文教委員会 第2号
- 発言数
- 143 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/07/10
会議録
○大平委員長 これより会議を開きます。 本日は教育及び学術に関し調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。辻原弘市君。
○辻原委員 お伺いをいたしたい問題は、大体四つに分かれておるのでございますが、大臣がまだお見えにならないようでございますから、最初に学術局長から伺いたいと思います。 それは去る五月でありましたか、指定統計の第九号によって、大学教員に対する学校教員調査というものが行われたように思うのであります。それと付随をいたしまして、大学教員に対する、これは教授、助教授、それから助手を含めて、主として工学部の系統に対して研究者調査というものが、これは直接文部省ではありませんが、生産性本部の名によって、石川会長の名で、文部省の協力を得てという形で、各大学にそれぞれの資料が配付せられて、所要の調査を求めている向きがありますが、この点について文部省としては詳細御存じあるかどうか、承わりたいと思います。
○緒方説明員 生産性本部で大学の研究者に対しまして、その研究題目等につきまして調査をいたしておる事実がございまして、これは私どもよく存じております。実はいわゆる産学共同の問題を生産性本部でも研究をいたしております。つまり大学におきます研究と、その研究成果を産業界に実際にどう利用していくかというような問題を中心にいたしまして研究いたしております。その資料を得るという意味でこの調査が行われておるのでありまして、私も実は産学共同委員会には頼まれて、会議にも出ておるような次第でございます。よく内容も存じておりますし、調査に対しましては私ども協力をいたしております。
○辻原委員 ちょっとはっきりしなかったのでありますが、内容の詳細について御存じでいらっしゃいますか。
○緒方説明員 詳細はお尋ねによりましてお答えいたしますが、大体承知しておるつもりでございます。
○辻原委員 目的としたところはどこに置かれておるのでしょうか。なぜ私がこういうことをお聞きいたしますかというと、まず第一に、問題は、大学という機関は、他の義務教育諸学校及びその他の学校とは異って、大学それ自体に管理機関があって、一つの大学自治を中核にした独立性を持っていると思う。そういう機関に、文部省がその個々の教授あるいは助教授等の研究内容にまで詳細に立ち至って調査をするということについて、果してそれは当を得ておるのかどうか、もちろんこの書類に書かれておるように、それぞれの研究テーマが明らかになれば非常に便利であるということは言えますけれども、しかしそういう便宜主義でこのような調査が行われてよいものであるかどうかということについて疑問を抱くのであります。従ってこの調査に文部省が協力をしているということでありますから、その目的をもう少しはっきりさせるということと、それからどういう形でもって調査を行なっているかということを明らかにしておいていただきたい。
○緒方説明員 生産性本部から大学に出ました調査の依頼が、今お話のように、五月でございましたか出ておりますが、これによりますと、大学に対してその大学の教官について、その従事しております研究の題目、それからその研究に対しまして研究費が出されておるわけでございますが、研究費がどこから出ているか、あるいはその研究の年度のこと、その研究成果をいかように発表しておるかというふうなことを詳細に知りたいという形で、実は調査票がございまして、それを各大学に送りまして、これに記入して返事をしてもらう、こういう形でございます。目的は、先ほど申し上げましたように、いわゆる産学共同、大学の内部におきまして、基礎的な研究を御承知のように行なっておるわけでございますけれども、その基礎的な研究を実際に産業界の応用面とどういうふうに関連づけて、さらにその研究を産業界等で実際化の方に伸ばしていくかということを十分知りたい、こういう趣旨であると存じております。これは今お話のように、いろいろ疑問の点があるという御意見でございますけれども、大学が積極的にこれに対しまして協力していくことは、やはり国家の研究を生かし、産業界に貢献さしていくという意味で支障はないと申しますよりも、必要なことではないかというふうに考えております。常々これはほかの部面におきましても、大学の研究と産業界の実際と、これが相協力していかなければならないということはいわれておるわけでございまして、ほかの面におきましても、こういう協力はいろいろ行われておるわけでございます。たとえば大学側におきまして、逆に産業界の技術者等を受け入れて、これを再教育するとか、あるいはまた産業界におきまして実際上問題としている問題点を大学が委託を受けて研究をやるということは従来も行われておるわけでございまして、両々相待って協力していくということはむしろ必要なことじゃないか、私はそういう見解を持っております。
○辻原委員 このカードの中にこういう項目があります。このカードは研究者相互の流通及び一般利用者の便に資し、こういうふうに書かれておりますが、この場合常識的にはもちろん今の局長の御説明で一般的に理解せられましょうが、私はもう少し突っ込んだところを実は聞きたいのであります。その場合の利用者というものの範囲は、あなたがこれらの調査を了解せられたときにどういうふうに理解せられたか。研究者相互の流通及び一般の利用者の便に供してとこう書いてありますが、従来私の認識によりますと、研究者相互の流通というものは、これは学術会議その他学会を通じて行われておるし、またそれぞれの研究部面を通じて同一学者がそれぞれ交流をはかっておる。別段こういう調査を生産性本部に提供しなければ流通がはかれないということはあり得ない。それは研究者の自主性におまかせになって、従来とも支障がなかったはずなんです。それを特段ここにそういう研究者相互の便益に供してやるのだから、この調査票を詳細に記述して出せということは、昔からやっておれば問題ないところでありますけれども、にわかにこういう問題を取り上げたというところに何かお仕着せがましい、そういう感じがするわけであります。その点の疑問が一つと、それから一体ここに書かれておる利用者の便益に供してやるのだ、その利用者の範囲というものはどういうふうに認識されておるのか、この点を承わっておきたい。
○緒方説明員 今お話しになりました研究者相互の間の便益もはかるということは、おそらく私は副次的に書かれたものであると存じます。こういう調査は従来必ずしもございませんでした。文部省で実は何年かに一ぺんやった調査はございますが、しかしこれはしょっちゅうやっているわけじゃございません。しかしこれは目的としては産学共同、産業界が学界における研究内容をよく知って、先ほどから繰り返して申し上げますように、それをさらに実際化の方に研究成果を活用していくというその目的として行われたものだと思いますけれども、こういうことが行われますと、せっかくできました調査でございますから、それを活用することによって研究者相互の間でも、ほかの研究の進行状況、題目等につきましてもそれを十分知ることができますから、その目的も達し得るのじゃないか、そこでこういうことをこの調査に掲げたのじゃないかと存じます。しかし繰り返して申しますように、主目的はやはり産学の共同の趣旨から出ておるものである、かように考えます。 それから利用者はどの範囲かというお話でございますけれども、これは特定する趣旨じゃないだろうと私は理解しております。産業界全般についてその利用をはからせるということだろうと存じます。
○辻原委員 最近伝えられる情報によれば、産業界の中には、特に大学の工学部等に造兵科あるいは航空科、こういったものの新設を強く要望しておるということを私は聞いております。またそういう動きもかなりあるやに承わっております。そういうものと結びついた場合には、またこの調査を依頼した生産性本部と密接な関連のある経団連には、例の防衛生産委員会も設けられておる。そういった形の利用者に結びついたときには、これはそういった防衛生産に奉仕するためのカードを提供したという結果が生まれる、そういったことまで文部省はお考えになってこの調査を了解せられたのかどうか。私は本質的に大学のそれぞれの研究者に対して自分が研究しているものの詳細を記述して出せなどということは、文部省の業務の範囲を越えるものではないかと理解しておる。それで特別の不便があるなれば、それはすでに過去において検討されておらなければならぬと思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、研究者相互の間の交流とかあるいは便益とかいう問題については、現在やっている方法、システムでもって何ら不便さはない。現にそういうふうに各大学においては主張しておるのであります。そういたしますと、これらの調査は何に利用されるかといえば、ここにいういわゆる利用者であります。その利用者とは一体何人であるか、ここが問題である。従ってそういうことについての懸念を文部省としては感じないのかどうか。またあえて時代の要請ということにおいてそういうことまで文部省も考えてこの調査をお進めになろうとしておるのか、この点についてもう一ぺん承わっておきたい。
○緒方説明員 ただいまお話に出ました造兵科の設置ということにつきましては、私は存じておりません。この調査がそういう関連のことに結びつくということはないと私は思います。 それからこういう調査の必要性のことでございますけれども、私は、はなはだ遺憾でございますけれども、今の御意見とは反対の意見でございます。研究の内容につきましては、むしろ今のところでは、こういう調査あるいは情報的な活動というものは足りないという意見が学界の中にもあるわけでありまして、どういう形でやるかということにつきましては、いろいろ御意見があるかもわかりませんけれども、学術情報事業というものはもう少し活発に伸ばされなければならぬということは、学界でも一致した意見だと考えております。学術会議等におきましても、文部省に対しましてそういう意見の提出がなされたりしております。そこで、学界研究者相互の間もそうでございますけれども、やはり一番欠けておるのは、大学の基礎研究が実際の面に活用されることが少いのじゃないかという点が強く過去においても批判されておりまして、生産性本部のこの調査はその意味において非常にプラスになるのじゃないか、かように考えまして先ほど申し上げましたように積極的に協力しているような次第でございます。
○辻原委員 もし、今あなたの言われたように、こういった調査がそれぞれ研究者の中においても、学界の内部においても、必要だということが認められておるとするならば、私は当然これは学術会議等において取り上げられる問題じゃないかと思います。それをそこで取り上げられないで、生産性本部が文部省の協力を得てこの調査を進めるということについては、学者の側に立って考えれば、いかにもこれは学者としても自主性のないことじゃないか。また大学それ自体においてもそういうことが痛感されておるということであるならば、これは大学自身としても怠慢だといわなければならぬ。あくまでもこういうものは研究者なり学界において自主的に行うべきものである。文部省とか、あるいはそういった産業界——産業界というよりも、生産性本部というような形の、とかく色のつきやすい一つの団体がこれを行うということは、世上誤解を招くもとであります。また実際研究を担当している個々の学者、研究者の積極的な協力を得られない原因を生むと思います。現にこれらの調査が行われてから、各大学において、これは必要だから、すぐさま出していかなければならぬという機運が認められていないではありませんか。非常に疑惑の目をもって、むしろこういう調査については、文部省は越権しごくだというふうな意見も私は聞くのであります、そういうことであるならば、かりに善意であるといたしましても、せっかくあなた方が考えられた目的は達せられておらないのです。ですから、私は、そういう必要があるならば、もう少し学界等と懇談をされて、そういう機関で自主的におやりになるということが最も望ましい形であると思います。また一面、同時に行われている教員調査にいたしましてもそうなんです。学校教員調査のあれにしましても、これは大学の一種の勤務評定ではないか。またそこに並べられているものを見ても、これは大学に対する勤務評定の素材になるものだ、こういうような印象も与えておる。これはやり方としても非常に拙劣であるし、そういうものを文部省が直接にやる、また団体が文部省を介してやるという方式は好ましくないと思いますが、いかがでございますか。
○緒方説明員 生産性本部の産学共同委員会というのがございますが、これは産業界あるいは関係の官界——私どもも入っておりますが、科学技術庁等も入っております。そのほかに学界の代表も入っております。もちろんこの生産性本部は、御承知のように財団法人でございますし、国家としても大事な事業だということで、政府におきましてもこれをバック・アップしてやっておるような仕事でございます。そしてその構成も、今申しましたように、財界もございますが、学界もこれに入って協力しているという組織でございます。そこにおきまして十分検討いたしまして、先ほど申しましたように、産学共同の観点からぜひ必要だというのでその調査を実施しておるわけでありまして、そのことにいろいろな疑惑があるということは、これはむしろ大学に対しましてよく説明をして理解をしてもらうという、まあいわば徹底方が足りなかったというふうに、今お話を聞いて私考えるわけでございます。しかしこの調査自体につきましては、純粋に研究を伸ばしていく、これを産業界の実際に取り入れて活用していく、こういう観点から出ておりますことは明らかでございまして、その意味においては何ら疑惑を生むようなことはない、かように考えております。むしろ今いろいろ御指摘ございました点を考えてみますと、私どもが、もう少し大学等に十分この趣旨を徹底させるということを今後も努めていかなければならぬのじゃないか、かような感じを持つわけでございます。
○辻原委員 おやりになった側でございますから、こういう方法が悪いとは、今私に答弁はできないだろうと思います。しかし非常に拙劣であるということは、これはだれが考えてもわかると思う。現に調査が進んでいない。こういうことでは、これはやはり調査はできません。文部省は、もう少し研究者の自主的な意欲というものの上に研究活動を旺盛にする具体的なプログラムを考えられる方がいいのではありませんか。ともかく、文部省が、直接にいろいろなことを大学側なりあるいは研究者の側に押しつけるということでは、あなた方が考えられるような研究活動の活発化ということは実現できない。むしろ大学側に対して門戸を閉ざす役割を果す以外の何ものでもない。自主性尊重ということは、特に研究部門の上においては常に強調されなければならない。ましてや防衛生産その他の問題に結びつくのではないかという非常に深い危惧を持っておる人の側に立って考えれば、こういう時期にこういう調査を生産性本部と文部省がやるということについては、何人もやはり釈然としない点があると思います。それらの点を文部省としても十分考えておいていただきたいと思います。
○緒方説明員 調査が進んでいないじゃないかというお話でございますけれども、たしか六十七大学に照会いたしまして、今四十幾つ出ております。決して進んでいない、成績がそう悪いということではないと思います。ただ、研究者は自分の研究に専念いたしておりますから、あるいはこういう調査はうるさいと思うような人もあるかもしれません。しかし、私は、それじゃいけないと思うわけでございまして、自分の研究を大事にして、それに専心することは非常に必要なことでございますけれども、やはり日本全体の研究がどういうふうに進んでいるか、あるいはそれをどういうふうに実際に生かしていくかという観点の調査に対しましては、積極的に協力すべきものだと考えます。こういうことの必要性につきましては、繰り返し申し上げましたので、私の見解は十分おわかりいただけたと思いますけれども、私は、決して失敗であったとか、まずかったというふうには考えておりません。むしろこれを徹底すべきだ、こういうふうに、今の御質問を聞きまして感じた次第でございます。これは、学界におきましてもこの必要性は十分いわれておるわけでございます。学界は決してこういうものに対して反対だということはございません。先ほども申し上げましたように、産学共同委員会に参加しておる先生の中には、茅先生もおられますし、あるいは私立の方では大浜先生もおられますし、そのほか、科学技術関係の方が参加しておられまして、そうしてこの企画もできたわけでございまして、一つその点は十分御理解をいただきたい、かように考えます。現に学術振興会というものがございまして、財団法人で、学術の振興の事業をいたしておりますけれども、その中でも産学共同の研究の委員会ができておりましてこれは、大学の基礎研究を実際の方面に伸ばすために非常にいい仕事をしております。私は、そういうことにつきましては、今後、私どももでございますけれども、学界の方でも一つ十分意を用いて努力をすべきものだ、かように考えております。私は、学界も同意見だと信じております。
○辻原委員 論争になりますから、これ以上申し上げませんけれども、私の見解はむしろ逆であります。たとえば、生産性本部の中の産学共同の委員会につきましても、生産性本部としておやりになることはけっこうでありますが、そういった直接研究者にかかわるような問題であるならば、私は、先ほど申し上げましたように、なぜ学術会議において一つのテーマを設定しておやりにならないか、こういうことを申し上げておるのであって、私は相互間の流通をはかるという、そのことについて否定するものではない。しかしやる機関が、文部省だとか外部のそういった団体がやるから問題が生ずるのであって、それを今茅さんのことやら——産学共同の委員会に各方面の人が出席しておられることも、参加しておられることも、私は知っておりますけれども、しかし学界全部が協力しておるかというと、必ずしもそうでもないのであります。ですから、学界自体が協力でき得る一つの団体といえば、何といったってこれは学術会議です。そういう機関を中心にして活動をやるということに中心を置いて考えていただければ、問題はないのじゃないか、その点についての緒方さんのお考えはどうですか。
○緒方説明員 ただいま学術会議の意見にお触れになりましたけれども、学術会議におきましても、文部省に対してこういうことをやれという意見は出ているわけなんです。こういうことと申しますのは、少し当らぬかもしれませんけれども、いわゆる学術情報事業というものをもう少し拡大し伸長していくべきだ、この御意見は繰り返し出ているわけです。私どもの大学学術局におきましても、学術情報室というのがございましてそこで予算もとりまして年々事業をいたしておりますが、その中にもやはりこれに類似のことがあるわけでございます。研究者の研究内容について調査いたしまして、それを各方面に配布いたしまして、先ほどから申し上げますような意味の便益に資しているわけでございますが、それらにつきましては文部省においてもう少し積極的にやれという御意見が、学術会議には繰り返し出ておる。このことは一つ御了承いただきたいと思います。その学術会議の意見は、文部省でやれという意見でございまして、学術会議自身がやるということじゃないのであります。そのために文部省という行政機関があるわけでございますから、文部省でやれ、こういう意見が出ておるわけであります。これに従って私どもやっております。しかしこれはなかなか手が伸びませんので、外部の団体がやられることについて私どもが協力するということは差しつかえないことと私どもは考えております。
○辻原委員 学術会議と文部省が相談してやるということですが、それと、生産性本部の依頼を受けて文部省がそれに協力するということでは、かなり意味合いが違ってくる。だから同じような調査であっても、私はその出発点が異なるということを言っておる。あなたは先ほどちょっと調査の結果を申し述べられましたけれども、しかしながら、たとえば東大あたりにおいては、この問題についてかなり批判的な立場で、調査には応じていないという向きもある。そういう点も十分勘案せられて、学術会議あるいは学術会議の意見に基いて文部省でやるということであれば、私はだいぶ様相が違うと思うけれども、しかし今のこの形においては、私自身としては非常に好ましくない姿じゃないか、こういうふうに思うのです。 次にやはり大学の問題について承わっておきたいのは、去る三月に中央教育審議会から「育英奨学および援護に関する事業の振興方策について」という答申案が出ております。さらにこれらを具体的に検討した結果、また特別委員会が設けられて学徒援護に関する特別委員会というのですか、その特別委員会の答申案は相当詳細にわたっておりますので、それを逐一お尋ねするわけには参りませんが、その中で一つの問題だけこの機会に承わっておきたいと思います。 それはこの審議会の答申の中で、厚生援護事業について新しく学生生活費の負担軽減をはかるため、食堂、売店等の学内厚生事業を充実する、こういう一項目があるわけであります。これを具体化するために、さらにこういった学内の厚生事業のほかに、たとえば学生の宿舎あるいはアルバイト、こういうものをも包括して、何か全国的に特殊法人を作ってこれを文部省の監督下において経営に当らせよう、こういような計画がこの答申に基いて文部省にはあるやに私は聞くのでありますが、具体的にどういうところまでそういう計画が進んでおるのか、この点について承わっておきたいと思います。
○緒方説明員 この中教審に対しまして今御諮問申しあげまして、そうしてこの答申が出ておるわけでございますが、これは大別して、いわゆる育英奨学事業それから学生生活を援護して学生生活の厚生福祉をはかるという意味の援護事業、この二つのことがあるわけであります。この答申によりますと、学生生活の援護のためにその学生生活、特に学生の経済生活を改善していくための方策がいろいろと盛られておるわけでございますが、その中に今御指摘のように、特殊法人を設置してこの厚生援護事業を実施させるということがあるわけであります。これは中教審が考えておられますことをそんたくいたすわけでありますけれども、育英奨学事業につきましては、今日本育英会、これは日本育英会法によって設置されました特殊法人でございます。厚生援護事業につきましては、学徒援護会というものがございます。これは財団法人でございまして、現在特殊法人にはなっておりません。法律の根拠はないわけでありますが、この学徒援護会の基礎をもう少し強固にする意味におきまして特殊法人にして、そうして現在学徒援護会が厚生援護事業をいろいろ行なっておりますが、そういうものがもう少し強力に行われるようにしたらどうか、こういう趣旨から出ておるものと私どもは考えておるわけでございます。学徒援護会でやっております事業につきましては、申し上げるまでもなく辻原委員御承知だと思いますけれども、あるいは学生会館を作る、あるいはアルバイトあっせんのために学生相談所を作る、そのほかいろいろやっております。しかもこれは国の補助金で運営いたしております。こういう形でございますから、これはやはり特殊法人に持っていった方がいいんじゃないか、私は、これはまだ私見でございますけれども、そう考えております。なお今後いろいろ検討いたしまして、厚生援護事業につきましても充実をはかりたいという気持は十分に持っております。具体的方策につきましては、これから研究いたしたいと思います。
○辻原委員 その場合に、現在私の調べた範囲によりますと、全国約五十二の大学学内に、例の生活協同組合法によるいわゆる協同組合が設けられております。そこで主としてこの答申の中にある食堂、売店等の厚生事業というものを営んでおるようであります。しかもその成績は最近比較的上ってきておる、経営も合理化されてきておる。これは主として学生とその学内にある教授、助教授、こういった人々との共同によって行われておる、純粋な自主的な組織団体だと思います。それによってやられておる既存の団体と、それから新しく作ろうとする特殊法人というもの、これが従来の学徒援護会のように主として全国的な規模に立って、そうして学生会館ないしは就職、アルバイトあっせんということでありますと、問題はないと思いますけれども、学内の厚生援護事業といったものにまで手を伸ばしてそれをも包括して法人を作り運営をしていこう、しかもそれに補助金を与えていくという格好になりますと、既存の生活協同組合との間の競合の問題が出てくる。こういうものについての存在をどういうふうに評価されておるのか、また実際特殊法人を作るとなれば、一体その競合をどう調整していくのか、これらについて考えられておるか、この点は生活協同組合の関係もございまするから、直接の所管は厚生省だと思いますので、あわせて厚生省の見解を一つ伺いたいと思います。
○緒方説明員 大学で食堂をやったり、売店をやったりいろいろいたしておりますが、これは必ずしも消費生活協同組合法による組合だけでございません、任意団体としてもやっておるようであります。今お話しのように、今後私どもが学内の厚生援護事業を考えていきまする場合には、当然その一環として考えなければならぬ問題だと思います。今御指摘のここに出ておりますこの方策の実施をします上におきましてその間の関係等について十分任意をいたしまして、具体的の方策を検討いたしたいと思っております。これは大学によりましていろいろ違います。今お話しのような生活協同組合で相当よくやっておるところもありますけれども、なかなかそうはいかないところもあるようでありますし、大学によりましては、むしろここに答申のありますようなことを歓迎したいというところもあるかもしれません。私はまだ実情はよくわかりませんけれども、今御指摘の点は十分心して今後の具体的検討に資したいと思います。
○辻原委員 実情がよくおわかりにならないようでありますから、あまりこまかい点には触れませんが、大体私が調べた範囲によりますと、小さい大学には任意団体もあるようでありますが、国立大学の大きい大学においては、ほとんど協同組合法によりまして、最近、私の見た数で五十二程度は結成せられておる、こういう状況であります。従ってこれが特殊法人ということに切りかえられて、既存のものがその際に考慮されないということになりますと、非常に波乱が起きる。せっかく援護事業でありますから、よりよい方法で、自主的にやっているものは自主的にやらしてもいいじゃないかと思う。ですからあえてそういうものと競合する形において、別途な団体を全国的に組織するということも、これは慎重でなければならぬ。この点についての考慮を実は私は聞いておきたいと思うのです。厚生省の方が見えておれば一つその点も伺っておきたい。
○中村説明員 大学生協につきましては、現在まで認可されておりますところのものが二十一ございまして、ただいま認可申請中のものが五つ、設立準備中のものが八つございます。すでに認可を受けております組合員数が二十万人でございまして、全国大学の、短大も含めまして、学生の方々の三分の一くらいに当るんじゃないかと思っております。もちろんこの中には、ただいま辻原先生のお話にございましたように、教職員の方も入っております。 それから事業量でございますが、年間に大体十六億ぐらいの事業をいたしております。生協の全体の事業量が年間三百億くらいでございますが、大体十六億くらいを大学生協が取り扱っておるということになります。事業のおもなものにつきましては、ただいまお話しありましたように、文房具、学用品それから日用品等の供給事業、食堂の経営、散髪とか、クリーニング等の共同施設を経常する、あるいはアルバイト、下宿のあっせん等をいたしております。 それで、ただいまの大学生協のお話しましたような認可申請、あるいは設立の準備等の趨勢から考えますと、本年度中に大体大学生の六割くらいが生協の組合員になるのじゃないか、こういうふうに考えております。それからその生協の個々の活動につきましては、大部分が都道府県知事が認可いたしておりますところの組合でありますので、詳細につきましてはわかりませんけれども、大体におきまして、生協として十分に活動いたしておるというふうに承知いたしております。
○辻原委員 今生活課長からお話のございましたように、およそ六割程度はそれに加入の見込みである、また協同組合としての運営も、これはかなり改善をせられて、相当よい。そういたしますると、先ど申しましたように、この既存の協同組合を無視して特殊法人を設立するということについては、私はかなり疑問を持つわけでありまして、従って現在構想として進められておる新しい特殊法人がもし設立されるということになれば、これをどう取り扱うかということについて、私は文部省の見解を一つ聞いておきたい。
○緒方説明員 まだ具体的な検討はこれからの段階でございますから、先ほど申し上げたところで御了承いただきたいと思います。、
○辻原委員 当然考慮されなければならぬと思うのですが、その点については、こうした生協というものを無視していわゆる文部省で作るそういったものを大学側に押しつける、こういうことはあり得ないと思うのですが、それはどうでしょう。考えとしてはどうですか。
○緒方説明員 そういう点は十分考慮に入れてということを先ほど申し上げましたけれども、そうしたいと思います。大学の意見も十分聞いてやっていきたいと思います。
○辻原委員 大学の意見ももちろんでございますが、自主的な団体でありますから、任意団体も中には含まれておりまするし、協同組合でありますから、そういう協同組合の連合体も生まれておる。ですから、そういった方面の意見も十分これは聞かなければならぬ、その点についても今後考慮してもらいたいと思います。 それでは、次の問題に移りたいと思いますが、政務次官がお見えになっているようでありますから、最初に政務次官から一つお伺いしたいと思います。それはこの間の委員会で、私が松田文部大臣に対しまして新聞に出ておりました松田文部大臣の教職員組合に対する態度、またその存在についての認識、こういうものについて伺ったのでありますが、松田文部大臣のお話は、私のかなり了解のいく点でございます。それを、私はなぜこういうことを申し上げるかというと、教職員組合を含めて公務員といえども、それらが構成をしているいわゆる労働組合、広義の意味における労働組合の存在ということについては、これは私は何人も否定することはできないと思う。従ってそういう認識に立って、この広義の意味における労働組合たる教職員組合、これに対処してもらわなければ困るという意味合いのことを考えておるのであります。ところが昨今、とかく文部省の側においては、都道府県の教職員組合、さらにこの連合体である日本教職員組合に対してそういった憲法二十八条に保障する労働者の結集団体であるという認識をないがしろにしてこれを抑圧する具体的な手が着々私は打たれているように——実はひがめではありません、具体的に出てきておるということを非常に遺憾に思っております。一体こういう点について、政務次官は、学識経験の非常に豊富な方でいらっしゃいますから、十分なる御認識をお持ちなさっていらっしゃると思いますが、一体労働者の労働権、こういうものについて教職員を含めていかようにあなたはお考えになっておられるか、この点を承わりたい。
○宮澤説明員 御満足のいく御答弁を申し上げられるかどうか、就任早々でございますので、多少疑いを持っておりますけれども、ただいま辻原委員の御指摘のような労働者としての団結権、憲法に保障せられました、また憲法が戦後の新しい日本において作ろうとしておる労働者の権利、あるいは社会における一つの位置づけ、そういうものについてはもとより私ども十分これを尊重いたすべきものと考えております。
○辻原委員 それでは尊重しているかどうか、一々具体的に聞いて参りたいと思います。まず職員団体について。わからない点は局長でもけっこうでありますが、教職員のいわゆる広義の意味における労働組合の結成については、これは地方公務員法の「職員団体」という項において県体的に書いておると思います。その地方公務員法の五十二条を見ますと、「職員団体の組織」という項がある。その五十二条によりますと、いわゆる教職員——これは一般地方公務員全部を含んでおるのでありますが、教職員を例にとって考えてみましても、職員が団体を結成し、もしくは結成をしない、あるいはこれに加入する、加入しない、こういうことがすべて職員の自由にゆだねられておることは誤まりありませんね。政務次官、いかがでございますか。
○宮澤説明員 五十二条に定めてある通りと考えます。
○辻原委員 その次に伺いたいと思うのですが、同じくその団体の性格については、何らこの法律は規定をしていないと私は理解をしておりますが、それも誤まりでないですか。
○宮澤説明員 地方公務員法五十二条には、「給与、勤務時間その他の勤務条件に関し当該地方公共団体の当局と交渉するための団体を結成し、若しくは結成せず」と書いてありますが、こういう意味において五十二条は、一つの団体の結成、もしくはそれに対する加入について、一つの定義なり限定を加えておる、かように考えております。
○辻原委員 局長、法律上そうですか。これは制限を加えていると理解をすべきものですか。
○内藤説明員 ただいま政務次官のお答えの通り、職員団体の性格を規定したものと考えております。
○辻原委員 地方公務員法の五十三条を見ますと、そこに「職員団体の登録」ということがある。その第二項に、職員団体の登録をする際に所要の規約を提出せよということになっている。ところが一つの団体の性格というものは規約によって——法人であれば定款、こういうものによってその具体的な性格というものは代表されると私は思う。その規約というものは、あくまでもそれぞれの職員の側の民主的な手続によって定めたものであればよろしいということになっておるが、そういう理解に立てば、そういう法文の考え方に立てば、いわゆる職員団体の性格というものは、法律上制約をしていない。あくまでも民主的な手続にさえよってやるならば、その存在を認めるというふうに法律は書いておる。また立法当時の一つの立場もそういう点にあったというふうに理解をするのですが、それは誤まりでありますか。
○宮澤説明員 そういう団体が任意に作られることは自由でありましようけれども、少くとも地方公務員法五十二条に定めるところの職員団体、この法律によって保護を受ける権利を有し、またこの法律のもとに作られた団体としては、私どもはそういうものはこの法律のもとに作られた団体だとは考えていない。この法律によって作られた団体は、あくまで五十二条の要件を満たすべきもの、そういうデフィニションに従ったもの、かように考えております。
○辻原委員 一般的に考えても、給与その他勤務時間、あるいは勤務条件、こういったものを交渉するものが労働組合である。それが一般的な一つの制約であってその団体の細部にわたる性格というものは、何ら法律上は制限を受けていない、私はこう思う。従ってここに五十二条にいう一つの立場というものも、それはすなわち労働組合としての本質的な性格であって、何も特殊的ないわゆる職員団体というものの性格を規定したものでないと私は理解する。従って加入も、あるいは脱退も自由である。しかも規約にいかようなことを定めようとも、その手続が民主的であればいいということだ。この私の見解と今政務次官の言われた見解とは若干の相違があると思うがいかがですか。
○宮澤説明員 この法律の五十二条に定めておりますことは、ただいま辻原委員の御質問になりましたような一般的な労働団体の性格、それをさらに、この法律に定めるところの職員団体とはどういうものであるべきかということを、具体的にまた実際に即して五十二条で定めたもの、こう考えておるのであります。従いまして、この範囲を出るような団体ができることは、それは私は憲法の規定からして自由であり任意であると思いますけれども、この法律に基くところの、あるいはこの法律によって保護を受けるところの職員団体ではない、かように考えます。
○辻原委員 保護を受ける職員団体、こういうふうに言われましたが、その問題についてはあとでお尋ねをいたします。 次に、私が先ほど申し上げました規約の問題に関係をいたしまして、地公法の附則を見ますと、附則の第十四項は、当時存在しておった教職員組合、あるいはその他一般の労働組合、いわゆる公務員の労働組合がこの職員団体に移行する際にとられた経過措置であると思いますが、それを見ますと、「第五十八条第一項の規定施行の際現に存する労働組合でその主たる構成員が職員であるもののうち、前項の規定による登録の申請をしないものの取扱については」云々とあるわけであります。この規定の精神を援用いたしますと、私はこういうことになるのじゃないかと思う。それは従来、文部省が指導しており、また都道府県教育委員会が主張しておるいわゆる構成員というものは、その当該職員でなければ職員団体としての存在は認め得ないのだという見解は誤まりではないか。従ってこの精神は、いわゆる主たる構成員が職員であればよろしいとして、そのものは経過的にこれを定めた。だから立法の際にそのことは認めておるわけです。この点についてはいかがでありますか。従って私の見解によれば、いわゆる職員団体というものは職員が結集して団体を作ることができる。しかしその作る場合に、その作るものの主体が職員でなければならぬことは当然であるが、その中に職員以外の者がおり、職員団体がそれを認めておる場合には、これは職員団体の性格を排除するということにはならぬと私は考えるのですが、その点はいかがですか。
○宮澤説明員 所管局長から答弁いたさせます。
○内藤説明員 この地方公務員法の附則の十四項につきましては、当時労働組合であったものの職員団体への切りかえの規定でありまして、この地方公務員法あるいはそれの基礎になりますところの国家公務員法の観念は、あくまでも職員でなければ職員団体を結成できない、こういう原則をとっておるのでございまして、これは国家公務員法につきましてはすでに人事院規則で明示されておりますし、地方公務員法の適用につきましても、そういう解釈、また今日までのいろいろな資料に基きまして、私どもは同様に解釈しておるのでございます。
○辻原委員 非常に不明確であって、そういう答弁ではなしに、一体どこにこういう根拠があって、いわゆる構成員のうち一人でも職員以外の者が加入しておったならばこれは認められないのだというその規定が、国家公務員法はさておいて、地方公務員法のどこにあるか、どこの項にそのことが明記されているのか、私はそれが知りたい。
○内藤説明員 これは今御指摘になりました「職員団体の組織」として、五十二条に、職員はこれこれの団体を結成し、もしくは結成せず、これに加入し、もしくは加入しないことができる、こういうことになって、職員以外の者を構成要素とすることは考えられていないという見解でございます。
○辻原委員 五十二条の項は、職員は職員団体を作ることができ、加入、脱退の自由があるということを規定しているのであって、その構成員がすべて職員でなければならぬという規定ではないと私は思う。労働者が労働組合を作ることができる、こういう書き方と同じ立場に立ってこれは書いておると私は思うのです。それはいかがですか。
○内藤説明員 御承知の通り、国家公務員法については一応完全に労働三法を排除しておるわけです。地方公務員法については一部適用しておる部分もございます。この面におきましては、性格は似ておるものはございますけれども、本質的にはやはり職員団体と労働組合は違う要件を持っておる、かように考えるのが至当ではないかと思います。
○辻原委員 国家公務員法でも地方公務員法でも、いわゆる労働三権をある程度制約しようという意図のもとに作られた法律でありまするから、具体的にはいわゆる罷業権というものを否認しておる。あるいは団体交渉権というものは、国家公務員法においては全面的に否定しておる。地方公務員法においては、その似て非なるものを一部認めておる。これは具体的に法律があることは私はわかる。そうじゃなしに、あなたが先ほど説明された職員団体の構成に、いわゆる一人たりともそういう構成要件を欠く場合には職員団体は認められないのだということは、この法律のどこにも出ていないじゃないかというのです。あなたは五十二条を例にとられたけれども、五十二条の解釈は私はそうじゃないと思うのです。五十二条というものは、職員は職員団体の組織を結成することができる、しかしその作った団体の中にいわゆる職員以外の者を入れるということについては、何ら排除していないじゃないかということ、しかもそれらを立証するための一つの根拠規定というものは、その附則の十四、十五の中に——これは当時労働組合といったが、いわゆる職員団体といわなかったのであって、職員団体といわなかったから労働組合という書き方をしているのであって、同じ性格のものである。同一団体を移行させただけのものである。法律の適用が変っただけである。その際には当然主たる構成員が職員であれば、それは職員団体として移行させるのだということを書いてある。それが誤まりであるとするならば、あなたのとる解釈のように、五十二条でもって職員でなければ一人たりとも入ってはいけないのだということになるならば、この十四、十五というものは私は当然認められていないと思う。その解釈は一体どうなのですか。
○内藤説明員 これは労働組合と職員団体との性格の相違によると思うのです。ですから、労働組合の場合には御承知の通り労働者以外の者も入ることが認められておるわけです。しかし職員団体の場合には、職員でなければ構成員になれない、こういうことは人事院規則でも明示してありますし、また地方公務員法につきましても同様な解釈をとっておるわけであります。労働組合と職員団体の相違に基くものであります。今御指摘の点は、単に経過的な規定をそこに述べたにすぎない、かように解釈しておるのでございます。
○辻原委員 あなた方がこういう解釈をとっているのだという、その解釈について私は聞いているのです。あなた方がそういう解釈をとっているからそれが正しいのだということにはならぬ。私はその解釈に誤まりがあるから、その点についてもっと詳細に法律的な根拠を聞きたいのです。ここの附則十四項は、労働組合であっても、それが移行して職員団体たることを認めているのですよ。十四項、十五項というものは、従来労働組合と称されておったその団体を、職員組合として移行することを経過的に認めておる。もしその労働組合の中に、職員以外の者が入っている団体は認めないという趣旨のもとに立法せられたとするならば、こういう経過規定は要らないはずです。それははっきり書けばいい。主たる構成員でなしに、職員をもって構成する労働組合と書けばいい。それをあえて主たる構成員というふうに書いた書き方は、職員団体として主たる構成員が職員であればよろしいということを裏書きしているものだと私は解釈する。そのことについてあなたの明快な御答弁はない。どうなんです。
○内藤説明員 附則の規定は、あくまでも労働組合から職員団体への切りかえの便宜上の措置でありまして、五十二条にいうところの職員団体は、職員でなければ職員団体の構成員になれないという解釈を、文部省も自治庁も従来からとっておるのでありまして、その基底になる国家公務員法に基く人事院規則では、この点は明確に示されているわけでございます。
○辻原委員 だからその人事院規則だとかあなた方の解釈例だとか、そういうものが信用できないから質問しているのです。そういうものがあてにならぬから質問をしているので、あくまでも法律に基いてその解釈をとってもらいたい。われわれは立法したのであるが、その法律の根本趣旨に、通達だとか、規則の解釈だとか、規則だとかいうものが合致しない点があるから、今問題になっているときに詳細に明らかにしておきたいと思うのですが、十四項、十五項の解釈についても一向はっきりしない。
○内藤説明員 私どもはそういうふうに解釈するからこそ、経過的に附則十四項が要るわけです。もし辻原委員のお話のように、当然含まれるという解釈なら、わざわざ附則十四項は要らないわけです。附則十四項を設けたゆえんのものは、職員団体と労働組合との構成の要件が違うからでございます。
○辻原委員 それはおかしい。いわゆる職員団体というものを認めたのは、この法律が施行になってからです。だから今後そういうものが結成されていった場合には、その解釈は通るのですよ。しかし既存のものがあるから、そのものの取り扱いをどうするかということについて、この経過規定がある。あなたが言う解釈はおかしいですよ。それは法律上の解釈じゃない。既存のものがあろうがなかろうが、この法律によって職員団体というものの一つの取り扱いをきめたのは、それは今後のことだ。しかしそれ以前のものがあるから経過規定というものが作られる。労働組合と職員団体との性格が違うからこの規定を設けたというような、そういう解釈は通りませんよ。それは排除しているのじゃないのです。だからその点は非常に不明確であります。 時間がございませんので、それらに関連したことで先に進んでお尋ねいたしたいと思いますが、五十三条によると職員団体の登録ということがあります。そこで伺いたいのは、一体登録した団体と登録しない団体との相違というのは何です。その点について……。
○内藤説明員 つまり職員団体として登録することによってその職員団体の活動が、この法律によって行われるわけであります。登録しなければ任意団体でございまして、この法律に基く職員団体ではないといえると思います。
○辻原委員 いわゆる職員団体に登録した団体と登録しない団体が二通りできるということを、あなたはお認めになりますか。
○内藤説明員 それは私が今申しましたように、登録して初めてこの地方公務員法にいう職員団体でございまして、事実上給与その他勤務条件に関し、いろいろと交渉する団体があっても、登録しなければ職員団体とはいえません。別の性格のものだ、こういう意味でございます。
○辻原委員 この場合登録をした職員団体は、法律によって保護を受けると思うのですが、それはどういう保護を受けますか。
○内藤説明員 これは五十五条に書かれておりますように、「登録を受けた職員団体は、条例で定める条件又は事情の下において、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、当該地方公共団体の当局と交渉することができる。なお、これに附帯して社交的又は厚生的活動を含む適法な目的のため交渉することを妨げない。」というようなこと、あるいは「但し、これらの交渉は、当該地方公共団体の当局と団体協約を締結する権利を含まないものとする。」あるいは五十六条「職員は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもって不利益な取扱を受けることはない。」その他にもございますと思います。
○辻原委員 そこで、今あなたが述べられたようなことは、これは地方公務員法によって登録をした場合に保護を受ける具体的な例証なんですね。ところが登録をしなかった場合に、その団体というものは、あなたは任意団体だとおっしゃられました。しかしそれは登録をしないだけで、職員団体たることに法律上は変らないと思うのですが、そこはどうなんですか。それはどういうところから言えるかといいますと、職員が職員団体を結成したら必ず法律によって登録をしなければならないということは書いてない。五十三条は「職員団体は、」とある。職員団体はすでにできているのです。職員団体は登録をすることができるとある。あなたの解釈、今の御説明によりますと、登録をしたもののみが唯一、それが職員団体であって、登録をしないものは、それはその他にたくさんあるような、単なる任意団体であるというような解釈に立っておられるようです。そういう点が誤まりだと私は思うのです。法律を忠実に読み、忠実に解釈していくなら、そういうことにならぬと思うのです。いわゆる職員団体というものが職員によって結成される、それがその職員団体の自主的な判断によって登録をすることもあり、しないこともある、こう法律は予測して書いておる。誤まりでありますか、私の解釈は。
○内藤説明員 先ほど来私がたびたび申し上げておりますように、この法律にいう職員団体ではないという意味でございます。そういう団体があることはもちろん許されております。しかしながらそういう団体に職員団体という名称を用いているかどうかということになりますと、この法律にいう職員団体との誤解を招きますので、避けた方が適当ではなかろうか、またこの法律に基くところの保護は受けられない、こういう意味でございます。
○辻原委員 登録をしなかったならば、受けられる保護は、これは排除されることは、私はその通りだと思う。しかし、あなたの言う、いわゆる登録をしなかったならばこの法律にいう職員団体ではないという解釈は私は了承しがたい。それはその次の、あなたが説明をされたいわゆる保護の具体的な例である五十五条の交渉を見ても、職員団体は云々と書いてない。いわゆるこの法律に基く折衝権、この法律にいういわゆるネゴシエーションの権利というものは、それは登録を受けた職員団体だと書いてある。だからこの法律でいうところのいわゆる折衝権というものについては、それは登録を受けた職員団体がこれこれできるのだと書いてある。明らかにこの地方公務員法のいわゆる職員団体の項には、単に「職員団体」とこう規定しているのと、「登録を受けた職員団体」と規定するのと、これは二つに分けているのですよ。あくまでもその解釈に立てば、職員団体というものは、登録を受けなくてもこの法律によって認められているということなんだ。一体どうなんですか。
○内藤説明員 この法律で認めておるのは、事実上五十五条で今御指摘の通り「登録を受けた職員団体は、条例で定める条件又は事情の下において、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、当該地方公共団体の当局と交渉することができる。」ですから、この勤務条件に関し交渉することが職員団体の主たる任務だと思うのです。これをはずれた場合には職員団体のこの法律に基くところの職員団体とは言えないのではなかろうか。ですから、かりに同じようなことをいたしましても、職員の給与とか勤務条件等について交渉するものが任意に私はあり得ると思う。ただこの法律の保護は受けない、こういう意味でございます。
○辻原委員 もう少し厳密に言ってもらいたいと思う。この法律の保護を受けないということと、この法律にいう職員団体であるかないかということとは別問題ですよ、そういうものの言い方は非常にあいまいなのです。私も法律の条項を通じて言っておるので、あいまいには聞きのがすわけにいかぬ。確かにあなたの言うように、登録をしなかったら、この法律によって定めた保護条項の適用は受けないということは私も認めております。そのことをお尋ねしておるのではない。あなたはこの法律の適用外の任意団体だといっておる。職員団体は職員の結成した職員団体であっても。ところがこの法律を見ると、いわゆる登録を受ける以前にすでに職員が結成したという、その組織団体というものは法律で認めるということを言っておる。だから、これは法律外であるか法律内であるかということについて大きな違いがある。その点を正確に言ってもらいたい。
○内藤説明員 事実上私が申し上げましたのは、この五十二条以下に設けておるところの職員団体は、これは法律に基く保護を受け、また法律に基くところの権利を持っておるわけなのです。それ以外の職員団体がかりにあったとしても、この法律の関係ではなかろう、こういう意味でございます。
○辻原委員 それはおかしい。その存在というものは法律上認めておるのかどうかということです。だから保護を受けるとか受けないということとは別問題です。またあなたは権利というけれども、決してこの法律では権利義務を規定しておりませんよ。あくまでも登録を受けるということは自主的判断にまかしておる。任意にまかしておる。これは当然いわゆる職員団体の構成をしたならば必ず登録を受けなければならぬということになれば、そういう規定であるならば、非常に性格は変ってくると思う。あなたの言われるように、それはあくまでも職員団体と登録された職員団体というものは同一でなければならない、こう重なる。ところがこの場合の法律というものは、まず五十二条によって職員団体の結成を認めて、その中で登録をして保護を受けた方がよかろうと考える向きは登録を受けなさい、受けたならばその次は五十五条で交渉もします、交渉の範囲も狭いけれども、折衝権もある、こういうふうに書いてある。ですから職員団体がいわゆる職員によって結成をせられたということについて、それは法律外の職員団体であるということについての解釈はわれわれは了承できません。もう少しその点について正確にお答えを願いたい。事実上云々ということですが、事実上を尋ねておるのではなくて、実態のことを尋ねておるのではなくて法律論を尋ねておるのです。
○内藤説明員 辻原委員のお説のように、かりに五十二条に基いて、この職員団体が成立した。しかしながら五十五条によって交渉する権利は、五十五条の権利がないわけです。ですからそういう団体は一体何をするか、こういうことになると思う。ですから私どもとしてはこの五十二条、五十三条、五十四条、五十五条、五十六条、これを一連の関係に考えて解釈するのが妥当ではないでしょうか、こういう意味でございます。
○辻原委員 そういう解釈は私は法律上は成り立たぬと思う。あなたはまた事実上そういう団体は何もできないというけれども、そうではないと思う。法律に書かれてないことは憲法が優先する。だから職員団体として認めた以上、職員が職員団体を結成して、この地公法にいう保護をおれらは受ける必要はない。そうするならば、私はそれ以前に憲法にいう根本的な保障は、当然国民の権利として、労働者の一つの権利としてこれは認められると思う。そのことについて。
○内藤説明員 それなら別にこの五十二条以下の問題にならぬと思うのです。一般的な団体を結成することは憲法に認められておることですから、普通の団体が団体を結成し交渉するということは、これは当然のことだと思います。別に五十二条に規定せぬでも普通の一般の団体と同じだと思う。
○辻原委員 一般の団体ではない。二十八条は、これは勤労者の団結権、団体交渉権なのです。そのことを言っておるわけです。だから憲法がそのことを保障しておる。これはどうです。
○内藤説明員 憲法に規定されたことを、具体的にその内容なり条件を規定するのがそれぞれの法律の任務だと思うのです。ですから憲法の規定に違反した規定は、法律といえども当然書けるものではないと思う。ですから今お話の、憲法二十八条を引用されましたけれども、そういう意味の関係のものは、現在一般には労働組合法で規定されているわけなんです。労働組合法に対して職員団体の問題が地方公務員法五十二条以下に規定されている、こう私どもは解釈しているのでございます。ですから、いかに憲法で保障されたからといっても、ここに規定されているように、警察職員とか消防職員は団体結成を法律で禁止している、こういうわけだと思います。
○辻原委員 これは一般の労働組合の場合でも、先ほどの話に戻るけれども、労働組合法の適用を受ける法内組合、適用を受けない労働組合というものが存在している。しかしその法外組合として労働組合法の適用を受けない団体であっても、法律で規定されているような個々のいろいろな保護は受けられないけれども、根本的な団体行動権あるいは交渉権というものは否認されておらないと思う。それは一体どうなんですか。
○内藤説明員 ですから、今お話の点は、私は労働組合と言わぬ方がいいと思うのです。法律上はこれは労働組合ではない。しかし事実上労働組合と同じようなことをしておる。しかし労働組合法の適用を受けてないものを法律的に労働組合というのはいき過ぎだと思うのです。ですから、あくまでも労働組合法の適用を受け、保護を受けているものが法律上の労働組合で、かりにそれと同じような仕事をしておっても、労働組合法の適用を受けないものは、これは労働組合と言わぬ方がいいと思うのです。
○辻原委員 そんなあなたみたいな解釈はだれも言ってやしないですよ。労働組合が先なんです。労働者が結成したものを労働組合というのだ。法律が認めようと、文部省に認めてもらわなくとも、そのうちで法の保護を与えてやろうという国家政策でもって、この部分については特に保護育成していく必要がある、だから、かくかくの面について保護してやろうという場合に、その法律の適用を受けるということで、その法律に基く労働組合という認可を受ける、それだけにすぎないのです。だから、あなたの言うのは逆です。法律の認定を受けたものだけが労働組合であって、その他のものを労働組合というのは間違いだという解釈は、労働組合法上では私は通らぬと思うのです。そういうことは逆なんです。だから、同じことが職員団体でも言えるのです。この地方公務員法を作るについても、労働組合法との関連なしに作られたのではない。やはりそういう一つの根底があって、当時の認識に立てば、自主的な一つの職員の団体の結成あるいは団体の運営、活動というものを決してこれでもって制約しょうというものじゃないということを再三再四政府は答弁した。またこの当時のGHQが政府にサゼスチョンした点についても、そういう点はかなりデリケートに配慮されている。だから、登録されている、法律によって認められたものだけが職員団体であって、そうでないものは全然別個の団体である、そういう解釈は当時とっておらないのです。その後あなたの方で適当に解釈してきている。だからその後法律を読んであらためてあなた方の言うことが正しいかどうか見てみると、どうもふに落ちぬ点がたくさん出てくる。すなおに解釈してもらいたい。五十三条だってそうでしょう。職員団体は条例で定めるところにより規約を添えて人事委員会に登録を申請することができる、とある。申請する主体は個々じゃありませんよ。任意団体じゃありませんよ。職員で結成した職員団体が登録を申請することができると書いてある。だから申請をしない職員団体がそこに存在するはずです。そのことを私は言っている。そういう地方公務員法に基く登録されない職員団体というものが現に法律上存在するじゃないか、そのことについて私はお尋ねしている。どうなんです。
○宮澤説明員 辻原委員と私との間で始められました応答でありますから私からお答えいたします。 おっしゃいますように、憲法二十八条の規定でそういう団体が存在することは、これは基本的な権利でございますから当然だと思います。ただその権利がこの場合にそういう職員団体にやはりあるのだぞ、こういう御指摘でございますけれども、この地方公務員法の五十二条にございますように、ここではこの法律で職員団体とは何を言っておるかという定義を下しております。五十二条の三項に、職員団体とは単位職員団体及び単位職員団体の連合体ということに定義をいたしております。しかも五十二条の第一項で単位職員団体を定義いたしております。従いまして職員団体全体がこの法律でははっきり定義されておるわけで、その定義によりますと、これは五十二条に書いてございますが、「給与、勤務時間その他の勤務条件に関し当該地方公共団体の当局と交渉するための団体」これがこの法律にいうところの職員団体でございます。これでお答えとしては私は分明だと思います。
○辻原委員 そういうお答えでは一向に分明ではありません。五十二条は団体を作る場合の一つの目的を明示しておるのであって、団体の個々の性格を明示しておるものではない。それからいわゆる単位団体あるいは連合会を認めるかどうかということについての先ほどの各条項は、登録をされた団体についていわゆる登録を認めるための条件であって、それは他の職員団体をそのことによって否認されておるものではないとわれわれは解釈しておる。そうでしょう。
○宮澤説明員 さように考えます。ただ先ほどおっしゃいましたように、登録される職員団体もある。登録されない職員団体もある。五十三条には明らかにそう書いてあります。ただ五十三条にいうところの職員団体とは、五十二条でちゃんと定義がしてございます。それは勤務時間、勤務条件、給与等に関するものである、かように申し上げておるのであります。それ以外に一般的な意味で職員団体ということをおっしゃるのはもちろんかまわないことでございますが、この法律の第九節に申すところの職員団体にはそれなりの定義がございます、こう申しておるのであります。
○辻原委員 どうもまだおかしいです。まだはっきりいたしません。あくまでも、職員団体が登録されるその資格というものはどういうような根底に立っておるのかということを詳細に規定したのが五十三条の三項以下なんだと私は思う。その法律の書き方も、「職員団体が登録される資格を有し、」と第三項には書いてある。また引き続いて、資格を有するためにはどうなければならぬかということだ。だから登録される資格を書いてある。職員団体は登録されなければならないとはどこにも書いてない。されなければ職員団体としての結成を認めないとは書いてないのです。結成というものと登録というものはあくまで別に書いてある。私の主張をするのはそこなんです。だから職員団体というものは、あなた方は登録をしないものは公務員法外職員団体であると、こうおっしゃるけれども、私は必ずしもそうでないと思う。給与及び勤務時間その他の勤務条件について、これらは職員団体を結成するのだといって結成したならば、それは登録をしないでもりっぱな職員団体であると私は言っておるのです。そのことをお認めになりますか。
○宮澤説明員 先ほどの御答弁で私は分明だと思うのでありますが、つまりこの法律は職員団体というものを一定の定義を下して考えておって、そのうちで登録されるものもあるであろうし、登録されないものもあるであろう、しかし登録されないものといえども、この法律に申すところの職員団体は五十二条の一項で定義を下しておるのですから、それは職員団体である。登録されるものもありましょうし、されないものもありましょう。それ以外に一般に憲法二十八条の規定によって、勤労者の団結する権利に基いて職員が団体を構成するということは自由でありますし、またあり得ることでありましょうけれども、それは一般的な意味で職員団体というだけであって、この法律の第九節に考えておるところの職員団体というものには一定の定義と制約がございます、かように申し上げておるのであります。
○辻原委員 だからむしろ積極的に解釈すれば、登録をしたならばいろんな制約がある。しかし登録をしない自主的な立場に立つ職員団体であるなれば、むしろ広義の意味において労働権を憲法によって保障されておると私は解釈する。 ついでに承わっておきますけれども、一体憲法にいう勤労者の中には公務員は入るのですか、入らぬのですか、その点はどうなんです。
○宮澤説明員 入ると解釈しております。
○辻原委員 それは当然私も入ると思います。入るならば、私はそれらの職員団体というものは広く憲法によって保障されておると思う。だから結成をし、それから団体交渉を行うということについて、憲法が具体的の保障をしておると思うのです。その点についてはどうですか。
○宮澤説明員 同じ応答を繰り返しているように思いますけれども、そういう職員団体は私はあり得ると思います。あって差しつかえないと思いますが、地方公務員法の第九節に書かれておるところの職員団体というものは、一定の定義が、これをお読み下さればわかりますが、これだけのことを申しております。
○辻原委員 それでは問題をもう少し進めてみましょう。今文部省の方からかなりの指導が行われておるのだろうと思うのですが、いわゆる職員団体の業務にもっぱら従事する職員の取扱いについて、これに対して認めないような方向で指導しているということも私どもは感じておる。その一つのあれとして、登録をされていない職員団体の専従休暇は認められない、こういうことを述べておるようでありますが、私は職員団体の専従というものと、登録というものとは法律上別に関係ないと思うのです。それはどうなんですか。職員団体が作られれば、そこに私は地方公務員法においても、いわゆるもっぱらその職員団体の業務に従事する職員については法律上認めておる、私はこの解釈するのですが、どうなんですか。
○内藤説明員 ここに五十五条にも書いてありますように、登録をした職員団体のみが当局と給与、勤務時間、その他の勤務条件に関し交渉する権利があるわけなんです。ですからこのために、必要な場合に専従職員ということが認められると思うのです。そうでないものに専従職員を認める必要はないと思います。
○辻原委員 それは交渉する場合の交渉のやり方について、今その法律は書いてあるのであります。専従者の問題についてはむしろ五十二条なんです。五十二条の第五項を見ますと、「職員は、地方公共団体から給与を受けながら、職員団体のためその事務を行い、又は活動してはならない。」これは逆に解釈しますならば、給与を受けない場合においてはその業務に携わることができる、私はその通りだと思う。この職員団体というのは登録以前の職員団体ですね。これは給与、勤務時間、勤務条件について交渉するための団体を結成した、しかしながらその団体の業務に携わるために給与を受けながらやってはいかぬといっている、給与を受けなかったらそれは認められ得ると書いてある、これは一体どうなんです。だからそのことは登録を受けた団体が交渉することは当然ですから、いわゆる地方公法の折衝権というものは、登録を受けた場合にのみその権利は発生すると思うのです。しかし職員団体としてその他の業務もあると思うのです。地方公法の折衝権だけではない。そうするとその職員というものは、登録を受けなくても当然その職務に携わることができるじゃないか。
○内藤説明員 今お話の件を聞いていますと、何かそういうものにも特別の保護を与えたらどうか、しかしあくまでもこの職員団体の法に生きているところのものは、登録を受けた団体にのみ保護は与えられているのです。ですから当局と勤務条件に関し交渉したり、あるいは附帯している社交的あるいは厚生的な活動をするために当局と交渉することを妨げない、ですからこういう関係のために専従職員というものは必要であることはよくわかるのです。しかしそうでない一般的なものに専従休暇を与えるのは私どもは必要はないと考えます。今御指摘の五十二条の五項でございますが、これはその団体というものの中で給与を受けてならない、これは当然の規定を書いてあるのです。この規定があるから、すぐ裏から返して専従を認めたんだ、こういうふうには参らぬと思うのです。
○辻原委員 その行政指導の考え方をあなたは述べないで、法律の解釈を少しやって下さいよ。その専従者を認めることが何か保護的な考え方をあなたはされておりますけれども、必ずしも保護ということじゃないでしょう。団体を結成してその業務に携わるということは、それは勤務のやり方にもよりますけれども、その公共団体の職務を離れて専念するという場合もあろうし、単にその余暇を見て手伝おうという場合もあるし、そういった場合にはそれは保護でありませんよ。当然職員団体を結成し、また憲法上いわゆる団体の結成権、行動権というものを認めた建前から生ずる一つのこれは権利です。しかしながらそれは給与を受けつつ、そういうことをやってはいかぬと書いてある。だから当然その反対解釈として、給与を受けなければその業務に専念してもいいのだ、こういうふうに書いてある。しかもそのことは五十二条で結成した職員団体について書いてあるのであって、五十三条で登録を受けた職員団体について書いてない。あなたの言う解釈であるならば、当然五十三条以下に書かれなければならない。登録を受けた職員団体においては給与を受けながら何をしてはならない、こう書かなければならぬ。あえて五十二条に書いてある趣旨というものは、すでに職員団体というものは登録以前に存在しているということをここで認めておるのです。だから登録を受けなければ職員団体の業務に専念してはいけないのだということは、私はこの法律からは出てこないと思う。もう一度正確に行政指導でなしに法律上の立場から解釈してもらいたい。
○内藤説明員 文理的な解釈をされますならば一つの御見解だと思うのでございますけれども、先ほど来私が申しましたように、職員団体は登録することを原則にし、また専従につきましては登録をされた職員団体に専従を認める。ですからその根拠は、五十五条にもございますように、登録を受けた職員団体のみが当局と勤務条件に関し交渉する権利があるのだ。その他の団体についてはこういう権利はないし、また不利益等の扱いをしないというような保護もされておるわけですから、そういう職員団体を登録させ、それによってできるだけ保護育成していこうという考え方が出ておるのです。それ以外の職員団体はこの法律によって特別の保護を受けているわけではないので、別に専従休暇を認める必要は私はないと思うのです。
○辻原委員 法律上保護を与えて育成していこうという積極的な考え方、これは確かに私は法律の中にもあると思う。そうしてそのことをわれわれも否定していないのです。しかしかりにそういうことがあっても、登録しない職員団体というものを否定しているということにはならないのですね。一方においてできるだけ登録させようという意欲はある。しかしすべて登録しなければ職員団体というものはもうそこには存在しないのだということとは別問題なんです。だから専従休暇という、こうした職員団体の職務にもっぱら専念するという問題も、それは登録された職員団体以前の問題として法律は取り扱っておる。だから法律をすなおに考えてみたならば、登録されようがされまいが、その職員団体というものはあるし、その業務もある。業務もある以上その業務に携わる人が必要だ、こういうことは法律は予測をしておる。だからあなた方が今まで述べられたこと、また行政指導としておやりになっておることは、法律のすべてを公平に解釈して行政指導をやっているとは考えない。一面をとらえてそれをぐんぐん押している。だから登録しなければ専従休暇を認められない、職員団体というものは登録をして初めて何もかも権利を持つのだ。それ以外のものは何々団体という任意団体と同じだ、こういうふうに規定している、その考え方が私は誤まりだと思う。憲法には、いわゆる勤労者が団結したならば、その団結というものを認めておる。公務員の団結というものについては、私は賛成ではありません。賛成ではありませんけれども、若干の制約が必要だというあなた方の解釈によって、その広い団結権、団体行動権あるいは団体交渉権というものの中で、この部分だけは保護をしていかなければならぬという書き方をしているのがわれわれの法律なんだ。だからこれらの法律を取りはずすと、すべて労働権は回復されてくる。従ってその労働権の範囲にある任意団体などとは性格が違うのです。あなた方は任意団体である、任意団体であるというけれども、その任意団体というものと職員団体というもの、各都道府県の教職員組合あるいは県庁の職員組合、あるいは市町村の教職員組合、こういった法律に基いて作った職員団体というものが、やはり憲法二十八条の保障を受けて、そうして事こまかくはこの法律の制約を受けていると解釈している。あなた方は任意団体ということは職員団体とは違うということに認識を改めてもらわなければ、対日教組の交渉あるいは対日教組対策に重大な誤謬を犯すという危険性がある。国民の労働基本権を抑圧し、無視してやろうという頭があるから、今日法解釈をとってみてもそういうことをおっしゃる。また具体的にも法を曲げて、押えつけていこうとする考え方が生まれる。少くとも私はもう少しそういう労働権というものの認識を新たにしてもらいたい。この点は、私は先日の委員会で申し上げましたように、民主的な国家体系を持っているアメリカにおいて長い間研さんを積まれた大臣に、何がし民主国家における労働権というものの価値、存在ということに御見識がおありになるだろうと思いますので、この機会に大臣の御見解をも承わっておきたいと思います。
○松田国務大臣 憲法によって保障された団結権があるのであるから、団結すれば直ちにその団体は憲法により保障する、法律の保護を受けるものである。ところがこの場合において地方公務員法というものに規定されておる職員団体は、登録されなければこの法律ではその保護を受けることにならないという規定がある。この場合においては直ちに地方公務員の法律に規定する点にはそぐわないと私は考えます。
○辻原委員 ちょっと私のお伺いの仕方も少しかたくなったようでありますが、はっきりいたしませんので、大臣の御見解を承わっておきたいと思いますが、私は公務員であろうと教職員であろうと、先ほどお尋ねいたしても明らかであるように、憲法二十八条にいう勤労者の団結権というものは広くこれは国民全体を含む。しかしそういう立場に立って考えてみれば、いわゆる教職員が結成をする一つの職員団体というものは、少くともただ単なる任意団体とは違って、この勤労者の基本的権利というものを背景にした、土台にした一つの職員団体であり、だからその活動というものは、そういう意味合いにおいてその労働権に基く行動であるという認識に立つべきじゃないか。しかしながら現状は遺憾ながら法律の制約がありまするから、その制約あるいは法律の保護、こういうものについてはわれわれはそれを認める。しかし全般的に少くともそういう一つの考え、そういうような一つの思想の上に職員団体なり教職員組合というものを見なければ、その取扱いに重大な誤謬を犯すということを私は申し上げているのです。この私の認識は誤まりでありましょうか。文部大臣いかがでございますか。
○松田国務大臣 憲法という最上位の法律に規定されておることであるから、団結すればそれによっていかなる場合でも法律の保護を受けるものであるという断定を下すについては、私はまださようにいたしかねると思うのであります。
○辻原委員 憲法の保障によってすぐさますべての法律の保護を受けなければならぬ、また受けられると私は申し上げていない。憲法にいう団結権、団体交渉権、こういった広いいわゆる労働権というものは、これは根本的に公務員としてもあるいは教職員としても奪われていない。制約を受けている部面があるかもしれない、こう申し上げているのです。この私の考えは誤まりでありますかどうか。法律があるからその法律によってのみやられる、地方公務員法によってのみやられるのであって、労働者の持つ労働権とは本質的に違うのだ、こういうふうに解釈をされるのかどうか、私の伺っている点はそこなんです。だから広い意味において、公務員を含めてその労働三権の根本的な権利というものは奪われていないというふうに私は解釈している。その解釈に誤まりがあるかどうか、こう伺っているのです。
○松田国務大臣 この教職員の場合においては、教職員というものに対する法律の規定は明確になっておるのでありますから、この法律に基いて処置することは当然であると思います。
○辻原委員 明確でない点が多々あるから質問をいたしております。 そこでまだ大臣も十分私の伺っておる点について把握していただいておらないので、問題を先に進めてもう少し事務当局に伺いたい。あなたの先ほどからの解釈では、私もあなた方の解釈に少し無理があるということをじかに感じてきました。私の主張は、半分以上は何人にも受け取られると思っております。しかし一面、一応あなたが先ほどから言われるように、登録を受けた団体のみが保護される。このことは私もわかりますから、そういう前提において私は先ほど質問をいたしました。いわゆる専従休暇というものについても、登録を受けた場合においてのみ保護としてやられるのだ、こう言っておる。そのことについてのみ今お伺いをいたしましょう。現実に登録を受けておる職員団体でありながら、その専従休暇を今日認めないというような都道府県があります。たとえば私の県の和歌山なんかにおきましても、現在裁判が係争中であって、人事委員会が登録を受け付け、その登録の取り消しはいたしておりません。にもかかわらず教育委員会がその登録を取り消そう、そうして本人に再三再四その取り消しを迫っておる。こういうことは、あなたの解釈に立てば私は誤まりであると思うが、どうなんですか。
○内藤説明員 今具体的に和歌山の事例が出ましたが、和歌山の場合には、御承知の通り違法行為を行なって処分されて、すでに教職員でなくなった者が組合に入っておる。こういう組合は、登録の場合に、職員以外の者を構成員あるいは役員とする場合は、これは職員団体としての保護を受けられない、取り消しをすべきである、こういうことが当然言われるわけであります。従ってこういう瑕疵のある組合に対して今専従休暇を認めるという事態には至らない、こういうふうに私は聞いておるのであります。
○辻原委員 それは二つの点から私はおかしいと思うのです。それは職員でない者がかりに入れば職員団体として認められないのだというあなた方の解釈に立ってみても、今日裁判が係争中であって、その裁判の結審を待たなければこれは判定ができないわけでしょう。教職員であるかどうか——その身分が復帰してくるかもしれない。だから行政上の取扱いをするに当っては、裁判の結審を見てからでなければそれが職員であるかないかということが判定できない。そういうことになれば、人事委員会としてそれは登録を取り消すべきであるか、取り消さないで引き続いて認めてやるべきであるか、このことの判決も出ない。だから今日裁判の結審がまだできていないのでありますから、その以前にそういうことをやるということが行政上の指導としては誤まりである。それが一つなんです。 それからもう一つ、先ほど私が申し上げましたように、法律上その構成員は主たる者が職員でなければならぬということは明らかであるけれども、全部がその構成員でなければそれは職員団体として認められないのだということは、これは法律に書いてないと思う。しかも逆に一番最初に私が反証にあげた附則の十四項、十五項においては、従来主たる者が職員であるものについては、これは経過的に認める。だから立法の趣旨は、主たる者が職員であればいいということの解釈より出ておるのです。そういうことに立って考えてみれば、あなた方の解釈だけでその職員団体を否認しよう、あるいは専従休暇を不許可の形に持っていこうなどということは、これは労働組合に対し、あるいは職員団体に対する行政官庁の非常な干渉だと私は思う。そういうことは今日の国際通念としての労働法の慣行にはないと私は思うのです。ILOの八十七号のあれを見ましても——すでにこれは日本としても批准間近い。ILOの加盟をいたしまして批准をいたすという態度は、過去においてきまっておる。ただ時間的にずるずる政府は引っぱっているにすぎない。この国際条約を見ても、これは単に職員団体だけではありません、公労法その他の関係が万般出てくるが、やはりこれがはっきり批准をされた暁においては、少くともこういうものは変更、改正なれなければならぬ運命にあると思う。そういう考え方を押し詰めていけば、今あなた方がやっている行政指導というものは、これは労働法上の国際通念に大きな誤まりを犯しておる。そういう点を反省してもらいたい。文部大臣は、こういう労働慣行というものについて、一体どうお考えであるか。ILOの八十七号の批准の問題と関連して一体どうお考えになりますか。
○松田国務大臣 ILOの批准の問題については、いろいろの国においても、これを批准するということについては国内事情等によって長く遷延され、ついにこれを批准しないというような例もあるわけでありまして、これはまだその域に達しておらないわけであります。そのほか何でしたか。ちょっと忘れましたが……。
○辻原委員 それでは問題を次に移します。大臣も中途から見えられましたので、私の質問にお答えにくいことがあろうと思いますので、問題を先へ進めます。 これは私は事務当局にお聞きいたしますが、過般日教組の大会が高知において行われておりました。そのさなかに突如、先ほど私が申し上げました職員団体の業務にもっぱら従事する者の休暇の取扱いについて、全国都道府県の教育委員会に通達をした、これはたしか六月の八日でありましたか、この通達を見ますると、これは従来文部省なりあるいは自治庁なりが扱っておった扱いと全く違った一つの形において、この専従休暇というものを取り扱わしめよう、こういう意図で通達を出された。見て驚いたのであります。少くとも従来は、まず戦後文部省も民主化をされ、民主的運営を努めてやろうという段階においては、これは双方のいわゆる慣行として専従休暇の問題は取り扱っておる。政府としてもそういう態度である。いわゆる交渉を受ける側と交渉する組合の側との話し合いによってそのことはきまっておった。ところがだんだん民主化が非民主化になってくる段階に入りますと、何か法律によって、条例によってやらなければならぬということで——地方公務員法ができて以後は、これは条例、ところがその条例は、職務に専念する義務というものを地方公務員には課しておる。職員団体の業務にもっぱら従事するということは、その職務に専念の義務ということに抵触するから、その義務を免除しよう、そういう形で……。だから書けばよろしいのだということで、従来はたしか地方公務員法の第三十五条の職務に専念する義務の免除という形においてこれが認められておった。ところがこの間、日教組の大会のさなかに、みんな向うへ行ってしまっている間に文部省が突如出したものは、これはそうではなしに、二十四条の六項に基いて、勤務条件、いわゆる職員団体の業務に勤務するもの、それは無条件だというようなまことにややこしい解釈をして、それによって各地方の条例を書き改めさせようというような指導をしておる。これは事実でしょうね。内藤さんどうですか。あなたの通達なのです。
○内藤説明員 御承知の通り三十四年六日八日付で、これは「職員の給与、勤務時間その体の勤務条件は、条例で定める。」この二十四条の六項に基く条例で規定すべきのである、こういう解釈を、法制局あるいは自治庁と共同してこういう見解をとったわけでございます。これの理由は、従来有給休暇につきましては、県の条例できめておるわけです。今お尋ねの専従休暇、いわゆる無給の休暇についての扱いをどこできめるかという問題でございますが、御指摘のように、三十五条の職務専念義務の免除ということもあり得ると思うし、また一般の休暇と同様にこれは規定すべきものであるという見解もある。私どもとしては有給休暇をきめると同様に無給休暇をきめるべきものである、こういう見解から二十四条六項に基いて条例で規定すべきもの、こういうように考えたわけであります。有給休暇と無給休暇を差別しないで同一の条例できめる、こういう意味でございます。
○辻原委員 これは自治庁と文部省と、法制局まで共同謀議ででっち上げたものでありますから、そこにまことに無理な解釈をしていると思う。何人も常識的に解釈してごらんなさい。いわゆる公共団体の勤務ということ、職員が持つ勤務ということの相手方はだれであるかというと、地公法にいう場合は地方公共団体、国家公務員の場合はそれは国なんです。ところがもっぱらその職員団体の業務に従事する場合の勤務というのは何かというと、職員団体だ。職員が持っている勤務、あるいは勤務条件というものは、すべて相手方は公共団体でしょう。公共団体に対する勤務の中でいろいろな方法を考え、休暇を与えてやっていこうとする場合は、それは私は勤務条件になると思う。しかしながら職員団体に勤務するそのものをきめようということは、本来の勤務ということについて勤務を免除するということが私は常識的に考えて正しいと思う。だからそういう常識的な考え方から、過去においてはいわゆる三十五条の職務専念の義務の免除という形で認めておった。それを職員団体に勤務するのも地方公共団体に勤務する諸条件の中で考えるべきことなんだという解釈は、私は非常に無理があると思う。何でそんな無理をしなければいけないか。それは私の方から説明すると、この際数を制限し、あるいは年数を制限し、そういう制限をしよう、そのためには勤務条件という項において取扱うのが一番妥当ではないか、やりやすいのではないか、こういう意図のもとにそういった従来の方針をかえた取扱いが生まれたのではないかと推察する。この点は一体どうなんです。有給休暇というのは、これは公共団体に対する勤務の条件の中で、非常に職務に専念をした、勤務に精励をした、それだから有給休暇を労働基準法のあれに基いて、それから教育関係の法律、教育公務員特例法によって与えた、そのことを条例によってきめようじゃないか、こういうふうに持ってきていると思うのです。それと、いわゆる職員団体に専念する無給休暇では本質的において違うのじゃないか。そういうところをごっちゃにしてやろうというところに無理があると思うが、どうですか。
○内藤説明員 私どもは別に矛盾がないと思う。有給休暇を扱う場合は、これは何日間与えるかというような、職務専念の義務が免除されるわけであります。同様に専従休暇の場合には、これはどの程度免除すべきかということは重大な関心が府県民にあると思う。教員のある一定定数の中からどれだけの数か妥当であるかということは、当然県民として定数の範囲できめるべきことです。これは県の条例で有給休暇と同じように無給休暇もきめるのが適当である、かような解釈をしたわけであります。
○辻原委員 問題は今内藤さんの説明されたようなものの考え方からすべてが出てくると思う。そこに労働問題についての認識というものが、あなた方の頭には薄いのじゃないかという点がある。それはこうなんです。専従休暇をどれだけ認めるかということは、これは官庁としても非常に重要な問題なんだ、そういうことじゃないのです。無給休暇はこれは職員団体がもらう。いわゆる基本的な一つのあれとして、団体を結成してその業務に専念するという立場から、基本的な権利として自然に出てきているのです。何もこれは行政官庁から与えられるわけでない。ただしかしながら、財政的な問題あるいは、その他の勤務に影響する点の問題があるから、それらは双方が話し合ってきめようじゃないかという慣行が、世界のどこにも行われているわけですね。それをあなた方は与えるのだ、またそれは予算の範囲内で、可能な範囲で与えるのだ、こういうように言われておる。もちろん現実には予算の範囲内ということを考慮してやるでしょう。しかしながら、考えとしては、これは予算を組むときには当然そういうものはあらかじめ考えて予算を組まなければならぬという、それほど私はこの国民に与えられた権利というものは重大なものであると考えておるわけです。そういう認識があれば、現実には私はそれは頭から権利として何にもかもよこせと主張するのではない。現実には話し合いで解決するのだけれども、そういう認識があなた方の頭にあれば、私は教員組合と文部省との関係というものもかなり改善されるのではないかと思う。そういう考え方ですべて終始されているから、ことごとに私どもと見解が違う。文部大臣、どうでしょうか、私が考えている根底の考え方というものは……。
○松田国務大臣 辻原委員のお話はまことに理路整然としているように伺いましたが、私は事情をつまびらかにいたしませんので、頭に入りかねる。しかし私の常識をもってすれば、有給専従というようなこと、何年というようなあまりに長期にわたる有給休暇というようなことは私はどうかと考える。世間の人もおそらくこれは了解しがたいことだろう、かように私は考えます。あまりこまかい点は私にはよくわかりません。もう少し事情をつまびらかにしてから私の考えを申し上げます。
○辻原委員 本来ならば、先ほどから申し上げておるように、職員組合といえどもこれは憲法上の一つの労働基本権の中から生まれたものなんですから、そういう前提に立てば、たとえば一体休暇をどういう形で認めるというようなことも、もらう方は職員団体の方なんです。認めてもらう方は職員団体の方なんですから、だからそれの意思に反してただ一方的に押しつけるというようなことでは、そういう関係では労使の関係というものは成り立たない。そうではなしに、話し合いでもってきめていくという、そういう一つの方式を、文部省が、行政指導としても都道府県の教育委員会におやりになるならば、私は各地の教育委員会とそれから教組との問題、文部省と日教組との問題などももっとスムーズな形になるだろうということを申し上げておるわけです。先ほどから長時間にわたって文部当局の考え方を承わって参りますると、法律は曲げて解釈はするわ、行政指導に当っては全く官僚独善的な考え方で、いわゆる国際的な高い視野に立った労働観というようなものをにじみ出した中に立っての文部省の指導ということではない。そういう一つの考え方から問題がかもし出されるということを痛感いたします。しかし、これ以上こまかい点に論及いたしましても、私はもはやむだであると思いますから、また時間を別に改めまして、もっと先の具体的な問題についてもお伺いいたすことにいたしまして、きょうは私は問題をこの程度にしておきたいと思います。
○大平委員長 堀昌雄君。
○堀委員 私は本日、学校医の報酬の問題と、最近新聞紙上でいろいろと伝えられておりますところの学童の集団赤痢の問題についてお伺いをいたしたいと思います。大蔵省の関係者に出席を求めておりますけれども、まだ出席がないようでございますから、途中から始めまして、その部分はちょっとあとに送ることにいたします。 まず最初に初中局長の方にちょっと伺いたいのでありますけれども、小中学校の児童生徒の規模別の分布と申しますか、たとえば小学校を例にとってみますと、五百人までくらいが大体全体の何%くらい、千人くらいが何%、千五百人何%、二千人何%、こういうふうな分布を、今すぐはちょっと答えられないと思いますが、一つ私の質問中に答えていただきたいと思います。
○内藤説明員 今のお尋ねの点、ちょっとわかりかねたのですけれども、もう一度……。
○堀委員 児童生徒数の分布です。要するに、四万五千か五万近くの小中学校があると思うのですが、その小中学校のうち、たとえば小学校で言うなれば、五百人までの児童数の学校は小学校全体の何%だ、それから千人までは何%だ、千五百人までは何%だというように、大体五百人刻みぐらいで分布をちょっとお答えを願いたい。それは中学校についても同様であります。 私は過去に、私自身も学校医として子供たちの衛生管理に従事をした立場でありますけれども、この学校医の報酬なるものが、実はもう常識で考えられないほどの貧弱な報酬しか与えられていない。お手元へ私が自分で作りました資料をお配りいたしておりますので、ちょっとこれをごらんをいただきたいのでありますけれども、第一表の方で、国立学校の校医の手当は、ここに書いてございます文部省の資料で見ますと、大体校医一人当りの単価は年額五万円ということになっております。その内容が下に書かれているわけでありますが、大体一日当りの単価は、一番少いのが四百八十円で、最高が八百五十円になっております。これは一時間当りの単価をその月の勤務時間にかけ合せたものでございますけれども、少くとも国立学校においてはこの程度で、年額として五万円が与えられている。その横に、私がおります兵庫県で、医師会を通じまして兵庫県下における学校医の報酬を調べてみましたものがありますが、県全体として見ますと、兵庫県では最低が、小学校、中学校ともに年額で五百円、高等学校で千円、最高が一万五千円から一万二千円ということになっておりますけれども、平均額は、いずれも右の欄にありますように、小学校では五千四百九十七円、中学校五千百八十七円、高等学校が六千五百十二円、こういう実情であります。これは一万五千円等の、一万円以上のものがかなりありますために上っておりますけれども、下の郡部の欄をごらんになるとよくわかりますが、一番下でありますが、小学校が最低五百円で、最高が六千円、平均値は二千六百八十三円、中学校で平均値が二千四百二十二円というのが郡部における学校医の報酬の実情になっております。そこで、これから私が申し上げますいろいろな具体的な事務当局との話を通じて、最終的に大臣のお答えを伺いたいと思いますので、まず事務当局に私は伺って参りたいと思うのでありますが、一体皆さんの方では、新たに昭和三十三年に学校保健法を制憲きれたわけですが、この学校保健法に基いて、学校医は一体何日執務をすれば、この学校保健法の定める仕事を行うことができるのか、およその予測を持っておられるだろうと思いますが、それはまず基準をどこかに置かないとわかりませんので、一校当りの児童数五百人という小学校ないし中学校に置いて、お答えをいただきたいと思います。
○清水説明員 昨年、学校保健法が多年の要望の結果できたわけでございます。何と申しましても学校保健法の中心は、学校保健管理と保健教育でございますが、その中心をなすものは、学校医であるとか学校歯科医師——歯の先生とか薬剤師の先生とか、特に学校医の先生方は、法律に基きまして定期の健康診断をしなければいけない。それどころか、臨時の健康診断もいたすわけでございます。あるいはそのほかに伝染病の予防措置ということも考えて参らなければならぬ。ことに本年はまことに残念でございますが、赤痢などが非常に多く発生している。こういう定期検査、臨時の健康診断のほかに、そういうような伝染病の予防措置もしていかなければならない。あるいはまた学校の保健計画の立案にも参与をいたさなければならぬ。あるいは緊急措置として救急措置というようなこともあるわけでございます。学校保健法ができるまで、今日もそうでございますが、率直に申し上げますと学校医になっておられる方はほんとうに涙ぐましい献身的な努力をして参っていただいておるわけでございます。待遇と身分についてはただいま御指摘の通り非常に悪い。学校保健法が制定せられる前は、御承知のごとく全国三千円程度、学校保健法が制定せられました際に、地方交付税交付金の積算の標準基礎になっております十八学級九百人として、一人七千円というふうになっておるわけであります。七千円が果して妥当かどうかということになりますと、率直に申しますと、これは全くの社会奉仕というような気がいたすわけでございます。それで大体私どもが年間ただいま申しましたような学校医として学校保健のために御活躍願う時間などを検討いたしてみますと、定期検査、これは九百人として、少し詳しく申し上げて恐縮でございますが、定期検査でございますから一人当り四・五分くらいはかかるであろう、それが九百人、そうすると六十七・五時間ということになるわけであります。それから臨時健康診断、これは臨時的なものでございますからそんなにかからない、一人一分として九百人で十五時間はかかる。そのほか健康相談というような問題もあるわけでございます。健康相談は、これはその都度やるわけでございますが、夏休みなど除きまして、年十一回、そうすると、少くとも一つの学校で九百人おれば二時間くらいはかかるであろう、そうするとこれが二十二時間ということになるだろう。それから伝染病の予防措置というようなことは二、三時間、年二回くらいはしなければならぬ。その他学校保健計画の立案に参与する時間とか救急措置など考えますと、総計年間百十九時間くらいになる。私どもがそういうふうに立てましたのも、これは全くの実働でございまして、食事とか用便に行くとかいうことを除いた実働がそういうものでございます。これは時間的にはそうなりますが、実働として六時間とすると年間十九・九日、約二十日間、そういたしますと、一日かりに千円としても二万円は最低ほしい、率直に申しまして、こういうふうに考えておるわけでございます。現行は三千円が七千円になったわけでありまして、何とか今後その方面に努力をしていかなければならぬと思っているような次第でございます。
○堀委員 大へん詳しいことをお答えいただいたのでありますけれども、そこまでお答えをいただいたのでちょっと私の方から伺いたいわけでありますが、定時の検査という中には二通りありまして、就学時の身体検査とそうでない定時のものとがあるわけであります。就学時の身体検査はあとでこの問題にも触れたいと思うのでございますが、最近非常に厳密なものを要求する、あるいはオーディオメーダーを使って聴力の検査をするというようなことまで入っておるわけであります。少くとも内科医だけでもって行うということは非常に困難な問題です。あるいはトラホームの検診といいましても、眼科医でもなかなか問題になる検診でありますから、これは一般の内科や外科の医者が目を見てもわからない、こういう問題があるわけです。一人で四・五分でありますか、これを分割をしても一人が一分ずつで四分で見るというほどに簡単なものでは実はないわけなのです。最近新聞で伝えられておるところによりますと、知能テストなんか皆さんの方でやった、それで精薄児童というものが相当いるのだというような発表をしたら、厚生省の児童局の方から、あれはとんでもない間違いだったということが朝日新聞に出た。私はその問題は別に追及する気はないのですが、それはあり得ることだ。要するに身体検査の基準が一分とか三分とかいう式で、いうなれば大量生産で片一方やっているのですから、その信憑度なんというものは実にいいかげんなものになるだろうと思うのです。やはりやる以上、ことに学校保健法でいろいろな規格をきめた以上は、その保健法の精神を生かして科学的にやれる、ようにしなくてはならぬ。そうすると今おっしゃった百十九時間ではとても九百人はやれないというのが実情なのです。さっき基準に一日六時間とおっしゃったのですが、六時間としますと、大体午後一時から始めますと七時になる、そんな時間まで身体検査をやっている医者なんてないですし、現在の開業医の実態は、大体五時半くらいになると夜の診療を始めているという実情です。ですから五時にはどうしても帰らなければならない、一時から五時まで四時間しかないのです。二時間違うのですね。日数計算だけ見ましてもだいぶふえるわけです。そういう点で今の学校保健法という非常にいい法律が片方でできて、これをやれやれといいながら、実情ではできないような問題があるわけです。そこでそれはそういう状態であるということを一応御認識をいただいてもう一つ、今地方交付金の問題が出まして、一人七千円ということですが、この間初中局の財政課長に伺ったときは、歯科医の方が七千円、学校医八千円ということで、七千五百円になっておるようにちょっと伺ったのです。これは自治庁の方でおわかりになると思うのですけれども、そこのところの金額ははっきりお答えを願いたいのですが、そういうものが出ておるのにかかわらず、地方自治体では出していないという場合には、これは自治庁としてはどういう見解を持たれるのか、ちょっとお答えを願いたいのです。
○細郷説明員 最初のお尋ねの単価の点でございます。これは小学校九百人の生徒につきまして校医二人、一人七千円、合せて一万四千円、こういう単位費用を組んでおります。それからあとの方の市町村がその通りやっていない場合はどうかというお尋ねでございますが、御承知のように市町村の公務員あるいは非常勤の職員に対します報酬なり給与は、条例をもって定めるということに建前がなっております。従いましておくまでもそれぞれの団体の定める条例に従って処置されていく。交付税の方は御承知でございましょうが、今申し上げた小学校の例で申しますと、九百人の生徒について市町村分で学校の建築費がどのくらいかかる、あるいは小使さんがどうなるとか、あるいは給食分がどうであるとか、校医がどうであるとか、そういった標準的な経費を一応算定いたしましてそれをそれぞれの市町村の生徒数なり学校数なりというものによって積み上げた計算をいたすのが、それぞれの町村のものになるわけであります。従いまして交付税法の単位費用通りに各市町村がしなければならないという拘束はないわけであります。ただ市町村としましても、あるいは国といたしましても、いろいろな行政の水準というものを、あるいは法律の面においてあるいは通達の面において市町村に示すわけでございます。それを受けまして財政的な面については、こういった交付税の単位費用の計算等を通じまして、一つの標準を示していきたいという考え方でやっておるのでありまして必ずしも現在の建前から申しますとこれに合わないからといってすぐ措置をするというようなことにはならないようになっております。
○堀委員 お話はわかるのでありますが、地方交付税を自治庁が予算要求をされるについては、やはり学校医に対して七千円ずつを与えるのだという基礎に基いて予算要求をされることになるのであって、それは積算の基礎だけであって、あとはもうどこへ使ってもいいのだというような性格のものじゃないのじゃないか。要するに地方自治体まかせになってしまって、あとはそれを学校の建物に使おうと教師が何かほかの方に使おうと、どこに使おうといいのだというようなラフなもので予算要求がされるということになると、その予算に対して承認を与えておるわれわれとしては、はなはだ解せない。やはり一応の基礎に立ったものがそのように行われるような最終的な行政上の効果というものも、予算をお立てになる側においてあるべきでないか。それがないのにかかわらず、またあくる年に七千円を要求されるということは、私はまことに行政官庁としては非常にラフなものの考え方ではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○細郷説明員 地方交付税を予算要求いたしますときには、おっしやるような考え方でやるわけでありますけれども、標準的な団体の単位費用は、交付税法によって国会でお認め願っておるものを使うわけであります。それに実際に要します数字その他を考えまして、交付税の額の要求をいたすわけであります。ただ交付税の総額自体は、これもまた地方交付税法に定められております国税三税の一定率、ことしで申しますれば二八・五%という総ワクがきまっておるわけであります。そういった積算の基礎に立って交付税の額がきまって参りますが、それを各団体が受けましたときに、その使途については国は一切制限をつけてはならないということも交付税法の中で定められておるのでありまして、この経費を出すに当りましては、道路についても橋梁についてもあるいは学校についても、それぞれの経費ごとに積算をいたしまして、各団体ごとの交付税額を出すわけであります。収入が上回っておる団体でありますれば交付税はいかないわけであります。しかしそういう団体につきましても一応積算の基礎は持っておるわけであります。おっしゃるように交付税がいっているからその通り使わなければいけないということになりますと、交付税のいかないような団体については、どうにも措置のしょうがないという格好になっておるわけであります。私どもとしてはあくまでもそういった標準を示すことによって地方団体が自発的にそえいうのに使われることを希望しておるわけであります。
○堀委員 お話はその程度だと思うのでありますが、せっかく文部省の方からそういう希望が出て、七千円を一つそういう中に組み込んで、交付税として出したいという基礎がそこにできた以上は、やはり何らかの形でそれの実現をするということでなければ困るのじゃないか、それは率直に申してさっき申し上げましたように、現在の医師の状態というものは昔とは著しく変って参りまして健康保険と国民健康というように全部が保険になったために、非常に患者数は多いけれども、その単価当りは非常に低いという状態で、労働過重になっておる。その中で、内科医であれば昼間の貴重な時間を学校医として一年間に何十日も犠牲にして学校に行って、そうして年間に二千幾らもらう。単価当りで言えば、医師の現在の全国的な所得の状態を見ましても、大体一日に今収入の少い方でも二千五百円くらいは実質的にあるわけですから、それのうちの六時間を、私は四時間だと思いますが、四、五時間を費すということは半ばを費すことなんですから、実質的には千二、三百円もらってもなおかつ必ずしもありがたいわけではないのでありますが、それが年間にわずかそれの二日分にしかすぎないものを何十日分に対して支給しておられるのは、これは常識では考えられないことが現在行われておることになる。これは学校保健医の方が非常に自分たちの職責に感じて、これまでそういう奉仕的精神でやってこられたと思うのですが、片方が奉仕的精神でやっておれば、いつまでたっても出さないのだということであれば、私は国の政治としてはまことに困ったことではないかと思う。一ぺんに正当な報酬を出すというところまでは、義務教育が現在無償で行われていない現在、まず児童の教育が無償になるのが原則だと思いますから、まずその方に比重をかけるべきだと思いますが、しかしこれではあまりにも取扱いがひど過ぎるのではないか。 今ちょっとここで文部省の方からいただいた資料によりますと、大体五百人以下の学校数が五八%で、千人以下が二三%ですから、ほぼ今の九百人という基準を出していただいておりますならば、大多数のものはこの範囲に入ると思うのでありますが、そこでこれは今までの話を経過といたしまして、文部大臣にお伺いをいたしたいわけでありますけれども、その第一点は、教育委員会の方向を通じて、一つ七千円のただいまの基準がきめられておるものだけは、地方自治体が必ず支払うように御指導をいただけるかどうか、指導の成果が上るように一つお願いできるかどうかということが第一点であります。これは現状の範囲において行い得ることだと思いますので、その点についてのお答えをいただきたいことと、もう一つは、その七千円をもっていたしましても、大体日数にいたしますと最低二十五日は出なければならない。一日の単価にいたしますと三百円を切れるわけでありますが、国立学校の方はこれに比べますと、大へんたくさんの金額が出ております。一日単価が大体さっき申し上げましたように最低が四百八十円、最高は八百五十円になっておりまして、五百円、六百円、八百円、五百十円、こういうふうなことで行われておる。一方文部省として自分の直轄しておる学校にはそれだけを出して、地方自治体にまかせられておるものは七千円でもいいものかどうかという点をお考えいただくならば、先ほど体育局長が答えておられますように、少くとも年額二万円前後はこれを支給するのが当然ではないかと考えるわけであります。この二点についてお答えを願います。
○松田国務大臣 堀委員の御指摘になりましたいろいろの点、一々私はごもっともと承わります。それで第一点の七千円をどうしても確保するという点、また第二問にいたしましても、できるだけあなたのお考えに沿うようにせっかく努力をいたします。
○堀委員 大へん満足な御答弁をいただきましたので、その線に沿って一つできるだけ御尽力をいただきたいと思います。 そこでもう一つ伺いたいのでありますが、実は私橋本前文部大臣がおいでになりましたときにもこの問題を伺いましたら、文部省としてはやりたいんだが、大蔵省と地方自治庁の方にどうも難点があるので、こういう御答弁が実は橋本文部大臣のときあったのであります。そこできょうは自治庁の方からお見えになっておりますから、二万円くらいに一つしていただくというようなことが文部当局の方で立案できないときは、場合によっては私ども議員の方として出さしていただくような場合も起るかもわからないのでありますが、そういうときには、自治庁としてはそれは反対だというようなことは、私はよもやないと思うのですが、その点も重ねて伺っておきたいと思います。
○細郷説明員 私どもも、現在交付税の算定に用いております単位費用というものは、決して十分なものだとは思っておりません。従いまして、年々いろいろ御迷惑をおかけしながら、交付税の総額をふやしあるいは地方税の額を確保するように努力いたしておるわけであります。今のお話の引き上げるのはどうかという点でございますが、この一点だけの問題でなく、地方財政上ほかの行政経費についても同様の問題があるわけであります。文教関係以外にも、経済関係でもいろいろ単位費用の積算についてもっと引き上げるべきじゃないか、財源をこれに上って確保すべきじゃないかという御意見をたくさん伺っておるわけであります。要は財源が十分あれば、それぞれその緊急の度合いに応じて私どもとしても引き上げるのにやぶさかでないのでありますが、何分にも今お話のございました点についても、先ほど堀委員のおっしゃいましたように、一昨年までは三千円で組んでおりましたのを七千円に上げたわけでございます。その上げたことによりまして、やはり総体といたしますと単位費用計算においてもかれこれ三、四億くらいの財源でよけいに要っておるわけでございます。国の場合の五万円もお話のようにございますけれども、そういった場合に比べて非常に大きな財源がすぐ要るというような状況にございますので、そういった財源総体ともにらみ合って私どもとしてはその際に考えて参りたい、こういうふうに考えております。
○堀委員 もちろん財源の関係でありますから、無から有を生ずるわけには参らないと思いますが、今ほかにも何か非常に緊急なものがあるというようなお答えがあったのですが、しかしこれほどにひどいものはほかにあるのでしょうか。具体的に何かありましたらちょっと承わりたいのです。
○細郷説明員 これはいろいろ申し上げていきますと品目がたくさんございますが、土木費にいたしましてもあるいは農林の経費にいたしましても、それぞれ非常に財源が十分でないという問題がございます。国の定めております公共事業費をことしなど十分消化できないのじゃないかというような問題もあるわけでございます。また同じ教育の関係の中で申し上げましても、給食婦の単位費用がこれも実はことし一名増加いたしたのでありますが、これなどについてもなお十分でないというおしかりも受けておるわけでございます。あれこれ考え合せて措置をしなければならないだろう、こう思っております。
○堀委員 よくわかりましたが、その土木とかなんとかの方はこれは総体的なものであって、多い少いをこういうふうな形で評価できるものじゃないのですが、今お触れになりました給食婦の問題は私ども非常に問題があると思う。本日第二点でお伺いします集団赤痢の問題と関連をいたしておりますので、この点はおっしゃるように重大な問題がある。私の感じといたしましては、少くとも人間を使う場合にはそれに見合うだけの報酬を与えなければ必ず何らかのところに問題が生じてくる。これは私も当然だと思うのです。与えられた仕事に一応ふさわしい、十分でなくとも常識的にふさわしいものを与えるか与えないかによってそのあとに問題が起るということは私は通例のことだと思うのです。今の学校医の報酬についてはもちろん財源のこともありましょうが、原則的に御反対ではないようであるという点は私確認できたと思いますので、あとは大蔵省に実はきょう御出席を願っておりましたが、おいでにならないそうでありますので、また次会に大蔵省に来ていただこうと思いますが、自治庁の方としても一つ考慮をお願いしておくということにいたしまして、次に第二間日の赤痢の問題に入りたいと思います。 最初に、いろいろと新聞に出ておりますからもう御承知かと思いますが、非常にたくさん各地で集団の学校の赤痢が出ておる。これについての簡単な御報告を一ついただきたいと思うのですが、私、手元に持っておりますのは三つばかりあるのでありますが、私が新聞で調べたものよりも、皆さんの方にはもっと正確のものがおありだろうと思いますから、ちょっとそれをお答えいただきたい。
○清水説明員 本年は例年に比べまして赤痢が相当多く発生しておるということはまことに残念でございます。学校関係におきましても、今年の四月以降赤痢の発生いたしました件数は学校で全部で五件ただいまのところございます。 それで、そのうち学校給食関係と思われるのじゃなかろうかというのが二つございます。そのうちの一つは長崎でございますが、上長崎小学校、これは五月の三日でございますが、四百四十三名というものが罹患いたしております。原因は調査いたしたのでありますが、給食のうどんにあったのではなかろうかというようにいわれております。また給食従事員の検便をいたしましたところが、調理従事員に保菌者が発見されたというような問題があります。これは給食にやっぱり関係があったのではなかろうかと思うのであります。もう一つは、やはり給食に関係があるのではなかろうかと思いますけれども、五月二十二日に津の四日市の富田小学校で六百三十八人が赤痢にかかっております。原因とか伝染経路というようなものを県衛生部とか保健所、日赤、教育委員会など一体となってそれを究明中でありますけれども、給食らしいというだけで、ただいま申し上げましたような調理従事員でありますとかの検便その他を見てもわかりません。以上が二件でございます。 その次に原因は非常に不明だけれども、ひょっとすると給食に関係があるのではないだろうかというのが三件ございます。それは六月二十日に発生いたしました東京都の第五吾嬬小学校、これは八名、これの伝染経路というものは今のところ不明でございます。それからもう一つ、六月二十一日に茨城県の中根小学校、これは六十八人赤痢にかかっております。これも調理従事員など検便いたしましても、先ほどの吾嬬小学校と同じように陰性であり、どうもよくわからぬ、あるいは副食物かもしれぬということで、その後検査いたしましたところが、そういう形跡もございません。それからもう一つ、六月二十二日でございますが、やはり三重の楠小学校、これは三百人が罹患いたしております。これなども経路が今のところ不明でございます。 非常に本年は赤痢の患者が発生いたしますので、文部省といたしましては、赤痢というのはこのごろでは非文明的な病気であり、何とかしょうと思い、この方面の取扱いについては注意的な通達を出しておるのでございますが、特に本年は五月十八日と二十一日に、学校における伝染病食中毒の予防ということと、それから学校給食の衛生管理ということについて、それぞれ専門家の意見を聞きまして、各事項につきまして非常にこまかく通達いたしまして、赤痢の発生予防について通達いたしたのでございますけれども、本年そういうふうな事件が次々と発生してまことに残念に思っておる次第でございます。
○堀委員 ただいまのお話で大体わかりました。まだ七月七日には東京都の千住第五小学校で二十四人ほど発生しておる。陸続として発生いたしておるわけでありますけれども、私はもし学校における給食を通じての赤痢ということなら重大な問題だと考えるわけであります。というのは、私どもがどっかに行って外でものを食べた、そうして赤痢になったという場合は、これは個人的な、任意な行為ですから、避けようと思えば避けられる。ところが学校給食というものはみなそこに行って、言うなれば強制的に食わされておる。強制的に赤痢菌を口の中に押し込まれておる。健康な者が赤痢に強制的にかからされるという実態なんです。そうなると、私はやはり学校の給食というものは相当重大に考えなければならなぬと思う。本日は厚生省から防疫課長もおいでになっておるのですが、厚生省としてはこの学校給食の防疫問題ということについては、大体どの程度の指導といいますか——実は私どもが見ておりますと、いろいろな検便だとか食品検査というようなものは、学校の方から申し出るとやるけれども、保健所の方から自動的に抜き打ち的にちょいちょいやるというようなことは必ずしもないようにも見受けておるのですが、そこらは一体どういう指導をしておられるのか、ちょっと承わっておきたいと思います。
○高部説明員 ただいま堀先生の御指摘のような事件も間々起っているようではございます。私どもの方の基本的な学校衛生と特に赤痢あるいは食中毒問題を中心にいたしましての連絡の問題は、保健所の段階で、保健所の管内で必要ある場合には学校長と連絡をとってやってほしい。あくまでも先生の御指摘のような給食を中心にいたしまして考えてみます場合には、伝染病予防法に基く各種の保健所長の権限と申しますのが、主として発生時的な問題に限定されて参りますので、純然たる予防行為といたしましては平常時各種の努力をしていかなければならぬ。それは学校保健法によりまして、学校保健計画なり、あるいは健康診断、あるいはその他の操作によりまして一応の押え方はしていくんだということに立っておりますので、その際には保健所長は助言をするという立場をあくまでも守らしておるわけでございます。事故が起れば学校保健法自体ではカバーできないという部分を、保健所長が伝染病予防法の権限に基いて、立場を変えて、保健所長の指揮下に入れて学校長を——指揮下と申しますと語弊がございますが、保健所長と学校長が相当協力をして仕事をしていただくというふうなのを原則に取り扱っております。従いまして保健所の管内におきます市町村教育委員会だとか、あるいは学校長とか、そういう方々のお考えに保健所の行動というものがかなり左右されるであろうことは否定できないだろうと思います。 ただ赤痢、食中毒の問題につきましては、単に学校のみならず世間全般評御承知の通り非常に危険な状態にございますので、先ほど体育局長も御説明いたしましたように、私どもの方も特に学校あるいは集団給食、あるいは多数の集合する旅館であるとか、そういうところには保健所が重点的に赤痢予防のための教育なり助言なり、あるいは場合によっては強制的な権限を都道府県知事が持っておりますので、それを発動して完璧を期してほしいというような指導は現在いたしておるわけでございます。
○堀委員 そうすると病気が起きたら保健所は大いに活動する、起きないときは学校側にまかせられておるというのが、どうも実態のように承わるわけなんでありますが、実はこの点が非常に関係があると思いますのは、文部省で学校衛生の守則というのですか、こういうものをお出しになって、こういうことがなるたけ起きないような努力をしておられるらしいのです。ここべ、一々学校医へ相談するとか、いろいろ出ている。ところが、おそらく報酬を幾らも払ってないものだから、校長さんの方では遠慮して学校医のところに頼みに行きにくいというのが実情じゃないかと思います。ほったらかしておくと、大事な子供が、さっき申し上げたように赤痢菌を無理やり口に押し込まれて病気になるということになってくる。根本的にはそういう報酬の問題が一つあると思います。 もう一つは、この前も触れましたけれども、さっきの給食婦の身分の問題です。これは大臣にちょっと聞いておいていただきたいわけですが、現在この重要な学校の給食をやっております給食関係の従業員は、必ずしも身分がはっきりしていない。あるいは市の雇員になっておる者もあるし、あるいはもう学校の給食会計というようなものの中で身分なしに臨時に雇っておる者もあるし、あるいはPTAのお母さん方が手伝いに行っておるものがあるし、千差万別な状態があるわけです。それはさっきも自治庁から言われておりましたように、身分だけでなくて給与の点で非常に不十分なために、そういうことは結果として起っておるのですが、さっき申し上げたように、赤痢菌を無恥に口から押し込むかもしれないようなおそるべき、重大な仕事をしておる者の身分もきまらず、給与も不十分だということは、これも私は非常に重大な問題だと考えるわけでございます。 そこで最近は大臣が次々とおかわりになって、私どもいろいろ要望いたしますと、一つやりたいというお答えはいつでもいただくのですが、任期中にそれが実現したためしがない。大ていかけ声だけで終るというのが現実の姿なのです。そこで今度は松田文部大臣に、こういう問題について在職中に何らかの目鼻をつけるというくらいのお答えがいただけるかどうか。これは赤痢が非常に発生しておるという事実から見ましても重大な点だと思いますが、いかがでございましょうか。
○松田国務大臣 大臣の任期はお説の通りひんぴんとかわるので、どうも私としてもお引き受けして何年間自分が在任しておるということがはっきりしておる問題ではありませんから、任期中に必ずこれこれのことを仕上げるということは申し上げられませんが、しかし私はそう短かく在任しておるのだという考えでなしに、長くその任に任じておるのだというつもりで、今御指摘のようなことに対して、幾多の不備なる点を一つ改正していきたいものであると考えておる。この問題はひとり学校給食のみならず、学校の生徒の修学旅行や何かのときに弁当で中毒する、あるいはまたさきには乳幼児が粉ミルクでえらい中毒を起したというようなことがひんぴんとたくさんあるのです。これは文明国としてまことに残念なことである。先ほど厚生省の方が指摘されたように、これはやはり法律にも不備があると思う。私も多年子供を扱った経験の持ち主でありますので、これを非常に憂え、厚生省当局にも個人的に何とか一つ純正食料法というものでもこしらえて、学校衛生管理のみならず、飲食店その他に対する十分な管理ができるようにいたしたいものである、こういうふうな考えをもって現に今の大臣にもそれを慫慂しておるような次第でありまして、この点について決して熱意を持たぬわけではありません。
○堀委員 そういうことで一つせっかく御尽力をいただきたいと思うのでありますが、ただ一つ最後にこういう給食をもととして事件が起きたときに、ほんとうにその関係者が反省しておるのかどうか、責任の位置が非常に——私この前学校安全会のときにも伺ったように、はっきりしないんですね。学校給食で事故が起きたときにはほんとうの当面の責任者がだれか、私は厳密にいうならば過失傷害または過失致死に該当する刑事事件だと思うのです、これははっきり言うと。ところが今の法制上の建前からすると、給食婦に責任があるというわけにもいかない、あるいは調理関係の責任の先生、栄養士か何かおられるが、これだけの責任かというとそういうわけでもない。校長にもなければ市長やどこにもない。起きたらわいわい騒ぐけれども、実はだれもその責任は感じていないというのが現状ではないかと思うのです。こういうことではいけないので、やはりだれかがはっきり責任があるときにおいて、それについての監督なりそれに基いた予防措置が行われるけれども、責任がばく然としておれば、だれかが責任を負えばいいということで、その点の関心が非常に薄れてくるのではないかと私は思うのですが、こういう点について一体今後何らかそういう責任の位置を明確にするというお考えがあるのかどうか、この点を一つ承わっておきたい。そういう問題が起きたときには、やはり責任者は何らかの——処分をするのが目的ではありませんけれども、少くとも何らかの注意を喚起するという意味でも、何かそれに伴うものがあっていいのじゃないかというふうに思うのですが、その点を一つ伺いたい。
○清水説明員 ただいま伝染病あるいは中毒が出たときに責任をとるのがどこなのかというお話があったのでありますが、私はこう思っておるわけです。学校給食は終戦後ああいう事情が発生してただいま九百六十万ぐらいの子供が学校給食を受けておるわけです。今後ますます学校給食を普及、充実していかなければならないのでありますけれども、もうここまで参りますと、普及、充実をはかると同時に学校給食の内容と環境衛生あるいは栄養という方面にも相当力を加えていかなければならぬと思っているわけでございます。それで今日まで原因不明もございますけれども、中にははっきりと学校給食から出た赤痢もございます。そのうちのいろいろな原因と申しますか、最も大きいのは給食従事員の保菌者から出る場合でございます。これは先ほど堀委員御指摘になりました通り、身分の不安定あるいは待遇があまりよくないというようなこともあり、学校との関係もございます。それでそういう方面は今後努力して参るわけでございますが、実際県当局の学校給食を管理執行しております教育委員会の立場になりますと、ぜひこの際学校給食を普及充実していかなければならぬが、それと同時に一番心配しておりますのはやはり伝染病、疫痢、赤痢と中毒でございます。これは各主管課長が口をそろえて、極端な言い方をすれば、われわれはうんと学校給食の普及をしなければならぬが、それ以上心配しているのは赤痢そしてまた中毒である。これはおそらく当事者としてはもっともな意見であります。この点をぜひ充実するためには環境衛生あるいは栄養士の採用であるとか、あるいはそういう方面を充実して参ることからぜひ協力してもらいたい。またわれわれもそういう点につきましては、学校給食から赤痢やそういう中毒が発生しないように、あらゆる機会をつかまえて指導していくわけでございますけれども、ちょくちょくこういう例が出ることはまことに遺憾でございます。責任の問題でございますけれども、これはありのままを申し上げますと、先ほど御指摘のように損害賠償のことになりますといろいろ問題がある。場合によりますと校長あるいは職員の懲戒の問題が出て参り、あるいはPTAの問題にもなります。ただ一応御存じの通り学校営造物として給食施設設備、あるいは便所でありますとか井戸等が原因になって赤痢が発生したような場合、これは国家賠償法でもって原則として地方公共団体、国というものになっておるわけでございます。その他給食従事員の検便の問題がありますけれども、使用者としての設置者がその選任でありますとか事業の監督に相当の注意力払わなかった、それによって発生したというような場合も、設置者市町村ということになっておりますけれども、しかしその辺がやはりどうも疫痢らしいけれどもどういう系列でどうなったということになりますと非常にその点は不明になっております。この点は損害賠償という特殊の法律問題でありますけれども、責任の所在もそのつど検討して参らなければならぬと思っておるわけでございますが、要はこういうことを未然に防ぐということを今後われわれといたしましては——幸い体育局は学校保健と学校給食を同じ局でやっておりますので、有機的に一体化して、そういうことの少しでも少くなるように絶滅を期して参りたいと思います。
○堀委員 さっきの長崎の問題は明らかに給食婦に保菌者があった、こういうことのようですが、そこで私はさっきの防疫課長の、発生しなければ、言うなれば校長の指示下だということのようですが、私はやはり赤痢のそういう予想せられる時期には何らかやはり保健所側のイニシアチブによって、そういう検便等については多少強制というと語弊がありますけれども、行うというような方針を厚生省側として立てられないのかどうか。やはり保菌者が給食従事者にあれば完全に起るわけでありまして、それがなくても起り得る条件があると思いますけれども、一番の危険はそこにあると思いますから、そういう点は厚生省として何らかそういう指導は現状ではできないものですか。私どもはやはり起きたからそれを罰したって何もならないのでして、起らないという措置をいかにしてとるかということにこの問題の本質があると思いますが、その点は一つどうでしょう。
○高部説明員 堀先生の御指摘の通りのことだとは存じますが、ただいま建前の上から申し上げただけでございまして、現場におきます実態から見ますと、あるいはその教育委員会、あるいは学校長あたりがかなり御迷惑がかかるような強力な助言と申しますか、御相談と申しますか、そういうことをやっている部面もございます。特に最近赤痢が——ここ数年でございますが、きわだって全面的にふえてきている。先ほども体育局長のお話のように、学校を中心に考えて参りますと、私どもの報告では一般に集団発生の中で、学校の件数が逐次上っている。上り方の中で特に給食系統の原因による赤痢が激しいという建前から、実はもう数年前から積極的な協力体制に入れという指示をしてございまして、ことしもあらためてまたそういうことを申し述べ、各都道府県を指導している状況でございますので、できないとかなんとかいうことではなしに、現実にそういうことに向って努力しているわけでございます。ただあくまでも建前はくずしたくないということで努力はして、現地における各種の実態上のトラブルは避けたいというふうに考えているわけであります。
○大平委員長 山崎始男君。
○山崎(始)委員 簡単に一、二御質問いたしますが、たしか昭和三十一年だと記憶しますが、岡山県の高梁というところに野生のサルの集団がおりまして、当時文教の休会中の調査団まで来ていただきまして、天然記念物の指定をちょうだいしたわけでありますが、それがちょうど昨年の暮れごろから、タロー、ジロー、サブローという三つのボスがおりまして、その百数十匹の集団の中からサブローというボスが五十六匹ばかり子分を連れまして、約三キロほど奥の裏山へ逃げてきた。天然記念物にするために数カ年かかって高梁市が市の予算を組んで、えさをばらまいたりして、ようやく手なずけて二年ばかりたってそういうふうな状態が最近起きた。ところがその五十六匹のサルを、昨年の暮れから最近に至るまで高梁市としましては訓練士を督励をいたしまして、もとの場所へ誘導いたしたのでありますが、どうしても言うことを聞かない。相変らず三キロほど奥の山裏で付近の農作物を荒し、非常に困った末に、いよいよ最近において市が捕獲をするという決議をいたしまして、 〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕 それで文化財の方へたしか岡山県の教育委員会を通じて申請をしたはずであります。それがつい四日ほど前の新聞を見ますと、文部省の方ではそれに対する——捕獲をすることに対して許可をしない、こういうことがきまったというふうに出ている。それで高梁市は非常に困りまして、私のところへ実は電話をしてきまして、一体そういうことはほんとうかうそか、もししないというならどういう理由で許可しないのか、こういうことなんであります。文化財保護委員会の方では、果して捕獲することに対して同意されないのですか、どうですか、その点一つ御答弁願いたい。
○岡田説明員 この問題はごく最近六月二十五日付の書類をもちまして、文化財保護委員会の方にお話の捕獲の許可申請書というものが出ております。実は最近のことでありますので、ただいまこの問題については詳細に検討して参りたい。また高梁市の方におきましても、もう少し詳しく研究してもらいたいというお話をいたしておりまして、許可をするかしないかということは、実はまだ本日はきめておりません。この種の問題はほかにもないわけではないのでございまして地元の方で野生のサルを天然記念物にして参りたいという非常に熱心な話がございまして、その結果、参りまして天然記念物に指定されて、非常に地元でこれを愛護されておる。しかるにだんだんふえて参りまして、とかくボスの統制を離れ、別のボスができましてそのボスが子分を引き連れましてもとのところに帰ってこない。あるいは別のボスができない場合、現在のボスの統制がし切れなくなって、ボスの統制下から離れまして、個々に人家へ行っていたずらをするというような場合もございますが、その場合に非常に付近の人家を荒らすということで何とかしてもらいたいという話が、実は大分県の高崎山のサルにもございました。その場合には、初めはとって殺したいということでありましたので、それはまかりならぬ、せっかく天然記念物として保護いたしておるものを、ふえたからといって殺すということでは、これは文化財の保護になりませんし、また動物愛護の点からいたしましてもよろしくないということで、それをまとめてどこかに分家さしたらどうかということで、分家先につきまして、いろいろ研究いたしたわけであります。大分市の場合には、分家先がはっきりきまりませんで、まだ未解決でありますが、そのような例もございます。 それから大阪の箕面の公園のサルでございますが、これは五、六匹非常に悪いやつがございましてどうにも手に負えぬ。それで捕獲いたしまして別のところに一種の監禁をいたしておるようなわけであります。岡山の場合におきましては、実は最近話があったばかりでございまして、詳しく事情はわかりませんので、どの程度に団体生活を離れておるか、どの程度の生活をやっておるかということを、動物学的にももう少し調べまして、また同時に付近の人家にどの程度の被害を与えているか、被害のあった場合には、地元の管理団体で補償等も熱心にやっておることも聞いておりますので、そういうことではこの問題は処理できないだろうか。また五十七頭を捕獲したいということでございますが、これを捕獲いたしましてそれをどう処分するか、市の方の話を聞きますと、あるいは五匹、あるいは三匹、あるいは一匹、二匹というように各地の動物園あるいは観光協会の方に頒布するように書いてありますが、さようにばらばらに配るのでは、これはちょっと困りますので、できるだけまとめてやはり分家するというようなことであれば、あるいはよろしいかもしれない、さようないろいろな点をさらに研究いたしたいという状況でございます。
○山崎(始)委員 最近県の教育委員会の方から文化財委に参りましたところが、文化財の方の係の御意見では、今あなたがおっしゃったように、二匹、三匹というふうに、少数に分けてそれを捕獲して、それを方々に持っていって——もう昨年の暮れからの問題ですから、高梁市の方ではすでに方々から二匹くれ、三匹くれということで、ずいぶん内契約をやっておるらしいのでありますが、今のあなたのお話を聞きますと、集団でもってそれを捕獲するならば許可をする。二匹や三匹分断した場合は許可しないのだということが一点、その理由としては要するにそういうサブローというボスが分派行動を起して五十六匹を連れて、現在三キロばかり奥の裏山に入っておること自体が学術の研究になるのだ、こういう理由が第一点。もしそれを捕獲するならば、五十七匹を全部捕獲して保管をするならば許可をするのだということが第二点。この二つの理由で許可をしない方針だというふうに私は聞いておる。今あなたの御答弁の中にも、基本的にはそれを許可するかしないかまだきまっていないが、かなりデリケートな御答弁があったように思うのです。ちょっとお聞きしますが、天然記念物を指定されるときには、その地域——現在高梁市の町はずれのすぐそばの山にそれが百数十匹おるわけであります。それから奥に入って五十六匹が分派行動を起しておるという現状なんですが、天然記念物を指定するときには、その地域というものが何キロ以内というような指定があるのですか、ないのですか。その点をちょっと伺いたい。
○岡田説明員 天然記念物を指定いたします場合に二つの方法がございまして一つはどこそこのサル、あるいはどこそこのツルというようにいたしますと、もちろんそれは地域的に指定されますと同時に、その動物そのものが指定される。従ってその場合には動物そのものがほかに移りましても、それはどこへ行っても天然記念物である。もう一つの場合はどこそこのサル、たとえば臥牛山のサル生息地というふうに指定いたしまして、原則としてそのサルのおります地域を指定する。二つの方法がございます。岡山の場合には臥牛山のサル生息地として指定されまして、その指定地の区域は明記してございます。
○山崎(始)委員 ちょっとよくわからないのですが、現在は三キロほど離れた裏山に入っておるが、それが二十キロ離れ、三十キロ離れても、最初臥牛山のサルとして天然記念物に指定したものは、岡山県から九州の果てに行っても、その五十六匹のサルというものは、今の天然記念物の指定の対象に該当するのですか。
○岡田説明員 岡山県の場合には区域を定めまして、生息地として一定の地域を指定しておりますので、厳密に言いますとそこを離れて三キロも四キロもほかに行ったという場合には、これは法的にはそこまで厳重にはいささか押えられないということになります。けれども、もしその法律解釈を厳密に解釈しますならば、動物でありますからどこに行くかわからない。その近辺に何キロでもサルは行くわけであります。その場合にもう区域を離れましたからサルを殺してもよいということになると、これはまた天然記念物指定の趣旨にもとりますので、その辺のところは実際問題といたしまして、指定されました動物は、常識的に考えまして、あまり遠方に行かない場合には、多少離れてもそれは当然動物そのものも指定されたもの、こういうことでやっておりますが、これは実は問題がありまして、狩猟法等の問題もございますので、その辺は農林省とも連絡をとりまして適当な措置をとっておる、こういう状況であります。
○山崎(始)委員 もうあと一、二点簡単に御質問いたしますが、その五十六匹を全部捕獲するならば許可するということですが、捕獲した場合はもうそれは野生のサルでないのですね。おりに入っておるサルになってしまう。現在あとの百数十匹は野生のまま自然の山の中におるわけですね。そういう状態なんですが、その五十六匹を集団で捕獲した場合には許可をするが、二頭、三頭といって分割する場合には許可をしないというのはどういう理由なんです。
○岡田説明員 実はそこまでいっておるわけではございませんので、要するに、天然記念物を捕獲するというような場合には、これは天然記念物の現状変更の許可が要るわけでございまして、いかなる意味におきましても、これを捕獲する場合には、許可が要る。しからばそのとったものをどうするかということになりますが、その場合に、私の方といたしましては、これはそう一匹、二匹というふうにばらばらに配るということでなくて、できればこれはやはり、必ずしも一カ所でなくてもいいかと思いますが、何カ所かにまとめて分割する、こういうふうな方法でいきますならば、これは元来の指定の趣旨にも合いますし、また取締り、保護の趣旨にも合いますから、できればそうしたい。しかし、必ずしも三匹でなければならぬ、四匹でなければならぬというふうにしておるわけではございません。さらにその点は地元と打ち合せまして、きめたい、かように考えております。 〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
○山崎(始)委員 最後に締めくくりとして申し上げておきますが、相手は何ぼ知恵があるといっても、動物なんですね。それに、今言うように、最初天然記念物に指定されたところから三キロほどの山奥にいって、市は今までにサルの訓練者を使って、あらゆる手段でもって引っぱってこようとして、過去数カ月やった。やった結果が、来ない。そうして現在の分派行動を起しておる。裏山の付近には、戦後からの開拓団が——これはりっぱな水田じゃございません。麦のできるような場所でもなければ、稲のできるような場所でもない。山なんですけれども、開拓団が入っている。ちょうどサルには絶好のジャガイモとかイモみたいなものしかできないのです。それを食い散らしておるのです。あなたの方の立場としては、学術の研究であるとか何とか言われますが、現状というものはそういう状態なんです。従って、高梁市の行政当局とすれば、非常に困っておる。というて、今も言いますように、狩猟法や何かの関係がありますから、これを殺すというわけにいかない。従って、あなたの方へ捕獲の許可申請を出しておるのです。それだから、文化財の方の法律的な問題は私も詳しく存じませんが、一つ私は大臣にお尋ねをいたしますが、これはもう政治的な解決をする以外にないと私は思う。少々法律的に今の法規の上でひっかかるとかひっかからぬとかいう問題じゃない。現状は、そういうふうに開拓団自身が困っておる。相手は動物なんです。人間なら、警察がいって、たんぼを荒せばそれをひっくくることもできますけれども、相手はサルなんです。だから、文化財関係の法規というものにあまりこだわってもらっては困る。困るのは、人間が困るのです。学術の研究と言われますけれども、分派行動をやっていつまでも帰ってこないものを、こうやって、学術の研究材料だということを理由にして許可をされないということは、私は不都合だと思うのです。これはつい四日ほど前に新聞に出たのです。文化財の方は許可をしないということが出た。今お聞きしますと、最後のそこまではまだきまっておらぬのだという御答弁なんです。これは一つ大臣、この問題は人間が困っておるのですから、あなたは政治的に善処していただきたい。
○岡田説明員 新聞にどう出たか、存じませんが、実は私、この問題はきょう初めて承知いたしまして、許可するとか、許可しないとかは、何も私どもはきめていないのであります。この問題はまだ書類がきたばかりでありまして……(山崎(始)委員「ところが県の教育委員会は公式に聞きに行っているじゃありませんか」と呼ぶ)実は県の意見書がまだきてないのです。県の意見書も出していただきます。それから県の当局とも十分打ち合せまして、ただいまおっしゃいましたような実際の実情も考えまして処置いたしたい。決して私ども法規云々ということばかり申しておるわけではございません。どこまでも天然記念物の保護ということと、それがほかにどういう影響を及ぼすかということを考えまして、適切な措置をとりたい、かように考えております。
○松田国務大臣 開拓団に被害の起らぬように、開拓団を保護し、同時にまた文化財も保護していくような方法を研究いたします。
○大平委員長 本日は、この程度とし、次会は来たる八月十日午前十時より開会いたします。 これにて散会いたします。 午後一時四十七分散会