懲罰委員会 第3号
- 発言数
- 14 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/12/22
会議録
○高瀬委員長 これより会議を開きます。 議員淺沼稻次郎君懲罰事犯の件、議員岡田春夫君懲罰事犯の件、議員柏正男君懲罰事犯の件及び議員小林進君懲罰事犯の件を一括議題といたします。 去る十七日の本会議において、議長職権をもって議員淺沼稻次郎君外三名を懲罰委員会に付した理由については、さきに加藤議長から文書をもって提出されておりましたが、加藤議長は、事、議員の身上に関する重大なことでありますので、その理由を直接申し述べられるため御出席されました。この際、加藤議長から発言を求められております。加藤議長。
○加藤議長 去る十七日の本会議において、議長職権をもって議員淺沼稻次郎君、同岡田春夫君、同柏正男君及び同小林進君を懲罰委員会に付した理由について御説明いたします。 去る十月二十七日安保改定阻止第八次統一行動デモ隊の国会構内乱入の直前、無記章の陳情者が常に本院正門から入ることを許されないのみならず、しかも当時特別警備のため本院正門を閉鎖しておる状況であったにもかかわらず、議員淺沼稻次郎君、同岡田春夫君及び同柏正男君は、陳情代表団が、構内においては許されない旗を立てて本院正門から不法に進入するのをとどめることなく、これとともに入門し、また、議員岡田春夫君、同柏正男君及び同小林進君は、本院構内を旗を立てて行進するこの陳情代表団の先頭に立って行進した。 以上の四君のかかる行動は、きわめて遺憾にたえないところであり、議院の秩序を乱し、かつ、議院の品位を傷つけたものとして、懲罰事犯に該当するものと認め、懲罰委員会に付した次第であります。 —————————————
○高瀬委員長 議長に対し発言の申し出がありますので、この際、これを許します。猪俣浩三君。
○猪俣委員 議員を懲罰に付するということ、ことに、議長がみずからこの懲罰委員会に付託するということは重大であります。国民の信頼によって当選してきておりまする議員が、院内の秩序を乱し、品位を汚したということで懲罰に付せられるということは、これは、なみなみならぬ重大事件であります。そこで、議長のとりました今回の行動につきまして、その観点から、議長が尽くすべきことを尽くし、しかして後に本提案になられたものであるかどうか、お伺いしたいと思うのであります。 大別いたしまして、議長が相談をし、協議すべき人たちに対して相談し、協議を尽くされたのであるかどうかということ。第二には、議長が、その主張なり意見なりを聞くべき人に聞いた上で懲罰に付されたのであるかどうかということに相なります。 そこで、第一の協議すべき人に協議して本提案に及ばれたかどうかということは、二点に分かれまして、第一は、副議長でありまする正木清氏に、一体懲罰に付することにつきまして御相談があったのかどうか。今回の懲罰事犯は、議長職権をもってしたということで異例であります。前例がないわけでもありませんが、前例四件は、いずれも院内におきまする議員自身の行動が直接原因として懲罰事犯に相なっておるのであります。しかるに、今回は院の構内ではありましても、院内ではありません。しかも、議長のこの懲罰の理由を見ましても、議員それ自体の行動にあらずして、その他の人たちの行動に対しまする責任的な懲罰の理論に相なっております。かような院の構内において——院内にあらず、院の構内において、しかも、他人のやった行動に対する責任論としての懲罰事犯というものは、およそ本院始まって以来の異例であると存じます。さような懲罰をするに際しまして、議長の最も近い女房役でありまする副議長と御相談なさることがしかるべきであろうと存じまするが、その点の御相談があったのであるか、ないのであるか、その点について御釈明をいただきたいと思います。まず、その点につきまして……。
○加藤議長 ただいまの御質問にお答えいたします。今回の問題は、議員の身上に関する重大な問題でありますから、副議長に相談いたしました。これは当然のことであると思います。
○猪俣委員 第二点といたしましては、本件のいわゆる議長の懲罰理由の中にあります、いわゆるデモ隊が国会の構内に乱入した、このデモ隊が入りまして、そこに一団となってたむろしました場所は、この正面玄関であります。陛下が臨幸になるときにお上りになる、あの正面玄関、あれは何と申しますか、中央部と申しますか、正面玄関であります。この正門も衆参両院の共管でありましょうし、いわゆる群衆がたむろいたしました中央の入口、玄関口、これは衆議院警務要覧の中にも書いてありますが、議事堂略図として明らかにされておりますことは、これは参議院の構内であります。参議院の構内におきまして、ここにいわゆる集団的な一隊がおったわけであります。少なくとも衆議院、参議院両院に関係ありまする問題である。衆議院の院内の問題にもあらず、参議院の院内の問題にもあらず、正面玄関は衆、参両院の共管であり、しかも乱入者がたむろしたところは参議院の構内であることは明らかであります。しからば、この乱人したことに対しまして、その指導者として懲罰事犯に付するといたしまするならば、少なくとも参議院議長と綿密なる御協議あってしかるべきだと存じまするが、さような御協議をなされたかどうか、承りたいと思います。
○加藤議長 お答えいたします。議員の懲罰権は、各院独立別個のものでありますので、本院で本院議員を懲罰に付するにつきましては、参議院議長に相談をいたす筋合いでもなければ、またその必要もございませんので、相談はいたしておりません。
○猪俣委員 さて第三点といたしまして、淺沼君らの主張によりますれば、本件事案の起こりました二十七日の前日、二十六日に議長、副議長、事務総長立会の上で、社会党のそれぞれの議員が陳情について相談をして、結局、陳情団二十名まで認める、さようなときに、社会党の一議員が、とにかく大ぜいの団体がくるから、その振り合い上、あるいは多少ふえるかもしれぬ、しかし、三十名をこえることはありませんということで、二十名を原則とし、やむを得ざる場合においては三十名を了解したということで別れたわけであります。 さような事情がありましたのでありまするから、その陳情団を引率したということで責任を追及するという場合におきましては、懲罰に付された人たちに対し、その意見やその考え方を、懲罰に付する前にお確かめになることが、私は順当であったと思うのであります。ある行為が不法であるとして、その責任を追及いたしまする場合におきましては、その行為者の意思を確かめ、すなわち、悪意があったか、過失があったか、その意思を確かめることが必須条件であります。これは国家公務員、あるいは地方公務員の懲戒におきましても、あるいはまた、国家の刑訴法上の公訴提起にいたしましても、まず、被疑者に対しまして、被懲戒者に対しまして、いかなる意思のもとに、いかなる理解のもとにかかる行動をやったかということをよく確かめた上で、その行為に対して、故意または過失ある場合において、その責任を追及するということは、近代責任理論の一ページであります。 かような意味におきまして、いやしくも良識ある国会議員を懲罰に付されるという、こういう重大事に際しましては、懲罰事犯に付する提案をなさる前に、その人たちが故意でやったか、悪意があったか、過失があったか、いかなる意思のもとにかかる行動をしたかということをお確かめになることが、責任追及論の原則であります。さような立場から、議長がかような懲戒処分の挙に出られる前に、淺沼稻次郎君その他の人たちに対して釈明をお求めになったかどうか。全然そういう釈明を求めずして、いきなり懲戒の処分に出られたのであるかどうか、その点を御説明願いたいと思います。
○加藤議長 今回の問題は、議長の宣告によって懲罰委員会に付せられたときは、議長の宣告と同時に、その効力が発生いたしますから、弁明を許す余地が生じないものと考えております。
○猪俣委員 第四点といたしまして、なお、本件を懲罰に付される前に、議長は、まさか何らの証拠固めもせずしてなされたとは存じませんが、いかなる資料に基づいて、そうして本件懲罰の理由のごとき事実を御認定になったのであるか。本人どもに聞きもしないで、あるいはまた関係者、最も集団の近くにおりました社会党の議員も多数あるのでありますが、そういう人たちの意見も聞かす、そうして事を断じられた。一体、どういう証拠に基づきまして、かような理由に書いてありまするような事実を断定せられましたか。その点について、私は相当詳しく御説明いただきたいと思うのであります。
○加藤議長 いろいろの資料に基づきまして、慎重の上にも慎重に検討いたした結果でございます。
○高瀬委員長 これにて議長の御発言は終わりました。 ————◇—————
○高瀬委員長 この際、お諮りいたします。 衆議院規則第二百四十条によりまして、本人淺沼稻次郎君、同岡田春夫君、同柏正男君及び同小林進君、以上の四名の諸君を、議長を経由して、明二十三日午前十時、本委員会に出席を求め、それぞれ一身上の弁明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、議長を経由して、右四名の出席を求める手続をとることといたします。 本日はこの程度にいたし、次会は明二十三日午前十時から委員会を開き、淺沼稻次郎君外三君から一身上の弁明を聴取することといたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時散会