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32回国会衆議院1959/09/10

法務委員会 第4号

発言数
213
登壇者
18
会派数
3
開催日
1959/09/10

会議録

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  この際、政府側に私からちょっと御忠告を申し上げておきます。委員会の開会はあらかじめ通告をしてありますので、いろいろ御事情もあるでしょうが、できるだけ早く出席をしていただきたい。貴重な時間を相当空費することが多いですから、今後そういうことのないようにお願いしておきます。  質疑の通告がありますから、順次これを許します。  山花秀雄君。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 私がきょう伺いたいのは、選挙に関連したことであります。多分各位も御存じだろうと思いますが、過日行われました地方選挙並びに参議院選挙に関連いたしまして、大へん選挙が腐敗をしておると伝えられておるのであります。私自身もそういう感じが深いのであります。この際、選挙がどういう形で腐敗しておるかというような点、また腐敗しておると同時に、選挙干渉と申しましょうか、不当なる弾圧が各所において行われておるのであります。そこで、私の選挙地区に関連いたしました二、三の問題をとらえて、一応当局側の見解をただしたいと思うのであります。  最初に一つ法務当局にただしたいと思う点を申し上げるのでありますが、せんだって新聞紙上に伝えられておりましたけれども、今次参議院全国区候補の植垣——現在当選されておりますが、この違反事件に関連いたしまして、自民党に三千万円の献金をした、そのうちから二千四百万円ですか、会社側に返ってきておる。そういうことに関連して椎名官房長官が呼ばれて取調べを受けたということが一応新聞紙上に報道されておるのであります。この政治献金の裏には何かこう非常にくさい影がまつわっておるというふうに考えておりますが、一応法務当局においては、椎名官房長官からいろいろ上申書のようなものをとっておると思うのでありますが、その点を明らかにしていただきたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 植垣派の事件は、御承知のように、ただいま東京地方検察庁におきまして、慎重取調べを進めておるのでございます。過般新聞紙上で、ただいま御指摘のような記事が出ておりましたことは、私も承知をいたしております。しかし、捜査の内容につきましては、ただいま捜査進行中でございますので、説明を遠慮させていただきたいと思うのでございます。いずれ機会がありまして、捜査も完了し、公けにすることができるような状態になりましたならば、御報告を申させていただきたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ただいま私は二千四百万円と申しましたが、二千六百万円会社に還元をしておる。これがいわゆる貸し出しという形で還元しておるのであります。政治献金を行なって、また政治献金を行うような会社がすぐ手の裏から借り出しをするというようなことは、われわれとしては納得できません。それと同時に、法務当局側においては、ただいま取調べ中であるから、事態の推移をこの際明らかにすることは遠慮したいというようなお話でございましたが、こういうようなことを今後もし不問に付すような形が生じますと、選挙はますます乱れると思うのであります。徹底的にこれを糾弾する、また真相を明らかにする決意があるかどうか、この際法務当局に一応お尋ねしたいのです。

井野碩哉自由民主党法務大臣

○井野国務大臣 ただいま山花委員の御質問の点は、われわれの方としましても、十分検察当局をして調査せしめておりますが、もちろん今お話のようなことに異議はないのでありまして、十分留意いたしたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 法務委員会は、御承知のように、本日一日で、おそらく今月中は行われないと思いますが、いずれ臨時国会が行われますと、連日当該委員会も開催されますので、そのころになりますと、事態の推移も明らかになると思いますが、ただいま法務大臣から、もし私の質問のような件があれば徹底的にこれを明らかにしたい、こういう御答弁でございましたので、私は法務大臣の言葉を信じまして、ぜひ明らかにして、選挙の腐敗を防ぐ、そういう努力を払ってもらいたいことをこの際一言付言いたしまして、この問題についての質疑はこの程度でやめたいと思います。  それから、過日の地方選挙に、これは私の選挙区の関係でございますから、私はよく事情を知っておりますので、この際いろいろお尋ねしたいと思いますが、実に不当な干渉がたくさんございました。そのうちでも納得しがたい諸点がありますので、この際当局側の明らかな御答弁を願いたいと思うのであります。南多摩郡、これは東京都下でありますが、日野町というところで都議会議員の選挙があり、これは保守、革新一騎打ちの選挙でございましたが、選挙違反をやっておる事実が明らかになっておりますので、桑原という人物から告発をいたしました。これが不起訴になりました。そこで一応お尋ねしたい点は、どんな価格の低いものでも、大ぜいの有権者関係にばらまくということが選挙違反になるかどうかという点、まずお尋ねしたいのはその点であります。価格が高いとか、低いとかという問題は別にして、物品を多くの選挙民にばらまいたということが違反に該当するかどうかという点、一つ法務当局にお尋ねをしたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 物品を選挙民にばらまいたということが、違反になるかどうかという御質問でございますが、もちろん前提といたしまして、当該候補者の当選を得せしめあるいは得せしめざる目的というような目的があって、しかもその目的に沿った買収として金品をばらまいたということを前提といたしましてお答えを申し上げますと、それは金品の多寡にかかわらないのが法律の精神でございます。しかしながら、非常に金額が少い場合に、あえてこれを処罰するという形に持っていくかどうかということは、一つの選挙犯罪を取り締る一般刑事政策の観点から論ずべきものでございます。法律論といたしましては、価格の多寡にかかわらず違反の性質というものは考えられるというふうに解釈いたしております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ちょっと理解に苦しむような御答弁だと思いますが、配付した物品の金額がきわめて低ければ、これは当該取締り検事の意向によって左右されていいものかどうかという私の質問であります。もう一度……。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 御承知のように、ただいまの刑事訴訟法のもとにおきましては、事件を起訴するか不起訴にするかという問題は、検察官の法律の定める条件によって判断をすべき事項とされておるのでございます。従いまして、違反になる場合はすべてこれは起訴しなければならぬというものではなく、むしろ違反になります場合におきましても、諸般の状況をしんしゃくいたしまして、起訴、不起訴を決定するのが検事に課せられました法律上の義務ということになっておりますので、その点は法律論とその運用とは分けて考えることができる、かように考えるのであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 そこでお尋ねしたい点でありますが、今の御答弁によりますと、きわめて金額が低いような場合には、当該検事の意向によって起訴、不起訴が、これは法律論を抜きにして、運営面と申しますか、何といいましょうか、左右できるというふうに理解していいのですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 法律論を抜きにしてではございませんで、そういうふうにすることが検事に課せられました法律上の義務でございます。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 そこで問題たり得ますのは、この金品が高い低いを抜きにいたしまして、大体同じようなもので、一方では起訴をされ、一方では不起訴になる、こういう不公平な処置が同一検事のもとに行われているということが、事実私どもの選挙区関係——これははっきり申し上げますが、東京地検八王子支部において行われておるのであります。そして、不起訴になったのが俗にいう保守派、起訴になったのが革新派ということになりますと、同一地域の検察庁管内に起った事件でありますから、非常にへんぱな取扱いと私は言わざるを得ません。  一、二事例を申し上げ、御答弁願いたいと思いますが、私が今申し上げましたのは日野で起きた問題でありますが、担当検事は東京地検八王子支部の中野検事であります。その人が、告発をいたしました本人に、あなたの告発した事件は、キャラメル二個で、金額も非常に少く、違反の容疑が薄い、それから酒を飲んだ、または食ったというようなことは、そのときの現場でないとわれわれにはわからない、また調べにくいが、これは違反にならないからというようなことを、告発人を呼んで言ったそうであります。それで告発人は、これは桑原正一という日野町の住民でありますが、検事さんがそういうようなことをおっしゃるのであれば、一つそういう書類を書いてもらいたい、それなら私は納得しましょうということでしたが、ところが書類は書けないということで、四月二十二日に告発をいたしましたのが、八月二十九日に不起訴処分の通知が来ておるのであります。これと同じような事件として、やはり八王子管内におきまして、町田で、これは道普請をやっておる場所に、約二十人ないし二十五人の部落民に、御苦労さんだという意味で酒を一升出したそうであります。金額にいたしますと、キャラメル二個は四十円であります。これは広範にばらまいておる。片方は二十四、五人に酒を一本であります。そして片方に起訴になって、略式でございますが罰金処分になっておるのであります。片一方は、キャラメル二個だ、金額が少い。ところが、酒の方は革新の候補者であります。キャラメルの方は保守の候補者であります。こういうへんぱな処置をとっていいかどうかという点をこの際お尋ねしたいと思います。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 私は八王子の今お尋ねの日野町の事件のこまかい報告を聞いておりませんが、今御質疑の中でわかりますことは、告発人に対して検事が不起訴にした理由を述べたようでございますが、これは、訴訟法に、不起訴にします場合は通知することになっておりますので、その趣旨で述べたものと思うのであります。述べた内容でございますけれども、今告発人の聞いたところに基いてお尋ねがございますが、これは正確に申しますと、ただいまの御質問では、法律的に言いますといろいろ疑問があるわけでございまして、これがいいかどうかということにつきましてここで正式に御答弁を申し上げるに当りましては、この事件についての検事の方の状況もよく調べた上でお答えを申し上げたいと思うのです。御趣旨のキャラメルの方は不起訴だが、革新の酒の方は起訴だ、不公平じゃないかというふうな、それだけをとらえて、すぐ不公平であるか公平であるかというようなことは、なかなかこれは論断しがたいのでございまして、私どもとしましては、十分調査をした上でお答えを申し上げたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 十分調査していただきたいと思います。この質問は当委員会一回切りで終って、そのまま行方不明になるというような性格のものじゃございません。また次の委員会に重ねて善後処置についてのただいま御答弁のありました処置を行うかどうかにつきまして、さらに質問を続けていきたいと思います。  そこで問題になりますのは、告発人を呼び出して、こういう理由で不起訴にしたのだという説明をやるのか、これが一つのあり方だ、任務だというようなお話がございましたが、そこでお尋ねしたい点は、今度は町田の問題でありますが、実に不当弾圧を食っておる。人権を侵害するものであるというので、町田の住民でありますところの大下勝正というのが、地検の特別捜査部の藤検事あてに告訴状を出しております。これは不当弾圧というようなことで、人権侵害ということで告訴状を出しておる。また都の公安委員会に処分申立書あるいは法務省の人権擁護部へ中立書を六月に提出をしております。ところが、地検からは、一方的に、七月末、不起訴通知があり、あとの二個所からは何らの通知がない。一応告発人を呼び出してという理由で不起訴になったということをやるのが一応の役割だということになりますと、これらの問題は一体どうかという点。それから相手方を呼び出したが、告発人の告発しておる内容とは全然合致しないから不起訴だということでありますが、そうなりますと、こういう種類の告発は、全部無意味になると思うのであります。当然告発人を呼び出して両者対決とか、あるいはもっと真相を究明しなくてはならぬと思います。革新側から出しました一切のこういうようなものは不問に付すという傾向が非常に強いのでありますが、この点法務当局責任者といたしましては、どうお考えになっておるか、御答弁願いたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 革新派から出た告訴、告発につきましては、多く不問に付されているということでございますが、法務当局として、特に検察庁といたしまして事件を処理するに当って、ことさらそういうような意図をもって処分を左右するというようなことは断じてございませんことを申し上げておきたいと思います。  それからなお、ただいま御質問のありました大下氏から出ておる告訴でございますが、この内容をこれまた私つまびらかにいたしませんが、人権侵害の事件と申しますか、人権侵害罪というような罪は、御承知のようにないわけなんでございますけれども、それをいろいろな形において、あるいは職権乱用というような形、その他いろいろな形で刑罰法規としてはとらえておるわけでございます。それらの有無についての審査をした結果、不起訴ということを決定したと思われるのでございますが、それとまた人権擁護という立場からその処置が当不当という問題は、これは別問題でございます。ただいま藤検事が不起訴という処分を通知したということでございますが、それはもっぱら事件としてみた人権侵害事件そういうものの刑事的な取扱いについての結論であったと思うのでございます。  通知でございますが、通知の方法につきましては、私は前に呼び出して話して聞かしたというのは通知という意味で申し上げたのでありまして、その通知の方法は、常に必ずしも呼び出して説明して上げるということをしなければならぬということにはなっておりません。要するに出しっぱなし、不起訴になっても知らせることもなく、どうなったかわからないというような状態においてはいかぬということの意味で、起訴、不起訴、起訴になった場合は明らかでありますが、不起訴の場合には、不起訴にしたということを通知をするということになるという趣旨のことを申し上げたのであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 そこでもう一つお尋ねしたいことは、地検の特別捜査部の藤検事の方の告訴状は一応今のような処置がとられておるのですが、関係の方がおいでになっておるかどうか、おいでになっておれば一つお答え願いたいと思いますが、都の公安委員会に処分申立書、法務省の人権擁護部へ申立書を出して、それっきりになっておるのですが、これは大体時日はどの程度かかるものか、慎重にあるいは捜査されておられるのかどうかわかりませんけれども、一応申立人、告発人に何らかの通知があるものであるか、それとももうそれはそれっきりのものであるかという点をお尋ねしたい。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 ただいまのお話のうちに、東京都公安委員会あてに、いろいろ処分申立書がありました件につきましては、私承知しております。本件事件につきましては、申立人から、お話がございましたように、一方は刑事事件として検察庁の方に告発され、他方警察にかかわる部分につきましては、警察を管理しております東京都公安委員会あてに申立書がありましたことも事実であります。東京都公安委員会におきましては、申し立ての事項については、いろいろ行政上、身分上の監督権もございますので、慎重に調査をいたしております。その間におきまして、この事件に関連してちょうど当院の地方行政委員会でも御質問がございまして、その調査の内容等は地方行政委員会でも私お答えしたのでありますが、申し立てに表われました事項につきましての該当する事実がありませんので、東京都公安委員会としては、本人に対しまして懲戒その他の処分をいたしていないのであります。まずお尋ねの通知の関係でありますが、これは刑事訴訟法の告発と違いまして、法律の規定によって公安委員会が通知をするという規定はございませんが、東京都公安委員会といたしましては、自分が管理する警察のことでございますので、慎重に調査する。他面検察庁の方では、独立の立場からいろいろ捜査を進めていただく、その状況等も勘案して、非違の点があればもちろん処分するのにやぶさかでないわけでございますが、現在の調査の点では非違の点がないので、処分いたしておりません。通知の関係では、法律上の警察の義務でございませんが、他の行政機関の調査等も相待ちまして、東京都におきましても善処しようと考えております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 こういう申し立てのあった場合、あるいは検事局、公安委員会または人権擁護部の方では本人を呼び出して、申し立てに対しあるいは告発に対し、事情聴取ということを行うのですか、それとも行わずにこれを処分してしまうのですか。

鈴木才藏法務事務官(人権擁護局長)

○鈴木説明員 先ほどの事件は私まだ報告を受けておりませんので、どういう処理をいたしましたか、できましたら午後でも御返答申し上げたいと思います。それから人権侵害の親告がありますと、必ずその親告をされた方あるいは侵害を受けた方、その関係者全部調査をいたします。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 そうすると、そういう申し立てのあった場合には、申立人を呼んで事情聴取をするということですが、必ず事情を聴取するということですか。

鈴木才藏法務事務官(人権擁護局長)

○鈴木説明員 原則として必ず本人から事実を承わります。ただし、よく私の方に人権侵害として親告をされる事例の中には、その事件の内容その親告された事実そのものから見まして、人権の問題ではないというふうな、単なる法律相談的な場合もございまして、そういうものはよくふるい分けまして、人権問題であるといった場合には、必ず申告者あるいは関係者を呼んで事情を聞いております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 そこで、もしそれに該当しないような場合があるという場合には、あなたの方からこういう書類あるいは、申し立てが出ておるけれども、これは当人権擁護部では審査すべき該当でないという通知をやってしかるべきだと思います。そういう取扱いはいかがなすっておられるのですか。

鈴木才藏法務事務官(人権擁護局長)

○鈴木説明員 人権擁護関係におきましては、そういう場合はできる限り御本人にその旨を伝えております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 いまだ何ら本人に対して音さたがなしということになっておりますが、そういたしますと、いまだ慎重にこの問題を審議しておると了承しそいいのですか。

鈴木才藏法務事務官(人権擁護局長)

○鈴木説明員 その点につきまして私の方にまだ報告がございませんので、どの程度の調査をいたし、どのような処分をいたしましたか、迫って後刻でも御報告いたします。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ただいま刑事局長の方から、この前に地方行政委員会において関連した問題でいろいろ質問があった、こういうように承わりましたが、私もそれを了承しております。そのときに、ただいまのような質疑に対してはつまびらかにしておらないので、後刻十分調査をいたしますというような答弁をなさっておられますが、もうあれから相当時日もたっておりますので、当時北條委員が質問したと思いますが、その質問内容がどういうようになっておるか、もう調査されたと思いますが、この際答弁を願いたいと思います。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 お話の北條委員に対する私の答弁ですが、八月十日に北條委員から個々の問題につきまして御質疑がございましたので、北條委員の御質疑にかかる事項につきましてはその場においてお答えいたしたのであります。さらに正確に申しますと、北條委員におかれては、八月十日地方行政委員会が開催せられるに先だたれまして、質問要旨というのが私の方に提出がございましたので、それに基きまして私の方で調査を遂げておりまして、遂げた分につきまして、そのときは質問にかかる事項は全部お答え申し上げたのであります。ただし、北條委員におかれましては、私が答えました以外のことでさらに質問することがある、こういうことを確かに御留保なさったのでございますが、質問された事項につきましては、私その席で答弁いたしまして、当時の地方行政委員会の速記録にも掲載されておると思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 私も当日の委員会の速記録を持っておりますが、ただいま全部北條委員の質問に答弁完了というふうにはこの速記録からは私は受け取れない点があるのです。そこで、あれから相当時日もたっておりますし、さらにきょう地方行政委員会を開いておりますので、北條委員から再質問というような形があるかどうかわかりませんけれども、たまたまきょう当該事件に関連して私が質問をいたしておりますので、その不足のところをもし調査をしておられれば御答弁を願いたい、こう今質問したのですが、それでは一つ申し上げたいと思います。それは、最近の警察の動きには、俗に言うおかっぴき根性というような動きが非常に顕著であります。これは一、二関連いたしまして前回北條委員が質問しなかった問題でありますが、御答弁願いたいと思います。たとえば、これは一例であります。これは刑事局長もこの前の地方行政委員会で質疑応答されておりますので、内容はよく御存じだろうと思いますが、森山候補の夫人が病気で寝ておるところに顔見知りの町田警察の交通係の巡査が夜中の十二時ごろ尋ねて参りまして、お宅の主人が奥さんにとても会いたがっている、一目見たいと涙を流して頼んでおるので、実は内緒で私は参りました、主人に会って主人を元気づけてやって下さい、奥さんも会いたいでしょう、日ごろ交通安全協会などでお世話になっておる森山さんのことだから、十分間でも警察としては何とか便宜をはかりたい、それで人目を避けて夜中にお伺いいたしました、警察の裏門を細い日にあけておるから私が御案内いたしましょう、これがその交通係の奥さんに対する呼び出しと申しましょうか、そういった話し合いであります。森山夫人も何とかして、夫が留置されておりますので、会いたいという気持はやまやまでありましたが、何しろ病気で寝ておりますので、ありがとうございます、それではすぐ伺いたいと思います。一応薬を飲んで起きられるようだったらすぐ伺いますといって当該交通係を帰しました。しかし、やはり病気が病気ですから、薬を飲んだってすぐ立ち上って行けるというわけではありませんが、この巡査の親切にこたえなければなりませんので、むすこ夫婦に、今ああいうふうに親切に言ってくれたのに、そのまま行かないというのでは、かえって失礼に当るから、お前から、行ってよくお礼を申し上げてくれというので、そこでむすこ夫婦が警察の裏門に参りますと、そこには奥さんのおいでを手錠を持って待っていたというような、こういうきっかいな事実があるのです。これは全くおかっぴき根性の警察行政です。こういうようなあり方がいいかどうか、一つ責任者であるあなたから御答弁願いたい。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 ただいまの御質問にかかる事項は、ちょうど八月十日、北條委員からも御質問があったのでございますが、事実警視庁において調査いたしました結果は、次のような状況なのであります。森山候補者関係の被疑事件がございまして、調査をずっと続行しておったのでありますが、その調査を続行しておる最中に、森山夫人から事情を聴取する必要を認めましたので、任意に警察に出頭していただくという事情を生じまして、その手配を講じたのであります。その手配を講ずるときに、巡査が使いに行きまして、警察に出頭をしていただきたい旨を申し述べたのでありますが、それが御指摘のように十二時近くまで——そんなにおそくはありません、十時以降であったことは事実でありますが、そのときはただいまから警察に来てくれという趣旨ではないのでありまして、警察へ御夫人の出頭を求めたいので、一つおいで願いたいという旨を申し述べたことは事実でありますが、夜中に出かけてくれという趣旨で申し出ていないことは、調査の事実の結果であります。従って、そのときに呼び出して逮捕するという気持のなかったことも、全く事実であります。その間の事情は、八月十日の地方行政委員会でお答えしたその通りであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 あなたは非常に誠意のない答弁をしておられる。私は地方行政委員会のこの間の速記録をちゃんと持っておるんですよ。私が今質問した内容は、北條委員は質問しておりません。私は重複を避ける意味においてこの委員会の速記録をよく読んで質問をしておるんですよ。あなたの勘だけで答弁をしてもらっては困ります。今言ったことが事実かどうかよくお調べ願いたい。事実としたら全くおかっぴき根性ですよ。そういうおかっぴき根性で民主警察の役目が勤まるかどうか。もっと誠意を持って答弁していただきたい。  それでは一つお尋ねしたい。これは昭島署のやはり都会議員の選挙違反事件でありますが、続いて参議院議員の選挙違反事件であります。当時東京地方区から社会党候補として岡本丑太郎という候補が立候補いたしまして、これに関連する選挙違反の取締りに警察の不当介入が引き続き行われておるのです。ちょうど地方選挙から参議院選挙と当該三多摩地区においては中野検事が大体総括しておりますが、全部といっていいほど革新候補を目のかたきのようにして、不当な選挙干渉が行われておるのであります。これは全く憤激にたえないような不当干渉を行なっておるのであります。六月二日の、これは投票日でありますが、岡本丑太郎候補は東交の労働組合出身であります。従いまして、東交の組合員は熱中して応援をいたしておりました。これは理の当然でありましょう。で、長博なる者が文書違反によって昭島署に留置をされました。この裏づけ証拠を得るために、同人の住む昭島市拝島町掘向住宅の任意捜査をしたものと思われるのでありますが、同住宅の奥さんや子供まで取り調べておるのであります。四才になる女の子まで多数の者を掘向の交番へ呼び出して、不当なる取調べをしておる。特に私が問題にしたいと思うのは、何ら関係のない小柳末子さんの長女秀子さん、四才を二時間にわたって取り調べている。この四才になる女の子を堀向派出所の小沢巡査の細君が調べている。子供は秀子という名前です。それに菓子を与えて、おどかしたりすかしたりして調べておる。おじさんが来たでしょう、何か紙を持って来たでしょうというように、四才になる子供を駄菓子でつって、取調べをしておる。しかもそれはおまわりさんでなくして、おまわりさんの奥さんがやっておる。こういうことは人権擁護の立場から許されることかどうか。私は事実に基いてこの質問をしておるのですから、一つ誠意ある答弁を願いたい。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 ただいま御質問にかかる事項は、私ども警視庁において調査を遂げておりますので、調査の結果判明いたしましたことについてお答えいたします。御指摘のように、長博さんという方が公職選挙法違反被疑事件で逮捕されたことも事実でございます。その長さんの事件に関連いたしまして、お話にも出ましたが、違反文書関係で、その文書の頒布を依頼されたと認められる人たちを任意に取り調べておるということも事実であります。任意に取り調べておる人の一人に、御指摘の小柳末子さんという方があるのでございます。その取調べ場所でありますが、小柳末子さんと、当時すでに五人の方に文書頒布をたのまれたので、この五人の方について捜査をしているわけでございますが、その方の居住地がちょうど派出所のそばでございますので、お宅へ行って伺うよりも派出所へお出まし願って、捜査員がその派出所におもむきまして捜査を遂げております。それぞれ五人の参考人の方々に一時間半前後取調べをいたしまして調書を作成しておりますが、そのとき参考人でございますので、みな子供さんをお持ちの人が少くございませんで、小柳末子さんは子供さんをお連れになって、参考人としての取調べに御協力願ったわけであります。そのとき小柳さんが子供さんをお連れになって、その子供さんが参考人を調べるときに派出所におられましたことは事実でございますが、捜査員といたしましては、小柳さんからは十分事情は聞いておりますけれども、四才になる女の方からは事情は聞いておりません。ただし、次に申すような事情があるのでございますが、そういうふうに、駐在所の御近所の方が子供さんもお連れになって参考人として警察の捜査に御協力願っておるのでございますので——その駐在所勤務の職員は本件捜査に直接関与しておりませんが、その駐在所の巡査は小沢という巡査でありますが、この小沢巡査の妻が参考人の方に湯茶の接待をしております。湯茶の接待の自的をもちまして、参考人の方がいる取調室に人って参りまして、湯茶を差し上げた、こういう事実はございます。それから取調べの最中、参考人の方から事情を聞いておる最中に、小柳さんは、この子供がもらってきたのですよ、こういう供述のあったことも事実でございます。そのとき、小沢巡査の妻が湯茶の接待をし、子供をあやしておる際に、あなたはもらったのか、こういうことを駐在所の巡査が言ったことも事実でございますが、警察といたしましては、その子供を参考人として調べる意思もございませんし、それから小柳末子さんからは事情を十分聞いておりますし、それは録しましたけれども、子供さんの供述等はもちろん証拠視しておりません。ただし、湯茶の接待に動きました駐在所の巡査の妻が、まあお近所の子供さんでございますので、私たちの田舎の言葉では子供をあやすといいますが、いろいろ子供をあやしておった。そのときに、あなたは郵便屋さんからパンフレットをもらったのという意味のことを軽く聞いておることは事実でございますが、それを調書に録したこともございませんし、それを取調べの対象として子供さんに出頭を求めた、こういう事情は全然ないのであります。それがわれわれの、このことに関しまして警視庁において調査をいたしました結果の要旨でございまいます。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ただいまあなたの答弁を聞いておりましても、われわれが疑義をはさむ点が十分ございます。湯茶だけ接待したのだ、これは近所のおつき合いというような点もあると思います。それ以外に何ら他意がない、こうあなたは答弁しておられますが、現にキャラメルその他の菓子を持っていたということは事実でございます。湯茶だけではございまいません。それから、これは今言った秀子ちゃんという四才の子供だけではないのであります。警視庁でもこれは十分お調べになっておる、当該警察においても十分お調べになっておられると思いますが、吉沢年雄さんの長男一郎君、こは小学校五年でありますが、本人は知能指数が非常に低くて、舌がよく回らない、精神薄弱児である。その姉の中学一年生は唖でありまして、まことに気の毒な家庭であります。これらの人々も、秀子ちゃんと同様午後二時から四時まで調査した事実がございますが、そういう点はあなたの方でどういうふうに調査をなすったか、この際明快に御答弁を願いたい。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 お尋ねの点は次のような状況であります。吉沢政恵さんという方があるわけでございますが、この方が、捜査の状況から申せば、違反文書の領布の依頼を受けられまして、それを隣近所等に領布された、こういう疑いがあったのでございます。そのときに、吉沢さんは自分の子供さんであります吉沢一郎さんという当十年の方、この子供さんを通じて領布したということが明らかに相なったのであります。従いまして、これは前の四才の小柳末子さんのお嬢さんと違いまして、この吉沢一郎さんという当十年の方の方は、警察で事情を聴取しておることは事実でございます。ところが御指摘のごとく当十年の子供さんでございまいまして、その子供を通じて文書が領布されておりますので、その事情を明らかにするということがやはり事案の真相を明らかにする一つの要点であろうかと考えまして、吉沢二郎さんは調べております。ただし、その調べ方につきましては、わずか十才の方でありますし、もちろん刑事事件にかりになった場合におきましても、刑事責任能力はございませんし、そういう事情等も勘案いたしまして、親権者の方々を同道して、親権者の方がいらっしゃる席で事情を聞いておる。こういう事実は確かにあるのでございますが、これは当十年の古沢一郎さんという少年を通じて文書が頒布されておる、こういう事実でありますので、やむを得なかった措置ではなかろうかと考えるのであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 子供さんを通じて文書を配付したから、一応その子供さんを呼んで証拠固めをする。そのために親権者を同道してもらって調べた。従って、前の秀子ちゃんの方とはだいぶ事情が違う、こういうような御答弁であります。そこで秀子ちゃんの問題に返りますが、先ほど湯茶の接待だけしかないという、ところが、現実に菓子をもらってあやされたという、この食い違いがございますが、これはあなたの方の調査では、湯茶以外に菓子などは絶対与えないと確信を持っての答弁かどうか。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 これは卒直に申しますると、駐在の巡査は小澤という人物でありますが、結局は小澤という駐在の巡査は本件捜査に関与しておりません。捜査に関与いたしましたのは、本署から犯罪捜査、刑事事犯専門の専従者が出かけていって捜査いたしておるのであります。ことに参考人でございますので、本署まで御出頭願いたいということは御迷惑が多いだろうと考えまして、たまたま駐在所の近所の方でございますので、駐在所までは隣ですから来ていただく。そこに本署の捜査員が参りまして調べておるのでありまして、駐在所の職員、すなわち小澤巡査は本件捜査にはまず関係しておりません。ところが、場所が駐在所でございますので、そこに奥さんがいらっしゃる。そうするとふだん毎日顔を合せる人たちでございますので、湯茶の接待その他——湯茶と申しましても、キャラメル、若干の菓子、そういうものが加わることはあると思います。それは私は否定いたしません。そういう状況ですが、子供さんが来ておりましたので、湯茶も差し上げましょうし、菓子も差し上げたと思います。そこで、菓子の分量その他は調べますけれども、そういうことはあり得ることだと思います。それで、駐在所の巡査の妻が、あなたは郵便屋さんにもらったのというようなことを申したことも事実でございますが、それは調書にするとか取調べるという意識でやっておるのではなしに、常々駐在所の隣でございますので、顔見知りその他の関係があってそういう言動があったのだと私たちは調査の結果考えておるのであります。従いまして、結局は参考人の方にお隣りの駐在所に子供連れでおいでいただいていろいろお聞きした。そのお尋ねのあなたは郵便屋さんからもらったの、こういうことを聞いたことについては答弁を求めておりませんし、答弁もされておりません。従って、湯茶のほかに若干湯茶に付随するものがあったということも否定いたしません。あり得ることだと思いますが、かりにあり得ましても、駐在所の職員の妻のやったことはまことに適当な措置で、社会通念に反することをやったとは必ずしも認めがたい状況だと考えるのであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 今あなたが答弁されますような、世間普通の近所づき合いというふうには私ども解していないのです。これは当該証人連中がたくさんございまして、私は国会議員でありますから、その国会議員という建前から、不当なことをやられたというようなことを私のところに訴えてきているわけなんです。今あなたの答弁程度のことだと、何も大げさに委員会でお尋ねするような必要もないと思うのですが、それは全然違うようであります。しかも今かりにあなたが答弁なすったのだって、最初は湯茶と言っておられたが、そのうちにキャラメルが出てきたり、あるいは郵便屋さんから配達してもらったんでしょうというようなことを巡査の妻が言ったということをあなたは言われておりますけれども、そんななまやさしいものではないのです。これは近所づき合いでございましたならば、私のところに言ってくるはずもないのです。おまわりさんも、下部末端に行きますと一つの権力態勢でありますから、権力をかさに着て不当なることをやったということが、こういうことをここまで押し上げてきた経路になっているのです。そういう点を上司のあなたは十分理解されて、もう少し民主警察の実を上げるように指導すべきが私は至当じゃないかと思います。あなたは部下がかわいいから、部下を擁護するという建前に立っていろいろ苦心惨たんの御答弁をなさっておられるのだろうと思いますけれども、そういうことではこの弊害は除去されません。やはり悪いものは悪い、正しいものは正しい、警察のあり方はこうだという点を、きぜんと上司のあなたからきれいさっぱりと出さないと、下部にはやはり徹底しない。そうなりますと、民衆ののろいは昔と同じようで、警察というものはこわいものだ、警察というのは権力をかさに着ておるということが絶えずこれから起ると思うのです。私はこういうような問題につきましてはやはりきちっとした処置をとっていただきたいと思います。そこで、小沢巡査のこの派出所内に起きたいろいろな問題は、取締り官は別の人間が行って、単に派出所を借りて取調べをしただけで、何ら不当なこともなければ、言いかえれば権力をかさに着たような行為がなかったから、別にこれをとがめる必要なない、こういうあなたのただいまのお考えですが、それだったら私はまた別の角度からいろいろお尋ねしたいと思いますが、いかがなものでし上うか。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 これは誤解のないように申し上げたいと思います。今警察官は十数万おりますが、その中にはよからぬ行為をしましたものも確かにございます。それから抽査に従事する諸君について、不適当なる措置を講ずるのもございます。そういう不適当なことについては、内容に応じ信賞必罰の成果を上げて、りっぱな警察を作り上げたい、こういう念願を持って職務に鞅掌しておるつもりでございますが、いろいろ御批判も十分受けたいと思います。  本件事件につきましては、警視庁におきまして、警視庁は御案内と思いますけれども、それぞれの署があって、その上に方面本部という組織があります。方面本部の職員等をして、ただいまの関連事件等を調査せしめたのでありますが、調査せしめた結果、小沢巡査は本件選挙法違反事件の捜査には関係していなかった、場所の提供をして隣であるからそこを利用していた、こういうことが一つの事実。そのときに隣の人がおいでになるので、ことに参考人のお方がおいでになるので、湯茶の接待を派出所を管理しておる職員の妻がした、こういう事実。そのときに湯茶に並行して若干のキャラメルその他のものも出たであろうことも想像しております。そういう状況等からかんがみて、私どもが警視庁の監督組織を通じて調査さした結果におきましては、当該小沢巡査、その妻というものを職務規律違反でとがめるということは、現在のところはっきりしておりませんが、皆さんの御意見を拝聴してさらに悪い点があればわれわれ考え直すことにやぶさかではございませんが、われわれ警視庁の監督組織を通じて調査した結果は、以上申し上げた状況であります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 時間も長くなりますので、あと一、二点質問をいたしましてやめます。警視庁でいろいろ調査した結果は、ただいま罰するに至らない程度だという御答弁であります。これは当該の東京都の都会議員あるいは警視庁、昭島警察等々のいろいろ質疑応答の中でも、この小沢巡査のやり方は悪かったという点が、昭島署長の方からも何かわびの言葉があったというようにも聞いておるのでありますが、だいぶあなたと昭島著長との話は違うのです。それはそれといたしまして、そこで問題にしたいのは、先だって北條委員からいろいろ質疑のあった点も、あなたの答弁によると、事実無根だというようにも受け取れます。私ただいま質問をいたしましたが、真夜中十二時ごろにおかっぴき根性で森山夫人をおびき出そうとした、それも問うに当らないということを言われておりましたが、もう少し正確に調査していただきたいと思います。  これはあなたはよく御存じだろうと思う。これは社会党の支部で出した東京社会新報という新聞であります。ここには、ただいまお話したような問題は全部出ているわけです。もしこれを否定するということになりますと、これは警察としてもゆゆしき信用問題になると私は思う。この記事が事実無根ということであれば、警察としては何らかの対策を立てなくてはならぬと思うのでありますが、これが町田市民全般にまかれておるにもかかわらず、警察としてはいまだに一言も発しないということは、一体どういうことかという点であります。もし事実無根だったら、各誉棄損とかあるいは誣告とかいう対抗処置を警察の名誉のために警視庁としてもとられたらいいと思う。警察を侮辱するようなこういう新聞を大量に市民にまいた、けしからぬという態度があってしかるべきだと思う。私は確信をもって事実を事実として市民大衆に知らしておるのでありますが、この新聞に対して一体あなたはどういうお考えを持っておるか、御答弁願いたい。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 ただいま御提示になりました文献は、たしか私、北條委員からいただいた文献と同じものだと思いますが、これを拝見いたしまして、警視庁におけるいろいろな調査について書いてある事項等を念頭に置いて、それを基礎にして調べたことは事実でございます。その事実が事実無根であって、あるいは名誉棄損とか刑法に触れる罪にその新聞がなるかどうか、かりになる場合において警視庁はどういう処置をとるか、こういう点はこの記事の編さんその他に関連する問題でございますので、一応別個の問題でありますが、いろいろ新聞記事その他について一字一句違ったということについて、それぞれ文句を持っていくということも一つのやり方であろうと思いますが、内容等によっていろいろ考え方を変えなければならぬと思いますけれども、一学一句違った場合に一々やっていくことが適当かどうかという点も、また全体の問題として考えなければならぬ問題もありますので、その処置については、さらに警視庁とも相談していきたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 警察はうしろ購いところがあるから、この記事に対して何ら対抗手段をとらないのじゃないか。うしろ暗いところがなかったら、この新聞に対抗して、警察の名誉のためにとるべきです。保守派は箱根でどんちゃん騒ぎをやったようなことがあり、後援会名儀で百円くらいの金をとってハスで大量どこかに連れていって飲ませておる。それが処罰の対象になっていないのです。今言った道普請の村の一つの習慣的な形で酒一升出すということになると、これがたちまち選挙違反で処罰の対象になっております。こういう不公平な取締りでいいかどうか。こういうことをしておりますと、警察の威信は地に落ちますよ。だれも警察に協力する人がなくなりますよ。私は警察の名誉のためにも、この事実ははっきりしてもらいたいと思う。ただ新聞の一字一句がどうとかこうとか言うのではないのです。警察を誹謗しておることを、公けの文書としてわが社会党が責任を持って市民に配付したのです。これに対して何ら手を打てないというところに、警察自体としてもうしろ暗いところがあるのじゃないか。ないならないとはっきり言ってごらんなさい。そういう調査をしたかどうか。あなたは上司ですから、監督者の立場で、町田警察が日ごろどういうようなことをやっておるか、もう少しはっきり調査した方がいいですよ。私は警察の立場に立って、警察の威信のためにもこの問題を提起して、今あなたに質問しておるのです。もう少し公平なる取締りをやったらいかがですか。たとえば、保守一派の、今私が列挙いたしましたそういう選挙違反容疑がないと断言できますかどうか、この際明快な御答弁を願いたいのです。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 選挙違反事件の捜査全般の問題ですけれども、選挙が行われますと、いろいろ各種の違反が確かにございます。それにつきましては、警察としては一党一派に偏することなく、厳正にやるという覚悟で努力するのでございますが、選挙違反事件に限った問題ではないのですけれども、やはり裁判上の問題でいろんな工夫をして、証拠収集等に努力をして参るのであります。熱海でどんちゃん騒ぎをしたような事件があって、その事件が公職選挙法の買収に当る候補者の当選を得せしめる目的を持って宴会を勧誘したということがはっきりするというような状況につきましては、その努力を怠っておりません。いろんな努力した結果、だんだん証拠が固まっていく点も確かにございますし、そういう点につきましては、工夫に工夫を重ねていることは事実ですけれども、たまたま選挙違反事件——町田事件につきましては警察としては努力しておりますけれども、努力した結果がすべて神様のように根こそぎ上っているかどうか、こういうことになりますと、証拠上の問題その他について上り得ない問題もあろうかと思います。それは努力を重ねて、違反があれば必ず上るという態勢に仕組んで参りたいと思いますけれども、これは努力目標でありますので、努力をしつつありますが、すべて例外なく上っているのだというふうに確言することはできません。しかし、公平に努力しているという点は、各地の警察も努力を車ねておりますので、努力の点につきましていろいろお気づきの点がございますれば、いろいろ告発という問題もありますし、その他いろいろな問題もありますので、皆さんの協力を得て公平な取締りを実施していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ただいま選挙違反というような問題は、公平の態度をとり、別に保守、革新を問わず、不正は不正として糾弾する、そしていろいろな点については努力をする、努力の足りない点があればまた御指摘を願いたいという御答弁でありましたが、私は努力してないと思う。証拠はいくらでも上っておる。これをやっていないというのが町田警察の実態です。それを黙認しておったのが上司の態度です。だから私はいかんと言っておる。たとえば、防犯協会を通じて警察の後援会費を集めるのに、全部戸別訪問をやっておる。これは町田市民全部知っておるような問題です。それがどうも努力したけれども証拠が上らなかったというような、そういう場当り的な答弁では私は満足できません。それで大下という人物が、こういう事実があるのだといって告発いたしました。その告発が不起訴になっておる。相手方を呼び出して、相手方の陳弁だけでこれが不起訴になっておる。当然大下なら大下を呼んで、どういう点で告発したのだ、どういうところがどうだといってもう少し詳細に捜査する努力があってしかるべきだ、そういう努力が払ってなかった。だから保守にまるめ込まれた警察と言われても仕方がないような実態が、今の町田警察じゃないか。あるいは昭島、日野警察でもそういうことが言える。おおむね警察にそういう状態が現われたということになると、上司は一体どういう指導をしているかという点、もう少し謙虚な立場に立って、警察の威信を高めるために、警察の任務を民主的に遂行するためにお考え直しを願いたいと私は思う。  同僚の中村高一委員の方から関連質問があるそうですから、私の質問はこれで一応終ります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 中村高一君。簡単に願います。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 きわめて簡準に——山花君からいろいろ具体的事実を指摘して質問をされた問題でありますけれども、中川刑事局長もこの問題についていろいろお調べになっておられるようであります。局長の立場はよくわかる、部下をかばわなければならぬ役目もあるでしょうから。ところが、今までのような具体的事実をあなたがお聞きになりお調べになって、これはいい警察だと思われたか、あまりどうも好ましくないと思われるのか、あなたは監督者ですから、少し監督を要すると思われたのか、あなたはわけのわからないようなことを言ってあいまいにしてはいけませんから、はっきりしていただきたいのです。けっこうな警察ならけっこうだとお答えになってもけっこうです。よくないならよくない、行き過ぎがあれば行き過ぎがあるということを、あなたは国会にその責任を明確にする必要があると存じますので、具体的事実は、委員長はあまり聞いてもらいたくなさそうですから、その結論だけを一つ承わりたい。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 私どもはいろいろ調査いたしまして、行き過ぎがありました事件は行き過ぎでございました、こう言ってここで申した事件もございます。行き過ぎにつきまして、行き過ぎないようにそれぞれ処分をいたした事件もございます。ところが本件の事件につきまして、ただいまいろいろ御指摘になりました事項、その他八月十日北條委員から御指摘になりました事項につきまして調査を遂げました内容につきましては、懲戒処分その他の状況に至る事件ではない、こういうふうに考えておるのでございます。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 あなたは御存じがないかどうかはわかりませんけれども、この事件が起ってから後、警察の刑事課長は第四機動部隊とかに転勤をされておりますし、一条という刑事もどこかに転勤をされております。あなたはそういうことを御存じないのかもしれませんけれども、肝心のやった諸君はみな転勤しているのですよ。御存じなければ、わからないことを聞いても仕方がないですが、全然責任のないものであれば、栄転させるのがほんとうでしょう。機動部隊というのが栄転かあるいは左遷か、われわれ詳しいことはわかりませんが、刑事課長がそういうところに出て行ったということも、何か理由があるように思われますが、警察庁ではそんなちっぽけなことは知らぬとおっしゃるのかどうか、御存じでしたらお考えを願いたい。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 警視庁でいろいろ人事異動をやっていることはよく知っておりますが、たとえばこの刑事がどっちへ行ったかということにつきましては、私は調べておりません。私が調べましたのは、いろいろ北條さんからも御指摘もございましたし、そういった事件等について事件の処理が適当であったかどうか、こういった角度で調べまして、その角度においてお答えしておる次第でございますので、今中村さんから御指摘がありましたこの刑事課長がどこへ転任したかということにつきましては、まだ調べておりません。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 知らないものを責めても仕方がないので、調べておいて下さい。まだまだ調査してやるのですから。  どうも中川さんはきょうは悪い役目を負って、代表して一つ聞いてもらわなければならぬのですけれども、警視庁は公平でないのですね。ごく最近出ておるオリンピックのつまみ食いの事件もあなたは御存じだと思うのですけれども、われわれは早くからこういう悪質な、全国の小学校や中学校から集つめた金をつまみ食いする者があるので、具体的事実をあげて警視庁の刑事部長に私はじかに面会してやったけれども、どうしてもやらないのです。これは警視庁は公平ですか、どうしてもやらないのだ。あるいは都知事の選挙などにからんだかもしれませんけれども、こういう事実があるといって、具体的にもう新聞にも出ているし、なぜやらないのだと言ってもやらないのです。とうとう私はしまいになぜやらないかと言ったら、刑事部長は、やらないとは言わないじゃないか、やると言っておりながらっ、実はやってないのです。やらないとはだれが言ったと、こう言うから、やらないじゃないか、お前は——とうとうやらないので、仕方がなるから検事局に告訴いたしました結果、御承知のように検事局で調べたら悪質なつまみ食いが出てきて、めかけのところの生活費から、めかけの道具から、赤坂で飲んで、食って、なってないじゃないですか。洋服からくつ、こんなものが千五百万円も出ているのですよ。これを警視庁はどうしてもやらないのだ。一体何ですか、警視庁は。そうしてとうとう仕方なしに検事局がやっているじゃないですか。こんな不公平なことをやらしてはいけませんよ。警視庁はわれわれが何ぼ言ったってやらない。ところがやってみればこのざまだ。そのうち刑事部正長にも来てもらって、この場でお目にかかりたい。なぜやらないか。これだけの事実をとうとう見かねて検事局がやったという事実に対して、警察庁は一体どういうふうにお考えになりますか。

中川董治警視監(警察庁刑事局長)

○中川説明員 警視庁は、いろいろ事件がありまして、すべての事件につきまして熱意を持って捜査しておることは事実です。御指摘になりましたオリンピックの関係も、私当時中村さんが刑事部長にお会いになった事情を聞きましたが、警視庁でうんとやると申しましておりまして、警視庁もその捜査を進めておったのです。ところがその後地方検察庁に告発がございましたので、それまで警視庁が調べた事項等については検察庁に引き継ぎまして、事件は割合に進展したのでございます。警視庁がくさいものにふたをして全然やらなかったというふうには考えられなかったのであります。努力を重ねて、事件の真実の発見に努めておった。そうこうしておるうちに告発になりましたので、一応検察庁の方に関係書類を移送いたしまして、検察庁が拙査を進められた、こういうことでございます。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 事実は非常に明確でありまして、中川刑事局長のような答えは世間ではだれも認める人はありませんけれども、まあここで中川局長だけをどなってみても解決しない。ほかの問題がありますから、この問題はこれで打ち切ります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 これで一たん休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時十四分開議

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 休憩前に引き続きまして会議を開きます。  法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  この際、いわゆる琉球新刑法等の問題につきまして、目下在京中の琉球立法院議員山川泰邦君、又吉正雄君、久高将憲君、平田嗣祐君、この四君を参考人として本委員会においでを願い、実情を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   「異議なしと呼ぶ者あり〕

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 御横議なしと認め、さように決しました。  それではこれより順次参考人各位より御説明を願いますが、参考人の皆さんには、御多忙のところ、ちょうど御在京でありましたので、先ほどお聞きの通り琉球に近く行われようとしておるいわゆる新刑法について御意見を一伺いたいと思います。時間に相当制限がありますので、お一人十五分ないし二十分という程度で忌憚なき御意見をお願いいたします。  まず第一に山川泰邦君からお願いいたします。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 山川泰邦でございます。本法務委員会が、琉球のこのたび新しく布令として出ることになっております改正集成刑法につきまして深い御関心を示して下さいまして、私たちをお呼び下さいましたことを深く感謝申し上げます。改正集成刑法についてそのいきさつを申し上げますれば、時間が長くかかりますので、簡単に経過を申し述べまして、さらに御指導いただきたいと思っております。  この集成刑法は、布令として出ましたのは一九四九年の六月二十八日で、それまでは米国海軍軍政布告第二号、戦時刑法、これはニミッツ布告といわれるものでありまして、この布告を中心として個々ばらばらに出されていた刑法が適用されていたわけであります。一九四九年六月二十八日にこれらの個個ばらばらの刑法が集められまして、いわゆる集成刑法として軍政布令第一号、刑法並びに訴訟手続法典として出されたわけであります。その後この布令第一号は、全面的に改正されて、一九五五年三月十六日の米国民政布令第百四十四号となったのであります。同布令は、十一回にわたる部分的な改正を経て、今回の全面改正により、高等弁務官布令第二十三号、琉球列島の刑法並びに刑事訴訟手続法典となったわけであります。従って、今回の新集成刑法は、今度新たに出されたものでもなく、また今まであった個々の法令を今回集成したものでもないわけで、ニミッツ戦時刑法がやはり中核をなしているといわれております。新集成刑法が成立したのは一九五九年五月十三日で、この日に高等弁務官が新布令に署名しております。その成立の日から五日後の五月十八日に、琉球政府行政首席に布令が伝達されまして、一般にこの日を法令の公布日だとしております。しかし、この布令が英文から和文に翻訳されて、公報に登載されたのは六月四日で、この日になって、われわれは初めて布令の全文と接したわけであります。もっとも、この布令の改正については、五月十七日、すなわち行政主席に手交される日の前日、新聞で、あす改正布令の全貌が明らかにされると報ぜられ、民政府筋の発表として、次のようなことがいわれております。たといそれが善政であっても、権力による押えつけでは成果がない、住民の理解と協力がなければ、むしろ逆効果を来たすだけだということがいわれ、今回の改正はこの線に沿うて大幅に改善されるというようなことが報ぜられておりました。公布になった後でも、その内容については十九日の新聞でほんの一部の人が知り得たにすぎませんでした。従って、本土で指摘されるまで、この布令がいかなるものであるか知らなかった。ところが本土の方でこの問題が取り上げられ、それに伴って布令の問題点が新聞に出るようになって、沖繩の方でも各団体や個人が検討を始めたのであります。ちょうど立法院では予算審議に没頭しているときでありまして、直ちにこの問題の検討に入ることができませんでした。ただ予算質問のときに、この問題について行政府の見解をただしたことはありました。行政府としては、人権の擁護という面が拡張されることはあっても、人権侵害にはならぬという答弁でありました。その問、沖繩の格団体ではそれぞれ新布令撤回の運動を始めたり、延期を要請する声もあったが、立法院としても、新布令の施行期日が六月五日であるのに、法文も、内容もわからないでは意見の出しようもないということで、六月三日各派が協議会を持ちまして、施行を延期すべきだということに意見が一致しまして、立法院議長、副議長が民政府に折衝いたしまして、施行延期の申し入れを行いました。そしてその要請がさっそく入れられまして、翌四日には延期の確約がありまして、八月十五日まで施行を保留するということが正式に発表になったのであります。そして八月十五日まで延期になりましたが、これを慎重に検討する要を認めまして、さらに再延期を高等弁務官に要請しましたところ、高等弁務官は再延期に対しましても了承してくれまして、再延期になっているのでございます。いつまで延期になるか明らかにされておりませんが、延期の理由として高等弁務官が新聞を通じて公表されましたことは、再延期するに当りまして民政府は——米国民政府でございます。——民政府は、琉球政府が布令の対象を含む琉球に関するすべてのことに関して立法化していくことに援助を惜しまないということ、次に、立法院が早急に集成刑法の権討を終え、新立法を制定する措置を講ずるように希望する。三番目に、立法院が措置を講じなければ、改善された集成刑法から受ける住民の恩典を奪う結果になるので、早く恩典を与えるようにしてもらいたいというふうなことを発表いたしまして、目下再延期をしているのでございます。立法院におきましては、まだ統一された結論を得ておりません。予定といたしまして、来年二月に開催されます定例議会にこれを提案することになっておりますが、その間付託を受けました行政法務委員会では、各面にわたりまして検討を加え、そして日本の法務省を初め、各専門学者の御意見、その他の御意見を伺いまして、御指導を得まして、これを持ち帰りましてさらに立法院で検討する。私たちといたしましては、アメリカの連邦刑法との比較、あるいは日本の刑法との比較、その他各国の刑法との比較をいたしまして、慎重な検討を加え、琉球住民の人権が守られていくように適切な措置を加えたいと思っております。後ほどまた御質問をいただきまして、御説明申し上げたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 次に又吉正雄君。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 今回の新集成刑法につきまして、本土政府の議会におかれましては、当方の最も重大な問題として取り上げられ、われわれの上京に際しまして参考人として私たちの意見を徴される機会を作っていただきまして、感謝の至りでございます。この新集成刑法の沿革につきましては、ただいま山川参考人から御説明があった通りでございますが、現在のわれわれ琉球政府立法院におきましての本問題に対します段階といたしましては、全体としての統一された結論にまだ至っていないのでございます。私どもが行政法務委員として本土に調査に参りまして、本土の学界、法曹会、特に祖国政府の正式の御見解等を承わりまして、これを持ち帰りまして、私たちは、日本国民として、またわれわれ自身の人権擁護の立場から、十分なる検討を加えまして、この問題の解決に当りたい、こういったような段階でございますので、ただいまの沿革の御説明程度に一応お話を申し上げまして、さらに御質疑に答えたいと存じております。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 久高将憲君。

久高将憲琉球立法院議員

○久高参考人 久高であります。本日の委員会には、きのうまでの御計画では、沖繩立法院の行政法務の方だけ出席するような形になっておりまして、私たち沖繩の政党活動で割に革新的あるいは民主的な擁護面で主として強く動いているところの政党としては非常に不満を持っておったわけであります。委員会には各政党の新集成刑法に対する問題法務も申し上げて、その上でなければ十分な御理解を得ることはできないと思っておりましたところ、きようの朝、私、上京しているところのほかの全議員の方々にお願いをして、きょうは行政法務の方だけ出席するようになっておるが、これでは政党の意見などが反映できないから、私も参加させてくれというような意味で、参加のお願いをしたわけであります。それで幸いにもきょうの意見が政党としての立場を述べることを得まして、大へん感謝しております。今、集成刑法の問題に対しての院としての経過は山川議員から大かた述べられましたので、私たちとしては今触れていない点について二、三申し上げたいと考えております。集成刑法が出た場合に、私たち院としてはこれを非常に重要な問題として、委員会付託にするのじゃなし、全体討議で審議していこう、こういうような意見を民連、人民党としては提案したのでありますが、それがいれられず、わずか七、八名の委員の研究にゆだねられたわけであります。それに対しては非常に残念で、七、八名の委員では十分研究が尽せないのじゃないかと考えております。なお、院における審議は今途中でありますが、今、山川さんから述べられましたところの民間団体の動きをちょっと申し上げてみたい、こう考えております。民間団体の方でも、日本の民間団体の動きに呼応いたしまして、この問題に対して非常に大きな関心を持っております。今この問題を中心に、人権と生命を守る対策協議会というのを組織いたしまして、その組織の中には官公労、沖公労、そのほかの民間労組、教職員会、社会福祉団体、沖青協、子供を守る会、こういう民間団体が入っております。これに参加する政党として、いわゆる民連、人民党が加わっておるだけでありまして、惜しいことにこういう沖繩の重大な問題に対して民主党が参加してない、社大党も参加してない、こういう状況でございます。もちろん新政会も参加しておりません。私たち沖繩の重要な問題の解決に当り、このように政党的な立場がまちまちであることは非常に残念であります。こういうような状態を統合してこの難問題の解決に当っていきたいと考えておりますが、沖繩の政党活動に対して、皆さんの方でそういう点を十分御理解願いたいと考えるわけであります。今申し上げました政党の動きに対しては、どういう政党がどういう立場をとっておるかは、この重要な問題、集成刑法に対する立場のとり方によってはっきりすると申し上げて差しつかえないと考えております。なお、政党としては、各政党とも政党別個に研究もいたしております。私たちもいわゆる学問経験者の方々と党派別に研究会を持ったりいたしておりますが、今研究の中途でありまして、結論は出ておりませんので、院全体としての態度は申し上げかねますが、私たち民連、人民党の態度としては、二十三号を全面的に撤廃の線に持っていこう、そればかりでなく、百四十四号の撤廃までこぎつけよう、こういう態度をとっております。なお、さきに申し上げました民間団体の当面の闘争にいたしましても、二十三号、それから百四十四号の取扱いをどうするかというような問題が起りましたが、民間団体としても百四十四号までの撤廃を目標にやっていく。ところが当面の問題としては二十三号を徹底的に戦い、かちとって、撤廃の線に持っていこう、こういう線を固めておるのであります。二十三号に対する根本的な反対の理由といたしましては、いわゆる法を施行され運用されるところの権利者がアメリカでありまして、民立法などに持っていったところで、最後の判決は民政府が握っておりまして、これらをあまりに甘く考えて、今出ておるところの集成刑法を撤廃の線に持っていかずに、これを民立法に持っていくとかこういった場合に、最後の運用の面でまた大きな支障に逢着しやせぬかというような考えを持っておるわけであります。なお、大きな根本的な問題といたしましては、私たちが法を作るのではなくて、これはアメリカの押しつけである。これに対して私たちは屈従するところの義務があるかどうか、こういうようなところを大きく問題視しております。法的にもどうであろうか、こう検討を加えていきたいと考えております。そういう点に対しては、皆さん御承知の通り、各学者の方々からもいろいろ異論が出されております。こういうような状況でありまして、現地における戦いに対して、日本の当委員会、それから全体の議会等におきましても、私たちの、いわゆるアメリカの統治にまかされておるところの沖繩の住民の人権の上から十分検討なさいまして、対策を講じて下さるようお願い申し上げます。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 御参考までに申し上げておきます。皆さん御承知であると思いますが、今の参考人の発言のうち、百四十四号、これは一九五五年三月十六日の現行の刑法及び訴訟手続法典のことであります。それから二十三号は、今問題になっておるところの一九五九年五月十三日の問題であります。これを御参考までに申し上げておきます。平田嗣祐君。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 沖繩人民党所偶、沖繩立法院議員平田嗣祐であります。本日ここに参考人として呼ばれまして、今の高等弁務官布令二十三号について、それから沖繩の人権の問題についてというお話でありますが、まずなぜ今ごろになってから布令二十三号を改正しなければならなかったかというところに問題があると人民党では考えております。と申し上げますのは、過去沖繩で日本の各種団体とのつながりが非常に密接になっている。それから日本復帰の運動が非常に大きく高まってきた。これをほんとうに一歩々々着実に進めていくところの各種団体、いわゆる教職員会、青年会あるいは原水協、こういったもの、実にその各団体のつながりが非常に密接になっている。その点とこの沖繩の日本復帰運動の高まり、それともう一つは、ちょうど土地問題が解決されたというふうになっておりますが、しかし、人民党としては、土地問題は四原則は完全にくずされたというふうに考えております。と申し上げますのは、四原則の第一項では土地の永久使用に反対しております。しかしながら、今度の契約制によって、土地をいわゆる貸し与えますという名のもとに、アメリカが欲する期間その土地の地上、地下の完全かつ独占的使用、占有、共有に及ぶ権利をアメリカに貸し与えるわけであります。そうしますと、さくの外に立っておって、あの山が私の土地だ、あの山は君に将来譲るべき土地であるというふうにはたで見ることはできるけれども、その中に立ち入って云々することもできなければ、アメリカがもう使用にたえませんからお返ししますというまで返されぬということになると、これは完全に永久使用を認めておることになります。しかもこの契約制によって、新規の土地接取も認めている。こういうふうにして完全に土地問題は四原則を裏切ってしまい、そのかわりアメリカとしてはもう沖繩における最大の問題点である土地の確保、いわゆる原水爆基地の確保が完全に約束されたわけであります。そうすると次に起ってくるのは、いわゆる経済圏の問題であります。円の経済圏をドルの経済圏に取り入れる。そしてあとに残るものは思想の不自由、政党活動の不自由、言論の不自由、出版の不自由、すなわち県民の口を完全にふさぐことによって、日本とのつながりが完全に断ち切られていく。そうしたならば、アメリカが現在沖繩に保有しているところの基地がいつ取り返されるだろうか、あるいは土地に対する戦いがいつ生まれるだろうかという心配が全然なくなってくる。こういった意味においても今度の刑法が改正される理由があるというふうに考えております。そこで、聞くところによりますと、前よりはよくなっていると言う人もあります。しかし、人民党としては完全に悪くなっているということははっきり申し上げられると思います。たとえば日本を完全に外国扱いにしている。あるいは安全に反する刑罰が、罰金にしても体刑にしても重くなっている。琉球政府というものがなかったのを新たに入れる。あるいはアメリカ合衆国と規定したものに対してアメリカの出先機関あるいは外交機関といったものまでも包含させる。はなはだしく人権を侵害すると思われるのは、アメリカの婦人に対する暴行罪が死刑になっている。なぜ特にアメリカの婦人と書かなければならないのか。同じ人間でありながら、沖繩の婦人ということには一切触れない。アメリカの婦人に対して強姦する者は死刑に処する、それなら沖繩人はどうなのかという反論も出したくなるわけであります。こういった意味において、非常に県民にとっては悪い法律である。しかも完全に日本から断ち切ろうとするところの意図が含まれているというふうに考えております。たとえば、それでは現在でもそのようなことがあるのかと申しますと、明確な日にちは記憶しておりませんが、七月十日ごろだったと記憶しております。コザ市センター通りと申しますと非常にアメリカさんがたくさんおるところの基地の町であります。この町で午前二時ごろ——午前二時というとみんなが寝静まったころの真夜中であります。この真夜中にアメリカさんが酒を飲んで出てきて爆竹を鳴らしてうるさくて眠れないので、その前の理髪屋の主人が飛び出していってどなったわけであります。うるさいぞ、眠れぬぞとどなったことが軍の即決裁判にかかって、懲役ニカ年の刑を言い渡されたという話があります。またこの布令が県民に対してどのような感覚を与えているかと申しますと、非常に不安を抱かせている。と申しますのは、たとえばこの二・二・一四・一のところに、二人以上が話し合っていろいろな策謀をしたり、あるいはそういうことを企図したり、目的のいかんにかかわらずそういうことをすれば罰に処するということになっております。とりょうのいかんによっては、夫婦間の話でさえもあるいはこれを引っかけられるおそれもあるというふうに考えております。そこで、今、民立法というふうな話が出ておりますが、これの一部を民立法するということは、この布令の存在を認めて、しかもその一部を民立法するということになったら一体どうなるのだ、もしかりに民立法ということを考えるのであれば、その布令二十三号はアメリカ集成刑法などを参考とせずに、完全に琉球政府の立法院において日本の刑法に準じて作らるべきである、しかも、現在においては必要なものだけはある、いまさら何もそれを作る必要はない、こう考えております。そこで、これを企図したものは、さっきも申し上げましたが、日本からの切断であり、沖繩県民に対して不当な義務を押しつけていく、そういう意味からこの刑法のあることが、またこの刑法の施行されることが日本の完全独立にまでも影響するというふうに考えております。と申しますのは、今安保改定の問題でいろいろやっておりますが、これが阻止されようと廃止されようと、いずれにしても講和条約第三条が存続する限り、日本の完全独立はあり得ないというふうに考えます。すなわち戦前から三府四十三県の一として沖繩県というものは厳然としてあった。ところがこの布令の施行によっていつかは日本との断ち切りをねらっておる。もしかりにそういうことにでもなれば、日本の完全独立もできないのじゃないか。平和の問題も云々されないのじゃないか。日本の一府県、たとえば人間でいえば手首、足首であります。足首のない人間が私は完全な人間ですとは言えない。しかも基地沖繩とよく言われております原爆をはらんだ沖繩をそこに置いて、どういう平和運動ができるのだろうか。この意味においても沖繩の問題は全日本国民の問題であり、また日本国民の問題は沖繩県民の問題であるというふうに考えております。そういった意味において、さっき他の参考人の方々からもお話がありましたけれども、今度の刑法の問題にしても、現地においては最初はわからなかった、確かに新聞などにおける植民地ぼけの話も肯定せざるを得ないような立場にある。しかしそれも日本国民の立ち上りによって沖繩県民も立ち上っていき、そこに布令を延期せざるを得ないところまで押し上げていったというこの力は、必ずや沖繩返還の戦いも全県民的な戦いを組むことによってできるものであるというふうに考えております。以上であります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 参考人からの説明は以上で終りましたが、これより質疑に入ります。中村高一君。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 沖繩の立法院のそれぞれの政党の方々から新しく公布されました刑法についての御意見を拝聴いたしたのでありますが、まだ立法院としてははっきりした結論が出ておらぬようでありますが、お尋ねをしたいのは、公布されたこの集成刑法が、最初は六月五日まで延期をされ、さらにまた八月十五日まで延期をされ、今日はっきりした延期の期日はわからないが、さらにまた延期をされておるのでありますが、この点について皆さんのうちのどなたからでも、どうしてこれが延期になったのか、立法院の要求で延期になったものか、それとも民間の団体が立ち上って、沖繩の県民として反対だということが延期の理由なのか、それともまた日本の本土の方でいろいろの運動が起ったことなどもいろいろあるかもしれませんけれども、たびたびにわたって延期になったその理由、そこを一つ御説明願って、もし一人の方で違うようでしたならば、それは違うということを御説明を願いたいと思います。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 山川でございます。高等弁務官が布令の公布を延期した理由についての中村委員からの御質問に御説明申し上げたいと思います。御承知の通り、六月五日から実施される方針のものが、正式には立法院の要請によりまして五月十八日に延期になりました。その間行政法務委員会におきまして検討を加えましたが、重要な問題を含んでおりまして、わずかの日数で検討することができませんで、さらに委員会から議長に対して再延期をしてもらいたいという報告をいたしましたところ、立法院議長の方で高等弁務官に再延期方を要請いたしまして、再延期になりまして目下延期になっているのでございます。アメリカといたしましては、この布令を押しつけ、無理押しをする考えは毛頭ないというふうに言っております。たびたび延期をして慎重に検討してもらいたいということから察しますと、アメリカの言っている通り、必ずしもこれを押しつける考えはないのではないかと考えられます。なお、日本におきましてこれが問題になり、また現地におきまして各方面で論議されている事実も、この延期をするに当って考慮されたとは思いますが、正式に立法院の要請がなければ延期にはならなかったのではないかと考えております。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 ただいまの山川議員の答弁に追加いたします。第一回目の延期になりました場合は、政党各派の本問題に対しまする協議会によりまして、この延期の話し合いが出たのでございます。それによりまして院といたしまして取り上げて、議長を通じて延期方を要請したわけでございます。次の延期は、この問題が行政法務委員会に付託になりまして慎重検討するに相当長期間を要するという結果になりまして、さらに延期を議長を通じて要請いたしたのであります。もっともこの延期されました裏には、日本におきます同胞の世論と沖繩県民の世論が大きく原因したということを確信しておるのでございます。以上。

久高将憲琉球立法院議員

○久高参考人 今の御質問に対してちょっと付加いたします。私たちの方では、布告の日、それから施行の日などの時間的な問題、それからこちらからの延期要請のアメリカ側の受け入れ方、そういう点から見まして、アメリカ側の真の意図は、これを民立法に持っていくということがその真意じゃなかったか、こう考えております。今先の方々が申し上げました通り、院としての延期の折衝もやって成功しておりますが、その裏には、いわゆる民間団体の大きな関心、なおそれに日本内地における本土の方々のこれに対する御関心があって、またこういうような延期もアメリカ側はやむを得なかったんじゃないか、こういうふうにも見ておるわけであります。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 少し見解の異なったところだけ申し上げます。立法院の折衝によっておもにこれが延期になったのか、あるいは県民、国民の戦いの組み方がおもなる延期の理由であったのか、この点に相違があると思います。たとえば、全会一致で全議員が賛成して通した法案が先日高等弁務官によって却下されたということを聞いております。いかに立法院が全会一致で可決したところで、アメリカさんが気に食わなければこれを拒否する実例はあるのです。そうなってくると、なるほど立法院は折衝した。これは県民を代表し、県民の利益を代表する立法院であるから、県民のこの大きな高まりに耳をかさないというような立法院の議員はおられないはずであります。こういった意味で、県民の大きな盛り上りによって立法院としては動かざるを得なかった。そうして折衝に行ったところ、アメリカさんとしても、日本国民のこの大きな反撃と県民の高まりの前には、これを強引に推し進めることができなかった、ここに大きな——そのほかにもいろいろアメリカの意図した問題や、あるいはまたその他の状況があるかもしれませんが、この延期の理由はそこにあるというふうに人民党としては考えております。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 延期されるに至ったのは立法院の要求もあったでありましょうし、その他の運動などもあったのだろうと思うのでありますが、この延期が、ただ事務的な理由で一般に知れ渡る期間を置かなければならないとか、あるいは立法院でもよく研究してみるとかいうようなことが延期の理由であるとすれば、もう一度期限を切って、たとえば二カ月とか三カ月とかあるいは六カ月とか、その間に研究をしろというのがわれわれから考えられるところであります。今のところではもうこの法律を強行するという意思がアメリカ側になくて民立法に切りかえようというのがアメリカ側の意思だということがただいまの御説明の中にもあったようでありますが、そのことが正式に立法院にアメリカの方から通達があったものかどうか、民立法に切りかえるから立法院でこの問題を取り上げて、そちらで切りかえて立法しなさいという正式の通達があったものか、あるいはそこまではいっていないのだが、多分そういうことではないかと思われるというのか、そこを聞きたいのでありますが、どちらでありましょうか。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 正式の再延期の理由につきまして議長から口頭で伝えられまして、書面の内容についてはよく伺っておりませんが、再延期になりましたときに、米国民政府は次のようなことを発表いたしております。さきにも御説明しておきましたが、立法院が早急に集成刑法の検討を終えて新立法を制定する措置を講ずるよう希望するということと、琉球政府が布令の対象を含む琉球に関するすべてのことに関して立法化していくことに援助を惜しまないというふうに述べられております。この発表から見ますと、米国政府は、立法院自体で布令にかわる民立法をしてほしいという希望を持っていると思っております。この民政府の希望に対しましても、民立法すべきであるかについては慎重な検討を要しますので、まだ意見の一致を見ておりません。あるいは布令を検討して十分に住民の人権が守られるように改正を要請すべきかなどにつきまして、目下慎重な検討が加えられているわけでございます。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 ちょっと、私の聞いたのは、そういうふうに新聞や何かで発表したということではなくして、役所と役所ですから、そういう場合にはアメリカの政府から立法院長にあてて、今述べられたような趣旨の文書が正式に伝達されるのが当然のように思うのであります。これだけの問題を立法院に正式に通達もしないで、新聞か何かに発表、声明をして、適当の措置をとることを希望するというのじゃ、いやしくも立法院としておかしいように思うのです。文書も何もこなければ、立法院の議長から民政府に対して、立法院に検討をまかせるのかどうかということを問い合せするのが当りまえだと思うから、私はその具体的のことがどうなっているかをお聞きしているのです。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 先ほど山川参考人が答弁されましたように、議長からの延期要請も口頭でなされましたし、それに対する返事も正式に文書では立法院の方へ参っておりません。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 そういう重要なことを、沖繩では口だけで延期してくれ、向うもそういう措置を望むなんということをやっているのですか。それじゃせっかく立法院の皆さんが審議をして答申でもするという場合に、後日問題が起って、別にそんなことを正式にお前の方に通達したこともないし、頼んだ覚えもないというような、いろいろの政治上の問題が起ると思う。ですから、役所と役所というものは、われわれから考えると、なんと判こを十も二十も押して、つまらないことでも文書をやりとりしていると思うが、やはりそういうところにけじめをつけているのだろうと思うのですが、沖繩ではそういう役所と役所との間は口頭やなんかで用が足りるのですか。そういう習慣であれば別に無理にそうしろというわけじゃないのですが……。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 人民党としての見解を申し上げます。人民党といたしましては、布令二十三号だけでなくて百四十四号の撤廃も含めて要求しております。現在のところ期限をつけないところの延期ということになっております。期限をつけないところの延期ということになると、今までの沖繩における弁務官の布令の出し方から見た場合、いつ何どきこれが施行されるかもしれないという非常に危険な感じがするわけであります。と申し上げますことは、布令はすでに公布されて、厳然としてこういう布令があるということを県民の前に出されているわけであります。ところが今延期になったと申し上げますのは、施行する期日の延期であります。しかもこの期日の延期が期限をつけないということになると、その裏を返しますといつ施行してもいいという、高等弁務官の全権限にまかされているというふうになるわけであります。そういう意味におきましてはすみやかにこれらの撤廃を要求し、決議して、高等弁務官の前に突きつけなければならない。そのために沖繩人民党としましては、全県民の大きな運動の固まりの中からこれを立法院の方に押しつけて、全員一致のもとに撤廃の線まで持っていって、これを高等弁務官の方に突きつける運動を強硬に進めなければならないというふうに考えております。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 委員長から参考人のどなたでもけっこうですが、お尋いたします。本年の六月十九日の琉球新報の記事でありますが、同月十八日にアメリカ側のバーキン法制法務部長その他と琉球立法院の行政法務委員長平良君その他とが会合をされた際の話合いの一部でありますが、平良委員長からは、行政院としても予算関連立法案の審議を早目に片づけ、今期末までに研究に着手したい、閉会中の継続審議にして八月一ぱいには研究の成果を上げたい、行政院に付託された目的は、一、現行民立法で間に合う条項はないか。二、沖繩の実情から削除が望ましい条項と新しく民立法に取り入れる条項はないか。三、全面的に廃止するかの三点の検討にあるので、この向きで検討すると答えた。バーキン法務部長らもこれを了承し、行政院が検討する際は常に話合いを持ちたい、こういうふうに希望を述べたというふうに書いてありますが、そういう事情についてどなたかお話し願いたい。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 ただいま委員長が続まれました通り、行政法務委員会としては話合いは終ったわけであります。ただいま言われた通りでございます。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 その後の状況はいかがですか。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 委員長の続み上げられました新聞記事の中に、アメリカ民政府の法務部長あたりとの集成刑法を終審とする意見交換、ディスカッションでありますが、これにつきましては、二回にわたりまして委員会と米国民政府の法務部の幹部との間に質疑がかわされまして、なおその中に行政法務委員だけでなく、琉球大学の法律専攻の教授あるいは琉球政府の法制審議会の小委員会あたりも加わりまして検討がなされましたが、米国民政府側といたしましては、できるだけ何回でも繰り返してそのような会合を持ちたいという希望も述べております。そのように検討が加えられておりますけれども、なお行政法務委員会といたしましては、まだ日時をかけて慎重な検討を加えたいということになりまして、その後行政法務委員会独自においても検討がなされておりますが、またこのたび上京することになりました行政法務委員会の中の三名の委員が、この調査を東京の方ですることになっております。現在の状況はそのよのな状況でございます。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 今の委員長の朗続された内容などから言いますと、立法院に切りかえようとする具体的な折衝が行われておるようでありますが、わからないのは、あの集成刑法に盛られておるような、たとえば公安に関するスパイだとかあるいは扇動だとかいうものに対して、非常に重刑にされるという問題もあります。また文書の取締りやなんかできわめて簡単なことも内容の中にありますが、一切がっさい立法院にまかせられたのか今委員長の続むのを聞いていると、切りかえられる点はないかどうかというようなところを見ると、取り上げられる全部をまかしたようにも見えないのです。立法院としてはあの刑法の全文に対して、まかせられたと見て今検討しておるのか。重要な点については立法院にはまかせない。たとえば公安に関するものなど、おそらく立法院で審議すれば、そう簡単に死刑にされるというようなことは入れやしないでしょうから、その辺のところは意見の一致が見られない場合も想定されるのですが、立法院にまかせられたとして、一体どの程度まで、全部か一部か、あるいはまた意見の一致を見なかった場合などもあり得ると思うが、そういうようなことに対しても話し合いが進行したのですか。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 この布令につきまして、その検討をあるいは立法を立法院にまかせたといったような経緯で、立法院が検討しておるわけではないのでございます。最初の延期要請に対しましても、施行期日が切迫しておりましたし、立法機関としての立法院においても、十分にこれは検討する必要があるということで延期を要請したわけでございます。ただし、琉球住民といたしましても、布令、布告等のごときは民立法に切りかえる、あるいは民立法するのが自治の伸展の上から望ましいといった見解を持ってきておりますし、今回、ブース高等弁務官も民立法が望ましいということを新聞でも発表されたのでありますが、ただいまの中村委員の御質問にあります民立法に全部切りかえるような、あるいは一部切りかえるような意味から、立法院にアメリカからまかせたといったようなことではないのであります。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 どうもお話を承わっているとわからないのですが、それだけの問題で、今皆様が研究しているというのはまこににあやふやなんですが、立法院として、アメリカは立法院に全部まかせるのかまかせないのか、そうしてどういう点をわれわれが立法すればいいのだということの点を明確にしなければ、結局ぐずぐずしているうちに、さっき平田さんの言われたように、そんな幾日もかかるんならばもとに戻るというような場合も想定をされるのですが、立法院の権威のために、まかせるならわれわれに全部まかせなさい、そして受け取るのか、それとも、そういう重大なものをおいかぶせられては困るなら困るという態度ではっきりしないと、われわれもこの成り行きについて非常に関心を持っておりますが、立法院がやっておるようには思うけれども、今の話で聞くと、政令に切りかえられたのかどうかもわからないし、内容についてももちろんどの点までかもわからないし、それでは立法院の方が立法をするのにお困りになるんじゃないかと思いますから、たくさんの立法院の代表の方もお見えになっているんですが、そういうあいまいなことでなく、はっきりしたものをつかまないならば、今後支障が起きるとはお思いになりませんでしょうか。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 委員長からも、錯雑しないように、もう一ぺんお話をいたしておきますが、先ほど私が琉球新報の六月十九日付の内容を一部申し上げたわけですけれども、その中に法務部長の言として、「布令、布告を民立法に切りかえていくということは、ブース高等弁務官の施政方針でもあるので、立法院としてもこれが民立法に努力してもらいたい。」その次にさっき言ったような三カ条をこちらから申し出て、それを了承して、行政法務委員が検討するときには常に話し合いを持ちたい、こういう趣旨になっておるわけです。それを参考までに申し上げて、お答えを願いたい。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 ただいまの御質問は、沖繩の複雑な立場といいますが、これに触れている問題だと思っています。また琉球の立法院議員の苦しい立場と申しますか、こういう立場にも触れているかと思っております。と申しますことは、この布令を民立法に切りかえることを米国民政府は希望しているわけでございますが、果してこの布令が全面に民立法に切りかえられるものであるかどうかは、重要な問題だと思っております。と申しますのは、米国民政府が広大な基地を琉球に持っておりますことは御承知の通りであります。この基地の安全をはかることも、米国民政府が希望していることであると思っております。基地の安全をはからなければならない。これは日本を含める安全保障の上でも米国は必要でありましょうし、また日本も必要でありましょう。しかしながら、ここにおいて琉球住民の人権は、現在憲法はございませんけれども、日本憲法で明らかにされております人権は、十分に守られていかなければならない。このかね合いをどうするかというのが問題だと思います。琉球の民立法に切りかえる場合に、琉球立法院といたしましては、憲法で定められた人権を十二分に確保する法律を制定しなければいけませんが、これに沿うて果してアメリカの希望する基地の安全が得られるかどうか、これは果して並行していけるものであるかどうか疑問でありまして、全面的に民立法に切りかえるということは非常に困難な問題かと思っております。従いまして、基地の安全をはかる面はどうしても布令として残されるのではないかと思いますが、そういうような面から、民立法に切りかえることに関しましても、検討が加えられているわけでございます。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 ただいまの件につきまして、人民党としての見解を申し述べておきます。  まず第一に民立法という件でありますが、最初にそのことが持ち出されたのは、ちょうど立法院議長が高等弁務官にこの再延期の交渉をして帰ったときに、立法院に対して四つの条件を付してありました。前の三つの条件は記憶にございませんが、最後の四番目の条件として民立法に移すということがそのときにあったと記憶しております。それ以来、集成刑法の一部民立法ということが一、二十たように記憶しておりますが、人民党といたしましては、これは民立法というようなことは考えるべきではない、と申しますのは、現在でも日本の旧刑法が存在する、何をあえて今ごろから、しかもアメリカの安全のために琉球政府立法院がこれを立法しなければならないのか、こういった意味で、現在の刑法をそのまま持続する、しいて民立法するというのであれば、日本の刑法に準じて、県民の権利を主眼として刑法は作られるべきである、あの布令を全然頭に入れてはいけないというふうに考えております。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 立法院に切りかえるという結果、アメリカは支配者であり、沖繩は被支配者ですから、支配者の作る法律と支配を受ける者の法律とはどうしても違うと思う。ネコが作る法律と、ネズミが作る法律とは、全然違うのだろうと思うのです。そうすると、あなた方の立法したものは、向うには気に入らないという結果になると思うのです。私はこの答えが得られるかどうかわかりませんが、そういうことを沖繩の立法院にまかせたということは、アメリカ側としては、どうも今度の法律は少し強過ぎたぞ、やってはみたけれども、抵抗されてみると、多少これは行き過ぎがあったな、そこで切りかえてやわらかいものにしてもよろしいということがあれば切りかえはできますよ。けれども、そういう気持がなければ、あなた方がお作りになったって、向うは気に入らないにきまっているだろうと思うのですが、現地で、どうも今度のは少し行き過ぎだなというような片りんでも、政府側から何らかの発表とかあるいは声明、演説、何でもいいのですが、少し行き過ぎておるんだというようなものがありますか。お気づきになるようなものがありますか。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 御質問は米国民政府が行き過ぎたとあとで感じているかどうか、それについて何か言っていることがあるかとおっしゃいますか。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 そうです。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 それにつきましては行き過ぎであったというふうに向うが発表している事実はございません。事実を申し上げますが、アメリカ民政府法務部の関係者は、事志と違ったがと驚いている声をたまたま漏らしております。彼らが言っておりますことは、旧布令の百四十四号を改正したにすぎない、その改正の要旨としては、一、刑事訴訟手続を整備し、被告人の権利を擁護しようとしている、二、ドル切りかえ以前はB円が法律用語としても使われておりましたので、ドル切りかえに伴って、手数料、罰金、科料を円表示からドル表示に改めた、三番目は、罰金刑を重くしたのは、従来の体刑をできるだけ罰金刑に移そうというもので、行刑政策上とられた措置である、四番目には、この刑法は軍刑法が適用されない米人やフィリピン人にも公平に適用される、五番目には、布告、布令を民立法に切りかえていくことがブース高等弁務官の方針であるから、立法院も民立法化に努力してもらいたい、その趣旨から裁判権も昨年九月から一部民裁判所に移管している、最後に、米国は沖繩で公平な施政を行なっているのであり、一方的な政治をとる考えはないので、この問題で不必要なトラブルは起さないように考慮してほしい、こういうようなことをたびたび言っておりまして、事実悪意を感じられる節はないと申し上げましても、過言ではないと思います。

中村高一日本社会党

○中村(高)委員 よろしゅうございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 関連して……。新聞の伝うるところによれば、沖繩の民政府から日本の法務省に対して、どうも日本国民の中に誤解があるようであるから、その誤解を解いてもらいたいという意味において、法務省からだれか調査官みたいな人が行ったらしいのでありますが、そういう法務省から行った役人に皆さんお目にかかって何か意見を聞いたのであるか。聞いたとするならば、法務省の役人はこの新しい布令についてどういう所感を述べておったのであるか。そうしてまた法務省の役人は、アメリカの民政府なり軍関係の人と会見して、この改正刑法についての日本政府の意思を表明したのであろうかどうか。そういうことについて、皆さんの知っておるところを述べていただきたい。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 日本法務省の役人が来島されましたことは事実でざいます。琉球立法院の行政法務委員会と、改正集成刑法につきまして質疑をかわしました。その際いろいろの質問がございましたが、法務省から見えた役人の方はきわめて慎重で、政治に関する質問については一切ノー・コメントで応じておられました。法務省から来島されました役人との意見交換は、もっぱら集成改正刑法の純法理論的問題、学問的問題で意見の交換をなされたにすぎません。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 これについては、人民党としての見解を申し上げます。さっきの中村議員さんの御質問の中の、アメリカはおそれをなしたのじゃないか、少し出過ぎたのではないか、強過ぎたのではないか、そういう色合いは見せなかったかということは、さっきの山川議員の御答弁の中にも表われていると思います。と申しますのは、これば県民が好かなければ延期してもいい、いやならばこれをやめてもいい、そうすれば百四十四号でやるのだといって、布令を出しておいて引っ込めたためしはいまだかつてない。ところが布令を出して、これは引っこめてもいいぞ、そのかわり百四十四号でやるからということは、これはおどしにもなります。おどしでもあるし、少し強過ぎたという彼らの心理的な現われじゃないかというふうに見ております。  それから今の御質問でありますが、高橋参事官という人が沖繩に来られました。しかし、この人の発言の中からは、全然日本国民としての感じは受けられません。アメリカさんが言うようなことと同じことを繰り返しております。たとえば人権が拡張されたとか、あるいは取締りがもっと緩和されたのだとか、規定をこまかくしたのだとか言っておりますが、しかし、この法の持つところの本質的な問題に対しては全然融れておりません。法というものは、刑法というものは、そのときその場所においてなされなければならないものが出てくるはずであります。沖繩に基地があるからスパイ罪も出るのだ。しかし、沖繩は、県民が一体アメリカにそのような忠誠を尽す義務がどこから出てくるのか、権利は一体与えられておらないで、義務だけ簡単に押しつけていこう、こういった矛盾はいかなる刑法であっても絶対にないと思います。こういった観点からいたしまするならば、あの刑法は絶対あってはならないと考える。ところが、高橋参事官は、これは百四十四号よりもよくなったと言う。それであったならば、百四十四号はなお悪い法律だということになる。そうなってくれば、百四十四号も当然撤廃すべきであるし、切りかえるべきである。日本の現在あるところの旧法でもってなされるべきだというふうに考えるわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 山川さんにお尋ねしますが、政治的なことは一切発言がなかった、ただし純法律的な問答があったというのでありますが、純法律的に見て、今度の改正案が、いわゆる妥当なものである、決して過酷なものじゃない、人権擁護の面から見ても妥当なものであるというような意見が吐かれたことを今人民党の方は言っているのでありますが、あなたは立法院の方として、その高橋参事官との——純法律的な刑事法としての、学問的な意味でいいのですが、今度の二十三号の布令は、これは非常に人権擁護の意味で緩和された、それを過酷になったとするがごときことは誤解であるような意味の話があったわけですか。またそういう過酷になったとか緩和されたとか、いいとか悪いとか一切のことは言わなかったわけでありますか、その法務省の高橋参事官が、純法的な立場から皆さんと話し合いをした、そのときの高橋参事官の意見をどう受け取られたのであるか、それを承わりたい。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 高橋参事官の意見を伺う機会には接しませんでした。まとまって集成改正刑法に対する意見を伺う機会には接しませんでした。それは多くの行政法務委員並びに琉球大学その他の弁護団の方々がおりまして、個個の条文に対する質問についての説明をなさっておられましたが、それの事例につきましては記憶にありませんが、およそ私が記憶いたしておりますのは、アメリカ連邦刑法その他フランス、ドイツあたりの刑法との比較、日本の刑法との比較におきまして、その条文に関連する外国の法令との比較の説明をいたしまして、それに対する結論的な意見は述べていなかったと記憶しております。さよう御了承いただきたいと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その点人民党の諸君の答弁は——あなたは高橋参事官のそういう新刑法に対する価値判断をどこでお聞きになりましたか。今度の集成刑法は、人権擁護の立場から見て、決して旧刑法を悪化したものではなくて、緩和されたものであるとかというような意見のあったことをさっきあなたは述べられた。そういう意見をどこであなた方は高橋参事官から聞かれたか。今、山川さんが言われたことは、一切そういうことは聞いておらぬ。各国の刑法との比較論を聞いただけだ、これが緩和されたとか過酷になったとか、いいとか悪いとかということは一切聞いておらぬ、こういう答答で、あなたの答弁とちょっと違うのですが、あなたが聞いたとすれば、やはり山川さんらと一緒に聞いたのであるか、別な場所で聞いたのであるか、どっちなのですか。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 私が直接聞いたというわけではありません。ただ新聞紙上を通じてこの刑法がこういうものであるということを見ました。それから日本に来てから、日本の法務省の見解としてもこれが出ておりました。そういう点からそういうふうなことを申し上げました。  それから法としての問題でありますが、日本の法との比較検討あるいはアメリカの刑法との比較検討あるいはイギリスとかの刑法との比較検討を、現在の沖繩の刑法の比較検討に当てはめることは間違いじゃないか、これは当らないじゃないかというふうに考えるからであります。と申しますのは、沖繩においては異民族の支配であります。しかも沖繩県民に対して完全な権利は与えられていない。と申しますのは、たとえば政党活動の自由にいたしましても、政党支持の自由の点から申し上げますと、立法院総選挙の直後、私の前にある作業員がやってきて、あなたの運動をしなかったという証明書を下さいと言っております。どういう意味かと聞きましたところが、懲戒免職予告通知書というものを見せまして、その理由に、君はアメリカの政策を批判し、空軍の福祉に反する政党を支持し、その政党の綱領をある部落で説明し、個人訪問をしていたという確実な情報があるから首にするというふうに書いてあるわけであります。こういうふうにして、アメリカのおもしろくないところの政党に対しては支持する自由さえも与えられていない。それから一番大事な給与の面におきましても、非常に大きな差がつけられておる。また刑法の中でも、アメリカの婦人に対するにころの強姦罪は死刑である。それでは沖繩の婦人に対する問題はどうなのか。これに対しては全然書いてない。こういった面から沖繩県民に対する権利は何一つ与えられておらないのに、死刑という極刑をもって臨むということは非常に過酷である。ほかの国の刑法と沖繩の刑法とは、そういった意味から判断すべきである、そういうふうに考えております。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 小島委員。

小島徹三自由民主党

○小島委員 先ほど来お話を承わったのですが、中村君及び猪俣君の質問を通じて感じますことは、この布令を新刑法に立法院で作れ、その布令そのものをそのまま立法院が作ったという形にしようと考えてそういう要求があったのか、あるいはあなた方の中に、そういう布令は出ておるけれども、これを参考にして自由にあなた方自身の刑法を作っていいのか、そこはどうなんです。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 ただいまの御質問の直接の御答弁にはならないかもわかりませんが、御参考までに申し上げますと、琉球政府の法制審議会での質問に答えまして、米民政府の法制法務部長であるバーキン大佐は次のように言っております。条文の整理はいいが、実質的の内容を変えてはならないというふうに答えておりますし、また琉球政府の法務局との研究の際もこういったことを述べておるわけでございます。

小島徹三自由民主党

○小島委員 立法院が刑法を制定する場合、アメリカ政府からこれを草案として、これに基いて刑法を作れと言ってきたのですか。そういうことはないのでしょう。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 米民政府からそういったような草案を提示されたり言いつけられたりしたことはありません。

小島徹三自由民主党

○小島委員 そうすると、バーキン大佐が条文の整理はいいけれども、内容を変えてはいけないというように言ったというのは、どういうわけでそういう答弁が出たのでしょう。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 これは先ほどの御質問や答弁にも出たと思いますが、本布令が民立法に切りかえられるかあるいは一部民立法されるか、あるいはこれを全部廃止していいかといったようなまだ結論を得ておりませんが、立法院といたしましては、従来住民の世論といたしまして、布令、布告はなるべく民立法に切りかえるべきである。すなわち自治権の拡大の意味からそういったことが望ましいということと、先ほど山川参考人からも答弁がありましたように、今のブース高等弁務官の政策といたしましても、なるべく布令、布告は民立法に移したいといったようなところから、ただいまの立法院における研究の課題ともなっている、こう解しておるのでございます。

小島徹三自由民主党

○小島委員 要するにアメリカの政府の方としては、布令という形でやれば何か一方的に沖繩県民を押えておるような形になるから、形式を立法院で民立法したという形だけをとりたいといっておるのか。今度の場合のごときも、あなたの方で、立法院の方で適当なる内容を持った刑法を作れば作れるのか作れぬのか。作った結果、先ほど人民党の方から言われたように気に入らぬものたったら、それを認めないということでけ飛ばされるかもしれないけれども、一応そういうことを作ることもかまわないのですか。その点立法院としては、どうなんですか。

久高将憲琉球立法院議員

○久高参考人 今の御質問にお答えいたします。軍としては軍の意図に沿うような立法を民でさせよう。こういう真の意図があるだろうと考えております。今度の集成刑法にいたしましても、たとい民立法に移すことにいたしましても、これはその移す部分になりますと、いわゆる強姦罪とか窃盗罪とかあまり重要でない部面、日本の方で処理できる問題、あるいはそのほかの立法で措置するような部面しか民立法ではできないだろう、こう考えます。そうなりますと、軍の方ではまさしくそれは承知しないだろう。で、今御質問になっておりますが、私たちとしては、民立法に切りかえることは、どうしても不可能である、こう考えております。

小島徹三自由民主党

○小島委員 そうすると、あなた方の御意向としては、アメリカの意向がはっきりするまでは民立法はしない。たとえばあなた方は、アメリカの反対があるかもしれぬけれども、自分たちは信念としてそういう刑法を作るんだ。民立法としては作るんだというものを作って、そして決議をしてアメリカ政府に提出する。それが結果的にはけ飛ばされてしまうかどうか知らぬけれども、そういうふうにするという御意思はあるのですか、ないのですか。

久高将憲琉球立法院議員

○久高参考人 民連それから人民党としては、そういう立場をとっています。どこまでもこれを民立法で切りかえるとか、あるいはゆだねるとか、あるいは修正をするとか、そういうような点は考えてない。全くこれは撤廃すべきものである、こう考えております。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 琉球政府立法院の行政法務委員会といたしましては、まだそういったような結論を得ておりません。

小島徹三自由民主党

○小島委員 撤廃すべきものであるというお答えでしたけれども、撤廃すべきものであるということを立法院が問題にしているのじゃないでしょう。立法院としては民刑法を作るか作らぬかということだけであって、布令を撤廃するとかしないとかいうことを決議するとかしないとかいう問題じゃないでしょう。だから私がお聞きしたいのは、終戦直後における日本の現状にあったのですけれども、立法の経過の途中においてそういうことをしてはいかぬとかいろいろなことを言ってくるのか、あるいはあなた方が決意をして民刑法にお作りになれば、最終的に決議した後においてそれが受け入れられるかどうかは別として、それはできることはできるのでしょう。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 今の御質問にお答えする前に、先ほどの御質問にも関連がございますので、御説明申し上げたいと思います。改正集成刑法は、当初から米国民政府が民立法化をはかる意図はなかったと思っております。それには先ほどから説明がありました通り、米国民政府は六月五日から実施する方針でこの布令の実施を発表したのでございます。そこで、これは御承知の通り、こちらの方でも論議されて問題になりましたし、また続いて琉球現地でも問題になりまして、立法院の方からその延期方を要請した。その延期に伴って民立法化というのが新しく出てきたのでありまして、米国民政府としては布令で、従来の旧布令が出ておりますので、これを改正して依然として布令で出す方針だったと考えております。  なおあなたの次の御質問は、立法院でこれを決意して民立法化すれば、米国民政府がこれをけろうとけるまいと、そういうことができるかということでありますが、それはできます。立法院でこれを決意して民立法化すれば、果してこれが高等弁務官の承認を得ることができるかどうかは別といたしまして、できますが、しかし現在立法院で考えていることは、これは民立法化するということにはまだ意見の一致を見ておりません。この布令の中のどういう個条が民立法化されるか。どういうことは、民立法化することが困難であるかということが検討されております。私は、最近琉球民主党と新政会が合同いたしまして、新政会という新しい覚ができまして、これに所属しておりますが、私たちの考えといたしましては、撤廃ということは現実に非常にむずかしい問題であります。私たちが撤廃を要求しましても、日本の政府がアメリカに司政権をゆだねてありますことは御存じの通りであります。アメリカは三権を厳然として掌握しておるのであります。私たちの意思がどうあろうと、向うが立法布令を出し、立法権を持っておりまして、これは現実に望み得ないことであります。果して改正集成刑法の条文の中のどの個条がいわゆる基本的人権を妨げているか。琉球住民の人権を守るためにはどの個条を改正しなければならないかを究明いたしまして、その改正を強く訴えるというふうに改正を迫ることが現実的に実現性のあることであり、またこれは沖繩以外の外国におきましても納得のいくように筋の通った方法で、これを改正する以外にないのではないかと思っております。なお滞在中にこの問題の方針をどうとるべきかにつきまして、幸いにして御関心の深い皆様のお知恵を拝借いたしまして、持ち帰りまして結論を導きたいと思っております。

小島徹三自由民主党

○小島委員 先ほどの人民党の久高さんのお話ですが、何らの権利を与えられておらない沖繩県民が、アメリカの基地を擁護するために、アメリカの軍隊の利益のために人権をじゅうりんされるようなことは納得できないのだ、だからこんなものはけっ飛ばしてしまえというような御意見がありましたが、それはそれであなたの御意見として承わっておきますが、この新刑法について、軍関係とかそういうものを除いてしまって、そうしていわゆる純刑法的なものとして一たん作る。そうして軍刑法については、これは久高さんの御意見はございましょうけれども、ここに厳然としてアメリカ軍隊というものがあって、しかも三権を握っておるアメリカ政府というものがあるという現実を認めて、そうして軍隊の擁護のために必要な規定、先ほどの言葉から見ると、皆の日本における機密保護法、そういうような性質のものを含んでおるんじゃないかと思われるが、そういう軍関係のものは除いてしまって、純粋の一般の刑法的なものにしてしまって、あとのものは何とかかんとかいってみたところで、軍隊というものが現実にある、軍の機密というものは守られなければならぬということは当然のことだと思います。日本は現在軍隊というものがないから、機密保護法はないけれども、世界のどこへいっても軍があって、軍の機密というものがない国はないのですから、そういう点は除いてしまって、新しい刑法として、あなた方は純粋の刑法というものを作って、そしてあとのことはあとのこととして、また別個の問題として取り扱っていくのだということはできないものですか。そういう考え方も考えられるんじゃないかと思うのですが、それはどうなんですか。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 お答え申し上げます。ただいまの御質問、なるほどそういう見解は多々聞かれます。今立法院における派閥の問題も、民連議員団五名を除いてほとんどが、こっちに来るときまでは一部民立法への切りかえという案でありました。しかしこの問題はそう簡単に打ち出していいものであるか、と申しますのは、現在実際日本の旧刑法というのは施行されておるのです。あるわけです。この日本の旧刑法は施行されておるのに、なぜアメリカの意図するような刑法を琉球住民の代表者が作らなければならないのか。琉球住民にはちゃんと日本の刑法があるのです。またこの一部民立法化と申し上げますと、これはこの刑法の存在というものを認めなければならぬと思うのです。この死刑法の存在を認めるということは、この刑法の意図するものが、日本政府との切りくずしで、日本政府との切断にある、もしかりにあるとすれば、この刑法は沖繩県民として認められないのじゃないかと思うのです。そういった意味におきまして、これはあくまでも認めずに、現在ある刑法をそのまま使ってもいいのじゃないか。しいてこの刑法を作るというのであれば、日本刑法に準じた刑法を作るべきであって、為政者のアメリカの意を体して、アメリカの安全のために、琉球住民の代表者が刑法を作るべきじゃないというふうに考えておるわけであります。

小島徹三自由民主党

○小島委員 いや、私はアメリカの意思に迎合するとかなんとかいうことを言っておるのじゃないので、日本の刑法が実施されておるとおっしゃいますが、あなたのお言葉を聞いておっても、もしも新しい刑法を作るとすれば、日本の刑法に準じたようなものを作るべきである、こうおっしゃるのですが、私の言っているのは、純粋の一般刑法的なものにして、それを作って、軍に関係するとか、あるいはあなたの一番しゃくにさわるアメリカの利益のためになるようなと思われるものは別にしてしまって、これは布令でやられようと、何しようと、これはやむを得ないことです。やむを得ないという意味は、現在の制度上やむを得ないのだから、それは別の手段によって削るなら削るとか、廃止する運動をするとか、またこれにかわるべきものを考えてもらうとかいうことで、一般的な刑法というものは作れないのですか。あなたは準じて作れるのだとおっしゃるから、準じて作ったらどうかと言っておる。あなたのおっしゃるのは、日本の刑法が現に実施されておる、そうすると裁判が二つになるということになる。今度新しい刑法を作ればどういうことなんですか。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 軍の裁判と民の裁判と二つあります。それからその刑を執行する場合でも、布令によって判決を下す場合と、それから布令がなければ、日本の旧刑法によって刑を課するというふうになっております。

小島徹三自由民主党

○小島委員 私の聞いているのは、布令というものは廃止して、そうして民刑法にするのが望ましいと聞いておる。そうするとあなたの立法院で民刑法なるものを作ったら裁判が一つになるのか、二つになるのですか。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 さっきからの御質問の内密は、琉球政府、立法院で勝手に刑法を作って、こういう刑法を作ったからあなた方の布令を引っ込めろという戦い方を組むというふうに解釈をしてよろしいのですか。こちらで刑法を作るというふうになるのですか。

小島徹三自由民主党

○小島委員 いや、私の聞いておるのは、布令というものをなくして、立法院が刑法を作ることが好ましいとおっしゃるのでしょう。ということは、軍の裁判じゃなくて、あなた方の方で刑法を作って、それによって裁判をすることが望ましいということでしょう。そういうことと違いますか。刑法は立法院で作っても、裁判にかけるのは軍がかけるという意味ですか。

久高将憲琉球立法院議員

○久高参考人 かなり本質的な問題にきておると思いますが、私たちは、作るところの法律が沖繩住民の福祉のための法律であればよい。アメリカ軍の基地を守るような法律は立法する必要はない、こういう考え方であります。今おっしゃるように、軍関係は軍関係、一般刑法の問題は問題として区別して差しつかえないじゃないかという御意見だったら、これは問題はないと思います。そういうような考え方であったら、集成刑法に対する問題はすべてなくなります。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 私付言いたします。これはまだ発表されておりませんので、御答弁申し上げるのを控えておりましたが、一方法として考えられていることでございます。どこまで民立法に切りかえられるか、おそらく全面的には困難かと思います。ですから可能な限り民立法に切りかえて、あとは軍の布令にまかせるという方法がありますが、その布令に対しましてもできるだけ私たちの意見を要請して、改めてもらいたいというのでございます。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 志賀委員。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 まず伺いたいのですが、今度の集成改正刑法の中に、今までアメリカの民政府、これに加えて琉球政府に対して転覆を企図した者は云云とあります。かりにこれを民立法でやる場合も一つの便法と考えられるのですが、幸いにここに諸党派の方がおられますが、やはりそういう規定は入れてよいという党派の方はございますか。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 その中には一般的なものがございますので、十分民立法に切りかえられる条文があると思っております。先ほどから申し上げますように、全面的に切りかえることは至って困難だと思います。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 委員長に御要望申し上げます。私社大党に所属しておりますけれども、行政法務委員会の副委員長として参っております。もう一人社大党所属の山城善栄君がおりますので、山城君を参考人として発言させていただきたい。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 同じ社大党ですから、あなたから……。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 社大党ではそういったことはやりません。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 それでは久高参考人。

久高将憲琉球立法院議員

○久高参考人 もう一ぺん失礼です

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 今まではアメリカ側の民政府の転覆を企図した者は云々という規定がございましたね。今度の集成刑法には、琉球政府の転覆云々ということが加わりましたが、それで、小島委員の方はアメリカは別として、こうしきりに質問がありましたが、別じゃないです、それが今問題になっているのですから。どうもちょっと小島委員の質問にはわなが設けられているのじゃないかと思いますけれども、それは別として、とにかく民立法に切りかえる場合もあると山川参考人が言われたことに私はちょっと質問したい点が生じたわけですが、あなたとしては、民立法という場合に、アメリカ側から押されてやむを得ないときに、そういう規定を民立法で出すことが沖繩の民心に沿うものであると御判断になるかどうか、こういう問題です。

久高将憲琉球立法院議員

○久高参考人 全く沿わないと考えます。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 これは現在の琉球政府の性格から申し上げます。現在の琉球政府というものは、アメリカの布令によってでき上った政府であります。それからその主席もアメリカの弁務官によって任命されております。これは普通沖繩ではアメリカの代行機関というふうにいわれております。こういった政府というものは確かに沖繩住民によって選出され、沖繩住民の選出するところの議員によって完全に司法権を握られ、ほんとうにそのように施行できるのであればそういう規定も入り用かもしれません。しかし現在の琉球政府の関係からいえば、そういったものは含めるべきではないというふうに考えております。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 法律はそれ自体を見ることも必要でありますが、そのほかに現に沖繩に起っておる事態とあわせて考えると、その性質がよりはっきりするわけでありますが、しばらく前に日本の新聞で、アメリカの軍用飛行機が墜落事故を起したために、小学校の子供たちが大ぜい死にました。このことは私どもも新聞で承知しております。そのあとでアメリカ軍当局が発表したところによりますと、故障が起ったので地上の事故を起さないために海の方向へ飛行機を向けてという処置をとった。それが及ばなかったのだという発表が日本の新聞にアメリカ側から発表されておりました。ところがどうもそのときにアメリカ軍はどういうことをしておったのか。また消防隊について私ども奇々怪々なことを聞くのであります。アメリカ軍のそのときの動向、きょうはそのことにお詳しい方がおられますが、参考人になっておられないようでありますから、参考人の方からまだ日本によく伝えられていないその事態をはっきりおっしゃって下されば、今の集成改正刑法がどういうことに一体影響を及ぼすものかということが、はっきりすると思いますから、あなた方はよく御存じであろうと思いますから、一つその点についてはっきりおっしゃっていただきたい。これは今の法律問題を明らかにする上において非常に重大な関係を持つのでありますから、特にお伺いする次第であります。

小島徹三自由民主党

○小島委員 委員長、そういう質問をお許しになりますか。本日は立法問題についての話だと私は了解しておりますが、そういう質問をあくまでもお許しになるのでしたら、また問題はずっと拡大してしまうと思います。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 志賀委員にお尋ねしますが、関係があるようなお話でありますが、どういうふうに関係があるか御説明願いたいと思います。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 では申し上げましょう。これは結局私からいっても同じことですが、小島委員、そういうことを多分御存じないと思うから……。あのときにアメリカ軍の発表ではやむを得ない事故であったようにいわれているが、あの飛行機が出るときにアメリカ軍には退避命令が出ておりましたね。それから消防隊には待機命令が出ておったはずです。そうすると、ああいう事故が起ることをアメリカ軍は予期してあの飛行機を飛ばせたということになるのでしょう。そういうめちゃくちゃなことをやっておって、これで今度の改正集成刑法が出たら一体どうなるか、その意図のほども察せられるし、それが施行された場合の影響というものも非常に大きいのですよ。委員長もそういうことは御存じないでしょう。だからここで特に明らかにしてもらったら、きょう特に参考人をこうして来ていただいた上において非常にこの問題が明らかになるのです。あまりこれを、それは関係がないからということで、ここで委員長が小島委員の発言によって押えられますと、委員長もくさいことに思われますよ。ここは一つ公平にやっていただきたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 志賀委員に申上げますが、この刑法に関する限りで御質問願います。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 それでけっこうです。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 刑法に関係ないことはあまりお述べにならぬようにお願いします。平田参考人。

平田嗣祐琉球立法院議員

○平田参考人 今の石川の事件に関連するのでありますが、当時あすこに行って写真をとることは禁止されております。と申しますのは、この写真をとることによってアメリカがあの悲惨な状況を知られたくない、沖繩ではこういうことは言わせない、というのはなぜかと申しますと、アメリカが統治しやすいためにはアメリカに対する非難というものはなるべく押えていくという方針が今までとられてきた、そのことによって今度刑法についてもそういうことが多分に盛り込まれておる点が多いじゃないかということが言えるというふうに思うからであります。と申しますのは、たとえば軍作業員は各部隊に配置されていて、部隊が待避しているのは知っておりながら、なぜ公然と口から言えないのかというと、いわゆるアメリカの軍事情報に関する情報提供、諜報機関というふうにとろうと思えばとれる、と申しますのは、あの刑法を施行するものはだれか、アメリカなのです。沖繩住民によって施行されるのじゃない。そうなってきますと、こういった大きな被害についても、であることをそのまま言えないようなところに追い込まれていく、そこに沖繩の住民が日本から助けられていく要素が多分に含まれておるというふうにさっきから申し上げておるわけであります。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 集成改正刑法のことが騒然と問題になっているときに、再三こういうことが起って、それの真相の発表がなかなか困難な状態にあるときであります。これが発表されればますますこれに対する反対の勢いが強くなるから、そういう措置がとられたのたろうと思う、こういう事実があるのですが、先ほど猪俣委員、中村委員からの質問もございましたが、日本の法務省では規定が緩和されたのだ、かえって前の集成刑法よりも権利が認められたのだというような発表がありました。そのことについてはいずれ井野法務大臣がおられますから、あなたにも伺います。刑事局長もそういう言明を新聞に出しておられます。いずれあとで伺いますが、そういう言明が日本の政府当局によってなされたことについて、あなた方参考人の方々は、日本の政府というものはまことに公平な観察をしてくれたとお考えでございますか。それともまた沖繩の一般の方々は、日本の法務省ってとんでもないことを言うものだというような気分が強いのか、その点を一つ参考人の方々にお伺いしたいと思います。

久高将憲琉球立法院議員

○久高参考人 お答え申し上げます。今の日本の法務省当局の見解に対しても、私はあの記事を見て、新聞などの記事には大きな見出しで安心してよろしいというようなことを書いております。しかし内容をこまかく読んでいくというと心配なところもある。今度は参事官のいらっしゃったときのあの集まりにも私は列席しておりますが、さっき申された通り、法的な解明だけしておられたのであって、政治的な問題に関してこの集成刑法をお聞きしたら、ここでは完全に逃げておられる。そういう関係はわからない、また担当していないと言われる。あのときにも私たちは、こんな日本の政府はアメリカの味方をして集成刑法に対してはなだめ役として沖繩に来たのではないか、こういうふうな感じを受けたわけであります。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 高橋参事官が行かれたときは、あるいは純法律的な見地から、あるいは法律理論的な見地から行かれたかもしれません。しかしながら、日本の法務省は、これは行政府でありまして、決して立法府でもございませんし、司法府でもございません。はっきりした日本の行政府のものでありまして、そこから見解が発表された場合には、これは明らかに日本の政府の見解になるのであります。そういう意味におきまして、山川さんいかがでしょうか、日本の大新聞にみなこれは取締りが緩和されたというふうに出ておりましたが、公平な政治的な判断であるかどうか、日本の政府が発表したことをあなたはどういうふうにお感じになりましたか。

山川泰邦琉球立法院議員

○山川参考人 日本政府が発表しておられることに対する感想を求めておられるわけでありますが、日本政府におきましても、一長一短があるという発表を新聞紙を通じて承わっております。旧布令との比較、従来のニミッッ布告との比較においては、政府の発表されたのも間違いではないと考えております。それは、手続を整備し、被告人の権利を擁護した面が明らかにされておりますので、そういうような点をとらえたのだろうと考えております。一長一短あるというその短所と申しますのは、政府においてどこをさしておられるのか、具体的にはわかっておりませんが、何しろ英米法と日本の大陸法系の慣習ですか、抽象的な面が英米法にはありますし、またあちらには陪審制度もございますが、琉球はアメリカ法の範疇と申しますか、そういう流れにおいて集成刑法ができているのでございますが、判事の権限と申しますか、判事の裁量が非常に幅広いので、やはり沖繩でこれを実施する場合に、裁判所制度においてもアメリカの制度をとらなければ十全を期することができない面もありまして、そういう点に対しまして私どもいささか懸念を持っているのでありますが、そういう手続の関係、これから法を実施する場合に裁判所判事の良識がなければ間違いを起すおそれもありますので、そういう点をさしているのかどうか私にはよくわかりませんが、そういう点では確かに短所もありまして、日本政府の見解発表は具体的な法文に対する事務的な発表かと私たちは解釈しているのでございます。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 ほかに議事がありますから、これで最後にいたします。一九五七年に発表されましたアメリカ大統領行政命令によりますと、高等弁務官は、琉球列島にある人々に対し、民主主義国家の人民が享受しておる言論、集会、請願、宗教並びに報道の自由、法の定める手続にようない不当な捜査並びに押収及び生命の自由または財産の剥奪からの保障を含む基本的自由を保障しなければならない、こういうふうに書いてあります。先ほど私が飛行機事故について申しましたのも、アメリカ側はこれが危険であるからといって自分の国の軍隊の沖繩にいるものに対しては飛行機が落ちた場合の惨害を受けないように退避命令を出しておる。消防隊には落ちることを予定して出動の待機命令を出しておきながら、沖繩の小学校の子供たち、沖繩人に対しては何も言っていない。今の大統領布告に対して明らかに違反することをやっておる。今度の集成改正刑法がこの大統領命令にちゃんと合致しておるか、このことだけを簡単に伺いまして、あと質問は質問で別にいたします。

又吉正雄琉球立法院議員

○又吉参考人 具体的にどの条項が大統領行政命令に違反するかということは申し上げかねますが、この新集成刑法の中にも、あるいはまた布令百四十四号、現行刑法の中にも、大統領行政命令に違反する条項が相当に見受けられるわけでございます。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 これで一応終ります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 それでは参考人に対する質疑はこれで終了することにいたします。  参考人の皆様には、御多忙のところをいろいろ参考になる御意見を発表していただきまして、ありがとうございました。     —————————————

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 次に、法務行政及び検察行政に関する件について調査を続けます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 実はこの沖繩の集成刑法の問題につきまして、政府当局にいろいろ具体的に質問をしたいと存じたのであります。しかし非常に時間が経過しておりますし、いま一つの私の人権問題に関する質問に対しまして厚生省の局長さんがさっきからお待ちかねでありまして、はなはだお気の毒でありますし、沖繩問題については相当政府当局の所信を伺わなければならぬ点がありますので、他日を期することにしまして、厚生省関係及び法務省関係の問題だけ質問いたしたいと思います。  それは新潟県の高田市の国立病院におきまして非常に現代離れのしたことがあったのであります。それは、この国立病院の看護婦さんたちに対しまして、いわゆる出産制限というものをやった。これが相当長い間守られて参りましたが、ついにこれに対して新しく妊娠した婦人から異議を申し立てられまして、先月の二十日ごろ私は頼まれてこの国立病院へ参りまして実情を調査いたしました。それが新聞に発表せられたのであります。それは、結婚した看護婦さんが二十四、五人ありますが、結局その二十四、五人の間に割り当てて一年に子供は四人しか生まぬ。そこで順番をきめまして、その順番に当らざる者は堕胎してしまう、避妊してしまうということが実行されておったのであります。ところが四人以外に五人目の妊娠した者が避妊を拒むということから問題がこじれて参りまして、これが明るみに出たのであります。かような国立病院におきます看護婦の出産を制限するというようなことは、これは基本的人権以前のものかとも考えられるのでありますが、かようなことにつきまして、人権擁護局でもお調べになったはずであります。局長はお帰りになったようでありますが、法務大臣の方に何か報告がきておりましょうか。人権擁護局がそれに対してどういう調査の線を出したのであるか、もし報告がきておったらお聞かせ願いたいと思います。

井野碩哉自由民主党法務大臣

○井野国務大臣 人権擁護局から報告はきております。大体今お話のような事態がありましたが、最近組合の方からやかましく言って、結局その協定を取り消したという報告がきております。それで一応問題は片づいたという報告はきておりますが、今お話のような事態は人権擁護上まことに重大な問題だと私は考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 なお今全国的にかようなことであるかないか調べておるのでありますが、こういうことが実は埼玉病院にもあるわけであります。それは看護婦は全部寄宿舎に入って通勤を認めない、そこで結婚して通勤する者はやめなければならぬということになって、それがずっと実行されているというようなことであります。これも私は尋常の自然の姿ではないと考えるのでありますが、かようなことが行われている。全国的に調査いたしましたならば、なお相当こういうことが行われているのじゃないかと思います。厚生省の局長さんに伺いたいのでありますが、全国的にこういうことがあるのかないのか。つまり看護婦というものは全部寄宿舎制度にしてしまって、通勤しなければならぬような者はみんなやめてもらう、そうすると、看護婦を勤めている間は結婚もできないということが起って参りますが、かようなことが他にもやられているのであるか、しかもそれはやられておっても認められているのであるかどうか、やむなしとして認められているのであるかどうか、そういうことについても御所見を承わりたいと思います。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上説明員 ただいまのお尋ねは、看護婦を全部寄宿舎に入れるようなことを厚生省がきびしく指示しているのかというようなことであると思いますが、御承知のように、病院の看護業務というものに支障を生じさせないようにするために必要な程度の看護婦が寄宿舎に入ってもらうということが、大へん望ましいというように私は考えているわけでございますけれども、しかし、それを強制するとかあるいは寄宿舎に入らなければやめさすとか、そういうことは行き過ぎでありまして、私の方はさような指導をいたしていないわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは法務大臣並びに厚生省の局長さんにお願いいたしておきますが、かようなことは人権侵害になると思うのであります。この高田におきまする問題が明らかになりますと、今法務大臣が御説明になったように、一応これが取りやめられた形になっているらしいのであります。ところが、一体この出産制限のきまりみたいのができましたのは三十一年の八月二十二日なのです。これに対しまして病院側は、自分の方ではそういう指令をした覚えがないということを言い張っておりましたが、当時そこに、現在でも勤めておりますが、大塚というタイピストがおって、それが実は病院側の要請によって、その規約をタイプに打ったという証言をいたしました。そこで病院側が言ったことが偽わりであるということが発見されてきた。これは人権擁護局の高田で調べられたときはまだ出ておらなかったことで、最近わかったことであります。その大塚というタイピストがそういうことを申しまして、平川という、当時の高田の国立病院の課長——今この人は第一病院の会計課長をやっているそうでありますが、この人が高田の国立病院の課長時代、大塚というタイピストにこういう規約を作れということで打たして、これを看護婦の組合の諸君にのましたというのが実情であります。ところがさようなことはあずかり知らぬと今まで病院は答えておりますが、大塚タイピストの証言によって、この平川という課長がタイプに打たしたということが明らかになった。そういたしますと今病院では大塚というタイピストに他に転勤せよと迫っているようであります。中村総務課長が、高田の国立病院におりますが、それがとにかくこの大塚というタイピストにどこかへ行ってくれということを言って、大塚タイピストは非常に困っているという情報が昨日私の方へ入ったのであります。これは人権擁護局としてもあるいは厚生省としても、かようなことがありますならば、事実調査をして阻止していただかなければならぬ。はなはだ不課慎な国立病院の態度だと、私は憤りにたえません。間違ったことをお互いに改めたというならまだいいけれども、かようなことによりまして、看護婦やタイピストを圧迫するというようなことは、人権の尊重——これがなぜ新聞に大きく取り上げられたかという根本のことに対して認識が欠除していると思う。さような態度に対しましては、法務省からもあるいは監督官庁である厚生省からも適当な注意を与えていただきたい。なおそれを否認するならば、国会でも全部調査しなければならぬと思うのでありますが、これは私は注意だけ申し上げておきます。  なお、厚生省の訓令第一号で、看護婦の勤務時間は四十八時間というふうに指定されているそうでありますが、普通の事務系統のものは四十四時間が普通の勤務時間になっているわけであります。これは看護婦だけが四時間超過しておりますが、さればといって超過勤務が出ているわけでない。一体こういう厚生省の訓令が出ているのですか、おらぬのですか、それについてお答え願いたい。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上説明員 ただいまお話がございましたタイピストが打ったという文書の点でございますが、これにつきましては全く病院側の一方的な提案によるものだということにつきましては今のところ必ずしも明らかでないのでありまして、昭和三十一年の七月ごろ通勤者が多く出ました。ことに結婚する看護婦などもふえて参りまして、産休などがだんだんふえました関係上、患者の方からも苦情が出て参りましで、病院の方といたしましてもどうしたものだろうか、結婚しました看護婦の間でもどういうふうにしたらよかろうかというようなことでいろいろ相談をいたしまして、そうしてその結果従来の実績に照らしまして、大体四人くらいの産休ならさして患者さんに迷惑をかけることはあるまい、そういうような報告をいたして、その線で組合員などとも相談をいたしまして、そうしてむろん最後は結婚いたしました看護婦さんなどもその点を了承しまして、病院も看護婦さんもそれから組合側も一応納得した線でその文書が作成せられたものだというふうに報告を受けておるわけでありまして、この点さらに調査を進めてみなければならぬと存じておるわけであります。  それから、ただいまタイピストがそういうことを申したために転勤をするようにというようなことの話を受けておるというようなことは、きょう実は初めて承わることでありまして、よく取り調べまして、そういうことのないようにいたしたいと存ずるわけであります。  今看護婦さんの勤務時間は、一般の公務員が四十四時間であるのに、四十八時間になっておるのはどうかというような御質問でございますが、事実看護婦の勤務時間は人事院の承認を得まして四十八時間になっておるわけです。これは御承知のように看護婦の勤務態勢からいたしまして、土曜に休むというようなことあるいは日曜に休むというわけにもなかなか参りませんので、自然そういう勤務時間に相なっておるわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 実はささいなる問題のようでありますが、これが大きな問題になりましたとは、相当各地の国立病院にあることじゃないか。国立病院にあるくらいだから、その他の病院においてもあるのじゃないかということでこれが問題になったと思うのであります。そうして今あなたのおっしゃったように、なるほど一応組合の人が納得したというのでありますが、それは半ば強制的で、というのは、この埼王病院は全寮制をとっておる。これと同じことを高田病院で実行しようと考えた。結婚しようがしまいが、全部寄宿舎に入れる。そこで非常に困りまして、そこからそれくらいならば外勤を許してくれ、そのかわり子供を生むのは遠慮するからということで、これが取引された、悲しい、哀れな事情から来ているのですよ。だから承認したからというようなことでその底を掘り下げなさらんと、僕は大きな問題があると思う。それは外泊を禁止しようとしたのに対しまして、結婚した人がそれではたまらないということから、子供を生むことを犠牲にして夫婦生活を行うということになったというのでありまして、人道問題です。そういうことからきておるのであります。ですから、組合が承認したということだけで問題がないということにはならない。しかし今日これは是正されておると思いますので、これ以上御質問申し上げませんが、この問題は実に人権以前と申しますか、憲法の保障する健康にして最低の文化生活などからはるかに離れた原始的なものだと思う。自分の子供を生めない、しかも国立病院の看護婦さんがそういうことになるということは、実に哀れな話だと思うのです。根本的に国立病院に対する国家の考え方が違っておるのじゃないか。厚生省にお考えになっていただきたいことは、国立病院は独立採算制とか、何かそういう原則で運営される。なるほど国家の財政を倹約することはいいんだが、つまらないところにはどんどん金を出しておきながら、こういう厚生行政の第一線に立っております国立病院を中小企業みたいにしてしまって、赤字になった場合には看護婦の首を切るというのが常踏手段。この高田の国立病院もそのために看護婦の整理が行われ、そこで院長は新たなる臨時雇でも頼めば幾らでも処置のできることであるが、そうするとまた赤字がふえるというようなことから、こういう出産制限ということまでやらしてきた。その根底は、独立採算といいますか、まるで企業体みたいにして国立病院を運営しようとする根本概念にあると思う。厚生省としては予算編成に対し強く要望すべきだと思う。国立病院を必要とするところは、たとえば私の郷里に行きますならば、新潟県の東頸城郡の大島村、ここはほとんど半年は六尺の雪に埋もれて医者もいない、ここに国立病院があります。そのためにこの付近の人が相当の設備と相当の医者の診療を受けることができまして、この山間部の人がどのくらい恵まれているかわからぬが、赤字です。これはわかり切っています。山間僻地のところに相当の医者と相当の設備をやる以上は、赤字にきまっておる。そこに国立病院を建てるということが元来の本旨です。どんどんもうかって黒字になるようなところは町の病院、私立病院にまかせたらよろしい。しかるにかかわらず、赤字になるということで看護婦の首を切るか、看護婦の子供を生ませないことによって調節するということは、全く言語道断の態度だと思う。あなた方がこういう態度をおとりになっておるということに対しては、私どもは全く理解できません。こういう国立病院の独立採算制が赤字になれば看護婦の首を切って埋め合せをする、そういう方針に対してどう考えますか。これは人権問題ともからみます。私どもは国立病院なんて赤字になるのは当然だと思う。それだけ社会奉仕ができる。それをつまらないところに金をどんどん使って、こういう一般の恵まれざる地域の人々に対する厚生施設というものに対して、独立採算制などといって、そのしわ寄せが看護婦さんあるいはお医者さんに及ぶ、こういうばかげたやり方というものはないと思う。それに対してのあなたの御感想を承わりたい。実は私は渡邊大臣に聞きたかったのですが、社会労働委員会に行ってここに出てきませんので、あなたにお聞きするのです。私は渡邊大臣には通告していたので、あなたは大臣と十分打ち合せてきたことと思う。そこで大臣としての答弁をあなたやって下さい。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上説明員 どうもこのたびの事件は、その動機とか経過とかはどうありましょうとも、まことに遺憾なことであると思っているわけでございます。私の方もはなはだうかつでありましたけれども、最近までそういうことを知りませんで、さっそく院長に十分注意をして今後を戒めたわけであります。実は三十二年の七月ごろ産休の代替要員の問題が出まして、三十二年のその年から代替要員の予算を確保いたしまして、三十三年、三十四年と二年にわたりまして代替要員の養成につきましては全部これを承認いたしまして、産休がありました場合にも、かわりの者を入れてこれを補うというような措置をいたしております。ただいまお話がありましたように、特会だからこういうことになるのだというようなおぼしめしのようでありますけれども、高田病院は確かに赤字を続けておりまして、そういう点で院長もあるいは要請するところを遠慮したというような点もあったかと存じますけれども、私の方は特会であるから、あるいは赤字であるからということで、特に人員を制限するとか、あるいは設備すべきものを怠っておるというようなことは実はないのでありまして、そういう点はぜひ御了承をいただきたいと思います。しかし、ただいまおっしゃったようないろいろな企業的な経営をすることはむろんおもしろくないことでありまして、普通よりも建物は粗末でありますけれども、医療そのものは非常にまじめに、いわゆる科学的で適正な医療をやるように、それが国立病院の身上であるからというような話をしておるわけでありまして、そういう点十分御趣旨を体しまして、今後は無理のないような工合に努力いたしたいと思います。大臣もさように申しておるわけであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 これは朝日新聞の天声人語に出ていたのですが、二、三人の臨時雇を入れればすぐ解決するのに、それを看護婦の出産制限なんという非人道的なことをやっておる、これが非難されているのは、私ももっともだと思う。これは臨時雇を少し雇えばすぐ解決する問題なんです。産休の予備人員費というものは五十六日分出ておるそうであります。一日二百八十円、これが大体安過ぎる。二百八十円ではろくな者は来やしません。今高田病院は、この問題から臨時雇を募集しておるようだが、たった一人しか応募者が来ない。あるいは産児制限をされちゃたまらないと思って応募しないのかもわかりませんが、困っておる。一日二百八十円、五十六日分だけがあるが、これも少な過ぎますが、とにかく子供を生みたい者には十分生ませて、そしてまた十分患者にも親切にやってもらう。出産制限をしますと看護婦は皆ヒステリーになりまして、患者によく当らぬのであります。これは人道問題です。国の予算からそういうことが起るのであったら、これは政府の大きな失政だと思うのです。福祉国家だの何だのと言ってみても、実際には全く実行されておらない。私はこれは厚生省の味方をするのですから、あなたはうんとがんばって下さい。もっと厚生省は予算をとって、そうして国立病院こそは、赤字であっても、ほんとうにみんなが、貧しい者でもいい医者といい設備にかかれるようにしていただくことが必要です。これは法務省にも関係があります。法務大臣もこれに対してもっと力を入れる、そうすれば妙な危険思想を抱く者も少くなる。そうするとあなたの方の治安関係にも影響する。ですからやはりこの看護婦の人権問題を解決する。それから今度は健康にして文化的な生活を営まれるような憲法の実現に向って努力する。こういうことをしなければならぬと思うのですが、どうも現政府の福祉国家論なんというものは、口先ばかりであることは、こういうところから暴露してきます。ですから、もし岸内閣が大いに福祉国家論を振り回したかったら、厚生省の予算をたくさんとって、国立病院の看護婦をしてやすやすと子供を生ませるように一つ御努力願いたい。  これはすでに解決の緒についておることですが、なお厚生省及び法務省にお尋ねしたいことは、こういう非人道的なことが予算関係からも、高田病院だけでなく、他にもあるのではないか、それをみんな泣寝入りしているのではないか。高田の国立病院の院長さんはよく知っておりますが、いい人です。こんなことをみずから買って出る人ではない。赤字方々というので、しょっちゅう上の官庁からいじめられて、やむを得ず泣いてやったことではないかと思う。だからこれは人間関係ではなくて、予算関係だと思う。国立病院を独立採算制といったような形で考えてくるところから起ってきた問題であって、その根本理念を改めなければならぬと思う。だから国立病院で他にもこういうものがありはしないかということを監督官庁等で御調査願いたい。  なお法務大臣にも言っておきたいのでありますが、同じ高田地方の教員組合から、ある学校の校長で教員が妊娠したということをもって、子供を生むな、おろしてしまえと強要した事件が発覚してきました。近ごろせちがらくなって、子供さえ勤め人は楽々生めないような時代は、どうも戦前よりも悪くなったような気がするのです。そういうことが全般的にあるのではなかろうか、これは人権擁護局でもやはり特別に調査していただきたいのです。こういうことは許すべからざることだと思うのです。私はキリスト教信者でありますが、聖書には生めよふやせよ、地に満てよとある。そうするとそんなにふやしてどうするのだ、食えなくなるではないか、そうじゃないのです。キリストの精神を実行すれば、ふやして地に満たしても、みんな食えるのです。それをキリストの絶対平和主義などを捨てて、そうして原爆だの水爆だのとばかげた軍事費なんかにばかり巨額の金を使うから、お互いに食えなくなるようなことが起ってくる。だからキリストの精神を生かせば、生めよ、ふやせよ地に満てよで暮せる。キリストがちゃんと約束している。私は肴濃婦諸君にそういうふうに言って説明したが、結局において厚生費用というものが少いからこういう問題を起す。そして子供を生めないなんということは、最も大きな人権じゅうりんだと思うのです。自分の子孫を残すことができない、それに干渉されるということは、憲法の基本的人権以前の感覚です。かようなことはやはり徹底的に調査していただきたいということを、法務省、厚生省に強く要望いたしまして、私の質問を終ります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 神近市子君。

神近市子日本社会党

○神近委員 きょうは沖繩県民の人権の問題から高田の看護婦さんやタイピストの人権の問題まで論議されまして、まことに国会の中は人権擁護の花盛りのような感じがいたしますけれども、一歩外に出てみますと、至るところはなはだしい人権じゅうりんが行われているのでございます。私は今まで書斎人として暮してきましたので、あまり荒っぽいところは実際に見たことはなかったのでございます。ところが先月の十七日、十八日と続いた問題に偶然行き会わせまして、これは大へんなことだという感じを持ったのでございます。特に十八町の田原製作所の問題では、塙治さんという人がなくなっております。このことはあとでまたいろいろとお伺いしたいことがあるのですけれども、ともかくその第一日は踏み殺されたというような事態であった。そして、私は病院にも行ってみましたけれども、奥さんに会い、子供に会いいたしまして、その人柄をいろいろ聞いてみますと、機械操作の技術者であったということですが、非常に着実な人であり、八年間非難なく勤めた、仕事の上で非常に熱心な人であった。また家庭の事情を聞きますと、奥さんが病身でございまして、子供さんが一人あるのですけれども、その奥さんの仕事まで、お洗濯や掃除までこの人はうちに帰ってくると家庭でやっていて、別に遊び回るとか酒を飲むとかということはなかった、まことに非難のない労働者でありまして、代表的なよい労働者であった。この人があの大瞬ぎのときに災難をこうむって、そして踏み殺されたか、あるいは刑事局長や長官はまた別の表現をなさるかもしれませんけれども、どうも事実として私どもそこに、いろいろの事情を公平に考えていくと、あの警察の出動があったということが原因しているように考えられます。この沖繩の問題あるいは新潟の問題と並んで、日本の現状がこれでいいのか、一体どこへ日本を連れていこうとなさるのか、そのためには何をなさらなければならないかということを私は考えていただきたいと思います。  第一に、こういう争議の場合に、人が踏み殺されるというようなことは——これは踏み殺されたのではない、心臓狭究症だとおっしゃると思うのですけれども、この死んだということは第一番目であるということですが、これに対して一体法務大臣はどういうような御感想をお持ちになるのか。それから責任は、これは殺された者が争議に参加していたから個人の責任だ、そういうように割り切っておいでになるのか、まず第一にそれを伺わせていただきたいと思います。

井野碩哉自由民主党法務大臣

○井野国務大臣 田原製作所の問題は新聞等でもいろいろ拝見し、また国会の委員会でもいろいろ議論になっている問題でございまして、中小企業の労働争議がまことに最近激発しており、優慮にたえないと思います。今のお話の方が殺されたという話は、私は神近委員とは違って聞かされておりまして、狭心症ですか、それでたまたま死んだというように聞かされております。しかし、そういった騒ぎの中に人が死ぬということはやはり大きな問題でございますので、その点につきましては十分警察当高等と、それに対してどういう処置をとるかということは今後も考えていかなければならぬと考えております。なお詳細は警察庁の方から御答弁願いたいと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 局長から御報告を受けておられるでしょうけれども、そのときの状態は、今法務大臣のおっしゃったことによりましても、われわれがここいらが真実であろうと思うこととやはりちょっと違っております。ですから、あなたの方でどういう報告をお受けになっておるか、その事実として報告されている部分を、一つ簡単でけっこうでありますから、おっしゃっていただきたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 検察庁の取調べの結論はまだ聞いておらないのでございます。東京地方検察庁からの報告によりますと、八月十九日——事故の発生いたしました日でございます。午後二時四分ころ城東警察署から、そういう事故が発生したという電話の報告がございましたので、ただちに地方検察庁の検事三名と検察事務官八名が現場におもむきまして、概況の調査をいたしました。それに伴って必要な措置を講じたのでございますが、きわめて概要でございますけれども、御報告申し上げますと、これは順序として死体の検視ということをやるわけでございます。まず検視をいたしまして、それはその日の午後六時過ぎから被害者が収容されておりました一盛医院というところで検視をいたしましたが、その結果によりますと、——結論だけを申し上げますと、死体には外傷はなかったようでございます。それから着衣も正常に着用した状態になっておったようで、そのほか外面には土足によって踏みつけられたり足げにされたりといったように、思われるような痕跡等の異常な状態は見受けられなかった、また着用しておりましたズボンの各ポケットに入っておりましたタバコとか紙きれ、マッチの箱等も、いずれも正常な形状でそのまま入っておったというような事情でございまして、外部所見におきましては、死因はわかりませんで、外部からの力の作用があったというふうには認められない状況であったようでございます。これが検視の結果でございます。そこで、検察官は東京地方裁判所の裁判官の検証令状をもらいまして、事件発生の現場についてその日に検証をいたしております。この現場検証の結果も、今御質問の点に直接触れるような特異な状況は報告の中には出ておらないようでございます。  それから、さらに引き続きまして、検視の結果、死因の点は不明でございますけれども、組合側の方では警察官に踏みつぶされて死んだのじゃないかというような主張もあったようでありまして、さしあたり検察官としましては、事件を傷害致死事件——被疑者はまだ捜査してみなければわからないというので、そういう事件としまして、同じ日に東京大学の法医学教室に死因の鑑定を嘱託いたしております。八月二十日、東京大学の上野正吉教授らの執刀のもとに解剖が行われたのでございますが、その結果判明いたしましたところによると、死因は心筋梗塞——病理学的に申しますと狭心症ということが判明をいたしました。そのほか、外力が加えられた点は、解剖の所見におきましても認められておりません。死因の誘因となりました外力が存したという、その証拠となるものも全く見当らないということでございました。この正式なこまかい書面は九月の中旬過ぎにならないとできないそうでございますが、一応そういう結果だけの判定は出ております。なお、被害者につきましては、同じような心臓病で前にも医者の診断を受けたことがある模様でございまして、上野教授の解剖所見におきましても、長期間心臓病にかかっておったと見られるところがあったようでございます。こういう次第でございましたが、八月二十七日になりまして、城東警察署長その他警察官多数に対しまして、関係の被害者の奥さんであります塙しげさん外十四名の方から告訴が出ておりますし、さらにまた太田薫さん外三名の人からも告発が出て起るわけでございます。そういう事件と、さきに申しましたように被疑者不明ということで、事件を検察庁としても立てておりますが、この両事件はいずれも関連しておりますので、さらに引き続いて捜査をいたしております。捜査します理由は、なお現場において、具体的にどういう状況のもとでそういうものが発生したかということを見きわめませんと、犯罪の成否というものが決定できないわけでございます。今お話のように、警察官ともみ合いの間に、その力によってかりに発生したとしましても、その警察官に責任があるかどうかということは、具体的状況において警察官の処置が適法妥当であったかどうかというようなことと関連があるわけでございます。従いまして、そういう点についてただいま捜査をいたしております。そういう状況でございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 今報告を城東警察署からお受けになったのは二時四分とおっしゃいましたね。それで私が伺いたいのは、この検視というものは、封建時代から、死者が出たというときには即座に行われるのが常識でしょう。今はどういうようにその報告を受けて、すぐに検視なさったかどうかということを承わりたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 午後二時四分ごろに警案署から事件発生の電話の連絡をいただきました。従って、直ちに、先ほど申しましたように、検事三名、事務官八名をもちまして、現場におもむいて概況の調査をして、それぞれ手当をした上で、さらに被害者が収容されておりました医院に行って検視をした。その検視の時間は午後六時過ぎごろ、こういうことであります。

神近市子日本社会党

○神近委員 その事実は知っておりますけれども、この連絡が刻々にきた状態では、検事さんたちが途中であまり時間がかかったのですよ。今検察庁で相談をしている。その次には城東警察署に行って打ち合せをしている。そしておしまいに六時何分、私はその時間まで待っていられなかったから帰ってきたのですけれども、状況の検証ということもあるでしょう、だけれど、死人を縁もゆかりもない病院にころがしておるのです。それを始末することもできないし、また近寄ってもいけないし、ちょっと顔ぐらい家族の人たちがのぞいて見るというような状態に、三時間も四時間も放っておいたということは一体どういうことなのか、現場の検証ということはあとからだってできることでしょう。ともかく死者に礼を尽させるという点からも、私は検死を急がれるべきじゃなかったかと思うのです。何を一体打ち合せて、そして口うらを合わせるか何かで、非常にみんなで不快の念を持ったのです。私は、それだからそういう死者が出た場合に検視は急がなくともいい、あしたの軌やってもいいのですかということを伺っておるのです。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 最後の御質問の点がわかりませんでしたが、検視は朝やってもよろしいかという御質問でございますか。

神近市子日本社会党

○神近委員 だらだらと、ある事務の打ち合せの方が大事であって、こういう被害者が出ているというのをころがしておいてもいいかということで、その場合の私の感情では、殺された人がある、その人を早く検視をするというのが検事さんの第一の任務じゃないかということを考えたわけです。それで普通、たとえば交通事故の場合なんかはすぐ来ますよ。だけれども、この場合は五時間も時間をかけたというのはどういうことでしょうということ、私はそれによっていろいろの疑いをこの周囲にまき起しているということを申し上げているわけであります。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 御質問の趣旨はよくわかりました。検視を先にすべきではないかということになるわけでありますが、仰せの通り、検視をしました結果、さらに検証をする、あるいはそこに犯罪の容疑が出てくればさらに捜査を進めるというのが、死体がありました場合の捜査の順序でございますので、まず第一に検視に着手するというのが通常の捜査の方法だと私も思います。それではなぜその間に地検が時間をとったかという点につきましては、これは報告でばつまびらかになっておりませんのでちょっとお答えできませんが、ことにそういったような気持でいる遺族にとりましては、三時間も四時間も放置されておるということは気のせく話でございまして、ごもっともと私も思いますが、通常の手続としましては、まず検視に着手するというのが順序かと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 かつぎ込まれた一盛という病院だって、ずいふん困っておりましたよ。検視の人が来ない、生きていれは治療ができるけれども、もう死んだということがわかれば、手をつけることはできない。それで借りられた一室にこれを寝さして、そうして迷惑だ、迷惑だ——それは組合の人でも家族の人でも、いても立ってもいられないだろうと思うのが、私のそのときのやるせのないふんまんだったのです。なぜ早く検視をして下さらないか、そうしてこれはどこに運んでいいということ——まあ局長が同じ考えをお持ちになる、そうして今九月の何日までかからなければできないような報告書を作らなくちゃならないこと、事実を書いていくわけではないのだろうから、何かつくろって書かなくちゃならないからそんなに時間がかかるのでしょう。文書を書いた経験があれば、あの報告書なんか一晩でも二晩でもできるはずなんですが、そのことはおきます。ただそのときに、私どもは二日続けて聞きましたことは、警察の人がなべのふたのようなものを持ってくるのだそうです。四角にできておりまして、魚を四角に落してあって、警棒のほかにこれを持ってくる。私は当委員会に、そういう場合の攻撃という言葉はおきらいかもしれませんが、ともかくそういう場合に使われるその武器と思われるもの、これを警察はおそらくなかなかお出しになりたがらないと推察しますので、法務大臣にお願いいたしたいのは、そういうものが使われているということを御存じの上で、一つ現物を見せていただきたい。それが事実であるのかどうかという立証のためにお願いしたいのでございます。

井野碩哉自由民主党法務大臣

○井野国務大臣 ただいまの問題は、警察庁長官の方でありまして、法務大臣がここへそういう資料を持ってくるというわけには参りませんから、警察庁の方によく伝えておきます。

神近市子日本社会党

○神近委員 一つその点、おもしろいものらしいので、これからもいろいろ起る問題でございましょうから、ぜひ一つ委員長の要請によって……。何だかなべのふたのようなもので、左でこれを使うのだそうです。そうして、もし工合のいいときばこれであごを突きます。それで凶器のようなものでなくて実効はあるという。自分の顔を保護するとぎには、これを鉄かぶとの下にくっつけるのだそうで、攻撃にも守備にも非常に都合のいい、なべのふたのようなものだということを聞いております。今日の警察と労働組合との紛争には非常にいい材料といいますか、われわれが実情を見ない場合にも想像のできるものだと思いますから、一つぜひ見せていただきたい。これを私はお願いいたします。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 警察庁長官に私からお尋ねしますが、実はそれは警察庁にはないのだそうです、そこで、これは現場にあるわけでしょうから、警視庁その他から取り寄せができるかどうか、お伺いします。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 今お話のようなものは武器ではございませんで、たてと申しております。これはかつて火焔びんが盛んに使用された当時、警察官の護身用として火焔びん闘争等に対処するために必要に応じて都府県で作っておいたものを、現在も必要に応じて使用するということにいたしておるわけであります。従って、警察庁としてこういうものを作って、こういうふうに使えというふうな指示はいたしたことはございませんが、石を投げられるとか、竹で突っつかれるとか、そういうようなものを防ぐ、もっぱら防御のために用いているものであります。これは何もごらんに入れて少しもおかしいものではございませんので、警視庁に連絡して必要な時期に見ていただくことにいたしたいと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 それならあなたの部下の各署にあるはずですけれども、もしここにもない、あそこにもないと言われると、あなたもお困りでしょうから、池袋警察署と城東警察署にはあるはずですから、これをお取り寄せになる場合によく御記憶になっておいていただきたい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 警視庁にあることは私よく承知しておりますから、どこの署ということでなしに、必ずこれは警視庁から出すことにいたします。

神近市子日本社会党

○神近委員 ありがとうございます。  それから実は、私はあんまり時間がたくさんございませんので非常に飛び飛びで、あと同僚委員からいろいろお尋ねいたすことになっておりますけれども、私はこれは法務大臣にも聞いていただきたい。実に憤慨にたえないと思いますのは、実態は見た方がありますから、また御質問いたすと思いますけれども、この五日の朝日新聞に出ておりました、福岡における何々鉱業所というものとの紛争を仮想した練習であります。あれは偶然に私どもの注意に乗りましたのか、それともしょっちゅやっていらっしゃるのかどうか。その訓練の結果が田原製作所あるいは成光電機というような形で現われてきたのか。あれはしょっちゅう日常的にやっていらっしゃる訓練なのか。あるいは最近何かの動機で思い立たれた訓練なのか、それを一つ承わりたい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 福岡におきまして警備訓練をいたしたのが、朝日新聞に出たことを私も知っております。警察といたしましては、必要な状況下において警備の実施をいたすために、平素訓練をいたしておるわけであります。災害警備あるいはその他の警備、いわゆる暴動的な警備というようなものについても、平素訓練を積んでおかなければ、十分警察の活動ができないわけでありますから、決して何かの目的で思いついてやったというものではなくて、平素そういう訓練を積んでおるわけでございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 平素ああいう種類の訓練をなさるということは、私はとんでもないことだと思います。一体警察官というものは、一つの階層のためにだけあるわけではないのでしょう。私は時間があればもっと法律と実際の行政とについての今日の開きというものがあんまりひどいということを申し上げたいのですが、あんまり時間がないのでそれは申し上げられません。これを竹内局長と議論しているひまはございませんけれども、とにかく良民というか、労働者というか、農民というか、これは今はあなた方の目標は労働者であり、炭鉱労働者であるでしょう。整理される労働者というものが想定されている。ああいう訓練をぬけぬけと国民の前で、平和な国民の生命財産を守るという一元的な目的がある人たちが、国民の一部を仮想敵にしてああいうことをやられるということは、私はもう大へんなことだと思う。私がこの間内乱状態じゃないかというようなことを言うほど激しい状態を見て、私はほんとうに肝をつぶしたのです。法務大臣に私が最初にこの質問をいたしましたのは、一体国の政治家として、こういう状態を置いておいてよろしいのですか、これを何とか是正する努力をなさるべきじゃないかということを私は言うつもりでお尋ねしたのです。それを、ぬけぬけとやらせておりますというようなことを国会であなたがおっしゃるということは、いかにあなた方の意識が一方的なものになっておるかということを語るに落ちたお話だと思うのです。私はその点では納得できないものを感ずるものでございますが、あれを続けてやらせるおつもりですか。それならば、今は炭鉱労働者だけですけれども、また景気の変動であるいは船会社であるかもしれないし、あるいは繊維会社であるかもしれないし、あるいはその他の会社であるかもしれない。そういう場合に、あれを続けてやるというような——私は無抵抗とは言いませんよ。しかし、なべふたも私は行き過ぎだと思います。火焔びんができたからというが、もう火焔びんもなくなったのです。それが役に立っているということですが、なべぶたは集めて火をつけて焼いてしまった方がいいと思いますけれども、やはりああいう訓練を隠れてなり、大っぴらになり、またこれからもやるおつもりですか、ちょっと伺わしていただきます。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 何かただいまのお話によりますと、警察が一方に偏して訓練をしておるというふうなお言葉でございますが、われわれは絶対そういうふうには考えておりません。警察といたしましては、たとい使用者側であろうと、あるいは組合側であろうと、あるいはその他の集団的な暴力であろうと、不法行為というものを取り締るという立場におるわけでありまして、不法行為が行われた場合、しかも集団的に相当の力をもって行われるという場合において、正常にするというための警察活動というものは当然なければならないわけであります。これは法の秩序を守り、国を安泰にする、社会を平穏にするという意味から、警察の責務として、われわれは警備活動というものを重視しておるわけであります。そういう意味において、たまたまあのとき〇〇鉱業所という看板を掛けたということ、これはどういう理由で掛けたか聞いておりませんが、これは、一つの想像では、この前志免炭鉱で非常な強い坐り込み戦術で交通が妨害されたというときに、警察が非常にてこずるというか非常な時間をかけてこれを排除せざるを得ないというような状況があったわけでございまして、そういうことを思い出して、あるいは〇〇鉱業所と書いたのかと思いますが、それはともかくとして、警察としてはいたずらにだれを敵視するとか、だれの味方をするとかいうような考えは毛頭持っておりません。不法な集団的行為に対して、必要な場合においてはこれを制圧せざるを得ないという際に、それだけの力を平素訓練いたしておくということは、当然であろうと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 それはあなた方が平素からだを訓練するとか、あるいは柔道をやるとか、剣術をやるとか、個々の場合でからだの訓練、力の養成をなさるということに私はちっとも異議はないのですよ。それであなた方は警棒を初めとしてちゃんと武器も与えられ、ある場合にはピストルも持っていらっしゃる。それは十分に武装させてある。一般の人たちは、今火焔ぴんとおっしゃったけれども、火焔びんもないというような状態です。ですから、私はあなた方がそれほど良民をおそれる必要はないと思うのです。集団暴力とおっしゃるけれども、この間の志免炭鉱の問題だって、あれは国会での審議が非常に不公平な状態でした。われわれはそのときタッチしておりましたから、どこが問題であったかということはわかっているのですけれども、それはここでは申しません。その志免炭鉱なんかを例にお出しになるのは、とんでもない間違いでございます。結局そのときに調査団を阻止したということをおっしゃるのでしょう。そうじゃないのですよ。その場合はそれだけの納得のいかない問題があった。あなた方は軽々にそういうことを理由にして、ああいうことをお始めになるべきじゃないのです。私が言いたいことは、今日雇用する者と雇用される者の問題には、あなた方は絶対に中立的な立場で話し合いを促進なさるべきだということです。私は悪意で、あなた方が憎らしいからいろいろなことを言っているのじゃないのです。それは今の中小企業の実態というものを考えると、意識の食い違い、あるいは頭の進んだ者とそれがわからない者との争いです。田原製作所だって成光電機だって、大もうかりにもうかっているじゃありませんか。もうかったものの一部を割り戻しをするということが、一体どうしてできないのか。その点を促進なさらなければ、これからの争議はああいう感情的な開きになって困る。私はその点で、警察の介入がああいうひどい形で行われるということは、非常に困ったことではないかと考えるのです。それで私は、これをしょっちゅうやるつもりでおいでになるかということをお尋ねしたわけなんです。  そこでこの成光電機の問題、これは田原製作所でもそうですが、話し合いをしましょうというのに、なかなか取り上げないのです。田原製作所ではあの物を持ち出すのに二十日かかる。それで話し合いをしましょう、それも三十分で話し合いましょうというのに、どうしてもそれを許さないということがあるのです。私が立ち会ったこの成光電機の場合も、やはり組合から会社側との話し合いをしたいという要請が出たときに、だれも間をつなぐ人がいない。それで事務所が非常に狭いので、集団になってたくさん入るところがないから、裁判所から、事務所だけはノー・タッチであるべきだという命令だったので、私が池袋の署長さんに、あなたは話し合いの場を作ってあげなさいと言ったのです。そうしたら、——局長聞いて下さい。何とぞの署長さんが言ったかというと、それは私どもの職権の中にない、こう言うのです。著長がそこへ機動隊の大部隊を連れていって混乱を起しているので、そこで私が、何とか会社側と組合員と話し合いをさせるように扱ったらどうですかと言ったら、自分たちの職権にはないと言うのです。だから私は、法律というものは人間が使うようにできているのじゃないか、話し合いをさせる手間を使うことが何で悪いのか、あなた方は何のために弾圧だけに、あるいは挑発だけに来ていらっしゃるのかと言ったので、やっと会社側との間に話し合いができるようになったのです。私はその場合に、ただ法律を四角四面に解釈して、この第一条の第三項の何とかいうようなことよりも、警察でもあるいは裁制所その他でも、法律は人間の生活を守るためだということをもっと考えてもらいたい。それを法律にとらわれてしまって、法律だけが歩いているような今の行政というものは、私は納得できないのですが、その点竹内局長はどういうふうにお考えになるか。またみんなにどう注意しておられるか。これは裁判でも何でも同じことでありますが、もう法律だけが歩いていて、人間生活は置き去りにされている。私その点が今の官僚政治の非常な欠点だと思うのですが、竹内局長はその点お考えになったことがありますかどうか、伺わせていただきたい。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 考えたことがあるかという御輿門で、私もはなはだ残念に思うくらいでございます。法律の執行は、具体的に妥当でなければいかぬということは、これは申すまでもない大原則でございます。常に具体的に妥当な法の執行をしなければならぬということが私どもの念願でございますし、若い諸君に対しても、常に法の具体的妥当なる適用、執行こういうことを指示もいたしておりますし、教育も、それが中心になって教育されている次第でございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 あまり時間がございませんので、私の質問を同僚委員に譲りたいと思うのですけれども、法務大臣に聞いていただきたいことは、田原製作所の問題で八人が逮捕されているのです。(「成光電機」だと呼ぶ者あり)成光電機だそうですが、私の前の秘書もその共闘会議に出たということで、追っかけられているようで、きょうは出頭したようです。何をしたのたと言いましたら、相談会に出た、ひょっとしたら逮捕されるでしょうと言っておりました。それでこの八人の中には非常に貧困な人がおりまして、日雇い労務者なんかは、一日二百八十円か三百円の収入がなければ生活できないのです。また自分の事業形態で不渡り手形を出して、それの処置ができないというような、経済的に非常に点まれない人たちが今つかまっているわけです。それで、この人たちはなるべく早く保釈をしていただきたい。ところが意地悪くなかなか保釈してくれない。金融業者だとか保全経済会とか、人の金をくすねたような人たちには、比較的安いと思われる保釈金ですのに、こういう日雇い労働者や何かに何万という金はできないことは、皆さんおわかりにならないのかしら……。私ども貧乏生活をしておりますからよくわかるのですが、あの人たちには、金のある人の数百万円、数十万円というのが数千円に当るのですよ。数百円でもずいぶん困っていると思う。そこで一つぜひ保釈ということをお考えいただいて、そしてその場合には、手心を加えた、分に応じた保釈金ということを考えて、なるべく早く帰していただきたいと思います。  もう一つは、前に私の秘書をしておりましたのがきょう出頭したのですが、この共同謀議ということが、たとえば今沖繩の方々の御陳述を聞きましても、二人以上の談合はもう違法だということです。そうすると夫婦は二人ですから、夫婦の談合もこれは違法になるかという、これはよけいなことですけれども、なるほどそういうふうになるのです。今度の松川事件なんかでも、よく使われた共同謀議ということが、共闘会議あるいは組合の相談会にまで使われるようになっては、私たちはそれこそ人権の侵害だと思います。ところが田原製作所の場合は、朝の八時から——これは写真までとってあるから、お隠しになることはできないけれども、城東警察署の方と会社側と第二組合と雇いの暴力団、この四者が集まってあそこの体操場で共同謀議をしているのです。警察官が入れば共同謀議にならないのですか。この法的な解釈は長官よりも局長の方がいいと思うのですが、どうお考えになりますか。労働者の場合は組合の中の相談会でも、あるいは共闘会議でも共同謀議になる。だけれども警察官が入っている場合には、あの襲撃の前の場合、亀戸中学の校庭で——これはちゃんと証人がおります。あるいはちゃんと写真もとってある。その場合はこれは共同謀議ということにはならないのですか。これはどういうわけですか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 どういう形ならば共同謀議かという御質問でございましたが、刑法で申しておりますのは、共犯になります場合に、共同正犯であるか、あるいは教唆であるか、幇助であるかということなのであります。共同正犯という場合にも、現場にいかなくても、うちにおる人でも共同正犯の責任を負う場合があるわけであります。そういう場合には、共謀の共同正犯といわれておりますが、そこに申しますところの共謀というのはどういう事実があればいいかということなのでありまして、よく共同謀議、共同謀議という言葉をいいますが、これはアメリカなどでは共同謀議、コンスピラシーという犯罪がございますけれども、日本にはそういう犯罪がないわけであります。一つの共犯の場合の認定の事実をどういう事実をもって共同謀議と見るか、あるいは共謀というふうに、意思の合致ということが言えるかということは、こういう態様なら共同謀議、こういう態様なら共同謀議でないといったような性質のものではないと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 それではたとえば今の亀戸中学の共同謀議ですが、私どもが常識的に考えて、塙さんの死因というものが今告発されている。一番疑われているのは、なべぶたでしっかり押されたときに来たショックというものが考えられている。その場合もし判決が圧死というようなことになって、そのときの犯罪が成立するというような場合を仮想いたしますと、これに参加した謀議者はこの責任を分担するということになりますか。それは刑事学上どういうふうになりますか。共同謀議者の責任ということになりますか。

竹内壽平検事(刑事局長)

○竹内説明員 仮定の議論でございまして、今のお話なかなか正確には答えられないわけでございます。謀議という言葉からもわかりますように、故意犯の場合に起ってくる問題でございまして、本件のような場合に果して故意犯になるかどうか、どういうことになりますか。従いまして、事実関係を基礎にいたしませんと、田原製作所の問題について刑事局長がこういうことを言ったということになっても工合が悪いので、調査中でありますからどうぞその点は一つ御了承願います。

神近市子日本社会党

○神近委員 私まだ二、三ございますけれども、時間の制限がございますものですから、また日を改めてお伺いいたしたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 志賀義雄君。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 ただいま神近委員から御質問のありましたことについて、私からもう少し具体的にお伺いいたしたいと思います。  その前に、法務省人権擁護局長に一つお願いがあります。大阪の岸和田市の山滝という学校の教諭二名に対して、海水浴場に行ったときに女の子の乳をいじったということを一人六年生の男の子が言ったことをきっかけとして、不当な圧迫を教育委員会なんかがやっておるわけであります。そうして、なおそのほかの教諭に対しても、村を追放するという威嚇が行われた。これを関西の言葉で言うと、ドスをもって脅迫されておる。教員組合の連中が来たらこれでたたき切れというようなことまでいわれておるということであります。ことに困ることは、その女の子の同級生に対して作文を書かせて提出させておる。これを証拠にしようとしておるわけであります。そういう点は御存じでしょうか。

鈴木才藏法務事務官(人権擁護局長)

○鈴木説明員 それは週刊誌か何かで見ましたが、ただ人権の問題としてこちらの方に報告が参っておりませんので、調べてみたいと思います。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 これは週刊誌でお読みになったそうでありますが、そういうときにはすぐ大阪の法務局にも連絡しておやりになるのが人権擁護局長としての当然の御職分だと思いますから、さっそく調べて事態を明らかにしていただきたい。と申しますのは、ここは松田文部大臣の選挙区であります。どうも仕組まれた形跡が多分にありますから、あなたの御報告を聞いた上であらためてこの法務委員会で問題にいたしたいと思います。さっそく手配していただきたい。そのことはなお井野法務大臣からも人権擁護局長を督励していただきたいと思います。  これだけ申し上げておいて、今の田原製作所事件でありますが、これは事件が起った以後、塙君が不幸な殺され方をした以後、弁護士と当該労働組合とで大塚裁判官に会って聞きましたところ、大塚裁判官が仮処分決定を出した翌日、城東警察署警備課長から裁判所に電話がかかったそうであります。裁判所の書記官が出たら、決定が出たそうですねというので、あれは警察が関与できない決定だと警告したから警察署でよくわかっておるはずだというのです。どういう決定かというと、組合の人が大塚裁判官に聞いたら、地裁の決定は、不作為命令であるから、警察官の動員などの要請をすることは含まれていない、こういうことです。しかるにもかかわらず警察官が出動してきたのです。そうして玉村部長の言によりますと、警察官がなぜ出動したがということについては、警職法第五条によったというように思われるのです。不作為命令を無視して自分の判断で警職法第五条でやった。ところが現場を指揮した津田係長の言によりますと、業務妨害として実力を行使した、こう言うのです。同じ警察の人で言うことが違う。しかも裁判所は不作為命令を出しておる。電話で警備課長が聞いたときに、これは今警官の出動するときではないということを言っておる。一体どういう判断でこういうことをやられたのか。まず柏村長官に伺いたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 大塚裁判官との話し合いといいますか、質問の内容を私今正確に記憶いたしておりませんが、今志賀委員のお話とは私ども聞いておるのは違っておるわけです。もっともあの決定は、いわゆる会社の構外で口頭による説得以外に、製品の搬出を妨害してはならないという趣旨の決定であったと思いますので、その決定自体で直ちに警察が必ず出なければならないというふうにはもちろんわれわれもっておりません。ただいま玉村警備課長と津田係長の話が矛盾するというお話でございましたが、私どもはこれは一つも矛盾していないと考えておるのでありまして、御承知のように警察官等職務執行法五条におきましては、犯罪が行われようとしておるということが前提になるわけです。その犯罪とは何であるかというと、あの場合においては威力業務妨害罪または暴行とか何かもつくかもしれませんが、威力業務妨害罪というものが現に行われておる。それで人の生命、身体、財産に危害が及ぶおそれがあって、急を要するときはその行為を制止することができるということになっておるので、出た根拠、制止した根拠というのは警職法第五条でございまして、その五条にいわゆる犯罪というのは威力業務妨害罪であるということであるわけであります。従いまして、玉村君と係長との申したことは、その一つの面をお聞きになった方が非常に強くお聞ききになったのか、言う人間が非常に強く言ったのか存じませんが、両方とも正しい判断であると思います。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 長官、そういうように言われますが、田原の当日の状況は、警職法第五条の該当のあれにはならなかったのです。というのは検挙しなければならない者が一人も出ていないし、また第一組合と第二組合の間でけが人が出たわけでもない。会社側に出たわけでもない。財産破壊が行われたわけでもない。バリケートをこわしたのは会社側のクレーンが出てきてやったわけです。公務執行妨害は一つもない、こういう状況でした。どうしてそれであなたの言われるようなことが成り立ちますか。これは従来の労働運動の慣習であって、第二組合に対して第一組合の方から集団説得をやっていた。そこへ警察官が出てきて、よし引き受けたといって、先ほど神近委員も言われたようなたてを持ち出してきて使っておるのです。ですから、あなたの言う場合には当らない。それを裁判所の方は警察官の出動を要請したのでも何でもない、またその主張を正当化したのでも何でもないのにやっておるのです。こんなことになれば、裁判所というものを無視して警察が勝手なことをやることになるのだ。その結果塙君が不幸な死を遂げなければならないようなことになっておるのです。しかもすぐ救急車に来てくれというのに、午後一時にそれを請求したのに、午後六時まで来ないという状況です。あなたの言われるようなことには事実はなっておらないのです。全然事実と変っておる。しかも救急車を請求した場合に、どうして五時間もほったらかしておくのですか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 われわれの見解におきましては、(志賀(義)委員「すぐ行きますと言ったんですよ」と呼ぶ)その前の段階をちょっとお話申し上げますが警職法第五条に該当する状況でないと今志賀委員は仰せになりましたが、あのときの状況というものをつまびらかに観察していただけば、まさにそれに該当するというふうに考えざるを得ない。と申しますのは、最初門から入るべく、門の前にじゃまに置いてあった自動車をどけようとした場合に、石を投げる、糞尿を投げる、水をかけるというような暴行が行われておるわけでありまして、これで会社側のけが人も出ておるわけであります。さらにその後、今集団による説得と仰せになりましたが、状況はまさに押し合い、へし合いの状況でありまして、ああした集団的な業務妨害というものが行われた場合においては、いかなる生命、身体の危険が起らないとも限らない。これは起ってしまってからこれを制止するということでは警察の任務は果せないわけでありまして、起らないように制止をいたしたということでありまして、警職法五条にまさに該当するとわれわれは考えております。  それから今の救急車の問題は、私聞いておる範囲では、そんなにおくれたというふうに聞いておりませんが、これは警備局長が事実を知っておるそうでありますから、そちらから……。

江口俊男警視監(警察庁警備局長)

○江口説明員 志賀委員の今のお話は検視のこととの勘違いじゃないかと思います。救急車は両方呼んでいますが、運ばれたのは組合から直接かけられた消防署の救急車じゃなかった、こう思う。すぐ来ておるはずです。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 長官のお答によりますと、まさに危険が生じたから出動したと言われる。論より証拠ということがありますが、あの場合にけが人はどこに出たんですか。東大法医学教室の解剖の結果もショック死だというのです。ただし、どういう状況でショック死が起ったかわからないから、それはその状況をつまびらかにした上でやる、こう言っておる。ショック死が一人出た。鉄かぶとでここを四針も縫った者が第一組合から出ておる。ショック死を起したのもそのたてを使った場合のことです。鉄かぶとでけがをしたのも警官側の行為によって起されておる。第二組合に一体だれがけがをしましたか。第一組合の者が警官隊によってこういう状況が起っておるじゃありませんか。論より証拠ということを考えてみなさい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 会社側にけが人が出たことは事実であります。またあの当時もみ合いになって、これが長く続いた場合において、不測の事態が起らぬとは限らない。まさに制止して、双方を分けて、そして事態を平穏にするという時期であるというふうに判断したことは、私は正しいと考えておるわけであります。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 とうとうあなたはしっぽを出した。双方引き分けると言ったのだけれども、双方引き分けたのじゃない。第二組合に、よし、かわって引き受けたと言って、第一組合にだけやっておる。両方あわや乱闘になるというような場合がかりにあったとしたら、両方引き分けるのが当然でしょう。そうじゃないですか。第二組合に対してかわって引き受けたと言って、けがをしたのが今言ったような第一組合員です。現に私はその人に会っておる。塙君のショック死も起っておるじゃないですか。かりにショッ死——ショック死はだれが引き起した。あなたが言うように、双方を引き分けるというのなら話はまだしもわかります。法律上あのとき警官が出動するのが正しいと言っているのじゃない。だんだん言っておるうちに、あなたはとうとう正体を暴露したじゃないですか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 引き受ける方法として、不法なる集団の方を制圧するということは、方法として正しいと思います。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 その前にちゃんと警察と第二組合とが同じ場所で落ち合っているでしょう。その場所はあなたもある小学校であるということは御存じの通りだ。そんなことを言ったって通用しませんよ。たまたまそこを貸してくれといって落ち合ったと警察側は弁解しておるけれども、ちゃんと打ち合せているじゃないですか。あなた、言うほどボロが出る。この問題については組合側からも御承知の通り告訴状が出ておりますから、今後はこの問題に対して徹底的に争うつもりでありますが、この事件だけじゃなくて、成光電機の場合、メトロ交通の場合、いろいろこのごろ非常に悲惨な争議が行われておる。とかく警察側で一方的に参加して、それで最近に至ってはどうでしょう、とうとう警察のスパイが共産党の東京都北区事務所に放火をしたでしょう。こういうことまで起っている。成光電機の場合にしても、事件の経過はもう皆さん御承知でしょうが、八月十八日の警官出動は一体だれの要請に基いてやられたのですか。まずその点を伺います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 それは裁判の決定に基く執行吏の要請によったものであります。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 ところが勾留理由開示公判でもその点が明らかになってないのです。非常にあいまいになっている。それで事件の経過を申しますと、途中で裁判所の側からあっせんがあったのです。それで組合側は、きょうは会社はよもや無法なことをやるまいというので、組合のおもだった人はみなうちへ帰ったのです。そのすきをねらってやっていることです。ですからこれは会社側と会社の手先になった者と明らかに共同謀議をやっておるわけです。全然裁判所の言うことを無視してやっておるわけです。あっせんに取りかかっておる、あっせんなんて言ったら会社側が不利になるというので、どさくさまぎれにやったことです。しかるに警察の方はどうでしょう。みんな帰って、共同謀議のできないものを共同謀議にして、第一次、第二次としてガサをやって、逮捕された者も出ておる。先ほど質問された神近委員の秘書であった人までがやられておる。区会議員までがガサを受けておる。まるで警察のやることは、——会社側の不法な行為、その共同謀議、暴力団を使っている、そういうことをてんで放任しておいて、片一方側だけにありもしない共同謀議ということをやってきておることは、これははっきりしておるじゃありませんか。この点はいかがですか。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 志賀委員にお尋ねしますが、法務大臣は四時半の約束がありまして、だいぶ経過しておりますが、法務大臣に質疑がありますか。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 では法務大臣に一言伺っておきますが、こういうふうに警察側のやることがだんだん増長している。ここにちゃんと写真もありますよ。これは共産党の事務所に火をつけて、十四世帯の人が焼け出された。これは警視庁の役人とそのスパイとが交換した手紙の写真です。こういう関係にある者が火をつけたのですよ。ですから、あなたお急ぎのようだから一言言っておきますが、すぐにこういう点についてあなた方の方でお調べ願いたい。私の方でもいずれ手続はとりますが、一体警察官がこういうことをしていいのでしょうか。前に管生事件の戸高公徳という巡査部長が警察大学で配給を受けていることまで、私ども配給所を調べてちゃんとわかっておった。ところが知らぬ存ぜぬです。ところがまたここに中野区囲町二番地というのは警察大学の所在地、そこからまた手紙がこのスパイに出ているというわけです。こういうことまでやっておる。重ね重ね警察は悪事をやっておるわけです。そういうわけですから、私ども手続はとりますが、一体こういうことがスパイを使って放火までさせるような結果になった。これはいいこととお考えでしょうか。私どもいずれ告発状を出しますが、そのときのお心がまえとして、あらかじめ伺っておきたいのです。

井野碩哉自由民主党法務大臣

○井野国務大臣 事実をよく調べないとお答えできませんが、今お話のようなことであれば、いいことでないことは明らかです。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 法務大臣、いつも私はこういうふうに証拠を持ってやってくるのですから、水かけ論ではないのですよ。  警察庁長官、あなた北区の放火事件も御存じですね。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 北区の放火事件についてもあらまし聞いておるわけでありますが、この人間がかって警察の協力者であった、党員であったということは事実であるわけでありますが、すでに党籍を剥奪されており、現在においては警察との関係は何らない人間であります。先ほど志賀委員は何か成光電機とか田原製作所の事件がここまで発展したというような表現をなさいましたが、とんでもない話で、全くそういうことに関係のない事件でありますし、さらに警察とその男が共謀して放火をしたような御発言でありましたが、これは非常な侮辱だと私は考えるわけであります。そういう事実は全くございません。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 私はここに写真を持っておるのです。渡部警部という方が警視庁におります。公安一課です。それから吉田警部、この渡部警部という方がこのスパイの上官に当っていたわけです。最近これが原宿署の署長に栄転をしております。原宿署というのは、御承知の通り共産党の本部のあるところです。年がら年じゅうハエのようにスパイを共産党本部によこしておる。この人たちが上官のときにこういう事件をやっておったのです。これは党員であった者を警察が買収したというかわりに、警察が金をやってスパイを共産党へ潜入させたのです。警察側にそういうことをしていいという法律的根拠はどこにありますか、言って下さい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 私の聞いておるのは、党員であるその人が協力をしてくれたということを聞いておるのであって、警察側で投入したいというふうには聞いておらぬわけであります。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 たとえば一九五五年十二月の彼のメモであります。「スパイになる決心をする」という当時警察との文書があるわけです。そしてその後に党に入る手続をとっておるわけです。明らかにスパイとして入っておるのです。ここに写真があるからお見せしますが、五十嵐三吉(良三)というのがその当人、内田尚孝、東京都目黒区上目黒五丁目二千四百五十九番地、これは公安一課の職員であります。「私の手紙は前のものも読んだら焼却して下さい」と書いてある。つまり警察官からこのスパイに出した手紙は焼却して下さいということも書いてある。その内田尚孝という警官が「何事も初めの一〜三ケ月がつらいところと思いますが、新しい人生の出発の意味で奮斗されることを祈っています、前の渡部係長も大変心配していました。」こういうふうに言っているのです。新しい人生の出発というのは警察にスパイとして雇われて中に入ることだと言っている。あなた方は金をやってスパイを入れるということを新しい人生の出発点だというふうに考えておられるのですか。これじゃおかっぴき根性まる出しじゃないですか、どうですか。菅生事件以来私は証拠のないことは言いませんよ、どうです。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 警察に協力する者が、国のためといいますか、社会のために、ある一つの考え方に基いて自発的にどういう行動をするかというようなことは、本人の自由であって、何も警繋でこれについてとやかく言う筋のものではありませんし、警察が強要して入党ざせるというようなことがあればこれは好ましいことじゃない、けしからぬことだと思いますが、そういうような事実は考えられません。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 話をごまかしちゃいかぬ。警察の話に基いて本人が決心したというのです。さあ共産党に入ってスパイをやれと言って金をくれる。これはどうです。党員に対して金をやった、これも悪いことですが、党員でない者がスパイに入るのに、あらかじめ全部相談して金をやってやらせる。そうしてあげくの果てが、そのスパイが共産党の事務所に放火をする、そうして十四世帯も近所の人に迷惑を与える。つまりこの人間を堕落させたから、警察が魂を買ったから、こういう事件が起るのですよ。あなた方が魂を買わなければこういう放火事件というものは起らないのですよ。青年の魂を金で買ってこういうことをやらせるから、ついに放火事件が起った、その点どうお考えですか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 警察に協力する人に対して、それに相当した謝礼をするということはいたしておるわけでありまして、これは別に差しつかえないことと考えております。また、ただいまお話しのように、その放火したことが警察の協力関係と結びつくようなお話でございますが、われわれはそうは考えておりません。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 先ほどの「スパイになる決心をする」「入党の手続をする」というときに「コスモポリタン転落はじまる」「より急速な堕落続く」これは昨年の一月のことです。そうして一九五八年六月、このごろより不半分子を固めることを始めると言っている。そうして七月には「破局が近づくのを悟る」八月「破局遂に終末」こういうことも書いてある。その前に自分の堕落、転落が始まるということを書いて、そうしてこういうスパイ活動を続けてとうとう自分が性格の破綻を来たしたとちゃんと本人の手記にも書いてある。一般のたとえば凶悪犯人がつかまらない全国手配をしてこのごろのように写真を出す、これなら世間の人は、あなた方が謝礼を出した場合でも、一応そういうこともあろうかと思います。憲法によって保障された共産党に対して、しかもスパイを意識的に入れるというようなことは、警察法にもどこにも書いてない。犯罪がある、これは警察官がやるというのは当然のことでしょう。れっきとした一つの政党に対して——あなたは話を取り違えているのだ。スパイを使ってそれを警察が意識的に入れさして、それによってこの青年を堕落させて、ついに放火事件までいった。普通の人間ならば、あなたはその責任を感じてしかるべきだ。どうです、その点は。

柏村信雄警察庁長官

○柏村説明員 協力者に謝礼を出すということは、先ほど申し上げたように事実やっておりまするし、差しつかえないことであると考えておりまするが、その協力の態様というものはまちまちでありまして、これは一がいにどういう形、どういう形ということを申し上げるわけには参りません。またその人間がそうした犯罪を犯すに至ったことはまことに遺憾なことであり、世間に対しても非常に御迷惑がかかったことではありますけれども、そのこととと警察との関係が必ず結びつくというふうに私どもは考えておりません。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 この問題はきわめて重要でありまして、菅生事件でも繰り返しているうちに、とうとう現職の警察官が隠れたところまで発見された。それまであなた方は知らぬ存ぜぬと言っておったのであります。私がここで写真を見せて、これが戸高公徳という男だから、写真手配の材料として上げます言っても、ちっともやらない。その結果が警察がこの戸高をつかまえたのではなく、実は民間側でつかまえた結果になったのです。警察としては非常に恥ずべきことです。しかも警察大学をまた舞台に使ってやっておる。そうして一々指示をして、この男をスパイに使ってとうとう堕落させて、こういう放火事件まで起した。こういう場合に普通の良心のある人ならば、まことに申しわけないということが一言あってしかるべきです。あなた方は警察の責任ではないと言われる。よろしい、今後徹底的にやりますから。きょうはこれだけで終ります。

瀬戸山三男自由民主党

○瀬戸山委員長 本日はこの程度で散会いたします。     午後五時十七分散会

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