災害地対策特別委員会 第6号
- 発言数
- 204 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/11/07
会議録
○南條委員長 これより会議を開きます。 災害地対策に関する件について議事を進めます。 この際、江崎真澄君より、災害湛水地域緊急措置に関し、各派共同をもって本委員会において決議をいたしたい旨の動議が提出されております。 この際、この趣旨弁明を求めます。江崎真澄君。
○江崎委員 ここに、各派共同提案になりまする災害湛水地域緊急措置に関する決議案の趣旨説明を申し上げたいと存じます。 最初に、決議案文を朗読いたします。 災害湛水地域緊急措置に関する決議 今次の第十五号台風による災害はきわめて甚大であるが、特に今なお長期にわたって湛水し、住民の惨害はなはだしく真に憂慮に堪えないものがある。 政府はこの事態を重視し、不可能を可能たらしめる熱意と努力を傾倒し、すみやかに、締切り排水の作業を完了するよう最善の措置を講ずべきである。 右決議する。 昭和三十四年十一月七日 以上であります。(拍手) 私はここに、この決議案の趣旨説明を申し上げたいと思うのでありまするが、今次十五号台風は、非常な大きな惨害をもたらして日本を通り抜けたわけであります。台風一過という言葉がありまするが、今度の台風は、一挙に五千の人命を奪い、びょうびょうたる美田を一瞬にして泥海としてしまったのであります。しかも、台風以来四十数日を経過いたしました今日、なおその海は、海そのままであるのであります。全く四十数日を経た今日、そのまま水没家屋として取り残された世帯数は、今日現在一万五千三百二十五世帯の多きに上っております。その被災人口に及びましては、愛知県だけでも八万二千百四十九人、今や三重県の木曽岬北部の締め切りは進捗いたしておりまするが、しかしこの人々を合わせれば、優に八万五千名の多くの人々が水上生活をいたしておるという、まことに言語に絶する悲惨な状況に置かれておるのであります。 今日まで、災害発生と同時に、政府においては中部日本災害対策本部を急速愛知県庁内に設けられまして、これが対策に奔命努力をしていただいたのであります。そうして今まで、名古屋、桑名の締め切りも済みました。桑名の再決壊も、昨十一月六日にはこれが補強がなされ、完了をいたしました。三重県の長島北部におきましては十月の二十四日締め切りが完了いたしました。名古屋市南陽町においては十月二十八日に完了をいたしました。また、被害激甚地区といわれた三重県の木曽岬村、この北部も、十一月五日には非常な努力によって締め切りを完了いたしたのであります。しかるところ、この潮どめ、みおどめの工事とでも申しまするか、愛知県の海部郡北部、南部地内、また三重県の木曽岬の南部地内、これは四十数日をたちましたが、また、一応のめどは立っているものもありまするが、海部郡南部に至ってはいつ締め切られるか、なおこれも予想であって、確定的なものでないという声をわれわれは耳にいたすのであります。今日までこの締め切りに払われた政府の努力、いち早く村上建設大臣また石原自治庁長官等々、現地にかけつけてこられまして、また十一月早々には、岸内閣総理大臣が親しく現地に足を運ばれ、また、陛下の御名代としての皇太子もその現地をつぶさに視察し、また見舞っていただいたのであります。 しかし、われわれが非常に憂慮にたえませんのは、中部日本災害対策本部は、当初十月一日、海部郡の南部地帯、一挙にこの海岸堤防を復旧するということはきわめて困難であるというので、旧街道と称するいわゆる昔の東海道でありまするが、この旧街道を第二堤防として、海部郡北部地内をまず守らなければならぬ。それは、海岸地帯が高潮災害によって海になるということは、これはもう日本の各地各所においてしばしば経験したところであります。ところが、この海部地内に限りましては、二十キロも奥であって、船をこいだこともなければ、船を操作したことも、生まれてから一度もないという人々が住んでおる五万の都市、津島市にまで及んでおるのであります。こうして津島市の湛水は、今日現在もそのままであります。先般当委員会において、被害激甚の地区の県知事、関係市長等を呼びまして状況をつぶさに聞いたのでありまするが、この津島の市長の切々たる訴えは、委員長を初め全委員が耳を傾けたのみならず、ほんとうに満場泣かされたのであります。これが今日の海部郡北部、南部の実情であります。中部日本災害対策本部においては、十月一日の発表として、三週間で必ず北部のみおどめはやってみせる、また南部、これは海岸地帯で、きわめて困難であるけれども、四十五日の間には必ずやってみせるという正式の御言明があったわけであります。当時、わらをもつかむ気持でこの政府の対策を念じ待っておりました住民たちは、非常な希望に小踊りして喜んだ。ところが、海部郡北部の場合、だんだん工事が進捗するにつれまして、これがきわめて難工事であることを発見し、これに突き当たった。そのために、ちょうど二週間を経過いたしましたとき、いわゆる十月一日から約二週間、十月のたしか十日であったと思いまするが、十日からもう一カ月を要するのだという言明にこれが変わって参ったのであります。いかに今度の災害が深刻であり、いかにまたこの災害が激甚であるかということは、これを見ても明らかであります。しかし権威ある日本の最高の技術の粋を集めたと思われる災害対策本部の発表、また自衛隊を中心とした現地の全力をここに結集したと思われる作業動員力、これが、三週間がそのまた倍以上に変わって再発表をせられた、こういったことをだんだん考えて参りまするときに、現住民の不安というものは非常な焦燥となり、しかも不穏の空気すら出て参っておるというのが、今日ただいまの事態であるわけでございます。予定通りならば、再発表によりまして、十月の十日には旧街道を堤防になぞらえた北部の締め切りが完了をし、十一月一ぱいには、海岸地帯の南部の締め切りも完了をするということになっております。そうして予定通りならば、これが排水には、全力をあげて排水ポンプを備えることによって大体一週間、七日か八日程度で完了するであろうということがいわれておるのであります。しかし、ここにまた新たな事態というものが起こって参りました。 それは名古屋市、南陽町が十月の二十八日締め切りを完了いたしたのでありますが、直ちに、一週間でこの排水ポンプをかけることができるはずであったのでありまするが、これができないという事態にぶつかった。それが今度は、今申し上げたように二十キロも奥まで湛水しておりますために、この水を一挙に排水するということになりますと、仮締め切りはなるほどできたけれども、一ぺんにポンプで海に水を排水すると、その渦を巻いて排水する動揺でこの締め切りが切れてしまう。そればかりでなくて、堤防の締め切りができた内側にも水がある、外の水とこの水が呼応してバランスのとれておったものが、中の水をかい出せば、水圧でこたえておったものが、水がなくなるから、またこの仮締め切りの堤防がどっとこわれてしまう。そこで今度は、排水ポンプをかける準備工作として、この仮締め切りをした堤防をもう一度補強しなければならない。もう一度この堤防の強度を確かめてからでないと、排水をすることができない。これは技術陣が突き当たった新たなる事態であったわけでございます。そこで十月二十八日の夜に南陽町の締め切りが完了いたしたのでありますが、これが排水にかかったのは今月の一昨々日、四日からでございます。排水準備のために八日間を要した。この計算で海部郡の北部、南部、現在の湛水地帯を考慮して参りますと、かりに十一月の十日に締め切りが完了するとして、これにプラス八日、プラス排水の期間のまた八日間、いわゆる十六日間を加えるということになりますと、十一月の二十六日でなければ、水魔から津島市を初め五カ町村は脱することができない。もちろん、十一月一ぱいの弥富町地内であるとか、飛島地内であるとかいうものは、十二月にかからなければ水魔からのがれることはできません。もっと深刻なところは、鍋田干拓の百五十世帯であります。この百五十世帯は、一月の三十一日にならなければ締め切りが完了しないであろうということがいわれておるのであります。 そこで三派共同の提案になったわけでありますが、どうか一つ、政府の誠意はわれわれ認めるものでありますが、不可能を可能とするというこの決議案文にありますように、少なくとも四十数日を経ても、五十数日を経ても、水魔から十万になんなんとする人々のこの惨たんたる状況を救うことができないということは、何としても文化国家、平和国家という名に、大きに恥じる事態であるといわなければならぬと思うのであります。自衛隊の前線の活躍というものは、地元民のひとしく感謝感激の的になっておるのであります。しかしながら、自衛隊が最初の五百人から、今日は実働六千人といわれておるのでありますが、この自衛隊の行動は名づけて西尾作戦といい、木曽岬作戦といっておられるのであります。作戦というからには、これは水を敵とした一つの戦いであります。敵陣の奪取であります。前線の兵員各位の努力には感謝をささげるけれども、三週間がなお一カ月延び、その延びた一カ月がまた二日延び、三月延びというような、じりじり後退を余儀なくされるということは、事態の深刻はわれわれ十分了解するものでありますが、現地民にとってみるならば、この作戦は退却をしておるということを言っておるのであります。これは私ども真剣に考えなければならぬ点だと思います。 以上、実際の状況を申し述べまして趣旨の説明といたしたのでありますが、政府におかれましては、この努力の上にも努力を重ねられまして、ほんとうに作戦である以上は、一日といえども、いっときといえども争って水魔を排除する、水という敵を完全に征服するんだという熱意を一そう燃え上がらせていただきまして、不可能を可能として、この水没地域の悲惨なる被害者八万五千人を直ちに救っていただきたいということを強く強く要望いたしまして、私の趣旨説明といたすものであります。(拍手) ―――――――――――――
○南條委員長 ただいまの動議に対し討論の申し出があります。これを許します。 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 日本社会党を代表して本決議案に賛成するものであります。 伊勢湾台風がいかにひどかったかということは、もう政府の諸君もよく御存じでございますが、私の郷里の津島市を初め、弥富町、佐屋町、蟹江町、十四山町、飛島町、十万人の人が今なお水中に没しております。しかもその苦しさは、水の上にこの寒空に住んでおりまして、まことに忍びがたいものがあります。政府は、今江崎代議士が言われるように、三週間で水をとめるといわれました。また岸総理大臣も、佐藤大蔵大臣も、建設大臣も、益谷さんも現地を見られて、あの惨状をごらんになりまして、一日も早く、災害のためにはどんなに金を使ってもやれ、そういうように申されたのであります。しかるに、現在は二メートルの水が、まだ四十三日間そのまま入っております。今日、月ロケットの時代に、十万の人間を四十日かかっても救えないということは、私は、政府として、この際まことに反省をしていただかなければならぬと考えております。しかも今日、津島市を中心にして四十三日も水に浸っておるということは、だれが考えましても、もはや復興の気持はありません。今、津島市を初め弥富町、十四山町の人は殺気立っております。私が名古屋に行きましたら、南陽町も殺気立っておりまして、この苦しい事情を早く救ってもらいたい、政府は何をしておるんだ、災害地特別委員は何をやっておるかという非難がごうごうとしております。私は、七年前にオランダの水害を見ました。オランダと同じように、わが海部郡、津島市は、水位より約二メートルから三メートル低い土地に農業を営んでおりまして、しかもその苦しみは、この中央の国会においてはわかりません。どうかこの苦境を察していただきまして、一日も早く不可能なものを可能にするような力をもって、万難を排してこの苦境を救わなければ、政治がどこにある――今日、日本では、政治がどこにあるという声があります。こういうときにあたりまして、この水没住民の気持を十分くんでやりまして、本国会においてわれわれがお願いすると同時に、政府は少なくともこの大きな災害を救うとともに、一日も早く、一刻も早く水が引くように処理をしていただきたい。建設大臣も先日来られましたが、何とかして、どんな方法でもいいですから、早くこの水中にある十万の人間を救っていただきたい。これが私のこの決議案に賛成するゆえんであります。私はここにおりましても、今なお水中にあるわが住民を思い、わが故郷の人を思い、涙こぼるるものがあります。どうか政府の皆さん方は、今からでもおそくはありません。早く水の引くように処理をされんことを申し上げまして、賛成討論にかえる次第であります。(拍手)
○南條委員長 加藤鐐造君。
○加藤(鐐造)委員 私は、社会クラブを代表して本決議案に賛成をいたします。きわめて簡単にその趣旨を申し述べたいと存じます。 今回の伊勢湾台風が発生しましてから、すでに四十日になんなんとしておるのでございます。それが、今なお相当広範な地域にわたって冠水して、十万人以上の住民が塗炭の苦しみをなめつつあるということは、これはわれわれ政治に携わる者の見るに忍びないところでございます。岸首相は、民生の安定をすみやかにはからなければならないということを強調しておられまするけれども、現在この十万人以上の人が住むに家なく、食うに食なき困窮状態にありまして、生活の安定どころか、生命の不安におびえつつある状態でございます。もとより、政府におかれても、あるいは地元関係当局におかれても、相当の努力をして復旧に努めておらるることはわれわれ認めるのでございますけれども、しかしながら、いかに大災害といえ、一カ月半にわたってなおこの状態にあるということは、何か足りないものがありはしないかと思うのでございます。熱意に欠けるものがどこかにありはしないかということを私は考えるのでございます。私は、この際政府当局がほんとうに熱意を持って、この十数万の罹災者をこの窮状から救うということに努めてもらわなければならないと思うのでございます。先ほど佐藤君からも申された通り、この不安にかられておる罹災者の間には、ようやく怨嗟の声も起こりつつあるということを伝え聞いておるのでございます。そうしてこういう状態がなお続くならば、不測の事態が起こりかねないというようなことも伝えられておるのでございます。十数万といえば一つの中都市でございます。一つの中都市がこういう状態にあるということは、これは何としても、国が総力をあげて救わなければならない問題ではないかと考えるわけでございます。政府におかれても一段と工夫をこらして、ほんとうに総力をあげて、まずこの十数万の人の塗炭の苦しみを救うという熱意を持って努力されんことを要望する次第でございます。 簡単でございますけれども、以上、私は本決議案に賛成の趣旨を申し上げた次第でございます。(拍手)
○南條委員長 これにて討論は終結いたしました。 ―――――――――――――
○南條委員長 これより採決をいたします。 江崎君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○南條委員長 起立総員。よって、動議は可決されました。(拍手) ―――――――――――――
○南條委員長 この際、ただいまの委員会の決議に対し、政府より発言を求められております。これを許します。岸内閣総理大臣。
○岸国務大臣 今回の十五号台風の惨害はまことに甚大でございまして、特に従来例を見ない広範囲にわたって、長期にわたる湛水地域が今なお残っておるということは、まことに憂慮にたえないところであります。政府といたしましても、従来全力をあげて締め切り及び排水に努力をいたして参っておりますけれども、ただいま御決議の趣旨に従いまして、なお今後一そう努力いたす覚悟でおります。(拍手) ―――――――――――――
○南條委員長 なお、ただいまの決議の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○南條委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ――――◇―――――
○南條委員長 引き続きこれより災害地対策に関する件につきまして、政府に対して質疑を行ないます。質疑の通告がございます。順次これを許します。 綱島正興君。
○綱島委員 このたびの災害は、計数額からいえば、二十八年災害よりは下回る等の御意見もあるようでございますが、実質の深刻なることは、二十八年災害よりももっと深刻なんじゃなかろうか、こう思われるのであります。毎年、ほとんど災害がこないことはない。この際、一体災害というものはどういうもので、どういう処置をすべきものか、こういうことを、一応私は総理大臣に御所見を伺っておきたい。特に項目をあげて申し上げますと、国土保全の立場から、それから産業復興の立場から、民生安定の立場から、この災害というものに対してはどういう取り扱いを基本的にすべきものか、この基本理念を伺っておきたい。ただいままで国家が多額の費用を出してやって、おるものの中で、災害復旧の性格についてはまだはっきりいたしませんから、勢い支出が出まかせになるような傾きがあり、委員会等でそのことに対する熱心な討究をいたしまして要望いたしましたことも、一片の政令等で、抹殺さるるに近いような状態も出てきたりした事実等がかってございました。こういうことで、一体政府の所見と、委員会の所見と、人民の考えておることとがそごするようなことが、事、災害に関して出てくることは遺憾きわまりないことでございますので、この際は特に、一体災害というものはどういう性質のものか、ばく然と伺っても困りましょうから、国土保全の立場から、産業復興の立場から、民生安定の立場からどう考えておるか、これをまずお尋ねいたします。
○岸国務大臣 災害に対する基本的な考えについての御質問でございますが、日本は年々台風の災害を受けており、また地震の災害も、時にこれを受けておる。こういうふうに非常に災害が多うございまして、これに対して、今おあげになりましたように、根本的に言えば国土の保全であるとか、あるいはまた民生の安定、産業の復興というような見地でこれに処置しなければならぬことは当然でございますが、私どもまず、そういう災害に関する従来の研究調査と申しますか、科学的な意味においてこの災害の実体というものをよく把握して、科学的な見地からこれを避け得るならば、避け得る方途につきましても考えなければならぬと思います。そういう点に関しまして、従来のわれわれの対策はまだ十分でなかったと私は思います。さらに、この災害が発生した場合における緊急、応急の対策につきましても、もちろん災害発生の態様によりまして、いろいろ応急対策も異なってくるところがあろうと思いますけれども、基本的な応急対策を迅速に、かつ、適切に実現する意味におきまして、これはわれわれとして、なお研究をし、考えなければならぬことは、私は少なくないと思います。さらに、こういう災害の非常に多い国、しかも台風のごときは、年々これに襲われており、しかも日本の地勢から見まして、治山治水あるいは防潮等の点に関して、従来行なっておる施策が継続的に、計画的に、総合的に行なわれておらなかった点もあるように考えるのであります。従って、これらの応急対策、根本対策、しかもこれを総合的に、科学的に検討して対処しなければならぬということを、根本的には私ども痛感させられておるのであります。もちろん、これに関しましては各方面のあらゆる科学力なり、あるいは調査能力なり、あるいは企画能力を総合いたしまして、さらに、実施の面におきましてもこれを有機的に、統一的に、かつ、恒久的に行なわれるように今後いたして参りたい、こういうふうに思っております。
○綱島委員 ただいま大体応急対策のお話でございましたが、少し本質論をいたしてみたいと思っておりましたけれども、時間の都合もありますから後日に譲るといたしましょう。 災害の実態から申し上げますと、年々、大体その災害の一割二、三分から二割まで公共災害の中に含ませて――農地だとか漁業のようなものまで含ませて言った総数でも二割に及ばない。大体政府がやっておるうちの四倍ないし五倍弱というものが、民間災害にあるのであります。そこで問題は、それでさえ十分でない公共災害の復旧だけでは、実は事足らぬ。それはなぜかと申し上げますと、これは近代国家の性質から出て参ります。かつての国家は、為政者というものが治安を保つために費用をとってやっておるというような考え方から、共同生活体の美全を期し、向上をはかることに近代国家の任務は変わっておる。災害復旧についても、おのずから、だんだんそういう線に沿うて復旧されなければならないはずだと考えるのであります。また、そうすることによって、実は産業の復興もできょうし、国土の保全もできょうし、それから民心の安定もできようと考えるのであります。そこで、限られたる財政でございますから、勢い国庫支出というものに限られておりますので、無限にこれをしていただかなければならぬといっても始まらないところではございますが、従来から申し上げますと、たとえば農林災害等はいろいろ手を尽くして参っております。建設省の管掌する土木災害等にもいろいろ手を尽くされておるのであるが、たとえば中小企業も、ほとんど手が尽くされておらない。これは一体政府のやっておるものだけを復旧するという考え方が基礎になっておる。ここらで一つ、国家のすることというのは、ひとり政府が直面しておることの施設をするだけでなく、いわゆるほんとうに産業の復興をしたり、国土の保全をしたり、民心が安定をして国家生活に希望を持つような社会を作ることに努力するお考えはあるかどうか。唐突として出した問題でございますから、具体的には、お答えをここですぐ願うことは無理かもしれませんが、原則として御了承下さるかどうか、お伺いをいたす次第でございます。
○岸国務大臣 災害につきまして、従来国が主体となっていろいろ施設しておる、国民に便益を与えておるような、また、産業の基礎的な施設となっておるとかいうふうな、いわゆる公共施設の復旧に対する国家の考え方のほかに、この災害がもたらすところの実際の損害、いわゆる国民の個人の損害というものは、公共的な施設の損害に数倍するものがあるということは御指摘の通りであろうと思います。これに対してどういうふうにやっていくべきか。もちろん、ただ単にこれに対して補助する、あるいは国家が全額もしくはある額をもって直ちにどうするというような、いわゆる国家補償的な考え方は、従来実はとってきておらないのであります。しかし、業態、産業の実情、また、個人の生活の実情にかんがみまして、それに適応したような個々の方策をとってきておる。たとえば、中小企業に対しましては中小企業の金融の面において、普通の場合の金融よりも、あるいは利息とか、その他の貸付の条件とかを緩和してこれが復興に当たらせる。あるいは農村等につきましては、なるべく共同的な施設をこれを機会に設けしめて、これに対して国家が補助を与えるとか、あるいは生活が非常に困窮する者については、生活保護法であるとか、あるいは生活更生に関する資金というような金融措置等と、あわせてこれをやっていくという従来の考えがあるわけでございます。ところが、だんだんこういうふうな災害が多いについては、やはり国家が、そういう個人の損失に対しても、何らかの責任を持って復旧させる必要があるのじゃないかというふうな御議論もあると思います。御趣旨については、私はもちろん民心の安定、産業の復興、あるいは国土の保全という目的から見まして、必要があれば個人の復興、また、それが立ち上がる意欲に燃え、人心が安定するという意味からいって、国がほんとうの責任を持たなければならぬということは言うを待ちませんが、その責任を持つ具体的の方法としては、今申したような、国自身が直接にその損失を補償するとかいうふうな考え方でなしに、むしろ、被災者の立ち上がるために必要な資金を融資するとか、あるいはこれを機会に、従来の施設を共同的にして立ち直る基礎を作って、産業の復興に資してもらうというふうなこととあわせ考えて、国もできるだけやるが、被災者も立ち上がる勇気を持ち、みずから立ち上がってもらうというふうなことに進んでいくということが、今日、私は適当じゃないかと思います。もちろん、年々歳々のことでありますし、被害者も非常に広範囲に及び、かつ、その社会的な影響等も考えまして、国として果たすべき責任につきましてはなお具体的に検討はして参りたい、かように思っています。
○綱島委員 大体対策について、従来の公共事業としてお取り上げ以外のもの、もしくはその範疇に入りがたいものは、起債のワクをもってできるだけ補う、国の財政の許す限りこのことをやっていく、また、やっていきつつあるという御説明を了解しまして、その点はけっこうだと存じておりますが、この点にはなお一そうの御努力を願いたい。例を申し上げますと、二十三年の大災害が九州地方にございましたときに、中小企業に、何とかしてやると言ったけれども、一つもやらない。じゃ、仕方ないから農林だけやるということで、私ども農林の方はいろいろやりました。大体、中小企業に対する災害復旧について、熱意を傾けてこられたのはごく最近です。なお一そう、この点については御努力を願わなくちゃならぬのじゃないか。日本の産業の性格から、それから日本の民生安定の性格から、私は、この点は特に御努力を願いたい、こう考えております。 次にお尋ねをいたしたいことでありますが、これは災害復旧について、ややもすれば有機的関連性のある復旧の仕方がないのじゃないか、こういう考えをしておる。災害は一つの災害で、建設省の災害でもなければ、農林災害でもない。海岸の決壊は、何も運輸省の港湾災害という災害が一つ別にぽつんとくるのでもなければ、漁港災害がくるのでもなく、建設省の災害がくるのでもない。具体的に現われて参りますことは、海岸堤防についてもおのおの異なっております。これについて計画的な、少なくとも計画と費用量については、甲乙ないような考え方でお進めを願わなければならぬ。今度の災害でも、前もそうでございましたが、どうも一文惜しみの百失いで、もう少しここへ金を入れてあれば何とかなったものを、こういうようなことが非常に多い。ことには河川と治山治水の問題、二十八年災のとき、奈良県に参りまして高野山までずっと歩きましたときに、ほんのわずかな玉石みたいなものを積み上げた、わずかな治山の設備があるところは、ちっともやられていない。地形から見れば、割合に安全でありそうな、治山施設から免れておることが当然でありそうなところが全部やられておる。その災害は非常な金額に上る。それが結局は、和歌山県を非常に埋め尽くしたというようなことに相なったのでございますが、今後は、計画と施設について各省の統一した御計画を願って、そうして統一した御施設を願う。災害復旧には、起こった災害は一つでありますから、対策も一体的な、有機的関連のもとに行なっていただく。なるほど、各省が離れておりますから役所を一つにしろとは申しませんけれども、少なくとも計画面と予算面においては、統一した考え方でやっていただかねば――従来通りのことをやっていただくと困るのであります。これについての御所見を伺うことが一つ。 もう一つは、いわゆる復旧事業と関連事業というものが従来ございます。この関連事業の率というものは、八尾であるとかなんとかいうことで率をきめておられる。実際からいうと、関連の方が大きくやらねばならぬというようなところも出て参る。これはすべて実情に沿うて、復旧ということは、堤防なら堤防の目的を全からしめるように復旧をすることであって、決壊部分だけの復旧ということではない。実はこのたびの災害が起こりましたことについて、私は非常に遺憾に思うことは、二十八年災のときもう少し心していただければ、相当災害が少なかったのじゃないかと考えることでございます。なるほど、超異常な高潮であったとか、暴風であったとか、御意見もありましょうけれども、これはオランダをごらんなさい。オランダは、普通の土地が大体水位より七メートル低いのですよ。先生たちが住まっているところは、水位より七メートル低い。干拓しているのは、どれだけしているかというと、十四メートル以下まで干拓している。日本では、十四メートル以下というのは、漁港の防波堤作りにしても、港湾の防波堤作りにしても、特別予算を加えなければならぬことになっておって、非常に困難なようでございますが、こういうところも、私は日本の科学で機械力をもう少し考えて、災害国には災害対策機械というものが生まれねばならぬのではなかろうか、こう私は考える。なるほど、アメリカからの主要な機械をいろいろ利用しておられますけれども、実は、四、五年ばかりになりましょうか、私は干拓というものが実際どの程度までできるか、つまり干拓堤防がどの程度までいけるかということで政府に要求をして、オランダのヤンセンという、干拓堤防においては世界の権威といわれている博士を呼んだことがあります。その博士にいろいろな質問をしたうちに、特に、どうして君のところはあの通りうまくいって堤防がこわれないか、日本のはどうもこわれて困るのだという話をしましたところが、この博士はどういうことを言うたか、機械がなっていない、こう言う。日本の機械はベビー・ライクだ、こういう言葉を使う。いやそうじゃない、このごろはサンド・ポンプを持ってきたり、ドレッジャーを持ってきたり、いろいろしているのだという話をしましたところが、それはアメリカの機械だろう。そうだ。考えてみたまえ、アメリカは国土が広くて、保全のために何の努力も必要のないところである、もしここに災害があったら、特別な都市以外、耕作地以外はすべてわきのところに行けばいいではないか、そういうところの機械が一体災害対策の機械になるかならぬか、これはナンセンスであると彼はあざ笑ったのであります。もちろん、彼は世界の干拓の権威といわれておりますが、これは百姓ではございません。機械学を専門とする工学博士でございます。問題は機械の問題だということを、彼は答えたのでございます。そこで特に皆様に伺っておかねばならぬことは、一体各省別の予算のつけ方や、計画のそごがないようにされる御意思があるかどうか。統一的、有機的対策の確立をするという考えを持っておられるかどうか。それから、今までの対策機械はこのたびは間に合わぬにしても、もう少し優秀な機械を、実例をあげればオランダみたような機械を――ヤンセンはそのときこう答えました。東京湾なんか、帯のような、ほんとうに便利な港を作ればいいんだ。あとはみんな陸地にしてしまえばいい。濃尾平野のごとき、信濃川の下流であるとか、あるいは有明海というようなもの、みんな埋めてしまえばいいじゃないか。あんなものがあって日本が毎年六億ドルも食物の輸入をしているというのは、世界の経済のナンセンスではないかと言って彼はあざ笑っておったのであります。まだ若い、おそらく四十代でございましょう。これは非常な世界の権威といわれておる人でありますが、こういうことを言っておる。われわれは、災害がくれば、毎年のことだから、そのときの応急対策に追われることもやむを得ないかもしれません。もっとあらかじめの防御対策をあわせて立てること、そうして改良を基本となして――今までのような復旧という言葉はむしろ葬り去って、改良だ。そうして改良部分については、国庫補助も非常に低下した補助をするというようなことは、これは総理大臣、おやめ願って、総理大臣から、大蔵省にも、建設省にも、農林省にも、そこにお並びの運輸省にも、お申し渡しになりまして、おのおの違った計画がないように、そうして復旧単価あるいは改良単価が、改良部分としからざる部分と違ったり、治山単価と治水単価が違ったり、農林堤防と建設堤防が違ったり、運輸堤防と建設堤防が違ったりしないように、おのおの実情に即した費用について、有機的な予算と施設をされる御意思がございますかどうか、これを伺いたい。
○岸国務大臣 災害対策を立てる場合に、各省のいろいろな権限において、それぞれ対策を立て、実施していかなければならぬ責任があるわけでありますが、それを全体として統一のある有機的なものにしなければならぬという綱島委員のお考え、私も全然同感でございます。また、いわゆる復旧という場合に、原形復旧だけではなくして、改良あるいは関連事業等において、こういう災害を繰り返さないようにしていくという考え方も、私は必要であると思います。今回の補正予算等につきましては、そういう統一的な考え、及びいわゆる原形復旧に拘泥することなく、その土地々々の実情に即して将来を考えて、改良なりあるいは関連事業もやるというふうに立てて、これに処しております。将来もそういう考えで進まなければならぬ、こう思います。
○村上国務大臣 ただいまの総理のお答えで尽くしておると思いますが、海岸堤防あるいはその他の各省と関連いたしておる部分に対しましては、それぞれ主管省との間に緊密な連絡をとりまして、十分有機的な方法でやっておるのであります。しかし、私は、そういうようなことで完璧を期しておるのでありますが、欲をいえば、ほんとうは綱島委員の御指摘のように一本にしぼっていけるような方法も、将来研究して参る必要があろうかと思うのであります。 それから第二点の、改良部分の補助についてはこれを復旧費と同じ率に見るべきではないかという点につきましては、今回の災害に対しましては、いわゆる関連事業については、二十八年災の当時の国庫負担よりももっと国の補助率を引き上げておるような立法措置をいたしておる次第であります。 それから、この改良事業が八%とかあるいは何%とかというように非常に少ないじゃないか、そういうことにこだわっておったのでは再び災害をこうむるおそれがあるという点につきましては、私どもも同感でありまして、今回は関連事業費としては六億程度でありますけれども、これは海岸堤防にいたしますれば、ただ単に原形に復旧するところまでを出しておりまして、これから各省打ち合わせ、また、ただいま総理の御答弁にもありましたように、十分堤防の高さ、構造あるいは強度等につきまして研究した上で、その改良費というものが来年度は相当な改良費になるのでありまして、決してそのパーセントにとらわれてこれをゆるがせにするようなことはいたしておりませんので、御了承願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 綱島委員の御意見、私どももしごく同感の点が多いのでございます。ことに予算査定にあたって、有機的あるいは統一的に今の機構そのものから見ましてなかなかできない点もございますが、予算査定にあたりまして、それぞれの事業で単価を二、三にするということはいたさないつもりでございます。あるいはまた復旧改良工事等についても、これを災害復旧と同様の率にして施行しろと言われること、これも私どもにわからないことはございません。しかし、私どもが現実の問題として取り扱いました場合に、先ほどもお話にありましたように、結局最後のところは財政的な限度が一つあるわけであります。そういう意味で、私どもの査定が非常にきついとか、あるいはまた取り扱いが一二になる、こういうような非難が過去においてもあったかと思いますが、こういう点は十分私どもも気をつけて参りたいと思います。今回の改良あるいは関連事業の面について率を上げましたのも、そういう意味でございまして、もともとこれなども、率を区別することが私どもの目的ではないのであります。結局財政的な問題からやむを得ざる処置をしておる、この点を一言御理解していただきたいと思いまして、私立ち上った次第であります。
○綱島委員 なお、あとから各省別にお尋ねしようと思っておりましたが、時間の都合もあるようですから、今まで伺ったところで、関係の農林、運輸等もお答えを願いたいと思います。
○福田国務大臣 農林災害の復旧につきましても、ただいまお話しのように、建設省、運輸省その他関係方面と十分な連絡をとってやっておるわけであります。お話の有機的な運営ということにつきましては、万全を期してやっております。補助率につきましては、ただいま関連災害につきまして大蔵大臣からもお話がありましたが、去年の災害では、関連災害に対しては何ら特別の措置はとっておりません。今度新しく設けたわけでございますが、ただいまのお話のような事情でありますので、御了承を願いたいと思います。
○楢橋国務大臣 ただいま農林大臣から答えましたように、私の方の港湾局におきましても、建設省並びに農林省とも打ち合わせまして、この災害を見まして、今後やはり有機的にお互いに力を合わしてやらなければならぬということで、緊密な連絡をとってやらしておる次第であります。
○綱島委員 実はいろいろお答えがございましたけれども、実質は、どうも関連事業だけは工合が悪いものだから、勢い各省でもその点予算が十分つかないので、手心をする。また、地方団体はもとよりのことです。こうなって参りますと、勢いこの次にまたちょっとひどいのがくると、そこからやられる。御承知の通り、河川堤防でも海岸堤防でも、これはちょうど軍隊のようなもので、どこか一カ所突破されればしまいなんだから、これは復旧の本線だ、ここだけは関連だというような考え方が本質的におかしいので、これを一体のものとして、いわゆる有機的にお考えを願わなければ、同じ災害で弱い方からたたき破られる、こういうふうに相なりますので、この点を十分に御考慮願いまして、ただいまのお答えだけでは、どうもみんな財政上の都合からという一語に尽きるようで、ここは奮発をしていただかなければならない。御承知の通り、その部分を少ししたって、幾らでもないと思うのです。それを一カ所で一億か八千万円始末して、大できのつもりでおるところをたたき破られる。そうして何百億という災害が起こる。こういうことは、どう考えても一文惜しみの百失いで、賢明なる諸公がいたされることとは私どもは受け取れないのです。おそらくこれはどこのじいさんだって、私と同意だろうと思う。このことについては、ぜひ一つ今後さようなことがないように、ことし財政が十分でないというなら、来年度の予算において十分していただかなければならぬ。見込みがなければ、仕方がないから、委員会で法律で縛るよりはかなかろうかというような考え方もしておる。実は二十八年の災害のときには、それまでは大体災害に対する対策法規というものはあまりなかったものですから、あれはほとんど何日か寝ずにやったんですよ。そうするとあなた、ころっと基準を指定して、どうもこうもならぬようにしてしまって、政府に預けたが最後、その刀はよその方に多少使ったような形で、どうもおもしろくなかった点があるので、ここで一つ特にお願いをするわけであります。
○村上国務大臣 二十八年にずいぶん特別立法を作りました。その特別立法は、これは綱島さんが先頭に立って作られたのですが、あの当時のいわゆる河川の改修、関連災害に対する国の補助は二分の一であったと思います。しかし、今回はただいま御指摘のような点を重視いたしまして、三分の二ということにいたしておりまして、これもなおまだ足りないかもしれませんが、先ほど大蔵大臣の御答弁にありましたように、国の財政の許せる限り、高率補助によってこの災害関連事業をやりたいということでありますので、それが今回の立法措置になっておる次第であります。
○南條委員長 綱島君、総理は十二時までにちょっと出られますから、総理の方に先に……。
○綱島委員 そうやろうと思ったけれども、皆さんお答えになるものですから……。なるべく総括的に伺って、十二時くらいまでに私も終わるようにいたしましょう。 そこで、今度は激甚地の指定の問題なんです。大蔵省というところは妙なもので、これはちょっと常識では考えられぬことを言う。たとえば、名古屋市は、税収入が多いから激甚地ではない。役所のいう激甚地というのと一般人のいう激甚なる被災ということは、別な紙に書いてあるような感じがするのですよ、それは二十八年の災害のときに政令をこしらえて、その記憶をたどってやられるものだから、そういうのが出て参りますので、この政令の地域指定をする基準については、特に委員会とも御協議願いたい。これは不平のないように、最もひどかった名古屋市はかからぬとか――そういうところは譲歩されたという話だけれども、愛知県はかからぬとか、そんなことをやっちゃ困る。これはどうしても公共土木その他文教施設、それはもちろん公共事業のうちだが、あらゆる公共事業を総括して、その被害額で、町村を主として基準として地域を決定する方が妥当にいくのではないか、そうでなくて、ただやられたって妥当にいかぬのではないか、私はこういう考え方をしておるのです。これは委員会の統一した意見ではございませんから、後日政令についてはよく熟談協議をしていただいて、御指定を願いたいと思っておるわけでございます。この政令の激甚地指定については、隣の地域は、金を持っておって、町村役場が納税を勉強しておったために、災害はひどかったけれども、かからぬ、その隣は、もうべらぼうに使い込みなんかやった者がたまたま出たりして、負債はかりあったというようなことで、これはすぐかかる、こういうようなことになってはゆゆしい問題でございますから、一つどうぞ実態に沿うようなことをしていただきたい。災害を受けたという事実について、復旧のお考え方を願いたい。従って、指定基準も、災害によっての御指定を願いたい。そのほかの自治庁に関することのいろいろな問題、起債のワクだとか、あるいは交付金のワクとかいうことで、富裕県と、しからざるものについての甲乙が出てくることは、その性質上、これはやむを得ないと思うが、災害復旧に関する限りは、災害の基準に従って復旧していただくことがほんとうではないかと思うのであります。特に御注意を願いたいことは、非常に破れやすい海岸線をたくさん持っているところとか、あるいは土地が脆弱で、ややもすればすぐ崩壊するような性質を持っている地域とかいうようなものについては、特に留意をしていただいて、査定にあたっても、そういうことを留意していただかないと、実はその基礎である査定といっても、すぐそれからあと変化して参りますので、そういう点もよほど留意して御査定を願わねばならぬ。こういう点に対する総理の御所見を伺います。もう一点ございますから、そのつもりで……。
○岸国務大臣 災害激甚地の指定につきましては、今綱島委員のお話のように、これが公正にいかなければならぬ。非常に不公平があり、そのためにいろいろと不満、不平が出るようなことがあってはならない。公正にいかなければならない。しかも、この公正、適正に行なわれるようにするのには、やはり適当な基準を定めて、公平にこれをきめなければならぬ。ところが、この基準を定めるにつきまして、いろいろの方面から、御承認の通り議論がございます。私は、政府部内の意見、議論を関係方面におきまして十分に一つ検討して、至急にその基準を定めて、そうして政令の基礎としていくようにしなければいかぬ、そうして補正予算やあるいはこの災害特別委員会の御審議のうちに、その基準につき政府の考えを示しまして、御審議をいただくようにしなければならぬ、かように考えて、関係省に至急にこの基準を定めるように命じておりますから、不日皆さんの御審議をいただくようになると思います。
○佐藤国務大臣 ただいまの総理のお答えに少し補足させていただきます。 私ども政令にこれを譲っていただきましたその基本的な考え方は、十分の調査ができておらない時分に予算を編成し、御審議をいただいておる、そういう点から、これはやはり政令にまかしてもらわなければならない。もう一つの理由は、御承知のように、災害と申しましても、この災害の種類によりまして扱い方が一二になっては困る。たとえば、公共土木の問題でございますれば、これは主として地方自治体との関係だ、また、農地あるいは農業諸施設の場合ですと、農家あたりの問題だ、こういう問題を実は十分考えまして、それらの間にも均衡をとらなければならない、こういうようなことがあるのであります。 そこで、大蔵省ずいぶんひどいじゃないかというお話でございますが、大蔵省も決して予算を少額に削るような意味で実は案を作っておるわけではございません。この点はぜひ御了承いただきたいと思います。と申しますのは、今、名古屋についてまけたとか、譲ったとかいうお話がございますが、いわゆる地方団体の事情等を勘案してみました場合に、財政基準だけではなかなかいかない面があるのです。やはり被害総額から見ましてそれをきめることも必要じゃないか、こういう場合もある。いろいろの条件を加味しまして、そうしてただいま総理がお答えしましたように、公平であり適正である、そういう処置をしたいというので、大へん時間をかけておりまして、恐縮でございます。この問題がきまらない限り――と申しますか、皆様方の御了承を得ない限り、特別の法案の問題にしましても、これは御審議なさるのに、せっかくこしらえたけれども、この法律適用は一体どこの区域だという御疑問が残るに違いないのでありまして、そういう意味で、私どもも、これは大蔵省だけが、政令だからといって勝手に作るような考え方は毛頭ありません。十分私どもも実情を調査し、そして皆様方の御意見も伺いまして、また私どもの筋の立つところで話をまとめたい、かように実は考えております。ことに、よく引き合いに出されます二十八年災の処置の問題でありますが、これにつきましては、建設大臣も当時の対策本部長であったと思いますし、かく申す私も党の幹事長をしておりまして、また通産大臣池田君は当時政調会長でもございました。そういう関係で、二十八年の災害の処置について私どもが苦労した点、これは十分経験済みのことでございますし、また今回いろいろ苦心しているのも、過去の経験から見まして、やはり適正でなければならないという点、これに思いをいたして、いろいろ苦心している最中でございます。どうかその点御了承いただきたいと思います。
○綱島委員 次にお伺いをいたしますが、学校復旧の問題でございます。ちょうど文部大臣がおられませんようですが、学校復旧の問題でございますけれども、これは総理にお伺いをしておきたい。 なるほど、公立学校だけの復旧をいたしましても、これはそれではいかない。学校はいわゆる営利投機事業ではございませんので、災害があっても何しても、またやれるというふうなものは作っておらぬと思う。そういう点については、やはり公私の別がなるべくないようにやっていただきたい。ことに私は、これは私の愚見でございますが、濃尾平野のごとく、潮がきた、水がきたとなると、逃げようとしたって、水の方が先にきて、五里も六里も先まで一ぺんに上がってしまいますから、逃げ延びることはできないので、そのまま死んでしまう。今度の雨の量、なるほど風はひどかったらしいですが、雨なんぞ、まあ関東でいえば、もう二百ミリ降れば大事になる。長崎県なんぞ、二百ミリ降らぬときはありませんよ。二十八年には千ミリ降っておるところがずいぶんある。そんなに降ったら、関東なんか、東京湾なんぞみんな流れてしまう。けれども、長崎県なんぞでは命を失うものがないのでは、すぐ走り込めば山にぶつかって、山に上るから、もう大丈夫だ。少なくとも平原地帯は、学校その他の公共施設は、高層建の永久建築をしていただかなければならぬ。これは人民がいよいよのときは逃げ込む場所として、まず日本の家屋が一応永久建築にならぬ間はそうしていただきたい。この復旧について、それはなるほど国立や公立はやれるだろう、私立はやれないということじゃ、これは問題になりませんので、そういう際は私立も準じて御補助を願わなければならぬ。あるいは非常に低利、長期の融資をしていただいて、学校の営業内で償却ができるというようなものを一部まじえて、そうして補助を十分にしていただいて、これをしていただかなければならぬ。こういうことについての御意見はいかがでございますか。 それからもう一点だけ、もう時間がありませんから、つけ加えて別の方を伺っておきます。 年々この通り災害が参りまして、どうにもなりませんので――これは災害のたびに、予算々々といって攻め込む方も、われわれは災害屋になったようなものなので、どうも毎年のことでおもしろくないのですよ。そこで一つ災害復旧に対する共済制度のようなものをやったらどうか。これはある程度、少しの金でもいいから金をかけて、収穫の多いものはたくさんかけるというふうにして、これは租税に付加しただけではいかぬから、やはり徴税費のかからぬようにして、そうして一つ災害復旧の共済制度でもこしらえて、毎年五百億ぐらい積み立てたら大体いけるでしょう。政府の方も出そう、民間も出そう、そうして災害のえらい予算ばかり食うやつをやめるような工面は一体なかろうか、こういうことは、これは私の案ばかりじゃなく、委員長が大体非常に熱心でございます。それで一つこれについての御所見、まだ熟しておらないのでございますから、御研究を願わなければなりますまいが、方向としてさようなものについて大体御賛成であるかどうか、この二つを伺いたい。
○岸国務大臣 学校の復旧につきましては、私は綱島委員のお考えと全然同様に考えております。すなわち、公立の学校で従来木造であったというようなものを永久建築の鉄筋コンクリートによってやる、これは今お話のように、災害のときにいろいろな避難場所に現在も使われておりますし、将来もそういうことがないとは保しがたいことから考えまして、また大事な少年の教育から申しましても、やはり建物は永久建築にしたい、特にそういう意味におきまして、今度の補正予算におきましてもそういう趣旨を盛り込んでおります。 また私学についてのお話は、私も全然同感でございまして、今回の補正予算にも特にその点を盛って、従来なかった幼稚園その他、これはほとんど私学でありますが、そういうものの復興についても援助を与える。それから私学振興、これはまあ今度の復旧だけでないのですけれども、私学振興につきましても、私は日本の実情から見て、従来の力の入れ方では足りない、今後力を入れていきたい、こういうように考えております。 それから、災害についての共済制度を考えたらどうか。御承知のように、農業につきましては現在ございますが、その他一般にこれをやるというこ とにつきましては、いろいろまだ計数的な立場から、あるいはいろいろな何 から検討をしなければならぬと思います。方向としては、私はやはりそれは 一つ検討し研究していくべき問題である、そういうことをやはり頭に置いた制度を立てるような方向に向かって研究をしたい、かように思っております。
○綱島委員 それじゃ、次に一つ各省に伺います。 まず農林大臣に伺いたい。農業は、割合に一生懸命やっていただいてはおりますけれども、御承知の通り、農業は非常に不利益産業でございまして、一たび被害をこうむれば、ほうっておかれたら何にもどうにもできぬ、こういう点については特に御留意を願わなければならぬと思う。そこで、従来の考え方の、共同利用のものを主にするとか、あるいは災害でも、共同利用の農家数で割ったものだけについてするとかいったって、実は非常に厚薄がございます。そういう点も一つお考えを願わなければならぬ。そういう政令についても、もう少しお考えをしていただくような御注意、実態に沿うたような考え方をしていただきたい。農家といっても、たくさん半農家みたいなものばかりあって、そしてその利用面積というものも全く空莫としておるような、境もどこまでかよくわからぬものは、勢いみんな、ここまでだといって、切ってしまうようなふうになるでしょうから、それはどうしてももう少し基準というものを考えていただかなければならぬ。特に三万円以上の小災害、これについても御考慮を願って、これは自治庁との御関係が非常に深いようでありますが、この点についても、農林大臣の立場から、いわゆる農生産を復興するという考えで御処置を願わなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、御所見はいかがでございますか。
○福田国務大臣 ただいま綱島委員のお話、ごもっともでございまして、私も全く同感でございます。今度各種の施設を復興いたしまするが、これらの基準につきましては、ただいま大体私どもの考える方向が固まりつつあります。一両日中に御意見も承りたい、かように考えておる次第でございます。特に小農地、小農地施設、さようなものにつきましては、昨年の例にならいまして、地方団体に起債を願う、そしてその起債を財源といたしまして地方団体がその復旧に当たる、かような建前をとりたいと思っておりまして、自治庁の方からその法律案をお願いいたしております。ただ、その場合の起債をなし得る額、これは昨年のような低率ではなくて、高率、すなわち九割までのものまでいける、激甚地については九割である、その他につきましては、農地は五割で、その他、施設におきましては六割五分というような建前をとるわけでございます。その起債の償還につきましては、全額国庫がその元利を補給するということでありますから、補助金を出すと同様のことになるわけであります。その他、農業災害の復興の施策は非常にこまごました手段が必要でございますので、できるだけ意を配りまして御期待に沿いたい、かように考えております。
○綱島委員 賢明な農相ですから、さらに掘り下げて申し上げぬでも大体はおわかりと思いますし、今後も委員会その他でそう詳しく申し上げぬでもお手落ちもなかろうと思います。農業は、御承知の通り、非常に零細で、利益が非常に少ない産業です。他の産業と同様には考えにくい事情にある。また、所得の伸びからいっても、一方のやつが八%伸びるとき、こっちは二%ぐらいしか伸びない、そういうべらぼうな産業であります。しかも、災害を受けると、復旧に非常に金のかかる品物を持っておるわけでありますから、これについては特に御留意を願いたいと思います。 次に、厚生大臣に伺っておきたいと思いますが、このたびの災害では、下水道を問わず、私はちょっと想像の及ばぬような被害になっておりはせぬかと思う。水が引いてみねばわからぬけれども、非常な被害になっておる。全部ある程度まで掘り下げてみて、表面上水が通っても、やっていただかぬと、将来伝染病のもとになったりするようなことがありはせぬかという考え方をいたしております。これに対しての厚生大臣のお考え方は一体どうか。 それから、流行病に対しては大体どういう御施策をなさるおつもりでありますか、また現になさりつつありますか、将来どうなさるおつもりか、災害に関して発生する流行病等についてはどういうお考えでございましょうか、一応伺っておきたい。
○渡邊国務大臣 このたびの災害にかんがみまして、防疫対策がどのように行われたかということでございますが、防疫対策につきましては、特に救護班、あるいは防疫班、あるいは医療班、こういうものを、近畿あるいは中国、東北あるいは関東等から、有機的に、しかも都道府県と連絡をとりまして十分な措置を講じましたがために、流行病、いわゆる伝染病等の発生も、われわれが最初予想しましたよりはるかに少なかったと思います。将来の対策といたしまして最も考えなければならないものは、やはり環境衛生対策及び防疫対策であり、それは何であるかといいましたならば、屎尿の処理、塵埃の処理という点に尽きるのではなかろうか、かように考えまして、要するに、下水道の終末処理ということにつきまして、国の補助もこれを見ることにいたしております。あるいはまた、消化槽、貯留槽につきまして、これらの下水道終末処理が行われていないところにつきましても十年計画を立てておりまするし、特に東京都におきましては、オリンピックを前に控えておりまするので、四年計画を立てまして、環境衛生の十分なるところの処理に万全を期しておるような、状況でございます。
○綱島委員 労働大臣にお尋ねをいたしますが、ただいまの、激甚なる被災地等においては、勢い非常な失業者が出るだろう、また、従来は自立した産業をやっておった人も、この際労働大臣の管掌地帯に入ってくる人がずっとふえるだろうと思う。そこで、問題は失業対策であります。これについては、基本的に大体どういうお考えをしておられて、どういうような予算措置をされて、どういう方向でやっていこうと考えておられるか、それをお伺いしたい。
○松野国務大臣 災害が起きますと、やはり一時的には失対事業の要求が非 常にふえて参ります。これは、本質から申しましても、やはり事業主体が市町村でありますから、市町村の公営的な事業に対する失対がふえて参ります。しかし、ある時期が過ぎて参りますと、今度は、公共事業が相当な速度で進みますから、ある時期を過ぎますと、公共事業への吸収がずっと進むというのが、過去の災害の実状であります。今回の場合は、災害が、ことに都会の場合が多いということで、都会の失対事業が非常に緊急になって参りましたので、今回の災害につきましては、失対事業の重点的な配分をやる。それでは、失対事業の中にそれだけの余裕があるかといいますと、今日までは、幸い民間就労がふえまして、この上半期は雇用状況がある程度好調でありましたので、今日直ちに予算が余るとは申しませんが、今日、上期を見るならば、下期において災害に回す相当な余裕は現行予算の中に見込まれるという意味で、今日は相当な数、失対の重点的施行をやる。なお地方団体の負担が三分の一ございますから、地方団体の財源の枯渇も考えまして、市町村あるいは府県の財政負担の少ないところには、特に五分の四の高率適用をやるように今回御審議をいただくように提案をいたしました。従って、ワクは現在の失対のワクでやり、適用は高率適用をやる、この二重において失対の問題は十分解決できると考えております。
○綱島委員 次に、自治庁に伺います。これは非常な問題で、あらゆる点から、特に地方の貧弱市町村にかぶせられる負担が非常にふえて参りました。特に、納税力はだんだん減って参りました。国税はある程度他のところでカバーができるかもしれないが、民衆が負担しておる住民税等の問題は、容易ならざる難関に陥って参るものと考えられる。その他、公共土木その他の地方団体の負担分及び起債分等を加えまして、どういう御処置になるお考えでおられるか。これは、おそらく、他の大蔵省や建設省、農林省の主要なるお役割と並べて、一つ、自治庁はこれをお考え下さらなければならぬ。大いに奮発していただかなければならぬお役所のようでありますから、特に明確にして十分なる御答弁をお願いいたしたい。
○石原国務大臣 お答えいたします。今回の災害に対しましては、とりあえずいろいろの特例法を設けてもらいまして、高率補助をできるだけ適用していく。その他の面につきましては、今回の予算補正によりまして特別交付税等も相当増額されておりますので、それらを重点的にやっていく。なお足らざる地方につきましては、歳入欠陥債であるとか、あるいは災害対策債というようなものを認めまして、その将来の償還についてもいろいろ考慮を加えていく。それから、今回予算補正によりまして、起債のワクも、災害対策につきましては、既存のワク三十五億に、さらに百六十億ふえて百九十五億用意されておりますから、それらをもって対処していきたい。将来の地方財政の問題については、今せっかくいろいろ検討を願っておるのでありますが、住民税は、公約に従いまして、三十五年度においてはある程度の減税をしなければならぬ。その財源補てんにつきましては、大蔵省当局とも十分折衝いたしまして、何らかの措置をとりたい。それから公共土木に伴いまする地方の負担も非常に多いのであります。特に、私どもは、治山治水、河川の事業につきましては、いま少しく国の負担を増大してもらいまして、地方の負担をなるべく軽くするようにいたしたい。起債のワクにつきましても、さらに本年よりはもっと増額をしてもらいたいというようなことをいろいろ考えて、今回の災害が将来の地方財政に大きな禍根を残さないように、万全の措置を講じて参りたいと思います。
○綱島委員 文部大臣にお尋ねをいたしたいと思います。先ほど、首相から大体お答えを願っておりますから、大体はわかっておりますが、担当の大臣であられますので、特に御意見を伺っておきます。今度の災害地の災害教育施設の復旧につきましては、特に三重県の一部、愛知県のごとき平坦地域で、一たび堤防が、河川といわず、海岸といわず、どこでも破られれば、すぐに潮が押し寄せてきて逃げ延びることのできないような地域については、今後は永久建築をもって補強をしていただかなければならぬのじゃなかろうかという点が一点。もう一つは、従来、公立の学校だけをおもに対象とされたようでございますが、この際は公私の別なく、復旧についてはほとんど同額に近い補助をいたされまして、ことには、最も末端である幼稚園とかその他の施設については、ことさら意を用いられて、これをやっていただかなければならぬ。今までは、託児所のごとき、それほどでなかったところも、みんな家族総出で働かなければならぬようになることでございましょうから、託児所の復旧なども取り急いでしていただく必要があると思います。これに対する御意見はいかがでございますか。
○松田国務大臣 お話のように、山間の高いところに出水した場合と、平地の場合と事情が異なって、平地の場合にはよけい被害を受けるということは、今回の例でも明らかであります。従って、こういう場合には、避難地としての重要な役割を果たしておる学校もあるというような点にかんがみまして、お話のように、できるだけ鉄筋コンクリートのものにすべきであるということに対しましては、全く、現地を見て、特にそうした感を深くするものであります。従って、できる限り、原則として鉄筋コンクリートのものにしていきたい。それに対しては、今回は従来よりもよけいに、その恒久的な鉄筋コンクリートの改良復旧をするというために予算の幅も広げてもらったようなわけでありまして、ほぼ御希望に沿い得るのではないか、かように考えております。また、私立学校といえども公立学校と同様に、事、教育に関することであって、私立学校も教育の大いなる部門を担当しておるという実情にかんがみますと、これももちろん国の力をもって復旧すべきではないかというお考えは、私どもも同感であります。しかし、現在のところでは、ことごとくこれを公立学校と同等に扱うというところまではいっておりません。けれども、しかし、私立学校に対しても、補助の対象として、二分の一ほど私学振興会の方の融資をするということによって、どうにか急の間に合うようなことにはなるのではないか、かように考えておる次第であります。
○綱島委員 文部大臣にもう少し伺いたい。融資の額だけでは――これは大部分を補助にしていただかぬと、やはり建物も安いものを建てるということになりましょうし、それから危険も出てくる。大体、教育は国家が負担してやらなければならぬものだ。それを篤志家が学校を建ててやっておるというようなものについては、特に一つ御留意を願わなければならぬ。特にこのたびの災害でも、私学校の生徒は立ちまさって復旧に努力したと聞いております。これらの点も御考慮願って、私学校に対しては、相なるべくは公立学校と同様、もし、そういかぬ部分があれば、その部分は、非常に長期低利な、一定期間だけ利息を据え置くような融資の道を立つるような法律案を委員会に御提出願いたい。委員は喜んで審議をいたします。その点についての御意見はいかがでございますか。
○松田国務大臣 全くお考えについては、正直同感でございます。同感でございますが、何と申しましても、やはり国帑多端にして思うにまかせぬという点もございます。しかし、同感でございますから、できる限り御趣旨に沿うようにいたしたい。
○綱島委員 私はこれで終わります。
○南條委員長 午前中の会議はこれでやめまして、暫時休憩いたします。午後は一時三十分より開きますから、さよう御承知願います。 午後零時二十二分休憩 ――――◇――――― 午後一時四十二分開議
○南條委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前に引き続き質疑を行ないます。 この機会に御了解を願いたいと思いますが、それは、総理大臣は、外交上の関係で午後五時には退席いたしたいとのことでございますので、理事会の申し合せによりまして、横山君、塚本君の質疑のあとは、先に一括して内閣総理大臣に対する質疑を行い、引き続き各大臣に対する質疑を行なうことにいたします。なお、総理大臣に対する質疑は、一人当たりおおむね二十分以内に願いたいと思いますので、御了承を願います。 それでは横山利秋君。
○横山委員 まだ大臣がおそろいでないようでありますから、途中からの質問になるかもしれませんけれども、まず大蔵大臣に質問をいたしたいと思います。 時しも本日の新聞を見ますと、ロッキードに次期戦闘機が決定をしたという報道が大々的に出ておるのであります。少なくとも今日の災害の現状を見ますときに、国民がひとしく熱望をいたしておりますことは、この災害の予算については、総理大臣が現地で言明をいたしましたように、また各大臣が現地で申しましたように、十分な予算を盛ってもらいたい、こういうことであります。今日本委員会において各大臣の説明を聞いておりますと、そのままずばりとは言いませんけれども、先ほどのどなたでありましたか、松田文部大臣でありましたか、やはりその財源問題に触れて、微衷を察してくれというようなことを言っておるわけであります。今回の予算案は約四百億、ロッキードに決定をいたしまして、これから年々税金をもって支出いたします額は、約七百億になんなんとなるかと存ずるのであります。総理の答弁をもっていたしますならば、わが国はこれからさらに戦争をする、ないしは準備をする意思がないということでありますから、もしかりにそれを信用いたしますならば、一にかかって、今日の日本における航空機産業育成のための手段でなかろうかという意見の方が強うございます。先般予算委員会で大蔵大臣は、わが党の楯委員の質問に答えて、接収貴金属について、これはもう支出の余地なしという言明をいたしました。私は、この際、大蔵大臣の所信として、今回の補正予算が、財政上これ以上捻出をすることは真に不可能であるか、また、ロッキードに支出をする金があるならば、国民が熱望しておる災害予算に回すべきであると思うが、この質問に対して所信を一つ承りたいのであります。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。今回の災害に対しましては、政府はあげてこれが対策に万全を期しておるつもりでございます。その意味におきまして、その財源の捻出等におきましてはいろいろ工夫をいたした次第であります。まず本年度内の工事といたしまして所要予算は、十二分とは申しませんが、私どもが予定する程度の災害復旧には事欠かない、こういう感じがいたしておるのであります。ただいま、接収貴金属について考慮の余地のないような表現のように御発表になりましたが、これは昨日でしたか、詳細に本会議における説明について補足をいたしましたように、いわゆる政府の特定貴金属につきましては使用残はございませんが、不特定貴金属についての政府の持ち分、それはまだ残っております。ただ、それについては手続等に相当の期間を必要とするということを申したはずでございますから、その点は誤解のないように願いたいと思います。 そこで、ただいま次期戦闘機決定の問題と災害復旧との関係について言及されました。昨日深夜になりまして、ロッキードを次期戦闘機として採用する、また、機数も百八十機並びに練習機二十機、計二百機を四十年度までに国産するということを目途として、この機数並びに機種の決定をいたしたわけでございます。今後の予算編成の面になりまして、この次期戦闘機がどういうような財政上の負担になるか、もちろん、年度割りその他を十分計画いたさなければならないことでございます。その観点から見まして、災害復旧について、来年度あるいは再来年度、こういう場合の災害復旧、これが予算編成の場合の大柱であることは、たびたび御説明いたした通りであります。今回の災害の復旧については十分の処置をいたしたいと考えております。ただいまの次期戦闘機決定、これが災害復旧に非常な支障を来たす、かようなおそれはないというように私どもは確信をいたしておる次第であります。
○横山委員 先般大蔵委員会において明らかにいたした政府側の数字をもって申し上げますならば、この接収貴金属はまだ約六百七十四億あり、民間に返還をされる予定のものが四十一億、しかるところ、今日請求があるのはまだ三十二億くらいしかないのでありますから、自余のものは、日銀の約三百七億を別にいたしますと、全部政府の帰属になる予定となっておるものであります。現に政府は、法案が通りません以前から、これは政府の帰属のものだといって、百円銀貨にすでに使用いたし、その額はすでに四十数億にも上っておるところであります。私は、おそらく政府は来年度予算にもこの百円硬貨に接収貴金属の一部をお充てになると思うのでありますが、いかがでありましょうか。その来年度予算が、もう編成の過程でそれが予定されておって、それでもって、災害対策にはこの金は回すことができませんというのは、いかがなものでありましょうか。この点は大臣の釈明を求めたいと思うところであります。少なくとも、民間に返還をいたしますのは、最高四十一億と見積もって間違いないのでありますが、十二月三十一日までに申し出がなければ、あとは全部日銀と政府に半々になるということは、大体間違いのないところであります。しかりといたしますならば、これから不特定物のものと申しましたところで、大体その中でどのくらい一般財源にこれを使用し得るかということは、おのずから常識をもって見定めがつくところと思うのであります。この点はいかがでありますか、重ねて私は御答弁を求めたいところであります。
○佐藤国務大臣 接収貴金属の問題につきまして、来年は使うのじゃないかというお尋ねでございますが、これはもちろん、今からどうするとか申し上る段階ではございません。要すればそういうことも考えなければならぬかと思います。ただ問題は、今御指摘になりましたように、申請の時期は十二月末が一番おそいものであります。それから、この接収貴金属を処分するにいたしましても、この処分が、もし私どもの希望するような方法、時期においてはたして処分できるかどうか、これは多分一般の国有財産の場合でも同様でありますが、そういう問題が一つございます。従いまして、この接収貴金属の問題を復旧の財源にしなかったのはそれだけの理由でございまして、なるべく確定財源をもって復旧の財源に充てる、この観点に立って復旧財源をいろいろ工夫したその結果は、三十四年度の災害復旧には、私ども考えましてこれでまず事足りる、こういう財源を確保いたしましたので、ただいま御指摘になりますような、やや残る問題につきましては、これに手をつけなかったというのが現状でございます。
○横山委員 私は予言をいたしますが、おそらく、三十五年度の予算の中においては、この接収貴金属の一部は一般財源に使用されることになるであろう。それにもかかわらず、政府はそちらの方には予定をしながら、災害の予算に対しては支出できないという矛盾を今犯そうといたしておるわけでありますが、これは意見の相違となるところでありましょうから、明年度一般会計予算が提出をされましたときに、あらためて論及をいたしたいと思うわけであります。 運輸大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、今回の災害の一つの特徴として、産業と民間の被害というものが激甚であった。特にその中で特筆すべきものは、港湾の問題であります。私は名古屋の港湾地帯を見て、また、私ばかりでなく、すべての人間が一驚を喫したものは、おそるべき流木の惨害であります。私はその実情につきまして二、三の人に聞いたのでありますが、夜の夜中に、あっという間に浸水をしてきて、そうして窓から外を見たときに、まず普通の人であったならば腰を抜かしたであろう、直径一メートルも二メートルもある大木が、まっすぐに流れてくるのではない、もんどり打って、生きた人間のように宙天返りをしてくる。それが一本や二本でなく、おびただしくやってきたというのであります。はたせるかな、その中心地帯になりました名古屋市の南区におきましては、この流木の惨害は大へんなものでありまして、問題となっております南区の白水地区におきましては、白水の学区と申しましょうか、小学校の連区でございますから、大体人間の数はおわかりでございましょうが、それにもかかわらず、九百人になんなんとする死者が出ました。そこで先般来大問題になりまして、これが被害者の諸君と、木材倉庫の諸君、木材業者等が集まりまして、約三千万円何がしの、賠償といいますか、見舞金を支払うことに相なったのであります。つくづく考えてみますと、この名古屋港における材木というものは、今回この木材の高騰見込みが手伝いまして、もう収容し切れないほどに緊急輸入をいたしました。そしてその保管が適切であったかどうかについても、ずいぶん議論があるところであります。これは何も名古屋港ばかりでなく、東京湾においてもすでに議論が起こっておりますし、大阪港においてもまた同様な問題がございます。一体この流木の、人命や、あるいは住宅や家財や、産業に対する大へんな破壊に対しまして、単に現地で関係の業界と避難民とが話がついたということだけで、国やあるいは県や市は責任を免れてよろしいものであろうかどうか。はたして今日の港湾における木材の集積状態、国の管理は適切であったかどうか。適切でなかったところから起こったと思うのでありますが、今後一体どうすべきであろうかという点について、運輸大臣の所見を承りたいのであります。
○楢橋国務大臣 横山委員の申されました流木の今回における大きな被害というものは、私も現地に参りまして実は驚いたのでありまして、そのために人命その他に非常に大きな被害を与えたのであります。しかし、今回貯木場の外側の決壊から材木が流出いたしまして、こういうことを起こしたことにつきましては、今回の高潮というものが、実は予想しない大きなものであったのでありまして、その点について、いわゆる貯木場の倉庫業者あるいは港湾の管理組合等にやはり十分な責任があるではないかというお話はごもっともでもありますけれども、今回の高潮というものが予想をしなかっただけに、これのみを責められない段階にあると実は思うのでありまして、また、これに対して国及び市等がやはり何らか過失の責任があるではないかというお話もあるのでありますけれども、これはやはり他の災害、たとえば堤防の決壊等のそういう例にならいまして、ことさらにこれに対する国家の賠償という問題は、私どもの方では考えておらないのでありますが、ただ、御指摘のように、今後の港湾における貯木場という問題は、非常に大きな問題でありまして、東京湾並びに大阪等においても巨大なものがありますから、徹底的にこの機会に、こういうような高潮等の対策として、これを防ぐ万全の措置を講じなければならぬ、こういうことを感じておりまして、今、港湾局におきましても、名古屋の貯木場のあり方、あるいは今後のこれに対する防災の設備等について、万遺憾なきを期するような手配を実はしておるような次第であります。
○横山委員 私は、この流木による人命及び家財の被害に対してのみ、国の責任なり、あるいは県、市当局の責任を追及しておるのではありません。私はそれを一つの例として話しておるわけであります。沿岸の堤防について、もし政府及び出先の役人の設計あるいはそのほかの手配の疎漏なことによって生じた犠牲があるとすれば、当然国家賠償法による責任は免れがたいところであります。総理大臣がいらっしゃらないのですから、勢い、題材としてあげました流木の問題で運輸大臣にお伺いしておるのでありますが、かりにこの貯木場、名古屋は今度問題になりましたけれども、大阪にしろ、あるいは東京にしろ、この貯木場が今日のような材木の集積の仕方であるならば、第二の十五号台風がこないまでも、一規模下の台風でありましても、材木が集積場から逸脱して、このような被害が起こらないとは絶対に保証しがたい、あり得ることだと痛感するわけであります。従って、もしも、そういうことが政府及び出先機関の失敗によって起こったといたしましたならば、大臣としてはどういう考えをおとりになりますか。それが第一点。 第二番目は、今、木材港について将来は構想を立てたいとおっしゃいました。港の問題で、もう一つ問題になりますのは、何といっても、今回のこの内海ともいうべき伊勢湾を縦に下からはい入ってきた。こういうことであるとするならば、この岸壁を高うして波を防ぐという手も、これはよく識者でいろいろ議論をされるのでありますが、十年に一回あるいは五年に一回の設備のために、毎日々々驚くべき不便をしなければならぬということでも困るという意見から、沖合いに防潮堤と申しますか、防波堤と申しますか、とにかく、もう一段海の中においてこの潮を防ぐという方法が確立されなければ、どうしてもだめではないか。つまり、二段がまえの港の防備をはからなければだめではないかという意見が、最近現地では非常に強いのであります。聞くところによりますと、運輸省におきましても、一部そのお考えがあるようでありますが、港の防備の根本的対策はいかにお考えでありますか、それをお伺いいたします。
○楢橋国務大臣 貯木場の問題は、今御指摘のように、東京湾並びに名古屋その他におきましても、港湾における貯木場のあり方というものを抜本的に考えなければならぬということで、関係当局ともよく打ち合わせをいたしまして、あらゆる高潮等に対して万遺憾なきを期するような、これが流失しないような防壁を作るということについて、今鋭意研究もさせ、その手配をさせつつあるのでありまして、東京湾並びに大阪湾等も、御指摘のように、今回の災害によって大きな教訓を得ましたから、そういう場合は、できるだけの活用をいたしたいと思う次第であります。 なお、今御指摘になりました名古屋港の大きな被害は、横山委員が言われますように、ああいうような袋路になっておりますところは、大きな高潮になりますと、ますます盛り上がってくるというような状態であることがはっきりとわかったのでありますから、今回のこの問題について、どうしても徹底的にこれを守らなければならない。それには、名古屋港の外郭、すなわち、鍋田川左岸及び知多町地先の双方から延長約九キロメートルの防波堤を突き出させまして、それによって名古屋港に侵入してきます波浪のエネルギーを減殺するという手配をするようにいたしておりまして、これに対して九十四億の大体計画でやるようにやっている次第であります。
○横山委員 大臣のお話によれば、相当たくさんの国費が必要であろうと思うのであります。しかし、いろいろ今回の災害を中心にして、港の防備につきましては各方面の意見があるところでございますが、結局、私もいろいろな意見を拝聴いたしまして感ずることは、港で岸壁を高うする一段がまえの防備では、とてもじゃないけれども、港の日常の仕事にならぬと痛感をされるところであります。従いまして、ただいまのような計画がおありになるならば、何としても、一刻も早く実現するように私として要請をいたしたいところであります。 総理大臣がお見えになりましたので、総理に、この際、あらためてお伺いをいたしたいことがございます。それは、もうすでにいろいろこの席上におきましても質問があり、答えがあったところではございますけれども、何としても、罹災地の諸君には、疑い心といっては失礼でありますが、疑念さめやらぬものがあります。それは、現地へ来れば、政府首脳部はいいことを言うけれども、実際、予算なり法律が出ると、何のことかということであります。早い話が、あなたが罹災地に行ってみて、そうして予算や法規はあとのこととして、全力をあげて復旧をするのだと言い、そうして、本会議では、まさに史上まれに見る大規模な惨害と表現をされました。それにもかかわらず、もう国会は三分の一を終わろうとしております。そして、予算委員会や本委員会でたび重なる審議が行なわれていますのに、まだ激甚地の指定が出ていないということであります。しかるに、どんなにむずかしい、どんな問題であろうと、災害対策で政治的に一番根本になったその激甚地の指定がわれわれの目の前に現われていず、一番災害のはなはだしかったという愛知県なり、あるいは名古屋市なり、今なお水につかっております津島市なり、あるいは岐阜県などというものがこれから除外されているということについては、現地の諸君がどうにもがまんのならぬところであると言っているのであります。一体どういうおつもりでありますか。現地でおっしゃった意向というものは、なまであなたがあの水を見て、泥海を見て、それに対してものを言われたことでありましょう。それにもかかわらず、その泥はあかん、その水のところはだめだという考え方が、一体ほんとうにおありなのでありましょうか。激甚地であるとするならば、はなはだしく激しい罹災を受けたところが当然優先的にされなければならない。そうでないならば、名前を変えなさいよ、名前を。激甚地という名前を変えて、調整地とかなんか、ほかの名前になさったらどうでありましょう。一体、いつこの指定を出されるつもりでありましょうか。きょう、ただいま、あなたの決心を、一体、あの激甚地はどうなるのだということを、もうはっきりおっしゃるべき段階にあると思うのであります。われわれの委員会が低迷をし、院内を取り巻く雰囲気が低迷をいたしておりますことは、実に、一にかかって、あなたが現地で言ったことがちっともこの国会で中心の問題としてはっきりしないところにある。罹災地の諸君は、水につかりながら、何たることだと言って怒っているところであります。重ねて、その問題を中心に、総理大臣の所見を承りたいのであります。
○岸国務大臣 激甚地の指定の問題につきましては、午前中にも、私及び大蔵大臣がお答えを申し上げました通りでありますが、もちろん、今回の補正予算や特別措置法を出しましたこの内容を御検討いただきますと、私が現地で申しましたように、また、各関係大臣が申しましたように、今度の災害に対して政府はあらゆる面からこれが復旧に全力をあげるという趣旨のもとにこれらの立案をいたしております。ただ、問題の激甚地という点につきまして、先ほどもお答えを申し上げましたように、ただ単に災害の深度といいますか、激しさの程度だけでこれをきめるというわけにいかない。この特別措置の対象が公共施設である場合であるとか、あるいは農地である場合であるとか、その場合におきまして、これをどういうふうな標準で定めることが公平であり、適切であり、また、被害地におけるところの復旧に最も適当であるかという見地から考えているわけであります。いかなる意味においても、災害を受けたところが完全に復旧され、被災者が復興の意気に燃えて立ち上がることのできるように施設をしなければならない。その場合に、国がどの程度負担していくかということにつきましては、十分この復興が有効にできるために必要な措置を講じていく必要がある。それには国も負担をするし、あるいは地方公共団体も負担するし、ある点は被災者みずからも一つ負担していただいて、そうしてこれを復旧していく。こういう点において、国がどういうふうに負担していくかということの基準になるわけでございますから、公平に、適正に考えていかなければならぬという意味におきまして、関係省においてその標準を検討いたしておる。しかし、今お話の通り、補正予算や、あるいは特別措置が予算委員会や、あるいは災害対策委員会で御審議願っておるのでありまして、その御審議に間に合うようにこれをきめて、そして、皆様の御意見も拝聴するという必要があると思いますから、至急にこれを取りまとめるように、私は関係の各省に命じまして検討さしておる、こういうのが実情でございます。
○横山委員 何が公平であるか、何が適正であるかについては、あなたは何にも言わないのであります。抽象的な公平や適正論というものは、もうすでにここにいらっしゃるすべての人が、総理大臣が何を言ってるんだかわからぬというふうに理解をしておる。問題は簡単であります。あの最も激しかった地域が指定されるのかどうかということであります。あなたはそうではないらしい。だからみんなが疑っておる。激甚地というその言葉をすなおに受け取って、最も激しかった地域であるところの愛知県なりあるいは名古屋市なり、水につかった津島市なり岐阜県なりといった、あの多くの最も激しかったところが一体そのまますなおに指定をされるのかどうかという一点であります。そのお返事と、もう一つは、早く出しますと言っていらっしゃるのですが、もう審議も半ばになろうとしておるときに、いつ出されるのか、明確に一つはっきりしていただきたいのであります。
○佐藤国務大臣 ただいま総理がお答えした通り、ただいま事務当局で十分調査しておる最中でございます。しこうして、今いろいろ具体的な市をあげて、これが激甚地じゃないかというお尋ねでございますが、私は、おそらく市町村等において、おあげになりましたような地域がよもや激甚地からはずれることがあるというふうには考えません。この十五号台風そのものから見まして、この市町村等の被害の激甚でありますものは別に心配はないと思いますが、私どもが非常に気を配っておりますことは、この三十四年の災害は全国にまたがっております。従いまして、各地それぞれ非常な深い関心を持っておる。そういうような意味におきまして、あるいはこれとこれと比べてどうだというような議論が、また時に起こることも心配の一つでございますし、そういう意味ではどういうような基準をきめることが一番よろしいか、そういうような意味において遺憾なきを期したいということで、ただいまいろいろ調査しており、また関係方面ともいろいろ折衝しておりますが、そのむずかしさは、先ほども総理からお答えいたしましたように、公共土木と農地、あるいは文教施設との関係もございますし、あるいは三十四年災として考えますと、全国各県にまたがっておる、そういうところにも問題があると思いますし、また県と申しましても、特殊な県におきましては、非常に災害は激甚ではあるが、その他の部分は、実はほとんど災害らしいものはないというような場所もあるわけであります。そういうことをいろいろ勘案いたしまして、どういう基準をとることが適正なりや。言いかえますれば、県が一局部では非常な激甚の災害を受けておるが県全体としてこれを取り上げると、それがちょっと私どもが考えた基準には合わない、こういうような場合もありますが、それでは災害をこうむっておる町村としては大へんお困りだろう。だからそういうものはそういうものでまた考える方法はないか。県単位で考えた場合だとか、あるいは市町村単位で考えた場合だとか、その点十分工夫しなければなりませんし、また公共土木は、申すまでもなく、地方団体の財政状態に関係がありますし、農地あるいは農業施設になりますれば、これは農民の負担の問題でもございますし、そういうような意味で、やはりそれらの間にも十分調和、調整をとるということを考えて参りますと、激甚地査定の標準をお示ししていないことはほんとうに申しわけございませんが、私ども一そう適正を期するという意味におきまして、いましばらく私どもにも時間をかしていただきたい、これが偽らない実情でございます。
○横山委員 大臣の御答弁にはきわめて不満でございます。しかし、時間もございませんから次の問題に進んで、総理に伺いたい。 一昨日でありましたか、総理は予算委員会において、将来の水防対策に対する、抽象的ではありますが、お考えを明らかにされました。そしてこれをできる限り次の国会へ提案したいと言明をされたのであります。すでに今日まで、本委員会なりあるいは予算委員会で、今回の経験にかんがみて何をなすべきかについては、いろいろ議論をされたところであります。わが党からは、災害の総合研究所の提案がありました。あるいはまた、政府側から、科学の利用について中曽根大臣からも一種の見解の表明がありました。また建設面につきましては、治山治水の面といい、あるは建築面といい、多くの示唆に富む問題が出ておるのであります。また議論の集点となりましたのは、役所のなわ帳り争いであります。総理は一応打ち消されたようではありますけれども、所管の違うことによって、一つの提防が、一つの港が、今度の災害においてもずいぶん被害の度が違っておったというのが、もっぱらの話であります。また自衛隊について、いろいろな与野党の意見の相違はありますけれども、その運用について、まだまだなすべき点があるということが痛感されるところであります。つくづく考えますのに、昭和二十一年から昭和三十年までの統計を見ますと、わが国は一年に二千四百億ばかり国費を、年々歳々災害によって失っておる。しかも、その政府の統計の中で、これはあるいは個人的意見かもしれませんけれども、それで阻止できない災害を除いた額は二千二百七十億円だ、こういうことがいわれております。この数字が確定的であるかどうかは別といたしましても、これだけ莫大な災害を年々歳々受けて国費を失っておる日本として、この際、もうそれこそ、ほんとうに根本的に災害を防止する立場に立つならば、一千億を毎年投入しようが、二千億を毎年投入しようが、プラス・マイナスの計算としてはその方が得であると、つくづく思いいたされるのであります。総理が、本委員会で、一つ考えて次期の国会に基本的なものを提案したいとおっしゃった意味は、どの程度のことでありましょうか。私はこの際、たとえば防災基本法とでもいうべきもの、そういうような中で、たとえば今回の長期の浸水、たとえば今回初めて大規模にあった産業と民生の被害、たとえば、今回の議論になりましたが、災害救助法を県から市町村に少し権限を移したらどうかという問題、たとえば食糧の備蓄にいたしましても救急医薬品の備蓄にいたしましても、それぞれ関係個所に責任を持たせるという問題、たとえば自衛隊につきましても、与野党の意見の相違はありますけれども、災害復旧それ自体についていま少し機動力と施設と、あるいはまた準備訓練を自衛隊が持っておったならば、今回のこと以上な効果を上げたのではなかろうかと思われる問題等、たくさんの問題が今回の災害の経験で浮かび上がってきておるわけであります。従いまして、単に各省々々で、堤防の高さを何メートルにするか、あるいはまた、災害救助法の一部をどうするかということに終始しておっては、あまりにも大きな損害だと思うのであります。あなたのおっしゃる基本的な法律なり、あるいは根本的に予算を組みたいという構想はどういうものでありましょうか、あなたの率直な御意見を具体的に伺いたいのであります。
○岸国務大臣 日本は、御指摘のように、年々歳々台風の非常に大きな被害を受けております。こういうことを年々歳々繰り返しているということは、これは国土の保全の意味から申しましても、あるいは産業、経済の上からいっても、あるいは民生の上からいってもゆゆしいことでありますから、これに対する対策を根本的に考えなきゃならぬということは、何人も考えておるところであります。十五号台風に対する応急の措置及びその後の復旧対策、いわゆる現実の今日こうむっておる災害対策はもちろんのことでありますが、日本全土を考えてみまするというと、これはどうしても全体にわたっての災害防止の根本的な計画を立てていかなければならぬ、こう考えられるのであります。もちろん、財政の見地も考えなければなりませんし、あるいはまた、現実の工事量であるとか、いろいろな施設等の性格も考えなければなりませんし、あるいは緊急度に応じての緩急の問題も考えなければなりません。いずれにしても、この治山治水の問題及び海岸堤防の問題を含めた全体を総合的に災害対策として検討をし、一つの計画を立てて、年次計画に基づいて、これに必要な予算の裏づけをしていく必要があると思います。 もう一つは、今御指摘になりましたように、こういう今回の経験に徴しましても、いろいろな応急的な――あの災害の発生した際、その前後におけるところの措置を見まするというと、私ども何よりも第一に考えなければならぬことは、尊い人命が失われるということ、これをどうしても防止するというためには、いろいろな今度の経験からしまして、設備やその他の施設の問題もありましょうが、この場合に動くべき法律、制度なり、そういうことに対する救助の方法なりに関して、何か基本的な法制を作って、そしてそういうものが自動的に動き得るようにしておく必要があることを考えるのであります。いろいろ地方公共団体の関係であるとか、各役所の関係であるとかいうような、また法律が別々に分かれておって、その目的も明確でないというようなことのために、緊急に措置しなければならぬことが万一に多少でもおくれるというために、人命が失われるという場合も少なくないのであります。そういう点に関する法制の整備についても、同時に考えるべき問題である、まあかように存じておるのでありまして、法律、制度、またそういう場合におけるところの活動する機関なり、各方面の協力についての基本的な体制というような法律、制度の問題と、また全国についての総合的な、しかも、恒久的な科学的な見地も取り入れた恒久策について、それを裏づけるような予算の面もあわせ考えたものを、実は通常国会に提案いたしたい、かように考えまして、関係省を督励して、これが立案をさせておるのであります。
○横山委員 その内容につきましては、ずいぶん私どもも意見を持つところでございますが、しかし時間もございませんから、その中で、特にこの災害に大きな関係、役割を持ちます厚生省及び建設省、その両大臣に、今回の災害の経験にかんがみて、将来どういうことを学ばれたか、どういうことをしようとなさっておるのか、その一端を承りたいと存じます。
○村上国務大臣 お答えいたします。水防対策、その中でも罹災救助対策等につきましては、現在でもそれぞれの法律によって施行いたしておりますが、今次の伊勢湾台風等の経験にかんがみまして、これらの大洪水の際には、どうしてもこれを整備して統一するとともに、その救助対策をさらに有機的に行なうようなことを考えなければならないと思っております。従いまして、御意見のように防災基本法ともいうべきものの制定も必要ではないか、かような見地から目下検討いたしておる次第であります。
○渡邊国務大臣 厚生省の所管といたしまして、将来どういうふうな心がまえでおるかというお尋ねでございますが、午前中の御質疑に対しまして、防疫対策その他につきまして種々申し上げましたから、多分、災害救助法の適用の内容というものは将来どうなされるのであるか、あるいは社会党の諸君が申されておるように、援護措置法ともいうべきものがどうされておるかというようなことであろうと存じますが、私どもは、今災害救助法におきましては、世帯更生資金のワクの拡大、あるいは融資年限に弾力性を持たせたり、あるいは母子福祉資金等におきましても、同様な措置をとっておるような次第でございます。ただ、他の天災等との関係がございまするので、医療給付あるいは見舞金等についてどうなされるのであるか、こういうようなお尋ねもあると伺っておるのでございます。これらにつきましては、災害救助法におきまして、それらのあらゆる措置というものが十分講ぜられておりますが、他の天災等もにらみ合わせまして、特別に何らか救済措置を講じなければならないということは、別な法律によって規定しておりまするから、現在は十分間に合っておりまするので、われわれは、特別にそういう措置は考えておりません。
○横山委員 次の問題へ移ります。 池田通産大臣にお伺いをいたしたいのであります。あなたは、もうすでに本委員会における答弁で、こういうことを肯定されております。つまり、今次災害が産業に非常な打撃を与え、またその中で中小企業に非常な打撃を与えておることは認めるけれども、しかしながら、この災害対策については、格別――語弊があったら訂正していただいてもけっこうでありますが、特別な対策は、金融以外にはないというような意味のことをもうすでに答えられておるのであります。私の観点もそこであります。あなたは、この間本会議で、今日の日本の産業政策というものが大企業中心であったような気もする。従って、これからは中小企業に非常な力を注いでいきたいという所信を明らかにされました。ところが、こういう惨害にあって政府の発表を見ますと、中小企業関係につきましては、中小企業庁及び通産省における発表におきましても、非常に大きなものであります。それにもかかわらず、さて現実の問題になって参りますと、金融以外には手はないものであるか。一体今度の災害を受けた中小企業に対しまして、具体的にどういうふうにやろうとなさるのか。本会議でおっしゃった気持がまさにその真実であるといたしますならば、罹災いたしました産業、特に中小企業に対する具体的なあなたの構想をお伺いいたしたいのでございます。
○池田国務大臣 今回の伊勢湾台風におきまする愛知、岐阜、三重、三県の被害は、商工業関係で大体八百八十億でございます。また、公益事業、すなわち、電気、ガスの方面で、全体では四十五億でございますが、中部だけでは三十億足らずであります。このうち、中小企業関係の災害は、八百十八億と心得ております。これは、わが国の産業がいかに中小企業にたよっておるかということが、数字においてわかるわけであります。しこうして、私は今回の災害の跡を見まして、大企業が何に困っておるかというと、自分自身の工場がやられたということよりも、職員に非常な被害があって、復旧はまず職員の方からというのが一つの大きい現象で、これは、みんなが今まで予想しなかったことだと思います。 もう一つの現象は、大企業はよかったが、これにつながる中小企業の被害が大きいので大企業が動かない、この事例を私はまざまざと見たのであります。今後、大企業の育成もさることでありますが、これにも増して、彼らのヒンター・ランドをなしておる中小企業の育成をはかっていくことが、産業全体がめざましい発達をなすゆえんであり、今後中小企業に力を入れるのが全体を伸ばす一番いい方法だ、こう考えておるのであります。 次に、そういう状態から申しまして、災害対策について中小企業をどうするか、これは大企業、中小企業の区別はございません。私は、金融が一番だと思っております。従って、今回も、できるだけの処置はいたしました。ただ、ここで問題になりますのは、こういう市街地での災害におきましては、中小企業の協同組合の共同施設の被害ということを今後考えていかなければならないのじゃないか。従来にも増して、組合の発達、従って、組合関係の共同施設というものが相当行き渡ってきておりますので、こういう問題について今後は考えていかなければならぬものであり、農業その他の原始産業とは状態が違いますので、政府が家を建てるとかなんとかいうこと、あるいは道を直すことも中小企業にはあまり関係はございません。やはり、金融が第一であり、また、その金融で特に考えなければならぬのは、共同施設の問題だと私は心得ておるのであります。
○横山委員 いろいろおっしゃるけれども、金融以外には手はない、共同施設以外には手はない、できません、こういう言葉に私は尽きるような気がいたしまして、きわめて残念であります。 しからば、金融を一応例にとってみましょう。たとえば、今回、国民金融公庫に相当の政府資金が流れました。ところが、その積算基礎を伺ってみますと、一件当たり大体二十五万円だそうであります。今回は、罹災した人で初めて国民金融公庫にかけ込む人がたくさんおるのでありますが、その初めてかけ込む人に対する平均というものは、二十五万が全平均でありますから、さらにこれが少なくなるのであります。私が先般国民金融公庫に行っていろいろ聞いておりますと、十万なり十五万という数字が多うございます。家屋は全壊をいたし、店舗の什器類も全部流失をいたし、そして十万や十五万で、げた屋さんを開業するにしても、あるいはまた、うどん屋さんをもう一ぺんかまえるにいたしましても、これはどうにもならぬ金額といわなければならぬのであります。総額からいいますならば、確かに国民金融公庫に年末金融を含めて七十二億でございますか、なるほどという感じがいたさないわけではありませんが、それを具体的に、個々のうどん屋さんや、げた屋さんから、あるいは呉服屋さんに適用いたしてみますと、何と二十万にも足らぬような金額で、これでは金融の道はとられたと言いがたいと私どもは痛感をいたしておるのであります。特に、今まで国民金融公庫で借りたことがない零細企業が国民金融公庫に行きますと、保証協会の保証をもらってくれと言う。保証をもらいに行くと、まさに全壊流失をして何もございませんね、ということになってしまう。まるっきり頼む、頼むといって、せいぜい十万。これでは何の足しにもならぬ。今のあなたの政策のネックとなり、この金融の中の一番忘れ去られた階級というものは零細企業です。この面については、まさに、言うはやすく、行なうはかたいのでありまして、実際にあなたの恩恵は行き届いていないと、あなたはお考えになりませんか。 それから、これは労働大臣の所管になるかもしれませんけれども、それと同じようなのが中小企業に働く労働者の問題であります。特にこの人たちは借家人が多いのであります。家は大家から借りておって、そして水につかってしまう。これは、また、建設大臣の所管に発展するかもしれませんが、大家の承諾がなければ住宅金融公庫は貸してくれぬのであります。えてして、大家は、こういうときは、私が直しますと言うだけで直さない、ないしは、この機会に出ていってくれと言わんばかりの雰囲気であります。中小企業でありますから、大企業や、あるいは政府職員が、まだとしいながら手を差し伸べられているのと違いまして、会社自体が災害にあっているわけでありますから、給料の支払いさえ問題となるところであります。このような零細な小企業者ないしはそこに働いている労働者の諸君は、政府は呼号いたしておるにかかわらず、全く日の当たらない罹災民であります。もしも、この人たちにこういう施策がしてあるといって証言をされる大臣がありましたら、どうぞ一つ、その人たちは、その借家を借りて中小企業に働いている労働者はどうしてもらえるのか、話してやって下さい。まさに、零細企業で、全壊流失をした小規模の企業者にはどういう施策をしてやったと言われる方があったら、どうぞ説明して下さい。私は、今回のこの災害というものが、その二つの人々なり、あるいは農家の人々なり、圧倒的に多い働く人々に対して甚大な被害を与えたにかかわらず、政府の対策は、このようなことに重点が注がれていないと痛感をせざるを得ないのであります。従来の農林災害、土木災害、山村災害という点と、今回襲った伊勢湾台風の特質というものが、対策の中に明確になっていないと痛感せざるを得ないのであります。この点につきまして通産大臣なり、あるいは労働、建設大臣等の所見を伺いたいのであります。
○池田国務大臣 私は、今回二度参りまして現地の状況を見、また、現地の人からいろいろの報告を聞き、御希望も承ったのでございます。従いまして、ただいまのところ、金融についてできるだけの努力をいたしたつもりでございます。しこうして、今国民金融公庫のお話がございましたが、何も一人当たり二十万円とか、二十五万円という制限はございません。また、国民金融公庫からの貸し出しに信用保険のあれを期待いたしておりません。おおむね、これは中小企業あるいは商工中金、また、他の一般の金融機関の貸し付けの保証が今まで本筋であったのであります。国民金融公庫の貸し付けの、いわゆる信用保険ということは、今まであまり例がないのであります。従いまして、国民金融公庫は、できるだけ零細者に対して無担保あるいは人的保証で貸し出すようにいたし、しかも、こういうときでございますから努めて簡易に、しかも、早急にやるように大蔵省へ指示方をお願いいたし、また、現に言っておると思うのであります。最近の貸し出しの状況を見ますと、十月末までの分でございますが、三公庫の様子では、大体順調にすべり出しておりまして、十月末までに二十三億ばかりが出ておるのであります。国民金融公庫が四億、商工中金が九億、中小企業が十億余りでございます。お話の通りに、今までの災害は、おおむね農村、山村等が多いのでございますが、今回は御承知のような状況でございまして、中小企業が非常に災害を受けた。この例は、室戸台風のときには大阪地区でございましたが、今回ほど長くもございませんし、被害も多くございません。従って、今回の経験から考えまして、私は、中小企業に対してのいわゆる組合制度の発達、あるいは次の通常国会に予定いたしておりますが、商工会法を制定いたしまして、中小企業の連絡、団体の指導、こういうことをはかっていきたいと前から考えておったのでありますが、今回の災害でその気持を非常に強くいたした次第でございます。今後政府は災害のあるとなしにかかわらず、中小企業の関係の緊密と、団体の指導というところに力を入れていきたいと考えております。
○松野国務大臣 ただいま国会に提案しております失業保険法の改正は、いわゆる事業場におきまして被害が甚大なために操業ができぬ、休業状態にあるものにつきましては失業保険の適用がございませんものを、今回の特例によりまして、事業場が再開されるまで失業保険を給付することができるという特例をやりまして、労務者がその間の給料というものを十分確保できるようにしているわけであります。
○横山委員 建設大臣はあとでやりますから、労働大臣にお伺いいたします。大臣の今の御答弁は、私の御質問と筋が違っています。しかし、今失業保険の話が出ましたから、あわせてその点について御質問をいたしたいのでありますが、たとえば、御存じのように、国鉄も一カ月になんなんとしてとまっておる。近鉄もとまっておる。国道一号線もとまっておる。従って、三重県から、ないしは関西線の各駅から乗車をする勤労者、名古屋へ通勤する勤労者に事業場は罹災は受けなかったけれども、交通途絶によって一カ月も名古屋へ出勤ができないたくさんの人がありました。無理に出勤しようとすれば五時間かかるのであります。ないしは海上を渡ってこなければならぬのであります。しかも、自分の家は罹災したところがございます。従って、この人たちは、当然今回の失業保険法が適用されるものと一般に議論がされていました。ところが、ただいま御説明になりました失業保険法の特例法というものは、あなたの御説明を待つまでもなく、この趣旨とするところは事業場が罹災していなければだめだ、事業場が休業してなければだめだ、こうおっしゃるのであります。しかし、現に通勤しようにも通勤し切れない数千の労働者は、それによって法律上事業場は給料を支払わなければならぬ義務はないのでありますから、従って、労働者はまるきり給料がもらえないのです。それをなぜ失業保険法の特例法の中に織り込むことができないのでありますか。この点については、私は、労働省としても内部において大いに議論があったところではないか、またあるのが当然だと思っておる。このくらいの問題を、今回せっかくおやりになる失業保険法の改正であるならば、当然入れてしかるべきではないか。なぜ一体そういう思いやりができないのであるか、それをお伺いいたしたい。
○松野国務大臣 失業保険法は、御承知のごとく、失業保険法という会計の中におきましては、これは政府の金というよりも、やはり事業主と労務者の積立金というものでございまして、もちろん、乱給というものは差し控えなければなりません。同時に、今回の失業保険法の特例を設けましたのは、事業場が非常に災害を受けたということを焦点にいたしまして、なぜかというならば、事業場は災害を受けて働く能力がない、経済的余力がないということから、この負担を政府の保険金の中からやろうという趣旨であります。ただいまお話しのようなものは、当然事業場に支払い能力があるのでありますから、雇用者というあたたかい気持と罹災者というあたたかい気持、特に労使間の問題でありますので、有給休暇という制度も今日基準法で認められておりますし、やはり能力があるならば、罹災者というものにあたたかい気持で、事業者が自分の雇用者に支払われるということを私どもは期待いたしているわけであります。それを失業保険に直ちに結びつけるということは、多少当を得ないのじゃなかろうか。また失業保険は、御承知のごとく、積立金の性質から申しまして、これは当を得ないのじゃないか。他にどういう方法があるか。これはかねてから御承知の、労務者の緊急な場合における金融の道に労働金庫がございまして、今日名古屋と三重からは要求が出ております。二県からは要求が出ておりますが、大体資金源もそう逼迫しておるわけではございません。ほかの県からは、あまり多額の要求が今日出ておりません。従いまして、労働金庫というものは、そういう緊急な場合に、もしも事業者があたたかい手を差し伸べない場合には、生活の資金というものは労働金庫の手当というもので、政府も今回これに融資をいたしまして、預金部資金の金利も非常に引き下げております。あらゆる手を考えておりますけれども、直ちに失業保険から出すということには、多少私は失業保険の本質から妥当ではあるまいというので、これに入れなかったわけでございます。
○横山委員 会社が実際首を切っていないのに、つまり失業をしていないのに、今回の措置は失業とみなす、こういう建前がその法律の趣旨であります。そうであるとするならば、百尺竿頭一歩を進めて、事実上通勤ができない、そのために会社は給料を支払わない、支払うべき法令の責任はないわけになりますから支払わない、それによって賃金をもらえないという者に対して、同じ災害の趣旨であるならば、これは当然この特例法の中に入れるべきものと私どもは確信をいたしておるわけであります。しかし、議論の相違ということになるのでありますから、追ってまた、あとの特例法における審議の際に明らかにいたしたいと思います。 最後に、今保留いたしました建設大臣に、あわせて二、三お伺いをいたしたいのであります。先ほどあなたにお伺いをいたしたのですが、大家が承諾書をくれなければ、たくさんの借家人は――またその人たちのほとんどでありますが、これが、住宅金融公庫の資金が借りられないという点については、私は大家の承諾書を持ってくることには原則的に賛成でありますが、もしそれがなかったら貸さないという現行制度については考えるべき余地がありはしないか、これが第一であります。 それから第二番目には、先ほど港の話を議論したのでありますが、もうすでに今日大蔵委員会で通り、本委員会を通過いたました合同庁舎の法律がございます。建設省と大蔵省の共管になっておると記憶をいたしておるのでありますが、各港々における避難所の一助とも相なると思うのであります。この際あの法律を適用いたしまして、港における政府出先機関を統合することが、単に老朽官庁施設を改善するばかりでなく、統一的に簡素化し、同時に、港湾の行政に対して非常に有益な一助となると思うのでありますが、港湾における税関あるいは動植物検査所、あるいは海運局、あるいは入国管理事務所等々、一ぱいある政府出先機関も今度の災害において相当いたんでおるのでありますが、この際合同庁舎の建設をいたし、一つには避難所に、一つには港湾行政の合理化に、一つには今度のいたんでかえるものを簡素化するためにも、合理化するためにも、合同庁舎とするお考えはないか、これが第二番目であります。 第三番目に、潮位以下にあるところ、全国各地にたくさんあるのでありますが、この水位以下にあるところの国民は、日ごと夜ごと、私のところが災害にあって堤が切れたらどうしようかという考えが非常に強くて、現に私も先般その地方に参りましたら、来年ここにおっていいのでしょうかということを盛んに聞くのであります。政府は、緊急なところは来年までに必ず改修をいたしますとは言っておりますものの、今後この潮位以下にありますところの公営住宅、官庁あるいはそのほか民間の、政府の施策で行なわれる中高層住宅等についても、一つの基準を考えるべきではなかろうか。統一した方式をもって今後の建設に当たるべきではなかろうかということが考えられるのでありますが、以上三点について建設大臣の所見を伺いたいのであります。
○村上国務大臣 第点一の、借家人が公庫等から補修費を借り入れる場合に、大家の、いわゆる家主の承諾をもらうということは、私は従来の慣習から申しましても、好ましいことである、かように思っておる次第であります。 それから第二点の、港における政府出先機関の建物を合同庁舎として統一していくという点は、私も同じ意見を持っておるのでありまして、これらについては、十分慎重に今後検討して参りたいと思っております。 第三点の、潮位以下にある建物、今後そこへ建物を建造する場合については、何らかの条例をきめなければならぬのじゃないかということでありますが、これも私はあなたのお考えと全く同感であります。水面以下でありますならば、少なくとも盛り土によって水面以上にその基礎を上げさせるとか、あるいはまた、でき得る限り恒久的な二倍以上の建物にして、万一の場合に備える必要があろうと思っております。これらの条例につきましては、今日でも都道府県あるいは市町村等の条例によって十分これをまかない得ることだ、かように思っておる次第であります。
○横山委員 今の第一問、少し私の質問について誤解があるようでありますが、借家人である人が住宅金融公庫の金を借りるについて、大家の承諾書がなければだめだという今日の状況については、緩和する余地がありはしないか、これが私の質問でございます。
○村上国務大臣 この問題につきましては、私どもとしては、いわゆる大家とその借家人との関係から申しましても、その建物を補修して将来使うというのに対して、借家人が金を借りようというのに、大家が故意に了承しないということは、どうも常識上考えられないのでありまして、従来の慣例から申しましても、家主と借家人といううるわしい関係から、どこまでも従来の方式通り、やはり大家の承諾を得ると いうことが好ましいと思っております。
○横山委員 私の質問、これで終わるのでありますが、ただいまのことは、こまかいようではありますけれども、現地において痛切な問題になっておりますし、建設大臣のこの件に関する御認識はきわめて不足をいたしておりますので、大臣にさらに御検討をわずらわしておきます。
○南條委員長 塚本三郎君。
○塚本委員 最初、総理にお尋ねいたします。 けさほど、本委員会におきまして、一刻も早く潮をとめるべきである、そして排水をせよという決議がなされて、総理からも所信の表明があったわけでございます。しかし、私は現地の罹災者の一人として見ますと、今日このままのような工法で、このままの対策で進みますならば、本年じゅうには決して水が引かないという実情になっております。従って、現地の人が希望するような施策を講ずるといたしますならば、何らか特別の施策を講じなければならないという事態に至っております。具体的にどういうような対策をお講じになるか、この点からお伺いしたいと思います。
○岸国務大臣 冠水地域の締め切り及び排水を一刻も早くするということは、今日の満場一致の御決議もございますし、政府においても、その御趣旨は十分体してこれをやるということを申し上げたのであります。具体的のことにつきましては、なお、建設省初め関係の方面に、あの趣旨に基いて、具体的に現在やっておることを少しでも早めさせることができるように、一つ特別に考えてもらいたいということを申し述べておりますし、今具体的に、こうすることによってこういうふうに早くなるだろうというふうな結論はまだ得ておりませんが、御趣旨の点は十分に真剣に検討いたします。従来といえども、われわれの考えによりますと、最も必要にして、適当な方法として鋭意やっておるわけでございますけれども、しかし、それにしても相当な時日がかかっておりますので、御決議の趣旨もありますから、さらに関係庁において検討をいたしております。
○塚本委員 これは従来とも全力をあげておやりになっておられるという御説明でありますが、なるほど、今日までの法律的な根拠と行政的な力としては、あるいはこれが今日の岸内閣の力としては最善であるかもしれません。しかし、私は毎日この実情を見ておりまして、はたしてこのような原始的な潮どめの工法をしておることを総理は御存じであろうか。一例を申し上げてみますると、潮の流れる中に太い丸太を差し込みまして、そうして最前線に立ってくい打ちをしております作業員というものは、わずか三人ないし五人という状態でありまして、しかも、それが柱を立てておいて、上からどすんどすんと落としておるという、おそらく何百年も昔の工法そのままを今日行なっておるという実情であります。一体なぜ、近代的なこの科学技術の進んだときに、これが改善せられないのか。こんな工法を続けておりまいる限り、おそらく本年末までかかっても――たとい締め切りはできたといたしましても、再び排水のときにこれがくずれてしまう、こういう状態にあることを私は現地を見て知っております。一体、なぜこれが改められないのか。今日の内閣あるいは政府の力としては、最大であるかもしれません。しかしながら、私たちのような幼稚な科学知識を持った立場のものからいたしましても、たとえば、今日地下鉄をこしらえておりまするときのあの工法というもの、さらにはまた鉄橋等の橋げたを作っておるような、ああいう作業がなぜできないのか。このような態勢をとらない限りは、おそらく本年じゅうには断じて水は引かない、こういう実情をもう少し調べていただきまして、もっともっと今日までの法的な可能性の範囲内、あるいはまた政治的な範囲内を飛び越えた――これは私たちの考えるところによりますると、もはや人道的な問題だというふうに考えなければならない。それが柱を打ち込んで、最前線がわずかの三人や五人というようなくい打ちの姿にまかせておる。こんな態度をいつまでも続けていくとするならば、これはもう現地の実情からいたしますならば、非常事態だと私は思っております。彼らは何と言っておるか。このままでは、もはや町を捨てるか、あるいは暴動に訴えなければ、政府はあらためて新しい施策を講じてくれないだろう、昨日私のところに参りました現地の陳情団は、こう言っております。おどかしではないのです。私たちのしろうとが考えてみても、幾つかの改めなければならない工法があるにかかわらず、そういう原始的な施策をそのまま行なっておるという態勢では、本日の決議案は実行に移されないと思っております。建設大臣から具体的に御説明いただきたいと思います。
○村上国務大臣 お答えします。塚本委員はどの部分をもって今御質問をなさったのか、その点は明らかでありませんが、少なくとも私の今日までの考えから申しますならば、今回の応急対策、いわゆる締め切り工事に対する政府の熱意、あるいは地元の各県市町村の熱意、また地元の人たちの御熱意というようなものは、私は、最近のあらゆる大災害の復旧と比べて、最も機動的に、官民ともに最も力を入れて復旧している、かように思っております。ただいま御指摘の、くい打ちに対して二、三名しか出ていないということにつきましては、それがどの地区かは知りませんが、くい打ちというものは、御承知のように、昔ならば、何十人という人が綱をつけてモンキーを引き上げて、歌を歌いながらやるのがくい打ちの状態でありましたが、今日のくい打ち作業は、ウインチ一台で二、三人で間に合う、それでやり得るのであります。そういうような点を具体的にあなたがあげて、ここの点が悪かったということがあれば、これはまた災害のその場所の重要度によって、あるいはいろいろな点に御納得のいかないようなところがあったかもしれませんが、今回の復旧緊急事業ほど、大局的に見ましたら、政府もまた民間も力を入れてやっておることはない、かように思っております。
○塚本委員 私は、なるほど今日までの法律的、政治的な力としては最大限であることは認めます。しかしながら、もちろん人間の力でくいを打っておるわけじゃありません。これはもちろんウインチで引っぱっておりますが、しかし、少なくとも都市における地下鉄工事等のごとく、上からどんどんたたき落とすような力でくいを打っているのではなくて、ウインチで引っぱって落としてはどすん、またウインチで引っぱって落としてはどすん、こういう状態です。しかも、その基礎が非常に脆弱である等の、幾多の悪条件はもちろんあります。たとえば、午前中の御質問の中に答弁せられた言葉にもありましたように、三十貫や五十貫のブロックを置いてみたところが流されてしまう、こんなことを説明しておられたのでありますが、今日の科学の状態の中で、三十貫や五十貫のブロックを置いたところが、流れることはあたりまえであります。私がおります知多半島におきましても、埋立工事のときには、何百貫というブロックをそのまま海の中に落として埋め立てをしておる事実を知っておるのであります。そう考えてみたら、三十貫や五十貫のわずかの小さなブロックが流れるから、それでは潮どめがなかなかできないということじゃなくして、可能の範囲からいきまするならば、何百貫というような、そういうブロックを作って、持っていったらいいじゃないでしょうか。こういう点を考えて参りますと、もちろん、くい打ちに対する工法よりももっと金がかかるでございましょう。あるいは引き潮どきをねらって、その橋の内側から板を打ちつける等の原始的な工法等は、もっと鉄板等をどすん、どすん落として、そして総理も現地において言明せられましたるごとく、金に糸目をつけず、少なくとも潮どめだけはやっていただかなければならない、こう考えますが、いかがでございましょうか。
○村上国務大臣 塚本さんの締め切り工事の工法について、これは政治家だから、そういうことがなかなかわからないのではないのですか。大体あなたのお考えの地下鉄工事のような、シート・パイルの何十貫というようなものを打ち込んでいく、こういう場合には、何トンとあるようなウインチを使って、どんどん打ち込まなければならない。しかし、仮締め切りの場合には、ただサンド・ポンプで上げると、その土砂が流失するおそれがあるので――ほんとうはもうくい打ちなんかしないで、どんどんと埋め立てていけばいいのですが、それでは十分の一も土砂がたまらぬために、そこにくいを打って、そして板で囲って、その中にサンドポンプで土を吸い込んでいく。そして、そだとかあるいは玉石等で押えていく、それだけの措置でありますから、これは、ちょっと地下鉄やあるいはその他のビル等の建築の基礎工事のくい打ちとは非常に違っておるということを、御了承いただきたいのであります。
○塚本委員 私は、専門的な論争をしようとは思いませんけれども、しかし、今私が申し上げたいことは、従来の常識にかなった潮どめをしておりましたときには、そして最も合理的な、合法的な潮どめをしております限りは、地元民の期待が裏切られるだろう。だから、私どもは全然潮どめの常識にないことを知っています。もちろん、潮どめ自身に自衛隊が作戦と名づけている実態をながめてみても、わかる通りです。そうであるとするならば、物理的に可能な最大の力をこの中につぎ込まなければならない。御承知の通り、ルバングのたった二人の日本人を救出するためにも、聞くところによると、一千万円程度の国費が使われておるということであります。十万になんなんとするところの住民が、生命と財産の危険の中にさらされながら、そういう工法の常識だけをたどっておっていいだろうか、こういう事態を私は申し上げたのであります。一例を申し上げると、工法がいい悪いの問題ではなくして、今日のような姿で前進をしていきましたときには、この期待は裏切られるだろう、このことを申し上げて、何らか新しい財政的な、あるいは法律的な道を――通れないかもしれませんが、しかしながら、非常事態であるというこの事態そのままでいきますならば、町を捨てるかあるいは暴動に訴えなければ政府は動いてくれないというこの叫び、これをもっと具体的に受けて立っていただくだけの決意がほしい、このことを述べたわけであります。この点、もう一度親切な答弁をいただきたいと思います。
○村上国務大臣 工法につきましては御了承いただいたと思いますが、ともかくも、総理が現地におきまして、金に糸目をつけない、一刻も早くこの水浸し状態を除かなければならぬということを強く声明されました。この総理の意思に沿って、私どもも、今回の補正予算等において、相当多額な要求もいたしております。必要最小限度の要求はいたしております。従いまして、この仮締め切り部分だけで――仮締め切りというものは、将来根底ができさえすれば要らないのでありますが、そういういわば捨て石であります。その捨て石に補助金で三十三億、それから直轄で八億五千万、四十数億という金をたった四、五十日の間に打ち込んでいくというだけの、金に糸目をくれないというだけではなくて、政府も地元の人たちもそれだけの力を入れてやっておりますので、まあ十九キロ五百という長い破堤個所でありますから、あるいはどこかの個所でポンプ船その他の都合でお気持に沿わないところがあったかもしれませんが、大体において、私は、今回の災害復旧ほど全面的に熱意を持ってやっているということは、その事例を知らない。機動力等もあらゆるものをあげてやっておりますので、この辺一つ御了承いただきたいと思います。
○塚本委員 時間が大へん少ないので、もっと深く御質問申し上げたいのですけれども、それができないことを残念に思っておりますが、たくさん金をつぎ込んでいただくこと、あるいは政府としての全力をあげておられること、このことは私は現地で知っております。しかしながら、なおかつ、それでも満たすことのできない現地の実情の中で、しかも、仮締め切りだという考え方をかりに持っておりますならば――実例を申し上げてみますと、先ほども新聞記者が現地から来て言っておりましたが、名古屋において締め切ったところの堤防のポンプ船が、全部フルに動いておらない。なぜならば、全部動かしたときには、先ほどの江崎委員が説明しておられましたように、その仮締め切り自身がつぶれてくる危険性の中にさらされておる。従って、全部のポンプがいまだに動いておらないという実情で、かつての仮締め切りという観念ではだめだと思っております。この点少し現地の実情をくんでいただいて、ほんとうにことしじゅうに彼らが水の中からのがれることができるかどうか、――約束はたくさんしておっていただきます、しかしながら、一向締め切りには手がついておらないじゃないか、こういう声については、われわれは何とこたえるべきか。いろいろ現地の住民は言っております。政府が悪いとか、あるいは県知事の力がないとは言わずに、国会は何をしておるのだ、議員は一体何をしておるのか、と言って盛んに責めつけておるのが今日の実情であります。今こそ私たちは、政府の力あるいはお役人たちのかつての概念を飛び越えたところの国会の力をもって、非常手段をとるべき事態が迫ってきているんじゃなかろうか。今日こそ、国会の権威を国民に示すべき 一番大切な時期ではないかと思っております。常識を飛び越えた施策でなかったならば、現地の実情を決してくみ取ることができない、このことを申し上げたわけであります。時間が少のうございますので、これは答弁を承ることを差し控えまして、ぜひこの点を具体的にやっていただくために、私は、続く委員会の中でも御質問を申し上げてみなければならぬと考えております。 次に、実はきのうあるいはきょうと、各大臣の方も御承知だと思いますが、まるで国会の中が罹災地のごとき姿を呈しております。地元の陳情団がわんさと押しかけておるという実情、私は政治の全くのしろうとでありますので、今日のこの実情を奇異に感じております。災害対策本部が名古屋に置かれておるにかかわらず、しかも、現地の最高の指導者たちが一刻も早く潮どめの前線指揮をしなければいけない、あるいはまた、その潮どめをしたあとの復興工事にかからなければいけない、こういう現実の必要に迫られておるにかかわらず、彼らは一体なぜ国会に押しかけてきておるのか。彼らはそれほどまでに不安に思っておるとともに、政府がどのような回答をしてくれるかということに対して非常に疑懼と不信と不安の念を持っている事実、これは私はゆゆしき事態だと思っております。もっと第一線でもって、直接にこれを前線指揮をしなければならないところの一番の責任者が、国会の中で災害復旧ができると考えておるではないか。もちろん、これは大蔵省の責任であるかもしれませんが、しかし私は、根本的にいって、今日の政治の不安というものはこの一点に集約せられておるような気がするのでございます。せっかく出されたところの法律も、あるいは大蔵省の査定によって削られるかもしれない。自分たちの被害額自身も、少なく見積もられるかもしれない。これらの不安を彼らから消すことが、今日の政治の力ではできないといたしますならば、一体これを救うのはだれの力であるのか。かつて、新聞報道の中で出ておりました、災害のときに火事場どろぼうのようにたくさんの予算をとって、そうして地元県に対してりっぱな工事をして、他県をうらやましがらせたという事例を私は記憶いたしております。もしそういうことで被害県が、あるいは被害地が水増しの被害額を要請してきておるという観念のもとに、この被害額に対して、あるいはまた査定に対して、これを切り落としはしないか、こういう心配が彼らの脳裏を去りないという実情、これを考えてみますと、もっと彼らに対して信頼されるべき施策を講じなければいけないと思っております。かつての災害は、なるほど、自分たちの被害の額よりもたくさん申請をしたというきらいがないでもありません。しかしながら、今回の災害は、発表してもそのあとからあとから被害が出てくる、さらにまた報告しておきますと次にまた被害が出てくるということで、現実におけるところの発表額、あるいはまた報告額をはるかに上回っておるという今度の特筆すべき災害に対して、再びかつてのごとき概念でもって被害額、あるいはまた査定を削られるといたしますならば、これまたゆゆしき問題であります。こういう概念が彼らを去らないからこそ、今日地元をほおっておいて国会に押し寄せてきておるのではなかろうか、この点どう判断なされるか、一つ大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
○佐藤国務大臣 年々歳々災害が繰り返されております。おそらく国会におきましても、政府におきましても、過去の経験等から見まして、災害の処置についてはだんだん私は整備されて参っておると思っております。従いまして、今現地の方々が非常に心配で、また不安でというような気持で東京へお見えになることもわかりますが、ただいまお話しになりましたように、私どもが今取り上げておる、また国会において一番問題になっております激甚地の指定。こういう問題にいたしましても、政府自身が勝手にきめるつもりは毛頭ございません。ただ、内容をただいままでにお示しすることができないことを何度もおわびいたしておりますが、私どもそれは適正なものにする、同時に、ただいま御指摘になりましたように、国会は必ず権威を持って私どもがお示しする案についての御批判をいただくだろうと思います。私は、罹災地の方々の非常な不安焦燥のお気持はよくわかりますが、先ほど御指摘になりますように、国会自身も権威を高め、また政府自身も、十分の責任を感じてこの問題と取り組むことが必要だと思います。私は、査定等の問題につきまして過去においていろいろな問題があった、そういう点についてはあるいは会計検査院からもいろいろの詰問があったり、また国会においても批判を受けたりして、そういう点は順次直されつつあると思います。今回の被害額の査定等におきましても、私どもが十分これをつまびらかにしない点がございます。これはもう冒頭に申し上げましたように、今回の被害はまことに甚大である、しかも私どもが予想しないような、実地そのものの調査がまだ完了しておらないような部分もございます。従いまして、そういう意味で心配の点は残っていることだと思いますが、今こそ政府なり国会は、十分国民にこたえるだけの見識を持って、この問題と取り組むことが必要だろうと思います。大蔵省も、その考え方でこの問題の処理に当たるつもりでおります。
○塚本委員 そういたしますと、大蔵大臣としては、現地の実情を曲げないように、すなおに受け取っていただくという気持だと思いますが、先日の予算委員会におきまして被害の総額が一千九百六十億でありますか、こういう発表をなされたが、これは現地の報告に対してすなおな額であるのか、あるいはそれに対して、大蔵省の予算に対するワクからこういうふうに勘案せられたのではなかろうか、こういう心配があるわけであります。といいますのは、私たちが現地の諸君の話を聞いてみると、大蔵省が考えておられます額と現地の被害額とを比較してみると、半分くらいだと言っております。こういう点を考えてみると、もちろん、これから発表される未発表の分だとおっしゃるかもしれませんが、その点、ぜん国的に見てこの千九百六十億という被害額というものは、実際に正直に現地からの報告に基づく被害額であるのか、あるいは大蔵省からの手心を加えた額であるのか、この点をお尋ねいたします。
○佐藤国務大臣 発表いたしました金額は、報告額の総計でございます。この報告額の総計に基づきまして、今度は事業査定をいたすわけであります。事業査定は現地においていたしまして、そうして予算額を決定いたして、それが初年度あるいは次年度、三年度、かように実はなるわけでございます。これは報告額の総額を発表いたしたものでございまして、大蔵省が手かげんしたものではございません。
○塚本委員 そういたしますと、あの当時はまだ災害の途中で、重要な名古屋等も、水の中につかっておるままの報告だという現地の話でありますが、おそらくあれの倍にはなるであろうと言っておる。名古屋市及び愛知県の報告額に対して、私どもが予算を調べてみますと、千九百六十億の予算というものはあまりにもうまくでき過ぎております。といいますのは、大蔵省が今度組まれた予算に、さらにまたがっての災害に対して使った額と、さらにまた予備費等を加えて、そうして三・五・二のその最初の三を大体かけてみますと、ぴたりとこの被害額に合うわけであります。そうすると、私たちの概念からいたしますと、大蔵省は実に上手な計算をやったなあという感じがする。現地の被害額に対して、その必要性をやったのじゃなくて、とにかく、今日の大蔵大臣の力で集められる国家の財源というものと使った経費を総計いたし、そうして今日あります法律というものによってかけて参った金額としてその報告額というものをやったがために、その途中で切っておいてある。従って、実はあれは、現地の報告 から今日まで一カ月になんなんとする月日がたっておるのにかかわらず、国会に出されたところの報告額というものは、一カ月前のまだ水につかったままのときの報告額でやっております。そういたしますと、報告額を中心としてやって参りますと、当然金が足りなくなります。わずかに八十億の予備費の中の五十億だけでは、これは断然足りないことは火を見るよりも明らかです。これはやはり現地の報告額に対して、査定で半分に切らなければならないという実情が出てくる。ここらあたりに、国会が罹災地であるかのごとき状態を呈している根本の原因があるのではなかろうか、この点どう考えますか。
○佐藤国務大臣 あるいは実情について誤解していらっしゃるのではないかと思います。私どもは被害総額の報告を受けまして、そうしてその報告が建設省分が幾ら、農林省分が幾ら、あるいは文部省関係が幾ら、あるいは運輸省関係が幾ら、こういうことで各省もその報告に基づいての工事設計を出すわけであります。そうして予算要求をして参るわけであります。これはその当時の総額でございまして、これには何らの手かげんがあるわけではございません。そこで、ただいまお話しになりましたように、歳入を先に見積もって歳出をあとから合わせたのじゃないか、こういう御疑念でございますが、それは逆でございまして、その総額に基づいて、初年度に幾らの工事を進行させる、次年度以後のものは来年度予算に計上する、こういうことで、今年は特に初年度におきましての工事量をふやしたつもりであります。大体重要な工事というものについては三・五・二でその工事を完成する、その他の部分は四つ割り四カ年というのが普通の考え方であります。そして、その率から考えてみますと、まず、被害総額のうちで、七割程度について三・五・二の基準でやる、七割の三割でございますから二一%、残りの部分を四年平均二五%ずつでやる、三割についての二十五ということで、これが七・五になるわけであります。それで、今回は、二八・五の予算が必要だ、こういうことになるわけであります。そこで、私どもは、この金額に必要なものを自然増収で幾ら見積もり得るか、ところが、自然増収だけではこれはまかなえないですから、既配賦の予算のうちからでも節約を願うとか、あるいはその他の財源等を見つけまして、ただいま申します二八・五に相応する金額を案出しておるわけであります。これは通例の二五%だけでは不足を来たすおそれもありはしないか、ことに、私どもは、台風襲来前まで、あるいはまた来年の作付に間に合うように工事を進行したい、かように考えておりますので、債務負担行為としての額も皆様の議決をお願いしておりますし、あるいはまた、予備費のうちからも五十億程度は災害復旧の費用として回し得る、こういうような見当で予算を計上いたしておるのであります。歳入の方を先に見積もって歳出をそれに合わしたわけじゃなく、歳出に合わして歳入を見積もったわけであります。その点に非常に苦心を要して歳入をかき集めておる。言いかえますならば、貧乏世帯のやりくりをしている、こういう状態であります。この点は誤解のないように願いたいと思います。
○塚本委員 もちろん、それが当然の常道であろうと私たちは思っておりますが、それならばなぜ――あれからこの国会が開かれて今日に至りまするまでの間、一カ月も期間の余裕があり、さらにまた、被害はあれから倍加しておるという実情であるにかかわらず、十月の六日か七日ごろの報告であると心得ておりますが、一番被害の大きかった愛知県、三重県等について、なぜそういう中間報告で被害額を割り出されたか。もし、こんなことでおやりになりまして、実情に合ったような――今大臣が言われたような被害額に相当するような、そういう法を適用していくとするならば、必ず金が足りなくなってくる。そのときには被害額を削らずに、第二補正を組まなければならなくなってくる。それをなぜ、その基礎となった報告を、そういうふうなかなかかくの状態を基本としてやられたか、この点はどうでございましょう。
○佐藤国務大臣 今の公共事業費そのものは、水につかっている期間が長いということで金額が特にふえるわけではございません。従いまして、先月の十八日に締め切りました農林省あるいは建設省の要求を、そのまま実は計上いたしております。そういう意味において、ただいま水没しておるところの被害がたんだん大きくなる、こういうようなお話がございますが、公共事業費そのものとしては、締め切り等について、仮締め切りがこわれて、さらにそれをもう一度修復した、そういう意味の費用はもちろん加算すべきでございますが、水没の期間が長いからというだけで、公共事業費がふえるとは私ども考えておりません。この点では十分実地調査等もいたしておりますので、ただいまの点は間違いがないのでございます。もちろん、今まだ仮締め切りをやらなければならないような部分もございますし、そういう点についての実地調査はできておりません。そういうものは、実地調査ができ上がりました上で、いずれ、これに対する所要の措置をする考えであります。それらの点は、先ほど来申しますように、あるいは予備費でそれをまかなっていくとかいうような点が残されておるわけであります。私ども、ただいまのところ第二補正の必要はないというような考えであります。
○塚本委員 もちろん、水没の中でもそれをはかれますが、現地の声を聞いてみますと、被害額を発表しても、われわれの希望の半額ぐらいしかくれない、こういう不満が非常に強いわけであります。これは、私どもももっと調べてみますが、そういう実情にあったとしますならば、これはいさぎよくそれを認めていただいて、査定等で削る等の、そういう方法をとらないようにしていただきたい。そして、かつて総理大臣、建設大臣が現地で言われたように、「金に糸目をつけない」とか、あるいはまた、「かえって災害のあとはよくなった、そういうふうにします」、この言明を一つ忘れられないようにしていただきたい、かように思っております。 最後に一つ、これは総理大臣にお尋ね申し上げるわけでありますが、今日このような事態になったということを振り返ってみますると、これは、現地の住民は、所によりましては再三不安を感じておったわけです。かつて、その護岸等については改良等の要請を再三出しておりました。しかるにかかわらず、このような事態になってしまったわけであります。そうすると、近代国家の概念からいたしまするならば、もはや、そういう気の毒な人に対しては何らかの救済手段を講じてあげるということではなくして、国家がそれに対する賠償の責務に任じなければならない、こういう概念を持った施策が必要ではなかろうか。御承知のように、昔は天災は天災でありました。しかしながら、今日の天災は、もはや、近代文明の発達した国家におきましては、災害自身は政府の責任であり、また国家責任である、こういう観念に変りつつあるのであります。特に、そのことは憲法のみならず、国家賠償法の中にも具体的に明示しておりますように、道路、河川等の公営造物に対する管理に対して瑕疵があった場合――これはあぶないからということを住民が再三にわたって改良の陳情をなしております。だから、その管理に対してあぶないということは、住民自身が身に危険を感じております以上、その専門的な管理の責任に当たったところの人がそれを知らないはずはありません。しかるにかかわらず、このような大惨事になってしまった。こう考えて参りますると、もはや、地元からの陳情を受けてやってあげるという観念では、これは処置し切れるものではない。逆に、申しわけがなかったという、政府がこれに対する賠償責任の観念を持ってこの施策に当たらなければ、私は、日本が経済的に一等国だと自負するだけの価値はないと信じております。政治の面におきましても、経済だけではなくして、はっきりした文明国並みの施策をとるためには、もはや、社会保障や救済的な手段ではなくして、国家賠償の責任の立場でこれを処置していただかなければならぬと思っております。この点の決意をお伺いいたしたいと思います。
○岸国務大臣 こういう天災に際して、もちろん、被災者に対する救済あるいはその後の復興に関して、政府が民生安定の意味から、あるいはまた、産業の振興の意味からもやらなければならぬことは当然でございます。さて、今御指摘のありましたように、こういうものに対して、天災の場合においても、国家において損害賠償もしくは補償をしろという保障の観念を一つ取り入れたらいいじゃないかというお話でありますが、もちろん、具体的の営造物の管理等について、御指摘になりましたように瑕疵がある、過失があるという場合には、国といえども損害賠償の責任があるということは当然であります。ただ、海岸の堤防等の場合におきまして、天災、風水害、さらに予期しないような非常な水害が起こるというような場合に、一律にそういう観念を適用するということもいかがか、なかなかいろいろな関係で、まだ検討を要するものがあると思います。今回の水害を受けられた地方におきましても、堤防について不安を感じておられた住民の方々があり、あるいはまた、地方におきましても、従来の堤防では不十分であるから、それの補強について年々一つの計画を定めて、補強の途上にあったところもありました。しかし、それがまだ完成をしておらないというような場合もありまして、いろいろな事態を考えなければならぬのでございます。一がいに、いかなる場合においても国が損害賠償に任ずるというふうに、いわゆる天災で災害をこうむった方々に国家責任をもってこれをやるという形を、賠償の形でやるか、あるいは、いろいろ救済その他の、公共的施設に対する国の責任を果たすという形においてやるかということにつきましては、私午前中にもお答え申し上げたように、今のところでは、法律的な損害賠償というような観念を取り入れてやることは、いろいろな関係がありまして、私は、まだ一がいにそういう考えを取り入れることは適当ではないのではないか、さらに検討を要するのではないか、かように思っております。
○塚本委員 しかし、これは、やがてそういう方向に政治責任を持って考えなければ、りっぱな対策はできないと思っておりますので、ぜひ十分考慮していただきたいと思っております。 最後に、建設大臣に対してお尋ねしたいのでございますが、災害は年々増加しつつある、この前提をまず私たちは静かに見詰めてみなければいけないと思っております。人が住み得ないようなそういう海岸にどんどんと進出をしていきます。さらにまた逆に地盤は沈下しつつあります。川の床は上がりつつあります。それに加えるに、統計的に見ますと、年々台風の数とその大きさは増大しつつあるのであります。こういう危険な状態がこのまま続々と続いていくという状態の中から、先ほど横山委員も申しておられましたように、このまま来年も住んでいいでしょうか、こういう気分は、ひとりただ愛知のみならず、海岸地帯に住むところの全住民の不安であろうと信じております。しかるに、近年におきまする建設省内の予算の額を調べてみますと、なるほど、公共事業に対する施設の中で、特に土木施設に対する予算は増大しつつあります。全国家予算に比べて土木施設は増大しつつあります。しかしながら、その施設の中で、治山治水の割合だけは減少しておるという事実、道路という目立つような、あるいは各地にそのときに直ちに間に合うものに対してはたくさんの予算が、まあ全体の予算から見ますと、非常に熱意を込めた予算が組んであります。しかしながら、治山治水に対する費用というものは、二十六年におきましては、公共事業の中の二〇%を占めておったにかかわらず、三十四年になりますと、わずか一六%に下がっておるという実情、これではやはり、鼻を突いて鼻血を出して初めて私たちは気がつく、こんな感じがしないわけでもありません。先ほどの綱島委員の説明のごとく、一文を惜しんで百文を失うという事実が再び繰り返されると思っております。先ほどの横山委員の御説明にもありましたように、何らかここで、先ほどの締め切りの話ではございませんが、やはり政治常識をこえたところの、法律では不可能といわれるようなことをここでなし遂げなければ、私たちは被災者に対して向ける顔がないと信じております。この点、抜本的にもっとはっきりとした態度をぜひお示しいただきたいと思っております。
○村上国務大臣 要するに、防災の一番基本になるものは、大台風の前に施設を完備しておくということ、これがまず私は基本になることだと思っております。今日までの状態につきましては、これは今日までのあり方でありますが、明日からの国土保全につきましては、私は十分自信を持ち、責任を持って今後に処して参りたいと思っております。従いまして、われわれが今考えております治水の五カ年計画、これらを将来必ず実施する、そうして緊要度の高いところから施設を強固にいたしまして、将来かような大災害の起きないように、少しでも災害による被害を少なくしたい、かように考えております。必ず明年度からは十分これらの対策を樹立して参りたいと思っております。
○塚本委員 要望だけ申し上げておきますが、残念ながら、建設大臣は、統計によりますと、一年に一人ずつかわっておいでになります。従って事態が起きると、必ず今おっしゃったような弁明がありまして、そうしてそれが立法化されないうちにかわってしまう、これをすでに何回か繰り返しております。ぜひこの点総理大臣はよくお考えいただきたい。そのときの大臣はやるつもりでおります。ところが、来年には大臣がかわってしまいます。もしかえられるようなことがありますならば、総理大臣からこの点だけはぜひとも言明していただきたい、この点だけ要望申し上げておきます。
○南條委員長 それでは、先刻皆さんの御了承を得ましたように、総理大臣の時間の都合上、これから一時間十分の間、総理大臣に質疑を一括していたすことにいたします。さよう御了承願います。 では三田村武夫君。
○三田村委員 時間の制約がありますから、できるだけ簡潔に総理の御所見を伺いたいと思います。 私が総理にお尋ねいたしたい点は三つあります。第一は、政治の中における災害対策の重要度という問題であります。第二は、国の財政と地方自治体の財政の問題であります。第三は、公共災害と個人災害の問題であります。この三点について総理にお尋ねいたしたいのでございますが、質疑に入る前にちょっとつけ加えたいことがございます。それは、午前の委員会で江崎君からも発言しておられましたが、実は一昨五日、当委員会におきまして、災害地の知事並びに激甚地の市長の出席を求めて、参考人として災害の実情を聴取し、また災害対策に対する地方自治体側の要請、要望、意見などを詳細に聴取したのでございます。これは従来こういった問題を委員会で審議する場合、常に行なわれることでございますが、ただ関係当事者の陳情を聞くというだけでなくて、委員会の審議に権威あらしめるために、参考人として会議録に記録すべく、こういう措置をとったのでございます。従いまして、すでに提出されました災害対策に関する諸法案ないしは予算案の審議にあたりまして、われわれ当委員会の委員といたしましては、五日に聞きました災害県の自治体責任者の意見を参酌しながら審議に当たりたい、これが前提でございます。なお、五日のこの委員会で述べられた災害地自治体側の意見の内容は、わが党において、八月以来、特別委員会を設け、せっかく慎重に審議いたしました結果得た結論とおおむね同じでございます。そういう観点から、私はまず簡潔に総理の御所見を伺いたいのでございますが、何と申しましても、政府の責任は民生の安定にある、この一語に尽きることは、申し上げるまでもございません。すべての施策はこの一点に出発し、この一点に帰着する、これは政治の大前提でございます。従って、自然の脅威といいますか、風魔、水魔から国土を守り、国民を守り、民生安定の基礎固めをするということは、政治最高の課題でなければならない。すなわち、言いかえますと、少なくとも内政において、災害対策は最も重要度の高い責任であるということが言えると思うのであります。こういう角度、観点から災害対策を考えてみますと、おのずから施策の方向がきまってくると思います。あとに大蔵大臣に率直に伺いますが、先ほど大蔵大臣が、どうも財政上の制約があってという言葉をお使いになりましたが、私は財政上の制約などという言葉はきらいです。なぜかなれば、その政治の中における重要度は、災害対策、民生安定、これが最も重要度の高いものであるとするならば、どんなに無理をしても完全な災害対策をやらなければならない、ここに私は政治の方向がなければいけない、こう思うのでございます。従って、これからわれわれが審議に臨む態度として、総理から率直に伺いたいのでございますが、内政外政、すべての中における災害対策の重要度、私たちは少なくとも、先ほど来各委員から発言がありましたように、この災害対策、これほど重要なものはないと思う。よく政治家の心がまえとして言われる言葉でございますが、百頭の羊を飼っている羊飼いが、夕暮れになって羊を連れて牧舎に帰ってきた。数えてみたら九十九頭しかいなかった。迷える一頭の子羊を探すべく、遠く、朝まで牧野をさまよった。これが政治家の心がまえでなければいけないということをわれわれ教えられてきました。そういう見地からいたしますならば、この災害に対する対策こそ、つまり国民の不安を除き、民生安定の基礎固めをするということは、私は政治最高の課題であり、責任だと思うのでございます。この点に対する総理の率直な御所信をまず伺っておきます。
○岸国務大臣 御指摘のように、政治の要諦が民生の安定にあるということ、私もそう思いますが、その見地から申しますと、この災害によって生活の根拠を奪われ、尊い人命が失われ、またそういうことが繰り返されはしないかという不安を国民が持っておるというようなことでは相ならぬ、この意味において、災害対策に対しては政府としても最も重点を置いて考えなければならない、かように思っております。ただ、災害対策ということが、従来におきましても実は重要な問題として取り上げられたと思うのです。たとえば二十八年災があった場合において、これの復旧、復興、罹災者に対する処置というものは、そのときに非常な重要施策として考えられた。今度におきましても、十五号台風の罹災地における復旧、また罹災者に対して、立ち上がるための必要な施設、必要な施策ということは、これは現実の問題として考えていかなければならないのは当然であります。ただ、そのほかに、災害が年々繰り返されたり、各地にくるという日本のことを考えてみますと、やはりこういう災害を未然にできるだけ少なくせしめ、またこれを防いでいくという意味から、治山治水、国土保全に関する抜本的な方策を立てて、これを強力に推進していく必要があわせてあると私は思います。今回の補正予算におきましては、先ほど来大蔵大臣がいろいろ説明しておりますが、私どもこれを立てる上におきまして、決して財政の都合でもって、こうしなければならぬというものを切るというような考えはございません。財政はなかなか楽ではございませんけれども、今回の災害に対して処置すべき重要施策は、これでもって十分にやる、そのために必要な資金は、どんなことをしてもやりくりして出すという心がまえで立てております。また通常国会にも、三十四年度以降の災害対策についてやると同時に、先ほど申しましたような根本対策についてもぜひこれを樹立して遂行するようにいたしたい、かように思っております。
○三田村委員 私の申し上げたことは、今の総理の御所見と同じなんであります。私は、当面の災害対策に熱心であれというだけではないのであります。つまり、災害なき災害対策、ここに災害対策の中心を置くことが絶対に必要だ、毎年々々このばかな災害を繰り返しておるということは、私は政治の恥辱だと思う。そういう意味から、災害対策というもののウエートをどこに置くか、重要度をどこに置くかということを私は申し上げたのでございます。申し上げるまでもなく、総理も同じお考えのようでございますから、この問題はこれでやめます。 第二の、国の財政と地方自治体の財政の問題でございますが、これは総理、大蔵大臣どちらでもよろしい。総理の時間でありますから、簡潔に総理の御意見を伺っておくのでありますが、端的に申します。こういう災害によって一番ひどい目にあうのは地方自治体であります。地方自治体の余裕財源は何にもない。隠し資金もなければ、たな上げ預金もない。財政的余裕は何にもない。きのうまでは黒字県であり、また、きのうまでは富裕県であっても、災害のあったとたんに、百段階も転落してしまう。そういう場合の施策、予算的処置、国の財政だけ健全で黒字で、地方財政は赤字で借金で、それでいいという理屈は私は立たぬと思う。民主政治の基礎をなすものは、地域社会の健全性であります。自治体に置かれなければならない。自治体が健全でなければ、いかに国の政治が健全であらんと欲しても、これはしょせん健全であり得ない。従って、こういう場合の処置については、やはり大蔵省、国の財政が健全でなければならぬことは、もちろんわれわれはわかる。不健全で、でたらめな財政措置をやれと申し上げるのじゃありませんが、少なくともこういう場合の財政的処置は、地方自治体、国が共同でやるべきだ。大蔵省、国の財政が健全であれ健全であれという念願のあまり、地方自治体にしわ寄せがいってしまいますと、五年、八年、十年、また立ち上がれません。この点はぜひお考え願いたいと思うのであります。もしそれ、国の財政、台所がこれしかないのだ、あとは地方自治体でまかなえという方式でいくならば、これまた一つの行き方でありますが、そうであるならば、税制の根本的改革でもやって、地方自治体そのものに独自の財源を与えてほしい。そうすれば、自治体は自治体で独自の責任でやれましょう。けれども、今は交付税で手当をして、財政的に、あるいは税制においては中央集権です。自治体は中央に懇請してようやく台所をまかなっていくという状態でありますがゆえに、国の財政はこれだけしか余裕がないのだ、あとは災害地自体の責任でやれとおっしゃいますと、自治体にしわ寄せがいってしまう。自治体に独自の財源があればよろしいが、ない今日は、一つ地方自治体、中央共同の責任でこの問題に対処する、少なくとも、災害対策については、地方自治体にしわ寄せをしないという一つの大原則をとっていただきたい。この点についての御所見を一つ伺いたい。
○岸国務大臣 根本的な地方財政と国の財政との間の問題、いわゆる国税、地方税を通じて、その根本の問題については、恒久的に検討しなければならぬ問題がございます。これは地方公共団体というものを将来長きにわたって健全にするという意味において、これは実は税制調査会で検討して、そういう恒久の案を得たいと思います。そうでなしに、目前の、生じた災害の場合において、その復旧について施設すべきことは、私は、今三田村委員がお話しの通り、中央、地方公共団体、ある場合においては個人、この三者がそれぞれ犠牲を払って、分に応じて、これの復旧に努めていくという共同の形をとらなければならぬと思います。特に地方公共団体と国との財政的な立場を考えてみますと、決して国だけが健全財政で、そのしわ寄せを地方公共団体に持っていくという考え方は正しくない。従いまして、今回のいろいろな処置につきましても、国と地方公共団体がその力に応じてこれが復旧に当たるというように、公共施設等の公共事業の負担区分等を定める場合におきましても、そういう見地に立っております。従って、あるいは同様な程度の被害を受けておりましても、その公共団体が非常に財政上悪いという場合においては、これは、やはり国がそういうものに対して特別にまた考えないというと、結局公共団体が非常な赤字になるか、あるいは赤字になるということを避けるためには、その復旧の仕事ができ上がらぬというような結果になりますから、そういう点については十分考慮して、御趣旨のような線によって復旧をしていくようにいたしたい、こういうように思っております。
○三田村委員 もう一点、時間内に終わります。第三の問題であります。すなわち、公共災害と個人災害の問題です。大体今度の災害について、私いろいろ数字的に調べてみたのです。そうすると、大体その比率は、公共災害一に対して個人災害四、一対四の割合になっておるようであります。しかも、その個人災害は比較的弱い者に及んでおる。これは非常に私は重視しなければならぬ問題であろうと思います。しかも、責任の持っていきどころがない。人災論とか、国家補償論とかいう議論がありますが、これはなかなか法体系の面から見てもめんどうで、厄介な問題でありますし、政府全体の責任から言っても非常にめんどうな問題でございます。私は、少なくとも、この民主社会においては、先ほど申しましたように、社会共同の責任体制というものが必要だと思うのでありまして、自治体で手当をするか、国で手当をするか、特利立法が要るか、あるいは他の行政措置でまかなうか、いずれにいたしましても、この災害によって痛めつけられた個人の甚大な被害、これに何か立ち上がり得る条件を与えてやることが必要だ。これはいずれ来たるべき通常国会――今国会のこの特別委員会を通じ、さらに、通常国会に続いてわれわれも十分検討いたしてみたいと思いますが、これは、ただ、公共災害だから地方公共団体の責任で復旧あるいは改良工事をやるというだけでなくて、食うことにすら困っておる個人災害に対してもどのような手を差し伸べていくか、どのような手当をするか。社会は、民主政治は、共同の責任、共同体であります。共同体という政治的責任の範疇において、どのような手当をしていくかということは、私は非常に重要な問題だと思います。そういう点についても、どのような御見解をお持ちでありますか、伺いたいのでございます。
○岸国務大臣 災害が起こった場合に、公共施設の被害と個人の被害が一対四の割合だというふうなお話がございました。私、割合は正確には調べたことはございませんが、しかし、いわゆる公共施設の被害よりも個人の被害の総額がはるかに多いものであろうということは、常識的に想像できます。これをどういうふうに復興せしめるかという場合におきまして、先ほど来お話もありましたが、国家補償というようなことでいくということについては、御趣旨はわかりますけれども、よほどこれは検討を要する。そこで、現在は、結局、これはある程度個人においても、個人の問題は個人の責任をもって復旧してもらう、しかし、その力が及ばないものに対して国が手助けをするという立場がとられておる。たとえば、商工業に見ましても、非常に大きな企業は、おそらく、これは損害額としては、今度の名古屋におきましても、大工業の工場が受けた被害は総額において相当大きなものがあるだろう、しかし、これは金融の措置、一般金融等によって自力で回復する力がうんとある。しかし、これに関連しての中対企業となりますと、やはり国が手を添えなければいかぬ。そこで、中小企業の特殊の金融機関に融資のワクを広げる、融資の条件を緩和してやる、先ほど通産大臣も申しておりました。さらに、協同組合等で作った共同施設の回復については、また、政府が別に考えていく、農村あるいは漁村等につきましては、これまた、経済力の弱い面でございます。これに対しては農地の回復については従来からの一つの例がありますし、また、今回は、漁業の面につきましても、漁船やその他のもの、あるいは魚介等の場所が非常に荒らされておりますものに対する回復ということに対して、政府は適切な措置を講ずる、また、一般家庭にしましても、主人を失った母子家庭について母子年金の運用、あるいは母子資金の貸し出しを考える、あるいは一般の人人に対して更生資金の貸し出しのワクをふやす、あるいは住宅等については、これは、また政府が特別のなにを考えていくというような点で手を差し伸べていって、責任は個人の責任において復興してもらう、立ち上がってもらう、こういう立場をとっておるわけでございます。これらの、政府として手を差し伸べ、援助をする方法なり内容なりというものは、地方やそのときの災害の事情に応じてやる、実情に合うようにしていく必要がある、かように考えております。
○三田村委員 もう、最後の希望ですから、御答弁は求めません。今総理のおっしゃったことは、私も承知しております。個人災害に対して各種の融資あるいは補償の道のあることは承知しておりますが、私、八月以来三カ月間この災害対策に専念してきたのでありますけれども、どうも、それだけでは足らぬような気がするのであります。ですから、どうか政府においても、練達堪能の優秀なお役人もおられますし、また、政治家もおられますから、せっかくこの問題を御検討願いたいと思います。ただ、今ある融資とか助成とかいう問題だけで足りないところがあるような気がいたします。この点、ぜひ御検討願いたいということを要望いたしまして、総理に対する私のきょうの質疑はこれで終わります。ただ、大蔵大臣、建設大臣、農林大臣に対する質疑は留保いたします。
○南條委員長 足鹿覺君。
○足鹿委員 首相にお尋ねを申し上げたいのでありますが、他の諸君となるべく重複を避けたいと思います。 首相は、よく、国民所得の倍増計画について所信をしばしば表明されておるのでありますが、それはまことにけっこうでありますが、しかし、過去におきまして、わが国が災害によって被害を受けました額というものは非常に大きいものがありまして、戦前におきましては、当時の金で平均七百八十億、一人当たりの国民所得にいたしますと一・六%であったわけであります。ところが、戦後急速にこの災害が大きな額に達しまして、最近においては二千四百億を上回っておるのであります。これは一人当たりの国民所得に比較してみますと、三・一%、つまり、戦前よりも二倍に増加しておるような状態であります。従って、国民所得の倍増もけっこうでありますが、まず、このように莫大な被害の解消に積極的な政策を打ち出すということが肝要ではないか。このことについて、きょうも午前中から首相の御所信を聞いておりますと、やる、やるとおっしゃるのでありますけれども、それは来年度の予算において明らかにしよう、こういう程度でありまして、確たる内容を的確におっしゃらないことを私どもは遺憾に思います。しかし、そういう点で時間を費やしておってもいたし方がありませんので、私は、昭和二十二年以来わが国に施行されております国家賠償法と天災、その国家責任ということについて、少し掘り下げて首相の御所信を承ってみたいと思うのであります。 昭和二十二年に国家賠償法の制定を見たが、今日まで天災に基づいて国家責任が果たされたという事例は、私ども知らぬのであります。法制局長官もおいでになっておるのでありますが、今日までそれらの事例があるかどうか、あれば、どういうふうに措置されてきたか、この点を最初に承っておきたいと思います。
○岸国務大臣 今御質問のような意味において、国家が損害を賠償するというようなことはないと思います。
○足鹿委員 今回の十五号台風だけでも五千人を上回る尊い人命が失われておるのでありまして、この災害の責任は、人災とも、また政災ともいわれておるわけでありまして、歴代の内閣の責任は、私は重大であろうと思います。最近、東京都葛飾区綾瀬川の水門流失により、工事責任者でありました区役所の土木課長らが、亀有警察の手で、刑事責任者として書類を送検されておることを新聞紙が報道いたしております。刑法第百二十二条には、過失で溢水させる罪が定められておりまして、当然払わなければならない注意義務を怠ったものは一万五千円以下の罰金刑に処せられることになっておるのであります。ましてや、五千人に余る大量の殺人――と言うと語弊がございますが、結果は人命が失われた、その最高の責任者とでも申しますか、といわれてもいたし方がないのでありますが、特に直接の責任者である農林、建設の各大臣、それを統括しておられます最高責任者という立場において、最近起きた葛飾区の一土木課長が水門流失によって刑事責任を問われんとしている事実と対比して、首相はどのようにお感じになっておりますか、御所見があれば承りたいと思います。
○岸国務大臣 私は、今回の水害で尊い人命が五千名以上も失われたということに対しては、政治的な責任は感じております。しかし、法律的に、いわゆるこういう場合におけるわれわれの法律的責任ということにつきましては、実は、これはおのずから別の問題じゃないかと思っております。従って、その政治的責任を果たすのに必要な措置につきましては、われわれが真剣に取り組んで、これが処置を講じなければならぬ、かように考えております。
○足鹿委員 それでは、次に、民法との関係におきまして伺いたい。憲法第十七条には、「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」とあります。さらに、国家賠償法第二条第一項には、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体はこれを賠償する責に任ずる。」と規定されておるのであります。人災であり、政治災害であるということが世論でありまして、今回の災害は、私は、これにぴたりと当てはまるものではないかと思う。最近、聞くところによりますと、名古屋の南陽町に住む一農民が、この条項に基づいて損害賠償の請求を名古屋地方裁判所民事部に提出したと聞いております。政府は、これらの点について――これはまだ地方裁判所に出た一事例にすぎませんが、私は、含んでおる意義は大きいと思うのでありますが、報告を受けておられるか。受けておられるとするならば、どのように考えておられるか。これは、あとで法務大臣にまた具体的に承りますが、主としてその農民の気持、提出したことに対して、この賠償法第二条との関連においてどのようにお考えになっておるか、これがまず一点。 それから、今回のこの未曽有の災害、しかも、人災であるということは、先ほども述べましたように世論であります。ところが、たれすら刑事責任を問われるものもない。また、その責任者と考えられる人々が進退伺いを出したということも聞いておりません。また、原因調査の徹底的な追及なども全然行なわれておらぬのではないかと私は思うのであります。先年の洞爺丸事件の際において、海難審判庁におきまして徹底的な追及が行なわれたことは御存じの通りでありまして、その結果は私どもつまびらかにいたしませんが、少なくともあれだけの大事に対しては海難審判庁の機構を通じて究明が行なわれておる。ところが、今回のような海岸堤防といい、あるいは干拓堤防といい、いずれを問わず崩壊、決壊をして、それが第一線におる干拓農民を初め、背後地の国民一般に大きな被害を与え、五千人以上の尊い人命を失っておるのでありますから、当然これらの点について――国家賠償法の発動は、申請者がその瑕疵あることを立証して申請しなければならぬということになておりますが、その申請のあるなしを問わず、国の責任において、これらの尊い人命を失ったことに対する原因の追求ということを当然なされなければならぬ、そのことが今後こういう事態を未然に防止していく一つの生きた結果となってくるのではないかと思うのであります。 聞くところによりますと、名古屋管区行政監察局は、本年の初め、愛知県当局その他に対して、このような伊勢湾台風の事態の起こることを心配して警告を発したと伝えられておりますが、その警告の内容はどういうものであったか。また、最近伝えるところによりますと、行政管理庁も伊勢湾台風の被害の状態、その原因追及の調査に乗り出すことも伝えられておるのでありますが、行政管理庁の責任においてこの調査を徹底的に行なう御意思があるのか、また、私が今述べましたような立場において、このような重大な問題は、海難審判庁と匹敵するような権威ある調査機関等を設置する――国の制度として設置する場合もありましょうし、また、臨時措置としてこれを設置して、こういう事態に対しては、気の毒ではあるが徹底的にその責任を追及し、処置すべき点を処置していくということが、私は責任政治の上において一番とるべき措置ではないかと思うのでありますが、この点を第二点として首相に伺いたいのであります。
○岸国務大臣 第一点の、裁判所に提訴した事件に関しましては、私全然内容の報告はもちろん受けておりませんし、内容をつまびらかにいたしておりません。 第二の、今回の伊勢湾台風による被害、ああいう惨害が起きた原因、また、その各地におけるいろいろな事情や、そのよって起こった原因等につきましては、十分に私どももあらゆる面から調査をいたしておりますし、また、調査して、これを繰り返さないように処置をしていきたい、かように思っております。ただ、これが問題になると思いますが、従来いろいろな堤防を作ります場合においても、御承知のように、もちろん過去のある雨量なり、あるいは高潮の従来何年かの統計を基礎に、また、それに一定の安全率を加えて作っておると思うのであります。もちろん、それについて、そういう設計が定められておるにかかわらず、その設計に反して何か手を抜いておるとか、あるいは特別の不正な工事があるということになれば、それは、もちろんそれについての責任を追及していかなければならぬことだと思いますが、そうした場合に、正当に、その設計通りできておるけれども、その設計は、一応そういう意味において、従来の考え方からいうと一応合理的だと考えられたにかかわらず、それ以上の雨量があり、それ以上の高潮がきたというような場合に、その設計の基礎である統計的な数字や安全率をこえておったというような場合におきましては、これをもって直ちに何かその工事に関係した者に責任があるというふうに考える――責任というのは、いわゆる大きな意味の政治的な責任は別でございますが、法律的な責任を結びつけるというようなことは、これはまだ私は適当でないのじゃないか、かように考えます。いずれにいたしましても、今回のこの惨害は、これは事実としてああいうものが起こったのですから、それの原因及び将来これに対する対策としましては、十分今回の体験を生かして、これに対応していかなければならぬ、かように考えます。
○足鹿委員 私がお聞きしておりますのは、第二の点であります。これは、先ほど述べました国家賠償法第二条の規定の根拠になっております民法の規定によりますと、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって生じた損害については、所有者は損害の発生の防止に必要な注意をしたことを立証しても、なお所有者であることの事態によって責任を負わなければならぬことになっておることは御案内の通りであります。従って、所有者自体が瑕疵を生ぜしめましたことを認めようと、認めまいと、その瑕疵のあることを知ることすらも必要としないことになっておるのでありまして、国家賠償法を今次の災害に適用いたしますならば、干拓堤防については、これが国の所有であることは明らかであります。その結果については、国に故意または過失という事実があったかどうかは問題ではありません。 また、国に違法の行為があったかどうかも問題ではないのであります。その工事や監督に不注意や手落ちがなかったかどうかも問題ではないのでありまして、そこに現に発生した損害の原因となった瑕疵があれば、賠償責任を免れることはできないのであります。政府は、この問題に対して、もっと真剣に取り組んで、その瑕疵の問題については、本人の賠償請求の有無を問わず、誠意を持ってこれに処する、私は、道義的にも政治的にも責任があるのではないかと思います。私どもが調査したところによりますると、農林省の言い分は、「堤防が決壊したのではない」、あるいは建設省の言い分は、「水がオーバー・フローしたのだ、そうして内側からこわれたんだ、だから設計上に欠陥はないのだ」、こういうふうに今までの答弁記録その他によっては申しておられるのであります。この計画降水量に問題があるのでありまして、はたしてそれが適切な計画であったかどうかということも問題になると思うのでありますが、あえて言いますならば、水がこの前面から落ちてこようと、背後から水が回って決壊の事実が起きたといたしましても、設置または管理に瑕疵がなかったとは断定はつかぬと思うのであります。そういう見地から、現地の鍋田干拓地におりました生存者の諸君の悲痛な話を聞いてみますと、関勝夫という人が先日国会を訪問して参りました。これは長野県から開拓民を引率してきた長野県の元村長で、責任のある人であります。その人が言っておったところによりますと、「海岸堤防は前面からくずれてきておる」、こう言っております。また、その前面の基底と上部に従来ところどころに亀裂があったとも言っております。そして、さらに、私どもは技術的なことはよくわかりませんが、延長七キロですか、八キロですかの長さにわたって堤防の中に入れる無底管――底のないブロックのようなものを使用して、ヘドロを押えるために入れる工法があるそうでありますが、その無底管が入っておらない個所が五百メートルもあったと言っておるのであります。もし、それが事実だということになりますならば、これは明らかに瑕疵ではありませんか。こういう点から、私どもは、明らかに設置または管理上の瑕疵があったといわざるを得ない。これは、今後委員長にも御善処を願いまして、今後のためにも学者あるいは現地の生存者のほんとうの声を聞くという意味において、参考人招致等の措置を講じていただきたいと私は思いますが、いずれ、これは理事会等において御協議を願いたいと考えております。そういう点から考えてみまして、名古屋の南陽町の一農民が、すでに国家賠償の請求を提起しておる。その申請のあるなしを問わず、政府みずからもこういう現地の声等をよく聞き、また、行政管理庁がすでに本年の八月において水防計画、水防活動に関する実態調査をして、私が今指摘するのとやや違っておりますが、こういう勧告なり、警告を出しておる事実等から見て、もっとこれには責任のある――この問題にのみ問題を集中して、人命尊重の立場から、干拓堤防の決壊によって路頭に迷う者が百二十数名もおり、また、本年初めて入った干拓者が、しかも新婚の若い家族十数家族が一瞬にして海にのまれておるという悲惨な事実等をわれわれが見たときに、もっと政府はこの原因追及に対して真摯に取り組まなければならぬと私は思うのであります。こういう問題が不問に付せられ、うやむやに流れるところに、今後また第二のこのような事態が起きても、それはうやむやになってしまう。一人の人命を誤って殺しても刑法上の大きな問題になる。いわんや、さっき述べました刑事責任を追及される者が出てき、現に国家賠償の申請を提起した者もある。こういう事態に処して、少なくとも、この尊い五千人以上の人々に対する何らかの賠償によって、人命を取り戻すということはできません。それを慰めるということはできませんが、せめても、現在ある法律を生かして、死者に対する手厚い措置を講じ、もし、それができないならば、他にそれに当たるべき見舞の方法を講ずる。たとえば、昭和二十六年に京都におきまして平和池決壊事件というのが起きております。これは七十人ばかりの人命が失われたのでありますが、その際、被害者の家族たちは町当局及び京都府を相手取って国家賠償法の請求をいたしました。その後の経過はよくわかりませんが、府の調停その他によって見舞金示談で話がついたと聞いております。事の真実をもっと政府自身もお調べになって、少なくとも、こうした事態に対しては相当の措置を講ぜられ、また、今後なきを期するためには、原因追及の調査機関なり、あるいは必要な措置を講ぜられる、こういうことによって、私は、この問題を教訓として生かして今後に備えなければならぬと思うのであります。 もっといろいろお尋ねしたいことはありますが、私に与えられた首相に対する質問時間がきておりますので、あとでまた法務大臣、行政管理庁長官等にお伺いしたいと思いますが、首相の御所信を承っておきたいと思います。
○岸国務大臣 足鹿委員の御質問の要旨は、一番大事なことは、この災害を受けられた人々に対して、いかにその受けられた非常に甚大な被害、これによるところの打撃というものを国において慰めもし、また、自分の生活の基礎を築くために勇気をもって立ち上がることができるようにするのはどうしたらいいか、国としては、この点について深甚の配慮をする必要があるということと、今回のそういう惨害が生じた原因というものをあくまでも追及し、探求して、そうして再びこういう惨害を繰り返すようなことのないように、将来に向かって十分措置をするためにも、その原因を真剣に検討し、そうして追及していく必要があるという御趣旨のように伺ったのでありますが、二点とも、私は、御趣旨の点につきましては全然同感であり、そういうふうに考えなければならぬと思います。ただ、それの具体的な方法として、あるいは国家賠償法による損害賠償の規定でいくべきか、あるいは見舞金等の方法によるべきか、あるいはその他の措置によるべきかというような点に関しましては、なお考究の要のある点があるように思います。特に国家賠償法の適用の問題につきましては、法律論といたしましても、まだいろいろ検討を要するところがあるのじゃないか、ことに、私は法律の専門家でございませんので、なお法務大臣その他から、その点につきましては後にお答えをすることにいたしたい、こう考えます。
○南條委員長 次は辻寛一君。
○辻委員 総理に対しまして二つお伺いをいたします。時間の効率上続けて参ります。 第一は、天災への恒久的な安全対策と中部地区の復興総合計画について御所見を承りたいと存じます。 御承知の通り、名古屋地方は、長年の間ほとんど災害らしい災害にも見舞われずに、いわば自然の脅威に対しましては泰平にならされて参ったのでございます。従いまして、今度の台風襲来につきましては、正直のところ、官民ともに気にゆるみのあったことは争われぬ事実でございます。天災か人災かと、よくいわれておりますが、この限りにおきましては、とにかく名古屋だけでも二千人近くの尊い犠牲者を出したことを考えますと、人災の様相少なからざるものがあったことを、私どもは深く反省をいたしておるわけでございます。そこで、災害ずれと言うといけませんが、とにかく、今まで災害というものになれておりません。これが一ぺんにして、あのような痛い目に徹底的にやられたのでありますから、反射作用と申しますか、逆に、今度は天災地変に対しますところの恐怖の心理が、病的にまで実は名古屋あたりでは高まっておるわけでございます。何と申しますか、あつものにこりてなますを吹く、こういった気持が非常に多いのでございます。名古屋は何と申しましても、中部経済圏の中心といたしまして、また、日本の産業、国力の推進力として自他ともに許しておるわけでありまするが、この名古屋が、将来の災害におびえる余り、もし、ここで縮んでしまうようなことがあっては、それこそ大へんだと思うのであります。元気を出せといわれてみたところで、来年も、また豪雨や風のしゅんになったら、どういうことになるだろうということになりますると、つい気おくれがしてしまう、それではいけない。それには、まずこの天災に対するところの絶対不敗の態勢というものを、政府がまっ先にお立てをいただかなければならぬ。そうして、住民に絶対不敗の信念を持たしていただいて、安心して復興発展のために精進せよ、こう先頭に立っていただかなければならぬと思うのでございます。そこで、中部日本の産業・経済の発展は、何と申しましても、名古屋港と今度やられました南部の工業地帯、これの復旧整備、それから伊勢湾工業地帯の完備、これが第一でございます。ここにその重点があるわけでございます。ですから名古屋港の管理組合、これは全国にも例が少ないのでありますが、愛知県と名古屋が一緒になりまして経営をいたしておるわけであります。この管理組合におきましては、いち早く雄大なる構想を発表いたしたわけでございます。その一部につきましては、先ほど運輸大臣からも、横山委員の質問に対しましてお答えがあったようでございまして、大いに御共鳴をいただきました。御共鳴と申しまするか、運輸省自体におきましても、すでにそういう雄大な計画をお立てになっておったものとも存じまするが、非常に、打てば響くという気持を受け取りまして、喜んでおるわけでございます。しかし、それにいたしましても、あの雄大な計画ということになりますると、やはり干拓地の問題もございますが、海岸堤防、河川堤防あるいは木材の貯木場、一切を含むわけでございまするから、ともすればセクト主義といわれておりまする点を、こういうときにこそ解消して、ほんとうに総合的な立場に立ちまして、これを作り上げていただかなければならぬと私は思うのであります。これはほんの一例でございまするが、こういう一つの雄大なるところの構想を、少しでも、早くお立てをいただくという意味におきましても、しばしば議員諸君からも、また、地元からも要望いたしておりまする、中部地区の復興につきまして総合的な計画を立てていただくために、復興庁と申しまするか、そうしたものを一つお作りをいただきたいということでございます。これは、総理からも、それについてはよく考えようという御答弁はいただいておるようでございまするが、どうか一つ積極的に、これまたほんとうに地元の燃え立っておりまするところの気持に相呼応されまして、寸時も早くこうしたものをお設けをいただきまして、積極的に復興の対策、恒久安全対策にお進みをいただきたいと思うのでありまするが、これにつきましてのお考えをいただきたいと思います。 なお、もう一つ続けて参ります。いま一つは、先ほど来盛んに出ておりまするところの激甚地の指定の問題でございます。実は、横山委員から、愛知県、名古屋市という個有名詞をあげましてお尋ねをいたしたのに対しまして、大蔵大臣のお答えがございました。無理かもわかりませんが、私は、読めよ、悟れよといったお気持が多分にあったように思うのであります。耳よりの話と申しまするよりも、当然の話なのでありまして、むしろ、政府が正道に立ち戻ったといったような気持で、多少愁眉を開いたわけでありまするが、しかし、最後的に確定いたしまするまでは、枕を高くするわけには参らないのでございます。討ちてしやまんという言葉がありましたが、あくまで、私たち、聞きてしやまんというのが被災地の気持でございまするから、それには都市災害の実態というものを一つよくつかんでいただきたいと思うのです。まだ総理は、ほんとうにおわかりになっておらぬと思います。午前中にもお話がございましたし、また、先ほど三田村委員との質疑応答にもございましたが、この公共被害と民間被害の比率でございます。なるほど、公共被害一に対しまして四くらいになっておりましょう。私も一応調べてみました。たとえば、愛知県の場合におきましては、公共被害と民間被害の割合が二倍八分。これは、名古屋市を除きまして、東海三県でございます。それから三重県の場合、これは三倍になっております。岐阜県は約五倍半、三県平均いたしましても三倍八分、四倍とはなりません。おそらく、全国平均いたしましてもそうでございましょう。ところが、名古屋市と、いうような大都市――と言うと、えろう聞こえまするが、とにかく、関東大震災がありましてから、これだけの都市がこんなにやられたということは初めてなのでございまするから、こういうことは御存じないと思うのでありまするが、名古屋市の場合におきまする公共被害と民間被害の比率というものは大へんなものでございます。愛知県の総被害高三千百三十億円のうちで、名古屋は約一千二百三十億円でございます。全体的に言いますると四割弱でございまするが、これを今内訳をいたしてみますると、名古屋市におきましては、公共被害額が七十億円でございます。これに対しまして、民間被害は千百六十億円、十七倍になっているのです。今まで、平均四倍というのが、この名古屋市の場合においては十七倍になっておるのでございます。ですから、いかに大都市の被害というものが民間に多くしわ寄せをされておるかということは、これでもっておわかりをいただけると思います。地方団体の台所というものは、みんな住民のふところ工合で成り立っておるのでございます。名古屋市は健全財政をうたわれて参ったのでございまするが、その市民がこういう大きな被害を受けておるのでありまするから、一体どういうことになっていくかということは、お察しをいただけると思います。ですから、やっぱり過去にとらわれてはいけない。これだけの大きな都市の災害というものは、新しい事態でございます。ですから、この点をよくお考えをいただきまして、ただ公共被害だとか、あるいは健全財政だから標準税収入がどうとかいうことだけで比べていただきました日には、名古屋市などは浮かぶ瀬がございません。どうか一つ、この点をこの上ともお考えをいただきまして、大蔵大臣からも、また私に対しまして、何とか一つ御返事だけでも――やぼな心配はするなとか、簡単でけっこうですから、お答えをいただきたいと思いまするが、とりあえず総理にお尋ねをいたします。
○岸国務大臣 今回の伊勢湾台風に対して、この災害対策というものが、有機的に、総合的に立てられなければならぬということに関しましては、いろいろな人からも御議論がございますし、私もそう思います。この災害の復興につきましては、いわゆる中央における官庁が、あるいは建設省であるとか、農林省であるとか、あるいはまた、運輸省であるとか分かれておるということによって、もしも統一的、総合的な計画が立たぬとか、あるいはその地が地方公共団体の愛知県に属しておるか、三重県に属しているか、あるいは岐阜県に属しているかというような、行政区画等にとらわれることなく、これを一体のものとして復興の計画を立てていかなければらぬことは、辻委員の御指摘の通りに考えております。そこで、それの計画を立て、また、計画を実施していくのに、特殊の機構を設けて、これで推進してはどうかという御意見でございますが、その点に関しましても、私は十分に一つ検討をしてみたいと思います。ただ、今復旧にあたり、現地におきましては、なおいまだ広範な湛水地域もあるようなこの状況で、各種の機関が中央・地方を通じて日夜ほんとうに全力をあげて協力をしており、努力をしておると私は考えております。こういう際に、何か機構がいじられるとか、変更されるのだというような気持をこれらの人々に与えることにつきましては、よほど注意しないと、かえって現地において現在うまくいっている仕事が混乱するようなことがあってはならぬ、これらのことを十分頭に置いて、少なくとも、計画が総合的に立てられるように、統一的な見地からこれが強力に推進実行されるのに必要なように計画を立てること、及び実施にあたりましても、特に注意をいたしまして、今の御意見のような点は、一つ十分検討をして参りたい、かように考えております。 次に、激甚地の指定の問題についてのお話であります。具体的に名古屋の市がどうなるとか、こうなるとかいうような問題は、私、まだ実は結論的には申し上げるまでの段階になっておらないと思いますが、しかし、先ほど来申しておるように、これは公平にいかなければならぬし、また、その場所において適正にこれはいかなければならぬ。もちろん、被害が非常に甚大である、これはもう標準税額がどうであるとか、あるいはその土地の地方公共体の財政の状況がどうであるかということを離れて、とにかく、非常な大きな被害があったということも一つの標準にしなければならぬと思います。ただ、その被害の激甚であるといわれる被害の程度だけを頭に置いてこれを指定しますと、実際の復旧の仕事をやっていくことが適正に行なわれないということもあると思います。従って、そのほかに、地方公共団体の財政の点も頭に置いて考えなければならぬとか、あるいは個人において、農地等においては、個人の被害額が一人当たりどういうふうになっておるとかいうような点も頭に置いて考えなければならぬというふうな、いろいろな標準が設けられて、そうして公平に、しかも、この罹災地等におけるところの人心がやはり安定して復興が行なわれていくというような標準を定めなければならぬと思います。せっかく関係省において今検討をいたしておりますから、御趣旨の点は十分頭に置いて検討いたすように、関係省に申しつけておくつもりでございます。
○辻委員 わかりました。終わります。
○南條委員長 中島巖君。
○中島(巖)委員 きょうは、総理と親しく災害についての質疑応答の機会を得たのでありますが、この方は、総理は、大へん失礼でありますけれども、しろうとだ、こういうふうに考えておったわけですが、わずか二十分というふうに時間を制限されたわけであります。ただいままでの同僚各委員と総理の質疑応答を見ましても、非常に総理は懇切丁寧な答弁をされておりますけれども、何ら得るところのなかったというような感じがするわけです。そこで、私は非常に時間もありませんし、前もって申し上げることは、あるいは政府の失政であるとかいうような言葉が出るかとも思いますけれども、決して政府の責任を追及するというような意味ではなくして、今後どうすればいいか、こういうような立場で建設的にお伺いいたしたい、こういうように考えるのであります。それから、実は今聞いてみると、総理の答弁も含めて二十分というように制限されておりますから、懇切丁寧な御答弁はいただきたいのでありますけれども、ただいま申し上げるような事情でありますから、私の質問せんとするところは、具体的な、政府のやれるようなことばかりであります。それはやるとかやらないとか、考えてみるとか、これだけの答弁でけっこうでありますから、さよう御承知願って、御答弁をお願いいたしたい。 そこで、この伊勢湾台風の被害につきましては、ただいま同僚委員からいろいろ被害の甚大なことをお話しになった。私は、現地に四日ほど行ってきたわけでありまして、総理が皇太子とヘリコプターで上空を回られたときも、横須賀町、あの辺におったわけで、親しく見たわけであります。そこで、この伊勢湾台風の災害は、先ほどからいろいろ質問がありましたけれども、これは確かに天災でしょう。天災ではありますけれども、政府の施策さえよければ、この大災害をわずかの処置によって半分に食いとめ得たということは、これは確かに言い得るのです。たとえば、私の行ったときには、一級国道一号線に土のうを積んで、そして、これを堤防として排水事業をやろうとしておった。これは当初の計画に、災害を予想して、もう五十センチもあの道路を上げさえしておけば、そのままそれで排水事業に取りかかれる、かようなことを現実に見てきたのであります。それで、この伊勢湾台風は非常な被害でありますけれども、私ども、建設委員会において、大阪における淀川、東京における江東地区、川崎、これらからたびたび陳情を受けておる。従いまして、この伊勢湾台風における名古屋の二の舞をやらないような今後の処置が必要ではなかろうか、こう考えるわけであります。そこで、国では建設省内に防災課というものがありますけれども、これは防災課ではなくして、災害復旧課なんです。従って、どうしても、こういうような地区を日本全国全部をやるというわけにもいかぬでしょう。重点的な地区を、ただいま申し上げましたような防災、つまり政府の各省と連絡がとれて、そういう防災に当たれるような基盤が必要ではないか。それについて、先ほど総理からも、他の委員の質問に対して一端の披瀝がありましたけれども、ぜひそういうものを総理府なり、あるいは建設省の外郭として設置せねばならぬ、こういうことをこの伊勢湾台風の教訓で教えてくれた、こう思うわけです。そこで、総理は、そういうようなお考えがあるかどうか、やるかやられぬか、この点を一つお答え願いたいと思います。
○岸国務大臣 これはぜひやらなければならぬことであり、やる決心であります。
○中島(巖)委員 次にお尋ねいたしたいことは、今回の伊勢湾台風におけるところの愛知県の被害は、正確な数字はまだ持っておりませんけれども、その八〇%、九〇%というものが干拓地なんです。海岸埋立地なんです。これは明治時代もあったでしょう。あるいは徳川末期にもあったでしょう。たとえば、半田市なんかに行ってみると、市街が一瞬にして流れて、百八十何名という人命がのまれておる。そこは、今は繁華な町でありますけれども、そこの故老に聞いてみますと、それは山方新田という名で呼ばれておる。おそらく、愛知県の災害の八、九〇%まではそういう地帯だろうと思う。従って、ここで国土計画の基本構想というものに大修正を加えねばならぬ時期がきたのではないかと私は考えるわけです。そうして、徳川時代から海岸へ、海岸へというような開拓が行なわれ、市街地ができたわけでありますけれども、現在、自動車工業の発展とか、あるいは熱エネルギーの革命とかいうようなことで、必ずしも工業地帯でなくても発達できるところの産業がたくさんあるわけです。そこで、すでに法律で通っておる国土開発縦貫自動車道なんかをこの際強力に推進して、新しい生活領域を開くべきだ、こういうふうに考えるのでありますが、首相の御所見はいかがでありますか。
○岸国務大臣 国土縦貫道路の建設に関しましては、法律によりまして、政府としてもこれを実現していくようにしたい、こう考えております。
○中島(巖)委員 次に、今回の災害に対して防衛庁が非常な活躍をした。その他の災害におきましても、防衛庁が非常に出動しておる。これはだれも認めるところであります。そこで、自衛隊の問題については、総理と私とは根本的に意見の相違があるわけで、自衛隊の可否を本日は論ずべき委員会ではありませんが、しかしながら、国土防衛関係に対して、自衛隊が出動するときの法的根拠がどこにあるか、こういう問題に入ってくるわけでありますが、自衛隊百二十二条にわたる中で、ただ八十三条に一条あるだけなんです。従いまして、自衛隊の根本的な任務はあるでしょう。しかし、自衛隊法の一部改正、もしくは政令なんかを規定して、こういうときにすみやかに出動できたり、あるいはその他の装備、訓練をするようなことをこの際すべきではないかと思いますが、その御意思があるかどうか。
○岸国務大臣 私は今までの報告を聞いておりますところにおいては、自衛隊法の運用によって十分その目的を達し得るというふうに報告を聞いております。ただこれを運用する上において、出動する場合における地方庁との連絡のことであるとかに、敏速を欠くというような点が全然なかったかといいますと、それはむしろ運用の点において、さらに連絡を緊密にすれば十分目的が達せられる。また、訓練等につきまして、また、持っておる施設隊等の内容等から見まして、十分天災、災害に対して処するだけの実質を私は自衛隊が備えておる、かように思っております。必要がある場合に、その目的に対応して敏速に行動できるように、運営の上において十分考慮をしていきたい、かように思っております。
○中島(巖)委員 これは総理のお考えがちょっと間違っておりはしないかと思うのです。これは、百二十二条の自衛隊法の中でただ八十三条一条だけに出動できることが規定してあるわけであります。もう少し国の法律として自衛隊が果敢に出動できるような――運用だけでなしに、惑わずに、政府の指令がなくとも、法的根拠をもってできるようにすべきじゃないか、こういうように考えるわけでありますが、これは総理との意見の相違でありますから、申し上げておきます。 それから治山治水あるいは総合開発なんかの、今盛んに行なわれておる基本法は河川法であります。しかし、この河川法は明治二十九年にできたものでありまして、新憲法下におきまして、いろいろな法律が改正されておりますけれども、この河川法は従来のままでおるわけなんです。この中には、非常に官僚的のにおいのある、非常に矛盾した点が多いわけであります。従いまして、どうしても治水の根本対策といたしまして河川法を改正せねばならぬと思うのでありますが、これは総理にお聞きしても、直接わかるかどうかわかりませんけれども、河川法を改正する意思があるかないか、この点お伺いいたしたい。
○岸国務大臣 御指摘のように、河川法は母法が非常に古い法律でございますので、従って、これはやはり全面的に検討をして、現在の事情に合い、その目的を達するように検討する必要があると思います。まだ、どの事項をどういうふうに改正するというところまでは、私、研究しておりませんが、関係の省において研究せしめることにいたしたいと思います。
○中島(巖)委員 それ以上法的のことを総理に聞いてもわからないと思いますので、これは法制局長官がおるので、法制局長官が総理代理で答弁してもらいたいと思います。現在建設省で、先ほどから国家賠償やいろいろな問題が出ておりますけれども、河川法の例の訴願訴訟法の五十九、六十、六十一条の問題、それから都市計画法の二十五、二十六条の問題、これは同じ問題でありますけれども、片方は訴願前置主義でいっておるし、片方はそうでない。こういうふうに一省の間にも法の取り扱いが非常に食い違っておる。それからあなたの御専門の、例のこれをもととした行政事件訴訟特例法、これらも矛盾しておる。先ほど皆さんから非常な質問がありましたので、これらを統一あるいは改正する意思が法制局にあるのかどうか、この点お伺いしたい。
○林(修)政府委員 御質問の通りに、河川法あるいは都市計画法は、新憲法以前に制定された法律でございますので、旧憲法時代の行政裁判あるいは訴願等の制度に乗っかっているところがございます。従いまして、この新しい憲法下における行政事件訴訟というもののあり方を考えまして、多少の字句の書き方において問題点があることは、御指摘の通りだと思います。現在、行政事件訴訟特例法につきましては、全面的な改正問題を法務省が中心になって検討をしておるわけであります。河川法につきましても、先ほど総理からお答えがございました通りに、何しろ古いがたがたの法律でございます。現在の実情に合わせるためには、やはりいずれ全面改正の必要があるものと思っております。しかし、御承知の通り、何分いろいろ利害関係、ことに利水、治水の利害関係の錯綜する法律でございますので、なかなかそこに困難な問題もございます。現在までのところは、部分的改正で現状に合わせるようにやってきておるわけであります。いずれ御指摘のような点については、全面的に現在の訴訟制度、訴願制度をうまく適合するように変えていくのがいいのじゃないか、かように思っております。
○中島(巖)委員 それから本日の中心課題は、各委員からも質問があり、政府からもいろいろ御答弁があったわけですが、本日二十四法案ぐらい出るように、ここにプリントをもらったのですが、いかにりっぱなこういうような法律が出ても、結局政令で指定という、先ほど議論のあった問題が解決せぬ限りは、これは絵にかいたもちなんです。従って、きょうはそれに問題の議論が集中するだろうと思いましたところが、大蔵大臣が巧妙にあやまって、工合よく切り抜けたというのが実際の状況になっておるわけです。そこで、これは総理ではおわかりにならぬと思うから大蔵大臣でもけっこうですが、例の昭和二十八年にいろいろの災害の特例法が出たわけであります。本日プリントを見ますと、ほとんど同じような法案ばかりである。その内容も、仄聞するところでは、同じようなわけなんです。そこで端的に質問いたしたいことは、昭和二十八年度に出された法律の適用に対する基準が、昭和二十八年六月及び七月分大水害並びに同年八月及び九月の風水害による公共土木施設等についての災害復旧等に関する特別措置法施行令といものに出ておるわけで、これはおそらく御承知だと思う。それでこの施行令において適用することは、個条書きにして九項目ここに出ておるわけであります。そこで私の質問するのは、この九項目が適当であるかどうか。これに対して大蔵省はどういう考えを持っておるか、この点を伺いさえすれば、私どもは大体見当がつきます。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。実は二十八年災の際にとりました措置は、私ども必ずしも適正であったとは実は考えておらないのであります。そこで、私ども今日いろいろ工夫をいたしております。そうしていわゆる激甚地がはずれないように、名案はないかというのが、ただいま私どもが苦心している最中の問題であります。
○中島(巖)委員 そこで重ねてお尋ねいたしますが、これは、池田通産大臣が当時幹事長で、現在の建設大臣が委員長で、皆さんが苦労してこれをこしらえたわけです。ところが、あなたは今適当でないと言われた。どの点が適当でないか、一つ御答弁願いたい。
○佐藤国務大臣 ただいま言われますように、建設大臣が当時の災害対策をしておりまして、私実は幹事長をいたしておりました。池田通産大臣が、当時政調会長でありました。私ども非常に苦心をいたしまして、あの法律を作ったのであります。御承知のように、二十八年までの地方財政に対する手当、これはいわゆる平衡交付金制度でやっていた。また、地方財政も実は非常に赤字を出しておるような状況でございました。そこで、いろいろ短期間のうちに法律を整備いたしまして、おそらく当時におきましては、私どもも非常な自信をもって作ったと今でも思い起こすのであります。しかしながら、その後の国会におきまして、順次これらの点についての御批判をいただきまして、その一部についてはすでに恒久立法を見たものもございます。そういうように順次基準が変わって参っております。今回またこの大災害に際会いたしましたので、在来の恒久立法できたものも、それを本法とはいたしますけれども、今回の大災害にかんがみまして、特別法を設ける、こういう場合におきましては、事情の変わっておる点、特に自治体の財政状態等は変わっておりますから、それらの状態も勘案して、そうして適正なものを考えるのがただいまの考え方でございます。今まで、皆様方からも、また新聞その他からも、激甚地々々々という言葉はしばしば出ておりますし、また、それぞれの地方の方々にいたしましても、それぞれ被害激甚と、みな感じておられることだと思います。そこで、私どもが新しい基準を作りました場合に、いわゆる常識に反するようなことが出るか出ないか、こういう点を実は非常に心配いたしまして、ただいまその基準についても、各方面といろいろ折衝し、協議をしているというのが、私どもの今日の段階であります。御了承いただきたいと思います。
○中島(巖)委員 そういうしろうとに言うようなことで、ごまかされるわけにはいかぬですね。そこで重ねて質問いたしますが、大蔵大臣に質問することは、この九つの項目はどれが不適当だと思うかという、この具体的な問題について質問しておるわけです。
○石原政府委員 技術的な点でございますので、便宜私からお答えを申し上げます。二十八年の災害のときにおきましては、公共土木、公立学校復旧というような地方団体の負担に属します分と、農地、農業用施設というような土地改良区ないしは農民自身の負担のもの、こういうものを合わせまして計算をいたしておるわけであります。これは、先ほど来大蔵大臣からもしばしば御答弁申し上げておりますように、負担の主体が違うわけでございますから、そういうようなものを一緒に合算をいたすことは、必ずしも適当ではないのではないか。それから先ほど大蔵大臣のお話もございましたように、一面特別交付税が参る地方団体の財政状況が違うということがございまして、むしろ被害激甚の各個のケースにつきまして、被害激甚の基準を作る方が現在の事態においては、より適切であるというような考え方をいたしております。
○中島(巖)委員 今主計局長のお話がありましたけれども、この農地、農業用施設などにつきましても、結局地方公共団体が施行主になっておる。こういうような関係でありますから、何ら僕は変わりはないと思う。政府は、二十八年のこの施行令をそのままのむことがいいし、のまなければ相当問題が起こる、こういうことを警告いたしておるわけです。 それから次に、これはむしろ大蔵省の関係になるだろうと思いますが、お尋ねする点は、先ほどもお話がありましたが、治水五カ年計画、それから治水特別会計、これが現在問題になっておるわけです。ところが、この災害防除の最大のものは――今回の災害各地を回って歩きましても、山腹砂防や多目的ダムなどのできたところはどこも災害にかかっておらない。どうしても治水五カ年計画、治水特別会計はやらねばならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。ところが、先ほどからお話のあったように、国の財政には限りがあって、それでは道路費を削っていいか、文教費を削っていいかというと、それは削るわけにはいかない。そこで将来起こるであろうところの災害を防除するために今金を使うのには、どうしても財政投融資から持ってきたりして、特別会計を立てるよりほかに方法がない。これに対して大蔵省は非常に難色があるようでありますが、今後の災害対策といたしましても、絶対緊急必要なものである、こういうふうに私は考えるわけであります。総理ではおわかりにならないかもしれませんが、大体の輪郭はおわかりだろうと思いますので、総理の御所信を承りたい、かように考えております。
○岸国務大臣 治山治水の恒久的対策は、これは最も緊要なものとして、ぜひ今後の通常国会においては、これに対する計画を定め、そうしてこれを裏づけるような予算措置、また必要な立法等をいたしたいということを申しております。私はそういう決意でおります。ただ、特別会計をそのために作った方がいいかどうかということについては議論がございまして、まだ結論を得ておりません。特別会計を設けよという議論にも、また反対の議論にも、十分相当な論拠がございますが、なお検討をいたしてみたいと思います。
○中島(巖)委員 以上で私の質問は終わりますけれども、この治水特別会計は、ただいま申し上げましたように、国の財政から見てどの費目を削ってよいという費目はありませんのですから、どうしても財政投融資から結論として持ってこなければならぬ、そういう意味において、この災害防除という観点から、ぜひとも総理の決断によって実行していただきたいことを希望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
○南條委員長 それでは総理大臣、どうぞ御退席を願います。 引き続いて質疑を継続いたします。 三田村武夫君。
○三田村委員 私は、大蔵大臣、建設大臣、農林大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、時間の関係がありますから、簡潔に、今度は事実に基づいて御所見、御方針を伺いたいと思います。 まず大蔵大臣に対してですが、先ほどもちょっと申しましたが、実は四日の当委員会において、大蔵当局から補正予算の説明を行ないました。私、率直に申しますが、主計局長の御説明を伺っておって、何かちょっと私は気持が悪かった。全部、農林省の仕事、建設省の仕事、これにはこれだけの予算をつけてこういうふうにいたします、こういうふうにいたします、こういう御説明でございました。これは、大蔵省の事務当局が国の財政に対して非常に高い責任を持っておられることはその通りで、非常に敬意を表するのであります。しかしながら、総理大臣にも申し上げた通り、この災害対策というものは、政治なのです、政策なのであります。農林省、建設省、それぞれの立場から、公共土木についてはどうする、農地及び農業用施設についてはどうする、こういうそれぞれの所管省における施策があり、方針があるはずであります。それを大蔵省だけで、予算的な面からこれはこうする、これはこうする、こういう考え方は、どうにも私は納得がいかない。大蔵事務当局が国の財政について非常に高い責任感を持っておられることについては、私は最高の敬意を表するにやぶさかではありませんが、これは一つ大臣、あなたは政党大臣でありますから、この点は大臣の見識で一つお考え願いたい、これは冒頭に申し上げておきます。 私は岐阜県ですから、岐阜県の問題をちょっと申し上げます。何か先ほど来問題になっております激甚地指定について、岐阜県はボーダー・ラインだとか、あるいはどうも落ちるらしいということがあって、毎日々々私たち責められている。これは建設大臣、農林大臣、せっかく大蔵大臣を督励していただきたいのでありますが、岐阜県は、実は連年災害で、三十二年に東濃地方をやられている。三十三年に飛騨、北濃地方をやられている。三十四年、今年は八月十三日の集中豪雨によって、西南濃地方一帯をやられて、多芸輪中三千町歩、二千戸が水没いたしました。八月二十六日、集中豪雨、これでまた東濃地方をやられた。そして、ようやく多芸輪中の締め切りが終わって、排水が完了して、やれやれほっとしたところで、今度は九月二十六日の十五号台風、これは全県がやられた。多芸輪中が再び決壊いたしまして、同様に水没地帯になってしまった、こういう状態でございます。これは県財政の方から見ますと、直轄事業を除いておりますが、三十二年度三十七億八千万円、三十三年度五十二億五千万円、三十四年度三百二十四億、がたんとやられて、先ほど申しましたように百段階転落してしまった、こういう状態でありますから、わが岐阜県はボーダー・ラインだなんて言われちゃ、まことに困るのであります。これは一つ大蔵大臣、今申しました政党大臣でありますから、そういう立場から格別にお考え願いたいと思います。御答弁はむずかしいかもしれませんが、一応御所見を伺っておきます。
○佐藤国務大臣 激甚地というものの指定は、なかなかむずかしいのであります。先ほど来、また、昨日もお答えをいたしました意味で、大蔵省が事務的な査定ということではなしに、それぞれ激甚地が落ちるようなことがあっては申しわけがないというので、私どもが今苦心をしている最中でございます。どうぞその点を御了承いただきたいと思います。先ほど来、辻委員からもお話がありました。あるいは特定の名前をあげてのお話が出ております。こういう点について、私が一々お答えすれば非常にけっこうでございますが、おそらく皆様方が、それじゃおれのところはどうなるのかと次々に質問があって、それで尽きぬだろうと思います。私は、そういう点について一般的に申し上げますが、いわゆる激甚地といわれているものが落ちないように苦心しているということだけ、御披露しておきます。
○三田村委員 大蔵大臣は、岐阜県が激甚地であるということは、これは十分御認識のはずでございますから、これ以上は申し上げません。 それから時間の関係で、建設大臣にお伺いいたします。岐阜県には海がありません。だから、今度の伊勢湾台風のような高潮、波浪による深刻な災害はないのでありますが、そのかわり揖斐、長良、木曽という大きな川を三つ持っております。今度の伊勢湾台風で特に災害のはなはだしかったといわれます愛知県南部、つまり津島、弥富、海部、それから桑名、長島町、それから岐阜県の多芸輪中すなわち養老町、これは三つの大きな川が合流する地点でありまして、その上流二十キロくらいまでは一連のデルタ地帯であります。これは海岸堤防を検討してもらわなければなりませんが、それだけじゃいかぬ。この三つの川から大量に奔流していく濁流と高潮とがぶつかって、逆流して堤防をこわす、こういう事態は建設大臣御承知の通りでありますから、一つ今度の災害対策については、海岸堤防ももちろん十分検討してもらわなければなりませんが、岐阜県がかかえ込んでおる三つの大きな川――これはひとり岐阜県だけの問題でなくて、おそらく全国同じことだと思います。今度の伊勢湾台風は、ちょうどまともにぶつかってきたのでありますが、あるいは来年は東京にくるかわからぬ、あるいはまた北陸にいくかもわからぬ、こういうことを考えますと、大きな川に対する手当というものは、私は非常に重要だと思う。これは、ぜひ一つ建設省においてお考え願いたいと思います。今度の十五号台風で揖斐、長良、木曽は――木曽川には大臣御承知のダムがありまして、これが洪水調整の役割をして、そう荒れなかったようでありますが、長良、揖斐川はだいぶ荒れております。決壊寸前の場所がたくさんあります。私は専門家にちょっと調べてもらってみたのでありますが、長良川と木曽川にはさまれておる地帯、これは愛知県の方にも関係がありますが、ここでも決壊寸前までいっております。ここのどの地域が切れても、水没地帯は五万七千戸、被害で二百六十億くらいの計算が出ております。それから長良、揖斐川にはさまれた地帯、これはどの地域が切れても、被害戸数が二万七千戸、それから被害が二百十三億、また揖斐川、藪川にはさまれておる地帯、ここも非常に危険であるのでありますが、大体いずれが切れても、六千戸くらいが災害にあう、百二十億くらいの損害がある。今度非常にあぶなかった揖斐川の西部、これは多芸輪中が切れておりますが、多芸輪中の反対側の方も決壊寸前までいったことは、大臣御承知の通りであります。それが切れますと、どちらが切れても、二万六千戸、耕地にして一万二千町歩、被害額にして百六十億、こういうことになる。いわば決壊寸前のずたずたであります。警戒水位をはるかに突破して、長良川あたりでも、問題になった高い長良橋の橋げたひたひたに水がきた。両方に溢水しております。決壊寸前の状態でありましたが、これは非常に一般住民が不安を持っております。今度の台風によって非常に大きな不安を持っておる。これはぜひ一つ建設大臣、来年の台風期までに完全な手当をしていただきたい。みんな心配しておる。同一水量が参りますと、必ずそこがやられる。多芸輪中が切れなければ、福束輪中が切れる。あるいは揖斐川の上流、大臣御承知の揖斐同時の右岸、あそこが切れますと、明治二十九年の大水害のように大垣市まで水浸しになってしまう、こういう非常に危険な地帯であります。しかも、全部輪中地帯は湛水してしまってはけ口がないという状態でありますから、この問題については、ぜひ一つ建設省に格段の御努力を願いまして、来年の台風期までに一般民衆の不安のないように堅固なお手当を願いたい。これを切望するのであります。御所見を伺っておきます。
○村上国務大臣 木曽三川につきましては、あの海岸に近い地点につきましては、十分海岸堤防の強化と同時に、これと並行して、その規模におきましても絶対に将来不安のないような施設をいたしたい、かように思っております。従いまして、今回の補正予算にも、また来年度の予算にも、出水期までには十分その完璧を期したい、こういう考えを持って臨んでおるのであります。 なお、揖斐川につきましては、上流に会計年度でないことしじゅうに横山ダムの着工を見たい、そうして多目的ダムによる洪水調整等も行ないたい。長良川につきましては、そのダム・サイトの地点についても研究中でありますが、十分上流の砂防等について留意いたしまして、抜本的な方法を講じ、災害を未然に防ぐような処置をいたしたい、かように思っておる次第であります。
○三田村委員 今大臣がお触れになりました横山ダムでありますが、これは御承知のように、大体三十年度から計画に入っております。昨年度、すなわち三十三年度にも工事費が五億ついております。これは地元の調整がつかないので、施工せずしてそのままになっておりますが、ことしも四億五千万円ついておるはずです。ぜひともこの機会に強力に推進していただきたい。特にこれは要請いたしておきます。 それから道路の問題ですが、今度の伊勢湾台風でしみじみ私どもが感じたことは、愛知、三重、岐阜と、この三県を結ぶ道路網の問題であります。国道一号線が切れたために、愛知県から三重県に通ずる道がない。だから、救援物資といい、あるいは復旧資材といい、この運搬の道がありませんから、桑名から養老町を抜けて大垣に回ってぐるぐるやる。あれは御承知のように県道でありますが、大へんな災害による被害なんです。岐阜県はめちゃくちゃになってしまいました。この機会に、こういうことは二度も三度もあっては困りますけれども、非常事態に対する備えの意味も加えて、岐阜、愛知、三重、あの臨海地帯を中心にした工業地帯、非常に重要度の高い産業地帯を守る意味においても、三重県、つまり桑名から養老町を抜けて大垣に出てくる道路、その他三県の道路網というものを整備していただきたい。多分この問題については痛切にお感じになっておられることと思いますから、御方針なり御意見なりはおありと思います。この機会に、もしすでにまとまった御意見がありましたならば、お伺いしておきたいと思います。
○村上国務大臣 大垣から養老、あるいは三重県の桑名までの道路につきましては目下検討いたしております。
○三田村委員 時間がありませんから、次は農林大臣に伺います。 大臣御承知のように、一番深刻な痛手は、多芸輪中、養老町、南陽町にわたる面積にして三千町歩、耕地二千町歩、住家二千世帯、これが二度の決壊、水没により約二カ月間水の中に埋まってしまったことであります。いずれこの堤防決壊の修復等につきましては、十分建設省でお考え下さることと思いますが、これは農林省としても、農地造成、農地保全という意味から、また農民に対する一つの大きな積極的な政策面から、一つ格段の御配慮を願いたいと思います。農地復旧のワクと申しますか、従来の解釈からしますと、砂利が入ってしまう、あるいは流されてしまう、どうにも原形をとどめていないところでなければ、農地復旧のワクに入らぬ、という行政解釈ですか。そういう解釈で従来きておるようでございますが、二千町歩一帯になってずっと二カ月もつかってしまったところを、一部砂利が入っておるところだけは災害復旧の農地のワクで高率補助でやるが、その他のところはやらないというような区別は、つけることは不可能であります。私は、こまかい数字は申しませんが、この間も養老町の町長が参りまして、非常に詳しい災害計数を持って参りました。二千戸で、被害総額は約六十億であります。とてもとてもこれは救われるものではありません。こういう点もどうぞ十分お考え下さいまして、養老町、多芸輪中については、格段の御処置を願いたい。農林大臣初め農林省の事務次官も、農地局長も、各農林省の責任者ことごとく現地に行ってつぶさに事情を見ていただきましたから、私がこれ以上申し上げなくてもよく御理解願えると思いますが、一つ格段の御処置を願いたい。この点をまずお願いして、今何かこれに対する手当、方針がありましたら、伺っておきたい。
○福田国務大臣 多芸輪中は、御承知のように、私どもも全地区まれに見る悲惨な被害があったというふうに考えております。ここの地帯に対しましては、一般の復旧に対する考え方をすることはもとよりでありますが、それに加えまして、また特別な考え方をしなければならぬ、かように今考えておる次第でございます。地元の方からもいろいろ計画が出ております。また、お話の次第のようなことを考慮いたしまして、今度御審議をお願いいたしております予算の救農土木事業を活用いたしまして、区画整理をいたそうかというふうに考えておる次第でございます。ただいまのところでは、その計画も膨大な計画でございまして、あるいは三年以上にわたるというふうな計画にもなるかと思っております。今度は、思い切ってあの地帯の工事は特別な考慮をいたしたい、かように考えております。
○三田村委員 どうぞよろしくお願いいたします。 今度は山の中の問題でありますが、これは今度の災害が岐阜県一帯を荒らした。岐阜県だけではなくて、山梨も、長野も、奈良も、三重も同じであります。山の中が荒れたから川が荒れた、こういうことになるので、山の中の植林が手おくれだから、これから木を植えるといったって、なかなか容易なことではありません。できません。ですから、この際必要なことは、砂防、林道――いわゆる山間部の防災施設は農林省の所管であり、また少し下の方になると建設省の所管になる。川というものは一本の筋を流れてくるので、ここまでは農林省だ、ここからは建設省だといったって、水は区別されない。一本の流れを仕切ってしまうわけですから、両省一つ十分御検討願って、この際しっかりやっていただきたい。 それから山間部の手当の問題でございますが、これも一々数字は申し上げません。むしろ、私はこういうことを申し上げたい。山間部の人は非常に朴訥であります。自分たちがほんとうに惨たん目をおおうような災害にあいながら、あまり声を大きくいたしておりません。この声なき声にわれわれが耳を傾け、目を向けるということが、私は政治だと思います。山の中の災害は、橋もこわれてしまった、道も流れてしまった、うちはつぶれただけでなくて、その屋敷まで流れてしまった、炭がまもない、せっかく作った炭小屋も、炭も流れてしまって、生活の基礎を全部失っておる、こういうところは、高率の高率、さらに高率補助を、実際十分の十どころか、十分の二十くらいの手当をしてあげないと救われない。これはぜひ一つお考え願いたいと思う。ほっておきますと、山の中はどうするかというと、金がない、町村長はやらなければなりませんから、仕方がないから今度は山を切ります。山を切るとまただあっと水が出る、そういうことになってしまいますから、一つこの際は、思い切って農林大臣大いに大蔵大臣に談判してもらって、金をうんと出してもらって、山の中の手当を十分してもらいませんと、せっかく海岸堤防をしっかりやりましても、土砂が奔流のごとく流れてきてしまって、また高潮と正面衝突をやって逆流してめちゃめちゃにしてしまう。ことしの災害は、百年に一度、千年に一度、六十年に一度の大災害だといいますが、しかし、六十年に一度か千年に一度かだれも保障できない。また来年くるかもわからない。そういうときに、去年何とかしておけばよかったと後悔してみても、もう追っつかない。そういうことでは政府の責任が果たせませんから、一つぜひ農林大臣、山の中の手当をしっかりとやっていただきたい。それから、全く正直言って食う道がないのであります。炭がまは流れてしまって、持っておる炭は流れてしまった。少しばかり畑に植えて、これを生活の足しにしようと思っておった山腹の畑が、一挙に流れてしまって何もない、こういう状態でありますから、一つぜひ山間部の手当については、十分思い切った措置を願いたい。この問題についての農林大臣の御方針を伺って、私の質問を終わります。
○福田国務大臣 山間部の問題につきまして、考え方につきましては全くお説の通りであります。さようなことで、林道につきましても、今回暫定法の改正をお願いする、特例をお願いする、また砂防等につきましても、国庫負担法の特例をお願いする、かようにいたしまして、高率の補助をもちまして復旧する次第でございます。なお、山間部の被害は、これは目に触れないところでございます。しかし、非常に多いのでございまして、これらの救済措置を講じなければならぬということで、主としてこれは小災害に当たるところが多かろうと思うのでございますが、これにつきましては、小災害の起債特例に関する法律で、高率の補助をいたすことに相なる次第でございます。 なお、山間部におきまして特にひどいところにつきましては、救農林業といいますか、さような性格の事業を行ないますほか、炭焼き等の方々がかまを失ったということにつきましても、国においてこれを助成するという、初めての措置でございますがさようなこともいたすとか、あるいは国有林を払い下げまして、炭焼きを大いにやってもらうというような措置なども講じまして、山間僻地の小さい方々のためにできる限り配慮していきたい、かように考えております。
○南條委員長 次に、足鹿君。足鹿君に申し上げますが、御要求の益谷行政管理庁長官は、五時半ちょっと過ぎに参るはずでございますから、ほかの閣僚に質問していて下さい。
○足鹿委員 先ほどの総理に対する御質問に関連して、益谷さんに伺いたいし、また法務大臣にも伺いたかったのですが、法務省当局は、首脳部も事務局も全然いないということでありますので、また別の機会に御願いしたいと思います。 最初に、大蔵大臣に伺いたいのでありますが、今朝来いろいろと論議をされておりまして、やや重複のきらいもあるかと思いますが、簡潔にお尋ねをしてみたいと思います。 未曽有の災害の遠い原因といいますか、その一つとして、大蔵省のみを責めるというわけではありませんが、予算の編成に際して、大蔵省の査定官のやり方というものが堤防の高さがどうとか、隧道の単位がどう、あるいは技術的な問題がどうというふうに、技術に関連のある単価の切り下げ等を云々される事実が非常にあるのであります。これが、結局やむを得ない、金がないということからうやむやになり、それで落ちつくということになっておるのでありますが、財源がかりにないにいたしましても、必要なものはどこまでもこれをやらなければならぬ、また省くべきところで省かなければならぬ、こういうことになると思うのです。そういう点で私の言いたいのは、財政当局が、技術にまで関連のある問題を財政不足のゆえをもって干渉し過ぎはしないか、それが今度の未曽有の災害の遠因の一つをなしておるのではないか、この点をどう反省されているか。私は、すべて節約しようというのじゃない。必要なものにはうんと出さして、そうして切るところはまた必要に応じて切っていくという方法がとられなければならぬ。ところが、海岸堤塘、あるいは農林省が直轄でやっている干拓堤塘の場合を、比較してみますと、農林省の場合は二〇%は入植者の負担になるというようなことで、一つの建設省所管と農林省所管に開きが出てくる大きな原因であろうと思うのです。むしろ、これは大蔵当局としては一緒にしてやるというくらいな積極的な態度をもって進まない限り、問題の解決はつかぬと思うのです。そういう点について、率直にどう反省しておられるか。行政が、あまり技術に財政権を背景に容喙するところに問題があるのではないかと思うのですが……。
○佐藤国務大臣 なかなか簡単な議論では実はございません。もちろん、大蔵当局といたしまして、いろいろ査定もいたしますが、大蔵当局も、全然自信のないような査定はいたさないわけであります。それかと申して、予算要求の建設省なりあるいは農林省が、膨大な要求をしているというものでもございません。たとえば一つの例で申しますと、学校の老朽校舎を改築するという場合におきましても、これはやはり鉄筋にする方がいい、あるいは鉄筋に準ずるものがいいといたしましても、やはり木造の建物も必要でございます。――必要といいますか、財政的な見地からやむを得ない場合もあるということでございまして、前年御審議をいただきましたように、この木造と恒久建築と比率をきめた、こういう点は、これは財政的な問題だと思います。そういう場合におきましても、木造なら木造でも、またコンクリートならコンクリートでも、一つの単価をやはり実情に徴してきめて参ります。しかし、今回の海岸提防の問題になりますと、その高さがどうとか、幅がどうとか、あるいは構造がどうとか、実は、こういうような議論が出ております。その意味におきまして、大蔵当局が財政的な見地からのみ主張しておるのではないか、こういうような批判もいただいておるようであります。しかし、建設省当局にいたしましても、今回の海岸堤防の決壊等から見まして、十分これに対する対策を立てようということで、今度は総合的にも科学的にも十分検討して、そうして堅牢なものを作ろう、こういうように実は考え方が変わって参っております。従いまして、今後の査定等におきましては、必ず双方の納得のいく線できまるだろう。過去におきましても、双方納得のいくところで実は査定はきまっております。まあその場合に、あるいは大蔵省が少し渋いということで、おれは建設省がもっとがんばり通したらよかったのだというようなことがあろうかと思いますが、とにかく一方だけの、大蔵省の立場だけから建築様式に難くせをつけるというようなことは、過去においてもございません。今後におきましても、一そうそういう点は注意をしたいと思います。十分関係省の納得のいくところで予算は計上するということにいたしたい、かように考えております。今回の災害復旧に際しましても、そういう意味では私ども十分連携を緊密にいたしまして、その間には、大蔵当局と予算要求の省との間に、総理に出てもならわなければ解決がつかないとかいうような問題が起こらなかったほど、比較的今回は双方の納得のいく線で予算がきまった、かように私は考えております。
○足鹿委員 ただいまの問題に関連をしまして、実際問題から一つお尋ねをしたいのですが、復旧工事を促進して、再度災害の頻発をいかに防止するか、こういう一つの問題があるのです。私は、先般、一月ばかり前に、九州の佐賀県の大福がらみの有明の決壊個所を見てきました。昭和三十一年災で完全にやられ、また今度も完全にやられておる。一昨日の参考人の桑名市長の意見の供述の中にあって一番印象的なことは、同海岸堤防の同一個所、復旧個所が三回にわたって決壊をしておるということです。一体こういうような事態は、どこにその原因があるのか、これを探求して、突き詰めて、それに対する的確な対策を立てなければ、問題の解決はつかないと思うのです。いろいろ考えてみますと、これは農林省関係だけでございますが、一つの経費を定められるにあたりまして、いろいろな要素を並べて、そして結果的に見れば、いかにして経費を少なく押えるかということに、大蔵当局はどう考えてみても、終始しておられるのではないかという印象が強いのです。たとえば工事の進渉率について、農地、農業用施設の問題についても、われわれの仄聞するところでは、要求は半分に削られておる。そしてこれは二五%にとどめられて、国庫負担行為によって三・五%を認める、こういうことで二八・五%の進渉率が一応基礎づけられております。当否は別として、こういうところに落ちつかざるを得ないところに、お互いのかけ引きといいますか、削られることを予想して出したのではないかとも勘ぐられる。また、その逆なことも言える。それから過年度災害の充当率というものが、九〇から七五に下げられておる。これは、一昨日の当委員会において、石川県知事がはっきりと陳述しておる。また補助率の問題にしましても、農業用施設等の復旧暫定措置等にしましても、七、八、九のものについては大体六万円で農林、大蔵両当局の話し合いがついたということを聞いておりますが、そうすると、四、五、六の分は一体どうなるのか、十、十一の分は一体どうなるのか、その点が一向はっきりしていない。表向きは六万円というふうにわれわれは聞いておるが、実際の適用になる場合には、七、八、九以外はその適用外だというふうにも受け取られる。また査定率というものがありまして、これによりましても、この率をかけて相当削っておる。それから、はなはだしきに至っては、入札差額金の差引というものが、三・五から七・五にわたって行なわれておる。そういうものを積み重ね積み重ねて、われわれの方から見ますと、いかにしてこの工事費なり経費を削ろうかということで、お互いにあなた方の事務当局はしのぎを削っておる、こういうふうにしか思えないのであります。それらのものがどこかに原因となって現われてくる、こういうことになろうと思います。また、市町村財政が非常に行き詰まっておるために、この仕越し工事で工事を急ぐ場合に、やはりこの補助金等の適正化法が影響してきておる。また仕越し工事については、起債が認められておらない。従って、金利の補給がないというわけでありますから、市町村当局としては、急いでやりたいと思いましても、その負担に耐えかねて、結局仕越し工事が低いところに落ちつかざるを得ないが、それでも八尾平均の仕越し工事が農地、農業用施設には実績として載っております。これは大きい数字であります。それはみなあげて市町村の負担になる。こういうふうにいろいろなものが積み重なる。また、改良復旧主義だというので、政府は非常に自慢をしておるようでありまして、改良復旧主義けっこうでありますが、しかし、その改良復旧主義の内容を追及してみますと、被災個所については、なるほど関連復旧を認めておりますが、いわゆる被災個所外のところについての関連復旧というものは認めておらぬ。そういうところが、結局市町村の負担にならざるを得ない。関連復旧のワクが不足しておるところから、いろいろそこに無理がくる。そういうふうに原因をずっと追及してみますと、とにもかくにも、再度災害か頻発をする原因がそこに横たわっておるように思うのであります。これは、私のひがみをまじえた質問かもしれませんが、少なくとも私どもが見ますると、削ろう削ろうとする、削らせまい削らせまいとする、そういうようなところに、すべてとは言いませんが、再度災害が頻発をし、それがだんだん拡大をして、今日のような事態を巻き起こしておる原因があるのではないか、そういう点について、事務当局の代弁ということではなくして、政治家としての、このたびの事件にこりて、今後大蔵大臣は、今私が述べたような点について率直に検討をされ、そして是は是、非は非として是正をしていかれる御所信があるかどうか、その点を伺いたい。
○佐藤国務大臣 大蔵当局が予算を出し惜しみする、こういうふうにいつも言われておりますが、足鹿さんのお話のうちにもございましたように、大蔵省は、国民からの税を預かっております。従いまして、税の使い方に非常な責任を感じております。こういう意味から、あるいは時に窮屈な思いのするような意見を述べるかもわかりませんが、それは、大蔵当局が金を残しましたからといって、大蔵当局のいかようにもなる金ではございませんし、一に納税者に対しまする責任を果たすという一事にある、この点だけは誤解のないように願いたいと思います。先ほど来のお話にいたしましても、災害の査定にあたりましては、原局である建設省あるいは農林省が現地査定をいたすわけであります。大蔵当局の査定官は、この現地査定に立ち会うというのが、本来の建前でございます。従いまして、それらの点は十分一つ実情を理解していただきたい。私ども、やはり災害を重ねて起こさないように、この責任はもちろん考えなければならぬ。きょうもお話のありましたように、一文惜しみの百失いというようなことはしたくございません。また、私どもか知っておりますところだけでも、毎年災害をこうむるような災害復旧工事のできておる場所もありますし、私自身も数カ所そういうところを経験して知っております。しかし、これらについても、在来の改良復旧工事というものも十分でなかった、これが大体災害が重ねて起こる原因だということで、今回におきましても、特にこの点で関連あるいは改良工事もあわせて施行する、いわゆる原状回復主義から一歩前進して参っております。こういう意味で、災害についての対策は順次改善されつつあると私は思います。今回の場合におきましても、先ほど社会党のどなたかからお尋ねがございましたが、千九百六十数億という被害総額は、建設、農林等から出て参りました報告の総合計でありまして、大蔵省自身はそれに何ら手を加えてはおりません。私どもはどこまでもこの災害復旧と真剣に取り組み、同時に、これは国民の血税だという意味において、その税の使い方については国民にも十分納得をしていただける方法でこれを使っていく、この考え方に変わりはございません。どうぞ御了承いただきたいと思います。
○足鹿委員 あげれば幾らでもありますが、とにかく、査定をされるのにあまりにも各種の条件を持ってこられて、結果として著しく原案を削っていくということになっておるのです。これ以上は、押し問答になりますから申し上げませんが、反省をされるということでありますから、私どもは今度の結果を見て、もしそれがほんとうに蔵相の言われておるような事態を示しておらない事実がありましたならば、今度は国会の権威においても大いに問題にしたいと思います。その点はこの程度で終わっておきます。 高率補助の適用問題ですが、きょうの新聞によりますと、七府県は大体意見が一致した、愛知と岐阜がもめておったが、きのうの閣議後、首相が仲裁をされ、党と相談の上でこれは適用することになった、こういうふうに伝えられておりますが、そうしますと、先日来当委員会が参考人として招致しました和歌山、長崎、兵庫、京都、石川、北海道等は、新聞の上から見ますと、全然除外されておるようにも受け取れるのでありますが、今まで意見の一致したものは、どの県とどの県であり、また、最近に意見の一致した県はどの県であり、残ったものは、どういう点が問題になっておる県か、その県名をこの際はっきりしていただきたい。私どもは新聞情報だけで論ずるわけに参りませんから、この機会に明らかにしてもらいたい。
○佐藤国務大臣 今足鹿さんの御指摘になりました新聞記事、私もそういうような記事を見ましたが、そういう事実はまだございません。昨日、あるいは本日もこの席でお答えいたしておりますように、まだ激甚地の指定を終結いたしておりません。この点を御披露しておきます。
○足鹿委員 それはおかしい話を聞くのでございますが、どうも納得がいきません。もうちゃんと新聞にも出ております。それでなければ、大へんなことになるのですよ。基準を明らかにせずして、この県とこの県は入れてやる、この県とこの県ははねてやるというような、そういう政治の恣意性は許されません。あなた方はどういう基準で現在折衝しておられるのでありますか。当委員会においても、この点について意思表示がされない限り――昭和二十八災のときに、村上建設大臣が特別委員長として非常に御尽瘁になった。佐藤さんは幹事長だったそうですが、あのときの特別委員会の存在の意義は、私は、今にしてみればいろいろ批評はできますが、確かに存在の意義があったと思う。当委員会が設置されて、予算委員会の二番せんじのような議論をここで繰り返しておりますが、しかし、実質は、高率補助の適用基準の問題について明らかにし、あるいは当委員会の意思を明瞭にして、政府とこれを話し合って、被災者が納得するような基準を作り上げていくということが、この委員会に課せられた重大な使命だろうと思う。それができないようなら、この委員会はおしゃべりの意見であり、ただ選挙区に向かって放送演説をするにとどまると思うのです。この問題に対しては、そう蔵相逃げないで、どういう点が今問題になっておるのか、内輪話でもけっこうでありますから、もっと突っ込んだ話を聞かしてもらわなければ納得できません。(「茶話でもいいから……」と呼ぶ者あり)
○佐藤国務大臣 茶話というわけには参りません。それはお断わりいたします。私まじめにお答えしておるわけであります。 予算委員会においても同様でありますが、この激甚地の指定ということは、大へん私どもも苦心しております。今いろいろ新聞に、どこそこが入って、どこそこがはずれたとか、あるいは今度はどこそこが追加されたとかいうような記事が出ておりますが、現実の問題といたしまして、そういうような結論には到達しておりません。新聞の記事はどういうような発表からそういう記事になっておるか、私自身が疑問に思っております。私、昨日も党の七役会議に参りました。その席でも激甚地の話がいろいろと出ております。出ておりますが、そのときは結論は得ておりません。この点ははっきりこの機会に申し上げます。その点は、第一にこの特別委員会に御報告する責任があると思います。今お話しになりますように、おそらく関係の方々が、ほかのところが入り、自分のところははずれてないか、一体どうなるかということで、非常に御心配であろう、私どもは、三十四年災、これをずっと考えてみますと、最後の十五号台風、これは非常に大きな人命損傷等から、その被害を非常に強く印象づけておりますが、この十五号台風以前の各地を襲いましたものは、よしそれが局部的にしろ、それぞれ相当甚大な被害を与えておる地区があるのであります。それらの点を勘案いたしますと、今回の特例法の適用地域においてもしも公平を欠くとか、あるいはその適正を欠くとかいうようなことがありましては、これは私どもの責任としてもまことに重大だと思います。従いまして、私どもは関係方面の御意見を十分伺いまして、そうして各方面で納得をしていただくような基準を作りたい、これがずっと今日までお話を申し上げてきておる実情でございます。私は、この点につきましても十分皆様方に納得がいくように、これを政令だからといって当委員会に報告もしないで片づけるような考え方は毛頭ございません。その点は昨日も委員会にはっきり申し上げておりますので、私は十分この点では皆様方の御審議をいただくような機会を作りたい、かように実は考えております。御了承いただきます。
○足鹿委員 大体今われわれが得ておる情報では、府県指定の場合に、被害額が基準財政収入額の二倍に達しない県ははずすという基準が、情報として流れておる。これを基準財政額を上回るというふうに解釈すると、またずっとふえる。これをさらに基準財政額の三分の二程度を上回るということにしますと大体円満に入る、こういう基準が情報として流れておるのであります。全然話し合いもしない、流した覚えはないと言われるが、そういうことになっておるのです。それから市町村指定の場合に、二十八災のときに、六項目の市町村指定の基準があった。これについて、よしんば県指定をはずされた場合に、全県を指定するということはできないという場合に、天災法と同じように、市町村を区切って、あるいは市町村のうちの旧市町村あるいは部落を区切って、字名を区切って指定するという方法も一つの方法として考えられるわけであります。そういう点から、二十八災のときの市町村指定の基準を調べてみますと、六項目ありますが、この中でどれか一つに当たれば指定市町村として取り上げるというのが、二十八災のときの考え方なんです。ところが、その中で四、五、すなわち、この四の「市町村における農作物の減収量が平年作の三割をこえるものの面積が百町歩をこえるか、又は当該市町村の全農地面積の一割をこえる場合」というのが、あなた方の原案には削られておるという、これも情報であります。五の「次の(イ)から(ホ)までの事業費の合計額が当該市町村の標準税収入額をこえる場合」というので、「公共土木施設の災害復旧事業費」「地すべり、山くずれ等を防止する事業費」「公共建物の復旧事業費」「滅失住宅の五割以内を建設するに要する事業費」「農地等の災害復旧事業費」、このうちの「(イ)から(ホ)までの事業費の合計額が当該市町村の標準税収入額をこえる場合」ということになっておるのでありますが、これが棒だ、バッテンだというのです。そこまで私どもも聞いておるんですよ。蔵相はにやにや笑っておられますが、福田農林大臣にお尋ねします。これはあなたの所管なんです。私どもの情報もそう不的確なものではない。相当的確な情報だとしての自信を持っておりますが、この点について御心配はありませんか。農林大臣として一つ伺いたい。
○福田国務大臣 ただいま御質問の点でございますが、ただいま最終的な打ち合わせをいたしております。その過程におきまして、大体二十八年度の認定基準の根幹、主たる部分はこれを今回のものに取り入れる、こういう考え方をしております。ただし、その適用する場合におきまして、基本的には、その当該市町村、これは旧制でも新制でもよろしゅうございますが、そのいずれか有利な方という考え方で、その当該市町村の一戸当たりの平均被害額という考え方をとっております。すなわち、公共土木の方は地方財政の状況というものが加味されますが、農林土木におきましては、地方財政の状況は全然考慮しないで、ひたすら災害を受けた程度を基準にしよう、こういう考え方をとっておるわけであります。そのとり方の基準につきましては、ただいま申し上げましたようなことを主軸にいたします。なおこまかい、二十八年度災においていろいろ複雑なことをやっておりますので、それを少し整理しようと思っておりますが、その整理の仕方につきましては、ただいま打ち合わせをいたしておる、かような段階でございます。
○足鹿委員 この基準をきめられるその主たる責任者は、どなたでございますか、大蔵大臣ですか、総理大臣ですか、どなたですか。
○佐藤国務大臣 今担当といたしましては、大蔵省が中心になりまして関係省と相談をしておる最中でございます。
○足鹿委員 どうも大蔵省らしいのですが、大蔵省は今の見当でいつごろ基準決定をするつもりでありますか。
○佐藤国務大臣 実は非常に急いでおります。できればきょうにでもと思いましたが、きょうはまだその段階に到達しておりません。そういう実情でございます。今農林大臣からのお話がございましたが、基本的な考え方でちょっと触れてみれば、今までの答弁中にもございましたように、公共事業費の場合でありますと、これは主たる工費負担個所、国並びに地方団体ということになりますので、その地方団体の財政力というものがやはり一つのポイントだ、これは申すまでもないことであります。しかし、農業関係になって参りますと、農地または農業施設ということになりますと、これは農民自身の負担でございます。この点は便宜地方団体において地方債を起こしてもらいますが、これは結局は農地、農業施設、その負担が農民にかかって参るのございますから、そういう意味におきましては、これは農家当たりの被害額ということを一つの基準にせざるを得ないという考え方でございます。そこで私どもがいろいろ工夫いたしておりますことは、冒頭に、大蔵省は金額を削る方法ばかりやっておるのじゃないかというお話がございましたけれども、私どもの基準を一応作りましても、その基準がいわゆる常識に反したようなことになりますれば、私どもの基準は御採用は願えないものだ、かように実は考えておりますので、これがいわゆる常識的なものに適応するかどうかということで非常に苦心をいたしておるのであります。ことは私がはっきり申し上げたいのは、県単位でこれを指定することが非常に適当なのか、あるいは町村単位で、県工事を含めてこれをきめる方がいいのか、こういうような問題も実はあるのであります。なかなか簡単に、財政収入の何倍の被害ならどうだとか、こういうようなわけには実はいかない、こういう点に私は苦心をいたしております。大へん各方面から情報をとっていらっしゃるようですが、ただいま申し上げているのが最も正確なお話でございますから、誤解のないように願います。
○足鹿委員 まだいろいろ申し上げたいことがありますが、これだけでもう私の時間がきたそうですから、また別な機会に申し上げたいと思うのですが、農業災害補償制度の問題、これに関して建物共済の支払い問題もありますし、小災害の恒久立法の問題もございます。また漁船問題もありますし、開拓地問題、いろいろな問題がたくさんありますので、あとで別の機会に申し上げますが、最後に、益谷副総理がおいでになったそうでありますので、行政管理庁長官として、本年、あなた方の出先機関が、狩野川台風といいますか、去年の狩野川の水害、あのときとあわせて調査をされた書類をいただいておるわけでありますが、このほかに、愛知県当局あるいはその他に、名古屋管区行政監察局が、水防活動、あるいはそれに関連をいたしまして水防計画等について警告を発し、あるいは勧告を発せられた事実はございませんか。あれば、その内容はどういうものでありますか。私どもがいただいておるこれでありますか、これ以外にあるのでありますか、その点を明らかにしていただきたいと思います。内容がこれ以外のものであれば、その内容はどういうものであったか、それを一つ資料として御提示を願いたいし、御説明願いたいと思います。
○益谷国務大臣 本年の三月末、私の名古屋の管区におきまして、愛知県における水防態勢を強化する、その参考のために水防態勢の面を調べたのであります。これは狩野川災害のようにそれに主力をつぎ込んでやったというものであります。本庁の監察事務のほかに、調査をいたしたのでありますが、八月末に完成しました。調査報告ができ上がった日はいつかという詳しいことは記憶はありませんが、愛知県の各団体、県、市はもとより、全部配付いたしました。内容の一端を申し上げますると、水防に対する熱意といいますか、管理等について住民は非常に決意をいたしておる、また指導者のやり方も十分とは言えないという、水防に対する結論を得ておるのであります。調査の結果を報告したにすぎない。むろん、それを読まれれば、警告にもなりましょうし、将来の参考にもなることと思っております。その他はございません。お手元にある書類が全部であります。
○足鹿委員 よくわかりました。 そこで長官に、もう一点だけ伺っておきたいのですが、おいでになるまでに岸総理に質問をしたことをお聞き願っておるといいのでありますが、時間がありませんので、それは申し上げません。国家賠償の問題を主として岸総理にお尋ねをしたわけでありますが、洞爺丸事件等にいたしましても、海難審判庁という強力なものでその原因と責任の追及が行なわれておる。いわんや、今回のような、多数の人命を一瞬にして失ったという場合については、政府は何らから措置をもってその徹底的な原因追及、調査に乗り出すべきだ、こう思うのです。それは行政管理庁としておやりになるのでありますか、または、あなた方の機構運営の上からいって、別個に作ったものでおやりになるのが適当とお考えになりますか。いずれにしましても、これは国家賠償問題もからみ、なかなか大きな問題になると私は思うのですが、聞くところによりますと、近く行政管理庁は調査に乗り出す、こういう話も聞いておるのでありますが、それは事実であるかどうか、この数点についてお伺いいたしたいと思います。
○益谷国務大臣 目下、伊勢湾台風の被害地であります愛知県と三重県、これは私の方の行政管理庁の出先機関があります。これが協力いたしまして、台風の以前の状態、及び災害の起こった後のあらゆる方面のことを調査するようにいたしております。目下調査をいたしております。その結果、今後の災害の予防に資したいと存じております。
○足鹿委員 これは私の聞いた話でありますが、参考のために長官に申し上げておきたい。これは災害常襲地帯を私が公用で調査をいたしました際に各地で聞いたのでありますが、九月の二十六日は土曜日であります。二十七日は日曜日であります。月曜日と三日間、この間に台風がきて、去っておるのであります。無心にきて、無心にまた去っていっておるのであります。その被害はこういう事態になっておる。どうも被害県の話をいろいろ聞いてみますと、あの日は半どんで、翌日は日曜なんですね。そこに警報の伝達や水防態勢や、いろいろな点に、悪意ではないが、自然に発生しておりはしないか、遺憾な点が起きたのはきわめて常識的なことで、平凡なことであるが、ここにも大きなものがあるではないかということを、何回も何回も、被害を受けた立場の人が、相当の立場の人が漏らしておりました。なかなか私は味のある話だと思って聞きました。よくありがちなことではないかと思う。これらの点につきましては、相当辛らつに事態をお調べになりまして、その原因をはっきり追及いたしていかなければならぬと思います。もっとも、海岸堤防や干拓堤防の技術的な面について、行政管理庁にはたしてどの程度の監査能力があるのか、そういうことになりますと、これはなかなか問題があろうと思います。いずれにしましても、今次のような悲惨な事態を繰り返さないためには、原因の調査探求、それに基づいた権威ある対策の樹立ということが根幹になる。この問題の解決なくして、いたずらに応急策に専念いたしましても、問題は解決しないと思いますので、この点はまた別の機会にさらによく意見の交換をいたしたいと思います。ただ、問題の一点だけを指摘して御参考に供して、私の質問を終わります。(拍手)
○南條委員長 辻寛一君。
○辻委員 当委員会は、いずれもそれぞれの委員が、それぞれ自分の地元の災害関係にのみ力こぶを入れて、どうもまるで選挙対策委員会の感があるなどとマス・コミが皮肉を飛ばしておりまするが、これは実は私どもにとりましてはまことに殺生な批評であると思います。もちろん、私ども国会に席を持つ者といたしまして、大局的見地から事態を見きわめて参りたいということは、これはもう百も承知をいたしておりまするが、しかし、一様に災害と申しましても、それぞれ所によって多少違っております。その被災地の現実の姿というものを身をもって一番よく知っている者は、何といいましても、その土地から出ている委員でございまするから、従って、身に即して現場というものを知っているのですから、それに基づきましてそれぞれの意見なり、あるいは御質問を申し上げるということは当然であると私は思います。また、そうすることによりまして、初めて現実に即した対策というものが、具体的にも、また総合的にも盛り上がっていくものであると私は信じております。そういう見地から私も質問をさしていただきたいと思いますから、御了承をいただきたいと思います。時間もだいぶおそくなりましたから、簡潔にいたします。しかし、いろいろと承りたいこともございますから、できるだけスピードをかけて参ることにいたします。そこで、先ほど総理へのお尋ねに対しましてお答えをいただきました、そのおりにも、さらにお答えを予約いたしておきました大蔵大臣、運輸大臣からまず伺いたいと思います。 激甚地指定の件ですが、もうくどいことは申しません。激甚地中の激甚地として、われ人ともに許すところの地域です。もう名前も言いません。結局、そういう万人の常識に反するようなことは、賢明な大蔵大臣は断じてなさらぬという確信を私は固めつつあります。ですから、この私の確信を裏づけていただくような一言を、どんな言い回しでもけっこうですから、答弁をしていただけば、それでけっこうです。 それから、運輸大臣は、名古屋港の復旧整備とあわせて、伊勢湾工業地帯防災計画を中心とする大構想があるやに、先ほどの横山委員の質問にお答えになっておったようでございまするので、願わくばその内容をお知らせいただきたいと思います。
○佐藤国務大臣 激甚地につきましては、それぞれの方々がそれぞれ非常に御心配になっていることだと思います。私は、先ほどもお答えいたしましたように、常識に反するような処置をする考えはございません。この一言だけ御披露いたしておきます。
○楢橋国務大臣 名古屋港におきます第十五号台風の惨害は、私もあちらへ参りまして実に驚いたのであります。しかも、港湾というものが非常に大きなそれに対する一つのエレメントをなしておる関係等もありまして、ここに同管理組合等において対策案を運輸省に出して参りましたので、運輸省当局といたしましても種々検討いたしました結果、その基本的な方針につきまして構想がまとまりましたので、その概要を御説明申し上げたいと思うのであります。 まず第一に、名古屋港の外郭、すなわち、鍋田川の左岸及び知多町地先に、双方から延長約九キロメートルの防波堤をつけ足させまして、袋のようになっておる名古屋港の一番先にこれをつき出しまして、波浪のエネルギーをここで減殺する、これに大体九十四億の金が要るわけであります。第二には、名古屋の市内の低地を守るために、埠頭の背後に防潮堤防を約三十六キロメートル、これは約五十億の金を予定しておりますが、これを回したい、こういうことを考えておるのであります。第三には、船の着く埠頭の地帯につきましては、港湾利用の関係等もありまして、あまり高くしますれば、作業その他において差しつかえがありますので、埠頭にある上屋、倉庫等の貨物が損傷しないように、高い建物、あるいは三階、四階、あるいは五階の建物にするとか、あるいは平屋の場合におきましては、その壁の側に防水の施設を施す。私、四日市に行ってみましたけれども、やはり砂糖の倉庫なんかは、それがないために非常な被害を受けておりますので、どうしてもああいう地帯については、水が入らないような設備をする必要がある。また第四に、名古屋港内には、約六百万坪に及びますところの埋立計画を持っておりますので、そのうち、防潮のために有効なものについては極力これを推進しまして、背後地の干拓地帯の一つの防壁にしたい、また市街地の防壁にもしたいということを考えておるのであります。大体こういう構想で今関係当局と折衝を進めております。
○辻委員 ただいまりっぱな構想を承りまして喜んでおりますが、これは何年計画でおやりいただけるわけでありますか。そして、まだ大蔵省という難関がございまするから、どうか一つ有言実行、大いにがんばっていただきたいと思います。
○楢橋国務大臣 これは大体二期に分けまして、第一期が三カ年、三十五年度から三十七年度まで、第二期が三カ年、三十八年度から四十年度まで、これで完成したい、こういう考えであります。これも予算等の関係もありますから……。
○辻委員 次は、防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。三、四点ございますが、まず、このたびの災害に際しまして自衛隊の活動は目ざましいものがありまして、被災各地では、大へん感謝されておりますることはお聞き及びのことと思いますが、ただ、名古屋におきましては自衛隊の出動がおくれた。それは市の出動要請がおそかったからである、はなはだしきに至っては、市は自衛隊の出動を拒否したというような、うわさがうわさを生みまして、けんけんごうごうたるものがあります。ですから、一昨日、この委員会に出てこられました小林市長も、わざわざこの点について釈明をされたのも、こういう理由からでございますが、市長から聞いてみますれば、決して、よその市町村と比べまして出動要請がおそかったことはないようでございます。要請の決意をしたのは、二十六日、台風の当夜午後十時、ただし市長は市役所へは出ておらなかった。これは部下がやったのですが、それに自衛隊の手続を知らなかった。ですから、すでに隣の県庁へ、もう午後三時から、守山第十混成団から、無線機を持ちまして連絡班が二組も来ておるのに、知らずに、電話をかけてみたが、電話が通じぬ。てんてこ舞いをやっておりまして、多少まごまごしておくれたようですが、それでも夜中の三時には、隊員六十名と船四隻が熱田消防署へ到着した、こういうようにいわれておるわけですが、それならば、少なくとも今回の災害出動の要請に対しまして、他の市町村と比べまして自衛隊の要請がおそかったとは思いませんが、防衛庁の方へは現地から一体どういうふうに報告がきておりますか。実は私が今さらこんなことをお尋ねするということも、名古屋市長は有名な自衛隊ぎらいなんです、というようなところから、デマがまことしやかに伝わって、こういううわさを生んだのだろうと思いますが、自衛隊が好ききらいは別問題であります。こういう大事なときに、こういう大事な問題がいろいろ取りざたされるということは、市長のためにも、市民のためにも、おもしろくない。はっきりさせておかなければ、まことにあと味の悪いものであろうと思いますから、この際詳細に知っておきたいと思います。 なお、このたびの人命救助はどれくらいの数に上ったか。風水害の場合におきます人命救助は、おそらく今度の災害におきましては、まず二十六日の当夜、この夜から明け方にかけての台風の直後が一番多かるべきはずであると思いますから、その当夜の活動状況と、それから人命救助の実情を、あわせてまず御報告をいただきたいと思います。
○赤城国務大臣 お答え申し上げます。 名古屋の市長がどういうふうな態度であったかということにつきましては、私は報告を受けておりません。ただ、災害当時自衛隊としてどういう活動をしておったかということにつきましては、調査がありますので、申し上げておきたいと思います。 台風十五号が接近するに伴いまして、第十混成団が、二十六日の朝、全部隊に災害派遣準備命令を出したのであります。同時に、県庁に、無電を持っております連絡班を派遣する一方、中部管区警察局及び名古屋気象台に連絡員を派遣しまして、要請があったら直ちに出動できる、こういう態勢を整えておったのであります。二十六日に、二十三時五分、守山警察から日本毛織守山工場倒壊に伴う人命救助が要請されたので、直ちに約七十名を派遣し、救助作業を開始しております。その後自衛隊としましても、非常な災害でありますから、要請がある前にも、どこから手をつけたらいいか、こういうことがありましたので、愛知県知事をヘリコプターに乗せまして、上から視察、非常に大規模な災害状況であるということが判明してきましたに従いまして、道路の警戒とか、架橋、食糧運搬、死体搬出、堤防の保守、こういうようなことに必要な人員を逐次投入して、御承知のように、自衛隊始まって以来の大規模な出動になったのであります。災害当時に出動がおくれたのではないかというような批判も聞いております。御承知のように、近くに部隊がそうたくさんあるわけではございません。でありますので、当初において、今申し上げましたように、出動しましたけれども、非常に災害が大きいことになりまして、全国から出動応援させた、こういうことになりましたので、その全国から出てくるのはおくれた、こういうことであろうと思います。
○辻委員 名古屋への最初の出動時刻はいつですか。
○赤城国務大臣 名古屋に最初に出動されたのは、私の手元にはありませんが、事務当局が来ておりますので、答弁いたさせます。
○加藤政府委員 お答え申し上げます。二十六日の自衛隊の出動は、先ほど大臣がおっしゃいましたが、愛知県の守山ほか、京都、兵庫、奈良等を加えまして、約三百二十名ほど当日出動いたしております。二十七日には、さらに兵庫、東京等、数府県加わりまして、三千四百名ほど、車両を持ちまして出ておるわけであります。 名古屋への最初の出動がいつであったかということは、ただいまはっきり覚えておりませんが、二十七日の朝の三時か四時ごろであったように思います。
○辻委員 人命救助の数はわかっていませんか。
○加藤政府委員 十一月五日現在の人命救助は、ちょっとわかりかねます。
○辻委員 もし二十七日の午前三時ということになりますれば、大体市長の言われましたのと合うわけでありまして、市長のこの間の話にうそ偽りがあろうとは存じません。要請は知事を通じなければならぬという、その手続の問題についておわかりになっておらない。それから、連絡が十分でなかったということにつきまして、午後十時にもう出動の要請の決意をいたしながら、これだけおくれたということ、これが一番大切なときでございますから、さらに相手のあることでありますから、一つ地方団体とも密接に駐屯地との連絡をしていただきたいと私は思うのであります。 それから、自衛隊法で災害派遣を規定いたしております第八十三条の二項には、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、府県知事の要請を待ついとまがないと認められる場合には、要請を待たないで部隊を派遣することができる、こうなっております。ですから、あの場合、知事の要請を待つまでもなく出たらいいのじゃないかといったような、自衛隊そのものに対します、出勤がおそかったというような非難も一部には行なわれておるのでありますが、一体この第二項は、具体的にどういう場合を予想して規定されておりますか。元来、天災地変の本質に照らしても、この八十三条第二項、これを発動するところに、まず人命救助、財産の保護に任ずる大きな活動の余地があると私は思うのであります。ですから、この災害派遣に関する陸上自衛隊の達しの中にも、災害の発生が眼前に迫った場合に、いわゆる予防措置、予防派遣をすることもできるようになっておるのでありますが、これもやはり平素から、県を中心といたしまして、関係市町村、警察、消防機関その他の公共機関と緊密に連絡して、いざというときには、出動候補地の地形、環境に至るまで、手にとるごとくわかっておる、そういう態勢にして、万遺憾なきを期さなければならぬと思います。こうしたそれぞれの駐屯地と関係地域の各機関との間において、平素から、治にいて乱を忘れずといいますか、打ち合わせの態勢を作り上げておく必要があると私は思うのでありますが、こういう態勢はでき上がっておるのでありますか、それとも、これから作ろうとなさるのでありますか、あわせて御所見を承りたいと思います。
○赤城国務大臣 常時災害地帯等につきましては、地元の方と相当連絡をつけて準備をしておるところもありますが、一般的にはまだ準備ができておりません。でありますので、今度の災害等にもかんがみまして、八十三条第二項が相当活用できるように、動員計画といいますか、どこに災害があったときにはどういうふうな手順で出動する、こういう動員計画等もするように、こういうふうに私どもの方でも命じております。あるいはまた、訓練、装備、それからまた部隊等につきましても、建設部隊とか、あるいは施設隊、こういうものを増強して、災害に対処できるように、ことに今お話しの八十三条二項を十分活用できるような態勢を整えていきたい、こう考えております。
○辻委員 自衛隊の災害活動がすばらしかったことは事実でありますが、ともいたしますと、被災者の人々に自衛隊が実力以上の過当評価をされておるような傾きがありはしないか、実は私どもはこれを心配しております。現地に派遣されております最高幹部の一人も、たまたまやはり私と思いは同じでありまして、こういうことを述懐いたしていたのであります。自衛隊に対して喜んでいただけるのはありがたい、面目の至りではあるけれども、一にも自衛隊、二にも自衛隊といわれて、他の人々の功績まで自衛隊の活動に帰せられるような傾向が出てきて、かえって心苦しく思っておる、たとえば、業者の人々が復旧工事に当たって、じみちに基礎工事もほぼできつつあるというようなときにおいても、自衛隊が出てくれなければ困るという世論がある、そうなると、最後の仕上げは自衛隊がやるから、自衛隊がやったんだというように買いかぶられるのは全くつらい、私どもは縁の下の力持ちに甘んじて、はでな仕事もしないでおる、こういう謙虚なことを言っておられる。私どもまず承りたいのでありますが、いかに自衛隊が誠心誠意事に当たっても、素手ではどうなることでもありません。今までずいぶん出ておりますけれども、今度のような大規模と申しますか、長期にわたり、しかも海岸締め切りというような難事業というものは今までおやりになったことはないと存じますが、今度の災害の復旧に直面されまして、こうした救助や復旧にあたって、装備の点でさしあたり不足を感じたこと、舟艇が足らぬ、これがもう少しあったらよかった、ヘリコプターが足らぬ、あるいは、潮どめ工事をする機械とか道具が足らぬといったようなことを現場で痛感されたことはございませんか。もしありますれば、こういうものは、それこそどんどん、金に糸目をつけずに、必要な装備は万一のために備えておいていただかなければならぬと思いますが、その点と、さらに概括して、今回の災害派遣にあたり、何か御感想なり御所見があったら、ついでに承っておきたいと思います。
○赤城国務大臣 今度の災害について災害派遣上、なお自衛隊としてその任務を十二分にやるのに必要なものはどういうことか、気がついた点はあるか、こういうことであります。ただいま辻さんからお話のあったようなことを全部私どもの方でも希望しておるわけであります。小さいことでありますが、飛行教育などに出ておった部隊が、災害用のシャベルなど小さい道具を備えていなかったものですから、初めは素手でやらざるを得なかったというようなこともありますので、そういう面なども備えていきたいと思いますが、特に人命救助その他についても、非常に役立ったのはヘリコプターであります。大型のヘリコプターの拡充、あるいは水陸両用の舟艇、こういうもの、それから給水の装置、べーリー橋等の設備、資材、こういうものがあったならば、なおよりよく協力ができたのではないか、こういうふうに考えております。 それから今度の災害派遣について、自衛隊の隊員の活動について何か感想があるか、こういうお尋ねであります。自衛隊の任務は、今の、直接あるいは間接の侵略に対して国土を防衛し、必要により治安の維持に当たる、こういうことをやめて、国土防衛隊ということ一本でやったらどうか、こういう議論があるのであります。私は、今度の災害などで、自衛隊が、まあ私を捨てるというのはあまり言い過ぎるかもしれませんが、そういうような気持で真剣に救助に当たり、災害復旧に当たらなくちゃならぬということは、やはり国土建設隊ということばかりでなく、やはり国を守るというような日ごろの訓練が、災害復旧にも精神的に現われておったのだ、これは国柄が違いますけれども、中共の軍隊などにもやはりそういうことがあったんじゃないか、またあるかもしれませんが、そういうような気がいたします。でありますので、やはり自衛隊の真の任務というものははっきりさせておいて、しかし災害の派遣等にも十二分に活動できるような装備、訓練等をして、民生の協力という面に寄与するのが適当である、こういうような感想を持っております。
○辻委員 防衛庁長官に対しまする質疑はこれで終わりまするが、この際私は、自衛隊の隊員の諸君のまことにうれしい心がまえを聞きまして、近ごろ心から感激いたしましたから、長官にこれをお伝えいたします。まことによい部下をお持ちになっておる。この心がけを持って、愛せられる自衛隊、信頼される自衛隊として一つさらに成長させていただきたい。自衛隊に対する被災地の感謝というものは、日に日に高まって参っております。従いまして、自衛隊員の方々の労をねぎらいたい、慰問会をやろうと、盛んに今いわれておるわけでございます。実は私もたまたまこちらに参ります前に、名古屋に御園座というのがございまして、一日から二十五日まで新国劇をやっておりますが、この新国劇の劇団の諸君が、一日から名古屋に行くから、自衛隊が大へんよく働いたそうであるから、何とか一つ自衛隊を慰問したい、だから二十五日間の損害はお互いに座と共通で持つことにして、そして二十五日間にわたって毎晩三、四百人ずつ御招待すれば、おそらく全員招待できるだろうから招待したい、こういう申し出がありまして、私は喜んで、それは喜ぶだろう、新国劇なら、ちょうど自衛隊にも映るからと思って、実は最高幹部に持っていったわけです。ところが、これが御辞退になったのであります。御好意はまことにありがたいけれども、この際御遠慮させていただく。それはなぜかと申しますと、方々からこうした御慰問をやっていただくから、われわれ本部にいる人間としては、せっかくの好意だから、お受けしてもいいじゃないかと言ってやっても、一線の部隊長が、この時この際、われわれとしては御慰問を受ける気持にならない、今なお汚水の中に浸って、ほんとうに一日千秋の思いで水がはけるのを待っておる、しかもわれわれをたよりにしておられる人々の姿を見たりしては、われわれは御慰問を受けるなんということはできない、われわれはこれは任務なんだ、少しも早くこの任務を完了して、自分の部隊に帰って、やれやれと手足を伸ばすのが自分たちの何よりの慰労であるから、どうかそういうありがたいお気持というものは被災者の方々にぜひ一つ注いでいただきたい、一線の部隊長はみなこういう気持でおるのであります。ありがたいお言葉でありまするけれども御辞退申す、こういうことでございます。先憂後楽ということ、これは為政者の心得と聞きますが、こういういじらしいと申しますか、けなげな気持でおる隊員でございます。どうか一つ大いにかわいがってやって下さい。 それから今度は中小企業の金融について承りたいと思いますが、大臣はおられますか。
○南條委員長 大臣はおりませんが、中小企業庁長官が来ております。
○辻委員 中小企業に対する災害復旧資金の融通を円滑ならしめるために、中小企業向きのいわゆる三公庫に、総額百四十三億円の財政資金を増額せられましたことは、私は一応多とするに足ると思います。これで金額が十分だという音意味ではございません。もっとほしかったという気持は、被災地の中小企業者と同感でありまするが、ただ、世の中のことというものは、どうも聞いて喜び、見てびっくりということが多いわけでありまして、口ほどにはなかなかならないということを申しますが、大臣方がおいでになりまして失礼でございまするが、いち早く災害地においでをいただきまして、いろいろ談話等も発表していただいたのであります。まことに口先ほどにはできがたい世の中でございまするが、その点になりますと、中小企業の三公庫に対しまするところの財政資金の投入は、最初通産大臣が来られましたときは、まあ百億くらいだと言っておられたのでありますが、その後、事情がさらに判明したのでもあろうかと思いますが、五割増しということでございますから、私は時節柄一応上できだと思うのであります。ただこの問題は、せっかくこれだけふやしてもらいましたこの資金というものがどういうふうに扱われておるか、要はこの出先機関の運用ぶりいかんということに問題はかかって参ると私は思うのでございます。せっかく、荒削りながら仏を作ってもらっても、魂が入らなかったならば、拝んでみても功徳がないということもございます。私はずっとこのごろ、現地から絶えず、三機関に直接参った連中、いろいろここへ行きました利用者なんかにつきまして、とり得る限り情報をとっておるのでございます。来るのは不満不平でございますが、それは聞いてみましても、不平を言う方が無理だというのもずいぶんございますが、しかし平均してみますれば、やはり中小工業者の偽らぬ気持が現われておると私は思います。一言にして申しますれば、これらの批評は、国民金融公庫は、申請額を削ることをもって能としておる。結局、せっかく借りに行っても、ヘビの生殺しになるおそれがあって、悪平等の見本である。商工中金は、組合本位ということは、これはわかるけれども、まるで組合が決定権を持っているというようなボス的な行き方はどうも納得がいかない。中小企業金融公庫は、市中銀行への追っ払い役をしておるだけだ、これが三公庫に対する寸評であります。これは借りられなかった人間の悪たれ口とばかり聞きのがすわけに参らぬと私は思うわけであります。ですから、先ほど通産大臣から、十月末の三公庫の融資状況、貸出額はお聞かせをいただいたのでありまするが、さらに私は、この際わかっておりますれば――わかっておるに違いないですが、ここに資料がございますれば、三公庫の申し込み受付の件数と金額、貸出額の件数と金額、それから一件当たりの平均額、もちろん、中小企業金融公庫の場合には、代理貸し、直貸し、これをはっきり一つ分けてお知らせをいただきたいと思います。おそらく、私はこうした寸評が当たるような結果が数字の上に現われておりはしないかと存ずるわけであります。数字を見ましてからさらに要望を申し上げたいことがございます。まずそれを承りましょう。
○小山政府委員 今次災害が起こりましてから、私ども中小企業関係の運用機関を督励いたしまして、さしあたり法律、予算を要しないようなことだけは、あらゆる限度までどんどんやって参っております。特に今御指摘のように、もとはできましても、実際の貸し出しがスムーズに流れないというようなことであってはなりませんので、手続をやさしくして、早くやるということに重点を置いて督励いたしております。 今お尋ねの数字を申し上げますと、中小公庫につきましては、受け付けたものは九百八十件、これは十月三十一日末であります。その金額は二十五億七千万円、そのうち貸付をすでに実行いたしましたのが四百五十三件、十億三百万円。国民金融公庫は、受け付けましたものは一万二千三百四十件、その金額は四十九億七千万円、実行いたしましたのが千八百七十件、金額は四億三千万円。商工中金におきましては、受け付けましたのが三百三十九件、その金額二十二億三千九百万円、実行は、件数百九十一件、金額は九億六百万円。大体従来の災害の実績よりは、出だしはわれわれは相当いいと思っております。
○辻委員 今数字をお知らせいただきましたが、ちょっとここで平均がわかっておりません。平均を知りたいのだが、はじき出さなければわからぬですか。大体、私が今考えると、国民金融公庫が二十四、五万になるようであります。あと、暗算が私ちょっと下手なので、大体一件当たりどれくらいになりますか。
○小山政府委員 中小公庫におきましては大体二百万ちょっと、国民が約二十五万であります。商中におきましては四百五十万くらい……。
○辻委員 それから大切な中小公庫の代理貸しと直接貸し、これが知りたい。
○小山政府委員 中小公庫につきましては、代理貸しが、十億三百万円のうち九億九千八百万円で、大部分であるのであります。直接貸しは、せっかくやりますように督励いたしておりますが、これは手続の関係で少しおくれております。
○辻委員 あまりこまかくなりますからやめますが、やはり今この数字を承ってみましても、平均国民金融公庫が一番、中と申しますより小企業者がたよりにいたして、利用が多い。従いまして、申し込みも圧倒的に多いわけでございます。限度は百万円になっておるのでありますけれども、やはりこの程度……。とにかく聞きますれば、普通三十万以上は絶対に貸さないという建前をとってやっておるようでありますが、そうなりますと、国民金融公庫と同じように、三公庫と申しましても、うんと今度は離れてしまう。商工中金は結局四、五百万になる。あるいは中小公庫は二百二十万である。しかも、その中小公庫のごときは、直貸しなんというものはほとんどない。これでは銀行へ行きなさいといって追っ払っておるのと同じことなんです。この金額の間、すなわち七、八十万から百万円見当の一番需要が多いというもの、これが利用する道がないということです。実際の数字の上にそうなっておるわけでございますので、こうしたところの運用も、なるほど貸すんでありますから、返す能力がなければいたし方ございませんけれども、その点は、何しろ災害金融であるということをとくと頭に置かれまして、さらに運用の妙を期していただきたい。こういう不平が少しでも減って参りますように御尽力をいただきたいと思います。 次は、文教関係について一つお尋ねいたします。 長期湛水地帯にあります学校でございますね、今なお水につかっておる学校がずいぶんあるのでございますが、こういう学校の校舎は、形の上におきましては、全壊だとか半壊――まあ半壊程度のもあるのはあるかと思いますが、ほとんど全壊というのは私はないと思います。実は名古屋なんかにおきまして――名古屋は相当鉄筋コンクリートの校舎があるのでありますが、今度やられました地域には全然ないのです。みんな木造建の校舎ばかり。しかも、全壊は幸いいたしておりません。しかし、長らく水につかっておるというようなわけで、すっかり土台がゆるんでしまっておりまして、単に原形に復旧しただけでは長期使用にたえないというものが、相当出てくると思うのであります。ところが、改良復旧におきまして、全壊が六割、半壊が三割、こういうことになっておりますので、たとえば、今の湛水地帯におきます半壊以上の修理を要するような校舎も、この規定にはまらないのでございます。ですから。文部省の半壊の規定はどういうことだと聞きますと、半壊の定義というものは、何でも建物が傾斜して、柱やはり、小屋組みなどが折損し、継ぎ手がはずれたもので、補強を行なった程度では復旧できない状態をいうというのだそうでありますが、折れた、こわれたというのよりも、何よりも大事な土台が長い水づかりのためにがたがたになっておるのでありますから、いわゆる安全保持上長期使用にたえないという見地から、長期湛水地帯にあります校舎は半壊に準ずるというような取り扱いをしていただきたい、こう思うのであります。この点……。 それから今度の災害にあたりまして、鉄筋校舎が人命救助上あるいは応急救難上非常に大きな役割を果たしましたことは、御想像以上でございます。今、私はコンクリートの校舎が一つもないと言いましたが、東築地に一つだけありました。これも十三号台風でやられたものでありますから、再建に際しまして、学区の人々や先生方が骨を折られ、無理算段いたしまして、非常用として建ててある。ですから、海岸のそばにあるのでありますけれども、高潮に洗われましても、被害が少なくて、これが避難所としての役割を果たしておるわけでございます。こういう避難所としての役割を現に果たしております。それから先ほどもお話が出ておりましたが、名古屋市の中で、死傷者が一番多かったのは南区であります。その中でも、一番ひどかったのは白水学区。これはたった一つの学区でもって、九百人に近い死者と行方不明を出しておるのであります。これは、貯木場からおどり出た流木のためでございます。しかし、もしこの地区に大同工業高等学校という鉄筋四階建の校舎がなかったならば、少なくともまだこれに倍する人の命が水にのまれたであろうといわれておるわけでございます。本年五月にできまして、十一月初めに祝典をあげる予定のこの新校舎が、はからずも人命救助に役立ったわけでございます。こういう次第でございますから、先ほど総理が、民生の安定についても、なるべく鉄筋コンクリートにということも言われておったのでございますが、こうした、少なくとも低地にありますところの校舎は、単に復旧という点からだけでなくして、積極的に鉄筋コンクリートにするようにしていただきたい。それには、何を申しましても、補助を出していただかなければならぬ。そうしてまた、私立学校も、こういう有事の際におきましては非常に公共的な役目を果たしたわけでございますし、特に都市におきましては、私立学校に依存する教育の程度もずいぶん多いのでございますから、ぜひとも一つ大幅に増額をしていただきたいと思うのであります。補助率の方は二十八年災並みになったのでございますけれども、残念ながら予算の方がうんと減っておりますから、これではその実を果たすわけにはなかなか参りません。ですから、どうか一つこういう見地から、テキサス無宿といわれる松田文部大臣の御努力に期待すること多大なるものがありますから、御所見を承りたいと思います。
○松田国務大臣 水没中の学校の校舎のことに対しましては、何分にもまだその被害の状況の実際を把握するに由なしという状態でありまして、近くそれの調査が入りましたならば、十分にその実情を調査して、それに基づいてその対策をはかりたい、かように考えております。もちろん、お話のように、土台はいずれも弱っているのであろというようなお話でありますが、さもあろうと考えられます。文部省においては大体復旧にあたって、全壊、半壊、大破とこう三別して、いずれの学校もその三つの範疇に入るわけでありまするから、それが、表でりっぱに見えておっても、お話のように土台が腐って全部やりかえなければならぬというようなことにもなりましょうから、どの中に入るか、いずれにいたしましても、実際の調査をやって、その上でなければ的確なことをつかみ得ないのでありまするから、その上で十分にお話のところを考慮いたしたい、かように存じております。 それからお話のように、鉄筋コンクリートの建物は、名古屋市部中心、その他南の方においても多かったために、これが避難民の収容所になった。特にお話の大同工業高等学校のごときは、私もあの付近を視察いたしたのでありまして、その被害の激甚地であったこと、そうしてお話のように、あのコンクリートの建物なかりせば、どんなことになったか想像されぬような状況であったことを承知いたしております。避難民、罹災者の収容所として、救護のために大同工業高等学校に非常な御努力を賜わったことは、まことに感謝にたえない次第でありまして、この機会に厚く御礼を申し上げたいと思います。そういう実情も勘案いたしまして、それぞれ学校の査定にあたりましても、もとよりこれは極力公正な査定の仕方でなければならぬ。甘きに過ぎてもいかぬ。さればといって、辛きに過ぎては、その結果、自治体の負担が過重され、またその結果十分な建築ができないということになりますれば、それ自体災害の要因になるということでありまするから、その辺は厳に適切公正に、あまり辛きに過ぎるようなことのないような査定を現場においてするように指導してやって参りたい、かように考えておる次第であります。
○辻委員 通産省の方にもう一点お伺いいたしたいと思いましたが、いらっしゃらないようでありますので、それでは一つだけ、厚生大臣長らくおいでをいただきましたから、災害救助法関係についてお伺いをいたしたいと思います。 今度の災害で、いろいろの点につきまして基準単価の引き上げをしていただいたのでありまするが、現行の災害救助法のワク内で、実際にまかない切れぬ実情というものが、方々にあると思います。これは、各地の悩みと存じまするが、ここで私は名古屋の実例について、いまちょっと具体的に申し上げてみたいのであります。最初にお断わりをいたしておくのでございますが、名古屋――名古屋がちょっと耳ざわりかと思いまするが、具体的に申し上げた方が具体的にお答えをいただきいいと思いますから、お許しをいただきたいと思います。これは名古屋の一例でございます。おそらくよそさまでも大同小異だと思いますが、現在の規定通りでいきますると、もうすでに締めて十六億七千万円。ところが、実際はすでに十三億、足を出しておるわけであります。勝手にやっておるのだからこっちの知らぬことだと、済ましておっていただく筋合いのものでないのがずいぶんある。災害の実情がかくあらしめざるを得なかったものばかりです。これが初めから救助法の全然ワク外と承知しながら出さずにおれなかったものには、これはよその市町村もそうであると思いますが、死者に対する弔慰金とか、それから被災者に対する見舞金、これだけでも、何しろ名古屋市は数が多いわけでありますから、四億円をこえておるわけであります。それに、最初災害が起きました直後、この水の中に取り残されて、飢えと寒さにあえいでおる被災者に、少しでも早く衣料や食品をやらなければならぬというので、ヘリコプターからずっとまいたのです。こんなのは、受け取りなんか取れるはずはありません。こんなのが一億五千万円。それから棺おけ、これなんかも、葬儀料二千三百円ではとてもできるものじゃございません。四千円ずつ出しておる。こういうものは緊急やむを得ざるものであるということで、あとでお話しすればわかってもらえるか、もしわかってもらえなければ、単独で負担することもそれは覚悟の前だというわけでありまするが、何としてでもこの救助法の中へ入れていただいて、認めてもらわなければならぬと思うものに次のようなものがあるわけであります。今度の災害は、今までと違っておりまして、長期湛水地帯がずっとできておるわけであります。そうして床上浸水とか半壊と申しましても、うちにおるわけにもいきません。みんな避難所へ来たわけでありますから、たとえば救護物資――被服とか日用品、毛布とかいう救護品は、全壊、流失の世帯と半壊、床上浸水の人人とは大きな隔たりがありますけれども、これをやはり一緒にやらなければならぬという実情であったわけでありますし、相当大きな単価の差が出てくるわけであります。まだまだこういうふうなものはいろいろありますが、こういうものを拾い上げて参りますと、これが約七億ほどあるわけであります。これは名古屋に限ったことではないと思います。みんなほかの市町村でもこれはあると思うのでありますが、これなどは、実情に即して機転をきかせたから、とにかく暴動一歩手前のような混乱を切り抜けることができたというほどの問題でありまして、そう思いますれば、これは安いものでございますから、こういう種類のものは、ぜひとも一つ救助法のワク内へ入れていただきたい、こう考えるわけでありますが、厚生大臣のお考えを承りたいと思います。
○渡邊国務大臣 災害救助法の最終適用の対象となるものにつきましては、十一品目、こういうことになっております。将来これらのものに対しまして、いわゆるそれらの対象に加えてもらいたいという御要望につきましては、大いに検討いたさなければならぬと思います。ただ、私どもは、今度の災害発生当初におきまして、予備費をもって十三億円、このたびの補正をもちまして災害救助費として二十四億ばかりを請求いたして、ほぼ内定を見んとしておる次第であります。衣料や、あるいは食糧、あるいは薬剤その他につきましても、十分にこの災害救助法の中で見ておるわけでございます。将来御指摘のように、品目についてあるいはさらに加えるかどうかにつきましては、その災害程度によりまして、これをさらに検討を加えなければならぬと思っております。
○辻委員 では、本日は終わります。
○南條委員長 大野幸一君から資料提出の御要求がございますので、発言を許します。
○大野(幸)委員 揖斐川根古地地区堤防工事の設計書と進捗調書を当委員会にお取り寄せ願いたい。これは昭和三十四年八月十二日以前のものについて、特別明細に建設省から御提出を願いたい。これは、先ほどからの国家賠償の具体的問題として例示申し上げたいと思います。次の機会に質問を継続したいので申し上げます。
○南條委員長 残余の質疑は次会に譲りまして、本日は、これにて散会いたします。明後日午前十時から開会いたします。 午後七時十一分散会