文教委員会 第1号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/07/02
会議録
○大平委員長 これより会議を開きます。 初めに一言ごあいさつ申し上げます。このたび院議によりまして、不肖私が文教委員長に選任されました。国の根本施策の一つとして重要な意義を持つ文教行政を議する本委員会の委員長として微力な私がよくその大任を果し得るかどうか、はなはだ心もとない次第であります。幸い温厚練達な臼井前委員長のあとを受けましたので、文教に関し高い識見を持っておられまする理事並びに委員各位の御協力をいただきまして、公正、円満なる委員会の運営に努力いたしたいと存じます。各位の格別の御指導と御協力をお願いし、簡単ながらごあいさつといたす次第であります。(拍手) —————————————
○大平委員長 次に、理事辞任についてお諮りいたします。 理事加藤精三君及び西村力弥君より理事を辞任いたしたいとの申し出がございました。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認めます。 なお理事でありました永山忠則君及び鈴木正吾君は去る三十日委員を辞任されましたので、合せて理事が四名欠員となっております。その補欠選任を行わなければなりませんが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、理事に臼井莊一君、簡牛凡夫君、高見三郎君及び辻原弘市君を指名いたします。 —————————————
○大平委員長 それでは国政調査承認要求に関しお諮りいたします。 本日は第三十二回国会の最初の委員会でございますので、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し国政調査承認要求をいたしたいと存じます。 本会期におきましては学校教育、社会教育、教育制度、学術研究及び宗教、文化財保護に関する事項につき、議長に対し国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお調査の方法その他手続等に関しましては委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○大平委員長 速記を始めて。 —————————————
○大平委員長 この際松田文部大臣より発言を求められております。これを許します。松田文部大臣。
○松田国務大臣 一言ごあいさつ申し上げます。 私は今回、まことに浅学非才の身をもちまして文部大臣の重責をになうことに相なりました。文教のことは国家百年の大計であることに深く思いをいたしまして、誠心誠意事に当り、文教の府に課せられた諸問題の解決に向って努力いたしたいと存じます。どうか皆様方格段の御協力、御指導を賜わりますようひたすらお願い申し上げる次第でございます。 文教施策の重点といたしましては、義務教育の刷新及び充実、科学技術教育の充実強化、青少年の育成、スポーツの振興、教育行政秩序の確立などの問題が取り上げられて参り、これまでだんだん歴代の大臣によってこれらの問題に対して成果をあげられて参ったのでありますが、私もその跡を深く考え、主としてこれらの主要問題については前任者の跡を踏襲して、これらの問題の一そうの充実発展を期して参りたい、かように考えております。 さらにまた私といたしましては、これらと並んで精神文化の高揚、また芸術の振興、国際間の文化の交流、促進、教殊教育及び私学の振興等の面についても特に意を注いで参りたい、かように考えておる次第でございます。今日科学技術の振興は強く唱えられ、とかく自然科学に重点が置かれがちでございますが、自然科学の振興はもちろん現下の情勢から見て喫緊の重要事業であると考えます。それとともに人間の精神面の向上を目ざす学術、文化の振興という面も決してなおざりにしてはならぬと私は考えておる次第でございます。またわが国固有のすぐれた芸術、文化等に対する認識を深めまして、その新しい創造発展を期するとともに、国際社会の一員として、彼我国民間の相互の理解を深め、世界の平和と文化創造に貢献するためにも、東南アジアを初め中南米諸国、また広く世界の各国との文化の交流を促進することは、今日きわめて重要なことと思っております。さらに私学の問題につきましても、教育上果す役割はきわめて大きいのでありまして、現下の情勢からこの方面の事業も基本的な方策を確立したいものである。そうして一そうこの方面の振興をはかって参りたい、かように考えております。 これら諸問題のいずれにつきましても国民全体の深い理解と協力が結集されなければ可能であるとは思いません。私はわが国教育の振興のために誠意と熱意をもって最善を尽して努力して参りたい、かように考えておる次第でございますので、どうか皆様方の格別の御支持、御協力をひたすらお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
○大平委員長 次に文部政務次官宮澤喜一君より発言を求められております。宮澤政務次官。
○宮澤政府委員 このたび文部政務次官に任命されました。至らないものでございますので、どうぞよろしくお導きをお願い申し上げます。(拍手) —————————————
○大平委員長 次に文部行政に関し調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。辻原弘一君。
○辻原委員 ただいま松田文部大臣の就任せられました当初の文教行政に対する抱負、決意を承わったのであります。個々の問題につきましては、それぞれまた逐次開かれる委員会でお尋ねを申し上げたいと思いますが、私はこの際に一つ、特に大臣に伺っておきたい問題がございます。それは昨年の勤務評定の問題以来、特に義務教育の面におきましては、担当する側の教職員の方と行政を執行する文部省の方の側とにおきまして、きわめて解けがたい大きなみぞをもって今日地方における教育の現場においてはただならぬ混乱を生じておると私は考えるのであります。その中にはもちろん教職員の側において反省すべき点もあろうと思いますが、しかしながら行政を執行する文部省の側のきわめて権力的なやり方に基く頑迷な教育上の行政執行ということが、最もその底に横たわっておる大きな混乱の原因ではなかろうかと存ずるのであります。そういう立場から、私は歴代の文部大臣にもそういう立場におきまして見解を申し述べ、また大臣のこれらの問題解決に対する決意を促して参ったのでありますが、先般松田大臣就任早々これらの問題につきまして新聞に発表せられておりましたものを拝見いたしますると、こうした問題をも含めて、実際の教育を担当する教職員組合の側とも何らかの話し合いを進めていき、お互い了解すべき点は了解をして教育行政の円満、同時に教育の振興ということに力を注いで参りたい、こういうわれわれといたしましては非常に歓迎すべき御意見を述べられておりましたことに、非常な敬意を払ったのであります。かねがね松田大臣は、文教行政、あるいは文教そのものにつきまして非常な見識と抱負を持っておられることも私は存じております。また多年米国にあられて、いわゆる地についた民主主義ということもよく御存じになっておられる人柄だけに、そのお気持も当然さもあるべきと実は考えたのであります。そうした意味において、その発表されましたことについて、何か具体的なお考えなりさらに御見解をお持ちになっておるのか、この点を一つ承わりたいと思います。
○松田国務大臣 戦後わが国の教育は、民主主義を基調として一大変革を見たのであります。私の見るところをもってすれば、民主主義の本義は、常に相手方の立場からものを考える寛容の気持を持っていかなければならないということと、何人においても権力を行使する立場の者は、特にそうした考えを持って施策を進めていかなければならぬ、かように考えておるのであります。私も、日本教職員組合と文部当局との間において、久しくにらめっこをしておるような形になっておることはまことに遺憾であります。一たび思いを初等、中等学校の生徒の上に及ぼしますならば、まことに痛心のきわみであると考えておるのであります。しかるところ、私はいまだこの辺の実情にうとい。努めて小学校なども参観いたしたい気持を持っておりまするが、いまだしばしばはそうした機会に恵まれておりません。そこで私は、まずもって今日のこの義務教育関係の問題について、十分に実情をみずから直接身につけ、しかる上で最善の方策をいろいろ検討いたしまして進めて参りたい、かような考え方を持っておる次第であります。
○辻原委員 言葉の御表現はいかようにもあれ、非常に積極的に今日の教育の膠着状態、こういうものにみずから挺進をして解決して参りたいというお考えはよくわかりました。そこにいわゆる政党人の大臣に対する大きく期待をする面があるのでありまして、ただ力にまかせて、権限があるのだからやってしまえばいいのだという考え方は、いずれの場合を問わず、相手方に対してただいたずらなる反抗と混乱を巻き起すだけにすぎない。だからあくまでも相手の側に立って、よく物事の本質を見きわめるという形において解決されることが望ましいと思うのです。 そこで、そうした大臣のお考えに対して、ちょうどお見えになりましたのでお聞きしておきたいのでありますが、内藤初中局長の、会合の席での御発言がその後の新聞に述べられております。それに基くと、内藤さんの御見解としては、日本教職員組合なるものは法的にいう組合ではない、職員団体ではない。従ってそれとは話し合いをする必要はない。また都道府県の法的に認められておる職員団体といえども、きわめて限定された、勤務条件、給与、こうしたものにのみ交渉権を持つのだという見解が表明され、それから受ける印象は、依然として強腰一本で、話し合いによって何らか長期にわたるこうした問題についての解決を見出そうという気がまえが一向にうかがえなかったのであります。これをもって評するに、新大臣の抱負と部内の内藤局長を初めとする人々の見解に非常に大きな隔たりがあるのではないか。下手をすると、大臣のこのような抱負があろうとも、それは部内から侵されてしまうのではないか、こういうような批評を加えておる向きもございます。私は、そうであってはならない。政党内閣である以上、大臣の意思、意向というものは、事務当局は忠実にそれを取り出し、具体的に実行してもらわなければ困る。そういう意味で、内藤さんの真意も私はこの際承わっておきたいと思うのです。ただ法律に書かれてあることを、こうこうだからこうやるのだという機械的な御発言ならば、私は承わる必要もないと思うのであります。何らかこれはわれわれの側においても努力しなければならない。同時にまずその衝にある文部省としては、いろいろな困難な面があろうとも、そういうような事態を解決することに最善の努力を払ってもらわなければならないと思います。そこにやはり今日の国民の期待もあると思う。いたずらなる刺激は決して解決のかぎにはなりませんから、内藤さんの御見解もこの際にあわせて承わっておきたいと思います。
○松田国務大臣 初等中等教育局長である内藤氏の御意見また方針というようなことについて、私はまだ聞いておりません。不肖ながら文部大臣として文部省にある以上は、私の考え方にまっこうから反対のような立場になる意見は、私は必ずしもたやすく容認するものではないということを申し上げておきます。これらの点については、なおよく内藤局長とも話し合いをいたしまして、その事実のほどを調べて、あらためてまたお答えいたしたい、かように思います。
○辻原委員 大臣から特にお答えがありましたので、局長の御見解は承わることをこの際は留保いたします。 大臣、時間がないようでございますので、次にもう一つだけ、これは全然別の問題でありますが、この機会にやはり承わっておきたいと思います。それはおとといの新聞でありましたか、今回きまりました東京オリンピックの問題について、各方面で、新しく組織委員会を設けて、そうして早くこれが諸準備に着手してもらいたいという希望がある。われわれ国会の中におきましても同志寄り寄りそういうことについていろいろ検討を加え、またわれわれの意思の表明の仕方も考えておるのでありますが、この間何か新聞の伝うるところによりますと、はなはだ恐縮でありますけれども、組織委員会の構成は急がないという御発言が大臣の口からあられたように発表されておりましたが、大臣の真意はいかなるものか。私どもとしては、やはりこの前のアジア・オリンピック等の経験にもかんがみ、また相当の経費と長期的な計画を持たなければならぬこの東京オリンピックでありますから、少くともそれを主催するJOC、それから文部省、それからそれの主催地であり、当然責任者の立場に立つ東京都との間に早く緊密な連携を持ち、それらに各方面からの所要の人々も加えた、そういう組織運営機関というものの発足を一日も早くこいねがっておるのでありますが、これを文部省の側においてもあまり急ぐ必要もないのじゃないかというようなことが大臣の口から伝えられたということで、多少話題を巻き起しましたので、この際それについて承わっておきたいと思います。
○松田国務大臣 オリンピックに対する組織委員会を急いで早く作れという御意向のようでありますが、各方面にもそういう意向があるようであります。私もできるだけ早く作りたいという考えは持っております。早く急いで作ってよいものができるならば、大いに急ぎます。しかし組織委員会ができましたならば、組織委員会のほとんど全責任においてこれらのものを進めていかなければならぬのでありまして、この点については目下鋭意準備いたしております。各省にも関係がいろいろございますし、選手の受け入れのための宿舎の問題一つにいたしましても、今のところではいろいろ意見が出てまちまちでありますが、その他にいろいろの問題がたくさんあります。これが自然に固まってクリスタライズしてくるのをもうしばらく待ってやっていいのではないか。今のところでは準備の準備というところでありますが、各省との連絡、また関係諸団体との連絡も目下行なっておるのでありまして、その聞しばらく待てば、だんだんといろいろの問題に対する全貌がほぼ明らかになり、おのずから自然きまるところにきまってくる情勢が出て参るであろう。この前のアジア大会のときにおけることをいろいろ聞いてみましても、あまりに拙速主義であってはならぬ、かように考えているだけであって、急がないのだというわけではございません。目下鋭意準備いたしております。
○辻原委員 くどくは申し上げませんが、これは結局その組織委員会の構成機構をどうするかということの問題に一つは尽きてくるのではないか。私ども仄聞するのに、やはりそういう点についての意見がいろいろあり、多少もたもたしているのじゃないか、だからはっきり組織委員会について各方面が了解し、またアジア大会等の経験から、たとえば人数はどのくらいにしたらいいのじゃないか、こういうような結論が出たならば、組織委員会の発足というものはすみやかにやるべきだと思うのです。そういうことから、もたもたしていることが、かえって各省の連絡なり、それから計画についても、せっかくでき上ったものも、いざ組織委員会が生れてその中で諮っていくと異論が出るなんということが起きてくるわけですから、運営機関を作って発足すればそういう問題も解決するのではないか、私はこういうことを考えますので、おおよそのめどを立てられて、やはり早期に出発されるということが必要ではないか、こういうふうに思うのです。だから今大体どの方面が反対で、どの方面が賛成だというようなこともおおよそ見当がつきますけれども、大臣の方でも大体情勢を判断せられておると思いますからくどくは申し上げません。これは直接文部省がやる問題ではありませんけれども、何といっても政府の機関としては文部省が主体でありますから、体協等ともよく懇談を遂げられて、すみやかに発足をせられるように私は希望いたしておきます。
○松田国務大臣 御趣意の点はよく了承いたしました。マンマンデーでいかないように努めて急いで、早く御期待に沿うようにしたい、かように考えております。ただあまりに急いで、事情もよくわからないのに拙速主義で行って、あとで抜き差しならぬようになることをちょっと心配するだけで、もう少し検討したいと考えておるだけでございます。御趣旨はよくわかりました。
○加藤(精)委員 関連。ただいまの辻原委員の質問は質問もあり主張もあり、いろいろでありましたが、質問に関する限りはなはだ前提が間違っておる。歴代文部大臣が権力を乱用して、団体を圧迫したようなことをるる述べておられる。そういうことを思わせるに足るような発言をしておられる。はなはだこれはおもしろくないと思う。そういうことを具体的に言わずして、抽象的に、あたかも大臣のかわった機会に、新しい大臣の認識を誤認せしめるがごときことははなはだ遺憾なことであります。私の考えによれば、従来そうした事例はないのであって、勤評問題の混乱の原因は、これは全く革命的日教組の勤評反対行動にあるのであります。そういう意味におきまして、従来の歴代文部大臣が権力を乱用し、団体を不当に圧迫したというふうに考えておられるかどうか、政府当局にまず御意見を伺います。
○内藤説明員 ただいま加藤委員の御質問でございますが、別に私どもは不当に日教組を弾圧したようなことはございません。
○加藤(精)委員 了解。
○辻原委員 事務当局でけっこうでありますが、今非常に問題となっておる僻地振興の問題について伺いたいと思います。これは文部省にお伺いをいたしまして、同時に大蔵省にも伺いたいと思います。 最初に、今指定基準の問題についてどういう段階にあるかということをまず伺いたい。
○内藤説明員 ただいま大蔵省及び人事院あるいは自治庁等関係の各省と協議中でございます。
○辻原委員 いろいろ私ども聞いておる範囲では、文部省はたびたび大体の案を作って、大蔵省方面に折衝されておるようでありますが、それによると非常に大きな心配は、本年の四月一日から振興法を改正いたしまして、われわれ国会の側としては、これでもって大いに僻地教育の振興がはかれる、いわゆる振興法になっておるのだ、こういうふうに考えておるのであります。ところがいろいろ僻地基準を作られる中からよく聞く声は、下手をすればこれによって振興ではなくて、逆に現在僻地に指定されておるようなところも落ちこぼれが出て、振興がストップしてしまう、こういう非常に強い危惧の念をわれわれ訴えられるわけであります。果して文部省はそういうような点について決して心配は要らない、こういうようにお答えができるかどうか、この点について一つ明らかにしてもらいたい。
○内藤説明員 僻地基準につきましては、振興法で文部省令にゆだねられ、実は私どもも現在の小中学校の僻地の基準を統一することにつきましては、大へん危惧を持ったわけでございます。最後のところに、大体現状をカバーできるような意味の付則が入っておりましたので、まあ何とか四月までに間に合わしたいというので、いろいろ試案を作りましては検討を重ねて参ったわけであります。今日まで学校の特殊事情による基準で一案を作ってみました。これによってみますと、大体今の人事院基準でやりますと、今の学校の半分が落ちてしまうというような傾向でございますので、できるだけ現在の状況をカバーできるような意味において、また御指摘のような僻地教育が振興できる、かような観点からいろいろものさしを変えたわけでございます。今日の段階では、大体国家公務員の僻地基準を中心にいたしまして、学校の特殊事情を加味するような方向で検討を進めておりますが、これは従来、文部省が考えておった線と大体同じでございまして、私どもの考え方では大部分のものが救われるというものでございまして、特にこの基準からはずれるような場合、すなわち既得権が剥奪されないように何らかの対策を考えて参りたいと思っております。
○辻原委員 今の御説明によれば、人事院規則のあの僻地指定基準に基けば、大体現在指定されている地域の約半分である。そしてその後文部省がそれ以外の条件、教育上の諸条件というものを付加して作成をした基準設定の案によれば、おおむね現状を維持できる、こういう御説明であるのであります。ところが一例を私の県にとってみますると、必ずしも今の御意見通りにはなっていないわけであります。たとえばここに資料がございますが、現在私の県では、一級地が約五十七あります。二級地が四ある。それから続いてずっと各段階に級地があるわけでありますが、これが文部省案によって新しく指定が仕直された、こういうことになりますれば、現在ある一級地のほとんどはゼロ地域、すなわち対象にならない地域に落ちてしまう。こういうような結果が生まれまして、これを。パーセンテージにいたしますと、全体の約二一%がはずれてしまう。こういうことになりますると、非常に何といいますか、従来まで僻地振興ということで努力をいたして参りました都道府県のそうした多年にわたる配慮、苦労というものがほとんど水のあわになりまして、逆に文部省案によってふえる地域というものはごく少数である。だから、結局脱落するものが多い。それぞれの当該府県にしてみれば、これは改悪案じゃないか、振興ストップ案に基くいわゆる指定基準じゃないか、こういうような批判が強く生まれるわけであります。そうした点で、私も省令の案を拝見いたしました。詳しいことは私も検討がまだできておりませんけれども、いろいろ文部省の方でたびたび作られておりまする三月五日、五月七日等に作られました案等によっても、やはり結果的にはおおむね充足ということには至らず、かなりはずれるものができてくる、こういう心配があるのでありますが、そういう点をカバーするように、もう少し教育上の特殊事情という形のいわゆる付加条件、付加点数というものを強化していくような方途がないものかどうか、これが一つであります。その点についてもう少し具体的に承わりたいと思います。
○内藤説明員 一般的な人事院規則に今お説の通りの教育上の付加点数は十分に考えたわけであります。ですからこれ以上付加点数が加えられるかどうかという問題が一つあるのであります。これについても付加点数の加算の点をさらに検討いたしますけれども、これは私どもとしては非常に困難ではなかろうかと思います。そこで現実に大へん各府県の御努力によって僻地をふやしてこられた府県が損にならないように、その人たちの努力を無にしないような方向を考えて、これを救って参りますようなことを十分考えて参りたい。
○辻原委員 了解はできませんので、救っていく方法であります。これは振興法の附則第二に基いて、これは一種の救済規定でありますが、私どもは本来からいえば、あるいは給俸の建前からいえば多少むずかしいかもしれませんけれども、これによれば省令でもって救済規定を作れるということになっておる。その趣旨は現給よりも下る場合について個々の給与についてこれを救済の方向に具体案を作れということになっておる。ところが僻地とか特殊勤務という立場に立ちますと、個々というよりも地域なんです。僻地ということになれば、個々の学校です。そういう形に救済規定を持っていかないと、個々は常に移動いたします。在来の級地で既得権を持っている地域は、これはかりにその後において非常に特徴的な大きな変動があれば、たとえば従来全然交通が途絶しておったのに、りっぱな観光道路ができてしまって、従来の交通上からいってみれば全く十分の一にも足らぬというような大きな特殊事情が起きた場合は別でありますが、そうでない場合は、私は級地としての既得権を確保するという形に救済規定を置くべきじゃないか。そういたしますと、この第二の法文の書き方からいいましても、そういう書き方ができなかったものかどうか。これは立法してから後にわれわれは感づいたわけでありますが、そういう点の配慮が必要じゃなかったかと実は今になって考えているのであります。しかし現在の段階においては幸い省令でこれを救済するということになっておりますから、その省令の書き方をどういうふうになされているのか、またなされるのか。それについて折衝のめどはどうか。可能性はどの辺まであるか、これをちょっと承わっておきたい。
○内藤説明員 今御指摘のように、立法上の問題があることは確かでございます。これは実は議員立法でございまして、私ども政府提案ではございませんので、この点はお許しいただきたいと思います。 そこで省令の問題ですけれども、御指摘のように私どもとしてはできるだけ学校なり勤務地を救っていきたい。個人を救うことは当然のことですが、学校をまるごと救わないと僻地教育の振興にはならぬと思います。こういう点で私どもは特例を認めていきたい、こういう考え方からただいま折衝しておりますけれども、この折衝の見通しにつきましては、これは今何とも申しかねますけれども、私どもとしてはあくまでも僻地教育振興の大きな趣旨にかんがみてこの線は確保して参りたいと考えます。
○辻原委員 文部省で作られた案を見てみますると、これはいつのあれであったか記憶がないのですが、三月ごろに作られた案によりますると、基準点数と付加点数の合計点が四十点未満の学校で従来指定されておった。ところが今回のあれによって、指定を受けられないところが他との均衡上ぜひ存置しておく必要があるときには、一級の僻地学校として指定する。これについては都道府県と教育委員会、文部大臣の協議によって定める、こういうことになっておるのです。この案からは現在の段階においては出ていないのですか。
○内藤説明員 大体そういう趣旨の、落ちたところは一級地に持ってきたい。ただ一級地に持っていきますと、現在のところ四%が今度は八%になって、非常によくなるという一つの問題点はある。私どもの気持としては、あくまで一級地に持っていきたい。その場合に、不利にはならないが、あまり有利になり過ぎるということがいわれておりますので、その辺のところが今後調整の問題ではなかろうかと考えております。
○辻原委員 その場合をもう少しこまかく聞いておきたいんですが、大体今付加点数としてあげられている諸条件というものは、どういうものがあるんでしょうか。
○内藤説明員 電気、電話、飲料水、それから不健康地帯……。
○辻原委員 一般的ですね。
○内藤説明員 いや、私ども点数の配点を考えているんです。
○辻原委員 いや付加点数のとり方です、条件です。
○内藤説明員 それでは、ないのを申し上げますと、当該学校から教科用図書、学用品の購入地に至る距離、これは新しいもの、それから当該学校に在学する児童または生徒のうち、生活保護法による、教育扶助にかかる要保護者に相当する者が児童または生徒の総数の百分の三以上を占める場合、それから当該学校に勤務する教員の半数以上の者がその住居を借家または間借りによっている場合であって、当該教員のための住宅施設がない場合、それからもう一つは、当該学校が分校である場合において、帰属する本校との距離、こういうものが独自の付加点数、それ以外に従来のものに対して教育上の配慮から配点を有利にしているというのがたくさんございます。
○辻原委員 先ほど内藤さんがお答えになられた、おおむね充足できるというのはその案ですか。それで大体現在のあれを維持できる、こういうことになりますか。
○内藤説明員 さようでございます。
○辻原委員 大体各府県から出ているデータを見ると、文部省のおそらく最終的な一つの考えにおいてやっている案を見ましても、全国的に八〇%から九〇%くらいになっておりまして、どうしてもあとの二〇%ないし一〇%というものは落ちる、こういう結果になっておるのです。それ以上に教育上の特殊事情を見込む付加点数というものは、文部省の側で案として考えられないかどうか。それともう一つは、今の最終的な案でもって大蔵省の側はどういう見解を示しているのか。実は大蔵省の主計官に聞いてみようと思っているのですが、まだ見えませんので、先に文部省の方から一つ聞いておきたいと思います。
○内藤説明員 この付加点数につきましては、私どもも十分検討いたしましていろんな想定をいたしましたが、私どもの考える範囲では大体この程度ではなかろうかと思っております。ですからこれ以上に付加点を加えることは大へん困難ではなかろうか。ただ、そうなりますと、今御指摘のように、私どもの計算でも大体現状の八五%が救われる、新たに入ってくるものが十数パーセントでございますから、差し引き九七、八%は救われるということなんです。ところが落ちるものが一五%という計算になると、これは非常に困りますので、この点をいかにして救うかという点で私ども苦慮しているわけであります。この点につきましては、先ほど申しましたように零級地を一級地に上げる—一級地に上げられないにしても、それに準ずるような扱いはして参りたいと考えております。
○辻原委員 だんだんこまかくなって恐縮ですが、そういたしますと、これで基準点数なんか出ていますので、この救済規定で残った一五%というのは必ず救済できるかどうか、その点を一つ確かめておきたいと思います。
○内藤説明員 これは何らかの方法で救済するつもりでおります。文部省としても、これは最後まで主張する考えでおります。
○辻原委員 何らかの方法で必ず救済するという明言がありましたので、それ以上私も心配はいたしませんけれども、しかしどうもでき上ったときに何パーセントかが泣きを見なければならぬのじゃないか、こういう懸念がしてなりません。だから考え方として、少くとも落ちた分についてはその既得権を確保できるという形の完全な省令にまとめてもらいたい、こういうふうに希望するわけです。 それともう一つ、一番簡単に言えば、現在の級地をそのままにしておいて、なお問題になっているような地域を上げていくということにすれば一番混乱がないわけですが、それをやるにはむしろ立法の際にそういう手続をしておいた方がよかった、こういうように私どもも反省をしておるのですが、これは法律上の見解を文部省に聞くわけですけれども、省令のかわりに法律に持っていって、そして指定の際に従前より下る学校があれば、それは従前通りの既得権を認めるというふうな、かりにそういったように法律を改めるとするならば、それはそれでもって私どもは十分解決できると思うのですが、そういたしますと、他のいわゆる給与法による既得権の確保、例のベース・アップなんかのときに切りかえる、これは個々の既得権ということにしておりますから、そういう点から他との関連上困るような問題は起きないかどうか、法律にそれを書けばそれはそれで別段行政上も困らぬ、こういうことになりますかどうか、その点の見解を承わっておきたいのです。
○内藤説明員 個人の既得権の場合は、お説の通り何らかの救済規定を設けるのが通例でございます。しかし地域的の場合に、いろいろな地域の条件が変化いたしますので、これは私非常にむずかしいのではなかろうか、たとい法律で規定しても、そこまで規定するのは行き過ぎではないかと考えます。 —————————————
○大平委員長 次に、今国会も明三日をもちまして会期を終ることになっておりますので、閉会中審査申し出の件についてお諮りをいたしたいと思います。 本委員会は、国会法第四十七条第二項の規定により、議院より付託されまた案件につきましては閉会中もなお審査することができることになっております。文教委員会といたしましては、理事会の協議に従い、日本学校安全会法案、国立及び公立の義務教育諸学校の児童及び生徒の災害補償に関する法律案、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、市町村立学校職員給与負担法等の一部を改正する法律案並びに教育、学術、文化及び宗教に関する件、以上の案件につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、よう決しました。 —————————————
○大平委員長 次に、ただいま決定いたしました閉会中審査申し出の案件が院議により付託されましたならば、法律の施行状況及び文教行政等に関し、実情を調査することとし、議長に対し委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、派遣委員の人選、その他手続等は、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○大平委員長 次に、昨一日、本委員会に付託になりました高等学校の授業における生徒の編成及び教職員配置の基準法制化に関する請願外一件を議題とし、審査いたします。 請願の趣旨は、すでに配付されております文書表により御承知のことと思いますので、委員会における紹介議員の説明並びに政府の所見聴取を省略し、先ほどの理事会の協議に従い、直ちに採否について採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認めます。 それではお諮りいたします。ただいま議題となりました高等学校の授業における生徒の編成及び教職員配置の基準法制化に関する請願外一件は、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ただいま議決いたしました両請願の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大平委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 —————————————
○大平委員長 なお本会期中ただいままでに当委員会に参考送付されました陳情書は九件でございます。念のため御報告申し上げます。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○大平委員長 速記を始めて下さい。 それでは先ほどに引き続き質疑を許します。辻原弘市君。
○辻原委員 大蔵省にお伺いしたい問題は、先刻から文部省にいろいろ伺っておったのでありますが、どうしても大蔵省の見解を承わらないと、われわれといたしましてもはっきりいたしませんので、この機会に承わっておきたいと思いますのは、例のへき地教育振興法に基く新しい僻地基準の設定についてであります。これは主計官も御存じのように、地方の教育、また教育のみならずそれぞれ地方産業の振興から見ましても、地域指定という問題は実に重大な問題であります。ところが振興法に基いてその後文部省で作業せられておりますものをわれわれが拝見をいたしますると、大ざっぱに言って、どうも現在の指定基準よりも下回るものが生まれそうだ、こういうような結果がわれわれとしてもうかがえるわけで、そういう意味から大蔵省としてこの基準指定に当ってどういうような見解をお持ちになっておるか、その点について伺いたいと思うのであります。だんだん問題が煮詰まって参りまして、大よそ文部当局の最終的な態度、それから大蔵省のお考えも出ておるのでございますが、果してこの指定基準によって、全体が、現在指定されておるところが落ちこぼれなく新しく指定せられるかどうか、そこらのところがどうもはっきりいたしませんから、逐次伺いたいと思います。 まず大蔵省としては、これは人事院規則に基くいわゆる僻地指定基準とは多少意味合いが異なり、それぞれ各府県においてその事情によって地方個々の指定基準というものを従来から作っておる、そういうことについて現在の、その特殊事情による指定基準というものを尊重されるお考えを持っておられるかどうか、この点をまず承わっておきたい。
○相沢説明員 僻地の指定基準の問題につきましては、文部省から案をいただきましてここ二、三カ月検討しておったのでありますが、法令という形ではなく、一応内規的に持っております人事院の基準を適用いたしますと、これは文部省によるサンプル調査の結果でありますが、現在僻地に指定されているところで零緑地となるもの、つまり除外されるものが五七%にもなるということになるわけでございます。 そこで、国家公務員の場合に用いております基準をそのまま教員の場合に、つまり今度の文部省の省令の場合に適用するとしますと、実行上非常に困難でございますし、また確かに、特に教員につきまして、へき地教育振興法においてその率を引き上げるという特別な措置がとられておりましたこと、それから従来も、予算上の措置としましても、一般の職員よりも高い単価がとられておったこと等々、この教員に関する特殊性というものを尊重しなければなりません。そういう観点から参りますと、この人事院の基準をそのままとることはできない。そこでそういう教員にに関する特殊性を加味した基準を考えるという文部省の基本的な考え方に対しましては、私どもとしましても異論がないわけであります。 ただ、基準を作ります際に、御案内かと思いますが、点数制をとっておりまして、その点数は基本点と加算点とから成り立っておりますが、その基本点から全部動かしてしまうというやり方につきましては、一般の公務員とのバランスの問題がございますので、あまり賛成しかねる。従って基本点はできるだけ人事院の基準に準じたものにしまして、そういう教員なり教諭の特殊性は加算点でこれを考えるということが適当ではないかということで、文部省にもお話しいたしまして今回また新しい案を準備しておるわけでありますが、結局その加算点でできるだけそういう特殊性を考えて現在僻地に指定されているところを、新しい基準によっても僻地となり得るように考える、こういう考え方ははっきり申し上げられると思います。
○辻原委員 人事院の規則そのままでいきますと、大よそ五七%がはずれてしまう。そこで基本点のほかに付加点数でもって大体カバーできるのじゃないか、こういうようなお見込みらしいのでありますが、大体どの程度まで、付加点数を加えていった場合に指定でき得るものか、救済でき得るものか、その点について、もう大体最終段階だろうと思いますから、一つ具体的に明らかにしていただきたいと思います。
○相沢説明員 これは新しい基準につきまして、文部省が十県ほどサンプル調査をいたしました結果でございますので、全府県について実際適用した場合は多少違う数字になるかと存じますが、現在の文部省の基準で参りますと、従来僻地に指定されている学校で、今度僻地から除外されるものが、枚数におきまして約一五%程度であります。なお従来僻地の指定校になっていない学校で、今回の基準によって僻地に入って参りますものが約一〇%程度であります。従いまして校数としては、新しく僻地になる学校を合せまして大体従前の九五%程度ということになるかと思います。これは文部省が現在考えている基準によって計算した場合であります。
○辻原委員 ふえる一〇%については、これはけっこうでありますけれども、問題は減る一五%についての問題であります。それをどういう方法によって救済されようとしているのか、大蔵省の考えを承わりたい。
○相沢説明員 従来僻地の指定基準は各府県ばらばらでございまして、私どもその実態はつまびらかに承知しておりませんが、しばしばお聞きいたしておるところでも、はっきり申しますと、かなり甘辛がある。従いまして国が一つの基準を作って線を引く場合に、当然これから除外されるものも考えられる。よほど基準を甘くすれば別でありますが、そういうものが出てくる。そこでこの措置でありますが、へき地教育振興法の前回の改正の際にも、この点につきましてはその附則の二項に、この基準に基いて都道府県が条例を施行した場合に、条例の施行により、条例の規定による僻地手当の月額が従来の特殊勤務手当の月額よりも低いものを生ずることとなるときは、これらの教職員については、不利益な結果が生じないように必要な経過的措置を条例において定めなければならない、こういう規定がございます。そこで、現に勤務しております教職員については、その者が従前の地域に勤務する限りにおいて、従前の手当の額をもらい得る救済規定があるわけであります。問題は今度の基準によりまして、従来僻地であったものから除外される、その場合に、今後その僻地の学校に勤務することになった教員についてであります。私どもの立場から冷たく申し上げますと、一つの基準、それが合理的なものと考えられる限りにおいては、その基準によって計算して僻地にならなかったところは、それだけの事情があり、つまり僻地と指定するだけの文化的交通的その他の僻地の条件を満たしていないのだというふうに考えれば、これは除外されれば仕方がないということになるわけでありますが、それらの従来僻地として扱われておりました学校で、教員を確保する、その他の観点から参りますと、これを全部一挙に僻地ではないということにして切り捨てることは、やや困難であろうというふうに考えております。そこでその救済の方法としますと、その一五%なり何なりを全部従前通り僻地として、これに一級地の僻地学校としての手当を支給するという考え方は賛成できないのでありますが、特に他の僻地校とのバランス上救済を要するところについては、従前の額を新しく来る教職員についても保障し得るような経過的な措置が考えられないかということで、目下検討いたしております。
○辻原委員 今お話の、従前受けておった給与が、新しく指定された基準によってその額が下回るという場合、これは私は給与法によるベース・アップなどの場合とは非常に考え方が異なると思うのです。むしろその場合よりも、その当該地域あるいは当該学校の既得権がなくなるということの方が、教育上重大な問題だと思う。それは本来、地方が独自にそういう指定基準を作ってやったという趣旨は、これは人事の配置の円満なやり方あるいは僻地の振興をさせるためにはどうしてもそういう方策をとらざるを得ないという、ほんとうにそういう状況からこれは生まれたものなのであって、従ってただ従来受けておった給与を下回らないということだけでは、これは僻地教育の振興ということにはならないわけで、むしろ地域の重点はその当該学校の既得権、当該地域の既得権を尊重していくということが私はより重大な問題だと思うので、従ってその部分に対する救済規定は、これはどうしても作ってもらわなければならないと思うのです。だから、大蔵省でも鋭意検討中だとおっしゃいますけれども、どうも私どもの印象では、相沢さんはそうした地方の教育には理解があるようでありますが、どこか大蔵省の部内では必ずしもそうでない意見も聞くわけで、そこに不安があるわけです。どんな基準を作ってみましても、全国それぞれ千差万別のそうした指定基準にはまるりっぱなものは、これはなかなかむずかしかろうと思うのです。だからそうしたむずかしい指定基準をカバーするには、何らかの救済規定というものがどうしてもここに作られなければならない。しかもまた法律にもそういう趣旨でもって附則第二項が置いてあるわけです。だからこの点についてはもう少し私は明確な態度を示していただきたいと思うのです。そうでなければせっかく作った法律が、先ほども私は申し上げたのですが、これは振興法を改正してよりよくするのだと言いつつも、結果的には指定基準の問題で、大よそ僻地振興の大半は僻地に指定されるかされないかにかかっているのです。だからその一番肝心かなめのところで指定されないとなったら、これはとんでもない逆効果です。これは振興ストップ法とでも名をつけなければ地方の人は納得してくれない。だからどうしても私は、大蔵省が一つ英断をもってこの救済規定というものを早く明らかにしてもらいたいと思うのですが、どうですか。その点について、文部省は何といったって主管省で、従来からよく地方の実情を認めておりますから、これについておそらく文部省が途中でへなへなになって、やれ八五%だ、九〇%だ、九五%だ、または一〇%ふえるのだから差引計算して五%ぐらいにしかならぬじゃないかというような体裁はつくろわれぬだろうと思うのです。その点は、どっちかといえば、私の不安は大蔵省の態度にあるわけです。相沢主計官としては、一つ何とか救済しようというはっきりした腹をお持ちになっておられるかどうか。ただ通り一ぺんの答弁なら、わざわざお忙しい時期にここに来ていただく必要もなかったので、そういう決意があるかどうか。いよいよ相当煮詰ってきた段階ですから、その段階において聞いておくことが大切である。いたずらに地方の人たちの危惧だとか心配というものをあなた方のあいまいな態度で助長していくことも好ましくないので、ここらあたりで表明されてしかるべきではないかと思うのでありますが、いかがなものでありましょうか。
○相沢説明員 僻地の指定基準の問題の焦点が、結局級地からはずされるところの学校に対する措置になってきたわけでありますが、私どもとしますと、まだ省内で最終的な意見の調整が一済んでおりませんので、はっきりここでどういうふうにするということを申し上げる段階でないのは遺憾でありますが、私の考えとしますれば、やはり全国一本の基準を設けた場合に、これは相当よくなるところもあると同時に、また、従前僻地であったところではずれるものもある。これはやむを得ないのではないか。それを全部従前通り僻地として指定するということはいささか行き過ぎではないか。従って、諸般の情勢上、他の僻地校とのバランス等からどうしても暫定的にこれを救済する規定を置かなければならないという文部省の御意見に対しては、これは賛成でありますが、ただ、その金額なり、あるいはその範囲なりというものについて無条件にやるわけにはいかぬじゃなかろうかというふうに考えております。 それから、なお、この僻地校の指定に伴い—これは給与ばかりではございませんので、住宅あるいは集会室に対する補助等の問題がございます。これは昨日も三時間ほど僻地の実情についてのお話を私承わったのでありますが、集会室や住宅についても回り持ちで建てるというような計画がある。それを僻地校からはずされることによって一挙に計画が坐折するというのははなはだ不当ではないか、こういった点、あるいは住宅、それから集会室等の建築費の補助については、暫定的に予算的な補助として継続するというような方法も考えられるのではないかというふうに考えております。
○辻原委員 お説のように、これは単に給与の問題ばかりではなく、特に地方の振興という面からいえば、住宅それから集会所、この点に非常に大きなウエートがあると思うのです。給与と並び立つだけの僻地振興の条件だと、私は最近では痛切に感じておるわけです。この面から奥地の振興奥地の開発というものについて、かなり文化的に進んでいることは事実なんです。だから、そうした面からはずされるということで、せっかく相当長期にわたって地方負担分を逐次積み立ててきたような町村、こうした町村において、ようやくその地方負担分が確保できたのに基準からはずされるということは忍べないという意見は、私はしごく当然だと思うのです。ただ、どうも今のお話によりますと、大体文部省の救済規定を作っていこうという考え方の趣旨は賛成である。ただその場合に、これを暫定的に——しかも金額、こういうものについても考慮を払わなければならぬ、あるいは住宅とか集会所、こういうものについてのみ特殊事情を認めていこうと、何か本来の指定地域としての既得権を与えるということではない救済規定のような印象を今受けたんでありますが、私は、それではほんとうの救済規定ではないと思うのです。その点をもう少し明瞭にしていただきたいと思います。 それからもう一点は、若干の救済はしなければならぬと大蔵省は考える、しかし、それについては無条件ではいかない、こういうふうに言われたのであります。今文部省の大蔵省に示された案を見ますと、もちろんその省令によりすぐさま全部を救済するということではないようでありますけれども、しかしながら、ここを都道府県の委員会と文部省との協議によって定める、こういう書き方をしているのであります。今の大蔵省の一つの考え方を現実に当てはめてみると、省令ではそういうふうになっているが、いよいよ具体的に決定する場合には金の面から意見を差しはさむということになりかねない心配がある。だから、かりに文部省の言う省令をあなたの方でお認めになっても、個々の指定権については大蔵省の発言権を留保する、こういわれるのであるかどうか、そこら辺も承わっておきたいと思います。
○相沢説明員 文部省から私どもの方に協議がありました省令の案の救済規定では、「現に僻地学校として指定されているものの所在する地域が交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれていないと認められる場合にあっては、当分の間二の規定にかかわらずこれを一級の僻地学校として指定することができること。」というふうになっております。そこで、こういうような形で僻地学校からはずされたものを当分の間できるだけ一級の僻地学校として指定するという形の救済の規定はどうだということを、私どもとしては考えているわけであります。もちろん考え方としましては、今度の指定基準で僻地学校から除外されたものが、その府県内の他の僻地と比較しまして、交通条件とか自然的、経済的、文化的諸条件等において大体これと匹敵し得るものだというふうに考えられるもの、これを当分の間救っていくという考え方は、先ほども申しました通り賛成でありますが、その場合におきましても、たとえば従前一級地として四%の手当をもらっておったものを、これを一級の僻地校として八%に手当を引き上げなくちゃならぬかどうか、それは従前のままの額でいいではないか。また、その僻地校として当分の間救済する学校の数につきましても、それがほとんど全校に及ぶというような姿は行き過ぎではなかろうか、こういうふうに考えているわけであります。
○辻原委員 そういたしますと、だんだんのお話によれば、救済規定の中で救済をする場合においても金額において差を設けていく、こういうような考え方を今言われたわけでありますが、そうした場合に、その緑地は一体何級地ということになるわけですか。新基準によって地域指定学校ということになるのか、それとも何か単なる経過規定によって暫定的に認めていく級地以外の別途の形のもの、こういうふうにお考えになっているのか、この点をお伺いしたいと思います。
○相沢説明員 僻地教育振興法の建前から申しますれば、その僻地の地域指定の基準を文部省令で定めるということになっておりますが、その文部省令で基準を定めた場合には、その基準に当てはまるところが一級から五級の僻地になるのであって、それにはまらない場合は当然僻地として除外されるというふうになるのが普通の場合の基準であろうかと存じます。従いまして、その僻地の指定基準の内容そのものが現実に適応しないとかその他の問題がある場合には、この基準自体の改訂を検討すべきものであって、その基準が適用される限りにおいては、その基準から除外されるものはこの法律でいう僻地でないのじゃないか。ただ諸般の情勢上これを一挙に僻地でないとすることに伴う摩擦を排除するために、暫定的な救済規定というものを置かれるのじゃないか、こういうふうに私どもとしては考えておるわけであります。
○辻原委員 私はその考え方はおかしいと思うのです。そういう級地というものは法律上もあり得ないし、また実際上もそんな便法措置というものはあってはいけない、やはり振興法の附則第二項にいう趣旨のものは、級地として少くともその限度を下回らないということを書いておりますけれども、しかし僻地という一つの特殊的な立場を考慮して級地としての既得権を尊重してもらいたい、尊重していくべきだ、こういうような観念でわれわれは立法したはずなんです。ところが今相沢さんの言われたのは、いわゆる僻地学校というものとは別に暫定的に若干給与が下回るから、そのつなぎとして何か別な形のものを認めていこう、こういうのです。それは私は大きく違うと思うのです。私は今まで少くとも落ちたものについては自動的に救済され得るもの、そして僻地学校として、個々じゃなしに僻地学校としての既得権を確保される、こういうように理解をしておったのでありますが、今言われた大蔵省の考え方というものは、新しい基準によって落ちるところは法律にいう指定地域ではないという観念に立っている、そのことは重大な問題だと思うのです。なぜそこまで差別を加えなければならぬか。実際指定地域ということはそれぞれ特殊事情があって、大体基準によってやるということについても相当無理がある。本来ならば地方々々によって認めたものを、むしろ国が逆にそれを認めていくということであってしかるべきだと私は思いますけれども、一応法律でそういうものを作る、一応の基準を作るということになっておる。しかし最近の地方と国との関係からいえば、その基準に基いて国が作れば、地方はそれに対し、それ以外に新しく追加して独自でやっていこうというようなことはとうてい今日では期待できない。それだから国としてやはり全般的に救済規定を設けようというあなた方の考え方をもう少し再検討してもらいたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○相沢説明員 私どもは僻地の指定基準を文部省令で作りました際に、従来各府県いわばまちまちに指定されていた地域の中から級地が上にいくものもあるし、下るものもあるし、あるいはまた僻地から除外されるものもあるし、また僻地に入るものもある。これは一本の基準を作る当然の結果ではないか。附則の第二項はそういう基準によって除外される学校があることを予期しての周到な救済規定ではないか。従いましてやはり基準によってはずれる学校については原則的には附則の第二項にいうところの現給保障ということでやろうとされたのが、この改正の立案者の御意向ではないかというふうに考えておったわけであります。そこで問題がまた単に現在の教員についての現給保障ではなくて、僻地の学校についても何らかのそういう救済的規定を設ける必要があるという点になってきたわけでありまして、あるいはこの辺はこの法律改正の際に予期されなかったことではないのかというふうにも考えるのであります。その点いかがなものでしょうか。
○辻原委員 だから私は前段からるる申し上げておるのであります。予期はしておったのでありますけれども、どうも少し遠慮をし過ぎた気味があるのです。すなわちこれは大蔵省に顔を立てて給与法の筋をすらっとここへ持ってきたということで、僻地の指定ということについては、私どもは今法律をながめて非常に不備であったと思うのです。だからその不備の点については省令にごの法律は譲っておるのですから、その省令でもってその趣旨をさらに十分生かしてもらって、われわれが改正した当時の振興法の趣旨というものを生かしてもらいたいといっているわけです。だから現給保障という考え方だけならば、逆に非常な混乱が起きることは事実です。だから現給保障というのは、その前にいわゆる地域の既得権保障ということでなければならぬ。これは文部省だって全く賛成だと私は思うのですけれども、常時少くとも一年に一、二回は人事異動が行われておる。現給保障でいつまでも既得権を認めてくれるということならば、一たん行ったならばついてくる。ところがその後新しく行った人にはついてこない、ということは僻地相互間においても不均衡が起る。だから僻地だけに現給保障を考えていけば、ここでいう現給保障とはいわゆる僻地学校の既得権の保障だ、そういう発展的解釈を大蔵省にとってもらいたい。そういう趣旨でなければ行政上筋が通らぬ。われわれもそれはあるいは誤まりであったかもわからぬが、それをすなおに認めて、文部省でもそれでは大きな行政上の錯誤、誤まりを犯しておるといわなければならぬ。だからそういうことを省令の際に、後日地方から全く詰まらぬことをやったなどというそしりを受けないように、私は完全なものにしてもらいたいということを要請したわけで、私どももこの附則第二項についての不十分さは認めます。認めますが、幸いに省令の救済規定があるので、そこで僻地学校の既得権尊重、既得権確保ということを、救済規定に一つ柱を置いてやっていただきたい、こういうことなんです。御努力をいただけますかどうか、伺っておきます。
○相沢説明員 この学校としての救済規定につきましては、私従来はなはだきびしい態度でおりまして、どうも基準をきめる以上、そういう除外されるものができるのは、新しく入ってくるものがあると同様に当りまえのことなんでありましてそれを一々従前通り僻地とするというようなことになるなら、何のために基準を設けたかわからぬではないかというようなことを申しておりました。その後いろいろと現地の方からも十分お話をお聞きいたしましたし、また文部省からも御意見がございましたので、そこでそういう経過的な規定を設けることについては、原則的には同意するというところに至ったわけであります。その内容につきましては先ほどもお答えいたしましたが、まだ省内において最終的な調整が済んでおりませんので、今後の問題になりますが、御意見のところは十分伝えましてよく相談したいというふうに存じます。
○辻原委員 それでもう一つ最後に、私がるる言っておりますように、現給保障という観念をただ機械的にお考えにならないようにしてもらいたい。それはそういう機械的な考え方をされますと、従来は四%だから、それが人事院規則等によっても四%だから、八%になるのは少し上げ過ぎじゃないか、現給保障だから従来の四%でいいじゃないかというような考え方になりますと、これはせっかく指定地域になることによって、いわゆる給与が改善をされ、それによって僻地教育の振興がいわゆる人事配置の面において非常に進む、こういうことがなくなるわけなんです。そういう考え方じゃなしに、先ほど申し上げましたように、現給保障という意味はその地域々々において指定されておった、その指定の学校そのものに一つの考え方があるのだ、こういうふうな観念にしてもらえると、あくまでも救済をするという場合に、暫定的な考え方だ、あるいは級地以外の形において救済するという意味なのではなしに、級地としての既得権を何らかの形によって保障するという形で私は救済ができると思うのです。多少回りくどい話なんですが、おわかりいただけるだろうと思います。だからあくまでも指定学校としてどうする、この落ちこぼれのものをどうするか、こういうことによって救済規定を作っていただきたい。こういうことを申し上げて、時間もだいぶたつようですからきょうはこの辺でとどめたいと思います。
○大平委員長 本日はこの程度とし、閉会中の委員会は来たる七月十日午前十時より開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後一時散会