外務委員会 第8号
- 発言数
- 336 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/11/30
会議録
○委員長(草葉隆圓君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について報告いたします。 一昨日曾祢益君が委員を辞任され、その補欠として東隆君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(草葉隆圓君) 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案(本院先議)を議題とし、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。政府側からは、ただいま藤山外務大臣、金山欧亜局長、内田官房長、北原参事官が出席いたしております。
○加藤シヅエ君 今度わが国では、ルーマニア及びブルガリアに在外公館、公使館を新設されるということにつきまして、せんだって御説明を承りました。この三つの国は、これはソ連の影響下にある国であると私は承知いたしております。今までも、ソ連の影響下にある国に在外公館を持っておりましたけれども、この機会に、特に外務大臣に承りたいと思います点は、今日はいわゆる冷戦の時代である、あるいは雪解けになりつつあるとかいうようなことがいわれておりまして、一応火をふくような戦争の危険は今すぐ目前にないというような状態になっておることは、これは、お互いに非常に安心いたしたわけでございますけれども、このソ連圏の国というものは、一貫したイデオロギーを持っているわけでございます。このイデオロギーを持っている国に日本が在外公館を置きます場合には、そこに送られて参ります日本の代表というものは、やはりこうしたソ連圏のはっきりしたイデオロギーというものを十分に見ていく。理解していく。それと、そのイデオロギーのもとにない国とどういう違いがあるかというようなことに対して、十分に見る目を持ってもらわなければなりないのだろうと、私はこう思うわけでございます。この点は、後ほど総理大臣にもいろいろ伺いたいと思っておりますけれども、外務大臣に特に伺いたいことは、こういう今日はイデオロギーの思想戦の時代に入ったということになって参りますと、在外公館に勤務されます大使、公使、あるいはそこに働かれる館員の方々、あるいは末端の書記その他の方に至るまで、ソ連圏では全部一つのイデオロギーをもって武装している、これに対して何らはっきりしたイデオロギーの持ち合わせのないような者がそこにおるということは、これは戦いにならないと思うのでございます。こういうことに対しまして、外務大臣としては、これからこういう国々に送られる、勤務される方々、こうい一方々にどういうような訓練をお与えになることを考えていらっしゃるか。今まで外務省には、何か研修所とか何とかいう、何か訓練をなさる施設がおありであるということは承っておりますけれども、そこではどういう訓練を与えていらっしゃるか。訓練を受ける者は、どういう程度の地位にある方が訓練を受けるのか。若い方だけが受けりのか。それとももっと、大公使級の方も一つの訓練をそこで受けられるようになっておるのか。もし訓練を受けられるならば、その内容はどういうものであるか。こういうようなことにつきまして詳しく伺いたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま御質問のありました点についてお答え申し上げますと、今回、御承知のように、いわゆる東欧の鉄のカーテンの中の国々と今回正常な関係になりましたことによって、これらの国と全部、鉄のカーテンの中と申しますか、東欧諸地方と申しますか、それとの修交関係が始まることになったわけでございます。従って、議題として御審議願っておりますように、設置法を改正して、公館を作りたいということでお願いしておるわけでございます。むろん、この在外公館に勤務されます者としては、これは、共産圏内ということだけでなしに、自由主義圏を含めて、世界のあらゆる国に対しまして出します外交官が、品位からいいましても、教養からいいましても、あるいは国際情勢に対する判断の力からいいましても、十分でなければならないことは申すまでもないのであります。御承知の通り外務省は、終戦後ほとんど外務省としての機能を失いまして、ことに占領下はほんとうの機能が発揮されていなかった。でありますから、新しく平和条約ができまして、そうして独立国としての立場で各所に公館を持ちます場合には、やはりそれを充実して参りますためには、人数においても、あるいは組織においても、十分人もふやし、あるいは素質も向上させるということを考えておらなければならぬと思っております。それが研修所を作った一つの理由でもございまして、研修所のこまかいことについては、官房長の方からあとで御説明申し上げますが、そうした訓練をしていかなければならぬのであります。各国のいろいろ外務省に勤めております人たちの研修方法というようなものについては、まあいろいろそれぞれの国が考えておるわけでありまして、ある場合には、相当な試験制度を経て昇格していくというような制度をとっている国もあるように存じております。でありますから、そういう意味におきまして、今後再建外務省という立場から見て、いろいろ充実していかなければならぬ点は多分にあろうと思っております。ですから、そういう意味において、今後やはり外務省の機構の上に立つ人事、あるいはその人事の考え方というものについて、こうなって参りますと、相当に将来を考えていろいろ施策をして参らなければならぬのではないかというふうに、私自身もまあ考えているわけなのであります。今の研修所というのは、ごく若いと申しますか、そういう人に対して初歩的な訓練をしているにすぎないと申し上げても差しつかえないと思います。そういうような、一般的な外務省に勤めております者の素質の向上ということを考えて参ることが大きな前提だと思うのであります。共産圏に出す者に対して、いろいろな意味で、何か特別の施策を持っておるというようなことを特に考えてはおらぬのでありまして、やはり一般的な向上された素質の上に立って、公平に物を判断し得る能力を持っている人であれば、特別に何か限られた状況下にあるという選任の条件を付するということは、私は考える必要はないのではないか。ただ、それぞれの国によりまして、言葉の関係などいろいろございます。従って、まあできるだけ若い、かつ、実際に下で働くような人については、これは任地国の言葉というものに対して十分習熟したような人を多く集めていくということは、これは一つの考えねばならぬことだと思うのであります。それからまた同時に、上の方に立ちます人についても、その国の事情によって、フランス語にたんのうな者、英語にたんのうな者、あるいはスペイン語にたんのうな者、そういうようなおのずからの、ある程度の人事配置における考慮は、これは当然やる必要があるのだと思っておりますけれども、現状においては、必ずしも全体の必要人員が少なくないわけでありますから、適切にそういう言葉の上での関係から配置するということがむずかしい場合も現にございます。ですから、必ずしもそういう意味では理想的に参らぬと思います。ただ、これは私の考え方ですが、あまり同じように片寄って人事が行なわれる……これは二つに考えが分かれると思うのですが、ある一つの国、ある一つの地方、たとえばヨーロッパならヨーロッパ、アメリカならアメリカ、あるいはアジアならアジアというふうに、その人の経験による才能を生かす意味で、ヨーロッパならヨーロッパにずっと若いうちから赴任し、あるいはそれに習熟して、情勢判断を経験的に積み上げていくという行き方も一つの方法だと思うのでありますが、しかし、それかといって、ヨーロッパ勤務が非常に長引いて、アメリカに行ったこともないというようなことでありますと、この時代にはやはり適当ではないのではないか。アメリカがどう考え、アメリカがどういう状況にある、国民生活はどういう状況にあるかということを知って、ヨーロッパの経験が積まれればなおいいのじゃないか。そういう意味がやはり共産圏に対しても一般論的に考えられるのじゃないか。ただし、これはあまりそういうふうで、世界各地でできるだけ経験させることの方がいいのだということで、あまり各地を回って歩くだけになりますと、やはりそれぞれの地方に対する知識なり経験なりというものあるいは国民感情なりというものに習熟しにくい点もありますので、そこいらのかね合いと申しますか、配合といいますか、そういう点は、二つのいずれも長所があるわけでありますから、その長所をできるだけうまく結び付けてやるのが外務省人事の非常に重要な点じゃないかということをわれわれ考えるわけであります。そういう点を考慮しながら、人事全般にわたって考慮していきたいと思っているわけであります。特に共産圏だからこういう人でなければならぬ、自由主義圏だからこういう人でなければならぬというような、そういう区別はいたしておりませんけれども、今申し上げましたような観点に立っていろいろ考慮しながら、人事はやって参らなければならぬ、こういうように考えているわけなんです。
○政府委員(内田藤雄君) 研修所のことにつきまして簡単に御説明申し上げます。 研修所は、理想から申しますと、まだわれわれがやりたいことをたくさん持っておりますけれども、現状におきましては、外交官試験を通りました者が一組、それから中級試験と称しておりますが、その下の試験を通りました者が一組、それから中間的と申しますか、一たび在外勤務をいたしまして、帰りまして、なお多少国内のことについて研修を要するというような者を一組、それから御承知のように、ただいま通産省、大蔵省を初め各省の方が在外勤務される機会が多くなってきております。この方々を主たる対象にいたしまして、たしか日本銀行まで入っていると思いますが、大体官庁の方でございますが、在外勤務をされます前に一応の研修を行なう、大体そういうことを現在の研修所はやっております。
○永野護君 ちょうど今、官房長からお話のあった研修所のことでありますが、私は、外国に出まして、日本の事情のこまかいことを一々勉強する、そうしたチャンスのない外国に派遣される方に特にお願いしておきたいのは、日本の経済の実態に関する認識を十分にさせていただきたい。たとえば、鉄鉱石の出る所へ行ったら、日本の鉄鋼業は一体どうして成り立っているかというようなこと、それが向こうでいろいろ交渉される一つの資料になると思うのですけれども、私が従来聞いておりますところでは、一通りの日本の経済の概念は、常識の程度は持っておられますけれども、各産業別に、一体どんな日本の経済は運営になっているかというようなことについては、あまり勉強しておられない人が多いように思うのであります。大体論から言いましても、戦争に負けて、全く生産力のないと言っちゃひどいかもしれませんけれども、非常に乏しい四つの島の生産力で、九千万人をどうして養っていくかという基本的な問題に関する勉強と、それから今度は、各産業別に関する勉強と、その二つを十分に頭に入れておいてから外国へ出していただきたい。こう思うのでありますが、ほかのものもむろん大切でありますけれども、現在の日本経済の勉強は、研修所ではどういうふうにしておられるか。その全体の理論、それからたとえば各産業、繊維業あるいは鉄鋼業の当事者あたりを呼んで、その実務の説明なんかされるような、ゼミナール的のものでもいいのでありますけれども、そういうような研修所における訓練をしておられるかどうか。ちょっとそれを伺いたいと思います。
○委員長(草葉隆圓君) ちょっと申し上げておきまするが、共産圏の在外公館という問題を中心にしての一つ御答弁をお願いした方がいいと思います。
○政府委員(内田藤雄君) 簡単にお答え申し上げます。 ただいまの点は、われわれとしても非常に痛感しておるところでございますが、ただ、現在研修所でそれをやっているかという御質問でございまするならば、研修所ではあまりやっておりません。ただし、研修の期間中に国内の旅行のチャンスがございまして、そういうときには、なるべく工場などを見に参るようにいたしておりますのが一つと、それからもう一つは、研修所とは別でございますけれども、定期に課長及び課長補佐ぐらいのものをグループを作りまして、と申しますのは、一度入ったときに見たというだけでは足りませんし、どんどん進歩もして参りますから、課長あるいは課長補佐ぐらいのものをグループを作りまして、工場などに出すとか、あるいは鉄鋼とか繊維とか、おもな産業の方においでいただきまして、そのグループを中心にして講義――ゼミナール式のものを開く、そういうやり方をしております。
○加藤シヅエ君 今、外務大臣から御答弁いただきましたのですけれども、私は、非常に満足できないわけでございます。それは、外務大臣の御答弁は、在外公館で働く者の素質あるいは一般的な知識の向上、それから、ある特定の国だけに限られた知識を持たないで、世界全体の国々に、各所に転勤して、広く国情、民情その他に通じなければならないとおっしゃいましたことは、これは私もごもっともだと思います。もとより素質が向上されなくちゃいけませんし、語学も十分でなければいけませんし、世界全般にわたっての知識を身につけていなければ、外交官としての役割が勤まらないと思いますけれども、私は、このソ連圏の在外公館が今度新しく新設されるのを機会といたしまして、また同時に、今一応冷戦の緊迫感というものが解けて、今度は思想戦の時代に入ったということは、この間フルシチョフのアメリカ訪問でも、フルシチョフ自身がはっきりと各所におけるインタビューその他で述べていることでございます。そういうことに対しまして、ソ連圏の人はどこの国におりましても、はっきりしたソ連のイデオロギーということで、それを身につけて、二十四時間その目的のために働いておると思います。これに対しまして、いわゆる自由主義陣営と申しますか、ソ連圏以外の人は、そういうはっきりした目標というものを持っていないと思うのです。それで、もとより日本の在外公館の代表者は、自分の祖国のために尽くす、この考えで行っているに違いないと思いますけれども、それだけではまだほんとうに十分ではないので、ソ連圏の方のイデオロギーというものは世界征覇のイデオロギーである。これに対して何らこちらが、単なる反共というものでは、当然これは立ち向かうことができないと思う。これは弱いと思います。これに対してやはりはっきり、デモクラシーというものにはどういうイデオロギーがあるかという、ただ自由勝手なことをするのだとか、あるいはある国では自由主義で勝手にやればいいとか、ある国では王政をとって、それでやっていても、これがデモクラシーであるとかいうような、漫然たるそういうような考え方でいるということは、これは、長い将来においては必ず受身のものが負けていく、攻勢に出ていくものが勝っていく、これが今まで、最近の世界情勢を見ても、外務大臣十二分にごらんになっていらしゃることだと思うのです。 それで私は、そういう意味で、こういうようなソ連圏の中に在外公館ができましたのを機会に、もう今の研修所というようなものの機構が若い人の、ごく技術的な訓練であり、あるいはごく初歩的な訓練の知識である、こういうものでは、それは十分ではないかもしれません。そういう機構を私が申し上げているようなことに使うには十分でないかもしれませんけれども、あるいは外務大臣が、新しくこういうものの必要になった時代だということをお考えになって、そういうものをお作りになるというようなお考えはないかどうか。それは、何もソ連圏に派遣される外交官に限ったことではございません。自由主義国、どこにいる者でも、やはり全世界にわたっての思想戦の時代であるという認識をはっきり持たなければならないのだということを外務大臣もほんとうにお考えになっているかどうか。その点をもう一度伺いたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいまの御質問、まことにごもっともな御質問でございまして、むろん日本が自由主義陣営――自由主義を信奉している国であり、そうして今お話のように、ソ連が共産的なイデオロギーを世界に出す、世界に対して何といっても共産主義の侵略的な考え方を持っているのだ、それに対抗する日本の外交官としては、もっと明瞭な意識を持って共産圏に駐在しなければいけないのじゃないかというお考えについては、私も同感だと思うのでございます。むろん今日外務省に勤務しております者が、そういう意味において明瞭な意識を持っているということを私は確信いたしておりますけれども、しかし、御指摘のように、今後やはり実際の武力戦がだんだん考えられなくなってきて、思想戦なりあるいは経済戦になっていくというようなときになってきますと、思想的な立場もはっきり持っていく、また、経済的な見通しその他についてもはっきりしたものを持っていくということは、お説の通り私は必要な点だと思います。従って、そういうことに対して今後どういうふうな施策をするかというと、今すぐにこういう施策をするとまでは申し上げかねますけれども、しかし、そういうことに対して十分私どもとしては心して、日本の外交官にそういう面における資質の確立と申しますか、そういうことを一つお説の通り考えて参りたいと、こう思います。
○加藤シヅエ君 外務大臣に対して、ルーマニア及びブルガリアの在外公館についての質問は一応私はここで打ち切りまして、今度はマニラの総領事館設置のことについてなお続いて伺いたいと思います。フィリピンとはすでに賠償の問題も取りきめができて、今これが進行中である。こう思っておりますが、進行状況はどういうふうでござい面すか。伝え聞くところによりますと、賠償をめぐりまして、直接間接、政治的にあまりおもしろくないようなうわさも耳に入るのでございますけれども、そういうようなことにつきまして、やはり賠償というものは、日本の国民のほんとうの戦争に対する謝罪の意味と、そうしてそのために血税を払っているわけでございますから、あくまで賠償の目的がほんとうに正しく、フィリピンの人々に日本がこれだけのことを犠牲を払ってやっているということが伝わるように、この賠償の目的が達せられたいと思います。ことに総領事館ができるというようなことは、さらにそういうことのためにもう一段と外務省がお力をお入れになることだとは思いますけれども、なおもう少し具体的な、賠償の進行状態がどういうふうであるか、その目的が十分果されているかどうか、あるいは何か果されないような懸念があるならば、それに対してどういうようなお考えでお進みになるか、その辺もあわせて承りたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) フィリピンとの賠償の経過は、詳しいことにつきましては、いずれ政府委員から御説明をいたさせます。 賠償自体は、御承知の通り、直接賠償であるわけでありますから、向こう側がこういうものを賠償でもらいたいというようなことを年次計画によって申し出て参ります。それに対して日本としては、御承知のように、特に外貨の負担が余計かかる、あるいは何か契約上の不当な問題があるというような問題については、一応認証の際に日本側としてこれを審査いたしますけれども、どういうものをどういうふうにやるかというような問題については、向こう側の意思を尊重してやりまするのが、日本が快く賠償を支払います上の善意の表われになってくると思います。でありますから、そういう立場でもって賠償の実施にあたっての仕事を運営しておるわけでございます。賠償のことでありますから、向こう側の政府のいろいろな要望がそのときどきに変わってくることもございます。従って、年次計画等を向こう側が作成する場合に、日本側に提出する前に、向こう側の各省と申しますか、政府間あるいは民間等で、こういうものを賠償で、年次計画で要求したらいいじゃないか、ああいうものをしたらいいじゃないかということは、それぞれの政府内部におきましてもいろいろ議論があるようでございます。また、政府と民間との間にもいろいろな議論であるようでございます。従って、それらのものもまとまって出ましたときに、向こう側の国内事情としていろいろな意見があるのが何か反映して、そして若干もらいたくないようなものを賠償で要求しているのだというような声が起こる場合もあるようにわれわれは思います。しかし、一応東京で設置されております向こうの賠償ミッションの最終的決定を見て、われわれとしては実施計画をきめて参ります。その実施計画に載りましたもののうちからどういうふうに契約をやっていくかということは、向こう自身が業者を選び、あるいは契約をする。で、われわれの認証の際には、御承知の通り、認証条件に従っておりさえすれば、これは認証せざるを得ないという形になっております。しかし、できるだけの注意はいたして 参りたい、こう思っております。
○佐多忠隆君 ルーマニア、ブルガリアに日本公館を作るわけでありますが、どうもこれらの諸国の実情をよくあまり私たちわかりませんので、一応そのブルガリア、ルーマニアの最近の経済建設の状況、特にそれがソ連との関連においてどういうふうな建設状況にあるのか、そこいらを一応御説明願いたいと思います。
○政府委員(金山政英君) 御承知のように、ルーマニア、ブルガリアは、戦後非常な経済的にも混乱状態にあったわけでありますが、ソ連圏のいわゆるコメコンその他の経済協力等によりまして、いろいろと経緯はございましたが、最近の経済状態は次第に正常化の方向に向かっていると考えております。詳しい経済状況につきましては、この国情を調査いたしました調書がございますので、後刻それを差し上げたいと思います。
○佐多忠隆君 もしそれらの資料があるのだったら、審議の前に一応お配り願いたいのですが、今そこにありますか。
○政府委員(金山政英君) 詳しく書いたものがございますから、それを差し上げた方がよろしいと思います。
○佐多忠隆君 詳しくは、それによってなお調べた上で御質問したいと思いますが、それを詳しく読んだり、われわれ自身で調査する前提として、今私、非常に大ざっぱでいいから、両国の経済建設の状況がどうなっているのか、特にソ連圏のこれに対する援助の状況がどうなっているのか、その援助に対して生産物その他で返済をしているのだと思うのですが、そういう問題がどういうふうに進められているのか、よくいろいろ、不等価交換その他の問題が論議の的になっておりますが、それらの点もあわせて御説明を願いたいと思います。
○政府委員(金山政英君) 大ざっぱに申しまして、ともかく、先ほど申しましたように、戦後の非常な混乱状態がございましたが、現在ソ連を中心にいたしまして、コメコンの経済統合、それが現在の七カ年計画との関連において進捗している一つの例といたしまして共産圏に石油のパイプライン、そのような大きな経済施策も行なわれております。その経済の国情によりまして、その国に合った産業の育成と、そういうようなことに重点を置きながら、ソ連圏全体の経済発展に全力を尽くしている。ルーマニアもブルガリアもその意味におきまして、ソ連の七カ年計画に全面的に協力していく、そういう態勢でございます。戦後経済発展がどういうふうにおいてなされたかというような点に関しましては、今頭にはっきり入っておりませんので、後刻資料によってお答えいたしたいと思います。
○佐多忠隆君 今お話のコメコンというやつですね。これは、内容はどういうことになっているのか。それがどういうふうに進捗しているのか。その点をもう少し……。
○政府委員(金山政英君) このコメコンと申しますのは、当初ヨーロッパのいわゆるマーシャルプランというものができましたのに対抗いたしまして、そういう経済的威力を東欧諸国から排除するためにソ連が作った経済協力機構と訳しますか、そのような機構でございます。このコメコンも、ここ十年あたりの間にいろいろと変化を来たしておりまして、当初の経済分業的な、モスクワを中心にした、上から押える政策から、だんだんとお互いに、それらの国々の産業状況あるいは経済状況を考慮した協力関係に移ってきつつあるのが特徴であると考えております。
○佐多忠隆君 そのコメコンに従って、特にブルガリア、ルーマニアニカ国において、どういうふうな経済建設が具体的に行なわれておるのか。
○政府委員(金山政英君) もちろん、ルーマニアにいたしましても、ブルガリアにいたしましても、工業力はさしたる大きな変化はありませんので、ルーマニアに、石油があることは御承知の通りでございます。また、ブルガリアが農業国であることは御承知の通りでございます。従いまして、このコメコンの経済建設の中心は、やはり現在いわれております東独ないしはチェコスロバキア等を中心とした協力関係でありまして、あるいはルーマニア、ブルガリアの果たしておる役割というものは、非常に積極的な要素を持っておるとは私は考えておりません。しかし、全般的なソ連の共産圏経済圏の建設の立場から、このルーマニアもブルガリアも、その意味において非常にソ連としては重視しておると思いますし、また、バルカンという地域の従来の歴史からも申しまして、いろいろ政治的にもこれらの地域にソ連としては非常な重要性を置いておると思いますが、ただ、経済的にやはり中心はチェコ、東独等に置かれておるように考えております。
○佐多忠隆君 今お話のように、ブルガリア、ルーマニアともに農業国なんでしょうが、その場合に、社会主義諸国家としては、工業化が重要なテーマになっている。その工業化という場合に、ブルガリア、ルーマニアは、その社会主義的な工業化をどういうふうにやろうとしており、その実績としてどういうふうになっているのか。その場合に、さらにその工業化に関連をして、農業の問題をどのように扱っているのか。たとえば農業共同化の問題、農地改革の問題等をこれらの諸国ではこういうふうにやったのか。ハンガリーその他の東欧諸国で、この問題を中心にいろいろな紛争が起こり、あるいはソ連との間にもいろいろ問題があったことは、われわれも若干知っておりますが、ブルガリア、ルーマニアにおいては、同じような問題がどういうふうに扱われ、解決をされ、あるいは未解決のままになっているのか。そこいらの点をもう少し……。
○政府委員(金山政英君) 共産圏各国におきまして、その経済的な組織からその共産制度の進む道が非常に違っていることは、御承知の通りであります。ブルガリア等は農業国でありますか、たとえばルーマニア等とはその事情を異にいたしておりまして、ルーマニアにおきましては、たとえばコルホーズの問題にいたしましても、その経済事情のみならず、他の事情からも、これを強行することがむしろ避けられている状態であります。ブルガリアは農業国ではございますが、この共産化の方向に向かっては、いわゆるコルホーズ化というような問題においては、ルーマニアより進んでおるように私は考えます。もちろん共産主義への移行におきまして、工業化というものが非常に大切な点であることは、申すまでもないことでございまして、この共産政府は、その方面に向かって非常な努力をいたしておりますが、ただ、やはりその国情を考慮する必要があって、各国にその進度において非常なでこぼこがあったのが今までの現状であったわけであります。ブルガリアの工業化ないしはそのコルホーズ化というものが、いかなるパーセンテージにおいて行なわれておるのか、またその重点がどのようなところにあるのか、私は、ブルガリア等におきましては、工業化の問題はあまり進んでおらぬと思いますが、ただ、詳しい数字などは頭にございませんので、後刻御報告いたしたいと思います。ルーマニアは石油という燃料資源も豊富にございますが、ただ石油があるがためにそのまま工業国になり得るというものでもないことはもちろんであります。私は、ルーマニアにいたしましても、ブルガリアにいたしましても、工業生産においてはそう大きな発展を現在まではなし得ていない状態にあると考えております。
○佐多忠隆君 そのブルガリア、ルーマニアの工業化の問題が、チェコであるとか、あるいは東独であるとか、それらの国々に比較すれば、あるいは低水準であるかもしれないけれども、従来の、特に戦前の両国に比べれば、やはり一般的な工業化が相当行なわれているのじゃないか。特にいろいろな日常の消費物資なり何なり、それらの点について、今の工業化がどういうふうに考えられておるのか。あるいは、もし工業化が行なわれていないとするならば、それらの工業的な消費物資その他は、ほとんどソ連その他から供給をするというような形での経済関係か成り立っているのかどうか。そこいらが実は私にもよくわからないものだから、もう少しはっきり説明していただきたい。 それに関連をして、いわゆる社会主義圏というか、共産圏諸国の間に工業化を相当推進をするとともに、総合的な計画経営、計画化をやるという観点から、各国別について、工業化についてもいろいろな特色を持たしてきていると思います。その場合に、その特色を持たした意味での工業化が、ブルガリア、ルーマニアは特にどういう特色として工業化が進められつつあるのか、そこいらの点がもう少し知りたいので、もう少し御説明願いたいのです。
○政府委員(金山政英君) 先ほども申し上げましたように、この共産圏各国とも、その特徴を生かす工業化を進めておるのでありまして、そう大きな工業化は現在できていないことは、先ほど申し上げた通り、また佐多先生の言われた通りでありますが、ブルガリアにおきましては軽工業、特にルーマニアにおきましては、先ほど申し上げました通りに、石油の産出国でありますので、石油を中心にした化学工業も最近は相当興こっておるという状態でございます。ただ、その消費物資の点におきましては十分でないのでございまして、ソ連、チェコその他の先進共産圏国のみならず、自由圏からも相当な輸入をいたしております。たとえば、日本からは綿製品も行っておりますし、また薬品等も相当出ているような状態でございます。
○佐多忠隆君 特にルーマニアとソ連との石油の関係というのは、今ちょっと、パイプラインを通じてというお話がありしましたが、その場合に、石油といいますか、原油といいますか、そういうものの授受関係はどういうふうになっているのか。ソ連に言わせれば、中近東その他に対して、米英が非常に帝国主義的な搾取の形態における石油あるいは重油の収奪をやって、それが中近東におけるいろいろな問題の根源であるといっているのですが、そういう関係において、それならば、ソ連とルーマニアとの関係においては、何かそういう資本主義諸国が中近東その他で石油の授受関係をやっているのと違った授受関係なりなんなりが行なわれているのかどうか。そういう点で、いわゆる社会主義方式というか、共産主義方式というものはどういうものをとっているのか、そこいらの点について御説明を願いたい。
○政府委員(金山政英君) この石油の問題につきましては、非常に複雑な関係もございます。たとえば、オーストリアの平和条約、その約束によりまして、オーストリアが石油をソ連に供給する。また、御承知のように、石油の純度から申しまして、あるいはまた石油の性質から申しまして、一つの工場を作りますと、その石油に合った設備をする必要があるというような点から、今度の石油。パイプラインの問題にいたしましても、非常に複雑な関係がある。オーストリアの石油にしましても、その石油の供給額は御承知の通り削減されたのでありますが、ソ連が、そういう共産圏の石油工場を生かすために、その量だけは共産圏に出すことを約束させているような事情もございます。ルーマニアの石油は、ソ連には出しておりません。これは、ソ連が十分な石油の生産力を持っており、むしろ輸出能力、余力を持っておるためでございます。このルーマニアの石油は、むしろオーストリアと交換するような状態になっていると記憶しております。
○佐多忠隆君 そうすると、先ほどのパイプラインを通じてというのは、ルーマニアからソ連の方に持っていくというような形じゃないわけですね。
○政府委員(金山政英君) ソ連の方に持っていくのじゃなくて、むしろソ連圏、東欧諸国へ、むしろソ連からチェコ、ポーランド方面に引かれていると記憶しております。
○佐多忠隆君 そうすると、ルーマニアの石油資源地帯で掘り出し、さらにそれを精製し、あるいはそれをソ連以外の東欧諸国に送るという、それら一切の問題を、技術的にも、資本的にも全部ソ連がルーマニアに行ってやっている、こういうふうに考えていいんですか。
○政府委員(金山政英君) そのような点は、まだ国交が回復しておりませんので、ソ連の方から調べる点も不十分でありますし、ルーマニアとソ連と石油の問題についていかなる約束がされているかというようなことも公表されていない、不明の部分も多いわけであります。従いまして、はたしてソ連がルーマニアに来て全部、技術協力をやって石油を掘り、また精製をしているかというような点は明らかではございません。ただ、ルーマニアの石油というものは戦前からあったものでございまして、そのような設備はルーマニア自身も持っておる。また技術者もおると思いますので、ソ連がやっているといたしましても、技術協力というような意味においてやっているものではないか、資本その他の点につきましては、投資その他の点につきましては、私ははっきり申し上げることはできません。
○佐多忠隆君 そこいらが私の非常に知りたい点なんですが、というのは、ソ連に言わすと、そういう未開発国、後進国に対する技術協力、経済協力、そういう点が資本主義なり帝国主義諸国には見られないような、兄弟的なというか、友好的な態度なりシステムでやるのだということをしきりと抽象的、一般的には言っている。ところが逆に、今度は米英その他に言わせれば、いや、ソ連ぐらいそういう諸国に対して不等価交換、非常に理不尽な搾取をやっている所はないのだ、こういうことを一生懸命宣伝をしている。私は、そのいずれが正しいのか、正直のところよくわからない。それらをもっと実情によってもう少し明確に判断もしてみたいし、ちょうど在外公館その他を開設されるということになれば、そういうこともあらかじめソ連とルーマニアとの経済関係等で調べられているはずだと思うけれども、お話を聞くと、あまりそれらの点にまでは調査も行き届いていないので、今後おやりになるかもしれませんが、今後は一つそれらの点も十分に配慮しながら調査し、さらにそれらの調査をわれわれにもお示しを願いたい。加藤委員が、共産圏に使いする者に特に思想的な訓練が必要なのではないかと言われた点も、そこいらに具体的にはあるのだろうと思うので、それらの点も配慮しながら、もう少し調査を根本的にやって、それをわれわれにお示しを願いたい。ここでこれ以上、そんな調査不十分なことでどうだとかこうだとかいうことは申しません。それらをよく配慮をしていただきたい。ただ、生活水準が一体、ブルガリア、ルーマニアでは、戦前からどういうふうに変化してきたのか、特にこの二、三年にどういうふうな変遷があるのか。ソ連に言わせれば、ハンガリーの問題その他以後、それからまた、ソ連自体がフルシチョフ体制になってから、生活水準、消費水準の向上に非常に積極的に努力をしていると、こう言っているのですが、ブルガリアなりルーマニアあたりでは、それがどういうふうに現実に具体的に現われているのか。そこいらを御説明願いたい。
○政府委員(金山政英君) 御承知の通り、戦前も、このバルカンの特にブルガリア、ルーマニア、アルバニアというような地域は、非常に後進性の強い所でありました。この地域の工業化とか、そういうような社会的な経済的な進歩につきまして、われわれはできるだけの資料を集めているつもりでございますが、公館がないために、従来ともその調査が非常に不十分であったわけであります。あるいはソ連あたりから公表された資料が、いわゆる自由圏の考えている資料などと食い違っている点もあると思います。正直に申し上げまして、私は、これらの国が戦後どれだけのパーセンテージにおいて、あるいはいかなる業種において、分野において、どれだけの進歩をしたかという的確の資料を持っておりません。私は、やはりそれらの国に公館を置きまして、直接政府との接触によって資料を得るということが必要であると考えます。そのためにも、今度の御承認をお願いしているわけでありまして、はなはだ調査不十分という点はそのような事情から御了承をお願いいたしたいと考えるわけであります。
○佐多忠隆君 それらの点は、実は私たちも断片的にブリガリアなりルーマニアあたりからいろんな宣伝の資料が――紹介の資料を、そういうものをもらっていて、それらをたんねんに読んでいればもう少し私自身もわかるかと思いますけれども、私自身もそういうものをよく消化していないのでわからないから聞くわけですが、かりに在外公館がなくたって、この程度の簡単なことならば一応わかっているはずだし、また、公使館でも作ろうという場合には、その前提としてその程度の御説明なり何なりはあってしかるべきだと思いますが、これもあまりこれ以上は申し上げませんが……。
○政府委員(金山政英君) ちょっとお答えしたいと思います。 今度公館を設置するに当りまして、設置のための準備として、ポーランドの太田大使をブルガリア、ルーマニア両国に派遣したわけであります。物価水準とかその他の生活状況につきまして、短日月の調査ではございますが、一応状況のわかるような調査は前もっていたしたわけであります。戦前との比較において現在が、どうなっているかという点でございまして、新聞などを克明に読んでいればもちろんわかることでありますし、また、これらの地域に日本の商社の人たちが行っておることもあります。そういう断片的な話は、たとえばハンブルグにおいて、あるいは他の地域においてこれらの通商をやっている方々の見て来たところなどをいろいろ聞いております。しかし、これは非常に断片的なことでありまして、正確に当委員会において、どの程度の経済発展があり、何%の進歩があるということをお答えする材料には実はならないと思いますので、将来そういう資料が出し得るように一ついたしたいと、こう考えております。
○佐多忠隆君 いや、その断片的なものでなくても、たとえばブルガリア、ルーマニアから、最高会議ですか、国民会議、そういうものに、当局は、政府はどういうふうな報告をしているか。あるいは、党の関係の会合その他でいろいろな報告をしている、そういうものがあるはずだし、私たちも、それを全部正確にそろえてないけれども、断片的には出ている。ただそれを整理していないので、そして意味も、ほとんど読んでないのでわからないというだけなんですが、少くとも政府ともあろうものは、その程度のものはお集めになっているはずだから、そういうものを通じて、政府はこう言っている、しかし、それに対してはイギリスやアメリカその他でいろんな論評も出ていることと思うし、それに対してはこういうふうな評価がなされているという程度のことはわかっていてしかるべきだと、こう思いますが、もうこの問題は、これ以上あれしませんが、ただ、経済問題以外に、特に軍事的な状況ですね。それからさらに、ソ連とこれらの諸国における軍事関係はどうなっているか、そこのところをお願いしたい。
○政府委員(金山政英君) ハンガリーには、戦後はしばらくこの地域にはソ連軍がいたわけであります。しかし、先般あの事件がありましたハンガリーを除きまして、ルーマニア、ブルガリアにはソ連兵はおりません。ただ、軍事的な協力関係がございます。それは、御承知のワルソー条約でございます。
○委員長(草葉隆圓君) 申し上げます。総理府から、福田総務長官、佐藤総務副長官並びに吉田賞勲部長が出席いたしました。
○佐多忠隆君 ワルソー条約がある、ワルシャワ体制がある――その点は、その程度のことは私も承知しておりまするが、それについてはさらにあとで御質問しようと思っているところなんですけれども、ただ、特に、ブルガリア、ルーマニアの両国に対してソ連が軍事関係をどういうふうに設定をしているか。現在、今のお話だと、駐留軍その他は全然いない。それじゃあ、軍事基地はどういうふうになっておるとか、特に昨年あたりから、バルカンの方なり何なりが非常に一両年騒々しくなった場合に、これらの諸国に対する軍事関係の強化という問題が相当ソ連でも問題になったし、それから軍関係の往来もかなり激しく行なわれたように記憶しているのですが、そこいらの関係の変遷がどういうふうになったのか、現在の状況はどうなっているのか、御説明を願いたい。
○政府委員(金山政英君) 御承知の通り、ソ連圏、特にモスコー政府は、いわゆるアメリカの封じ込め政策と申しますか、その一環として、トルコ、ギリシャ等のバルカンの自由圏の諸国の動向を非常に非難しておるわけであります。それに関連して、ソ連の方からは、軍事力のあるいは強化、あるいはいわゆる中立化の問題――先般アルバニアにフルシチョフが参りましたときに、このバルカン一帯の中立化の問題が提案されたことは、御承知の通りであります。実際上、このルーマニアとブルガリアにソ連の基地があるかどうかという点につきましては、そのような協定は私はないと思います。ただ、軍事的に、ソ連としては、ルーマニア、ブルガリアに異変があった場合には、これを直ちに把握するだけの準備はしておると考えております。最近の情勢といたしましては、ソ連として、この方面の中立化の問題を、トルコ、ギリシャ等に対する米側の基地の問題に関連させて、トルコ、ギリシャを攻撃しておる事態がございます。
○吉田法晴君 少し関連をしてお尋ねをいたしたいと思うのですが、先般、参議院の代表として列国議員同盟に参りました際に、各大使館で大へんお世話になったのですが、大使館で、アメリカのごときも、あるいは車が足りないで借り上げをしなければならぬような実情もある。これは外国に行きます場合において、大使館全部とは申しませんけれども、あるいは領事、書記官というものは、車がなければこれは仕事にならぬのです。必ずしも、ところが車自体自分で買えるあるいは使うということができないような実情にありますが、そういう点についてどういう工合にお考えになり、あるいは措置されようとするか、それが一つ。 それから、今ここに出ております、ルーマニア、ブルガリアの大使館や公使館の設置、それから給与のことが出ておりますが、ソ連の大使館に準ずるということで、ソ連大使館員の給与の数字をもらったのですが、大使等で六千四百円ぐらいの差である。しかし、下の方になりますと、まあ千円ぐらいの差しかない。見てみると、給与それ自身はとにかくとして、たとえばワルシャワでジュース一ぱい飲んだらジュースが四百円もする。あるいは輸入の酒類ですと、千円以下であるあるいは千円前後で手に入る油が三、四千円もする。こういうふうな、いわば、ぜいたく品については禁止的な待遇をとられておる。そうすると、その仕事をしていきますのに、給与じゃなくて、大使館の、何と申しますか、大使あるいは渉外というのですか、そういう活動をする部面において、アメリカその他よりも実際にたくさん要るだろうということが考えられるわけでありますが、運営の面で、その辺を、どういう工合にしておられるか、あるいは改善をする意思があるのかどうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま在外公館の充実ということをわれわれも絶えず考えて参らなければならぬ。その充実の面は、御承知の通り、人的な充実と同時に、今ご指摘のありましたような物的、な設備、あるいは機動力を持つ自動車、その他の備品類と申しますか、そういうものの充実ということが必要だと思うんでありますが、その点に関しましては、必ずしも私自身、十分だと思っておりません。のみならず、この大公使には宿舎関係等も給与されることになりますけれども、若い方の下の方の連中になりますと、そういうことに対しても十分ではございませんので、かえって窮屈だという点が多々ございます。従って、在外公館に勤務しております者のそうした面については、今後、やはり予算措置の上で十分に考慮していかなければならぬのではないかと思っております。現状ははなはだ私自身が不満と申し上げては相済まぬわけでありますが、充実いたしておりません。 なお、この機会に一言述べさしていたたきたいのでありますが、外務省の機構全体がほんとうに、先ほど申し上げましたように、終戦後再建に一歩出ただけでありまして、十分に充実しておらぬ。たとえば、金山局長の局などというのは、ソ連からヨーロッパ、中近東、アフリカ及びニュージーランド、豪州と、これを持っておるのが金山局長の局なんですね。これは、少なくも現状では、私などは、ソ連とヨーロッパは一体にいたしましても、中近東、アフリカというものは一局ぐらいにしなきゃならぬのじゃないか。今日、中近東の問題あるいはアフリカの問題というのは、われわれ重要に考えます。従って、少なくともそういうふうに分ける。あるいは豪州、ニュージーランドはアジアにつけるにしても、そういうような機構面での充実をはかりませんと、実は、はなはだ手が回らないのと、もう一つは、やはりこれは二年ほど前から外務省として予算要求をしておりますけれども、今日まで実現していないのですが、やはり調査機構を備えて調査部的なものを作りまして、常時相当なスタッフを置いて、常時世界の各国の、今、佐多委員が御質問になったような点について、常時日常のルーチンウォーク以外に、そういうものをずっと調査して、いつでも日常の仕事をしておる人がそういうところからすぐに資料が出せるというようなことを考えて参らないと、実は外務省の機構はなかなか動きにくい、また、皆様方にも御満足を与え得るようになかなかならぬのじゃないかと思うんでありまして、これは当然、私自身の責任において大蔵大臣と折衝し、予算獲得をして参らなければならぬ問題でありますから、それができないこと自体、外務大臣自身の責任になることは申すまでもないのでありまして、はなはだあれでありますけれども、いろいろな諸種の財政事情等で遅遅として進まないような状況にあります。 今、吉田委員の御指摘のような在外公館における自動車の数でありますとか、それが機動力に影響しないか確かに影響いたしております。ですから、そういう面につきましても、もう少し一つ考えて参らなければならぬというふうに思っております。
○吉田法晴君 その点はまあ御研究、御努力願うし、まあ、われわれとしても協力することにやぶさかではありませんが、ところが、実際に大使館員あるいは大使、公使を含んで、語学はできるけれども、何というか、識見を持っておる、あるいは勉強するという点が、やはり少し足らぬような感じがする。これは、あるいは何年か前になりますけれども、東南アジアのある地方で、新聞を読んでおるというのが仕事の大部分であるかのような大使館員等も相当ありました。政府の方針もございましょうが、あるいは東欧諸国に行って、政府の反共政策だけを感情として持っておるというだけで、勉強が足りないということもあります。その辺は、先ほど加藤さんの御質問、それから佐多委員もお取り上げになりましたが、十分とにかく活動し得る予算をふやしてやる、そうして勉強させる、あるいは外交官として、あるいは国を代表するステーツマン的な外交官の活動ができるように一つしていただきた、いことを要望いたして、私の質問を終ります。
○東隆君 先ほど外務大臣は、在外公館の職員の人たちの教育、そういうような面で言葉の問題ですね、それに触れられたのですが、私は、東欧諸国の、ブルガリアだの、ルーマニアだの、その他の国々の言葉は、これは非常に問題のあるところだと思うので、それで、ドイツ語、英語、フランス語、これよりも戦争中に弾圧を受けたのですけれどもエスペラントを、これは私は相当強く日本が支持すべきものではないかと、こう考えるのです。ことにブルガリア、これはりっぱなエスペラントの雑誌なんかも出しております。外に相当宣伝されております。そういうようなことを考えて参りますと、私はエスペラントをやはり相当重視して、そうして、そういうものを身につけた者を送り込む、こういうことが将来その方面におけるいろいろな文化その他を開発する点においても大きい力になる。エスペラントの場合には、われわれには一つの言葉ですけれども、向こうの者にも同じような地位にあります。私は非常に外国語を上手に話をされておる人を、話を聞いておりますけれども、しかし、その土地の人にそれを聞かしたらこれは非常におかしなことを言っているのじゃないかと、こう思っているわけです。そういうような意味で、同等の立場でもって話のできる、ちょうどエスペラントはあそこら辺で作り上げられた言葉だし、非常にいいチャンスだと思う、その点どういうふうにお考えになっておるか。私はできるならば一つエスペラントを身につけた外交官が向うの方に行ってもらいたい、こういう気がするわけです。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知の通りエスペラントは国際語として創造されたものでありますが、その割にまあ今日まで伸びておらない。それにはいろいろ戦争の事情その他あったと思います。ですから、今、すぐにそれが全面的に採用されるということは考えられないと思いますけれども、東委員の御指摘のように、その発祥の経緯もあり、東欧諸国は特に言葉の関係は今御指摘のありましたように非常に何といいますか、地方的と申しますか、非常に各種類の言葉があるわけでありまして、どの言葉が一番適切かということはなかなかむずかしいような状況にありますから、今御指摘のようなことは、一つわれわれも十分留意しまして今後参りたいと思います。
○委員長(草葉隆圓君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(草葉隆圓君) それでは速記を始めて。
○大和与一君 私は勲章の配給といいますか、そういうことについてお尋ねしたいと思うのですが、特に最近、前の吉田首相がおいでになったときは十五ぐらい持って行った。今度は岸首相のときは七十ぐらい持って行ったんですね。こういうのはえらいたくさん持って行ったり、少なく持って行ったり、そういうことをやる。それはどうせ在外公館の方々の御相談でやるのでしょうから関係があると思ってお尋ねするのです。 第一には、戦前の勲章の配給はどのようにされておられたかということをお尋ねいたします。
○政府委員(福田篤泰君) 賞勲部長より戦前の叙勲は説明させます。
○説明員(吉田威雄君) 戦前におきまする……
○大和与一君 一般的な制度というか、要点だけでいいんですよ。こういう人に、こういうところできめて、だれがだれにやったということですね。大まかに言って下さい。
○説明員(吉田威雄君) これは大体外国人に対する場合だけでなしに一般的にでございますか。
○委員長(草葉隆圓君) 個人的な間答をやめてはっきり答弁して下さい。
○説明員(吉田威雄君) 従来外国人関係におきましては、いわゆる儀礼的に叙勲をする場合と、それから功績に対して叙勲する場合がございまして、外国人に対しては大体儀礼による場合が多ございます。これは外国との交際上の問題でありますから、そしてその叙勲の基準その他につきましては、大体外務省からのお申し出によりまして、それを尊重してやるということになっております。それから外国人に対しましても、特別にわが国に対して功績のあるような場合に対しましては、その功績を勘案して叙勲するという戦前の慣行でありました。
○大和与一君 それは戦後になって民主憲法ができて、第七条との関係はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(福田篤泰君) 御承知の通り、新憲法ができまして昭和二十一年の閣議決定によりまして、一応生存者に対する叙勲を停止いたしました。ただ、これが昭和二十三年の災害の問題が起こりまして、そのときに一部のたとえば警察官でありますとか、消防官、そういう方に対して、生存者でありましても叙勲を出すという例外的な措置をとったわけであります。外国に対しましては、やはり戦前と同じように、今賞勲部長が御説明申し上げましたように、主として儀礼的なもの、あるいは功績あるものは特にまたこれを叙勲するこういう形に相なっております。
○大和与一君 そうしますと、切りかえですね。戦前のいろいろな規定というか、あれですね。これは金鶏勲章というようなものも要らなくなってくるとすれば、そういうことはきちんと切りかえられてあるのですか。そうすると戦前の勲章というものは効力がないと、こういうふうに考えてよろしいのですか。
○政府委員(福田篤泰君) これは御承知の通り、昭和二十一年で生存者に対する叙勲は停止いたしましたけれども、太政官布告その他者からの栄典制度に対する勅令、条例がございますが、これは依然として有効なわけでございます。ただし、金鶏勲章でありますとか、一部の従軍記章、こういうものは効力を失ったわけであります。
○大和与一君 私はあまりほしくない方ですが、はっきり言って。そうすると、今までの勲章でも、たとえば大阪のキャバレーなんかで女の子が成績がよかったら功何級をつけたり、赤坂の芸者が帯どめに使ったり、こういうことをした事実があるのですね。そういうことに対しては現在政府としてはどのように措置されておりますか。
○政府委員(福田篤泰君) これは法律的にすでに無効のものでありますので、法的にはとやかく申しませんが、まあ政治的と申しますか、国民感情と申しますか、そういうやり方は不謹慎であり、好ましくないやり方であると思います。
○大和与一君 それでは具体的にあれですか、警察なんかに連絡をしてありますか。
○政府委員(福田篤泰君) 具体的な措置まではとっておりません。
○大和与一君 私は過去のことは別として、それから今度できようとすることも別として、現状だけでお尋ねしたいと思います。そうすると、現状においては過去のそういうきめられたことに準ずるということではなくて、やはり新憲法にのっとった基本的な考え方が当然あると思うのです。それを一つおっしゃっていただきたい。
○政府委員(福田篤泰君) 御存じの通り、西ドイツもそれからイタリアも、敗戦以来新しい栄典制度に再出発しました。わが国におきましても、やはり敗戦という痛手を受けまして、新しい再出発、新憲法下におけるいろいろな制度が新しく生まれておるわけです。従って、栄典制度も当然新憲法、また新しい日本の再出発にふさわしいものでなければならぬ、そう考えております。
○大和与一君 そういう抽象的でなくて、具体的に基準というものがおありになると思うのですが、それをおっしゃっていただきたい。
○政府委員(福田篤泰君) たとえば昔のいわゆる古い封建的な天皇制を象徴するような、いわゆる位階でありますとか、勲等であるとか、そういうものは存続するのはおかしいのではないか、私はそう考えております。
○大和与一君 そのやれない人でなくて、現在やった人がありますね具体的に。そういう人には一体どの基準で、どういうことだからやったという基本的な幾つかの基準がおありになると思うのですが、それを明示して、一体どういう法律によってこの条項に当てはまってこの人はやったという、人の名前はいいですけれども、その基準を幾つかお示しをいただきたいと思うのです。
○政府委員(福田篤泰君) 先ほども申し上げましたように、昭和二十八年の閣議決定で、たとえば災害救助に特に功労のあったような警察官あるいは自衛隊員、あるいは消防官といったような者については除外的に例を設けまして叙勲の方法をとっておるわけであります。外国人は先ほど申す通りやはり儀礼と功績と二つの観点からやっておるわけであります。
○大和与一君 そうすると、外交上の儀礼というか、どうしてもこれは必要だ、そういう何か根拠といいますか、そういうものがあるか。あるいは招待外交といいますか、そういう慣例とかもあるでしょうけれども、それも一つのはっきりしたものがあるか。今おっしゃっているのは、どうも基準がはっきりしないのです。これにはどういう機関があって、そこにはこういう原則が幾つかあってそこに当てはめて、その機関のどういうきめ方でやる。これをおっしゃっていただきたい。
○政府委員(福田篤泰君) 外国人に対しましては、大体賞勲部の建前としまして、管轄の官庁、いわゆる外務省の申し出をまってこれと相談してやるというのが原則になっております。
○大和与一君 その、相談する前の、政府としてのもっと基本的な、どうしてもこれは過去と将来を問わず、現在の終戦後の民主憲法の建前にのっとって、やはりこの制度はある程度残しておかなくちゃいかん、こういうふうにおきめになった、その根拠がお聞きしたいのですがね。
○政府委員(福田篤泰君) 残念ながら、今のところ新しい栄典法の制度がまだできておりませんので、御存じの通り、芦田内閣、吉田内閣、片山内閣ともにそれぞれ栄典法案を提出しましたが、いずれも成立を見ませんので、法的に一つの確固たる基準はまだないわけであります。
○大和与一君 そうすると、戦後今日までは、基準がなくて、そして適当に考えておやりになっておると、こう了解してよろしいのですか。
○政府委員(福田篤泰君) これは全然基準もないとも言えないわけでありまして、長い間取り扱っております関係の官庁、外国人は外務省、それから国内におきましては、いろいろの所管の官庁がいろんな角度から一応の検討をしまして、賞勲部に申し出る、賞勲部は従来の例を参照いたしまして措置をとっておるわけでありますから、漠然たるものがあるわけであります。御指摘のように確固たる戦後の基準というものはまだできておらないわけであります。
○大和与一君 そうなりますと、関係官庁から、今のところ官庁だけですね。そういうところから進達してくるときに、やっぱり民主的に、民主憲法にのっとって、やっぱりお選びになる、あるいは下から推薦してこなくちゃならぬ、そういうことが政府自体の基本的なお考えがきまってないのに、従来のやはり慣例でやるのでは、これは昔のくさみが残っておって、ちっとも民主主義による日本の、生まれかわった日本の栄典制度といいますか、そういう公正な措置がなされていないと考えてよろしいのですか。
○政府委員(福田篤泰君) 私どもは、たとえば文化勲章なんかは、敗戦後初めて設けられた制度でございます。これも従来の例を打ち破って広く各界の人を表彰するという建前に立っておりますので、最大のできる限りの範囲で民主的な方法をとっておるわけであります。
○大和与一君 そうしますと、具体的には閣議だけで、何かほかに機関がございますか。
○政府委員(福田篤泰君) 将来は何とかして栄典審議会というようなものを各界のだれでも納得できる権威者を集めて、客観的に見ても納得のできるような権威あるものを作りたいと考えております。現在のところ、行政府と申しますか、内閣と所管の官庁とが中心になっていて、現在のところ、今特別の審議会というような制度はないのであります。
○大和与一君 そうすると、これはちょっと賞勲部あたりで案を作って、長官もそれに参画されて、そうして、これは適当に閣議に持っていく、そうして勝手にきめるのですね。
○政府委員(福田篤泰君) これは閣議にもかけますし、それから、報道機関に発表しておりますから、大体常識的に申しましても間違った賞勲はありません、あるいは行き過ぎるとか、そういうおそれは今のところありませんわけです。
○大和与一君 そうしますと、前に鳩山さんが一番いい勲章をもらつたのですが、そのときに一つ飛び越してもらったのですね。これは戦前であれば別ですけれども、慣行としては、まあ大体一つぐらい上がるのが普通なんですね、らしいのです。それを鳩山さんだけ一つ飛び越してもらったのですね。ああいう経緯というのはどういうことになるのですか。
○政府委員(福田篤泰君) その点は賞勲部長から答弁させます。
○説明員(吉田威雄君) 鳩山元総理大臣の叙勲の場合でございますが、これは戦前でありますと、大体その当時の総理大臣は勲一等の桐花大綬章をもらいまして、亡くなった場合は、例外もございますが、大勲位をいただかれる場合が多かったのでございます。それで鳩山元総理大臣の場合はすでに勲一等の旭日章を持っておられまして、これは戦前でありますと、戦後もすでに十数年たっておりますので、国会議員としての在職も長いのです。旭日菊花大綬章を生存中に持っておられた。それで亡くなった場合にはさらに一階級昇叙しまして、大勲位ということになるわけでありまして、まあこうした戦前の慣例から見ても大勲位は当然でありまして、またそのほかに首相としてもまた対ソ外交上の問題についての御功績等を勘案しまして大勲位が綬与せられておる、こう考えております。
○大和与一君 まあ今の、個人のことについてじゃないのですから、そうでなくて、やはりわからないのは、この、私は過去と将来とを問わない、はっきり言っているのは、現在において暫定制度というか、言葉はおかしいけれども、政府がやはりほんとうに、これは政府が出すのじゃなくて、国民に感謝して出すという気持でしょうね、そういうものじゃなくちゃならぬと思うのです、国内の場合。外国の場合にもやはりそういう意味で外国人にやった方がほんとうに喜ばれる、また国の親善になる、こういうことがやはり基本的なもの、そういうことを何もきめていないということになると、これはどうもきめ方が私よくわからないのです。これは外交上の儀礼で必要だというのですか、やはりその基本的な態度は、どうも基準がもう少しきちんと、こういうことと、こういうことということはやはりあるでしょう。
○政府委員(福田篤泰君) 先ほども申し上げました通り、数十年間の一種の栄典に対する慣例はありますし、基準も自然に生まれてきた、これに基づいてやっておりますので、いわゆる不公平であるとか、あるいは手落ちというものは今まで私はないと考えております。ただ御指摘のように、何か明確なやはり基準が必要でないか、全然同感でありまして、そんな意味でも早く新しい栄典制度を作りたいと考えておるわけでございます。
○大和与一君 そうしますと、吉田総理のときは十六ぐらいで、今度岸総理のときは七十幾つですか、一ですか三か、これはやはりみんな閣議でおきめになったのですか。
○政府委員(福田篤泰君) その通りでございます。
○大和与一君 その案はどこでお作りになるのですか。
○政府委員(福田篤泰君) これはやはり外務省が中心でありまして、それから出先の大公使館とよく打ち合わせまして、場合によりましては、アグレマンをやはり求める必要がある国があるので、そういう手順を踏みまして、最後に閣議決定という手続になるわけです。
○大和与一君 アメリカは軍人だけであとはほとんど勲章なんかあまり欲しないというのですね、今ないですね、アメリカは。そうするとほかの国国にみっともないということはありませんね。イギリスはやや格式がやかましくて、簡単にもらってくれと言っても、要らぬというのですね。今回の場合でも、あまりいいのがいってないのですね。南米の方は一番いいのをどかどかと大統領に配ってきたのだけども、そういうのは一体どういう基準でおきめになるのですか。
○政府委員(福田篤泰君) ただいま御説明申します通り、やはり出先の大公使館を通じまして、その国とよく打ち合わせまして、必要のある場合にはアグレマンをあらかじめとっておきます。それできめたわけであります。
○大和与一君 それぞれ打ち合わせをするといったって、それじゃ大体今までの長い慣例なんかあるんでしょうけれども、いろいろの国に七十も配ったのだから、そうすると、きめるときは閣議だけれども、それじゃ在外公館から進達があったら、大体外務省の本省で一応目を通して、それをそのまますと持っていって、おたくの方では閣議を経てオーケー。別にいやとか何とか言うことはないのですね。一体きめるところは閣議で、閣議できめたら閣僚が自分でそれを持って行くときに、たくさん持って行こうと思えば幾らでもきめられるわけですね。
○政府委員(福田篤泰君) 今度の総理大臣は、御承知の通り、その国との間の友好増進、親善というものを大きな目的にしておられました。そういう観点から、外務省が中心になりまして、出先でも調べて、従来どういう人に出したか、また相互主義が原則でありますから、その点を向うとよく打ち合わせをしてきめたものでございます。閣僚などが旅行した場合に、勝手にできるというようなことは制度上許せないのであります。
○大和与一君 何も基準ができていないから質問するわけです。答えがなっていない。基準ができていないというし、きめるところは閣議だけ、そうすると国民は納得しますか。やはり国民の税金でやっているんでしょう。何も基準がないとおっしゃるから、その都度閣議で独断できめていることで、どこにもちっとも公正な機関がないのですから、それを国民に知らしてやりたいと思うのです。そこをもっとはっきり言ってもらわなければ、どうも納得できない。
○政府委員(福田篤泰君) 基準がないと申し上げましたのは、あなたの御質問の、いわば法的な一つの組織なり、あるいは機関があるかという御質問がありましたので、残念ながら今のところないと申し上げたので、ただ、従来も数十年の歴史の伝統がありまして、おのずからそこに基準のような一つのしきたりなり、あるいはものさしと申しますか、一種の基準的なものが自然にできてくるわけであります。これが今選定その他の基礎になるのでありますが、全然無方針、あるいはその場限りの考えでやるという危険性はないと考えております。
○大和与一君 今のわからぬところはちゃんと出してもらわなければならぬ。気持はわかるんです。そういうふうに一生懸命公正にやろうという気持はわかるけれども、これは万人があなたの答弁をお聞きしても納得できないですね。これは、ないといえばない、あるといっても、昔のことは別なんです。一応日本は生まれかわったんだから、その生まれかわった立場に立って、政府はこのことについて憲法七十三条によってこうやるというものができておって、その草案なり骨組なりができておって、それによっておやりになっているというなら私は文句をいわない。それがあたりまえだと思うけれども、今までどうもお尋ねしても、文化勲章は何か審議会みたいなものがあるらしいが、その他のものは全然ないといっている。なくて、閣議だけできめているのでは公正じゃないと思う。どこでそういうものを推薦してくるか知らぬけれども、これは公正なものとは言えないですよ。
○委員長(草葉隆圓君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。それでは午前中はこの程度で休憩にいたしまして、午後二時三十分に再開いたします。 午後零時三十九分休憩 ―――――・――――― 午後三時五十六分開会
○委員長(草葉隆圓君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。 まず、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。
○加藤シヅエ君 けさほどの外務委員会で、在外公館の問題につきまして外務大臣に質疑をいたしまして、御答弁をいただきました問題ですけれども、特に国の根本的な外交方針にも関係することでございますので、総理大臣にも質問をさしていただきたいと思うわけでございます。ただいま議題になっておりますのは、今度新しくルーマニアとブルガリアに公館が設置される、こういうことでございますけれども、今までにもこのほかにも、共産圏に幾つかの在外公館が設置されております。今度が新しいことではございませんけれども、この二つの国が特に共産圏の国である。共産圏の国に在外公館が設置されるということは、このことを機会といたしまして、私はもう一度この在外公館の目的につきまして十分に政府の御所見を承りたいと思うわけでございます。在外公館は申すまでもなく、その駐在している国の政情、経済事情、国情、民情、その他いろいろ関係していることのその真髄を把握して、これを本国を代表すると同時に、本国にたくさんの情勢報告というようなものを送らなくちゃならぬと思います。それに基づいて日本の外交方針が決定されるのでございますから、非常に有効適切な報告がなされなければならないと思うわけでございます。で、日本の外交活動というものは、戦争前の外交活動は、あまり評判のいいものではなかったように思います。ややもすればその本国に送って参る情報などが不十分であった。そのために軍部は軍部なりにまた情報網というようなものを設けて、かえってその方が非常に活躍したとか、あるいは在外商社が非常な活動をしたというようなことで、十分でなかったということを聞いているわけでございますが、戦後の在外公館の使命、活動状況というものは、全く新しく、新しい日本として出発しなければならないわけだと思うわけであります。ところで、最近国際情勢を見ますときに、冷戦が一応緩和された。戦争の危険というようなものは表面からは一応去ってしまったというようなわけで、ある向きはこれを非常に安心して喜んでいるというような人々もあるようでございますけれども、問題はむしろこの冷戦の緩和ということと同時に、時代は思想戦に入った、こういうところにほんとうの意味があるのではないかと思うわけでございます。この思想戦に入ったというようなときに、共産圏の国に在外公館を設けるということは、ただ共産圏の国の国情その他を深く知って日本の外交方針を立てる、いろいろ参考にするというだけではなくて、共産圏の中の在外公館ばかりでなく、在外公館一般といたしましてもこの思想戦というものの渦中にあるということは避けられないという、この認識をはっきりと在外公館に勤務される方々に持っていただかなきゃならないと思うわけでございます。そういうような認識というもの、思想戦に対処してほんとうに働き得るような外交官が今日仕立てられているかどうか、このことを私は非常に心配するわけでございます。共産国の人人、特に外交官というような人々は特別な訓練を受けているというようなことも聞いております。共産主義者というような人は一つのはっきりした目的を持っておりまして、この間フルシチョフ・ソ連首相がアメリカでたびたび言われましたように、戦争なんかしなくても思想戦によって世界制覇はできるのだということを自信満々と言っておられるわけでございます。こういうような時代に、いわゆる自由主義陣営あるいは民主主義陣営の外交官というものは、このはっきりした使命を持った、目標を持った、二十四時間戦うというような徹底した覚悟を持ったこういうような外交官に、はたして太刀打ちのできるような外交官を日本で訓練していらっしゃるかどうか、そういうような必要を総理大臣はお認めになるかどうか、このことを承りたいと思うわけでございます。
○国務大臣(岸信介君) 加藤委員の御指摘になりましたように、現在の国際情勢を判断する上におきまして、私どもいわゆる東西両陣営が武力を用いて、すなわち戦争によって問題を解決するということは、これはいろいろな最近の軍事科学の発達から見ましても、また、世界の人数の悲願から申しましても、そういうことがあってはならぬことであり、この意味における話し合いによって問題を解決しようという努力がだんだんと出てきておるということは、これは私は非常に望ましいことであると思います。しかしながら、それによって両陣営がよって立つところの、基本であるところのものの考え方というものを一切解消して一つになるというようななまやさしい事情ではないのであります。従って、思想の面においてのこの両陣営の対立と申しますか、あるいは言葉をかえて言えば共産主義国からの共産主義によるところの思想戦というものはむしろ強くなっておるということを見なければならぬ情勢であると思います。こういう情勢の間にあって、特に共産主義国に駐在して、その国のいろいろな実情やあるいは政治経済、あらゆる面におけるところの情報を正確に把握して本国に通報もし、また、それらの国との間の経済関係やあるいは文化の関係、いわゆる外交上取り扱うところのいろいろな関係というものを緊密にやっていくという使命を持っておる外交官というものの立場は、私は非常に御指摘のように困難になってきたと思うのです。従来もこれは特に外国に勤務する場合におきましては、第一外交官は、国内におけるところの事情にややともすればうとくなって、いわゆる交際官としての仕事に忙しいために、そういうものの真髄を把握してこれに対処するというふうな考え方について、ややともすれば欠けているところがあったと思います。特に国際情勢の、今御指摘になったような、私の考えているような情勢のもとにおける外交官というものが、十分にその使命を達するためには、お話しのように、共産国におけるところのものの考え方や共産主義そのものに対する認識、考え方、これに対してのはっきりした自分の立場を把握しているような思想上の一つの、バックボーンを持っている外交官を育て上げるということは何よりも必要だろうと思います。従来もこの外交官の養成また採用につきましても、御承知のような試験制度や、また、これに対して一定期間訓練するような施設も設けてこれらに対処するということになっておりますけれども、実際は私はまだ十分でないと思います。従いまして、今後の外交官の養成につきましては、全体として大いに考えなければならぬ。同時に、こうした共産主義国との間に国交が開け、これとの間にいろいろな関係を開いていく上におきまして、その駐在する外交官の人選等につきましてもできるだけ一つ留意をいたしまして、十分にこれらの外交官が正しい職責を行ない得るように一つ努めて参りたい。また、外交官の養成訓練というようなことにつきましては、そういう点についても今後特に意を用いるように一つ政府としても考えていきたい、かように思っております。
○加藤シヅエ君 総理大臣が、こういう思想戦の時代の外交官の思想的なはっきりした認識を持つことの重要性ということについて、御所見をただいま承り、非常にこれが必要であるという、そういう御認識のもとに立っておられるということは、私は非常にこれはけっこうなことだと思うわけでございますけれども、どういうふうな形でこの訓練というものをしていったらいいか、具体的な問題になると、これはそうやさしいことではないように思うわけでございます。単なる日本の外交官が反共的な態度を持っていればいいというものでもございませんし、まして昔の帝国主義的な優越感を持って、特に新興国であるところのアフリカとかアジアとか、こういう国々に対して昔の日本の優越的な態度でもって臨むというようなことはもとより間違っております。こういうようなほんとうの思想戦のまっただ中に入っていくというときには、その思想戦というものの実体がどういうものであるかというようなことにつきましては、よほどこれは専門的な訓練が必要なのでございまして、今ただ必要だと言っただけでは十分でない。現に私なんかいろいろ海外なんかに参りまして拝見いたしておりますと、もとより在外勤務の方々は大へん御苦労なさって、一生懸命やっていらっしゃるということもよく承知いたしますけれども、思想的な訓練というものが何もされていないものですから、共産圏の外交官というものは世界制覇と、もうこの一本やりで、寝てもさめてもその目的のために近づこう、あらゆる手段を用いてその結果を得よう、こうしているわけでございますけれども、自由主義陣営の方から来ている外交官というものは、それほど徹底したものというものはだれも持っておりません。従いまして、何か自分の出世とか利益の追求とか、そういうようなことでもって仕事を済ませばそれでいいのだというふうに、思想的には混乱状態、はっきりしていないというような、そういうような虚をついて、共産圏の人はいろいろな手を打ってそうして攻勢に出てくる。こちらはいつも受け身で負けていく。こういうような状態が所々に見られる。こういうことは私は非常に遺憾でございます。これは日本だけのことではなくて、自由主義陣営一般がこういうふうなことであるという具体的な例をたくさん見ております。日本はそういうようなことはあまりないと思いますけれども、いわゆる白色人種の国の人々は、戦争前の植民地的な優越感というようなものを持って、そうして新興、新しい民族自決の精神のもとに立ち上がった民族に対して、やはり昔の優越感をもって臨んでいるというようなことからつまらないことから反感を持たしてしまって、そして大半な国交関係を誤まるというような例をたびたび見ております。たとえばあのスエズ運河をめぐる紛争などということも、私もその直前にカイロその他の国に参ってそういうような危険性というものをたくさん見ておりましたら、はたせるかな、そういうようなことからあんな不幸な国際的にも非常にあぶない事件を巻き起こしたというような例もございます。こういうことを見て参りますと、この訓練の仕方というものはよほどやはり一つの専門的な訓練――ただそういうことが必要だというだけでなくて、専門的な訓練が必要ではないか、こういうふうに考えるものですから、けさほど外務大臣にもその訓練というようなことをちょっと承りましたが、ただいま外務省にある機構は研修所でございますか、これは若い方のただほんとうの外交官としてのごく初歩的な訓練、そういうものだけしか今はやっていらっしゃらない。もう少し進んだほんとうのイデオロギーというか、世界をイデオロギー的に見たこの一つの診断を下すというような、そういうようなところから入っていった訓練というようなものをぜひこの外交官には――だれでも必要ですけれども、特に外交官には必要だという考え方から、もう一歩進めた具体的な訓練をどういうふうにしておやりになるかというような御所見がございましたら承りたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 加藤委員が御指摘になりましたように、その必要を痛感しているということだけでは実は済まないので、これを今度は具体的にどういうふうに訓練するかという問題が考えなければならぬ問題ですが、これは私も決して容易でないと思います。今の研修所で新たに外交官としてのキャリアを始めようという人をいろいろな点から研修をさしておりますが、これでもって十分だというわけにはもちろんいかない。まあこの根本的に申しますというと、今の思想戦の問題になれば、やはりただ単に外交官だけでなしに、一体その共産主義の国々がどういうふうなことで自由主義の国国に質的に対立しているかということを考えてみまするというと、外交官以外の国民全体が自由主義の立場を堅持しているといいながら、それを裏づけるような一つの思想的なはっきりしたこのバックボーンというものを持たなければならぬことはこれは言うを待たないのであります。今のは特にそれらの国々と直接に折衝していく外交官の問題でありますから、そういう一般的なことを申したってこれは済まないわけであります。研修所における研修というものの内容についてもなお検討してみる必要があろうと思います。さらに最近この外務省で地方々々の大公使もしくは公館長の会議をしょっちゅう行なって、そうして問題になっていることや、それからいろいろな各国におけるところの動き等についての意見を交換し、物の考え方というようなものにつきまして会議をいたしております。これは必ずしも単に具体的になっているある一つの国際的の問題をただ討議するということだけでなしに、もう少し広くいろいろな問題を討議いたしまして、そうしてお互いに情報を交換すると同時に、その底流をなしているところの物の見方とか、あるいはそういうことを掘り下げて検討するような会議も持っております。これらのことをやはり公館長だけじゃなしに、相当な程度において行なっていくということも私はこの国際情勢の認識なり、あるいは国際場裏における思想戦のこの様相、もしくはこれに対処すべく各国がとっている方策等についての十分なる打ち合わせをしていくということも一つのこれはなにであろうと思います。まあしかし、共産主義との問題になりますというと、結局は押し詰めるというと、そういう知識だけでなしに、人間の問題であり、信念の問題であり、一つのことでございますから、これはよほどそうしたことは、そういうことから見ると末梢的なようでございますが、結局しかし、そういうことからいろいろ機会を多くしてその人の信念なり、また、人間を作っていくということに努める以外にはもう方法はなかろうと思います。政府としても、重大な問題でありますから考えますが、また、そういうことについて具体的な方法として、こうもしたらよかろうとか、こうすべきじゃないかというような御意見がありましたら一つ教えていただいて、十分にこれに対処すべき方針を考えて参りたいと思います。
○加藤シヅエ君 これから新しく訓練すべきその御所見について今伺ったのでありますけれども、現在、もう一人前になっているたくさんの外交官の方方のイデオロギー的な認識というようなものはどうなっているかというようなことも、やはり絶えず十分に見ていらっしゃる――同じ日本国政府の役人であっても、どこを見ているかわからないようなものがもし役所の中にあるというようなことになりますと、事柄が外交問題であるだけに、これは非常に重要なことになると思うわけでございます。現に総理も、外務大臣も御承知のように、アメリカのアルジェー・ヒスでございますか、あの人なんかも国務省の中の重要な地位にあって、そうして反米的な活動をしていたというようなことで処刑されたというような人もございますし、英国の国際連合で重要な役割を持って活動していた二人の外交官がソ連に逃亡したというような事実もあるわけでございます。こういうような事実が今後もまたひんぱんとして起こるかもしれないというような時代であって、この思想戦ということになりますと、国境を超越して、どこの国にでも共産主義の世界制覇のイデオロギーを持っている人が、日本の外務省の中にもいるかもしれない、こういうことも念頭に置いて、ほんとうに日本の祖国というものに忠誠を誓うという信念の持てるような外交官、これを絶えず作り、また、現在そうでないような人に対しては十分に注意をするというようなことも考えていただかなくてはならないと思うわけでございます。で、それにつきまして、私特に考えますことは自分の国に忠誠を誓うような外交官、そういうものがたくさんいるということは、たくさんの防衛費にお金を使う以上に大切なことである。そこの一角がくずれるようなことがあっては、幾ら防衛費をたくさん使って飛行機を買い込んでも国を守れるものじゃないわけでございます。非常に危険なことだと思います。その点をほんとうに注意していただきたいと思うわけでございます。それについて、ほかに私の意見をと総理大臣はおっしゃいましたけれども、今、委員長からいただいた時間の中でそれを全部ここで述べるわけには参りませんですから、これはまた他日の機会をもって申し上げたいと思いますけれども、もう一つ、やはりこういう、日本のほんとうの国防というものは軍備ではなくて、ほんとうに正しい思想に日本が立っているというその確信を持つこと、そういう正しい愛国心に燃えることができるというような国を作ること、そういうところから総理大臣が始めていただくことが、これが一番根本だと思うわけでございます。そういうことから考えて参りますと、今度のベトナムの協定についての問題なんかも、総理大臣ははたしてこれがほんとうに満足すべき協定であったとお思いになっていらっしゃるかどうか、私はこれは疑問を持っているわけでございますが、きょうはベトナムの問題には入りませんから、それについてはお伺いいたしません。ただ申し上げたいのは、そういうふうに非常に大事な役割を持っている外交活動、これを担任している人々こういうものについて、十分に総理大臣にお考えになっていただきたい。承りますと、河野一郎代議士が、きょう外国の御旅行からお帰りになる。昨日、香港で記者会見をなすって、これからは新しい国是、自主的な国是を作らなくてはいけないというような新しい考え方をお持ちになってお帰りになるやに新聞報道をいたしております。こういうことも、やはり河野代議士が外国においでになって、この思想戦の時代というものは、自分の国を守らなくてはならないという、そのはっきりした思想的な根拠というものをみんなが持つようになることが大切だというところにお気がおつきになったのじゃないかと、この記者会見を通じて私は想像しているわけでございますが、こういうことを考えて参りますときにこの在外公館設置の問題に関連いたしまして、私は総理大臣にこういうようなことを申し上げて御理解いただいたことは非常に光栄であったと思います。私の持ち時間も参ったと思いますから、私の質問はこれで終わります。
○佐多忠隆君 ブルガリア、ルーマニアに在外公館を設置する機会に総理に一点だけお尋ねしておきたいのですが、NATO条約に対抗的に作られているワルシャワ条約、この体制がどういうことを意図し、どういうふうな考え方で作られ、その後運営をしてこられたか。特に一九五七年にICBMが実験され、あるいは引き続いて人工衛星、スプートニクが発射されるというような問題と関連をしてワルシャワ条約体制、特に軍事的な体制が相当な変化をしてきているし、それの延長が最近のフルショフのアメリカ訪問になり、さらには国際紛争の解決は武力によるのでなくて、話し合いによらなければならないという方向への発展と非常にこれは筋道を通して計画内に進められてきていると私は感ずるのですが、総理自身はそういう点を、特にワルシャワ条約体制なるものがどういう変遷をしてきているかというふうにお考えになっておるかちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 今日のこの東西両陣営、特にヨーロッパにおける情勢というものを見まするというと、一方NATO条約により自由主義陣営の国々が共同して防衛をするという機構ができており、これに対してワルシャワ条約によるところの機構が対立的な形をとっておることは今お話がありました。これの内容がどういうふうに最近変更しているかという問題でありますが、私の見るところによると、この条約はもちろん軍事科学の発達やあるいは核兵器等の発展に伴いまして基地の現実の設置であるとか、いろいろ防衛の現実的な武力的な体制の内容というものがある程度の変化は受けておりますけれども、その条約機構そのものが今日弱化されているとか、あるいはそれが解消の方向に行っているというふうに変化を受けていると見ることは私は適当でないだろうと思います。今お話のように、こういう機構で相対立してはおりますけれども、現実に原水爆やあるいは核兵器の全面的使用によるところの全面戦争というものがどういう惨害を人類にもたらすかということは両陣営ともよく知っておるし、また、いろいろそれに関連してそういう武力を行使することなくして話し合いによって問題を解決しようという機運が出てきたことは、これは先ほど申し上げたように、私も非常にけっこうなことであり、ぜひこれは話し合いでものを解決せねばならぬ。ただ現在の状況が、それでは背後のそういう条約機構や、あるいは軍備というものを現在直ちにこれを撤廃するとか、解消してそうして話し合いでものをきめるのだという情勢にはまだまだなかなかほど遠いものがあるのじゃないか、結局そういういろいろな力を背景にして話し合いでいろいろ懸案事項を解決する、決して武力を行使して戦争によって解決するということは、これはもう絶対に避けなければならぬが、話し合いをする上においてやはり力を背景にして話し合いをしておるというのが現状であり、また、しばらくの情勢であると私は思うのです。そういう意味において、ワルシャワの条約というものが近年解消の方向に大きく動いているとか、あるいは内容を弱化せしめるようなことになっているとは実は見ておらないのでございます。
○委員長(草葉隆圓君) この問題は国際情勢の推移に移って、そこでやったらどうでしょう。
○佐多忠隆君 そのときにはまたNATOなりそっちの方をお尋ねしようと思っているので、これは東欧の方だから。
○委員長(草葉隆圓君) ではもう二、三分で終わりますね。
○佐多忠隆君 どうも総理の認識なり何なりが、私は総理の所見を聞くのじゃなくて、もっと実情をどういうように把握しておられるかということをお聞きしたわけなんです。どうもはっきり御存じないようですが、それでは総理には御無理かもしれませんから、外務大臣はその辺をどういうふうに御認識になっているか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 総理が言われました筋が大筋であろうと思います。むろんワルシャワ条約は東欧圏に関して、NATOの攻勢に対する結束カを固めるというのが一つの目的であったことは申すまでもないのであります。むろんしかし、ただいまお話がありましたように、核兵器あるいはミサイルというようなものができてきた。従ってソ連から見ますると、必ずしも東欧間自体に基地を置き、あるいは陸上兵力を置くということでないというような問題も起こってきております。一方では御承知の通り、ポーランドでもって一つの考え方が出てきて、そうしていわゆる中立、非核武装地帯と申しますか、そういうような問題も一方では出てきていることは、そうしていろいろな内容について、あるいはそういう問題についての変化がいろいろ起こっていることは御承知の通りだと思うのです。しかし、大局から見て、今総理が言われましたように、大きな筋においてはまだまだ、今度はおそらくフルシチョフがアメリカに行き、アイゼンハワーがさらにソ連に行くというようなことによって、またあるいは、軍縮会議が成功していくということによってさらにワルシャワ条約そのものがいろいろの変化を内容的にはしていくかと思いますし、あるいはそういうものがNATOなどにおいてもいろいろの実際問題に応じて、NATO自身が反省していくというような問題も起こってこようと思うのでありまして、将来にわたっていろいろのそういうような体制上の問題は相互に考えられていくと思います。しかし、現状までは今申し上げたような形において、とにかく表向きとしては一応どういう裏に意図があるかわかりませんけれども、また、あるいは核兵器その他の進歩、あるいはミサイルというようなものができて、しかもそれが非常に長距離のいわゆるミサイルというようなものができたという結果から見ての問題の扱い方というものについては、こまかいいろいろのそのときどきの変化があるということはわれわれも想像しておりますが、対東欧を含めてのソ連の一つの防衛体制というものについての基本的な変化はそうあるとは見られないと私どもは思っております。
○佐多忠隆君 内容的に言えば、総理の考え方より若干現実を見た考え方で説明をしようとしておられながら、結論的には何か無理に総理の考え方に合わそうという非常に無理な御答弁のようですが、一つ一つこまかいことは、時間がありませんからお尋ねをしませんが、ただ大きな筋としては、今外務大臣からもちょっとお話しありましたが、私ちょうど一九五七年の十月にモスコーでフルシチョフとの会見をやりましたときに、ちょうどスプートニクを発射して五日目でしたが、そのときに、この世界平和の問題、今の両体制の解消の問題を私はフルシチョフに話したときに、フルシチョフは、ICBMなりあるいはスプートニクの発射の成功に関連をして、世界戦略は非常に変わったんだと、従って、そのそういう戦略的な見地からいって、ソ連としてはもはや域外に――域外にといいますか、東欧諸国に原則としては駐留軍を置くという必要はもはやなくなったんで、これは大幅に全部撤退をするんだということを言っておりましたが、その後、各地のものが逐次撤退をしてきたと思います。さらにそれに関連して、フルシチョフが言っていたことは、北鮮もそうでありたいということを自分たちは願っているんだが、これは中国の関するところだから、自分は直接にはあれしないが、自分の希望としてはそれを望んでいるんだということを言いましたが、その後御承知の通り、北鮮からの中国軍の撤退も行なわれた。そういふうに撤退が行なわれ、そして少なくとも常時ソ連の軍隊を他国に駐在させるということはもはや必要がなくなったから、そういう方向で処置をするんだと、さらに軍事基地は有事進駐の問題として非常に重要な問題ではあるけれども、しかしこれは、これすらもはや必要でなくなる、傾向としては、方向としてはそういう方向なんだ。そこで問題は、そういう力による対立抗争というような軍事的な競争がうしろに退いて、むしろ経済競争に変えなければならない。経済競争、従って平和競争、そういう意味で競争的共存という方向に切りかえられなければならないと思うんで、自分は今後そういう方向に大きく問題を進めていくつもりだと、その点から考えると、従って、NATOとワルシャワ条約が両体制――軍事的に対立をしているものを話し合いによってこれを解消をしていくという方向が具体的な問題にならなければならないと思う、こういうような発言をフルシチョフはしておりましたが、大体その後の進み方を見ていると、方向は大体そういう方向で参ったと思う。なるほどそれがすぐにそういう解決が得られるとは思いませんし、来年の四月中旬に行なわれるはずの東西巨頭会談も、世界平和の問題その他については、あるいはヨーロッパの安全保障の問題については、今のような問題が少なくとも論議をされて、方向としては解決の方向に非常に大きく進められると、そういうふうな認識を東欧諸国に持つ。そういうことを前提にして今のブルガリアなり、ルーマニアの、この在外公館の設置、今後の交渉等も考えなければならないと思うのです。特にハンガリーからも二、三日中には最後に残っていた軍隊撤収の問題を二、三日中に発表するかもしれぬというようなことまでうわさされているような現在の状態でありますから、そういう点を一つよく総理もお考えの上に、今後の日本の外交政策なり何なりを進めていただきたい。と同時に、この問題についてもう少し具体的に、内容的にいろいろ質問したいし、従って、事実の問題として外務省の政府委員にいろいろお聞きしたいと思いますけれども、時間がありませんので、ここでは私は遠慮いたしておきますが、今後論議の重要な資料になりますので、至急に今申し上げたようなワルシャワ体制のできたときから最近に至る変遷、それらの実情をまず調査したものを至急に出していただくように要求をして私の質問を終わります。
○委員長(草葉隆圓君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(草葉隆圓君) 速記をつけて。
○大和与一君 外務大臣にお尋ねしますが、先般岸総理が外国へ行かれまして、そのときにまあだいぶ勲章を配給したわけですが、在外公館から、この国には今回はこういう勲章が適当である、こういうふうに申達があって、あるいは本省と連絡をとって、それを聞いておやりになったと思いますが、その点は間違いありませんか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知の通り、先般総理が外国を回られますときに、勲章を贈与するか、贈与しないか、相手国によって儀礼的に受ける国もございますし、受けない国もあるし、また、儀礼的に受けることを喜ぶ国もありますし、喜ばない国もある、そういうふうないろいろな関係がございますので、相手国政府とも在外公館を通じて、勲章の贈与というのは、大体レシプロカルにやることになっております、国際慣例として。ですから、そういう手続をもって処置をいたしたわけでございます。
○大和与一君 その場合には、最後の決定は、外務省にはどこから命令というのですか、それはありますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 在外公館から相手国と折衝をして、そうして総理が来られるならばこの程度のものは出してもらいたいと、たとえば向こうから総理が来られた国もございます。それから、そうして日本に来たときに向こうが日本側に贈与した例もございます。そういうものと見合って向こう側の希望も聞き、そうしてそれを外務省におきましては、あまり範囲を広げて、そうして儀礼的でありましても、たくさんするということは必ずしも適当でございませんし、相手方の資格等を見て、できるだけこちらの考えを入れて数度交渉をして、そうして最終的には大体決定することになるわけであります。その決定自身は外務省で、在外公館が向こう側と折衝した結果に基づいて、また、日本側の出す限度もございますから、あまり多くのものを出すということも適当でございませんから、その数等については相当向こう側と折衝して、最終的決定をしたものを内閣の方に出すということでございます。
○大和与一君 総理にお伺いしたいのですが、先ほど総理府長官にいろいろお尋ねをしたのですが、そのときにこれをきめる機関というものがない、まあ閣議できめる。そうなると、閣議の議長さんが総理ですから、総理が責任者となるわけです。それからもう一つは、それをきめる基準はない、はっきりとこれはもう断言されましたが、そうなると、一体やはり憲法七条によってこれがあると思うのですが、今までの、戦争前は別として、新しく民主主義になって国民に対する感謝をする意味、あるいは外国人に対しても国民の納得をする線でこれをやはり差し上げるということになろうと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(岸信介君) これは外国との関係は、今外務大臣がお答えを申し上げましたように、日本との間における一種の儀礼的な見地に基づいて、相互主義に基づいた勲章の贈与ということが従来行なわれてきたものでありますし、従来の慣例というものも、国際的に基準というふうな、これは栄典の問題の基準ということは非常にむずかしいことですけれども、一応いろいろな従来からの例もございますし、また元首であるとか、あるいは向こうに贈るところの立場の人の向こうにおける地位というようなものに対しまして、従来の先例等にも基礎を置いて、そうして閣議において最後の方針をきめ、そうして憲法の規定に基づいて出すと、こういうふうに扱っているわけであります。基準というものがないという、これはいろいろな従来の仕方ですけれども、今言つたように、外交的の問題はほとんど従来の国際慣行的に――長い間日本としましても諸外国に対して勲章の贈与をしておりますし、これらの例に基づいて、大体の基準をきめて贈進をする、こういうことになっております。
○大和与一君 そうすると、今回の配給は、従来の慣例ですか、それによってやったのだと。ほかには何にも考えていないのですか。基準というものは、これは私は、新しい制度ができるまでは、やはり総理として、あるいは政府として、一応の基準というものはあるべきだと思うのです。そういうものは幾ら先ほどからお尋ねしてもないのですが、基準はないけれども、従来の慣行でやったと、これ以外にはないと、このように理解してよろしいですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 外交関係のものにつきましては、一つの基準になりますものは、日本に滞在する大使、これは国際慣例もございますし、二年以上在勤したものでなければ勲章をやらない。また、二年以上在勤しますと、日本の在外大公使も任地からもらうことになっておりますので、二年以上在勤した人が帰ります場合には、それぞれの勲章をいろいろと贈与する。これは外務省の基準になっております。もっとも、国によりましては受けない国がございます。たとえば、アメリカは外交官が任地国の勲章を受けないということになっておりますので、アメリカのここにおります大使、そのほかの外交官というものは、三年以上おりましても、向こうが受けない規則になっておりますから、出しておりません。そういうようなその国々の例はございますが、一般的には二年という基準でやっております。 総理が外国を回られますときには、特段の基準はございませんけれども、大体、今申し上げたような形において向こう側とも話し合いをし、また向こう側が日本に来た国ではその例などもございますので、その例に従って相関的にこの問題を考えてやるというのが、外交上の関係でございます。国内の方は……。
○大和与一君 これで終わりますが、こまかいことは別として、私は、これはやはり責任者は総理だから、総理にお尋ねしたいと思うのです。今回は七十三もお持ちになって配給されたのですが、それがたとえば南米の小さな国にも一番いいのをやっている、菊花大綬章ですか……。チリーとかアルゼンチン、メキシコ、それからイギリスなんかあまりほしくないから、総理はたまたまイギリスに居合わせたからやるんだと、こういう名目で前の駐日公使にやったと、そういう事実があるのですが、これは私は調べればわかると思うのですが、この七十三の勲章を配給したことが閣議というか――閣議としてはしろうとばっかり集まっているのですから、勲章について大して別に権威があるのじゃないから、そういう諮問機関もない、そうしてまた明確に国民に示すべき基準もないところで、おきめになった。私たちは、常識も慣例も越えているというように思うのですよ。国民はやっぱり疑惑を持っております。吉田さんのおいでになったときには、国は少なかったけれども、十五、六だった。今回総理がおいでになったときには七十三。数のことは大したことはないが、内容が、どうしてそんなに持って歩いたのだろうか。外務大臣はよく、相手の国と折衝してと言いますが、やはりこっちからやるといえば、向うはいやと言うのは少ない。大体もらいます。そうすると、やるということをきめた気持というのは、国民の一部の人たちの常識では、総理はどうもこういうふうなおみやげを持って行き過ぎたのじゃないか、何んでこういうことをするのか、こういう気持はあるのでございます。その実情を私は明らかにし、そうして今回の七十三のことも従来の慣例通りで絶対に間違っていないということならば、あとから資料を出してもらえばわかりますし、そういうことをして、そうしてしかも、戦争前の勲章の配給と戦争後の民主主義になった新しい憲法における勲章の配給とは違うべきだと思います。やはりこれはほんとうに国民に納得され、国民から喜ばれ、むしろ政府が国民に感謝をして国内的にはやるべきだと思いますが、そういうことはきっと御同感だろうと思いますから、もう一ぺんはっきりと、閣議決定というものは、ほかに機関もない、基準も明確にない、従来の慣例しかない、それによって大体やったのだと、それで間違いないのだと、こういうふうにはっきりおっしゃってくれれば、これできょうは終わります。
○国務大臣(岸信介君) これは、従来もそうでありますが、各国に勲章を贈進する場合には、その人が元首である場合においては日本の最高の勲章を与える例になっております。これは今でも、その国が大きいとか小さいとかということでは区別いたしておりません。元首に対しては最高の勲章を出す。従って、大統領であるとか、そういう国王であるとかというものに対しては、常にそういう従来の例によって、贈進する場合にはそういうことになっております。それから、総理大臣である、あるいは外務大臣であるというものに関しましては、先ほど外務大臣が申しておりましたように、二年以上駐在した大使に贈るという何に応じまして、やはり大体の勲章の等をきめまして、これも決して標準ということで、大臣にはどうするという標準があるわけじゃございませんが、従来の慣例もそうなっておりまして、これは今回贈進したところの勲章の例が、従来の例よりも非常にルーズになっているとは絶対に考えておりません。そういうことを参考にして、そうしてきめておりますし、それからまた、数がどうだということにつきましては、国々との間のいわゆる相互主義の立場から、いろいろな国々の何からいいまして、非常に広くしたい国もありますし、そうでない国もありますが、われわれとしては、大体あまり多くならないような標準のもとに各国と、現地の公館がいろいろ話をしまして、きまったものに対しては閣議において決定した。決して、私は、従来の慣行から見まして、今回のわれわれの贈進したことに対しては、非常に何か間違っているとか、あるいはどうであったとかというようなこととは絶対にないことを確信いたしております。 ―――――――――――――
○委員長(草葉隆圓君) それでは、本案に関する質疑はこの程度にとどめまして、次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。 御質疑のある方は御発言を願います。
○佐多忠隆君 国際情勢、特に新しい安保条約に関連してお尋ねをいたしたいと思います。 二、三日前に、外務大臣はマッカーサー大使と会われたようです。ふだんの場合には、会われた内容はともかくとして、会われた事実その他については相当いろいろに発表がなされているのですが、今度の場合にはそういうことが予告もされていなかったし、会われた事実、その後のことについてもほとんど発表がなされていないようですが、それはどういう事情によるんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいまの御質問は、先般の中間発表以後、あまり発表がないという意味の御質問でございましょうか。
○佐多忠隆君 二、三日前にお会いになった……。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま交渉を継続いたしておりまして、先般も中間報告でも申し上げたと思いますが、条約についての問題点は、ある程度一応の話し合いがついております。まだ最終的に条約作成に入りませんから、入りました場合に、いろいろまた議論がある場合がございましょうと思いますけれども、現在は行政協定の問題を主としてやっておりまして、それらの行政協定中に、数カ条の中における数点についてまだ意見の一致をいたしておらぬところがありますんで、そういう問題について協議をいたしておるわけであります。
○佐多忠隆君 そうすると、行政協定に関連しては、内容的にもまだ意見が完全に調整されていないものがある、のみならず、条約そのものについても条約案文の作成にはいまだ着手してないんだというふうな状況にあると了解をしていいのかどうか。どうも、外務大臣に聞くと、少しもそういう問題が進捗していないようなお話でありますが、新聞その他の報ずるところによると、もうほとんど条約案文の整理その他までできてしまっているというふうにも伝えられておりますし、われわれとして、国民として、どっちを信頼していいのか、どうもその辺がもやもやとして、はっきりわからないんですが、もう少しその点を正確に御報告を願いたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま申し上げましたように、条約については、一応話を始めますときに定めました問題点、そういうものについては話し合いがついております。その話し合いがついておりますものを最終的な条約文に書き上げるということがまだ残っておるわけでございます。むろん、これは程度の問題であることむろんで、ございまして、問題点を解明して参りますためには、若干の条約文類似のような書き方の例なども出してみていかなければなりませんから、全然条約文そのものに触れていないとは申し上げません。しかし、今申し上げたように、まだ最終的に条約文そのものを全部書き上げて、これが最後の決定版だという書き上げ方をしていないということでございます。 行政協定につきましては、まだ各省との関係がございます。いろいろ交渉折衝いたしておりますが、今申し上げたように、大体、全条にわたって検討いたしまして、相当問題点が解決しておりますが、まだ二、三カ条の数個の点について話し合いをいたしておるというところでございます。はっきり申し上げれば、そういう状況であります。
○佐多忠隆君 先ほど、行政協定については、二、三の点をあげられて、それらの点について論議をしておるというようなお話があったと思うんですが、今、それでは、行政協定の問題点、すでに題目としてどういうものが論点になっておるのか。それから、すでにもう話のついたものと、なお、ついていない残っておるものと、それらの題目はどういうふうになっておるのか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 先般の中間報告でも大体申し上げたと思いますが、行政協定二十四条の削除は決定いたしております。それから、二十五条二の(b)項の防衛分担金、これは協約ができますれば支払わないということに、支払い条項の削除も話がついております。それから、行政協定十八条の民事請求権の問題でございますが、これも大体話がついております。それから、行政協定十四条のいわゆる契約者の問題、これについて、改善を加える点についても、相当改善が加えられるように話がついております。それから、その他のこまかい技術に関連しております問題が、ついております。それからまた、航空管制を日本に一任いたしますための条文の整理というものも、これはついております。なお、今残っておりますものは、労務及び関税関係のものが主として残っております。
○委員長(草葉隆圓君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(草葉隆圓君) それでは速記を始めて。
○大和与一君 私は、北鮮の帰還問題と韓国の抑留者の問題、これをお尋ねしたいと思います。 第一には、帰還がいよいよ実現をして、この点は大へんお骨折りをいただいたわけですが、それでも、この帰還案内というものの内容が十分であるとは言えないと思うのです。そこで、私は、政府は見送り、面会、外出というものをどの程度実際に緩和するか、このことについて具体的に詳細にお話を承りたいのであります。また、開くところによると、二、三日前ですか、外務省と厚生省と警察庁の問で十分な打ち合わせをされて、きょう新潟で何かやっているのですね。その内容がきちんと教えていただければ、あわせて御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(渡邊良夫君) 先般来、内閣の副官房長官を中心といたしまして、外務省、それから厚生省、あるいは法務省と、この帰還案内の範囲内におきまして、十分基本的に人権を尊重して、ほぼ円満なるところの帰還事務の運営につきましてお話をしたような次第でございまして、詳細につきましては、まだ別に具体的なものはございません。きょうは、新潟現地におきまして、関係各省が集まりまして、きょう打ち合わせを行なっておるような次第でございます。見送りあるいは途中の――出発に際しましての見送り、あるいは途中の輸送、あるいは新潟のセンターにおきましての面会、外出等につきましては、できるだけ要請に応じて、幅のあるところの援護措置に基づいて行なっておるような次第でございまして、先般、これは実施要綱にもすでに発表されておる通りでございます。
○大和与一君 その実施要綱を今ここで拝見しているのですが、あまり具体的に書いてないので、今の大臣のおっしゃるのは、きょう現地でそういうこまかいことをきめるということであって、きょうまできまっておらない。そのきめるために、たとえば厚生省として一つの草案をお持ちになっておられると思うのですけれども、そういう点もお話ができませんですか。
○国務大臣(渡邊良夫君) それはすでに、帰還要綱の実施要綱におきまして、すでにもうきまっておるわけでございます。しかし、現地におきましては、これからの、十四日に第一次船が出発いたしまする、その具体的な措置につきまして打ち合わせたのでございます。
○大和与一君 たとえば、日赤センターにおいて三泊四日ということになりますと、このうちの一人の外出時間がどれくらいか、こういうふうなことはお答えがいただけますか。
○国務大臣(渡邊良夫君) それは、現地の日赤当局に時宜に応じた措置をおまかせしておいてあるような次第であります。
○大和与一君 そうしますと、今日までの非常な苦労が実って、そうして在日朝鮮人、それらの団体とも今も密接な連絡をとっておって、なお今後もその連絡をとりながらこの一応の要綱に従って最善を尽す、こういうことでございますね。
○国務大臣(渡邊良夫君) さようの通りでございます。
○大和与一君 次は、この帰国問題で、最近新聞にもたびたび出ましたけれども、韓国居留民なりあるいは右翼団体の妨害ですね、これに対して一体どのようなお考えを政府はお持ちになっておるのか。
○国務大臣(渡邊良夫君) 厚生省としては、できるだけの保護の万全を期するという意味におきまして、私どもの所管といたしましては、できるだけあたたかい援護措置ということに限られておりまするが、もしもそうした治安上におけるような問題が惹起するおそれ、またはあった場合に処しましては、治安当局と十分な連絡をとりました上、治安当局におきましても十分それが対策準備を進めておるような次第でございます。
○大和与一君 治安当局、来ていますか。警察庁長官にお願いしてあったのですがね。
○委員長(草葉隆圓君) 警察庁長官は見えておりません。
○大和与一君 それでは、次に移ります。 十六日に、豊島公会堂で祝賀大会があったときに、妨害がありました。このときにも、だいぶけがなんかをしたのですが、写真もたくさん出ていますけれども、治安の方はあとからお尋ねしますけれども、このときにやはりけがなんかした人がおるのですが、ここにけがの診断書なんかあるのです。こういうことに対して政府はどのような措置をしてきたか、あるいはおやりになるか、お尋ねいたします。
○国務大臣(渡邊良夫君) 私の所管外でありますので、その点につきましては、私どもの所管といたしましては、帰還事務が始まりましてから出発までにつきましての援護措置並びに準備でございますので、そうしたかの地域にそういうような大会がありました措置につきましては、私どもの所管ではございません。
○大和与一君 私は厚生大臣と指名してお尋ねしているのではないのですから、政府として答弁して下さい。
○国務大臣(渡邊良夫君) そうした問題がありましたときは、やはり政府といたしましては、治安上あるいは事後の処理につきましては十分なる手当をやっているものと、私も心得ておりまするし、またやらなければならぬと、かように考えておりますが、外部からの、いわゆるこの帰国に対しましての外部からの圧力団体によるところの問題が、あるいは治安当局との間に問題が惹起したというようなことがありました場合におきましては、これは何とも申しようがございません。
○大和与一君 何とも申し上げようがない……。その次の話を国務大臣としてお尋ねしているわけです。そこまではだれでも言える。
○国務大臣(渡邊良夫君) これは、豊島公会堂の件につきまして、私は詳細伺っておりませんが、かりに今私どもが帰還促進をしようと言っている際に、これを帰還阻止のためにいろいろな団体がそうした大会を開いた。そうして治安上まことにゆゆしき事態を引き起したということでありましたならば、警察当局といたしましては十分これが取り締りに対処することは当然でございましょうけれども、そうした事故を発生せしめたところの、原因を引き起した罪といいますか動機というものにつきましては、そこまで政府の方としては考えていないだろうと、私はかように考えております。
○大和与一君 そうすると、政府はいよいよ輸送が始まるというそのときから全責任を持つことになりますがね、そうしてそれが船が出るまでと、その間にほんとうに理不尽な妨害があって、そうしてけがをしたというような場合には、そういう場合にはすべで政府が責任を持って、これは全責任を持って処置をするとこういうことは言明していただけますか。
○国務大臣(渡邊良夫君) それは厚生省の面におきまして(「厚生大臣でなくて国務大臣としての答弁だ」。と呼ぶ者あり)その次に国務大臣として答弁します。厚生省といたしましてはできるだけの援護措置でありますが、治安当局におきましてはそういうものの起こらないようにできるだけのことをいたしたい。また、起こさせないようにと努力いたしつつ準備をしておるような次第でございまして、それ以上仮定のことに対しましては、今ここで申し上げるわけにいきません。
○大和与一君 そうなると、大臣のお答えはお答えになっていない。そうすると、その答えをできるのは総理大臣だけですか。あなたの答えは厚生大臣にとらわれちゃって、ちっとも政府としての全体をつかんだ答弁になっていないと思うのですが、あなたの答弁じゃ、仮定は答えられないとかどうとか言って、具体的に出た場合どうするということを聞いているのですから、総理大臣でなければ政府としての全体の答弁はできないと、こうおっしゃるなら総理が来てからお尋ねするだけです。
○国務大臣(渡邊良夫君) そういう事件が惹起いたしますところの動機あるいは原因、その時の客観情勢等によりまして、関係当局が協議した上で結論を出したいと、かように考えております。
○大和与一君 しかし、その輸送業務が一たんちゃんと軌道に乗ってくればですよ、これは客観情勢とかいろんなことを言いますけれども、そこで何か問題がございますか。一たん汽車に乗って、あるいは窓口で受けていよいよ団体として輸送するのですね、そうなったら全責任は政府が持つということを断言しても差しつかえないと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(渡邊良夫君) これは政府といたしましては、これは大和さんの御質問もなかなか不測の事態と、こういうことなんで、私どもはできるだけそうしたような事態を惹起せしめないように、あらゆる諸情勢というものを把握して、そしてできるだけそういうことを阻止せしめるように関係当局とも対策を協議しているわけでございます。しかし、そのときにおきまして、政府といえども神様じゃございませんから、そういうときにどういうようなはずみでどういう事件が持ち上がったということになりましては、これは仮説の将来の事件に対しましてここでは私は、先ほど申しましたように、そういう事態に処しますには政府が、関係当局が全部集まりまして、できるだけの最大の私どもは熱意をもちまして、これが処理に当たりたい、善後の措置に当たりたい、かように申し上げるより今のところは申し上げるすべがございません。
○大和与一君 ですから、私はその仮説は別として、予測されざる重大問題は別として、一たん政府が輸送を始めて船が出るまでは政府が全責任でやるんだ、こういう言明をまずいただきたい。
○国務大臣(渡邊良夫君) 私どもはそれは、この責任といいまするというと、まあできるだけの私どもは責任はとるつもりでございまするけれども、しかしながら、この責任の範囲というものが、その動機、あるいはそのときの客観的な諸情勢というものが、政府の責任がそこまで及ばなければならないものであるかどうかというものにつきましては、私は今ここで言明はできません。
○大和与一君 私はその非常に不測の事態ですね、そういうことはですね、現在まですでに何回か行なわれてきた。これからもあるいはあるかもしれない。そういうことは一応政府としては十分まあ考えられるわけですが、一体それに対してどのような事前準備といいますか、対策というか、これは一つ考えられるのですからね、明らかにほうっておいたならば、これは間違いが起るかもしれない。だから、それに対しては十分にやらなければならぬ。それは治安方面だけでなくて、政府自体が、この朝鮮の人たちの複雑な対立があるわけでありますから、そういう点をわかっておってどのように措置をされるか、このようにお聞きしたいわけです。
○国務大臣(渡邊良夫君) 政府としましては情勢に応じた相当の注意をする義務はありますが、過失がなければ責任は……私どもの方としてはそのときにおきまして問題が出てくるであろうと、こう考えております。責任は感じておりますが。
○大和与一君 いや、それは要らんことを紙に書いたものを回すから、またややこしくなる。責任は負いますと、しかし過失でなければと、あとの方は何を言っておるかよくわからんが、そういう要らんことを言わんで、ちゃんと責任を持つ、そうして何か起こった場合は、それに対して全力を尽くす。こういうふうにはっきり言えば、話はややわかるのだけれども、変な紙を回すからいけない。
○国務大臣(渡邊良夫君) 話はわかるのですが、われわれはそのときの事態に処して、政府がよく協議をして、それに対応するところの善後措置を講ずると言っておるのでございますけれども、大和さんの質問がいかなる性質の事態であっても、責任をとるかどうかというような趣旨の御質問のようでございますので、私もここではっきりしたところの答弁ができかねておったわけでございます。
○大和与一君 治安関係の方は、あとからまたおいでになってからお伺いいたします。 それでは次に入りまして、この問題とまあ関連があると思うのですけれども、外務大臣にお尋ねしますが、この間アメリカから帰られたときに、この問題がまあやや何とか大臣のお骨折りでよい方に向かった。そのときに韓国の抑留者の問題はどうかということをお尋ねいたしました、そうしてこれをおそくともいつごろ目安があるか。こういうお尋ねをしましたら、たしか十一月一ばいと言われましたように、議事録にありますけれども、そういうふうにお話があったと思うのですが、一体そのときは帰ったばかりでわからんで、これまた人から聞いて返事をしたのか。その辺のその後の状態を一つお聞きしたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 当時御質問がありまして、十一月末くらいには相互交換ができるだろうということを申し上げたと私も記憶いたしておるわけであります。そこで、当時の韓国側としては大村収容所にいる人のその身元その他の調査にも時間が若干かかる、それから釜山の抑留者に対しても、そういう関係もあるし、ということが理由であったようであります。 その後だんだん延びてきておりまして、向こう側からの、こちらとしては催促をいたしておりますけれども、正確な意思表示をして参りません。従って、もう十一月も終りになって参りますので、私としては先般、柳大使を呼びまして、この問題は約束が違うじゃないか、であるから、一日も早くやらなければ日韓会談再開の際の約束も違うのだということを向こう側に申し入れをいたしたわけであります。そのときには、柳大使はやはり調査中であるのでそれがわかり次第というような返事をいたしておりましたけれども、もう相当な時日がたっているのであるから、わかり次第などということでは困るのであって、即時こういう問題を処理してもらわないと、日韓会談再開の際の言明とも違うし、従って今後会談の運営その他にも非常な大きな支障を来たすのだという警告を現在与えておるわけでございます。
○大和与一君 その当時、帰国問題とは無関係だ、こういうこともはっきりおっしゃったようですが、その点は今もその通りでありますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私どもこの問題は帰国問題と無関係だと考えております。韓国側においてもこれが帰国問題と関連しているということは一ぺんも言ったことはございません。
○大和与一君 その当時、やはりちょっと触れたのですけれども、日韓会談の委員会といいますか、正式のものではないとしても、そこでいろいろ韓国との話し合いの中で、韓国の新聞に韓国の方は帰る者については二千五百ドルずつやる、こういうことがはっきり新聞に数字まで出ておりましたけれども、そういうことがあったらどうするかというお尋ねをしたのですけれども、一体そういう話は今もあるのか、あったらどうなさるのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) そういう話をわれわれは正式に聞いておりません。しかし、われわれといたしましてはむろんそういう話がありましても、そういう扱いをするわけにはいかないと考えております。
○大和与一君 伊関アジア局長さんですか、わが党のある人に会って、そういう話があることは認めておられたようですが、あるのだけれども、しかしそういうことは政府としては認めない、これをはっきり言明なさるのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん正式に持ち出されたそういう話はございません。あるいは雑談的に、あるいは外務省でなしにいろいろそういうことを言っている場合があろうかと思いますけれども、正式にそういう話を持ち出されてはおりませんし、持ち出されたら私ども断わるつもりでおります。
○大和与一君 そうすると、日韓会談は小委員会といいますか、そういう話し合いも今のところは全然とだえておるわけでありますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) さようでございます。
○大和与一君 それから、朝鮮から戦事中に軍用の目的で来た徴用の人がおると思うのですけれども、そういう人たちが帰るという場合には、どのように政府としては処理されますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 当時、労働賃金は払っておりますので、そういう人はないと思っておりますけれども、もし払わないで帰っていった人があるとすれば、それはいわゆる戦時請求権の問題の委員会で出てくる場合があるかもしれませんが、みんなもらって帰ったのですから、そういうことはないとわれわれ確信いたしております。
○委員長(草葉隆圓君) 警察庁の中村警備第二課長が出席しましたから……。
○加藤シヅエ君 今外務大臣のお答えでございますけれども、戦時中に徴用で参った人というのは、単なる労働賃金を払っておればそれでいいというようなものじゃないと私は思うのでございますけれども、それに対して外務大臣は賃金だけ払っておればそれでかまわないと、こうお思いになるわけでございますか。その当時、どういうような形で徴用されてきたかというようなことを十分にお調べになっていらっしゃるかどうか、そのことも聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 当時、どういう形で徴用された人があるかというこまかいことにつきましては、政府委員から御答弁させますが、少なくも当時の事情は日本人であったわけでありまして、日本人と同じ形において賃金をもらったとすれば、特別に事情が変更されておるという状況にはないと思うのでありまして、私は何か特殊の事情がありますれば別でございますけれども、一般的には一応それで済んでおるのではないかというふうに考えております。
○加藤シヅエ君 外務大臣は徴用という言葉をお使いになっていらっしゃいますけれども、戦時中の朝鮮からの徴用というのは、単なる徴用ではなくて、これは強制徴用、有無をいわさずに連れてきた労働者、こういうものが非常にたくさんあるということを外務大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 当時は今申し上げましたように、日本国民として同じような扱いを内地においても、朝鮮においてもしたことだと私ども考えております。従って先ほども申し上げたように、何か特殊なケースでもありますれば別でありますけれども、普通の場合においては韓国からこれを特別な何か形で持ってきたのじゃないという建前に立ちますと、今申し上げたような答弁が適当ではないかと私は考えております。
○加藤シヅエ君 私は今の外務大臣の御答弁には承服することができないのでございます。それは事実たくさんの話を聞いておりますけれども、戦時中はむろん日本人として扱われたのかもしれませんけれども、内地のほんとうの日本人と、いわゆる半島人といわれましたか、朝鮮人といわれた人たちとは、決して同じ待遇を受けていたとは私は思いません。そういうことは常識でも外務大臣もごらんになっていらっしゃいますかと思いますけれども、その当時は日本の官憲が朝鮮の知事あるいは警察部長、警察官、そういうものになっていて、それで日本で労働力が足りないというようなときには、全く有無をいわさずに貨車に乗せて連れてきた。ひどい待遇をして連れてきたというそういうような事実を具体的に私は聞いて、その当時驚いていたわけでございますけれども、そういうようなことはやはり外務大臣としても今度の日韓会談をなさる上にも、あるいは会談をするのに、日本としては不利な問題になるかもしれませんけれども、たとえ事柄が不利でございましても、北鮮の帰還の問題は人道上の立場というようなことをおっしゃっていらっしゃるのですから、こういうような強制徴用というものを見のがしておくというようなそういう考え方は、決して人道的ではないと私は思うわけでありまして、ぜひもう少しはっきり調査していただいて、またもう一度報告していただきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま御答弁申し上げましたように、強制徴用にいろいろな種類があったかどうかというような問題につきましては、われわれも当時の事情を詳しく存じておりませんから、また調査でもいたしてみなければわかりませんけれども、やはり一般内地の人と同じような状況のもとに行なわれたのであると考えることが、一応当然の考え方ではないかと思うわけでございます。従ってそういう点について強制徴用であるから何か特別なことをしなければならぬということは、一般論としては私は申し上げかねると思うのですが。
○加藤シヅエ君 それでは外務大臣は日韓会談の交渉中に、その当時強制徴用であったというようなことを向こう側から何かお聞きになりませんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん向こう側からは強制徴用であったとか、あるいはいろいろなことを言っている場合がございますがしかし、日本側として戦時中に行なわれました朝鮮人の内地におきますいわゆる日本人として内地に移住したという限りにおいて、それが全部いわゆる内地人と別な扱いをしなければならぬというところまで私は実は考えておらぬのであります。特殊な何かケースがありましたら別でございますけれども、いわゆる一般的に徴用したということについては、それは内地人と変わらないという建前をとるべきではないかというのが私の考え方でございます。しかし、御指摘のように、いろいろな問題が起こっているからとか、こういう事実に反したということがあるのだということでありますれば、そういう特殊な問題でこれは扱うべき問題であって、一般的な問題ではないというふうに考えておるということを申し上げます。
○加藤シヅエ君 ただいまの外務大臣の御見解には私は承服できませんのです。そういような御見解で通そうということをなさいますならば、日韓会談はいつまでたっても向こうが納得するような線に乗ることができない、こういうふうに私は考えます。また、北鮮送還の問題も人道的立場というような、そういう美名のもとになさるならば、あらゆる問題が人道的立場に立ってやっていかれなくちゃならないので、調査が不足のためにそういうものを見のがしたり、あるいは日本に特に都合のいいような見解をとるということは決して日本のためにも利益ではないと思いますし、やはり人道的な立場ということをあくまでも当時の強制徴用に対しても十分にお調べにならなくちゃならない。これ以上私は今は御答弁をいただきませんけれども、今の御答弁では承服できないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
○吉田法晴君 戦争中の朝鮮からの勤労報国隊、あるいは徴用で来られた人に関連をして、日本が南にしろ北にしろ帰られる援助をする態度について、今外務大臣から答弁がございましたけれども、これは今加藤さんが言われたように、その当時の事情あるいは朝鮮に対する日本の過去の罪状に立って反骨をするならば、そういう答弁私は出てこないと思う。ここで劉連仁氏の問題を持ち出そうと思いませんけれども、中国から強制的に野らに出かける人あるいは町におられる人を労工協会の名前でかり集めて連れてきた人たちに対する態度にしても、結局は十万円という金額を出し、あるいは官房長官個人の名前で出しましたけれども、しかし、建前は今のような反省のない態度で臨まれますると、これは中国から何十万という人を無理やりにとにかく連れてきておる。それから、今のような態度だと、あるいは戦争中に白人俘虜を労働者として使っておりますが、それについての反省もおそらくなかろうと思う。これは戦争裁判その他で責任が明らかになっておりますけれども、戦争中にはずいぶん無理をしたということは、これはおそらく外務大臣、厚生大臣としても御反省があるだろうと思う。それから特に朝鮮については、最大の、あれは日本の一部に併合をして主権を侵害をしたという点もございます。それらの反省の上に立って、そして戦後独立したときに帰られることについては、日本の国民としてできるだけのことをしたいと、こういう気持が私はなければ、今後の日朝関係についても、円滑に善隣友好の関係を打ち出していくことはできないと思う。私どもが、あるいは日本の政府がそういう態度であるのに、中国からは、日本から朝鮮に帰るのに貧困者についてはできるだけのことをしたい、これは直接関係のない外国までそういう申し出がきている。それに対して、日本側の今の態度は何ですか。詳しくその当時の事情を述べて反省を求める時間はございませんけれども、根本的に一つ考え画して、できるだけのことを日本でする、こういう態度で臨んでもらいたいのです。いかがでしょう。外務、厚生両大臣に一つ答弁を願います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 戦争の末期に日本が非常に苦しい状態にあったために、平生の状態よりも苦しいような状態に立って物事を処理したということは、私はあっただろうと存じます。しかし同時に、原則として韓国の人だけを特別に内地の人と区別をして、非常な悪意をもって何かしたということは私ども考えておらぬのでありまして、やはりその間いろいろないきさつからいって、あるいは取り扱いに部分的には内地人であろうと、あるいは韓国人であろうと、取り扱いの適当でなかったものがそれはあり得るかもしれません。しかし、原則として当時の取り扱いが変わっておったということは考えておらぬのであります。むろん日本が敗戦をいたしまして、そうして韓国は日本から離れていったについて、韓国に対して過去に迷惑をかけたと、そういう韓国全体に対して迷惑をかけたという意味で、いろいろの問題が、日本の心からの慰謝をしなければならぬ場合もあろうかと存じます。ただ、現在の日韓会談においては、やはりそれだけの問題以外にいろいろ問題があるわけでございまして、李ラインの問題もございますし、そういうものが解決をされていくという過程において、やはりそういう問題もあるならば考えていくということでありませんと、外交の交渉としてはそういう過程をとることは私は当然のことではないかとこう思っております。
○大和与一君 今のことは、朝鮮総督府の関係者が幾らでも引き揚げていますから、生き証人がおるのですから、こまかいことは触れないことにしても、そうすると、大臣は現在そういう徴用されてきたのは全部日本にはいなくても、もう朝鮮に帰った、一人もいないのだ、こういうふうにおっしゃるのですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 徴用者の大部分は、終戦後集団帰国をいたしておるのでありますが、帰国をしなかった人はまだ若干あると思います。しかしその人は、集団帰国の際に、自分の意思でもって日本に残るということで選択をして残られた方だと、こう思っておるわけでありまして、全然一人もいないということを申し上げているわけじゃございません。
○大和与一君 今落ちついておるかどうかは別としまして、徴用されてきたことは事実なんだから、それを外務省としては、たとえばアジア局長は何人くらいおる、こういうふうなことをお認めになっておるように思うのです。きょうはいないから、あらためて聞きますけれども、そうすると、その人たちに対しては何とかせずばなるまい、こういうこともアジア局長おっしゃっているようなんですが、そうなれば一体何人くらいおるか、その名簿が出せるか、こういうお尋ねに対してお答えがしていただけますか。
○説明員(三宅喜二郎君) その点につきましては、数カ月前に法務省の入国管理局に在留韓人約六十万人おりますが、それの外国人登録書その他の書類一々につきまして調査しました結果、現在残っておる朝鮮人のうちで、いわゆる国民徴用令によりまして日本に連れてこられたのがたしか四百五名であったと思うのです。
○大和与一君 その名簿は参考資料として出せますか。
○説明員(三宅喜二郎君) それは、その名簿は法務省で調査されて作られたものですから、外務省一存でお出しできるというようにお答えはこの場ではいたしかねます。
○大和与一君 その人たちは、今度朝鮮に帰る場合、何も南ときまったわけではない、だから、南でも北でも本人の自由意思によってそれはきめられる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○説明員(三宅喜二郎君) その通りでございます。
○大和与一君 それでは治安関係の方、おいでになりますね。 この帰還問題をめぐって、韓国の関係の人、あるいは右翼団体でもそうですが、そういう人たちと今までもだいぶいざこざがありますが、その取り締まりなり調査なりというものは、一体どの程度にきちんとやっておられるか。それはたとえば豊島公会堂でありましたけれども、それだけで終わるものであって、あとは心配ない、こういうふうにお考えになっておりますか。
○説明員(中村正己君) 十六日の豊島公会堂の事件だけで終わりになるかという点につきましては、まだ見通しの問題でよくはわかりませんですけれども、私どもとしては、あれだけで終わるというふうに見ておりません。やはりこれはそれぞれ国際的にも、南北分かれておる問題でございまするし、国内的には従来から感情の対立という問題もございまするし、やはりこれからもスケールの問題は別といたしまして、突発のおそれは十分考えておるのでございます。
○大和与一君 帰還業務というものが、政府、国策できめられた。だから、それを円滑にやるために、そういう妨害に対して、もちろん限度以上の強い取り締まりということはあり得ないけれども、しかし、やはり少しきちんと治安関係の方で十分に取り締まりを厳重にする、そういうことをすることによって、かえってそれからあとに起こる災いを防ぐ、こういうようなことも考えられると思いますけれども、たとえば豊島公会堂でああいうことがあって、つかまえた、すぐ釈放してやった、こういうこともうわさに聞きますが、そういうことはいかがですか。
○説明員(中村正己君) 私どもも基本的には厳正にして公平な取り締まり方針をこの問題につきましても堅持いたしておるのでございます。お話の通りに、取り締まりによって予防の効果を発揮するという点も心得ておる次第でございます。十六日の事案につきまして、即時釈放という形があったというようなお話もございまするが、これは必要なものにつきましては、身柄を釈放いたしました後におきましても、書類送致をいたすという手続をとることになっておりまするので、公平にして厳正な取り締まりをいたすという点につきましては、その通り厳重にやって参りたいというように考えております。
○大和与一君 そうすると、いよいよ十日に、品川に千葉、東京、神奈川の人たちが集結をして輸送が始まりますが、この輸送の始まるときの警備体制は万全であるか、あるいはその他の一体情報がやはりおありになると思いますが、そういうことを含めて、少し詳しい情報と、それからそれに対する警備の体制、これは絶対自信があるから心配するな、こういうお話があれば承りたいと思います。
○説明員(中村正己君) お話の通りに、十日の夜、品川を立ちまして、帰還列車が出る予定でございますが、この点につきましては、国鉄その他関係方面ともよく連絡をとりまして、事前に警戒を十分にいたしたいという気持でおります。情報の関係につきましては、いろいろございまして、民団側、総連側、それぞれの立場からいろいろございます。中にはかなり激しいといいまするか、ある程度非合法の、線をはずすこともやむを得ないという一部の情報もございます。しかしながら、帰還列車を妨害するという一応立場におります民団側といたしましても、必ずしも意見が一致しておらないようでございます。この二十二日にも会議が持たれておるようでございまして、いろいろ討論がなされておる状況でございますが、その中におきましても、必ずしも全部が一致して、どうしても非合法でなければならないというところまでは参っておりません。結論が出ておりませんで、いろいろな意見がまだ戦わされておるというのが現在の段階であろうかというふうに見ておる次第でございます。
○大和与一君 これはただ品川だけではなくして、新潟に集結されてから船が出るまでの問題が同じですが、これもやはり全国的に情報としては危険な状態はないのですか。
○説明員(中村正己君) ただいま品川の問題について若干御説明を申し上げたわけでございますが、同じような点が新潟もしくは関西方面の集結の地点についても言えようかと思うのであります。いろいろ心配しなければならないような情報もございまするし、また、そういうふうな非合法のやり方をやることはいけないのだという強い反対意見もございまして、今のところ、どちらかというふうに決しかねるわけでございます。これは問題が起こりますると、国際的な問題でもございまするし、かなり慎重に私どもとしては取り締まりなり警戒の体制をしいていきたいという気持でおるけわでございます。
○大和与一君 そうすると、十日の品川の出発に際しては、警備当局としてはもう全責任を持って間違いなくやれる、こういうふうに言明といいますか、責任をお持ちになっていただけますか。
○説明員(中村正己君) ただいまの御質問につきましては、当然のことでございまするが、責任を持って計画をし、また、実施をいたしたいと思っております。
○大和与一君 特に、これは婦人子供がたくさんいるわけですから、抵抗できない人がたくさんいるのですから、そういう点は一つ全力をあげてやってもらいたいと思います。 それから次に行きますが、ちょっと先に一つ外務省に、この徴用された者が四百五人いるとおっしゃったのですが、それに対しては何か政府として、外務省として現在考えておられますか。そういう人が帰るときにめんどうを見るというか……。
○説明員(三宅喜二郎君) 先ほど外務大臣から御答弁になりましたように、徴用令で参りました者につきましても、徴用労働者につきましては、それぞれ種類によりまして賃金がきまっておりまして、それが本来払われておるわけでございます。ただ終戦まぎわにすぐに朝鮮へ帰った人たちは、あるいは、まぎわの賃金は受け取らずに帰った人たちはあるかもしれない、そういう場合には、いわゆる未払い賃金として、日韓会談の議題の一つでありますが、請求権の項目として処理されるということになるのであります。そういう人たちが帰ります場合に、そういう人たちに対して特別の何か便宜を供与するかということにつきましては、これはさようなことは考えておりません。ただ集団帰還の場合には、実際上の必要として輸送とか輸送の途上における衣料、食糧それからまた収容施設、収容所における食事、衣料等につきまして特別の便宜をはかることにいたしております。
○大和与一君 それから政府にお尋ねしますが、新潟まで行って、今度は船が出て、領海三海里ですか、国際法にいうと。その間の治安の責任というものは一体どういうふうにしてお持ちになるのですか。日本の国の中ですよ、これは。港まではわかったが、それから先はやはりフロッグ・マンでもきたら困るのですよ。
○説明員(中村正己君) 治安当局といたしましては、私の方と海上保安庁それぞれ関係があろうかと思いますが、もちろん領海につきましては十分の措置を考えたいと思います。
○大和与一君 そこで外務大臣にお尋ねしますが、やはり私はこの帰還問題と日韓関係はこれは関係があると思うのです。明らかにこれは意識的だと思うのですよ。おとといだったか、外務次官が口上申し入れをしましたが、きょう外務委員会があるからやったかどうか知らぬけれども、向こう側が、柳大使が言っていることは、日本側も誠意を示すべきである、あるいは名簿が不備である、こういうことは今まで具体的に日本側の不十分さによってもそういうことが言えるのですか、この点どうなんですか。
○説明員(三宅喜二郎君) 日韓会談を通じまして、日本側といたしましては韓国は申すまでもなく日本に最も近い地域でありまして、両国民はお互いに仲よく、また、協力していくべきであるという大きな立場から、私どもは日韓会談ができるだけ早くまとまるように誠意を尽くしてやって参ったのでありますが、先方の主張の中ではいろいろと無理な点もございますので、今までまとまらない次第であります。なお、名簿の不備という点につきましては、日本側からは大村に収容されている韓人の名簿を、八月二十日現在の収容者の名簿を出したわけであります。御承知のように法務省におきましては、人道的な立場から、抑留が三年以上になるような人たちはかなり釈放をしているのであります。従いまして、現在おります朝鮮人のうちで、名簿に載っておった者で現在おらない者があるのでございます。そういう点を韓国側が問題にいたしておる次第でございます。別に、日本側としては決して非人道的な、あるいは良心に恥じるような悪いことはしておりません。
○大和与一君 外務大臣は曹奉岩という人を知っておりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 存じておりません。
○大和与一君 韓国の人で、ことに李承晩に統一問題やなにかで殺された人ですね。私が言いたいのは、李承晩という人がほんとうに民主主義者かどうかということをお聞きしたいのです。大臣はどう思われますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私の立場から外国の元首に対していろいろ批評を申すことは差し控えたいと思います。
○大和与一君 しかし、日韓会談が実際にできないというところの大きな原因はやっぱりここにあると思うのです。独裁政治をやっておるのは天下周知の事実である。何も私が個人的に非難するのでなしに朝鮮全体、韓国全体が民主的に政治が行なわれていないということを御認識なさるかどうかと言っているわけです。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 韓国の状態は選挙を通じて国会が開かれております。しかし、それらの選挙において、相当新聞紙上伝えられるところによりまして、いろいろな選挙の際に事情もあったようでございますし、それらのことについてわれわれとしても若干知らないこともございませんけれども、私の立場からいろいろなことを批評いたしますことは差し控えたいと思います。
○大和与一君 それならば、今までなぜ、日韓会談が七年もかかっておってさっぱり進捗をしないという原因は一体どこにあるか、これはやっぱり日本政府に大きな責任もあるだろうし反省をしなくちゃいかぬだろうし、私は現在では、こちらの態度よりもやっぱり大統領の非民主的なというか、独裁的なそういうところに日韓会談の一番大きな暗礁があると思うから、そういうものを相手にしておって、あなたが日韓会談を本気になってやろうと思っても、それは今日できていないじゃないか、それではどうするつもりであるかということをお聞きするわけです。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今日まで長い時をかけましても日韓会談がなかなか進行しないということについては、むろんいろいろな理由があると存じております。李承晩その人のいろいろな考え方、あるいは戦時中における日本に対する不満と申しますか、そういうものから来ている点も、これは人のことでありますから、ぬぐい去られない問題があるのではないかと存じておりますが、しかし、やはり問題は、具体的にわれわれとして考えなければならないことは李ラインの問題でありますとか、そうした具体的に折衝をしなければならない問題等につきましても、韓国側で十分に日本の立場を理解しないし、あるいは、場合によりましては、しいて理解しないような点もあり、また誤解から来ているところもあろうかと思いますけれども、そういうような態度であることは、今日まで長引きました一つの原因であること、むろんだと思っております。
○大和与一君 今度はそういう向こうの話は別にして、こっちの同胞が抑留されておって、その人たちがまだ帰れなくて困っておる、この気持はわかっておられると思うのです。たとえば抑留の場所で、李承晩大統領が来るときは、一晩で道ができたり、花壇ができたりしたり、あるいは国際赤十字社から調査に来たときは、実にりっぱになったり、それがまた夜が明けると、もとのもくあみになる、こういう内容の大きい小さいは別として、そういう事実は御承知になっておりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) まあ、こまかい一々の事実は存じておりませんけれども、今、お話のように、いろいろ釜山の収容所の人たちの扱い方についても、必ずしも公正でない場合があるということは、私も承知しております。こまかい一々の事実については承知はいたしておりません。
○大和与一君 そういう具体的に冷遇をされたために、一応からだだけは日本に帰ってきた、帰ってきたけれども、さて、働こうと思ったら今度カリエスとか、長い病気になつちゃって働けない、こういう帰還抑留者がだいぶおられると思うのです。それに対しては政府は具体的にどのようなめんどうを見ておられますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今、留守家族その他に対しては、援護の措置を政府もとっておることは、御承知の通りであります。帰還後の方々に対して、これは厚生大臣帰られましたからあれですが、その事由によっては、厚生省としても何らかの処置をとられるのではないかと思います。
○大和与一君 あなた李承晩のことを言うのはいやだと言うけれども、それでは一体アメリカのコンロン報告は、何が書いてありますか、朝鮮に関して。
○国務大臣(藤山愛一郎君) コンロン報告は民間報告でございますが、私はやはり外交の責任をとっておりますので、個人的な意味における批評を日韓会談をしております相手国の元首と申しますか、そういう人に対して言い出すことは、いかがかと思って差し控えるわけでございます。
○大和与一君 日韓会談してないじゃないですか。七年間やったって何もやってないじゃないですか。だから私が言っているのは、個人のことを言うのではないけれども、しかし、アメリカですらも、コンロン報告がどの程度権威あるかわからぬけれども、そのほかにちょっと具体的な事実ありますが、ちょっと今忘れたけれども、アメリカが朝鮮をもっと民主的にしたい、日本と仲よくしたい、こういう、アジア全体の安定のためにも考えておって、そういう動きがあることは事実だと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 先ほど申し上げたように、一応選挙を通じて国会もできておりますけれども、その過程においていろいろな困難、あるいは特別な事情が起こっておったというようなことは、私どもも新聞紙を通じて承知はいたしております。しかしそのこと自体だけでいろいろ発言をいたしますこと自体は適当ではない、こういうふうに考えております。
○大和与一君 そうするとこの前ちょっとお尋ねしたときは、帰還問題については何も話をしなかったとおっしゃっておりましたが、韓国の問題についてアメリカとたびたびいろいろな問題でお会いになって、今まで韓国問題を日米間でそう正式でなくても、公式でなくても話合いなり連絡なんかもほとんどしないのでございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん韓国は自由主義陣営の一員でございまして、日本と非常に近い所でありまして、その間に会談が行なわれておるにかかわらず、これが十分成果をあげず進捗をみないという事実については、やはりアメリカにも十分認識をしておいてもらわないといけないのでありますから、そういう点については話をいたしておりますけれども、特に会談そのものについて何か助力を求めるというような形はとっておりません。
○大和与一君 韓国はたびたび国際的にも日本からの北鮮帰還についてじゃまをする、相当公々然と言っておりますが、これに対して政府はどのようなこれから対策なり、あるいは韓国政府に対する申し入れといいますか、折衝といいますか、口頭だけでこれをやったからもういい、こんなことは全然信用できませんからね。具体的にどのようにお話をされるつもりですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今日まで北鮮帰還の問題を扱います際には、日本の扱い方、立場というものははっきり韓国側にも説明をいたしております。また同時にお話のように先般日本が国際赤十字に訴えましたときに、韓国側としては各国に向かっていろいろの宣伝をいたしておりますので、われわれもそれに対抗する宣伝をいたし、ことに友邦国、主要国に対しては各国の任地の大使を通じまして十分な説明をいたしておるのでありまして、そういう点から各国とも日本の立場を理解しておって、韓国側のいろいろな宣伝に乗ってきておるというふうには私ど考えておりません。日本の立場というものを正しく理解して今日もらっているのではないかと、こう存じております。
○大和与一君 ちょっと語尾がはっきりしないのですが、正しく理解をしておると思います。ですか、思わない、ですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 各国政府とも正しく理解をして……。
○大和与一君 韓国が、ですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 韓国でございますか、韓国は十分な説明をいたしておりますけれども、それに対しては十分な理解を示しておらんのではないかと思っております。今日なおやはり韓国側としては、そういう北鮮帰還の問題に関していろいろな宣伝をいたしておりますから、必ずしも日本の意図を正しく了解しているとは考えておりません。
○大和与一君 そうすると、日本の領内かあるいは公海上において、不測の事態が起ることがあり得るとお考えですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、今日の日本のやっておりますことは、ただ自由意思による帰還を進めておることでありまして、韓国側もそれをできるだけまあ日本の立場というものを曲げて宣伝する、あるいは理解をしないで宣伝することはあろうと思いますけれども、何か暴力によって公海上それを妨害するというような措置は取り得ないのではないかと考えております。
○大和与一君 まあ取り得ないだろうと考えるが、もしあるかもしれぬということは考えられるから、それに対して日本政府としてはどういう対策を考えておられますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国内的あるいは領海については、先ほど御答弁申し上げた通りでありますけれども、その間の事情については日本側の立場をアメリカにもよく説明をいたしておりますし、現在韓国がそういうような妨害をすることのないように、おそらく友邦国としては韓国側に自発的に勧めておることだと考えております。
○大和与一君 北と南との朝鮮の統一についてはもちろん統一が望ましいと、このようにお考えですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 統一ができますことは望ましいと考えております。
○大和与一君 韓国に対しては今具体的に折衝をいたしておってなかなかうまくいきませんけれども、とにかくそういうつながりがある。それでこれは御承知だと思いますけれども、南の方はほとんど産物がありません、ほとんど米だけですね。東海岸に石炭が少し出ますけれども、あとはほとんど産業としてはないのです。北の方は鉱物や、電力や、これはもう何でもありますから、北との貿易と申しますか、あるいは往来というか、そういうことを現在よりも一歩進めてやる、こういうふうなお気持はございませんか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 共産圏との関係は、やはりそのときどきの時点に立って問題を考え、処理して参らなければいけないのでありまして、われわれとしては現在日韓会談をやっておりますので、まず日韓会談を片づけるということが第一だと考えております。
○大和与一君 そうするとやや極端な言葉をいうと、韓国の問題は李承晩大統領がおる間はだめだ、こういうふうに国民はもうしびれを切らしてしまって、いるのですけれども、さすがの外務大臣の力でもなかなかうまくいかぬと、こうなりますが、私は分科委員会なり現在切れていない形で持っておって、そして今までの経過からいうと向うが勝手なときに勝手なことを言って途中で切っちゃったり、あるいは条件を出したり、乗るかと思うと乗らない。こうしている間にわれわれの抑留者同胞がこごえ死んだり、自然に身体が消耗して死にかかったり、生きて帰っても使いものにならぬ、こういうことをみすみす見ているわけですが、これに対してはこれ以上処置なしですか。おとといの口頭の申し入れというものじゃ私はとてもなまぬるいと思うのですが、一体これは、ほかのことは別として当面の抑留者を一日も早く帰す、しかも一月か幾月か前の外務大臣の答弁によると、おそらく遅くとも十一月くらいには必ず帰れるようになると思う、そういうふうに話が進んでいるのだ、事務的にもやっているのだ、こういうふうに確信のある見通しでお答えがあったと思うのですけれども、ふんどしではないけれども向うから外れた、こういうことになるのですけれども、それは一体これ以上口頭で言ったくらいでいつになったら帰れるのか。相手のあることだからしょうがないと言ってしまえばそれまでですけれども、国民はそれでは承知できないのですが、どうしようと思っておりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) この問題は、日韓会談再開に当りましても、韓国側から日韓会談とは別にまず優先的にと申しますか、あるいは前提と申しますか、そういう気持でもって相互の抑留者の送還をやるのだ、従ってその問題を取り上げて日本側としては名簿の交換もいたしたわけであります。向う側においても誠意をもって当然それを進めてくれるのが、私ども韓国側のやらなければならぬ努めだと、こう考えております。今日まで当時お話――九月の中ごろでしたか、お話がありましたように十一月末くらいまでには諸般の準備ができるだろうということを言っておりましたから、私どももそれを信頼して今日まできているわけでありますけれども、御承知の通り十一月末になりましてもまだ何らの先方側の意思表示がありません以上はまず警告発しておくことが必要だと思いまして、そういう処置をとったわけであります。その警告の処置に対して韓国側がどういうふうに出て参りますか、それらのものを見た上で今後日韓会談の進め方その他万般の問題について考えていかなければならぬと、こう考えております。
○大和与一君 やはり日韓会談の中で、この問題だけはほかと切り離して一応話がまとまった、それでもう意思としては、韓国側は帰すことはきちっと約束しているわけですね。あとは時期の問題、実行だけ、それにはその後付帯的にいろいろな言いがかりとか、そういうふうな、実際は言っていない、言っているかいないか。いないとすれば時期だけだ。そうすると、私はやはり結論は北鮮帰還の問題にいやがらせなり、やはりそれと関連してやっていると、こう言うほかはないと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) まあ直接北鮮帰還の問題に関連さしてこれをやっている、とまで考えるのは適当で、あるかどうかは存じませんけれども、しかし韓国が今日まで遷延しております事情の中には、お話のような点も含まれていると推測されることもやむを得ないのではないかと思います。
○大和与一君 そうなると、私はやはりそこが外務大臣のおっしゃっていることは甘いので、七年もこれはがまんしてよくしんぼうしてやったけれども、これから先いつまでやるかわからぬ、いつになってきまるか、あなたも自信がおありにならないと思う。やはり北鮮帰還問題とからんでいる。だからここでお願いしたいことは、それをもっと強く、精力的に交渉する。第二は、絶対、帰還の問題について妨害しない、この確約くらいは一つ、取るように日本政府として最善の努力をしていただきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 北鮮帰還の問題は今も申し上げております通り、これはいかなる妨害がありましても断行して参るつもりで万般の手順をつけております。従ってこの問題に直接関連さして向う側が何か言う理由はないのでありまして、従って韓国側としても、北鮮帰還がスムーズにいくという事情のもとにおいては、もしかりにそういう問題についての何らかの意図を持っておりますれば、スムーズに北鮮帰還が進行いたしますれば、おのずから変化をしてくるのではないかというふうに考えておるわけでありまして、一日も早く、北鮮帰還の第一船も出、あるいは引き続き第二船も第三船も出るように、われわれとしては今後において全力をあげていくということが必要であろうと、こういうふうに考えております。
○大和与一君 これで終ります。 ―――――――――――――
○委員長(草葉隆圓君) ただいま委員の異動が、ございました。東隆君が委員を辞任され、その補欠として曾祢益君が選任されました。
○吉田法晴君 総理、外務大臣はお揃いですが、あとの要求いたしました会計検査院と、それから大蔵省御出席いただけますか。
○委員長(草葉隆圓君) 参っております。
○吉田法晴君 それではまずお尋ねをいたしたいのですが、パラグァイとそれから日本との間に移民協定ができておりますが、この移民協定のうらはらになります、と申しますか関連をいたします造船協定が結ばれておるようでありますが、その造船協定の結ばれますまでには、これは新聞その他でいいますと、岸特使として行かれたということが報じられておりますけれども、杉道助氏を団長にする。パラグァイ国造船計画調査団というものが行っておられます。これは岸総理も御承知であろうと思うのでありますが、その前にパラグァイの要望を聞いてきた移住振興会社の大志摩氏も行っておる。大志摩氏のパラグァイ、南米訪問から、この給が起こってきたようですけれども、今まで私が調べたところでは、杉氏の調査旅行と申しますか、これは、どういう資格でどこから行かれたのか明瞭ではございません。外務省あるいは大蔵省、御出席でございますならば、どこからどういう資格で行かれたのかお伺いしたい。あるいは岸特使で、岸首相が直接出されたのならば、岸総理自身から、御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 杉調査団の参りましたのは、三十二年の十月でありまして、外務省から派遣をいたしております。
○吉田法晴君 そうしますと、外務省の予算の範囲内で旅費は出たと、こう承知してよろしゅうございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) さようでございます。
○吉田法晴君 移住局は御承知なんですか。
○説明員(高木広一君) 承知しております。
○吉田法晴君 外務省の会計課、あるいは移住局に専門員室が尋ねたときには、会計課、移住局は知らぬと答えたという、これは、きのうきょうの話でございましたが、外務省のどういう費目からおいでになったのでしょうか。移住局は御承知のようでございますから、一つお伺いします。
○説明員(高木広一君) 移住地事情の調査ということで、外務省の報償費から出しております。
○吉田法晴君 いくらかかったのですか。
○説明員(高木広一君) 四百六十万円出しております。
○吉田法晴君 ずいぶんかかったものですが、そうしますと、報償費ということですが、これは、移住関係でおいでになったわけではないのですね。
○説明員(高木広一君) ちょっと、さきの報償費というのを訂正いたします。出しましたのは、外務本省移住振興費外国旅費でございます。
○吉田法晴君 昭和三十二年度の予算の中には、移住振興費がございますが、その移住振興費は六千五百万円、うちパラグァイの分は、九百六十五万円ということになっております。そしてその使途は、営農指導、通訳あっせん等のための人件費、旅費、事務費、共同施設費、農事試験場、機械器具等補助金として、予算通り施行せられておるということですから、使途は、今あげましたような、営農指導、あるいは通訳あっせん等のために、人件費、旅費、事務費、あるいは共同施設費、農事試験場、機械器具等の補助と、こういうことであったろうと思うのですか、九百六十五万円の中から四百六十万円が出された、こういうことでございますか。
○説明員(高木広一君) さようでございます。
○吉田法晴君 大蔵省にもお尋ねをしたいと思うのでありますが、大体、御承知のことだろうと思うのでありますか、予算を計上して、移住振興費は総額が六千五百万円、うち。パラグァイの分は九百六十五万円、そしてその用途、先ほど読み上げましたような、これは予算の何といいますか、予算書それ自身に書いてあるのだから、おそらく御承知だろうと思うのです。その中から、半分に近い四百六十万円を杉調査団が使われる、こういうことは、これは妥当な予算の執行状況なんですか。
○説明員(海堀洋平君) 先ほど御質問の通りに、九百六十万円をパラグァイ関係に使うということになっておりましたが、これは主務大臣が執行をいたすことになるわけでございまして、パラグァイの調査に使う金をパラグァイの移住の関係にやはり使われたという意味では、妥当な支出だろうと思っています。
○吉田法晴君 会計検査院の検査の対象にもなっておると思いますが、大蔵省と同様に、妥当だとお考えになりますか。
○会計検査院長(山田義見君) 別に不当と思っていません。
○吉田法晴君 予算の建前からすれば、苦労をしております開拓者の営農指導あるいは通訳あっせん等のための人件費あるいは旅費、事務費、共同施設費、試験、あるいは農事試験場、機械器具費等補助金として計上されたものの半分近いものが調査のために使われた。しかも、その調査は、造船計画の調査にこれは限定をされておるようでありますが、そういうことが妥当と言えるのでしょうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 当時。パラグァイ国からの話では、この日本の移民を受け入れたいと、そうして三十カ年に、一年五千人ずつ、まあ十五万人ぐらいを入れる。また土地等につきましても、開拓地を新たに提供するというような話もございました。同時に、それらの移民が将来発展していくために、パラグァイ国としては、この河川輸送のために、生産物が非常に輸送上、他国の商船隊を使っているので、非常に高い輸送費がかかるので、従って、パラグァイ国として、どうしても、そういう点についても特殊の、パラグアイ国自身の商船隊を持つことによって、将来のパラグァイの開発というものが完璧を期し得るのだというような二つの理由を向こう側から申し出ておるわけでありまして、従ってパラグァイの土地の調査、あるいは現実に毎年五千人ずつ三十カ年入植することができるというような事情を調査をして参らなければなりませんし、あわせて、右申し上げたような商船の建造というような問題についても、それが将来の入植者の生活の基本になるような立場にいろいろ関連を持っておりますので、そういうものもあわせて調査をしてくるということであったと考えております。
○吉田法晴君 農産物の国内輸送、あるいは入植者のための土地の調査というものは移住と関係があると、こういうお話ですが、そういう報告書が外務大臣のところに出たのですか。私が拝見をいたしますと、杉道助団長以下四人の人の調査報告書の中には、そういうことは書いてございませんが。
○説明員(高木広一君) 杉使節団の報告は、パラグァイ側の、これら船舶に対する融資の希望の表明があって、それを報告せられたわけであります。
○吉田法晴君 そうすると、希望の表明と言うけれども、希望の表明だけではございません。希望を聞いて、そうして調査の結果として、総合結論、船腹拡張の程度、技術上の問題、船舶追修能力と帰属についてと、こういう工合になっておりますが、これは希望だけではない。今の移住局長の答弁と違いますが、先ほど大臣の答弁されました農産物の輸送とか、あるいは土地の調査というものは、少なくとも杉調査団の報告書の中にはないようですが、別に報告書が出されたのですか。それとも今の大臣の答弁が間違いだというのですか、どちらですか。
○説明員(高木広一君) パラグァイがこれらの輸送船を必要とすることは、これは常識でございます。パラグァイは、その農作物を国内よりも海外に出さなければいけないわけであります。船舶を持たないパラグァイからアルゼンチンまで輸送をして、そこから積みかえて海外に出す。そのパラグァイからアルゼンチンへ出すのに、アルゼンチンからヨーロッパに出す以上の船賃を、払っていく、これはもう前からわかっていることなんです。そうしてパラグァイが日本の開拓移住地としてきわめて有望なところであるということも、これまた周知の事実であります。従って、杉使節団は、それらの事情を確認に行かれるとともに、先方の政府の千三百万ドル船舶融資をほしいという強い希望と同時に、さきに大臣が申されました三十年間十五万人、毎年五千人の移住を受け入れるという御方針を御報告になったのであります。
○吉田法晴君 今の局長の答弁と調査報告とは違います。大臣の答弁の中の、農産物の輸送という点は、さっき国内輸送と言われた。ところが今あなたは、パラグァイで生産をした農産物をアルゼンチンに送る云々いうお話でしたが、そういうことはここに書いてありますか。私が読むところでは、輸送をするのに、パラグアイに輸入をする物資の大半がアルゼンチンの船舶なり何なり外国船によっているから、そこでその輸送に当たる外航船をまず作ってもらいたい、こういう点が中心になっている。しかも内航船――川で使う、先ほど外務大臣が言われた農産物の国内輸送、これは人間だろうと思うのですが、あるいは輸入した物の国内輸送等もありましょうが、その内航船は採算が十分とれるかどうかわからぬ、こういうことが書いてあるのであって、あなたの答弁と調査の報告は違います。ところが、私が今聞いているのは、外務大臣の、農産物の国内輸送のために船が必要なんだ、あるいは土地の調査をして、それを報告している、こういう外務大臣の答弁ですが、それは、報告書と違うじゃないかと思う。それからもう一つは、もし、違うのか、あるいは別に報告書を出されているのか、こういうことを私は聞いているのです。
○説明員(高木広一君) さっき大臣がおっしゃったのは、河川用の船のことをおっしゃいました。先方は船以外は要求していないのです。外洋船を最初は希望しておったわけですが、日本側としては、外洋船までは大へんだということで河川、河川と申しましても、これはパラナ河でございまして、パラグァイの中を航行をするのではございません。パラグァイとアルゼンチンの国境を北からずっと南にくる広い国際河川であります。従って国内輸送ではなくて国外輸送でありますが、ただ最初に私が申しましたように、河川の輸送がパラグァイのアスンションからアルゼンチンのブエノスアイレスまでの河川、これは国際航行ではありますが、パラグァイは船を持たず、アルゼンチンその他外国の船に壟断せられてそれの運賃が非常に、高いというのが実情でございます。従って内国輸送は全然最初から問題になっておりません。
○吉田法晴君 河川のことも書いてあるのです、報告書には。河川のことも書いてあるけれども、その。パラナ河のあれも含んで、河川の輸送に使う内航船は、十分の乗客も見込み得ないから、外航船を中心にして、もしそれを取り上げるとするならば考えるべきであろうと書いてある。そういう意味で、そのあなたの答弁とも違うが、先ほど大臣は国内河川用の、いや農産物の国内輸送用のとにかく船舶、それから土地の調査と、こういうことを言われた。外務大臣は、これは外務大臣あてに出た報告書ですが、お読みになったことはないのですか、先ほどの答弁とこの報告書とは違うようですが。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 若干私の言い方が悪かったかもしれませんけれども、今申した通り、河川そのものは国際河川でありましても、パラグアイの農産物を出す輸送という意味において申し上げたわけでございます。
○吉田法晴君 土地のことは。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 土地については、当時このパラグァイ国が日本に対して三十年間に毎年五千人ずつというような話をしておりましたので、そういう問題も確認して参ります。また同時に、杉氏が行きまして、土地についても、パラグァイ政府から若干の申し出を聞いてきておるわけであります。そういうような状況でありますから、むろん移住に全然関係のないということではございません。
○吉田法晴君 私はその報告のことを聞いておるのですが、一年間五千人ずつ三十年間云々という話は、これは前からもあったことは間違いございませんけれども、杉調査団の報告はどういうことであったかとお尋ねをしたところが、移住振興費の中から出ておるのですから、その移住振興のためにどういう調査をされたかということを聞いたところが、農産物の国内輸送あるいは土地の調査等をやってきた、こういう答弁ですから、それはどこに書いてありますか。私が見る報告書にはそうは書いていないようですがと、こう申し上げたのですが、先ほどの答弁は間違いでしたか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私数年前に読んだ報告書でございまして、今内容をつまびらかにいたしておりませんからあれでありますが、あるいは間違いが若干あったかもしれませんけれども、要は、この杉調査団が行きましたのは、パラグァイで入植者を安定させる。またパラグァイとして今後日本の移住民を入れる。それに対しては三十年間に五千人ずつ十五万人ぐらいのものを入れよう。あるいは土地についても何らかの形で日本に対してできるだけの便宜をはかろう。こういうことでありまして、それに関連して今申し上げたような船舶の問題が出ておったわけでありますから、むろん主としてその調査が船舶にあったことは当然でございますけれども、そのよって来たる経緯というものは、やはり移住に全然無関係の問題ではございません。
○吉田法晴君 大体記憶がなくなっておる云々ということですけれども、最初の農産物輸送という点も、杉調査団の報告では、農産物の国内輸送というための船のことではないということは、大体明らかになりましたが、それから土地の問題もこの杉調査団の調査の報告にはないことは、現物を見れば明らかにわかることです。この杉調査団の報告をもたらして閣議で検討されたことがあるようです。その閣議で検討されたこのパラグァイの外航船等を含む七隻の建造計画、あるいは借款について閣議で検討をされている、その閣議で検討をされたものは、消極的な結論であるようにその当時の新聞で見るわけですが、これは大蔵省側から発表されたものですから、見合わす云々ということがございますから、大蔵省側から御答弁を願いたいと思うのですが、その直後の大蔵省の見解、それから直接移住振興というものについては、そのときは役立たなかったけれども、しかし、結局はまあその通りの、報告通りにならなかったわけですが、それでもやっぱり移住振興に役立ったと、九百六十六万のうちの半分近い四百六十万を使っても、それはやっぱり移住振興費の正当な使用である。こういう工合に昭和三十二年度予算の使用方法としてこれは見られたのでしょうか、大蔵省、会計検査院にお尋ねいたします。
○説明員(海堀洋平君) 今の御質問の閣議の話題になったことは記憶いたしておりますが、取りやめになった、あるいは見送りになった、というふうにきまったとは承知いたしておりません。
○吉田法晴君 じゃどういう工合なんですか。
○説明員(海堀洋平君) 私古いことで、はっきりとは記憶いたしておりませんが、重要な問題であるから、検討を続けていくということになったように記憶いたしております。
○吉田法晴君 その当時の新聞を読みますと、これは手元にあるのは東京新聞しかないんですが、ほかのものもあるだろうと思いますけれども、その一の所には、五千人を受け入れるというが、提供されたときの条件はどうか、それから借款で建造しようとする船舶の主体は航洋船であるが、外国と競争して運航できる見通しがあるかどうか。それからパラグァイの手持ち外貨は表面上千四百万ドル、実質的に使用できるものは百五十万ドル程度にすぎないが、返済不能の懸念はないのかという点が念が押されて、これは見出しであります。条件確認まで見合わした、こういうことが閣議で検討された結果、簡単に賛成できない、こういうことが問題だ、こういうことが新聞記事に出ている、そうすると、一、二の条件もございますが、千四百万ドル手持ち外貨はあるけれども実質的には百五万ドルにすぎない。そのとき問題になったかどうか知りませんが、インフレが進んでとにかく貨幣価値が下がっている云々という点も、大蔵省はその当時は御承知であったようでありますが、そういう条件を出してそのときはきまらなかった、それでも三十二年度予算の執行としては妥当な予算の執行状況であったと、こういうふうに御判断になったんですか、こういうことをお尋ねしたい。それから大蔵省と一緒に会計検査院からも伺いたいと思います。
○説明員(海堀洋平君) 調査自体は、あくまで調査をするための経費が予算に計上されておりましたので、それの支出は妥当であったと存じます。それからその調査の結果に基づきまして、さらに具体的な措置をとることにつきまして、閣議に提案されたことも事実だと記憶いたしております。その閣議におきまして、大蔵省の立場あるいは返済能力その他が、大蔵省の立場でもう少し確認を要する点もあるのじゃなかろうか、というふうなことを大臣が申し上げたのじゃなかろうかと思いますが、その内容は詳細には存じておりません。ただそこで見合わせになったのではなくて、この問題は非常に重要であるから検討を続けるということになったと記憶いたしております。従ってさかのぼりまして、調査のために組まれた予算が、調査のために使われたという点は、不当のそしりを受けるようなことではないと存じます。
○吉田法晴君 会計検査院の御返事をいただきます前に、今大蔵省の係官は、調査費が計上されたということですが、昭和三十二年度予算の中に調査費が計上されておったのですか。
○説明員(海堀洋平君) されておりました。
○吉田法晴君 私どもは昭和三十二年度予算を審議したのですが、少くとも国会に出された予算書の中には調査費というものはない。これはそのとき私、気がついておったのですが、ない。それから、きのうきょう予算委員会の専門員を通じて見たところでもなかったのであります。その辺と、それから閣議で継続をする、新聞記事によるような条件確認まで見合わせるという記事が正確でなくて、なお研究を続けていくということであるならば、その当時の記録によって一つ御返答を願いたい。この出されている条件、検討を要する事情から言うと、もうこれは外航船ですけれども、結論は消極的のように考えられますが、その点はそうでないというならば、そのうろ覚えで、総理あるいは外務大臣等がおられるかというので、遠慮をした答弁じゃ私も納得することができません。その当時の記録によって一つ御説明を願いたい。
○説明員(高木広一君) 閣議で見合わされたということは知りませんが、そうでない証拠は、三十三年五月に本件をさらに真剣に検討するために、大蔵省、外務省、農林、各省担当官が向こうに派遣せられて、そうして今度の借款の基礎になる判断ができたわけであります。従ってこれが見合わせたということは事実に反すると思います。
○委員長(草葉隆圓君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて。
○吉田法晴君 大蔵省が、先ほど調査費が計上されておったというお話ですが、私どもが予算委員会で審議をした予算には、移住調査についての調査費というものは出てなかった。そういう何といいますか、パラグァイの移住調査費というものはなかったと記憶しております。先ほど移住局が、初め報償費ですか、云々とありましたが、そうでなくて、移住振興費六千五百万のうちパラグァイ分として九百六十五万円あった、そのうちから半分出した、こういうことです。では先ほどの調査費というのは、事実に反するじゃないか。
○説明員(海堀洋平君) 調査費でなくて外国旅費なんでありますが、調査のための外国旅費といたしまして計上したその額を、そのまま予算の定めた通りに執行いたしました。 ただ、予算書の内訳といたしましては、非常に移住振興費の中のこまかな費目になりますから、款、目明細その他では、移住振興費の外国旅費と合わさって出ておりますので、さらにそれの内訳と、説明書になりますので、今、もし何でございましたら、その非常にこまかな説明、その当時の予算の説明書といいますか、官庁限りで使っている説明書の中にだけしか出てこない項目になるわけですから、それで、予算書の表面には顔を出していないということになるわけであります。私の調査費と申しましたのは間違いでございまして、調査のための外国旅費でございます。
○吉田法晴君 今、大蔵省の主計官のと、先ほどの移住局長の答弁とは違いますが、どっちが正しいのですか。
○説明員(高木広一君) 違いませんです。私、さっき申しましたように、外務本省移住振興費外国旅費から出ていると最初に申しました。
○吉田法晴君 そうすると、先ほど私は六千五百万円のうち、パラグァイ分が九百六十五万円と、そのうちの半分近くが使われたのではないかと、こう言ったら、その通りだと言われたけれども、そうではなくて六千五百万円のうちの外国旅費分、幾らの中の幾らが使われたんですか。
○説明員(高木広一君) 第二四半期までの示達額九百二十五万三千円のうちであります。
○吉田法晴君 移住振興費の中の旅費として見られた分についても、次の大半を、これにだけ使ってしまったという点で、これはだれが何と言おうともやっぱり、ほかのものは小さいもの、それが、ほとんどこの調査のために使ってしまったことは間違いないことだと思うんですが、従って、パラグアイ分の九百六十六万円の大半をこの調査が使ったと、これは否定するわけに参るまいと思う。 それから先ほどの報告書の結論ですが、ちょっと今、そのものずばりのあれが出てこないのですが、その中に、現有河川用貨物船は、採算すれすれか、少し赤字となっておる、そこで外航船については、――これは新聞記事も、その通りであります。――主体は航洋船であるが云々と、こういうことに、杉調査団の調査報告はなっておったと思うのですが、それは、移住局長が先ほど認められたところです。そうじゃありませんか。
○説明員(高木広一君) 私、実は杉使節団の報告は、詳しく読んでおりませんが、使節団の報告の要点は、パラグァイ側は船舶借款、日本側は移住のワクを取るということでございまして、これに関連して、いろいろのパラグァイの経済情勢その他もあったことと思いますが、今日においては、われわれとしては、それはあまり関係ありませんが、先、申しましたように、河川の船舶についてはパラグァイは、非常に不利を得ていて、もし、これが自国の船で運営できるならば、運賃はずっと安くなり、パラグァイの農業者が有利な値段で農作物を輸出することができる。それはひいて日本の農業移住者も、同じ恩恵にあずかるんだという趣旨で、この思想が実現したのだと思うわけでございます。 船舶の採算については、その報告の詳しいことはわかりませんが、少なくとも河川については、十分採算がとれるというふうに私は考えるのであります。
○吉田法晴君 話が先へ進まぬで困るんですが、報告書には、河川用の船舶については、採算すれすれか、あるいは赤字が出ておって、そうして外航船については、これはアルゼンチンその他に外貨を支払っておる。従って外航船の建造をしてくれるならば、このアルゼンチンその他に支払っておる運賃が助かり、そうして採算もとれ、あるいは償却もできるだろう、これがこの報告書の結論です。まあ見ておられないようですから、見ておられなかったら、よく見てもらう以外にありませんが、そうすると、それがここに出てくるような――でき上がりました協定に出てくるような航洋船じゃなくて、内陸河川用になったのは、どういう理由なんですか。 今、移住局長は、国内農作物輸送云々という点がありますが、大蔵省は、航洋船である場合でさえ、その返済懸念があると考えておったのに、調査に基づいて、そのときのパラグアイなり、移住振興費の旅費の大部分を使われてしまった、その調査報告書の結論と矛盾するような、とにかく危険な内航船といいますか、河川用船舶の建造に、若干協定の中心がいったというのは、どういう理由によるのか、両方から一つ御答弁いただきたい。
○説明員(高木広一君) 今の杉報告の詳しいことは存じないものですから、あれなんですが、現在の実情から判断して申し上げるのでありますが、パラグァイ側としては、内航船だけじゃなくて、外洋船もほしいのは当然だと思います。しかし外洋船は、それだけ金額がふえるわけであります。杉使節団が参りましたときのは、千二百万ドルということをいっておったわけであります。 もし日本で、十分余裕があるならば、それだけ出したらいいと私は思うのであります。しかしながらパラヴァイに対しては、最初でありますし、初めから大きいことをやっても心配だからということで、三百八十万ドルの現在の河川運航船を中心とした船舶借款になったというのは、最も合理的な結果じゃないかというように思うわけであります。
○吉田法晴君 内航船については、調査団の報告にはない。むしろ否定的。そして外航船についても、外貨半信あるいはその他について心配をしておられた大蔵省が、外航船から内航船に切りかえたについて賛成された理由……。
○説明員(海堀洋平君) 第一次の調査報告は、お手元にございますと思うのですが、その中には、外航船の採算について、いろんな前提がございます。その前提が満たされるとして報告になっておりまして、第二次の調査団が参りまして、その前提、たとえば乗員が充足されるとか、そういうふうな前提を調べましたところ、そういう前提について、多少疑問があるということ、内航船の方は、そういう点、従来運航していて、経験も豊富であり、乗員も十分であるというようなこと、それからパラグァイ側が、優先順位として考えた場合に、内航船の方を、まず検討を希望するということ、それから今、移住局長からお話のありましたように、やはり造船借款として最初のケースでありますので、すみやかに建造ができてしかも多額の金を要しない方をパラグァイの希望によってとった方がよかろうということで、内航船を主体とする借款になったと記憶いたしております。
○吉田法晴君 これは、移住振興費のパラグァイ分としても、九百六十六万円の半分を使い、あるいは外国旅費の大半を使って、そして先ほどのような結論が出た。それをひっくり返すについては、十分な説明が得られませんが、これは、あるいは首相、あるいは意図をくんだ外務大臣等の閣議を通じての消極的な――一応三十三年三月の閣議があるにかかわらず、五月にさらに取り上げさせて強力に推進されたあれがあるだろうと考えられるのですが、伝えられるところによると、その船の注文先といいますか、作り先は、すでに佐世保造船として初めからきまっておるというお話ですが、それらの点はどうでしょうか。
○説明員(高木広一君) 船舶借款につきましては、さっき申しましたように、三百八十万ドルということで先方と話し合いがついておりまして、その結果、本年九月にパラグァイの外務次官が参りまして、輸出入銀行と船舶借款についての詳細な借り入れの交渉を行ない、また日本の造船会社に対して二度入札を行ないまして、すでに輸出入銀行との借款協定発効を条件として造船発注約はできておるのでありますが、佐世保造船はございません。これは日本側は関知しないところでございまして、パラグァイ外務次官がパラグァイ政府から全権をもって自分で直接日本の造船会社を契約をしたわけであります。
○吉田法晴君 あるいは私が聞いたところとちょっと違ったかもしれませんが、私は借款ができる前から注文先がきまっておるというような話でした。それでは、この問題についての国費を使っての調査の前に、移住会社の費用で南米――あるいは。パラグァイ等に行った大志摩氏の旅行が奇縁になっておることは、御承知の通り。ところが、同じようなことが、東南アジア、あるいはクエートヘの旅行にもあるように思う。これは二年ほど前に去年の予算委員会でしたが、取り上げて一部質問をしたのですが、この東南アジア、あるいはクエート等について、移民の実績も少ないし、あるいは契約等もなかったのに、移住振興会社の社長大志摩氏が、岸――個人か総理か知りませんけれども――総理の紹介状を持って行かれた。各出先、在外公館に紹介状を持って行かれておる。それから帰りに、これはインドネシアからであったかと思うのでありますが、当時東南アジア旅行中の岸総理のもとに、これは公信で、公信というのは、在外公館の費用で、公信で長文の報告書が行ったと言われておりますが、そういう事情がございましたか。あるいは紹介状を出されたかどうか承りたい。
○国務大臣(岸信介君) いろいろ外国に出かけていく人におきまして、私に特別に紹介状を頼んでくる向きもいろいろあります。その人々によって、個人的な特別な関係の友人関係にあるとか、特に用向きの上において、公の上において必要であるとかいうような場合には、在外公館にその旅行する人を紹介する場合もときどきあるわけでありまして、大志摩君が行くときに紹介状を出したかどうか。私はっきりした記憶は持っておりませんけれども、そういう理由で私自身としては、そういう取り扱いをいろいろな人から頼まれた場合にいたしております。今なお、その点について公信で報告があった云々というお尋ねでございますが、ちょっと御質問の趣旨がよく私理解できませんので、お答えしかねますが、次の公信云々の問題をもう少し具体的に一つ御質問を願いたいと思います。
○吉田法晴君 問題が二つあるのですが、昭和三十二年五月二日から二十七日まで東南アジア及びクエートに大志摩氏が出張されたときに、外務省参与という資格を与えられて行っておられる。外務省参与ということだと、おそらく。パスポートも移住局から公用旅券かなんか出たのだと思うのですが、それはどういう理由で、そういう外務省参与という資格が与えられたのか。で、紹介状というものがこれは名刺かどうかはしりませんけれども、これは外務大臣名――岸外務大臣名で、当時ベトナムにあった小長谷大使、カンボジア吉岡大使、それからタイの渋沢、インドネシアの倭島、イランの山田各大使あてに文書が出されておる。移住会社の大志摩社長が貴地訪問するについては、特段の御配慮と使命達成の援助を頼むという文書が出されておるということですから、これは私信の紹介状ではありません。それから思い出していただきたいと思いますが、帰りにイランからの帰途インドネシアに立ち寄った大志摩氏がジャカルタのインドネシア公使館から三千字にあまる長文の報告が、当時ラングーンに出張中の岸外務大臣に打電、報告されたといわれます。従ってこれも公使館からラングーンあてに電報が打たれたでしょうが、その電文が私信でなくて、公信として扱われておる、こういうことです。その内容は移住とは関係のない、クエートの石油利権、それからオイル・タンカー二隻の建造について資本参加を要請するものだいうことなんでありますが、そういうことがあったかどうかということをお尋ねしておるわけです。
○国務大臣(岸信介君) 前者は、お話の通り私の先ほどお答え申し上げましたように、用向きいかんによっては、公の形において在外公館に書状その他の方法で紹介するということもあります。また私的の紹介状を書く場合もございます。 大志摩君の場合においては、外務省参与となっておりますし、また、当時御承知の通り東南アジア方面において、カンボジアを中心として移民やその他の問題もあったわけでありまして、そういう意味において紹介をいたしたと思います。 あとの問題につきましては、私は今記憶がございませんので、お答えをいたしかねますけれども、なお外務省の方においては、何かわかっておりますれば、お答えできると思います。
○説明員(高木広一君) その詳しい報告は存じませんが、移住会社は、政府がほとんど全部の出資をしております移住振興のための会社でありまして、公的機関であります。移住地は単に中南米に限らず、日本の移住振興できる地域をできるだけ探して、そうして移住を振興さすわけであります。移住は、単に農業移住だけではなくて、技術移住――工業移住というものも考えるわけであります。従って大志摩社長が外務省の参与の資格で旅行し、外交旅券を持っていかれたことも妥当であります。大志摩社長の旅行は、私用ではなくて公用であり、移住に関するあらゆる範囲の報告があったんじゃないかと思います。今のクエートの問題は、詳しく知りませんが、移住は単に農業だけではなく、技術移住その他相当広い範囲に移住が考えられますから、必ずしもそれでもおかしいとは考えません。
○吉田法晴君 石油利権の問題だとか、あるいはオイル・タンカ二隻の建造ということも、移住に関係があるという話ですか。
○説明員(高木広一君) その報告の内容は知りませんが、あまり詳しく申し上げられないのですが、さっきもお話のありました。パラグァイ造船借款も、移住のワクと関係がございます。あるいは技術者移住とか、その他の点に関係ないとは申せないと思います。
○吉田法晴君 ことしのいろいろな新聞、それから現地の――南米その他の新聞で見てみても、移民は、非常な苦労をしておる。しかも移住会社は、移住者の自立あるいは営農等をやっていくのに、金を貸してくれると思われる移住振興会社は、金を貸してくれぬ。そうして利権投資ばかりやっておる、あるいは土地のブローカーをやっておる。こういうことで移住不振興会社、そういう不振興会社という、ほんとうの名前があるかのように、問い合わせまできておる実情ですが、この前問題にしました南洋漁業、これは当時、その当時は藤山外務大臣が社長、それから岸信介氏が監査役か、取締役か何か、とにかく取締役の名簿の中に入っておる。給料も払えないような、とにかくボロ会社に融資をして、そういうことをやっておるから、苦労をしている移住者には、回ってくる金はないんだ、こういうことが内地の新聞――日本の新聞にも書いてございますが、現地の新聞にも書いてある。そういう批判が数多くあります際に、クエートの石油利権あるいはオイル・タンカー二隻の建造等で、その社長の大志摩氏が、東南アジアあるいはクエートに行くのが、これが妥当な、とにかく商業会社の仕事の、移住振興のための仕事だと言われれるでしょうか。これは責任が外務大臣、総理にございますから、外務大臣から一つ、まず答弁を願いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 移住会社が、移住民のために、できるだけ定着し得るような状況に努力して参りますことは当然のことでありまして、その面において、できるだけ移住会社を活用し十分な発展ができるように、これはわれわれとしても監督指導していかなければならぬこと、むろんでございます。同時にまた、新しい移住地の調査というような問題は、やはり目を広くして考えていかなければならぬのであります。おそらく当時の事情から申しまして、カンボジアにおきます例の農業センターと申しますか、農地開発の問題、日本の人を入れてもいいという問題もございましょう。またイランあたりが、カスピ海の沿岸に日本の農民を入れる、これは非常に日本の気候と同じようであって、日本の農民を入れて農作物をやろうというようなことも適当なんではないかというような向う側の話もあったように、われわれも想像いたしております。従って、東南アジアから中近東方面に回りまして、それらの現状を一応視察いたして参ること自身は、私は必ずしも不適当だとは考えておりません。 ただむろん、それらの旅行の途次、各方面に寄りますから、あるいはいろいろな現地において話を聞いたり、いろいろなことをした、必ずしも移住そのものでない問題についても、意見の聴取をしたり、何かをしたという事情はあろうかと思いますけれども、大志摩社長の当時の旅行が、今申し上げたような理由を目的として行ったということであれば、必ずしも不当だとは私ども考えておりません。
○吉田法晴君 総理は、ラングーンで三千字にあまる長文の報告をもらわれたというのだから、思い出されるだろうと思うのですが、その報告書の内容は、クエートの石油利権、それからオイル・タンカー二隻が中心であったということなんですが、その報告書が、これは外務省から行ったんなら外務大臣にあるはずなんです。その報告書の少くとも電報による公信扱いの報告書の内容は、今申し上げたようなものです。今、藤山外務大臣は、移住にも関係があるだろう、新しい移住地を開拓するために行ったんならば、そのついでに石油利権やあるいはオイル・タンカー二隻の建造について話をしてくるのも、必ずしも妥当を欠くのではないのじゃないか、こういうお話ですが、その当時の報告電報をもらわれて、それを出された外務大臣として……、今のようにやはりお答えになりますか。それとも、移住振興会社に対する悲痛な南米その他の移民の訴え、あるいは新聞その他で出ております批判を考えて、南方漁業に対する融資にしても、あるいは東南アジア、クエート等への旅行、あるいは調査の中心題目は、妥当を欠くのではないか、こういう工合に思われますが、どちらでしょう。
○国務大臣(岸信介君) 移住振興会社でやっておりまする移民が、まあ主眼が、農業移民にあることは言うを待たないのでありますが、しかし、農業移民だけじゃなしに、あるいは工業移民であるとか、あるいは技術者が出ていく問題だとか、いろいろな問題に関しても、移民会社としてはやっており、また海外における、そういう事業に対する投資といいますか、借款といいますか、そういう問題についても、移民会社の規定に従って事業をすることになっておると思います。そういう意味において移住振興会社の社長が東南アジア諸国、特にこれらの地域におきましては具体的には実現しておりませんが、カンボジアにおける農業移民の問題だとかあるいはその他の地域におきましても、やはり農業移民の問題もありますし、商工業の移民の問題もございますし、また全体として、将来移民なりあるいはいろんな事業上の点でもって日本が進出し得るような状態にあるかどうかというようなことを広く調査する意味で、おそらく大志摩君は出張をいたしたことと思います。またそういう意味において調査をしたことと思います。 ただ私、今御質問でありますけれども、ラングーンでクエイトの石油利権の問題及びタンカーの建造の問題について何か報告を受けたということにつきましては、実は私記憶ございませんので、今お答えすることはできないのでありますが、ただいま申したように、具体的に何か農業移民の話というものが取り上げられているときだけしか移住振興会社は関係しないというふうにせまく考えることは適当でないのであって、そういう意味において出張調査したことは不当であるというような考えは私は持っておりません。ただラングーン云々のことは私記憶ございません。なお書類等において調べてみなければ、何とも申し上げかねることを御了承願いたいと思います。
○委員長(草葉隆圓君) これで最後にして下さい。
○吉田法晴君 最後にして下さいですって……。
○委員長(草葉隆圓君) 時間がはるかに延びておりますから……。ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(草葉隆圓君) 速記を始めて下さい。
○吉田法晴君 この前予算委員会で、南方漁業に対する融資なり、あるいはこれをめぐる汚職のうわさまでも出して御質問を申し上げ、その翌日総理のところに、院内に大志摩氏は来たという話なんです。それは大志摩氏と、それから岸さんとの関係がなみなみでないということを私は示している反証だと思う。社長に就任するときのいきさつ、あるいはその後本人が言っているところ、これは南米の移住地の諸君もこれは知っている。ところが新聞にも出ていることですけれども、あの南方漁業への融資、その他移住振興会社の運営についてはきわめて問題が多い。それは大蔵省やあるいは会計検査院等も指摘をされてきたところだと思う。ところが何らその後反省がない。あるいはこれは毎日新聞の社説であったか、記事ではございません。記事ではございませんが、主張として、人間の問題が移住振興会社の仕事の不振興の大きな原因じゃないか、移住不振興会社という見出しまでついておりますが、その、原因が人間にあるんじゃないかということがいわれておる。その人間が大志摩氏にあることは間違いない。その具体的な事例をあげろと言われれば幾らもあります。 それから次の機会に譲れということですから、次の機会に譲りますけれども、従来指摘されてきた不公正な事実、あるいは先ほど来あげました。パラグァイの問題にしても、あるいはクエイトの石油事件あるいは造船の問題についても、その後も問題があるようです。それは別の機会にしますが、船はこれは佐世保船舶だと思うのですが、作らせた云々という点もある。最近は賠償をめぐって利権やあるいは汚職のうわさがあるといわれますが、この対外関係の借款についてもそういうことがいわれますように、一つのこれは岸政治の暗い面、あるいはとかくのうわさの出る面の一つだと思うのでありますが、これについて任命をした、あるいは推薦をするについて大きな力であった岸総理、それからその後の大志摩氏をいわば弁護してこられた岸総理として、この大志摩氏なり、あるいは移住振興会社の運営あるいは行動等について指摘をせられた事実等から言って、反省をされ、あるいは人事の面について考慮せられる用意があるかどうか、それだけは一つ聞いておきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 移住振興会社は、先ほど移住局長からも申し上げたように、国がだいぶ出資しておって、国の監督のもとにある、外務省の監督のもとにある会社でございます。その運営についてのことにつきましては、外務省としまして十分な監督をしておって、私は不正、不当のこの運営はないことを確信いたしております。私が大志摩君と多年の交友関係にあることは、これは事実でございます。しかしながら、私はかつて大志摩君の――いやしくもこの移住振興会社の職務を執行する上において何らかの指図をしたこともございませんし、いわんや不当なことや、あるいは何か疑惑を生むがごときことにつきましては、一切そういうことに私は無関係であることは私はここで申し上げておきます。 なお、移住会社のことは、会社の運営その他の何に対しては、十分外務省が監督官庁として監督をして参っていると私は信じております。
○委員長(草葉隆圓君) 吉田君、最後ですよ。
○吉田法晴君 今の岸総理の答弁は、不当、疑惑には関係がない。あるいは外務省は十分監督をして、疎漏がなかろうと、こういう御答弁ですから、具体的な事実をあげる以外にございません。そこで、具体的な事実をあげて、もう少し究明をする以外にございませんから、次の機会に保留をして、きょの質問は終わります。
○剱木亨弘君 吉田君の質問に関連しまして、先ほどインドネシアからラングーンに公信扱いの外務省の文書が出たということで、それを確認される外務当局の御答弁はないのですけれども、吉田君の方からの資料としては出た。私も役人をやった経験もありますし、特に外交公文書につきましては、これは資料として外部にそう簡単に出るはずはないと私は思います。それが外務省の方は確認しないにかかわらず、吉田君の手には渡っておるという状況につきまして、日本の外交文書がそう簡単に――しかも在外公館の間に行なわれておる、公信書と思いますが、これが、もしそれを資料として国会に出す場合は、おそらく上司の許可を得て後に出し得る資料じゃないかと思います。最近、相当官吏のあれが弛緩しまして、相当公けの機密に属すべきものが外部に漏れるきらいがあると思うのです。この、電報がもし真実外部に漏れたということになれば、どういう状況において漏れたのか、それは、われわれとしてはちょっと聞き捨てならぬ問題でございますので、一つ外務省におきましても適当な機会に御調査して、御報告願いたいと思います。
○吉田法晴君 その点で、実は公信の内容、こういう趣旨のものだということは、先ほど申し上げたのだけれども、その公信書をそれ自身は私も実は見たわけじゃない。先ほどの、外交旅券を出したということだから、外務省参与として出したというその点を言っておる。その点が誤りがあるかないか、わかりませんけれども、むしろ私としても、問題になったところですから、資料としてあったら出していただくようにお願いしておきます。
○委員長(草葉隆圓君) ただいま剱木君の御要求がありましたが、外務大臣の方から調査の上追って御報告をいただくことにいたします。 明日は午前十時から開会いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後七時三十一分散会