決算委員会 第9号
- 発言数
- 221 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/11/24
会議録
○委員長(上原正吉君) ただいまから決算委員会を開会いたします、 昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和三十二年度政府関係機関決算書、並びに昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算書、昭和三十二年度国有財産無償貸付状況総計算書、及び昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書を議題といたします。本日は裁判所の部を審議いたします。検査報告批難事項は第一号から第四号までであります。 本件に関し御出席の方は、最高裁判所から横田事務総長、栗木経理局長、田宮経理局主計課長、矢口経理局総務課長、会計検査院からは保岡第二局長の諸君であります。まず会計検査院から概要の説明を願います。
○野本品吉君 その前に……。これは私の希望なんですが、実は私どもは日本において最も公正あるいは正義、真実というようなものが裁判所によって代表され、裁判所がそのシンボルであるように希望しておるわけです。そこでこの四件の批難事項が出ておるのでありますが、今までの、各省庁にわたってのいろいろなととがありますが、特に会計検費院の立場からも、それから裁判所の立場からもその犯罪の批難事項の概要、実際等につきまして、形式的な御説明でなしに、われわれの質問を必要としない程度に、詳細な御説明を願うということを希望申し上げます。
○委員長(上原正吉君) まず会計検査院から概要の説明を願います。
○説明員(保岡豊君) 二十四ページに表になっておりますものでありますが、第一は、大阪高等裁判所の領置物取扱主任の補助者が、主任宜の金庫から刑事領償金九十七万五百円を領得したものであります。これは本人が長く欠席したために、不解に思って調査した結果発見されたものであります。 第二は、名古屋高裁金沢支部の刑事部証拠品係が領置金の送付を受けて、受け入れ手続をしないで七十四万四千九百八十四円を、領置物主任官から正規の受領書引きかえに受け取った十八万二千三百二十九円と腕時計一個を、それから領置物主任官をだまして領置金の四十万五千八百九十一円を領得したもの、この三種類でございます。これは処分がおくれているので、調査された結果発見されたものであります。 それから第三は、大阪地方裁判所の資金前渡官吏が架空名義で三百九十六万二千二十八円を、二重使用等で四百三万一千二百六十四円預託金を領得したものであります。これは後任者が調べた結果発見されたものであります。 第四は、福岡地方裁判所の歳入歳出外現金出納官吏が架空の名義によりまして、小切を振り出して二百四十七万七千二百円を領得したものであります。これは補助者が怪しいと思いまして、別の上司に報告した結果発見されたものであります。 以上概要の説明であります。
○委員長(上原正吉君) 次に裁判所から概要の説明を願います。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) ただいま会計検査院から御指摘になりました四件は、まさにその通りの事実がございまして、先ほど野本委員から仰せられました通り、国民の信をつながなければならない裁判所といたしまして、このような不正事件を引き起こしましたことは、はなはだ遺憾千万でございます。またこの委員会を通じまして国民の皆さんに深く謝罪の意を表するものでございます。 こういう事故を起こしました原因につきましては、やはり帰するところ監督が不行き届きということになるわけでございまして、裁判所といたしましては、折りに触れ注意もいたし指示もいたしておるのでございますが、御承知のように、裁判所の機構は監督の最高機関が裁判官でございまして、これが裁判事務に非常に忙殺されておりまする現状のもとにおきまして、しかもその下の事務機構が必ずしも充実しておりません等の関係もございまして、こういう結果になりましたことは、まことに残念に存ずる次第でございます。しかし、いかような事情がございましても、裁判所といたしましては、こういう不正事件は一件もないようにいたさねばなりませんので、後刻経理局長から今後の改善措置等について申し上げる所存でございます。 一般的に申し上げますれば、やはり現在もやっておりますように、会計関係の監督官の会同を催しましていろいろ研究をいたすこと、あるいは適切な通達を発しまして、会計事務につきましていろいろな指示をいたしますこと、さらに先ほども申しましたように、事務機構がどうも不十分でございまして、予算の面あるいは人員の面におきましていろいろ制約がございますので、これにつきましてはいろいろ努力はいたしておりますが、まだ十分にこれを充実することになっておりませんので、この点につきまして今後十分措置をいたしたいと思っておるわけでございます。根本はやはり綱紀粛正、職員の気持を引き締めるということが必要でございます。この面におきましても、今後とも十分にやって参りたいと考えております。詳細につきましては、栗本経理局長より続いて御報告申し上げることにいたします。
○委員長(上原正吉君) 補足説明がありましたらお願いいたします。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 引き続きまして詳細の御説明を申し上げたいと存じます。 昭和三十二年度決算検査報告に、裁判所関係の不当事項として掲げられました事項について、まず第一の検査番号(一)の大阪高等裁判所における事件でございますが、これは同裁判所の事務局会計課におきまして、領置物の出納保管事務の補助をしておりました事務官の市岡賢明、大正十五年生まれでございますが、これが、証拠物として裁判所が保管しておりました領置金を、昭和三十一年二月から約一年半ほどの周に、前後十回にわたりまして合計九十七万五百円を金庫の中から窃取したという事件でございます。 その犯行の方法は、保管責任者から金軍内の金品を出入することを命ぜられて金庫のかぎを渡されたときとか、保管責任者が席をはずしたときに、机の中にありました金庫のかぎを取り出してこれを盗用いたしましてひそかに金庫内の領置金を窃取したものであります。 本来、金庫のかぎは保管責任者が直接に保管使用し、金庫内に保管しています金品もみずから出入することになっておるのでありますが、当時同裁判所におきまして領置物の事務を担当しておりました職員は、保管責任者であります領置物取り扱い主任官と、本件の犯人であります市岡の二名のみで、保管責任者は事務員の関係から用度係長等がこれを兼ねており、これらの事務に多忙でありました上に、本件の犯行期間中には保管責任者が病気欠勤するとか、あるいは病気等のため三回も交代するような実情でありまして、領置物保管の事務の多くを補助者にさせざるを得なかった次第であります。他方、犯人市岡は八年余にわたりましてこの事務の補助者として専従しておりましたので、経験も深く勤務態度も一見まじめであり上司、同僚からも信用されておりましたために、ときとして金庫内の領置金の出入のような重要な仕事を命じたことがあり、それを悪用されたものでございます。 また、この期間におきまして検査も実施されておりましたが、犯人が信用されておりました上に、犯行がきわめて巧妙で、検査の際にはあらかじめ台帳から犯行にかかる部分を抜き取りこれを隠匿しておりましたために、早期に発見できなかったものでございます。発覚の動機は、犯人がしばしば欠勤いたしましてこれが長期に及ぶことがありましたために、家庭の状況を調べましたところ不審の点がありましたので、同人の取り扱っておりました事務について監査した結果発見したものでございます。 多年裁判所に勤務しておりました職員がかかる犯行を犯すに至りました動機といたしましては、本人の自供から見てみますと、同人が老齢の父母及び妻子の六人をかかえ月収わずか一万五千円程度で生活に困窮し、また自己の将来についても希望もなく苦しんでおりましたところへ、たまたま他から商売の誘いがありまして、その資本に充てるため公金に手をつけるに至ったもののようでございます。 本件事故に対する改善措置といたしましては、検査にあたって帳簿書類を隠匿するようなことができないように牽制的に事務の取り扱いをさせるため、補助者を二名にしましたほか、金庫のかぎの管理を厳重にし、必ず責任者がこれを取り扱うようにいたしました。また検査につきましても、その方法について詳細に指示し、効果的な検査を実施するように改めまして、再びこのようなことのないように期しておる次第でございます。 被害額につきましては、現在までに一万七千七百二十二円を回収いたしましたが、残額九十五万二千七百七十八円につきましては、本年九月二十六日犯人市岡との間に和解が成立して、昭和三十九年九月末日までに完済する予定になっております。 関係者の処分といたしましては、犯人は懲戒免職といたしました。監督責任者に対してはそれぞれ戒告等の処分をいたしました。なお、犯人は大阪地方裁判所において懲役一年六ヵ月の判決を受けまして、すでに刑期を終えております。 次に検査番号(二)の名古屋高等裁判所金沢支部の事件について申し上げます。 本件は同支部におきまして、刑事証処品の受け入れ及び処分の事務を取り扱っておりました書記官補北島孝雄、大正十二年生まれでございますが、これが昭和二十七年十月ごろから五年半余にわたりまして、自己の取り扱いにかかる領置金百三十三万六千七百四円相当額について、故意に正規の取扱いによらず、保管責任者の保管に対する前に領得し、あるいは処分のため、または処分のためと詐称して保管責任者から受け取った領置金を領得したものであります。 本来、証拠品係の事務はいわゆる訟廷事務としまして、裁判において押収されました物件を書記官から受けて会計の保管責任者に引き渡す事務、及びこれを処分する場合に会計から受け取って還付引き継ぎ等のことをいたします事務でありまして、証拠品を法廷において証拠調べなどをするために出入する事務は裁判の審理に立ち会います書記官の事務となっております。従って証拠品係の者が領置物を保管責任者の保管に付する前に領得するというようなことは、直ちに事件の審理に支障を来たすことになり、また、処分事務につきましても主任書記官が監督する仕組みになっていますので、本件のような事故は予想されなかったものでありますが、本件は、支部で人員が少なく犯人が裁判の立会書記官を兼ねておりましたため、裁判に影響の少ないような性質の領置金をねらったものでありまして、また刑事部の上席者で事務能力がすぐれていた上に、一応家庭の事情もよく、信用されていました一方、直接監督者であります主任書記官は庶務課長を兼ねて多忙なために、細部にわたる監督ができなかったという事情があり、さらにこれに加えて還付の際の領収書が巧みに偽造されておりまして、これを裏づけるべき記録は事件終了後は原審または上告審に送られてしまっておったということが、この犯行を長期間発見でなきかった原因と考えられるのであります。発見の動機は、検察庁から没収物の引き継ぎが遅れている等の申し出があり、調査した結果発見するに至ったものであります。 本件に対する改善措置といたしましては、証拠品の受け入れ処分の事務等を扱う専門の訟廷事務室を設けて、これに専任の主任者を配して機構を充実し、さらに監督の強化をはかるとともに、本庁からの査察を強化するようにいたした次第でございます。 被害額につきましては、現在までに五十四万三千九百七十四円を回収して、残額七十九万二千七百三十円につきましては、本年九月二十一日に犯人北島との間に和解が成立し、昭和四十五年八月末日までに完済することになっております。 関係者の処分といたしましては、犯人北島は昭和三十三年五月八日退職し、監督専任者に対しましてはそれぞれ高等裁判所長官からの注意等の処分をしております。なお犯人は金沢地方裁判所において懲役二年の判決があり目下服役中であります。 次に検査番号(三)の大阪地方裁判所における事件について申し上げます。この事件は、大阪地方裁判所に勤務しておりました、同庁事務局会計課経理係長で資金前渡官吏であります事務官の西岡潔、大正十五年生まれでございますが、昭和二十六年十月ごろから六年間にわたって、自己の保管する前渡資金合計七百九十九万三千三百九十二円を横領したという事案でございます。その犯行方法は、国選弁護人の旅費、日当、報酬等の支払いにあたりまして、その受領代理人であります大阪弁護士会の事務局長の印鑑を預かっていましたのを利用いたしまして、同人あてに振り出した小切手を直ちに交付せずに着服し、次の支払い分をこれに充てるなどの方法を繰り返していたのでありますが、昭和三十二年ごろになりますと横領金額が多額に及びまして、ために弁護士会への未払いも多くなり督促なども受けるようになりましたために、その穴埋めをはかり、国選弁護人や調停委員の報酬、旅費の請求書の副本を利用して小切手を振り出し、あるいは架空名義の小切手を振り出してこれを着服したものでございます。 発覚の動機となりましたのは、昭和三十二年四月に実施しました検査の際に、帳簿書類には不符合のものはありませんでしたが、弁護士会への支払いの遅延等不審な点も見られ、またこれまで適任者がないため八年間も同一職務におりましたような実情でありましたために、この際これを交代せしめることとし、さらにその後交代に伴う検査を実施しましたところ、犯行の一部である不正小切手の発行を発見したものであります。 このような犯行が長期間発見できなかった原因としましては、同裁判所における前渡資金の支払い事務がきわめて多量でありましたために、唯一の直接監督者であります会計課長が日常細部にわたり十分監督できなかったということ、及び、犯人が八年以上この職務に従事して事務に熟達しておりまして、また出納官吏としてこれら現金の出納の責任者でもありましたために信用されておりました上に、こうした地位を利用しまたは債権者の印鑑を預かり自由に領収書を偽造して、帳簿は常に関係の書類及び現金に符合せしめておりました。発覚時近くまで不審の点が見られなかったことにあると考えられるのであります。 本件に対する改善措置といたしましては、債権者の印鑑を領かるなどの便宜の取り扱いを厳に禁止するとともに、事務処理についての相互牽制機構をさらに徹底いたしまして、あるいは監督の強化をはかるために専門の監査係を設けまして、日常の監督事務の補助及び監査を行なわせるようにいたしております。被害額七百九十九万三千三百九十二円につきましては、昭和三十四年三月三十一日に犯人西岡との間に和解が成立いたしまして、昭和三十九年三月末日までに完済する予定になっております。関係者の処分といたしましては、犯人は懲戒免職、監督責任者はそれぞれ戒告等の処分をいたしました。なお犯人は、大阪地方裁判所で懲役四年の判決がありまして目下服役中でございます。 次に、検査番号(四)の福岡地方裁判所における事件でございますが、本件は同裁判所に勤務いたしまして、事務局会計課の経理係長として歳入歳出外現今出納官吏の職にありました事務官の秋根某、大正八年生まれでございますが、これが昭和三十一年十月、翌昭和三十二年四月の二回にわたりまして、架空の持参人払い式小切手を振り出して、自己の保管する保管金から合計二百四十七万七千二百円を横領したという事件でございます。その犯行の方法は、請求書及び領収書を偽造いたしまして、正当な支払いのごとく装って小切手を振り出し、あるいは小切手用紙をつづりから引き抜いて全く架空の小切手を振り出してこれを承服したものでございます。 同庁の金銭の支払い機構は牽制組織によっておりまして、たとい責任者である出納官吏でありましても容易にこの種の犯行はできない。また自動的に発見される仕組みになっておりましたので、犯人は係員の休暇等の折に係員の印鑑を盗用して正規の手続を経たごとく装い、または係員の保管する小切手用紙を盗用して不正に架空名義の小切手を振り出したものでありますが、そのため関係書類に矛盾を生じまして、これを部下の係員に指摘されまして、しばらくの間は単なる誤りであるから調査すると申し含めて、監査者であります上司への報告を押えていたものでありますが、発覚の動機は、このような犯人の態度に係員が不審を抱きまして、直接会計課長に報告いたしまして、会計課長が調査いたしました結果、その犯行が明らかになったものでございます。 本件に対する改善措置といたしましては、従来の牽制組織においては審査事務に不十分な点が認められましたのでこれを改め、金銭の出納を取り扱う係以外の者を審査事務に当たらせることにいたしましたほか、監査を強化して牽制組織により常時監査以外に定期的な監査を実施するようにいたしました。 被害額につきましては、現在までに百二十七万千二百円を回収いたしまして、残額百二十万六千円につきましては、本年の三月二十七日犯人秋根との間に和解が成立たしまして、昭和三十五年十二月末日までに完済する予定になっております。 また関係者の処分といたしましては、犯人は懲戒免職、監督責任者にはそれぞれ所長から注意が与えられました。なお、犯人は福岡地方裁判所で懲役一年六ヵ月の第一審判決があり、その後上訴いたしましたが、本年九月二十二日に刑が確定いたしまして、現在服役中でございます。 以上御報告申し上げます。
○委員長(上原正吉君) 以上で御説明は終わりました。 これより質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○相澤重明君 裁判所の決算を行なうに当たりまして、事務総長にお尋ねしておきたいんですが、一般の不正を取り扱うのが裁判所であって、裁判所が不正を起こしたならば、これはたれが一体その不正を阻止できるかという点に非常に私どもも悩む問題だと思う。そこで、今の四件の事案について御報告をいただいたわけでありますが、これらの内容についてはまことに遺憾ということ以外にはないと思うんです。そこで今までのところを例年の裁判所の決算を行なうに当たりまして、特に三十二年度が件数が増大をしたというのは、一体どういう理由なのか。今まで二十七年以降ほとんど毎年一体そこそこであったのですが、特に三十二年度に限って四件にも増大したというのは、何らかの欠陥が出始めたということをあなたの方自身でお考えにならなければならぬと思うのでありますが、その点についての批判はどういうふうにお考えになっているか、事務総長にこの点からお尋ねいたしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 三十二年度の不正がここに四件も出ましたことにつきましては、先ほど申し上げました通りまことに申しわけないと考えておりますが、ただいま御説明申し上げましたように、このうちには、相当長期にわたっておりまして、それがやっと三十二年あるいは三十三年度になりましてわかりました結果、三十二年度の御報告の中に非常に固まって出て参ったのでございますが、これはやはり、その年度々々に直しますと特に三十二年度が多いということではございませんので、その点は先ほどの御報告で御理解いただけると思います。ただ何と申しましても裁判所ともあろうものがこういう不正事件を起こしましたことに対しましては、おわびの申しようもないことでございまして、今後私どもはあらゆる手段を講じましてこういう不正事件の絶滅をはかりたいと考えております。
○相澤重明君 事務総長の御答弁を聞いておりますと、三十二年度が特に多いというのではなくて、三十三年度の検査をやったところが、たまたま前にやっておったのも三十二年度に発覚できた、あるいは三十二年度に特徴的なものというのは別段考えられないという御答弁でありますと、三十一年度までの決算で、あまり裁判所については指摘するような多くのことがなかったということは誤りである、こういうことにお答えはなると思うんですが、会計検査院に一つお尋ねしておきたいと思うんですが、三十二年度の四件に対してですね。その以前の決算を行なってきたことに対して私どもはあっまり裁判所についてそういう指摘事項はなかったと思うんですが、今事務総長の言うように、三十二年度が件数が多くはない、以前もやはりあったし、その後もまだたくさんある、こういう理解の仕方でいいのかどうか、その点あなたの力では検査をやるについて、経過を一つ御説明をいただきたいと思うんです。
○説明員(保岡豊君) 大体のことを申し上げますと、裁判所の方からお述べになりましたようになりますけれども、今まで一件くらいづつありましたものは一号、二号に掲げます種類のものであったと記憶しております。そこで、三、四のものはこれは純然たる会計職員でございまして、会計検査院といたしましても、これは会計職員でありますから会計検査院の検査の対象になるのでありまして、この点会計検査院といたしましても、もう少し早く見つけなかったこつとは、はなはだ申しわけないと私思っているわけでございます。この一、二の項は、今までも会計検査院といたしまして検査をいたしておりますが、これは会計職員ではございません。たとえば領置物にいたしましても物品管理法の適用除外になっておるのでございますから、会計検査院プロパーのものではございませんけれども、今までこういうものが多かったものでありますから、この方を従来注意してやっておったわけでございます。ところがこの三十二年度の報告になりまして、この(三)、(四)の資金前渡官吏とか歳入歳出外現金出納官吏とか、会計職員プロパーのものが出たので、この点においては犯罪の性質としてちょっと違ってきたと私ども感じておりまして、私どもの責任が重大に感ぜられるわけでございます。そこでその対策といたしましては、ただいまもお話のありましたように、非常に人間が少ないということは感ぜられるわけでありまして、従って牽制組織が足りない、どうも長く同じ職務にあるというのがこの原因ではなかろうか。一人であっても、簡単な会計の事務でございますから、どんどんかわってもそうなれぬものではございませんので、かわりていけば、それを(三)のような担任者が発見するということも早いうちにできるのじゃないかと私考えております。以上でございます。
○相澤重明君 今会計検査院が指摘をしておるように、若干やはり下部機構について裁判所の定員不足というものが大きな原因をなしておるのじゃないか、その定員不足のために、結局は相互交流ということができないで、長期間一つの職に勤続をしておるために、なかなか不正不当ということも発見が困難なのではないか、こういうように指摘をされておるわけですが、事務総長はそういう点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 詳細なことは経理局長から申し上げたいと思いますが、裁判所といたしましては、やはり裁判事務プロパーの方に従来重点を置いておったように考えられます。従いまして先ほどの経理局長の報告の中にもございましたように、会計を扱います職員にやや手不足があったということは認めざるを得ないように思います。この点は先ほど改善措置でも申し上げましたように、いろいろその機構を充実する組織がとられておりますが、これは何も不正が起りましたそこだけの問題ではございませんので、私どもといたしましてはこの会計機構を全面的によく検討いたしまして、不足な点は補なっていくというようにいたしたいと考えております。詳細は経理局長から説明いたさせます。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ただいま総長から答弁をいたしましたが、特につけ加えることもございませんが、相澤委員御指摘のように、会計課の会計事務を扱います職員が手不足であっるという点はわれわれも感じておりまして毎年予算要求はいたしておるのでございますが、何しろ人員要求ということになりますと種々な隘路にぶつかりまして、容易に実現を見ないような次第でございまして、しかしながらかような事態を生じることはまことに裁判所としては遺憾なことでございますので、なお人員増加というような面に向かいまして努力をいたしたいと考えております。 それからなお会計課の職員の交流を早くしたらいいではないかというようなお話がございまして、まことに一面におきましてごもっともなことだと考えておるわけでございまして、われわれといたしましても、かような金銭を扱いますような者は適当な機会に交代させる方がいいというふうに考えておりますが、やはり今事務総長が申しましたように、裁判所の職員というものは、何と申しましても裁判事務の方に行きたいのがたくさんおりまして、やはり会計というような面は、どういたしましても裁判所といたしましては、第二次的に考えられるような形になりますので、なかなか交流がうまくいかないというような事情もございますが、しかしこれも何とか、さようなことを言っておりましても交流しないわけには参りませんので、いろいろその方面のことにつきましてなおよく検討いたしまして、会計検査院の御指摘のような早期の交流ということも、できましたら一つ実現いたしたいとかように考えているわけであります。
○相澤重明君 そこで第一、第二の問題については領置物の関係ですから、先ほども会計検査院で指摘するように、これは少しそのつもりで調査をすれば案外わかりいいと思うのでありますが、第三、第四の場合のこういう会計上の問題については、非常に先ほども御説明をいただいたように、組織上からただ平面的に検査をした場合に、なかなかわからぬようにやるのが今の犯罪だと思う。そこで特に第四の問題は国選弁護人の日当、報酬等も、実は代理受領をするという形の中で不正が行なわれておったように思うのでありますが、私はここで一つお尋ねしておきたいのは、今裁判所においては国選弁護人の日当、報酬あるいは証人の日当等については、これを改正する意思があるのかないのか。これは金銭的な面ですが、そういう点と、それからこの不正にかんがみてそれらの相互牽制というか、事務局長というものはどこでもかなり問題を起す所でありますが、これに何らかの規制をするような措置を考えておるのかどうか、この事故にかんがみて。そういう点とこの二つの面を一つお答えいただきたいと思うのでありますが、第一は国選弁護人や何かの、あるいは証人として出頭するそういう人たちの日当、報酬、そういうようなものを、まあスライドをする考えがあるのかどうか。 それからこれは事件に関して二つ目としては事務局長というのは非常に他面においては忙がしいし、責任のあるポストにあるが、人員の少ない中でやると、往々にして事故がなかなか発見ができない。そこでこれらの事故を未然に防止するために、相互牽制等の方法なり何らかの新しい機構というもの、そういうものをお考えになっているのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思うのであります。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 相澤委員の御質問、ちょっと私わかりかねるのでございますが、お二つ御質問あったことはよくわかりますが、最初は国選弁護人の報酬あるいは証人の日当額を改正する意思があるかという御質問でございましょうか。
○相澤重明君 そうです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 本年度の予算請求におきましては、証人の日当の点は、これは現在御承知の通り二百二十円でございまして非常に低い金額だと考えておりますので、これを増額するように大蔵省に要求しております。二百三十円を五百円に増額する必要があるとして大蔵省に強く正要求しております。それから国選弁護人の報酬の点は、これは去年の十月に一応額を引き上げました関係上、ことしはまだこの点については増額の、要求はいたしておりません。しかしながら国選弁護人の報酬が低いというような声もございますので、われわれといたしましては絶えずこの点には注意をいたしておるつもりでございます。 それからもう一つ、第二の御質問はちょっとわかりかねるのでございまして事務局長をどうしろというのでございましょうか。
○相澤重明君 私はそれじゃ第二の問題をさらに……これはむしろ法務省と裁判所と両方に関係があると思うのですね。地方の支部等における事務局長等の組織のことを、私は下部のことを申し上げたのでありますが、事務局長というのはなかなか重要な職でありますが、いわゆる裁判上における保証金の積み立て等も、こういう事務局長に責任の立場が担当あると思う。あとで具体的な例で一つあなたにお尋ねしておきたいと思うのでありますが、そういうことで、とにかく第四号の点でこの事務局を預かる人たちが、この場合には弁護士会の事務局長が代理受領するということで、国選弁護人の日当、報酬等について領収書の訂正等のために不正事項が行なわれておる。こういうことでありますから、事務局の定員を事務局長一人あるいはまあ簡易な、何と申しますか、お茶くみ程度の係員を一人置くくらいが、せいぜい末端の裁判所の支部では多いと思うのですつよ。そういうことで事務局長だけが中心になって作業されておるのが多いと思うのですが、それで一人にまかしておくと、どうしても手続工は正当に手続をとられると、これはなかなか発見ができない。従ってよほどそれはおかしいんじゃないかと言って、こちらの上司の方から疑問を持って内容を詳細に調査すれば、そういうことはあり得ると思うのですが、そうでないとなかなかわからない。それが私は実態ではないかと思う。そこでこの事件にかんがみて事務局長のそういう全国にたくさんの支部の組織があるわけですが、そういう所に対して何らかの相互牽制ということばかりでなくて組織的にお考えになったことがあるのかないのか、こういう点を御質問申し上げておるのです。 むしろこの際それでは申し上げておきたいと思うのですが、実は本年の六月に神奈川県横浜地方法務局の小田原支局の支局長が、やはりこういう同じような問題を起しておる。本年の六月です、これは。しかもこのことについては三十年の当時から三十三年末までにいろいろな形における領得を行なって、ついに本年の六月発覚してこれはやめさせられておる。こういう事件がありますが、その事件の内容を調べてみると、やはりこの第四に指摘されたようなことで、当時この小田原の法務局の支局長は、これは川瀬政太郎という人ですが、その人は三十年当時に、日本のセイロン漁業通商会社が新株発行のために変更登録をしたわけでありますが、その変更登録税として納めた十四万円のうち十一万円を着服してしまった、あるいはさらに会社設立あるいは新株発行等の申請登録税、不動産登記料、そういうようなものを多額に着服をされておる。これは一般の民間の人にはわからぬ。いわゆる法務局であるとか裁判所であるとか信頼をされておるところの人たちに、登記の手続をするあるいはそういう税を納めるという場合に、少くとも支局長、事務局長というような地位の人にまかしておけば安心であるという考え方に立っておる。ところがこれは三十年当時から三十三年末まで実際にはわからなかった、こういう事件が今日あるわけです。これはもちろん裁判所だけでの問題ではない。法務省の問題であるわけですが、しかし金銭上の問題、株券の問題や登録税等の問題になると、これはやはり裁判所にも関係があるのではないか、組織の関係でも、特にこの点私はお尋ねしておきたいと思っておったのですが、そういう事件もあるので、支局長あるいは事務局長という裁判所の場合には、今御説明いただいたような問題を御説明いただいたわけですが、ただ遺憾であったというだけでは私は納得できない。そこでそういう点について裁判所の方では今経理局長は、この事務局長という立場の人たちに、そういう問題を起させないようにしていくのが必要であろうかという点をお考えになっておると思うのですが、私はあとの小田原の法務局の問題については別でありますが、一応お尋ねしておきごたいと思うんですがいかがでしょう。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) お答えいたします。今事務局長というお言葉がございましたが、本件は地方裁判所の事務局長または家庭裁判所の事務局長ではございませんので、このいわゆる三の方は大阪地方裁判所の資金前渡官吏、事務局長の下に会計課長がおりまして、その下に当たるわけでございます。四の福岡地方裁判所の方は、これは会計課の歳入歳出外現金出納官吏で、これもやはり会計課長の下におります者でございますが、しかしとにかく会計事務といたしましては相当主要なポストにおることは間違いございません。かような者につきましても、やはりその機構から申しまして、その上に当たる者が必ず監査は実施いたしておるのでございまして、その監査を実施しながら発見できなかったという点がまことに遺憾に思うのでございますが、しかしながら監査は決してこれをしないわけではないんで、下級裁判所の会計事務規程にもございますが、とにかく監査はやっておると、かようなわけでございます。でまあ相澤委員御指摘のように早期に発見できなかったという点がまことに遺憾に思いますので、この本件につきましては特に先ほど私が御説明申し上げましたように、機構を改むべき点は、この事故を起しました庁につつきましては、特に改めるところは改めまして、また検査も一そう厳重にいたしておるようなわけでございます。
○相澤重明君 それではそういうふうに検査も十分にやっておるというのでありますから、そこで改善措置として、これらの末端の、これは課長の下というと係長になるのかね、ということになりますと、そこにはやはり定員というものは新たに別につけて、そういういわゆる事故を起さぬように、三十二年度から行なったんですか、それともやはり現状としてはできるだけ勤続年限の長い者を早く配置がえをする、というようなことで事故をなくするということにしたんですか、そのいずれでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 事故を起しました、ここに掲げられております四ヵ所につきましては、先ほども御説明いたしたと思いますが、改むべき点は改めたつもりでございまして、一々御説明申し上げますと、まず主たるものは大阪地方裁判所の(三)の案件と、それから(四)の案件が直接会計課の事務官が行なったわけでございますが、大阪につきましては、この債主であります弁護士会の事務局長の印鑑を、つまり受取人の印鑑を預かるというようなことをやっておりましたのでそれは厳重に禁止いたしました。これは大阪だけでなく、一般的にかようなことは会同その他におきましても厳重に禁止するように申し伝えてございます。それからまた相互牽制組織もさらに徹底いたしまして、かような事故を起しましたような場合には、早期に発見できるように処置いたしたつもりでございます。それからこの福岡地裁の分でございますが、これは先ほども御説明申し上げましたように、金銭の出納を取り扱う係以外の者を審査事務に当たらせる、かようにいたしまして、結局これは監査を厳重にしたわけでございますが、福岡につきましてはさらに事故がないように期したつもりでございます。
○相澤重明君 それから最高裁、地方の裁判所、あるいは高等裁判所のいろいろな調査した、監査をした内容が出ておるわけですが、特に専門の監査に当たる人たちはどのくらいおるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 監査の点でございますが、これは最高裁町所の経理局の中に監査課というものがございまして、この人間は現在八人でございますが、これが専門に監査に当たるわけでございますが、これ以外にもまず機構を申しますと、最高裁判所の監査課というものが、これが高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所を一年に全部いたすわけでございませんが、できるだけ予算及び人員及び時間の許す限り監査いたしておるわけでございます。 それから最高裁判所からさらに高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、つまりわれわれの方では本庁と申しておりますが、各下級裁判所の本庁に方針を指示いたしまして、高等裁判所におきましては、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所を監査させる、地方裁判所におきましては支部簡易裁判所を監査させる、それから家庭裁判所におきましては、家庭裁判所の支部を監査させる、かような機構になっておりまして、なお高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所が監査をいたしました場合には、その結果を最高裁判所へ報告いたして参りまして、その報告をさらに最高裁判所の監査が、つまり経理局で検討いたしまして、指示すべき点はさらにまたその監督庁である高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所に指示いたしていくわけでございます。専門の監査に当たる人員とおっしゃいますと、先ほど申しましたように、最高裁判所の監査課の八人でございますが、それ以外にも今申し上げましたように、下級裁判所におきましてそれぞれ監査いたしますので、下級裁判所では何人くらい当たるかと申しますと、これは手がすいております限り、本庁の会計課長その他の者が監査に当たるわけでございますが、昭和三十二年度全般で申しますと——御参考までに申し上げておきますが、全部で九百五十三個庁の監査、これは結局千二百三十庁というものが会計を扱っておる庁になるわけでございますが、そのうちの九百五十三個庁というものを監査いたしております。 それから実施期間といたしますと、まず延べ人員で最高裁判所の監査課、あるいは各下級裁判所の監査に当たります人間を加えまして、五千六百五十八名という数字になっておりまして、これだけの者が監査に当たった延べ期間と申しますと、四千六十余日というような日にちになるわけでございますが、とにかく監査といたしましては決してやっておらないわけではございませんで、かような程度にいたしておるわけでございます。
○相澤重明君 そうしますと裁判所の機構図の中にある独立した監査課というのは、本庁の中の経理局に監査課に八人おって、それが専門でやっておる。その他の高等裁判所以下については、結局事務局の中の会計課長を中心に監査をしておる、こう理解をしてよろしいんですか。そうしますと、先ほどの第三、第四の指摘にありますような特に会計を扱う者というのはなかなかむずかしいんじゃないですか。どうなんでしょうか。会計を扱うのが会計の中で、まあ上部の者は下部を監査をするということは、発見がたやすいということは一面いえるけれども、同じ仲間同士だということになると、なかなか監査というものは実際に不正を発見するというのはむずかしいのじゃないでしょうか。そういう点はどうお考えになりますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 御指摘のような点も確かにあるかと思いますが、しかしながら先ほども御説明申し上げましたように、同じ庁の者も監査をいたしますが、さらに上級の裁判所の会計担当の者が監査する仕組みにもなっておりますので、その人情のために引かれるとか、さようなことはまずなかろうというふうに考えております。
○相澤重明君 実際にはあれではないですか。特に会計検査院も指摘しているように、この裁判所というところがこれだけ指摘されるということは、ほんとうにもうわれわれとしては遺憾至極だと思うのですが、裁判に重点をおく、どうしてもこのためにそういう行政事務というものは比較的おろそかになっているというと、いや私の方では一生懸命やっておりますというのが裁判所の言い分だと思うのですが、比較的定員からいってもあるいは事務にしても渋滞するというのが、実際は行政事務の方ではないのでしょうか。ところが会計監査の専門家という者も、いわゆる最高裁の中にわずかに八人しかおらぬ。それで全国を見るといったところで、これはもう今千二百三十庁もあって、そのうちの大多数、八割もまあ終わったというのでありますが、とにかく高等裁判所以下については会計課長が中心で監査をする。自分たちの会計だけを審査をする、あるいは調査をするということになると、どうもぴんとわれわれこないのですね。同じ金を扱う者同士が、上部であろうと下部であろうと、人事の交流をする場合にはおそらくそういうことになると思うのですから、それだけでは事故の発生を未然に防止するということはむずかしいのではないかと思うのですが、やはりそんなものですかね。何か新しい行政事務についての、いま少し進歩した考え方というものは持てないのでしょうか。どうなんでしょうね。どうもちょっと理解しにくいのですがね。会計監査をする者は全国で本庁の中に八人しかいない。しかし下部、高等裁判所以下地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所については、高等裁判所の会計課長を中心に、下部のそれぞれの会計課の人が監査をするということになると、その現金出納事務を扱う会計課の人が、会計を上であろうと下であろうと検査をするということは、ちょっと同じ仲間同士が事故を発見するのに私は問題があるのではないかと思うのですが、そういうことですか、今あなたの答弁しているのは。ちょっと理解しにくいのですが、いま一度経理局長の答弁を願いたいですがね。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) お答えいたします。結局会計担当の者が、実質的に申しますと、会計を担当している者が監査するということになりますと、やはり同じような仕事をしている連中だから、なかなかそう厳重な監督ができないのではないかという御質問ではないかと思いますが、先ほどもお答えをいたしましたように、同一の裁判所内において、会計課長が部下の者の監査をする、これももちろん行なわれておりますが、上級裁判所が、つまり高等裁判所、地方裁判所または家庭裁判所を監査するというようなことも現に行なわれておりますので、そう同じような会計を担当しているものだから、なかなか厳重な監査がしにくいのではないかというようなこともなかろうと考えております。なおこの点はもちろん予算その他人員等がございますれば、なお厳重な監査ができるものと思いますけれども、しかしこれはやはり裁判所だけの問題ではなく、各省もおそらくく全部研究いたしたわけではございませんが、特別にその会計の独立の監査機関と申しますか、さようなものをお持ちになっている所はないのではないか。やはり大体裁判所と同じように上級の庁が下級の庁を監査なさるというような仕組みではなかろうかと考えておりますが、しかし、なお御指摘のような点もございますので、十分検討はいたしたいと思っております。
○相澤重明君 そこで、私はこの指摘事項についてはその程度にとどめておきたいと思います。今言っても予算がとれないとか定員がなかなかもらえぬということで、どうも悩んでおるようですが、これは少なくともやはり裁判を促進する、あるいは裁判所の中における事故をなくするためには、やはり思い切ったそういう制度上の欠陥、組織上の欠陥等についても、一つあなた方の方で政府に具申をして、適切な処置がとれるように計らってもらいたいと思う。 そこで、裁判官がおるとなおいいのですが、事務総長がおりますから一つお尋ねしておきたいと思うのですが、最近世相の中に青少年の育成の問題や、あるいは売春等の問題が、まただいぶやかましく議論されるようになってきたわけでありますが、今売春禁止法が国会を通って実施をされておるわけでありますから、これらの具体的に起訴されて裁判をされている数は相当あると思うのですが、どうもちまたで聞くとなかなか根を絶やすことはできない、非常に売春婦がふえておるというようなことを私聞いておるのでありますが、それらに対して最高裁の方では何か特別にこういう問題について、せっかく国があれだけ大きな力を尽し、また世論も、売春問題というものは徹底的になくさなければいかぬ、こういうような形になっておるのでありますが、それを取り扱っておる裁判所の方として、新しい何かお考えを持ったことがあるかどうか、一つお尋ねをしておきたい。 それからこの売春婦が起訴されて裁判されてもすぐにまた、なかなかなおらずにまたその次の事故——事故と言いますか、その次にまたそういう事件を起こすというようなことで、巷間伝えられておるところによると、もう十回くらい裁判をやっても、うまく逃げてしまえば何でもないのだというようなことを言われる。俗に言う一万円罰金というのですか、一万円罰金を納めるようになると体刑になるのだけれどもそれまでは心配はないのだ、こういうようなことで売春というものが行なわれるというようなことを聞いておるのでありますが、そういうことについても、裁判所の方で裁判をやっておる立場から、何か特徴的なものをお考えになられておるかどうか。この際おわかりになったならば御披露いただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 家庭局長がおりますといろいろ詳しく申し上げられるのでありますが、本日あいにくおりませんので、不完全ではございますが、私から一応お答え申し上げます。 売春禁止法の施行につきましては、裁判所も非常に関心を持っておりまして、ただいま御指摘のように、裁判をいたしましたあとの問題等につきましても、裁判所といたしましては、御指摘のような弊害がないような措置をとりたいということは、かねがね考えておったわけでございます。実は、裁判の手続につきまして、その一人々々の人につきましてよく調査をいたしまして、その人に適切な措置をする。これは罰金を課するだけが能ではございません。いろいろな措置をすることができるようになっておりますので、その措置をいたしますためには、やはり裁判手続の中におきまして、その個々の人につきまして十分の調査をする必要がございます。その観点からいたしまして、われわれといたしましては、この裁判につきまして特に裁判所調査官というものを置きまして、この人たちに詳細な調査をいたさせまして、その調査の結果に基づきまして、裁判所が適切な措置をする、こういうことを念願いたしておるわけでございます。実はその観点からいたしまして昨年度の予算におきましても、数十人の調査官というものを予算要求をいたしたのでございますが、残念ながらそれはいれられなかった次第でございますが、ことしもさらにもら少し人数を増しまして、予算も請求をいたしておりますのは、要するに調査というもので、裁判所といたしましては、売春対策に一つの光明を持たせたいというふうに考えておるからでございます。いずれ予算の問題といたしまして、この国会の御審議の対象にもなるでございましょうし、さらにこれは裁判所法の改正が要るわけでございます。現在は、地方裁判所以下の裁判所には裁判所調査官を置くことができないことになっておりますので、この点も予算とともに国会の御審議の対象にいたしたいと思いまして、現在法務省とも折衝いたし、弁護士会の方にも了解を得ますように、せっかく努力をいたしておる次第でございます。
○相澤重明君 この今の売春の問題については、市川さんがおりますからまたあとで御質問があるかと思いますから、その次に一つだけなおお尋ねしておきたいと思いますのは、弁護士会等で非常に強い要望を持っておる問題でありますが、それは不法占拠の問題であります。これは地方の地主あるいは持ち主といいますか、そういう人たちがいつも非常に悩む問題で、特に地方公共団体、市役所とか県庁等の県市の所有物、そういうものについて、特に土地の関係が一番多いのでありますが、終戦以来不法占拠されて立ちのきを要求しても、民事に持ち込まれると長い年月がかかってしまう。こういうことで弁護士会としては何らかの特別立法の必要があるのではないかというようなことで、最近非常に強い関心を持ち出されておるようでありますが、最高裁として今までいろいろなそういうケースの裁判を扱っておると思うのでありますが、不法占拠等の問題について、今までの経過からかんがみてそういう特別立法をする必要があると考えるか。あるいはまだそういうことは現在の見事訴訟法によって解決すればよろしいと、こういうようにお考えになっておるかどうか。この際一つ事務総長の御見解を承っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 不法占拠の問題につきましては、裁判所といたしましては訴訟が非常におくれますために、そういう不法占拠されておる者が適切な権利の保護が受けられないことでございまして、これは訴訟遅延の全般の問題といたしまして、裁判所といたしましては非常に頭を悩ましておるところでございます。なお、強制執行判決を得ましても、強制執行がなかなか実が上がらないというような問題もございまして、これは裁判制度全体の問題といたしまして、われわれといたしまして大いに反省をいたしておる次第でございます。裁判所といたしましては、やはりできるだけ正規な訴訟等の手続を通じましてそういう不法占拠者に対処するという、あくまでもその線で行きたいのでございますが、しかし現実の問題として考えます場合に、あるいは不法占拠の中できわめて顕著な悪質なものに対しましては、あるいは刑罰制裁をもって臨む特別な法律を作る、あるいは刑法を改正いたしまして、そういう法律を刑法の中に入れるということも、これは十分検討に値いすることであろうと私は考えます。現に法務省におきましてはかなり具体的にその問題につきまして検討が進められておりまして、やや具体的な案もできておるようにほのかに聞いております。私といたしましては、そういう問題を刑罰をもって解決するということは、非常に好ましいことではないとは思いますが、しかし現実の問題といたしまして、そういうことを検討する価値はあるように考えております。
○相澤重明君 つまり私の申し上げたのは道路法、河川法あるいは公園法等があっても、実際には立ちのきを請求しても協議撤去ということになると思うのですね。そこで今言った弁護士会等においては何らかの特別立法の必要があるのではないかと、こういうことで、今事務総長の御答弁のよろな形があると思うのですが、われわれも特に刑罰を強化するということを好んでおるわけではないのですが、何らかの規制措置をとって、そうして正しく把握できる道というものを講じてやる必要があるのではないか。そこで、刑罰を強化するだけではなくて、何らかほかに何といいますか、少し機能を持った調停等の問題が考えられないものかどうかという点もわれわれ心配するわけなんであります。そこで、当然今の民事訴訟からいけば、数年かかってもなおかつ最後には示談ということになるかもしれませんね。そういうことで非常に多くの各都市でこれは問題になっておることでありますが、法務省でいわゆる特別立法なり法改正をする場合には、最高裁判所ではそれらに対しては具体的な意見具申というものを、何か国会なりあるいはそういう政府なりに出されるお考えはありますか。それともまあこれは三権分立であるからわれわれの方は独自だというお考えでおりますか。その点事務総長に一つお尋ねしておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) その種の立法につきまして、特に裁判所から法務省にいろいろ注文をつけるというような形は必ずしもとっておりませんが、この種の法律につきましては、必ず法務省側からやはり裁判所の意向というものを相当尊重する必要がございますので、いろいろ相談にあずかる形にはなっておりまするし、またこの刑法改正等の問題になりますれば、御承知の法制審議会の議にかけることになろうと思います。この法制審議会にはやはり裁判所方面の人も相当入っておりますので、おのずからそれを通じまして裁判所の側の考え方も反映されるというふうに考えております。この立法につきまして裁判所は全然無関心ではございません。できるだけよい法律ができますように、法務省に協力をいたしたいというふうに考えております。
○野本品吉君 私は、法律あるいは裁判、そういうようなことにつきましては無知と言ってよいほど何も知っておりません。しかしこの四件の事案をよく見ますときに、(一)、(三)、(四)は一般の会計事務に関することでありまして、金による国損とこういうことになってくると思うのであります。第二の問題につきましては少し私の常識論でありますが、お伺いしておきたい点があるわけであります。と申しますのは、裁判そのものに関係を持ってくる問題は第二だけではないかというふうな私は印象を受けるわけであります。これは「刑事部証拠品係として」云々と書いてありますが、この手柄は一般的に考える場合に証拠品の管理が不十分であった、これは単に金ばかりの問題じゃなく、証拠品の管理が十分に行なわれていなかったというふうに受け取れるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 結果的に見ますと、かような事故が起きたのでございますから、不十分だったと言わざるを得ないと思うのでありますが、なおこの点に関連いたしまして、刑事の事件の証拠品というのは非常に大事なものでございますので、もう少し取り扱いをはっきりさせたい。これは何も監査という面からだけではございませんが、法律関係等もはっきりさせたいという観点から、今われわれの方で押収物取扱規程というふうなものを作るべく鋭意検討しておりまして、裁判所の意向がまとまりますれば近く日の目を見るのじゃないかというふうに考えております。
○野本品吉君 私の常識的な予感が当たったように私は思う。もし証拠品の管理が不十分だということになりますと、極端な場合を予想しますと、証拠品を持ち出してこれに手を加えたり、偽造したり、ときによればこれは破棄することができる、そういうことは万々一ないとは思いますが、考え方としてはそういうふうなところまで考えざるを得ない。こういう私の方え方は間違っておりましょうか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 今野本委員の御指摘になりましたようなことは、実際に最近起きたようなことはございませんので、まあ本件は、これはもっぱら金銭的な価値がある現金または腕時計でございますが、ほとんど現金でございますが、現金のようなものに手をつけたわけでございまして、その他の証拠物に手をつけたわけじゃございませんが、しかしさような点十分監督いたさなければならないとわれわれは考えております。
○野本品吉君 そういう極端な場合を想定し得るといたしますと、私は証拠品係の起こしました金銭上の問題だけとこれを考えることは甘い、要するにこういう問題、証拠品に対する管理が不十分であるということは、先ほども申しましたようにいろいろな場合が考えられるので、従って裁判の公正を期することができない、判決そのものにも影響を持ってくる問題であると、こういうようにも考え方としては考えられるのじゃないか、この点はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 証拠品に対しまして、今御指摘のようなことが行なわれますようなことがございますれば、これは全く重大事でございまして、その観点から従来も裁判所といたしましては証拠品の扱いに非常に注意をいたしております。たとえば最近ございました松川事件の判決はああいう結果になりまして、仙台の高等裁判所に事件が差し戻しになりましたが、あれの証拠品はトラックに積みまして二台もあるような非常に膨大な——もちろん記録も入っておりましたが、ございました。これを無傷のままで仙台に運びますにつきましては、非常にわれわれといたしましても苦心をいたしました。無事に着きましてほっといたしたような次第でございます。そういう点につきまして、あらゆる事件につきましてこの証拠品につきましては非常に裁判所といたしましては注意はいたしておりますが、こういうような問題が起こりますと、場合によりましては、金銭以外の重要な証拠品について間違いが起こるというようなことがあり得ないではないわけでございます、その点は今後十分注意いたしたいと考えております。
○野本品吉君 もうこれ以上申し上げることはないと思いますが、私はやはりこの事案は裁判の公正あるいは判決に対する信頼の問題とつながる、きわめて本質的な根本的なものを示唆しておるように考えるわけであります。従って、証拠品の取り扱いについていろいろ御検討中だそうでありますが、少なくとも、金がどうなってもいいということは申しませんけれども、証拠品の保管、管理等につきまして、この事件を通して疑われるようなことのないような万全の措置と対策とをお考えいただきたい。こういう御用意があられるわけでございますか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) ただいま経理局長から申しあげましたように、まずただいま検討中の規則をできるだけ早く成立いたさせまして、その厳重な実施をはかるということが現在われわれの考えておるところでございます。
○野本品吉君 私は裁判所の当局の方がそういう御検討をなさつておるということを聞きまして、大へん安心するわけでございますが、ぜひ十分な御検討を願って、少なくも証拠品は完全に管理されておって、これに対して一指も染めることができないようになっておるんだということについて、国民に安心を与えるような万全の御措置を御検討願いたい。それだけ申し上げておきます。
○森中守義君 簡単なことですが、総長に二、三お尋ねしたいと思います。 この決算委員会の専門調査室から出された中に、いろんな研修機関がありますね、司法研修所を初め研修所が三つぐらいある。私はやはり裁判所の本来の任務は裁判工務が主たるものだと思うんですが、やはりその裁判業務をより円滑にしていくには、事務系統といえどもこれはおろそかにできない。こういう意味から、こういう研修所はあるけれども、どうして特別に事務系統の研修はおやりにならないのか。機関がないとすれば、他にいかなる方法をもって一般庶務、会計等の研修をおやりになっておるのか、その点を一つ最初に聞かしていただきたい。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 研修所は御指摘のように、司法研修所、裁判所書記官研修所、家庭裁判所調査官研修所、この三つがございます。このうちの裁判所書に官研修所と申しますのは、これは書記官だけの実は研修所ではございませんので、裁判官以外の一般職員の研修所ということになっておりまして、正確なことは経理局長から申し上げますが、この研修所におきまして、事務官研修所、ことに会計事務担当の人の研修もやっておるはずでございます。詳細は局長から申し上げます。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 今総長が申しましたことで大体尽きるかと思いますが、なおこまかく申し上げますれば、裁判所書記官研修所の方にやはり予算が入っておりまして会計事務担当官、訟延事務担当官というような研修も予算が入っておりまして、また現実にこれを行なっておるわけでございまして、本年度もついこの間行なったところでございます。これは会計事務担当の経理係長の研修でございましたが、これをついこの間行ない終ったところでございます。
○森中守義君 それから検査事項の内容の説明によりますと、いずれも事犯を起した人は大正十年前後ですね、十五年が何名でしたか、要するに年代的に見て四十才前後、こういったように見ていいと思うんです。従って、そういう年代層を見ていけば、四十才前後といえば、いうところの分別盛りというのか、少なくとも裁判所においてもある種の地位を保全する、あるいは相当職務経歴も長い人だという認識を通念的に持たざるを得ない。そういう人たちがなぜこういう犯罪を起こすか、こういう観点から何かお考えになったことがありますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ただいま御指摘になりましたように、今回現われました事件といたしましては、非常に若いとは申せない年代でございまして、その点まことに申しわけない次第だと思っておるわけでございますが、つまり、裁判所におきまして想当の経験者であるのにかかわらず、かような事態を引き起こしたことはまことに申しわけないと思っておるわけでございますが、まあしからば、どうしてかような年令層の者が事件を起こしたかということにつきましては、われわれの方がいろいろ考えておりましたことといたしましては、これは一般的なことでございましょうが、何も特に裁判所だけの問題じゃない、また会計職員だけの問題でもなかろうと思いますが、やはり生活が苦しくてかような事態を引き起こしたのではないか。かような年令になりますと生活という問題も相当切実な問題になって参りますので、家族を養うというような点から申しましても、それがたまたま誘惑にかかりまして、かような事態を引き起こしたのではないかと考えております。
○森中守義君 申しわけないというのは当然なことでして、別段私はそのことを繰り返してここで皆さん方に、言ってもらおうという気はありません。私が言わんとするのは、どういう学歴の人であるかわかりませんが、旧制の中学校を出るなり何なりして入った四十才前後の人は各行政機関においては大体係長あるいは課長補佐、こういうところまでは地位として進んでおりますね。あるいはそれぞれの職場の中におりいて相当、経験年数からいっても、その力量手腕からいっても、ある評価をされておる人たちが多いのです。従って、そういう人が犯罪を起こしたということは、何か裁判所の事務系統というのはそういう人たちにまかせ切ってある、いわば一種のボス化しておる、そういう面にこの年令的に見た一つの原因を探求することができないだろうか、こういうことを何っておるわけです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 先ほども申し上げましたように、早期に更迭等をいたしておりますれば、もう少し被害も少なかったかと思われるような案件がこの指摘されました中にございますので、その点今森中委員御指摘のようにボス化しておるという言葉が適当かどうかは別問題といたしまして、現金等を扱います会計官吏はやはり経験というものが必要でございますので、そうしょっちゅう更迭はできませんが、ある程度の時期が参りましたら更迭することが適当だというふうにわれわれは考えております。 ただ先ほども申し上げましたように、会計課の会計を扱います職員の数が、まあ予算その他の点もございますが、比較的少ないかような点も、最高裁の経理局といたしましては十分検討いたさなければならぬ点だというふうに考えております。
○森中守義君 大体わかりました。 で、これはどこの官庁といえども、特に金銭や物品を取り扱うあるいはそれらの調達をするそういう事務は、五年とか、さっき言われた八年というのがありましたね、そういう長期にわたって一定の職務につけておりません。これが裁判所に欠けておる。もちろんそういうことが画一的に言えるのかどうかわかりません。何も全部を私は知って言っているわけじゃありませんから。通念的に見た場合にそういうことが言える。これはやはり職務配置の一つのごく常識的な要件であろうと思う。もしそういう配置基準等がないとするならば、これは私は事務総長責められても仕方がない。物件、金銭の扱いを特定の人間に著しく長期にわたってやらしておくと裏も表もわかってしまう、上司の目をかすめようとすれば、どういうことでもできるということになる。だからある意味においては、これは裁判所の組織が、あるいは事務総長がそういう犯罪を容易ならしめた、一種の幇助的な行為を行なったということも言えるのじゃないかと思う。多少これは言い過ぎであるかもわかりませんけれどもね。実はそこまで平素国民の信頼をどこの機関よりも一そうつないでいくべき裁判所において犯罪を起こしたということは、これは何といっても国民には申しわけない。起こってしまったものはもうしようがない。なぜそういうことをじゃ未然に防止できぬか、そういうことになるならば、平素の人事管理がもう少し細部にわたって、裁判についてことこまやかに調査されるのと同じように、もう少しの配慮のほどが私は望ましいと思う。まあこれは意見になりますのでこれ以上上申しませんが、意味としてはおわかりだと思う。でき得べくんば早急にそういう観点から、すみやかに一定の職務配置の基準なり——これはもう別に法律事項でも何でもない、その行政機関の内部においてできることですから、そういうような配慮がこの際は加えられていくのが、裁判所の中における犯罪を未然に防止する——もちろん犯罪というものは後天的なものであって先天的なものであるとは言われていない。いわんやそういう機関の運営上問題を発生するに容易な環境に置くということは、これは何としても私はおいでになっている事務総長以下皆様方の責任を間わざるを得ない、ある半面においては。そういうことについてどういうふうにお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) ただいま御指摘の点はまさにおっしゃる通りでございまして、先ほど経理局長からもいろいろ出しましたように、監督機構上あるいは人員の配置というような点にやはり非常に欠けるところがあったように思います。今申されましたところをよく考えまして、今後の改善措置をとりたいと考えております。
○森中守義君 それからこれも専門調査室の調査にあげられている事項ですが、行政担当官が司法事務の補助をやっている、こういう内容になっておりますが、設置法上あるいは定員配置上そういうことができるのですか。「組織上の欠陥」があるということをここにはあげられております。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 結局具体的の案件で申しますと、支部の庶部課長、これは庶務縦長と申しますと一般的にその支部の行政を扱うわけでございますが、これが刑事なり民事なりの書記官事務を扱う場合もございます。要するにまあ人が足りないということになるわけでございますが、さような観点から、裁判事務の方も扱うし、また庶務課長として行政の方も一般的に行なう、さらにまた会計上も一定の官吏になる場合もございまして、かような点がございますので、この決算委員会の調査室から確かにここに御指摘になった事項が書いてございますが、この点も結論といたしますと、われわれの方といたしましては、予算要求その他で人員を拡張しなければならぬということになるわけでございますが、なお十分その点われわれの方としても検討いたしたい。これも結局事務の多忙ということに帰するわけでございますので、さようなことがないように鋭意努力いたしたい、かように考えております。
○森中守義君 それでもけっこうですが、その裁判事務と司法事務の補助をやっているというようなことは、これは設置法上そういうことが計されるのか、その根拠をお尋ねしているわけです。私どもしろうとから考えますと、書記官の所掌事務、あるいはそういう書記官という特定の任務を与えられた人は、何か特別の資格があるのじゃなかろうか、こういう印象をしろうとは持つのです。だから司法事務の補助もできるし、庶務も会計も何でもできるというふうな、いわば総合性を持っているわけですね。その辺の分限は一体どうなっておりますか。その根拠をお示しを願いたい、こう言っているわけです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判所といたしましては、現実に事務官兼書記官あるいはまた書記官兼事務官というのがあるわけでございまして、これは事務官、書記官はそれぞれ多少資格は違いますが、双方の資格を持っておれば双方の兼任になり得るというふうに考えて現実に行なっております。しかしこれがさような書記官の事務と事務官事務とは本質的に違うというような点も考えられますので、はたしていいことかどうかはなお検討の余地があるかと思いますが、現実にはさように行なわれております。
○森中守義君 それではさっきからお話を承っていると、そういう総合性を持っている人的配置の中で、多くの人が司法事務の補助にあるいは裁判事務の方に多くの者が希望する、そういうことになりますと、なるほど仕事の内容上やはりじみな庶務、会計よりも、裁判所本来の任務である裁判業務の方がはなばなしくもあろうし、やりがいもあろう。これはわかるんだけれども、そういう単なる心理的な傾向だけですか。それとも別に裁判業務に長く携わっておれば、たとえば昇進が早いとか特別に昇級する、そういう恩典が与えられているんですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判所では裁判所書記官及び書記官補の方につきましては、これは号俸調整と申しまして、裁判所記官には二号俸、裁判所書記官補には一号俸だけ上に格付けして支給することになっております。しかしながら純然たる裁判所事務官の方にはさような号俸調整がございませんので、これが一つは会計課の職員と申しますと先ほど申しましたように兼任になっておる場合もございますが、多くは純然たる裁判所事務官でございますので、その点からも会計課へ来たがらないという点が確かにあるのでございますが、この点鋭意われわれといたしましても、大体出発の根拠は、なぜ事務官に号俸調整をつけなくて書記官につけたかという出発の根拠といたしましては、やはり裁判所におきましては裁判事務が本来の業務であるから、そちらの方に専念する人には厚く待遇しなければならん。また現実の問題といたしまして、裁判所書計官の方が確かに仕事の上におきましても責任の重大でございまして、調書等をとります場合に誤った調査等をとりますと、直ちに国民の権利義務に影響いたしますので、仕事の重要性及び難渋性と申しますか、非常につらい仕事でございますので、さような点も考えて事務官の方はとりあえず待ってもらおうということで出発したのでございますが、それが事、経理事務の方へ引っ張って参りますと、確かに会計の方へは来たがらないという事態が生じまして、この点経理の方から見ますと確かに困ることである。なお事務官をどうするかということは今鋭意われわれの方でも検討いたしておるわけであります。
○森中守義君 大体問題点がはっきりしてきました。そういったような仕組みであれば、これは私は何も裁判事務の方がはなばなしいからそちらに行くという、そういう心理的な影響だけでなくて実際的な処遇の問題ですね、今私が概念的にこうなければならんという理屈の前に、実際は裁判所自体どうすれば優秀な会計職員あるいは一般庶務職員を使えるか、こういう人たちも実は広義に解釈すれば裁判業務の中におるわけですから、有能な人たちをどこにも連鎖反応的に使っていけるような処遇の改善ということは、裁判所の中における犯罪を防止する、防止というよりも断じてそういうものが起こり得ない、という保障をつける一つの大きな原因でもあろうと思うのです。これは幸い現在予算の概計を出されている途中でもありましょうが、もとよりこれは人事院等との関係もあるでしょうが、私も一般国民としては裁判官が他の仕事とは違って、その生活の面においてもたとえば米一升あるいは麦一升の値段をどうすればいいか、というような日常茶飯事の事に裁判官がもし気を使うならば、公正なる裁判は期せないであろうというような気持は国民にあります。裁判の公正を期するということ、もちろん現状の裁判官の処遇が完璧であるとはもとより言えない。だけれどもやはり事務職員といえども書記官といえども裁判官と同様に一体の責任を持つわけですから、そういう点についてはぜひとも、先刻来各委員からも意見が出ているように、いやしくも裁判所からこういう犯罪が出るということは、まさにこれは国家行政機関としては威信を地に落している、こういうと言葉が過ぎるかわからんけれども言わざるを得ないと思うのです。もとよりそういう原因が、処遇というところに一因があるとするならば、これは一つ事務総長も大へんでしょうけれども、ぜひともこういうようなことの起り得ないような配慮がこの際は望ましいと思います。私はこの、大正八年あるいは十二年、十五年という、おそらく年数からいっても十五年、二十年の勤続者であろうと思う、中学を終えてすぐ入った人が多いと思います。そういう永年勤続者に組織の欠陥が原因で罪を起こさしている。それで獄窓につなぐ、あるいは放浪のちまたに放り投げるということはです、これは許されません。そういう意味から極力すみやかに裁判所の組織体系というか、さらには職員の処遇というか、これらの問題を抜本的に御検討いただくことが必要である。こういうように特に強く要望しておきたいと思います。 それからこれは何か犯罪者にむちを当てるようで多少聞きにくいのですが、北島某という人は退職ということになっているんですね。ところが先刻経理局長の説明によると、懲役一年数ヵ月の判決を受けておる、しかも今服役中である、他の三件の人も同様になっておるようです。これは補てんをされたから退職という形になったのかどうか知りませんが、懲戒規定というものが裁判所にあるんですからそのどれを適用されたか。少くとも、その人自身を責めるのじゃありませんけれども、他との均衡上この処分の量刑としては必ずしも穏当でない、こういうように考える。どういうことになっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 北鳥某の事件につきましては、確かに森中委員御指摘のように、他の三名と違いまして一応退職、懲戒免職ではなく退職という形になっておりました。この点確かに他の一名と違っておりましたが、これには事情がございまして、結局最初一部分の被害金額だけしか発見できませんで、そのときに本人を裁判所側で追及いたしましたところ、もうこれだけしかない、最初三十数万円について発覚したときに本人はもうこれだけしかないと申しまして、しかも北島の親類級者がかけ回りましてその全額を補てんいたしました関係上実害がございませんので、だから一応懲戒免職ということにしないで退職させたんでございますが、その後検察庁、警察の方で捜査いたしましたところさらにまた発覚いたしまして、ここに指摘されておりますように百三十三万円というような金額に達しました。ところが一応すでに退職させました関係上、さらにさかのぼって懲戒免職ということには法規上疑問がございますので、やむなくかようなことになったわけでございまして、この点まあまことに遺憾には思っておる次第でございます。
○森中守義君 私も今ここににわかに条文を記憶しておりませんがね、国家公務員法かあるいは人事院規則によると、刑が確定をすれば自然失官になるんじゃないですか。従ってわざわざ懲戒免職ということをしなくても自然失官をする、こういう条項があったと思うのです。そうなりますと、刑は確定していよいよ服役をした、さらに今度は行政処分として懲戒免職をする、片一方は刑事処分、こういう二重の処分を現実にこれは行なっておるように考える。もちろんこれは検在院からあげられている不正事項の該当者は全部そういうことになっておりますが、その点裁判所の方では、だれよりも国家公務員法の扱いやあるいは人事院規則なりその他刑法の扱い等もお詳しいと思います。この行政処分とさらに刑事処分、この二本建でこれが行われている状態、もちろんそれはやれます。司法処分は司法処分、行政処分は行政処分という法律上の建前からいけば当然できるでしょうけれども、刑が確定をしたならば、自然失官というたしか条項があったはずですから何も二重に処分する必要はない。私はそう思う。そういう意味からその根拠をもう少し明らかにお聞かせいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 刑が確定いたしますと、当然免官になるというようなこともちょっと私、今条文を持っておりませんので、たしかそうであったろうと思うのでありますが、かような使い込みとか不正事件というような案件におきましては、大体どこの庁におきましても、ある程度事実が確定いたしましたときに懲戒免職するのが慣例のようになっておると思うのであります。従いまして裁判所もその前例に従ったのでございますが、なお非常な理屈にわたりまして恐縮でございますが、これ懲戒免職いたしませんと、また本人が自然に退職すれば別でございますが、さように免職または退職いたしませんと、公務員が起訴されました場合には休職になるのでございますが、これも当然休職になるのでございますが、休職になりますと本俸のちょっと何分の一でありましたか今忘れましたが、七割とか八割等を支給しなければならないのでありますから、本人の刑が確定するまで俸給の何分の一かを支給していくというのもいかがかと思われますので、さような観点からかような案件はある程度事実が固まりますと、刑の確定を待たないで懲戒免職するのではないか、かように私は考えておるわけであります。
○森中守義君 経理局長はあまり詳しくないですが、これは大体わかりました。わかったけれども休職もいろいろありますよ。たとえば健康管理の休職、そういう場合は六ヵ月までは幾ら、一年までは幾ら、あるいは二年までは幾ら、三年目には全額どうだ、ところが起訴された、こういうふうな場合にはたしか自然休職とか何とかいいまして俸給を出さないでいい、人事院規則はそうなっている。私はそう思っております。ただもう少し正確なお答えをいただければいいけれども、それはそれでいいでしょう。ただ要するに司法処分、行政処分という二重の処分で、これは不幸にして刑が確定して服役をした以上何も追い打ちをかけるように行政処分は必要ないじゃないか、こういう一つの意見ですが、それはそれなりに御答弁を承りましたからけっこうです。 それからもう一つ聞いておきますが、什器類の調達その他物件の調達はどういうことになっておりますか。それから指定業者というのがどこの官庁にもありますが、そういう指定業者の選定等の内容を開かしておいて下さい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ちょっと御質問の趣旨が何と申しますか、少し了解いたしかねるのでございますが、具体的にはどういうことでございましょうか。
○森中守義君 非常に読み取りにくい質問ですか。つまりこういう机類あるいはいす類とか家具類を調達する場合に業者がたくさんいる。たくさんいる業者の中から、五万円以上の調達をするとか、十万円以上の調達をするというのである限定があると思うのです。十万円以上の場合には八クラスの業者の中から選定をする。五万円以下の場合はBクラス、百万円以下の場合はどうだというように、大体作ってあると思うのです。従ってそういう業者を選定されるのは、年間を通じて選定されているのか、そのつど選定をされるのか、そういう内容です。 それからもう一つは、この競争入札とかあるいは随意契約とかこういう方式であります。その方式はどういう基準によってきまるか、五万円以下は随意契約である、十万円以下は入札である、そういう仕組みの内容も聞いておきたい、こういうわけです。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 物品の調達につきましてはもちろん裁判所は法規に従ってやっているわけでございまして、具体的の調達の場合には、そのつど業者を選定しているというように報告を受けております。それからなお随意契約がどの程度までできるか、これはもうすべて予算決算会計令でございますか、その法規に従ってやっているわけでございまして、動産は三十万円以下は随意契約ができたというふうに、今記憶しております。
○森中守義君 全体を通じて全部そのつど契約、入札させるわけですね。特別にあらかじめ年度から年度まで業者を選定しておいて、その中から選び出すということはないのですね。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) そのつど業者を選定するというように報告を受けております。ただし大体の標準といたしましては、そういつも何と申しますか、そのつどすべての業者から選ぶというわけにもいきませんので、大体の基準はあるかと思ううのですが。
○森中守義君 あと一、二問で終りますが、さっきから言われている人の問題ですが、大体総体を通じてどのくらい人が足りないのですか。つまり具体的に三十一年度から年度ごとに大蔵省に要求された増員要求、査定状況、確定人員、また新らしい次年度の要求人員、それと大蔵省あるいは行政管理庁等は、これ以上裁判所に人間をふやすべきものであるのかあるいは現在でいいという意見であるか、そういう関係各省の裁判所の人的配置に対する意見等も、あわせて御答弁をいただいておきたい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 今手元に昭和三十二年度以降の予算要求の資料がございますが、昭和三十二年度から三十四年度、つまり本年度までは七十名程度、まあ七十四名とか七十九名という数字になっておりますが、この程度の人間を会計職員として増員してもらいたい、もちろんこれは最高裁判所だけではなくて、これがほんとうに認められました場合には、各下級裁判所に配る予定の人数でございますが、本年度は四十八名名要求いたしております。で、認められました人員といたしましては、昭和三十二年度から昭和三十四年度まではゼロでございまして結局一名も認められていない。本年度の要求はまだ要求の途中でございますので、結末どうなるかは何とも申し上げかねますが、さような実情でございます。これはわれわれの方といたしましては、鋭意大蔵省に会計職員の不足ということを訴えているのでございますが、御承知の通り、何しろ人員増ということになりますと非常に大きな壁にぶつかりまして、何とか手持ちの職員でやってくれという大蔵省の要望も強いので、いろいろわれわれの方の考えといたしましても満足ではございませんが、どうもやむを得ず結局認められなかったような次第でございます。なお本年度が四十八名と少なく請求、つまり三十四年度が七十九名でありますのを、昭和三十五年度は四十八名というふうに三十名程度減らしましたのは、結局七十何名といってもちっとも認められないくらいなら、もう少し減額して、ほんとうにこの程度ほしいという趣旨で減額いたしましたわけで、会計職員の数が最小限度四十八名ほしいというふうに、いわゆる正直に請求をしたわけであります。かような実情になっております。
○森中守義君 ちょっとこれは大事な問題ですから、あと二、三問聞かしてもらいますがね。欠員が生じた場合にはそのつど欠員補充しておりますか、それが一点。 それから臨時者、通称各行政機関で呼ばれている非常勤職員、これらの者はどのくらいいるのですか。それと賃金。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 欠員ができました際に直ちに補充されておるかどうかという御質問の点でございますが、これは先ほども御説明いたしましたように、最高裁判所の監査職員といたしましては八名、あとは大部分が下級裁判所の会計職員でありますが、これが欠員が生じました場合には、最高裁判所へ、会計の点ばかりではございませんが、その他、一般的に最高裁判所に報告して、補充してくれといってくるわけでございますが、また、自己の庁で雇い得るものはもちろん雇うわけでございます。従いまして、直ちに適切な時期に補充、されておるかどうかという点は、大体私は最近の状況におきましては補充されておると考えておるわけでございます。 それから、非常勤職員と、賃金支弁要員がどの程度かという御質問でございますが、これは本年度の予算におきましては、賃金支弁要員は百四十二名、非常勤職員といたしましては、医師と看護婦に使っておりますわずかな人間を除きましてはまずないというのが実情でございます。
○森中守義君 非常勤の中にお医者さんがいるのですか、看護婦さんもいるのですか、おかしいな、どういう……。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) これは家庭裁判所のいわゆる医務室というところにお願いしておる医師または看護婦でございます。
○森中守義君 要するに、読んで字のごとく、常勤にあらざる職員、こういう解釈ですか、今大蔵省がいっている、 つまり一般的な非常勤でない……。待遇はどういうことになっているのですか、このお医者さんは。局長でなくても、詳しい人からでもよろしいのですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判所は定員の関係で、各職種についてすべて法律できめられております。いわゆる行政官庁で見受けられますような非常勤という名前で実際は常勤をしておるという職員は、元来非常に数が少なかったわけでございます。それが昨年及び一昨年と申しますか、三十三年、三十四年度、各行政官庁で定員に繰り入れました際に、裁判所におきましても定員に繰り入れられまして、現在のところ、正確な数字は覚えておりませんが、ほとんどない状態でございます。あるいは一、二名何かの休職とか、そういう関係で残っておるかと思います。それ以外のものは、全員がそういった常勤的非常勤の職員は定員に繰り入れられてしまっております。残っておりますのは、今局長から申し上げましたように、実際も非常勤でありますところのお医者さんとか看護婦、こういう職員が非常勤として残っておるわけでございます。あとはすべて賃金支弁要員ということに相なっておるわけであります。
○森中守義君 医者の待遇はどうですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) お医者様は、これはやはりその資格、経験年数等で恭準を出しまして、一週に何べん、一月に何べんということで、一日幾らということで計算をいたしておるわけでございます。
○森中守義君 早くいえば嘱託ですか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) おかりやすくいえば嘱託でございます。
○森中守義君 わかりました。結局まあ人の問題ですけれども、これはどういうのを算出の根拠にして七十名必要だと言われたのか知りませんが、やはりその人が足りないというのは、各行政機関とも共通の悩みのようです。最近は朝日、毎日、読売等は各一斉に、行政機関の定員が多過ぎる、これは岸内閣の責任だということまでいわれておりますけれども、実際の内容を私ども国会で審議していけば、少なくとも戦後における裁判所の扱っておいでになる事案の件数も相当大幅に増加をしたのじゃなかろうか、さっき相澤委員が言われたように、まず裁判の即決なんていうのはあり得ない。どんなに短くても二年から三年というのが、特別な政治的問題以外には相当長期にかかる。そのくらい裁判が長いというのが、結果的には和解だとか、そういう方向に最近准んでいくということは、ある意味では法律の権威を私は失っているというような解釈も成り立つと思う。従って、裁判をもう少し急速に、迅速に行なっていくということは、むちゃくちゃにやってもらっちゃ困りますけれども、とにかくおそいというのは定評ですから、こういうところが今指摘しているように人が足りない、逆に事件の件数が多くなった。こういうアンバランスな結果が一因であるようにも見受けられるし、そういうことになりすますと、相当この定員の問題というのはもう少し慎重に、しかも事務総局の方で大蔵省なり、あるいは行政管理庁あたりとも相当力を入れておやりになる方が私はいいと思う。これは強く要望として申し上げておきたいと思います。また、この問題については、別に予算委員会でも、あるいは内閣委員会等で一、二回裁判所にお越しいただいて、この問題をお尋ねする機会もあろうかと思いますので、これ以上申し上げませんが、とにかく決意をそのくらいにお持もいただく方がいいと思う。 それから最後に、これも要望みたいなことでもありますが、実は私は熊本なんです。熊本の裁判所にだ行きましたり、あるいは支部に行ったり、全国をあちこち行っておりますが、何しろ待合室なんていうのは、あれはもう明治時代の遺物です。こういういすなんていうのはどこにも見当たらない。置いてある灰皿だって金の皿かカン詰の切ったのが置いてある。面会に行く人も犯罪人みたいに思っているのですか。もう少しこういうところくらいは、予算もこれは辛いでしょうけれども、もう少し待合室の調度品くらいはお考えいただく、もうみんな心配してきているわけですから。しかも、いつ裁判が始まるかわからぬ、五時間も六時間もあの板の上に腰かけさせられる。食堂一つもない。灰皿だって木の箱かあるいはカン詰のあきカンみたいなものです。これは一体裁判所は国民を何と思っているのか。というようなことは、予算の状態や裁判所の仕組みを知っている議員ならば、これはある程度了解できるけれども、国民はそうはいきません。この点についてもう少し、そういう、何もサービスを提供する機関じゃ、ないけれども、その辺にも法の半面にあたたかみも必要でありますから、何かそういうことの改善策はありませんか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 裁判所の営繕費の問題につきましては、まことにご指摘の通りでございまして、全国の建物にいたしましても、ただいま四十年以上たちました木造の建物、あるいは民間から借り上げております建物、あるいは戦後にあわてて建てましたいわゆるバラックというようなものを合わせまして、これを直しまするに約二百億の金が要るわけでございます。われわれといたしましては、国家の財政もいろいろございますので、そういう点をにらみ合わせまして、少なくとも一年に二十億の金が営繕費としてほしいわけであります。結局十年かかりますが、その間にはまたほかの建物が古くなって参りますが、少なくとも十年計画で年に二十億ということが、現在われわれの考えておる線でございます。ところが、御承知のように、今年度の予算におきましてやっと相当な増額が認められまして、十億にやっと達した次第でございます。三十五年度につきましては、来年度の予算につきましてはぜひとも、少なくともわれわれの計画しております二十億という線に持っていくべく、現在いろいろ、われわれとしてできまするあらゆる手段を講じておるわけでございます。何分にも大蔵省という大きな壁もございまするし、その実現はかなり困難のように思われますが、ぜひともこれだけはことしの予算におきまして、相当な額を獲得いたしたいと相当な決意をいたしておる次第でございます。
○森中守義君 けっこうです。まあ二百億に、十億ことしとれて、三十億来年いくかどうかわからぬというお話ですが、十年かかるということですね。そういうものの中に職員の住宅あたりは含まれているのですか、一般の公務員住宅だけのようですけれども。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 今総長が申しましたのは、これはもっぱら庁舎の方の営繕費でございまして、裁判官あるいは書記官等のいわゆる管舎は入っておりません。官舎予算は、本年度は、これは裁判官の分でございますが、約八千万円だったと思いますが、その程度入っておりまして書記官、事務官の分は、これは大蔵省の方で統一的に予算をとりまして、それを各庁に配るという仕組みになっておりますので、われわれの方もそういうことになっておりますが、これが昨年度は約二十戸ほどあったと思いますが、本年度は約四十戸、正確な数字は今持ってきておりませんが、約四十戸程度のものをもらっておるという実情でございます。
○森中守義君 これは各行政機関とも大同小異のようにも見受けますけれども、さっきから申し上げたように、裁判という特殊な仕事ですから、そういう面からも大いに一つ促進をしていただく方がよろしいこう思います。 もう一つ最後に聞いておきますが、一時新聞等で、若い判事あたりがどうも短期間勤めてあともう弁護士を開業する方がよろしい、こういったまことに憂慮すべき事態があるというような報道等を見ました。弁護士の報酬がどのくらいであるかわかりませんが、若い研修所を出た判事が、わすか五年足らずで裁判所に見切りをつけて——少なくともこれは私は見切りをつけて出て行く、こういったような理解の仕方が当時は正しかったと思うのです。最近の動向はどうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 人事局長がおりませんので正確なことはわかりませんが、最近は比較的そういう傾向は見られないようでございます。むしろわれわれが現在心配しておりますのは、もう一つ前の段階で、つまり司法研修所を終えまして、裁判官になるか検事になるか、あるいは弁護士になるか、ここで分かれるわけでございますが、その際に比較的弁護士になる人の数が率が多い、これを非常に私どもは現在心配をいたしている、問題にもいたしております。一度なりました人がやめますことは、最近では非常に少ないようでございます。
○相澤重明君 これで大体終わったわけですが、先ほどから聞いておりますと、やはり何といっても最高裁でこの決算を通じてやはり考えられることは、先ほど野本委員の言われた、裁判所に証拠書類として押収したものがなくなるようなことは絶対にあってはいけない。従って、その保管等については十分注意をされたいという御意見があったわけですが、これは私はやはり単にこの委員会で言うだけでなくて、裁判所にそうした一つのはっきりしたものを私は提起をしてもらいたい、こう思うのです。ですから、きょうのところは総長の方で十分その点を持ち帰っていただいて、いずれそういうものについてはどうするということを委員会に提出をしてもらいたい。 それから二つ目は、今の事故件数あるいはその内容等をいろいろお尋ねをいたしました結果、やはり定員不足ということは免れない。そこで定員を、いわゆる行政事務なり司法事務なり、それぞれの区分というものを明確にして、やはり定員というものは張りつけていくということが大事なことだと思う。この点については、われわれも関係委員会ではそういう点について特に政府にも要求をするつもりでおりますが、一つ裁判所としても積極的にこの点については主張をしてもらいたい。そうしてそういう事故の起きないような、またそれぞれの所掌事務については明確なやはり方向というものを出していただきたいと思うわけです。 その他、予算等の面についてよくわかりましたが、私は、少なくとも裁判所の権威を失墜することのないような、しかも国民がいわゆる民主主義の社会における裁判所を利用できるような方向というものをとってもらいたい。このことを特に私は申し上げて本日のところはこれで済みたいと思っております。
○委員長(上原正吉君) ほかに御質疑がなければ、これをもって裁判所の部、検査報告批難事項、第一号から第四号までの質疑は終了したものとすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上原正吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午前中はこの程度にとどめ、午後二時から再開することに決し、これをもって休憩いたします。 午後零時五十九分休憩 —————・————— 午後二時九分開会
○委員長(上原正吉君) ただいまより午前に引き続き委員会を再開いたします。 昭和三十二年度決算中、郵政省の部の審議を続行します。 本件に関し御出席の方、郵政省から山本貯金局長、板野郵務局長、西村経理局長、荒巻監察局長、田中官房資材部長、佐方官房人事部長及び会計検査院からは保岡第二局長の諸君であります。
○矢嶋三義君 会計検査院にお伺いしますが、先般郵政省関係の指摘について、内部監査が主になっておって、会計検査院の発見したのは少ない云々というような問答が行なわれたわけですが、内部監査の機構、予算、具体的には定員、それらは郵政省は最も充実している方ではないのですか、どうですか。
○説明員(保岡豊君) 各省と比べまして前から郵政省は充実している方でございます。会計、経理の監査もそうでありますが、監察局の業務監察、これがことに充実していると思います。業務監察も関連がありまして、この犯罪なんかを発見することになりますから、そういう全体的に申しまして充実していると申し上げていいと思います。
○矢嶋三義君 現金を扱いますから、それは私はけっこうだと思うのですよ。それで、おのずと内部監査の結果が表面に出てくる。会計検査院の指摘が従的になるというのは当然かと思うのです。それで、私は会計検査院に、本決算審議が終わるまでに資料として出していただきたいのですけれども、各省庁初め、会計検査院の検査の対象となる機関の内部監査制度の充実度がわかる資料でよろしゅうございますから、あまりめんどうなものでなくてよいですから、内部監査に予算をどの程度計上しているとか、省によると計上してないとか、計上しているとか、定員をどのくらい使っているとか、ずいぶんアンバランスがあるようですから、その概要がわかればそれでけっこうです。それを一つお出しいただきたいと思います。お願いしたいと思います。
○説明員(保岡豊君) 私ども担当しております省庁につきましては、承りまして、私の方で作りますが、ほかの局の方は帰りまして申し伝えることにいたします。
○矢嶋三義君 その点は総括の場合に総理に対して私はやりたいと考えておりますので、それまでぜひ委員長において資料を取りまとめ願いたいと思います。 次に、会計検査院にお伺いしますが、郵政省関係の資材、建築方面の監査はやられましたかどうですか、その大体の傾向はどうですか。相当郵政省関係は資材も使いますし、電電公社はそれ以上ですが、建築も最近非常に整備されつつありますけれども、こういう方面の監査というものはかなり大切ではないかと思います。会計検査院としてはどういう態度で臨まれたか、それをお答え願いたいと思います。
○説明員(保岡豊君) 物資の調達、たとえば容器とか被服とか、そういうものは非常に多量に郵政省としては購入しております。従来からこの方面の検査は重点を置いてやっております。その結果、指摘事項はありませんでしたけれども、この前の委員会で申し上げました通り注意したものもございます。それから工事の方は三十年度から八ヵ年計画を立てましてやっておられる局舎の建築、これがここに御審議願っております三十二年度ではございませんが、三十三年度がちょうど四年目にあたりましたものですから、今まとめております三十三年度の検査報告に対しては、全面的と申しますか、できるだけ各現場につきまして実地検査をいたしました。ですから、それまで建築工事——郵政省は建築工事がおもでございますが、建築工事につきましては、経理上の検査をしただけで、現場についての検査はこの三十三年度に対してやった、こういうふうに思っております。
○矢嶋三義君 三十三年度で、現場の検査ということは非常にけっこうだと思うのです。あなたのところには専門家もおられるわけですから、建設省の営繕関係に準じて、今後その監督怠りないように要望しておきたいと思います。 次に、郵政大臣に伺いたいのですが、お宅は金銭、現金を扱いますので相当、十分心がけていながらも、いろいろと問題が起こってくることはある程度いたし方ないかと思うのですが、先般森中委員から指摘されましたようにかなり多いようです。しかし、まあ内部監査が充実して漸次減少しつつあるということはけっこうなんですが、しかし午前中最高裁判所のがあって、私質疑しようと思ったんですが、ちょっと中座していて質疑できなかったのですが、こういうところの処分に比べると、郵政省というのは非常に厳罰主義のようですね。他にもありますが、三十二年に免職を三十六人やって、停職を二十二人というのが出ているんですが、由来私は郵政事業というのは平和的なものだというような考えでおるんですがね。人間の感情を取り次ぐ関係で、郵政という仕事は私は平和的な、なごやかな精神で貫徹されておるものだと思うのです。喜びも悲しみも伝えますが、人同の感清まで伝えるものなんです。ところが、この前も小柳委員、森中委員から指摘されておりましたが、最近郵政省は非常に内部的にも戦闘的になって、非常に厳罰主義でいっておるという点は、これは今の歴史的に見れば日本の置かれている昭和三十四年という時代における一つの現象と、将来の識者は批判するかと思いますけれども、これはしかし、やはり反省してもらわなければいかぬと思うのですがね。よく予算委員会なんかでも野上委員長の身分が云々というようなことが質疑応答の間に出ておるけれども、野上さんもこれはれっきとした参議院議員だけれども、野上さん一人が委員長のポストにいるから、ILO条約の批准が何だかんだというのは、少し私は、非常にとらわれ過ぎた、コップの中の争いをしているんじゃないかというような印象を非常に強く持っているんですが、今後も何ですか、あなたの植竹郵政というものは、今までのように厳罰主義というようなこういう方針で貫かれていかれるつもりですか。それでは私はお宅の使命を十分果たせないのじゃないかと、あまり私は専門でないのですが、おりおりそういう感じを持っているんですが、郵政大臣自身は非常に私は円満なりっぱな方だと思うのですけれども、何とか再考される余地はないか、お考えはないか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(植竹春彦君) 私は郵政省にこの六月入りましたときに、実に郵政省というのは和気あいあいとして、こんなにみんなの気持も心も一致した役所はない。それでまた事案につきましてもほんとうに寛厳よろしきを得てやっておる役所だと、私にはさように思われるのでございますが、ただいま御指摘もございましたからには、そういうふうなお気づきの点があったからであるわけだと考えまして、御趣旨を十分に尊重して、反省して、順次問題を取り扱って参りたいと存じますが、私が先に寛厳よろしきを得たと申し上げますわけは、具体的にもそういう事例が私が就任後もございます。法に照らしましては、かなりもっともっと厳罰であるべきところを、これは国会議員、主として社会党の議員であられましたが、御指摘がありまして、御懇談もありまして、そういう寛厳よろしきを得た処置をした実例なそもあるわけでございまして、今日まで私の見ましたところはさように考えております。なお御趣旨を尊重して人事行政をやって参りたいと思います。
○矢嶋三義君 そこで先日、数字が明確でなかったと思うのですが、会計検査院の例年の指摘にかかわらず、不正、不当の事項が指摘されておるわけですけれども、その補てんについては、常に努力しているということが説明書の中に出て参りますが、きょうおそらく数字を持ってこられたと思いますが、過去五ヵ年間の国損額はどうなっておりますか、年次別に一つ数字を教えて下さい。
○説明員(荒巻伊勢雄君) まことに申し上げにくいのでございますけれども、過去五年間のどういう部面でございましょうか、ちょっと聞き漏らしたのですが。
○矢嶋三義君 例年の会計検査院の報告なり、あるいはあなた方の国会に対する説明書を見ましても、不正行為期間とか、不正行為金額を補てんされた額とかというものが出まして、そうして補てんについては鋭意努力しているというようなことで大がい決算審議が終わっているわけです。それで、知りたいことは、過去五ヵ年程度に、年次別に国損額というものは幾らになっているかということなんです。その後も補てんには努力されたでしょうが、結果として数字はどういう数字になっているかということを知りたいわけなんです。
○説明員(荒巻伊勢雄君) 昭和二十九年度以降の官損額と、それから回収状況につきまして申し上げますが、昭和二十九年度におきましては、官損金額が七千四百六十五万円でございまして、その年度におきまして回収いたしました金額は四千三百六十三万円でございます。それから三十年度は九千三百三十一万円の官損に対しまして、回収した金は四千八十六万円、三十一年度が七千百七十二万円の官損に対しまして三千六百九十三万円、それから三十二年度が五千六百四十三万円に対しまして、三千六百二十八万円の回収になっております。これはその後におきまして、時日の経過とともに年間おおむね、過去の、当該犯罪発生年度以前のものにつきましては三百万円ないし六百万円前後の回収が、それ以前のものにつきまして回収されつつあります。当該発生年度におきましては、おおむね犯罪金額の五〇%程度が即座に回収されておるというのが実情でございます。
○矢嶋三義君 まず当該年度に五〇%程度回収ができて、あと、百万円ずつ回収されていくわけですね。しかし、それは当該年度の翌年は三百万でしょうが、その翌年度は三百万とはいかないで、だんだんと減っていくんじゃないですか。それで大づかみに知りたいことは、当該年度並びにその後各年次を追って補てんに努力をしたけれども、結局補てんされる見込みがない、国としての損害額が、大まかにどのくらいのトータルになっているのかというのをわかりませんか。
○説明員(荒巻伊勢雄君) 犯罪の金高にもよるわけでございますが、大きく分けまして、五万円以下のものにつきましてはほとんど回収ができております。件数も非常に多うございますが、これはほとんど回収されております。それから五十万円以下のものにつきましても、数年間におきまして九五%程度の回収が行なわれているわけでございまして、問題は五十万円以上の、件数は少のうございますが、金額の非常に張るというこの種の犯罪につきまして、どのくらいに今後において回収されるかというお尋ねのようにお見受けするわけでございますが、回収の方法といたしましては、最終的には債権管理という形をとりまして、抵当権の設定、債務証書あるいは公正証書を取り、また和解という方法によりまして権利を最大限に確保いたしまして、今後十年間あるいはそれ以上の期間にわたりましてこの確保をはかり、回収に努めているわけでございます。それで現在までのところ、どの程度の官損額がたまっておるかということでございますが、大体ずっとこれは以前からの額でございますけれども、合計いたしまして三億七千万円程度のものが回収未済といたしまして今後に残っているわけでございます。
○矢嶋三義君 たとえばこの指摘の四百三十二、これは補てんされた額は零となって、これは特殊の場合のようですがね、金額も相当大きいのですが、補てんされた額は零、こういう点は遺憾ですね。それから四百三十一、四百三十三は、先般も指摘されたかと思いますが、不正行為期間が非常に長い。四百二十八も同様です。こういう点は今後一そう注意していただかなければならぬと思います。しかし、先ほどの数字を拝見しますと、二十九年以後に補てんされた金額というのは、大小の差はあるけれども、大体四千万円前後ですね。ところが、指摘された金額というものは、三十年度ちょっとはね上ったけれども、二十九年から大体下降カーブをたどっている。これはまあけっこうだと思うのですね。それに応じてこの補てんされた全額は人体四千万前後で、大よそのカーブとしてはこれも下がっていますが、しかし、総括したところ、だんだんと会計検査院の検査の指摘の結果というものはよりよさ効果を現わしつつあるという点は認められ、その点は多といたしますが、今申し上げましたような補てんがうまくいかない面、それから不正行為期間が長いというような点は、冒頭のあなたのところの反省事項としても述べられておりましたが、今後御荘意いただかなければならぬと思うのです、特にあなた方の釈明の中にもあったと思いますが、会計検査院の報告の百二十六ページの後半に指摘されてある、この監督する地位にある方、それから特定郵便局長等の事犯が依然として続いているということは最も遺憾なことだと思います。こういう特定郵便局長等の事犯が起こった場合には、相当ささやかな場合でも一罰百戒の立場から、相当手きびしい処置をやられているのじゃないかと思うのですが、それはどうですか。ことに私は、特定郵便局長なんかは、その職員の構成等から申しまして相当監督指導を厳にやらないと、数も多いし、不正、不当をやろうと思えば割にやりやすい状況にありますから、こういう会計検査院の指摘というものは今後なかなか絶えないのじゃないかと思うのです。一方特定郵便局長のごときはやりたいという希望者はたくさんおるわけですからね。それゆえに遺憾な事態があった場合にはかなり私は手きびしくやっていいのじゃないか。そうすることによって、この会計検査院から例年指摘されたような事項というものは防げるのじゃないかと思いますが、郵政大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、承っておきたいと思います。
○国務大臣(植竹春彦君) さきに寛厳よろしきを得るとは申しましたけれども、特定郵便局長のごとき犯罪につきましては、御指摘の通り、これはそう甘い処置ばかりはとれませんので、厳罰に処する場合が相当出てくるのはまことに遺憾に存じますが、さような趣旨で、お説の通り処置をいたしております。
○矢嶋三義君 それかうちょっと一般郵政事業に触れますが、私が興味を持った問題は記念切手ですね。あの発行というものは郵政省の経理面からとういう結果をもたらしているのか、またどういうお考えでやられておるのですかね。最近ずいぶん出しますね。そうして相当僕は趣味でこれを買って貯蔵する人がおられるのではないかと思うのですが、その趣味の上から貯蔵する金額というものはどのくらいと見ておられるのか。それとのかね合いかと思うのですが、出されることはけっこうですが、私も好きだからいつも買っている、いわば郵政省に買わされておるようなものですが、印刷図案ですね。あれを出すのだったらもうちょっと金のかかるようにやってもらったらどうかと思うのですが、大蔵大臣であったらそれは喜ばれるのじゃないかと思うのです。あのくらいたくさん次々出して、そして何年か買って貯蔵しておけば、違う意味からの吸い上げになりますからね。いろいろまあお考えになってやられているのかと思いますけれども、私はその金額がどのくらいで、どういう期待を持ってあなた方はやっているのだろうがという疑問を持ちますし、また他面には、あれは国際的なものになっていますからね。もうちょっと質のいい、全のかかったものを作ってしかるべきじゃないか。薄利多売じゃないのでしょうけれども、何かそういう感じを受けているわけですから、この際承っておきたいと思います。
○説明員(板野学君) お答え申し上げます。大体最近は切手の種類にいたしまして約二十種類くらい年間出しております。これはまあ世界的ないろいろな傾向から見ましても、そう日本は多くないというように考えております。できるだけ発行の回数につきましては、私どもは厳選主義をとっておりまするが、何分御承知のように最近は国際会議もたびたび日本で開催されるようでございまして、勢い非常にそういう面の回数はいつもより少しはふえております。私どもも、ただいまの先生の御趣旨を体しまして、できるだけ一つ厳選をいたしまして、これを発行いたしたいというふうに考えております。 それから今の図案の点でございまするが、私どもの郵政審議会の下に図案審査会というものがございまして、そこで検討はいたしておりまするけれども、何分おっしゃいますように、水準があまりまだ高くない。それでもだんだん世界のいろいろな傾向から見まして、少しずつは向上しておるというように私どもは考えておる次第でございまするが、さらに今後この方面に十分力を入れていきたいというように私ども考えております。 それから切手、記念切手の歩どまりの点でございますが、大体最近は相当郵便に使用されておるようでございまして、大体のところ六割ないし七割程度が死蔵されておるのではないか、はっきりした数字は出しておりませんが、従前よりも非常に普通の手紙に使用されておるということは事実でございます。なお私ども先生の御趣旨に沿いまして、一そう研さんをいたしまして、いい切手を出していきたいというように考えております。
○矢嶋三義君 その点に関してもう一つ承っておきたいと思うのですが、あの十円切手ですね、あれをもう少し変える考えはないのですか。このデザインもそうですが、大体大きさからいっても、ともかくあまり感心しないのですね。私は、俗っぽい話になりますけれども、あの十円切手というものは全く使わない。記念切手を売り出したときに、好きなのをしこたま買いためて全部それを使うという主義です。これは私の感情が少し入るのですが、あの十円切手を張ってきた手紙はうれしく読まない。陳情でもきれいな切手を張ってきたのは気分がぴったりしますから、よりよく取り上げてやるように、少し感情が入るのですが、今の十円切手というのはあまり芳しくない。これは変えたらどうかと思うのですが、少し具体的な話になって恐縮なんですが、これは答弁を求めませんが、一つ検討してもらいたいと思います。
○説明員(板野学君) 仰せのごとく今の十円切手は全くどうもやはり感心したものではないと私も考えておりまして、ここ一年間どういう図案でどういうようにしたらいいかということを検討しております。来年の早い機会にこの十円切手の図案を変えたいというふうに考えておりますので、御了承を願います。
○矢嶋三義君 よりよいものが出るように、私ども見守って期待しております。 最後に郵政大臣に一つ伺いたいのですが、先般あなたは海外出張されましたね。あれは新聞では承っておるわけですが、せっかくおいでになったのですから、目的と期間と、それからどういう成果があったか。それからその成果並びにあなたの視察した所感と、今後の郵政事業にいかように反映させていこうとする抱負を持っておられるか。五分間に限定をして一つお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(植竹春彦君) 私が出張いたしました一番の主眼は、電波に関する国際会議に全権委員といたしまして出席いたしたのでありますが、その電波の会議と申しますのは、電波は各国がまちまちに思う存分の電波を使用いたしますると、お互いに混信と混乱を生じますので、その電波の種類を各国別に協定いたしまして、割り当てて、そうしてお互いに混信を避けて、明晰な通信を、あるいは放送をやり合うと、そういう趣旨のことから会議を開いておりますが、これは長い前から続いておりまして、五年に一ぺん会議が開かれますが、今回に限りまして、一九五二年、昭和二十七年にブエノスアイレスで開かれたのでございます。そうしてそのブエノスアイレスのときには、日本といたしましては、まだ戦争のきずが十分になおっておりませんので、電波に関しましても相当痛手をこうむっておりましたから、まだその当時は日本は電波につきまして、また通常の無線通信につきましては、世界に十分にお尽くしもすることができなかった。この七年同に電波並びに無線通信の施設、また技術が非常に日本は向上いたして、戦前の水準以上に達して、世界のごく一流国に比肩し、あるいはものによってはそれをぬきんでているような状態になりましたので、今回の国際会議を契機といたしまして、日本は無線通信につきまして世界に十分なお尽くしをする義務があり、また能力がある今日では状態であると考えまして、七年前ブエノスアイレス会議のときは、世界もまだ日本に対しまして、戦争が済みましてからまだ間もないので、日本に対する若干の変わった気持もあったでございましょう。そのために、世界としても日本に電波ないし無線通信について十分な役割を割り当てるというふうな気持にもなっていなかったのでございましょう。今日としては、この日本の実情、状態というものは、列国にもよく認識されておりますので、この会議を契機として、世界もまた日本に何らかの世界電波界にお尽くしすべき役割を割り当ててくるものであろうと想像もし、期待もしておるような情勢でございます。幸いにして皆さんの御支援と御協力によりまして、この会議の、全権会議の初日から約一週間、会議開催地であるジュネーブに滞在いたしましたが、会議のすべり出しはまことに好調でございましたから、この方で参りますれば、目下向うに滞在しておりますわが国の全権初め代表者たちは、日に夜をついで、ほんとうに文字通り朝から夜おそくまで奮闘いたしておりますので、所期の目的が達せられることを大体想像いたしておる次第でございます。 この会議の内容は、初めに申し上げましたようなわけでありますが、今までこの会議は四ヵ月も続いて、実に長い会議でありまして、かくては列国ともに国費を費やすことも非常に大きいし、また長いこと行かなくても、文書にして意見の交換等もできるわけでありますから、今後はもっと簡素化された会議をやっていこうというように条約の改正もただいま検討されておるようなわけであります。日本といたしましては、この会議に対しましては、たくさんの提案を、約八十ばかりの提案をいたしておりますが、日本の提案が実にまじめで、よく勉強してある提案をたくさんに出しておるということは、列国によって認識されておりました。ただいま私が日本に帰って参りました後には、それらの提案につきましても検討中でございますので、審議が済みましたら、その成果につきましてはあらためて御報告申し上げる段階になると思います。 次に、この旅行に際しまして、郵便の事業、またラジオ、テレビ、電波に関しまする外国の情勢等を視察して参ったのでございますが、ただいま切手の御質問につきましては、私も全く矢嶋委員と同感でございまして、列国の郵便切手を各国郵政省に到着いたしますたびに見せてもらいましたが、実にりっぱな郵便切手がたくさんございます。また日本の今まで発行いたしました切手の中にも、世界のどこへ出しても恥ずかしくない切手も多数発見いたしましたことは、まことに愉快に存じた次第でございますが、御指摘の通り、図案につきましては、今後図案をきめますときには、郵政大臣にもまた事前に相談するように、すでに指示を与えてございます。今後は一そう注意して、りっぱな切手を発行していく方針にすでになっております。 また、郵政事業につきましては、視察いたしましたところは、特に郵便事務取り扱いの機械化という点に中心を置いて見て参りました。アメリカ等のりっぱな機械化されている実情を見て参りましたが、日本の郵便の区分け、差し立て等につきましても、なかなか日本もりっぱな機械化されている中央局も東京名古屋方面にあるのでございますが、それにも増してアメリカの方が機械化ではもっとりっぱな施設を持っているというふうに観察して参りました。また、ラジオ、テレビにつきましても、将来日本の電波行政をいかにすべきかというところに主眼を置いて視察して参りました。そのラジオ、テレビのごときは、技術につきましては日本は世界のどこの国にも負けていない。しかも世界各国とも技術は、聴視者の立場から見ましたラジオ、テレビの技術につきましては、全く世界どこへ行っても同じようである、同程度であるという観察をいたして参りました。もっとも技術と申しましても、画面に現われました技術だけしか、しろうとでございますので、観察できませんでしたが、大体そういうようなわけで、ラジオ、テレビ、郵務、無線通信、その点について視察をして参った次第でございます。 一応御報告申し上げます。
○矢嶋三義君 もう一問、要求した時間を少しこえましたが、大体お聞かせいただきましたが、関連して一問伺っておきたい点は、今の御説明を承って感じたので伺うのですけれども、来年度の千算編成、閣内における予算編成にあなたの海外出張の結果というものは影響を及ぼしてくるかどうか、今の答弁を承りますと、来年度の郵政省関係の予算編成にあたって影響が現われてきそうな感じがしたのですが、現われてくるのか、こないのか、もしくるならば、どういう点に現われてくるのか、大まかに簡単にお聞かせいただきたい。
○国務大臣(植竹春彦君) 実は概算要求をいたしましたのは、私の出発前でございますので、このあと、予算がきまりましてから、その割り当てという範囲内で、できるだけ自分の見て参りましたこと、さらに識者の御審議をわずらわしまして実現して参りたいと存じますが、どうも旅行に出発いたしましたときには、すでに概算要求を出しておりましたものですから、それほど十分には反映いたすこともないかと思いますが、しかし事によりまして、たとえば機械化の促進とか、あるいはテレビに関しまする方策等につきましては、これは私の視察した結果を、さらに専門家の集まりである電波審議会とか、あるいは郵政審議会等に御解離願う、諮問するようなことも起こって参りましようし、いわんや、まして国会の旨様の御審議をいただいてから実現していくようなこともございましょうが、具体的にはまだ概算要求から査定に移ります際でございますので、まだ御報告を申し上げるような段階にはなっていない実情でございます。
○矢嶋三義君 長後に要望を申し上げて私終わりますけれども、国会議員でもそうですが、特に国務大臣職にある人が、国費を使って海外に出張したならげ、その結果というものが、とにかく内政にプラスしなければ意味がないと思うのですよ。これは概算要求をいつしようが、予算というものは閣議で最終的にきまる瞬間までは担当国務大臣の政治力と、政策的な意見によってどうにでもなるものなんですからね。だから概算要求の時期と出張の時期が狂っておりましても、その出張の結果、こういう機械化なら機械化をやらなければならぬという結論をつけたなら、あなたの政治力で最終決定するまでに反映させて、その結果が国民へのよりよきサービスとなり、また内政にプラスするようにしなくちゃならぬと思いますが、結論を含めて要望を申し上げておきます。
○国務大臣(植竹春彦君) 御指摘の通りになろうといささか自負しておる点もございます。いずれまた具体的には、今度は査定のときに御協力願うような段階も出てくるかと思います。
○森中守義君 十八日に非常に詳細にわたってお尋ねいたしたのでありますが、残余のものについていま少しく御質問申し上げますので、大臣初め関係者の明確かつ誠意ある答弁を求めます。 その第一は、毎年郵政省では数局の特定郵便局を新しく設置されております。これは本年は、つまり次年度の予算要求の中に同局予定されておるか、これが第一点。それから、すでに置局が決定を見たもので、開局までどのくらい期間がかかるのか。その中で特に半年以上経過して開局に至っていないものの数、その理由。その次に、普通局及び特定郵便局の新築、改築等をめぐって土地の買収に関連をする訴訟の件数、その訴訟の主要なケースはどういうようなものか、まずこの三点について御答弁をいただきたい。
○国務大臣(植竹春彦君) 昭和三十三年度におきましては、特定郵便局は約五百ヵ所必要であったのでありますが、それが二百ヵ所、二百局予算の御審議をいただいて決定を見たのでありますが、その後また必要がふえて参りまして、七百ヵ所の必要が起きましたのでありますが、そこで三百局をまた三十四年度に御審議願ったのでありますが、決定は二百局になった、やはり二百局になったのであります。三百局の要求に対して二百局に削られてしまった。 そこで、三十年度から三十四年の、今年の九月までの配分の局数を申し上げますと、五百五十局でございます。その内訳を申し上げますと、それで設置いたされましたものが三百二十五局でございまして、残りの二百二十五局あるわけでございますが、その二百二十五局のうち、設置場所の決定いたしましたものが百六十七局でありまして、未決で、ただいままだ取り運び中のものが五十八局あるわけでございます。さて、その訴訟につきましては、これは事務当局の方からお答えいたさせたいと存じます。
○説明員(西村尚治君) 郵便局舎の買収に関連しての訴訟事件が何件あるかという御質問だったと思います。郵便局舎の人手につきまして、いろいろ相手方との関係で遅延しているものはございますけれども、そのために訴訟事件になっておるというケースは今ないようでございます。
○森中守義君 訴訟の件数がないというのは非常にけっこうですが、今大臣が言われた中で、いまだ取り運び中のものが五十八局、これも今その言われた年度がちょっと私は理解できない。要するに三十三年度以降五百五十という意味のようであったのですが、どうもその内容が正確でありません。しかし、それは私も大体理解しておるから再質問はいたしませんが、少なくとも取り運び中のものが五十八局あるということや、あるいは訴訟を起こさないけれども、やはり土地の買収か、あるいは換地の関係で、かなり郵政当局はこの種建設関係で難渋を来たしておるというように私は見る。しかもその実例を幾つか知っておる。しこうして、こういう時期に、すでに大蔵省では四月一日から租税特別措置法の改正を行なった。これに関係をして大蔵省令が出た。勢い事業認定書等を郵政当局は示さなければ土地の買収ができないようになっている。こういうことになればますます、置局は決定をしたのだけれども、土地の問題が解決をしないために開局に至らない、こういう事態も一そう濃度を増すでありましょう。あるいは普通局の開局の予算が取れたけれども、これまた換地その他の関係で容易に実竹に着手することができない。実は先日電池公社にもこれと同種の問題がありましたから、大蔵当局を招致していろいろ尋ねてみました。しかし電電公社の方ではすでに副総裁の名によって、大蔵当局に公文書が出されておるようです。郵政当局はこの大蔵省令の定める通りのところでよろしいとお考えになっておるのか、あるいは特段の配意をもって、いわゆる特別の措置を大蔵当局からとるように意思の表示を行なっておいでになるかどうか、その辺の事情をお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(西村尚治君) これは実は建築部の所管でございますので、私詳細を正確にあるいは御答弁いたしかねるがもしれませんけれども、ちょっと建築部長からだの調子が悪くてきょう休んでおりますので、知っております範囲でお答え申し上げたいと思いますが、土地の買収に関しましては、郵政事業関係につきましても、先生ただいま御指摘の通りの事実があったわけでございます。従来は土地収用法の適用に当然なるわけでありますが、土地収用法をわざわざ適用しなくても、事業認定をしまして、便宜その税率をかける場合の話ですが、土地を売ってくれました相手方に、事業認定によりまして、便宜簡便な措置を税務署において講じられていた。ですから事業認定といったややこしい手続を踏まなくても、便宜そういう簡系な手続で間に合わせてもらっている、それでもなおかつ土地の交換とか入手には非常に困難があったのでありますが、ただいまお話しのありましたように、今年の春、その根拠法であります担税特別措置法というのを大蔵省において改正いたしまして、そうしてそういうものは便宜事業認定をするというのは困る、一々土地収用法を適用して、その複雑な手続を経て、土地収用法を適用した上で税の減免をしてもらうようにということに相なりまして、それを事前に私ともの方におきましても建設部で察知しまして、事前に大蔵省の方に、それでは非常に困るから、今でも土地の入手に困難を来たして、ために大切な郵便局合の設置がおくれる状況だから、ぜひ例外規定を設けて、われわれの方には便宜簡略な手続で間に合うようにしてほしいという交渉をしたのでありますけれども、大蔵省の方でこれは聞いてもらえませんで、お話しのような改正になってしまったのであります。それで、私どもの方も、改正にはなりましたけれども、それに甘んずるわけにいきませんので、今後引き続き郵政省は当然土地収用法の対象になり得る郵便局につきましては、この例外を設けてほしいということで、今後も引き続き大蔵省には交渉をするつもりでおります。建築部の方で現在やっているように聞いております。
○森中守義君 法令の改正前に郵政当局としては大蔵省に対して意思の表明をされた、つまり相談をされたというのですね。
○説明員(西村尚治君) その通りでございます。
○森中守義君 そうしますと、今の経理局長のお話からいけば、郵政の場合には、土地収用法の適用が筋道である、こういうお話のようですが、その論拠というのか、あるいは根拠というのか、その辺を少し明らかにしてもらいたいと思います。
○説明員(板野学君) 御承知のように、郵便局には一定の設置基準というのがございまして、まあその設置基準のある一定の範囲内で郵便局舎をどうしても置かなければならぬ、一般利用者の方の便宜、あるいは集配その他のいろいろな関連からいたしまして、たとえて申しますると、都会におきましては局間の距離が六百メートルの亨便人口が六千、あるいは農地地帯におきましては、局間距離が二キロの四百戸というような基準がございます。従いまして、私どもといたしましては、やはりこのある一定のその基準の中に郵便局を設置したいというように考えておりまするので、そういうような場合には、もしそこに適地が得られないということは、非常に郵便局の置局につきましてまあ非常に困難を来たす事情にあるわけでございます。
○森中守義君 そういった郵政の場合の事情をるる説明をして、大蔵当局が了承できないで、租税特別措置法の改正をやる、それに関連をした省令の改正をやったということになれば、この話はこれから先どういったように進展していくのですか。意見になりますが、やはりこういうような問題を根本的に解決をしておかないと、国民の要望である置局、それに対する決定が行なわれても、容易に開局できないということになる。もちろん、この三十二年度の決算の際に、年度をまたがって郵便局の開局ができなかったという報告がない。また、私もその質問をしておりませんが、かりに年度をまたがってまでも開局できないというような事態に対して、これは決算委員会としてはかなり重視せざるを得ない。従ってこの問題を、今、経理局長及び郵務局長がおのおの御説明になりましたが、これはやはり大臣の政治的な背景において、その力において大蔵当局と話をつける以外にない。大威当局も先般ここに来てもらって、電電公社と郵政のことを一緒にあわせて質問をしておきました。ずいふん事務当局としては苦しい答弁をし、かつまた何らかの措置を講ずるように上司にも建議をしたい、こういったような答弁が行なわれておりますが、大臣はどうですか。これは一つ当面の懸案の問題として解決しますか。
○国務大臣(植竹春彦君) 御指摘の通り、こういう問題を土地収用法にかけるようではもう末の末だと存じます。やはりこの問題は十分大蔵当局とも折衝いたしまして、この郵便局設置の場合も、また公共物設置の場合と同じように、税金その他の点において特例を設けて、そうしてこの問題を解決していかなければならない、さように考えますので、この問題の解決についてはただいま御指摘の通りに十分折衝いたします。
○森中守義君 どうも意地悪く言葉じりをとるようですが、ちょっと大臣、意味の取り違えじゃないですか。土地収用法にかけるようであれば世も末だと、こういう話ですが、さっきの郵務局長と経理局長の話からいけば、土地収用法にかけてもいい筋合いのものである、これが本筋なんです。土地収用法には、残念ながら国鉄やあるいは電源開発と同じように見れないから、それで特別に措置をとってくれ、こういうところまで、いわば後退をした格好ですよ。その辺の認識を少し誤またれると、大蔵省と話をされても一向に煮詰まっていきませんから、正確に事態をもう少し認識をいれる必要があります。その認識の上に立ってもう一回——何しろこれは差し迫った問題です。もうすでに土地の折衝が行なわれておるのに、こういう税率の改正によって立ち往生をしているような事態が全国にたくさんある。こういう問題を早急に解決するには、今の認識の上に立っての答弁が必要です。
○国務大臣(植竹春彦君) この問題は、電電公社とも同じ問題になるわけでございます。先ほどの私の表現の仕方が悪かったと思いますが、特別措置法に照らしまして、私たちの受け持ちの郵便局、電報電話局の設置のときにも、さようにすらすらと事が運びますように十分大蔵省と折衝して、その下地を作って参りたいと、さように考えております。
○委員長(上原正吉君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(上原正吉君) 速記を始めて。
○森中守義君 大へんどうもこれからお尋ねせんとする大臣と局長がいないので、ちょっと困ったわけですが、貯金局長がおいでになるので、この前の継続みたいなことになりますが、例の六分の確定利子の問題は、鋭意大蔵当局と折衝中である、こういうお話のようでした。しかるに郵政大臣が例の運用委員会の副会長か何かしておりますね。従って、そういう郵政を代表する大臣が副会長でもあれば、この種の問題はもう少し政治的に解決を急ぐべき要素を多分に含んでいる、こう思う。今までどういったように大蔵省とお話をされたのですか。これは、私から申し上げるまでもなく、郵便、保険、貯金、三つの会計のうちに貯金会計だけがことさらに成績が悪い。その成績の悪いというのは、郵政省の運営あるいは事業の成長率がよくないというのではなくて、それもある程度所期の目的を果たし得る段階にある。にもかかわらず、歳入歳出の状態がバランスをとっていない。のみならず、全体に貯金会計が影響を来たすということになると、もはやこれは当該の局長としては安座できないような状況まで私はきていると思う。従って、この際この六分の確定利子、これをどう解決していくか。この問題が解決されなければ、年々歳々郵政事業の特別会計というものは危険の度合いを一段と上昇させるような結果になると思いますが、その辺のことをあわせ含めながら御答弁をもう一度承っておきたい。
○説明員(山本圭二君) 大臣がおられませんので、事務当局の方から答弁いたします。 六分プラス不足補てん金何十億という形で、ただいま大蔵省の経費をいただいておるわけでありまするが、その形でいきますと、常に六分をこえるものが赤字であるというふうに観念されまして、非常に企業意欲もわかない、従業員の意欲もわいて参りませんので、私どもとしては、この形は、資金法に計上されておる利率六分と書かれておりますが、法律事項ではありますが、私どもとしては、適正な郵便貯金運用の経費を一定の適正な率によって資金運用部からもらいたいということを、機会のあるごとに理財局方面に対して申しておるわけでありますが、まだ先方の同意といいますか、同意を得るまでには至っていないのであります。先般の資金運用部の軍用委員会議がありまして、ちょうど私代理で出席いたしましたのでありますが、そのときにもこのお話をいたしましたところ、中立の委員の方々も、これは資金運用部としては本年度解決すべき最も重大な問題であるというふうな御発言がありましたが、大蔵省側におきましては明確な御答弁がなかったわけであります。
○森中守義君 これは前回も指摘しましたように赤字が出た分に対して毎年五、六十億程度の補てん金が出る、この補てんというものに対する認識はどうなんですか。このくらい私は人を食った話はないと思う。原則がありませんよ。補てん金という制度は手っとり早く言うならばつまみ食い、足りないならばここに足しましょう、こういうことでしょう。それでは貯金会計が健全に運行できるかという問題になると、断じてできない。だから補てん金ということで五、六十億取っておるとするならば、これを六分何厘に切りかえ、要するに原則を明確にするような意思が郵政省にあるのかないのか。つまり確定利率が幾ら、補てん金はそのつどもらっておる、こういう両建の方式は、少なくとも健全な事業経営ではなかろう、私はこう思う。従ってどうせ補てん金が五、六十億出ておるというならば、これを現行の確定利率である六分に対する何分何厘というような、そういう原則を持たせるような会計の方法はとれないんですか。またそういう意思表示は今までおやりになっていないのかどうか。そういう意思表示を行なうために郵政省として意思の統一を行なったことがあるかどうか。 もう一つその問題と関連をして聞いておかなければなりませんのは、どうしても大蔵省がこれに応じなかった場合、そういうことになると預金利子を切り下げていく、あるいは事業費を切り下げる、こういう危険な方向もとらざるを得ないかもしれない。しかし昨今における一般金融機関等の宣伝の状態や、あるいは経営の状態は、利子を下げるどころじゃない。顧客を多くとるためにずっと経営方向は違った方向に行っている。ひとり郵政省だけが預金利子等を切り下げることになれば、これは大へんなことですよ。この辺ももう一度これまたあわせ含みながらお答えいただいておきたいと思う。
○説明員(山本圭二君) お答えいたします。おっしゃるように六分何厘という適正な率で経費をいただきたいということは、郵政省としてもほぼ思想統一ができておるわけでございますが、何しろ大蔵省側の同意を得るということは非常にただいまのところ困難な事情でございまして、同意を得られそうな見通しを持っていないわけであります。大蔵省とどういうふうに話し合ったかということでございますが、正式に文書をもってかようにしていただきたい、かようにされたいという申し入ればまだいたしておりません。官庁間の話し合いの常としまして、まず事務当局がいろいろ話し合って、その上で文書にいたすのが慣例でございます。話し合いといたしましては、機会があるごとに私たちの方からそういう話を持ちかけておるわけでありますが、まだ明快な賛成をするというような大蔵省側の活を聞いてないわけであります。
○森中守義君 これはまあ本来ならば大蔵省を呼んでいろいろ聞かねばならぬ筋合いのものですが、貯金会計というものは郵政省というものがお持ちになっている。その貯金会計がまことに危険な状態であるのでどうするかという問い方ですから、これは一つ貯金局長もそのおつもりで聞いてもらわなければ困るのですが、相手が聞かない、賛成を得ない、同意を得ないということでは、これはほんとうに人ごとではなくして、貯金事業というものは大へんなことになりますよ。この問題が提起されたのは何もことし去年のことじゃない、早くからです。検査院も同様な指摘事項を近年数年間にわたってやっております。なおかつこの問題が解決しないということは、私は郵政大臣の政治力がないか、あるいはこういう通る筋が通れないというのは、郵政省がことさらに大蔵省に対して腰が弱いのか、一体どちらをとるべきか、私も何とも言えませんけれども、今局長の答弁だとまことに心もとない。一体郵政事業はどうなるか、こういうことの影響がすぐ国民に影響してきますよ。少なくとも郵政省の言われることと、私がここで質問しながら主張している論点というものは、だれが聞いても筋が通る。それは郵政省には六分のあてがい扶持をやっておいて、資金運用部が自分のところで回わしていく利率ははるかに高い。国民の側に言わせると、国家事業だから安心をして郵政省に預けられる。それはもうその限りにおいてはけっこうです。けっこうであるけれども、肝心な預かり機関が火の車になって、それで国民に安心してくれというのはどういうことですか。もう少しこの辺の、ほんとうに大蔵省の渋っている理由、郵政省が窮状を訴えながら、なおかつ同意を得られないとする大蔵省の反論の理由はどの辺にあるか。その点がもっと明確にならないと、やはり決算委員会としては、年々歳々同様な指摘と警告を発している検査院の立場、そのことを了承しながら郵政事業の健全性を期待する国会ないしは国民としては、何としても郵政省のそういう答弁では了承できない。もっと大蔵省が、どういうことで同意しようとしないのか、その辺が一番肝心なところだと思うのですよ。もとよりその折衝の責任者である貯金局長は、大蔵省が何を考え、どういう意図のもとに賛同しないのか、その辺の読みもできていると思います。またその読みができずには交渉もできないと思うので、その辺の事情を、もう一回くどいようだけれども、御答弁をいただきたい。
○説明員(山本圭二君) お答えいたします。 まだ、どういう町山で大蔵省は、そういう方式にかえることを承諾しないのかということにつきましては、まず十分に先方の話を聞いてはいないのでありますが、私どもの察するところでは、資金運用部の資金の運用率というものがかなり低い。財政投融資政策のしわ寄せとしまして、森中先生は前回の委員会で六分三厘四毛と申されましたが、これは三十三年度決算上のもので、今年の予算では六分二厘九毛というふうに多少内輪に見ております。従って郵貯に六分九厘というような率を認めるということは、非常に先方としては難色があるのではないかと思います。 それから同じ運用部に預託しております資金の中でも、厚生省の資金であるとか簡保につきましては、六分でぶった切りでございますので、プラスはついていないのでありまして、これらの資金の取り扱いの公平というふうな見地もあるのではないかと私どもは推察しておるわけであります。
○森中守義君 そうしますと先刻答弁された中で、大体補てん金をこれを正確な率に改訂をしていくということは、郵政省としての意識の統一ができておる、これは、その通りに理解をしてよろしいですね。 それからもう一つは、どうしてもこの問題が、さらに今後ともデッド・ロックに乗り上げたために事業費の切り下げ、版金利子の切り下げ、こういうことは断じてやらないというようなことが約束できますか。
○説明員(山本圭二君) 利子につきましては、いろいろ貯金局として民間と比べましたが、民間の当座預金を入れますと、民間の方の支払利子は低いのであります。これを除いて比較いたしますと、郵便貯金は高くないという資料を持っておりますので、私どもといたしましては、下げたくないという希望は持っております。国の金融政策がございますから、私たちから下げない自信があるというようなことは、とても申し上げられませんが、希望は、そういうふうに持っております。経費といたしましても、いろいろ郵貯が高いように言われましたけれども、これもよく比較いたしますと、民間は運用の経費とか、いろいろあるわけですが、そのかわり、こちらは僻村を持っているというようなことも考えまして、比較しますと、民間の銀行平均よりも高くないというふうな、私ども調査したところでは、そういうふうに把握しております。これも、そう経費をこれ以上下げろと言われても、下げられないのじゃないか、下げていただきたくない、これも希望を持っております。
○森中守義君 それから保険局長、おいでになっておりますね。これも、しばしば問題になったことですが、簡易保険の最高制限額は、従来五万円刻むごとに上がってきております。十五万四から二十万四、さらに二十五万円というように、近年しばしば制限額が引き上げられておりますが、この五万円刻みの格上げというのは、私はどこに根拠を置いておいでになるのかよく知りませんが、現在制限額は、事業の最もノーマルな経営状態からいって、幾らが一帝妥当というように出ておりますか。
○説明員(大塚茂君) お答え申し上げます。 今おっしゃられましたような経過で最高制限額の引き上げがやられて参っておりますが、これを幾らに引き上げたらいいかという観点としまして、いろいろの見方なり基準が立てられるわけであります。 その一つとして、簡易保険が国民、ことに主として、中産階級以下を対象としたつまり国民の老後の生活安定、それから死亡の場合の出費というものを保障することを目的にしておるという観点から見ますと、また、その観点から見た数字が出るわけであります。それからまた、無診査保険というような観点から見まして、どこまで保険金額を上げたならば、無診査保険としての逆選択、その他の危険が限度に来るかというような点から見る基準も立てられるわけであります。さらにまた民間保険と競争といいますか、競合的な立場にある民問保険との調整その他を考えた場合に、どれだけが最高額として適当かというような、いろいろの観点から基準を立てることができますので、そのどの観点によって最高制限額をきめるかといいますと、結局先ほど申し上げましたいろいろの基準を調整をいたしまして、まあ妥当なところにきめるというふうなことになったわけでございまして、それでは、その金額が幾らぐらいかということになりますと、なかなかむずかしい問題でございますが、私どもは、少くも二十五万では足りないというふうに考えておるわけでございます。
○森中守義君 もちろん、今答弁の中にありましたように、民間も大事です。民間を無理に簡易保険が圧迫をして、ひとり簡易保険のみが繁栄をするという、こういう暴論ではない、だけれども、現在二十五万円の制限額で民間をどれだけ圧迫したような格好になっているのですか。
○説明員(大塚茂君) これも、いろいろ見方がございまして、的確に両方とも、民間もわれわれも納得するという数字はないのでございますが、今の民間保険の平均保険金額が約二十四万円ということになっております。現在契約の平均でございます。そういうふうな点から見て、民間側では、二十五万円といえども非常に圧迫になっている。のだ、民間においては二十五万円以下の契約が六〇%以上を占めているのだというようなことも言っております。そういう見方もあるいはできるかと思いますが、実際問題といたしましては、日本には、まだ生命保険の普及する残された分野が非常に大きいと考えられます。それは、外国との比較、それから戦前における日本の保険の普及率までも、まだ回復いたしておりませんので、そういう面から見まして、まだ相当普及する未開拓の分野があるという考え方をとりますと、その未開拓の分野に、お互いに競争的に刺激になりつつ進出していくためには、むしろ競争相手がある方が好ましいのだというような考え方もできるわけでありまして、私どもは、その後者の見方から、むしろ民間保険の刺激にはなっても、圧迫にはなっていないという見方をとっているわけであります。
○森中守義君 そういうように的確に答えが出てきますと、やはりさっき言われたようなことは、ちょっと私おかしいと思う。保険局の中に、相当の人がおいでになる、しかも全国的に組織をお持ちになっておる。それでいて、今民間を圧迫する、しないという、そういう配慮は、ことさらに必要ないとするならば、やはり簡易保険事業全体の経営については、いかなる面から見ても妥当だとする一定の制限額というものはお持ちでなければならぬ。 それが、現在の二十五万でいいとするのか、あるいは現行は二十五万であるけれども、本来は、もっと高い数字でなくちゃならね、まあそのいずれに当たるかわかりませんが、要するに経営分析の上から、幾らが最も要当であるという額か、すでに事務当局においてお持ちでなければ、私はうそだと思う、お持ちであるかどうか、その点、もう一回お答えをいただきたい。
○説明員(大塚茂君) いろいろ申し上げましたような基準等を考えまして、私どもとしては、ほんとうに事務当局の案として持っている案はございます。しかし、まだこれは政府都内で公の認められた数字でもないし、また特に、民間保険その他の面から、妥当な数字としてまだ認められたところまで行っておりませんので、もう暫く、そういう努力をいたしましたあとで公表することにしたいというふうに考えております。
○森中守義君 大へん用心深い答弁ですがね、何も、その認められる、られないという問題でなくて、保険事業の経営上幾らが妥当だと思うか、その資料は、どういうものを中心にして幾らに出たんだ、こう私は聞いておるわけです。 それがまだ大蔵省と話をしていないとか、あるいは閣内で話がまとまっていないということで遠慮される必要はない、むしろそういうのは進んで、現行はこれだけだ、しかしほんとうに事業経営上心要な最高の制限額はこれだけだ、それをどうしていくか、どうするかというのは、これからの問題ですから、これは一つこの際、発表してもらいたい。 そうしないと貯金事業も、決してよろしくない、また簡易保険事業においてすらも、これは手放しに決算委員会として賞賛すべき経営の状態でないということだけは明療です。従って、そういうものを国会を通じて国民に知らせる必要がある。いろいろ配慮されることなく、事務当局としてはこれだけが最も要当な制限額であるということは述べられないことはないと思う。ぜひそれを一つ聞かしてもらいたい。
○説明員(大塚茂君) それでは、簡易保険局長として考えております数字を御参考までに申し上げます。それは、大体郵政審議会で最近答申が出ました制限額五十万円程度が妥当だというのが、私も、一応妥当な線ではなかろうかというふうに考えております。ただ先ほど申し上げました無診査保険としての逆選択その他を考えますと、民間保険でとっておるように最高は五十万ですが、一年間に契約し得る金額は三十万円以内、通算して五十万というくらいの線が、まずまず妥当ではなかろうかというふうに、簡易保険局長としては考えておる次第でございます。
○森中守義君 そうしますと、あまり誘導尋問みたいで恐縮ですが、今示された通算五十万というのは、すでにもう当局の案として、まとまったものかどうかしりません、しかし、次の通常国会あたりに、具体的に国会に提案される意思があるのですか。
○説明員(大塚茂君) 次の通常国会に引き上げの提案をいたしたいということで、準備をいたしております。
○森中守義君 それから、もう一つ承っておきますが、資金運用部資金法において、今なお簡易保険も、だいぶ制限を受けられておる、その中で、特に私どもが文集を要すると思うのは、要するに年間の収入確定を待って、初めて郵政省の適用の中に入ってくる、その間は余裕金というような格好で運用できないようですが、これの内容を、もう少し具体的に説明願いたい。 そうして、またこの資金法の改正は、もちろん大蔵省がやることでしょうが、郵政当局としては、このままでよろしいのかどううか、その辺、どういったようにお考えでしょうか。
○説明員(大塚茂君) 簡易保険事業は、保険料収入が、大体毎月行億程度くらいずつ収入がございまして、その中から事業費として二、三十億ずつ出て、毎月七、八十億ずつの金が残っていくわけでございます。 それを、その当該年度は余裕金として、現在の法律では資金通用部に預入をせいということになっておるわけでございまして、この利息が、貯金の方と同じでございますが、一年号内の預金については四分五厘、幾ら長いものになっても最高が六分というようなことになっております。われわれの方では、翌年これが積立金としてわれわれの運用権限内に入ってくるものでございますから、従って余裕金の預入期間も、一年以内ということになりますので、平均この利回りが四分三厘ないし四厘程度になっております。これでは現在の簡易保険事業に課せられました、なるべく安い保険料で国民大衆に簡易保険を提供するという趣旨に沿いませんので、何とかこの運用利回りを、もう少し向上したいということで、かねてから考えておりまして、これまた政府部内において相談をしまして、次の通常国会には、何らかの改正措置を講じたいというふうに考えておる次第でございます。
○森中守義君 ちょっとまあ、私がお尋ねした以外のことまで含めての答弁のようでしたが、私は、要するに、年間に、今局長は百億と言われた、月々そういうようにたまっていく金というものは、簡易保険の場合には、何も年度決算をやらなくても、その月々の決算が、ある意味では確定的なものだという認識を私は持てるのじゃないかと思う、そういう認識を私は持っている。 従って、余裕金として資金運用部に入れないで、すでに年度決算と同じようなことを毎月やりながら運用できないのか、余裕金として資金運用部に入れておくのは、ちょっとこれまた筋が違うのじゃないか、こういう尋ね方をしているのですよ。
○説明員(大塚茂君) おっしゃる通りでございまして、すべての政府の特別会計の資金上、金繰り上、余裕があるときは、資金運用部資金に預入せいということになっておりますが、ほかの特別会計の余裕金と違いまして、簡易保険の余裕金は、将来の保険金支払いに当てるために、準備金として積み立てることの初めからはっきりした性質のものであります。従って、これを一時的な余裕金と同様に、資金運用部に預入せずに、当然郵政当局において、初めから積立金として運用すべきが、この資金の性質からして、当然のことじゃないかというふうに、私どもも考えている次第でございます。
○森中守義君 だから、そういうお考えであれば、資金運用法の改正というのは、所管は大蔵省でしょうけれども、これまた運用審議会なりあるいは大蔵当局と、法改正の方向にいくことはできないのか、これも一つ、あわして答弁をしておいて下さい。
○説明員(大塚茂君) 私どもとしては、私どもで最初から運用するように、法律改正をしてもらいたいというふうな希望を持っておるわけでございます。
○森中守義君 大蔵当局は何といっておりますか。
○説明員(大塚茂君) ただいままでの話し合いのあれでは、国家資金の統一運用という面からして賛成できないという主張をいたしているわけでございます。
○森中守義君 もとより大蔵省の言う国家資金の統一運用ということは、やはり筋としては通るでしょう。だけれども、実態としては大蔵省が回している運用の利子、郵政省に還元をしている利子、あるいは郵政省の運用利子、これらを見た場合に、矛盾があるとは思いませんか。
○説明員(大塚茂君) 私どもの立場から見た場合の見解は、先ほど申し上げたように、当然、簡易保険当局において、最初から運用すべき性質の金というふうに見ているわけでございます。
○森中守義君 私は、運用審議会の構成メンバーをよく知りませんが、郵政大臣が副会長になっておりますね。そういう際に、あなた方は大臣と一緒に説明委員というようなことで出席されるのですか。
○説明員(大塚茂君) 私も、幹事ということになっておりまして、その会議にはしょっちゅう出ております。
○森中守義君 そういう会議で、この種の問題を、この委員会で御答弁になったような内容のことが、発言される機会がありましたか。どの程度強く主張しているのですか。
○説明員(大塚茂君) 前回の委員会におきまして、そういう話が出ております。しかし今までに委員会でしょっちゅうそういう話が出ているかというと、必ずしもそうでございません。大体において提出された議案についての審議で終ったというのが多いわけでございます。
○森中守義君 私がお尋ねしているのは、そういう平素郵政の立場からお考えになっているようなことが、どの程度積極的に、どの程度具体的に、しかも大蔵省の矛盾を突きながら郵政の立場を弁明されているのか、あるいは郵政の考えているようなことを理解させようとしているのか、こういうことを聞いているつもりです。
○説明員(大塚茂君) 私どもとしましては、何と言っても、当面の相手が大蔵省理財局でございます。主としてその面に対して、いろいろ機会あるごとに話をいたしておりますが、そのほかにも機会がありますたびに、そういう、われわれの考えを皆さんに理解していただくということに努めているようなわけでございます。
○森中守義君 それからその次に、先刻、次の通常国会に制限額の引き上げの改正と同時に、法律政正をしたい、こういう御意向のようですが、それは、どういうことを言うのですか、具体的に内容としまして。 それともう一つ、それにおそらくは関係するであろうと思いますが、今、郵政省が運用されている運用の資金額は、全体で幾らですか。それの貸付の状態は一〇〇%になっておりますか、あるいはもっと低い率になっているのか、一〇〇%以上に申し込みがあるかどうか、その点もお聞きしておきたいと思います。
○説明員(大塚茂君) 次の通常国会に、運用関係でわれわれが改正したいということを考えておりますのは、その余裕金の運用の問題のほかに、運用範囲の拡張の問題を考えております。これは、利回り向上という観点から、もう少し高利回りな部面にも融資できるような、あるいは投資できるような体制を作りたいということでございます。 それから、次の簡易保険の資金総額がどれくらいかというお話でございますが、大体現在五千七百億余りでございます。これはそのうち、昨年度の余裕金で、今年度になりまして積立金に切りかえられたもので、そのまま資金運用部に預入されているものが、まだ相当ございます。それから、本年度の余裕金として資金運用部に預入されておるものもあるわけでございます。 そのほかのものにつきましては、それぞれ年度当初にきめました運用計画に従いまして運用をはかっております。資金需要は、むしろ余るといいますか、供給をオーバーする程度の資金需要があるわけでございます。
○森中守義君 それで、はっきりしましたが、今言われた、その次の改正のときに、適用範囲を拡大する。しかもその主たるものではないかもわからないけれども、今の答弁の中には、できるだけ高利回りのところを探して適用するようにしたい、こういう御意向のように私は承りました。 そうなりますと、勢い民間の企業等も、この適用範囲の中に入れておこう、こういうことですか。
○説明員(大塚茂君) 簡易保険事業は、とにかく加入者になるべく安い保険料で保険を提供するというのが第一目標でございますので、そういう面からいいますと、資金をなるべく高く運用するほどよろしいということになるわけでありますが、しかし一面、国家資金という面もございますし、また運用に関する法律にも、公共の利益になるようにという文言もございますので、あくまで公共の利益ということを離れて、ただ利回りだけを追求するというわけには参らぬと思います。 従ってその公共の利益と利回り向上の両面からいたしまして、どの範囲までが妥当かということでございますが、われわれは、国民の日常生活に欠くことのできないような公共的な事業に資金を供給するということで、しかも現在よりも利回りがよくなるということになるならば、これはあらゆる面から見て妥当なものではないかというふうに考えまして、そういう見地から、あるいは公共的な事業を営んでいる民間会社の資金も、できるならその範囲に入れたいというふうに考えておる次第でございます。
○野本品吉君 関連……。 今、簡易保険の金を公共的な仕事に回したいという考え方に対しましては、私も、それは賛成です。具体的な問題になってきたので、公共的な性質を持った仕事と、民間事業もさることながら、かつては私は簡易保険というものが、たとえば市町村の学校の教育施設の費用等に融資された時期があったのです。そういう方向への御配慮があるわけですか。その点を一つ……。
○説明員(大塚茂君) 簡易保険は、従来そういう公共的な施設に、もっぱら資金を出しております。現在におきましても、積立金の約四一%くらいは、学校の建設資金あるいは橋梁、道路といったような、そういう公共的な資金に融資をされております。将来も、そういう方向を変えるつもりはございません。
○森中守義君 今の、その私企業的ではあるが、公共性を持ったところには融資をする、こういうお話ですが、これも、多種多様にわたっている。大体代表的なものというのが、まだ具体的に法改正の整備はされていないかもわかりませんが、主たる対象は、どういうところでしょう。見当つく範囲だけでも示しておいていただきたい。
○説明員(大塚茂君) 私どもが今考えております案は、たとえば電力関係、ガス関係というような方面の確実な社債というようなもの、あるいはその株式というようなものに、できるなら広げたいというような希望を持っておるわけでございます。
○森中守義君 確かに私企業の場合でも、公共性は、これは持っておるでしょうけれども、だからといって、肝心な適用対象とすべきものが残されて、利潤追求をやはり中心にするというのか、商法上の会社等に、いたずらに融資されるということは、かなりこれは危険な見解でないかと思うのです。簡易保険の約款からしても、そのことが許さるべきことであるかどうか。この点は、よほど慎重に御検討いただかないと、ただ高利回りである、あるいは融資が安全であるということだけでは、やはり本来の使命からして、いささか憂慮せざるを得ない。 従ってまた別な専門の委員会でお尋ねすることにいたしますが、その点は、よほど留意される方がよろしかろうと思う。 それともう一つ、その適用の中に、たとえば社会福祉団体というのがありますね。ああいうようなものとか、またさらに、これに類似するような団体がたくさんある。こういうものは、どうですか。
○説明員(大塚茂君) いろいろの団体がございまして、そのうち、われわれが運用の原則といたしております、有利、確実、公共の利益という見地から見て、基準にあてはまるものについては、これを範囲に入れていきたい。こういうふうに考えております。 ただその有利、あるいは確実、——確実ということは、償還計画がはっきり……償還の見通し、償還の財源というものがはっきりしておるというようなことを当然含むものでございますが、そういうような見地から、そういう団体について検討していきたいというふうに考えております。
○森中守義君 一例としてあげた今の社会福祉団体、あるいは母子団体というのですか、そういういろんな社会福祉団体がある。こういうのも対象になるということですね。そういうように理解しておいていいんですか。
○説明員(大塚茂君) まだ具体的に、そうおっしゃられたような団体を実は検討いたしておりませんが、それが要するに、収支償なうといいますか、単に社会政策とか、社会福祉を目的とするということで、全然収支というものを考えないということになりますと、問題ではないかと思いますが、先ほど言いました確実という面から見て、償還に危険がない。またわれわれの方の実は事務的な面から見まして、運用に携わる定員その他が縛られておりますので、あまりこまごましたものについて、小さな金額を小さな団体に数多くやるというのは、事務上からいいまして、相当困難性もありますので、そういう点からも検討しなければならぬのじゃないかというふうに考えております。
○森中守義君 定員やあるいは事業費等は、これは省内の別な問題として考慮すべきだと思う。 ただ、どういうところに運用資金を対象にすべきかということになれば、公共性をもってるというので、民間の会社に適用できるのなら、もっと適用すべき団体がたくさんある。それは厚生年金を受けているある種のグループであるとか、あるいは社会福祉団体とか、こういうのを見ていけば、たくさんあると思う。だから金額の高であるとか、あるいは事務屋に限界があるというようなことでは、これはやはり対象のワクを決定すべき大筋としては考えるべきじゃない、こう思うのです。 従って、まだ具体的に案をお持ちでないようですから、そこまで、きょうは改正案の審議でもありませんから、問い詰めておきませんけれども、やはりものの考え方としては、多少とも公共性を持っている民間の企業に利回りがいい、償還が安全であるということでお貸しになる半面、もっと貸すべき社会福祉団体等を置きざりにしてもらっては困る、こういうことの注文をつけながらお尋ねをしているわけでありまして、もう一回、その辺を正確にお答えいただいておきたいと思います。
○説明員(大塚茂君) 要するに、融資することが寄付するという結果にならないならば、われわれとしては、十分考えるべきだということでございまして、御趣旨を体しまして、よく具体的に研究をしてみたいと思っております。
○森中守義君 もう一つ。これは大臣がおいでにならぬとちょっと困るのですが、経理局長がおいでになりますからお尋ねしておきます。 先般郵政省が庁舎八ヵ年計画というものをお出しになっておりますね。これは資金の見通しあるいは配置要員の見通し、こういうものは八ヵ年計画と完全にマッチしたものですか。
○説明員(西村尚治君) 八ヵ年計画につきましては、三十五年度におきまして約六十三億円の建設費を計上するように概算要求をしているわけでございます。三十五年度につきましてはそうですが、八ヵ年計画全般の資金といたしましては、大体二百億近く要るであろうと予測しているわけでございます。 これの建設資金全体についての見通しでございますが、簡保から年々、例の衆議院の逓信委員会で付帯決議もございました簡保運用原資の百分の三程度を借りろという御趣旨もございます。そういった借入金と、あとは自己資金をやり繰りいたしまして、大体まかなえるのではなかろうかという予測を立てております。 それから定員につきましては、これも一応予算要求はしておりますけれども、いろいろ郵便事業定員とか、そのほかの固有の事業を運営しますための要員にも事欠いている状況でございまして、どうしてもそちらの方が、増員の際には優先いたします関係で、建築要員の増員は、なかなか認められがたい実情に相なっております。しかし、そうばかりも言っておられませんので、三十五年度におきましても、若干の建築関係の定員増というものを予算に要求している次第でございます。
○森中守義君 大臣がお見えになりましたから伺いますが、先般来本委員会で、いろいろとお尋ねをして参りましたが、私の判断としては、郵便、保険、貯金、この三事業の現状というものは、個別的に見てもあるいは総合的に見ても、経営自体の面から、きわめて健全性を保持しているとは、どうしても判断できない。また国民が期待をするある限界には、相当ほど遠いものがあるように思うわけです。この点、大臣としては、どう思いますか。
○国務大臣(植竹春彦君) 保険につきましても、郵便貯金にいたしましても、私は、その営業範囲内は、これは健全なものであると、従って、国民諸君としては安心して簡保にも御加入になって大丈夫である、また郵便貯金にも、安心して貯金なすって大丈夫である。その点は、きわめて健全な事業であると存じますが、そこに御指摘のように、この事業全体について考えますときには、その集まりました保険料なり、郵便貯金で申しますれば、集まって参りましたその貯金額の運用の問題について御指摘があったと存じますので、運用の問題は確かに御指摘のございます通りに、このコストと、それから入って参ります金利のさやが、片一方は逆ざやになっているものあり、またそれから、赤字を出しまして一般会計から埋め合わせてもらっているものもあります。要は、その運用いかんにあると存じますので、この点は、御指摘の通りでございまするから、この点を、実は今時期的にも最も強力に、この問題の解決に当らなければならない、この一年におきます時期でございますので、目下大蔵当局とも、その点で折衝中でございますが、いきなり理想的なことにまでは国家財政上、また民間の事業を圧迫しないという意味で、民業とのかね合いも考えまして、一気呵成には乗り切れないかと存じますが、できるだけ迅速にこの問題が健全化されるように、ただいま腐心しておるような次第でございます。
○森中守義君 私が言っておるのは、国民諸君が、気持の上で郵政事業に安心惑を持っているかいないか、こういう聞き方じゃありません。 要するに経営の立場にある大臣として、現在三事業を見た場合に、どうなのか、もちろん気持の上には、国家事業ですから、保険、貯金、郵便、いずれの事業に対しても、国民は信頼をしておる、そういう信頼がなければ、郵政事業というものは成り立っていきませんよ。だけれども、現実にこの三事業を見た場合に、はたして健全性があるかということは、逆からいくならば、先般来ここで指摘した通り、また前の委員会が済んだときに、大臣もだいぶ点数を取られたと、こういったように、冗談を飛ばされていたようですが、そのこと自体が、盲点があまりに多過ぎる、改善、改革を要すべき点があまりにも多過ぎる、それを私は言っておる、結局結論としては、国民に精神的には健全である、信用の置ける事業であるという認識を与えながら、さてそれを取り扱っている立場の者は、事業を回していくのに、健全と言えるかどうか、そういうことを、実は私は聞いているのです。 従って、そのことに対しては、運用の利回りの問題であるとか、逆ざやの問題であるとか、いろいろ言われた、しかし、もっともっと大事な問題を私は幾つも、先般来、ここに列挙しておる、あなたに質問を申し上げながら改善、改革を強く要求してきております。そのようなことは、定員の問題でもその通り、どれを見ても言えると思います。要するに今終極的には、大臣が、まだ改善、改革を要すべき点が多々ある、その面からいくならば、大いに考究しなければならないということは、そのものが、私はやはり不健全である、こういうものの表現が、あながち言い過ぎではなかろう、こういうように思うのです。 で、それでじゃ、一体そういう大臣が認識をされているとするならば、やはり郵便も貯金も保険もおのおのが、どこまでいけば、より国民の期待に沿うべき事業となるのか、たとえばこれは白書であるかないかという、この前のもの診らしい話がまだ残っておる、これを一つ一瞥されたらよくわかる。機械化にも限度があるという表現が使ってあります。あるいは、結論的には人が足りない——この人をどうしてゆくか。さらにまたこの中間において、郵便のサービスの提供状態は、戦前に復元していない、こういうことも出ている。あるいはさっきから、私は大臣がおいでにならないときに保険局長、貯金局長に、いろいろ聞いてきました。そういう幾つもの問題を考えてゆけば、やはりこの際郵政省としては、一定の到達すべきある目標というものを持つ必要がある。そういうものをお持ちかどうか、それを一つ聞かして下さい。
○国務大臣(植竹春彦君) 特別会計になっておりますからには、これを独立採算上、赤字にしないように経営していかなければならない、一口に端的に申しますれば、それが目標でございます。
○森中守義君 どうも、そういうようなことでは了承できませんよ、赤字が出ないことにやっておけばいいんだと、これは何ということはない、もっと積極的に企業欲を燃やして、保険の制限額は、向こう五ヵ年間向こう十ヵ年間どうする、郵便は向こう五ヵ年向こう十ヵ年の閥どうするとか、貯金はどうするとか、そういうある限界に到達する目標というのは、具体的に将来をどう予測してゆくか、こういうことを私は聞いておる。 これは、あなたの所管である電電公社と比べてごらんなさい、もちろん電電公社と郵政事業とを同断に論ずるわけにはいかない、いかないけれども、独立採算である、しかも企業性を持っておる、こういう官庁であれば、電電公社が一次計画を出し、さらに進んで第二次計画を出した、これと同様な、あるいはそれに類似するような長期にわたる見通しを立てて、それで資金の確保はどうしてゆくか、定員の確保はどうしよう、こういう計画策定、これが実は到達目標に達してゆく、進んで国民の期待に沿い得る郵政事業としてのあるべき私は姿であろう、そういうものをお持ちかどうか、こう聞いておる。 何となれば、在来の郵政事業のたとえば歳入歳出の予算を見てごらんなさい、経営実績にアルファをつけ足しているだけじゃありませんか、ただそれだけなんです。事新らしい事業の計画がない、将来に対する定見がない。はしなくも大臣が収支バランスがとれればいいんだと言うならば、大ぜいの管理者諸君を郵政事業に配置する必要はありませんよ。そういう点が郵政省にあるかないか、そのことが示されなければ、年々歳々決算をやってみて、当期の利益金は幾らでありました、保険はこういう隘路がまだある、貯金はこうだ、保険はこうだといってみても、これはただ、おさらいをするにすぎません。もう少し建設的な意欲が郵政省にあってしかるべきである。 そういう気持から、要するに経営の基本というのか、郵政省の根本というのか、そういうものがおありかどうか、こう聞いております。だいぶ違うのです、あなたの言うのとは。
○国務大臣(植竹春彦君) 私は最後の結論だけを申し上げたわけでございますが、これは前回のこの決算委員会において御答弁申し上げたことを繰り返すことになりますが、この公共性、企業性を持ちました事業にありましては、名前が公共企業体でないといたしましても、やはり私は経営の理想は赤字なく黒字ないところにあると、さように考えます。 しかしもしも黒字が出るとならば、その黒字をサービスの改善、さらにこれを国民の福祉に還元してゆくべきものだと、さように考えておりますので、その観点に立ちまして、すでに長期計画を樹立いたしまして、これを前の国会——いつのときでありますか、ちょっと記憶がございませんが、お示し申し上げたと存じますが、その印刷物は、実はただいまここに持っておりません。役所の方に置いて参りましたのでありますが、あるいは御質問によりましては、この次に披瀝申し上げたいと存じます。
○森中守義君 一々こまかな数字を聞こうというわけではない。これはお持ちであるならば、大胆率直に述べられたい、こういう計画を持っておる、ものの考えはこうだと。そこで、今国民に福祉的な還元が必要である、こういうお話ですが、国民に、なるほど還元しなければならない、その対価の具体的な現われというものは何をいうのですか。どういうことをもって対価にしますか。
○国務大臣(植竹春彦君) 福祉と申します意味は広義——広い意味でありまして、たとえば、狭義の福祉と申しますれば、お年玉の寄付金を、これを社会の身体障害者あるいはその他のいろいろ困っている人への社会福祉方面に使ったり、あるいはまた広義の意味におきましては、財政投融資に回しまして、そうして国の産業の勃興、その産業の勃興を通じて国民の福祉に寄与したいといったような方面に資金を運用して参ります。その運用部面につきまして、長期計画を作成いたしました次第でございます。さような方針で作成いたしております次第でございます。
○森中守義君 私は残念ながら、どうも大臣からこれらしい答弁はいただけない。 もちろん運用資金等を長期運用の計画を立てて、それで産業経済の基盤を強めていく一助にすることも、それも一つの方法でしょう。同時にまた郵政事業全体を通じて、今サービスの標準が何点であるか知りませんが、かりに百点であるとするならば、これを百二十にしていく、百三十、百五十にしていく、より高度なサービス提供ができるということが、これが私は郵政事業全体を通じての国民に対する対価であろうと思う。 そういう計画がないじゃないですか。私は見たことがない。先般この委員会でも申し上げりたように——逓信委員会に、私はしばしば出席をいたします。近年、数年の間に、国会に郵政省から提供された長期計画は何ですか、私の知る範囲では二つしかない。一つは局舎八ヵ年計画、一つは郵便の機械化五ヵ年計画、これ二つしかない。しかも局舎八ヵ年計画は、先刻経理局長に承ってみると、これに対する資金計画がどうである、要員計画がどうであるという、そういう正確な見通しがついていない。あるいは機械化の問題にしても、わずかにモーター・バイクを出す、あるいは三輪車を出す、こういう計画にすぎません。総合的に事業をやっていく、何年までに戦前の郵便の配送の状態に復元をしていく、こういう目安も何もない。せっかく大臣の答弁でありますが、私は長期にわたるある目標に到達する総合的な計画があるとは思いません。あるならば、一つ総合的なものをお出しいただきましょう。ないじゃないですか。むしろ先刻申し上げたように、毎年の予算の編成では何ですか。経験実績にアルファーを、つけるだけだ。そういうことで、毎年毎年循環しているに過ぎない。一般行政官庁は、それでもいいですよ、が、現実にサービスを提供していく郵政事業として、予算の編成が、年々歳々経験実績に何がしかのものをアルファーをつける、それでいいということになりますか。その予算編成そのものが、何もこれらしいものがないということを物語っている。郵政大臣、どうですか、持っておりますか。
○国務大臣(植竹春彦君) この次にその資料を、長期計画の資料をごらんに入れます。
○森中守義君 大臣、長期計画はあるというのですね。
○国務大臣(植竹春彦君) あります。
○森中守義君 それではけっこうです。あれば、一つ詳細な資料を出していただきたい。郵便、保険、貯金、三事業について、たとえば定員がこれこれで、向う何カ年間の事業を推進していくには何名必要であるという、こういう内容のもの、予算がこれだけある、そのうちに自己資本が幾ら、何は幾ら、評組に出してもらいたい、よろしゅうございますね。さらにまたそれは何年何月何日の省議が最終決定である、郵政審議会に、いつそれが諮問され、審議会の同意が得られたかどうか、審議会は、会議録が出ておる、その会議録も同様に添付してもらいたい。
○国務大臣(植竹春彦君) それまで詳細にわたり、さらにまた具体化されたものはございませんので、まだそこまでの段階をごらんに入れることはできませんが、長期計画について、こういうふうな方針であるというラフな資料だけしか、ただいまのところはできておりませんが、御指摘のような段階も日にちをかしていただきますと、それができ上る、そうしたらごらんに入れたいと思います。
○森中守義君 今私は、あたかも植竹郵政大臣一人の責任のような詰め方をしていますが、実は、はなはだ申しわけない。これは歴代の大臣にも、そういうことを私は言ってきたのですが、できないのです、それが……。従って、通信国策はどうしていくのか、こういう問題を聞かしてほしい、その内容を出してきてくれ、そういってきても出ない、だからたまたま、こういう決算委員会で現役の郵政大臣を相手に、こういうことを言わなければならぬというのは、まことに因果だと、決してあなた一人の責任とは私は思っておりません、だけれども、言わんとするところ、それをあなたは、資料は、長期計画はあると、こうおっしゃっているから、その何かの答えは出ると思うのです。 しかし、問題は予算、そして最後の決算です、予算に始まり決算に終る、その予算の内容は、どうですか。次年度の予算の概計が明らかにされておりませんから、ここで私は、次年度予算について、とやかく言うのは、まことに僣越であるけれども、三十四年度の実績、三十三年度の実績、こういう経験実績に上積みをした予算が、三十五牛の実は予算要求の内容じゃないかと思う。それをもってして、長期計画はあるといえますか、どうですか。
○国務大臣(植竹春彦君) むろん長期計画と申しますのは、今御指摘のようなものでないことは、お話の通りであります。別に計画を立てたものが、ガリ版刷りになってあるわけでありますが、まだ省議にも、郵政審議会にも、確定事項となっておるわけではありません、その途上であるのであります。
○森中守義君 策定途上というのは、なかなかいい逃げ口上です、それはなかなか大したものですよ、いつそれはでき上がりますか、策定途上にあると言うなら。そういうようなことはもう聞かなくてもよりしい。ただ、郵政大臣として、ガリ刷りのものがあるとか、あれやこれや思いつきのものがあると、そういうことでなくて、率直に、保険、貯金、郵便、三事業とも、国民にどうして期待に沿っていくのか、従来の惰性はどうであったのか、現状はどうかということを直視して——なければ、今から——むしろ私は、今からそれを起こしてもらいたいと思うのです。ないことは知っている。何もガリ刷り二、三枚のものを出してきて、そうして、どうなった、こうなったということを聞かぬでもよろしい。 それよりも、もう少し抜本的に、郵便、保険、貯金、この三つを総合的に、向こう五年、向こう十年の間に、どの線まで引き上げていく、そういう明確なるものが、これが、実は通信国策の基本をなすものですよ。それを一つ作って下さい。ぜひそれは作ってもらわなければ困る。そうしなければ国民の信託にこたえる郵政事業にはなりません。いわんや年々歳々の予算の編成が、国家財政のワクもありましょう、大蔵省とのむずかしい折衝もあろう、だけれども、一定の目標を出して、それで大蔵当局と折衝する、それは世論が支持しますよ。国会も、またそういう郵政当局の積極的な事業意欲に対しては、無条件に応援もするでしょう。ところが大臣が肯定されたように、三十五年度の予算も経験実績に上績みしただけだ、そういう予算で、役に立ちますか。一向に、定員の問題にしても、局舎の問題にしても、どの問題でも片づかぬということです、今のように行き当たりばったりでは。だから今からでもおそくない。正確に長期にわたる事業計画を策定をする、それは手当たりばったりのものではない、抜本的にやる。こういうお約束が実はいただければ、言葉を詰めて言っている私の意思も通じるのじゃないかと思います。 しかも申し上げておきたいのは、郵政省の中に、一体、三事業に対する統合的な経常分析をやるような、そういうところがありますか。それもないでしょう。全く行き当たりばったりの経営じゃありませんか。各公共企業体、これらには、常時経営分析をやっていくような人員の配置が行なわれている。それに対する予算の裏打ちがしてある。郵政省、ありますか。それも一緒に、あわせて答弁をいただきましょう。
○国務大臣(植竹春彦君) ただいま御指摘のうち、行き当たりばったりということにつきましては、私はさようでないことをお答え申し上げるわけでございます。三十四年度までの実績に徴しまして、具体的に三十五年度の策定をして、それを概算要求としてただいま提出し、その査定を受け、これを具体化する取り運び最中であるのであります。 また御指摘のような長期計画につきましては、私自信も、そういうことを実は考えております最中でございまするので、これはやがて——やがてという言葉は、はなはだ時間的にあいまいな言葉でありますが、遠からざるうちに、この問題は具体化して、そうして省議にもかけ、審議会にもかけ、国会に提出する運びにいたしたいと、こういうふうに考えております。
○森中守義君 少し時間が、先刻お約束した経過もありますから、あまりくどく聞きませんが、あと二、三お尋ねをしておきたい。 それは、最近郵政省は、何というのか、労働組合対策というのか、こういうことで管理監督権が、ことさらに強化されている。しかもその実行上の経過を見ていけば、単に労働組合対策というその範囲をはるかに越えておる。全体的に管理監督権の強化になっている。そのことは逆から言うならば、中央集権化がますます強化されている。しかもほんとうに企業体であり、企業官庁であり、しかも国民にサービスを提供する機関という見方からするならば、中央集権は、逆に地方に権限を移譲していくという方式をとるところに、独立採算の妙味がある、企業官庁としての妙味があると思う。 最近、あなたの所管している電電公社は、第一回目の地方分権を終わって、十一月に第二回目の地方分権を大幅にやろうとしている。これと郵政省を見た場合に、正面、労働組合対策だということで、管理監督権を強化する、しかも民主政治の原則に反するような中央集権が再現しようというのでは、事業経営の長期にわたる策定どころの話ではない、ますます検察庁か警察庁か裁判所のような権限になってしまう、こういう弊害は、あなたはどう思いますか。例をあげてくれというなら幾らでもある。その一例として、こういうのがある。最近、何の権限も付与されていない課長代理、課長補佐という人たちを、全国の各機関に配置され大幅に増員された。こういう人たちの権限は、何ですか、ただ管理監督という権限だけです。事業運行上のものは何もない。この一事をもってしても——先般この委員会で、統一ある郵政省の見解を述べてほしいということで、まだそれは行き詰まって答弁が行なわれておりませんが、監察官のほかに監察官補を配置する、これもまた、管理監督権の強化である。だから何回も申し上げたように、経験実績によって上積みされた予算を作る、歳入歳出の予算を作る、それで事業を回すという意味は、実際は管理監督で抑えつけながら事業を回している、事業の自主性、発展性というものは、どこに見受けることができるか、そう思いませんか。まさに時代逆行ですよ。労働組合対策に対する管理監督権が、その限界にとどまっているならば、それはそれでよろしい、しかし労働組合対策の限界をはるかにこえて、管理監督権を及ぼしている、だんだん強化せられて陰惨きわまりない状態が、今日私は郵政事業の現状だと思うが、大臣は、どういうふうに思いますか。
○国務大臣(植竹春彦君) この中央集権化ということにつきましては、社会主義政党の方からは、どうもその方が、社会党の理念とせられますところにむしろ合っているように思われるのじゃないかと思いますが、しかし私は、この問題につきましては、地方分権、中央集権ということにつきましては、私たちの立場といたしましては、中央集権してよい点あり、地方分権した方がよい点あり、それを、一がいに抽象的にこの問題はやっていかないという方針でございます。 そうしてまた、ただいま御指摘の、この監督官補につきましては、こういうふうに地方の業務量が多くなりまして、地方監察官が、これを分権的に仕事をいたします上におきましても、その補佐する者が必要となってくるのは当然でありまして、地方分権と申しますか、その地方々々、県内における防犯的な考慮といたしまして、監察官補というものを設置いたしましたので、決してこれは、中央集権的なものというわけではないことを御理解いただきたいと思います。
○森中守義君 答弁にならない。設置法の十二条を見て下さい、十二条を……。これが中央集権でないと言えますか。設置法の十二条に、「郵政省に、左の地方支分部局を置く。」と書いてある。そして何をやるかということに至っては、全部中央のことを受け継いでやるだけだ、これが中火集権でないと言えますか。しかもこういう形式的な問題と同時に、実体としても、何一つ中央の指示を受けなければ、地方は動きが取れない。しかも端末局と言われている現業第一線の管理者諸君に、何の権限を付与しているか。郵政省の収入機関はそこだ、現場機関が、一番大事ですよ。何ら、こういう現場第一線の人たちに、それらしい権限が付与されていない。与えられているのは職員の管理監督をするだけなんです。私は、ほんとう言うならば、こういう現業の第一線に、地域住民に対する郵便の普及の度合いとか、保険思想の発達の状況とか、そういう経営の分析までも、実はさせるような権限、それを裏打ちさせるようなことが、実は大臣が今言われる、やっていいものもあろうし、中央集権でいいものもあろうという具体的な区別でなければならぬと思う。そういう方式をとつていますか。 しかも、私どもが方々に参りまして、地方段階が中央段階に向けて、いろいろ言いたいことがあるらしい、そういうことを、われわれはいろいろ聞いているんです。そうしてその言葉の最後には、実は、私が言ったとは言わないようにして下さい、もしも、どこのだれそれが中央に向かって、本省に向かって、こういうことを言ったということになると、大へんなことになりますから、これは私が言ったとは言わぬようにしてくれ、こういう注釈が地方段階では多く聞かれる。郵政省の中においても、これは誤長や局長に言わないようにしてほしいという、そういう事業をほんとうに愛している職員たちのなまな言葉をわれわれは聞くのです。これで、事業が民主的に運営されているというのですか。押しつけの仕事、押しつけよりも、押し上がってくるものでなければ、これは、私は近代的な事業とは言い得ないと思う。ただ概念的に、私は中央集権であると言っているのじゃない。具体的にこうなっている。設置法の十二条が雄弁にこれを物語っている。ほんとうに地方分権をやっていい点があるとすれば、なぜこの地方の支分部局の中に、そういう権限の条項をうたい込んでおきませんか。予算の裁量の問題でも、その通り、どうです。
○国務大臣(植竹春彦君) 中央集権ということは、上から天下りに何でも押しつけるという意味ではないと考えます。地方の方から、だんだんに上がってきたものを集めるのが、中央へ集めるのが中央集権でございまするから、この間の機構というものは、地方の言うことをよく中央に集めてくる、その中央集権をやっておりますので、最も時宜に適したただいまの組織、構成、運営であると、さように考えますので、ただいまのやり方で、私は差しつかえないと、さように考えております。
○森中守義君 もう、それは大いに意見を異にするところでありますし、しかし、その一致した意見ではないけれども、大臣も、地方に権限を付与すべきもの、中央が掌握すべきもの、それはもっと克明に、それぞれの項目に分離されていかなければ、これは私は健全な事業経営にならないと思う。従って、先刻長期策定をやると、こういうお話ですから、その長期策定の中には、中央の掌握すべき権限、地方にゆだねるべき権限というものも、分類をしてやるということ、さらにまた管理監督権の不必要な強化ということ、これは逆に事業を陰惨なものにして、しかも締め上げるような結果になりますから、これもそれなりに、もっと自由な立場から検討されるというように理解をしておきたいのですが、大臣、どうですか。
○国務大臣(植竹春彦君) その点は、十分お説のことを加味して、この策定をして参りたいと思います。
○森中守義君 それからもう一つお尋ねしておきたいのは、中央集権あるいは管理監督権が強化されるということは、これは風潮としては、もちろんよくない。ところが、この問題と表裏一体をなしているのに人事問題がある。これは私は、きょう臨席されている佐方人事部長に、あるいは現大臣以前の大臣たちに、数回にわたって強く要望し、また中には、大臣が約束をした人もある。だけれども、依然としてこの学閥人事というものが潮流の中にあります。そういう風潮は依然として濃化されている。中央集権、管理監督権の強化というものは、何としても中央本省の問題です。おそらく大臣、あるいは佐方人事部長あたりは、地方の郵政局長あるいは監察局長、電波局長に、いわゆる世に言う学閥——東大高文だけの人たちを配置していない、こういう答弁があるかもしれませんが、それは、あまりにも当然過ぎることです。問題は、中央の局長に、何名のそういう豊富な経験を持った、識見を持った人を配置しているか、こういうことですが、それも今なお実現を見ていない。 のみならず、最近六級職、五級職、郵政事業に入って四年、五年、こういう短期間の間に昔の東大高文組と同じように、現業の課長になり、郵政局の課長になり、郵政本省の課長補佐になる、こういう特急コースが、最近非常に顕著になった。これは私はやはり学閥人事の一つだろうと思います。しかし、反面、よく考えていけば、郵政省の中には、部下の掌握がきわめて適切であり、高潔であり、徳望があり、あるいは事業経営のベテランであるこういう人たちを具体的にどういうように登用しておりますか。こういう人たちの国家公務員としての昇進の限界は、ある限界で制限を加えられている、登用の道を開いていない。 これも私は郵政省を、ことさらに中央集権、ことさらに管理監督権の強化という問題に結びつけて考えても一向差しつかえないと思う。この学閥人事について、どういう見解を大臣はお持ちですか。
○国務大臣(植竹春彦君) 私は、自分の机の上に本省の各課長から、その補佐ぐらいまでの一覧表をずっとこしらえております。それをしょっちゅう眺めておりますが、学閥人事は、全然ないとはっきり言い切ることができます。 ただここに、観察いたしておりますと、もっと私学の出身の人、また官練の人たちが、遠慮なくどんどんと一つ郵政省に就職を希望されんことを切に希望いたしております。
○森中守義君 とぼけたような答弁をしてもらっちゃ困る。学閥人事がない、そういう大それた答弁ができますか、具体的に示してもらいましょう。
○国務大臣(植竹春彦君) それは、数でこの問題を説明すべきではないと思います。適材適所でもって、しかるべき人物ならば、その地位、立場につく。それがやはり大ぜい、その一つの役所に集中的に同じ学校の者が就職を希望いたしまして、どうしても希望する者が多ければ就職、就任する者も多いわけでございまして、これを数の上から解釈するのは、妥当を欠いていると、さように考えます。
○委員長(上原正吉君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(上原正吉君) 速記を起こして。
○森中守義君 この問題は、これは、そういう大臣の答弁は、速記録に載っておるから、私は後日、また場所を偉えても、あなたが、そういうように断言をする以上、徹底的に究明します。 そこで、一つ言っておきたい、というのは、なぜ私学やその他の官学が郵政省に入ってこないのですか。入ってこない原因を何と見るか。 それと、今あなたは、学閥的なものはないとおっしゃるけれども、さっき私が言ったように、部下の掌握もみごとである、人格、識見ともに豊富である、しかも、豊富な事業体験を持っていて、この人なら中央の局長にしても、次官にしてもよかろうというような人が、二十数万の郵政職員の中においてたくさんある。そういう人たちを、いつ、いかなる方法で登用する方法を講じましたか、具体的に示して下さい。そういう登用の道を、いつ、どういう方法によって開いたか。とほけたことを言ってもらっちゃ困る。
○国務大臣(植竹春彦君) 大ぜいの中には、それは目こぼれというものもあるかもしれませんけれども、おしなべてのお話をいたしますると、学閥は、全然考えておりません。少なくとも、私就任以来は、明確にそのことをはっきりと申し上げることができます。私自身も学閥ではございません。だから、その問題につきましては、きわめて深い理解を持っております。それにもかかわらず……、こうやって、はっきり申し上げるのでございますから、郵政省には、学閥人事はございません。
○森中守義君 それは、あなたが郵政大臣におなりになって、まだ一回も人事異動がないようだから、それは無理ないかもしらぬ。しかし、大別して見ると、ことに、所管の人事部長が——ようございますか、一体、過去長い歴史を持つ郵政事業の中に、私学出身の事務次官、私学出身の本省の局長、官練出身の局長が出たことがありますか。みんな地方局長どまり。また、それらの人を、あるいは、私学や官練や、その他の学歴を問わず、広く人材を登用するという具体的な方法を、いつやったことがありますか。これは、あなたが大臣になって日も浅いし、直接人事に手をつけておいでにならぬから、聞く方が無理かもしれぬ。しかし、今郵政省内の人事構成の状態、これらのことを見てはっきりすると思う。いいですか。それで、私が何回も指摘しておるように、実際、私学やその他の学校の経験を持っておる者、豊富な識見や徳望の高い、こういう人たちが、東大や高文の鑑札を持たぬばかりに、その昇進していく地位には、一定の限界がある。これは、もう、あなたが郵政省の人手録をくってごらんなさい。ということは、登用の道が開かれておらぬということです。 だから私は、この学閥人事は、企業官庁にふさわしいのかどうか。もう少し独立採算をとり、企業官庁らしい人事をやるには、学閥人事よりも企業人事、こういう人事方式の転換が必要ではないのか、こういうことを実は聞いておるのですが、学閥人事がないと、あなたが極言するものだから、勢い問題は、そういう方向に発展せざるを得ない。だから、企業人事、学閥人事の比重の問題、それは、十二分に理解されていないように私は思うのであります。 過去長い歴史の中に存在する東大、高文以外の事務次官、本省局長が出たかどうか、あるいは、それらの人たちに、どういうように登用されるべき門戸開放をされておるのか、それらを一つ具体的にお示しを願っておきたい。
○国務大臣(植竹春彦君) 統計的には、私は、そこまでは勉強いたしておりませんけれども、私は、お話の通り、まだ就任して日も浅いので、ただいまは、人事をどうするという考えはございませんが、ある時期が参りましたら、私が自信のできたときには、それはきっと、やめる前に——このころは大臣の在任期間が短いものでありますから、やめる前になるかもしれませんが、そのときには、思い切った人事をやります。論功行賞をやります。そのときに、もしも、東大出ばかりずらっと上の方に抜擢されれば、その人物がりっぱだから東大出が上に出たのだ、もし、私学の人が上に出たら、その人物がりっぱだから、私学の人が上に来たのだ、そういうふうに、そのときは御理解願いたいと思います。
○森中守義君 けっこうですよ、それで。何も東大出や高文を持っておいでになる人がいかぬというのじゃない。その辺は誤解のないようにしてもらわぬと因ります。 ただ、ほんとうに勤めがいのあるように、しかも、行政官庁、監督官庁じゃないんだから、どうすれば企業がよくなるか、それには、豊富な経験者も制限を加えないでどこまでも昇進をしていくような登用の方法を考慮されてしかるべきであろう、こういうことであります。 だから、総合的に今二、三、人事問題や中央集権の問題、あるいは予算編成のあり方の問題、こういうのを出したわけですが、結論的には、何といおうか、やはり言葉を詰めて言うならば、場当たり主義の事業経営ではまずい。長期にわたる一定の方針を持ち、その方針を消化していくには、どうすればいいのか、それは人の配置の問題や登用の問題を考慮することが望ましいだろう、こういうことを私は言ったつもりであって、どうぞ、そのおつもりで長期策定を、できるだけ早く国会に提出いただくように私は望んでおきます。
○国務大臣(植竹春彦君) ただいまのお言葉ならば、十分理解がいきましたので、これらを尊重して、その趣旨でやって参ります。
○委員長(上原正吉君) ほかに御質疑がなければ、郵政省の部、検査報告批難事項第四百二十六号から第四百三十六号までの質疑は、一応終了したものとすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上原正吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 以上をもって、本日の審議は終了いたしました。 次回は、十一月二十五日水曜日、建設省の部及び運輸省の部を審議する予定であります。 本日は、これをもって散会いたします。 午後四時四十八分散会