外務委員会 第11号
- 発言数
- 166 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/11/19
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関して調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。帆足計君。
○帆足委員 臨時国会でございますけれども、ただいまベトナム賠償問題も審議されておりますし、並んで安保条約の問題は仮調印されましたあとで審議いたしましてはよほど手おくれになりますので、与党野党を問わず、日本国民の幸福と国家的見地からこの問題を十分に審議を尽くして、そして政府当局には、国民の声でくむべきものは十分にくんでいただかねばならぬと思う次第でございます。御質問申し上げねばならぬことは、きょうの新聞社説等を見ましても山積いたしておる次第でありまするが、逐次順を追いまして大臣にお尋ねいたしたいと思います。差し迫っております安保条約の問題で国民だれしも憂慮いたしますのは、日本の基地を外国に貸しました場合に、それを通じて自動的に戦争に巻き込まれる危険はないか。また事前に協議するといいましても、戦争は人生の中で最も無情冷酷なるもので、ドライの極致でございますから、そういう緊急非常のときに、単なるアメリカ側の態度を信頼するとか、うまくいくであろうとかという程度のことでは心配にたえぬという各新聞論調などの指摘するところも、私は厳粛に与党、野党を問わず傾聴すべきことであると思います。先日の新聞報道で見たのでありますけれども、マケルロイ国防長官が安保条約の問題に触れまして、日本の担当すべき運命は、極東においてアメリカ国防の防波堤になることである、こういうことを言っております。私は、この長官の率直なる言葉を目にしながら、日本の子供たちのことを考えて憂慮にたえぬと思いました。国防の防波堤というのはいかなる意味でありましょうか。大臣はこの言葉をどう解釈なさるか、御所見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 マケルロイがどのような意味でそういう言葉を使ったのか、その前後その他のいろいろな事情もございましょうし、そういう点について十分な前後の知識を持っておりませんから、はたしてどういう意味で使ったかということは、私ども今申し上げかねると思います。
○帆足委員 アメリカの国防長官がこういう所感を述べておられるならば、日本の外務大臣もまたこれについて御所見を披瀝して一向礼を失することではないと私は思いますけれども、私はこの問題を論ずるにあたりまして、アメリカを日本の安全のために防波堤にするというならば、それは一考に値する問題であると思いますけれども、他国の防波堤になるということは——防波堤とは、この前の台風のときの惨害でわかりますように、まず防波堤がこわれまして、あとは助かるところもあるし助からないところもありますけれども、防波堤が前線で犠牲になるのでございます。まことに憂慮にたえぬ。アメリカの極東政策においてアメリカの戦略というものは、アメリカの安全を第一義とするのか、それとも日本の安全を第一義と考えるような立場に立たれておるのか、その点所見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 アメリカがどういうふうに考えておるかということはお答えしにくいと思いますが、しかし、アメリカはアメリカ一国というよりは、むしろやはり世界の自由主義陣営の有力な指導者の立場におきまして、世界自由主義陣営のそれぞれの国の独立が保たれるということを念願していると、そう考えております。
○帆足委員 私は大臣にお尋ねしたいのは、アメリカは世界政策として全体を考えるにいたしましても、これは当然アメリカの祖国はアメリカであり、われらの祖国は日本でありますから、アメリカは国防の第一義としてアメリカの利益を第一義にすると思います。そこで考えねばならぬことは、これは本委員会において私はたびたび指摘いたしましたが、安全という以上は二つの要件があると思うのです。安全の目的は祖国の安全であります。祖国の国土と国民の幸福でございます。これは超党派的な課題であると思います。しかしその場合に考慮すべきことは、第一には、今日の武器の水準でどういうことが考えられるかということと、もう一つは立地的な宿命としてどういうこを念頭に置いておかねばならぬということだと思います。日本がもしカナダかカリフォルニアとか、せめてサンサルヴァドルのような場所ならば、アメリカのふところの中にいてアメリカと運命をともにすることも私はできると思うのです。アメリカと日本と戦略的にも運命共同体ということはあると思う。しかし地図を開いてごらんなればわかりますけれども、日本はサンフランシスコを隔たる五千海里の沖合いでアジア大陸の真下にある四つの島です。その地理的宿命によりまして戦略を立てますときに、日本がいかなる地位に立つかということは火を見るよりも明らかでありまして、これがマケルロイが称しているところの、日本はアメリカの防波堤の役割を努めるであろう、言うなれば日本はアメリカにとっての前線基地、中継ぎ基地、補給基地並びに最終的には犠牲基地の役割を演ずるものであるということは、あまねく戦略家の一致した意見でございます。政治的には自由世界は共同体といい、それも私は主観的にはそう思っておるだろうと思います。また思想的にもそのように考えておるでしょう。しかし戦争というものは、政治と思想だけできまるものではなくて、きわめてドライな無情冷酷な一つの物理的な現象でありますから、立地条件というものを考慮に入れなければなりません。かって満州や朝鮮が日本にとって軍事的生命線でありました。すなわち日本の防波堤になった時代がありました。しかし今や日本がアメリカの防波堤となるということについて、私はその立地的宿命ということをよく考えて、深く注意するところがなくてはならぬと思います。そこで外務大臣はアメリカの極東戦略において、日本が軍事的に物理的に一体どういう役割を果たすことになっておるかということをお考えになったことがあるか。外務大臣は、安保条約というものを政治的、思想的のみならず、戦略的解点からこれを今検討しておるのでありますから、一応の戦略というものを外務大臣といえどもお考えになっていなければならぬはずであると思います。従いましてアメリカの極東戦略において、物理的、立地的に日本を極東軍戦略上どのように考えておるかということを検討なされたことがあるかどうか、御所見を伺いたいと思う。
○藤山国務大臣 ただいまお話しのありましたように、一国の防衛、独立、安全を保つということは、相当地理的要件があると思います。今日、日本の地理的要因というものは、やはり相当困難な状況下に置かれていると思うのであります。従いまして、日本が自分自身を防衛するという意味で、同じような考え方を持っているアメリカの力を借りるということは日本の政治家の立場として当然考えていくべきことだと思います。でありますから、その意味においてわれわれといたしましては、アメリカと共同して日本の自衛の力をふやしていくというようなことは、当然考えて参らねばならぬことであります。たまたまアメリカがどういう考えであるかということは、むろん考慮に入れる必要もあろうかと思いますけれども、しかしとにかくわれわれとしては、日本を守るためにどうしたらいいかということを考えてみますれば、アメリカの力を借りるということが当面一番必要なことだ、こういう観点から私どもは安保条約の推進をいたしておるわけであります。
○帆足委員 私が今お尋ねいたしましたのは、日本がせめてメキシコかカナダかサンサルヴァドルのような立地条件にある場合と、サンフフンシスコから五千海里も距たったアジアの真下の四つの島である場合とは、戦略的に全く違う状況に置かれておる。従って外務大臣にお尋ねしたいことは日本がカナダのような地位に置かれておることと、または今日のアジアの真下にある状況にあることと、戦略的にどう違うか、どういう点を戒心せねばならぬかということについての外務大臣の所見を伺いたい、こういうわけです。
○藤山国務大臣 たとえばカナダでありますとか、今お話しのようなメキシコでありますとかという国でありますれば、アメリカ大陸の、しかも北米合衆国に隣接した国でありますから、平素から必ずしも基地を供与し防衛の協力をいたして参らなくとも、戦略的にはそういう問題が起こったときに考えていけると思います。しかし日本のように、御指摘のように日本が太平洋を距てて五千海里も遠い状態にありますれば、やはり日本を守りますためには、平素からある程度の準備をして参らねばならぬことは当然なことだと思うのであります。戦略的にもわれわれはそういうように考えております。
○帆足委員 そこでお尋ねいたしますが、それでは外務大臣は今日の近代戦争、その戦略、戦術というものがきわめてドライであって、無情冷酷の極致であるということは御存じであるかどうかその認識をお伺いいたします。
○藤山国務大臣 戦争そのものが非常にドライであるということは、これは普通の平和と比べまして当然なことだと思います。しかも大量殺戮兵器ができております今日、なおこれが深刻化していることは、私もそう考えております。
○帆足委員 しからばそのドライな状況の中でこの戦略を論ずるにあたりまして、外務大臣は日本の安全と利益を第一義とお考えになるか、それともアメリカとのおつき合いのために、自由世界全体の共同運命のために部分の犠牲はいたし方ないとお考えになっておられるか。すなわち自由世界全体の利益のために祖国の日本を犠牲にしてもいいというような、そういう人生観を持っておられるのか、それとも今日の歴史の段階においては、われわれ日本人は何よりも日本の利益と幸福を第一義に考えねばならぬ、こういうふうにお考えであられるか、伺いたい。
○藤山国務大臣 ただいま帆足委員の御議論は、非常に極端な御議論だと思うのであります。われわれはむろん日本人でありまして、日本の平和と安全ということを第一義に考えることは当然でございます。しかしながら今日世界に国をしておりますどこの国にいたしましても、自国の安全が第一義であると同時に、しかしやはりこういうようなグローバルな戦争が起こり得るような時代には、世界の平和ということを念願して参りますことも当然でありまして、自国の安全というもの、そのこと自体がまた世界の平和にもつながっていくわけなのでありますから、極端に二つを割り切ってお考えになることはいかがと思います。むろんそれぞれの国の政治家、国民というものは自分の国の安全が第一であります。しかしそれはやはり世界の平和と安全にも通じているわけでありますから、そういう意味において世界の平和を念願し、それに協力するということは私は当然のことだと思います。
○帆足委員 私が今伺ったのはそういう常識論を伺おうとしたのではなくて、近代戦争の苛烈なる状況において、端的にわれわれは日本の国土の安全と国民の幸福を第一義と考えねばならぬと思う。もちろんその点については外務大臣も同じ認識であるということを聞きたかったのでありますけれども、ところが今度は具体論に入りましてお尋いたしますが、昨日あたりの外務大臣の御答弁を伺ってみますと、たとえば日本の基地からアメリカの極東軍が出撃するということは、それはもう直ちに宣戦布告にひとしい影響を日本に与えるものでありますから、日本国民は非常に憂慮しているのでありますが、それに対して外務大臣は、このような出動はどこまでいっても理論的には差しつかえのないことであるけれども、大体極東地域に限定されることが当然であり、望ましいと思う。奥地に出撃する、そういうようなことはあり得ないと思う。その他安保条約について文化人からの質問書の答えを見ましても、外務大臣の御答弁は、アメリカという国は、そもそも米国が無責任に軍事行動をとると考える前提に誤りがあると思う。米国がその名のもとに勝手な行動をとると考えることは間違いでありますと、ことごとくアメリカを絶対的に模範的な国のようにという前提のもとに、アメリカ人が人に迷惑のかかるようなことをするはずがない、こういうような御答弁でございます。私はこの答弁を聞きまして、今日の歴史の進化の現段階においては社会においても個人と社会との調整がまだ十分できていない。社会においてすらそれができていないときに、国と国との関係において運命共同体になるような高い道義は、まだ遺憾ながら人類に実現されていない段階であると思います。従いましてこの重要な安保条約の中で一番国民が心配しておる基地の貸与、事前協議の問題を審議するにあたりまして、すべての新聞も本日指摘しておりますように、ただ漫然とアメリカはそういうことをするはずがない、われわれはそれを信頼してよろしい、そうすることが望ましいというような表現を繰り返しておりますことは、まるで乙女の祈りを聞くような思いであります。われわれは今ここで音楽会を開催しようとしているのではなくて、国の国防について厳粛な問題を論議しておるのでありますから、そのような漫然たる御答弁で満足することはできません。従いましてまず第一に事前協議の際に、しかも最もドライといわれる緊迫した軍事状況のもとで行なわれるこの協議に、せめて拒否権があること、同意を必要とするということを文章の上に書くことがなぜできないのか、文章に書いてもほんとうの戦時状況の寸前にはそれすら無視されるというのが、残念ながら歴史の今日の段階における予想し得る危険性であるのに、その点すら明らかにされていない。拒否権があり同意を必要とするということが当然であるならば、この証書の上に明文をもって書くことが当然のことである。それをアメリカ側が避けておるということは一体どういう理由であるか、これを伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 私は、むろん個人社会におきましてもすべての人が神様のようだということは考えておりません。国際社会においても仏様や神様のように完全無欠なものがあろうとも思いません。これは要するに比較の問題でもあろうかと思いますが、しかしとにかく今日の時代においてアメリカをわれわれは信頼し得る友邦の国として考えております。今回の条約におきましても、アメリカとしてはむろん国通憲章を尊重し、その範囲内において行動することを約束いたすわけであります。今回の条約ばかりでなく、アメリカの行動は原則としてそれにのっとっておることは申すまでもないでありまして、しかもアメリカが今日の立場において世界の指導国家としてできるだけその行動を慎んでいくということは、われわれは信頼して参らなければならぬと思います。そういう前提のもとにおきましてわれわれはアメリカと協力をして参るわけであります。でありますからわれわれとしては、むろんアメリカを信頼していくということを前提として考えております。しかし事実問題としていろいろな場合に日本が協議をして、そうして必ずしも意見が一致しない場合もあろうと思います。見方の違いもあろうと思います。そういう場合には十分協議をして、それによって行動していくということは当然のことだと思うのでありまして、今回の安保条約においてもそれぞれの協議の方法を尽くしておるつもりでございます。また協議にあたりましては、協議が成立するためには同意を必要とするということは当然のことであり、両者の意見が一致しませんならば協議が成立しないのであります。その意味において協議がととのうという必要があるわけでありますから、私どもは協議がととのわなければ実行されないということを信じておるわけであります。今回の交渉にあたりましても、話し合いの前提といたしまして、協議が成立するためにはやはり意見が一致することが必要だという前提のもとに立ってこれをやっております。従って私はその前提で用いられております協議という言葉で十分足りる、こう考えておるわけであります。従って特に今文書というようなものでそういうことを書き表わす必要はないというふうに考えております。(「明決」と呼ぶ者あり)
○帆足委員 その点についてお尋ねしたいのですが、国民のだれしもが心配しておって、与党の前大臣である三木さんまでが、この問題についてはやはり同じ心配をして、事前協議には当然のことながら拒否権が含まれているということ、その当然のことながらこれはアメリカ政府との間に明確にしておくことは絶対に必要と思うと言っておる。これは私は与野党を問わず愛国の同僚議員諸兄はすべてこの問題を当然心配しておると思う。従ってただいま言われるごとく明快であるならば、なぜこれを文章としておこうとなされないのか。友人関係でも、かりに一万円のお金を貸借するのですら、ちょっと名刺へでも一万円お借りしましたと書いておく、君との間で水くさいじゃないかといいましても、かたい人間ならばちょっと名刺の裏にでも書いておく、これが私はおきてだと思う。ましてや国の運命に関するような重大なる事項について、もし同意できないときはどうするか、協議ととのうという意味は、同意を得たという意味だ、そうして賛成できないときは拒否することもできるというならば、当然条約に書いておくべきだ。外務大臣はひたすら信頼する、またもや乙女の祈りで、ただ信頼するというだけでなくて、それを文章に書くということをなぜアメリカ側に交渉されないのか、交渉したならそれについてアメリカ側はどういう答えをなされたか、それを伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げたことで尽きておると思うのでありますが、われわれとしてはそういう前提のもとに話し合いをいたしまして、そうして交渉をいたしておるわけでありまして、現在文書に書く必要はない、こう考えております。
○帆足委員 そうすると、外務大臣はアメリカの意見は聞かないけれども、文章にする必要はない。自分はアメリカを信頼しておるから必要はない。そうするとアメリカにこれを交渉するお気持もないわけですか。
○藤山国務大臣 われわれは前提としてそういう話し合いをし、その話し合いの上に立ってただいま交渉をしておる。そうしてそれによって話をまとめるということなんであります。現在文書にそれを書いておくということは考えておりません。
○帆足委員 これだけこの問題が国会で論議になっておるとするならば、そうしてまた日本の立地条件からして、アメリカの国防省が、日本はアメリカの防波堤として使うのだ、こういっておる状況のもとで、日本国民が心配するのは当然なことでありますから、アメリカが自分のことを考えると同時に、相手国のことをも対等に考えるというだけの見識を持っておるならば、あなたの方が同意しないときはわれわれどうすることもできません、一文入れてけっこうだ、こうアメリカ側が言うべきだと思う。国会で大いに突っ込まれ、またきょうの新聞の社説にも出ておりますが、世論あげてこの問題を心配している。しかるにまだアメリカと交渉もしていないというのは、外務大臣としてあなたの態度はおかしいと思う。これは外務大臣として言いにくかったら、これでは野党がとてもおさまらぬ、こういうあいまいなことじゃ国会がおさまらぬといってわれわれの責任にしてけっこうですから、文章としてこれを書くように御努力なさるのが、現在政権を持っておる政党の任務であると思いますが、外務大臣の御所見はいかがですか。
○藤山国務大臣 繰り返して申し上げますけれども、私はただいま申し上げたようなことで交渉をいたしておるわけでありまして、御意見としては承っておきます。
○帆足委員 この点については、われわれまた国民の世論も本日の外務大臣の御答弁では釈然としないであろうと思う。こういう重要な問題があいまいなままで安保条約が仮調印されるなんということは、私としてどうも承認できないし、国民の世論もこれを承知しないであろうことを私は確信いたします。 第二に、この問題につきまして、さらに事前協議によりまして米軍が出動するということになりますと、これは自動的に戦争状況に入っていくことになるわけです。私はこの点を憲法との関係において心配するのでありますが、日本の憲法は御承知のように原爆の子としてできました。二発の原爆のショックのもとにできた憲法でありますから、小銃、機関銃の時代を考えますと、これは空理、空論であります。二発の原爆ができまして、しばらくの間数カ年平和の時代が続きまして、日本国民も日本憲法の重大なる先駆的意義を忘れかかっておりました。確かにこの憲法は宗教的、象徴的と言ってもいいほどの何物かを持っておる憲法でございます。しかしその後原爆が水爆となり、ジェット機がミサイルとなり、人工衛星の時代になりましたことによって、再び世界は新日本憲法の象徴的意義について、その先駆的意義について再認識をしようという段階が今追っております。ソ連につきましての批判は、ソ連の歴史を詳しく調べ尽くしてでなければ簡単に論議できませんけれども、そのソ連が今や軍備の全廃を主張するに至りました。さらに、先日のフルシチョフ首相の演説を見ますると、時と場合によっては赤軍を解体してもいいとまで発言しております。この発言に対しましては世界の良識ある世論も、そのフルシチョフの言葉に含まれておるところの誠意そのもの、人工衛星、宇宙世紀時代のあけぼのが来つつある、その何物かをみな感じ取っておるような今の状況でございます。こういうときに、今新日本憲法というものを振り返ってみますると、当然この先駆的憲法には宣戦布告の文章がありません。講和についての規定もないわけです。従いまして外務大臣にお尋ねいたしますが、まず自衛隊が出動いたしますときには、国会の決議を経てのみ出動できるようになっておりますが、同時に、自衛隊法の第六章によりますと、「特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」しかし「前項但書の規定により国会の承認を得ないで出動を命じた場合には、内閣総理大臣は、直ちに、これにつき国会の承認を求めなければならない。」こういうことになっております。自衛隊の場合はそうでありますけれども、しからば米軍が日本の基地を利用して極東の平和と安全のために出動いたしますようなときには、——第一にお尋ねいたしますが、緊急非常の場合に出動いたしますとき、かりに百歩を譲りまして事前協議で同意をしたりと仮定いたします。そうすると、直ちに米軍の出動となりますが、それと国会との関係、憲法との関係はどういうふうになりますか、お尋ねしたいと思う。これも外務大臣から承りたい。
○藤山国務大臣 日本の自衛隊が行動いたしますことは、今お話しのあった通りでございます。米軍は日本の憲法上の制約は受けておりませんから、日本の国会にかけるというようなことはむろんございません。
○帆足委員 私は、これは驚くべきことを今承りつつあると思います。と申しますのは、事前協議の結果、日本の基地を利用してアメリカ軍がかりに金門、馬祖の戦いのために福建省なり北京なりを爆撃したといたします。そうすると、従前と違いまして今度ははっきりした相互援助の条約——安保条約が強化されるのでありますから、当然日本の基地は相手国側からの報復爆撃の対象になるわけです。自動的に戦争の中に巻き込まれていくことは必然であります。従いまして、この事前協議によって出動するのはアメリカ軍でありますけれども、戦争に巻き込まれることにおいては、自衛隊が出るのと五十歩百歩でございます。こういう重要なことがただ事前協議の二、三の大臣と、敗戦のエキスパートたるジェット機の専門家諸君によって行なわれることは、一体国会はそれに対してどういう立場に立つか、憲法はそれに対してどういう立場に立つか、私はおそるべきことであると思います。これは新日本憲法が第九条によって、国際紛争の解決の手段として戦争を否定し、軍備否定しておりますから、当然宣戦布告並びに講和についての詳細な規定をいたしておりません。この間隙に乗じて、他国に祖国の運命をゆだねるという結果になるのでありますから、ただいまの外務大臣の御答弁はまことに私は重大なことであると思います。すなわち米軍が日本の基地から出撃いたします場合に、日本の運命は事前協議の委員会に握られておって、国会はこれに対して発言権はないのでありましょうか。今晩にもあすにも報復爆撃を受けるというような重大な問題に祖国が巻き込まれるのに対して、事前協議のそういうささたる委員会が国の運命を握ってしまって、国会の許諾なくして、日本から戦端開始とも思われる出撃が始まるということをわれわれは黙視できるでしょうか。これは外務大臣のもとにおいても再検討をお願いしますが、重ねて御答弁をお願いいたします。
○藤山国務大臣 ただいま御説明申し上げた通りでありまして、むろん委員会自体がこれを決定するというよりも、そのときの内閣がこれは当然責任を負って決定しなければならぬもので、委員会だけでもむろん決定するとは考えておりません。委員会に出ております者は、内閣の意思で動いていることは当然でありまして、委員会の一、二の人だけの責任でその話ができるとは考えておりません。
○帆足委員 私はこの外務大臣の御答弁を伺ったならば、一億国民全部が鳥はだになって心配すると思います。内閣がそれに介入することは当然のことでありましょう。しかし国会はどうなるのですか。それで、私はさらに具体的にお尋ねいたします。自衛隊が、緊急非常の場合には、国会の承認を経る前に緊急事態として飛び立つことがあり得る、その場合には直ちに国会を召集して、国会が、それを妥当でない、また祖国の運命にとって危険であると認めたときは直ちに自衛隊を召還する、出動を取りやめる、こういうふうになっておるのでございます。事前協議並びに内閣が軽率にも米軍の出撃を許した、そのときは国際情勢は緊迫し、暗雲立ちこめてただならざる気配のときで、場合によっては内閣といえども判断を誤ることがありまして、国民のまた国会の判断と違った結論を下した、国会は直ちに当然召集されねばならず、その国会が、それは妥当でないと認めたときには、自衛隊の出撃を直ちに取りやめさせることができる。しかし米軍がすでに出動したときには、だれがこれを取りやめさせることができるか。しかも米軍の司令部は祖国アメリカの安全を基準としてすべての戦略を立てておる。日本ははるか五千海里を隔てた顔の色の黄色っぽいアジア人であって、そしてアメリカの防波堤となるがよろしい、偉大なる自由主義の連合のための貧しい防波堤となるがよろしい、自由の永遠の大義のために一日本民族のごときは廃墟となってもやむを得ないと、当然アメリカの参謀本部の司令官としてはそう思うでしょう。そういうような戦争の一環の米軍出撃に日本が巻き込まれたときに、今外務大臣は、そのときは当然内閣も参与するであろうと言われましたが、国会は直ちに召集しますか。国会が賛成しないときはどうしますか。外務大臣に伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 現実問題として、その当時の内閣が事態に対応するために国会を召集するなり、あるいはどういう手続をするか、どういう形において国民にそういう事態を認識させるかということは、そのときの政府の政治的責任において行なわれるものと思います。
○帆足委員 私は、いたずらに政府を攻撃するわけでありませんけれども、これはやはり原爆戦争に破れた日本として、永世の平和を誓った日本としての憲法の建前から、こういう問題についての詳細な規定がなかった。そこにまたアメリカとの軍事同盟を作ることについて大きなギャップがあるのでありますから、この問題については、米軍出撃の場合に、憲法になく、法律になくても、日本政府としては直ちにどういう措置をするかということを一つ御相談なさって、事前協議、内閣、国会、憲法の関係について、この次に明解な御答弁をお願いしたいと思います。制度的にどうするか……。
○藤山国務大臣 補足して御説明申し上げておきますけれども、米軍の出動は、むろん国連憲章に従うわけでありまして、そうした出動がありました場合には、安保理事会にも報告されて、その決定に従うこと、これは当然のことであります。従って、そういう意味におきましては諸般の手続は対外的にはやります。
○帆足委員 委員安保理事会にかかるのはカ月もニカ月も後のことで、すったもんだしている間にその地域はもう廃墟になってしまうというのが今日の実情です。外務大臣はアメリカのすることはまあ信頼してもいいと言われますけれども、私は、他国の信義についてとやかく申したくはないけれども、日本の運命に関する問題ですから、歴史の事実に徴して申し上げますと、人類の歴史の発展の段階は、まだ外務大臣の言われるほど各国家は利他的ではありません。各国の政府は、みづからの国土と国民の安全をもって第一義としている時代です。まだそこまで来ておりません。(「ソ連だってそうじゃないか」と呼ぶ者あり)ソ連だってそうでしょう。中国でもそうだと思うのです。従いまして、私は、この議論には保守党の諸君こそ賛成して下さるが論理的筋合いだと思うのです。たとえば、英国はスエズ運河を爆撃しました。アメリカはヨルダン、レバノン問題等で国連から譴責処分を受けました。危険な国として、不当なる侵略として国連の大多数によって昨年弾劾を一応食ったことは御承知でしょう。世界のいずれの国といえど完全に理想的な国というのはないというのが歴史の現段階です。金門、馬祖の問題については、もう私どもよりも藤山大臣の方がよく御存じです。英国の見解がどういうものであったか、台湾については多少の問題はあるけれども、金門、馬祖は、日本で言えば大島みたいな場所である。金門、馬祖に関する問題は当然中国の内部の問題である。アメリカがこの問題にかかずらって戦端を拡大することには、フランスも英国も反対でありました。安保理事会には、問題がもう紛糾したあとの祭りに多くの場合かかるのでありますから、ただいま外務大臣は、今日は国際連合が監視し、その集団安全の方向のもとに行うのであるから心配要らないと言われましたけれども、私は、現実の問題とは大した関係のないことであると思います。その具体的一例を、殷鑑遠からず、近くに求めますと、マッカーサー元帥がトルーマンの一般政策にも反して鴨緑江を越えようとしたときの状況はどうですか。まさに板垣関東軍司令官と同じように、出先の軍部が力を持ちましたときには、アメリカの大統領、国務長官ですらそれを押えることは容易なことではない。しかし、あのときは、御承知のように英国労働党の時の外務大臣のモリソン氏が、日本と満州との間に、中国東北地方との間に相互に爆撃が行われることになると、中国と日本だけが犠牲になる。モスコーも安泰であり、ワシントンも安泰である。それに対して毛沢東首相はこう申している。もし満州爆撃が始まり日本爆撃が始まるならば、アジアは犠牲になることはないであろう。ソ連は直ちに立ってパリを襲撃し、必要ならばテームズ川に原爆を投下することもやむを得ないというような状況に当時なりました。英国労働党内閣は心配して、そしてトルーマン大統領に書簡を送り、トルーマン大統領は、危険なる将軍として辛うじてマッカーサー元帥を罷免することができた。ちょうどあれから数カ月後に鈴木委員長がロンドンに参りましたときに、外務大臣は、鈴木さんに、君、私に感謝の晩餐会をせねばならぬよ、と言ったそうです。為替の割り当てを幾らももらっていない貧乏なる社会党の党首に晩餐会とはこれいかにと尋ねますと、君、一年前のあのときあの瞬間、マッカーサ元帥がもし鴨緑江を越えていたならば、今ごろ日本は廃墟となっていたであろう、満州と差し違えて。そのとき日本を救ったものは英国市民の良識であり、われわれ英国市民の良識を代表する英国労働党内閣のモリソン、私であった。しこうして、あなたは数日内に感謝の晩餐会を日本国民にかわって催して、料理屋のつけは当然あなたが払われなければならない。私は、これはもう近い例だと思うのです。戦争というものはこういうものです。藤山外務大臣は良識ある実業界出身の大臣であられながら、ベトナム問題と安保問題とは荷が重過ぎる。藤山外務大臣の合理主義的な論理体系に対して気圧と風圧とがどうもそぐわない状況であって、そのために外務大臣の答弁は精彩を欠いていると思う。元気がないと思う。国民の心を感動せしむるだけの迫力を大臣の御答弁は持っていない。私は、与党の自民党の諸君ももう少し考えていただいて、せめて安保条約を、われわれは全面的に反対ですけれども、しかし、保守党としておやりになるにしろ、せめて英国の保守党くらいの良識を持ってやっていただきたい。それには、すべての報道機関が率直に指摘しておるよう、また、与党のうちの合理主義的な考え方をする方たちが心配されておられるように、事前協議の問題と基地出勤の問題については幾多の疑義がある。国民のすべてが安心するまでこの問題は徹底的に討議し合って、保守といい、革新といい、立場が違いますから最後は議論の分かれることはいたし方がありませんけれども、民族の運命は今日の時代では一つです。民族の運命は一つの共同体になっております。原爆と水爆、ミサイルが人工衛星に変わった時代でありますから、従いまして、国民が安心して寝れるような程度に、せめてこれをもっと明確にしていただくことが必要だと思います。ただいまの事前協議の問題につきまして、それでは外務大臣は、米軍出撃の事前協議の場合に、まず事前協議の機構をどうお考えになっているか。第二には、それは文書で通達されるのか。期間は何日くらい論議されるのか。それから、内閣との関係はどうであるか。国会との関係はどうであるか。国会が否決したときにはどうするか。この七つ八つの問題について正確な御答弁を願いたい。
○藤山国務大臣 条約ができまして、条約運営に必要な諸機関の整備をして参らねばならぬことは、当然でございます。従って条約調印あるいは成立と同時にそういう機関の整備というものを定めて、そうしていくことにわれわれは考えております。従って現状においてまだコンクリートな、最終的なことを内閣でもきめておりませんししますから、ここで軽率に申し上げることはいかがかと存じますけれども、一応現在の日米安保委員会というものが、ああいう形において一つの機関ができるということは想定されるわけであります。ただそれらのメンバーについてどういうふうにあんばいしていくかというような問題については、まだ最終的に決定はいたしておりません。今後の問題として決定をして参ります。むろんこれらの委員会に出ます者が、内閣を代表しまして出てくることは当然のことであります。内閣の関連においては強いつながりを持って、日本側から出ていきます委員というものは規制されて参る、これは当然のことだと思います。その他の協議機関につきましては、それぞれ下部的と申しますか、あるいは軍事的と申しますか、いろいろな協議体制が、むろんそれぞれの立場において機関として構成されることになろうと思います。日本の場合におきまして、内閣が国政全体の責任を持っております。従って内閣がどういうふうにそれらの問題を扱い、それらの処置について必要適切な処置をとるかということについては、そのときの状況によって、ある場合には国会を召集する場合もございましょう、ある場合にはしない場合もございましょう。それらのものは適当にその問題の内容によって、あるいはそのときの現実の問題として考えられる問題だと思います。
○帆足委員 国会と事前協議との関係が明確でないですが、たとえばある場合には開かない。北京、福建省の爆撃が起こっておりましても、そして直ちに国会を召集して同意なり批判を求めるということはなさらないわけですか。それは内閣のそのときのお気持で、国会に諮ろうと諮るまいと自分の気持次第、こういうことになるわけでございますか。
○藤山国務大臣 そういう事態に対処して、内閣が政治的責任を持っておるわけでありますから、その責任を遂行するためにどういう処置をとるがということは、そのときの内閣の決定すべきことでありまして、現在の場合にそれを予想していろいろ申し上げることは不適当だと考えております。
○帆足委員 私は懸念にたえないのですが、自衛隊の場合には遠く出撃することができない、しかし米軍の場合には、大臣の御答弁は昨日来いまだあいまいです。私は、極東平和のためだから、従ってあまり遠くへ行けないというふうに大臣は御修正になったと思いますが、今日の武器はミサイル、ジェット機です。ジェット機からミサイルに移るでしょう。今グラマン、ロッキードを買うことなどを御審議になっておられるそうですが、私は先年何百機の時代おくれのジェット機がパリの郊外で雨ざらしになっておる姿を見て驚きました。今日ジェット機はもう時代おくれで、一昨年をもってほぼ主流は生産を停止しております。今ジェット機をどこかの弱小国に売りつけようとすることは、日露戦争の大勝利のあとに、日本の軍閥と死の商人が時代おくれの三八式小銃をシャムに売りつけようとしたのと私は大同小異であろうと思っております。ジェット機は、ミサイルにもう基本的に今移りつつあります。するとミサイルは当然非常に長距離の先まで爆撃する、こういうことになるわけでありますから、自衛隊よりもはるかに危険なものです。その活動範囲も広範なものです。それが国会の承認も得ないで、そして事前協議委員会だけできまるということに対しては、われわれは絶対に承服することはできません。この問題はきわめて重要でありますから、われわれ側ももっと検討し、また政府側としても、もっと突っ込んで責任がある御答弁を願いたい。同時にお尋ねしたいことは、出撃したところのそのアメリカ軍に対して、今度は情勢が変わったから、もうここらでやめろと言う権能は事前協議委員会、ないし内閣、国会にそのときはあるのですか。日本側としてはもう爆撃を受け、危険な状況になり、そしてもうそういう必要はないとかりに認めた、しかるにアメリカは、軍部は軍部としての独自の神経を持つでしょうし、独自の力も持つでしょう。従いまして、またアメリカ内部の政治力の所在いかんによっては極端なことをし、中庸の道をとるか、いろいろあるでしょう。そういう関係でアメリカ軍部が先に先ばしってしまう。予想した以上に先ばしってしまって、事態いよいよ険悪になってくる。そのときにはそれはもう日本の国策に反するからやめてもらいたい。自衛隊ならばこれを召還する権能が与えられておりますが、アメリカ軍に対してそれを言う権能があるかどうか、あるいはまた軍司令官が板垣関東軍司令官のような性格の者であって、事々にアジア人をばかにして常軌を逸した行動に移るおそれのあるような将軍であった場合に、その更迭罷免を要求する、友軍であるならばそれを助言する権利があるかどうか、そういう点についてお尋ねしたいと思う。
○藤山国務大臣 われわれは日米安保条約を友好国、信頼のできる国としてアメリカと締結しておるのでありまして、そういう権利があるとかないとかいう問題ではありません。当然日本の平和と安全を維持し、極東の安全と平和のためにわれわれは友好国と信頼を持ってこの条約を締結するのでありますから、日本が必要の場合には日本の意見を言ってそれを聞いてもらうことは当然であり、またそういう意味において話をするわけでございます。何か権利を持っておるとか持っていないとかいうような問題とは、私は違うと思います。また今回の協議におきましても、今のように終結の時期等につきましても、相談はできることは当然でありまして、それらの問題について両国政府の責任において相談をしていくことになろうと思います。お話のように、アメリカの軍部内にも極端な人がいる。しかし先ほどお話がありましたように、アメリカの政府はそういう人を更迭させることもできるのであります。アメリカは御承知の通り軍よりも文官の方が優先しておるということから見ても、そういうことがいえると思うのであります。
○帆足委員 事はきわめて重大でありまして、日本の防衛の戦略上の見地から、もうこの辺で一つ出撃はやめてもらいたい、これ以上行けば今度、日本はアメリカのショー・ウインドーといわれておりますが、ショー・ウインドーはこわれても、アメリカのお座敷は残るでしょう。アメリカはますます好景気、軍需景気、そしてますます勇気百倍、そしてわれわれは疲れ果てて、アジアの空気も必ずしもアメリカに有利でない。そこで国会の空気、国内では政治的な観点もいろいろ世論とともに変わってきておる。そしてこれはやめたい、そういうときにやめる権能があるかどうかということをお尋ねしておる。同時にまたお尋ねしますが、今度講和をしたいというときに、講和はどういう手続になるわけですか、お尋ねしておきたい。
○藤山国務大臣 御承知の通り、今回の条約は自衛のためにあるわけでありまして、国連憲章にも従っておりますように、侵略の戦争をするなにはございません。従ってたびたび申し上げておりますように、行動が起こされれば国連にも通報いたしまして、安保理事会の決定にも待つわけであります。でありますから、そういう状態のもとに——私は法律にあれですから、講和というものはどういう法律的なあれなんだという御質問には、条約局長からお答えをいたさせます。
○高橋政府委員 そのような場合には問題は国連に係属すると思いますから、すべて国連の措置に従って措置されることになると思います。
○帆足委員 日本の基地からアメリカが出撃する、そして当然日本の基地は爆撃を受けなければならぬ、アメリカ軍の基地が爆撃を受ければ、それに対して日本の自衛隊は協力して出撃する、こういうような順序に安保条約はなっておるわけであります。しかも講和について別に何も考えてない、これはまことに危険なことだと私は思うのです。ただいま大臣から伺いましたことは、基地出動について要件が私は不十分だと思う。それから事前協議について全く自主性がない。国会との関係は全く無視されている。途中で戦略が変わった場合に、われわれはただアメリカの善意にたよる、講和についても何らはっきりした自主的な主権の発動権を持っていない、まことに国民として憂えざるを得ないことであります。外務大臣から聞かされたことは、アメリカを信頼する、おとめの祈りを伺っただけだ。おとめの祈りに国の運命をまかせることはできない。メイドンズ・プレヤーです。そこで私はこの問題につきましては、新日本憲法自身にも問題があると思うのです。やはりこれはジェット機の時代からミサイルに移り、原爆、水爆の時代でありますから、歴史は今大転換期に臨んでおる。最初の二発の原爆を食らったそのショックのときに、マッカーサー元帥ですら奥さんを振り返って、職業軍人の時代はもう過ぎたね、こう言ったそうです。これを台所で言ったか、サロンで言ったか存じませんけれども、マッカーサーが「日本国民に与える」という論文をその次の年のリーダーズ・ダイジェストの六月号に書きました。それには、今や原爆の時代である、日本はソ連につこうとアメリカにつこうと、火中のクリを拾うならば焼き滅ぼされるに違いない。日本国民が今後どう生きていけばいいか余に問うならば、余の良心において答えよう、日本よ中立を守れ、アジアのスイッツルたれ、と書いている。これが当時のマッカーサー元帥の本音であったわけです。原爆のショックが全人類の良識をゆさぶっていた時代に、この新憲法が生まれた。今私たちの時代は原爆が水爆に移り、ジェット機はもうミサイルに移っておりますから、今人類の夜明け前ともいうべき重要なときで、まことにこの和戦の問題については悩みの多い、矛盾の多い転換期だと思うのです。従って手数百万票を得、三分の一の議席を得ておる日本社会党が、勤労者の代表の党が、平和の党がこぞってこの安全を心配しているという、この気持を与党の諸君にも私はくんでもらいたいと思う。そういう観点から聞いていますと、ただいまの大臣の答弁は、私は保守党の立場から考えてもまことにたよりないと思うのです。(「それより分烈しないようにしたらどうか」と呼ぶ者あり)祖国日本を心配しているのです。分裂の問題など蝸牛角上の争いです。今ここで論じているのは、祖国の運命についてお互いに語り合っている。きょうの新聞をごらんなさい。だれ一人として心配していないものはない。このようなあいまいな御答弁と、あいまいな条文のもとに、敷島のやまとの国といわれたほどの日本の運命を、ただアメリカの良識と信頼にまかせる、そういうことはわれわれは断じてできません。与党の諸君がお笑いになるなら、お笑いになるがよろしい。それはおっかさんの名を恥ずかしめるものです。日本の母はそういう子供の教育はしていないはずです。 時間の関係がありますので、安保条約の問題はこれからいよいよ本論に入るわけですから、私はこれだけにとどめまして、あと二つだけでございますからお許しを願いたい。 それでは在日朝鮮人の帰国の問題について一、二お伺いしたいと思います。この問題につきましては、政府当局も人道に即して、この困難な国際状況の中で問題を実際的に、かつ円滑に処理下さいまして、われわれもまた超党派的にいささか御協力することができたということを御同慶の至りに存じております。さてこうなりますともう、きまりました通りを和気あいあいのうちに、法律秩序を守って気持よく朝鮮の諸君が、ふるさとに希望者が帰られる、これだけの問題であると思うのです。そこでただいま六十万の朝鮮人のうち七割五分見当の方々は、朝鮮総連に大体所属しておるのでございますから、それらのうちの大部分、十二、三万の人たちがふるさとに急ぐということになっておりますので、その世話役の諸君と超党派的にいろいろ事の円滑化のために懇談いたしましたところが、帰国朝鮮人側も政府並びに日赤の御誠意を大へん喜びまして、まず第一に、過去において植民地政策の破綻のあとですから混乱もあり、相互にいやなことがあったけれども、今後は清らかな気持で相互の理解を深め、友情と平和を厚くしたい、従いまして日本にとどまる朝鮮人の人たちも日本の憲法と法律を守って、よき隣人として生活するように自分たちも協力したい。さらに、ふるさとに帰る人たちは集団秩序を守って、和気あいあいの雰囲気のうちにふるさとに帰りたいので、南朝鮮の韓国居留民団系の一部の人たちが騒ぎを起こしましても、終始無抵抗主義で、すなわち、いわゆる南北衝突、けんか両成敗というような、兄弟けんかのようなことでなく、一部の人が騒ぎましたところで全部無抵抗主義で、平穏に法律秩序を守っていくようにいたしたい、こういうような申し入れがありまして、私どももその心持を大へん喜んでおる次第でございます。 このようなときに、李承晩側の方では、あくまで北朝鮮への帰国を妨害するという声明を外務大正臣が公然と発表して、それに呼応するごとく相当額の軍資金が流れておるということでありまして、その出来高払いの諸君が、時としては百名、二百名、また三百名見当が限界で、至る所で暴行をほしいままにし始めておるという状況でございます。先日豊島公会堂で約千人近くの帰国希望者及びその親戚たちが、きわめて和気あいあいのうちに帰国祝賀会を催しましたのを、二百名前後の居留民の出来高払いの諸君が取り囲みまして、それにまた一部の日本の右翼暴力団が参加いたしまして、トラックに乗ってマイクで怒号しながら、会場になだれ込もうといたしました。朝鮮の帰国者諸君は、ただいまのような方針をとっておりますので、全部静粛にしてもらいたいということで、ただ表に二十人ばかり青年諸君が入口で中に入れないようにピケを張りまして、中は平静に議事が進んだのでございます。するとその暴力団の諸君はその表で入口を守っておる青年たちをゴボウ抜きに引っぱり出しまして、暴行を加えまして、数時間にわたったのでございます。警察当局は、最初の経験でもありましたせいか、最初のうちは拱手傍観なすところを知らず、新聞記者の諸君の中からも、通行人の市民の中からも、あの姿はあまりにひどいではないかということで、私のところへ電話がかかりました。私は直ちに外務省に御連絡し、警視庁に御連絡いたしましたところ、公安第一課長がおられまして、それは直ちにしっかりした措置をとりますからという、きわめて懇切な御返事で、一時から問題が始まりましたが、三時以後は警視庁の方も適切な措置をして下さいまして、後半はすべて順調に事なく済んだのでございます。一部にはあやまって、南北鮮衝突、けんか両成敗と伝えられましたけれども、当時すでにそうではなくて、帰国朝鮮人側はよく忍耐して、終始無抵抗に過ぎましたことに対しては、私は敬意を表しておる次第でございます。今後こういう問題が重なって、しかも軍資金をばらまかれてこういうことが行われるということは、外国から日本の内政に干渉するようなことでありまして、まことに望ましからぬことでありますから、私は外務大臣並びに御出席の警視総監並びに警察庁長官にも一応申し上げてありますけれども、この厳粛なる外務委員会の席におきまして一つ御答弁を願いたいのであります。今後各地にこういうことが起こったり、あるいは新潟港におきましてこういうことが起こりますと、国際赤十字の方も監視しておられることでありますから、日本はスペイン同様の、またはそれ以下の三等国、四等国でなかろうかと、かなえの軽重を問われるおそれもあるのでございます。外国人はいかなる国の人間にかかわらず、まず他国の内政に干渉すべきでない。そしてよき隣人として、日本の憲法、法律を守って住んでこそ、よき友でありますけれども、日本の憲法を無視し、法律を守らないような方であるならば、その思想と国籍のいかんを問わず、私は当然退去していただいてしかるべきものであると思うのでございます。日本は島国でありますから、海の国、貿易の国でありまして、世界各国と友好的にせねばならない国でありますから、外国のお客様を遇すること特に懇切でなければならないことは当然でありますけれども、他国の座敷の中で暴行、違法行為をほしいままにするようなことを、いつまでも黙って見ておるわけには参りません。従いまして警察当局におきましては、事前に適切な対策をおとり下さいまして、帰国朝鮮人側が日本の法律と集団秩序を守りまして無抵抗に出る以上は、日本の治安当局といたしましては南北鮮の衝突というふうにこれを見るのでなくして、一方の側がみごとな態度をとられるならば、それを了として、そして法秩序を乱して暴力をふるう者に対しては、断固たる処置をおとり下さって、なおそれをきかないならば、強制送還の措置に出ることが私は妥当であると思います。これら無法なる人たちが一番おそれておることは、日本から退去せよといわれることであります。これが何よりもおそれておることである。一カ月、二カ月留置場に入れられることくらいは平気の平左ですが、このうるわしい国土からお前帰れといわれることを一番いやがっておるわけでありますから、そういう点をお考え下さいまして、外務省当局においても、治安当局においても一つ確固たる立場をとっていただきたいと思います。右に関しまして、治安当局の皆さん並びに外務大臣から一つ責任ある御答弁をいただきたいと思います。
○柏村政府委員 お答え申し上げます。この北鮮帰還の問題はお話にもございましたように、人道上の見地から、自由意思に基づいて帰りたいという者を円満に送り帰すということをきめられておるわけでございまして、この重大な業務が円滑に遂行されることをわれわれ当局としても心から念願いたしておるわけでございます。たまたま一昨々日、豊島公会堂におきまして不祥な事案が起こったのでございますが、これにつきまして何かただいまのお話では、警察が非常にしり込みしておったようなお話でございますが、われわれとしては従来の警察活動と比較いたしまして、必ずしも警察の行動、措置というものが不適当であったというふうには考えておりません。もちろん神様の目から見ればあるいは不十分ということもあるかもしれませんが、実はあの当日におきましても、この祝賀大会が盛大に行なわれ、これに対して民団側その他から暴行行為が行われるであろうという情報を入手いたしまして、この点を朝総連の方にもお伝えし、またそのために制服警察官による事前配置について、事態を未然に防ぎ得るような措置をとることも考慮いたしたのでございますが、朝総連側といたしましては、警察官があまりに近く配置されるということは、むしろ帰還希望者等を刺激するおそれがあるということで、むしろこの事前配置ということは朝総連側の希望によっていたさなかった。しかしながら、何か事態が起こるという場合に、間に合わないということではいけないので、むしろ制服警察官等約千名を近くの場所に秘匿配置をいたし、私服若干名、また署員等の制服若干名を近くに監察させておったというような状況でございます。そこに民団側及び日本人の一部が三々五々集まってきて、そうしてただいまお話のような状態が起こって参ったわけでございますが、さっき三時というお話でございましたが、私の聞いておるところでは、全体が静かにおさまるまでには相当時間を要しましたが、民団と総連との衝突が起こってそう時間もたたないうちに、この間を分けて民団側並びに日本人の一部の暴行等の行為からこれを阻止いたしたわけであります。その間に公務執行妨害等がありまして、民団側及び日本人側から数名の検挙者を見ておる状況でありまして、警察としてはそういうふうな祝賀大会をやった側の希望もいれて、なるべく目立たないという態勢をとりましたので、事の起こった直後に何ら問題なしに済ませるというだけの措置はとり得なかったということを御了承願いたいと思うのであります。なお全国的には、九月以来数十件の不法事犯がこの朝総連側と民団側との間に起こっておるわけであります。しかしながら、これらのこともできるだけ今後こういう事態のないようにわれわれも警戒をして参りたいと思いますが、今まで起こった事件では、むしろ暴行行為等が行なわれたのは、朝総連側に多かったように私は聞いておるのでありまして、帰還反対の演説会やそういう運動を民団側がやる、それに対して朝総連側で暴力をふるうという事案があったわけでございます。われわれ警察の立場としましては、賛成する側も反対する側も、言論としてこれがなされる限りにおいては、警察としてこれに関与すべきものではございません。従いまして、そういう事態が起こって、暴力行為、不法行為というものがその間に起こるという場合に、初めて警察がこれに対処するという問題になるわけで、われわれとして今後さらに帰還業務が始まって列車の見送りであるとか、あるいは新潟における仕事であるとかいろいろな点でトラブルが起こり得るような事案も考えられるだけ考えまして、これを未然に防止し、あるいは起こった場合は最小限度にこれを食いとめる、そうしてこの帰還業務が円滑に運営されることを希望いたしておるわけでありますが、不幸にしてその間に不法事犯等がさらに今後も起こるようなことがありますれば、これに対しては断固として取り締まりをもって臨むというつもりでおります。そういう警察の立場を御了承いただきたいと思う次第でございます。
○帆足委員 時間も移りましたので、あと一、二問。 ただいまの警察庁長官の御誠意のある御答弁を信頼いたしまして、特に新潟では十一日に国際朝鮮赤十字の船が入港するわけでありますので、またそういうところをとらえて出来高払いの暴力団が横行濶歩するというようなことでは、日本の威信にかかわる問題でありますから、知事も心配いたしまして、普通の赤十字接待の有識者等の会合すらどういたそうかというような御相談がありましたが、日本のごとき文化国家として赤十字の普通の御接待会もできないような治安の国であるというのでは、一体何のための国家ぞや、何のための治安当局ぞや、こういうことになるわけでありますから、そういう礼儀にかなったことは普通通りいたしまして、ただ治安当局の御良識と適切なる御措置を信頼いたしまして、また幸いにして帰国協力会という超党派的な機構が全国にできておりまして、これに全国の市町村長なども多数御加入になっておりますので、帰国朝鮮人の諸君とも円滑な間柄にありますから、何かと御連絡いたしまして、ひたすら問題が文化国家にふさわしいようにわれわれも協力いたしますから、治安当局として責任を持っていただきたい。つきましては、演説会などは自由でありますけれども、南にせよ北にせよ他方の演説会を暴力で阻害するというようなことがあれば、いずれを問わず取り締まるのは当然でございますが、帰国朝鮮人側には今後はそういうことはなかろうと私は思っておりますが、重ねてそういうことの一つでもありましたときは、御連絡下さいますれば、私どもの方からもそういうことのないように助言することは多少できると思うのです。多少はお世話もしておりますから。また南朝鮮側で——南朝鮮の一般の居留民諸君は、それぞれやはり御苦労しているのは同じなのであって、私どもから見れば朝鮮の国民は南と言わず北と言わず一視同仁でございます。同じように考えておるのでございます。ただそういう出来高払いで法秩序を乱すということにおいて、それは困るというわけでございますから、それについては一つはっきりした御措置を願いたい。 それから一方で演説会をやっておりますときにすぐその横で何事かやるというのは、これは現段階においては妨害行為でございますから、そういうような隣同士で一方が演説会を開いているとき、他方がその入口で騒ぎを起こす、そういう集会は一つお許しにならないような方針でいかれたらどうかと思います。 それから援護のことについて厚生省にお尋ねしたいのですが、春に出発いたしますとなりますと、これはよほど楽でございましたが、日本海を越えまして、清津か羅津に船が参るとすると、もう酷寒の場所でございまして、非常に寒いのでございます。従いまして、酷寒の候に、生活保護費をもらっている極貧層の人たちは非常に困難をする人たちが出るのではあるまいか。今後朝鮮人帰国後は多額の教育費やあるいは医療費、生活保護費が要らなくなるのでありますから、そういうことも一つ政策的に御考慮になって、厚生省御当局も来年度からは生活保護費が減るわけでございますから、予算の点においてもバランスも合うのでございますから、そういう極貧層の人たちに対しては毛布、外套、手袋、くつ下、くつなど多少の援護措置も御研究になる必要があるのではないか。また出発の数日前に荷物を送らねばならぬというような帰還手続になっておりますので、家を畳みまして、その汽車に乗るまでの集結するまでの二、三日の生活に困る家庭もたくさんあるようでございます。そういうところを、厚生省当局としてはこの際おおらかな気持で、一応数十年の過去の歴史のこれは清算で、新しい出発になるわけでありますから、一つ特別の御措置をお願いしたい。同時に地方の自治体においても同じようなことを考えておられる自治体があるのでございますが、中央官庁に遠慮して、そんなむだ使いをしたら地方援護金を減らすぞということを言われるというふうな余分な御心配から、どうも進んでやりにくい、従って厚生省当局から、そういう困窮の方々に対しては、地方の実情に応じてあたたかい措置をとることに賛成であるというようなお手紙か通牒でももらうならば、非常にやりやすいというような声が盛んに上がっておりますので、厚生省当局においてそういう人情のある御措置をお願いしたいと思いますが、御答弁のほどをお願いします。
○内藤(隆)政府委員 お答えいたします。 あたたかい気持で帰国してもらうということは御趣旨の通りでありますが、ただいまの御質問の中の、地方公共団体が非常な援護あるいはあたたかい方法をとろうということを考えておるが、政府としてこれに対して何らか手紙なり通牒をもってさらにそういうことをするようにという御質問でありますが、政府といたしましては、地方公共団体に対しましては、自主的にそれを行なうことを期待しているような次第であります。今ここであらためて通牒を出すというような考えを持っておりません。
○帆足委員 ただいまの厚生省当局の答弁は私多少不満でありますけれども、もう少しこの問題については具体的に資料をもちまして、また大臣、次官の方へ参上いたします。あたたかい気持でやろうとする原則には御賛成なのでありますから、さらに具体的資料をもちまして御相談申し上げたいと思います。きょうのお約束では、これからベトナム問題について多くの問題をお尋ねせねばならぬのでありますけれども、時間も移りましたし、堤委員が先ほどから御要求でございますから、委員長のお許しを得まして、ベトナムについての質問その他は次回に譲らしていただきまして、十分な時間をとっていただくことにしまして、堤委員にかわっていただきます。 ————◇—————
○小澤委員長 次に、日本国とヴィエトナム共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件及び日本国とヴィエトナム共和国との間の借款に関する協定の締結について承認を求めるの件、以上二件を一括議題に供します。 質疑の通告があります。順次これを許します。堤ツルヨ君。
○堤(ツ)委員 私は藤山外務大臣にごく端的に質問をいたしますが、この前の委員会ではお言葉のくみ取りにくいところがたくさんございましたので、どうぞ声を大きくしていただきまして、一つ語尾をはっきりしていただきたい。 そこで、私は実はきょうは貿易問題に入る予定でございましたけれども、この間の外務大臣の答弁の中で非常に不穏当な問題がございまして、北のホー・チミン政権を交戦中の政治団体と見るという御答弁がございました。私がなぜこれをしつこく申すかと申しますると、今日ではベトナム賠償の常識として、歴史的な立国の過程を見るときに、北ベトナムというものを法的に認めないからといって、現実に葬ることは、この賠償において許されないというのが常識であろうと思う。そこで私は、ホー・チミン政権に対してどういうお考えを持っていらっしゃるかということを質問したのでございますが、要するところ、まだ速記録の印刷はできておりませんけれども、読売や産経新聞の方々が要約されたところによりますると、交戦中の政治団体とみなして、これは政府でないというところの御答弁をなさったように思いますが、そういうふうに解釈いたしましてよろしゅうございますか、ちょっともう一度念のために……。
○藤山国務大臣 御承知のように今北部に南ベトナムの施政権の及んでないところも若干あります。その地方に一つの政治的な団体がありまして、そしてそれが存在していることは当然であります。そういうようなものをどういうふうに見るかということは、われわれ承認をいたしておりませんししますから、承認している国として見るわけにはいかぬということでございます。
○堤(ツ)委員 それで私は外務大臣にお尋ねいたしますが、「各国憲法集」というのが政府の手によって発刊されておりまして、全国あらゆるところ、代議士諸公、私たちもそれをいただいております。その「各国憲法集」の次に「各国憲法集(続)」というのが出ておりまして、その「続」の中の「和訳各国憲法集」の中に二十六ヵ国の憲法が入っておりますが、その七番目に「ヴェトナム共和国憲法」、八番目に「ヴェトナム民主共和国憲法」、この二つの憲法がここに入っておるのでございます。私が藤山さんにお尋ねいたしたいのは、憲法というものが政治団体にあるかどうか。これは大きな問題でございまして、政党などには綱領というものがあるかもしれませんけれども、私は、少なくとも憲法というものは一国のシンボルだと思うのです。従って日本政府が認めるところの「各国憲法集」の中にベトナム民主共和国が、他の国々と同列に並べて承認して、ここに書いてある。これは一体どういうことになるのか。これはとにかく日本の衆議院の法制局、参議院の法制局、国立国会図書館調査立法考査局、内閣法制局、これだけの四つの手によって出ておるのでございます。これに対して藤山さんはどうお考えになりますか。
○藤山国務大臣 ただいまも御説明申し上げましたように、日本は承認をいたしておりません。従って承認をしていない国の政府というような形において呼び得るかどうか、その点につきましては一つの団体と申しますか、承認していない国でありますから、どう呼びますかはその呼び方によろうと思います。むろんそれらが憲法を持つ持たぬということは別個の問題だと思います。
○堤(ツ)委員 それはおかしいんでございまして、一国の憲法として認めるならばこそ、日本の内閣法制局が私たちにこれを配っておるということは非常にはっきりしておるのです。この中の条項を見ますと、その一人前の国家と認めておらないところの憲法は、最後に「追補」という項がございまして、それには「アラブ連合共和国暫定憲法」としてわれわれに紹介をしておる。ベトナム民主共和国の憲法は、もう一人前の国として他の国々と一緒に認めた形において、ここに入れてある。それで、それじゃ私はちょっとこれをおろしまして、藤山さんに国の定義をここで言っていただきたい。
○藤山国務大臣 われわれは先ほどから申し上げておりますように、承認していない国なんであります。従ってそれをどう呼びますかということは、そのときに適当に呼ぶよりほか方法がないと思うのでありまして、憲法があるからないからというだけでわれわれはそれを判断するということではございません。
○堤(ツ)委員 それでは私委員長にお願いいたしますが、これをお出しになったことを藤山さんにあまり御質問申し上げてもお気の毒かもしれませんから、内閣の法制局長官の林さんを、時間を置かず、今すぐここに呼んでいただきたい。 そこで、大臣は今の私の質問に答えていらっしゃいませんが、国の定義を答えて下さい、こう言っているのです。
○藤山国務大臣 成文的な憲法があるかないかによって必ずしも国ということがきまってはこないと思います。でありますから、憲法があるからということだけで国というわけにいかぬと思います。やはり一定の人口あるいは一定の支配する面積というようなもの、その他国際的な状況下における状態によって、それが国と認められるか認められないかということになろうかと思うのであります。こまかい点は条約局長から御説明申し上げます。日本としては承認をしておりませんから、そういう状態であるということを私どもは申し上げるだけでございます。
○高橋政府委員 補足さしていただきます。国という言葉だけではいろいろの定義やいろいろな解釈その他があろうかと思いますが、国際関係及び国際法上におきましては、国際法上の承認された主体を国というふうに観念いたしております。
○堤(ツ)委員 ただいまの二人の御答弁——私は、国というものの定義は、国民、人民という地域もございますが、国民というものがあって、そして領土というものがあって、憲法というものがあったら、これは国になるんだと思います。藤山さんこれに対して、お考えをどうぞ。
○藤山国務大臣 やはり日本の立場は、国際関係から見て、承認という行為がなければ、われわれとしてはそれを常識上いわゆる国という言葉は使いましても、日本から見て必ずしも承認した国というふうには言えないと思います。
○堤(ツ)委員 藤山さんは、この間からいろいろと認めるか認めないかということを私たちがやかましく言うものですから、頭がそこへいっているんだろうと思いますけれども、私はそれを一ぺんほかしてしまって、国というものの分析へ入っているわけでございます。よろしゅうございますか。従って字引きに書いてある国というもの、これを一つはっきりしてもらいたいと思う。承認するしないの問題は今言っていないのです。私は領土というものがあって、そこの国民、人民といいますか、人民、国民というものがあって、そしてこれに憲法があるならば、これは一国を形成しておる、こういうふうに言えると思うんです。これに対して藤山さん、どうでございますか。
○藤山国務大臣 国というものが存在する要件としてはいろいろあると思うのでありまして、今もお話がありましたようなことも一つの要件だと思います。しかし国際的にはやはり承認行為によって国というものが認められるということになろうかと思うのであります。でありますから、それを常識的に一般的に国と呼ぶか呼ばないかということとは別問題とわれわれは考えております。なお詳しいことは条約局長から御説明いたさせます。
○高橋政府委員 先ほど申し上げました通りでございまして、やはり個々のその国との国際関係におきましては、承認ということによってお互いに国際法の主体と認め合ってその関係に入ります。
○小澤委員長 高橋君、それを聞いているんじゃない。つまり国という国際法上の概念を聞いているんだ。問題は、土地と人民と統治力ということを聞いているのだろう。
○堤(ツ)委員 私は、国というものの定義は、国民があって、領土があって、憲法があったら国だ、こう言うんです。それを藤山さんは否定なさるか、オーケーか、どっちか聞いているわけです。
○藤山国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、堤さんの今御指摘になったことは国を構成する、要件になっているということは、先ほどから私は申し上げております。
○堤(ツ)委員 国の定義はそれでいいのです。承認、不承認は聞いておらない。それでは私はちょっと角度を変えてお聞きをいたしますが、国際連合というものに加盟をしたいと思う国々が加盟を申し出るところの審査委員会がございます。これはその資格審査を果たす役目の機能はこのごろは停滞しておりますので、国際連合に加入したいという国は、この資格審査委員会を省略して安保の理事会に直接出されることになっておる。しかし安保の理事会というものをさかのぼって検討しますると、国連加盟を過去十年の間に申し込んできた国に、ベトナム民主共和国とベトナム共和国とがもう根気強く申し込んできております。そのときに南の方は十票の賛成があるけれどもソ連の拒否権にあい、それから北の方は一ヵ国の賛成があるけれども反対十票で加盟をともに否認されております。とにかく南と北とがお互いに一国として国連加盟を申し込んできたけれども、いつも平等にはねられておるという安保理事会の歴史を繰り返しておる。そこで私は尋ねますが、安保理事会に加盟を申し込むのは団体でもいいのか、国でなければいけないのか、これを一つはっきりしていただきたい。
○藤山国務大臣 御承知の通り、またわれわれが常に言っておりますように、四十九ヵ国が南の国を承認し、ソ連その他十二ヵ国が北を国と認めて承認しておるのです。そういう事実の上に立って御判断をいただけばわかると思います。
○堤(ツ)委員 藤山さんは大事なところをはずしてごまかそうとなさるけれども、私はきょうは徹底的に時間がかかっても聞かしていただきます。私の聞いておる質問の中心は、安保の理事会に加盟を申し出た場合に、一国の国という単位において申し出るのか、政治団体において申し出るのか、それが両方ながらの場合に理事会は受け付けるのですか。つまり交戦中の政党団体でもこれを安保の理事会は一国と同じように見なして審議してくれるのですか、そこを聞いているのです。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、ソ連以下十二万国のものは北ベトナムを承認いたしておるわけです。ですから北ベトナムを国として認めておる国も世界の中にはあるわけです。われわれは承認していないから認めていないのです。ですからそれをどういう名称で呼ぶかということは、これは別個の問題であります。そこでそういう意味において自分たちは一国を形成しておるのだ、だから申し込む資格があるのだということによって安保理事会に申し込まれておるのだと思うのです。
○堤(ツ)委員 私は自由主義陣営が南を承認し、共産主義陣営が北を承認しておるというところにポイントを置いて話を伺っておるのではないのです。よくお聞きしていただきたいのは、承認しておろうとしておるまいと、安保理事会が加盟国の審査のまな板の上に載せてやる場合には、政党団体でもいいのか、国でもいいのか、ここの違いを聞いておるわけです。これは条約局長の問題ではない。大臣として見識がなければなりません。これははっきりしていただかなければなりません。
○藤山国務大臣 それは申し込む場合は、当然自分たちが国として構成されておるのだ。従って先ほど来堤さんがお話のようにこれこれの条件が備わっているのだということを言われることは当然だと思います。従ってその限りにおいては国という立場でもって申し込んでおられると思います。
○堤(ツ)委員 そういう現実があるのならば、ホー・チミン政府を、日本が賠償という現実の上に立ってあなたは交戦中の政治団体とみなして、これを無視して賠償協定を結ぶことが道義的に許されるかどうか、法的な問題をあなたは取り上げましたが、今は現実論でいらっしゃいました。それならば日本政府は賠償を払うという現実の上に立って、北ベトナムに対して国と認める地球上の八億の民があるにかかわらず、これを政党団体とみなして無視してしまって交渉をなさろうとするところの政府に非常な不可思議な態度があるから、国であるかどうであるかということにこだわっておるわけです。そこで林さんはいらっしゃいましたか。
○小澤委員長 今、林君は参議院の予算委員会に出席しておりますので、できるだけ次長とかわって出席したいという御返答です。
○堤(ツ)委員 これを日本政府が代議士とかいろんな重要なところに「各国憲法集」として出しておる以上、私は国と認めた見解の上に立って出しておられると思うのです。(「参考資料だ」と呼ぶ者あり)単なる参考資料であるならば、日本側に立った資料であるならば、日本は「アラブ連合共和国暫定憲法」と同じような見出しをもって、この中に国民に紹介しておらなければならないと思うのであります。ところが紹介の仕方は「アイルランド憲法」、「アルバニア人民共和国憲法」、「イラク憲法」、「イラン憲法」、「インドネシア共和憲法」、こういうふうにいたしまして、二十六の独立した国の憲法を紹介した七番目と八番目に北と南と平等に扱っておるわけです。こういうものを藤山さん、岸内閣の部下が出していらっしゃるのに、政党団体であるとか、交戦中の民間団体のまがいものであるというような答弁でこの賠償協定を認承してもらおうというような了見では私は外務大臣は勤まらないと思います。それで順序といたしましてくどいようですけれども、これは国民も疑惑を持つと思いますから、一度法制局長官を呼んでいただきまして、そしてこれを出してきた理由をはっきりしていただき、大臣にもその認識をはっきりさせていただいた上で次の質問をさせていただきたいと思いますが勝手でございましょうか。もし時間的な都合がありましたら私は遠慮いたしまして……。
○小澤委員長 堤委員に申し上げますが、ただいま申し上げました通り、あなたの要求通り要求しましたところが、先ほど申し上げた通りであります。従って今こちらへ見えましたならばその方へ入ってもらいますが、それ以外の質問がありましたら続行を願います。
○堤(ツ)委員 私、貿易の問題もかかえておるのですが、これはちょっと重要な問題でございますので……。 〔発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。 それでは堤君、ちょっとあなたはお待ち下さい。その間岡田春夫君。
○岡田委員 林法制局長官が見えるまでちょっと質問いたしますが、一つは、一昨日だと思いますが十七日の朝、赤坂プリンス・ホテルで川島幹事長が主催いたしました朝飯会に、藤山外務大臣は御出席になっておりますね。その点はいかがですか。
○藤山国務大臣 私は出席いたしておりません。
○岡田委員 御出席にならないようでありますと、あるいはお聞きになっておるかと思いますが、川島幹事長の朝飯会に呼ばれましたのは、旧インドシナ地区の軍隊の将軍連数名でありまして、名前をあげてもよろしいのですが、土肥元中将外数名の人であります。この人が出席して、川島幹事長から、インドシナ地域において日本の軍隊が戦争の際に損害を与えたのではないかということを質問したのに対して、ここに出席しましたすべての将軍が、当時においては、日本の軍隊はインドシナ地域においては戦争の損害は与えたものではない、ベトナムの国並びにベトナムの人民に対しては危害を与えてはおらない、従ってベトナムに対して賠償を払う必要はないと思うということを言われたということが、実ははっきりしているようでありますが、この点について藤山外務大臣は何かお聞きになっておりますかどうですか、これについてのお話を伺いたい。
○藤山国務大臣 私は当時出席しておりませんし、それから内容についても何も聞いておりません。また当時は幹事長が呼んだのではなくて、南條徳男君が呼んだのではないかと思います。
○岡田委員 南條徳男氏が呼んだとしても、あの人も党の幹部であります。これは川島幹事長も出ておったようでありますが、ともかく当時出席をいたしました将官連全部は、賠償について非常な疑義を持っているようであります。この点について一つお調べを願いたいと思います。違うなら違うでけっこうですが、事実はまたあとでお伺いいたしましょう。 私は実はきょうは資料について伺いたいのでありますが、この間沈船引き揚げ協定について、伊關さんに対して資料の要求をいたしました。九月四日の会議録について提出を願いたい、こういう資料の要求をいたしまして、その内容についても実は具体的に私どもの方から申し上げております。これは十一月十一日の外務委員会の速記録、四ページの上から三段目と四段目にかけてはっきり私は申し上げておりますが、その中で私は資料の要求としては、昭和二十八年の九月四日にベトナム側と折衝をしてきまった点は、全部会わせると大体五点ある。五点の中で一点は、日本のベトナムに対し支払うべき賠償総額はきわめて少額のものとする、この点が合意された。第二の点として、沈船引き揚げの範囲はできるだけ制限する、この点についても合意を得た。こういう点について取り上げますと同時に、それ以外に、その他の点については、戦争の始まった時期についてはどうなっておるか、第三点は戦争損害の算定についてはどうなっておるか、この点についても九月四日において合意を得たはずであるから、これについての資料を提出願いたいということを私は要求いたしたのであります。 ところがこの点について、あなたの方からいただきました沈船引き揚げの資料を見ますと、英文の資料が来ております。この英文の資料を見ると、これは非常に抜けておって文章の解釈ができない。これはあなたの方で重要な点をどこか落としておったのではないかと考えられる節があるし、あるいは間違って落としたのかもしれませんが、こういうことでは、われわれは資料としては了解ができないわけであります。この点については私が申し上げたように「ベリー・スモール」であるという点が出ております。ですから、私が申し上げた通りであります。第二点は、沈船引き揚げの範囲の金額についてはこれを制限するということについてもここに書いてあります。ですから私が言っておる点については、ほぼ間違いないと思いますが、それ以外の二点についての資料の提出がない。 しかももう一つは、この英文を見ると、一つ御参考までに申し上げておきますが、二項の五行目から六行目に、これは憶測をして悪いんでありますが、英文の中でことさらこれを落としているというか、ここからはずしておる気配を感ずる。というのは、英文の文章の脈絡が続かないわけであります。ですからこういう事情は一体どうなっておるか。具体的に申し上げますと、「アズ・ウェル・アズ・ゼァ・ビューズ・アズ・ツー・ザ・アプローキシメート・パーセンテージ」という一項です。それから「ザ・サルベージ・サービセス・イン・タームス・オブ・ザ・イクスペンセズ」云々となっております。この関係で文章が抜けておるために、日本語に直すとどういうように訳したらいいかわからないようなことになるのですが、これは一体どういうわけなのでありますか。非常に都合の悪い点があったので、そこの文章のセンテンスだけをぽっと抜いて出されたために、前後の訳ができなくなっておると思うのだが、こういう点をもう一度お調べになって、先ほどの調査の資料として出していただくようにお願いした資料を含めまして、何もただいま御答弁いただかなくてもけっこうですから、資料の要求をしたいと思います。
○伊關政府委員 ただいまおっしゃいました議事録は原文のままでございます。ここに原文の印刷したものがございますから、ごらんになればわかります。その通りでございます。九月四日にきまりましたのは、この合意議事録だけでございます。それで、おっしゃいました点は、ジェム局長が初め参りまして、こちらからいろいろ質問をいたしまして、七月初めに、たしか九日と思いますが、——本国政府に問い合わせてもなかなか返事がこないので、一度向こうに帰ったのであります。それから帰って参りまして、七月二十日の会議におきましてわが方の質問に答えているわけでありまして、これは議事録というふうな形では残っておりません。たとえば損害総額はどうかというのに対しては、それは二、三日うちに出すというふうなことを言っております。
○岡田委員 林法制局長官が見えましたので、資料としてあとで出していただいた方がいいと思いますので……。
○小澤委員長 岡田君、きまりをつけたらどうですか。
○伊關政府委員 資料としてお出しするようなものでございませんで、会議の応答のうちに行なわれておるものであります。資料という質のものではありません。交渉の経過においてそういう返事が出ております。たとえば資格はどうかという点につきまして、初めはフランスとベトナムの関係がジェムにはっきりしていなかった。ところが帰って参りまして、自分が代表として交渉するんだ。戦争損害につきましてはこれは追って出す。それから戦争開始時期につきましても、初めははっきりしておらなかったようでございますが、フランス同様十二月八日ということをきめたというふうなことをこのときに言っておるわけであります。それだけでございます。
○岡田委員 これは林長官が見えましたので私はやめますが、この点についてはあとでまた伺います。 それからもう一点だけ資料の要求をいたしておきたいと思います。これはこの間提出された四四年九月から四五年八月までの損失額という資料が出ておりますが、これは藤山外務大臣に伺いたいのですが、これは何ですか、ちょっとわれわれにはわからないのですが、ベトナムの主張する資料を日本の政府が換算をして、そして四四年の九月から四五年の八月までのものを出された。この限りにおいてはこれは日本の政府が責任を負って出した資料なんですか。相変わらずベトナムの資料を作り直したということなんですか。この点は非常に不明確なんですが、これはどうなんですか。
○伊關政府委員 ベトナムが出しました資料は四〇年から四五年に及んでおりますので、それを私の方で最後の一年分だけをそこへ出したわけであります。向こうの資料に基づきまして、私の方で計算したものでございます。
○岡田委員 伺っておきますが、それではこの数字については日本の政府が責任を負う、こういうことになりますね。 それからもう一つは、ベトナムの主張する資料と比べますと、この中にずいぶん落ちているものがあるのですが、落ちているということは、それは日本側としては認めないという意味で落としているのですか、どうなんですか。たとえば具体的に伺いますが、ベトナムの方で資料として主張する資料は、最初に出しました横書きの半ページのもの、あれには人的損害として百万人というものが出ていますね。ところが今度の日本の方で計算し直した資料の中には百万人の数字が出ておらない。もう一つは、一番うしろにべトナムの方では「貿易」のあとに「通貨」というのがありますね。日本の方では通貨の計算が出てないわけであります。ところが藤山外務大臣が今まで答弁されたところを伺っておりますと、人的損害は三十万あったということを答弁されておりますね。そうすると、その点についての資料が全然出ておらないし、そしてそういう点について資料がないばかりではなく、通貨の点についても書かれてない。そうすると、これは一体どういう資料なのであるのか。われわれとして、はたしてこれは信憑性があるものか、日本の政府の責任においてこれを出したものかどうか、そういう点が実は非常に疑問になってくるわけです。そういう点は一つはっきりしておいていただきたい。 一点は、この資料は換算し直した限りにおいては日本政府が責任を負ったもの、第二の点は、人的損害その他が出ておらないのはどういう関係になっているか。これについては別途にお出しになるのか、あるいはこれはもう認めないという意味で出さないのか。こういう点についてのお答えも願っておきたいと思います。
○伊關政府委員 換算いたしましたのは、われわれがいたしたのでありますが、換算の基礎としましては、月別平均をとったということは申し上げております。 それから人的損害につきましては、これは私が最初資料を出しましたときに、堤委員でございましたか、一年分を出せというお話がございましたので作って差し上げたものでございまして、人的損害等につきましては、四四年から四五年にかけて起きたものでありますから、これを割るということはございません。ただ百万を日本側でどう見るか、これははっきりいたしません。まあ二十万か三十万かというのが常識のようでございます。この点につきましては、口頭で御説明いたしておりますから、これはそこに書いてございません。 それから通貨につきましては、インフレーションにつきましては、これをどう算定するかということは、とてもわれわれ経済の専門家でもございませんので、特に注釈をつけずにおるわけでございます。われわれのできる範囲でこの前差し上げました資料の補足としてそれを差し上げたという形でございます。
○岡田委員 もう一点伺っておきますが、換算をした部分は日本政府において換算をした。もちろんデータの基礎になっておるものはベトナムのものであるけれども、この基礎の中で取捨選択をしている。今の通貨のように取捨選択をしているわけでありますから、取捨選択もこれは日本政府としてその権限において自由なわけでございますね。そうすると、この限りにおいてはこれは大体において正しいと思うという意味でお出しになったんだ、こういうことになるだろうと思う、正しくないものを出してくるわけはないのだから。大体において日本側としては妥当しているものではないか。それは何百何十六万トンというその六万トンが違うとか違ってないとかいう、そんなみみっちいことを私は言っているのではなくして、概略においてはこれは妥当なものであるという数字として出しておられる。こういうようにわれわれが解釈してもいいわけなんですね。 それからもう一点は、その戦争損害の一年間の資料に基づいて賠償交渉をやられたのですか、どうなのですか。賠償交渉には別の資料でおやりになったのでしょう。私はその資料を出してもらいたいということを前に三回も資料要求として出しているんですよ。その資料をお出しにならないで、ベトナムの資料を適当にいじって国会に出されて、それについてはこのあとでどういうふうに答弁されるか知らないが、大体妥当なら妥当、でいいけれども、この賠償交渉のときの本物の資料をお出し願いたいというのに、賠償交渉のときの資料をお出しにならないで、ベトナムの方の資料を適当にいじくってお出しになるということは、ちょっと私は納得しかねるわけなのでありますが、これはお出しになるのですか、どうですか。私は交渉当時における資料を要求しておったわけであります。
○伊關政府委員 最後の点から申し上げますが、交渉当時からベトナムが出しましたものを持っているだけでありまして、提出できるような日本側の資料というものはございません。 それから今のインフレーションの問題でございますが、この五年間を最後の一年に分けて、それがどういう損害になるかということは、なかなかむずかしくて政府として出せませんから、出しておらないわけであります。ですから、政府として計算のしやすいものだけを、この間も計算して御説明いたしましたが、出せと言われたので差し上げたわけであります。(岡田委員「これは妥当という意味で出されたわけですか」と呼ぶ)妥当という意味よりも、先方も不完全な統計で、統計を当たっても数字の残っておるものは少ないから、数字のあるものだけを出すと言って先方は出しておるのであります。その数字に基づきまして最後の一年分を計算して、現在の最も妥当と認められる時価をかけたものでございます。
○岡田委員 何だかわかったようなわからないような御答弁ですが、ここへ出した限りは大体妥当なものとしてお出しになっているのでしょう。そうではないのですか。全然違ったものを出したわけではないでしょう。計算としては日本政府の戦争損害としてはこの一年では大体こんなものであろうかという意味でお出しになったのではないですか。そうではないものをお出しになったのなら、国会を侮辱しているということになるでしょう。何でもいいから出してやったんだというのでは、話になりませんよ。(「最小限度なんだ」と呼ぶ者あり)最小限度であろうがなかろうが、大体概略において妥当だという考え方がない限りにおいて——それでは何のためにお出しになったのですか。そういう点をはっきりしていただきたい。 それから、時間がないから伺いますが、人的の損害なんかについても、これは今まで一緒にお出しになっておらないけれども、続いてあとで出していただきたいと思う。そんなに長くかかるものではありませんから、ぜひ出していただきたいと思う。
○伊關政府委員 最初から日本政府が査定したような資料はないということを申し上げまして、先方の資料を提出するということで先方のものを提出したわけであります。そうしましたら、年度が五年になっておってわかりにくいという御要求がありましたので、それで最後の一年のものを計算して出したのでありまして、計算に関する限りは、われわれが最も適当と考えられる数字をとって計算しているわけであります。 それから餓死者につきましては、先ほど申し上げました通り、向こうは百万と言っております。これは年度の関係はございません。ただ百万を二十万か三十万か——これもみんなの意見を聞いたわけでありますが、どの辺が妥当かということはなかなかむずかしいのでありますが、多くの人の判断でもって私の方は二十万、三十万、こう推定しておるというのでございまして、特に資料として差し上げるほどのものはございません。二十万か三十万かというのが外務省の考えでございます。
○岡田委員 それでは、戦争損害のこれ以上の資料はお出しになるつもりはない、というよりも資料がないんだ、こういう意味なのですね。資料を別にお出しになるなら出していただいた方が審議のためにいいと思う。私はどんどんやりたいと思いますが、資料がもうないとおっしゃるならば、それはまたあと質問の問題になって参りますから、それなら要りませんけれども、ないならない、あるならある、そういうものを、たとえば賠償交渉のときにわれわれはこういう資料を実は使ったのだ、こういう資料を出すつもりなのだ、そういうお話ならお話でけっこうです。そういう点についてどういうようになっているかを伺いたい。
○伊關政府委員 賠償交渉のときに特別に使ったというふうな資料はございません。従って、それ以外に御提出するものもございません。
○堤(ツ)委員 それでは私少し藤山さんにも伺いましたけれどもはっきりいたしませんので、あらためて林法制局長官に国の定義について御所見を承りたいと思います。
○林(修)政府委員 一がいに国の定義とおっしゃられてもなかなかこれはむずかしいことでございますが、たとえば日本から見ましてそれを独立国として承認するかどうかという場合には、いわゆる承認ということがなければ日本としては独立国として認めていない。しかし当該国は、あるいは自分は独立国だと言っておるかもわかりません。しかし客観的に申せば、国というものは、およそ普通の教科書にもございますように、人民と領土というようなものから成り立つというふうに言われておるわけでございます。
○堤(ツ)委員 法制局長官はそんなに岸内閣を気になさらないで、学者的な立場から割り切ってもらえばいいわけです。認めるとか認めないとか、そんなことを言わなくてもいいのです。そこで私は今あなたがおっしゃったように、国民と領土と憲法があれば一人前の国だ、こういう定義が成り立つと思っているのです。憲法があればということについて、あなたはそれをどうお考えになりますか。
○林(修)政府委員 御承知の通りに、形式的な意味の憲法を持たない国は、幾らでもございます。従いまして憲法があるかないかということは、必ずしも直ちに判定の基準にはならない。ある国に内乱が起こりまして、いわゆる交戦団体というものがありまして、その交戦団体というものがかりに憲法というものを作りましても、直ちにそれが一般に国と認められるかどうか、これはまた別問題だと思います。
○堤(ツ)委員 陰で相談していらっしたのですか。では林さんに伺いますが、あなたの局からお出しになった「各国憲法集」というのが私たちの手元に配られております。この「各国憲法集」というのは一冊出まして、私がここに持っておりますのは「続」です。これには二十六万国、それに加うるに「追補」として「アラブ連合共和国暫定憲法」、これだけが載せられておるのでございますが、これはどういう見地に立ってこれを私たちにお示しになり、お作りになったか。ちょっとこれを作られた基本的な考えを私に御説明いただきたいと思います。
○林(修)政府委員 このいろいろな国の憲法と申しますか、これの翻訳は実は私どもだけでなくて、これは衆参両院の法制局、それから国会図書館の調査立法考査局と私の方と四者がいろいろ協議いたしまして、比較憲法といういわゆる最も研究的な意味で、いろいろのところで憲法というものを制定しておる、それを翻訳して執務の参考にしよう、そういう趣旨で始めたものでございまして、いろいろな費用の関係あるいは人手の関係がございますので、ただいま申しました四つのところがそれぞれ分担してやったものでございます。全く執務上の参考資料として翻訳したものでございます。
○堤(ツ)委員 参考資料としてお出しになったその過程におきましては、やはり一国の憲法というものがある、国というものがあって憲法というものがあるという見解の上に立たなければ、憲法の紹介はできないと思うのです。なぜ私がこういうことを尋ねるかと申しますれば、藤山さんは北ベトナム、いわゆるベトナム民主共和国、これであなた方が出しておられるところの八番目のベトナム民主共和国というものをどういうふうに解釈していらっしゃるかと質問をいたしましたら、過日私に答えていわく、交戦中の政党団体、こういうような解釈を下しておられて、どうも国民と領土と憲法があるところの一国としては認めないとおっしゃるのですけれども、現実に憲法が紹介されているということになりますと、藤山さんの答えは非常に私はむちゃくちゃだと思う。やっぱり国に憲法があるから憲法を紹介したんだと思いますが、どうですか。
○林(修)政府委員 先ほど申し上げました通りに、これは全くいろいろなところで出ております成文の憲法というものを、われわれ及び関係機関の参考資料にする意味で翻訳したものでございます。その国を日本が独立国として認めて承認しているかどうかというような法的な問題とは全く別問題でございまして、北のベトナムも南のいわゆるベトナム共和国もどちらも憲法を出している、そういうものをそれぞれ紹介したわけでございます。国の承認とかあるいは日本が独立国として認めるか認めないかという問題とは全然別問題でございます。
○堤(ツ)委員 そんなに先走って、尋ねていないことにお触れになる必要はないのです。私が尋ねているのは、国があって憲法があるから憲法を紹介したのとは違うのですか、こう言っているわけです。アメリカが認めていようといまいと、日本が認めていようといまいと、ソビエトがこれを一人前に扱っておろうとおるまいと、そんなことに触れているのではない。国があって憲法があるから紹介したのかと聞いている。そうですとか違うと答えたらいい。
○林(修)政府委員 これは御承知の通り現在世界にはいわゆる分立国家と申しますか、これが四つくらいあるわけであります。これはそれぞれの政府がそれぞれの全土を自分の大体主権の及ぶ範囲と主張しているわけであります。これは決して二つの国があるとはだれも思っておらないわけであります。それぞれの政府があるというふうに考えております。それぞれの政府が憲法を制定していることも御承知の通りだと思います。そういうものをわれわれとしては、そういう政治的の問題とは別にいたしまして、それぞれの政府が制定している憲法を執務の参考として翻訳する、これは当然のことでございまして、北ベトナムがそういう憲法を作っている、これは事実でございます。この事実を翻訳しただけであります。国を承認するとか承認しないとかいう問題、あるいはそれを一国と認めるかどうかということと別問題であります。
○堤(ツ)委員 国というものがあって、憲法があるからこの憲法を紹介したんだということが今はっきりしたのです。そこで藤山さんにお尋ねいたします。あなたはこれでもホー・チミンは交戦中の政党団体、民間団体だとおっしゃいますか。
○藤山国務大臣 これはわれわれが南を承認いたして全ベトナムの代表と見ているわけでありますから、その見方の相違だと思います。
○堤(ツ)委員 北を承認するか南を承認するかという問題には触れていないのです。憲法を持った北のベトナム民主共和国がある。そして南にも憲法を持った一つの国があるということがはっきりしているのですから、ホー・チミン政府は政府でなくて民間団体であるというような暴論は、一国の外務大臣がこんなところで言えないでしょう。それはあなた、訂正なさる必要がありますよ。どうです、はっきりして下さい。
○林(修)政府委員 私の先ほどお答えいたしましたことを誤解されているようでございますから、ちょっと補足いたします。これは要するに先ほど申しました通りに、かりにベトナムの場合をとってみれば、南ベトナム政府はベトナム全域に対する主権を主張しているわけであります。北ベトナムもそうだと思います。従いましてこれはそれぞれの別の地域、別の人民を法的に支配していることをお互いに承認し合っている国ではございません。同一の国に対して、同一の問題を主張している政府が二つあるのであります。そのどちらを正統政府と認めるかどうかという問題でございます。両方の政府がそういうことを言っておることは事実問題でございます。従ってそういうふうな憲法を作っていることも事実問題でございまして、それを翻訳したことは、その事実問題を翻訳しただけであります。しかしその同じ人民、同じ地域をもととして二つの政府がお互いに正統政府を主張し合っている。その場合どちらの政府を正統な国を代表する政府と認めるかという問題は、これはまた別問題でございます。これは先どから外務大臣がおっしゃっていることで尽きるわけでございます。
○堤(ツ)委員 事を曲げてそんなに解釈をなさらないで——サンフランシスコ条約の都合のいい方のベトナムを引っぱっているのだということははっきりしているのです。ですから、そういうこともオープンにお入れになって、私は南ベトナムも一つの憲法を持った国であるならば、北ベリナムも一つの憲法を持った国であるというところの解釈をなさっても、ちっとも損にはならないと思うのです。それをすなおに認めた上で、こういう状態にあるから従って南を対象としておるのだという理屈は成り立つけれども、憲法のある国を抹殺してしまって民間団体で片づけていこうとするところに、岸内閣に邪念があるわけなんです。人間としてまともな解釈をしたら、私の解釈しか出てこないと思うのですが、藤山さんというのは少しおかしいのでしょうか。はっきりしてみて下さい。
○藤山国務大臣 ただいまたびたび御説明申し上げておりますように、南ベトナムはベトナム全域を代表する政府として自分がそれを主張し、また国際関係においてもそれを認めておるわけであります。むろん一般的に北にそういう状態があるということも、これは認められておるわけでありまして、従って北の方が南まで支配しているということを直接認めているのはソ連その他でございまして、その点においては全く見解の相違になると思います。従っておそらく北ベトナムの立場、あるいは北ベトナムを承認している立場からいえば、南のベトナムの政府というものはやはり国をなしていないのだというような言い方をすることになろうと思います。これは立場による見方の相違と見ざるを得ないのでございます。
○堤(ツ)委員 だから、私は藤山外務大臣に、南寄りにものを考えなさいとか、北寄りにものを考えなさいとか、どちらも強要していないわけです。私は憲法を読みますが、第一章総則の第二条に「ヴェトナムの領土は、バクボすなわち北部ヴェトナム、トルンボすなわち中央ヴェトナム及びナムボすなわち南部ヴェトナムからなるが、統一体で分割することはできない。」こう書いてあって、その第三条に、「ヴェトナムの首都は、ハノイ市である。」こう書いてある。それから今度はこちらの、民主共和国でない方のベトナム共和国、いわゆる藤山さんが大事になさる方ですけれども、この憲法はやっぱり今林さんがおっしゃったように、「ヴェトナムは、独立の、単一の、かつ、不可分の共和国である。」こういうように書いてありますから、両方の憲法からいったら五分と五分の主張ではありませんか。五分と五分の主張を憲法が両方でやっておったならば、手を握る握らないは別として、五分と五分の現実に立って認めざるを得ないということが私は正論だと思うのですが、藤山さんはどうしても北を抹殺したいところから、私に無理に曲げた答弁で終わろうとなさるけれども、私はそれは承知できないのです。
○藤山国務大臣 その点は重ねて申し上げますけれども、見解の相違だと思います。
○林(修)政府委員 今堤委員がお読み上げになりました通りに、北も南もおのおの全域を主張しておるわけでございます。二つの国として成り立ち得ないものであります。従って外国から見ればどちらかの政府を正統政府として認めるという以外にはでき得ないものでございまして、従って日本としては南ベトナム政府を正統政府と認めている、従って北ベトナム政府は正統政府にあらず、こういうことになるわけであります。
○堤(ツ)委員 あなたの意見を逆にひっくり返せば、北からいえば同じことが言えるわけです。そうしたら、五分と五分とをせめて認めたらどうか、私はこう言うのです。
○林(修)政府委員 民主共和国の北ベトナム側は、もちろん自分がベトナム全域に対する合法正統政権であるということを主張しておりましょう。それを承認している国も世界にはあるわけでございます。しかしそうではない、南ベトナムが自分が全ベトナムに対する正統政府であると主張し、またそれを認めている国が世界に多数あるわけであります。そのどちらをとるかということは、それぞれの外国がいかなる立場によってどちらを承認するかということでございまして、日本としては南ベトナムを正統政府と認めてこれを承認しているわけであります。そういう立場に立てば、北ベトナムを一つの独立の国家と認めるわけにはいかないわけでございます。
○堤(ツ)委員 あなたのおっしゃっておる通りのことが、国連の安保理事会でもそういう結果になって現われておるのです。国連へ北と南が加盟を申し出たら、認める方は賛成するし、認めない方は拒否権を使う。認める方は賛成を入れるけれども、片方はまたこれに反対するというふうにして、ここ十年間、両方ながら五分と五分との扱いを受けて、国連の安保理事会でもはねられているのです。そういうことは私はちっとも不思議に思わないのです。せめてその線まで日本政府は南北べトナムに対する公平な見解が持てないかということを聞いている。
○藤山国務大臣 国連において五分と五分と言われましたけれども、安保理事会の投票から申せば拒否権を用いる一国と、あるいはそれに反対する九万国、こういうような形で、国連の決議そのものは必ずしも五分と五分ではございません。
○堤(ツ)委員 あなたは国の数でおっしゃいますけれども、頭数からいったら、北についているのは八億ですよ。地球の上の人口を考えたらそんなにばかにできないわけです。そこでこれは両方の憲法を見てみても、はっきり言えば物別れになっているのです。従って日本の政府が賠償を払ったときに、お互いに主権を主張しているのですから、お互いに主権が及ばないということはお認めになりますか。
○藤山国務大臣 現実に必ずしも全域に施政権が及んでいないという事実はございます。
○堤(ツ)委員 両方ながら主権が相手に及んでいないということをお認めになりますね。そうすると主権の及んでいないところへ賠償協定を結んで賠償を払ったら、片方は主権がいかないのですから、賠償だけ勝手にいくのですか。どういうことです。
○林(修)政府委員 ただいま外務大臣のおっしゃいましたことは、いわゆる実際上の施政権のことをおっしゃったわけでございます。主権は、ただいま堤委員がお読み上げになりました通りに、両国はそれぞれ全域についての主権を主張しているわけでございます。従いまして、一国を認めた以上は、その一国の主権はやはりその全域に及ぶということになるわけであります。ただ実際の施政権は、南北それぞれ別の地域にしか及んでいない、これは事実であろうと思います。
○堤(ツ)委員 施政権と主権という言葉の違いでごまかそうとなさいますけれども、要するに主権というものは及ばないのですよ。そんな、藤山さんが払われた賠償が、南から北へはたのものを無視して、国境を越えて勝手に歩いていくわけではあるまいし、及ばないわけなんです。そこに南ベトナムだけを対象としてこの協定を結ぶということに、後日問題が残ると言っておるのでありまして、私はこの点はまだあまり……。委員長、一時から社労ですか。
○小澤委員長 どうぞ御遠慮なくやっていただきたい。
○堤(ツ)委員 主権の及ばないところに賠償を払うということは、これはだれに聞いてみても、自民党の方はわかるかもしれぬけれども、自民党の中でも三百人の国会議員を連れてきたら、わからぬ人が九〇%だと思う。どうですか、もう少し誠意のある答えをなさらないと、藤山さん、あなたは外務大臣として、これはほんとうに大問題ですよ。主権の及ばないところに賠償を払って、どういう方法で具体的に北へいくという自信があなたはおありになるか、ちょっと説明して下さい。
○藤山国務大臣 今法制局長官が言われました通り、主権は全ベトナムに及んでおりますけれども、ただ施政権が必ずしも及んでいない地域があるということを申し上げたのでございまして、その点だけもしあれでありましたら訂正しておきます。 今日われわれといたしましては、南ベトナムを全域を代表する政府として、主権を持っている政府としてこれがサンフランシスコ条約に調印しております。そうしてわれわれはその義務を履行するわけであります。また現実の問題といたしましても、将来これが統一も行なわれましょうし、また賠償によって北にまで及ぶような施設がとり行なわれますならば、当然北にも将来好影響を与えるものになることは申すまでもございません。
○堤(ツ)委員 ときによって都合のいいことをおっしゃいますけれども、南北の統一の見通しについては、ジュネーブ会議では統一しなければならぬというところの世界の意向が表明されておるけれども、各国公平に分析してみたところ、この精神に反してなかなか統一は望めそうにもない。従って南北統一の見通しというものはそう二年や三年のうちに望めないのだ、従って望めないものに望みをかけておっても仕方がないから、サンフランシスコ条約十四条に従って義務を遂行するのだ、こういっているわけです。ところが見通しがないということをひっくり返せば、あるいは不幸にして、この間私が主張しましたように、南北が固定化してしまって統一ができない場合が生まれてくるということを、見通しが立たないという勘定の中に入れなければならぬと思いますが、藤山さんいかがでございますか。
○藤山国務大臣 今日急速にそういう見通しがない以上、われわれといたしましては当然サンフランシスコの義務を条約上果たすために、南に対して、南が全域を代表する政府でありますから、それに対して支払いますことは当然のことだと思います。
○堤(ツ)委員 私の質問に対する焦点がぼかされております。ということは、統一の見通しが立たないという危険性の裏には、また南北が固定化してしまって統一ができないということも勘定の中に入れておかなければならぬじゃないか、こういうことを私は伺っておるわけです。それに対するお答えがないわけです。
○藤山国務大臣 困難ではありますけれども、まだ固定化するという結論に達することは早急だと考えております。
○堤(ツ)委員 藤山さん一人だけでなく、この地球の上の人は、不幸にして一つの民族が二つに分かれておる現実、これは中共の場合もそうでございますし、韓国の場合もそうでございます。たくさん分かれておる国がありますが、これが一日も早く統一してほしいということは望んでおるのです。この南北のベトナムというものを分析してみますときに、統一選挙をしようという約束までできておる。南北統一選挙を約束しておりながら、実際の選挙をやろうという現実論に入るとひっ込んで逃げるのは南です。なぜ南が逃げるかと申しますと、有権者の数が北の方がはるかに多い。そうすると南北統一選挙をやりますと南の政権が倒れてしまうという結論が出ておるものですから、北の選挙権の優越におそれをなすところの南が拒否をして、今日まで統一選挙が行なわれておらないというのが実態なんです。あなたが南側に立って南を支援なさるならば、今私が逆にあなたに言いましたけれども、統一を望むものとするならば、統一をできる方向にベトナムを支援するのが日本政府の立場であり、全人類の立場であるわけであります。ところがこの仲の悪い南北ベトナムに、それ見てみろ、日本は南に賠償を払うじゃないか、おれの方こそ正統じゃないかということで、放送を通じて北にけんかを呼びかけるような原因を日本が作るような賠償がこれではありませんか。何も私は人間の一人として南北の固定化を願っておるのではありませんけれども、しかし不幸にしてこれがどうしても固定してどうにも仕方のないという場合が生まれたときには、やむを得ないこの二つを独立国として認める、この憲法というものは私はもうすでにあると思うのです。従って施政権は別々にあるのです。主権は別々にあるのです。今日この二つの国に対して、あなたが言いのがれで主権の及ばない地域にまでこれがいくのだというような詭弁をもって国民をごまかしてこの賠償を払うというようなことは筋が通らないと思うのです。その点は私幾らくどいくどいといわれても、国民の前にはっきりしなければならぬ義務があると思うのです。藤山さんそれでもごまかせますか。
○藤山国務大臣 堤委員とは残念ながらその点に関しては見解が相違しておると思うのであります。私といたしましてはあくまでも先ほどから申し上げておる通りでございます。
○春日委員 関連して。私は次の機会に系統立って質問の機会が用意されておりますけれども、本日はただいま堤さんの御質問に対しての御答弁がきわめて不明確でありますので、この一点だけ一つ明確にしておきたいと思うのであります。 藤山外務大臣は、この南ベトナムの国家としての主権がベトナム南北両域に及ぶものと期待されておりますが、この点を一つ明確に御答弁願いたいと思います。
○藤山国務大臣 この点は当然南ベトナムを正統政府として見ますわれわれとしては、全ベトナムに主権があるということを認めておるわけであります。
○春日委員 そういたしますと、これは国際慣例としても、あるいは国際信義としても、重大な問題であると思うのであります。すなわち、その国家を承認しないというそのことは、あるいはときには承認し得ないという立場もあると思うのでありますが、そういうような場合はそれを積極的に否認するということとは全然別の立場であると思うのでありますが、これはいかがでありますか。
○藤山国務大臣 われわれとしては、今申し上げましたように、南ベトナム政府を正統政府として認めておるわけであります。南ベトナム政府は、その成立の過程からいいましても、全ベトナムを代表する、全ベトナムに対して主権を持っておる政府だということを主張いたしておりますし、世界の各国がそれを認めておるわけであります。むろん反対の北ベトナムをそういう形において先ほど法制局長官も言われましたように、認めている国もございます。しかし、われわれといたしましては、そういう見方をしておるわけでありますから、当然私どもはその見方の上に立ってものを処理いたして参りますのが実際的な問題になってくると思います。
○春日委員 政府のお立場はわかるのであります。しかしながら、承認しないということは、さまざまの国際情勢の背景があって、したいにもし得ない現実があるのだ、また本心はしたいのだけれども、いろいろとし得ない、だからしていないのだ、こういう場合もあるでありましょうし、さまざまの形でこういう現実が現われておると思うのであります。従って、承認しないということは、現存する国家を否認するということとは全然別個の問題であると思うのでありますが、この点はいかがでありますか。たとえば中共との関係もあるでありましょう。中共は存在をいたしております。ところがこれをわれわれはいろいろな関係で承認をいたしおりません。しかしこれを承認しないということは、否認しておるということではないと思いますが、いかがですか。
○藤山国務大臣 承認をし得ないのには、いろいろな事情、条件、その他あると思います。それはその国自体の構成にもありましょうし、現実の事態として、国際情勢の中においてそういう承認し得ないということを見得る立場はとり得ると思います。でありますから、われわれとしては北を承認いたしておりません。そうして南が全ベトナムを代表していると認めておるわけであります。しかし、一方たとえば北に対してソ連その他が承認しているという事実を特に抹殺するわけではありません。でありますから、われわれも承認国の説明の場合には、北を承認している国もあるのだという事実は認めて報告はいたしております。しかし、われわれとして北を承認し得ない、そういう事態にある事実の上に立ちまして南を承認し、南を正統政府として認めるという立場をとっておるということを申し上げておるのであります。
○春日委員 そういたしますと、具体的にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、たとえば、日本と台湾政府との間に日華条約が結ばれておると思うのであります。このときにその条約の効果の及ぶ地域というものは、その条約の中に明確に規定されておると思うのであります。それはどういう工合に規定されておるのでありますか。ただいま伺っておりますところから判断をいたしますと、あなたの方は北ベトナムを認めないで南ベトナムと条約を結ぶのだから、この条約の効果は全ベトナムに及ぶという形で、この条約の批准の要求がなされておるわけであります。ところが、先般日華条約が締結されましたときには、台湾政府を日本国は承認をいたしておるが、中共は認めてはいない。こういうような立場、現実の上に立って判断いたしますときに、当然その日華条約は、すなわち大陸をも含めて全中国に及ぶという工合に条約が結ばれてしかるべきものと考えるのでありますが、そのように条約は結ばれておるのでありますか、現実はどのように結ばれておるのでありますか、この点を明確にされたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 日華条約ができましたときには、交換公文がございまして、現在の施政下及び将来入る地域、こういうふうに交換公文で規定されております。ベトナムとの関係においては、われわれが承認をいたしますときに、そういう規定は何もございません。全ベトナムを代表するものとしてわれわれは承認いたしておるわけであります。
○春日委員 そういたしますと、そういうように一国が二つに分かれておるような場合、その一方国と条約を結ぶ場合は、やはり交換公文の中において、その条約の効果の及ぶ地域というものが何らかの形において明示されておる。その実績は、日華条約においてはその主権の及ぶ範囲あるいは将来そこに繰り入れられる範囲、こういう工合に限定されておると思うのでございます。しかるに今回のこの南ベトナムとの賠償協定は、そういうような交換公文もなく、またそのような理解もなく、南は全域にまたがってその効果を及ぼさんといたしておるのでありますが、一体日華条約の前例に徴し、そこに全然相異なる措置のとられていることは、いかなる理由に基づくものでありますか。
○藤山国務大臣 サンフランシスコ条約調印国としてのベトナムは、全ベトナムを代表する政府として調印いたしております。従いまして、われわれがその義務を負いますときには、全ベトナムを代表する政府としてそれに支払うことは当然であります。
○春日委員 そういうことを質問いたしてはおりません。私が伺っておりますのは、国際条約を締結いたします場合、その相手国の中において、現実の問題として二つの国家に分立をいたしております場合、その一国と条約を結ぶ場合は、現に交換公文その他において、その条約の効果の及ぶ範囲というものを明示いたしておるのが慣例であると理解をいたしておるのでございます。すなわち日華条約がその通りの取り扱いがされておるのでございます。しかるに今回に限ってことさらに北ベトナムに対するそのような配慮を加えず、事実上条約の効果の及ばざる北ベトナムをも含んだ他の一方と条約を結べば、これが全ベトナムに対する問題の解決になし得ると一方的に独断されておると思うのでありますが、私は、この問題は、今までの国際慣例、条約締結の前例に徴して、いまだかつて例を見ないところであると思うのでありますが、この点はいかがでありますか。
○藤山国務大臣 今申し上げました通り、サンフランシスコ条約を基礎に置きまして、その上に立ってわれわれは賠償の問題を考えるわけであります。その場合に、ベトナム全域を代表する政府として、当然国際的にも多数から認められております。従って、将来統一が行われる場合もありましょうし、われわれといたしましては、サンフランシスコ条約の義務を行ないます場合には、右のような解釈をして参ることが当然でありまして、その上に立って、われわれは特にそういうような交換公文をいたしておりません。
○春日委員 私は関連質問でありますから、もうこれで終わります。いずれ私に約束された時間を尽して、十分この点を明らかにいたしたいと思うのでありますが、私は最後に一点だけ、事実問題として伺っておきたいのであります。すなわち、今まで主権の及ばない地域へ条約の効果を及ぼすような、そういう条約を締結されたことがあるかどうか。現実にそういうような国家が二つに二分されておりまして、そういうような前例があるかどうか。たとえば西ドイツとの関係あるいは台湾との関係、いろいろあろうと思うのでございます。前例はどのようになっておりますでありましょうか、この点を明確にされたいと思います。
○高橋政府委員 ただいま思いついただけの点で申し上げますと、たとえばドイツの工業所有権に関する条約、こういう条約につきましては、ただいま御指摘のような内容を持って締結されております。
○春日委員 条約局長、それはどういう工合でありますか、もう少し明確にお願いをいたしたい。台湾政府との間に結ばれた条約は、その条約の効果はどのように限定されておるか。西ドイツと結んだ条約の効果は、どの地域まで及ぶことが規定されておるのか。一つの国家で現在二つに分立いたしております他の一方と結ばれた条約は、その効果をどこに及ぼすか、どの地域に限定するか、それがどのように取りきめられて本日に至っておるか、この点を結ばれております条約の個々について承っておきたいと思います。
○高橋政府委員 御指摘の点は、個々の条約の内容によりまして、その法律的な解釈として及ぶとか及ばないとかいう点があるかと思います。また特に領域についての問題があります場合、領域に関連する場合、地域的な関連が非常に強い場合には……。
○春日委員 それは、行政的な条約ではなく、政治的な条約、そういうものだけでけっこうであります。
○高橋政府委員 ちょっとその点は思いつきません、政治的な条約というのは。
○春日委員 そういたしますと、たとえば郵便であるとか交通であるとか、そういうような行政的なものではなくして、政治的な条約で、一つの国家が二つに分立いたしておりました場合、他の一方国と日本国とが締結した、そのような政治的国際条約、これについてその条約の効果の及ぶ範囲の規定がどのようになっておるか、それをことごとく御調査の上、本委員会に資料として御提出あらんことを要望いたしまして、私の関連質問を終わります。
○高橋政府委員 資料について申し上げますが、政治条約にはほとんどございませんと思います。(〔春日委員「日華条約はどうですか」と呼ぶ(もし調査の上ございましたら、御提出申し上げます。(春日委員「日華条約はどうですか。日本と台湾政府との間に結ばれた条約がありましょう、それがないというのはどういうわけですか」と呼ぶ)それは条約の解釈の問題です。 〔春日委員「解釈なら、交換公文で明示されておるじゃありませんか」と呼ぶ〕
○小澤委員長 春日一幸君に発言を許します。
○春日委員 日華条約がございますね。ただいま外務大臣から御答弁のありました通り、日華何やら条約ですね、その条約の中には、この条約の効果の及ぶ地域というものが交換公文で明示されておると思います。すなわち主権の及ぶ範囲及び将来繰り入れる地域、こういうふうになっておるわけであります。すなわち中国の二つに分かれておる関係において、その点を明確に出しておるわけであります。日本としての公正な立場を、そこで確保されておるわけであります。私は他の国々とも、あるいは西ドイツとも、あるいは——私は朝鮮関係は存じませんけれども、いろいろあろうと思うのでありますが、それについてその効果の及ばないような地域、主権の及ばないような地域にまでその効果を想定して結ばれたところの条約があるかどうか、その点をお伺いをしておるのであります。現に台湾の例なんかも一つの例であります。私は他の例を知りませんので、それを資料として御提出を要求しておるのでありますから、それはないということを言わないで、一つはあるのですから言っておる、そんなばかなことは言っていないのですから、その点を明確にしてもらいたい、こう言っておるのですから、ないというような荒唐無稽な答弁は許しません。
○高橋政府委員 調査いたしまして、資料として提出いたします。
○春日委員 そのように申しなさい。
○小澤委員長 堤ツルヨ君。
○堤(ツ)委員 私がいただいております時間がもうだいぶ来ておりますから、外務大臣は社労に行かなくちゃならないから……。
○小澤委員長 どうぞ御心配なく。
○堤(ツ)委員 いいのですか、それではお言葉に甘えまして……。 藤山さんの御答弁は終始一貫ごまかしであるということは、衆目の見るところ、はっきりいたしております。そこで私は条約局長にもう一度、くどいようでございますけれどもお尋ねいたします。国連の安保理事会に加盟を申し出るのは、民間団体でも政党団体でも国でもよろしいのでございますか。
○高橋政府委員 お答え申し上げます。憲章第四条の加盟を認められるのは、すべての平和愛好国に開放されるということになっております。ただ現実には、いろいろな国、団体その他が加盟を申請いたしております。その申請のときに安保理事会や総会においてこれが却下されるとか、受け入れられということになります。
○堤(ツ)委員 今あなたがお読みになりました平和愛好国という言葉がございますね。で、その審議がされないような段階ではないのですよ、両ベトナムは。従って、今無視、抹殺してしまおうとなさるところの北ベトナム、いわゆるベトナム民主共和国というものは、南と同様に平和愛好国として取り上げられて審議の途上、拒否権にあったり賛成の札が少なかったりするだけで、論じてもらえる資格のある国なんです。日本社会党が安保理事会に国連へ加盟したいなどと申し出たって、これは取り上げないと思う。しかしあなたが申されたように、平和愛好国というものがまないたの上に乗せられて認められるからこそ、審議されて、反対、賛成の札が入るわけなんです。そうすると、平和愛好国として地球上に認められておるのが現実ですね。ベトナム民主共和国、これを国として、あなたは平和愛好国としてお認めになりますね、条約局長。
○高橋政府委員 国連では、その国連の安保理事会及び総会では、そういうふうな提案がなされ、そこで審議されるということを申し上げた次第でございます。
○堤(ツ)委員 国連という世界共通の広場で平和愛好国として認められて審議に乗せられておるものを、日本の外務大臣が、交戦中の民間団体あるいはまた政党団体とみなすというようなことは暴論もはなはだしいのでございまして、藤山さん、どうぞ面子にとらわれないで、私はこれは一つ取り消してもらいたいと思いますが、お取り消しになりますか、お取り消しにならないか、そこのところをはっきりしていただきたいと思います。
○藤山国務大臣 たびたび申し上げておりますように、われわれは南の政府を正統政府として承認いたしております。しかもそれは全ベトナムを代表する政府として認めておるわけであります。従って北ベトナムは認めておらないわけであります。でありますから、これをどう呼ぶかということは、あるいは便宜上国と呼ぶといたしましても、それは一向に差しつかえないことでありますけれども、今申し上げたように、われわれは条約上認めておらぬ、その事実を申し上げただけであります。
○堤(ツ)委員 ただいま私の方の春日さんがおっしゃったように、いろいろな事情がありますから、従って北ベトナムを国際的な、法的な国としてお認めにならない立場は了承するというのです。けれども、それは積極的な否認にはならないだろう、こういう念を押されておられましたけれども、私は反対陣営において国として認め、国連の理事会で加盟させるかさせないかとして、愛好国として審議されておる以上、一つの国家として私は法的には認めなくても、現実には認めなければならない義務が日本政府にあると思うのでございまして、政党団体だとか、民間団体だとかいうような暴論は、一つ取り消していただきたいと思うのでございます。それを取り消すか、取り消さないかということを一言私は聞いておるのでございます。あなたのお答えによって私の方の会派はまた考えさせていただくのでございますから、承認するしないじゃないのです。藤山さんは政党団体あるいは民間団体とみなすという、あのお言葉を取り消しになりませんか。法的には承認はできないけれども、現実の問題として認めておる国もあるのだから、うちの方では認めないけれども、やはり国と言う国々もあるのなら、まあ国と認めておる人もあると認めざるを得ないというのが現実だというなら、私は政党団体とか民間団体だとかいう暴言、失礼な言葉は言えないと思うのです。そこのところですね。
○藤山国務大臣 これは言葉の問題だと思いますので、国として認めてないのでありますから、しかしそれを国と呼ぶか呼ばないかということは、普通の常識上、あるいは通常語彙の問題だと考えます。だからその意味において国と呼びますことが適当であれば、それはその点について別に異存はございません。従って交戦団体なりなんなり、国という名称をつけるということについて別に何も差しさわりはない。しかしわれわれは承認をいたしておりませんから、正統な全ベトナムを代表する国としては認めておらない、こういうことでございます。
○堤(ツ)委員 なかなかお苦しい答弁のようでございますけれども、まだもう一つはっきりいたしません。これはベトナムの賠償——藤山さんに誤解のないように申し上げておきますけれども、私は当初から申し上げているのですが、今回のベトナム賠償を承認するかしないかを論じるに当たって、全く北ベトナム側に立ってものを言う人もあるのです。日本の国民の中にあるのです。これははっきり認めます。しかし私たちは少なくとも北ベトナム側に立って、北ベトナムのみを擁護する立場からものを言おうとしておるのではないのでございます。そこのところは一つ質問者というものを御分析になりまして、そうして正直にお答えにならないと、第三者の聞いておる方では、左もおかしければ右の藤山もおかしいになってしまいますから、どうぞこういう勝負はなさらないようにしていただきたい。私は社労の委員会できょうの午後発言する予定になっております。私自体の時間も来ておりますので、この辺で私はやめ、暫余の質問は後日に譲りますが、これは私自身に時間が与えられておらなければ(「、きょうやってしまえ」と呼ぶ者あり)私の方のクラブの委員がかわりましてやらしていただいて、紳士的に、時間を守りますから、佐々木さん、御心配要らないと思います。それで私の方の発言時間をいただくということをここに速記録に残しまして、私の質問に対するところの、北ベトナムに対する政府の答弁は皆さんを通じてあいまいであるということを速記録に残して、私は質問を終わります。どうもありがとうございました。
○小澤委員長 次会は明二十日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十九分散会