社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/11/27
会議録
○永山委員長 これより会議を開きます。 炭鉱離職者臨時措置法案を議題とし、審議を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 根本的な石炭対策については、特に委員長にお願いをして、来週早々にでも通産大臣を少なくとも一日この委員会にとるようにお願いをしたいと思うのです。その上で根本的な政策については池田通産大臣にお尋ねしたいと思うのです。そこできょうは時間を節約する意味で、特に炭鉱離職者臨時措置法案そのものに直接関係しておる事項を少しこまかいところまで入りながら、労働大臣にお尋ねしたいと思う。同時に、この法案に盛られております援護会に関することが、整備事業団とも関連がありますので、それらの点については樋詰局長の方にもお尋ねしたいと思います。 この法案に関連してまず第一にお尋ねをいたしたいのは、炭鉱離職者というのは一体何かという点です。その定義みたいなものは、この法案の二条に書いてございます。ところが、どうもこれだけではわかりかねることがあるわけです。そこでまず大臣の方から、炭鉱離職者とは一体何か、その定義、限界、範囲と申しますか、こういうところを一つ御説明を願いたいと思う。
○松野国務大臣 この法律で炭鉱離職者を対象にいたしておりますのは、炭鉱に一定期間勤務しておった者、そうしてなおかつその炭鉱地帯に居住しておる者、就職について対策の必要のある者を対象にしておるわけであります。厳格に申しますと、そういう前提のもとに要対策者を一応対象としておるわけであります。もちろん個人々々の異同性もございますので、お前はいけない、お前はいいんだと個々に審査するよりも、そういう条件を備えた者を対象とするということに運営をいたしたいというのであります。いろいろな文句が書いてありますけれども、一番大筋のところはそういう趣旨で、きめました内容は、大体事業団の発足の期日以後に炭鉱に勤務しておった者、しかもある一定期間勤務しておった者、今日もなお炭鉱地帯に居住しておる者、そうしてその対策の必要な者というのをまず対象に取り上げるべきだというのがこの措置の範囲でございます。
○滝井委員 そうしますと、概括的に申しますと、まず一定期間炭鉱というものに働いておらなければいかぬ。しかもその人が今度は炭鉱をやめて、要失業対策と申しますか、とにかく仕事を何らかの形で与える対策が必要であり、しかもその人が炭鉱というその地帯に居住をしておるという三つの条件があることになるわけです。そうしますと、この第二条の関係と二十三条の関係——この二十三条を見てみますと、非常にこれは範囲が狭められることになる。二十三条で「炭鉱労働者及び炭鉱離職者が多数居住する地域からその他の地域に移住する炭鉱離職者」ということになりまして、この離職者の対策で、炭鉱離職者として対策の対象になる者は、なるほど三つの条件を備えておっても、炭鉱以外のところに行く者以外は炭鉱離職者とは言えないという形が結果的には出てくるわけです。二十三条から見ると、たとえば一番大事な移住資金というようなものは、私はこの法案のいわば龍を書いた眼に当たると思う。画龍点睛に当たると思うのです。ところがその眼に当たるところで、なるほど定義は今松野労働大臣が言われた三つの条件がありますが、さて一番大事なこの法案の眼を適用することになると、ぐっとそこで離職者が狭められる、こういう形が出てくるように感じるのですが、この点はどう思いますか。
○松野国務大臣 二十三条と二条との間には確かに相違点がございます。その相違点は、臨時措置法総体的におけるものと、援護会がやりますものと二つがございます。一つは緊急就労、あるいは政府の行なってあります職業訓練というものは、援護会では実施いたしません。従ってそういうものについては総体的にこの法案のすべての網をかぶるわけであります。その中で特に非常に条件の悪い、しかも炭鉱労務者の特殊性をどうしても配慮しなければ一般レベルにいかないという、ある程度のかさ上げを援護会がするという意味で、全部に及ぶものと及ばないものと二種類あることは、内容そのものが、個々になるべくあらゆる条件の方を想定してやりましたので、個々の条件によって違う、従って対策も違うという意味であります。
○滝井委員 そうしますと、結局この法案は、炭鉱離職者というその文字は同じでも、その離職者の中に、この法律によってたとえば職業紹介とか臨時就労対策というようなものについては、これはいわゆる広義の離職者というものが出てくる。しかし援護会の特に大事な移住資金というようなものについては非常に狭い離職者ということに限られる、こういう今の松野労働大臣の説明ではっきりしてくるのですが、そういう形に理解して差しつかえないですね。
○松野国務大臣 個々に人を二種類に分けるわけでありません。こういう条件の人、あるいはこういう手当をいたしますという条件と、就業の方法と場所によって差をつけるわけで、あなたはこちらへ、こちらへは入れませんと個々の方に条件をつけるという意味ではありません。遠隔地に居住をされる方には、住居の問題あるいは今後の生活の問題というのがございますから、そういうハンディキャップを平均にある程度御援助するという意味でありまして、おのずから居住先あるいは移転先によってその援護の方法が違う、こういう意味であって、人々に私たちは差別をつけるという趣旨からではありません。その就業の困難さの度合いに応じて、その遠隔地における旅費、日当も違いましょうから、旅費、日当の計算も変えるとか、あるいは県内の居住者の方は、住居も遠隔地よりももっと探しいいから、居住移転料に差をつけるとかいう趣旨のものであります。そこにおられて当然公共事業あるいは緊急就労に就業される方は、住居問題は一応その期間はございませんから、従って住居移転料はその期間は差し上げない、こういう意味のものであります。
○滝井委員 そういうお説も成り立つと思いますが、一人の労働者と他の労働者と二人あるとすれば、その適用された結果を見ると、結局そういう二種類のものになることは確実なのですね。その問題はまたあとでそこのところで少し出て参りますが、そうしますと、今炭鉱離職者というものは三つの柱によってそのワクがきまってきます。そこでわれわれが炭鉱の離職者問題を論ずる場合に、たとえばこの二条に「選炭その他の作業に従事する労働者」という項目があるわけですが、「その他の作業に従事する労働者」というのは一体どういうものなのかという点です。われわれが炭鉱の失業問題を論ずる場合においては、労働大臣御存じの通り、一つの炭鉱というものがぱったり火が消えたように閉山になるということは、同時にその炭鉱労働に関連をする一切の労働者というものが失業することを意味するわけです。そうしますと、直接炭鉱の仕事にはついていなかった、しかしそれに密接不可分に結びついて興っておった事業の労働者はこの法律の恩典に浴さない、こういう部面が出てくるわけです。従って「その他の作業に従事する」というのは、私の解釈はおそらく炭鉱に関連をする事業だと思うのですが、そうしますと、そのような第二の関連する産業の労働者は一体どうしてくれるのだという問題が残ってくるわけです。そこでまず「その他の作業に従事する」というのは一体どういう範囲のものか。そうして第二の関連産業の労働者対策は一体どういうふうになるか、この点について伺いたい。
○百田政府委員 この「選炭その他の作業に従事する労働者」というのは、石炭またはこれに付属するその他の作業でありまして、選炭、排水、通気等に従事する労働者になっております。それ以外の者、たとえば炭鉱があるためにそれを当てにして商売をしているとかいろいろな形が出てくると思いますけれども、それらの人につきましては、その人が失業状態になるということであれば、もちろん一般的な失業対策の対象となりますけれども、特に炭鉱離職者の場合には、炭鉱離職者なるがゆえに、特殊なそうした作業環境なり労働をしておったために、将来再就職が非常に困難であるという特殊事情からこの特別の法律を作ったものでございますので、特に炭鉱労働者をこれに限ったわけであります。
○滝井委員 そうしますと、結局この第二条の第一項の「その他の作業に従事する労働者」というのは、結局間接夫、こういうことになるわけです。広義の間接夫ですね。この二条の意味はわかりました。 そうしますと、関連作業の失業者というものは一体炭鉱労働者と本質的にどこが違うのだ、こういうことなのです。これは同じ石炭を掘っておる人あるいは掘らなかった人、間接夫まで入ってくる。しかし密接不可分にそれに結びついておる労働者というのはたくさんあるわけです。そこでお尋ねしますが、一体日本には石炭産業の関連労働者というのはどの程度あるのか、それでその扶養家族というのはどの程度なのか。
○百田政府委員 これに関連するものは三百万とか、いろいろいわれておるそうでありますが、どの程度まで関連とするかというようなことでも違って参りますので、正確な資料は現在のところございません。
○滝井委員 松野労働大臣、これは大へんなことだと思うのです。御存じの通り、炭鉱が閉山になると、町ぐるみ、村ぐるみ不況のどん底に陥るわけです。従ってそこにおる石炭労務者たちの対策を講じて、あとは一般失対においでなさい、こういうことでは、その政策というものは非常に大きな欠陥を持っておることになるわけですね。そうすると、それについては一体政府はどうしてくれるのか、こうなるわけです。これは明らかに石炭で食っておったのです。一定の期間なるほど石炭産業には勤務していなかった。しかし要対策であることは確実だし、しかも石炭地帯に住んでおるということも確実だということになると、石炭産業に勤務していなかったけれども、その人たちがいなければ石炭産業もやっていけなかったという、こういう人なのです。だからこれは明らかに石炭産業に非常に貢献をしておる人なのです。そういう人々についてはこの法案というものは何らあたたかい手を施さぬということになると、これは片手落ちになるという感じがするのです。労働大臣、この対策については、何らかの具体的な対策をお考えになっていただかないと、私大へんなことになると思うのです。
○松野国務大臣 滝井委員のおっしゃることは相当広範囲であります。かりにいうならば、大牟田というところは人口が三十万近くあるかと思います。その大牟田全部がそれじゃ関連か、こういう解釈になると、これは何百万という数字になりましょう。従ってその中にどういう種類があるか、いろいろございましょうが、今回特に私の方でやりましたことは、要するにそういうことよりも、基本的に石炭業者及び石炭のエネルギー対策すべてを立てながら、石炭そのものの復興ということを第一にエネルギー対策で立てたい、その中核的に、今日緊急を要する離職者というのはやはりその町にも大きな影響がございますから、従ってここに緊急就労という事業を起こしたい、また失対事業等、既存のものももちろん併用しながらこれを起こしたい、ある地方には鉄道建設も起こしたい、なるべくその町に、ある意味においては事業でつなぐ。もう一つは、この石炭の労務者の特殊性というものをお考えいただきたい。関連産業としてあるいは八百屋さんもございましょう、あるいは理髪屋さんもその町におる以上は関連だと広義には言えましょうが、この方たちは就労と転業の道は石炭労務者とはおのずから違う。しかも石炭労務者には炭鉱住宅という、ある程度今日までの基本的な条件が他の産業の方と異なっておるという意味において、石炭離職者というものは他の産業への転換の道が過去においても非常に少なかったということから今回職業訓練を及ぼし、緊急就労を行ない、あるいは援護会によって援護の道を開くというのでありまして、それは一般的になれば、日本国中すべて石炭産業に関係があるかといえば、大なり小なり石炭産業に関係あるものは相当多数ございましょう。ただ石炭業の労務者という特殊性に応じて、その基本をここに置くという対策をまず立てたいという趣旨から出たわけでありまして、その本質からいうならば、私はそういう意味からこの法案を取り上げていけば妥当であろう、こう考えております。
○滝井委員 私は大臣の言うのはよくわかるのです。まず炭鉱離職者に対して最優先的に離職者対策を講ずる、石炭産業そのものの危機を打開してこれを復興させなければならぬ、そして炭鉱労働者というのは非常に特殊な生活条件なり労働条件のもとにあるんだから、しかも住居等も特別な状態だからという点については、私よくわかるのです。しかし私が関連産業といっても、電力まで救えとはいわない。ガスまで救えというわけではない。これはお互いに客観的に、冷静に炭鉱地帯の状態を見れば、どのくらいまでに援護の手を伸ばすかということは、常識的にわかってくるわけです。そういう点で、これは第一次的には石炭の離職者を重点に置いてやっていく、しかしたとえば次の通常国会あたりの予算措置その他については、こういう第二次的なものについてもある程度考えていく、こういう政策が出てこないと、これは大へんなことになると思うのです。そういう点を私は指摘しておるわけで、何か炭鉱地帯は炭鉱の離職者の問題だけ片づけたら問題は終わったという錯覚を起こされたら大へんだという意味なんです。だから、私は今はこれでもいいと思う。しかしだんだん合理化政策が進んで、三百三十万トンがさらに四百二十万トンになり、さらにまた二百万トンもふやして五、六百万トンも買い上げるという状態になってくると、これはなかなか大問題だと思うのです。そういう点で、関連産業の失業者についても、やはり何か重点的な政策を、この離職者臨時措置法と関連して次に手を打つ必要があるのではないかということなんですね。
○松野国務大臣 滝井委員のおっしゃることは私もわからぬわけじゃありません。かりにいえば、その地方にある運送業者というのは関連が非常にある、運送業者は石炭がつぶれれば運送荷物はなくなるじゃないか、これについても何らかの手を打て、こういう程度のところがおそらく関連の一番身近なものだろう。あるいは物資部というものがあって、集団的に物資を供給しておった、しかしそれがなくなったためにこれをどうするか、これは確かにおっしゃるように関連の一番卑近な例だろうと思います。従って私の方の今後の問題といたしましては、輸送その他の問題は職業あっせんをしながら、その地方に運送会社を別に作らせる。大きな、大牟田あたりは今回は主としてそういう方向で、別会社によって運送業者を作っていく、あるいは炭鉱にばかりたよっておったものを、今後は広域な運送業をみずから営むという方向に指導するとか、いろいろ今後の問題はありましょうが、直接に政府が手をつけたいというのは、さしあたり一番緊急な、非常に困っておるという地方にまず手をつけるのでありまして、すべての問題については放置していいのだとは言いません。まずここで手をつけて今後の対策を見ていただきたい。これは緊急なことであります。従って、そういう意味でまずここに手をつける。将来どうするか。将来はもちろんその実情に応じて、必要ならば別な対策を立てなければならぬということは承知しておりますけれども、政府がやること、民間独自がやることにお手伝いすること、あるいは炭鉱会社そのものがある程度そういう職業あっせんをみずから希望退職者に与えるという向きもございますので、政府が直接やるのには、もう少し推移と経緯と内容を見ても、こういう緊急のものとは多少違うのじゃなかろうか。しかし滝井委員のおっしゃる気持は私もわかるのであります。私も同じような考えで心配しておるわけであります。しかしこの法律に入れるとなると、多少ぼけてしまう。そのために炭鉱労務者に対して緊急な対策がややもするとおくれるというならば、これはかえって本末転倒じゃなかろうか、こういう心配もございますので、さしあたり一番緊急なものから今回取り上げさせていただきたい。その後において関連的なものがいずれ関連として出てくるならば、それは労働省が黙っているわけには参りませんので、炭鉱業者の方にもあっせんを依頼する。それには政府みずからも職業をあっせんすることが当然私たちの次の仕事じゃなかろうか。それを言うわけで、さしあたり緊急のものを先に取り上げるという局限をしたという意味でございまして、今後の問題は私どもわからぬわけではございません。
○滝井委員 政策は断片的より総合的な政策の立て方というものが私は常道だと思います。そういう意味で、今私は非常に遺憾に思ったのは、一体関連産業というものはどの程度あるか。それはもちろん電力からガスまで広く日本全国、石炭の関連でないものはない、基礎産業ですから。しかし今問題は、たとえば筑豊炭田とか、あるいは常磐とかいうようなところに集中的にいわゆる炭鉱の危機というものが現われておるわけです。従って、それらの地域を限って、今大臣の言われたような運送業とか物資部というようなものについて、石炭山が閉鎖することによって急激に出てくるであろう失業者というものは一体どの程度おるのか。これについては法律で書けばぼやけるが、予算的な措置で、三十四年度については大体この程度のものが出るのだから、こういう対策を講ずるということが、当然石炭離職者に関連して総合的な失業対策として考えられておらなければならぬ問題だと私は思うのです。私はそういう意味のことを言っておるわけです。そういう意味で三百万だと言って——七十万ぐらいだという説もあるけれども、これはおたくでもある程度のデータと申しますか、調査をやっておると思いますが、おたくがやっておらなければ石炭局の方でおやりになっているか、どっちかがやっておらなければうそだと思うのです。そうしないと、これは対策が立たぬと思うのですが、どうですか。
○樋詰政府委員 関連する産業の失業者がどうなるかというようなことにつきましては、まだ調査は進んでおりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、われわれといたしましては、先ほど労働大臣が詳しく申し上げられたので、つけ加えて言う必要もないのでありますが、炭鉱労働者が特殊な炭住地帯に密集しておって、ほかに特別な技能がないということから、一般の失業者に比べても非常に転業が困難であるというような特殊事情を考慮して、特に緊急に対策の必要があるのじゃないかということで取り上げたわけでございますので、今後石炭の合理化がどういうふうな格好で進んで参りますか、その進展に応じていろいろ今後の所要の措置というものは万全を期さなければならないと存じますので、今滝井委員のお話の点等につきましても各省の間で十分に調査いたしまして、できるだけの措置をするように検討を進めていきたいと思います。
○滝井委員 どうも今のような答弁では、関連産業の失業者は栄養失調になってしまうのです、同じ環境の中にあるのですから。だからこういう点、もう少し政府は積極的に——そう広範な関連産業じゃなくて、閉山された山と結びついて直接その地域で生活をしておる人がおるわけです。だからさいぜん大臣が三つの離職者の条件を掲げられましたが、その中で、その地域に居住しておる要対策者、こういうふうに限ってきますと、非常に限局されてくるわけです。それらの者の把握がなくして職業紹介の計画なんということは立たぬことになるわけです。で、そういう点も、この法律が通ったあと、来年度予算編成を終わって通常国会で三十五年度予算が編成、審議をせられるころまでには、そういうところまで一応の資料をお集めになって対策をお考えになることを要望しておきます。 次は、炭鉱離職者の中には、今の三つの条件に当てはまるが、たとえば著しく職業が不安定であるということですね。すなわち失業と同じような状態であるという状態ですね。これは日雇いがこういう状態に入りますでしょうか。
○住説明員 職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態というのは、若干収入があってもその者の就業が著しく不安定である。それで日雇いにつきましては、その日の就業それ自体が不安定な者もございましょうし、常用的な日雇いもございますので、その日その日の就業が不安定な者については、これに該当すると思いますが、常用的な日雇いにつきましては該当しない場合も出てくるんじゃなかろうかと思います。要するに実態によって判定をするというように考えております。
○滝井委員 だからこれは非常に微妙なところにくるわけです。御存じの通り日本には九人に一人の割合で低所得階層がおるわけであります。厚生白書では千百十三万人、二百四十六万世帯といわれております。その内容を分析してみますと、三割は零細農です。一割は自営業者です。二割はここにいう不安定な雇用関係にある者です。日雇いとか家内労働者、こういう者です。そうしますと、二割が不安定な家内労働に従事をし、日雇いに従事をするということになると、あなたのおっしゃるように常用的な者はどのくらいの数あるか知らぬけれども、日々雇い入れられておる者がやはり多いのです。そうしますと、炭鉱離職者で、とりあえず失対に出ておこうかといって、一カ月に十二、三日くらい出ていくということになると、これはだれが判定をするのか知りませんけれども、なかなか地方で問題になってくるわけですね。というのは、あとで出て参りますが、片一方は、普通の日雇いならば平均して三百六円です。今度は幾らになるか知らぬけれども、八百五十円のうち三百七、八十円というようなお話もありましたが、三百七、八十円とするとだいぶ違うわけです。これはあとで私問題にしますが、実は三百七、八十円でも筑豊地帯の標準家族四人の生活保護料より少ないのです。だから緊急就労に行くよりか今まで通り生活保護をもらっていた方がいい、こういう問題が出てくるのですよ。とにかく不安定であるため、失業と同様の状態にある。そうすると零細農というものはそういうことになるかということです。日本における零細農というものは、とにかく零細農の三割というものがボーダー・ライン層です。ボーダー・ライン層とは何かというと、いわゆる三反未満の耕作をし、都市においては一万二千円以下だと思います。一万二千円以下の標準世帯です。そうしますと、そういうものを全部入れるということだと僕ら今後解釈していっていいのかどうか。筑豊炭田には、鉱外田を持った零細農が全部兼業で行っておりますからね。だから、ここらの定義をこの際国会でもう少しはっきりしておいてもらわぬと、第一線の行政官がこれを適用していく場合には判定がなかなかむずかしくなる。この判定をおそらく職業安定所がやるわけでしょう。そうするとその基準をやはりこまかくお示しになると思うのですが、何かそういう基準でもお作りになっておられるか、それともこういう抽象的な文句で、行政官の恣意的な判断によって決定をしていくのか、こういう点です。
○住説明員 結局この法律の目的は、第一条の目的にも書いてございますように、炭鉱離職者の職業の安定に資することを目的としておるわけでございますので、安定した職業につかせるためにいろんな方策を考えていく、こういうことになっておるわけであります。従いまして失業対策事業の就労者だとか緊急就労対策事業の就労者というのは、全くここにいう安定した職業についている者ではない、こういうことになるわけであります。ただそれ以外に零細農はどうか、あるいは本来自由労務者的な日雇い労務者、こういうものはどうするかという基準につきましては、現在のところ結論は出しておりませんが、この法律の趣旨にのっとりまして結局安定所が判定することになると思いますので、そういう基準については明確なものを示したいと考えております。
○滝井委員 私も多分そうだろうと思います。そうしますと、明確なものは一体何を基準にして示すかというと、私はやっぱり所得金額だと思うんです。従って、職業が著しく不安定だという認定の基準を示すときに、一体それは一カ月幾ら以下の所得があれば不安定とみなすか、この点です。これは大臣どうですか。
○松野国務大臣 確かに日本は零細農が多くて、おっしゃるようにボーダー・ライン層というのが多い。しかし日本の農業は、幸か不幸か兼業農家が最近ふえて参りました。従って、農業所得から見れば零細過ぎて生活が不安定ですが、ほとんど大部分の方が兼業農家で、この中で一人か二人は大てい他の職業についておられます。一番多いのがやはり団体の職員につかれる、役場につかれる。農村自身の職員についておられるかあるいは教員になられるというのが、今日の統計の一番明確なものでありますから、私たちがこれを扱いますのは、農村出身の方を幾らの所得にするかということよりも、まず御本人の意思を聞かなければならない。私たちは御本人の意思に従ってやるのだ。あなたは所得が少ないからこれにつきなさいという強制的なものではございません。御本人が、おれは家に帰るのだというお気持ならば、職業があろうがなかろうが、その方は要対策という趣旨からはずれます。従って御本人の意思というものが前提になってくるわけです。どうしても家にも帰れない、職業も不安定で困るという方がこの対象になる。でありますから、金額を幾らにきめるかというよりも、御本人の勤労意欲というか、身分上及び家庭上の実情が優先するわけであります。従って御本人が、農村に帰られた方がいいだろうとお勧めして、それがいいだろうと御同意せられる方も多いでしょうし、おれのところは兄弟が多いからどうしても職業につきたいというならば、初めて私たちのいう援護の手が発動できる。従って、所得をどうするかということは、そういう意味で、親心というか家族的な意味で私たちがお世話するというのであります。法律で何千何百何十円ときめるよりも、まず各人の御意思と家庭の実情について御本人と相談をしながらきめるのであります。家庭の状況によって賃金は違いましょう。二百三十円でいい方もあるかもしれません。あなたは独身ですから、二百三十円の仕事をお世話しますからどうですか、こういう意味であって、あるいは、ある方は、二百三十円ではできない、家族が多いからどうしても三百八十円にしてくれという方もありましょう。その実情に応じて私たちがこれをやらなければならないのが職業紹介の内容でありますから、幾らを不安定にするか、それは御本人の所得あるいは財産の所有等によっても違って参りましょう。 ただ、社会保障に陥ることを希望される方は非常に少ないのです。額面上はあるいは社会保障の方が多いような計算も出て参りましょうが、御承知のように社会保障の規定がなかなかうるさくて、その他に所得があった場合には差し引くとか、いろんな条件がありますから、働こうという能力のある方は、金額の多寡よりも、やはりこの職業につきたいという一つの努力がありますので、こういう方の方がこちらへ来られるわけであります。従って社会保障とはおのずから立て方が違いますので、社会保障のように高い安いという額面だけで私たちはお世話するわけに参りません。この法律はそういう趣旨の上に立っておるわけで、もちろんその方の実情、生活様式によっても判定をきめなければなりません。家族構成によってもきめなければなりますまい。兄弟家族が近くにおられるというならば、近くで家族兄弟と御一緒にお働きになったらどうでしょうとお勧めするかもしれません。従って金額を幾らといわれると、職業紹介という本旨はそういう趣旨から出てきておるという意味で、法律で何百何十円が不安定、何百何十円が安定と言うのは行き過ぎであろう、こういう意味であります。
○滝井委員 大臣、抽象論としてはその通りです。私は今きわめて具体論に入ったわけです。と申しますのは、第一線の職業安定所が、著しく不安定であるために失業と同様な状態にあると認めるためには、何かそこにものさしがなければいかぬ。そのものさしというものは、やはりお金で示す以外にないということですね。なるほど日本のボーダー・ライン層の三割というものは零細農が入っておる。現在あの地帯、たとえば三井に例をとってみましても、兼業農家の二男、三男が炭鉱に働いておると、これは希望退職肩たたきの重要な要件になってきておる。農家の中には、一体われわれ農民のむすこは炭鉱でも働けないのかという不満が起こりつつあります。もちろん、七反、八反作っておれば、筑豊地帯で職がみなないということになれば、みなないのだから、君の家に耕す土地があるのなら、幾分収入は減るがそこでやってくれと言われる。ところが耕す土地が二反、三反以下しかない、そして専業では食っていけない、どうしても緊急就労対策事業につかなければならぬということになれば、こういう人は当然優先的になってこなければならぬと思う。それを優先的につけるという場合に、日本の千百十三万のボーダー・ライン層の三割は零細農で、一割は自営業者、二割程度が低賃金労働者、二割が不定職業すなわち日雇いとか家内労働、それから二割が無業者なんです。こう見て参りますと、これら千百十三万というものはなかなか甲乙つけがたい。だからみなこれは著しく不安定な状態にあるわけです。そうするとその千百十三万の中から、その中に幾ら炭鉱の失業者がおるかわかりませんが、筑豊炭田だけでも一万や二万はおるわけです。そうするとその一万、二万の中から五千五百人の緊急就労対策事業の網の線に入るためには、やはりそこに基準がないと問題だ。その基準をやるときにはミーンズ・テストでも労働省はやるかという問題になってくる。私は自由労働者諸君が演説をしておるのを聞きました。自分はニコヨン大学に入って十年になる、まだニコヨン大学を卒業できない、こう言っておった。実際ニコヨン大学に十年になるけれども卒業できず、今度はその入学試験がむずかしくなっておるというのが今の筑豊炭田の状態です。実際われわれのところは三百六円より低いのですが、全国三百六円よりもよくなるであろうといって総額八百五十円のものが出た、そうすればこれに殺到してくる、そうするとこの入学試験はいよいよむずかしくなる。ニコヨン大学の上の大学院ですよ。だからミーンズ・テストでもやるのかということになると大へんなことになる。ミーンズ・テストをやると社会福祉司、ケース・ワーカーみたいなものを職業安定所に置かなければならぬ。こういう問題が出てくるわけです。だから私はやはりこの際ここで、大体どの程度のものが著しく不安定な職業であるという、そのおよそのラインというものは金額でお示しになっておけば、これは割に簡単になってくるわけです。だからおよそどの程度のもので行くのかという点の御答弁を願いたいと思います。
○松野国務大臣 金額を示すということは、先ほど申しましたような実情で非常にむずかしいと思います。ただこういうことは言えると思うのです。私の方の対策は五千五百人ぽっきりで終わるんじゃございません。いろいろな就職の道——いろいろな希望に応じて大阪地方、名古屋地方に各人の申し込みを受けて、なるべく他の地方に、より有利な安定雇用を優先するのが第一義であります。その結果、どうしてもまだ住宅が見つからない、あるいはどうしてもしばらくこの地帯におりたい、あるいはいろいろな道で将来の設計も自分はあるんだという方は、五千五百人の緊急就労でしばらくお救いするという意味であって、五千五百人に殺到するにあらずして、私の方は雇用安定の方を第一義に優先いたしたいのであります。全部の方がこの方に就職されるならば、五千五百人の緊急就労人員が余ってもいいわけです。そういう趣旨から私の方はやっているわけで、そう一ぺんに参りますまいから、緊急就労とあわせてやっているので、緊急就労は大学院の設置が目標じゃございません。私の方は、やはり石炭地帯においては、滝井委員御承知のごとく、長くおってもなかなかその転業の道がないという方には、なるべく多くほかの場所に雇用安定を求めてもらいたいというために、移転料をやったり、援護会を作ったり、ある場合には集団的住宅の貸与までいたして、なるべく安定雇用の方に導くことが、すでに炭鉱の今日の状況では必要じゃなかろうかという趣旨であって、私の方は大学院設置が目標にあらずして、実は安定雇用に御紹介する、そのお手伝いをするのが第一眼目であります。ただいまのところだけをおっしゃれば、おっしゃる通りでありますけれども、金額を幾らだと規定するよりは、広く、なるべく多く——そういう希望者が出てこられれば窓口で追い出さないように、なるべく不安定だという趣旨も広義に解釈して、御希望に応じて、あるいは三百五十円お取りになった方でも、どうしてもおれは他の職業につきたいとおっしゃるならば、金額のいかんにかかわらず、私の方はその能力と技能に応じて、より以上の安定雇用に紹介することをいなむものではございません。ここで何百円ときめて、何百円以上の者は締め出されるというならば、それは雇用紹介としてはあまりありがたい、あたたか味のある政策じゃなかろう、金額をきめて、これから下は受け付ける、上は受け付けないということは職業紹介としてはよくないんじやなかろうか、こういう意味で金額をあえて言いませんけれども、常識的に、ただいま滝井委員のおっしゃったように、今日の登録失業者の雇用賃金というのは、これは高い方じゃありません。従って、もちろん一つの尺度として計算するときには、今日の登録失業者の賃金というものが一応の目標になることも常識的にあり得るかと思いますけれども、それ以上は、あなたはだめです、安定です、職業紹介をお断わりしますということは、これは言い得ないんじゃなかろうか、そういう意味で、金額を示せということは、おっしゃるように割り切るにはいいかもしれませんが、しかし個々の労働者、個々の失業者に対しては、必ずしもあたたかい政策ではないという意味で、私は金額をあえて言わないだけです。常識的にだれが考えましても、今日最賃法というものが実施されている以上は、ある程度最賃法の最低賃金というものを、こういうものをきめるときのものさしにすることは当然であります。あるいは登録失業者の金額を念頭に置くことも当然であります。その上に家族構成とか、いろいろ考えてやることが職業紹介として、労働政策としては一番温情ある政策だという意味で、かりに三百五十円取っていても、それだからあなたは受け付けません、そうは言いません。そういうこと抜きに、こういう炭鉱の労務者であって、しかも他の地域により以上の安定雇用をするために、金額を問わず、すべての方にこの政策を進めたい、こう考えておるわけでありますから、金額の点は、悪い意味で私どもが言いにくいからどうだ、そういう意味じゃありません。しかし個々の賃金というものは一定するものではない。あるいはいろいろな家族副収入も考えれば、どの家族は幾らということを限定することも、日本の家族制度と今日の状況では無理であります。従って額面賃金というのは一応統計に出ておりますけれども、所得賃金はおのおの農村においても違うのであります。その実情は、私ども日本の今日の労働市場の状況に合わせてやるということが一番妥当であるので、金額を示すよりも、これこれこういう条件のものだというふうに示す方が今回は適当だと考えて、あえて私の方は金額をきめておらないわけであります。
○滝井委員 私が特に緊急就労対策事業に限定して議論したのは、緊急就労対策事業というのが一番手っとり早く炭鉱離職者に結びついていきやすいから議論をした。もちろんこの法律は職業訓練をやり、雇用安定を第一として、より恒久的なりっぱな職業につける安定雇用の政策をも念願をし、同時にとりあえず急ぐものとして、緊急就労対策事業をやっておるということは、私はよくわかっておるわけです。しかしこのあなた方の出された法案の二条の二項には、「この法律で「炭鉱離職者」とは、離職した炭鉱労働者であって、現に失業しているか、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるものをいう。」というこの定義の重要な柱になる部分にそういうものがあるわけであります。従って、これは不安定でなくてもある程度いい職があった、しかしそれは三百八十円よりか低かった、三百五十円だった。それではもう自分は緊急就労対策事業へ行った方がいいんだという形になりますと、これは緊急就労対策事業に殺到する状態が出てくる。現にさいぜん申しましたように、ニコヨン大学十年で卒業ができない。最近はそのニコヨン大学でも、なかなか入学がむずかしいという状態ですから、いわんやそれより上のレベルの賃金状態の緊急就労対策事業が出てくれば、さらにそこには殺到する。殺到すれば、これはどういう形でか選択をしなければならない。そうすると選択する場合に、試験官は選択の基準がなければ選択ができぬじゃないですか。だから住課長さんの方からは、それは基準を作ります、こうおっしゃるから、すなわちその基準というものは金額で示す以外にないと思いますが、その金額はどの程度ですか、こういう論理になってきたわけです。それはあなたの方でなかなかここで金額を言うと大へんなことになるとお考えなら、私はあえて聞きませんが、しかしそれならば、これはミーンズ・テストまで、厳格に言うとやらなければならぬということになる。そうすると相当の人が要るし、それもできない。ということになると、これはある程度行政の良識ある恣意にまかせざるを得ない、こういうことになるだろうと思います。やはりどの程度のものならばこれに行けるかということを、ある程度われわれも知っておく必要があろう、こういうことなのです。これは緊急就労のワクをふんだんにいただいて、ぜひこれにつきたい、この緊急就労対策事業に行きたいという炭鉱離職者全部を受け入れる姿が出ておれば、こういう問題は起こらぬわけです。しかしこういうことができない客観情勢もあるので、こういうシビアな定義が出てきたんだ、こう私は思うのです。まあこれはくどいですから、これ以上なかなか大臣言いにくいようなことは、言葉のニュアンスからよくわかりますから、これ以上は言いませんが、この点については一つ課長さんの方では基準をお示しになるときは、今大臣の言われたように、十分弾力をもってやるように運用をしていただきたいと思うのですが、それはどうですか。
○住説明員 大臣も申し上げましたように、この法律の趣旨に即応しまして、実情に即して基準を作っていかざるを得ないというように考えております。 〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
○滝井委員 一つぜひそうやっていただきたいと思います。そこはちょっと金額の言質を得たいところですが、きょうはこれでやめておきましょう。 次は、あなた方は炭鉱離職者の職業を紹介するために、職業紹介に関する計画をお作りになることになる。その場合に、計画を作るためには、現にある炭鉱離職者の数を正確に把握するということも大事です。しかし今年度は現にたくさん炭鉱失業者があるのですから、問題なく計画はある程度立つと思うのです。ところが来年度の予算編成を控えておるわけで、そうすると一体どの程度の炭鉱失業者というものが——この法律の期間は五カ年以内になっておりますが、私は五カ年の先のことは申しません。少なくとも昭和三十五年度予算編成の場合において、そのあとにも、当然炭鉱離職者緊急就労対策事業に関する計画を作成することになるわけですが、この計画をお立てになる場合には、当然失業者の見通しが立てられなければならぬ。この見通しというものは、一体政府がいかなる石炭政策をとるかということと関連してくるわけです。そこでこの計画は一体どういう基礎に立って今年の計画と、それから同時に、もう来年度の予算編成がほとんど終わって大蔵省に要求しておるわけですから、来年の計画が立てられておるのか伺いたい。
○松野国務大臣 滝井委員の御承知のごとく、今回のこの法律にはもう一つ重要な問題が入っております。それは第六条の炭鉱離職者の優先雇用というのですが、これは今までかつてない、ほかの産業にないようなきついものを入れております。これは、炭鉱は離職者を優先的に使う、まず炭鉱同士の中において完全雇用に達成するようにやれという趣旨であります。今までこれはございませんから、どこから雇いましても、片一方は離職する、片一方は雇用するという悪循環がある程度ございましたが、今回はその一番の元を締めて参りました。従ってまずその計画を立てますときには、炭鉱業者内における毎年の自然減耗がどれくらいあるか、これが第一。今まではこれは立てたところで意味のないことでありました。いわゆる雇用市場においては影響しますけれども、炭鉱離職者への直接影響は少なかった。今回はこれがまず計画を立てる第一義になります。そうすると炭鉱のような重労働には、自然減耗というものが相当ある、これが今回はっきり出て参りました。それが雇用面における計画の一つの尺度です。 第二番目には、離職総数の過去数年間の状況が出ております。大体五万人くらいはこの二、三年で出ておりますが、この実数を合わせながら、今回はエネルギー対策という大きな柱に合わせて将来の雇用総数というものが出てくると思う。雇用総数から離職率を引きますと、そこに失業率というものが出てくるわけであります。それを今後は職業紹介にどうするか、あるいはその内容の質に応じて、この方は訓練所に入れるべき方だ、あるいは緊急就労に合わせるべき方だというふうな、個々に割って参りますればそういうものが出てきますが、これはあくまでも本人の希望も聞かなければなりませんので、私どもの万から割り付けるというわけに参りません。まず第一にはそういうものを基礎にしながら、職業紹介所に登録をされ、希望され、あるいは会社が集団的にそういう方と連絡をしながら今後の対策を立てるという作業が、今回初めてできるわけであります。今までは出た方を個々に個人調査——今日補正予算で組んでおりますが、個人調査をずっといたしました。各省間を通じまして、その数二万一千という要対策人員が出て参りました。また福岡県では一万数千名の個人調査をいたしました。それが今回の二万一千数百人という数であります。今後おそらく離職するというときは、再就労はどういうものが希望だとか、おれはどういう地方に行きたいという希望がまず出て参りましょうから、そういうものを個々に合わせて、なるべく正確な就職あっせんをする、その残余の方が緊急就労でしばらくその職におられるということだけであって、緊急就労を永遠に続けて大学院にくぎづけするというようなことはなるべくしたくない。五千五百人はさしあたり三月三十一日までの五千五百人でありまして、将来ともこれをいつまでも五千五百人にくぎづけするという意味ではありません。その一つとしての五千五百人でありますから、総合的に、この中からそういう数を割り出していくという作業が、この法律が通りますと初めて実行できるわけであります。従って予算には、相当緊急な場合ですし日にちもございませんから、正確に来年はできるという自信は私はありません。この法案が通ってから予算編成までおそらく何週間しかございません。しかしそういうものを一応善意に解釈しながらやっていきたい。これ以外は、今日予算編成までには私は確答ができません。予算編成もあと旬日に迫っておりますが、しかしそういう基礎を置きながら、あるいは拙速かもしれませんが、一応予算に計上して、その上においてある程度の修正があることは仕方がないことです。しかしそういう道を開いてこの法律の趣旨を生かすというために、三十五年は早く予算をきめると同時——滝井さん、はなはだごめんどうですが、そういう意味でこの法律案を一日も早く通していただきたいという私の気持をお察しいただいて、御審議をなるべく一日も早く上げさせていただきたい。それがあなたのおっしゃるように計画を早く立てよという趣旨ならば、なお急ぐのです。そういう意味ではいろいろな考えが今度新しく出ておりますから、これは大いに画期的なもので、ある場合においては他の産業には例のないことであります。いろいろ非難があるかもしれません。炭鉱だけどうしてそういうふうにワクをきめるのだという、逆に言えばある程度雇用の制限をすることですから、これは実は私ども非常に心配をしたところであります。雇用制限、つまりよそからは雇っていけないというのでありますから、雇用の自由の原則からいうとややもするとこれは問題になると思います。しかし炭鉱の今日の状況からいうとこれもやむを得ないという意味で、非常に微妙な表現の法案にしたわけであります。その趣旨が今後の計画を立てる一つの作業と目標になると私は考えております。
○滝井委員 法案を早く通すことはけっこうでございますが、六条の、鉱業権者が炭鉱労働者を雇い入れなければならぬというのは訓示規定で、義務規定ではないわけです。できればこれは義務規定にしてもらいたいと思いますが、六条のところはとにかくとして、炭鉱労働者の雇用計画なり職業紹介の計画を立てようというときには、炭鉱労働者の自然減耗と申しますか、当然これは把握しなければならぬし、同時に今この自然減耗ということのほかに、力の関係によってきわめてたくさんの失業者が、大手、中小にわたってここ二、三年のうちに出ようとする、こういう客観的な情勢が明白になっておるわけです。同時に過去の離職者も客観的にはっきり把握できるという形にあるわけです。そういう中で、三十四年度末までに五千五百人は私は少ないと思いますが、これはこれで数がはっきりしておるから、それでいいと思うのです。これは数だけは了承しますが、そういう数があるということは、あなた方が現実に政策をお立てになっておるのだから、そのお立てになっておる数が五千五百人、まずこのことをお聞かせいただきます。しかし予算編成期になって、来年度においては、自然減耗と首切り、希望退職等によって、大手、中小に一体どの程度の失業者が出てくるのか、問題はここにあると思います。そうしますと、現在筑豊炭田で五千五百人ほどの者は就労対策をやる、職業紹介も三百二十人くらい訓練をやって出していく。広域職業紹介で二千人か二千二百人出していく。しかしなお何万人か残っておる。これは依然として日雇い仕事のようなものなんですから緊急就労対策の対象になる、あるいは職業紹介の対象になる。そうするとそれ以外に今後の自然減耗を——これはヨーロッパの炭鉱というものは、荻原さんがヨーロッパを回ってきたが、ヨーロッパの炭鉱は首切りなんかやっていないのだ、まさに自然減耗と職場転換でやっておるのだということも言っております。この自然減耗と、来年度に強行的な措置によって出てくるものを幾らに見るかということなんです。これは一番大事なところだと思うのです。労働省というものが袋を作ったけれども、へまをするとその袋にあふれるように離職者が出てきたら大へんなことです。やはりこれは袋にきちっと入って、その中で少なくとも最低生活の維持だけはできるだけの袋でなければならぬと思う。袋がどんどんあふれるようになれば、それを職業紹介をし、いいところにどんどんはけていく、それでまたあとから出てくる失業者はその袋の中に入れるということでないと、あなたの方のお作りになった袋というものがこのくらいでよかろうと思っておったのに、池田さんの方がどうも政策がうまくいかないで、どっと袋にあふれるような失業者では困るのです。これは労働大臣の方でお答えができなければ樋詰さんの方に、日本の炭鉱は今多分二十九万何千かの炭鉱労働者がおるのですね。ずいぶん減ってきました。これは一体どの程度の自然減耗があるか。その人たちは炭鉱を退職して、いわゆる自然減耗の形になっておりますが、この人たちは就労対策を必要としないというのじゃない。大いに就労対策を必要とするのです。それから今度は来年度において、こういうふうに日経連から出ておる資料を見ましても、大手十八社は約六万人、われわれは七万人と聞いておった、労使懇談会は七万人といっておったが、最近六万人に下がってきた。中小が三万七千で、三十八年度までには九万七千人の失業者がとにかく出るという見通しだということは、はっきり石炭屋さんの方で天下に公表しているわけです。従ってぎりぎりに見積って九万七千人というものが出なければ日本の石炭産業はだめだということをおっしゃっている。これはあなたの方に資料がなければ、日経連が新聞にも出したし、われわれのところにももらっておりますが、だから来年度に一体自然減耗が年々幾ら出る、そして来年度は一体どの程度大手と中小が首を切るのか、こういう点をはっきりすれば松野さんの方の計画が立ってくるわけです。袋の大きさがはっきりしてくるわけです。どうですか、これはあなたの方か、労働省か、どちらかで一つはっきりしてもらいたい。
○樋詰政府委員 大体本年度につきましては、一応やめる人間が七万七千人程度、それから雇い入れられる者が五万人程度、そういうふうに推定いたしておりますが、その中でいわゆる自然減耗と称する結婚でやめるとかあるいはほんとうの自発的なあれでやめるといった者は、大体今年度につきましては五千四百程度というふうにわれわれの方は推定いたしております。 それから明年度以降の石炭関係の離職者がどの程度出るかということにつきましては、ただいま滝井委員の引用されました大手十八社の方で発表された数字というものはわれわれも一応見ました。一応それの内容についていろいろ検討をいたしておるところでございますが、これはこの前うちの大臣からも申し上げたと思いますが、われわれといたしましては、一応今度の通常国会には総合的なエネルギー対策の中における石炭のあるべき姿といったようなものを一応はっきり立てて、今後の対策ができるような資料を事務当局としては一つ作り上げたいということで、今せっかく検討いたしておるところでございますので、それはトップ・レベルにおいて、われわれの関係各省協力して作業いたしておりますものをお取り上げいただくということになりましたならば、その政策のいかんによって大体今後どの程度の人間が失業せざるを得ないかというようなこともおのずから出てくるのじゃないかと思いますが、まだ今の段階におきましては、そういうふうにやるのだというようなことについて申し上げるところまで方針として確定いたしておりませんので、来年一体どのくらいの数字が出るかということは、ここではっきりこのくらいじゃないかということを申し上げかねるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、七万七千というのは自然減ですか。
○樋詰政府委員 解雇される数が七万七千と推定したわけです。大体今までの例を申し上げましても、二十九年度の解雇者が十万八千、三十年度が七万二千、三十一年度が六万八千、三十二年度が七万六千、それから三十三年度が七万四千、こういうような数字を示しておりますが、大体こういう今までの経験等から見まして、われわれの方は一応七万七千程度三十四年度において解雇数があるのじゃないか、そういうふうに推定したわけでございます。一方それに対しまして雇い入れ数が二十九年度、六万八千、三十年度六万七千、三十一年度七万八千、三十二年度八万九千、三十三年度五万九千、この程度ございますので、最近の炭況その他から見まして三十四年度の雇い入れ数は五万程度じゃなかろうかということで、そうしますと差引二万七千ということになります。ただこの二万七千の中で、先ほど申しましたように、ほんとうの意味の自然減耗というのは五千四百程度じゃなかろうか、そういうふうに推定しておるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、七万七千と、大手の出しております、あなた方のトップ・レベルで検討中といわれるいわゆる九万七千との関係、これは、ここ二、三年毎年七万台の解雇がある。この解雇と、それから今後大手十八社なり中小が昭和三十八年までに出すところの九万七千とは全然別個のものなんですか。
○樋詰政府委員 おっしゃる通り、全然別のものでございます。たまたま七万といったような同じ数字が出ておりますが、片一方の方は、今後四年間で、純減が、職員まで含めて七万程度大手であるだろうということであります。私が今いろいろ申し上げました来年度の数字は、大手、中小も入れまして、一年間に解雇された実数がこれだけあるということでございます。
○滝井委員 そうしますと、雇用対策を必要とするものは、七万七千、この中で、結婚その他病気というものがあっても、それは五千台で、大したことでない。そうすると、丸い数字で言えば、やはり七万というものは何らかの雇用対策を必要とする。そのほかに、今申しました、——私はどうもこの点が通産省も労働省もずるいと思うのです。すでに、大手の方は、十八社六万と中小三万七千、九万七千というものをあげておるわけです。これが来年度一体およそどの程度のものが出たならば日本の石炭産業の危機の乗り切りが可能かということは、あなた方はもう長いこと石炭で飯を食ってきておるのですから、およそ腰だめ的なものはわからなければならぬ。しかも予算編成は八月からやっておって、来年一月になったら予算を国会に出さなければならぬという、やがて師走がこようというときになってもまだそれはわかりませんということでは、この法案は、簡単に上げてくれと言ったって上げられぬということになる。その計画をわれわれに知らさずに、つんぼさじきに置いておってやれと言ったって、一番大事なところの雇用計画なり職業紹介計画は何が何かわからぬ、今年は五千五百人だけしかわからぬのだ、職業訓練は三百二十人だ、あとは通常国会まで待ってくれと言ったって、この法案を通すからには、この計画は来年度においてはこういう状態になりますよということを、それぞれの関係者に説明しなければならぬわけです。従って、今七万七千まではわかって参りました。そうしますと、来年度は、この七万七千とは関係のない、六万の大手と三万七千の中小、約九万何がし、それを三十五、三十六、三十七、三十八と四で割ったものでいいのか、それともまたは、合理化というものは三井さんのおっしゃるように、とにかく一年度でどっとやらなければだめなのだということで、千二百人か何かの希望退職が出たけれども、それじゃだめだというので、また四千五百八十人というものをぐっと出してきたというのと同じことになるのか、それより第一年度には莫大なものが出て、第二年度、第三年度、第四年度には少しずつ出ていくのか、そこらあたりの大まかな見通しと申しますか、それはやはりここで言ってもらわぬと、あなたの方で、これから一カ月したら急にいい知恵が出るというわけのものじゃないと思うのです。もう一年以上あなたも局長さんで御研究になっておるわけですから、大体来年度三十五年度には、腰だめ的な数字でけっこうですから、およそどの程度のものが出るかということ……。
○樋詰政府委員 実は協会の方で発表になりましたのは、大手で職員を含めて七万、中小まで入れて十万というふうに推定しております。先生の今引用されました数字は、これは協会自体でも実は年次別には全然まだ割っておらないのでございます。これは御承知のように、純粋に個々の企業の労使間の問題で大体話が進められるということでございますので、たとえば今年度の二万七千減るであろうという数字にいたしましても、一応われわれは、会社の方で、いわゆる企業整備という関係でこれだけの人間を減らしたいという提案をしている数字というものを大手については取りまとめて、それに事業団の中小の買い上げというものと、それから事業団に買い上げられないで休廃止のうき目にあったり、あるいは減員せざるを得なくなったりといったようなものを今までの実績から推定して二万七千、こういうふうに言っておりますので、この二万七千自体を、それぞれの企業の労使間の話し合いで、あるいはその通りいくこともあるかもしれませんし、あるいはいかないこともあるかもしれぬというような点におきましては、必ずしもこれは非常な確度の高いものとは申し上げかねると思いますが、ほかによるべき数字もございませんので、一応そういうことを言っております。それで今年度につきましては、現在緊急に対策を要する人間に対してということで、それを全国で二万一千程度というふうに推定いたしまして、所要の予算措置が労働省において講ぜられたわけでございますが、来年度のことについて考えますと、大体来年度対策を要する人間というものの主力は、今年度退職して来年度中に保険が切れる、そして何らか新しい措置を、援護の手を差し伸べてやらなければならない人間というものが主力になるのじゃないか、こう考えられますので、一応現在三十四年度に、今までに発生したもの、並びに今後大事をとりまして一応これだけを整理したいんだという、あるいは大き目な数字かもわかりませんが、経営者側の言っている数字にマッチするような数字というものを来年度の予算要求の際には一つ措置を講じていただくようにお願いしたい、こういうふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、今のような御説明を聞くと、今三井と三鉱連との間の血みどろの、中山あっせん案までお互いにけって激突をしようとしている、この何と申しますか、三井の職場活動家もひっくるめた解雇問題というものはいいかげんなものだということになる。業者は、大手は十八社で、三十八年までには六万人、職員も含めて七万、中小は三万七千、これだけやらなければ日本の石炭産業はもうだめでございますと、こうおっしゃっておる。ところが、そのおっしゃっておる大手自身が年次計画も示しておらぬのだ、これは労使関係、力関係でどうなるかわかりません、そういうことなら、そんなものはでたらめですよ。日本の産業がエネルギー危機なんというのはでたらめだということになってしまう。これは当然あなた方監督官庁としてそれを出させる必要があると思うのです。そうでないと、この法案を上げたって、松野さんの方が職業紹介の計画も立たなければ、暫定的に就労する機会も与えぬ、緊急就労対策事業に関する計画もできないことになってしまうのです。この法律案が通ってもこれはできないのです。それはなぜならば、今のような状態ならば、必ずしもその手のうちを、業者が十二月の終わりまでに示すとは限らぬ。来年の春になって示すかもしれぬでしょう。そうしますと、何かそこにあなた方は一つのよりどころを持って大蔵省に予算の折衝をし、基準を持って予算を編成しなければならぬ。そうすると、全く大手がその数を示さぬので、どうもここではきょうは答弁ができませんということならば、これはまるっきり袋というものはどういう袋を作っていいかわからぬことになってしまうのです。どうもそういう点では、これは法案はできたけれども見通しが立たぬ、一番大事なところが計画が立っていない、こういうことは私は大へんなことだと思うのです。だからこれは松野さんの方はどうですか、池田さんの方とこういう点もう少しざっくばらんにお話し合いになって、最小限この程度は見ておったらよかろうという数字をある程度把握になって大蔵省とやっておると思うのですが、たとえば今二十九年以来の解雇の状態から見て、三十四年度七万七千というものが出ました。この中で結婚とか、自発的に退職するということは、長期の結核とか精神病か何かでしょう。あるいはもっといい職ができたということもあるかもしれませんが、とにかく七万というものは失業対策上必要とすることは確実なんです。七万の何人が緊急になるかは別として、七万はまず必要とします。それから現実にある二万一千の緊急を要するもののほかに約四、五万程度あるわけです。この五万というものがあるわけです。これも当然対策になるわけです。そのほかに今度は、いわゆるエネルギー革命とやらによってプラス・アルファが出てくるわけです。だから、七万プラス五万は十二万、プラスここに出てくるものは一体幾らか。だからもしこれが二万と出るか、三万と出るか、四万と出るかによってずいぶんこれは違ってくるのです。緊急に就労対策を必要とするのは、むしろこの数がわからないところの方が今度は必要としてくるのです。今までの者は失業というものになれて、長年の間でどうにかやりくりをしている。ところが今度無理やりに首を切られて出てくる者は、失業によって今までよりかぐっと生活のレベルを落とさなければならぬから、どこか早く職を求めなければならぬという気持になる。それは統計的にお調べになってもわかりますが、失業保険が切れてから、失業の期間が長くなればなるほど労働条件は悪くなっていっているのです。これは松野大臣、御存じだと思うのです。失業保険が切れてから失業の期間が長くなればなるほど、今度は就職したときの雇用条件というものは悪くなってくる、賃金は非常に悪くなっているということは、筑豊炭田に行って調べれば一目瞭然です。やっぱり労働者がほんとうに労働に親しんで、憲法にいう労働の権利をほんとうに満喫させるためには、失業保険が切れてから間髪を入れずに何か職を与える。あるいは失業保険中になおいい職を与えることがもっといいのですが、そういう点から考えて、わからぬところの数というものを一体どの程度に見て来年度の計画を立てるかということは、これは何かあなた方と池田さんとお話しになっておると思うのです。樋詰さんは遠慮してなかなか答えられないようですが、一つ松野さん……。
○松野国務大臣 おっしゃるように失業の期限が長ければ長いほど、次の雇用条件は悪くなる。従ってなるべく雇用促進のために失業保険受給者の方に職業訓練を及ぼしたい。あるいは失業保険が切れた方には援護会から生活費の手当を出して早く職業訓練についてもらう。これは滝井さんの御指摘の通りです。ただそれは架空数字で、来年度どうするのだ、そのお答えについてはこれはなかなか微妙なもので、日経連で七万、八万といっておりますが、この年次計画というものはまだできておりません。従ってそれじゃどういう基礎でやるのかというと、一応この法律案が通りましたならば、職安にすべて登録をして、炭鉱者からまず雇えということがきまります。 〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 そうすると、ここに先ほど申しました自然減耗がどうあるか、これはたまたま統計が出ておりますが、死亡率大体六・二%と出ております。業務上、業務外を入れて大体六・二%、定年退職が八・二%と出ております。そのほかに労務者がみずからやめる方が二・二%、女子の場合は結婚が約二%、合わせますと、約一九%というものがまあ常識的に考えられる自然減耗の率として、私たちはもしもかりに来年度の予算を組むときには一応これを妥当として採用してよかろう、これは毎年年次別に出ておりますが、私は今昭和三十三年度を読み上げたわけです。約一九%、こういうものも一つの基準になります。来年度どうなるかということは、人数をきめることは、滝井さんおっしゃるように、今日の労使関係がら、会社側はこう希望するといっても、その通りなるかならぬかわかりません。また会社側の希望通りやられたのでは被用者というものは非常に不安定でこれは困る。労働大臣はそれを是認する数字を言うわけにはこれは断じて参りません。そういうことを勘案しながら、一応七万という数がかりに出たとするならば、これに対する自然減耗と年次別というものを組み合わせながら、まあ一年間この程度だろうということをする以外は、労使関係というものはこれをきめれば大へんなことになります。それが、予算編成上一応のめどとして、まずこうなったときにはこの程度は吸収できるという数字を、私たちはこの法律が通りましたならばやる以外になかろう、従ってそれには差があるか、それは差が出ては参りましょう、労使関係ですから。私としては、なだらかにしたいと労働大臣としては思いますから、四年のものは五年、五年のものは六年という希望を私は持っておりますから、なるべくならば労使間が話し合いをして、なだらかなカーブにしてくれという要請をすれば、そこだけでも毎年の失業率というものは、三千人や四千人は狂って参ります。そういうことを勘案して予算を組む以外には雇用関係は私はないと思う。もう一つは、今回この援護会によっていかなる就職ができたか、いかなる援護ができたかというその率によって、労働者の方も、それじゃあ転業しようかという自主的な判断が出てくる。この援護会が非常にまずくいったならば、今度は転業の希望者が非常に少なくなってくる。これもまた計算の中に出てくる不確定な要素であります。従ってこれは滝井さんがいくらおっしゃっても、そういう上に立って予算を組む以外にないと思う。来年何人首切っていいと労働大臣はこれは断じて言えません。なるべく自然減耗の数字をなだらかな数字にしてやっていきたいというのが私の来年度予算の心組みであります。いずれにしてもこの法案が通らなければ、職安において労働者は炭鉱離職者から雇えというその根元がまずできてこなければ、私の数字は根本から狂う。従ってどうぞ一つ一日も早く通していただいて、今のような構想のもとに、なるべく少ない数字が来年出てくることを私は願うのです。ほんとうに私は、別に政府委員だからどうだとか、特に今日無事に通してもらいたいからどうだとかいうことは申しませんから、このことは一月に皆さん方の前に同じ答弁を私はしなければならぬ。従って確定数字というものを出すのはかえってよしあしだと思います。従って私は日経連の数字は断じて承服しておりません。日経連独自の考えであります。私がそれをのんで年次計画を立てたら、労働大臣として大へんなことであります。そういうものは私は組みたくない。しかしあらゆる場面を想定して、かりに最悪の場合を全部予想して、ある程度多数な対策を立てるということは私の仕事として当然なことかと思います。といって大蔵省に予算折衝する前に、年次の数字を言ってみてもしようがありません。どうか予算のときには私は御援護を願いたい。これは良心的にお願いしたいのです。——きょう私は風水害でどうしても呼び出されておりますので……。
○滝井委員 なかなか、一番大事なところにきてみんな数字がはっきりしない。そこで私はあなたの所管のもとにある中山中労委会長が、十六日にあっせんにあたって基本構想を明らかにしたのです。それは一体何とお書きになっているか。今のあなたの言うたところと逆のことを中山さんは言っておるのです。どう言っておるかというと、石炭問題の根本的解決のためには政府の施策を検討する必要がある、これが前提だと書いてあります。政府が施策を出さなければ、ここで労使がいろいろ話し合ってもこれは問題がある。まず石炭政策は、政府のこの問題を検討をして、それから労使間が話し合いに入るのが前提だ。あなたの方は、労使間の問題だから、労使間がやってくれることが前提で、それから今度われわれがこうやるという。中山さんとあなたの言うことは逆になっておるのだ。まあこれは私とあなたとこういうことを言ってもしようがないが、しかしこの数字が、あなたの方が計画を立てるに一番大事なところだと私は思うのですよ。これはいずれ参考人に日経連を呼びますから、私はそういう点聞かしてもらいたいと思うのですが、中山さんのはそうなっておるのです。政府の政策も検討する必要があろうとし、労使がこの前提を理解した上で、当面争議の解決に全力を尽くし云々と、こうなっておるわけですね。
○松野国務大臣 中山さんのあっせんはその通りであります。中山さんのおっしゃるのは、労使間に入った方でありますから、労使間の調停ですから、あの方としては、そのあっせんは労使間の同じレベルでおっしゃっているわけです。従って私の方がこれをもし言いましたならば、それじゃ労使問題はどうするのだ、労働基本法をどうするのだ、労働調整法を勝手に君は変えるのか、やはり労働組合及び労働雇用の関係は労使間の自主あっせんが第一義なんです。第一義を抜きにしていきなり第三の私が飛び出すことはむずかしい。従って中山さんがおっしゃったのは、あっせんのタッチの場所が問題だ。いわゆる総合的な計画というものは政府が立てろということは、中山さんの精神を私も汲んでおる。その次は、今度は他産業の規模をきめろ、合理化をきめろ、その中に労使問題が入ってくるというので、一が直ちに一じゃありません。十の中の一つの場面を中山さんはおっしゃっているわけです。それは労使間のあっせんという場面にタッチした中山さんの意見としては正しいと思う。しかし政治全般を見た場合に中山さんのおっしゃる通りもし私がやりましたならば、労働法をそれではどうするのか、その基本法に私は触れるのです。従って政府が関与した場合に、財産はどうするのか、経済問題はだれが責任を負うのだ、政府の命令によって石炭を貯炭する、その貯炭のあとはどうするのだ、金利はだれが払うのだというような経済論に政府は触れなければ、労使問題に触れなければ、ストライキ問題はどうするのかということに触れなければ、私はこの問題に軽々にタッチしていかれないのであります。中山さんはあっせん人としてのお立場ですから、私は非常にそれは敬意を払って受け取りますけれども、私は政府が関与した場合には労働法は停止できるのか、これはあなたなかなかできるものじゃありません。そこで自主解決というそのものがなければ——政府が言う通り労働組合も使用者も聞くのだというなら、私は今日といえども関与するということはいささかもおじけてはおりません。しかしなかなかそうは言ってくれません。いまだに使用者も労働者も全権一任してくれません。私が関与したところで、ただ懇談をするだけではかえって紛争を招くだけなので私は慎重にしております。中山さんの言うのは、紛争の中に入った方の御意見であります。私はもう一度、広い権限を持った政府が入るということはその前提がなければ入れませんということで、いつかの場合にはそういう場面を置きながら——通産省で石炭合理化審議会を今やっておられますので、私はあれは一つの案としていい案だと思っております。どうか私が入るときには労使から白紙一任されなければ、入ったところで権限もなければ頼まれざる時の氏神にはなれません。頼まれた時の氏神でなければ政府は出られません。そういう気持でありますから、どうぞ誤解のないように願います。
○滝井委員 松野さんは私の言うことを理解していない。政府の政策を検討するというのは、政府の石炭政策というものを検討するという意味なんです。政府の石炭政策を検討するというのは何かというと、総合的なエネルギー政策の中で一体昭和三十五年には石炭というものは幾ら日本産業では必要だということをきめるのは、これは通産大臣がきめなければいかぬでしょう。そうすると、その石炭の出炭が、もし五千五百万トンというものは政府の責任において必ず企業に使ってもらうのだ、それは損をしてでも、政府は補助金を出してでも、重油の関税の問題を解決してでもやるのだという政府の腹がきまれば、基礎産業が五千五百万トンの石炭を使うのだということがきまれば、五千五百万トンの石炭をするために日本の二十九万の全炭鉱労働者の中から一体何ぼが余るのか、こういう計画が出てくるのです。それがはっきりしてくれば首切りの問題というものは片づいてくるわけですが、ここがはっきりしない。私はここを言っておるわけです。だからそれはあなたの方の労働問題とそこから今度は結びついてくる。だからその石炭政策の根本がきまればあなたの腹はきまるわけです。だからそこを私は今労働問題におろしてきているのだが、労働問題だけしぼってあなたに出ろというのではなくて、石炭政策という根本のところがきまらないところに、結局労使は自主的に解決しなさいとあなたの方は押しつけているわけです。労使の方から言わせるならば、われわれは解決したいのだが、政府は幾らの昭和三十五年度のエネルギー政策をお立てになるのですか、その中の石炭はいくらですか、というのが中山さんの意見ですよ。それは見方によれば、あなたの言うように労使間のことはお前らがきめなさいということはありましょう。しかし一国の政治は資本主義の、自由主義の経済といったって、こういう社会的不安が起こっている石炭産業を、そのまま労使双方にまかしておけというならば、政府というものは、労働省なり通産省というものは要らぬことになるのです。しかし労働省なり通産省なりが作っておるそういう高度の産業政策というものについては、一つのおもなる方向を示さなければならない。その産業政策のワクの中で労働政策はどうなるんだ、こういうことがあなたの方の問題になってくるんです。これは議論をしてもしようがないですが、そういうことなんですよ。
○松野国務大臣 きょうはこの辺にしていただいて、通産大臣と御一緒のときにお答えいたします。
○滝井委員 どうも一番大事なところになって、ようやく計画の大事なところになったら大臣が逃げたので、これはこれからが大事なところに入ってくるんですが、今労働問題に入りましたから、また石炭の方に入ると質問の体系が立たぬです。だから針金を曲げるような工合に質問をぐるぐる曲げるわけにいかぬです、系統的にやっていきますから、きょうはこのくらいにしておいて、次会にしていただけませんか。
○永山委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十一分散会