社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/11/18
会議録
○委員長(加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。政府提案の炭鉱離職者臨時措置法案が当委員会に予備付託になっておりますので、労働大臣から提案理由の説明を伺いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。それでは労働大臣から提案理由の説明を伺います。
○国務大臣(松野頼三君) ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法案につきまして、その提案理由及び内容の大綱を御説明申し上げます。 石炭鉱業におきましては御承知の通り、深刻な不況に悩まされており、そのために多数の炭鉱労働者が離職している実情にあります。 このような事態にかんがみ、政府といたしましては、従来から職業紹介、職業訓練、失業対策諸事業等の対策を推進して参りましたが、さらに総合的かつ有効な離職者対策を確立すべく検討を進めて参ったところ、このたび成案を得るに至りましたので、ここに、炭鉱離職者臨時措置法案を提出いたし、御審議を仰ぐことといたした次第でございます。 次に、その内容について概略御説明申し上げます。 本法案は、炭鉱離職者が一定の地域において多数発生している現状にかんがみ、これらの者に特別の措置を講ずることにより、その職業と生活の安定に資することを目的としておりますが、その内容といたしまして、第一に、炭鉱離職者が多数発生している地域においては炭鉱離職者が職業につくことが困難であるという実情にかんがみ、労働大臣が、その地域以外の地域においてそれらの者が職業につくことを促進するための職業紹介に関する計画を作成し、かつ、その計画に基づき必要な措置を講ずることといたしました。 第二に、離職者の多数発生している地域において、炭鉱離職者緊急就労対一策事業を計画実施し、炭鉱離職者に就労の機会を与え、生活の安定をはかることといたしました。また、この事業につきましては、高率の国庫補助を行ない、もって地方財政負担の軽減をはかることといたしました。 第三に、職業訓練については、炭鉱離職者の実情に即した特別の措置を講じ、これに対しては、一般の場合よりも高率の国庫負担を行ない、離職者が他の職業に再就職することを円滑ならしめることといたしました。 第四に、石炭を目的とする鉱業権者が新規に労働者を雇用するにあたりましては、できるだけ炭鉱離職者を雇い入れるようにしなければならないこととし、公共職業安定所の積極的な職業紹介活動と相待って、これら離職者の就職促進をはかることといたしました。 次に、炭鉱離職者が職業につくことに対して特別の援護措置を行なうことを目的といたしまして、炭鉱離職者援護会を設立し、移住資金の支給、職業訓練受講者に対する手当の支給、寄宿舎の設置等の援助、炭鉱離職者を雇用する雇用主に対する労働者用宿舎の貸与、就職を容易にするための職業講習の、実施、公共職業安定所との連絡その他炭鉱離職者の求職活動に関する協力、生業資金の借入のあっせん、生活指導その他の業務を行ない、政府の施策に協力して離職者対策に万全を期することといたしました。 また、この援護会の財源は、政府の補助金及び石炭鉱業整備事業団からの交付金のほか寄付金をもって充てることとしております。 なお、本法は、その目的にかんがみ、施行後五年以内に廃止いたすこととしております。 以上簡単でございましたが、この法案提案の理由並びにその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。 何とぞ、御審議の上すみやかに御可決あらんことを切に希望してやまない次第であります。
○委員長(加藤武徳君) 本案に対する質疑は次回以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(加藤武徳君) それでは次に、労働行政に関する調査の一環としまして、家内工業等におけるベンゾール中毒事件を議題といたします。政府の出席者を御報告いたしますと、労働省からは松野労働大臣、百田職業安定局長、谷野婦人少年局長、それから通産省からは新井有機化学第二課長、厚生省からは高田薬務局長、尾村公衆衛生局長が間もなく出席をする予定でございます。労働省からは、なお、亀井労政局長、堀労働基準局長も出席をいたしております。それでは質疑をお願いいたします。
○阿具根登君 ベンゾール問題につきましては、審議会等からそれぞれ意見が出ておるようでございますが、現在までの経過をその責任にある方から御報告願いたいと思います。
○政府委員(堀秀夫君) ベンゾール問題に関しまする従来の経過を御報告申し上げます。 ベンゾールは化学的にはいわゆる芳香族に属する物質でございまして、有機溶剤としてすぐれた性能を有するところから、広範な用途に供せられておるものでありますが、半面に、ベンゾールのガスを長時間吸入する場合にはいわゆる造血機能障害を起こし、人体にきわめて有害な作用を起こすものであります。このため、労働省といたしましては、かねてから、労働基準法に基づき、ベンゾール中毒の発生する危険がある事業場に対しましては、特殊健康診断の実施を指導勧奨いたしますとともに、特に昨年度からは、労働衛生行政の最重点の一つとして、環境改善方策の具対化等その対策に努めて参ったところであります。本年の七月に、御承知のように、東京都内のヘップサンダルを製造する家内工業労働者、中小零細企業労働者の間にベンゾール中毒が発生いたしまして、新聞紙上等に報道されて問題になったわけでございます。この点につきましては、労働基準法の適用事業だけでなしに、いわゆる家内労働者にこの中毒が発生したというところにいろいろ問題が出てきたわけでございまするが、労働省といたしましては、これに対しまして直ちにその実態の把握に努めるとともに、巡回指導班を編成して、労働環境改善についての指導を具体的に行なったわけであります。なお、厚生省、通産省、東京都、その他各関係方面と連絡をとりまして、関係者に対する巡回健康診断の実施あるいは有害でないゴムのりにいわゆる日本工業規格品としての表示をする等の措置を講ずることにつきましてそれぞれ協力を得てきたところでございます。しかしながら、東京都、その他において実施されました健康診断の結果を見ますると、ベンゾール中毒で要注意の患者の比率が相当高率を示しておるのであります。この防止に万全を期するためには、やはり根本的に考えて、この製造使用等についても法的な規制措置を講ずることが必要であるというふうに考えられましたので、労働大臣から、労働大臣の諮問機関として設けられております労使公益三者構成の中央労働基準審議会に対しまして、この問題につきまして諮問をいたしたのであります。同審議会におきましては、本件について再三総会、あるいは部会を開催し、また、関係業者あるいはメーカーあるいは家内労働の実際その関係に携わっておられる方々等をお集まり願いまして、意見を十分聞き、慎重な審議を重ねられた結果、十一月十日に答申を労働大臣あてに提出されたのであります。その答申の内容は、要するに、このベンゼンを含有するゴムのりにつきましては、労働基準法四十八条の有害物に指定することによって、この製造使用について規制を行なうことが適当である。ただこれを実施するにあたっては、トリオールその他の代替品の需給状態に十分留意し、混乱の起きないように行政運営上十分配意することというような趣旨の答申がありました。また、これから申し上げまするような省令を労働省令として公布実施するということにつきまして、適当であるという答申を満場一致でいただいておるわけでございます。 そこで労働省といたしましては、十一月の十二日付をもちまして、労働基準法四十八条の有害物と指定する省令を公布いたしました。その内容は、ベンゼンを五%こえて含有するゴムのりにつきましては、労働基準法四十八条に基づき、その製造、輸入、販売、使用を禁止する、こういう趣旨の省令でございます。五%以下のベンゾールを含有するものは除きましたのは、いわゆるトリオール、それから石油系ベンジンというような代替品を使わせる、こういう趣旨でございます。ただ、代替品につきましても、やはりベンゾールが少量でございまするが含まれておりまするので、その取り扱いについてはもとより注意を要するところでございまして、これらの問題につきましては、引き続きまして労働基準法に基づく取り扱いに関する省令を近く公布をして実施いたしまするように、これも目下労働基準審議会において御検討を願っておるところでございます。それでこの製造、使用、販売の禁止の省令は、明年の一月一日から実施することにいたしております。また、過渡規定といたしまして、現在すでに製造されて出回っているベンゾールのりがありますが、これにつきましては、トリオールのりその他の代替品の行きわたる状況もにらみ合わせまして、三カ月を限りまして、一月一日から三月末日までは現在製造されておるベンゾールゴムのりを三カ月を限り販売し、販売の目的で所持することができる、こういう経過規定を設けております。ただし、製造は一月一日から禁止されることになるわけでございます。それからその次の経過規定といたしまして、現在ベンゾールを含有するゴムのりをみずから使用するために製造しておる事業場でありまして、これを販売のための目的で、他に流す目的でなしに、自分のところで使うために製造しておる事業場がございまするが、これらの事業場の中で適当な局所吸引排出装置その他の装置を完備いたしまして、空気中のベンゾールガスの容量を一定の恕限度以下に切り下げるということが客観的に認められるものにつきまして、労働基準監督署長の許可を受けて三年間の間はこの省令の規定にかかわらず、みずから使用するものを製造することができる、このような経過規定を設けております。 それから最後に、いわゆる自転車等の修繕用のゴムのりにつきましては、これは小型の容器に密閉して使用する場合に限りまして、そのような場合にはこれはいわゆるヘップサンダル等の場合と違いまして、使用する時間がきわめて限られておりますことと、それから大体家の中でやるというようなことでなしに、空気の流通のよいところでやっておるという状況でございまして、従来も中毒患者等は出ておりません。その関係もありまして、これらのものについては労働大臣が別に定めるまでの間、この省令を適用しない。以上のような経過規定を設けております。以上のような経過規定はございますが、ベンゾール五%をこえるゴムのりにつきましては、この省令によりまして一月一日からは全面的に製造禁止、それから三カ月たちますと、販売あるいは販売の目的で所持することも禁止される、このようなことになるわけであります。これとこの省令施行後、さらに代替品の問題につきましては、目下工業技術院その他と御連絡申し上げまして、代替品については適当なるJISの規格を表示していただくように手続を進めております。関係者に対しましては、有害性のきわめて少ない代替品を使ってもらうということによりまして、また、代替品を使う場合の取り扱いを今後さらに徹底させるということによりまして、ベンゾール関係の中毒が今後起こることを防止していきたい。さらに先ほどから申し上げております特殊健康診断その他の措置は、今後さらに積極的に推し進めて参りたい、このように考えておるわけであります。 なお、これに関連いたしましてさらに家内労働者の環境の改善、その他作業条件の改善等のためにさらに根本的な検討を要する問題もあろうかと思われますので、この問題につきましては、先日労働省に臨時家内労働調査委員を置くということにいたしまして、御委嘱申し上げました。この二十一日に第一回の会合をお開きになる予定になっております。この調査会におきまして今後家内労働に関する根本的な問題につきましては、根本的な御検討をいただきたいと考えておる次第でございます。 以上ベンゾールのりの問題につきまして経過等、われわれのとりました措置を御報告申し上げた次第でございます。
○阿具根登君 そうしますと、ベンゾールが五%以上入っておるものを使用することも禁ずるのか、そういう製品を作ることを禁ずるのか、その点をはっきりしてもらいたい。作るのを禁ずるのであれば、これは労働省でできるのかどうか、使用するのを禁ずる場合は、これは労働省でいいだろう、こういうことも起こってくるかと思う、それに対する厚生省側の一つ見解もお聞きしたい。その点が一つと、家内労働について非常に関心を持っておられるようですが、実際これは新聞に出るまではだれも知らなかった、新聞に教えてもらって初めて労働省もこういう手を入れた、われわれもそれを知ることができたということは、家内労働に対する関心が非常に浅いじゃないか。幸い婦人局長も来ておられるようですが、婦人局長の意見をなかなか聞くことが少ないから、きょうは一つ婦人局長の意見も聞いてみたい。家内工業に携わっている婦人が東京都内だけでどれくらいおるのか、全国でどれくらいおるのか、どれくらいの待遇を受けておるのか、どのくらいの労働時間を使っておるのかということについて、一つ詳細御説明願って、婦人少年局長どういう考えをそれに対して持っておられるのか。労働省では幸いに家内労働に対しての考え方があるようでございます。私どもは家内労働法を作ることを主張しておりますが、これもまだ現実化しておらない。こういう面におきまして一つきょうは谷野婦人少年局長のうんちくを傾けた御意見をお聞きしたい。実際今のままでいくならば、谷野労働省婦人局長なんていうのは何か労働省の陰に咲いた花みたいで、全然活動されておらない、こういうことまでいわれておるので、はっきりしてもらわなければ、だんだん婦人の立場、少年の立場の仕事が薄れていくのではないかというふうに思いますから、きょうはちょうど幸いな委員会でありますから、十分御意見を述べていただきたい、かように思います。
○委員長(加藤武徳君) それでは、先に堀局長に御答弁を願って、阿具根委員の御希望のように引き続き谷野婦人局長の御意見を伺いたい、こういうふうにいたしましょうか。
○坂本昭君 ちょっと関連して。今五%という点の質問が出ましたから、これは厚生省側から説明があると思いますが、五%以下ならば、ベンジンの含有量が、よろしいという意味か。それから先ほど説明の方の意見を聞いていると、石油系のベンジンだとか、トリオールだとか、そういうものならばよろしい。その分量が五%以下という意味か。もう少し専門的に説明していただきたいことと、それからもう一つ、ベンゾールガスの密度を一定以下にすれば、三年間自家製のものを使ってもよろしいという経過措置ですが、ベンゾールガスの密度を一定とはどういうことをいうか。少し専門的な話ですから、できるかどうかということをお尋ねしたいので、関連してお答えいただきたい。
○政府委員(堀秀夫君) 後ほど婦人少年局長その他から御答弁もあると思いますが、ただいまの御質問の第一点の、製造禁止か、あるいは使用禁止だけであるかという問題でございますが、基準法四十八条には、有害物の製造禁止といたしまして、「黄りんマッチその他命令で定める有害物は、これを製造し、販売し、輸入し、又は販売の目的で所持してはならない。」こういうことにしております。現在までこの規定の適用がありましたのは、黄燐マッチだけでございますが、その他の有害物は、命令で定めれば、その製造も、販売も、販売の目的をもってする所持も禁止する、こういうことになるわけであります。この問題につきましては、通産省、厚生省等とも御連絡いたしまして、この措置が適当であるということに結論が達しましたので労働省令として、このような省令を出したわけでございます。ただし、自家製造のものについては、一定の条件と許可をつけまして、当分の間製造を、自家使用のためならば製造を許可するという付則がございます。 それからその次に、坂本委員のただいまの御質問でございますが、第一番目に、トリオール、石油系ベンジン等につきましても、御承知のように、ベンゾールが若干入っているわけでございます。そこでトリオールあるいは石油系ベンジン等を含む代替的なゴムのりにつきましては、これは現在家内労働者あるいは中小零細企業の従業員等がそれを材料として使っておりますので、このほかに現在のところ適当な代替品がないわけでございます。今後さらに研究はしていかなければなりませんが、現在はそのような状況でございまするので、これらは取り扱いについて十分な規定を設けることによりまして、使用していくことはやむを得ないのではないか、このように考えております。その意味におきまして、ベンゾール五%以下含有するゴムのでありますれば、これはただいまの製造、使用あるいは販売の目的をもってする所持の禁止の規定からは除く、こういう考えでございます。 それから次に、自家製造の場合の許可の基準でございますが、これは先生御指摘のように、なかなかむずかしい問題があるわけでございます。この問題につきましては、労働基準審議会におきまして医学部会を設けまして、関係の専門的なお医者さんにもお集まり願いまして、そうして空気中のベンゾール含有度を一定の恕限度以下に落とす、この点については、ただいま大体二十五PPM程度が一応の参考基準として出されておりますが、これらにつきましても、詳細専門的、技術的な、あるいは医学的な立場から御検討を願いまして、許可基準の内規を作ろうということで、目下御審議を願っております。その結論が近く出て参りまするので、この省令が実施される前までには、許可基準を、基準審議会の御答申をいただきましてはっきりと定め、それによって許可をしていく、このような運びにいたしたい考えでございます。
○高野一夫君 関連して。今の御説明でちょっと私不思議に思うのは、毒劇物の製造販売については、厚生省で法律に従ってやっているはずですが、そのうちの一部のものが労働関係の法規によって製造販売の禁止、許可の処置ができるものかどうか、変に思うのですが、厚生省側は薬務局長かだれか見えておりますか。
○委員長(加藤武徳君) 厚生省からは楽務局長が来ておりますし、公衆衛生局から田波保健所課長が出席をいたしております。
○政府委員(高田浩運君) ただいまお話のありました厚生省関係の毒物、劇物に関する根拠の法律といたしましては、毒物及び劇物取締法という法律があることは、御承知の通りでございます。この毒物及び劇物取締法によりまして、あるいは毒物に指定し、あるいは劇物に指定をするということによりまして、製造面及び販売面の規制をするというのがこの法律の趣旨でございまして、すなわち、製造の面におきましては、特別に登録をしたものにその製造を許し、販売につきましては、その販売の業者を登録をして、それ以外の者に取り扱わせることを禁止をするということがこの法律の根幹になっておるわけでございまして、従いまして、ただいま問題になっておりますベンゾールのりにつきましては、むしろ使用段階についていろいろ問題があるというふうに承知をいたしております。従いまして、どちらかといいますと、毒物及び劇物取締法の直接的な取り締まりの対象範囲ということと別個の面に問題があるやに承知をいたしておりますので、従って、それに応じた措置がとられることは、この取締法と必ずしも抵触するものではないと、かように考えております。
○高野一夫君 そうすると、毒劇物の取締法によって製造販売の処置は厚生省でやると、そうするならば、労働関係の法律でその製造の禁止の手続をするというか、何かする、それは少しおかしいと思うのです。だから、もしべンゾールのりというものがいけないということならば、これは厚生省関係の毒劇物の営業法によって発売をとめるということであるべきだし、そうして、一方の労働関係においてはその使用を禁ずると、これでなければ、どうも私は法律の建前からいっても、行政措置からいっても話が合わぬと思うのでありますけれども、これは一つ局長の御意見をこの上にはっきりしておいて下さい。ことに、労基法に製造許可のことが書いてあるというならば、別個に基本の法律があって、その基本の法律を犯すようなことは、労働関係の法規の中で製造販売の許可をする、許可しないということは、私はこれはおかしいと思うのです。それが毒劇物関係の法律の中で、そういう除外例は労基法の中で定めてもよろしいという、こういう除外例でもあれば別ですが、そういうものはないはずだと思うのですが、これも一つはっきりしておいて下さい。
○政府委員(堀秀夫君) 先生のお話、ごもっともでございますが、基準法四十八条には、先ほど申し上げたような規定がございます。この趣旨は、従業員や労働者がこの非常に危険なものを常時使っておるとそれによって、職業病その他非常な有害な影響があるという場合に、これを販売の目的で所持するというようなことを禁止すると同時に、やむを得ない措置といたしましては、その製造を禁止するということができるように定められた趣旨ではないかと思うのでございます。もとより、毒物、劇物等の一般的取り締まりにつきましては、毒物及び劇物取締法の一般法規でいくのが筋合いと思いまするが、ただいま申し上げましたように、その内容が、一般人が使用するよりも、労働者が常時使用しておるというようなものにつきまして、やむを得ないものにつきましては、四十八条の規定の適用があるのではないかと、このように思っております。その意味におきまして、これはいろいろ所管の問題で議論はあると思いまするが、労働省設置法には、労働基準法の施行に関することは労働大臣の権限とされておりますので、現在のところは、もとよりこの実施につきましては、厚生省、通産省と十分御連絡をとった上で実施しなければならないと思いまするが、そのような処置をとることも一つの方法であろうと、このように思っておるわけであります。
○高野一夫君 私ますますおかしいと思う。それは、毒劇物を使った製品、それがどの方面に使われるかということは、これは自由なんです。一たび営業の許可を受け、製造の許可を受け、それが法律に定まった方法であるならば、使うのは、労働者が使おうと、だれが使おうと、それはちっともかまわないわけなんです。従って、それがいけないというならば、基本の毒劇物の法律に従って処置すべきであって、だから、労働省とか通産省関係でいけないという場合が起こるならば、たとえば、家内工業でこれを使っちゃいかぬということならば、使用を禁止すべきで、さかのぼって基本の法律があるにもかかわらず、その法律と別個の法律でもって製造問題の認許可、否認、禁止ということは、これはおかしいと思うのですがね。そのために、毒劇物の法律がある。従って、その場合に厚生省と連絡をおとりになって、その毒劇物の法律によって行政をやっておる厚生省の方で禁止をしてもらう、あるいは一方においては労働省、通産省において使用の禁止をやる、こういうふうにはっきり区別をすべきだと思う。この点は、厚生省関係はどういうふうにお考えになりますか。これは私は、今の労基法に製造の関係が出ておるというのは、今初めて承知をして、実はびっくりしておるわけなんですが、これはちょっとおかしいと思うのだが、との点ははっきりしておいてもらいたい、今後もあることだから。
○政府委員(高田浩運君) 先ほど申し上げました毒物及び劇物取締法におきまして、たとえば毒物について申し上げれば、黄りんでありまするとか、あるいは四エチル鉛でありますとか、こういうものは毒物として指定をして、これに伴う製造面及び販売面の規制をする、そういうような建て方になっておるわけでございまして、先ほど基準局長からお話のありました、たとえば黄りんマッチの問題等につきましても、従って、この毒物及び劇物取締法としての建前においてこの黄りん等の取り扱いを規制し、黄りんマッチの製造について別個の法律によって規制をする、そういうふうな建て方になっておるわけでございまして、今度もそれにならったようなことになるわけでございます。根本論としては、いろいろお話のありました点は、ごもっともな点もあると思いますけれども、現在の法制の建前がそういうことになっておりますので、その線に従ったわけであります。
○高野一夫君 今の薬務局長の説明よくわからないのだけれども、この労働基準法の四十八条には、「黄りんマッチその他命令で定める有害物は、これに製造し、販売し、輸入し、又は販売の目的で所持してはならない。」と、製造禁止の条項がある。そうすると、毒劇物の取締法で、こういうことは労働基準法で定めてよろしいと、これは毒劇物の取締法ではやらないのだということがはっきり出ておりますか。この四十八条に書いてあるようなことは毒劇物取締法ではやりませんと、労働基準法でやって下さいと、こうなっておりますか。こうなっていたらば、今度は労働関係で使用するものは、同じもりを別な方面で使用する、それをどこか今度は取り締まるかと、こういうここになって参りますがね。この四十八条に書いてあることは、毒劇物取締法とはやりません、労働基準法でやります、こういうことが出ておるかどうか。もし出ておるとするならば、これでもよろしい。そのかわり、これは労働基準法の適用を受けないような場合においては、どういう、ふうにしてそれを取り締られるか、こういう問題が、出てくる。これを一つもう一ぺん薬務局長答弁して下さい。
○政府委員(高田浩運君) 毒物及び劇物取締法におきましては、製造禁止の規定は御承知のようにないわけでございまして、この法律によって毒性の強いものについて毒物あるいは劇物と指定をして、その取り扱い、すなわち製造面及び販売面の規制をする、そういりような趣旨になっているわけでございます。従って、製造禁止等に関する測定は現在ございません。
○高野一夫君 よくわからないのだけれども、製造の規制をすると、それは体どういうことになりますか、毒劇物取締法によって製造販売の規制をする、その規制というものは、その毒劇物を使った製品、それを使うことを認めたり認めなかったりすることだろうと思うけれども、それはどういうふうになるのですか。これは場合によっては法律の改正が必要だ。
○政府委員(高田浩運君) 毒物及び劇例取締法第三条に「毒物又は劇物の製造業の登録を受けた者でなければ、毒物又は劇物の販売又は授与の目的で製造してはならない。」ということになっておるのでございまして、全面的な製造禁止に関する規定ではないのでございます。
○高野一夫君 そうすると、毒物、劇物の取締法というものは、いわゆる毒物劇物だから、非常に有害有毒なものであるから、ということで取り締まるわけです。それが一度有害であると、ことに身体に有害であるというようような事態が起こった場合に厚生省がそり方の仕事は特にやってしかるべきだと思うけれども、厚生省はそれに手をつけられぬのですか。
○政府委員(高田浩運君) 毒物劇物取り締まりの趣旨から申しますというと、いわゆる取り扱いをまあ厳重にするということは、もちろんこれはその範囲だと思いますけれども、製造禁止、そのもの自体の製造禁止等については現在私どもの方では、この法律によってそこまでの措置をすることが適当とは実は一般的な議論としては考えていないわけでございまして、たとえば農薬等につきましても、特に毒性のひどいものについては、まあその取り扱いをさらに一般の毒物、劇物よりも厳重にするというような趣旨で、それらの取り締まりが別個にまたなされておるような状況でございまして、毒性が強いがゆえにこれを全面的に製造を禁止をするというようなことは現在のところやっておりません。
○高野一夫君 もう一つ、これは非常に大事な問題だと思いますので、さらに後刻研究いたしますが、しからば私は薬務局長にもう一度伺いたいが、そういうような毒劇物の取締法は相当基本において改正する必要があると思いますけれども、あなたはそうお考えになりませんか。現在のままでいいとお考えになっておりますか。
○政府委員(高田浩運君) この毒物及び劇物の取締法全般については、今お話のありました点も含めていろいろ問題もあろうと思いますので、十分一つ検討さしていただきたいと思います。
○阿具根登君 本質に触れておるから黙って聞いていたのですが、それではこれを許可するたとえばベンゾールのりがそれだけ入って非常に有毒物だ、これを許可するのはどこが許可するのか、それを聞いている。これを使っておるというのは許可しておるから使っておるのでしょう。その場合に、これは毒物であるか、有害であるか、有害でないかということは検査してあるはずです。それがそういう患者がうんと出てきて初めてこれが有毒物であるというような、そんな幼稚なものではないと思うから、だから私が両方の意見が聞きたいというのは、責任の所在はどこにあるのか。毒劇物取締法はどうなっておるか。こういうベンゾールのりを作る場合に何%入れば人体にどれだけの害を及ぼすのだというようなことは十分調査されて許可しておるものと私は思っておる。だからそれは一体どこで許可するのか。
○政府委員(高田浩運君) 毒物あるいは劇物液の指定は、これは厚生省の方でいたしますが、問題になっておりますベンゾールのりにつきましては、一応従来の毒物あるいは劇物の指定の基準からいたしますというと、必ずしも劇物とすることが適当であるかどうか、この辺は今までの指定の基準からしますと、問題があるように承知をいたしております。と申しますのは、従来毒物あるいは劇物に指定するのは、いろいろ条件がございますが、慢性的な物に、慢性的な毒性のあるものにつきましては、通常の使用法において中毒作用等の発現率が高い、そういうようなことを一つのものさしにいたしておりますが、本件につきましては、通常の状態と申しますか、むしろ特定の労働環境のもとにおいて問題が発生をしているわけでございますからして、従って、劇物とこれを指定するかどうかということについては、一応この法律の趣旨からすれば疑義を持っているわけでございます。それからもう一つ、実際にこれを指定するかどうかということについては、結局製造及び販売の面において問題がある場合と使用の面において問題がある場合と、いろいろあるのでございますが、本件につきましては、むしろ使用の面に問題があるというふうに私どもは考えておりますので、従って、これの指定というものが実益を持つかということについてはいろいろこれも考えなくちゃならぬのでありますので、そういうことで指定はいたしていないわけでございます。
○阿具根登君 そうすると、意見が両省で完全に違ってくるわけです。労働省の方では、これは製造禁止しなければならない有毒物だと判定した。高田局長の話を聞いてみれば、使用を禁止されるのはやむを得ないけれども、一般的な毒物として指定することはできないと思う、こういうことになるわけです、そうすると、高田局長の話を聞いておれば、一般市販は差しつかえないけれども、使用するところにおいては、その労働者に非常な害を及ぼすようなところでは使用を禁止してもらいたい、こういうことになってくる。両省の意見が違うようですが、その点はどうですか。
○政府委員(堀秀夫君) この省令を公布いたしますにつきましては、関係省と十分御連絡して公布いたしたわけでございます。今薬務局長のお話によりますと、要するに、毒物劇物取締法の方で指定するいわゆる毒物の域には達しにくいけれども、しかし、このベンゾールのりというのは非常に特殊なものであって、これを常時継続的に密閉されたような室内等の環境において使っておりますと、それを使う従業員に対して非常な有害な影響を与える、こういうことであります。従いまして、その意味において基準法四十八条に基づく命令で指定することについては、厚生省、通産省も御異存がないわけでございます。ただ毒物劇物取締法の指定毒物として御指定になる毒物につきましては、これは一般的に瞬間的にでもこれを使えば非常な有害性があるというようなところでお考えになっているようでありますから、その点については毒物劇物取締法のいわゆる毒物として指定する問題としては適当でない、このようにお答えになったのではないか。このように了承しております。いずれにいたしましても基準法四十八条に基づく政令を公布いたしましたにつきましては、関係省とも十分協議いたしまして、家内労働者の保護を期するためにほっておけないから四十八条による有害物として指定したわけであります。
○坂本昭君 関連して。今のようなベンゾールのりのほかの例を堀局長に伺いたいのですが、たとえば四エチル鉛、四塩化炭素だとか今までは黄りんマッチ、今度はベンゾール、そのほかにこういうものは何か考えられませんか、ありませんか。
○政府委員(堀秀夫君) 四エチル鉛等についても非常に毒性が高いことは御承知の通りでございます。ただこの問題につきましては四エチル鉛を使用している作業場はいわゆる基準法を適用されておる大工場等が中心でございます。四エチル鉛につきましてはその取り扱いについて基準法に基づく四エチル鉛取締規則というものを公布しております。従いまして、四十八条に基づきこのような措置を講ずることは必要がないと思います。いずれにいたしましても四十八条は以上のような措置をとっただけでは十分でないというような、ほんとうにやむを得ない措置として指定をすべきものと考えておりますので、私ども今後さらに厚生省、通産省と十分御協議を申し上げていくつもりでございますが、現在のところではこれ以外に四十八条の有害物として指定するような考えはございません。
○木下友敬君 そういう毒物を扱う者については特殊検診の道が開かれておるということですが、現在まで、現在というよりもベンゾールが問題になるまでの間を境にしてもいいのですが、どういう特殊検診が従来行なわれてきたか、その状況、範囲、方法等について一つ述べていただきたい。
○政府委員(堀秀夫君) ベンゾールのりによる中毒問題は、実は先ほどお話がございましたが、東京都で問題になりましたのは七月で、新聞等にもそれが問題になったわけでございます。この以前から実は問題になっておったわけでございます。たとえば大阪ではやはりビニール関係の加工をしておりまする場合にこの関係が起きまして中毒者が起こったような事例がございます。そこで労働省といたしましては、このようなベンゾール関係を使うような事業場につきまして特殊健康診断を励行してもらいたいということを呼びかけて参りまして、三、四年前から特殊検診をやって参りました。特殊検診の方法は私ちょうどその関係の資料までは持ち合わせて参りませんで、後刻これをお手元にお届けいたしますが、大体赤血球、それから白血球の状態を調べまして、それによって異常があるか、あるいは医療を要するかということにつきまして区分けをしておるわけでございます。大体のところを申し上げますると、労働省で三、四年前から特殊検診を実施しました結果によりますると、二四、五%程度の人が要医療とまでは申しませんが、要注意、何らかの異常があると認められる、こういう状況でございます。それから東京でこの問題が起きましてから特殊検診を実行されたのでありまするが、その結果は八百十六名を検診されました者につきまして異常なしというのが五七・二%、それから要注意というのが三三・二%、要精密検査というのが九・六%、従いまして、要注意と要精密検査を合わせますと約四三%、こういうような状況になっております。
○木下友敬君 今のベンゾールですが、ベンゾール以外についても何かそのような特殊検診をずっとやっておるかどうかということです。
○政府委員(堀秀夫君) これにつきましては特殊健康診断を実施しております。たとえば先ほど御指摘の鉛の関係とか、その他その仕事の材料として使っております材料の中に有害で職業病の原因になると思われるものがございます。そういうようなものを十ばかり指定いたしまして特殊健康診断を一般の健康診断のほかに励行するということで呼びかけております。これらにつきましてはそれぞれ実績が出ておりますが、ただいま手元に持ち合わせておりませんので、御必要であれば後ほどお手元にお届けいたします。
○木下友敬君 それはあとで報告してもらうといたしまして、ベンゾールなどが大阪で問題になってから特殊検診をしたのですか。ああいうベンゾールのりなどを使っておるのはこの二、三年じゃなくてだいぶ前から使っておると思いますが、そういうことに気がついて早くから特殊検診をやっておったのかどうか。
○政府委員(堀秀夫君) ベンゾールにつきましては、こののりばかりでございません。ベンゾール自体を使っておられます作業が方々にあるわけでございますが、これについてやはり職業病として非常に有害な影響が起こるということをわれわれ前から気がついておりました。実は大阪等で起こります前から特殊健康診断をやっております。大阪等においてこの問題が起こってきたというのも、実はわれわれの方で労働基準局を通じまして特殊検診をやった結果、このようなことになっておるという実態が出てきた状況でございます。
○木下友敬君 いつごろそれをやって、そうしてどういう結果になったかということは、それは一つ報告してもらうということをお願いしておきます。
○政府委員(堀秀夫君) 大体昭和三十一年からただいまのような措置は全面的に行なっております。その結果につきましては後ほどお手元に御報告申し上げます。
○坂本昭君 今の特殊検診の問題ですけれども、特に今度東京都の場合、一体責任者はだれがやりましたか。それからその検診の機関ですね、機関はだれがやったか。それからその費用はだれが出したかということを労働省の立場から一つ御説明いただき、なお、今度の東京都の問題については、厚生省としてもいろいろの意見があろうと思います。特に保健所の活動の面からそれにつきまして、厚生省の説明をいただきたい。
○政府委員(堀秀夫君) これは労働基準法の適用を厳密に言いますと、労働基準法の適用になっている事業場とそうでないものについては差別があるわけであります。労働基準法によりますと、有害な作業につきましては特殊健康診断を使用者が行なわなければならないことになっておりまして、昭和三十一年ごろから始めております。われわれの特殊な検診は使用者に呼びかけまして、必要がある場合には労災病院あるいは基準局のお医者さんがお手伝いをして、実行していただいておるわけであります。 それから東京都におきましては、これは実は家内労働者が非常にこの七月に問題が多かった。ほとんど全部であったのです。この点につきましては、基準法に基づく特殊な検診というわけには参りませんので、厚生省、東京都にお願い申し上げまして、東京都が責任をお持ちになりまして、巡回健康診断を御実施になりまして、その結果が先ほど申し上げたように四三%程度が異常ということが発見されたわけであります。
○委員長(加藤武徳君) ちょっとその一点だけ、もう堀局長の答弁が大体終わりそうですから、私から聞いておきたいとこう思うわけです。 先ほど阿具根委員の質問に対しまして、堀局長の答弁の中に、かような製品に対してJISのマークを付するのだ、かような答弁があったと思うのですが、そこで日本工業規格法によりますと、JISマークを付するかいなかは任意であって、付するかいなかの選択の自由があるわけでありますが、労働省としてはかような製品に対してJISに加入してマークさせるというような行政指導を強力にやる、かような御意思だと了解してよろしいでしょうか。
○政府委員(堀秀夫君) ただいまの問題は、これは通産省が責任を持っておやりになることでございますが、通産省におきまして、今の代替品につきましてマークをつけていただければ使う方も安心して使えるようになるのじゃないか、このように考えおります。従いまして、われわれといたしましては、この関係の業者の方が一つぜひこのような方法をおとりになっていただきたいということを希望しているわけであります。しかし、これはもとより法律の強制力の問題は別であります。ただいま御指摘のように、それぞれの立法がございますので、法律的にはただいまのようなことになります。われわれといたしましては、なるべく関係の方がそのような措置をとっていただくことは非常に使う方も安心できるから適当ではないか、このように考えております。通産省に対しましてもそのような御希望を申し上げて、適当な措置をとっていただくように御連絡申し上げておるところでございます。
○委員長(加藤武徳君) 坂本君の先ほどの質問に対しまする答弁を厚生省の公衆衛生局の……。
○坂本昭君 その前に、今の局長の答弁が不十分ですから、それでその点をもう一ぺん聞いてから厚生省の答弁を求めます。
○委員長(加藤武徳君) それでは坂本君の質疑に対しまする答弁の残りを堀基準局長から補足をしてお願い申し上げます。その上で厚生省の答弁をお願いするような運びにいたしたいと思います。
○坂本昭君 あらためてもう一ぺんお尋ねいたします。今の場合は、東京都にお願いをした、つまり費用の負担を都が全部受け持ってしまったということでしょう。これは今の場合基準法の適用の職場でない、いわば委託業者が全部見ている関係のところでそういう問題が起こってきたと思う。やはりこれは労働省として、将来もまた出てくるかもしれないし、こういう場合の措置を当然考えなくちゃいかぬと思うのです。それからまた、この間の場合、東京都に全部まかせて、それで費用は全部済んだかどうか、そこは詳しく知りませんが、これに対して何らかの措置を講じなければならないと思いますが、その点を一つ伺って、それから厚生省の一つ説明を開きます。
○政府委員(堀秀夫君) この東京都の家内労働者につきまして、都の衛生局が中心になっておやりになりました健康診断はあくまで事実上の問題でございます。そこでお願いいたしまして実施していただいたわけでございます。その内容を申し上げますと、実費が大体三百円くらいかかるわけでございます。そこでそれを東京都でなるべく安くやるということでおやりになったわけですが、この健康診断を受けられる方々からは大体百円程度お取りになっておったようでございます。もちろん関係者の方によっては百円もなかなか出せないから無料でやってくれぬかという御要望があったようでございますが、東京都としてもそのようなことにも今のところいかないということで、百円程度の検診料をお取りになって実施されたということでございます。 なお、これらの問題について今後いろいろ特に家内労働のような場合には問題があろうと思われます。これらの問題につきましては、われわれといたしましても、関係の方面と十分御連絡いたしまして、さらにこれが円滑にいきまするように十分研究して参りたいと考えておる次第でございます。
○吉武恵市君 先ほどの政府の御説明の中に、自家製造の分はいいと、こういうお話でしたが、自家製造というのはどういう意味ですか。
○政府委員(堀秀夫君) 自家製造というのは、必ずしも言葉が適切でなかったかもしれませんが、要するに、自分のところでみずから使用するためにゴムのりを製造しておられる事業場という意味でございます。他に、要するに販売する目的はないが、自分のところで使うために自分のところでお作りになっておるという事業場でございます。これらにつきましては、大体その設備の整った事業場が多いわけでございますが、その場合に、客観的な基準によりまする適切な排気装置等をお備えになって、その場合に、ベンゾールガスの空気中の濃度を一定量以下に押えることができるものにつきましては、当面の目的からいたしまして、これまで禁止するということは適当でない、このような審議会の御意見もありましたので、許可を条件にいたしまして、そういうところはよろしいということに付則で設けたわけでございます。
○吉武恵市君 そうしますと、今の場合は、たとえばサンダルでこういう事件が起こったが、サンダルの製造で、自分の工場で人を雇って作る場合に、その工場において使う今のベンゾールののりを製造することは、設備さえよければいい、こういう意味ですか。
○政府委員(堀秀夫君) その通りでございます。
○吉武恵市君 それは、よほど許可の条件をつけられて、心配がないということならいいけれども、往々にして、こういう事故ができたことを考えれば、他に方法がないということならばやむを得ぬ、そういう監督を厳重にすることにより、予防措置がとられるかもしれないけれども、現にあれだけの事故が起こって、そして許可条件がよければ許すということには非常に心配な点がありますが、これは審議会で専門の方が集まられて審議された結果であるということであれば、われわれはわかりませんけれども、十分その点は気をつけてお取り扱いにならないと、往々にしてまたこういう事故を繰り返すということのないように一つしていただきたいと思います。
○委員長(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて。 それでは先ほどの坂本君の質疑に対しまして、厚生省側の答弁を求めます。
○説明員(田波幸雄君) 保健所といたしましてこの問題につきまして、今までやりましたことを簡単に御報告いたしまして答弁といたすことにいたします。 この問題につきまして労働省の方から公衆衛生局長あてに、中毒患者の有無についての調査並びにあとの健康診断等について協力をしてもらいたいという通牒をいただきまして、直ちにそれについての通牒を各府県に出したわけでございます。東京都におきましては九月二十八日から十月の六日までは浅草、足立、千住、それから十月六日から十四日までは荒川、葛飾、この五カ所の保健所で検診を行ないました。その結果は、先ほど基準局長から申された通りでございます。これからもこういう問題についての健康診断につきましては、保健所としてはできるだけ時日の許す限り行なっていきたいと存じますが、ただこのベンゾールの中毒であるかどうかを確実に決定するだけの技術的な能力は、今の保健所には残念ながらございませんので、こういう場合にはやはり各管内の病院あるいは診療所というようなものと連係した上で活動をしていきたい、このように考えておるわけでございます。保健所といたしましては、先ほどの調査にありましたように、要精検あるいは要注意というような段階までの診断、これはできますけれども、その上につきましては病院、診療所というところの御協力を得て確定的な診断をし、さらに治療の問題にまで運ぶ、かようなふうにしていきたい、このように考えております。
○高野一夫君 関連して。ただいまの御説明ですが、保健所が研究、分析されて判定を下すのには、現在の保健所の設備ではいろいろなむずかしい問題については無理だろうと思うが、私は労働者のそういう健康問題、予防衛生のために労働省の関係者がいろいろ苦心して健康診断その他おやりになることは、これは非常にけっこうなことであると思うけれども、その前に一般的に厚生省の公衆衛生局の立場から、この問題に対して対策をお立てになるべきじゃないか。そこで中毒患者が現われないか、現われるならば、それはどういうような原因によって、どういうような症状を持つものであるかということを大学に頼み、厚生省の試験所でやる。いろんな方法を講じて厚生省がおやりになって、そして労働省なり通産省にわれわれの判定結果はこうなるから労働省としてはこういう対策をとるべきじゃないかと、こうするのが私はほんとうの厚生省の公衆衛生行政のあり方だろうと思う。それを、労働省から要請があってそこでやるというようなことでは、私はこれは逆なんじゃないかと思うのですが、これについて――公衆衛生局長見えておりますか。
○委員長(加藤武徳君) きょう局長差しつかえて、田波課長が代理で見えております。
○高野一夫君 保健町課長の御意見を聞いても仕方がないと思うけれども、これは私は当然厚生省が率先して対策を研究をし、原因を究明し、対策を立てて、所管の各省に指示をされて、労働省は一つこういうふうにしてもらった方がいいんじゃないか、こういうふうにされる。さらに、つけ加えて労働省の立場からいろんな方法も補充的におやりになる。これが私はほんとうの役所でおやりになるべき仕事の筋合いだろうと思う。それが逆みたいなことになったのでは、これはどうもおかしいと思うので、この点は厚生大臣並びに公衆衛生局長、関係者に十分私の意見をお伝えおきを願いたい。説明は要りませんから。
○坂本昭君 ただいま高野委員の指摘せられた通り、今回の問題は、行政的にもまた立法の面においてもいろんな問題点を含んでおると思う。特に毒物が職業病として一つの症状を現わしてきたけれども、集団的に多数の中毒患者が現われたという点においては、これはいわば保健所の所管とも言わなければならないと思う。これは立法的にはもっと根本的に検討していただくと一緒に、さしあたって私の心配するのは、相当な、診断の費用が三百円もかかる。こういう三百円の費用におそらく家内労働に携わっている人たちとしては耐えられないだろうと思うんですね。だから、こうした特別の診断に対して、さしあたってもう来年も当然問題が出てくると思うので、一体来年度の予算について厚生省と労働省と一体どっちが責任を持ってどれだけ組んでいるか。その内容と方針を両省から説明していただきたい。
○説明員(田波幸雄君) 厚生省といたしましては、このベンゼンの中毒に対する特別の予算は、保健所の予算につきましては組んでございません。ただ、いろいろな費用の問題につきましては、東京都でもそのような取り扱いになっておりますが、保健所法の減免規定によってお金を払えない方にはその規定を適用するというようなやり方でやっていこう、このように考えております。
○坂本昭君 保健所で調べられるならいいのですが、この間の検査は、東京都の説明を聞きましたけれども、都立病院だとかそういうところでやっておって、保健所でやっていないのですよ。だから、保健所でやるものについて減免の規定を適用するのはいいけれども、一般の病院ではこれははなはだ迷惑だと思うんです。だから、これはこうした特殊な集団中毒として公衆衛生の面から当然やはり予算を組むべきじゃないですか。厚生省は組まぬと言われるなら、今度は労働省はいかがですか。
○政府委員(堀秀夫君) 労働省といたしましては、これらの健康診断等に要する費用は、原則としてこれは使用者が負担すべきものであると、このように考えております。ただし、これを実施するにつきましてのいろいろな援助その他につきましては、われわれといたしましても十分御援助を申し上げると、こういう考えであります。従いまして、来年度の予算には、巡回検診等につきましてわれわれの援助のための予算は組んでおります。しかし、ただいまの健康診断の費用そのものにつきましては、これは組んでおりません。そこで、問題になりますのは、労働基準法の適用のない一般の方々はどうか、こういう問題になりますが、これは厚生当局において一般公衆衛生の面から御検討願う筋合いのものである、このように考えております。
○坂本昭君 両方がはねかけ合いになると大へんですね。厚生省は、今のところ予算は組んでいないと言うし、労働省は、使用者のある基準法の適用するところについては何とかするけれども、今のヘップサンダルのようなこういうところに対しては何ら手を下す道がないと言う。労働省としては、家内労働法というようなものを作られてその中で衛生と安全の立場から法的にこういう場合に補助費を出すと、そういうふうな考えはないのですか。
○政府委員(堀秀夫君) ただいま私が申し上げましたのは、現状でどうしておるかと、こういう御質問でございましたから、そう申し上げたのであります。将来の問題といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、関係の方々にお集まり願いまして家内労働調査会を発足させたところでございます。当然この委員の方々の御討議の中には安全、衛生の問題も出てくると思います。これらの問題について御意見が出て参りましたならば、われわれといたしましてはこれに基づいて善処したい考えであります。
○坂本昭君 もうこれは来年の問題ですから、今ごろからやっておったら来年の予算に間に合いませんが、具体的にどうされますか。
○政府委員(堀秀夫君) 家内労働調査会等において結論が出て参りますれば、直ちにそれに沿って措置をとる考えであります。ただ、それがまだ出ません場合には、先ほど申し上げました私の原則論で、要するに、労働関係のある方々についてはこれは使用者責任において原則として実施する、それから一般の公衆衛生の問題については厚生省において御検討を願うべき問題であると、このように私は考えます。
○藤田藤太郎君 私も一、二点質問をしたいのですけれども、今言われる家内労働法というのは、調査会を作られていつ時分結論を出す予定にされておるのか。もう一つは、家内労働の調査会にどういう構想を注文されておるのか、それをやっておられるかやっておられないか。この二点を先に聞きたい。
○政府委員(堀秀夫君) 家内労働調査会につきましては、去る十一日に御委嘱を申し上げました。それでこの二十一日に第一回の会合をお持ちになるわけでございます。われわれといたしましては、家内労働の問題点につきましてまずこの調査会で徹底的に根本的に御検討を願い、その上でわれわれとしての段取りをきめていきたいと思っております。問題点につきましては、われわれの方から、従来のいろいろな実績であるとか、資料であるとか、統計調査であるとか、そういうものを詳細に御説明申し上げ、それらを基本にして、まず問題点について根本的な御討議を願いたいと考えております。従いまして、期間につきましては、その御意見を自由に討議して討議を尽くされるその過程におきましてまた問題が出てくるかと思っておるわけでございます。
○委員長(加藤武徳君) 阿具根君の最初の質問の中に、谷野婦人少年局長の所管事項がございましたので、谷野婦人少年局長の答弁を求めます。
○説明員(谷野せつ君) 阿具根先生の御質問にお答え申し上げます。 婦人少年局におきましては、過去十年近く家内労働者の調査を実施いたして参りました。ところが、おもにその調査の主体が労働条件でございましたために、内職者の中にベンゾール中毒による被害者があるということをこの調査の過程において発見できなかったことをまことに私どもとして申しわけないと思っております。ベンゾール中毒患者が発見されましてから、私どもといたしまして、地方の婦人少年室を通しまして被害者の家庭を訪問いたしまして、どんな状態であるかということについての実情を調査いたしました。それからまた、ヘップサンダルその他にベンゾール含有のゴムのりを使っている家庭内職がどれくらい及んでいるかということについての概略の調査も実施いたしたのでございます。それから、先ほど基準局長が御説明申し上げましたような措置について協力をいたしましていろいろな対策を実施いたしたのでございます。 ただいま基準局長が御説明申し上げましたように、今回は工業規格標準による新しいゴムのりが近くできることになりましたので、婦人少年局といたしましては、現在の市販のゴムのりについて、溶剤としてのベンゾール含有の状態についての調査も実施いたしましたので、それを主体にいたしまして新しい製品で安全に使っていただけるものを、私どもの啓蒙活動を通じまして内職者にできるだけ強力にお勧めしたいと思っているわけでございます。 それから第二の御質問でございますが、婦人少年局の実施いたしました家内労働の調査の観点は、第一の段階におきましては、おもに家内労働の観点から労働条件の調査でございまして、第二の段階に入りましてから、家内労働を家庭内職という観点から調査をいたしたのでございます。まず、東京、大阪、名古屋の三大産業都市におきまして、現在どのくらい家庭内職に従事しておられる方があるかということに主眼を置いて調査をいたしまして、東京都内の例から申し上げてみますと、一九五四年の三月でございますが、普通住宅世帯百二十三万世帯に対して、内職を実施している世帯が十万世帯、約九・七%の世帯が内職を実施しているというふうな調査があがったのでございます。内職の種類は非常に広範でございまして、この当時約二百八十七種類の内職がございました。また、労働条件につきましても、このときにおきまして、毎勤の製造業の労働者の一時間当たりの平均工賃に対しまして約半分近い工賃であるというようなことも出たのでございます。東京、大阪、名古屋三大都市の調査の結果はほとんど問題点が同じようなことでございまして、内職問題といたしますと仕事の継続性がないとか、あるいは工賃が安いという訴えがあったり、それからまた、工賃の点につきましても、簡単な仕事よりも技能のある仕事については収入も高く得られるという事実もわかりましたし、それからできるだけマージンの過程の少ない状態において、公的な施設によって内職者の結びつきをつけるようなことが必要であるということがわかったのでございます。つまり内職者に対しての問題は、一つは家庭内職に従事しておる人たちが労働者としての雇用関係に立っておりませんから――労働法の労働者の立場に立っておらないということと、それからまた、就職の機会につきましても、どこにどう手をとっていっていいかわからないような状態で、つまり就業の機会について非常に設備が行き届いておらないという問題、そのほかにまた、労働条件その他についても、ほかの労働者よりも割が悪いというような実情がはっきり出たのでございます。そこで婦人少年局におきましては、労働条件の問題につきましてはともかくといたしまして、就業の機会についてできるだけ公的な施設によって就業機会がやさしく得られ、しかも技術を補導することによって、工賃の高い就業の機会を得させるという方針で、家庭内職のための内職公共職業補導所を作っていただくことをお願いしまして、現在、全国で十六カ所の家庭内職のための公共職業補導所が設置されて、内職問題の調査、啓蒙、相談、就業機会の援助というようなことを受け持っておるわけでございます。内職者の問題につきましては、労働保護、安全、衛生、就業機会の援助、その他、こういったようないろいろな問題があるのでございますが、今度家内労働調査会によっていろいろな観点からお話し合いをしていただいて、方針がきめられるようになったことは、私どもとしても、今後内職者の問題を解決する上に非常に喜ばしいことだと思っております。私どもといたしまして、調査をいたしました今までの経験で、この内職調査会がよく運営されるように願っているわけでございます。
○阿具根登君 局長の報告を聞いておると、婦人少年局は調査する機関かな。ただ調査するだけかな。あなたはりっぱな局長ですよ。同じですよ。それに、調査をしてきた、一般よりも安いようだ、一般よりも苦しいようだと、そういうことでは私はいけないと思う。それならどうすべきである、家内工業はどうあるべきである、家庭でそういう内職をしておる方々にはどういうことをしてあげなければならないのだと、あなたの信心があるはずだ。それが、あなたの信念が労働省の中で取り上げられておらないならば、どういうところが取り上げられないのか、そういう点をはっきり私は聞きたいというわけなんです。苦しいというだけなら、あなたが今おっしゃったようなことは、あなたから聞かなくても、私もよく知っている。少し景気がよくなれば、私の近所でも内職をみんなやっている。非常に苦しいことをやっている。そういうことは私よく知っている。だから、あなたは、どういうことをすれば、そういう人たちがもう少し安全に、そうしてもう少し町の工場の方々と接近した労働条件になるのかと、そういうあなたの考え方を私はお聞きしたい。だから、そういう調査でも、ただ、少し悪いようだとか、あるいは半分だとか、そういうことでなくて、数字があるならば、一時間当たり幾らになっているのだ、そうして、そういう人たちが生活のために一日のうちに何時間仕事をしているのか、十時間仕事をしているのか、八時間仕事をしているのか、そういうようなことを私はお聞きしたい。ただ、苦しいのだ、賃金が低いのだ、条件が悪いのだと、そういう抽象的なことは、私どもは聞く必要はない。私どもの方がよく知っている。そういうようなことを私はお聞きしたいのだ。
○説明員(谷野せつ君) 東京都内の内職調査の実績によりますと、内職の種類が二百八十七種類で、一日の工賃が――調査の時期は一九五四年の三月でございましたが、一日の工賃が、男の場合に三百四十二円、女が九十七円。労働時間が、男が十二時間四十五分、女が六時間二十一分。それから一時間当たりの工賃といたしまして、男子が二十七円、女子が十六円。当時の毎勤、製造業の生産労働者一時間当たりの平均工賃と比較いたしてみますと、男子が八十一円、女子が三十七円ということになっております。それから名古屋におきましても同じ事実があがっておりまして、名古屋は、当時、私の方の調査で申し上げますと、内職の種類が九十七、内職の工賃が、男が三百四十七円、女が九十三円。労働時間が、男子十二時間、女が七時間弱。一時間当たりの工賃が、男子が二十八円、女子が十三円。毎勤の調査、生産労働者の一時間当たりの平均工賃を当時で見ますと男子が八十九円、女子が四十一円という状態でございます。それから大阪におきましても、これは一九五六年の調査でございますが、内職世帯が約二〇%、手持ちの資料といたしまして、労働時間、賃金について大阪の部が不備でございますので、あとでお届け申し上げたいと存じます。
○阿具根登君 大臣がおられないので、これは一番いいことを大臣はお聞き漏らしたが、まああとで言っていただくこととして、基準局長は基準局の立場からごらんになりまして、一時間十三円というようなことは、これは常識で考えられるかどうか。この点一つどうお思いになりますか。そうなら一体どうすればいいかというお考えもあるかと思いますので、一つ家内労働についての御見解もここではっきり承りたい。 私どもの常識では一時間働いて十三円、三時間働いてピース一箱ということは、どうしても私は考えられない。それが現実だと谷野局長は今報告しておる。こういうのが非常に表面に浮かばずに、先ほどベンゾールの問題が出てきましたが、ベンゾールでもずいぶんこれは長きにわたってきておると私は思っております。それがたまたまあまり数が多くなってきた。ことしの七月に新聞に出てきて、そうして皆がわいわい言って騒いだところが、これが毒物であることがわかってきた。私はこういうのがもう少し表に出てくれば、未然にそういうことも防げるようになるのじゃないか、こういう考え方から質問申し上げておるのですが、この家内労働に対して、一つ労働省の考え方をはっきり教えていただきたいのであります。
○政府委員(堀秀夫君) ただいま婦人少年局長からお答えがありましたように、内職、家内労働と申しましても、いろいろな型がございます。ことに内職という家内労働につきましては、ただいま谷野局長からお話がありましたように、平均して一時間十円から二十円というような程度になっておるようにわれわれも考えております。 それから専業的な家内労働につきましては、大体一時間当り三十円から八十円程度というような状況である。もとよりこれは例外がございます。平均的には今のようなことではないか、このように思っております。なお、詳細これは実態の把握を正確にいたさなければならないと考えております。われわれも婦人少年局とタイアップいたしまして、この正確な把握をすみやかに行なうように目下やっておるところであります。なお、これにつきまして、特に内職的な家内労働につきましては、一般の労働者の工賃と比べまして低いということは、私も事実だと思います。この問題をどうするかということは、今後われわれに課された一つの大きな問題であると、このように考えます。その意味におきまして、これは具体的にはどのようなことをやっていくかということになりますと、法律的にこれを規制するならば、やはりその委託者あるいはメーカー等に対しまして、加工賃を規制するという方向になるであろう、このように考えます。この問題は、実は最低賃金を審議いたしました中央賃金審議会においても問題になった。中央賃金審議会の先般の御答申は、将来の問題として総合的に家内労働法制を制定することが必要である。政府は、そのための調査準備に着手すべきである。そういうことを言っておられる。それからさしあたりの問題としては、最低賃金のきめられた業種、職種と関連する家内労働において最低工賃をきめることができるということ、これは賃金審議会の議を経てきめるという方式になっておりまするが、最低賃金法の中に入れるべきだ、こういう御答申でございます。その分は先般成立いたしました最低賃金法の中に一章設けてあるわけでございます。もとよりこれは段階を追って進まなければならない問題でございます。現行の法制が不十分であるという点もわれわれは理想論として考えればそのように思います。そこでこれらのいろいろ根本的な問題があるわけで、工賃の問題のみならず、労働時間の問題もありましょうし、安全、衛生の問題もありましょう。そのほか中間搾取その他いろいろな問題が関連すると思います。ただわが国におきましては、家内労働は先ほど谷野さんからも一部の御説明がございましたが、われわれの方で調査した結果を見てみましても、全国で何千という種類があるわけです。製品の内容も何千という種類があるわけであります。それからこれもわれわれのごくラフな調査でございまするが、大体四十九万世帯、八十万人に近い家内労働者が全国的にある。ただ、この調査はラフでございますから、これをもって正確な実態であると断定することはできないのでありますが、その調査でもそのように数字が出ておる。しかもこれらの問題が、日本の今の非常に複雑な経済構造に根ざしているわけ、でございます。この問題について法的な規制をとる場合にも、やはり総合的な対策をあわせ考え、総合的に政府として対策を講じていくのでなければ、家内労働者の保護にはならない。その意味におきまして、今度家内労働調査会に専門の各界の権威者にお集まり願ったわけでございますから、これらの御意見を一つ十分に伺いまして、われわれとしてその御意見に沿って善処して参りたい、このように考えておる次第でございます。
○坂本昭君 先ほど谷野局長の全国に十六カ所家庭内職の公共職業補導所があるという話でしたが、これは私は非常にいい考えだと思うのです。実際先ほど来の御説明を承ると、東京都で約一割、大阪の場合に二割の世帯が内職でとにかく生活ができているということ、そうしてこういう人たちは、内職という特殊な事情のために、おそらくは委託業者から相当しぼられているのではないか。従って、そういう点で単なる職業補導所ではなくて、形は職業補導所でもいいですが、内職の職場を労働省としてあっせんしていくということは非常に必要だと思うのです。実際東京都の職業補導所の実情を見るというと、実は補導所とはいいますけれども、内職をやっているのですよ、みんな。それが差し迫った必要からそうなっておるので、この十六カ所というのはおそらく一カ所百人以上もおらぬと思うのですね。ですから全部で何万人も使用しておらぬと思うのですが、これはあなたの方で内職工場といいますか、そういう人たちをまとめて、そうして労働条件も賃金もいい状態で内職のできるような、そういうことを積極的にお進めになる考えはありませんか。また、具体的に来年度の予算にどの程度考えておられるか、御説明いただきたい。
○説明員(谷野せつ君) 公共職業補導所につきましては、ただいま先生のおっしゃられたような集団の共同作業場のような役割を果たすものではございませんで、仲介人、製造業者、問屋さん、委託者と内職者の間に立って直接に内職を結びつける作用をする機関なのでございます。かたがた内職につきましては、先ほどお話しいたしましたように、技能を持っておりますと、内職のロスが少ない問題もございますし、また、技能の高い内職につきましては勢い工賃が高くなりますので、技能補導を場内でいたしませんで、内職者がまとまりましたときに、そこへ出て行って内職者のグループのための技術補導を実施しているような役割を果たしているわけでございます。場内で仕事を直接いたしますような共同作業場ではなく、いわゆる紹介の機能を果たしているところに特徴があるのでございまして、この結びつきにつきましては、主婦の方、内職の性質からいたしますと、雇用市場で働くことのできないハンディキャップ、労働市場でハンデイキヤップのある方でございますので、どうしても特別に就業機会の援助を別なワクで考えることが非常に大事だと思いますし、また、その方々からの要望も非常に強うございますので、来年度におきましては、この内職補導施設を今まで設けられておりません府県に増設いたしますのと同時に、現在設けられております府県についても、同一府県に数カ所設備がされるような構想で予算を要求いたしておりますのでございます。
○坂本昭君 それについてもっと積極的な局長さんの、これぐらいやろうと思っているのだと少し言っていただいたら、私たちもこの際ですから大いに超党派的に応援するのですよ。ですから今のそういう点の内容的なこととまた今の共同作業場的なもの、そういうほんとうに婦人を守るそういう職場を作り、さらにまた、それに関連しておそらく保育所だとか託児所だとかそういったものも必要になってくるのではないかと思う。そういうことについての局長さんの非常に熱意のこもった御意見が実は聞きたかったのですがね。
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(加藤武徳君) 速記を起こして下さい。
○藤田藤太郎君 私は今の婦人局長の、どういう工合に把握されているか、それからどう今後この問題と最近の関係において、という問題を少しお聞きしたがったのですけれども、――御意見がありますから、だから私のお開きしたいのは、ベンゾールの被害を受けておるのは全国的にどれくらい把握されているか。被害を受けているか。先日も私はラジオの録音を聞きましたところが、奈良県にも非常に困った状態で、なまの声をラジオを通して聞いたわけですが、とにかく食わんがためには病気で危険だということを知りながらこういう仕事をせざるを得ないのだということを切々訴えているわけです。ですから、そういう実態の把握はどの程度しておられるか、それを聞きたい。
○政府委員(堀秀夫君) ベンゾールのりの問題につきましては、東京都の状況は先ほど詳細、検診の結果を申し上げましたから省略いたしますが、昭和三十一年から毎年われわれの力で、これはベンゾールのりに限らず、ベンゾール全般につきまして、ベンゾールを含むような材料を用いて作業をしておる労働者につきまして特殊検診を実施した状況を申し上げます。それによりますと、昭和三十一年には受検者数が四千六十一名、異常所見者の数が九日四名、全体に対する割合が二二・三%が異常あり、こういう状況でございます。昭和三十二年には七千七百八十五名の受検者のうち異常所見者が三十八十五名、二六・九%が何らかの異常が発見されました。昭和三十三年には受検者一万四千九十一名、うち異常所見者三千四百十一名、二四・二%の労働者について白血球あるいは赤血球において異常所見が認められておる、こういうような状況であります。
○藤田藤太郎君 それは検診ができたという、捕捉できた分だけでしょう。
○政府委員(堀秀夫君) はい。
○藤田藤太郎君 だからベンゾールを使っている家内労働者というもの、内職者というものはどれくららいと見ておられるか。その中で捕捉できたのが円%ぐらいになっているか。
○政府委員(堀秀夫君) ベンゾールを生国的に使っております事業場の総数は六千六百六十四、これはもとより漏れがありますが、われわれは一応そのように把握しておるわけであります。それからベンゾールの取扱者が四万三千九百四十四名、このような状況であります。これらにつきまして昭和三十一年から毎年特殊健康診断を実行しておるわけであります。さらに家内労働者につきましては、これは先ほど申し上げましたように、大都市につきまして調査を実施しておりまして、その、実態は基準法の適用事業のように正確に把握されておりませんが、東京都内にも約一万名程度のベンゾール関係の作業を行なっている家内労働者がある、このような状況でございます。
○藤田藤太郎君 そうすると、つかまえた分だけでも二二・三%、二六・九%、二四・二%と、これだけの要するに被害者といいますか、現実に被害者だ。わずらっておる人がある。これはしかし大へんな数字になると思いますね。今の一応の事業場とそこで働いておる四万三千九百四十四というのは、労働者の数じゃないですね。
○政府委員(堀秀夫君) 労働者の数です。全国の。
○藤田藤太郎君 労働者の数ですね、全国の。それの中で今話された分がこりあると。東京でベンゾールが一万人というのと、全国で四万三千九百四十四名というのとどうなるんですか、今のお話。
○政府委員(堀秀夫君) 一万名と申しますのは、家内労働者の数の推定でございます。
○藤田藤太郎君 そうしますとこれはもう確率というのは、十何%くらいしかこの労働者の内職者の中をとらえてないわけですね。で、そのとらえた分の中で二〇%以上の患者がある。こういうことが三十一年からずっとアウトラインだけでも捕捉されておりながら、なぜ世の中から問題になるまでほっておかれたか、ということですね。対策。
○政府委員(堀秀夫君) これにつきましては、先ほど先生おいでになりません前に、私どもがここ数年来とっております状況を申し上げた。われわれの方では労働基準行政の最重点の一つを、ベンゾール中毒の予防に置いておるわけであります。その意味におきまして、ここ数年来、特殊健康診断の励行、それから職場におきまする空気中の含有度を少なくするための排気施設その他の指導、それから巡回健康相談、それから代替品の使用、取り扱いの規制というようなものについて、労働基準行政の最重点をここに置きまして、やっておるわけでございます。 東京におきまして問題になりましたのは、家内労働者が非常に多くて、家内労働について、これは率直に申しまして労働基準法の適用事業ではありませんでしたので、いろいろな問題が起きてきたわけでございます。そこでことしの中ごろから以降におきまして、この家内労働者についても東京都、厚生省その他関係方面の御協力を得まして、あるいは巡回検診を実施するとか、それから労働省といたしましても巡回健康相談、それから巡回して環境の改善の相談に応ずる。それから代替品を使用することにつきまして、メーカーにも呼びかける。それから代替品につきましては適当な規格をつけるようにというような措置をいろいろやっておるわけでございます。そのような措置をやっておりましたが、家内労働につきましては、なかなかこれはその巡回検診の結果を見ましても、要注意者が減らない。それから出回るものが必ずしも適切にこれを規制しがたい。単に勧奨だけでは規制しがたい、というような状況と認めましたので、これはやむを得ない措置でありますが、厚生省、通産省とも御相談いたしました上で、基準法四十八条に基づいて、まず根本的にその方の規制を行なおうということで、基準審議会の御意見を伺った上で規制措置を講じた。このような段取りになっておるわけでございます。
○藤田藤太郎君 そうすると、この中央基準審議会の答申は、そのまま省令でもう出されたわけですか。
○政府委員(堀秀夫君) 基準審議会は労使公益全会一致で御答申になりました。それを省令といたしまして十一月十一日付で公布いたしました。
○藤田藤太郎君 もう一つ聞いておきます。ここを見ますと、この審議会の五%まではいいというようなことが書いてありますけれども、これは化学的証明ができるのですか。
○政府委員(堀秀夫君) この点につきましては、基準審議会において専門のお医者さんにもお集まり願いまして、十分御検討願ったわけでございます。その結果といたしまして五%以下のものにつきましては、これは先ほども申し上げたのですが、トリオールとか石油、ベンジンというような代替物の中にもその程度が入っておるわけでございます。これらについて取り扱いを今後規制する意味で、ベンゾール等の有害の溶剤の取り扱い規則というものを続いて公布実施する運びで、今基準審議会で鋭意御検討になっているわけでございます。五%と申しまするのは、この程度ならばベンゾールのりほどの有害ではない、しかし、有害度はやはり若干ではありますがあるわけですから、取り扱いに注意をすることによりまして、中毒の予防を期することができる、このようなことでございます。それからさらに外国の例等も申し上げますが、たとえばILOの定めましたベンゾール関係のコードによりますると、五%というのを一つの基準として設けております。これらも参考にいたしまして、五%というところで切ったわけでございます。
○吉武恵市君 ちょっと関連質問で簡単に……。今の御質問の関係ですが、中毒患者をたくさん出したようなときに使っていたベンゾールのりは何%入っていたのですか。
○政府委員(堀秀夫君) これはわれわれいろいろ現物を集めまして測定いたしましたが、多いものは非常に多いのですが、大体平均しまして四・五〇%程度ベンゾールが含有されておる、このような状態でございます。
○藤田藤太郎君 もう一つ基準法の四十八条で黄りんマッチを禁止しておりますね。だからベンゾールもそういう格好で、さっきからお話を聞いていると代替品ができるとかいう話があるならば、なぜこれを禁止されないか、これが一つ。それから先ほどからお話を聞いていると何ですか、サンダルとかそこらのベンゾールを使うのが内職の工賃が問い、そこらに問題があったということで、一つの面は有害物ですから禁止しなければならぬ、しかし、一つの面からはそういう方々の生活を守っていくという方針が出てこなければならぬと思う。そういうところはどうするのですか。
○政府委員(堀秀夫君) ベンゾールのりの禁止につきましては、今度の省令で全面的に禁止したわけでございます。この省令によりまして――この省令と申しますのは、基準法四十八条に基づく省令でございますが、四十八条に基づいてベンゾールのりを指定したわけでございます。それからその他の保護の問題につきまして、これは実情の非常にお気の毒な方がございます。これはベンゾールだけでなしに、先ほどから問題になっております家内労働全般の問題でございます。これらにつきまして、家内労働調査会を発足していただきましたので、これで一つ根本的に掘り下げたその御討議の結果によって、われわれはさらに対策を講じていきたい考えでおります。
○藤田藤太郎君 そこで私はきょうは議論はやめますけれども、本来外国の最低賃金にしたって、工賃にしたって、そういうものを規制するのは家内労働の工賃から出発しているところが歴史的には多いのです。だからそういう面から見ましても、今の二年とかいうことを一応のめどにされておるようですけれども、日本は反対のような格好になっている。それも関連作業だけというようなことになって非常に不満足なことなんで、この質疑はこの次やりますが、しかし、そういう点は、もう少し外国の例をちょくちょくお引きになるならば、十分考えて労働行政をやってもらわないと私は困る、これだけ申し上げておきます。
○委員長(加藤武徳君) 委員外議員藤原道子君から発言許可の申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) それでは御異議ないと認め、発言を許可いたします。
○委員外議員(藤原道子君) もう大へん時間もおそいようでございますので、さらに続いてこの問題は御討議いただけるようなお話でございましたので、私はいろいろ調査いたしておりますけれども、それは次の機会に譲らしていただきまして、そのときは本委員となって遠慮なく質問したい。きょうは委員外でございますのでごくおとなしく今伺っていたところで納得のいかない点二、三だけお伺いしたいと思います。 私は先ほど基準局長のお話がございましたが、自家用ののりには差しつかえないということに御決定になった、これは非常に危険だと思う。私現地でいろいろ調査をいたしております。そうすると、自家用として作ったのりを内職のものと一緒に内職者に配られておるということになると、危険度は私は下がらないと思う。それからさらに事業場に対しての監督がきびしくなればなるほど、その監督を逃れるために内職に出すという率がふえております。こういうことに対して一体基準局ではどうお考えですか。それから三十一年来検診を続けてきて、こういうパーセンテージが出ている。ところが、基準監督署の権限でないというような立場から内職者のこういう危険がもっとひどいということをわかっていながら、はたしてこれは厚生省かどうか知りませんが、それらとの連絡等はどのようになっておられるか。それからもう一点は、フランスなどではずいぶん詳しい法律が出ている、ベンゾール問題に対して。それに対してそういうことを十分御承知でありながら、きょうまで知らぬ顔してほおっかぶりしているというふうに悪意にとればとれる、そういう責任を伺いたい、まず第一点に。
○政府委員(堀秀夫君) いろいろ御質問がございましたが、第一に自家用の問題でございます。自家用の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、厳重に許可基準を設けまして監督署長の許可をとらせる、こういうことになっております。その許可基準につきましては、労働者を含む労働基準審議会では、専門のお医者さん、その他専門家がお集まりになりまして目下御検討中でございます。大体におきまして局所吸引排出装置等のはっきりした装置があって、拝観的に空気中のベンゾールの含有皮をこれ以下にするという証明がありましたものについてのみ許可する、こういうことになります。それからこの省令の内容は、要するに販売のために所持あるいは販売は一切禁止でございまするから、そのようなところでよそに流す意味で販売し、あるいはよそに流すというようなことをいたしますれば、当然この省令違反になりまするから、それはこの省令に基づいて監督を行なう、こういう考えでございます。 第二番目に、この健康診断の結果でございますが、これはわれわれの方としてまず基準法の適用事業から始めたわけでございます。そこで基準法の適用事業について先ほど申し上げましたような指導を行なってきたわけでございます。同町に、家内労働につきましても、たとえば大阪の家内労働であるとか、その他東京でもそうでございますが、代替品に使うこととか、あるいはこの取り扱い方というような問題については、われわれとしても事実上の指導はいたしてきたわけでございます。今度の事件が契機になりまして、それからあわてて指導を始めたというわけではありません。それは前からやっておるわけでございます。ただ、いろいろな事実上の措置として勧奨の方の措置で家内労働についてはやってきたわけでありまして、新聞等にも出ましたように、なかなか改まらない。そこで抜本的な措置として、今度の取り扱いの禁止という抜本的な措置を講じたわけでございます。 それからフランス等におきましては、先生御指摘のように、ベンゾールのりの規制につきまして規定がございます。これらも実はわれわれ前から検討いたしておりましたのです。四十八条に基づく禁止という問題は、これはほんとうに、先ほどからいろいろ御議論がございましたが、やむを得ない措置として最後に残すという考えでありました。それまでは事実上の指導によってなるべく害を防いで参りたい、こう思っておりましたが、なかなか改まらないので、やむを得ない措置として四十八条の指定に踏み切ったわけでございます。
○委員外議員(藤原道子君) 私は納得できません。フランスにできたのはもうかなり背の話なんです。ベンゾールのりがどれだけ被害があるかくらいのことは、基準局長は知っていた、それできょうまで勧奨してきたと言うけれども、私ども方々調査すると、そういうこと徹底しておりません。ですから、これはもっとほんとうに労働者の健康を考えて今後はやっていただかなければ、私はこの点では納得いきませんので、この次までにまた質問さしていただきたいと思います。それから事業場で、換気装置のあるところへだけ許可するのだ、心配ないとおっしゃるけれども、現地へ行ってごらんなさい。現物と一緒にのりをつけて配っておる。だから、これをどうするか、販売ではない。現物ですね、つまりサンダルならサンダルの材料と一緒にのりがついて使わせられておる。これは販売じゃございません。こういう点についてはどういう対策をおとりになるか、これ非常に重大だと思います。この点はどうお考えになっておるか。それから私は、先日本木の方へ調査に参りました。三畳の部屋に六人くらい住んでおる、そこの三畳の部屋で内職しておる。六人も住んでおるところに。それが子供が全部手伝っておるのです。のりづけは子供がやっておる。こういう危険な状態に私はきょうまで放置していたという当局者の気持がわからない。 それからもう一つ、これは労働省じゃなくて厚生省の方に伺うのですが、検診はしているとおっしゃいますけれども、おざなりでございます。ですから、強制的な検診をしなければ――現実に調査すればこれだけ多数の被害者が出ている。だけれどもおざなりにやっておりますから、検診を受ける人が少ない。厚生省のやり方に耐えられなくなったヘップサンダルの労働組合が自主的にお医者さんと交渉して検診を受けているという例がたくさんございます。だから、ほんとうに内職者の健康を心配してやっておいでになるのか、世論がやかましいからやむを得ずやっていらっしゃるのか、私はそういう気がしてならないのです。今後どういうふうにして健康の管理をしておいでになるか。さらに最近は生活保護法の適用が非常にきびしくなりましたので、食えないから要注意者と、要注意の診断を受けて要治療の診断を受けた人が、食っていくために仕方がないから、また内職を始めております。こういう点までも調査していらっしゃるかどうか。それからそういう人にとっては百円の検診料というものも大へんなんです。それから要注意が出ますと、今度は精密検査をします。そうすると、千八百円くらいかかるのじゃないですか。二千円近い金がかかる。要注意と診断されながら、精密検査を受ける金がないのです。それで生活保護を頼もうと思ってもなかなか許可してくれない。見殺しにするならばやらない力がいいと思います。一体こういう点に対して厚生省はどういう考えを持ってやっているのか。要注意者が、一時はやめたけれども食えない。生活保護を頼んだけれども許可にならない。だからまたあぶないと知りながらこの仕事をしている。それからもう一つは、ベンゾール中毒であるかどうかわからぬということを言って、それで百円にすることも何か渋る傾向がたくさん出ております。むしろ私は保健所の使命は、国民の健康を守る予防衛生という立場から出発したと思うのですから、この際ぜひこういうボーダー・ラインにいらっしゃる人たちは、何とか自分の力で生きていこうとして働いているのでございますから、やはり検診は無料にすべきだと思う。予算がなければ、この予算を組んで下さい。私はそう思いますが、厚生省の見解とあわせ、お伺いします。
○政府委員(堀秀夫君) ただいまのいろいろ御指摘がございましたが、第一番目はベンゾールのりを材料としてつけて出すことはどうかという問題でございます。これは賃加工に出しまして、加工賃をきめておるわけでございます。その場合に、そういうのりの代金等も含めまして加工賃の計算がなされるわけでございますから、事実問題といたしまして、これは販売し、あるいは販売の目的のための所持と、これに該当すると思います。従いまして、ただいま御指摘のような弊害は排除できる考えでございます。それからまあ今までの処置がなまぬるかったというおしかりでございます。これは率直にもうしまして、われわれの労働基準行政の仕事が、労働基準法適用事業というものを従来主体にしておりまして、その方からまず手をつけていったわけでございますが、やっておる間に家内労働者という問題の出てきたわけでございます。従って、一般の労働基準法適用事業と比べまして、あとからだんだんとその措置が及んできたということで、従いまして、なまぬるい面もありましたことは、おしかりを受けても仕方がありませんけれども、今度の抜本的な措置に踏み切りましたことにつきましても、これは先ほどからいろいろ問題がありますように、まあいろいろな問題があるわけです。四十八条に基づく指定ということにつきましては、まあしかしいろいろな問題がありましたけれども、あえて踏み切ったという点についてのわれわれの決意も、まあ御了解願いたいと思うわけでございます。 今後におきましては、家内労働調査会を発足させましたので、その関係者の御意見を十分伺いまして、善処して参りたいと考えております。
○説明員(田波幸雄君) 保健所の健康診断がなまぬるいというおしかりでございますが、今度の場合、東京都でやりました場合は、ヘツプサンダル工組合の方の方々といろいろ御相談いたしまして、名簿などの御提出もお願いし、その名簿によってやるという初めの計画でございましたのですが、なかなか名簿が出てこない。それでじんぜん日を送るわけにもいきませんので、やっと希望者だけというような形でやられましたために、人数もあまりたくさんにもできなかったというように聞いております。で、将来といたしましては、そのような方法を進めまして、確実な検診ができるようにして一つやっていきたいと、私たちは考えておる次第でございます。ただ先ほども申しましたように、技術的に非常に困難な問題がありますので、保健所だけでも片づけられませんので、医療機関の方ともいろいろと連絡をとりまして、間違いのないような方法をとっていきたいと考えております。 それからもう一つ費用の問題、これが非常にむずかしい問題で、私どもも頭を悩ましておるわけです。まあ基準法外の労働者が一般的な行政ワクというような今のお話なんでございますが、これがはっきりと――まあ結局ボーダー・ラインの問題になりますので、これにつきましては、また、私ここでお答えできません立場にございますので、また帰りまして社会局の方とよく御相談してから御返答申し上げたいと思います。
○委員外議員(藤原道子君) もうやめます。それでただ一つ皆さんにお願いしたいのは、一度現地を見てほしいということです。それからもう一つ、非常に母の立場からつらく感じましたのは、現地で内職を少し大きくやっているところに、小さな子供が五、六人来てのりづけしているのです。その子はうちの子かと思ったら、そうじゃないのですよ。小学の四年、五年くらいのちっちゃな子が内職のまた内職に雇われて来ている。こういうことが許されていいのかどうか。非常につらい気持がいたしましたので、こういう点も厚生省の方々、十分御検討になって、児童福祉法もございますし、生活保護法もございます。この法がほんとうに人命尊重の法に私は生かされてほしいという感じを深くして参りました。あらためて質問をさしていただきますが、きょうは私も飛び入りでございますので、この点で……。
○委員長(加藤武徳君) ただいまの実態調査については、理事会でまた検討させていただきます。 本件に対するきょうの質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。これで散会いたします。 午後一時一分散会