大蔵委員会 第9号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/12/11
会議録
○植木委員長 これより会議を開きます。 税制に関する件及び金融に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 先日金利の引き上げの問題について中央銀行のことについていろいろ議論がありまして、きょう山際総裁の出席を得ましたので、日銀の本来のあり方ということについていろいろお尋ねしたいと思うのであります。 御承知のように、最近日銀法の改正問題もありまして、いろいろ世間の論議を浴びておるわけでございますが、山際さんは、御承知のように大蔵省に長くおられたし、三代の大臣に仕えて次官をやられたこともありますので、この際、日銀のあり方がどうであるかという問題について、できるだけ率直に御意見を承りたい。特に、私たちの中では、ちょうど戦争中の陸海軍のように、大蔵省と日銀とが争っているというようなうわさもあるわけです。こういうような時期でございまして、戦後十四年にもなっておりますから、今の日銀のあり方は工合が悪いということはいろいろ論議をされておりまして、先回も舟山案というものが出ておりまして、まだ結論に達してないわけでありますけれども、いろいろと論議があるわけですが、この点について日銀の総裁としての山際さんはどういうような考えを持っておられるのか、まず日銀のあり方についてお伺いしたいと思います。
○山際参考人 日本銀行当局者として、日本銀行のあり方について、どういう形が最も好ましいと思うかというお尋ねと考えます。実は、妙な縁故で、現行日本銀行法は、当時私は大蔵省の銀行局長を勤めておりまして、当委員会のこの席において私が法案の説明をいたしました因縁がございます。これは昭和十七年の当時であります。ただいま御指摘の通り、現行の日本銀行法はすでに戦時に入りましてから制定をされました。従いまして、当時の日本全体のあり方というものがどうしてもその背景に考えられながら、また戦争という非常な突発的な事件を背景にいたしまして、いかなる場合にいかなる事態が生ずるやもはかりがたいというような考え方が基礎になりまして、さような場合においても随時日本銀行がその職務を果たし得るような機構を用意しようという意識が相当強かったことを記憶いたしておる次第でございます。しかるに、戦後すでに日を経ました今日、振り返りますると、さような非常な事態、また今日の世界の情勢とは全然違った場合において作られましたこの背景を考え合わせますときに、私はこれは当然根本的に再検討せらるべき段階に参っておると考えておったわけであります。政府におかれましても、同じような考え方で、ただいま御指摘の通り、現在金融制度調査会――これは大蔵大臣の諮問機関でありますが、この調査会におきましてみずから日本銀行法を再検討しようということで、それに関する特別委員会を設置され、現在その特別委員会において非常に熱心に御審議が継続されておる状況でございます。すでに現在までの段階のことについてはあるいはお聞き及びかもしれませんが、私どもといたしましては、むろん十分にその審議を遂げられまして、現在の段階において考えられ、またこれから先の事態をも十分考慮に入れられましたきわめて公正適実なる案が答申せられまして、やがてそれが大蔵省において審議され、場合によりましてはそれが国会において提案されて御審議を仰ぐという段取りに相なる日を考えておるわけであります。従いまして、現在の場合において、委員外の私が委員会自体についてとやかく申すことはいかがかと存じますが、日本銀行当局者として望ましい状態について、この機会に私は一言申し上げておきたいと思う次第であります。 私の考えは、その申し上げました特別委員会の委員になっております谷口副総裁が、しばしばその見解を委員会において明らかにいたしておりますが、私はこれと全く同意見でございます。その要点は、要するに、金融政策は、日本銀行が通貨価値の安定ということを根本の考え方といたしまして、それを中心として、事態の推移に応じてなるべく機敏に自主的に決定し得るような体制をお整え願いたいということに尽きると思うわけであります。むろん日本銀行が行ないますことだけが金融政策のすべてではございません。しかしながら、中央銀行の持つ性格から申しまして、その目的をはっきり法律上御規定を願いまして、その法律の命じました範囲においては、極力自主的にかつ機敏に適実に動き得るような体制を作っていただくということが、中央銀行の今日の場合におけるあり方としては最も望ましいと実は思うのであります。各国とも戦後の時代を経まして、中央銀行制度については、やはり同じような見地からいろいろ再検討が行なわれております。わが国の場合におきましても、金融のいろいろの繰作は常時相当注意いたしまして、その変化する事態に敏速に適応する措置を講じて参らねばならぬと同時に、また相当専門的な技能をも要する事項でありますので、日本銀行が法律によっておまかせを願った範囲においては、責任を持ってみずからこれに当たるという余地を十分にお残し願うような法制をお作り願いたいということを、念願いたしておるわけであります。もちろん、世上、往々にして、日本銀行はいたずらに中立性を要求しておって、あたかも他の諸政策との関連を考えないかのごとき印象を持たれる方もありますけれども、私どもは決してそうは考えておりません。むろん政府の監督を十分受けまして、その所要の監督のもとにおいて、できるだけ定められた目的において、その定められた土俵の中においては、自主的に、どこまでも敏活に、機に応じ変に臨んで十分に動き得る体制をお許し願いたい、かように実は望んでおるわけでございます。むろん、通貨の価値の安定ということが、おそらく法律上与えられた根本の最大の任務であろうと思います。この原則に抵触しない限りにおいて、政府その他の行なわれる各種の政策に協力すべきは当然だと考えます。また、政府の日本銀行に対する御監督も、政府委員の任命権であるとか、それぞれ監督の立場を保持されることも妥当だろうと思います。これもまた当然だと思いまするが、要は、今申し上げましたように、法律によって政府の監督のもとにはっきり土俵をお書き願って、その中における動き方については、極力自主的にかつ中立的に、また機動的に動き得るような仕組みをお考え願いたい。そして、むろんそれについては日本銀行当局者は全体として全責任を負う、という仕組みでお考えをいただいたらどうだろうか、かように根本的に考えておる次第であります。
○佐藤(觀)委員 通貨というのは御承知のように大衆に影響のあるものですから、通貨価値の安定ということはむろんしていただきたいと思うのですが、今まで日銀の側でいいますと、貨幣のことと金融のことはわれわれにまかしてほしいという、いわゆる中立論を唱えているけれども、あとで質問いたしますが、政府の方では財政政策や金融政策は、政党政治であるから自分の方にまかしておけというような意見もあって、その点がいろいろ今後は論議の的になると思うのです。山際さんは、今までの経歴上からいえば、大蔵省の銀行局長から次官もずっとやられておって、政治的なこともいろいろ御存じだと思うのですが、今度の金利の引き上げのことについても、多少違うのじゃないか。あとで大蔵大臣が見えてから同時に質問しようと思うのでございますが、実際日銀が中央銀行として通貨の安定ということをはかる以上は、やはりある点まで独立性と中立性がなければ、時の政府の都合のいいように金融政策をやると大へんなことになるので、そういうことについて今御批評がないのか。今のような法律では私たちは非常に問題があると思うのですが、そういう点について、総裁は現在の場合においてこのままでやっていけるお気持があるのかどうか、この点一つ伺っておきたいと思います。
○山際参考人 日本銀行の行ないます金融政策の運用の現状におきまして、私は、政府との間においては、制度上非常に困るという問題は現在考えておりません。と申しますことは、今も申し上げました通り、日本銀行は、どこまでも通貨価値の安定ということを与えられた任務の眼目として、最善の努力をいたしますけれども、政府その他によって行なわれる各種の政策と十分な協調を保つべきことは申すまでもございません。従いまして、一番肝心なことは、日本銀行の行なう金融政策につきまして、常時大蔵当局その他と緊密に連絡をとり、その意思の疎通、見解の統一をはかりまして、一体として動き得るような環境を常に維持しながら進んでいくことが、その要点だろうと思うのであります。私もいささかその点については努力をいたしております。私の感じます限りにおいて、その点について、政府当局と私どもの方の関係におきましては、単に大蔵大臣と私との間のみならず、各種の事務段階におきましても、ひんぱんに連絡し、討議し、意見の交換をいたしております。その間現在まで何ら支障を感じたことはございません。巷間種々のことを取りざたをいたしますけれども、しかし、実際運営の衝に当たっておる者といたしましては、現在までのところ、格別その点において非常に不自由であったとか、非常に支障があるとかいうことを感じてはおりません。
○佐藤(觀)委員 山際さんは人柄がおとなしいので、大体控え目に言われると思いますが、実は六年くらい前に私オランダに行って、オランダの中央銀行の総裁に会ったことがある。詳しいことはよくわからなかったけれども、とにかく中央銀行の総裁というもののあり方についていろいろ意見を承りました。昨年も、平岡委員や山本委員と一緒に、やはり西ドイツの中央銀行の総裁であったウィルヘルム・フォッケさんにも会って、そのときもいろいろ意見を聞きました。私たちは、寡聞でありますから、あまり詳しいことはわかりませんけれども、やはりオランダとかあるいは西ドイツには、そういうような有名な、いわゆる中央銀行の総裁として相当力のある人がどんどん出てきておる。ところが、日本では――一萬田さんは一萬田法王といわれてなかなか人気があったけれども、しかし、はたしてほんとうに日本銀行の総裁としての権能を果たしたかどうかということになると、私たちは疑問を持っております。そういう点で私が特に山際さんにお願いしたいのは、あなたの経歴からいえば、長い間大蔵省におられて、しかも銀行局長もやり、そういう金融関係の仕事をやっておられたという建前上、やはり中央銀行の総裁として私は非常に御適任じゃないか、こう考えておるわけです。そこで、あとでもいろいろお尋ねいたしますが、一体日本の中央銀行としての総裁のあり方――まあ昔は土方久徴とかなんとか、私たちの子供のころから知っておった日本銀行の総裁がいろいろあったわけです。ところが、戦後は、失礼でございますけれども、やはり時の権力に属するような日本銀行の総裁がなしとしないという考えを持っているわけです。そういう場合において、御承知のように、たまたま日銀法の改正の問題、あるいは日銀の政策委員会の問題や理事の問題、あるいは先回の副総裁の問題でも、実は私谷口さんも佐々木さんも知っているので言いにくいけれども、どうも山際さんのせっかくの意見がとられなかったといううわさもあるわけです。これは真相は知りませんけれども、そういうところに、われわれが、大蔵省の押し方によって日銀が何かぐらぐらするというような心配を持っておるわけであります。そういう点について、私は、むしろ、日銀のあり方としては、そう大蔵省の顔を見ないでやれるのじゃないか。佐藤さんは大蔵大臣としてはなかなか政治的手腕のある人でありますから、私はそういう点については尊敬しておりますけれども、何といっても金融のことについては山際さんはベテランであると思うのです。そういう点について、特にあなたが不動の精神を持って日銀の改革――日銀は来年は十五年になりますが、戦後十五年間もこの日銀というものが時の政府の思うままに改正を受けその圧迫を受けて、今や方向転換のときにきておるときに、確信を持ってやっていただけるかどうか、まずこの点をちょっと伺っておきたいと思うのです。
○山際参考人 ただいま御指摘の通り、ヨーロッパ諸国におきましては、オランダ銀行の総裁もまた御指摘のフォッケ博士も、これは世界的に著名な中央銀行当局者としての権威者であります。かかるすぐれた先輩を持つヨーロッパ諸国に対しては、私どもは非常にうらやましく思っております。平素これらの人々のとられました事績や人柄等についても、われわれは実は模範として学ぶことに努力をいたしております。御指摘のごとく、当然日本銀行は、その本来の目的である通貨価値安定の諸施策につきましては、これは、その衝に当たりますわれわれといたしましては、たとい政府その他からいろいろ御要求がございましても、みずからの信念なり良識においてとうていこれといれないというようなものは、むろん実行をいたすべきではないと考えております。努めてさような事態に立ち至らぬためには、先ほど申しましたように、常時事態の推移を注視し、これに関するおのおのの見解を統一し、また意見を交換し合って、そしておのずからそこに帰一する点を双方で発見し合うという努力が平素どの程度に行なわれるかということに、私は非常に重点があろうと思うのでありまして、実はその点に努力をいたしておるわけでございます。私自身、ただいま申し上げました通り、現行法のもとにおきましても、現在は、その点におきましては、私といたしましては、満足すべき状態のもとにおいて、その責任を果たし得るような事態にあると考えております。ただいま法律の改正が議題になっておりませんが、根本思想は、やはりそういったことが実行できますような仕組みに法案が出ました場合に御審議をいただきますれば、なおそれが力強く働き得ることになろうかと思いますので、今申し上げました通り、これはまだ特別委員会でその草案について論議が行なわれておる段階でありますから、とやかく私が申し上ぐべきことではございませんけれども、今後の日本における中央銀行のあり方といたしましては、ぜひともさようなことが制度上も円滑にかつ確保されるような仕組みにおいて、お考えを願いたいものと希望いたしておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 私たち非常に感ずる点は、どうも日本銀行が大企業の中心になって、その銀行の支配権を握られておるような感じがするわけです。特に、最近の事情を見ましても、大企業も大事でありますけれども、日本銀行は直接大衆のお金を預かっておる、お礼を出しておるところの非常に重要な役目を持っておるわけです。ところが、大体日本の今までのあり方としては、政治が非常にインフレの傾向をたどってきておる。それをいつも日本銀行は支持しておる形が出てきておるような感じがするわけなんです。そこで、この間大内兵衛さんも言っておられますが、せっかく日銀の改革をやるのにも、私たちは社会党だからそういう文句を言うわけではございませんけれども、労働者や女や反対党の意見も聞かずに、日銀の改革論をやっておるじゃないかというような非難があるわけであります。イギリスでは、そういうような場合には、やはり反対党の意見を聞きながら、共産党の意見まで聞いて、中央銀行を国民大衆のものにしようというような動きがあるわけです。これはそう勝手にはわれわれいかぬと思いますけれども、やはりこういうような大改革をやるような場合には――もっともこれは山際さんの責任じゃありません。大蔵大臣の責任でありますけれども、やはり日本銀行は大衆の銀行である。それはなぜかといえば、札というもの、お金というものは、日本銀行が主導権を持っておる限りは、やはり大衆と一番関係の深い日銀であるべきだと思うのですが、実際は、何か雲の上に、一萬田法王といわれるように雲の上にあるような形が感ぜられてならないわけです。そういう点について、総裁はどういうふうにこの大衆と日銀とのつながりをお考えになっておるか、この点について意見を承っておきたい。
○山際参考人 御指摘の点につきましては、実は、私がお預かりをしておる毎日の仕事のうちで、最も重点を置いて、常に忘れずに心がけておる点でございます。通貨価値の安定と申しますことも、ひっきょうするに、日本銀行が国民大衆に対して発行いたしておりまするお札、この札の値打を維持するということであります。従いまして、日本銀行の発行しております銀行券は、国民大衆に毎日々々の生活においてこれを愛用してもらっておるわけであります。むろん、各種企業も、政府も、みんな貨幣経済で、日本銀行券の流通によってその機能を発揮しておられるわけであります。要は、国民大衆の日常生活がこの日本銀行券の価値によって守られておるということを、私は確信をいたしております。それを維持することこそわれわれの最高の責任であるというふうに、これは信念を持って感じております。でありますから、実は機会あるごとに私は人々に申しておるのでありますが、一見日本銀行の建物は非常に大衆から離れて、一般預金もございませんし、めったに銀行へおいで下さる方もないわけでありまするけれども、実はそうではなくて、日夜離れ得ざる関係を保持しておる。おそらく、現在でも、皆さんのポケットには私どもの出しておる日本銀行のお札が入っておることだろうと思います。それには私どもの判も押してあるはずである。これに対しては絶対にわれわれはのがれ得ざる責任を持っておるわけであります。でありますから、これを常に念頭に置くということが要点であると私は感じております。ただ、お札が出ていきます経路が、あるいは政府を通じあるいは大企業を通じるという場合が、これは日本経済の実態において相当大きな部分を占めております。しかし、一面において中小企業、農業者その他の関係においても、これは直接間接に払われていく銀行券も相当あるわけであります。直接であろうと間接であろうと、常にその利益を擁護するためにわれわれは最大の努力をするということを、実はわれわれの最大の責任として考えておりますので、その点をもっと親しみやすく、大衆の方々の御理解を願いたいということを、実は機会あるごとにお願いをいたしておるわけであります。縁が遠いように見えておって、実は日夜忘れずに最も縁の深い関係にありますわけなんで、これは、われわれといたしましても、常にその意識を一そうきびしくいたしまして、その責任にこたえていきたいと、かように念願をいたしております次第でございます。
○佐藤(觀)委員 今の日銀の政策委員の選定について、これは国会にも責任があるのですが、総裁はどういうふうに考えておられるのか、ちょっと関連してお伺いしたいと思います。
○山際参考人 現行法によりますと、御承知の通り、金融界並びに産業界において多年の知識経験に富んでおる方方を業界の推薦を受けて政府が任命される場合には、国会の御承認を得てその方々を任命されるということに相なっております。私は、各種産業界にいたしましても、また金融機関にいたしましても、ただいま申し上げましたような意味において、ひっきょうするに国民大衆との関連において最も深い意識のもとに行動せねばならぬ機関でありますので、それらのことについて多年の知識経験に富んでおられる方々は、当然、国民各大衆のいずれにも片寄ることなく、まんべんなく十分な知識経験をお持ち願っての上で選任が行なわれておると考えておりますので、現行法につきましては別にその点についての改正意見は考えておらないわけであります。
○佐藤(觀)委員 あまり山際さんばかり責めてもいけませんから言いませんけれども、最近伊勢湾台風の関係また年末の関係で兌換券の発行が非常にふえて参りまして、インフレ傾向が強くなっておることは事実でありますが、山際さんは、さすがそういうことの意見を持っておられて、ことしの九月ごろから相当警戒警報を出しておられたと思うのです。そして、この十一月の初めに、山際さんが、関西で、金利引き上げの問題について、私たちはこれは日銀の調査その他の結果おそらく決意されたものだと思うのですが、御発表になった。ところが、それの実行が十二月の一日になって現われた。その間に大蔵大臣の反対があって、そしてやられたのですが、その点について、初めから、大臣がそういうことを言われる前に、私は当然山際さんという人はちゃんと知っておったと思う。しかし、実際は、佐藤大蔵大臣に押えられて一月おくれた。これは相当意味があるのじゃないかと思うのです。ちょうど佐藤大蔵大臣が来られましたが、山際さんは、大臣が来られてもおそれることはありませんから、大臣は政治的には偉いですけれども、あなたの方は専門家ですから、一つ遠慮なくどんどんここで御発言願いたいと思います。
○山際参考人 日本経済の現状は、御承知の通り昨年秋以来順調に回復をいたしております。ことに生産の増大の伸びは非常に著しいものがございます。しかも、一面において、物価も大体において従前の安定を維持しておる。かつ、国際収支は順調であるという見地で、いわゆる数量景気的様相をもって発展を続けて参りましたことを非常に喜んでおるわけでございます。御指摘のように、八月ごろからやや物価の面において少し上げ足が早くなってきたような気配がしております。かねがね、このことについては、注目を要するところとして世間の研究を促しておりましたことは、御指摘の通りであります。また、銀行券の発行高も、昨年に比べまして、ことしはやや発行の度合いがふえております。これも御指摘の通りで、この点につきましても、しばしば私は注目を要する事項として考えておったわけでありますが、実際問題といたしまして、その当時、まだ私は、金利引き上げという金融措置によって、この大勢をとめるべき段階であるのか、あるいはいま少しく啓蒙をいたしてみまして、もしくは伊勢湾台風その他の臨時的の影響がどの程度までこの事態を動かすか、ということの見定めを少しく検討をつけました上でやるのが妥当だと考えておりました。この点については、御列席の大蔵大臣ともしばしばお話し合いを申し上げておりまして、全く同じ見解でございます。一ヵ月延びたというような事実も全くございませんで、たまたまこのころ合いがよかろうということで、大臣とお話し合いをいたしまして、また政策委員諸公も機熟せりというふうな判断で、その意向に従いまして措置をとったことであります。その間に何の問題もございません。
○佐藤(觀)委員 どうも山際さんは少し遠慮されたと思うのですが、過日のこの委員会で、大蔵大臣から谷口副総裁が来たときに聞いたのですが、あなたが関西で金利引き上げの話をしたときに、大蔵大臣は、政治家ですから、その点についてすぐやってもらっては困ると言ってたしなめたというようなことを、大臣の言葉で聞いたわけです。こういう問題があればこそ、日銀法の改正という問題が起きてくるわけですが、私らとしては、やはり、現在の場合として、政府のごきげんばかり伺っていないでも、現実に日銀はりっぱな組織を持っておられるし、調査局を持っておられるし、同時に、物価の動きについては大蔵大臣よりはもっと緻密であるべきだと思う。それと、大蔵省の財政金融政策というのは政治的な意味がありますので、それが混同されては大衆が非常に困るという立場をわれわれは持っておるわけです。そういう点で、大臣が来られておりますが、山際さんの言われることで怒るような狭量な大臣ではありませんから、この際率直に一つ遠慮ない意見をお聞かせ願いたい。私が特に今度問題にしておるのは、大体日本の中央銀行のあり方としては――御承知のように、アメリカ、オランダ、豪州、フィリピン、セイロン、西ドイツ、そういうようなところまでずっと独立性を持っておるわけであります。特に、西ドイツは、ブンデス・バンク法というような法律まで作って、中央銀行のあり方を十分に発揮しておるような形があればこそ、これはいろいろ原因がありますが、西ドイツは非常に経済的にも発展しておるし、戦後も非常に著しい経済的な伸びを示しておるわけであります。これは、何と言っても、貨幣価値の安定があるということが経済の伸びの大きな原因になっておる。これは山本さんあたりの専門でありますけれども、私たちはそういうような意見を持っておるわけです。 そこで、日本銀行のあり方について、どうも、今のような状態だと、時の政府の力に負かされるというような心配が私たちは時おりするわけですが、私は、大蔵省は大蔵省としての――やはり政党内閣でありますから、佐藤財政あってしかるべきだと思います。そういうようなことは何とも思いませんけれども、しかし、日銀だけは、私はやはり断固たる立場であっていただきたいと思う。御承知のように、ドイツも、ヒトラーが政権をとってから、やはりヒトラーの都合のいいように中央銀行法を改正した。日本では、やはり東条さんが日銀法を改正して、時の政府に都合のいい政策を行なった。ところが、すでに戦争後十四年もたった現在であれば、新しい中央銀行のあり方として、当然私は日銀が独自の立場で独自の立場といっても、外国の銀行ではありませんから、やはり日本の政治の上に立っておりますけれども、しかし、銀行は銀行としての立場を堅持していただきたい。今度の金利の引き上げを通じて、私たちは、山際さんは遠慮されておりますけれども、少なくとも佐藤大蔵大臣と山際さんとの間には多少開きがあったということが感知されるわけです。少なくとも、現在の日銀法というのは、これは東条さんの時代の日銀法である。そういう点から、やはりこれを脱皮して、ほんとうに中立性を堅持できるような、少なくとも金融と貨幣の問題については私たちに責任を持たせてくれというような強い意見を持って、そういう政策が行なわれるべきではないかというように考えておるわけでありますけれども、山際さんはどういうようにお考えになっておるのか、この点を伺っておきたいと思います。
○山際参考人 過般、私は、伊勢湾台風の被害視察を目的といたしまして、名古屋を中心といたしまして、付近の各地の情勢を拝見に伺いました。その際に、新聞記者との会見を申し込まれまして、今御指摘のような会見が行なわれたわけであります。実は、あれは驚きましたのでありますが、何も私が公定歩合はこの際引き上げるべきだということを申したわけでもなし、またそれをほのめかすようなことも言ったわけではないのであります。これは、中央銀行の責任の衝にある者としては絶対に申してはならぬ、むしろそれは行動によって示さるべきものであって、その行動のよってきたるゆえんはその際に説明さるべきだ、こういう信念を実は持っております。少しこれは早回りされまして、実は私当時名古屋におりまして、日曜日の午後記者会見をして、夕刊にその記事が出ておりましたけれども、読んでみましたが、格別気にすることもなかった。一日おいた火曜日にそれが問題になって、大蔵大臣にも御迷惑をかけたということが新聞に現われておりますが、全然あれは私は何もさような考えを具体的に申したわけではございません。日本銀行の金融政策のあり方として、これは常に情勢の推移を注視し、その情勢に応じて機動的に運営するのが基本の方針である。むろんそれは、公定歩合の問題のみならず、各種の与えられました金融調整の手段がございます。それらをいろいろとその期において最も適当とする措置をとるということが当然のことだということで、一般論といたしまして、あり方の問題として申し述べたことはございます。それが現実の事態として直ちにとられようとは実は思いませんでした。しかも、その結果、火曜日に夕刊でその記事を見ましたが、何か証券界等で取りざたされたのが火曜日である。どうもあれはいささか私は因果関係が遠いような気がいたします。事実さような大蔵大臣との間に見解の相違はございませんでした。この点は一つ御了解を願いたいと思います。
○佐藤(觀)委員 大体そのいきさつは山際さんが来られてわかりましたが、山際さんは政治家でありませんから言いますが、どうも都合の悪いときには新聞に責任を負わせるというのが一般の通例なんで、これは山際さんの御意見は御意見としてやはり妥当性があるものだと私は認めております。そこで、私が特にここで問題にしたいのは、日本のインフレの傾向というものを考えると、何も知らぬでおるけれども、日本の貨幣価値の下落と申しますか、明治から今日までの八十年間に米の値段でも二千倍くらいになっておる。日露戦争後からも五十年近くなりますけれども、日本の物価は千倍近くになっておるというような現実が出てきておるわけです。ところが、実際は、イギリスやアメリカはどうかというと、御承知のように五十年の間にわずか一・五倍か二・三倍しかなっていない。日本ではこういうことが絶えず行なわれておって、昔から高橋是清さんは大蔵大臣として非常に抜群の人でありましたが、高橋大蔵大臣といえどもやはりある点までは御承知のようにインフレーションをやった大臣で、御存じの通りでございます。どうしても政治家というものはある程度まで国民に迎合しなければならない面があるので、時の勢いに応じてどうしてもインフレの傾向をたどる財政政策をやることになっておる。そういう点で、私たちとしては、何と言ってもインフレになれば大衆の生活が苦しくなる。今日知らず知らずの間に大衆はインフレのために非常に苦しい生活をしているわけであります。こういう点について、私は、何と言っても日銀というものがしっかりして、この円の価値を十分に価値あらしめるようにしてもらいたいということが一つであります。 もう一つは、私は、数年前にヨーロッパに行きまして、またことしも香港を中心にしてずっとヨーロッパに行ってきましたが、円という札を持っていって、これは為替管理の関係上自由ではありませんが、香港に行けばどうにか日本の円が多少価値があるようでありますが、数年前には、スイスでもジュネーブでも、ほとんど日本の円というものは問題にされなかった。このごろでは、うわさによると、ある程度まで多少のマージンがつけば、日本の円をかえてくれるようなところもあるそうでありますけれども、まことにみじめな姿であります。これは、おそらく、大臣も最近は外国へよく行かれますし、それから山際さんは専門家でありますから、御存じであると思いますが、どうも円の価値というものが非常に世界に信用がない。こういうことだけは、為替管理があるなしにかかわらず、一つ考えていただかなければならぬ。それには、やはり、兌換券を発行する日本銀行というものが、この批判に対して、この力のない姿に対しては、ある点まで責任を持っていただかなければならぬ、こういうふうに思うのです。日銀の総裁はどういうようにその点をお考えになっておるのか。この点を一つお伺いしておきたいと思います。
○山際参考人 日本銀行券の価値が常に安定を保つように最善の努力を払うというのは、これは日本銀行の当然の任務でありますし、前々から申し上げている通りでございます。よく世の中に、過去の事例において、少しぐらいのインフレならその方が産業はやりやすいとか、かえってそれかいろいろな施策がうまくいくというような議論がございますけれども、その議論に対して私は絶対に反対しておる。これはどの程度がいいとかいうようなことであっては守り切れるものではない。これは絶対に動かさぬということでいかぬ限り、円の価値を保持することはむずかしいというのが私の考え方で、いわゆるマイルド・インフレーションとか、そのほか軽度のインフレということをかえっていいというような議論が往々産業界等でございますけれども、その点に対しては断然私どもは反対をいたしまして、これは安定した不変のものであるべきだということで対抗いたしておるようなわけでございます。過去に円のたどりました経緯において、御指摘のように非常に貨幣価値が過去数十年の間に低落をいたしましたことは、まことに悲しむべき事実であります。どうか、今後は、過去の事例に深く顧みまして、さようなことのないように、どこまでもこれは不変の価値を有するものとして維持することに、むろん私は最善の努力を日銀としては注いでいくべきものと考えております。その意味におきましても、どうか、今問題となっております金融制度の点に関しましては、前段も申し上げました通り、そういうことがしやすいような仕組みを一つ皆様方の御審議の際にもお考えおきを願いたいというのが、私どものほんとうの願いでございます。円札がしばしば海外へ持ち出されまするために、海外においてそれにプレミアムがつきまして、比較的安い値段で取引されるという事実、これは否定できないと思います。これはまことに悲しむべきことだと思います。むろん、為替管理法から申しますと、それは許されざることでありますが、実際問題として、これは、手近なところでは香港その他でそういう事情がありますことは事実であります。しかし、私は、現ナマの円札自身の持ち出しで、それを消化し得る市場というものはそう大きくはないと思っております。これは非常に不体裁であり、また喜ばしくないことではありますけれども、しかし、それが大きく円の価値に影響を及ぼす程度になってきているということは、実は考えておりません。のみならず、最近におきましては、円の価値は国際的に割合によく評価されてきておると思います。これは長年の皆さんの御努力で、ことに戦後均衡のとれた財政が施行せられ、健全な線において各種の政策が行なわれて参りました結果、国際収支の状況、経済の生産力、その他まことに各国から見ますとうらやましいような数字が出ております。これが日本経済に対する外国人の評価を非常に高くして参っておると実は思うのであります。どうかこのこと自身は私は今後もなお持続いたしまして、これらの評価を落とすことのないように、ぜひ各種の施策を進めたいと思います。国内施策であるから対外的に影響はないと思うのは誤りであります。いかなる国内の施策をとっておるかということが、すなわち外国からの日本に対する評価になります。この点は、常に対外的な関係を考えまして、円の価値が低落するようなことのございませんように、日本の経済に対する海外の評価が落ちることがございませんように、ますますこれが向上いたしますようにぜひ持っていきたいものと念願いたしております。その見地からいたしまして、銀行券の価値を堅持するということは、御指摘の通り日本銀行の絶対の責任と感じております。最善の努力を続けたいと考えております。
○佐藤(觀)委員 時間があまりありませんし、同僚議員も質疑をしたいということでありますから、あまりこだわらないで、また他日いろいろお伺いしたいと思いますが、私たちは、もっと日本銀行が民主的に運営されることを望みたいし、やはり政策委員会に主力を置いてもっと活発に運用をやっていかれることが望ましいと思いますが、こういった点について総裁はどういうようにお考えになっておるのか、この点だけ一つお伺いしておきたい。
○山際参考人 その点は全く御同感でありまして、私も努めて政策委員会を中心に重要事項を決定すべく最善の努力をいたしておりますが、ただいまの状況においては、大体において満足すべき状態において運営されておるのではないか、こう考えております。
○佐藤(觀)委員 ちょうど大臣が見えましたから、二、三の点で関連して大臣にお尋ねしたいと思うのですが、先日大臣はアメリカへ行かれましたから御存じだと思いますが、日本の円為替の自由化という問題について、外国でもやはりイギリスやドイツあたりでも問題になっておりますし、日本でもそろそろ円の独立という立場からこの際自由化をやるべきだという意見があると思う。われわれ外国に行くと初めてそういうことに突き当たるわけでありますが、大臣はどういうようなお考えであるのか、この点を一つ伺っておきたい。
○佐藤国務大臣 基本的な考え方としては同一の考えをいたしております。ただ、円為替の自由化という問題になりますれば、当然所要の準備が要りますし、また順を追うていくというか、段階的にこれを実施に移すということでなければならぬ。そういうことでございますので、それぞれ過去においてもその処置を一、二とって参りましたが、今後も十分考えていくつもりであります。
○佐藤(觀)委員 それと関連して、今山際さんにもいろいろお尋ねしたのですが、今日本銀行法の改正問題あるいは日銀のあり方についていろいろ御質問いたしました。山際さんは口がたい人でありまして、なかなか率直な意見を承れませんけれども、大蔵大臣はその責任者として日銀法の改正についてどういう御意見を持っておられるのか。この際関連してお尋ねしたい。
○佐藤国務大臣 先ほど来佐藤さんの御質問を私も拝聴いたしましたし、また日銀総裁のお答えも拝聴いたしました。何ら私どもつけ加えることもなければ訂正することもない、かように私存じております。
○佐藤(觀)委員 それはちょっとおかしいと思うのですが、現在、日銀の側は、御承知のように中央銀行の中立化あるいは中央銀行は中立であるべきであるという意見が強いわけです。ところが、大蔵省の方では、ここに石野銀行局長も来ておられますが、政治的に国の財政政策、金融政策の関係上、政府の言うことを聞けというような意見があるわけです。それだから、佐藤さんと山際さんと同じ意見ならば、全然問題はないわけです。私どもは、そういう問題について、もし山際さんが大蔵省の言うことを聞くというなら、日本銀行は大蔵省の管轄下にあればいいのですが、私たちは、日本は三権分立といっておりますけれども、金融、貨幣のことについては、四権分立の形くらいになるように独立性を持たすべきではないかという考えを持っておるわけです。これは政党内閣でありますから、むろん政府の政策が中心になることはあたりまえでありますけれども、少なくとも大衆に大きな影響を持っておるお金をつかさどっておる銀行というものは、やはり国民大衆という立場からも、ある程度までは忠実であるべきであるという考えを持っておるわけです。こういう点について大蔵大臣と日銀総裁とが同じ意見だということは、おそらくあり得ないと思うのですが、そこのところを率直にお聞かせ願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 先ほどの佐藤さんのお尋ねの中に御意見の入っておる部分で賛成しなかった点は、ただいまのお尋ねにやはり入っておるのです。金融の中立性といいますか、日本銀行の中立性、これは私ども念願しておるのです。また、今日の権限その他から見ましても、日銀がやり得る範囲は非常に拡大されつつある。最近の中央銀行法の改正におきましても、当然そういう方向に権限が拡大される、そういうことでなければならないと、かように思います。ただそういう場合に大蔵省は政治的に行動する、こういう見方をされることは実は私ども非常に迷惑なんです。ただ、私どもは、皆さん方からは最後には必ず政府の責任だということをおっしゃるに違いない。財政であろうが、金融であろうが、そういう意味において政府が最終的には責任を負うべきだ。幾ら金融が中立だといいましても、それは全然政府が責任を持たないという関係で金融が行なわれる筋ではない。こういう意味において、いわゆる政治的干渉ということは私どももあらゆる努力をして避ける考えでありますし、過去においてもその努力を続けて参りましたが、今後においても一そう注意するつもりである。しかし、政府と日銀との間には十分緊密な連携をとりまして、絶えず金融のあり方なりあるいは経済の活動状況なりを勘案して、その間に意見の相違やあるいは処置において不都合を生じないように、これはお互いに努むべきである。この点では、これを政治的な干渉だと言われることは、非常に私どもは心外に思っております。中立性と申しましても、金融は政治と全然関係なしに行なわれるものでないのだ。また、政府自身も、金融のあり方について、あれは日銀の責任であります、こういうように言える筋のものではない。最終的には政府も責任をとるという立場にある。それを十分認識して、金融の中立性、いわゆる政策的な方向でこれを左右しない。この点はお説のように避けるべきだ。ただ、政府が関与すること、たとえばヒトラーの例が出ておりましたが、ヒトラーのような処置あるいは戦時中のような処置、これは最も政治が金融に干渉した非常にはっきりした事柄でございましょう。そういうことは平常においてはもちろんございませんけれども、そういう特殊な例をおあげになることは必ずしも当たらないことじゃないか、かように私は考えております。
○佐藤(觀)委員 まだまだ日銀総裁と大臣に聞きたいことがありますが、横路君が大臣に特別に質問があるそうですから、そちらに譲ります。
○植木委員長 横路節雄君。
○横路委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今日の閣議では来年度の予算編成に対する基本的な態度並びに重点的な施策についてお諮りになるように新聞には報ぜられておりますが、もし、そういうように、来年度の予算編成の基本的な態度並びに重点的な施策について、大蔵大臣として態度がおきまりであったら、当委員会でぜひお聞かせ願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 政府は、年内に三十五年度予算を編成したい、こういう決意を実はいたしておりまして、いろいろ準備を進めております。その準備を進めておる段階から申しますと、もうそろそろ予算編成の基本方針をはかるべき段階に来ておる、こういうことを非常に烱眼な新聞記者諸君が察知いたしまして、本日のような記事になったと思いますが、まだ実は出しておりません。もちろん、これは非常に重要な問題でございますので、大蔵省としても十分慎重に取り扱うつもりでございますが、まだその段階になっておりません。従いまして、本日の閣議には文書ももちろん出ておりませんが、口頭でもそういう意味の話は一切いたしておりません。その点をはっきりお答え申し上げます。
○横路委員 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、そうしますと、三十五年度の予算の規模は大体どれくらいになるのか。こういう点について大体のところはどうですか。まだはっきりしておらないわけですか。
○佐藤国務大臣 これは非常にむずかしいことでございまして、おそらく、私どもの与党でも、どんな規模で大臣が考えるだろうか、また各省大臣ともどういうような規模を考えておるだろうかというお気持のようでございますが、もちろん全然考えなしに予算編成にかかっておるわけではございません。しかしその点についてはこの機会には申し上げかねますので、これは一つ御了承願いたいと思います。
○横路委員 大体予算編成をする上において、税の自然増収は幾らくらいであるか、あるいは税外収入は幾らくらいであるか、従って来年度は三十四年度に比べて予算の規模はどれくらい伸ばしたらいいかということについては、すでに私は大蔵省においては検討されていると思うのです。そこで、来年度予算に一応計上を目途としている税の伸び、並びに税外収入については、総体幾らくらいと見ておるのか、その点を一つお尋ねしたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいま申し上げましたように、予算規模についての腹づもりはないわけではございません。しかし、ただいまこの点は預からしていたたきたい、かようにお断わりをいたしました。予算規模そのものは、今横路さんが御指摘になりますように、自然増収は幾らになるか、税外収入は幾らになるか、こういうような点でございますので、全部を含めて一つ預からしていただきたいと思います。
○横路委員 その点はもう少し大蔵大臣から率直にお話しさるべきだと思う。きょうは主税局長が来ていないから、税の伸びについては幾らだということがはっきり言えないということもあるかもしれません。どうも主税局長はそこにおりませんから、珍しく大臣は連れてこないなと思って私も聞いているわけですが、それならば一つ大臣に基本的な態度についてお尋ねをしたいと思います。 それは減税についてはおやりになるのかどうか。今まで、三十四年度の予算においても、前の年度に比べて減税の方針をとられた。三十五年度についての減税についてはどういうような方針をとられているか、その点について一つお尋ねをいたします。
○佐藤国務大臣 私どもの政治の目標は、とにかく国民負担を軽減さすということが一つの大きな眼目でございます。そういう意味から御指摘になりますれば、長期にわたりましては絶えず減税の方向へあらゆる努力を払いたい、こういうことでございます。ただ、来年度において減税をするか、あるいは増税をするか、そういうことを一切しないか、こういう事柄は、当面しております経済の情勢を背景にいたしまして、しかる上でいかなる性格の予算を作ることが望ましいか、その結果から結論を出すべき事柄のように実は思っております。従いまして、減税の問題については、すでに御承知のように、税制調査会を設けて基本的な税のあり方等についても検討を進めておりますが、もちろんまだその結論を発表する段階になっておりませんけれども、そういうことも一つでございますし、また、今日当面しておる、先ほど来日銀総裁からお話しになりましたような経済情勢等から勘案いたしますと、この際に減税をすることが可能なりやいなや、またすることがいいか悪いか、こういう意味で、これまでいろいろ検討を続けて参りました。そうして、与党の中にあります税制調査会とも十分連携をとりまして、いわゆる旗じるしとしての減税は来年度は見合わそうじゃないか、こういうのがただいまの結論であります。もちろん、今後の審議の経過によりまして、一切減税らしいものは扱わないかどうか、そういう点はまだ少し預からしていただきたいと思いますが、いわゆる減税についての一つの表題をあげるほどの大きなものは考えない、こういう考え方でございます。
○横路委員 今、大蔵大臣から、減税は方針としてはしない。これは、今まで、たとえば昨年の衆議院総選挙前における予算の編成あるいは本年の春の参議院選挙、そういう選挙を前にすると、大蔵大臣の方から、勢いよく、勇ましくといいますか、減税の方針が打ち出される。どうも選挙が遠のいてないらしいということになりますと、減税についての基本的方針が打ち出されないのではないか、こういうように私は率直に思うのであります。しかし、減税については基本的にしないというのだから、これは大臣と論議をしてもしようがない。 そこで、もう一つ大臣にはっきり聞きたいのだが、さきに、奥村政務次官から、たばこの値上げで問題になり、酒の税について増徴が問題になりましたときに、大蔵省としてはそれはしない方針である、こういうことを明らかにしたわけです。今減税はしない、こういう方針からいけば、当然、増税するとか、値上げをするとかいうことは、まさかここでは言えない。もちろんそういう方針ではないと思いますが、この点は三十五年度予算編成の大事な点ですから、たばこの値上げその他増税は、しないならしないではっきりしてもらいたい。
○佐藤国務大臣 たばこの値上げあるいは酒の税の問題、一時一部にそんな話があったことは私も記憶にあります。そういう意味から、非常に御不満に感ぜられて、明言しろというようなことでありますが、どうも、ただいまのところは、たばこは煙のごとく消えた、酒もアルコールのごとく蒸発したように考えておるのであります。(笑声)どうも私非常にふまじめな答弁をするようで恐縮でありますが、現実に所要の財源を確保するといたしまして、あるいは理論的には経済が非常に膨張している、その行き過ぎをとめるためには、あるいは増徴をすることもいいではないか、こういう議論もいわゆる経済学者の中にはあろうかと思いますが、なかなかそういうことは容易に決定すべき事柄ではございません。ことに、酒だとか、たばことかいう問題になって参りますと、国民生活、特に大衆生活に非常に深い関係を持つのでありますから、よほど慎重に扱わなければならない。かようなことだと私考えております。これは平素からの考えでありまして、私の平素の気持を率直に申し上げます。
○横路委員 次に、ただいま政府の方では日米安全保障条約の改定の交渉を進められて、すでに一月の中旬には総理みずから全権として渡米されるということでありますが、この安保条約が改定されれば防衛分担金は全く削減をされる。削減をされるというよりは、防衛分担金はこれを支出する必要がない。そこで、私は、この問題とあわせて――しかし、条約の第三条には、御承知のようにアメリカとの共同防衛のために日本の防衛力をみずからの力で守る、こういうことのために防衛費が増大をしてくるという点を、みな非常に懸念をしているわけであります。そこで大蔵大臣にお尋ねしたいのは、この安保条約の改定に伴って、来年度の防衛費というものは一体どれくらいの規模になるのか。防衛分担金はことし百十一億円ございましたが、これは来年度ゼロになる。そうすれば、ことし防衛庁費は約千三百六十億円であるが、大体これでとどめるのか。それとも防衛分担金に見合う分をそれにプラスをするのか。それとも防衛分担金の削減に伴う新しい方式でおやりになるのか。これは来年度予算編成の中で非常に重要な点だと思いますので、この点一つ大蔵大臣の所信をお尋ねしておきたいと思います。
○佐藤国務大臣 先ほどからお尋ねのありましたことも予算編成上のポイントでございますが、特に、防衛費をいかにするか、これは私どもの深い関心のある重大事案であります。と申しますのは、これは御承知の通りでありますが、すでに皆様の御審議をいただきまして、防衛漸増計画というものをはっきり持っております。これは国力に相応して漸増していくという基本的な方針をとっておりますが、この方針を変える考え方はございませんから、この防衛増強計画というものを実施していくのに所要な金額はやはり計上しなければならない。ただ、と申しましても、年度的な問題で、ときに伸び率はこれを平均さす筋のものでもない、かように考えます。そういう意味から見ますと、来年の予算編成にあたりましては、伊勢湾台風を初め、本年災害の跡始末、あるいは治山治水等、特に私どもが重点政策として取り上げたいものがございますので、そういうことを勘案いたしますと、防衛費を激増することは当然避けていかなければならない、またそういうことをまかない得る力はない、かように実は考えますので、今までも、委員会を通じ、あるいは本会議等を通じまして、私どもの考えを率直に御披露いたしておるわけであります。ところで、ただいま御指摘になりました防衛分担金百十一億は一体どうなるのか。これは、今回の安保条約が改定されますならば、もちろん今後は支払わなくてもいいと思います。しかし、設備提供の関係におきましての諸掛り等、私どもが負担しなければならないものが他の方面に出てくるかもわからない。そういう点は今後の問題として見ていかなければならないと思います。基本的な問題といたしまして、私どもは防衛費を激増さすということはとうていできることではない。そういう意味では、この防衛費の分担、これは当然今まで支出していたものですが、防衛費としてそういうものを加えたものをいかなる規模にするが適当なりや、ただいま最も頭を悩ましております。ただ基本的な扱い方といたしまして激増さすことはしない、この基本的な考え方を貫きたい、かように考えております。
○横路委員 今の最後の答弁は、私は大蔵大臣の答弁としては了解するのです。しかし、今の答弁のその前に、今までの防衛分担金の削減の方式によってということになると、防衛分担金を五十億円減らす場合においては、防衛庁費はその倍額の百億を増さなければならぬ、こういうような方式でいくとすると、百十一億の防衛分担金の支出はなくなったが、その倍額の二百二十億円以上計上しなければならないということになると、これはやはり急激な増加だということになる。ですから、ことしの千三百六十億円に防衛分担金百十一億円に見合う程度にとどめたいというのか、防衛分担金は幸い安保条約の改定交渉で支出する必要がなくなったから、その分の増加もやめて本年度程度に押えるというのか、その点がどうもはっきりしない。
○佐藤国務大臣 今回の安保条約では在来の考え方がすっかり変わって参りますから、今度は、政府といたしましても、非常にはっきりした自主的な防衛計画を立てていくという考え方であります。その自主的な防衛計画の漸増方法というものは国力に相応するということであります。従いまして、ただいま御指摘になりましたような防衛分担金がなくなれば、それの倍額を見積もるのか、こういうような問題はもうなくなっておる。その意味において、私どもが安保条約改定に非常な意義を認めておるということを、一つ御記憶願いたいと思います。
○横路委員 そこで、次に大蔵大臣にお尋ねしたいのは、ただいま国会で問題になっているロッキード戦闘機の経費については、三十五年度の予算に計上するのかしないのか、この点を一つお尋ねをいたします。
○佐藤国務大臣 ロッキード戦闘機は、いわゆる第一次防衛計画の残りと申しますか、残部でございます。従いまして、これが決定をされれば、いわゆる国力に相応する漸増計画のうちに取り入れる。これは基本的な考え方であります。ところで、ただいまのロッキードについては、きょうあたりからそろそろアメリカ側と交渉を持つという段階になりまして、先ほどの閣議に起きましても、今考えられまするロッキードの価格は、これは本日の新聞にも出ることだと思いますが、大体一機当たり百十五万ドル以下になるだろう。しかし、これできめるということでなしに、さらに折衝を重ねて、もっと安くし得ることがあればさらに安くしたい、こういうような考え方でございます。そうしてアメリカの分担金等をさらに交渉してみるという段階になっております。その点もいろいろ御関心が深いことだと思いましたので、脇道にそれましたが、予算の面から見ますと、これは予算外契約で処理さるべき性質のもののように思います。そういうように考えて参りますと、初年度のものといたしましては比較的少額で済むのではないか。予算外契約にいたしましても、まだ幾らを計上するというところまではきめておりませんが、比較的少額だ、かように御了承いただきたいと思います。
○横路委員 次にお尋ねをしたいのは、消費者米価の問題です。このごろ、中央紙の二、三に、食管特別会計は赤字がだんだん増してくる、そこで、消費者米価については適当な機会に値上げをして、食管特別会計の赤字を埋めなければならぬ、こういうように報じてあるわけですが、この点は非常に問題のあるところで、私は、昭和三十五米穀年度においての消費者米価の値上げは絶対にあってはならない、こういうように考えておるのですが、この点も来年度予算編成の上に大きな問題であるし、先ほど、大蔵大臣から、減税はしない、それからたばこの値上げその他についてもしないということになれば、国民の日常生活のうちの重要な経費を占める消費者米価についての値上げは当然すべきでないと思うのですが、この点ここで大臣からはっきりお答えをいただければ、それ以上私は追及はいたしません。
○佐藤国務大臣 消費者米価を上げるか、下げるか、維持するか、こういうような問題は非常な重大な問題であります。ただいま言われますように、これは、ただ単に財政的な問題だけではなく、非常な政治的な問題でもある。その点がわからないわけではございませんが、特別会計ができておりまして、その特別会計が年々相当多額の赤字を作るというようなことであるといたしますならば、その特別会計の内輪において、その赤字のよってきたるところを十分検討すべき責務がある。これは当然のことじゃないかと思います。ただいまの食管会計の赤字は、生産者米価と消費者米価との差額、これも一つの大きな問題でございましょう。しかし、一面において外米価格と国内産米の買入価格にも相当の差がございます。おそらくそういう点で過去においてはまかなった点もありましょう。また、麦の問題として、外麦と国内産麦との間の差額の問題もある。そういう点でどういうような負担になっておるか。いわゆる食管会計に関連するものでございますが、雑穀の問題においても同様な問題がある。やはり、特別会計を設けました以上、特別会計は特別会計のうちにおいてそれが均衡ある予算であるべきこと、この原則はあらゆる面においても御理解を賜わり、あらゆる面の御協力を得て、特別会計を強固にする――というと語弊がございますが、維持できるようにすべきではないか、かように私どもは財政的見地から考えます。この食管会計の中で相当多額の赤字が出るといたしました場合に、どういうような方法でこれを埋めるか、これはいつも一般会計から穴埋めするというようなことは必ずしも適当な方法じゃないだろう、かように私どもは考えておる次第でございます。
○横路委員 今の大蔵大臣の御答弁は、これは私たち反対なんです。これは当然一般会計から補てんをすべきであって、これは、三十五年度の予算が編成されて国会に提出されたあとに、予算委員会なり当委員会において、大蔵大臣と、この点については、十分一つわれわれ反対の立場においてこれを究明しなければならぬと思っております。 次に、先ほどお話しの、伊勢湾台風その他災害復旧に伴って、治山治水のため特別会計を新たに作りたい。ところが、先ほど、いわゆる減税はしないが、いわゆる増税もしないという方針のようです。そこで、与党の内部では、財源が思うように見つからぬので、この際一つ公債を発行したらいいのじゃないかという意見が強いが、これも、新聞の報ずるところによると、大臣は、公債の発行は絶対に反対だ、もしも必要があるならば、貴金属等を処分して――これは大臣の言った言葉ではありませんけれども、財源として見たらどうだということは別なあれだけれども、公債を発行しない、こういうことが大臣の方針としてはっきりしているというのですが、この点一つ、はっきりおっしゃっておるのであるならば、当委員会において明確にしていただきたいと思うのです。
○佐藤国務大臣 その点につきましては、私他の委員会でも明言をいたしております。私自身は、ただいまのような経済情勢のもとにおきましては、いわゆるインフレ・マネーは使わない。いわゆる赤字公債であるとか、今また御指摘になりました金の再評価差益だとか、こういうものはいわゆるインフレ・マネーでございますが、そういうものは使わない、こういう基本的なはっきりした主張をいたしております。この点ははっきり申し上げ得るところであります。
○横路委員 その次に大蔵大臣にお尋ねをしたいのは、石炭産業に対する対策についてです。一部の意見としては、この際重油関税について一〇%程度とって、これを直接石炭産業の不況対策に振り向けるかどうかは別にして、これは石炭との競合という意味もあって、一〇%関税をとったらいいじゃないか。これは大蔵省全体の意見ではないでしょうけれども、大蔵省の内部では事務的にはそれぞれ用意されておるとも聞いている。しかし、直接には通産省全体が石炭産業についての基本的な問題についてまだ明確でない点がある、こういうことで二の足を踏んでおるという話もあるが、この点については非常に重大な関心の的になっておりますので、この点一つ大蔵大臣から、どういう方針なのか、増税はしないという点から、これにも振り向けをしないというのか、これは考慮の中に入れているというのか、その点一つお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤国務大臣 この点は、過日も、参議院の本会議の席上におきまして、政府と申しますよりも、大蔵当局の考えを披露いたしたのでございます。私ども考えますのは、今の石炭対策との結びつきにおいていろいろ論議もされますが、その論議もさることながら、基本的に考えてみましたときに、石油関税を特に関税定率より低いところへとめておく、こういう特別措置をとってきておるが、その点が現状においても特別措置をとる必要があるような状況かどうか。これを検討してみますと、あの特別措置をとったときと現在とは相当事情が変わってきておる。これは確かに私どもが指摘し得るところであります。そういう意味から、この問題についていかにあるべきか、これを十分実は検討いたしておる次第であります。ひとりこの種のものばかりではなく、いわゆる税についてのそれぞれの産業等においての特殊地位で考慮されておりますいわゆる特別措置というものが、いわゆる一時的なものなりや、あるいは恒久的なものなりや、これは十分検討を必要とするものではないか、かように実は考えておりますので、そういう意味でこの石油関税の問題も御理解をいただきたいのであります。
○横路委員 次に、今佐藤委員の方から公定歩合の引き上げその他一般金利の引き上げについて話がありました。私は、それと関連をして、今の石炭産業不振を解決する一つの道として、まあコスト引き下げの問題として金利を軽減しよう。そして開発銀行からいわゆる炭鉱経営者は年利九分で借り受ける。そのうち六分五厘は開発銀行に返し、年二分五厘については石炭整備事業団の方の資金に回しておる。そこで、石炭の経営者としては、石炭整備事業団の方へ回しておる二分五厘については国で負担をしてもらいたい、こういう要請が強いわけです。なお、この問題とあわせて、今日の海運界の不況で、ぜひ一つ従前のように、開発銀行において、海運界は年六分五厘の金利であるが、これも軽減をしてもらいたい、こういうような話が強く行なわれておる。この点については、一般銀行についても金利は引き上がってきたわけですが、しかし、そういう特殊産業、しかも今日の不況産業という意味からいって、金利については国で負担をしてもらいたいという意見があるのですけれども、この点については、大蔵大臣はどういうようにお考えでございましょうか。
○佐藤国務大臣 ただいまのような要望のあることは伺っております。海運界は六分五厘を五分だとか、あるいは石炭は九分のうちの事業団の方へのものはやめてもらいたい、こういうお話が出ております。もちろん、金利というものは、事業経営に与えます大きな影響力があると申しますか、重要な条件であること、これは私どももよく承知をいたしておるところであります。しかし、金利そのものを、それぞれの事業に適正な、事業の要望するような金利にそれぞれ処置するということは、これは実はできることではございません。この点ははっきり申し上げたいと思います。そういう意味から申しますと、なかなかかような点についての要望にはこたえかねる点があるのでございます。ただ、問題は、この事業経営者の方々も、事業不振の原因が金利にあるのだ、こういうことだけで、事業不振打開のために金利を安くしろ、こういう考え方は避けてもらいたい。やはり通常金利においてその事業がりっぱにいずれとも競争できるような、そういう形において工夫を願いたいのであります。そういうことを考えて参りますと、この種の措置は、私どもは基本的には賛成しかねる。あらゆる面におきまして事業自体が十分の工夫をされ、その整理といいますか、再建の全貌が明確になった場合に、あわせて政策的に考えるということはもちろんやぶさかではございません。ただ、その金利がどうも目ざわりだ、これだけ減るならばまた直ちにこれだけのプラスが出るというような、イージーな考え方で金利の問題を扱うという考えは毛頭ないということだけは、はっきり申し上げておきます。
○横路委員 私、これで質問を終わりたいと思いますが、大蔵大臣に重ねて申し上げます。私の考えですが、先ほどの食管特別会計における赤字の問題は、これはやはり一般会計から、従前の通り、従前にも増して繰り入れて、消費者米価の値上げを絶対にしないようにすることが、これは、ただ単にいわゆるあなたの方でことしは減税をしない、増税をしないという、そういう観点からいっても、特別の減税をしないという点からいっても、消費者米価の値上げというものは国民生活に非常な圧迫を来たすので、その点一つ十分に配慮されなければならないと思いますし、それから、防衛分担金の支出が、安保改定に伴って今度支出しなくてもよろしい、これは大臣は非常にいいことだと言うのだから、それであるならば、少なくとも防衛費についてはことしの千三百六十億円でとどめて、それを災害その他の復旧に回すのでなければ、大臣の先ほどの、安保改定はいいじゃないか、国の負担を増加しなくていいじゃないかという御議論とは、私は合わないと思うのです。この点については、いずれ予算編成が終わったあとで、一つ大臣に予算書の上で当委員会並びに予算委員会で私ども十分ただしたいと思います。 以上で質問を終わります。
○植木委員長 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 山際総裁にもう二、三点お伺いしたいと思いますが、先日の金利の引き上げの問題に関連して、一時的に株も少し下がってまた上がっておりますが、あのままで大体このインフレの傾向をなくしていけるかどうか、景気の過熱を押えることができるかどうかという問題と関連して、一月になったらもう一度もう一厘くらいの金利の引き上げをやるのじゃないかということが日銀筋から伝わっておるということが、新聞に出ておるわけです。山際総裁はその点をどういうようにお考えになっておるか。一応ここで、その一般金融情勢並びに金利の引き上げの問題について、いましばらく御意見を伺いたいと思います。
○山際参考人 いわゆる景気の過熱を防ぎます予防措置といたしまして、過般公定歩合の引き上げをいたしたのであります。現在の段階は引き上げ後まだ一週間ばかりを経過いたしたのでありまして、もっぱらその趣旨の徹底、またそれが浸透していく情勢について大いに注目をいたしておる段階であります。御承知の通り、全国金融協会その他関係方面におきまして、これに順応する態勢を目下整備いたしております。また、各種の産業団体等におきましても、これに対処する方策についていろいろ検討いたしております。各地の企業におきましても、企業のあまりにも急速な拡張その他行き過ぎが起こらないようにということで、再検討という機運も起こっております。私といたしましては、現在始めたばかりの措置について、その浸透の経過がどうであるか、要点はその趣旨をよく広く理解してもらいまして、金融界並びに産業界その他各方面の協力を得るということが前提になろうと思います。目下その点に努力をいたしておる最中であります。新聞は、いろいろ先ほども話を伺いましたが、ずいぶん先のことまで書いておられますけれども、私の方といたしましては何もまだ考えておりません現状でございます。
○佐藤(觀)委員 景気過熱のことは、一厘の引き上げくらいで大体穏当にいっておるのかどうかということを、総裁はどういうようにお考えになっておるのか。その先の見通しはどうかということではありませんけれども、これから、暮れから正月にかけまして、景気あるいは日銀券の発行のことについていろいろ国民が心配しているわけですが、そういうことについては大体正常になっていく可能性があるのかどうか、その点をもう一点伺っておきたいと思います。
○山際参考人 経済の現状に即しまして、この際行なうべき措置としてはこの程度のもので足り、かつこの程度のもので足らしむべく努力をしておるという状況でございます。それ以上のことは実はいまだ考えておりませんので、鋭意その趣旨の徹底に努力をいたして、成果の上がらんことを期待しておる最中でございます。
○佐藤(觀)委員 私はきょうは日銀の中央銀行としてのあり方についていろいろお尋ねしたのでありますが、先ほど、大蔵大臣も、責任はやはり大蔵大臣にあるから、当然日銀の中立性、独立性といっても限界があるということを言われ、私どももそういうことはわかるわけです。しかし、何といっても、日本の現在のインフレ傾向、さらにこの五十年における日本の物価の値上がりを見ますと、いつもこういう値上がりによって大衆が苦しみ、一部の大企業がもうけるというような結果が招来されるわけでございます。そういう点について、私は、山際さんの手腕とかそういうことについてはあまりつまびらかにしませんけれども、いろいろ経歴から見ても、また人柄から見ましても、今のノーマルな日銀の将来のために、少なくとも日本の中央銀行、日本銀行としてのあり方について、やはり世界のレベルに乗るだけの、そういうことができる方と考えるわけでございます。何といっても、私もわずかでありますけれども世界を見て、産業については日本は大体二等国くらいの形になってきた。しかし、生活水準は遺憾ながらやはり四等国、五等国というような悲惨な状態にあることは、御承知の通りであります。そういう点において、大蔵省の財政政策も大事でありますけれども、しかし、お金を預かっておる中央銀行としての日銀のあり方も、この際非常に重要なポイントになっておる。特に日銀法の改正等の関係上、非常に重要なポイントに立っておると思うのであります。そういう点について、私は、この際、日銀の総裁が、国民の日本銀行であり、国民の中央銀行として大衆にも親しまれ、また同時に影響力を持っておる中央銀行として、この際いろいろな意見がありましょうけれども、やはり大衆の声を聞いて、そうして再出発すべきじゃないかというように考えております。この点については山際さんどういうようにお考えになっておるのか、もう一点お伺いしておきたいと思います。
○山際参考人 前段にも申し上げました通り、国民生活全体の安定を期しまする上において、日本銀行券の価値の安定をはかるということをその中心課題と考えまして、鋭意努力をいたしており、また努力すべきことは、これはもうおっしゃる通りでございます。それにつきまして、日本銀行としては、むろん広く各方面の声を聞きまして、単に一部の金融界とか、あるいは一部の産業界、あるいは一部の企業家等の意見ということでなしに、広く国民全体の要望なり実情なりというものを十分に把握して、その上に政策を重ねていくという御説に対しましては、私は全然同感であります。従来もそのつもりでやって参ったつもりではございますけれども、さらに調査なりその他を充実いたしまして、十分その趣旨で進みたいと考えております。
○佐藤(觀)委員 最後に、私は、この際、日銀の方の当局にもいろいろ御意見があり、またいろいろ調査研究されたと思いますが、日本も戦後十四年になりまして、いろいろの点で進んで参りましたけれども、何といっても、貨幣価値――お金を預かっておる銀行として、また貨幣の安定性という立場からも、ぜひとも一つアメリカとか、あるいはイギリス、その他ドイツ、少なくともオランダとかベルギーくらいまでの中央銀行としてのあり方として、日本銀行が健全な発達をするように、特に日銀法の改正の今日でありますから、是が非でも世界のレベルに乗るような中央銀行のあり方になるように、一つ努力をしていただきたいことも要望いたしまして、私の質疑を終わります。
○横山委員 関連して、ちょっとお伺いしたいのでございますが、今佐藤委員の質問に対して山際さんと大臣からこもごも御返事がございました。顧みれば、中央銀行法について審議を始めて以来、もう二年になんなんとしておるのであります。お互いに日銀はどうあるべきかという勉強をしておるときではないと思うのでありまして、どうするのが正しいか、正しいと思ったらそれをやらなければならぬ。知恵のある人がたくさん集まって二年も御勉強なさって、結果としては大蔵省と日銀の問に意見の相違があったということだけが今残っておるような気が私はするわけであります。もうこの辺で日銀をどうするかということの意見がきまらなかったらきまらなかったで、処置をしなければいかぬ。今度の公定歩合の問題についても、お二人の御意見でほぼわかったような気がするのでありますけれども、それにしても、日銀と大蔵省の日銀法に関する見解の相違が微妙なところで手伝っておるというふうに、世間は理解をいたしておる向きが多いのでありますから、この中央銀行法の改正についてはどうするか。もうやめるならやめる、通常国会には出さないなら出さない、この辺で一ぺん水を入れてさらにするというふうなことになさるのか。それとも、意見の相違についてはすみやかに処置をして、そして結論をつけるというふうな態度になさるのか。私は、もういいかげんに政府として御判断をなされ決着をつけるのが妥当であろうと信ずるのでありますが、大蔵大臣、日銀総裁の御意見を伺いたいのであります。
○佐藤国務大臣 御承知のようにこれは金融制度調査会にかけております。実はまだ結論が出ておりません。長い問題ですから、できるだけ早くにという気持はもちろんあります。そこで、金融制度調査会も非常に急いでおられるようですが、先ほど来佐藤委員がお尋ねになり、また横山委員もそういう点でさらにお尋ねになるのだろうと思うが、中央銀行の中立性というか、金融の中立性という点は、ただ単に理論だけでなく、実際においても適時適切な処置がとれるようにしたい。これはだれも異存はないようであります。同時にまた、最終的には政府自身がそれかといって責任を負わない、こういうものじゃない。中立性ということになっておるから、政府はそれは全然知らない、こういうわけにはいかない。これもわかっておる。話をしますとその点は非常にわかりはいいんだが、いざこれを日本語で条文に直してみますと、なかなか窮屈になる。そこに非常な問題があり、制度調査会もその点で非常に苦心しておられる、こういうように実は伺っております。その他にも問題があるだろうと思いますが、基本的に書くといかにもどぎつくなる。それかといって書かないわけにもいかないというので、何かいろいろ工夫しておられる。私も制度調査会には一、二回引っぱり出されまして、そういうような点を率直に申し上げておるわけであります。おそらく日銀自身の権限の拡大という問題もございましょう。そういう点もどういうふうに処理しますか。その表現の仕方に最後のところ苦心しておられるというところじゃないかと思うのであります。そこで、見通しの問題ですが、もう通常国会も今月末には召集されるという段階でございますが、その経過から見ますと、あるいはこの通常国会には間に合わないかもわからない、こういうように実は心配しておるわけであります。
○横山委員 私の心配はあなたの心配と違うのであります。私の心配は、私の意見は時間がありませんから申しませんが、取り扱いとして、いつまでもだらだら二年も知恵のある人が集まって処理がつかぬというようなみっともない雰囲気は、もうこの際少し水を入れる必要があるのではなかろうか。そうでなければ、判断の問題であるから、お二人が話し合って、おやめになるなり何なりなさったらどうだろうか。話がつかぬならつかぬで、通常国会に出しません、ゆっくり一つ検討いたしますからということで、気持をさらっとしたらどうだろうかというような意味の心配をしているのです。大臣は通常国会にほんとうは出したいのだけれども、出すことができないかもしれぬから心配をしているというふうに聞こえるのでありますが、どうでございますか。私の心配を一ぺん心配して下さい。
○佐藤国務大臣 ただいま、もう制度調査会はやめてしまえ、こういうような御意見であろうかともとれます。そうまでは言わないが、とにかく長いこと何をやっているのかというおしかりを受けたようであります。その意味において、私は結論を早く出すということに特に重点を置いたわけであります。大体結論が出ないわけでもないだろう、ただだらだら何をやっているかわからない。そのつど、政府と日本銀行との間に意見が相違しているということが、新聞その他に報道される。これが及ぼす影響の悪いことは、横山委員御心配の通り、私もその点では同感であります。そういう意味で、できるだけ結論を早く右か左か出す、こういうことに努力いたしたい、かように思います。
○横山委員 第二番目の問題は、今度の公定歩合の引き上げというものが、これは私の意見になるかもしれませんけれども、実効を現わしていないという気がするわけであります。私が言いますことは、おやりになったという立場に立って、その判断で分析するならばという前提がつくのであります。根本的なものの考え方は私はまた別でありますが、公定歩合を引き上げるという点に立って、さてその所期した結果はどうであったかという判断に立てば、実効を現わしていない。佐藤さんの先ほどの追及は私も同感だという感じがするのであります。この間大蔵大臣から話を聞いた分では、山際さんが言うことは、黄信号どころではない、だいだいだというふうに私どもも受け取った。少なくとも、山際さんが旅先で新聞記者に語ったと新聞記者が語るところによれば、(笑声)正確に言いますと。あなたは、今後再び景気行き過ぎの懸念がちょっと出たときには、第二次の予防措置を実施するという決意を表明なさったというのであります。ところが、先ほどからの話を聞いておりますと、忍び寄るインフレはいかぬのだ、断固としてインフレらしいものがあったら退治しなければならぬという決意を表明した。これは直接あなたがおっしゃったのですから間違いないのでありますが、そうであるとするならば、その懸念は今現存しているのではないか、あなたの言い方をもってするならば。私はそういう感じがするのです。ですから、先ほどの山際さんの断固とした自分の金融に対する所信表明であるとするならば、それをそのままなまで受け取るとするならば、一厘は実効を上げてない。それをどうするか。あなたが、今ここで、いや、それはそうです、もう一ぺんそのうちに一厘上げますとおっしゃるとは思いませんけれども、先ほどからの話からいうならば、そうでなければおかしいのではなかろうか。実効を上げた、逆に一厘引き上げたらこういう実効が上がって参りましたという実効があったら、一つお聞かせ願いたい。市中金利が少し上がって参りましたということだけで、それ以外の実効は一体何が上がっているのであろうか。私は、その意味から、逆に金融、金利、公定歩合一厘引き上げ後の動静について日銀が承知をしておられる諸情勢を承りたい。
○山際参考人 過般の公定歩合引き上げの影響に関しましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、私は、これによって、その意味するところの趣旨を広く産業界、経済界に浸透させることが非常に大事だと思いまして、鋭意それに努力いたしております。ただいま、銀行協会の態度はどうであるか、あるいは産業界の態度はどうであるか、経済団体の態度はどうであるかというようなことが、漸次私は浸透していると思うのです。ただそれが数字的に現われ得ませんことは、これは、私は、もともと申し上げております通り、予防的措置として、なだらかな景気上昇と申しますか、経済発展を基礎にして考えております。非常にこれが行き過ぎにならぬようにということが趣旨でございますので、いま少しく時をかしませんと、数字的にこれを表明することが実はなかなかむずかしいかと思うのでありますが、しかし、心理的に私は相当各人の再検討、自粛、そういった気分を浸透させる上に効果が上がりつつあるように実は考えております。時たまたま年末に際しまして、その判断を分析いたすことはなかなかむずかしゅうございますけれども、各個々の現象を総合いたしました全体の感じといたしましては、相当すなおにこれを受け取られまして反省を促しつつあるというふうに、実は感じ取っておる次第でございます。
○横山委員 ほんとうにそうでありましょうか。私は逆に考えている人の意見を聞きました。それはこういう意見であります。つまり、あなた方が、これは予防的措置である、今の景気の状況については、決してそれに対して急激に水をぶっかけるためにとった措置ではない、予防的措置であるというふうに、腹の中ではそうでないのだけれども、安心感を強調し過ぎるの余り、景気はこれによって大きな変動はないのだということを植え付けている懸念がありはしないか。実は、完全な意味の予防的措置ではなくして、一歩進んでだいだい色に対する警戒措置である、そういう気持があなたの腹の中にはあるのではなかろうか、または大臣の腹の中にはあるのではなかろうか。それを、そう言うとかえって心配するといかぬというので、お前ら何も関係ない、これは予防だ、予防だ、こう言ってしまっておるきらいがあるのではないかと私は言っているのです。いかがでございますか。
○山際参考人 単なる予防措置であって、経済界には関係がないというのは、それは私ども全然考えておりません。そうではなしに、むしろ反省をしようではないか、お互いに気をつけようではないかということを、具体的にそれによって表明する、こういう趣旨に考えておるのでございまして、引き上げ後、私は、甲信地方へ――山梨県、長野県の地方でありますが、支店の視察かたがた経済人の方々との懇談を兼ねて参りました。その体験からいたしましても、その趣旨は非常にすなおに理解されていると思うのです。そうしてその線に沿うべくみんなが考え直すといった気分が生まれておると実は思っております。なお、その趣旨の徹底並びにその後の経過の推移につきましては、十分なる注意を払って参る所存でございます。
○横山委員 ちょっと関連いたしまして大臣に二つばかり金融問題について伺いたいのであります。 一つは、小さなことですが、日銀法は今度の通常国会には出さぬだろうという分析については承知をいたしました。同じ金融の問題で、一体出るのか出ぬのか保留になっております金融二法案というものがございます。金融機関同士の相互援助の法案でございますね、あの金融二法案は通常国会に今度お出しになるのかどうかという点が一つであります。もう一つは、この春の選挙にあなたが公約をなさったのですけれども、町の貸金業についての高利を廃止しなければならぬとおっしゃったのですが、一体公約は御実行になるつもりであるかどうか。これは、さきに次官でございましたか、局長でございましたか、中小企業金融について私がお伺いをいたしましたところ、非常にめんどうなことでございますからなかなかやれませんという話がございましたけれども、これは参議院選挙で大臣がお約束をなさったことでありまして、時間もたっておりますから、もう公約としてもおやりになって手ごろの機会じゃないかと思います。この金融二法案と町の貸金業法の問題について通常国会にお出しになるのかどうか、それを伺いたいと思います。
○佐藤国務大臣 政務次官はなかなか要領のいい御答弁をしておるようでありますが、政務次官がお答えした通りであります。
○横山委員 政務次官は、金融二法案については私は聞かなかったのですから、聞かないものに対して答えるはずはないわけです。(笑声)それから貸金業法ははっきりしない答弁でありました。
○佐藤国務大臣 いわゆる金融二法案は事務的にいろいろ検討はしておりますが、これを出すか出さないかという最後の段階になりますと、これはそう簡単にはいかない。まず今の私の気持から申しますと、来年の通常国会はむずかしいのじゃないか、かように考えております。 それから、もう一つの貸金業法について、これは公約事項だとかいうことを言われておるようでございますが、この点では、奥村政務次官がお答えしたように、これもむずかしいという状況でございます。
○横山委員 それでは、意見の表明は後にしまして、最後に一点。これはちょっとまた問題が別でございまして恐縮でございますが、もう本年どうも御意見を聞く機会がないように思いますので、お伺いをしておきたいのであります。 世銀について大蔵大臣は先般来交渉をしておられるようでありますが、伝え聞くところによりますと、世銀からの借款が、東海道新線を初めといたしまして、政府側の言い分をもってするならば、割と順調に進んでおるようであります。来年度の予算にも関連をいたしますけれども、一体東海道新線を中心とする世銀借款の進行状況はどうであるか、端的に言ってそれが一点であります。 それから、それに関連いたしまして、政府は、第二世銀について賛成をして、そしてこの設立についていろいろと準備をなさっておるような気がいたすのでありますけれども、これについては、さらに日本が第二世銀に対して援助をし、設立に対して一生懸命銭を出してやっていくというほどの必要があるのであるかという意見が一部にございます。これは、アメリカが後進国を援助するに際して、自分だけでやり切れなくなった、一つには対外援助がなかなか議会の反対でうまくいかぬ、だから世界の各国をも語らって後進国の援助をしなければならない、世銀は六分であるが、ソビエトの借款は二分五厘であって、対抗できない、さりとてうちうちのこともうまくいかぬというような、世界的なアメリカの対外政策の中から出ていることではないか。そういうものに対して日本が一生懸命にあとからけつを押して、後進国に銭を貸して、そして日本が何も第二世銀から借りるわけでもなかろう。また、後進国へ貸したからといって、日本がそれで一体どういう得があるのかという批判が、各所にぼつぼつ起こっておるわけであります。まだ固まった話でもないようでありますけれども、物事は最初が肝心でございますから、一体どういうつもりで政府がこの第二世銀に対して認識をしておられ、措置をしておられるのか、この機会に明らかにしていただきたいのであります。
○佐藤国務大臣 第一の世銀借款の進行状況でありますが、大体においては私は順調に進んでおると思います。国鉄の関係のものについては、近く国鉄からも向こうに出かけまして、さらにこちらを説明する、重ねて相手世銀から実地調査に来るということになるのではないかと思います。道路の問題につきましては、すでに尼崎―栗東間につきましては、御承知のようなものが具体的に進んでおります。この世銀そのものが、日本に対する借款についてのいろんな考え方があるようでありますが、いわゆる民間事業等においては、もう世銀から借りなくても、みずからの力で、アメリカ、あるいはアメリカのあっせんによりドイツあるいはスイス等からも資金を獲得し得るんじゃないか、そういう方向で努力してほしいということを申しております。このことも事実でありますので、最近八幡なり富士製鉄なり等が借款調印に参りました際も、ニューヨークの金融界方面といろいろ懇談等も遂げてきておる、こういう状況でございますが、世銀も、国鉄のものについて、世銀が日本に融資し得るものを、幾つもの目的に分割することはあまり適当ではないだろう、できるだけまとめた貸し方の方がいいように思う、こういうことを申してくれまして、いわゆる国鉄借款という、東海道新幹線というものを取り上げるという考え方でおりまして、ただいま申すように、さらに国鉄からも技術陣の方からアメリカに参りまして、十分説明を遂げてくるという段取りになっておるようであります。従いまして、この点では、国鉄の新幹線については、世銀の融資というもの、これは大きな根幹をなすものとして私どもも考えておりますし、また国鉄もそれを期待しておる。この点では誤解はないようでございます。 次の第二世銀の構想の問題でありますが、特に第二世銀の構想について、これはアメリカの対外政策、その一部をいわゆる工業国にも負担さすという考えじゃないか、こういうような御意見であったように伺いますが、この世銀は、第一世銀と同じような考え方で第二世銀の運営をするということなら、これは別に何も必要はないんだ。ただ、後進国に対しては、後進国特有な状況がある。たとえば、みずからが経済開発をする場合でございますので、直ちに金融の効果が上がってくる、非常に短期間に上がる、こういうものでもない。こういうように考えてきますと、いわゆる世銀の融資の方法とは幾分か変わった融資条件で扱うことが、後進国に対しては望ましいことではないか、こういうのが第二世銀構想の基本でございます。これは、第一世銀というか、今あります世銀自身でなかなか手の届かない部分を、これを第二世銀という考え方で補完しようということであります。いわゆるアメリカの対外政策の変更、こういう意味で、みずからのやってきた政策を第二世銀に転嫁しよう、こういうことは私どもはないように考えております。従いまして、今回の第二世銀は、今あります世銀の構成国全部が株主になるということでありますし、ただ、出資の場合に、一部は交換性のある出資方法をとる、また、特殊な地域について、支払い等において現地通貨というようなことが考えられるかどうかという点、これはまだはっきりきまってはおりませんが、その点を考慮に入れて、今実は研究している最中であります。そういう意味で、後進国にも比較的参加しやすいような、支払いのしやすいような、こういう道を考えていこうというのでございます。 ところで、第二世銀の問題の問題も最近相当進んで参りましたが、基本的な考え方を申せば、世銀を構成したときと同じ考え方で、いわゆる相互援助、そういう意味で、いわゆる経済力のあるものが比較的経済力の弱いものに対して十分の協力をする。むしろ、一国の関係において処理するよりも、国際的機関を通じてやることが、より効果的ではないか、こういうようなねらいがあるように考えておるのであります。その国際的機関であることがいいと申しますのは、援助を受ける側から申しまして、必ずしも一国の援助、それを心から歓迎するというものばかりでも実はないのでありまして、そういう意味では、やはり国際機関を通じて援助を受けるということの方がより望ましい形、ただ、その場合において、貸す場合の返還の条件なり期間なり金利等について特別の考慮を払っていこう、こういうことでございます。従いまして、私どもも、日本が特に負担を多くする考えはございませんが、この世銀について出資しておる割合、その範囲においては第二世銀についても出資して協力する、こういう考え方をとっておる次第であります。
○横山委員 これはまたいずれ機会を改めて十分にお伺いをいたしますが、しかし、最後的に一つだけそれに関連してお伺いしたいことは、これはちまたの質問、素朴な質問でありますが、世銀はわれわれが借りる立場、第二世銀は借りる立場ではなかろうという感じがするわけですね。それじゃ日本は貸す立場かというと、そうでもなかろうということです。そうなりますと、結局、この第二世銀というものは、一方のアメリカ、あるいは二分五厘で現在貸しているソビエトの立場、そういう巨大な金を持っておる国と、それから後進国、ほんとうに二分五厘ばかりで貸してもらいたいといっておる後進国との立場、これが大きくクローズ・アップされてくるではなかろうか。その間において、日本は、第二世銀によってバランス・シートをとった場合に、世銀と同じようなバランス・シートが一体取り得るのであろうか。結局これはアメリカの片棒をかつぐということになるのではなかろうかという、素朴な意見があるわけであります。われわれは、第二世銀に対して何を出すか、第二世銀によって何を得るかというバランス・シートを率直にお伺いをいたしたい。
○佐藤国務大臣 まあ出資してそこから借りる。これは世銀についてはそういうような意味の考え方がもちろんあり、IMF等の出資もそういうようなことが考えられる。しかし、この第二世銀の場合は、先進国としていわゆる出資するという場合に、この第二世銀を通じて日本が金を借りるということはまず考えられない。しかしながら、国際協力の立場において、いわゆる工業国としてのその立場上の責任を果していくということ、これはやはり、とりもなおさず国際的経済発展の方向においてわが国も一役買っているということで、そういう事柄は必ず大きな目で見れば返ってくる。いわゆる非常に短期な近視眼的な見方でなしに、今後の国際経済のあり方等を考えて参ります場合に、これは適当なことではないか。もっと具体的に申しますならば、第二世銀ができた、あるいは、今一部で、東南アジアと特別な経済提携をしたらどうか、こういうような考え方が一部にあるやに考えられますが、これを日本の力だけではたしてできるのか。日本自身の力でいわゆる東南アジアに位置しておる諸国の経済発展に積極的な協力をする、こういうことはおのずから限度のあることであります。第二世銀にももちろん限度がございますが、一国においてなし得るところは非常に小さいものだと考えなければならない。しかも、相手国がもしそれを心から希望しない、そういうような問題もあるといたしますならば、とりもなおさず国際機関を通じてこういうような考え方が具体的になっていくそのことは、わが国経済の発展にも寄与する、こういうように私どもは実は考えるのであります。従いまして、直接第二世銀から日本が金を借りる、そこにバランス・シートがよくなる、こういうようなものではない。この第二世銀の構想そのものが、いわゆる先進国と後進国との関係、こういう考え方でありますので、第二世銀設立について、私はワシントンで特にその点を主張いたしました。たとえば、南米についてはすでに特殊な金融機関ができておる。あるいは、中近東については、この前問題が起きた際に、中近東に特殊な金融機関を作ろうという提案があった。しかし、それは実現はいたしておりません。東南アジアにつきましては、わが国に経済協力基金というものは作っているけれども、わずか五十億円だ。こういうようなことを考えて参りますと、第二世銀ができれば、今まで見放されておった東南アジア地区等については、この機関が特に積極的に融資するようにと強く要望しておりますが、そういう事柄が結局私どもの方にも返ってくる、実はかように思って、やはり先進国は各国提携して国際経済発展のためにそれだけの役割を果たすことが、大局的には必ず効果をもたらす、こういうように実は考えておる次第であります。
○横山委員 いずれまた機会を改めまして……。
○植木委員長 委員会を代表いたしまして、山際総裁に申し上げます。 本日は、お職務柄御多用中にもかかわらず、当委員会に御出席下さいまして、委員の質問に対し長時間にわたって貴重な御意見を御開陳いただきまして、ありがとうございました。委員会の調査の上に重要な参考となることと存じ、深くお礼を申し上げます。 次会は、いずれ公報をもって御通知申し上げることとして、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十三分散会