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33回国会衆議院1959/12/09

文教委員会 第6号

発言数
150
登壇者
12
会派数
2
開催日
1959/12/09

会議録

大平正芳自由民主党

○大平委員長 これより会議を開きます。  学校教育及び宗教等に関し調査を進めます。  質疑の通告がございますので、順次これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 前会、図書目録の問題につきまして質問をさしていただいておりましたけれども、時間がございませんでしたので途中で打ち切りまして、本日引き続きやらしていただくことにいたしておりますが、前会の質問の中で、実はあとで議事録を見ましてちょっと問題がある点がございますので、一、二点それについてお尋ねをしたいと思います。  実は、宮澤政務次官は、この前お答えをいただきました中でこういうふうにおっしゃっておるわけであります。「さてそこでそれならそれが非常に厳選をしたものでなければならないかと申せば、そこのところはお答えが非常にむずかしいと思います。なぜかと申しますと、出版協会との従来の交渉の経緯等から見ますと、私どもはこの制度をりっぱにやっていくためにはこの人たちの協力を求めようとした。今後も求めていきたいと思うのであります。とすれば、この人たちを不必要に刺激するということを実は現在の段階では避けたい。なぜかと申せば、この制度をりっぱなものに育てたい、こう思うからであります。さようなわけで、気持の上では本来厳選をして、これならば間違いないということをやりたいというのがほんとうの気持であると思いますけれども、今の段階でそれをあまり強く出していって、出版業者の方と正面からいつまでも衝突をしていくということは、この制度を育てていく上に必ずしもいいことではないと考えておりますので、若干そこに気持の上で現実にはできる限りの妥協をしていきたいという気持がまた片方で働いておる。」こういうふうに実はお答えをいただいておるのですが、問題がありますのは、この制度については文部省が厳選をしたから、また厳選をするということで出版社の人たちとの間に対立が深まるかどうかという把握の仕方を政務次官の方でしておられるのか。書協の諸君が言っておられますのは、厳選をするとかしないとかいう問題よりも、文部省自身がそういう選定という問題にみずから手を出されるということが、将来の官僚統制の問題との関連で過去にも苦い経験があるので、そういうおそれがあるという点で反対をしておられる、こういうふうに私は理解をしておるわけですが、その点は、そういうふうに把握をして出版社の態度を理解しておられるのか、あるいは厳選をすることが反対だからというふうに理解をしておられるのか。このお答えだけを伺っておりますと、ちょっとそこがはっきりしないように感じられますので、その点を一つ政務次官の方でちょっとお答えを願いたいと思います。

宮澤喜一自由民主党文部政務次官

○宮澤政府委員 この制度が目的といたしておりますのは、図書についてその内容のあらまし、あるいは対象となるべき読者の利用上の注意、そういったようなことを一般に知らせることによって、図書というものが有効に利用せられるように、こういう考え方がこの制度の目的であると思うのであります。従いましてただいまの御質問でありますが、非常に問題を割り切って考えますと、現実に、ある図書についてそのいろいろな意味での周知方を講じるという目的と——と申しますのは、あるものはすべて周知をさせるという考え方になっていくのでありましょうが、これは他方でいささかでもそこに選択を加えるということとは、おっしゃるように確かに私は違うと思うのです。そこまで割り切って申せば、二つのことは同じことではないと言われるのはごもっともだと思うのであります。文部省の考えておりますのは、どちらかといえば、前会にも御答弁を申し上げましたように、一つの文部省としての——文部省と申しては語弊があると思いますが、審議会としての選択なり判断を加えていこうというのでございますから、そのことについて反対があるということは私どもも承知をいたしておるのであります。しかし他方で、協会の方々は一般的な周知徹底であれば御異存がない、むしろ好ましいことであるとすらお考えでありましょうから、そこで、現実には二つのことを妥協させまして、判断を全く加えないというのではないが、しかしそういう反対論も承知をしておることであるから、できるだけ広くこれだけはどうしてもというのでなければ、まずまず私どもが当初ねらいましたよりは広い範囲で登載をしていきたい、目録に入れていきたい、こういうことで制度を発足させたい、こう考えたわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は二つの問題の調和点を考えたとおっしゃることは、言葉の意味としては私も了解できるわけでございますけれども、現在出版をされております書籍というものは一カ月に児童向けだけのものが約二百冊ぐらいあって、それをもし半年間と見れば千二百冊もある。その中でやはり四十冊とか幾らかのものということになりますと、とてもそれを調整できる現実の問題ではないのじゃないか。そこで五百冊も六百冊も入れば、それは周知と今の選択とが多少調和がとれると思いますが、千二百冊の中で五十冊や六十冊を選ぶこと自体が、それを四十冊から六十冊や八十冊にしたからといって、今の選択と周知の問題が調和がはかれるというような性格の問題ではないと私は思う。ですから、お言葉の意味としては、考え方としては私は理解できますが、現実の処理としては実際上不可能なことではないかというふうに私は考えておるわけでございます。  それはまあそれでよろしいのですが、次に社会局長に伺っておきたいのは、実はこの前吉里さんが見えられて、あなたがおいでにならなかったので答弁をしていただいた中で、日本図書館協会の方で出しております選定図書総目録というものがあるのですが、これはどうも自分の方の所管の範囲だけれども、あまりその権威を認めないような発言をここでしておられる。この議事録にもあるのですが、あなたはどうですか。選定図書目録を私はここに二冊持ってきておりますが、現在出ておる図書目録の中ではこれはりっぱなものの一つだと考えても私はよろしいと思う。もしこういうものすらも文部省は権威を認めないということになると、この薄っぺらいあなたの方で出したこれだけが、日本における図書目録の中で唯一の権威あるものだというふうに逆に考えざるを得ない。これは重大な問題だと思うので、社会局長にお答えを願いたいと思います。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 日本図書館協会から出しておられますそういった目録について権威を認めるか認めないかということは、これは見方の問題だと思いますけれども、別に、私どもが出しております社会教育審議会で決定をしていただいた目録のみが、唯一の権威あるものだとは考えておりません。もちろん、民間団体におきましてもいろいろな資料を出しておられますが、それはそれぞれの立場においてやはりそういった方面の一つの有益な資料だと考えております。ただし、それが全部が完全無欠なものであって、全幅的に信頼できるということは、これは利用する側の方の問題であろうと思いますので、私は、権威を認める認めないとかいう前に、一つの有益な資料としては見ております。

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 関連。——ただいま堀委員より二つの種類の図書目録が出ておることは非常におかしい、片方の民間のものは権威を認めないのかというお話でございますけれども、私は、そういう選定がいろいろ行なわれること自身がいろいろな見方を提供するもので有意義だという気持がするのであります。しかも、政府側が関係を持っておる図書目録の編集といいましても、政府そのものがすでに民主化されておる政府である。昔の、枢密顧問官が参与して勅令の形で仕事をするような文部省とは違う。もう民主主義時代になった政府であるということをよく認識されまして、そしてものを考えていただいたらどうかというふうに考えますが、その点については社会局長の考えはどうか、ちょっと聞きたい。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 私どもこういう仕事につきましては、もちろん慎重に一般の社会教育関係者のサービスになるような仕事をしたいということを念願いたしております。この問題につきましては私ども決定するわけではございませんので、社会教育審議会の分科会において十分検討いたしまして、そして決定するという、行政機関ではない分科審議会で決定するというような方式をとっておるのでございます。従ってそういった面でいろいろ御批判があろうかと思いますが、できるだけそういったいいものを一般の社会教育関係者の側に提供してサービスするということを念願といたしておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 まあ権威があるとかないとかということは、おっしゃるように見方によりますからあれですが、実はそういう問題を私が提起しましたのは、あなたの方の文部広報でアンケートをとったら、現在の目録は商業的、宣伝的なものが多いが、内容の充実した権威あるものを望むとか、あるいは信頼ある機関による図書目録を切望する、こういうアンケートをあなたの方の広報は出しています。そうするとこういうものはそれに該当するのかどうかということを聞いたわけです。権威だけ聞いたわけではないのです。私はそれを見て商業的、宣伝的とも思わないし、私の立場としては、このくらいなら権威のあるものと認めていいのじゃないか、あるいは常識論から信頼ある機関と考える。日本書籍出版協会というのは、私は日本のこういう分野においては信頼ある機関の一つではないか、こういう質問をしたところが、課長はいずれもきわめてあいまいな答弁に終始をしたということは私は非常に遺憾だと思っております。もう少しフランクにやはりいいものは——それはあなたの言うように完全無欠なものは政府がやろうとどこがやろうとあり得るはずはない。そこは程度の問題として、このくらいならいいがという考え方がないから、こういうトラブルが起こってくるのじゃないかという考え方の基礎に立って、私は非常に不安を持ったわけです。  もう一つちょっと主任官に伺いたいのは、現在の目録はただ本の名前あるいは定価等がついておるだけでございまして、いろいろな内容等については詳しいものが出ておりません、こういうふうに答弁しております。私はそのときも言いましたけれども、現物を皆さんにお目にかけたのですが、目録のこまかい方にも実は二、三行ですが、内容についての説明がついている。そして推薦図書に至れば、文部省の図書目録の内容のあらましなどは私は理解できないのですが、こちらはりっぱな内容のあらましが載っているのですよ。あなたは一体それをごらんになって答弁されたのかどうか、それを一つ……。

吉里邦夫文部事務官(社会教育局社会教育施設主任官)

○吉里説明員 私は現在出ております日本図書館協会あるいはいろいろなところの目録を全部見ております。この間申し上げましたのは、全体的に見まして目録の内容のあらまし、あるいは利用者がどういうふうに利用するかという点から見ますと、必ずしも完全とは思えないということを申し上げたわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 議事録にはそうなっていないのですがね。あなたはそういうつもりでお答えになったならいいのですが、ちょっと正確を欠くと思うのです。私は全般的な問題について聞いてない。図書目録に限定しているのに、あなたは答えられて——そういう事実があることははなはだ遺憾だと思います。それはもういいです。  そこで今回の目録の中で、申請されたものと申請されなくて登載されたものとがあると思いますけれども、この中で非常に私問題があると思うのは、申請されなかったものの方で、実はその省令が出たあとで非常に問題が起きてきたので、取りやめにしてもらいたいという希望者が相当に出たと思うのです。これは具体的には九月十二日に書協の皆さんの方から文部大臣あてに申し入れが行っておるのですけれども、これはあなた方の方では大体了解されておるのでしょうか。申し入れを読みますと、「九月七日付文部省令第二十三号の公布と同時に、文部省当局は日本書籍出版協会と意見の一致をみたかの如き表現で当協会の特定の会員出版社に対し、目録への登載を求められた事実があります。当協会としては、新省令に対する態度を明確にいたしておりませんので、かかる誤解混乱を招く行動は直ちに中止していただきたいと存じます。なお、申出のない図書については、発行者の了解を得ずに無断で行わないよう念のため申入れます。」こういうふうにあります。これは九月の十二日ですがあなたの方はこの事項に基いて、これは大臣に出ておるのですか。大臣と御相談になったかどうか。そうしてそういう問題をどう処理するというふうにお考えになったか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 今お述べになりました申し入れなるものは私存じております。ただこれにつきましては、いろいろないきさつ等を申し上げておきたいと思いますが、最初書協側と話し合いましていろいろ相談の結果まとまった点は、もし申し入れのない図書につきましても、社会教育審議会が登載するというような場合には、あらかじめ書協の会員害の店の方の了解を得るようにしてほしい、これが書協側の希望だった、私どもも社会教育審議会の委員の方々もそれは了といたしまして、そういうようにやるというように約束したわけであります。ところでそれに従いまして若干の申し入れのない図書を登載するというような見込みで、あらかじめ各出版社にこれを了解を得たわけであります。ところがその際はその該当の出版社はけっこうでございますということをはっきり電話またはその他の方法によって私の方に通知が来たのであります。従ってそれを登載するというような運びにいたしておりまして、すでに印刷に回したという段階において、書協側の方が協会として各出版社に対して、われわれの方の了解を得ないで勝手に承諾をするというのはよろしくない。従ってそれは保留するようにというような何か電話をかけたというようなお話もございまして、むしろ各出版社に対してブレーキをかけたような結果、今おっしゃるような各出版社から見合せてほしいということがございまして、それと同時に今おっしゃいました申し入れなるものが書面で来ました。従って私たちはその善後措置としては上司にも諮ったのでございますけれども、すでに印刷に回して間に合わないということは遺憾でございますが、いたし方がない。従って書籍出版協会の幹部にそのことを連絡をいたしまして、やむを得ないというようになっておるようであります。従って私どもはできるだけそういう約束を守るという方針で参ったのでございますけれども、その点は今おっしゃいました書籍出版協会の内部の事情がいろいろ複雑であったために起こった現象であるかと存ずるのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 次に九月十八日に書籍出版協会が声明書を出しておられますが、ちょっと読みます、「われわれは去る五月十三日総会の決議をもって文部省図書選定制度に対して反対声明をし、かつ世論もこれを支持しました。その結果、文部省は九月七日新たに新省令をもっていわゆる目録制度を公布しましたが、当協会はこれを詳さに検討した結果、この省令は先にわれわれが反対した選定制度と何等変ることなく、いわゆる選定図書の目録であって、数回申入れたわれわれの意志が依然として無視せられたものであると認めざるをえません。よって当協会会員は、この度の省令に反対し、かつ図書登載の申出を行わず、登載の要請に対してもこれに応じないことを決定いたしました。右反対声明いたします。昭和三十四年九月十八日、日本書籍出版協会」こういう声明が出されたわけです。で、実はここに書いてある通りだと私は思います。この間大臣に伺いましたら、やはり厳選をしてやるのだということは確かにここで答弁をしておられますから、その限りにおいては「選定制度と何ら変ることなく」と言われておることは、私は事実が述べられておるというふうに考えておるわけです。そこでこういうふうな状態が起きてきて、その後に今度は今お話しの九月二十八日に社会教育局長あてにその目録から削除してもらいたいという文書が出された。しかし印刷済みなので了承してくれというお話だったというのですが、ここに一つ東京の創元社というところでは、電話であなたの方に話をしたら、もう印刷済みでだめだと言われたけれども、文部大臣あてに内容証明をもって削除してもらいたいというような取り扱いをしたところが、この分については削除された、こういう事実があるわけです。それは一体どういうふうになっておるのか、お伺いいたします。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 これは口頭でお申し入れになろうと文書でお申し出になりましても、間に合う限りは第一集から落とすというつもりで、間に合った分は全部削除したわけであります。印刷上どうしても都合がつかないものは、これはやむを得ない。今申し上げましたように、書協側の幹部にそのことは連絡いたしました。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで児童向けの出版社というのは、調べてみますと今六十社くらいあると思いますが、この中でこういうふうにして取り消してくれというふうに言われた出版社は、おそらく今後も協力をされないであろうという当面の見通しだと思いますけれども、そうすると一体どのくらいの人が非協力になって、どのくらいが協力をしてくれるのか、あなたの方の見通しは今どうなっていますか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 これはなかなか見通し困難な問題だと考えております。と申しますのは、さっきお読みになりましたような反対声明もあることでございますので、書籍協会の所属の会員が全部結束して、文部省の方には申請しないというような態度をおとりになれば、これは数が少なくなるように思います。しかしながら書協側の会員の中にも、今お述べになりました反対声明の趣旨の通りに考えている会員もあるかもしれませんけれども、必ずしも全部が結束している——というと語弊がありますけれども、その趣旨に賛成しているというわけでもないと思われます。最後にいろいろ書協側と話し合った際に、文部省の新しい省令は、実を申すと書協側の提案に基づいた案を基礎にして出している。従って私どもは書協側に対しては、できる限りあなた方の御提案に基づいて処理しておる関係上、一つ申請をしていただきたいということを申しておるわけでありますが、書協側のそういう結束が現在ありますから、これは数は少ないかもしれませんが、だんだんに了承をしていただいて、書協側の会員も申請をしてくるというような状態を作っていきたい、また書協側にもそういうことを要望していきたいということを考えているわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 現在の見通しは立たないということをはっきりおっしゃっておるわけですが、そうすると次回は体いつごろ出されるお考えですか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 これは社会教育審議会の分科会におきまして、いろいろ調査をしております。従って調査のでき次第第二集を出したいと思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 調査をし次第出すというようなことで、期限というか、出されるときの大まかな目安もつけておられないのですか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 社会教育審議会では大体目安をつけておると思います。できれば年内に出したいということを考えて、今調査に努力しているわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は今私がそう伺ったのは、これは登載するものについて六カ月以内ということがあなた方の告示では出ていますから、そうするとどこかに予定の日にちを切っておかなければ、調査をしても、調査をしているうちに日限が切れてくるという問題があると私は思う。だから今のお答えを伺いますと、そういう仕事について非常にラフな感じで問題が処理されておるのじゃないか。日にちを切っておかなければ問題はないと思いますが、皆さんの方ではっきり日限を切って、六カ月以内に発行されたものという限定がありながら、それがいつになるかわからないということでは、せっかく調査しても時間切れになるという問題が起こるのじゃないかと思います。だからこれは当然ある程度、何月に出すくらいの計画がなければおかしいと思いますが、それはよろしゅうございます。  その次に省令の問題でちょっと伺っておきたいのは、省令の第二条に、「目録の作成は、発行者が当該目録に登載されることを申し出た図書について行うものとする。ただし、申し出のない図書であっても、社会教育審議会が適当と認めるものについては、目録を作成することができる。」こういうふうになっております。このことはさっきもちょっと触れましたけれども、要するに申請をしていなくても、皆さんの方ではいいものを登録するのだということです。それは調査をしていろいろおやりになる前に、そういう出版社に了解を得られるのか。調査をしておいて、これならいいときまったら出版社に了解を得られるのか。そこらは一体どういうふうに考えておられるのでしょうか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 この第二条の問題を申し上げますが、その前にちょっとお断わりを申し上げておきたいと思います。書籍出版協会の考え方は、申請主義ということは困る、申し入れのない図書について、社会教育審議会で十分調査をしてやってもらったらいいじゃないか、それについては自分の方は別にかれこれ申し上げない、こういうような申し入れがあった。しかしながら、文部省あるいは社会教育審議会としては、やはり建前は申請のあったものを原則として、申請のなかったものでも漏れたものに非常にいいものがあれば、若干これをピックアップしていくというような方針をとるのが穏当であろう、こういうような考え方でこの原則を立てたのであります。従ってもし申請のないようなものにつきましても、期間内にかなりいいものが発見されて、社会教育審議会の委員等から申し出があれば、それを調査して登載するということになりますが、それは調査の段階におきましては、別に出版社に了解を求める必要はなかろうかと思いますので、決定する際に、今までのやり方としては了解を求める、こういうような手続にいたしておるわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は、ここは文部省の方で多少譲歩なさって、こういうふうになったと思いますけれども、問題がこういうふうに非常に紛糾してくると、個々の問題についても思わざる誤解を招いたりいろいろすることがあるのです。私は何も書協を代弁しているわけではなくて、公平な立場から見て問題を処理しておるわけでありまして、それにはこだわっていないのですから、その点はそういうふうにお考え願いたいと思います。  それで、その次は第四条ですが、四条には、「目録に登載された図書の発行者は、当該図書について、その内容の改訂その他重要な変更を行った場合は、目録の記載事項の変更を申し出るものとする。」こういうふうに出ております。そうすると申請した図書は、出版社としてはそのつもりなんですから、当然目録に登載されて、その後に何か変更を行なった場合には、これは申し出るのがあたりまえだと思います。ところが黙っていたが、お宅の方は目録に登載しますよ、了解してくれと言われたら、それはけっこうですという範囲の、きわめて消極的なものについても、ぺん目録登載になったら、申請も未申請も同じ取り扱いを受けることになるのじゃないか。そこはどうなりますか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 この四条は原則を書いておるわけでございますので、申請のあった図書について、将来その内容の改訂その他重要な変更があった場合に、出版社の方から変更を申し出るということをきめておるわけであります。ところで申請のなかった図書については、そういう手続をとる必要はないじゃないか、こういうようなお話のように伺いましたが、これは目録登載をするということについては、あらかじめ了解を得ておる事柄でありますので、従って将来その図書について内容に重要な変更があった場合には、その出版者から知らせていただいて手続をする、こういうように私どもは考えておるわけであります。もしどうしても通知をしないというような場合に、審議会の方で調査の結果わかればけっこうでありますけれども、そうでなく、できるだけ協力していただいて、やはり申し出をしていただく、こういう趣旨でできておると思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 次に第五条ですが、「目録に登載された図書について、その登載を不適当と社会教育審議会が認めたときは、当該図書を目録からまつ消するものとする。」こういうふうにあるのです。これはこの中で一番重要な問題だと思うのですが、認めるときには、この前も伺いましたが、一つの基準で認めていらっしゃる。そうすると、審議会の皆さんというものはずっと十年も十五年も審議会の委員であろうはずはないので、審議会のスタッフはあるいはかわるかもしれない。かわると、今度はそれに基づいてその登載を不適当と認めるというようなことが起きて、一回あげてあるものもだめになる、そういうようなことであると、これはこの登載問題について問題が生じる余地がここにははっきりある。だから一体どういう場合を想定してこういう条項を作られたのか、それを伺いたい。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 私どもはこういうことのないことを希望いたすのでありますけれども、しかし一ぺん図書目録に登載いたしましたら、十年も五十年も永久にそれが消えないというような状態であることは、これはまたいろいろ内容の変更その他修正等のある場合がありますので、困る場合があると思います。これは具体的な例をもって申し上げるのがいいのですが、まだそういう例がございませんので申し上げられませんけれども、要するにたとえば子供の科学書など、最近いろいろ科学的なものは相当変動が急激なものがございます。そういった意味で科学書等につきましては、五年あるいは十年先には、今一応妥当なものとして考えられておりました図書についても、内容を変更すれば別ですけれども、変更できないでそのままで置いておいて適当でないというようなものは、やはり審議会が良識をもって決定して抹消するという手続をとった方が妥当であろう、こういうような意味でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は今度の問題の中で、ここに現われておる考え方が、やはり非常に不安を起こしておる一つの問題点だと思うのです。ということは、これがほんとうにそういう中立的な民間の問題として処理されておるならば私も心配をしないのですが、やはり政府がある一政策を持った中で問題を処理していく——あなた方の方では社会教育審議会の分科会におまかせをしておる、こういうふうに言われておるのですけれども、その点私はちょっと疑問があるのです。疑問がある点はどういう点かといいますと、審議会の皆さんはなるほど今非常にりっぱな方がおそろいになっておりますが、いずれもおのおの自己の職業を持っておいでになる方で、そう非常に多数の書籍をお読みになるということが可能な方ではない。そうすると皆さんの方では、そのためには何らかの予備的な選択をしたものを審議会の皆さんにお目にかけて、その中で判断をしていただくということになろうかと思います。そこでその予備的な審査というか、選択をする人たちは何かというと、実はこの間文部省の方から伺うと、調査員というような式のものを委嘱をして、そうしてその人たちがまず予備的にやるのだ、こういうふうに伺っておる。ところがその調査員については審議会の委員すらもだれが調査員であるかわからないという仕組みになっている。それは文部省が任命をするのだ、文部省が調査員を任命をして、その調査員によってあらましの選択をされて出てきたものは、これは審議会の側の完全に自由なる判断というころまではいかなくて、一応の外ワクというものはその調査員によってきめられてくるのじゃないか。その中で審議会の方が選択をなさるという点については、あなた方はあたかも審議会にまかして文部省はタッチしておりませんという言い方をしたいかもしれないけれども、現実においては調査員をあなたの方で選んでいくという限りにおいては、私はそういうふうに理解できないわけです。そういうことで調査員はだれがやっているかもわからないという非常な秘密主義がとられて、その秘密主義の調査員というのは文部省がきめるのだということになると、これはやはり疑惑の生ずる余地がある。ほんとうにフェアな問題の処理ができるかどうかということについて、一般の新聞世論もこの選定制度について反対をしておるし、そういうような点で公正な見解を持たれ得る立場の方たちが反対をしておる問題は、私はやはり理由なしとしないわけです。そこで調査員の問題ですが、あなた方はその調査員というものが果たす役割と文部省との関連をどういうふうに考えておられるか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 これは、この目録制度の建前といたしまして、なるべくいい本は広く載っけていきたいという希望でありますので、調査員に委嘱いたしまして調査いたしますけれども、この調査の仕方は別に個々について文部省が干渉したり注文をつけるわけではございません。全く調査員その人の知識能力によって調査していただきまして、その結果を社会教育審議会の分科会の委員の先生方に見ていただくわけであります。従って、今調査員は文部省が任命するのじゃないかとかいろいろおっしゃいますが、これは形式上はもちろん文部省の委嘱でございます。しかしながら、われわれのみで全体の調査員を選定することは困難な場合もありますので、建前としてはやはり分科会に相談いたしまして委嘱しているのが現状でございます。従って、個々の書物について、AならAの書物はだれが調査したかということはわからないようにいたしておりますけれども、全般の調査のやり方については審議会の委員の方々もよく存じております。そういう仕組みでやっておりますので、決して文部省が個々の調査についてかれこれ申しているわけではございません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今のお話で調査員のことは非常にフェアのようですが、私がある審議会の委員が言われておるところを聞きますと、会長は知っているのかどうか知らぬが、われわれは、一体調査員がだれなのか、どういう人がどういうようにやっているかわからない、こういうことなんです。そういう点で、審議会の委員でも何か特定の人たちだけがそういうことに携わっておるということになるならば、やはりそこに疑惑の生じてくる余地が十分にあるのではないかと考えるわけであります。  その次に、この登載図書目録自体を実は拝見したわけです。これは皆さんのお手元にないからちょっとわかりにくいと思いますけれども、こういうものが出ておりますが、その中で分科会の会長さんが、発行にあたってという中で、こういうふうにお話になっています。「この制度が発足してから日なお浅く、趣旨の周知についてもじゅうぶんでなかった点もあり、申し出の図書の数も限られ、」「該当する図書の部分しかのせることができませんでした。」私は趣旨の周知が不十分であったからそうなったとは考えておらないのです。こういう格好のものができたということは、分科会の会長さんの考え方として、こういうふうな考え方で周知さえできたらできるというような、そういうなまやさしい問題ではなかった、そういうふうに理解しておるわけです。これは今も御答弁をいただいておりますからいいのですが、ただ私が非常に驚きましたのは、これを見せていただいたら正誤表がついておるわけです。この正誤表は十四カ所にわたって訂正されておりますけれども、それを詳しく調べてみますと、正誤表をつけた以外の誤字、誤植が七カ所ある。それから句読点の使用上の誤りが五カ所、文章の表現のあいまいなところが三カ所ある。内容のあらましという欄にくると、それが内容のあらましに該当するかどうかというようなものが随所に見受けられる。こういうことなんですね。これは大へんこまかいことを言うようですけれども、あなた方が非常な反対を押し切ってりっぱなものを出すのだというかけ声のもとに出したものが、ともかく大急ぎで何か出さなければならなかったような印象を私は受ける。正誤表がついてないなら私も理解するのです。あなたの方で正誤表をつけた以外に七カ所も字を間違っているようなものを文部省が全国に配っている。どうしてこういうことが起きたのか、ちょっと伺いたい。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 これは印刷がまずかった点は私は認めますが、第一集でございますので、いろいろ内容の正誤についても十分できなかった点もございます。従ってこれを機会に私どもは第二集以降においてはこういう正誤表をつけなくても、あるいは内容についても十分利用者の理解できるようなものにしたいということで努力しているわけでございます。確かに印刷等がまずかった点は、私どもも率直に反省いたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 印刷のまずいのはいいと思うのです。正誤表をつけたということは、あなた方の方では一応これを調べたということなんですよ。一回調べて正誤表をつけたあとに七カ所も字が間違っているというのは一体文部省の仕事として正当かどうかということです。そういうことになったら、これは権威がないと思うんです。少なくとも文部省が出しておるものが正誤表がついてなおかつ正誤表の半分以上も間違っている。ひどい間違いがありますから、チェックしてあるのをあとでごらんに入れますけれども、こういうようなことをしてまで急がなければならなかったという理由は体どこにあるかということを伺います。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 別に理由は何もございません。ただいろいろ書協との話し合いの過程におきまして、方針等も相当変わったのでございます。従ってこれを調査し作成するにはかなり困難を来たしたというのが実情でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 さらに、ちょっと具体的な問題になるのですけれども、さっき六カ月の期限というふうに私ここで見ておるのですが、これはその初版から六カ月ということですか。それとも再版を含めての六カ月ということですか。それはどういうふうにあなた方の方は考えていますか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 再版を含めての六カ月であります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 こまかいあれですから、あとは幾らも申しませんが、初中局長が見えていますからちょっと伺っておきたいのですが、皆さんの方は道徳教育の指導の問題について、この道徳教育の指導書というのを拝見すると、この中では戦前の徳目を注文するような道徳教育の考え方というのは好ましくない。「戦前の修身教育がともすれば陥りがちであったように、固定的な計画を押しつけたり、徳目の一方的な注入をねらったりするものでもなければ」、こういうふうに言っておるのです。徳目の問題は今でもそういうふうに考えておられますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 徳目を暗記させたり、あるいは一方的に押しつけたりするようなことは好ましくないと考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ところが実は今度図書目録の方を拝見いたしますと、盛んに徳目問題が出てくるのですね。これは私ちょっと問題があろうかと思うんですが、「あかるい心一年生」とかその他の中で人の立場の理解、公共物の尊重、国を愛する心、責任感などという徳目が理解できるような材料があげてあるというふうな格好ですね。大いに徳目をあげて、徳目の問題を中心にして書かれておるのです。こういうふうな考え方は、あなたの方と社会教育局とは何らかそういう連絡があると思うんですが、そこを一つ内藤さんの方で……。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 徳目を理解させることは私は必要だと思うんです。たとえば正直なら正直ということは、正直ということはどういうことかという理解がなければ道徳教育にならないと思うんです。そういう意味で理解さしていく。そしてそれが自然に子供たちの心情に触れるような書き方なら、私はいいと思うのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 あなたの考え方としては、最初のお話しでは、徳目をそういう格好で注入するということはどうかということでした。だから私どもは徳目を徳目として取り扱うのではないというのがこの指導書の精神だと思います。ところが、ここでは徳目を徳目として理解させようということがこの中にちゃんと書かれておるが、それはちょっとおかしいじゃないですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 この表現についてはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、ここに掲げてある、たとえば道徳を守るとか、規則を守るとか、人間尊重というような事柄が自然に理解できるような書き方は必要じゃなかろうかと思います。ですから私どもが申しましたのは、たとえば教育勅語を暗記してみたり、あるいは論語読みの論語知らずに陥るような徳目の暗記とか羅列は道徳教育上避けてほしい、こういう意味でございまして、正直がどういうものかということは、これは子供たちの心にしみ込ませるような方法で教えることは正しいと思うのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 その点は水かけ論になるからいいですが、私はこういう取り上げ方は、やはりちょっとおかしいと思う。議論をして議論がどうこうという問題じゃないからいいですが、今度の目録が、いろいろな点で拙速に、何か非常に急いでやられたという点であなた方の理解も十分でなかったという点を非常に感じておるのです。そこで今回の図書目録に一体どのくらいの費用がかかっておりますか。

福田繁文部事務官(社会教育局長)

○福田(繁)政府委員 全体の予算は三百万程度でございますが、第一集については大体三万円くらいでできておると思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 三百万円の予算で、これだけのために三万円で済んだということなら、あと百ぺんくらい出せるということになるんじゃないかと思いますが、これは大臣にも聞いていただきたいのですが、最近の文部行政が何かに追いかけられておるというような、非常に衝動的というか、あせってやられておるような感じがして、その点で異常に大きな摩擦を各方面との間に惹起しておる点は、大臣、行政の中心としてよくお考えを願わなければならぬと思うわけです。そこでこの選定の問題については、朝日新聞は五月十七日の天声人語で、「“文部省選定”のお墨付をもらえば、宣伝しなくても売れるということから、お上の顔色をうかがって調子を合わせるというのが、一部出版界の悲しき性向である。つまり、間接的には出版統制への道を地ならしをすることなのである」「文部省の図書選定は言論出版の自由を、真綿で首式に締めあげることになりかねない。やはり出版界に文部省がニラミをきかすような制度は考えものだ。」毎日新聞は、五月十五日に「民間にもたくさん良書推薦の機関があるのに、文部省が反対を押し切ってまで割りこむ必要があるのだろうか。民間のやることは信用できないというのなら指導意識の過剰だし、民間の推薦では効果がすくないというのなら、権威盲従の悪習をうながすことになる。文部省はまずこんなひどい反対を受ける理由を、謙虚に反省する必要があろう。」読売新聞の五月二十日には、「「文部省推薦図書」というやつはあのいやな戦争中にあって、大いに国体の明徴と戦意の高揚に役立ったことはわたくしたちの思い出も新たなるところ。こんどは「推薦」が「選定」と代ったが、実質は同じことだ。」「文部省におうかがいしたいが、次代の国民のために「平和日本の精神」を憲法を尊重することの大切なことから説きはじめ、戦争反対、核兵器反対の少年読物を良心的に書いたとしたら、それは文句なしに「選定」して下さるであろうか。」こういうふうに、各新聞があげてこういう問題について批判的な意見を述べておるし、私が非常に尊敬しております慶応大学の池田潔教授ですら、「文部省という政府機関が“青少年向き図書”を自らの手で、選定する制度に、ぼくは賛成できない。示された要綱に少しぐらい手を入れてみても賛成はできないほど、考え方の根本ではっきり反対である。」「もし書物が人間の魂の糧であるなら、それを自分で選ぶぐらいの識見はぜひ持ってもらいたい。これをお食べ、栄養になるよ、お役人に箸でつまんでもらって、あんぐりと、君、口を開けられますか。」とおっしゃっておられる。私はこれが今の世論だと思う。そういう一般的な国民の世論があり、良識のある人たちからは、今これをやるべきではないという意見があり、書協六十社の中で、私の知っておる範囲では、あるいはそれは二、三の方が抜けるかもしれないけれども、児童向けの図書の方は、やはりこういう点に立ってはこれに協力はしたくない、こういうふうなところへ来ておるこのときに、三百万円の予算があるんだからどうしてもこれは使わないと困るんだとか、乗りかかった船だからやらなければならぬだとか、そういうことでは困るのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。  そこで一つ大臣にお伺いをしたいのは、こういう非常に問題があることを、そしてほとんど協力がされなくて、私が最初に伺ったときに、大臣は、出版された図書の中で、全版にわたっていいものを選ぶためにこれをやりたいということを答弁しておられるわけですが、残念ながら今の実情から推していくと、全体の中のごく限られた部分からしか選ぶことができないという実情があるその中で、そういう一般の世論に逆行し、あるいは書籍出版社の人たちの協力を得られないままで、今後もそういう制度を強硬に推進されるのかどうか。ここは私今の文部行政のこういう問題について、もう少し識見を持って謙虚に考えてもらうべき時期ではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 この問題についてきわめて御熱心にお考えいただくことはまことにけっこうだと思います。文部省といたしましては、別にこの予算があるからどうしてもこの仕事をやらなければならぬというこだわった考えは持っていない。しかし従来の経緯から考えますると、いろいろの出版物がある中には、どうも青少年に読ましたくない、読んで好ましくないと思われる書物も見受けられることは、一般の人々の口の端にも上っておることである。そういうことから、私どもの方へ、検定書を出したらいいではないかということで申請してくる者も相当あった。それが、図書出版協会といいますか、そういう方面その他から、検定ということは現在行き過ぎじゃないかということもあり、そこでまた相談の結果、推薦ということにしたらどうかということであったのです。これもまたなおいけないということで、ついに単に目録を出した。これには別に、これを読みなさいという積極的な主張は、推薦とか検定とかいうものほどない。お話のように、民間にも図書に対してのいろいろの団体があって、そういう方面でも推薦するものは推薦するし、新聞の中でも、図書の紹介などで推薦的のものもあるし、文部省がそんなことをするのはよけいなことである、こういう意見もあるわけでございますが、この問題については当初から業界の人々と相談して、文部省側としては外の意見をいれて、だんだんとその主張が後退してきておる。その意味で、文部省としてはそうこだわった考えはないということを申し上げられると思うのであります。外でもこの問題について書物の推薦や目録もあることであるから、文部省は全然放任しておいたらよろしい、こういう意見もあると思いますけれども、しかし文部省としても、それぞれ専門の各科目についての調査官もおり、また審議会もあることであるし、慎重に検討して目録を出すということはさして非難されることではなかろう、これは文部省の一つの参考である。しかしこれに載った書物は全部売れるからというので同調してくる業者が多いというふうに私は考えられないし、一つの参考として出すという程度でありますならば、何ら差しつかえないのみならず、参考にはなる、かように考えておるのでありまして、世間でやかましく言われるほど文部省の出したものに権威があるとすればまことにけっこうでありまして、そこまで私は考えておらない。けれども外でも出しておる、文部省でも文部省として出すことはそれほど反対すべきものではない、かような考え方を私は持っておるわけで、あなたの公正な、そして非常に潔癖なお考えに対して敬意を表しつつ私の考えを申し上げる次第であります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大臣が、文部省が出してもいいじゃないかとおっしゃることは、これは大臣のお考えとして私はあってもいいと思いますが、非常な反対があって、出版社のほとんどのものが協力していないこの時点に立って、なおまた千二百冊も出ておる中で選択すべき範囲というものが百冊ぐらいしかなくて、あとの千百冊は選択できない。そういうごく小部分の中だけで選択をして目録に載せて、これだけが文部省として選択したものだということは私は現実の問題として疑問があると思う。だから、考え方としては私と大臣の間に見解の相違があっても差しつかえありませんが、そういう非常な抵抗があり、現実に目録として不十分なものができる。これは分科会の会長さんも、第一集不十分だと言っております。今後とも不十分なものが次々出てくることは目録を作る趣旨に反するのじゃないか、こう考える。そこでそういう時点では、そういうものは少し見合わせたらどうかということが行政庁としては当然あるべきじゃないかと考えますが、それについては大臣どうでしょうか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 百冊では範囲が少ないというふうにお考えでありますが、ごく少数でもいいじゃないか、またもっと推薦したい、目録に載せたいものがあるならばよけい載せてもいい、またいい本ばかりであるならば目録に載せる必要はない、かように考えます。反対が非常に強いからといって、文部省の考え方を全然なくしてしまうというふうにいつの場合でもやるべきものではない、文部省は文部省の見るところによって、これはよろしいということはやってよかろうと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 おっしゃるように反対があったら何でもやめろということは私は言いません。しかしたとえば大新聞というものはやはり世論を代表している機関だと思う。そういうものがそろって望ましくないと言い、さっき申し上げたような公正な意見を常に言っておられる池田さんのような方も望ましくないと言っておられることは、私は単なる一部の反対とは理解しない。ごく一部の反対については、私は大臣のおっしゃるような考え方も成り立つかと思いますが、非常に広範囲なそういう問題については、行政者の側として謙虚によってきたところを考えていただくだけの考慮は払われてしかるべきではないか、そういうふうに私は考えるのです。そこで、文部省がお出しになるものは、常識的に見て、国民の費用を使っての仕事なのだから、いいものを出すということは当然だ。今おっしゃるように、千二百冊出ている中で、選択は百冊の中あるいは六十冊の中に限られて、その中だけでも、それの十冊か二十冊選んで、これだけはどうしてもやるのだというようなことにとうとい国民の税金が使われるということについては、これは穏当を欠くのじゃないか。千二百冊の本があるならば、この中で公平に選べるような段階に至ってから、それから問題を処理してもいいと思う。今これをしなければ国がどうなるこうなるという問題ではないと思う。その点について、今のような反対があっても、おれたちはやるのだというような御答弁では、はなはだ遺憾だと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 私は世論、特に良識ある人々の意見を聞くということは常に心がけておるつもりであります。なぜならば、世間一般の良識ある人々の意見の結集はむしろ法律以上に強いものである、広く国民一般の良識というものは最も尊重すべきものである、という考え方を常に持って、努めてその良識をバックとして事を進めていかなければならぬという心がまえを持っておるわけであります。今おっしゃいますように、できるだけ出ておる書物の広範囲の中から良書を慎重に選定していかなければならぬというお考えはもっともであると私は思います。まずあなたの御質問に対する私の答弁としては、それだけのことを申し上げておきたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 最後にもう一つ伺っておきたいことは、ではこの時点でも次々とどうしてもやるのかどうか。私はしばらくあなた方の方でこの問題についても考えてみたらどうかと思うのです。それは、それだけの余地がどうしてもないほどの、今すぐ、十二月に第二集を出さなければならぬほどの差し迫られた問題じゃないと私は思うのです。だからその点もうちょっとあなた方の方でそういう考え方を、取りやめるかやめないかについては、これはまた問題は別個です、相当反対のある中で、十二月も出します、三月にも出しますというようなことをやること自体、問題をますます混乱させるのではないか、そういうことはもう少し検討してみる余地があるのではないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 私はこの問題について最近の事情をつまびらかにしておりません。最近の報告は受けておりません。従って最近どういう事情になっておるかということをよく知りません。しかし今申し上げた通り、この目録を出して、予定した通り何でもかんでもしゃにむにやっていくのだ、どんな反対があっても、またそのやった結果がいかに悪かろうとやっていくのだ、そんな考えは持っておりません。そういうふうにこだわってはおりません。結果が悪い、またいろいろ各方面の反対もますますその悪い結果を指摘して、そうして要請される場合には、それは考えてもよろしい、かように考えております。

加藤精三自由民主党

○加藤委員 関連して、ただいま文部大臣から非常に政治家として穏当な御答弁をせられまして、その点は敬服をするわけですけれども、実は私、地方行政の方でこのごろ不良青少年なんかの問題を研究しているのでございますが、最近の傾向を申し上げますと、全国にわたって満十五才の青少年の犯罪が軒並みに上がって参りまして、この情勢はまことにどうも驚くべきことだ。これは六・三新教育を完了した子供が大体十五、六才になるわけです。これはいろいろ説があるのです。こういうところで申し上げるのはどうかと思いますが、女子少年の月経初潮が非常に早まりつつあるというようなことも一つの因子じゃないかというようなことまで、われら不良青少年の補導の小委員会ではいろいろ研究しているわけです。しかしながら最近の不良文化財のはんらんということについて、われわれ国会議員は国民の中のお母さんの心持を心としてやらなければならぬ。そういうような意味から、この不良文化財のはんらんを何とか処理するためには、たとい一歩でも前進しなければいかぬというのが国会議員としてはまじめな考え方だと思うのです。手続上少しあげ足をとらるべき欠陥や誤字や脱字があるからということで、そういうようなことを気にして、それをやめたらいいだろうというような、そういう枝葉末節の議論でないと思うんです。心配するのは当然なんです。不良文化財のはんらんに対して、西ドイツは青少年指導十カ年計画というやつをつとに終戦後作りまして、そうして映画の観覧等につきましても、年令を三段階に分かって、青少年に対して見せてほしくない映画は厳重にこれを取り締まっているのです。そういうふうなところに西ドイツの強みがあるのです。世界的に西ドイツが最も今強力な国家に上がりつつあるという原因があるのです。(「質問々々」と呼ぶ者あり)質問の一部だ。あわてないでよく聞いて下さい。しかるがゆえに、これをいろいろにけちをつけて、政府がその行政権の発動で当然やるべきことを一歩前進でもいいからやろうという場合に、それに協力するのは国会議員として当然だと思うのです。日本全国のお母さんがいかに不良文化財のはんらんに対して、不良映画のはんらんに対して心配しているかということは、私は政府におかれましてもお考え下さるのが当然だと思う。そういうことに対するやむにやまれない一つの努力として、そのアプローチとして図書目録の作成というようなこともお考えになったのだろうと思う。初心忘るべからずですから、そういう点につきましてますます勇気をおこして、あらゆる困難を克服しまして、しかもできるだけ文部大臣のような方向で引き続き努力していただくことが穏当だと思うのでございますが、これに対して文部大臣の御見解をお聞きしたいのであります。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 御趣旨よく尊重してやって参ります。

大平正芳自由民主党

○大平委員長 大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は専従制限の問題と他の二、三の問題について文部大臣あるいは関係者にお尋ねしたいと思います。  その最初に、けさの新聞を見てみますと、記者会見で文部大臣は二つの要点にしぼった問題について言明になっておる。第一は、ILO第八十七号条約を批准した場合に、公務員に適用すべきかどうかという政府の方針はきまっていない、岐阜県の専従制限の条例はこの条約に抵触しない、こういう見出しがあるわけですが、そのことは、先般の衆議院の文教委員会におきまして、横路委員あるいは堀委員、私の方から御質問いたしましたことに対しまして文部大臣が御答弁になりました。その答弁とは違った見解を表明されていると思うのです。せっかく権威ある国会において、私はいろいろと政府の責任者に審議権に基づいて御質問申し上げているのです。そういうことについて、数日を出ないうちに勝手に政府のそういう考え方というものがぐらぐら動くということは大体どういうことなんですか。文部大臣としてその点明確にお話し願いたいと思います。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 従来から私どもは専従の問題については政府としてよく検討して参りたい、これをILO八十七号を批准するに先立って、各省間においてそれぞれの法令、それぞれの条例等についても十分に検討して、政府としてこの八十七号の批准に際して、意見の調整を待ってその上で批准すべきである、かようにお答えして参ったわけでございます。従って、短期間に政府の方針が変わっていくということはないと思うわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 逐次御質問いたしますけれども、たとえば大臣、こういう点です。私はこの前一回出ただけですけれども、大臣は非常にリベラリストとして尊敬しているのです。しかし、きょうの新聞を見てみますと、まことに意外でありまして、たとえば、ILOの八十七号批准の問題は閣議でも決定しているし、それから労政局長なり労働大臣が見えましたら、新しい資料を出しますが、当然来年にかけて日本は八十七号を批准する、そういう立場にあってILOの機関においても表明いたしておるのです。その問題があるから、専従条例等の問題で、労働基本権に関する問題、給与、勤務条件等に関する問題の基本的な問題については慎重に処置すべきじゃないかということを、最低限度レベルを下げて御質問いたしました。そうしたら文部大臣は、それは慎重にやらなければいけないし、岐阜県のような独走もいけないから、そういう情勢について、憲法、法律、条例、そういう関係もあるんだから慎重に配慮するようにという方針で指導助言を各県にする、こういうふうに言われた。そのことは裏返してみると、専従制限ということは、ILOの条約と関連があるという前提を承認なすって、そういう措置をされ、また答弁されている。そういう議事録については、けさも確かめてみたが間違いない。そういう点から考えてみまして、文部大臣がきょうの記者会見で発表されたことはおかしいんじゃないですか。文部大臣、どうですか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 私が従来答弁してきたことに、そうした大きなそごはないつもりであります。ILO条約を批准するという閣議の決定ということも、その通りではない。いずれILO条約は批准すべき方向にあるということは、私が文部大臣に就任する前、二月二十日でありましたかにそういう申し合わせがあったということは承知いたしております。また今お話にありましたように、言葉の端はちょっとしたことでも違ってくるのでありますが、私は今あなたのおっしゃるように、岐阜県の独走はよくないというようなことを申し上げたことはありません。

大原亨日本社会党

○大原委員 他の府県に対する問題はどうですか。どういう措置をとったか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 他の府県に対して私は、各府県がそれぞれ府県の自主性に基づいてやることに対しては、文部省としてはとやこう言う節ではない……。

大原亨日本社会党

○大原委員 ないが、どうですか、その次を言って下さい。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 ないが……、よくわかりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 ないが、自主性に基づいて決定したものであると思うが、文部大臣の指導助言の権限に基づいて、国際問題でもあるので慎重に配慮するように措置をする、こういうことを言われたのです。私速記録を調べたんだけれども、委員長そうでしょう。委員長もうなづいている。だから文部大臣その点が……。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 あなたのおっしゃるように言うていないと思います。そういうことは言うていないと思います。また今ここで申し上げますが、教育の問題、専従の問題について、各府県において自主的にやられることに対して、文部省はそれはいけないとかそうせよというて指示したことはないというふうに私は答弁していると思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 委員会として自主的にきめることは当然であるけれども、文部大臣の指導助言に基づいて慎重にやるように措置をする、こういうことは指導助言との関係において今までは猛烈に指導助言している、あらゆる実質上の問題についてはやるということを言われたのだから、これは委員長の方で答弁の終わるまでに速記録を取り寄せて下さい。  それから、これは新聞見解とも関係がありますが、横路委員の質問に対しまして、自民党の七役会議において、岐阜の専従制限の条例については異議がないので、督励するというふうな新聞ニュースがありましたそのことに対して、リベラリストである文部大臣は、これは一々確かめてみたけれども、文部大臣を出し抜いてそういう決定がなされておる、そうしてそういう政党の不当な待遇がなされるということはいろいろと混乱するので、その点については確かめたし、そういう事実はないというふうに御発言になったのです。その後の新聞を見てみますと、また七役会議で、現地の知事が参りましたときにそのことを確認して、あたかも督励しているというふうな印象を与えております。私は文部大臣の御答弁の御趣旨と、文部行政の最高責任者のこういう御答弁と趣旨が違うと思うのですが、それに対するその間の事情あるいは御見解を簡単に一つ……。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 私はこの前にも申し上げた通りに、七役会議で岐阜県条例はけっこうであるから、これを全国に推進するように決定したということを新聞記者から聞きましたので、そういうことがあったのか、七役会議でこれを大いに全国的に推進するのだという決定を見たのかということを聞きましたら、そういうことはないということであったので、その旨を報告したわけであります。またその際にILO条約の批准の問題もあるのであるから、こういう問題を決定するときには私も出席したいから、私の意見も聞いてもらいたいということを申し添えたわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 ではきのうかおとといの七役会議の決定というのは、文部大臣の意向が入っているのですか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 これも私は確かめましたが、岐阜県の知事の意向を聞いたという、それにとどまっておるということであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは逐次質問申し上げますが、私先般岐阜県へ参りまして、いろいろと事情を聞きました。責任者がいなかったのですが、責任者でない人がおられましてかえって真相がよくわかりました。私は簡単に質問いたしますから一つ簡潔に御答弁願いたいと思う。  この二十八日に御承知のように岐阜県におきましては教育委員会を開いて、知事側が提案いたしました専従者の給与や勤務条件についての条例について決定を与えた、こういうふうになっておりますね。これは文部省や自治庁が統一的にいろいろと全国に条例や委員会の規則のひな型を出して、岐阜県におきましてもそういう委員会の規則等に基づきましてやっております。そういう招集の手続に違反した会議を開いている、こういうふうに私は思うのですが、この点につきましては、文部省の方は衆参両院における質疑を通じていろいろと調査をすることになっておりますが、その疑義のある点については教育委員会の方が明らかにされておりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 明らかにされております。

大原亨日本社会党

○大原委員 教育長が教育委員会に出席をしていない、こういう点がございますが、これも間違いありませんね。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 間違いありません。

大原亨日本社会党

○大原委員 教育行政の組織と運営に関する法第十七条に、教育長はあらゆる会議に出席いたしまして助言をする、こういう教育長の職務と権限について規定してあります。つまり教育委員会はしろうとの教育委員が立法の趣旨からいいますと集まっておる。専門家であり、教育委員会の事務局のうち責任者である教育長は補佐機関であります。これは一事務員とは違うわけです。教育長は常にそういう問題について協議には参画することが当然である。ましてやこの提案の趣旨の中には種牛をつける手当とかあるいは死体を運搬する手当とか、そういう問題とごちゃごちゃになっているわけだから、いろいろ問題はあるだろうと思うけれども、ごちゃごちゃにしてこういう重大問題を処理するのはけしからぬと思うけれども、そういう重大な専従の制限のある問題について教育長が出席をしない教育委員会は無効じゃないか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 教育長がやむを得ざる事情で出席できない場合もあり得ると思うのです。もちろん御指摘のように、法律によっては、教育長は教育委員会のあらゆる会議に出席し助言を与える建前になっておりますが、病気であるとかその他やむを得ざる事情がある場合もあるわけです。本件の場合はちょうど岐阜県の議会が開かれておりまして、本会議において社会党の議員から御質問が出ておった。急遽教育長はそちらの方に行かなければならぬので、委員長にあらかじめ議題についての教育長の見解を述べて、委員長の許可を得て議会の方に回ったのでございます。ですから事情やむを得ないものと私どもは考えておるのでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 教育長があらゆる会議に出席して助言をするというのは現実に会議に出席することを言うのです。そのことを言っているのです。会議の構成要件としてもしあなたの言うようなことが許されたら、どんなにでもこの法律、規則というものは無視できますよ。そういうことは法の趣旨の逸脱じゃないですか。特に重要な問題についていろいろな意見があり、討論を通じてその結論を出す。結論を出すときに教育長がいない。そういうことはないでしょう。特に委員会の規則を見てみますると、教育委員会の総務課長は会議の事務を扱うことになっております。岐阜県の教育委員会事務局の処理規定の中には、総務課における職務といたしまして、教育委員会の会議、こういうことが書いてある。総務課長も教育長にかわって出席もしていない。総務課長はこの会議の招集を知らなかった。出席をしたのは秘書である稲葉君である。そういうように課長も教育長もだれも、教育長にかわるべき責任とか、あるいはそういう人は一人も出ていない。そういうところでやにわに決定をする。こういう前例を残してもいいのですか、これはどうなんですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 必ずしも私ども適切とは思っておりません。しかし事情やむを得ざる場合は、委員会が議決機関であって、教育長はあくまでも助言をする補佐の機関でありますので、委員会に教育長が出席できないからといって委員会の決定が今お話のような無効とか何とかいう問題にはならないと考えております。  それから議事の取り運びについて、会議の招集の具体的なことを総務課長がやることが建前になっておるかもしれませんが、委員会は委員長が招集するのが原則でありますから、委員長が部下であるところの総務課長にさせる場合もあるし、委員長みずからが会議を招集することもあると思うのです。ですからこれとても何か手続に瑕疵があるというふうには考えておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは教育行政の組織運営に関する第十七条というものは、重要事項について教育委員会が判断すれば、教育長を排除してどうにでもきめてもいいということになるのですね。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 私はそういうことを申し上げておるのではないのでありまして、今お話の十七条の規定にあるように、教育長はあらゆる教育委員会の会議に出席し、助言をすることが建前になっておりますので、これが原則でございます。しかし教育長だって病気をすることもあるだろし、あるいは今もお話のように議会に招集されたというような場合は、やむを得ない事情ではないか。しかしその場合に教育長が意見を述べないのではなく、意見はあらかじめ委員長に自分の専従問題についての意見を述べて委員長の許可を得て議会に出席したのでありまして、これは私万やむを得ざる事情だと思うのでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 いわゆる専門的に補佐する事務局が一人もいないところで議決できるのですか。討議をして議決ができるのですか。教育長の意見も全然記録に載っていない。委員長の発言にもない。委員長の発言はありませんよ。教育長の方からこういう発言がございましたけれども、この点を参考にして御審議を願いますとか、そういうことは一切ありませんよ。ただ一行ほど、やむを得ないものと認めて賛成、こういうふうに書いてある。秘書は何も権限がないのでありますから、そういうことができるのですか、そういうことはやればいい、そういう例は認めておるというのですか。あなたは教育委員会とか文部行政を今まで実質的に扱ってきておられるのですが、それはいいと考えておるのですか。  もう一つこれに加えて質問申し上げたい点は、県議会へ出ておるということでなしに、あなた岐阜県に出られて、あなたと一緒に教育長はおった。こういうことを時間的に私は資料を持っておるのですが、その点はいかがですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 先ほど来私が申し上げておるように、そういうことは異例だ、異例だけれどもやむを得ざる事情があった場合は仕方がない、こういう意味であります。  それから私と教育長が一緒におったということは、時間的には私が岐阜県の教育委員長と教育長、これは市町村関係です。それから町村長と町村会の議長、この方々が約三百名ぐらい、お集まりを願って、そこで教育行政の諸問題についてということでお話をしてくれということでございましたので、私はちょうどその会場へかけ込んだのが一時の約束でございましたけれども、第一こだまで参りましたので、一時十分ごろだと記憶しております。その間に教育長は二分程度私の紹介をされて、急速議会の方へ行かれました。私は何らそこで教育長とお話をするような時間的余裕もなければ、機会もなかったのであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 時間的な問題については、あとでもう少し明確にいたします。  あなたは、県議会の招集を受けた、こういうことであるけれども、教育委員会の招集時間中にあなたと同席されておった、それは緊急性があるかどうか知らぬけれども、この点については別問題といたしまして、私は別に資料を出してお尋ねいたします。  もう一つ、教育委員の招集の場所なんですけれども、委員会の規則によりますと、会議室ということになっておるのです。教育委員会規則の第一条を見ますと、招集する場所をきめてあるのだけれども、これは会議室となっておる。ところが会議室ではないのです。公共の建造物でもないのです。一民間の事務所です。そこで会議をしておるのです。これは公開の原則とかあるいは責任ある議決をするということから当然委員会規則に違反している。この規則に違反した招集の仕方を委員長が勝手にできるということはあるのですか。  もう一つつけ加えておきたいことは、教育委員のうち一名は旅行で欠席いたしておりますけれども、招集の手続はちゃんとできておりますか。教育委員会の規則にはちゃんと招集の場所を明示して、そうしてやることになっている。教育委員会は議決執行機関であって、特殊な問題を持っているけれども、しかし民主的に運営する原則はある。そのために知事部局よりも別の合議性のものができておる、こういうことから秘密会にするかどうかは別といたしまして、私は会議の場所が適当ではないと思いますが、文部省は、こういう重大な問題でもありますし、指導助言をする、そういう建前からいって、適当であるかどうか、こういう点についてお尋ねいたします。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 会議をする場所はどこであっても差しつかえないと思います。ですから会議ができるような場所であればいいわけであります。臨時に変更される場合もあるでしょうから、場所がどうこうでなければならぬという規則はないと思います。それから招集の手続は、二十七日の日に委員長がみずから電話をかけて、各委員に議題を示したのです。その議題は専従休暇の取り扱いを含む給与条例について御相談したい、こういうことで委員長が全部の委員に御連絡をしてお集まりいただいた、それからそのときに武藤委員は上京して欠席でございました。そのとき武藤委員にもそういう連絡を十分とって、武藤委員のお考えも承っておる、こういうことでありました。

大原亨日本社会党

○大原委員 もう一つだけつけ加えておきますが、どこで会議を開いてもよろしいのですね。委員会規則の第一条にはちゃんと会議室に参集しなければならないとあるのです。これは文部省が全国に一定のひな型を示して当時から指導された原文だということです。そういたしますと、当然会議室で開く方がいいでしょう。委員長が電話をかけて教育委員を集めて、教育長も総務課長も各課長もいないところのどこかで、たとえば温泉場でふろの中で開いてもいいのですか。タオルを頭の上にやって、そうして開いてやってもいいのですか。そんなものですか。あなたは原則に基づいて指導すべきだと思うけれども、そんなことでやるからますます地元だって疑惑を生んで、そうして反発を受けて、教育行政に対する信頼は失墜しているのです。だからその問題をたださないで、そうして専従を制限するとか何とかやるのは本末転倒です。これは文部大臣の御見解を聞けばわかるけれども、本末転倒です。その原則を守ることがあなたの立場でしょう。そういう点についてあなたの見解を明確にしてもらいたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 ですから、会議をする場所なんだから、会議をする場所に招集するのはあたりまえでございます。しかし事情によっては会議をする場所をどこかへお変えになることもあり得るわけであります。そのときはそのときの判断に基づかざるを得ないわけであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 関連。今事情によってと言われましたが、この条例を早々にきめるについて、そういう特殊な事情のもとにきめられたというような意味に今の御答弁がとれるわけですが、きわめて重要な問題であるだけに、今大原君が指摘されるように、私も現地に行って事情を承りましたが、聞けば聞くほど全く教育行政というものはこういう姿で一体いいのかという疑問を持たざるを得ないのであります。何か場所にしても、招集の手続きにしても、教育委員会のそれぞれ主要な人たちが、当日の提案について何らこれを関知していなかったとわれわれに言っているのです。そのことではたして事実かどうかは、これはあなた方が事情調査をされてから承ってみたいと思いますが、早々に場所を変えるとか、いわゆる法律、条例あるいは規則に定められた正当なる手続をもってできないような、そういう特殊な事情が一体この場合にあったのですか。あなたはそれを現地からどういうふうに聞かれておりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 できるだけ混乱の起きないように配意されたものと思っております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 できるだけ混乱が起きないようにといったって、この種の問題は事前にだれも関知しないし、またそういう混乱が予知されるような状態でもないし、当の教育委員会がどこでやるということも知らぬ、またこれに関連する組合の方だってこの問題について何ら知らなかった。そういう場合に混乱を予知するというようなことは、単なる口実にすぎぬ。むしろこれを表に出して堂々の論議をかわせば、必ず問題になって提案ができないから、抜き打ち的にやろうという考え方に基づいてやった以外の何ものでもない。先ほど大臣から言われたが、地方の教育行政が、教育委員会の自主性によってやられるならば、これはやむを得ない。一般的な原則からいってこれは当然だ。しかしその教育委員会が自主的に、しかも正しくルールに乗ってやっているという状態でない。こういうものをもって、これが例外であってやむを得ないと言われることは、例外をもって教育行政のあり方が正しいのだ、例外ということで、教育委員会のいわゆる地方における自主性がそこなわれてもやむを得ない。こういう議論を今あなた方はされていると思う。そういうことなら大原君が言われるごとく、幾ら法律なり規則なり教育行政の自主性をうたったところで、これは例外だからということで、たえずその例外的な——いわゆる三百代言的な言葉によって抜き打ちに、また正しくないことがどんどん行なわれるということを文部省みずからが認めていることだ。それであるならば教育行政の自主性とか、あるいはルールに乗った正しい運営とか、そういうことは望むべくもないと私は考える。一体大臣はそういうやり方について、はたして文部省がそれを弁護するだけの価値があるかどうか、この点について答弁を承りたい。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 原則は原則としてやられることは望ましいのでありまするが、ときに異例のあることはやむを得ない。それは本質的な問題に差しさわりのない限りにおいては差しつかえないことと考えております。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 関連ですから簡単に終わりますが、私が現地で聞いた範囲によると、教育長も、それから教育委員会の中で仕事を担当しておる課長も全然議会において提案されるということを知らぬ、はっきり知らないと言っておる。そういうことであなたは一般的に教育委員会が自主的な立場でやったことについては、これはやむを得ないと言われているのですけれども、教育委員会すら知らないことが行なわれる。それが教育行政の中の重要な問題であるということにおいて、その決定されたことが教育委員会の自主性のある行政だというふうにどうしてこれは判断できるのですか。その点について私は不敏にして了解に苦しむのであります。教育委員会が知らないで、知事だけが知っておられる、あるいは知事部局は知っておったかもしれない。そうして提案をされる、あとでそのことを聞いて教育委員会が答弁に困っておる、そういうことが教育行政の自主性ですか。この点について私は承っておきたい。自主性とは、これは従来法律が改正されるまでの教育委員会法には、明らかに、少なくとも教育行政に関しては教育委員会が最終的な判断を下して、そうして議会に提案すべきものは教育委員会の意思に基づいて提案をしておる。しかし岐阜県に関する限りは、少なくとも教育委員会は事前にこれを知らなかった、それが自主性ですか、どうですか。文部省が強調する自主性とはそんなものですか、私はこれについて聞いておきたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 事実の問題に相違がありますので私から先に答弁さしていただきます。  教育委員会はこの専従問題についてかねてから検討を進めておったわけでございまして、教育長協議会や全国の委員長協議会からも御要望の線が出ておったから、当然知っておったし、いろいろ検討も進めておった。ただいつ提案するかということについては、これは岐阜県教育委員会側もわからなかった。で、当日二十八日午前十一時に知事部局からこの議案について意見を求められた。本件の議案は教育行政だけではございませんので、先ほどもお話がありましたように、専従制限の問題は地方公務員全部の問題でもありますし、またその他の給与条例全般が委員会所管でもございませんので、知事の方が便宜提案した。そこで知事は十時に意見を聞いて参りまして、その後教育委員会としては午後の一時から大体午後の二時ごろまで約一時間の間慎重に討議をいたしたその結果、先ほど大原委員からお話のように、やむを得ないものと認めてこれを了承した、こういうことで知事部局に連絡をしたわけでございまして、このときに知事側から話がありましたのは、提案の時期については知事に一任してほしい、当日まだ知事の腹は固まってなく、十一月にするかあるいは三月にするか、その点も固まっていなかったようでございまして、もし提案できなかったような場合には、このことはなきものと考慮してほしいという条件付で委員会に内容についての審議をゆだねられた。だから内容についての審議は教育委員会としてはやむを得ざるものとして了承した、こういうことでございまして、ただ知事の説明によりますと、当日二十八日の一部夕刊紙上に専従制限の条例が三月に提案される、こういうことが報道されたので、これでは、三月になったら大へんな混乱が起きるだろう、そこで急拠十一月県議会に提案することにきめた、こういうふうにいっておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 今の話でも私は明確だと思うのですが、大原君が詳細にわたってその当時の経過を指摘されたように、あなたは今十一時に知事部局から教育委員会に諮問があった、その以前に教育委員会が、全国的に教育長協議会の一つの試案なるものを出して、また要求を出して、これが問題化しておるという点から検討を進めておったということは、これは私も現地で聞いた。ところが当日は、あなたが今お話になったように、一時に着かれた、そして当の担当者の課長はあなたの迎えに行かれてあなたとかなり時間を、行をともにされた、その留守の間に知事がどなたと連絡をされたかわからぬけれども、事実上担当者もいない、教育長もいないその会合の中で、慎重審議とおっしゃっておりますけれども、これは十分われわれとしては正常な委員会の運営の姿において教育委員会が知事部局の諮問を受けて検討したとは判断できない。今あなたのお話を聞いているとその通りだ、だんだん私どもは当日そういう諮問があり、あるいはそういうことについて提案をされるというようなことを、少なくとも当事者であり、責任者である教育長なり、あるいは担当者である課長なりがそれを知らぬというばかなことが常識的にあるはずがないじゃないですか。しかし全然知らなかったのです、こういうことなんです。だから場所が別のところでもやれ、手続について若干の疎漏があっても適格性だと言われるけれども、全体としてこれを判断した場合に、およそ教育行政の独立云々ということを言わずとも、普通に、重要なそれらの問題が、その当の責任者が当日全然知らないままに定められるというようなことが、これが少なくとも教育行政とか、あるいは地方行政とかいう重要な場で行われるということが、少なくともこれは常識外であるということは、これは何人も私はそう考えると思う。しかしそれをも押してあなたが慎重に審議された、あるいは手続において欠格性がなかった、こういうことを抗弁されておるから、私はあえて関連質問に立った。事実教育委員会はこれは知らなかった。しかも検討はしておるけれども、提案することについては、これは知事に一任するなんというばかなことも、私は教育行政の自主性という立場からもあり得るはずがない。提案するということは、提案してきまれば実施するという施行の責任は教育委員会にあるわけです。実施の経過についての管理監督は、これは教育委員会にある。その当事者が全然知らぬというばかなことがありますか。一体この点について大臣はどういうふうにお考えになりますか。これが教育の自主性なんですか。そういう例外なことを文部省が指導、助言しているのですか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 さきに全国の教育委員長会議並びに教育長会議があって、この専従の問題について協議し、そうして一つの決定を見た。それ以来やはりこの問題について各府県の教育委員会もいろいろ考えておったことであろうと思うのであります。岐阜県の場合、今度の条例の改正についてどういう手続でどういう疎漏があったかどうかということについて、私は事情をそうつまびらかにいたしておりません。しかし県議会、知事並びに教育委員会がこの問題について条例を決定するときに、そうした本質的な問題について違法的な措置によってこういう問題を議するはずはない、かように私は考えておるのであります。そういうことはない、適法な処置をもってやったものと私は考えておる次第であります。

大平正芳自由民主党

○大平委員長 加藤精三君。

大原亨日本社会党

○大原委員 今、質問中です。私が一応終わってから、あなたが関連で……。

大平正芳自由民主党

○大平委員長 辻原君がやったから……。     〔「関連々々」と呼びその他発言する者あり〕

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 私の発言に関しまして、不穏な気勢を示して委員長に文句を言うというようなことは、われらの光輝ある文教委員会の建前を御存じでないかもしれませんけれども、だんだんそういうわれらの光輝ある文教委員会の慣習を新しくお入りになった委員さんは熟知せられることをお願いしたい。大体われらは議事規則や法律に従ってわれらの大切な審議権を行使すべきものと考えるのでございますが、また理事会の決定に従って時刻等もそれぞれ配分しまして審議を進めるのが穏当だと考えておるのであります。しかるところ、本件議事は岐阜県の給与条例の議決の適法性等に関連して非常に審議に花が咲きまして、しかしながらこれは一地方の問題で、これを掲げ上げるならば、全国の市町村の教育委員会とか、府県の教育委員会とか、もうほとんど枚挙にいとまないほどの問題があると思うのです。実際教育委員会の審議の席上にデモで押しかけたり、教育委員の自宅にいろいろ制肘を加えたり、教育委員長をノイローゼにしたり、そういうような非合法的なやり方は、わが国の教員組合におきましても非常に多く行なわれておることでございまして、これに対しましていろいろ措置を考究しますことも、またこれは当然であります。そうした地方々々の実情を一々この国会の議場に持ってくるということは、これはもう慣例じゃないと思う。(発言する者あり)それから私は非常にジェントルマンシップを守って、委員の発言中は不規則発言はしないことにしている。(発言する者あり)発言が終わって、答弁が終わって、しかる後に不規則発言をすることにしている。委員長におかれましても、ことに辻原氏のごとき、他人の発言中に不規則発言をするようなことは好ましくないことでございますので、そういうことは委員長の権限において厳重に取り締まっていただきたいのであります。  なお問題は、地方議会、府県議会の議決の効力の問題等は、これは地方行政委員会でその有効、無効、違法等を決定すべき問題であります。大体その所管が違うのであります。それからその地方行政といえども、個々の市町村議会とか府県議会の議決がいいとか悪いとかいうことは、そういうことを審議したら切りがないことです。そういう点から見ますと、本件、岐阜県の県条例、給与条例の議決の有効、無効等については、これはこの委員会が審議すべき事項かどうかということは、この委員会自体がきめますけれども、そういうことについて議決の有効、無効は文部省所管であるか、自治庁所管であるか、そういうことはわかって政府委員は答弁しておられると思うのでありますが、これは所管をどういうふうに考えるのか、政府委員に聞きたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 岐阜県の条例の問題につきまして、条例が有効か無効かという今のお尋ねでございますが、この所管につきましては自治庁の所管だと考えております。     〔発言する者あり〕

加藤精三自由民主党

○加藤(精)委員 関連質問は二回までいいのだ。所管外のことについては、政府委員は答弁の委託を受けていないと私は思う。それから大体委員会が地方問題一つ一つを取り上げるというならば、全国の教員組合がいかに各教育委員会に対して圧迫を加えておるか、委員個人個人に圧迫を加えておるか、そういうことについてこそより優先的にわれわれは審議の対象にすべきだと思う。そういうことは絶対われわれはいたさないことに自制しておるのであります。審議の時間も理事会決定の時間をはるかに超過しておりますので、理事会の決定に従いまして、この辺で審議を打ち切られんことを希望いたします。

大原亨日本社会党

○大原委員 今内藤局長の御答弁自体もおかしいと思う。県の議会のことはきょうは私は言っていない。県の知事が条例を提案をする際に、教育委員会の意見を徴する、そのことについて言っているんじゃないか。あなたはあまり勝手な答弁をされてはいけませんよ。そんなことをあなたは言うの。この前の文教委員会においては、この問題は国際問題にも関係があるし、他の公務員とも関係があるから、慎重にやるのだと、文部大臣は答弁で何回も言っているじゃないか。重大問題だから慎重にやるのだということを言っているじゃないか。それを所管外であるとかなんとか言うのは何だ。文部大臣、いかがですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 私は加藤さんの御質問にお答えしただけであって、本件の問題についてとやかく言っているのじゃございません。

大原亨日本社会党

○大原委員 文部大臣に、この問題についてきょう締めくくりますから、一つお尋ねしておきたいのですが、教育委員会の規則によりますと、会議を招集する際におきましては、ちゃんとあらかじめ委員に日程を通知して、場所を通知しなければならぬ、ただし緊急の場合はと。こういうようになっておるのです。いろいろ内藤局長の御答弁を聞きますと、来年三月とか十二月とかいろいろな問題もあるし、重要な問題でもあるし、審議の時間の関係もあるし、あとで特にいろいろと問題を出しますが、憲法とILOの問題もありますし、関係団体の意見を徴しないということは重大な問題ですが、そういう問題等もある問題を、こういう、場所も別な場所で、一民間の事務所で、そうして古い寺なんだ、そうして委員長けだがおってやる、そういうようなことは、私は教育委員会の立法の趣旨からいって、最後に緊急性の問題についても言ったけれども、そういう問題を含めて不当であると思うけれども、この点は私は、大臣は自主性を持ってこれに対する指導方針を——指導助言についてはこれは全国的な問題でもありますし、指導方針を明確にしてもらいたい。大臣、いかがですか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 手続上の細目の点については、私自身これをつまびらかにいたしません。しかしこの点につきましては、初中局長が直接に岐阜県から人を呼んで調べられたのでありまして、それに基づいて内藤局長から答弁されたことをもって御了承願いたい。しかし私は、岐阜県の今度の問題については、岐阜県として、岐阜県の教育委員長として、それぞれ適法にやったことであって、文部省としては、地方が自主的にやられることに対して、私はとやこう申し上げることは差し控えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 私はその問題は納得いたしません。この問題はあとで別の機会にもう一回やることを保留しておきまして、今までの議事録を全部調査いたしまして、その結果に基づいてやりますが、これは時間がかかりますので、その点については後に譲って先に進めます。これは記録にとどめるということが私の一つの大きな考え方でもあります。  もう一つ次に質問いたします。この条例の根拠は地公法二十四条六項に基づいたとこういうお話でございますけれどもこの点については文部省もそのことをお認めになり、あるいは妥当とお考えですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 妥当と考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 二十四条の六項は、条例で定めるという、形式ですね。地公法におきましては手続上の形式をきめておる条文なんです。他の府県におきましては、根拠法規——根拠とする憲法並びに法律はこれではないのです。そういうことから見ましても、これは通常の形ではないのです。アブノーマルです。その点いかがですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 二十四条六項は、実体的にきめる問題であって、単に形式と考えておりません。と申しますのは、勤務条件については、二十四条六項で、条例で定める、こう規定されておるのです。

大原亨日本社会党

○大原委員 今までのこれは、いわゆる給与や勤務条件、あるいは団結権や団体交渉権、こういう関係の問題があるわけです。今までの法律の体系からいえば、二十八条には、勤労者の権利を保障してあるのです。この中には教員は入っていますね。勤労者の中に……。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 一応入っていると考えております。     〔「入っていない」と呼ぶ者あり〕

大原亨日本社会党

○大原委員 入っているという御見解です。一応入っているとか二応入っているということはない。入っております。それで、それに基づいて地方公務員法三十五条、職務に専念する義務の除外例として、特例として専従の権利を認めておるのです。もう一つは地方公務員法五十二条職員団体の組織の条項に基づいて、百鬼夜行にならぬように交渉するための団体——一人々々が交渉する権利はあるのですけれども、それよりは秩序だって交渉するために五十二条の規定があるわけです。従ってそのために専従の制度の規定が別にあるわけです。そういう点から考えてみまして、憲法との関連において専従制限をする問題ですから、これはあなたが言われたように憲法の基本権と関係がある。ですからそれに関係した条項との関係において、この条例というものを組み立てていく。これが民主主義の法秩序を尊重する国家としては当然です。岐阜県だけが二十四条の六項において、そういう形式的な条例できめるという問題だけを取り上げて専従制限をやるということは不当であろうと思うが、文部大臣いかがですか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 不当とは考えておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 理由を言って下さい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 二十四条六項には「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。」とはっきり書いてありますから、この条例で定めることは適法であると思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 私が言っておるのは、専従制限というその問題のあるところに、給与や勤務条件やそれに関係する問題——専従の問題については、あなたが認めたように憲法を基礎にいたしまして、職務専念の義務から除外する例と、そしてこの組合運動という民主的な権利というものを秩序だって守って進めていくという趣旨から、五十二条あるいはそういう交渉事項をやっておる五十五条、そういうものに基づいてやるべきである、こういうふうに私の見解を言っておるのです。だからそれに反対な見解であればそれを明らかにしてもらいたい。私が言っておることについて賛成か反対か伺いたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 三十五条では法律または条例に別段の定めのない限りは、職員は職務に専念しなければならぬという一つの職務専念義務が書かれてある。ですからその条例を二十四条六項で勤務条件とみなして書いてある。もちろん専従休暇という制度自体が公務に支障ない限り、一日を単位に一年を限って許可することができるということですから、無制限に認めておるわけではない。専従休暇を許可する場合の限度をどこで押えるか、公務に支障がない限りということですから、あまり多くすると現場の教育力を少なくするし、年限が長くなることは公務に支障がある。かように考えて公務に支障のない限度という意味で、この条例できめたのであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 今の点、私が質問しましたのは、憲法と三十五条、五十二条の関係を言ったのです。条例というものは百鬼夜行的に思いつきにやるべきものじゃないのです。事務局もいないようなところで、教育長もいないようなところでやるべきものじゃない。ちゃんと各方面から検討して、これは重大問題ですから、この問題については慎重にやるべきなんです。そういう点で私の見解を言ったのでありますから、そういう点は専従制限の根拠法にもなると思うけれども、これはどうだということを言っておるのです。二十四条六項の方は法律を査定する形式上の問題を言っておるのであって、給与、勤務条件については条例で定めることができる、こうなっておる。これを唯一の根拠にしてやるということは、職員団体と交渉に関係することだから、基本権に関係することだからいけないのではないか。こういうことから私は私の見解を示して、あなたがどういう見解を持っておられるか、こういうことについて聞きたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 五十三条で御承知の通り職員団体を通じて職員の給与、勤務条件、その他の問題について職員の待遇の改善をはかっていくということは当然のことである。ですから五十二条の規定からいうと、職員団体の結成ということは望ましいことであるしまた必要なことであるとも思う。ただこの場合に問題になりますのは、あくまでも公務に支障があるかないかということ、専従の休暇制度というものをどうするかということです。ですからこの勤務条件の中に専従の数や年限というものは当然入ってくるだろう。ただ問題なのは国家公務員、地方公務員との関連でございます。国家公務員、地方公務員については先ほど来お話がありましたように、国家公務員二千五百人、地方公務員は千二百人に一人、年限も大体一、二年である。こういう点を考慮されて条例を作られた、こういうことでございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 総理府の公務員制度調査室長来ておりますね。——おられなければ職員局長にお尋ねしたいのですが、この前お尋ねしましたが、人事院規則の一五—三で、「職員団体の業務にもっぱら従事するための職員の休暇」について書いてあるわけです。これは私はほんとうは総理府の公務員制度調査室長がおいでになるというのでお聞きしたいと思ったのですが、おいでになっていないので残念ですが、これは地方公務員法の第三十五条の、今大原委員からお話がございました「職務に専念する義務」これと私は見合うものだと思うのです。これには「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」とあるので、地方公共団体は職務に専念する義務を、この第三十五条を受けてやっているわけです。だから私が言うのは、この人事院規則の一五—三というのは、国家公務員については人事院規則の一五—三である。地方公務員についてはこれは三十五条である、こういうように私は考えているのですが、職員局長どうでしょうか。

矢倉一郎人事院事務官(職員局長)

○矢倉説明員 実は地方公務員法の関係は私の所管でございませんので、国家公務員法の関係の一五—三の専従休暇というのは、つまり職員としては職務専念の義務はすべてかぶっておる。従って原則的には他の事由がない限りは、職務に専念しなければならない。専従休暇という職員団体の活動をするために専従職員を置くということで、これに対して専従職員については職務専念の義務をそれだけ免除しておるという形が出ておるわけでございまして、一面これは勤務条件であるという形がございますので、その間の給与支給等については、根拠法としては——給与を支給しないというそれに必要な根拠規定は別に設けられておる、その両面からきているというふうに考えていくいき方が国家公務員については存するというふうに考えております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 そうすると、総理府の公務員制度調査室長が来られませんから、全体についての関連についてはちょっと欠けるところがありますが、今の職員局長の答弁からすれば、やはり第三十五条の職務に専念する義務というものとの関連において、人事院規則の一五—三ではやはり同じ関連なんですね。しかし今職員局長のお話のようにかりに一歩譲って、給与を支給しないという点からいけば、これは地方公務員法の第二十四条との関連かもしれない、両方にまたがるのではないか、こういうお話であった。そこでもう一つ今あなたにお尋ねをしたいのだが、この二十四条の六のことを大原委員から言われているが、私はそうではなしに、二十四条の五、「職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当っては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」とあって、国の職員との間に均衡を失しないように適当な考慮を払わなければならない。これは地方公共団体の責任者に対する義務になっておる。そうすると人事院規則で、この間もこの委員会で私からあなたにお尋ねしたこの人事院規則の一五—三の2に、「休暇の期間は、一日を単位として、一年をこえない範囲内で定める。但し、休暇の期間が満了した場合には、所轄庁の長は、この規則の定めるところに従い、更に休暇を与えることができる。」これは一年ごとに更新することができるんだ、従って二年とか三年とか四年とかいう、いわゆる期限の定めはない、また人数についての定めもないということは、人事院総裁が答弁した通りですと、あなたもこの間答弁した。その点からいけば、三十四条の第五項のこれとの関連において明らかに均衡を失したわけだ、だからこの点はそういう点からいけば二十四条第五項において、地方公共団体は二十四条五項の違反行為です。この間、私は職員局長に、どうなんですかとお尋ねしたら、人事院総裁がたびたび言われているように、一年で限っているが、それの更新については何年とはきめてない、人数についても制限ございませんと、こう言っている。だからこの点はあなたは直接のあれじゃないからといって、三十五条も受けます、二十四条の第六項も受けます、こう言ったが、二十四条の第五項には明確に規定してある。職員局長、地方公務員のことについて言うのは、あなたの権限にないかもしれないけれども、しかしあなたは国家公務員について人事院規則の一五—三を受けてやっている。これは均衡を失しないという建前からいけば、国家公務員法の性質からいけば、そうなるでしょう。どうですか。

矢倉一郎人事院事務官(職員局長)

○矢倉説明員 これの問題につきましても、実は国家公務員に関連しての規定が一つの形として、今申し上げましたような人事院規則によって組合の専従機関あるいはその間における給与の問題等が規定されておるわけでございますが、それを受けた地方公務員法が地方公務員についての処置として今のような均衡の問題が出ておりますので、これは実は私の方の所管からいきますとはずれて参りますので、ただいまのところはお答えを申し上げかねます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 委員長、それではあとで総理府の公務員制度調査室長、その他自治庁関係の人々に出てもらって——かりに文部省側の内藤局長が今言うように第三十四条第六項だ、こうがんばってみても、第二十四条五項の違反行為だ、私はこの点は人事院規則一五—三で明らかだと思う。これはこの次まで質問を保留しておきます。

大原亨日本社会党

○大原委員 私はその点は、今の横路委員の御質問は省きましてやりますが、これは大切な点ですから、頭が痛いと思うけれども、一つ大臣に御答弁いただきたいと思うのですが、それは労働基本権に関する問題です。あとで論議いたしますが、国際的な問題なんです。だから私は今日までの経過を議事録にとどめるということについて重大な関心を持っているわけですが、労働基本権に関する問題は、法律にも憲法にもそういう規定をしてあるのですから、組合側の意見、労働団体の意見を聞かないで、こういう給与や勤務条件や専従制限に関する問題を決定をするということは、たとい公共の福祉の名前をかろうとも、これは不当である。法律の趣旨に不当である、こういうふうに考えますけれども、今までのそういう問題に対する総括として一つ文部大臣の御所信をお聞かせいただきたいと思います。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 ILO……

大原亨日本社会党

○大原委員 ILOのことではない。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 それではもう一度——私は頭が悪いものですから、どうも早口に仰せられることをちょっと捕捉しかねたのです。

大原亨日本社会党

○大原委員 こういうことです。簡単に言いますと、こういう労働基本権に関係する問題を一括していけば、そういう問題については、憲法からいっても、地公法からいっても、そういう国際的な常識からいっても、関係団体の意見を聞くのが、というのは、話し合いとか、交渉とかいう形で、この問題は論議されるということが条件だと思うのですけれども、いかがですか、こういうことです。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 私は必ずしも条件ではないと思います。しかし、なお正確を期するために政府委員をして答弁せしめます。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 もちろん、これは勤務条件でございますから、交渉の対象になるわけでございますけれども、法律なり条例はさらに優先するわけでありますから、条例を作る場合に意見を聞く必要は必ずしもないと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 それではILOの問題について一つ御質問いたしますが、文部大臣は、これはILOの八十七号の批准ということとも深い関係があるし、あるいは他の一般公務員についてもそういう立場に立って均衡のある措置をしていく、一つの統一ある方針をしていく、そういうふうに御答弁になった。そういう御見解、あるいはたびたびそういう意見を表明されておりますが、その見解、この新聞にもありますが、そういう見解については今日も変わらぬということですね。念を押すのがおかしいですけれども、ぐらぐら変わるから……。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 あなたが私の答弁をかくかくと断定せられておっしゃるようでありますけれども、そうした私の意見が違うということですが、異なった意見を申し上げておるということは考えておらぬ。間違っておらぬ。私の従来の答弁を、あなたはぐらぐらひっくり返っておるとおっしゃいますけれども、そういうことは私はないと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 そういう答弁ならその答弁に基づいて前の答弁の記録と比較すればいいのです。その点は一つ前に進みます。  それじゃ、ILOの八十七号の批准が教職員に対しまして適用になる、そういうふうな点については、なるとお考えですか、ならぬとお考えですか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 団結権の問題、そういうような点については、むろん関係あると思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは念のために聞きますが、内藤局長も文部大臣のもとで局長をしておるのですから、しばしば御答弁になったように、今の答弁に異議ございませんね。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 ILO条約の批准の基本方針についてはきまっておりますが、公務員について適用させるべきかどうかについては、政府部内でも異論がございますので、まだ政府としては決定しておりません。ただ、私どもは大臣と同じような見解を持っております。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今の点非常に大事な問題で、四日の日には文部大臣はこういう御答弁であったと思います。それは、ILO八十七号条約の精神からすれば、三公社五現業のみでなく、教職員を含む全公務員に適用するのが当然なんだ、こういうように大臣から御答弁があったと思う。この点は、大臣、それで差しつかえないわけですね。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 この点につきましては、私はそう思いますが、幾たびも今までお答えしておりますように、この専従の問題については、各省間においていろいろ調整する必要があるということを申しておるわけであります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今私が聞いたのは、私は二つにわけて聞きたいのです。最初に、私が先ほどお聞きしたのは、ILO八十七号条約の精神からすれば、三公社五現業でなくて、教職員を含めた全公務員にも適用するんだ、だから批准が来年の春あれば、当然それに従って教職員も含まれるのだ、これが大臣の考えであるという点についてはそうなんですね。この点を私は聞いておるのです。これは大臣からその点御答弁願います。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 私はそういうふうに考えております。しかし、繰り返して申しますが、批准までにはいろいろ政府部内と申しますか、関係各省の意見の調整をする必要がある、こういうことです。

横路節雄日本社会党

○横路委員 今の大臣の考えは、文部大臣としては方針は変わっていないということです。ただ各省間において意見の調整がまだ残っておるのだ、こういう意味です。  そこで大臣に伺いますが、この間大原委員の質問に答えて、ILO八十七号条約が批准されたら専従問題はどうなるか、これに対して大臣から、教員組合の場合、教員でなくとも組合の役員になれることになる、こういうように御答弁があったわけです。この点についても、大臣は別にそのお考えが変わっていないわけですね。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 その通りでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それではILO条約と教職員、公務員との関係に対する文部大臣の御見解は非常にはっきりいたしました。その点は明快です。ただ私は、内藤さんがちょっと口を動かされましたけれども、政府も労働大臣もちょっと前の答弁と違う点は、これは新聞発表ですが、ILOと公務員との関係は、日本が方針をどうきめるかということではないのです。ILO条約の内容自体の問題です。批准をしたらそれが適用になるのです。前の質問におきりましても、条約と法律との関係は、条約が優先するのです。そういたしますと、条約に抵触する法律、条例があれば当然無効になるのです。そのことは質疑応答で明らかになりましたが、それに対しましても、しばしばいろいろな雑音が入りますからお聞きするのですが、文部大臣は前の答弁で確認された点は、やはり確認されますか。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 ILO条約を批准されれば、この条約については結社の自由なり団結権の擁護というような問題がきわめて明確になってくるのであります。ただ従来申し上げておりますように、専従の問題について日本の国家公務員、地方公務員に直ちに適用されるかということについては、政府の意見の調整を待たなければならぬ。これはどうなるかということについては、政府部内においてまだ決定を見ておらぬということを申し上げる。またそれを申し上げることについて、このILO条約の精神というものは、今申し上げる通り団結権なり結社の自由ということが中心になっておるのであって、従って専従の問題というものは、世界のおもなる国々において、日本における教職員の場合にあるがごとき専従というものはないのでありますから、このILO八十七号の精神、これを作り上げるときには、こうした問題はその考え方の中に少しもなかったわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 ある一面においては、文部大臣が終始一貫そのことを主張してきておられることは、私は尊敬するのであります。文部大臣は当然のことを当然のこととして言っておられると思うのです。ただし後者の方につきましては、日本の民間労組や公務員を初めとして、全般的に組織の原則を企業内組合主義によっておるのです。職員でなければ役員でないというふうなことも、そこから出ておるのです。しかしそのことがいわゆる日本における全逓の労働者——これは身分は公務員です。労働関係法だけ公共企業体ですね。その問題を全逓の労働者が国際的に提起いたしましたから、八十七号の問題も出たのです。きのうもILO事務局から文書が来ております。きょうは労働大臣と労政局長の出席を求めておるけれども、この問題については政府は非常にいろいろと思うところがあるらしいので、出席していないのです。労政局長はいつまで私が追及しておりましても、出席になっていない。どこへ行ったかわからぬ。行方不明なのです。これは委員長、捜索願いを出してもらいたい。  とにかくこの問題は、すでに批准をいたしております。九十八号というのは一九五三年に批准したのです。八十七号を今度批准をするという方針を政府は閣議で決定したかどうかは別といたしまして、ILOで示しておる方針は一九四八年にきめたのです。四九年の方を先に批准したわけです。その中にはちゃんと警察と軍隊については特例を認めておりますけれども、他の方については、行政職については別といたしまして、教員とかその他公務員については適用の制限はないのです。国際上の常識なのです。そこで私は与党の委員の人もおられるので申し上げるわけですけれども、そういう点でお互いに国際的な信用に関係する問題です。しかも文部大臣は文教の府の大臣といたしまして、明快な見解を持っておられる。そういう方針で参りますると、たとえばすでに批准をいたしておりまする九十八号の第三条には、労働団体がその設立、任務遂行または管理に関してやる行為については介入してはならぬということがあり、また第一条第一項には「労働者は、雇用に関する反組合的な差別待遇に対して充分な保護を受ける。」こういう規定がある。この規定に基づきまして、それぞれ権利に関係ある人々が国際舞台にこれを提示いたしますと、国連においてはぴしぴしと結論が出てくるのです。これが全逓の現在直面しておる問題です。政府は考えなかった問題です。文部大臣はあらかじめ先見の明をもって、しかも国際的な経験に基づいてはっきりした見解を持っておられるということについては、私は尊敬いたします。しかしことにそういう問題について抵触するのです。これは専従を制限いたしまして、代表を選出する権限——八十七号と九十八号とは非常に密接な関係がありますので、申し上げますと、こういう規定がある。労働団体はその規約または規則を作成し、完全な自由のもとにその代表を選出し、その管理及び活動を定め、並びにその計画を立案することができる、というように、こういう問題につきましてはちゃんと規定してあるのです。その問題に抵触すると思うのです。明らかに抵触するのです。大臣の見解を聞きたい。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 私は抵触しないと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 なぜですか。その理由を言って下さい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 専従休暇を認めるか認めないかということは、私は関係ないと思うのです。九十八号条約にいたしましても、八十七号にいたしましても、結社の自由なんです。ですから、だれでも入ってこられる、職員でなくても、だれでも組合の役職員になれるということでございまして、専従休暇を認めるとか認めないということは、別に本条約の関係しているところでないのです。ただ問題は、相互不介入の原則がありますから、今のように公務に支障がない限り専従休暇を許可することができるかどうか、こういう点はむしろ問題があろうかと私どもは思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 あなたは重大なことを言っておられるけれども、専従を各関係団体の機関において選出するについて、専従の許可を願い出る際に、それについて法律や条令や行政措置をもって一般的に制限を加える、話し合い、団体交渉をしないで制限を加える、こういうことはさっき申し上げたように、権利の侵害になるのです。話し合い、団体交渉をすればいいですよ。団体交法をすれば一つの団結権を認めたことになるけれども、専従を選出する問題、だれにするかという問題は、団結権の重大な一部なんです。ILOについてはあなたは知識がないのです。団結権の一部なんです。そのことは特に今まで繰り返して言われたけれども、当時同じような時期において憲法ができたのです。憲法はそういう国際的な常識に基づいてできている。労働基本権というのは生存権ですから、公共の福祉で制限するのは、最小限ということが立証されなければならない。やむを得ないということが立証されなければならない。こういう点から見て、これはILO条約と憲法に対する重大なる違反行為である。そのことについて、議事録にとどめるのですから、文部大臣の内容を含んだ再度の御見解を示してもらいたい。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 ILO条約八十七号は今申し上げる通りの趣旨によってできておるのでありますから、その中には日本のような異例の専従問題などは、起草に当たって何ら考慮するの必要はない。従って関係はない。この条約が批准された場合においては、職員でなくともみな役員になれるのでありますから、従って組合の自主的、独立的な発達を期待したいと思うわれわれといたしましては、全然そうした専従の問題などに関係なしに、独自の立場においてりっぱな発達を遂げてもらいたいと思う。皆さんも御承知の通り、この日本における専従の問題は、占領下における日本の組合の特殊事情のもとにおいて、いまだ今日のごとく発達をしておらなかった時代においてこれがなされた、いわばマッカーサーの贈りものであったのだ。それで今日のごとくりっぱに発達してきて、今後もさらに発達していくであろう組合に対しては、私は専従の問題などについては、これからまだ政府としては公務員についてどうするかということを検討して参る段階でありますけれども、私の考えとしては、将来はそういうわずらわしいことなしにいけるものであると考えておる次第であります。

横路節雄日本社会党

○横路委員 関連して。文部大臣、今のお話の趣旨を、この四日の本委員会で文部大臣から答弁された。ILO八十七号の条約について、政府としても当然来年の春までに批准しなければならぬ。それが終われば、今お話のように、組合員にあらざる者も役員になることができるんだ、それは教員にも適用するんだ、これが大臣の考えで、きょうもその御答弁があった。従って専従制限については問題にならないんだ、だから岐阜県のような専従制限の問題を、各都道府県においてその条例を作るようなそういう先走りをしないように、自分としては配慮してやるんだ、こういうような御答弁があった。だから、そういうように御答弁があれば、きょう何もここで質問する必要がない。それがきのうの大臣の記者会見等において、やや——これは新聞の批評ですよ。やや後退した印象を受ける。それをみんな心配して、これだけ、一時半過ぎまで質問をしておる。大臣から重ねて今のように、ILO八十七号条約の批准が終われば、これは教員にも適用されるんだ、だから専従制限は問題でないんだ、岐阜県のごときは、各都道府県で先走りしないように、文部省としては十分指導、助言、勧告するんだ、こういうふうにお話しされれば、私はそれで納得する。

松田竹千代自由民主党文部大臣

○松田国務大臣 どうも横路委員にもあるまじきお話がありました。私は一言お答えをし直さなければならぬ。どうも自分たちの考えに都合のいいように話をされるのでありまして、これはまことに迷惑千万な話であります。私は先ほども申し上げましたように、日本の特異の専従という問題は、これはILO条約を草案するときには頭の中になかった。そういうものは特異のものなんだ、だから関係ないんだ。従って岐阜県の条例について私がとやこう——これは自主的にきめたことであるから、ILO条約と関係はないんだ、岐阜県の場合関係はないんだという考え方で私はおる。それをいかにも、私が岐阜県に対してもいろいろ指導、助言したり、あるいは各府県に対してもそうやるんだというようなことを仰せられては、まことに迷惑である。

横路節雄日本社会党

○横路委員 文部大臣は勘違いなすっていると思う。堀委員は一番最後の質問で、専従制限に対する文相の方針をお尋ねしたいということで、お聞きをしているわけです。それに対して文部大臣から、「遠からずILO八十七号条約を批准することになると思われるので、それまでに関係法令を調整する必要があり、政府として慎重に研究中である。」重ねて堀委員から、「それまでは各都道府県が専従制限条例の制定に先走らない方がよいとの考えだと了解してよいか。」こういうので、大臣は、「大体それでよい。」と御答弁になっている。だから私はお聞きしておるので、大臣から、今私の質問が、この間四日の大臣の答弁と非常にかは離れて、私が大臣の答弁を曲げて私の都合のいいように質問したんだと言われては、私も非常に迷惑です。大臣その点は一つ……。大臣よろしゅうございますか、先ほどのは、議事録にかわって、新聞の記事を読んだんです。大体それでよろしいでしょう。

大平正芳自由民主党

○大平委員長 その件につきましては、先ほど大原君から議事録を調べるように私に求められたんですが、まだ議事録ができておりません。従って、それができ上がった上で、よく調べまして疑義をただしたいと思います。  本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十七分散会

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