文教委員会 第5号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/10/19
会議録
○大平委員長 これより会議を開きます。 教育、学術、文化及び宗教に関し調査を進めます。まず台風第十五号による文教施設の被害状況について文部当局より説明を聴取いたしたいと思います。小林監理局長。
○小林説明員 台風十五号による教育関係の被害の状況につきまして概略を御説明申し上げたいと思います。お手元に一応の総括的な資料を御配付申し上げてありますので、それについて申し上げたいと思います。 今回の伊勢湾台風は、その大きさあるいは強さという点から申しましても、御承知のように戦後最大のものと言われております。その被害の大きさから申しまして、通常の台風と異なりまして、名古屋という大都市が海からの高潮を受けたということも加わりまして、これまでにあまり類例のないような大きな惨害を招いたわけでございます。なお、被害は全国三十余県に及んでおりますが、ことに愛知、岐阜、三重の三県下におきましては空前の大被害でございました。三県下におきましては、それぞれ県下の全市町村に災害救助法が適用されるというような状態でございました。なおまた三県以外におきましても、山梨県、長野県、奈良県、和歌山県、兵庫県、京都府あるいは滋賀県といったような府県におきましても多数の市町村に災害救助法の適用を見ておる次第でございます。 この資料についてまず申し上げますと、初めに人についての被害でございますが、児童生徒につきまして申しますと、死者八百五十二名。これは現在までの調査でございます。なお行方不明百七名。非常に大きな数字でございます。また教職員につきましても、下の欄にございますように、死者六名、行方不明三名ということになっております。こういうふうな非常な多数の人命を一朝にして失いましたということは、天災ではございますが、まことに御本人にとりましてはお気の毒なことでありまして、私どもも非常に残念なことと思っておる次第でございます。犠牲になられました方々につきましては心から哀悼の意を表し上げる次第でございます。この数字について申しますと、八百五十二名の児童生徒の死者のうち、岐阜、愛知、三重の三県の数を合せますと八百二十七名という数字になります。ほとんど大多数がこの三県下の被害者であるということがいえると思います。また教職員につきましても、六名のうち五名は愛知県の県下でございます。こういった事情から、この三県の被害が特に大きかったものということができると思います。なお、下の方にそれぞれ学校段階別の表がつけてございますので、それをごらんいただけば詳細がわかると思います。 次に、物的方面の被害でございますが、これは各府県から一昨日までに報告のありましたものを文部省でそのまま集計した数字でございまして、総計におきまして五十五億二千四百万という数字でございます。そのうち国立文教施設が三億六千六百万、それから公立学校の施設が四十三億九千三百万、私立学校の施設が四億二千九百万、社会教育施設が二億二千百万、それから体育保健施設として六千四百万、学校給食関係の被害といたしまして百万、文化財の関係が四千七百万という数字になっております。その下にきわめて概略の説明をいたしておりますが、国立学校の施設につきましては名古屋大学、名古屋工業大学、愛知学芸大学、岐阜大学、三重大学、それから東京大学、その他二つの商船高等学校、これは鳥羽の商船高等学校と富山の商船高等学校でございますが、それと静岡県の御殿場に本年できました国立青年の家の被害を総計したものでございます。 次に、公立学校施設は四十三億九千三百万でございますが、その各府県別の被害の状況を次の表に示してございます。三十七都道府県にわたりまして約九千校に被害が及んでおります。このうち岐阜県は五億九千九百万、愛知県は二十億二千六百万、三重県は九億一千六百万、こういう数字でございまして、この三県を合せますと三十五億四千三百万という数字になりまして、これは全体の八〇%以上に当る数字でございます。なお、金額から申しますと、この三県に次ぎまして長野県、山梨県、奈良県、山形県、和歌山県、静岡県、兵庫県といったような各府県がそれぞれ五千万円以上の被害を受けておる状況でございます。 次に第三枚目の説明でございますが、私立の学校の施設につきましては、やはり非常に大きな被害を受けましたのが愛知県でございまして、大学から小学校に至るまで相当の数の被害を受けております。また幼稚園、各種学校も被害を受けております。なお三重県、岐阜県等にも被害がございます。被害の施設の総数は百四十八でございます。 次に、四番目の社会教育施設の被害とございますが、公民館その他図書館、博物館等につきまして、愛知県、三重県、山梨県、岐阜県等で被害がございました。被害の施設の総数は七百五十四であります。 次に、体育保健施設、これは主として競技場、運動場、グラウンド等でございますが、愛知県初め長野県、岐阜県等で被害を受けております。被害の施設総数は六十四カ所ということになっております。 それから六番目に学校給食の関係でございますが、給食用物資の被害はちょうど前の期の給食用物資に次ぎまして後期の物資を入れる時期でございましたので、保有物資そのものにつきましては比較的被害が少くて済んだのは幸いでございまして、愛知県の五十一万、三重県の三十七万、長野県の六万といったような数字でございます。 最後に、文化財についての被害は、やはり愛知県、京都府、滋賀県等にございまして、約百件の報告が現在までございます。 大体被害の人的並びに物的の状況は以上の通りでございます。これにつきまして、文部省といたしましては、災害がありますと同時に直ちに文部省に災害対策本部を設けましたと同時に、最も被害の激甚であった愛知、岐阜、三重の三県にはそれぞれ係官を派遣いたしましていろいろ被害の状況を調査し、また救助対策の援助をいたしたわけでございます。また災害地における児童生徒の学校保健、伝染病の予防等につきましていろいろと指導の通牒を出しました。またさしあたり必要でございました教科書の供給の問題、あるいは応急学校給食の問題につきましても、それぞれ係を派しまして指導いたした次第でございます。 なお、今回は普通の災害と変りまして長期の床上浸水というような事態が生じました。そのために経済的に家庭が貧困になるというような事態を生じている向きもございますので、そうしたものにつきましては、特に育英会の小学生の特別採用というような措置を講じている次第でございます。なお、教職員につきましては、公立学校共済組合から災害見舞金、災害貸付金を概算で現金払いで支給するということをしております。現在までかなりの金額を支出しているわけでございます。なお、この災害見舞金につきましては従来のワクをできるだけ緩和いたしまして、被害組合員の便をはかりたいというふうに考えているわけでございます。なお、御承知のように先ほど申しました愛知県並びに三重県におきましては、現在まだ浸水いたしておりまして、その結果集団避難をするというような事態が起っておりますので、こういった児童生徒の教育の問題につきまして、やはり現状をよく把握いたしまして、できるだけ早く——これはむずかしいことでございますけれども、できるだけ早期に授業を再開する、授業を再開した場合にも、できるだけ早く正常の教育状態に戻すということで指導をしている次第でございます。先ほど申しましたが、教科書の供給につきましては、被害の発生の直後に係官が参りましていろいろ指導をいたしまして、現在までに相当府県もうすでに教科書が発送済みである、また入手済みであるという報告も参っているような次第でございます。 以上、きわめて概略でございますが、被害の状況並びに今日まで文部省のとって参りました措置の概要について御説明を申し上げた次第でございます。
○大平委員長 小牧君。
○小牧委員 ただいま監理局長から十五号台風の災害の概況その他これに対する措置について承わったわけでありますが、私ども文教委員会といたしましても、この災害の調査のために、他の関係委員会の諸君とともに去る八日の夜東京を出発いたしまして、名古屋、三重、奈良、和歌山県等の災害の実情を調査視察するために参りまして、本委員会からは私と簡牛委員の両名が参ったわけでございます。現地に行ってみまして、今回の災害が私どもの想像に絶するまことに惨たんたるものであるということを身をもって見まして、非常に驚いておるわけでございますが、この実情についてはいずれまた他日、委員会等におきまして報告をする予定でございますので、私はただ現地において、いろいろ県あるいは市町村当局、あるいはまた教育委員会その他の関係者の方々から非常に強い要望のありました点等について、具体的に大臣、局長にお伺いをいたしまして、どういう措置をとり、あるいはまたとろうと考えておられるのか、これらの点についてお伺いをいたしたいと考えます。 まず第一には、これは大きな災害でございましたので、相当膨大な予算措置を必要とするということ、それから第二は、県や市町村関係においては御承知の通り非常に財政の規模が貧弱でございまして、とうてい県や市町村当局の力においては、この災害の完全な復旧は不可能である、こういうことを考えまするときに、予算措置とこれに伴うところの特別な立法ということが急速に要請されるわけでございます。政府は災害の対策本部を設け、総理大臣、文部大臣みずから現地を視察をされて、それぞれ応急の措置を講じてはおられるようでございますが、近く臨時国会も開かれることになっておりまして、それぞれその計画についても作業を進めておられるやに聞いておりますので、この機会に文部大臣から、今申し上げた点について、概略の方針をお示しを願いたい。それによって、続いてまた御質問を申し上げたいと思います。
○松田国務大臣 先刻監理局長より今度の大災害の全般的の報告がございまして、それに対する対策も、文部省といたしましては、今回は必ずしも現在の法規に縛られることなく、特別の措置を講じなければならない面が多々あることを私も痛感いたしておるような次第でございます。私もさる十四日、十五日、二日間でありましたが、終日愛知、三重、岐阜方面を視察いたしました。施設関係については、監理局長の報告に譲りまするが、いずれも全く言語に絶する大災害であると言い得るでしょう。私は学校関係、特に学童関係の方に注意をして見て参ったのでありまするが、家族と離隔された集団の学童の避難場なども見て参りました。今回は、地方の人々も話されておりましたが、割合にと申しますか、急に救援の手が伸びたように伺って参りました。教科書、教材、そういったようなものも、不十分ながら大体行き渡っておったような状態でありまして、給食の面も、そういう施設のあるところは大いにこれを活用してやっておったようでございます。児童も、中には、家族の中に死者を出したり負傷者を出したり、いろいろ難儀な点があり、非常なショックを受けて、そうして身は家族と離れて遠いところに離隔されると申しますか、離隔されて、そうして、あるいは格納庫であるとか、あるいは電電公社の施設であるとか、いろいろの方面に離れて、そうして集団的に生活しながら、特別の教育を受けておるというようなわけでございまして、一目見るからに、まことに学童がいずれも沈痛な面ざしをしておりまして、割合に元気ではございましたけれども、全く見るに忍びないような気持がいたしたわけでございます。こういうことを考えてみますと、今度はまた一面、学校施設が建てられるなり、あるいは仮設の臨時住宅が建てられるなりするにいたしましても、相当長期にわたりこうした不正常な嘆かわしい状態を続けなければならないことを思いまするときに、それらが学童の上に及ぼす影響を考えてみると、何ともいえない気持がいたす次第でございます。従ってこれらのことに対する対策はできる限りのことをしていかなければならぬ。またできる限り迅速に処置していかなければならぬということも考えられるわけであります。先生の方も、自分も非常な災害を受け、家を失いしておる中においても、やはり本職を忘れず、あちらこちら遠いところへも応援に出かけていっておるというような事情もありまして、また児童の方でも、今申し上げたようにほんとうに大きなショックを受けながらも、その間に全く涙ぐましいような状態で学業に励んでおる、こういうあんばいでありますので、何とかこれに対する援助の道は、今申し上げたように特別な計らいをもってやっていかなければならぬと思います。それで先ほど申し上げたように今日ここでどういうふうにやるかということに対しては、まだ具体的には申し上げられませんけれども、できる限り十分な措置を講じていかなければならぬと考えておる次第でございます。 また特に三重などで見ました状況は、文部省としてではありませんが、皆さんにもお考えを願いたいと思いますることは、これからは木造の旧態の復旧だけではいけない、考え方を新たにして改良復旧をやらなければいかぬ。それをやるにしてもやはり考え方を変えなければいかぬのじゃないかというふうに私は感じたのであります。たとえば幾たびか水害を受けてきたような低地にまた同じような学校を建てる、住宅を建てるというようなことを繰り返すことはどうか。従って田園における都市計画といったような考え方もやらなければならぬのではないか。ずいぶん水につかっている名古屋のあの特別のデルタ地帯は言うもさらなりでありまするけれども、三重の桑名であるとか、伊曽島であるとか、長島であるとか、そういったようなところに見ましても、家の存在しておるところは、堤防の上であるとか、ちょっと高いところであるとか、道路の上であるとかいうような、みな少し高いところだけであって、あとは水没しておる。学校をどうしてあんな低地に建てたのであろうかということが見られるのでありまして、こういうことに対しても一つ新しい考え方をもってしなければならぬのではないかということを私は痛感しております。あたりを見れば相当の丘陵がずいぶんある。なぜこういうところへ学校が建てられないものであるか。今日では交通機関が発達しているので、道路さえできれば、少し離れたところでも何のことはないではないか。それを伝統を追い、因襲を追い、同じ低地に、海岸べりに、幾たびか水害を受けるところへ校舎なり住宅なりを建てていかなければならぬということは、これは一つ考え直さなければならぬのではないかということを痛感いたした次第であります。こういう点についても皆さんにも一つお考えを願いたいと思うのであります。今回のことについては何らかの特別立法を要するのではないかというお話でございましたが、私どももそういうことになろうかと存じておるような次第であります。 一応これをもって、お答えになるかどうか存じませんが……。
○小牧委員 あらましの考えを大臣からお聞きいたしたわけでありますが、私はさらに現地の要望等を中心といたしまして、政府の方針をきめる場合の私どもの考え方をまた述べまして、これに対する大臣の現段階におけるお考えをお伺いしたいと思います。 今回の災害を受けました地方は、大部分が二十八年に大災害を受けております。その跡始末もまだ十分には完了していない、こういう実情でございまして、そういう意味からも急速な復旧措置が要請されておる。そうして二十八年災の折にいろいろとられた特例法、これらを上回る内容の特別措置を強く要望いたしております。 簡単に具体的に申し上げてみますと、たとえば災害復旧については、補助率を十分の九のぎりぎりのところまで引き上げてもらいたい。 それから、災害復旧の問題については、今も大臣からは改良復旧という考え方を変えていかなければならぬのではないか、こういうようなお考えがございましたが、これを災害復旧ということにして、校舎についてはもう木造という考え方を捨てて、鉄筋コンクリートの校舎にしてもらいたい。私は鹿児島県の出身でございまして、御承知の通り鹿児島県は災害常襲地帯で、毎年襲い来る台風の災害を受けまして、その経験から順次鉄筋校舎に切りかえていくという方針をとっております。政府においても最近におきましては当委員会においていろいろ論議をされて、学校建築の鉄筋校舎と木造校舎の比率を鉄筋の方にだんだんと切りかえていく方針を具体的に示しておられる。従いまして災害復旧においては一歩大きく前進をして、この際予算も相当必要ではございますが、文部省の方針としては鉄筋コンクリートに切りかえていくことが必要であり、現地でも非常に強くこれを要望いたしております。これについて大臣がどういうお考えであるか、お伺いをいたしたい。 それから要点だけを申し上げますが、設備の災害の査定基準の点についても非常に強く要望いたしております。県立については五万円、市町村立については三万円、それから現行の一カ所県立十五万円、市町村立十万円のワクは、これは合計額にしてもらいたい。私も現地を見て、一つの県で、一つの町村であれほどのたくさんの学校施設が一挙に大きな災害を受けておる現在においては、こういうような措置をとってやらない限り、とても貧弱な県や市町村の財政では早急な完全な復旧は不可能である、こう考えまして、これらの問題の実現が必要であると私自身も考えておりますが、大臣のお考えはどうか。 それから本校と分校のある学校がございますが、そういうものはおのおの別々にしないで一緒にしてやってもらいたい。これも私は当然な要望であろうと考えております。 それから全体としてはすべてでき得る限りのことをすると大臣が言われるわけでありますが、でき得る限り災害査定の基準のワクを緩和するということと、補助率を引き上げるというこの基本方針が最も大事だと私は考えますが、これに対する大臣のお考えはいかがですか。
○松田国務大臣 お話は全体として私は大体同感でございます。まず今回の災害については二十八年災害に原則として上回るとも下回らないということを申し上げ、また個々の県について特別に窮乏しておる町村その他のところに対しては特別のはからいをもってしなければならぬ。さらに十万円以下のものは全然見ないというようなことでなしに、それ以下の災害も一応これを見ていくということもむろん考えておる次第であります。また今後は原則として校舎はどうしても鉄筋コンクリートに切りかえていくということはやらなければならぬと思います。学校は何と申しましてもその付近社会の公共的な中心的な造営物である。事あるごとにそこに待避しなければならないとか、あるいはいろいろの社会的なことに利用するとかいうような点から考えてみましても、単に風水害のみならず、震災、火災その他いろいろのこうした災害に対して最も堅牢な、耐震耐火のコンクリート建にしていかなければならぬということは、今日はどうしても必要であると思う。また長期に考え、長い目を持ってするならば、やはりその方が経済的にも有利である、かような考え方もできるかと思います。木造の建築の有利な点もあると思いまするけれども、大体においてはやはり鉄筋コンクリートに切りかえていかなければならぬということは、この際一つ、ぜひやりたいと考えておるような次第でございます。
○小牧委員 監理局長にお伺いしますが、そのほか災害を受けた学校で、いろいろ取り片づけをしなければならないし、あるいはまた応急の仮校舎を建ててやらなければならないし、その建築費等が応急対策費としてとられるわけですが、これを災害復旧の補助の対象とする、こういう方針が必要であろうと思うのですが、これについてどうお考えですか。
○小林説明員 先ほどの大臣のお答えに補足して申し上げますが、まず補助率の点でございますが、これは御承知のように、二十八年災の場合には、被害激甚の地域については四分の三ということでいっております。もちろん当時との各地方団体の財政力の比較の問題も出て参りましょうが、私どもといたしましては、少くともこの辺までは補助率を上げて参りたいというふうに考えておるわけでございます。 なお設備の査定の基準のことでお尋ねがございましたが、大体設備の基準は、御承知のように、施設災害復旧費国庫負担法の施行令に規定がございます。私ども現在までの経験から申しますと、この一人当り何千円と規定されておりまする数字で大体はまかなえるものと思っておりますが、これにあわせて小災害の復旧対策につきましては、従来校舎あるいは設備、土地、工作物、各項目ごとに十万円以上でなければ補助の対象にしなかったということに対しまして、本年度の四月以降の災害につきましては、それをできるだけ起債で見よう。各項目ごとにではございませんで、一校当り十万円、合計が十万円になるものについては起債の取扱いをしようということで、これは学校の校舎だけじゃございませんで、公共土木全般でございますが、それについての特別の立法をするはずでございます。 なお本校、分校の関係でございますが、分校につきましては、こういう災害復旧の場合には、従来から一校扱い、独立校扱いをいたしておりますので、その辺は御懸念はないと思っております。 なお災害査定の基準のワクのことでございますが、特に乱にわたらない範囲で適正な査定をいたして参るようにしたいと思います。 なお最後にお尋ねのございました応急修理の問題でございますが、一応私ども常識的に考えられる応急修理等につきましては、これはやはり復旧費の中に含めて、補助の対象になるようにしたいというふうに考えております。
○小牧委員 できるだけ一つそういう方針でやっていただきたいと思いますが、これには御承知の通り相当多額の予算を必要とします。先ほど私は初めに予算に対する文部大臣のお考えをお伺いいたしました。しかしこれにはお答えがなかったようでございますから、重ねてお伺いをいたしますが、これは相当膨大な予算を必要とするし、政府全体としてこれには対処されるでありましょうが、直接の責任者である文部大臣といたしましても、非常な決意を持ってこれらの予算措置には臨んでもらわなければならない。従来文部省は大蔵省に対して、はなはだ言いにくいのですが、そういう点については腰が弱いではないかというようなことがしばしば言われて、文部大臣の努力を促して参っておる。今回のような異常な事態の際に、先ほどいろいろ大臣のお気持はお伺いいたしましたが、この予算措置について十分完全な復旧のできる、またその他の問題についても措置ができる決意を持っておられるのか、これをお伺いいたします。
○松田国務大臣 今回の大災害の完全な復旧に対しては膨大な予算を要することであるということは、十分その認識を持っております。従って一般の予算の必要なものばかり組んでおるわけでありまするから、これとともに今度の災害の復旧にも当らなければならぬ、お話のように非常な決意を持って予算の獲得に努力しなければならぬと考えておる次第であります。
○西村(力)委員 私山形でありますが、山形市は集中的に学校被害がありまして、これを金額にすれば五千万円程度になるのではなかろうか、こう考えておるわけなんですが、そういう場合に、こういう災害の地域指定というものが県ごとに行われておる、こういうようなことになりますると、集中的に被害を受けたそういう一自体治がこの特別立法の恩典にあずかることができない。そうして乏しい中から自治体の努力によって復旧をはからなければならぬということになってくるのですが、こういうことはやはり他の府県にもあり得ることだろうと思うのです。その点については、大臣の方においては、地域指定の場合において、一自治体という単位である自治体が集中的なそういうものを受けた場合においては、地域指定というものを特別に考慮するというようなことの相談を進められておるかどうか、お答えを願いたいと思います。
○小林説明員 災害復旧の国の負担率を引き上げます場合に、お説のように被害地域の指定をするという従来の例になっておりますが、二十八年災のときにおきましてやはり被害地域の指定をしておりますが、これは各省共通で、それぞれ各市町村ごとに地域の指定をいたしております。なお昨年の伊豆地方の狩野川流域の災害の特別措置の場合も、各市町村ごとに被害の総額とそれぞれの市町村の財政力等を考えまして、各市町村ごとに政令地域を指定しているわけであります。もっとも昨年の狩野川災害のときは、この負担率の引き上げを行いましたのは文教関係だけでございましたので、各省関係共通というような事態はなかったのでございますが、二十八年災の場合には、やはり各省共通で被災地域の指定をいたしておりますので、おそらく今年度の災害復旧の際のそういった被害地域の指定ということも各省共通でおそらく各市町村ごとに指定をすることになろうと思います。
○西村(力)委員 わかりました。ぜひさようにお願いしたいと思うのです。 次には、この台風の特別立法の対象期限の切り方というか、それはこの前の台風、山梨、長野あるいは岐阜その他を襲ったあの台風十三、四とか、ああいう台風もやはり相当の被害を与えておるのですが、その時期の切り方をどこに一応めどを置いておるかということです。そういうことは全然考えずに、今回の伊勢湾台風のみに限定しているかどうか。こういう点はどうでございましょうか。
○小林説明員 これはやはり各省共通の問題になるわけでございますが、文部省といたしましては、現在のところ今回の十五号台風だけに限定することなしに、八月以降の災害等にもそういった恩恵的な措置を適用するようにしたいというふうに考えておる次第でございます。
○西村(力)委員 わかりました。それでは次に災害坪数の認定でありますが、これも具体例でお話申し上げますが、ある学校、これは小学校ですが、全壊が二百八十三坪それから極端な傾斜でもって再復旧不能なもの二百八十七坪、合計して五百七十坪と出てくるのです。ところが文部省のきめられておる基準坪数が七百三十四坪。残存坪数が四百二十八坪、こういうことになると五百七十坪の被害を受けて、それを完全に再建しなければならぬというのにかかわらず、対象になるのはわずかに三百坪だ、こういう計算になって参るのです。その他の学校なんかは極端にいいまして、二百二十一坪の倒壊がありまして残存坪数を基準坪数に合せてみますと、これは零になる。こういう学校もあるのです。こういういろいろのケースがございますが、つぶれた学校がどうやって作られたかといいますると、やはり文部省のきつい基準のもとに、ある程度国の助力も受けながらも、ほとんど地域の自治体あるいは住民が努力をして、子供の教育のために作っていった。そういう努力によって最も教育効果をあげるための必要な坪数としてこれを確保してきた。ところがこういう天災による被害を受けて、さて復旧しなければならぬという段階になりますと、基準坪数から残存坪数を引いてみると、被害を受けた坪数がほとんど満たされない。こういう事態になってくるわけなんですが、これではまた父兄諸君が努力をして前通りに復旧するのには、前と同じ二重の父兄負担をやっていかなければならない、こういうことになって参ると思うのです。ここのところは何とか災害にあって復旧を要する坪数だけを災害復旧特別措置の対象になるような工合に考慮していくようにぜひお願いしなければならぬ。文部大臣は原形復旧以上に改良復旧ということを強く主張せられ、その方を指向せられておるのですが、それはけっこうですし、また三分の二を四分の三に引き上げる。あるいは十分の九という小牧委員の主張にも同調せられておるが、そういう補助率の引き上げとともに、現実に災害にあった坪数の全部を対象にしていくということをはっきり確立してもらう必要があると思うのです。そのためには生徒一人当りの基準坪数を引き上げなければならぬということに相なるかもしれませんけれども、特別措置でありますから、やはりここに特別の考慮を現実に現わしていって、今私が申し述べたようなことをぜひやってしかるべきものであると思うのです。その点に対してはどのような方法で今進められておりますか。
○小林説明員 従来災害復旧の場合に、やはり工事費算定基準につきましては小学校〇・九坪、中学校一・〇八坪という基準でやって参っておるわけでございますが、こうした災害復旧の場合には、少くとも基準以上の量的なものを持っておった学校に対しまして、やはりそういった量的な原形復旧をはかるべきでなかろうかというふうに考えまして、文部省といたしましては原形復旧についてできるだけ予算をとって、基準以上のものの原形復旧を認めるようにいたしたいとふうに考えておる次第でございます。先ほど大臣から御説明申し上げましたような、質的な、木造のものをコンクリートに改良するということと合せまして、基準以上のものの量的な原形復旧というものも、この際できるだけ完成したいというふうに考えております。
○西村(力)委員 大臣はせっかく原形復旧以上の改良復旧あるいは四分の三の補助率ということを新聞なんかでも発表されておりまするが、そういう場合に、せっかくお考えになっても今のような計算方式でいくと、つぶれた坪数が全然見られないとかあるいは五百七十坪つぶれて三百坪しか見られない、こういうような不合理が出て参るのであります。ですからただいまの監理局長の答弁については、大臣はもっとしっかりとした態度で、予算折衝に当って、これを実現するという工合にいかなければ、四分の三にしようと何にしようと、さっぱりあなたのお考えが生かされないということになって参ると思うのです。ですからその点に対する大臣の決意というものを聞かしてもらいたい。
○松田国務大臣 先ほどもお答えいたしておいたのでありまするが、非常な決意をもって、できる限り所信を貫徹するように努力いたしたい、かように考えております。
○西村(力)委員 ぜひさようにお願いして成功されることを私たちは期待いたしております。次に育英資金の特別貸付でございまするが、これは相当大幅にやってもらわなければならぬのじゃなかろうかと、こう思うのです。せっかく向学の心に燃えた子弟が、思いがけない天災によってみずからの希望を捨てなければならぬという心中を思うときに、これは何としても救済してやるということを私たちは強く希望いたします。この育英資金の特別貸付は、現在の育英会の資金のワク内でやるのか、特別に今回育英会に対する財源措置をして、何億か何十億、何十億とはならぬでしょうが、そういう特別な金をこれに振り向けていくのか、そういう点早く対策を明確にしてもらわなければならぬ。現実に生活が苦しいからどんどん学業を放棄する子供が出てきておる。それに対して学校をやめなくとも、こうやってやるのだということを早く示していく、それもはっきり裏づけのある方法で示してもらわなければならぬ。われわれは泣く泣く学業を放棄していく子弟の気持を察すると、こういう点は、みなさん方の愛情のある施策というものを早く示して、そういう人々を救済するようにしていただかなければならぬと思うのです。今の点に関してどうお考えか伺いたい。
○齋藤説明員 今回の災害の被災によりまして、生活が困窮いたしまして就学困難な大学の学生あるいは高等学校の生徒に対しましては、従来のように育英会のすでにあります貸付金の運用だけでは足りませんので、文部省といたしましてはさらに別ワクの予算を要求する考えで準備いたしております。なお、今回の災害の特徴でありますところの長期の床上浸水等に対しましては、従来対象に加えていないものも対象に加えるように準備をいたしております。なお、この措置を早く知らせることでございますけれども、先般名古屋にあります対策本部では、とりあえずの方針につきましては、予算より先行いたしまして、大体の方針をパンフレットに出して現場で配っているような措置もいたしております。
○西村(力)委員 特別な資金の額はどのくらいであるか。それは対象人員を何人ぐらいに踏んでいる額であるか。
○齋藤説明員 採用率につきましては、現在まだ大蔵省と折衝中でございますので、確定した数字を申し上げる段階には至っておりませんけれども、従来ありました二十八年の災害等を基準にいたしまして、決してそれに劣らぬように、特に高等学校等につきましてはできるだけそれを上回るような数字に持っていきたい、かように思って折衝いたしております。
○西村(力)委員 折衝中の数字というのは、発表できないのですか。
○齋藤説明員 現在ちょうど今やり合っている最中でございますので、ちょっと一両日まだこの数字を申し上げるのは無理かと存じます。
○西村(力)委員 そういう場合に、何か過程にあるものに対しては一切発表しないというような、こういう方式をとられておりますが、私はやはり文部省はこれだけの人数を救うためにこうしようという場合に、金を出す、そういうことは公表して、そして議会の応援を受けるなり、国民のバック・アップを受けるなりして、その目的を達することが正しいのではないか。私たちはいつの場合も考えるのですが、どうも政府部内でやっておる間は、大蔵省のごきげんをそこなってはいけないというのかどうか知らないけれども、内輪の相談だから、あとはわれわれが責任をもってやるのだ、おれたちがしてやるのだから、でき上ってからお前らありがたいと思えというような感じがするような秘密主義をとられる。私たちはなかなか解せないのです。こういう点は一体どういう関係になっておるのでしょう。
○齋藤説明員 お話の点ごもっともでございますが、実は何%というこまかい数字そのものが今折衝の段階でございますので、今この確定した数字自体を申し上げるのを差し控えさせていただきたいのでございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、二十八災等を基準にいたしまして、この育英の問題につきましても、文部省としては決して下回らず、むしろそれを上回るような方向に持っていきたいということでございます。なお、大体の方針につきましては、先ほど申し上げましたように、これは学生、生徒がやめるかやめないかという時期でございますので、考え方につきましてはいち早く現地の方へはお知らせして、少しでも皆さんの心が安まるような措置はとっておるような次第でございます。
○大平委員長 本島百合子君。
○本島委員 ただいまお二人の委員から基本的な問題については大体お話があったようでございますが、私どもも委員長と御一緒に鳥取、兵庫の僻地地域といわれるような地域の災害地に参ったわけです。この地域におきましては、どこも同じことであろうかと思いますが、特に山間僻地といわれるようなところでは援助が非常におそいということになりますし、それから道路も寸断されておりますので、自然教育は分校を土台にしてやっていく。そこで先生方も泊り込みで、全然帰ってこられないというような状態で住まっておるわけです。こういう場合に僻地に対する今までの認定の仕方というものが、この災害にあってもう少し変ってこなければいけないのではないだろうか、こういう現地の声もあったわけであります。従ってそういう点について文部省としては考え直しなさるお考えがあるかどうかということが一点。 それから今度の災害に際しまして、特に山間地ではニュースを受け取る機関が非常になかったというようなことで、せめて学校にテレビでもあり、ラジオでもあればよかったけれども、ラジオによりましても、電気を使うということになれば、電気は消えてしまって何も情報を得る手だてもなかった、そういうことを申しておるわけです。そこでこの夏僻地教育の視察を私どもいたしましたときに、来年度予算にはできるだけテレビにいたしましても、またラジオ等の設備のないところについても十二分に考える、こういうことが文部省で言われておるわけですが、この災害に際しまして、特にそういうものの必要性ということが大きく言われて参っておるわけです。従って来年度予算と言わないで、今度の災害復旧に当ってそういう設備をしてやる意思があるかどうかということをお伺いしたいと思います。 それから三点は教科書の問題でございますが、教科書は大体十分ではないけれどもやっておるつもりだというお話でございましたけれども、現地の方の声では、僻地へはなかなか教科書も回していただけない。そこで予算が明記されておるならば、県あたりで措置をしてやっていく。しかしその点が明確でないために、教科書を買うにいたしましても、現実にはその学校々々で教科書が違っておりますから、こういう大災害にあっては間に合わないというような状態になっておるということが言われたわけです。そこで教科書出版社あたりでは、災害を予測してということはおかしなことかもしれませんが、大体どの程度に予備を持っており、そして今回の災害に当って、災害学童全部に支給できるだけの準備がされておるかどうか、こういう点を伺いたいと思います。その教科書ばかりでなく、教育に関係いたしますところの費用は、先ほど西村委員も言われたように、根本的に予算の明示がないために自分たちは手の施しようがないということを盛んにどこでも言っておるわけです。特に財政の豊かでない市町村等におきましては、どう自分たちでやるか。自分たちの財政は、その学校教育だけではなくて、土木建設の方が大きな比重を占めて参ってきますので、たとえば今までは先ほど言われておるように、基本的なものはやっていただいても、学校の設備とかその他の小さいものについてはほとんど見てもらっていない。そこで父兄の寄付金でまかなって、ようやく災害の復旧を終えてみたものの、またやられた、こういう状態でございますから、なかなか寄付金に待つということはできないというのです。こういう場合におきまして、文部省としてはどういう考え方で府県あるいは市町村に対して、そういう不安を除いていかれるのかどうか、こういう点をお尋ねいたしたいと思います。
○内藤説明員 僻地につきましては、現在僻地教育振興法の改正に伴いまして、大幅に僻地基準の緩和をいたしたのでございます。これはすでに先般も申し上げましたように、人事院規則をそのまま適用しますと、今の僻地学校の約半分が対象外になってしまうのでございます。そこで今度の新しい文部省令によりますと、従来のものが九八、九%は保障されるように相当大幅に改善いたしましたので、今直ちに僻地基準をこの機会に改正する考えはございませんけれども、さらに実情をよく検討いたしまして、なおこの省令によって漏れがございますれば、検討いたしたいと考えておるのでございます。 それから僻地についての視聴覚教育でございますが、災害におきましては大体どこでも電源が切れるのでございます。今日僻地学校には、NHKの大へん御協力によりまして、ほとんど漏れなくトランジスターのラジオがいっておるはずでございます。ですから、災害にあって学校でラジオが聞けないということはないのではなかろうか。私ども実は僻地教育振興の一環といたしまして電源のないところ、特に無電灯地帯には、毎年四、五十校程度、風を利用する場合、あるいは水力を利用する場合の電源についての補助をいたしているのでございます。ですから、そういう僻地において視聴覚教育をやる場合には電気を要しますので、そういうことをここ数カ年間とっております。大体現在約一千万程度の予算でございますが、今のところこれで各県とも大体間に合っているのではなかろうかと思います。それ以外に、今申しましたように、災害の場合には特に電気が切られますので、トランジスターのラジオがあれば大へんいいのではなかろうか、特に僻地にはトランジスターラジオが相当普及しておるのでございます。 それから第三点の教科書でございますが、教科書については、すでに愛知県についてはほとんど発送済みでございまして、小学校十七万八千七百八十冊、中学校二万二千八百五十一冊というものがすでにほとんど学校に配付されております。なお岐阜県については二万四千二百十七冊、三重につきましては小、中合せまして十六万四百五十四冊のうち十二万二千八百十冊がすでに十日の夜までに配付済みでございまして、残りももうすでに全部発送済みでございますので、災害児童の教科書でそう困るということは私どもはないと思っております。ただこういう問題があるわけでございます。特に愛知県あたりで山間の方に避難したというような場合に、どこの教科書を使うかという点が問題になるわけです。それで名古屋市の使っておる教科書、名古屋市は市一本で採択しておりますので問題はないわけですけれども、名古屋市の方々がいなかの郡市へ参りますと、教科書が違うわけであります。ところが戻ってくるために実は教科書は用意してある。ところが一時縁故疎開や何かで行っておりますので、その現場のところでは教科書が不自由になっているかもしれませんが、この場合には、今私ども話を聞いてみますと、大体現地の校長さんたちが非常にあっせんに努力されまして、古い教科書を集めてその子供たちに使用させておる、そうして名古屋に戻ったときに新しい教科書を配付するようにしたい、こういうことでございます。ただいまのところ予備といたしましては、文部省が毎年需給調査をいたしますが、展示会をやったあとで新本の予想を立てまして、五%ほどの予備を見ております。ですから災害に当って各地で教科書が不足して困るというようなことは、まず五%の余裕がありますので、私どもは支障はないと思っております。それから価格につきましては、これは小、中学校については、指定災害地域については災害救助法で全額めんどうを見ることになっておりますから、市町村で御心配になることは私どもはないと考えております。 なお災害指定以外の漏れたところで、大へん教科書の入手に困っておるところには、実は準要保護児童の関係で教科書を無償配付しておりますから、その予算を一部流用して、そういう困っておる人にも教科書を無償でやる道を考えておるわけでございます。大体教科書については問題はなかろうかと思うのでございます。
○本島委員 ただいま答弁がございましたが、現地に行ってみますと、そうスムーズにいっていないということがよくわかるわけです。特に私どもが参りました地域は積雪寒冷地区といわれて、十一月中旬ぐらいから寒くなるし、下旬になれば雪が降る。降れば二メートル以上も積る、こういう地域が多いわけです。特にニュースの面におきましても、そういう地域は一般に考慮されていない。忘れられた形における場所が多いわけであります。先ほどからいわれておりますところの災害につきましても、いろいろの点で漏れていく。小災害と申しますか、そういうことになる率が多い。しかも建設土木の関係でいければ、復旧しなければその部落には渡れない。全く忘れられ、そうして交通も途絶しておる、こういう場所であるというところが多いわけであります。従って、そういうところを先にやって心配のないようにしていただかないと、これから先の救援の手がなかなか伸べられない、こういうことになるわけであります。現地の人々が最も不安に思っておるのは、大きい災害で指定されておる地域には十分な手が伸べられるだろうけれども、われわれのところは忘れられがちだということを言っておるわけであります。特に今まででも僻地といわれるところは教育が機会均等に行われていない。そういう地域が多くやられておるという状態でございますから、できるだけ文部省自身もそういう点に落度のないように一つ考えていただきたいと思う。そして三万円以上というような形で今後災害について政府与党が考えられておる、こう言っておりますが、しかしそれ以下であっても、その町村というものは非常に貧しいのですよ。ですから、そういう対象からはずれていく。ところが道路復旧その他についても考えていかなければならないから、教育ということになれば自然おくれがちになる。そういう地域であるということを認識して、いち早く救援の手を十二分に差し伸べてもらいたい。それから僻地に対する考え方が、もし実際的に漏れておるところがあれば考えるということでございますが、その点は特に要望しておきたいのです。それでなければ、こういう災害の場合に、自分たちの住んでいるところを離れて山間僻地へ入っていく先生方、こういう先生たちも十分な教育意欲というものがわいてこないだろうと思います。台風は大体毎年やってくるのだし、繁華街ばかりではございませんから、そういう点も特にお考えいただき、多少の基準が変更されても、そういう地域では十二分に認めてもらいたい。こういう要望もございましたので、御注意をお願いいたしたいと思います。
○大平委員長 午前中はこれまでにいたしまして、午後一時半から再開いたします。 午後零時三十八分休憩 ————◇————— 午後二時十二分開議
○大平委員長 これより会議を再開いたします。 この際、学校法人名城大学問題について、小林監理局長より説明を聴取いたします。
○小林説明員 最近名古屋にありまする名城大学に紛争が起りまして、現在大学における教育が円滑に行われておりませんので、私どももその点を心配いたしておるわけでございますが、その紛争の現在までの概要につきまして、私どもの把握いたしました範囲内で簡単に申し上げたいと思います。 御承知かと思いますが、名城大学は法商学部のほかに理工学部、薬学部、農学部といったような理科系の学部を持っております大学でございまして、その点では中部地方においては、理科系の学部を有する唯一の私立の大学でございます。大体学生の数は約六千人といわれております。また教職員の数は約三百人といわれておる学校でございます。この大学につきましては、実は昭和二十九年から紛争がございまして、当時理事長兼学長でありました田中寿一氏が、東京に法学部を設置しようといたしまして、教授会の議を経ないで建物を購入し、また文部省にその設置の認可を申請したわけでございます。こうした田中氏の独断的な学校の運営につきまして、それ以前から不満を持っておりましたところの教職員が、この独断的な行動を機会といたしまして、田中氏の排斥運動を起しました。理事長兼学長の職務をめぐりまして、地方裁判所に訴訟として争われたのでございます。昭和三十年の十月に至りまして、名古屋の地方裁判所では訴訟を進行させるために、理事長の職務代行者を指命いたしました。前の東北大学の名誉教授でありました広浜嘉雄氏をその代行者に指名いたしました。なお裁判所はこの紛争の早期の解決をはかるために、三十二年の五月に調停委員会を組織いたしまして、地方裁判所の裁判官である白木裁判官と、日本医科大学の理事長である河野勝斎氏、明治大学の学長である松岡熊三郎氏の三人を調停委員に任命いたしました。前後数回にわたりましていろいろと双方の意見を聞き、調停を行なったのでありますが、ついに調停が不成立に終っております。なおこの調停の期間中に、三十二年の十月に、当時の大出学長、これは田中理事長兼学長にかわって学長になられた方でございますが、大串学長その他十四人の方から田中寿一氏を刑法上の税法違反、あるいは業務上横領、詐欺というようなことで地方検察庁に告発をいたしております。前申しました理事長職務代行者の広浜さんにかわりまして三十三年のたしか五、六月ころでありましたか、福井重氏が理事長職務代行者に、やはり、裁判所から指名されております。その後しばらく双方とも訴訟上の争いを繰り返しておりましたが、先ほど申しました河野勝斎氏らの非常に献身的な努力によりまして、これは法律上の調停ではございませんでしたけれども、事実上の和解を成立させたのでございまして、まずその評議員を確認いたしまして、この確認された評議員から基本理事を選び、そうして理事会を構成するということに成功をいたしまして、昨年の八月に事実上の和解ができたわけでございます。その当時声明書を発表いたしまして、今後できるだけ学内の組織的な運営化ということに努力する、従ってそのためには人事規程、文書規程、経理規程というような諸規程を整備していくということと、なおそれまでの紛争上いろいろと問題があったわけでありますけれども、この際は処分者を出さない、いずれも愛校の精神に出でた者については処分をしないということを声明いたしたわけでございます。 昨年の八月に一応、過去数年間にわたる紛争が手を打たれたわけでございますが、しかしその後なお紛争期間中のいろいろな事務の跡始末という問題が残りました。たとえば金銭出納の関係の点、それからその当時中には必ずしも愛校の精神に出たとばかり言い切れない者の罷免の点というような、紛争期間中の事務の跡始末の方法につきまして、また先ほど申しました紛争中の学長であった大串氏の処遇の問題につきまして、また学内の運営を組織化する具体的の組織化の方法等につきまして、理事者間に意見が分れまして、積極的に急速にこれを実施しようとする田中寿一氏、それから大橋光雄氏といった積極派の方々と、これを時間をかけてゆっくりなしくずしにやっていこうという、いわば消極的な、穏健派の田中卓郎——この田中卓郎と申しますのは、田中寿一氏の実子でございますが、この田中卓郎、小島末吉というような理事の二派に意見が分れまして、学内の事務処理上対立しておったわけでございます。こうした対立によりまして学内の情勢がすでに円滑に行われておらなかったのでありますが、理事長の田中寿一氏は、学内の運営がうまくいかないのは学長で理事であるところの日比野氏が、要するに自分と反対派の方と手を組んでおるのだということから、今年の七月の七日に日比野学長を理事会の議を経ないで罷免たわけでございます。これで事が再び燃え上りまして、さらに七月の二十六日には田中卓郎、小島末吉の両理事を解任する、それから七月二十九日には四つの学部の各学部長、それから事務局長事務取扱、庶務課長、学部の事双長といった方々の解雇を行なっております。なお八月の十五日にも短大の学生部長その他を解雇しておるわけでございます。この問いろいろ感情上の問題もあったと思われますが、学長室を事実上実力をもって閉鎖する、それから学長室の調度品の持ち出しというようなことも行われておりますし、また大学本部の電話の売却というようなことも行われたようでございます。なお九月の十七日には、原因不明でございますが、この学校から出火をいたしまして、講堂など約六百坪というかなりの坪数を焼失いたしております。大学の先生方はできるだけ学生に対する授業を継続しようということでいろいろと努力をされておるようでありますが、八月以降の給与の支給もない、非常に困難しておる状況でありますし、またいろいろ実験、実習上必要なガス、水道、電気もとまるというような状況にあるというようなことでありまして、学生も安心して授業に専念できない状況ではないかと思われます。学生も、これは一部か全部かわかりませんけれども、理事長退任要求の学生大会というようなものも行なっておるようでございます。 なお大学と密接な関係にありますところの銀行その他世間の信用も以上のような経過のためにだんだん落ちてきておるというようなことがいわれております。 なお理事長は最近十月の三日及び十一日には一部の、特に責任者と目される五人、すなわち田中卓郎それから日比野学長、小島末吉、渡辺教授、大串教授らを除きまして、全部の解雇を取り消したということがいわれております。 文部省といたしましては、八月の中旬にこの紛争が再び始まったということを聞きまして、それ以来数回にわたりまして双方の方を呼びましていろいろと事情を聴取いたしました。文部省は法的にこの解決を命令する権限はございませんけれども、やはり学校教育が正常な形で行われないということは非常に困った問題でございますので、何とか学校教育の正常化ということを考えまして、いかなる事態がきても学校教育だけは継続して、学生に迷惑がかかることのないようにしてもらいたいということを申しました。また先ほど来申しておりますように、田中寿一氏と卓郎氏は実際の親子関係でございますので、こうした関係にある者が相争う、父が子供を罷免するというようなことは世間の常識からもはずれていると思われますので、何とかぜひ両方で努力して和解するようにしてもらいたいというふうに勧告をいたして参りましたが、現在までのところそれがまだできておらないことは非常に残念に思っておる次第でございます。 現在までの概要の経過を申し上げた次第でございます。
○大平委員長 ただいま小林監理局長より御説明がありました名城大学の問題につきましては、今朝来の理事会におきまして学長等より実情の陳情を受けた後、その取扱いについて協議いたしたのでございますが、とりあえず参考人の出頭を求めて事情を聞いてはということに相なりましたので、その参考人の出頭要求についてお諮りいたしたいと思います。 名城大学の問題は学校教育ことに私立大学のあり方の上から、当委員会といたしましても現状のまま放置しがたい問題であると思われます。つきましては学校法人名城大学の問題に関し、参考人として関係者の出頭を求め、その実情を聴取いたしたいと存じますが御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。なお参考人の人選、日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 —————————————
○大平委員長 それでは休憩前に引き続き質疑を続行いたします。辻原弘市君。
○辻原委員 私は、先般来からの当委員会で問題になっております職員団体に対する専従休暇を制限するという問題に対しまして、その後、私の県である和歌山県の地裁におきまして注目すべき判決が行われておりますので、この判決の趣旨に基きまして政府当局の見解をこの機会にただしておきたいと思います。 この判決が行われましたのは九月二十六日でありますが、それは、去る四月の一日ごろ和歌山県の教職員組合に所属しております執行委員が、その業務の執行上それぞれの地方教育委員会に対して専従休暇の申請をいたしたところ、県教育委員会の指導と相待って、それぞれの地方教育委員会は、その専従休暇を個々人が申請する権利がない、こういうことで却下をいたしまして、その申請を受け付けない、こういうところから係争が端を発せられたのでありますが、その係争が発展をいたしまして、職員団体としては一方には人事委員会に対して不利益処分の申請をいたしますし、一方においては裁判の公訴を提起いたしまして、教育委員会がそれぞれ専従休暇を与えないというこの処分の取り消しを裁判所に申し立てをしたことに対する判決であります。 この問題をめぐって裁判を起しました原告の主張は、専従休暇というものは今日の法規のもとにおいては当然許可されるべきである、従って承認をしないという地方教育委員会なりまたそれを指導している県教育委員会の態度は誤まりであるという申し立てであります。これに対して被告の側に立つ教育委員会の言い分は三つに分れておりますが、その第一は、この場合申し立てをいたしました九名のうち二名は、地方公務員法違反のかどによって今裁判が別個な形で行われておる。地方公務員法違反のかどによって停職の処分に付せられ、その後それが起訴をされたという形で目下休職に入っている。従ってそういう休職中の者が専従休暇を申し出る権利はない、こういう見解であります。第二には、和歌山県教職員組合という職員団体は、その中に免職処分に付せられた者が六名いる。従ってこの組合は職員団体としては適格性を欠いておる。また一方においては若干組織の中の規約上の変更を必要とする事態にありながら、その変更の登録も行なっていない。従って職員団体としての法の保護は受けられないのだ、こういうのが二つの主張であります。それから第三番目の主張としては、たとえ地方教育委員会が専従休暇についての承認をしても、県教育委員会がその措置は不適当であるとして専従休暇に対するその後の補充は行わないということを地方教育委員会に対して指示している。従って休暇を与えるということは公務に支障があるのだ、こういう三点にわたっての主張であります。そういう意味で休暇を与えない。またそういう意味でその裁判には服しがたい、こういう主張で裁判が行われたのであります。その結果裁判所はいかなる判定を下したかといいますと、まず第一の停職ないし起訴休職中にある場合、果して専従休暇の申請ができないものかどうか。これに対して裁判所の判決は次のごとくになっております。「停職中も職を保有し、たとえ、職務につくこと自体は拒否されていても、公務員の性質上、組合その他の業務につくときには新たな承認を得る必要があり起訴休職中は給与の支給もあるからやはり専従休暇の承認が必要であり」、従って当然申し立て両人の専従休暇の申し出は相当である、こういう見解であります。それから和歌山県教職員組合は職員団体として不適格であるという教育委員会の申し立てについて次のように言っております。「公務員が職務の性質上争議権や団交権の態様等について制限を受けるのはやむを得ないが、それは労働基本権の実質的な内容まで制限するものではなく、人事委員会制度などの保障を担保とした、相対的、手続的な規制である。特に地公法には現職以外の者を排除する明文の規定もなく、その立法当時存した労働組合を職員団体として扱う経過規定で「職員を主たる構成員とするもの」と規定し、また不利益処分の審査請求中行政庁内部でも免職処分を取消し得る可能性があることなどから考えてみると、かりに被免職者がことさら当局との交渉にのぞむことの是非は別としても、免職者がその懲戒処分を争っている間は、勤労者の保護を目的とする職員団体の性質上当然その構成員にふくまれるものとしてよい」こういうふうに言っておるのであります。それから登録した後における組織内部における若干の変更について直ちにそれは登録をし直さなければならないものかどうかということについては次のように言っております。「和教組は昨年度の大会などで校長部の新設、大会開催日の変更などを決議しており、その変更登録を行っていないがこれは和教組の同一性を失わせるものでなく、登録の効果を失わせるほどの欠陥ではない。また単一体であるか、連合体であるかの争いについては、実質上それほどの相違がなく、民主的な組織運営を保障された職員団体であればよい。」それから補充をしないから公務に支障があるのだという教育委員会の申し立てについては次のように言っておるのであります。「教育の独立、地方自治の精神からしても、また「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」「地方自治法」の諸規定からしても、県教委は各市教委の服務監督権についてまで一般的指示権は持っていないから、各市教委が専従休暇を与えるときは、当然職員の補充をしなければならず、事実上補充しない事態が起っても、行政機関内部の責任、調整の問題で、これを理由に軽々しく勤労者の権利を奪ってはならない。また人数も和教組六千名に対し、原告ら九名の程度では従来の慣行からみて到底補充が困難とは思われない。以上の認定によれば本件の事実関係である限り、被告ら各市教委は当然原告らの専従休暇を承認する法律上の義務があるから本件不承認処分は違法で取消されねばならない」以上の判決であったのであります。 そこでこれらの諸点についての見解を承わるわけでありますが、この裁判における判決の趣旨、またその根拠としておることは、われわれがこの委員会におきましてしばしば主張いたしまして、文部大臣並びに事務当局の見解を承わった点であります。しかしながら、当委員会における文部省事務当局の見解は、いずれもこれに反論をしておったのでありますが、公正な裁判においてはわれわれの主張が正当であるということを認めたのであります。 まず総括的に一つ大臣に承わりたいのでありますが、私は今ごく簡略に申し上げましたので、裁判の詳細にわたっての法的根拠、それからその経過等について、裁判所から原本を取り寄せましてここに持っておるのでありますが、時間の関係でそれは省かしていただきますけれども、要するに主として裁判が述べておることは、あくまでも専従休暇の問題は近代社会における労働者の基本的権利を保護するというところから発して、現行法律といえども、それは労使の関係を対等ならしめるために諸種の基本的人権に対する保護を加えている。しかしながら、一方公務員なるがゆえにその職務の性質上から一般的に制限を受けておる事柄は、団体交渉権及び罷業権の制約である、こういうふうに述べておるのであって、専従休暇は、あくまで職員団体に所属する職員に対して、これは与えていかなければならぬという趣旨を貫いておるのであります。それについてどのように大臣としてはお考えになりまするか承わっておきたいと思います。
○松田国務大臣 和歌山県において教育委員会の意見と教職員組合の意見との相反することは、まことに遺憾に考えております。裁判の判決については何も申し上げることはありません。和歌山県の特定の事情については、これを私はつまびらかにしませんから初中局長をしてお答えせしめます。
○内藤説明員 ただいま辻原委員から和歌山の地裁における判決の理由についてお述べになりました。和歌山の教育委員会、特に関係の市の教育委員会では、この判決の結果に不服でございましたので、本十月の十日に大阪高裁に控訴しているような状況でございます。もちろん適法な職員団体については、お話しの通り専従を許可すべきものと考えておりますが、和歌山の場合には、私どもの見解では、免職者を含んでおる適法でない団体でございますので専従を許可する必要はない、かように考えておるわけでございます。
○辻原委員 この問題は、単に和歌山県の教職員組合に起きた問題にとどまらず、今全国的に専従休暇を制限しようとする条例を提出しようとしたり、あるいは教育長協議会等で、その意見として専従を制限してもらいたいということを文部省に要求をする、また政府部内においても制限を加えていこうとする動き等があって、これは私は一つの事例というのではなくして、いわゆる公正な裁判がこれらの問題に対して正しい法律上の見解を示したものだと実は理解をしておるのであります。そういう意味で和歌山県に起きた例は、今大臣がちょっとそういうことを言われましたけれども、特異な事例ではない、他の府県にもこれは適用され得るきわめて一般的な事項だと私は思います。そういう意味で一つお答えを願いたいと思うわけであります。今前からの文部省のお答えを内藤さんが繰り返されただけでありますが、どうにも納得がいかないわけであります。先ほど私が読み上げましたいわゆる不適格であるという職員団体も——それは免職者を含んでいるから不適格であり、しかもそのゆえに専従休暇を与えられないということは、これは適法ではない、こういう解釈をしておるわけであります。そこの点についてあなた方は、あくまで含んでいる場合においてはそれは不適格である、こういう解釈を下された法的な見解というものをもう少し明確にしておいてもらいたいと思います。
○内藤説明員 国家公務員、地方公務員につきましては、従来から人事院も同様でございますが、地方自治庁も同じ見解をとって、職員でなければ職員団体の役員または職員になれない、こういう見解を終始とって参ったのでございます。これについて人事院規則によれば、登録要件の中に官職、氏名というのが出ておりますので、当然に職員でなければ組合の役職員になれないという原則を貫いておる、かように思うのでございます。なお、これは直接の関係ではございませんけれども、従来から公労法四条三項には職員でなければ組合の役職員になれない、かような規定が現存しているわけであります。公労法においてさえもそういう規定があるのですから、国家公務員、地方公務員はさらに公共的な色彩の強いものでございますから、当然職員でなければ組合の役職員になれない、こういう見解を従来からとってきたのであります。人事院でもあるいは地方自治庁でも同様な見解で今日まで指導して参ったわけであります。ただ、お話のような判決がありまして、そういう見解もあり得ると私は思う。職員でない者が組合に入り得る、こういう一部の見解があるようでございますけれども、私どもはそういう解釈は今日までとっていないのでございます。非職員は組合の構成員として認めない、かような原則のもとに今日まで地方公務員法、国家公務員法の運用をして参りましたので、職員以外の者が入ることは適法な団体ではない、かように思うのでございます。
○辻原委員 公労法四条三項の問題にいたしましても、それから今述べられました人事院規則の問題にしましても、相関連するところはあっても、地方公務員法それ自体と直接の関連はないと私は思う。問題はあくまで地方公務員法あるいは地方教育行政の組織及び運営に関する法律等、現在直接職員なり職員団体に適用されておる法律の範囲内において、私はあなた方の法的見解を承わらなければならぬと思うのです。公労法の問題についても、これは含んでおいても差しつかえないという主張と、それから政府の見解とは今日対立しておるわけであるし、人事院規則の場合においても地方公務員の専従休暇を受ける場合の取扱いについて、それが直ちに効力を発生するという性質のものでもないわけでありますから、われわれは、あくまで現在のある程度制約されたとはいえ、職員団体の保護ということを建前として若干の措置がとられている地方公務員法の範囲で、一体どうかということについて正確な判断をしてもらわなければならぬと思います。だから今御答弁になったのは、政府の態度としてあなた方がおっしゃる点については、これはそうではないと言ったところでお互いの見解の相違ということになるでありましょうが、少くとも裁判所で法の専門的な立場から下された判定ということについては、われわれはかなりの権威と——あなたが今一部の意見と言われましたけれども、私は決して一部の意見ではないと思う。これは控訴中ではあるけれども、少くとも一審においてはそのことが確定しているわけであります。従ってもしあなた方の見解に誤まりがあるならば、率直に誤まりを正された方がいいのではないか。無理な法的見解というものを押しつけるということは、いたずらに、政府がぜがひでも職員団体なりあるいは労働関係というものに対して、権威をかさに着てこれを押しつけようとするという印象を職員団体なり国民に与える以外の何ものでもない、こういうふうに私は思うのであります。また内藤さんは、現在の法律の中において免職者を含んでいるから適法ではない、しかしそうでない職員団体に対しては必ず専従休暇を与えなければならぬものだ、こういうふうにも言われたのでありますが、そういたしますと、問題は私は二つにかかってくると思います。第一の問題は、専従休暇はあなた方がいう登録を受けて適法であるならば必ず与えなければならぬものだという見解、これと、一方において専従休暇を制限してもらいたいというこうした一部の要求、こういったものとの関連においてどう処理されようとするのであるか、前からだいぶ問題になっておりますけれども、その後大臣としては——この前は検討を加えたい、しかし聞くところによりますと、どうも政府部内においても、文部省以外はそういうことについてはあまり力こぶを入れておらないようであります。特に最近災害等の関係から、予算を獲得するということに力を注ぐのであって、そういった何というか、無用な紛糾を国内に起すというようなことについては、他の省ではあまり力を入れておらぬようでありますが、文部省は依然として文部省単独でもそういった制限を加えようとする心組みを今日なお大臣も事務当局も持っているのかどうか、この点もあわせて私は聞いておきたいと思うのであります。その点については大臣の方針を一つ承わっておきたいと思います。
○松田国務大臣 ただいまの専従休暇の問題について、刑罰を受けた者、あるいは首のない者、教職員でない者が教職員組合の幹部になれないという見解をわれわれはとってきたのでありますが、しかしまた正常な立場における教職員であり、そして休暇をとって専従になるということは、現に認めておって、やっていることでありますから、その二つは別個の問題として考えるべきではないか、かように考えているわけであります。そしてこれは全国的に考えらるべき問題であるということはまさにその通りでありますが、文部省以外はこの問題について冷淡である、あまり熱心になっておらぬということは、私は必ずしもそうではない、かように考えております。
○辻原委員 私は大臣にほかの省がどうだということは、これは一般的に私が判断して申し上げたのであって、文部省としては、その後相当時間が経過して、あなたはこの前、私の質問に対しても、検討する、こう言われておったのでありますが、依然としてこういう制限を加え、天下にまた新たな風雲を巻き起すという決意でもっておやりになるかどうか、そういう点についてはどうお考えになっているかという点であります。
○松田国務大臣 それはやはり依然として同じ考えでおります。全国の教育長並びに教育委員会において、過般、専従制限について一つの結論を出して、それに対しては、現在の状態においては、むしろこうした程度のものがよろしいのではないか、むしろ妥当な行き方ではないか、かように考えておるわけであります。しかしこの問題については、なお検討していくという考えには変っておりません。
○辻原委員 先ほど私が内藤さんが御指摘になった点で指摘をしたのでありますが、適格性を欠くから専従の休暇が認められないのだ、こうしている点については、裁判は、構成上、現在の法律の中で、必ずしも免職者を含んでおっても、それは適格性を欠くものではないという法的見解をとっておるのでありますが、その法的見解について、あなたは誤まりであると言われておりますが、具体的にどういう法律の関係において誤まりがあるかということについて、もう少し具体的に述べていただきたいと思います。
○内藤説明員 本件については、現在地裁の判決に不満でありますので、御承知の通り和歌山、新宮、御坊の三市が高裁に控訴いたしておるようなわけでございます。確かにお話のような見解も私はあり得ると思う。地方自治法そのものを見れば、お話のように、その中には何ら規制がないわけでございます。しかしながら、地方公務員法は国家公務員法を基礎にしてできている法律でございまして、国家公務員と地方公務員については非常に深い関連がおるわけでございます。その国家公務員については、先ほど申しましたように、登録要件の中には、組合の役職員の官職氏名というのが出ておるわけであります。この点を考えましても、当然に官職を持つ者でなければならぬということが一つの理由でございます。同時に現在の法体系のもとにおいては、公労法の四条三項も当然に入ってくる問題でございます。公共企業体においてすら職員でなければ組合の役職員になれないという規定が厳存している以上、国家の、あるいは地方公共団体の公務をあずかっておるという職員団体については、さらに公共性が強いわけでございますので、公労法四条三項の趣旨がこの法体系の中に含まれておるというのが今日までの人事院の解釈であり、地方自治庁の解釈であった、そういう法体系のもとに今日まで運用してきたわけでございますので、これを私どもは変える必要がない、かように考えておりますので、今後この問題についても高裁において十分審理されるものと思っております。ですから、現在、地裁の判決があったから、すぐこれが決定するというものでもなし、当局がこれに同意していないのでございますので、私どもは、高裁においてこの点はさらに各般の資料に基いて公正な判決を期待しておるわけでございます。
○辻原委員 法的な問題について、一々ここで述べてあなたとやり合うという時間の余裕がありませんが、これは私は適当な機会にもう少し詳細に内容にわたって議論を戦わしてみたい。ただ、今あなたが言われたことについても、裁判の判決においては、これは八点にわたって裁判所はそれに対して誤まりであるという見解を下しておるのです。たとえば免職された者は職員ではないんだ、しかし一方において不利益処分の審査係争中であるし、裁判が行われておる、こういう事態の場合においては、たとえば不利益処分の審査請求中は、これは法律によって明らかにその問は職員であるという見解をとっておる。従ってあなた方の言うように、職員でないという断定もこれは誤まりである、一例を申し上げるとそういっておるし、それから人事委員会の規則におけるいわゆる官職を付さなければならないということも、これは一般的にいっておることであって、大体の場合においては職員団体の構成員であるから、教職員であれば教職員という身分を保有しておるからその職名を冠するんだと一般的にいわれるのであって、しかしその場合の官職というものは必ずしもこれはすべて官職を有した者でなければならぬ、それ以外の者は排除するという明文の規定でもない。こういう規定から見ても、私の公正な立場における判断で考えてみましても、文部省の従来からとってきた解釈というものは、最初から申し上げているように非常に無理をしているという印象が強い。それから十月十日に高裁に対して控訴をしたということでありますが、いえばそれまでの話であるけれども、この地裁の判決によってからも地方教育委員会における動き、それから県教育委員会のこれに対する態度というものはきわめて微妙なものがあると思う。おそらく私は地方教育委員会としても、これは無理だから控訴はしたくないという印象もあったのではないか。しかしどうも漏れ開けば、やはり全国的な問題だからというので、文部省なりあるいは県教育委員会のそれに対する何らかの形での、よくいえば助言、悪くいえば圧力があったのではないか、と一般的に観測されておる。だから実際はこれは地方の教育委員会にとっては迷惑しごくな話だというのが私どもの耳に入る公正な声なんです。しかしこれは教育委員会なり文部省が今までの自分たちの見解と異なるものであるから、このままではほっておけない。率直に言うと、自信はない、だから行くところまで行ってみろ、こういうことだったと思う。こう言えば、自信はあると内藤さんは言われるかもしれませんけれども、しかし私はそういうことだと思う。そういうことなれば私はこれ以上問題を発展ささずに、あなた方としても一応その地裁の法的見解をもう少し詳細に検討をせられて、それについてあなた方の見解の中に法的に無理があるということであるなれば、問題はそれにとどめた方がいいのではないか。いつまでもこういう形で無理を押していくということは好ましくない方法ではないかと思うのです。たといそういうことが気に入らなくても、厳存している法律がある以上、その法律によって事を運んでいくという態度を私はとってほしいと思う。もしかりに裁判所の最後的な判決が、ここであなた方の言う主張が誤まりであるということになった場合は、もちろんそれに服さなければならぬと思いますが、裁判がこう出たから何とか別な立法措置でも考えようというふうなことにさらに問題を曲げてもっていくというようなことになれば、私は事態はますます混乱をすると思うので、そういう点について、もし裁判が確定をすれば、その判決に文部省が既往のことにとらわれず、いさぎよく服して、正常な職員団体と理事者との関係を取り戻すという決意とお考えが大臣におありになるかどうか、この点をあらかじめ私は承わっておきたいと思う。
○松田国務大臣 最終的な裁判の結果がどうなるか、相当遠い将来ではないかと私は思うのでありますが、そのときにはまた一つはっきりと考えたいと思いますが、先を見越してお答えをすることは差し控えます。
○辻原委員 こういうような裁判の判決が出ておる中においても、ある府県においては地方条例でもって制限をしていこう、また文部省はそういう条例を逐次作らせ、既成事実を作って何らかの法的措置に出ようというようなこともいわれておるのでありますが、そういうような指導と、先ほどもお尋ねをいたしましたが、法的措置を今日なおおやりになっておるのかどうか、もう一度私は確かめておきたいと思います。
○松田国務大臣 非常に困る問題であるならば何とか処置をしなければならぬと思うのでありまするが、あまり小さい問題について私は考えません。つまらぬこそくな手段をもっていろいろやるということは、あまり考えておりません。
○辻原委員 そうすると、地方条例を作らせる指導をしたり、また人数を制限したり期間を制限したりするような立法措置について検討もしておらない、こういうことなんですね。
○松田国務大臣 私が申し上げるのは、差し迫って非常に教育上これでは困るというような問題に対しては、どうしても何らかの処置をとらなければならぬけれども、あまりこそくなことをやって一時的な糊塗をやろうというようなことは考えておらぬということを申し上げております。
○辻原委員 これはぜひともそういうふうにしていただきたいと思うのでありますが、最後に私は、この裁判の原本の判決の理由なりその経過をずっと読んでみますると、裁判というものは、ある面においていろいろいわれるけれども、やはり憲法なり法律を守るということについてはきわめて忠実であるという印象を受けたのです。しかも近代社会における法の性格と、その中における労働基本権というものの扱いについては、これは十分に尊重しなければならぬという見解でこれを出されておるのを見まして、わが国における裁判権の尊厳というものを今さらながら感じたわけでありますが、そういった立場の中に、いたずらに文部省が自己流の法的な見解でもって、行政府の行政の権限というものをむやみやたらに振りかざしていくというようなことは一つ改めていただきたい。特に専従休暇の問題については、これは裁判の判決等の中においても、従来の慣行という観点からながめて、現行の制度というものには、これは文部省がいうごとく非常に困った点があるということは指摘できないということを述べておるのであります。あくまでもこれは職員団体内部の問題として措置をすることが民主的であるという趣旨のことも書かれておるわけで、それに対してとかくのことを言うということは、これは決して民主的な行政上の措置ではない。また、もしさらに行政を乗り越えて立法措置でもやろうというような考え方をお持ちになっておるとするならば、これは憲法に対してまっこうからいどんでいくものだ、こういうふうに私は考えるわけであります。だから、大臣も今言われましたように、そういったことをこそこそやろうとするのがこそくな手段であって、もう少し職員団体と文部省あるいは教育委員会との関係の正常化をこいねがわれるとするならば、そういったいわゆる権力というもの、権限というものを背景にしたような形での問題の処理をお考えなさらずに、根本にあるものについて一体どうしたらいいか、そういうような一つの紛争を起してきた根本は一体何か、その紛争を解決するためには両者とも納得しなければいかぬのですから、納得させるためにはどうすればいいかというような、私はしばしば申し上げますけれども、そういった根本の考え方によって処理されるということをお考えになり、権力により権限によって事を運ぼうということはやめていただきたい。権力によってやろうとすることこそが、今大臣の言われたこそくな手段だと私は理解するのです。いつも私は申し上げるように、問題を根本的に処理しようとすることであるならば、おそらく当委員会の委員諸公の何人といえどもそれに反対するものはないでしょう。だからそういう意味で、辛いこうした判決が出ておるのでありますから、文部省の中においても一つ静かにそういった判決についてもう一度検討されて、誤まっておるならばそれは決してはばかることなく一つ正していただいて、常に公正な立場において行政を執行していくという態度を取り戻していただきたいということを私は希望申し上げまして、さらに私の申し上げましたような意見について事務当局は何らか反論があるようであります、この反論についてわれわれはもう一ぺんじっくり承わり、私もそれに対して一つ反論も加えて参りたいと思いますが、きょうのところはこれら全般についての文部省の態度と、また大臣の今後の処理の仕方について私はお考えを促して、一応この問題を終りたいと思います。
○大平委員長 堀昌雄君。
○堀委員 私は先般来問題になっております青少年の読書指導のための資料の作成等に関する規程の問題について少し伺いたいのでございますが、その前に、ちょっと見渡しますと自民党の委員の方はお一人もいらっしゃらない。委員長はいらっしゃいますが、たといこれが休会中の委員会でございましても、これは私はもう少し自民党の方もお考えを願いたいと思うのです。私がここで申し上土げることは、単にこれは野党の立場で申し上げるとかそういうことではなくて、やはり国のいろいろな重大な問題についてまじめにこれを取り上げる態度で、決して皆さん方を追及しようとかどうとかではなく、ここで建設的な意見をわれわれは述べていきたい、こういう気持でおりますときに、委員長を除いては一人もおいでにならぬということは、私はやはり委員会軽視としてどうしても満足できないのです。本日は時間も多少おそくなっておりますからあれでございますが、今後まず私はこの委員会というものをもう少し皆さん方の方でまじめに考えていただきたい。これでは国民に対して申しわけがないのじゃないかということを私は最初に申し上げて、質問をさしていただきます。 実はことしの四月九日に文部省でただいま申し上げた問題について省令をお作りになって、そしてそれを具体化されようといたしましたところが、いろいろな方面から反対が相当に強くあったように私は聞いております。しかしその後そういう反対の中でいろいろと文部省の方も努力をされたのだと思いますが、一回お出しになった省令を、さらにあらためて九月七日にまたお出しになった、こういうふうに大体調べてみますとわかったわけでありますが、そこでこの青少年の読書指導のための資料の作成等に関する規程を設けるについては、一体どういう目的が一番中心になっておったのか。最初に大臣に基本的な問題について少しお伺いをして、あと具体的な問題は事務局の方のお答えでけっこうですが、それを大臣一つよくお聞きいただいて、あとでまた最終的に大臣に御意見を承わる、こういう格好で申し上げたいと思いますので、まず最初にこういう問題に対しての目的はどういうことであったかを一つ大臣からお答えいただきたい。
○松田国務大臣 近年青少年の読みものについては、青少年の問題がやかましいにつけて、その読書から影響するところが多いのではないか。従ってわれわれは個人としても、また文部省といたしましても、しばしばそういう問題を一般から聞くわけであります。特に公民館の主事であるとか、社会主事であるとか、青少年問題協議会の人であるとか、そういう方両の人々から聞くわけでありまして、従って世論の動きにもかんがみ、何らかの方法をもって青少年に適切なる読みものを推奨するようにしてはどうであるか、また一般の出版会社などからも、この本は特に青年の読みものとして自信を持って出したのであるからといって、特に文部省推薦なり選定なりの指定をしてもらいたいというような要望もあって、それにこたえるために、お話のような文部省の読書指導という責任から考えているわけであります。
○堀委員 ただいまのお答えは、二つの面から考えられます。一つは非行青少年の問題が読書の影響にあるから、それによい本を読ませたいということが第一点であって、二点目は特にこういうものを子供に読ませたいから、出版会社が文部省に一つ推薦をしてくれ、こういう問題と二つあったと思いますが、私はこの二つの問題は、非常に重要な問題があると思っております。まず第一に、非行青少年というものが読書の影響を受けておることは、私も事実そういうことがあるだろうと思っております。ところが、それと文部省が本を推薦するということが、直ちに結びつくかどうかという問題は、私ちょっと問題があるところだと感じるわけです。それが第一点。 それから二番目の、出版会社が、児童向けあるいは青少年向けに非常にいい本だと思って作ったから、一つ文部省で推薦をしてもらいたい、ではこれを一つ文部省で推薦してやろうという、この考え方の中には、私は非常に危険なものがあると思う。松田さんは民主主義の国といわれるアメリカにも長くおいでになった方ですから、私から大臣に対していろいろなことを申し上げるのは、釈迦に説法のうらみがありますけれども、そういうふうなお役所や何かの権威のもとに、国民がそれが権威があるものだと認めるという考え方は、私は民主主義の原則ではないんじゃないかと思うのです。民主主義の原則というものは、そういう権威というものに盲従をしないという、そういう考え方が基礎になっておるのであって、おそらく私は、アメリカでは政府が特にこれは良書だからいいというような推薦制度などはあろうとは考えません。私アメリカの制度を調べたわけではありませんが、そういうことはないだろうと思います。日本のいろいろな現状の中で、一つ非常に根本的に問題があるのは、役所がいいと言ったことは、自分たちが自主的に判断するのではなくて、まるのみにいいんだというこの事大思想が、過去のいろいろな危機を招いてきた、私どもはそういう考え方を取り去るということが、日本を平和の中に再建する道だというふうに現在も考えておるし、民主主義の道というものは、私はそういうものではないかというふうに考えるわけですが、これについて第一点の非行青少年の問題は、悪い本が一部にあるからだ。しかし悪い本が一部にあるということと、文部省がいい本を推薦したらそういう悪い本を読まなくなるということが直ちに結びつくかどうかということ、第二番目はかなり具体的に申し上げましたが、これについてもう一回お答えをいただきたい。
○松田国務大臣 すべて役所のすることが、役所にたより過ぎるという傾向にあるということは、従来からの関係もあって、古い封建思想の流れ、あなたのおっしゃる事大思想ということ、そういう点のあるということは、民主主義の建前からおもしろくないじゃないかということに対しては、私は同感であります。さればといって、ことごとく役所のすることは間違いであると考えることも、また行き過ぎではなかろうかと思うのであります。何となれば、役所といえどもやはり国会において決定せることの執行機関であるという立場から、民意をくんで、しかるべき専門の人々によって、推薦を希望してきたようなものに対しても厳重な調査をやって、これならばよかろうという厳選の結果得たものを推奨するという形をとっておるのでありますから、必ずしも役所のやることであるからいけないのだと断定することもまた行き過ぎではなかろうか、かように考えます。また役所がそういう本を推薦したからといって、直ちに悪書と結びつかないということは、これまたおっしゃる通りであろうと思いまするが、しかし悪書のことを悪書だといって否定するわけではないのでありまするから、良書として推薦する場合には、やはりそれだけの信頼感をもって読まれることになるということは一つのプラスではないか、かように考えます。
○堀委員 一番目の方は、私はこういうふうに思うわけです。悪書といいますか、青少年に望ましくない本が非常に現在出ておりますが、これは私率直に言いますと、今の資本主義制度の一つの大きな矛盾だと思うのです。もうけさえすればいいんだという考え方から、私ども望ましくないと思う本が非常に出ていて、それをまたそういう時期の青少年が読んでおるということはまことに遺憾であって、こういうことはなるたけなくしていかなければならないということは、どなたも同じだと思うのです。ただそのことと、文部省がこういう本はいい本だからといって推薦をするということとが、私は直接にそういうふうに反射的に結びつくようなものではない。一つの理由としてはあるかもしれませんが、それが直ちに結びつくようなものではないというふうに私は考えております。それから三番目の今のお話ですが、役所がやるからいいとかいけないとかいうことは、私少しも申し上げていない。ものの考え方として、要するに何か物事を行うときに、民主主義の原則は、やはり自分たちが、たとえば本を読む、民間の人たちが自由なる意思に基いてそういうことをするのが民主主義としてはいいのじゃないか。民間団体がだれもそういうことをやっていない、これはどうしても必要だから、文部省が一つやりましょうという非常に困難な問題もあるかと思う。そういうものならば、私はそういう場合やむを得ないと思うのですが、民間団体が相当熱意を持っていろいろやっておるというときに、文部省がそこへ一つ割り込んでこういう一つの問題を取り上げようとされることは、私は民主的な考え方からすると、ややもすると日本にあるそういう封建的な思想、お上の言うことが正しいのだという思想が土台にあるところでそういうことをされるということは、弊害が起る可能性があるのじゃないか。今このことを直ちにいいとか悪いということは私はまだ一言も申し上げていないのですが、そういう基本的なものの考え方についてはやはり民主的な方向をとっていくということが、現在おそらく皆さん方の政府としても頭の中で考えていらっしゃることであって、決して皆さん方が現在の世の中を封建的な制度にかえたいなどとお考えになっているとは私も思わないのです。政府とわれわれ国民が民主的にものを取り扱うという同じ方向であるとしたならば、私はそれに逆行するような形は望ましくないのではないか、こういうことを伺ったわけで、いい悪いはまだ先の問題としてまた出てきますが、私は役所がいたしたことは一から十までみんな悪いなんということは少しも考えていないのです。いいことはいいのですが、しかしいいことにもやり方があろうということを申し上げておるわけでして、だから、いいことであったら何でも役所がやってもいいということにはならない。やはり民主主義というものの中で、民間のものを育てるべきものは、文部省が育てる立場でやられるならばいいことで、みずから先頭に立って旗を振らなくてもいいものは、そういうふうにしなくてもいいのではないか、こういう気持を申し上げておるのですが、もう一回その点について……。
○松田国務大臣 文部省も読書の指導ということについて責任があると思うのです。ですから推奨といっても別に押しつけるわけではありません。これらの本は文部省の検討の結果、一般に読んでもらってもいいだろうという意味において推奨するわけでありますから、どこへも強制的に押しつけるわけでない。またお話のように民間によい団体があって、よい本を選定、推奨してくれるということもけっこうなことだと思います。新聞の読書欄などでも良書と思われるものはそうしたふうに外国でも日本でもある程度やっておるのでありますから、そういうこともけっこうだと思いますけれども、ただこれを放任しておくよりは、出版会社などから特に選定を希望してくるものに対して検討を加えて、そして推奨するということはあまり差しつかえないように私は思うのであります。
○堀委員 今の最後のところが私非常に気になるのです。出版会社が一ついい本だとほんとうに自信があれば、文部省の力を借りなくても、いい本を出せば民間の人たちもいいと認めると思うのです。ところが民間の相当りっぱな、そういう推薦をする団体があるのにかかわらず、その人たちの方に十分働きかけてやればいいことを、特に文部省に持ってきて、文部省のお墨つきをもらって、これはいい本だということにしなければ売れないような本ならば、私はそんなものにお墨つきを与えちゃまずいと思うのです。だから文部省がそういうものに利用されるということになると、私はこの制度そのものは相当重大な問題を含んでくると思う。やはり私はさっき申し上げたように、民主主義の原則は、そういう役所だとか政府だとかいう力をたよらずに、自主的に国民が判断をされた中で物事が前進するというのが原則じゃないか。そうするとこの態度はそういう封建的な思想を利用して、何らかのことを考える出版会社がありはせぬか。どうもその出版会社自体がきわめて民主的でない考え方を持っておる。その非民主的な考え方を持っておる出版会社の片棒を文部省がおかつぎになるということは、私はまことに遺憾にたえないと思うのですが、それはいかがでしょうか。
○松田国務大臣 その点、どうも公正な意見を常に吐かれる堀委員と幾らか私は違います。率直に申し上げますが、出版会社だからといって、持ってきたものをそのままそれを紹介して商売にお手伝いをしようというような考えはみじんもない。文部省にもそれぞれ専門家がおるのですから、それぞれ専門家がおって真剣にこれを調査し検討し、これならば推奨してもよかろうという本だけを単に推奨するだけである。あるいは目録に載っけるだけであるというようなことはあってもいいのではないか。それはあなたがおっしゃるように、民間においてもよい機関があって、それが推奨されることもまことにけっこうである。しかし日本でただ一つの文教の府が、それぞれ専門家によって厳重に選定し検討を加えた結果、推奨するものはことごとくこれはよけいなことだと言われることは、あまりにも行き過ぎではないかというふうに私は考えます。これは外国においても権力筋といいますか、教育上において権力を持っておるボード・オブ・エデュケーションなどが時々そういうことをやっておるわけでありまして、必ずしもすべてを民間にまかせておけばいいというものではないんじゃないか。そういうお説もむろん世間にもあるし、出版会社にもよけいなことをするな、何もかも民間にまかせてほうっておいたらいいんだ、そうして民間の良識によって勝手にすきなものは読ませればいいんだという説もあるかもしれませんが、文部省としては、文部省のやることも読書指導の一助にはなると考えておるわけであって、これを強制して読ませるようにするわけでもなく、出版会社の持ってくるものを一々推奨するわけではない。これに対して調査官をして厳重に調査させ、その上できめることでありまするから、その程度のことならばそう弊害のあることでないと私は確信いたします。
○堀委員 実は大臣が非常に問題を先までお考えになって、私は先でその弊害があるとかないとか言うかもしれませんですが、今のこの時点では弊害があるとかないとかいうことは私少しも申し上げてないのです。ものの考え方について大臣に伺っているわけなんです。それで私がものの考え方について伺っておるということは、民主主義という考え方は、やはり自分でものをきめるということ、自主的にものをきめ、判断する、一人々々の個人というものがあるという考え方に私は立っていると思うので、そういう考え方がやはり土台にならなければ困るのではないか。出版会社からこれは児童向けのためにいい本だというものを作って、一つこれを推薦してくれといって文部省にくる。私はその本が悪い本であるにかかわらず、その本を文部省が推薦するなんて言っていないのです。ものの考え方として、いい本ならば文部省のお墨つきをもらわなくても、その本は必ず読まれるし、現在の新聞や、日本図書館協会とか学校図書館協会とかその他NHKにもあるし新聞にもあります。文部広報でも、児童文学者協会、日本放送協会、それから日本図書館協会、学校図書館協会の二つは最も活発に活動している、このほか毎日新聞社、産経新聞社などには優良図書表彰制度があるというようなことも出ておるわけでありまして、こういう団体が現在たくさんあるのです。たくさんあるならば、今の出版社はそういうところが推薦されるようなものを作られれば、あえて文部省へ持ってきて、それの推薦だというお墨つきをもらわなくてもいけるのではないか。にもかかわらずそういうものを文部省に持ってきて、お墨つきをもらいたいという思想の中には、私はさっき申し上げた現在の日本の中に残っておる事大思想の考えの上に立って、多少文部省を利用しようというような考え方が、そういう出版会社にあるのではないか。そういうことでは日本の民主主義の上から非常にまずいんじゃないか、こういうことであって、いいとか悪いとかの論議ではないのです。民主主義という考え方の原則の上に立って考えたときに、民間のこれらのものがりっぱに活動しておる中で、特に文部省で——私のこういう民主主義の考え方の前提に立った上で、どうしても文部省でやらなければならぬ理由があれば、それを一つ承わりたいと思います。
○松田国務大臣 民主的な考え方として、自分のそれぞれの個人の考えでもって物事を進めていくという基本的な考えは、まさにその通りで、おっしゃる通りであると思います。しかしこれに加えて、あるいは子供に対して、若い者に対して、保護者なり親なりが指導助言を与えることが、何も民主主義の基本観念に反するものでないと私は考えます。
○堀委員 私は、親や学校の先生や、あるいは図書館の諸氏が、それについて助言、指導されることは何らかまわないと思うのです。ただ私が申しておりますのは、要するに政治的な問題につながりを持っております政府が、それをきめるという形は、私は民主主義の原則として見ますと、それは絶対していけないというのではないのですけれども、われわれとしてはまず民間にあるものを十分育てていくというのが本来の民主的な政府のあり方であって、どうしても足りない分があればそれはやむを得ませんが、その前に、一つ民間でこういうことをして下さいといって、その指導をおやりになることなら私は反対じゃないが、みずから手をつけて、他にあるものの中へ割り込んで、そうして自分たち政府がやるのだというその態度の中には、私ちょっと民主的な考え方として納得のいかない点があるもんですから、重ねて伺っておきたい。
○松田国務大臣 少しの違いだと思うのでありますが、政府といえどもやはり読書指導の責任を感ずるし、またただ一つの文部行政に当る日本の文部省として、父兄や一般からも一つ良書の推奨をしてもらいたいというような希望があるときに、それに応じて推奨する程度のことは、厳選の上で推奨することは、父兄なり保護者なりが指導助言を与えると同じように、そういうことがあってもあえて民主主義の基本観念に反するものでないと私は考え出る。
○堀委員 大臣は今幾らも違わないとおっしゃったけれども、父兄や学校の先生というものの立場と根本的に違うのです。それは権力なんかないのです。政府というものはやっぱり権力を持っておりますし、政治的なものの考え方の上に立っておるのでして、父兄や学校の先生と政府は私は同列に並ばないと思う。ここはこれ以上申し上げませんが、私は根本的な相違がやはり大臣との間にある。その点、私としてはまことに遺憾だと思うのです。私は事務局の方はいざ知らず、非常に民主的な大臣は私の考え方と幾らも違わないだろう、こっちがそう思っておりましたが、その点はちょっと遺憾ですが、その次に参ります。 今度は具体的な問題に参りますが、それじゃそういう意図があったといたしましょう。文部省も大へんいい本を、そういう要望があるから一つ選定といいますか、目録とかいろいろ出ておりますが、大臣ははっきりとそこで調査をして、厳選をしてきめるんだとおっしゃっていますから、この考え方というものは大臣の御発言ですから、そうなればこれは一種のはっきりした選定なんですから、選定の問題に入るわけですが、要するにたくさん本が出されているのです。現在一カ月に新版として約百冊くらい、再版ものを含めると約二百冊ぐらい、児童少年向けの図書が出版をされております。そうすると、今度目録が作られるについての省令を見ますと、六カ月以内のものが含まれております。千二百冊ぐらいの本が実は今出ておるのです。そういう本が出ておるときに、文部省としてはやっぱり千二百冊の中のいいものを推薦をしたい、こういうお考えだろうと思うのですが、そこのところを一つ、非常にわかり切ったようなことですが、ちょっと問題があります。
○松田国務大臣 むろんこういう本は青少年に読んでもらっても非常に有益である、今日の民主国家の国民として、将来の国民としてこういうものは有益であるという考え、有意義である、これは民主主義の基本観念を一そう植えつけるためにも、民主国家の次代の国民として最も有為な人間になり得る、こういう資料になるであろうというものが選ばれるのではないかと私は考えております。
○堀委員 そうなれば私もそれはいいことだと思うのです。ところが選び方の問題を言っておるわけですが、非常にたくさんの本が出ておる。そうして、そうする場合には、選ぶということになれば、やはり全体の中から選ばなければならないと私は思いますが、大臣もやはりそういうふうにお考えでしょうか。
○松田国務大臣 もちろんそう考えております。
○堀委員 その次に——ここからもう事務局にお答えいただいてけっこうです。四月九日に省令が出ましたところが、日本書籍出版協会の方たちが強く反対をされたというふうに聞いておりますが、その反対をされた点は大体どういう点でございましたでしょうか。
○吉里説明員 お答えいたします。まず昨年の八月に読書指導分科会が発足いたしましてからいろいろ検討いたしまして、一応の素案ができましてから書籍協会と具体的な話し合いを始めました。その際まずいろいろの御意見がございましたけれども、はっきりした御意見といたしまして出て参りましたのは、申請をして本を三冊献本するのは困る、これが最もはっきりした御意見でございました。そのほか申請以外に読書指導分科会で適当と認めるものを合せてやったらどうか、こういうこともはっきりした御意見として出て参りました。その点を実は四月九日に公布いたしました省令でも一応御了解をいただきまして、三冊の点は省令上も修正をいたしますし、それから読書指導分科会の適当と認めるものについても、話し合いでできるだけそれを入れていこうじゃないか、こういうことにしておきました。
○堀委員 大体この問題につきましては、一番強く反対をしていらっしゃるのは日本書籍出版協会なんですが、私も実は詳しく経過を調べてみましたが、いろいろときわめて不十分な問題があると思います。ただいま私が伺ったことに対して、出版社はなぜ反対するかというのを日本書籍出版協会が出していらっしゃいますが、今のお答えと相当違う点がある。「なぜ私どもは文部省の図書選定に反対するかと申しますと、上述のように、1、行政機関である文部省が図書の選定をすること自体が間違っている。2、やがては、言論出版の統制にまでのびてくる。3、青少年の読書指導の資料を提供することを目標にしているが、青少年の読書指導にはもっと別の方法があるのではないか。民間の各種団体が現在実施している青少年向図書の選定、推せんを助成するのも一つの方法であるし、出版社と当局との話合いによって読書指導上の問題を検討し、そこに横たわる障害を排除していくのも一つの方法である。4、申請制度を設けていることがいけない。申請制度ということは、出版社で作った青少年向の図書を文部省に提出して、選定を願いたいといって申請し、初めて選定される資格が生れるのである。」こういうふうに書かれておりまして、「このことは前にも述べたように、文部省選定に向くような出版企画に走りやすく出版社の立場を無視し、出版の自主性をいちじるしく阻害する恐れがある。」こういうふうな項目にわたって反対の意見を述べられておるわけです。ところが今の吉里さんのお話を聞くと、一番目、二番目、三番目と一番肝心なところは反対としては受け取っていらっしゃらないようなんです。こういうふうな点、この問題が非常に紛糾してきた中には、何か文部省側にも少しすなおさに欠ける点があったのではないか。私は必ずしも文部省だけがいけないとは申しませんが、しかしどうもこの問題の取扱いの中に、その点ではちょっとはっきりしない点があるというふうにまず第一に感ずるわけでございます。 それはそれとして次の問題へ進みますが、そういうふうな反対の理由がはっきり把握されなかったのにもかかわらず、省令が一切改められて、今度は九月七日に改めた省令が出てきた。私はある一つの省令が出されてそれがすっかり改められるについては、そういう人たちが反対をした点というものが明確にされて、その上に立って行われるのでなければ、次に出るものがまた反対をされるであろうことは、物事の筋道として明確だと思う。反対の根拠がただいまの課長のお答えのような不十分な把握であれば、次に出た省令がまたもやその人たちの強い反対に会うというふうに思うのですが、ここのところは一体どうだったのでしょうか。
○吉里説明員 先ほど申し上げましたのは、四月九日の初めの省令を公布するまでの段階を申し上げたつもりでございます。その後実は、省令を公布しましてから書籍協会側からもいろいろな御意見が出まして、反対をするというようなこともございましたので、この制度をそういう状態のもとで実施していくのも将来のためにどうかという委員会の御判断もございまして、まず四月九日に出しました省令の実施をさしあたって中止をして話し合いに入ろうじゃないか、こういうことになりまして、それから現在の省令を出すまで約四カ月の、回数にいたしますと二十数回お話し合いをいたしました。その際にいろいろな問題が向う側の方から出されましたけれども、最後に書籍協会側からもおいでいただいておりました小委員の方々から、四月九日に出しました省令に対する改正案といたしまして、いろいろな点を含んだものが出されました。ごく簡単に申し上げますと、目録制度としてできるだけ広く目録に載せてくれぬか、こういうお話もありました。それからまたいろいろな点がございましたけれども、そういう向う側の案をいろいろ委員会側でも検討いたしまして現在の省令に切りかえたわけでございまして、今度の省令を出すまでの間におきましては委員の個人的なごあっせんもいただきまして、できるだけ向うの案を取り入れたつもりでございます。
○堀委員 そのことはいろいろ御骨折りになったのでしょうが、その前にちょっと文部広報を見ますと、なぜこういうものをやらなければならぬかということについての——文部広報というのはこれはどういうあれでしょうか。私もよくわからないのですが、文部省がお出しになっているのでしょうか。
○齋藤説明員 さようでございます。
○堀委員 ですから、これはおそらく文部省の見解だと私はみなすわけですが、なぜ適書の選択が必要かという中で、非常にたくさんの本が出ておる、その中ではいい本を選ぶ必要があるだろう、これは文部省がやるとかやらないとかいう問題を離れて、適書を推薦すること自体はいいと思います。これは民間でも相当活発にやっていらっしゃるということがここに出ております。そのあとで、何か出版売りさばき元が主として学校図書館関係者を対象として行なった次のアンケートによっても、こういうものが必要だという中で、アンケート「(設問)図書選定資料として、どんなものがあれば便利とお考えですか。」という問いに対して、一番「現在ある図書目録をもっと簡便にし、見やすくし、全面の学校図書館へ無料(または低廉)配布してほしい。また内容においても信頼できるものを望む。」これが一番。二番「現在の目録は商業的、宣伝的なものが多いが、内容の充実した権威のあるものを望む。」三番「信頼ある機関による推薦図書目録を切望する。」こういうアンケートの答えが出ております。これがやはり文部省側としての一つの理由になっていると思うのです。ここが私と皆さんとの考えの相違が生じておるところだと思います。まず第一は現在ある図書目録をもっと簡便にし、見やすくし、全国の学校図書館へ無料または低廉に配付してほしい、これは学校図書館側の希望としてはあると思います。しかしそれがイコール文部省が作ってやってくれということと直ちに結びつくかどうかという点には、私はちょっと問題がある。そういういろいろな団体に対して助成金を出して、そうして現在やっていらっしゃる日本図書館協会とかそういうところで、一つ皆さんの方からこんなものを作ってもらえないかというような努力はされたのかどうか、それが第一点、それから二番の「現在の目録は商業的、宣伝的なものが多いが、内容の充実した権威のあるものを望む。」というのですが、私実はずっと調べてみたのです。日本図書館協会の目録も調べましたし、それから学校図書館協議会の目録も調べてみましたが、これらのものは商業的、宣伝的要素は私としては認められないのです。そこで文部省はこの二つすらも商業的、宣伝的要素を含むと認めておられるのかどうか、そういうものであっても差しつかえないという見解に立つのかどうか。そうして「内容の充実した権威のあるものを望む。」権威というものは直ちに政府やなにかと結びつくということは、やはり事大思想であって、権威というものは必ずしも政府やその他に結びつくものではない。日本図書館協会の推薦というものは、私は私なりに権威のあるものだというふうに理解するのですが、そういうものはすぐ政府と結びつくという考え方の中に私は危険があると思うのです。その点はどういうふうに考えるか。信頼ある機関による推薦図書目録、これは私は同じことだと思います。権威があるということと信頼ができるということは、ほとんど表と裏だと思うのですが、こういうものがここへ出されておるところを見ると、そういうふうに文部当局としては御理解になったんじゃないかと思いますが、今の三点を一つお伺いいたします。
○吉里説明員 まず初めの、学校図書館に対するいろいろの手当でございますが、私どもが社会教育局としてこの制度をやっておりますのは、あくまでも社会教育の現場というところをとらえておりますので、学校図書館に対する目録その他につきましては、私どもの方でとかくのことは申しておりません。 なお図書館協会、これは私の所管をいたしておる法人でございますが、これにつきましては、もちろん自主性を尊重するという意味で、助言指導はもちろん、いろいろ御相談をいたしますが、現在出しております選定の目録というものに対しては、私ども意見は持っております。その意見は忌憚なく協会の方にも申し上げておるわけです。ただ現在の目録は、本の名前あるいは定価等がついておるだけでございまして、いろいろな内容等についての詳しいものが出ておりません。その点はできれば向う側もそういうことをやってもらえぬだろうか、こういう話もしております。なお私どものやりますのは、できればそういう点も補いまして、また民間でやっております選定なり推薦の制度を補完する意味も持たせまして、私どもが出しました目録の中には、学校図書館で推薦を受けておるもの、あるいは図書館協会が推薦を受けておるものは符号で表わしまして、補完をいたさしておるつもりでございます。 なお世論の把握の問題でございますが、先ほど文部広報に出しましたもの、もちろんわれわれの方でいろいろ調べた結果でございます。なおそのほかに、内閣総理大臣官房審議室でやりました青少年の社会教育……
○堀委員 ちょっと待って下さい。そこまで聞いていない。それはあとで聞きます。私が今伺った中で重要な問題は、日本図書館協会なり学校図書館協議会というものは、文部省としては権威あるものとして認めないのかどうか、信頼のある機関として認めないのかどうかという点を私は伺ったのです。
○吉里説明員 これは学校図書館協議会の方は別といたしまして、図書館協会は私の所管でございますのではっきり申し上げますが、いろいろな事業をやっております。ただ現在の事業が選定制度だけに非常に偏しておる傾きもございますので、その点は御相談をしております。それを抜きますと、現在やっておる選定事業そのものに対して、先ほども申し上げたようにいろいろな意見を持っております。ただそれが全部必要のないものだという見解は全然持っておりません。
○堀委員 私はそういうふうに聞いていないのですよ。ここに書いてある問題の中で、アンケートに「現在の目録は商業的、宣伝的なものが多いが、内容の充実した権威のあるものを望む。」こう書いてある。目録のことを書いてあるのですよ。いいですか。そこで日本図書館協会の目録を二年分にわたって見たのです。見たら、私の考えでは商業的、宣伝的なものだとは考えられない。それと同時に、あれならば権威のあるものだと私は考え、信頼できるものだと私は考えておる。しかし文部省はどうお考えですか。私の質問にそのものずばりで答えてもらいたい。信頼できるものではないのかどうか、権威あるものではないのかどうか、そのどちらか答えてもらいたい。
○吉里説明員 もちろん現在出しておられる目録については、商業的意図あるいは政治的意図があるとは考えておりませんが、すべて完全だとは思っておりません。
○堀委員 権威と信頼の方はどうですか。
○吉里説明員 権威のとり方でございますけれども、私が申し上げましたのは、内容についてそういうふうに申し上げたわけでございまして、現在でも現場ではある程度現在出されておる選定目録についていろいろの御意見を持っておるようですが、ある程度の役割は果しておるように思っております。
○堀委員 ある程度の役割というと、権威は認めない、信頼感はあまり持てないという表現だと私は理解します。これは理解の仕方で幅を持った御答弁だと思いますが、そこはそれだけにいたしまして、私はちょっとその考え方は世論としても問題があろうかということをつけ加えさしていただきたいし、さっき内容について何もついていないとおっしゃったのですが、私が調べた範囲では簡単な内容についてのものはついております。これはちょっとあなたの方の発言が誤まりであるのじゃないかと思うのです。私は日本図書館協会の一九五七年と八年ですか、現実に調べてみた結果、内容についての簡単な説明はついております。 その次に問題がございますのは、今私がまだ申し上げないうちに課長が話を出された内閣総理大臣官房審議室の青少年の社会教育に関する世論調査でございます。この世論調査は内閣審議室から取り寄せて調べてみました。まことにこの統計は不備である。統計自体としては、きわめて不備である。私は長年統計を専門にやっておりますから、そういう統計専門家の立場から見て、きわめて不備である。なぜかといいますと、第一、回答者の選定の中に私どもとしてちょっと問題があるというふうに考えておるだけでなくて、ここに引例をされておりますように、ここでは推薦の必要性というところで、青少年のためによい本をどこかで推薦してもらいたいが三二%、その必要がないが一五%、不明が四%で、ことしになってから本を一冊も読まない者四九%、本を読まない者が半分もある。そういう調査対象に対して、本の問題を調査をするなどということは、本質的に私はナンセンスだと思う。これは非常に幅の広い調査を一本でやろうとしておる点の矛盾だと思います。これは大体社会教育問題の何か公民館の活動とか、そういう問題が主体になっておって、読書関係の問題は、うしろの方についている、非常に部分的なものである。だから公民館活動の問題については、かなりいい答えも出ておりますが、あれを直ちにここへ持ってきて、非常に何か権威ある調査のように出されておる点は、私は調査の専門的な立場としてはどうかと思っております。さらにその次のB、推薦する機関、どういうところで推薦したらよいかというのに、文部省が一五%で、学校が一二%、図書館、公民館が七%、PTA、母の会、青年団などの民間団体六%、出版、ジャーナリズム関係五%、教育委員会五%、児童福祉審議会二%、その他不明が二、そうすると、このトータルは五四%にしかならない。あとは一体どういうことになっているかわからないような報告の仕方がされておる。その中で文部省がまたまた一五%で一位にあったというだけで、その他のもの、学校以下を加えますと、あと三九%あるのです。それだけで見ると、文部省がいいということと、あるいは文部省以外のいろいろなところ全体というものとを含めて考えると、この資料は調査自体から見まして、文部省がやったがいいという資料にはならない。ただ一番にあったから、何か文部省がやった方がいいんだというふうな取り上げ方がされておる点も、私は調査を使用された考え方としては、まことに納得ができない、そう思うのですが、あなた方は、これをどう理解していらっしゃるか。わざわざここへこの制度をやるための必要性がこれだとして出されてきた比較的具体的な問題の中の理由が非常に薄弱だというふうに思うのですが、そこはいかがでしょうか。
○吉里説明員 ただいまおっしゃった通り、現在の世論調査のやり方その他につきまして、問題があったのではないかと思いますが、出された調査結果必ずしも完全だとは実は思っておらなかったわけでございます。しかし一応全体の傾向としましては把握できますし、またこの調査結果だけでなくて、私どもが現地の公民館なり、図書館なり、いろいろなところに参りました節、あるいは大会等でも、現場の公民館の主事が、あるいは図書館の職員たちが、現在いろいろ出ておる本に対して、どの本を選ぶかという問題が一つ、それからその本をどういう方法で子供たち、青少年に助言をし、グループを育成したらいいかということに非常に悩む、こう切望されますものですから、私どもといたしましても、一応の私どもの資料として出そうという結論を得たわけでございます。
○堀委員 これはこの方が比重がかかっていないということならば、それはそれでけっこうです。ただ私は文部広報として、やはり一つのこの制度をやるについてはこういう理由だということでお出しになったものにしては、まことに権威のない文部広報だと思うのです。だからやはり皆さん方が権威というものをもうちょっとお考えになるならば、だれが見ても、なるほどこれはそうだなと思うものをお作りになるのじゃないと、私はまずいのじゃないかということを感ずるわけです。 その次に、初めは選定制度ということになっておりましたのが、次は目録ということに省令が変ってきた。そうして目録ということに変って、その法令には、社会教育審議会の議を経て健全な青少年の育成上有益な図書の目録を作成し、配付するものとする、こうある。ところが大臣は初っぱなに文部省の見解として、厳重に一つ調査をして、その中心のいいものを選んでみなに読んでもらうのだということをはっきりおっしゃっておるので、私は表現が変ったけれども、有益な目録を作成するためには、当然やはりそこで選定をやらなければできないのじゃないか。そうすると、目録という名前に変ったけれども、これは字句の上のことではなく考え方としては、私はやはり選定制度というふうに理解しておるのですが、これは事務局の方でけっこうです。あなた方はどう考えておるか。
○吉里説明員 私どもといたしましては、初めの省令と今度の省令の立て方自体が、初め一応相当程度の高い選定をやって、それの資料、こういうことで考えております。現在の省令はすべて社会教育審議会の審議の結果に待つという形で、有益な図書の目録を作るという形に切りかえております。従いまして、この有益な図書をどの範囲まで見るかということは、審議会におまかせしていくという考え方でございますから、すべて審議会の決定に従うということを考えております。
○堀委員 初めも文部省がきめるのじゃなくて、初めの選定制度も、どうもこれは審議会の方がおきめになるようになっているし、今度も今のお話だと、審議会へおまかせしておる。幾らも変ってないと思うのです。やはり前のは選定制度ということがはっきり表に出て、今度は目録ということになっておるけれども、考え方は私はやはり選定だと思うのです。そこで事務当局は、今度のこれはそういうふうに厳選して選ぶのじゃないのかどうか、事務当局と大臣のお答えとの間にそごがあるのかどうか、これは重大な問題だと思いますので、一つそこを事務当局の側でお答え願いたい。
○吉里説明員 そごがあるとは実は思っておりませんが、この選定というか目録作成の分野というものに対しては、新しい省令でも気持としては大臣と変っていないと思っております。
○堀委員 気持が大臣と変っていなければ、やはり厳選してやるということですね。事務当局、それははっきり確認しておいてもらわないと困る。これはあとの問題に非常に重要な点を持ちますから、ここは確認してもらいました。 次に参りますが、そうすると、選ぶについてはやはり基準が要ると思うのです。今度の新しい省令の基準というのは、そうするとどういうところにあるのでしょうか。
○宮澤説明員 ただいままでの堀委員の御質問はよく御趣旨がわかりますが、実は経緯として私どもこの問題を見ておりますと、先刻お話のように、四月九日の省令というものがありまして、これについて相当な批判が日本書籍出版協会からあったことはおっしゃる通りです。また同時に他方で、日本出版協会という側からは、原則としてこの考えには賛成だという意思表示があった段階もあるのであります。しかもこの両方の協会は、相当多くの出版業者が相ともにそのメンバーであるというふうな、かなり複雑で不思議な段階が御承知のようにあったわけであります。反対の理由としては、先刻からお述べのように、これが言論統制に向うということが表面に立ち、かつそれが第一の反対理由であった。それ以外に出版業者としてのいろいろ内部の問題があったかもしれませんが、それはここで申すべきことでもないし、私どもの推測の範囲にとどまるわけであります。そこで、先刻事務当局から御説明申し上げましたように、四月九日の省令の実行をしばらく見合せまして、そして書籍出版協会その他と私の方、事務当局がかなり長いこと話し合いをいたしまして、ある段階では文部省の事務当局としてはこの程度のものなら書籍出版協会のある程度の了解を得得るであろうというような案を得た段階がございますが、この関係というのはかなり流動的なものであって、文部省の事務当局としては少くともこれだけのことをやる以上は出版業者の協力を求めたい、正面から反対をしたのを私どもが強行するということであってはならない、こう思いましたし、他方でまた最初に大臣が答弁を申し上げましたように、やはり文部省としては国民に対して青少年の指導というものの責任はあると思います。またそれには一つの見識を持って指導しなければならないと考えます。指導とか教育とかいうものには最初に堀委員がおっしゃいましたように何がしかの危険を伴うことは事実だと思います。その危険をいかに最小限にとどめて、しかも指導し教育をするか、そういう立場に私どもは結局立たされたと思うのです。そこで九月九日付で思い切って省令を改めました。この点は、松田文部大臣就任後でありますが、文部省としてはかなり思い切って従来の考え方に反省を加えたつもりであります。つもりでありますが、しかし指導であり教育であるとすれば、そこにはある一つの見識を伴わなければならないということで、私どもはただ羅列的にすべての図書の目録を作成しようということは意味を持たない。文部省としての一つの見識、これは幅の広いものでなければならないけれども、一つの見識を持たなければならない。文部省と申すよりは、実は新しい省令では社会教育審議会の議を経るわけであります。そういうことで九月九日の省令というものができた。御指摘のようにここには有益な図書の目録を作成しとございますから、一つの判断が入ります。それはその通りであります。さてそこでそれならそれが非常に厳選をしたものでなければならないかと申せば、そこのところはお答えが非常にむずかしいと思います。なぜかと申しますと、出版協会との従来の交渉の経緯等から見ますと、私どもはこの制度をりっぱにやっていくためにはこの人たちの協力を求めようとした。今後も求めていきたいと思うのであります。とすれば、この人たちを不必要に刺激するということを実は現在の段階では避けたい。なぜかと申せば、この制度をりっぱなものに育てたい、こう思うからであります。さようなわけで、気持の上では本来厳選をして、これならば間違いないということをやりたいというのがほんとうの気持であると思いますけれども、今の段階でそれをあまり強く出していって、出版業者の方と正面からいつまでも衝突をしていくということは、この制度を育てていく上に必ずしもいいことではないと考えておりますので、若干そこに気持の上で現実にはできる限りの妥協をしていきたいという気持がまた片方で働いておる。これは事務当局から申し上げにくいと思いましたから、私からかわって申し上げます。
○堀委員 具体的な運営の問題については、今次官がおっしゃったようにいろいろと努力をされておる点を私は認めないわけじゃないのです。ただしかし私が今ここで取りしげておりますのは、やはり基本的な問題点でややとうも食い違っておる点のあることがこの問題を非常に紛糾させておるもとであって、決して経過の中だけの問題ではないと思いますので、ずっと続いて質問しておるわけです。そこでやはり今おっしゃったように厳選でなくて、少し甘いのか何か知りませんけれども、何にしても一つの基準がなければものが得られないと思うのですが、その基準になるものは具体的にはどういうものでしょうか。
○吉里説明員 初めのときの省令では、省令の中に選定の基準を書き込んでおりましたが、その後話し合いの結果、この省令の中にはそういういわゆる日録作成の基準は盛り込まない、審議会の御決定に待つということを内規で定めております。
○堀委員 その内規というのはどういうものでしょうか。
○吉里説明員 現在審議会でおきめいただいておりますものを申し上げますと、一つはやはり内容の問題であろうかと思いますが、内容の正確あるいは信頼度というものを一つの基準にいたしております。 それからいま一つは、社会教育の読書指導という意味で行うわけでありますから、青少年の育成に必要な配慮がこの読者対象の段階ごとに払われておるかどうかということが一つでございます。それからいま一つは、子供に与えるものでございますから、用語、文章あるいは紙の質あるいは色刷りの色彩の問題等を適当であるかどうか判断するということが一つでございます。それから最後に、善良な風俗を害するかどうか、あるいは危険な模倣を誘わないかどうかというようなことを、大体四点くらいにつきまして現在御決定をいただいております。
○堀委員 ただいまのは、やはり内規にあったとか、あるいは省令に書かないというだけで、選定の基準というのは、この前の省令に大体そういうことが書いてある。多少抜かしておられるところもあるのですが、大体この前のは、正確で信頼できるものであるかどうか、これはただいまのと同じです。育成に必要な配慮、これは心身の発達に応じて教育的配慮がなされているものであるか、この二番に大体該当するのではないかと思います。第三番目の用語、文章が平易で色彩がどうかということは、八番目の用語、文章などが平易で適切であるか、これに該当する。それから善良な風俗を害し、危険な模倣を誘うというのは、その次の2に善良な風俗を害し、危険な模倣を誘い、または政治的もしくは商業的宣伝の意図がないかどうかについて留意して行うものとするということが書かれております。ですから、なるほど選定制度が目録に変ったけれども、その基準になるものは選定制度の基準とあまり大差のないものが現在内規として設けられておるというふうに今のお話を聞きますと私は感じるわけです。そこまできますと、一体なぜ選定制度であったものが目録という言葉にあれほどの形で変えられたのかという点が、経過の問題は別として、その問題を離れて見ますと、まことに納得のいかない点があるわけです。それはいろいろの経過の問題をこまかく伺ってからでないと、今すぐそれでは説明ができないと思いますから、その点はそのままにとどめますが、そこで今次官がおっしゃった日本書籍出版協会というのは大体反対の意向で、日本出版協会というのは賛成だ、いずれも非常に大きな出版関係の団体だというふうにお話になったのですが、私が調べた範囲では、日本書籍出版協会というのは三百九社くらいありまして、日本の出版業者のほとんど大部分の方がこの中に入っておられる。日本出版協会というのは、定期的にいろいろ出版をしていらっしゃるところは大体八十社内外ということで、その出版物につきましても、ただいまの日本書籍出版協会とは並べて考えられるような状態にはない。ごく少数の比較的——そういうと語弊があるかもしれませんが、小さい出版の方が多いのではないかというふうに考えますので、もちろんその意味では御意見があることをどうこう言うのではございませんが、それはそういうふうに評価をしてお考えになっておったかどうかをちょっと次官にお聞きしたい。
○宮澤説明員 日本書籍出版協会加盟三百九社はその通りであります。それから社団法人日本出版協会加盟は二百五十社でありまして、両方の協会に加盟しておるものは九十社でございます。おっしゃいますように、日本出版協会の方は中小の業者が多いようであります。歴史的にはこの協会はかなり古いようであります。概しておっしゃる通りであります。
○堀委員 まだ実はかなり問題がございますが、大へん時刻もおくれて参りましたしいたしますので、次回の委員会であとの問題をさらに詳しく伺いたいと思います。ただ、本日ここまでで伺いました範囲の中では、私は今非常に問題になっております基本的な問題について、ちょっと私大臣のお話としてどうも納得のいかない点が少しあることと、私が非常に疑問に思っておりましたところの、選定制度から目録制度に変りましたけれども、実際の考え方は少しも変っていないんだ、やはり厳選してやるんだという考え方が一本貫かれておるということが確認できたことは、私としてはきょうの委員会でよくわかりましたので、この段階に立ちまして、次会にまたあとの問題を引き続きやらしていただくということで、本日はこれで終らしていただきます。
○大平委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもって御通知いたします。 これにて散会いたします。 午後四時十二分散会