと押しかけてくるのです。通産省に行ってみなさい。石油関係の実力がどれだけあるか、どれだけの人が来ておるか。こういうことを考えて見る場合に、石炭局長じゃなくて、通産大臣とかその他の油の関係の方々に文句を言いたいので、私、次に質問をいたしますから、一応きょうはこれで終わります。
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。 本件に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。 —————————————
○委員長(加藤武徳君) この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。本院規則第三十六条に基づき、炭鉱離職者臨時措置法案について、商工委員会と連合審査会を開会することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。 ただいまの決議に基づき、委員長は商工委員会に申し入れることにいたします。開会の日時等は、決定次第お知らせいたします。 本日の会議は、これで散会いたします。 午後一時三十一分散会 —————・—————