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33回国会衆議院1959/11/18

商工委員会 第5号

発言数
101
登壇者
11
会派数
2
開催日
1959/11/18

会議録

中村幸八自由民主党

○中村委員長 これより会議を開きます。  まず最初にお諮りいたします。去る十月三十一日より五日間熊本県水俣地区で工場排水に関する実情調査のため委員を派遣いたしましたが、派遣委員の報告は、便宜会議録に付録として載せることに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村幸八自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認め、さように取り計らいます。      ————◇—————

中村幸八自由民主党

○中村委員長 次に、私的独占禁止及び公正取引に関する経過の概略につき、簡単に御説明を聴取することにいたします。公正取引委員長佐藤基君。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 公正取引委員会の委員長といたしまして、一言ごあいさついたしたいと思います。  申し上げるまでもなく、公正取引委員会が運用の衝に当たっております独占禁止に関する法令は、カルテル、トラスト、不公正な取引方法等を禁止して、公正かつ自由な競争を促進することによって国民経済の民主的で健全な発達をはかろうとするものであることは、すでに皆様御承知のことと存じます。この独占禁止法は、去る七月に満十二年を経過しまして、経済界における事業活動を活発にし、ひいて現在のわが国経済発展に大いに役立ってきたその経済的効果と、他面において弱小企業者あるいは一般消費者の保護に尽くしてきた社会的効果は、今日においては何人もひとしく認めるところであります。のみならず、本法に対する一般の認識がますます深まるとともに、さらに一そう大きな期待が各方面から本法並びに公正取引委員会に対し寄せられている次第でございます。  以上の現状にかんがみまして、今後においても公正取引委員会といたしましては、わが国の経済の実情、国際経済の動向というものに対する認識を一そう深めることに努め、経済の実態に即応するように法の適正な運用に万全を期したい所存でございます。なお下請代金支払遅延等防止法の運用につきましては、中小企業保護の要請にこたえるため、本年は調査対象と件数を拡大増加いたしまして、親企業の下請企業に対する取引の公正化に努力を払っている次第でありまして、今後ともこの点につきましては、中小企業の利益擁護のために万全を期する次第であります。つきましては、実情をおくみ取りをいただきまして、商工委員会の委員各位におかれましても深い御理解と絶大な御支援をお願いする次第でございます。

中村幸八自由民主党

○中村委員長 以上で説明は終わりました。

中村幸八自由民主党

○中村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 ただいま公正取引委員長から最近の公正取引委員会の経過といいますか、並びに公正取引委員会の執務状況及び委員長としての決意、そういうことがきわめて簡単ではあったが述べられました。その中に、公正取引委員会は独占禁止法にのっとってカルテル、トラストあるいは公正取引、こういうことに対して取り締まりをし、国民経済の民主的発展のために努める、こういうことでありますが、その決意と実際の行動がマッチしてない。どうも国民経済の民主的発展のために尽くされていないのではないかという疑問が最近多々あるわけでございます。そこで当委員会におきましても数回にわたって私、委員長ほかに質問いたしておるわけであります。実は御承知の八月十三日に出されました委員長の新聞値上げに対する談話、これをめぐって世論も相当やかましく言っておる。このことについて私数回にわたって質問をいたしておるわけでございますが、十分納得のいかない答弁ばかりで、われわれはどうもそこに疑問を残しております。私もこの問題だけをこんなに長くやるつもりはございませんので、きょうは一つ納得のいく説明をしていただきたい。そうでなければ不本意ながらなお続けてやらざるを得ない、こう考えておりますので、まず最初に私の考え方、態度を明確にいたしまして質問に入りたいと思います。  まずお伺いいたしますが、私九月九日の当委員会におきまして、新聞値上げの問題に関連する審査報告書、公取委の議事録、その他数種の資料提出を求めたわけでございますが、それに対しまして公正取引委員会からは三十四年十月十九日ここに持っておりますような書類の回答をもらったのであります。それには資料といたしましては各紙が出しました社告の写しだけがつけてありまして、このことはすでに新聞紙が三月三十一日に出した社告でありますので、こういうものは求めた資料には大して重要性がないわけでございます。その他は全部出していないわけでありまして、審査報告書並びに公取委の議事録については理由を付して提出できないという返事があったわけでありますが、この書類は私個人に対する回答でありますか、それとも、私は当委員会におきまして資料を要求したのでありますが、委員会に対する回答でありますか、その点をお伺いいたします。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 これはわれわれの方の関係者から田中委員に出した見解でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 委員長にお伺いします。私がここで質問しておりますことは私個人の質問であり、その回答は私個人にしてそれで済む、このようにお考えでありましょうか。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 それで済まなければここで御説明してもよろしゅうございますが。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 今の言葉は何だ。それで済まなければとは何だ。そういう考えだからうまくいかないと思うのだよ。済むとか済まぬとかいう問題じゃない。あなた方は一体私に個人として回答してきたのか、委員会に対してきたのか聞いておる。それで済まなければ、私が言っておるのじゃない、あなた方の見解を聞いておる。そんな考え方があるからうまくいかない。そんな考え方の公取委員長なら私は相手にせぬぞ。はっきり言ってくれ。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 この書類は田中委員からの御要求に基づいて提出したものでありまして、この委員会としてのお話であるならば委員会に提出するつもりでおります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 私が申し上げておるのは、当委員会において資料の提出を求めた質問者は私でありますが、それは委員会に出してもらうように私は求めたわけです。要求は委員会の決議というようなものではないけれども、委員会として出したことを、個人的に回答したらいいという考え方は、これが公正取引委員会の公正な処置なんですか。考え方自体が僕は誤っていると思う。そういう頭で独禁法にさわられたのでは迷惑しごくだ。ここで要求したことは個人の要求とあなたは考えておられるか。この点もう一ぺんお伺いいたします。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 ただいまのお話ごもっともでありまして、多少行き違いもあるようでありますが、もし委員会としてのお話でありますれば、そのつもりで対処するつもりであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 今お聞きのように、私個人の発言であり、個人に対して答弁したらいい、そういうところからここに大きな誤謬が出て、この回答自体がそうなっております。たとえば審査報告書につきましては、法第三十九条及び四十三条において提出できないという回答があったわけです。独禁法第三十九条は、三十八条、九条と並びまして、「委員長、委員及び公正取引委員会の職員並びに委員長、委員又は公正取引委員会の職員であった者は、その職務に関して知得した事業者の秘密を他に漏し、又は窃用してはならない。」ごう規定している。これは個人的に、個々に、委員長または委員、職員が、在職中職務に関連して知得したところの事業者の秘密を漏らしてはいかぬという規定なんです。この三十九条を適用して拒否してきたことは、今あなたが私に答弁せられたように、回答を個人にすればいい、こういう商工委員会の論議を個人の場と考えておられるところから出てきたものだと私は思うのです。三十八条及び三十九条の規定は、これは明らかに個人の立場において個人の漏らすことをとめておる規定だと思うのです。その点いかがでしょうか。なお公正取引委員会の答弁のあとで、山内法制局第一部長から法律的解釈の答弁を聞きます。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 それは委員、職員等の秘密保持の義務でありまして、その当該職におる者に対する個人的の規定と考えます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 そうでしょう。個人的規定なんでしょう。ここで私が質問しておることはあなたはあくまで私的なことと考えておられるのですか。そんならお伺いいたします。衆議院規則の九十二条九号商工委員会の項の3に「公正取引委員会の所管に属する事項」こう書いてありまして、当委員会は公正取引委員会に関する事項を所管することになっております。従ってあなた方に来てもらって、あなた方がやられたことについて当委員会においてお尋ねしているわけである。独禁法自体が、公正取引委員会はその職務の経過について国会に報告する義務がある。そこにおいてこの規定に基づく当委員会の所管としてあなたにお伺いしておることを、あなたはまだ個人的なものとお考えですか。重要な発言であります。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 お話の趣旨を私多少誤解しておるかもしれませんが、あなたに差し上げた文書の中に、法三十九条の規定があるから——その三十九条の規定というのは、事業者の秘密を守る意味の規定でありまして、これは何も独禁法に限らず諸種の法規にある規定であります。その規定の精神からして、事業者の秘密を外部に出すことは不適当、こういう説明をしておるのでありまして、その点は十分御了承願いたいと思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 わからない。刑法にも同じような公務員に対する規定があります。どこにもこういう規定があるわけなんです。しかしこれはあくまで個人として知り得た秘密を漏らしてはいけないという規定なんですよ。公の場において漏らしてはいけないということをきめた規定になっておりますか。ところが最初私にこれを個人的に文書で回答したという、ここにおける私の資料要求をあくまで個人と考えての頭から出たから、この三十九条を適用してきたと思うのですよ。どうですか。これはあくまで個人的ですよ。私がかりに個人的に聞きにいった場合、あなた個人として漏らしてはいかぬという規定なんですよ。私は佐藤個人を呼んでいるのじゃないのですよ。佐藤であろうがだれであろうが、公正取引委員長として呼ぶのですよ。どうなんです。法理的な見解としてこれで筋が立っていると、あくまでお考えでしょうか。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 先ほど申します通り、この三十九条の規定は事業者の秘密を守るという規定でありまして、これは他の法規にある規定と同じようにその秘密を外部に出さない、これによって事業者を守るという規定であります。従って外部に出さないというのも、この規定の精神に基づいてやるのでありまして、私はそう考えておるわけであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 法制局第一部長にお伺いしますが、これはあくまで個人的な立場においての規定だと解釈しております。先ほど申しました衆議院規則の九十二条九号の三の規定との関連においてここで発言し、公正取引委員会に求めるものは個人と解釈できますか。それからなお同じ九十二条の三に法務委員会の規定があります。その二に「裁判所の司法行政に関する事項」となっておる。司法行政と入っておるのは、あくまで国会が裁判そのものにタッチしてはいかぬということから入っておる。ところがここは公正取引委員会の所管と総括的に規定してある。従ってその内容についても報告を求めることができると解釈しておりますが、いかがでしょう。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 お答え申し上げます。今田中委員が仰せになりましたように、この問題はあくまで公の機関としての公正取引委員会に対する御要求だと思います。しこうして、やはり仰せの通り三十九条の規定を設けました趣旨は、委員長なり委員なりにおられる人の個人の行動を規制した、そういう趣旨の規定だと私思います。ですから三十九条それ自体の違反の問題というものは、個人の人に職務違反として生ずる、こういうふうに思うのでございますが、機関を構成しておりますところの個人の方に規制を設けましたその精神は、事業者の秘密は公的機関であるところの公正取引委員会も当然漏らしてはいけない、こういうふうな趣旨のもとに個人の職務違反をそこに設けておる、こういうふうに私は了解しております。ですから三十九条そのものの基本になっておるところの考え方を公正取引委員長としては御引用になった、こういうふうに私は了解をいたしております。ですからその点、公正取引委員会の委員長が個人の立場で提出をするとかしないとか、決してこういう気持で仰せになっていらっしゃるのじゃないので、やはり公的機関としての公正取引委員会は事業者の秘密を漏らしてはいけないのだ、こういうふうなお考えのもとにやられておるのではないかと私は了解いたしております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 お聞きのように、三十九条は法律的解釈としてはあくまで個人を規制しておる。われわれはここで公式にあなたに聞いておるわけです。そこでこの点についても法理的な見解が分かれたと思います。見解の違いをいつまでもやっていてはいかぬので、これはあらためて明確にすることにいたしましょう。それでこの趣旨によりますと、三十九条と四十三条を比較対照してみましたら、事業者の秘密を除いては明らかにせよと解釈もできるわけです。すなわち三十九条の規定があって、四十三条では「この法律の適正な運用を図るため、事業者の秘密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。」となっております。しかもこの問題、すなわち新聞値上げに対する八月十三日の談話については、巷間に大き疑惑を持っている。この独占禁止法運用に対して公正ではなかったのではなかろうかという疑惑を持っている。そうならば、事業者の秘密を除いて公表すべきむしろ義務がある、このように考えます。いかがでしょう、四十三条。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 四十三条は、今も仰せの通り事業者の秘密は三十九条との関係においても出すべきものではないが、そのほかのことは公表することができるということで、公表しなければならぬとは書いてないので、そこがおそらく御質問の問題になると思うのでありますが、われわれは公表することができると解釈しているので、公表しなければならぬとは解釈しておりません。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 前段を受けて後段があるのです。前段は「公正取引委員会は、この法律の適正な運用を図るため、」今日この問題につきましては公正でなかったのではなかろうかという疑問がある。そうするならば、みずから進んで公正であったということを、公正取引委員会自体が公表してやるべき反面解釈として義務が出てくる、こう解釈しております。その点いかがでしょう、法制局第一部長。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 この四十三条そのものからいえば、事業者の秘密を除いて公表することができるという書き方でございますから、これは委員長がお答えになりましたように、やはり公表する権能を与えただけの規定だと存じます。しかし法律が機関に権能を与えた場合におきましては、その権能をどういうふうに行使するかという問題は、全体の仕事のやり方として、なるべくよく中身を周知させるという一般的な行政機関としては常に責任を持っておりますから、その限りにおきましては時宜に即して公表すべきものはやはりするということが、全体の行政の責任として一般論としては私は出てくるのではないか、かように思っているわけであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 法制局の部長もそういう答弁だ。なお公正取引委員会は独立した行政機関である。そういうところから政府とは独立して国会に責任を負うことになっている。その趣旨は、四十四条に「国会に対し、毎年この法律の施行の状況を報告しなければならない。」という規定がある。従って国会に対して独禁法施行に伴う状況報告はやるべき義務がある。それで四十三条ですが、「この法律の適正な運用を図るため、」何回も申しているように適正ではなかったではないかという疑惑を、今持たれているわけです。そうならわれわれとしては適正をはかるために公表せよと申し出る権限といいますか、これがあると解釈いたしますが、いかがでしょう。四十三条、四十四条及び公正取引委員会の独立的行政機関という性格からの解釈としてはいかがでしょう。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 それは田中先生のおっしゃる通りだと存じます。それはそういう一般的な権能は持っていると思います。ことに独禁法の建前からいきますれば、やはり独禁法の施行の運用が適正であったかどうかということで、公正取引委員会は報告する一般的な義務があると思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 法制局の部長は私の法律的見解に同意せられたようです。そこで百歩下って、百一歩以上下って考えてみましても、この審査報告、議事録等から事業者の秘密事項を除けば、これは当然要求を満たさねばならない義務があると考えます。その点いかがでしょうか。事業者の秘密ということを、その議事録全部の秘密だと思わない。その点だけを空白にするならば、こういうむずかしい論議をしなくても、出す義務があると思いますが、いかがでしょう。  なお、もう一点、それでは当委員会を秘密会にした場合——衆議院規則によって秘密会にすることができるわけですが、その場合には全部を言わなければならない義務がある、こういうふうに考えますが、いかがでしょう。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 最初の第一点でございますが、独禁法の四十三条の規定がありまして、そこに「事業者の秘密を除いて、」と書いてあるから、ここにおいて事業者の秘密以外のものはすべて公表することができるだろう、従って公表すべき義務があるのじゃないか、こういう論理で先生御質問だ、かように思いまするが、必ずしも事業者の秘密以外にも秘密がないとは私は思わないのでございます。  それから第二点の問題につきましては、かりに公正取引委員が秘密を持っているとして、国会の側が委員会を秘密会にしたらそれで秘密が保たれるではないか、こういう意味でお尋ねだと存じます。私その点過去の速記録を調べてみたのでございます。最初国会法が制定されましたときには、やはり秘密会があるから、秘密といわれているものでも当然御提出申し上げなければいけないのであるという、実は当時の大池衆議院事務総長の御説明がございました。しかし、その後御承知のように議院証言法という法律ができまして、内閣声明の関係でもって、秘密のことはやはり秘密で御提出申し上げないことができるのだというふうな建前に今の議院証言法がなっております。その後の国会の答弁をずっと見てみますると、やはり秘密会でありましても場合によっては御提出しない場合があるのだというふうに政府の方でも答えております。ですから、秘密会におきますれば、その秘密の漏洩ということは、その点違った問題にはなりまするけれども、やはり秘密会というようなことがありましても御提出できない場合があるというふうに、私は過去の速記録から了解をいたしておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それはいわゆる慣例によってそう解釈する、そういうことですか。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 私はそれが慣例になっておるかどうかは、はっきり把握できませんですけれども、過去の政府委員の答弁がそういうふうになっておりますから、私はその答弁を継承いたしまして、今もさように考えておるわけでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 先ほど言った衆議院規則九十二条の九号の三の、当委員会が公正取引委員会の所管事項を所管するという考え方、それから先ほど言っている三十九条、四十三条の関係、それから四十四条において報告義務があるということ、そういうところから私は事業者の秘密事項を除いては報告しなければならぬ、なお秘密事項は当委員会を秘密会とした場合にはしなければならぬ、こう解釈しておるのです。それに対してあなたは、過去における行政官の答弁がそうであったから必ずしもそうではない、こういう答弁なんですね。そうすると、一行政官が言った答弁が、法律の最高解釈になりますか。いかがですか。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 それは私としましては、過去の行政慣例をそのまま踏襲すると、ただ機械的にそう考えているわけではございませんので、議院証言法ができましたのは御承知のように国会法ができたしばらくあとでございまして、その間に行政庁における秘密の取り扱い方の考え方が変った、私は、そういうふうなことに実質上の根拠がある。それを受けまして、先ほど申し上げましたように政府委員の答弁がそういうふうにありましたから、彼我両方合わせまして、やはり秘密会との関係一におきましても、秘密に属する記録、報告というものはできない場合があり得る、こういうことを言っておりますので、必ずしもただ機械的に行政庁の解釈が最高の解釈だというふうなことを言っているわけではございません。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律、これですね、このところからそういうように私は出てこないとは思うのだが、それはそれとして、それでは秘密事項を除けば出さなくちゃならぬという義務が公正取引委員会にあることだけは、はっきりしましたね。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 それはそうでございます。少なくともこの場合におきましてはそうでございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それでは公正取引委員長にお伺いしますが、議事録全部あるいは審査報告全部が事業者の秘密に属することばかりでないと思うのです。私はその経過が知りたい。それを除いて再提出を求めます。いかがでしょうか。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 事業者の秘密は出さないということはお認めになっておる。それ以外に……。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 いや、それもまだ法律的に疑問はある。今のところ……。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 それ以外に秘密というものがかりにあるかないか、これは私はあると思いますが、その秘密は出さなければならぬということはどこから出るのか、私といたしましては、これは検察庁の方でも同じでしょうけれども、官の秘密というのがある。官の秘密を出すということは、抽象的にいって非常に無理じゃないかと思います。ことにわれわれの方としては検察庁的な活動と裁判的の活動をやっておる。それでいろいろな問題について調査をします。その場合には業者の秘密がその内容になるし、またわれわれの方としてはどういう方法でやるかということは、検察的な活動を容易にする一つの大きな点なのであります。そういう点にも関係しますから、これは官の活動の秘密だと私は考えております。そういうものはかりに業者の秘密でないとしても、外へ出すことは公取としては困るのであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 あなたは三十九条と四十三条で言うておるのでしょう。それには官の秘密はないのです。事業者の秘密ということだけなんですよ。なお官の秘密というが、公正取引委員会に、どうも今度はもやもやした秘密があるということがわれわれの疑念なんだ。しかも先ほど来言っているように、衆議院規則によって、われわれはあなた方のやったことに対して報告を求める権利がある。われわれは行政機関としてのあなた方公正取引委員会に対して、その管轄事項を管轄しておる。そこにどうも秘密らしきものがあると見ておるときに、それを要求するのにどこがおかしいのですか。これは重要な国会の問題になってくると思いますが、いかがでしょうか。これで答弁が変だったら、ここで一ぺん休憩をしてもらいまして、一応私、この点についてはっきりさせたいと思います。秘密があるから言っておるんだよ。そういうことは国会軽視だ。委員長休憩して下さい。今からその点はっきりしましょう。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 国会軽視という意味では決してないのでありまして、われわれが法によって課せられたる義務を忠実に履行するために、少なくとも検察行政と匹敵するような場面につきましては、どういう方針であるか、どういう技術を持っておるか、どういう方法でやるかというようなことは、これは職務上秘密を要する事項と私は考えておるわけでございます。そういうことは公取委員会といたしましては、外部に出すことを差し控えておるわけであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 それでは当委員会が公正取引委員会の職務を所管するということは、これはどういうことになりますか。すべてあなた方の方でこれは私の方の官としての秘密でありますと言われたら、何も聞けない。そういうことなら何もこんなところへあなたに来てもらってやかましく言う必要はないのです。国会の当委員会が公正取引委員会の所管事項を所管しておるということはどういうことになります。これに対して最高の見解を下すのは、一体だれですか。二人にお聞きいたします。その人の意見を一ぺん求める。いかがですか、当委員会が所管しておるということとあなたの言っておることと。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 国会の、この委員会の所管ということは、それは書いてある通りでありまして、それを否定するわけではありませんけれども、私の方といたしましては、先ほどの事業者の秘密の問題がありますし、また違反事件の摘発という検察的な部面も話しましたが、その違反事件があったときに、今度は公取の委員会としてこの審議をするわけであります。いわゆる裁判的機能でありますが、これらの機能につきましても、裁判所法におきましてその合議というものは、これを秘密にしております。これは結局、これを秘密にしないというと——特別な場合に法で公開をいたしますが、他の場合におきましては、これを秘密にしないというと、裁判では裁判官、われわれの方で言うなら各委員でありますが、それがやはり自分の発言というものが外へ出るということになるというと、関係者に遠慮するとか、あるいは世評をおそれるとか、そういう関係で、自己の所信を正々堂々と包み隠さず言うということが阻害されはしないか。そうなってくれば、この委員会活動というものが、国家的見地から見て不適当である。そういう意味で、この委員会における合議というものは秘密を保つべきものだ。これは裁判官と同じであります。こういうものは外へ出すべきものではないというふうに私は思っておるのであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 詭弁はおやめなさい。裁判官と同じでないということを先ほども言ってるじゃないですか。衆議院規則九十二条の三号の法務委員会のところには、「裁判所の司法行政に関する事項」となって、特に「司法行政」となっておる。ここはそういうことでなく、「所管に属する事項」となっておるのですよ。これは裁判と行政機関とは違うという建前から、こういう変わった規定が置かれておると思います。検察の問題は司法行政であります。必要に応じては検察の問題につきましても、国会の担当委員会において究明することがあると思うのです。裁判は別ですよ。裁判官と同じように言っておる。思い上がったことを言いなさんな。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 裁判と申しましたのは、独禁法によりますというと、委員活動というものは何人の指揮監督も受けない、独立であるという精神があります。この精神は、すなわち裁判所と同じものであると私は解釈しておるわけであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 あの最高裁判所の存在とは違うんですよ。なるほどやられておることは準司法的な行為である。従って政府から独立しておる。だから、四十四条において、国会において直接に責任を負うということになっておる。裁判と違うのはそこなんですよ。これもあなたがあくまでほおかむりでいこうとするなら、幾らここでまたやっておってもやれないから、この点は保留しておきます。  なお、こういう問題についての最高の権威といいますか、その解釈を下すのはどこですか。それも裁判所に訴えてやる必要がありますか、どうですか、法制局。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 この法規の最高の解釈権はどこにあるかということは、非常にお答えしがたいと思うのです。これはやはり最後にいきますと、議院証言法の問題になってきますので、これは内閣声明というふうな形で——この秘密というものは、公取委員の方のおっしゃるように秘密というものがあるんだということで、内閣声明でお答え申し上げますと、そこで議院証言法の建前だとそれなりになる。その内閣声明に対する世論の批判というものはあると思いますが、これは権力分立の関係からいきまして、どこの機関が最高権威を持つということは、私は言えないのじゃないか、こういうふうに思っております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 衆議院規則の最高権威は、私はやはり議事運営委員会にある。従って、この問題につきましては、後日研究いたしまして、もっとはっきりしたい。だから、ここで委員長に申し上げておきたいのは、もうほかにも、この前から言っておるように、独禁法についてこの解釈の違いやらいろいろな点があるから、私どうしても今公正取引委員長の言っていることは了解できない。従って、権威ある学者の見解を一ぺん求めたいと思うので、このことをはっきりもう一度提案しておきます。  それから続いて次に——十一時半までという約束があったから、時間がないので急ぎたいと思いますが、時間があればこの点をもっとはっきりしていきたいと思います。  裁判の話が出たのですが、公取委員長がなされました八月十三日の談話、この性格がこの前の委員会でだいぶ問題になりました。この不問処分の外部発表と、その不問処分というのは行政処分であるかどうか。そのときに佐藤委員長あなたは、権利の変動ということを考えない。それで、権利の変動ということが行なわれていないという点から見れば行政処分でない。従って私が、それでは行政事件訴訟特例法によって訴訟対象となるかどうかといったときに、おそらく裁判所は受け付けないと解釈する。ところが、現に裁判所はこれを受け付けていますね。受け付けて、あす第一回の公判があるはずです。東京地方裁判所民事第二部、これが受け付けて、公判があるということは御承知の通りですね。それに対して見解はいかがですか。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 行政処分であるかどうかということ、この行政処分は何をいうかということは行政法上むずかしい問題かもしれぬが、少なくとも私の方といたしましては、公法上の権利の得喪変更を目的とする行為を行政処分と解する。そうしますと、新聞値上げ問題を委員会にかけないということは、何も権利の得喪変更を目的とする行為じゃないし、従って行政処分じゃない、こう考えます。  それから裁判所の問題は、あす第一回の公判があるようでありますが、裁判所は受け付けないだろうというのは、却下されるだろうという趣旨で申し上げたのでありまして、とにかくお出しになる以上は受理はします。受理するけれども、それが理由ありとしていわゆる勝訴判決するかどうか、その点で私は却下になるだろう、こう思っておるわけであります。これはまあ裁判所のやられることでありますから、私は何とも申しませんが、われわれの方としてはそう考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 これはもちろん裁判所において争うことになるのですが、その点はそれじゃそうしておきましょう。しかしあなたがおっしゃったのはあくまでそういう意味で、却下ということでなしに、裁判所は問題にしないだろうという意味のことを言われた。それが少なくとも問題にしておるということだけは申し上げておきます。  それから、ここでそのことについて関連して申し上げたいのですが、あなたは今、権利の得喪に関係はない、こう言う。ところが、新聞購読ということは、少なくとも数万あるいは数十万の読者と、それぞれ個々の新聞販売店といいますかそれとの間には、これはいわゆる契約があるわけですよ。新聞購読契約というか、それをどういうのか、これは一つの双務契約が法律的にはできていると思うのです。それに対して値上げをするということは、いわゆる契約内容の変更なんだ。それの救済方法として公正取引委員会に持っていっておる。それに対して、もう問題にしないのだということなら、ここにその争いといいますか、その双務契約としての新聞購読が確定する、少なくとも一時的に確定する、こういうことになる。その意味において、何か権利の変動といいますか、それがあると解釈する。従って、これは行政処分である、こう考えておるのですが、どうでしょう。あなたは行政学の大家でしょう。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 私が申し上げますのは、権利の得喪変更を目的とするかどうかという点であります。独占禁止法でやる行為というものは、いわゆる公益裁量で、あるいは公益の決定をするものでありまして、私益を目的とするものじゃないのであります。今の新聞社と購読者との一つの販売契約か購買契約か、これは私法契約であります。その私法契約をどうしようということを、われわれは目的とするのではない、従ってわれわれのやることは行政処分じゃない、こういう見解であります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 この前の委員会のときに私がむしろこれは公益侵害であるという論を張ったのですよ。それに対してあなたがそういう答えだった。今度は私が個々の新聞購読契約を申し上げた、それは私法だ、そうじゃなくて、もちろん独禁法は公法であって、それによって行なえるものは公益の問題だ、従ってあなたのなした不問処分、これは公益侵害である、これははっきりしておるのですよ。私は前からそう申し上げておるのです。ここに公益侵害があるから行政訴訟の対象になるかどうかということを問題にしたのです。しかし現実にこれは裁判所が取り上げておりますから……。しかしこういうことをもってあなたの答弁で満足しておるのではありません。私はこの事件に関する、すなわちあなたが公正取引委員長になられてからこの方、ここで言われた答弁は全部不満です。いかに詭弁をもってやられようとも、われわれは不満です。まだまだやりたい。だが、時間の関係もありますからこの次に——これを何回もやることは私も好まぬのだが、まだここに疑問がたくさん残っておる。さらに今のこの資料提出の問題も、もっと突っ込んでいきたいのです。だが、次にやろうという人があるので、私はもう少し時間をもらってこれを突っ込みたいのだが、おきたいと思います。——それとも永井さん、時間くれますか。(永井委員「十分ぐらいなら……」と呼ぶ)十分ぐらい、まだあとにあるのですよ。おもしろいところにきたのだけれども……。どうです、これは先ほどから私が言っておるように、三十九条、四十三条、国会法、衆議院規則、これらの関連から、秘密を除いてはもう一度報告を求める、ごう言っておることをあくまで拒否できるとお考えになっていますね、もう一ぺん聞きます。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 私の答弁が御満足いかないようでありますが、私は何もいわゆる詭弁を弄するわけでもありませんし、正々堂々と独禁法の運用に当たっておるわけでありまして、そういう気持は全然ありません。しかし今の秘密の問題は、委員長、委員の職務上の秘密で、しかもそれが職務上個人の事業者に関する秘密のことをお話しになりましたけれども、それ以外に秘密がないというふうには私は考えておらぬ。(田中(武)委員「それは一体この法律のどこから出てくるのです」と呼ぶ)それは一般の行政の原理ですよ、法律でなく行政的……。国家の仕事をやる場合に、昔は何というか総動員機密とか、いろいろな規則がありましたけれども……(田中(武)委員「そんな頭で君いるのか、だめだよ」と呼ぶ)いや、昔あったということで……(田中(武)委員「そんなことじゃだめだよ、そんな者に公正取引委員会のなにがまかせられるか」と呼ぶ)昔あったということはこれは事実だからして、何も私の観念と関係ないことです。それでやはり行政法を見ましても、官の秘密があるということは、行政法上疑いのないことだと思います。(「だから具体的な法律の根拠を言いなさいよ」と呼ぶ者あり)(田中(武)委員「あれも官の秘密、これも官の秘密と国会において逃げられては何もできないじゃないか、そんなことを君言うのか」と呼ぶ)それはいいかげんに言うわけではありませんよ。それはやはりわれわれが職務を完全にやるためには、秘密があるということを申し上げたのです。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 これはどうも、ああいうことでは私は国会というものの行政監察権といいますか、これに疑問を持ってくる。今の答弁で、何か戦時中の何とか法ということを言われたが、これはまあ例だろうが、その時分の国会と同じように考えておられるような人を公正取引委員会の委員長なんて、最も民主的な独禁法の番人の委員長に置いておけぬよ。官の秘密ということなら、国会の答弁を何でも逃げられるということになりますか。これは一体だれに聞いたらいいのか。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 今の点、どうも非常に遺憾なんですが、昔総動員法があって、総動員機密があったということを述べておるのであって、それだからその事実を述べたからして、私の頭が狂っておると言われるのは、これは非常に遺憾のことであります。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 とにかく戦時中とは国会の性格も違っております。それにそういう例をあげるということで、行政の秘密なんということをその場のがれに言われると、われわれは何か質問すると、都合のいいときは答弁するが、都合が悪くなってくると、これは官の秘密でありますからと言われたら、それでおしまいなのか、それほど国会というものは権威がないものであるかどうか、これは一つ法制局の、部長に聞いても無理かと思いますが、どうです。これは一体どこがそういう解釈を下しますか。(「議会は国会の最高の機関だ」と呼ぶ者あり)だからその法律の根拠を言いなさい。昔は総動員法があった、だから今は官の秘密、その官ということを説明しなさい。一体官ということは何だというところから……。

山内一夫法制局参事官(第一部長)

○山内政府委員 先ほどからのお話、事業者の秘密以外に公正取引委員会が秘密とすべきものがないかといえば、私は、必ずしもそうではない、この条文は……(田中(武)委員「あったら発表して悪いと書いてない」と呼ぶ)私は、事業者の秘密を除いては発表することができると、こう書いてあるので、事業者の秘密は公正取引委員会といえども発表できない、そういう拘束を持っておるわけで、もう一つ事業者の秘密以外に秘密があるかないかということになれば、私はないとは言えないと思う。その秘密とすべきものの範囲というものは、それはおのずから民主的な行政からいえばなるべく狭く持っていくのが当然だろう、私はこういうふうに思います。ですから当該の事項が秘密であるかどうかということは、秘密とすべきことが正しいか正しくないかということで、これは批判はあるかと思いますけれども、事業者の秘密以外に全然秘密がないのだということは私はない、かように思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 法制局の部長の答弁はそういうことですが、なおもう一度あらためて申します。事業者の秘密、このことについてはまたほかにそれを出す方法を研究いたしましょう、だが秘密を除いての部分を、もう一度要求いたしますが、やはり出せませんか。それ以外は全部それでは官の秘密、こういうことですか、もう一度念を押します。

佐藤基公正取引委員会委員長

○佐藤説明員 私の方で職務を忠実に行なうために秘匿すべき事項は出さない方が適当だ、こう思います。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 委員長に申し上げますが、お聞きの通り、何かをやると官の秘密、こういうことでは当委員会の職務は行なわれない。重要な発言でありますから、ここで一つ休憩をしてもらって、すぐに理事会を開いて糾明いたしたいと思います。重大な問題だ。

中村幸八自由民主党

○中村委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕

中村幸八自由民主党

○中村委員長 速記を始めて。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 今、私と佐藤公正取引委員長との間の見解の相違といいますか、これはもっと問題はあとに残しましょう、残して、とことん納得のいくまでやる、こういうことで委員長にもその方法をお預けいたしまして、時間がないから八月十三日の委員長の談話の問題は一応おきましょう。しかしこれで終わったのではないから、そのつもりでおってもらいたいと思います。次に入ります。  そこでこの前に私が申し上げました東映ニュースの独禁法違反の問題について、現に提訴が行なわれており、調査が進められております。本来ならば、私は、現在調査中である問題に対して、それほど多くここで述べてもらうことをやらない方がいい、これは公正取引委員会の性格でやらない方がよいとは思っておったのです。ところが今までのような公正取引委員会のあり方であるならば、ともかく結論を出されて、その結論がどうも疑惑に包まれておる。ところが何ぼ言っても官の秘密だというようなことを言われると困る。だからこの際、現在における調査の状況等を詳しく言っていただきたいと思います。

坂根哲夫総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○坂根説明員 田中先生から今御理解のあるお言葉がございましたが、現在審査中でございまして、前の週に一回委員会に審査官から中間報告が行なわれております。この問題に関しましては、審査部長以下六名の審査官が担当いたしておりまして、それでこの前のこの委員会で御報告いたしましたように、九月の初めから本格的に審査を開始いたしました。九月の終わりまでに行なわれた事実についての一応の調査報告を、この前の週の委員会でやっておりまして、なお審査官の意見によりますと、さらにもう少し事実関係の調査を要する、そしてその結果をまとめて審査官の所見も加えて委員会にお諮りしたいということを、この前の週の委員会で申しておりました。なお審査官の方で取り調べておりまする数は、被申告者側から四人の方をお呼びしていろいろ事情を聞いております。それから参考人といたしまして、スポンサーが六社、興行館が三社、その他関係人が二社というふうなことで一々審査官のところに呼んで供述調書をとって、その結果をまとめて事実関係を、この前の週の委員会で中間報告したというのが現状でございます。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 この前も私ちょっと申し上げたと思いますが、この問題を九月九日に当委員会で質問をしたその翌日、東映の伊藤専務の名前で、独禁法違反でありませんというのを、おそらく各委員に配ったと思う。これは各院委員に配ることはいい、自分たちが独禁法違反でないということを説明するのはいいとして、少なくとも私の、ここで質問した田中という名前をあげて配っておることに対しては、私は承服できない。そういうようなことについて、当時は調査中であります。公正取引委員会としては調査開始の時期であります。その間にそういうことをやられることについて、どう考えられますか。

坂根哲夫総理府事務官(公正取引委員会事務局長)

○坂根説明員 それはどうも向こうがおやりになったことで、とやかく申し上げませんが、私個人から申し上げますと、私どもが、調べておる本人が、そういう違反であるとかないとかということを第三者に言うことは、はなはだ行き過ぎた行為ではないかと考えております。

田中武夫日本社会党

○田中(武)委員 約束の時間がきましたのでおきたいと思いますが、ここで特に申し上げておきたいのは、少くとも公正取引委員会の性格は何か、任務は何かというならば、独占禁止法に基づいてできたところの独立した行政機関であって、先ほど佐藤委員長が言っているように、準司法的な存在であることは明らかであります。ただしまた佐藤委員長の考えているような思い上がった存在でもないと思います。しかしながら今日の公正取引委員会の動きを見ておりますと、どうもその性格から遊離しておる。少なくとも大資本、大企業から消費者あるいは中小企業に対する経済力による、資本力による圧迫を排除するためにできた独禁法の上に立って、そのことをもって任務とする公正取引委員会が、先ほど来問題にしているように、八月十三日の談話にいたしましても、どうも力の強いところには弱過ぎる、今度の問題につきましても、東映ニュースの問題についても、私先ほど言ったように、目下調査が進められているんだから根掘り葉掘り質問いたしませんが、出てきた結果からまたこういうことを言っても、官の秘密だと言われればそれでしまいなんです。願わくは本来の任務ということを自覚せられて、独禁法を守るという立場に立って大資本、大企業からなされる圧迫に対して、中小企業を守る、こういう気持でやってもらいたいことを特に要望いたしておきます。でなければ、そうでなくても政府は虎視たんたん毎国会ごとに独禁法骨抜きを考え、改正を出そうとしておる、言うなれば、あしたに一城を奪われ、タベに一壘をとられるというのが公正取引委員会の今日の姿である。少なくとも君たちは、独禁法を守り中小企業、消費者を守る立場に立ってこそその存在価値がある。今日のような状態であるならば、不要論さえ出てくることになると思う。それならばあなた方はみずから墓穴を掘ることになる、あなた方がみずから墓穴を掘らないように特に要望いたしまして、終わります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 関連して……。公正取引委員会から本年の夏ジュネーブで開かれたガット会議のカルテル規制についての会議に、中村清氏が出席しております。その議事内容について、はっきりわかるように資料を一つ要求いたします。      ————◇—————

中村幸八自由民主党

○中村委員長 次は通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。永井勝次郎君。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 貿易の自由化について、先日池田通産大臣にお尋ねをいたしましたときに、通産大臣は、貿易の自由化は世界的な趨勢であるし、その進運におくれないように、できるだけ早く各種目についての自由化を実行に移す考えであると、こういうような御答弁があったわけでありますが、その貿易の自由化についての進め方、どういうような進め方をされる考えであるのか、方針は伺ったのでありますが、その具体的な運び方について一つ明らかにしていただきたい。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 わが国における貿易の自由化の必要性は今に始まったことではないのでありまして、昨年来から急速に具体的な問題として取り上げられて参ったことは御承知の通りであります。そこで一番問題になりましたのは、今のAA制の中で、対ドル地域の差別待遇をいたしておる十品目でありますが、これをまずできるだけ早く対ドルの差別待遇を撤廃するということを第一の目標といたし、さらにまた現在グローバルなAA制になっておりますものにつきましても、その品目、範囲を広げて参るということを第二の措置といたし、この第一、第二の措置につきましては、すでに先般来大臣から発表をいたしております、すなわち対ドル差別十品目のうち、四品目につきましては来年の一月からその自由化を実施する、残りの六品目につきましても来年度できるだけ早い機会に、その実施ができるような準備を整えて参るということ、さらにまた第二に申しました新しい自由化品目の拡張につきましては、下期の外貨予算を組みました際に、すでに百五十品目ばかり雑品目とか化学薬品の類でありますが、AA制に加え、さらにまた先般当委員会で長谷川委員の質問に答えられたように、新しく十品目の第二次の措置といたしまして移した品目があるようなわけであります。そのほか、AA制の問題ではありませんが、今のFA制、外貨割当制度になっておりますものにつきましても、この外貨の割当を特定の品目につきましては、あるものについては無制限の割当制をする、あるものについてはその外貨割当の幅を広げて参る、こういうような措置をとりまして、わが国におきましても先進諸国の貿易自由化に足並みをそろえまして、できるだけ自由化の施策を進めて参る、こういうことを決意いたしておるのであります。  ただ、これをやります場合にいろいろの影響がございます。私はその影響の段階を大体三つくらいのものに分けられると思いますが、その一つは、国産品、あるいは国内産業と競合関係に立たないものは、これはできるだけ早く自由化するが、その際はただ国内の受け入れ態勢の整備をやる、つまり国内の業者のいわば自主的態勢、自主調整態勢というようなものを整える指導さえしていけばいいのでありますから、この競合関係にないものは今後といえども順次移して参ることは、そうむずかしくないのであります。  第二番目は、国内産業、あるいは国産品と競合関係にある原材料、あるいは製品、これらのものにつきましては、第一の品目と違いまして、自由化するだめには相当の準備が要る。これは単に業者の自主調整態勢の整備ということばかりでなしに、ある場合には法律制度とか、あるいは関税制度とか、そういうものにつきましても準備を整えまして、その準備の整ったのと見比べて自由化の幅を広げていく、こういうものが第二番目にあると私は思います。それはそのような準備を進めております。  第三分類といたしましては、これは自由化が一番むずかしいものがあると思います。たとえば一部の農産物でありますとか、鉱産物でありますとか、あるいは見方を変えますと、中小企業製品等で、競合関係というよりも、自由化をした場合にそれらの関連産業が非常に危殆に瀕するというようなものもあろうと思いますので、第三番目のものにつきましては、自由化が最もおくれる、と同時に、政府あるいは業界といたしましても、その移行については慎重な配慮で参らなければならぬ、こういうことになるわけでありまして、以上の段階で準備を逐次進めておるわけであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 そういたしますと、この貿易自由化はわが国経済の最初からの予定したコースであって、自主的にその態勢を整えていて、国際的な情勢が熟したから、それを解除していくのだ、今こういうような答弁に聞こえるわけでありますが、先年来この委員会においていろいろ質疑した過程においては、理想としては自由化であるが、あるいはこのAA制の拡大についても、これは望ましいことであるが、必ずしも今国際情勢はそういう情勢、条件がないのでなかなかできないというような従来の答弁であった。ところが、国際的に自由化が推進してきた、押されてきた。この間のガットの会議でも、日本はふらちでないかというので、国際的にずいぶんやっつけられて、それであわててこの自由化の品目を発表した。それによると、機械関係では四十八品目、消費関係では三十八品目というものを年内と来年の一月ごろまでに出そう、こういうようにほかから押されて、そういうふうになってきたのではないか。ほかから押されてそうなったのか、それから実際に自主的な力を培養して、そうして国際情勢に対応するようになったのか。今回の品目の解除についての質的な一つの分析を明確にしていただきたい。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 ごもっともな御質問でありますが、私どもが考えておりますところを正直に申しますと、これはやはり三つの面があったと思います。  一つは、欧米先進諸国の自由化が進められて、国際的な環境の変化、圧迫というものがあったことも事実でありましょう。  もう一つは、やはり国際収支の関係もありまして、先進諸国と同じように世界貿易の仲間入りをして、お互いの貿易を伸ばして参るためには、幾ら自由化がよくても、一両年前までは、永井先生も御承知のように、わが国の国際収支が非常に危殆に瀕しておって、緊急経済施策もやらなければならなかったような時代がありましたので、その際自由化を大幅に進めるということは、幾ら考えておってもできなかったということも事実であります。  第三番目は、一番肝心なことであると思いますが、今日国内の産業や企業の状況も合理化、近代化が相当進められて参りまして、かなり裸になっても外国との競争に負けないというような状態にわが国の産業経済の水準が、実質的に高まってきたということも今日の事態でありますので、これらの三つの要素から、今やわが国としても相当踏み切った態度で自由化が進められる、こういうことに相なったわけだと考えます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 話を伺っておると、非常に楽観的で、日本の国内諸産業は国際的な水準において国際競争力が十分にできた、体質改善ができたという大へんな自信のようでありますが、そういう考えで通産当局がやっているなら、僕はとんでもない失敗をするんじゃないかと思う。国際的な自由化の基盤になっているものは、言うまでもなく、御承知のようにヨーロッパの共同市場であり、あるいはソ連圏、アメカリ圏あるいは来年の春場は発足するであろうと予想されます南米共同市場の問題等、こういう地域ブロックの調整というものが整備されて、そうしてそれを土台にして自由化が拡大してきておる。日本はどうかというと、そういう地域ブロックもない。アジアにおいては孤立しておる。そうして今日国際的なそういう情勢に押されて自由化を推進しようとしておる足場になっているものは何かといえば、わずかに十二億内外の外貨の手持ちがふえたという、こういうことだけをたよりにして、それだけを土台にして自由化へ乗り出そう、この国際的な圧力に屈して、押されようとしておる。そういうことではないかと思う。何も自主的に積み上げてきて、問題を自由化へ進めてきておるという、そういう科学的な基礎や要因というものはないではないかと思う。たとえば共同市場にしても、ヨーロッパ共同市場というものは、今日突然効果を表わしてきたものではなくて、石炭、鉄鋼の一つの問題を中心にして、長い間の試練のうちにだんだんこういう問題ができてきておるのであります。イギリスとの自由市場の問題  にいたしましても、一九五〇年以来ずっと段階的に積み上げてきて、今日共同市場に対応しておる。こういうような歴史的な経過があるのでありますが、日本はそういう経過を今まで聞いたことはない。あったんなら、委員会でもっとはっきりと表明せらるべきであったと思う。そういうことはない。そうして今日情勢が変わったということを言うならば、十二億の外貨手持ちができたということだけが従来と変わっていることだ。この十二億の外貨といったって、あるいは西独なら五十億も持っておる、イタリアなら二十五億も持っている。こんなはした金を持って、そうして準備なしに国際市場にぶち込んでいったら、押されてきて、こんなものはまたたく間になくなってしまうじゃないか。そういう楽観論ではなしに、国際的に自由化というものがこれだけ進められておるのでありますから、またガットの加盟国として自由化の方向へ行かなければならないのでありますから、現実に国内における経済の実態というものをよく診断して、そうして診断に即応した——業種別によってもいろいろ病状が違うと思いますので、それぞれの病状に適応した治療とそれから予防と、こういうものをちゃんと用意しつつ次の発展を期待するというような、こういうまじめな行き方でなければ私は大へんだと思う。少なくも内田政務次官は経済的な面にも金融的な面にも、もっと深い見識と省察を持っておると思ったのですが、ただいま聞くと、そこらにころがっている政治家と一緒に、雑駁なただ楽観論でお茶を濁すようなことで、私は意外な感にたえないわけですが、あらためて、一つ実際に当面している日本の自由化の心配な点を遠慮なく摘出していただいて、日本の産業の病状診断をはっきりと伺いたいと思います。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 通産省といたしましても、ただいま永井委員の仰せられましたことを十分に考慮いたしましての自由化の推進態度を決定いたしたのであります。でありますから、最初に申し上げましたように、競合品のないもの、これは今日の為替の事情が非常に好調にあります際に、競争品のないものについては自由化した方が、国民生活の向上のためにも、さらにまた相手国にわが国の輸出を伸ばすためにもその方がいいというものは、これは比較的決断をもって早く自由化に踏み切る。ただその場合でも、国内ではいろいろの業者、業界というものがありますから、これらの業者、業界が、自由化の受け入れ態勢が自主的に整備される状態と見較べながら、これは比較的簡単に自由化に踏み切って参るということを申し述べましたが、第二の競合関係があります産業とかあるいは商品につきましては、これは為替の状況とかあるいは単に日本の輸出を海外に対して伸ばしたいというだけでは、そういう簡単なことで自由化に踏み切りますならば、国内の産業秩序も経済態勢も、仰せのようにひっくり返ってしまいますので、先ほど触れましたように、ある場合には法的にも、ある場合にはまた関税制度などにつきましても、十分の検討をあわせ加えながら、今後自由化の施策を進めて参ろう、これにもいろいろの業種あるいは製品がありますので、一々それらに対する対応策は違うのでありますが、全体を通じてみますると、そういう準備をとりながらいこう、しかも先ほども申し上げましたように、第三の、これは最後まで、通産省としてあるいは農林省としてあるいは政府全体としても、これは自由化にも踏み切れないという一部の農産物や鉱工産物につきましては、あるいは国の予算操作とかあるいは財政制度とかあるいは農産物、鉱産物に対する特別の保護政策等でもできない限りは、最後まで自由化に踏み切ってはならないというものもあることは申し上げた通りであります。いずれにいたしましても、今日日本の自由化率というものは、御承知のように約三割程度にしか達しておりません。たびたび当委員会でも政府側から言明をいたしましたように、この三割の自由化率というものを伸ばして参りたいという希望を持ちながらも、なかなか自由化率が進まないで、なお三割に低迷しておるということであります。これはたとえば英国とかその他欧州諸国のように、自由化率が九割とかそれ以上に進んでいるという状況から比べますと、今日の日本経済あるいは産業の実態からいいまして、自由化があまりにおくれておるわけであります。さような状況をも十分考えまして、決して楽観に過ぎることなく、慎重な配慮のもとに自由化を進めて参る、かような趣旨であります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 先ほど来政務次官は、農産物あるいは中小企業等の関係製品は、これは第三の一番困難な対象だ、こう言っておられます。もっともだと思うのですが、その通りに実行していますか。ヨーロッパの共同市場では、あれだけ自由化を進めておりながら、農産物はこの対象にしないということで今やっておる。ところがまだ不整備な条件の中で、第一に自由化に引っぱり出されたのは大豆でしょう。油脂でしょう。ラードでしょう。その他何とかという繊維でしょう。ヨーロッパの共同市場でさえ農産物は現在の条件の中では自由化をしない、そうして農業基本法によって、そうしてグリーン・プランによって相当引き上げて、そして競争力が可能な条件になってから問題を何しようというのです。今農業基本法によって、ドイツあたりはやっているんじゃないですか。農産物は出しておりません。ところが大豆の問題にいたしましても、これは一番先に出している。国内において支持価格制度があるから安心だと思っているかもしれませんが、この大豆については、瞬間タッチをやって、一〇%ピンはねをやって、そうして国内価格とのつり合いをとろうと言っておる。二、三日前の新聞によりますと、これは外国から文句が入って瞬間タッチはむずかしそうだ、農林省の方では瞬間タッチで一〇%何するのでなければ大豆の自由化は困る、条付付なんです。そのほかの農産物価格についても、これは国内において相当対応できるような予算化ができるとか何とか皆条件付の自由化でしょう。もしそれがだめだったら自由化をするといってその品目を出しておいて、国内でこれこれの条件ができなければだめだからこれは引っ込めます、そんなことをやるつもりですか。一番困難な農産物を引っぱり出して、そうしてこういう国内における前提条件があって、そうしてもやもやしておる問題をそのままなまで出して、一体これを今後どうする考えか伺いたいのです。農林省から経済局長が見えておりますから、内田政務次官とともに、農産物について今後このような形でずるずる弱いところに押しつけて自由化品目をふやすために、国際的な願をよくするようなことをやられたら大へんでありますから、それらの問題について農産物の今後の扱い方の基本的な態度を伺っておきたい。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 お話のようにまだ私も考えておるのでありますが、今の大豆とかラード、タローなどというようなものは、一番今の日本の国内の生産関係、価格関係においては自由化がむずかしいものであると私は思います。でありますからこれは自由化をはずす、自由品目の中に入れてありますが、直ちにはずすとか、あるいは来年一月からはずすとかいうことは、私はとうてい無理だろうと考えまして、これらの品目は自由品目の中でも一番自由化があとまで、言いかえますとこれに対応する国内的な措置が十分に整うまでははずすことは無理だろうと思います。ただ、今の大豆にいたしましても、ラードにいたしましても、タローにいたしましても、世界貿易全体においては今まで自由化品目でありますが、ただドルだけについてはそれを差別的に外貨割当制度のまま置いておる、しかるにポンドにいたしましても通貨の交換制が回復されて、今はドルとポンドを区別する必要がなくなったということでありますので、これはどうしてもドルだけに区別するということは国際的にも不可能であろう、ことに今日の対米貿易におきましても、今日日本の方が輸出超過の趨勢になって参っておるということになりますと、ドルに対する差別待遇というものは適当ではないのでありますから、そこで十分の対策、たとえば食管の瞬間タッチという方法がいいのか、あるいはこれにかわる方途がとられますか、目下鋭意自由化に伴う万全の措置を研究いたしておりますので、この措置とあわせて私が先ほど言いましたように、これも競争品目がある、また農産物であるというようなことで簡単に自由化ができるものではありませんので、それらの措置とあわせてやるべき品目であるということで、通産省におきましても、大蔵省におきましても、農林省におきましても、あわせてとるべき措置をただいま立案中でありますので、いずれこれらのことにつきましても御説明できる時期が近く来るのではないかと思いますので、御了承を願います。

松岡亮農林事務官(農林経済局参事官)

○松岡説明員 ただいま通産省の政務次官からお話がありましたが、農産物についてはもちろん例外もございますが、おおむね手放しで自由化に対応することができるものではないといってさしつかえないかと思います。従いましてもしも種々の情勢からいたしまして自由化をしなければならぬということになりますれば、何らか国内措置をあわせて考えなければならぬ。特に今御指摘のありました大豆につきましては、農林省といたしましては、最初からそれに伴う国内措置、ただいま食管の瞬間タッチ制度と名づけられておりますけれども、そういう方法をとることを前提といたしまして、完全に移行する、こういうことで具体策を食糧庁において検討いたしております。しかしこれはいろいろ問題もございますので、なおまだ検討中でありまして、そういった具体策が伴わなければなかなかAA制に踏み切ることは困難ではないか、かように考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 しかし新聞や何かの発表によりますと、十品目のうちにこれが加えられて、来年早々自由化するということを発表している。これは間違いなんですか。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 十品目のうち来年早々から対ドル差別を撤廃して、グローバルなAA制に移しますものは、ラワン材、アバカ繊維、石こう、銅合金くず、この四品目だけでございます。あとの六品目につきましては、来年度上半期中に、すなわち来年の九月一ぱいぐらいまでに準備を整え、また業界もそれにならしておきまして、そして自由化にしようということでありまして、発表もその通り発表いたしておりまして、この発表の中身におきましても、私どもが考慮しておる慎重な態度がうかがわれると思うものであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 農産物関係については相当時間をかけてやらなければいけないと思うので、今のところはこの程度で次の機会に譲っておきたいと思います。農林省関係は、これでけっこうです。単に来年の下期に大豆を自由化するというような、そんなに農業政策はあめ細工のように簡単にいくものではなくて、もっと基本的に日本の農業をどうするか、そして農業の生産性を高め、国際競争力を強化するにはどうしたらいいかという基本的なところから出発しなければ、小手先でちょこちょことやって、そしてそのしわ寄せを農民にくっつけるというようなことに対しては断じて許せない。政務次官が来年の下期に大豆をいろいろ万般の準備を整えてなどと、その準備が半年か一年でつくように考えたら、とんでもない間違いだということだけは頭に置いておいて、今後の施策を進めていただきたい。先般も池田通産大臣に質問をしたときにお話があった通り、今日日本商品の輸出について有利な条件というものは何があるか、有利な条件というのは労働賃金が安いということだけだ。金利が高い、原材料を七割から輸入しなければならない条件、そういうものをいろいろ含めると、労働賃金が安いということだけが、日本の製品に対する一つの有利な条件である。だから国際競争力を強化するためには、これらの問題に手を触れなければ解決はできない、こう考えております。それならば今言ったような自由化のために万般の準備を整えておる、そういう企業の近代化なりあるいはコストの引き下げなり、あるいは技術の更新なりいろいろな面において考えておられるというのでありますが、金利の問題、金融の問題あるいは技術関係の問題、あるいは労働賃金が、今日の新聞を見ますと、先般の国際会議からは、日本はソーシャル・ダンピングをやっているではないか、労働賃金が奴隷的な低賃金ではないかという一般の非難に対して、外務省は、いや低賃金ではない、これは国際的な労働賃金の水準だ、こういうことを答弁しておるのが、けさの新聞に出ておりましたが、とんでもない話だと思うのです。政務次官も日本の労働賃金が国際的な水準と考えて、この労働賃金については、さらにまだこれを引き下げる余力があるのだ、金利のこともやらない、あるいは原材料のことも施策をしないで自由化したら、労働賃金にばんときて、さらに労働賃金をたたくという形で競争力を高めていくということになってくることは、これは明らかな事実でありますので、それらの問題を含めて、それならば万般の施策というものの基礎的な諸条件についてどんな手配を——金利の点をどうしておる、原材料の点をどうしておる、労働賃金をどうしておる。こういうことを一つはっきりと伺いたいと思います。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 最初に農産物等の自由化につきましては、私どもはもちろん単に為替貿易だけの面から自由化を考えておりません。永井先生も御承知の通り、政府においては、農林漁業基本問題調査会というものを相当大規模に作りまして、農林水産業の振興につきましては、私ども政府としても十分な対策を立てております。また党におきましても農林漁業基本政策調査会というものをこれに呼応して設置をいたしまして、相当の党費をみずからつぎ込みまして、これらの施策を立てておることは、御承知の通りでありまして、総合的な対策に遺憾なきを期しておるのであります。  それからわが国の輸出の振興につきまして利点であるのは、単に労働賃金が安いだけだというお話でありますが、これはただ日本の労働者の賃金だけが安いとも言えないのでありまして、これは労働者、経営者あるいは学者、技術者それらの者全般を含めて、残念ながら日本人の生活水準は、これはアメリカにも及ばない、あるいは英国にも及ばない、西ドイツにも及ばない。イタリアあたりよりも、私ども代議士などの生活水準を比べましてもまだ低いというような残念なる状態であります。そこで政府といたしましては、賃金や国民所得の引き下げ政策というものをとっておりません。労働者を含めまして国民生活の水準というものを十年後には倍にするということではないのでありまして、これは年限を限らず、また倍を限らず、うちの池田通産大臣が言われますように、金持ちを金持ちにする必要はないのでありますから、勤労者を含めまして国民大衆の所得を増加するという政策をとって参るのであります。世界の各国におきましても、今日本の輸出がその相手国の産業の妨害になるのは、日本の労働賃金が安いからソーシャル・ダンピングであるという声は一部にはあるかもしれませんが、しかしほとんどその影はひそんでおるのでありまして、ただ日本は相手国が輸入を自由化すると、同じ商品を時期的に洪水のように殺到させる、プラント輸出をやるから、それが困るので、ガット三十五条の援用もにわかにやめられないということでありまして、世界的にもわが国の産業の諸要素についての認識はだんだん変わりつつあるものと考えております。でありますから、その点を通じて国民所得を引き上げ、賃金を引き上げる。また金利につきましては、私は、日本の金利は非常に高い、これがまた一番のコスト高の原因になっておるということを率直に認めるものであります。ことに個々の製品を見ましても、日本の産業の場合には、中小企業や関連産業につながる部分が非常に多い。それらの中小企業や関連産業がそれぞれ高い金利を払っておりますので、最後の製品にかかる累積金利というものは、非常に高くなっております。金利を一厘下げ、一分下げることによりまして、累積金利が非常に低下するのでありますから、大蔵省をも啓蒙いたしまして、また民間の金融機関を啓蒙いたしまして、金利引き下げの環境を作って参る所存でございます。その他生産諸要件のうちで技術でありますとか、あるいは素材でありますとかいうものは、ここ数年の間に非常に飛躍的に改善されておるのでありまして、これが日本人の勤勉性とか、あるいは努力性と結び合いまして、日本の産業は決して賃金が安いということだけが利点ではなしに、総合的に有利な点を持っておる、これをさらに伸張して参る、かような政策を総合的にも推し進めて参りたいと思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 内田政務次官も大へんりっぱな政治家になったと思います。相当ほらを吹くことを覚えておる。もっと堅実なお話が伺えると思ったのですが、日本の生活水準をアメリカと比べたり、イギリスと比べたり、比べるのは自由でしょうが、比べるにしてはあまりに問題にならないところへ比べておると思うのです。及ばないと言っても、及ばないにも程度がある、足元にも及ばないというのが現状だろうと思う。労働賃金が安いということは問題にならないかもしれないが、それならばなぜ外務省が公式に日本の労働賃金は国際水準に比べてそう劣っておらない、賃金が安いが物価が安いのだ、その関係からいえばつり合いがとれているのだ、こういうようなことをきょう新聞に発表しているのですよ。問題にならなければことさらあらためてそういうことを表明する必要はないと思う。だからまだ新聞をごらんになっておらないならば、一つ控室にお帰りになったら新聞を読んで、あなたが労働賃金は安くないのだと言うなら、外務省の見解を改めさせたらいいし、あなたが答弁として低くないと言っているのなら、帰ってからそういうことは一つ反省して、あらためて経済計画の上に間違いのないようにやってもらいたいと思う。  そこで私が伺いたいのは、そういう金利が高いから安くするのだ、あるいは技術の点でこうするのだ、設備をこうするのだと何ぼ口先で言っていたって、から回りしてもだめなんです。もうすでに世界の各国はそれぞれのブロック経済を足場にして自由化をどんどん進めてきている。その中で日本はアジアにおいてどういう状態にあるか。日本は孤立しているじゃないですか。そうしてそれじゃ近代化が進んでいるのかといえば、近代化が進んでいるのは一部分であって、二重構造になっているのじゃないですか。中小企業なんかこのまま出したら、もうつぶされてしまうという状態に置かれているのじゃないですか。それならばその原因がやはり金利の問題であり、技術の問題であり、産業におけるいろいろなマイナスの点がはっきりしているのだということがここに明確になってきた以上は、自由化競争にたえていくためには、十二億くらいの外貨手持ちにのほほんとしているときではなくて、そういう本質的な問題に手を触れて、そうして金利を下げるにはどうする、ユーザンスはどうするのだ、こういうことを具体的に運ばなければ私はいけないと思う。もう目の前に来ておるのですから。ですからそういう関係をどうお運びになるのか、自由化の進め方はどういうふうにおやりになるのかということを、私は具体的にお聞きしたいのです。ところがあなたは金利が高いから安くしなければいけないと言うが、それじゃ市場ではどうか。国内市場では金利を上げようとしているじゃないですか。逆の方向じゃないですか。その点国際競争力にたえるようにするには、いろいろなファクターがあるでしょうが、まず金利が大きな問題です。金利の引き下げについてどういう具体的な運び方をお運びになるのか。ただ大蔵省に交渉するのじゃあまりに情けない話なんです。もっと具体的な内容を伺いたい。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 いろいろ御所論がございましたが、その中には私どもがもう超党派で推進しなければならないような問題もたくさん含まれておると考えますので、これは永井先生を初め社会党の皆様方にも政府自体の施策に一つ御協力を願いたい点がたくさんあると思います。金利の一点に集約いたしますならば、御承知の通り貿易金融につきましては特別優遇の措置を講じてあるのでありますが、しかしこれは狭い分野でありまして、何といたしましても関連産業や中小企業につながる金利というものを引き下げる必要があることは、先ほども私が申し述べた通りであります。幸い政府のあり方としても、日銀の公定歩合いを引き下げたものをまた引き上げに戻すような議論が出ているなら、これは慎重に押えていくことは永井先生も御承知の通りでありますが、ただ今日の金利体系を見てみますと、郵便貯金の金利、銀行の定期預金の金利ないし貸付信託の利益といいますか、金利などがあまりにかけ離れている。まず預金の金利も、これは税制とも関連をいたしますけれども、私は引き下げて参っていいのじゃないか、従ってまた株の配当につきましても、いろいろ増資を促進する面からいたしまして、税制とも関連するでありましょうが、配当率も適正なところに持っていくのがいいと思います。諸般の施策につきまして新聞などでも御承知の通り池田通産大臣も積極的に意見を発表いたしておりますので、やがてそれが政府全体にもまた金融市場にも反映いたしまして、少なくとも今おっしゃったような金利引き上げの空気は押えられております。引き下げの機運も醸成されて参ると思います。何にいたしましても、資本市場が貧弱であることは、これはわが国のやむを得ざる状態でありますので、今直ちに欧米並みに引き下げるということもできませんが、少なくとも欧米等にさや寄せしていく。たまたま欧米におきましてはむしろ金利引き上げの空気にあるが、私はわが国においてはまだまだ幅があるので、今直ちにそれに追随して引き上げる必要はない、かように考えております。幸い私は個人的でありますが、大蔵省や経済安定本部にもごやっかいになっておりますので、今申しましたような意見をも反映させ、永井先生の御督励をいただいて参りたい、かように考えます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私は自由化をするならば、独占企業の関係の製品をかえって国際市場の中で荒波にもませた方が、日本経済のあすの発展のためにはなるのではないか、こう思うのであります。たとえば国内における経済の動きの中で特徴的なのは、原料が高くて製品が安いということです。その原料はなぜ高いかというと、これは独占的な市場であるからであります。だからそういう原料を輸入してそうして一手にこれを取り扱って、国際価格よりはうんと高い価格で独占の利益をあげておる、こういうようなことが、第一次なり第二次産業のコスト高の一つの原因であり、中間にはさまって低賃金になっている原因だと思うのです。自由化に出すならばかえってこういう近代化された企業を出して、そうして消費者のことも考えて——もし日本の国内に消費組織がもっとできるならば、こんな高い価格で黙っていはしないと思うのですが、残念なことには消費関係の組織がないものですから、一方的に押しつけられた高い価格でこうやっているのですが、そういうふうな関係に手を染めていかなければならないと考えるのですが、その点はどうですか。しかしなお現在のような、政府のやっているような形でいくならば、これはやがては独禁法を改正して、あるいはもっと独占を強化する方向をとってくるのではないか、こう思うのですが、その関係はどうですか。独禁法に対するお考えもあわせてこの機会に伺っておきたい。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 最初のお尋ねに対しましては私はおおむね永井先生と同感であります。従いまして政府におきましてもその一つの例といたしまして、綿花などの繊維原料につきましては、これは今対ドル差別品目ではありません、十品目以外の一般品目でありますが、これらはなるべく早い機会に準備態制を整えながらAAに移すべく検討いたしておりますが、これらはただいまの御質問にこたえる一つの例であろうと考えます。  第二の独禁法あるいはカルテルの問題でありますが、これはこういう現象が現われております。先ほど来永井先生の御所論の中に欧州共同市場の問題が出てきておりますが、欧州共同市場はいろいろ問題があるのでありまして、その一つとして植民地を包含しておりますために、この植民地はおおむねアフリカにありますために、たとえば中南米とか東南アジア、中近東などは欧州共同市場から非常に不利益な待遇を受けるような形になっております。この問題につきましては共同市場の方が非常にあせっておりまして、これが対応策としては、一つは経済協力等を強化して、そうして共同市場圏外の後進国もつっていこうということと、もう一つは、一つの輸出カルテルのような組織を強化をいたしまして対処をしようという傾向がありますので、このような傾向に対しましては、わが国といたしましても、たとえばある場合には輸出入取引法のようなものを先般国会に出しまして、必ずしも有終の美はおさめませんでしたが、あらためて検討をしなければならないような問題も、この面からは起こっていると私は考えます。国内問題としての独禁法の強化の問題につきましては、幸い公正取引委員会というような、その政策を維持している機関もありますので、通産省はいつもそのけんか相手になっておるのでありますが、これらの公正な機関とも十分打ち合わせ、また産業界の実態を見ながら、国民生活全体の生活水準を引き上げるために便利であり、しかもまた国の産業の基盤を強くするという、両方の面から満足されるような方向で解決されていくよりほかないと考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 ちょっと法律改正の問題が出たからお伺いいたしますが、貿易自由化に伴う法律改正は何と何をお考えになっているか伺いたいと思います。輸出入取引法あるいは外資法とか、いろいろ関連の法律関係があろうと思います。また自由化に対する政府の心組みによって、その深さも広さも変わってこようと思うのでありますが、来年の通常国会にどういう法律改正を用意しているか。それからそれに伴う影響とを、一つここで概要でよろしいから伺わしていただきたい。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 自由化を推し進めて参りますと、私はまず今の外貨予算制度というものの形が変わって参ると思います。従ってそれの根拠をなしておりますところの外国為替及び外国貿易管理法というようなものは、当然私は改正せざるを得ないと思います。これは外貨予算制度の面ばかりでなしに、今の日本の外国為替管理制度、あるいは貿易管理制度というものは、私が自由な国会人として見て参りました場合に、あのやり方は原則禁止、例外許可、というようなやり方で、原則的には何もいかぬ、例外的には個々の行政官が——ここにも局長や課長がいて恐縮でありますが、それらの人が例外を押えておるということで、国民はだれもわからぬというような貿易の基礎をなしておりましたので、ぜひ為替管理法、貿易管理法というものに手をつけたいと考えます。それにつきましては、新聞などでもちょいちょい報道されておりますけれども、関係各省並びに民間のヴェテランをも加えました貿易為替制度改正専門委員会でありましたか、そういうものはもう数十回の会合を重ねまして、改正の要目を検討いたしております。なおただいま永井委員のお言葉の中にもありましたが、外資法の問題につきましても、一体この外資法というものが日本の技術水準引き上げに役に立っておるか、あるいは日本の産業基盤の強化を阻害しておるのか、いろいろいい面と悪い面がありまして、かえってあれがあるために日本の産業合理化をおくらしたり、また国際的信用の面からプラスにはならない面もあります。運用上にも幾多の疑義がありますので、これをも今の為替貿易管理法とともに、改正をすることが当然起こって参りますので、これも今の専門委員会に持ち込みまして、検討を重ねております。  なお昨年この前の国会で失敗いたしました輸出入取引法の問題につきましても、これは国民生活やあるいは個々の企業に不便をかけるという趣旨ではなしに、先ほど申し述べました趣旨のもとに検討いたしまして、もう一度各位に御相談をいたすことに相なるのではないかと考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 為替管理法の改正については、漏れ承るところによると、輸入の担保率を引き上げるのだ、引き上げなければならないというような話が伝わっておるわけであります。もしその担保率を引き上げるということになれば、これは中小企業の関係には非常な打撃だと思うのです。大体為替管理法の改正の、いろいろまだまとまったものではないでしょうが、一つの作業過程であるにいたしましても、どういうふうに大体お考えになっているか、その概観を伺わしていただきたいと思います。  もう一つは輸出入取引法では、輸出と輸入のサイドからサイドヘの双務協定的なもの、あるいは振興カルテルのようなもの、そういうような構想を持っているかどうか。相当競争が激化してくるでありましょうし、あるいは買手市場関係のものは安くなるが、稀少物資関係は値上がりする。いろいろな関係も出て参るでありましょう。そういう関係も含めてどういう構想を持っておいでか、それをお伺いしたい。それから外資法の改正では、自由化になれば村当外資が入ってきて、日本の低賃金をフルに活用するというような事態が出てくるのではないかと思いますが、従来ですと業種によって外資導入をチェックするところがあったのですが、今度は改正をいたしますと、なかなかそういうことが困難になってくる。何が国内の産業に刺激を与えるか、与えないかというような、そういう関係が明確にチェックできなくなる。その関係をどうするのか。自由化に伴う法律改正一般の中で、一つその考え方をはっきりしてもらいたい。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 AA制の拡大ないしは自由化の拡大に伴いまして、一部新聞では、憶測記事だと思いますが、今お話の担保率の引き上げを政府が考究しておるやに伝えられたようでありますが、私はそうは聞いていないのでありまして、自由化の拡大はいたしましても、それを今度は担保率の引き上げにいって、実質的にチェックするということは、政府はただいま考えていない、こう聞かされておるのであります。もしそうでなければ役所の局長以下が政務次官にうそを言ったことになりますので、通商局の次長からそれをはっきりただしたいと思います。  輸出入取引法の関係につきましては、御承知のように先般独禁法の改正ないし輸出入取引法の改正を国会に持ち込みまして失敗をいたしました。私などもいろいろの観点から論じた方でありますので、今あの点この点をいろいろ取り上げて研究の最中であります。たとえば輸出振興カルテルの問題をどうするかというようなことも結論を得ておりません。いずれ通常国会までに具体的な結論に達したいと考えておりますので、この点の御説明は保留させていただきます。外資法のことにつきましても、ここに専門家がおります。幸いさっきの専門委員会の委員に入っておりますので、通商局の次長から答弁をいたさせます。

倉八正通商産業事務官(通商局次長)

○倉八説明員 お答えいたします。担保率を高率に引き上げまして輸入抑制に当てたいということが、三、四日前の新聞に出ておったのでありますが、あれは誤まりでありまして、今考えておりますのは為替管理法を改正する場合、将来なるべくAAにしたり、割当にしたりするような制度の改変は避けたい、そういう意味で非常に輸入が増大するおそれがある場合は、金融調整をその一環として進めていきたいという考え方が、担保率の引き上げというふうに誤伝されまして、非常に混乱を起こしておることは申しわけない次第であります。  それから取引法の振興カルテルの問題でありますが、この問題については今政務次官から申し上げた通りでありまして、われわれといたしましてはいろいろの角度から検討中でございます。それから外資法と為替管理法の一本化の問題というのが論じられておりますが、これの一番大きい問題と申しますものは、今の外資法が積極的条件のみを掲げて、たとえて申し上げますと国民経済の振興に寄与するとか、あるいは輸出貿易の伸張に貢献する、こういう積極的な条件を掲げておるのが外資法の建前でありますが、もしも外資法を改正する場合は、これを逆にしまして、日本経済に影響を与えないとか、あるいは日本の技術水準の向上に悪影響を与えない、こういう書き方にしてはどうかということを検討中でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 時間がありませんから、最後に二つくらいお伺いしておきます。一つは、やはり国際的な情勢として、ブロック経済が不可避の条件で進んで参ろうと思います。その場合、アジアにおける日本の立場から見て、これはどうしたって、アジアにおけるブロック経済を考えていかなければならないのではないか。アジアにおけるブロック経済を考えた場合は、何としても、日中貿易の改善という一つの転換を策さなければ、今日のような状態では、日本の国が、それぞれの地域におけるブロック経済に対して、孤立して戦ったって、戦えっこない。それからヨーロッパの共同市場は、相当の基金を持って、東南アジアから中近東へどんどん今度は進出してくるだろうと思う。ブロック内の調整ができたら、その金はどんどんこちらの方へ進出してくるだろうと思う。日本がアメリカの経済を背景にして、東南アジアから、これはアメリカのひもつきの資金だろうというので、警戒されるような今日のような進出の仕方は、とうていヨーロッパ共同市場との競争には耐えていけるものではない、こう思うのです。この点をどうしたって、一つ国際的には推進しなければならないと思います。内田政務次官は、政務次官ではあるが、通産大臣とともに、経済、財政、金融の権威として、相当政界では高く評価さるべき存在だと思う。一つ政務次官という立場でなくて、政治家としての見識において抱負を聞きたいと思います。

内田常雄自由民主党通商産業政務次官

○内田(常)政府委員 私見を申し述べますと、中共には六億の人口がありますし、また、地理的にも歴史的にも、接触をいたしておりますので、私のみならず、女、子供といえども、私は、中共というものに無関心でないということが、政治的にも経済的にも、今日の実情であろうと思います。がしかし、国際連合あるいは今日の日本が自由主義諸国と協調いたしております関係上、政経分離の政策をとっておりますことは御承知の通りでありまして、遺憾ながら、中共が政経分離のわが方の立場に乗ってこないというような状態にありますので、現在といたしましては、中共貿易の進めようがありませんが、さきに申し述べましたような基礎的の状態を、私どもは常に頭に置いておるところであります。また、欧州共同市場等が結成をされましたが、初めに述べましたように、中近東、東南アジア、中南米等は、アフリカなどの共同市場に含まれる国の植民地と違いまして、共同市場からはずされておりますので、いわばわが国に開かれた、非常に大きなチャンスであると私は考えますが、先方は、その穴埋めに経済協力を推進して参っておりますので、私どもは、常に右に申し述べましたような後進地域に対しては、これは相当思い切った経済協力を進める以外に、わが国の貿易を伸ばす道がないというようなことで、明年度の予算等におきましても、いろいろ制約はありましょうが、経済協力の機構につきまして、思い切った構想を、大蔵省等に対して述べておるのであります。これらの経済協力とあわせまして、ブロック地域外の諸国と、わが国はブロックを結ぶ。昔の大東亜共栄圏の思想ではありませんけれども、大いに有無相通じていくことが、今後の日本経済の拡大の方向であると考えます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 最後に、政府は新聞宣伝で、盛んに自由化々々々と言って、いかにも自由化に踏み切って、大いにやるような格好をしているのですが、私は、口先だけで、ほんとうは自由化をやる意思がない、こう見ているのです。ほんとうに自由化をやる意思ならば、国内の諸態勢をもう少し真剣に取っ組んでいかなければ、自由化なんかできっこない。今言ったように、大豆を出します、ラードを出します、何何を出します、こう言ったって、ほんとうにやる気がないから、ずるずるとやったような格好をしながら、国際的な関係に言いわけをしながら、実際は国内の諸態勢を整備する裏づけを、まだ真剣に用意できる態勢ができていないのか、ほおかぶりするものですから、国際的な荒波を直接なにしたら、これは経済的にいえば、名古屋や何かの高潮どころでない、非常な経済の被害を受けそうだというので、口先だけでやっておる、本気の自由化の方向をとっていないと思う。そこに私はやはり重大な問題があると思います。国際的には自由化の方向がどんどん進んでいく、そうすると、国内をごまかすために、世間体をごまかすために、自由化だ自由化だと口先だけでやっておって、一つも自由化に対応する国内の産業諸態勢、経済態勢が進まない。そしてもうのっぴきならなくなって、堤防がくずれて、高潮で洗われるときはがたがたと参るときがくるのではないか。やはりこの自然現象としての高波というものは、経済を担当する者は、今のこういう動きの中で峻厳に反省して対処していかなければならないと思う。そういう点を、自由化のためにただ国内の法律をちょこちょこといじったり、あるいは作文をして抽象的なものを発表したのでは、経済が動かないのでありますから、本気に自由化をやるならば、やるような態勢を整えるべきだ。そしてそれをやるためには、中小企業をどうするのか、日本の農村をどうするのか、あるいは二重構造をどういうふうにするのかという基本的な態度を決定して、それで進むのでなければ、口先だけでは動きません。その意味において、せっかく池田通産大臣、内田政務次官という優秀な俊敏な政治家をその局に迎えているわけでありますが、この人にしても、保守党の内閣では、五十歩百歩で、くその役にも立たないのだということなら、ほんとうに世間から保守党は見限られますから、保守党の中でも、この二人の優秀な材がそろえば、これだけのことはやり遂げられるのだという、一つの実績を上げるようにがんばっていただきたい。

中村幸八自由民主党

○中村委員長 次は園田直君。

園田直自由民主党

○園田委員 山間僻地の電気導入について通産当局に質問いたします。戦後、政府は農山漁村電気導入促進法あるいは離島振興法等を制定して、山間僻地あるいは離島に対して電気導入の助成を行ない、無灯火部落が逐次減少していることはけっこうであります。ところが、その後施設の際の負担やあるいはその後の経営方法等、電力法または供給規程の不備なために、政府の恩恵によってつけた電力というものの経費の負担のために、かえって農山漁村あるいは開拓団等が非常に困っている事実があります。一例を熊本県の例にとりますと、九州電力が配電施設をしておりますが、九州電力は、山間僻地に一戸当り施設費が五万円以上かかるような場所には、施設線の一端に責任の限界点を設けて、その地点で計量売電をやっております。従って、施設をする部落は、いろいろな借入金あるいは地元負担金によって膨大な金を出して、みずから施設を行ない、そうしてその後限界点で電灯会社から電力を買っておる。そのために、非常におくれておる山間僻地あるいは非常に財政上乏しい開拓団あるいは漁村、こういうものが、電灯はつけたが、その経費のために、よその一般の文化の恩典に浴しているところよりも三倍ないし四倍も電灯料を払わなければならぬ。従って、電灯線は引っぱったが、その土地の開発のために電力を伸ばすということよりも、むしろようやくつけた照明用の電灯さえも維持が困難であって、しかも農山漁村の財政がそのために破綻を来たしているという実情が所々に見えております。そこで一例を熊本県の御所浦という村にとりますと、これは漁村で小さな加工業をやっておりますから、電力は相当必要でありますけれども、それが全然使われてない。そのために直接九電と折衝して、電灯会社というものは公益事業だから会社の営利ばかり考えないで、そういうことに対する一つの配慮をして、電灯料の値下げなり、あるいは既設線から端の山間僻地に配電する施設を買い上げて、そうして九電の方で経営してはどうだ、こういうことを折衝しますと、会社の方でもいろいろ事情を了解して、そういうものをやろうとするが、なかなかいろいろな点で縛られて、会社独自ではできない、こういうことになっております。そこでその村と九電の方の契約を見ると、契約の第一条には、組合の施設は現在及び将来有償、無償のいかんを問わず、会社は引き受けないと明記してある。それから料金のことも一応縛られてある。こういうわけで、会社としても公益事業というものを認識して、そうして会社としての経営上からいえば、ごくわずかなものであるから何とかしてやりたい、こういう気持はあるができないという実情がございます。そこで今までそういう山間僻地、漁村等で電灯をつけたところで、施設の減価償却を行なっている組合は全然ございません。熊本県の一例をとると、県内では十一の組合があって、総戸数一千七百七十三戸が現在やっておるが、これはどこも減価償却を行なっていない。それから施設の補修費というものは施設後七カ年を経過した御所浦村一カ村だけは計上しておるが、あとは維持費に追われて全然計上してない、こういうことで非常に困っておる。一例をとると精米、製材等は農村の非常に大事な業でありますが、こういう小口電力を使用する場合に、直接受けておる土地では、一キロワット当たり五円四十銭、ところがそういう場所になると、三倍から四倍近い電灯料金を払っております。そこでこういうことでは、おくれたしかも文化の恩恵に浴しない住民に、特に政府が補助してやって力をかして、そして文化の恩恵を平等に受けるようにやったという考え方が、かえって住民が財政上の負担で困る、しかもそれは電灯の維持さえできないばかりでなく、小さい農村、漁村では村の財政維持が困難になってきている。こういう実情から考えて、ぜひ一つ政府としては電灯会社に対する指導、また行政措置等、いろいろな検討によってこういうことを改正して、そしてほんとうに電気導入をしてやった、無灯火村でなくなった、村に照明ができたばかりか、進んでそういう村が電力によって開発され、そして豊かな土地になるようにぜひやってもらいたい。そこで、それがためにはまず電力法あるいは供給規程等、それの妨害になる点は検討していただいて、そして電力会社とそれから両組合との契約のいかんにかかわらず、所有する施設を組合債務の残額以上の金額をもって会社が引き受けようとするなら引き受けられるような道を講じてやるとか、あるいは組合に対する売電料金を現行の半額以下に下げてやるとか、何らかそういういろいろな行政措置をせられると同時に、会社に対しても進んでそういう指導をやってもらいたい。聞くところによると、この要望にこたえて当局でも検討中だということを聞いているが、はたして検討されているのかどうか、検討されているとするならば、具体的にどういうような方法で、こういう困った人々を救済しようとしているのか、しかもそれは非常に早急な問題であるし、全国的な問題でありますから、いつごろからおやりになるのか、こういう点について御答弁を願いたいと思います。

須賀井敏行通商産業事務官(公益事業局次長)

○須賀井説明員 本来電力会社はいかなるところにも自分で供給しなければならないわけでございますが、実際問題としましては、非常な山奥とか等につきましては、ただいまお話のように共同で施設を作っていただいて、一括してお送りしている、そういうケースがございまして、この場合には非常に高い電気になっていることも承知しているわけであります。ただ現在の供給規程によりますと、今お話のような方法が一応認められておりまして、九州電力のケースによりましても一応規程に従ってやっているということになっているわけでございます。ただ、今申しましたように実際問題としては需用家の方に非常に高い電気を使っていただいておって、非常に御迷惑をかけているというふうに考えますので、今後の問題としましては、その供給規程の方も改正しまして、そういった場合にも現在よりか安い料金でお送りできるような供給規程にしたい、こう考えておりますが、これは今後の問題になりますので、当面の問題としましては、今お話のようないろいろな方法があると思いますが、可能な方法としては、現在一括買っていただいている電気料金を安くするように、何とか特約のようなものをいたしまして、そして供給規程の例外的な料金でお送りするという方法で、電力会社については指導したい、そういうふうに考えている次第であります。

園田直自由民主党

○園田委員 けっこうでございますが、さらにお願いしておきたいことは、とりあえずの措置として電灯料金の引き下げをやる、これはけっこうです。そしてそれをされた上、さらに早急の時期にいろいろな検討をされて、そして電力法あるいは供給規程は、ややもすると電力会社を主たる対象にして考えられている。従って特殊なケースについては今までは対象として考えられていないのじゃないか。ことにこういう特殊ケースはごくわずかですから、電力会社の経済にはそう響かない。従ってこういうものを対象にして点灯開始を願いたい。なお地元ではとりあえず電灯料金引き下げをしてもらえば当面の問題を切り抜けて、そして点灯されたならば引き続いてそれぞれ電灯会社と折衝する準備をしておりますので、早急にそういうふうにお願いしたいということを申し添えまして、私の質問を終わります。      ————◇—————

中村幸八自由民主党

○中村委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  去る十四日、社会労働委員会に付託となりました炭鉱離職者臨時措置法案  (内閣提出第三一号)は、本委員会の所管とも関係の深い法律案でありますので、社会労働委員会に連合審査会の開会を申し入れることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村幸八自由民主党

○中村委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。  なお、日時等につきましては、社会労働委員長と協議の上、決定いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会

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