商工委員会 第6号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/11/24
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 まずお諮りいたします。目下農林水産委員会においては、水俣湾における漁業被害に関する件について調査をいたしておりますが、当委員会と連合審査会の開会の希望もありますので、農林水産委員会に、連合審査会の開会を申し入れることにいたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 ————◇—————
○中村委員長 次に、委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。 去る二十日、横浜市において、東洋化工株式会社の工場が爆発し、多数の被害が出ましたので、この際委員を派遣し、その実情を調査するため、委員派遣承認申請をすることとし、その手続に関しましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 ————◇—————
○中村委員長 通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。 火薬類取り締まりに関する問題について、質疑の通告があります。順次これを許します。 小平久雄君。
○小平(久)委員 今回の東洋化工の爆破事件は、工場、事業場の保安という見地からももちろんでありまするが、同時に、被害の範囲が非常に広くて、一般の民家、特には学校施設等にまで被害が及んで、学童などにも被害者が出た。こういう点で非常に世間の注目を浴びておるわけでありますが、今度の爆破事件の原因等は、当局で目下調べておるところとは思いますが、一体従来どういうふうにこの東洋化工というものを、当局は監督をいたしており、また通産省の立場からすれば、一体どういうところに今度の災害の原因があったか、少なくも当面どう見ておるのかという点を、まずお伺いしたい。
○秋山説明員 最初に、このような社会的な大事件を起こして申しわけないと思います。おわびを申し上げます。 東洋化工は、朝鮮事変後に、いわゆる特需を受注することを目的といたしまして設立されました会社であって、現在はすでに特需は全然関係がございませんで、産業用の、ことに土木工事用に使いまする爆薬TNTを作っておったわけであります。事件の経過等は、すでに新聞等で御承知と思いまするから、詳しく申し上げませんが、先日の二十日午前十時半、第二熔填工室から発火いたしまして、約七分ないし十分といわれております、ある時間をおいて、すなわち瞬間的な爆発ではなしに、ある程度の時間を隔てて爆発を起こしまして、工場内部はもちろん、周辺にまで非常な被害を与えたという遺憾な事態を生じたのであります。 原因等はあとで詳細申し上げたいと存じまするが、ただいまお尋ねの監督関係につきましては、私どもは火薬類取締法及びそれに基づく政令、省令、通牒等によって監督をいたして参っておるわけであります。本来でありますれば、その法規類が守られておりますれば、あれほどひどい被害を与えることはもちろんないはずでございます。もとより非常な危険物でございまするから、絶対に事故が起こらぬということは保しがたいのでございまするが、万が一、不幸にしてある工場内のある部分に爆発あるいは火災等の事故が起こりましても、それが他に延焼しない、工場内部においても他に延焼しないという建前で、いろいろの取り締まり関係を作っておるのであります。従って、法律が守られておる限りは、ただいま申し上げましたように、それほどひどい被害を起こすことはないのでございまして、今回のあの不幸な事故は、どうも法規通りに事業が行なわれていなかったことによって起こったと思われる形跡が多分にございます。その点はまことに残念に存じております。 お手元にごく概略の資料を差し上げましたが、まずこれを簡単に申し上げたいと思います。資料の第一ページに爆発の原因が書いてございますが、これは実は事件後とっさに急いで作りましたために、ごく最近判明いたしましたところは書いてございません。爆発を起こした場所は第二熔填工室であります。そこではトリニトロトルエン、TNTを溶融して濾過して異物を除き、そして所定の形状、ちくわのように中空の棒にする作業をやっておるわけであります。ここには、取り扱い中のTNTに誤って加えられた異常な摩擦または衝撃によって発火しと書いてございますが、実は最近判明いたしましたところでは、衝撃または摩擦ではなくて、他に原因があったかのように考えられるわけであります。これは担当の技官が参っておりますので、やや専門的になりますが、またもちろんこれで最終的に断定はいたしかねるのでございますが、多分それではなかったかという程度の原因と思われるものを御説明申し上げさせたいと思います。いずれにいたしましても、まず発火をして、それが工室内にございましたTNTに引火した。これは開放されておりますから、爆発してもそれほどの力はございません。かまの中にございましたものも、いわゆる小爆発は起こしておりますが、決してあれほどの被害を起こすような爆発ではありません。そのかまの小爆発によって、すでに火災を起こしておりました工室の建物が飛散した。しかも実は工室と土手の——かなり高い、普通の民家の二階建くらいに相当する土手で囲まれておりまするが、その土手と工室との間に、法規に違反して相当大量の爆薬が置かれておったのではないか。これは爆発のあとからの推定でございます。それが実はあれだけの大事故を起こしたと考えられるのであります。従って、もし法規の通り、土手と工室との間に、ああいう違反した置き方をしてなければ、実はあの大被災は起こらずに済んだのではないかと思われる点が、まず最終的に第一の点でございます。 もう一つは実はこれも今技官から説明申し上げますが、どうも会社の定めた安全規程、危害予防規程と申しますか、その危害予防規程によって定められた工室の使用目的に違反をして、すなわちTNTを溶融して成型するという作業以外に全く新規の実験をやっておった形跡があるわけであります。その実験の失敗、それも実はまだ確定いたしておりませんが、どうやら爆発当日から初めて試験を始めたらしいのでございます。その新しい試験に失敗をして、それから火が出たという形跡が濃厚で、いずれにいたしましても、そういう関係では二重に法規違反があったという推定をいたしておるのであります。
○小平(久)委員 その原因の科学的な事由というようなことは、われわれはしろうとですからこの際は伺いませんが、今の局長の答弁のうちにも法規が十分守られておるならば、今回のような大事件は起きなくていいはずだという趣旨のお話がございましたが、そこで法規自身はずいぶん厳重にできておると思うのですが、——もっとも私も実は土曜日に現場に行ってみましたので、若干はどうも今の法規なり指導方針なりで、果していいのかどうかという一、二の疑問を持つ点もありますが、まあ大綱においてはそれでいいようです。ただ世人の感じというか、あるいはわれわれ議員の感じなどからいたしましても、今の火薬類取締法、これはもっぱら産業的な立場で通産大臣がみずからあるいは都道府県知事に委任をして監督をしておるようですが、どうもこういう危険物に対する業者というか、取り扱い者というような人の感じが、やはり役所が通産省であるために、もっぱら産業的な方面にばかり頭がいってしまって、危険そのものについての観念がどうも薄いのじゃないか、以前は警察などが相当立ち入って厳重に監督をしたものを、もっぱら産業的な立場で、通産大臣が指導しておる。この法律にも公共の安全を守るためだということで、第一条に法の目的がちゃんとうたってありますが、どうもこの点法の運営自体が私は欠ける点があるのじゃないかと思う。ですからむしろ危険防止という点からすれば、やはり警察等に、もう少し法的にも権限を持たして取り締まりに当らせるという方がいいのじゃないかと思いますが、これはむしろ政務次官の方かもしれませんが、役所ではそういう点を、どう今のところお考えですか。
○内田(常)政府委員 今回の事故は、御承知のように爆薬の製造中に起こった事故でありますが、今年に入りましてからも、このほか花火類などの事故がひんぴんとして起こっていることは御承知の通りであります。それらに際しまして、通産省内部でも現在火薬類取締法あるいはこの法に基づく取り締まり基準、省令などの改正が実は議に上っておるのであります。この際私は政治家として気がつきましたことは、実は小平委員と同じことに気がついておるのでありまして、この火薬類あるいは花火の取り締まりにつきましては、産業的見地あるいは非常に高度の技術、科学の知識が必要でありますために相当の技術者が中心となって取り締まり基準あるいは取り締まりなどを講じなければならぬことはもちろんでありますけれども、作られた基準を機械的に守らせるという点では、もう少し警察の職務をこれに活用していくような形に、法を改正整備すべきではないかという意見を私は持って参りました。ただ警察官職務執行法などというものが警察官の職務についてはありまして、その大原則を火薬類取締法において警察官をどの点まで活用できるかという限界の問題もあるようでありまして、にわかに警察官取り締まりの範囲を拡大するということもできないようでありますが、合理的な限界線を求めまして、そのような方向に私は改正を持っていくべきではないかという気はいたしております。
○小平(久)委員 政務次官の御答弁われわれと大体見解を同じくしておるのでありますが、どうかそういう方向で一つ御検討願いたいと思います。 そこで現在の法の規定のうち、いろいろな構造あるいは施設の制限等も基準があってやっているようですが、私は現場に行ってみて直観したのは、今度の爆発というものは第二熔填工室から火災が起きて、あそこの消防課長の声明によると、それから爆発時点までには十分ないし十二、三分かかっているだろうということですから、しかも同じ課長の話では、爆発音は一つしか聞かないと皆言っている、こう言っている。そうすると第二熔填工場とその隣の第一熔填工場、これが僕は偶然に同時に爆発したのではないかという感じをしろうとながらに受けたのですが、そういう点から見ると、どうも第一、第二という二つの熔填工場というものがきわめて近距離にある。そういう点の制限というものはどういうことになっているのか、その工場外の周囲との関係、一般民衆との関係でそれを規定するのは当然ですが、同時に全体の工場内の構築物という点については、どうも規定がゆる過ぎたのではないかという気がするのです。そういう点はどうですか、技術屋さんの方の範囲かもしれませんが……。あの爆発は何回やったのがほんとうですか。
○秋山説明員 私どもの方で調査をいたしましたところでは、先ほど申し上げました第二熔填工室で規定通りの量を扱っておった熔填がまが二つ、それから若干量は減っておりましたが少量入っておりましたかまが一つ、結局三つかまを使っておったわけでございます。そのかまが確かに最初小爆発したようであります。もちろんこれは外部に被害を及ぼすほどのものではございません。量はそれぞれ少量のものでございます。技術的に申せば爆轟というもので、一般には爆発でございますけれども、お説のようなほんとうの意味の爆発は、むしろ工室と土手の間にある相当量の爆薬が起こした一回の爆発、これが世間で感じた唯一の爆発であります。 それから第一熔填工室も稼働をしておったようでございますけれども、これは実は第二熔填工室におりました工員が、十分前後の時間の間に、逃げろという声をかけたので、逃げましたので、工員は全部逃げております。それからそこにありました火薬類も燃えてはおりますけれども、爆発はしておらなかったということでございます。これは量が少なかった。また密閉してない場合は、火薬といえどもただ燃えるだけ、爆燃というのですか、激しく燃えるだけで爆発はしないのでございます。そういう関係で、第一熔填工室の方は焼けておりますけれども、爆発はしておりません。
○小平(久)委員 今の御説明では、爆音を一回しか聞かなかったということは、特に工室と遮閉の土手、それとの間にあった火薬が爆発したのが大きな原因だ、こういうことのようですからそれで了解しますが、先ほどちょっと申しましたが、いずれにしても、第二熔填工室の方は爆発しなかったにいたしましても、とにかく延焼しているんですね。だから、これはもしかすると、そっちの方のもまた爆発したかもわからない。そういう点で僕があそこで直感したのは、どうも危険な建物と建物の間が密接し過ぎているのではないかという気がするのですが、そこの規制はどういうふうにやっているのですか、工場内部の建物の配置、特に危険な建物の配置というのは。
○秋山説明員 実はあの工場は、会社自身が作りましたものではございませんで、旧軍時代、海軍が作りました工場でございます。上から見るとよくわかるのでございますが、工室と工室の間に厳重な土手が作られておりまして、限られております。従って、もし規定通りの作業によって規定通りの量を扱っておったということであれば、当然あの土手が防壁になって、おそらく次の工場に移ることもなかったと考えられるのでございますが、どうもその点規定量が守られていなかったということも十分うかがえるわけでございます。またその規定量自体は、いろいろ学問的にも古くから議論がございますが、それに安全係数を相当とりまして、絶対に危険がないという範囲、すなわち規定量を守る限りは、一つの工室がかりに事故を起こしても、それは隣の工室には影響しないという程度のところで押えて、作業をやらせる定めになっておるわけでございます。
○小平(久)委員 とにかく火事が起きてから爆発まで十数分かかっている。まあ十分としてもいいのですが、爆発したのと、最初の発火点である第一熔填工室から第二熔填工室へ延焼したのとどっちが先か、これはわかっていますか知りませんが、要するに延焼防止という見地から考えても、あそこへ行ってみると、われわれしろうと目に見ても近過ぎるような気がする。そういう点で、延焼防止という見地からしても、あの程度で差しつかえないのですか。
○秋山説明員 実はこの点は私ども今度新しい勉強を一つしたと考えておるのでございます。御承知のように、あの第二熔填工室はあとから作りました木造の建物でありまして、第一の火災といいますか、爆発前の第一の火災が起こりまして建物に火がついた。そこへ室内にあったかまが小爆発を起こして、その爆風によって、火のついた破片が周囲に飛び散ったということが、実は周辺の第一熔填工室その他の工場の火災を引き起こした原因のようでございます。従って、私どもが従来考えておりましたように、普通の爆発事故というものは、場合によっては、ほとんど物がこげさえもしないという程度で、一ぺんに吹き飛んでしまうというのが従来の例であったわけであります。それから見ますと、今回の爆発は、やや異例の形の事故を起こしたということであります。これは確かに技術的にも非常に厳重に検討を要する問題でありますし、私どもしろうとでも、実はもう少し消火施設、たとえば自動消火設備を作らせるとかなんとかいうことで、あの類の、すなわち爆発でなしに火災を起こす可能性の多い火薬工場というものについては、たとえば屋上に撒水的な自動消火装置を作らせるとかなんとかいうことで、火災を起こさせぬという前提も相当大きく考えてみる必要があったのではないか。実は従来こういう形の事故はございませんでしたために、その点についての思い至りが足らなかったということは認めざるを得ないと考えておる次第であります。
○小平(久)委員 僕が今聞こうとしておるところをだいぶ先回りして答弁されたわけですが、私全く同感です。そこできょうは消防庁の関係の人に来ていただいておるわけだが、一体そういう火薬工場のようなものの建物なり、工場の配置なり、消火施設なり、そういうことについては、現在の法規上消防当局で何かの指導、規定をする権能はあるのかないのか。私も法律のことは調べてないから、その点のことをまず聞かせてもらいたい。
○鈴木政府委員 御承知のように、火薬関係の工場は、火薬取締法によって、第一次的に通産省で取り締まりをやっています。従いまして、今回事故のありました東洋化工については、第一の監督は通産省の監督でやっておるわけでありますが、もちろん消防としても責任があるわけでございます。と申しますのは、火災発生という観点から、消防は、こういった工場、これは一般民家も同じでございますが、常に予防査察をやりまして、火災その他の災害が起きないように指導をいたしております。この東洋化工等につきましても、もちろん予防査察をいたしてはおりますけれども、何と申しましても、取り締まりの本拠が、火薬類取締法によりまして通産省の系統で取り締まりをやっておりますので、ことこまかに指導をするということになりますと、どうしても二重行政になるおそれがございます。消防当局といたしましては、県の消防関係と十分連絡をとりまして、消防側からの意見がありますれば、もちろん工場、当局者にも連絡をとりますけれども、主として県の消防系統に連絡をとりまして、一本筋の取り締まりの系統を通じてその意向を伝える、こういうことになっておるわけでございます。従いまして、予防査察はやりますけれども、その場で直ちにこれをああせい、こうせいということになりますと、いろいろ二重行政的な面も出て参りますので、注意を与えますけれども、どうしても注意の仕方が二次的になる。ただ、従って、消防の予防査察の目的は、そういう施設の不備について注意することはもちろんですけれども、むしろその災害があった場合にどういう処置をとったらいいかということの、いわば警防態勢を整える意味において、建物の状況とか、作業の状況、あるいは火薬材料の置き場の模様、それから分量というようなものも、ことこまかに消防当局として調べております。そうして一たん災害が起きた場合に、直ちにその現場に臨んで処置ができますような準備を整える、こういうことをやっておるわけでございます。それで現在までの状況ではそういった工合で、通産当局と十分連絡はとっておりますが、第一次的には通産省の取り締まりに従う、そういう事務の執行の方法並びに処置の仕方をやっております。
○小平(久)委員 今の国家消防本部長の説明でもわかるように、消防の点でもむしろ災害が起きたときの、事後どうするかというのをねらいにして準備をされているというような点であって、予防的に、火災予防といった見地からの指導というものは、今の法律上やむを得ないのかもしらぬが、はなはだ手ぬるいような印象を私は受けるのです。先ほど警察との関係をちょっと申しましたが、消防との関係も、政務次官、今度の法の改正にあたっては、私は十分考慮に入れて御検討を願いたいと思います。 ついでにもう一点触れたいのは、今度死者が三人出た。そのうち一人は係長さんで、非常に責任を重んじて、一般の従業員の待避を指導し、それを反復しているうちに爆風によってなくなった、きわめてりっぱな、責任感の強い人だったと私は感心しているんですが、あとの二人は女性のようです。しかもなくなったのは、最初に災害の発生した第一熔填工室でも第二熔填工室でもない。第一熔填工室のまた隣になりますか、第二の包装収函工室というんですね、ここで二人はなくなっておるんです。火災発生から爆発まで十分余もあって、その間大部分の人が待避したのに、最初に発生した場所でない隣の建物にいた二人が、一体なぜ逃げられなかったか、どうもそこが不思議なんです。あの現場でも聞いてみましたが、大体火災なり事故なりを報知する施設なども、どうもなかったらしいですね。あれだけの危険な作業をやっていて、いつ爆発が起こるかわからぬ、こういうことはわかり切っているはずだ。それなのにそういった消防施設というか、あるいは一般の安全施設というか、どちらに属するかよくわかりませんが、それぞれに使えるわけだ。そういう施設をしてなかったらしい。この点は当局ではどういう調査をされておりますか。そういう施設はありましたか、どうもなかったらしいんだが。
○秋山説明員 ただいまの工員三名死亡についての推定でありますが、一つは、実は、警報装置に不備があったのではないか、これは非常の場合に鳴らすサイレンの準備はなるほどございましたが、火災が起こったということで十分間の間に実は電源を切ってしまった。そのためにせっかくのサイレンが鳴らなかったという事実がございます。もう一つは、実は十分間ほどございましたから、それぞれ工場から工場 へどなって回って歩いたわけであります。あぶないから逃げろということで、大部分の者は防空壕へ逃げるなり、あるいは安全な場所まで逃げのびるなりということで助かったわけでございますが、女子工員二名が隣の第二組立工室でございましたか、第三解撤工室(小平(久)委員「第二じゃないか、包装収函室とかいった。」と呼ぶ)最近名称が変わっております。第三解撤工室と申しております。両方並んでおりますが、その境目である壁のかげで圧死をしたのであります。これはどうも推測をいたす以外にないのでございますが、一緒におりました十数名の工員が全部逃げたというところからみますると、一つはコンクリートのかなり厚い壁でありますので、その陰に行けば安全と、とっさにみずから判断をしたのではないか。もう二十メートルないし三十メートル行けば山の中にもぐる安全な防空壕があって、大部分はそれに逃げ込んだわけでございますが、その手前の途中のコンクリートの壁の陰に逃げ込んだらしいということを聞いております。もう一つは、女子のことでございますから、おそろしさで足がすくんでしまって動けなくなったということでもあったのかというような想像も成り立つわけでございます。いずれにしても実は途中の、防空壕に行くまでの間のコンクリートの壁の陰でなくなったという状況でございます。
○小平(久)委員 今のサイレンの電源を切った。これは事故があって火災でも起きれば、発生場所にもよりましょうが、これを切らなければならないのは明らかなわけです。従ってそういった警報装置にしても、万一に備えてふだんから——これは通産省の責任か消防の方の責任かよく知りませんが、ともかく当然ああいう危険な場所であればあるほど、二重の施設になるかもしれませんが、当然やっておくべきだと思う。そういう点が私はふだんの監督というものがあまり産業的な立場でばかりやられておる一つの現われでないかという気がするのです。そういう点今後一つ研究されて万全な処置をとられたいと思います。 時間もなんですから最後に、これも通産省の関係かどこの省の関係か知らぬが、火薬類取締法第二十九条には保安教育というのがうたってありますね。第二十九条には「製造業者、販売業者及び消費者は、従業者に火薬類による災害の防止に必要な教育を施さなければならない。」こうなっておる。ところがあの工場では大体臨時工が非常に多いようです。従って事故の原因となった特殊な研究とか、どういう人が大体やったのか私は知りませんが、当局にぜひこれも調べてもらいたいと思いますが、二十九条にうたっておるこの保安の教育ということについて、通産省は今までどういう指導をしてきたのか。あるいはこの機会に一般的に申して、こういった保安教育というものは、労働省の方では全然かまわないのか。法律の主管が通産大臣であるからして労働省の方では全然かまわないのか。あるいはかまっておるとすれば、どういうことを指導監督してきたのか、両省から承っておきたい。
○秋山説明員 この工場にも実は安全教育をするための安全委員会というものが設けられておりまして、毎月十日と二十五日工員に対して安全教育を実施しておるということでございます。実は私どもの方でも個々の工場へ直接安全教育に出向くということまでは、とうてい人手が許さないわけでございますが、各工場の作業主任者、最高の作業の責任者、全部技術者でございますが、それを集めまして毎年講習をいたしております。本年も実はやっておるのでございますが、またきょうの問題とはやや離れますが、煙火——花火の関係、これも実は教育の徹底がむずかしい対象でございますので、これはまた各府県がそれぞれ中小の花火業者を集めて教育するというようなことで、作業そのものについての安全の教育ということについては、十分な注意をしておったわけでございますが、たまたま今回のケースは、実はサイレンが、何と申しますか、実際的でなかったわけでありますが、せっかく警報装置があるにかかわらず——まあ電源を切れというようなことは、一般の火災の際の心得として、消防庁あたりからも御指導があったようで、これは普通の火災の場合は、当然そうではないかと思いますが、今回の場合は、サイレンがたまたま同じ電源であったということのために、非常なミスをやったということでございます。 それから、実は死亡いたしました係長でございますが、この人が最初に申し上げました実験をみずからやっておったのでございまして、確かに、責任感から申しますれば、僚友の危険を救ったということで、非常な犠牲的な精神を発揮したわけでございますが、実はその以前の行為としては、非常に科学者として——これは教育大学の化学科卒業の技術者でございますが、かなり実験上不注意があったように、私には考えられるのでございます。おそらくみずからその責任を非常に感じたために、僚友の救援に最後まで努めて、みずからは犠牲になったというようなことではなかったかと存じます。そういう意味で申し上げますと、その点については、実は相当高級の職員に対しての安全教育が徹底していなかった。すなわち、科学者としていえば、ある程度常識で判断できたのではなかったかと思われるようなことが判断されずにおったということでありますので、これらの点については、今後とももう一段、単に学歴があるからとかいうようなことで安全教育をすることについてあまり軽んじないで、工場長以下全員に対して徹底して再教育をする必要があろうかと存じております。
○道正説明員 今回の事件につきまして、まことに遺憾に存じ、かつ申しわけなく、おわび申し上げます。火薬類の取り締まりにつきましては、高度に技術的であるという観点から、火薬類取締法によって、通産省で所管されております。基準法の関係といたしましては、先生ただいま御指摘のように、一般的な教育、あるいは一般的な安全指導ということが、労働省の所管になるわけでございます。一般的に、最近の災害の多発の傾向にかんがみまして、労働省といたしましては、関係各省の協力を得まして、産業災害防止五カ年計画——五年間で災害を半減するということを目途に、行政を進めておりまして、個々の事業場につきましては、年間の災害防止計画というのを作ってもらう、また工場内の産業災害防止の管理機構を整備してもらう、それからさらに末端の労働者に対する個々の教育を実施するというようなことを、種々やっておるわけでございます。特に先生御指摘のように、新入の工員、なかんずく臨時工等の工員につきましては、御指摘のように非常に事故も多く、今回は被害者でございますが、そういう新入工員のためにまた事故が起きるというケースも、一般的に考えられるわけでございます。そういう意味で特に教育等を実施するように指導いたしておりまして、ただいま軽工業局長から御答弁がありましたように、月二回防止委員会を開きまして、教育等も徹底するように指導いたしておるやさきでございました。労働省といたしましては、この種の人命事故を伴います危険のある工場につきましては、今後一そうこういう災害防止教育につきまして、実施して参りたいと思います。
○田中(武)委員 関連して。ちょっと労働基準局にお伺いしますが、労働基準法に基づく労働安全衛生規則というのがありますね。それによって、いろいろ基準局としては監督なり検査をしておられると思うのですが、こういう火薬類の場合には、別に取り締まりの法がありますね。それと労働安全衛生規則は、さらに細部をきめたような事項は何かないのですか。
○道正説明員 一般的には労働基準法で、産業災害、労働衛生等は安全衛生規則で規定いたしておりますが、本件のように非常に技術的にわたる件につきましては、火薬類取締法がございまして、その限度におきまして通産省の所管になっておるということでございまして、こまかい点は同法の政令規則等で、規制されるという仕組みになっております。
○田中(武)委員 そうすると安全設備とか施設につきましては、これは法に基づく規則その他によって通産省が監督しておって、労働基準局は今言われたように、その教育とか安全委員会の指導とかそういう点だけやっていて、こいう火薬関係の施設等についての監督はやらないのですか。
○道正説明員 火薬類取締法に基づきまして、詳細に、製造の場合の認可基準とか、そういう点はあげて火薬類取締法の方で規定されておりまして、基準法は御指摘のような、一般的な災害防止関係の規定がございますので、火薬類取締法に規定のない限度におきましては、私どもの方の所管になっておるということでございます。
○田中(武)委員 たとえば今の東洋化工のような場合、こういう爆発をした、そこにかりに貯蔵量がこえておったとか、あるいは設備上欠陥があったとか、こういうことについての取り締まりというか監督の責任は、通産省にあって労働省にはない、基準局にはない、こういうことですか。こういう種類の会社については、ただ衛生委員とか、安全委員会の指導とか教育だけをやっておる、こういうことですか。
○道正説明員 第一次的には通産省の所管でございます。
○小平(久)委員 この安全教育も月に二回会社がやっていたというような御答弁ですが、通産省が現に直接監督しているのは全国で三十数工場だそうですね。ですからもう少し一般的な、監督の面でもあるいは教育の面でも、係官が何人いるか私は知りませんが、もう少し熱を入れてやったならば、ふだんから監督なり教育なり、もう少しできるような気がするのだが、一体できないのは何が原因か、人が足らぬという漠然たる理由ですか。
○秋山説明員 従来の監督に不十分な点があったことは、私ども非常に遺憾でございますが認めざるを得ないと思います。ただ言いわけ的になりますので申し上げたくないのでございますけれども、実際には私どもの火薬の班は全員で六名で、そのうち技官が四名でございますが、実はそのうちの一名はまだ十月からやっと、本年入りまして研修を終わって実務についたという者でございますから、全国の工場に直接技術的な監督ができる者は技官三名でございまして、これが実は各府県の指導もし、あるいは日常参りますいろいろ事務上の書類の処理をしながら、かたわら全国の工場を回っている。直轄工場が三十四工場ございますが、そういうことでございますから、実際上はなかなか巡回指導に回りかねるという状態でございます。今回のこの災害にかんがみまして、早急に今週中にもやろうと考えておりますが、少なくとも直轄工場の責任者、これは現場の責任者を呼んでしまいますと、また留守に何かあると困りますので、いわばその指揮をする社長あたりを通産省に集めまして、今回の事件に関連してわれわれが新しく学びましたことを至急伝えまして、不徹底な点、あるいは今後至急に改善を要する点等を具体的にとりあえず指示をして、危険の防止に一段と徹底を期するという決意でおる次第であります。
○小平(久)委員 時間がありませんから、最後にもう一点伺いますが、聞くところによると、あの工場外の山の中あたりにある火薬庫、これには二百トンからの火薬が貯蔵してあった。ところが、あの災害の際に火事がだんだん広がりまして、山に相当移りそうになった。幸いに消防団員のほんとうに冒険的な努力で山への延焼は防がれたようですが、あれがもし山に延焼すると、二百トンからの火薬が爆発する。そういうことでも起きると、あの金沢地区だけでも六万数千の人が今住んでおる、その点であの際も非常に戦々きょうきょうとしておったし、今後のことについても非常に心配しておるようですが、あの辺に住宅等がふえたのは、終戦後だいぶふえたのだそうであります。 そこでお尋ねしたいのは、現在、現況下において、とにかく二百トンからの爆薬を人家の稠密したまん中に平時貯蔵しておくということは、いかに火薬庫が安全にできており、また当局で監督いたすにしても、これは付近の住民から見れば、私は不安を感ずるのが当然だと思うのです。そこで、従来そういうことを黙認していたというのも実際おかしいと思うし、今後一体どうする気なのか。付近でもだいぶ操業再開ということに反対する声が強いやに聞いておりまするが、一般として、あるいは常識論として考えてみましても、きわめて危険なあり方だ、こういうふうに私自身も感ずるんですが、一体今後どうする気なのか。 それから工場を最初に作るときには周囲千五百メートルですか、何かまで人家がないというような基準がいろいろあるようですが、工場ができたあとで人家が集まってくるというようなものを、何か法律的に制限できぬのですか。今そういう点はどういう法の仕組みになっているのか。私も法律を見ればわかるかもしれませんが、見るひまがないので、そういう点もあわせて今後の処置について、この際伺っておきたい。
○秋山説明員 工場の火薬庫には実際は二種類ございまして、ただいまお話のございました二百トンというのは、実はだいぶ離れましたところに山に横穴を掘って、これは軍が昔掘ったものでございますが、そこに納めておりますもので、これは確かに二百トン現に貯蔵をされておるのでございます。先日工場のわきで山が山火事になって、延焼のおそれがあると申しますのは、実はその二百トンの火薬庫ではございませんで、一時置場といっておりますが、すなわち小規模の火薬庫でございます。十五、六トンぐらい、あるいはものによっては三トン前後というように大小ございましたが、四カ所ほどございました一時置場にもし火が入ると非常な大へんなことになるということであったわけでございます。消防署の犠牲的な活動によりまして、その災害が防止されましたことは、非常に感謝いたしておる次第でございます。 人家と火薬工場との関係につきましては、保安距離というものがもちろん法律にきめてございます。従って、工場を作りました当時におきましては、当然その保安距離は守られておった。またその保安距離と工場内で扱ってよろしい火薬の量——停滞量と申しておりますが、これは各工室ごとに人員と量を定めてございますが、その停滞量と保安距離との関係は、理論的に計算ができる爆発力というものから計算をいたしまして、この程度離れておれば安全だという距離が定められておりまして、離れておるわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、工場が作られて以後次第に人家が接近してくる。これも保安距離以内であれば建築基準法で許可をいたしませんから、保安距離が守られていないというところはないのでございますけれども、いわば心理的にと申しますか、あるいはガラス一枚割ってもならないというような意味の被害を及ぼさないということになって参りますと、これは地形のいかんにもよります。現に今回の事故の現場は非常に複雑な地形と、爆発の波を描いて、相当高い山でございますが、山を一つ越した反対のふもとの方に、大きな被害を与えたということもございまして、これらは実は理論的だけでは解決のできない問題でございますので、これも実は今回初めてそういう複雑な地形下における大規模の爆発を経験したわけでありますが、非常にいい資料を得たわけでありますので、今後の取り締まりにはこの経験を十分生かしていかなければならないと思うわけであります。いずれにいたしましても、従来の処置としては、保安距離が守られておっても、人家が接近してくれば、いわゆる停滞量の方は減らしていく、つまり作業量を落とすということによって安全を保っていくというやり方をしてきておったわけでございます。それがいよいよ人家が非常に稠密になったということになれば、単に停滞量を落とすだけでは安全が保てなくなるということも当然考えられますので、この場合にはあらためて他の安全なところに工場を移すというようなことになるわけでありますが、どうもそこまでの規定が実は従来の取締法には規定されておりません。すなわち、強制移転、これは場合によっては憲法上にも関係があろうかと思います。そういう規定が実は取締法には現在は入っておりませんが、今回の事故にかんがみまして、われわれも十分に検討してみたいと思っております。
○小平(久)委員 私は以上で質問はよしますが、今度の事件を契機に、法制的にも、あるいは監督関係の行政機構の上からも、あるいは技術的にも、さらにまた今度の例のように、ほんとうに人口の稠密しているどまん中に、なるほど工場そのものは山の中に囲まれているかもしれませんが、山一つ越えれば、工場、人家、学校というものがほんとうにくっついて一面に並んでいるのですから、そういう事態になった場合に、その工場を、もと許可したからいつまでも許可しておいていいのかどうか。そういう点、あらゆる点から慎重に検討されて、今後の災害防止あるいは保安確保のために努力されることを希望いたしまして、私の質問を終わります。
○中村委員長 松平忠久君。
○松平委員 今小平君と秋山君の質疑応答を聞いておっても、今回の事件が非常に教訓になったからとか、われわれは教えられたからというような答弁をしているけれども、私はそういう態度はきわめて遺憾に思います。それは過去四年間において、火薬並びに花火については、三千件の多きに上った爆発事件というものがあるわけであります。従って、今度これが大きくなったからというわけでもって、あわてふためいているような格好だけれども、そういうことは通産当局としてはもうもっと前に、この法律を作った当時から十分考えておかなければならなかったところだろうと思う。 そこでお伺いしたいのは、これは三十四工場の中の一つですか。直轄の工場の中の一つかどうか。
○秋山説明員 さようでございます。
○松平委員 もしそうだとすれば、本年六月にこの工場が小さな爆発事件を起こしておるわけだ。その後通産当局はこの小爆発に対して、一体どういう取り締まりをこの工場についてやったか。立ち入り検査はいついたしましたか。
○秋山説明員 三十四工場の一つでございまして、当然もっとひんぱんな調査をしておらなければならぬところでございますが、まことに申しわけがございませんけれども、本年の五月二日に保安検査を実施いたしまして以後、最近まで実は検査に行っておりませんでした。もっとも十月初めに担当官を派遣する予定で日程は組んでございまして、命令も出したわけでございますが、たまたまその前日から係官が病気のために休んだという事情と、十月七日に都道府県の関係の部長会議を開きまして、取り締まり関係の持ち合わせをするということで、十月初めが非常に多忙であったために、実はそれなり延び延びになっておりまして、現在まで検査が行なわれなかったという次第でございます。
○松平委員 五月に立ち入り検査をしたあとにおいて、六月になって爆発事件が起こって二名の者が負傷しておる。そういう事件があったのにかかわらず、事件直後に何ら立ち入りの検査もしていないし、視察もしていない、調査もしていない、そういうことで一体法の運用ができますか。内田君どうですか。そういうことで一体いいですか。六月に爆発事件を起こして、その直後において何らの措置をとっていない、視察もしていなければ立ち入り検査もしていない、そんなことでもって法を守る通産省が一体責任を果たせますか。
○内田(常)政府委員 私はその点につきましては、松平委員のお説の通りだと思います。私は通産省に参りまして、これは六月の小事故ばかりではなしに、火薬、花火等の事故がたびたびあることに出くわしまして、この火薬類取締法の条項を調べましたところ、これはどなたでもお読み下さればわかるのですが、昭和二十五年終戦後にできた非常に民主的な法律でございまして、法律の相当部分を今の産業の育成あるいは当該業者の民主的利益を守るというような立場から、しばしば松平委員が述べられているように、取り締まり的見地に立って改正をしなければならないことも十分認識をいたして参りました。でありますから、次の通常国会にはぜひ取り締まりの見地をさらに加味したように改正をして参りたいと思います。たとえばこれは……。
○松平委員 その点はいいです。それはあとで言います。この法律自体が不備であるということはわかります。しかしながら現在ある法律をあなた方執行するわけだ。その執行する立場にある者が、この工場に事件が起きて負傷者が出ても何ら調査もしなければ立ち入り検査もしていない、こういうことで幾ら法律を改正してもしようがない。今の法律自体を守れないのだ。通産省はなぜ一体守れないのですか。なぜ六月に爆発事件が起きて二名負傷したときに、その原因を探求しなかったのですか。一体あの爆発事件はどういう原因ですか。
○秋山説明員 六月に女工員が二名負傷をいたしましたのは、工場の床に作業中にこぼれました、ごみももちろんまじっておりますが、火薬のくずを定められた焼却炉に持っていって焼くわけでございます。これはもちろん爆発自体の危険はない。まわりを封じ込めない限り火薬は爆発いたしません。燃えるわけでありますが、そのときに一回に焼くべき量を間違えて少しよけい焼いたために、ちょうどマッチが一本ずつすればきわめて有用でございますが、一箱一ぺんに火がつけばやけどをするという立場の事故がございまして、指をやけどしたという報告が即日会社からございまして、その事実を調査いたしまして、医師の診断書等もございまして、指のやけど程度のことということで、工員にそういう不注意なことをさせないように、事例を十分教育の材料として使えという指示をいたしましたが、原因もはっきりいたしておりますし、焼却場所の設備その他の関係の事故ではなく、全く工員の不注意、いわば安全教育の不徹底でございまして、その方の徹底をしろということで、その際には私どもの方は直接現場へ行くことはいたしませんでした。
○松平委員 そのときのそういうごみのようなものを焼却するといって、少しよけいに焼却し過ぎて事故を起こしたということでありますが、今までの教育によると大体一ぺんに五十キロ以上は焼却してはならぬ、こういう指導をしておるそうであるけれども、そのときには三百キロを一ぺんに焼いたということを、新聞等は伝えておるわけなんです。そういうところを見ると、この工場の保安教育というものはでたらめなんです。そういうことがすぐわかると思うのです。これを調べてみると、五十キロ焼くところを一ぺんに三百キロ焼いた。少しよけい焼いたということじゃない。そういうでたらめなことをやっておるとすれば、これはもっと厳重な態度をもって、この工場に対して火薬類取締法の法並びに規則に従って、この順守実行をさせるという強い態度がなくちゃならぬと思うのだが、そういうことはどうしておやりにならなかったのですか。
○秋山説明員 ただいまの一回に五十キロ焼却ということは、実は私承知いたしておりません。火薬の種類によっても違うかと存じますが、いずれにいたしましても、指にやけどをする程度火薬の量であれば、実はそう大きなものと思えないのでございます。その当時は、報告によってそれほどの大きな事故というふうには実は私ども考えませんでした。ただそれが工員の気のゆるみでありますとか、あるいは会社の安全管理の根本的な欠陥であるとか、そういうことに結びついておったかのように、今日においては思われるのでございますが、その点に思い至らなかったことは、私どものまことに不行き届きであると思います。
○小平(久)委員 関連して。今のことしの六月の事故ですが、私の持ってきた書類によると、三十四年六月十二日午後一時五十八分、罹災の程度は木造七十三平方メートル、一棟全壊、二棟部分壊、損害——これはちょっと違うのじゃないかと思いますが、損害一万二千円と書いてあります。これだけの被害で一万二千円というのは、ちょっと変ですが、そう書いてあります。それから原因は、火薬の爆発と書いてありますが、これは違いますか。昭和三十四年六月十二日にそういう事故があったと書いてある。やけどぐらいじゃないようだが……。
○秋山説明員 六月十二日の、それは横浜市消防局のお調べによる記録のようでございますが、当方にございました届けには、実はこれほどの被害があったような届けはございません。ずいぶん古い建物であったということは聞いておりましたが、この中に焼却炉があって、部分的にこわれたという事実は承知いたしております。また距離も非常に離れた工場のすみにある建物でございます。損害が一万二千円とございますように、実はこれほど大きな被害があったことは、私ども承知をいたしておりません。
○松平委員 そういうときには、ただ工場からの被害届けというものをあなた方は見て、そして工場の報告を受けて、まるのみにしてここでもって答弁をしておる、こういうことですか。そうではなくて、これは客観的事実に基づいて、どういう被害があったかということをきわめなければならぬのが、通産省の責務であるとわれわれは思うのだけれども、そういうことはおやりにならぬのですか。
○秋山説明員 一棟全壊、二棟部分壊というような程度のものでございますれば、当然現場へ臨んで調べるべきであったと存じますが、私どもの方には実はそれほどの被害の報告がございませんでしたために、その際は現場への検証に行っておりませんでした。まことに申しわけないと思っております。
○松平委員 現場の通産省に対する報告と、われわれがここに資料としてもらっておる報告と違うわけだ、六月の爆発事件については。だからこれはあなた方責任を持って調べなければならぬ。われわれのところへこういうふうに出してくる限りは、あなた方がここでしゃべっていることと違うのじゃ、われわれはどっちを信用していいかわからない。そういうような態度だから困ると思う。 そこでもう一つ伺いたいのは、先ほども答弁にありましたが、実験のときにその横にTNTが普通よりも少しよけいに積んであった、そういうことを言われておりますが、そういう実験等の場合においてTNTならTNTをその部屋に持ち込むいわゆる貯蔵量というか、その基準というものはどういうふうになっておりますか。
○秋山説明員 これは技術的な問題でございまして、あるいは詳細は技官の方から申し上げた方がいいかと存じますが、先ほど小平先生の御質問にもお答え申し上げましたように、建物の構造、その周辺との関係からその停滞量というものをきめておるものはございます。
○松平委員 だから私の言うのは、この問題の起きた工場においては一体どの程度のものをそこに積んでおってもいいということになっておるのですか。
○秋山説明員 第二熔填工室の許容量は一トンです。
○松平委員 それで実際はそこに何トンあったのですか。
○秋山説明員 これはまだ、全部破壊されておりますから、吹き上げられた泥あるいは漏斗孔の様子等から計算いたしておりますが、少なくともあれだけの量の泥を吹き上げるには、一トンの量でなかったことだけはおよそ確かだと思います。
○松平委員 そういうことはこの実験に携わった人の話を聞いてみれば、およそ何トンあったかすぐわかるのじゃないですか。そういう何トンあったかということは聞いておりませんか。
○秋山説明員 直接やっておりました工員、係長は実は死亡をいたしておりますが、その補佐をしておりました者が健全に生きておりますので、それを通じて今当時の状況を調査いたしておりますが、おそらく一工員の立場ではそこにあった数量を直接われわれの耳に入れるということができないのだろうと想像いたしますが、本人の口からは一トン以上は置いておりませんでしたということを聞いております。これはなお会社の責任者を呼んで厳重に調査をしなければならぬと思います。ただいますでに検察庁からも取り調べが入っておりまするし、一昨日私も現場に行って参りましたが、地元の署長が指揮をいたしまして現場の検証をいたしております。従ってその点はいずれ間もなく判明いたすかと存じます。
○松平委員 この会社は危害予防規程というものを出しておりますか。危害予防規程というものを出しておるならば、その危害予防規程というものをこの会社に着実に実施させていかせなければならぬけれども、そういう措置はあなた方とらなければならぬが、どの程度の措置をおとりになっておりますか。危害予防規程に対する通産省側のこれを実施させるための措置というものは……。
○秋山説明員 危害予防規程は規定通り提出され、認可いたしております。これを実施させるための措置は、結局現場へ参りまして、現場の実際と予防規程の施行状況と照らし合わせてその実施を注意する、あるいはこちらへ呼んで注意を与えるということ以外には、実はないわけでございます。
○松平委員 それは通産省の係官なら係官が抜き打ち的に検査をするということではないのですか。呼んでやるといったって、どういうことをやるのです。
○秋山説明員 検査は常に抜き打ちで予告なしで行なっております。
○松平委員 そこで伺いたいのは、さっき小平君からもありましたけれども、保安距離ですがね、あの会社の保安距離というのは一キロですか、一キロ半ですか。
○秋山説明員 工場全体としての保安距離というのは実はございませんで、一つ一つの工場の、たとえば今の第二熔填工室停滞量一トンというものから計算をいたします場合には、人家に対して四十メートルであります。
○松平委員 そうするとこういうふうに並んでたくさん工場がありますね。そうすると最終の工場から四十メートル、こういうことですか。
○秋山説明員 その通りであります。
○松平委員 そうすると、今回の被害状況、損害状況というものを見ると、一キロ、一キロ半くらいのところがやられている。一キロくらいのところはガラスとか何とかいうことでありますけれども、今の御説明によれば、四十メートルというのは火薬一トンというものを基準にして四十メートル、こういうことなんだけれども、そうすると、保安距離というもの自体を最近は考えなくちゃいかぬのじゃないか、つまり新しい火薬、TNTというような強力な火薬を製造するということになるならば、保安距離は考えなくちゃならぬと思うのだが、何かそこに規定があって、どういうものを製造するときにはどの程度の距離だというような、その保安距離の規定はございませんか。
○秋山説明員 お説のように、保安距離そのものは周囲の状況に応じて変化をしなければならぬし、またそれが不可能な場合には、先刻申しましたように停滞量を減らすことによって安全をはかるということでございますが、実は私どもの方も毎年その実験をいたしております。ことしは六月末に群馬県の水上で実験をいたしましたわけでございますが、これはあくまで実験でございまして、最大限度が五百キロくらいまでの火薬量に対するいろいろな実験をしたわけでございます。もちろん学問的に計算いたしまして、いろいろそれの比例その他でもっと大量のものについての安全度を計算するわけでございますが、今回の現地の状況を一昨日見ました感じから申しましても、実は谷底で爆発が起こった、その谷底の爆発が、いわば上空に急激な空気の上昇を起こした、そのために山の反対側のふもとにある人家のガラス戸が外へ吸い出されるという形の、影響といいますか、被害を受けたのであります。単にそういう実験上における計算以上に、複雑な地形における、しかも非常に大量の爆発が起こったということのために、従来われわれが計算上安全だと思っておったものが、なお安全でない場合もあり得るということがはっきりしたわけでございますので、われわれとしても非常に貴重な経験をした——松平先生にはおしかりを受けましたのですが、不幸を転じて幸いとするために、今後十分努力したいと思います。
○松平委員 この工場は新聞の報道するところによると、一カ月の生産量七十トンということをいっておる。そうすると一日に二トンそこそこであります。そうすると、今あなたの言われておるところの一トンで四十メートル、こういうのでもって大体一トンという話でありますけれども、生産過程からいうと、どうしても一日に二トンはどこか工場の中に火薬がなければならぬ、こう思うわけなんです。そうすると、それだけでも何も今度の爆発を起こさなくとも、向こうの生産量を見れば、そこにおのずから保安距離も延ばさなければならぬ。あるいは土塀にしても、もっと堅牢なものを作らなければならぬ。そういうようなことがあるのじゃなかろうかと思うのですが、どうですか。
○秋山説明員 停滞量一トンと申しますのは、ある時点において一時的に滞留を許される数量でございまして、一日の生産量ではないわけでございます。お説のように、もしそれが幾つかの工室に一トンずつあるいはそれ以上にたまって参れば、工場全体としてはもっと大きな量に当然なるわけでございます。ただ前々申しておりますように、私どもの法律の建前は一工室の被害を他の工室に与えないようにする——これは今回の場合は不幸にして全くそれが破られたわけでございますが、そういう建前で従来ずっとやって参りました。従って全体が一時に爆発する——火薬庫の場合は別でございますが、工室の場合はそういうことはないという前提で、すなわちその合計量に対する保安距離というものは、実はとる建前になっていなかったわけでございますが、今回のようなケースを考えますと、やはりそういう考え方も取り入れてこなければならぬ場合があり得ると考えております。
○松平委員 それはまさにその通りだろうと思うのです。いろいろな技術的な改革その他によって、昔の規則ではいけなくなったということが、今度のことでもはっきりしているのじゃなかろうか、こういうふうに思います。 それからここで消防庁の方に伺いたいのですが、予防査察ということをやっておられるというのだが、あの東洋化工についても予防査察はやっておられたわけですか。
○鈴木政府委員 横浜消防局の報告によりますと、最近のものは事故のありました三十四年六月十二日に、事故の直後に検査いたしまして、それぞれ必要な処置をやっております。それからその前は三十三年の八月十二日に査察いたしまして、これは現物の火薬取り扱いに関して、あるいは電気の配線関係等について、文書をもって勧告をいたしております。
○松平委員 その予防査察の結果、いろいろな措置をとられたことは通産省に対しておとりになっておりますか。
○鈴木政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、この火薬工場に対する第一次の指導取り締まりは火薬類取締法によりまして通産省にありますので、消防が予防査察をいたしましても、直接やかましいことを工場主に言うよりも、それも一応は注意いたしますが、むしろおもに通産省の系統を通じて警告をするという処置をとっております。
○松平委員 その通産省の筋を通じてという、そこですが、さっきあなたはここで小平君の質問に対して、県の商工関係の方と連絡をとっておると言われたわけです。ところが今ここでお話のように、この工場は直轄工場なんです。この工場は火薬類取締法の対象としては、県の方は関係ない。従ってあなた方の処置は通産省と直接やらなければならぬ。そこで私は今言うことを伺っておるわけです。通産省に直接、こういうところが間違っておるから、ここをこう直せとか言わなければならない。県に言っても、県はこの工場に対しては権限外です。これは直接通産省直轄取り締まりの対象になっておる工場なんです。そこで私はあなたにその結果というものは直接通産省に言われたかどうかと聞いておるわけです。
○鈴木政府委員 私、先ほどお答え申し上げましたのは、県の商工関係に連絡をしたということで、商工関係でございますが、現在の消防は御承知のように自治体消防になっておりますので、横浜市の消防局が、直接一々県の商工課を抜きにして、通産省の軽工業局に連絡をとるということになりますと、かえってこれは不徹底になりますので、地元の県の当局者に連絡をとり、またそれが本省に連絡をとっていただかなければならない問題であれば、当然に県の商工当局はわかっており、従ってそういう処置をとっておると思います。
○松平委員 それでは通産省に伺いますが、今報告を受けておる通りに、六月に横浜の自治体消防隊が予防査察をした、その結果というものは神奈川県の県庁の商工関係に通報してあるわけですが、それはその内容を通産省は御承知ですか。
○秋山説明員 私自身まだその通報の内容は実は承知しておりません。これはこまかくなって恐縮でありますが、法規の解釈の問題がはっきりしない点もあると私自身は感じております。
○松平委員 私は何かそういうところに不徹底なところがあるのではないかと思う。この工場は通産省が直轄しておるのだから、県の方に通知してみても、県は何らのこともできないのだ。だからこれは当然県の方から通産省の方に来て、通産省がそれに基づいて注意をするなら注意をする、こういうふうになるべきが筋ではなかろうかと思うが、そこはどうですか。
○秋山説明員 御指摘の点は「立入検査等」という四十三条の規定に、検査あるいは質問の権限を認めておりますが、これは「通商産業大臣又は都道府県知事は、災害の防止又は公共の安全の維持のため必要があると認めるときは、」云々ということになっております。ただこの四十三条の権限は、権限関係を規定いたしました火薬類取締法の施行令第八条の「左に掲げる主務大臣の権限に属する事項は、都道府県知事が行う。」ということで、ここには一日に五十キログラム以下の「火薬若しくは爆薬を製造する製造所」云々とございまして、現行政令では五十キログラム以下の規定は削除されていますが、ここでいわゆる県の所管でない、すなわち直轄ということが出てくるわけでございますが、その際にこれこれの条文による通産大臣の権限は都道府県知事が行なうということになっておりますが、そこには四十三条が引用されておりません。従ってこの条文に関しまする限りは、都道府県知事には権限がないということになるのでございますが、四十三条そのものに「通商産業大臣又は都道府県知事」とございますので、四十三条が政令の八条に引用されていないということを、いかに解釈するかによって、すなわち積極解釈をするか、反対的な消極解釈をするかによって、その権限の関係はちょっと議論があろうかと思います。私ただいま即答を申し上げかねますので、もう少し研究させていただきたいと思います。
○松平委員 それは研究するまでもなく、そういう場合にはやはり都道府県知事に消防の方から何か注意があったならば、それはその場でもって直ちに工場へ言うことも必要でしょう。しかしながら五十キロ以下なんだからこの工場自体は直轄工場なんだから、これは通産大臣がそれを知らなくてどうなるか。通産大臣は当然そういうことを知っておらなければならない。知って直接やらなければ、県の方で言ったって、県の言うことはあまりきかない、こういうことになるだろうと思う。だからその点は、私は直轄工場に関する限りは、通産省が全部触角を伸ばして、そうしてそれを知っておって、上から監督指導するということでなければならぬ、こういうように思うのですが、内田君、どうですか。
○内田(常)政府委員 今の秋山説明員の答えは、少し間違っておるので、私は正確に申し上げますと、通産省にはいわゆる直轄工場というものが三十四ございますが、それの立ち入りとか保安検査については、都道府県知事も固有の権限を持っておるのであります。すなわち四十三条の規定がそれを表わしておるのでありまして、通産大臣から委任を受けなくても、その立ち入り検査、保安検査につきましては、都道府県知事も、あるいはまた同条の第二項にあります警察官、警察吏員等も、通産省に指揮を仰いだり、またその結果を報告するまでもなく、固有の権限として検査できるのでありますから、それはそれでいいと思いますが、しかしいろいろ技術上の問題がありますので、実際面におきましては、都道府県の知事が検査しまたは検査せしめたときには、その結果を通産省に報告せしめるように、通産省が平素訓練をし、連絡をしておくことが私は望ましいと思います。今後そのような点については十分連絡を密にして参りたいと思います。
○松平委員 それからもう一つ伺いたいのは、今小平君の質問にありましたが、火薬庫の問題であります。今非常に不安に思われておる火薬庫、これを今伝えられておるような、貯蔵量二百トンということであるけれども、そういうことであるならば、あの火薬庫はどの程度の保安距離を必要とするのですか。
○秋山説明員 二百トンを貯蔵する火薬庫は、昔軍が山の中に横穴式に掘りましたもので、たくさんの部屋が分れてできた一つの火薬庫になっておるものでございます。その一室に貯蔵せられまする限度は二十トンでございます。従って十室ということになるわけでありますが、実際はもっとございます。それで一つの火薬庫がかりに爆発をしても、間の壁の厚さその他から、隣の火薬庫には影響がいかないという構造になっておる。それから計算をいたしました数量が、二十トンということになっておるわけでございます。従って、保安距離の関係は、二十トンをべースに計算すればよろしいという計算になるわけでございます。ただこれはもちろん原則でございまして、周囲の土地の状況、たとえば非常に開放せられた土地であります場合には、途中にバリケードを作ります等、その他いろいろの施設を命じますが、同時に当該東洋化工のような、山の中で横穴式に完全に密閉されているというような火薬庫の場合には、場合によってその距離を若干逓減するという特例を実は認めるというやり方をいたしております。ただそれが、先刻も話しましたような、われわれの予想もしなかったような、山を飛び越えて非常な被害を与えた、これは火薬庫ではなくて、工場外にあった野天積みの火薬でございますが、そういうケースは私どもも実は予想していなかったわけでございます。
○松平委員 今のお話しのように、海軍の施設を転用しておる、そういうケースはかなり火薬庫もしくは火薬製造の工場には私はあると思うのです。そこで一般論として、この法律が出る前においては、当時も火薬類の取り締まりの法規はございましたが、軍は軍で独自の立場でもって、火薬に対して自分だけの権限内で、その保安ということをやっておったと私は思うのです。そこで今日の制度のもとにおいては、その当時の軍がやっておったことが全然なくなって、すべてが民間のべースになってきたということであると思う。そこで私は考えなくちゃならぬのは、火薬に対するいろいろな考え方というものが、昔と今日とは少し違っておるのではないか。従ってその保安観念というものも、一般人と軍人とはかなり違っておったと思うのです。軍人の方がむしろ取り締まりもしくはそういうものに対して非常に鋭い感覚を持っておった、こういうふうに思います。ところが、それは通産省の管轄下に移ってしまって、それが法規のもとにおいても、この法規は取り締まり規定であると私は思うけれども、表から火薬類取り締まりの法規であるにもかかわらず、取り締まりというような考え方が、割合に火薬関係の係の中に乏しいということを、小平君が先ほど指摘されたところでありますが、私もそういうふうに思っているわけなんです。そこで伺いたいのは、これはこの前にも伺って、どうもあいまいな御答弁であったのですが、この法規を守らせるという立場に立つ通産省の態度というものが、今まで非常にあいまいでなかったかと私は思うのです。この法規自体にも多くの欠陥があるけれども、しかしこの法規が現在ある以上は、なおかつこれを守らしていかなくちゃならぬということであるわけだけれども、通産省のやり方というものは、たとえば危害防止規程というものを認可しなかったという場合においても、だらだらとそれを引っぱっておって、そしてその間に事故が起きたというようなことがある。それからいろいろな認可規程がありますけれども、それで認可しなかったということは、いまだかつて一度もない。保安関係の規程にいたしましても、違反があったところで、その違反を追及してあくまでも守らしていくというような考え方ではなくて、教育とかそういうことによっていこうというようなことを言っておられる通産省の方自体も、この法規を実施するという考え方自体が、今日まで間違っておったのではないか、こういうふうに思うのですが、その点に対しては、内田政務次官は一体どういうふうにお考えになっていますか。
○内田(常)政府委員 私は御承知のようにこの六月通産省に入ったのでございまして、従って、通産省のやってきておりまする方針については、十分存じておりませんが、少なくとも私が外部から火薬類取り締まりに関する通産省の行政的態度というものを見ておった場合には、私はこのことがいいか悪いか別でありますが、あなたと同じような見方をして参りました。でありますから、私どもが国会を代表して通産省に入りました以上は、この法規が単に助成的な法規あるいはまた行き過ぎた当該企業者の利益だけを保護するということに片寄らないように、必要な場合には改正をし、また改正に至るまでは、この法規において読み取れる取り締まり条項というものを、十分厳重に執行するような立場をとらせたいと私は考えておるのでございます。しかしいずれにいたしましても、先ほど局長からもちょっと話がありましたが、従来の通産省の立場やあるいはまた通産省を取り巻く関係官庁の意向なども反映をいたしまして、この法規を執行するために十分な人員、予算さえも整っていないということは、まことに嘆かわしい状況にありますので、明年度におきましては、法規の改正とあわせて、それを執行するための人員や予算というものも、これはほんとうに国民全体の利益を守るために確保しなければならないと思います。これは個人的な見解でありまして、決して通産省を代表する見解ではありませんから、あとでこのことをとらえられては困りますが、私はこういうことさえもしていいのではなかろうかと考えております。少なくとも、直轄工場のうちある特殊な重大な関係のあるものについては、特派官吏のような制度さえも考えられないだろうか。たとえば税関あたり保税工場、保税倉庫などについては特派官吏の制度があります。これは金が入ってくる方でありますから、国は特派官吏をどんどん出すのかもしれません。この方の法規の関係は金が入ってくる道がないから、なかなか予算や人員が許さぬのでありましょうが、許されるならば、そういう制度さえも私は考えてみてしかるべきではないかという気さえいたしますので、できるできないは別として、今申しましたような私の政治家としての感覚から、今後通産省を指導して参りたい、かように考えます。
○松平委員 最後に伺いたいのですが、法改正というようなことも考えておる、こういうわけですが、この法律を見ると監督というものが支離滅裂なんです。あるものは都道府県知事になっておる。あるものは通産省だ。しかもそれは関連しておりながら、どうも都道府県と通産省との関係がうまくいってないというふうに私は見ておるのだが、一つ例を申し上げますと、火薬庫の設置というものは、基準は通産大臣が出すけれども、その許可は都道府県知事にあって、火薬庫の許可については全然通産省は発言権がないようなことになっておる。これはどういう大きな火薬庫についてもそういうふうになっておるように思うのです。それからたとえば、花火類は許可は都道府県知事になっておるけれども、その取り消し権は通産大臣になっておって、都道府県知事は取り消しの権限がない、こういうような規定になっておる。そこでこの法律は監督の体系というものが非常に乱れておるのです。そういうところをよく研究されて、やはり一本になったところの筋を通さなければ、取り締まりというものはうまくいくものじゃないと私は思う。そういうところをよくお考えになることを要請しまして、お答えができるならば答えていただいて、これでやめます。
○秋山説明員 ただいまの火薬庫の関係は基準通りの保安距離をもって、すなわち基準通りに認可してよろしいという場合には、知事が認可をいたしますが、特に施行規則の三十二条による特例的な認可をする、すなわち保安距離がなくとも、こういう地形なら安全というような認定をする場合には、すべて通産省に持って参りまして通産大臣が認可を与えるというようなやり方にしておるわけであります。
○松平委員 それはちょっとおかしい。この法律の第十二条によると、火薬庫については全部都道府県知事に許可権があるので、通産大臣は許可権を持っておらぬ。それを省令かなんかでもって通産大臣に許可権を与えるというのは、法律に対する越権行為だと思うのですが……。
○秋山説明員 ちょっと御説明が不足でございましたが、確かに火薬庫はすべて知事が許可をいたしますが、基準通りの場合には通産省に経伺をしない。それから基準にはずれて特認のようなことをいたします場合には、先ほど申しました施行規則三十二条によりまして、形はその場合に限って基準を変更するという、まことにおかしな規定かとも思われますが当該規定というのは基準でございますが、その程度に応じて認めたものをもって基準とするということで、その場合は通産省と打ち合わせをした上で、やはり知事の権限として許可を与えるというやり方をしております。
○小平(久)委員 今の松平君の質問のうち、現実の問題として東洋化工が持っている火薬庫ですが、それの保安距離はどういうことかという具体的な御答弁がなかったようだが、各室は二十トンだったようです。そうした場合に一体保安距離は幾ならんですか、あそこの場合……。
○秋山説明員 ただいまの火薬庫の方は、実は保安距離は十分でございますが、一時置場と申しますか、消防活動によって延焼を食いとめたというあの一時置場に、十五、六トンのものが一カ所入っておりました。それから金沢高校までが四百三十メートル、これは規定上は四百十メートルでございますから、二十メートルオーバーしているわけであります。ところが横浜市立大学の場合には二百八十メートルでございまして、地図の上で見ると、表面では保安距離がないわけでありますが、実はこの間に、お手元に差し上げました資料にも略図がございますが、非常に高い山がございまして、普通の爆発であれば、実はこの距離があれば市立大学にあれほどの影響は与えないという計算で二百八十メートル、ただいまの施行規則による特認によって、この場合は許可を受けておったわけであります。ところが実はこの高い山が防壁の役目をいたしませんで、すなわち爆風に対して空気の振動が異常な波を描いたために、横山市大の窓ガラスを非常にたくさんこわすという結果になったわけでございます。これらの点が実はわれわれの机の上の計算と現実に起こった大きな爆発事故との間に食い違った点であるわけであります。
○小平(久)委員 僕は火薬庫の方を聞いているのです。爆発したものではなくて、回りの……。
○秋山説明員 火薬庫はずっと山の奥の方にございまして、これはどの対象物件をとりましても、保安距離は十分とられております。
○小平(久)委員 ただ十分というだけでなくて、二十トンならば一体それが幾らの距離なのか、現実にそれ以上に……。
○秋山説明員 二十トンの場合は、学校に対しては四百四十メートル、それから第一種保安物件というものがありまして、これは国宝その他のような特殊のものでございます。それに対しては二千メートル、二キロという保安距離の定めになっております。
○小平(久)委員 一般民家は……。
○秋山説明員 一般民家は百メートルです。
○小平(久)委員 それで大丈夫ですか。現実にはどうですか、火薬庫を取り巻く民家なり学校のあり方は、百メートルぎりぎりにあるのですか。民家はそうなっておりますか。
○秋山説明員 ただいま問題になっております火薬庫は、山の中に横穴を掘って全部できておりますので、かりにこれを直線距離にいたしましても、山の向こう側でも千メートル以上でございます。
○中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時五十八分散会