農林水産委員会農業法人等に関する調査小委員会 第1号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/08/13
会議録
○高石小委員長 これより会議を開きます。 農業法人問題について調査を進めます。まず農林省当局より本問題に関するその後の経緯について説明を求めます。庄野管理部長。
○庄野説明員 私からその後の状況を御説明申し上げたいと思います。 先般当農林委員会で農地局長から足鹿委員の御質問にお答えいたしまして大体の構想が述べられておりますが、その後その問題につきまして農地局といたしまして問題を検討いたしております。それで、ただいま考えております方向といたしましては、検討いたしました段階として、現行農地法の運用なり解釈でいく方向と、第二の方向としては、農地法の一部を改正して現行の法人形態をそのまま認めていく方向、それから、第三の方向としては、特殊な農業法人形態を新たに整備する、こういう三つの方向を私たち事務当局として検討いたしたわけでございます。 第一の、現行農地法の運用解釈でいく方向という問題につきましては、先般徳島の勝浦の農業法人の賃借権の許可申請に対しまして再議命令を発しました際に、やはり、現行農地法の体系といたしましては法人に農地法上の権利主体を認めるだけの用意がない、いろいろな弊害が発生するし、また、自作農の概念も、現行農地法は個人中心の考え方でいっておるわけでありまして、法人形態のものを予想した法律になっていない、現行農地法がおそれるいろいろな弊害が発生するおそれがあるというので、現行農地法の運用解釈でいくということはできないという方向で踏み切っております。 それから、第二の方向といたしましては、農地法の一部を改正して現行の農業法人形態でいく方向、これも相当検討いたしましたが、農地法の規定をもって現行の商事会社あるいは農協法による農業協同組合といったようなものについていろいろな制限を設けなければ、なかなか現行の法人形態で農地の権利主体となって経営を認めていくということは困難でございますが、そういった農地法でこういった商事会社の組織を規定するということ自体が農地法としての限界を越えるものでありましょうし、また、一面において、そういった農地法からくる制限を付したら商事会社の特性を抹殺するといったことにも相なりますので、この方向も結局において農地局の検討においてはできないのではないかという結論に達しました。 最後に、第三の特殊な農業法人形態を認めることを検討したらどうか、こういう順序に相なったわけであります。これは、今の既存の商事会社あるいは農協というものによって農地法のそういった権利主体たらしめるということはやはり限界があって、それは農地法自体も問題がありましょうし、それから、先ほど申しましたように、商事会社の特性を抹殺してしまうというようなことから、こういう方向になったわけでありますが、やはり、われわれとして、現在農民諸君の間に問題になっておりまする農業法人化という方向をよく突き詰めて、その法人化の方向を農地法がブレーキをかけないような形で何とか認める方法はないか、こういうことになってきますと、既存の法体系によって会社形態が非常に困難になってくるので、やはり、一つの新しい型として、試験的といいますか、そういう芽ばえを伸ばしていくといったような形で、そういう法人の権利取得を認めるような方向の、一つの農地法の穴をあけるいいますか、やはり、農地法の基本原則を守っていくという段階においては、農地法から考えて、こういう形なり、こういう組織なり、こういう事業をやるといった規制をせられた法人について農地法の許可を認めていくということが至当ではないかという考え方を農地局としては考えておるわけであります。その方向というものは、今農地法がとっております自作農主義の発展的な理解なり、あるいはその拡大といったような考え方で法人の性格を考えたらどうかというような考え方をいたしております。そういうような考え方でいきますと、やはり、現在の商事会社というものの構成では資本優位ということが出てくるのではないか。われわれとしては、農地法の基本原則たる労働の成果を正当に享受し得るといった方向はどこまでも守らなければならない。その方向の一形態として現行農地法の自作農主義をとる、そういう考え方をいたしております。やはり労働の成果が正当に享受し得るような形態のものでなければならぬ。そういうことになりますと、どうしても、やはり、資本優位というような現行の商事会社形態よりは、平等の原則の農協的な考え方になってくる。これは、結局、出資口数による議決権といったものが、個人一人の平等の議決権というような、農協の平等の原則といいますか、そういったもので置きかえた形のものでなくちゃならぬ。そういうような考え方で一つの簡易な法人制度を考えたらどうか、そういうような検討を現段階でいたしております。そういう形でございます。これにはまだいろいろ問題がございまして、経済局の方とも十分打ち合せをしながら準備をいたしておる段階でございます。
○高石小委員長 次に、酒折農協部長。
○酒折説明員 経済局といたしましては、やはり法人の道をこの際あけるという方向で考えたいと思っておるわけでございますが、まだ具体的にこういう考え方がいいんだという決定的なものはできておりません。ただ、実はこれは内部の話でございますけれども、農地局との話し合いでは、ただいま管理部長から説明がありましたように、農地法の解釈ではどうかとか、あるいはまた一般の私法上の法人では無理だというようなお考えで案を練っておられるようでございますけれども、果してそうであろうかどうか、この際われわれの考え方としてはできるだけ簡便な方法で道を開くことを考えたい。いろいろ考えれば考えるほどむずかしい問題がございますので、この際いろいろな根本問題を全部解決していくことになりますと時間がかかりますから、できるだけ簡便な方法で、とにかく道を開くという方向で考えたいということで、そういった点につきまして農地局となお調整中でございます。
○高石小委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。 足鹿覺君。
○足鹿小委員 ただいま農地局並びに経済局から今日までの経過なり考え方の概要を聞いたわけでありますが、本来を言いますと、正式な委員会等で、この問題は、大臣なり農林省に対して、全責任を負う人に基本的な考え方についてただしていくことが一番よいと考えておったわけですが、それはもうしばらくあととしまして、きょうは二、三確かめておきたいことがありますので、事務当局の意見をお尋ねをいたします。 農政上の大きな問題として先国会来当委員会が特に満場一致の決議を議決したことから本格的に進むかに見えておりましたこの法人化問題が、最近、これは新聞紙上でありますからまだ真偽はわかりませんが、農業団体の中あるいは農林省の内部におきましても、賛否両論といいますか、あるいは考え方が相当異なったものが発生しておるように伝えられておるのでありまして、これをこのままそういう姿で進めていきますならば、われわれが当初考えておった通常国会を少くとも目途としてこの問題に一応の解決をつけるということは困難になってくるのではないか、そういう心配を私どもとしては持っておるのであります。たまたま税法上の問題から起きてきた問題でありますので、その問題は一応前の小委員会までで打ち切りまして、きょう特に両局の事務当局に出ていただいたのは、伝えられるところによると、農地局は独走しておる、経済局はまた経済局なりに従来のこの委員会の空気等もあまり知っておられぬ、また、問題が農地法上から発生した点等もあって農地局が熱心に仕事の上から作業を進めておったというのを、経営につながる問題として中途からようやく手をつけ始めたというような点で、両者の間には相当ズレがあったように思うのです。従って、これは、お互いがお互いの独自の考え方で進むということになりますと、その調整ということは非常に困難な段階が必ずやってくると思うのです。少くとも、今日の段階としては、大体の方向について忌憚なく農林省の内部の意見を交換し合って、そして一つの大体の基本方針についてやはり一致点を見出していかなければ、この問題は解決がつかぬのではないかと思うのです。しかるに、農地局は農地局で従来からの経過上一つの方向を考える、経済局は、今聞けば、ほんの簡易な、ちょっと穴をあける程度で軽く考えて事態を糊塗しようというようなふうにもとれますが、そういうことでは私はおもしろくないと思うのです。 そこで、経済局に、特にきょうは局長に来てもらいたかったのでありますが、やむを得ないといたしまして、お聞きしておきます。事前の調整について今庄野部長が農地局の考え方を述べられたが、そういうことに対して、あなた方は、別個な立場から、たとえば農協法を一部改正するとか、農事実行組合を若干強めたようなものでいくとかいうような、きわめて浅い範囲内で一応ちょっとやっておくというような考え方でありますと困るのであります。そういうことならば当委員会が特に決議をする必要も何もない。日本農業の将来にわたっての大きな問題をはらんでおるというので、事が税金問題ではあったが、当初はそういう段階だったが、今日では、日本農業の経営規模をどのように拡大して、そしてこれを近代化していくかという一つの大きな芽として、新しい段階においてわれわれはこの問題をとらえておるのであります。そういう意味で、当委員会も決議をし、小委員会を設けて検討しておるわけでありまして、そういう点について少し認識が違いやしないかと思います。この前の委員会に初めて局長が出て、そして、これからまあ検討してみましょうというような、きわめて冷淡な態度を従来までとっている。本来を言うならば、経済局みずからがこの問題に積極的に乗り出して、そうしてみずからでも他と調整をとって進んでいかなければならぬ立場にあるわけであります。それを、農地局は農地局で進んでいく、経済局はおくれながらちょっとさわってみるという程度で現在あるとしますならば、これはとうてい通常国会にも間に合わないような事態になってくると思うのです。われわれはそういうことに対してはとうてい満足できない。基本方針について、経済局として、特にこの問題を主として担当しておられる酒折さんはどのように理解しておられるか。大体、両者の考え方の基本をまず打ち合せをして、十分その点について練って、そして首脳部とも連絡を密にして進んでいかなければならぬ、かように私は思うのですが、基本方針についてどういう認識を持っておられ、どういう構想をもってこれに対処していこうとしておられるか。今の御説明ではわれわれとしては納得がつかぬのでありますが、その点を一つ伺っておきたいのです。
○酒折説明員 先ほどの私の言葉が足らない点がありましたので、その点からまず説明しておきますと、簡便なる方法ということを申し上げたのですが、これは、ちょっと触れておくというような意味ではなくて、法律技術的に見てできるだけ簡略にしていこうということでありまして、ねらう結果なり、得る効果というものについては、農地局とさほどの差別はないと私は思っております。 それでは、どういう基本的な考え方であるかということになるのでありますけれども、現在のいわゆる生産共同体というものの実情を、貧しいながらもわれわれの現在の資料から見ますと、いろいろなタイプがありまして、しかも段階的にあるわけでありまして、たとえば生産手段の共有というような方法とか、あるいは作業の共同化とか、あるいはもっと進んだ方法として、完全な生産の共同体というようないろいろな性格があるわけでありますけれども、やはり、現在の問題になっております方向としては、完全な生産の共同体というものに持っていくということだろうと思います。これは現在においては必ずしもその例は多くないのです。またいろいろ問題をはらんでおるわけでありますが、将来の方向としては、確かに日本の農業の当然いくべき方向の一つであろうというふうに考えておるわけであります。そういう意味におきまして、この際そういうものに対して道を開きたいというふうな考え方でもって検討しておるわけでございます。
○足鹿小委員 この問題は、くどく申し上げるまでもなく、農民の創意によって起きたという点と、それから、いま一つは、現在に法人化が進み、あるいは法人まで踏み切っておらないが共同化の進んでおる地帯は、主として水田地帯ではなくして畑地方面に非常にその事例が多い。これは、国の施策が従来水田偏重であった。そして畑地に対して手薄かった、そういうことから、農民が経営を守っていく一つの自衛手段としてそういう地帯に多く発生を見ておるのではないかと私は考えるのです。この問題の意義は、そういった農政内部の矛盾についても農民なりに考えてこれを解決していこうというところに一つの意義があると思うのです。いま一つは、農協自体に対する農民のふんまんというか、不満というか、そういうものが一つの形となってこういう形式をとっておる。たとえば、現在農業協同組合は生産活動についてはまだ十分に力を発揮しておらぬ。たとえば、農民が共同して施設をやろう、あるいは個人が農業経営改善のために何かを計画して資金を必要とする、そうした場合に、農協に借り入れを申し込んでも、財務基準令等のいろいろな制約もあって、私も協同組合に関係しておりますが、大体、少いところは個人としては三万円、大体四、五万円、団体の場合は十五万ないし多くて三十万円程度しか融資がもらえない。従って、農民は必要なことをやりたいためには資金を何らかの方法によって求めなければならぬ。そういう事態が現実に起きてきて、おるわけなんです。そこからそういう農協の活動なり運営に対して、これではいかぬ、何とかしなければならぬという農民の気持がそういうところに一つの血路を開いてきておるとも考えられるわけです。また、四国方面で起きておるのは、過剰投資があまりに多くて、そしてコスト高になって、販売物との均衡がとれない、そういうところから、もっとこれを共同化していくならば、不必要な農機具その他のものを個人で持たなくても、共同でこれを運転することによって、資金を少くして、過剰投資を抑制していくことができるというような、現実の必要から生まれてきているわけです。そういった点から考えてみましても、現在あなた方が考えておられる農地法上の若干の改正、農協法の点について若干改正していきたい、そうすれば大体いくんじゃないか、こういう考え方になっておられるわけでありますが、今述べたようなそういう数々の意義から考えていきますならば、少くとも農協法自体もこの際大きく検討して、そして問題の核心に触れるような改正を行うならばこれは別でありますが、今言われたような程度では、私はとうていこの問題を解決することができないと思うのです。そういう点からも、私は、特に経済局と農地局は一体となって、この問題を、一方は経営の面から、一方は農地法上のいろいろな困難な問題を、自作農の精神をくつがえさない範囲内においてこれを最大限に拡大発展せしめていく、そして最終的には経営規模を拡大して日本農業を近代化していくというところに問題が落ちついていかなければならぬと思うわけであります。そういう点から、簡易に問題を処理したいというのは、農協法上の検討はどうなっておるのですか。たとえば、農協法上の検討点は、問題点はどこをどういうふうに考えておられるのか、また、農地法上において手を加えなければならぬとすれば、どういう点に手を加えなければならぬかということが勢い問題になろうかと思います。 そこで、性格の問題については、私どもは、今庄野さんからもお話があったように、商事会社法的な行き方では、これはなかなか問題を本質的に解決していくことは困難だと思う。やはり、この三つの考え方のうち、最終に言われた、農地法との関係を調整していきながら特殊の立法を必要とするのではないか。過般の公聴会の際にも各参考人の意見はみんなその意見に一致をしております。そういう点からも、われわれは無理のない今日の結論はそういう結論ではないかと思う。ただ、農地法上のきわめて困難な問題、それをあなた方の担当しておられる農協法上のこの問題点との接着点をどういうふうに見てこれを解決していくか。それぞれの立場に立ってこの問題を解決していくならば、大体の一つの方向を示していくことができるのではないかと思うのです。それで、性格としては商事会社的なものでよろしいとお考えになりますか、あるいは農協法上の解釈なりあるいは一部改正なりによってやつていけると考えているのでありますか、あるいは農協との関係をよく有機的に考えながら一つの特殊共同法人を作っていくという方針、そういう性格のものを考えておられるのでありますか。そういう点について、農地局は大体の構想を明らかにしているわけですから、あなた方としても、今日まで検討された結果を、一つ一つ、結論を得られないまでも、もう少し、一つ一つの問題について、あなた方の考え方、今後の進め方、そして見通しという点についてお話をしてもらいたいと思います。
○酒折説明員 先ほども申しましたように、経済局としてまだ最終結論的にこの案だということではございませんので、その点御了承願いながらお話を申し上げたいと思います。 もちろん、特別の法人でいくのか、あるいは商事会社的な法人でいくのかという点、今議論が行われておるのでありますけれども、これも実を申しますと法律技術上の問題でございましてわれわれも、現在の商法上の法人なるもの、そのものを認めようというのではないのであります。これに対してある程度の条件をつける。主としてそれは農地法上の制約とマッチさせるような意味における条件であります。そうしますと、結局、問題は、でき上った内容については両者大して変りはないのでありますが、ただ、それは、商法上の法人として性格づけをするのか、あるいは特別な法人と見るのかという技術的な問題だけに帰するのではないかと考えております。われわれの方の一般の商法上の法人とする必要条件と申しますのは、たとえば、法人の構成員が当該法人の経営にかかる農地等の所有権者またはその世帯員であるという特別な条件を付して、いわゆる資本と労働との分離を避けるとか、必要なればまた各構成員の持分については一定の範囲を越えないようにして、いわゆる長子の認定による独裁というものを防ぐ。それからまた、構成員の従事義務というものを義務づけて、それによってやはり資本と経営の分離を避ける。そういうふうな条件を付しておけば、あと運営につきましては構成員の民主的な相談によって適正に行われるであろう、そうして、その結果につきましては、特殊法人を作ったと同じような運営ができるのではなかろうか、そういうふうな考え方でおるのであります。
○足鹿小委員 共同化というもののとらえ方について、今お話を聞いておると、大体完全な共同経営ということは今述べられたような線で可能だ、運営上うまくやれば可能だというふうにとれたのですが、私どもが聞いておるところによりますと、簡易な法人化というものは、部落に戦前・戦中を通じて農事実行組合とか農革組合とかいろいろなものができ、炊事まで共同化した事例というのは、何もわれわれが騒がなくても、戦前・戦中・戦後を通じても実際行われておったのです。作業の一部の共同化というようなことに対してわれわれはこんなに血道を上げて法人化問題を論議しておるわけではない。問題は、その共同化の意義といいますか、そういうものは、農業経営の近代化をはかるために法人自体が農業経営をする、こういうところにその法的な根拠を与えたいというのが私どもの中心の問題で、当委員会の意思もそこにあるわけなんです。われわれが聞いておりますと、どうも、経済局の考え方は、従来の実行組合に毛をはやして、まあ運営では個人で一応経営をしておきながら、また共同する場面も一応あってもいいんだ、また、作業の一部分を共同化し、あるいは農協の施設を利用せしめるような考え方のようにもとられるのです。その程度のものならば、われわれが今日までこんなに熱心に血道を上げて検討する価値はない。問題は、それを一歩進めて、たとえば農地法上の問題はあるが、この農地の所有権を出資せしめるとか、あるいは使用収益権なり賃貸借をその法人に認めせしめて、それを完全に近く共同化することに踏み切りたい、われわれはこういう気持を持っておるわけなんです。その辺、今経済局で考えている共同化というのは、端的に言ってどういうことを考えておるのか。農地局にも、共同化の意義といいますか、その基本的な考え方についてはっきりしてもらわぬと、今言ったような程度で、食い違っていきますと、これは意味をなさぬです。ナンセンスだろうと思うのです。そういう点まだ検討が十分でないと言われるけれども、書いたものも相当たくさん持ってきておられるようですから、もう少し伺いたい。
○酒折説明員 もちろん、われわれのやっておりますことは、全面的な生産の共同体というものを考えておるのであります。先ほどの御説明、ちょっと重要なことを言い忘れたのでありますけれども、そのわれわれの考えておる商法上の法人につきましては、農地法上農地の賃貸を例外的に認めるということが大前提でございまして、その場合の運営上なり構成上の制約は、先ほど申し上げましたようなことによりまして、現在の自作の人たちが集まっての完全な生産の共同体というものが作り得るではないかという考え方であります。
○足鹿小委員 商法上の法人で踏み切ろうというのですか。——いわゆる共同化法人ではなくして。そうすると、そのものと農協法とはどういう関係になるのですか。
○酒折説明員 まず、農協法との関係は、今のところ農協の準組合員として認めていいんではないか。現在の農協法の運営といたしまして、営利的な法人は準組合員にもなれないわけであります。この場合におきましては、それを準組合員として認めるということで農協法との関係をつける。それから、生産共同体というお話でございますけれども、もちろん形式としてはそういう商法上の法人という格好をとっておりますが、内容につきましては、先ほど申しましたように、構成員については必ず当該農地等の所有権者または世帯員である、あるいは従事義務を課することによりまして、実質的内容において、生産共同体というか、それに変りはないということになろうかと考えております。
○足鹿小委員 そうすると、一応その根拠法は商法なりその他に求めるが、農協の正会員または準会員として取り扱っていくのだとすると、それにも特別の法的な措置が必要になりますね。株式に対して利潤を配当していくというのが現在の商法上における会社のゆき方だろうと思うのです。そうしますと、今お話を聞いておると、商法上の法人ではあるが、非営利団体であって、正会員または準会員にするということになりますと、これは商法上の根拠があっても商法上の特例を必要とする。何かそこに特殊な立法措置なり特例の道が開けないとこれはうまくいかないのではないか。たとえば、おのおのが現物出資をして商法上の農業法人を作った、そうしますと、現在の農地価格というものは大体統制小作料の十一倍です。ですから、反当一万二千円程度のものです。そうしますと、一町歩出したとしましても出資金は十数万円にすぎない。そうすると、今度はそれに対する一応の利潤配当という形でいくことになりますね。われわれが考えておるのは、利潤として農地法上において統制小作料を変革したりあるいはこれを高率化することによって、農地価格そのものに影響してくることを心配しておるわけなんです。従って、現行の統制小作料の十一倍の農地価格で出資をしても、それには規定の配当をやって、あとは必要経費を引いたその利益金はおのおのの労働単位とその日数に按分して労働の成果をおのおのが享受していくという、普通の商事会社や普通の会社の考え方と違ってこなければ、この農業法人を農林省が取り扱って育成、強化していくという趣旨には沿わないと思うのですが、どうもその辺が私にはよくわかりません。その商法上の法人というものと、今私が指摘したような点をどういうふうに処理解決していこうとしておるのか、もっとざっくばらんに、きょうあなたがどういう答弁をされても、この前こう言っておったのに今度は違うじゃないかといって責めるつもりはありませんから、思い切って一つ話をしておいてもらいたい。
○酒折説明員 まず小作料との関係でございますけれども、これは、先ほど申しましたように、その法人に対する農地の賃貸でもって、従って、賃貸料は統制小作料に服するということで系列化をする。そこで、今度はこの法人における分配の問題になるのですが、これは、特殊法人を作って、たとえば利益の配分を一割以内に押えるとかいうふうなことを言ってみましたところで、分配の方法としては、そういう配当の方法と、それから労賃による分配の方法、それにまた労働の機会をどう与えるかというむずかしい問題をはらんでくるわけです。従って、これを法律でもってどうこうきめたところで、実行は非常にむずかしい問題ではないかということをわれわれ考えておるわけであります。その結果といたしまして、そういう点については特に触れなくて、ただ、今申しましたように、農地は賃貸でいく、それから、構成については今申し上げましたような構成員の制約を与え、資本と経営なり労働の分離が行われないようにしておく。そうすれば、あとの分配の問題は、お互いの問題として適正に処理されるんではなかろうか、たとい法律できめたところでなかなか実行しにくいものだから、それでおおむね同じような結果が得られるんじゃないか、こういう考え方でございます。
○足鹿小委員 その構成はどうなるんですか。構成は一戸一法人を認めるんですか。
○酒折説明員 それはどちらでもいいんです。一戸でもできますし……。
○足鹿小委員 それだったら先ほどの共同化の精神に反するんじゃないか。方針は完全な経営共同化を目途として進んでいくわけですね。そうすると、一戸一法人を認めるということは、一戸一法人は現実においては税法上の問題から出てきておる問題であって、これは、家族、専従者構造を正当に税法上で認めていくことになり、正当に評価されるような措置がとられるならば、一戸一法人問題というものは解決がつくんですよ。現在六五%をこえる兼業、副業農家がふえつつある。それは減る段階ではなくして今後もふえていく傾向にあるのであって、この法人化の問題の意義は、そのような兼業化し副業化し、そしていよいよ零細過小農経営に進んでいこうとしている日本農業に対して、この法人化問題がどう有意義な作用を発揮するかというところに問題の主眼点があると思うのです。この考え方にあなたも間違いはないと思うのです。農協部長としてこの考え方に御異議がありますか。
○酒折説明員 私の方の考え方といしましては、一戸一法人も、単に税法上の問題だけではなくてこの法人ができることによって、いわゆる家族員の人権の問題とか、家族の民主化の問題、あるいはまた家族内における経理上の問題とか、そういった点においても利点がある。従って、一戸一法人もいい、またほんとうの意味の生産共同体もいいという方向で考えていいのじゃなかろうか。この点は世論も大体そういう方向でなかろうかと考えているわけでありますけれども、もちろん、法律技術上の問題といたしまして一戸一法人を認むべきではないという方向に結論が出るならば、これは法律技術院の問題として、かりに生産共同体だけを認めるような方向も考えられないわけではないのであります。
○足鹿小委員 この考え方の中心は、やはり生産過程の共同化ということももちろん必要でありますけれども、生産の結果が大きく増大をし、それが正当に労働に応じて配分をされていくという意味が、私は共同経営の意味であろうと思うのです。今あなたが考えておられるようなことであるならば、そういう特殊法人などを作らなくても、日本の農協法自体にもっと必要な改正を行い、農協法の完全な運営を行なっていけば片がつく問題だと思うのです。そういう御認識では失礼ですが少しこの問題に対する考え方が浅いのではないかと思うのです。もっとこの問題の意義を的確につかまえなければならないのじゃないか。現在こういうことが起きてくるのは、財務基準令その他があって、農協が生産活動資金等を十分に供給することができない、そういうところにも先ほど述べたように発生の原因があるのですよ。現に数百の、法律にもよらない、農協法にも基かない共同化の組合、私的な組合はたくさん出ている。ところが、それが一つの施設をしようとしても、牛を入れようとしても、機械を入れようとしても、あるいは耕地の拡大をやろうとしても、それが正規の法人格を持っておらないために、もがき苦んでいるわけです。そういうものはたくさんありますよ。あなた方の指導奨励を待たなくても、たとえば埼玉の鶴ケ島村の場合は、われわれは長い間関心を持っております。鶴ケ島村の問題にしましても、現にどうしても制度金融の恩恵も受けられない、農協の金融も、地元の農協がありながら金を貸さない、やむを得ないので苦心惨たんの結果他の方法によってわずかな所要資金を借りたというような実例です。程度の問題ではなくして資金の道を断たれておるのですよ。 そういうことを考えた場合には、むしろ財務基準令などをとっぱずしてしまって、もっとそうした農協の適正な運営が行われていきますならば、そういう人たちに対しても資金の供給はできるはずですよ。地方自治体の利子補給を一方において伴うとか、ほんとうに育成していこうとするならば、それは可能なことなんですよ。ことさらに商法上に基く法人を作っていかなければならぬという意義は私は薄らいでくると思うんです。どうも、その辺で、一戸一法人というものを私は否定するんじゃないんですが、これは従たる立場にあって完全な共同化を主たる目的に掲げ、一時の過渡的な段階としてそれを認めていくという、法律上から言うならばただし書きの条文等でけっこう現実の事態は収拾できると私どもは考えておるわけなんです。ところが、今話を聞いておると両方とも対等に見ていくというようにとれるのですが、その辺の経済局の考え方は、どうも最初からこの問題にタッチしておられぬから、途中から割り込んでやむを得ずしぶしぶやった、こういう大きな問題と取り組むことはなかなかめんどうくさいというようなところから、そうかといってここまで世論がきたものを全然世論を聞き流すというわけにもいかぬ、そういうところからきたほんのゼスチュア的なもののようにわれわれにはとられるのですが、そういうことではこれは意味をなしませんよ。
○酒折説明員 私、一戸一法人もできると申し上げたのは、これは従とか主たるとか並列的とかいうことは全然考えに入れないで申し上げたことでありまして、今のような御質問にお答えをするとすれば、完全なる生産共同体への道を開けば、その中で一戸一法人の問題もおのずから片づく、そういう意味で申し上げたのでございます。
○足鹿小委員 そうですが、それならよろしい。そういう考え方であれば大体よろしかろうと思います。 そこで、今度は農地局に伺いますが、私ども経済局の考え方は大体今回初めて今言われたような考え方のアウト・ラインを一応聞くことができたのです。で、農地局としては、農地法上の問題を処理しなければならぬという非常にこれは重大な責任の立場に立っておられるわけですが、そこで、現在の段階として、どういう点どういう点が問題点として、どう処理していこうとしておるか。相続の問題なんか一番むずかしいだろうと思うのです。あるいは所有権そのものも、出資をどうするのか、あるいは会社が農地の賃貸借を結んでいくのか、いろいろ問題があろうと思うのですが、そういった点について現在考えて検討を進めておられる段階だろうと思うのです。いろいろ要綱的なものももうすでにお作りになっておるという話もあるし、要綱の草案のまた草案、メモ的なものもあるという話も聞いておるのです。現実にそれを聞いたという人もありますし、われわれも部分的には仄聞しておりますが、全体としてどういうところが問題になっておるか。これはこういうふうな考え方で処理していきたいという、問題の所在をどういう角度からどういうふうに検討しておるか、その点を一つお話しを願いたいと思います。
○庄野説明員 今経済局の酒折部長から見解が述べられております。この問題につきましては、再々経済局とも意見の交換をやり、われわれも考え方を述べ、経済局の意見も聞きまして、調整に努めております。この点については、農地法上に非常に問題が多い点で、私たちが農地法上の関係からこの問題について非常に取り組んで参っておるわけでありますが、事はやはり農業経営の問題に基本的には相なるわけでございまして、こういった点で、経済局とは十分調整をとってできるだけ早くこの問題は私どもとしては処理していきたい、こういうような考え方で今後も最善の努力をしたい、こう思っております。 ただいま酒折部長からもお話がありましたように、商事会社を母体にして条件をつけたらいいじゃないかという案も、実は、再々意見を交換しながら、また農地局の検討段階においても相当検討をいたしたことでございますが、条件の限界というものがあるのじゃないかということと、それから、条件を当初につけても、その条件によってあと果して取り消すというようなことができるかどうかというような問題、それから、果してその当初につけた条件が、やはり商事会社としての、一つの持ち分の譲渡移動とか、地位の合併の自由とか、あるいは配当制限が法律上はないとか、あるいは出資の口数に応ずる議決権があるとか、それから、合併その他が自由にできる、そういった基本的な性格まで制限するような条件が果してつけられるかどうか、つけてもそれはまたあと持ち分の譲渡等で変更していくのをいかに防ぎ得るか、そういったような問題で、農地法の方から、そういう例が出た場合に農地法上の弊害が果してそれで防ぎ得るかどうか、そういった点からわれわれも相当吟味したが、なかなか困難ではないかというようなことで、経済局とも意見の交換をしておる状態でございます。まだ十分尽しておらない段階でございますが、これは何とか早く意見の調整をしていきたい、こういう段階でございます。 それから、私が考えております一つの特殊な法人組織をもっていかなければならぬというのは、やはりそういう点を検討しての上でありまして、やはり、そういう条件が非常にむずかしいから、組織自体としてこういう組織のものでなければならぬという組織法を作って、一つの方向を持った法人ができるのが一番、農地法上今の自作農主義の拡張なりあるいは拡大というような点で自作農主義を発展的に解釈していく段階においては、やはりどうしても組織法から一つの方向を持った法人を認めて、それによって農地法上の弊害の発生を防止していくのが、農地法上の考え方としてはやはり最善ではないかというふうに考えざるを得なくなったのでございますが、そういう点についてはもっと十分内部調整をやれたい、こう思っております。それで、その特殊的な法人は、やはり、組合的な性格、農協的な色彩が非常に強くたるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、労働の成果が正当に均霑するようにする、いわゆる働く農民にその労働の成果が正当に享受できるような形態を考えなければならぬ。と申しますと組合的なものになるわけでございます。そういう点で、農民の資格あるいは法人の組合社員と申しますか、組織員の資格をどうするか、地域的にこれを限る必要があるか、その地域の広さをどうするか、そういう問題も検討の問題になりましょうし、それは、端的に、やはり相続なり、あるいは出資の異動、その他やむ得ない事情で住所を移転するといったような場合の、農地法上の一つの原則であります不在地主の発生をどの程度に関係づけていくか、そういう点で一つの組合員あるいは社員の資格を地域的に限る必要があるかないか、そういう広さの問題、それから、出資の問題といたしましては、やはり現物出資として農地の所有権なりあるいは賃借権なり使用収益権なりを認めるのが果していいかどうか、あるいは、農協部長も言われたように、出資は現金出資にして農地の賃借権あるいは所有権を取得する、現物出資の形でなしに出資するような形で考えた方が、農地法上のいわゆる統制小作料との関係において問題が解決できるんじゃないか、そこに、統制小作料との関係において出資された所有権の評価の問題、あるいは賃借権の評価の問題と統制小作料の問題は非常にむずかしい問題でございます。その点を今検討しているのですが、そこにも非常に問題がある。それから、従事義務の限界をどの程度にするか、これはやはり不在地主との関係もございまして非常に問題があるんじゃないか。それから、雇用労力の問題も、今自家労力中心の自作農でございますが、自作農としての農家は自家労働というものを中心といたしておりますが、その雇用労力の範囲をどの程度まで認めるか、社会党試案では三分の一程度という案も出ておるわけでありますが、その限界等も現在の農家の自家労力中心の現行法との関係とも関連しながら一つ問題があるのじゃないかと、検討いたしております。そういった問題、それから、もう一つは配当の問題でありますが、配当制限をどの程度やるか、それから統制小作料の問題、それから、社員が法人の業務に従事した場合の報酬をどういうふうに考えるか、それと配当との関係、そういった問題が農地法上との関連において非常に問題があるわけでございます。そういう点は実は今部内論議を進めております。できるだけ早くこういう点は踏み切って、関係部局とよく相談して案をまとめていきたい、こういうふうに私たちは考えております。
○足鹿小委員 農業法人に対するところの農地法上の規定緩和の問題について、いろいろ構想なり検討の段階をお聞きしたわけですが、なかなかむずかしい問題が多いと思うのですが、一番問題になるのは、今経済局が考え、また農地局が考えておる両者間で共通した一番の問題は、創設農地の賃借禁止の規定で、それは、商事会社であろうと共同化法人であろうと、いずれの場合でも所有権の出資ということが非常にむずかしいという場合は、賃借権の設定ということになります。農地法の第何条かに創設農地の賃借禁止の規定というものがあるわけですね。そうすると、それに抵触して、それをどう改めるかということがないと、いわゆる金銭出資ということに勢いならざるを得ない。しかし、この問題を処理せずしては、ほんとうの共同化法人、あるいはそれが別な形になろうとも、意義がきわめて薄いものになってくると思うのです。今その点については庄野部長は何らお触れにならなかったようですが、その点についてはどういうふうに御検討しておられますか。
○庄野説明員 法人を認めて、法人に使用収益あるいは賃借権の主体たることを認める、こういうことになりますと、それは出資の形であれ、あるいは賃貸借契約によって法人が借り主になる、賃借権を取得する、こういうような場合、いずれの場合においても、今御指摘のような創設農地の問題が出てくると思います。これは、われわれとして法人として、そういう賃借権の形であるか、あるいは所有権の問題もあろうかと思いますが、かりに賃借権の問題だけといたしましてはそういう問題があります。特殊法人として権利主体たることを認めていくという方向ならば、当然その点の緩和をやらなくちゃならぬと思っております。緩和する場合に、やはりさっき申しましたように法人の一つの性格というものを十分考えながら、これが自作農の拡大あるいは発展的な形というような法人に対して、そういう場合には創設農地に対する賃借権の設定というものの緩和をやらなければならない、これは法律改正が要る、こう思っております。
○足鹿小委員 酒折さんにお尋ねしますが、共同化法人で、特別な法的措置によって生まれ、そしてこれに対する保護あるいは助長によって育成していく場合と、商法上に基く法人の場合と、たとえば組合が農地の権利を取得する場合、出資以外の、新しい山林だとか原野だとかあるいは農地を取得していく場合に、同じ農地法上の取扱いでも、商法上のそういう会社と、特別立法によって国が農地法上の規定を緩和して保護しようという場合とは、差が出てくるのじゃないでしょうか。どっちでも同じものですか。もしそういう商法上の会社に、たといそれが農業を営む、一つの限定された事業を持つものであるとしても、商法上に根拠を持つそういういわば本質は——私法律論はよくわかりませんが、一応は商法上に根拠を持つということになりますと、これはあくまでも利潤追求という一つの基本原則に立っておると思う。しかし、農協との関係で何かそこに別な措置がとられる場合でも、新しく農地法上の規定緩和をし、しかも国が特別な法的措置をした団体と、商法上に根拠を持つ異なった二つのものに、農地法上の農地取得の権利というものは同一に認めらるのですか。そうなりますと、ある程度会社がいろいろなカムフラージュをしてくる。いろいろな会社ができる。大規模な農業開発だとか、あるいはその他農業を主たる目的とする大きな会社が出てくる。一法人の場合でなく、もっと大きいものを作っても、それを制限していくことがない限りは、一応出てくる。しかもそれは農地法上の規定緩和についてもその利益を平等に受けるんだということになりますと、これは大へんな結果になりはしないですか。農地法上の規定を緩和し、あるいは改正してそうしてこの種のものを保護していこうという場合と、根本理念を商法上に置く商事会社、それ類似のものと、私は、だいぶその辺で、農地法上その団体なり組合が享受すべき範囲というものは、おのずから限界もありましょうし、またそれが異なってくるのではないかと思うわけです。そこで、会社法人ということに対しては、私はどうしても農地法との関係がむずかしくなってくると思う。そうすると、農地法上の利便が享受できないということになりますと、それは作ってみても結局農事組合に毛の生えたようなものに堕さざるを得ない。日本の零細農を共同化して、経営規模を拡大して生産力を高め、その結果として農民の地位を向上させ、所得を安定させようという画期的な方向に行かない。むしろ悪用される面のみ多いのではないかという杞憂を持つのですが、両部長のその辺の見解を聞かせてもらいたいと思う。
○酒折説明員 われわれの方の考え方から申しますと、そういう商法上の法人であるが、こうこういう条件を付したものには農地法したとえば農地保有制限の緩和を行いますというような措置の仕方をするわけであります。そういう条件を満たしておる限りにおいては、これはわれわれのねらっている趣旨に合っているわけでありまして、これに対して今申しました創設農地の特別な緩和なんかの措置も与えて何ら差しつかえない、共同化法人と同じような取り扱いをしても差しつかえないと考えております。こういう法人を認めた場合に、もぐって不法な行為とか不当な行為が行われないか、あるいは特定の個人の利益に帰するようなことがないかという疑念につきましては、確かに若干あろうかと思います。しかし、その点につきましても、いかなる法律形態をとろうと、それをもぐることはあるわけです。もちろん法律の規制の仕方によっては若干の差異はあるかと思いますけれども、いずれもその問題はあるわけであります。特別に商法上の法人であるからということで脱法行為の危険性が非常に大きいということは必ずしもないと思います。
○庄野説明員 私が、創設農地の制限緩和、こう申した趣旨は、私たちが今農地局で検討いたしておりますような自作農の一つの発展的な形といったような意義において一つの法人を考えた場合、そういう法人には、これは自作農とかわらないからということで、そういった農地法上の創設農地の賃借権であるとかその他の制限がございますが、そういった制限を緩和する道を開いて、それが農業経営ができるようにしてやらなければならないという考え方でありまして、その自作農の一つの発展的な形、あるいは結合体といったような法人はどういうものが最もいいかということを先ほどから申しておったわけでございますが、これにはいろいろ考え方もあって、農地局の方からも、現行商事会社制度でもいけるじゃないかという一つの提案がなされて、これもわれわれ検討いたしておりますが、今までの検討段階においては、非常に条件をつけても、当初はやり得る場合もあるだろうが、そういう形体それ自体がやはり条件によって本来の機能を殺す形になっていくので、むしろ農地法の方から見て特殊な形を組織的に認めた方が無難じゃないかという結論で私たちは検討しております。
○足鹿小委員 また他の委員からも御発言があろうと思いますけれども、私はこの問題は非常に重要な問題だと思うのです。農協部長の解釈は固まった解釈でそれでいくという考え方かどうか知りませんが、もっと慎重を期してもらいたいと思います。必ずこれは問題になると思うのです。そういう商法上の会社法人に対しても、かりにそういう形で行く場合、農地法は同一の取扱いを、法律は一視同仁でなければならないという立場から、持っていくということになりますと、これはどのようにしてももぐればもぐれるんだと今あなたはいやに簡単に言っておられますが、そういうものじゃないですよ。もぐりやすい条件がそのものには頭からついておるわけです。ですから、農地取得の最高ですね、これも緩和していかなければならぬ。これは問題になりますね。どの程度が一番いいかということはなかなか検討を要するでしょう。あるところに線を引いた場合に、私どもは、共同化法人の場合は少くとも近代的な経営になり得る一定の規模というものはおのずからあると思うのです。ただ単に過渡的な段階として、一戸なり、あるいは二人以上という形で一個の法人成りを暫定的に認めるとしても、われわれの考え方、この問題が起きてそして発展してきた今の方向とは違うわけですから、やはり一つの限界が示されなければならぬと思うのです。これはもう当然だと思うのです。それが、かりに今十町歩なら十町歩、三十町歩なら三十町歩というふうに一つの最高の限界線が明らかになっても、その範囲内においては、商事会社たろうと共同化法人であろうと、やはり法から受ける立場というものは、制限を加えれば同じだというわけには私は本質上ならぬのではないかと思うのです。それが問題だと思うのです。そこに、私は、経済局の考え方は、経営と直接つながっている問題だけに、もっと掘り下げて、もっと真剣、慎重な御検討を願わなければならぬ点があるのだと思うのです。制限を加えればこれは何でもない、他の場合でも、どんな共同化法人を特別立法しても、もぐればもぐれるんだというような少し甘い考え方に立って進んでいくことは、自作農主義の拡大なり、あるいは新しい形における結合という精神とはいささか違ってくるものになると思うのです。そこに私どもは会社法人問題に対しては非常な疑念を持っておるわけなのです。 長くなりますから一応結論的に申し上げますと、もっとこまかい問題は別として、一つの共同化法人でいくのか、あるいは会社法人でいくのかというその根本問題、新しい組織の性格というものをもっと煮詰めて、そうして少くとも一致した見解を出されなければならぬ。一戸一法人でいくか、あるいは数戸でいくかということはその次の問題であって、まずこの問題に対してきちんとした方向が出されていけば、おのずから問題は今後解決してスムーズにいくと思います。——困難はありますが。 で、この次の機会には、委員長にも御了解を願って、本委員会において大臣にもこの基本問題である新しい法人の性格についてただしていきたい。そうしていかないと、通常国会にはとうてい間に合わぬ。せっかくここまで大きな機運が盛り上ったものが、与党の内部にも死去された不幸な人たちもありますし、休会になりますといろいろほかの理由で停頓しておりますが、これはこのようなことで停頓さすべきものではない。今のような平行線で当らずさわらずで技術的な問題のみにとらわれておりますと、これはとても結論は得られない。でありますので、その点については、もっと経済局も本格的に熱意を持って、そうして共同化法人の線をやはり農協法上との関係において検討されまして、農地局は今度は農地法上との関連において専門的に検討する、そうして両者が一つのまとまった路線についての大体の腹をきめる、そうして農林省自体の一つの方針をまとめられたいと思います。次会はいつごろになりますか知りませんが、来月の大体十日前後と想像しておりますが、それまでにはぜひこの問題について両者の意見を正しく調整されまして、そうして農林省としても局・部によって考えがまちまちだというようなことのないように進んでもらいたい。われわれも農業団体内部における意見の相違というようなものについても仄聞はしておりますが、これはまだ正式な団体の意見ではないようでもありますし、また、考えようによっては、ある団体は経済局関係の考え方につながるではないか、ある団体は農地局関係につながるような思想と考え方があるんではないかというような疑いを持てば持てないことはありませんが、そういうふうに邪推などはいたしません。よく農業団体にも問題の重大性を考えてもらって、少くともこの問題については意見の一致を民間団体にあってもせしめるように極力われわれ小委員会としても取り上げて、団体を呼んで、そうしてさらに公式でも非公式でもけっこうですから、その調整にも乗り出していくというふうにして問題の解決を促進していきたいと思います。委員長においても、農業団体内部における意見の相違点というようなものをもっとよく検討いたしまして、また適当な機会にそういう機会を委員長において取り計らっていただきたい、かように思いますので、よろしくお願いをいたします。 この程度にして私の質問を終ります。
○高石小委員長 ただいまの足鹿委員の御発言につきましては、吉川委員長とも十分相談いたしまして善処いたしたいと思います。 芳賀貢君。
○芳賀小委員 足鹿委員と政府委員との質疑の中で、農地局と経済局の見解の差というものが相当あるように見られるのです。第一点は、庄野さんのお話は、農地法の一つの原則であるいわゆる自作農主義の発展の中から農業浜人という問題を取り上げておられるわけです。現在の自作農主義というものは、あらゆる角度から壁に突き当っているということは否定できないと思うのです。ですから、その壁を突き破ってこの自作農主義をさらに発展させるということになれば、当然これは共同化方式以外にないということになると思うのです。ですから、自作農主義というものは、これは庄野さんも言われた通り、あくまでも企業としての資本優位の営利追求の農業というのは日本農業の中においてはほとんど成り立たぬと思うのです。従って、その場合には、やはり自作農主義というものは耕作農民に労働の成果を正当に享受させ、それをさらに高度化させるというところに自作農主義の一つの基本があると考えるわけですが、そういうことになると、おのずから共同化の方式とか性格というものは大体規定づけることができると思うのです。ですから、個人を主体にした、個人である農民の自作農の形をさらに発展させて、いわゆる共同化された農民に人格を与えて、そしてこれが自作農の発展として農業の経営に当るというようなことに当然これはなるべきだと思いますが、今まで庄野部長が述べられた考えは、そういうことを一つの基本として構想を進めておられるように思うのですが、間違いないでしょうか。
○庄野説明員 大体御質問の通りと思います。今の農地法の自作農の観念というのは、結局、農地の所有と、経営と、それから耕作というものの一致をさして、そして働く農民に労働の成果が正当に享受できるように、その形が今の自作農主義というものとわれわれは理解しておりますが、それが現行農地法では一つの個人なりを中心にした考え方になっておるのを、さらに最近におきまする農業技術の発展とかいろんな面からこれを再検討し、また新しい形として法人問題が出てきたわけでございます。そういう面からも、そういった農地法の精神を生かしていく場合にどういう農業法人の形がいいかということになってきますと、さっき申しましたような、いわゆる資本優位では、労働の成果が資本に収奪されていく可能性が非常に多いというようなことも考え、あるいは資本家と労働者というような立場にそれがなってもいけないというようなことから、やはり配当制限をやる、あるいは出資についても、出資口数に応ずる議決権ではなしに、組合員数に応ずる組合員の議決権によって法人を運営するとか、いろんな性格を付与した場合に初めて自作農主義の発展なりあるいは自作農の発展的な形態、こう言えるのではないかというようにわれわれは理解して、農地法の根本原則を守るようにという当委員会の議決もよく尊重いたしまして考えている次第でございます。
○芳賀小委員 そうなると、結局、現在の農地法上に、今までは農民個人の農地法上の権利というものが約束されておったが、しかし、それが今度はさらに発展して、共同化された法人が人格を持って農地法上の諸権利を行使できる、そういうようにさせるために当然共同化という問題が取り上げられてきておる、個人と同じように法人に対しても現在の農地法上の諸権利を与えなければいけないということになると思うのですが、どうですか。
○庄野説明員 大体、自作農が結合してやっていく場合は、自作農たる個人の共同化といいますか、一つの団体を作ってやる、こういうような形になるわけでございます。われわれといたしましても、やはり二戸以上の共同化の方向といったようなものを本来の問題として考えなくちゃならぬとこう思っておりますが、可能性は持っておっても、現状はそこまでいくのにはまだ非常に問題があるように思います。われわれといたしましては、将来の方向としては二戸以上の共同化という方向を目ざしながら、やはり過渡的な段階としては一農家一法人という形態もやはり農家の中においては共同的な形でございますので、そういう面にも道を開きながら、二戸以上の共同化という方向に経営がいくように道を開いていく、こういうような考え方で検討いたしておりますが、それに対しまして、必要な限度における経営が成り立つように、どこまで農地法上の権利主体になり得るか、そういう点はただいま検討しているわけであります。その限界というものは非常に問題だと思います。
○芳賀小委員 権利上の問題は今後いろいろな角度から検討する必要があるとしても、原則的には、結局、自作農家の共同の結合体がいわゆる法人化されて、それが農地法上の権利を享受できる、こういう方向に当然いくためのいろいろな作業をしてもらわなければならぬと思います。従って、その場合、一戸の法人から出発するか、二戸以上の経営体が参加して共同化されて、そうして自作農の発展の方向へいくかということは、これは非常に問題があると思うのです。一戸から始まっていっても完全に社会化されればこれは問題はないということは、僕は理論上成り立たぬと思う。現在の一戸単位の経営というものは今の姿なんです。そのままでこれが法人として認められてこれが共同化の出発点になるということになると、これは非常に問題があると思うのです。少くとも二戸以上の経営体がそれに参加をする。そうして、それが基本になって、労働力を持ったいわゆる法律上規定された農民がこれに参加していく。ですから、経営体に農民が参加した形にならぬと共同化で農業を営むということにはなかなかならないのではないかと思いますが、その辺はどうですか。
○庄野説明員 共同化という概念の仕方でございますけれども、やはり、本来の共同化といえば、二戸以上の農家が、経営を共同にするとか、作業を共同にするとか、あるいは施設を共同にする、そういったような形のものが形式的に把握される、こう思っております。が、そういう方向に、われわれとしても、従来からも、やはり施設共同なりあるいは作業共同化であるとかいうような形で奨励もされ、また推進もされてきたわけでございますが、これに、経営を共同化する場合に農地法上のいろいろな権利主体を認める、こういうことになろうかと思って、それを検討しておるわけでありますが、必ずしも一農家一法人を排除する必要はないんじゃないか、やっぱりそれを認めていいんじゃないか、こういうふうに考えております。
○芳賀小委員 その点は大事な点です。一農家一法人から出発するか——二戸以上の経営体が参加した法人が原則であって、しかし一家一法人も過渡的に例外的に認めざるを得ないとか、そういう段階はあるとしても、とにかく、一家一法人から出発するのだということと、二戸以上で出発するのだという点の差というものは、今後の法人化を進める場合にも非常に大きな争点になるのじゃないかと私は考えるのですが、そういう心配はないですか。
○庄野説明員 考え方の問題かと思いますが、共同化という概念の仕方もさっき申しましたような考えでおりますけれども、やはり本来は二戸以上の農家の経営共同というような形が一つ考えられるわけであります。現実の問題としては、一農家一法人の要望があり、農村ではそういう利点もある、こういうことになっておりますので、一農家一法人を排除する理由はないのじゃないか、やはりこれも認められるようにした方がいいのじゃないかという考え方で私は検討しておるわけであります。
○芳賀小委員 これは農業経営上からもやはり検討しなければならぬ問題ですが、農業経営から見た場合、現在の家族単位でやっておる経営が法人格を認められたという場合に、農業生産上にどのくらいの成果があがってくるのですか。
○庄野説明員 経営の内部において、生産量とかそういう面よりは、むしろ経営における内部の合理化の問題、たとえば家計と経営を分離していく、こういった面において一農家一法人というものも相当の利点があるんじゃないか、そういう面から一農家一法人の道も開いていいのじゃないか、こういうふうに考えております。
○芳賀小委員 生産力の発展の上にそう大きな相違が出てくるのですか。家計と経営を分離するということは、税金上の問題等から言えば明確になるし、また、そういう一家経営の中における農業というものがどういうものであるかということを十分分析するためには、農業というものは企業としては全然利潤があがらぬ、自家労働に対しても全く寡小な報酬しか享受できないのだということは内容的にわかるわけですが、しかし、農業生産の発展に、今のままの一家経営で法人でない経営をやっておる場合と、それが法人になったというだけの差でそれほど生産上における大きな差異というものはあまり期待できないのじゃないですか。少くとも二戸とか三戸とか五戸とか、そういう経営体が拡大されて、そうして近代化され合理化されるという中において生産力の発展というものは期待できるが、この点はやはり軽視できないと思う。農業経営上から見た一家一法人を出発点にするか、あるいはやはり少くとも二戸以上を出発点にするかという、この考え方ですが……。
○庄野説明員 一農家一法人についてはいろいろ論議もあろうかと思いますが、われわれといたしましては、先ほど申しましたように、一農家一法人も一つの共同体というような考え方で、しかも、経営と家計を分離する、あるいは家族労働の評価がこれによって非常に正当に評価しやすくなるといったような問題、いろいろな経営内部における合理化の問題に非常に役立つのじゃないか、そういう面からする生産力の発展というものは、やはり、経営内部が健全化し、合理化し、そうして資一本の蓄積なりあるいはその面からする信用力がついてくればやはり生産力に寄与する、こういうふうな考え方を持っているわけであります。これを出発点とするか、あるいは二戸以上を出発点にするか、これは考え方でございますが、本来はやはり二戸以上が共同化するというのが方向だと思いますが、一農家でも、今申しましたような生産力の面に対する経営の面からする利点はあるわけであります。それを否定し去る必要はない、やはりこれも認める必要はあろう、そういう考え方を持っております。
○芳賀小委員 くどいようですが、今の日本の自作農家の考え方は、安易にこういう共同化が法制化されたらすぐ共同化の方向に大勢がいくかというと、決してそうではないのですよ。ただ、当面した問題は、これはいわゆる税の軽減の面からやはり法人化という問題が取り上げられてきておるのですよ。ですから、一家一法人だけにこれを限って考えた場合、むしろ、農業法人よりも、税法上の配慮によって、たとえば白色申告に対しても農業の専従者控除を青色申告と同様に認めるということが一つ取り上げられても、これが実行に移された場合においても一家一法人に対する農民の意欲とか熱意とかいうものはもうほとんど減殺されてしまうのです。ですから、税法上の青色申告と白色申告の差別的な取扱いというものはこれを青色と同じようにする、専従者控除を認めるというような事態が実行されて、それによって一応税金対策上農家は安心するでしょう。そういうものを差し引いた残りの一家一法人に対する意欲とか熱意というものはどの程度あるかということも判断してみる必要があるのじゃないですか。その辺は今までどういうように検討されていますか。
○庄野説明員 今のいわゆる農業法人化の問題は、御指摘のように、税金問題から起ったことは間違いございません。いわゆる法人形態による法人課税を受けて税の合理化を受ける、そういうような発端で農業法人問題が起っておることは御指摘の通りでございます。また、そういう税金の合理化がもしできますと、——これは非常に困難な問題も含んでおるようでございますが、税の適正化なり合理化ができますれば、その面からする今のいわゆる法人化の一部の面は解決できるかと存じます。しかし、発端は税の問題から発端しておりますけれども、ずっと私たち一昨年の暮れからこの問題にタッチしております経過を見てみますと、やはり、税から起って、現在においてはむしろ農業経営の合理化なりあるいは自作農の発展的な形に持っていこう、こういった問題にこの問題が発展してきておる。そういう段階において、やはり、一家一法人それ自体にも、税金の面と、それから解決できない経営の合理化なりあるいは自家労働の正当評価の一つの形をとりやすい、そういういろいろな利点があるわけでありまして、そういう点からも、一農家一法人の声は農村の中にやはり強い要望となって現われておる。そういうふうにわれわれは把握しておるわけであります。それをどういう方向に持っていくかということについては、やはり、自作農の発展の段階から言えば、二戸以上の共同化という点が方向かもしれませんが、現状ではなかなかそこまでいかない。やはり、一農家一法人という過渡的な形態といいますか、道を開いて、一農家一法人の形、あるいは数農家法人の一つの面といったような考え方もされるのじゃないか。持っていき方は、やはり、将来としては数農家の共同経営というのが共同化の方向とわれわれは考えておるわけであります。その一つのステップとして一農家一法人にも道を開いていくのがむしろ将来の多数農家共同への一つの近寄りやすい道ではないか、こういうふうに理解しております。
○芳賀小委員 それは見解ですから一応聞いておきますが、一家一法人にあまり重点を置き過ぎると、むしろ本来の自作農主義の発展べのいわゆる共同化というものが停頓足踏みしてしまって伸びないといった危険が多分にありますよ。ですから、そういう点を十分注意してやらぬと、農民の態勢は必ずしも共同化でなければならぬというところまでまだ指向されていないわけです。だから、やはり、そこまで高めていくというためには、一家一法人でいいんだということになるとなかなか飛躍ができないんですよ。日本における自作農の心理というものを十分に考えた場合においては、やはり、少しぐらい無理があっても、共同化とか法人化というものはかくあらねばならぬというその要件を明らかに示して、そこから出発しなさいというように進めた方がいいのではないかと思うわけです。 それで、今度は酒折さんにお尋ねいたしますが、この点については足鹿委員からも数度質疑があったわけですが、どういうわけで商法の規定から出発した会社法人を作らなければならぬということですか。私たちが考えた場合は、これは、現在のたとえば農協の組織とか機構——協同組合が生まれたときから一番大事な生産事業がほとんど閑却されたような形で十何年の間農協というものが発展してきたわけですが、やはり、これは、協同組合主義の農業の発展の面から考えても、生産に対する協同組合の事業とか行為というものはどうなければならぬかということは経済局でも十分検討されておると思うのです。やはり、農業協同組合主義からの発展と自作農主義からの発展の接着点というものはあると思うのです。そういうことを考えた場合において、商法上のいわゆる会社法人を認めて、それを自作農や農地法との調整によって法人化を実現に移していくという考え方は現実的であるかもしれぬが、協同組合の組織形態の上から見た一つの発展としての生産共同体というものをどういうふうに理解しておられるのですか。
○酒折説明員 現在のわれわれの考え方は、商法上の法人ででもできるじゃないかというふうなことで、それでなければいけないと言っておるわけじゃございませんので、それででも十分にねらっておる目的は達せられるじゃないかということで会社案を出したわけであります。なお、正直に申しますと、今後の農業経営の経営主体として共同体なりそういった法人なりをどういう格好で認め、どうあるべきかということにつきましては、なおいろいろな問題について検討しなければならぬと思うのです。そういう意味で、積極的にこうあるべきだということを農林省として出せる段階ではないし、また早急にこれを出すわけにもいかない問題である、そう考えまして、現段階においては、まず会社として、あるいは有限会社でもいいし、あるいは合資会社、合名会社のような格好でも、いろいろな格好でやれるようにしておく、そして、漸次実態の推移を見ながら、ある程度検討を進めた段階で、最終的に必要ならば新しい法人を作ることも考えておそくはないのじゃないか、そういうふうな考えで一応やっておる次第であります。
○芳賀小委員 これは、組合方式いわゆる共同化方式で今後農業生産の発展をはかるということになれば、そこに、いわゆる会社法人というようなもの、商事会社的なものが現われて何か中断されるような面も出てくる。これは多分に農業会議所の考え方なんかがあなたの方に反映しておるのかもしれぬが、やはり、組合方式にやるべきであるという庄野さんの考え方の方が、比較論になるかもしれぬが一応筋が通っているのではないかと私たちは判断するわけなんです。ですから、もう少し組合の組織体系の上から見た生産の共同活動というものがこの法人化と結びついて取り上げられてもいいのではないかと思うのです。昔の農事組合のようなものを私たちは考えているわけではないが、最初から組合の経営というものがほとんど流通面を重点にして今まで行われてきて、一番その基本になる農業生産面に対する組合活動というものは、非常に低調というか、取り上げられておらないので、もう少しそれを重視して取り上げられてくれば、これは当然組合本来の性格から見ても共同化に発展していかなければならぬ、共同体というものが地域において一つの経営上の単位となって行われなければいけないということになってくるし、そういう点に対しては、農村においても若い諸君なんかは非常に意欲的に考えている。しかし、そういう場合の組合方式による共同生産活動ということになると、これは非常に段階があるのです。初歩的な段階から高級的な段階に至るまでいろいろな段階があるからして、これは非常に幅のある性格の法人というものを考えなければならぬのですが、現在においては特に農地法との関連のもとにおける法人化ということが中心になっておるので、その点が少しピントの合わぬ点があるかもしれぬが、この際、やはり、酒折さんの方でも、農協の組織体系の上から見た法人化というものをもう一段掘り下げて、農地局との間における作業を進めていったらどうかというふうに考えておるのですが、いかがでしょうか。
○酒折説明員 御意見の通り、農業協同組合と法人との関係をどう処理するかということにつきましては、なおわれわれも将来検討しなければならぬと考えております。ただ、現在の段階では、現在の農協法というものは大体流通面の業務をやるというふうな前提でいろいろな規定ができているわけです。完全な生産共同体的なものを農協法のワク内で作るとすれば、現在と非常に性格の違った規定を置かなければならぬということになります。これは今後の問題として検討したいということで、さしあたりの問題といたしましては、法人といえども、やはり一個の経営体であるという点において、個人と同様に協同組合の組合員になればいいじゃないか。もちろん、法人という性格上、準組合員ということでいいのかもしれぬが、組合員となれば今のままで処理できるのではないかというふうなことで考えていきたいと思っております。
○芳賀小委員 その点は、庄野さんの方は、自作農主義の発展として個人のいわゆる小農家が共同化することによって農業の経営をやる、しかし、その場合においても、これは営利会社ではなくて、あくまでも共同化したことによって生産性を高めて農民の労働の成果を正当に受け取るのだという考え方に立っているわけです。商法上の商事会社というようなことになると、受け取る方も、やはり、資本優位の、何か農業が企業として完全に成り立つのだというような間違った考えを農民に植え付けるようなことにも当然なると思うのです。もう一つは、将来農業法人ができて、一つの村の中あるいは農協の地域内に数個、数十個の法人が生まれて農業経営をやるということになると、今度はそれと協同組合との結びつきというものを当然考えなければならぬと思うのです。単に零細な二戸とか三戸の経営の共同化というものが行われても、それだけで生産の共同化が十分だということにはならぬと思う。やはり、村単位とか農業協同組合単位における生産の共同化事業というものは、そこにも要求されてくると思う。生産と流通面との結合というものを当然無視することができぬし、当然、これは、どのような性格の農業法人が生まれても、協同組合との結合というものは大きな要素になっていくわけですから、そういうことが見通しとして持たれる場合においては、末端の生産共同体もやはり農協組織の体系に十分融合できるような最初からの性格を持った共同体が生まれることが一番望ましいと思いますし、また、そうなければならぬと思うわけです。ですから、そういう意味から言うと、商法上の商事会社でもやれるのだということでなくて、やはり、全体の体系上から見た農業全体の生産とか流通の行為の中における一つの生産の単位としての共同化というものを取り上げた場合においては、そこまで高度なものを設定して出発したらいいじゃないかというふうに考えるわけなんです。どうですか、そういうことで進めるように……。
○酒折説明員 最初から申し上げましたように、決してわれわれはこの案に対しまして固執しようという考えでやっておるわけではございません。各方面の意見を聞いた上で、できるだけ早く結論を得たいと思います。ただ、一点申し上げたいことは、今後共同経営の形態というものはどうあるべきかにつきましてはなおいろいろ検討を要する現段階においては、ある程度融通性のある配慮で処して、事態の推移を見た上でさらにいろいろ考えていいのじゃないかというふうな基本的な考え方を持っております。
○芳賀小委員 きょうはこの程度にして、次回の委員会にまた政府当局の作業の進展を見て御質問を申し上げたいと思います。
○高石小委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後零時二十三分散会