予算委員会 第4号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/11/06
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 昭和三十四年度一般会計予算補正(第2号)、同特別会計予算補正(特第1号)、同政府関係機関予算補正(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。岡田春夫君。
○岡田委員 きょう外交問題と賠償問題に関連をいたしまして、社会党を代表して御質問いたすわけでありますが、時間も制限されておりますので、あまりいろいろな点について御質問することができません。 そこで、まず第一点として、これは岸総理大臣にぜひ伺っておきたいのでありますが、外交問題に対する岸内閣の基本的態度についてぜひ伺っておきたいと思います。これは国民の印象を率直に岸さんにお話をしたいと思いますが、岸外交に対して日本国民の大半はこういう印象を持っている。第一点は、岸外交というのはアメリカに対する媚態外交である。それは、アメリカの前へ行くと、ちょろちょろしっぽを振っているくせに、アメリカに対して不利なことがあると自分が判断した場合には、頼まれもしないのに大きな声でわんわんとほえ立てる、こういうような態度を非常に感じているというのが国民の印象であります。この点が第一点。 第二の点は、これまた多分に個人的な関係になって失礼なのでありますけれども、岸さんは過去の戦争について反省をしているということを再三言われております。しかしながら、あなたのからだについているにおいというか、体臭というか、この体臭は軍国主義的、侵略主義的な体臭を国民に感じさせる。こういう点について、やはり私は、岸さん自身の発言についても十分御注意がなければならないと思う。ということは、岸さんは過去について反省していると言いながら、その口のあとですぐ憲法を改正するとかなんとかいうことを言うから、国民はそれを信用しないわけであります。 そこで私は、この機会にはっきり岸さんの基本的な態度を伺っておきたいと思いますが、第一点は、アメリカといえども、あなたから見られた場合においても、これは間違いだ、まずいと思われたような場合においては、断固としてこれに反省を求めるという勇断がなければならない。こういう決心が第一おありなのかどうか。 第二の点は、過去についてあなたは反省されると言っておられるのでありますが、具体的にどういうことを反省しておられるのか。この二点について簡単に一つ御意見を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 私はしばしば国会におきまして、今御質問になりました点については所信を明らかにしておると思いますが、重ねて私の所信を明らかにしたいと思います。 第一点の、アメリカといえども、これが間違っており、また日本が世界の平和を推進し、正しいと考えておることに違反しておるという場合において、これに対してアメリカに反省を求めるという考えがあるか、決意があるかというお話でありますが、それは従来われわれがとってきておる現実の政策の裏づけからもはっきりと申し上げられますが、もちろんそういう場合におきましても、われわれが正しいと思い、われわれがかくなければならぬと考えることにつきましては、われわれの主張を十分に言って、そうしてアメリカの反省を求めております。たとえば核実験の問題のごとき、あるいはまた過去におきましても、中近東における問題に対しての国連におけるわれわれの態度をごらんになれば、このことははっきりすると思います。 第二に、私自身の反省についてのことであります。私は、日本の将来の再建は、真の民主主義に徹して、これを再建しなければいかぬということを申したこともございます。特に私自身としては、今おあげになりましたように、過去の戦争のことを考えると、再び日本を戦争に引き込むようなことをしては相ならぬ。そういう意味において、日本の安全と平和を守っていくという、戦争に巻き込まれることのないようにしていくという点におきましては、私は真剣に考えております。
○岡田委員 過去の反省について御発言があったわけでありますが、それでは具体的な問題として一つ伺っておきたいと思うのです。あなたは戦争中に、その当時のいわゆる満州国の高級官僚として向こうにおられました。満州国というのは、御承知のように、当時の軍国主義政府が承認をしているわけであります。この満州国の皇帝はいわゆる傳儀である。この満州国の実権は日本の官僚と軍閥が握っておったことは、あなた御存じの通りです。しかもあの当時において、満州国というものについては、今よく政府の関係でもいわれたと同じような言葉が使われている。東洋の平和であるとか、生命線であるとか、防衛線であるとかいう言葉が盛んに使われた、そうしてそれによって合理化しようといういろいろなことが行なわれた。ところが、この満州国というものについては、私はこれは明らかなかいらい政権だと思う。かいらい政権であることは、外務省の顧問である横田喜三郎教授においても、満州国の承認は、これは尚早の承認である、従って、これは法律上違法であるという結論を下しておる。私はこれはかいらい政権だと思う。岸さんは、満州国におられた方として、それでは今日満州国をどのようにお考えになっておられるか。これはかいらい政権であるのか、合法政府であるのか、こういう点について、これは過去の反省の一つだと思うのです。これははっきり伺っておきたいと思います。
○岸国務大臣 私は当時満州国政府の一役人であったのであります。日本国政府を代表した立場ではなかったのであります。当時の満州国の役人の考え方につきましては、これはいろいろな考えがあったのであります。もちろん満州全体について、関東軍が非常な権限を持っていたことは事実でございます。これに対して、満州国政府の役人としては、満州のほんとうの独立を完成し、満州の民生を向上し、その経済を発展せしめるということに、実は当時の満州国の役人はほとんど全部非常な熱意をもって努力をしておったと私は思います。今のお話のように、日本政府がこれを認めたことが合法であったかどうかということには、満州国政府のわれわれのような役人をしておった者は実は直接の関係はないのであります。われわれは、満州国をいかにして、内容的にも、またここに真の平和と、その基礎の上に経済の発展や民生の向上をはかるかということを一意考えておった、というのが当時の私どもの心境でございます。
○岡田委員 この点についても、実はもっと具体的にいろいろ伺いたい点があるわけであります。しかし、きょうは時間がありませんから、この程度にいたしますが、もう一つ伺います。それでは、あの当時あった汪兆銘政権というものは明らかにかいらい政権だと思うが、あなたは今日どのように汪兆銘政権をお考えになりますか。合法政府とお考えになりますか、かいらい政権であるとお考えになりますか。
○岸国務大臣 これはいろいろな見方があろうと思います。私自身今どう考えるか、こういうことでございますが、これは当時の客観的の事情をいろいろ頭に置いて判断しなければならぬことでありまして、今日、ただ過去の一つの事実として、これが合法であったか、かいらいであったかということを申し上げることは、私は当時の各種の客観的情勢というものを基礎に当時判断したことであって、そのことをもとにしないと、今日ただ批評家的の立場でどう思うかとこう言われても、私としては御返事することは適当でないと思います。
○岡田委員 しかし、あなたは東条内閣のときの商工大臣で、その当時に汪兆銘政権ができて、その経過はよく御存じのはずである。過去について反省するといった場合に、具体的に汪兆銘政権はどうであったかという、そういうことの価値評価あるいは判断をなされないですか。それでは過去についての反省というのは、言葉だけで、そういう具体的な反省というものはない、そういうことにわれわれがとってもよろしゅうございますか。
○岸国務大臣 御承知の通り、政策そのものの根本については、私はいろいろな反省をいたしておるわけでありますが、当時はとにかく戦争状態にあったわけであります。そうして内閣としては、その戦争にいかにして勝っていくか、いかにすることがその戦争を遂行し、日本に勝利をもたらすのに適当であるかということをいろいろと考え、そうして施策したことであると思います。しかし、戦争そのものの根本について、われわれが今日反省してみますと、いろいろな判断が出るわけでありますけれども、当時の事情からいうと、東条内閣の置かれておった立場からいいますと、戦争というものの状態にあって、これをいかにして勝利に導くかということのためにいろいろな工作が行なわれ、いろいろなことがなされた。これは日本だけではなしに、どこの国でも、戦争を遂行する場合において、その戦争を有利に導くためにいろいろな工作をするということは当然のことでありまして、そういう客観的なその当時の事情からこれを判断すべきものである、これが私の考えであります。
○岡田委員 この点についてはもうこれ以上私はきょうはやりません。しかしあなたが汪兆銘政権はかいらい政権であるかないかを明確に言えない。満州国というものがかいらい政権であるかどうかということも言えない。これがあなたの岸内閣の敵視政策というやつです。これを敵視政策という。現在の中華人民共和国の内部についてのいろいろな干渉的な事実についてあなたははっきり言えないところに、静観主義という看板を掲げて敵視政策を明らかにしている。この点をあなた自身ははっきりお考え願いたいと思う。あなた自身の過去の反省について、私は反省が足りないと思う。 そこで具体的に今度はベトナムの賠償問題に入って参りますが、きょう私が御質問いたしますことは、具体的な事実をあげて御質問をいたして参ります。ですから、岸総理大臣初め各大臣、並びに政府担当者は、具体的な事実で反証をしていただかなければなりません。何か答弁技術でうまくごまかすというような態度では私は絶対に受け入れません。これははっきりしておきます。林さん、いいですね。それから賠償問題については、きょうもいろいろ新聞にも出ておりますように、あなたが一昨年南ベトナムへ行ってゴ・ディンジェムと共同声明を出した。これによって賠償問題が急速に進行するようになった。その限りにおいて、これはベトナムの賠償問題に関する限り、そして特別円に関する限りは、政府の責任、特に政府の責任の中であなたの責任が私は非常に重いと思う。そこで総理大臣に伺っておきたいことは、もしこの賠償協定というものが不成立に終わった場合には、私はあなた自身責任をとられるだろうと思うのだが、まさかこの前の警職法のときのように、自分の方の川島幹事長に責任をとらせておれは知らぬというような式で、賠償協定は藤山外務大臣が責任を負って藤山がやめればいいんだ、おれは責任をとらぬよというような卑怯な態度はとらないだろうと思いますが、この点をはっきりしておいていただきたい。
○岸国務大臣 私は内閣の総理大臣といたしまして、いかなる場合におきましても、政治の最高の責任をとることについて卑怯な考えは毛頭持っておりません。
○岡田委員 それでは具体的な質問に入って参りますが、質問に入る前に、私は今度の予算委員会に衆議院の議長の出席を要求いたしております。ところが、どういう理由かわかりませんが、予算委員長は出席を拒否いたしております。国会法上衆議院の議長の出席を禁止している規定があるのかどうか、慣例によってこれは出席できないというのですが、慣例はどの慣例によって、何月何日の慣例によってそのようになっているのか。これは予算委員会の運営について私は重要な意味があると思いますので、委員長にはっきり御答弁願っておきたいと思います。衆議院議長の出席を求めるということは、国会の運営と公正、そして私の質問を始めるのにあたって必要な質疑があるから、私は出席の要求をしている。この点についていかがなお考えを持っているか、委員長の御意見を伺いたい。
○小川委員長 お答えいたします。今までに委員会の方から議長に出席要求をした事例はございません。従って委員長といたしましては従来通りの取り扱いをいたした次第でございます。
○岡田委員 あなたの御答弁では私は了解いたしません。しかしこの問題については、本論からややはずれている点もありますので、社会党の理事諸君におまかせをいたしますので、この点はあとで理事諸君が御協議を願いたいと思います。 私の第一にお伺いしたい点は、ベトナム賠償とビルマ賠償との関連についてであります。この点は藤山さんに伺いたいのでありますが、ベトナムの賠償の調印が行なわれたあとで、ビルマから再検討条項を発動してビルマの賠償を再検討しようじゃないか、こういう申し入れがあって、あなたの方は交渉しているはずです。これに対して日本の政府としては、前回決定をいたしましたビルマ賠償の金額は妥当である、こういう方針で臨んでいると聞いておりますが、この点はいかがでありますか。
○藤山国務大臣 ビルマから日本・ビルマ賠償協定の第五条によります再検討条項を申し込んで参りましたのは、四月七日でありまして、賠償を調印した後ではございませんでした。今日再検討条項で交渉を申し入れてきております。また向う側が言ってきております中では、インドネシア及びフィリピンの賠償と比較してということになっております。従ってベトナムには言及いたしておりません。私どもとしては今日その交渉をいたしておりますけれども、フィリピン、インドネシアの額と比べて必ずしも不適当でないという立場に立って交渉いたしております。
○岡田委員 不適当でないという御答弁でありますが、不適当でないということは、日本の政府で、第二次世界戦争中において日本の軍隊が行なった戦争の損害、これに比べて妥当であるかどうかということが基準になってくると思う。そうすると、ベトナム賠償については、御承知のようにずいぶん戦争損害と賠償額との間に疑惑、いろいろな話が出て、政府はおそらく今度のベトナム賠償を機会に各国に与えた戦争損害というものを調査していると思うのですが、この戦争損害というものを出してもらわない限りにおいて——われわれが国会で審議をする場合においても、ベトナムの賠償がはたして妥当なものであるかどうかということは、ベトナムに与えた戦争の損害、これに比べて妥当かどうか。それからインドネシアあるいはビルマ、フィリピン、これらに与えた戦争損害と比べてベトナムの賠償が妥当であるかどうか。こういう資料がない限りにおいてわれわれは審議はできないのですが、これは当然第二次世界戦争中に日本の国が与えた各国別の戦争の損害というものは外務省にあるはずでありますけれども、これを予算委員会に御提出を願いたい。そうでなければわれわれは審議を進めるわけにはいかない。なぜならば、血税、二百億円の税金をわれわれが出すのが妥当であるかどうかということを判断するのですから、予算委員会に御提出を願いたい。この点はいかがでございますか。
○藤山国務大臣 戦争損害につきましては、各国それぞれ違っておりまして、物的あるいは精神的、人的損害というようないろいろな種類の損害があるわけでありまして、これらの問題につきましては調査が非常に困難であることむろんであります。物的損害にいたしましても、はたしてどの程度の損害があったのか。また人的損害についても、その人数等についても現実には調査が非常に困難でございます。また精神的苦痛というものに対する何と申しますか、推計というものも非常に困難な点がございます。しかしむろんそういう困難の中においても、われわれといたしましても、できるだけ先方側の要求も聞きながら、こちらの乏しい材料も集めながらも、そういう点について一応の調査はいたしておるわけであります。しかしそれが正確なものだということにはとうていいかないことは、岡田議員も御了承いただけることだと思います。従って何かそういう状態の数字を出せということならば出すことができるかと思いますけれども、正確な数字を出すということは非常に困難なことだということは御了承願いたいと思います。
○岡田委員 適当であるかどうかということは、これはわれわれとしても判断することですから。その資料はお出しになるのですか。お出しになってもいいというような御意見ですが、お出しいただけますか。
○藤山国務大臣 今、ベトナムの関係については、出すように先般も御要求がありましたので、出すように準備を進めております。また他の国について必要があれば、御要求に従ってできる限りのことはいたしてみたいと思います。
○岡田委員 それではベトナムの戦争損害を初め、各国の戦争損害についての調査はできるだけ早くお出しになる、こういうように了解してよろしゅうございますか。
○藤山国務大臣 できるだけ早く出すことにいたします。
○岡田委員 それでは今の点委員長御確認を願っておきます。 次は、賠償問題とジュネーブ協定との関係について、これは藤山さんに伺いますが、ジュネーブ協定が現在有効に効力を発揮しているのは御承知の通りです。ところが政府の発言を聞いていると、どうもジュネーブ協定並びに最終宣言については日本の国が調印しておらないのだから、そんなことは守る必要はないのだ、だから協定並びに宣言に反することだってかまわないから、どんどんやっていいのだというような政策をとっておられるような印象を受けるのでありますが、この点はどうなんでありますか。ジュネーブ協定について日本政府としてはどのようなお考えをお持ちなのですか。
○藤山国務大臣 ジュネーブ協定をわれわれが申し上げましたのは、調印国ではない、また招請されてそこにおった国でもございません。その限りにおいてはわれわれ直接の関係は持ってないということを申し上げたわけでございます。しかしむろんジュネーブ協定がベトナムの内部の平静を期するために軍事的な休戦協定を行ないまして、将来統一に向こうような共同宣言をいたしておりますので、そういうことをわれわれは否定しておるわけではございません。
○岡田委員 それは否定できないでしょう。調印してないんだから、否定したってしょうがない。あなた自身は調印するしないにかかわらず、尊重して、これを守るようにしていくのが日本政府の態度であるかどうかということを伺っているのですよ。
○藤山国務大臣 むろんこれらのジュネーブ協定そのもに流れております精神というものについては、われわれはできるだけ尊重していくのは当然のことと思います。
○岡田委員 そこでジュネーブの最終宣言は南ベトナムが加わっていないというようなことをよく言う人がありますが、これは間違いである。私は先ほどから事実の証拠において申し上げているのですが、ここに原典を全部持ってきております。マンデス・フランスがジュネーブ協定の済んだ翌日、一九五四年の七月二十二日にフランスの国民議会においてこのように報告をしている。これはフランス国民議会の速記録がある。ここにこういうように書いてある。「これは会議全体によって採択されたが、各国代表の署名は行なわれなかった。そのかわり各国代表団はこの最終宣言にそれぞれ自国の見解を付記した」として、これは明らかに南ベトナムもこの最終宣言を受諾したということを明らかにしている。しかもこの点については外務省が発表している世界月報の中においてもはっきり書いてあります。世界月報の中でも、「共同宣言案はアメリカを除く八カ国によって採択された」そこでそれではこれにアメリカは反対したのかというと、そうではない。アメリカは別に単独宣言を出して、この単独宣言の中でジュネーブの最終宣言の中の第一項から第十二項まではこれを了承する、第十三項だけはこれを留保をして拒否をするという意味の宣言があった。従ってジュネーブの協定並びに最終宣言というのは、当然九カ国が拘束されるものだと私は考える。そこでこの点について藤山さんはどのようにお考えになっているか。
○藤山国務大臣 ジュネーブ協定ができましたときには、御承知の通り軍事休戦協定でありますので、調印はそれぞれ軍司令官もしくは国防次官等が調印をいたしております。従って、休戦協定そのものにつきましては、フランスの連合軍司令官というものが、ベトナムの分もあわせて代表してこれは調印いたしておるわけであります。ジュネーブの協定につきまして、むろん当時ベトナム側からも、そういうことについては自分たちとしては好ましいことではないというようなことはいわれておったわけでありますけれども、調印そのものは今申し上げた通り、仏軍司令官が連合軍司令官として調印をいたしておるわけであります。
○岡田委員 あなたよく知らないのですよ。あなた私の言っていることをはき違えているのです。それは休戦協定の話です。私の言っているのは最終宣言の話です。最終宣言は八カ国を拘束するし、アメリカも単独宣言の原則において十二項までは守らなければならないということははっきりしている。これはフランスの国民議会でマンデス・フランスという総理大臣がはっきり公式の記録に残しているのだから、あなた知らないのですよ。この点はどうなのです。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げました通りでありまして……。
○岡田委員 あなたの言うのは休戦協定ですよ。最終宣言と二つあるのです。
○藤山国務大臣 最終宣言につきましては無論アメリカは今お話の通り当時署名はいたしておりません。そうして別個にやっておりますが、他の国は署名をいたしておるわけです。
○岡田委員 聞こえないな、何のことですか。もう一度はっきり言って下さい。八カ国がはっきり承認をしている。そしてアメリカは単独宣言において十二項までは承認をしている。これはそうでしょう。
○藤山国務大臣 アメリカは承認いたしておりません。それを除いて、後に……。
○岡田委員 いいですか、八カ国は承認をしている、アメリカは十二項までは単独宣言において承認している、そうでしょう。あなたはっきりしないとだめですよ。
○小川委員長 高橋条約局長。 〔発言する者多し〕
○小川委員長 委員長は発言を許しました。
○高橋(通)政府委員 ただいまの点ちょっと大臣の発言を補足させていただきます。共同宣言の点でございますが、御指摘の通りアメリカとベトナムは単独の別の宣言をいたしております。そこでアメリカの方の宣言でございますが、十二項まではこれを了承するという宣言をいたしております。御指摘の通りでございます。ただ問題の点は、南北が総選挙を行なうという点につきまして、なかんずくアメリカ側は、国際連合の監督のもとにやることを希望するというふうな注釈の宣言をつけている点でございます。それからベトナムの方は、この宣言は休戦協定及びその休戦協定の条項を了承しておりますから、このようなやり方で休戦協定をやることについて原則として反対をするということを単独宣言で述べております。ただしこの共同宣言ではそう述べておりますが、休戦協定はベトナムを拘束するところの休戦協定としてでき上がったというふうに感じております。従って結果的にはベトナムの方もこれに拘束されるというふうに感じております。
○岡田委員 この点についてはまだ私意見がある。というのは、ここに、フランスの国民議会の速記録に載っているのだが、あなたの御発言については、ベトナムの留保宣言はあります。ありますけれども、最終的にはイーデン議長が一人々々諮って、南ベトナムに、この宣言を南ベトナム代表は認めますかと言ったときに、認めますとはっきり言っているのです。これは速記録にもあるから、あなた自身はどういうように解釈されようと、速記録ではっきりしているのだから、これはあとでまたやりましょう。それよりももっと進めましょう。山はここにあるのではない、きめ手はあとにある。いいですか、それでジュネーブの休戦宣言あるいは休戦協定並びに最終宣言は、ここではベトナムにおける軍事的な強化、外国軍隊の進駐あるいは軍事力の強化、軍事資材の輸入、軍事基地の設置、一切をこれは禁止しておりますね。これは御存じでしょう。日本はこれを守るという意思があるのですか、どうなのですか。
○藤山国務大臣 日本はむろんこれに参加し、あるいは協定に署名をいたしておらない国でありますけれども、先ほど申しましたようにアジアの平和のためにそういうようなことを尊重していくという立場は、当然われわれとしても考えて参っておるわけであります。
○岡田委員 この点は総理大臣もそうでありましょうね。アジアの平和のためにこういう軍事建設、そういうものは日本はやるべきでない、こういうように思いますが、総理大臣はいかがお考えになりますか。
○岸国務大臣 われわれは平和外交を推進していく上から申しまして、その趣旨は尊重すべきものと思います。
○岡田委員 それではSEATOの附属議定書の中に、SEATOの条約の第三条、第四条は、ラオス、カンボジア、自由ベトナムに適用する、いわゆる軍事的な同盟関係を自由ベトナムに適用するというようなことがきまっておりますが、SEATOのこの規定はジュネーブ協定の違反であり、日本の政府としては当然これは反対すべきものだと思いますが、どう思いますか。総理大臣いかがですか。総理大臣に伺います。
○岸国務大臣 私は、この各国間の条約は、日本に全然関係がない、そのことはよその、条約に関係した国のことであると思います。
○岡田委員 総理大臣、今何を言ったか、私全然聞こえなかったのですが、あなたとしてはこれをどう思うかということを聞いているので、それに調印していないのは前からわかっていますが、それでは一体あなたはSEATOに入るつもりですか。これは入ってないでしょう。
○岸国務大臣 私の申したのは、日本としては入っておる条約でございませんし、関係のない条約でありますから、そういうことについての意見を申し述べることは差し控えたい、こう申したわけであります。
○岡田委員 それではよろしい。 では、次に入りますが、サイゴンにいる久保田大使に今年の二月十九日に、社会党のベトナム特別委員会に御出席を願いまして、そのときにいろいろ御発言があったのですが、私も出席いたしております。そのときに久保田大使ははっきり言っておる。アメリカの軍事使節団がサイゴンに駐留して、現在ベトナムの軍隊にどんどん訓練を与えて強化をしておる。このようにはっきり答えております。こういうアメリカの軍事強化についてあなたはどのようにお考えになりますか。これは久保田大使が言っておるのですから、日本の人が言っておるのですよ。総理大臣いかがですか。
○岸国務大臣 先ほども申し上げておるように、私は各国の間におけるいろいろの関係において、日本に直接の関係のないことにつきまして私が発言をするということは適当でないと思います。
○岡田委員 いずれ関係のあることがだんだんおかわりになりますから、もう少しお聞き下さい。 あなたは、それじゃアメリカがやっておることに対してさっき勇気をもってやるというが、あまり勇気はないらしいですな。はっきり言いましょうか。これは八月の三日、ベトナムにある休戦委員会のベトナム国際委員会は次の発表を行なった。すなわち、アメリカ軍事要員並びに軍事代表団が南ベトナムに十回にわたって入ったことについて結論をおろし、これらの事件はジュネーブ協定のベトナム休戦協定第十六条違反に該当するものであるとはっきり言っている。しかもその具体的な事例がここに書いてあります。全部言うと長くなりますから、簡単に言いますが、ことしの例としては、一九五九年二月二十四日、フェルト・アメリカ太平洋艦隊総司令官が南ベトナムに来たのはジュネーブ協定違反であるとはっきり書いてありますよ。そのほかあげれば十件あるわけですが、こういうように、ジュネーブ協定できまっている国際監視委員会の判定によっても、アメリカ自身が明らかにジュネーブ協定違反を犯しているという結論がおりておる。これについてあなたはどういうようにお考えになりますか。こういう誤りについて、あなたはアメリカに反省を求める勇気があるとさっきお話しになったじゃないか。これについてどうしますか。
○岸国務大臣 先ほども申し上げておるように、私は日本が直接に関係のないことにつきまして、総理大臣として、たとい私的にもこういう席で意見を申し上げることは適当でない、こういうことを申し上げておるのであります。
○岡田委員 そういう態度で安保条約の交渉なんかをやられておるのじゃないですか。アメリカには言いたいことも言えないで黙っているということが媚態外交の本質ではありませんか。こういう点について国際監視委員会がはっきり、アメリカは違反であると言っておるのに、あなた自身はなぜ反省を求めないのですか。勇気がないからでしょう。これについて発言ができないというのは、要するに勇気がないからでしょう。どうしてですか。言えないのですか。はっきりお話しなさいよ。
○岸国務大臣 私は先ほどから申し上げておるように、日本に直接関係のないことにつきまして、アメリカであろうとも、あるいはソ連、中共であろうとも、総理大臣としてそれについての意見を述べることは適当としない。こう考えておるのであります。
○岡田委員 それでは伺いますが、関係があれば発言は勇気をもってされるのですか。
○岸国務大臣 もちろん日本に関係があるという場合におきましては、われわれは適当な方法において発言はしてきておりますし、将来もするつもりであります。
○岡田委員 それでは関係のある具体的な証拠をお見せしましょう。 きょうは、電電公社の総裁来ておりますか。——来ておりますね。電電公社の総裁に答弁を求めますが、電電公社は、一昨年の四月、サイゴンにおいて、アメリカ軍事援助団、MAAGが実施する南ベトナム軍隊使用のマイクロウェーブの施設工事調査の入札に参加した。そしてこの入札を電電公社は落札をして、契約は一昨年の六月、MAAGと電電公社の間で行われておる。契約金額は、たしか四億二千万ドルのはずであります。この契約に基づいて、同年九月から十二月二十一日まで電電公社のマイクロウェーブ部長の黒川広二を初め十四名が調査に行った。そして、この調査の場合に、南ベトナムの国防省総参謀本部通信班長グェン・クーン大佐が直接担当者となってサイゴンから十七度線まで十三カ所にわたって調査を行なった。これは軍事的なマイクロウェーブの施設のための調査を行なった。この調査にあたっては、国防省の所有である軍用トラック、ジープを使って、連絡将校も乗っている。そうしてそのとき参謀本部では、この工事の完成の暁は南ベトナムの軍隊がこれを使って、余った一部は民間に使わせると言明している。経費の出所はどこか。経費の出所は電電公社の負担になっているが、実際のサイゴンにおける滞在費、ホテル代などはすべて南ベトナム参謀本部が負担をしている。工事の契約については、今日までにいまだ入札が行われておらないけれども、今の総裁ではない、前の総裁、梶総裁と深い関係にある日本電気が、電電公社のあっせんのもとにおいて、おそらく工事の契約をすることと思われる。そしてこの工事契約については、アメリカの軍事援助団並びにベトナム国防省が直接に契約に参加するはずである。なお、これに関連して、この工事契約並びに調査に協力をしたベトナム国防省の参謀本部の将校五名ないし六名を電電公社は今年の春招待をして、日本に連れてきておる。こういう事実があるでしょう。しかも電電公社というものは政府の機関の一部ですね。政府自身がやっておるではありませんか。日本に関係のあることをやっておるのですよ、岸さん。今だんだんはっきりしてきますが、電電公社はこの経過についてどういうようにお答えになりますか。
○大橋説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問の南ベトナムの通信施設の調査、設計について、入札に公社が参加したことはお説の通りであります。そして落札をしたということも事実であります。調査団が行ったということも、私存じております。しかしながら、ただいま御指摘のような非常に詳細な点については、私は存じません。
○岡田委員 それでは、この点は郵政大臣にも伺っておきます。私の方が知っておって、あなたの方が知らないなんて話にならないじゃないですか。最初に申し上げたように、岸さんにもはっきりみんな聞いておいて下さいよ。私は具体的な事実をあげているのだから、あなた方反証があるなら、はっきり具体的な反証をあげて御答弁下さい。郵政大臣、どうですか、この事実は御存じですか。
○植竹国務大臣 お答えいたします。そういうことのあったことを報告を受けております。
○岡田委員 それでは、事実だとすればこの点ははっきりしておきます。重要な点だけ郵政大臣と総裁に伺っておきますが、契約書の名前はアメリカの軍事援助団MAAGと電電公社でしょう。それからもう一つは、この実際の施行の目的というものは、ベトナム国防省の通信班の責任において、援助をしたことでしょう。このことはどうですか。
○植竹国務大臣 契約の相手方はその通りでありましたが、このアメリカの機関は単に軍事ばかりでなく、アメリカの民間をも含む全体の仕事の受け持ち権限があるということの報告を受けております。
○岡田委員 植竹さん、前の日にもう少しよく聞いておかなくちゃだめですよ。いいですか、あなたはMAAGというのをどういうように解釈しますか。アメリカ軍事援助団でしょう。どうですか、もう一度答えてごらんなさい。
○植竹国務大臣 これは契約は、ICA、インタナショナル・コーペレーション。アドミニストレーションと契約が行われたと聞いております。しかし、ただいま御指摘のMAAGは軍事顧問団でございますので、契約の相手方ではないと承知いたしております。
○岡田委員 しかし軍事顧問団のMAAGに関係のあることは事実でしょう。大臣、MAAGに関係あるのでしょう、ないのですか。
○植竹国務大臣 顧問団としての程度におきまして、関係があると承知しております。
○岡田委員 顧問団の関係といったって、顧問団は軍事的目的の顧問団だから、その関係において関係があるのでしょう。
○植竹国務大臣 その通りであります。
○岡田委員 それからもう一つは、ベトナムの参謀本部の通信班がこれのあっせんをしたのも事実でしょう。どうです。
○植竹国務大臣 そこまで詳しいことは存じません。
○岡田委員 それこそだめじゃないですか。何も知らないじゃないですか。ベトナム国防省のためにマイクロウエーブを据え付けるのでしょう。そうじゃないのですか。
○植竹国務大臣 この使用目的は民間でも使うのだということを明確に承知いたしております。
○岡田委員 それは大臣、私さっきから言っているじゃないですか。主要な部分はベトナム国防省が使って、その一回線だけは民間が使うのですよ。それはどうですか。
○植竹国務大臣 その回線の数までは承知しておりません。
○岡田委員 あなた知らないなら、今電電公社の人がいるから聞いてごらんなさい。間違いないのですよ。それでは軍事目的には全然使わないとあなた断定できますか。
○植竹国務大臣 どうも他国のことはそこまでは私承知しておりません。
○岡田委員 あなたはそれだから能力がないんですよ。他国のことじゃない。日本の電電公社が契約したんじゃないですか。はっきりしているじゃありませんか。それはまたあとであなたに聞きますから、よく考えておいて下さいよ。この調査団にパスポートが出ているはずです。このパスポートの申請の中には身元引受人はMAAGになっているはずだ。これはどうなっていますか。しかも渡航の目的はどういうことが目的であるか、外務大臣はっきり言って下さい。
○藤山国務大臣 私は現在承知いたしておりませんから、いずれ政府委員から答弁させます。
○岡田委員 移住局長来ているでしょう。移住局長答弁しなさい。
○小川委員長 岡田君、今呼びに行っていますから、それだけは留保して他の質問に進んで下さい。
○岡田委員 それじゃ時間はできるだけあなたに協力しますから……。その点は移住局長からいずれ報告があると思いますが、資料をはっきり持ってきて下さい。私は確証を持って言っているんだから。政府の方が確証もなしにあいまいなことを言うなら話になりませんよ。 そこで、それではこの旅費の外貨はどういう形で受け取りますか。大蔵省ではどうなっていますか。
○佐藤国務大臣 事務当局から説明させます。
○岡田委員 それではあとで御説明を願います。電電公社に優先外貨があるわけではないんだから、何か大蔵省とうまい話をして金をもらっているのですか、これは一つ調べてもらいたい。 そこで岸さんに一つお伺いしておきますが、こういう関係から見ても、少なくとも大臣が答弁したように、アメリカの軍事目的のために日本の政府機関が協力しておる。これは明らかにジュネーブ協定違反でしょう。これに対して総理大臣としてどういうようにお考えになりますか、所見を伺います。
○岸国務大臣 私その事実を今日初めて聞いたわけでありますが、今までの質疑応答の結果によりますと、日本政府が直接これにタッチしているわけではない。政府機関である電電公社。向うの契約の相手方もまだ明瞭でないようであります。今のお話のように、あなたの質問ではMAAGそのものが契約の相手方のようでありますし、郵政大臣のなにだと、それはただあっせんの機関であって、それが相手方ではないというふうに申しております。こういうような点から考えまして、私は、日本政府が直接関係した仕事としてこれを考えることは適当でない、こう思います。
○岡田委員 それじゃこの点についてあとで事務当局から具体的な答弁を求めることにして、もっと進めましょう。今の岸さんの答弁は相変わらず答弁技術で、いわゆるそつのないというやつですな。そういう答弁ですが、もっとはっきり伺いましょう。 今度の賠償は直接にベトナムの軍事計画に関係がある。これは私ははっきり言いたい。もしそういう事実があったら、あなたどうしますか。
○岸国務大臣 この賠償は批准された後において実施計画が作られるわけでありまして、実施計画の内容はまだはっきりわからないわけでありますから、今日どうだということは申し上げませんが、これはすべての経済、国力全体が伸びることが、その国の軍事力にも関係あるというふうな広義の意味であると考えられれば、いやしくもその国の経済を発展せしめることはみな軍事になるというふうな議論になりますが、そうでなしに、狭い意味における軍事に関係があるということはない、私はこう確信しております。
○岡田委員 狭い意味の軍事的な計画に関係があった場合にどうしますか。そういうことをやめさせますか、どうしますか。あったらどうしますか。
○岸国務大臣 今申し上げているように、批准した後において実施計画を見なければ、私はどうだということは言えないと思います。今のなにとしては、われわれはそういう狭い意味における軍事的な計画に協力していくという考え方は持っておりません。
○岡田委員 今答弁を聞いていると、将来そういうことがあった場合には、そういうときのことにするというのだが、その場合は認めるという場合もあるのですか。軍事計画というものにはあくまでも反対なんでしょう。われわれ社会党は、ベトナムの賠償はあなたのやっている安保条約改定と不可分の関係がある。アメリカのSEATO体制に協力するのがベトナム賠償なんだ。これは軍事計画の協力援助のためにやっているんだとわれわれは言っているのです。これはないとあなたが言わなければ、国民はああ社会党の言うのがほんとうだなと思いますよ。なぜあなた、はっきり言わないのですか、言えないのですか。
○岸国務大臣 言うまでもなく賠償協定の問題は、一面においては戦争中における損害を賠償するということと、ベトナムの繁栄と経済の発展に協力するという趣旨にこの協定はできておるわけであります。それに合うような実施計画を定めてこれを実施したいというのが私どもの考えでございます。
○岡田委員 そんなことはわかっている。質問する前に調べていますよ。ベトナムの賠償が南ベトナムの軍事計画の援助のために具体的に結びついている事実があるということがあったら、あなたはこれは反対するとおっしゃらなければ、それは関係があるんだということを国民に疑惑を与えたままになりますよ、いいですかと言っているのです。そういうものでもないし、それは認めないとなぜあなたはおっしゃらぬのですか。そういうところにくさいところがあるんですよ。
○岸国務大臣 今私がお答え申し上げましたように、実施計画というものはまだわかってないのです。従って、いろいろ想像されておるようでありますが、私どもはこの協定の本来の趣旨に合うように実施計画は定めていく、こういうことを申し上げたのであります。
○岡田委員 軍事計画は認めないのですね。軍事的な計画については認めないのでしょう。ベトナムの賠償の疑惑を一掃するためにも、そういうことは認めませんというのがあなたの意見じゃないのですか。どうなんですか。それははっきり言えないとすれば認めるということなのですか。なぜはっきり言えないのですか。そういう点なぜごまかすのですか。
○岸国務大臣 私はごまかしているわけでも何でもありません。今抽象的にそういう議論をしていくと——抽象的に言うならば、私が申しているように抽象的にお答えするほかはないのです。具体的にこれが関係しているかどうか、これは軍事計画じゃないかというふうなことになれば、これは実施計画が定まらなければ言えない、こういうことを申し上げている。
○岡田委員 藤山外務大臣に伺いますが、これはあなたの出した賠償協定ですね。この賠償協定の附属書に、「一、水力発電所の建設、二、機械工業センターの設備、三、両政府間で合意されるその他の生産物及び役務の供与」。この三つありますね。この第三点は具体的に何ですか。これは合意をされていますか。何か具体的に予定がありますか。
○藤山国務大臣 「その他」は具体的に合意されたものはございません。むろん賠償ミッションがこちらへ来たり何かいたしますから、そういう経費も予想されますし、その他今後の実施計画にのっとっていろいろ協議されると思います。
○岡田委員 これは軍事関係のものですかどうですか。
○藤山国務大臣 今申した通り「その他」でありまして、これから実施計画を考えるわけでありまして、合意されたものはございませんから、軍事計画とかなんとかいうことを申し上げるわけには参りません。
○岡田委員 それでは軍事施設を向こうから提起してきた場合に、あなたは賛成しますか断わりますか。
○藤山国務大臣 むろん具体的にそれらのものの内容を見なければ何とも申し上げかねます。
○岡田委員 内容を見なければわからないというのは、軍事的な問題でも認める場合があるというように私が解釈してよろしいですか。
○藤山国務大臣 内容を見なければどれが軍事的なものだかどうだかということもわかりませんししますから。しかし、先般本会議で総理も言われましたように、これが軍事的に利用されるようなことは日本として望ましくないと言われておるのであります。そういう線でわれわれはやっていくつもりでおります。
○岡田委員 二項の機械工業センターの設備、これは軍事関係ではありません。少なくともあなたの狭義の意味の軍事関係については望ましくない、その意味において反対をするというのが政府の態度であると了承してもいいですか。
○藤山国務大臣 機械工業センターにつきましても、まだ何ら内容はきまっておりません。ただ向こう側としては今後いろいろな工業が発達する上において修理工場が必要だろうし、部分品を作る工場も必要だろう。そういう意味において機械工場は優先的にほしいのだということは言っておりますけれども、それが軍事工場であるとか、あるいはそういうものを作るとかいうことは私ども聞いておりません。
○岡田委員 それでは先ほど藤山外務大臣が答弁されたように、狭義の意味の軍事施設を向こうから申し入れた場合においても、日本政府としては好ましくない——好ましくないと思う限り日本政府としてはこれを拒否するという態度だと思うのですが、その点はどうですか。
○藤山国務大臣 むろん内容につきまして、先ほど総理が言われましたように、修理工場のようなものは、一般経済に利用されるものあるいは軍事工業に利用されるものというふうに画然と分けられる場合もありましょうし、分けられない場合もあろうと思います。それらについては実際の計画を見た上でないと何とも申し上げかねると思います。
○岡田委員 私は、狭義の意味の軍事計画と言ったのですよ。そこで具体的に例をあげましょう。岸さん、よく聞いておいて下さい。在サイゴンの日本大使の久保田貫一郎氏は、ことしの二月の二十三日の東京におけるアジア問題外交懇談会で次のような発言を行なった。その速記録はここにあります。申し上げましょう。これでもうそだとあなたは言うのですか。「かりに日本がそういうことで、賠償から申しますとサイド・イッシューで長びかしておるとどういうことになるかと考えますると、日本の賠償で向うが行いまするプロジェクトは、御承知の通りにサイゴンから三百キロばかり離れたところのダニムという山岳地帯に十六万キロワットの発電所を作る、それがおもであります。」その次「そのほかに兵器工廠の改善とかありますけれども、発電工事がおもであります。」と言っておるじゃないか。どうなんだ。これでもないと言えるのですか。「兵器工廠の改善」と久保田大使ははっきり言っておる。ここに書いてある。見なさい、写真まで出ておる。兵器工廠の改善じゃないですか。ここに明らかに出ておるじゃないか。賠償協定の中に入っておるじゃないか。この中には自民党の人も出ておるのです。前代議士の高岡大輔君が出ておる。はっきり答えなさい。いいかげんなあいまいな答弁をすれば……。これをどうする。
○岸国務大臣 私は、この賠償協定の今までの交渉の経過におきまして、今回の三千九百万ドルというものがきまり、そのほか経済協力がきまったなにに対しまして、具体的のプロジェクトとして兵器工場を云々するというようなことは一切聞いておりません。まだそういう段階でないのでありまして、今後実施計画を立てて、実施計画についてはさっき言ったようにこれが直接狭義の意味の軍事施設というような意味であるならば、日本としては望ましくはない、こういうことを申しておりますから、これによって十分具体的のなにを審査します。決してこの条約に調印をしました藤山外相からも、そういう具体的のプロジェクトとして狭義の軍事施設に対して協力するというようなことを合意したことは私報告を聞いておりませんし、また事実そういうことはないと思います。
○岡田委員 もし事実としたらどうします。やめさせますか。久保田大使の責任をどうしますか。はっきりなさい、総理大臣、そこまでこれは認めないと言っておるのだからはっきりなさい。林さん、だめだ、三百代言やっちゃ。そんなことは事実問題で法律の解釈と関係ないでしょう。黙ってなさい。はっきりしなさい。大使の発言をどうするのです。これを取り消すのですか、どうするのです。そういう事実がないならないといってはっきり取り消すのか。日本を代表する大使がこういう発言をしたらその処置はどうするのですか。責任をどうするのですか、総理大臣、はっきりしなさいよ。
○岸国務大臣 交渉の具体的のなににつきましては外務大臣からお答えさせます。私はそういう具体的なプロジェクトの話し合いになっていることは聞いておりませんし、そういうことは私は具体的には、もし実施計画に出てくる場合においては、先ほど外務大臣がお答えしたように、日本がそういうことは望まないということで折衝すべきものだと思います。
○岡田委員 それでは大使のこの発言は取り消させますか、どうしますか。あなたはどうするのですか。総理大臣としてそういう事実があったらどうするのですか。
○岸国務大臣 その点は私まだ発言の内容及びそれの詳しいことを承知しておりませんから、それは十分に事実を調べた上に善処すべきものだと思います。それだけでもってどうするということは、もう少し事実を調べてみなければなりません。外務省において十分事実を調べた上で善処します。
○岡田委員 外務大臣どうですか。あなたの方の管轄の大使がここまではっきり言っている。こういう事実があったら、大臣は取り消させますか。やめさせますか。いいですか、兵器廠の改善、こういう事実がある。この事実がはっきりしておる。はっきり答弁ができなければ、兵器廠の改善のために賠償協定が進められるのだとわれわれは解釈してもいいですか。どうなんです。
○藤山国務大臣 当日の久保田大使の発言がどういうことでありましたかは、私はその席におりませんからわかりませんが、むろん久保田大使としては交渉にいろいろ当たっておりますので、向う側の意向というようなものはいろいろ聞いておったと思います。従ってそういうような希望の一つを、いろいろのことを言ったのではないかと思います。しかしそれ自体がすぐに日本政府が何か賠償でもって軍事工場を作ることに同意をしておるという意味ではありません。最終賠償はまだ実施計画をやらないとわからない、こういうことでございます。
○岡田委員 これははっきりしておきますよ。今までの質疑応答に関する限り、多くの人が聞いている限りにおいて、ベトナムの賠償が軍事施設に関係のあるという事実は非常に明らかになってきた。これを政府側が否定をするという明確な答弁が行なわれ得なかった、このようにわれわれは判断していいですか。MAAGと電電公社の場合、賠償協定の実体の中身においても、アメリカの軍事計画並びに南ベトナムの軍事建設のためにベトナムの賠償が協力援助している、こういうのが実体である。これは明らかですね。これは否定できないでしょう。このままで明確な答弁をしなければ、国民にそういう印象を与えたままで終わりますよ。政府はそれでいいのですね。
○藤山国務大臣 今申し上げましたように、機械工業センターについてはまだ何らどういう形でどういうものを作るかというようなことに最終的にはきまっておりませんので、軍事的なものを作るというようなことを言ってはおりません。まだそれを認めておるわけではございません。
○岡田委員 そういうあいまいな答弁では、国民はそういうことは納得しません。外務委員会だってこれはあとあと私はやります。そういう事実はきょうだけで済んだのではないのですよ。はっきりしておかないと、あれですが、あなたは答弁するつもりですか。
○伊關政府委員 その機械工業センターは普通の機械の修理、車両の修理、それから部品の製造というようなことが一応考えられております。今の海軍工廠との関係は、海軍工廠の中にあき家があるので、これを使ったらどうかという話があったので、久保田大使がそういうことを言われたかと思いますが、今のところその建物はまず使わないだろうということになっております。
○岡田委員 そういう点についてはあとでもう少しやります。今ともかくくさいから、こういう点をはっきりしておきます。 これからいよいよ本格的な山に入って参ります。政府の今までのベトナム賠償の答弁を聞いていると、ベトナム国は桑港条約の調印国である。それであるから賠償請求権があるんだ、これが唯一の論拠ですね。そのほかに四十九カ国が承認しているとかなんとか、これは政治的の問題ですから大した理由にならない。そこでこういう形式論が誤りだということは言うまでもないのです。しかしこういう形式論であっても、違うとわれわれ言っているだけではこれは水かけ論になるから、具体的なあなた方の形式論の中で私はこれは間違いであるという論証を今いたします。具体的の私は論証をするから、あなた方も卑怯な答弁技術なんかでごまかさないで、はっきり論証して下さいよ。 まず第一点は、ベトナムの政府というものが全ベトナムを代表する合法的な正統の政府であるという論拠は具体的にどういう点にあるのですか。総理大臣、午前中参議院で答弁しているから、あなた答弁して下さい。
○岸国務大臣 四十九カ国がベトナム共和国政府を承認しておるこの事実は、この共和国政府を全ベトナムの正統政府として承認をしておるのであります。また十二カ国の国々が北ベトナムを承認しておりますのは、北ベトナムが全ベトナムにおける正統政府として認めておる。国際的にそういうふうに意見が二つに分かれております。多数の国々は、四十九カ国と十二カ国でありますから、ベトナム政府を全ベトナムを代表する正統政府として承認しておる。こういう事実でありまして、日本もまたそういう立場をとっておるわけであります。
○岡田委員 承認の問題であって、日本が正統政府であるという論拠は藤山さんどうなんですか。それは承認と私の質問と違います。
○藤山国務大臣 御承知のようにフランスが戦後仏印三国を処理いたしますときに、カンボジア、ラオスとともに国の地域の範囲をきめまして、そしてベトナム国というものを独立させる進み方をしたわけであります。申すまでもなく最初ベトナムに対しましては、フランスがホー・チミンと話し合いをいたしましたけれども、それがその後決裂をいたしまして、そして一九四八年にいわゆるアロン湾宣言という宣言によりまして全ベトナム国を領域とするベトナム国を作って、そうしてホー・チミンもこれに対しまして王様を立てて、そして国を作ったわけであります。その後その翌年の一九四九年の三月エリゼ宣言によって明らかにこれは認められ、また一九五〇年の二月でありましたか、これをフランスとの間に批准をいたしておるわけであります。そういうことでフランスが仏印三国を独立させるということにおいてはそういう処置をとっていき、一方一年おくれましたけれども、ラオス、カンボジアに対しても同じような処置をとって進めて参ったわけであります。その後アロン湾宣言は、一九四九年三月以降英国初めベルギーその他数カ国がこれを承認をいたしました。そうしてその後今日に至る間四十九カ国が承認をいたしておるという状況になっております。ただその途中において選挙を通じて共和国になりましたことは御承知の通りだと思うのであります。そういう歴史的経過から見まして、われわれとしては全ベトナムを代表する正統政府だということを認めておるわけでございます。
○岡田委員 それではエリゼ協定、一九四九年の三月八日協定によってベトナム国、ステート・オブ・ベトナムは独立の承認があった、こういうことになりますね。ところがそれより三年前の一九四六年の三月六日にハノイでフランスとホー・チミン大統領との間に独立の協定があったのはあなた御存じですか。ハノイ協定といわれるのを御存じですか。その内容を読んだことありますか。藤山さんどうですか。
○藤山国務大臣 むろん先ほど申し上げましたように、フランスは一応ホー・チミンと話し合いをいたしたわけでありますが、その後一九四六年の十二月に至りましてフランスと衝突をいたしまして戦争状態に入りました。四七年二月にフランスといたしましては北を相手にしない、ホー・チミンを相手にしないということで解決をいたしております。
○岡田委員 ハノイ協定をごらんになりましたか。読んだことありますか。
○藤山国務大臣 一々の詳しいことについては読んでおりませんけれども、ただいま申し上げたような経過で成立しております。
○岡田委員 では、ハノイ協定を読んでなければ、この中に独立の問題があるのがはっきりしているのだが、あなたは知らない。あなたの答弁資料にはそんなことは書いてない。答弁資料を私は見ておりますから知っております。 委員長。委員長に御了解を願いたいと思うのですが、政府の方ではハノイ協定の用意がないはずです。私はハノイ協定並びにそのあとに行なわれた九月十四日の協定の全文、これは原文に基いて翻訳してありますので、参考のために配付さしてもらいたいと思いますが、委員長の許可を願います。
○小川委員長 よろしいです。質問続行中に静かに配付して下さい。
○岡田委員 それでは条約局長答弁されるならしてもいいし……、岸さんもよく見て下さい。これを聞きますから。
○高橋(通)政府委員 ただいまの協定は一九四六年三月六日の仏越予備協定、コンポアンシオン・プレビニネールと申しておると思います。御指摘の独立云々の点はおそらくその第一項であろうと考えますが、第一項は「フランスは越南民主共和国を、自身の政府、議会、軍隊、財政を有するフランス連合内のインドシナ連邦を構成する自由国として承認する」、こういう規定でございます。しかもそのあとで越南の諸外国の外交関係、インドシナの将来のステータスに関しては将来の交渉によって定めるというふうな規定でございます。
○岡田委員 高橋さん、それは有効ですね。その条約は成立したのでしょう。
○高橋(通)政府委員 双方調印しまして一応有効として成立したわけでございます。ただしそのあとで引き続き将来のステータスは将来の交渉に譲るということになりまして、その後引き続き四月から交渉に移りまして、いかなるステータスを与えるかという双方の最後的意見が合わずに決裂し、その間双方の軍事行動が拡大され、従いまして、その協定はその間それによって無効になった。しかも当時ラマディエ首相は、先ほど御承知の通り、これを相手にせずということになったわけであります。
○岡田委員 その翻訳は間違っておる。外務省の翻訳は間違っておる。こっちの方が正確です。これはフランスの原典からとっているからこっちの方が正確です。それではだめです。こっちにははっきりしているでしょう。総理大臣にまず聞きましょう。ここにはっきりしているじゃないか。「フランス政府は、ヴェトナム共和国を、政府、議会、軍隊および財政を保持しインドシナ連邦およびフランス連合の一部を形成するところの、自由の国家として承認し」とはっきり言っているじゃないか。国家の承認だ。しかもこの効力は調印と同時に発揮するのです。だから岸さん、これで国家の承認になっておるでしょう。私ははっきり調べてある。一九四六年の三月六日の調印をしたのはサイゴンで午前十時に調印しておる。これまで調べてある。調印の相手はフランス側サントニーそれからベトナムの方はホー・チミンとヴュー・ホン・カーン、このヴュー・ホン・カーンというのは外務大臣です。しかもあなたは予備協約と言われて話をされておりますが、予備という意味はかりのという意味ではありません。プレリミネールというのは予備というより前提という意味です。かりのというのはプロビズワールということがはっきりしています。こういう点ははっきりしておかなければならない。これは条約である限り国家の承認を与えたものです。自由の国家を承認したのでしょう。岸さん、どうですか。自由の国家の承認というのが有効であるということになると当然承認したのでしょう。総理大臣どうですか、はっきりしておるではないですか。
○岸国務大臣 今の政府委員の答弁によりましても、また岡田委員も御承知だろうと思いますが、こういう条約ができました後続いての交渉において決裂してフランス政府はこれを認めない、こういうふうにあとで相手にしないというときにおいて私は効力はなくなったものだと思っております。
○小川委員長 高橋条約局長をして補足説明をさせます。高橋条約局長。 〔発言する者多し〕
○岡田委員 だめですよ、そんなこと。私は総理大臣しか発言を求めません。補足はだめです。 〔発言する者多し〕
○小川委員長 委員長は発言を許可しました。
○岡田委員 答弁を認めません。だめ、だめ、だめです。あとで答弁しなさい。
○小川委員長 それでは岡田君どうぞ……。
○岡田委員 総理大臣に重ねて伺います。あなたはこの承認を認めないとおっしゃるのですが、それから六カ月あとにフランス・ヴェトナム暫定協定、フォンテンブローの協定がある。この中に国家が承認したとはっきりしておるではないですか。この中に、たとえば第四条に「ヴェトナム民主共和国政府」とはっきり書いておるではないですか。独立の承認でしょう。しかも署名はどうですか、一番うしろに「パリに於て、一九四六年九月十四日、フランス共和国臨時政府のために、フランス海外フランス領相マリュース・ムーテ、ヴェトナム民主共和国政府のために、政府首席ホー・チミン」こうはっきりいっておるではないですか。半年あと、はっきり認めておる証拠があるではないですか。あなた、これが違うというのはどういうわけで論証するのですか。はっきりしなさい、証拠はないではないですか。
○岸国務大臣 私のさっき申しましたのは、その後においてこれを相手にしないというフランス政府の意思表示によって効力がなくなっておる、こういうふうに解釈しておるのであります。なお法律的の解釈でございますから、条約局長をしてこれに対する補足説明をさせます。
○岡田委員 それではこれはお認めになるのですか。これがあった事実はお認めになるのですか。
○岸国務大臣 今申しましたように、その事実はそれは認めます。しかしそれは後にフランス政府が認めない、相手にしないということによって効力はなくなったものだというふうに解釈するということを申し上げたのであります。なお、この点に関する法律的の構成については条約局長をして補足説明させます。
○岡田委員 それでは相手にせず……。
○小川委員長 岡田君、委員長の発言が終わってから、あなたの発言を願います。
○岡田委員 それでは一応認めるけれども、あとに相手にせずという声明があったのだから、それで無効になったのだ、そういう話ですね。もう一度念を押しておきます。
○岸国務大臣 そういう条約があったことの事実は、私はこれは先ほど認めたように認めます。ただその条約の内容についてはっきりと独立を認めたものであるかどうかにつきましての解釈上の問題もあると思います。それからその条約が作られた後にフランス政府が宣言をしまして、これを相手にしないというときに、この効力がなくなったものだ、かように考えておるということでありまして、法律的の構成については、なお私の説明で岡田委員が御満足になればそれでよろしいですが、そうでないようですから、専門家をして補足説明をさせます。
○高橋(通)政府委員 一九四六年三月六日の先ほどの条約でございますが、御指摘の通り、「仏越民主共和国を、自身の政府、議会、軍隊、財政を有するフランス連合内のインドシナ連邦を構成する自由国として承認する」、こういうふうになっております。そこでこの解釈及びフランスの意図の問題でございますが、この条項に現われたところでは、明瞭に一つの自治の国を認めるという意向ではなかったかと考えます。これは「インドシナ連邦を構成する」とございますから、ほかのラオス、カンボジアその他南、中ベトナムとともに一つの連邦を構成する。そうしてその連邦がさらにフランス連合のワク内に入るということでございますので、これは一つの自治を認める、または自治の予約の協定である。従いまして国際法的なレベルにおける条約、または一つの国の独立承認ということには言えないと考えております。
○岡田委員 それはどの根拠から出るのですか、高橋さん。自由の国家となっているじゃないか。そうしてフォンテンブローの場合における「ヴェトナム民主共和国政府」というのは何ですか。これは自治体ですか。たとえば例をあげて聞きましょう。いいですか。北海道の知事と日本政府の岸総理大臣が条約を結びますか。どうやって結ぶのですか。そんな話がありますか。しかもその場合に、条約文の中に国家、「ヴェトナム民主共和国」という、国という名称を使っているじゃないか。これは地方自治体じゃないですよ。町村知事と岸総理大臣が条約を結んで、北海道国だなんて言いますか。常識で考えたってわかるじゃないか。どうするんだ、そんな説明なんか理由にならぬですよ。
○高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、インドシナ連邦を構成する、すなわちフェデレーションでございます。従ってそのフェデレーションの中の一つのエタ、一つのステートという言葉を使っております。たとえばアメリカにおけるあるいはスイスにおける一つの国、地方の国というふうな気持が、この条文から十分見られるわけでございます。のみならず今後この国がほかの外国とどういう関係に入るか、またこのインドシナ連邦自体がどういうものかということは、今後引き続き交渉をしようということになっておるわけでございます。
○岡田委員 それじゃ高橋条約局長についでに聞いておきます。それは、もしこの条約が自由な国家として、国家の承認であったならば、三年後におけるエリゼ協定というのは二重の承認になるから、法解釈としては、これが独立の承認を与えたものだとするならば、エリゼ協定は無効になりますね。二つを並べてした場合どうなりますか。二重の承認はあり得ないでしょう。
○高橋(通)政府委員 これはどう見ましても、このコンヴアンシオン・プレリミネール、予備協定は国家の承認ということには見ることはできないと思うのでございます。従いましてこれはやはりフランスの国内における一つの憲法的な領土構成をどうするかという約束だろうと思います。従いまして一九四八年の協定、それはベトナムの独立を承認する、はっきり厳粛に承認するとそこではうたっておりますから、その方が優先すると私は考えます。
○岡田委員 それでは条約局長に伺いましょう。それではジュネーブ協定の中で、休戦協定の十四条b項、この中に「ヴィエトナム民主共和国」とはっきり書いてありますね。それから最終宣言、この中には「当事国」という言葉を使っておりますね。ベトナム民主共和国の国家でしょう。それからまた署名には、「ヴィエトナム民主共和国」という署名に基づいてその代表として「人民軍」となっておりますね。そればかりでなく、ジュネーブ最終宣言に付属する交換文書の中において、「フランスとヴィエトナム民主共和国の中に」——これは外務省の出した資料ですよ。この中に「ヴィエトナム民主共和国政府臨時外務大臣」と書いてありますね。これは国家をジュネーブ協定は認めたということになるでしょう。法律解釈はどうですか、違うと言いますか。どうして言えますか。反証を明らかにして下さい。
○高橋(通)政府委員 それはただいま御指摘のように、まずジュネーブの共同宣言でございますか、そこにも「ヴィエトナム民主共和国」というふうにうたっております。それからその他休戦協定にもそういうふうな呼称をやっておりますが、ただそういう呼称をやったからといって、すぐそれが承認の効果を持つものであるというふうには私どもは考えておりません。これがもし承認の効果を持つというようなことでありますれば、この共同宣言や休戦協定は成立しなかったと考える次第であります。これは戦闘を休止するという技術的な協定でありますので、一応便宜的にそういう名前を使ったというふうに考える次第であります。
○岡田委員 ちょっと条約局長、間違いがあるのですが、それじゃ一歩あなたの説に譲って、承認の効果はないとしても、ここにベトナム民主共和国ということが書いてある限り、ベトナム民主共和国の存在は認めるのでしょう。どうです、存在を認めないのですか。存在を認めないとは言えないでしょう。どうです。ここに書いてあるのだから……。
○高橋(通)政府委員 そういう事実があることは、これは事実として認めざるを得ない。独立の承認とか法律的な問題ではなくて、事実としてそれは認めなければならぬと思います。
○岡田委員 ジュネーブ協定の中には——そのジュネーブ協定の法律上の規定に関する限りは事実でしょう。ジュネーブ協定は法律ですよ。違うのですか。
○高橋(通)政府委員 休戦協定の規定を適用する必要上、技術的にはそういう呼称をしなければなりませんから、そういうふうな規定をやったと私は考えます。
○岡田委員 これはまた例によって林さんが入れ知恵をしたのです、三百代言式答弁だから。高橋さんはこういう答弁をしないですよ。しかし休戦上必要であったとしても、国としての存在は認めているのでしょう、どうですか。休戦上必要であっても国の存在というものは認めておるのでしょう。ないと言うのですか。あるということですか。はっきりしなさい。法律上あるのでしょう。ジュネーブ協定という法律の上においてあるのですか、ないのですか。
○高橋(通)政府委員 国際的な国家、独立国という国際法の主体としましてこれを認めたことではない。ただ休戦協定に関する限りそのような呼称をしまして、これを休戦協定の適用をさせた。でございますから共同宣言の第六項にも、会議は、ベトナムに関する協定が戦闘行為を終結するために軍事問題を解決すること、これが唯一の目的である。従いまして軍事上の境界線は暫定的なものであり、いかなる点においても政治的または領土的限界を定めるものと解してはならない、こういうふうに注釈もございますので、それをつけ加えておきます。
○岡田委員 それは条項が違うのだ。だからそういう解釈では理由にならない。この点ばかり言ってもしょうがないから、今度は日本の外務省の資料ではっきりしましょう。岸さん、よく聞いておいて下さいよ。これは全部外務省の資料ですよ、ごらんなさい。 外務省の資料をいつ出しているかというと、昭和二十三年十月、昭和二十七年三月、昭和二十八年二月、昭和三十一年、昭和三十三年、昭和三十四年、これだけある。この中に全部「ヴィエトナム民主共和国の建国を宣言」すると明らかに書いてある。「ヴィエトナム便覧、一九五九年三月」、はっきり認めているじゃないか。「ヴィエトナム民主共和国の建国を宣言し」——はっきり言いましょう。「以下ヴィエトナム民主共和国政府を『ホー政権』と称す」略称として称すと言っているだけです。岸さん、この本は間違いですか。間違いなら間違いだ、ほんとうならほんとうだとはっきりどっちか言いなさいよ。
○岸国務大臣 私、詳しくそれを読んでおりませんけれども、今御指摘になったところだけでは日本国政府がそれを承認したという、何も根拠はありません。ただ事実として北ベトナムの方でそういうことを宣言しているということを言っているのではありませんか、今お読みになったのは。
○岡田委員 もう一度補足しましょう。日本が承認していないということはわかっていますよ。承認していないから、ベトナム協定を結んでいるのでしょう。このベトナム民主共和国という事実を日本の外務省の本ははっきり書いているということを言っているのです。あるでしょう。ないのですか。
○岸国務大臣 それは客観的に北ベトナム政府がそういうことを宣言しているということを述べておるのであります。
○岡田委員 また林さん、いいかげんな……。そんなことは書いてないですよ。宣言なんて冗談じゃないですよ。あなたはすぐ三百代言をやるからだめだ。そんなことを聞いているのじゃない。例をあげて言いましょう。時間をとるから、これは省略したんだけれども、あなたに参考資料を見せてあげますよ。昭和二十三年の外務省の出版物です。「終戦前後の模様」「ヴィエトナム共和国の成立」とはっきり書いてあるじゃないか。幾らでもあるが、きりがないからよしますけれども、はっきり見出しにまでなっている。ベトナム民主共和国の成立とはっきりしているじゃないですか。これは全部違うのですか。違うなら違うと言いなさいよ。あなたは賠償交渉するようになってから初めてこれは認めなくなったんでしょう。それまでは認めていたんですよ。だけれども、ぼろが出たのは、ことしの「ヴィエトナム便覧」では、そこのところを消すのを忘れて、外務省はことしの便覧にまで書いてしまった。あるのは事実なんです、同じことを書いてあるんだから。どうなんですか。あるのですか、ないのですか。
○岸国務大臣 事実上そういうものが存在しておるということ、これは事実上の問題であって、法律的にいえば先ほど私が申した通りで、これはただ事実を書いてあるだけであります。
○岡田委員 それじゃ事実ですね。どうなんですか。事実なんでしょう。どうなんですか。——答弁できないで時間をとっているから、この責任を追及して下さい。はっきりしてくれなければ困るじゃないか。どうも今の政府はみな勉強が足りないから、藤山さんも勉強が足りないけれども、ほかの人も勉強が足りないね。
○藤山国務大臣 古いそういうような文書の一々について私十分存じておりませんけれども、そういうような文書というものは、当時の状況を報道する関係上、詳細にいろいろなことを書いたと思います。しかしわれわれとしては、法律関係からいいましてそういうようなものを認めておりませんが、実際の問題として、今北と南とに分かれておるということは事実でありまして、そういう意味において、あるいはソ連は北の方を承認しているというような形からいいましても、そういうことはおそらく一般的には考えられるかもしれませんが、私どもとしてはそれを認めておりません。
○岡田委員 それでは時間をとりますので、事実として、事実があるんだということはさっき総理大臣がはっきり言いましたから、これは速記録に残っておりますから、続いて話を進めます。 そこで私は総理大臣に見解を述べておきますが、林さん、よく聞いておきなさいよ。相手にせず声明というものは法的効果はありません。これははっきりしております。近衛声明、相手にせず声明に法的効果がありましたか、ないでしょう。蒋介石を現在認めておるじゃありませんか、日本政府は。相手にせず声明は今は無効だということは明らかです。あなたはよく知らないなら聞いておいた方がいいですよ。ラマディエ首相の相手にせず声明というものは、文書をもって閣議の承認で正式に言ったものではありません。新聞記者団の会見で発言したものであります、正武のものではありません。しかもその後において——立証を具体的にあげますから、高橋さんもよくお聞きなさい。その後フランスとベトナム民主共和国は、その相手にせず声明後において、何度も交渉をやっております。これは事実ですよ。立証するのは幾らでもあります。フランスの速記録もありますから、速記録で幾らでも立証いたしましょう。これはきょうはよしておきましょう。あなた方も勉強してないようだから、もっと勉強した方がいいですよ。そこで、相手にせず声明などというものは、効力がない。わからないから首を振るのだろうけれども、振ってもしようがないですよ。しかもベトナム、いわゆるステート・オブ・ベトナムというものは桑港条約調印当時においては、国家として、正統政府としての要件を整えていますか。整えてないという理由を私は具体的に今ここで言いましょう。一九四九年、あるいは一歩譲って、藤山さんよく聞いておきなさい、一年前のアロン湾協定にしても、戦争が始まってから二年後であります。二年後に占領地域内に作られた政権である、かいらい政権ですよ。その証拠に、ごらんなさい、ベトナムの国というものに領土の画定がないですよ。バオダイのベトナム国というものは領土の画定がない。その証拠に、あなたが立証したエリゼ協定の前文をごらんなさい。あなたは見てないだろうと思いますが、エリゼ協定の中には領土の画定が書いてありません。エリゼ協定は、ベトナムの統一という第一項の中でコーチシナとトンキン、アンナン、この三つの結合は国民の意思によってあとできめると書いてある。統一はそのとききまってないですよ。領土の画定というものはエリゼ協定によってきまってない。もう一歩はっきりしている点は、大体ベトナム国には憲法がないですよ。憲法にかわる政令第一号を見て下さい。政令の中に領土、領域の範囲というものは全然書いてない。どうです。その証拠に、岸さん、よく聞いておきなさい、これもまた外務省の本の「一九五四年のインドシナ」の中に、それから昭和三十四年の「ヴィエトナム便覧」の中に、昭和二十七年の「戦後におけるインドシナの政治情勢」の中にはっきり書いてある。ベトナムのバオダイの国であるステート・オブ・ベトナムの国というものは点であると書いてある。点とは何だ。フランス連合の占領した地域であると書いてある。どうです。点である。これで領土ですか。点が領土ですか。その例をはっきり言いましょう。昭和三十四年、ことしの便覧にこう書いてある。「バオダイ政権は形式的には全ヴィエトナム領域における主権を主張したが、事実は北ヴィエトナムに主権はほとんど及ばず、南ヴィエトナムすらも完全には把握していなかった。カオダイ教団、ホアハオ教団、ビンシェン団らの封建勢力はそれぞれの領地を持ち、バオダイ政権の権力はこれらの領地に及ばず、バオダイ政権は仏連合の武力と、これら封建勢力との妥協により、」初めてその権力を維持することができた。どうですか。領土なんかないじゃないですか。点だけです。これは私が言っているのではない。外務省の本に書いてある。この事実が一つ。 その次に、自立した政府がない。これは領土が不画定である。自立した政権ではない。どうですか。その理由として、憲法がないでしょう。議会がないでしょう。政府というものも暫定的な政府であるとはっきり書いてある。それは政令第一号をごらんなさい。いわゆる一九四九年七月一日付のバオダイのベトナム国の政令第一号の前文の中にはっきりと書いてある。この政府は暫定政府であると書いてある。これは自立した政府ではないです。しかも授権作用——フランスとステート・オブ・ベトナムとの権限継承関係、授権作用においてこれは明らかである。外務省の本に書いてある。この授権作用というものは完全独立ではない。これははっきりしております。たとえば軍事の面、司法の面、外交の面においてもフランスの承認なしには行動できないことになっている。この点を申し上げると時間が長くなりますから私は省略いたしますが、この点は自立した政府じゃない。そればかりではない、もう一歩重要な点がある。国民もベトナム国なんか、バオダイなんか信用していない。これははっきりしている。バオダイをはっきり信用していない。(「外務省発表か」と呼ぶ者あり)外務省発表だ。昭和二十九年三月、「インドシナ三国の政情」、ここにはっきり書いてあります。読んで聞かせましょう。岸さん、よく聞いておいた方がいいですよ。「(七)バオダイ政権の性格、『フランスのかいらい政権』、これがバオダイ政権に対するヴィエトナム人の偽らざる声である」はっきり言っているじゃないですか。「上流階級の特殊のヴィエトナム人を除いては、ヴィエトナム人の反仏感情はきわめて猛烈で、フランスに対する反感は転じて親仏者であるバオダイヘの反感となり、皇帝在位時代から彼の評判はきわめて悪かった。その彼がフランスのうしろだてで返り咲いたのである。ヴィエトナム人がバオダイ政権を親仏政権の烙印を押し、非協力的な態度に出たのは当然であった。」こう書いてあるじゃないですか。外務省は、当然であると書いている。「しかもバオダイ政権の要人が、バオダイ側近の親仏者で固められたことは、バオダイ政権に対する前記の印象をますますヴィエトナム人に強くさせた。」「バオダイ元首以下のこうした顔ぶれ、さらに前述の独立の内容がバオダイ政権に対するかいらい政権の風評を高くさせたことはいなめない事実で、これが、国内的にも国際的にもバオダイ政権の地位を不安定にさせた根本的な原因だった。」かいらい政権だとあなたの方が言っているのですよ。かいらい政権でないのですか、バオダィは。どうなんです、岸さんはっきりお答え下さい。あなたの方の本に書いてある。
○岸国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、こういう新しい国ができた経緯につきましては、各国それぞれ特殊の事情があったことは、これは単にベトナムだけではなしに、いろいろな国においてもそういう事情が私はあったと思います。しかしながらわれわれが四十八カ国とともに承認しておる現在の政府というものは、これはわれわれが完全な独立国としてこれを承認しておるわけでありまして、そのいきさつが、今お話のような時代もあっただろうと思います。しかしながら今日においてわれわれがこれを正統政府として相手として交渉していくということにつきましては、何にも私は支障はない、かように考えております。
○岡田委員 それじゃ総理大臣伺いますが、このいきさつは事実として、外務省の本をお認めになるのですか、どうなんですか。
○岸国務大臣 私自身、実はそのことについて詳しく責任を持って調べたことはございません。外務省の書類、そういうなにがあるということにつきましても、私、正確には読んでおりませんから、なお正確に調べた上でお答え申し上げます。
○岡田委員 岸さんはどうも肝心なところになるとあいまいで、私はあなたにだいぶ貸しがあるのですよ。三年くらい前、あなたが外務大臣のときに、沖繩の問題その他で私が質問したときに、待ってくれ、研究して答弁すると言っていまだに答えてないじゃないですか。いつも答えたことないじゃないですか。あんまり大きなこと言わないで下さいよ。 藤山さん伺いますよ。この外務省の本はうそですか。その当時こういう事実であったというのは岸さん認めたんだが、こういう事実は事実として認めるのですか。今日では違うけれどもこれは事実であったということを認めるのですか。
○藤山国務大臣 昭和二十九年という昔になりますと私もその当時の事実を知りませんから、その本が事実であったかなかったか知りませんけれども、おそらく外務省が書いたのでありますから、そう間違ったものではないと思います。
○岡田委員 そういう不謹慎なことを言ったら藤山さん追及しますよ。それではこの本はそううそでないということですか。この本はそううそじゃないということなら事実なんですか。事実だけれども、幾らかうそが入っておるというのですかどうですか。あなたの方の本ですよ。これは事実ですか、事実でないのですか、外務省の書いたものがうそですか、はっきりおっしゃいよ。この本は事実なんですか。
○藤山国務大臣 その当時の事情は私はよく知りません。知りませんけれども、おそらく外務省が書いたものでありますから、うそのことは書いておらぬと思います。
○岡田委員 それではこれはあまり正確ではないという意味なんですか、正確だという意味なんですか、その当時のことはあなた自身は知らない、あなたは知らなくても、この本は外務省の正式刊行物でしょう、あなた、伺いますが、外務省のこの本に外務大臣として責任を負うのですか、負わないのですか。
○藤山国務大臣 むろん外務省は一生懸命で勉強してやっておりますので、外務省のやっておることについてそう間違いはないと思います。ですから私はむろんそういうことがうそを書いたとは思っておりませんし、やはりそのときの事情を書いておるのだろうと思います。
○岡田委員 うそを書いてないとするならばこれは明らかですね。岸さんよく聞いて下さい、この本がうそでないとするならば、これが発行されたのは昭和二十七年です。昭和二十七年といえば講和条約のあとだ、講話条約の時代においてはこれと同じ実体であったということは事実である。いわゆるかいらい政権であったということは事実である。どうだ、今は違ったとしても、講和条約の調印時代においてはベトナム国というのはかいらい政権だということを認めたことになるじゃありませんか。
○岸国務大臣 これは岡田委員も御承知のように、各省がいろいろ調査資料として出しております。しかしそれが直ちに役所としての公式見解なりと言われることは、これは従来の官庁から出しておる調査資料の性質からいって私はそうじゃない。やはり……。 〔「そんなことはないよ」と呼び、その他発言する者多く、離席する者あり〕
○小川委員長 岡田君——岡田君、発言を許可いたしましたから、どうぞ質問を続行して下さい。——御着席して下さい。
○岸国務大臣 私が先ほどお答えを申し上げましたことは、書いてあることは事実に反している、あるいはこれを信用ならないものだということを私は申し上げたつもりはございません。先ほども申しておるように、各庁が、各役所においていろいろな資料を出す、これは調査資料の一つとして出しておるものであります。従って、それをもって直ちに政府の公式解釈なり声明を言っておるものであるということは私は適当でないだろう、こういうことを申し上げたのでありまして、決して外務大臣の申し上げておることと、——これが非常に不正確であるというようなことを申し上げたつもりではございませんから、御了承願いたいと思います。
○岡田委員 あなたはそういういいかげんなことを言うなら、今度は国連のあれを出しましょう。国連のILOのFAOの共同調査によるリポート、これの団長はアメリカ人であります。この中にこう書いてある。「かつてモネ・プランでヴェトナム全土の工業化が考えられたことがあるが、それに予定された工業は主として北部ヴェトナムに予定されていたため、ヴェトナムが分割された今日、到底役に立たなくなってしまった。ヴェトナム共和国は自国の領域内で新しく工業化を再検討せねばならなくなった。」ベトナム共和国の自国というのは十七度線以内ということをはっきり書いているじゃありませんか。これはごく最近一九五五年から五六年までの調査です。二つあるのならあるとはっきり言ったらいい。どうなんです。
○岸国務大臣 問題は、岡田委員の言われることとわれわれの言っておることが、一つ食い違っておるところがあると思います。それは、われわれの考える事実がどうなっているかということと、それから法律的にどういうふうに解釈をし、どういうふうに扱っておるかという問題と二つが食い違っておる点があると思う。現実においてわれわれは、ベトナム共和国政府を全ベトナムを代表する正統政府と言っておるけれども、しかしながらこのベトナム共和国の一切の支配権が、ベトナム全土に及んでおるという事実があるかというならば、私はそれはないのだ。しかしながらわれわれは国際的の一員として考えておる。従って、そういう相手としてすべて交渉しておる、こういうふうに申し上げておるわけであります。
○岡田委員 あなたの答弁は全然答弁になりません。国連の話に全然答えていないじゃないですか。それでは具体的に進みますが、さっきから承認は四十九カ国で、片方は十二カ国だなんて言っておりますが、これは確信を持って言っているのですか。あなた方の答弁資料はベトナムのサイゴン大使館から取った資料でしょう。それは間違っているのですよ。それを確信を持っているのならはっきり確信を持っていると言いなさい、総理大臣。あるならあるとはっきり言いなさい。事実かほんとうか、うそじゃないですか。
○岸国務大臣 もちろん私は、すべてのなにを一つ一つ調べたわけではございません。一応私の信頼する外務省における報告をもとにして答えておるのであります。
○岡田委員 それじゃこの承認の数というのはいいかげんだということですか、正確だということなのですか。どうなんです。
○岸国務大臣 私は外務省の報告によりまして確実だと考えております。
○岡田委員 外務大臣どうですか。正確ですか、正確でないのですか。
○藤山国務大臣 ただいま直接単独に承認しておりますのは、南に対して四十九カ国、北に対して十二カ国、それからパキスタンが両方を承認いたしております。従って四十九カ国という中には、両方承認しておるパキスタンが入っております。そのほかの国も領事を置いておるとかいうようなところはあります。
○岡田委員 それは正確ですか。
○藤山国務大臣 正確だと思います。
○岡田委員 あなたはどうですか。私はハノイに二回も行って現実に見ているのですよ。ラオスとヴェトナムとの間に協定はありますよ。カンボジアとヴェトナム民主共和国とは協定を締結していますよ。それからフランスとヴェトナムとの間の経済協定もできていますよ。国交回復ができていないのに、条約を結ぶことがありますか。在外公館も私はハノイで見ているのですよ。これは正確ですか。どこに正確なんですか。正確だという論拠をはっきり言いなさい。私ははっきり事実を見ているのだ。はっきり言いなさいよ。
○藤山国務大臣 私は今申したことは、単独承認をしております国の数においては四十九、十二ということは正確だと思います。それからまたパキスタンが両方を承認しておるということも正確だと思います。こまかい点については条約局長から答弁いたさせます。
○岡田委員 あなたの方の答弁資料では一九五八年のサイゴンの大使館で調べたと書いてありますね。間違いないでしょう、ここにあるのだから。サイゴンで調べたってわからないですよ。北の分がわかるわけないじゃありませんか。どうやってわかるのですか。北の分は行ったことないじゃないですか。だれが外務省で行ったことあるのですか。(「君は行ったのか」と呼ぶ者あり)私は行ったんだ、黙っていなさい。ハノイの在外公館で、私はそういう事実は調べてありますよ。あなたは確信を持って言えますか。サイゴンで調べた北ヴェトナムの数なんてわかりますか。どうやってサイゴンで調べるのです。ハノイでは現実に私は見ているのだ。サイゴンの数の場合、国交回復の問題にしたって四十九カ国というのは必ずしも正確じゃないですよ。南ヴェトナムを承認しておるのは四十九であっても、両方を承認しておるのも幾つもある。これが正確なんてどこに言えます。あなたの方の答弁資料にも書いてあるじゃありませんか。それでは言いましょう。十二カ国以外に、在外公館であるが、フランス、イギリス、インド、インドネシア、ビルマ、この五カ国はハノイに在外公館があると書いてあるじゃありませんか。(「領事館だよ」と呼ぶ者あり)領事館だけれども、しかし、そのほか例をあげれば国交回復しておる国は幾らでもありますよ。領事館の問題だけではない。国交回復は、イラク、アルジェリア、アラブ連合、カンボジア、ラオス——書いてないじゃないですか。これはどうなったのです。これが正確だなんてどこで言えるのですか。どこが正確なんですか。アジア局長どうですか。これは条約局よりアジア局の問題ですよ。
○伊關政府委員 これはサイゴンの大使館に調べさしたものであります。従いまして北につきましてはサイゴンで調べ得る範囲において調べたものでございます。ただいまおっしゃったいろいろな国は領事館を出しておる。インドにいたしましても、インドネシアでも、ビルマでも、これは国家の承認ではない。両方に領事館を出しておるにすぎません。
○岡田委員 正確でないということはこの事実で明らかになった。サイゴンで調べただけだ。 それではいよいよ最後の段階に入ります。ヴェトナム国が桑港条約に調印したと言いましたね。それが唯一の論拠だと言いましたね。ところがアメリカとイギリスから最初に五十カ国に招請をしました。この招請をしたのは七月の二十日です。この五十カ国に招請をしたときにベトナム、カンボジア、ラオスは入っておらない。なぜ入っておらないかその理由をはっきり一つ。七月二十日の桑港条約の招請の中にはベトナムという国は入っておらないのはいかなる理由であるか、この点どうです、外務大臣。
○藤山国務大臣 当時むろん連合国が招請をいたしたわけでありまして、最初にどの国とどの国を招請し、どの国とどの国を招請しなかったというようなことは私ははっきり存じておりません。しかしながら終局において出席をいたして、そうして調印をいたしたことは事実でございます。
○岡田委員 インドはどういう態度をとりましたか。ベトナムに対してどういう態度をとりましたか。
○藤山国務大臣 インドにつきましては、当時の事情についてアジア局長から申し上げます。
○高橋(通)政府委員 インドは条約の内容に不満であったために、御承知の通り出席を断わったわけでございます。
○岡田委員 それじゃベトナムはいつ招請されたのですか。どういう理由で招請されたのですか、外務大臣。
○高橋(通)政府委員 御指摘の通り、初め招請国に入っておりませんでしたが、あとでフランスの要請によって招請されまして、結局招請国として出席したわけであります。
○岡田委員 これは外務省の本ですが、この外務省の本の中に、講和条約にバオダイ国が招請された前後の経緯が書いてある。この中に七月二十日の五十カ国の中に招請されなかった理由として、アメリカ、イギリスも独立国ではないという疑念があったために招請しなかったと書いてある。これはうそか、ほんとうか。
○藤山国務大臣 そういうことがあったかないか、よくわかりませんが、多分最初招請されなければそういう疑念があったと思いますが、終局には招請されたのですから疑念は解消されたものと思います。
○岡田委員 フランスが要請して参加をしたということは事実でしょうね。条約局長はそう言いましたが、その事実は事実ですな。
○藤山国務大臣 約条局長の言ったことは正しいと思います。
○岡田委員 それではそのときに調印した人はだれですか、藤山さん。
○藤山国務大臣 政府委員から答弁させます。
○高橋(通)政府委員 ベトナムの外務大臣のチャン・ヴアン・フー氏でございます。
○岡田委員 それは間違っている。首相兼外務大臣。トラン・ヴァン・フーという人は首相兼外務大臣だが、この点は明らかに桑港条約は無効であるという証明になる。いいですか。トラン・ヴァン・フーという人は総理大臣にいつまでなっていたかというと、五二年まで、首相はバオダイの任命です。そして最後に罷免されました。ところがトラン・ヴァン・フーという人はこれはベトナム人ではない。フランス国民である。フランス国民がベトナムを代表するということにならぬじゃないか。私の方は調べてある。一九四五年以前に第二次世界戦争の最中にフランスの国籍を持ってそのままずっとフランスに永住している。現在もパリにいる。フランス語の名前はオーギュストという、ここまではっきりしている。フランス人がフランスに頼まれて、アメリカ、イギリスが疑惑を持っているのに桑港条約にしゃにむに参加させられて、そうしてベトナムのために調印をした。ベトナムのために調印して——フランス人が有効にベトナムというものを代表しているものじゃない。大体今度の桑港条約それ自体が無効である。なぜならば桑港条約の構成の中に疑義がある。ベトナムを正当に代表しているところの代表が調印をしたのではない。フランスの手先が調印したのだ。桑港条約それ自体が無効ですよ、どうです。少なくとも桑港条約それ自体が無効じゃないか、はっきりしているじゃないか。これは総理大臣答えなさい。しかもベトナムとフランスとの協定によれば、フランス人はベトナムにおいて国内法の規定を全然受けないことになっている。フランスの国民はフランスの権限を持つことになっている。これは条約の中にはっきりしている。そうしたら、フランス人であるトラン・ヴァン・フーがいかにこれを調印しようとも、ベトナムの代表として調印したものではない。桑港条約の調印は、これは明らかに内容が無効である。ベトナムを代表し得るという条約のそんな署名の問題ではない。国内の法律においてベトナム人であるという立証ができますか。できないだろう。しかもあなた方はうまいことを言ってまた逃げようとしているんだが、国際法上授権関係があればなんて言うが、そういう場合とは違う。桑港条約というものは、平和条約十四条において、そして二十五条において、いわゆる日本の国とその国との関係というものは、その国を真に代表する者が調印をしなければこの条約は無効である。条項は明らかにこれは無効です。桑港条約に調印しているのは無効だ。この事実を認めなければ話にならぬ。フランス人である事実を認められるか。答弁を求めますが、総理大臣、外務大臣だれでもいい。トラン・ヴァン・フーがフランス人でないということを断定できるかどうか。ベトナム人であるということが断定できるならしてみなさい。
○岸国務大臣 一応御承知のように桑港条約の——これはこういう国際条約にはみなありますが、「連合国及び日本国は、この平和条約を締結することに決定し、これに応じて下名の全権委員を任命した。これらの全権委員は、その全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後」云々、これはそれに参加したところの国々が資格審査をして良好妥当と認めて調印しているのでありまして、これを無効だと考えることは岡田君の独断のように思います。
○岡田委員 了解がいきません。そんなことを言っておりません。私の言っておるのは、トラン・ヴァン・フーという人はフランス人でなくてベトナム人ですか。どっちです。これははっきりしなさい。そういう点では有効に代表できないじゃないか。それなら話にならないじゃないか。その署名なんというものはインチキですよ。有効に代表していないじゃないか。その点話にならぬよ。だめだ。フランス人じゃないか。
○高橋(通)政府委員 お答えいたします。いかなる国籍でありましょうとも、平和条約には全権委任状を持ってきまして、全権委任状審査会がありまして、その全権委任状審査会で良好妥当にベトナム国を代表しているということを全権の会議で認めまして調印した以上、それは有効な調印であり、有効であると言わざるを得ないと思います。 〔「いかなる国籍であろうともとは何ですか、そんなことは外交上許されませんよ。そんな答弁はありませんよ。条約局長、答弁を取り消せ」と呼び、その他発言する者多く、離席する者あり〕
○小川委員長 御着席願います。
○高橋(通)政府委員 ただいま言葉が足らなかったかと思いますが、いかなる国籍であろうともということは、結局国籍の問題によってこの調印の効果が云々される問題ではなくて、その全権委任状の問題である、こういうことであります。
○岡田委員 ベトナムを代表することにならぬじゃないか。ベトナムを代表してないじゃないか。岸さん、どうです。日本の代表としてアメリカ人がサインしますか、そんなことはあるのですか。
○岸国務大臣 それは当該国の全権委任状を渡すか渡さないかの問題でありまして、われわれはもちろん岡田君の言われるように、日本人でないものに全権委任状を渡すことはございません。
○岡田委員 その委任状がベトナムを代表するものでないじゃないか、明らかじゃないか。フランス人じゃないか。話にならないよ。ベトナムを代表するものではないじゃないか。委任状自体が無効ですよ。そんなことがわからないの。国内法と同じじゃないか。無権代理者じゃないか、権利がないじゃないか、どこに権利がある。これは話になりません。全然これじゃもう話にならないから退席します。冗談じゃない。もう問題にならぬ。 〔「国会における答弁でそんなばかなことはありませんよ」と呼び、その他発言する者多く、離席する者あり〕
○小川委員長 御着席願います。——委員諸君の御着席を願います。
○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。ただいま私が申し上げましたことは、いかなる人を、いかなる国の代表であるかということ、それはまず第一にその国の国内問題でございます。そしてその国内法上の問題によりまして、正当な全権委任状を受けて、正当な国際会議におきまして、正当な条項に妥当するものであるという判断を受けまして調印すればこれは有効である、これは法律問題として申し上げた次第でございます。実体問題として云々というのは別でございます。
○岡田委員 それじゃトラン・ヴァン・フーという人はフランス人であるということを認めますか。
○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。その点は、私承知いたしておりません。 〔発言する者多く、離席する者あり〕
○岡田委員 今の私の質問に対して、外務省としては、政府としては、答弁ができないそうであります。このフランス国籍であるというのはわれわれの調査によって間違いない。フランス国籍でないということの立証があげられない限りは、私のこの質問は続行ができません。しかもそれはなぜそういうことを言うかというと、ベトナムとフランスとの四九年協定によって私法上の権限の委任がある。この中には、明らかにフランス人はベトナムの国内法によって拘束されないと書いてある。はっきり書いてある。その限りにおいて、先ほど高橋条約局長が国内法によってきめましたというのは、これは明らかに間違いである。フランス人はフランスの権限においてやることになっておる。なぜならばこの協定の四十四条を見ると、フランスの国に対する反乱の罪、重罪、軽罪についてもフランスの法律でやるといっておる。フランス人はフランスの法律によってやる。こういう点を見ても明らかにこれはトラン・ヴァン・フーという人がフランス人である限りにおいて、ベトナム人という反対立証がない限りにおいて、桑港条約においてベトナムを有効に代表したものにはならない、従って調印は無効である。従って調印は無効であると同時に、賠償請求権はないという結論を持たざるを得ない、これは国内法の法律である……(発言する者多し)政府、政府なんて言うな、わからないのだから、政府の方は。ともかくも、そういう点をあなたの方は答弁ができないのだから、この点に関して私は質問を続行しようとしたけれども、この質問の続行はできない。これが前提である。従って、来週まで待ってもらいたいというから、私はその答弁を待ちましょう。しかしこれがすべてではありませんよ。すべてではありません。岸さん、よく聞いておいて下さい。いいですか、このようなきめ手が——いいですか、このようなきめ手はまだ四つある。だから私は今後どんどんやりますよ。しかし質問は留保いたします。——質問は留保しますよ。
○小川委員長 委員長から発言いたします。岡田委員の質問中の国籍に関する件は来週政府側より答弁いたさせます。なお詳細は理事会において決定いたします。 —————————————
○小川委員長 川崎秀二君
○川崎(秀)委員 総理大臣のお時間があるそうでありますから、ただ一言だけ伺っておきます。私の得ました情報によりますと、最近日本とイランの貿易は一つの障害に当たっておるように聞いております。それは日本とイランの貿易は日本側として年間五千万ドルの輸出をいたし、また向こう側からは約二千百万ドル見当の一方的輸出となっておるのであります。これに対しまして最近におきましては、イラン側ではビスコース・ソーダ工場の建設に千八百七十万ドルの延べ払い輸出の認可であるとか、あるいは二千万ドルのクレジット・ラインの設定を要求してきておるというのでありますが、大蔵大臣にも聞いてもらいたいけれども、どうも大へん大蔵省側の意見が渋くて、通産省ではこの要求に応じようとしておるけれどもそれがうまくいかない。そこでイランの王室では、あるいは外務大臣、商工大臣が現地で言明をしておるところによると、日イ貿易交渉の行き詰まりが打開できないならば、十一月の六日から十日の間において日本との貿易を停止するという強硬な対日輸出措置をとるという言明を国内でやっておるということを聞いたのであります。こういうことになると、イランの王室というのは元来非常に親日的な人でありまして、岸総理大臣も前に来られたときにしばしば会見をされて、そうして日本としては中近東の貿易でも最も将来性のある日イ貿易に対しては大いに協力をする、こういうことを言明されておることと非常に背馳をするような結果になって残念であります。従いまして総理大臣並びに外務大臣から、最近における実情と対策をお伺いをいたしまして、今日の質問は終りたいと思います。
○岸国務大臣 川崎委員の御質問のイランと日本との貿易関係は、日本の非常な輸出超過で、片貿易になっておりまして、これが是正のためにいろいろと話があるわけであります。ところが、なかなか向こうから日本に輸入する適当な品物がない。油につきましては、イランの油を入れておりますけれども、これは他の会社の関係で、これを認めない、計算の上に出さないということのために、今おあげになりましたように、非常な片貿易になっておる。しかしイランと日本との友好関係、ことに皇帝も日本をたずねられ、外務大臣も日本に駐在していた大使がなっておる事情から、経済協力の面において日本が何らかの具体的のプロジェクトを進めることによって、貿易関係の行き詰まりを打開し、日本品に対してドラスティックな方法をとらせないようにすることが適当であると私は考えております。今おあげになりました具体的のプロジェクトにつきましては、私はなお内容的には詳しく承知いたしておりませんけれども、あるいは従来の例で見ますると、なかなか大蔵当局が渋いことは想像できるのでありますが、イランとの特別な関係に基づきまして、なお具体的のプロジェクトを検討して、なるべくその線に向かって協力をし、せっかくでき上がっておるところの日イ間の友好関係をさらに増進するように努力をしたいと思っております。
○藤山国務大臣 イランとの貿易関係は、お話しのように今片貿易になっております。特に最近綿糸布が多量にイランに入って参りますので、イラン国としても自分の方の商品を買ってもらいたい。先般国連に参りましたときにも、イランの外務大臣が特に話をしたいということで、外務大臣とお話をいたしました。今のように綿糸布が多量に入ってくるようになってくると、なかなか貿易のバランスの上からいってもイランの立場は困難だし、同時にまた若干発達してきておるイランの紡績業等にも圧迫を加える関係があるのじゃないか、従って何かもう少し買うものがないかという話でありました。従って私といたしましてはどうもデーツだけでははなはだ困るのであって、何かほかにもう少しと言いましたときに、塩であるとか、非鉄金属類がイランにもあるし、そういうものについてもう少し考慮してもらえないかということでありましたので、できるだけそういう点については考慮するし、なおイランと日本はできるだけ経済協力関係を打ち立てて、親善友好を増していきたいということを申したのであります。最近イランの方からは、今日のような、この後綿糸布等が入ってくるならば、何か自分の方でも関税の上である程度差別的な待遇を与えざるを得ないのじゃないかということでありますので、われわれといたしましても、そういうことのないよう交渉すると同時に、できるだけ経済協力その他によりまして、向う側の利益を拡大していくということにして参りたい。最近、経済調査団でも出しまして、そして向こうからさらにどういうものが買えるか、またどういう経済協力ができるかというようなことで調査団でも出すことが適当ではないかと思いまして、イラン政府に対してもそういう相談をいたしております。
○川崎(秀)委員 ただいま御答弁がありまして、私も輸出入貿易の関係では大体そういうことであろうと了承いたします。ただ、買い付ける品物がないかわりに、一つこういう後進国に対しては——後進国といっては失礼な点もあるのです。イランは非常に文化の発達をしている面もある。ただ、何と申しましても砂漠に囲まれた国でありますから、従って工業というものが伸びておらない。そこで二千万ドルのクレジット・ラインの設定をイラン側から申し入れておるという内容は、これは通産大臣は十分御承知と思いますけれども、タイヤ工場とか、皮革工場、合成繊維、建築用機械工場等非常に多くありまして、自動車組み立て工場、それからテヘランの火力発電所、バッテリーの製造工場、ペルシャ湾港湾建設工事、あるいはケルマン炭鉱の開発、テヘランからロシヤの国境にかけてかなり豊かな地帯がありまするし、それに向かっての日本側からの投資というものを相当待っておるというのが今日の現状のようでありますけれども、通産省としてはこういう向こう側の申し出に対してどういう御方針であるのか、これを承っておきたいと思うのであります。
○池田国務大臣 イランとの関係は今お話しの通りでございまして、ただいま貿易協定につきまして両者折衡を重ねておるのであります。貿易協定と同時に、やはり経済協力、これを一緒にやっておるのでございます。将来の債権確保等の問題もございますので、関係各省で十分協議の上、できるだけ経済協力を進めていきたいという考えでおります。
○川崎(秀)委員 あとは総理大臣と関係いたしますので、本日はこれで終ります。
○小川委員長 川崎委員の残余の質疑は次回の委員会で行なうことといたします。 次会は九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十三分散会