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32回国会衆議院1959/07/03

農林水産委員会 第2号

発言数
159
登壇者
27
会派数
2
開催日
1959/07/03

会議録

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。前農林水産委員長松浦周太郎君より発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認めます。  松浦周太郎君。

松浦周太郎自由民主党

○松浦周太郎君 ごあいさつ申し上げます。  過去一カ年問いろいろ皆様のお世話になりまして委員長を勤めさしていただきましたことに対しましては、皆様の友情に対しまして深く感謝の意を表するものであります。過去一カ年間、始まりましたときはちょうど今と同じように米価決定のときでありまして、いろいろ委員会の取扱いについて御批判を受けたこともありますけれども、その他一カ年の間はほんとうに和気あいあいとして常に一致の行動がとれましたことに対しましては、私の議員生活中忘れることのできないことでありまして、ほんとうに感謝いたしておる次第でございます。この農林委員会は、私の出身も農林関係の地方でありますし、また、この委員会において過去一カ年間皆様より兄弟のようにしていただきましたことに対しましては、自分のふるさとのように考えておりますから、今後とも、委員長をやめましても、この農林委員会に対しましては、ふるさとという意味において、極力私は御協力申し上げたいのであります。新任委員長は私どもと志を同じゆうするものでございますから、どうか私同様に皆様の御愛情をお願い申し上げる次第でございます。  委員会の今後のお仕事に対しましては、世の中が進んでいくに従いましていろいろの重要問題が山積されておるのであります。今問題になっておりますところの米価の問題に対しましても、農民の要求と政府の考えとの間には相当隔たりがあるのでありますが、現在の情勢は、農林水産生活と都市鉱工業の生活とはますます較差が激しくなってきておるときでございますから、こういう点も御勘案願いまして、どうか農民の要求が十分いれられますよう、ひとえにお願い申し上げる次第であります。  さらに、法人問題、あるいは先国会において決定いたしました農林漁業基本問題の調査会法、いわゆる農業基本法制定に対しましては、今後幾多の難関があると思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、国民生活の上に非常な較差が年々激しくなって参りますから、この点を是正することが最も必要なことである、こういうふうに私は痛感いたしますから、先進国のこれらのことを実行しておるところ、あるいは実行せんとするところ、あるいは較差をそのままに放置してあるところ等々を私は休会中に十分視察研究いたしまして、農業基本法制定に対しまして皆様の驥尾に付して今後働きたいと思っております。従いまして、この休会中は、約三ヵ月間、主としてヨーロッパの農業地帯を視察いたしたい、かように存じておりますから、皆様がこういう点を視察してこいというようなお気づきの点がございましたならば、私は十四日に出発いたしますから、それまでの間に一つ御研究の上に御教示願いたいと思っておる次第でございます。  いろいろ委員長在任中はお世話になりまして、ここに厚くお礼を申し上げまして、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。 (拍手)     —————————————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 閉会中審査申し出の件につきましてお諮りいたします。すなわち、先ほどの理事会での申し合せに従い、農家負債整理資金融通特別措置法案、飼料需給安定法の一部を改正する法律案、農産物価格安定法の一部を改正する法律案、水産業改良助長法案、漁業協同組合整備特別措置法案、てん菜生産振興臨時措置法の一部を改正する法律案、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案、養鶏振興法案、並びに、農林水産業の振興に関する件、農林水産物に関する件、農林水産業団体に関する件、農林水産金融に関する件、農林漁業災害に関する件、以上の各案件について閉会中もなお審査を行いたいと存じますので、これを議長に申し出るに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 小委員会設置に関する件につきましてお諮りいたします。ただいま決定いたしました閉会中審査案件が付託となりましたならば、従前通り本委員会に委員十一名よりなる甘味資源に関する調査小委員会、農業法人等に関する調査小委員会及び食糧に関する調査小委員会をそれぞれ設置することとし、小委員及び小委員長の指名は委員長に御一任を願うこととし、なお、小委員の辞任及び補欠選任、並びに、小委員会において参考人の出頭を求める場合、その日時、人選、また関係方面からの資料の要求等につきましても委員長に御一任を願いたいと存じます。以上について御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 さらにお諮りいたします。閉会中審査案件が付託になりました場合、その審査のため現地調査が予想されますので、その際は、調査一事項、派遣委員、派遣地等の決定を委員長に御一任を願い、議長に対し委員派遣の承認申請を行いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 これより請願の審査に入ります。  今国会において付託となりました請願は十二件であります。請願日程第一より第一二を一括して議題といたします。  まず審査の方法についてお諮りいたします。各請願の内容については、先ほどの理事会で検討を願ったところでありますので、この際、各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、ただちに採決に入りたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。請願日程中、第一ないし第五、第九、第十一ないし第十二の各請願は、いずれもその趣旨妥当と認めて採択の上内閣に送付すべきものと決し、日程第八の請願は不採択となすべきものと決したいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認めて、さよう決定いたします。  次にお諮りいたします。ただいま決定いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認めます。  なお、日程中、ただいま議決いたしました請願以外の各請願は、いずれもその採否を保留いたしたいと存じます。  なお、本日までに本委員会に参考送付された陳情書は、黒糖の価格安定に関する陳情書外八十件であります。右念のため御報告いたしておきます。     —————————————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 資料要求に関する発言を求められております。この際これを許します。赤路友藏君。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 食糧庁の方へ資料要求いたします。昨日来米価問題についていろいろ審議いたしました。その中で、二十五年度以降の会計年度別の米販売価格構成の中間経費の資料、もう一つは食管の中間経費の予算、決算の種目別の経費、この二つを御提出願いたいと思います。

大和田啓氣農林事務官(食糧庁総務部企画課長)

○大和田説明員 念を押す意味でもう一度私の方から申し上げます。二十五年以降の会計年度別米販売価格構成の中間経費、二番目が食管の中間経費の予算、決算における主要項目別経費……。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 そうです。

大和田啓氣農林事務官(食糧庁総務部企画課長)

○大和田説明員 承知いたしました。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 松浦定義君。

松浦定義日本社会党

○松浦(定)委員 私も同様資料の要求をいたしたいと思いますが、過般来問題になっております北海道のビート工場の設置並びに作付計画に関する資料であります。まず第一に、三十四年度を基礎として三十五年から三十九年までの五カ年計画の実施に基く、地帯別、市町村別の作付計画、さらに、右計画に基く新設工場の設置の年次並びにその地区、あわせて、予定があればその場所、次に、年次別計画の新工場の原料の集荷地域並びにそれの市町村別の面積、さらに、それとともに、既設の工場、—現在七工場あるわけですが、それらの地域と市町村別の作付の面積、以上の点について詳細な資料の提出を求めたいと思います。

大和田啓氣農林事務官(食糧庁総務部企画課長)

○大和田説明員 まだ資料として整わないものがあるとも思いますけれども、現在において整い得る限りの資料は作成いたします。     —————————————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 それでは、農林水産業の振興に関する件につきまして調査を進めます。  まず紀淡海峡における火薬投棄による漁業被害について質疑の通告があります。順次これを許します。赤路友藏君。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 水産庁の方へお尋ねいたしますが、紀伊水道海域に、最近火薬類が投棄されて、漁民の諸君が大へん迷惑をしておると聞いております。水産庁で現在までに判明しておる経緯につきまして、簡潔に、要領よく御説明願いたいと思います。

西村健次郎水産庁次長

○西村説明員 お答えいたします。  事の発端は、四月三十日に、和歌山の小型底びきの漁船が、和歌浦の漁港に漁獲物を水揚げしたところが、それが黄色くなっている、しかも異様なにおいがするということで、県の衛生研究所で分析しましたところ、ピクリン酸と判明した、直ちに衛生部から販売停止の申し入れを受けた、これが事の発端でございます。  そこで、和歌山県が兵庫県の工業課あるいは神戸の海上保安部等と調査したところ、これは国土開発株式会社の西島工場の清掃作業を中国化薬株式会社が引き受けました。中国化薬株式会社は、運搬船二隻をもって、そこにありました砲爆弾、あるいはカーリット、爆薬等を海中に投棄したのでありますが、その際に、指定された海面まで行かない途中で、いわば指定海域以外に問題の爆薬を投棄したことが判明したわけであります。  私どものわかっておりますのは、投棄した日にちは四月二日で、場所は紀淡海峡のきわめて幅の狭い、長さは雑賀崎の西の方から白崎の西の方までの直線上の海面、こういうことが判明いたしました。それから、投棄量は、二つの運搬船の分を合せますと、砲爆弾が七千四百九十一個、カーリットが二百八十ケース、ロケット用の火薬が百かます、それから爆薬が千百九十二ケース、こういうことになっております。  なお、地元では、先ほど申し上げましたように、四月三十日にそういう事態がありましたので、驚きまして、五月十三日に漁船百五十三隻でいわば自衛的に当該海面の掃海を行い、爆薬六十八個を引き掲げております。しかし、その後においては、私の方では、まだ掃海作業をしたということは聞いておりません。  なお、こういう問題が起って参りましたので、地元の漁業者と中国化薬あるいは国土開発とがいろいろ話し合いをしまして、五月二十二日に、会社側が、地元の小型底びき漁船三百五十隻に対して、一隻につき一万円、三百五十万円の金を支払っておりますが、この金がどういう性質のものであるかということは、私の方でもまだ詳細には承知しておりません。  その後、六月に入りまして、地元の漁業協同組合、県の水産関係の当局の方々が東京に参りまして、実はそのとき初めて私どもとしては割に詳しくこの問題を承知したわけであります。私どもとしましては、この問題は、いわば中国化薬であるとかあるいは国土開発であるとか——おそらく中国化薬であろうと思いますが、法令に違反して爆薬等を投棄したという不法な行為に基く漁業者のこうむった損害でありますから、法律的に見ますと、そこに会社側に賠償義務があるんではないか、従ってその意味で見ますと、これは民事事件として取り扱うべきもので、それに関する限りは、国が直接それにインボルブされるというものではないかもしれません。しかし、現実にはそこに相当隻数の小型漁船の連中が非常な困惑を来たしておるわけであります。私どもとしまして、問題の法律的な性質はともかく、この問題について何とか解決の道はないものだろうかということで、所管も必ずしも明確でありませんし、あるいは考えようによってはいろいろ各省にまたがるというふうにも考えられますので、内閣審議室の方にこの問題をお願いしまして、六月中に二度ばかり内閣審議室が中心となりまして関係官庁がこの問題の取扱いについて協議いたしました。その結果、これは内閣審議室長の方からお話し申し上げるべき筋かもしれませんけれども、この問題につきまして関係各省の関係官からなる調査団を組織して、現地に参りまして、まだ必ずしもはっきりとはしていない事実関係、あるいは投棄物の性質、それが魚体にどういう影響を及ぼすかというようなことについて調査をいたす、こういうふうに大体審議室中心で決定したわけであります。いずれ遠からずこの調査団が派遣されるということになるだろうと思います。  はなはだ簡単でありますが、以上御報告申し上げます。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 通産省の方にお尋ねします。火薬取締りにつきましては、これは通産省の所管になっておるわけなんですが、今お聞きの通りでありまして、これは完全な違反行為だと思うのです。このケースについて通産省としては何らか措置をされたかどうか、この点お伺いしておきます。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 お話にありましたように、火薬類の廃棄は、実は指定の場所とは違いまして、紀淡海峡の沖でされたわけでありますが、この場合の廃棄につきましては、東経百三十五度、北緯三十三度、ちょうど潮岬と室戸岬のまん中辺でありますが、この場所を指定いたしまして投棄を指示した。これは火薬類取締法上の点から考えましても十分合法な措置でございます。それに従わないで投棄したということは、廃棄の基準や火薬類取締法に違反するわけであります。従いまして、これについては五万円の罰則の適用がございます。これにつきましてはすでに海上保安庁の方で告発をいたしております。  それから、火薬類の取扱いに関しましては、各事業者は取扱主任者という者を置きまして、保存、監督の処理に任じなければならないのであります。この場合取扱主任者の責任は十分問わるべきであると思うのでありますが、この辺の事情は現在調査中でございます。この責めにつきましては、これを解任できるという処置ができますので、そういうような方法を講じて参りたい。  大体火薬類取締法上でできますのは以上の二点であります。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 これは法的な面でいささか疑問があるわけなんですが、ただいま御説明によりますと、五万円の罰金ということなんですね。五万円の罰金程度なら、少し業者のずるいのは、やりそうなことなんです。これは自後いろいろ御研究願わなければならぬ点だと思います。  海上保安庁の方にお尋ねしたいと思いますが、兵庫県知事が運搬証明書を発行いたしました場合、海上保安庁の方へ通報をしておる。だから、海上保安部の方では県庁の方からの通達を受け取っておられると思うのです。そして何らかの保安庁としての措置をおとりになったと思いますが、それらの点についてお聞かせ願いたい。

和田勇海上保安庁次長

○和田説明員 お答えいたします。  先ほど通産省の課長からお答えいたしましたが、われわれの方では一応中国化薬の現場の監督者に対して十分監督をしておりまして、投棄場所につきましても、火薬類取締法施行規則第六十七条第一項の規定を厳守するように指示しておりましたので、当庁といたしましては、巡視船艇を同行させずに、この第二福神丸と須佐丸に投棄させた。ところが、実際問題としてはそういうことになりましたので、これも先ほど申しましたように火薬類取締法違反の疑いで書類送検をいたしました。これは五月二十八日のことであります。  その後、揚りました物件につきましては、大阪の海上自衛隊の基地隊の掃海艇によりまして全部投棄処分をいたしております。  海上保安庁の処置は以上の通りであります。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 海上保安庁の方で通達を受けました場合、聞くところによりますと、火薬を投棄する船とある点までは同行したように聞いておりますが、それらの点はどうですか。

和田勇海上保安庁次長

○和田説明員 最初間違いましてそういうことを関係者からお話したようでございますが、私の方で五管本部について詳細調査いたしましたところ、先ほど申しましたように、特に巡視船艇を同行させる必要がない程度に十分監督できるということで、全然同行いたしておりません。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 海上保安庁だけではないと思うのですが、海上保安庁の方としても、この火薬を投棄した中国化薬というのは、この前にも豊後水道の宿毛湾の近辺に火薬二千トン余りを投棄いたしまして、それがために非常に問題を起した。こういうような前歴をこの会社は持っておるわけで、悪い言葉で言いますと前科者なんですが、そういう前科のある業者に再度火薬の投棄を認可したというところに、少し私は問題があると思いますし、それと同時に、そういうような前科のある会社でありますから、海上保安庁といたしましても、十分なそれに対する警戒と申しますか、監督がなければならなかったはずだと思うのですが、そういう点ではどういうふうにお考えになっておるか。

和田勇海上保安庁次長

○和田説明員 お答えいたします。  二月十七日に兵庫県の県庁の方から申し出がありまして、それを見ましたところ、私の方ではいいというふうに考えまして、さらに二月の二十三日に会社の首脳部の方を呼びまして厳重に条件、基準に合致するようにというふうに申し渡しました。さらに、三月の三十日に、現場に捨てに行く直前に船を見まして、これならば大丈夫だというので措置をいたしたのでございます。実際問題といたしまして途中で投棄いたしましたことははなはだ遺憾なことだと考えております。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 それでは自治庁の方へちょっとお尋ねいたしますが、火薬類取締法によりますと、これは県知事の許可になっておるわけですね。兵庫県知事がこれを許可されておるわけなんです。もちろん、前回ありました豊後水道の事件は、これは広島県知事が許可をしておるわけです。これは、会社がちょうど呉でありますので、広島県知事の許可によってこれの海上投棄をやっているわけなんです。今回の場合は兵庫県知事の許可になっておる。同一県ではございませんので、あるいはそういうような事件のあったことを兵庫県の方としてはお知りにならなかったかもしれません。あるいは自治庁の方でもそういうようなことをお聞きになってはいなかったかとも思いますが、いずれにいたしましても、そういうような問題を起した前歴のある会社に県の方が許可をしたということは、いささか許可の発行について慎重を欠いておるのではないか、私はこういうふうに思いますが、自治庁の方ではどういうふうに御解釈になっておりますか。

岸昌総理府事務官(自治庁行政局行政課長)

○岸説明員 お答えいたしますが、私どもの了解いたしておりますところでは、火薬類の投棄につきましては、都道府県知事に対する届出で足りるものとなっておりまして、許可ではなかったと存じますが、かりにそうであるといたしましても、火薬類取締法に基きますところの許可なり届出なりの事務は、都道府県知事にいわゆる機関委任をされました国の事務、こういうふうに解釈しておりますので、そういう届出なり許可なりに当ってどのような指導をするか、どのような行政措置を講ずるかといったようなことすべてにつきまして、それを指導監督いたしますのは主務大臣でありますところの通産大臣でございまして私ども自治庁長官なり内閣総理大臣は主務大臣になっていないわけでございます。そういうわけで、そのお尋ねの点につきましては、私どもとしては承知しておらないわけであります。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今のお話では、主管官庁が通産省であるから、通産省の方でそれらのことについてはおやりになるということなんですが、これは、引き続いてこういう事態がわずかの日数の間に二回も起っておるわけなんです。今後こういう事態が起らないとはちょっと保証ができぬと思います。それだけに、自治庁の方といたしましても、各都道府県に対して、これらの件については十分慎重な態度でやるような注意と申しますか、そういうようなことを一つ通達で出しておいていただきたいと思うのです。この点はどうですか。

岸昌総理府事務官(自治庁行政局行政課長)

○岸説明員 御承知のように、都道府県知事は非常に広範な仕事をやっておるわけでございまして、これは都道府県が一つの総合的な行政機関であるということから出て参ることであります。従いまして、都道府県の制度あるいは地方制度一般につきましては、これは自治庁の所管でございますが、その都道府県知事が所掌いたしておりますところのいろいろの事務につきましては、農林大臣の所管のものもございますれば、あるいは通産大臣の所管のものもございます。ただいまの火薬類取締法に基きます届出関係の事務はすべて通産大臣が主務大臣でございます。通産大臣が主務大臣でございますところの事務につきましては、自治庁の方ではそういう通達は出せないと思うのでございます。ですから、もし必要がございますれば、主務大臣でございます通産大臣の方から慎重に取り扱うようにというような通達をお出しになるのは、私どもといたしましてこれは何ら反対ではございません。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 通産省の方にお尋ねをいたしますが、今の自治庁の方の御答弁の通りでございますか。通産省の方といたしましては、何か防止措置といたしましてそういう通達を出す御意思がございますか。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 本件につきましては、各府県の担当者を集めまして、この事情をよく説明しまして、特に海中投棄につきましては、投棄する当事者及び投棄する場所について慎重を期するように連絡をいたします。

赤路友藏日本社会党

○赤路委員 今までお聞きしたところによりますと、これは法令に基いて正規の手続で業者が火薬投棄の運搬証明をとり、そうして海上保安庁の方へも一応の通達をしてなされた行為なんです。だから、法規上の手続としては一応現行法の建前から言って間違いなかったと思います。ただ、業者が指定された海区に投棄することなしに、ごく近海でこれを投棄したというところに問題があると思う。従って、先ほど水産庁次長の御答弁にもありました通り、どの方面から見ましても、これは当然会社側が賠償責任を負うものであると思います。ただ、私、ここで言いたいことは、特にこだわるようでありますが、中国化薬という会社が以前にこういうことをやっていないならば別です。すでに豊後水道でやってこれが問題になっておる。しかも宿毛湾における漁業者の損害というものは非常に大きなものである。今日なおこの問題は完全に解決がつけられていない。こういう事態があるわけなんです。だから、法令の建前からは一応手続上間違いなかったといたしましても、私は、そういう前歴のあるものにやらしたということは非常に慎重を欠いたやり方であり、全然責任がないということは言えないと思います。と同時に、監督の点においても、そういうような前歴のある会社なんですから、十分な監督というものがなされなければならなかったはずだ、こう私は考える。もちろん会社の責任ではございましょうが、同時に、慎重を欠いた、監督が不行き届きであったという、この面における関係官庁の責任というものは、やはり免れるわけにはいかない、こういうふうに考えます。  そこで、これはすでに起ったことでもありますし、関係各省がいろいろと御相談なさって、そうしてこれから調査団を派遣して一つ調査をしようということでありますから、その調査結果に待たなければならないとは思いますが、しかしながら、当面する問題は一体何なのか。これは、今水産庁の次長から御報告がありましたように、約一万に近い火薬類が投棄されておる。そうして、魚が変色して、水揚げしたものが有毒素を持っておるというので販売が禁止された、こういうような非常に困った事態になっておるわけです。そこで、最も速急になされなければならぬことは、こういった投棄されておるこの火薬物をどうして早く掃海するか、どうして早くこれを取り揚げるか、そうして、もとの漁場として漁民の諸君が安心して操業できるような状態に置くかということが私は問題の焦点だと思う。おそらく、きょう関係各省の方にお寄り願いましたのは、いろいろなケースから見て参りました場合、この問題についてはどこにも責任を持ってこうすると言い得る所管官庁はないと思うのです。法律的に見ましても、あるいは今までの経過から見ましても、行政庁としてはそういうことになろうと思う。ただ、しかしながら、それだけでは事は済まないという現状にあるのです。だから、このままで放擲しておくのではなくして、一日も早く掃海をする。これは、少くとも、今の中国化薬というものの現状を見ましても、これを委託した本尊である国土開発ですか、こういうような会社の現状を見ましても、これらの手によってはいかんとも処置はつかぬ、これはもうはっきりしていると思う。違反事故を起したこれらの会社が全然処置つかぬ、それでは官庁としてもどこにも責任がないんだからそのままほうっておかなければならぬということであっては、私は、政治というものはないと思う。やはり、ここでどうして一日も早く掃海をする、この点が一点最も速急に何らかの形で相談をしてやっていただかなければならぬ点だと思う。  それから、もう一つの点は、今までに聞くところによりますと、先ほども次長のお話がありましたが、漁民の諸君は自主的に掃海しておる。百五十隻の船を出して、そうして、自分たちの手で、これでは困るというので掃海をしておる。しかしながら、聞きますと、三箱くらい入って参りますと、今のあの小型の底びきでは網が破れてしまう、はなはだ困難な掃海の現状にある、こういうことを聞くわけなんです。これから御調査になって、どういう処置をとるかということはおきめ願うといたしましても、この間漁民の連中はやはり生活をやっていかなければならぬ。飯は食っていかなければならぬ、家族に御飯は食わさなければならぬ、こういう現状にあるわけなんです。これらに対する措置を一体どうするかということは、当然第二の点として考えていかなければならぬと思う。  今水産庁の次長の話では、これは法律に違反をして、指定された投棄場所に投棄しなかったのだから、これは会社の責任だ、従って民事訴訟として会社にその賠償を要求すべきであろうと言われる。筋としてはおそらくそうでしょう。けれども、それじゃ、会社がそういう賠償をし得るような能力が全然ない、そういう場合どういうふうにこれを処置するか、これはちょっとむずかしい問題であろうと思います。だから、きょうお寄り願っておりまする行政官の皆さんでは御答弁がしにくい問題かと思います。しかし、何らかの形でこれは考えていかなければならない問題でありますが、何かこの点について御意見があれば承わりたい。どなたでもけっこうです。この問題は、私自身も、皆さんに質問をしていながら、今申しますように、行政官としての皆さんの手ではあるいは率直にこういたしますということはおそらく言えないことだと思います。従って、政治的に解決をつけなければならぬ問題だと思いますが、皆さん方の行政官としての責任というとちょっと言い方が強いかと思いますが、皆さん方のおやり願える程度のことをやっていただく。そうして、なお結論の出ない場合は、これは当然政府の方の責任者に来ていただきまして、その責任者の答弁を求めなければならぬ、こういうことになろうかと思うのであります。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 赤路君に申し上げます。ただいま総務長官を呼んでいます。政務次官に答えてもらいますか。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 関連。  この問題は、各省が単独に処置し、あるいはここで答弁するのは、ちょっと無理と思うのでございます。今委員長から総務長官を呼んでおるという話でございますが、総務長官よりもむしろ官房長官をここに呼んでいただきまして、官房長官が政府を代表して、政府がどう処置をするか、こういうことを一つ究明いたしたいと思いますので、官房長官を呼んでいただくことを提案いたします。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 ちょっと関連して……。  私もこの問題についてなお官房長官あるいは内閣の総務長官等が出席した上で今後の対策の点は赤路委員に続いて質問をいたしたいと思うのですが、一応事務当局でなお明らかにしてもらいたい点が二、三点あるわけなんです。  そこで、この問題の砲弾あるいは火薬が国土開発のものであるということは先ほどの説明でわかっておるのでありますが、国土開発が一体こうした砲弾だとか火薬をどういう形で四月の一日ですか三月の三十一日までこれを適当な処置をしないで放置しておいたか。一体国土開発という会社が砲弾なり火薬の製造会社だということは私は寡聞にして聞いていないのでありますが、どういう形で、もともとこの砲弾だとか火薬だとかいうものはいつごろからのもので、どういう形で国土開発が手に入れて、これを投棄しなければならぬような状況になったのか、この点は火薬類の取締りの主管官庁としての通産省に事情を聞きたいと思うのです。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 国土開発会社は、本来の火薬の製造会社でございませんで、大体、海中に投棄されております砲弾類を揚げまして、これは海上保安庁の許可を受けまして砲弾の解撤をいたしまして火薬を抜き出して火薬の製造をしている、そういうような会社でございます。今回投棄いたしましたのは、海中から出て参りました砲弾類と、解撤して出てきた火薬類であります。ところが、現在西島という国土開発の工場の火薬庫なりあるいは作業工室の大きさから申しまして、持っております火薬の量がとてもその法できめました量をオーバーしております。そういうことでは非常に危険が多いということで、不良火薬類はこれを廃棄し、また商品価値のあるものはしかるべきところに販売する、こういう措置をいたしまして現在の作業工室あるいは火薬庫の量に見合ったものに制限する必要があるということを兵庫県の方から指示いたしまして、そして、当工場にありました火薬類を選別いたしまして、商品価値のあるものは販売する、そうして残りを廃棄するため船で持っていった、こういうことであります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 私、重要な問題が明白になったと思うのでありますけれども、そうすると、国土開発という会社は、現在なお海底から引き揚げた火薬類を処理して有効な部分はこれを加工するなり何なりして販売をしておるというような経営を続けておる会社でございますか、どうですか。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 現在その会社はほとんどそういうような能力を失いましてただ残った火薬を持っておる、そういう程度でありまして、新たな解撤の作業は進めておりません。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 あなたの答弁の中にも、私、矛盾があると思うのです。そういうことで有効な部分は火薬庫にしまっておるのだけれども、その火薬庫の収容能力というものにも限界があるから、不良火薬類は規定に従ってこれを廃棄させておる、こう言われたのでありますけれども、現在すでに積極的にそういう火薬製造等が行われるような状態にないということになりますと、私、やはり、今後の損害賠償の問題で、運送を引き受けた中国化薬は第一次の責任があるかもしれませんけれども、その火薬をもともと持っておったところの国土開発に第一次の責任がむしろあるんじゃないか。しかも、そういう関係の火薬製造会社であります。から、そういうことの主管は、私は当然やはり火薬の生産に関する行政を扱う通産省がその意味において相当の部分の監督官庁としての責任を負わなければならぬような事態になるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがですか。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 ただいま申し上げましたのは少し言葉が足りなかったようでありますが、現在新しく解撤をしておるということはないのであります。すでに持っておる火薬は取締法で認めた範囲内のものを保有しておる、積極的に新しく解撤はやっていない、こういう意味であります。  それから、中国化薬と国土開発の関係につきましては、現在国土開発には廃棄に必要な従業員はいないので、両者の契約で作業の実施を中国化薬に依頼したという事情になっております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 私、事人命にも関連してくるおそれのある火薬類の問題について、かつてはもうかる部分は積極的に利益をあげたのですが、現在、いろいろな種類の火薬が混淆せられているというようなことで縛られるようなものにならないという形で、それを、中国化薬という、先ほど赤路君の指摘をいたしましたように豊後水道ですでに指定の個所に火薬を投棄するということをやらないで問題を起した前科者の会社に責任をおっかぶせたような形でやらせたというところにも問題があると思うのであります。先ほど水産庁の西村次長は、これは損害賠償の点になれば所有していた会社もあるいは運送を引き受けた会社も民間の会社だから民事訴訟だと言われたけれども、私は、やはり、火薬類の生産というものから出発したところに行政官庁の責任というものを明らかにしなければならぬと思うのであります。そういう点から見て通産省の監督も、これまた、今のお話によりますと、国土開発が持っておるそれは有効な火薬かもしれませんけれども、ほとんど処理する能力もないような会社にそういうようなものを持たしておくというような形を、監督官庁としての通産省はそのままにしておいては、これはいけないと思うのでありますが、現在紀淡海峡に投棄したもので起っておる問題については、責任者が参り次第、具体的にどう処理するかということを究明いたしまするけれども、現在なお国土開発がどの程度の火薬を持っておるか、それはどういうように今後処理させるか、監督官庁としての通産省はどう考えておるか、その点を一つさらに明確にしていただきたい。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 現在国土開発では新しい解撤の作業をしている人間はいないのでございますが、火薬庫に火薬を保有いたしまして、それを貯蔵いたしまして、その管理をするという程度の人員は残っておるのでございます。その量は今はっきりわからないわけでございますが、そういう程度で、今後この火薬が売れるところがあれば売っていく、こういうような状態で持っておるという状態でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 そういう火薬はあるいはいろいろな民間の需要もあるかもしれませんけれども、軍の関係で使うか、何かそういうことにしなければならぬと思うのですが、現在持っておる、なお売れれば処分したいということで火薬庫に保有しておるという火薬は、どういう種類の火薬でしょうか。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 官房長官も総務長官もただいま参議院の本会議に出席をいたしております。今秘書官が連絡に行っております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 その点は、その火薬がどういう性格のものであるか、あるいは買手があれば売るけれども、買手がなければいつまでもそのまま入れておくわけにいかない。十分管理する人員もおらないようなところにいつ爆発するかもしれぬような危険性のある火薬を置いておくということは、それは兵庫県下でございますが、付近の人たちとしてはこういう論議が国会でなされているということが明らかにされれば、地域の人々には非常な不安を巻き起すことになると思うので、通産省としては、そういう点を明確に一つ調べて、やはり適当な処置を私はとらせるべきだと思う。もしそういうことになれば、火薬類をそういう民間の人員の少いところで保有させるというような形ではなくて、勢い、やはり、そういう火薬を使っておる自衛隊の関係であるとか、そういうような関係に、十分危険と損害の発生を未然に防止するような措置も私は通産省としてまず考えなければならぬと思うので、その点はすぐ数量その他性格等についてお答えができなければ、これは今差し迫った問題ではありませんから、私は、よく調べて適切な対策を講じてもらいたい。  そこで、海上保安庁の方へ、先ほど赤路委員から伺った点で明確にならない点がありますので、私、伺いたいと思いますが、今通産省の課長との間の質問の過程で明白になったのでありますが、国土開発が今度廃棄するようになった火薬類は、もともと海上保安庁の許可を得て海底から引き揚げたものだ、こういうようなことなのですが、そういう点から見れば、海上保安庁は、ただ単に今度の紀淡海峡へ無責任に投棄した火薬の問題について兵庫県からこういう指定個所に廃棄しろということの通告を受けた関係だけだ、そういう意味で、積み込みその他の関係から見て指定場所まで輸送して投棄するというようなことについて一応の危険というようなものの発生が予想されないというような状況にあったということを確認したということだけでは、どうも海上保安庁の責任がのがれられないのではないかというふうに思う。そもそもの火薬を海底から引き揚げるときから海上保安庁がタッチしているようなふうに今通産省から伺ったのですが、その点、海上保安庁の次長さんの方でどういうようにお考えになっておりますか。

和田勇海上保安庁次長

○和田説明員 お話の点につきましては、投棄する最後までその巡視船艇が同行するというような措置をとればよかったのでございますが、海難救助あるいは海上警備その他のために追われまして、この二はいの船についていかなかったということは、われわれ監督者といたしましても、また現場の者といたしましても申しわけない次第と考えております。ただ、お断わりをいたしたいのは、一応、水中から揚げまして、それぞれ処分をしました。陸にありますものは、私どもの方であまりやかましく言えない立場でございますので、この点非常に弁解がましくなりますが、御了承を得たいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 その点、今巡視艇が最後の目的地点まで同行して指定個所に完全に投棄することを確認することをやらなかった点は遺憾だということを表明されたのでありますが、先ほど実は赤路君の質問もあったのですが、私らも、明石沖でありますか、そこまでは巡視艇が同行したように私の郷里の和歌山県の県庁の関係からは伺っておるのであります。何かの都合でそこから先行かなかった、そうすると、巡視艇の同行がとまったとすると、しばらくすると投棄を始めた、そこで、乗り組んでいた中国化薬の社員は、これはまだ指定個所に達していないじゃないかということで注意したら、一たんやめて、あと一時間ばかりするというとまた始めた、それでもまだ地点が来ていないということをなにしたときには、もう一万ケースのものがせいぜい千個足らずのものしか残っておらないような状況で、ほとんど大部分のものを、従って指定場所に行く途中でしかも水深が三十メートルないし五十メートルのところで投棄をされておるというところに今度の問題が起っておるのであります。先ほど、大体同行しなければならぬという海上保安庁の義務がないように和田さんが答弁されたのでありますが、私らは、やはり、これの投棄についての許可でありますか、必ずしも厳密の意味の許可でないように先ほど次長の方ではお答えになっておるようでありますけれども、これは運搬通知書というのですか、届出をすればやはり許可というような形になるが、しかも危険と損害の防止の責任は、やはり、海上保安庁へ通告をするということになると、指定個所に廃棄されるまで、今度のようないろいろな意味において国民に迷惑をかける、あるいは危険を伴うというようなことのないようなことをやる役所が海上保安庁だというふうに私らはきわめて常識的に理解しておるのですが、そういう点から見て、海上保安庁の責任がどうも明確でないように思うのですが、その点はどんなものですか。

和田勇海上保安庁次長

○和田説明員 先ほどお答えいたしましたように、われわれ海上保安庁の職務といたしましては、最終的に投棄する場所まで同行すべきであったにもかかわりませず、船が少い、他の業務が忙しいということにかまけて、船を出さなかったことは申しわけないと思っておりますが、明石沖まで出てそれから帰ったということは、私ども最初関係当事者からそういう抗弁がましいことを聞きましたが、それは会社の実際の仕事に当った連中が少しでもエキスキューズになるというようなことから言われたのではないかと思います。なお先生から御指摘がありましたからもう一ぺん調べますが、船が足りないので、現場で確認して、出ていくときに、これで大丈夫だ、監督者も乗っておるということから、誘導はいたしておりません。また、同行もいたしておりません。その点非常に残念に思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 そこで、本来なら、やはり指定個所で完全に投棄されるかどうか、その間危険等が発生することがないかどうかということを見きわめることが、私は海上保安庁の任務だと思うのです。そういう点で、現実に起ったことの責任をどうこうということではないのでありまするけれども、問題は、今政府の責任ある官房長官等の出席を求めている問題でありまするので、今後現実に、一万ケースのうちで引き揚げたのはまだ千個足らずで、私らの聞いているのは、底びき業者が、網を破って、自分たちで百五十隻の船を約五日間にわたって出しまして引き揚げたものが五、六百程度のものであります。あと九千何百個というものがまだ海中に、しかもこれは比較的浅いところにあるわけなんですから、先ほどから赤路委員から政府側に対策を伺っておりまするように、これを一日も早く引き揚げて、紀淡海峡の零細漁民のために漁場として復元してやつてもらいたいという問題が政治の上で一番まっ先にやらなければならぬ問題として残されておる。私は、そういう点から見て、掃海、引き揚げというような関係について、これは第一次的に海上保安庁の方でやっていただくような義務があると思う。法律上、また、あるいはそういうことをやることが、ただ単に海上のいろいろな治安上の取締り官庁というだけではなくて、積極的にやはり国民の福祉のために仕事をすることが海上保安庁だということになれば、今政府の責任者に伺おうというところの掃海、投棄した火薬類の引き揚げという先決問題の仕事は海上保安庁でやっていただけるようにも思えるのでありますが、そういうようなことについての直接の予算がないということになれば、そういう予算の裏づけを、これは内閣審議室でも取り上げてもらっている問題でありまするから、八蔵当局なり、あるいはこの委員会からの助言なり勧告に基いて、われわれは予算的な裏づけをさせるということにもなると考えます。海上保安庁には、こういうようなもので、しかも三十メーターないし五十メーター程度の水深のところに何海里かの——私らの陳情書にある図面で見ますとあまり広い地域でもないと思うのです。雑賀崎沖から大体日ノ岬に至るまでの紀淡海峡における一番手近な有望な漁場に投棄されたということになりますと、私、掃海なり引き揚げというようなことは必ずしも至難でない地域にあると思うのでありますが、そういう設備なり装備なりというものを海上保安庁は持っておられるのかどうか、その点を伺いたいと思います。

和田勇海上保安庁次長

○和田説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。実際に投棄されておりまするところは、大体六十メーターかあるいは七十メーター前後でございます。航路啓開といいますか、船が通るのに障害物になりますもの、たとえば港の中で船が沈没いたしまして船の通る航路がじゃまになるというような航路啓開の業務は私どもの海上保安庁の業務になってございますが、いわゆる掃海と申しますのは、海上自衛隊の方に特別の部隊がございまして、数年前まではこれも海上保安庁に一時同じ役所の中でやったことがあるわけでございますが、現在では自衛隊の方でそういう特別の部隊、船を持っておりまして、専門的には海上自衛隊の方がより適切でありまして、ただ海上保安庁といたしましては航路を啓開するということの方が適切であるというわけでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 そこで、先ほどから防衛庁の関係に出席を願っておるのですが、海上自衛隊の関係はお見えになられておりますか。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 見えておりません。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 実は、投棄されたもので和歌山県側の底びきの漁民の方で引き揚げたやつは、先ほどの御報告にあったように、海上自衛隊の大阪支隊の方に頼んで潮ノ岬の沖の相当離れた海域にあらためて捨てていただいたわけなんですが、そういう関係で、今海上保安庁の和田次長がおっしゃられるよりな状況で、海上保安庁でそういう掃海艇なりあるいは掃海の業務をやるような施設がないということになれば、やはり海上自衛隊のそういうものを使うということも一つの差し迫った方法になって参ります。問題は、そういう突発的ないわば予期せざる事故でありますから、そういう関係の予算的な処置がどうなるかということに関連をいたすことになると思うのであります。現在、内閣審議室に持ち込んで、結局関係各省にまたがる問題だからということで、今連絡協議をいたされておるように私ら伺っておるのでありますが、その内閣審議室を中心にして、関係各省行政当局がきょう見えられておるところでは、今私が申し上げた点まで突っ込んで話し合いがなされておるのでしょうか、その点いかがでしょうか。

大島寛一総理府事務官(内閣総理大臣官房審議室長)

○大島説明員 御説明いたします。  内閣審議会におきまして、ただいま御説明申し上げたような関係各省にまたがる事項でもございますので、この問題を隔意なく十分協議しておるわけでございますが、ただいま御説明申し上げましたような諸点も、問題となり得る事項として検討をしております。ただ、先ほど水産庁から御説明した通りでございますが、これは、現地につきまして、現場の状況その他専門的に調査する必要がどうしてもあるということに協議の結果一致いたしましたので、従いまして、速急に各省の専門家からなるものを現場に派遣いたしまして、地元の県その他地方団体とも緊密に連絡をいたしまして、掃海その他に関する問題点を速急に調査したいということでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)委員 速急に行っていただくこと、非常に歓迎するのでありますが、大体いつごろになるのでしょう。私らの県当局なりあるいは漁業組合等から伺っておるところでは、捨てた数量はわかっておる、しかも海域はこういうことで、底びきの網が破れたり何かしますし、非常に遅々たる状況でありますけれども、引き揚げは可能なんです。現に百五十隻からの船が五日間かかって五百何十個というものを引き揚げた、そういう状況でありますから、専門家が出向いて、時間的にも早く掃海していただくような積極的な対策を講じていただくことは非常にけっこうであります。現地でわれわれが説明を聞いただけでも、こういう方針でいこうという方針をきめてくれさえすれば、すぐにもできるように私ら自身しろうとながら考えるのですが、一体いつごろ現地調査に行っていただけるのでしょう。

大島寛一総理府事務官(内閣総理大臣官房審議室長)

○大島説明員 御説明いたします。  いつという日はまだきめておりませんが、即急にということで各省相談し合っておる途中でございます。その点、私が日取りを何日とまで申し上げることができないのは恐縮でございますが、きわめて短いうちであるということで御了承いただきたいと思います。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 岡嶋課長、先刻の保留されていた答弁を……。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 先ほどの点についてお答え申し上げます。  現在残っておりますのが、TNTが約十トン、TNTの塊状型が約十トン、さらにヘキソゲン、爆薬が若干、これだけ残っておりますが、もちろんこれらの火薬を貯蔵するに必要な人員は必ず確保いたしまして、保安上遺憾なきを期することになっております。なお、近く、売り先がきまりまして、そこへ持っていくということになっております。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 中澤君。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 ちょっと疑問の点があるのだけれども、国土開発という会社は、火薬を一体どういうところから入手するのですか。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 先ほど申し上げましたように、海中に投棄せられました砲弾類があるわけです。これを海上保安庁が引き揚げて参りまして、これを解撤するわけであります。そうすると、火薬類と金属類が残るわけでありますが、その弾薬の中から抜き出した火薬を扱っておる、そういう会社であります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 その砲弾は戦争中のものだろうが、現在そういう海中に投棄されておる火薬の原所有権というものはやはり国にあるのじゃないですか。現在もまだ海中にあるものの所有権というものは、一体だれにあるのですか。

和田勇海上保安庁次長

○和田説明員 海中にありますものは国の所有物であります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 国の所有物であるならば、そういう危険なものの監督権というものは、引き揚げた後はどこに一体責任があるのですか。さっきから赤路委員初め皆さんの質問を聞いていると、どこにも責任のないような話になってしまっているが、だれが監督責任というものを最初から最終まで持っているのでしょうか。

和田勇海上保安庁次長

○和田説明員 海中にありますものは国のもので、引き揚げまして産業用にいたしますと通産省のものになる、そういうことになります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、それを国土開発に許可をするときは、入札か何かして払い下げをするのですか、どうなっているのですか。

小田原三郎海上保安官(海上保安庁警備救難部救難課長)

○小田原説明員 引揚業者というのと解撤業者というのと二つあるわけです。今の国土開発というのは、ここでは解撤業者です。別に引き揚げをする業者がおりまして、それが水中から引き揚げまして、それを解撤業者に渡します。そこで火薬を抜き取りますが、それは産業用火薬に供する目的で許可を得ておるわけであります。産業に供する段階になりますと、これはいわゆる払い下げになりまして、そこでもって払い下げの問題が起きるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 入札をやってその火薬を国土開発なりあるいはほかのそういう業者に売り渡すというが、これは当然国に所有権があるのだから、ただやるのじゃないでしょう。入札して一定のあれは国庫納付になるのでしょう。だから、そのときやるのは海上保安庁なのか、それとも引き揚げてしまえば通産省が入札をして売り渡しをするのか。

小田原三郎海上保安官(海上保安庁警備救難部救難課長)

○小田原説明員 最初に海上保安庁の長官に引き揚げの許可を申請いたします。そのときに一応引き揚げの予想量というものを立てているわけであります。まだどれだけあるのかわかりませんので、はっきりした契約はできませんが、大体何トンくらい引き揚げたいという予想に基いて引き揚げます。実際に揚ってくるものはその数字とだいぶ違いますけれども。そこで、引揚業者がそれを解撤業者に渡しまして解撤してもらうわけであります。そうして、くず鉄が何ぼできる、火薬が何ぼできるというところで実際に原価計算をいたしまして、それが国庫納金になります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 その収入は一体どこの国庫納付金に入るのですか。入札の所管責任官庁はどこなのですか、解撤業者と火薬業者の。

小田原三郎海上保安官(海上保安庁警備救難部救難課長)

○小田原説明員 海上保安庁であります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、これはやはり相当海上保安庁に責任があるだろう。とにかく、海の中にある国の所有物をそういう業者に引き揚げさせて引き揚げたものを入札をして、その入札に対して海上保安庁が権限を持っておるでしょう。そうなると、それから出た火薬は通産省だというけれども、これは私は海上保安庁だと思うのですよ。そのあと一体通産省にはどこから移管になるのですか。責任のもとはあなたのところにある。

小田原三郎海上保安官(海上保安庁警備救難部救難課長)

○小田原説明員 これにつきましては、国土開発みたいな解撤をする業者というものは、火薬類取締法によるところの火薬製造業に入ります。従いまして、この許可につきましては、くず鉄につきましては海上保安庁の許可もとりますが、同時に通産省の許可をとりまして業務に当っております。いわゆる火薬類製造業としましては通産省の御許可をとるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 たとえば、工事現場なんかで使っているわずかな五本くらいのダイナマイトに対しても、非常に厳重な規制をやって、警察が不時に抜き打ち検査などをやって、現数量と爆破量と引き合せておりますね。ダイナマイトに対してはああいう厳重な処置をとっているのに、それだけ膨大な火薬を引き揚げて、それを渡した後、その危険なものに対して一体責任はだれが持つのですか。ダイナマイトの場合は、警察が工事現場に月に二回とか十日に一回か手入れに行きまして、使用ダイナマイト数と残ダイナマイト数とを保管倉庫で全部調べるのだが、それだけの危険な火薬に対してそういうふうなことを警察がやるのか、だれがやるのか。保管に対する厳重な検査責任はどの官庁にあるのですか。それはもう海上保安庁にはないのですか。

小田原三郎海上保安官(海上保安庁警備救難部救難課長)

○小田原説明員 解撤の段階におきましては、われわれの方に当然責任がございますので、海上保安庁の告示二十三号というかなりこまかい安全基準がございますが、それによってやっております。それで、先ほど申しましたように、一たん火薬として火薬庫に入り。ました後においては、われわれの方は関係いたしておりません。一応払い下げが済んで産業用に供されたあとにおいては私の方は関係がないのでありまして、解撤の工程だけをやっております。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 ただいま海上保安庁から御答弁がありましたが、解撤をいたしまして、解撤によって火薬になったあとは通産省の方の火薬類取締法の適用を受けるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、これはどこにも責任のない、まるでのらくら問答みたいになってしまうのだが、検査をしている官庁はどこなのですか。通産省がやっているのじゃないですか。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 通産省と都道府県知事の組織においてやっております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、これはまだ商品価値があるから販売してもよろしい、これはもはや商品価値がないし、貯蔵しておくと危険だから廃棄しなさいということは、通産省が命令してやったものですか。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 これは現地におきましては兵庫県がやったものでありますが、あくまで通産大臣の機関としての兵庫県知事がこれをやっております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 廃棄に対する責任というものは、これだけのものはこの地点で廃棄しなさい、こういう命令というものは一体だれが出しているのです。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 今回のは火薬でございまして、火薬の廃棄については、取締法にきめた基準に従って捨てなければならない。それにつきまして、兵庫県は関係官庁と連絡して適法な廃棄の場所を業者に指示いたしたわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 どうも納得いかぬ。業者に指示をしたというが、一体ダイナマイト一発工事場で狂いがあっても警察が来てあれだけうるさい問題にする。使用ダイナマイトと現存ダイナマイトの検査というものを警察が来てあれだけ厳重にやっておるのです。それを、火薬なら、通産省が警察に検査させるというようなことは、通産省はそういうことには関係ないのですか。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 火薬類取締りの権限と申しますか責任と申しますかは、通産省と都道府県知事にあるわけでございまして、公安委員会は一応これに関係ございません。ただ、火薬類の保安につきましては、非常に公安とも関係がございますので、いろいろな許認可事項というのは公安委員会の方に通報する。あるいは警察官が、人の生命、身体、財産に特に危険があるという場合は、消費現場、あるいは製造所、あるいは火薬庫に立ち入ることができるわけであります。取締法でも警察官の関与を認めておるわけでありますが、一応責任上は通産省と都道府県知事の組織においてやっております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、廃棄場所を、この地点まで持っていって廃棄しろという指定はだれがするのです。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 それは兵庫県の方でやっております。ただ、県の方では海上の状況がよくわからない。たとえば、ある場所を指定いたしましても、その場所が水深が幾らあるかということがわからないわけであります。われわれの方の廃棄の基準といたしましては、海岸から八キロ、水深が二百メートル以上のところに捨てなければならない、こういうふうに法律できまっておるわけであります。そういうふうな八キロ、二百メートルの条件が充足されておるかどうかということを関係官庁と御相談いたしまして、ここは大丈夫だということを確認して、その地点に廃棄するように兵庫県の方から業者に指示をした、こういうような状況でございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、今度の場合は通産省も兵庫県知事か何かとの合意の上で廃棄場所というものは決定したのですか。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 一応廃棄の権限につきましては法律上府県知事に委任いたしておりますので、これは兵庫県が独自にやっております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、こういう危険物ですから、だれか責任者が廃棄の地点まで行くべきなのが当然の義務だと思うのですね。しかし、その義務というものは、通産省にもなければ、兵庫県にもなければ、どこにもないのですか。ただ廃棄場所をここにしろと指定するだけで、あとはどこにほうり投げてもかまわないということなのですか。一体、廃棄場所まで必ず持っていかせなければならない義務はどこにあるのです。

岡嶋楢文通商産業事務官(軽工業局無機化学課長)

○岡嶋説明員 廃棄につきましては、一応法律上は廃棄届を出すという形式になっておるわけです。今回につきましては、実際に船が出るところまで参りまして、県庁の担当者も廃棄の場所を正しく指示いたしまして、十分注意して捨てるようにと、船が出る直前まで指示を与えておったわけであります。それ以上のことはいたしておらないわけであります。また、法律上は届出でいいということはなっておるわけです。もっとも、これに対しましては、先ほど申したように罰則の適用ということでこれを保障しておる、こういう格好であります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 では、これはどこまでいったってだめだ。それは法の盲点かもしれぬですけれども、どうも聞いていると責任がどの官庁にもないのですね。とにかく、内地においてダイナマイト一発狂ってもただで済まさないような厳重な監督をしているのに、これだけ膨大な火薬を廃棄するのにどこにも責任がないというのはおかしいのじゃないですか。通産省も知らぬ、それは県庁でやるのだろう、県庁は現場でもってお前らここへ捨てろといって船の出るまで見ていればいいのだ、あとはどこへ持っていったっていいのだというような、そういうばかな話は私はないと思うんだ。しかし、現実に質問を幾らやってみても、海上保安庁は、鉄から火薬はお前の方だから知らぬ、お宅の方は、兵庫県知事の委任事項だから知っちゃいない、こういうのでしょう。そうすると、だれも知っちゃいないことになるのですね。こういうばかな話はないと思うのです。問題は、さっき言った漁民の問題になるのですけれども、この零細な漁民には一体だれが補償するのだ。補償する会社ときたら、ボロ会社で、そんなものは金を払う能力がないというのでしょう。そうすると、だれも補償する者もないということでしょう。これは法の盲点かもしれぬ。今後研究しなければならぬ問題でしょうけれども、こういう問題はやはり政治の問題として事務当局の皆さんの方でも、われわれの方からも政治的に大いに大蔵大臣初め——とにかく何らかの補償措置を講じてやらなければ、これはとてもいかぬ問題だと思うのですよ。そういう方向で皆さんの方でも一ついろいろ検討してもらうと同時に、さっき言われたように、これを早く引き揚げることが問題だと思うのです。海上保安庁では、おれの方には船がないからだめだと言う。自衛隊にあるなら自衛隊を呼んで一日も早く船を出して引き揚げて、早く漁民に魚をとれるような対策を講じてやる以外に仕方ないということになってしまうのですね。そういうことで、これはどこまでいってもきめ手のない問答だから、私もこれで質問をやめます。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 中澤君並びに質問通告の諸君に申し上げます。ただいままでの質疑でもおわかりのような事情でございますので、午後政府の責任者に出席を求めまして結論を得たいと思いますので、午前中の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時半より再開することとして、これにて休憩いたします。     午後零時三十九分休憩     —————————————     午後三時七分開議

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業法人等に関する問題につきまして質疑の通告があります。順次これを許します。足鹿覺君。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 農業法人の問題につきまして二、三最初に農地局長にお尋ねを申し上げたいのであります。  本年の三月の末に当委員会において農業法人に関する法制化促進その他の事項について決議が行われました。今日まで相当の日子が流れておりますが、農林省におけるその後の本問題に対する決議の趣旨を具体化していくべき方針なり、また具体的な取扱いについてどういうふうに進行いたしておりますか。最初に、今日まで当局としてとってきました態度、また今後とらんとする態度について伺っておきたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 お答えいたします。  三月に御決議いただきまして、私どもは、実は、全国に農業法人問題に関しましていろいろ既存の農業法人あるいは協同組合等がございますので、事例調査も実はいたしまして、きのうお手元にもお届けいたしましたが、そういう調査を進めますとともに、われわれ、県の方に対しましては、農業法人問題につきましては、農林省としては、これは積極的な態度で法律的な措置もするように検討しているという意味の通達も実は出しまして、その間は、今の法律から見ましては、やはり今の法体系のもとでは無理だという農業法人については、是正をしてもらいたいというような通達を実は出しております。  その後、内部の検討でございますが、今申し上げたような態度で農地局といたしましては検討を続けております。私どもの方といたしましては、検討する対象が二つございます。積極的にものを考えます場合に、どういう形の農業法人というものを考えていくべきかという問題が一点と、それに基きましてそれに関係する農地法をどういうふうに修正するのかという二つの問題を実は検討いたしております。もう一つ、実は、内閣に農林漁業基本問題調査会ができますので、そこでも当然この問題は取り上げられるであろうというようなことで、官房では各局から農業法人に対する考え方も取りまとめているような次第でございます。農地局といたしましては、まだこれについて成案を得てこうだというふうに御披露するまでの段階には至っておりませんが、今日まで検討しました段階では、私の方としては、今問題になっておりますような商法上のああいう会社と農地法との関連ということから考えますと、農地法が過去のような土地制度に戻らぬように穴をふさいでいくということと、あの法律との関係、今の有限会社との関係はなかなかむずかしい問題がございまして、それを厳格に言いますと、営利法人としての有限会社というものはなかなかむずかしいんじゃなかろうかというような見解でおりまして、これはまだ決定でございませんが、どちらかというと、組合的といいますか、そういうような法人というものが考えられるのじゃなかろうかというような検討を実はいたしております。ただ、その法人の組織につきまして、具体的にここがこうだというようなところまでは申し上げかねますが、この問題につきましては、基本問題調査会は二年ということを言っておりますが、われわれとしてはもっと早い機会に結論を得て御審議を願うような段取りにしたいというのが農地局の希望でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 積極的な態度で検討をされておることを聞きまして、まことにけっこうだと思いますが、実は、農林省が徳島県の勝浦町に起きました賃貸契約承認の問題について再議命令を出すことについて指示通達をされ、知事は四月二十八日付をもって再議命令を出しておるのであります。この問題をめぐりまして、六月の中旬に農林省の庄野管理部長が現地へ参られて、いろいろと当事者あるいは農業委員会当局等と懇談をせられ、その結果、賃貸契約承認を一応勝浦町農業委員会としては撤回する、しかし農林省は誠意をもって農業法人の法制化を進める、その時期は十二月国会、できれば秋の臨時国会を目標に進めるからという話し合いもあったやに聞いておるのであります。そういう点から、この問題は、きわめて円満と申しましょうか、話し合いに基いて再議命令に対するその後の問題は一応静まった形になっておるのであります。従って、農林省としても、今局長が言われましたように積極的な態度をもって臨んでおられることはけっこうでありますが、さらにこの問題を急速に進めていかれなければならない道義的な責任も私は一面伴っておるのではないかと思うのです。そこで、その法人については、会社方式というよりも、むしろ組合方式をとりたいという意味でありますが、その場合、一戸一法人も含めていくのか、あるいは単独法でいって、これと農協法との関係をどういうふうに考えておるのか、さらに経済局との関係において経営の内部にまで直接及んでいく協同化の構想は一体どうあるかというようなことが一番問題になり、重要な点であろうと思うのです。大体の方向は一応ただいまの御答弁でわかりましたが、今述べたような点についてさらに具体的な検討をしておられるならば、その内容についても一応承わっておきたいと思うわけです。大体のめどは、秋になるのか、あるいは通常国会になるのか、これらの点を関連してさらに御答弁願いたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 私のところの庄野管理部長が現地に参りまして、中国、四国の農業会議の事務局長会議あるいは徳島県へ参りまして勝浦の農業委員の方々とお会いしまして、われわれが考えておりますことを懇談しましたことはその通りでございます。その席でいろいろ話が出まして、私の方の部長が、通常国会を目途に法律の準備も進めるということを言ったという報告も私聞いております。いつこの法律を作るかの問題でございますが、今部長が現場で申し上げたということを申されたのでありますが、われわれも、そういうところを大体の目安にしまして、なるべく早く結論を得たいというのがわれわれ農地局としての態度でございます。  それから、法律の内容でございます。これは、御質問でございますが、実はまだ内容を御披露するまでには至っておりません。ただ、われわれとしましても、農協との関係が非常にございますので、この問題は農林経済局とも打ち合せをいたしてはおりますが、まだ両方で意見が合致するというところに参りません。ただ、われわれ考えますのは、こういう法人を考えます場合に、農協と全然異質的なものという考え方でなくて、農協と同質的な組合的な性格のものを考えていくべきではなかろうか。農協から独立した組織を考えるということでなくてそれと非常に連繋を持った、あるいは下部機構といいますか、そういうことを考えてもいいかと思いますが、農協とも十分連繋のとれた形のものを考えていきたい、われわれ農地局としては当然そうあるべきじゃなかろうかということを中で議論いたしておりますが、まだ最終的には固まっておりません。また、一戸一法人の問題につきましても、いろいろ議論がございまして、共同化だけでいいのじゃないかという議論もございます。そうでなくて一戸一法人ということも、これはやはり経営の一つの合理化をはかっていく共同化の前堤ではないか、これについても当然認むべきだという意見もございますし、まだその辺のところは十分固まってはおりませんが、一戸一法人ということも、われわれとしましては、当然これは考えの対象に入れて検討したいというふうに思っております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 最近新聞紙の伝えるところによりますと、愛媛県下においては単協そのものを農業法人化していこうというような相当大規模な動きもあるように伝えられております。そういう点について、農林省にはどのような情報が入っておりますか。たとえば、この再議命令についての農林省の指示通達を見ましても、現在の法体系下においては農地法第三条第一項の許可をすることは農地法全体の趣旨に反し、著しく不当であるといわざるを得ないと断じておられるし、また、徳島県知事の勝浦町農委べの再議命令におきましても、農業法人に対して現行法体系のもとにおいて農地法第三条第一項の許可をすることは、農地法全体の趣旨に反し、著しく不当であるといわざるを得ないと結んで、なおこの見解は農林当局の通達に基くものであるというふうに言っておるのであります。違法でなくして、著しく不当であるということは、その法人自体があやまちを犯しているのではなくして、法自体に不備欠陥があるところから生ずる矛盾だ、こういうふうに解釈すべきだと私は見るわけであります。といたしますならば、その現行法がある限りにおいては、一応著しく不当ではありますが違法ではない、違法と断ずることはできないということでありまするならば、新しく考えられる立法の方針なりその要領というものを現在検討しておる限りにおいては、次々と発生しつつあるこれらのものに対しても、そのお考えと相関連を持った指導を行なって、一がいにこれを抑制していくというのではなくして、むしろ、農業の近代化なり、それをはかるための共同化を促進助長していくということが好ましいのではないかと考えるのであります。そういう点につきまして、この再議に対する農林省の指示なり徳島県知事の発した再議命令の中にうたってありますように、著しく不当であるとあなた方が判定しておられる以上は、この問題については、新しく生まれつつあるものに対してももう少し積極的な態度でこれを善導といいますか、その促進をはかっていくべきものではないかと私は思うのでありますが、この再議命令なり、あるいは再議命令の指示通達等に対する農林省の考え方をもう少し詳しく述べてもらいたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 これは、違法ということではなくて、不当ということで実は再議命令に書きました。これは、従来は法律の許可なしにこういうことが行われておったものが多いのでございますが、徳島の例は、賃貸借の許可を受けたということがございましたので、違法ということではなくて、不当ということで取り扱ったわけでございます。     〔委員長退席、野原委員長代理着席〕 これにつきまして、法律上現行の法体系のもとではということを言っているのだから、法律を直すまでにはもう少し近代化、合理化を積極的に考えたらどうだという御質問でございまするが、われわれとしましても、法律に対しまする考え方は先ほど申し上げました通りでございまして、農地法の改正等ができますまでは、一つ、農地そのものを賃貸借しますとか、あるいは使用収益の権利を、農地そのものを対象としないで、あるいは出荷のことをやりますとか、あるいは共同防除をやりますとか、そういうような共同的なことは、農林省としましても従来から積極的に推進したのでありますから、そういう方針のもとでやってもらいたい、法律改正があるまでは、一つ農地そのものに対する使用収益権の設定は見合わすか、別の形のもので進めてほしいというのが大体のわれわれの考え方でございまして、県の部長会議、課長会議等におきましてもそういうような話をいたしております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 経済局長がおいでになっておりますが、お聞きのように、現行法そのものに触れない範囲内における共同化の促進あるいは法人化の助長という方針だと言われておる。これは、農地法上の問題がありますから、従来までは主として農地局がその対策の衝に当られたことはやむを得ないと思うのでありますが、本来は、須賀さん、あなたの局が、この日本の農業の行き詰まりをどういうふうにして打開していくかという一つの共同化の線に沿って、零細農を新しい近代的な農業に共同化していくという意味からは、むしろ経済局の責任なり対策というものが非常に重大だと思うのです。現在の成り行きは、農地局が非常対策は先行しておるようでありますけれども、従来も、私どもは、その法解釈をめぐり、あるいは法制上の疑義の問題をめぐりまして、主として両者に対してその意見をただし、われわれの意見も述べて、本問題の解決に当ってきたわけでありまして、今後はやはり経済局としても大いにこれに対処してもらわなければならぬと思うのでありますが、現在考えておられる経済局の方針なり具体的な対策というものをこの際明らかにしてもらいたいと思うのです。

須賀賢二農林事務官(農林経済局長)

○須賀説明員 この問題につきましては、ただいま御指摘がありましたように、経過から見ますると、農地法の問題と直接関連いたしまして、現在までの段階におきましては主として農地局で御検討を願ったわけでございます。経営組織体といたしましての制度なり法制の問題ということに相なりますると、農林省全体の機構の中では主として私どもの方で検討いたさねばならぬと考えておるわけでございます。われわれの方では、先般来の経過なり経緯を農地局と緊密に連絡をとりまして詳しく検討いたしておるわけでございます。率直に申し上げまして、まだ私どもの局におきましてどういう考え方でどういう視角からこの問題の法制化なりあるいはそれに関連いたします一連の考え方を進めて参るかということにつきましては具体的なものにはまだ相なっておりません。これは、われわれといたしましては、農林省全体の部局を通じましての考え方につきましても、さらに一段と掘り下げてみる必要があるわけであります。それらの角度からの検討も並行いたしまして、逐次私どもの方でも本格的に取り組んで参りたい、さように考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 どうもよくわからないのですが、連関をもって十分善処するという程度のことですが、これは、ただ単に経済局の責任だとかどうとかいうことでなくして、日本農業全体の大きな問題でありますから、基本問題調査会の意見も聞くというさっきの伊東局長の態度もわからぬではありませんが、目下火がついているわけであります。従って一方、法律そのものへの抵触の問題についても、違法ではない、著しく不当だという見解をとっていく態度を明らかにされた以上は、もっと焦眉の問題として、これにどう対処していくのかということが、私は一番大きな問題ではないかと思うのです。昨日いただきました「共同経営及び農業法人の実態報告総括」というものが農地局から出されております。これによりますと二百七十七ということになっておりますが、この共同経営及び農業法人の実態を言いますと、私はとうていこの程度のものではないと思うのです。もっともっと膨大なものが実際にはあると思うのです。それが法人を目ざしておるという点だけでもって一応ここに統計資料を出されたのでありますけれども、むしろ、経済局の農協部あたりは、本来の問題としてもっと積極的にその実態を把握し、それに対するところの一つの考え方、指針を持って対処されるべき筋合いのものではないかと思うのです。それは、近くまた予算の編成期が来ておるわけでありますが、政策の上にもこれは相当重大な関係を持って、予算上の措置も勢い必要となってくるでありましょう。明確な方針が出ないで一つこれをどうこうということはできないともお考えでございましょうけれども、大体の一つの方向というものは出ておるし、当委員会においても満場一致の決議をもってその共同化を促進していくという態度をもって臨んでおる。それを一つの踏切台として当局も積極的になっておるわけですから、もっと総合的かつ具体的に問題の処理をされなければならぬと思うのであります。この点について、政務次官がおいでになったわけでありますが、大臣にも私この間本会議で所信をただしたわけでありますが、もっと具体的に掘り下げた御見解も承わりたいと思うのですが、今私が申しましたような観点から、農林省、政府を代表して政務次官のこの問題に対する具体的な御所見はいかがでしよう。

大野市郎自由民主党農林政務次官

○大野政府委員 予算委員会におきます大臣の答弁、並びに私どもが大臣から聞いております農業法人の考え方は、経営の適正化という面、あるいは経営の合理化という面でこの問題に対して非常な興味を持っておられることは間違いがありません。ただ、今の自作農維持の関係が現実の法規としてありますので、その関係の調整にいろいろ方途を考えておられるようでありまして、この問題で、こういう形だからしょうがないというふうな消極的な考え方は見受けられません。私、政務次官といたしましても、その趣旨で部内を進めてもらうように進言をしておる最中でございます。足鹿委員の農業法人に対しまする御見解は、当委員会でつぶさに承わって承知しております。現行法規との調整という問題でいかに適応させるかという一歩進んだ考え方に入っておる段階だと承知をしております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 まだ御就任早々でもありましょうし、この問題は、また小委員会も引き続き設けられることになったのでありますから、また日をあらためて、もう少しあなた方の御見解が明確になる過程に突っ込んだ検討をしてみたいと思いますので、他にも問題がありますから、一応この問題はこの程度にしておきます。  最後に、国税庁当局に一つ伺っておきたいのでありますが、先日——よほど前でございますが、小委員会におきまして、長官の御出席を願って、統一見解後における課税上の処理をどうされようとしておるかということについてただしたわけでありますが、出席が少くてそのままになってしまっておるのであります。その後、国税庁としては、統一見解後における最近までのこの問題の処理に対する反省なり、またそれに基く一つの方針なりをどのように立てておられますか、この際伺っておきたい。

白石正雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○白石説明員 お答えいたします。  いわゆる農業法人に対しまする課税上の取扱いにつきまして、政府の統一見解を国会にもお示しいたしたわけであります。これに基きまして、国税庁といたしまして、その後の事務の処理をいたそうと努力しておるわけであります。  まず第一に、この統一見解を国税局に示しまして国税局を通じて税務署にその趣旨を十分徹底せしめるよう通達をいたしまするし、また、会議その他におきましてその趣旨の徹底をはかっております。  次に、この方針によりまして、税務の具体的な処理の段階でございまするが、これは今まで非常に御論議になりましたような複雑困難な問題でございますので、私どもといたしましても、慎重に事を運ばなければならない、こういう点におきましてその後課税の具体的な問題といたしまして法人として申告せられておりまするものにつきまして、個人課税を更正決定するというようなことはまだいたしておりません。現段階におきましては、相当数の個人申告等がなされております状況でもありますし、かつまた、個人申告がなされずに法人申告のまま進んでおりますという件数もある程度あるわけでございますが、これらにつきましての処理は、その実態を十分調査した上におきまして処理すべきものと考えておりまして、まだ具体的な取運びの段階にまでは立ち至っていない、かような状況でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 これはあとで同僚の廣瀬委員からも、現地のことでありますから、いろいろとお尋ねがあろうと思いますので、私は簡単に端折っておきますが、われわれの主張については、直税部長がおかわりになったようでありますけれども、ここであらためて論議することは冗長ですし、重複しますからやめます。やめますが、五月一日に徳島法人農家が高松国税局長へ訴状を出し、裁判が始まろうとしております。今までも、お聞きのように、現地の芳幸園の場合におきましても、徳島の勝浦町の農業委員会に対して出しておりました賃貸契約承認を、一応農林省と話し合いの結果取り下げておるという新しい事態が起きておる。また、農林省の内部としても、法を改正し、さらにまた単独法等の構想についても検討しており、そして、この違法性の問題については、再議命令を出す場合においても、違法性というよりも、明らかに著しく不当である、こういう解釈を述べておられる。通達にもそのことが明記されておる。今伊東局長も御答弁の通り、当時われわれが三十一国会の末期において論議をした段階よりも、現在また相当進んできておるし、また、それは一つの方向に、法改正、単独法制定等適当な措置がとられる段階である。これをあくまでも争って、そして黒白をつける、あなた方はそういう態度でいられるのか、新しい段階に即応して、少くとも現在裁判になっておりますカネヨ農園、新紅園、この二人は、当委員会に参考人として招致した際にも言っていたように、他の者は個人申告に切りかえておりますが、それにはいろいろな事情があってでありますけれども、この二人はどこまでも法人申告をしたにもかかわらず、あなた方がそれを認めないという態度を当時とられ、ついに五月一日には訴訟ということになっておるのであります。これに対して、あなた方の考え方は、依然として従来とられた考え方であるのか、こういう新しい段階に備えて何らかの反省をされ、再検討されて、少くともカネヨ農園と新紅園の二つの法人に対しましては、当委員会でいろいろ聞いた際にも、法人としての実態を備えておるとわれわれは認めざるを得なかったわけであります。にもかかわらず、なお従来の方針を曲げられないということについては、私は遺憾に思うわけですが、その点について、新しい段階に対処してどのように考えておられるか、新任された部長でありますので、新しい考え方もあるとと思いますが、一つ伺っておきたいと思います。

白石正雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○白石説明員 本問題はいろいろ複雑困難な問題でございますので、私もかわりまして以来鋭意勉強いたしまして、慎重に取り運びたいということで、目下検討いたしておる次第でございます。すでに繰り返しましたように、政府の統一見解が発表せられておりまして、これは国会の御了承も得ておることと思いますので、この方針に基きまして今後具体的な処理をいかに進めていくかということが、私どもの仕事として残されておるわけでございます。その場合に、おっしゃいましたように訴訟の問題になってきた。これはまことに遺憾なことでありまして、私どもといたしましても、事がこのような訴訟というような方面に発展することは非常に遺憾なことだと思っておる次第でございますが、他面、徳島県下の具体的な問題といたしましては、このような農業法人として問題になりましたものが約百四件程度ございまして、そのうち九十八件は、私どもの見解と同じように個人申告をなされておるというような状況もございます。なお六件程度のものがその間に見解の統一がはかられていないような状態でございますが、これらにつきましては、実態を十分見きわめまして、適正な処置をしなければならないと考えておる次第であります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 その後高松国税局に対して訴訟が提起された。その原因は、御存じのように、当然三十二年分の所得はいずれもゼロにならなければならぬ、無税を主張しておる。それに対して、当初の方針をそのままあなた方は強行されまして、再調査も行われたやに聞いておるのでありますが、今申しましたように、問題は新しい段階に来ておる。それを現地の報告だけで処理をされたのがここまで大きな問題に発展をしたことに対して、さらに理解ある態度をもって国税庁みずからもよく現地を研究されたかどうか。ただ単に高松国税局の態度を中央においてこれを支持確認をした程度のものでありますか。少くともこれだけの問題を起しておるわけであります。しかし、訴訟によって、その裁判の結果がいずれになろうと、問題が解決されるのには相当の日子を要すると思うのです。今お聞きのように、新しい立法化は通常国会を目途として農林省はこれを計画し立案に着手しておるという段階であります。しかもこれは農地法上の違法ではなくして著しく不当という新しい解釈を出しておる。こういう実情から考えてみられるならば、あなた方の従来の態度をこの際改められ、そうして考え直され、手直しされる必要が私はあるのではないかと思う。現に農林省としても再議命令をすでに発してその指示をなされ、また知事も再議命令を出したわけですが、六月十七日においては、賃貸借の契約の申告を一応勝浦町の法人もこれを撤回して、問題を円満に処理していこう、こういう大きな変化が起きてきておるわけです。ですから、あなた方の態度いかんによっては、私は、この訴訟の結末をつけなくても、ちょうど勝浦町の農業委員会と農林省との間に、あるいは実際の法人成りをしておる農家との間に話し合いがついておるわけでありますが、少くともあなた方としてはそういう実情に即応して善処されるべき筋合いのものではないか、少くともそういう努力をされる責任があるのではないかと思うのです。あまり過去のいきさつにとらわれないで、虚心たんかいに部長としても善処されるのが当然だと思うのですが、御所見はいかがですか。これは長官にお尋ねするのが妥当だと思うのですけれども、おいでになっておりませんから……。

白石正雄大蔵事務官(国税庁直税部長)

○白石説明員 徳島県下におきまして訴訟になりました問題は、実は税務署といたしまして三十三年の六月ごろに更正決定をいたしておりまして、それが今回納税者の方から訴訟の提起という形で問題が提出せられたような状態で、三十三年の六月の更正決定等が問題となりまして、皆様のいろいろの御論議を呼んだわけでございまして、その結果、政府の統一見解なるものをまとめまして、この方針で今後事務を処理していく、かように相なったわけでございまするので、私どもはその統一見解に従いまして今後具体的な問題を慎重に検討して解決をはかっていきたい、かような段階にあるわけでございます。従いまして、この処理につきましては、もちろん第一線の税務署がこれに当るわけではございまするが、私ども、これだけの大きな複雑な問題でございまするので、国税庁といたしましても、適宜状況によりますれば庁員を派遣するなりその他みずから調査をいたしまして、適正を期するように問題の解決に努めたいことは申すまでもないことであります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 どうも一向進展がないようであります。これは税法上の問題もありますが、きょうは大蔵省に来てもらっておりませんので、これ以上御質問申し上げても新しい態度も出ぬようですし、あらためてまた小委員会等において長官の御出席を願って御所信を承わりたいと思うのですが、今私が述べましたように、新しい情勢に即応して、一つの昔とった態度をどこまでもいかなければならぬという一点張りではなくして、もっと弾力性のある、事態に即応する態度をとられるべく善処あらんことを、特に私は終りに国税庁へ申し上げて、私の質問はきょうはこの程度で終っておきます。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長代理 次に、愛知用水公団の事業問題等につきまして調査を行います。  まず、本問題について丹羽兵助君より発言を求められておりますので、この際これを許します。丹羽兵助君。

丹羽兵助自由民主党

○丹羽(兵)委員 先国会閉会中、六月の十六日から二十日の五日間にわたり、神奈川県営相模原畑地灌漑事業、平塚市所在の農林省技術研究所及び水理実験室の研究及び実験状況、伊豆災害の復旧状況並びに愛知用水事業の進捗状況等について、松浦委員長を初め、大野、今井、田口、足鹿、角屋、神田、中澤、實川及び私の各委員により現地調査を行なって参りましたが、調査結果についてその概要を御報告申し上げたいと思います。ただし、調査班の行動等については、時間の都合上報告を省略し、会議録に掲載することをお許し願いたいと存じます。  まず、神奈川県常相模原畑地灌漑事業であります。  畑地灌漑事業は畑作振興対策の重要な一環をなすものでありますが、相模原畑地灌漑地域におきましては、幹線水路の水はU字型ヒューム管で支線に導かれ、そこからサイフォンを用いてうね間灌漑がせられており、早稲品種の尾花沢六号等を使用して、水稲の畑地栽培を行い、ある程度の成績をあげており、また、蔬菜、麦、陸稲等においても、大都市近郊農村であるという立地条件を活用した合理的な農業経営の確立に努めているのでありまするが、全体を通じて畑地灌漑による増産効果が明確に計算されていないうらみがあるようであります。  われわれは、また、ついでをもって、いわゆる十万羽養鶏を行う座間の神奈川中央養鶏農協の事業を視察いたしましたが、この事業の経営形態、事業内容については今後さらに詳細な研究を行うに値するものと存じます。  農業技術研究所については報告を省略いたしますが、水理実験室については特に申し上げておくことがあります。この水理実験室は、農地局建設部に属し、主として土木技術者の研修、材料試験並びに農業土木技術の応用的な面の実験を担当しておるのでありますが、われわれの注意を最もひいたのは、河川水利構造物の模型によって行う各種の水理実験であります。これにより農業土木工事の安全性と経済性は大いに増進せしめられるのでありますが、しかし、この実験室の状況を見まするに、屋外実験室は、周囲はよしず張りであって、雨、風の日には実験を中止するという、まことにお粗末な環境に置かれておるのであります。このようなことでは、せっかくの貴重な実験にも多くの支障を来たし、試験研究に従事する有能な職員の能力も十全に発揮できないことは明らかでありますので、すみやかに屋内実験室の完成を急ぐべきであります。これが経費は、機械、器具、材料の購入及び定員の若干の増加を含め、およそ四千五百万円程度と推計されますが、三十五年度以降の予算においてぜひとも実現し得るよう、特に財政当局の注意を喚起する次第であります。  次に、伊豆災害の復旧事業について申し上げます。  昨年二十二号台風による伊豆災害の惨状は、われわれの記憶になお新たなるところであり、本災害の発生は予防措置の不完全さに原因するところが少くない点については、本委員会がつとに指摘した通りでありますが、一年足らずの今日、随所になまなましい傷あとを残しているとはいえ、その復興作業は著しい進捗ぶりを示しておるのであります。なかんずく、農林関係におきましては、当初目標をこえて被害農地千三百八十町歩のうち八三%の被害田の復旧が本年の水稲の植付に間に合うというのでありまして、復旧事業を担当せられておる関係者の方々の御努力に対しては深甚の敬意を表さなければならぬ次第であります。  以下若干農林水産関係の復旧の状況を申し上げますと、静岡県当局は、昨年十一月、農地、林務、土木の三者よりなる総合事務所を修善寺町に設け、国及び関係市町村と連携をとりながら災害復旧に従事したのでありますが、準用河川は土木関係、小河川は農地関係、住宅は土木関係、原形復旧困難な場合は区画整理の同時施行、山間地水路は全面改修等の基本方針のもとに査定を受けた結果、農業関係は、農地九億三千万円、施設十八億四千万円、ワサビ田三億一千万円、計三十億九千万円、林業関係は民有林十六億円、土木関係は、直轄七億円、県営三十億六千万円、市町村営七億七千万円、計四十五億円等の復旧額が決定され、工事に着手したのであります。  なお、農林関係の補助対象とならない小災害については、農地等の小災害に対し約一億一千万円の起債が認められたのであります。  三十四年度までの復旧計画は、農地関係八〇・九%、林業関係三二%、土木関係の直轄は一〇〇%、県、市町村営六五%というのでありまするが、実際は突貫工事の実施によりこれを上回るということであります。  次に、食糧、営農関係の諸措置について申し上げますると、国の補助金を含む県の予算は三十三年度五千六百五十四万円、三十四年度一億三千八百九十五万円でありまして、これをてことして、緊急食糧対策、自作農維持資金、農業経営資金、施設の災害復旧資金等の金融対策、農協の再建対策、指導員の増員及び共同利用施設設置等の営農指導対策、家畜の衛生、飼料の確保その他施設再建等の畜産対策、肥料、農薬、種子等の生産確保の対策等の諸措置が講ぜられ、被災者の食糧並びに農業経営について窮状を打開することができたのであります。  以上、伊豆災害の復旧措置の大要を申し述べましたが、これらの措置は、災害対策を樹立するに当り、本委員会においてなされた決議の線におおむね沿うものと認められるのであります。しかしながら、細部について、たとえば、  一、ワサビ田が不利な立地条件にあるため復旧の進度はおくれ、かつ査定に比し復旧単価が高いので、補助残の自己負担分について長期低利の資金を融通してこれらの促進をはかること。  二、高率補助と一般補助の差額の交付がおくれたため、借入金で工事を施行しており、この利子を県が補給しておるが、これを国が補給すべきであること。  三、補助残の起債は、三十三年度は下流部に多く認められたが、今年度は上流部についても同様に扱うべきこと。  四、小額の差で起債対象とならなかった小規模の災害に対しては、長期低利の資金を融通すること。等の問題が現地側より提起されており、これらについては政府の一そうの善処を望むものであります。     〔野原委員長代理退席、委員長着席〕  なお、被災地では、一般に渇水と災害を交互に繰り返しておる状況であるので、狩野川の利水計画の確立については特段の努力を要するものと認められた次第であります。  次に、今回の調査の主たる対象でありました愛知用水事業について御報告申し上げます。  御承知のように、愛知用水事業は、水没地補償問題の遷延、第三次余剰農産物の受け入れ中止、世界銀行借款の協定締結の遅延その他の理由により、実施計画、資金計画などに変更を来たし、ようやく三十三年度から本格的な工事に着工することになったのでありますが、その後、さらに、昨年八月には、十七号台風等によって牧尾ダムの仮締め切り工事が流出し、工事の手戻りがある等、多くの困難に遭遇しつつ今日に至っておるのであります。  今回の調査に当りましては、基本計画に定める工期内に完成するかどうか、完成後における営農改善の指導態勢が確立されているかどうか、受益地域内に建設が伝えられる東海製鉄と愛知用水との関係はどうなるか等について、その実情を把握することをもって調査のねらいといたしたのであります。従いまして、われわれは、牧尾ダム、兼山取り入れ口、富士、愛岐、白山及び大神の各隧道、可児川サイフォン等の工事現場や、また、受益地内に設置され畑作関係の試験研究及び実験を行なっている農林省東海近畿農業試験場第二栽培部及び公団の大府実験農場等の状況を視察するとともに、営農改善対策については、特に農林省、愛知県、公団及び受益者からなる懇談会を開催して意見を聴取し、東海製鉄問題についても特に愛知県側の意向をただしたのであります。  その調査内容の一つ一つについてはこの際省略いたしますが、派遣委員一致の結論は、愛知用水事業が当面する問題点として直ちに検討すべき事項を要約すれば次の通りであろうとするものであります。  一、基本計画に定める工事完成予定時期は昭和三十五年度末でありますが、ダム、幹線水路等公団直営の基幹工事は、東郷調整池その他若干地点を残して、ほぼ予定工期内に、もしくは三十六年の水稲植付期までに完成の見込みであること。しかし、愛知県に委託して施行中の支線水路は、予定工期内には完成の見込みは全くないであろうこと。特に、支線工事千三百キロのうち県委託分は千百四十五キロに及ぶが、これらの現在の施行状況が続けば、一年ないし一年半程度遅延するであろうこと。従ってまた、団体営の耕地整備事業もそれに伴って遅延するであろうこと。かくして公団事業の基本計画にはかなりの修正を必要とするであろうことが明らかにされたのでありますが、国は、現状の打開に新たな処置を講ずるか、または基本計画の修正に踏み切るか、この際方針を明示すべきであります。  なお、農民負担額は、当初計画においては、最初の十年間は反当年二千八百二十一円、その後の五年は年千四百九十一円であったものが、その後修正され、最初の十年間は反当年三千三百五十六円、その後の五年は年千八百九十三円と引き上げられており、他の農業水利事業に比しかなり負担の過重を示しておるのであります。今後といえども農民負担増の要因をはらんでおるのでありますが、政府は、国庫補助額の増額をはかる等、極力農民負担の軽減に努むべきであります。  二、畑地灌漑等による土地改良及び耕種改善の方法に関する試験研究は、農林省及び県の農業試験場、公団実験農場等で行なっているが、研究テーマが重複し、相互の調整が不十分であるとの印象を受けたのであります。用水の開通に伴い、受益地域内の作物の品種、栽培方法並びに農業経営のあり方等は次第に変化するものと想像されます。特に、大工業都市の近郊に立地し、経営は零細であり、兼業収入への依存度が高い農家が多いというこの地域の持つ条件を前提とし、今後いかような営農類型を打ち立て、用水の与える恩恵を最大限に享受する態勢を作り上げていくかは、早急に検討すべき根本問題であります。現に、地元の土地改良区が作成した最近の受益計画は、政府が公団設立前に想定した栽培計画とはよほどその内容を異にするように見受けるのであります。受益地域内における新営農類型を確立し、農業団体及び農家を実際に指導する責任は、明らかに国及び県に帰属するものでありまして、公団は法律の示す設立目的の範囲でできるだけこれに協力すべきものであります。今後農業改良普及組織の整備充実を重点的に指向すべきでありまして、営農指導に要する本年度県費予算はわずかに三十万円ということでありますが、国及び県は、できるだけ早い機会にその増額をはかり、愛知用水事業に画龍点睛を期すべきであります。  三、名古屋市を中心とする臨海工業地帯の建設計画の一環として、愛知用水受益地域内の横須賀町地先に東海製鉄を建設する方針が決定した模様であるが、同製鉄工場の必要とする工業用水と愛知用水との関係について論議のあることは御承知のところであります。牧尾ダムの有効貯水量は六千八百万トンであり、兼山地点における年間取水量は約一億五千五百万トンでありますが、このうち工業用水等に充当する水量は二千八百万トンの範囲内であります。しかるに、臨海工業地帯の建設の進捗に伴って昭和四十年ごろまでは三千三百万トン以上、計画完成後においては九千万トン以上の工業用水を必要とする計算となります。しかして木曽川の今渡下流の水利権は八十六トンでありますが、平均水量は今渡地点二百トンと見られております。しかし、兼見トンネルにおける取水計画は三十トンであります。能力一ぱいに取水するとしても三十五トンであります。従って愛知用水は、将来必要となるであろう工業用水等を完全に満たすことは、かなり困難であると見受けられ、また、このような負担を負うことは、この用水の本来の目的をはなはだしく免脱すること、もとよりであります。そこで県当局は矢作川等の水資源の新規開発を考えているようでありますが、いずれにしろ、木曽川及び愛知用水との関連なしには実現し得ないことであります。しかるところ、この製鉄工場の誘致者たる受知県当局からは、公団に対してはもちろん、その監督官庁たる農林省に対しても何らの協議がなされていないありさまであります。愛知用水事業は多目的の用途を持つものでありますが、農業用水の供給を主とするものでありますし、将来、受益地域内における農業経営の発展いかんによっては、農業用水の需要量はさらに増大することも考えられるので、当面の製鉄工場は言うまでもなく、他の工場建設計画についても、関係機関の事前協議を尽した後最終決定すべきでありまして、今回の東海製鉄問題についての県当局並びに監督官庁たる通産省の態度方針は、はなはだ遺憾とせざるを得ないのであります。  なお、愛知用水が工業、飲料水に供給する四千五百万トンの配分は県にまかせてありますが、県はいまだこれの配分を定めていないといわれ、早急に決定すべきであります。  次に、愛知用水土地改良区理事長からわれわれに対しなされた陳情の大要をつけ加えておきます。すなわち、耕地整理事業の予算を増額して、受益畑地灌漑地域全部をその対象とすること、可搬灌水器の購入に対し低利資金を融通すること、畑地灌漑に対する試験研究及び営農指導態勢を早急に確立すること、愛知用水の農民負担は過重であるから適正負担額に改めること等であります。  また、愛知用水公団に関し、公団当局及び職員組合から、三十六年以降公団業務が管理面に縮小される場合、必然に公団職員の多くは退職を余儀なくされるわけであるが、その際、公団就職以前の原職に復帰する者はきわめて限られておるので、この際身分安定のための措置を講ぜられたい旨の要請があったのであります。公団職員のこのような先行き不安は、しごくもっともと存ぜられるので、政府としても、雇用問題については、特殊技術を生かし、一括して活用をはかれる方法等を考慮し、親心をもって真剣にその方途を考究し、安んじて業務に専念し得る道を開くべきであります。  以上、今回の調査についての報告を終るのでありますが、最後につけ加えて御報告いたしたいことは、愛知及び長野の両県から、去る四月及び五月の降ひょうによる被害について陳情があったのであります。この被害は、愛知県では八千八百万円、長野県では一億三千万円でありまして、これが救済については、本委員会が六月十日決議した線に沿う諸措置を適用するよう要望するというものでありまして、これが善処を希望いたす次第であります。  以上、御報告を終ります。(拍手)

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 ただいま丹羽委員から御報告になりました調査報告のうち、主として愛知用水事業に関連する問題につきまして、本日は総括的な質問を申し上げたいと存じます。本日の理事会で、近い将来に愛知用水事業の問題についてはさらに関係地元の人々を呼んでみっちり検討することになっておりますので、専門的な問題についてはその機会に譲って参りたいと思います。  本調査につきましては、私も幸い視察の機会を得まして、この画期的ないわゆる農業開発を中心にした事業の大綱について視察をして参ったわけでありますが、ただいまの調査報告にありましたような点については、私どもも調査の終始を通じて痛感をした次第でございます。まずもって、この調査を通じて愛知用水公団の仕事については世上いろいろ批判等もあり、過般私が国会の審議を通じてこの問題を取り上げた際にも、牧尾ダムの亀裂について指摘をしたこともあったわけでありますが、工事現場の現況等を見まして、愛知用水公団がこの世紀の大事業と真剣に取り組んで事業完遂のために日夜努力しておる姿に対しては深い敬意を表してきた次第でございます。同時に、戦後の日本の農業土木技術の画期的な進歩というものについてあらためて認識をいたしたような次第でございます。ただいまも御指摘がありましたように、愛知用水事業の今後の問題に関連しては、予定の三十六年三月までに工事が終了する見通しがあるのかどうか。報告によっても明らかな通り、大体県に委託をしております支線水路等については一年から一年半程度おくれる可能性を持っておるという問題があります。さらに、工事の進捗に並行すべき営農計画の問題が著しくおくれておるという問題がございます。また、愛知県側のこの画期的な事業に対するところの受け入れ体制というものがきわめて不十分であるということを痛感せざるを得ません。同時に、先ほど指摘がありましたように、計画通り工事が終りましたあとの公団の機構の変革、あるいはそれに伴うところの公団以外のところに出なければならぬ職員の身分の問題について、今から真剣に考えておかなければならぬ時期に来ておるということでございます。先ほど東海製鉄の問題に関連して指摘がございましたが、かつて夢の用水といわれ、あるいはオレンジ用水といわれた愛知用水事業というものが、この東海製鉄の問題とからみまして、よほど真剣にこの問題に対処しないというと、愛知用水事業の基本計画というものが変貌する危険性を持っておるんじゃないかということを考えざるを得なかったわけであります。  以下、各項目別に、五点にわたって総括的にお伺いをいたしたいと思います。  先ほども解れましたように、まず第一の問題は、工事完了の見通しの問題でございます。先般委員会でこの問題を取り上げました際にも、農地局長は、昭和三十三年度末までに、ダム工事は六四%、幹線水路二七%、補助ため池四九%、全工事で四二%三十三年度末までに大体終了しておる、三十四年度は百十二億の予算をもってやるが、ダムについては八六%、幹線水路については六五%、支線水路については七八%——この支線水路七八%というところが、先ほどの報告と関連しこの大きな問題となるところでございます。補助ため池については八六%、開墾、耕地整理については五六%、累計して七〇%昭和三十四年度末までに完成するという報告を受けたわけでございますけれども、先ほどの問題と関連をいたしまして、愛知用水に委託をしてある支線水路の問題については、当時説明に当った愛知県の担当課長が説明したところによりますと、現在この工事の進捗は一五%であり、今年度末までに大体三〇%、来年度以降七〇%残っておるわけでありますが、今のベースのままで進む場合には、東海製鉄のいわゆる用地の問題の内定とからみまして、用地買収の困難という問題が出て参りましたのと関連をいたしまして、大体この支線水路の完成は一年から一年半くらいおくれるであろうということを言っておるのであります。そこで、この問題が計画よりもおくれるということにかりに相なって参りますと、後ほど述べます地元負担その他の問題と関連して参りまして、相当大きな問題をはらむわけでございますけれども、この際、工事完了の見通しについて、もちろんこれは牧尾橋ダムの建設の問題あるいは兼山からとる取水路の問題、その他幹線水路の問題を初め、支線水路、末端の水路までも含めての、いわゆる愛知用水事業としての工事完了というものが、昭和三十六年三月までにできるのであるかどうか、こういうことについて農林省側からお答えを求めたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 今の御質問、それから先ほどの報告の中にありました、特に支線の問題について御指摘受けましたことは、はなはだ遺憾でございまして、先ほど御報告ありました中で、ダムなり幹線水路あるいは岐阜の公団直営の支線については、大体三十五年度一ぱいか、あるいは二、三月おくれた三十六年の植付期までにはできる見通しが強いという報告を受けたのでございますが、これにつきましては、われわれも極力法に定めております期間に完成しますように努力いたしております。  もう一点の支線の問題でございます。この問題につきまして実は御指摘を受けたわけでございますが、私ども、実は、支線の問題は若干心配がございましたので、本年度に入りましてから、県当局にも話したことがございます。しかし、今度御調査の結果さらに御指摘を受けましたのは、はなはだ遺憾でございますが、その後、私どもも、実は、愛知の県知事も呼びまして、御報告になりましたようなことを承わっておりましたので、県のそういう支線につきまして一年なり一年半おくれるという態度ははなはだ遺憾である、われわれとしましては、ダム幹線水路は極力三十五年度一ぱいに完成するという目標でやっておる際に、支線がおくれるということであれば、全部の工事が結局完成せぬということになりますので、支線についても三十五年度一ぱいに大部分のものはみな仕上げるということで県としてもやるべきであるということを強く要請したわけでございます。その際に、県当局といたしまして、遅延の理由といたしまして、用地買収が困難でありますとか、あるいは設計の能力が不十分である、あるいは関係機関の協力が十分でなかったというようなことをいろいろ理由としてあげられておるのでございますが、われわれといたしましては、実は、支線の問題については、従来公団と県との委託関係でやっておりまして大体それにまかしたというような格好でやっておりましたが、この際名古屋に新しく事務局もできましたので、支線につきましては、公団はもとよりでございますが、われわれの名古屋の事務局も、第一線の責任者としてその中に入りまして、支線の工事を督励するという体制をとることにいたしました。そのほか、設計能力の不足等につきましては、これはいろいろ技術コンサルタントもございますし、そういうところに頼みますとか、あるいは各県の土木技術者の応援を得ますとか、そういう体制を整えまして、何とか三十五年度に大部分のものが終るようにやる必要があるということで、強く話しまして、愛知県側もその点は引き受けまして、帰って公団といろいろ具体的に交渉しているという報告を実は今受けております。御指摘を受けましたのははなはだ遺憾でございますが、支線につきましては、われわれとしましては、名古屋事務局も第一線に入りまして強力にやりまして何とか法にきめられた範囲内に大部分のものを仕上げたいという態度で、今県とも話しておる次第であります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 今の工事完了の見通しについては、当面の段階においては、農地局長が答えておるように、予定通り三十六年三月までに完了したい、—これ以上に出ることはあるいは困難であるかもしれないと思います。当面の段階から、工事がいわゆる支線水路等において一年なり一年半なり延びるという前提で仕事を始めるということは困難かと思いますが、現地に参りまして愛知用水公団業務概要というものをいただいた中の工程表を見て参りますと、三十五年度の四・四半期にかかる、つまり三十六年三月までにかかるものの中には、牧尾橋ダムの支線水路、あるいは幹線水路の中の第七、第八、第十、第十一、第十四工区、あるいは支線水路の中の公団施工分についても、特に県委託分についても、これはいずれも三十五年度の四・四半期にかかっている。こういうような工程表から見ますと、先ほどの報告で私どもが確認したところでは、おおむね、現在の進捗状況その他から見て、いわゆる牧尾橋ダムにいたしましても、あるいは東郷の調整池にいたしましても、あるいは幹線水路にいたしましても、一応三十六年三月までには完成する可能性がきわめて強いとありましたけれども、これらの問題も含めまして、やはり問題の危険性は十分残っておる。ことに、県の委託工事等については、今のような県側の気持、今のような県側のベースでもって県側が工事を推進していく場合においては、これはおくれることは間違いないというふうに判断せざるを得ないと思います。先ほども局長が述べられましたように、この問題については、現地に農地事務局が昇格してできた、この農地事務局の機構を活用して、従来のいわゆる県委託分については活を入れていく、こういうこと等もございましたけれども、それをもってしても、やはりよほど具体的な計画を綿密に立てないと、私はこのおくれを取り戻すことは困難じゃないかという感じがするわけでございます。特に、この問題については、現地に清野部長も私どもとともども視察に行かれたのでありますので、その印象を参考のためにお聞きしたいと思います。

清野保農林技官(農地局建設部長)

○清野説明員 支線工事等についての御質問でございますが、先ほど局長からお答えいたしました通り、農林省といたしましては、極力これを三十六年三月、最悪の場合には三十六年の灌漑期までには完成いたしたい、こういうような気持で、県を呼びましてその内容をつぶさに調べまして、なぜ仕事がおくれたかという点を支線別に目下具体的に調査を始めております。従いまして、その結果によりませんとはっきり申し上げられませんが、抽象的に申し上げますならば、技術員の不足あるいは技術能力の問題、並びに設計技術の面におきましての簡素化、あるいは設計の基準化、こういうこと等によりまして設計面はある程度確保できる。もちろん技術者の問題もございます。もし技術者が十分得られなかった場合には、適当なる技術コンサルタントを利用するなり、そういうこともあらゆる角度から検討いたしまして設計面の拡充をはかりたい。なお、工事につきましては、御承知の通り、千百キロもあります非常に長い水路でありますから、これを請負工事にかけます場合でも、比較的仕事の面ではやりやすい。ただ、問題は、用地の補償とか、そういうような点につきましての問題が残ると思いますが、これらの点につきましては、県を十分督励し、また県の協力をより以上に得まして、幹線、支線、公団がやります直轄の支線、県のやります委託支線、ともにそういう方向に進んで参りたい。私どもは、現在このような方向で、今後とも技術的にも設計の面、施工の面につきましても努力していく考えでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 事業完了の見通しの問題は、やはり愛知用水事業の今後の問題の中の一つのポイントでございまして、ただ単に答弁だけで済ませ得る問題ではございません。従って、今日の姿と、これから完了までの期間的な問題とからめて、やはり綿密な具体的な計画を立てて対処する、こういうことでなければ、私は、単にこの時期においてそういう答弁で済ませるとしても、これは工事遅延の場合の地元負担その他の問題を含めまして影響がきわめて大きいだけに、その責任はきわめて重大であろうと思います。私は、この際、農地局長は責任を持って昭和三十六年三月までに自然的条件、人為的条件によほど予想せざる問題が生起しない限り完了するところの確信を持っているかどうかということを、もう一度お伺いしたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 再び御質問でございますが、私は、この点は極力三十五年度に完成するようにあらゆる機関を通じまして努力いたすつもりでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 第二番目は、愛知用水事業の基本計画に関連しましての問題でございます。本日はそのうちで特に用水配分計画の問題でございます。御承知のように、愛知用水事業計画概要によりますと、農業用水一億一千万トン、都市用水四千五百万トン、そのうち上水道関係に千七百八十五万トン、工業用水二千七百十五万トン、締めて一億五千五百万トンというふうにいわゆる基本計画ではなっておるわけでありますが、先ほどもお話がありましたように、最近知多半島方面における東海製鉄誘致の問題の具体化と関連いたしまして、この愛知用水事業の用水計画というものについて大きな問題をはらんでいることは間違いのないところであります。この点については従来必ずしも明らかになっていなかったわけでございますが、今回の視察の中で、愛知県からも、これは私はしぶしぶであったと思いますが、われわれが視察に行ったときには、一時この資料は返してもらいたいというようなこともありましたが、最近またこれが送付されて参りまして、具体的な計画を見るに至ったわけでございます。愛知県から出しておりますところのいわゆる名古屋南部臨海工業地帯の工業用水道計画概要書、これによりますと、先ほどの報告書とも関連をいたしまするけれども、東海製鉄の必要とする工業用水の問題については、昭和三十六年度より圧延工場の工場用の水が一日一万三千五百トン、順次増加して参りまして、第二次計画完成時には十三万一千五百トン、最終計画のときには一日当り二十五万トン。この二十五万トン程度ということになりますと、年間九千万トンをこえて参るわけであります。しかも、昭和五十年度の最終的必要工業用水量といたしまして、これは単に東海製鉄の問題ばかりではございませんでして、その他の工業用水等の新規増も含めて、一日に四十三万二千トンと愛知県では言っているわけです。この四十三万二千トンというものは、昭和五十年度の最終工業用水の必要量の年間トータルからいたしますと、一億五千万トンをこえるという膨大な工業用水量になって参るわけであります。そうして、その取水計画といたしまして、第一期の計画の場合には、現在施工中の愛知用水事業の工事基本計画によって取水をしていくと言っているわけでございますが、第二次計画以降においては、これを第一次と第二次に分けまして、第一次計画は昭和三十八年度から毎秒一立方メートルを取水する、第二次計画になりますると、昭和四十一年度から毎秒三立方メートルを取水する、こういうことに相なって参るわけでございます。要するに、現在の基本計画できまっております兼山の三十立方メートル毎秒の中から三トン取水されるということに相なって参りますと、これは取水計画そのものの基本的な計画変更ということにつながって参ろうと思うのであります。先ほども御報告がありましたように、この用水量の問題が愛知用水事業と関連する重大な問題であるだけに、いわゆる矢作川の総合開発の問題と関連させながら、この問題の中からプラス・アルファをするんだというように愛知県の資料の中でもなっているわけでございます。しかし、この愛知用水の必要水量の問題について、矢作川の総合開発計画等もございますが、この計画を見て参りますと、これはいずれ愛知県から来た場合に具体的に聞いてみなければ確たる追及にもならないかとも思いますけれども、これで見て参りますと、いわゆる矢作川の総合開発の方から愛知県の南海岸の工業地帯に三立方メートル毎秒の水を取水して、愛知用水事業の幹線水路を使って、いわゆる調整ため池にためて、それを工業用水に配分をしていくという計画のようでありますけれども、これは、その説明を見ます。と、東海製鉄の問題を中心とする今後の工業用水等について今のところはっきりした見通しが立たないので、一応矢作川の総合開発の方から三立方メートル毎秒の水を取水する計画にしたのだというように説明の方でまなっているわけでございます。いずれにいたしましても、あれこれ考えて参りますと、東海製鉄誘致の問題と関連して、愛知用水事業の用水配分計画について基本的な重大な問題が起ってきたのではないかと思いますが、この点について農林省の見解をお伺いいたしたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 今の御質問の点でございますが、愛知用水の水の計画は、農業が一億一千万トン、都市用水が四千五百万トンということになっておりますことは御承知の通りでございます。それで、東海製鉄の水がどうなるかの問題でございますが、これはわれわれとしましては今後検討すべき問題でございまして四千五百万トンの中から使います分につきましては、従来、愛知県が四千五百万トン使いますから、上水道に幾ら、工業用水に幾らとなっておりますが、そのうちからどう分けるかということはその範囲内の問題であろうと思っております。ただ、それをこえまして、木曽川の主流から三トンを取るという問題につきましては、これはまだ県から陳情を受けている程度の問題でございまして今後この問題をどうするかということは、おそらく、これは農林省側だけから考えますれば、愛知用水の受益地の今後の水の問題、あるいは金山下流の愛知県、岐阜県、三重県の農業水利の問題、こういう問題との関係、それから河川そのものの問題になりますと建設省の問題もございますし、関係するところ実は非常に多いのでございます。こういう機関が集まりまして、今後どうするかということを将来の問題として検討する大きな問題ではないか。今の段階におきましては、われわれは愛知用水公団の水の計画そのものが変ってしまったというようには実はこの問題をとっておりません。今後これをどうしていくかということの検討の問題だろうというふうに考えております。     —————————————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 角屋君に申し上げます。参議院の予算委員会から椎名官房長官を、少しやりくりをして三十分間こちらへお願いして、参られましたので、順序をかえてはなはだ残念でございますが、紀淡海峡の火薬投棄による漁業被害に対する質疑の方を続行したいと思います。  田口長治郎君。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 今問題になっております紀淡水道海域の爆薬海中投棄の問題でございますが、官房長官も概略だけはお話を承わられたことと思うのでありますけれども、詳細御存じございませんから、一応事件の内容を御説明申し上げまして、そして、この説明に対しまして、政府としてはどう処置されるか、この問題について御質問いたしたいと思うのでございます。  問題は、中国化薬という火薬運搬業をする会社が、本来ならば高知県の室戸岬と和歌山県の潮ノ岬の中間まで持っていって投棄しなければならぬ火薬を、途中の、しかも和歌山県で沿岸漁業者が非常に生活を依存しておる漁場に投棄してしまった。しかもその数量が一万箱以上に達しておるという膨大なる火薬の量でございます。この中国化薬というものは、一年前に愛媛県の西海岸で、指定をされた場所でないところに火薬を遺棄いたしました。そうして愛媛県の漁業者に対しまして大きな損害を与えた前科を持っておる会社でございます。この火薬の遺棄の問題につきましては、これは法律の盲点もあると思うのでございますが、その火薬がありました工場は兵庫県でございますから、火薬運搬業者は兵庫県知事に許可でなしに届出だけをいたしまして、そして兵庫県知事が届出を受けたことを海上保安庁及び通産省に通知する、こういうことで、運搬証明書のようなものを持って常に運搬をしておるのでございます。午前中から、一体責任官庁というものはどこか、海上保安庁か、あるいは通産省か、あるいは兵庫県知事か、こういうようなこともいろいろ論議されたのでございますけれども、責任官庁は通産省のようでもあり、また一部分では海上保安庁も非常に関係しておるようでございますし、どうもその点が法律の盲点と思うのでございますが、はっきりしないのでございます。しかし、今回の問題の内容は、ちょうど和歌山県の雑賀崎から日ノ岬で、和歌山県の漁民の漁場としては非常に大事な漁場で、しかも広範囲でございます。この漁場をなくするということになりますと、和歌山の漁民は生活が直ちに困る、こういうような内容を含んでおるのでございます。四月二日の日に遺棄したようでございますが、漁業者がこれに気つきましたのは四月の下旬でございまして、どうして気づいたかと申しますと、とった魚を魚市場にあけたところが、どうも非常なにおいを持っておる、色も黄色である、こういうことで、県に通知いたしました。県でいろいろ研究しました結果、結局火薬の関係である、こういうようなことがはっきりしたわけでございますが、何さま箱に入れた火薬、こういうことでございますし、それから、付近の漁業が小型底びき網漁業、いわゆる小さい網をもって海底にひく漁業でございますから、そんな大きな箱が一万個も海底にあっては、網も何にも引けない、のみならず、火薬のために魚も付近におらない、こういうような状態に内容がなっておるのでございます。その火薬の運搬をいたしました中国化薬に火薬の運搬を委託をいたしました会社は国土開発株式会社でございますが、親会社の国土開発会社ももうほとんど有名無実の会社で、もちろん資力がない。運搬いたしました中国化薬もほとんど資力がない。普通から考えますと、この問題は民事訴訟か何かで損害賠償等で解決しなければならぬ問題でございますけれども、両会社がそういうような無資力のものであるから、それもできない。また、実際は、依存しておる漁場がそういう状態なんで仕事も何にもできない。その仕事ができないで生活に困っておる船が約三百六十そう、この乗組員が千二、三百、そうして関連しておるその付近の漁業組合員は二千六、七百人もおるのでございますから、結局、家族ともに数えますと、一万人程度の人が今生活に困窮しておる、こういうような内容を含んでおるのでございます。そういうような内容でございますから、結局、国で責任があるないと言いましても、一万人の人間が少くともだれかの違法行為によってそういう目にあっておる関係からいたしまして、この漁業者の生活というものをほったらかしておくということもできないのでございますから、結局、この問題は、とにかく筋が通っても通らぬでも、政府として飯を食わせる方法を何とか考えるよりほかに方法がないと思うのでございますが、その第一の方法といたしましては、どうしても海底を急いで掃海をして、そうして仕事ができるように、そういうような処置をしなければならないと思うのでございます。午前中、いろいろ研究されたところによりますと、海上保安庁ではそういうような設備は現在ない、海上自衛隊だけにそういうような設備がある、こういうような状態だそうでございますが、それでは海上自衛隊を呼んできてこういうことをやってくれるかというようなことになりますと、結局予算が伴う次第でございますし、また、予算に計上された仕事でないのでございますから、結局、単独官庁といたしましては、それをやるともやれぬとも言えない状態になると思うのでございます。その点から申しまして、御多忙中でございますけれども、官房長官に御苦労を願って、政府としての方針をはっきりしてもらう、そういたしますと、海上自衛隊の方でも予算関係その他の問題がございまするから、そういうような処置ができると思いまして、結局、各官庁に折衝しても問題になりませんから、官房長官に御苦労願った次第でございますが、第一には、掃海を急いでやって、そうしてとにかく漁業ができるようにしてもらわなければならぬ、こういうような問題でございますが、この問題について海上自衛隊を使ってやっていただくというような方法、あるいは現地で漁業者に現金を収入させるという意味におきまして漁船を使ってやられるかどうか、そういうような技術的の問題もありましょうが、その点をぜひ研究をしていただきたいと思うのでございます。漁業者の生活問題につきましては、私らもこうしたらというような具体案を今持たないわけでございますけれども、掃海の技術的な問題も、非常に急いで処置をしてもらわなければならないと思うのでございます。幸い総理府の審議室で関係各省の連絡会を開かれたそうでございますが、各省から、担当という人はいないでしょうが、専門的の人を早急に現地に派遣をして調査をして、その調査の結果によって具体案を立てる、こういうような話があったそうでございますから、この現地派遣の問題を、早急という言葉でなしに、そういうような逼迫した事態でございますから、一日も早く現地派遣をしてもらいたい、こういう問題が一点と、それから、現地派遣の人にも急いで調査してもらいまして、掃海を一日も早く実行してもらいたい。同時に、これは一万人の漁家の生活問題でございますから、この生活を何とか立てるような処置を一つぜひ御考究を願いたい。第四といたしまして、今の火薬取締法というものがどうも盲点だらけのようでございまして、先般の銚子沖のあの毒ガスの問題も非常に困ったことでございますし、また昨年の愛媛県の問題も非常に困っておるのでございますから、火薬取締法の改正案を政府提案で国会に出していただくような研究もあわせてしていただきたい、こう考える次第でございますが、以上の点につきまして官房長の答弁を求めます。

椎名悦三郎自由民主党内閣官房長

○椎名政府委員 だんだんのお話を承わりまして、まことにこれは捨てておけぬ重大なる問題であるということを感得いたした次第であります。  これに対する対策といたしましては、ただいまお話しのように、審議室において関係各省のそれぞれのエキスパートを集めて至急研究をした結果、これはいずれにいたしましても現地についてよく調査をして、その上で迅速なる措置を講ずべきであるという結論に到達しておるようであります。お説のごとく、これは一日もゆるがせにすることのできない重大なる問題であると考えますので、私も、これをなるべく早くといったようなことではなしに、きわめて速急に派遣をして調査をいたしまして、掃海、あるいは漁業者の生活保障に関連して何らかの経済的な援助方法をもすみやかに発見するということに進めたいと考えます。一日も早く掃海をしなければならぬということはまことにごもっともでございまして、派遣の政府職員の選考につきましても、多分に掃海という技術的な問題に対する見当もつけ得る人間を入れまして、その手順を一日も早く進めたい、かように考えております。

田口長治郎自由民主党

○田口委員 私は、今度の問題に関しまして一部の官庁には、もうちょっと積極的な態度でやってもらいたかったというような点から、多少の責任もあると思うのでございますけれども、今ここで、こういう点が落度じゃないか、こういうところに責任があるというようなことは申さないのでございますが、今回の場所は三十メートルあるいは四十メートルという割合に浅いところにあるのでございますから、政府がほんとうに熱意を持って、一個も残さないようにやるというような決意でやっていただけば、ほとんど完全に揚げ得るのじゃないか。漁業者自体がみずからの力で揚げようということで努力をしておるようでございますけれども、やっぱり、漁業者の今持っておる設備では、どうもその箱が網に入ると網が破れてしまうというようなことで徹底をしないようでございます。私自身の希望から申しますと、何か設備を漁業者の船にしてもらって、そうして漁業者に引き揚げについて働かして現金収入をさせる、こういうようなことができますと、漁業者の生活問題とある程度直結する、こういうような考えを持っておるのでございますが、設備能力あるいは技術面からそういうことはできないというような結論になりますれば、やむを得ませんから海上自衛隊の掃海艇でやっていただく、こういうようなことを考える次第でございますが、非常に切迫しておる問題でございますし、しかも、不逞の商人といいますか、請負人が違法でやった行為で恐縮でございますけれども、事態はどうも民事訴訟その他で解決する問題でございませんし、漁業者の生活問題に直結した問題でございますから、これは政治として、当然政府が力を入れていただくよりほかに方法がないのでございますから、その点を特にお願い申し上げまして、一日も早く一つ漁業者が仕事ができますように御配慮下さいますようにお願い申し上げまして、私の質問を終ります。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 官房長官に私から申し上げますが、午前中から赤路、田中、中澤、田口四委員から熱心な御質疑があったのでございますが、今田口委員からも申されましたような事情でございますので、審議室で出されました結論をすみやかに一つ実施していただきまして、そうしてその結果を本委員会に御報告願えるようにお取り計らいをお願い申し上げておきます。  参議院の予算委員会の関係で、また、衆議院の本会議には副総理と官房長官が出席を求められておりますので、本会議散会後まで暫時休憩することにいたします。     午後五時二分休憩      ————◇—————     午後五時二十三分開議

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  愛知用水公団の事業問題に対する質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 本日は臨時国会の終了日でもありますし、後日あらためてこの問題については検討することになっておりますので、以下、皆様のお気持に沿いまして協力しまして、簡単に二、三の問題について締めくくりをいたしたいと存じます。  先ほど途中で問題が他に移りましたけれども、再びもとに戻しまして、第二項の用水配分計画の問題について質疑を続行しておったわけでございますが、この問題で先ほども触れましたように、東海製鉄の誘致問題、あるいはそれに関連する工場等を含めての愛知県側の工業用水の増大計画というもの、これは、やはり当初想定をいたしました愛知用水事業の用水配分計画から見ると、基本的な計画の変更に通ずるというふうに考えております。これは単に愛知用水事業の基本的な計画の変更にとどまらず、先ほども局長が言われましたように、木曽川下流のいわゆる濃尾第一期計画、あるいは第二期計画、あるいはさらに三重県側の木曽岬、長島等のいわゆる治水、利水等の問題を含めての問題に重要な影響を持っておるわけでございます。しかも、この東海製鉄の工業用水増大の計画が伝えられるや、関係県である三重県においては、県会の決議をもってこの増大には絶対に反対をするというような報道等も伝えられていることは御承知の通りだろうと思います。そこで、農林省の考え方として、今問題になっておる愛知用水事業の基本計画の変更というふうな事態の問題が出てきておりますが、これに対してどう対処される考え方であるかをお伺いいたしたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 今御質問の問題、われわれは、基本計画の問題としてではなくて、これは愛知用水の農業用水には私どもは全然支障を来たさぬという前提で実は考えております。そういう前提に立ちまして、これは基本計画の問題としてでなくて、下流全部の問題としてこの水の問題はどうするのだということで、私は、関係省なり関係県が集まって十分この問題は検討したいという態度でおります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 建設省の方からお見えになっておりますが、後ほどの検討の関連がありますので、この機会に、木曽川の流域の水の総合的な利用の問題に関連をいたしまして、それぞれの地域における農業用水の水利権の問題あるいは工業用水の問題、あるいは上水道用水の問題等、既存のそういう水利権の問題についてのデータを次の検討の機会までに出していただきたい。あるいはまた、それぞれのダムの地点におきまして、いわゆる取水の取扱い規程というものが今渡初めその他のところにもあるわけでありますが、これも、検討の関連がありますので、できるだけ資料を整備して出していただきたいというふうに考えております。そういう際に総合的な水資源の現状と将来の展望の上に立って検討する必要があると考えておりますが、そういう資料の整備ができるのであるかどうかということについて建設省関係の方にお伺いしたいと思います。

小林泰建設技官(河川局開発課長)

○小林説明員 木曽川のみならず全国の河川におきまして主要な工業地域、あるいは農地を有します重要な個所におきましては、お説の通り水利使用の問題が非常に重要になっております。また、水の需要が最近非常にふえてきております関係上、私どもといたしましても、関係県とも連絡をとりまして、河水の総合的な利用についての研究を進めておるような状況でございます。ただいま御要求のございました資料につきましては、現在できる程度の範囲ではございますが、極力努力いたしまして提出いたしたいと思っております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 この東海製鉄誘致の問題に関連をして、先ほどの調査報告でも指摘しておるわけでございますが、この内定の問題について、事前に、——私は、率直に言えば、農林省関係あるいは愛知用水公団関係、これに事前にいろいろな折衝があり、またある程度の了解点というものがあったのじゃないかというふうに思うのでございますが、この点率直に一つ農林省側からお話を承わりたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 今の御質問でございますが、私の存じているところでは、愛知県側から公団に対しまして、東海製鉄が参りましたならば、あの水路を使わしてほしい、農業用水の計画に変更を来たすというようなことでなくて、農業の使ったあとの水を使う場合に水道を使わしてほしいという申し入れといいますか依頼があったことを聞いております。ただ、これに対しましては愛知用水からは何も返事はいたしておりません。実は、私の方は、相談を受けました結果、これに対しては何ら愛知用水からは意思表示はいたしませんでした。農林省に対しましては、これは、正式に愛知県側がこういう水の量でというような具体的なデータをあげました正式な相談ということでなくて陳情があったことはたしかでございます。私どもといたしましては、三重県側からも実は陳情は受けました。これに対しまして、私は、農林省といたしましては、どちらの県に工場がきまるかということは、これは別問題でございます。しかし、農業の計画に水の問題その他において支障がない範囲では、どちらの県にきまろうとも農林省としては協力いたしてあげましょうというようなことは言っております。これは、どちらの県にきまりましても、役所としましては、私はそういうことは当然だろうというふうに考えております。その程度のことは私は言っております。これは、三重県であろうと愛知県であろうと、何県にきまろうとも、農業関係の水に支障ないという範囲では協力はしてあげます、どちらの県でも同じでございますということを私は言っております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 第二項の問題につきましては、後ほどさらに関係県を呼んだときに具体的に検討を進めて参りたいと思いますので、第三番目の、先ほども報告にありましたが、農民負担と受益問題ということについて簡単に御質問申し上げたいと思います。  先ほどもありましたように、当初、農民負担については、最初の十カ年が反当二千八百二十一円、その後の五カ年が反当千四百九十一円、その後いろんな条件によって修正が余儀なくされて、当初十年間が反当三千三百五十六円、その後五年間が反当千八百九十三円、こういう形になっておりますが、この点については、愛知用水公団法が成立しました際に、附帯決議の十項目の中の第六項の中で、地元負担の軽減について附帯決議が付されておることは御承知の通りだろうと思う。ここで、農民負担の問題は、やはり総合開発に基く農民の受益問題と密接な関係があるわけです。この受益問題については、当初この仕事を始めます場合には、大体年間五十一億円程度の受益がある、こういうふうに言っておりましたけれども、愛知用水と関連をした土地改良区の資料検討によりますと、第一次の検討の際には相当大量の受益を見ておったわけであります。六十三億からの受益を見ておったわけでございますが、その後、第二次検討では四十六億、第三次検討ではさらに激減をいたしまして二十五億、反当六千百三十円くらいの受益になる。もちろん、これは、地元負担等の問題と関連をして相当に内容検討しないと、この数字をそのまま受け入れることが妥当かどうかということには、率直に言って問題があるだろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、当初愛知用水の事業がすべり出す場合には五十億からの受益があるように報道されておったのが、具体的に検討を進めて参りますと受益がそれよりも低下するという事実につきましては、これは疑いのないところであると思います。しかし、この問題は、当初未墾地買収等について三千町歩の計画をしたところが、最近の愛知県からのデーダを見ますと、千町歩近く未墾地買収計画が減っておる、こういう数字等もありますから、増収見込み等についても修正が加えられている、こういう問題がやはり一つの影響を及ぼしておるのじゃないかとも考えられますが、いずれにいたしましても、こういう受益額の低下傾向というものと関連をして、地元負担のたえ得る程度というものは大きな問題になるわけであります。  こういう事情からいたしまして、今後まだ工事の延期等がかりに出て参りますとさらに農民負担の増大の可能性が出てくる。この際、農林省といたしましては、抜本的に受益の問題と勘案をして農民負担の軽減の問題の観点において検討する段階に来ておるのじゃないかと思いますが、この点については、せっかく政務次官がおいでになりましてさいぜんから質疑応答を傾聴されておられますので、政務次官からお伺いしたいと思います。

大野市郎自由民主党農林政務次官

○大野政府委員 ごもっともでありまして、角屋委員のお説は傾聴に値すると存じます。もちろん手段をこらしまして農民の負担の軽減に努めるべきであります。さように懸命に研究をし、また実現するように督励をいたします。   [委員長退席、田口委員長代理着席〕

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 この農民負担の問題は、御承知の五町以下の付帯工事の農民負担にかかってくる部分、あるいは畑灌の諸設備等の問題、あるいは維持管理等の問題もございます。こういう問題等を考えて参りますと、農民負担のたえ得る程度というものについては、ただ総事業費が三百三十一億であり、そのうちの法律その他に基いて計算されていくところがその後修正によってこうなったから、従って農民負担についてはこうなる、こういうしゃくし定木的な考え方で処理することはできないと思う。ことに、先ほど来指摘されておりますように、東海製鉄等の問題がからみまして、だいぶ工業化の空気というものが具体的に出て参った。用地買収等が難航しておるのは、要するに、工場の敷地あるいは宅地その他いろいろな問題で土地ブローカーが暗躍しておるという話も聞いておるわけでありますが、そういうこととからんで参りますと、現地の関係地区というものはきわめて零細であり、しかも専業農家でなくて兼業農家も多い、半農半漁であったりするような経営実態である農民心理からいたしますと、せっかく愛知用水事業本来の姿において遂行しようと思っても、これが農民自身からくずれる可能性なしとしない、こういう心配があるわけでございます。従いまして、やはり、ほんとうに本事業の実を結ばせるためには、真剣に農民負担の問題について、受益問題と関連をし、あるいは現実にこれから起ってくる新しい農民負担の増ということと関連をして根本的に一つ検討してもらいたいと思うわけでありますが、その点について今度は関係の局長からお伺いしたいと思います。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東説明員 先ほど御質問のありました、受益計画はやってみるとだんだん受益が減ってくるのではないかというお話でありますが、お手元に出ております県の資料、これは土地改良区が作りましたものをおそらくなまで出しておるものだと思います。われわれもこの資料について検討しておりますが、私どもが最初基本計画をやりました場合と、いろいろな面積のとり方、あるいは反収、単価、所得率といいますか受益率の見方がだいぶ実は変っております。一々は時間がかかりますので御説明いたしませんが、違っておりますので、また別な機会に詳細に御説明いたしたいと思います。ただ、私どもも三十年に計画を作りましたままで、その後の受益計画をあのままというわけに参りませんので、実は支川の末端に至りますまで今調査いたしております。七月一ぱいくらいでその調査をまとめたいということで、具体的に前に立てました受益計画がどうなるだろうかというようなことまで調査をいたしております。これは検討いたします。  それから、農民負担の問題でございますが、これは政務次官がお答えになった通りでございまして、工業問題もこれにからみます。国の補助金の問題もいろいろございます。われわれとしましては、農民の負担が年々増加するというような形になりませんように、極力いろいろな方法で考えるようにいたします。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 次に、営農問題でございますが、これは後ほどさらに専門の足鹿委員も別の機会に触れられると思いますので、簡単に私の感じた点を申し上げたいと思います。  御承知のように、畑灌の問題については、大規模なものは、日本農業としては最近の課題になってきておる問題でございますから、調査、試験研究等について、その立地条件に合った具体的なデータを短期間のうちに求めるということはきわめて困難な事情にあることは私ども承知しております。しかし、再来年の三月に工事完了するという前提に立って今日の試験研究体制あるいは営農に対するところの現地側の体制というものを見ると、遺憾ながらこれが著しく立ちおくれておるということは率直に指摘せざるを得ないと思う。こういう立ちおくれの実態を今後どう克服していくか、これはやはり真剣に考えてもらわなければならない。ことに、畑灌等の問題については、現地側の農民は初めての経験でありますから、こういう問題についての事前の普及の問題もあり、あるいはまた作付体系等についても十分現地の立地条件に合った営農類型というものを速急に作り上げるという問題があります。また、生産基盤の問題といたしましても、現地はまだ耕地整理されない、あるいは耕地の分散状況を集団化しなければならない、幾多の問題が山積しております。こういう問題についても、工事完了までにできるだけ計画を推進して、工事が完了して水が流される段階においては、新しい角度のいわゆる生産基盤に立って営農がすべり出す、こういう観点に立って見ますと、その点からもきわめておくれた状況になっておるということを私は感じて参ったわけであります。こういう点について、これは農林省ばかりでなく受け入れの県を含めてでありますが、農林省としても今後具体的に検討すると同時に、県の積極的な指導ということをやる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

徳安健太郎農林技官(振興局普及部長)

○徳安説明員 ただいま角屋委員から御指摘になりました営農指導の問題でございますが、これは、御指摘のように、畑地灌漑、特にこういう大規模な、しかも非常に地形が変化に富んでおるような地帯の営農方式の問題につきましては、非常にむずかしい問題があるわけであります。農林省といたしましては、畑地灌漑の試験研究につきましては、二十九年から応用研究費をもちまして約七カ所の地域を選びまして基礎的ないろいろの試験をやっております。なおまた、この愛知用水の受益地域につきましては、御承知のように、昭和三十一年に農林省東海近畿農業試験場の栽培第二部というものを設けましてここで主として畑地灌漑によりまする地帯の導入作物、あるいはその品種、あるいは栽培法の改善、あるいは土壌の問題等に対しまする基礎的な研究を行いますると同時に愛知用水公団の多くの実験農場、及びその各地域別の種場を五つ設けまして、ここで、主として水と土壌との関係、そういう問題についての試験研究を実施して参りましたことは御承知の通りであります。これらの基礎的ないろいろな問題を組み合せまして新しいその地帯に応じました営農の類型と申しますか作付体系を作りまして、これを実際に受益地域の農家に指導して普及して参るということになりますと、結局、普及事業を中核といたしまして、これに現在行なっておりまする土地改良対策と、本年度から新しく畑作総合指導施設という一つの予算を取っておりますが、こういうものを集中的にやりますと同時に、できますならば地帯別に実地指導地を設けまして現在いろいろと基礎的に分れました問題を組み合せて、新しいその地帯その地帯の営農類型の型を示していく、そして今後水が来ました場合の事態に備えていきたい、かように考えておりまして目下県及び公団と十分連絡をとりまして早急にこの営農指導体制の確立を期していきたい、かように考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 営農の問題に関連をいたしまして、過般視察をいたしました際に愛知県の桑原知事と懇談をする機会がございました。その際、前委員長の松浦さんがわれわれの意思を代表いたしまして、愛知県に日本一の嫁をもらってもらう、しつけももちろん十分でなかったかもしらぬけれども、今日見てみるとその将来が案ぜられる、どうか日本一の嫁をりっぱに育ててもらいたい、こういうふうなことを率直に述べておったのでございますが、私どもこの気持は、比喩は別といたしまして、率直に感ずる点でございます。申し上げるまでもなく、愛知用水事業は、いわゆる世銀の借款その他も含めまして外資導入による日本で初めての総合開発事業であり、これの成否ということが今後その他の地域におけるところの農業を中心とした総合開発事業に大きな影響を持っていることを私ども忘れてはならないと思います。同時に、愛知県は、安城は日本のデンマークだと昔から言われたようなところでありますが、新しい知多半島を中心にしたこの愛知用水受益地区が、いわゆる日本のデンマークのような様相を呈するというような熱意に燃えて農林省もやる、地元の愛知県もやってもらいたい、こういうふうに私ども視察をして感じて参ったわけであります。最近、いろいろな先ほど来指摘しております問題がありまするけれども、私どもの率直な気持というものはそこにあるわけでございまして、ことに、そういう点から考えて参りますと、冒頭に私が視察をしました印象の中で述べました、受け入れ側の愛知県のこの種農業問題に対する熱意いかんということについては、私は欠ける点があるのじゃないかという感じがいたします。もちろん、ここにも地元出身の丹羽先生もおいでになりますし、松浦前委員長ももともと愛知県の出身でありまして、そういうことを申すことは、自分の出身地のことを言われるのはいささか快くない点があろうかと思いますが、私はそういう意味ではなくて申しておるのでありまして、了承を願いたいと思いますが、いずれにいたしましても、せっかく世紀の大事業というものをやっており、今関連した問題が出てきておりますけれども、本筋としては計画通り実を結ばせる、こういう点について今後積極的に営農を中心にして考えてもらいたいと希望しておきます。  最後に、これも調査報告の中にあった問題でありますけれども、私ども現地に参りまして公団の職員等からいろいろ希望されたわけでありますけれども、愛知用水公団が工事を完了したあとの職員の身分安定の問題をどうするかということであります。もう一両年に工事完了の予定期を控えまして、今後どうなるかということについては、率直に申してだれしも不安としておるところだろうと思います。でありますから、この仕事に真剣に取っ組んでおる方といえどもそうであろうと思いますし、工期の終了に近づくに従って、はやばやと先を探して身を転じていくという気持の者も私はあるのではないかと思います。このような仕上時期においてそういう気持にさせたのでは、最後の工事の仕上げというものはできないだろうと思います。この際、農林省としても、指導官庁としての立場はもちろんあることでありますけれども、せっかくこういう外国との技術提携によってできた新しい進歩した農業土木事業の経験あるいは知識というものを、今後の総合開発の中で生かしていくための体制を真剣にこの機会に検討する必要がある。同時に、そういうことを通じて、最後の仕事が終るまで真剣にこの問題に取っ組んでもらうように現地の職員の気持というものを落ちつかせる、こういうことが必要だろうということを切実に感じてきたわけでございます。元来、日本の政治の中で、いわゆる法科万能で技術者が常に軽視されるという傾向の中で、今後いろいろの問題を進める場合には、こういう大きな経験を経た技術者の活用というものを真剣に農業部門でも考えていかなければならぬと思うわけでございます。この活用をどうするかということについては十分な検討をしなければならぬと思いますけれども、これを個々ばらばらにしてしまう、あるいはこれを一つの結合体として新しい形の今後の総合開発に対応する組織を作るかという点については、なお検討を要する問題があろうかと思いますけれども、これらの問題について政務次官から御見解を承わりたいと思います。

大野市郎自由民主党農林政務次官

○大野政府委員 ただいまの公団の仕事の仕上ったあとのその人的資源の処理方法についての御説でございますが、その通りであると思います。この大規模の事業が首尾よく成功して。これはいいものだということが万人に徹底いたしまするならば、必ず、まだまだ日本においてはそういう意味の総合開発をすべき場所がございますので、そういうところに、その部隊を散らさないで、それが次の企画に移るという形に機動的に持っていくのは国の利益だと思いますから、そういう意味で、志気の沮喪のないように、同時に、続いて発展のできるような施策が当然であると思います。その方向でわれわれは対策を立てていくべきものと思います。大臣にもそのように進達を申し上げて御趣旨のように進みたいと思います。  それから、もう一つ、先ほど担当官から、畑灌のことについてのいろいろの問題を含んでの営農の問題が出ました。実は先般相模原の畑灌を見ましたが、せっかく近くに畑灌のモデル地区があったが、その経済効果という問題に対しては、われわれがすぐに目でつかむ段階に至ってなかった。そういうような点で、私はかねがね思いますが、官庁が机上で案を立てて、かようにやるのだということを宣言しましても、実態がどの程度に把握できるかという点については、まさに言われる通りには思いかねる実例を知っておりますので、そういう意味で、ここで答弁したらあとは絵にかいたもちだというようなことであっては申しわけございませんから、私どものおりまする限りは、そういう意味で実施のあと押しをいたす決意であります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 農林省の方では御承知かと思いますが、愛知用水公団の職員数は、事務、技術を含めまして約七百名に達するわけでございますが、そのうちの大半が、いわゆる旧制大学あるいは新制大学、旧制の専門学校、こういうものを中心にした方々でございまして、先ほども申しましたように、この方々の経験を今後の農業開発の中で生かしていく、こういうことで、十分現地の職員なり技術者が落ちついて最後の仕上げまで仕事のできるように希望いたしまして、後ほどまたこの問題について専門的に検討の機会がございますので、愛知用水の問題を中心にした質問をこの程度で終らせていただきます。

田口長治郎自由民主党

○田口委員長代理 暫時休憩いたします。     午後五時五十一分休憩      ————◇—————     午後六時一分開議

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十四年生産者米価問題について野原正勝君より発言を求められております。この際これを許します。野原正勝君。

野原正勝自由民主党

○野原委員 私は、自由民主党並びに日本社会党を代表いたしまして、昭和三十四年度産米価格決定に関する共同の決議案を提案いたしたいと存じます。  まず案文を朗読いたします。    昭和三十四年産米価等に関する件   政府は、首題の件に関し、左記の如く実施すべきである。      記  一、昭和三十四年産米の基本価格については、生産費及び所得補償方式の趣旨を十分に尊重し、その計算方法に検討を加え適正なる価格とすること。    なお、生産費及び所得補償方式の完全なる確立に資するため資料の整備等につき速かに必要なる予算措置を講ずること。  二、昭和三十四年産米に対する予約減税を引続き実施するよう善処すること。  以上の決議案の趣旨を簡単に申し上げます。  米価問題につきましては、すでに当委員会においてしばしば各委員から熱心なる質疑があり、政府側からもいろいろと答弁があったわけであります。なお、この米価問題をめぐって、全国の農業団体あるいは全農民が、いかになりいくかということに対しましては非常なる関心を持って今注目をしておる。米価の決定も延び延びになっておりましたが、来たる七日には米価審議会が開かれまして、いよいよ結論が出されるという段階にあるわけであります。特に、本年は、従来のパリティ方式のみに頼っておった方式を改めまして、生産費並びに所得補償方式を尊重するという農林当局の方針でございますので、政府から発表、内示された価格には当然そういう点が十分に織り込んであるはずである。ところが、当委員会におきまして十分検討した結果を見ますると、必ずしもそれらの趣旨を十分に尊重しておると思えないような節が多いわけであります。いろいろな計算の方式等を考えましても、どうも十分にこの委員会においての各委員の質問に納得のいくだけの説明が加えられていないという点は、まことに遺憾でございます。すでに予算米価として決定されておる政府の財政的な立場からいきましても、農村の方々の要望しておる一万一千二百数十円の価格にはなかなか容易でないということはわかりますけれども、しかしながら、何といたしましても、生産費を償い、再生産を十分可能ならしめる妥当な納得のいく価格がここに示されなければ、今後の日本の農政というものはますます暗たんたる状態に転落することは必至でございます。何といたしましてもこの際適正なる米価を決定し、農民に対しまして進んで増産の意欲を持って生産に努力ができまするよう政府の善処を要望するのであります。  なお、第二項の予約減税の問題につきましては、すでに議論が尽されておる問題でございます。これに対しましては、当然引き続いて予約減税を実施するということの方針をもって進んでいただきたい、かように考える次第でございまして、ここに政府に対しまして以上の点を強く委員会の決議としてその実施を求めるものでございます。  簡単でございまするが、以上提案の理由として説明した次第であります。(拍手)

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 石田委員の発言を許します。

石田宥全日本社会党

○石田(宥)委員 ただいま御提案になりました昭和三十四年産米価等に関する件の決議案に対し賛成の意を表する次第でございます。  従来のパリティ米価なる算定方式は、かつてのいわゆる抑制米価で、需給関係からいたしまして米価を政治的に抑制するという趣旨から出発をいたしておるのでありまして、当初の価格パリティから所得パリティに変ったと申しましても、基礎的にはやはり抑制米価のための算定方式であったことは言うまでもないところでございますが、多年にわたる農民団体の主張でありまする新しい算定方式である生産費及び所得補償方式に基いて算定されることが、真に食管法に指摘いたしますところの再生産を確保し、また政府が主張されておりますところの日本の農業の安定的成長という趣旨にも合致するところの算定方式であるとわれわれは信じて疑わないのであります。本年度の農林省の案によりますれば、大幅にこの新しい算定方式を取り入れておると言われておるのでありますけれども、その骨子である生産費の算定について、いわゆるバルク・ライン方式というものは安定性がない、法則性が見出しがたいというような理由によって、これをとろうといたしておりません。また、自家労賃の評価の点につきましても、少くとも私どもは都市における五名以上の規模の工場労務者の賃金を妥当とするという主張をいたしておるのでありますが、この点についても、一人規模以上というような不完全就労、半失業とも言うべき規模のものまでも加えて算定をするというような計算の仕方をいたしておるのでありまして、これらの点については、かつて本委員会における質疑の中で十分指摘をいたしているところでありますが、やはり、新しい算定方式をとるということになりますならば、十分資料を整備いたしまして、バルク・ライン八〇%程度の生産費を補償しなければ農家の生産費はカバーされないということはきわめて明瞭であります。また、自家労賃については、先ほど申しました通りであると思うのでありまして、これらの点についてはまだ政府案も決定を見ておらない現状でございますので、願わくば、再検討の上、本委員長においてしばしば指摘された点を取り入れられるように希望してやまない次第であります。  また、予約減税の問題については、提案者の御説明の中にもございましたように、ほとんどもう論議の余地はないのでありまするし、特に、日本社会党といたしましては、予約減税は存続すべきであるということで、その法律案を提案して参っております。これについては、幸いに大蔵委員会はこの法案の継続審議の決定をし、本会議においても継続審議の決定を見た次第でございまして、これまた本年度産米との関連において継続すべきであると考える次第であります。  以上の点を主張し、また指摘いたしまして、ただいま御提案になりました決議案に対して賛成の意見を申し述べる次第であります。(拍手)

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 お諮りいたします。ただいまの野原正勝君より提案の両党共同による昭和三十四年産米価等に関する件を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。   [総員起立〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 起立総員。よって、右決議することに決しました。  ただいまの決議に対し、政府当局の所見を求めます。大野政務次官。

大野市郎自由民主党農林政務次官

○大野政府委員 ただいま委員会において決議をなされました趣旨は、緊急かつ重大な内容でございますので、政府といたしましては慎重検討をいたしたいと存じます。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 なお、お諮りいたします。ただいまの決議の関係当局への参考送付につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十二分散会

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