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32回国会参議院1959/10/02

社会労働委員会 閉会後第7号

発言数
91
登壇者
17
会派数
3
開催日
1959/10/02

会議録

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) それではただいまから委員会を開きます。  委員の異動を報告いたします。本日付をもって久保等君が辞任し、その補欠として江田三郎君が選任されました。御報告いたします。   —————————————

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 社会保障制度に関する調査の一環として、一般厚生行政に関する件を議題といたします。谷口弥三郎委員から質疑の通告がございますので、御質疑をお願いいたします。  なお、出席をいたしておりますのは、太宰保険局長が今すぐ参ります。それから館林医療課長が出席をいたしております。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 速記を起して下さい。  それじゃ政府からは太宰保険局長、館林医療課長が出席をいたしております。  谷口委員の御質疑をお願いいたします。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 私は最近起っております保険医の自殺問題について質問をしてみたいと存じます。  保険監査におきまして、これまでいろいろの問題が起ったこともございますし、また、保険医が自殺したような悲惨事もなかったではないと思うのでございます。ところが、今回埼玉県の一農村に起りました保険医の不祥事件は、しかもその保険医は兄弟三人ともに医者でございまして、しかも学位をともに持っておるような人でございます。その本人は父祖三代にわたりまして医者をやっており、しかもうちはきわめて質素で、看護婦も事務員も置くこともできぬというような無医村に開業しておったのでありますが、これまでにすでに二回も表彰されたこともあるような、まじめな、良心的に医療を行なっておりますので、村民の信頼も非常に厚いのでございます。なお、この方は、保険医と同時に優生保護法の指定医もいたしておるのでございます。優生保護法は御承知のように、優生保護法によって、医者になりましてから二年以上大学などで研究をいたしまして、そうして産婦人科の技術を十分におさめたものでありまして、その上に自分のうちには少くとも開腹手術ができるくらいの設備を持ちまして、そうして同時に、人格的にきわめてりっぱな者を医師会が指定いたしておるのでございます。なお、その上に指定後におきましては、医師会並びに指定医の協会におきまして種々指導をいたしまして、そうして間違いのないようにさせておるのでございます。もし間違いがございましたら、そのときには本人を医師会並びに指定医協会において除名をさせるというような厳格な方法で指定医をやっておるのでございます。ところが、今回この不祥事件を起しました加藤君は、指定医でありますため、もしも一方で保険医などの除名されるような事件があったら、同時に指定医も取り消されることになるので、非常に重大に考えたことと思います。しかし、この医療保険制度というのは、元来が福祉立法でありまして、そうしてこれは警察的な取締り行政ではないと思います。また、そういうような福祉立法に関係のあるものであれば、保険医が自殺するなどの暗い気持を起さぬようにする必要があると存じますので、それについて二、三お尋ねをしてみたいのでございます。  第一点は、この保険医の保険制度の運営から申しまして、保険監査ということはやむを得ないことではありましょうが、現在行われているような監査方式は、いたずらに被監査者に対しましては、何か自分には疑いを持たれておるというような不名誉的な印象を持ってその監査などに臨むのでございます。従って、この監査は明るい気持でフェアに行われるようになしたいものであると思うのでございます。言いかえれば、その監査、あるいは監査という言葉でなく指導と申しますか、研修と申しますか、とにかくほかの言葉で、気持よくそういうところに行って説明もできるし指導もしてもらえるように、なお同時に、その際には、悪い保険医だけでなしに、いい保険医もやはりそういうようなふうの機会を与えて一緒に呼んで、そうしてそこであるいはいい人間には表彰をするとか、悪い人間には十分指導をさせるとか、指導を主としてやるというようなふうに、保険医に明るい気持でそういうところに出られるようにしたいものである、いわゆる警察に呼び出されたような気持でそこえ出るということは、まことに本人に対しても気の毒なことでありますし、従って、こういう関係上、一般の保険医までが業務に対して非常に不安な気持を持つようになさせることは、まことに困ったことであると思うのでございまして、何とか監査を、気持のいい、明るい気持でそういうのを受け、指導を受けるような式にしてもらうことはできぬものでございましょうか。そういう点について、まず第一番にお尋ねしておきたいと思います。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) 埼玉県で先般起りました加藤医師の自殺事件につきまして、非常に痛ましい事件で、私どもも胸を痛めておる次第であります。ことにその死亡されました数日前に、社会保険の監査があったということでありまするので、まあ加藤さんに遺書がないわけでありますので、ほんとうにはっきりした原因はつかめないわけでありまするけれども、何かその監査というものがそれに影響があったのじゃないかというふうに思われるのも筋だと思いますので、その一点につきましても、私どもも心を痛めておる次第でございます。  それでただいま御質問のございました監査ということにつきまして、現在の方式についていろいろお尋ねがあったわけでありまするが、まあ今のような制度をとっておりまする以上は、これは社会保険の医療面の運営が健全に正常に行われることのためには、やはり指導というものをしなければならない。また、法律もそういう規定になってございます。その監査と申しますのは、指導の一つに入ろうかと思うのでありますけれども、この監査のやり方について、今のようなやり方でいいかと、監査を受けるということだけでも、そのお医者さんについて非常に暗い気持を抱かせるというようなことにつきましては、まあ率直に申してそうであろうかと存じます。それで、私どもも谷口委員のお話のように、何とかして、これは明るい気持と申しますか、まあとにかく暗くない雰囲気でもってこういう監査なり指導が行われるようにいたすのが一番いいかと思っておるのでありまするが、それには私ども役所も御承知の通り、例年会計検査院からの検査があるわけでございますが、これは要するに、どこの役所も無差別平等に、監査を受けたからといってどうということなしに監査を受ける。その中にいろいろ間違いを指摘されることもございますし、こちらの事情を話してよく納得してもらうこともあるわけでございますが、そういう雰囲気でこの監査というのが行われれば、これは御趣旨にも一番沿い、あるいはその場合に、非常によくやっていただいたという方にもその際にお礼の一言も言い、報奨ということでもやりますれば、いよいよもって明るい監査にも指導になろうかと思うわけでございますが、ただ現在の私どもやっております要綱は、昭和二十八年の六月からそれで実施しておるわけでありますが、当時、関係団体と相談いたしました際に、監査をなるべくしぼってもらいたいというようなことで、これを相当しぼってやることになっておるわけであります。この点からいたしますると、しぼるとなりますると、おのずからそういう監査なり指導を必要とする特に度合いの強い方ということにしぼられてくるわけでございまして、そういう面から、お尋ねのような、とにかく今度はおれが監査を受けるということを言われただけでも暗い気持が起ってくるのではなかろうか。この点につきましては、そういう関係の向きにも相談をいたし、何とかしてお話のような、少くとも暗くない気持で監査というものを、監査を受けたからどうということがないような雰囲気において、御指導なり何なりが行われるようにしたい、かように今のところは考えておる次第でございます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 第二点としてお伺いしておきたいのは、現在行われております監査は、どうも一方的に事前調査などをされまして、あるいは内偵をするとか、あるいは投書によるとかというようなことによって監査がよくやられるように思うのでございます。今回の事件から申しましも、患者にその前に内偵をいたしまして、そうして、患者の方からは、あるいは注射をそれだけしてもらっておらぬとか、あるいは薬をもらっておらぬとか、中にはひどいのは自分は医者にかかったが金を払っておらぬので、これが表向きになると税務署などから請求をされるというようなことがこわいというので、ほんとうは医者にかかっておりながら診察を受けておらぬというようなことが調書に出ておるために、それを一方的に見られて、この男は実に不都合な者で、これは悪徳医者であるというような気持で調査をされたのではなかろうかというような疑いがこれはあるのでございます。従って、こういうふうな、患者の方に内偵をする、患者の方から出たのを一方的にそれのみをやらずに、そういう場合にはむろん医師会の者もその席には出ますけれども、本人も一緒に呼び出して、そして本人なり、医師会なり、あるいは保険者と申しますか、監査官の方と三者が寄り合いで、そしてよく話をすれば、あるいは投薬が多かったとか、注射をしておらぬとか、診察を受けておらなかったというようなことの誤解がはっきりしてくるのではなかろうか。そうすれば、また、その医者が決して自分が間違ったことをやらなかったのだということを証拠立てることもできるのでありますからして、今後こういうふうな監査をおやりになるときには、同時に患者の方もお呼びになりましょうし、医者も呼ぶし、そうして医師会なり皆が寄り合ったところでいろいろと話を進めていっていただけば、かなりはっきりした正確なものが出てきやせぬかと思うのでございますが、従って、監査の方法を少しお変えになっていただくことができぬものかどうか、その点についてお伺いします。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) 監査のやり方でございますけれども、これはまあできるだけ関係者の方に迷惑をかける度合いの少いやり方を考えていくべきことは当然でございましていろいろその点は工夫しておるわけでございますが、ただ、今のような制度の建前でございますと、お医者さんが患者に対して医療を行なった、そのお医者さんのやった医療が、こちらの方のいろいろな基準なり、それから請求が正当な請求であるかというようなことを調べるわけでございまするので、どうしても今のような建前でありますると、患者の方について伺うことがないわけでございます。そういうようなことから、監査に臨みます前に、やはり患者の方について調査はいたしております。ただし、その場合にも、大体どういう方についてそういう監査を行うかということにつきましては、平素から支払い基金の資料などをもとにいたしまして、これが他の方々と比べて、いろいろな点から異常である、一度調べてみなければいかぬというような、あるいは基金の審査で問題になる度合いが多かったというようなことなどを参考にいたしまして、それでまあ大体ある数をしぼって、その方々について患者調査をするわけであります。患者調査をいたします場合に、まま御指摘のように記憶がちょっと感違いするというようなこともございましょう、それからいろいろな意味の心配から、まあうそを言うといってはあれでございますけれども、違ったことを言うという場合も若干あるかと思います。従って、そういう点につきましては、私どもも患者調査を唯一の何と申しますか、それをもって絶対正しいものとしてこれとお医者さんの言い分とが反した場合には、これはお医者さんが悪いのだというような、そういうようなことで臨んでおるわけではないわけでございます。その点は十分心しておるわけでございます。ただまあそういう監査の場合に、その場所に患者も呼び出し、それから他の医師会の立ち会いもございますのはもちろん、そのお医者さんも呼んだらどうかというお話でありますが、これはいろいろな点から私ども考えてみまして、そういうことはかえってまずいのではなかろうか、これはもう何も先ほど申し上げたような態度で患者に臨んでおるわけでございますから、お医者様の方のいろいろな資料なり、また言いわけというものも伺い、そうしてそれがこちらでもって納得いくならばそれはそれで差しつかえないわけでございます。その点については決して一方的ということではなしに、医師会の人たちも立ち会っているわけでございますから、そういうようなところでまあおのずから公正なるお尋ねをし、また、そのお答えについても誤解のないお答えをいただいてそれをもとにしてやっておるわけでございます。今の監査のやり方について、今のような点については、実は本人を呼び出すということについては、私どももうちょっとにわかに賛成しがたいと申しますか、これは今急に賛成するのはいかがであろうかというふうに考えております。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 監査のやり方がどうも一方的であるというふうに思われますために、今回の事件を起した加藤さんの最後の弟にかけた電話などによりましても、もう医者の生活権を実際に守ろうと思うならば書類を十分に整備し、あるいは請求明細書とかカルテを十分書くことであって医療などは次の問題である。非常に自分はこれまでは医療を大いに専念してやっておったが、医療などは次の問題である。事務が第一であるというふうの気持をもって弟さんに電話をかけられたことに対して、弟さんからいろいろと詳しい資料を書いてきておりますが、これはここには申し上げませんけれども、とにかく今度のやり方、あるいは保険診療というものが、そういうような、医療は二の次である、事務のみをやっておればいい、事務をやっておらぬと、ただいまのようないろいろな監査でひどい言葉も聞かなければならぬというようなことを非常に心配しておるのでございますから、とにかく何とかして、こういうような場合には、もう少し監査をやる場合に医者の立場もよくお考えいただいて、患者をみんな呼び出して聞くということは、非常に手間がかかるようにも思われますけれども、実際を見るのには、どうしても両者集めて聞くような方法をとらんければ、完全にその事項を精査することは困難であると思われますので、その点を一つ今後十分研究していただいて、ぜひとも保険指導監査というようなことはなるべく、保険診療のためですからやらぬわけにいきませんけれども、これは主として医師会の方にまかせて、医師会が保険医を指導し、保険医を監査する。悪ければ、保険医は、これはどうにもならぬからというようなことを申し出て、そしてそこで、除名とか何とかというようなところにまでいくようにすれば、医師会の方面では、自分の会員の平素のやり方などは十分わかっておるはずですから、そこで、指導を特に医師会に頼んでやらせるというような方法をとることはいかがかと思いますが、どうでございますか。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) 加藤さんが弟さんへの電話で、書類を十分に調べて、医療のごときは二の次だとかいうことを言われたというお話でありますが、今度の加藤さんの場合は、実は御自身は非常に診療に忙しくて、なおかつ、またほかの方へ研究にもいっておられるということで、そういう診療録なり何なりを整理する時間的余裕がないということで、全部奥さんに一任しておられた。そういうようなところから非常な間違いが出ておるわけであります。これは私どもは、決して医療を二の次にしていただくということは考えておらないのでございますけれども、ただ、御案内の通り、こういう保険診療ということになりますと、やはりそういう制度の建前から参りまする最低限度の事務的な処理というものは、これはどうしてもお願いせざるを得ない。もちろん、そういう事務的処理につきましても、お医者さんに御迷惑をかける度合いは、なるべく簡素化をはかっていくという検討をすることは当然でございますけれども、それにいたしましても、やはりその制度の建前の要求いたします最低限度の事務処理というものは、これはあまりなおざりにしないでやっていただく、自分は医者であって、医療にだけ専念すれば、あとのことは、これを信ずるか信じないかでいいのだというふうなことでは、やはり今日の制度の運営ができないわけでございます。この点については、加藤さんの場合のみならず、ままほかの方々からも、同じような気持を伺うこともございます。これは私どもも、その点は医師会とも相談いたしまして、制度というものがこういう制度で運営されているからには、その制度の要求する事務というものについては、これはあまりなおざりにしないように、これだけは一つお願いしたいということでさらに指導して参りたい。なお、指導監査の制度については、いろいろな点を考慮して、これを政府がやらないで医師会にまかしたらどうかということでございますけれども、これは国の行政権の一つの行為でございまして、これを一つの医師会というものに御一任するということは、今日の段階では私どもはまだ無理であろうかというふうに思うのであります。ただし、これは、医師会自体が、自分の会員の人たちを指導するように御努力いただくことを私どもはむしろお願いしたいくらいでございますので、その点も話し合ってみたい、かように考えておる次第でございます。

谷口弥三郎自由民主党

○谷口弥三郎君 いま一言。加藤さんに対して今度の監査前に御指導になったことがありますでしょうか。

館林宣夫厚生省保険局医療課長

○説明員(館林宣夫君) 県の主催する講習会には全部出席しておられますので、そういう意味では、非常に社会保険に協力されて指導を受けておられたと存じます。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 関連ですから短かく質問いたしますが、監査について今回、保険医が自殺なさったというような非常な不祥事ができたわけでございますが、過去においても二、三そういう例があるわけでございます。私も五、六カ年間監査に立ち会った経験もあるのでございますが、監査のやりよういかんによって、非常に思わない不祥事件が起きて参りますので、十二分に今後御指導願いたいと思います。ただいまの局長の御答弁でお気持はよくわかったので、しいてその点について具体的なことは申し上げませんが、もし必要であれば、そういう事柄につきましても、詳細申し上げる機会があれば申し上げてみようと思うのです。  そこでお聞きしたいのですが、監査に当って一般の事務官の方が医学的な監査をなさる場合があるのです。これは私相当大きな弊害があるのではないか、地方などの監査を見ますと、人手不足の関係で、一般事務官が医学的な質疑を発し、あるいはそれを、そのことだけを一つの報告資料として保険医を呼び出して、いろんなめんどうなことをなさっておるようですが、監査はもちろん係官がやるという建前から、事務官もできるような法律の上の条文になっておりますが、実際問題として、監査するときに、実態調査というものは専門家でなければならぬと思うのですが、その点はどういうようなお考えでしょうか。一応お聞きしたいと思います。

館林宣夫厚生省保険局医療課長

○説明員(館林宣夫君) ただいまお尋ねの件は、監査の事前調査の際の、患者に対して調査をする場合のことを主として御指摘のことと思いますが、お話のように、これに対して技官が当るばかりでなく、事務官も監査官として携わることもあるわけであります。その際に、もちろん調査内容は、技術者でなければわからないような点が相当あるわけでございます。もちろん某々医師の診療を受けたかどうかというような単純なことでございますれば、これは技術者でなくても、医師でも事務官でもわかるのでございますが、どのような種類の医療を受けたかというようなこまかい内容になりますと、専門技術者でなければわからない事例もあるわけでございます。従いまして、かりに相当広い範囲に事務官は調査をいたしましても、その調査内容によりましては、事務官の調査をさらに技術者をもって裏づけをする、あるいはそれが不可能の場合には、その調査の内容に対する判断を、これは事務従事者が、技術を知らない判断でやった調査かもしれないという点をある程度考慮のうちにおいて判断する必要があると思います。もちろんこのような、特に技術を必要とするような調査部分は、全部技術者であることが望ましいわけであります。できるだけそういうような指導をいたしておるわけであります。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 望ましいだけでなしに、医師法、歯科医師法に触れるんじゃないか、事務官が口の中に手を突っ込んだり、あるいは装填術を審査するというのは、医師法、歯科医師法に触れると思う。そういう点はもう少し御研究になって、運用を誤まらないように願いたい、よく御研究願いたい。  それから第二の質問は、もちろん監査というものは公平でなければならぬ、同時に徹底しなければならぬと思う。指導監査である限りは、指導の徹底を期さなければならないが、多くの場合そうした点に欠けるところがあるのは、地方の予算の関係もあるわけですが、地方の府県によっては、技官のおる府県とおらない府県がある、おる府県は初めからしまいまで、保険法ができてからいるが、いないところは初めからいないというわけで、いない府県の保険医の指導ということは、一体どういうふうなことをもって補助的なことをしておられるか、私はそういう点において非常な不安を持っておるわけです、それが一つ。  それからもう一つは、おる府県において、やはりいつまでも、任地を十年も二十年も同じようなところにおることは相当問題がある。税務官吏にしましても、司法官にいたしましても、やはり一定の任期が来れば任地を変る、あるいは栄転というのが一つの行き方だと思いますが、一つの県に十年も十五年もおるということは、いろいろな私は弊害が出てくると思う。現にそういう事例も私は持っております。いろいろそういうことに対する保険医の不満も知っておりますが、そういうような事柄につきましてもう少し公平に徹底した指導をするという面においては、府県の、いないところの県に対する考え方と同時に、おるところの府県には、五年おる場合には、その五年なら五年の後に隣のおらぬ府県に回す、巡回的に技官を交流といいますか、そういうこともしなければならぬと思いますが、そうした点についてのお考えはどうなんでしょうか、一応局長にこの点、お聞きしたい。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) まあできるだけ技官はその府県に置くべきものと、こう私ども考えて努力しておるわけであります。ただ、現実には技官のいないような、今補充されていないところも若干あるようでございます。そういうようなところにつきましては、今お話にもありましたように、他の県から兼務させるというようなことで、今は処理しておるわけでありまするが、これはお話のように、ぜひとも充足を期することを考えております。今後これはできるだけすみやかにそういう努力をいたしたいと思います。それから技官のいるところでも、やはり一つところにあまり長く置かないで、適当に栄転なり何なり異動を行なってはどうか、こういう御指摘でありますが、これもまさしく、やはりそうひんぴんとはどうかと思いますけれども、また、あまり長くなって工合が悪いということもあろうと思いますので、これも異動は行いたいとは思います。ただし、なかなか近ごろは異動もそうたやすく行えない、ことに、こういう系統の人はなかなか異動もほかの場合に比べればだんだんむずかしい要素もあろうかと思いますけれども、これはやはり一人の人が一つのところにあまり長くいるということについては、確かに問題もあろうと思います。この点も十分に考慮して参りたいと思います。

竹中恒夫無所属クラブ

○竹中恒夫君 もう一点だけ、監査について全国一律に五日とか六日とか日をきめてなさっておられます。大府県の監査は保険医の数が非常に多いわけです。主千人とか四千人いる。小府県で三百人とか四百人の府県も同じように五日間で一つの画一的な単純な行き方でやって、果して公平な徹底した指導ができるかどうかと思うのでありますが、こうした点に対してはやはり運営の面であなた方の方でおやりにならなければいかぬと思いますが、お考えどうでしょう。

館林宣夫厚生省保険局医療課長

○説明員(館林宣夫君) その点は全く御指摘の通りでございまして、私どもも平生からそういうことを深く感じております。全国大きい府県でありましても、小さい県でありましても、年に一回とか、一回に実施する人数は何名というふうにあまり差がないということは、確かに公平を欠くことでございまして、保険医の数等に大体沿った監査の扱いをすべきものと存じておりますので、今後とも十分注意をして参ります。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 今ちょうど加藤さんのおなくなりになったことに関連して監査の問題が出ておりますが、私も長い間医師会の運営に関係しておったことがございますが、監査も昔に比べるとよほど民主的になってきました。もとはまるで罪人を扱うようなことをやっていましたが、その点は幾分よくなってはきましたけれども、大体本省の考え方からして現在の監査というものは違反者をあげるという、そういう方向に傾いていて、どうしたらば違反がなくなるかというようなことをあまり考えていない。そういう処置をとっていない、私はこれは大きな欠陥だと思います。私は医師会を心配しているときから、悪質の違反をした会員を助けるという運動は一つもしませんでした。これは悪いことをした者は徹底的にあげて、そうして処罰なり何なりするということが当然のことだと思ってやってきましたが、それでも一体そういう違反がなぜ起るかという原因をもっと私は掘り下げて本省は考えなければならぬと思う。それは第一診療費が安いということなんです。今のような低診療費では、医療経営がなっていかないということ、これをあなた方徹底的に一つ掘り下げて考えて、そういう考えのもとに保険行政というものをやらなければ、いつまでたったって違反というものはなくならない。これはきわめて卑近な例で、適当であるかどうかわかりませんが、私は友人に東京都でタクシーを営業しているのが数人おります。そこへ行ってこのごろ運転手のごまかしがあるかということをたくさんの人に聞いてみたところが、全然ないというのです。運転手はごまかそうと思えばお客さんからもらった金を隠すこともできるようになっているのが、それが一つもごまかしがないというのは、このごろ運転手の収入というものはまあ四万円、四万五千円、五万円という、こういうタクシー運転手の収入だから、こうなればごまかしをして首になるよりも、そのままの収入でいたらいいという、こういうことでごまかしというのは全然なくなったということをどの営業者も言っている。私はこれと医師の収入というものを比較しようとは思わないけれども、私はこれは一つの例になると思うから申し上げておきますが、何とかして医療費を一つ上げなければならぬということを考えてもらいたい。今甲乙二表の問題につきましては、甲乙二表を一本にしようじゃないかという話があっても、近い将来に甲乙が一本になろうというような空気が見えない、厚生省としてそういう誠意を示しておりませんが、これが一本にならない以上は、診療費の値上げということもできないということです。そういう点では、私はとうていこういう違反とかというようなことがなくなるということはできないと思うが、一体当局としてはどういうお考えですか。局長、今の診療費は妥当であるとお考えですか。何とかしてこれをもう少し相当のところまで上げなければならぬというふうにお考えになるかどうか、その点を一つお答えいただきたい。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) 監査のあり方について御体験をもとにしての御忠告でございました。私どもも何でも引っかけるというような、いわゆる摘発主義みたいのことでなしに、やはり監査も大きな意味の指導の一環でございます。できるだけこの運営が健全にいくようにそれを努力する、こういう立場からやっておるわけであります。ただ、やっておりますうちにおきまして調べてみますると、どうも指導で一つ注意して下さいというような程度でおさまらない手合いが出て参りました場合に、一時保険医を取り消しするというようなことも起って参るわけでありますが、しかし、その根本的気持はただいま申しましたように、また、お話にもございましたように、できるだけ指導というものに重点をおいていかなければならぬ、こういうふうに心しておるわけでございます。なお、ごらんになりまして不十分であるということでありますれば、さらに一段と今後とも心して参りたい。  それからそういうようなことが、今後ともやはりあとを断たぬであろうと思い、その根本的の原因は現在の診療費が安いのじゃないかというようなお尋ねでございましたが、これは昨年の十月からワクを広げましたので、政府といたしましては、今日の段階においては、これでもってまあまあごしんぼう願わなければならない、また、ごしんぼう願えるところかという考えでございます。もとより診療費ができるだけ高くなっていくということは、お医者さんの立場からすれば、多々ますます弁ずであろうかと思いますが、これが自由診療の時代でございますれば、いざ知らず、今日のように保険制度というものが中心になって参りますると、やはり国民がそういう制度を通じてどれだけの金を払えるかという、ふところとの関連からきまってくる点もございまして、おそらくお医者さんの立場からいえば、御不満が多いと思います。しかし、政府といたしましては、こういう保険制度の運営を健全にいたしますためにおいては、お医者さんの立場も考え、また、それを払う側の保険者なりあるいは被保険者の立場というものも考え、これを調整して適当と思った度合いにこれを定めておるわけでございます。その点については、今後そういう財政が許します限りにおきまして、極力診療費の引き上げをはかることは、これはまあ申すまでもないことであります。さような点については、今後とも注意して参りたいと思います。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 今の話の中で、昨年診療費は手を入れただけで、現在の段階においては適当であると考えておると言われるが、とんでもないことでございまして、そういう認識ではとても完全なる保険行政というものはやっていけない。この問題につきましては、私は日をかえてまたよくお話をしたいと思いますが、今の診療費で、あなたがほんとうにそれはけっこうな満足なところだ、妥当だとお考えになっているとすると、とてもあなたはこの職責にはたえない、そんな考えではいけない、それはしかし他日に譲ります。だけれども、私はもう一つ、あなたが監査をして、そうして罪人を摘発するということをやっておられる。このもう一つの原因をどこに考えておられるか、私はこれは制限診療にあると思う。今日の進歩した医学を、あらゆる医者が思うように——思うようでなくても、十中の八、九でも、七、八分でも制限なく診療することができるならば、こういう摘発の事件なんというものは全然起ってこない。日進月歩の医学の進んだ部分は全然使うことができないというような形なんです。古い昔からやっている、この辺までの診療はやっていいけれども、ほんとうに新しいところはやっていけないというような、こういう保険の行政のいき方では、やっぱり医者は何とかしてそれをやりたいという気持になるから、そこに非常な違反が起ってくるという原因があるわけなんです。これは一つ私が言うからというのじゃなくて、平ったい気持で、ほんとうの原因はどこにあるかということをしなければ、違反者を摘発するというような気持だけで、昔の特高のような考えで、何か悪い者はおらぬかというような、そういうような考えではなくして、ほんとうに医療担当者の味方にもなるというような、あなた方の気持でやっていくならば、制限診療ということについてはもっとまじめに考えなければならぬ。それについて現在の保険の経済からいえば、すでに黒字になっているでしょう。この黒字の処理をどうするかということがこの次に起ってくる問題だろうと思う。あるいは保険料を下げていく、料率を下げよう。あるいは単価を上げようか、診療気を上げようか、あるいは診療の制限を撤廃しようか、三つともやろうか、少しずつ三つともやろうか、あるいは重点をどこに置いていくかということは、もう今日の段階において、あなた方考えておかねばならぬ問題だろうと思うのですが、この黒字の問題処理、いつまでもこの黒字は黒字として今のままでやっていくつもりであるか、それは本年度予算においてどういう形になっていくか。あとでお話があるかもしれぬけれども、ここであらかじめ伺っておきたい。従って、この制限診療に対する、これが今日の、まれではあるけれども、医師の間に不正を行う者の出てくる一つの原因であるということについての私の考え方に対する答弁と、それから現在黒字になっておるこの処理をどういうふうにしようと考えておられるか、この二つについて一つ御答弁を願いたい。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) まあ第一の点でございますが、これは診療担当者の側から申しますれば、ある患者について医療行為をしたいという場合においては、とにかく自己の信ずる最善を尽し、たとえそれが相当高額のものになろうとも、また、患者もこれを希望しておるならばそれをやりたい、こういう気持になられるということも私どもわかるわけでございます。ただ保険制度といいまして、こういう仕組みによって国民の医療をまかなっていかねばならない、こういう時代の、しかも昔と違いまして、敗戦以来日本の国民のふところも乏しくなりまして、昔のように自由診療といいますか、そういう自費でもって高い医療を受けられる人が今日国民の中ではほとんどおらぬ。もう大多数の国民は、やはりこの保険制度というものの活用によって、まあ近代的医療を受けていくことができるようになっておる。こういう時代におきましては、やはり保険制度というものは健全に運営されていくという建前で物事を考えていかねばならないと思います。そういう意味で、保険制度といたしましては、当然そこに規格診療というような面が出てくることは私はこれはいなめないことだと思うのであります。これにつきましては、前々からよりいい診療をし、その分については差額徴収とかいうような形でもってその欠陥を補うというようなことを考えてはどうかという御意見も世上にあるわけであります。私どももそういうように、保険制度が規格診療にならざるを得ない。しかし、そこに医療というものは千差万別でございまするから、そこに何らかの、また納得できない点が出てくる。それをどうして補ったらいいかということについては前々から頭を痛めておるわけであります。差額診療徴収というふうな方法で片づけるということも、一つの意見としては出ておるわけでありますが、今日現実にそれを当てはめて参りました場合に、果して今日の保険制度全般がうまく運営されるかどうかということにつきましては、今日のところはまだ自信がないのでございます。この点はずっとさらに検討を続けて参りたいと、まあかように考えているわけでございます。  それから政府管掌の健康保険につきまして相当黒字が出ておる、大体三十三年度決算で約まあ百八十億ほどの黒字と申しますか、余剰が出ておることは事実でございますが、これをどうするかということでございます。これにつきましては、私ども今後引き続きこういうような情勢になっておるかどうかということにつきまして検討を加えておるわけでございまするが、医療費の傾向は、本年の三月ごろから少し私どもの予想しておりましたよりも異常なる増高を示しておりまして、私どもの予想しておりました年間医療費見込みよりも、ただいまのままで参りますると年間約三十数億の支出増になるのじゃないかというふうなことでありました。数年間余剰を生ずるような時代でありましたが、これからあとはまた少し苦しい時代が来るのではなかろうかというふうなことになって参りました。そういう点をもかみ合せまして、この百八十億の処理というものを考えて参らなければならぬ。また、これを一つの処理をいたしますれば、それは政府管掌健康保険だけにとどまらず、やはり他の制度にも同じような処理をいたさねばなりません関係上、そういう点も考慮いたしまして政府管掌だけ黒字が出たからこういうことをやるというわけにも参らぬ点もございますので、そういう点もあわせて考慮していきたい、かように考えているところでございます。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 今さら局長から講義を聞かぬでも、経済的制約が保険にはつきものということはこれはわかっているのですよ。そんな講義を聞こうとは思いやしない。何でもしたいことはしたいと言っているわけではないけれども、この治療の制約をもう少し緩和したらどうかと、こういうことなんですよ。全部撤廃せいなんてそんなことを言っているわけではなくて、私は条件闘争をしておるわけなんで、全部撤廃せいというわけではないのですよ。その点をあなた説明しないで、ただ経済的制約があるからこれはやむを得ないのだというような答弁はそれはよくない。私はもっとあなたから、もう一ぺん答弁をし直してもらいたい。できるだけ一つ制約は取る。あなたはいい言葉で言っておるのです。規格診療というようなことを言っておりますが、規格診療ではなくて、制限診療ですよ、これは。病気というものはあなたの言葉から出たように、千差万別であって、治療もそのつど千差万別でなくてはならぬことはわかっている。もし厚生省のおえらい方々が医者に行ったときにはどう言っているか。また、この参議院の下の診療室でやっているときもどういうことが行われているかと申しますと、いいのをしてくれ、保険に関係なく一つできるだけ早くよくなるような治療を一つしてくれということをだれでも言っている。じゃまになっているのは保険証を出して診療するから、それ以上に治療をしたとき、医者はお金を取ると処罰される。取らぬで規格内の診療をすると病気はよくなるのがおそい。そういうことで、医者はいつもジレンマに陥っている。今の規格診療というものがほんとうは診療のじゃまをしている。もっとひどく言うならば、自分がお金を出せばいい治療がしてもらえるのに、保険であるためにその診療がしてもらえないということは、ほんとうからいえばこれは人権じゅうりんです。やりたいことをやってもらえぬのだ。私はそのために差額徴収がいいということを言っいいるのではない。しかし、確かに人権じゅうりんということが考えられるような場面が起ってくるわけです。これについて私は無制限に今の医学でやれることは何でもやれと、そういうことを要求するのではないから、幸い黒字にもなっておるならば、この制限診療というものについては一つ考えてみたいと思っている、何とか緩和する方法を考えてみたいと思っているというぐらいのことは言わなければですよ、規格診療だからそれは当りまえだ、今度は黒字は少くなっていく見込みだから、そういう点は考えないということでは、それはあなたの答弁としては当を得ていないと思う。もう一ぺん答弁をやり直してもらいたい。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 予定の時間がだいぶ経過しまして、最初申しましたような、おそくも一時ごろまでには終りたい、かように思うわけでありますが、厚生大臣もすでに出席をいたしておりますし、あと鹿島委員から簡単な質疑がある予定でございますので、木下委員、大体御満足いただけるような答弁がございますれば、これで終っていただけますな。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 もう一つやりたいが、しかし、今の答弁は一つやり直してもらわぬと……。それがもし不満足な答弁ならばいつまでたっても続けていきます。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) 私どもの気持も木下委員も御承知だと思うのでございます。何とかして保険の内容をよくしていきたいということについては私どもも十分考えてやっていくつもりでございます。今お尋ねの点については、私の申しようがあるいは意に沿わなかったかもしれませんけれども、根本の気持はそういうことでございまして、いろんな点が、制約はございます。これは申し上げるまでもないことでございまして、そういう中でも極力そういうような制約のお話しのあったようなものには今後緩和する方向に努力して参ることは、これは申し上げて差しつかえないと思います。ぜひとも努力はいたしたいと思います。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 木下委員簡単に。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 今の御答弁で全く僕と反対の方向に、うしろ向きでないことはわかった。やっぱり制限というものはできるだけ撤廃していこうというお考えのあることは、これはもう天下に声明されたことで、私はそれを信頼します。  そこで、私は、一つの方法として、少くも制限を撤廃すれば、あるいは制限を非常に緩和すれば、一体どれくらい金額が上ってくるかということについては、私はまだ計算していない、非常におそれておられると思う。今制限を緩和したら、もう診療費がうんと上って困りやしないかということだけを抽象的に考えておられますから、私はこれをあんまり広い範囲でやれば困るかもわからぬから、一つの小さい市であるとか、人口五万とか、十万くらいの市でこれをどこかでやってみるかして、そうして非常に制限を緩和しておられて、一体どれくらい診療費が上るかということのテスト・ケースをしてみるくらいな努力はしてもらったらどうかと思う。それくらいのことで保険経済がひっくり返ることはないと思いますから、二、三カ月でもいいから、そういうことをやってみて、そうして具体的にこれではいかぬとか、これならやれるとかいうことを一つやってもらいたい。お医者さんもそう無理はしないでもいい診療をすると思うし、また、そういう制限がなくなれば、その制限のワクで、なくなれば制限のワクの中で保険の経済というものをできるだけ保っていこうという、こういう考えは診療担当者も当然持つはずでございますから、保険の経済をこわれることを希望している保険の担当者は一人もいないのだから、ある一つのテスト・ケース、テスト地区というものを作ってでもそういうものをやってみようというようなお考えまであなたの頭が進歩することを希望して、一応この質問を打ち切っておきます。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) それじゃ鹿島君、御質問願います。

鹿島俊雄自由民主党

○鹿島俊雄君 大臣お急ぎのようでありますので、簡単に質問いたします。  今回の加藤医師のこの悲劇は、要するに、保険請求者の事務量の激増というようなことから生じた手落ちとか、瑕疵に基因して鋭く追及されたというようなにおいが多分にいたします。これは非常に将来においても私は重大な問題になるだろうと思います。この監査方式については、多年医療担当者側から希望がありまして、最もこの実態を知悉する医師会、歯科医師会に主体性を与えてやることが好ましいことは盛んに唱えられております。その結果がここにはっきりと現われてきた。特に最近の状態を見ますると、医療費の増高を縮小せしめる、これを押えるというような見地から行政措置的な監査が行われるにおいが多分にあるのでありまして、特にこの監査対象の抽出に当って一件当りの点数の比較的高いものを与える、これは非常に問題でありまして、正しい保険医の診療意欲に非常に大きな打撃を与えまして、適正な診療が行われないというような現状が生じて参りました。私にこの監査に正しからざる請求につきましての追及があってしかるべきと思いますが、むしろ一件当り点数の低いものの中にも正しくないものがあり得るのでありまして、単に請求点数の高いものを対象にするということも、末端の指導者に非常に多いというのは見のがしがたい現状であります。こういう点は特に中央におかれまして格別の指導をされたいと思います。  最後に、先ほど谷口委員から特に指摘されました、これらの弊害を除去し、最も正しい監査が行われますためには、重ねて医師会、歯科医師会等に監査の主体性を与える、もちろんこれに対しましては保険者、被保険者側の納得のいく方によることはもちろんであります。そういうことによって、真に請求上の、事務上の瑕疵、手違いによってそれを追及される、その結果起るような悲劇も解消するのであります。また、真に正しくない保険医の指導というものも最も適正に行われることが考えられる。従って、先ほど谷口委員の御質問に対して局長の御答弁がどうも私も納得できない、この点につきましてはにわかにこれを行うことにつきましては、いろいろ御議論の余地があると思いますが、どうかこの監査の主体性を医師会、歯科医師会に与える、現在の医師会、歯科医師会は少くとも正しい立場においてそういうことが行われ得る団体であると私はそういうふうに信じ、また、太宰さんもお信じのことと思うのでありますが、この点が将来の監査の上に起ってくる諸種の欠陥を是正する大きな問題だと思うのであります。どうかこの点について重ねて簡単に一つ御主張、御所信を承わりたいと思います。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) 最近の監査が医療費の増高を押えようとするような政治的なにおいを含んだものじゃないかというような御疑念があるようでありますが、これははっきり申し上げておきます。先ほど来申し上げておりますように、監査というものは、広い意味の指導の一環でありまして、制度の運営の健全性を確保するためのあり方であります。医療費というものは二の次であります。その点はどうぞ御安心いただきたいと思います。  それからただいまの医師会、歯科医師会に監査の主体性を渡したらどうかということでありますが、これは国の行政権の一つでありまするので、私どもといたしましては、ただいまのところは御意見として承わっておく、そういう考えは今日のところは持っておらぬのであります。と申しましても、これは医師会、歯科医師会が傘下の会員の方々を指導されるということにつきまして、私どもはむしろお願いいたしたい気持で、ことに先ほどもちょっと申し上げましたように、ともするとお医者さんの中には、自分たちは医者なんで、医療に専念する、事務というものはなおざりにしていいのだというような気持の方々が相当多いのであります。それは今日のような仕組みで医療をお願いしております場合においては、どうしてもその制度の仕組みから参りまする一つの事務的な処理というものはどうしてもこれはお願いしなければならぬ、これをなおざりにすることは私どもとしても困りますし、また、制度の運営の上にも困るわけであります。ともすると、そういう点がよく認識されてない点もある、こういう点のための間違いも、実は今日の加藤さんの非常に痛ましい事故も、そこに原因があったのではないかと私どもも考えております。こういう点はむしろ医師会、歯科医師会の方からもそういう御指導を賜わるようにお願いしたい。そういう面について医師会、歯科医師会と協力して参るつもりでおります。

鹿島俊雄自由民主党

○鹿島俊雄君 ただいまの御回答は、私自身の申し上げておることは、この正しからざる請求に対する追及ということは当然やるべきである。従って、最も保険医の実態を知悉しておる医師会、歯科医師会の団体が監査を行うことはもちろん指導もいたしまするが、実行において正しいものが行われるのではないかという観点に立っている。従って、決してわれわれは、私の意見としましても、正しからざる請求の追及をぼかすというような考えは毛頭ないのであります。これをやることは当然であります。従って、正しく今回のような悲劇の起らないように、実態を伴った監査が行われて、保険医の実態を知悉する、あやまちのないような、そういうような前提に立っております。一応この点については念を押しておきたいと思います。   —————————————

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) それでは保険医の監査問題についての質疑はこの程度にいたしまして、次に移りたいと思いますが、その前に委員の異動を報告いたします。本日付をもって大谷贇雄君が辞任し、その補欠として草葉隆圓君が選任されました。報告をいたします。   —————————————

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) お手元に台風第十五号による被害状況並びに措置状況、それから公衆衛生局の防疫対策の状況、この二つの資料が配付されておりますが、このことについて厚生大臣から報告をいたしたいとの申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡邊良夫君) 先般の伊勢湾台風による被害で、現在までに判明いたしました被害の状況はお手元に配付いたしました資料の通りでございまして、人的被害二万三千八正六十九人、住家の被害五十四万二千二百八十九戸となっておりまして、空前の数を数えるのでございます。特に愛知、三重、岐阜の東海三県の被害は莫大でございまして、今後さらに被害が増加するものと思われます。今回の台風に際し、災害救助法を適用しました市町村は五百六十二カ所に及んでおり、被害の甚大だった愛知、三重、岐阜の三県は全県下に適用されておるのであります。厚生省におきましては、今回の台風災害のような非常災害の際における災害救助、防疫、並びに復旧に関する施策を総合的に、かつ、強力に推進するため、今回の台風発生と同時に、省内におきまして災害対策本部を設け、目下この本部を中心といたしまして、災害対策に積極的な活動を行なっている状況であります。厚生省といたしましては、災害発生と同時に、被害激甚の東海三県に係官を派遣し、被害状況の調査、救助の実地指導及び防疫業務の指導に当らせるとともに、九月二十九日に政務次官を現地視察におもむかしめ、社会局長を、名古屋市に設置されました。中部日本災害対策本部に出向せしめました。このほか愛知県及び三重県に対しまして他府県から防疫班を必要に応じて救援におもむかしめておるのであります。私も本日午後、この名古屋市の現地調査に参る次第でごごいます。応急救助用食糧の輸送、給水班の派遣、救助用ボートの急送、避難所の増設等の応急救助対策、日赤の救助活動状況、赤痢、ガス壊疽及び破傷風患者の発生状況、並びにこれらの疾病に対する対策、医療救助班の活動状況、在日米軍、米国宗教団体等の協力の状況におきましてはお手元の資料の通りでございます。  さらに、今回の台風につきましてはその被害が甚大であることにかんがみ、厚生省としましては、既定経費のワク内で罹災県に対する特別措置として、世帯厚生資金割当額の増額、母子福祉資金貸付制度による住宅補修資金の貸し付けワクの増額、被災地臨時保育所の開設、保育料の徴収減免等の措置を講ずるとともに、国民健庫保険を実施しておる被罹災市町村に対しましては療養給付費補助金及び事務費補助金の繰り上げ交付、特別調整交付金の交付を行うことといたしまして、今日その手続をとるに至りました。  このほか、厚生省に関係のありまする医療衛生関係施設、水道関係施設を初めとする環境衛生施設、社会福祉関係施設等の被害に対しましては目下調査中でありまするが、その被害も相当広範囲にわたるものと予想あれており、調査の結果を待って適切な対策を講じたいと存ずる次第でございます。  以上、御報告申し上げます。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) ただいまの御報告に対して質疑を行いたいと思いますが、政府からは、ただいま説明の渡邊厚生大臣のほかに、森本官房長、熊崎会計課長、尾村公衆衛生局長、川上医務局長、太宰保険局長等が出席をしておりまするし、局長の現地派遣等で出席し得ない局からは、社会局の瀬戸施設課長、薬務局の広瀬薬事課長、児章句の伊部企画課長、引揚援護局の石田援護課長等が出席をいたしております。  御質疑をお願いいたします。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 私は災害現地を視察しまして一昨晩帰ってきたばかりでございますので、厚生大臣そのほか関係各局長にお尋ねするというよりも、むしろここで研究をしてみたいというような気持で質問をするわけでございます。  まずその前に、この災害現地に対する厚生省側がお立てになった救助対策というものはきわめて機敏であって、そして、その内容がさすがに災害救助の本家本元だけあって、その点まあおほめいたしまするが、内容が適切であるという点については、その通り私は感じて、深く敬意を表した次第であります。  ところが、実際において現地を見ますると、かつてわれわれが——私も台風常襲地帯に育っている一人でございますけれども、従来われわれが災害対策をやりまする場合と今度の災害の現地の場合と非常に趣きの違った点は、今日なお名古屋市内あるいは県下の主要なる市町村において、浸水地域の水が引いておらないということでございます。それで、名古屋でも、土地の高いところは多少水が引いておりまするが、港区あるいは南区の広範囲にわたる地域は、現在なおひざまで、へそまで、あるいは胸まで水につかっているのでございまして、家が倒れているところは別として倒れてない家では二階あるいは屋根裏に住んで、女子供から老人に至るまで水の中をおなかまでつかってじゃぶじゃぶ歩いていかなけりゃ……、その間をわずかのボートが食糧その他、病人を運搬しているにすぎない、こういう現状でございまして、九州方面においてもあまり見ないまことに悲惨な状況である。そこで、厚生省が防疫対策あるいは医療対策、そのほか食糧補給等の対策をいち早くお立てになって、現地の県庁あるいは市役所等と協力しておやりになっている、その機敏さに対しては敬服するけれども、この対策が事実はほとんどがその現地に行われない実情にあるわけであります。従って、たとえばこういうふうに医療班の派遣がございます。現地でもやっておりますけれども、わずかの医療班が参りましてもほんに九牛の一毛にすぎない状態でございまして、いまだに大部分のところには医療班がボートに乗って行き着くことができない状態にある。医薬品の配給もできない。握り飯その他の食糧の配給も、ようやく新聞に出ておった通りに二日目にできたというようなことで、今日もなおきわめて不十分。飲料水なんかの不自由さにおいては、これは全く気の毒な状態で、ことに糞尿の処理等につきましては、おそらく今、家がひざまで、腰まで、胸までつかっている。その水がおそらく糞尿とそのまままざったものであろうと思われる。非常に悪臭を放った、まことに言いがたい悲惨な状況でございます。こういうことで、たとえば糞尿の処理にいたしましても、石油カン等を配って、それでいろいろやっておりまするけれども、石油カンを配ってその中に糞尿をためさせるように手配のできるところはきわめて一部分でございまして、大部分の浸水地域、ことに県下各地の市町村の浸水地域にはそういうような方法がとうてい——これを講ずることになっているけれども、それを実行に移すことができない現状にあるわけです。そこで、これは厚生省の責任でも何でもない、建設関係、特に早く堤防を作りまして、まず排水に全力を注いで、それからでなければこの対策も実際は効を奏しないのではないかということを、現地の関係者とも相談をいたしまして憂慮して帰って参ったわけでございます。そこで、これは一体、この一番大事な、ことに伝染病が発生をする、病人の運搬も容易でない、医師の診察も容易でない、医薬の補給、食糧の補給も容易でない、これは今後なお数十日は優に続くと考えられる。せっかくこれだけお立てになった対策をどういうふうにして実行に移すことができるだろうか、これなんでございます。これは厚生省の力だけではどうにもならないのであって、事実上この水が引いてくれない限りは、あるいはボートその他の小さい舟でどんどん入れるということになりましても、その水が引かない限りは私は十分のことができないのじゃないかと、こう思うのでありますけれども、それでも水の引かない間に何とかせっかくお立てになったこれだけのりっぱな災害対策を実行に移す方法が何かないだろうか、こういうふうに考えて一昨晩帰って参ったのであります。でありますから、われわれが、厚生大臣を中心にして厚生省でお立てになったこの適切な対策、また、当委員会において検討すべきこの対策を、どういうふうにして実行に移せるか、この実行の方法を当委員会において政府に協力して御審議を願う必要がありはしないか、こういうふうに考えるわけでございまして、私はこれは厚生省に対する質問というよりも、各委員のお考えもここに一つお吐きを願い、大臣を中心にして研究をしていく、こういうふうに一つしていただけないものだろうか。なお、これに対して大臣そのほか関係担当者から、実はそういうような状況であるけれども、できるだけ速急にこの対策を実行に移せる、こういう方法を考えているのだ、こういう方法がおできになっておるならば、それはまず方法なり、お考えを一応聞かしていただきたい。そうして当委員会からも本日調査に出ておられますが、もう一日半日も待てない状況にあると考えられますので、幸いに大臣が本日おいでになるというお話でございますから、なお、現地をごらん下されば、十分その悲惨な実情についていろいろお考え下さるに違いないと思いますけれども、一日半日を争う問題であると思いますので、当委員会において一つできるだけ本問題についての対策を研究していただきたい、こういう気持で、まず厚生省に何らか、せっかくの対策を実行に移し得る方法をどういうふうにお考えになっておるか、これがあるならば一応お聞かせ願いたい。そうして各委員からも御意見をお出し願って当委員会が中心になってこの対策の研究をする対策を実行に移す方法について研究をするというように、当委員会の……質疑討論でなくして、研究会みたいな本委員会の本問題のお取り上げを願いたい。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡邊良夫君) このたびの災害の特質といたしましては、非常な高潮が多かったということでございます。この高潮によりまして集団的に発生いたしましたところのこの避難者に対しましての、これはなかなか避難をさせしめるということが、あまりに広範囲でございましたから、容易でなかったのは、当初の混乱状況を現地御視察を賜わった皆様方が御承知の通りだろうと思います。私どもといたしましては、名古屋に設置いたしました政府の対策本部と連絡をとりまして、そしてこれがまず厚生省の対策といたしましては、応急救助対策あるいは給水班の派遣あるいは救助用ボートの急送、避難所の増設あるいは栄養の補給、日本赤十字社等の救助活動の協力要請あるいは防疫対策、こういう点に遺憾なきを期しておる次第でございますが、何しろ先ほど申しましたように、なかなかこの避難ができない、この避難のできない点につきましてようやく一日から集団避難というものが実行され始めたのでございまして一日におきましては、愛知県において八百人、この本二日におきましては、愛知県において三千人、三重県において一千人でございます。これが徐々とこれから軌道に乗るのじゃなかろうかと思っておりまするけれども、われわれはこれに対しまして先ほど申しましたこのあらゆる対策と並行いたしまして、集団疾病の発生等の防疫対策に対しまして、全面的な努力を講じておる次第でございまするが、何しろ当初は県市との連絡あるいは町村との連絡というものが広範囲でありましたために、なかなか不円滑もやむを得なかったのでございますが、私どもの方といたしましては、直ちに政務次官を派遣し、社会局長その他各課の係官を派遣せしめまして、私も本日またさらに出かけまして、衛生部長会議あるいはまた、民生部長会議、これらの人々と連絡いたしまして、万全の措置を講じたい、かように考えています。諸般の問題の詳細につきましては、関係係官から御答弁させます。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○説明員(尾村偉久君) 防疫対策について御説明いたします。今高野先生からの御指摘の通り、屎尿処理を含みます清潔消毒と、それから衛生安全な飲料水、食事の供給と、それから患者の発見と隔離、収容、治療、この三原則が、一般的にはこれは強硬にやっておるわけでございますが、今回の水の中に長くつかりまして、しかも連絡が絶えるところはこの原則ができません。これが大体数万の人口を擁した地帯にあるわけでございます。これは何といたしましても、長期にわたって、少くとも十月の十日以前にすみやかに水が引かなくて、これらのことができないという土地は、集団的に避難を求めまして、そこで集団的にこの発生防止をする、これ以外にないのでございます。と申しますのは、今の消毒は、もう海水と一緒でございますので、これは薬をぶち込んでも何ら効果がないという形でございまして、しかもそういうようなところを若干調査いたしますと、もう栄養状況が非常に落ちて参りまして、腸の方が非常に工合が悪くなっておる。これはわずかな菌でも、ふだんなら絶対に発病しないものが、相当感染するとみんな発病する。こういうおそれがあるものでございますから、こういうふうな二段がまえでやる、こういう対策を立てまして、昨日から始まりました集団避難先には、すでに派遣してあります各県からの防疫班二十三班、それから検疫所で編成いたしましたのが五班、これは全部現地で活躍しておりますが、これの手を相当集団避難所を集中いたしまして、ここの集団発生を防止する、こういう形、それから水が引きかけておりますところには、今の防疫対策を逐次実施中でございます。ただその間におきまして、屎尿の処理が一番困っておりまして、これにつきましては、先ほど御指摘の通り、ビニールの袋ないしはあらゆるかめ、石油カンなどを今どんどん集中いたしまして運んでおるのでございますが、ただこれをまた入れましてもすぐ一ぱいになってしまう。そうかといいまして、一日に一度か二度行く握り飯配給の船でまたこれを回収いたしますと、逆に心配のことも起るわけでございます。何としてもこれは姑息なのは長続きしないということに見込みを立てまして、われわれの方も、ボートが静岡県から百五隻、それから数日前から横浜市から百隻行きましたのがもっぱら給水に当って、これで片手間やっておりますが、こういうものも利用して早く避難を完了してほしい、こういうことを他の省とも協力いたしまして要請いたしておるわけでございます。  それから最後に、赤痢の発生状況でございますが、ただいま一番最新のがこちらに参りますとき、名古屋市の衛生局長に電話で連絡いたしました結果、名古屋市の疑似赤痢患者として収容した者が三百七十三名、そのうち真性の赤痢、ほんとうの赤痢は十三名でございます。これは私どもの方から直ちに三県に指導通牒を出しまして、いやしくも下痢が二名以上、いわゆる集団とみなされるものを非常に拡大いたしまして複数で出たものは全部赤痢の容疑をかけて、命令によってでも、これは伝染病予防法で命令ができるものですから、引き抜いてきて隔離病舎にとにかく収容してしまうこういうことでございますので、疑似症患者が非常に多い数になっておりますが、これは大部分は入ってきて菌検査をいたしますと、冷えのため、水につかったための普通の下痢でございますが、これによりまして来ている者は非常にいい者だ、完全な栄養補給をあわせて、そのために私立の伝染病院は一ぱいになりましたので、名古屋大学の経済学部のあき家を改修いたしまして、昨日から収容を開始いたしておりますが、五百ベッド臨時隔離病室を用意いたしまして、ここにそういう者を入れ始めております。これは足らなくなればさらに増設をする、こういう予定でございます。従いまして、新聞紙等には疑似赤痢といたしましてきょう以降相当数な数に上ると思いますが、われわれの方は全部疑似赤痢ということにいたしまして、命令で引っこ抜いておりますので、この点はその数が全部赤痢とはお思いにならぬようにしていただきまして、むしろ予防措置、こういうことをいたしたい。なお、集団発生のおそれのあるところには、この防疫時の対策要綱によりまして、消毒綿、それからクレゾール等を戸別に無償で配給をいたすことにしております。全面的にやりますのは困難でございますので重点配給、それから先ほど言いましたように、どうしても集団移動ができないで番人で残る者で、腹工合が悪くなってくる者がございますので、これには総合ビタミン剤を、そこまでは伝染病予防法でいいから重点配給をいたしまして、体力の低下を防ぐということを、これも指示をいたしまして、これも先ほど衛生局長の話では、重点的に使用さしてもらうという連絡でございます。  それから赤痢以外のものには、一番おそろしいこういう災害時に起ります破傷風とガス壊疽がございます。ガス壊疽患者が五名名古屋に発生いたしました。これは血清をもうすでに、最初から三十五人分送りましたので、これも治療の進行中でまだ死亡は出ておりませんが、あとの続発のまだ確認はいたしておりませんが、ガス壊疽血清はあと予防衛生研究所に五十人分しかなくて、これ以降は国内にないのでございまして、作るとすれば二カ月かかる、こういうことがございますので、とりあえず予備を持つ必要がありますので、米軍に五十人分要請をいたしまして、これの検定を一応しなければなりませんので、これを二、三日がかりでやって、さらに必要ならば送る。こういう手配をいたしております。この方はそう増加いたさぬ。破傷風の方は二名起りましたが、これはもう十分血清が現地に集結してございますので、これはもう十分治療ができるかと思います。その他の伝染病につきましては、現在のところ災害前の一週間の発生状況よりも著しくふえたというデータはございません。なお、ちなみに赤痢は愛知県で毎週遺憾ながら平常時でも夏の間は大体百二十名出ておる地帯でございます。名古屋市を含めまして、従いまして今の発生状況から推定いたしますと、約二割程度真性の赤痢が全体として増加した、こういう一週間の数でございます。この程度でございます。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 それで、だいぶあちこちからボートをお送りになったということでありますから、この資料にも書いてありまするが、相当これから交通ができるようになっていろいろな救援物資等も配給が従来よりはできやすくなろうかと思います。しかしながら、私がボートで運搬をしておりまする現状を見まするというと、何分にも小さいボートでございますから、食糧を運ぶにしても飲料水を運ぶにしても、そのほか病人を運ぶにしても、一つのボートの一回の往復では十分の配給なり運搬ができるわけがないのであります。しかも地域はきわめて愛知県だけでも広範である。三重県等におきまして、さらに桑名、四日市、津に至って同様に悲惨な状況にございます。そういたしますと、三百隻や五百隻のボートをここに持ってきても、まだなおかつ十分にこれだけのいろいろな配給物資なり、あるいは人を多くして手配をするということができにくいのではないか、現地の実情を見ましてそう思うわけであります。そこでしかしながら、今後できるだけ各地の連絡をとりつつ遊んでいるボート等をどんどん貨物車で運んで、三重、愛知県等の方にお配りになって、そしてそれには幾ら金がかかってもかまわぬと思うので、どしどし一つ交通連絡機関としてボートを向うへお送りを願うことが第一じゃないかと思いまするが、同時にここに防疫対策、いろいる今伝染病のお話がございましたけれども、医師や医療班が行きまして、そこでそれぞれの家庭にたどりつくということがなかなか容易でないのでございます。そこで、またその医療班がきわめて少い。県庁で衛生部長に会いまして聞いてみましたが、もうきわめて私は広範囲なるあの浸水地域に対する医療班の派遣としては、まことに微々たるものであろうと思います。これは厚生省がやるべきか、県庁あるいは市役所等がやるべきかに別問題といたしまして、厚生省が指導されて現地の開業医そのほかの、とにかく斯界等の協力を求めて、できるだけ一つその医療班をあちこちに派遣ができる、一日に数十班の医療班がそれぞれの民家に行けるというような手配をなさらないというと、私はやはりせっかくのこのみごとな対策の実行が実を結ばないのじゃないか、こう思うわけでございます。これは私が現地を見ましての感想でございます。ことに医薬品等についてはある方面では十分間に合っておる、こういう話だけれども、現地について調べてみると、消毒薬そのほか、そういうところに必要な種類の薬というものは、医薬品というものが足りない。その手配も何とか一つ国会が中心になって厚生省を鞭撻してやってもらえないか、こういうことも私どもは依頼を受けて参ったようなわけでございまするから、その詳細の内容については私は承知いたしておりませんけれども、それで十分手配はおつきになっていることとは思いまするけれども、何とかせっかくのこの対策、食糧補給、医薬品補給、医師の派遣、これが適切に迅速にいけるように、このせっかく機敏にお立てになった対策が迅速に行われるように何とか方法を考えていただきたい。それには先ほど繰り返して申し上げたように、ボートをもっとたくさん数百隻現地に、三重特に愛知県の各地に派遣——ボートの派遣はおかしいがボートを持っていって、そして民間医師諸君の協力を得られて、数十班あるいは百数十班にわたる医療班をもって、そしてその浸水地域の民家を訪問していただいて、できるだけ強制的に診察をやる。同時に屎尿処理、これはおそらくただ悪臭というだけでなくして、全く悲惨な感じを起させるようなにおいだと思います。たれ流しだと思います。それでビニールの袋にしても石油かんにしても、それは配給を受けるのはほんの一部分にすぎないと思いますので、そのたれ流しのふん尿、その水の中に家も人間もつかっている。これを何とかしなければならぬので、このふん尿処理等に対する対策を早急にもっと急いで一つ手をお打ち願いたい、こう思うわけでございます。非常に急ぐ問題でございますからいろいろ予算もかかることだろうけれども、政府も相当の予算は確保しているはずでございますから思い切って実行に移されるように要望して質問を終ります。

片岡文重日本社会党

○片岡文重君 大臣にこの際伺いますが、きょうも閣議でおそくなられたそうですけれども、おそらくきょうの閣議でもこの問題で台風対策を検討しておられたと思うのですが、今高野委員から切々述べられました緊急な諸対策を講ずるにも厚生省ばかりでは片づかない。特に排水それから水の中におる者を避退せしめる、当面雨露をしのぐ住宅とか、排水したあとに再び水が入ってこないような防水の工事であるとか、そういう問題等もこれはやはり関連して並行してやっていくのでなければこれは十分な効果は得られないと思うのですが、そういう点についてきょうの閣議では一体どの程度に話が進められたか。それから工場の損害等によって、いろいろ化学的に害を及ぼすような薬品の流出、そういうものもあったのじゃないかと考える。それらの予防、防災等についての御検討も、これは現地でないとわからぬ問題ですから、そういうこまかいところまでいったかどうかわかりませんけれども、少くともこの現に罹災されている人たちの当面の問題と、それをさらに被害が大きくならないように食いとめていく措置が並行してなされなければならぬのですから、厚生省所管だけでなしに、当面の緊急対策としてどの程度になされたのか。この点をごく概略でけっこうですから、できたら一つ御報告していただいて、それによって今高野委員の提起されている諸問題がこの場でも知恵も出るでありましょうし、なお今後の見通し等についてわれわれも検討する上に十分参考になると思うので、概略でけっこうですから、できたら御発表をいただきたい。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡邊良夫君) 先ほど私から申し上げましたように、このたびの災害の特質として非常に高潮が多かった。それで排水に万全を期せなければならない。それでございまして、これが建設省が中心になりまして排水に非常に力を入れなければならない、こういうことでありまして、名古屋におきますところの中部日本対策本部におきましては、建設省の事務次官がこれが中心になって当る。それから、厚生省の政務次官並びに農林省の政務次官がこれに当る、かようなことになっております。この住宅問題につきましては、今はとにかく仮設住宅につきまして非常に急いでおるのでございますが、何しろ集団需要というものが前提になっておりまするので、今学校とか公民館とかそういうところを開放いたしまして、至急に、まあ、これもようやくきのうからその連絡が緒につきまして、これが収容を始めたような次第でございます。

草葉隆圓自由民主党

○草葉隆圓君 私は、罹災現地の、罹災県の選出の一人といたしまして、この機会に御質問並びにお願い等を申し上げたいと思います。  今度の台風十五号、いわゆる伊勢湾台風といわれております台風の被害が伝わりまするや、政府、厚生省を初め、関係各府県の同僚議員の皆さんなり各府県から大へんな御救援をいただきましたことを、罹災県の者といたしまして、この機会に厚く御礼を申し上げる次第であります。実は、きょうこの委員会の開かれることを聞きまして、昨日急いで上京して参った次第でありまするが、ことに、今回の台風十五号が土曜日の夜に参りまして、その翌日が日曜であったという関係、そしてその襲来しました地域が最も人口の密集した地域に集中しておるということが、今までにない一つの大きい災害を起したのではないかと考えます。平素の災害に対するいろいろな方法をはかるかに越した状態で災害がやってきた。しかもそれは潮の高潮のときであり、夜であり、土曜日の夜であり、しかもこれに携わる者の多くが罹災を受けておる。出るに出られない。連絡がつかない。現地におきましては、県、市、町村、全力をあげてやっておっても、その処置に困るというようなことが、これが現実の姿であって、今度の災害のように、五日、六日たってからだんだんだんだん死者が多くなるということは、まことに今までにないことでありまして、悲惨きわまることだと存ずるのであります。こういう状態の中に、厚生省は、直ちに二十六日に災害対策本部をこしらえ、あるいは政府、内閣は二十九日に中部日本災害対策本部を愛知県庁に設けられまして、副総理初め、それぞれ関係の中心の者が来られて災害対策に当っておられますることを、私ども地元の罹災者といたしまして、厚く感謝を申し上げます。しかし、実際上に罹災を受けておる者の立場から考えて、これらの感謝は感謝といたしまして私は以下の点を一つ特に御質問をお願いにかえて申し上げたいと存じます。  現在のところは、第一に、何と申しましても、現にあるいは水中にあり、あるいは浸水いたしておりまする罹災者をあらゆる方法で救助することであろうと思います。本日はいろんな問題は別にいたしまして、厚生省を中心にした点にしぼって申し上げたいと存じまするが、この救助というものがなかなか広範でありまするために、いろいろ画策いたしましても不十分がちの状態になってくると思います。ことに、今度の災害地は、濃美平野の大河川の中心を右左にいたしております。その東にあるのが愛知県であり、南にあるのが三重県であり、その中部にあるのが岐阜県である。そしてそこに高潮がやって参りまして、しかもこれらの地域は水面よりも低い地域であります。平素からデルタ地帯で最も農作物のよくできる所でありまするが、水面よりは低いのであります。しかも、その低い所が、堤防がずたずたにやられたのです。そういう所でありまするから、想像以上の被害が現在起きておる次第であります。そこで、人口百五十万の名古屋市の南部地帯一帯が同様に被害を受けておる。そして、全市はほとんど一般の普通の家もかわらが被害を受けないというようなことはないような状態でありまして、また、食糧その他野菜等も交通が遮断いたしましたために、全市にわたって不足をし、しかも不足をいたしまする結果は、あるいは物価が高くなり、あるいは不安を来たすという状態で、そういうバックの中に、罹災を受けておる人たちは、現在、屋根の上になお一週間近く暮しておる。全力をあげておやりをいただいておる次第でありまするが、実際そういう状態にある者の立場から考えますると、現在まで食糧が十分行き渡っておらない。あるいは、飲料水が行き渡っておらない。何といっても、緊急な問題は、食糧と水であります。これは、日本全体は海岸を持っておりまするから、幾ら何といっても、緊急な処置をいたしましたら、大小の船は相当集められる。しかし、今申し上げた条件であったから、当初はやむを得ませんが、現在におきましてもなお、私どもずっと見て回っておりまするが、なかなか十分行き渡っておらない。やむを得ないことではあるが、やむを得ないとして放置することはできない。どうしてもこれは一つ急いで、もっと船の手配あるいは食糧、水の手配を浸水地域におきましておやりをいただきたい。集団避難は、今つかっておるのは早く普通の箇所に集める、これはもう当然であります。当然でありまするが、一日二千、三千をやっておりましては、十日くらいかかります。罹災人口が全部でおそらく数十万であります。水につかっておる所だけでも三、四万あると思う。どうしても集団避難させんならん所がそのくらいある。二万以上は私どもはあると考えておりまするが、実際はもっとある。だから、一日に三千、四千ぐらいやっても、四、五日なり五、六日かかる。その間の対策は十分立てていただきたい。従って、そこには防疫の問題もありましょうし、ふん尿の問題以上な問題があります。そういう実際上の問題を、今までにないような状態でありまするから、一つお考えをいただきたい。何といっても水、食べ物、そして今栄養食というお話がありましたが、現在は栄養食の栄というところまでもいかない状態です。せめて握り飯の一つ一つは三度三度行くくらいのことがなかったら、いわゆる緊急対策とはならないと思う。そういう状態が行き届くように、きのうごろからだいぶん行っておりまするが、実際上には流木があったり、あるいは自衛隊が出ましてもなかなかうまいこといかないために、取り残されておる所がたくさんある現状でありまするから、これは一つよくさらに現地と御連絡をいただいてお願いを申し上げたい。食糧なんかは、たくさん行ったって決してそれで十分ということは現状においてはないと思います。でありまするから、十分この点を一つお願いを申し上げたい。もう一つは、浸水していない所であります。浸水と申しましても、堤防がこわれておる所は、浸水するときとしないとき、いわゆる潮が満ちて参りますると浸水して潮が引きますると浸水しないという状態の所もあります。それから、全然がっとやられてその後はどうやら浸水を免れておるという所もあります。従って、地域によりましてそういうふうに違いまするから、その違った地域にそれぞれの処置を一つ講じてもらいたい。ずっと回りますると、ただいま高野君からお話もありましたが、食糧のことはただいま申し上げた通り。  医療が不足しております。大へん不足しております。医療班をもっと、これは県内の開業医ではとうてい困難と思いまするから、県外等から一つこの際おやりをいただいても決して余って遊ぶということはないと思いまするから、十分一つお願いを申し上げたい。  それから住宅も緊急住宅、これは名古屋の南の方の南陽町というような所は全町水浸しで、現在屋根まできている。しかもその八割五分——九割はこわれてしまっております。こわれている中にその家を守っているというような状態でありまするが、何か緊急避難所を作ってもらったら、そこにでも行こうという人心の動きが出てくる。ただ学校に行け、学校に行けというようなことでは離れにくい。だから、一方にはそういうのをずうっとお考えをいただいて、どうせ早く潮どめをいたしましても一週間や十日ではなかなか潮が引きませんから、最低一週間、緊急にやる、そういう計画になっているようでありまするから、その間でも緊急避難住宅を一つ作って、そうして作りまするとそこへ行くのではないか。来る人があったら作るぞという格好ではいかぬのじゃないか、こういうふうに考えておりまするから、この点も一つお考えをいただきたい。  それからさらに、ここには書いてありまするが、保育所の設置、それから臨時保育所は書いてありまするが、臨時診療所を各所にお作りいただきたい。医療班を回すということは、水につかっている所に一つ回していただく。水につかっておらない所は臨時診療所を作っていただく。そうすると伝染病なんかの予防ということにももっと——日常生活で医療に困っておりまするから、そういう点も解決する。私の見ました範囲では今はほとんどないと思います。ただ、移動診療班があるだけと思います。で、臨時診療所、これは幾ら多くても、今の状態では多くて困るということはないと思いまするから、急いで何かお考えをいただきたい。  今、申し上げましたように、三重県の木曾川沿岸一帯、愛知県の木曾川沿岸一帯、名古屋港の周辺、これが水浸しになっております。水浸しになっておりません所でも二百人、三百人、がっとやられている、それが今どうやら、水が小さい破壊であったからそれはとれたけれども、それから先のことが……それはほんとうに悲惨な状態になっておりまするから、そういう所には、今お話にありましたあるいは消毒の問題とか、いろいろな問題がありまするので、その地域々々に即応したやり方を一つやっていただきたい。現地の者はほんとうに死にもの狂いでやっておりまするが、全体としてはなかなか手が届かないと思いますし、連絡も不十分と思いまするから、こういう場合には一つ厚生省で高所からごらんをいただいて救援をぜひお願いを申し上げたい。おやりをいただいております上に申し上げることは、はなはだ心苦しい次第でありまするが、お願いを申し上げたいのであります。  最後に、私はこういう点からいろいろな点を考えますると、この報告にありますように、赤十字が一万点衣料を送ったとか何とか書いてありますが、もう晩になりますとお互いが寝ておりましても寒い時期であります。まして外におりますと……。せめて一人に一枚ずつくらいの毛布が、あるいは二人に一枚でも、三人に一枚でもいいが、寒さをしのぐくらいの方法を緊急にとってほしいと思うのです。決してだれも欲は考えておらないと思いまするが、それがまた一方防疫の問題その他ともからみ人心を安定するゆえんだと思いまするが、医療なんかはまだとうていそこまでいっていない状態であります。相当しつつあると思います。しかし、罹災を受けた人に実際はまだそこまでいっていないと思いますから、シャツにいたしましてもパンツにいたしましても同様であります。こういう点も一つよろしくお願いを申し上げたいのであります。  こういう異常な災害を考えますると、私は現在の災害救助法というものを少し考え直してもらわなければならぬのじゃないか、災害救助法をもうちっと検討して、そうして赤十字の活動の分野ももうちっと研究されて、災害救助法に入っていない問題についても、最近は世の中がずいぶん変っておりまするから、あるいは飲料水の問題とかあるいはその他の燃料の問題とかあるいは灯火の問題というような問題は大へん大事であります、災害の場合に。そういう点についても考えながら災害救助法というものをさらに検討するという御用意があるかどうか、こういう点を一つ、これはあとでけっこうでございまするが、今度の経験から一つお考えをいただきたい。  その他いろいろなことがあります。ありまするが、要は現に災害を受けて家をなくし、毎日、幸いきのうごろまでは天気でありましたからけっこうでありまするが、きょうみたいに雨が降りますると大へんである。もう六日になりましたが、まだ遺骸が荼毘に付されずに毎日上っておる。まだ前のもそのまま残っている。区役所の裏庭には相当たくさん残っておるような実情であります。これが現地の実際の実情であります。しかも交通機関は市内でも自動車が通れないというような格好になっておりまするので、いろいろな問題がありまするが、要はこれらの罹災者に対しましてとにかく食糧、水、そして飢えをしのぐ方法と寒さをしのぐ方法、次には集団疎開と、あわせて残りまする人たち、残るというのは、一ぺんに行けませんから、一週間ぐらいかかると思いますから、それに対する処置、また避難所の建設、これも現在からどんどんおやりをいただいて決して早くはないのじゃないか、かように、現地に今までずっと当って参りました者といたしまして考える次第であります。  また、先般議運では議員の皆さん方から義援金をいただいたことを新聞で承知いたしまして、この際に皆様方に厚く御礼を申し上げたいと思います。どうぞこの上ながら、罹災を受けました愛知県だけでも四百万の人口、そのうちで現に水につかっておりまするのは相当想像以上に多数でございまして、まことに悲惨な状態でありまするから、どうぞ同僚議員の皆様方の力強い御支援と厚生省御当局のより以上の御活動を心からお願い申し上げまして、私のお願いにかえた質問を終る次第であります。

紅露みつ自由民主党

○紅露みつ君 私のは関連でございますから、ちょっとこの際申し上げさしていただこうと思いますが、いかがでしょうか。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 紅露君。

紅露みつ自由民主党

○紅露みつ君 これは大へん未曾有の災害でございまして、厚生省の各般の御措置、御苦労さまでございます。  それから、高野委員からは現地視察についていろいろお話があり、さらにただいまは被災地の草葉委員から詳細にわたってのお話がございまして、私、大臣があちらにおいでになるというので、特にお願いを申し上げたいと思うことの大部分もお話がございましたので重複を避けたいと思いますが、やっぱり根本の問題はそれはもう排水でございましょうが、さしあたっては救出でございますが、その中で私どもが一番心配しておりましたのは、どうも一日に一つぐらいの握り飯だということを聞くのでございますが、そういう状態でございましたらこれはもうほんとうに大へんだと思いましてそのことでもお願いを申し上げたいと思っておったのですが、今お話がございましたのでこれはもうおきますが、その中で、食物の中で残りました乳幼児の問題がございますのですが、どんなにか困っておられるだろうと思うのです。こんな不安な状態になりましたり、あるいは栄養が欠けましたり、病気にかかったりしますと、お乳に悩まされますし、また出なくもなりますし、少くもなるものでございます。これを拝見いたしますと、救援にアメリカの方からも来たのでございますね、ミルクが。まあそういうものも行っておりましょうし、赤ちゃんの栄養も一応いっているのだろうとは思いますけれども、今申し上げたようなわけで、従来人工栄養を取ってお心ないところでも、赤ちゃんのあるところにはミルクの配給をしていただきたいと思うのでございます。  それからお医者様の医療の方ですが、これはもちろん大切でございますが、そうでない衣料の方ですね、これはすべてを失なってしまっておりますので、赤ちゃんのおむつ等につきましては、こういうような非常事態がありますと、とかく赤ちゃんのことなんかは片すみに押し込められる問題ではないかと思うのですが、まあ布具もございませんでしょうし、たまたま何かありましても、非常にこれは始終洗わなければならないものでございますので、洗う水も不潔でございましょうし、大へんこれが心配になるのでございます。お天気でも悪ければこれはもちろんでございますので、どうかからだにつける部分のさらしとかガーゼとかいうものを乳幼児のあるところには一つ配給していただきたい。まあ、大臣がおいでになるものですから、これは非常に小さな問題でございますけれども、とかく忘れられがちな問題でございますから、どうか一つおいでになりましたら、その様子をごらんになりまして、それぞれの部署にそのことをおっしゃっていただきたいと、かように思う次第でございます。

勝俣稔自由民主党

○勝俣稔君 ちょっと医療問題について私の考えを申し上げたいと思いますが、先ほど赤痢の患者は二割くらいですか、増しだというような見込みのようですが、現在何しろ交通がうまくいっておらない。ですから、ほんとうに調べたならば私はもっと多くなるのじゃないか、死者ですらあとからあとからじゃんじゃんじゃんじゃん出てくるような状態なんですから、赤痢あるいは下痢患者というのは相当多くなるのじゃなかろうか、これが何かどこかの学校をどうとかして五百のベッドとか、それで足らなければなお増築するという話なんですが、こういうことは私は大体の見込みがっくのじゃなかろうか。東京の震災のときですら赤痢は五千発生するという見込みで、そのあとから出てくるのが腸チフス——最初は赤痢でそのあとは腸チフスが出てくるというのはその当時の伝染病の状態であったのでございます。でございまするから、私はそういう点をなお御考慮になる必要がありはしないか。  それから次に、医師会の活動は一体どうなっているか。日本医師会としてどれだけのことをやっていて下さるものであるやら、実はゆうべ愛知県の県医師会の連中が相談をされたらしいのですが、私はちょっと県医師会長のところに電話をかけたら、そちらの方に行っておるという話でした。それから私は、まあ地方から応援の医療班が一体どのくらい来ておるか、こういう点が日本医師会の方の指令か何かで出してもらえれば相当出るんじゃなかろうか。まあこれは、よそへ脱線していけないかもしれませんが、こういうときに日本医師会とよくお話のできる機会もありはしないかと私は思うのでございます。  なお、国立病院であるとかあるいは県立病院、市立病院、大学、日赤等の公的医療機関の協力はこれは当然私はお願いしなくちゃならないのじゃなかろうか。また私一つ考えてみるのに、被害地のお医者さんは、診療所というのは、おそらく私は器械も何もみんな失うというところまではいかないかもしれませんが、役に立たないような状態になっておりはしないか。従いまして、そういうところの先生方は私はやはり生活それ自体にお困りになっているのじゃなかろうか、こういう方は、私は県の方なりでぜひ来ていただいて、相当な報酬を差し上げてそうしていって医療の問題に関与していただけるというようなことが両方ともいいのじゃないだろうかと私は思うのであります。というのは、今医師会の方からの御協力によって各府県、地方から集まって応援なすってみたところで、自分の患者を捨ててそうして来られる方に二週間も三週間も御滞在を願うということはこれは不可能なことでございます。速急のときの対策としては、県以外の医師会の方々にお願いするということはできても、応急的なものはできましても、それからあとの伝染病の発生等いろいろな問題については、今の被害地の先生方に御協力を願うより、むしろ県の吏員というのですか、臨時の職員のような形にしていただいて、そうして一つその地方のことをやっていただく、そのうちにまた災害地の方が順々によくなったら、そちらの方でまたその仕事をやっていただくというふうなことになされば、なじみのある先生がそちらの方にお帰りになって、そちらでやっていただけるということになって両々いいのじゃないか。それは大正十二年の震災のときの経験から私は考えている次第でございまして、私のただ意見といいますか、申し上げまして、御参考になれば非常にありがたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 その災害については私も調査して参りまして、高野委員なり草葉委員の言われたことはよくわかります。その質問に比べて大臣並びに局長の答弁が非常に切実感がないような気がいたしまして、もちろん大臣並びに局長には相当今まで努力してもらっておりますので、その努力については感謝いたしますけれども、私はこの災害対策というものは、単に社会労働委員会、あるいは厚生省が幾らがんばりましても根本的な解決にならないと思います。先の十四号台風につきましても、いまだなおほとんど回復しておらないのに、それにおっかぶせて十五号台風です。しかもこの国土の何割かが被害を受け、数百万の人が罹災して苦しんでいる。しかも厚生省関係だけの災害救助活動概算四十一億とここに計上してあります。このような被害は、これは一省でございましょうが、そういうものをまとめて参りますと相当の被害であろう。従って私どもは、会議員なり政府担当者が現地に参って調査することももちろん必要でございますが、この際緊急にこれだけによって臨時国会などを召集いたして、総合的に各委員会が腹を合せて、そして国会議員あるいは政府機関が全部腹を揃えて緊急に事態を解決しなければ、これはまた次の台風でやられ、累積いたしまして手のつけられない情勢になってくる心配がございます。従いまして大臣は、これからきょう調査に行かれ、陣頭指揮されることについては敬意を表しますが、それ以前に、たとえばきょうの閣議では——ございましたそうですが、臨時国会の召集なりあるいは国の今後の費用の問題についてどのような論議がなされ、どうしようとされているのか、根本的な政府の考えについて、今までの大臣のお働きなり、あるいは閣議の模様をお知らせ願いたいと思います。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) ただいままでに各委員から質疑なり希望がございましたが、ただいまの希望や質疑に対しまして、具体的な答弁なりあるいは大臣の所信の表明等をお願いいたします。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡邊良夫君) 先ほど片岡議員並びにただいま小柳議員から、政府の根本的な対策はどうなっておるか。こういうことでございまして、二十九日の閣議におきましては、すでに補正予算の話が出たわけでございます。本日の閣議におきましても、この原因というものは一体何であるか——先ほどから申しましたような、高潮というものが非常に多かった。これは、この地方が特に干拓地帯である、こういうことであるから、非常に水の引きがおそいのである。こういうような国土保全の根本的な対策を立てなければならぬ、こういう話も実は出たわけでございます。その他、明日は総理大臣もお出かけになります。池田通産兼大蔵大臣も出向きます。参りまして、中小企業の振興対策やら再建復旧の対策やら、あらゆる問題について検討を加えることになっております。きょうの閣議におきましては、私ども閣僚の、ほんの少々のお見舞のしるしも、総理がこれを携帯していくことになっております。ただいままでに各議員からお述べになりましたところの乳幼児対策におきましても、あるいは医師会等の対策につきましても、ことごとくこれらは今すでに検事あるいは着手をされておる問題でございまするので、詳細につきましては、また事務当局から御答弁さしていただきます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 事務当局——私の質問は、事務当局にお聞きするような問題ではないわけです。たとえば臨時国会の召集についてですね。補正予算の話は、二十九日の閣議に出ましたでしょう。しかし、補正予算を組むにいたしましても、あるいは、この社会労働委員会ですらこれだけの論議があります。この災害対策は、単に社会労働委員会で幾ら腹を合せまして論議いたしましても、根本的な解決になりません。ほんの一部の解決にしかならないわけです。総合的な、全体的な、あるいは基本的な解決策は、やはり国会を召集して全体の委員会が十分に論議しなければ、対策は立たないと思う。従って、臨時国会の開会について、たとえばこの台風の被害、これを復旧するだけでもわれわれは臨時国会を召集しなければならぬと考えておるが、そういう問題について、閣議でどのような発言がなされ、どのような処置をしようと考えておられるか、そのことをお聞きしているわけです。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) ちょっと小柳委員に申し上げますが、臨時国会の召集につきましては、厚生大臣も、国務大臣としては御意見もあり御発言もございましょうが、ここで大臣にその意見を聞きましても、答弁のしにくい節もありはせぬだろうかと、かように思うわけでありまして、おそらく厚生大臣としては、早期に臨時国会を開いてほしい、かような願望でございましょうし、また、お互いもそのことを期待をしておるわけですから、ただいまの質問は、厚生大臣は答えにくいだろうと思いますので、御了承を願います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 委員長が大臣にかわって答弁された気持もわかりますが、私は、今大事な、しかも今月この冒頭の社会労働委員会、そして災害対策が非常に大事なきょう、社会労働委員会に大臣がわざわざ出席されておりまするので、閣議の模様などを聞きながら——それは決して私だけが安心するわけではございません。このことを通じて、国民は政府がどのように考えているかということを知って、そうして、いよいよ全国の国民の救援運動も起るでありましょうし、あるいは臨時国会に対するいろいろな要望もございましょう。そういうことを国民が知ることが、当然きょうのこの社会労働委員会の大きな任務であろうと思う。たとえば今紅露委員が言われたようなことは、もちろん大臣がやられる、あるいはやっておられると思う。もし心配であるなら、紅露委員みずからが行って陣頭指揮されることが私は国会議員の任務であろうと思う。そのことよりも、むしろ、閣議でいろいろと論議したことがあるなら、そのことも言ってもらって、こういうことを考えておるのだから、社会労働委員会も一つこういうことで腹を合せてやってもらいたいということで、ほんとうに誠意があってこれを解決しようとするならば、大臣がこれから飛んでいく誠意があるならば、われわれにここで知らせてもらってもいいだろうと思う。それは国務大臣の任務だろうと思いますから、委員長の気持はわかりますけれども、大臣、一つ率直にお聞かせを願いたいと思います。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 現地の調査につきましては、きのう報告をいたしましたように、当委員会からも委員会を代表する、かような立場で藤田藤太郎君がきょうは現地におもむいておるわけでありますから、そこで、小柳君から重ねてただいまのような要望がございましたので、厚生大臣はお答え願える範囲で考え方を御表明願いたいと、こう思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡邊良夫君) 小柳議員並びに各議員からの今までの御発言の内容と、あるいはまた先ほど私が御報告申し上げた諸問題につきましては、ことごとく先般来の閣議から現在着手実行の段階に入っておるような次第でございまするけれども、何分にもまだ手の行き届かないところはまことに遺憾でございまするので、最大の努力をさせていただきます。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 厚生大臣、ただいまの小柳君の質問は、早期に臨時国会を開いてこの問題等を検討する機会を持つためにいかようなお考えか、これが中心の御質問だろうと、こう思うのでありまして、私が答えにくいだろうと申しましたのはその点なんでありますが、もしその点でお答え願えれば許される範囲でと、こう私は申し上げたわけでありまして、この点はいかがですか。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡邊良夫君) 明日、各閣僚それぞれみんな向うへ行きまして現地の知事会議、あるいは各部長会議あるいは各団体の会議を開きまして、帰って参りまして早急に私どもは結論を出したいと思っております。もちろん緊急にかつ急速にこの問題につきまして私どもは結論を出しまして、御期待に沿うような事態の解決に努力いたす、かような所存でございます。

森本潔厚生大臣官房長

○説明員(森本潔君) ただいま諸先生から現地視察されました状況等につきましていろいろ適切な御要望、御意見を承わったのでございます。何分にも東京と名古屋が離れております関係上、いろいろ手落ちがございます。また、あるいは連絡の不十分のために行き届かぬ点がございますので、一応今までお話が出ました中でやりましたことにつきまして若干御報告を申し上げます。  まず第一に、食糧の問題でございますが、これはさしあたり現在までに二百五十万食の乾パンを送りましてやっております。それから、その他の食糧につきましては、一応現地にあるように聞いておりますが、目下、これは食糧庁と連絡をいたしまして、必要があれば幾らでも送れるようにという手配をいたしております。  それから一日当りの給食費用でございますが、これは災害救助法の例によりますと、一日一人五十円というたき出し費用になっております。しかしながら、これは長期にわたりますので、ちょうどきょうから、きょう以後のたき出し費用は五割増しの七十五円ということにいたしまして、少しでも質をよくしたらどうか、こういう措置をとりました。  それから次に飲料水でございますが、これは水道自体はついておるのでございますけれども、水道の末端から浸水地域に配給するということが非常にむずかしいのでございます。それで、ただいまも草葉先生からお話がございましたように、ボートその他給水艇の手配をさらにいたさなければならぬと考えております。  それから避難救助の基本的な考えでございますが、何分にも浸水をいたしておりまして、締め切り工事をするのに二、三週間、さらに排水をするのにまだ相当かかります。従いまして一月程度の水浸しということを考えなければなりませんので、できるだけこれは引き揚げていただきまして、浸水しておらぬ地区へ引き揚げていただいて、集団避難をしていただきたい、こういう方針で指導いたしております。昨日、さような考え方を現地へ指示いたしました結果、名古屋におきましては四万人分の収容所を開設されて準備しております。がしかし、運び出す方がまだうまくいっておらぬという状況でございます。しかしながら、この名古屋におきましても二十万人、それから三重県の方におきましても約一万人程度の浸水家屋がございますので、さらに避難所の増設ということに、極力力を入れております。  それから、次に衣料の問題でございますが、とりあえず、現地の要望によりまして約二万枚ほどを送ったのでございます。それから、現在の状況は約六十万枚の毛布の在庫を準備いたしております。これがありますところでは、昨日現在で大阪で準備しておるわけでございますが、これも至急急送する必要があると思います。一応物としましては、六十万枚準備をいたして送るようになっております。  それから、紅露先生のお話の、乳幼児のミルクの問題でございますが、これは私たちも、子供にとりましては、これはおとなの食事、米と同じであるという気持を持っておりまして、ことに災害におきましては、母親が乳が出ない、人工乳幼児以外にも、母乳の人も出ないということで、子供の主食であるという気持を持ちまして、所要量を送っております。これは引き続いて、十分子供に対するミルクの配給ということはいたしたいと思っております。  それから、おむつその他のことでございますが、これはちょっと気がつかなかったのでございまして、至急手配いたします。  それから、医療活動の状況でございますが、私の方で連絡をとりましたところ、名古屋におきましては、八十個班の医療班が出ております。内訳を申しますと、国立の病院、療養所から六個班、それから日赤から六個班、それから名古屋の医師会から二十個班、その他五十個班、約八十個班の医療班が出ております。それで足らないのではないかと思って、聞いてみたのでございますが、一応今のところは、これでよろしいという返事が来ておるのでございます。しかし、ただいま草葉先生お話のような実情もあろうと思いますので、私の方としましては、あそこの医務出張所がございます、国立病院の医務出張所がございますが、あそこに全権を委任しまして、近距離の国立病院、療養所に、必要に応じて全部動員してよろしいという指示をいたしておりまして、必要があれば、相当数医療班が出せる状況でございます。それから、草葉先生のお話のごとく、臨時の診療所を開設するとか、あるいは災害を受けた診療所の医師に、その中に入ってやってもらうというような構想も非常にけっこうと思いますので、現地の方へも、そういう注意をいたしたいと思っております。それから、医師会の関係でございますが、これは中央ではまだ連絡をいたしておりませんが、現地におきましては、今申しましたように、連絡がとれておりまして、一応必要な数の医療班を派遣していただいております。こういうふうに聞いております。  以上、補足して現状を申し上げます。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 速記を起して。

山本杉自由民主党

○山本杉君 ただいまの御説明の中で、これは私の思いつきました追加でございますが、おむつの問題については、お気づきがなかったというようなお話でございますが、このごろ、紙のおむつができておりますから、それとおむつカバーなんかお配り下すったら、どんなにかいいと思います。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) それでは 十五号台風の被害状況並びに措置に関するところの質疑は、この程度にいたしまして、次に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 御異議ないと認めます。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) それでは、次に厚生省関係昭和三十五年度予算の概要について説明を聴取いたします。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡邊良夫君) 明年度の予算編成に当りまして、私の考えておりまする政策について、その大要を申し上げたいと存じます。  日ごろ、厚生行政の伸展につきましては、各位の一方ならぬ御配慮を賜わり、おかげをもちましてここ数年間の厚生行政は目ざましいほどの成長を遂げつつあります。特に社会保障の二つの大きな柱であります医療保障及び所得保障につきましては、これまで国民皆保険計画の推進及び国民年金制度の創設等によって、次第に体制を整えてきたのであります。  明年度は国民皆保険計画につきましては、完成の時期であり、一方、国民年金制度につきましては、無拠出制年金の本格的支給、拠出制年金の実施準備態勢の確立という、それぞれ、きわめて大切な時期に当っているのであります。私といたしましては、引き続いて、これら二大施策を強力に推進さしていくものでありますことは、今さら申し上げるまでもありません。なお、既定の計画の実施に伴って、予算面におきましても、相当額のいわゆる自然増加を来たす予定となっております。  ところで、現下の国民生活をながめまするときに、以上の諸施策のほか、この際、緊急に解決を要すべき次のような諸問題がありますので、明年度予算においては、新たにこれがための所要の措置をぜひとも講じて参りたいと存じている次第であります。  すなわち、第一の問題は、国民皆保険計画の達成と並んで、行われなければならない医療保障を完備させるための諸施策であります。現在、交通の不便な僻地住民への医療の提供、私的医療機関に対する金融措置の改善、さらには医療の技術革新等、医療の普及とその内容の向上のための方策は早急に進めなければならない課題であります。また、結核、精神病等の疾病対策に加えて、ガン、高血圧、心臓病等、いわゆる成人病の急増傾向に対処して、予防及び治療方法の確立ということも必要に迫られている問題であります。最近の平均寿命について見られるごとく、欧米諸国の水準に対し、いま一歩というところにまで達した国民の健康の水準について、一段とその向上に努力をいたしたいと考えている次第であります。  第二の問題は、とかく経済の繁栄に取り残されがちな低所得階層等に対する施策であります。ここ数年間のわが国経済の発展は目ざましいものがありますが、さらに、政府はこのたび、所得倍増計画を策定し、一そうその成長を期することといたしたのであります。ところで、経済の繁栄は、これら低所得階層の人々にも均霑するものでなければならないことは申すまでもないことでございます。これがため、これら階層の所得の増加をはかる措置として、経済的施策等の充実と並んで、その自立を助長する社会福祉の諸政策を一段と強化いたしたいと存じております。  なお、ただいま申し上げました低所得階層とともに、児童、母子、老齢者、さらには精神薄弱者等、社会的に庇護を要する階層の人々に対しても、福祉対策を充実させ、明るい国民生活の実現に努める必要があるのであります。  第三の問題は、生活環境整備のための諸施策であります。国民所得の増大に伴って、国民一般の生活水準は著しく向上して参っておりますが、これに比べ、国民生活を取り巻く環境の改善は、はなはだしく立ちおくれの観を呈しております。これら生活環境の問題は、人口の都市への集中化の傾向とともに、ますます深刻さを加えてきており、かたがた、オリンピックの開催をも控えておりまするので、この際、上水道、清掃施設等の環境衛生施設の整備拡充を初め、各種の施策を急速に展開させていく所存であります。  なお、生活環境の整備と関連し、特に申し上げておきたいのは、いわゆる同和地区の環境衛生の改善であります。このたび政府といたしましては、同和地区に対し抜本的な対策を樹立することとなりましたが、当省といたしましても、関係各省と歩調を合せ、これが推進に努めることとなりましたので、明年度予算において所要の措置を講じたいと存じております。  以上が明年度予算編成に当っての趣旨とするところであります。どうぞこれが実現のため、各位の御支援、御協力をお願い申し上げる次第でございます。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) ただいまの説明に対しまして、御質疑をお願いいたします。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 質問に入ります前に、これは国務大臣である渡邊さんに失礼でございますけれども、今まで私ども少い委員会の出席ですけれども、大臣が所信を披瀝するのに、すわって、しかもその担当官、あるいはその配下の方の書かれた原稿を棒読みするような、そのような施政の方針は、私はこの委員会に対する冒涜ではないかと考えます。いろいろ大臣にも考えがありましょうし、普通習慣として、すわって今まで質問いたしておりますので、そういうようなこともあるかもしれませんけれども、常にこれからの大臣の施政方針として、私は非常に不満の意を表明いたしておきたいと存じます。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 小柳君にちょっと申し上げますが、これは委員長にも若干の責任があるのでありまして、当委員会で厚生大臣が就任のあいさつをなさいましたときに、立ってやろうとなさった、それを私がみんな上着を脱いでいるんだし、あなたも暑いから上着を脱いで、すわってやったらどうです、かように実は申したことがある。こういう——従ってただいますわっての所信の表明は、当初就任のあいさつの際、私の申し上げましたことが尾を引いておるんだ、かように善意に御了解を願いたいと、かように思うわけであります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 ただいまの所信表明についての態度についてはわかりました。  じゃ、第一点は、小児麻痺の問題について質問をいたしておきたいと存じますが、先般八戸市に参りまして、小児麻痺の集団発生の実情を聞き、調査して帰りました。その際に、その母親たちが言われることは、ニュースなど、あるいは新聞などで、ソ連からもワクチンが入ったそうだ、あるいはアメリカからもワクチンが入ったそうであるのに、私どもとしては今なおそのような治療を受けることができない、これは一体どうしたことであろうかという質問を受けました。従いまして帰りまして直ちに衆議院の社会労働委員各位にその旨を伝えて、小児麻痺の対策に対してソ連、あるいはアメリカから来ているワクチンの使用法についてはどうなっておるかということを聞き、かつ社会労働委員会で質問するようにお願いしておきましたけれども、その後厚生省の態度がなおはっきりしておらないようである。従って、現在この小児麻痺とワクチンの関係についてどのような政府として考えを持っておられるか、お聞きしておきたいと思う。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○説明員(尾村偉久君) 小児麻痺のこれは治療でなくて予防ワクチンでございますが。現在のところはまだ国産が間に合いませんで、ことしの春以来アメリカ、カナダの輸入品を国家検定をいたしまして、これを使用いたしております。  先般、ソ連から二万人分のワクチンが入りまして、これは現在検定の申請がございまして検定準備中でございます。と申しますのが、この二万人分の製造のロット、要するに製造のびん等がみんな違うというような形で、これのプロトコールを今大使館を通じまして要望しておるのでありましてこれが明白になりませんと実は検定ができないわけでございます。それを了承を得まして、それを今待っているわけでございます。これが到着次第、予研で直ちに検定をする、全体の検定が終りますれば、直ちに使用開始をする、こういう準備中でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 このワクチンの寿命もわれわれしろうとであまりよくわかりませんけれども、あまりないそうである。そういう手続をやっておられるそうでありますからそれを信用いたしますけれども、巷間に伝えるところによりますと、ソ連から来ているワクチンだから、あるいはモルヒネなど、そういうものも入っているかもしれぬからというようなことで、厚生省がこれを押えたいというふうなデマすら流れておる。それは厚生省の扱いが非常に遅々として、国民に逐次厚生省のやっていることをわからせようとする努力を欠いておるのではないかという気がするのであります。そういうことは、単にこれはワクチンだけの問願でなくして、ソ連から来るやつは毒薬であって、アメリカから来るやつは何かいい薬だというような印象を政府みずからが与えているのではないかということすらわれわれは心配をしているわけであります。このような医薬というような命にかかわるようなもの、しかもそれをソ連としては、小児麻痺を一日も早く撲滅するというわれわれは愛情ある計らいであろうととっているんですが、そういう国際的なその愛情ある計らいをすら、政府の手落ちのために国民が疑惑を持つというようなことは、これは大事なことであろうと思います。従って、私はそういうデマすら巷間に伝えられてありますので、何らか厚生省が現段階におけるいろいろのやっていることを国民に知らせる方法をおとりになられないものであろうか、そうして一日も早くそういう疑惑を解いて、そうして予防なりあるいは治療ができるような措置を講じてもらいたい。これは要請でありますけれども、そういうことを考えておられるかどうか、お聞きしておきたいと思います。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○説明員(尾村偉久君) 一切これは、このワクチンにつきましては差別はいたしておりませんので、できるだけ早く国内に入ったものは使いたいと、こういうことは全く平等に考えております。従来国産品に対しましても、それからアメリカ、カナダからの輸入品も全く同じ、国民に使って万全だという手続がこれはもう基本できまっておりますので、それで扱う。それに必要な条件である製造方法等のプロトコールをちょうだいしたいということで、再三これはソ連当局を通じまして要望しているわけであります。区別は全くございませんで、ただ危険がございますので、われわれの方としてはできるだけ十月十日までにおそくともぜひほしい。電報でもいいから概略がわかるだけでもほしいという申し出をいたしておりますので、到着次第ほかのと全く区別せずに使う予定でございます。なお、今のお話のような誤解が生じているとするとまことに遺憾でございますので、府県知事あてに今までのやっている準備中の様子をこれは通知をいたしたい。何ら区別しておらない。このやっている状況をこういたしたいと思っております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 八戸市の小児麻痺の集団発生については、厚生省はどのような措置をとられたかお聞きしておきたい。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○説明員(尾村偉久君) 八戸市につきましては、これは二度目の集団発生でございまして、これにつきましてはさっそく集団発生後ことしの春、専門家の班を派遣いたしまして、現地の集団発生をいたしました原因を調査いたしましていわゆる治療につきましてはことしの六月十五日から発動いたしました指定伝染病にいたしたことを適用するということで、すなわち公費による治療ということはこれはもう適用いたしております。そのほか発生対策をいたしませんと、また今後の集団発生が心配なものでございますから、これらの原因が、要するに環境衛生の問題が非常に発生しやすいような粗悪な状況でございますので、これの方の指導を局長通牒で県に指示をいたしまして、学者の意見通り適当なものでございますので、これによりまして必要な措置をするということで進んでいるのでございますが、ただ何分使用水とそれからいろいろな飲料水、これが多発地域では混合するような長い間の設備になっております。これが一番もとになっております。これの改修は市当局でのいわゆる下水道、排水路の面にさかのぼらぬと解決しないのであります。これらの点もわれわれの方といたしましては督励をしているわけでございます。ただ遺憾ながらまだ完成をいたしておりません。それからせめてものことに、飲料水、これに流水を一部どうしても使ってしまう。これの水道の配置ということは、これは急いで今普及が進みつつある状況であります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 八戸市のその小児麻痺だけでなくて小児麻痺については相当母親も苦しんでおるのでございますから、早急にワクチンの問題なり治療、予防の対策を立てられて、一日も早くこれの撲滅の方向に全力を傾倒してもらいたいということを申し入れまして次に質問に入ります。  第二の問題は脊髄損傷患者の対策でございますが、これは恒久対策でありますからきょうぜひということではございませんが、病人は一日千秋の思いをいたしまして、嘆願書がたくさん私のところに参っておりますので、御質問しておきたいと思います。  では第一に、この脊髄損傷病患者の現在の実態を厚生省は十分調査把握しておられるかどうかということについてお聞きしておきたい。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○説明員(尾村偉久君) これは医務局——私の方、並びに今のさしあたり当面の問題になっておりますのは労働省の関係でございますが、実はこれのきっかけになりましたのは、けい肺法というのがございます。これに脊髄損傷の保護も入っておる法律がございます。これの改正が十二月末にしないといかぬように労働委員会の方でなっております。これがきっかけでやかましい問題になっておる。偶然私が厚生省代表で、けい肺審議会の委員に入っておりますので一番よく知っておりますので今状況を申しますが、厚生省といたしましては現在国立箱根療養所というのが小田原にございます。これに百二十名、もっぱら今の重度の脊髄損傷を入れ、そのほかに約千名、全国の労災病院に脊髄損傷が、箱根にはまだ来ておりませんが入っておる。約千名というふうに厚生省で開いておりますが、と申しますのは、労災関係につきましては労働省で握っておりますので、これは間接に開いておるわけであります。で、従って箱根の療養所に入ります者は、これは生活保護と、それから箱根療養所の設置規定がございましてこれは家族もろとも相当な保護が加えられるようになっておりますが、実はそれの特別なけい肺法に基く保護の期間がいよいよ改正によりまして迫まっておるのでございますが、そうなりますと、もし脊髄損傷が、この法律から落ちますと、ほかの病気と同じような扱いになる。なりますと一生絶対なおらぬ。それから、おへそから下が全然麻痺しておる患者でございますので非常な心配をいたしまして、われわれの方にも多数の陳情書が参っておる。で、私自身は審議会の委員といたしましては、脊髄損傷を比較的十数年手がけておりまして、委員の中では一番少い方の一人でございますので、脊髄損傷についてはぜひ改正のときにも従来通り以上の保護が受けられるようにという、こういう立場で厚生省の意見を申し述べておるというのが現在の状況であります。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 速記を起して下さい。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 大体の情勢は把握しておられるようですが、それではここに陳情書で五項目の要請が参っております。これは厚生省にも参っておると思いますが、このような、たとえば労災法の改正だとか、あるいは特別立法の要請だとかいうことについて、ことしの厚生省の方針として、あるいは予算を要求するその根拠として、どのような具体的な施策を考えておられるか、お聞きしておきたい。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○説明員(尾村偉久君) これは今、脊髄損傷の一般の方は、今申し上げましたように、一番従来気の毒でありましたのが戦争による戦傷脊髄損傷であります。国立の箱根の療養所はそのために昭和十六年に設立されたものであります。ここにいる約半数、すなわち六十名程度が、これがずっと入っておる。これは特項症に当る重度の恩給を受けております。このほかに生活扶助等の適用が必要な場合には従来の既存の法律で保護されまして、大体これは将来にわたっても保護の目的を達しておるわけであります。問題になりますのは、今の労働省所管であります労災患者の脊髄損傷であります。これの予算措置その他は厚生省直接でございません。ただ、箱根療養所がこれを引き受けるに適当な特殊病院だということで入院を扱っておるということでございますので、これは箱根の経営費としては、百二十ベッドの予算が組まれております。ただ、その保護のための入院費の問題、これがいわゆる労災による入院費になるわけであります。さような意味で、これは一般的な予算措置あるいは労災脊髄損傷者の保護の政策は、これは労働省の専管になっておりますので、詳しいことはわれわれの方はまだ承知しておらないわけであります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 労災法のやつは労働省の方の所管でありましょうが、それと同等あるいはそれ以上に悲惨な脊損患者ですね、そういうものについては、労災でなく、一般、まあ厚生省関係でございましょうが、そういうものもひっくるめて一緒に、脊髄損傷患者については、厚生省でこういう特別保護法をやろうというような具体的なお考えがあるかどうか、そういうことをお聞きしておるわけです。特別保護法をね。厚生省として何か労災でなく、一般の人もひっくるめてそっちの方で……それは労働省と話し合ってもかまいませんが、とにかく特別立法をやって、特別な保護をやらなけばならぬと考えておるかどうか、そのことをお聞きしておるわけです。

尾村偉久厚生省公衆衛生局長

○説明員(尾村偉久君) 労災以外となりますと、今主体は戦傷病者、これは戦傷病者に関する特別保護法でいっておるわけです。それから今のところ箱根の状況等を見ますと、それ以外となりますと、自分で尾根から落ちたという患者でございます。これは大体重度ということでございますので、一番頻発しております運輸、交通、鉱山、工事、それからビルデイング等の大工事ということで、ほとんどこの患者は戦傷病者を除きましては労災該当者が大部分でございますが、今の自営業等あるいはお百姓でいわゆる偶発事故でみずから受傷したというのが全国で若干あるのであります。これは今のところは身体障害者としての問題のほかは、それぞれ生活保護法の医療保護ないしは国民健康保険、その他ならばそれぞれによります障害として扱われております。現在のところ、自発的なけがを脊髄損傷に限りまして——一生涯なおらぬという者もありますが——これだけを引き抜いて特別な保護法を厚生省で作るということは、今のところ省内ではまだそういう話は出ておらぬわけであります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 労働省関係で一緒に質問すればよかったんですが、ばらばらに切り離して質問するものですから、労災の方は労働省担当であるということで……要は、これはいずれにいたしましてもこの脊損患者というものが非常に一生涯動かないで、しかも家族扶養の責任を持って苦しんでおるという実態の把握と、それから厚生省として、自分の担当でないからということでなくて、たとえば労災の方に入っておってもとにかく一緒に話し合って、そういう人を全面的に特別立法なりして保護していかなければならぬという基本的な考えは、この際一つ持っていただきたい。そしてその上で、現在の所管が労働省なら労働省だからこれはアドヴァイスいたしましょうとか、この面は私どもがいわゆる社会保障として考えましょうとか、そういうことを次の、今度また予算案が出ますとわれわれも具体的にいろいろ質問しますが、そういうことを少し御検討願って、実態をもう少し正確に把握して、そして労働省と話すものは話して、そして次の機会にもう少しこの問題は具体的な問題としてお尋ね申し上げたいと存じます。具体的にきょう質問いたしたいのは二点でございますが、あとは大臣の話も予算案を伴わない、数字のない抽象的なものでありましたので、また数字を見まして、この次に質問することにいたしたいと思います。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 ちょっとお尋ねしておきまして、詳しいことはまたあとで御報告なり願いたいと思いますが、地元に関係のあることだから聞きたくないし、だというてよけい知っておるからやっぱり聞いておかぬと都合が悪いということで聞きますが、下関市に社会保険病院がございますが、あそこでこのごろ不祥事件が起きておるということを聞いて、私は非常に心配しておるのです。あの病院については三年前、二年前にずっと私警告を発しておりましたが、最近の暴露されておる問題について、今本省で知っておられることだけ一応私は聞いておきまして、どういうふうな処置をしておられるかということをお尋ねしたいと思います。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) 下関の社会保険病院のことにつきましては、何かごたごたがあったというか、私のところではそこの事務長がやめられたということで、その後任をあっせんするというような状況だということはちょっと聞いておりますが、それ以上、きょうちょっと承知しておりませんので、さっそく取り調べまして御報告いたします。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 それじゃ、ほんの糸口だけ私はヒントを与えておきますから、あとよく調査していただきたい。三年ぐらい前からあの病院の経営が非常に利潤追求的で商業的であるということを私指摘しました。乱脈であるだけでなく、たとえば三百のベッドの病院であるが、乗用車が十七台もある、その当時ですよ。そしてその自動車の工場もある、販売ルート、交換ルートまでできておるというようなことで、おかしいというようなことまで私ここでお話した。また、厚生省から監査に来れば、病院には入れないで、すぐ駅に迎えに行って、川棚の温泉場にすぐに監査に来た人を連れて行ってしまう。これは事実なんで、満足に監査をさせなかった。しかも私その監査に立ち会ったこともあったが、ぬらくらしてなかなか監査をさせない。本省から来た人も鋭く監査しない。そばに立ち会っておって腹が立つようなことをやっておる。こういうことは、すでに三年前、二年前に私は指摘した。しかもこれは非常に商業的で、帳簿等も十分つけていないで、まるで大福帳的な帳簿のつけ方だということまで指摘しておきましたが、今回その事務長が数千万円の行方不明の金を作っておるし、またどういう関係か知りませんが、給料関係かもしれませんが、一千万円近くの脱税があるというようなことが巷間に言われておる。地方新聞などではそういうことが載っておる。私は金額等については責任を持ちませんが、そういうことが言われておる。非常に医療界の不祥事として伝えられておる。その責任はどこにあるかといえば、結局はこれは厚生省なんだ。厚生省が委託経営しているというような、あの建物は厚生省のものであって、その経営は土地の保険組合ですか、そういうものに委託しておるというような形でございますが、これは非常に困ったことであって、りっぱな院長がいたけれども、その人も辞表を出したという。また、乱脈ぶりは金銭だけのことでなくて、いろいろの、そこに勤めておる人の品行の問題等に及んで、地元では非常にこれは話題を投げておる。これは今ごろあんたあまり、辞表が出たぐらいだとのんきにしておられては困る問題だと思うのですが、こういうのは何ですか、厚生省はあまり責任をもって監督していないのですか。ちっとのんき過ぎやしませんか。

太宰博邦厚生省保険局長

○説明員(太宰博邦君) これはどうも、もし御指摘のようなことでありますれば、これは大へんなことでございます。私ちょっと……。厚生省としてももちろんこういう社会保険病院の運営につきましては、それがかりそめにも世間にも批判を受けないように、健全にその目的のために運営されるように平素から考えているわけです。まあ御承知のように、社会保険病院が全国に約七十余りございますが、それの運営がなかなかやはり問題があるようであります。何とかしてこれを軌道に乗せたいというので、前々からいろいろ考えております。これがやはり個々の病院を買収したり何なりしたことから始まったような、いわく因縁もございます。そこの職員の給与なり、あるいはその経営の規律の問題なりというようなものでいろいろ問題があるようであります。それで、昨年来これを全国一本にまとめるようにして、そうして全国的視野のもとにその経営の内容をよくしていくというようなことで、今せっかく努力しておる最中でございます。そういう過渡的なときでありますが、こういう事故が起ったということ、それ事態は何とも……。もしお話のようなことであるといたしますれば申しわけないと思うわけでございますので、これはさっそく取り調べて御報告いたしますと同時に、私どもも処置をさっそくいたしたいと思います。なお、全体の通常については、ただいま申し上げましたように、今過渡的な段階でございますので、それもできるだけすみやかに軌道に乗せるようにいたしたいと思います。

木下友敬日本社会党

○木下友敬君 あなた、過渡的と言うけれども、もう過渡的でない。あの病院ができてから十年以上になりますよ。今ごろ過渡的と、そんなことで責任を回避してはいけない。しかも、私がここで警告したことだし、また某大新聞にも、ああいう社会保険病院の運営が非常にルーズであるということは、この間も書いてあった。ああいうのをちっと読んでもらって社会保険病院というものを厚生省がきちっと自分の手で握ってやらなければ、皆保険を実行して皆保険のセンターにならなければならない社会保険病院が、ああいう体たらくでどうなりますか。監査についても事実この委員会においてもはっきり言ったし、また厚生年金から借入金をしてそうして拡張するというような、ああいう種類の病院はたくさんある。そういう借り入れのときのいきさつというようなことについても、あなたがもしこういうことをはっきり追及してきちんとした処理をしないようだったら、僕らはそういうこまかい点まではっきり委員会で述べてそうして厚生省の責任を追及しなければならぬことになる。そうするといろいろの問題が起ってくると思うのですよ。おそらくあなたの責任にまで及ぶことができてくるだろうと思う。一つ急速に調査されまして、それで調査だけでなく、きちんとした処理をしてもらうことを私は希望してこの質問を終えたいと思います。これは予告です。そういうつもりで一つ聞いておいて下さい。

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 速記を起して下さい。  昭和三十五年度の厚生省関係予算についての質疑はこの程度で終りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤武徳自由民主党

○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。それではこの程度で終ります。  本日はこれで散会いたします。    午後一時五十九分散会

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