農林水産委員会 第9号
- 発言数
- 208 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/12/03
会議録
○吉川委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 児島湾における干拓の問題について質疑の通告があります。この際これを許します。和田博雄君。
○和田委員 私は、農林大臣及び政府委員に、土地改良の事業がだんだん発展してきましてその土地改良の結果できましたところの改良施設の維持管理の点についてお尋ねすると同時に、ことに、児島湾の締め切りの、あの堤塘の維持管理について質問をいたしたいと思います。 三十三年度の農地行政白書によりますと、こういうようなことが書いてある。「土地改良施設の維持管理の合理化」というところに、今まで土地改良の結果できた土地改良の施設は大体土地改良区などがその維持管理を行なっておる、しかし、その維持管理というものはきわめて不満足なものであり、万全のものではない、指導監督もまた同様に非常に不満足なものである、そうしてまた、高度の技術と多額の国費を使った結果できたところの施設がすべて地元の土地改良組合に管理が委託されておりますが、その効率という点から言っても、ことに技術的な指導という点においても、非常に欠くるところがある、国が直接やった国営のこういう工事の結果ができたところの施設については、むしろ国または都道府県が直接管理するような道を広く開いたらいいんじゃないか、こういうようなことが書いておるわけです。この点について農林大臣はどういうふうに考えておられるかを伺いたい。
○福田国務大臣 国または都道府県が行ないました土地改良事業、これが、理想的な形から言いますれば、完成の上国または都道府県の管理だというようなことになるのが、私は今後の趨向かと思います。私ども、そういうふうな考え方をもちまして、国の予算としても、管理費というものを来年の予算では現に要求をいたしておるのです。しかし、今日までの実際の動きを見ておりますと、これはほとんどあげてと言っていいくらい、都道府県、国は管理を土地改良区にお願いをしておる、こういうのが実勢でございます。児島湾問題というのは、そういう時点に起きてきた問題でございまして、今までのしきたりに従いまして、土地改良区に委託をされるのだというような前提というかそういう雰囲気のもとにいろいろな計画が進められている、こういうような状況なのです。
○和田委員 児島湾の点については、まだあとから聞きますが、なぜ国の直接の管理というものが今まで行なわれなかったかという点については、どういうふうに考えますか。
○福田国務大臣 予算上の関係なんかがおもだったかと思うのです。それから、実際その衝に当たっておる土地改良区の人にお願いしておくということが結果としてうまい運営ができるのではないかということもその場所々々によっては考えられるという面もあると思います。まあさような趨勢として来ておる、こういうことでしょうと思います。
○和田委員 私は、やはり、国営の改良事業によった結果できたそういう改良施設というものは、作ることだけは国が作るというのではいかぬと思うのです。やはり、あとの維持管理についても国が責任を持ってやるということが筋だと思うのです。三十五年度からはその方面の予算を要求しているということでありますが、大規模の国営の開墾、干拓その他の土地改良事業は、戦前からやっていたものは大体ここ数年のうちに完成する趨勢にあるのです。そうすると、そういう改良事業からできたところのいわゆる改良施設の維持管理ということが重要な問題になってくると思うのです。今まではどうも方針がはっきりしなかったように思うのです。土地改良区に、地元に維持管理をやらせるということについては、いろいろ問題があるのだが、それが一番安易な方法だったわけであります。予算もとらなくてもいいし、そういう点で、私は、国がその点について、いわば国のやるべきことを完全にやらなかった、仏作って魂入れずという言葉がありますが、そういう点があったのだろうと思うのです。今私が言いましたように、戦前から行なわれてきた大規模の干拓その他の事柄は、大体ここ数年内に完成されるという傾向にあるとするならば、国としてはやはりその維持管理の点についてもちゃんとした体制を整えておくということが必要ではないかと思うのです。その点については、農林大臣がそういうふうにするということですから、それで了承しますが、今行なわれておるところのそういう土地改良についての改良施設というものについて、将来は必ずしも今まで通りの土地改良組合にその維持管理を委託するという方針を貫くといことはもうないわけですね。その点をもう一度はっきりと……。
○福田国務大臣 今まではそうですが、今後は、ただいま申し上げましたように、たとえば、これが二、三県にまたがっての事業であって、土地改良区でやってむしろ複雑なことになろうというような場合でありますとか、あるいはその他特別の事情があるというようなものから、逐次さような考えを進めていきたい、こういうふうな考えでおります。
○和田委員 土地改良法の九十四条の六によりますと、「大臣は、土地改良財産を都道府県又は土地改良区等に管理させることができる。」ということになっておりますが、従来都道府県に管理を委託された事例があるのですか。
○伊東政府委員 私がかわってお答えいたしますが、従来は全部土地改良区に委託をしております。
○和田委員 それはやはり特別の理由があったのですか。
○伊東政府委員 先ほど大臣からお答えがありましたように、従来できておりましたのは比較的に農業だけの目的ということが多かったのでございます。ところが、今おっしゃいましたように、三十五年度から新しく国が管理をする、あるいは県が管理をするという要求をいたしておりますのは、ダムなどが二府県以上にまたがっておる、あるいは非常に多目的でありまして農業だけではないので操作が非常にむずかしいというものについては新しくそういうことを考えていきます。過去におきましては、比較的にそういうものは少なかったというような関係から、ほとんど全部土地改良区に管理を委託するということをやっております。
○和田委員 児島湾沿岸の土地改良事業の結果できた改良施設についての質問に移っていきたいと思いますが、児島湾の沿岸の土地改良事業の建設工事というものの事業主体はどこですか。
○伊東政府委員 これは国営であります。
○和田委員 事業費の負担関係はどういうことになっておりますか。
○伊東政府委員 負担の率でありますが、建設費につきましては、国が九二%、県が三%、地元が五%、少し端数はございますが、そういうことになっております。
○和田委員 最近、児島湾を締め切るあの堤防ができましてから、そこの管理の問題について非常に岡山の市会なんかで問題になっておるのです。その点について何か大臣お聞きになったことがありますか。
○福田国務大臣 あまり聞いておりません。
○和田委員 農地局長はいかがですか。
○伊東政府委員 岡山市あるいは玉野市から、この堤塘につきましてだれが国から管理の、委託を受けたのかということにつきまして質問があったことは知っております。
○和田委員 最近、この堤塘を使用して通行を有料にして運営するという目的で児島湖交通産業株式会社という会社ができたらしいのですが、それについて何か調べがありましたら、その内容をお知らせ願いたい。
○伊東政府委員 土地改良区の理事長が社長になるというような形の会社ができたということを聞いております。
○和田委員 役員はどういう人がなっておりますか。
○伊東政府委員 役員になっております人には、土地改良区の理事をやめましてそちらの役員に入っておるという人がおります。
○和田委員 社長はだれですか。
○伊東政府委員 先ほどお答えしましたように、理事長の浅越という人が社長であります。
○和田委員 その事業計画なんかは、ちゃんと調べがついていたら、どういうようなものであるかお知らせ願いたい。
○伊東政府委員 私の方でまだ資料として取っておりませんので、取りましてお手元に差し上げたいと思います。
○和田委員 ところが、その浅越君が、やはり、その堤塘の維持管理の点について、もうすでに維持管理というものは土地改良組合に委託されるのだ、そしてその土地改良組合はその会社に他目的の使用を許すのだ、これは当然なことだというようなことを発言しておるのですが、そうすると、何かそこの間に農林省があらかじめ言質を与えたのじゃないかという感じがわれわれとしては強くするわけです。その点はどういうことになっていますか、言質を与えているのかいないのか。
○伊東政府委員 これは私の方の出先機関とも相談はいたしたことでございまして、先ほどから御答弁いたしましたように、従来からこういう土地改良財産につきまして管理の委託は全部土地改良区にやっております。それで、この問題につきましても、農林省といたしましては土地改良区に管理を委託するという方針を内部できめております。
○和田委員 土地改良法施行令の五十九条に、土地改良財産の他目的への使用の規定があるのですが、この規定の趣旨というのはどういうところから起こったのですか。
○伊東政府委員 これは、土地改良区の土地改良財産を作りましても、それが、単に農業だけの利用でなくて、付随的にほかの目的にも利用できる、また、その施設、財産の効用から考えてもその方が有効であるというような場合におきましては、単に農業だけということでなくてそれ以外の目的にも受託者に使用させた方がむしろいいのじゃなかろうか。それで、今までも、さっき申し上げましたように、受託者が全部管理維持の費用を負担いたしま下ので、そういうところの財源にもまた考えられる点もございますので、そういうことも考えましてこういう規定を作っておるわけであります。
○和田委員 児島湾の堤塘の場合、堤塘ができた場合には、それは土地改良組合に維持管理をやらすのだということは、二十六年の起工のときからきまっておったのですか。
○伊東政府委員 二十六年にこの事業を採択しますときに、土地改良区にやらせますというはっきりした公文を出したとか、そういうことは私はないと思います。ただ、そういうことはいたしておりませんが、従来、農林省としましては、先ほど申し上げました通り、管理は全部実は今までの施設は土地改良区にやらしておりますので、そういう原則でいくだろうということは、おそらく関係者は考えておったと思いますが、公文でやらせますというようなものを出してはおりません。
○和田委員 そういう指導をしたわけですか。
○伊東政府委員 特に、この土地改良区につきまして、これはどうという指導は——私は二十六年当時のことははっきりは知りませんが、一般的には農林省としましては土地改良区に管理委託をさせるということをやっておりまして、例外なしにやっておりますので、おそらく関係者の間ではそういうことを頭に置いて仕事を進めていただろうとは想像されます。
○和田委員 児島湾の土地改良事業の目的は一体何ですか。
○伊東政府委員 児島湾の国営事業の目的でございますが、これは、先生も御承知のように、うしろに五千数百町歩にわたる干拓地がございますので、一つには、ここを締め切りまして淡水化しまして、大体諏訪湖と同じくらいの面積の淡水湖ができるわけでございますが、その水を利用しましてこの干拓地の用水源にするということもございます。それから、あそこの水位を下げまして、干拓地にも排水不良地区がございますので、水位を下げることによって排水改良も行なう、それから、できております干拓堤防につきましても、前に第一線堤の締め切りができますことによって干拓堤防の補強にも役立つというような、農業の目的が大部分でございます。
○和田委員 副次的な効果として、あそこの堤防は宇野と岡山との間の短絡道路として使う、その使うことによって、あの地帯の文化なりその他に貢献する、こういうようなことをお考えになっていたんじゃないですか。
○伊東政府委員 今申し上げましたように、大部分の目的は、これは農林省でやっておりますので、当然農業の目的でございます。今先生がおっしゃいましたような、あそこを短絡道路といいますか交通機関にすることによって非常に便利になるのではないかというようなことも副次的には考えられますので、当時農林省としましても、これを道路と一緒にやりますれば費用の節約もできますので、関係方面に道路も一緒にこの事業に入ってくれないかということは話してもらったのでございますが、当時の事情としましては、関係方面もまたいろいろな点があったのでございましょう、農林省の希望はいれられませんで、農林省が単独でやるというようなことになった次第であります。
○和田委員 そうすると、児島湾の淡水湖の締め切りの堤防の維持管理は土地改良区にやらすということは、農林省の方針として決定しているのですか。
○伊東政府委員 一般論としてもそうでございますし、本件につきましても、維持管理につきましては従来の方針でやろうということをきめております。ただ、先ほど大臣もお答えになりましたように、三十五年度からは新しい要求はいたしておるわけでございまするが、土地改良区に維持管理をやらせると決定いたしましても、将来におきまして国がまたどうしてもこれは必要だということで国が管理するときには当然国が管理主体となってやるという条件付で、正式にやるときにはやると思います。
○和田委員 児島湖交通産業株式会社というのはどういう性質の会社か、御存じですか。
○伊東政府委員 詳細の資料につきましては取り寄せてお届けいたします。あるいはこれは違っておりましたらまた資料の上で訂正いたしますが、あの辺の観光関係の仕事をしますとか、また交通の仕事をするというようなことを内容にしておるということを聞いております。
○和田委員 そうすると、やっぱり観光事業を目的にした営利会社ですね。
○伊東政府委員 商法上の株式会社ということを聞いておりますから、当然そういうことだと思います。
○和田委員 何か、土地改良区が土地改良の維持管理を国から管理委託を受けて、その使用をそういう営利会社に許した例が今までありますか。
○伊東政府委員 これは、兵庫県に東条川というのがございますが、たしか名前は鴨川ダムだったと思います。あのダムの維持管理につきましても、あそこの土地改良区に委託をしております。そして、あそこのダムにおきますボート遊覧等をしますとか、そういう会社は、名前は存じませんが、別にできております。これはやはり土地改良区がそういう会社にやらす、そこから使用料をとって維持管理費をまかなっておるということを現実にやっております。
○和田委員 須藤君の質問に対し、さきに総理大臣から衆議院の議長に本件に対する答弁書が出ておるのです。農林大臣は御存じですか。
○福田国務大臣 承知しております。
○和田委員 それによりますと、こういうことが書いてあります。政府は、土地改良財産は土地改良区に委託することとしているので、本件をすでに内定し、また他目的に供することについては、土地改良区はみずからまたは他の事業会社等と提携してこれを行なうことができず、他の事業会社等にこれを行なわせるべきこと、土地改良区は他目的使用を行なう他の事業会社等から使用料金を徴収し、これを締め切り堤塘の管理に要する経費の一部にあてることができることという指導方針を明らかにしている、こういうことを言っているわけですが、今後も、繰り返すようですが、この指導方針というものは堅持されていくのですか。それとも、今言ったように、三十五年度からは新しい考え方に立って、やっぱり国営でやった改良区の施設については国が管理していくという新たな考え方を推進していくのですか。そこのところをもう一ぺんはっきりしていただきたいと思います。
○伊東政府委員 今お読みになりましたように、質問主意書に対しまして答弁書を国会に出しております。これは児島湾に関してのものでございます。先ほど申し上げました来年度以降の問題でございますが、来年度以降にわれわれが大蔵省に考え方として出しましたのは、先ほど申し上げましたように、ダムの場合には、数府県にまたがるようなものを一県だけの土地改良区に管理を委託するということは、これは事の性質上やはりおかしいのじゃなかろうか、やはりこれは国なり県という地方公共団体が管理するのが適当じゃないかというような意味で予算要求をいたしております。でありますので、国がやりましたものにつきまして全部国なり県が管理の主体になるという予算の要求は実はいたしておりません。この中で、事柄の性質上国がやったりあるいは県がやったりした方が適当だろうというものにつきましては地方公共団体が管理をするというようなことで、全然新しい予算の要求を実はいたしておるわけでございます。
○和田委員 それは、数府県にまたがるとかどうとかということは、やはりその施設の性質によると思うのです。たとい数府県にまたがらなくても、その施設の性質によって国がやる方が適切だと思われるものは、僕は当然国がやるべきだと思うのですね。そういうような、数府県にわたるかわたらないかということは、僕はつけたりだろうと思うのです。やはり、性質がそういうような大規模のものであり、そして国費をもってやったということが重点だと思うのですが、どうでしょうか。
○伊東政府委員 今先生のおっしゃったのも一つの御意見と思うのでございますが、来年の新しいものの予算要求としては、実は今、全部そういうような形のものでなく、今申し上げたように、しぼりまして、実は国が管理主体となるものの要求をいたしております。
○和田委員 しかし、大体どういうものができるかということはもうわかっているんですね。土地改良事業の結果できる施設というものの大きさなりあるいはその利用の方法なりというものは、ほぼわかっていると思うのです。そうすれば、やはり予算というものはひっくるめて要求するのが筋じゃないですか。まだ来年度の予算は編成されてないのだから、やはりそういうものも含めて国が直轄管理する、そういう線を出していいのじゃないですか。いかがですか。
○伊東政府委員 先生のおっしゃいました、事柄の性質で、でき上がる施設の性質を考えて要求すべきではないかという御質問でございますが、実は、われわれの見解は、先ほど申し上げましたようなものをまず、——今まで全然やっておりませんので、やるとすればこういうものから先ではなかろうかというふうなことで、できております施設のうち数カ所を選びまして要求するというような態度でございます。
○赤路委員 関連。 今の和田さんの質問は、あなたが答弁したが、数県にわたるということに限定するのは間違いではないか、その重要度その他から考えた場合、たとい一県内のものであっても当然そうするということでなければならぬのじゃないかという、これは基本的な問題を質問しているのだから、何かちょっと横へそれている。
○伊東政府委員 私の方の三十五年度の要求は……。
○赤路委員 三十五年度の要求じゃないんだ。
○伊東政府委員 三十五年度に実はそれが初めて出てきたのであります。今までは全部土地改良区が管理主体であります。新しい問題として要求を出しましたので、やはり、考え方をしぼって実は要求したということを申し上げたのでございますが、先生の御意見のようなものは実は来年度はまだ要求をいたしておりませんということを申し上げたのであります。
○赤路委員 その点は、三十五年度のものはそれでいいんだ。あなたの方の考え方でやった、こう言うのだろう。それでは、今和田さんが言ったような、三十五年度に限らない基本的な問題としては一体どう考えるか、この点。
○伊東政府委員 その問題につきましては、私の方としましても、もう少し検討いたします。
○和田委員 今の点を農林大臣にちょっとお伺いいたしたいと思います。
○福田国務大臣 いろいろ今応酬があったのですが、三十五年とすれば、今局長からお話のような状態です。しかし、数府県にまたがるというふうな考え方をとったのは、根本においては、そういうものは国が管理した方が適切であるのだというものの事例としてあげておると思うのです。逐次そういう考え方を取り入れていく際の第一着手としてはそういうものだ、こういうふうな考え方だろうと思うのです。でありますから、何も数府県だけにこだわっているわけではないので、今後必要なものにつきましては国が維持管理に当たる、こういうことでいいと思います。
○和田委員 児島湾のあの堤防はまだ沈下しているんですね。その見通しはどうなんですか。
○伊東政府委員 これは、全部ではありませんが、先生も御承知の、弁天島のそばの方が一番沈下度がよけいになっております。ここ三年間で約九十センチくらい沈下いたしております。私の方としましても、なるべくこの沈下を早くとめますように、捨て石をその後続けてやるというような操作を実際いたしております。
○和田委員 あの堤防は行政財産ということですが、そうですか。
○伊東政府委員 その通りでございます。
○和田委員 行政財産ということになると、行政財産というものは公共の用に供せられるということがあるんですね。そうなってくると、ほかの灌漑施設は別としまして、堤防だけについてはやはり公共の用に供するということを重く考えていく必要があるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。農業用の単なる施設だ、これ専門の施設だという考え方に固着せずに。ほかの水路とかなんとかの灌漑施設は別です。これは完全なる農業用だけの施設ですね。しかし、堤防というものは、そういうようなものであればなおさら、公共の用に供する財産ということで、公共ということをやはり一応考えていいんじゃないですか。
○伊東政府委員 私も、先ほど答弁いたしましたように、あれをやります最初には、道路の効用もかねてやる方がいいのじゃなかろうかという見解に立ちまして、ほかの関係者にも話をかけたというような経緯からもおわかりになりますように、農林省としましても、あれは全部農林省が農業関係だけで作ったので農業関係以外の目的には一切使わせぬのだというかたくなな態度をとっているわけではございません。
○和田委員 それから、岸総理から参議院議長に出された答弁書に、「なお、締切堤塘を農業以外の他の目的に供することにつき、これを土地改良区自ら行なうこととした場合にあっても、これが土地改良財産(行政財産)の他目的使用である限り、その無償使用を認めることができない事情にあることは、同様である。」とありますが、これの法的根拠はどこにあるのですか。土地改良区が自分で使った場合、無償使用を認めることはできない……。
○伊東政府委員 これは、もとになりますところは財政法の九条で、無償で貸付をしちゃいかぬというようなことになっております。これは国有財産法と財政法の両方の関係からであります。
○和田委員 貸付じゃないですよ、土地改良区自身が使用するんですよ。
○伊東政府委員 国有財産法の第十九条で、行政財産の方でございますが、行政財産をその用途または目的を妨げない限度において使用または収益をさせる場合には、二十一条から二十五条までの規定を準用するという規定がございまして、ここの第二十二条で、無償で貸し付けることができる場合はこれだけだというふうに限定いたしております。それ以外になりますと、私の方では有償ということにいたしております。
○和田委員 それから、やはり答弁書なのですが、この会社は商法の規定に基づいて設立した会社だから、その限りでは政府の方針に反しない、こういうことを言っておるわけですが、しかし、かりにこれが政府の方針通りに土地改良区が堤塘の維持管理を委託されたという場合でも、改良区がこの会社に使用させて収益させるということになった場合には、この会社の株主の構成ということから言って——これは大半が土地改良区の人なのです。そうなってくると、土地改良法で、土地改良区は営利事業はできない、あるいは他目的使用のための制限禁止をしておるということも、実質的には何にも役に立たない結果になってしまうのじゃないですかね。法律の解釈や建前からいけばあるいはそういうふうな解釈ができるかもしれないが、これは少なくとも私は常識に反することだと思うのです。ことに、この会社は、今あなたの説明によれば、社長は浅越君だ、しかも土地改良区の理事長も浅越君だということになれば、両方を代表するものは同一人だということになってくるわけですね。同一人になってくるということになれば、民法の百八条の双方代理の規定に明らかに違反すると思う。だから、非常におかしなことになってくる。その土地改良区に管理を委託する方針だというその方針は、政府が発表しあるいは指導したかどうか知らぬが、会社には通じておる。それを前提にしてこういう会社を作って、その会社が土地改良区から委託を受けて営利事業に使用するということは、どこから見てもおかしいんじゃないですか。その法律的の解釈はどうですか。双方代理の規定に違反するじゃないですか。この点はどうしても法律的に疑義があると私は思うのですが、いかがでしょう。
○伊東政府委員 私の方は、今先生がおっしゃいました会社にこの土地改良区がさらに随契でありますか入札でありますか知りませんが、そこまでやるかやらぬかということは、私の方は指導したりなんか今までやっておりません。また、会社につきましては、そのほかにも実はやりたいという会社があるということを私聞いております。それで、おそらく、改良区としましては、あるいはその先は入札なりあるいは随契でありますか、そこまでは私の方が口を出してどうするということは行き過ぎではなかろうか。やはり土地改良区に委託する。ただ、委託しました場合にも、土地改良区としては、維持管理費以上に使用料とかいろいろのものをとる、そういうことは厳にやってはいかぬ、ほかの有料道路並みにしなさいというぐらいの指導まではいたしていいと思いますが、どこの会社にやらせるかということにつきましては、実は役所の方としては関与すべき問題じゃないんじゃないかと考えております。
○和田委員 大臣、どうもおかしいと思うのですが、その点どうでしょう。そうすると、農林省は、児島湖交通産業株式会社というものに土地改良区が堤塘の維持管理をもう一ぺん委託して、それに使用させるということについては、何ら指導もしていないわけですね。言質を与えているといったようなこともないわけですね。
○伊東政府委員 土地改良区から先の会社につきましては、役所としてはタッチいたしておりません。
○和田委員 そうすると、その理事者があらかじめ承諾を得たごとく言って、その上に立って行動しているということは、これは間違いですね。
○伊東政府委員 今申し上げましたように、私の方としましては土地改良区に管理を委託することを内定はいたしておりますが、その先のことについては何も申しておりません。
○和田委員 ここで問題になるのですが、そういうことであれば、国としては、維持管理について、そういう誤った行動にならないように、私が最初に質問しましたような精神にのっとって指導していくのが筋じゃないですか。その点どうでしょう。
○伊東政府委員 先ほど答弁いたしましたように、土地改良区にできました改良財産を委託することによりまして、それが、先ほど先生のおっしゃいました他目的に使用するという場合に、一般の大衆に対して普通と違った利用の仕方をする、たとえば一般の有料道路で考えておりますような料金とかけ離れたものを考えるとか、そういうような非常識なことにはなりませんように指導するということは、私どもとしましては当然やらなければならぬと考えております。
○和田委員 そうすると、できた児島湖交通産業株式会社というものにまた土地改良区が堤塘の使用をまかせるというようなことについては、農林省はノータッチだというのですか。
○伊東政府委員 これは、土地改良区が自分が国から管理委託を受けてその先はどういう会社と契約するかというような場合には、土地改良区が農林省の方に承認を求めてくるということがございます。そういう段階で、私どもとしましては、契約の内容等につきまして先ほど申し上げましたように、一般が非常に不利になったりせぬようにというふうなことは監督はいたしておるわけでございます。
○和田委員 それは、他目的使用のためには農林大臣の承認を得ることになっておるのです。そのときにはなるほど発言権があるのであります。また、申し出てきた会社があまり好ましくないものであれば、それは拒否することもできると思うのですが、それまでに、国としてあの国費を使って作った堤防をそういうような形で利用されることは好ましくないから、そういうような方向に向かないように国として責任を持って指導するということが僕はやはり必要ではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
○福田国務大臣 私、伺いましたところでは、まだ児島湖交通産業株式会社にこれを使用料をとって多目的に使うということを認めたというような段階じゃないようです。ほかにも会社がさような動きをしておるというような話です。さらに、そういう二つの会社がせり合ったんじゃどうもおもしろくない、これを統合しようというような動きもあるやに聞いております。また、さらに第三の会社が、そういういざこざがあるなら私の方に委託してくれというふうな動きもあるというふうに聞いておるような段階でございまして、さようないろいろなことがどういうふうに成り行きますか、そういうようなことから、土地改良区がどういうふうな財源をもってこれを管理しようとする計画を立てるのか、さようなものを伺った上で判断すべき問題だ、かような考えを持っております。
○和田委員 児島湾の土地改良区の受益者負担金の償還計画はどうなっていますか。
○伊東政府委員 これは、実はまだ進行いたしておりませんので、法律でいきますれば、進行いたしますとこれは十年間で均等年賦償還をするということになるわけでございます。まだございません。
○和田委員 計画ぐらいはあるでしょう。償還計画というものはできているのですか。
○伊東政府委員 今申し上げますように、まだ完了いたしておりませんので、そういう償還計画をわれわれの方で調べますとか、あるいはそういうものを出させるというふうな段階になっておりません。
○和田委員 僕はその点は非常にあきれたことだと思うのです。土地改良組合で受益者負担の償還計画もできていないうちに、維持管理を委託されるという前提のもとにそういう会社を作って、そして動きをしているということは、僕は許すべからざることだと思うのです。償還計画はやはりはっきりとってなにしてもらいたい。農林省側のそれに対する大体の見通し、たとえば反当どのくらいに見ているのか。あれができたために反当がどのくらい増収になるのかというような償還計画は、ある程度工事をやっている以上は、組合自体としてのものは正確なものはなくても、こちら側の計画というものはあるのだと思いますが、その点はどうなっていますか。
○伊東政府委員 今申し上げましたように、資料として持ってきておりませんので、資料として提出いたしたいと思います。
○和田委員 実はこの問題については非常に矛盾があると思うのです。たとえば、土地改良組合に維持管理を委託するということであっても、土地改良の組合員は興除あるいは藤田村の農民が多いのです。それから、それを利用する者は、岡山市の南岸の人、あの道路によって非常に距離が短くなって結ばれた岡山市の一般市民なのです。そうなってくると、せっかく国が莫大な費用を使って作った堤塘の維持管理をめぐって、何としても利用者と利益が相反することになるのです。組合員の立場は株主になって、一般の市民が生活のために通勤したり生活のために通行するのに料金をとられる。交通産業株式会社のなにによると、自転車は十円といったようなことを言っておるのですから、そういうような計画なのですよ。自転車とかオートバイとかいうものは今は人間の足と同じですよ。歩くと同じなのです。それで生活のために行き来をする一般の人が料金をとられて、その料金は土地改良組合に入っていくわけでしょう。片方の改良組合の人たちはあそこはあまり通りはしませんよ。農業施設だけを利用するということになってくるのです。そうなってくると、ああいう国の大きな事業の結果できた施設の維持管理については、それに関係している公共団体なり、言葉をかえて言えば市民なり県民が組合員と一致協力するという体制がなければ、ほんとうの管理はできないと思うのです。一つ何か台風でもあって事があったという場合には、どうしたって地元の人の協力を得なければならぬ。それは組合だけじゃ足らないわけです。そういうように考えてくると、これは、法律的にだけ国有財産法なりあるいは土地改良施行法なりをいろいろひねくっていけば、形式的には、あなたのおっしゃるように、土地改良区に委託して、そうしてそれがまたもう一ぺん会社に委託するということは可能なような気もします。しかし、それでもまだ法的には疑義があるのです。むしろ、この問題は、政治的に、農林大臣として、国のああいう土地改良による改良施設の維持管理の問題として大きくとらえて、慎重に検討さるべきが筋だと思うのです。そういうようになってきまするから、この点については実際のところ今まで公共施設の維持管理についての研究が僕は足らないと思うのです。本来ならば、土地改良区と一緒に、しかも大部分が国費であれだけの仕事をやったならば、そのあとの施設の維持管理についてははっきりした方針がなければならぬと思うのです。それからちゃんとした見通しがなければならぬと思うのです。一般の市民から言えば、国費を使って一生懸命やってできた、できたところが、さて通してくれるだろうと思ったところが、いや通さぬ、有料だ、金を払わなければ通れぬというのじゃ、普通の人間でしたら怒りますよ。市民感情が納得しないのは、僕はあたりまえだと思います。そういう点で、この問題については、まだ沈下の問題もあるし、相当時間があるのですから、今までのように土地改良区に維持管理はさすんだというような安易な気持に立たずに、もう一ぺん政府として十分再検討してもらいたい、こういうように私は思います。その点について、農林大臣、いかがですか。
○福田国務大臣 すらっとこの問題が初めから動いておりまして、それで、道路目的に使用するというようなことについても、玉野市なんかがそのつもりでおったというケースでありますると、和田委員のお話しのようなことも出てくるわけなんです。ところが、これは当初から道に使ってはどうかという申し入れをしたのだそうです。それに対して、市はこれに応じない、こういうようなことから今日のようなことに立ち至っておるように考えるわけです。須藤五郎氏から質問がありまして、それに対して、農林省としての、政府としての公式な見解を申し述べてあるわけなんです。さように考えておるわけなんでございますが、あなたは農林省の大先輩であり、土地改良事業の運営というものは私どもよりもよっぽどお詳しいわけなんです。ただいまのお話の点もさらに念を入れて検討するにやぶさかでございません。
○和田委員 ぜひそうしてもらいたいと思います。私はなぜこういうことを言うかというと、大体、干拓の大きな仕事がこの四、五年のうちに完了してしまうのです。そのときに維持管理についてこの児島湾の締め切り堤塘の処理があとで悪例になるというようなことであっては、やはり国家的な立場から言って悔いを千載に残すだろうと思うのです。その意味から言って、この問題についてはよほど慎重にお考え下すって、そしてその本来の目的を達するようにやってもらいたい。 それから、もう一つ私の考えるのは、灌漑施設やいろいろな施設がありますが、堤塘だけを切り離して国というものが維持管理というものを考えるわけにはいかないのですか。その施設というものを一体にしてあなたたちは考えておるわけです。だから、これはどこまでも農業施設だ、こう言っておられる。しかし、事実上農業施設かもしれないが、あの堤塘そのものは、ほかの公共施設に使えるのだし、道路としての十分の役割りを果たす、またその方が重いかもしれない。そうなってくれば、この堤塘施設だけを切り離して、それだけを別途に維持管理というものを考えて、そして国なり都道府県なり市町村なりがその道路の維持費を持ってやっていくというような考え方に指導するわけにいかないものでしょうか。
○伊東政府委員 今、先生がおっしゃいますのと違うような、包括的に委託するというやり方でやっております。部分的な問題につきましては、これは将来の問題として検討させていただきます。 もう一つ、先生のおっしゃいました中で、先ほども大臣からもお答えしたのでありますが、この事業は最初から私どもも道路と一緒にやった方がいいんじゃなかろうかということで呼びかけたのでございますが、当時の県当局、関係市当局、みんな断わったのでございます。それで、問題がこういうことになってきまして、でき上がったらまあ無料で通すべきだという声が起こっておるわけなんです。その辺のところに問題がございまして、先生がおっしゃいました維持管理費だけでなく、基本的にいきますと、建設費自身についてもこれはある程度の問題が出てくるのじゃなかろうか。でありまするから、維持管理費だけの議論でなくて、そういう問題になって参りますと、建設費についてもどう考えるかということまで一緒に検討してみませんと、これは問題としては解決せぬじゃないかというふうに私どもは考えております。
○和田委員 それは経過は私も知っております。なるほど、県なり市なりがその当時はあまり乗り気でなかったということも考えまするが、しかし、国の事業なり何なりとして考えたときには、大衆というものはそういうものですよ。だから、役所の面子とかそういうものにこだわっておったのでは、この問題はあまり解決しないと思うのです。そうい点は、なるほど県当局なりあるいは市当局がその当時は非常にネガティブであったということでありますけれども、こういうように事情が変わってくれば、やはり市当局なり県当局というものがかなり考え方が変わっていると思うのです。そういう点について、やはり国として責任者として指導ということがあるのですから、その指導監督という点についてもっとやはり筋の通ったやり方に導いていってもらいたい、こういうふうに思います。
○吉川委員長 松浦定義君より関連質問の要求があります。これを許します。
○松浦(定)委員 ちょうど今和田さんからいろいろ御質問がございましたが、九月の七日に、私と井出先生と足鹿先生と三人で、実は暖地ビートの調査にいきました機会に、非常に画期的なあれだということで現地を見せてもらったのであります。その後いろいろお伺いしたいと思っておりましたけれども、機会がなくて今日になりましたが、幸いに地元でこの問題をいろいろ真剣にお考えになっておる和田委員の方からお話がございまして、いろいろ御答弁がございまして、大体内容はわかったのです。ただ、私は、今問題になっておりまするこの児島湾の干拓締め切りによって受けるいろいろの問題については別としても、今この地帯の住民の非常に要望しておりまする堤塘の利用ですが、これについては、先ほどからお伺いしておりますと、この問題は、そういう現在のことを予期して、県庁その他についても何とか一緒にやろうじゃないかという呼びかけをした、しかし、それにこたえなかったので、とりあえずこれはこれにしぼってやった、こういうお話なんです。そこで、しかし、現在できたものについてはやはり住民の権利として当然あれは利用すべきであるということからいろいろ要求しておるようでありますが、今のお話ですと、三年間に九十センチも沈下した、こんな状態ではとても認められないから、もうしばらく見るといったような御意見でなかろうかと思うのですが、現在使用しておる現状というものは、どの程度のものなら許されて通行されておるのか、この点をお知らせ願いたいと思います。
○伊東政府委員 現在は自転車くらいまでが通っておるのが現状でございます。われわれとしましても、実はなるべく早くこれを農業以外の目的、すなわち交通にも使えることにした方が便利だろうという考え方で、いろいろ今沈下の状態等を調べておりますが、先ほど申し上げました沈下しておりますところは、実は一番沈下量の多いところで、ここが問題なんでございます。集中的にその部分等に捨て石や何かやっておりますが、普通の乗用車程度を通せるのは割合に早い、そう遠くなく通ってもらえる時期がくるのじゃないかというふうに技術的には考えております。ただ、トラックでありますとか大型バスを通すには、今の堤塘のままで農業用には実は十分なんでありますが、そういう大型の交通機関を通しますには、もう少し手をかけませんと、今の沈下しておりますところに危険がございますので、ここの分につきまして早急にそういうものを通せるような手を考えたい。それができますまで一切自動車は通さぬということでなくて、先ほど申し上げましたように、乗用車等につきましては、ある程度の捨て石が終われば通すということをぜひやりたい、なるべく早い機会にやりたいというふうに考えております。
○松浦(定)委員 大体、お話ですと、近い将来には乗用車程度のものは通すということで、極力努力してやっておるというお話ですが、私ども、行きました場合に見ても、しろうと見ですけれども、けっこう自動車くらいは通ってもびくともしないというくらいのりっぱな施設だというふうに実は見受けたわけなんです。ところが、あそこの警戒といいますか、そういう点になりますと、通行どめのような形で、ある程度の許可を得なければむろん通れないというようなことになっているわけなんで、普通の者が参りますと、何か向こうにアメリカの基地でもあるような感じを実は受けるような印象を、決してこれは否定できない。地元の方に聞きますと、偉い人が来るとハイヤーはどんどん通るけれども、われわれがどうしても行かなければならぬということになるとそのハイヤーでも通してくれないのだ、こう言うような人が実はあるわけなんです。だれが乗ってもハイヤーはハイヤーなんですが、そういう点で、受ける印象というものは、和田先生から言われたような非常な誤解を招く。でありますから、私は、ハイヤーは今通っておるのですから、ハイヤー程度のものならよろしいということで、どんどんと通してもいいのじゃないか。私ども行きましたときに、私ども、実は、県庁から車を出してくれるならばこちらへ車をとめてもいいと言ったのですが、通ってくれと言うし、相当長距離だから遠慮することないと思って乗っていったのですが、そういうことから見ても、県庁の車が来ればずっと通るし、そうでない者はとぼとぼ歩かなければならぬということで、観光という気持で見に行く市民感情から言ってもおかしいと思う。今のお話のように、一応こういうものだけは通ってよろしい、ただしトラックとかバスで行くものについてはもう少し検討する必要があるということならば、これは市民感情もある程度やわらぐと思うのですが、そうでありませんと、やはり結果的に見て、ただ当初相談したけれども聞かなかったからやらなかったのだが、今になってできたらさあ云々ということはけしからぬと言ってみたって、これは住民の権利なんですから、やらなかったのがけしからぬと思う。実は、あれだけの地帯でありますと、児島湾を締め切るとか、何らかの方法をとって、あの地帯の住民の交通の便利をはからなければならぬ。それが、今御心配のように、観光目的で一部の人がやるということについてはわれわれとしても認められるのですが、そういうことをしてでもやらなければ問題が解決しないという住民の意見も、これまた私は否定できないと思う。そういう問題が出てくることによって政府が善処するということがなされると思うのですが、そうでなしにこの問題は私は急速に実現をしていただきたいと思います。 それから、ここにちょうど小枝政務次官が来ておられますが、小枝政務次官は地元でありますから、遠慮をして、このことについてはあまり御発言がないのじゃないかと思いますが、自分のことでありましても、やはり農業問題に関して政務次官になっておられるのですから、遠慮なしに大臣や局長を動かして、問題が早急に解決できるように、私は、いい意味であるならば、何ぼ地元でもどんどんやってもらいたい。しかし、その間に起こるいろいろな問題等がありましたら、これはそれぞれの地元から出ておられる議員等もおられますので、方法は幾らでもあることだと思いますから、こういう問題は早くやっていただいて、あの効果があがり、さらに住民がほんとうに喜ぶ公共的な交通の便にも利用されるようにしてもらいたい。ただなわ張り争い的なことは御発言にならないで、極力その沈下事情を調査しながら捨石をやっているという努力は私どもとして認めないわけではありませんけれども、ただ、そのことによっていたずらに、通れる車は通れるけれども通れぬ車は通れぬというような誤解を招かないように、この際早くあの市民あるいは付近の方々が安心でき、また児島湾のあの堤塘によって多くの農民が喜んでおることを農民以外の人にも喜んでもらうようにしてもらいたい。それが一部観光とか何かのためにやるということについては、県当局と十分話し合いの上でやらなければ問題がかえって複雑になるのじゃないかと思いますので、私どもは現地を見た者として感想を申し上げながら、大臣以下、特に政務次官としてはこの問題を早く解決されるように努力されんことを切望しておきます。
○赤路委員 関連。 今までの質疑に対する局長の答弁の中に少し不安を感ずる点があるので、一言だけ要望しておきますが、この問題は土地改良区に対する単なる指導だけであってはならないと思う。そうでなしに、だれが考えてみても納得のできるような、かりに問題が解決してもあとに疑惑を残さないような対策を農林省の方で立ててもらいたい。単なる土地改良区の指導ということであってはならないと思いますから、この点を十分腹の中に入れておいていただきたい。答弁は求めません。おやりになることを確信しております。
○吉川委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後一時より再開いたします。 これにて休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十三分開議
○吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 繭糸価格の安定に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。 高田富之君。
○高田(富)委員 質問に入る前に、委員長、私はちょっと聞いておきたいことがあるのです。この間の本委員会における政府の臨時措置法の一部改正案の提案理由の説明と、参議院の農林水産委員会における提案理由の説明は、全く同一の提案理由の説明を行なったのですか、それとも若干異なった提案理由の説明を行なったのか、ちょっとただしておきたいと思います。
○大澤(融)政府委員 同一の説明を申し上げたはずでございます。
○高田(富)委員 完全に同一でしょうかね。部分的に若干違う部分があるんじゃないですか。ありませんか。
○大澤(融)政府委員 大野政務次官から提案理由の説明を申し上げたのでありますが、お手元にもお配りしてありますが、一カ所読み落としをされた部分がございます。そこで、それは訂正をさせていただきます。終わりの方でございますが、「この措置によりまして、繭糸価格安定法に基づいて取得した政府保有生糸約五万俵は、同法に規定する価格によらないで、すなわち時価で売り渡すことができることとなるわけでありますが、この売り渡しは、現在行なっております売り渡しと同様に、申し込みに応じ、十八万円で行なうことといたしたい考えであります。」、この辺だったと思いますが、刷りものにしてお配りしてありますものの通りで、それが参議院で説明いたしましたものと全く同じでございますから……。
○高田(富)委員 そうすると、入れた方がほんとうなんですね。
○大澤(融)政府委員 その通りでございます。
○高田(富)委員 これはなかなか大事な点ですからね。時価で売り渡す、すなわち十八万、時価すなわち十八万、この時価というところを抜いたのは相当の理由があったかと思ったのですが、そうすると、時価すなわち十八万、こういうふうに提案されておるわけですね。この問題は、また後ほど、時価とは何ぞやということが問題になろうと思います。 それでは、お尋ねいたしますが、この提案理由の説明を読みますと、初めの方、十行目ばかりのところに、「本年三月、繭糸価格安定審議会の議を経て、申し込みに応じて十八万円で売り渡すこととし、これを本生糸年度における実質上の最高価格として運営する方針を定めました。」、こういうふうになっておるのでありますが、安定審議会において、本生糸年度の実質上の最高価格として十八万円で売り渡すという方針を決定したことに間違いはないのですか。
○大澤(融)政府委員 その通りでございます。
○高田(富)委員 そうしますと、この配付していただきました安定審議会の速記録を見ますると、速記録の一番おしまいにこういうことが書いてある。「もう一つの臨時措置法による生糸の売り渡し方法につきましても、非常に長時間にわたってお話し合いを願いましたのでございますが、その結果、次のようなことで政府に申し入れることになりまして、意見の一致を見たと思います。それを読んでみますと、臨時措置法による生糸の売り渡し方法については、政府は本審議会において述べられた意見を十分考慮して慎重に善処せられたい、こういうことであります。その通り決定いたしたいと思います。」、こうなっておるのですね。ですから、この提案理由の説明の中には、これを読みますと、安定審議会に諮ったところが、本生糸年度一ぱいは十八万円を事実上の最高価格として運営するんだということにきまったかのように——きまったとこれは断定してあるのですが、速記録を読みますと、何らそんなことはきまっていない。逆に、政府に申し入れて、慎重に善処しろという申し入れが政府の方に出ているというのが結論なんですね。ですから、この提案理由の説明にあるように安定審議会できめたんだということは、これは事実に反するのではないか、こう思うのであります。
○大澤(融)政府委員 昨日もお話を申し上げましたが、この速記録の十二ページに、——きのう読み上げましたが、臨時措置法の糸の売り渡しの方法、ルール、これをかけまして、これについていろいろと御討議を願い、その結果、今高田先生が読まれた五十ページのような結論になって政府にお話があったわけです。これに基づきまして、政府は審議会でいろいろ出た意見を考えまして、それに基づいて十八万円という値段をきめてやっているわけであります。
○高田(富)委員 この安定審議会に対する、本生糸年度における最高・最低価格をどうきめるかということについての政府の諮問案は、きのう読み上げたところに書いてある通りですね。ところが、この安定法に基づく最高・最低価格とは別に、臨時措置法に基づいて買い入れた生糸の売り渡し方法については、今私が読み上げましたように、逆に安定審議会の方から政府に申し入れをするということに意見の一致を見て、その申し入れの内容は、審議会でいろいろ出た意見を考慮して慎重に善処しろという申し入れを政府は受けているわけなんです。いいですか。ところが、この提案理由の説明にもはっきり、審議会で十八万円を事実上の最高価格とする運営方針が決定されたようにちゃんと書いてあります。それから、政府の方で出しておる農林省の「弘報だより」の三十四年四月八日号を見ますと、この三ページにこういうふうに出ている。「昭和三四年生糸年度における標準生糸の最高最低価格ならびに最低繭価きまる」という見出しで、「農林省は、三日三一日繭糸価格安定審議会をひらき昭和三四生糸年度における標準生糸の最高価格と最低価格ならびに最低繭価を次の通り諮問、審議会は政府諮問通り答申した。」、いいですか、政府諮問通り答申した。「なお、繭糸価格安定臨時措置法にもとずく政府または日本輸出生糸保管株式会社が保有する生糸の売渡方法についても諮問したところ、次の通りきまった。諮問、標準生糸の最高価格三八三三円、標準生糸の最低価格二三三五円、最低繭価二七〇円、政府または日本輸出生糸保管株式会社が保有する生糸の売渡方法」——1、申し込みに応じて売る、2、その価格は三千円、3、これは三十五年五月三十一日まで適用する、こういうことが出ておるのです。そうしますと、この農林弘報に発表されておるこの文章といい、この提案理由の説明にある文句といい、安定審議会で政府の諮問通りちゃんと本生糸年度における実質上の最高価格として十八万円というものをきめたかのごとく見えるのです。ところが、この速記録が何よりも一番正確なものだと思うのですが、速記録のどこを読んでも、その政府の持ち出したことに対して、安定法による諮問である最高・最低価格と同列に、はっきりと政府の諮問通りそれでよろしいという返答はしておらぬ。しておらぬどころか、逆に相当これはもめたらしいんですよ。これを読んでみましても、食事時間休憩しておって、休憩中いろいろ議論があったけれども、結局意見の一致を見たの——は意見の一致を文書にして読み上げているのですね。その文書を読んでみると、政府に対して慎重に善処しろという申し入れをすることになっているのです。これは、この審議会にこの二つのものが並列的に出されたときに委員が相当迷ったことは、この内容を全部読んでみるとよくわかるのです。また政府は何を突拍子もないことを言い出したかと、相当たまげた。これは議論百出なんです。意見がまとまらないから、政府に逆に慎重にやってくれと申し入れしておるのです。そういう事実があるにもかかわらず、あたかも権威ある審議会の議を経て本年度の実質最高価格なるものが決定されたかのごとく書かれておるのは、どうも私は納得できないんですよ。
○大澤(融)政府委員 十八万円の実質的な最高価格をあのような売り渡しのルールとして決定いたしましたのは政府でございます。しかし、この速記録の九ページの辺をごらんになっていただけばわかりますが、今高田委員からお話のございました最高・最低価格、これは正式に諮問をすべき事項で、従来からも諮問をしてきめております。ところが、臨時措置法の六条の売り渡し価格は、ルールを作っておかないと混雑していけないので、ルールを作って実質的な最高価格という意味を持たせるということで、正式な諮問事項という形はとっておりません。九ページにそういうことは書いてございますが、実質的には最高価格の役割を果たさせるということで、このルールを出しまして、審議会の御意見を聞いておるわけです。そこで、提案理由とのつながりでありますが、「本年三月、繭糸価格安定審議会の議を経て、」、こうございますのは、審議会が十八万円そのものどんぴたりときめたということでは何もないのでありまして、五十ページに書いてありますように、この審議会でいろいろ出た意見をよく考えて政府がきめなさいということで、出た意見を私ども考えますと、相談をかけたあの案の十八万円、ああいうルールで売るということが最もよいことだというふうに判断をして、十八万円ときめたのは政府がきめたわけでございます。
○高田(富)委員 ですから、私は、この提案理由の説明も、それからこの弘報に出た——これは政府の提案理由の説明通りなんですが、弘報に出ておるのも、これは訂正する必要があると思うのです。これを読みますと、完全に政府の諮問通り、こうなっておる。ですから、「繭糸価格安定臨時措置法にもとずく政府または日本輸出生糸保管株式会社が保有する生糸の売渡方法についても諮問したところ、次の通りきまった。」と、こうなっておるのです。それから、この文書、この提案理由の説明もそれを受けておる。諮問してきまった、両方のことを諮問して両方のことがきまったように出ておるのです。そうじゃなくて、最高価格・最低価格は諮問の通りきまった、これは間違いないのですが、あとの臨時措置法の方は、参考までに意見は聞いてみたけれども、意見はいろいろ出ておって、最終の結論は出なくて、慎重にやってくれという要望が出されたのですから、このきめたことは全部政府の責任において政府が決定したことであって、安定審議会がきめたんじゃないのです。そういうふうにやってくれという答申は安定審議会はしてないのですから、そういうふうにちゃんとこれは書きかえてもらわないと、事実に相違する提案理由の説明を行なった、こういうことになります。御訂正を願いたいと思います。
○大澤(融)政府委員 事実と何ら間違いはないと思います。と申しますのは、弘報で諮問と言っておりますのは、安定法で安定審議会に最高・最低価格をかける、これは法律上でいう諮問事項でございますけれども、十八万円という売り方をかけましたのは実質的な諮問だと思います。そういう意味で弘報にはあるいは同じ言葉が使ってあるかと思いますが、この提案理由の方には「議を経て」と書いてございますのは、五十ページに書いてあるような結論が出て、いろいろ意見が出まして、その意見を十分考慮して慎重に善処せられたい、こういう議があって、その議を経て申し込みに応じ十八万円で売り渡すこととしたということでございますから、本来、最高・最低価格にしましても、審議会そのものが決定するのではなくて、あくまでも意見を述べる、あるいは諮問を受けるということで、決定するのは政府でございます。そういう意味で、提案理由の、議を経てというのは、こういう議があった、その議を経て運営する政府がきめたのだ、こういうことでございますから、訂正する必要はないと思います。
○高田(富)委員 それは、そういうふうにいろいろ言いわけをすればそういうふうにこじつけられるけれども、これを読めば、だれでも、この問題についても安定審議会で政府の方針を支持した、その安定審議会の意見のり政府は実行しているんだというふうにとれるのです。そうでなければ第一書く必要がない。この速記録を読んでみますと、諮問として提案するような格好で出たものだから、委員から質問が出ている。そういうことは諮問事項じゃないじゃないか、そんなことうっかり言うと違法になりはしないかという心配までして発言してますね。そこで、あなたがまた答弁に出て、前の最高・最低ということとは違いまして、かた苦しい諮問事項というようなことではなく、今申した実質的な最高価格という役割を果たしておりますので、御意見を伺いたいということで御相談いたすわけでございますという工合に言っているでしょう。ですから、ほんとうに参考意見が聞きたいから出してみたという程度のものであって、諮問事項というようなものじゃない。だから、最高・最低価格の問題と全然別個の性質のものなんですね。たまたま参考意見を聞こうと思って出してみたところが、意見がまとまらなかった、政府はこういうものは慎重にやれという申し入れを受けたというのが事実なんです。だから、わざわざここに、審議会の議を経て云々なんて、いかにも審議会できめたような誤解を招くのですよ。だから、これは政府の責任においてやったことで、審議会には相当異論があった、——賛成論もあったでしょうけれども、そういうことなんですから、その点はそういう事実を一つ率直に認めていただきたいと思います。それでよろしゅうございますね。
○大澤(融)政府委員 正式な諮問ではないけれども、実質的な最高価格をきめるという意味で、実質的には審議会に諮問をしたという事実に間違いございません。それからいろいろの御意見があり、その御意見の結果こういう審議会の議決があって、それを参考にして私どもがあのような決定をした、この事実には誤りはございません。
○高田(富)委員 ですから、この提案理由の説明の方だけですと割合そういうごまかしもさくけれども、この弘報にはちゃんと出ている。諮問して決定したのだというふうに出ている。これは間違いです。諮問してきまったのじゃない。正式の答申じゃないまでも、意向とは違って、政府は確定的に十八万円というものを本生糸年度内における最高価格とするということを政府の責任において決定したものなんです。それはいいですね。
○大澤(融)政府委員 意見を聞いて、政府の責任において決定したものでございます。
○高田(富)委員 そこで、審議会の中でもいろいろ実質上の最高価格云々ということについては議論が出ている。これは私は当然だと思うのです。臨時措置法というものは安定法と一体どういう関係にあるものか。安定法の効力を、この臨時措置法が適用されている年限だけは一切停止してしまって、安定法とは全然異なった趣旨の安定方式を臨時措置法が確立しているものなのかどうか。臨時措置法と安定法との関係を明確にしておかなければならぬと思う。私は、去年の臨時措置法提案のときの提案理由の説明あるいは政府の非常にたび重なる質問に応じての答弁を通じてはっきりしていると思うんですが、臨時措置法というものは、どこまでも安定法の安定方式というものを守り抜かなければならぬ、ところが、異常事態でなかなか安定法だけじゃ守り抜けない、そこで、安定法の下値をささえるための方法を臨時的に拡大をして、そうしてあの臨時措置法によって安定法に定められた方式を何とか維持する、こういう建前のものだと思う。だから、安定法の精神と臨時措置法の精神というものは矛盾してないと思う。臨時措置法の中で安定法をくつがえすようなことはできないし、あり得ないことだと思う。それなら安定法を廃止して新しい臨時措置法を安定法にすればいいのであって、そういうものではないと思う。その関係をあなたはどうお考えになりますか。
○大澤(融)政府委員 臨時措置法は安定法に対して一種の特別法だと思います。特別法として、買い入れの仕方、売り渡しの方法という点について役割を果たす法律だ、こういうふうに考えております。
○高田(富)委員 ですから、矛盾してないのだ。安定法の精神、安定法の基本原則というものをよりよく実行するための特別法、こういうことになっておると思う。ところが、諮問したにせよ、ただ参考意見を聞いたにせよ、安定審議会に対して事実上二つの最高価格を諮問しておることになる。さっきあなたは、形式上・法律上ではなくて、事実上諮問したんだとはっきり言われたが、その諮問は二つの最高価格を諮問したのじゃないんですか。安定法に基づいた最高価格・最低価格を諮問して、さらにもう一つの最高価格を諮問しておるのですよ。これは明らかに臨時措置法にも違反しており、安定法にも違反しておる。そういうことは違法じゃないのですか。
○大澤(融)政府委員 二十三万円というものは最高価格として正式の諮問をいたしたわけでございますが、実際問題としては、臨時措置法で本生糸年度中のああいう糸の価格決定をやるわけでありまして、実質的な最高価格の役割を果たさせるためには、臨時措置法の第六条により、売り渡しについてルールをきめておく、また、ルールをきめておくことが、きのうも申し上げましたが、政府がこれだけたくさんの糸を持っておる場合には必要なことでもある、そういうことでルールをきめる、そうしてそれが実質的な最高価格の役割を果たすのだからということで、これも先ほど申し上げましたような正式な諮問ということではございませんけれども、審議会の意見を聞いてあのように処置をした、こういうことであります。
○高田(富)委員 私は、審議会がはっきりした答弁を与えないで、政府に慎重に善処しろと言ったのは、はなはだ当を得ておると思う。これはあたりまえだと思う。政府が二つの最高価格をきめようとしておることは違法の疑いがあるのですよ。そういうことが一体できるかというのです。最高価格というものは一つしかないはずだと思う。そのために諮問するので、もし二十三万円が工合が悪ければ、この二十三万円をどういうふうにいじくるかということは安定審議会の諮問事項だ。法律に基づいて当然諮問に応じて答えなければならない問題だと思う。けれども、それはそれできめて、また別の最高価格について諮問を出されても、返答できないのは当然だと思う。だから、結局返答はなかった。あなたの方は、いずれにしてもそれを政府の責任において断行しようとしてきたわけですが、これは最高価格を本生糸年度においては二つ作ることになる。そうでしょう。そういうことですね。
○大澤(融)政府委員 ノミナルな形での最高価格は二十三万円一つ、しかし、実質的な最高価格の役割を果たすものとして臨時措置法の売り渡し価格のルールとする、こういうことであります。
○高田(富)委員 最高価格に実質的なものとノミナルなものと二つ置くということが大体おかしいと思うのですよ。そんな最高価格はないと思う。それじゃ、わざわざ審議会へ諮問して二十三万という最高価格を作ったのはどういうわけなんですか
○大澤(融)政府委員 最高価格・最低価格は各生糸年度ごとに安定審議会に諮問して定めることになっているということできめたわけでございます。
○高田(富)委員 そうすると、あなたの諮問も、それから安定審議会の答申も、本生糸年度においては二十三万という最高価格は至当なもの、適当なものであるということできまったわけですね。
○大澤(融)政府委員 形式的な最高価格といたしましては二十三万円ということでございます。
○高田(富)委員 私はこういう議論は非常に大事だと思うのです。行政府が法律というものを厳格に守るということは根本問題だと思うのです。いいかげんのことは許されないと思う。ですから、この繭糸価格安定法というものが現存し、その法律に基づいて最高・最低価格を諮問しているのですから、これはまじめに諮問したのだろうし、まじめに審議して答申したのだろうと思うし、いいからかんなものじゃないと思う。いやしくもそれが諮問をされ、検討資料を添えて出して、そして検討の結果最高価格として適当なりという結論が出た以上は、これがりっぱな最高価格じゃないですか。これ以外に最高価格というものはあり得ないのじゃないですか。どうですか。
○大澤(融)政府委員 そういう意味での最高価格は一本だと思いますけれども、本生糸年度中の実質的な最高価格は、先ほど申し上げましたような意味で十八万円ということがルールとしてきまっておるわけでございます。
○高田(富)委員 この繭糸価格安定法に基づいても、毎年度ごとにとにかくその年度における最高・最低価格を諮問して答申を求めて決定をするということになっているのです。一方のは永久不変のものか何かで、一方のはことしだけのだということはあり得ないので、法に基づいても毎年度ごとに最高・最低はきまるわけなんですから、今年度の最高・最低価格としてあなたは諮問をした。二十三万という最高価格、これはあなたは本年度のものとして諮問しているわけなんです。本年度の最高価格として諮問をし答申を求めておきながら、もう一つまた本年度の最高価格を出すということは、どっちかが最高価格でない。いずれにしても、法に基づくものでない方は最高価格ではないと私は思うのです。どうなんですか。最高価格ですか。
○大澤(融)政府委員 おっしゃる通り、二十三万円の方は形式的には最高価格であり、十八万円の方は形式的には最高価格でございません。しかし、本年度実質的に最高価格の役割を果たすものは十八万円、こういうことになろうかと思います。
○高田(富)委員 いずれにいたしましても、繭糸価格安定法というものをこれは完全にじゅうりんしていると思うのです。 それでは、これは一つ問題としてもうちょっと保留にしておきますが、これと関連してこういうことはどうなんですか。臨時措置法というものは、さっきもちょっと申し上げましたが、臨時措置法の条項のどこを見ましても、最高価格を押えて価格の安定をはかろうとしている条文は一つもないのです。これは提案理由の説明でも全部明らかですけれども、具体的に出ておる条文を見ましても、この臨時措置法のねらっておることは、要するに、安定法の定める最低価格をいかにして維持するかということのために、買い入れ限度のワクを作ったり、あるいは輸出会社の買い入れの方法をきめたり、いろいろな方法を講じて、最低価格を維持するということのためにこの臨時措置法ができ上がっているわけなんです。条文の全部がそうなっておるわけなんです。これは当然だと思う。あの需給の逼迫した異常事態にできた臨時措置の法律なんですから、下値をいかにしてささえるかということがあの法律の全部であると思うのです。価格安定と言っているのだから、安定という言葉の中には上のことも含まれています。しかし、この場合のこの法律の言っている安定というのは下値の安定なんです。この安定法は下値以外の何ものも意味していないのです。だから、あの条文のどこを見ても、上値を押えるための方法は全然きめてない。きめてないということは、本法の安定法の中にある最高・最低価格というものは、あくまでも守られなければならない基礎のものなんです。その本法で定められた最高・最低を守るために、特に最低を守るための臨時措置法を作って最低を確保しようとあの法律は努力している。だから、上値のことは一つも書いてない。上値のことが書いてないということは、本法の中に上値のことがちゃんと生きておるわけです。だから、あの臨時措置法を使ってあなたが上値を押えよう、最高価格をくっつけようなんということを考えておることは、全く臨時措置法にも違反するし、従って本法そのものにも違反している。そういうことはできないことです。臨時措置法でそういうことができるという条文がどこに一体ありますか。
○大澤(融)政府委員 臨時措置法は、今高田委員が言われましたように、成立の当時は下値を押えるということでできたと思うのでありますし、実質的にはそういうことがねらいであったと思うのでありますが、この法律の目的を見ますと、高田委員も触れられておりましたが、安定をはかることを目的としておるわけです。安定と申しますのは、下のことももちろんのこと、上のことも、上と下との間で安定をさせるという趣旨と私は思います。
○高田(富)委員 それは安定に関する臨時措置法という「安定」の言葉を単に国語の先生みたいな解釈をしておるだけであって、この法律の解釈には当てはまらない。この安定というのは、異常事態——昭和三十三年の異常事態における下値をささえるための法律だということはきわめて明白です。こんなことは言う必要がないくらい明白です。だから、この中で売り渡しのことについて言っておるのは、最低価格より低く売り渡しをしてはならぬ、時価で売るけれども最低価格より安く売ってはならぬということが書いてあるだけです。ですから、結局、売ることについては、高値を押えるということ、暴騰を押えるということについてはこの法律には全然何の規定もない。何の規定もないということは、かまわないのかというと、本法の安定法がちゃんと規定している。だから、この臨時措置法でもって上値を押えようなんということはとんでもないことです。これは全く臨時措置法にまっこうから違反すると思うのです。でき得べきことじゃないと私は思う。
○大澤(融)政府委員 第六条をごらんになっていただくといいのですが、ここに売り渡しの規定があるわけです。そして、どういうことが書いてありますかというと、繭糸価格安定法——本法によらないで売り渡し、これをこれすることができる、こういうことになっております。
○高田(富)委員 本法によらないで売り渡しができるということは、結局、ここにちゃとあるように、時価で最低価格より下であってはならぬ、これは厳格にちゃんと書いてある。下値をささえるのが目的の法律だから、それより下で売られてはかなわぬから、下値だけを押えてある。上値については、最高のところまで持っていかなくても、異常事態に買ったのだから、その異常事態が幾らか回復してきたときには時価でぼつぼつ売っていくということは下値をくずさぬ限り許されておる。こういうだけのことであって、これをまるっきり逆用してはとんでもない。逆用して法の精神と正反対のことをやろうなんということは、まことに論外だと、こう私は思う。
○大澤(融)政府委員 高田委員の言っておられるのは、会社による生糸の売り渡しという四条を言っておられるようであります。確かにこれは時価で、最低価格を割っちゃいけないということを書いてございます。しかし、六条の方の政府による生糸及び乾繭の売り渡し、こちらの方は、最低価格を割っていけないというような制限はないわけです。繭糸価格安定法によらないで売り渡しができるということが規定してあるわけであります。
○高田(富)委員 そうすると、あなたの説明によると、最低価格以下で売ってもいいのですか。最低価格以下で売ってもいいというように解釈します。
○大澤(融)政府委員 それは、政府はそういうようなことをしないということが前提だろうと私は思います。
○高田(富)委員 そうでしょう。それはしないし、できっこない。前の条文でちゃんとうたってあるのですから、事実上それは法律の解釈としても当然最低価格以下で売ってはいけないということはさまっておる。ですから、この安定法のそこのところを故意にひんもじって、今度は最高価格の制限をやろうということになりますと、これはもう完全にこの本法制定の趣旨にも全然反するし、本法自体と全然逆のもので、安定法自体の問題なんです。それに上値がないということは、安定法の上値が生きているということなんですから、それがいじりたければ、これはよしてしまって、別の臨時措置法を作るか、あるいは安定法そのものを改正するか、そうでない限り、この法律をいじくって安定法の最高価格のほかにこれでもう一つ最高価格を作るということは絶対に許されないことだと私は考える。その点、もう一ぺん一つよくわかるように説明して下さい。
○大澤(融)政府委員 先ほどから申し上げております通り、最低価格・最高価格、形式的なものは法律上のものが二十三万円と十四万百円ということでございますし、しかしながら、本生糸年度の間臨時措置法で生糸・繭の価格安定をするということで、実質的に最高価格の役割を果たすものは、六条についての売り渡しのルートをきめて、それが十八万円ということで行なわれておる、こういうふうに御解釈願いたいと思います。
○高田(富)委員 それでは、栗原さんの方からちょっと声があったのですが、二十三万円というものが本生糸年度における最高価格としては不適当だとあなたはお考えになるのですか。
○大澤(融)政府委員 実質的に最高価格として働くのは十八万円が適当かと、こういうふうに思います。
○高田(富)委員 しかし、あなたは諮問しておるし、諮問の通り決定しているのですが、本生糸年度における安定法による最高価格の二十三万円は適当であると思うか適当でないと思うかという点、これは一つはっきりお答え願いたいのですが……。
○大澤(融)政府委員 制度上の名目的なものとしては、先ほどから申し上げましたように、形式的には二十三万円・十四万円の最高・最低価格でございますし、実質的には十八万円のあのルールできめた値段が適当だ、こういうふうに思います。
○高田(富)委員 これではだれも納得しないと思うのです。やっぱりあなたは二十三万円が法によって適当だと思うから諮問したのでしょう。二十三万円というものを適当でないなら、諮問しなければいい。別の諮問を出したらいい。二十散漫三万円が適当でないと思っていながらなぜ二十三万円というものを諮問したのですか。
○大澤(融)政府委員 何度も繰り返すようでございますが、形式的な制度上の問題として二十三万円・十四万円、どうしても実質的な役割を果たさせるものとしては臨時措置法の方でやろうということが最も適当だというふうに考えておったのでございます。
○高田(富)委員 何もあげ足をとるのが目的じゃないのですから、率直に言ってもらいたいのです。要するに、二つ諮問したということは、これは国民にわかるように説明してもらわなければ納得いかないと思うのです。二十三万円というものが適当なりとして出したというのなら、それでいいわけですけれども、不適当だということならば、不適当なものをどうして出したのかということを聞きたくなるのがあたりまえなのです。だから、そこらへんのところを率直に、あなたの腹の中をよくだれにもわかるように説明してもらいたいのです。形式的、実質的というふうに言われて二つ出されたのでは、わからないということになる。
○大澤(融)政府委員 昨日もいろいろ御説明申し上げたところで触れたのでありますが、臨時措置法の糸を年度の当初約五万俵余り持っておった。そこで、臨時措置法の糸というものは第六条の規定によって政府がいついかなるときでも随時売り出していけるという制度になっておるわけです。しかしながら、随時勝手にあれだけの大量のものを市場に放出されるということであっては、実際お仕事に携わっておられる方は迷惑するわけです。そこで、これの放出の仕方はどういうふうにしたらいいだろうか、つまり、ルールをあらかじめきめておけば一般の取引をされる方も迷惑されないわけです。そこで、そのルールをきめて、さらに、十四万円という最低価格をきめましたそれに対応して、今生糸年度は、これだけの生糸を政府が持っておる場合には、実質的な最高価格としての役割を果たさせるにはその臨時措置法の糸の売り値というもので考えたらいいじゃ、ないかという意味であのルールをきめていく。そういう意味で、実質的の最高価格の役割を持っておるということであります。形式的にはあくまでも二十三万円・十四万円、これがしかるべき最高・最低価格でございます。
○高田(富)委員 どうもあまり率直じゃないと思うのですよ。二十三万円というものが適当でないということがなぜ言えないのですか。適当でないと思うから別にそういうものを作ったんだろうと思う。適当でない理由を述べて、そうして、これは二十三万円というものは適当じゃないから、そこで実質的にはこういうものにするのだ、こういうのでないと、両方が正しくて、正しいものが二つある、こういうことでは納得しないのですよ。ざっくばらんに、なぜ二十三万円というものがあるのにまた別に実質的なものを作ったかということを、そこをやはり説明されないと、これは安定審議会でもめておるじゃないですか。こんなおかしなことはどうもふに落ちないと委員が言っておるじゃないですか。そこを一つ説明してもらいたい。
○大澤(融)政府委員 何度も御説明申し上げたことで尽きるのでありますが、昨年度も二十三万円の最高価格でございます。これはそのまま据え置くということで、実質的に十八万円の最高価格としてのあの売り渡し法の役割を果たせばいいじゃないかということで、こういうふうにやっておるわけです。
○高田(富)委員 それでは、据え置かないで、そっちの方をいじくって、二十三万円の方をいじくって適当なところへきめようとなぜしなかったか。
○大澤(融)政府委員 実質的には第六条の売り渡しの値段で最高価格の役割を果たし得るということで、変更しなかったわけでございます。
○高田(富)委員 どうもまだ説明をなかなかしょうとしないのですね。これはあとでもう一ぺん問題にすることにいたしまして、一つことばかりやっていてもしようがないですから、もう一ぺんあとで、もう少し御研究を願っておいて御質問することにいたしましょう。 それから、先ほどの提案理由の説明の、これは偶然落としたのだそうですから、これは責めてもしようがないのですけれども、そうすると、訂正をされたわけですね。そうすると、時価で売り渡すことができるわけでありますが、こういうわけですね。時価で売り渡したいために法律の改正をしたい、こういうことなんですね。それで、この法律によって、前にちゃんと提案理由の説明ででもあなた方が認めておる通り、時価で売れるようにしよう、こういうことなんでしょう。法律では時価で売ることは認めておるのです。しかし、時価で売る以外のことは認めてないはずなんです。十八万円ということがここに書いてありますが、これは時価なんですか。
○大澤(融)政府委員 政府が保有生糸を売り渡す場合の時価はどういうものだ、こういう御質問だと思います。私どもは、その売り渡し時におきます取引の実例価格でありますとか、あるいは生糸の需給の状況、そういうものなどから考えまして、最も適正な価格と認定したものが政府の売り渡しの時価、こういうふうに考えております。
○高田(富)委員 どうもあなたは何というか詭弁学の大家だと思いますが、時価というのはそのときの値段にきまっているので、買おうと思えばその値でいつでも買えるということでしょう。十八万円というものが時価だとちゃんと提案理由に書いてある。すなわち時価で売り渡す、この時価は十八万円と書いてあるけれども、時価販売ということは、あなたは十八万円ばかりにこだわっているけれども、十八万円は時価ではない。時価ではないけれども、十八万円で売りたいというなら話はわかる。その十八万円の説明をあとでしてもらえばいいのですが、時価すなわち十八万円と言えば、日本中にわかる人はないと思うんです。ここのところ一つ訂正しませんか。
○大澤(融)政府委員 予決令の八十六条の三でございますが、一項にいろいろなことが書いてあって、政府が品物を売り渡すときには、今私が申し上げましたような取引の実例価格でありますとか需給の状況というようなことをよく考慮をして、適正と認める価格できめろ、こういうことが書いてあるわけです。これに従いまして、時価十八万円、こういうことをきめておるわけでございますが、これは、今の時価を幾ら——何を基準にして時価というもの、あるいは政府の保有生糸の売り渡し価格を考えるかということは、今の規定の趣旨によってやることでありまして、たとえば、多く用いられておりますのは、上場商品については当限の値段を参考にする、取引の実例価格としては見るというようなことがございます。そうしたことから、少なくともこの法律案を提案した当時は時価十八万円ということが言えると思います。
○高田(富)委員 提案した当時十八万円が時価だったんですか。提案した当時の相場は幾らだったんですか。参考までに……。
○大澤(融)政府委員 提案した当時は、当限相場は十八万円以下であったと思います。
○高田(富)委員 そういたしますと、時価でやるということになると、現在は十八万円ではないのですから、この十八万円というのはやはり訂正しなければならぬ。
○大澤(融)政府委員 あくまでも、政府が保有している生糸を売り渡すという意味で時価、こう申し上げておるわけでありまして、現在糸の売りどめをし異常な価格が出ておりますが、政府の保有生糸を売り渡す時価というふうに考える場合には、先ほど申し上げた予決令の八十六条、これで適正な価格というふうに認定してきめるものとしては、今のものをそっくりそのままとれるということにはならないと思います。
○高田(富)委員 言うことが矛盾してきてしまっておるのです。提案したとき時価は十八万円というのでしょう。現在は十八万円ではなくなったので、時価というのを生かそうとすれば十八万円を消さなければならぬ。政府の考える適正最高価格とかなんとかいう言葉にかえなければならぬ。いずれにしても矛盾しているから質問しているのですが、率直に、提案理由の説明に抜けていると言うから、提案理由の説明を訂正したのかと思った。時価というのを消して提案していればわかるのです。時価が生きていることになると、訂正しなければならぬということになります。訂正されたらいかがですか。
○大澤(融)政府委員 先ほど申し上げましたように、政府が保有生糸を売り渡す場合の価格、これをここで時価と申しておりますけれども、これは、現在ないもの相場が立っておって、正当な生糸の需給関係を反映しているかどうかということがはっきりせぬようなものをそっくりそのままとったものが時価だということは言えないわけであります。そこで、私ども生糸を五万俵程度持っておるわけです。これが市場に流れて作る需給関係というようなことも考えて、先ほど申し上げたようなことから最も適正な価格じゃないかというふうにきめたものがここで申し上げる政府の保有生糸を売り渡す時価でございます。現在その時価を幾らにすべきかという問題が一つあると思いますけれども、現在のないもの相場で出ているようなものそのものがここで言う時価だというふうにおとりになってはいけないわけであります。
○高田(富)委員 詭弁は要らないのです。率直に言うことが一番よいと思う。お互いに蚕糸業の本質的な問題を心配しているわけで、こんなことでごちゃごちゃやりたくないけれども、そう詭弁に詭弁を重ねられては納得できないことになる。だれが考えても、二十万円以上しているものを十八万円が時価だ時価だと言われても納得するはずがないのです。それから、政府は初めから時価をきめてしまって時価だ時価だと言っているが、始終変わっているのが時価である。政府が一年間時価をきめてしまっても、その後どうなっているかわからぬ。ですから、その点もう少し率直に御答弁を願いたい。
○大澤(融)政府委員 一年間時価をきめた、こういうわけではございませんので、本生糸年度は、時価が十八万円になったならば、政府が臨時措置法で買い入れて持っている糸を売り出します、つまり、十八万円で申し込みがあれば政府の糸を売ってやります、そういう意味で、政府の保有生糸の売り渡し価格の時価、こういうことで十八万円をきめているわけでありまして、常識的な時価。今年度中の時価がずっと十八万円ですというようなことを何もきめたわけではないので、政府の保有生糸を十八万円で申し込みがあればいつでも売ってあげます、そのことによって糸価を十八万円以上には上げないように安定をしていく、こういうことであります。
○高田(富)委員 全然詭弁で、どうしようもないです。もう少し率直に、非常に苦しんでいろいろ対策を講じておられるのですが、苦心している中身をぶちまけるようなつもりでお話しになればいいと思うんです。それを、一々そういう形式論理でひねくり回されておっては、まじめに討論できなくなってしまう。十八万円が時価だといかに詭弁を弄しましても、納得する者はないです。あなたがさっき言われておりましたように、これを考えた当時——提案したときは違うのですが、考えたときは、十八万がらみ、あるいは十八万ちょっと低かった。だから、十八万という時価を考えて、そこらまで来たらということもわかる。しかし、その後今日までの経過が雄弁に物語っている通り、十八万は今日の時価じゃないですよ。だから、時価だ時価だと言わないで、政府が考えている需給均衡価格から推算した適正な最高価格と思う十八万円で、こう言えば、それが適正かどうかという議論に発展するわけです。時価だと言われると、これは議論が進まない。だから、そこのところは一つ率直に答弁して下さい。
○大澤(融)政府委員 時価が十八万円になったら、——つまり、第六条というのは、予決令の規定に従ってという規定でございます。そこで、政府の糸につきましては十八万円で申し込みがあればいつでも売りますという意味は、時価が十八万円程度になれば政府の糸を買いに来るわけです。そこで、十八万円というものよりは市価が上がらなくなるということで、十四万円・十八万円の安定ができるわけです。そういう意味で、今年度臨時措置法によって取得した生糸を売り渡す時価としては十八万円が適当だ、そういう意味での十八万円の時価でございます。
○吉川委員長 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○吉川委員長 大臣が答弁します。福田農林大臣。
○福田国務大臣 時価ということでいろいろお話しでございまするが、時価は何ものなりやということは、これはなかなか判定困難でございます。たとえば、当限の価格で言いますると大体十八万円と今日なっておるわけでございまするが、現物の方は二十万円を越えておる、こういうようなことです。そのいずれが一体時価なりやということ。それから、もう一つは、法律案を出すときには、大体当限で言いますと十八万円を切っておる、こういう状態でございます。しかるに、法律案の審議の過程等もこれあり、いろいろの思惑等を生んでおるという要素もあると私は思うのです。さようなことで、私は、時価というものはもう少しじっと見る必要がある、かように考えておるわけであります。私どもは、ただいまの現段階におきましては、まず十八万円というところが大体の時価というところではなかろうかというふうに考えておるのですが、これは少し様子を見なければいかぬ。これは政府の財産を売り払うわけでございますから、その価格につきましては、いろんな要素を、たとえば、国会で審議の大体の見通しがついて、その上の価格は一体どういうふうになっておるかというようなこと等も考慮して慎重に見定める必要がある。幸いにただいま現在におきましては売り渡しはありませんから、そういうふうな慎重なかまえで差しつかえはなかろうと、かように考えています。
○高田(富)委員 せっかくの大臣の御答弁ですけれども、しかし、いずれにしても、時価は今のところわからない、もう少し見定めるというような言葉もあったようですから、ではもう少しこの問題はあなたのおっしゃるように保留します。しかし、これはもう一ぺん問題にします。 〔「今の大臣の答弁はだめだ」と呼び、その他発言する者あり〕
○吉川委員長 お静かに願います。
○高田(富)委員 それでは、せっかくの答弁なんで、一応委員長の言うことを聞きます。 しかし、もう一つ聞きますが、今度は、これについて今のような形式論的な返事があれば、これは当分審議ができないと思うのです。そこで、お伺いしたいことは、この間安定法に基づいて買いかえと称して四千何百俵でですか売りましたね。あれは今中止しているそうですが、どういう理由で中止したのですか。
○大澤(融)政府委員 昨日もお話し申し上げましたように、買いかえの制度というのは——その前に、生糸はその年にできた生糸がその年に使われるということでございます。そこで、生糸を買い込んだ場合には、できるならば一番早い機会に新しいものにかえて保管することが必要だと思います。そういう意味で、今まで買いかえということで新しい生糸にかえられなかったのは、三十年に買いましてからずっと下値ささえで生糸を買い込まねばならぬ、買い込んでいるようなときに売り出しをするというようなことはかえって安定法の精神に反することですから、そのために今まで差し控えておったのでありますが、ただいまのような時期にこそ放出をいたしましても生糸市況に悪影響を及ぼすことはないということで始めたわけです。ところが、やってみますと、あの中の、特に一般に需要されておると申しますか、一般に好まれておるような荷口に対しては殺到をしたわけです。そこで、そういう殺到しますことによって、いわば市価が上がりかけております——先ほど大臣のお話もありましたように品薄で上がりかけておるときでありましたので、逆にそういう品物に殺到するということが、一種の燃えぐさと申しますか、そういうような材料になりまして、かえって一般の市況をつり上げるというようなことにもなりかねない様子でありましたので、そういう弊害がありますことは糸価安定制度の中でやることとしては逸脱したことではないかということで、中止をしたわけでございます。
○高田(富)委員 そういうわけで中止をしたのですか。そうしますと、それを売り出しますときには、政府は、とりあえず五万俵のうち三万俵は出す、もしそれでも市況が落ちつかなければ全量出してもいい、こういうあのときの考えであったことには間違いないのですね。
○大澤(融)政府委員 こういうようなときに、一般の市況を乱さないように、安定制度の趣旨に反しないようにというような出し方があれば、全量でも私は買いかえをしたらいいと思いますけれども、やってみましたところ、ああいうことになりましたので、中止をいたした次第でございます。
○高田(富)委員 そうしますと、これは、かりにこの法律が通っても、ああいう事態になればやはり売りどめをするわけなんで、そのことは変わりはないわけです。安定法に基づいて出したということは、そうすると、場合によればそういうことがなければ全量出してもよかった、こうあなたは今おっしゃるのですがね。それは安定法の十二条ですか、あの十二条によって買いかえ措置でもって全量でも出せるのだというふうにあなたは今おっしゃったわけです。そうしますと、それが合法的に出せるものならば、なぜこの法律を出すか。必要ないじゃないですか。安定法の十二条でやれるものを、なぜここにわざわざこんなものを出したのですか。
○大澤(融)政府委員 買いかえと申しますのは、これは物品管理上の問題でございますし臨時措置法の一部改正をお願いいたしておりますのは、安定制度により安定をさせるために、政府がまだ品物を持っておるのに十八万円で売れないというのを売れるようにする。物品管理上の問題と安定制度という問題との差異があると思います。
○高田(富)委員 しかし、あのときに、あなたは今も言われたように、とりあえず三万俵は出すと正式に表明し、さらに必要があれば全量を出す、こう言ったのでしょう。そういうことが可能ならば、何もわざわざ国会でこんな苦労をして審議をしなくても、その措置をやっておいたらいいのではないですか。
○大澤(融)政府委員 買いかえ措置と申しますのは、あくまでも物品管理上の問題でありまして、これで価格の安定をさせるとか、そういうようなことを目的としてやるものではございませんので、そういう目的として果たさせるためには、臨時措置法の改正が必要だ、こういうことで御審議を願うのであります。
○高田(富)委員 そうしますと、あのとき、三万俵でも出してしまう、場合によっては全量を出してしまう、こういうことを言ったのは違法でしょう。物品買いかえ上の規定を価格の安定に使ってはいけないから、この法律を出すのでしょう。そういうことはできないことだから、違法だから、この法律を出して合法的にやれるようにしようというのでしょう。そうすると、あなたは違法行為をやろうとしたわけですね。現に五千俵ばかりは違法行為をやったわけですね。
○大澤(融)政府委員 申し上げた通りです。五千俵を売り払いましたのは、物品管理上の問題として、新しいものにかえようという措置を始めたわけでございますけれども、そのやりましたことが、かえって価格安定制度というものに弊害がありそうだということで、中止をいたしたわけでありまして、価格安定ということを考えてやりますのには、あくまでも臨時措置法の一部改正をしてやるということでなければいかぬと思います。
○高田(富)委員 価格安定を目的として、十八万円で、臨時措置法によって取得したものを全部売ってしまってなお足らなくなって、そうして安定法で買い上げた方のものに引き続いて手をつけた。これでだめなら全量出してもいい、とりあえず三万俵を出す、これは明らかに価格の安定を目的として、価格の最高を押えるという価格操作を目的として着手をした。ところが、意外に十倍も申し込みが殺到したり何かして、いろいろな事情もあってやめた、こういうことでしょう。事実はそうですね。
○大澤(融)政府委員 あくまでも、価格安定という目的じゃなくて、価格安定制度の中での物品管理上の問題として五千俵の買いかえをやって、ああいう結果で中止をした、こういうことでございます。
○高田(富)委員 物品管理上のあれで、場合によっては五万俵全部売ってもいい、こういう考えで、三万俵までは売るということは正式に方針を立てて言明をして発表したことなんです。そうすると、物品管理上、合法的にやるということになると、あの条文にもちゃんとあります通り、同時期に売りと買いは行なわれなければならないわけなんです。同時期に行なわれなければ価格操作をするような結果を来たしますから、売り買いが同時期であれば価格操作にならないで済む。法律はそういうことでしょう。そう解釈していいですね。
○大澤(融)政府委員 そういうことだと思います。
○高田(富)委員 そうすると、あの売り払いに対しては、またさらに三万俵、場合によっては全量を売るというときは、それに見合う買い入れの計画なり買い入れのちゃんとしためどをつけてあってでなければできないことだと思うのですが、そのめどはついておるのですか。
○大澤(融)政府委員 この程度のものを買いかえをしようということをきめましても、実際はどの程度売れるかということもわかりません。そこで、どの程度売れるかとか、あるいは一般の生糸の需給関係はどうかというようなこと等も考えながら買い入れの方の措置をやっていくつもりでおります。
○高田(富)委員 そうすると、現に売ってしまったものについての買いかえはいつやるのですか。
○大澤(融)政府委員 生糸の需給関係等を考えて、いついかなる方法で買い入れをしたらいいかということは検討しております。
○高田(富)委員 そうすると、売る方だけ売ってしまって、買う方についてはまだ見当がついていないのじゃないですか。
○大澤(融)政府委員 買い入れの方法、時期等について目下検討をしておるところであります。
○高田(富)委員 それでは、売りと買いが同時期でなければならぬという法律に対して、これはまっこうから違反しているじゃないですか。
○大澤(融)政府委員 同時期と申しますのは、同時と違うと思います。ある期間の幅を考えておると思います。そういう意味で同時期にやればいい、こういうふうに考えております。
○高田(富)委員 どれだけの期間の幅がありますか。
○大澤(融)政府委員 常識的に考える場合は、同一の生糸年度内というようなことが一応社会通念としては考えられると思いますけれども、生糸の需給関係等から、次の生糸の年度の出盛り期というようなものにかかるのも同時期と考えられると私は思います。
○高田(富)委員 それはとんでもない。また詭弁が始まったと思うのです。あなたは、同時と書いてないから、期の字がくっついているからと言うのですけれども、しかし、同時といっても、物理的なほんとうの同時、瞬間も違わない同時というものは、物理学上はあるかもしれないけれども、社会学上ないですよ、人間の商取引や何かの同時というのは。だから同時期になっておる。しかし、売りと買いが同時期ということは、やはり、相場に影響を与えたり需給関係に変動を与えたりしてはならないという安定法の精神からです。売るのは最高価格になったときでなければ売れない。買うのは最低価格になったときに買う。その途中で、常に市況に変動を与えずに、需給関係に変動を与えないという精神がこの法律の全部の中にあるでしょう。だから、同時期というのは、物理的な同時ということはあり得ないから同時期になっているだけの話なんで、売りと買いというものは常に並行していなければだめなんです。そうでなければ、市況が必ず変動を起こしますよ。あなたがさっき言いましたように、買ったらその年のうちに買いかえるのだといえば、買ったら買っただけぽかりぽかり売り飛ばしたら、えらい変動を起こすでしょう。そんなことはわかり切っている話です。だから、どうしても、売るときに売ったじゃなくて、売るときには買うときの計画ができていなければだめなんです。売ってからどうしようかと腕組みをしていたら、何年先になるかわからないじゃないですか。明らかにこれは違法でしょう。どうですか。
○大澤(融)政府委員 社会通念上の同時期に買い入れをするということなら違法ではないと思います。
○高田(富)委員 いつ買うかということは、ここで言明できませんね。
○大澤(融)政府委員 相場にも関係がありますので、いろいろ検討はしておりますが、ここでは申し上げられません。
○高田(富)委員 委員長、お聞きになっておって、これは法律にいう買いかえでありますか。それとも価格操作のための売り渡しであるか。これは本委員会の権威の問題ですから、ああいう答弁で御満足がいくかどうかということが問題だと思うのです。私どもは、あくまでも、それは法にいう同時期の買いかえとは違うものである、こう断定いたします。これについて今のような御答弁がある限り審議は続けられない、こう私は言わざるを得ない。
○吉川委員長 予定されております懇談会の席でとくと御相談を申し上げるつもりでおります。どうぞ継続してお願いします。
○高田(富)委員 一つや二つじゃない。さっきの問題にしましても、詭弁で言いくるめられて、はいさようでございますかと引っ込むわけにも参らぬし、今の問題にしても、これでは困ると思うのです。これじゃとてもしようがない。全部詭弁の連続ですから、話にならない。
○吉川委員長 ちょっと休憩しましょう。 理事の御参集を願います。 午後三時休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕