外務委員会 第26号
- 発言数
- 86 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/12/26
会議録
○理事(井上清一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。まず、委員の異動について御報告いたします。 一昨日、後藤義隆君及び小林孝平君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として堀木鎌三君及び羽生三七君が選任されました。 —————————————
○理事(井上清一君) 本日は国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行なうことにいたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○森元治郎君 きょうは、さきに本会議で国連軍の出動についての、アメリカ軍が国連軍として海外出動に関する緊急質問をすることになっておったのですが、それができなかったためにきょうこれについてお尋ねをするわけで。その前にちょっと手続関係のことを二、三お伺いしてみたいと思います。 第一点は、調印の日は、もう日米間で話し合ってきまったのじゃないかという点。 それと今新聞などで問題になっておる調印者が総理大臣であるとか外務大臣であるとか、いろいろはっきりしないもやもやした話も伝わっているので、その点はどうなっているか、総理大臣からお伺いいたしたい。
○国務大臣(岸信介君) まだ調印の日につきましては、外務省とアメリカ側と交渉中でありまして、確定して公表する段階までいっておりません。 次に、私が署名するかどうかの問題につきましても、まだ政府として確定的なことを決定いたしておりませんか、この安保条約の重大性にかんがみまして、内閣として、また総理大臣としても、全責任をもってこの問題の交渉及び最後の締結をしたい考えでおりまして、その意味において、私も調印の際は渡米するつもりでおります。しこうして今申しましたように、そういう心組みのもとに私が調印することが適当であるかどうかということは検討いたしております。
○森元治郎君 いずれにしても、調印の日は二十八、九日、来週初めにきまるということですが、年内にきめるのかどうか、その点、もう一回お伺いしたいのと、調印者については、二国間条約ならば外務大臣が調印をしているのが普通のようであります。特に総理大臣が相手の外務大臣と調印するというようなことは、多数国間の条約であればいざ知らず、普通はないのじゃないか。何か総理大臣が市大性にかんがみて自分で調印したいしたいと言っているような、そういう感じを受けるのですが、そんなに調印したいのかどうか、それが適当かどうか、この点を一つお伺いしたい。
○国務大臣(岸信介君) 先ほど申し上げました通り、調印の日につきましてはなお交渉中でありますから、アメリカ側と最後の決定をするのがいつにはるかということは、なお交渉中でございますから、はっきり申し上げることは適当でないと思います。またこの私が調印するかどうかということにつきましては、決して私がしたいとかしたくないとかいうようなことを申し上げておるわけではございませんで、安保条約の問題はほかの条約の性質と違って、国民的にもいろいろと論議されております重大問題でございますから、内閣を代表する総理大臣としてこれに署名をしたら適当であるかどうかというような点からこの問題を考えてみたいと、こう思っております。
○森元治郎君 どの条約でも、なかなかこういう政治関係の条約は重大なんで、そう総理大臣が特にしたいしたいという気持は私にはわからないので、外務大臣で適当であろうと、こういうふうに思います。しかし御自分が重要だというので、前の方にせり出しておやりになることはお差しつかえありませんからけっこうでございますが、ちょっと醜態ではなかろうかという印象が国民の間にあるように新聞その他から受けるからお伺いしたのです。
○佐多忠隆君 関連して……。今、森委員からの質問がありましたように、安条約の改定は非常に重要ではありますが、しかし事柄の性質上、この調印に総理がみずから出かけられるということはほとんど考慮の余地がないのじゃないか、従来のたとえばいろいろな国々との相互防衛条約の場合に、総理みずからが出て調印をしたとい例むしろ絶無じゃないかと思う。もしそういう前例があればお知らせを願いたいのですけれども、私の知る限りにおいては、これは絶無である。で、なぜ日本だけが総理みずから出かけていかなければならないかということが、いまだに問題になっているのか、きまらないとおっしゃるからまだきまらないのでしょうが、しかしなぜ問題になるのかということが私たち国民にはわからない。伝えられるところによりますると、これはもっぱら党内事情で、一、二の特定の人からぜひそうやるべきだというような進言があったから、だからその党内事情を考慮して、総理自身が出かけざるを得ない状況になつたのだろうといううわささへある。さらにはもっぱら党内事情であるらしいということは、党からだれか代表者を、たとえば大野副総裁をぜひ引っ張り出そうとしていろいろあなた方が画策をされた、しかしそれが失敗をしたので、それじゃやむを得ないから次にだれか、あるいは総務会長、あるいは政調会長とかというようなお話で、今は何か総務会長の石井さんにきまっているとかという、そういうもっぱら党内事情で、こういう問題が私議されているということは、われわれは非常に遺憾だと思う。さらに国会からも国会の与党の代表を連れて行くと言っておられる。これも私たちは、今までそういう例はないし、そういう愚なことは行なわれれるべきじゃないのじゃないか、これもわれわれは、もし国会に諮るというのならば、国会に事前に諮ることがむしろ当然ではないかというようなことをやかましく論議をして参りましたが、その際に、きまって政府側がお答えになることは、条約締結権は内閣が持っているのだから、行政事務としてやるのですから、必ずしも事前にお諮りをする必要はないのだということでもっぱら答弁をしてきておられる。それならば何も、これから諮る筋のものですから、国会から、しかも与党の議員をお連れになるという必要も毛頭ないので、もっとそこはすきっとした形でおやりになるべきじゃないか、そういう点についてわれわれは、国民一般も非常なけげんな気持ちをもってこの全権団の構成なり仕組みを見守っていると思うので、これらの点を、もう少しはっきり総理から御答弁を願いたい。
○国務大臣(岸信介君) 佐多委員の今の御質問は、何か私が調印するかしないかというのを、もっぱら党内事情によって考えているというお話でありますが、そうではなくして、さっき私が申し上げましたような意味において私は考えているということを、はっきりこの席で申し上げておきます。もちろん安保条約の問題につきまして、いろいろと党内において従来議論もありましたことも指摘されたところでありますが、党としましては党議を決定し、そうしてすべて全権団の構成等につきましては政府におきまして考えているわけでございます。 従来国務長官と他の国の総理とが調印した例があるかというお話でありますが、これも外交の従来の事例等も調べております。そういう例は少いことはこれは事実あります。従って、普通の場合において国務長官と外務大臣との間にされていいんじゃないかという御意見も私は十分頭に置いて考えるべきものであると考えております。しかし同時に、この問題については、特に反対党の諸君からも相当に強い批判がございますし、私は日本の、今後進んでいく一つの方向として、われわれが従来とってきておる日米協力の線において、日本の外交路線というものを、自由主義の立場を堅持するという一つのこの改定は意義を持っておると思う。こういう意味におきまして、内閣として、内閣の首班として私の責任を考えるときにおきましては、また特に考えていっていい問題じゃないか、かように考えて今調印するかどうかということを考慮しているというのでございまして、決して党内事情によって云々という考えではございません。
○佐多忠隆君 非常に大きな意義を持っているという点においては、私たちも同じように意義の大きなことは認めます。しかしそれがどういう意味を持っているかということは、おのずから違うと思う。しかし、いかに大きな意味を持ったにしても、総理自身が、外務大臣でない総理自身がこれに出かけていって調印をするというようなことは絶無ではないとおっしゃいますが、私の、少くとも寡聞にして知る限りにおいてそういう例は全然ないんじゃないかと思いますが、もしあったら具体的に一つお知らせを願いたいと思います。 それからさらに、先ほどから何べんも言っておりますように、与党の人を連れて、あるいは国会の代表といっても与党の議員をお連れになり、のみならず国会の代表という意味でなくて、与党の代表者をさらに連れていかれる、さらには、こともあろうに手を広げて財界の代表まで引っぱって連れていかれるというにおいては、事の重大さと、そういうものをかき集めるということとは非常に意味が違うじゃないか、そういう例も今まで相互防衛条約なり何なりの関係においてはなかったのじゃないか、こう思います。それから、もしそれじゃかりに総理が行って、総理が調印をされるという場合には、相手は、向うではハーター国務長官でなくてアイク大統領自身が対等に調印者になるということになるのかどうか、それが、そういうことがないということがきまっていて、総理と相手はハーターであるというならば、総理が調印するの調印しないのということは、初めから問題にすべきことではないし、それを問題にすることはあまりにも不見識であり卑屈ではないのか。私こう申しましても、今、非常に国際関係、特に日米の関係は重大であります。世界的にいって各巨頭会談がいろいろな形で行なわれておる時期でありますから、私はそういう意味で総理が総理として向うにこの際直接においでになって、アイクその他の諸君といろいろお話し合いになるということ自体は、私はちっともそれに対しては異議を申しません。それは時宜を得たものであるかとも思われますけれども、ただこの問題の調印に限ってはあまりにも不見識なんじゃないか、これを特に考えますがゆえに、そういうことを考えれば考えるほど、どうも先ほどから言ったように、もっぱら党内事情であり、さらには財界の諸君の動員の具にすぎない、こういう陋習、もしそういう習慣があるとすれば、こういう形の陋習はこの際破っていただきたい、こういうふうな感じを持っておのますが……。
○国務大臣(岸信介君) 今度の相互協力及び安全保障に関する条約におきましては、御承知のように経済協力に関する条項を入れております。そして私どもは、今後の日米の関係において、日米経済協力によって、日本の経済の発展を考え、繁栄を考えていきたいということを非常に重要なる項目として考えております。この意味において経済界の人を連れていき、なおその際に将来その協力についての根本等につきましてアメリカ側と話をしてくるということは適当であると考えて、私は財界から全権を委嘱いたしておる次第であります。 なお、先ほど申しておるように、私が調印するかどうかということにつきましては、私は考慮中であるということを申し上げて、そうして今佐多君の御意見のことも十分一つの御意見として私の頭にもある考え方であります。同時に、先ほど申し上げたような見地から、私自身が参る場合において、さらに調印することが私自身としてもこの条約の重要性にかんがみて意義あることだと考えておるわけであります。そういう点を考慮中であるというのが私の心境でございます。
○佐多忠隆君 もう一つ、ちょっと今のに答弁漏れがありますから……。 もし総理が自分みずから調印をされると決意された場合には、相手方はアイゼンハワー大統領だということが私は絶対の条件の一つだと思うんだが、そういうふうに総理もお考えになっているのかどうか、その点をはっきりしておいていただきたい。
○国務大臣(岸信介君) この点は、アイゼンハワー大統領は——アメリカの大統領はそういうものに調印するということをいたさないのでありまして、私が調印する場合におきましてもアイゼンハワーが調印するということを前提としての考え方ではございません。
○森元治郎君 では本問題に入って、まず事実関係について政府の見解を確認をしておきたい。この国連軍としてのアメリカ軍の海外出動についての政府の御答弁集めると、こういうことになります。口日本にいるアメリカ軍が国連軍として行動する場合も事前協議のワクに入れる。しかもその出勤は朝鮮事変にのみ限られる。この問題についてアメリカと原則的了解のもとに話し合いを進めている。国連協力を約した吉田・アチソン公文にいかようにこり趣旨を盛り込むか、その扱い方、形式は今後折衝して参る。最近この最後の点は、藤山外務大臣は衆議院の外務委員会で、現行の交換公文はそのままに残すと、しかし、残すが、その公文を再確認する別の公文、現行の公文中、今の時代にそぐわないようなものなどを若干手直しをして別個の交換公文を作るんだ、こういうことでございますが……。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 吉田・アチソン交換公文はそのままおきまして、それに対して新安保条約との関連を説明すべきこの交換公文を一つ作る、こういうことでございます。
○森元治郎君 それでは事前協議というのは一体どういう言葉——事前に相談をするということですが、これはいろいろ一般的な、また特殊な意味、いろいろあろうかと思うんですが、この問題に関する限り事前協議とはどういうことを意図しておるのか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知のように、国連軍としてのアメリカ軍は、現在でも現在の安保条約によって規制されておるわけでございます。今回安保条約が改定されますと、当然新安保条約によりまして国連軍としての米軍も規制されるわけでございます。と申しますことは、交換公文による事前協議がかかってくるということでございます。
○森元治郎君 政府の考えているところは、こうじゃないかと想像するんですが、現在は朝鮮事変の継続として必要だと思うから出動に同意していこう、これは国連協力という、国連憲章に従ってとる行動に協力するという建前から、朝鮮事変がまだ継続しているという建前で出動に同意していこうという意味だろうと思いますが、この点どうですか。大きな前提はそこにあると思うのです。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 申すまでもなく、今回の吉田・アチソン交換公文に示されておりますところは、国連軍を支持するというのが吉田・アチソンの交換公文の趣旨でございます。そうして国連軍のできましたゆえんのものは、国連総会並びに安保理事会における勧告によりまして決定いたされたものでありまして、そういう事態はわれわれも深く認めて参らなければならぬのであります。国連との協力の体制というものは、われわれはくずすことは適当でないと考えております。が、しかし個々の場合に「基づいての協力の点については協議をすることむろんでございます。
○森元治郎君 何か特にこういうことが必要とする新しい事態が予想されてのことか、これが第一点。 第二点は、政府の方の事前協議という考え方は、答弁をずっと前から読んで見ますと何か在日アメリカ軍が国連軍の指揮下に編入されたかどうかを事前に承知したい、いつ入ったかわからないようじゃ困る、それでそのまま出て行ってしまっても困るので、いつ入ったかというようなそのけじめですね、これを事前に承知したい、こういうふうな政府の現在の事前協議に対する理解の仕方とも見えるんですが、この二点を伺います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国連軍として行動するアメリカ軍というものが、どういう種類のものであるかということは安保条約に対しても関係がございます。従ってそういう点についても承知することはわれわれ必要だと思います。同時に新安保条約の適用を受けるわけでありますから、それらの出動その他についてもわれわれは事前に協議を受ける、こういうことになることは当然だと思っております。
○森元治郎君 政府の考えは事前通報ですか。事前協議を受けることという意床は事前通告、これを受けたい、こういう意味ですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 政府としては国連軍としてのアメリカ軍が、新安保条約の規制を受けるわけでありますから、従いまして交換公文における事前協議は、当然なさるべきものだと、こう思っております。
○森元治郎君 協議ではなくて、どう、も単なる通告が事前協議のような意味に解されるんですが、もう一回お伺いします。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今申し上げましたように、国連軍としてのアメリカ軍は、やはり新安保条約の規制を受けるわけでありますから、新安保条約による各種の条項というものはこれが適用を受けるわけでございます。ただ問題は国連軍協力の立場からして、その場合にはわれわれもできるだけ国連軍に協力していくという立場をとつていきたいとは考えておりますけれども、全体として新安保条約の規制を受けるということは申すまでもございません。
○森元治郎君 そうすると国連軍として行動する場合にも、事前の協議において、ととのわない場合にはお断わりすることもあり得るんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん事前に協議をいたすことでありますから、協議がととのわない場合もございましょうけれども、しかしわれわれの政府としては、できるだけ国連協力の立場は十分堅持して参らなければいけない、こう考えます。
○森元治郎君 そこで国連協力の立場をとっていかなければならぬ。しかし問題によっては協議をしてもらわなければならぬ。そこで私はよく冷静に考えて見ますと、特に事前協議ということを政府がうたっている気持は、何か特別の事態を想像した特別の場合、そのときに特に事前に協議したいとお考えになっていると思うので、そういう特殊な事態、これを私はたとえば条約の付属交換公文に、重要な装備の変更、たとえば核兵器というものを腹において、そういう重要な装備の変更の場合には事前協議とするということがうたってあると同時に、朝鮮事変に関してアメリカ軍が国連軍として出動する場合の事前協議には、何か三十八度線を越えるようなこと、そういうようなことを腹に含んで、それはちょっと困るよ、事前に十分協議してもらわなければ、たとえ国連軍といえども承知できない。あるいはそういう場合のときは、いろんな関係国、あるいは国連なりと相談してやらなければならぬから、それはいかに国連軍としてアメリカ軍が出るといっても、そういうことは許せない、困る、こういう意味が入っているのじゃないですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 何か特殊な事態を想定しているわけではございません。要するに、国連軍としての米軍は、新安保条約の規制を受けるという総体的な問題を考えているわけでございます。
○森元治郎君 それじゃ何でこの際特に国連軍としてというような問題を問題として提起したのでしょうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 旧安保条約がなくなりますので、むろん新安保条約がこれを規制するのだということを書き加えますことは必要だと思います。
○森元治郎君 これは特にアメリカ側の強い要請があったことは、これはもうどなたも知っていることなんで、私は政府の考え方はちょっと甘いのではないか、こういうふうに考えております。 そこで、時間もありませんから先へ進みますが、新たな交換公文が、この吉田・アチソンに関する新たな公文、新たな安保条約の成立に従って吉田・アチソン交換公文の効力を再確認するような、別の公文ができるそうでありますが、これは有効期限というものはありますかどうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 吉田・アチソン交換公文というものは、御承知の通り、朝鮮事変に関するものでございますから、朝鮮事変の処理が終息されますれば当然なくなるものであります。
○森元治郎君 安保条約と現在の交換公文との関係、これは条約として同じ効力を持つのですか。それから安保条約と交換公文は一体の関係にある、こういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 一体とまで言えるかどうかわかりませんけれども、国会の一緒に承認を得ている問題でございますから……。
○森元治郎君 一体と言えるかどうかというような、しろうとみたいな御返事は外務大臣から要らない。そこにはえらい条約局長だの法制局長官がいるので、条約上の見地から見てどういう関係になりますか。
○政府委員(林修三君) 御承知のように、古田・アチソン交換公文は、国会の御承認を受けているわけでございますが、これは安保条約と同じ議案として承認を受けているわけでございます。従いまして条約としてはこれも同じ公布をしている。そういう意味におきましては一つの取り扱いをしているわけでございます。内容的に申せば、もちろん可分な点がございますけれども、条約としての取り扱いは、一体的に扱っているわけでございます。従いまして、安保条約は新旧、今度改定される場合、当然にこの吉田・アチソン交換公文の効力、これについては再確認する。内容から考えても当然そういうことが必要じゃないか、こういうふうに考えております。
○森元治郎君 そうしますと、安保条約は十年という有効期限が書いてある。片方の新たな交換公文は、朝鮮事変が終わるまで一体のような性質のもの、同じく国会の承認を得た条約の一部をなすとまでは言わないが、きわめて安保条約と対等の立場を持っておるような条約、これの有効期限が違うじゃないですか。朝鮮事変が終わるまでが交換公文で、本条約は十年、おかしいじゃないですか。
○政府委員(林修三君) これは、結局今後の取り扱いになるわけでございますが、国連軍に関するこの吉田・アチソン交換公文は、御承知の通りに、朝鮮における事変あるいは安保理事会における決議が前提でございますが、この決議が効力がなくなれば当然になくなるものだということは間違いないわけであります。これは内容上当然そういうはずのものでございます。しかし、かりにそれが今後十年、十五年も続くということになれば、これは新しい安全保障条約がかりに効力が十年か十五年でなくなるという際にまたその手当てをすべきものだ、かように考えます。
○森元治郎君 朝鮮事変という、事変というものがなくなれば——具体的に言えば、かりに来年の十月なら十月になくなれば、そのときに新しい交換公文はなくなるわけですね。
○政府委員(林修三君) 形式的に形が残るといたしましても、内容がなくなるわけでございますから、実体的な効力がなくなるわけであります。
○森元治郎君 こまかい事実関係のお話はその程度にして総理大臣にお伺いしますが、そもそも朝鮮事変があるのだというこの問題、これについて政府とわれわれとの考えが違うようでありますが、今日朝鮮の動乱というものはない。それは今法制局長官が言ったように、紙の上ではなるほど国連の決議、安保理事会の決議、総会の決議などはありますが、それは実体がない。紙の上の記録である。南も北も現在は百平和です。しかも、いろいろ非難された北鮮とわが国との帰還者の送還の協定もできております。そして中共義勇軍というものも昨年撤退を完了しております。現在事実上朝鮮には事変というものはありません。ただ国連軍司令部は南にありますけれども、それは一つの象徴的な存在としてあることが一つと、政治的に見れば、アメリカが引きそこなって、引くチャンスを失ったのじゃないかと思うくらいに何かひとり立ちでおるだけで、事実上動乱は終わっている。この点はどうですか。
○国務大臣(岸信介君) 御承知の通り、朝鮮の事変が起こって国連において統一司令部を置き、また各国がこれに支持を与え、兵力を出して国連軍というものを編成して出したわけであります。その国連軍は、アメリカの軍隊のみならず、その他の国が出した軍隊におきましても、なお朝鮮、韓国に駐在しておることは御承知の通りでございます。また、これのもとである国連の決議、勧告というものは、これが取り消しをされておりませんし、本年の国連総会におきましても、朝鮮における国連の目的云々ということをやはり再確認をいたしております。こういうことから見まして休戦協定はなっておって、現実のいわゆる戦闘行為というようなものは行なわれておりませんけれども、この事態はやはり続いておると見るのが適当であり、また実際の現実がそういう状況でございます。
○森元治郎君 政府のただ一つのよりどころは、決議があるのだ、取り消しされない——それは取り消されない決議はたくさんありますよ。国連で今まで何十回決議をやったかしりませんが、取り消しをされないで残っておるものはありますが、しかし実体はなくなっておる。これが政治であります。実体のないものは取り上げていかない。それをどうも政府は無理に、決議があるからと、もう九年になります。満州事変が昭和六年にあって、そうして昭和十二年に支那事変の騒ぎが起こった。それから昭和十六年に大東亜戦争が起こるというふうに、どんどん事態が拡大していくようなときならば、これはこの効力も取り上げることもあるいは必要があるかとも思うのですが、現在は全然ない。休戦協定をやってから六年もたっております。しかも、休戦協定は、御承知のように、単に「撃ち方やめ」、また戦争をやるかもしれないが撃ち方やめ、ではなくて、あの協定の内容は、普通の国家間でいうところの講和条約とまではいきませんが、とにかく内乱でありまするから、それを協定したあの休戦協定は、大きな平和回復の措置であります。ですから、法律的にも朝鮮には動乱が終息したものだ、法律的に。事実は先ほど申し上げた理由……。政府の言い方を俗な言葉でわかりやすく言うと、今はやりの言葉で申し上げれば、近ごろ山登りが盛んであります。その山登りたちの言う言葉に、「あすこに山がある、だから登るのだ」——これは非常にはやってよく使っております。あすこに紙っペらが残っている。だから協力するのだ、これは政治ではないですがね。その点、もう一回御返事を願いたい。
○国務大臣(岸信介君) もちろん決議というものが、その決議の内容としておる実体がなくなれば……。これはただ、今、森委員の言われるように、一つの形式的な決議というものが残っているだけだというのでありますが、この韓国における国連軍の問題は、休戦協定はあったことは事実であります。それだから、事実上の戦闘行為は行なわれておりません。しかしながら、この勧告に基づいて作られたところの統一司令部というものは厳としてなお存在しており、これはアメリカたけじゃなしに、各国の兵力の提供ということも現実に行なわれておって、そして韓国に駐在をしておる。それは、国連の目的は、ここにおけるところの平和と安全を保持するために必要であるというなんで続いておる。こういう実体が残っておるのですから、単純な紙っぺらの決議だけがあって実体がなくなったという場合とはおのずから違うことは当然である。こう思っております。
○森元治郎君 しかし、当時国連加盟国は六十カ国からあった。参加したのは、少しばかりの看護隊を連れてきたような小さいのを入れても十六カ国、しかも、日韓における国際連合の車隊の地位に関する協定なんか見ても、これに調印したのは十一しかない。現在の実体は、国連軍司令部とおっしゃいますが、名前というものは残っております、看板だけは。実体はアメリカ軍であります。米韓相互援助条約に基づくアメリカ軍の駐屯約五万人、あとはトルコの兵隊その他でありまして、もう九〇%、九五%をアメリカのみがやっているだけであります。こういう実体を大臣はどう考えられる。内容はない。看板だけ。実体はアメリカ軍だけで、国連軍という、いわゆる通俗的にたくさんの国が平和の破壊防止のために参加した事態というものはなくなっている。それが、統一司令部、統一司令部と、ノミナルな統一司令部、象徴的な統一司令部だけで朝鮮事変が存在しているというのは、これは「山があるから登るんだ」と同じじゃないか。
○国務大臣(岸信介君) 先ほどもお答え申し上げました通り、もちろん朝鮮における一時の事態と今日の事態は違っていることは森委員のお話の通りであります。すなわち、休戦協定によって現実の戦闘行為というものが行なわれなく参なったわけであります。従って、あすこに駐在しているところの軍隊の内容につきましても、非常な大きな数であったのが、これがだんだん減らされていっておるという事実もありましょう。しかしながら、国連の勧告に基づいて決議に基づいて作られた韓国における国連軍というものは、やはり内容的には一時から見て少なくなっておるということ、ただ形式的の看板だけじゃない。現実に軍隊は残っている。そして、平和の確保と維持に努めておる、こういう事態、それをまた本年の国連の総会においても、やはり再確認をいたしておる次第でございますから、やはり続いているということは、現実の問題として当然考えなければならぬ、こう思います。
○森元治郎君 現実の問題として、朝鮮事変は存在しないというのが、私の建前であります。そこで、もし国連軍、アメリカ軍が国連軍として出動するというような事態に対処するのには、私はやっぱり新しい事態には新しい方式でなくちゃならぬかりに朝鮮で、朝鮮地区において何か事が起こった場合は、決して昭和二十五年六月二十五日の同じ事態ではない。場所も違うだろうし、参加する者、そのごたごたの様相一切が違うから、おそらくそういう事態が起きれば、国際連合で会議を招集するでしょう。そうしてその新しい会議の結果、しかるべき措置をとるのであって、あるいはまた、その新しい会議において昭和二十五年のあの三つの決議、これを援用するというなら援用するということになるかもしれぬが、いずれにせよ、新しい事態は、新しい平和の脅威とか、破壊とか、これの防止措置については、国際連合で当然会議が開かれる。そのときの会議の模様によって考慮すべきものであって、今から続きだといって、国連軍の出動を考えるというのは間違いだと思うのです。これはどうです。
○国務大臣(岸信介君) そういう新しい事態が起こって、新しい国連軍におけるところの決議や、措置が講ぜられるならば、これに対処してまた考えていかなければならぬということは、これは当然だと思います。
○森元治郎君 朝鮮の事態がないのですから、事態がないところへ国連軍として在日米軍の出動を考えるというのは、アメリカの強圧というのはどうかと思いますが、強い要請によって何かさせられただけで、特に深い意味はないと思う。そこで、国連協力というのは一体どういうふうに考えておるか。私は、政府のやり方を見ておると、アメリカと協力する、アメリカのいうことと一緒にやれば、それが即国連協力というのでは、非常に狭い考えで、間違いのもとであると思うのですがどうですか。
○国務大臣(岸信介君) もちろん、アメリカが言うことが、直ちに国連の言うことではないことは、言うを待ちません。われわれが国連憲章なり、国連の決議なり、国連の意向を尊重していくことが、国連に協力することであることは言うを待たないのであります。ただ、先ほどの森君の御意見でありますが、われわれはあくまで現実に休戦はしておるけれども、事態は国連軍の事態というものは存在しておる。そしてまた将来事態が起こったときに、新しい国連の措置が講ぜられればこれに応ずることは当然であるけれども、現在の状況において存在しておる国連軍に支持を与えるということは、日本の、国連憲章からいっても当然であり、また吉田・アチソン交換公文の趣旨もそこにあると、かように考えております。
○森元治郎君 日本のアメリカに対する協力、かりに協力というものが、施設の提供とか役務の提供で十分であって海外出動をエンカレッジするようなことは、定められたもの以上の協力であると思うのですが、どうですか。そんな義務はないとわれわれは思う。
○国務大臣(岸信介君) いわゆる朝鮮における国連軍の場合におきまして、日本に駐在しておる米軍が、国連軍として日本の基地や施設というものを使用するという場合におきましては、今度の新しい安保条約においては、いわゆる日本の国内におけるいろいろな行動について、日本の基地を使用する場合においては事前協議の対象になる、こういうことでありますから、そういう場合においては、朝鮮のこの国連軍においては、先ほど来議論した通り事実が存在しておるから、吉田・アチソン交換公文というものは、これを再確認していくのが当然、そういう日本の基地を使用する場合においては、事前協議の対象となり、日本と事前に協議する、こういうことに相なると思います。
○森元治郎君 吉田・アチソン交換公文のだめな理由を述べますから、大体内容が私が先ほどから言う新しい事態に合っていない。この内容をごらんなさい。「連合国最高司令官の承認を得て」という文字、それから現に戦争が起きていて、また将来起こるかもしれないというようなことは、あの当時の状況でやった内容でありまして、内容がもう事態に合わない、古くさい、そういう点が第一点であります。それでまた、その中に再びこういう国際連合の行動をしなければならぬという事態が起こるかもしれませんと思いますが、この交換公文の調印は五一年であります。昭和二十六年、休戦協定は五三年にできております。その間二年たっておる。ですから休戦協定ができなかった前の事態に適合する交換公文であるということは、これによってもわかります。 それから政府は安保条約と大体一体をなすような効力を持つという考え方のようでありまするが、私はこれを普通の政府当事者間の手紙の交換だ、政治的約束ではないからやめてもよいし、従ってまた条約の違反にもならない。第四点は、新しい安保条約ができるそうでありますから、これに付随する従たる公文は、特別な合意をしなければ効力を失う。ですからこれを合意をしないでうっちゃっておけば効力を失うのでありますから、この際これに新しい生命を吹き込むことはない。しかも第五点は、日本が今度は、国連の加盟国になったのだから、そういう新しい事態から出発すべきである。当時この公文を結んだころは、占領下でイエス、ノーという選択の自由がなかったのであります。新しくなったから再出発すべきである。しかも、国連軍の実体はありません。司令部は朝鮮に国連旗を持って行ってしまった。こういうような五つ、六つの理由から、交換公文というものを取り上げる必要は毛頭ない。客観情勢の変化を考え合わせて毛頭ないと思いますが、これに違いますか。内容が古いというが、調印したのは五一年ごろ休戦協定が予想されなかったこと、それから安保条約とは一体ではない、政府間の手紙交換だから、やめたっておかしくない。条約違反にはならない。新しい安保条約ができる際に、特別の合意をしなければ付随する公文はなくなるのだから、そのままこれを凍結してしまう。廃棄と言わなくたって自然に効力を失うのですから、そういうのが政治じゃなかろうか、新しい生命を吹き込む必要はない。加盟国になったのだから再出発すべきである、こういうことであります。
○国務大臣(岸信介君) 古いから云々ということでありますが、なるほど、今これが交換された年は五一年であり、その後において休戦協定が起こっておりますが、現在吉田・アチソン交換公文というものは効力を持っておって、日米関において有効に存在しておるものであります。法律的の関係はなお補足してもらいますが、先ほど法制局長官がお答えしたように、現行の安保条約と同時に一体としてこの交換公文が国会の承認を受けております。従って、今お話しのように、安保条約が全体として全面的改定をする場合におきまして、新しい措置を講じなければ自然消滅になるような解釈をした。従ってわれわれの交渉においては、さらにこれを再確認するところの新しい交換公文を作っていくということであります。根本において出直すべきであるとか、あるいは事態が変わったからどうだという御議論は、先ほど来申し上げた通り、私どもはやはり国連に入っている、入っていないにかかわらず、この趣旨が国連の決議と勧告に基づいてできている、国連軍に対して協力していくという趣旨から、吉田・アチソン交換公文というものはできているわけです。これを支持してやはり新安保条約におきましても同様の趣旨において協力していくということは、これは私は当然のことである、かように思っております。ただ、現在の安保条約においては、国連軍の行動という、米軍が国連軍として行動する場合において、何も、域外に出かけていく場合におきましても、日本の承諾を得るとか、事前協議するという問題はございませんけれども、今後においては、そういう場合においてやはり新安保条約によって事前協議をすべき事項は当然事前協議していくべきである。これが利時代に応ずべきことで、交換公文をわれわれにおいては安保条約の改定に際して、そういう立場においてこれをみえていくことが適当だと、かように思います。
○政府委員(林修三君) ただいま総理から御答弁になりました点以外、多少、今森委員から仰せられました法律的な点に関連することについてお答え、いたしたいと思います。この吉田・アチソン交換公文は、先ほど申し上げました通りに、わが国においても、結局安保条約と一緒に国会の御承認を得ておるわけであります。従いまして、単なる行政機関の行政取りきめ的なものとはわれわれは扱っておらないわけでございまして、国会の御承認を得た条約の一部をなすものと、かように考えております。 それから内容の点におきましても、確かにこの交換公文の前文は一九五一年における実態を書いたものでありますが、御承知の通り第二段、後段は「将来は定まっておらず」云々ということは、現在においてもなおそれが現実にすぐ動くか動かないかは別としまして、適用すべき内容を持っておる。従いまして、今後においてこの取り扱いをさらに延ばすかどうかということの対象になり得るわけでございます。それからもう一つ、これをほっといても条約違反にならないというお説でございますが、条約違反という問題は、どういう御趣旨かわかりませんけれども、実は御承知の通りに、この吉田・アチソン交換公文を受けまして、日本における国際連合の地位に関する協定、軍隊の地位に関する協定というものができております。これは御承知の通りに、条約の方は、終期は、いわゆる朝鮮から撤退した、すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退するまでは実は効力を持つような形になっております。従いまして、これと合わせる意味におきましても、どうしてもやはり吉田・アチソン交換公文は、今後においても少なくともそれまでは効力を持たせておかなければ均衡がとれない、こういうことにもなるわけであります。法律的に申しましてもそういうことになるわけでございます。実態的には今総理が申された通りであります。法律的にもそうなるのではないかと思います。
○理事(井上清一君) 森君に申し上げますが、先ほどの理事会のお約束もございますので、もう一問だけの御質疑をお願いいたしたいと思います。総理に対する質疑はそうお願いいたしたいと思います。
○森元治郎君 委員会は十時四十分から始まりましたので、私やっているわけですが、ちょっと初めが少しおそかったようですからもう一点だけ……。今の法制局長官の御答弁をやり合っていると時間がないから、これはまたいずれ機会をあらためて。そこで、今問題になった日本国における国連の軍隊の地位に関する協定、そういうものがありますが、これは実態から見てもうなくしてもいいのではないか、これは多数国間の協定だから簡単にいかないかもしれないが、第二十五条に、すべての国際連合の軍隊が二十四条に定めた期日前に日本から撤退した場合にはこの協定は撤退を完了した日に完了する。現血目川本におるのは、この間政府側から答弁があったように、立川、座間におるリア・コマンド、後方司令部の連絡将校、立川におる隊の輸送隊、座間にいる連絡将校全部を合わせて百数十人だそうでありますが、それを朝鮮の国連冠司令部へ持っていったり、持ち返したりするためにいるのだと思うのですが、実態は全部日本から引き揚げてしまった。引き揚げてしまった以上、こういう協定はやめてもらうのが当然じゃないかと思うのです。もう引き揚げてしまった。いない。しかも、現在おるのはアメリカ軍が在日米軍としておるので、これは国連軍ではありませんから、国連軍の日本における軍隊の地位の協定は、これはもうやめるべきときにきた。これはどうですか。
○政府委員(林修三君) 実態は、あるいは外務省からお答えすべきかとも存じますが、私の聞いておるところでは、なお日本にはごくわずかの人数でございますが、今いるといわれております。おるはずでございます。従いまして、この国連軍の地位に関する協定の二十五条の要件が、まだ満足されたというわけにいかないのでございます。従いまして、今直ちにこれを関係国の協議に持っていくわけにもいかないと思います。
○森元治郎君 ちょっと総理から。むずかしいかもしれません………。
○国務大臣(岸信介君) 半過ぎましたから、失礼さしていただきます。
○森元治郎君 御相談してもけっこうですから……。日本国における国連軍の地位に関する協定というのは、もう連合国軍隊なんという、そういうものはとっくに行ってしまっておりません。こういうものはもうなくすべき措置をとるのが当然だと思う。
○国務大臣(岸信介君) 私今聞いておりますと、今非常に数は減っておるけれどもまだ存在しおる。従って、国連軍の関係の者が今少数なお日本におる。従って、その限りにおいては、この協定は存在する、こういうふうに政府としては考えております。
○森元治郎君 それは国連軍と言えるかどうか。原文で見れば、フォース、つまり立川におる輸送隊とか、ばらばらの連絡将校というものは国連軍のフォースではないと思う。だから、国連軍はいないと私は申し上げておるのですが、どうですか。
○政府委員(林修三君) 非常に人数が少ないようでありますが、やはりこの条約の適用を受けておるものでございますから、これはやはり国連軍の一つの形をなすものと、かように考えざるを得ないと思います。輸送隊というものは、一つのやはり部隊でございますから、これを個々の軍人がいるというわけにはいかないと、かように考えるわけでございます。
○森元治郎君 私は、国連軍という場合に、今おっしゃった隊の輸送隊というのは、地上整備員かパイロットか知りませんけれども、そういうものは軍隊であるかどうか。いわゆる軍隊の定義は何だという話になると、これは何時間でもあなたにおっしゃられてしまうから言いませんが、軍隊というものではない。しかも、各条項について問題があったら合衆国政府当事者間で相談しろ、日本とアメリカで相談しろと書いてあるのです。この措置は当然とるべきだと思う。
○政府委員(林修三君) これは実態について私も詳しく知っておるわけではございませんが、やはりこれを一つの国際連合の軍隊と扱わざるを得ないような実態になっておるようでございます。それと同時に、この二十五条は、御承知の通りに、いわゆる一つの要件があるわけでございまして、朝鮮から国連軍が撤退した場合と、それからもう一つは日本からすべて撤退した場合と二つがございますが、日本から撤退するのは、やはりほんとうの意味で完全撤退すれば、これは問題ないわけでございますが、今言ったような若干の者がある。なお、理屈としては、朝鮮におりますから、朝鮮との問にいろいろまた行き来をして、日本に後方司令部というようなものを作り、輸送隊を置いているわけでありますから、今の状態では、この二十五条を直ちに適用する状態にはなっていないのではないかと思います。
○森元治郎君 大臣、そういうものは、少しばかりごみみたいなものを残して、国連軍との協定を残すのではなくて、やはりそういうものは何かの形できれいに清算されることが必要じゃないかと思うが、その点どうですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今森委員はごみみたいのものと言われますけれども、ごみにしても、何にしても、実態があります以上はやはりこれがあるべきが適当だと考えております。
○森元治郎君 吉田・アチソン交換公文を再確認するのですがその中にある極東というのが朝鮮に限るという、こういう趣旨でございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) われわれは、吉田・アチソン交換公文というものは、現在まで続いております朝鮮事変に関するものという解釈をとっておりまして、当然そうあるべきでございます。
○森元治郎君 これを要するに、どう見ても今総理から御答弁があり、外務大臣から御答弁があったけれども、こういう古証文を、ほこりをはらって引き上げて再確認していくということは、政治的感覚からいって私はおかしいと思う。これはうんと抵抗してもおかしくない。非常に抵抗しやすい問題だと思う。何でもイエス、イエスと言っているのは、ほんとうの友だちじゃなくて、たまにはきついことを言うのが、相手の尊敬を受けるのです。こういうのは解消するように食ってかかるくらいのところが政府になければならないのだが、政治感覚がないから、これ以上質問はやめます。
○吉田法晴君 一点だけ。じゃ、国連軍の出勤に関連をしてお尋ねしたいのですが、この前のときも、それから先ほどの同僚森委員の質問に答えての朝鮮への国連軍の出勤についても、事前協議の対象になるのだ、そしてそのことについてこの前のときに日米間の了解を得ているのだ、こういう御答弁でしたが、この前の答弁の直後、米国側の意向として国連軍出動に対しては事前協議のワクに入り、あるいは制約を受けるということは、アメリカ側としてはこれは欲しないところだ、事前協議の対象になるかどうかという問題は、政治問題になるだろう、こういう報道がございまして、日米間に協議が成立をしておるとは、これは客観的に見えないと私どもまあ判断をしたのですが、その点はいかがでしょう。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私が御答弁申し上げております通り、新安保条約の規制を受けるわけであります。当然事前協議がかかることに話がついております。
○吉田法晴君 この前の速記録を読んでも、その点は少しぼけておるのですが、朝鮮の場合、それから台湾その他国連の決議がない事項等についても、これは完全に協議の対象になるんだという合意が成立しておって交換公文、新しい吉田・アチソン交換公文の内容を引き継ぐ交換公文の問題として全然問題はないのですか。はっきりそれを否定しておる報道が向こうからあるのですが、それでもやはりもう全然話し合いはなくなって、あとは協議をするだけだ、交換公文についても協議をするだけだ、こういうことですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 話し合いがついておりましてただそれを文章に書きますことが、条文化することがまだ残っておるという点は、条約と同じでございます。
○吉田法晴君 そうすると条約の点については、案が新聞には報ぜられている。しかし、交換公文の点については、最後に残っておる問題だというように、この前答弁された文章がどうなるかという点に非常に問題があるわけですが、その文章になっておらぬという点は、内容の分を含めて問題が残っている、あるいは折衝が残っている、こう解釈すべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 問題点につきましては、すでに了解がついております。ただ、それを文章に書きますことが、条約においても交換公文においても、以前に申し上げておりますように最終的にまだ完全にできておらぬのでありまして、新聞紙等に出ております条約というものは、完全にわれわれの書いているものと同じものとは申し上げかねます。
○吉田法晴君 そういう意味においては、交換公文に関しては完全な合意に到達しておらぬと私どもは少くとも解せざるを得ないと思うのですが、先ほど来森委員から質問をいたしました国連協力という点から、協議と言っても形式的に協議がなされるだけであって、国連軍協力という建前からして、朝鮮の場合においては協議を拒否することはおそらくないのじゃないか。だから実際問題として形式的に通告その他はあるかもしれぬけれども、拒否を含む協議ということは、これは実際にあり得ぬじゃないかというふうに私ども考えるのですが、その点はどうですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国連に協力するということは、日本の外交方針でございます。ただ、実際の協議の場合にどういうふうにその問題を扱っていくかということは、そのときの問題だと思います。できるだけわれわれむろん国連精神に沿って協議していくことは当然でございます。
○吉田法晴君 協力という建前があり、それから今のようなできるだけ協力をしたいという気持があったら、実際に協議というものはこれは形式的なものにしかすぎぬでしょう。特に今までのこれは安保条約、それから今までの吉田・アチソン交換公文というもので実際にやってこられたのですが、国連軍の場合には、全然日本が知らない場合に、知らない事情のもとで、あるいは朝鮮人、あるいは韓国からも、国連軍の範囲内だということであろうと思うのですが、韓国の軍人も日本の基地にやってくる、あるいは訓練を受ける。そういう場合に全然通知がなかった。あとから指摘をされて問題になったりしておる点から言っても、実際には、何の規制も国連軍の場合にはなかったじゃないか。こういう実態から考えて、今後の国連軍出動について協議をする云々ということだけれども、その協議の内容、あるいはそれが拒否を含むという解釈をされるけれども、実際には協議も何もない。あるいは規制をするということ、拒否はもちろんのこと、行動について規制をし得るのではないではないかということが私どもの心配であり、実際なんです。これは今までの答弁で私どもが認め得るところでございますから、私どもはそう認めざるを得ない。従って国連軍云々ということで、新しい事態だと思うのだけれども、政府の方から言えば続いている朝鮮事変、あるいは動乱ということで勝手な行動がとられ、あるいはそれから関連して日本が戦争にまき込まれる危険性が多分にあるということを、私はこれは認めざるを得ないと思う。まあ答弁はよろしゅうございますから、また別の機会に……。
○羽生三七君 私簡単なことですが、今のお話の点の吉田・アチソン交換公文を新しくする場合に、文章の具体的な問題はとにかくとして、内容的にはこういうようなものだということをある程度お話し願えませんか。もうこれで外務委員会も終わって、縦議院では来月の適当な時期に本会議を開いて、そこで総理の所信表明を求めるというようなことを言っていますけれども、これは確定的に行なわれるかどうかわからない。そうであるとすれば、外務大臣がこのまま渡米されることになるので、他の点は大体承知しておりますが、今の点だけは、もうちょっとわかっておったらお願いします。
○国務大臣(藤山愛一郎君) はっきり申し上げまして、吉田・アチソン交換公文はそのまま残って参ります。これは新しく、吉田・アチソン交換公文そのものは新しく書き変えることはございません。ただ、それと新安保条約との関連の問題につきまして、別個の交換公文が一つ作成される、こういうことでございます。
○羽生三七君 その内容は。
○国務大臣(藤山愛一郎君) その内容は、先ほど来申し上げております通り、国連軍としての米軍であっても、新安保条約の規制を受けるということが書かれることになるわけであります。
○理事(井上清一君) よろしゅうございますか。 それでは、本日のところ、国際情勢等に関する調査は、この程度で打ち切りまして、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十二分散会