法務委員会 第2号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/11/24
会議録
○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。 この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。理事会の申し合わせによりまして、最高裁判所機構改革に関する問題の調査のため、小委員十三名より成る最高裁判所機構改革に関する小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長の選任につきましては、先例によりましてその指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。小委員及び小委員長は、指名の上追って公報をもってお知らせいたします。 なお小委員会の小委員及び小委員長から辞任の申し出がありました場合には、そのつど委員会に諮ることなく、委員長においてこれを決することとし、またその補決選任につきましては、委員長の指名に御一任を願っておきたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――◇―――――
○瀬戸山委員長 次に、法務行政に関する件及び裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。 まず当委員会が先国会閉会中におきまして委員派遣による調査結果の報告を聴取いたしたいと存じます。 まず九州班より御報告を聴取いたします。小島徹三君。
○小島委員 この夏行なわれました国政調査の九州班の調査について御報告いたします。 この班は小島、坂本両理事、神近委員の編成で派遣されました。調査の場所は福岡高等裁判所及び長崎地方裁判所でありまして、福岡高裁では八月十一日正午から午後二時ごろまで、長崎地方裁判所においては十二日午後三時から五時ごろまで、それぞれ会議室において懇談会形式で調査いたしました。なお、営繕関係を主としまして、福岡地方裁判所、九州地方更生保護委員会、福岡保護観察所、福岡矯正管区、筑紫少女苑、大村入国者収容所、長崎地方裁判所、長崎地方法務局、長崎公安調査局を視察いたしました。 福岡高等裁判所における懇談会には、裁判所側から、高等裁判所長官、地方裁判所長、家庭裁判所長及び裁判官、検察庁側から、検事長及び検察官、警察側から、県警察本部長等が出席いたしました。また長崎地方裁判所における懇談会には、裁判所側から、地方裁判所長及び裁判官、検察庁側から、検事正及び検察官、警察側から、県警察本部刑事部長等が出席いたしました。 調査の内容は、当委員会の決定に基づき、青少年犯罪及び春売防止法施行に伴う実態調査に限定いたしました。 一、少年犯罪の実情、まず九州地方における少年犯罪の傾向について述べます。福岡高検の報告によりますと、少年被疑者の受理人員は、昭和二十九年二万三千八百八十八人、同三十年二万七千八百九十八人、同三十一年三万四千三十二人、同三十二年四万八百六十一人、同三十三年四万六千七十二人となっており、逐年増加の傾向にあります。これを福岡県についてみますと、昭和三十二年二万二千二百四十八人、同三十三年二万六千八百七十七人となっており、いずれも九州全体の半数以上を占めております。その増加率も、福岡県においては、県警察の報告によりますと、昨年度は一三%の高率を示し、同年中における犯罪少年の全国平均増加率九%を上回っており、さらに本年上半期、一月―六月には、前年同期に比し二五%と飛脚的に上昇しており、また犯罪少年の全刑法犯被疑者中に占める比率についても、福岡県は、昨年度二二・七%、本年上半期二四・四%と全国平均をはるかに上回っておるとのことであります。これを罪種別に見てみますと、刑法犯については、強制わいせつ、強姦、恐喝、暴力行為、傷害、殺人等の凶悪犯、粗暴犯が増加の傾向にあり、特別法犯については、道路交通事件の増加が著しいようであります。中でも強制わいせつ、強姦等の性犯罪は、福岡地検の報告によりますと、昨年度は四百九十八人と昭和三十一年の百六名の約五倍に増加しており、これら性犯罪における少年事件の占める割合についても、過去三カ年の平均は六一・九%と全国平均四九・三%をはるかに上回っておるとのことであります。ざらにまた、犯罪を年令的に見ますと、おおむね年令の増加に伴い犯罪数も増加しておるようでありますが、昨年度は、十八才台を頂点として、十九才台では逆に知能犯を除き各罪とも減少しておるようであります。また、十八才未満の年少少年と二十才未満の年長少年とを比較しますと、年少少年の犯罪人員が年長少年の犯罪人員に比し増加の傾向にあり、犯罪の年令層が逐年低下しておるようであります。 少年法の改正については、検察庁側から一、年長少年の犯罪がきわめて悪質化の傾向を示している状況にかんがみ、社会秩序の観点から、刑事処分の要否はまず検察官に先議せしめるのが至当である。二、成人、少年の共同犯行についての最近の事例を見るに、むしろ少年側において、自分は検挙されても鑑別所ないし少年院送りで事が済むとの考えから、進んで積極的に実行行為を担当する事例が比較的多く、法蔑視の態度、言動が顕著に認められる。また家庭裁判所より刑事処分相当として逆送を受ける者はおおむね前に少年院に収容された経歴の持ち主が大部分であり、少年院等における処遇は必ずしも少年の教育矯正か万全であるとは考えられたい。なお社会の耳目を聳動せしめた重罪犯については、家庭裁判所の処分も従前に比較すれば相当厳格になったことは認められるが、なお多額あるいは多数の窃盗犯等については少年の環境のみを重視し、社会秩序維持の面を軽視しがちな感じがある。 以上の理由により、検察官の意見を開陳し、あるいはその決定に対し不服申し立ての道を講ずることができるように機構的な制度改正が必要であるとの意見がありました。裁判所側からは一、少年法の改正よりむしろ保護施設の充実が先決である。二、福岡高裁管内の少年事件の抗告事件の状況を見ると、当管内の家庭裁判所における少年事件の処理は妥当であり、あえて検察官の不服申立権を少年事件について認める必要はないとの意見がありました。また警察側から、触法少年及び十四才未満の虞犯少年の事案について、家庭裁判所または児童相談所のいずれにでも送致できるようにしてもらいたいとの要望もありました。 二、売春防止法実施の実情、福岡、長崎両県における赤線業者は昨年三月十五日を期し一斉転廃業を行ない、従業婦もそれぞれ帰郷または転職して、一応組織的な売春は消滅したのでありますが、福岡地検の報告によりますと、旧赤線業者のうち七八%までが旅館、料亭、カフエー、飲食店、貸間業等売春に親しみやすい業態に転業し、その従業婦の一部も旧業者のもとに逆戻りしつつある傾向にあり、さらに旧赤線業者にかわって、青線、白線業者、街娼婦が進出し、ポン引き、輪タク屋等の売春周旋業者の相当数のものが依然として売春の周旋を続けておるとのことであります。昨年四月、売春防止法罰則規定施行以来一年間の実績について、福岡高検の報告によりますと、被疑者受理総人数は一千三百十一名で、うち五条違反(勧誘)五百七十六人、十一条違反(場所の提供)三百七人、六条違反(周旋等)二百九十二人、十二条違反(売春をさせる業)百十一人となっており、これを県別に見ますと、福岡県が八百五十六人(約六五%)で最も多く、また昨年四月以降六月までと本年四月以降六月までを比較してみると、福岡県においては百九十件の増加となっております。 売春形態の新しい傾向について、福岡地検から次のような報告がありました。すなわち一、街娼婦の漸増とともに、旅館業者と街娼婦が結託し、売春の場所として旅館を利用したり、また赤線業者よりの転業者で旅館、飲食店を併設営業した者が女給名義で雇い入れた売春婦に対し、飲み客を相手に自己経営の旅館で売春させたり、あるいはバーの経営者が旅館業者と結託し、女給が飲み客を相手に売春する際は旅館を利用させる等、新しい傾向の売春企業が旅館、飲食店、バーの中から発生している。二、街頭における売春の勧誘は、従来は輪タク屋と売春業者の仲居に限定されていたが、売春防止法全面施行後は純然たるポン引きが出現した。このポン引きは地元の暴力団の一味や他の都市から流れてきたくれん隊上がりの者が主である。三、街娼婦について特に注目すべきは人妻が著しく増加したことであり、その夫と称する者の中には、ヒモとして寄生しているぐれん隊や暴力団の一味が介入し、暴力売春の傾向が見られる。福岡県警が本年五月初めから六月末までに検挙した暴力事犯百九人のうち、ヒモと見られる者が五十一人もおったとのことであります。 なお、売春防止法施行後、強制わいせつ、強姦等の性犯罪が増加しておるようであります。すなわち、地検の報告によりますと、福岡県では、昭和三十二年四月以降同三十三年三月までに受理した人数は四百三十二人であるのに対し、同年四月売春防止法施行後本年三月末までに八百十三人と約二倍に増加しており、長崎県では、昭和三十二年百四十四人、同三十三年二百二十九人、同三十四年は六月までに百四十四人と増加しております。 売春問題の対策について、裁判所、検察庁及び警察側からそれぞれ意見がありましたが、特に裁判所及び検察庁側から、売春婦の保護更生対策の強化、保護施設の充実をはかることが緊要であるとの強い意見があり、警察側からは、一、最近の売春事件の暴力化対策として第一線を強化する必要がある。二、新しい傾向の売春企業の出現に対応して法の罰則を検討する必要がある、との意見がありました。また裁判所側から、売春事件について、判決前調査の必要があり、その担当者として地裁に直属する調査官を置く必要がある、との意見がありました。 三、八月十二日正午から午後二時ごろまで大村入国者収容所を視察いたしました。同所長の報告によりますと、同所は収容所定員千六百九十名で、八月五日現在九百六十九名(男六百七十四名、女二百九十五名)収容されており、うち百九十名が北鮮帰国を希望しておるとのことであります。特に問題として医師の不足をあげておりましたが、現在医師の定員二名に対し一名欠員しており、臨時に国立病院から毎日一名の医師の応援を得ているとのことであります。なお、北鮮帰国希望者から、全員を即時釈放し、第一船で自由帰国ができるよう尽力願いたいとの要望書を受け取りました。 四、裁判所、法務省関係庁舎を視察いたしましたが、特に老朽はなはだしく、早急に改築を要するものとして現地当局から次の要望がありました。一、福岡地方裁判所庁舎は明治二十一年に建築された老朽の建物で、すでにその三分の一はシロアリに侵され、腐朽はなはだしく、早急に改築の必要があると思われました。特に、高裁、地裁、弁護士会側から、現在の地裁庁舎は幹線道路に面しているため、電車、自動車等の騒音に悩まされ、その上、敷地一ぱいに立て込んでいるため、目下の急務である法廷増設の余地がなく、他に適地を求めて庁舎を新営するほかない実情であり、一方、高裁庁舎も、戦時中急速に建てられたバラック的な粗末な建物であるので、近い将来本格的な庁舎建設の必要に迫られており、幸い高裁の敷地が一万一千坪の広さにあるので裁判所の能率的運営と訴訟関係人の利便等を考え、同敷地に高裁、地裁、簡裁の合同庁舎を早急に建設してもらいたいとの強い要望がありました。二、福岡保護観察所は現在九州地方更生保護委員会と同じ庁舎に同居しておるのでありますが、同観察所から、同庁舎はシロアリの被害等により腐朽はなはだしく、かつ職員一人あて使用面積わずか一・六坪と非常に狭隘であるので、早急に庁舎の増改築について考慮してもらいたいとの要望がありました。三、長崎地裁所長から、当管内は離島が多く、支部庁舎もほとんど明治十六年から二十年の間に建てられた老朽建物であり、中でも福江支部はシロアリの被害がはなはだしく、また佐世保支部庁舎は戦災復旧のバラック建仮庁舎で腐朽がひどく、かつ事件が多く、狭隘のため事件処理に支障を来たしておる現状であるので、早急に両庁舎の改築を考慮されたいとの要望がありました。四、長崎法務局長から、(一)厳原支局及び福江支局は庁舎未建設庁で裁判所庁舎の一隅十坪五合を事務室として職員が執務し、外来に座席の提供もできないほど狭隘であり、かつ、この裁判所庁舎は明治二十年建築のもので、シロアリの被害のため老朽はなはだしい。(二)、諌早出張所庁舎は都市区画整理事業のため移転した諌早市借り上げの暫定庁舎であるが、敷地はきわめて狭く、かつ一時的に借り受けた土地で近々に明け渡さなければならない。以上の状況であるので、これら三庁について早急に考慮されたいとの要望がありました。 以上で報告を終ります。
○瀬戸山委員長 以上で九州班の報告は終りました。 ―――――――――――――
○瀬戸山委員長 次に、北海道班より報告を聴取いたします。菊地養之輔君。
○菊地委員 当法務委員会の決議に基づきまして、八月二日より同九日まで八日間、北海道班、理事福井盛太、菊地養之輔、委員大貫大八は、札幌、釧路、網走、旭川の各都市において、一裁判所及び法務省関係施設の整備状況、二、青少年犯罪、三、その他現地の要望事項につき関係施設を視察あるいは懇談会を開くなどの方法によりまして調査を行ないました。調査の結果を北海道班視察調査報告書に作成いたしましたので、これを会議録に添付して下さるようお取り計らいを願いたいと存じます。 詳細はこの報告書をごらんいただきたいと存じますが、特に一例を申し上げますと、施設の整備状況は、本州よりいずれの点より見るも格差があり、新築されたものは別といたしましても、多くは明治時代に建築されたものが多く、それが十分に修繕されざるのみか、防寒施設のごとき本州と何ら異なるところなく、極寒はなはだしき離遠の地として不適当なものが多くあると感ぜられました。 また裁判官、検察官その他の職員の手当についても、寒冷地手当は俸給一カ月分の八割、石炭手当は越冬前の燃料につぶす程度であり、しかもこれが課税の対象となるばかりか、暫定手当が本州よりも下位に属しており、その上各地の市民税は本州を上回る状態で、北海道に転任したがために減俸の結果を来たしている状態でございます。職員の宿舎のごときは、全く寒冷地に不適当な木造の不良建物が多く、石炭を幾らたいても暖まらない。零下何十度という中を戸外に出て水をくまねばならないような生活である。これに加うるに、前に申し上げましたような建物等は、その職務に挺身することを望むことは困難なる状態であると見て参ったのであります。 これに対して、暫定手当の問題、石炭手当の課税廃止、市民税の不均衡是正、また定員職員の充実、朽廃庁舎の改築、職員宿舎の改善等、種々考究すべきものが多くあると思います。また青少年の犯罪の特殊性、矯正関係、特に少年院の整備等急を要するものが多いのであって、普通一般の調査報告として形式的に取り扱わないで、委員各位はもちろんのこと、当局におきましてもこの調査報告は十分一つ御研究を賜わりたい。そうして実行すべきものは直ちに実行し、あるいは予算の必要なるものに対しましては予算措置の方途を講ずる等、適切なる対策を立てられんことを希望する次第であります。 以上でございます。
○瀬戸山委員長 以上で委員派遣による調査結果の報告を終わりましたが、ただいま北海道班からの申し出によりまして、報告書は速記録に添付することといたします。 ――――◇―――――
○瀬戸山委員長 この際、国会法第七十二条の規定による最高裁判所の長官またはその指定する代理者の出席、説明に関する件についてお諮りいたします。 今会期中におきまして、本委員会の審査または調査に関し、最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席、説明の要求がありましたとき、その承認に関する決定につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○瀬戸山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 この際申し添えますが、法務省及び最高裁判所から、法務省経理部の勝尾主計課長、荻野営繕課長、最高裁判所は長井総務課長、矢口経理局総務課長にそれぞれ説明員として出席を願っております。 ――――◇―――――
○瀬戸山委員長 次に、先般十五号台風による法務省関係施設の被害状況についての報告を聴取いたしましたが、その後の経過等について調査を進めます。 この際、最高裁判所の矢口経理局総務課長から発電を求められておりますから、これを許します。矢口経理局総務課長。
○矢口最高裁判所長官代理者 過日の伊勢湾台風その他の台風によりまして裁判所の施設の受けました被害及びこれが復旧に関する予算の折衝状況等について、御説明申し上げます。 お手元にお配りいたしました書類によってごらんいただきたいと存じますが、裁判所といたしましては、台風七号、十四号、十五号及びその以前に北九州地方を襲いました豪雨がございまして、それによります被害等、相当の庁舎、宿舎等の施設の損害を受けました。これにつきましては、どの程度の損害であったかと申しますと、お手元の資料の中ほどから下にございます「裁判所庁舎等被害状況および要求額内訳」というところでごらんいただきたいのでございますが、床上浸水以上、これは完全に水没いたしましたものも含むわけでございますが、床上浸水以上のものといたしまして、簡易裁判所の庁舎が、十五号台風の際に五カ庁、宿舎が六戸というような被害をこうむっております。さらにその他の被害、床上浸水までは参りませんでしたが、屋根が完全にだめになったとか、その他相当の被害を受けておりますが、これがここにございますように、北九州地方の豪雨被害によりましては、計十一カ庁、台風七号による被害といたしましては計八カ庁、台風十四号による被害といたしましては計二十八カ庁、台風十五号、これは伊勢湾台風でございますが、これによる被害といたしまして計百十五カ庁、このような被害があったわけでございます。以上合計いたしまして、結局庁舎、宿舎等、全部合わせまして百六十二カ庁に及び、総計七千九百二十四万五千円の被害を生じたわけでございます。ことに伊勢湾台風におきましては、名古屋地方及び津地方に甚大な被害がございまして、なかんずく津地方裁判所の桑名簡易裁判所は、職員に死傷者を出す等の最も甚大なる被害を受けたわけでございます。 職員の被災状況といたしましては、二枚目にございますが、十五号台風によるものがその大部分でございますが、職員死者一名、家族二名の死者を出しました。これは職員といたしましては、桑名の簡易裁判所の鷲見判事が、台風の急に押し寄せました高潮と申しますか、水と申しますか、それによって死亡されたのでございます。なお家族二名のうち一名は、鷲見裁判官の下の娘さんでございまして、裁判官と一緒に近くの安全な場所に避難しようとされる途中に、水に巻き込まれて死亡された。上のお嬢さんがございましたが、上のお嬢さんは幸い木に数時間しがみついておいでになって助かった。そういう状況でございました。なお家族一名は、これはやはり桑名の簡易裁判所の職員のお母さんでございまして、これも水のために死亡された、こういった状況であったわけでございます。 住宅の被害状況といたしましては、ここにございますように、住居及び家財の全部が流失またはこれと同程度の損害を受けたものが、世帯といたしまして四十二世帯ございます。住居及び家財の二分の一以上損壊またはこれと同程度の損害を受けたもの、これが五十三世帯、住居及び家財の三分の一以上が損壊またはこれと同程度の損害を受けた世帯が二百二十八世帯、合計三百二十三世帯に及ぶ職員の被害があったのでございます。 これにつきまして、私どもといたしましては、災害の発生と同時に直ちに現地に係官を派遣いたしまして、災害状況の調査及び復旧に全力を注ぎますと同時に、職員の救援に対しましてはできるだけの措置を講じました。 まず第一に、とりあえず共済組合関係の災害見舞金を準備いたしまして、数回に分けまして現金を送りまして、職員の急場の罹災に充てるという措置をとったのでございます。それと同時に、最高裁判所の事務総長が発起人になりまして、救恤品と救恤見舞金を募集いたしました。救恤品につきましては数日を出ずして在京職員等から相当物品が集まりまして、これを現地の罹災職員に送りまして、非常に喜ばれたのでございます。救恤金にいたしましても、三週間ほどいたしまして相当の金額を得ましたので、これを現地罹災者に配付いたしまして、非常に喜ばれた次第でございます。 なお、共済組合関係といたしましては、今申し上げました規定の災害見舞金をできるだけ早く被災職員等に送りますと同時に、さらに災害に基づくところの貸付金を急拠送りまして、約千数百万円の災害貸付金を現在まで職員に貸し付けておるという状況でございます。 宿舎、庁舎、事務費等の被害につきましては、総額九千三百十六万円に及んだわけでございますが、これは一枚目の一番下の右端の数字でございますが、九千三百十六万円の損害を生じましたので、これが復旧として大蔵省に予備金の支出を請求いたしました。その後数次の折衝を経たのでございますが、一応の予備費使用の内定額といたしまして、一枚目の紙の中ほどにございますように四千百二十七万円という金額の内定を得たのでございます。この金額は、過去数年間におきまして同種の災害等がございましたが、その際裁判所が要求いたしました金額と現実に査定を受けました金額との比率の中で最も高いと思われる比率によった一応の査定額でございます。被害が相当広範囲に及んでおりますし、急を要した関係で、大蔵省側としては、現地で詳しく調査できないといったような事情でございましたので、今申しましたような比率の一応の査定を得まして、今後財務当局が現地で実地に立ち会いまして、現実の被害金額を定める、それによって現実の予備費の支出金額を定めるということでございます。従いまして、私どもといたしましては、要求が九千三百十六万円という金額でございますので、現地で厳重に査定を受ければ、この一応内定いたしました四千百二十七万円という金額をさらに上回った予備費の支出を受け得るものと考えておる次第でございます。現実には、数個の地方におきまして、現地における立ち会いによる査定というものが始まっておるように承知いたしております。 災害の状況及びそれに対する復旧状況といたしましては、以上簡単に御説明申し上げた通りであります。 ―――――――――――――
○瀬戸山委員長 最高裁判所からの被害報告等が終わりましたので、次に質疑の通告がありますからこれを許します。小林かなえ君。
○小林(かなえ)委員 ちょっと法務省にお尋ねをいたします。今回の第十五号台風、伊勢湾台風といいますか、また第七号台風等によりまして、全国の司法施設、法務省管轄の建物やあらゆる施設がだいぶ被害を受けておりまして、ずいぶん不自由をしておる個所が多いだろうと思います。この点については、法務省から出ました「台風十五号による被害状況調」というものによりますと、相当広い範囲にまたがり、相当ひどいようでありますが、これらについては御報告もあり、委員からまた伺ったことがありますが、その後これに対する措置として、対策として、大蔵省との関係においてどういうふうに運んでおられますか。相当これを回復し得るような望みが立っておりますか、どうですか、一つお伺いをしたいと思います。
○勝尾説明員 十五号台風並びに十四号台風を中心にいたしまして、法務省の方から営繕関係といたしましては約一億五千万円、登記所その他の備品、あるいは登記簿の冠水、汚損等の復旧に要する一般関係の必要な経費として九千二十四万九千円の予備費要求を大蔵省にいたしたわけでございます。この被害額の算定にあたりましては、名古屋並びに津、岐阜の三地区に関する限りは、法務省から営繕課長以下が直接現地に出向きまして、しさいに各施設の被害状況を検討いたしまして積算いたしたもので、この被害額についてはおそらく大蔵省の方としても何ら異議を差しはさむ余地がないくらい正確なものではなかろうかと私たちは考えております。それ以外の被害額につきましては、各地の所管の長から報告をとって積み重ねたものであります。それらを総計いたしますと大体全半壊が三十八カ所、冠水が六十カ所、外形等の損壊が約三千五百七十三間、屋根、壁等の被害を加えますとおおむね六百庁に及ぶ被害状況でございます。 これらに対して大蔵省との折衝の経過を概略申し上げますと、この要求に対して、補正予算に組むか、あるいは補正予算からはずされた場合に一般予備費でめんどうを見るか、さらに財源等の関係で困難が生じた場合には、法務省の既定経費の余剰財源からの流用で手当をするか、この三つの方法が事務当局の間で検討されたわけでございます。その結果補正予算に組まれましたのは、官署施設費から二千六百万八千円を法務省としては補正の財源として供出するという形で補正予算に組まれたわけでございます。従いまして、これらの復旧に要する費用は、すべて予備費ないし流用等で善処する、こういうことになったわけでございます。その結果、災害関係につきましての施設費関係につきましては、過去数カ年間の要求とこれに対する結果の比率を参考にいたしまして、六千八百六十二万一千円をもって災害の一応のワクとしてはじき出されたわけでございます。この額につきましては、地元財務部の調査とにらみ合わせた上で最終的な額が出るという形になっております。 その他の登記簿あるいは登記関係の地図の復旧あるいは各施設の備品等の復旧につきましては、すべて予備費をもってめんどうを見るということになっております。その詳細な金額につきましては、目下大蔵省の事務当局と打ち合わせ中でございまして、正確な金額はまだ出ておりませんが、事務当局といたしましては、たとえば登記所の登記簿のよごれた用紙あるいは地図等のよごれたものについては、まず全面的にめんどうを見たいという態度を私の方に申し出ております。その他の備品等の復旧につきましても、他の各省との関係もあるが、それらを勘案して、財源の許す限りできるだけ復旧に尽力をいたしたい、こういう線で目下話し合いを進めております。 それで、私の方で現在問題として検討を重ねておりますのは、これらの額につきましてはおのずから財源等の制約もあると思いますので、財源等の制約でもし要求額に対して全額を認められないといったような場合の手当について一応事務当局として検討いたしておりますが、それらにつきましては、一応手持ちの予算の、通常の年におきましても災害等がありますので、年度当初予算を組む際にそういう不時の場合に備えてある程度の留保額を本省に持っておりますので、その留保額をまず災害地に対して重点的に振り向けていくという方向で、それからさらに特定の本省としての計画を立てて留保いたしておりました金額等も相当な額に上っておりますので、一応そうした計画をもって手持ちの予算をすべてこの災害関係の方に重点的に振り向けて、この災害復旧について遺憾のないようにはからいたいという線で目下そろばんをはじいておるような次第でございます。
○小林(かなえ)委員 ただいま伺いますと、復旧といいますか、修復といいますか、法務省の要望されておる点が大体満たされるようなふうに伺いましたが、それで差しつかえありませんか。あるいはまだ非常に足らないというのですか。一応の復旧ができるお見込みでございますか。
○勝尾説明員 まだ結論を出す段階には至っておりませんが、この復旧関係で法務局あるいは検察庁あるいは矯正関係の施設の職員が超過勤務をしたとか、あるいは所管の庁が所管の施設の被害状況を見に出かけた旅費だとかいった点につきましては、おおむね既定の留保の予算から支出をいたしておりますので、この点はまず十分とはいかないまでも、おおむね用が足りるのではなかろうか。それからなお備品関係でございますが、備品につきましては、先ほどの諸先生方の各地の報告にもございましたように、法務省の所管の役所の備品が非常に古いので、私の方で一、二年前から計画的に備品の整備費といったものを既定の予算の中から特に留保いたしておりました金額がございます。そういったものを災害の方に振り向ければ、まず用が足りるのではなかろうか。問題は営繕の施設費関係にしぼられてくるであろう、このように思っております。それで私の方の営繕課長以下の技官が現地に直接出向きまして、調査した結果につきましては、十分大蔵省の方と折衝する根拠があるわけでございますが、時間等の関係で所管の庁からの報告をとるにとどめた被害という点になりますと、その正確な被害額についてはもう少し検討する必要があるのではなかろうか。目下私の方といたしましては、たとえば更生保護委員会関係の施設等が相当な被害をこうむっているのでございますが、この被害の金額等についてなお正確なデータをとりまして、最終的には流用等の問題についても折衝いたしまして、遺憾のないように期したいと思っております。結局施設関係につきましては、なお事務的にも検討し、大蔵当局と十分折衝する点があるだろう、このように考えております。
○小林(かなえ)委員 施設の方面はまだまだこれからいろいろお考えの上、大蔵省と折衝されるということでありますが、今回の災害対策の基本方針としては、かつては復旧、これに伴って改良もすべきであるというのが、最後的には改良ということを原則にして、復旧をむしろ従とするような態度でやるというくらいに、災害対策に対して今回できた二十七、八の法律案の方針が向いていっておるのであります。ただいま九州班、北海道班から調査の報告もありましたけれども、裁判所や法務省関係の建物、施設というものは、明治憲法よりも古いようなものがだいぶあるようでありまして、ことに法務局の登記所なんというところは非常に古い。登記簿原簿に雨が漏ってくるようなところもだいぶ多いので、法務委員われわれ一同は、ずいぶん古い時代から、これらの関係の施設を早くりっぱなものにしたいと考えておったのであります。今回、所によってはずいぶん大きな損害を受けておる場所などがあって、しかも腐朽せる建物のような場合には、むしろ全体的に建てかえるくらいの勢いを持って臨まれることが大切じゃないかと思う。何をいっても法秩序の維持の根幹は司法府にあるのでありまして、それにはやはり建物は非常に大切なものであります。しかも重要な書類を保存しておく倉庫というようなものは早く安全なものにすることが、人権擁護の上からも非常に必要と考えるのでありますが、今回もそういう方針で臨んでおられるのであるか。どうも裁判所、法務省の方針が非常に消極的であるように考えるのでありますが、この際非常な破損を受けておるところなどはむしろ進んで新しい庁舎にしていく、いわゆる改良を根本にして、つまらないところに修繕費をかけるよりも、むしろ思い切って新しい庁舎を作る。もとよりこれは金の問題でありますけれども、そのくらいの方針を立てて進まないと、いつまでたっても改まらない。ことに十年計画を立てられて、町の中にある刑務所は市外に移転するという方針も立てておられる。この際一つ根本的に基礎方針を立てられて、むしろ復旧よりも――かわらが落ちたからかわらをもとに返すという程度じゃなく、ひどくいたんで傾斜しているようなところは思い切った計画を立てることが必要ではないかと思いますが、どうもそういう御計画は今お伺いすることができないようでありますが、いかがでございましょうか。裁判所と法務省と、両方からお答えを願いたいと思います。
○荻野説明員 ただいま小林先生から御指摘のありましたように、あちらこちらで災害を受けまして、私どもも水増しとは申しませんけれども、できるだけよくするような考え方でもって復旧いたしますように、大蔵省の方に頼んでおるわけであります。たとえば、拘置所や刑務所なんかで、へいが倒れたところがございます。これは木のへいでありましたり、木のさくでありましたり、そういったものは今後もまたちょっとした風が吹きますと倒れる危険性があるかもしれません。かように考えまして、万代べいのようなものや、あるいは鉄筋のへいにして復旧いたしますように、ただいま大蔵省へお願いしておるわけでございます。先ほど主計課長からも御説明いたしましたけれども、一応のワクだけ六千八百万と示されておりまして、そのこまかい点につきましては財務局や財務部がただいま現地の調査をいたしておりまして、この調査が終わりますと、正式な数字が出るかと存じております。小林委員からお話のございましたような点で、私どももできるだけ努力しておるわけでございます。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましても、復旧ということはただ原状に回復するというだけではございませんで、少なくとも現在の状況で考えております新営庁舎を建てるのと同じ程度のところまで持っていきたいということは、原則として考えておるわけであります。ただ、たとえば桑名の簡易裁判所を例にとってみましても、戦後に新築された簡易裁判所でありまして、そういう関係から申しますと、もとのままに返せば、それが私どもの営繕の計画といたしましては 一応満足すべき状態に戻るのではないかと考えておるわけであります。もっとも桑名の簡易裁判所は、今回の水害でも判明したことでございますが、非常に低い土地に建っております。こういうことは二度とないだろうとは思いますが、万一またどうかなるということがございますと、当然また浸水するというような地理的状況にあるようであります。そういった点につきましては、なお十分に検討いたしまして、もし土地が適当でなければ新たな土地を求めてそちらに建てる、そういう措置は講じなければいけないものと考えておるのでありまして、現在現地に申しまして、それらの点について十分に検討させておるという状況でございます。方針といたしましては、できるだけありのままの現状ということではなくて、庁舎を新営いたします場合と同じ程度のところまで復旧するということは考えて、予算の要求もいたしておるような現状であります。
○小林(かなえ)委員 ちょっとお伺いいたしますが、この災害の調書によりますと、これは十月八日現在ですが、その時分に名古屋法務局の弥富出張所床上浸水、蟹江出張所床上三寸浸水、桑名出張所、これも浸水、富洲原出張所、ここも浸水、こういうふうにだいぶ浸水をしている個所がたくさんございますが、和歌山県にもだいぶあります。和歌山県には刑務所なんかもあるようですが、こういうところはその後浸水は去ったのですか。去ったあとにあまり被害は増大しておりませんか。
○勝尾説明員 浸水が最も長期間にわたりましたのは名古屋法務局の蟹江の出張所、弥富の出張所並びに桑名の出張所でございます。それ以外の浸水個所は、おおむね一両日で水が引いております。それで、浸水が短時間の間に引いたところは、あとの清掃等に万全を期すれば、まず今後の庁舎の使用には一応差しつかえないのではないかと思っております。しかしながら、浸水が長期間にわたりましたところにつきましては、基礎的な木材等が相当腐食するだろうと思っております。そういうところについては、やはり基本的な手当をする必要があるだろうという線で考えております。
○小林(かなえ)委員 もう一言申し上げたいのですが、先ほどちょっと申し述べましたが、今都会の中に、市街地に刑務所がそのままに残っておる。たとえば浦和のごときは、県庁のビルの上から囚人の生活が見れるというような状態で、教育の上からも非常に悪いということですが、全国に二十何カ所こういうところがあるということを伺っております。私の郷里の岡崎では、いち早くお願いしてこれを市外に持っていって、市内の施設があるところは土地が非常に値が上がっておるから、これを処置して国と自治体とがお互いに協力し合って市外に移転するという方法を今やっておりますが、こういう方法で全国のそういう刑務所の所在の場所を善処していきたいということを、法務省が昨年だか言われたように聞いております。こういう今のような政府も一生懸命になっておるときが非常にいいのであります。土地の値も非常に上がって、市内の土地というものは非常に工合よく処置し得るような道が開けたと思いますから、こういう機会を利用されて、できるだけ一つ災いを転じて福となすというような気分で処置していかれることが非常に必要じゃないかと思いますが、何か今そういうような具体的な計画でも立てられておりますか、どうですか。その点一つお伺いいたします。
○荻野説明員 ただいま小林委員から御指摘がございましたように、町のまん中に刑務所が蟠踞いたしておりまして、そのために都市計画を著しく阻害したり、また都市の発展上非常な支障になっておる刑務所が全国に幾つかございまして、その度合いのひどいものを数え上げてみますと、ただいまのところ二十二カ所ございます。そのおのおのにはもちろん緊急の差がございまして、二十二カ所一ぺんにというわけにも参りませんので、私ども緊急度合いのひどいものを選びまして、十を第一次、それからその余の十二を第二次と分けまして、第一次の十の刑務所につきましては、これを五年以内に郊外の適当なところに移そうという計画を進めておるわけでございます。名古屋でございますとか、あるいは浦和でございますとか、徳島でございますとか、福岡でございますとかが緊急度合いのひどいものでございます。これは十カ庁でもって大体七十六億円の予算を要するわけであります。しかしながら、ただいま小林委員からもお話がありましたように、現在持っておりますこの敷地を、一応の評価をもとにいたしまして計算いたしてみますと、大体七十八億円ぐらいの価値のあるものと私ども考えております。従いまして、この十カ所を移しますのに、差引いたしまして、決して国として赤字になるわけではなく、むしろプラスになるのではなかろうか、こういうふうな意味で、大蔵当局に対しましても強力に推進方を進めております。そして十の刑務所の第一の計画の中でも、特に急がねばなりませんものを四つ選びまして、これを三十五年度から実施するように、ただいま折衝いたしておるのであります。
○小林(かなえ)委員 最後に申し上げたいことは、法務局であります。御承知のように、法務局の中においては、登記という非常に重要な仕事があります。これが人民の権益の上に非常に影響があるのであります。しかるに、いなかの方に行くと、予算がないために、私有の家を借りて、電話は寄付をしてもらって、畳が腐ってしまったようなところで仕事をしておる個所がまだ非常に残っておると思うのです。そうして、登記簿を入れるところの倉庫というものは、ほんとうに屋根から雨が漏るような場所もなきにしもあらず、愛知県の津島の法務局など私行ってみたのですけれども、事務所とは別に、外の方に、まるで百姓の小屋みたいなところに原簿が置いてある。今度話がないところを見ると、あすこは改築せられて、いい場所ができたのじゃないかと思うのであります。そこを見ると、桑名の法務局は、原簿がだいぶぬれてしまって、浸水し、収納たなのほとんどが横倒れ、簿冊は散乱しておると書いてありますが、これははたして影響ない程度のものであるかどうか知りませんが、こういう個所が非常にある。なかなか大蔵省がこの点を認めてくれないので、われわれは法務委員全部こぞってこれに力を入れようじゃないかというようなことで、二、三年来方々を見たりしておったのです。ところが、このごろになると、法務局の登記事務所など山の中のものは、だんだんと廃止していくというようなこの前の議会の意向がいろいろうかがえたので、われわれは大いに反対の意見を述べたわけでありますが、これから先この方面にうんと力を入れて、完全なものにしてもらいたいと私は思うのです。私の郷里などでも、人手が足らないので、各町村の役場から吏員が弁当持ちで行っては登記を手伝って片づけるなんというところが今でもある。こういうわけで、役所の重要な仕事がこういうことにまかされているということは、非常に人権擁護の上からいっても心配にたえないのでありますが、法務省はこういう方面にさらに力を入れられるお考えがあるのか、あるいは昨年みたいにこれを減じていこうなどという御計画であるのか、この点について一言お伺いをいたしたいと思います。
○勝尾説明員 法務局の主として出張所でございますが、現在約千八百ございます。そのうちの三分の二近くが市町村から借り受けている、あるいは私人から借り受けている、しかもその借料は、今どき考えられないような二百円とか三百円といったものも少なくないのが現状でございます。電話等につきましても、市町村等からかけてもらっているというような現状も御指摘の通りでございます。なお、外部の応援と申しますか、市町村吏員等の外部の応援も、延べにいたしますと五十三万人ぐらいになるような現状でございます。従いまして、この点につきましては、大蔵省にも詳細な資料を提供いたしまして、三十五年度の予算の編成にあたりましても、法務省といたしまして、最重点といたしまして、強力に折衝を進めております。 なお、統廃合の問題につきましても、法務省のたくさんある所管の役所の中で、国民のサービス機関というものはおそらくこの法務局だけではなかろうかと思うのでございます。従いまして、統廃合の点につきましても、単に交通が不便であるとか、あるいは職員の数が少ないといったような事情で統廃合を進めるということは、国民に奉仕をするという役所の性格からいっても、根本的によろしくないことであろう。統廃合の問題は、あくまでも市町村等の合併等によりまして、従来の役場が変わったとかいう場合に、出張所も一緒でないと工合が悪いといったような、ほかの観点からむしろ考えるべきであって、単に人がないとか、あるいは不便であるといった要素では考えるべきではないという線で、統廃合の問題はどこまでも慎重に検討をするということで目下その問題を考えております。来年度の要求にあたりましては、今言ったような法務局出張所の非常に不合理な状況を強く大蔵当局に訴えて、最重点として法務局の充実をはかる所存で折衝をいたしております。
○瀬戸山委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。 午前十一時五十七分散会