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32回国会衆議院1959/10/02

農林水産委員会 第15号

発言数
202
登壇者
21
会派数
2
開催日
1959/10/02

会議録

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 これより会議を開きます。  理事の辞任並びに補欠選任の件につきましてお諮りいたします。すなわち、理事の野原正勝君より辞任いたしたき旨の申し出があります。これを許可することとし、その補欠選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。以上について御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認めて、さよう決定いたします。よって、理事に秋山利恭君を指名いたします。     ―――――――――――――

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件につきましてお諮りいたします。すなわち、先般の台風第十五号による農林漁業災害に対し、現地に委員を派遣してその実情を調査いたしたいと存じます。つきましては、派遣委員、派遣地等の決定については委員長に御一任願い、議長に対し委員派遣の承認申請を行いたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認めて、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 昭和三十四年産カンショ、バレイショ及び澱粉等の価格問題につきまして政府より発言を求められております。この際発言を許します。小枝政務次官。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 この際、発言のお許しをいただきましたので、昨日来当委員会において御決議をなさいましたカンショ、澱粉、なま切りぼし等の問題につきまして簡単に御報告をさせていただきたいと思います。  この問題につきましては、農業政策の上から、また農民所得の問題等からいろいろ配慮をせられまして、委員各位は常にこの問題について十分な検討を重ねられ、数次にわたって重大なる御決議をせられたのでございます。私どもは、この価格の問題、期日の問題等についての昨日の強力なる皆さんの御決議を体しまして、部内の調整をはかり、なお財政当局とも種々懇談をいたしまして、なお災害の結果減産いたしましたところの数量等いろいろな問題から考慮いたしまして、御決議の御趣旨に沿って最小限度ではございますが、前年度通りその価格を据え置くことに決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手)     ―――――――――――――

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 農林水産業の振興に関する件につきまして調査を進めます。  沖縄海域の禁漁区拡大の問題並びに佐世保港外の漁業被害の問題につきまして質疑の通告があります。この際これを許します。  赤路友藏君。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 まず、質問に入ります前に政府当局の方から説明を求めたいと思いますが、去る八月十七日那覇の方から放送されまして枕崎無電局の方で傍受いたしました米軍の演習場の設定の問題であります。永久危険区域として漁船の漁撈及び船の航行を禁止するがごとき放送がなされたということでありますが、この経緯について一応政府の方の御説明を願いたいと思います。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 沖縄周辺の海域におきまするアメリカ軍の演習の区域の問題につきましての経過を御報告申し上げます。沖縄周辺の海域におきまするアメリカ軍の演習区域は、昭和二十六年八月四日以来約四回の水路部の航路告示によって公示されておるものでありますが、最後の水路部の告示は、昭和三十三年十二月二十七日付の航路告示第五二号でございました。この告示の内容によりますと、黄尾嶼、赤尾嶼付近の沿岸に近接いたしました小区域の漁業が不可能な程度でありまして、その他の公海上におきます海域では操業が可能であったというふうに考えられます。ただいま歩路委員御指摘のように、本年の八月十七日に那覇無線局からの放送を鹿児島県の枕崎漁業用海岸局で傍受したところによりますと、公海上に設定していた危険区域におきまして船舶の航行及び漁撈を禁止するという趣旨のものであったようであります。そこで、この問題につきましては、カツオ、マグロの漁業者は相当の割合をこの放送された海域に依存しておりますので、この漁場が使用できなくなりますと大へんに困るという趣旨の連絡並びに陳情が当庁にあったものでございます。  この告示されております演習区域をざっと申し上げますと、これは重複しておりますので勘定の仕方で若干数も違ってくると思いますが、一応十三区域ほどございまして、第一は沖縄島残波岬近傍でございます。二番目は沖縄島南方区域でございまして、海面は、大体北緯二十四度五十分から二十五度三十五分、東経が百二十七度二十五分から五十三分に至る区域でございます。それから、三番目は沖縄島東北東方でございまして、この海域は、北緯二十六度三十七分から五十分、それから東経が百二十八度三十分から百三十度に至る近傍の海域でございます。第四番目は、出砂島でございまして、沿岸に近接した海面でございます。五番目のところは沖縄島西方でございまして、その区域は、北緯二十六度四十五分近傍、それから東経が百二十七度五分から二十一分に至るところの区域でございます。それから、六番目が沖縄島東岸でございまして、沿岸に近接した区域でございます。七番目が沖縄島東南東方でございまして、大体の位置は、北緯二十四度三十分から二十五度三十六分の間、東経は百二十八度五十分から百三十一度に至る区域でございます。次は沖縄島南東方の区域でありまして、北緯が二十四度から二十五度二十一分、東経が百三十度三十分から百三十三度に至る区域でございます。それから、以上の八区域のほかに、伊江島、鳥島、赤尾嶼、黄尾嶼、沖大東島が指定されております。  予想される損害の程度でございますが、まだ確認しておりませんが、漁業者の持って参りました数字によりますと、鹿児島県におきまするカツオ、マグロ関係者の漁場としては依存度が約六割程度であり、なお、問題は、カツオ、マグロだけではなくて、サバも相当の損害があろうということが言われております。ここで指摘された数字は、約二万ドン、十六億程度ではないかというふうに言って参っておりますが、なお、この点につきましては、県御当局並びに関係の団体にこの程度を照会中であり、調査を依頼中でございます。  水産庁といたしましては、枕崎の漁業用無線局が傍受した、ただいま申し上げました区域の問題と、どのような内容の放送をしたかということについて、県御当局に調査を依頼するとともに、これがもし真実であるとすると、漁業上相当な問題があろうかと思いますので、外務省に対しましても、真相の御調査の問題と、もし真実の場合には公海における漁業者の活動を制限することのないよう善処方を外務省に依頼中でございます。  以上が今日までの経過の概要でございます。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今は水産庁の方から説明を受けたわけでありますが、海上保安庁の水路部の方で昭和二十六年八月四日以降四回にわたってこのことを告示しております。最終は昭和三十三年十二月二十七日である、こういうことでありますが、単に一片の告示ということでなくして、業界に対して何らかの指示を与えたかどうか、この点を御答弁願いたい。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 この告示の内容を見ますと、約十三区域があったわけですが、この中に公海におきまして漁船または一般船舶に対しまして何の制限もないという区域も若干ありますが、中には、一例を申し上げますと、沖縄島西方では漁船または一般船舶は危険であるというような御趣旨の発表がなされております。しかしながら、水産庁といたしましては、公海におきます漁船の活動につきましては、ことに日本の漁船の活動につきましては、条約その他による以外に何ら制限さるべき理由はないという考え方のもとに、漁業者に対してこういった区域について特に漁業の活動を制限せよという趣旨の指導をしたことはございません。従いまして、この点につきましては、特に漁業者に対してこの海域に近寄らないようにというような趣旨の指導はいまだいたしておりません。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今の御答弁でいきますと、公海における漁業は、国際慣例から言っても、一般原則から言っても、自由である、従って拘束を受ける立場ではない、従って漁業者に対しては何ら指示はしていない、こういうことだと思うのです。そうすると、どういう理由でこれを告示したのですか。

林原一郎林原株式会社社長

○林説明員 海上保安庁におきましては、船舶交通の安全のために必要な事項の通報をいたすことになっておりますので、それに基きまして、水路部におきまして情報を得まするならばこれを公示いたしまして注意を喚起するということをいたしております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今の長官の御答弁は非常に簡単なんですが、一応、安全航海なりあるいは操業の安全を確保するために、そういうような放送なり何なりがあった場合これを告示したのだ、こういうことだと思うのです。その告示をされたときに、少くとも海を扱っておる官庁なれば、これは相当重要な問題であるということはお考えのはずなんです。であればこそ告示されたのだと思うのです。それを外務省なり水産庁なりに連絡をとりましたか。

林原一郎林原株式会社社長

○林説明員 今までに告示いたしました事項につきましては、私どもは、総理府にございますいわゆる特別地域連絡局といいますか、もと外務省にございました南方連絡事務局でございますか、そちらから連絡を受けまして、その連絡により告示をいたしております。その他の役所に対する連絡は、そちらからとられるならばとられておるはずだと思います。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 総理府の方の連絡官はおいでになっておりますね。――では、今の御答弁について何かあなたの方で言われることはありますか。あなたの方は、海上保安庁だいけにこのことを通告して、外務省なり、関係の最も深い水産庁なり、あるいは輸省に対して何らこれの通告をしなかった。

石井通則総理府事務官(特別地域連絡局長)

○石井説明員 沖縄の射撃訓練の区域につきましては、私どもの事務局ができる前からあったわけでございまして、従来、昭和二十年の七月の二十二日に、いろいろの方面から――海上保安庁だったと思いますが、米軍の実弾射撃演習の実情を電話で照会がありましたので、即日、那覇の連絡事務所の所長に、電報をもって報告方を指示いたしたのでございます。那覇の連絡事務所長からの報告では、沖縄近海における米軍の射撃演習は年中行事であるが、アメリカの民政府はそのつど書面をもって琉球政府に予告を発し、琉球政府はこれを新聞に発表するとともにラジオ放送を行うということになっておりましたが、本土側への通告につきましては、アメリカの民政府は琉球政府あてに通告いたしました写しを那覇連絡事務所に送付して参りまして、事務所は、鹿児島の海上保安本部長及び鹿児島県の水産部長あてに通告をいたしておったわけでございます。  なお、昭和三十年の十二月五日に、海上保安庁の水路部長から当時水路部で持っておられました資料に基く航路告示が米軍の沖縄近海における演習の実情に合致しているかどうかということの検討を要望せられましたので、その地図を添付いたしまして沖縄の方に実情照会をやったのでございます。その結果、昭和三十一年の二月十三日に那覇の事務所長から本局の方に報告が参りましたので、それを直ちに海上保安庁の水路部長あてにお知らせ申し上げたような次第でございます。  なお、その後、最近に至りまして――最近と申しましても昨年でございますが、昨年の四月ごろに、名瀬の海上保安本部長から那覇の南方連絡事務所長あてに、米軍の演習区域は沖縄の無線で一般船舶向けに放送している訓練区域とは相当異なっておる模様だから調査願いたいという依頼がございました。それにつきましても、那覇の事務所は、鹿児島の水産部長、名瀬の海上保安部長、それから第七管区海上保安本部長へも通知いたしまして、本局へも知らせて参りましたので、海上保安庁の水路部長あてに報告をいたしたのであります。なお、その後も、いろいろ、実際の演習の区域等につきまして、従来のものよりも若干変っておるというような点もあったようでございまして、海上保安庁からの調査依頼によりまして、私どもは那覇の事務所長を通じて米民政府側の方から調査をいたしまして、その回答を海上保安庁の水路部長あてに知らせたのであります。  最近までの告示の基礎となっておるものは、おそらく昭和三十三年十二月三日に特別地域連絡局から海上保安庁の水路部にあてた詳細の資料がその基礎になったのではないかと思っております。私どもの方におきましては、鹿児島の方から、あるいは中央の海上保安庁からの御要求によりまして、その方にお知らせをしたというような状況でございます。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 それでは、海上保安庁の方とそれから鹿児島の水路部長あてには出した、こういうことですか。外務省へは何も言わなかったのですか。外務省へ通知をしましたか。

石井通則総理府事務官(特別地域連絡局長)

○石井説明員 外務省には通知いたしておりません。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 あなたの方は特別地域連絡関係ですね。

石井通則総理府事務官(特別地域連絡局長)

○石井説明員 はい、そうです。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 告示された内容、たとえば三十一年の二月十七日、三十三年四月三十日、これは了解なされたというのですね。この今度の――おそらく今までの説明を聞きますと前からもそうだと思うのでありますが、そうすると二十七度以北が入っておることを御承知でしょうね。

石井通則総理府事務官(特別地域連絡局長)

○石井説明員 知っております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 二十七度以北が入っておるとすると、これは問題になると思う。日本の境界は二十七度が境界になっておると思う。これは当然外務省に連絡をして外務省の意見等を聞くという措置をとるべきじゃないですか。それはどうです。

石井通則総理府事務官(特別地域連絡局長)

○石井説明員 この地域はずっと前からやっているものでございまして、私どもの方に移りましてから、従来あまり関係省で問題ありませんので、御要求のあったところだけにお知らせしておったような事情でございます。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 それは官庁としてとるべき措置じゃないと思う。二十七度以北が日本に返還された日時ははっきりしておる。それ以降において発生した問題、あるいは以前からつながっておっても、それ以降においてしかも問題化してくれば、当然外務省と連絡をして、外務省の意見を聞く、外務省はまた十分検討をしてこのことを米側に交渉するとかなんとか、そこに一つの思いをいたさぬということは、どうも私は官庁として業務に対して怠慢だと思う。当然やらなければならぬと思う。このことはこれ以上申し上げませんが、今までの水産庁の方の答弁、あなたの方の答弁、あるいは海上保安庁の方の答弁を聞いても、ばらばらですよ。こういうような重要な問題について何ら内部的な連絡がない。これが今日こういうような問題をかもす大きな原因だと私は思う。これはもう怠慢であるとしか私は解釈できません。これはこれからもあることですから十分御注意を願わなければならぬと思う。  それから、外務省の方へお尋ねをしたいと思いますが、大体今言うような経緯なんですね。そういたしますと、一九五八年に国連会議で協定された公海に対する条約第二には、航行の自由と漁業の自由ということが明記されておる。だから、国連で協定されました海洋法上からいきましても、国際法の一般原則からいきましても、これは違法だと思いますが、外務省ではどういう見解をお持ちになっているか、伺いたい。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 私の方は、この問題につきましては、きわめて最近に連絡を受けましたので、国内関係官庁から資料を取り寄せまして目下検討いたしております。なお、アメリカ大使館とも連絡をいたしまして、アメリカ大使館の方からは沖縄の現地の資料を授与してもらうようにいたしております。まだ事実がはっきりいたしませんので、目下事実を調査中というのが現状でございますが、原則論といたしましては、おっしゃる通りに、航行の自由とか漁業の自由というものは国際法上認められております。ただし、同時にまた公海において演習をするということも国際慣習としてこれも認められております。これが従来のように競合しなくて問題が起きなければこのままでもいいのではないかと考えますが、今度どの程度強化されたか、強化されたといたしましたならば、それがわが方の航行の自由とかあるいは漁業の面におきましてどういう影響があるかというところを見ました上でまた折衝いたしたい、こう考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今の外務省の方の御答弁によりますと、この問題はきわめて最近に連絡を受けたという。こういう重大な問題を外務省がきわめて最近に連絡を受けたということは、もってのほかだと思う。  それはおきまして、原則論としては私の言う通りだ、しかしながらまだその内容に至ってははっきりつかめない、こういうことなんですね。それで、第一回の今度の傍受を受けましたのは八月の十七日。きょうは十月の二日です。相当な日数を経ているわけです。しかも二十一回にわたって放送を傍受しておる。この間関係官庁は一体何をしておったか。これはきのうやおとといではない。八月の十七日にすでに傍受して、そのことが問題になって現地で騒ぎ始めておる。まだ真相がわかりません、今取調べ中です、――一体いつまでかかるつもりなのか。そんなばかげた話がありますか。関係漁民の立場に立って考えてごらんなさい。万一事故が起ったらどうします。だれが一体責任を負うのか。怠慢もはなはだしいと言わなければならぬ。しかも、今までの四回にわたった告示とは内容が違ってきておる。海上保安庁が最終に出したという三十三年十二月二十七日の告示の内容と、今度二十一回にわたって傍受されたという内容とでは内容の言葉に違い方がある。告示五十二号では永久危険区域という文字はない。ところが、十八日の傍受には、冒頭に、永久危険区域として禁止するという点が明記されておる。もちろん、このことは、ただいま真相を調査中ですと言えばそれまでですが、かりにも公海において演習をするということが慣例上あったといたしましても、永久に禁止するということが果して国際法上正しいかどうか、この点どう外務省はお考えになりますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 ただいまの永久という言葉は、大使館の方でもその点までは調査した結果わかったようでありまして、インディフィニットと申しますか、期限を切ってない演習、あと一カ月間やるとか一年間やるという意味でなくて、演習期間の終始、いつやめるというのがついていないという意味の永久、それをまあ日本語で永久と訳した、こういうふうに言っておりました。だから、この演習はいつ始めていつ終るという、終るところを明記していないという意味の永久だと申しております。今のところはそういうことです。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今の局長の答弁はおかしいのだね。永久ですからね。あしたやめようと思えばやめたっていいわけです。ところが、これから先何十年やったってこれは永久なんだ。そうすると、このものを解釈する場合、少くとも常識上、永久ということは、ずっと長き将来にわたってという意味なんですよ。日本語というのは大ていややこしいのだけれども、それを、ただ、いつやめるのかという期間のついてない永久だ、こんな解釈の仕方というものはありませんよ。局長はどういうふうにお考えになるかしれないけれども、私たちはそういうふうに考える。永久という意味は少くとも遠き将来にわたってという意味なんです。それをあんたがそんなような考え方じゃ、だめだよ実際。もっとはっきりした考え方を私は持っていただかなければいかぬと思うのです。  そこで、こういうことは何ぼ議論をしておったって一つも進みませんから、もう議論はやめます。やめるが、とにかく、いずれにいたしましても、こういう事態が巻き起っておるということは、これは重大な事態であると考えていただかなければならぬということ。そこで、外務省はこれに対してどういう手段をおとりになっておるか、この点をお聞かせ願いたい。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 今の永久という点につきましては、まあ永久と申しますのと期限がいつやめるということを言わぬのとは感じが多少違いますという点を私は申し上げたわけであります。  それから、今何をしておるか、どういう方針かという点につきましては、先ほども申し上げましたように、まず事実の調査ということが――今度の告示もはっきりいたさない点もあるようでございますので、その点をはっきりいたしまして、それが従来の告示とどう違うか、それが漁業にどう影響するかということをまず研究いたしまして、その上でこの両者が両立すればこれに越したことはないのであります。両立しないとなりますと、向うの演習が今度非常に強化されてこちらの漁業に影響があるということでもしあるといたしますれば、その演習のやり方を変えてもらうというような交渉をしなければならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 これから傍受したという内容をもっと調査をして、その上でこれを研究をして、大きな被害がある等々のことが判明するなればアメリカの方へ交渉を始める、こういう御答弁のように思います。そうすると、八月の十七日に傍受しましてからすでに一カ月余かかっておるわけなんですが、この問題がほぼ見通しがつくまでの間どの程度おかかりになるつもりなのか、この点一つ、何か見通しといいますか、わかりましたらお知らせを願いたい。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 最近一週間の間にもすでに三、四回アメリカ大使館の係官とは私の方の課長が相談いたしております。アメリカ大使館の方も、沖縄に電報を打っておりますし、ここの現地におきます海軍の司令官あたりとも、演習担当官とも相談しまして、東京でわかるだけの資料は目下集めておりますが、沖縄からいつ参りますか、非常に急がしております。できれば係官をこちらによこせとまでも言っておりますけれども、いつまでに解決するかということはわかりませんが、非常に急いでおることだけは事実であります。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 それは当然のことと思ます。外務省としても、ごく最近になってこういう問題にタッチされたのだが、事重大としてそれぞれ手を打たれておることを私は認めましょう。ただ問題は、しかしながら、のんべんだらりと言うと語弊があるかもしれませんが、いろいろ努力はされるが、なかなか話がうまく進展しない、交渉が長引く、こういうようなことも、相手のあることですから、あり得ると思う。大体の目安くらいはっきませんか。それも永久ですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 永久ということではおよそ違うと思いますが、ここ一週間とかあるいは十日とかいうふうなはっきりしたことは申し上げかねるので、今非常に急いでやっておりますから、もう少しお待ちを願いたいと思います。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 それで、その方は一つ十分急いでやっていただきたいと思います。  そこで、問題は、それではその間漁業者はどうしたらよいかということ。すでに、その警告と申しますか、危険区域であるからという放送をじゃんじゃんやられているのですね。まだ解決の方途は見えないわけなんですね。その間漁業者は一体どうしたらよろしいかということを、これを一つ政府の方からはっきり御答弁を願いたい。どうすればよろしいか。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 公海におきまする日本漁船の行動がこのような格好で制限されるとは思いたくございません。従いまして、この際漁業者に対してこの区域に行ってはならないという趣旨の通達を出す予定はございません。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 それはいいのだ。あなたは現地へ行かないのだからね。船に乗って魚をとりに行かないから、あなたはそれを言えるのだよ。行く人間の身になってごらんなさい。机の上でそんなことを言っているようなのんびりしたものじゃないんだよ。アメリカさんがどう言おうとも、公海なんだから、その中へ入っちゃいかぬ、操業しちゃならぬということは言いませんと、これはいいでしょう。ここでの答弁としてはいいでしょう。現地の者はそれでは解決つきませんよ。そうでしょう。ここで今のあなたの答弁に対して私はそれを認めましょう。それでは、公海であるから何と放送しておろうとも自由なんだ、行ってとれ、漁業はやれと言えば、行きますね。もしも事故が起ったときどうしますか。この責任はどこがとるか、これを一つ答弁して下さい。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 この区域が、水路部告示で漁業者も確認しておりますように、ある程度危険な状態にあるということは知らされておるわけでございます。しかしながら、今水産庁といたしまして、それだけの理由で、行ってはならないとか、こうしてはならないというようなことを言うべき段階ではないと思っております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 私は言えということを言っているのではないのです。これは、あなたの言う通り、公海における自由というものはあくまでも確保しなければならぬ。これは当然であります。だから、結局はそんなことはおかまいなしに出ていくということになるのです。出ていって事故が起ったときは一体どうなるかということが問題になる。現実の問題として起らなければけっこうですが、しかしながら、これだけの放送をやっている。そうすると、事故が起らないということは私は言い切れないと思う。それでは事故が起ったら一体どこがこの責任を持つか、どうしてくれるのか、こういうことになるわけです。もう私の方から何もかも言ってしまえば、米軍の方では、これは危険区域だ、航行もするな、漁撈もやるなということを言っているわけなんですが、そんなことを勝手に言ったっておれの方は知ったことかというので、かりに出かけていって事故を起した場合は、何らかの措置をとらなければならぬ。これを一体どうするか、どこが一体責任を持つかということです。それじゃ、それは危険区域だというので放送されておるのだから、その危いところへは問題が解決つくまで寄るな、こういうことになれば、ではこの連中の他にかわるべき漁場というのは一体どこにあるか、これに対してどう対処するか、これが問題になる。その点はどうお考えになりますか、どういたしますかということをお尋ねしているわけです。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 ただいま放送されております区域はまだ確認はされておりませんが、しかし、傍受した区域を見ますと、日本の、特に鹿児島県の漁業者にとりましてはかなり重大な区域が含まれておるようでございます。従いまして、ただいま他にかわるべき区域を探したらどうかという御指摘もありましたけれども、私どもとしてはにわかに今他にかわるべき漁場があるかどうかについて直ちに指導するほどの自信はございません。従いまして、私どもの方としては、あくまでもこの放送された区域においては従来通り漁業ができることに全力を尽してみたい、このように考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 水産次長にこれ以上お聞きすることは確かに無理でしょう。だから、次長にはこれ以上聞きますまい。  幸い政務次官も来られておりますが、政務次官はどうお考えになりますか。今までの話は聞いていただいたと思う。だから、端的にもう一回繰り返して言いますが、問題の解決までは相当時日を要する、このことはおわかりと思います。そうすると、その要する時日の間操業をやらないというわけにいかない。これは当然操業をやる。その場合不祥な事故が起らなければけっこうだが、万一事故が起った場合にはどういたしますか、こういうことなのです。これについて一つ政務次官の政府を代表した御答弁をお願いしたいと思います。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 赤路委員の御質問は前後の事情を聞きまして、これはきわめて重大な問題だと私は考えますが、それを政府を代表してどうするか、それをはっきり言え、こうおっしゃいますと、どうも直ちに私申し上げかねると思いますが、いずれにいたしましても、先ほどから水産庁の次長から申し述べておりますように、これはどうもわれわれに権利のあるものを放棄したような発表をすることもできない。さればといって、そういう危険なところへ出ていきまして、万が一にもそういう災厄に漁民があうということになると、これは事がきわめて重大な問題になってきまして、今後一そう紛糾を来たすような問題もあるかもしれぬと思います。そこで、先ほどからアジア局長からも答弁がありましたよつうに、そういうことが国際法上正しいものかどうか、公海自由の原則というものとの関連はどうなるのかというような根本的な問題を、事実りの問題とよく照合いたしまして、一日も早く解決をして出す。これが危険区域であるということは漁民の諸君もよく承知しておりますが、この問題についてはなお周知徹底をはかっておく必要が当面の問題としてはある。しかし、今後の問題は、すみやかに結論を出してこの問題を解決するということが政府としてやらなければならぬ当面の問題だろう、かように考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 その程度ではだめなんですよ。これもあるいは次官で御無理なれば、私がここで何ぼ責めてみたところでそれ以上の答弁は得られない。しかしながら、現地の実情はなまやさしいものでないということは、はっきり一つ腹に入れておいていただきたい。これが一点希望です。  それから、もう一つは、もう大臣はおられないかもしれませんが、さっそく次官は政府部内で相談をされまして、これに対して一体どうするのだという態度を明確にしてほしい。私の言っているのは、交渉をおやりになることは当然のことです。だが、その間相当時日を要するから、この要する時日の間に操業をして事故の起った場合には政府としてはこう対処するのだという態度を明確にしてもらいたい。これをぜひ次官は政府部内で意見をとりまとめていただきたいと思います。  くどくこれ以上は申し上げませんか、今までの御答弁にもあります通り、この真相と申しますか、事実調査をおやりになるということですが、これも急いでやっていただきますが、いずれにいたしましても、公海においてかような事態が起っているということ、これは明らかに国際法に違反する、あるいは海洋法上からいきましても、国連憲章の面からいっても、私は、これは違反行為だ、こう思います。十分そういう点を考慮に入れられて、これに対する速急なる善後策をご講じ願いたい。くどく申し上げますが、ここで私がしゃべっておるような、ここで皆さん方から御答弁を願っておるようななまやさしい状態で現地はないということです。この点だけは重ねて申し上げておきますから、政府においても十分腹を据えてこの問題に対して取っ組んでいただきたい。  以上で私は質問を終ります。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 田口長治郎君。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 今、赤路委員からいろいろ質問のありました沖縄海域の問題と似て非なるものが長崎県の佐世保港外で起っておるのでございます。現地からのいろいろの情報によりますと、八月の二十四日から九月の一日までの間に、佐世保にありますところの米海軍の機雷艇隊が協定区域外で掃海演習をいたしまして、そのために漁業者に損害を現実に与えておる。その被害程度は、大体今まで出ておりますのが二十六件、全額にしておそらく三百万円内外でないかと思うのでございますが、この問題につきまして、外務省、それから海上保安庁、水産庁、調達庁に対しまして、明らかでない点をはっきりさせたいと思うのでありますが、こういう演習をこの期間に米軍がやっておるというこの事実は海上保安庁では御承知のようでございますが、海上保安庁からこの問題に対する米軍との折衝経過をお話しを願いたいと思います。

林原一郎林原株式会社社長

○林説明員 海上保安庁におきましては、八月十九日、二十日の両日ラジオ及び無電をもって、それから八月二十二日に下関、小倉、福岡の各ローカル放送からラジオ放送を行いまして、こういうことが行われる予定であるということを周知したのでございますが、それを知るに至りました経緯を御説明いたしますと、八月の十一日に米軍の司令部から調達庁に対して、東京湾及び佐世保湾の海域において米海軍が掃海訓練を実施したいがどうかという連絡があった由でございます。これに対して、調達庁は、当該海域は指定演習区域外であるから、正式提供区域でやってくれと連絡したというふうに聞いております。一方、同日アメリカの海軍は海上保安庁に対しましてテレタイプによって演習の概要を通知して参りましたので、海上保安庁といたしましては、調達庁に対しまして、米軍の区域外演習を許可する権限はこちらにはない、掃海訓練は指定演習区域で行うように申し入れてほしいと連絡したと報告を受けております。しかるに、十八日に米国の海軍太平洋水路告示によりまして両海域における演習について告示がございました。それで、海上保安庁といたしましては、船舶交通の危険予防の見地から、とりあえず十九日にこの航行の警報を出したのでございます。それに続きまして、十九日、二十日とラジオその他によって周知を行なった、こういうのが経緯でございます。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 この掃海演習は、私どもの承知しているところによりますと、戦後、海底をほんとうに掃除をするという意味におきましては、日本政府が同意をしておると思うのでございますが、掃海演習をするということについては、その同意と別な問題である、こういうふうに考えておるのでございますが、その点について外務省は一体どうお考えでございますか。

森治樹外務事務官(アメリカ局長)

○森説明員 ただいま御指摘の通りでございまして、日本の周辺の航行の安全をはかるために掃海の必要なことは申すまでもないことでございますが、ちょうど占領時代から移行するに際しまして、今まで進駐軍の方でやっておりました掃海作業を今度は日本側でやる、そういうことになりました際に、軍側と日本政府の側におきまして、その掃海の実施についての申し合せがありまして、これはただ両方側で簡単な通報をやり合うことによってできる仕組みになっておるわけでございます。しかしながら、日本の領域内において演習を行います際には、ただいままでのところ、手続といたしましては、アメリカ側に特定の地域を演習地域といたしまして指定して、その地域内で演習を行なってもらう、もしその地域でできないときには、これはまたそういう必要性から考えてその施設を提供するかどうかという問題になるのでありまして、従いまして、先ほど申し上げましたように、掃海自体を日本側がやる問題と訓練の問題とは別でございます。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 ただいまの答弁によりまして、この掃海演習というものが、少くとも日米合同委員会の区域協定のもとにやらなければならぬ、こういうことがはっきりしておるのでございますが、今回の佐世保港外における掃海演習は、何ら正式の手続を経ないで勝手に米軍が一方的にやっておる。それに対しまして海上保安庁が十九日に航路の告示をしておる。この告示をされたそのことは、日本政府としてここで演習をすることを認めたという意味でなしに、先方が押しつけてきたから、それではどうも航海あるいは漁業に対して危険があるから告示した、こういう意味における告示と見ますが、その点はいかがでございますか。

林原一郎林原株式会社社長

○林説明員 まことにその通りでございまして、私どもの、航空告示と俗に言われております航行の警報につきましては、これは、危険がある場合、またはあると予想される場合、またそういう情報を受けたような場合には告示によって周知せしめるというのが私どもの方の役目でございまして、その起る事故の合法的であるかいなか、あるいはその他の問題があるかどうかということよりも、まず危険と予想されることを知らせるというのがわれわれの方の航路告示の性質でございます。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 大体、今までのお話によりまして、今回の掃海演習は、米軍が勝手にやっておる、しかも場所は日本の領海内であり、なおはなはだしきは漁業協同組合の共同漁業権のある漁場内でやっておる、こういうような事実がはっきりすると思うのでございますが、そういうようなことを勝手に米軍にやらせるということにつきましては、できたことはしようがないとして、将来そういうことを繰り返してはいけない、こう考えるのでございますが、外務省といたしましては、この点に対してアメリカと折衝をして、そういうことを繰り返さないような処置をとられる意思でございますかどうか、その点をお伺いいたします。

森治樹外務事務官(アメリカ局長)

○森説明員 今回の演習は、アメリカ側で、先ほど御指摘のありました覚書の解釈を違えておりまして、先方もこれでできるものだという確信のもとにやっておりまして、この点で日本側と意見が相違しておるわけでございます。そこで、遺憾ながらこの問題が発生いたしましたので、先方との間には、先ほど申し上げました日本側の見解を伝えまして、先方は、それでは日本側との調整をはかった上でこの種の演習を将来行うことにしよう、今までのような覚書の先方の解釈のような仕方によってやることは日本側との話し合いのつくまではやめるという申し合せになっております。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 この種の演習は将来米軍が一方的にやらない、こういうような話し合いがついたということでございますから、その点はけっこうだと思うのでございますが、今回のこの問題につきまして、不法に米軍の演習のために日本の漁業者が現実に損害をこうむっておる。この損害に対しましては、当然に、私どもは、行政協定の十八条の三項かによる損害を日本政府としては考えなければいかぬ、こういうふうに考えるのでございますが、調達庁といたしましては行政協定の十八条三項によってこの問題を処理される御意思があるかどうか、一つお伺いいたしたいと思います。

沼尻元一総理府事務官(調達庁不動産部連絡調査官)

○沼尻説明員 本件は米軍の行為に基く損害であるということが確認されました暁においては、日本側としては十八条二項により処理したいということで、目下米軍側と話を進めております。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 この十八条三項で処理される場合の米軍との折衝は、金の問題とは思わないのでございますけれども、非常に長く米軍から引っぱられてしまう。まさかアメリカが、自分の方の負担が七五%で、日本政府が二五%、こういうような金額によって引っぱるのではないと思うのでございますけれども、もうほとんど忘れてしまうころに、何だか最後にほんとの目薬程度の見舞金で話を片づける、こういうような傾向が非常に強いのでございますが、これは一体地元からあなた方の方に資料が届いておるのでございますか。あるいは資料に基いてすでに米軍側に折衝中でございますか。いつごろ問題が片づくのであるか、そういう見通しについて、一つ大よそのことでも御答弁ができますればお願いしたいと思います。

沼尻元一総理府事務官(調達庁不動産部連絡調査官)

○沼尻説明員 損害額につきましては、目下現地の福岡調達局をして調査させております。現在私たちの方へ福岡局から報告のあった分は、先ほどもお話がございましたが、被害者数二十六名で、そのうち十九名分は被害額を添えて申し立てておるそうでございますが、他の者については、こうこういう損害があったということで、まだ被害額はわからない。それで、調達局をして被害者の申請に基いて目下被害額を調査させております。これらがまとまりました暁においては、それに基いて米側と交渉いたすというふうに考えております。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 あなたの方の佐世保調達事務所の古賀という係長の人と、それから海上保安庁の係の人が現場調査もはっきりしておられるようでございますし、また、機雷艇隊の司令のカーチスという人も事実は認められておるようでございますから、やったやらぬという問題は今回に限っては起らないと思うのでございますが、そういうような事実だけは認めた問題でございますから、従来の十八条第三項の問題を処理されるさような漫々的のことでなしに、今度の問題につきましては何とか至急処置していただくような、そういうようなことを地元で非常に強く要望しておるわけでございますが、この点について調達庁は気を新たにして一つ米軍に折衝されるかどうか、そういう御意思があるかどうかということについて御答弁願いたいと思います。

沼尻元一総理府事務官(調達庁不動産部連絡調査官)

○沼尻説明員 日本側といたしましては、損害額を早急に確定いたしまして、米側と早急に話し合いをつけたいというふうに考えております。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 今までの質疑応答によりまして、かような不法な演習というものは将来外務省とアメリカとの話し合いによりまして再び繰り返さない、こういうような御答弁を得た次第であります。それと、今回の損害につきましては十八条三項を適用する、そうして至急一つ資料をまとめ米軍と話し合いをつける、こういうような御意思のようでございますから、私の質問はこの程度で終っておきます。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 関連して……。  本件の問題とは違いますけれども、大体これと関連した従来の協定区域内の漁業損害のことについて、しばしば問題を起しております。そして、査定される額を見ると、ほとんど言うに足らぬような額を査定される。それで、実際に処理がおくれておって、そのために本人などが非常な損害を受けておる。佐世保のごとく特に条約上明らかに弁償しなくてはならぬことが明文化されておるところ以外のところにかつて見舞金で処理されたことがある。それと同様にそれもやろうじゃないかと取り落しておいて、そういうことでやはりどうにもならぬ案件などが、一、二佐世保にはあるのでございます。こういうこともやはり私はまじめにやっていただかなければいかぬと思うのだが、どうも今までやられたところを見ると、何か被害者たちがくたびれて閉口するのを待って、まず時間で処理していこうということで、これは一つまじめにしていただかぬといかぬと思います。意識的にしておられるか、やむを得ずしておられるかわからぬが、この際、これに関連して、従来のやり方についても協定区域内に起った事柄についても、賠償額等について特に考慮をしていただくように、これは水産庁というよりはむしろ調達庁の関係でございますが、しかし、水産庁もやってもらわなければならぬ。――調達庁に移らぬ分があるから。そういうことについて特に考えていただきたいと思う。警告のようにお話をしておきたいと思います。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時半より再開することとして、これにて休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十九分開議

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産物に対する日本通運等の貨物運賃問題につきまして質疑の通告がありますので、この際これを許します。  倉成正君。

倉成正自由民主党

○倉成委員 通運事業の運賃料金の引き上げについてお尋ね申し上げたいと思いますが、この通運事業は事実上国鉄の運賃と非常に不可分の関係にもございますし、特に農林水産物に関しましてはこの運賃料金の値上げのいかんということが非常に大きな影響を及ぼすことは御承知の通りでございます。しかるに、この運賃料金の引き上げについて、通運業者の申請に基いて目下運輸審議会において審議中ということを承わっておるのでありますが、私どもはこの審議はあまりに突然で一方的であるというふうに感じておるのでありますけれども、これらの点について、納得のいく値上げ申請の理由、その内容についてまず御説明をいただきたいと思います。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 通運事業の運賃料金につきましては、昭和二十八年四月に改訂をいたして現在の運賃料金が実施されたわけでございますが、これは昭和三十七年十月の原価を基礎にいたしまして計算をした数字で現在までやって参りました。この間に国鉄運賃の改正がございまして、これは昭和三十二年四月にございましたが、大体、今まで通運の運賃料金は、先ほど先生もおっしゃいましたように、国鉄の運賃とある程度の関連を持って参っておるわけであります。この昭和二十八年の改訂のときにも、この以前に国鉄運賃の改訂がございまして、昭和二十八年四月の通運事業運賃料金の改訂ということになったわけでございますが、昭和三十二年四月の改訂のときは、国鉄の運賃だけ値上げをいたしまして、その他、私鉄運賃についても、バス運賃についても、通運の運賃についても改訂をしないという線で参ったわけであります。私どもとしましても、この通運の運賃料金に関しまして、経営の合理化を十分にやるべきであるということでその方面の指導を強くして参ったのであります。物価もだんだんと上って参ったのでありますし、人件費につきましても相当な値上りをして参っておりますので、通運事業としては、合理化はやってももうなかなかやり切れないという状態をわれわれの方へはたびたび言って参ったのであります。それでも経営の合理化を大いに促進しろということで言っておりましたが、昨年の昭和三十三年六月に私どもの方に通運の運賃料金改訂の申請がありました。これは、しかし、われわれとしては、先ほどから何べんも申し上げますが、まだ何か経営の合理化ができるのではないかということで、検討はしておりましたが、これを取り上げることにつきましてはまだ取り上げないことにしておったのでありますけれども、実態調査を私どもとしてもいたしました結果、やはりどうしても通運の運賃料金はある程度の値上げをせざるを得ないのではないかという方向に私どもの考え方が到達いたした次第であります。  そこで、運輸審議会の方にもこの八月の十八日に諮問をするという手続をとりましたわけでございます。この諮問をいたしますと、これを官報に公示いたしまして、公聴会の開催の申請があればその申請を受け付けるということになっておるわけでございますが、通運の運賃料金に関しましては、これは国民の生活にも重大な影響を及ぼすものでありますので、これは当然申請があってもなくても公聴会は私どもとしては開くべきであると考えておりましたわけでありまして、運輸審議会といたしましても、公聴会で広く一般の事情なり御意見なりを伺おうということで、この九月二十九日に公聴会を開催する運びになったわけでございます。  この公聴会の開催につきまして経過だけ申し上げますと、公述の申し込みは相当多数ございまして、この九月の二十九日だけでは公聴会の公述を全部聞き終ることができませんでしたので、さらに継続いたしまして十月八日に公聴会を開いて残余の公述し終らなかった方々の公述を伺うということで、現在手続を進めておるような次第でございまして、私どもとしては、突然というようなことは実は思っておりませんので、申請者側におきましても、農林水産関係の方々あるいは工業その他通産関係の方々べも連絡をしておったことと思いますし、私どもも十分申請者の方にも関係の向きに連絡をするようにということを申しておった次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの御答弁によりますと、すでにこの値上げがやむを得ないというような認識のもとにおいて御答弁があったやに承わるわけでありますが、この通運料金の値上げというのが一番大きな影響を受けるのは農林水産物であり、この農林水産物の影響というものは、帰するところ生産農民に一番大きな影響を及ぼしてくるとわれわれは考えておるわけであります。今日の日本の経済の段階におきまして、農業とほかの産業との所得較差ということが特にやかましく言われておる。そういり際に、この農林業に対して非常な圧迫を加えるような運賃の値上げということについては、よほど慎重に考えて、国民の、また農民の納得のできるだけの根拠がなければならないと思うわけであります。そこで、まず第一にお尋ね申し上げたいのは、この通運料金の値上げ、これが及ぼす影響の点ですが、この申請の内容そのまま信ずるといたしましても、五十億七千万円に及ぶ値上げということが今日の農林水産業にどのような深刻な打撃を与えるかということについて当局の御認識のほどをまず伺ってから、質問をいたしたいと思います。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 通運の運賃料金の設定の仕方を申し上げますと、通運事業法の第二十条に、運賃及び料金を定めます場合の基準が書いてございまして、これには二つございますが、一つは「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」、それから、二は「特定の荷主に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。」、こういう二つの基準がございまして、「運賃及び料金は集貨、配達、取扱、積込、取卸その他業務の種別について定額をもって明確に定められなければならない。」と書いてございます。ここで、集貨とか、配達とか、取扱、積込、取卸等、こういう種別に応じまして設定をしていくわけでございまして、いわゆる「原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」という基準に基きまして、私どもは、典型的な事業所につきまして実態調査をいたしまして、この業務の種別ごとに原価計算をいたしたわけでありまして、それに基きまして出た結果が、現在の運賃料金では「適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものである」とは認められない状況に立ち至っておるというふうに認識し、そういう考え方のもとに立って運輸審議会にも諮問をいたしたわけでございます。  影響から申しますと、これは通運の運賃料金が一体全体についてどれくらいの影響があるかということを申し上げますと、大体、荷作り包装費が貨物の価額に対しまして三・三%の影響がある、――影響といいますか、価格形成に対しまして三・三%の割合を占めており、鉄道運賃は一・七%を占めており、通運料金は〇・六%を占めておる。これは貨物設備近代化委員会で出しております資料に基きましたわけですが、このような比率を占めておるということが言われております。そして、たとえば農林関係の物資につきまして、原木は、貨車一トン当りの価格が八千七百五十円でありますが、現行の料金で申しますと通運料金の割合が六・九%、これが今度の申請の料金によりますと七・九%になる。この程度の計算が出ております。それから、米につきましては一トン当り六万四千三百六十六円で、現行の運賃で申しますと〇・九%でありますが、今度の改訂で一・一%になる。大体そういう傾向でございますが、バレイショ等につきまして申しますと、現行の料金では三・九%でありますのが四・四%になるということで、一%前後あるいは足らずの影響がある、こういうふうに考えておるわけでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの、通運事業のあり方について能率的な経営をやらなければいけないということ、この点では私ども決して異存はございません。しかし、私のお尋ねしましたのは、この通運料金値上げというのが非常に深刻な打撃を与えるという認識について伺ったのですけれども、ただいまの御答弁じゃ、原木についても、米についても、バレイショについても、わずか一%足らずだから大したことはないじゃないか、こういうようなお考えのようです。従って、そういう御認識のもとであるならば、そういう御認識のお考えに対してもっと詳しく一つ伺いたいと思います。  そこで、通運事業を現在行なっている会社が何社あるか、まず一つお伺いしたい。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 五百四社ございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 その五百四社の中に赤字経営の会社はどれだけあるか、また、その赤字がどの程度のものであるか、まず第一点でお尋ねしたいと思います。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 この約半数が無配または欠配でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 この赤字が大体どの程度のものか、最低最高を一つ具体的にお答えをいただきたい。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 その赤字についての最高最低の数字は今持ち合せておりませんが、今、通運事業について業績不良な会村かございますので、これらについての事情を申し上げますれば、通運事業を経営しております会社で、昭和三十三年度中に譲渡をいたしましたものが五件、一部廃止も入れまして廃止をいたしましたものが十件ございまして、これは、経営が成り立たなくなりましてよその会社に合併をするなり、あるいは、通運の経営をやめてしまいまして、たとえばそこが複数化されております場所なら、日通なら日通だけになる、こういうような形になっておりますのが今申し上げた数字でございます。それから、会社更生法によって更生中の会社も多数あるわけでございまして、通運会社の内容につきましてわれわれの一つの目安になります鉄道の後納扱いのものにつきましては、滞納をしておりますものが四十三社、それから、鉄道の後納をしまして、これがある一定以上の額になりました場合には停止という措置を受けますが、この停止を受けている会社が十社ある、こういう状態でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 それでは、反対の立場からお尋ねしてみましょう。利益配当をしておる会社が何社あって、配当率が大体どういうふうになっているか。抽象的じゃなくて、少し具体的にお答えいただきたい。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 何割配当ということは、全部について資料を持ち合せておりませんが、昭和三十三年度におきまして配当をした事業社は五七%、無配の事業社が一八%、欠損事業社が二五%、こういう状況を示しておりまして、今、当然問題になると思いますが、日本通運で配当いたしておりますのは一割四分の配当でございます。これが最高かと思っております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの御答弁を承わりますと、私が具体的にお尋ねしておるのに、非常に抽象的なお答えばかりで、担当の自動車局長がもう少し事業の実態を把握しておられるということが必要と思います。しかし、ここであえてこまかくお伺いすることは、いろいろ助言を求められながらお答えされるのでは非常に時間を費しますから、なるべく省略いたしますが、次の問題に移ってみたいと思います。  現在改訂申請の収入増加は、取扱料、積卸料、集配料、附帯事業別にどういうふうになっておるか、お答えいただきたい。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 全部こまかく事業種別ごとに申し上げますのはちょっと詳細にわたりますが……。

倉成正自由民主党

○倉成委員 わかりやすく大づかみでけっこうです。こちらからこまかくお尋ねします。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 私どもといたしましては、扱い種別ごとに計算はしておりますが、大体全部の通運事業の全収入と支出についての比較をまず最初に考えまして、それによって今度は業務の種別ごとにそれを割りふっていくわけでございまして、値上げの全体的な今度の率から申しますと、全部を平均いたしまして九・八八%になっております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 それでは一つ具体的にお尋ねしてみましょう。取扱料について、大ざっぱでけっこうですが、大体値上げがどのくらいになるか、一つお伺いいたします。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 取扱料の改正によりますと、増収見込額は十億三千百六十一万円でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 率はどうなっておりますか。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 計算をしてお答えいたします。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 國友自動車局長に申し上げます。質疑の間に答弁の御準備をしなければならないような状態では本委員会の運営に支障を来たしますので、十分答弁の時間をお与えいたしますから、別室で十分御用意をなさって御答弁をお願いいたします。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 通運料金の構成につきましては非常に詳細になっております。それと、私どもの方の計算方法と今の御質問とは違っておりますので、数字は全部持ち合せておりますが、そのような計算をしておりませんので、それで全部計算をし直さなければなりませんので、先生から数字の点につきましてはこういう数字をこういうふうに計算しろということの資料をいただきますれば計算して参りたいと思うのですが、資料は持っておりますので、そのようにお願いできますればと思います。

倉成正自由民主党

○倉成委員 先ほど自動車局長は、大体全体で九・八八%、こういう数字を出されたわけです。そういたしますと、その九・八八%という数字を出した根拠は、やはり、取扱料、積卸料、集配料、附帯事業と、大体この四つに分けられる。その大きな項目の一つについて、大体大ざっぱでどのくらいになるか聞いておるのですから、このくらいの答弁ができないでそういうような弁解をされるのは納得がいかない。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 これは一号から四号まで号級の地域差がございますが、取扱料につきましては、一号級の場合には一九%の増となります。それから、二号級の場所も一九%、三号級同士の発着の場合には二四%の増、四号級同士の発着では二四%の増です。この程度でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの御答弁にありましたように、局長は先ほど九・八八%と言われましたけれども、具体的に取扱料について見ますと、一号、二号、三号、四号、その差はございますけれども、一九%から三四%というふうに非常に大幅な値上げになっておるわけです。ですから、私のお伺いしたかったのは、こういうふうなことが非常に末端に大きな影響を及ぼす、こういう意味で申し上げておるわけです。  そこで、その事例の一番端的なものとして、これは今御答弁できなければ計算されてもけっこうですが、積卸料の一トン当り三号級で今御計算できるなら一つやってみて下さい。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 積卸料で、三号級に発しまして一号級の駅に到着いたしまする貨物の積卸料は二八%の増でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの数字は若干私疑問を持っておりますけれども、あとでまた詳しく伺うことにしまして、ただいま御答弁にもありましたように、非常に種類において増収率が違っている。しかも、取扱、積卸というふうに非常に大きなウエートを占めておるものについて、二〇%以上の値上り率になっておる。こういう事実を私はこの際明らかにしておきたいと思います。特にこの値上げが主として取扱料と積卸料に大きな負担をかけておりますけれども、この取扱料と積卸料は、これは日通の独占事業になっておると聞いておるのでございますが、この日通の独占事業に特に重点を置いてこの値上げをされようとする理由を局長から承わりたいと思います。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 この取扱料あるいは積卸料についてのみ重点を置いて計算をしてにおるわけではございませんので、これにつきましては原価計算上出た数字を根拠といたしまして計算をしておるわけでございます。これは、実際に運送いたします場合には金額の点では集配料が一番大きい額を占めておりまして、この集配料というものは地方の農山村等においては相当に支払われなければならぬところでありますが、こういうものにつきましてはむしろ今までは坂路割増という制度をとっておりましたが、坂路割増というものを全部について基準によって一律にとるという制度は今度やめようということで、むしろ金額の張ります集配料等においては値上げの率が少くなったのでにありまして、これは特に取扱料というか積卸料について値上げを考えたということではございません。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ちょっと具体的にお尋ねいたしますが、集配料が多いというお話ですが、昭和三十二年で集配料、積卸料の具体的な数字をお伺いしたい。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 通運事業者の全体につきまして、今おっしゃった数字を計算したものを今持ち合せておりません。

倉成正自由民主党

○倉成委員 私どもの調査によりますと、昭和三十二年では、積卸料が百六十五億で、集配料が百三十二億、積卸料の方が非常に大きなウエートを占めておる。しかも、この積卸料の増収率というのが非常に高くて、集配料の増収率が非常に少い、こういうことになっておるのですが、これは間違いですか。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 今おっしゃいましたようにたとえば積卸料について特に多く見ておるというようなことはないのでございますが、この点につきましては、今ここに数字がございませんので、数字を取り調べまして後刻お答え申し上げたいと思います。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 倉成君に申し上げます。ただいまの質疑の状況を見ておりまして、これではどうも本委員会の運営として十分でございませんから、日をあらためて本件について質疑を継続していただくことにいたします。御了承願います。先ほど私が局長の答弁について御注意を申し上げたような次第でございますので、御了承願います。自動車局長に申し上げますが、答弁がもっとスムーズにできるように十分資料をととのえてあらためておいでを求めますから、よろしくどうぞ。

倉成正自由民主党

○倉成委員 それでは、資料要求をいたしておきます。まず第一に、号級駅の改訂の内容。これは、四号級のものを廃止するということでありますから、その改訂の内容。現行駅数と改訂駅数及び駅名。これを第一の資料として要求いたします。第二に、各号級別の取扱、種卸、集配の数量及び金額。これは、号級を現行のままにした現行料金、改訂料金で算出したもの、それから号級を改訂した場合との両方。それから、三番目に、昭和三十二年の七月に各府県から各号級ごとに先ほどお話がありました約八十店のモデル店を選定して原価計算を実施したその結果報告、内容。第四番目に、通運会社の会社別資本金、従業員数、取扱い金額及び数量、欠損、利益及び配当の有無、配当率。第五番目に、集配事業とその他の運送事業を行なっている社名と取扱い高の比率。第六番目に、公聴会における公述人の選定基準、それから賛否の結果。これは、二十九日やった今回のものと、それから二十七年度。これだけお願い申し上げたいと思います。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 今おっしゃいました資料はできるだけ整えまして提出いたします。それから、公聴会の内容につきましては、前回の公聴会の内容と今回の公聴会の公述の内容でよろしゅうございますか。

倉成正自由民主党

○倉成委員 そうです。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 綱島君。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 私からも補足しておきますが、今の選定基準、これほどういう基準であなた方は選定しているかということをはっきり示していただきたい。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 公述人の選定の基準は、ここでお答えした方が簡単でございますのでお答えしたいと思いますが、基準はございません。公聴会の公述を申し出た人が公述をするということになっておりまして、別にこういうところからこういう人を選定するということではございませんので、全部自発的に業者なり業界の協会の人が出て参りまして述べますが、ただ、私ども運輸省として、あるいは運輸審議会として必要と認める参考人の意見は聞くことになっておりますが、これらはたとえば国鉄の者に来てもらって意見を聞くとか、そういうような運営をいたしております。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 そうすると、公述人の公述というものに多少価値を置いてあなた方は判断しておりますか。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 これは十分価値を置いて判断いたしております。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 そうすると、勝手ほうだいに飛び込んできて、街頭録音みたいにしてやって、それをあなた方が聞いてやっておるというのは非常におかしくないか。役所の仕事としてあなた方がそういうことをしておるというのはおかしくはないか。あなた方ここでそういうことを言うのは何ともないですか。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 これは運賃の改訂等につきまして一番利害関係を感ずる方々が、運輸審議会の公聴会を公示いたしました場合には当然わかるわけでございまして、それらの人々が意見を述べるということを申し出て参りますわけで、役所の措置といたしましてそういう措置をいたしますので、大体関係のある向きは全部出て参っております。そうして公述をいたしておりますので、私どもとしましてはその方法で現在運営しておりますが、十分諸般の御意見が聞けると考えております。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 これは僕一個人の意見だが、大体は僕の意見に近い意見を他の皆さんもお持ちだと思いますが、国家が国家の機関あるいは国家の資本等でやっている公共企業体を運営するに当っては、最も公正に最も十分なる注意を払わなければならぬ。業者が出てくるだろうとか、だれがこうするだろうとかいうような、そういう投げやりのことではなくて、もっと十分な注意を払ってやらるべきだ。結果はこうなりますとおっしゃるが、そんなことをしたら、NHKの街頭録音だって大体言いたい者が来ているから世論はわかりますということ、あなた方の言うことは同じように思うのだが、そういうことははなはだ忠実なやり方ではないと私どもは思いますので、それについて勧告しておきます。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 公述の内容につきまして御報告いたしますればわかるのでありますが、むしろ、公述人の数から申しますと、賛成者として出て参りますのが割合少くて、反対をいたします公述人が各業界で出て参りますので非常に多いという結果になっております。その点では、むしろ、賛成意見はどれだけ、反対意見はどれだけ、こういうふうに数を割り当ててとりますよりは、ある程度の実際的な模様というものがわかるのではないかと私どもは考えておるわけであります。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 それは、ないよりはわかります。映画一つ見たって、幾らかものを覚える。しかし、そういうことと、最も適切な処置をしていくということとは別ですよ。公務員または公共企業体の役職員というものは、限られたる時間において限られたる費用において最も適切にして有効なる行為を集積して営業していかなければいけない。それがあなた方の義務なのだ。そんなことを忘れていてはだめですよ。自分勝手な判断よりは、自分は社会においてどういう義務を負っているのだということをまず知らなくてはいけない。後家さんが譲られた財産を管理するように、去年よりはましだということではだめだ。あなたの話を聞くと、ちっと足らぬ後家が話をしているような気がする。もう少しまじめに考えてもらいたい。何だか心細いよ。

國友弘康運輸事務官(自動車局長)

○國友説明員 各方面の御意見は十分私どもとしては聞いて措置をしていくつもりでおります。また、そのように運営しております。     ―――――――――――――

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 農林水産物に関する件につきまして調査を進めます。  本日は澱粉の需給関係について参考人より意見を聴取することといたします。  御出席をいただきました参考人は大阪市立大学教授福本壽一郎君、林原株式会社社長林原一郎君の二名であります。参考人各位には御多用のところ本委員会の調査のためわざわざ御出席をいただきまして、まことにありがとう存じました。厚く御礼を申し上げる次第であります。本日は、澱粉の需給関係、特に結晶ブドウ糖工業における酵素利用の現状、酵素糖化の将来の見通し等諸般の問題について、それぞれの御立場より忌憚のない御意見を承わりたいと存じます。  それでは、林原一郎君にお願いいたします。

林原一郎林原株式会社社長

○林原参考人 私が林原でございます。酵素糖化のブドウ糖につきまして説明をする機会を与えていただきましたことを感謝いたします。酵素糖化のことにつきましては、学問的なことで化学的なことにつきさましてはあとから福本先生が事詳しく御説明になると思いますので、私は、経営者として酵素糖化を取り上げております者の立場から、簡単に意見を述べさせていただきたいと思います。  過剰澱粉の処理、ひいてはイモ作農家の経営の安定、及び甘味対策十カ年計画の観点から、結晶ブドウ糖工業の育成策がとられたわけでございます。しかしながら、従来の経過から見まして、結晶ブドウ糖の生産、消費というものは必ずしも当初の御計画のように軌道に乗ってはおらない現状であります。御当局といたしましては、結晶ブドウ糖工業の育成策といたしまして、設備資金の融資あっせん、償却期間の短縮、政府手持澱粉の特別価格の払い下げ、ブドウ糖消費者に対し同量の原糖輸入の権利の割当等々、数々の助成策をおとりになっておりますにもかかわりませず、設備の稼働率は依然として低く、消費の伸びは不足しておるというような現状でございますが、この理由は大別いたしまして、まず結晶ブドウ糖のコストが高いということ、次は、結晶ブドウ糖の本来の性質といたしまして、甘味が砂糖よりも大幅に不足しておるということ、この二つが原因であろうと考えられます。結晶ブドウ糖のコストが高くつきます理由は、現在の農安法によりまして澱粉の価格がてこ入れをされております関係上、外国澱粉より割高であるという実情を背景といたしましては、砂糖よりも必ずしも割安には生産できないのでございます。次に、この甘味の点につきましては、砂糖に比較いたしましてブドウ糖は七〇%から五〇%の甘味でございます。暖かいときに食べますと大体五〇%の甘味を感じますが、冷たいときには七〇%、平均いたしましてまず五、六〇%の甘味しかないのでございます。それが砂糖とほとんど大差ない価格で生産されるということが消費の促進をはばんでおる一番大きな原因であると思います。ところが、幸いにいたしまして、国産技術によります酵素糖化法の発明、いわゆるトータルシュガー方式というものが最近になって確立いたしまして、これによって結晶ブドウ糖の将来のあり方が一変して参ったと考えております。  従来の結晶ブドウ糖の生産方式は、世界各国共通の酸糖化方式でございますが、酵素で澱粉が糖化できるということは既知の事実でありましても、その澱粉の糖化率というものは、従来はせいぜい八〇%程度にとどまっておったわけであります。ちょうど、人間が食事をいたしまして、その食物が胃の中で消化されますこの働きは、やはり酵素の働きでございます。また、御承知の甘酒の醸成ということも、これは一種の酵素による糖化でございます。従来行われておった酵素による糖化は、残念ながら糖化率というものはせいぜい八〇%どまりであったのでございます。従来の酸糖化法で澱粉を糖化いたしますと、まずその澱粉を薄い溶液にいたしまして、これに塩酸、蓚酸等を加えまして、摂氏百六、七十度の温度で三時間ないし四時間加水分解いたしまして、その溶液を精製して、これを煮詰め、そうして、これに結晶の種を入れまして、一定温度に数時間保温しながら結晶を助成していくわけでございます。そうして、できました結晶を分離いたしまして、結晶ブドウ糖と、ブドウ糖になり切らないデキストリンの状態のもの、また、一たんブドウ糖になったものがさらに酸と熱のために再分解いたしまして苦みやいろいろな着色物質に変化いたしましたいわゆる過分解のものとに分離いたすわけでございますが、このときの結晶ブドウ糖の歩どまりというものは最高七〇%前後でございまして、あとには、未分解のもの、それから過分解のもの、これが廃液といたしまして三〇%残ります。ところが、この廃みつというものは非常に苦味が強うございまして、また非常に着色状態がはなはだしいために、従来は人間の食料には不適なものでございました。すなわち、酸糖化法の場合は、結晶ブドウ糖の歩どまりはせいぜい七〇%にとどまっておったのであります。しかも製造過程におきまして燃料費が非常に高くつきます。そうしてまた、高い熱と強い酸を作用させますために製品に無理がございまして、また、原料としての澱粉は不純物のない高純度のものでなければならないという欠点があるわけであります。  ところが、福本先生の発見されました酵素は、従来われわれが夢想だにしておらなかったほどの非常に強力な澱粉の糖化力を有しておりまして、酵素の働く範囲のきわめて平温の摂氏百度以下の温度で澱粉をほとんど百パーセント近く糖化するわけでございます。そうしてまた、使用いたします澱粉は、非常に高濃度でかつ使用原料は必ずしも純度の高いものでなくてもいいという、実に画期的なものでございまして、これは世界に例を見ない革命的な国産技術なのでございます。  次に、甘味が足りないということはブドウ糖本来の大きな欠点でございますが、同時に、ブドウ糖には大きな長所がございます。それは、自分自身は非常に甘味が薄うございますが、他の強い甘味と合せますと、これと完全に調和いたしまして、高尚なブドウ糖の味に同化するという作用でございます。最近、科学技術の進歩によりまして、人工甘味の分野でも続々新しい人甘が生まれてきておりますが、それらの人甘は、それ単独では、味に化学甘味特有な癖がございまして、やわらかな味がない、あるいは苦味がある、あるいは無害ではありますが栄養がないという数々の重大な致命的な人甘特有の欠点がございますが、っこれを少量ブドウ糖と合せますと、人工甘味の欠点というものは完全にカバーされまして、ブドウ糖自身は砂糖同等あるいは砂糖以上の強い甘味となりまして、しかもその甘味は砂糖よりもなお高尚淡白であって、砂糖を使用されるほとんどあらゆる範囲の用途に対しまして三〇%以上一〇〇%使用せられまして何ら砂糖と変らないという結果が出ております。  これはお見せしてよいのかどうかわかりませんが、この見本がすなわちそれでございまして、これは、暖かいものに御使用願いますと、砂糖と同等の甘味に強化してございますので、砂糖とほとんど変らない味になっておりますが、これが現在砂糖の八〇%の価格で私の方で市販いたしておるものでございます。これが酵素で作りましたブドウ糖でございます。どうっかお分け下さって御試食願います。政府の甘味対策十カ年計画によりますと、十年後のブドウ糖の最終生産目標は十五万トンということになっておるようでございますが、酵素糖化法の発明によりまして……。

福本壽一郎大阪市立大学教授兼大阪市立工業研究所化学第四課長

○福本参考人 ちょっと今お回ししました品物の説明をいたしておきます。今そこにお回ししておりますびんに入った分は、人工甘味料を入れない、今の酵素法によるものを分みつ結晶したもので、この袋の中に入っておりますものは、できましたものを、後ほど説明いたしますが、分みつしないですべて結晶化させたもので、それに人工甘味料が入っておりまして、一号、二号、三号となっております。その一番大きな袋が三号で、甘味がうんと強くしてある。一番小さな袋が二号で、その間のが一号。一号は全然人甘が入っていない。二号はちょうど砂糖と同じくらいに入っている。一番大きな袋は砂糖よりもっと甘くしてある。

林原一郎林原株式会社社長

○林原参考人 酵素糖化法による結晶ブドウ糖をいろいろな方面の用途に使わせました結果、私の方の見通しといたしますれば、政府の十カ年後のブドウ糖の伸びは十五万トンという数字の伸びでございますが、これはもっともっとふえるんじゃないかという考えを持っております。現在私の方の会社では、本年四月福本教授の御指導によりまして試験的に日産五トンのプラントの設備をいたしまして、現在はこれを拡張いたしまして日産三十トンのプラントが完成いたしまして、目下稼働いたしておる状況でございます。ところが、現状におきましては需要に追いつきませんために、さらに日産百五十トンの生産設備を来年二月末を目標に現在昼夜兼行で建設中でございます。従って、来年度になりますと、すでに現在の設備が完了いたしますれば、年間一千三百万貫の澱粉を新たに砂糖代用のブドウ糖原料として使用することになるわけであります。さらに消費が順調に伸びる見通しがつきまして、また政府のブドウ糖生産に対する助成を得ますれば、来年暮れの新もの澱粉の時期までには日産五百トンプラントのブドウ糖工場をさらに建設したいと考えておりますが、これでいきますと、来年二月までに完成いたします百五十トンのプラントを合せまして、来年末には日産六百五十トンの生産になるわけで、これを澱粉の使用量に換算いたしますと、年間約六千万貫の澱粉が新たにブドウ糖に消費されるということになるわけであります。現在の過剰澱粉の対策ということから一転いたしまして、澱粉の生産助成、さらにまたイモの増産という面に政策の転換をしていただかなくちゃならぬという時期になるのではないかと考えております。  なお詳しい酵素糖化のブドウ糖の製法につきましては福本教授から詳しくお聞き取り願いたいと思います。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 次に福本参考人にお願いいたします。

福本壽一郎大阪市立大学教授兼大阪市立工業研究所化学第四課長

○福本参考人 話の性質上図表が要りますので、お許し願います。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 けっこうでございます。

福本壽一郎大阪市立大学教授兼大阪市立工業研究所化学第四課長

○福本参考人 私が大阪市立大学の教授をいたしております福本でございます。酵素法による結晶ブドウ糖の話をできるだけ皆様に御理解していただきやすくお話しいたすつもりでございますが、事の性質がやはり学術的なことでございますので、幾らか御難解な点が出てくるかもしれません。その点はあらかじめ御了承願いたいと思います。  なお、私はちょっと足を痛くしておりまして、杖を使わせていただきます。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 どうぞお坐り下さい。

福本壽一郎大阪市立大学教授兼大阪市立工業研究所化学第四課長

○福本参考人 ただいま林原社長から大まかなところはお話しになったわけでございますが、もう少しこれを皆様に御納得いくように論理的に話をしたいと思いますので、まず皆様が一番疑問をお感じになるだろうというような点を頭に浮べながら問題をしぼってみます。今まで酵素法というようなことはほとんど耳にしなかったが、今ごろになってほっとそういうものが出てきたために幾らか疑義があるだろうと思いますが、これはぽっと出てきたのではなく、相当に長い研究があったのだということ。それから、酵素法というものと酸分解法というものの優劣といいますか、どういう差違があるのか、そういう差は一体どういうわけで出てくるのかということ。それから、私どもの研究がここにくるまでには約八年ばかりかかっておりますが、どこに私どもが非常に苦労をしたか。先ほど社長が世界で初めての技術だと言われましたが、私もそう思ってはおるのですが、そういうことはどういうところでそういうことが言えるのかというようなこと。それから、最後に、実際に行いますプロセスのアウトラインを御説明して、あとは皆様の御質問に応じたいと存じます。  まず、「従来の酸糖化法と酵素法の得失比較」と表に書きましたが、差のあるところはどういうところかということを申し上げ、項目に従いましてこれに補足をいたします。最初に、原料澱粉です。従来の酸糖化法でございますと、非常に高い温度で圧力をかけて、酸でもって分解いたします。従って、不純物がありますと、酸でございますから、澱粉だけではなしに、それに含まれている蛋白質とか繊維とかいうものの不純物をみんな分解します。そうしますと、ブドウ糖以外の物質が出てきて、それにブドウ糖が反応して、色がついたり、苦いものが出たり、いろいろ捨てなければならぬものがたくさん出て参ります。従って、酸糖化法の加水分解というものは非常に原料澱粉を精製しなければならぬ。普通のなま澱粉を買ってきても、アメリカンフィルターとかテープリングという非常に長いといに通し、またいろいろな機械で不純物をとってしまう。これは非常に費用を食います。ところが、酵素でいきますと、精製しなくてもいいから、なま澱粉でも乾燥澱粉でもいけるということになります。  それから、糖化澱粉の濃度でありますが、酸糖化法では、あまり濃い澱粉ではいけない。大体二五%、四倍ぐらいの水を入れたものでなければうまくいかない。ところが、酵素法ですと、五〇%のどろどろの液でいける。すなわち、あとで煮詰めるときに非常に熱が少くていいということになります。それから、分解限度の問題でありますが、大体、酸糖化法の場合には、九〇%どまりのところでやめないと、それ以上になると過分解になって、非常に苦いものが出てきたり、あるいはまた逆にブドウ糖分が減ってくる。それで、大体九〇%というところでとめる。ところが、酵素でいくと九八%までいける。  次に糖化時間。酸糖化の方は非常に早い時間でいけるが、酵素は二十四時間から四十八時間かかる。非常に時間が長くかかるようでございますが、これは、一方は百何十度という高い温度でやりますし、一方は五十何度でやるわけでありまして、これは製造工程全体においてそれを見ておけばいいのでありますから、大してかからぬと思います。  それはとにかくとして、糖化の設備のことですが、百何十度という圧力をかけると耐圧でなければならぬ。それから、酸に耐えなければならぬから、ステンレスを使う。そういうことでかなり設備コストが高くついて参ります。これが酸糖化法の高くつくゆえんでありますが、酵素の場合はその点非常に楽でございまして、極端に言えば普通の桶でもいけるということになります。実際には工業的にそんなことはありませんで、やはり琺瑯引きとかステンレスのタンク等を使いますけれども、理屈ではそうなります。  それから、これは大きな問題ですが、糖化液の状態です。酸糖化ですと、苦み物質ができます。澱粉の構造はあとで説明いたしますが、澱粉がブドウ糖に酸でもって分解されていきますと、これは順々に鎖状結合を切っていくのですが、そうすると、ある程度まで強烈な反応がありますから、分解が進んでいきますと、出たブドウ糖が二つくっついてゲンチオビオースという苦いものができる。あるいはそれが一そう分解されて蓚酸のようなものになったり、とにかく目的のブドウ糖でないものになっていく。そういうことで、非常に苦みが出て参ります。また着色が出て参ります。ところが、この酵素でやりますと、苦みも何もなく全部ブドウ糖が出てくるのであります。  そのほか、糖化液の精製のことは、大体活性炭やイオン交換樹脂のことをそこに書きましたが、これはどちらも大差ないということになります。  それから、この管理については、酵素糖化の方は大体五十五度で時間を一定にしてときどき攪拌してやればいいということで、操作に一ぺんなれてしまえば楽にやれるわけでありますが、酸糖化の方は相当にこの管理がデリケートでございます。  それから、この収率のところは大事な点ですが、酸糖化ですと、大体結晶ブドウ糖の収率が七〇%ということで、残りの三〇%というのは苦いもので廃物として捨てなければならない。これは豆炭の粘結剤等に使われるのが現状でございますが、酵素の方でいきますと、大体結晶としてとりましても八〇%、先ほどお回しした大きな袋の中に入ったようにすれば一〇〇%澱粉に対してブドウ糖がとれるのであります。このようにいたしまして、現在林原さんの方では、大体酸糖化法に比べて約三割ぐらいコスト・ダウンができるのではないかとおっしゃっていますが、これは私は経済マンでありませんので責任を持ったことは言えません。大体そんなことは私も思っておるのであります。  こういうことがまず酵素法と酸糖化法とを比べた場合のアウト・ラインでございます。  そこで、今申しましたことにからみましていろいろなことを御説明いたさなければならないのです。  まず、ブドウ糖を作ります原料である澱粉でございますが、この澱粉と申しますものは、――まあこのへんからぽつぽつむずかしい話になって参りますが、一つ御容赦願いたい。そこを話さないと話のポイントが言えないことになります。大体、普通、澱粉と申しますのは二つの部分からできております。その一つは、こういうふうにブドウ糖が鎖のようにつながりまして長く伸びております。これはアルファ一・四結合と言いまして、こういうような形に伸びております。これがアミローズです。それから、もう一つのものはやはりこういうものですけれども、途中から枝が出ております。またここから枝が出ている。ちょうど樹枝状と言いますか、木の枝が張ったような形になる。これがアミロペクチンです。こういう二つの部分から成っておりまして、このアミロペクチンの方が七、八〇%で、前のアミローズの方は三〇%ぐらいなんです。皆さんがおわかりになりやすい一つの例をここに差し上げますと、もち米澱粉というのはねばいものですね、もちつのように。これは学問的によくやることなんですが、澱粉にヨードを入れますと青くなる。もち米澱粉にヨードを入れましても青くならない。赤いか黄色いかです。もち米澱粉は、この長く伸びた分子のアミローズはほとんどなく、樹枝状になっているアミロペクチンから成っている。ですから、このねばいのはこういう樹枝状のアミロペクチンのねばさのためなんですね。まあこれは余談でございますが、とにかく、澱粉というものはこういう二つの部分から成っております。それで、先ほどの酸分解は、こういうものを酸でもってぱしぱし切っていく。あるいは、これをぱしぱし切っていく場合に、大刻みに切っていく、それから小刻みに切っていく。最後に目的とするものは一つ一つ離れてくれればよい。離れてくれれば全部ブドウ糖になるということになる。  しかしながら、酸のような強烈な性質のものを使いまして高い温度でやりますと、これがただ一つ一つに離れてくれない。大刻みなものができたり、その途中、デキストリンと申しますが、ぱらっとしたこのくらいなものができたり、また一方にブドウ糖ができたり、こういう状態があるわけです。それを長い間分解していきますと、すでにブドウ糖になっているやつがゲンチオビオースのような苦いものになってしまったり、いろいろするのですね。そこで、酸分解には非常に分解する条件と時間的コントロールがむずかしくなる。管理がむずかしくなる。先ほど管理がむずかしいということを申しましたのはそういうところにあるわけです。  ところが、酵素法の方になって参りますと、酵素というものは――ここで酵素というものを突っ込んで御説明する必要があるので、一部の方には失礼に当るかもしれませんが、大多数の方がそういう方面のしろうとでいらっしゃると仮定いたしまして、酵素の説明をいたします。  酵素といいますのは、大体生物体が出します一種の触媒、生きたものが出す触媒、――先ほど話がありましたように、われわれが牛肉を食べますと胃の中でペプシンという消化酵素がこなす。そういうふうに生体が出す触媒、蛋白質でございます。そういうものなんです。これは酵素の解釈をきょうここでするというのは目的じゃありませんから、ブドウ糖を作るときに一番大事なことと考える一つの問題をここで御説明していきたい。その酵素というものは、ドイツの有名な化学者エミル・フィッシャーがいみじくもたとえたわけでありますが、酵素とその分解する物質とはちょうどかぎとかぎ穴のごとき関係にあると言った。それにならうと、アミラーゼ、すなわち糖化酵素というものは、澱粉に対してはかぎに当るのです。糖化酵素がかぎだといたしますと、これはその相手が澱粉以外のものには少しも働かない。ただ澱粉だけに働く。ちょうど若い人があの人でなくちゃいかぬというふうなものでございます。このかぎは、これに合うかぎ穴しかあけられない。そういう特質がある。従って、澱粉に不純物がありましても、蛋白質やセルローズがありましても、これはインデペンデントで、ちっとも問題はないわけです。だから、前に申しました粗製澱粉で十分原料になるということはここのことなんです。澱粉だけに働いてほかのものはかまわない。そういうところが酵素の非常にすぐれた特質です。それだから、先ほど申しましたように糖化が九八%以上までいくのですね、いい酵素を選べば。後ほど言いますように、ある目的に合った酵素を選びさえすれば、過分解にもいかない。ブドウ糖になってしまいますとそれ以上いかないのですから、非常に都合がいいわけであります。  そこで、酵素の種類について簡単に説明しますと、澱粉を分解する酵素をアミラーゼと申します。アミラーゼという酵素にも、これまた一つではなく、いろいろございまして、これがそれぞれ澱粉を分解する分解の仕方が違うのであります。アミラーゼという酵素は澱粉に作用することは同じです。澱粉にのみ作用するということは同じでありますが、しかしながら、その澱粉を切る切り方というものはそれぞれ違っておる。それで、大ざっぱに言いますと、こういう長いやつをすぱすぱと大刻みに刻むような酵素の作用を主として営むアミーゼもあれば、あとで申しますように一つ一つブドウ糖に離していく酵素もある。また、従来麦芽糖あめを作っております麦芽糖酵素のように、ブドウ糖の二分子くっついた麦芽糖に切っていく酵素もある。ですから、こういう酵素だったらこんなふうに二分子ずつ切って参ります。だからブドウ糖が二分子くっついているのですが、これが例の麦のべータ・アミラーゼです。ここから一分子ずつブドウ糖を離していくのがこの糖化型アミラーゼです。この一分子ずつ切っていくやつにもまた二つの大きな種類がある。どれを使わなければブドウ糖ができないかということはだんだんこれからせんじ詰められていくわけです。  そういうことで、ここにちょっと詳しくは申し上げませんが、現在、そういう澱粉を分解するアミラーゼというものを分類いたしまして、大体こういうふうに分けておる。つまり、ブドウ糖分子間の結合を一・四結合と言っておりますが、この一・四結合を大刻みに刻むやつ、これをアルファ・アミラーゼと言っております。それから、ベータ・アミラーゼ、これは、植物、大麦とか大豆あたりにある。これは従来の酵素法の水あめの製造に用いるものですね。それから、これから問題になるアミログルコシダーゼ。この糖化型アミラーゼには二つありまして、今現実にわれわれが使っておりますこのリゾプス型と、ニガー型があります。後者は実際にはいくのだけれども現実に使えない。なぜこれが使えないかということはあとで説明いたします。そのほか、ここに、アミラーゼとは言いかねるのですが、酵素法によってブドウ糖を作る場合に非常に問題になってくるトランスグルコシダーゼがありますと、せっかくこのいい型の一〇〇%分解する酵素を使っておっても、できたブドウ糖はもう一ぺんトランスしてくっついてしまう。二分子、三分子のものになって、結局分解率が落ちてしまう。こういうものを出す菌はペケだ、使えないということになるわけです。そこで仕事がだんだんむずかしくなってきたわけなんでありますが、それを解決したのが私どもの仕事の誇りなんでございます。そのほか、イソアミラーゼ、アミロ一・六グルコシダーゼ等がございますけれども、これは本日関係がありませんので、説明を省略いたします。  ところで、この問題になる糖化型アミラーゼと称するもの、これに二種類あるということを言いました。これを私どもの研究を主といたしまして従来の世界の研究を集めてみたものがこの表でございます。この赤丸を打ってあるのは酵素を結晶にした――結晶にしたということは純粋の酵素をとったということなんです。これは皆さんにとっては大したことでもないのですが、研究者にとっては大へんなことなのでございます。ここに結晶写真をお見せしますが、これはあとで問題が出て参りますので、一応説明しておきます。第一にお見せするのが現在ブドウ糖の製造に役立っている酵素の結晶。第二番目のクリのいがのように見えるのは、同じような性質を持っているけれども、八〇%でとまってしまう。同じタイプのやつだけれども八〇%でとまる。これはペケです。これを使っておっても結晶ブドウ糖はとれない。それから、三番目の針のようになって見えるのは、これは先ほどちょっと申しましたトランスグルコシダーゼ、これが酵素材料の中にまじっておりますと、結晶ブドウ糖の製造はぺケです。うまくいかない。この三つとも世界で初めてわれわれのとった結晶でございます。こういうふうな結晶にしまして一つの純粋の酵素にして、その酵素の作用を見ていくことによってこの仕事ができるということがわかったわけであります。だから、この結晶をとることについては、われわれは非常な苦労をしたところでございます。学問的にはこれにずいぶん長い時間を費やしておったわけであります。  こういうことでございまして、この線から上を見ますと、大体澱粉を一〇〇%分解する。ところが、この線から下は大体七八%から八〇%のところでとまる。だから、同じような糖化酵素といえども、とにかく二つのタイプがあるということは、私どもの研究だけでなしに世界の多くの人の研究を集めてみますと、こういうことが言える。しかも、このリゾプス型酵素は、これは少し学問的に深くなりますけれども、マルトース、二分子ブドウ糖がくっついたもの、このものも切る。これは従来の酵素の観念では異常なことであったのです。そういう性質がわかりました。とにかく、こういう酵素は澱粉を一〇〇%切る。一〇〇%切るということは、酵素化学的に言いますと非常な重大な問題を含んでおったのです。私が初めてこれを発表したときは、ずいぶん学界からやあやあ言われて、お前は間違っているのだと言われたのですが、それを証明するための結晶を作るためにずいぶん苦労したのです。結局、先ほども申しましたように、かりにブドウ糖が鎖の一つの輪としますと、ブドウ糖がこういうふうにずっと横に長くつなぐなら、つなぎ方は同じです。一・四結合。ところが、これに枝を出そうとすると、一・四結合ではできない。一・六結合というものが出てきます。ここは一・四結合、ここは一・六結合になる。もしわれしわれの結晶に出した酵素が澱粉を一〇〇%分解してブドウ糖にすることができるとすれば、この酵素は、こういう一・四結合も切り得るが、この一・六結合も切り得るということになる。一つの酵素が二つの結合を切るということは、従来酵素化学の観念ではなかったものであります。非常に無理な考え方であります。  で、これを証明しないことには、私どもの酵素が一〇〇%澱粉をブドウ糖にし得るという証明は成り立たない。そこで、実験して証明したのがこういう方法であります。結局、その酵素はマルトース、ブドウ糖が二分子くっついたやつを一四結合で切ってブドウ糖にしたもの、それから、パノース、ブドウ糖が三つくっついているもの、このパノースだと、ここの一・四結合を切ってこの一・六結合を切る、これを三つの分子にしてしまう一〇〇%のやつも七八%のやつも同じようにやる、しかしながら、イソマルトース、一・六結合のある二分子ブドウ糖のくっついたやつは切れない、こういうことがわかった。こういうことをはっきりと証明したのはわれわれの仕事が初めてでございます。これを英国のネーチュアという権威のある雑誌が認めてくれた。こういうことがあるから、先ほどの枝別れのやつも順々にこういうふうな形で切っていく。それで一〇〇%切るんだということを証明して、現在では酵素化学者は一応認めてくれたのであります。これがこの酵素法によるブドウ糖の製造が成り立つもとの理論であったわけであります。  ところで、これはよけいなことになりますが、たとえば、先ほどの一つのやつは七八%でとまるが、一つは一〇〇%いく。一体この差はどこから来るかということの研究の一端がこちらの図表であります。皆さん酵素の学問の御専門家でありませんから、きょうは、ただ、二つのタイプがある、だから、こういうニガー型の糖化酵素を使えば結晶ブドウ糖ができるかといったら、そうはいかないということだけを申し上げて、説明を省略いたしたいと思います。ただ、問題は、結局は一〇〇%分解するやつは何となくこういう形で分解していくが、途中でとまるのは、実は澱粉の内部構造、一番先に出しましたこの表の、点でつないだ中の、あるいは実線でつないだ中の方の構造の差によって二つの酵素の差が出てくる。要するに、中の方をやっつけるかやっつけないかの力の差があるというようなことで、この七八%でとまる、一方は一〇〇%までいくということの説明ができるということを申したのであります。  ところで、先ほど写真をお渡ししました中に、針状の結晶がございますが、この酵素は、マルトース、こういう二分子くっついた麦芽糖ですね、この麦芽糖を切ってイソマルトースにする。ここを切ったときに発生するエネルギーでこういうくっつき方をする。今度は一・六にくっついてしまう。こういうことをだんだん繰り返していきましてパノースやらテトラオースと、だんだん分子量の大きなものにしていく性質を持っておる。いわゆるトランスグルコシダーゼと称せられる酵素が多くのカビに含まれているわけであります。これは自然の生物の非常におもしろいところなのでございます。一ぺん自分が一つのものを切って、そのときにエネルギーを発する。そのエネルギーを使って別のものを作る。そういうことをやりますから、結局、酵素が澱粉を分解しておっても、それがおりますと、できたブドウ糖をまた別のものに変えてしまいますから、人間の目的とする最終のブドウ糖の収得率というものは落ちてしまう。一〇〇%いかないということです。  ですから、問題はここに二つ出てきたわけです。糖化型の酵素というものがあって、それは先ほど言ったように理屈の上から言ったら澱粉を一〇〇%切り得るような性質を持っておる。しかしながら、その一つは確かに一〇〇%切るけれども、その一つは、残念ながら、澱粉の中の内部構造、アミロペクチンの方の何ものかの条件によって支配されて、途中でとまってしまう。もっとも、この酵素でも百倍くらい入れてやりますと、どんどんいきます。何べんも繰り返しますと一〇〇%いきますけれども、とうていそんなことは経済的に成り立たない。理屈じゃいくが、途中で非常にとまりやすい。そういう酵素が一つある。ですから、結晶ブドウ糖を作るためには一〇〇%糖化する糖化型の酵素を選ばなければならぬということが一つあります。  もう一つは、そういう場合には、どうせ実際に製造をやる場合には、われわれが作ったような結晶を作って売ることはできない。これは経済的に成り立たない。これは学者がやることです。実際には粗製のなるべく安い酵素を使って澱粉を糖化していかなければならない。そういう場合、問題の出てきますのは今のドランスグルコシダーゼで、一ぺんできたブドウ糖が二分子あるいは三分子とくっついて、いわゆるブドウ糖でなくなってしまう。そういう酵素がある。そういうものを一緒に出すという菌が多いのであります。その実験をやったのがこれであります。皆様おわかりになりにくい点もありますから要約いたしますと、マルトースにトランスグルコシダーゼを作用させて、マルトースを分解する。一方は糖化型の酵素を用いて今われわれが問題にしております麦芽糖を原料にする。そうしますと、だんだん時間がたつとともに、もとのマルトースが減っていきまして、全部ブドウ糖になってしまう。これは濃淡で表わしておりますが、最初マルトースに酵素が作用してブドウ糖になりますが、トランスグルコシダーゼを作用しますと、初めマルトースがありまして、これが一部ブドウ糖になる。同時にイソマルトースができる。三つ三つくっつく。また長く置きますと、だんだんブドウ糖がふえてきますけれども、イソマルトースの方もふえてくる。今言ったようなことが起きているわけであります。大体話が長くなりますからその辺で表を省略します。  そういうわけでございますから、その際にこのトランスグルコシダーゼというのはマルトースの濃度が非常に低いと一〇〇%全部ブドウ糖化するのです。ところが、マルトースの方が非常に高い濃度になってきますと、これはトランスしてしまう。ですから、実際問題として大事なことは、実際に糖化する場合には五〇%というような澱粉液を糖化していくわけですね。そうしますと、途中にマルトースがかなり出てくる段階がある。マルトースの方がかなり高い段階にトランスが出てきますと、それをトランスしてしまって、再びブドウ糖にならぬものができてくる。この問題です。そういうことをこの表で示しているわけです。  まだたくさん表を持っておりますが、話が複雑になりますから、この辺で話をしぼって参ります。ただいま申しましたように、糖化酵素というものは、澱粉を一〇〇%ブドウ糖に分解する性質を持っている。しかしながら、一つは確かに一〇〇%いくが、一つはある条件によって途中でとまってしまう。だから、どうしてもこれは一〇〇%いくものを選ばなければいけない。一方、トランスグルコシダーゼというものが、こういうカビを培養して酵素を作るときに、非常にわずかであるけれども出てくる。それがあると、澱粉を糖化する場合に、かりに一〇〇%糖化し得る糖化酵素であっても、それが存在すると一〇〇%分解にいかない。大体、澱粉を糖化いたしまして九〇%くらいでとまりますと、なかなかうまく結晶が出ないのであります。ところが、九四、五にいきますと、結晶がきれいに出てくる。そういうところへ問題がしぼられて参ります。そこで、これを実際に工業的にブドウ糖の製造に役立たせようとすると、どういう問題が起きてくるかと申しますと、その二つの条件をちゃんと具備した酵素を出す菌を選ぶのですね。菌を一体何から求めるかということが問題になって参ります。そうして、ただそれだけでは充足されないので、そういう菌が見つかったら、その菌からいかに酵素を強く出させるか、いかにそれを安価な酵素にさせるかということをやらないと、工業にはならないのであります。その辺に私どもはかなり時日を費したのでありますが、昨年の八月ごろにほぼこの事業化の見通しをつけておったのであります。しかしながら、何しろ新しい技術でありますし、また、今までるる申し上げたような基礎的な事実をよく勉強しておって下さる学者の方はおわかりになるのですが、学者の方は工業化をあまり考えませんし、一般の方はそういう基礎的な事実をあまりよく勉強していないので、酵素糖化というものが実は林原さんで初めて工業化されるまでは多くの方からあまり問題にされなかったという実情であります。実は、私、昨年の八月に、日本のためにぜひ酵素を作ってブドウ糖の育成に役立たせようということを、古くから私が指導しておりますある酵素会社にやかましく言ったのですが、残念なるかな、彼らは私の考えを受け入れなかったのであります。  そんなことは一つのエピソードでありますが、そこで、実際にこの方法でブドウ糖を作りますには、ここにあげたような方法でやります。要するに、簡単に申しますと、これも私が日本で初めてやったものですが、バクテリアを培養して、澱粉を大刻みに刻んで溶かす酵素を作りまして、これを入れますと、大体二十分から四十分くらいの間に澱粉の五〇%の乳液がさらさらになってしまいます。このさらさらしたものに酵素を入れると、これは大体五十五度で二十四時間から四十八時間やりますと、大体九六、七%まで糖化します。もっといくものは八以上までいく。あとの一、二%というものは理論的に残るのです。これはブドウ糖が二つあるいは三つくっついたものはほんのわずかある。これは理論的に言えるのです。しかしながら、これは一〇〇%と見てよい。一〇〇%分解する。そうしたものを煮詰めました糖化液を、活性炭やイオン交換樹脂で脱色、脱塩しまして、ある程度濃縮しまして、結晶溶液を入れますと、先ほどびんに入れてお見せしたいわゆる結晶ブドウ糖がとれる。それから、そう分離をしないで、今林原さんがやっておりますように、これを助命機に入れまして種を入れると、全部が結晶塊となり、切削すれば粉末状の結晶になる。いわゆるトータルシュガーです。もちろん、従来法の通り結晶化して分みつする場合も、結晶をとりました残りの廃液は酸糖化と違って苦くないのですから、これはまた糖みつとして使います。また、濃縮すれば固型ブドウ糖になります。  これは酵素の力をどのくらい入れるかということを出した標準の数字でありますが、このグラフは、そういう方法でやった場合に糖化酵素をどれだけ入れると糖化が何%伸びるか、できるだけ酵素を少くして、そうして糖化を一〇〇%にさせたいというので、糖化酵素の量をいろいろ変え、単位を変えてやってみた。糖化酵素が非常に少く二単位ぐらいだと、カーブが、立ち上りがおそくなりまして、九〇そこそこでとまってしまう。ところが、酵素を五単位やりますと、早く分解して、一〇〇%近くまでいく。大体、三単位くらい、三五単位くらい、実際は四単位くらいのところを使っておりますが、そうしますと、九八、七%くらいまでいく。こういう実験的事実あるいは理論に基きまして現在のブドウ糖ができておるわけであります。  急ぎましたので、幾らかおわかりになりにくい点があったかと思いますが、一応私の説明はこの辺で終らしていただきまして、あとは御質問にお答えいたしたいと思います。(拍手)

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 これより参考人並びに政府当局に対する質疑に入ります。  田口長治郎君。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 今酵素の話を一通り聞いたわけでございますが、工業的に大量に経済的に酵素をとるということが一番重大問題か、こう考えるのでございますが、今、機械的に酵素をという、そこまでは行ってないのですか、あるいはそこまで行っているのか、それから、酵素が工業的に使えます場合、一キロ幾ら程度で生産されておるか、その点が一つと、それから、コーン・プロの技術、これと酵素糖化の問題と何か関連がございますかどうか、それと、コーン・プロは国際的の特許を持ってやっておるという話があるのですが、そういうことがありますかどうか。その二点をちょっとお伺いいたしたいと思います。

福本壽一郎大阪市立大学教授兼大阪市立工業研究所化学第四課長

○福本参考人 お答えいたします。  ただいまの第一の御質問、工業的にこの酵素をいかに大量に作るかということ。これは実は非常に大事な問題でございまして、私どももこれに相当な心胆を砕いたわけでございます。これは、同時に、一キロのブドウ糖を作るに要する酵素の値段は何ぼかということと相関連をいたすわけでございますが、私も実は昨年の八月にほぼ確信がついたと申しましたが、この酵素は、先ほど申しましたように早くから結晶にしておったわけでございまして、理屈は早くからわかっておった。ただ、今の御質問のようなところを解決するためにようやく昨年の八月ごろに確信がついたわけでございますが、私は経済マンでございませんから、その計算は幾らかずれるところがあるということをお許し願いたい、幾らかのアローアンスをお許し願いたいと思いますが、大体ブドウ糖キロ当り作るのに要る酵素の費用が七円そこそこであれば十分である。実際にはそれ以下に作る確信がございます。最初私どもはそこでスタートをしたのです。しかし、今、林原さんに聞きますと、現実にはその半分くらいでできるそうです。私は経済マンでないので、その辺お許し願いたい。私が最初いけると言ったのは、七円以下であればいけるということだったので、よしそれならば酵素を作ることができると言ったのですが、現在ではその半額くらいで酵素はできることになっているようです。三十トン計画で。そうですが、これをもっと今のお話のようにオートメーション化して酵素の生産を大量に自由にやるということが、これからの私ども研究者としての責任だと思っておりますし、また、事実着々とその準備を進めておりますが、ここで断言するのはどうかと思いますが、まずそのオートメーションは可能だと申し上げていいかと思います。  それから、コーン・プロダクトの問題でございますが、実は私もずいぶん調べたのですが、コーン・プロダクトの特許は、一体いかなるものであるか、わからないのであります。新聞記事なんかでは、コーン・プロが特許を持って日本で味の素と提携しておやりになるということを見ておりますが、私は、信頼すべき学問的レポートではそれを見ない。ですから、私自身が実はどこが特許なんだということに疑問を持っている次第です。ただ、一九四六、七年ごろでしたか、アメリカでカビの糖化酵素を使ってブドウ糖を作るということ、しかしそれは私の目から見れば何ら特許になる価値のないような、――あのときはひょっとしたら特許になったかもしれないが、今から見れば問題にならない程度のものでございます。そして、それは日本としては特許になっておりません。ですから、ただいまの御質問に対しては、私自身が尋ねたいくらいなところでございまして、責任のある返事はできません。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 本名武君。

本名武自由民主党

○本名委員 ちょっとお伺いいたしますが、先ほどの御説明で、大体、酵糖化よりも、糖化率といいますか、糖分として生産される割合が多いということはわかったのですが、それをもう少し……。ちょっと考えてみますと、実は、結晶ブドウ糖、さっきの図解の中にありましたC6H1206ですが、これは、酸糖化の場合は大体七〇%くらい、この酵素法でいくと八〇%ということで、そうすると、その点では酸糖化より一割何分くらいしか多くとまらない、甘味としての収量は一〇〇%近く糖化されるけれども、そういうふうに理解していいですか。

福本壽一郎大阪市立大学教授兼大阪市立工業研究所化学第四課長

○福本参考人 それは少しお違いでございます。説明が足りなかったのでございましょう。八〇%という数字をあげましたのは、酸糖化法でやっていると同じように、ただいまお回ししましたびんに入っているものを作るときのように、一度分解したものをある程度煮詰めまして結晶を析出した場合です。結晶を析出するとどうしても母液が残るわけです。それですから、収量は落ちるわけです。しかしながら、残っている母液は、酸糖化の場合は苦くて使いものになりませんけれども、酵素糖化ならばこれは使えるのです。ですから、袋に入っておりますもののように、結晶化のときに全体を固めてしまえば、これは一〇〇%になるわけです。おわかりになりませんか。それでなかったらこう考えてもいいのです。八〇%の結晶をとっておきますと、残り二〇%のみつが残ります。それはやはり使いものになるのです。それは、みぞれにかけるみつにするとか、あるいはあんを作るときの糖分にするとかして使えばいい。合せれば一〇〇でしょう。そうお考えになればけっこうです。

本名武自由民主党

○本名委員 そこで、みつを再精製といいますか再糖化して一〇〇%にして粉末にして、その八〇%と合せて一〇〇%というのか、それとも、それを精製過程においてそういう方法で一〇〇%にするというのか、本質的にやはり粉末ブドウ糖でなく結晶ブドウ糖としてはこの方法でいっても八〇%と考えていいかどうか。

福本壽一郎大阪市立大学教授兼大阪市立工業研究所化学第四課長

○福本参考人 それは少し違います。先ほどるる申しましたように、酵素で分解いたしますと、九七%以上までブドウ糖になっておるのでございますから、とにかくそこの液の中に存在しておるものは約一〇〇%近くブドウ糖になっておる。一・何%くらいのものが、二つくっついたりあるいは三つくっついたりしたものが残るわけですが、液の中に存在しているものは、一〇〇近く、九八%以上ブドウ糖なんです。ただ、そういうものから結晶を析出させる場合には、水があるから全部は析出しません。だから、結晶になって出てくるものは八〇%くらいしかとれないということを言っておるのです。残っているみつは、やはりブドウ糖なんです。ところが、酸糖化の場合は、先ほどもちょっと触れましたように、その中にゲンチオビオーズというような非常に苦いヂ・サッカライドができまして、それはそのままでは使えない。どうしても結晶を分離して洗ったものだけしか使えない。ゆえに結晶は七〇%になる。ですから、そういう事実をうまく利用しまして、これは商売の感覚なりあるいは商品としての商品価値の問題で、これは私があまりタッチすることではありませんが、そういう性質のものですから、分みつ式の結晶にしなくても、結晶することはするのですから、全部を結晶バットに入れて少し時日をかけて全部結晶するような状態にすれば、一〇〇%粉末になるわけです。それは簡単にできるわけです。

林原一郎林原株式会社社長

○林原参考人 酸糖化の方法で参りますと、できますブドウ糖以外に未分解のものと過分解のものとできまして、未分解のものはデキストリンで、過分解のものは非常に苦いもので、しかも色のついたもので、こういうものが一緒にできるわけです。一緒にありますとそれでは困りますから、結晶させまして、そのうちから結晶ブドウ糖だけを取り出しまして、あとに、苦いもの、色のついたもの、あるいは未分解のものを分離しなければならぬ。分離しないと結晶ブドウ糖にならないのであります。ところが、福本さんの方法で参りますと、苦いものはできないわけです。それから、未分解のものといえども、ほとんどブドウ糖と違わない程度のものができておるわけです。九八%までブドウ糖ができますが、あと残りの二%といえどもほとんどブドウ糖と親類同士のものであります。従って、苦いものができておりませんから、分ける必要がないのです。また、未分解のものがないわけでありますから、これも分ける必要がないのです。そのままを固めれば、結晶分離という工程を経ずに一足飛びに結晶ブドウ糖ができるわけです。けれども、医薬用のブドウ糖とか、よほど高度のものを作ります場合には、学問的にもまたそういう高度のものを要求されました場合には、もう一ぺん分離いたしますれば、もっといいのができます。そうして、とれましたあとの廃みつの利用ということでありますが、現実には砂糖代用として甘味対策の上に乗せる場合にはその必要がないわけです。そのままを結晶させまして一〇〇%の歩どまりのものが従来の結晶ブドウ糖と同じものということが申し上げられます。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 綱島君。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 事業家の方に伺いますが、もちろん事業家も八分か幾らかの利潤を求めてやっていく。それで、日産五十トンくらいのものを計画されて、どのくらいの原価につくか。大体、税務署にお話しになることではなしに、一つお見込みでよろしゅうございますから……。

林原一郎林原株式会社社長

○林原参考人 この仕事に着手いたしましたのが四月でございます。製品ができだしましたのが六月末でございます。まだニカ月くらいしかたっておりません。それから、私の方は元来水あめ業者でございまして、水あめを大体二百トンくらい生産しながらブドウ糖を現在三十トン作っております。ブドウ糖だけのはっきりした原価計算の数字は申し上げかねますが、現在の段階におきましては砂糖価格の八割で販売いたしております。三十トンを基準にいたしますと、売り値が砂糖の八割。お手元にお配りいたしましたのは、砂糖と同じ甘さで、これはどちらも同じ価格でございます。砂糖価格の八〇%で販売いたしております。現在進行中の百五十トンプラントが完成いたしますれば七〇%の価格でできるのではないかと思います。それから後は、もっと量産いたしますれば五%くらいは下げられる、行く行くは砂糖の六五%くらいの価格にまでなるのではないかという見当をつけております。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 赤路君。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 ちょっと設備の点でお尋ねしたいと思います。今の得失表からいきますと、濃度が酸糖化の場合は二十五、酵素糖化の場合は五十ですから約半分で済むわけです。ところが、糖化時間でいくと酸糖化が六十分で、酵素糖化の方が二十四時間から四十八時間。そうしますと、かりに中をとって三十時間としますと、三十倍かかるということになるので、糖化槽が非常にたくさん要るということが一つあります。それから、耐酸・耐圧関係から言うと、これはそういう必要がないからずっと安くあがると思うのだが、中和は不要だから中和槽は要らぬわけだが、琺瑯をしなければならぬということになると、この点はあまり変らないのではないか。そうすると、全体としてこの得失表から見ていきますと、かなり酸糖化のものより設備の面積、設備費も要るのではないか、こういうふうにちょっと見ただけで感じを受けるのですが、その点はどうですか。

林原一郎林原株式会社社長

○林原参考人 御質問の点でございますが、糖化時間は事実四十八時間ぐらいであります。しかし、これは、高温でありませんで、単に摂氏五十五度の温度でタンクの中に入れてさめないようにしたらいいのです。これはタンクの数をふやすだけでやれるのでございます。酸糖化方式によりますと、結晶ブドウ糖の設備の場合は大体トン当り二千万円というのが一般の標準でございます。この二千万円の設備費のうち、一番大きな部分を占めますのがこの結晶分離の過程に要する費用であります。ところが、さっき申し上げましたように、結晶をしたものは分離する必要がございませんので、煮詰めたものがさめればそのまますぐにトータル・シュガーになるので、従って、私の今までやりました結果から申し上げますと、設備費用は酸糖化方式の大体三分の一で済むのではないか。現在三十トン作っておりまして、なお百五十トンのものを作りつつあります。これは、従来の方式でやりますと百五十トンの場合は三十億円の設備費ということになりますが、私は、三十億円でなくて十億円もかからないでできるのではないか、もちろん、今水あめの設備をある程度転用しておりますが、新しく作りましても十億円以内でできると思っております。現在私の方は御融資を得ませんで自己資本でやっておりますが、これは設備資金が安くできるから自己資本でできるのです。大体そういうことであります。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 芳賀君。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 福本さんにお尋ねします。  先ほど、酵素糖化法でいくと、乾燥澱粉の方でなくてなま澱粉を原料としても製造が十分容易だという御説明がありましたが、そうなると、これは、原料価格の面において、なま澱粉を使った場合と精製澱粉あるいは米粉澱粉を使った場合で製品のコスト上に相当の差異が出てくるというふうに考えられるが、その点は大体どういうことですか。

福本壽一郎大阪市立大学教授兼大阪市立工業研究所化学第四課長

○福本参考人 私は経済マンでございませんので、こまかい経済的な数字を申し上げる資格はないのでございますが、私が説明の材料として申しましたことは、酵素法というものは酵素が澱粉だけにしか作用しない、ほかの含まれている異物には全然作用しないから非常に仕事がやりやすいのだということの例証として申したのでございまして、事実、なま澱粉でやってもりっぱなブドウ糖ができます。できますが、実際問題としては、なま澱粉は貯蔵性がないし、運搬がむずかしいので、実質的には乾燥澱粉を使っている実情であります。ですから、どうもそういう数字的なことはむしろ林原社長の方が適当かと思いますので、そちらに譲りたいと思います。

林原一郎林原株式会社社長

○林原参考人 私からもお答え申し上げたいと思います。使います原料は乾燥澱粉でございましょうとも、なま澱粉でございましょうとも、さらにまた、摺込澱粉と申しまして、不純物を相当含んでおります精製しない澱粉、何でもよろしゅうございますが、酸糖化方式によりますればそういう原料をさらに工場において精製いたすわけであります。ところが、酵素糖化の場合はその精製の必要がございませんので、もう市販の澱粉をそのまますぐに糖化に移せるということが非常にすぐれた点でありまして、現在でもすでになま澱粉をどんどん使っておりますし、これは例年十月から翌年の一月ごろぐらいまではわれわれはもっぱらなま澱粉を使う。これは乾燥の費用だけが生産者において倹約につきますので、それだけ安くつきます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 それから、原料を使用する場合、カンショ澱粉が対象と思いますが、カンショ澱粉とバレイショ澱粉においては、これは価格が違うわけなんですが、たとえば原料としてカン澱、バ澱を使用した場合、これは、林原さん等の経験によると、やはり製品で相当の差が出ると思うが、コスト上の差あるいは品質上の差はどうなっておりますか。

林原一郎林原株式会社社長

○林原参考人 カンショ澱粉でございましょうとも、バレイショ澱粉でございましょうとも、使いまして別にむずかしい、やさしいということはございません。同じように使えます。ただ、現在の場合、カンショ澱粉よりバレイショ澱粉がいささか高うございますので、カンショ澱粉を使っておりますが、バレイショ澱粉でもけっこうできる。むしろバレイショ澱粉の方がいいということを申し上げます。  これは蛇足ではございますが、バレイショ澱粉、カンショ澱粉は、いずれも地下澱粉であります。地中でできました澱粉でございます。これは酵素糖化にとりまして非常にやりやすい澱粉であります。地上でできましたトウモロコシの澱粉、それからマイロスターチ――コウリャン澱粉、かようなものは、酵素糖化はできるのでございますが、前段階の液化が困難なのでございます。従って、アメリカ、イギリス、ドイツ、欧米各国で酵素糖化というものが生まれなかったということは、やはりそういう点にも原因があるのじゃないかと思います。アメリカでは、酵素糖化というものは研究富ではできておるかもしれませんが、市販はされておらないのであります。今度福本先生のお作りになりましたものは世界最初の酵素糖化の製品であるということが申し上げられると思います。これは澱粉そのものが違うのであります。かりに、コーン・プロダクトが日本に参りまして、アメリカから原料を輸入してこの方法でやるという場合は、不可能であると私は考えます。

芳賀貢日本社会党

○芳賀委員 これは製品の消流の問題になりますが、今まで林原さんの努力された経緯等にかんがみて、単なる企業者の努力だけで、たとえば砂糖に比較して七〇%なら七〇%の製品ができて市場に出すことができる、そういう価格差だけで今後の消費は国民生活の面に十分拡大して消化されるという見通しというものはむずかしいのですか。今までの経験から見てどういうような判断をされておりますか。

林原一郎林原株式会社社長

○林原参考人 お説のように、現在までの酸糖化方式による結晶ブドウ糖は、私がさっき申し上げましたように、まずコストが高くなって、ほとんど砂糖とあまり大差のない価格であること、それから、その甘味が砂糖に比べて大体六割程度であること、この二つの欠点があるために砂糖にかわり得なかったのであります。しかしながら、酵素糖化によりまして、価格は行く行くは六割あるいは七割ぐらいに下り得るのじゃないか。それから、甘味の足りない点は、これは、砂糖をまぜるのじゃなくて、人工甘味の非常に優良なもの、チクロ系のものをブドウ糖とまぜ合わすことによりまして、お手元にごらんに入れておりますように、砂糖あるいは砂糖以上の甘味の強いものになるわけでございます。しかも、これは、砂糖に比べまして、できるものによりますと非常にすぐれた甘味を持っております。そういうようなことから、現実に数ケ月来市販をいたしまして、いろいろなものに使わしておりますが、現在のところわずか生産量が三十トンではございますが、とても需要に追っつけないというような事情になっておりまして、私の見通しといたしましては、行く行くは、相当のPRは要りますが、やはり砂糖の四割ないし五割、あるいは六割くらいまでは酵素糖化のブドウ糖によってかわり得るのじゃないかという見通しを私は持っております。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 参考人よりの意見聴取をこの程度にとどめます。  参考人各位には、長時間、しかも貴重なる御意見を承わり、まことにありがとう存じました。結晶ブドウ糖工業の育成に努める本委員会の今後の調査に資するところきわめて大なるものがあったと存じ、深く感謝をいたします。同時に御礼を申し上げる次第であります。どうぞお引き取りを願います。     ―――――――――――――

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 次に、農林漁業災害に関する件につきまして調査を進めます。  台風第十四号並びに第十五号による農林漁業災害に関する質疑に入ります。  綱島正興君。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 十四号、十五号と相次いで、十四号は局部的でありますが、やはり非常に深刻な被害をもたらしました。十五号について、おそらくこれはもう終戦後初めてだと思います。いろいろなことを言うておるけれども、実際はこれほどひどい災害は初めてだと思う。これについて基本的にどういうふうな復旧の御方針がございますか。従来からの復旧の方針には非常に欠けるところがある。ひとり天災が非常に深刻であったというだけではなく、少からざる災害費を投下したにかかわらず、やはり復旧に欠けるところがあったと思われる点も少くないと思いますから、御方針を伺っておきたい。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいま綱島先生がおっしゃるように、今回の災害は、本年に入りましてから数次の災害がありましたが、特に深刻でありまして、近年まれに見る惨状であると考えておる次第であります。従いまして、これが復旧に対しましては、従来の復旧方針に対して欠けるところがありはしないか、万全を期してやれというお話でございますが、私ども全くその通りに考えておるわけであります。農林省といたしましても、事の重大さに、一日も早くその真相をつかみまして、これが対策を講じたい、かように考えまして、災害の翌日直ちに大野政務次官が現地に調査方々見舞に参っております。同時に、格関係の局から係官を派遣いたしまして、その実情調査に携わっておる次第であります。なお、今朝は朝早く福田農林大臣も――昨日申し上げましたように皇太子様を初め岸総理も現地に参っております。それらの方々の御一行のお伴をいたしまして親しくこの際三県ばかり現地のお見舞並びに視察をいたしまして、五日には帰ってくる予定になっております。     〔吉川委員長退席、本名委員長代理着席〕  私どもは、一日も早く正確なる事情を把握いたしまして、適切なる救済の処置を講じますると同時に、また、復旧方針に対しましては、緊急、恒久の両値にわたりましてその万全を期したい、かように考えておる次第でございますが、従来の復旧ということにつきましては、今次の災害の結果を見まして、いろいろな基本的なものの考え方に欠くるところがあるのではないかということは、私どももその感を一にいたすものでございまして、今回の災害を契機といたしまして、十分そのよって来たるところの原因も究明いたし、現実的には十分なる復旧処置を講ずるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。ただ、何分にも、まだ、具体的な細部の事情におきましても、数字におきましても、調査が完了いたしておりませんような事態でありまして、具体的に申し上げるべき時期に至っておらぬことを御了承願いたいと思います。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 たしか二十八年の十三号台風の折でございましたが、調査いたしてみますと、愛知県から三重県の海岸地帯は一メートル近くも戦時中二回にわたる地すべりによって地盤が低下しており、そこへもってきて十三号台風が参りまして、陸地まで海水が侵入するということに相なったのであります。そのときに私はちょうど調査団の団長として報告書を書いて意見を述べておいたのですが、従来の災害復旧法によりますと、受けた災害をまた元のように復旧するという法律の趣旨でありますが、これが実際は意味をなさない。すでに災害を受けたのであるから、そのものを復旧したってやはりだめで、これは老朽になったために災害を受けたという場合にのみはそういう考え方が有効である。老朽にならないでしかも災害を受けた場合には、こういうやり方は、もう一ぺん災害を受けるぞという復旧の仕方で、国費のある意味においては乱費であると思うのです。ことに私ども遺憾に思っておりますのは海岸線が災害をかりに受けました場合は、それにつながる河川の堤防については何らそれに見合う復旧がしてない。海岸線をかりに五メートル上げたとする。そうすると、河岸もそれだけ上げていかなければ、河岸から潮が入り込んで、何もならないのであります。いかにも、することがこま切れ式な場当りの仕事であって、私が今まで災害を受けたところを見て歩いたうちでは、愛知県、三重県、静岡県の海岸は最もよくできております。また、資本の投下率も災害復旧費も最も多かったと記憶しております。にもかかわらず、このたびのようなことが起りましたのは、なるほど両量も多少多かったと言いましょうが、六百ミリくらいの雨は日本ではそう多くて驚くほどの雨ではございません。一千ミリを越した雨もたびたび降っております。六百ミリということはそう驚異に値いするほどの雨でもございますまい。六百ミリくらいはいつでも降るものだという予想で復旧はしておかなければならない。いや、日本の災害復旧はやはり千ミリくらいは降るものとして集水面積を計算し雨量を計算しなければならないのではなかろうか。それから、海岸が昔地すべりで下ったものを、その下ったままに復旧するということは、どうも子供みたような考え方であって、ある意味では私は復旧費の浪費であると思う。こういう点については、大蔵省といずれは復旧を担当される建設省、農林省においては折衝され、非常な御苦労があるだろうとは思いますけれども、これは断じて改めなければ、こういう災害をたびたびやっていかなければならないことになる。  ことに、いま一つの問題は、水産庁にお尋ねいたしますが、漁港の問題であります。私の知っておる例でありますが、長崎県の平戸に津吉というところがある。これは三度工事中に災害を受けて、今度は何もなくとられてしまった。こういう港の作り方というものはよほど考えなくてはならない。  なお、もう一つ農林のことで申し上げますと、佐賀県の干拓でございます。御承知の通り、有明湾は非常に干満の差が高いのでございますし、佐賀の海岸は大体有明湾としては奥になっておりますので、風が奥の方へ吹き込みますときでには潮が高くなる。従って、潮の当る強さも波の当る強さも強くなるのでありますが、国営のやつは標準水位から七メートル、代行は六メートル、団体営は四メートル。ところが、ちょっと風が吹いたら団体営は毎年やられる。それを依然そのままに復旧して参る。地元負担もあればいろいろな点もございますが、そういう点は国が考えて実際に復旧するのでなければならぬ。ただ形を復旧するのじゃない。それは潮をよけたり耕作物を完全に育てるための土手でありますから、いわゆるその土手の効用を復旧していくのでなければ、昔これだけの土手だったからといってその形骸を復旧するならば、これはばかでも何でもできる。すぐれた役人なんか要りはせぬ。なるべくばかに安い給料をやっておいた方が便利なように思う。これはばかじゃあるまいかと思う。そこで、七メートルにすれば災害はほとんど受けないなら、やはりそれにならってかさ上げをして復旧をしていく、こういうことが考えられる。つまり、災害を受けたところは災害をもう受けないようにしていかなければ意味がないと思う。  なお、この際特に御希望を申し上げておきますが、防水の施設をどんな小さいものでもやっておいていただきたい。ため池、それからわずかな施設でけっこうですよ。特に私感じましたことは、二十八年の大災害で和歌山県の高野山付近を見て歩いた。そうすると、あの辺は地質が非常に脆弱で、少し水が流れればすぐ流れるような地質でございます。ところが、いかにも水が集まって来そうな谷間々々をほんのこんな小さな石をほずってずっと防御してあるところ、そこは一つも崩れていない。見たところ水はここらに来そうなところだが、幾らか高目になっておるところは、何もしていないから崩れておる。それを見てみると、いかにも防水の設備というものが有効である。これは営林署の御担当でございましょうが、林野庁はちっとは金を持っておられるのだから、少しは奮発して金を出してやってもらわなければならぬ。そして、国土を愛していかねばならぬ。私は、日本のような災害ばかりで成り立っておるような国は、災害さえとめれば非常によくなると思う。大風がもたらすよい影響というのはあまりないかもしれぬけれども、大雨がもたらす豊穣に対するよい影響というものは非常にある。雨なかりせば実際穀物はできぬ。日本の穀物がよくできるのは雨のおかげだ。ヨーロッパなんぞ、土地を幾ら耕してみたところで、かれ地でどうにもならぬ。日本の土地はほんとうに農政をよくやって災害を防除すれば豊穣な土地になると思うのであります。そこで、災害復旧ということは、よその国々におけるウエートよりは日本の国におけるウエートというものが非常に重いものだと思う。そこで、この災害復旧ということについてはお役所はほんとうに力を入れて、それこそ、だれ農林大臣、だれ政務次官のときにできたこういう堤防である、こういう防災ため池である、こういうことを人がたたえるようにしなさい。ごらんなさい、南淵書という本があるが、その本には、神武天皇から安寧天皇までの間ほかには何にも書いていない。だれ天皇はどこにため池を作った、だれ天皇はどこにため池を作った、それだけしか書いていない。それほど実は水を治めるということは民族の大切なる問題である。ぜひ一つこのたびの災害復旧には御努力を願いたい。そこで、皆さんがよくお考えを願わなければならぬことは、大蔵省から予算を取られるのだから、骨が折れて、やむを得ず、心ならずもがなの仕事をされることが多いとは思います。しかし、ここはやはり罹災者の身になって一つやっていただきたいということ。いくさもないのにしかばねを数千人もさらしておる。これは実際政治家としての責任であり、役人としての責任を痛感せねばならぬ。実際災害地にほとんど普通の顔をしては通りにくい事柄だと思うのであります。どうぞ、二度とこういうことのないように、深く意を用いてしていたただきたいと思います。これは、政務次官、水産庁、林野庁、それぞれの御意見を重ねてお願いしたい。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいまお話しになりました点は全く同感でございます。従来、災害復旧工事につきましては、御説のように、原形に復するということが基本の方針であったと考えております。ただ、国の予算の点から申しますと、災害が多くて次から次に膨大な予算になるということをおそれてであったと思いますけれども、これはどうも考えるべき問題じゃなかろうかとわれわれも考えております。そこで、最近においては御承知のように、原形に復するだけでは足りない、もう少し強化しなければならぬではないかというようなものは、大がい関連工事としてある程度まで、原形を復旧するにとどまらずやっておったことも御承知の通りでございます。お話のように、この災害を将来防止するということは、不測の災害はともかくといたしまして、最高の災害をまず標準として災害復旧の工事はやるべきではないかと思うのであります。そういう意味におきまして、二度と災害を繰り返さないという心構えをもって政府として仕事に当っていくことに努力をすべきだと考えます。そういう意味におきまして、ただいま先生お話の点、全く同感でございます。そういう方針のもとに極力一つ応急工事の完成をはかるという線でいきたい、かように考えます。

山崎齊林野庁長官

○山崎説明員 雨によりまして林地が崩壊して非常な災害を起すさいうことになるわけでありますが、これの復旧につきまして、極力努力して復旧するということは、われわれとして当然やらなければならぬというように考えております。ただ、そういう荒廃地だけを復旧いたしまして、また次に雨が降ればまた崩壊するかもしれぬというところを放置しておくということではいかぬというふうに考えまして、予防治山という仕事も今後拡大いたしまして、荒廃地復旧と両者総合して山林復旧を考えて参りたいと考えております。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 漁港を例にとりました綱島先生のお話は、まことにその通りでありまして、今後御趣旨を体しまして全力を尽して参りたい、かように考えております。

綱島正興自由民主党

○綱島委員 実は、本委員会でも六号、七号のことは委員会でいろいろ処置して決議等もできて、それぞれ出先の役所にも指令が下っておるようですが、十四号はそのままになっておる。それで、この際十四号は古くもなっておりますが、佐賀の災害なども、長崎県などもそうでありますが、十五号と同時になるべくすみやかにその方途を講じていただきたいと思いますが、御所見ほいかがでございますか。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 まだ対策の立っていない今回の台風災害でございますが、これは、軽微なもので従来の慣例上そこまでやる必要がないというものは別といたしまして、それより深刻なものに対しては何らかの方法を立てなければならぬ、かように考えます。各方面ともよく連絡、協議の上で善処いたしたいと考えております。

本名武自由民主党

○本名委員長代理 倉成正君。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま綱島委員からお話がございましたが、十五号につきましては、今後現地視察その他結果が集まって対策を立てられると思いますから、十四号で若干御質問申し上げたいと思います。  まず第一は、十四号台風の特色としましては、佐賀、熊本、長崎、こういうところの九州地方では海岸地帯に非常に多かった。そこで、この海岸地帯の災害復旧というものを早急にやらないと、今後ますます災害が拡大していくという格好になりますし、特に佐賀の干拓地のようなのは単年度でこれをやってしまいませんと、いつまでも農家が安心して生活ができないということになりますので、海岸の災害復旧事業、また干拓地の災害復旧ということについてどういうふうにお考えになっているか、まずお尋ねしておきたい。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいま倉成委員の御質疑の十四号台風、主として九州方面に襲来した災害でございますが、この問題を早くやらなければ次の災害に見舞われる、そこで、そういうことのないようにすみやかにこれを復旧すべきであるがどうかという御質問と伺いました。全くその通りでございまして、災害対策としてそれを復旧することも当然でございますけれども、ことに、考えなければならぬのは、将来の災害を未然に防止するということに考えを及ぼさなければならぬと思います。そういう意味におきまして、ことに農業災害は再生産を妨げないようにするという心がまえが必要であると考えております。私どもといたしましては、すみやかに、次の災害に見舞われないように、しかも農林漁家に対して再生産に役立つような処置をとらなければならぬ、かように考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの政務次官の御答弁を実際に行政上生かしていただきたいと思います。  次に、災害にとって一番緊急を要する問題は融資の問題であります。災害を受けました農家がやはり一番困りますのは、これまで借りておりました金の処置でございます。こういった従来の融資に対する償還の延期、今後の融資というのが迅速にされなければならないと思います。また、そういった資金の中で災害に対して特に大きな働きをなすのは、今日の制度では自作農創設維持資金ではないかと思うわけでありますが、このワクを従来のワクではなくして新たに設定して、どうしても災害地の農家の生活資金に充てていくということが必要じゃないかと思いますので、そういった点の御配慮はどういうふうになさっておるか、お伺いしたいと思います。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 いつでもそうでございますが、当委員会等におきましても委員の皆様から常に心配にあずかっております問題は、金融をすみやかにやるということ、これの手続が繁多であり、どうも適当な時期にそれが手に入ってこない、こういうことに問題点があったと思うのであります。これは、実は、いろいろ苦心をいたしまして、そういう煩瑣な手続を省略いたしますとともに、すみやかにこの貸付の完了するようにということを考えて、いろいろ計画を立てて検討も進めておるわけでございます。従いまして、そういう処置をすみやかにいたすように努力をいたしますとともに、この資金について、すでに今まで災害等を受けて金を借りておる、それを、また災害を受けた、新しく借り入れなければ生活ができないというのに、旧債まで払うということは困るではないか、こういう問題が出てくるのでありまして、そういう問題については、農林漁業金融公庫の資金ワクにおける融資については、そういう繰り延べの処置を護ずることになっておるわけでございます。これをぜひやるつもりでございますが、問題になりますのは政府資金の関係の問題であります。この問題につきましては、今まで繰り延べ償還をするという道が開かれておりません。そこで、そういう問題を心配いたしまして、これを何とか解決をつけるべきではないかというので、今いろいろ私ども省内におきましても相談をいたしておるところであります。この問題は、十分検討いたしまして、できる限り実際に即する処置を何らかの方法で講じたい、かように考えておるわけであります。  自作農資金につきましては、ただいまのところ十七億五千万円ばかりなお余っておるものがあると考えております。余っておると言えば語弊があるかもしれませんが、なお割当未済のものがあるわけであります。そういうものについて、一つ災害地の実情に即してすみやかに配分をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、その資金ワクにおいてどうしてもまかなえないというような場合におきましては、適当な方法を講じて支障のない処置をとらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ちょっと具体的になって恐縮ですが、自作農資金は、今日の災害では今のワクではまかなえないということがはっきりしておりますのでおそらく十五号につきましては別途これは考えなければいけないと思います。そうなりますと、天災法による指定の時期、それから自作農維持資金を配分する時期というのは非常に大きな問題になると思います。大体のめどでけっこうでございますから、御教示願いたい。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 天災の指定が今までおくれるというおしかりをいつも受けておるわけでありますが、これがおくれるということは非常に困ることで、この十五号台風については特にそういう生活上の問題も起ってくると思います。生活が窮迫をいたしまして、農地を手放さなければならぬというようなことになりますと、それが生産費であろうと、自作農維持創設資金の趣旨に反するわけであります。そういう点も考慮いたさなければならぬのでありまして、調査完了次第に、目標さえ立ちましたならば、これは指定をしなければならぬと考えておりますが、具体的な問題は事務当局から申し述べさせることにいたします。

小林誠一農林事務官(農林経済局農政課長)

○小林説明員 天災法による指定の時期でございますが、天災法によって政令で指定いたしますときに、融資の総ワクの限度を政令で規定することになっております。従いまして、被害額が相当程度判明いたしませんと、その額を算定できませんので、統計調査部の調査が進みまして、その被害額が判明いたしますれば、すみやかに十四号も十五号の分も含めて政令の指定ができますように準備をいたしておるわけでございますけれども、その時期等につきましては、まだ、今回の災害では特に交通途絶や何かの関係で調査が非常におくれておる関係もございまして、今からいっその政令が出るだろうということを申し上げる段階に至っていないのでございます。その点御了承願いたいと思います。

倉成正自由民主党

○倉成委員 十四号についてお尋ねしておるのですが、時期の問題は、はっきり何日と言うことは無理かもしれません。しかし、従来、いつも早くやると言いながら現実に非常におくれておりますので、一つおくれることのないようにお願い申し上げたいと思います。  そのほか、融資の問題については農地復旧に関する負担の部分というのが地元で非常に大きいわけでありますが、こういう点も御配慮いただきたいと思います。  次に、開拓地の問題でありますが、いつも災害のときに忘れられますのは開拓農家であります。これは全体の数から申しますとわずかでありますけれども、食うや食わずの生活をしております開拓農家にとっては死活問題であります。また、現在の基準では家屋の全壊だけを取り上げられておりますが、これは、半壊以上の農家というのも、もう再起不能の状態にあるわけであります。全体の比率から申しますとわずかではございますが、この開拓農家に対する施策ということについて特にお忘れのないように要望申し上げておきたいと思います。何かそれについて具体的な御意見があったらお聞かせ願いたい。

庄野五一郎農林事務官(農地局管理部長)

○庄野説明員 お答えを申し上げます。  開拓の問題につきましては営農基盤が非常に脆弱なために再々災害を受けますし、また、災害を受けた場合におきましては非常に大きな被害になりまして、これまでの不振の原因も、連続災害にその相当部分の原因があるというような状態でございますので、われわれは、絶対に忘れるということではなしに、風が吹くと常に開拓地はどうであろうかということは気にかかっておる次第であります。十四号台風のときにも、あの地帯の開拓地、干拓地が決壊いたしておりまして、これは三十一年に決壊して再度の決壊になっておるわけであります。これの家の問題につきましては、ただいま大蔵省とも折衝中でございますが、住宅につきましては六、七号台風以来今回の十五号台風に至るまで、開拓地あるいは干拓地の被害が非常に大きうございまして、また、全壊家屋も半壊家屋も非常に多いようでございます。ただいままで、全壊を対象にして、非常にしぼって、適用も五年以内と五年以上に分けて適用する等、基準は非常にきびしいわけでございますが、それをできるだけ開拓地の現状に合うように適当にゆるめるという方向で折衝いたしております。まだ結論は得ておりませんが、至急やりたいと考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 開拓の問題は、ただいまの御答弁、まことにけっこうと思いますが、実は、私ども現実にこの対策をやってきた者としましては、やはり担当者が勇気を持って大蔵省に当っていただきたいと思います。いつも結論的にはしりつぼみになりまして、やむを得ないというところで引き下っております。従って、どこにしわ寄せになるかといいますと、最も発言力の弱い、最も困っておる開拓民が浮ばれないという結果になりますから、この点は何をおいても第一に一つお願い申し上げたいと思います。  次は、十四号または十五号を通じて、果樹作農家が非常にやられておるという現象が出ておると思います。従来果樹の問題についてはほとんど施策が行われてなかったと思いますが、特にこの点について今後の対策ということがありましたら一つお示し願いたいと思います。

小林誠一農林事務官(農林経済局農政課長)

○小林説明員 果樹の災害につきましては、さきの七号台風、また十四号、十五号等で非常に大きい被害をこうむっておりますことは御説の通りであります。それにつきましては、昨年天災法の指定政令を出しましたときにも、果樹栽培農家につきましては最高の十五万円まで貸し得るような政令指定をいたしたこともございますが、さらにこのたびは果樹だな等の被害もございまして、この果樹だなの施設復旧等につきまして農林漁業金融公庫から資金が出されておるわけでございますが、施設当りの金額が二十万円では非常に低過ぎるというお話がございまして、目下大蔵省とその限度額を引き上げる交渉をいたしておるような次第でございます。今度の災害につきましても、その先例に準じまして、天災法の指定をいたしますときには、経営資金の額を増すということで考えたい、かように存じております。

本名武自由民主党

○本名委員長代理 この際ちょっと申し上げます。さきの農産物に関する調査小委員会におきまして留保されておりました雑豆の件に関しましては、ただいま政府において引き続き検討中であります。従って、本件に関する回答は次会に譲りたいと存じます。さよう御承知願います。

倉成正自由民主党

○倉成委員 果樹の問題につきましては今後いろいろ御研究いただくことにしまして、時間もないようでございますから、水産の問題をごく簡単にお尋ねしたいと思います。  十四号台風におきましては、長崎、熊本方面の漁港、漁船が非常に大きな波害をこうむったわけでございます。この漁港の分は別といたしまして、漁船について申しますと、漁船損失補償法による被害漁船の保険金の支払いでありますが、これをできるだけ早く、保険金の三分の二以上を概算払いをしていただきたい、こういう希望を持っておるわけでありますけれども、漁民の再生産の手段であります漁船を一日も早く作って、そして就業の機会を与えるということが必要ではないかと思いますので、この点を一つお伺いします。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 十四号台風におきましては、御指摘のように漁業関係の被害が割合多かったように思うのでありますが、その中でも、漁港も含めまして、特にただいま御指摘のように漁船の被害が相当多うございました。従いまして、最も漁船の被害の多かったと思われました北海道には、すでに係官を派遣いたしまして、御指摘のような概算払いを実施いたしております。なお引き続きその他の地方にも北海道と同様な措置を急速にとりたいというふうにただいま心がけております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 新農村漁村の建設要綱に基く共同利用施設でありますが、この被害についての対策もお願いしたい。  それから、もう一つは、今度の十四号では、特に真珠とかカキの養殖、こういった水産増殖施設に対する被害が非常に大きかったのでございます。こういった養殖施設に対する対策ということ。特に真珠は今日の沿岸漁業の非常に大きな大宗をなすものでありますので、格別の御配慮をいただきたいと思いますが、これについて御施策があればお伺いしておきたい。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 御指摘のように、三重県では真珠の被害が相当大きい模様であります。まだはっきりした数字がつかめておりませんが、ほとんどのいかだがこわれまして、養殖中の真珠が海底に散乱しているだろうというふうに推定されておりますが、まだ現地に行けませんので的確な情報はつかんでおりません。ただ、そのような真珠に対する被害をどうするかということが御指摘のように非常にこれはむずかしい問題でございますので、目下一生懸命検討中でございます。何かの方法で資金的な裏打ちをすることが必要であろうというふうに考えまして、目下一生懸命になって検討中でございます。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 長崎県の被害はわかっているでしょうか。

高橋泰彦水産庁次長

○高橋説明員 長崎県の被害はある程度わかっております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 三重県の場合については、今後の調査で、これは抜本的な対策を必要とすると思いますが、長崎県の例をとりましても、真珠、カキの養殖等の被害が非常に大きかったのであります。この貸付については、水産関係の取扱い方針、これで担保を取ることを非常に要求されておりますが、こういう不動産物件の担保などの徴収を緩和するとか、やはり実情に即した、再建できるような施策を一つお考えいただきたいと思います。この点については特に今後の御研究をお願いしたいと思います。  私、これで質問を終りたいと思いますが、何と申しましても、現実の農村、漁村というのは、今日非常に困っておるわけでありますから、いろいろ全国的な災害が起っておるところでございますけれども、どうぞ、十四号あるいは六号、七号、こういった被災地区の農民、漁民というのは部分的には非常にひどい状況でありますから、一つできるだけ早く査定を行い、融資を行うことをお願い申し上げたいと思います。これで終ります。

本名武自由民主党

○本名委員長代理 角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私は、主として台風十五号の問題を中心に、農林省の今後の施策方針についてお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  冒頭に、率直に申しまして、昨日からきょうにかけての農林水産委員会といたしましては、戦前戦後を通じてかってなかった今度の、大災害の台風十五号の問題については、これはやはり相当時間をかけて、今日の段階で判明したそういう状況に基いてのいろいろな検討が十分なされなければならない、こういうふうに、罹災県に関係のある者として思うわけでございます。しかし、重要な案件がその他にも、控えておりましたので、本日はこういう問題についても十分な時間のゆとりがございませんのはまことに残念でございますが、しかし、本委員会といたしまして、近く五班に分けまして台風十四号、十五号を中心にいたしました災害県の視察を行うことになっておりますし、その視察の結果に基いて、なるべく早い機会に本委員会としても十分万全を期する態勢をしくべきだ、かように思うのでございます。本日は、時間の関係もあり、また同じ災害の激甚地でありまするところの愛知県の丹羽先生も控えておりますので、私は要点だけを申し上げて、政務次官その他のお考えを伺いたいと思います。  まず第一に、これは台風六号あるいは七号、集中豪雨等の際にも、質問の際に私は農林大臣その他の方々に申し上げたのでございますが、特に台風十五号等の異常な災害が出て参りますと、私どもが前々から言っておりました、なるべく早い機会に臨時国会を開会いたしまして、そうして必要な補正予算の問題あるいは所要の特例立法等の問題を審議する必要があると思うのです。特に、私は、今度開会される臨時国会においては、昭和二十八年災のときに採用いたしましたように、関係委員会がそれぞればらばらに関係の委員会の所属する事項について審議をするという方式を捨てまして、やはり災害に対する特別委員会を作りまして、総合的な検討をし、総合的な施策を打ち出していくという方針が、今度のような異常な大災害を生じた本年の臨時国会のあり方として望ましいのではないかというふうに考えられるわけであります。そこで、まず政務次官にお伺いいたしたいのは、今日の情勢下において、いつごろ政府としては臨時国会を開会されるつもりであるか、あるいはまた、そういう臨時国会開会の際に、二十八年災にとりましたような特別委員会という形において総合的な災害対策の検討を行うという、こういうことについてのお考えをまずお伺いいたしたいと思います。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいま角屋委員から、ことに深刻な災害を受けられました地域から出ておられる切々たる災害復旧の熱意を御開陳になったのでございます。私どもも、一日も早くその対策の完成をはかって、これを実行に移したいという基本的な考え方におきましては全く同感であるのでございます。従いまして、これを総合的な立場において国会等においてやったらどうだろうかという御意見もごさいましたが、これは国会の方に譲るといたしまして、全般の問題につきまして、あるいは農林省の考え方といたしましても、そういう点についてはよく国会の皆さんの御意見も尊重いたしまして、最も完全に目的を達するのに都合のいい方法で十分検討しなくてはならぬ、かように考えているところであります。ただ、国会をいつごろまでに用意ができるかということでございますが、これは政府全体の立場において検討してみなければ、どうとも直ちに申し上げることのできない問題であります。農林省といたしまして要するに臨時国会を開いて差しつかえないような態勢をいつまでにとれるかという問題であると思いますが、私どもの考え方といたしましては、どうもこれは十日や十五日の準備ではなかなかそこまでの準備をすることは困難ではないか、ただ、これを達観的に大づかみに考えまして、そうして、いろいろ予算等の関係はありますけれども、この過程においてそういう問題は詰めていくというような態度をとったとすれば、相当早く開くことができるのではなかろうか、かように考えておりまして、まあ、私どもの考え方といたしましては、ある程度それに対しては運用のいかんにある、そういうことにおいてわれわれの方としてはなるべく早く開けるような準備を整えていきたい。ただいま、それではいつまでにいよいよ農林省の方としてはそういうふうにするかということにつきましては、明確な御答弁のできないのを残念に存じますけれども、われわれとしては、先ほども申し述べましたように、係官を派遣して現地の調査もいたしておりまするし、また、現地の各府県からも、状況をできる限り精密に把握して報告等も参っておりますので、そういう点を勘案いたしましてすみやかに準備をととのえていきたい、かように鋭意努力をいたしておるところでございます。御了承願いたいと思います。     〔本名委員長代理退席、委員長着席〕

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 臨時国会開催の問題は、政府としても総合的な検討ということもあろうと思いますが、私どもの立場からは、なるべく早い機会に臨時国会を開きまして、冒頭に申し上げましたように、やはり十分なる総合的検討の上に立って、必要な補正予算の問題、あるいはまた特別立法の必要のあるものについての早期制定、こういうことで災害復興の一日も早からんための態勢樹立を一つ考えていただきたいと思います。  次に、台風十五号等を中心にして考えて参りますと、私は、これは地方財政の現状等ともにらみ合せて考えてみました場合に、従来の法律の適用ということについて十分検討をしなければならないんじゃないかと思うのです。それでなければ、いかに災害の復旧をやろうとする地方自治団体の熱意がありましても、なかなか十分な施策ができないというのが、率直に言って地方自治体の現状であろうと思う。たとえば、私の出身県の三重県を例にとりましても、ことしは非常に財政状況が悪いということで、県単については全面的に打ち切り、公共事業については三割削減、こういうことをやらざるを得ないという事態の中で、今度六百億をこえるような大災害を受けたということに相なるわけでございまして、私どもは、知事等にも、たといどれだけの借金をしても、今日のこういう悲惨な災害の状況を一日も早く復旧するためには赤字財政になっても積極的に災害復旧をやるべきだというふうに進言はいたしておるのでありますが、しかし、これはやはり、地方財政の現状から見て、県といたしましても、あるいは市町村といたしましても、実際に直接理事者に会いますると痛切に訴えるのがこの言葉でございます。従いまして、従来から農林水産関係のみならず建設その他に適用しております諸法律の問題についても、特に被害激甚な関係県等については十分地方財政に見合う態勢を整備する、その意味の特別立法等の制定ということは、これは緊急の問題であろうというふうに考えます。そういうふうに考えて参りますと、これは臨時国会の開催等がおくれまするとその目途が立たないということにも相なるわけでございまして、そういう意味からも、私は、関係諸法律等については今日の災害の甚大な規模からいたしまして、根本的にそういう点を一つ検討願いたいと思いますが、その点いかがでございますか。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいまお述べになりましたように、地方財政が窮迫をいたしまして、すべての公共事業に対して相当の困難性があるということを、私どもも、角屋先生と同じように、いろいろな方面からの陳情も受け、そういう点も聞いているところでございます。従いまして、今回のような甚大なる被害をこうむったところの大災害に対しましては、極力その補助率を高めましてその遂行を容易ならしめるということは、政治の上において最も考えなければならぬ問題と考えるのでございます。いろいろただいま具体的には申し上げることとは不可能でございまするけれども、お話になりましたようないろいろ特殊立法の問題、そのほかの問題等につきまして、補助率において実行困難な問題というふうな問題が出て参りまするならば、それらにつきましては鋭意これを改善いたしまして、それを実行可能な方向に持っていって、すみやかにこれを実施しなければならぬ、かように考えるわけでございまして、われわれの方もその問題については熱意を持って一つ検討していきたい。なお、こういう重要な問題でございますから、われわれ農林当局だけではなかなか実行困難な問題もあるかと存じますから、有力なる国会の皆様のお力を借り、お知恵も拝借いたしまして、今後善処していきたい、かように考えておる次第でございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 災害復旧の問題は、被害を受けた関係地区を私どもずっと回って参りますと、いずれも全く悲惨な状況でございまして、どこが急を要し、どこが少しあとでもいいという差はつけられないのでございますけれども、新聞、ラジオあるいは現地調査でも御承知のように、愛知県の南部の海岸地帯、あるいは三重県の揖斐、木曽、長良の三大河川に沿った長島、木曽岬あるいは桑名の城南地帯から四日市にかけての地区では、いまだ水につかっておりまして、ほとんど食糧も入らない、救いを求める人々の数は実に数万をこえるという現況にあることは御承知の通りだ。こういうところは、やはり、農地、農業用施設があり、農家のおるところで、農林省に関係のあることは当然でございまして、こういうところの早期の水の排除という問題について、新聞その他でも指摘しておりますように、やはりおくれておる。この問題は他の災害地も非常に悲惨な状況でございますけれども、何をおいてもやらなければならない。今日のようなああいう河川の決壊あるいは高潮等によるところの被害というものは台風の襲来前には予期もしなかった状況でございまするけれども、しかし、災害の状況は明らかになっているわけですから、こういう問題について農林省として当面どういう対策をとっておられるか、それについて少し関係の方々から対策をお聞かせ願いたいと思います。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 具体的な問題について私こまかいことを申し上げる用意がございませんが、ただいまお話しになりましたように、水のたまっておる地方というものは実に特別に私は悲惨なものだと考えております。先般ちょうど岐阜県に輪中地帯を視察いたしましたときに、先生にもわざわざお出かけ願いまして調査に利便を与えていただいたのですが、ああいう深刻な状況を見ると、私どもも、何と申しますか、実にたまらない気持になるのです。あそこへたまった水を一日もすみやかに排除しなければならぬということは、これは実は人道上の問題から言いましても重大な問題だろうと考えております。そこで、農林省の当局といたしましては、いろいろ農林省だけで足らないところの機械は建設省の方ともいろいろと相談をいたしまして所要の措置を講じるということもやって参りましたことは御承知の通りでございます。なお、そのほか、今まで動いておりました排水ポンプ等が濁流のために故障をするというような場合においては、すみやかに復旧の方法を講ずるという心がまえで今日までやって参ったのでございます。何を申しましても、ああいう困難な場合でもあり、今まで機械がなかったものを直ちにやるというようなことについてもいろいろ支障がございまして、十分な目的を達することができなかったことは、私どもも非常に残念に考えておるのでございます。今後の問題に対しましては、そういう不時の場合を考えまして、こういう災害時に備えるところの用意も相当必要であるということを痛感いたしておる次第でございます。ただいまおっしゃったような考え方によって一つ努力していきたい、かように考えておるところでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 今小枝政務次官の方から言われました、今回の被害の教訓を今後のいわゆる類似災害が出た場合の万全の態勢をとる備えに生かしたい、これは私は当然のことだろうと思いまして、かねがねから、災害があるごとに私は委員会でも申したのでございますが、やはり、災害の教訓というものについては、これは私どもは何も政府与党を攻撃するという立場でなくて、実際にどういうふうにしておったのが災害のときに生きたとか、あるいはどういう点が抜かっておったためにひどい災害になったかということについては、やはりつまびらかにして、今後類似の災害が出ない方途を講ずる、こういうことが私は必要だろうと思うのです。今度の台風十五号の三重県の災害状況を見ましたときに、私は、昭和二十八年災のときにあの海岸堤防を徹底的に修築した、これが今度の台風十五号のようなああいう異常な台風を受けた場合に被害の軽減に非常に役立っておる、このことを痛感いたしておるわけであります。もっとも、今度の台風十五号は、御承知のように、大へん強烈な、風速五十メートルからあるような風でございまして、私の住んでおります伊勢においても、伊勢神宮の大木が将棋倒しに倒れるというほどの猛烈な風でありますから、風害というのは伊勢の海岸地帯からずっと愛知、岐阜にかけてものすごい被害をもたらしたと思いますけれども、しかし、高潮等による問題等については、相当これを軽減することができたという教訓を得ておるわけです。従いまして、先ほど綱島先生からも触れられましたけれども、やはり、災害の際に原形復旧という消極的な態度をとるのでなしに、禍を転じて福となすという意味から、積極的な改良復旧の方途を講ずるということが、今度のあの大きな災害の場合にはっきり教訓として出てきておる。私は、そういう意味においては、今度の災害のあとの復旧という問題について、前々から論議をしております原形復旧か改良主義かという問題については、やはり積極的な改良主義をとっていく、こういうことでぜひやってもらわなければならぬのじゃないかというふうに考えておるわけです。  そこで、災害の復旧のためには、私が現実に現地を見て回りましても、資金が要る、資材が要る、人力が要る、この三つが切実に必要になってくる。今度の台風十五号の三重県等を見てみますると、家屋といわず学校といわず、農協の建物といわず公民館といわず、あらゆる建物が全壊、半壊あるいは大破という形で相当大きな被害を生じておる。現実に、愛知県の二千億をこえる被害の内訳を見てみましても、住宅被害がその半分を占めておるという現況であります。三重県の場合でも六百億をこえるという被害のうちの大体三分の一が住宅被害ということに相なっておることからも、いかに風害が甚大な被害をもたらしたかということを示しておると思います。そこで、資材の問題について、これは直接農林省という関係から申しますれば林野庁の材木関係ということにとどまるのでございますけれども、政務次官に政府の責任者の一人として考えてもらわなければならぬと思うのは、現実に、私の住んでおるところにおいても、瓦が三倍、四倍に上るし、くぎも上っておるし、トタンも上っておる。そういう災害の状況の中で、屋根がこわれておるところへ雨がどんどん降って参りまして、何とかむしろをかぶせ、トタンをたたいて直さなきゃならぬ。そういうことから資材が非常に高騰しておる。そうして、当面雨露をしのぐにも困難な状況にある。こういう資材配置の問題については、新聞やラシオで報道するところでは万全の態勢をとっておるように言っておるけれども、非常に便利な伊勢の松阪のような地区でも暴騰で困っておるという現状でございます。こういう資材の関係の配置については、十分地方自治体と連係をとって、暴利をむさぼる商人等を排して、やはり災害に必要な所要資材の適正な配分には最大限の努力をしてもらわなければならぬと思います。その点政務次官にお伺いしたい。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいまおっしゃった水害に見舞われた地域の皆さんへの資材が暴騰するというようなことは、全く反対な現象でございまして、これを最低価格において供給するという方途をとらなければならぬ。私は全く同感でございまして、農林省といたしましては、御承知と存じますが、農林資材を要するものにつきましては、ことに木材が建築その他に最も重要な問題だと思っておるわけでありますが、そういうものにつきましては、所管の営林局、営林署を動員いたしまする以外に、なお近隣の営林局等も動員をいたしまして、早急にこれらの資材を極力廉価で供給する、また、公共のものにつきましては相当割引をいたしまして供給する、こういう方針をとっておりまして、可能な手持ちはいたしておるわけでありますから、そういうものにつきましてはすみやかに応急の措置を講ずるということを指示いたしまして、それぞれ準備をして、一つ完全にやっていきたいという心がまえでいろいろ手配をいたしております。御了承願いたいと思います。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 政務次官のお考え方は方針としては私は了承するのでございますが、現実に、たとえば三重県の場合は、あの三大河川のところが全くめちゃくちゃになっておる。鉄道は三重県に入らない、電車も入らない、伊勢大橋がこわれておるために道路は通らない、こういう状況でございますから、動脈を切断されておる。さっき国有林の安い払い下げの問題を林野庁長官に聞いてみますと、材木は大阪でも名古屋でも営林局には十分にあると言っておる。ところが、三重県には入ってきてない。聞いてみると、まだ連絡がないと言っておる。現実に災害県としては風害で徹底的に学校から公共建物から個人住宅までやられておる状況でございますから、復興資材としての木材は非常にたくさん要ると思う。ところが、こちらの方では連絡がつかないということで、こういう向うからの連絡を待っておるという態度は改めなければならぬのじゃないかと思う。むしろ積極的に――現地では現地の対策に大わらわですから東京まで来る余力はないと思う。これだけの災害が出ても、愛知にいたしましても、岐阜にいたしましても、三重にいたしましても、関係者が大挙押しかけてっくる余裕はない。でありますから、むしろ、忙しいでしょうけれども、被害の激甚なところについては農林省として、実際の問題につきましてはできるだけ直接現地に乗り込んで行って必要な資材を調べてすぐ手配をする、こういう心がまえが必要じゃないかと思いますが、その点について政務次官と関係の林野庁長官からお伺いしたいと思います。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいまおっしゃったように、交通機関その他、災害のことでございますから、いろいろな障害がございまして、現地に十分資材が行っておらぬというお話でございますが、これは、お話を聞きまして、私もそういうところがあるであろうということが十分想像されるのであります。ただ、所要の材木については、そのときどきによりましてそれぞれの必要量があることと思います。それをすみやかに交通その他の機関とも連携をとりまして早く現地に到着するような配慮をせよというお言葉でございますが、これは全くその通りだと思います。ことに、ただいまお話しのように、向うから言ってきたからやるというようなことでなしに、先ほど角屋委員もお話しになりましたように、理屈の問題ではないのでありまして、現実の問題でありますから、そういう問題については、こちらからも積極的に連絡をとってやらす、こういう配慮を至急にやらなければならぬ、かように考えておるわけでございます。

山崎齊林野庁長官

○山崎説明員 一般住宅等の復旧用材につきましてはもちろん、名古屋その他の方面におきます堤防の締め切り等に要します木材、こういうものにつきましては、林野庁としても積極的に最大限の努力を払って、おくれないように供給しますことはもちろん、隣接の各府県の木林関係の業界の全面的な協力を得ましてこれに当っていきたいというように考えておる次第でありまして、現在は、御存じの通り、名古屋に災害復旧対策本部が設けられておりまして、林野庁といたしましても、指導部長あるいは国林関係の担当者はもちろん、東京、名古屋、大阪の三つの営林局から担当の課長らそれぞれの関係者をこれに派遣いたしまして、この木材の供給に努力いたしておるわけであります。  現況について申し上げますと、名古屋におきます締め切りに必要なくい材その他につきましては、名古屋、長野の両営林局で、要望される数量の調達はいたしたのでありますが、その調達材ではやはり不十分だという問題が起きたのであります。これがまた、くいの関係で非常に特殊なものでありまして、営林局にも民間にもすぐないというようなものが五千石程度できたわけでありまして、これは最も近い岡崎営林署の国有林の林木を緊急伐採いたしてこれに充当しようということで、現在その伐採に着手しておるというふうな段階であるのでございます。  また、一般の住宅等の復旧用材につきましては、国有林材を今製材して持って行くということにいたしましても、そこに非常な時間もかかるわけでありまして、静岡県の木材関係の業界の協力を得まして、現在製材されてあるものを緊急輸送いたしまして、しかも値段は県庁の指示する値段で販売するということに話も十分つきまして、その点で現在進めておるというふうな段階にあるのであります。  三重県の今のお話につきましては現在林野庁にどういうふうなものをどういうふうに供給したという連絡はもちろんまだないのでありまして、名古屋におきます対策本部並びに三重県内におきますそれぞれの営林署等におきましては、地元の御要望に沿い、あるものを緊急に出してこれに当っていくということはもちろんやっておるということを申し上げておきたいと思うのであります。  以上が概況であります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 災害問題ですからたくさんありますが、いずれ現地調査の結果に基いて十分時間をとって検討を進めるということにいたしまして、本日はさらに数点述べて終りたいと思います。  先ほど倉成委員からも触れましたが、個々の農家の問題にいたしますと、家は全壊、半壊もしくは大破されておる、そこへ持ってきて、吹く風がえらいものですから、農作物は見る影もないほどやられてしまっておる、そういう状況でございまして、家の残ったものについては修理をしなければならぬ、さしあたっての運転資金も要る、こういう状況に、災害地はいずれもあるわけであります。そこで、天災融資法等の指定の問題については、これは統計調査部の被害調査の結果を待たなければならぬということは、それは法律の建前としてはそうでございましょうが、三重県の場合は、災害救助法というのは県下全地域にわたって指定をされておるというほどひどいのであります。愛知の場合も、ほとんど全部指定されておるような現況にある。それだけに、これはもう、農家のみならず、漁家の場合も、あるいは中小企業の場合でも、いずれも同じでありますけれども、さしあたっての立ち上り資金に困っておるという現状でございます。従いまして、役人の公式論という形でなくて、現実にこの天災融資法に基くところの特別融資の問題であるとか、あるいは自作農維持創設資金の問題であるとか、これは至急に措置していただかねばならぬ。先ほど長野から陳情がありましたときにも、いまだに天災融資法の金が出てこない、あるいは自創資金が渡っていない、すでに数カ月前の災害についてもそういう陳情が聞かれる。こういうことでは、個々の農家としては、金が要るものですから、当然市中銀行の高利の金を借りなければならぬというところに追い込まれることになるであろうと私は思う。でありますから、こういう個々の農家の必要とする当面の立ち上り資金、低利資金等の問題については、もう早期にとにかくやるように万全の態勢をとってもらいたい。本年度は災害が非常に累次に出ておりますから、農林省関係の方にも大へんだろうと私は思うが、それはやはり克服しながら、災害地のそういう要請にこたえてもらわなければならぬと思う。特に、先ほどもお答えになりました中に、自創資金の問題については政務次官は十七億五千万円くらいしか手持ちがないと言っておる。これではもう十五号等に対処はできない。おそらく数百億の金が要るのではないかと思いますが、それをある程度査定いたしましたにしても、二十八年災の例から申しましても大体二百億近くの融資ワクをとっておる例からいたしまして、相当膨大な資金が要るのではないか。これらについては、調査の結果を待ってと言わずに、もう予算増の問題については十分事前に準備をしてもらわなければならぬじゃないかと思いますが、こういう融資が第一線の末端のそれぞれのところへ早期に渡るよう、それにはあるいは融資ワクその他いろいろの問題もありますけれども、自創資金等の問題についても増ワクという問題についてどういうふうに対処しておられるか、お伺いしたい。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 金融の処置につきましては、先ほども触れたわけでございますが、何と申しましても、天災融資法に基く融資に限らず、あるいは自作農資金に限らず、資金を早期に手渡していくことは非常に大事なことだと考えますので、いろいろこれらに対する支障の問題、隘路の問題その他は、至急に一つそういう点を究明いたしまして、スムーズにいくようにいたさなければならぬ、かように考えるわけでありまして、事務当局とも十分協議をいたしまして善処いたしたいと考えておるのでございます。  なお、ワクの問題でありますが、ワクの問題は、何と申しましても、今次の災害が非常に甚大でございますので、これはあわせて考えなければならぬ段階にあると考えますので、至急にとりまとめをいたしまして、詳細に問題をつかむことは困難でございますが、すみやかに一つ所要資金等についても見当をつけていきたい、かように考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 被災農家に対するところの、農業災害補償法に基く共済保険金の概算払いの問題、あるいは予約申し込みによるところの概算金延納あるいは延滞利子の免除の問題、きのう石田先生と私とが触れました時期別格差の期間延長の問題、こういういろんな問題が直接農家に関係してあるわけでございますけれども、これらについても、来たるべき機会までに十分一つ災害農民の期待に沿うように善処の検討をお願いいたしたいと思います。  先ほど開拓問題で倉成先生も触れられましたが、これはもう三重県の場合でもその他の場合でもそうでございまするし、本日も全国開拓連の陳情等もございましたが、私ども、そういう地域を回っておりまして、既設農家でもそうでございまするけれども、特に経済基盤の弱い開拓地においては悲惨な状況になっておるのを知るわけでございまして、こういう開拓地の立ち上りのためのいろんな施策というものについては、十分次会までに検討を願いたいと思います。この機会に、今度の台風十五号の場合に、やはり開拓関係に関連して干拓の問題で、たとえば、今度の伊勢湾台風の場合には、鍋田、城南、碧南、平坂、こういうところの干拓地がいずれも非常な被害を受けておる。死傷者も出ておる。従来海岸であったようなところに堤防を築いて耕地を作り、そこに農村を作ったというところなんですけれども、これが徹底的な被害を受けている。これからやはり干拓という開拓政策をやる場合には、今度の台風十五号等の災害の教訓というのは十分引き出して今後の干拓政策というものを進めなければならぬじゃないかというふうに私は思うのです。数万町歩の干拓の予定地があるということが言われておるわけですし、現実に今後も進めるわけですけれども、たとえば、堤防を築く場合においてもどれだけの安全の設計をするか、あるいは、非常事態の場合には他のところへ逃げ場がないわけですから、ふだんは公共施設になっておっても、そういう非常事態の場合には住民ほとんどがそこに行って安全を守れるという、そういう避難をかねた場所というもの、こういうものをやはり十分検討しておく必要がもう起きておる。特に輪中地帯等の異常な災害を見るとそういうことを痛感する。長島であるとか木曽岬であるとかは、水面よりも耕地が低いわけですから、雨がどんどん降ってくると堤防に避難する。ところが、堤防が決壊してもろともにやられて莫大な死傷者が出ておるという。こういう教訓から見て、この輪中地帯あるいは干拓地等においては、公共施設の場合に、避難場所をかねた鉄筋コンクリート等のがっちりしたそういうものをやはり検討しておく段階に私は来ておると思う。こういうものについてもやはり災害の教訓というものをそういう中から十分引き出して今後の万全の態勢をとってもらいたい、こう思うのですが、その点いかがでしょう。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 お説の通りでありまして、私も全く同感でございます。従いまして、今回の災害を通じて干拓地が相当深刻な打撃を受けておるということを私も伺っておるのでありまして、そういう点から、いわゆる護岸堤防を目的とした工事、農地造成を目的とした工事、これはいずれも災害対策その他の見地から考えまして同等に考えていく必要があるのじゃなかろうか、かように考えます。十分検討いたしまして、御期待に沿うように一つ努力をいたしたい、かように考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 最後に、水害関係の問題についてですが、倉成委員から真珠等の問題が出ました。三重県等の場合にも、漁港、漁船、ノリ養殖、真珠等の問題は非常に大きな損害が出ておりまして、きのう官房長から台風十五号の被害報告がありましたが、水産関係で三重県の占める比重というものが非常に大きなウエートを占めておるのは、主として真珠関係の五十数億に上る被害が一番多い。この被害対策については、昭和二十六年のルース台風のときに対策を講じた前例もあるわけです。この真珠は、今年の場合は真珠の量がストックが多いために浜揚げを一カ月延期しておった。そこに災害でやられたものですから、今年の手持ちの真珠の中でほとんど全部がやられてしまった。大体二十数億になる。来年浜揚げをすべきものだけでも三重県だけで二十数億これでやられておる。そのほか、作業場とか、そういうもので十億近くやられておる。締めて五十億をこえるような被害が三重県だけでも出ておる。従いまして、志摩から度会、南勢、南島にかけての、真珠の宝庫と言われる、全国的な生産の大体七割近くを占める三重県の真珠地帯というものは、徹底的な被害を受けておる。これは水産関係でも特殊な性格を持った産業でございますけれども、輸出産業としては毎年六、七十億をこえる輸出額を占めておる大きな産業でございますから、こういう真珠の今後の立ち上りのための施策等については、昭和二十六年度のルース台風の例等も十分検討を願いまして万全の施策を講じていただきたいと思うのですが、その点、政務次官並びに水産庁の方からお考えを承わりたいと思います。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 真珠は今日の場合としてはわが国の水産業といたしましても重要な問題になってきておると思います。従いまして、先ほど水産庁の高橋次長がお答え申し上げましたごとく、何らかの施策を考えなければならぬということで、鋭意検討を続けておるところでございまして、これらの施設が固定的なものでないというので水産業施設に入っていないというようなことは、これははなはだ残念だと思う。いろいろな問題を十分検討いたしまして、できる限りの努力を事務当局とともに進めたい、かように考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 以上をもちまして私は当面の問題についての質問は一応終らしていただきたいと思いますが、政務次官にお願いしたいのは、近く臨時国会も開催されるわけでございますけれども、私は、今度の台風十五号を含めての今年度の災害が例年にない異常な災害であっただけに、来年の予算編成その他でいろいろ検討の問題もあろうかと思いますけれども、来たるべき臨時国会に出される補正予算の問題、あるいは融資の問題、あるいは所要な特別立法の問題等については、罹災地の要請にこたえるという立場から、昭和二十八年災以降のいろいろの経験も勘案されまして、抜本的な対策を講じてもらいたい。特に、地方財政の今日の現状等から見ますと、政府に依存をするという状態が非常に強い。また、それは今日の地方財政の状況ではやむを得ないと思うのでございまして、私ども、罹災地を回りました率直な気持から、一つその点今後の検討の場合に十分配慮を願うようにお願いをいたしまして、私の質問を終らしていただきます。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 丹羽兵助君。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽(兵)委員 お昼のニュースで罹災地の実情をごらんになっていただいて、よくおわかりいただき、心から御同情をお寄せいただいたことと思い、また、政府としても一部の責任を感じられたことと私は思います。だから、私も、ちょうど罹災者というか、大きな被害を受けました地区におりました一人として、きょうの農林委員会に、罹災者、特に農民の立場を訴え、政府においてでき得る限りの救済の手を差し伸べていただきたい、そういう気持で、出られないところをもぐり出てきたようなわけであります。しかしながら、ただいまこの委員会に、きょうは大臣は現地におもむかれ、政務次官もお供して行かれ、政治的な責任を負う人は小枝政務次官一人よりおいでになっていただけないで、その政務次官すら他の方にお出かけになるという。これまた農林行政の重要な仕事ではありましょうが、委員長も一緒に行かれるということで、大へん残念でございますけれども、そういう御予定があって、わずかの時間でほんとに私どもの気持を訴え、おすがりすることはできないのでありますが、そのわずかの時間でもお許しをいただいて聞いていただき、また政府の考えをお聞かせちょうだいしたいと思います。  特に今度の災害がこれほど大きな災害になったという理由等は、この災害にあまりにも救援の手というか救助の手がおくれておるということなんであります。きょうの新聞をごらんいただきましても、なおまだ二万人が屋根の上に残っておる。日本政府の力足らずして、アメリカの軍艦を借り、アメリカのヘリコプターを借り、自衛隊は総動員して、なお今言ったような事情にあるのであります。こういう大きな被害により、こういうように救援の手がおくれて、世間から非難の声がごうごうとあがり、こんなくらいなら死んだ方がいいという罹災者の声があがっておるということは、いろいろな事情があると思うのです。それは、災害予報に対する責任だとか、避難命令を聞かなかった、地方団体、県と市との関係が工合よくいってなくて救援がスムーズにいっていない、これらも私は根本的に今後国全体の政治の上から考えて究明していくべき点があると思うのです。これらはひとり小枝農林政務次官にお尋ねしたりまた御答弁願うことは無理で、私は今後本会議においてこれらを尋ねてみたいと思うくらいなんです。これは内閣総理大臣に責任を問わなくちゃならねと思うし、御反省を求めなければならぬと思う。御案内のように、今日の被害の甚大であったことは、日本の政府よりも国連が知っている。しかも、国連の総会において、とうとい犠牲になった方々に黙祷をささげたとまでいわれておる。これだけ大きな被害に、一体政府自身は地方自治体がやることだからといって全然救護の手を差し伸べていないということを私は現地で憤慨しているのです。特に農林問題なんかそうじゃありませんか。今日初めて農林大臣が行っておる。委員会をほうって行かれた。それは、この委員会より現地を見ることが大事でしょうから、やむを得ないことであり、私は心から敬意を表しますが、もうすでに建設大臣や通産大臣は行っておられる。しかも、通産大臣は、きのう中小企業者に対して、小枝さんの言っておられるごときじゃない、膨大なつなぎ融資とか立ち上るための融資を責任を持って政府と交渉するからしっかり立ち上ってくれと言っていらっしゃるじゃありませんか。それにかかわらず、農林省は今のような実に冷淡な、実にさびしい、実に心細い農民に対する考えを述べておられて、どうしてあなたのおっしゃるような来年の再生産のめどがつくか。私はこれらをほんとうに残念に思う。もっと、ほかの大臣のように、ほかの省のように、農民の立場を考えてやってやろうじゃないか、私はそれを特にきょうはお願いしておきたい。  災害以来農林省の手は全然差し伸べられておらない。今日すでに大野政務次官が出張しておられるそうでありますが、一体大野政務次官は何を調査しておられるか、また、農林省から行っておられる諸君は何を一体調査しておられるか。私はこの事実をあげてみましょう。  まずお尋ねしたいのですが、この災害は八十の人が知らないような大風なんですから、それによって、たとえどんな堤防をこしらえても、これが切れることはやむを得ないと思うのです。しかし、全然水がひいていないのです。なぜひいていないか。これは地盤が沈下したからであります。海部郡、名古屋の南部あるいは半田付近というのは、昭和二十八年の大地震で地盤沈下をしたから何とかしていただかなければならぬということで常に私は農林省を突いてきた。それに農林省は今まで一向耳をかさなかった。大蔵省に対しても親身になって地盤沈下対策の努力をしていただかなかった。今度水が入って、今日なお二万人ががばがばと水の中につかって、こんなぐらいなら死んだ方がいいと、日本政府の手よりもアメリカの援助を受けて助けられている。その責任、原因というものは、地盤沈下対策をやっておかなかったからである。これをやっておけば、水は入ったに違いありませんが、五日も六日も、今後も水をひかせずにほうっておかなくても済む。これを全然やっておらない。だから、私は、今回の災害そのものよりも、災害後の今日なお救われない原因は政府自身が作っている、こういうように思うのですが、小枝政務次官は、一体、この付近の地盤沈下のことを非常にやかましく言ってやってきたのですが、あなたは政務次官になる以前にもお骨折りをいただいたことを私は感謝しておりますが、これをやってやればよかったと思うか、やらずして悪かったと思うか、水のひかぬ、この地盤沈下対策というものを軽視してきたのだということをどうお思いになりますか。それを一つ率直にお聞かせ願いたいと思う。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいま丹羽委員から御発言のございました問題につきまして、地盤沈下の問題、災害対策のすべての問題でありますが、私ども、国土を守り、また、ことに農林行政を預かる者といたしましては、そういう施策を平素完全にいたしておくという考え方につきましては、全く丹羽委員と同感であるのでございます。農林省当局といたしましても、今度の災害につきまして、なお足らざるところがあることは私どもも十分承知いたしております。愚鈍にむち打って、御期待に沿うように極力努力しなければならぬ、こういう心がまえを持っておるわけでございます。そういう点につきまして、何かと至らぬ点は一つ御鞭撻、御指導をお願いいたしたいと考えるものでございます。  地盤沈下の問題を具体的の問題としておあげになりましたが、これはむろん災害対策としてやっておるものでございまして、その趣旨等におきましては丹羽先生十分御承知の通りでございます。この問題をやるために、私どもも微力でございますがああいう特別な方法を講じてやるという端緒は開いたものの、予算がこれに伴わず、十分な仕事ができていない、まだ目的の半分もできていないということは、これは全国的に考えてもはなはだ残念なことであります。また、災害はいつ何どき不測の大災害がどこに襲来するとも言えぬものでありまして、そういう問題を完成することに平素心がけて努力をしていかなければならぬ、これは今直ちに目の前にそういう災害が来ないからといって安心するというわけにはいかない、かように考えまして、この地盤沈下の完成については今後十分努力をしてやっていきたいものである、かように考えるわけでございます。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽(兵)委員 それほどまでに政務次官が御理解を持って今後考えていただけますれば、死んだ子の年を数えるようなことで何にもなりませんから申し上げませんが、とにかく、今も水につかっておる何万の人は、ほんとうに国がすなおにわれわれの訴えを聞いて地盤沈下対策をやっておいてくれたら今日こんなことにもならないし、四日も五日も一週間も水につかって屋根の上におらなくてもよいと言って、政府のやり方を非常に恨んでおるのですから、ほんとうに政府のやり方があまりにも誠意がなかったということについて非常な恨みを感じておりますから、そういうことを知って今後の対策を考えていただくようにしたいと思うのです。次に、もう一点簡単にお尋ねいたしますが、先ほど、政務次官が被害の調査に行っておいでになるということでしりたが、けさの新聞を見ると、今年産米の収穫高を新聞に御発表になった。あの発表には愛知県で米が取れるなんというような数字が出ておるのですが、私は、ばからしくて、あれがふえておるのか減っておるのか、数字を見ていない。一体本気であんな調査のことをお出しになったのか。ほんとうに委員会をほうってでも現地調査が必要だという気持で行かれるものなら、あんなばかげた数字なんというものは出てこない。一体、愛知県で米がとれると思われてお出しになったのか。きょうの発表については、少くとも政務次官は目を通していない、あるいは眺めてお出しになったと思うのです。一体愛知県で米が取れるとお考えになっておりますか。三重県も同様ですけれども、それを一つお聞かせ願いたい。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 ただいまの米の問題でございますが、これは私も一応目は通したのでありますけれども、いろいろと統計そのほかの問題から積み重ねて参った書類を見ましたので、一々内容を現地と照らし合せておるわけではございません。まあ統計に表われたことをわれわれは信じておるわけで、そういうことで見て参ったわけであります。この問題について、あるいは実際と食い違いがあるというようなことがあるかも存じませんが、私どもといたしましては、事務的に、災害があるから愛知その他の県はどういうふうな状態だろうかということについては心配もいたし、また関心も持っておったわけであります。いろいろ調査の結果が出て参りましたので、そういう程度の減少であろうか、かように考えたわけであります。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽(兵)委員 量云々じゃなくして、実際、あんなものを出されれば、新聞は地方に回っていく、そうしますと、農林省は一体風が吹いたことを知っておるか、これだけ家をこわされ、きょう食うものがない、それなのに米が取れるというような発表をなさったということは、一体農林省は風が吹いたことを東京で知っておるのかというぐらいな感じを持ちますから、私は、老婆心ながら、どんないい施策をやっても、あれで全部消えてしまうと思う。だれがどういう統計をお出しになったか存じませんが、もう少し考えてお出しになることが罹災者の気持もくんだやり方だと思って、私は与党の一人として申し上げたわけなんであります。  次に、もう一つだけお尋ねいたしますが、先ほど林野庁の関係で復興資材というお話があった。今度の災害では、金を持ったどえらい暮しのできる大きなうちの人は、雨が漏ってべたべたになったくらいで済んだのです。ところが、こまかい小さなうちに住んでいらっしゃる人は、農家といい、勤め人といい、すっかり吹っ飛んでいってしまった。いわゆる大きな屋敷を持ち家を持っておる人はよかったのです。そういうような事情ですから、そんな手ぬるいことを言っておらずに、早く、復興資材なんかは、業者じゃなくても、町村役場なり市なりに――もちろん、治山治水の関係から、めちゃくちゃに山の木を切るわけにいかぬでしょうが、ほんとうに、お百姓にしてみれば、小屋も飛んでしまって、ことしは百姓はやる必要はないかもしれませんが、来年に備えるために家も作らなくちゃならぬ、直さなくちゃならぬのです。通産省の方は工合よくやられるのですから、農林省として、政府部内で話し合って、特に被災農家のために小屋なんかのできるような方策を一つ考えていただきたい。中小企業に対しては池田さんが思い切り金は出してやると言っておられるのですから、農林省も、自作農創設資金が少いとか云々と言っておらずに、うんと努力してもらいたい。これこそ、農林大臣の政治力を問われるか、あるいは池田さんの政治力が強いか、農民が見ておるのです。また、われわれは、池田さんに頼るわけにいきませんから、何といっても農林大臣に頼っていく。その農林大臣に力がない、農林大臣にそれだけの政治力がないというならば、農民は浮ばれぬのですから、ここがほんとうに大臣の力を出されるところであり、また、女房役のあなたが力を出して農民を救っていただく一番いい機会ですから、その点、もっと一つ情ある御答弁を願っておきたい、こう思っております。

小枝一雄自由民主党農林政務次官

○小枝説明員 復興資材につきまして、木材等が大きい家の方へは行っても小さい家に行かないような場合があってはいかぬじゃないか、そういうことに対して十分涙のある施策をやれというお話については、私も全く同感でございまして、住むべき家は、大きい家も小さい家も、人まの生活には同じように貴重なものであるのでございますから、その復興については、これはもう林野庁といたしましてもそうだと思いますが、これを十分指示をいたしまして、そうして残るところのないように一つ努力をするという心がまえで進まなければならぬ、かように考えます。この点全く同感でございますので、それについて一つ善処したい、かように考えております。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽(兵)委員 大へん重要な急ぐ御会合のあるところ特にお残りいただきまして、心からの情ある御答弁をいただきましたことを感謝いたします。特に、家をこわされて、農民はことし一年何にも食うものはないのです。それと同時に、わずかな土地を持っておるがために民生委員にもかかれない。これを手放せばあすから食っていくことはできませんから、手放すわけにいかない。こういうことで、今家をこわされて困っておる。だから、こんなときに国の財産をもって助けてやる。たとえて言うならば、国有林をめちゃめちゃに思い切り切るわけにはいかないでしょうが、大英断を下して切って、このときこそ国民全体が持つところのものをもってかわいそうな人たちを助けていくことが政治だと思うのであります。将来値上りをするから切るのが惜しいなんていう考えを持っておらずに、大英断をもってやって、ほんとうに気の毒な皆さんのうちを建てられるように、あるいはこわれた家を直せるように、御配慮をいただきたいと思います。特に、愛知県とか三重県等こうしてほしいだとかああしてほしいだとか、今後こうしてほしいというようなことは、今考えられないのです。拱手傍観というか、どうしたら今生きていけるかということだけしか考えておらない。恒久的なことは全然思っておりません。特に今の場合をのがれられるように、生き伸びていけるように、罹災農民については何としてでも政府なり農林省で考えていただかなければなりませんから、思い切り一つ大英断をいただけるようお願いをいたしまして、私は、お忙しい中を政務次官にお残りいただきまして、委員長また御同席いただきましたことを心から感謝いたしまして、質問を打ち切ります。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。     午後六時十三分散会

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