外務委員会 第18号
- 発言数
- 174 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/12/24
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選挙についてお諮りいたします。理事堤ツルヨ君が去る四日委員を辞任いたしました結果、理事が一名欠員となっております。この際理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、慣例によりまして委員長より指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 御異議がなければ理事に堤ツルヨ君を指名いたします。 ————◇—————
○小澤委員長 請願の審査を行ないます。 本委員会に付託されました請願は、本日の請願日程に掲載いたしました通り六十三件であります。本日の請願日程第一より第六三までの全部を一括議題といたします。 これらの請願の趣旨については、文書表によってすでに御承知のことと思いますが、趣旨の説明及び政府の所見等は省略し、直ちに採否の決定を行ないたいと存じます。 ただいま議題といたしました請願日程中、第八、第九、第一三及び第六一の各請願は、その趣旨が妥当だと認められますので、いずれも議院の会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。 なお、ただいま審査いたしました各請願の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。 なお、本日までに本委員会に参考送付されました陳情書は百八件でございます。 右、ご報告をいたします。 ————◇—————
○小澤委員長 国際情勢に関して調査を進めます。質疑の通告かありますので、順次これを許します。森島守人君。
○森島委員 私、藤山外相が渡米せられる前に、ぜひ委員会を開いていただいて、いろいろ懸案になっておる問題についてお話をしたいと思ったのですが、今日が最後の機会じゃないかと思いますので、きょう御質問したいと思います。 第一に、私はこんなことは実際言いたくないのです。外務事務当局かあなたか知らぬけれども、資料の要求を私は数カ月前からやっておる。この間ベトナム問題に関連しましても、その資料の要求をいたしました。藤山さんもこれは出すとおっしゃった。高橋条約局長のごときは、特に私に了解を求めて、出すとおっしゃっておる。内田官房長も出すとおっしゃっておる。すでに五カ月かかっております。私、これをそんたくいたしますと、一つには、全然忘却されたのなら、国会を無視するのもあんまりひどい。もし忘却されないなら、ある底意があって、特にお出しにならないのじゃないか。藤山さんの言っておられることと、要求した前例をお出し願えば、全然前例は違う、そういう政治的配慮のもとにお出しにならぬのであるか、その点をまず明確にしていただきたいと思います。
○高橋政府委員 どうもおそくなりまして、まことに申しわけございませんでした。もうできております。そこで至急お出ししようと思ったのですが、出す前に、もう一ぺん私目を通しまして出そうと思っているうちにおそくなりましたもので、至急御提出いたします。
○森島委員 その点につきましては、内田官房長からも、高橋条約局長がもう一度目を通したいと言っているというお話がありまして、私に特に了解を求めてきました。私もこれを受諾しておいたのです。それから一カ月以上、一カ月半かかっております。これは条約局長としてあまりに無責任だ。そうして外務大臣の底意を疑われても私はしょうがないと思っている。その点については、従来からの例もございます。ベトナムの問題のごときについては、ほとんど満足な資料は出ていない。こういうことでは、国会を軽視していると言われても、外務省として何ら答弁の余地がないのじゃないかと私は思うのでございます。外務大臣の特にこの際厳重なる御注意を私喚起したい。この点についても外務大臣からあらためて言明をしていただきたいと思います。
○藤山国務大臣 委員会等から資料の要求がありましたときに、出し得ますものは、さっそく出すことが必要だと思います。今回の場合におきましても、事務的手続ができましたならば、当然できるだけ早い機会にお出しすべきだと思います。ただ、今回ベトナムに関して外務委員会等がありましたので、相当時間的に事務当局が余裕がなかったのではないかと思いますので、その点はお許しを願いたいと思うわけでありますが、今後厳重にそういう点のないように心がけて参りたいと思います。
○森島委員 今、外務大臣からは、出せるものは出す、出せないものは出さぬという御趣旨なんですが、今度の私の要求している資料は、外交交渉にわたっておるものでも何でもない。従来各国とアメリカとの間に結ばれた相互防衛条約に関していかなる文句を使っておるか、これを半年以上も先に要求しておる。これがもっと早くできておりますれば、外務委員会の論議等も促進されたのじゃないかと思っておるのでございます。この点について、私、はなはだ遺憾に思います。今後外務省でこういうことの絶対に起こらぬように、一つ責任をもってやっていただきたいと思います。事務当局に対しても十分御注意を願いたいと思います。 第二に私がお尋ねしたいのは、法制局長官はまだお見えになっておらないようですけれども、法制局長官は自民党の総務会において、協議事項の事前協議ということについて、協議は同意を前提としておるのだ、従って拒否の場合もあり得るのだという御答弁をやっておられます。藤山さんも大体この趣旨で答弁をしておられることは御承知の通りであります。この点につきまして、私はしろうとですから、法律用語として協議という言葉がはたして同意を前提としているか、していないかという点につきましては、私は的確なる知識を持っておりません。そこで私が法制局長官に尋ねたいのは、法律用語としてそのような前例があるかどうかということをお聞きしたいのですが、これはあとに延ばします。 そこで私が外務当局にお尋ねしたいのは、なるほど日本文では協議とあります。英語ではコンサルトとあるのですが、日英両文とも今度は原文になるのだと了解しておりますが、この通りで間違いございませんか。
○藤山国務大臣 日英両文とも原文になると思います。
○森島委員 それでは私がお尋ねしたいのは、日本側、で協議だけを対衆にして論議いたしましても、これは私は不十分だと思う。協議の対象語になるのはコンサルト、私はお尋ねしたい、コンサルトという字にはたして法制局長官が述べたような、同意を前提として協議するのだ、という意義がありますか、ないですか。これはおありだったら、私は事例を示してもらいたい。
○高橋政府委員 協議という言葉がコンサルテーション、すなわちコンサルテーションという言葉をわれわれは協議というふうに訳しております。その間、協議という言葉と、その意味に考えられるコンサルテーションという英語の言葉とは、差異と申しますか、そごということはないというふうに考えております。
○森島委員 私がお尋ねしているのは、林法制局長官は法律用語としての意味を言っておられる。私は、コンサルトも法律用語として林法制局長官の述べられたような意義を持つべきものだと思うのですが、その点については、法制局長官がはたして権威をもって述べられているかいなや。もし述べられなければ、外務省に英語の専門家もおられるでしょうから、そこでそういう意義をはっきり持ったコンサルトというものがあるということを事例をもってお示し願いたい。
○高橋政府委員 協議という言葉は御承知の通りコンサルテーション、われわれはコンサルテーションすなわち協議だというふうに訳しております。すなわち、協議が行なわれるということは、これは大臣からも御答弁あったように、協議がととのわなければ何も行わないのだ、協議されたところに従って行なうのだ、こういう意味で、その意味におきまして、協議という言葉も、コンサルテーションという言葉も、双方英語、日本語とも違いがないというふうに考えております。 それから、そういうふうな意味合いでいろいろ使った言葉、もちろん協議と申しましても、一般的な大きな問題における協議という言葉がございます。それからまた個々の行動を行なうことを前提とした協議ということもございます。それやこれやを考えますと、ある特定の行動を起こすことを前提として協議するという場合は、やはり協議がととのったところで行なわれるというふうに考えております。
○森島委員 私はそういうことを質問しているのじゃないのです。コンサルトという字にはたして事前のアグリーメントを前提としたコンサルトという字句の使い方があるのかないのかということを御質問している。私は大きな辞書を全部調べた、一つもありません。もしこれがあるのなら、コンサルトにはアグリーメントを前提としておるという事例をお示し願いたい。
○高橋政府委員 でございますから、そのような協議がととのったところで行なわれる、そういう意味合いにおきまして、協議のととのったところで行なわれるという意味に同意ということをお考えになっていただければ、当然そのような含むと申しますか、考えられる次第でございます。
○森島委員 今条約局長はすっかり問題をはずしている、焦点に触れてない。私がお尋ねしたいのは、私はコンサルトという字一字に関連して質問している。これに限局して一つ御答弁願いたい。コンサルトという字にははたして今高橋さんが協議だとか同意だとか言った、そういうふうな意味を持った言葉はありますか。私は英語の大きな辞書はみんな調べてきている。読み上げてもいいですよ。一つもありません。そうなってくると、問題は藤山さんのやっておった協議の答弁が、はたして英文の場合にそのように適用されるかいなかということが、次いで私は大きな問題になってくると思う。この点を一つアメリカ局長もおられるのだから、英語の方の達人でしょうから、御答弁願いたい。
○森政府委員 条約局長の答弁の通りでございます。
○森島委員 何が何だかわからぬですね。それじゃ私は大臣に最後に御答弁を求めます。
○藤山国務大臣 協議というコンサルテーションあるいはコンサルトという字が協議でございますれば、——私も英文学者でございませんから、しかし協議という言葉は相談をする、その結果を得るために相談をする場合には必ず同意がなければその結果は得られないのでありまして、どうしたってそういう意味において、協議が成立するためには同意が必要だと私は考えております。
○森島委員 それで、私は法制局長官の法律家としての権威ある答弁を求めます。協議という言葉は、林法制局長官は同意を前提とした言葉だ、従って拒否権を含むのだ、これが法律用語としての協議の意味であるということを明言されておる。あなたその通りお考えになりますか。
○高辻政府委員 長官は本日ちょっとからだをそこないまして休んでおりますので、私かわってお答えいたします。私、前に長官が御答弁申し上げました際に、実はそこにおりませんでしたために、はっきりとは存じませんけれども、私が長官の意を体してといいますか、私どもの法制局の一員として申し上げられることは、こういうことでございます。つまり協議という言葉自体と同意という言葉自体とが同じであるかどうかといえば、これは同じであるとはむろんいえないことでございます。しかしながら法令上協議という言葉を用いました場合に、単に相談をすればいいのだということではなくして、通常法令上でAとBがあることをするについて協議するという場合には、ただ相談を持ちかけるということではなしに、その場合には協議をした上で、協議にかかる事項の実行については、法意としては、協議の上で相談がある程度熟する、そうしてそこで場合によっては意思が合致するというようなことが、当該具体的な条項によってそれぞれ違いはいたしますけれども、常にそういう場合が考慮されておるということは確かなことだと思います。非常に回りくどい申し上げ方でありますけれども、一例を申し上げますと、よく法令上協議して定めるなんというのは、これは言うまでもなく協議の結果合意に到達しなければ定めようがないわけでありますので、そんなことは御質問の方もむろん言うまでもないとおっしゃいますでしょうが、そういう例がある。それからまたある機関が他の機関に対して協議をいたします。その場合に他の機関が権限を持っておりますような場合、あるいは両方の機関が権限を持っておりますような場合に、つまりある事項につきまして、Aという機関とBという機関と相互に当該事項について何らかの権限を持っております場合には、おそらくその事項をやります場合には協議がやはり合意に達しませんと、その権限を適法に行使することができないというふうになるわけであります。そういうことを申し上げる趣旨は、実は協議という言葉自身が同意という言葉自身と同じであるかといえば、これは厳密には違うと言わざるを得ないと思いますけれども、協議という言葉を使いました際の法意といたしましては、その場合に協議が成立してものが処理されていくという、そういう法の意図の上に乗っかっておるというのが、正直に申し上げられることだと思います。
○森島委員 非常に御丁重な御答弁だけれども、私は了解できないのです。しろうとじゃできぬはずだ。そこで私はこれを的確に了解する上において、法制局長官のおっしゃったように、法律語としてそういう意義があるとおっしゃるなら、事例を一つ示していただきたい。今でなくてけっこうです、事例を示していただきたい。同時に私のお聞きしたいのは、法制局長官の所見ですから一応法律家として権威があるものと了解いたしましても、次いで来たるものは協議すなわちコンサルトということになっておる。日英両文とも原文だとおっしゃるんだから、その協議に該当するコンサルトにはたして今のような意義を持ち得るかどうか、この点についても法制局長官はすでに協議についてそういう意見を吐いておるんだから、コンサルトについてもそういう意義を持った用語として了解できるかどうかという点についても一つ法制局の意見を聞きたいのです。
○高辻政府委員 英語の方のコンサルテーションについては、これは私は英語の言葉の方に通暁いたしておりませんので、コンサルテーションの方は別といたしまして、協議の方の例をあげろとおっしゃいましたので、お言葉に従いまして例をあげますと……。
○森島委員 これは時間の関係もありますから、あとでしっかりした資料を綿密に一つお出し願いたいと思います。
○高辻政府委員 承知いたしました。国内の法令上の用語にはなりますけれども、通常私どもが協議というものを使っております際の例を一つごらんに入れることにいたします。
○森島委員 そこで、再度外務大臣からも今のような御答弁があった。元来英語に通達しておって、その方のエキスパートでなければならぬアメリカ局長や条約局長もまるで的をはずした答弁をやっておる。私はやむを得ず時間もかかりますが、辞書を全部調べてきましたので一つ読み上げてもけっこうですよ。資料としてあなたに差し上げてもいいですよ。これには一つもそういう意義を持った、アグリーメントを前提としたコンサルトというものはありません。 それで私は次にもう一つお伺いしたいのは、もしコンサルトと協議とが最終的に意義が違うというふうな問題が起きましたときには、一体どこで裁定をするか、これをお聞きしたい。
○藤山国務大臣 私どもは両方が正文でありますし、協議という字句をそういうふうに解釈して使っておりますので、日本としてそういう解釈をとっていくのは当然だと思います。同時に、われわれ会談いたしておりましても、やはり協議としては、これが合意に達することのために協議をすることに話し合いをいたしておるわけでありまして、そういう意味において誤解があろとは思っておりません。
○森島委員 私は前にも例を引きまして藤山さんに御意見を求めたことがあります。アメリカ自身においても、重大な条約について非常に大きな意見の相違が、その条約に調印したその日に、アメリカの国務長官とアメリカの大統領との間で起きたことがございます。これは四国条約というやつが結ばれましたときに、その中にはインシュラ・ポゼッション、島嶼たる領土という言葉がございますが、この中に日本本土を含むのであるかいなかという重大な問題が起きました。このとき、調印直後でございましたが、大統領は日本本土を含まないのだということを明確に答弁いたしました。その晩にヒューズ国務長官は日本本土を含むのだというので、アメリカの最高首脳部の間においてすら意見の相違を生じたという問題がございます。日米安保条約の問題は非常に重要な問題です。日本とアメリカ当局の間に意見の相違は起こらないのだと藤山さんは、ひとりぎめしておられますけれども、今の事例一つ見ましても、アメリカの最高首脳部の間においてすら意見の相違を見たことがあるのでございます。こういう場合がもし起きた場合に一体どうなさるおつもりか。これはあらかじめ政府としても腹をきめて、コンサルトを使うなり、あるいは協議を使うなり、いかにも何でもないように手軽に軽々しくお扱いになっておりますけれども、もし調印されたあとにこういうふうな具体的な問題が起きますし、大きな政治問題になるばかりでなしに、藤山さんは日米相互親善を促進するのだと言っておられますけれども、逆の効果を生ずることも起こり得る。それだから、意見の相違を生じた場合にはどう裁定するか、字句についても意見の相違が出ました場合にはどういうふうにやるか、この点を外務大臣に再度御質問したいのです。
○藤山国務大臣 むろん今回これらの条文を条文化して参ります。従って日本文が正文であります以上、私どもとしては日本語の持っている意義というものもむろん説明をいたしておるわけでありまして、われわれとしてはそういう食い違いが起こることはないという確信を持っております。
○森島委員 これはいかに質問をやっておりましても平行線をたどるようですから、先へ進みますけれども、非常に重要な問題だということだけは、事務当局としても御銘記を願いたい。高橋さん、それを見て、所見を一つ伺いたい。
○高橋政府委員 もう少し読ましていただきまして、あとでまたいろいろ意見を述べたいと思います。
○森島委員 それじゃ先へ進みますが、その前に私もう一つ外務事務当局の注意を喚起しておきたいと思います。現在の日米通商条約ではありません、前の日米通商条約には、日本人の居住、入国等の問題について、コンマが一つある、ないということが日米間の非常に大きな問題になった。そういうくらいに条約文というものは、できます上は非常な注意をしないと問題が起こる。あと何十年という間、国民の権利義務の関係にいろいろむずかしい問題を起こす。この点非常に御注意願わなければならぬと思います。 そこで私は藤山さんに進んでお伺いしたい。と申しますのは、参議院の予算委員会において亀田得治議員があなたに質問いたしました。そのときにあなたは答弁に窮しておられた。前例があるかということを亀田君が聞きましたら、あなたは何も言わないで、一々条約局長に答弁させますと言っておられましたが、条約局長も答弁しておりません。そこで亀田君は米韓相互援助条約の例を引きました。藤山さんは、私もそれは知っておりますと言われて、つけ加えて、これが唯一の例外でございますということは皆さん御承知でございましょうと言われました。このお考えは今も持っておられますかどうですか。
○藤山国務大臣 その通りでございます。
○森島委員 それでは私は例を引きますが、藤山さんが米韓条約だけが唯一の例であるとお考えになっておりましたら、これは大へんなことなんです。私は例をここであげましょう。これは意見の相違じゃない。例があるかないかということなんです。これは大臣としても御答弁を訂正せざるを得ないだろうと私は思います。米韓条約のことは亀田君も言われたから私はここで省略いたしますが、米韓条約のほかに中華民国とアメリカとの相互防衛条約がございます。よくお聞き下さい。第六条です。この中にも「第二条及び第五条の適用上、『領土』及び『領域』とは、中華民国については、台湾及び澎湖諸島をいい、アメリカ合衆国については、その管轄権の下にある西太平洋の属領諸島をいう。第二条及び第五条の規定は、相互の合意によって決定されるその他の領域についても適用される。」とありまして、「相互の合意」ということがはっきり出ております。それから第七条を見ますと、前文は除きまして、「防衛のために必要なアメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を相互の合意による決定に基き配置する権利を」云々とありまして、これも「相互の合意」ということがはっきり出ております。ただ協議だけではございません。英語もその通りですが、英語は時間の関係上省略いたします。さらにこのアメリカ合衆国と中華民国との間の相互防衛条約の追加というものがあります。これを見ますと、前文は省略しますが、「前記の条約に基く両国の義務及びいずれか一方の締約国によるこれらの区域のいずれかでなされる武力の行使が他方の締約国に対し影響を与えるという事実にかんがみて、明らかに固有の自衛権の行使である緊急的性格をもった行動の場合を除き、前記の武力の行使を合意事項とすることが合意される。」とありまして、「合意事項とすることが合意される」と二重にやっております。まだ例があります。もう一つは東南アジア防衛機構、SEATOです。SEATOの第四条の二に「共同防衛のために執るべき措置について合意するため直ちに協議しなければならない。」とあります。こういう例があります。まだほかにも、二、三ありますけれども省略いたしますが、これらの例があるから、条約局としては、私の資料の要求が半年以上前からあるにかかわらず、しいて出されなかったのだと思います。忘れたのじゃないと思います。頭のいい高橋君だから忘れるはずがない。私が申しますのは、世間でも、事前の協議や同意ということについては世論がいろいろ出ております。非難の声も多い。これは全新聞を通じての世論でございます。これを調印前にぶちまけて世論を刺激することを避けるという政治的底意を持って外務省が行動しておったと私は判断せざるを得ない。高橋条約局長の忘れておったという答弁は、私は納得することができない。藤山さん、これほどの例があるにもかかわらず、あなたは、唯一の例外でございますことは御承知の通りだと思う、依然としてこういう御答弁をやはりそのまま維持される予定でございますか、どうですか。
○藤山国務大臣 米韓条約におきます場合が、協議と合意を並列しております。その他のものは合意は合意ということでありますし、最後に御指摘になりましたのは、合意をするために協議をするというので、われわれが言っておりますものと同じだと思っております。
○岡田委員 関連。二、三簡単に高辻さんに伺いますが、先ほどの御答弁を伺っていると、法律上の言葉としての協議の問題なんですが、協議という言葉が使われるということは、二つの権限を持っている双方において何らかのことが行なわれる、これが前提になっていることは当然な話ですね。単一で協議をすることはない。そうするとその場合に協議という法律上の権利義務というか、そういうものが生まれる。それと同意という権利義務の行使あるいは権利義務の発生、これと協議というのは、あなたの答弁では全く同じだという意味ですか。
○高辻政府委員 きわめて中心的な点についての御質問でございますが、先ほどの御質問もそういう点が問題であったかと思うのでございます。協議という言葉と同意という言葉と——これは国内法の一般法令上の問題として申し上げることを御了承願いたいと思いますが、同意という言葉を使い、あるいは協議という言葉を使った二つの例が、率直に申し上げてあるわけであります。従って協議という言葉と同意という言葉が法令上は同義であるかといえば、これは同じ意味だというふうには申し上げられないと思います。しかしながらそれからがいろいろ問題のあるところだと思いますが、きわめて卑俗なお話から申し上げることをお許し願いたいのですが、AとBがある事項を協議して定める、あるいは婚約を協議でもって解消するというような場合の協議は、同意なんという言葉が出てこなくても、実は双方の意思の合致によってものが処理されるにきまっておるわけですから、協議に同意は含まれるといってもいいのかもしれませんが、これは含まれない、同義でないといっても、事柄が法律上有効に成立するためには、協議の内容として同意というものがどうしても必要になってくるというふうな関係が出てくるのが一つございます。それからまた国有財産法なんかに例がございます。例はいろいろあると思いますけれども、ここで思いつきますのは、国有財産の所管がえなんかにつきまして、各省各庁の長がそれぞれ所管がえの双方当事者として協議をする、場合によっては大蔵大臣に協議をするというようなことがございます。その場合も、実は所管がえでございますから、従ってAとBの双方の同意といいますか、意思の合致によって実は所管がえができるわけでございます。それから大蔵大臣は所管がえの当事者ではございませんが、いわゆる国有財産の総括責任者といたしまして、大蔵大臣に協議をするということが出て参ります。この場合にも、法令は大蔵大臣にただ話を持ちかけさえすればいいのであって、それは反対であろうが何であろうがかまわないという法意ではなくして、やはりそこに国有財産の総括責任者としての大蔵大臣の賛意というか、同意というか、そういうものが法令上は当然予期されておるということが法意であると言うことをお許し願えると思うのでございます。そういうわけで、まだ例をあげれば幾つもあると思いますが、国内法令上の言葉でもう一ぺんかいつまんで申し上げますと、協議と同意は同義とはいえない。しかしながら協議が、やはりそれの賛意というか、同意というか、そういうことによって協議にかかる事項の実効が期せられるというような関係に立っておる用例を申し上げたわけであります。
○岡田委員 あなたの答弁を伺っておると、一つの法律関係として、協議をするという法律関係がある。しかしながら法律の概念としては、同意というものは新たな、別個な法律の概念であるわけでしょう。この点は間違いないですね。そういう質問をするとあなたは、先ほどと同じようにもう一度、その協議の中にはあらかじめ同意というものを含んだ意味の法律概念と二つあるのだ、こういう答弁をされるだろうと思うけれども、しかし法律概念として二つのものは区別するということは、あなたもお認めになった。これは事実問題として、協議の中に本来同意を含めた協議というものはあり得ると思うのです。というのは、その場合においては法律行為としてないにしても、事実上の合意というか、意思の一致というものがあった上で協議が行なわれた場合、たとえばあなたも例に出されたように、あなたと私は結婚しましょうという場合は、すでにその先に、言い方はおかしいけれども、恋愛関係があって一緒になりたいのだという、そういう結果の上における法律上の行使であって、そういうことを例として、あなたは同意を含む協議ということを言われているのでしょう。ところが二つの権限を持っているという場合が、日本とアメリカとの間にはあり得ると思うのです。事前に核兵器を持ち込まないという前提に立って協議するということはあり得る。ところが逆に、今私にしても森島民にしても質問しているのは、向こうの意思とこちらの意思が違った場合が問題だということを言っておるのです。その違った場合、いわゆる権限を持つ二つのものが相手方の意思と違ったときに協議をしたという場合に、その協議に同意というものが含まれておるかどうかということを聞いているのです。その場合も協議というものに同意が含まれておるのだとあなたは答弁されるならば、それではあなたと私が、あなたから百万円私がもらうという協議をあなたに私が申し込むと同時に、あなたは払わなければならない、同意しなければならないという義務を、その協議に含んでいるというふうになるでしょう。あなたは払う意思はないのだ、私はもらいたいんだという意思を持って、意思が違う場合に協議したということは、同時に同意を含んでいるのだというならば、法律関係ではあなたは払わなければならないという義務を負うということですよ。そうでしょう。あらかじめ意思が同じ場合においては、当然協議の中に同意は含まれておるということには私は異議があるのです。法律上は別に解釈すべきだという意見ですが、百歩譲ってあなたの意見をとって一応認めたにしても、意見が違うという場合、特にあなたの出された大蔵省とほかの役所との関係という例は、いわば意思が違うということを意味しているわけです。権利義務の関係が違う。その場合に協議をしたら、それではあなたは百万円私によこしますかというのです。どうなんです。
○高辻政府委員 ただいま岡田さんのおっしゃった点は、むろん念頭に入れて申し上げたつもりでございますが、つまりその協議ということが、協議すれば同意が成立するかというようなことになると、どうもそういうことにはならぬだろう。つまり協議と同意という言葉は、法律概念的には同じものであるとは申し上げておらないのでございます。しかし、これは外務当局が仰せになり、あるいは前に法制局長官が申し上げたその趣旨に帰着すると思うのでございますけれども、つまり岡田さんがお話しになった例を申し上げますと、協議ということで直ちに同意が成立したというようなことはあり得ない。しかしながら私が申し上げるのは協議にかかわる事項、たとえばさっき申し上げた例で言えば、国有財産法の財産の所管がえという、そういう効果を発生することは、つまり協議されたことにかかわる事項のなるかならざるかは、これはやはりお互いの意思が合致しないと成立しない、こういうわけであります。従ってたとえば、ただいまは結婚の場合について仰せになりましたが、私が申し上げたのは協議離婚の場合について申し上げましたが、この場合につきましては、協議をしただけでは離婚はむろん成立をしない。協議をした結果双方の意思が合致した場合において協議離婚は成立する。しかしこれは物事の性質上当然であるという論もあると思いますので、私はあらためて国有財産法の例を申し上げたわけでありますが、この場合に大蔵大臣は別に総括責任者としての大臣の地位を持っているだけでございます。それに対して各省各庁の間で財産の所管がえをするのに大蔵大臣に協議をする。その場合にやはりそれを実施するには大蔵大臣の賛成の意思といいますか、それがないと事柄が運ばないという意味において協議の中には結局ある事項の実施ということについて、同意が問題になるということを申し上げたわけであります。
○岡田委員 関連ですからこれで終わりますが、私はあなたのお話を伺っておると、ますます協議と同意との法律関係は別であるということが明確になってきていると思うのです。今、答弁の通りに協議の結果、それが同意されるかどうかということがきまる。こういうことを言われました。その同意は新たなる権利義務を生ずることですね。両者の間に、双方に新たなる権利義務を生じたということを意味するわけですよ。協議は常に同意を含んでいるなら、協議と同時に新たなる権利義務を生ずる必要はないじゃないですか。そうでしょう。だから新たなる権利義務をそれによって生じるのであるとするならば、これはまた協議と同意が違うということは言えると思うので、この点はいいのだけれども……。言おうと思ったことをちょっと忘れましたので、もうやめます。 〔委員長退席、岩本委員長代理着席〕
○森島委員 今藤山さんの御答弁を伺っていましても、きわめて不明確で、協議と協議合意、この二つの例があるので、韓国じゃ云々と言われましたけれども、私は了解できないのです。こういう場合に私は全体を見ますとばく然として抽象的に何か相談するという場合には協議だけで、その協議の結果に基づいて何らかの行動をとる、措置をとるというような場合には、私が今指摘しました例から見まして、いずれも協議と合意、または協議決定という字を使っている。その点から見ますと今度の安全保障条約の草案の事前協議というのは、協議と事前協議を分けただけで、文字の上の相違であって、私はその点が非常に不明確であると思うのです。 私はもう一つ、ついで伺いたいのは、高橋さんもう済んだですか。英語はわかりましたか。私はほとんどあらゆる辞書を引いてきておるのです。それだからコンサルトにアグリーという意味を持つなんということは、私は英語に関する限りは絶対にないと思う。その点において必ず将来問題を起こす余地は十分にあるので、問題を起こした場合にはどうしますか。藤山さんは問題が起こる余地がないと思うといってまるで答弁を逃げておる。これは全く無責任だ。そこで私は思うのに、おそらくコンサルトとアグリーという字を使おうということはお話の間に出たろうと実は想像している。やはり日本のことを考えられておる外務大臣だから、そこは十分そういう御意見も御発表になったことと思う。しかしアメリカ側が同意せず、コンサルトという字に落ちついたということが実際のところだろうと私は思うのです。そこで藤山さんは少なくともその点については、そういう話し合いはできておるのだ。話し合いができておるのにアメリカが一方的に破棄するということはないだろうと、アメリカに絶対的に信頼を置いた御答弁のみに終始されておる。そういう話し合いがほんとうにできているのですか、できていないのですか、私は重ねてお聞きします。
○藤山国務大臣 ただいまお話がありましたように、また岡田君が質問されましたように、たとえばお前から金を百万円寄越せという協議をした場合に、ノーと私は当然言えると思うのです。ですから協議でもノーということがあり得ることはむろん——むろん協議でありますから合意に達してそれを行なうということもありますけれども、合意に達しないでノーと言えることは、協議の性質上当然あるわけだと私は思っております。またわれわれとしても協議をしてノーというお互いの意思が合致しなければ、これは実行できないのだというようなことは、アメリカ側でも了解しているわけであるので、協議をします以上、意思が合致しないといえば協議はととのわない。ととのわないでこれを行なうということは、われわれは考えておらぬのでありまして、そういうことでございます。
○森島委員 非常に長々御答弁を承っておりますけれども、私は端的にお聞きしまし、アメリカがコンサルトという字にそういう意味を持ったものだという解釈をいかなる方法でとっておるのか、この点を明確にしていただきたい。
○藤山国務大臣 私どもは、今申し上げた意味においてアメリカも了承していると思っております。
○森島委員 了承していると思っているだけではだめなんです。はっきりその応答を何らか速記録なりメモなりにおとりになっていますか。これは外務大臣としては当然とっていなければならぬと思う。もしおとりになっているなら——外交上の秘密だといってきっとお逃げになると思いますけれども、その点だけを何らかの方法において明確にしなければならぬ。あなたはひとりぎめしておられる。中間報告を見ましても全くひとりぎめしている。中間報告を見ますと、これらの事項に関して、米国は一方的行動をとらないということは、日米間の交渉の過程においてすでに明確に了解されておるところだ、こうおっしゃっておる。それなら一歩進んで、自分からこういう質問をした、マッカーサーはどう答えた、これは非常に重要な点ですから、これだけはぜひとも速記録なりメモなり議事録にとって将来のために残す、そうして誤解の起きないようにするという万全の策をおとりになることが、条約締結にあたるあなたの最も重要なる責任じゃないかと私は思うのです。この点はいかがお考えになっておりますか。
○藤山国務大臣 御承知のように今日までの会談で、申し上げている通り、速記録等をとって話をいたしていることはございません。われわれとしてはむろんメモをとって次の会談に備える、あるいは問題の解決にあたるということはやっておりますけれども、速記録等をとって会談を続けていることはございません。私といたしましては、今申し上げましたようなマッカーサーとの話し合いの上において、協議というものが、そういう性質のものであるという理解の上に立ってやっておりますことだけは事実でございます。
○森島委員 藤山さんがひとりぎめでそういう了解のもとに話しているのだというふうなことでは、私は正確を期することはできないと思う。非常に重要な点です。核兵器の持ち込みにしましても、アメリカ軍の海外出動にしましても、非常に重要な問題であって、国民が一様に不安を抱いておることですから、この点だけでも明確に、もしこれまでの応答で明確を期し得ないなら、このコンサルトという字には、こういう意義を含むのだという問い合わせを、あなたから念のために出していただいて、マッカーサーなりアメリカ政府からこれに相当する回答を文書をもっておとりになることが、私は外交交渉を進める上において最も必要だと思うので、この点については藤山さんも国会の論議を通じまして、われわれがこの意見を吐いたときに考えてみましょうということはおっしゃった。これはいいかげんな答弁をしておけばいいということなんでしょうか、その後何らの具体的な御措置をおとりになっていない。ところがそういう理解のもとに交渉を進めておられる条約の締結者ですから、一応あなたの意見というものは条約の解釈において重きをなすことは事実でございましょう。しかしそれが最後的の解釈というわけにはいかない。そこで私はもし意見の相違を生じた場合には、日米両国それぞれの機関において、日本ではどこでこれをきめる、アメリカではどの機関がきめるということについても、藤山外務大臣の明快な御答弁を求めておきたい。
○藤山国務大臣 私はただいま申し上げているような立場において、あるいは話し合いの上において、ただいま御答弁申したようなことを確信を持っておるわけであります。こういう問題についてかりに紛争が起こったときにどういう機関にかけるかというような問題については、現在まで考えておりません。しかしそれらの点についてはなお研究はいたしておきます。
○森島委員 第一に、私の前段の質問に御答弁がないのです。あなたが一人ぎめしておったってだめなんだ。それからどうしても、そういうふうな了解のもとに話し合いをしておった、もう交渉の過程において明らかになっておると言われる以上は、明らかになった点を文書で明確にしておくことは絶対必要だと思いますが、この点について再度御所見を承りたい。
○藤山国務大臣 私どもは、今それを文書にする必要があるというところまでまだ考えておりません。
○加藤(精)委員 関連して。安保条約における事前協議その他の協議というような問題につきましては、もともと安保条約の改正そのものが日米両国間の善意によって貫かれ、運営せられていくのが必要なのでございますから、そういう外交上の用語の照会等をやる必要はわれわれとしてはないというふうに感じておるのでございますが、われわれの考え通り外務大臣も考えておられるかどうかをお聞きしたいと思います。
○藤山国務大臣 日英両文が正文になるものでありますから、日本語の協議というものは先ほど来の論議の通りでありまして、われわれとしてはそれが特に補足的な何かを必要とするとは現在考えておらぬのでございます。
○森島委員 これは非常に疑問を残した重要な点ですから、今後不幸にして安保条約が調印せられても、当然大きな国会の問題になるということだけは、私申し上げておきたい。また藤山さんや岸さんは国連憲章に基づくんだから、アメリカのやることについては不安がないんだということを繰り返して言っておられますが、私は一つあなたにお聞きしたいのです。昨年の七月でしたか、レバノンへ出兵しましたアメリカの行動は一体何か。これはレバノン政府の要求ということを表面の口実にしておりますけれども、これは口実であって、事実はアメリカが独断でレバノンへ兵隊を出したことは当然で、国連憲章を無視してやっておるという点については、私は疑問がないと思う。この点について所見を承りたい。
○藤山国務大臣 今回の場合とその場合とケースが私どもは違うと思っておるのでありまして、レバノン政府の要請によりまして、普通の国際法上の慣例によってアメリカは出兵した。その出兵が適当であったかということが国連自体に問題になったわけでございます。ただいま朝鮮事変によって編成されておりますのは、国連の総会の決議によりまして、アメリカに部隊の編成を国連が委嘱いたしまして編成されたものであります。国連憲章によって編成されておるものでありますから、私は国連自体の行動以外には行動をしないものだということに考えておりますし、またそうあるべきことは当然でございます。
○森島委員 私は別に朝鮮の問題について御質問しておるのではない。レバノンに対する単独出兵のような行動を独断でアメリカがとったことについては、外務大臣としていかにお考えになっておるか。 もう一つ、ついでにお聞きしますが、国連憲章を尊重するから安心だとおっしゃっても、事緊急を要する場合におきましては、大国が国連憲章を無視してやったという例はまだございます。イギリスとフランスのエジプト出兵をごらんなさい。これなんかも国連憲章を全然無視してやって、世界の世論の反撃を受けて撤退せざるを得ない状態に陥ったということは御承知の通りであります。私は外務大臣に対して、国連憲章に従うから安全だ、安心だというふうな単純なお考えで、この重大問題を御承認になっては間違いがあるということを御注意申しておきたい。イギリスやフランスのエジプト出兵に対する例につきましても、外務大臣はいかにお考えになっておりますか。
○藤山国務大臣 ただいまのスエズの問題の際における英仏の出兵等においても、私は今のことが申し上げられると思うのであります。むろん国連憲章に違反した行動をするかしないかということは、その国のそれぞれの判断でございましょうけれども、しかしそれが国連のメンバー・ステートとしては当然守っていくことの、この範囲内ならば適当であろうという判断のもとにやると思います。しかしそれが今お話のありましたように、国連ですぐに問題になりまして、さしとめられることは当然のことでありまして、国連加盟としては国連の精神に従って行動をするというのが大原則でございます。大原則に違反すれば今もお話がありましたような問題が次に起こってくるわけであります。でありますから何かいたしたときにもすぐ安保理事会にこれを報告しなければならぬということ自体が、国連に対する一つの忠誠を誓った行為になっていくと思うのであります。でありますからそういう事例がたび重なって起ころうとはわれわれは考えておりませんし、国連の精神を尊重して参ることが一番大事なことだと思います。
○森島委員 いろいろ御説明がございましたが、私の指摘したいのは、ここ二年間に国連憲章の発案者ともいうべきイギリスやフランスやアメリカが、国連憲章を無視して単独出兵をした例があるということに御注意を求めておるのです。ことにレバノン出兵のごときは、現実には武力侵略は起きておりません。国連憲章の第五十一条を見ますと、武力侵略のおそれのある場合には出せないことになっている。それも武力侵略があったものとしてレバノンヘ出兵している。エジプト等においても同様でございます。こういう点から考えましても、今申し上げました通り、事前協議の問題については、ぜひとも日本の拒否権の存在を明確にしなければいかぬということを私は確信しております。この点につきましてもう 一ぺん条約局長の御意見を伺いたい。
○高橋政府委員 この問題につきましては先ほど来法制局次長が申しておりすし、大臣のお話によって別にこれ以上補足申し上げることはないと思います。
○森島委員 私が今あなたに質問したのは、私があなたに差し上げた資料をごらんになって、コンサルトという字にはたして林法制局長官がつけられておるような意味を持った使用法があるかないかについてあなたの所見を求めておる。
○高橋政府委員 よくこれを研究さしていただきまして申し上げます。
○森島委員 今あなたが答弁できぬというのは、そういう無理なこじつけた解釈なんというものができる道理がない。アメリカの新聞なんかでも——私は今日は新聞を持ってきませんでしたが、この点について必ずしも同意を必要としないのだ、相談すればいいのだというふうな解釈をとっているのは幾らもある。日本文だけが正文ではないのです。英文が正文になるのです。その間に意見の相違を来たすこともあると思う。これらの点についてあらかじめ十分一つ御研究願っておいて、藤山さんが渡米されるなら、その前に事務当局としての確定的な意見も明確に出して、大臣を補佐する任務を誤まらぬようにしていただきたい、こう思っておるのでございます。 時間の関係もございますので、私もう少し質問したかったのですが、きょうはこれで質問をとりやめます。
○岩本委員長代理 戸叶里子君。
○戸叶委員 安保条約改定の問題につきましては、だいぶ国民の間にも、研究すればするほど非常に軍事同盟的なもので、なんとかこれの調印を阻止しなければならぬという空気が盛り上がってきております。にもかかわらず、新聞によりますと、来月の十五日ですかに御出発の全権団もおきまりになったようでございますけれども、 〔岩本委員長代理退席、委員長着席〕 もしそれが事実とするならば、もう安保条約の改定内容というものはすっかりおきまりになったのでしょうか、まだ話す余地が残っている問題があるでしょうか、その点をまず伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 条約につきましては、先般来申し上げております通り、問題点につきましては話し合いがついております。また行政協定については、まだ二、三つかないところはございます。
○戸叶委員 安保条約は内容がきまったけれども、行政協定についてはまだ問題点が残っているというお話でございましたが、そうすると、調印にいらっしゃるまでに行政協定の内容もすっかりおきめになるわけでございますね。
○藤山国務大臣 その通りでございます。
○戸叶委員 そうなって参りますと、大へんに国民にもいろいろ影響のあることでございますので、調印前に一度この国会で委員会などを開きまして、その改定の内容をはっきりしていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 われわれといたしましては、すでに中間報告もいたしておるわけでございますし、あらためて特に今国会を開いてその問題を話し合うという時間的余裕があるかどうかはわからぬと思います。しかも、条約調印前に全部の問題を公開するということは、相手国との関係もありますからできないことは申すまでもございません。
○戸叶委員 しかし、これは非常に国民に関係があり、日本の歴史においても大きな影響を及ぼすものでございますから、やはり話がまとまった場合には、別に特に国会を開くというのでなくて、二十九日から通常国会に入るのですから、自然休会の間にでも、調印に出かけられる前にぜひ一度外務委員会なりあるいは本会議なりを開いて、当然改定内容というものをもう一度はっきりさしていただかなければならない問題だと思うのでございますけれども、全然そういう御意思はないのでございましょうか。もしも改定の内容に今までおっしゃっていたよりも少しでも変化があればお開きになる、報告をなさる、こういうふうにお考えになるのでしょうか、その点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 すでに政府としては中間報告をいたしておりますし、今回の外交交渉におきましても、一年以上にわたります国会等のいろいろな論議を通じてわれわれの見解も相当程度表明いたしております。これ以上条約交渉にわたりまして内容を細部にわたって公開することは政府としていたしかねると存じております。
○戸叶委員 行政協定の内容にはずいぶん問題が含まれているわけでございますけれども、この問題につきましては、まだ政府からはっきりした、こういうふうに改定するのだというようなことは、中間報告の中にも私は伺っておらないと思うのです。にもかかわらず、今後二、三点の問題で行政協定が妥結すれば、そのまま調印に臨むというようなことであっては非常に不満な点が多いわけでございますけれども、行政協定の内容で非常に大きく変わるといたしましても、全然国会に報告されずにお臨みになるおつもりでございますか。
○藤山国務大臣 私どもといたしましては、今回の行政協定の交渉にあたりまして、これを改善することを主眼にして協定の交渉をやっております。従って、現在の協定よりも日本側に対しまして有利にと申しますか、あるいは言葉が有利にというのは少し適当でないかもしれませんけれども、改善の得られることは間違いないと思います。それが一〇〇%できるか、あるいは八〇%に終わるか、あるいは六〇%に終わるか、それは見る方々によっていろいろ問題のあるところだと思いますけれども、現在の行政協定を基本にして、それに改善を加えるという立場でやっておりますので、全然新しいものを新しい交渉をしているというのではないわけでございますから、その点について政府としても相当確信を持ってこの交渉をいたしておりますので、また一年以上諸般の論議も行なわれたことでありますから、私どもとしては、現在政府が直ちにこれを公表する、あるいはその内容についてある程度発表するというようなことはいたしかねると思うのであります。行政協定につきましても、先般の中間報告で若干は触れておるつもりでございます。
○戸叶委員 今外務大臣の御答弁の中に、安保条約の改定の問題については一年半も討議されたというふうな言葉がございましたけれども、その間行政協定の問題にはまだほとんど触れておりません。安保条約の内容につきましては、私たちまだわからない面がずいぶんたくさんあるわけでございますけれども、一応論議をしてきたことは事実でございます。しかし、行政協定の問題は、本会議で私も二、三質問をいたしましたけれども、それに対する満足した答弁もいただいておりませんし、この委員会にはほとんど欠かさず出ておりますけれども、その内容にわたっての議論というものはほとんどしていないわけでございます。そこで、改良するからいいとおっしゃいますけれども、今までの行政協定が非常に多くの問題を含んでおりますだけに、どういうふうに変わられるかということは非常に大きな問題でございますので、これ以上開いていただきたいということを要望しても、ここでは無理だと思いますから、国会対策なり何なり、行かれる前に、ぜひ何らかの形で御報告を願えるように考えてもらいたいと思っております。 さらに、第二の点として、今度の全権団の中に、岸首相がみずから行かれるようでございますけれども、大体こういうふうな外交上の条約で、藤山外務大臣で済むのではないかというようなことを考えている人たちがあるにもかかわらず、岸首相が行かれるということは、聞くところによりますと、岸首相とアイクとの間に何らかの特別な会談が行なわれるというようなこともいわれているわけでございますけれども、そういうふうなことを、内容まではおっしゃっていただきたいとは申し上げませんけれども、何かお聞きになっていらっしゃるかどうか、これだけを伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 安保条約の締結というものは、わが国の外交路線におきまして、やはり一つの基本的な線を引くことでございます。従って、総理がその機会に行くということも考えられるわけであります。同時に、御承知の通り本年夏以来、アイク・フルシチョフの相互訪問がございます。また来たるべき巨頭会談等もございますし、あるいはアイクがヨーロッパに参りまして首脳者と話したこともございます。それらの問題につきまして、日本の総理大臣として、アイクと忌憚ない意見の交換をいたしますことは、日本のためにとりまして、この時期において必要と私どもは考えるのでありますから、安保条約調印という機会に総理が渡米されますことは、私は適当なことだと思っております。ただ総理みずからが調印されるかしないかという問題については、現在まだ何とも申し上げかねるわけであります。
○戸叶委員 そうした問題につきましても、いずれ国会対策なり何なりで自民党の方とお話し合って、その内容なり何なりを聞かせていただくようにでもしていただきたいと私どもは考えるわけでございます。 そこで、もしもこの委員会を開かずに、安保条約の改定調印ということになりますと、私ども委員としましても非常に不満な点があるわけです。たとえば、極東の安全と平和ということをめぐっての、出動の問題でも、非常にあいまいな点が多うございまして、この問題だけで追及しても、私は一時間くらい時間がほしいほど持っているわけでございます。ことに、あの当時の発表を見ましても、川島幹事長が、おおむねこういうふうに自民党は解釈するというふうな言葉を使っておられますし、藤山外務大臣は、原則としては極東以外の地域には出ないと思うというふうな、非常にあいまいな言葉をもって発表せられているのでございまして、条約を改定するのに、そうしたあいまいな言葉というものは、私は許さるべきじゃないと思うのです。その意味からも、どうしてもこの極東の平和と安全をめぐっての論議をもう少ししていきたいと思うのですが、きょうは、それをしておりますとほかの点に入れませんので、省略して、何かの機会にこれをはっきりさせるような時を与えてもらいたいということをまず要望いたします。そこで、先ごろ本会議においても問題になりました在日米軍の出動、特に吉田・アチソン交換公文をめぐっての国連軍の行動の問題について少し伺いたいと思います。本会議におけるわが党田中議員の質問に、国連軍として活動をしている米軍は現在でも日米安保条約と行政協定の適用を受けているというふうに藤山外務大臣は答弁されておるのでございますけれども、具体的にどういう点でこの国連軍が安保条約なり行政協定の適用を受けているのか、この点を伺いたいと思います。
○高橋政府委員 ただいま御指摘の点は、御承知の通り日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定がございますが、この協定の合意議事録によって、国連軍協定ではなくて行政協定の適用を受けるということになる次第でございます。
○戸叶委員 私もその合意議事録は読んでおりまして、その中のあちこちに、二重国籍の問題とかそういった輻湊した問題に対しては行政協定の適用を受けるということが書いてあるようでございますが、そうしますと、昭和二十九年の六月十一日に効力を発生した、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定というのがございます。これによって日本国と国際連合との間の地位のいろいろな問題が決定されるわけでございますけれども、それとの関係はどういうことになるのでございましょうか。
○高橋政府委員 その国連軍協定は、日本におきます軍隊——アメリカ軍でございますね、アメリカ軍が国連軍としての地位を有する場合もございます。しかし国連軍としての地位を有しましてもアメリカ軍でございますから、常にこの安保条約、行政協定の系列によって規制される。それ以外のいわゆる国際連合軍は全部この国連軍協定の適用を受ける。このように全然両者適用の対象を異にしているわけでざいます。
○戸叶委員 そうしますと在日米軍は、行政協定と国連軍としての協定、日本にいる国連軍と日本との協定と両方の適用を受ける、しかし他の国連軍は、日本にいる場合には、今申しました日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の適用を受けるんだ、こういうふうに了承していいわけでございますか。
○高橋政府委員 ただいま御指摘の前半の方は、国連軍協定の適用は受けないわけでございます。安保条約と行政協定だけしか適用を受けない。しかもそれは国連軍であったとしましても、アメリカ軍である限りはそれだけの適用を受ける、ほかの国連軍協定の適用は受けないわけであります。
○戸叶委員 そうしますと、参議院の外務委員会で佐多委員に対して外務大臣が、日本の基地にいるアメリカ軍が、ある場合には国連軍としての性格を持つというふうなことを答えておられるのでございますけれども、これとの関係はどういうことになってくるのでございますか。
○高橋政府委員 そのような性格と申しますか、そういう帽子をかぶると申しますか、持っていても、常に行政協定、安保条約の適用を受けるわけでございまして、国連軍協定とは全然無関係であるわけでございます。
○戸叶委員 そうしますと国連軍としてアメリカ、豪州、カナダ、ほかの国国の国連軍がいるわけですね。その場合に一緒にいるにもかかわらず、アメリカ軍だけは別に行政協定の適用を受けて、ほかの国は国連軍との協定の適用を受けるというわけですね。同じ地域にいてもそういうことになるわけですか。
○高橋政府委員 その通りでございます。
○戸叶委員 それ自体にも多くの問題があるのですけれども……。それでは私藤山外務大臣に伺いたいのは、ある場合には国連軍としての性格を持つというふうに答えておられますけれども、そのある場合というのはどういう場合であるか。国連軍と在日米軍というものをいつ、どこでどういうふうにしてけじめをつけるのか、この点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 これは申すまでもなく軍隊の編成上の関係でございまして、国連軍として編入される場合、あるいは在日米軍として国連軍という帽子をかぶらないでおるもの、こういう関係を申したのでございます。
○戸叶委員 安保条約によって在日米軍がいますね。その場合に、この在日米軍がいつでも国連軍に肩がわりができるようになっているわけですね。この点をもう少し伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 御承知のように朝鮮事変の関係におきます国連軍というものは、国連がアメリカに要請しましてアメリカに司令部を置くことになって、そのアメリカが全責任を持ちまして各国に呼びかけて、兵隊を出してもらうなら出してもらうということをいたしたわけであります。従ってアメリカの司令部において国連軍司令部の機関に入れる場合と入れない場合とがここに起こってくると思います。ですから、そういうことを私は申したわけでございます。
○戸叶委員 ですから、端的にお答え願いたいのですが、結局日本にいる米軍が何らかの手続をすれば国連軍に——朝鮮問題だけに限ってもけっこうですけれども、何らかの手続をすればすぐに国連軍に肩がわりできる、そうだとすれば、その手続はどういうふうな形でするのかということを伺いたい。
○森政府委員 ただいま大臣の御答弁の通りでございまして、国連の一九五〇年七月七日の決議に基づきまして統一司令部というものができております。それで各国は国連の勧告に基づきまして統一司令部に必要な援助を提供することになっております。しかしてこの援助のやり方としましては、国連に概要を通報しまして、詳細の提供の仕方は統一司令部と援助を提供する各国との間に協定を結ぶということになるわけでございます。従いまして今後もしそういう必要が生じた場合には、おそらく米軍は統一司令部との間にそういう協定を結んで、そして米軍が国連軍として行動する、こういう格好になるかと存じております。
○戸叶委員 統一司令部のことも私はよく知っておりますけれども、私はここで統一司令部のこと自体が問題になってくるのではないかと思うのです。というのは、国連との間に協定を結んで国連軍を出すというならばわかりますけれども、統一司令部との間に話をつけて国連軍に肩がわりさせるというようなことは非常におかしいと思うのです。なぜおかしいかということを私は順を追って今質問していきながら指摘してみたいと思うのです。 国連軍というものの定義から私はやっていきたいのですが、これは時間がありませんから省略いたしますけれども、そこで国連憲章の四十三条を見ますと、兵力、援助、便益の提供は安保理事会と提供国との間に特別協定が締結されることになっており、それは各自の憲法上の手続によって批准されなければならないことになっている。わが国はいわゆる国連軍に施設または軍隊の駐留、通過の権益を許しておりますけれども、これに関する協定というものは安全保障理事会との間に結ばれておらないのでございます。一体政府はどういう根拠によって、国連加盟国と日本がなっている現在でもなお占領中の事態を継続して、こういうふうな協定を結ばなければいけないとなっているにもかかわらず、無協定のまま放置しておられるのでございましょうか。この点を伺いたいと思います。
○高橋政府委員 ただいま御指摘の点は、第七章の四十三条の特別協定のことでございますが、実はこの四十三条以下に書いてあります特別協定は成立していない、各国いろいろな意見がございまして成立していないわけでございます。といいますのは、純粋な意味と申しますか、本来の意味における国連軍というのが御承知の通り国連には成立していない、いまだでき上っていないということは、もう御承知の通りであります。しかし一方、いろいろこういう事件が起きます。従いまして、今回の場合は第七章の三十九条によりまして、安保理事会の勧告に基づきましてこのような措置がとられたわけでございます。そこで、安保理事会の勧告は、当時一九五〇年の六月以降に二、三回ございました。御承知の通りでございますが、これによりましてアメリカのもとに統一司令部というのを置きまして、その統一司令部に各国は軍隊を提供しろ、こういう形になっているわけでございます。すなわち国連がみずから、たとえばスエズの問題のときには国連自体がある個人を司令官に任命しまして、その司令官に軍隊を各国が提供するという形をとりましたが、朝鮮事変の場合は国家すなわちアメリカを指定しまして、アメリカのもとに統一司令部というのを作って、その統一司令部におのおの軍隊を提供しろという形をとりました。従いまして、この統一司令部との間に、すなわち直接安保理事会なり国連の事務総長なりとの、詳細な、特別協定に準じたような協定をするのでなくて、この統一司令部との間にいろいろ詳細な個々の具体的な取りきめが行なわれている、こういう状況でございます。
○戸叶委員 アメリカを司令部として、そこから出てくる指令によって行動するということでございましたけれども、それはどこの国が決定したのでしょうかということが一つと、もう一つは、それは日本がまだ国連に加盟しておらなかった当時のことであって、その後日本が国連に加盟してきたのですから、この状況は違うのではないかということが疑問に思われるのですが、この点はいかがでございましょうか。
○高橋政府委員 御指摘の点は、第一点は一九五〇年七月七日の安保理事会の決議でございます。決議の第三に、「前記安保理事会の決議によって兵力その他の援助を提供するすべての加盟国が、これらの兵力その他の援助を合衆国のもとにある統一司令部に提供することを勧告する。」こういう規定がございますので、これによったのでございます。 それから第二の点は、これは当然のことと私は考えております。と申しますのは、国連に入りました以上、国連憲章の第二条の五項でございますか、「すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない。」こういう規定もございますし、そして先ほどの朝鮮に関する一連の安保理事会並びに総会の決議がございましたので、それに従って行動している、こういうことでございます。
○戸叶委員 そうしますと、今後もどこかの国に起こらないとも限らないことですけれども、国連に加盟する前に国連に協力をするという意思表示がしてあれば、国連に加盟した後においても何ら国連との関係は変わらない、こういうふうに解釈するわけでございますか。そうでないとするならば、当然国連に加盟する前には、具体的な例をとっていうならば、吉田・アチソン交換公文というものは効力があっても国連に加盟してくれば新しい事態ができてきたのでありますから、もっと違うものにならなければならないと思うのですけれども、その点はいかがでございましょうか。
○高橋政府委員 その点、ただいま申し上げました通り、国連加盟前ではございました。しかし国連に加盟した以上、ただいま申し上げましたような一般的な義務を負うわけでございます。一方、正式にそのような決議が成立し、そのような行動がとられておりますから、これによってやはり協力すべきものである、このように考えます。
○戸叶委員 国連に加盟した場合と加盟しない場合と内容が同じだということは少しおかしいと私は思うのですけれども、あとでまたこういうことが非常に問題になるのではないかと思うのです。そこで、問題になる例を私はあとから持って参りますけれども、さっき条約局長の言葉の中にありました三十九条の安全保障理事会の一般的権能、「安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第四十一条及び第四十二条に従っていかなる措置をとるかを決定する。」とあるわけです。そうしますと、勧告した場合と決定した場合と両方あるわけですね。そうすると、日本の場合は、今度の場合、吉田・アチソン交換公文の場合は、勧告されたからというふうにとるわけですね。
○高橋政府委員 いや、ただいまの御指摘の点は、勧告という形で決議が成立したわけでございます。もっとも、正式にやる場合は、これはいわゆる決定がなされるわけでございますが、いろいろな事情がございましたので、決定という形をとらずに勧告という形で成立した、その勧告にわれわれは従っているというわけであります。
○戸叶委員 そうしますと、勧告しただけでもいいということなんですか。勧告し、決定しなければいけないのじゃないですか。勧告しただけでもいいのですか。日本の場合は、勧告されただけで決定されなくても今まではいいということがされていたわけです。それが今度は日本は国連に加盟したのですから、勧告以上の決定ということが必要じゃないかと思うのですけれども、この点はどうですか。
○高橋政府委員 その点は、国連加入の前後を問わずに、国連に加入後でございましても、勧告という形でこの決議が成立したわけでございます。当時から決定ではなかったわけでございます。ですから、加盟後であってもその勧告に従う、こういうことになるわけです。
○戸叶委員 そうなってきますと、いろいろな場合に勧告ということでいわゆる国連軍というものが出動されるような面が出てくるのではないかということを私は心配します。それともう一つは、この勧告というものと決定というものの比重がどうなるかということが問題になるのじゃないかと思うのです。勧告ということと決定ということの比重を、この三十九条をめぐってもですが、それはどういうふうにお考えになるのですか。
○高橋政府委員 もちろん、厳密に申し上げますれば勧告と決定は違う。違うと申しますのは、決定は国連憲章に基づきまして拘束力を持つわけでございます。それから勧告というのは、これは問題によりましては過半数でございますか、それから重要な問題では三分の二の多数と申しますか、そういう関係で成立するわけでございます。従いまして、一方は法律的な拘束力を持っていないということが勧告には言えるわけでございます。しかしこれはやはり、国連の機関におきまして大多数が賛成した勧告というのは、政治的には決定と同じような重要な意味を持ってくると私は考える次第であります。
○戸叶委員 その答弁を忘れないようにしておいて下さい。 先にちょっと進みたいと思うのですが、この国連憲章から見ましても、日本が協定を結ぶ相手というものは、国連に加盟した以後においてはあくまでも国連でなければならないと私は思うのです。統一司令部というようなものと、国連軍との間の協定といいますか、国連軍との間のいろいろな問題を取りきめするというのはおかしいじゃないかということを考えるわけです。そういうふうな統一司令部との間に日本が結んだ国連軍というようなものは、ほんとうの国連憲章にいうところの国連軍というものと違うのじゃないかということを考えるわけですけれども、この点はいかがでございましょうか。
○高橋政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、しかし、そのようにするということを、一九五〇年の七月七日の安保理事会の決議で成立しているわけでございます。従いまして、国連軍を設定して、それを行使運営するといういろいろな方法があるかと思います。そこで、それの最も純粋な本来の形は、先ほど御指摘になりましたような第七章をそのまま実施するということでございますが、第七章の特別協定ができず、その意味における常設的な国連軍ができてない、そういう関係もありますので、一九五〇年七月七日の決議ではこのような方式をとった。あくまで国連の決議に基づくところの行動でありますし、国連軍である、こういうように考えます。
○戸叶委員 それでは百歩譲りまして、条約局長の言われるところの連合国の最高司令官というようなものと話し合って日本が便益を供与する、こういうふうに了解をいたします。そうすると、その連合国最高司令官というものは一体今どこにあるんでしょうか。
○森政府委員 ただいま連合国最高司令官ということでございますが、統一司令部の司令官ということであれば、これは朝鮮にございます。
○戸叶委員 そうしますと、朝鮮の問題に限って、在日米軍が国連軍に肩がわりをするときには、朝鮮にある統一司令部に話をつけて国連軍に肩がわりをする、こういうことになるわけですか。
○森政府委員 さようでございます。
○戸叶委員 吉田・アチソン交換公文が締結されるときに、アメリカに国連が頼んだのは統一司令部というものだったでしょうか、どういう名前だったわけですか。そしてそれはどこにあったんですか。初めから朝鮮にあったのですか。
○森政府委員 先ほど条約局長が答弁いたしましたように、七月七日の決議で、合衆国のもとに統一司令部を置きましてそこに兵力が提供されたわけでございまして、この統一司令部というのは、従前は東京の市ヶ谷にあったわけでございますが、一昨年の機構改革によって朝鮮に移転したわけでございます。
○戸叶委員 その統一司令部がそっくりそのまま朝鮮に持っていかれたわけですね。もし持っていかれたとしますと、これは朝鮮の第八軍司令官というものとの関係はどうなっていますか。
○森政府委員 日本から朝鮮に移りました際に、日本には、後方司令部というものを座間に残してあります。第八軍司令官との関係は、私ちょっと記憶いたしておりませんけれども、私のただいまの記憶では、兼任をいたしておるというふうに承知いたしております。
○戸叶委員 そうすると朝鮮の第八司令官と統一司令部というものが兼任をしていて、そして座間にその分店みたいなものが今なお残っている、こういうふうに了承してよろしいわけですか。
○森政府委員 座間に後方司令部が残っております。
○戸叶委員 そうなってきますと、非常に簡単に、ほとんど何の手続をすることなしに、在日米軍というものは国連軍に肩がわりをすることができるということが言えるんじゃないでしょうか。
○森政府委員 通常の場合におきましては、休戦条約の違反の事態が生じました場合には、新たに国連で措置がとられると思います。しかしながらそういうことは、必ずしもこれは絶対的な要件ではないのでございまして、兵力の提供は、先ほど申し上げましたように統一司令部との間で話すということになっております。もちろんその当時出されました事務総長の書簡によりますと、大体の大筋につきましては国連の方へ通報して、詳細について統一司令部と援助提供国との間で直接協定するということになっておりますので、もし将来、不幸にして再び国連軍というものがより規模が大きくなるというような場合には、従前のような手続が踏襲せられるのじゃないかというふうに考えております。
○戸叶委員 今の形でいきますと、ほかの国の国連軍は別にしても、アメリカの国連軍というものは、日本において非常に勝手な行動がとれるというふうに解釈されるわけでございまして、幾ら安保条約なりあるいは行政協定の適用を受けておりましても、国連軍という名前において非常に危険な状態に持っていかれる可能性があると私は考えるわけなのでございます。そこで伺いたいのは、在日米軍というものが、安保条約の適用と国連軍としての行動をするというような場合には、一体どっちが優先するわけでございますか、この点も伺いたい。
○高橋政府委員 ただいまの件は、日本における米軍でございますから、これは先ほども申し上げましたように、すでに安保条約及び行政協定の系列による適用を全部受けるわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、日本からたとえば朝鮮なり何なりに出かける場合には、吉田・アチソン交換公文によって適当に行けるということじゃないのですか。
○高橋政府委員 安保条約、行政協定、及び例の交換公文でございますか、ああいう規制を受けるわけでございます。
○戸叶委員 この間からその問題についてまだ深く追究されておらないのでございますけれども、そういたしますと、角度を変えて伺いますと、在日米軍が国連軍として行動をする場合には、必ず朝鮮だけに限って、ほかには出ない、こういうふうに解釈されるわけでございますか。しかし、こういうことが言えるんじゃないかと思うのです。たとえば今のように座間に後方部隊があるということになって、国連というものを無視して、国連の手続を経ないで、座間というところを通して国連軍に肩がわりするんだということになってみて、そうして極東の平和ということで、朝鮮以外の地域に出るというようなこともあり得るんじゃないかと私は考えるのです。それはどういう形で出たかといえば、国連軍という形で出たということも言えますし、あるいはまた在日米軍として安保条約の内容で出たんだということも言えるし、両方どうにでも言えるんじゃないか。今のような、国連というものを無視しての国連軍に肩がわりできるということは、非常に危険じゃないかと思うのですけれども、この点はどういうふうにお考えなんでしょう。
○藤山国務大臣 国連軍は、御承知の通り朝鮮事変のために編成されておるわけであります。従って、朝鮮事変の以外のものに出動するということはございません。その場合においても、やはり事前協議を受けるわけでございます。また安保条約によりまして出動する場合には、当然事前協議を受けるわけでありまして、それによって日本がそういうところに出てもらっちゃ困るというようなことが言い得るのでありますから、その適用を受けることになると思います。
○戸叶委員 そうしますと、これはこの間から問題になって、まだ発表されておりませんけれども、もういよいよ調印にいらっしゃるのですから、この辺はおわかりになったと思いますけれども、吉田・アチソン交換公文をどういうふうな形で残していこうとされるのでしょうか。その中に事前協議の問題も残っておりますけれども、その事前協議というものをはっきりおうたいになるのかどうか。またこの吉田・アチソン交換公文というものを、安保条約と不可分のものにされるかどうか、その点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 吉田・アチソン交換公文は、朝鮮事変のあります限り、そのまま残って参ります。それに対して新安保条約との関係を、今申したような意味においてはっきりさしていく、こういうことでございます。
○戸叶委員 今おしまいの方のことがわからなかったので、もうちょっと具体的にお話しになって下さい。
○藤山国務大臣 吉田・アチソン交換公文は、朝鮮事変のあります限り、残っております。朝鮮事変がなくなりますと解消されます。その交換公文において今度は安保条約によって新しく事前協議等の事項が入って参ります。でありますから、当然国連軍としてのアメリカ軍も事前協議の対象になるという意味のことをはっきりさして参りたい、こういうふうに思っております。
○戸叶委員 そうしますと具体的に吉田・アチソン交換公文の内容を変えて、そういう点を入れるということでございますね。
○藤山国務大臣 今申し上げました通り、吉田・アチソン交換公文はそのまま残っております。しかしそれに対しまして今申し上げたような点についての定めをして参りたい、こういうことでございます。
○戸叶委員 そうしますと、安保条約のといいますか、交換公文の中にはっきり明示するというふうに了解してよろしゅうございますね。
○藤山国務大臣 それは吉田・アチソン交換公文の中にではございません。吉田・アチソン交換公文はそのまま残って参ります。別個の交換公文なりその他によって規定されていくということであります。
○戸叶委員 そうしますと、別個の交換公文の中の事前協議という中に、こういうふうな国連軍の出動に対しても事前協議を必要とするという形で残すというふうに了承していいわけでございますね。
○藤山国務大臣 大体そういうことでございます。
○戸叶委員 私はこの問題でももう少し伺ってはおきたいのですけれども、もし委員会がないといけないので、もう一つ簡単に極東の平和と安全のためということで、ちょっと念のために伺っておきたいと思うのです。私がこの前、藤山国務大臣の安保条約改定の中間報告に対して質問申し上げたときに、御答弁をいただけなかったのですが、極東の平和と安全という言葉は、前の安保条約の締結のときに臨んだ西村条約局長の言葉によると、極東以外の地域にも出動できるんだというふうに解釈をされているわけでございますが、そのままやはり踏襲された上で交渉なさったと了解してよろしいのでございますか。
○藤山国務大臣 今回の条約におきまして極東という字句が出て参ります。極東の安全と平和ということが日本の安全と平和につながっておりますし、あるいはうらはらと申しますか、そういう関係もあることはむろんでございますから、われわれとしてはやはりそういう意味においてこの言葉を使って参りたいと存じております。同時に安保条約の地域というものは、はっきりと日本の四つの島にきまっております。しかし日本の安全が脅威をされるというような場合においては、米軍は日本と協議をいたしまして、そうして日本以外の土地にも出ていくことがあり得ると思います。むろんアメリカが出ていきたいといっても拒否する場合もございますし、また日本の必要として出ていく場合もあろうかと思います。ただその場合において、われわれとしては今前段に申し上げましたように日本の安全とうらはらになっているような地域が一番大事な地域でありまして、そういう意味において極東という言葉を使っておりますから極東というものがそう無制限に広く解釈されるということにはわれわれは考えておらないのでございまして、大むねフィリピン以北ぐらいな地域、こういうふうなことを申し上げておるわけでございます。
○戸叶委員 今の言葉は大体わかりましたが、そうしますと日本の安全ということをお考えになった場合には、四つの限られたところ以外にも出られるということでいいわけですね。念のためにもう一度伺いたいと思います。それからもう一つはフィリピンから北というふうにおっしゃいましたけれども、その場合にフィリピンは入るのでしょうか、入らないのでしょうか。
○藤山国務大臣 大体この問題は地域的にどこの国どこの国ということを申しますのは、ほんとうは適当でないと私は思います。極東という観念が従来ともいろいろの形で使われております。常識的な用語としてある場合に使われておるのが多いのであります。で私どもとしては、大体フィリピンのいわゆるルソンと申しますか、あの周辺から北というふうに考えております。
○戸叶委員 先ほどの藤山外務大臣の御答弁によってもわかりました通り、日本の安全とうらはらの場合には極東の地域外であっても一応出られるんだというふうなことが、その言葉の中にわかったのですが、そうなってきますと、結局今度の条約の改定で極東の安全と平和という言葉は使ってみたものの、最初に重光外務大臣が交渉に行ったときに、西太平洋の地域を一緒に守れる自信があるからというふうに言われたときと少しも結果的には変わらないじゃないか、非常に極東の範囲が広げられていって、どこまでいくのかわからないというふうなことになるんじゃないかというふうに考えるのですけれども、何かその間でアメリカ側との話し合いというようなものは全然なさらずに、この言葉通りに受け取ってやっていらっしゃるのかどうか、この点も念のために伺っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 今の私の答弁を誤解しておられるかと思いますが、極東の地域以外にも出られるということを申したわけではございません。極東の平和と安全というものが日本の平和の安全とうらはらである。極東というものをそう大きく解釈するわけでないのでありまして、従ってその極東の地域内において起こったことが日本の平和と安全に関係して参りますれば、その以内くらいのところではアメリカ軍が行動する場合があり得る。そういう意味で申し上げておるわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、極東の範囲外であっても、極東の平和と安全を脅かすように考えた場合には行動できるという西村条約局長の意見とは違うわけですか。
○藤山国務大臣 西村条約局長がどういう御答弁をされたかわかりません。現在私承知しておりませんが、私どもの今回解釈しておりますのは、今申し上げたような解釈でこの条約の運営をいたしていきたいというわけでございます。
○戸叶委員 また藤山外務大臣少しあいまいだと思うのです。というのは、まず問題が二つあると思うのです。西村条約局長はこの前の安保条約を締結するときの責任者です。その責任者が極東の平和と安全のためならば極東の地域以外にも出動するということをはっきり書いていらっしゃるのです。その文献を持ってくる必要があればあとで持って参りますけれども、そういうふうなことを言っておられるにもかかわらず、それに対してこの前参議院で亀田議員が追及いたしましたところが、藤山さんは、そういうこともあり得るというようなことをお答えになったようでございます。ところがそれに対して川島幹事長が発表されましたことは、「米軍は日本の基地を極東の平和と安全維持のため使用できるのであるが、この場合、極東というのはフィリピン以北の地域を考えている。そして新安保条約の目的は、日本の安全および極東における平和および安全の維持に貢献することにあり、米軍の行動は、かかる目的によって限定をうけるのである。しかも米軍は国連の行動または自衛権の発動としてだけ行動することが新安保条約の基本である。米軍が行動するのは平和と安全がこの地域内で侵されている場合に限られる。すなわち米軍の行動範囲は直接、地域的な面から制限されているわけではないが、条約の基本精神および目的から限定されている」というので、地域的な面では限定されていないわけです。ですから、この言葉を考えただけでは非常にあいまいなのです。一体どっちをとっていいのか。条約の基本精神と目的は限定されている、しかし地域的な面では限定されていないというのですが、一体それはどっちをとるわけですか。今の外務大臣は後者の方をとっていらっしゃるようなんですけれども、いかがでございましょう。
○藤山国務大臣 申すまでもなく、条約の基本的精神がこの運営の主眼であることむろんでございます。従いまして、私どもはこの条約を運営するにあたりまして、その基本的精神によってこれを運営していくということなのであります。従いまして、極東の平和と安全が脅かされるからといってヨーロッパまで飛んでいくというようなふうには、われわれはむろん考えておらぬのであります。むろん極東という概念が、日本を中心とする周辺、フィリピン以北というような、ある意味からいえば若干ばくとした観念でありますから、それを何度線から一歩も出てはいけないとか以内だとかというような、厳格な意味で極東というものを解してはおりませんけれども、しかしおおむね今申し上げたような範囲においてわれわれは行動されるという基本的な条約の精神及び目的からして、私どもはそういうように考えておるわけであります。
○戸叶委員 そうしますと、西村条約、局長の考えていらっしゃったこととは違う考えをとってアメリカと交渉した、こういうことでございますね。
○藤山国務大臣 今申し上げたようなことで交渉をいたしております。
○戸叶委員 今申し上げたようなことというのは、はっきりおっしゃっていただくならば、極東の地域だけに限られているというその条約の基本的精神及び目的から推しての限定された地域を言っていられるのであって、川島幹事長の地域的な面ではその範囲が制限されているわけではなないということは違っているんだ、こういうように了承していいのでございましょうか。これは非常に大事なことですから、やはりはっきりさせていただかないとわからないと思うのです。
○藤山国務大臣 川島幹事長の言われたことと少しも違っておらぬのでありまして、直接地域的な面から制限されているわけではないけれども、条約の基本精神及びその目的からしてということは、今私が申し上げたことと少しも違っておらぬと考えてりおます。
○戸叶委員 大臣、済みませんけれども単刀直入に答えていただきたいと思います。それでは西村条約局長が安保条約を締結した当時に考えて交渉された考えと藤山外務大臣とは違っている、こういうふうに了承してもよろしいわけですか。
○藤山国務大臣 私は正確に西村氏の答弁を今ここでもってはっきり存じておりませんけれども、私が今申し上げたような点から見まして、若干違っているのじゃないかと存じております。
○戸叶委員 そうしますと、極東の平和と安全を脅かす場合には、極東以外の地域にも出動はあり得るということはないのだという立場に立って交渉を進めておられたというふうに私どもは了承するわけでございまして、こうなってきますと西村条約局長が当時交渉された点と違っていても、一体いいものかどうかというような疑問が持たれるわけでございます。藤山外務大臣が今この問題について交渉されており、すでにこの点は交渉され済みだと思うのですけれども、おそらく藤山外務大臣のおっしゃる通りのことでアメリカは同意したので藤山外務大臣がそういうふうなことを自信を持っておっしゃるのではないかと思いますけれども、念のために伺いたいのは、そういうふうなたとえば西村条約局長の言われたような極東の平和と安全のためには極東以外の地域にも出動することができるというような解釈じゃないのだ、大体この四つの点に限られての極東の地域内なんだというところまで突っ込んでお話しになっていらっしゃるかどうか、この点を、心配になりますのでもう一度念のために伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 むろん表面の言葉の上からいいますればあれでありましょうけれども、今の条約の基本精神及び目的を体して、そしてわれわれは事前協議というものを今回ワクに入れて参るわけでございまして、そういう意味においてこの条約の基本精神及び目的が達成せられるものだ、こう思っております。
○戸叶委員 私はあまり時間がないから質問はできませんけれども、委員長もお聞きのようにこの点が大へんあいまいもことしております。私が伺ったことに対して外務大臣はお答えになっておられません。急所を伺おうと思いますとするっと逃げて、事前協議というふうなことで話し合いをするんだから、極東の平和と安全のためには極東外の地域にも出ることはあり得るんだというふうな言葉にも解釈されるのです。この点をもうちょっとはっきり、修飾は要りませんからおっしゃっていただきたい。
○藤山国務大臣 先ほど来話している通りでありまして、極東の平和と安全というものは日本の平和と安全の維持のためにうらはらでありまして、そしてそういう意味におきましては、日本の安全を脅かし脅威を与える極東の範囲というものも、おのずからそう拡大されて解釈すべきものだとは思っておりません。しかしこれを図面的に、どの国とどの部分を入れ、東経何度、緯度何度というふうには限定されませんけれども、大体常識上判断される範囲でありまして、それは先ほど来申しておりますようにフィリピンの北ということを申しておるわけであります。そういう意味において、条約の基本精神及び目的からわれわれはこれを運営していきたい、こういうことを申しておるので、はっきりいたしておると思っております。
○戸叶委員 もう私はこれでやめますけれども、もう一つだけ藤山外務大臣にお答えいただきたいのは、フィリピンの北なり沿海州の一部とかというのは、極東の範囲なんです。極東の範囲という定義については、私どももこの前藤山外務大臣に本会議ではっきりさせていただいたわけです。私が伺っているのはそれじゃないのです。それ以外の、極東の平和と安全のためには極東の地域以外にも出動することがあり得るというふうな解釈、しかもそれが日本の政府の責任者であった西村条約局長の解釈というものがそのまま受け継がれて今度の交渉がされたのかされないのか、あるいはそんなことは全然触れなかったのか、そういうことを伺っているわけです。極東はわかりました。極東の平和と安全のためには極東外の地域、それは地球の果てまで行けとかということじゃなくて、その限定された地域以外にも出動することがあり得るかあり得ないか、その点を伺っているのですから、その点に限ってお答えいただきたいと思います。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げた通りでありまして、西村条約局長がどういうふうに答弁したか、それについて私は先ほど来はっきりしておらぬことを申し上げておるわけであります。私どもとして今度の条約改定にあたりましてとりました態度は、今まで申し上げておる通りの態度であります。それが西村条約局長の答弁と違っておりますれば、私どもが今度とりました態度とは違っていることになろうと思います。そういう意味において私は申し上げておるわけでありまして、極東の安全を確保するということ、その主眼点と申しますものは、やはり日本の安全と平和というものは極東の平和と安全がなければ確保できないことだと思うのです。これはうらはらの問題だと思います。従って今回の安保条約というものは、日本の安全と平和が第一義でございますので、そういう意味においてわれわれは条約の基本的精神及び目的からこれが限定されているものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○戸叶委員 わかりました。(「明快」と呼ぶ者あり)私はわかりません。私は自民党の議員さんと違って、わからないわけです。わからないままに、仕方がないですから、幾ら伺おうと思ってもはっきりした答弁をいただけませんから、一応きょうはこれ以上追及しませんけれども、このままでは満足しませんから、何らかの形においてはっきりさせていただきたいと思いますし、もう一つは、西村条約局長がどういうふうな考えを持っていたか知らないなんということは、およそ私は不見識だと思うのです。この前のあの大事な安保条約の締結という重大なときに、どの人がどういう発言をされたかということくらいは、今度改定というものが出ているのですから少なくとも外務大臣は責任者として知っておおきにならなければいけませんし、そうしてまた読んでおおきにならなければいけないと思うのです。従って、今のようなお答えは非常に不見識だということを申し上げなければならないのでございます。そこで、もしも今おっしゃる通りだとするならば、ぜひどうぞそういう文献がございますからお読みになってそうして今からでもおそくはないと思いますから、はっきりとした態度をもってなおもう一度交渉に当たってみていただきたい、その点をはっきりさせていただきたいということを私は要望いたしまして、満足はいたしませんけれども、一応打ち切っておきます。
○小澤委員長 帆足計君。
○帆足委員 時間も移りましたので簡単に申し上げます。 安保条約の全権使節が彼の地に参りますのももう切迫しておるそうでありますが、ただいまの戸叶委員の論議を承りましても、私どもは事前審議においてまことにまだ不十分であると思っておるのです。先ほど来質問がありましたように、この問題で国民のすべてが心配いたします点は、事前協議の同意の問題です。それから日本の国土が直接侵される心配というならばまだ理解し得る点もあるでしょうが、極東の平和と安全のためにというアメリカの一般極東政策、その中において間違った要素、危険な要素が多々あったことは歴史がすでに実証しておる通りですが、それに巻き込まれることを心配する、これは与党の中にもそういう御心配が非常に強いことは御承知の通りでございます。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)ノーというのは事実に反しているわけです。そこで事前協議の場合にもう一つ最後にお尋ねしたいことは、アメリカの国務省や法制局における協議というものの定義をお調べになったか。また向こうの消息筋や高官連中が談話などで伝えておるところによりますと、協議は協議で日本に諮ればよいのであるというような話も伝えられております。そこで条約局長は、その点向こうの用語例及び向こうの慣例をお調べになったかどうか。 それから第二に外務大臣にお尋ねいたしたいことは、国民のすべてがそう言い、与党の中の気骨隆々の士はやはりそのことを心配して指摘しておるのですから、なぜ同意を要するということを書かないのか。また交渉してみたけれども、やはり向こうがそれは難色を示すから心配して遂に書けなかったのか、その二点を一つ端的にお伺いしたい。
○藤山国務大臣 この問題は私が先ほど来御答弁しております通り、われわれは協議というものが成立するためには合意を必要とするのだ。むろん協議というものは友好国とやることでありますから、できるだけ円満に成立することが望ましいわけでありますけれども、しかし成立しない場合もあり得るわけでありまして、そういうことがあり得ないのは、日本がノーといった場合そういうようなことが考えられると思います。私どもはその意味において協議というものを使って参っておるわけでありまして、別段特に同意と書く必要はないと考えております。
○高橋政府委員 コンサルテーション、コンサルトという言葉と協議という言葉でございますが、私は当然双方の食い違いはないと考えております。従いまして、特にコンサルト、コンサルテーションを取り上げまして、それだけの意味を調べたことはございません。
○帆足委員 それでは、今のようにミサイル戦とかジェット機戦の時代、疾風迅雷的奇襲戦の行なわれるおそれがある時代において、事後承諾を求めるというようなおそれは全然ないようになっておりますか、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 今回の条約の運営にあたりましては、常時いろいろな機関において協議をいたしておくわけであります。でありますから、いわゆる昔の晴天へきれきとかなんとかというような状況が、突如として近代戦において起こってくるとも私どもは思いません。事前にいろいろな動きがありまして、そうしてそれらの動きに対してもわれわれは十分な協議をして参るわけでありますから、事前に行なわれる協議が十分行き届かないというような事態は想定いたしておらないのであります。
○帆足委員 外務大臣の御答弁は、ただアメリカを信頼する信頼するという、信頼感からきておるので、いつかおとめ心と言ったわけですが、御答弁に積極性がない。というのは、与党の中でもそのことを心配しておるのですから……。アメリカ側の方で、それは同意を意味するのであるということを明確に言えばいいと思うのです。アメリカ側の方で誠意があれば……。日本の新聞も見ておるのでしょう。日本の国会議員も心配しているし、与党の中で有力な方も、この点だけは心配であるということを、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)松村さんや三木さんまでが言うておる。現段階ではあなたたちに押えられて黙っているだけであって、言っている。言っている以上は、アメリカ側がほんとうにその気なら、それは同意なしにはやらぬ、他国の領土を勝手に使うということは許されざることだから、そういうことは自由国としていたしませんということをなぜ明確になさらないのか。これは私どもの納得のいかない点です。というのは、これは日本の運命に関することであって、私たちの子供たちの命に関係のあることですから、国会議員としてこれをいいかげんにしておくということはできないのでしつこく言うわけですから、外務大臣も気を悪くしないで了とせられて、この気持をアメリカによく伝えて、アメリカから言質をとっておくということをなぜなさないのか、私は不思議にたえない。大臣の率直なお答えを願います。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、協議ということが成り立ちますためには、当然同意を必要とするわけでありまして、従って一向にそれについて誤解が起こるとは思っておりませんし、われわれはその立場において話し合いをいたしておるのでありますから、これで十分だと考えております。
○帆足委員 納得いきませんが、時間がありませんから……。 それから全権使節団が構成されたように新聞は伝えておりますが、団長はどなたになって、そして調印をされるのはどなたか、当然外務大臣だと思いますが、どういうことになっておりますか、伺っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 まだ最終的に閣議の決定を見ておりませんので、最終的にどういう構成になりますかは申し上げかねると思います。
○帆足委員 私はこの問題について新聞の伝えるところを見ますると、まことに不快な感じをして国民は見ておると思うのです。責任の所在は、よきにしろあしきにしろ当然外務大臣にあるわけですから、外務大臣は自重せられて、そうして国会において論議されたことなどを大いに主張し、そうして責任をとられるのが当然であろうと思うのですが、これは他党のことですからそれ以上内政干渉はいたしません。 次にお尋ねいたしたいことは、ソビエトのフルシチョフ首相から国際連合に対して、軍備全廃案の提案がありました。まさに今日の時代は、地球そのもの、人類そのものの安全をはからねばならぬという歴史の偉大なる日を前にしておるわけです。私はこれは人類の平和の夜明け前だと思っております。従来の歴史の法則も、これによって本質的な点において若干変わっていくのでないかとすら思うのであります。この提案に対して、世界各国はやはり非常に大きな反響を示しまして、そうして日本の新聞におきましても、読売新聞、東京新聞、朝日新聞、それぞれ論説にこの問題の重要性を取り上げておりますが、それに対して日本の松平大使から出ました軍縮案はあまりにも消極的過ぎるではないかという批判があります。特に朝日新聞、読売新聞、東京新聞等の指摘したところを見ますると、東京新聞では、とにかく自殺的な核戦争の危機に対処する人類の世論の目ざめが、平和に生きる別の道を見出したものとして、この問題を真剣に考慮せねばならぬ、こういうふうに論じ、朝日新聞は、特にわが国においては、原爆の試練を受けた日本が、日本憲法がまた戦争の放棄を宣言しておるという点において、軍備の全廃並びにそれを目標とした縮小について、格別の熟慮と認識を示すべきである、松平さんの演説中の片言隻句を取り上げてとやかく言うべきではないが、と社説に書いて、しかしこの切なる国民の願いや、気迫や、信念にいささか欠けるものあるを感じた、松平さんの演説を見て、そういう物足らない思いがした。また読売は、この問題は一時代前の軍縮会議とは違って、人類と文明が生き残るかどうかというそのせとぎわに立っての決定的な性格を持つものである、こういうふうに論じておりますが、私はこの提案に対する政府の認識がまだ浅く、この問題に対処する積極的な態度が弱いことを非常に残念に思います。ところがたまたまこのときにフルシチョフ首相から、多分各国の議会に対してと思いますが、門脇大使を通じてわが国の国会に対しても軍備全廃についての切なる提案がなされたということを新聞並びに雑誌で拝見いたしましたが、そのような文書の内容の全文を、私の記憶違いでありますか、まだ議員として外務省からいただいてないように思いますが、議長に対して、フルシチョフ首相から国会に対してどういうような文書があったのか、外務大臣から御説明を願いたいと思います。
○藤山国務大臣 議長に参りましたものにつきましては、国会が処理することでありまして、私どもの範囲の外にある問題だと思うのでありまして、そういう意味に御了承願いたいと思います。 日本が軍縮に対して非常に何か消極的といいますか、ということでありますけれども、私どもは決してそう思っておりません。むろん完全なる軍縮が、あるいは軍備の撤廃等が行なわれますことはだれでもが考える理想であろうと思います。ただ問題は、それをいかにしていかなる方法でもって実行していくかというところに一番大きな困難もあり、また解決していかなければならぬ問題もあるわけであります。従って撤廃という理想を申しますことははなやかでありますけれども、具体的に問題解決の方法を考えて参りますことは、実は非常にじみな仕事だと思います。われわれとして今日やはり核実験の禁止を要望もいたしておりますし、ジュネーブ会議においては、すでにこの面においては、相当ソ連とアメリカとが歩み寄りを相互にいたしております。ソ連も歩み寄りに進めて参ってきております。アメリカも相当歩み寄りの道を歩んできております。従って、これに期待いたしておりますと同時に、やはり十ヵ国の軍縮会議ができたわけでありまして、この関係当事国というものは、現在においては軍縮を一番大きく効果的にする国々が集まっておるわけでありますから、それらの者がまずほんとうに具体的な方法論を見つけて、そうして一歩でもその方に進んでいくことをわれわれは期待するわけであります。むろん当事国以外の国においても、それぞれ考え方を持っていかなければならぬことは申すまでもないことでありますけれども、しかし何と申しましても、当面一番大きな武力を持っている国たがやはり反省をして、その具体的方法を発見して参らなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
○帆足委員 フルシチョフ首相からの軍備全廃提案は、特に議長に寄せられたものにつきましては、われわれ議長に要求してこれを議員に配付していただきたいと思っておりますが、たまたま雑誌に発表されております翻訳文を読んでみますると、おおむね国際連合における提案と内容は同じものでございます。この文章をしさいに検討いたしてみますと、私はアイゼンハワー大統領とフルシチョフ首相が互いに平和について肝胆相照らし合ったという意味もわかるような気がいたしました。われわれにとって明るい情報と思いますことは、フルシチョフ首相が、今日の時代を戦車、バズーカ砲の時代と考えずに、ミサイルと原爆、水爆の時代と考えて、もはや一ソ連また一労働階級の運命について論ずべきときでなくて、地球と人類の運命について考えねばならぬということを述べて、それをフ首相もまた理解しておるということ、これは私はイデオロギーを越えて非常に慶賀すべきことであると思います。 第二には、国際連盟時代のいわゆるリトヴィノフ軍縮会議時代のことをいう人がありますけれども、あの時代にはソ連はまだ小さな国でありまして、隣にナチスまたムソリーニのイタリアなどをかかえておりまして、戦々きょうきょうとして、いわば戒厳令下の社会主義のような様相を呈しておりました。このときに出したソ連の軍縮案というものはできるだけ他国の軍備を減らしてもらって、自分に対する圧力をとにかく緩和しようというような気持もあったであろうことも想像されますが、現在は、軍事力に関する限りは、ソ連がアメリカに対して優位に立っておるというような状況になっておりますが、その優位に立っておるときになおかつその力を乱用せずして、アイゼンハワー大統領と話し合おうということは、私は率直に申して、これはわれわれも認識すべき点であろうと思います。 第三には、この軍縮案をしさいに検討しまして、最も日本が考えていいことは、日本の新憲法と大いに共通性がある。かつて新憲法ができましたときには、原爆の子としてできまして、原爆を思えば新憲法の意味がわかる、原爆を忘れればまた新憲法は空理空論に思える、こういう微妙な内容のものでございます。しかるにこのフルシチョフの提案は、もういっそのこと軍備の全廃まで進もうではないかといういうことで、四カ年間、藤山外務大臣の言われる現実に即した過渡期の措置を一応述べてあるのでございます。そうして将来は、諸国民は単に治安のための小さな火器を持つだけで、陸海軍、空軍の存在もなくなり、参謀本部も国防省も廃止され、外国領土の軍事基地も全廃される、それからまたもしアメリカがこれに賛成するならば、赤軍も解体していいとまで述べておるのでございます。私はこの提案を見まして、そのすべてをもってソ連の一方的な高等政策、戦略、戦術とまで断ずることはできないと思います。われわれ知識人の英知をもってこれを考えましても、これは考うべき問題である。従ってこの問題は当然外務委員会及び本会議において、席をあらためて十分審議すべき問題であるし、また情報を集むべき問題であるとも思います。私はアメリカにアイゼンハワー大統領のような偉大な頭脳が今日存在しておるということに対して、われわれは今日のアメリカのダレスの跡を継いだ、極東政策には反対ですけれども、アイゼンハワー大統領の偉大な大脳とその人格に対しては、敬意を表しておるものでございます。従いまして、本国会におきまして、この問題はやはり世論に訴え、立場を異にしておっても、大いにともに研究すべき課題でないかということを痛感いたしましたが、それに対して最初の政府当局の談話発表、特に川島幹事長の談話発表などは、まことにお粗末なものでございまして、それは平素御勉強が足りなかったのと、問題の意味を端的に把握することができなくて軽率な発言をされたのであろうと私は御同情申し上げておりますが、しかしその後外務大臣の御発言を承りますると、これより数歩前進して、今日の時代はいかなる時代であるかということについて御見識の一端も漏らされておるわけですが、私は、国連八十数カ国が賛成して、これから研究を開始しようとするこの軍縮会議に対しては、本委員会は格別なる関心と注意を払う必要のあることを痛感いたします。 さらに、フルシチョフの説くことで、従来の公式と違いますことは、軍備を縮小または全廃いたしますと資本主義社会が危機に陥るということはかつての公式であったけれども、それを国土の開発、民生の安定のために使うならば資本主義もまた若い命を取り返し得るであろう、国民から肯定される要素を発展せしめるであろうという意味のことも述べ、また年額一千億円にも上る軍事費が削減または全廃されるようになるならば、その余剰の生産力を東南アジア、いわゆる後進諸国の開発に向けることもできるであろう、またそれによって景気後退の道を転換して振興することができるであろう、こういうような論理を展開しておるわけですが、私はこれを通り一ぺんのものとして考えることは間違っておると思う。 御承知の通り、昨年の夏でしたか、ソ連から発射されたところのミサイルは射程距離一万四千キロ、そして途中にしかけがあって、北極に落ちたと消息通は伝えておりますけれども、それは優にワシントン——モスクワ間の距離の倍を、しかも十キロ離れた青バエの目を射抜くほどの正確さで進むものでございます。まさに空前絶後の時代に今日面しておることも事実であります。さればこそフルシチョフ首相がワシントンを訪問し、アイゼンハワー元帥がモスクワを訪問するということになったのだと私は思う。 従いましてもうこの辺でぼつぼつ、石橋さんや松村さんが北京を訪れるというのでなくて、やはり藤山さんが北京を訪れたり、モスクワに行ったり、また南北朝鮮に出かけていったり——共産主義者であるところのフルシチョフ氏がもうワシントンで一日じゅうテレビに出るという世の中であるのに、われわれの陣営では、国慶節があるから北京にちょっと行くのに対しても一カ月くらいすったもんだ政府と交渉しなければいけない。こういうことでは、他国の後塵を拝することになると私は思う。われわれは失敗して、戦争に敗れて貧しいけれども、しかし優秀な頭脳を持った民族であり、抜群の民族であることには間違いありません。この民族がいつまでもアメリカの官僚やからの配下に、また軍人ふぜいの配下に呻吟せねばならぬ理由はないと思うのです。私は与党も自信を持ち、野党も自信を持って、そして日本民族としての誇りを、青年諸君とともに、もう一ぺん平和の上に再現して、そして自分の外交はやっぱり自分の自主性を持って行なう。ちょうど日本の置かれている位置は、保守政党の立場に立って考えましても、イギリスとインドと、それからアメリカとのバランスくらいのところだと思うのです。インドのネール首相から軽べつされるようなことでは困るし、それからアメリカだけでなくて英国の意見もよくお聞きになったらいい。それは、最初外務大臣がこの外交政策を着手されたときに、カナダやロンドンに行かれて英国の真意をただした。私はあの態度はすばらしかったと思う。ところがその後だんだん後退しつつある。(「腹が減った。質問やめて飯にしよう。」と呼ぶ者あり)われわれは質問といっても、町やっこじゃありませんから、聞くんじゃなくて、自分の所信を政府に述べ、そして問いただすというのがよき国会議員の態度だと思う。呼び出しやっこで、ここで政府の態度をただしてみたところでしょうがない。諸君に聞いていただくことが光栄の至りであるのです。人間の叫びが外務委員会で聞けるということが、日本の外務委員会の誇りだと私は思うのです。 そこで、そういう見地から、この軍縮問題についてもう少し積極的に、外務大臣の積極的な態度を御要望したい。あなたが外務大臣に御就任なさったときのあのフレッシュな気分で、アメリカ一辺倒ではなくて、インドや英国の意見も聞いて平和の道を進まれるよう——今日では平和さえ守れば保守でも革新でも私はいいと思うのです。平和の道さえ守れば、国民は急いで革新政党に、あぶないと思えば必ずしも向かないと思うのです。保守政党でもりっぱにやっている国はあると思う。しかし、それに最も必要なことはやはり英知と理性と、それから国際情勢を正しく見る正しい目だと思います。従いまして、この軍縮問題について政府の態度がずっと消極的なように私は思いますが、一体外務大臣は新日本憲法の先駆的意味というものを公務員としてお考えになっておられるかどうか。それとも、日本の憲法はあれは空理空論だとお考えになることが現実政治家であると考えられて、軍備全廃などという叫びにはあまり深い御関心がないのか。私はあと一問だけですから、もう時間をとりませんから、一つ率直な御見解を伺いたい。
○藤山国務大臣 むろん、われわれは定められた日本の憲法の精神を体していきますことは、憲法があります以上当然なことでありまして、われわれとしてその精神を体してやって参っておるつもりでございます。平和が必要だ、また世界から軍備が撤廃される、完全軍縮が行なわれる。軍縮と申しますか、あるいは撤廃が行なわれるということは、これは人類の理想でありまして、われわれとしてもそれを望んでやまないことは申すまでもございません。従いまして、日本として国際社会に出て参りまして、二回の大きな世界戦争の跡を受けて、日本が平和に対する努力をしていく、それがまだ軍縮につながっていかなければ、その努力は達成されないということはもう申すまでもないことでございます。私は、おそらく、先ほどお話のありましたような、世界各国の英知を持った人はそのことを熱意を持って考えておりますし、日本でもまた同じことだと思っております。従いましてそれらのものを早く達成していくような方途を発見していくということが大事なことでありまして、お互いに猜疑心を持ち合いながら、それらの方途に対して妥協点を得られませんければ、問題の解決は選延していくのではないかと思います。でありますから、やはり具体的にそれを進めて参りますために、今日まで長い間のいわゆる軍備の競争と申しますか、あるいは人間のある意味からいえば本能の一つであったというような問題に対しての解決をはかって参ったのでありますから、やはりお互いに信頼感を持ちながら、その信頼というものは具体的な方法論の上に立って、やはり一歩々々信頼が取り返されていくということにあろうと思うのであります。でありますから、そういう意味において、われわれとしてはじみちな考え方を持ちまして、それが一歩々々達成されるように今後努力して参ることが一番適切な、またおそいようでも早い道ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。その意味においては非常なはなやかな場面は期待し得ないと思いますけれども、しかし、はなやかでないだけに、実効的な、実際的な道を歩んで参りますことが必要であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
○帆足委員 最後に、朝鮮人の帰還問題は超党派的な日本国民の御協力によりまして順調に進みまして、五十年にわたる植民政策の血と涙と恨みも、日本国民の御理解とその友情によって解消したとすら、帰還の朝鮮人諸君があいさつしておるような空気でございまして、このなごやかな雰囲気に対しまして私どもも心から感謝をいたしておる、また外務委員諸兄の御理解に対して深くわれわれも感謝いたしておる次第でございます。この問題につきまして、また現地の治安当局が非常な御努力をなされまして、緩急よろしきを得まして、特に新潟県の警察本部長の水野さんなどはそのために過労と心労の余り、あとは三日も病気で倒れた。しかし職務は完全に果たしたという状況でございますが、新潟県は御承知のように赤字の県でありまして、ただそこが港口になっておりますために、日本全国のような仕事をいたさねばならない、帰国問題については中心的な仕事をしなければならぬということになります。そうなりますと、韓国の李承晩殿がもう少し冷静になりますまでは、まだ警戒をゆるめることはできないというので、莫大な警察予算も要るわけでございます。それを新潟県に背負え。そうして地元の警官諸君は、だんだん朔風吹きまくるようになりまして、あられは降りみぞれは降り、その寒さの中でかぜに倒れる者も多い。それに夜食の一つも提供できないということでは困りますから、これは外務省の所管ではありませんけれども、外務省からもお口添え願い、きょうはそのことを感謝申し上げたいと、自治庁長官及び国警長官をお呼びしたのですが参っておりませんので、だれか連絡役に出てくれということを申しておきましたが、連絡の方はこの私どもの発言をよく聞いて、それをそれぞれの長官に伝えて、感謝の気持と同時に自余の措置ができるように、予算措置等に万全を期するように要求し、お願いいたしまして、発言を終ります。
○小澤委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十二分散会 ————◇—————