大蔵委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 60 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/09/01
会議録
○委員長(加藤正人君) ただいまから委員会を開きます。 これより財政金融一般について質疑していただくわけでありますが、佐藤大蔵大臣は、所用のため、三時半ごろ退席いたしたいということでありますので、この点お含みの上、大蔵大臣に対し御質疑を願いたいと存じます。 御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
○野溝勝君 私は、二、三の点について、この機会に大蔵大臣に質問をいたしたいと存じます。 大臣は、先般事務当局を招致いたしまして三十五年度の予算検討を始めておるやに伺っております。これは毎年の恒例でございまして、当然のことではありますが、特にその際に大臣が示された構想というものは、今回、三十五年度の予算の編成は容易ならぬものであるということがいわれておるし、特にその財源といたしまして自然増収を一千二百億近く見込んでおるようでございますが、いずれにいたしましても、政府の施策といたしまして、いろいろと政策の裏づけに対する予算措置が講じられなきゃならぬ。特に、その中で財政の困難な事情を訴えながら、一方におきましては、特に旧軍人の恩給額などにつきまして、依然として増額を見込んだ構想を考えられておるようでございますけれども、それよりは国民年金の充実の問題であるとか、あるいは社会保障の問題であるとか、その他多くの当面緊急な問題に対する予算措置を相当考えなきゃならぬと思うのでございますけれども、この点に関しまして、大臣のこの際一つ御所見を伺っておきたいと思うのでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。ただいま、三十五年度予算編成についての考え方はどうかというお尋ねであったように思います。過日来、事務当局から今日までに集まっております資料についていろいろ説明を聴取いたしておりますが、御承知のように、まだ八月がようやく済んだばかりでございまして、九月にきょう入ったばかりでございます。従いまして三十四年度といたしましては、きわめてわずかな期間しか経過いたしておりません。ことに、税収入の一つの見通しをつける上での一番実績の出てきます月が、九月と申しますか、二月決算あるいは九月決算という、いわゆる法人収入の点がまだ数字がまとまっておらない際でございます。そこでどういうことになるか、まだわからない。もちろん、税の伸びにつきましては、昨年来経済が上昇でございますし、今日の状況も相変らず順調に発展いたしております。また、今後の見通し等につきましても、いろいろ心配いたしますれば、際限もないことでありますが、いろいろの条件等をも勘案いたしてみまして、また私どもの施策も十分これに注意を怠らないで参りますならば、おそらく今後も経済の上に大きな変調を来たさないで順調に進み得るのじゃないか、かように実は予想いたしております。 そういう点から見ますと、税の自然増収は相当の金額が見積られるだろうと思いますが、ただいま千二百億というようなお言葉がございましたけれども、私ども大蔵当局といたしましては、金額がどのくらいになりますか、ただいま申し上げるのは、いかにもまだ材料がそろっておらない際でございすから、これは差し控えさしていただきたいと存じます。 ただ、自然増収はございましても、歳入の面から見ますと、御承知のように、三十四年予算編成の際においては、相当多額の剰余金がございました。まあ大体ことしなぞ、考えてみますと、剰余金の減は六百三十億近くなるのじゃないかと思います。もう一つは、いわゆるたな上げ資金と呼ばれておりました二百二十一億、こういうものがことしはないのでございます。従いまして、税の上で相当の収入がございましても、歳入の面ではこの二つが相当大きな減として立つわけでございますから、歳入は税収入の伸びそのものではない。歳入増加といたしましては、これらの二つのものを考慮しなければならない。ここに非常に予算編成上の困難があるわけでございます。 それから、もう一つは、支出の面におきまして、ただいま野溝さんが御指摘になりましたように、旧軍人恩給などは、在来の法律を実施して参りますと、三十五年度がピークになるのであります。これは別に新しく増額措置をとらなくて、当然この法律実施の上から増額になる。こればかりではございません。あるいは給与の問題についての人君院勧告があるとか、その他社会保障の関係の諸制度等におきましても、三十五年度フルに十二カ月全部を計上しなければならないような項目もあるわけでございますが、これらの点を私どもは支出の面における当然の増と申しておりますが、そういう当然増の金額が相当多額に上っておる。この点はただいまでも計算のできることでございます。 それらのことを考えて参りますと、実は新しい事項を取り上げまして、政策を推進していく上において、歳入歳出等をにらみ合せますと、来年度予算編成はなかなか困難ではないか、かように考えております。そういう際でございますから、この支出の面におきましても、緊急度なりその重要度なりは十分考えて参りたいと、かように思っております。
○野溝勝君 ただいま大臣が申されたように、たな上げ資金の問題は、基盤強化資金と申しますか、その減少の問題、あるいは前年度剰余金の急減の問題、そういう中にあってこの予算を組むことがなかなか容易でないという点を御指摘になっているのですが、さように苦しい中から、今度は歳出の面に対して、私は、従来のやり方に対して一応再検討されなければならぬ点があるのではないかということを申しておる。もちろん、法律でどうしても出さなければならぬ、支出しなければならぬ問題に対しては、これは出さないわけにはいかぬのでございますが、しかし、それでも私は法律改正によってその措置をとることもでき得ると思うのです。 その中の一つとして、私は、社会保障の国民年金の問題であるとか、あるいは給与額の問題であるとかいう点に対しましては、これはまあいたし方ないといたしましても、恩給の問題につきましては、特に高給を得ているような恩給者に対しましては、国会においてもいろいろな意見が出ておるのでございますから、さような際においては、私はむしろ臨時立法なり、あるいは何らかの措置を講ずる案を考えてはどうか。そうしてこの財源の危機に備える一つの歳出等の政策といいましょうか、項目を改め、ないしは改変するという気持をもって、これに処する気持がないかということを私は申し上げておるのでございまして、この点に対する大臣の覚悟といいましょうか、気持をお伺いしたいのでございます。 特に、私、大臣の見解で、何といいまするか、私は反対党ではございまするけれども、健全財政の考えについては感心をしておる。たとえば、公債の発行に対してこれを抑制するとか、あるいは外国為替の特別会計に対する繰入資金の取りくずしに対しては反対しておるというような点においては、私は正しいと思うのでございます。こういう点を大臣は推進しようという一面、今のような歳出の面について、もしそれを実行する際においては、いろいろとそこに矛盾が出てくると思うのでございます。その矛盾の中で、とりあえずその二つを解決するめどといたしまして、私は高給恩給者に対する考えを何とか一つの処置として考えたらどうかということを申しておるのでございます。これに対する御見解を承わりたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 野溝さんの御意見、私ども大へんありがたく拝聴いたしたわけでございまするが、予算は、これは大事な予算でございまするから、もちろん冗費を計上するというようなことはございませんが、できるだけ緊急度に沿い、またその必要度に沿って予算を使わなければならない、国民の負担を軽減するという一つの基本原則がございます。そういう意味から申しましても、いろいろ批判のあるような事柄の支出につきましては、政府としても十分検討を加えなければならないことだと、かように考えております。しかし、ただいまおあげになりました恩給の問題等について、高給者に対する制限措置、過去においても皆様方の御賛成を得ましてやって参りましたが、さらにその制限を強化するとか、あるいはすでに支給しておるものを今回やめるとか、こういうようなことになりますと、これはもちろん政治の分野でございますが、今の法律そのものをもってすれば、既得権侵害というようなことにもなりますので、なかなか容易に、これはこういうふうにいたしますと、この機会に御返事のできることではないように実は思うのでございます。 ただ、私どもが予算を編成いたしますに当りましては、過去におきましても、いろいろ節約を各官庁に要望して参っておりますが、これなどももう長いことでございますから、あるいは節約の余地はないだろうかとも思いますけれども、やはりできるだけの節約は要望したいと思います。あるいはまた、会計検査の結果、批難事項に当ります事柄について、今後の問題として検討を要すべきことについては、特に私どもそういうものを取り上げてみたいと思います。あるいはまた、政府の金として予算に計上し支出として計上いたしましても、十分な効果が上らないような補助金などについては、過去においても整理する方針をとっております。これからも、今後引き続いてその方針で参る考え方でございます。 問題は、財源が非常にあり余るわけでもございません。いつの時代でも、非常に財源が多ければ国民負担軽減という方に回って参りますから、新しい事業をやるべき予算総額というものは必ず制約を受ける限度があると思いますが、ことしのような歳入の見通しの状況のもとにおきましては、一そう私どもは有効適切にその予算が使われるような、十分効果が上るような、そういう方向で堅持して参りたいと考えております。お尋ねの点に対しまして直接の答えではございませんけれども、私の気持は、御指摘になりましたような点をも加味いたしまして、在来の法律なりあるいは今までの取りきめ等を変えるということがなかなか容易でないという一点だけを御披露させていただきましてお答えといたします。
○野溝勝君 私は、この問題についてはこの一つをもって、次の質問を続けたいと思うのでございますが、これは長い間の懸案といいましょうか、われわれの政治問題の大きな課題になっていることであります軍人恩給、あるいはその他の恩給制度の問題につきましては、所管大臣は厚生大臣であるかもしれませんが、特に大蔵大臣とも関係がありますので、私はそれを特にお聞きするのですが、財源のないときに、今大臣は皆さんの御賛成を得てと言いますけれども、御承知のごとく、われわれは賛成じゃないのです。実際は修正意見なり、それぞれ出しているわけなんです。しかし、結果は、それは多数決ですから、賛成ということには間違いございませんが、そういう答弁ははなはだ要領のいい答弁でございまして決して国民的には、それは言い過ぎた言葉でございますが、私は一方的な解釈の答弁だと思うのです。 そこで、ざっくばらんに申し上げますが、こうした問題が、財源の少い際に法律できまっているから仕方がないということでなくて、せっかく国民年金を中心にする年金制度というものを政府はやることになったのですから、あの年金制度をもっと拡大強化いたしまして、もっと妥当性のある、そうしてほんとうに国民のほとんどが喜ぶような内容に改めるために、私は、この際、むしろ問題のある恩給制度というものをこの年金制度に一つしぼって、そうして最も合理性を持たせるようなふうに、厚生省所管大臣等と大蔵大臣と真剣な、あるいは内閣において真剣になって討議したことがあるでしょうか。一つこの点を、私は、お互い政治家として真剣に考えてみたい。この点を一つ伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨年、いわゆる公務員関係については、共済制度にこれを切りかえまして、先ほど来申しておりますのは、既得権者をそのままにするということでございまして、今後恩給制度というものが大幅に共済制度にかわっていく、これは前国会におきましてその法律を作らしていただいたわけでございます。
○野溝勝君 では、きょうは三時までということでございますし、まだほかに委員の方々も相当質問をいたす用意を持っておりますので、私はこの問題については、また後日機会をあらためて、一つゆっくり大臣の見解と私の意見とを十分に検討する機会を得たいと存じます。 今回、大臣は、予算編成に当りまして、少い財源の中から特に、三十王年度におきましては、道路、港湾、工業用水、産業基盤の拡充強化、中小企業対策に力を入れるということを言われておりますが、農村の方はこれは相手にしないと、こういう意味なんですか。どういうふうに解釈したらいいですか、その点一つ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 農村の問題につきましては、もうこれは申すまでもなく、絶えず基本にいたして今日までも政策を推進して参っております。比較的おくれておるような点につきまして特に取り上げると、こういう表現で御了承いただきたいと思います。
○野溝勝君 かようなことは私は言いたくないのでございますが、さような大臣の考えでございましたならば、こういう発表などの場合におきましても、十分そういうような点に対して誤解をはさまれないようにお願いをしておく次第でございます。 特に、農民がこの点非常に敏感だということは、今回御承知のごとく大きな災害にあいました。七号台風を中心に、長野県、山梨県、その他各地において非常な災害を受けまして、農民の神経はいやが上にもとがっておるわけでございます。そこで、政府におきましては、総理大臣初め災害視察などをしておるようでございますが、当局におきましては、一体災害対策に対しましてどういう処置をとりつつあるか、また今後とらんとするか、その点に対して一つ大臣から所見をお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今回の災害、ことに七号台風の被害は、まことに甚大であります。罹災者の方に心から御同情申し上げる次第であります。政府といたしましても、特に被害の激甚でございました長野、山梨等に対しましては、総理、農林大臣、あるいは建設大臣が、現地をつぶさに視察して参りまして、これが対策を期して急いでおるわけでございます。ただいままでの被害総額等につきましては、もうそれぞれ発表されてもおりますし、今皆様方に御披露いたしませんが、できるだけ早く実地調査を完了し、またこれが対策を具体化する、これが第一の私どもの考え方でございます。また、今回の災害は、昨年の狩野川の水害にもまして、より以上と申しますか、非常に激甚な損害を与えておりますので、過去の措置等をも勘案いたしまして、それぞれ適切な方途を講じたい、かように考えております。できるだけ早く損害の実情を把握すべきである、そういう意味で関係省を督励し、またこれの工事計画をただいま進めておる段階であります。 そこで、とりあえずの措置といたしましては、自治庁は交付税の交付を少し繰り上げて支給する、あるいは金融の面等におきまして、とりあえずの措置として、つなぎというか、それぞれの措置を講じておる現状でございますが、できるだけ早く被害状況を確認いたしまして、そしてこれに対する復旧工事に対処するということを急いでおる状況でございます。
○野溝勝君 きょう、ここで、この被害に対する対策といたしまして、われわれの考えておる見解等を一々申し上げて要求しておる時間もございませんから、私はごく大まかに質問といいましょうか、これに意見を加えて、大臣に申し上げるのでございますが、昨日、三日間にわたりまして全日本農民組合の大会がございまして、その大会では災害に対する要望決議がされまして、資金、住宅、土地改良初め諸問題に対しまして、それぞれ要請の文書をまとめまして、各大臣に伝達といいましょうか、要請書を出しております。きょう、大蔵大臣も御承知のごとく、総理大臣及び農林大臣、建設大臣、厚生大臣の各大臣に要請書を出したのでございます。特に、その際に、大臣が今申されましたようないろいろと対策や処置を講じておるといいますけれども、この膨大なる災害に対しまして、今政府の考えておる程度の予算では、この困っておる農民あるいは被害者にこたえることができないと思うのでございます。これに対して各方面からは臨時国会を要請し、あるいはその際に特別立法を制定いたしまして、完全なる措置を講じてくれということを要請しておるのでございますが、いまだそれらに対するところの結論は出ておりません。きょう総理大臣にお会いいたしまして、緊急処置を講じてもらいたい、それには今の措置だけでは足りないから、至急臨時国会でも開いてこの補正の予算を一つ計上してもらわなくてはだめだと思うがどうだということを申したところ、今真剣にそれを考えているところだとお答えがあったのでございますが、この点に対しまして、閣議におきましては具体的な相談があったのですか。たとえば、具体的相談とは、臨時国会を開かなければならぬような情勢になったというようなふうに私はとったのでございますけれども、この点に対し大蔵大臣の御意見を一つ伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 七号台風の損害は、ただいま申し上げますように、大へん激甚でございました。関係各省大臣からも閣議に詳細な報告がございました。また、私といたしましても、この問題を等閑視する考え方はございませんので、事務当局をして数字等も取りまとめまして調査を急いでおります。そこで、ただいままで私どもが報告をいただいております範囲内では、予備費の支出で一応まかなえるのじあないかというような一応の見当を立てております。しかしながら、まだ、ことし九月に入ったばかりでございますし、例年の例を見ましても、九月以降相当の災害等をこうむることがしばしばございますから、それらのことを考えて参りますと、ことしに入りましての過去のものは別といたしまして、向後のものが出て参りますと、そのための予算を御審議いただかなければならないような機会が参ろうかと思いますので、ただいまのところまでの損害発生では、直ちに予備費でまかなえないというところまでには参っておらないように実は思っておるのであります。 問題は、きょう野溝さんからもいただきました各要望事項でございますか、こういうような各般にわたってのいろいろの御要望がございます。それらの措置は、それぞれ、今までの法律でできることもございますし、また特に工夫を要するものもございますし、また予算の使途としては非常に不適当だと考えられるようなものもあるわけでありまして、十分各要請事項については、農民の立場にもなりまして、私ども十分考慮してみたい、かように実は考えております。 そこで、緊急の措置といたしましては、先ほど申し上げますように、今日の実情をできるだけ早く把握すること、同時に、それに対する対策を立てること、またその期間中におけるつなぎ融資等において万全を期していく、また過去の災害等において恒久立法のできておりますものは、その法律を使って参りますが、今回のもので特に法律を必要とするような事項については、私どもはこの上とも研究を遂げまして、そうして時期としてはできるだけ早目にそれらの対策を講じたい、かように考えておりますが、いずれにいたしましても、まだ災害の実情を十分把握しておらない、そういう大きな欠陥がございますので、この点を関係省を督励して急がしておるというのが現状でございます。それによりまして、必要な措置はもちろん私どもこれを取り上げまして、罹災者の方々並びに一般農民の方々が安心されるような政治的な措置をぜひともとりたい、かように考えております。
○野溝勝君 私は、この一つの質問をして私の質問を打ち切ることにいたしたいと思います。政府は非常に努力をされまして、いろいろと災害状態を調査し、そのまだ結論を得るに至らぬようなお話でございますが、特に、田を流されたとか、畑を流されたとか、家を流されたというこの事実は、もうわかっておるのでございますから、こういうものに対しましては、私、大臣すぐ措置を講ずることはできると思うのであります。ただ、リンゴが幾つか、モモが幾つかということに対しては、これはなかなか完全なる調査がまだできないかもしれませんが、そういう点において一つ至急に、全部の完全調査ができないからということでなくて、この際、大臣は各省と打ち合せまして、緊急、私は農民の期待に沿うように努力してもらいたいと思うのであります。 次に、私が申し上げたいことは、大臣もすでに御承知のごとく、今までの政府がいつも、過年度の災害に対しまして完全な対策が講じてない。だから、この前の災害のまだ完全な補修ができていないうちに、次々と災害がやってくる。これは政府は完全に解決ということはできないでしょうが、何とかできないものでしょうか。実際、これは大蔵大臣ばかりに要求しても無理ですが、過年度の災害に対して、悪い意味では半分もできていない、はなはだしきに至っては七分の一ぐらいしかできていない、こういうようなことでは、これはどうすることもできないと思うのです。これは必ず、私は、閣議において真剣に論議されておると思うのでございますが、こういう点に対して今後一体どうしていこうという気持かを、まずお聞きしたい。 その次に、私が大臣に特に希望を申し上げておきたいことは、むしろ質問より希望ですが、全く田を流され、家を流され、畑を流され、もう飯米農家すらも維持することのできない今日の農民の悲劇、これに対しては積極的に早く措置してもらわぬと、農村の不安というものは一方ならぬのでございます。農村におきましては、今これらの農民の方々に親戚その他がいろいろと援助の手を伸ばしておりますけれども、御承知のごとく、農村の経済が非常に窮乏しておりまして、なかなか容易ではございません。共食いもできません。こういう悲壮な状態にあるわけでございますので、この点に関しましては緊急に措置をとるように、各県と連絡いたしまして、その施策を実行してもらいたいと思うのでございます。 なお、災害に対するいわば予算の実施内容を申しましょうか、初年度は三、次年度は五、あるいは次が二というようなこの比率の問題でございますが、これにあまりとらわれぬように、一つ緊急措置としての率を考える必要がありはせぬかと思うのでございますが、これらの点に対しまして、この際、私は希望と合せまして最後の質問をして私の質問を打ち切りたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) さすがに野溝さんは罹災農民の立場について深い御理解があるし、また私どもに対しても激励のお言葉、大へん内輪にお話しになっていらっしゃるように伺って、感謝にたえないのでありますが、ただいまお話しになりますように、わが国に年々歳々同じような水害を繰り返しております。そこで、過去の災害、特に二十八年災はつい最近までその跡始末ができておらないということでございまして、国会においても、そういう点から、三、五、二の基準で少くとも災害復旧の工事をやれ、こういうことで三、五、二の基準というものができたように記憶いたしております。そこで、ことしは例の予算を実施いたしまして、大体三十年災までは過去の災害というものが復旧を見る、こういうことになったと思いますが、ただこれだけでは不十分でございますから、三、五、二の基準はございますが、災害の緊要性と申しますか、そういう点についての考えをまとめまして、必ずしも基準にはとらわれないで、まあできるだけ緊要な災害は早く片づけるというような予算措置を講じて参っておるのであります。問題は結局予算とのにらみ合せの問題でございますので、罹災地に対しましてなかなか思う通りのものができておらないということで、政府としてもまことに遺憾に思いますが、ただいま申し上げますように、最低三、五、二の基準、これだけは守り通し、また予算の面にも工夫をいたしまして、非常に緊要の工事と考えられるものについてはこの基準には必ずしもとらわれない、こういうことで予算を組んで参る考えでございます。 また、ただいまお話しになりました零細農家であるとか、あるいは山間の農地でありまして他に生業の資料を得る方法のない方々、しかもそういうところが罹災したと、これらの復旧については、他の場所とはまた別に工夫もして、特に救済に積極性を持たせろという御意見、私どももしごく同感でございます。開拓農民あるいはその他山間僻地等において、非常に猫額大の耕地を耕しておられる、そういうような方々が、今回の災害でそのわずかな耕地を失ったとか、こういうものについては、特に地方の町村等とも連絡の上、これらの救済には万全を期して参る考えでございます。 そこで、ただいままでのところで、先ほど来申し上げますように、つなぎ融資というような方法で、いかにも手ぬるいようにもお考えかとも思いますが、ただいまのようなところでは、つなぎ融資以外には、まずとれる措置がないというので、そのつなぎ融資をまず第一に取り上げたということでありまして、県によりまして融資要求についての各県の要望等も強く出て参ってはおりますが、今日までに実施に移したところでは、長野県並びに山梨県の二県はもうすでに一部を実施しておるようでございます。従いまして、これらおくれておりますものについても、とりあえずの措置としての融資、これに遺憾なきを期したいという意味で、私どもの方、あるいは農林省等からも、それぞれの機関に通牒を出しておるようでございますが、特に扱い方といたしましては、災害の実情に応じて罹災者の方の要望にこたえるようにいたして参るつもりでございます。また、自治庁も、先ほども申し上げましたが、交付税の繰り上げ交付と申しますか、それをすでに長野、山梨等には実施をいたしまして自治体の活動に便しておる、かように私どもは伺っておりますが、こういう点もさらに気をつけて参るつもりでございます。 また、本日いただきました要望事項、大体三十項目うたってあると思いますが、これらの点につきましても、事務当局をしてそれぞれ検討させておりますが、また別の機会にこれは御連絡を申し上げまして、私どもの考え方を御披露させていただきたいと、かように考えます。
○永末英一君 今回の災害について臨時国会を開催して処理をすべきだということについては、災害の規模が大きいから予算措置を必要とするということも一つあるわけですが、しかし、さらに国に対して災害を受けた者が要求しておるのは、いわゆる二十八年、二十九年、三十年、あるいは三十二年、歴年出てくる災害について、恒久的な災害に関する立法以外に、その年、その年の特別措置法を作ってきたのは、やはり理由があるからです。その一番大きな理由は、恒久的な災害立法ではいわゆる補助率が少い。年々のそれぞれについては特別措置を作って、特に補助率について定めておるものが多いわけです。そこで、政府の災害に対する考え方は、一県あるいは一市町村というようなところの災害の大きさで、一体、災害を判断していくのか。災害を受ける方は、これは全体の大きさがどうあろうとも、一個々々の問題として考えられなければならないが、そうでないと、これはとんでもない問題である。しかも、もしも政府の治山治水に対する措置がうまくやってあれば、災害を受けなかったかもしれないような人々が災害を受けておる。といたしますと、もしも災害の規模によって補助率が変ってくるということであれば、災害を受けておる者にとってはどうも意に沿わないという感じがいたすと思うのです。 そこで、二十八年災なり、あるいは昨年も、それぞれの特別措置法をもって、農地、あるいは農業施設、あるいはまたその他の点について、高率補助を適用してきた。あるいは二十八年災には、大規模ないわゆる小災害に対する補助をやはりやってきた。ところが、小災害なんというものは、一つ一つ調べていくと手間がかかるから、やめてしまおうというので、このごろはあまり意を用いない。ところが、問題がそこにあるのだ。一体、小災害は安いから、勝手に災害を受けた者や、あるいは市町村が、金を出してやったらいいじゃないかというような考え方を政府が持っておるとすれば、これは重大な問題だと思う。たとえ災害が小さくても、もちろん恒久的な方法としては起債を認めてやるやり方もございますが、ところが、起債を認めても、それに対する補助率はやはり非常に少い。従って、今の災害の補助率に対する内容について、災害を受けた者は早く政府の所信を聞かしてほしい、方針を聞かしてほしいということを要望しておる。ところが、実際はずれておるものだから、その間に一体政府が何をしてくれるかということが一つもわからない。しかも、九月になって台風期が近づいておるし、すぐに災害を受けた土地は補修しなければならない。しかしながら、今の問題についてはっきりと……。 今、大蔵大臣はできるだけ早い時期に考えたいということでありますが、補助率についても、政府はこの際、今までの恒久的な低い補助率のきめてある法律や、あるいはまたそれを持った起債をきめてあるやり方というものを考え直して、国の責任で大幅に二十八年災当時行われたような基準でもって一切の災害に対処するというような御用意があるかどうか。さらにまた、それを含んで、そういう意味での臨時国会を早く開いて、そして災害を受けて心配しておる人々に安心を与える一つのめどを与える、その実現についての御所信を伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの点は、これは確かに罹災者としては、できるだけ早く聞きたいことだと思います。過去の立法例等を見ますと、その年々の特別立法もございますが、ものによりましては、そういうことじゃ困るというので、恒久立法化されたものがございます。ただいま御指摘になりました農地災害などは、もうすでに恒久立法化されておる、かように考えております。そこで、よくその基準の例になりますのに、二十八年災にとったような各種の措置を今回もとったらどうかというようなお話を、しばしば聞くのでございます。二十八年災は非常な大災害でございまして、また、当時におきましても、自立といいますか、みずから立ち上る力等もなかなかないというようなことで、またもう一つは、過去においてかような災害にあったことがございませんので、新しい試みとして、いろいろ新しく立法したものがあったように記憶いたしております。しかしながら、二十八年災の各種特別立法等をいたしました結果は、行政的な措置として後にいろいろ問題等も起っておりますので、この二十八年災の措置も一つの体験といいますか、経験にはなっておりますが、その後さらにそれに工夫を加えたものが昨年の災害対策なのではないか、かように実は思うのでございまして、そういう点を今回も大体の基準として考えて参りたい、かように実は考えております。
○永末英一君 立法を要するものについてはもう少し準備をする必要があるというような考え方のようですが、大蔵省自体でできるものが、たとえば国民金融公庫に対して災害を受けた零細な者が非常に多くの要求を各地でやっておるわけです。これらについてはたとえば昨年も行われたように、いわゆる今の利率を切り下げた措置というものが昨年とられた。これがとってもらえるかどうかということを、災害を受けた者や、あるいは府県市町村、ともに非常に要望しておる。これは大蔵省が一存でできるのだから、これらについて大蔵省はどういう考えを持っておるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 融資そのものにつきましては、もうすでに御承知だと思います。私ども、別に異存はございません。問題は金利の問題だろうと思います。金利の問題につきましては、もう少し災害の模様を検討させていただきたい、かように申しあげておきます。
○永末英一君 災害のことについて、あとまだ聞きたいのでございますが、一応打ち切りまして、企業組合に関する大蔵省の考え方について、一つただしておきたいと思います。 企業組合はすでに十年の歴史を持っておりますし、初めはあの当時大きく行われた、いわゆる大きな税金をどうやって小さな商売人が切り抜けるかというのでできたことは、相違ないと思います。しかし、十年の歴史の中で、いわゆる税金だけを目当ての企業組合の運営というものは、内容が変ってきておると思うのです。すでに企業組合は、いわゆる税金対策ということだけでなしに、やはりそういう小さな商売人の、あるいはまた生産者の共同した一つの団体として仕事をやってきておる、そういうような発展を遂げてきておると思う。そこで、大蔵省は当初、この企業組合などに対して税金の面からだけこれを捕えて、そしてそれが法人格を持っておるというので、一般の法人と同じような取扱いをするということを、片一方強行するとともに、それに適応しないものは力でもってその法人格を否定して、個別々々に課税をしてきたようなことがございます。しかしながら、先ほど申しましたように、とにもかくにも、企業組合の実績というものは大蔵当局もよく存じておられると私ども思っております。 従って、その特色というのは、いわゆる株式でもって作られておるような物的な経済単位ではなくて、やはり一人々々の人間が集まっておるという、やはり法人には違いないけれども、株式会社にない特殊な性格がある。これを大蔵当局は認めておられると思うのです。認めておられればこそ、昨年の十月に、この企業組合の常時勤務者、すなわち、法律の命ずるところによってそれらの役員はそれぞれの組合員から出てこなくちゃならないというので、たとえば常勤の理事とか監事というものはそういう姿で出ている。しかし、それに対して、片一方、法人というような角度で縛られるために、賞与という名前でいわば給料を支払ってきた、これについて損金に編入してくれということを大蔵当局と折衝した結果、昨年の十月、国税庁の、長官の通達で、それを損金編入を認めてきた。ところが、ことしの四月に出された法人税法の施行規則では、またあと戻りをして、一般の法人と同じように、こういうようなものについては、いわゆる株式会社の社長、あるいはその他の名前のついているものと同じように考えて、損金編入を認めない。こういうようなことをやられては、一体大蔵省というものは企業組合についてどういう考えを持っておるのか、そうしてわずか六カ月たたないうちに、一ぺんきめたものをまた変えてくるというのでは、一体どこに基本的な方針があるか、非常に不信の念を全国の企業組合は大蔵省のやり方に対して持っております。 私どもは、施行規則の方があとでございますから、特別通達に優先するかどうかと思うのでございますが、もちろん、それぞれの年度にたくさんの通達が出て、あるいは大蔵当局はどれが生きているかわからないと思われておるのかもしれませんが、私どもは、この際特に、この特別通達が出るについては、企業組合の性格等、十分お互いの意見交換の結果出てきたものであるから、この法人税法施行の規則の適用については、昨年十月の特別通達が生きておると考えておるのですが、大蔵当局の御見解を伺いたい。
○説明員(原純夫君) 技術的な問題でございますから、主税局長ですが、お答えいたします。 ただいま条文を出しておりますが、今回の法人税法施行規則の改正におきましては、若干の重要な問題を取り上げて、課税についての基本的な、要素の判定をはっきりするということにいたしました。その中で一つの大きな問題が、「役員の報酬、賞与及び退職給与金」という節にあることでございます。報酬は損金である、しかし賞与は利益の中から払われるということで、賞与につきましては利益として法人で課税される、また与えられました個人で所得税の課税がされるということになるわけでありますが、その境目等につきまして、年来いろいろ問題が多いということで、施行規則の十条の三に、賞与に関しまする一般的な原則を掲げたというわけであります。その第一項に、過大な役員報酬の損金不算入ということ、報酬につきましても過大なものはこれを認めない。要するに、各国でいうておりますリーゾナブルなものに限るというような原則です。それから第二項、第三項、以下そういうふうなのがあります。 お話の点の、それに伴って、企業組合の事業所のあるじといいますのは、従来個人で仕事をしておったというような方々が、いろいろ取締役、企業組合の取締役、監事等としての地位を持っておられる。そういうものに対しまする賞与といいますか、賞与の損金算入を認めるか認めないかということにつきまして、今般一般的な原則を立てた。これは、企業組合についての原則じゃございません。一般的に、いわゆる使用人重役の賞与という問題がございますが、代表取役締という名前代表といってはいけません。常務取締役というような名前を使っておる、世間は。これはりっぱな代表権があると思いますし、使用人重役でないりっぱな重役と思う。そういうものが、実は権限はないのだということで、使用人重役であるから賞与を損金に認めろというような話がございますのを、そういうのは困ります、やはり常務といわれたら、それは使用人重役とは見れないではありませんかというようなことに改めたのであります。 その辺で、企業組合の事業所のメンバーが常務取締役というふうにいうておるような場合に、一般原則に準じてそれを否認されるということになるという点あたりの問題であろうと思いますが、これはもう、一般の原則に従ってそういうことにいたします以上、企業組合といえども例外を認めるわけにはちょっといかぬのではないか。むしろ、企業組合で、個々の事業所にこういう人が常務取締役として組合の全般の運営の地位にあるというのは、いわばそういう意味でちょっとおかしいような面もあるじゃないか。それをすらっと一致していただきたいと思っております。その関係の通達を手元に持って来ておりませんのですが、そういう際は、要するに、報酬としてお出しいただくということではなかろうかということでございます。 その他、お話の点、簡単でございましたので、私が問題をなお取り足らない点がありましたら、言っていただきたいと思います。
○永末英一君 代表権があるということを言うているのじゃなくて、昨年の十月の通達は、代表権を持たないほかの常勤の理事、こういうようになっておる。それは協同組合ですから、それぞれの組合員から出てこざるを得ない。しかしながら、それは使用者ではなくて使用人、雇われている方、仕事をしているわけです。だから、その特別の身分を認めるということは、大蔵省が十年にわたって企業組合をどう見るかということに対してのこれは一つの答えだったとわれわれは解釈している。しかるにもかかわらず、今お話の中に出てくるように、企業組合といえども一般の法人と同じように取り扱うのだ。私は、法人格を持っている以上は一般でいいと思う。しかし、その中の人間関係とか、会社における代表権を持っている者が、人を雇用しておる立場と雇うのだから、企業組合における代表は別です。代表以外の監事とか、あるいは常勤の理事というような名前をつけた常務理事とか、そういうものについては、昨年の十月に、国税庁が、実態がわかったので認めますと言っておるのに、それを規則で一括規定してきたというような態度はおかしい。だから、たとえ規則はそうであっても、取扱いは昨年の十月の特別通達は生きておると解釈してよろしいかということを申し上げておるのです。その見解を伺いたい。
○説明員(原純夫君) その御答弁は留保さしていただきます。企業組合の問題は非常にむずかしい問題で、実は今回の例の通達を書きますについて、先般その問題がありましたので、企業組合側にもお話をしておいた方がよろしいと私恩って、話をしてもらう手はずをとったわけであります。その際、私どもの意向を組合側も一般論として十分わかるというお話があったようでありますが、具体的に、それだけではない、若干何か御意見があったようです。それらをまあ主管の官庁であります国税庁の方で処理をした経緯がありますので、私、その処理の経緯の最終を聞いておりませんので、聞きました上で、後ほどこの席で、あるいはあなたにじかにでも申し上げます。
○永末英一君 企業組合というものの特別な性格は、よくおわかりになっておると思うのです。そこで、ようやく十年、その基礎を固めてきた。商売人が、一人じゃ立っていけない、それが協同組合、企業組合の形で盛り上げたその実績を、十分やはり考えていただいて、そういう方向での取扱いをお願いして、質問を打ち切ります。
○梶原茂嘉君 ちょっと、関連して。企業組合と税金の問題でありますが、まあ当初、企業組合の発足の当初においては、いろいろ問題もあったと思うのです。しかし、相当多くの企業組合は、必ずしも税金対策じゃなくて生まれて、今日まできておるのであります。まあこの間、税金の関係では、常に非常に苦しい立場に立たされて長年やってきたと私は思います。特に企業組合だから、その一般原則から税金を安くしろとかいう趣旨では毛頭ありません。ただ、一般の法人、協同組合とも、御承知のように、企業組合は非常に違うのであります。もちろん、一般の会社ともこれは本管的に違う。そうだとすれば、やはりその税金の問題も、一般原則じゃなくて、やはり企業組合の失態に即するという面から検討されることが当然ではなかろうか、私はこう考えます。まあ農業法人と税金の問題奪いろいろありますけれども、それは別といたしまして、ともかく十年近く企業組合が今日までやってきて常に税金の問題ではいろいろ悩んで参っておるのであります。どうぞ検討される上においては、企業組合の実態といいますか、本質といいますか、それに即するようにするというところに一つの立場を置いてお考えをいただきたい、こう思います。よろしく御検討願います。
○平林剛君 私は、佐藤大蔵大臣の渡米の問題に関連をして、若干疑問の点をお尋ねいたしたいと思うのであります。 大蔵大臣が九月二十三日羽田を出発して、世界銀行、国際通貨基金の年次総会に日本代表総務として出席をされることは、新聞その他でもって承知をいたしておるのであります。その目的につきましても、大体幾つかの報道がせられておりますけれども、この機会に、この渡米において大蔵大臣がどういう役割を果してこようと考えておられるか、まず総括的にお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、IMF並びに世界銀行の年次総会が開かれますので、その招請が参っておりますので、その招請にこたえまして、私、出かけるつもりでございます。従いまして、本来の用向きは、IMF並びに世界銀行の総会への出席、かように御了承を願います。
○平林剛君 今日まで新聞その他で報ぜられるところによりますと、アメリカの財界人あるいは官界の人と懇談をして、いろいろ当面の問題について御相談をなさったり、あるいは新しい対日借款のワクその他方針についても話し合いが行われる、いろいろなことが報ぜられておるのであります。今総括的なお話がありましたが、あまり簡単で要を尽しませんから、私からそれらの問題について一つ一つお話を聞いて参りたいと思います。 第一は、今度の世界銀行、国際通貨基金の年次総会において、まあこれを機会に第三次の対日借款の問題についてお話をせられるということであります。今日まで、政府機関や民間産業から世銀に金を貸してもらいたいという申し込みが、総額八億ドルにも上るといわれますが、まさか大蔵大臣が行かれても、それを全部貸してくれるという話がまとまるとは考えられません。政府として、この世銀借款についてもし話し合いを行うとしたならば、どの程度の見通しを持たれて行くのか。つまり、政府としての世銀借款の見通しについてお話をお聞きしたいと思うのであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょうど世銀並びにIMFの年次総会がありますので、大へんいい機会だから、まあ世銀に対して借款の申し込みをしたらと、こういうような気持もございます。今、関係省等の要望等をいろいろ伺ってみますと、ただいま御指摘になりますように、多額に上るのであります。それをいろいろ順位その他を勘案いたしましてどういうような話にしていこうかと、ただいま実は検討しておる最中でございます。通産省におきましても、あるいはまた運輸省、あるいは郵政省、それぞれの関係省からの借款取り次ぎの要望—建設省の方もございます。いろいろございますが、世銀そのものの融資ワクというものも大体の見当がついておるのでございますから、そう過大なものも要求はできないということはよくわかっております。しかし、まだどの程度の話をいたしますか、ただいま案を検討中でございまして、まだ申し上げる段階になっておりません。
○平林剛君 政府としては、大蔵大臣が渡米の機会にその話もするでしょう。その場合に、今日大体政府に希望されておる世銀借款を、道路公団であるとか、国鉄であるとか、電電公社、電源開発会社、大体まあ予測をされておるわけです。私は、もうそろそろこれについての優先順位とか、あるいは政府としての基本的な考え方というものはまとまっているのじゃないかと思うのですが、まだそれもきまっていないと、こうおっしゃるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 結論的に申しますと、まだきまっておりません。ただ、私ども参りますから、そういう機会に借款を申し込みたい、かように実は思っております。しかし、ただいましからばどれとどれとどれ、金額は幾ら、こういう点にまでは、まだ考えをまとめておりません。
○平林剛君 どうもこういう問題については、出かける前に国会に対してどういう考えで行くかという意思表示をせないで、行かれることになってしまいそうな気がして、私、これからいろいろ話を聞こうと思ったんだが、そういう話では、どうも継ぎ穂がなくなってしまう。 次の問題についてお尋ねしますが、もう一つ、今度の渡米の機会に、おそらく、新聞の報ずるところによると、アメリカ側から第二世界銀行の創設について提案をされるということを聞いておるのであります。アメリカ側がこの第二世界銀行の創設を提案する背景とか、その理由についても、大体のことは承知しておりますけれども、話によると、佐藤大蔵大臣は、この世銀総会でこの提案に対して賛成演説をするという話であります。日本代表総務とし、賛成の演説をなさる。これはどういう資格でこの賛成の演説をなさるのか。つまり、国会との関係において一体どういう関係があるのか、私、その点をこの機会に聞いておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) この問題は、もちろん今回は総務の資格において、総務としてどういう考えを持つかということを徴せられると、かように私想像しておるところでございます。そこで、内々各方面の意見も伺っておりますし、私自身もこの第二世銀の構想について考えてみたわけでございますが、今日までのところ、いわゆる第二世銀としていわれておりますものの内容等は、ただいままだ明確ではございません。たとえば、資金量が幾らであるとか、あるいは期限をどのくらいにし、金利をどういうふうにするかという具体的のものは、まだはっきりはいたしておりません。しかしながら、いわれておりますように、在来の世銀のような融資条件では後進国に対しては十分でないだろう、後進国の経済開発のために特別な期限あるいは金利等を考えた融資方法を考案すべきじゃないか、これが第二世銀の構想だと実はいわれておるのであります。その点は、私どもも、経済の発展といいますか、後進国も経済が発展し、そうしてりっぱな生活ができるようになる、これは心から望む次第でございますので、そういう意味においての問題としては、私は賛成の意見を持っておるわけでございます。もちろん、私がさような意見をもしも——もしもですが、述べるというようなことがありました場合に、出資金だとかその他の問題につきましてもちろん一存でできることでないことを承知はいたしております。世銀の総務の資格においての意見を徴された場合には、ただいま申し上げるような考えを披露したい、こういう気持でございます。
○平林剛君 総務と日本代表の大蔵大臣と、使い分けておられますけれども、これは私は大へん重要な問題だと思うのです。第二世界銀行の構想は、結局、アメリカ側がソ連の経済攻勢に対して、対抗するために、新たに現在の世界銀行のほかにこれを創設して、世界銀行で果すことのできない役割をこれに負わせようとしておる。ところが、これにあなたが簡単に賛成をされると、結果的に、日本としてはそれに対する出資金を同意せざるを得なくなる。今伝えられるところによれば、その出資金は総額において十億ドルだから、世界銀行創設のときに日本が大体受け持った金額をそのまま受け継いだとしても、やはり百億やそこらの金は日本として出資せざるを得ない。あなたの発言によって、来年度の国家予算にはこういう問題が新たに起きてくるわけであります。私はただ、今のお話だけで、私自身は賛成だということだけで行くことは、国民の意思と一体どういうふうに関係があるかという点で重大な関心を持つのであります。賛成をするというのは、総務ということでなく、日本の政府として、閣議としてそういう場合が十分想定されるのだから、賛成をするという方針をきめられたのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、私個人の考えだと、ただいま総務としての意見ということを申しましたが、もちろん、政府としての意見を十分確かめた上でさような発言をするのでございまして、私が世銀の総務であることは間違いございませんが、同時にまた、日本の大蔵大臣でもございます。従いまして、政府は知らぬ、こういう関係のものではもちろんないのでございます。また、さらに出資ということになりますならば、国会の手続は当然とらなければならない。それだけのことは十分考えておるつもりでございます。
○平林剛君 第二世銀に対してアメリカ側が提案されたときに、これに日本の政府の代表として、日本政府としても賛成するということになると、国民はもうそれだけ次の出資を約束させられてしまうということになります。ところが、これに出資をして一体どういう効果があるのかという点になると、はなはだ疑問ではないか。世界銀行に対する先般国会できめた出資ならば、はね返りとして若干借款をするというようなことはできても、今度提案されることを予想されておるこの第二世銀では、出資国であっても、金を借りるというようなことはできない。十億ドルでは大した仕事ができないとすれば、なお引き続いて出資を迫られるということになって、日本の負担もだんだんふえてくるというようなこともある。日本として一体どういう利益があって賛成をするというふうにお考えになったのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、ただいまの一国経済は一国だけの実は孤立経済でないことは、これはもう私が御指摘するまでもないところであります。ことに、その意味におきまして、わが国としても、後進国の経済開発ということには非常に積極的な意図を在来からも持っております。この基本的な考え方には変りはないのでございまして、お互いに共存共栄とでも申しますか、そういう方向においてやはり施策を進めていく、この考え方は実は変りはないのでございます。手続上の問題といたしましては、先ほど来申しますように、それぞれの世界銀行における手続が完了いたしましても、それだけで事足りるわけではないのでございます。ちょうど昨年増資を引き受けました後の処理のように、当然国会において御審議をいただく。そういうことは残っておるわけでございます。しかしながら、それらの手続完了前に私どもの考え方というものを明確にする必要があれば、これは今申し上げるような考え方をはっきりさすつもりでございます。
○平林剛君 私はこの間から感じておるのですけれども、どうも政府の世銀やあるいはこれら外資導入の問題については、政府が先行しておる。そうして、あとで、しりぬぐいといってはおかしいけれども、あなたが日本を代表してしゃべってきたことを国民に押しつけるという結果になっておる。この間の世界銀行の問題についてもそうです。佐藤大蔵大臣がニューデリーの総会に行かれて話をされたことが、あとで国会で審議をされて、それに必要な国家予算が要求される。今度もどうも、先ほどの世銀借款でも、私どもの質問に対してもう出発もそう遠くないというのにかかわらず、結論が出ていない。ぼやぼやとしたまま出かけていって、そうして何か取りきめてくるという傾向が、最近の岸内閣の顕著な特徴であると、私はそう思うのです。 今お話しのように、この第二世銀の創設に対して賛成をされるとするならば、当然この出資金の財源についても御検討なさったと思いますが、先ほど野溝委員の質問に対して答えて、来年度の予算編成は大へん困難だと言いながら、特に早急に効果が得られる見込みもない第二世銀の創設に、政府がお先棒をかついで賛成をしたりされる。一体どういうところに財源あるいは出資の余裕というのを見られて、賛成という態度に踏み切られたか。私は、この点はなければうそだと思う。どういうお考えで賛成の態度に踏み切られたか、お尋ねをしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申しますように、経済を発展成長さすというか、お互いに共存共栄、こういうことを実は念願しておるのでございます。そういう意味で、後進国の経済開発というものは、これは実は等閑に付するわけにはいかない。そういう意味の役割を果す第二世銀というものには、私ども賛成だということを実は申しておるのでございます。 そこで、来年度予算に一体どういう影響があるか、またその財源はどうかと、こういうようなお尋ねにまで御意見が進んでおるようでございますが、ただいまの第二世銀の問題にいたしましても、出かけて参りまして、これで幸いにして成立するということに全部賛成しますか、あるいはどういうことになりますか、あるいはまた賛成するとしても、第一年度にどういうような出資を必要とするようになるのか、そこらの具体的な問題については、なお研究の余地がある問題だと、かように思いますので、ただいま突き進んでの考え方までは、私どもはまだ結論を出しておりません。言いかえますならば、来年度出資金全額を予算に計上しなければならないというようなことでございますれば、私どもも軽々しく賛成の意見を述べるつもりはございません。しかしながら、私、考えますのに、世界銀行の総務国の諸君の意見で第二世銀を設立するということになった場合に、しからば日本の出資は幾らにするか、さらにその払い込み方法をどういうふうにするかと、こういうような具体的な問題がございますので、それらの点も考えて参りますと、なお相当時間を要する問題だと、かように実は考えております。
○平林剛君 この第二世界銀行の創設については、私も深い関心を持っておる。あとでお尋ねしますが、全般的な外資導入の政府の政策とともに、どうも気にかかる問題だと思います。特に後進国の開発、後進国の開発と言うけれども、わが国がかりにそれによって得るところがあるとすれば、東南アジアが第一に目されるということは言うまでもないところであります。岸内閣は先般来から、総理大臣初め、東南アジア開発については、施政方針その他においても大へん力説しておったけれども、一向にこれは効果が上らない。私も昨年は東南アジア諸国を視察して参りましたけれども、政府のかけ声通りにはうまくいかない。今度の第二世銀の問題についても、かりにこれが各国の賛成を得て創設されたといたしましても、アメリカ側の置く目的がどこにあるか、日本の注文通りに東南アジアに対して相当の融資を受けて、わが国の経済に利益する度合いはどのくらいあるかというようなことを考えてみると、そう政府の言うように簡単にわれわれは賛成できないものがあるのであります。 お尋ねいたしますけれども、東南アジアの開発資金で、先般われわれが五十億の基金を創設することに国会として意思がまとまっておるのでありますが、この第二世銀と東南アジア開発基金との関係はどうなるのですか。あざやかにこちらの方に踏み切って第二世銀の方に今度綱渡りしたということになるのでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 東南アジア開発基金としての五十億、という金を、先年とってございます。しかし、今回、東南アジア開発基金、それと全然同一な構想だとは必ずしも考えるわけではないのであります。従いまして、先ほど来申し上げることが、まことに要領を得ないために、その五十億とどういう関係にあるかというお話になっているかと思いますが、今回の第二世銀と申すものは後進国全般だということでございますので、ひとり東南アジアだけではございません。中南米もございましょうし、あるいはアフリカ地域も考えられるでございましょう。いずれにいたしましても、後進国と考えられる諸地域ということであります。 そこで、わが国にとってございます東南アジア開発基金というもの、並びにわが国の今日まで経済協力をやって参りました地域、それは一体どういうところが、どういうふうになっておるかと申しますと、東南アジアがしばしば宣伝されておりますが、私どもの見るところでは、延べ払いその他のいわゆる財源とでも申しますか、クレジットその他ですが、そういうものに一番多額な貸し先と申しますものはブラジルでございます。ブラジルに対しましては、わが国といたしましては、もうすでに二億ドルをこすのじゃないかという考え方が……、そういうような数字になります。計画されるものを加えますと、もっと大きなものになるだろうと思います。また、インドを初め東南アジア諸地域に対しましても、すでに相当な計画があり、またしかも実行未済のものもございます。それらのことを考えてみますと、東南アジアはわが国にとりましても非常に大事な国でございますが、東南アジアばかりでなく、南米やあるいは中近東地域全般にわたりまして、わが国の後進国に対する経済援助、それは相当広範に手が広がっておるのでございます。 おそらくこの考え方は、ひとり日本だけではなくて、経済先進国であるアメリカであるとか、あるいはドイツであるとか、イギリスであるとか、同じように各後進国に対しての経済援助をしていることだと思います。経済援助というよりも、経済開発に協力している、かように実は考えるのでございます。そういう点から、谷口が共同して第二世銀を通じて特別に融資の方法を考えたらどうかというのが、第二世銀の構想だろうと思います。私ども、在来の東南アジア開発基金と、それから今回の第二世銀に対する出資金というものは、これを結びつけることは可能であるかどうか、これらの点は政府といたしまして十分検討して、結論を出すべき事柄だと思うのであります。ただいままでのところ、これは明確にはまだなっておりません。 その一つは、先ほど来お尋ねがありましたように、第二世銀というものの具体的構想というようなものは、ただいま明確でございません。たとえば、出資の時期であるとか、あるいは出資金額はどうである、同時にまた、第二世銀が融資をする場合に、どういうような期限でどういうような金利で、どのくらいの金額までを貸せるか、そういうようなことがまだ十分検討されておらないのであります。ただいまのところ、いわゆる東南アジア開発基金と結びつけてお話をする段階ではございません。しかし、第二世銀の出資そのものが、先ほど来申しましたように、東南アジアばかりでなく、その他の後進国に対しての経済発展、これに協力する、こういう意味で私どもが出資するといたしますならば、在来の東南アジア開発基金として今取り上げられております五十億というものも、場合によったら使い得る余地もあるのじゃないか、かようにも考えます。が、しかしながら、問題はどこまでも明確にし、また政府自身といたしまして、日本が東南アジアなら東南アジアだけについて特別な構想を持って、第二世銀はどうあろうとも、東南アジアについては別途の考えでいく、こういうような結論を持てば、これは五十億を使うわけにいかぬ、こういうことでございます。
○平林剛君 私は、この問題についてはなお議論がありますけれども、もう一つの問題についてお尋ねをしておきたいと思います。それは、八月の二十六日、アメリカのマッカーサー駐日大使から交渉の再開の申し入れがあった対米債務処理の問題についてであります。これについて閣議では、八月二十八日にこの交渉再開の申し入れに応ずるという態度を決定したと伝えられているのでありますが、その理由は何ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ガリオアの処理の問題でございますが、このガリオアの問題は吉田内閣時分すでにわが国の債務というものをはっきり確認をし、国会にもその基本的な態度を明確にいたしたことを記憶いたしております。従いまして、このガリオアの債務の処理につきましては、過去におきましてもしばしば交渉を持たれたのでございますが、今までのところ、賠償問題等が解決しない、こういうことで、このガリオアの交渉はそのままになっていたのでございます。昨年、私、大蔵大臣に就任いたしまして、このガリオアの債務の処理の問題も取り上げ、同時に、アメリカ側とも折衝いたしたのでございますが、当時は賠償で残っておるものもございますし、なかなかその話が具体的に進んでおらない。 今回、マッカーサー大使に会いました際に、マッカーサーからも、今度アメリカに行ったら、このガリオアの処理についての基本的構想を一つ話してくれないか、こういうような話が実は出ておるのでございます。そこで、私ども政府部内でも話をいたしまして賠償問題も大体終りを告げる段階に来ておりますから、この際にガリオアの債務の処理についても基本的な考え方を一つ打ち立てて、そうしてアメリカと交渉しよう、こういうことを実は申しておるのでございます。ただいままだ政府部内の話し合いとしては、ガリオアの債務解決の問題を取り上げるということではございますが、その中身についてどうするということには、ただいままだお話を申し上げる段階には至っておりません。 それはどういうことかと申しますと、ガリオアの債務といいますか、総金額につきましても、日米間でまだ意見の一致を見ておりませんし、また、その債権債務の金額が一致いたしましたといたしましても、弁済の内容等について、当方にはいろいろ主張がございます。従いまして、これらの点を十分当方の意見をまとめる必要があるのであります。まだそこまでの段階に至っておらないということを申し上げる次第でございます。 ただ、この際に言い得ることは、いわゆるドイツ方式を採用するというような考え方は言い得るのであります。ドイツ方式と申しますのは、西独がいち早くその援助物資の債務の処理の方法をきめたのでございますが、そのきめたような方式を今回も採用したらどうかというのでございまして、大体その方法は過去の吉田内閣当時から主張され、そうして一時そういう方向で金額を突き合しかかったということもございましたので、そういう方法は基本的には考えられる、かように思います。具体的な内容等については、それより以上のことはまだ申し上げる段階でございません。
○平林剛君 私は、アメリカのマッカーサー駐日大使から申し入れがあって、わずか二日間の間に、この申し入れに応諾するという態度をきめた期間があまり短かいことに、かえって疑問を感じておる。日本の国民にとっても、これは重大な関心事で、各方面から検討を要する問題にかかわらず、ずいぶん政府の態度は早い、きめ方が早い。それほどわかりやすい問題じゃないんです。今、佐藤大蔵大臣がお話しになったように、これについては相当日本としても議論があるところだ。諸般の情勢から応ぜられたと思いますが、私、その逆に、政府はこの応ぜられた態度をきめたとき、アメリカ側がどういう理由でこの申し入れをしたか、どういう考え方に基いて申し入れをしたのか。全般的なその背景についてどの程度分析をなさって、このような態度をきめられたか、政府の検討の経過についてお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私お答えしたうちに、きわめて簡単に触れたのでございますが、昨年、私、大蔵大臣に就任いたしました際、同時に、政府といたしましても長い間の懸案でありますので、その問題の取扱い方を、政府としては態度をきめたのでございます。当時事務的な折衝をいたしまして、基本的な総額を決定をするという申し合せを、実はアメリカ、マッカーサー大使としたことがあるのでございます。しかし、それがどういうわけか、事務的な折衝を二回ばかりいたしまして、その後中絶いたしておったわけであります。今回、マッカーサー大使から、そういう申し入れがありましたが、私並びに岸内閣といたしましては、在来からの引き継ぎ事項だ、かように実は考えているのでありまして、マッカーサー大使に会ったその数日後に、態度をきめたというものでは実はないのでございます。今日までアメリカと日本との間の事務的折衝が進まなかったのは、おそらく賠償の問題があったり、あるいはその他の外交交渉等があったその結果だろうと思います。しかし、今回は英国に対しても、またイタリアに対しましても、在来からの行きがかりの問題は、大体片がつくような段階になっております。そういう際に、アメリカ側としてはこの処理を申し出た、かように実は考えています。 もちろん、この問題を取り上げるといたしましても、私、出かけまして金額を直ちに決定してくる、こういうものではございませんので、取扱い方をまずきめる。このガリオアの債務というものは、もう以前から日本政府も承認していることでありますから、これを債務であることを承認し、またこの債務としても弁済をするというか、支払うべき金額を算出する基本的な方法くらいは、やはり話し合ってみたい、かように実は考えている次第でございます。
○木村禧八郎君 この際、明確にしておいていただきたいと思うのですが、これは債務であるかないかについては、私も何回もこれは質問したこともあるのです。そこで、どういう経緯で債務になったか、その経緯を一つ明らかにしていただきたい。これから相当問題になると思うのです。どういう経緯でこれが債務になったか、その点が明確でないのです。どうもわれわれ明確に知らされていないのですが、これがもし、今すぐにわからなければ、資料という形の方がかえっていいかもしれません。何年何月吉田総理がだれとどこで会って、そしてどういう発言によってこれは債務と確認されたか。国会でこれを債務として確認するという手続をとった覚えはないのです。吉田総理が一人で債務と心得ると言ったのが、債務ということになったか。債務であるかないかということが、一つの問題であると思うのです。これの根拠を一つ明確にしていただきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、債務であるかどうかということですが、たしか二十八年十月池田君がアメリカへ参りました際には、池田・ロバートソン会談でこの返済を強く要望されておりますが、おそらくその前後ではなかったかと思います。私は、衆議院の本会議において、政府がこれを債務として考えている、はっきりした答弁があったように思います。あるいはその以前であったか、その池田・ロバートソン会談の後であったか、それらの点は私記憶がまあございませんが、はっきりは申し上げかねますが、そういうような発言があったやに実は私は記憶いたしておりますから、今の木村さんのお尋ねの点については、十分一つ過去の資料をそろえて、また適当なときにお答えさせていただきます。
○木村禧八郎君 簡単にあれですが、私は講和条約の締結のときではないかというふうに記憶しているのですが、それも資料がありませんからあれですが、そういう点も含めて、はっきり、これは重要な問題と思いますので、資料として御提出願いたいと思います。
○平林剛君 結局、佐藤大蔵大臣がアメリカに渡る各問題について、時間の範囲内でお尋ねしたわけでありますが、これを総合してみると、あなたがアメリカに渡る性格というものは、きわめて重要視すべき要素を持っているように思う。アメリカ側が対米債務と称してこの処理の問題を申し入れてきた、その背景についても、私は大蔵大臣は全部を話をされたとは思わない。やはりそこには一つの背景があってなされたものと見るべきだと思います。少くとも、現在政府が安全保障条約を進めていく、そしてまた国民にその正当性を一生懸命になってPRしているときに、アメリカ側が特にこの機を選んで申し入れをしてきたというところにも、一つの国際的な、政治的な背景を私は感じるのであります。第二世銀の問題についても、ただ後進国開発ということだけに限らず、一つの国際的な舞台における東西のかけ引き、あるいはそれに対するいろいろな対抗策というふうな政治的要素の方がむしろ強くて、国民の経済というようなこととは直接関係のないように感じられる。おまけに、政府が、この渡米をされる最近の大蔵委員会において、まだ世銀の借款の内容についてもお話ができないというようなことから考えてみましても、どうも政府のおやりになり、また進めていこうとする中には、一つの危険を感じるのであります。大蔵大臣は、渡米をされていろいろお話しになるときには、慎重に私どもの質問の裏にある意見というものを腹に入れながら、誤まりのないような結論を出していく、あるいは慎重に国民に十分審議をする機会を与えるような方法で帰ってきてもらわなくては困るということを、注文をいたしておきたいと思うのであります。 最後に、時間もありませんから、外資導入の問題についてと、資料要求について申し上げます。一つは、最近政府は、外資導入のしやすいような形を大蔵、通産当局で相談をして、今後は外国資本がある程度楽に入ってこれるような体制をとられるということを聞いておるのであります。現在世銀借款やあるいはアメリカ輸出入銀行等から借りておるお金、あるいはアメリカの企業や民間企業からの直接貸付、投資などをしておる総額が一体どのくらいあるか、それから今後門戸を開放すると称せられて外資が入りやすい形をとって参りますと、現在約二百件ほどこの申請があるというお話でありますが、それらは大体総額においてどのくらいになるか。きょうこまかいお話まで聞く時間がございませんから、この二百件の内容について資料として提出をしていただきたい。 政府の基本的な考え方として、最近はこの外資導入の問題が、先ほどから続けております質問と関連をして、だんだんアメリカの経済との提携が深められていく。それはいろいろ議論はあると思いますけれども、その基本的な考え方をどこに置いておられるか。日本の経済は、あなたのお話では、だいぶ強くなったと、こう言われますけれども、政府が今回とられたような措置について、一体どういうところに限界を置かれてそれを考えておられるか、そういう問題についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま資料並びに金額等についてのお尋ねがございましたが、それはいずれ為替局長からお答えすることにいたさせていただきますが、基本的な考え方でございますが、御承知のように、為替貿易の自由化という一つの大きな方針といいますか、今の世界的な動きがある。これに対してわが国といたしましては、為替貿易の自由化の方向でそれぞれ準備を進めていかなければならぬということを、前国会におきましてもお答えをいたしたのでありまして、また国内におきましても、そういう観点に立ちましていろいろ準備を進めて参りました。しかし、なかなかわが国の経済といたしましては、短期間の間に踏み切れないものも多分にあったのであります。だが、全般の景気は、御承知のように、ただいままでのところ順調に推移し、発展いたしております。ことに、対米貿易におきましては、最近になりまして初めて輸出超過という現象が出て参りまして、金額といたしましては、まだ自慢のできるものではございませんが、対米貿易だけが、アメリカ側の輸入とわが国からの輸出とを比べてみますと、アメリカ側に対しては輸出超過というのが、ことしの上半期の状況でございます。こういうような点等も考え、また、わが国からアメリカに対する投資等も相当行われておりますので、それらのことを考えて参りますと、在来の考え方についても、ややこれを修正するような時期に来つつあるのではないかと思います。 何と申しましても、基本的には為替貿易の自由化という大筋、これに沿ってわが国の経済発展も期していかなければならない、かように、実は考えておるのであります。ただいま申し上げるように、この状況が長く続きますかどうかは、多分に疑問がございます。わが国からアメリカに輸出しておりますこの品物は雑貨が主でございますから、高級雑貨が主でありますだけに、ただいま輸出超過と申しましても、こういう状況が、長続きするかどうか、非常な疑問がもちろんあるのでありますが、これらのことも考え、大筋の為替貿易の自由化という方向に少しずつでも踏み切っていくという考え方でございますので、そこで外資導入にいたしましても、過去のわが国の円、あるいは信用の薄弱な場合には、やはりこの送金保証ということが投資者としては一番の魅力であった。そういう意味で、外資法による外資導入ということでないと、なかなか外国からの投資が、外資が来なかったように思うのでありますが、ただいまの為替状況もまた、わが国の経済力をもっていたしますならば、送金保証のない、いわゆる為替管理の方法でもいいのじゃないか、そういうことで納得のいくような投資も、これは可能ではないかというようなことで、最近は外資法による投資、外資導入ということばかりでなくて、もっと楽な為替管理法の立場から送金保証のない外資導入、この道も開こうという考え方で、ただいまやっておるという実情でございます。
○平林剛君 こまかいことは、あとで資料を出していただきたい。 最後に私は、時間がありませんから、税金の問題についてもお尋ねをする予定でありましたが、本日は資料の要求だけ、要求というよりも催促をいたしまして、私の質問を終ります。 一つは、さきの国会で私は資料を要求いたしておりますが、まだ提出がありませんが、関税定率法で免税を受ける重要機械類、これによって恩恵を受けておる会社のベスト・テン、原主税局長が後ほど調べて申し上げるということに議事録上はなっておりますが、まだ提出がございませんから、早急に出してもらいたい。私はそのとき、そういう金額はどの程度か、会社別に資料を提出してもらいたいと要求してあります。催促をいたします。 第二に、原油の価格についての最近の動き、原油を輸入してわが国で精製する会社の経理内容、どの程度の利潤を上げているか知りたい。資料の要求をいたしてあります。その提出がありません。早目に出してもらいたい。 第三には、重要物産免税について、私は、最近重要物産として指定したものを、昭和三十三年、三十二年、三十一年、それぞれ年度別に追加鑑定した品目がわかるような資料の提出を求めたのであります。私の資料提出よりも前に、塩崎政府委員は資料を提出したいと思うと先に言っておりますけれども、言葉はいいけれども、実行がされていません。これを至急に出してもらいたい。私がそのとき、この品目を扱っている会社、利益を上げている会社に免税措置をとるのは不合理だから、決損があるかどうか、そういうものがわかるもの、とにかく重要物産に関する必要な資料を出してもらいたいとつけ加えておきました。ぜひ忘れないで提出をしていただきたい、 次には、交際費に対する課税の特例について、その具体的な内容について分析をした結果を、資料として出してもらいたいという要望をいたしておきました。たとえば、一がいに交際費といいましても、中身は接待費、機密費、供応、贈答、いろいろございますが、全般的な正確な資料が出なくとも、たとえば医薬品品業とか、工業とか、銀行とか、信託業とか、分類をしてサンプル調査をすれば、ある程度のものは出てくるはずであるから、これは国税庁において勉強して出してもらいたいという要望をいたしておきました。この努力をする約束がしてありますから、至急に出してもらいたい。 それから、ちょうど適当な機会でありますから申しますが、私が予算委員会で要求した資料がまだ提出してありません。これは現在のわが国の資本蓄積の状況がわかる資料を出してもらいたいと要求したのであります。たとえば、昭和二十五年当時から三十三年までの間に、資本蓄積の状況が各種類別でどういう変更を遂げているか、全国の市中銀行の預金残高、あるいは株式の払込資金、その他いわゆる資本蓄積と見られるものがどういう変化を遂げているかという資料の提出を求めております。しかるに、まだこれが提出されておりませんから、きょうは大蔵省の責任者もお見えになっておりますから、提出していただきたい。 次に、同じく予算委員会の分科会で私が要求しておりました予算総則による業績賞与の資料の提出を、主計局長は約束いたしました。至急に提出すると言われましたが、いまだに私の手元に届いておりません。国鉄、電電公社、専売公社の、それぞれ各企業体における業績賞与の出し方は、予算総則では基準があいまいに掲げられているだけであります。これについては明確なる基準を研究して、至急に提出するように約束されております。これも勉強して、早目に出してもらいたい。 以上、まだ要求した資料で出ていないのがこれだけたくさんあるのでありますから、勉強して早く出してもらいたいということをお願いしまして、私の質問を終ります。
○説明員(原純夫君) 怠っておりまして、まことに申しわけありませんが、ただいまお話しの中でお考えがちょっとわかりにくい点がありますので、大へん恐縮でありますが、これは本日の会議のあとでよく伺いましてできるだけのことをいたします。
○木村禧八郎君 あと時間がございませんから、大筋について若干質問いたしたいと思います。それは、三十五年度の予算編成の基本方針に関連する大筋の質問なのです。見方によっては、三十五年度の予算は転換期に来ているのではないかと思う。歳入歳出の面において、減税なり歳出が平年度化するというしわ寄せの段階に来ていると思う。そういう見方からして転機に来ているように思うのですが、今までは大へん財源に余裕があったのですけれども、今度はあまり余裕財源がない。新聞の伝えるところによりますと、二十九日、三十日に、事務当局で三十五年度の予算編成の基本方針について相談されて、大体の構想はまとまったやに伝えられているのですが、一つここで大筋の予算編成の基本方針について伺っておきたいと思います。あとで、それに関連して若干質問したいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど野溝委員からもお尋ねがごごいました。新聞等でいろいろ書かれておりますので、それが基本になりまして大体自然増収千二百億だということだが、その通りかというお尋ねでございました。御承知のように、まだ三十四年度が始まりましてから八月か済んだばかりであります。ことに九月の決算期を終えない今日でございますから、来年の自然増収を見積ることは、ただいまは非常に困難であります。しかし、大体三月の決算等から見、その後の経済の情勢等から見ますと、あるいは言われておりますような千二百億という自然増収も達成できるかもわかりません。 しかし、問題は、この自然増収もさることですが、歳入の面では、三十四年度の予算編成の際には多額の剰余金を持っておりました。それが今年はまず六百二、三十億減るだろうと思いますし、あるいはたな上げ資金の二百二十一億というものもございません。ただ税だけがふえましても、歳入の増加する範囲は、ただいま申し上げるような二つの大きなものを差し引きますと、歳入の増というものはそう大きな金額にはならないということでございます。 それからまた、木村さんから御指摘になりますように、予算実施に当りましての支出の当然増というものがございます。もちろん当然減もございますが、当然増というものが相当金額に上るということを考えなければならないのであります。ことに人事院勧告等も出ておりますし、その他、社会保障関係の費目等におきましても、年間を通ずるもの等もございますから、また自然増収の場合における三税の増は当然地方に対する財源としてその幾分かを回していくというようなことで、支出面における当然増というものが予想されるのであります。そういたしますと、新しい事業を実施する財源としては、今日のところ、まことにそれは少額だろうということが想像されるのであります。 そこで、一部におきまして、公債論等も一部ございますけれども、私ども大蔵当局といたしましては、通貨価値を安定さす、そして経済を成長さすということが基本なので、通貨価値に変動を及ぼすような施策は、ただいまのところ、とることはなお危険だ、こういう考え方を堅持いたしております。そういう意味で来年度の予算編成には幾多のむずかしい問題があると、かように想像いたしております。 しかし、何を申すにいたしましても、九月の法人決算期の結果を見ないで今日予想を立てることは、これは事実にあるいはそごを来たす危険も多分にございます。ただいま大蔵当局といたしましては、歳入歳出等の見積りについては非常に慎重な態度を堅持しておるというような実情でございます。そこで、先ほども野溝委員にただいまのようなことをお答えいたしたのでございますが、なお予算の実施に当りましては、いつのときだって同様でございますが、できるだけ冗費をはぶき、そして緊要度、またその重要度というものを十分勘案して予算を組んでいきたい、かように考えている次第でございます。
○木村禧八郎君 大体、新聞に報道せられているような内容の御答弁でございましたが、まあ一口に、景気に対して中立的な予算を組む。私は、それと関連して伺いたいのは、まず第一に、景気との関連ですが、私の考えが間違っているかどうか知りませんが、私はこういうふうに見ているのですが……。なべ底不景気が、これが設備過剰の本格的不景気にならなかった理由については、経済学者もいろいろ分析しておりますが、しかし、それをいろいろ並列的に原因が並べてありますが、特に三十三年度、三十四年度財政金融政策がかなり積極的であったということですね。これが大きなやはりてこになっていると思うのです、ほかにもいろいろ原因はあるのですけれども。そこで、今度は三十五年度予算において、この中立予算を景気に対して組む、そういうとき、それはどういう影響をもたらすだろうかということですね。アメリカなんかは、設備過剰の不況を打開するためにいろいろ積極政策をとっている。それがインフレの危険が出てきた。それを押えると、設備過剰の危険が出てくる。非常にジレンマに陥っているのですね。私は、三十五年度の日本の財政というものはそういうジレンマに陥るのじゃないか。 で、中立予算といいますけれども、設備がまだどんどん拡張されておりますね。そこで、池田氏あたりの考えも出てくると思うのですね。しかし、それをあまりやったら、インフレの危険も出てくる。といって、それを押えるために、中立といいますけれども、中立予算だと、これはデフレ効果が——設備がどんどん拡張されている段階において中立的な予算になると、これがデフレ効果を及ぼすのではないか。それで、設備過剰という問題が表面化するおそれがあるのではないか、こういうふうに見られるのです。そこで、景気に対して非常にデリケートな予算との関係になってきているのじゃないかということが一つですね。そこで、それはどういうふうにこの点についてはお考えか。 それから第二は、いわゆる所得倍増計画との関連なんです。この前の臨時国会の予算委員会で、三十五年度にいわゆる所得倍増計画というものを予算に織り込みたい、織り込む御意思があるように承わっていた。中立予算を組むという場合、財源も不十分であるという場合、倍増計画というものはどういうふうに織り込まれるかということです。 それから、これはまあ直接関係はないのですが、前に池田通産大臣が、所得倍増ということと、あるいは月給、賃金の倍増ということは同じだということを言われた。これは時間がなかったから、大蔵大臣には聞かなかったのですが、まあこれはやはり施策を行う場合に非常な重要な差が出てくると思うのですね。大蔵大臣の所得倍増ということは総生産をさしていると思いますが、それと月給、賃金の倍増ということと、大蔵大臣は同じに考えておられるか。 この三点について伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 景気に予算がどういう影響を持つかというお話のようでございますが、確かに景気と予算、あるいは財政金融といいますか、そういうものが密接な関係のあることは、これは御指摘の通りでありますし、あるいは過去におきまして、ことに不景気に悩んでいた時分における財政金融の果した役割というものは相当高く評価していい、こう私は言えると思います。しかし、私は昨年も申し上げていたのでございますが、この財政金融、これは景気に関係はあるが、この財政金融の面から特に景気を刺激することは避けたい。経済は健全な成長、これを心から願うし、まあそういう考え方をすると、財政金融、これに依存するとかあるいはこれに刺激を与えるということは、必ずしも望ましいことではないように思う。しかし、昇気がどんどん下っていってどこまで行くかわからないとか、あるいは沈滞を来たしておる際に、ある程度の刺激、これはもう当然なことだろうと思う。あるいはまた、景気の上昇が非常に急激だ、そうして将来これが急に反落するような危険があるような場合には、財政金融の面でブレーキをかけることも、これまたやむを得ないことだということを、実は申して参ったのであります。 木村委員も、これは御専門の方かと思いますが、私の立場は、態度は、ただいま申し上げたように、財政金融の持つ役割というもの、これは非常に大きいものがあるが、ただいま申すように、特にこれによって景気に強い刺激を与えたり、同時にまた、景気に非常にブレーキをかけるというようなことはできるだけ避けたい、こういう気持で基本的にはいるのでございます。しかし、三十四年度の予算は、私が何と申しましても、これは積極的な予算だという御批評があるだろうと思いますし、また、来年度予算を作ります場合におきましても、経済が非常に成長しておる、それに対して私どもがこれにブレーキをかけると申しましても、経済の膨張度に、その要望にこたえるだけの金融は、ある程度つけていかなければならない、こういうことにもなるのではないかと思います。問題は、非常な過激な刺激であったり過激な制限であったりしてはならぬのだというのが、私の考え方であります。 そこで、ただいまお話がございました、景気が上向いてきた場合の設備過剰という問題でありますが、設備投資について別に危険を感じなくてもいいという経済論もあるやに聞きますけれども、問題は、消化のできない程度の設備過剰というものは実は困るだろう、また、冬産業部門別、各産業間において非常な不均衡なものがあることも望ましいことではない、こういうように実は思うのであります。そういう意味で、三十四年度の予算の、もし積極性があるといわれるならば、それは各産業の面におけるアンバランスを是正するという意味で、公共事業費関係は産業基盤強化というような意味で、相当多額の予算を計上したということであります。また、設備過剰となりまして、生産が消化できるかできないかという問題になってくるのだろうと思いますが、今日の状況の経済の動向を見ますと、今、生産が非常に上向いておりますが、これは在庫についての要望も非常に強いのですが、同時に、最終需要というものが非常に強いというところで、今日の生産はささえられておる。しかもなお、これは上昇の形になっておる。また、設備につきましても、操業度を見ますと、大体、設備の操業度が全体としては八〇%に近くなる、こういうようなことになりますと、やはりこの設備投資というものは相当旺盛になってくるのじゃないか、こういうように考えられるのであります。一面に生産が非常に強くなり、しかも最終需要も強い、こういうのでありますので、そういたしますと、財界というか、業界自身の設備要望は一そう強くなってくる。これを私どもが十分注意して、経済活動の推移を見ていかないと、意外の状態が起らないとも限らない。こういう意味で、大蔵当局といたしましては、金融の実情等については絶えず注意をいたしておるつもりでございます。 ことに、まあこれから問題になると思いますが、金融も、ことしなどは非常に米の作柄もいいようでございますし、金融緩和の傾向にも向うようでありますから、そういう際に、設備投資の要望というものの動き、これは一つ私どもも気をつけていかなければならぬ、かように思っております。ただいまのところ、金融の面においても、そういう意味で金融緩慢に対処するだけの注意を払っているつもりであります。 第二の問題といたしまして、倍増計画をいかに取り入れるかということでありますが、内閣といたしましても党にこの点を要望して、党におきましてもいろいろ検討しておるところでありますし、また内閣におきましては、企画庁を中心にして、生産倍増計画等についてただいま検討しておる最中でございます。前国会におきましてもいろいろ議論がありましたように、十年で所得倍増ということにいたしますと、経済成長率を七・二%に見ればいい、こういうことがいわれておるのであります。これは平均した経済の成長率であります。で、こういうものは平均することが一番望ましいことではあろうかとも思いますが、必ずしもその平均成長それだけにたよる筋でもないだろうと思います。なかなか倍増計画は、口で言うことはやさしいのですが、また平均の七・二%と申せば必ずしも非常に高い成長率だとは考えませんけれども、各産業ごとにいろいろ検討してみますと、産業の面にも近代産業があり、大いにこれから発展する産業があり、成熟した産業がある、これはなかなか困難な問題だろうと思います。そこで私ども、とりあえずの問題といたしましては、過去の経済五カ年計画というもの、これを達成することにもなっておりますし、これらと今回の倍増計画の結論が出ましたら両者を勘案いたしまして、来年の予算の編成に努力して参る考えでございます。 最後に、所得倍増とこの賃金二倍論と、これは違うのか一緒かとのお尋ねであったと思います。なかなか、厳格に申せば、おそらく違うのだろうと思いますが、表現の仕方、またそのときの前後の模様等から見ますと、一様に考えられる節もあるのではないか、かように考えております。
○木村禧八郎君 時間がありませんから、議論をなるべく避けて質問いたしたいと思いますが、どうも今の御答弁を伺っておりますと、非常に予算編成もデリケートな段階に来て、あれやこれや、いろいろ勘案されて、はっきりした——もちろん、実際の予算を編成される当局でありますから、そう割り切った結論をここでまだ出し得ないと思いますけれども、しかし、私は、いろいろな要素がありますけれども、非常にはっきりずばりと考えを出してみたのですね。これはまたいろいろ批判もしていただかなければならなぬと思うのですが、とにかく来年度は、インフレになるかあるいは下手をすればデフレというものをもたらすかの境目にある、そういうような非常なデリケートなところに来ているのではないかと思うのです。 そして、所得倍増については、前にずいぶん宣伝をされましたけれども、そこで七・二%の成長率というのはそう高くないとおっしゃいますけれども、私は高いと思う。十年間を考えれば、平均としてですよ。その点を考えれば、まだ問題はあると思うのです。そして来年度に倍増計画を織り込むと言われますが、それを具体的にどう織り込むかということが問題で、実際問題としては織り込めないのではないか。結局、織り込むとしたって三十六年か七年ぐらいになって、あれはまあ選挙などの宣伝に一応使ったのではないか、こういうような程度に解釈するわけです。ほんとうに織り込むなら、どういう工合に織り込むかを明らかにしてもらいたい。 それから、所得倍増と月給、賃金の二倍とを、厳密に解釈すれば違うかもしらぬけれども、おおらかに解釈すれば同じとも解釈できる、こういうようなことは非常におかしいと思うのです。もっとはっきりさせるべきですよ、これは違うのですから。大蔵大臣、そんなにぼんやりしておったら、それはおかしいですよ、池田さんは同じであると、こう言っておるのです。あれは時間がなかったから、私はほかの大臣の御意見を伺えなかったのですけれども、大蔵大臣の御意見を伺うと、どうも違うようでもあるし、違わないようでもある。それは所得倍増というのは、総生産を言っているんでしょう。総生産をもたらす要因というものと、それから月給、賃金というものをきめる要因は違うのですよ。全然違います。それは、かりに月給、賃金とか、そういうものは、あれでしょう、生活費を中心として、労働の需給関係によって違うのですから、雇用対策とか、二重構造の問題とか、低賃金をもたらすそういう要因をあれしなければ、二倍になりっこない。それをごまかしてやっているので、ここではっきり大蔵大臣は違うのだ、こうされておいた方が、非常に今後の波乱を防ぐのにいいと思う。非常におかしいと思います。これはもう議論になりますが、その点について御答弁をわずらわしたいことと。 それから、あと二点あるのですが、時間がございませんから簡単に伺いますが、その一つは、防衛計画と三十五年度予算の関連で、それで新聞の伝えるところによると、シャフ、あれはアメリカの国務次官ですか、国防次官ですかが来られて、それで赤城長官が会談をして、日本の第二次防衛六カ年計画というものを説明して、そうして今後の軍事援助について了解を求めたということが伝えられているのです。それで、第二次防衛六カ年計画についてはわれわれちっとも知らされていないのですが、アメリカさんの方にはそういうふうにもう示されておありになる。大蔵省の方では、この第二次防衛六カ年計画についてもう十分御存じだと思うのですね、もう編成期に来ているのですから。それをどういうふうに考えておりますか、第二次防衛六カ年計画と三十五年度予算について。 それから最後に、地方財政との関係です。地方財政につきましては、もうすでに自治庁から、最近また地方財政が、三十三年度の決算を見ても、黒子県が減って、黒字額も減ってきている。赤字団体もふえ、赤字額もふえている。三十三年度の決算を転機として、三十四年、三十五年また地方財政が非常に苦境に陥るような傾向になってきているのです。三十五年度の予算編成については、地方財政との関連が非常に重大になってくると思うのですが、これについては、どういう構想で編成されますか、この点について……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 所得倍増と賃金二倍論でございますが、これは所得倍増ということで政府は方針をきめておりますし、また私もそういうことで了承しております。従いまして池田通産大臣も木村さんのお尋ねに参議院でお答えしたように私記憶しておりますが、所得倍増と賃金は一緒だと申しておりますが、おそらく所得倍増ということに意見を合せておられるのだろうと、私はかように解釈しております。 次に、防衛計画の問題でございますが、防衛計画の問題は、実は私も非常に気にかかっておるのでありますが、新聞に第二次防衛計画云々という記事が出ておるということでございますが、まだ国防会議はもちろん第二次防衛計画というものを審議いたしておりません。伺っておりません。ただいま、御承知のように、防衛計画の第一次とでも名をつけますか、ただいまの防衛計画実施の第二年目をことしで終ることになっておりますし、来年が三年目でございますから、もう三年目になりますと、その次を考えたいという気持があろうかと思いますが、来年度の予質編成では、ただいまの、国会の御審議を得てきまっております防衛計画の内容を充実するという段階でございます。ただ、私、アメリカの調査団が参っておりますので、赤城長官からはそのうち機会を得て詳細に計画も伺うことにいたしております。きょうも閣議のあとで赤城君に、どういう話をしているか一応聞かしてもらいたいということを申し入れてはございますが、まだ内容等は聞いておりません。 それから、その次の地方財政の問題でありますが、地方財政の問題は、御指摘の通り、これは大へんむずかしい問題であります。私も、昨年予算編成いたしまして、地方財政の予算と取り組んで実は大へん苦労し、汗を流したものでございましてことしの予算の編成に当りまして地方財政の問題であまり問題が起らないようにということを、実は念願をいたしております。 そこで、先ほども国の歳入について、税の自然増についてのお尋ねがございましたが、地方におきましても、もちろん税の自然増が予定されることでございましょうし、また来年度の税が、主税の伸びがことに大きいといたしますと、地方へ中央から回しますものも非常に金額がふえて参ります。これらのものが大きな積極的な財源ともなるのでございましょうし、いろいろ国の補助事業やあるいは直轄事業と単独事業との関係なり、各方面を勘案いたしまして、問題を一つ解決して参りたいと、かように思いますが、ただいままだ数字がまとまっておる段階ではございません。ただ、私自身が申し上げ得ることは、大へん御心配いただいておりますように、これが予算編成上の一つの大きなポイントであろう、それだけは覚悟してこれと取り組む、そういうような考え方でおることだけ御披露いたしておきます。
○木村禧八郎君 時間が経過しましたから、これで終りますが、池田さんとお話し合いして、もう少し池田さんの月給二倍論、賃金二倍論というのは、やはり総生産のことを言っているとしたら、ずいぶんおかしいことだと思うのです。大蔵大臣が言われている、あるいは岸総理が言われている所得二倍、倍増ということは、総生産でしょう。総生産ですよね。だから、総生産の二倍というものと月給、賃金の二倍というものは全く違うのに、これを同じように言われるのはおかしいのですから、一ぺん池田通産大臣とお会いになって、その点、これからもまた御質問申し上げるか知りませんが、一つ統一しておいていただきたいと思うのです。 それから、防衛費について、非常に今のんびりしたお考えのようで、これから防衛庁長官にどういう話をしているかということを聞いてみるというお話ですが、もうすでにアメリカ側と話しており、来年度の予算におけるいわゆる軍事援助について話し合いしているのですから、はっきりしたデータをもって話し合いしているわけです。またアメリカにも行くというようなことも出ているのでして、その点は来年度予算に関連して非常に重要な事項ですから、アイテムですから、非常にその点はのんびりしているのじゃないかと思うわけですよ。町制がございませんから、この点についてはまた他の機会において質問するとしまして、きょう、私の質問はこれで終りにいたします。
○委員長(加藤正人君) それでは、時間が過ぎておりますから、これをもって散会いたします。 午後三時四十六分散会