P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
32回国会衆議院1959/09/22

社会労働委員会閉会中審査小委員会 第1号

発言数
89
登壇者
9
会派数
2
開催日
1959/09/22

会議録

永山忠則自由民主党

○永山小委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。八田貞義君。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 埼玉県の加藤義雄医師が、去る八月一日自宅で自殺した事件は、その動機が七月二十八日行われた監査にあると言われ、全国の医師並びに関係方面に大きなショックを与えております。これまでにも保険監査では幾多の問題あるいは事件が起りました。しかしそのために保険医が自殺したということは初めてのことであります。それだけに斯界に与えた衝動は非常に大きいのであります。一体どうしてこのようなことになったか、厚生省の見解を聞かしていただきたいと思います。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 お尋ねの埼玉県の加藤さんというお医者さんが、私の方で監査をいたしましたその数日後に自殺をされたという事件がありまして、それは大へん私どもも遺憾に思っているところであります。それでお尋ねの件は、それとこの監査におきまする取調べ方というか、監査の仕方と申しますか、そういうことに何か関連でもあるのじゃないかというような趣旨のお尋ねかと思いますが、私の方でも万が一そういうような関連でもありますればと思いまして調べてみたのでありますが、結果といたしまして、監査に当った者も十分に心して監査をいたしておりました。また御承知の通りこの監査につきましては、県の医師会の幹部の方々も立ち会っておられるわけであります。その方々が新聞記者などに話しました点からいたしましても、監査に立ち会った者としては、監査をされた担当官の言動に行き過ぎはないと思うというようなことを言っておられるわけであります。私どもの調べましたところとも符節が合うわけでありまして、さような点から、監査それ自体に何か非常にどぎついものがあったという点は、まずまずなかったと考えております。ただ、監査を受けましたその結果といたしましては、やはりいろいろ事故が発見されておるようでございまするので、そういうような点もいろいろからみ合わされて、ああいう突発事故にもなったのかとも思いますが、その他の原因は私どもとしては知る限りではないのであります。そんなようなわけでございまして、この監査のやり方のいかんによってどうこうということはなかったと存じます。しかしいずれにいたしましても、こういうお医者さんがそういうようなことをめぐって数日の間に自殺をされたということについては、私どもとしては非常に遺憾に思う次第でございます。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 局長の今の説明でははっきりわからないんですが、監査の仕方との関連はないというふうに言われておりますが、そのないということの説明がはなはだ不十分なんです。というのは、監査をやられて数日後になくなったということについては、今お話の通りでございますが、一体数日後になくなったということについて監査の仕方とは全然直接的な関係はなかったんだ、しかし間接的には何か考えられる身辺の事情があったらしいというような意味の御発言があったようでありますが、身辺の事情というか、そういった意味のことについて、もう一度お答え願いたい。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 ちょっと誤解があるようでございますが私が申し上げました趣旨は、この加藤さんが自殺をされましたその際に、別に遺書があったということも聞いておらないのであります。ただ、その監査がありました数日のあとであり、それから監査の際にいろいろその非を指摘されたというようなことから、あるいはその監査のやり方その他について、何かこれの自殺に結びつくようなものでもあったのかということを実は私どもも心配したわけでございます。それで調べてみましたが、先ほど申し上げましたように、特に監査の際には言動に注意しておったということで、そういうこともないようでありますし、また証人といっては失礼でありますが、たまたまそういうことを抜きにいたして立ち会われた県の幹部の方が、新聞記者に対して、先ほど申し上げたように、担当官の言動には行き過ぎはなかった、自分たち立ち会った者としては行き過ぎはなかったと思っているということを言っていただいた。これはそういう点からも総合いたしまして、私どもがまず第一に心配しておりました、この監査というもののやり方がまずかった、あるいは非常にどぎつかったということのために、この加藤さんの自殺の原因をなしたということはなかったということを申し上げたわけであります。ただしそれは、加藤さんがどういう原因で自殺されたかは、私どもとしては十分その点はわからない。何せなくなられたわけですが、遺書も何もないわけでありますから、わからないわけでございます。どういう原因であるということを軽々に言うべき筋ではないと思う次第でございます。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 そうしますと、局長の耳に入っておるのは、局長が自身で調査されたわけじゃないのですね。まあ報告を聞いてそのまま了承されておるという格好でございますね。こういった保険監査に関連して、少くとも監査の数目後になくなっておるのですが、今のお話によりますと、いろいろな保険監査に当った係官からの説明とか、あるいは新聞等を通して医師会幹部の意向というものをお知りになった程度であって、こういった非常に大きな問題に対して厚生省としては調査されなかったのでありますか。ただ報告だけを了承されておる、その上に立って今の答弁が出てきたように考えますが、実際に調査されて、その上での御答弁であるかどうか、その点をはっきりしていただきたいと思います。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 これは私みずからではございませんけれども、私の方の責任者が、その監査に当りました者及び現地の県の保険課の当局の者というようなものを数回呼んで、取り調べたというか聞いたといいまするか、要するに調査いたしました結果でございます。今お尋ねの趣旨の調査というのは、どういうところまでをお考えになっていての御質問か知りませんが、ただいま申し上げましたように、そういうこちらの関係の者を調査いたしました。それと、先ほどのものは、全く白紙で県の医師会の方々が言われたこと、これも一つの私どもの裏づけにもなろうかと思うので申し上げた次第であります。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 その調査された項目ですね、たとえば係官からの説明を聞かれたのでしょうが、こういう点はどうだったとか、あるいは新聞の報ずるところではこういうふうなことが現われているが、これに対してはどうだとかというような、局長自身で質問された事項、一体どんなふうな点を取り上げて調査されたか、ちょっとその点項目をあげていただきたい。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 今回の事件が発生しまして、直ちに実際に監査に当りました担当官から詳細に監査の状況を調査いたしました。また県の保険課長を数回呼びまして、監査に立ち会った状況並びに監査上における雰囲気等を聞いたわけでございます。また県の保険課長みずから医師会の立会者に対して、今回の監査がどのような印象を受けたかというような点を聞いておるようでございますので、その点も問いただしましたし、また自殺された後においても重ねて、監査に立ち会われた医師会側の方の御意見も聞いておるわけでございます。従いまして今回の監査に関しましては、その監査の雰囲気が、一般に従来行われておった監査以上に過酷な印象を与えたかどうか、また聞き方が、すなわち言動等が今回の監査に当って特に過酷な感じを与えるようなものであったかどうかというような点を特に慎重に問いただして調べたわけであります。立ち会った者から、受ける印象は決して従来の監査よりはきびしいものではない、むしろ従来の監査に比べて今回のものはおだやかであったという感想を埼玉県の医師会の立会者の方は言っておられるわけです。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 そうしますと、調査された方法が、いわゆる保険監査をやる側の方の調査だけで、監査を受けた方の側、これについては何か調査されたことはございますか。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 私どもとしては、毎年数百名の監査をいたしておりますので、今度の事故がどのような原因で起ったかということをある程度判断いたしますには、従来行われた監査と比較して、特に今回がどうであったということを調査する必要があろうかと思います。特に受け取る側の方が、これは全くの個人でございまして、従来の監査を受けた方とは違う方でございますので、受け取られる方の印象よりはむしろ従来監査を行なってきたもの、並びに非常にたびたび監査に立ち会われた医師会の方々の印象が最もその判断をするのに適当と考えましたので、今回の監査が特別ショックを与える種類のものであったかどうかを比較検討する意味において、それらのものの調査をいたしたわけであります。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 加藤医師の人柄についてどういうふうにお考えになっておるか、たとえばこういう自殺を起したのでありますから、加藤医師というのはどういう人であったろうか、これについて何か調査されたでしょうか。たとえば今お話によると、監査に当った当事者は、あるいはまた立ち会いをした県医師会の人は、そうどぎつい監査をやったことはなかったと、それを裏づけもしているのだ。ところが、一体加藤医師という人はどういう人であったろうか、こういう点について、加藤医師はなくなってしまったのですから加藤医師から直接聞くわけにはいかないのですけれども、今までの加藤医師が村医として一体どれだけ村民から信望を集めておったか、あるいは信望を集めないような人であったかどうか、あるいはまた直接奥さんに会って聞くなり、そういうことをされたかどうか、ちょっとお答え願いたい。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 加藤医師は、私どもも詳細なことは存じませんが、非常にりっぱな方であったようでございます。ただ加藤医師が性質のどういう方でございましたか、非常に気にされるような方であったかどうかという点は私ども明確ではございませんが、少くとも加藤医師は従来非常に尊敬を受けておった医師のようでございます。ただ私どもとしては、事務上の取扱い上調べはいたしましたけれども、加藤医師そのものが従来別に非難されるようなところのない方であったと思っております。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 りっぱな医師であった、尊敬されておったということは、人のうわさであるけれどもお知りになっておるのですね。ところで、保険監査と結びつけて特に強く申し上げるわけではないのですけれども、その前のいろいろな関係を見てみますと、七月八日に厚生省において各都道府県の保険課長会議を開いて監査強化の方針を授けておられます。七月八日に保険監査を強化しなさいという方針を打ち出しておいて、そうして七月二十八日に埼玉県で問題になった保険監査が行われている。もちろんあなた方の方から保険監査強化の方針が打ち出されたのだから、下僚に、勇み立って大いにやってやろうという何か大きな精神的な影響を与えているものと考えられるのです。七月八日にやられて七月二十八日に監査が行われたのですから、非常に元気一ぱいのときです。ですからそういうふうな方針が与えられて、下僚が勇み立って保険監査に力が入ったであろうということが想像されるわけです。というのはこの加藤さんという人は、今課長さんもお話のように非常に尊敬すべきりっぱな人であった。ところがこの人が少くとも午前九時から午後二時までぶつ通しで査問の矢をあびせかけられたというふうに言われている。五時間ですよ。この五時間というのはぶつ通しでずっと査問犬れておって、その間昼食も与えられていない。こういった調べ方は、どぎつくはなかったということにはならぬのじゃないですか。しかも人の命は地球の重さよりも重いと言われている。しかも監査のあったあと四日後ですから、全然こういった調べ方に関連がないというふうには言い切れない。いろいろなこの問題を取り扱った医界の雑誌、日本医事新法なんかでは詳細に報道しておって、読者の反響なども記載しておりますが、こういった非人道的な調べ方というのは昔の特高的な検査と同じじゃないかというふうに償っているわけです。こういった受け方が、あなた方に言わせれば、別にどぎつい方法で調べたのではない、こういうふうになっているわけなんです。こういった今申し上げたような関連を考えると、どうも私らは監査に少し行き過ぎがあったのではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。特にこの未亡人の書かれた手記をごらんになったでしょうか、この点一つ…。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 今回の監査は、実は実際に監査の開始されましたのは九時三十分からでございます。監査の終了いたしましたのは午後一時でございますので、約三時間半かかったわけでございますが、これは確かに従来の監査に比べてやや時間が長いように思われます。ただその一つの原因は、今回の請求明細書の非常に大きな部分を加藤医師の奥さんが書いておられます。従いましていろいろ質問をいたしましても、加藤先生みずからお答えしかねるような部分が相当ございまして、実は監査上奥さんにもおいでいただきまして、お書きになった奥さんからもお聞きしたわけでございます。その関係もありまして、従来一人にお聞きすればよかったものを二人の方にお聞きしなければならないということで時間を長くかけて、やや長くかかったわけであります。またいま一つは、お書きになった方が加藤医師みずからでございませんので、請求明細書と診療録との結合が時間がかかりまして、これも今回の監査が長引いたことの一つの原因であったわけでございます。いろいろお聞きいたしましても、加藤医師はあまりお答えにならなかった事例が相当あるようでございます。従いまして時間が長引いたことも、必ずしも特に今回特別な悪い印象を加藤医師に与えたものとは私どもは思っておらないわけでございます。またことしの七月の課長会議におきます指示は、毎年私どもの方から指示をする事項の一つとして指導監査の事項があるわけでございまして、ことし特に監査に力を入れて、監査を強化するようにという指示をいたしたわけではないつもりでおります。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 時間的に三時間半、私らはこれは新聞雑誌を見て五時間ということで、一時間半も食い違いがあるわけですが、従来はどれくらいなんですか。普通一般には三十分くらいで済むわけですね。三時間半というのは長かった。長かったのは結局記載が不十分であったのだ、こういうわけですが、奥さんがやられておったということでいろいろな食い違いがあって、加藤医師は全然答弁できなかったということで長い時間かかった、こういうのですが、三時間半監査されてどういうことがはっきりしたわけなんですか。たとえば水増し請求があったとか振替請求があったとか、そういうことであったのでしょうか、あるいはそういうことではなくて、単なる記載漏れというような単純なものであったか。善意に解釈してみれば、いなかのお医者さんが往診もたくさんある。時間的に非常に記載漏れというものがどうしても起りやすい。従ってまた事務員なんかも採用できないような零細な医家であったから、結局奥さんがそれに当る。そうすると奥さんも家計の方をやっておられるのですから、時間的に制約される、こういった事情があって記載漏れがあったということも考えられるわけなんですが、一体監査されてみてどういう点が一番間違っておったか、そうして悪質なものと考えたかどうか、その点を一つ……。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 私といたしましては、加藤医師がおなくなりになっておりますので、ここで今回の監査の内容について詳細に申し上げることは適当でないと思いますが、ごく簡単に監査状況を申し上げるにとどめるわけであります。一応患者調査の結果と請求明細書との違いあるいは診療録の整理というような点に問題があったわけであります。しかしながら監査のみをもって私どもは判断するわけではございませんで、監査が終了いたしまして、監査上においてなお御発言が十分でなかった点もございましょうということで、終了いたしましてからなお弁明書をお出しいただくことになっておるわけでございます。従いまして私どもの判断は、その弁明書とさらに監査の際の内容を突き合せて判断をするわけでございますので、加藤先生がおなくなりになってその弁明書が得られない今日、監査から受けた印象を単純に私ども判断を下すことは適当でないと思っております。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 そうしますとその点が、大切な点がぼやっとしてしまうのですが、この監査の目標ですね、あとでまた監査要項についてお尋ねしますが、監査の目標というのは、たとえば水増し請求とかあるいは振替請求、幽霊請求の三者である、こういうふうに雑誌に書いてございますが、その場合に、この加藤医師の場合には故意に水増しをはかった例はなく、まして幽霊請求、架空請求と考うべきものは一件もない、こういうふうに言い放っておるわけです、この加藤さんの奥さんはですね。そうしてこういったことから見て、要するに今度いろいろと三時間半も責め抜かれたというのは、結局整理の不備と計算のずさんだけにあったように雑誌の方は報じておるわけです。こういったような誤まりを全部清算してみて、二カ月分の合計が四、五千円にすぎなかった、こういうふうに書いておりますが、一体金額はどうでしょうか。こういった故意に水増しをはかった例もなく、また幽霊請求、架空請求を行なったこともないのだ。単に整理の不備と計算のずさん、こういうことは認めているのだけれども、ところがニカ月分の清算を全部やってみても合計四、五千円くらいにしかすぎなかったのだ、こういうことが書いてございますが、これについてはどうでございますか。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 今申しましたように弁明書が出ておりませんので、私どもも金額が幾らであるか、またそれらの金額がどういう原因で生じたかというようなことは、ちょっと私どもも判断がいたしかねるわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 しかし弁明書が出ないといたしましても、その保険監査に当った人がいろいろお話しになってみて、幾らくらいの相違であったくらいなことは報告されておるわけでございますね。弁明は弁明で別ですよ。保険監査に当られた担当官からいろいろ調べてみたところが、水増し請求というものもなかった。幽霊請求も架空請求もなかった。そうしていろいろと調べてみた結果が、二カ月分清算してみると四、五千円くらいであったというようなことについては、保険監査に当った担当官からお話しになっておるでしょうか、あるいは金額についてどうなんでしょうか。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 場合によりますと、監査をいたしました結果何ら間違いがない、単純な事務上の誤まりもございますし、また場合によりますと故意に差異を生ずるような事例もあるわけでございます。今おなくなりになりました加藤先生の調査結果がどういう種類のもので、どの程度のものであったということは、今日私どもとしては判断いたしかねると申し上げたいのであります。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 それではちょっとはっきりしないんですがね。保険監査に当った人からその点について、こういうふうな追及をしてみた。こういう点が誤まりであったので、たとえば時間が三時間半もかかったのだ。それについては自分らの方で計算してみるとこういうふうになるのだ、こういうようなことになってくるはずなんです。ところがその弁明書が出なければ全然わからないのだという、そんなものですかね、監査というのは。一体監査というのは、その性質はどういうことなんですか。これは指導なんですか。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 監査と申しますのは、単純に人を処罰するということが目的ではむしろなくて、今先生がおっしゃいましたように、指導の意味合いも十分あって行われるものであります。従いまして監査対象になったからといって、直ちにこれが容疑者というほどに私どもは考えておらないわけであります。何らか他の保険医と変ったところがあるということで内容を伺いたいということから監査をするわけでございます。  なお今お尋ねのございました加藤医師のいろいろの調査の結果判明しました事故と思われる件数は三十件あったと思われるわけであります。それらの三十件についていろいろ伺ったわけでございますが、伺っただけでは、やはりそれが適当と言い切ることができないわけでございます。その点はあれでございますが、その程度でお許しをいただきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 今のちょっと関連で伺いたいのですが、八田さんと保険局長なり館林さんとの一間一答を聞いておると、保険局は非常に低姿勢にあるようですね。実はこの加藤医師の自殺の問題というのは、今保険医の諸君の間では相当大きな問題になりつつあるわけです。私どもはこれを契機にして、監査というものをもう少し再検討しなければならない時期が来たという感じがするのです。と申しますのは、いよいよ三十六年の四月の一日から全部皆保険になってしまうわけです。従って今までのような監査の仕方がいいか悪いかという点も問題があるし、また監査が厚生省自身で行われることがいいかどうかということも問題があると思うのです。そこで、そもそも加藤医師が監査の俎上に上らなければならなかったということについては、当然保険局当局としては患者の実態調査を私はやっておるはずだと思うのです。草深きいなかの善良な医師が朝から晩まで診療をやる、そして自分が診療に忙殺をされて月末の請求書というものになかなか手が回らない。従って奥さんがこれを加勢をしていくということはいなかの至るところにおいて行われておることなんです。従って当然、今事故が三十件あったということでございますが、この際あなた方が加藤医師を監査の対象として俎上に上せるに至った経過、これは基金の審査に出ておる加藤医師の請求書というものが普通の医師よりか平均点数が高いとか、あるいは請求件数が非常に多いとか、あるいは患者の実態調査の結果水増しとかあるいはっけ足しとかいうようなものが何かあったという疑いがあったからこそ、しかもそれが一度じゃなくして何回かにわたってあったという疑いがあったので俎上に上ったと思うのですよ。そこらあたりをやはりこの際明白にしてそしてあなた方の方は行き過ぎがあったならば行き過ぎがあった、今後はこういうように監査というものは改めなければならぬという点が私は問題になってくると思うのです。私は今まで再々にわたって医師会の事前審査と申しますか、こういうものを提唱してきたわけです。どこの社会でも自浄作用というものがある。われわれの肉体だって、細菌が入れば赤血球や白血球が行ってその細菌を殺してわれわれの肉体の健全化を保っていくわけです。と同じように、やはり医師会自体が自主的にそういう間違いの起らないようにやらせる方向に指導すべきだということは、私は再三にわたって言って参ったわけです。いっかこういう事件が起るんじゃないかと心配をしておったのですが、はしなくも埼玉県にこういう加藤君の事件が起った、こういうことなんです。加藤さんを俎上に上せなければならなかったその具体的な原因があるはずなんです。これは何か十件か二十件たまたまぽっと出たからということならば、審査委員会がはがきで通知をすれば足りることなんです。しかし何かそこにあなた方がわざわざ監査に上せなければならぬ、監査というものはそう一つの郡に二十人も百人も上るものじゃない、三人か五人、多くても七人か八人です。指折り数えるほどしかない。しかも厚生省の監査なんかにかかるのはもっと少いはずなんです。これはどういう監査か知りませんが、その事故をあなた方が、こういう重大な事故があったから上せたという、それがあればこの際一つ御説明になっていただきたいと思うのです。さいぜんからどうも監査後に弁明書を云々といっておるけれども、こんなものは問題じゃない。監査後の弁明ではなくて、その監査になるまでの問題の方が重大なんです。私どももずいぶんいろいろ監査も見ておりますし、聞いておりますし、よく知っておりますから、一つあなたの方で加藤君を俎上に上せるに至った一番重大なところを御説明願いたい。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 その点は先ほど申し上げましたように患者を調査した結果、患者の申し立てと請求明細書の内容が特に著しく違っておったことが監査の対象になる大きな原因だったと思いますが、ただ事務上いろいろめんどうなところもございますし、また加藤医師のように、みずから書かないで看護婦なり家族の者に書かせるということもございまして、事務上の手違いも一般的にはないわけではないのでございますが、私どもの調査は何も加藤医師だけをねらい撃ちにして調査をするのではなくして、おおむね第一段階においては全般調査をするわけであります。そのときに特にある医師の分だけが特別に食い違いがはなはだしいというような事例が上って参りますと、やはりそれなら一度おいでを願って内容をお伺いするというような扱いをすることになるわけでございまして、今回の加藤医師の一例も、請求明細書に書かれておることと患者の申し立てとの食い違いがはなはだしかった、こういう点でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 請求書と患者の申し立てが違うということよりか、問題は請求書とカルテが一致しておるかいないかということなんです。問題はここにあると思うのです。カルテは一体どうだったかということなのです。あなた方が監査をやるときには必ずカルテを調べるはずです。人間の記憶力というものは一週間もすれば大きな間違いが起るということがいろいろ心理学者によってやられておるわけです。われわれだって一週間前のことは忘れております。あるいは二日ぐらい前でも忘れる。これは京都の医師会その他がいろいろ調査しておる。いかに患者の調査というものがあやふやであったかということもやっておる。患者の調査をしたあなた方に対する報告書のいかにあやふやであったかということの証明をしたところがあるのですが、カルテはどうだったのですか、カルテは。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 先ほど事故三十件と申しましたのは、カルテと請求と違う事故が二十九件でございます。但し請求明細書一枚の中に二つ以上の事故がございますので、他の事故が一件であるというわけではございません。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 あまり時間もありませんから、これはまた別に取り上げてやりますが、結局問題は、滝井君も結論的に関連質問をやってくれたわけですが、監査は結局指導であるわけですね。課長さんは指導の意味合いだというような言葉を使っておられましたが、監査は指導の性格を持ったもの、従って指導というものは愛と寛容だ、こういうことになってくるわけですね、普通の特高的みたいな刑法上の罪を探るという意味じゃないのですから。そうしますと、従って監査の要領というのは、愛と寛容とを中心としてやっていく、こういうことになるわけです。その場合に、患者調査をもととしておやりになる。そうしますと、滝井君が今言ったように、結局患者の調査、こういっても、実際は診療調査にはならぬわけですね。ほんとうは、監査というのは、法的には診療調査なんです。ところが、患者の記憶をもととして監査がやられていくのですから、患者調査であってもそれは診療調査ではないんだ、こういうふうになってるわけなんです。そうしますと、こういう問題は、監査のあり方ということになってくるわけなんですが、結局今のような監査のやり方でもって進んで参りますと、事務に徹すれば診療がおろそかになってくる、診療に徹すれば事務がおろそかになってくる。こういうことからして、医に仁術にあらずして算術だというようなことが言われるようになってくるわけですね。事務に練達な人が監査の対象にならないで、事務に非常にふなれな人が監査の対象になってくる。そのふなれな人は一体何だというと、いわゆる零細医家であって、事務員も置けない人、こういう人が出てくるわけです。とうろが、こういう問題になってくると、今後国民皆保険ということで保険医構というものが進められていくのですが、そうすると、医道というものを守るのがいいのか。法規に従って事務練達ということでいけばそれで一切終るんだというような、事務練達な保険医だけを養成していくというような格好が現われてくるんですね。ところが、保険監査に当られた児玉技官という方がはっきりと言っておられるのです。この人は事務的に非常にまずい点を指摘されて、あんたは医者になる資格がないんだというようなことを言われておるようです。そうしてまた、さらにそういう事務を勉強しなさいということを言われておる一方においてその加藤医師がどこかの病院で勉強されておる、勉強されておるならば、十分に勉強ができてから開業されたらどうですか、こういうようなことも言われておる。そうしますと、保険監査というのは、事務的に練達であれば監査の対象にならないわけですね。そういう事務的な面についてつつかれておりながら、自分は一生懸命に勉強しているとき、勉強しているならば、勉強ができ上った上において一つおやりになったらどうですか、こういうことは、保険監査官として言っていいかどうかという問題になってくるわけです。先ほど、自分はどぎつい監査をやったというふうには全然聞いていないんだと言われましたけれども、しかし、医者が診療の余暇を盗んで、あるいは診療の時間をさいて一生懸命勉学しておるという事態は、日進月歩の医学についていこう、そうしてりっぱな医術を身につけようというような尊い考えから出ておるわけなんですね。それに対して、あなたは、そんならばやめてそうしてよく学問ができるようになってから開業したらどうですかということは、非常に問題だと私は思う。それなら、単に事務的に練達であれば保険医は務まるんです。ところが、医道のためにしっかりした医師になろうという考えで勉強されようとしている人に向って、お前さん、そんならば勉強ができてから開業したらどうだということは、非常に矛盾しておることであるし、また、相手の医師に対して侮辱を与えることになる、こういうふうに考えるが、この点どうでしょう。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 だんだんとお話でございましたが、監査の基本的な心がまえはお話のように指導でございます。従いまして、お話のように、指導に当りましては愛と寛容とをもってやっていく、これは心がけとして私どもも全く同感でございます。従来ともそういうふうに指導してきたつもりでありますし、今後ともそういう方法でいきたいと思うのであります。お話のように、お医者さんはとにかく診療に全力をあげ、足らざるところはさらに勉強してやる、こういうことに最善を尽されておるわけでありますが、事務的な面は全然おろそかにされていいというわけにも実は参らないわけであります。今日保険診療というもので参っておりますからには、やはり保険という仕組みからきますところの診療報酬の請求の件なり、あるいはその記録を残しておくなりというような点からいたしまして、ある程度の事務はお医者さんにも御迷惑をおかけせざるを得ないような状況であります。その度合いをとのようにするか、本来の診療に力を尽すべきか、あるいはこういう保険百という仕組みのもとにおきまして、あるいは医療法というような制度のもとにおきまして、お医者さんに御迷惑をかけている事務、それをどの辺に置いたらよいかという問題、これはなかなかむずかしいところでございましてもちろんできるだけそういうふなれな事務を避けるようにはしていきたいということは言えるのでありますけれども、今日のような制度をとっております限りにおいては、これも全然なくすわけにも参らぬわけであります。そういうような面については、今後さらに検討を続けていかねばならぬわけでありますが、その辺の兼ね合いが非常にむずかしい。その結果といたしまして、あるいは御指摘のようにそういう事務にふなれと申しますか、そのためにこういう事故を起す場合もありましょう。あるいはまた、いろいろ忙しいために、ついそちらの方がなおざりになるというようなことがあったりするかもしれません。しかしながら、やはりこういう保険診療というものから参ります最小限度の事務だけは——これは事務なんで、おれたちの医道からいえば別なんだというふうにとられたのでは保険というものの仕組みが成り立たないわけでございまして、その辺につきましては、これもお医者さんとしてお疲れのところ御迷惑と思いますけれども、やはりそれだけのものは果していただかなければならないかように考えているわけであります。御指摘のように、その点についてふなれのための間違いというようなものがあれば、これは調べてみればわかることでございますから、そういう面の指導については、お話のように愛と寛容で、いたずらに犯人を作り上げるというような気持ではなしに参っていくべきものだと考え、今後ともその点は指導に心をいたしたいと考えているわけであります。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 大臣もお見えになったので簡単に申し上げておきますが、埼玉県で保険医が監査数日後に自殺した事件があるのです。それについていろいろとお話を伺っておるのですが、結局患者調査が主になって監査をやられているのでありますが、患者の実態調査というものは一方的な資料作成のための一方法というふうになっておりまして、真の診療実態調査ではないという格好になっているわけなんです。ところが、これが資料となって監査が行われておる、こういうところに問題があるわけです。  ところで今度埼玉県の保険医が監査に関連して自殺したということについて、監査のやり方あるいはその前の調査のやり方について御参考までに申し述べさせていただきますと、患者の実態調査について調査官がかなり強引な調べ方をした傾向が見られる。たとえば感冒調査に来たと称して調査を進めまして、調査書に捺印を求める場合、患者がよく覚えていない、不確実だから捺印はかんべんしてくれと言ったのに、かなり威圧的に捺印させられた例もある。こういうことが言われております。もう一つ患者側の方も税務署からの調査と勘違いして、治療内容を過小に報告し、あるいは子供の病気の場合、一部負担金の実際の額をしゅうとやしゅうとめに知られるのをおそれて実際の額よりも少く答えたという例も見られる。このような例で見ますると、調査する担当者の側にも、調査された患者側の答弁の中にも問題があったということが認められるわけでありますが、またこういった埼玉県の例を離れてみましても、二、三カ月前の治療について調査されていることは、患者の答弁の信憑性という点から考えてみまして、非常に疑問があるわけです。こういった点につきまして三十二年の日本医師会の調査によりますと二カ月前の記憶力は三〇%以上が不正確だ、こういう結果が出てきております。また保険局の方でも調査されておわかりになっていると思うのですか、実際にこういった監査を通じてみて、患者の記憶と医師の記憶との食い違いというものは二割くらいある。埼玉県の場合四割あったと言われているのです。普通監査をやってみられますと、今まで約二割が患者の記憶と医師の記憶との食い違いがあるのだ、こういうことが今まで保険監査で出てきているわけなんだけれども、ところが埼玉県の場合には、保険監査の対象になったお医者さんの約四割と出ております。こういったことから考えますと、患者の等えの信憑性というものに対して非常に問題があるわけなんです。この信憑性が疑われるものを資料にして監査が行われているということですから、実際上においては非常に間違いのもとになってくるわけです。こういったものに対してどうしたらこういったものを改めて、今後監査のやり方としてどういつた方法が一番いいかということについてお考えになったかどうか。私は監査が患者の実態調査を資料として実施されているというあり方に対しまして、根本的に再検討を加える必要がある、こういうふうに考えるのですが、この事件を通してみて、一体今までの監査のやり方について根本的に再検討しなければならぬというふうにお考えになったかどうか。その点を大臣並びに局長から一つお答えを願いたいと思う。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 監査をいたします場合において、今ではお話のように、その前にあるいは基金の支払いの多いところとか、あるいはその患者の調査というようなものから範囲をだんだんしぼっていくというようなことになるわけでございます。もちろん個人の記憶というものについては、人にもよりますけれども、これは記憶でありますからあいまいな点もあろうかと思います。私どもは当然そういうものをうのみにはいたしておらないのでございましてそれはその程度のもので、特に何か事故が多いらしいというように思われるものにつきまして、そこでいよいよ監査ということにもなるわけでございます。これは御承知のように、その前に県の医師会とも御相談してきめておるわけでございます。この保険課だけがやみくもに勝手にねらいをつけてやっておるわけでもないのでございます。また監査いたしたその際において、先ほどから申し上げましたように、お医者さんが自分はこうだということで堂々と主張なさる場合も多いわけでございます。その結果としてどうもあいまいだということになることもございましょうし、先ほどのようにこれだけの間違いと申しますか、とにかく事故らしいものがあったというのが監査の結果出る場合もあろうかと思います。その点、今のやり方というものについては、私どもはこれが非常に悪いやり方であって、根本的に再検討しなければならぬものだとは、今日のところは考えていないわけでございます。ただこういうやり方以外のやり方ということで、私ども例になりますかどうか知りませんが、たとえば会計検査院などが各役所をやっております。これはある役所に事故が多いことにねらいをつけてやっておるわけではないのでございます。毎年定例的に要するにそういうことでやっておる。指導というような意味もあるようであります。そういうふうにやっておるわけでございます。そういたしますと、別に監査というものにがかったからといって、自分の面子が、世間の疑惑が出るとかなんとかいうような、いたずらに気をもまぬで済むようなことも、それはあり得るかとも思います。しかしそういうことをやること自体も、ただいまここですぐ申し上げるようなわけには参りません。今日のところではいろいろ考えまして現在のようなやり方、これは決して十全だとは思っておりませんけれども、今日の段階においてはやはりこれでいくほかないのではないかというふうに考えている次第でございます。なおこれは何かいいやり方でもございますれば、御意見も御教示も承わって検討するにはやぶさかではございません。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 事務当局の説明で大体御了承願えると思っておりますけれども、私といたしましても十分に行き過ぎたことのないように、また事務当局といたしましても今後埼玉事件というものが——私はこれが過酷であった、その結果によって自殺したという報告は受けていないのでございますが、なるべくこういうような遺憾のないように私ども気をつけていくつもりでございますから、ただいま事務当局から申しましたように、何か私どもに御教示する点がございましたならば、御指導賜わりたいと思います。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 大臣はまだ正確な詳しい御報告をお受けになっていないと思いますが、これはさらに詳しく事務官僚からお聞き願いたいと思うのであります。  局長さんから、患者の答弁というものに対して信憑性を疑う、しかしそれにかわるいい方法がないから今のところそれでやっているのだ、しかしいい方法があればいつでもお聞きするのだというふうな御答弁がありました。患者の信憑性については今のように了解してよろしいのでありますか。患者の信憑性については局長は疑いを持っているということについて……。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 患者調査の信憑性を疑うということを申し上げたわけではありません。やはり患者調査といいますと、記憶でお話を承わることも多いと思います。中には記録をとっておる方もおるかもしれませんが……。そこでお話のように、人間でございまするから、記憶というものにはあいまいな点も出てくるということはいなめないわけでございますから、私どもはそういう点を十分承知いたしまして、とにかく患者にお聞きして、こうであったというようなことをもって直ちにそれを振り回してお医者さんの方へ食ってかかるということはいたさない。おのずから間違いもあり得るということは十分考慮に入れておいて監査に臨む、こういうことを申し上げたのであります。

八田貞義自由民主党

○八田小委員 このことは何回言ってもしようがないんですが、結局は今申し上げたことを見ても、保険監査のあり方については、特に埼玉県の場合に、いろいろと教えられる点がたくさんあると思うんですよ。あなた方の方では大した行き過ぎはなかった、どぎつい監査はやらなかったと言うけれども、やっぱり調べてみると、そうじゃないんですね。相当ひどいことがあるわけなんです。今まで県医師会の側の立ち会いのもとにやったんだと言うけれども、県医師会のいろいろな人々の話を総合してみますと、立ち会う医師会幹部の人たちも、抗弁し弁護する余地がないという苦衷を訴えておる。弁護したりあるいは抗弁したりすることが医師会の人に与えられていないただ単なる立ち会いにすぎない、こういうふうな苦衷を訴えておるわけです。しかも今度の埼玉県の場合には、九人監査を受けているんですが、この九人監査を受けた中で、家族労働のみで診療している者が七人いたという事実から考えまして、事務の簡素化ということを真剣に考えてもらわなければならないと思うんです。結局事務の不手際から起った事件なんですから、事務的に繁雑だということが問題になっているんですから、事務の簡素化ということを真剣に取り上げて考えていただきたいとともに、事前の患者立ち入り検査、俗に網打ち式実態調査というんだそうですが、これは改めて、地元医師会とともに慎重な下調査というものをやっておく。監査よりもむしろ私は医師会よりの指導強化の方式が非常に民主的ではないかというふうな考えを持つわけです。こういった二点にしぼって、事前の患者立入り検査を改めて、地元医師会とともに慎重な下調査というものをやる、そうして監査よりもむしろ医師会よりの指導強化の方式に切りかえていく、こういった点が考えられてくるんですが、こういった点については一つ保険当局で十分にお考え願いたいと思うんです。こういった問題についてさらに詳しく調査する必要もありますので、委員長におかれましても機会を見て、関係当事者をあらためて国会に招いて、この保険監査のあり方について徹底的に調査を進めていきたいと思いますので、よろしくお取り計らいをお願いいたします。  この事件に関連して、監査に対する弁明というものがある保険医から出ているわけです。これは名前をはばかりますが、盛岡市のある医師でございます。この人は昭和三十二年の十月二十四日に保険監査を受けて、そして保険監査に対するいろんな不備、欠陥等に  ついて、いなか医師としての弁明をやっております。  これをちょっと簡単に申し上げてみますと、この医師は昭和二十六年に保険医となって、昭和三十二年十月二十四日に監査を受けたのであります。ところが保険担当の監査官から講評というものが下されておりまして、この講評によりますと「私がいかにもデタラメ極まる医師であり、あらわれている個々の事項が、悪意に基く作為である」かの如き印象を世人に与える感なしとしない。従来一面識もない技官が突如として監査を行われ、数枚のカルテから結論されるのであるから、それも、いたしかたないであろう。然しこの講評をそのまま承服することは私の人格の否定にもなりかねない。  かくては患者諸君にたいしては勿論、桜城小学校保健部長、盛岡市連合PTA学童厚生部保健部長、盛岡市連合PTA常任理事、学校衛生会理事等に推して下さった友人知己にたいしても申訳なく思う。  十月二十四日保険課から弁明書を提出するようにと求められたが、ペンは意をつくすことが出来ぬものである。したがって弁明に委細をつくしておらず、今後あらゆる機会においてあらゆる人々に向って私の意のあるところを述べる意図であるから、この一片の弁明書によってこと足れりとするものでないことを御諒承願いたい。」ということで、いろいろと弁明を加えております。「昭和三十二年四、五、六、七月カルテ中より指名せられたる社保三十二名、国保二十三名合計五十名のカルテ提示により、そのうち七名につき質疑応答が行われ、その後約三十分にして講評があったから、講評は右の七名に関する印象であると考える。したがって右七名を中心に述べ、併せて私の平素の見解の一端を披瀝して批判を得たい。一、記載不備について  私は、カルテについては、基本的にはつぎのように考える。(1)先づ病人をなおすことを第一としてカルテ記載は第二である。(2)カルテは重大疾患は別に詳細に記録し簡単なる疾病は簡単でよい。(3)カルテは他人に見せるべきものでもなく、従って他人のカルテなどを見るべきものでもない。  私は現在の病気を判断するためには過去の病歴が大事であるとの考え方から数年来のカルテを一冊にしている。たとえば甲なる人のカルテが昭和二十八年頃から現在まで更新されないで使用している。  この点は今にして考えると多分に自己流であり、今回の質疑応答の場合、自分ですらいささか困難を感じたくらいであるから技官の眼に杜撰なものと映じられたことであろう。」「ただ玄に一言したいことは、現在の保険カルテというものは、事務的面から見ればよくできているが、医者の立場からは尊敬に値いしないものである。  国民皆保険が言われ、社会保険が日本医療の根幹となる日も近いであろうが、医師が眷々服膺するに足る立派なカルテを作ってほしい。カルテ記載不備ということもカルテが事務面のみならず医学的に最高であることを前提としてはじめて厳しい批判の前に立たされるだろう。  かく申すのは「記載不備でよろしい」という意味では毛頭ない。私は大学において「カルテは正確に且つ詳細に記録すべし」と教えられたにも拘わらず今回記載不備の御指摘があったが、その原因はどこにあるのか、以下この点を反省してみる、」とありまして、コ、記載不備を招来するもの」といたしましてまず第一に「開業医のいそがしさ」、「私は外来四十名乃至八十名、往診数名乃至拾数名、入院十数名を診療するが、なかなかいそがしい。いそがしくなければ困るとも言えるのは開業医だろう。単にいそがしいのみならず時間が不定である。昼食時、夕刻時を利用して来るもの、早朝或は深夜寝込みを襲うものなど到底官庁業務とくらべものにならぬ。こうした多忙1がカルテ記載を簡略にする習慣を産み結局は記載不備となるように思う。」  二番目に「初診時診断不明のばあいのカルテ処理の不充分さ」、「初診時診断不明のまま病名を書かずにおく、患者が続けて来ない。そのまま病名の記入洩れとなる場合がある。」  三番目に「往診患者カルテの処理の不充分さ」、「往診は内、小児科につきものであり、特に開業医は腰が軽くとびまわることが肝要とされる。私は往診先で処方を患家に渡すことにしている。患家は窓口に持参し、薬局事務がカルテに記入しておく、帰宅後カルテを整理しておけばよろしいが、さもないと病状、所見、注射名の詳細が記入洩れとなるばあいがおこる。こんな原因が反省されるが、特に二、三日で治ってしまう短期患者にこれが多く、今回御指摘の七名も殆んどこれであった」  「二、請求事務について」、  「熟達する事務員を持ち得ず、家族労働に依存しつつやりくりしている私の事務系統は、万全を期するつもりではあるが、技官の眼から見れば「混乱状態」と批判せらるるのもうなつけることである。然し、零細開業医の事務をお考え願いたい、請求書は社保は七日、国保は十日までに提出せねばならぬ。内科の如き診療内容多岐にわたる部門における心労は言語に絶する、勿論それがため事務を粗漏にしてよいというわけではない。」「私の基本方針は」(1)としまして「超過請求をしないこと(間違いとしても)、」それから二番目としまして「カルテ記録上の不明点は緊密な連絡下に処理することの二点につきる。然るにもかかわらず御指摘をいただいたのは畢竟カルテ記載の不充分さとそれを処理する事務的才能の貧困にあったことが反省される。」  それで、今度はいろいろな各項について弁明をしておりますが、まず第一が「病名の不一致」であります。三才の患者で初診が五月九日で診療が五日間、「病名を質問されたが、病名記載なきものと誤認し、診療内容(初日サルファ剤、ペニシリン注射、翌日ツ反応検査、第三日クロマイ使用とある)」、こういったところから肺炎と答えたが、請求書には悪性下痢症と記載されていた例である。後で静かにカルテを検討すると鉛筆で悪性下痢症と記載されてあるのであってこの誤答は検査場の雰囲気にアテられていた自分の軽率さにあったように思う。」まあ雰囲気に対して非常に、調べられるお医者さんの方ではあがっておる、こういったことが書いてある。「とはいえ、カルテ記載をしっかりしておかぬための誤認でありこの点が反省される。」  (ロ)といたしまして一注射名相違」、六十二才の患者、六月十四日初診、診療二日間、「腹痛によりスコロイド二本とカルテに記載されている。請求書はスコロイド一本、ブドウ糖一本となっている。これは書き誤りというほかなく、本人の供述(保険課の直接調査)では静脈注射二本ということである。」「(ハ)請求点数の相違」「帰宅后私は提示カルテ五十名について調査した。結果は次表の通りである。即ち十九名の相違がある。カルテと請求内容が一分一厘違うべからずという鉄則よりすればたしかによろしくない。しかし超過請求二名にとどまり、十七名が不足請求であったことは「赤字になやむ健保財政に迷惑をかけぬよう」という私の方針を逸脱しなかったものと自ら慰むるものがある。私は、保険医療において実際診療内容と請求点数の一致ほど困難なものはないと考えている。その原因は、患者は保険診療が制限診療であることを知悉せず、当局も亦これに対する啓蒙に努められぬように感ぜられる。その結果健保の実態を知らずして濃厚診療を希望するのが患者の実状である。(この点大病院の診療内容こそきびしい批判の対象たりうるであろう)零細なる開業医が、かかる大衆を頭から拒否しうるものではない。一方査定制度は森厳であり、診療内容請求は無悪にけずられる。而もその減点理由、減点患者名等は従来一切暗黒裡に処理せられたのが実状である。この患者大衆と森厳なる暗黒的査定の間レあって右顧布陣しているのが開業医の実態といえるであろう。  (二)「診療回数の相違」、八才の患者、初診六月八日、二日間診療、「病名感冒で二日間サイアジンを与えている。御承知のように薬価変動いちじるしく、これに伴い点数は数次にわたり改訂され、応接にいとまなき現状である。サイアジン二瓦が普通薬二日分に相当するならんという記憶から、普通薬に換算して請求したものであり、ここに回数の相違が指摘された。サイアジンは高価薬であり、左の如く点数が違うことを把握した現在はかかる事例は皆無である。尚保険診療点数において使用される何点何分という小数以下の数字程記憶に苦しむものはない点を告白し、スッキリした点数制度の確立を望むものは私のみではあるまい。」  三、「抗生物質の差額徴収について」、  「抗生物質は厚生省の定むる基準によって寛大に使用出来るよう申されろが、現実ははるかに深刻である。例をあげて検討してみよう。  「ストレプトマイシン」「本剤は結核予防法により、知事に使用許可申請を行い、許可あってはじめて使用で守る。特殊な例(脳膜炎、粟粒結核)をのそき例外を認めない。したがって許可に至るまで、二乃至三週間は結核患者といえども使用できない。又五十万使用後は耐性試験を行い、その結果の判定(少くとも一カ月を要す)までは使用できぬ。而かも許可たるやかなわ森厳であり、結核にしてストマイの恩恵に浴しえざるもの枚挙にいとまがたいと申しても過言ではない。せっかく誕生したよい制度が現在制限診療の役目に堕している原因についてはここには述べない。しかし、かかる現状下において苦悩する患者をまえに、最高の治療を行うことができないなどは全くナンセンスであろう。」  「(2)クロロマイセチン 世紀の発見クロマイも、高価なるため使用は単純ではない。」「急性大腸炎にはクロマイは認められぬ。クロマイは疫痢、赤痢及びその疑似症で重症の場合、及び満二才までの重症消化不良症に認められる(盛二四)」これによれば、伝染病棟の施設なき一般開業医にとってはほとんど使用の機会はあるまい。開業医は診療の第一線に立つものであり、その主目標は患者の苦悩の軽減にある。苦しみあえぐ患者を放置して最高治療を行うことができないなどは、日本治療の恥辱ではないか。患者自身も「保険などはどうでもよい。一番いいお薬を使って下さい」と頼む、これが現実である。使用基準は現実に崩壊している。使用基準を森厳に守らしむるためには、制限診療を撤去せねばならぬ。」  それからいろいろ書いてございますが、時間もないそうですからこれでやめますが、もう一つ申し上げさしていただきますと、監査の面について、この弁明書の中には人間的接触ということについて申し述べております。昭和三十一年夏ごろより、ときどき患者諸君からいろいろと問い合せがあった。「先生の診療内容について保険課の係員からいろいろ聞かれたが、先生の御迷惑にならなかったでしょうか」というのである。私は「ありのままお話し下さい。悪いことしてはおりません、御懸念なく」と答えた。はなはだしいのは、無断で私の病院に立ち入り尋問を行なっていることである。昭和三十一年五月十八日午後三時半ごろ、保険課員と称する方が、階上十一号室の入院患者某氏に対し、約三十分にわたり左記について質問を行なった。(1)注射の種類(注射してボーッとなるか)(2)注射はどこでやるか、(3)入院前の治療内容、(4)食餌状況などであり、後日患者の申し出により明らかにされた。いかなる法的根拠によるのか私は知らない。しかしこのやり方は、昔の警察官の犯罪捜査の証拠固めを思わしめるものがある。一体、私をそれほど不良医と思われたら、なぜ私と直接談合の機会を持って下さらなかったか。私は保険課の方とお顔を合せたのは、前後を通じわずか一回である。昭和三十一年十一月中旬、岩手日報階上の保険課におもむき、課長不在なので、某技官に刺を通じ次のようにお願いした。その際かたわらに〇〇技官もおられた。「どうやら保険課では私を不良医とお考、にのようであるが、自分で悪いと思わなくとも、知らずにあやまちをおかしているかも知れません。もしお気付の点があったら、どしどし忠告していただきたい」と。これが前後を通じ当局にお目にかかった唯一の機会である。この私の願いにもかかわらず一回の指導、助言忠告も与えられることなく、今回の監査を行われたのである。私を医界から抹殺される御意図であろうか、全く理解に苦しむ。いつの日か御見解を伺う機会があるであろう。「数ある保険医の中には、事務的処理にうとい私のようなものもあることをお考えありたい。そうして初めから悪質とか不正とかの先入観をお持ちにならず、先ず疑念あらば当該医師と人間的接触(というと飲み食いに堕しがちであるが、私はこれを好まない)を持ち、医師を理解していただきたい。遊蕩機関と異なり、社会保障の一翼をになう医療機関であるだけ、罰則による影響は深刻なものがあろう。罰則を云々する前に、まず無知を啓蒙し指導されることをお願いしてやまない。」  「最后に保険医療の大先輩の金言をお耳に入れておこう。曰く、(1)先ず何よりも安い薬を使うべし。(2)聴診器を忘れてもペンを忘るるなかれ。よき保険医とよき医師が、ともすれば併立しがたき現状こそ、日本医療の悲劇あるいは喜劇というべきであろう。」こういうふうに述べてございますが、これは実際に監査に当った医師が非常に精神的に影響を受けて、そうして耐えられない気持をるるつづっておるのでありまして、その中の一部を申し上げたのであります。こういった面から考えてみましても、埼玉県の加藤医師に対して与えた点というものは監査にあったということが十分に考えられるわけです。ですから、今後の監査のあり方について根本的な検討をしなければならぬということは、この際ぜひとも保険当局で取り上げて、この事件を契機として真剣にやっていただくようにお願いいたしまして、時間もございませんからこれで終ります。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 いろいろ例をあげての御意見でありまして開業医の方は特に事務にふなれであるということはうなずけます。しかし事務の方がミスができたってそれは当りまえだというふうでは、先ほど申し上げましたように、今の保険という仕組みが成り立たぬわけでありますから、まあ事務の方でも私の方のお願いした分についてはやはりばかにしないで、これはまじめにやっていただくようにお願いしたい。もちろんその事務処理をなるべく御迷惑をかけることを少くするように、簡素化ということについては私どもも今後とも検討して参らなければならぬと考えております。  それから患者の調査のやり方について、いろいろお話がありました。これはただいまのところは、御意見として承わっておくだけにさしておいていただきたいと思います。

永山忠則自由民主党

○永山小委員長 滝井君。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 今同僚の八田委員から、保険医の監査の問題についていろいろ御質問がございました。私も少し監査の問題をあとでお尋ねしたいと思いましたが、時間の関係上また別の機会に譲らしてもらって、渡邊厚生大臣が大臣に就任をされましてから足かけ四カ月になったわけです。いよいよ渡邊厚生大臣の手によって、三十五年度の予算が編成をせられる段階です。もう大体渡邊厚生大臣も、厚生行政の全般について一応のお考えなり一応の見通しはお持ちになったと思うのです。いわば腹がまえがおできになったと思います。従って、この六月大臣就任以来再三にわたって御質問を申し上げ、留保せられておりました当面の二、三の問題点について、特にきょうは大臣の所見をお伺いをして、行き詰まっております日本の医療問題の打開の足場と申しますか、手がかりと申しますか、そういうものにしたい、こう思うわけです。  そこでまず第一番に、先般うしろにおられます牛丸審議官にいろいろお尋ねをいたしたのですが、最終的にまだ十分な御答弁をいただいていない臨時医療制度調査会の問題であります。すでにこの法律は、厚生省の設置法の一部を改正する法律として四月八日に国会を通過をいたしております。その後当然法律に基いて政令ができなければなりません。ところがまだその政令の具体的な内容についても明白でないようでございます。で、この委員会は大臣御存じの通り二カ年間の期限を切っての委員会です。従って五月から発足をするとしても五、六、七、八、九と、もうすでにじんぜん五ヵ月が過ぎておる。そうするとあと一年半しかない、こういうことになりかねない。日本の医療の重大な転換期に当りまして、一体将来の医療制度がどういうことになるかというその未来像もわからないままに、三十六年四月の皆保険に突入をして参るということは大へんなことだと思います。そこでこの際臨時医療制度調査会の政令案というものは一体具体的にいかなる構想を持った政令案をお作りになろうとするのか、きょうは一つ大臣の口からその内容の御説明をいただきたい、こういうわけです。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 いよいよ近く発足せしめるつもりで事務当局に原案の作成を命令しております。この委員の構成につきましては、大体におきまして学識経験者を中心といたしまして、そうして各団体の推薦というような形はなるべくとりたくないという考えでおります。しかし医療を受ける側、あるいは医療を担当する者、あるいはいずれにも属さぬ中立的な、全く白紙の学識経験者、こういったような人々によりまして構成をしていきたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 医療を受ける側とそれから医療を担当する側と全然中立的な人、実は医療問題については中立というものはないのですね。皆保険になれば、いわば療養を担当する側と医療を受ける側、こう分れてしまうわけです。もちろん医療を担当する人も、実は特別国民健康保険の場合には医療を受ける者にもなるし、保険者にもなり得る、こういう状態があるわけです。で、私ものの本で見たのですが、療養担当者の側の団体はこの委員の数を十人以内にすべきだ、それから医療保障の報告書——医療保障五人委員が三月三十日か三十一日に報告書を出しましたが、ああいう報告書を持ち込んでもらっては困るのだ、それからあの医療報告書をお作りになった医療保障五人委員の参加は反対だというような意見を持っておるということを実は本で読んだことがあるのです。こういうことは大臣一体どうお考えになっておるのか。同時にその委員の、今のように三者構成という形をおとりになるというと、私の御指摘申し上げたような矛盾が出てくるわけです。だからむしろこの際思い切って医療を担当する側と医療を受ける側というこの二つにして、そうしてそこで受ける人にも担当する人にも高度の学識経験者を御任命になる、こういうことの方が今の段階では筋が通っておるような感じがするという気持があるのです。従ってこういう点についてどうお考えになるかということが一つと、もう一つは委員の数、この臨時医療制度調査会の構想がまとまって、巷間伝えられたときは、初めは三十人という、こういう委員の数だったと思うのです。国会においても多分そういう答弁をしたと思うのです。その後これが二十人になったと思うのです。今大臣はその委員の数というものを一体幾らぐらいにするのかということ、これを一つあわせて御答弁を願いたい。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 医療を受ける者と医療を担当する者とすっきりしたらどうか、こういうお話でございますが、私は中立的ということは別にどっちにも属していないというそういう中立じゃなくて、いわゆる学識経験者という、こういう立場において医学におきまして相当な博学堪能の士というふうに解釈しておるわけでございます。  それから人数の点でございまするが、これは三十人前後というふうにあるいは前の大臣が申されたかもしれませんが、私はいろいろな運営上なるべく少数にしたらどうかというふうに、これも今事務当局と検討いたしております。これは二十名以内くらいなところでやってみたらどうか、この方が私は意見というものを調整する上において非常によろしいのじゃないか、かように考えております。精鋭少数研究主義というようなことでいってみたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 そうしますと、委員は二十名以内、少数精鋭主義だということがはっきりして参りました。特に医療を受ける側と担当する側、それから別に中立的な学識経験者、特に医学に広い知識を持っているということですが、実は制度の問題というものは単に科学的な合理的な医学に対する深い知識を持っておるというばかりじゃなくして、私は経済学なり、財政学なりの知識を持っている人も相当必要ではないかという感じがするのです。と申しますのは、日本における医療費の問題というものは医療制度の問題と、これは非常にうらはらの関係があるわけです。従って医療制度をどういう方向に持っていくかということは、これは財政問題を無視して、あるいは経済問題を論議せずして医療制度というものはあり得ないという感じもするわけですがね。そういう点、学識経験者の中には財政学なり、経済学の深い知識をお持ちになる公平な人をお入れになる御意思があるのかどうか。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 冒頭に学識経験者と申しましたのは、そういう人たちをも含めて申し上げたわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 そうしますと、一応大臣の意向としては学識経験者と、こう大きく網をかぶせておるけれども、その内容というものは医療を受ける者と担当する者と、それから中立的ないわば高度の学識経験者、こういうことに結論はなったようでございます。そうしますと、政令をお作りになって、一体その任命の時期ですね、これはいつごろにされる所存なのか、おおよその見通しを一つ言っておいていただきたいと思う。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 十月の初旬を目途としております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 十月の初旬ということになると、これは今までの渡邊厚生大臣の静観の態度からいよいよ積極的に動く態度が出たので、これは非常に喜ばしいことだと思います。そうしますと、臨時医療制度調査会の当面具体的に審議をする項目というものはどういうものを一体やられる所存なのか、これを一つお教え願いたいと思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 これは病院と診療所との機構問題についての内容の検討、あるいは医療機関の適正な配置、あるいは第三といたしまして医療機関の経営の実態というようなものにつきましていろいろな角度から研究させてみたい、この問題、大体こんなような点に重点を置いていきたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 この日本の医療制度に一つの転換を与えるであろう調査会の項目が病院と診療所の機構の問題、医療機関の配置の問題、医療機関の経営の実態ですか、そういう重要な点を当面おやりになる。よくわかりました。  あとの問題に入る前にちょっとそこで聞いておきたいのは、そうしますと、この委員会には専門部会というようなものをその下部機構として御設置になるのか、それとももう今のような非常に大きな問題であるので、下部に専門委員会というのは設けずに、この委員会だけでどしどしおやりになっていくという構想なのか。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 この点につきましては、今事務当局に慎重に検討させております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 そうしますと、専門部会を設けるか設けないかというのはまだきまっていないということですね。じゃ一つこの点についての結論が出るまでは、来月十日前後まで待たしていただきます。  それと関連をいたしまして、今病院の適正配置の検討の問題が起りましたので、ここで少し横道にそれますが、大事な点でございますから関連をしてお聞きをしておきたい点があります。  それは、厚生省が先般来の予算で丈ディカル・センターというものをお作りだなりました。たとえば昭和三十三年度は国庫債務負担行為として七倍円、それから三十四年は六億六千八百八十一万五千円、この三十四年度は某幹病院四カ所、こういうようにメディカル・センターをお作りになることになっております。それから同時に今度ガンを研究するために、ことしの予算要求ではガン・センターを十三億か十四億くらいの予算でお作りになる、こういう構想があるわけです。一方、たとえば大阪に行ってみますと、成人病センターというものができておる。これは何億かの金をかけて、なお今後ずんずん大きくしょうとしている。関西の要望を聞くと、東京のようないろいろの病院がたくさんあるところに十数億もかけてガン・センターを作るならば、当然関西にもガン・センターを作れという要望が非常に強い。今、大事な医療制度の調査会で医療機関の適正な配置をお考えになろうとしておるけれども、私はガン・センターというものが一つの流行になると思う。もはや各県でもどこでも、自分の県でもガン・センターを作りたいという要望は雲のわくごとくわきつつある。そうしますと、ガンなんというものは、なるほど死亡率は脳溶血からガンと、こうなってきました。なってきましたけれども、そうざらにおるものじゃない。なるほど死亡率はガンというものが上に上ってきておりますけれども、これが具体的な患者として現われてくるのは、そう専門の病院にばかり殺到するものではないわけです。一般の病院にもどんどんガン患者は行くわけです。そうしますと、へまをするとガンセンターと銘打って作った病院は、内容を調べてみたところが赤ちゃんばかりが入院をしておる病院になったという可能性ができてくるのです。と申しますのは、殷鑑遠からず、けい肺病院と銘打って作ったけい肺病院にけい肺患者が入らない。潜水病専門にやる労災病院として作ったその病院には潜水病の患者が入っていないという実態が出ておるのです。従って、厚生省はメディカ・ルセンターをお作りになる、ガン・センターをお作りになる、成人病センターをお作りになる、一体これらの問題の関係はどうなるのだということなんです。今にしてこれに対する基本的な方針を出さずして、いたずらにムードによって行政が行われるならば、これは大へんなことになるのです。そしてそれが今度は出てきた医療制度の問題で、病院を適正配置するのだと言ってもどうにもならなくなっちゃう。名前はメディカル・センター、成人病センター、ガン・センター  成人病というものは一体何を対象にするのだ、これはガンと脳溢血です。そうしますと、大阪にも成人病センターができておるのに、もう一つガン・センターを作るということになる。今のものを拡大するということになれば別の話になりますが、そのほかに基幹病院ができていくのです。これらの関係を一体どうされるのかということです。これを臨時医療制度調査会の使命とあわせて御答弁いただきたい。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 医療法の改正による適正配置に対しまして矛盾するのじゃなかろうか、こういう御質問になるのじゃないか、こう即断するわけでございますが、なるほどそういうふうにお考えになられるのも当然でございましょうが、私どもは、今成人病の一つとして最も大きなものは、働き盛りの四十代、五十代に非常にガンが多く早期発見される。こういう特殊な病気に対しましての対策といたしまして、一応わが国の医療制度に対しまして新風を吹き込んで、やはり新しい角度からガン・センターを作っていきたい。ただいま考えておりますのは東京でございますが、東京におきましては、目下ございます癌研究所の病床施設をそのまま収容いたしたい、こういうことで、医療法の改正に要しますところの適正配置には、なるべく触れていきたくないという方向によりましてこれを指導していきたい。全国各地におきまして続出するおそれがあるのじゃなかろうか、こういうことでございまするが、私どもは、こういうガンや脳溢血の成人病に対します対策といたしましては、やはりすでに各地におきまして設置を見ておりまするそのほかにガン科とかいうようなものを設けまして、別に病床を今特に増設するとか何とかいうような考え方ではなくして、なるべく医療法に即応するような方向におきまして、医療制度の完璧を期していきたい、かように考えておるわけでございます。いわゆる偏向的な一つの配置というものにつきましての是正というものを特に考慮に入れて行政措置を進めていきたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 どうもよくわからぬのです。債務負担行為として六億、七億の金をお使いになって基幹病院をお作りになろうとしておるわけです。九州で、たとえば福岡でメティカル・センターをお作りになる。そうすると、もしブロック的にガン・センターをお作りになるというなら、今度メディカルセンターをお作りになる、その隣にガンセンターができてくるわけです。病院は今まで独立採算制でみなやっておる。そうすると、極端な言い方をすればガンの患者よりも今度は子供の入院患者の方が多くなるという事態が起る可能性がある。たとえば京都へ行ってみますと、京都の府庁の前に大きな日赤の病院ができております。衛生部長は、ああいうものは必要ない、反対だとおっしゃっておる。ところが堂々とできてきておる。何でそれができてきたか、どこからお金が出ておるのだというと、厚生年金の還元融資でできておる。こういうでたらめなことが行われておる。あなた方の出先の衛生部長が反対だというものが日赤によって作られておる。そうして京都府の患者さんが入っておるかどうか調べてみると、京都府の人は病院には入っていない。どこから来ておるかというと、滋賀とか三重とか奈良とか、あの近県から来ておるわけなんです。すなわちこれは診療圏の問題に関連してくる。病院を一つ建てたら、その病院には一体どこの住民が一番集中的に入ってくるかという診療圏の問題が出てくる。それならば、もしその県の者が入らずによその者が入ってくるなら、その県に作ってやった方が合理的だ。何もでかでかとした事大主義的な病院を作ることが、日本の病院行政を推進し、貧しい国民大衆を完全に医療のあたたかい科学治療の中に抱擁できるということを意味しない。何か大きなものを作ればいいという考え方は間違いなんです。だから、たとえばすでに田崎さんの癌研究所なり病院がある。それを包含したガンセンターを作るのでしょう。それと別に作るかもしれませんが、おそらくそれを母体にするのでしょう。それならば、やはりそういう計画をきちっと立てて、メディカル・センターとの関係を一体どうするのかということです。私は何もガンと銘を打たなくてもいいと思うのです。日本の医療の傾向、日本の疾病の傾向というものは、昔は赤ちゃんの下痢、腸炎だったでしょう。最近は、もう老人病というものが医療費の中でずっと比重が大きくなっておるのはわかり切っているわけです。それならば、医術の方向と医療の重点を成人病に置いてやったらいい。そして普通の病院ベガン・センターの金をつぎ込んだらいい。何も銘打って作らなくてもいいのです。そういうこまかに分離していくことがかえって日本の医療には害毒になりつつあることは、あなた方が労災病院、年金病院をやって、いやというほど体験されておるはずです。大きな年金病院を建てたけれども、あれは年金の、いわゆる老後の保障をする人の病院ではなくて、一般の人の病院になっておる。そうでなければ年金病院はやっていけないのです。労災病院もそうです。労災病院が労災の患者だけでやっていけるかというと、やっていけない。みんな一般の開業医と同じことをやっておるのです。そして独立採算制でやっておる。健康保険の病院だって同じです。だから、日本の医療の体系を毒し、日本の医療機関の運営を毒しているのは、これは私的医療機関が毒しているのではなくて、いわゆる医療法にいっておる公的医療機関またはこれに準ずる第三の範疇のものが毒しているのです。それは京都の例ではっきりしておる。これは臨時医療制度審議会でそういう根本的な問題を論議しますが、同時にその前にやはりあなた方の省においても考えてもらわなければならぬ点だと思うのです。そうしないと予算が二重三重になっていくということになる。一体メディカル・センターの役割は、今後何を重点にやるのだということ。そうするとメディカル・センターには老人が殺到しますよ。何ということはない、メディカル・センターは、名はガンとしておるけれども、老人病の中心になっておった、こういうことになりかねないのです。だから、こういう点も一つ御検討をしてもらいたいと思うのですが、どうですか。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 先ほど御指摘の通りの事態にございますので、御承知のように、国立病院の昭和二十九年度からのガン・センターの整備十二カ所は病床をふやすのではありませんで、治療の機械器具を整理する、一カ所約一千万円でございますが、に過ぎないのでございまして、このために特にベットをふやすということは意図していないのでございます。なお、県の中央病院、いわゆるガン・センターと言っておりますが、県の中央病院にガンの診断能力を向上せしめるための機械設備、あるいは診療の質を整備向上するための補助を出しておるのでありまして、これもベットの増床をことさら意図しておるのではないのであります。今回計画されております築地のガン・センターも、ガンの研究会の所属の病院の病床の四百床をそのまま吸収するということで、増床の意図は持っていないのでございます。しかし、御指摘のような問題がございますので、こういうような基準の問題、特に診療圏にからんだ問題は相当重要な問題に今後なりますので、医療法の一部改正の通過後の医療機関整備中央審議会において慎重に討議されることを期待いたしておるわけでございます。なお医療制度調査会においても、当然こういう問題が重要な議題になるであろうと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 とにかく現在の日本の医療機関の配置を一番乱しておるのは公的な医療機関であり、それに準ずるものであることは確実なのです。しかしこれは法案も出ておりますから、そのときもう少し詳しくやりますが、とにかく御検討していただきたいと思います。  次にこれは大臣にお伺いいたしますが、六月の初めにその機能を回復したといわれております医療協議会の委員の問題です。すでに甲表を代表するものとして多賀先生がお入りになりました。しかし乙表の代表と厚生省が言われております日本医師会が、依然として委員を送っていないわけです。太宰さんは法律的に機能は回復したとおっしゃっておりますが、医療協議会が軌道に乗らない限りにおいては、社会保険の部面に医学、医術の進歩の成果を取り入れられないわけです。すでに昨年の六月以来機能は全く停頓しております。ようやく今年六月参議院の選挙の後に一週間か十日ばかり機能が回復して、結核の治療指針の改正をやってどけた。しかしその後は、いろいろやらなければならぬことがたくさんあるはずなんです。ところがそれがやられていないわけです。ところがこれは日医との関係があって開けない。一体大臣は、医療協議会の名実ともに備わった機能を回復するためには、いつまでわれわれに待てというのかということです。もう大臣に就任の後、足かけ四カ月になりました。従って医学、医術の進歩に適応した医療協議会というものを当然作ってもらわなければならぬと思いますが、大臣の所見は一体どうでございますか。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 社会保険の医療行政につきましては、この医療協議会というものが円満なる運営によりまして、各方面の御納得のいくところのものによって私たちは御協力を願いたい、かように考えておる次第でございまして、日本医師会が現在とっておる態度につきましてはまことに遺憾である、かように考えております。しかしながら、この日本の医療行政というものを考えましたときには、関係各団体の御協力、またいろいろな御支援を得ましたならば、この問題もそう長く放棄もできず、また互いに相歩み寄って解決するところの道もそう遠くはないのではなかろうかと考えるのでございまするけれども、目下のところはせっかく努力中でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 八月においてもせっかく努力中でございました。九月もまさに秋風が立とうとする現段階も、まだせっかく努力中でございます。こういう行政がそう長く停滞をするということは全く困ったことだと思うのです。先般私は甲乙二表を公平な立場に立って一本化すべきであるという意味の決議を出しましたら、いろいろ誤解を生みました。ようやく十四日の委員打合会で円満に片づくような見通しもついたわけですが、来年度の要求予算を見てみますと、三千万円の一本化の調査費かなんか出ておるようでございますね。日本の医療の大々的な調査は、二十七年の三月と十月に医業経済の実態調査が行われたわけです。ああいう大規模な調査は自来行われておりません。行われていないので、あなた方は医療費体系に基く点数表を出したけれども、その基いたもとの資料を出さずに、昨年堀木さんによって甲乙二表を強行されたことは御存じの通りです。そうしますと、ことしはそういう調査費を予算に計上せられておりますが、医療協議会とは無関係にこれはおやりになるつもりなのか、これはどういうことなんです。一本化の調査をやるのはどういう意味のことですか、大臣一つ御答弁願います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 ただいま厚生省に審議官を新たに作りまして、この問題につきまして特に検討研究を進めておる次第でございます。私も先般来強く、早急に甲表、乙表の点につきまして、実施以来十カ月の後におきまするところのその実績の結果につきまして、成績の調査研究を進めさせておる次第であります。でありますが、これはしかしなかなかそう簡単には結論は出ないのじゃなかろうかと思います。しかし日本医師会を初めとするところの関係各団体あるいは学界、言論界、あらゆるところの御意見等も総合いたしまして、できるだけすみやかにこの簡易なるところの一本化の問題というものを実現せしむるところの機運の到達を念願しておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 大臣にお尋ねしますが、そうしますと、十ヵ月の成果を調査検討をするということになると、これは相当の金がかかるわけですね。調査にも相当の時日がかかると思いますが、大臣は一体どの程度の日にちがかかるとお考えになりますか。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 はっきりしたことは言えませんが、そう今までのように二年、三年というようなことではなくして、常識的に見まして、各界の御協力のもとにやったならば、私はしろうとでございますからはっきりしたこともわかりませんけれども、まあまあ相当長いような短かいような期間が必要なんじゃないか、かように考えられるわけでございます。明確な御答弁はちょっとできません。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 二年三年でなくて、各界の御協力があるならば、長いような短かいような期間だということになれば、二年、三年はかからぬ、こういうことですから、一応二年以内、こういう形が出るわけです。そこで、これは専門に扱う太宰さんにお尋ねしますが、あなた方は昭和二十七年の…月と十月と、きちっときめてやったわけです。今度は大体今の大臣の御答弁では、過去十カ月間の検討を命じている、こういうこともありましたが、いつを目標に調査されますか。それはたとえば二十七年の三月、十月というように、いつを摘出して調査されますか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 ちょっと先ほどの大臣の御答弁と違うところがあるかと思いますが、大臣からは甲表、乙表につきまして十カ月とか、小一年の期間について、その間の特にどういう点に問題があるかということについて検討を命じられております。これは同時にそういうものからスタートしまして、そして前々から御質問、御注文のありました甲乙の点数表をよりよいものに一本化するという作業の第一段階でございます。それでただいま御質問のおもな点でございました明年度予算でそこばくの予算を計上して医療の実態調査をするということを私の方の官房の方から要求しております。私の方も若干相談を受けておりますので、便宜私からこの場でお答えいたしますが、お尋ねのように、前の点数改正をいたしました際に使いました表というものは、二十七年の三月と十月、それか二三十年のも使ったかと思いますが、とにかく二十七年のを使ったわけであります。やはりこういう点数表の改正とか、あるいは今の診療報酬の適正化をはかるというような作業に着手いたします場合におきましては、そのときになるべく近い現在における客観的な資料というものをもとにして組み立てて参りませんことには、話自体がくずれてくるおそれがあるし、関係団体の方々の御納得を得ることが困難であります。そういうことで作った資料を医療協議会にかけましても、これは何の意味もないことになるわけでございます。それで、今日からしますと、二十七年当時の資料を、もうかれこれ八年くらいたった後においていつまでも使っていくということは、私どもとしてはどうかと思います。それで、なるべく近い機会におきましてそういう客観的な資料を得たいということを私どもも念願しておるわけでございます。この調査の予算を官房の方で出されたわけでありますけれども、もちろんこれを調査しますからには、やはり関係の向きの方々の御納得も得、賛成も得、協力も得なければ調査というものはスムーズにいかないわけでございますので、そういう方面ともだんだん話をして参りたい、また予算のかかることでもありますので、財政当局とも話し合いをせねばならぬかと思います。とにかくそれを作りました後に、いつごろ調査するかということも具体的に明瞭になってくるかと思いますが、ただいまのところではいつにするというところまでは至っていないのじゃないか、まだはっきりしていないのじゃないかというふうに私は聞いておる次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 それはごまかしですよ。いやしくも一国の、一省の予算を編成して大蔵省に要求する場合には、一体この目的というものはどういう目的でやるのだ、しかもその使用の時期というのはいつごろなんだ、しかも三千万円なら三千万円の基礎の出たものは、病院でいえば幾ら、診療所なら大体どの程度のものを調査するという予算の基礎がなくては、三千万円なら三千万円というものは出るはずはないと思う。これは官房の牛丸さんの方ではわかっておるはずです。首を縦に振っておるから、大蔵省に要求する額は三千万円、間違いないでしょう。そうしますと、一体三千万円の算定の基礎はどういうことなんですか。病院は幾ら、診療所は幾ら——これはこの前の二十七年三月、十月の抜き取り調査でもはっきりしている。しかもそのやる時期はいつごろなんだということもはっきりしていなければならぬ。と申しますのは、今日本医師会も調査をやっておりますが、過去のものの調査ではやはり間違いも起る。だから、予告をして、たとえば昭和三十四年の十月一日から一週間なら一週間、あるいは十月一日、一日分の患者の保険、生活保護法、あるい自由患者、こういうものを全部して下さいと医師会はやっています。しかも一週間くらい前に調査して、病院なり診療所に各カルテがやってくるわけです。だから、こういうように前もってやっておかぬと、今から一年前のものを出せといったって、記憶が不完全だからできない。だから、もしあなた方がやるとするならば、当然三十五年のいつかを目途としておると私は思うんです。だから、それは一体いつを目途としておるのか、その抽出をする病院と診療所の数はどの程度のものを基礎にして三千万円の要求をしておるか、これを一つ御説明願いたいと思います。これは考え込む必要はない。予算を要求しているのだからはっきりしていると思う。

牛丸義留厚生事務官(大臣官房審議官)

○牛丸説明員 今手元に予算書を持っておりませんので正確な御答弁はできませんが、来年度中に実施するつもりでございます。その月は今のところ忘れましたが、大体考え方は二十七年の調査と同様でございます。それと、それに頻度調査を加えるかということを今検討しておりまして、金額はそういう面で多少動くかと思いますが、三十五年度中の一定の時点をとりまして、病院と診療所は二十七年のときは一定の時期をとりまして、多分診療所が百分の一、それから病院が十分の一だったと思いますが、それと同じような抽出の統計で資料の整備をはかりたい。そういう計算で、もし御要求ならば、そういうふうな内容を委員会にでも精密に御報告申し上げたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 それではその資料をぜひ出していただきたい。これはきょうでなくても、十月の委員会まででけっこうです。  これで大体厚生省の意図がわかったわけです。そこで今度は、理詰めになりますが、大臣、いいですか、三十五年のある時点を調査することになるわけです。一本化の基本的な調査をやるために、三十五年のある時点を調査する。そうすると、予算が衆議院を通るのは三月の終りですから、だから、実質的に調査ができるのは、三十五年の今ごろしかできない。予算が国会を通るのは三月の終りですから、従ってこれの準備をととのえて調査カードを作って、そうしていよいよ末端に流して調査をするということなら、三、四カ月、準備にかかる。だから、やる時期は、常識的にいっても、今ごろです。私は二十七年三月、十月の調査を知っておりますが、大体予算が通ったあとに、三カ月、四カ月の準備は十分かかるペまをすると、半年は十分かかる。だから、大体今ごろから調査カードにかかって、実態調査をして、そうして、今度は製表しなければならぬ。いわゆる統計調査部で表にして、きちっと計算をして出す。そうしますと、この成果ができてくるのは三十六年です。そうしますと、甲乙二表の一本化は、三十六年にならなければできないという結論になるのです。そうしますと、暫定単価が三十三年、三十四年、三十五年、三十六年六年でまとまらなければ、三十七年にいきます。まあ暫定単価といっても、十一円五十銭と十二円五十銭が足かけ八年いったのですよペまをすると、この甲乙二表というものは、今の私の見通しでは、最低三十六年にかかるのです。こういうところに実は問題があるのです。だから大臣、しかつりしてもらわなければいかぬのです。大臣、今のように、二年か三年ということはない、まあ短かいような、早いような、こういうようなあいまいなことではいかない。すべてこれはやはり科学的な根拠に立ってやらなければならぬ問題です。そこで私は、この前から急ぐわけなんです。今こういう厚生省の手のうちを私は見た。だから、この一本化は三十六年にならなければできない、こういう事態なんです。それまでは大臣としての命はないですよ。失礼な言い分ですけれども、三十六年では、もう山川内閣もどうなっているかわからぬ。石橋さんの中国のああいう問題もあるのですから……。それで、これは大臣、よほどふんどしを締めてかかってもらわないと、こういう形になると、医療協議会というものが、これはなかなか軌道に乗らないのです。今のような、その手のうちがわからない、そうしてはっきりとしたものが出てこないということになると、医療協議会というものはどうにもならぬ、こういうことになる。だからこういう点をもっとざっくばらんに医療協議会で話をしてそうして医療協議会の全員の、保険者も被保険者も、医療担当者も、衆知を結集して厚生省と一緒になってこれをやらないと、厚生省だけがやると、また二十七年の三月、十月と同じような異論が出てくる。そうすると、それは使えない。だから私は、今からそれを警告いたしておきます。これが大臣によって完成されなくても、大臣がその基礎さえ築けば、これは渡邊厚生大臣によってやられた仕事だということになるのです。医療協議会の委員の問題というものは、密接に一本化の問題に結びついておる。それは、どういう形で一本化するかは、これは具体的に、この前大臣が言われたように、検討の結果を待ってやられて私はけっこえ、だと思いますが、その検討のやり方についても、よほど慎重にやっておかないと、これは二十七年の調査と同じように、混乱を起すばかりです。そうして、その調査をやったものが何の役にも立たなかった厚生省の一人相撲になった、こういうことになりかねない。だから、私はその点をこの際特に大臣に要望しておきます。今の牛丸審議官の答弁の通り、三十五年のある月をとって調査をやる、しかもその調査は二十七年の調査と同じような調査なんだ。そうするとその調査の成果をまとめるためには半年以上かかる。これに対して大臣、どういう工合にそれを推進をし、うまくまとめて、より早い機会にやられるのか、これは一番大事なところです。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 私が就任いたしましてからちょうど満三カ月ばかりでありますけれども、滝井さんはもうすでに四カ月たったとおっしゃいますが、足かけということで非常に大ざっぱにお考え下さっておられるようでございますが、私どもできるだけただいま御警告の線に沿いまして、この一本化という方向をきめた以上は、できるだけ関係各団体の御協力を得まして、そしてすみやかに結論を出したい、努力を傾注するつもりでございますから、どうもいろいろ御警告をありがとうございました。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 ぜひ一つ医療協議会の人事問題とからめて、その人事問題をうまく解決するためには、来たるべき甲乙二表の一本化の基礎になるその調査の段階で、やはり関係団体と十分意思の疎通をはかっておいてもらいたい、こういうことです。  そこでそれと関連をして、日本の医療費の動向です。あなた方が来年のある時点をとらえて基本的な調査をおやりになるが、しかし今までの医療費の動向について、あなた方もすでに詳細な検討をやられておらなければならない。私は再三にわたって館林さんに要望しておったわけです。先般、六月から保険者と被保険者に対して千分の二の料率の改訂をやるというのが当初予算を編成するときの厚生省の構想だったわけですが、六月から保険者と被保険者に対して千分の一ずつ、約十億円に当る、これをやりたい。ところがその後の医療費の動向というものが自分たちが考えたのとは違って、非常に上昇の過程をたどった。だからこの千分の二の引き下げというものはここ数カ月その答弁を待ってもらいたいというのが太宰さんの答弁だったわけです。私は数ヵ月待ったわけです。七月、八月、九月と、三ヵ月待ってきた、もうやがて来月になれば十月になるのですから、もうそろそろ医療費の動向というものはわかっておらなければならないはずです。一体医療費というものはどういう動向をたどりつつあるのか、これをまず概括的に御説明をいただきたいと思うのです。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 お尋ねのように今年度の予算を組みます際におきましては、その当時のいろいろな資料をもとといたしまして大体六月分から千分の六十五の保険料率を千分の六十三まで二だけ下げるというように考えておったわけであります。その後の動向を見て参りますと、三月ごろから少し異常な様相が出て参りました。これをしかと見定めるために今日までずっと注視しておる次第であります。結論的にいいますると、今日におきましても医療費の動向の傾向は落ちておりません。つまり一時的な現象としてネグレクトするわけにはいかないような状況でございます。保険財政の面から申しますると、歳入の面にも関係があるわけでございまして、今年度は保険料の収入として約七百五十二億ほどの金を組んでおったのでございます。しかしながらこの点は、その後における被保険者の増加が割合著しいので、約八億ほど予定よりも収入増になる見込みでございます。それから医療給付費の方については六百九億円ほど計上いたしておったのでありますが、三十四年三月から七月までの実績をもとといたしまして、同期間の、私どもが予算に基いて予想しておりました支払い見込み額と比較してみますと、実績の方が一ヵ月平均二億六千万円ほど上回って、だんだんそれも増す傾向にある。かりにこれを単純に平均したものをもととして年間の医療費の見込みを推計いたしますと、予算に組んでおりましたよりも約三十億ほどの支出増になる見通しであります。先ほどの収入の方で八億ほどふえることになろうかと思いますが、差引やはり二十二億ほどの見込み違いとなって参るおそれがある。それがなお今後その見込み違いの方のズレも大きくなるおそれもなしとしないのであります。ただいまのところにおきましては、料率の引き下げもあるいは困難であろうか、こういうことを考えておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 今の御説明で、二十二億ほどの見込み違いがある、こういう結論でございます。従って料率の引き下げも困難になる、こういうことになったわけです。今まであなた方が、健康保険は赤字だ赤字だ、こう言っておりましたが、法律を改正する以前に赤字でなくて黒字に転換しておったわけですね。三十二年には七十九億の黒字になったし、三十三年は二十億の返還を済ましてなお四十九億程度の黒字であったわけです。ところが六月の千分の二の引き下げの予定というものが、その後の二月ないし三月以来の医療費の増高のためにできなくなった。一体そのようなあなた方の予想を上回るような医療費の増加が出てきたというのは、それは一時的な現象と見るのか恒久的な現象と見るのか、どっちですか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 その点が実は問題でございまして、私どもも当初は多少希望的なあれもあったかもしれませんが、一時的な現象であれかしと思っておったのでありますが、ただいまの今日の状態におきましては、一時的な現象としてすぐに回復するであろうというわけにもどうもいかぬのじゃないだろうか、今後とも医療費のあれは増加する傾向にあるのではなかろうかというような心配もいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 どうも少し心もとない答弁でございますが、とにかく一時的ではない、恒久的だ、こういう結論のようであります。そうしますと、御存じの通り、昨年度の社会保険医療費の総額は二千四百億前後になっております。これはあとで医務局の方から御答弁を願いたいのですが、正確な数字はこの前小沢さんが医務局長のとき、再三にわたって答弁を求めましたが、最終的な結論は出ていなかったわけです。もう出ておるはずなんです。三十二年、三十三年の日本における社会保険の総医療費と、それから社会保険以外を加えた総医療費ですね、これを一つ三十二年、三十三年を御説明願いたい。それから三十四年度の総医療費の見通しというものを、同じく社会保険と社会保険以外の自由診療も加えたものの見通しですね、これを一つ御説明願いたい。同時に、これは保険局にお尋ねするのですが、医療費の動向というものが非常な変化を来たし始めた。その変化の中で、受診率というものもはっきりしておるわけです。一件当りの点数、金額も、大体その推移というものは、あなた方は統計をずっととっておられるのでありますから、はっきりしてきておるわけです。ところが、それらの受診率が上ったり、一件当りの点数やら金額の上昇が推定ができるとするならば、一体その原因というものは受診者の側にあるのか、それとも医療機関の側にあるのか、それとも制度の変化に基くものなのか、あるいは病気の内容が変ったのか、どこかここらあたりに原因を求めなければならぬと思うのです。私はものの本で読んだんですが、館林さんが三十二年二月に、非常に増加をしたという原因は一体何か、それは消化器系の疾病が多くなったんだ、特に赤痢が多くなったというようなことを、あなたは言ったかどうか知らぬが、私が見た本では、あなたが談話で言っているのを見たんです。ところが、一体そういう単純なものかどうかということです。これはなるほど占領軍が日本にやってきてからの日本の大きな特徴は、赤痢いわゆる伝染病が非常になぐなってきたということと、男女平等になって離婚がふえたという二つの特徴があるということを、だれかが教えてくれましたが、最近また赤痢はふえつつあることは事実です。しかしその赤痢、消化器系統の疾患がふえたことがそのまま二十数億の見込み違いを社会保険に及ぼすほどの影響を与えていないと私は見ておる。そうしますと、あなた方はこれは専門におやりになっておるんだが、医療費がこういうふうにあなた方の見通しと違った原因は、一体どこかということなんです。三十二年にあなた方のわれわれに対する答弁は、医療費の天井というものは、この三十二年がもう天井でございます、というのが、あなた方のわれわれに対する答弁であった。加藤さんなんかも、今首を縦に振っておるが、それがわれわれに対する答弁であった。ところが、それから一年半しかたたない現段階において、全く原因がわからないということじゃ、おかしいと思う。一体その原因は何か。この原因がわからずして予算は組めないのですよ。久下さんのときに、こういう受診率いわゆる医療費の見通し、それから入ってくる被保険者の増加の状態等——久下さんが保険局長のときに百万見誤まった。そうしてそれと同時に、百万の見誤まりが赤字だという、こういう宣伝になって現われた。だんだんしさいに検討してみたら、こういう点があるということを僕は指摘しておったのです。百万の被保険者の増加を見誤まった。そして実際予算編成期の現段階において、医療費のこういう動向というものを今恒久的だとおっしゃった。ところが三十二年度にピークであるということがピークでなくなって、三十四年にますますピークが高くなりつつあるということ自体の原因は、どこにあるかということを明らかにしてもらいたい。これを明らかにせずして予算も組めないし、今後の日本の医療費の問題を論議することもできないと思うのです。その原因がきょうわからなければ、私は十月まで待ってよろしいと思うのです。先般の答弁では、大っぴらには言えませんが、結核が減ったことが医療費の減少の原因だということを小山さんが答弁をやった。それは大っぴらには言えませんがこういうことだということで、三十二年がピークだった。ところが今度は結核は減っておる。それにもかかわらず医療費がふえておる。どこかにあなた方の専門的な感覚による原因がなくちゃならぬ。これは大臣にお答え願うことは無理ですから、専門の保険局長なり館林さんが、一つこういうことが原因だということは明白にお示し願いたい。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰説明員 医療費がさように増高して参りました原因につきましては、ただいますと検討しておるわけでございます。専門家も多少おりますけれども、その原因はまた非常にむずかしいようでございまして今後予算を詰めますときまでずっと検討を続けていって、予算の方には適正な予算を組みたい、かように考えております。ただいままでのところ私どもの判明した点だけをちょっと申し上げますと、大体受診率の点は、確かに三十二年度から三十三年度にかけて減ったと思います。それを三十四年度と比較いたしますると、受診率は伸びておるようであります。この点で三十二年から三十三年に減ったことをもって、もうこれからはこの線でいくというふうに思ったことがあったかもしれませんけれども、これはやはりその三十三年に落ちたというところがむしろ少し一時的なあれであったのかもしれない。それで、予算の面ではやはり三十三年だけを対象といたしませんで、その過去の二年間の平均というものを趨勢でもって組んでおりますので、幸いにして今年度の予算の面の受診率の点においては、ただいままでの実績との間に大きな違いがございません。三十三年の実績と比較すれば、受診率は若干は伸びております。それから一件当りの医療費、これを受診率で加重平均いたしました一人当りの医療費でございますが、これは大体過去二年間の趨勢をもって組んだわけでありますが、一人当りの医療費を大体被保険者一人当り八千四百四十四円というふうに計上しておるわけでございまして、最近の実績によります年間の医療費は大体八千五百九十八円、約八千六百円ぐらいに相なろうかという見通しでごいます。その間一人当りの医療費として約百五十数円の増になっております。これは八五%というワクの拡大分も一応含んで計算したことであります。大体百五十四円くらいと今のところは見ておりますが、この見込み違いによって生じました差というものが十一億円くらいでございます。それから被保険者の方が約二十一万人ほどふえますと、当然医療費という形でふえて参ります。これが約十八億円くらい、かようなことに相なっているわけです。なお予算は御承知の通り年末に詰めるわけでございますが、財政当局ともその点については最も近い時点までの資料を持ち寄ってきて相談する、こういうことにいたしている次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 今のお話だけでは、受診率とか一件当りの医療費等の増加したことはわかるのですが、その受診率や医療費が増加をした原因は一体どこにあるのかという点がはっきりしないわけです。だからそれを私ははっきり教えてもらいたいと思うのです。具体的に、たとえばまた結核がふえ始めたのだとか、あるいはガンならガンがよけい健康保険に入ってきたからこういうことになったとか、何か原因がなくちゃならぬ。でなければ、ただばく然と患者がふえたのであります、それならそれでもいいのです。その点は何かないですか。  それから総医療費の説明を一つ医務局の方から……。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 しばしば問題になりました健康保険の財政上の赤字とか黒字とか申しますものは、絶対的な赤字とか黒字とかいう性質のものではなくて、予想した予算と違っておる、こういうことであります。もっと基本的な問題から申しますと、予想した予算というものは歳入と歳出のバランスで組んでいるわけであります。歳入は標準報酬並びに被保険者数というものから成り立っているわけであります。財政の専門家の大蔵省でさえ翌年度の財政収支の見通しというものは必ずしも一致しないというように、標準報酬なり労働者数の増加傾向というものの見通しというものはなかなか容易でないわけです。他面支出の主要な部分をなす医療費はさらに複雑な要素を持っておりまして、前年がこうであったから翌年も同じような傾向をたどるということは過去の調査を見ましてもなかなかないことであります。年々歳々いろいろな様相を帯びてくるわけであります。しかしながらわれわれとしては、予算を組む場合には相当前に翌年度の予算を組まざるを得ないということから、必ずしも十分な予測ができない状態にあるわけであります。従って過去二、三年の状態をもとにして翌年度を推計するということをいたすわけであります。従ってそのような推計によって出された結果が必ずしも収支償わないということはある程度やむを得ない現象であるということをあらかじめ申し上げておきますが、今年の予算の基礎をなしておるものは、昭和三十二年及び三年の前半の資料がもとになっておるわけであります。ただいま滝井先生からお話がありましたように、昭和三十二年の資料は近年ではやや特異な姿を呈しております。どの点で特異であったかと申しますと、相当はなはだしい流感があったのでありまして、その流感の影響は受診率の曲線を書いてみると非常に明白に、槍岳のような峯をもって表われております。この流感の影響は受診率を非常に多く見せる一時的現象であった、今日にして思えばそういうものであったおそれがあるわけであります。従ってそのような特異現象の流行がなかった昨年は、あたかも受診率が低下したような様相を呈した。しかし昭和三十二年の流感の流行分を除いてみると、受診率はやや昨年といえども増加しておったのではなかろうかと今日推定しているのです。受診率というようなものは、別の言葉で言えば患者の発生であります。患者の発生が医学が進歩しているにつれてどんどんふえていくということは理論的におかしいことでありまして、ある程度いけばこれは天井をつくべき性質のものである。その天井をつくのが昭和三十二年ごろあたりであったのではなかろうかという推定を当時、一時したわけでございます。ところがどうも結果的に今百品になって考えてみますると、必ずしもそうではなくて、受診率の増高傾向というものは依然としてあるのではなかろうかと今日考えられるのであります。その点が今年の予算にある程度影響していると思われる点が一つと、いま一つは、ただいま滝井委員から御指摘のありましたように、結核の医療費の占める比率が非常に下ってきております。結核患者の一件あたりの点数は、入院実日数が非常に多いために、一人当りの患者実点数が非常に多いのであります。従って結核患者が多いということは平均点数を非常に増高する傾向を持っているが、これがだんだん減ってくるということは平均点数を下げる傾向を帯びてくる。従って近年その結核の減少の影響によって平均点数がやや安定したような様相を帯びている。いま一つは、ただいま申しましたように、非常に病気としては軽い種類の感冒がありまして、その感冒が件数を非常にふやしておりますけれども、一件当りの点数はそれほど高くなく、一件当りの点数を下げているということで、昭和三十二年に一件当りの点数を非常に低くしておった一時的な要素になっております。こういう時間的といいますか、季節的といいますか、そういう特殊現象が織り交って最近の保険医療費の動向の察知が非常にむずかしい状況を呈しておったと思うのであります。その過去の最近の非常に変動の激しかったものを基礎にして本年度の一件当りの点数を予測したために、結果的には必ずしも一件当りの点数の予測に合致しないで、結果として本年度の一件当り点数が相当高く出てきている、こういうことになっているのではなかろうか。従って昭和三十二年ごろに比べて、今日も胃腸疾患が多いのではありますけれども、それは絶対的に多くなったとは必ずしも言い切れないで、昭和三十二年の平均をとれば感冒が非常に多いために総体的には胃腸疾患が少かったかもしれない、そういう部分が今日では相当大きな部分を占める、こういうようなことも考えられるのではなかろうか、こう考えております。しかしこれは一応私どもが考察しておるだけでありまして今後なお詳細にまた数字の上で検討いたしてみませんと、はっきりしたことは申し上げかねるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 医療費の増加の原因をるるお述べいただきましたけれども、どうもなかなか迷論であって、よくわかりかねるのです。それでもうしばらく私は待たしてもらいます。そして予算編成期になりますれば、いずれにしても詰めなければならぬでしょうから、臨時国会になりましてから、十月の二十日前後に開かれるそうですから、機会をあらためて質問をさせていただいて、一つあなた方が医療費増加の原因を分析したものを文書で出していただきたいと思うのです。なぜかというと、国民皆保険の進展に伴って国民医療費の動向の把握がやはり正確でなければ議論ができないのです。そういう意味で、三十二年がピークだと言っておったものが、一年半したらくるつとひっくり返ったとしたら、僕らだれを信じていいかわからぬ。専門家のあなた方の見通しがそうくるくる間違っていたのでは大へんだと思うのです。これは一つ文書にして臨時国会の中ごろにでも出してもらうと、そのころになれば十一月ですから、ある程度いけると思うのです。文書で出して下さい。それからあなたの方の総医療費の問題を少し…。

黒木利克厚生事務官(医務局次長)

○黒木説明員 ただいま手元に資料を持ってきておりませんので、総医療費の推定につきましては統計調査部が中心になりまして事務局が参加いたしまして目下作業をいたしておりますから、その範囲で資料が届き次第お答えいたしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 それならばぜひこれも一緒に、臨時国会でけっこうですから、出してもらいたいと思うのです。そこで、実は私は医療費の動向を聞かしてもらって、そして具体的な質問に入りたいと思ったのですが、どうも十分な把握をされていないようでございますから、その方は別の機会に譲って、少し具体的に、甲乙二表を実施したわけですが、甲表というものは乙表に比して科学的、合理的なものなんだ、こういう自負をお持ちになって実施されたわけです。僕らは必ずしもそうでないということで反対をして参ったのですが、一言にして言うならば、その甲表が乙表に比して合理的な結果というものは、一体十カ月の医療費の動向の中でどこに現われているかということです。これを一つ御説明願いたいと思うのです。——十カ月の成果をちょっとはっきり答弁ができぬようですが、これがわからなければ甲表をあなた方が合理的だという証明にならない。一体乙表をあなた方は甲表に変えたというのは、乙表では注射、投薬がむちゃくちゃに行われるのだ、だからこれはやめなければいかぬ、甲表ならばそういうことが、いわゆる物を売るということが行われないのだ、だから物と技術を分離していったのだ、こういうことですね。だから合理的な結果というものは、甲表ならば注射やら投薬が減ったかどうか。これが減っておるということになれば、あなた方の証明になる。同時に国民医療にそれが非常にいい結果が出てきておるかどうかということです。この二つが出ておらなければ、簡単にいえば合理的じゃないわけです。その結果が一体どういうような形で合理的に現われてきておるか説明してもらわなければいかぬ。これは私が言わなくても、今まであなた方が口をすっぱくしてここで対決をして言ってきておるわけです。保険局長が高田さんではないから、きょう社会局長の高田さんに来てもらったら、生活保護の医療扶助にどう現われたかを聞いてみればわかるわけです。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 実際にそれがどのような結果を及ぼしたかということは今集計中でございまして、もうしばらくしませんと出て参りませんので、ちょっと今の段階では具体的な結果については申し上げかねる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 この前僕は、館林さんおいででなかったけれども、一つ国民は役人の給料はきちっと払います、だから仕事だけはきちっとお願いしますとこの前言ったわけですよ。保険局長にも言った。給料はきちんと国民は払いますから仕事だけはきちんとして下さい。すみやかに一木化するというのは一年以内だというのが橋本さんのときの言明だったんですよ。ところが十ヵ月たってまだそういう成果も出ておらぬというのでは情ないことだと思うのです。大臣は幸いおらぬからいいようなものだけれども、大臣がおったら私は大臣の責任を追及しますよ。十カ月ですよ。もう一年になるんだ。それをまだその成果も出ていないということでは、これは私は情ないと思う。それはあなた検討中だから、十月十日に——全部私は書いているんだから、質問したやつは全部また必ずやるやるんだから……。いつも予告しておる、これをまたやりますぞと。あなた方答弁できるまでは何回だって私はやりますだ。から十月十日まで待ちますから、甲表実施の一体どういう点に合理的のものが現われたかということを一つ教えてもらわなければいかぬと思う。  それからもう一つは、甲表を実施したことによって注射なり投薬の内容が変ってきたかどうかということです。なぜならば、甲表は御存じの通り薬は平均十七円です。それから注射は皮下二十三円、静脈三十四円。二十三円、三十四円、こうなっておるわけです。それが医療機関でそういうことになったために、最近は六十円以上の薬が多く使われ始めたのです。私の調査では確実に出てきた。それを一体あなた方はどう見ているかということです。そういう傾向があなた方の調査の中に山てきておるかどうか。これはあなたにこの前、それをやってみて下さいと頼んだ。それはおやりになっているでしょうね。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 先に先ほどの問題でございますが、今集計しておりますものは統計調査部にお願いしておるわけでありますが、予定では多分十月一ぱいはかかる予定であります。結果が出次第、分析いたしたいと思っております。  なお、今お尋ねになりました注射につきましては、六十円以上のものがややふえる傾向にあるようであります。ただ医療費の中で六十円以上の注射の占める比率は非常に少いのでございますので、医療費の面からいえば大きな要素ではございませんけれども、傾向としてはそういう傾向があるように思われます。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 この甲表と乙表との実施の結果が日本の製薬企業にどういう影響を及ぼしてきたかという点、これはまだ高田さんおなりになったばかりでわからぬと思いますから、一つこれは、お調べになっていればけっこうですが、お調べになっていなければ、同じくあちらの保険局の答弁と一緒に一つお調べになっていただきたいと思うのです。甲表と乙表を実施して、それが日本の製薬企業にどんな影響を及ぼしつつあるか、これは微妙な影響を与えつつあります。もう平均十七円になったのですから、今までは二十五円やら三十五円やら四十円の薬やらあるいは八円の薬があって、そうして十七円という平均になったのです。ところが今度はぴちっと十七円一本にしてしまったのですから、もうこれはやはり資本主義の社会では利潤が伴わなければならぬですから、平均十七円で全部するということになれば、これは診療機関というものは考えますよ。十七円の上の薬をうんと使っておったならば、もとはその薬の代価はもらえたが、今度は十七円しかもらえないということになれば、これはだれもやらないでしょう。常識です。アダム・スミスの見えざる手で導かれる限りにおいては、正統派の経済学、資本主義の経済学はそうなっているのです。だから微妙に製薬企業に影響しておることは確実ですよ。だからもう十カ月になりますから、その成果がどういう工合に心理的な影響を製薬企業に及ぼしつつあるかという点をお調べになる必要があると思う。わかっておれば御答弁願いたいし、わかっておらなければ次の機会に一緒にしてもらってけっこうだと思います。

高田浩運厚生事務官(薬務局長)

○高田(浩)説明員 次の機会にお答えいたします。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 それから館林さんに、八・五%のワクの拡大によって十カ月間歩んできたわけです。この八・五%のワクの拡大が出ておるかおらないかという、これです。これも三回目、四回目ですよ。これを一つ御答弁願いたいと思います。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 お配りいたしました資料について御説明いたします。もちろん医療費が八・五%引き上げになったかどうかということを調査いたしますには、対象を厳密にとりましてその結果が日本の全医療機関の代表数値として誤差率五%以内におさまるかどうかというような吟味もいたさなければなりませんし、また従来の経験から考えまして、点数を変えれば医療行為の頻度もこれに従って変って参りますので、旧点数表と新点数表を当てはめただけでは、単純に八・五%上ったとか所得がその比率で多くなったということを断定することはむずかしいのでございますが、一応先般来御指摘がありました線に沿いまして調査をいたしました結果がお示しした表でございます。この表は、考え方としましては各ブロックから一つの府県をとりまして、そのブロックの中でどのようなところをとるかということは、その県の事務能力というような点を考えまして県を選んだわけでございます。甲につきましては病院及びごく一部の診療所を調査いたしました。乙につきましては診療所を調査いたしたわけでございます。全部で二十一カ所を調べたわけでございます。そのうちで二県だけが未報告でございますのでこの表から落してございますが、ここにお示ししたような結果が現われたわけであります。この数値は旧点数表で当てはめたものを一〇〇としますと、新点数表で当てはめた医療費が幾らになるかということを示してあるものでございます。もちろんこれらのAからIまであります病院を全部算術平均をするというようなことは無意味でございますので、そのようなことをいたさなかったわけでございますが、一応代表的と思われるような医療機関をとらしめたわけでございますが、お示ししたような結果になりましたということを御報告申し上げます。  それからついでに第二表に先ほどちょっとお尋ねのありました点を調べたものがございましたが、平均薬価すなわち十七円以上のものと以下のものとどのような比率になっておるかというものを昭和三十三年と昭和三十四年とで比較させたわけであります。そういたしますと、結果的にはあまり安い薬が使ってないような様相を呈しております。ただ注意すべきことは、これらの結果は主として公的医療機関でございます。個々の診療に従事する医師が必ずしもこまかい事務上の配慮をしながら診療をしたとは思われない、特殊な病院といっては言い過ぎかもしれませんが、一般診療所と違った構造の病院における診療が多いと思われるわけであります。その点で果して一般診療所がどのような結果になるかということは、これをもってそのまま類推することはあるいは行き過ぎであるかもしれませんが、やはり医師の方々は、必要であるものは平均薬価が低くても相当努力をして使っていただいておるというような結果が現われたようには思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 新旧当てはめの比較表によりますと、まあまあ八・五%きちっとはいかないが、六%から七、八%ぐらいの上昇が相当のものではあったということはわかるようでございますね。しかしはなはだしいのは、兵庫県の甲の点数表をとっておる市立の病院なんかでも九八・一とかあるいは秋田の甲表を使っておる市立病院では九七六というように、甲表をとって非常に診療費の減収が見えておるというところもあるようでございますね。それから第二枚目の甲表病院における平均薬価以下の投薬単位数注射回数の割合年次比較は、どうもあなた方がかねや太鼓で甲表を実施したならば投薬、注射、物の部面がずっとなくなっていくといったところは、これはなくなっていないということは大体はっきりしたわけです。これでさいぜんの甲表の実施によりいかなる合理的な結果が出たかということは、なおこの資料だけで結論を出すことは早いと思いますが、これでは大して合理的な結果が出ていないようでございます。なおこれはいずれ予算編成期まで医療費の増加の原因とともに待ちたいと思います。一つぜひこの二つの資料を出してもらいたいと思います。  それから牛丸君は帰りましたが、官房の方で、三十五年のいっかわかりませんが、不日調査をする具体的な調査の方法その他の予算要求の資料もあわせて出していただくし、それから総医療費のできれば二十七、八年ごろからのものも、一緒にずっと医療費体系が問題になった前後から三十三年度それから三十四年度の推計、こういう形で社会保険医療費、自由診療も加えた総医療費、これを一つ出してもらいたいと思うのです。  大都市の国保その他がありますが、これは時間がありませんから次会に譲りますが、最後に一つだけ尋ねておきたいのは、ある大きな病院に行ってみますと、こういうことを書いておるのがあるのです。この病棟は健康保険の取扱いをいたしませんと書いてある。保険医療機関でこういうことが許されるかどうかということです。この棟病は健康保険の取扱いをいたしません、そういうことが許されるならば、これはみながやるわけです。同時に、この薬とこの薬は健康保険で使えませんから、これは差額徴収をいたしますというのと同じです。そういうことができるかどうかということですね。実は、私はここから加藤医師の監査の問題に入りたかった。しかし、同僚の八田君が先にやりましたから、もうこれは私はやりませんが、そういうことが許されるかどうかということです。これだけお聞きしておきたい。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 最近私も同じような問題について聞かれまして、検討をいたしたことがあるわけでございますが、どの病院でも、ことに大きな病院でございますと、特等室というものがございまして、それに続いて一等室、二等室、三等室というようなものまで作っておる現状でございます。そのようなものを従来保険では一応認めてきておるわけであります。しかし、はなはだしい病院になりますと、ほとんど全部の病床が二等室以上のものであるというようなところもなきにしもあらずでございます。そのような病院が果して社会保険を担当する保険医療機関として適格であるかどうかという問題点が前々からあったわけです。私の方としましても、あまりその程度のはなはだしいものは適当でない、そうかといって、そのような特別室を全然認めないということも実際問題としてはむずかしい、しかし、そうなるとどこかに線を引かなければならぬかもしれない、こういうことも考えたことがあるわけであります。しかしながら、大体全病床の何パーセント以上を特別室にすることが妥当であるかというような線をなかなか出しにくい事情もございまして、今日までそのような制限をいたしておらぬわけであります。中に、今御指摘のありました一カ所へ全部特殊病室を集めてしまいまして、そこは二等室以上の病棟であるとか、あるいは自費患者しか収容しない病棟だというような扱いをするものも、非常にまれではございますが、あるわけでございます。その姿は、ちょうど結核療養所において委託病棟を持っておる姿に非常に似ておるわけであります。一般の政府管掌健康保険の契約をしております保険医療機関たる療養所が、ある特殊の組合の委託を受けましてきれいな病棟を建てておる。この病棟は幾らあいておりましても、政府管掌の患者は入れてもらえない。そういう実態と似ておる姿があるわけであります。そのような事態は必ずしも好ましいものではございませんけれども、さりとてどうもそれだけで保険医療機関として不適格であるというようなことも言いかねておるのが現状でございます。ただ、これがあまり行き過ぎになるようでございますれば何とか措置をしなければならぬ種類のものである、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 その答弁、納得がいかないですね。委託病棟は、これは明らかにひもつきの病棟なんです。それはその健康保険組合なら健康保険組合が金を出して保険者の金で自分の保険者のために作っておるものなんです。この病棟は健康保険を取り扱いません  いておるのは、ひもつきではないわけです。不特定多数の人に開放しておるものなんです。特殊な金持の、たとえば資本家五人のために作っている病院なら、その五人のうちの家族はそれでいい、あるいは本人はそれでいいです。そういう形なら私は委託病棟と同じだと思う。しかし、保険医療機関と銘打たれてそうして、しかもそこでは自由診療が行われる。たとえば一カ月か一カ月半くらい入院すると五十万円の金をとられる、こういうことが許されておるわけです。しかもそれが保険医療機関なんです。あなたの今のような答弁でいけば、今度は全国の保険医が、健康保険は制限診療でございます、従ってパスとかマイシンとかあるいはオーレオサマイシンというようなものは、健康保険ではなかなか使えません、手続がめんどうでございます、だから一つ気やすく、しかも安く私はやりとうございます、どうぞ一つ御希望の方はこれに志願をして下さい、これに申し込んで下さいと書くのと同じです。そうすると、それは結局、たとえば赤痢でなければなかなかクロマイというものは使えない。しかし、これを軽い大腸カタルとか下痢に使えばすぐ治るということを教えてやってそれをどんどん金を使わせて買わせたらどうですか。これと同じですよ。それが棟であるか薬であるかの違いです。こんなことを、今のあなたのようなゆるやかな態度で許すというなら、監査なんかおやめになって、全部自由にやってくれと言った方がいいです。だから大きなところには監査もしきれないけれども、草深きいなかで、一切の文化的なものを放棄して営々ししとして働いて、そうして雇い人さえ雇えないで家族ぐるみ日本の医療の前進のために働いている人には冷酷無情な一刀両断のかまえをとりながら、そういう大きなところには低姿勢で、委託病棟と同じですというのは、どうも受けとれないのです。だから、これはおやめにならなければいかぬのではないですか。この前私は日赤と東京の国立第一病院を例にとって説明しました。この第一病院は、何と申しますか、洋服タンスとかなんとかを貸す貸し賃をとるのだということで、さっそく医務局長がやめさせました。それと同じです。もしこういうことをあなた方がお許しになるというのならば、健康保険に指定医療機関は要らぬです。あっても全部脱法ができるというのです。もしあなた方がこれをお見のがしになるというのなら、医師会に行って全部説明します。大きなところは全部これをやっている。小さいところもおやりなさい。そうして患者にもっと高くてよい薬をどんどん使ってやったらよい。それでは保険制度というものはくずれてしまう。この病棟は保険診療をやりません。一体病棟が保険医療をやっているのではない。機関がやっているのである。病棟は機関の所属である。そんなばかなことは私はないと思います。ところが、これをそのまま見過されるというならば見過されても私はかまわぬと思う。私はこれのある場所も知っているから、しばらく様子を見るが、あなたがそのまま放置をしているというならば大問題です。  それから、そのほか大学その他の問題については、これは保険診療で別個にできないところは研究費というものを出すべきだと思う。この前研究費の問題は大学課長さんに来てもらって一ぺんやったが、そのままになっている。大学の事務の問題はまだ結論を出しておりません。研究費は別個の問題であると思うのです、保険治療で研究はできないのですから。だから、これは文部省が、当然保険診療のほかに何か濃厚の診療でもやらなければならぬといえば、プラス・アルファとして研究費を出すべきであって、それは保険慰者に負担さすべきではない。大学ではみんな買ってこさしている。この点はどうしますか。今のあなたの答弁では、あなたもお認めになったらしい。この病棟は健康保険の取扱いをいたしませんということを大っぴらにやることをお認めになるのか、それともこういうものは禁止されていく方針なのか。もし認めるというならば他の方に連鎖反応が起ってきますよ。これはとうしますか。即答できるはずです。

館林宣夫厚生技官(保険局医療課長)

○館林説明員 現在保険医療機関でございましても自費患者を扱ってはならないということにはなっていないわけです。そこで、自費患者が保険患者の間にぼつぼつ入っているとか、あるいは個室でございますれば、一応個室を占領して自費患者が入っているという実態があるわけであります。そういうふうに保険患者と自費患者とが揮然一体をなしているのがよいのか、むしろ自費患者だけの地域ができておることがいいのかという問題は、一つの検討問題であろうと思います。  なお、御指摘の病院の実態については、私どもはまだ十分に調査はしてございませんので、十分調査をいたしました上で、弊害があるようでございますれば、そのような扱いをさせないようににしなければならぬと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井小委員 どうも快刀乱麻を断つがごとく監査問題では勇断なあなた方が、こういうことになるとどうもはっきりしないんですね。それは自由診療をわれわれが否定しておるわけじゃないですよ。自由診療はお認めになってよろしい。一等、二等、三等の病棟があることはよろしい。健康保険で一等の病棟に入りたいと思ったら、健康保険の料金のほかに自分で上積みを積んだらいいのですから、何もこれは自由診療の病棟だといってやらなくてもいいんじゃないですか。ところが、その病棟は健康保険を取り扱わないと保険医療機関が言うのだから、そういうことをお許しになるなら、さいぜん私が言ったように、われわれも全部これは書いてもよろしいという指導を保険医にやってもいいことになるのです。これは大へんなことですよ。同じ病棟が二つ並んでおって、こっちは保険の患者が入っておる、こっちは今言ったように保険を取り扱わぬ患者が入っておるということになれば、これは保険というものは差別診療をやるのだという概念を植えつけちゃう。そうしてしかもここではばく大な金をとっておる。われわれが考え得られないような金をとっている。四十日かそこら入院して四十万も五十万もとっているんですよ。そんなばかなことがありますか。ビタカンファー一本三百円も四百円もとってるじゃありませんか。そういうばかげたことが東京のまん中で行われておる。今の話を聞いてみると、あなたもおそらく知っておるらしい。そういうことをあなた方がほおかぶりしておって、いなかの医師がわずかにカルテを書きそこなったということで自殺にまで追い込むような事態というものは許されぬと思う。あなた方はそういう小さな開業医をやる前に、もっと大きな公的医療機関とか、公的医療機関のほかに第三の範疇に属する病院を洗ってみるといいと思うのです。そうしてやはりえりを正して、健康保険をほんとうに科学的な診療のできる方向に持っていかなければならぬ。科学的診療ができぬからそういうものができてくるのです。それをあなた方は結局、科学的な診療は健康保険でできぬということを認めたことになる。そういうことを認めることは——今度お金持だって国民健康保険をみんな持つ、持ったらそれで行って、よりいいところに入りたかったらその上積みを積んで入ったらいいじゃないですか。そういう病棟にそういう人を特等にして入れたらいい。何も健康保険を扱わぬという必要はないと思う。そういうあなた方の概念というものは、私に言わせてもらえば一貫しておらぬ。もし御答弁ができなければ次会に回してよろしいです。何なら次会に具体的に言ってもいいですよ。具体的に言えばかえってお困りだろうと思って具体的に言わないだけなんです。この点は館林さん御存じのようでありますから、十分一つ検討をして、そういう場合の基本方針というものをお出しにならなければならぬ。保険医療機関が内部でそういうことができるということになれば、どこでもやるということになると思うのです。もう少し御検討になって、次会に一つ局長から保険局の見解を総合的に御答弁願いたいと思います。よろしいですね。

永山忠則自由民主党

○永山小委員長 午後三時半まで休憩いたします。     午後二時五十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

国会会議録検索システムで原文を見る ↗