商工委員会 第4号
- 発言数
- 95 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/08/10
会議録
○中村委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。中井一夫君。
○中井(一)委員 大臣は見えませんか。
○中村委員長 間もなく見えます。
○中井(一)委員 池田通商産業大臣が新たに通産省の行政をあずかることになって以来すでに数カ月を経過いたしました。ことに、近く予算編成のときを前にいたしまして、通産大臣としても、この複雑多岐なわが国の産業経済、ことに中小企業に対する政策の実行について格段の研究も進められておると思うのでございます。従って、私はその全般につき質疑をいたしたいと存じておったのでございますけれども、大臣まだ御出席がありませんから、この際その部門の一つであるチケット販売の問題につきまして、当局の御意見を伺い、またぜひともこの際勇気を出して、この問題解決のためにお進めを願いたいということを申し上げたいと思うのであります。 と申しますのは、百貨店がチケット販売に乗り出しましてすでに数年、小売商を圧迫すること、きわめて甚大なものがありまするによって、特に昨年以来当委員会におきましても、この問題が重要なる政治問題として取り上げられ、特に私よりはこの点について時の高碕大臣に対し、百貨店の行き過ぎを抑えることにつき決断を迫った次第でもございます。その結果、昨年の九月五日付をもちまして、通商産業省企業局長から各地方の通商産業局長、また百貨店協会等に対して通牒を出され、さらに、通産大臣の名をもちまして百貨店業者に対して自粛をするようにという一つの通知まであったのであります。しかも今日に至るまで満一年になりますのに、いまだこの問題が何らの解決を見ないということは、きわめて遺憾なことでございまして、わが国の数百万の小売業者が、通産省頼むに足らない、かような感じを抱くようになっておりまするのも、もっともだと思うのでございます。まさに本日は満一周年でありますから、その後、一体通産省は、どういう態度をもってこの問題に進んでこられたか、その経過と結果について承おりたいのであります。ただし、本日私に与えられた時間はきわめて僅少でありますから、要領のみを御報告いただきたいと思います。
○松尾(金)説明員 ただいまお尋ねのございました経過を要約して申し上げますと、昨年の九月に、お話のございました大臣勧告で自粛を要望いたしました。その内容は二点ございました。第一点は、現在までにチケット販売をやっていない百貨店は、今後、そのとき以来新たにチケット販売を始めることをストップしてほしいというのであります。第二点は、すでにチケット販売、割賦販売をやっておる百貨店については、そのやり方等について自粛をしてほしい、その自粛の具体的な考え方なり、方策を早急にまとめて実施に入ってほしいという二点にあったのであります。御承知のように、その第一点の方は、そのとき以来現在までストップになったままになっておりまして実行されておりますが、第二点につきましては、ただいまお話のようなことで、現在までに最終的な解決を見ていない状態でございます。その主たる理由と申しますのは、その具体的な自粛案につきまして、百貨店側は、ある程度のところまで具体的な自粛案を作ったのでありますが、その自粛案なるものにつきましては、片方小売商側その他各方面の要望とされるところと、若干あるいは相当かけ離れておるように思われまして、また片方小売商方面の要望されるところは、相当強い自粛案の線が要望されておりますので、百貨店側も、みずからの作った自粛案を実施するに至らないまま現在に至っておるのであります。しかし私どもの方でも、それをそのまま放置しておくわけには参りませんので、小売商側の要求されるような強い具体的な自粛案ということになりますと、この問題は単なる当面の自粛案ということではなくして、流通問題、割賦問題あるいはチケット販売の制度の本質論に触れてくることに相ならざるを得なくなったのでございます。そういう意味合いから申しまして、たまたまそのとき以来発足しております産業合理化審議会の流通部会におきまして、割賦問題の本質論とあわせて御審議を願うようにいたしたのであります。 大臣勧告は九月初めに出されたのでありますが、ただいま申しました流通部会は十月末に発足をいたしまして、本年の三月までに大体八回ほどこの問題について審議が行われました。しかしこの流通部会には、いわゆる学識経験者、専門家のほかに、この問題に直接利害関係の多い方々も委員に入っておられる関係等もありまして、この問題に関して相当深刻に議論をされました。そういう意味合いもございまして、その中から特に小委員を選びまして、小委員会が本年四月に発足をいたしたのであります。そういたしまして、この七月二十四日までに大体六回の審議を重ねまして、小委員会として、この問題に関して本質論を含めた意味の政策論、あるいは当面のこういう方向で、この問題の解決をはかってしかるべきであろうというような小委員会案が、先般決定されたのであります。もちろんこれは小委員会としての案でございますから、いずれ近く開かれます流通部会におきまして、最終的な御討議を願うことに相なることと思うのでございますが、この小委員会の案は 一応小委員会としてのまとまった案を、小委員会の御了解を得まして先般新聞にも公表いたしております。内容はすでに御承知と思いますが、そのような線に沿って次の流通部会を開き、その結論を得てこの問題の最終的なと申しますか、具体的な処理を進めて参りたいというふうに考えております。
○中井(一)委員 その結論は、本月の二十八日の審議会の流通部会において出されるおつもりですか。
○松尾(金)説明員 その予定にいたしております。
○中井(一)委員 それならば、ぜひともこの際、これは当局におかれてお考えにならねばならぬことになるのであります。すなわち、この問題というものは、もうすでに申し上げるまでもなく、百貨店は大資本家である。力の上からいっても、組織の上からいっても、あらゆる点について小売商は太刀打ちできない。もし百貨店を自由に活動せしめるということであるならば、小売商は全く百貨店になで切りにされてしまう。これは単に経済上の問題でなくて、まさに社会問題であり、きわめて深刻な問題である。それだから、小売商を擁護するために、百貨店を抑えるよりほか政治的の解決はないのだというところに、この問題は発足したのだし、この問題の重要性があるわけであります。しかるところ、本問題ができて以来一年たちますのに、いまだその結論を出すことができないし、しかもその結論、ただいま局長の御説明によりましても、徹底した解決はできないということがきわめて明らかであります。それならば、一体何のために、昨年の九月五日に、企業局長並びに大臣名をもって、この勧告ようのものをお出しになったのであるか。この勧告を出して、百貨店に自粛せよと言われた以上は、その勧告が法律上どういう地位にあるかということは別にして、通産省の権威にかけても、その目的を達成せらるべきである。もっとはっきり言うならば、百貨店の行き過ぎを押える。日本全国の小売商の食っていけるかいけないかというせとぎわにあえいでいる人たちを擁護するために、強力なる働きかけをなされなければならぬのであります。しかるにそれがついに今なお解決しないまま、本二十八日にはその結論に達するなどいうことでは、私は、全く通産省というものは、気の毒な力の弱い小売商にとっては頼みにならぬ役所だという烙印を押されても、しょうがないと思うのであります。 幸い大臣が御出席でございますから、この点を大臣に伺いたいと思うのでございます。ただいま本員がお尋ねをいたしておりまする問題は、数年以来問題となっておりまする百貨店が盛んにチケット販売をやるようになった。これでは、とうていこの小さな弱い小売商は太刀打ちができぬのだし、ついには自滅状態にまで追い込まれるおそれがあるから、百貨店の行き過ぎを押えてもらいたいということが天下の世論になりまして、これを通産省は取り上げられ、前高碕大臣は企業局長とともに各方面に勧告ようの通牒をお出しになり、百貨店の自粛を要求せられたのであります。しかるに今日に至るまで一年、今なお解決せぬのみならず、ただいま企業局長の御説明では、解決は結局小売商の希望を入れるに足らぬような結果であるということを聞きまして、まことに残念に思うのであります。この点につき大臣は、一つ勇気をお出しいただいて、百貨店を押えることに特別の御尽力をいただきたいと思うのであります。これにつきましては、私は大臣初め局長諸君が百貨店法成立の由来を顧みていただきたいと思う。その第一条の目的、また第九条の勧告権等においても明らかになっておりますごとく、百貨店法ができたのは、何も百貨店のやり方が、またその存在が、社会正義に反するという意味ではないのだ、百貨店のすることは何にも格別の法律違反でも何でもないのであるけれども、その有力なる力をもってしてやりまくるならば、小さい小売商人は立っていけないから、これを押えることが国家全体のためだという見地から、この法律はできたものであります。このことはその第一条、第九条においてきわめて明らかとなっておるのであります。それならば、このたびのこの問題もそのうちの一つなのでありますから、何ゆえに通産省は断固たる処置を百貨店に対してなさることができるのであるか、これを私は申し述べておるのであります。大臣のこの点に対する御意見を承わりたいと思います。
○池田国務大臣 先般通産省に参りまして、関係の産業合理化審議会におきまして、特に流通部会を開き、お話のチケット問題につきまして検討を重ねておるのであります。何分にも百貨店と小売商の間、また小売商の中でも市場とその他の関係、いろいろ厄介な問題がございますが、お話の点もございますので、早急に結論を出して善処いたしたいと思います。
○中井(一)委員 早急に善処をすると言われるのでありますが、局長のお話によりますと、審議会は今月の二十八日を最終の会合として、この問題を決定せられるということになっておるそうであります。しかるにこの問題の通産省案というものは、発表されたところによりますと、おそよ小売商を擁護するに足らざるものであります。その内容について、われわれの大いに不満足とするところをあげてみまするならば、大体五点あると思うのであります。すなわち通産省案によりますと、このチケット販売というものの本質を十分に御承知ないのではないかと思われる節があります。元来割賦販売というものが、商人と顧客との間において行われて参りました歴史を見て参りますと、高額の耐久性のある消費財個々の商品ごとに売り主と買い主とが割賦約款つきの売買契約をすることでございますが、現に問題になっておるところのチケット販売というものは、形は割賦販売の一種であるようには見えますけれども、本質はそうじゃないと私は思うのであります。何となればチケット販売の本質は従来の掛売販売を合理化し、組織化した小売商のサービス販売の一種にすぎないのであります。その以外の現金販売の分野ではとうてい大資本の百貨店には太刀打ちができないから、小売商が窮余の一策として地域的に団結いたしまして、地域々々の顧客を相手として、チケットとしてこれを組織し、顧客の便益をはかるとともに、顧客と小売商の集団とのつながりを実用的に深くしていこう、こういう目的をもって創始されたのが根本なのであります。従ってこれは全く小売商の窮余の一策としてのお客さんに対するサービス販売にすぎないのでありまして、掛売と本質的の差異はないと私は信ずるのであります。その証拠に、今までやっておりました小売商チケット販売というものは、大体その期間は三カ月程度のきわめて短期でありまして、その対象の商品も全く全般的に行きわたっておるというような実情なのであります。それが、このたび開かれておるところの流通部会などにおける論議を聞きますと、全くこの問題の本質的な、何ゆえにかようなチケット販売などというものを小売商がやらねばならぬようになったかということについて、ほとんど同情も理解もないようであることを見て、私はほんとうに残念に思うのであります。小売商がこういう目的でやってきたものを、百貨店がそのままこれを取り上げて、大資本の力でもって、しかも各百貨店が共通してこれをやろうなどということになりますと、大へんなことでありまして、なるほど小売商がこれではたまらぬと悲鳴を上げるのも、私はほんとうにもっともだと思うのであります。まずこういう点について、現在流通部会で進められておるところの考え方の根本に一つの不満を持つのでございますが、通産省案によりますと、一体商品の限定というものをどうするのだ、金額の限定というものをどうするのだということについて、とんと具体的な内容を定められることがないのであります。一体この大切な二つの要件を何をもってきめられんとするのか、これが一つの問題であります。 また百貨店が単独でチケット販売を行うことについては、全然規制措置を考えられていないようであります。日本信用販売株式会社のチケット発行機関に百貨店が加盟をしておるという場合のみを規制の対象とせられるやに承知をいたすのでありますが、これでは不徹底ではございますまいか。しかも新しくこれから百貨店がチケット販売を始める場合の措置についても、単独でやるという場合については何らの措置もないという実情をどうお考えになっておるか。さらにチケット発行機関にこれから加盟する場合の規制がきわめてあいまいであります。その表現を借りて言うならば、各地の商工会議所に置かれておりまする商業活動調整協議会、これの裁定にまかせるというふうにもとれるのであります。もしそうなるとするならば、これはとんでもない行き方でありまして、商業活動調整協議会というものは、その実情は決して微力なる小売商の味方ではない。その委員というものは、多く百貨店側に関係のある人々がなっておりますから、もしこの協議会にこの問題の裁定をまかせられるということになるならば、それはすなわち百貨店自身にしかるべくやってくれということを言われるのと同じことになるのであります。こういう点を考えてみると、一体一年間何をしておられたか、それはむしろやられない方がよかったのではないか、こういうことを思わざるを得ぬのであります。つきましては、まずそれらの諸点につき局長から御意見を伺いたい。 最後に大臣に伺いたいことは、大臣御入閣の節の御声明にもありました通り、日本の産業、経済につき、確固たる一つの政策を立ててお進みになる。そのうちにも中小企業問題は単に政治問題、経済問題のみでなく、まさに社会問題でありますから、これを有力なる大臣が御入閣を機会に、この際、御解決になるということは、実にわれらの期待しておるところであります。そこで百貨店法の改正問題なのでございますが、御承知の通り一年前に出た勧告式の大臣通牒、局長通牒に対しても百貨店は、はなはだ言葉は悪うございますけれども、通産省をばかにしてかかっておるというのがその事実であります。従いまして、どうしても通産省の行政指導に従わない、また勧告がたといあっても、勧告に従わない場合においては、これを制裁する規定がないのが、この百貨店法の重大なる欠陥だと思うのでありますから、この際百貨店法を改正され、そうしてわが国小売商擁護のために、百貨店が行き過ぎた行動をいたした場合には、勧告だけではなく、これに対するに罰則をもって臨むというふうにせられる御意思があるかどうか、これを承わりたいのであります。
○池田国務大臣 わが国産業経済の立場から、私はいわゆる割賦販売制度には賛成でございます。割賦販売制度をこれからやっていくことは賛成いたします。しこうして、その場合において現行のチケット販売制度につきましては局長からお答え申し上げたと思いまするが、いろいろ検討を加えております。ここにありまする通産省案ということになっておる通りでありまするが、実は私はもらったままで読んでおりません。その金額を幾らにするかということにつきましても、私自身は一つの判断を持っておりますが、この立案に当っておりませんので、自分の意見を言っておりません。そしてまた共通チケットの問題につきましては、私はよほど検討を要すると思います。各百貨店が共通にチケットを出すということにつきましては、よほど検討を要すると思います。従いまして、これによりますとまず最低金額をきめて、その状況によって共通チケットの問題を解決していこうという二段がまえになっておるようでございますが、私はこの点につきましても自分の意見はある。しかしまだ事務当局には言っておりません。 しこうして百貨店法によりまして先般通産省が勧告をしたそうでございますが、局長から聞きますと、百貨店法に基いた勧告ではない、行政指導としてやった。要すれば百貨店法に基く勧告もできるわけであります。しかしお話の通り罰則がないようであります。私は日本の物品販売につきまして割賦販売制度ということを取り入れていきたい。しこうしてその問題とともにチケットあるいは百貨店共通のチケットの問題、なお百貨店が今後どういうふうにしていくかという問題につきまして法律自体も検討いたしまして、必要な点があれば改正するにやぶさかではございません。
○中井(一)委員 大臣はこの問題について考慮をせられるということはよくわかりますが、しかしもはやこの問題の結論は本月の二十八日の審議会において出るという事態にまで切迫しておるのであります。大臣の御就任は新しゅうございまして、昨年の問題がことしまで未解決のままじんぜん引き延ばされてきておるというのが実情であります。その責任はいずれにありやという問題は別として、これは何としても今日ただいま大臣も決心をされて、しかるべき指導方針を明らかにせらるべきときが参ったのであります。単に考慮をいたす、何とかいたしたいというお心持だけでは、これは解決ができぬのでありますから、この際左右いずれとも決意をせられて、しかるべき指導をしていただきたいと思うのであります。そうでなければ、すでに審議会が決定した後にこれをくつがえすということはなかなかむずかしいのでありますから、この点を特に一つ考慮をしていただきたい。先ほど来問題にいたしました第一条、第九条でございますが、これなどをごらんになりましても「通商産業大臣は、百貨店業者の出張販売、顧客の送迎その他の営業に関する行為がその百貨店業の事業活動を通じて中小商業の事業活動に影響を及ぼすおそれがある場合において、中小商業の維持育成を図り、商業の健全な発達に寄与するため特に必要があると認めるときは、その百貨店業者に対し、その行為をしないように勧告することができる。」と、はっきり定められておるのであります。またその第一条によりますれば「この法律は、百貨店業の事業活動を調整することにより、中小商業の事業活動の機会を確保し、商業の正常な発達を図り、もって国民経済の健全な進展に資することを目的とする。」とあるのでありまして、この百貨店法のできましたゆえんは、決して百貨店のすることが法律違反だ、社会正義に反するからというためにできたものではなくて、有力なる百貨店の力を押えて、微力なる小売商を擁護するというためにある以上は、百尺竿頭一歩を進められて、この機会にこそ有力なる大臣がわが国小売業者のために努力をせられるべきだと思うのであります。従いまして品目の決定またその最低金額のごときも、少くとも七千円以上くらいを目途とせられてしかるべきだと思うのであります。ぜひとも大臣の御決断を願いたいと思うのでございます。
○池田国務大臣 御意見十分承わっておきます。 ―――――――――――――
○中村委員長 次は、櫻井奎夫君。
○櫻井委員 私は、新潟県の地盤沈下に伴うガスの規制の問題について、大臣にお伺いをしたいのであります。 この前の当委員会においても、私はこの問題について質問をいたしましたわけですが、六月二十四日の科学技術庁の発表によりまして、沈下の主要な原因がガスの採取にある、沈下水の、深層部における多量かつ急激なる揚水にあるという結論が一応出たわけであります。そこで、この前の商工委員会で、大臣に、そのような報告の上に立ってどのような措置をとられるか、こういう質問をいたしましたところ、ガスをやはり規制をしていかねばならない、こういうことをおっしゃったわけでありますし、その後通商省の事務当局においても、この規制の問題についていろいろと研究をしておられる、先月の終りごろ大体の結論を出されて、早急に規制をする、こういう御答弁があったわけでありますが、その後今日に至るもいまだ規制が行われていない。沈下は、御承知の通り、刻々これは進行しつつある。そういう事態の上に立って、一体この規制をいつごろやられるつもりか、それからその規制の規模は、一体どういう程度のものを考えておられるか、この点を承わりたい。
○池田国務大臣 先般お答え申し上げましたごとく、すでに新潟旧市内の海岸地帯で七万五千立米の規制をいたしております。その後新潟市全体、その付近もある程度入れまして、大体前の分と合せまして、二十万立米程度の規制をいたしたい、こういう計画をこしらえまして、近々指示することにいたしております。
○櫻井委員 この七万五千立米、これは通産省がなさったのではなく、業者が自発的にこれはもう昨年の暮れからやっておる。問題は、その後の差引十三万立米くらいの量になりますか、これを一体いつ規制なさるのか、これが問題であろうと思うのです。今のようにあなた方の方は早急にやる、こういう御答弁でありますが、一向具体化していない。もし具体的な状況というものがあったら、局長の方から、この前の委員会後において、あなた方の方で地元の業者の意見も聞き、あるいは知事や市長の意見も徴せられたようでありますが、そういう観点に立って、一体いつごろこれを規制されるのか、ほかの関係の官庁との連絡、そういうようなものがどのように行われておるのか、これを一つ明確にお示しを願いたい。
○小岩井説明員 この前御説明申し上げました以後の経過でありますが、先月の三十日に、東京の鉱山保安監督部長それから私の方の管理課長及び係官を現地に派遣いたしまして、私の方で大体作り上げておりました旧市内地という概念の範囲を、現地におきまして県、市、商工会議所、そういった関係機関と十分に連絡をとりまして、現地に当りまして一応の区画を内々決定いたしております。この区画の中にあります井戸につきましては、原則として全面的に操業を中止していただく。それからその中にありますいろいろの零細企業または中小関係、特にタウン・ガスの関係、そういったものにつきましては、前回御説明いたしました方向と全く同じであります。ただ、巷間ちょっと間違えて伝えられておりますのは、全然そういった関係を文句なしに除外するという考えではないのでありまして、どうしても他に転換の方法がつかない場合には、すぐにとめるということをいたしますと、非常に大きい混乱が参りますので、その混乱を避けるために、暫時適当な期間現状維持でやっていくという考え方であります。従って、数年たちますと、自然に井戸そのものの力が衰えて参りますので、結局長くても数年、二、三年のうちには全部代替の形をとる、移りかわりの形をとる、かように考えておるわけであります。 それから、発表はできるだけごく近いうちに、ただいま大臣も申し上げましたように実施をしたいと思います。現地の、特に県の方も、これをスムーズに実施する上に一、二点ちょっと問題がございますが、これもほぼ解決いたしておりますので、できるだけ早い期間に実施に移したい、かように考えております。
○櫻井委員 そうすると、早い機会に規制をされる。この規制は、通産省の規則でなさるわけですか、鉱山保安法によって規制をされる、こういう形をとりますか。
○小岩井説明員 現在のところは大臣勧告で、その一定の区域内にあります井戸につきましては中止するように勧告をいたすという考えであります。なぜ保安法二十四条を発動しないかという点につきましては、二十四条の発動はなかなかこれはむずかしい問題でありまして、明らかに鉱業権者に何かの違法性があるという場合に、これは適用されるという建前になっておりますので、でき得る限りこういった二十四条の発動は避けたいという考え方から、どうしても勧告に従ってもらえないという場合がもしありますれば、もちろん二十四条の発動を考えておるわけであります。
○櫻井委員 大体の考え方はわかりましたが、これは勧告という形をとられる。これは現地においては、中小の企業と申しますかこういうのはやはり非常な脅威を受けて、大臣の勧告に従わないということもあり得ると私は思うのです。それはそういうことがないように慎重に事を運んでおられると思うのですけれども、一つぜひともこの勧告をなさった場合、そういう勧告の権威を疑われるということのないように善処を願いたいのです。 それと、地元では、この技術庁の発表が御承知のように、全会一致ではなかった、こういう形をとっておるために、ほかにも原因があるんだ、こういうことを盛んに言っておるわけであります。従って、あすこにあがっておるほかに考えられる原因について、今後通産省としてはガスだけとめたということでなく、そういう異論に対する納得のためにも、この沈下に対する調査というものを具体的に進めていかれる考えであるかどうか、この点をお答え願いたい。
○小岩井説明員 もちろん科学技術庁の発表にありますように、主原因は天然ガスの地下水のくみ上げということに表現されておりますが、そのほかにも、港湾の浚渫あるいは田畑の乾田化、こういったものが原因の一部をなしておるというふうに見られております。従いまして、そういうような関係のところは、もちろん関係の省におきまして今後調査を進めるという方針で進んでおります。私の方の関係におきましても、今後でき得る限り技術的に、特に保安規則の内容を一部改正いたしまして、今後鉱業権者に対しまして、必要のあるところには測量を強制すると申しますか、測量してもらいまして、水準測量によって地盤の沈下状況、それから水位の測量によりましてやはり地盤の沈下状況の推移を順次見ていくというような方法をとって参りますし、また今後予算措置によりまして、水の圧入というような点も十分考えておりますので、これらの地盤沈下に対します今後の調査につきましては、でき得る限りの態勢を整えたい、かように考えております。
○櫻井委員 最後に大臣にお尋ねしたいわけですが、この新潟市周辺の二十万立米のガスを禁止をなさる、こういうことになりますと、ガス産業の方からこれを申しますと、やはり相当大きな打撃をこうむるのではなかろうかと私は思う。従って、御承知の通り、あそこでは最近非常に新しい一つの産業形態としてガス産業が勃興をいたしておりますが、このガス産業を今後どういうふうに通産省としては育成していかれるのか。この点は、この前大体の構想、パイプ・ラインというようなことを大臣はおっしゃったのでありますが、真剣にそういうことを討議しておられるかどうか、この点をお尋ねした、
○池田国務大臣 前回の処置もありまして、今回処置をいたしますると、大体二十万立米で、あの地区の四分の一ぐらいをとめることに相なるのでございます。関係業者とも一、二回会いまして、今後やはり新潟地区の産業を興していく上におきまして、他の沈下をしないようなところ、そういうところのガスを採取して、あの産業が参ってしまうということのないように一つ検討してくれるよう業者に私から要請いたしておるのであります。われわれといたしましてもできるだけの調査をいたしまして、あの地下資源の開発、新潟旧市ではございません、他の方の地下資源の開発ということに力を入れていきたい、こう考えております。
○櫻井委員 今の答弁は全くこの前の答弁と同じようで、実際どういう方法でこれを育成するか、その具体的な研究というものはまだ進んでいないのですか。ただそれができるだけ壊滅的打撃を受けないような、なおまたこれを育成するような方向に持っていきたい、こういうことは一応わかるわけであります。それは当然そうあるべきであろうと思いますが、一体どういうふうなことが具体的に考えられるのか、そういうような点についての御研究は通産省においてなされておるのかどうかを伺いたい。
○小岩井説明員 現在のところはもちろん調査も必要でありますし、積極的に増産というような形はかなりとりにくい実情にあると思います。しかし、現在私どもで考えておりますのは、密集しておる市街地のくみ上げ、採取というものはできるだけ避けて参りまして、これを市街地外の区域において補給する、少くとも現状維持というようなところを目標に考えておりますが、もちろん技術的な解決の問題も着々進めております。水をくみ上げないでガスだけをとるような方法も考えておりますし、また水を出しましても、またその水を後ほど圧入いたしまして――これはアメリカのカリフォルニアあたりでやっておりますように、相当な金はかかると思いますけれども、技術的の解決の方途もかなり明るいものがございますので、そういった面とにらみ合せまして、そういう問題が解決できました暁には、もちろん積極的な開発ができると思いますが、現状では、問題となります市街地をできるだけ避けて、市街地外のところでその数量を補っていくというような考え方で、目下鉱山局で具体的に対策を検討いたしております。
○中村委員長 それでは、次は伊藤卯四郎君。
○伊藤(卯)委員 時間が答弁とも加えて三十分ということで委員長から御相談がありましたので、なるべく守って参りたいと思います。 要点的に池田通産大臣に質問したいと思いますのは、当面の石炭の不況の対策についてであります。御存じのように、石炭は慢性不況といわれております。従来は石炭も日本経済の動向に伴って動いておりました。たとえば一般経済界がよくなれば石炭界もよくなる、こういう動きでした。ところが、現在の石炭界は一般経済が上向きになっても依然として下向きであります。それは貯炭がなお一千万トン以上あって動かない、生産はますます制限をしていくのに貯炭は動かない、こういうのでありますから、まことに石炭界は泥沼不況といっても過言ではありません。その原因は、石油と重油と天然ガスとが、最近非常に出ておりますので、こういうものによって、燃料としても、原料としても圧迫をされて、いわば従来の石炭は、ある意味においては、燃料としても、原料としても一つの取り残された存在になっているといっても差しつかえありません。そこで、大臣はもう傾斜生産になっておる、石炭は時代おくれの滅び行くものとしてやむを得ないじゃないかというお考えか、いや、そうではない、やはり国内にあるところの重要な燃料、原料の資源として非常に大切なものであるから、これらに対しては十分に国策としての対策を立てて、それで石炭に対する取扱いを政府としては十分立てていかなければならぬ、こういうお考えであるかどうか、この点について一つお伺いしたい。
○池田国務大臣 私の考えは、第二番目のごとく、やはり国内資源をできるだけ活用し、それが日本の経済力を伸ばす上において、ぜひとも必要でございますし、また産業としても重要な産業でございます。私はお話の斜陽産業としてほっておくという気持は毛頭持っておりません。できるだけこれを活用していきたいという考えでございます。
○伊藤(卯)委員 そこで、現在御存じのように今申し上げたような膨大な貯炭になっておるし、なお生産制限をどこまでしたらよろしいかという苦境に立っておるのであるが、これらに対する具体的な対策としてはどういう方法をもって今大臣が答弁されたようなお考えを、生産と石炭の取扱いの上にお考えになっておるか、この点をお伺いしたい。
○池田国務大臣 石炭の不況は、伊藤さん御存じの通り、世界的の問題でございます。この原因は、いわゆる重油とか天然ガスとか、お話の通り、そういう競争産業の圧迫を非常に受けておると考えております。しこうしてわれわれは従来五千三百万トンという計画を立てておりましたが、お話のような状況でございますので、今大体四千八百万トンと見込まれる生産――この程度で生産が行われるならば、今の過剰滞貨は行く行くは夏枯れを過ぎまして、相当消化されるのではないかという考えを持っておるのでございます。
○伊藤(卯)委員 大臣の今の考えは私は非常に甘いと思う。なるほど従来から石炭には夏枯れというものはつきものとされている。ところが現在の一千二百万トンからに上るこの貯炭は、昨年の秋から冬にかけて動かない、従来からいくと、夏枯れは必ず冬になって消化されたものだ。ところがこれは全然従来と形の変った形態で、むしろ夏枯れというのでなくて、夏冬ともに今日の不況に陥っておるということは動かぬところであります。だから大臣が夏枯れとお考えになっておるのは非常に考えが甘いというか、間違っておる点を私は改めてもらわなければ対策は立たぬと思うのです。そこで、今日貯炭があるのは経営者のみの責任であるとは私は思わない。というのは大臣も御存じであろうと思うが、すでに経済企画庁の計画とし、あるいは自民党の年度計画の政策として、たとえば昭和三十三年には五千六百万トンを掘り出せということを年度計画にずっと作って、それを業界に指示された。われわれは高碕さん時代からさらにさか上って各通産大臣の当時から漫然としたこの石炭の年度計画増産というものは非常に危いぞ、政府がそこまで年度計画を業界に示して実施させようとするのなら、万一貯炭ができた場合においては、生産、消費の需給調整のようなものを確立しておいて、そこで政府の責任においてこれを解決するということをしておかなければ安心はできないぞ、万一そういう場合にはどうされるつもりかということを、速記録を見ればわかるが、私は口をすっぱくしてお尋ねをしたのであります。ところがこれは大丈夫です、必ずそれは消化をされていくと信じています、ということを歴代の通産大臣は答弁をしておるのであります。ところが昨年は五千六百万トン指示されたものを、非常に貯炭が累積してくるので、これは危険であるというところから政府もあわて、業界も不安を感じて、四千八百万トンしか掘っておらぬのに、千二百万トンの貯炭になっておる。こういう状態を私は真剣に考えてもらわなければならぬと思うのであります。そこで一体そういう結果から出ておる今日の貯炭、今日の炭界の不況に対して大臣が今楽観的な見方をされ、きわめて軽く答弁されておる点は、何といっても承服できない、こういう点に対してもう少し、あなたの時代ではなかったけれども、あとを引き受けられた通産大臣としては、当然あとのしりぬぐい、解決ということと、今後の対策については真剣にお考えになるべきであると思うが、この点に対してどうですか。
○池田国務大臣 石炭対策につきましては真剣に、しかも通産省の行政のうちで一番これに力を入れておるのでございます。しこうして、ただいまの千トンを越えまする滞貨の問題につきまして、これも考えておりまするが、私の見るところでは、貯炭がなくなる、あるいは二カ月なり一カ月半ぐらいの貯炭になるのではないかという、甘いかもわかりませんが、私はそういう希望は持っておるのであります。しかしだからといって、私は今のままで漫然と、夏枯れを過ぎれば通常貯炭になるということで安心はいたしておりません。そういうことも考えられるし、また石炭の全体の対策といたしましても、今後いろいろの点を尽していきたい、こういう気持でおるのであります。
○伊藤(卯)委員 どうもあなたの答弁を伺っておると、きわめて問題を軽くそらして扱おうとされておる点は、私は非常に遺憾にたえません。というのは、あなたがお考えになっておるようなそういう軽い炭鉱界の現状でないことを私は身をもって体験しておるからでございます。そこでやはり今後の対策として、たとえば今までのようなやり方では私は解決できないと思うのであります。そこで私は今多くを取り立てて責めようとするものではなくて、今後の対策を確立してもらいたいということを主として熱望するから伺っておるのであります。そこで今後の対策としては、やはり日本に総合エネルギーの国策というようなものを確立する必要があるということを考える。というのは、たとえば油の輸入をどの程度にするか、あるいは水力電気あるいはガス、石炭、こういうようなものを総合した日本のエネルギー対策を立てなければ、行き当りばったりにこれを放任しておいたのでは収拾がつかない状態が出てくると思う。そこでわれわれが想像してみても、今後十年、二十年の日本の経済の動きを見れば、人口とともにおそらく十年、二十年の後には日本のエネルギーは二倍、三倍も必要とされるであろうことを想像する。そうすると、石炭を現在の程度にとどめておく、あるいは五千万トン以下にとどめておくということになるなら、その大部分は外国から輸入される油、外国から輸入される強粘結原料炭に依存をしなければならぬということになると思う。しかも御存じのように日本への輸入の油会社は日米合弁か、イギリスのシェル会社との合弁か、この外国資本との合弁によるものが、日本への油の大部分を握っておるのであります。こういう外国資本によるところのエネルギーあるいは原料炭の生殺権を握られておって、国内にあり余るところの石炭を圧迫するままに放任しておいてよろしいか。特に原料炭のごときは日本の買い手においてはことごとく弱粘結か強粘結かの原料炭である。しかも製鉄初めその他の従来強粘結を使っておったところも弱粘結でもよろしいというふうに、今日原料炭の使用方法においては近代化してきておる。こういう点からわれわれは考えるなら、やはり日本にあるところの石炭に主として燃料、原料の基本を置くべきではないか、外国ものにのみ依存しておるということは日本の基幹産業の上から見ても、日本経済の上から見ても非常に不安定であり、危険であるということをわれわれは真剣に考えてみなければならぬと思います。そういう点からしても、総合エネルギー対策の一環としての石炭というものを年度計画においてどの程度必要とするか。エネルギーを二倍、三倍に必要とする点において、どの程度この計画の上に立ててやっていくかということは私非常に重要であると思う。そういう点からエネルギーの総合対策に対する一つの国策を樹立して、あらゆるエネルギーの総合確立をしていくということこそが、私は日本経済の上にとって非常に重要な使命であると思うが、こういう点に対して大臣はどのようにお考えになっておるかお伺いしたい。
○池田国務大臣 考え方といたしましては伊藤さんと同じでございます。御承知の通りエネルギー革命と申しまするか、最近の原油あるいはガスの需要というものは非常に旺盛になって参りました、従いまして石炭との価格の比重がかなり変って参ってくるのであります。しかし現在でもなお熱原料のうち四五%くらいは、やはり石炭が占めておるのであります。先ほど申し上げましたごとく国内の重要な資源であり、経済的にもまた社会的にも大切なことでございますから、できるだけ日本の石炭鉱業を合理化いたしまして、たくさん掘り、しかも経済的に立ち行く競争のできるような基盤を作らなければならぬと考えておるのであります。何分にも重要な問題でございまして、あれこれと研究はいたしておりますが、まだ結論に達しておりませんので、ここで非常になまぬるいような返事で恐縮でございますが、自分といたしましては各方面のことを検討いたしまして結論を出そうといたしておるのであります。
○伊藤(卯)委員 なるほど石炭が油と比較をして、まさにカロリー当りに高いということは事実です。また便利の点からいっても、石炭より油なりガスを使う方が便利であるということは申すまでもない。そこで油、ガスと競争させるためには、どうしても石炭炭価を下げなければならぬということは至上命令といってもいいと思うのです。そこで政府は五、六年前から石炭の能率をもっと上げる、それから炭価を下げるということについて百何十本かの縦坑を掘って、これによって能率を大にし、一人当り十二、三トンのものを十八、九トン以上に上げる、それ以下の山は整備する、こういう方針を立てられて莫大な国家資金をこの縦坑につぎ込まれたのであります。われわれもまたこれを了としていたのであります。ところがその後五年も六年もたって、しかも計画の上に十八トンも二十トンもなっておらなければならぬのに、依然として十四トンとちょっとである。この計画はまさに成功しておらないのであります。従って炭価の点においても安くなっておりません。今炭価が安くなっておるといわれるなら、それは経営合理化の上から安くなっておるというより、むしろ貯炭がたくさんできて、そういうところから需要家からたたかれて、背に腹はかえられぬというので、安く売らざるを得ないというのが今日の石炭の非常な悲観すべき状態であることは申すまでもない。 そこでそういう長期計画の上に立てられた計画が、能率の上においても、炭価の上においても実現をしていないのである。また今日を見ても、将来に対してもなかなか困難であるように思う。こういう点に対して、どういう点にその成功していないものがあるかを、おそらく事務当局の方から大臣はお聞きになっていると思うが、どういうことをお聞きになって、それを将来に対してどう打開しようとしておられるか、一つお伺いしたい。
○池田国務大臣 今のお話の通りになっておりまして、政府も相当の金をつぎ込んだのですが、石炭は今数年前よりも上っておるという状態でございます。われわれは月一人十八トンということを期待しておりましたが、今十四トン弱という状況でございます。これは何に原因しておるか。いろいろの問題がございましょうが、私はその最も大きい問題は労使関係がうまくいっていない点にあるのではないか。先般もある機会に、労使関係がうまくいって、少くともイギリスまでにはいかないとしても、ドイツあるいはフランスのごとくいって、一人二十三、四トンも掘れば炭価が相当下ってくるのではないか。しこうして、そういう目安がつきますならば、前にもお話しの、失敗でございましたが、私といたしましては、重要産業でございますから、そのための資金は何とか工面したい。そこで労使関係がうまくいって能率の上ることを期待しつつ、今考慮をめぐらしておるのでございます。
○鹿野委員 関連。この際ちょっと大臣に承わりたいのですが、石炭問題は現在非常に大きな問題であり、大臣のおっしゃる通り、合理化をして値段を安くする、これが私は一番の問題だろうと思いますが、ただこの際もう一歩踏み込んで、合理化をするためには労使の協調という問題があるけれども、結局雇用の過剰ということが根本なんです。これは石炭だけでなく、日本経済全体にわたるところの根本問題ですけれども、その一面が今石炭鉱業の面に非常に行き渡ってきたわけでございます。この際もう一歩踏み込んで、これを合理化するために、石炭企業界から過剰労働力を間引く作業をしなければならないのではないか。しかし、間引く場合に、職のない、働く場所のないのに間引いてしまうということは不可能なわけですから、そこに喜んで職場転換ができるような施策をやることが、私は政治じゃないかと思うのです。私は日本経済の根本的な解決の問題はそこにあるのではないかと思うのですけれども、この際大臣のお考えを承わっておきたいと思います。
○池田国務大臣 その点は大手炭鉱もそういう気持を持ちまして、たとえば三井におきましては六千何百人の退職希望者を募り、また三菱、住友、あるいは古河、雄別におきましても、経営者がこの程度の離職を願って募集しているような状況でございますが、何分にも三井炭鉱にいたしましても六千数百人の人に対して千人余りという状態でございます。われわれといたしましては、炭鉱の合理化につきまして人員の整理ということも一つの要素と考えておるのでございますが、今政府が直ちにこうしろ、ああしろということを言うわけには参りません。しばらく両者の出方を見たいと思います。しこうして離職者に対しましては、お話の通りあらゆる手を尽して、これに職を与えるよう対策を考えていきたいと思っております。
○鹿野委員 それは石炭の経営者がどう考えようとも、また余った労働力をどこにも転換するわけにはいかぬので、そこが政府として考えていただかなければならぬ問題じゃないかと思うのです。もちろんこれは非常にむずかしい問題でありまして、通産大臣だけでやれることとは思っておりませんけれども、あなたのような実力のある通産大臣が、やはりこの際こうしたことに大いに一つ関心を持っていただいて、根本的にどうすればいいか、すなわちこうしたことを解決するには、私は日本経済の焦点として取り上げらるべきものは、雇用の拡大ではなくて雇用の創造である。いわゆる経済の拡大によって雇用の拡大が結果されるということは、アメリカとかドイツとかイギリスとかいうような国々においては、この循環は行われるけれども、日本のようなところではこれは行われない。経済の拡大をするためには余った労働力をどうするか、こういう問題が起ってくるわけですから、どうしても雇用の創造というワン・クッションを一つ作って、しかる後に合理化へ入っていかなければならないのじゃないかと思うのです。これは相当の決意を要しますけれども、しかし私たち自由民主党としても、この問題をほんとうに根本的に考えなければならない段階にきておると私は思うのです。ことにあなたの言われる賃金二倍論あるいは国民所得倍加というようなことを実現いたします際に、私はこの問題に対する大臣の決意がなければならぬと思うのですが、この際承わっておきたいと思います。
○池田国務大臣 今結論を申し上げるわけには参りません。いろいろの産業におきまして合理化が必要でございまするが、当面の問題として石炭だけは何とか早く解決しなければならぬ、こう考えておるのであります。いろいろの対策がございます。今話がありましたように、石炭をいかに活用していくか、いわゆる技術の革新でありますか、そういう点も考えなければならぬし、また合理化のために人員整理ということも考えなければならぬ。整理をすれば続くものは彼らに職を見つけるということでございます。経済、政治の問題として取っ組んでおるのでございます。結論はいましばらくお待ち下さい。
○鹿野委員 いや、それはよくわかりますが、ただ根本問題は、結局人員整理の問題一つだと思います。いろいろなあとの問題というものは派生的な問題でございますので、この際私は大臣に石炭問題一つからだけでも、この問題を根本的に解決するという考え方に立っていただければ、日本経済全体の問題についても非常によい結果が得られるのではないかと思いますので、その点を希望いたしておきます。
○伊藤(卯)委員 今大臣から、結局能率をもっと高めて、炭価を下げるためには、労使関係が一番重要な問題だと言われた。それはその通りです。そこでわれわれが炭鉱の大手、中小を問わず、炭鉱経営者から意見を聞いてみますと、どうしても合理化をやらなければならぬ、近代化の設備を拡大していかなければならぬ。その結果はやはり人員整理の問題が当然出てくる。ところが今のままに放任して、その人員整理の問題等はお前たちでやれと政府から言われただけではやれぬというのは、何千人という人間をそれぞれ炭鉱から整理をする、そうするとこの整理された人員は行く先がないのであります。従って労働組合はこれは生死の問題としてこの戦いをする。また労働組合としては、組合員の多くが当てどもないのに首を切られてどうすることもできないという状態であるなら、私はやはりあらゆる手段を講じて、この首切り反対の戦いをやるのはやむを得ないと思うのです。そこで経営者側から要望しておるところは、政府が指示しておる通りにやれば当然多くの人間を整理しなければならぬ、そこでそれならばその整理される人員について政府が次の配置転換、就労に対して責任を持つということを明らかにしてくれなければ、自分らはやれないと言っておる。それは大臣もお聞きになっておられるだろうと思うのですが、先日南委員を団長として中村委員長等とともども私ども同行して、この炭鉱の実態調査をしたのであります。ところが石炭鉱業臨時措置法によって非能率炭鉱の買い取られた山で、われわれはこれを十分見聞きをしたのです。これは青空生活と言っておる。なぜ青空生活と言うかといえば、もう山は買い取られて、従って社宅とかそういうものは事業団のなにに移っておる。従って修理などはしないのである。水道もない、電気もない、屋根はこわれほうだい、しかしながら行くところがないからそこに住んでおるというので、これを青空生活と言っておる。けさの新聞などを見ると、まことに悲惨な状態で見るに忍びないというので、九州大学あたりの家庭の主婦の人たち、そういう人たちが同情をいたしまして、そうして黒羽根運動というものをやる。というのは、石炭を象徴する意味において黒い羽根を作って、これを五円、十円で売って、これで一つ多くのそういう人々を救済しようという運動を展開することになっておる、こういうことが出ておる。これらはまさに政府の政策として、あるいは石炭の国策としてやられた、その結果大多数の人が失業してしまって、行くところがないということ、こういう点から実は買い取り法が出されたときもわれわれは、この多くの出てくる失業者をどうするかという問題について、ずいぶん論議をしたのであります。また先般百万トン追加買い取りをするというときにも、われわれは失業問題で論議をした。これは閣議においても失業問題の解決があいまいであるというので、これが何べんか延ばされたことを私は聞いておる。ところが事務当局の方ではこれを何とかつじつまを合わすような資料を出してきて、これならよかろうということで法案を、われわれは反対であったが与党の諸君はあえてこれを押し切ったのです。そういうふうにしてやった。ところがこれは一例をあげますと、西田隆男君が労働大臣をしておったころ、この買い取り法が出された。今それだから川崎というところに――これは川崎線と言っておりますが、国鉄がこの新設線に人間を五百人あるいは八百人、千人使っていくということを言って、それから遠賀川改修、鉱害復旧、その他こういうものに使うと言って、こまかい数字をずっと出した。この間南団長初め私どもが行っておったときに、何千人も使っておらなければならぬ川崎にたった三人しか使っておらない。これはみんな請負人が自分の連れてきた労働者に仕事をさせる。炭鉱から首切られた労働者を使わない。こういうところから従ってこの失業者は使われておらぬのであります。こういう点はまさに通産省なり労働省なり運輸省なり、こういうところとの連絡が不十分である、こういうふうになると私は思う。そもそも政府の諸君は、法案を通すためにはあらゆる資料をたくさん出して、そうして岸さんじゃないけれども、そつのないうまい答弁をして、熱意を込めて法案を通す。法案が成立してしまったが最後、この責任の所在はどこにあるかわからぬ。これははなはだ遺憾である。これは与党とか野党の問題じゃない。行政の府の者が立法の府の者を常にごまかして法案を通しておる、あと責任を持たないということは、私は立法の府の者として、与野党を問わず行政府に対して――許せない問題であてる。大臣は今、行政府の長官であるけれども、立法府のものの一人であることも間違いない。こういう点に対して事なかれで事を済ますということは許されない。特に通産省の政府委員の諸君には私、強く苦言を呈しておく。こういう無責任なことでは許されぬ。 そこで話は別個のこまかい方面になりましたけれども、今申し上げたように、やはり炭価を下げるために合理化しようとすれば、どうしても出てくる失業者に対して政府が責任をもって処置してもらわなければやれぬと業者は言っている。そういうところから、われわれもこの間一緒に南団長ともどもに行ったのは住友忠隈炭鉱です。これはもう老朽炭田になったので、新たな小山のやっておった鉱区と交換をして、そこへ二千人からの人間を二年間のうちに全部配置転換をして持っていく。老朽の方は小山に譲って、それは小山式にやらす。こういうことで、こういうところは非常に明るく配置転換が行われておる。老朽炭田の鉱区の整理統合をしてやれば、こういうやり方も一つある。それからまた五十年、百年先になっても新たには掘らないというほどの鉱区を持っておるところがある。こういう鉱区に対しては、政府がある期間を切って、この開発をせなければその鉱区は国家が接収する、開発するか、接収されるか、どっちにするか、こういうことで、新たな鉱区の開発を命じて、そこに合理化、近代化された最も能率の上るような施設をもってやらす、そういうところに整理したところの人員を配置転換をしていくというような方法なら、これは炭鉱労働者も喜んで私は配置転換に応ずると思うのである。そういうことを政府がこの問題を解決するために一つの計画を立ててやれば、私は大いにやれると思うのである。それでもなおかつ、ある期間やれないというものは、他産業に配置転換をさせる意味において、国が職業再訓練のようなものをもってして、そして今度ほかへ転換をさしていく。これならまた炭鉱労務者も納得すると私は思うのである。ところが今のように鉱害復旧に、あるいは河川改修に、あるいは何かという自由労務者にして、何カ月かの臨時仕事、あとはどうすることもできない。この間伊豆災害のあれに何十人か来た。ところがこれも住むところもないということで結局引き揚げてきた。どこへ行ってもだめだぞというようなことが伝わって、もう行かないということになる。やはり家族とともに配置転換して定住してやれるということを考えてやらなければ、これはできぬのです。だから、こういう点も大臣は御存じなかろうから、特にあるがままの実態を私は今あなたの耳に入れようと思って、声を大きくして言っておるわけである。従って、この買い取り炭鉱のそういう悲惨な諸君のおること、これらに対してどうするかという問題。それから合理化をして炭価を下げるという問題、この問題については今申し上げるような対策を立てなければ、業者はやれぬと言っているのである。こういう点に対して、一体どういうようにこれらの解決をして将来に曙光を見ようとしておられるか、この点について一つあなたの石炭に対するところの対策というかお考えをお聞かせ願いたい。
○池田国務大臣 初めの失業問題で、法案を通すときにいろいろ言ったけれども、あとはどうもなっていない、そういう点は私はあり得ると思います。またあったそうで、これはまことに申しわけない。だからやはり国会の方々に行政監察をしていただきまして、そういうことのないように一つ事前に事後に御監督を願いたいと思います。今後は私としてはそういうことのないように努力いたしたいと思います。 なお鉱区の整理でございますが、これは一つの説として、老朽炭鉱のうちにまだ相当開発できる有望炭鉱もあるということも聞き及んでおります。一括してどう考えるかという問題は、石炭鉱業の将来ということにつきましての一つの問題だと私は考えます。ただ個々の鉱区を取り上げて、そして新たにまた開発するといっても、これまた時間もかかることでございますし、所有権の侵害等々がございますので、私はそういう個々の問題よりも、田川地区のいろんな鉱区をどうやるか、全体として業者の意見を聞いてみたいという気持を持っておりますが、まだこれは具体的にどうこうというところまで行っておりません。有望な未開発鉱区もありますし、またその隣にはどうもこうもならぬ老朽炭鉱もあるというのが、今の北九州田川地区の問題でございますので、これは遠賀川の改修あるいは粉炭の処理等々とあわせて研究すべき一つの問題だと考えておるのであります。ただ、今の狩野川の問題も聞いております。お話の通りに非常にむずかしい広範にわたる問題でございますが、私といたしましてはとにかく石炭がこれでまあ大体格好がつくというところまでは、早急にいたしたいという気持で検討を加えております。
○伊藤(卯)委員 時間の関係がありますから、あと一点だけお伺いしまして、同僚多賀谷委員に譲りたいと思います。 先ほど大臣が言われておったように、石炭と油の問題は日本だけではなくて、全くアメリカ初め欧州各国、世界の問題です。いずれの国も油が石炭を侵蝕して、そこでその対策にそれぞれの国が非常に苦労しておるのが世界の姿です。そこでわれわれいろいろ勉強してみまして考えるのは、基幹産業、特に石炭、油、こういうものについて日本のように自由放任、野放しにしておるところもまたちょっとない。やはり何らかの形でこれを計画するか、統制するか、あるいはある期間保護対策をもって処理しておるか、何らかの形をとっております。日本だけが自由放任、野放しである。この点はやはり日本でもこういう基幹産業、重要燃料資源、原料についてはある計画というものの必要性を私は考えるので、先ほど総合エネルギー国策の問題を申したのですが、そういう点から、やはりこれらの点においては、何もよそでやっておることをまねるという意味じゃないが、何といっても基幹産業が野放しということは、絶えず不安と混乱に陥ることは間違いないのですから、この点については十分各分野においての計画をはっきりして、そして国策として行なっていくという必要が私はあると思う。 それから石炭の需要度の問題ですが、なるほど油と石炭と比較をしてみますと、石炭の生産地においてはカロリー当りにして油より石炭の方が安い。北海道においても、常磐においても、山口においても、九州においても安い。ところがああいう目方の最も幅のあるものは、これを関東なり関西なりという方面に輸送してくるので、輸送賃で高くなる。従って私はこの輸送地に運ばざるを得ないものについては、鉱石と同じように石炭専用船のようなものを作って、輸送賃を安くしてやるということも一つの対策だと思う。それから最近においては低品位による火力発電が、常磐においてもその他においても成功しておるところから、今度北九州においてもこれを作ろうとしております。それからまた特にガス化の問題も、坑内でガスを取れば爆発の危険性を防止すると同時にそのガスを工業に使う、そういうことも相当あっちこっちやられてきております。だから私は石炭の生産地方にいろいろ考えれば、これを燃料原料とするところの工業があると思う。こういうことについてもやはり私は国として、ああいう運賃の高くなるものをなるべく遠くへ運ばないで、その地方において消費さして、日本の工業に貢献させるというやり方がいろいろあると思う。こういうことを考えてやられるということも、これは国として大事じゃないか。今までほとんどこういうことを総合的に考えられてきておらぬのです。特に石炭の持つ重要な役割の一つとして、池田さんが大臣をしておられるときに、こういうことについて一つ思い切って何されるのなら――さっきから出ておったように、党内において池田さんは相当政治力があるのだからと世間も評価しておるのだから、その評価を大いに現わす意味においてよい案を作ってもらいたい。 それからさっきも意見が出ておったが、あなたの月給十年間二倍論は、石炭は全然逆コースです。逆ですよ。二倍論は石炭の方だけは逆コースでもかまわぬというなら、あなたの二倍論がくずれていきますから、二倍論をほんとに実行しようとするならば、もっと悲惨な状態に陥っているものをあなたが解決されるところにあなたの二倍論というのが生きてくるし、お手並み拝見ということにもなりますから、こういう点を考えて私はやってもらいたいと思う。 いろいろまだありますけれども、時間の制限がありますから、以上質問をかね私の意見も加えまして終ります。
○池田国務大臣 お話の点全く同感といわざるを得ない。まず問題は特定の輸送船を作るという問題でございますが、これはやはり今の中小船舶等もございますし、機帆船等の問題もございますのでなかなか一時にどうこうというわけにいきません。しかし山元ではフランス、ドイツと値段は同じでございます。ただドイツ、フランス等は石炭の山近くに工場があるというので非常に助かっておる。日本はそれが違いますので、今お話のように渋滞化等につきましても、通産省といたしましては十分検討を続けておるのであります。何分にもエネルギーの消費量というのは、国民の所得とちょうどマッチしておるのであります。アメリカの国民所得が日本の八倍、エネルギーの消費も八倍、ドイツが三倍、イギリスが五倍、フランスが四倍という、国民の所得とエネルギーの消費というものがマッチしておるのであります。われわれはこういう点から見ましても、今日本のエネルギーの四割五分を占めておる石炭につきまして、これを上げることが所得二倍のもとになると私は考えて、できるだけの努力を払いたいと考えております。
○中村委員長 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 私は今日の石炭の非を招来した原因を、ここに再検討いたして方策に資したいと思います。 まず第一には、昭和二十九年、三十年の大不況を経てエネルギーの消費構造が変化をして、固型エネルギーより流体エネルギーに転換しつつあり、石炭市場の開拓が当時から叫ばれておったにもかかわらず、その後政府並びに経営者において十分な方策が立てられなかったところに、一つの原因がありはしないかと思います。第二は、石炭鉱業は本来生産に弾力性がなく、景気変動に非常に脆弱であるといわれておる。ところがそれだけに需給計画というものは、きわめて綿密に立てられなければならないにもかかわらず、歴代の政府の需給計画というものが非常にずさんであって、そのそごが業界を混乱に陥れておるということを私は否定できないと思います。これは昭和二十九年愛知通産大臣のときも、最初四千八百万トン必要であると言われたのが四千六百万トンになり、四千二百万トンになり、また前尾通産大臣のとき、昭和三十三年度の需給計画は五千六百万トンであると言われた。これは昭和三十三年四月、本院における本委員会においても昭和三十三年の四月、三十三年度に踏み切っておったそのときでも五千六百万トンは必要である、こういうことをお話しになっておる。私はもうすでに業界あるいは新聞では、五千六百万トンというものはくずれておるように聞いておるけれども大丈夫ですか、こういう質問をいたしました。ところがいやそれは大丈夫だ、であるから、もしくずれるようなことがあれば重油で調整をするということを言われておる。これは速記録にはっきり載っておるわけです。しかし昭和三十三年度の四月といいますと、昭和三十二年の五月から公定歩合の引き上げがあり、金融引き締め等があって、産業界は神武景気が解消されて、一般産業は非常に不況になっておる。石炭だけが高原景気に酔っておる。しかも三十二年の下半期を経て、三十三年に入っても五千六百万トンが必要である、こういうような認識であるところに、私は今日の事態を招いた原因があるのではないかと思う。それが証拠には昭和三十二年自体でも千三百万トンからの貯炭になっておる。そうしてあわせて昭和三十二年度末には七百五十万トンの貯炭をかかえて三十三年度に乗り込んだ。その三十三年度の初頭において五千六百万トン必要であると言うのですから、私はこういう認識が非常な混乱を招いた原因である、こういうように考えております。 第三には、豊渇水により――一割の豊渇水が三百万トンの電力用炭の必要性に影響がある、こういうことで、豊渇水が石炭事情に及ぼす影響については十分考えて、これは何らかの調整指導機関が必要であるということは、識者も指摘いたしましたし、われわれも何回となく述べた。ところがこれについていまだに何らの方策を見ていない。こういうこともやはり原因の一つとしてあげることができると思います。第四には、基礎物資であるにもかかわらず価格安定政策というのが全然とられない。合理化法案にはなるほど標準価格というのがありますけれども、合理化法案の標準価格がいつごろきめられたかといいますと、その当時の十二月に標準価格というものがきめられておる。もう上半期も終って下半期も終らんとする十二月に、その当時の標準価格というものがきめられておる。こういう情勢です。これは現実そういう扱いをされておる。一体こういうことでは需要者の方も迷惑でありますし、生産者の方も非常な困った状態になって、結局市場の開拓を狭めるという要因になっておる。でありますから、このこともやはりわれわれとしては考えざるを得ない。これと同じように流通機構の複雑化が、その価格変動に著しい拍車をかけておる。このことの検討もやはりされなければならないと思うのです。第五には、生産体制の確立ということがいわれながら実際には行われていない。そこで生産の集約化、適正規模の炭鉱を再編成するということが盛んに主張されたけれども、結局は何もなされていない。こういうところにもその問題があり、しかも合理化法案によって買い上げられた炭鉱の炭量よりも、その後許可をいたしました坑口の炭量の方が多いという状態になってきておる。しかもその申請許可をいたしました坑口が優秀な坑口であれば、私は言いません。ところがこれがみな小規模の非常に貧弱な坑口が許可されておる。こういう状態になっておる。でありますから合理化法案そのものが精神に沿わない運営がなされておるということにも原因があると思います。 それから次に第六といたしましては、炭鉱のもうけた利潤というものが、私は率直に言って炭鉱自体につぎ込まれなかったところに、やはり原因があるのじゃないかと思うのであります。と申しますのは、最盛期の炭鉱、若い炭鉱というのは鉱害費一つ取り上げましても、一層掘ったときには鉱害は地上には出ません。二層掘ったときにもあまり出ない。三層掘った場合には三倍、三層分の鉱害が出てくる。ところがそれについて一層掘ったときも二層掘ったときも、何らの鉱害の補償積立金というものがなされていない。三層目に初めて全部の鉱害をかぶらなければならぬという状態になっておる。このことはやはり坑道が延び、あるいは湧水量が多くなった場合にも同じことでありまして、だんだんだんだん追加投資に従って利潤が少くなってきておるという状態、これは炭鉱特有な状態に対する対策がなかった。そうして若い炭鉱の時代、あるいは壮年期の炭鉱の時代の利潤というのが、あるいは一般の化学工場に、あるいはまたセメント工場にどんどん投資をされてきておった。でありますから炭鉱自体は常に今まではむしろ安い石炭を売り出しておった、こういうことにも原因があるのではないか。西ドイツのように、みずから発電をし、みずからコークス工場を起しておるというところには、やはりこういった景気変動に対するいわば抵抗力ができておったのではないか、こういうふうにも考えられます。ここにも原因があると思います。 第七には、労務政策にやはり問題があったと思います。これは若干大臣と私は観点が違うかもしれませんけれども、とにかくコストのうちに労務費が五〇%を占めておる。こういうことは厳然たる事実であります。しかしこれは日本だけではなくて、イギリスが六四%程度、あるいはアメリカは六六%程度、あるいはフランスがやはり六六%くらい、日本と同じくらいなのは西ドイツ程度でありまして、コストに占める労務費そのものの割合は、決して日本は多くないと思うのです。ところがこの労務費の低下というものは、確かに資本家にとっては超魅力がある。ここに重点的に労賃低下の政策がなされた、こういうところに今日の労使関係が紛糾する一つの原因を作ったのではないか、こういうふうにも考えられるわけであります。あるいはまた常に生産の調整を人員の雇い入れあるいは解雇によって行なった、こういうところにも非常な摩擦を生じた原因があると思います。昭和二十八年の四月から三十年の三月まで、十一万二千名の人が首を切られており、その後また三万数千名の人が雇い入れられておるという事実、また再び首切りが行われようとしておる、こういうところにやはり経営者の労務政策の欠如があるのではないか、こういうふうにも考えられるわけであります。こういう原因をわれわれが考えてみますと、要約するならば、今日の石炭の危機を招いたのは、それはエネルギー革命とも言われる流体エネルギーの勃興は当然ですけれども、しかし政府並びに経営者の無為無策、ここにも私は起因しておりはしないか、こういうふうにも考えるわけです。そういうことを前提にいたしまして、私は二、三点大臣に質問してみたいと思います。 第一の生産体制の集約化、この問題についてお尋ねいたしたいと思います。ドイツは第一次大戦後にむしろ切羽の集約をやりました。そうしてドイツの石炭歴史における最繁栄の時代を作ったわけですが、これは主として切羽の集約によって行なった。フランスは第二次世界大戦後は坑口の集約化をやって、適正規模の炭田に再編成をしてやる、すなわち石炭の合理化というのは規模の集約合理化を行なった、ここに合理化の成果を見るようになったと思います。イギリスにおいても、イギリスは土地所有権と鉱業権とが不可分の関係にある、こういった歴史的なものを持っておりましたために、小規模炭鉱が非常に多くできましたから、それを国有という形で整理した。これもやはり適正規模の再編成の現われであると思います。そこで私は生産体制の確立というのは鉱区問題を除いてはできないのじゃないかと思うのです。鉱区問題にメスを入れなければ結局いかに機械の導入をはかろうとしても限度があるのではなかろうかと思う。これは資本主義の国でもできないことはないと私は思うのです。われわれが唱えるような社会主義的な政策を織り込まなくても、観念はあるいは社会主義的になるかもしれませんが、本来の鉱区というのは、これは国民のものなんですから、やはり先願主義によった鉱区の再編成ということが必要ではないか。もちろんそれを一挙にやりますと非常な摩擦が起るでしょうけれども、少くとも一方においては三百年もの鉱区を持っておる。隣はもう鉱区がなくて困っておるという状態。あるいは筑豊炭田において中小炭鉱がその鉱区の四三%が買い上げの対象になるけれども、そのかえ鉱区がなくて、全員解雇しなければならないという状態、こういうことは政策のいかんによっては、他に新しい鉱区を見つけて、中小企業で共同して開発できるのではないか。そうしてその労働者の大部分を吸収し得る方策があるのではないか、こういうように考えるわけですが、第一の生産体制の集約化について大臣はどういう御意見を持っておられるか、お聞かせ願いたい。
○池田国務大臣 大へん重要な問題で、私はそういうことを研究はいたしておりますが、結論は申し上げられません。
○多賀谷委員 今日アメリカを除く諸外国は、西ドイツはみずからが業者の手によってそういう集約化を行いましたけれども、大部分はやはり鉱区問題というものの改革を行なっておる。これがイギリスやフランスにおけるやはり制度の改革になって現われておると思うのです。ですから私たちは今あなた方の政権ですぐ国管とかいうことは言いません。しかし鉱区問題というのは、やり方一つによっては自民党政権でもできないことはないと思うのです。これについては一つ十分御考慮願いたいと思います。ソフレミンの報告書もありますけれども、その基本はやはり適正規模の炭鉱の再編成、これなくしてはなかなか困難ではないかと思うのです。たとえば先ほど伊藤委員の質問に大臣答えられて、労使関係をうまくやらなければ、その生産能率は上らないのだということがありましたけれども、九州の明治以来最もよく石炭が出たときの能率は、労働者一人当り月十七トン。当時は十時間労働です。そういたしますと今日の八時間労働に直しますと十三・六トンですね。昭和三十二年の九州の月一人当りは十三・五トンです。ですから今のような状態で労働者が働かぬ、働かぬと言いましても限度がある、こういうことも一つ考えてもらわなければならないと思うのです。実際十時間労働で十七ドン出ておるのですから、八時間労働でありますとやはり十三・五トン出るのは、これは大体同じ。しかも労働組合もなかった戦争中に、働け働け、こういった時代、石炭一かけらが血の一滴だといった時代もそうです。だからやはり労働者の協力にも限度があるのではないか。でありますからその点を十分考えていただかなければ解決ができないのではないかと思います。 そこで次の問題ですが、需要の拡大について、最近新聞でも一般炭のガス化方式、さらにパイプ・ラインの輸送、こういうことが載っております。さらに低品位炭の産炭地における発電所の建設、これも載っております。この点については、もう明年度でも予算を組まれてやれる方向に行っておるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
○池田国務大臣 明年度やれるかと申しましても、これは経済的の問題、技術の進歩の問題もございますので、われわれとしては先ほど来申し上げましたごとく、流体化の研究には十分力を入れてきておりますし、また今後もっと力を入れたいという考えでおります。
○多賀谷委員 低品位炭の活用は、これは技術的にも大体終っておる。あとは発電所を作るかどうかという問題であると思います。でありますから、これは電力計画の中に入れていただけば、私はできる問題であると思います。そうしてその融資をつけていただけば、私はできる問題ではないか。これは池田さんのそれこそ政治力に待つものが非常に大きいと思います。 もう一つの、一般炭のガス化の問題は、これは昭和三十年ごろから言われておるわけですね。言われておりますが、わずかに川口の工業技術院の試験所で細心研究をされておる程度でありまして、その後一向進捗をしていない。しかしながらルルギー方式はもう一応実験としては完成されておるということでありますし、南アその他の国においてもやっておるのですから、私は一つ踏み切っておやりになったらどうかと思うのです。かつて合成ゴムについて日本合成ゴム株式会社というのを興して、これは数年間は危険があるかもしれない、そこで危険負担として政府が出資をされて、特殊法人でお進めになりましたけれども、私はこういう方法だってあると思うのです。でありますから、一応若干の危険負担が予想されるならば、出発はそういう特殊法人で出発されて、そうして一応これが大丈夫だということになれば、安心して他の企業家も行うでしょうから、そういう方途を講ぜられたらどうか、こういうふうに考えるわけですが、大臣どういうふうにお考えですか。
○池田国務大臣 研究題目として続けていきたいと思います。
○多賀谷委員 次に、電力用炭の調整の問題でございます。昭和三十三年度におきましても、四百数十万トン電力用炭が計画よりそごいたしまして貯炭になって現われました。この問題はもう毎国会とも議論されておる問題であります。ですから、電力用炭の共同調整機関をどうしても持つべきであるということをわれわれは主張いたしましたし、前尾通産大臣時代には、共同貯炭場と長期計画ということを必ず推進するということでありましたが、共同貯炭場の話も消えましたし、その後何ら方策がとられていないように聞いておる。これは私は率直に言いまして、生産性に弾力のない石炭鉱業が、それでも景気変動に弱いのに、なお自然条件によってそれが変るということでありますと、私はなかなか生産者側にも計画的な出炭はできないのじゃないかと思うのです。計画的な出炭ができないところに長期計画はあり得ません。でありますから、私は、長期計画がなおざりにされて、業界の方ではできるだけ石炭から逃避したい、ことにその企業が他のセメントや化学を持っておる場合には、なおさら石炭から足を抜きたい、こういう意向が非常に濃厚のようです。これでは、私は、国内の最大のエネルギー資源である石炭鉱業というものは発展しないと思う。ですから、電力用炭の調整というものについては、格段の努力を政府で払っていただきたいと思うのですが、どうですか。
○池田国務大臣 この問題につきましては、最近の貯炭がふえた場合において、電力業者がかなり石炭業者と話し合いまして、金融のつく限り、また特に他の業種ともはかり合って、できるだけ電気関係業者がたくさんストックしようという方向で進んでおります。話し合いもうまくいきつつあると思います。
○多賀谷委員 私が聞きましたところでは新聞では、話はこわれたということを見たわけですが、これはともかくといたしまして、私は制度的にやはり解決してやる必要があると思うのです。ただ話し合いだけではいけないと思うのです。日本のような水力が今まで多かった国においては、よそに見ないこういうアンバランスができておるのですから、私は制度的に解決してやることが親切じゃないかと思うのです。ただ話し合いなさい、話し合いなさい、利害関係の違うものを、話し合いなさいだけではいけないと思う。これは私は電力会社が悪いというわけではありませんので、少し景気がよくなれば、どんどん炭価をつり上げた石炭会社にも大いに責任があると思う。しかし私は、これは制度的に一つおやりになったらどうか。できれば私は、電力用炭株式会社でも作って、その電力用炭の販売だけは一括してその会社で行なって、そうしてその機構が調整機関になるというようにされたら、私は今後電力用炭の伸びを考えますときに、そのことを痛感をするわけであります。政府においても私は制度的に解決される必要があるのではないかと思うのです。
○池田国務大臣 今月初め石炭業者並びに大需要者の会議がございまして、電力会社のある方は、電力ももちろんだが、セメント等大需要者で一つ話し合ってみようというふうなところまで――今月三日か四日でありましたか、そういうことで、私は制度ということよりも、やはり業者の間で話し合いをつけていけば、それが一番いいのじゃないかと思います。
○多賀谷委員 量が非常に僅少でありますと私はそういう必要もないと思いますけれども、一割上下いたしますと六百万トンから石炭に影響があるということでありますから、どうしても私は制度的解決が必要ではないか、こういうように考えるのでにありますが、さらに御考慮願いたいと思います。 次に、時間がありませんからごく簡単に申し上げたいと思いますが、流通機構の面であります。先ほど伊藤委員から輸送費の問題が出ておりましたけれども、流通機構の改革をやらなければ、現在この複雑な流通機構では、第一生産者がむだでありますし、また現在の炭鉱が不景気と言われておるにもかかわらず、東京都内の小売価格はトン一万円ぐらいしておるのです。でありますから、そのこと自体はまた、石炭市場みずからを失わせるもとになると思うのです。でありますから、流通機構を私は何とか整備をする必要があるのではないか、こういうように考えます。 さらに、価格政策につきましても、政府は、合理化法案が出ておるけれども、十二月にやっと標準価格をきめるというようなことでは、私は何のための価格政策か、標準価格か、意味をなさないと思うのです。でありますから、価格政策についてもやはりおやりになる必要があるのではないか。さらにまた、これは石炭だけの価格政策をやりましても、意味があまりないのでありまして、流体エネルギー等の価格政策を一緒におやりになる必要かあるのではないか、こういうように思うわけですが、これについてはどういう御意見でありましようか。
○池田国務大臣 石炭問題の検討の上におきまして、流通機構、運搬機構は一つの問題に相なっております。今これをどうこうするという結論は申し上げかねます。 それから、流体エネルギー全体として一つ価格政策を考えたらどうか。これは伊藤さんの御説にもありました。私は研究してみたいと思います。
○多賀谷委員 次に、私は、炭界がかなりよくなったという状態になりましても、老朽炭鉱を多くかかえております筑豊炭田は、必ずしも炭界の好況と一緒の状態にはならないと思うのです。でありますから、私は、資源が枯渇する地域、この資源の枯渇する地域には、何らか別の失業対策なりあるいは産業政策をおやりになる必要があるのではないか、こういうように考えます。そこで、それについてはいろいろ政策があると思いますが、この点はイギリスにおいてもまたアメリカにおいても、いろいろ法律が出、考慮されておる点でございますが、イギリスにおきましては、第一次大戦後に特定地域開発法案というのが出ました。その後第二次世界大戦後には工場配置法というのが出ました。またアメリカにおきましても、軍需工場がなくなったり、あるいは繊維の改革があって天然繊維の工場がつぶれたり、あるいは資源が枯渇する地域には、ああいったイギリスやアメリカのように比較的完全雇用の行われておりますところにも、地域的にはかなりの失業群を見ております。労働力の移動というのは簡単に参りません。そこで、私はこの工場配置法なり、あるいは地域開発法的なことをお考えになる必要はないかと思うのです。特に筑豊炭田の場合は、食糧も一応何とか見ます、住宅も家を建てておりますから何とかいたします、でありますから、労働者、集まって下さい、こういうことで集めてある労働者です。ことに、戦後においては、昔のように鹿児島や宮崎やあるいは四国から来るのじゃなくて、大部分が引き揚げた方々が全国的にそういう炭田地帯に集まってきた。でありますから、彼らは昔と違って、第一住宅がない、こういう問題がある。労働力の移動が全然きかないんですね。昭和五、六年ごろの不況でありますと、炭鉱が不景気になりますと、小学校の生徒も減るのですよ。それで人口も減ってきた。それは他に労働力が移動したからです。住宅が今日のように逼迫しておらなかったからです。今日はどうかといいますと、幾ら炭鉱がつぶれても人口の移動がない。小学校の生徒もあまり減らない。こういうように、非常に失業群が停滞した状態である。でありますから、こういった法律がどうしても必要ではないか、こういうように考えるわけですが、非常に有力閣僚でありますところの池田通産大臣に、国務大臣として、一つそういうことをどういうふうにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
○池田国務大臣 よく世の中では労賃格差、いわゆる賃金格差ということが非常に大きい問題として取り上げられ、われわれも大きい問題として取り扱い、できるだけ差を少くするようにいたしたい。と同様に、あまり言われておりませんが、国内におきましての地域別所得格差ということは、先般も企画庁で出しておりますように、地方によって相当違っておる。私は政治の一つの問題としてこういうことを考えなければならぬと思う。しこうして、今まで北海道あるいは東北等未開地の開発のために、いろいろな方策が行われましたが、当初のように、全体のその地方を潤す一番いい方法が行われておるかどうかということについてはなかなか考えものだ。私は先般両業界との懇談会におきましても、地下資源の開発にもっと――たとえば鉄鋼界なら鉄鋼界は力を入れてもらえぬか、これがやはり未開発地の開発になるのだ、従って、私は今後砂鉄とか、いろいろな国内資源の開発活用ということを十分はかっていって、地域別の所得格差というものをできるだけ少くするようにいたしたい。ことに、今までそこに住んでおられる方が職を失うような場合におきましては、こういう点からも産業を興すことを考えなければならぬと私は思っております。多賀谷さんの御意見、まことに私は同感を覚えるのであります。 ―――――――――――――
○中村委員長 次に、私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許可いたします。勝澤芳雄君。
○勝澤委員 新聞代の値上げに伴う独占禁止法違反の問題につきまして、少し質問をいたしたいと思います。時間もございませんので、特に要点だけを申し上げますので、抽象的でなくて、具体的な御回答を賜わりたいと思うわけであります。 七月三日に本委員会で取り上げまして、その後の委員会の審議の経過とその見通し等について、御説明を賜わりたいと思います。
○坂根説明員 七月の初めにただいま仰せのごとくこの委員会において私が答弁をいたしまして、七月中旬に委員会にお願いして決定を出していただくつもりだということを御答弁申し上げたのでありますが、御承知のように、委員長が新任されまして、いろいろ事態も説明をしておりますし、それから中村委員も外国からお帰りになりまして、大体おそろいになったところで、ほとんど連日といってもいいほど委員だけの集まりをいたしまして、本件を審議しているわけでございますが、なかなか事柄は簡単のようでございますが、法律論の構成になりますと、いろいろ各委員の意見が分れておりまして、今日まだ決定に至っておりませんことは遺憾でございますが、そういう経過をたどっております。
○勝澤委員 前会の質問の中で明確にされたことは、中村委員長代理が留守でも、この問題については審議を進められる、それが遅延している理由ではない、あるいは委員長がきまらないのも遅延している理由じゃない、こういうことを言われておったのですが、今おくれている原因は、委員長が新任されたということと、それから中村委員が帰ってきて新しく加わった、こういう立場で言われているのですが、そうすると結局この前言われたことは、やはり委員長代理が帰ってくるのを待っておった、委員長が新任されるのを待っておった、こういうことなんですか。
○坂根説明員 私はきわめて客観的にそのような事実を申し上げただけでございまして、私がこの前の委員会で申し上げましたように、それは委員長はおきまりにならぬでも、三人の委員がおそろいになればやれる、こういうことを申し上げました。もちろん三人の委員で審議を進めておられたのでありますが、その三人の委員で結論が出なかった。それで委員長がおいでになり――おいでになれば新たにやっていくわけですから、それで多少の時間のおくれが出る、こういうわけでございます。
○勝澤委員 そうすると、現在は勧告も審判の開始もされていない、こういうことなんですね。そうなれば一体どういう理由で勧告も審判の開始もされていないのですか。
○坂根説明員 それはこの前の委員会で御説明いたしましたように、事務当局の方から出ておる資料を独禁法第二条の不当な取引制限の規定とにらみ合せて、各条項とその資料とを比較検討しながらやっておられる。そうして法律論の構成の段階にきて、いろいろ各委員の間に意見の食い違いがあってその決定がない、こういうことでございます。
○勝澤委員 七月三日の委員会で、あなたは七月の中旬には大体態度の決定を出したい、こう言われておる。また当時出席された高坂委員も同様に、早急に結論を出したいと言われておる。また八日には委員長も、当席におけるあいさつの中でも、早急に結論を出すと言われておるわけでありまして、この高坂委員の場合におきましても、あるいはまた委員長は新しく就任されたからともかくといたしまして、あなたは、事務局長として長い間この問題を取り扱ってきた担当にある者が、当委員会の席上で、大体七月の中旬には何かの態度決定が出されるという見通しを立てられて、そのことはやはり十分資料が整えられて、もうこれ以上のものがなくてこういう結論を出すばかりだ、態度を出すばかりだ、こういう立場にあなたはおったと思う。そういうふうにあなたは責任ある地位におって、責任ある立場で今まで取り扱ってきて見通しを立てられた。それが今もって一月もたってわかりませんということは、事務局長として責任ある立場からの話としてどうも受け取れないと思うのです。
○中村説明員 本日は佐藤委員長が病気でありますので、私がかわって伺ったのでございますが、ただいまの御質問の点はまことにごもっともかと思うのでございます。実は私はこの前の委員会にはまかり出なかったのでありますが、私考えますのに、事務局長はそういう見通しを一応立てたわけでありますが、しかしながら委員会の運営は事務局長には責任はないわけでございまして、委員会に責任があるわけであります。でありますから、事務局長が見通しを立てましても、その見通しの通りいかないことが起りますので、これはむしろ事務局長よりも委員会の責任かと私は思うのでございます。委員会はなるほど法律から申しますれば、三人おれば委員会を開いて審議はできるわけであります。しかしそれは法律にただ合っているというだけでありまして、できるならばこういう重要問題は委員長もおり、なるべく多数の委員が出まして審議することが望ましいわけでありまして、そういうふうに各委員が意思を決定いたしますると、事務局長が一応そういう見通しを立てましても何ともならぬわけでありまして、そういう点は御了承を仰ぎたいと思うのであります。
○勝澤委員 事務局長だけでなくて、出席された当時の高坂委員も同じ立場で発言をされたのですが、結局見通しというのははっきりしておった、今たまたまあなたはこの問題がおくれている理由というのを明確にされました。それは法律に合ったというだけよりも、やはり三人よりも四人、五人の方がよいと、こういう言い方をされておる、なかなか私は微妙だと思うのでありますが、そこで、四月の七日に全国の消費者団体連絡会が提訴をされて、十六日にこれは独禁法違反の疑いがあるということで、この問題が取り上げられたわけであります。一体この問題の結論の出し方というのは、法律の上からいって、どういう結論の出し方があるのですか。
○坂根説明員 公正取引委員会が独禁法の規定によって措置をとり得る場合は、もし委員会において違反容疑が濃いとなれば、審判開始の手続、違反があれば審判開始をしないでも勧告をする勧告審決というものがあります。それからさらに、いろいろ議論してみた結果、独禁法第二条の不当な取引制限の規定に該当しない、従って第三条の不当な取引制限をしてはならないという規定に該当しないとなれば不問処分、大体その三つの措置の仕方がございます。
○勝澤委員 そうしますと、審判を開始する場合と、不問の場合と、勧告を出す場合がある、こう言われているのですが、最近伝えられている情報によりますと、この審査を中止することが、公取の内部で結論が出されているのではないだろうかということが言われているということでありますが、この事実はありますか。
○坂根説明員 ただいま申し上げましたように、決定が延びているということでございますから、その決定が延びているということからして、そういうことは一種のルーモアではございましょうけれども、公取委員会としてはまだ何ら態度を決定しておらない、こう考えます。
○勝澤委員 委員会の中でもいろいろ意見の相違があるということを言われておりますが、一体どういうふうに意見が出されているのですか。中村委員にお尋ねしたい。
○中村説明員 委員会は今慎重検討中でございます。今各委員がどういう意見を持ってどういうふうになっているかということは、今しばらく御猶予をお願いいたしたい、かように思っております。要するに独禁法第二条の不当なる取引制限の問題、公共の利益の問題、その他各般の事情を考慮いたしまして、検討いたしているとしか申し上げられないのはまことに残念でございます。
○勝澤委員 今しばらく待ってもらいたいということなんですけれども、だいぶしばらく待ち過ぎたわけです。その間委員長も洋行までされているわけですから、時期的にも近く出さなければならぬということになっていると思うのですが、しかし伝えられているところによりますと、審決にせよという意見と、警告でよいじゃないかという意見があるということを聞いているのですが、この辺はどうなんでしょうか。
○中村説明員 現在日々熟議をいたしているのであります。ただいまどういう結論になるかということは申し上げることはできないのでありまして、なお一、二回はどうしても開かなければならぬと思っているのでありますが、なるべく早く決定をいたしたい、かように考えております。実は今公取委員長が診断書を見ますと数日間の病気ということでありますが、他に委員の一人が長期の病気をいたしておりまして、あとは残り三人でありますが、三人で法律上はできるわけでございますが、三人の意見がどういうことになりますか、委員長に来ていただいて、できるだけ多くの数でやろうということになれば延びるわけであります。しかしながらそう延ばせない、なるべく早くやりたいということはみな同感でありますから、何とか早く解決いたしたい、かように考えております。
○勝澤委員 公取委は独占禁止法という法律的な立場で結論を出されると思うのですが、政治的な立場で結論を出すのですか、どうですか。
○中村説明員 結論は、御承知のように公取委は独立機関でありまして、各委員は自己の信念に基きまして、良心的にいかなる種類の圧力にも屈することなく決定いたすわけであります。しかしながらその決定に際しましては、純法律的見地はもとより、各般の事情も考慮しなければならないと思うのであります。
○勝澤委員 私はこの結論の出し方というものは大へん重大な問題だと思うのです。ですからよけい慎重にされて、よけい法律的よりも政治的なものの方がどうも加わっておるように思うのです。これはまあ私の見方なんです。 そこで、今各地の裁判所にいろいろこの問題が出されておるのですが、こういう問題はどういうふうになっておるか、あるいは一体どういうふうになるであろうかという点などについて、委員としてどういうふうにお考えになっておりますか。
○中村説明員 ただいま法律的あるいは政治的というお言葉がございましたが、私どもは悪い意味の政治的ということは考えないのであります。いかなる圧力にも屈しないのでありまするが、しかしながら全般的、一般的影響ということは、もとより考えて処置をいたすのであります。 なお、各地で問題となっております問題は、私どもの方で、事務局において検討いたしております。事務局で相当の資料ができましたならば、私どもの方で取り扱うべき問題であれば、委員会の方に出て参ると思っております。今非常に、本来の事件といいますか、新聞の購読料値上げの問題に全力を尽しておりますために、ほかの派生的といいますか、そういう問題、やや事務処理がおくれておる点もあると思っております。最善を期して早く解決いたしたいと思っております。
○勝澤委員 それで、もしこの公取委の結論の出し方によっては、独禁法の行政訴訟を起すということも消団連を中心として言われておるわけでありますが、それらについてはどういうふうに理解をされて、この結論の出し方というものはどういうふうにお考えをなされておりますか。
○中村説明員 私どもは最善を期して、良心にのっとって決定をいたすわけでありまして、それがどういうことになり、どういう結果になったためにどういう訴訟が起るということは今まだ考えておりません。私どもは最善を尽して、最も妥当なる決定をいたしたい、かように考えておるわけであります。
○勝澤委員 この問題はすでに前会にも私は申し上げたわけでありますが、かつての米騒動と同じようなもので、自然発生的にこの独占的な物価の値上げに対する判決というものが、一つの新聞という問題に集中をされてきた、しかしこの問題自体だけでなくて、その後にいろいろ考えられておるあるいは電気料金の問題とか、あるいはガス料金とか、あるいは水道料金、こういう問題までも考え合せながらこの問題というものは私は取り上げられておると思うのです。それがたまたま特に圧力の強いといいますか、あるいは無冠の帝王といいますか、新聞というものが取り上げられているためにあまり声が大きくなっていないような錯覚に陥っている面もたくさんあると思う。そういう点から言うならば、この問題こそやはり本質的な問題として、ただ単なる政治的な問題だけとしてでなくて、今日置かれているいろいろの問題を考えたときに、もっと真剣にそして慎重に行われなければならぬと思うのです。皆さんが慎重に行われるということは大へんけっこうだと思うのでありますけれども、やはりその慎重があまりにも政治的になって、そしていろいろと今起っている紛争も無視をした形で問題が解決される、こういうことになると私は大へんな問題だと思います。いわゆるその紛争をも公取委は考え、なおかつ独占禁止法というものは、今岸内閣のもとで改悪をされようとしている、そして公正取引委員会というものは、一体何のためにあるのだということを言われようとしているのでありますから、やはり独占禁止法というものが、ほんとうにそういう消費者大衆あるいは零細な人たちを救うものだということを示さなければならぬと思います。こういう立場から考えるならば、中村委員もよほど慎重に考えられると思うのですが、やはり結論というものはもう出すべき時期に来ている、こういうふうに思うのでありますが、もう一度具体的に、いつまでにお出しになるというふうに考えておられるか、一つお示し願いたいと思います。
○中村説明員 ただいまお尋ねのございました全消連の方々が申されるところも、私どもは十分にそのお心持もわかるわけであります。ただ私どもは物価を抑制するという仕事を持っておるわけではございません。独禁法違反があるかどうかということでございまして、それが政治的にいかなる意味を持ち、どういう検討をしたならば、どういう反響があるかというようなことは考えない、考えないといいますか、そういう圧力に左右されるということでなしに決定をいたしたい、かように考えておるのであります。 いつころになるかということでありますが、できれば実は今週中にも結論を出したいと考えておるわけでありますが、ただ先ほど申します通り、病気の人がおりますので、各委員の意見はどういうふうになりますか、できれば私自身もなるべく多数そろってやりたいということも考えるわけであります。つまり病気の人がいつ出てくるかということにも関連があるわけであります。あまり長くなれば、法律で許されている最小限度の三名でやるということもあり得るわけでありまして、その病気の状況等とも関連いたしておるわけであります。とにかく今週か来週にはやりたい、こう考えておるわけであります。
○勝澤委員 独禁法違反の疑いがあるということは、はっきりしているのですね。
○中村説明員 疑いと申しますか、疑いがありましたから審査を始めたわけであります。その疑いというものもいろいろ程度があると思いますが、審査を始めるべき程度の疑いはあったのであります。
○勝澤委員 そうすると、審判を開始するかあるいは勧告か不問か、こう言われておる、私は、不問になることはない、はっきり審判開始かあるいは勧告になる、結局その結論を出される、その結論というものは、大体今起きている問題というものを、どういう方向にしろ大体まとめるあるいは終りにする、こういう意味なんですね。
○中村説明員 結論といいますのは、最後的処理の決定、こういうふうに御了解願いたいと思います。
○勝澤委員 最後的処理の決定ということが、どういう意味かわかるようでわからないような気がするのであります。やはり私は何度も言っておりますように、この起きている問題というものが相当根強いものであって、相当法律的には明確になっていながら、その法律的に明確になっているのをなかなか結論を出すに困っている立場というものはわかると思うのです。しかしそれだからといって法律を無視をして、政治的な結論を出すこともそれは間違い、明らかにあなたが先ほど言っているように、物価の値上げをどうこうということを取り扱うところではなくて、独占禁止法に違反しているかどうかを取り扱うところだ、こう言われておりますから、一つそういう点を十分に慎重にされて、そして公正妥当な結論を今週中にも出したいと言われておるわけですから、そう延びることはないと私は思います。一つ公正妥当な結論が早急に出され、そして今起っている問題というものが、やはり紛争を残さないようにされるように要望いたしまして、私の質問を終ることにいたします。
○板川委員 私はただいまの勝澤委員の質問に関連しまして、一、二質問を申し上げたいと思うのであります。それは、公取の権威というものを私どもは守っていきたい、こう思うのです。多分御承知と思うのですが、日刊東洋経済という新聞の三十四年八月七日号に記載されておるものがございます。大体手に入れて読んでおるのではないかと思うのですが、こういう事実があってはやはりいけないと私は思う。そこで坂根事務局長にまず一つお伺いしたいのですが、これによると、坂根事務局長はこの事件が起った当初から、仲裁役に立っていた高野善一郎元公取委員、現日本短波放送取締役をしておる人を通じて、現在新聞界と折衝中である。目標を今週中としてけりをつける予定だ。今週というのは先週でありますが、こういうように高野善一郎氏とこの問題で坂根事務局長はいろいろ協議しているかどうか、この事実を一つお伺いしたいと思います。
○坂根説明員 この問題を協議しておるという事実はございませんが、高野さんは私どもの前の委員でございますから、二、三度おいでなりまして、新聞問題の経緯を私にお聞きになったことはあります。従って私どもは本件の事件の内容その他を他人に漏らすわけにいきませんから、問われれば非常に黒に近いということを申し上げておる事実はございます。
○板川委員 審議の内容が他に漏れている向きも私あるように聞いております。情報を入手しております。この点はまたあとで申し上げたいと思うのですが、ただ一点だけこの日刊東洋経済によると、こういうことが報道されておる。結論から言うと、公取委は新聞各社が社告を通じて遺憾の意を表わすことを条件にして、審査を打ち切りにすることを決定した、こういう報道がされております。その新聞社が発表する社告の大要というのは大体次のようなものだ。「一、新聞料金値上げによって、独禁法違反の問題を引き起したことははなはだ遺憾である。二、値上げ問題はなるべくすみやかに、新聞各社が自主的に再検討して、その結果を公表する。三、各社は、今後かかる事態を引き起さないように、十分注意をする。」そして公取委員会は、この社告を受けて、次のような委員長談話を発表することを予定しているというのである。「一、審査経過の概要。二、新聞各社の社告の要約。三、公取委としては、この新聞社の誓約を信ずる。またこれが実行されれば、将来違反事態が起らないのだから、本件は取り上げない。四、なお各地の裁判所において、係争中の値上げに関係する問題については、新聞各社の責任において、解決をはかり、公取委は関与しない。五、新聞界における特殊指定の不公正な取引方法に該当する新聞販売店があれば、独禁法違反として、厳重に取り締る。」ということは、再検討後、各新聞界が三百九十円に据え置くことになった場合でも、それを独禁法によって保護するということを意味するのでありますが、以上のようなことを粂件にして新聞値上げの問題の審査を中止することが、公取委員会内部において八月四日午前中の担当幹部会議において確認された、こういうようにすっぱ抜きですか、記事が出ておりますが、私はここで今週中か少くとも来週には結論を出したいという、ただいまの中村委員の発言がありましたが、その結論を出すに当って、もしこういう報道されたような内容であったら、これは公取の権威にかけて非常に遺憾なことになる、こう私は思うのであります。まあそういうことを念頭に置いて、公正な審決を出していただきたい。それからまた今度の場合なんかは、独禁法二条の六項の違反ということは、われわれとしては明確であろう、こう思うのですが、公取委員会としてきぜんたる結論を出す、そういう期待をしておるから、われわれもある程度行動を控えておるのでありまして、これが新聞に報道されるような結果になるならば、ゆゆしき問題に私は発展する、こう思うのであります。ぜひ、一つ公取委員会がいろいろな点を考慮されるのはけっこうでありますが、自分の使命にもとらないような結論を出してもらいたいということを要望いたします。
○中村委員長 次会は公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時十七分散会