社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/10/10
会議録
○永山委員長 これより会議を開きます。 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、台風第十五号による被害状況及びその対策について発言を求められておるので、これを許します。大沢建設政務次官。
○大沢説明員 今回の伊勢湾台風の被害につきまして、その概略を申し上げます。 今次の台風は中心気圧九百二十ミリバールから九百五十一ミリバール、暴風圏七百キロメートルという超大型台風でございまして、本土襲来の台風といたしましては、昭和九年の室戸台風、昭和二十年の枕崎台風に匹敵するものでございます。この台風による暴風、降雨及び伊勢湾における異常な高潮の被害につきましては、官房副長官から総合してお話があることと存じまするが、建設省所管の河川、海岸道路等の公共土木施設の被害の報告額は、現在までに直轄関係におきまして四十三億二千百六十万円、補助関係におきまして四百四十八億二千四百万余円、合せまして四百九十一億四千六百万円になっておりまするような次第でございます。 建設省といたしましては、政府におきまして副総理のもとに関係各省幹部によって設置されました中部日本災害対策本部のもとにおきまして、罹災者の救援、応急復旧工事の迅速なる実施に全力を尽しておりまするところでございまして、破堤いたしました木曽川、牧田川等の堤防の復旧のための緊急工事、及び伊勢湾に面する海部海岸等の堤防の締め切り工事の早期完了に全力を注ぐことといたしまして、人員、資材はもちろん総数三十隻に上るサンド・ポンプ船の手配を完了いたしまして、復旧工事に着手いたしております。すみやかに堤防、海岸の締め切りを行いまして、十一月中には罹災地の排水を完了して、罹災者の生活の安定をはかりたいと存じております。現在応急復旧工事に全力を尽しておりますが、今次災害の本格的な復旧につきましては、二十六日に開かれまする臨時国会におきまして補正予算を計上いたしまして、根本的な公共土木施設の整備をはかりまして、再びかかる災害を惹起することのないようにいたす方針でございます。 次に、住宅関係の被害対策といたしましては、住宅金融公庫による住宅復旧資金の貸付を行い、また地方公共団体に罹災者のための低家賃の賃貸住宅の建設を行わせることにいたしておりまするが、住宅金融公庫はすでに十月一日から罹災地に約六百ヵ所に余る相談所を開設しておりまして、また低家賃住宅につきましても、できる限りすみやかに建設できるよう、すでに資材、用地等の手配を行なっておりまするような次第でございます。 以上、簡単でございますが、被害の概況並びにこれに対する応急の対策を御説明申し上げた次第でございます。
○永山委員長 小笠官房副長官。
○小笠説明員 今回の十五号台風によりまして多数の生命を失い多額の損害を来たしましたことは、まことに遺憾に存じますとともに、犠牲者の方々に深甚の同情を表するものであります。 ただいままで私どものところに入っております全体的な被害の報告から申し上げますと、人的被害につきましては、死亡者四千二百八十七名、負傷者一万七千六百九十四名、行方不明八百八十五名、罹災世帯数は三十三万三千七百八十七世帯、建物の被害につきましては、全壊三万二千七百二十二棟、半壊九万五千八百一棟となっております。また公共施設の被害の総額は、河川、道路、港湾等の公共土木施設が約五百三十八億と報告せられ、農地、農業用施設等、農業水産施設の被害は二百七十一億、文教施設五十二億の数字の報告を受けておるのであります。このほか交通通信施設に相当の被害があることは申し上げるまでもありません。農作物、漁船、林水産物、商工業資産等の産業被害の甚大に思われることは当然でありまして、その数字はまだ正確にはつかめておらない事情であります。 政府といたしましては、災害の発生と同時に救助に全力を尽して参ったのでありますが、台風の規模、勢力が超大型であり、加えるに五メートルに及ぶ高潮による被害も加えまして、人的物的損害が莫大なものとなったことは返す返すも残念の至りであります。災害発生後、政府は直ちに中央災害救助対策協議会を開催し、また災害復旧対策協議会の設置、中部日本災害対策本部の名古屋設置、関係官の派遣等によりまして、応急復旧対策につき関係機関の連絡、計画の樹立、対策の促進に遺憾なきを期して参ったのでありますが、今次災害の特異性として、特に水没地域に対する応急工事の施行、民生の安定等に重点を置いて参っておりますが、今後引き続いて本格的な復旧対策に邁進して参っていきたいと考えておる次第であります。
○大沢説明員 私ただいま公共土木関係の被害額につきまして御報告申し上げましたが、現在におきましてまとまっておりました数字が約四十数億円、私がただいま御報告申し上げましたよりも増しておりますので、その点、訂正申し上げます。直轄被害の関係において四十五億五百二十万円、補助の関係において四百九十五億五千万円、合せて五百四十億五千五百二十万円余り、かように相なっておりますので、訂正いたします。
○松野国務大臣 今回の非常に大きな台風に際しまして、労働省として今日までとりました対策を簡単に御報告申し上げます。 愛知県基準局管内におきまして、労働基準法の適用事業場が災害にあいましたものが約三万、労働者数において約五十一万人に上る大被害でございました。三重県基準局桑名地区におきましても約千二百の事業場、四日市地区におきまして約二千八百の事業場の浸水、倒壊等の被害を受けております。もちろん工場、事業場の被害の内容その他の問題につきましては、いまだ詳細な調査報告は参っておりません。今後の減水及びその他の事業場の状況によりまして相当の大きな被害が見込まれておりますが、今日までは、被害金額の詳細のことまではまだ調査が徹底しておりません。労働省としましても、さっそく緊急の対策としては部内から職員を派遣しまして、感電及びカーバイドの浸水による、いわゆる工場被害の防止等の指導及び外傷その他職場における労災関係、諸般の危険を想定いたしまして注意を喚起するポスターの発行及び指導をすでにいたしております。十月三日現在まで、通常の月の約倍額の労災保険の支払いを行なっております。 また労災関係としては、保険料の徴収につきましても、六ヵ月間納付期限を延長し、または滞納処分の執行等を停止する等、失業保険関係におきましても、同様に保険金の徴収猶予及び追徴金等の措置をとらないように特別な方法を考えております。今日におきまして、なお各事業場、工場におきましても、できるだけ早い復旧ができますならば、これらの措置につきましても、おのおの別な対策を講ずる手はずもとっておりますけれども、相当長期間になれば、やはり失業保険及び労災保険等の一部の改正ということを考えなければならない。いわゆる失業保険法の特例法の新しい立法というものも考えながら、今日、次の臨時国会に準備をいたしております。しかしながらその前におきましても、行政的にとれます失業及び労災保険法に対する特別の措置をすでにとるように準備いたしまして、諸般の準備万端遺憾なきょう、各般を督励いたしております。 簡単でございますが、労働省関係として、一応被害に対して今日までとりました行政的措置を御報告申し上げたいと存じます。
○永山委員長 次に質疑の通告がありますので、これを許します。赤松勇君。
○赤松委員 今回の災害の被害は、名古屋市だけでも千三百五十八億、今建設省から報告がありましたように、すでに判明した死者は四千をこえております。排水とともに、なお川の底に横たわっております死体が浮いて参ります。その数を見込みますと、相当な数字に上る非常な災害であったことは御承知の通りであります。この災害に当って、当委員会においてはいち早く調査団を被災地に派遣をしていただきまして、つぶさにその実情を調査し、これを政府の方へいろいろ要望として反映される措置をとられたことに対しまして、心から感謝の意を表したいと思います。 そこで私は政府にお尋ねをしたいのでございますけれども、先ほど労働省を通じまして三点質問の通告をしておきました。 その第一は失業保険の問題であります。十三号台風のときはちょうど国会が開かれておったので、すぐにその措置ができたわけですけれども、今度は二十六日から臨時国会が開かれるということで、法の改正措置がとられません。従って、その間の行政措置をどのようにおとりになるか。言うまでもなく中小企業、零細企業においてはほとんど賃金の支払いが不可能である、労使ともにほとんど絶望の状態にある事業場が非常に多いのであります。さしあたってこれらに対しては、失業保険の適用を全般にわたってすみやかにやっていただく。この間、三治統計調査部長が愛知県にお見えになりまして、私も電話でもっていろいろ話し合ったのでございますけれども、なおただいま失対事業その他いろいろな事業が行われておるわけであります。御承知のように現場におきましては器具、資材等流失はなはだしいものがある、もう県の手ではいかんともしがたい状態でありまして、こういう点についてすみやかに予算措置を講じられる用意があるかどうか、これを労働大臣から承わっておきたいと思います。
○松野国務大臣 今回の災害につきまして、失業保険関係としては、さしあたり失業保険金の、事業主から申しますと納付ができませんから、納付の延長を認めるということが事業主に対する措置であります。雇用者に関しましては失業保険——当然事業場が事業ができませんと、中小企業の場合は俸給の払いができない、休業をいたします。一般的に申せば、これは休業手当というのは事業主の負担になっておりますけれども、その事業主の負担が不可能だという今日の場合でありますので、法律的に立法措置がなければ保険金の支給ができませんが、さしあたり今日は再雇用ということを条件にして離職というものをやっておられるわけであります。これは現行法である程度便法かと存じますが、しかし実際をいうとほんとうの離職というわけには参りませんので、実は雇用を継続しておきながら失業保険金の支給をいたしたという特例を昭和二十八年に作ったことがございますので、臨時国会にはその昭和二十八年のように、雇用継続中といえども失業とみなして失業保険金を支給するという特例法の提案を準備いたしております。しかしそれでは臨時国会までに間に合わない、早く失業保険金がほしいと言われる今日の現状でございますので、今日は一時離職ということによって、失業保険法の適用に合せて私は失業保険金の支給を御請求になっておると思います。立法ができたあとで不公平じゃないか、もちろん在職のまま離職とみなす方が、どちらかといえば雇用者に対しては優遇でございますので、その差の起ることが今日おそらく赤松委員の御心配ではなかろうかと思いますので、それは特例法を作りますときに、あるいは付則かあるいは経過措置として不平等のないように、今回の災害を期限にいたしまして、その以前にこういう災害によって離職された方は特例によって雇用契約とみなすというような考えを実は抱きまして、今立法措置を考えておりますが、不公平のないように、その点は十分次の立法のときにいたしたいと考えております。
○赤松委員 失対事業などについてはどうですか。
○松野国務大臣 失対事業につきましては、当然これは現行の法律適用という問題が出て参りましょうし、失対事業のワク及び種類の問題も出て参りましょう。従ってこれは今回の臨時国会の災害関係として、予算及びその他の措置を考えております。今日の場合はまだその予算措置ができませんが、現行では予算の中で一応やりくりしていただき、これはあとの整理で十分いたしたいと考えております。
○赤松委員 もう県の負担ではまかない切れないということをどうぞ一つ頭に置いて、臨時措置としては全額国庫負担くらいな気持でやっていただきたいと思います。 私はゆうべおそく現地から来たわけですけれども、現地の人の声は、実際名古屋におりましても、みんな被災しておりますけれども、現に浸水しておるところと浸水していないところでは、二つの世界が形成されているわけです。その感覚において違うわけですね。東京からお見えになる方もやはり、これは無理はないと思いますけれども、感覚が違う。そこでどんなに現地では悲惨であるかということを、ぜひ国会や政府の皆さんに知っていただくために、どうしても持って行ってくれ——この水は南区の災害地のものです。この中になお十日間ほど人が住んでいる。浸水した家屋の中に、水浸しになって十日間住んでおる。こちらの方は熱田区の水です。これは少しまだだめなんですけれども、こういうわけです。私も、死体がごろごろ浮いているものですから、その死体をかき分けて中へ入ってこれをとってきたわけです。これは死体と腐敗した水と、それから屎尿が十分処理されませんから——水洗便所は全部だめで、それから罹災者は屋根の上や天井の裏におきまして、立ちのくと海上ギャングがやってきて家財道具を持っていってしまうのです。いかだを組んでくるのですから。だからどうしてもそこを離れるわけにはいかない。生活必需品一つでもほしいというので、その家屋を離れないのです。こういう水の中でおしっこをしたりうんこをしながら生活しておる。これはあとで大臣に一ぺんにおいをかいでもらいますけれども、とても十日間この水の中で住めるものではありません。いろいろ言いたいこともありますけれども、きょうは何も申しません。ゆうべ庄内川の堤防工事の仮締め切りが九時三十分ですか、終ったということを、私は列車の中でNHKのラジオで聞いたのですけれども、私は非常に喜んだ。これで大体きょうから排水にかかるのではなかろうか。ところが海部郡から南陽にかけて、あの一帯は、あなたの今の報告によれば十一月一ぱいかかるのではなかろうか、こういうお話でございました。御承知のように今三重県と愛知県は、目と鼻なんですけれども、交通は途絶しまして、往復するには船が大垣回りで行かなければならぬというような状態なんです。十一月一ぱいこの状態が続くということになりますと、これは非常にゆゆしい問題が現地において起るのではないだろうか。私ども、治安状態が非常に悪いので、できる限りそういうことの起きないように努力はしておりますけれども、政府の予期せざるような事態が発生するかもしれないということを十分お考えなすって全力をあげてもらいたい。自衛隊の出動等についても問題があります。しかしきょうは申し上げません。これは臨時国会になって恒久対策を立てるような場合にいろいろ申し上げたいと思いますけれども、きょうはそういうことを申すひまがありません。厚生大臣が来られるならば私は災害救助法に関する問題で質問したいのですけれども、災害救助法はああいう大きな長期の浸水なんということは予想しないで、たとえば薬品にしても、救助のいろいろな具体的な項目がありますけれども、大体五日なり十日なり、長くて十四日を予定しているのです。ところが災害が発生してからすでにきょうは十五日目ですね。そうすると災害救助法の期間の延長という問題はどうしてもやってもらわなければならぬ。しかも今の災害救助法に基くところの援助なんかではとうていまかない切れない。御承知のように交付金でもって調整することになっておりますけれども、県にはそんな余裕がありません。従って全額国庫負担というかまえでやってもらわなければだめだと思うのです。 以上数点一つ政府にただしておきたいことがあるのであります。きょう総理大臣はおられぬようでありますけれども、どこへ行かれたかよく知りません。新聞で見るとどこかほかへ行っておられたようですけれども、松野労働大臣も国務大臣ですから、閣議において強く発言をしてもらいたいと思うことは、以下数点申し上げますような治水治山の特別会計をどうしても作る必要があるのではないかということ、それから今度の被害はまだ的確に把握されておりませんけれども、おそらく政府の発表では二千億くらいのことを言っておるのですけれども、われわれは奈良県や岐阜県の山間僻地の倒木その他を勘定すれば四千億以上、むしろ五千億くらいの被害があるのじゃなかろうか、こう思っております。今各省から予算が出ておりますけれども、一体政府はこの災害に対してどれくらい予算をぶち込んでいくのか、これが問題であると思うのです。これは一大蔵大臣の考えでまとまるものではありません。問題は総理以下政府は、ほんとうに二度と再びこういう災害をなくするために、長期の計画に基いて当面、来年度予算はどれくらい組んでいくのであるか、こういうことをしっかりきめてもらわなければならぬと思うのです。それから真性赤痢がすでにきのうおとといで八十六人発生しまして、現在四百九人です。しかし赤痢らしいと思われる人は無数あります。罹災地を回ってみまして、水をかき分けて入っていきますと、屋根の上なんかで避難しておる人がおしりをまくって、女でもみんなおしっこや大便もたれっぱなしです。そういうものが浮いておるのです。それを見ますと、かたいうんこなんかしておるものはほとんどありません。水に十日も十五日もつかっておるのですから、ほとんどが下痢をやっておる。そういう状態で、災害地の保健衛生といいますか、それはとうてい名古屋市あたりの力では及びもつかないという状態なんです。これは全国から医薬品と人と技術を動員して根本的な対策を立ててもらおなければ大へんなことになるのじゃなかろうか。 第四点としては、水害地においては今、これは非常に警察の措置が的確だったと思うのですけれども、警察はポスターを張っております。人の弱みにつけ込んで暴利をむさぼる者は厳罰にするというようなものをずっと張っております。けれども一時はトタン一枚が千円、タマネギ一個が百円、私はきのうも水害地でもっていかだでネギ四本を持って帰る人に、それは幾らだと言ったら、四十円だという、ネギ一本十円です、こういうような状態で、しかも政府の方は何々資材をどうする、あるいは富士製鉄はこれだけのトタンをどうするとかいうようなことが新聞には出るのです。しかし現地にはそういう復旧物資なり食糧も片寄ってしまって、カン詰ならカン詰ばかり、野菜などは極度に不足しておる。この上はビタミン剤などを大量に送ってもらって、何とか栄養失調にならないような措置を講じてもらわなければならぬということと、水が引いて参りますと、壁も何もありませんし、腐敗します。家屋の修理についての物を直ちに罹災者に渡るような措置を講じてもらわないと、新聞を読むと大へんけっこうなんですが、現地の実情は実際にはかわら一枚、トタン一枚手に入らない、こういう実情であるということをよく御承知願いたいと思うのです。それから私も経験したのですが、街頭募金をやっておるときに七十くらいのじいさんがバンツーつで参りまして、岐阜まで乗っけてくれと言ったけれども、どうしても乗せない。金を払わなくちゃ乗せない、こう言うのです。そこで、一銭もないのだ、おれほ罹災者なんだ、頼む、孫のところに避難するのだからと言っても、だめだ、どうしても乗せない。これは現地で自治庁長官の石原さんが向うの責任者ですから強く申し入れをいたしまして、この十日から国鉄、私鉄も名古屋市電と同じように罹災者には無賃乗車ということになったようでございまして、その点はおそまきながらその措置がとられたことは感謝します。しかしながら今言った暴利をむさぼるところの悪徳商人がはびこっておる。また大阪その他からも、この災害を見込んで入り込んでくる者もある。従って現地ではおまわりさんなどは死体の収容やら何やらで手一ぱいです。たとえばボート一つこぐといっても、僕たちが普通考えている池や海でこぐのと違うのです。流木が、こんなラワン材がどんどん流れてくる。いかだがくる。潮の状態が全く変化するのです。堤防の切れているときは、満潮になるとすごく水が出て参りますから、とてもこげないのです。その中で警察官は涙ぐましい活動をしておるわけでありますけれども、こういう連中を取り締ったりあるいは水の中に浮いている家の家財を守るという余裕が実際はないわけです。従って検察庁の方では物価統制令を発動するというようなことを言っておりますけれども、とにかく取締りも大事です。取締りもやっていただかなければならぬけれども、その政府関係の資材をすみやかに罹災者の手に渡す、渡せば物の値段は下ってくるのです。高いものを買う必要はないのです。これをすみやかにやってもらいたい。 それから堤防の締め切り工事は終ったところと終らないところがある。今建設省のお話のように十一月一ぱいかかる。この間一隻三千万円もする船をある一カ所に七隻沈めて、そして庄内の用じりをとめようというところまで決断しました。ところがその船を使っちゃうと名古屋港の浚渫はできないのです。その事業をだれがやるかというと、河川法に基いて県がやる。県の力だけでは足りません。そこで県と名古屋市と名古屋港管理組合、この三つがそれぞれ堤防締め切りを分担しましてやったのですが、今言ったような状態で相当多額の費用を要するし、今後木曽川じりの堤防の締め切りをやろうとすれば非常に膨大な予算が要る。これは三重県や愛知県だけの県の財政にまかせておいたのではとてもできません。従って堤防の潮どめ工事には全額国庫負担にしてもらいたい。あとで答弁できるものだけ答弁して下さい。対策がきまっていなければ松野さんが閣議でもって強く主張してもらいたいと思うのです。 その次に中小企業対策、今私はこれは言いません。私は新聞を全部持っておりますから、今度一ぺん持ってきたいと思うのですが、岸さんがお見えになったときは、金は心配するな、中小企業は大丈夫だ。池田さんもそう言いました。みんなあてにしておったのです。ところが私はきのう中金の理事長に聞きました。お前の方に金が幾らあるか。実は今中金の方は大蔵省と八十億出してくれというので折衝中である。まだ事務当局で折衝の段階だ。これではいかぬというので、公庫はとりあえず全国から五億集めて、今名古屋には五億来ております、こう言うのです。そうすると、金は心配するな、幾らでも貸してやる。そこである人が借りにいった。百五十万円以上は全部担保が要るのです。百五十万円以下は無担保です。ただしその代理行為をやっておるところの市中銀行の信用がものを言う。市中銀行が貸さないといえば借りられない。中小企業は事実上借りられないのです。平時の状態と同じじゃありませんか。何も変りありません。罹災者に一体担保があるかというのです。経営者が水びたしになって、そして機械も何も川の底にあるのに、一体何を担保に入れるのですか。労働者に失業保険を適用したってそんなものは解決しないのです。特別な措置を講じてもらって、そうしてある程度、それはもうこういう災害のときですから、多少の犠牲は出るにしても政府がやはり保証していく、百億なら百億というものの手当と、そうしてこの裏づけをやるから、とにかく金を貸してやれ、そういうことでないと、なかなか金は借りられません。国民金融公庫にしても中金にしても同じです。いわんや市中銀行は、たとえば手形の決済がほとんど不渡りです。そうすると新聞の発表によると、大蔵省の方は手形の決済については心配するな、不渡り手形も銀行協会の委員会でもってちゃんとしてやるから、こう言う。ところが銀行協会の委員会が開かれると、不渡りは不渡りでもって全部不渡り処分です。そうするとこれがもう全体の経済に非常に大きな影響を及ぼす、こういうことになるわけなんです。手形は不渡りになってしまう、金は一銭もない、借りにいけば担保が要る。一体これでどうして中小企業は救えますか。だから私は、きょう商工委員会も開いていると思うのですけれども、労働大臣の政治力に期待するのですが、どうぞ閣議でもって——あるいは総理大臣もまのあたりにこれを、ヘリコプターの上だから見たか見ないか知らぬけれども、とにかく総理にもこの現状をよく伝えて、中小企業はあなたたちの地盤なんですよ。しかしそんなことは今言っておられない。とにかくこの中小企業に対して早く手当をしてやらないことには、もうつぶれてしまってから幾ら手形のめんどうを見てやると言ってもだめなんです。金を貸してやるといったって、つぶれてしまったらしょうがないのですから、何とかこれに対するところの措置を講じてもらいたい。これは厚生大臣への質問なんですが、もちろん一厚生大臣でできる問題ではない。とりあえず愛知県は義援金の中から罹災者に一千円ずつの補助を贈りました。それから名古屋市は、私ここに五日現在まで政府から来た金の資料を持っておりますけれども、政府から来た金は、預金部運用資金その他から来ている金は、これは災害で来た金ではないのです。前からちゃんと借り入れできるようになっていた金が来ておる。その額もまだ二十億にも達しないというような状態です。そこでこの間緊急市会を開きまして、とりあえず市中銀行から五十億借り入れる。五十億返すめどはない。めどはないけれども、目の前で死にかけているのですから、とりあえず市中銀行から五十億借り入れるということを緊急市会で決定しました。ところが五十億東海銀行その他から借り入れた金を使っちゃったらあとないのですから、すみやかに一つやってもらいたい。なお救援物資やその他についても、あれだけ百五十万の都市なんですから——県あてにみな来てしまう。県あてに来れば、県はやはり全体に回していくということになって、集中的な、機動的な救援ができないから、今後は愛知県の被害地と名古屋市の被害地という形で、県と市とに対して、あるいは三重県、岐阜県というような形で一つ送っていただきたい。なおこれらに対しては県や市は今若干の見舞金をそうやって出しております。死者に対してはとりあえず一万円出しました。政府の方はいまだに一銭の見舞金もお出しになっていない。そんなばかな話はない。市自体が苦しい中で、災害を受けている中で、とにかくわずかでも死者に対しては一万円出している。だから政府としてもぜひ見舞金を出すようにしてもらいたい。 それから生活資金の問題ですけれども、生活資金は厚生省のいろいろな法律の中にはたくさんあります。さっき言った中小企業の問題と同じなんです。たとえば母子資金にしても、そう簡単に借り入れするわけにはいかない。ここには問題がたくさんある。県は負担は全然できないのですから、従って小さな法律のそれにとらわれないで、この際は罹災者の強弱に応じて、それぞれ生活資金が一銭もないのですから、ネギ一つ買えないから、生活資金を出すような方法を講じてもらいたい。 それから災害救助法に基く教科書、文房具、これらが近く支給されるようでございますけれども、これも災害救助法の延長が正式に決定されなければ、これはどうにもできないと思うのですが、事後措置でやってもらうとしても——そしてこの文房具や教科書は中学が二百八十円、小学校が百五十円。ところが名古屋の学校は今全校休校です。小学生やその他は町へ倒れている並木を起しに出ているのでありますが、とても授業ができない。罹災者をずっと学校へ全部集めているのですから。そこでとりあえず罹災地の小、中学生を集めて、割合に罹災しなかったものと共学させようという手続をとっておるようでありますが、ここで問題は二つ出てくる。一つは高校へ進学させるのに、今のように全然勉強できないというような状態の中で、これは一体どうするか、これは罹災地でもってずいぶん私は訴えられました。この措置を文部省でもって至急講じてもらいたい。それから今生徒が困るのはもちろん教科書も必要です。けれども何も着てないのですから、小、中学校の生徒くらいには、これは罹災者だけでけっこうですが、制服及び上下のシャツを無料給与をやってもらう、これは災害救助法の中にちゃんとやるということは書いてある。書いてあるけれどもこれは県費でやらなければならぬ、あとは交付金で調整するという。県費はとてもありません。そこで政府の方ですみやかにこの手を打っていただきたい、こういうふうに思います。 なお中京経済圏復興に関する特別立法というようなものをおやりになる意思があるのか、ないのか。これは御承知のように愛知用水の工事はもうできません。愛知用水の問題、木曽川の改修工事の問題を含めてこれをどうするか。名古屋商工会議所ではこの間中京復興開発庁というものを設置してもらいたいということを提唱しました。これに対して政府はどのように考えておるか。もしそういうものができないとすれば、それにかわるところの中京経済圏の復興に関する何らかの法律的措置が必要ではないか、あるいは行政措置が必要ではないか。言うまでもないことですけれども、東海製鉄は一千億の資本を投じて、あそこで日本で最も大きな製鉄工場を作るということで、すでにその協定書に調印されたのです。ところが今のような災害の状態では二の足を踏むし、それから政府の方針がはっきりしないことには、たとえば堤防の改修とかあるいは低地帯をどうするか、そういう基本的な構想が明らかにならないと、東海製鉄その他もあの地に工場を建設するということについても二の足を踏んでくるのではないか、こういうふうに思われるわけであります。 午後は厚生大臣に、私は厚生省関係の住宅の問題あるいはいろいろな屎尿処理の問題とか、たくさんあると思うのです。それから今言った薬品の問題、その他たくさんあると思いますが、そういう問題については午後厚生大臣に聞きますが、今申し上げた中で内閣官房なりその他の方でもけっこうです、御答弁できる点があれば答弁をしてもらう。なお政府の方でまだ方針がきまっていないということになれば、至急閣議でもって強く発言をしていただいて、今のような事柄について緊急措置をとっていただきたい、こういうことを希望します。
○松野国務大臣 労働大臣として所管事項ではございませんので、私の方で閣議及び閣内におきましていろいろな万策、対策の連絡がございましたので、その連絡事項という意味でお聞きを願いたいと考えます。 治山治水の特別会計につきましては、つい先般以来閣内でいろいろ議論が出まして、もちろんこの問題は多年の問題でありますが、今回の災害を契機としてこの問題は実は再び非常に大きな問題となっております。これは建設大臣及び建設省で今回の十八日に、一応各省の災害に関する予算の提出期日が十八日に閣議で決定しておりますので、その予算の総額とあわせて建設省から十八日に、どういう方法が出るか、所管大臣でないとこの内容はわかりませんが、十八日までに方向をきめるようになっております。 暴利の問題と物価の問題はかねてから法務大臣及び通産大臣からの話がございまして、今日の場合は暴利取締りということでまず諸般の準備を進める、しかしなかなか徹底ができないというので、この問題が警察官ばかりに、赤松委員のおっしゃるように取り締まる方向ばかり示すのにあらずして、実際にその物価が下るようにというので、農林省関係におきましては、農林大臣は国有林の材木をさっそく直売するという方向で、復興資材の問題は十分自分の方で手当をして、石数も今日の場合さしあたり復興にさしつかえないものは各営林署あるいは出先機関を中心に直売を行うという方向であるという御報告をいただきました。これにあわせて食糧に関する、主食に関するものも万遺憾なきょう、今日の場合は十分手当は進んでおるという報告を受けております。 鉄道の問題は、つい先般以来いろいろ議論がございましたが、運輸大臣が現地へ行かれて、実情に沿われて、三重、愛知、岐阜の三県につきましては無賃の乗車の取扱いを決定したという報告を受けまして、非常に現地におきまして明るい感じを受けた。なお名古屋市におきましてはいち早く市電は全部無賃だという取扱いをされたという報告を聞きました。 中小企業の問題は経済対策と同時に労働大臣としても非常に心配をいたしております。二十八年のときも中小企業対策につきましては非常な手当をいたしましたが、結局におきましてこの前の信用金庫、中小企業の信用保証協会というものを活用した例もございますし、あるいは政府が直接、中小企業におきましては直接貸しという制度もございますので、金額及び事業所の内容におきまして信用保証協会の窓口を使った例もございます。あるいは中小企業は直接貸しという制度もございますので、これにあわせてこの前の昭和二十八年は大いにこれを、いろいろな方法を考えて復興いたした例もございますので、今回はそれ以上の、中小企業の中心地でございますので、より以上の対策を通産省でお立ていただくようにこの前から通産大臣からもいろいろな御関係で御発言がございました。 もう一つ学校の問題でございますが、文部大臣もつい先般来、特別学級を至急に編成する、罹災者ですから一年、二年と学級別に分けるわけにいかない、といってせっかくの大事な学童の進学及び勉強を休ませるということは非常によくないというので、至急に特別学級を編成しろということを事務当局に命じた。従って場所もあるいは教科書も非常に不自由ではございますが、さしあたり特別学級というものを作って、まず一つでも二つでもこの方向を進めるように文部大臣が事務当局を通じあるいは県を通じて特別学級編成の促進を先般いたしたという報告を受けております。 その他内閣に関するものにつきましては、内閣官房副長官からお答え願いたいと思います。
○小笠説明員 第二点にお話がございました予算のことでございますが、ただいまのところ補正予算の総額というものは確定に実は至っておりません。せっかく急いでおるわけであります。 なお当然に三十五年度予算編成におきましても、災害復旧予算というものが相当大きく取り上げられることは間違いないのであります。 災害救助法の延長につきましては、現在のところ部分的に延長しておるところもございます。事情によりましてこれを延長していくということにいたしたいと考えておりますが、具体的な正確なことにつきましては厚生大臣からお話し申し上げるということにいたしたいと思います。 それから先ほどお話がございました中の、名古屋が産業都市というよりも、日本の中小企業のセンターといってもいいところに私は今度の災害の特色があると思うのでありまして、中小企業の復興につきましては、資金面からの問題につきましては極力資金援助をする、こういうことで努力をいたしております。ただいま最終決定はいたしておりませんが、三つのルートを通じて考えていく。一つは政府機関としての中小企業金融公庫及び国民金融公庫を中心として、これに対する資金源を増強する、こういうことで今度の臨時国会に関係して、いわゆる予算を増加して参りたいと思うのであります。それからもう一つは、商工中金の組織を通じて流していくことでございます。これは政府機関というよりも、半官半民という性格を持っておりますので、金利の面等において若干困難な点がございますが、これに対する資金の量をふやすと同時に、資金コストを安くしていく。たとえば政府出資をすることによって金利負担を安くするというような方向で今考えておるのであります。いずれにいたしましても中小企業金融の問題で、先ほど御指摘のありましたように、災害地におきましては担保の問題が一番問題になると実は思っております。すでに借り受けておる債務の上に立ち上り資金、こういうことになりますので、この担保問題が非常にむずかしい問題になると思うのであります。この面に関しましては中小企業信用保険法というものを活用いたしまして、中小企業信用保険公庫を中心にして、いわゆる包括保険、政府が最終的に一定限度、七割ないし八割を引き受ける、こういう第一種、第二種包括保険制度を活用して、金融の面で担保等の問題が楽に行くような方向で進めて参りたい、こういうことで目下作案を急いでおります。 進学の問題につきまして、先般参りましたときに現地からよくお話がございましたのは、進学をするのに資金がない、いわゆる育英資金の問題について強い御要望がございまして、文部当局におきましては、ただいま育英資金の幅を広げるということで鋭意検討を急いでおる次第でございます。 最後の中小企業中京経済圏復興のための措置はどうするか、こういう問題につきましては、非常に重大な問題でございますが、ただいまのところ成案を得ておるというところまで至っておりません。商工会議所等からの中京開発庁というようなお話も伺っておりますが、これは十分検討して参りたい、こういう考えでございます。
○大沢説明員 建設省といたしましては、復旧費の補正予算につきましては、来たる二十六日の臨時国会に、現在判明しておりまする分につきまして概算で補正予算の要求をいたしまして、なお今後状況のまだ判明しない分もありまするので、それらにつきましては査定の完了を待って、できるだけ早い機会に第二次補正として要求いたしたい、こういう考えでおる次第でございます。 次に木曽川下流その他の締め切り工事の促進の問題でございますが、きわめて重要な問題でございますることは、建設省といたしましてはまことに痛心いたしておるのでございます。昨晩もその早期締め切りにつきまして何とか方法がないものかと、おそくまで省内におきましても審議を尽したような次第でございますが、現在の技術の力にも限度がございまして、遺憾ながら最終的には、おくれる部分につきましては、どうしても今のところ十一月一ばいかかるということを御報告申し上げなければならぬことをまことに遺憾に存じておるようなわけでございます。この点につきましては、なお御趣旨に沿いまして最善を尽して、早期締め切り並びに排水の完了に省といたしまして極力全力を尽してやらなければならぬと痛感をいたしておるのでございます。この点を御了承願いたいと思います。 次にこの締め切り工事に対します国庫負担の問題でございますが、木曽川の下流の部分、また海部海岸につきましては小区間でございますが、農林省の干拓の部分を除きましたほかは大部分府県の補助工事として施工される建前になっておるのでございます。問題はこの府県の負担でございますが、これにつきましては高率補助の問題となって参ると存ずるのでございます。ただいまその特別立法につきましては内閣でいろいろ取りまとめておりますが、建設省といたしましては昭和二十八年災に準じまして高率補助をいたしたい、そして自治体の負担を十分軽減いたしたいと考えている次第でございます。 なお、最後に治山治水の根本的な対策の問題でございます。省といたしましては、すでに明年度予算に昭和三十三年度を基準といたしまして、五ヵ年三千五百億の新治山治水事業費の要求をいたしておりまして、これは二年越しの問題でございますが、現在の災害発生の根本原因を突き詰めてみますれば、要するに国土の開発利用に対しまして、国土の保全の施設がおくれている、不均衡であるというところに大きな根本の原因があるのではないかと考えておりますので、このおくれを極力早く取り戻すことが根本対策でなければならない、かような考えに基きまして、ぜひこの新治山治水五ヵ年計画の達成に最善を尽して推進をする、かように考えている次第でございます。
○赤松委員 あなたの答弁に対する私の希望を先に申し上げておきますと、木曽川は十一月一ぱいかかる、これは非常に重大な問題でございますけれども、ここでは言いません。とにかく政府を鞭撻して早くやらせるということが先決問題ですから、そのことについてはいろいろ申し上げたいことがありますけれども、やめておきましょう。 ただ昭和二十八年の災害に準じてやるというお話ですけれども、その規模においてあるいは深刻さにおいて、あるいは決壊堤防による流失、浸水、そういった規模、範囲において、二十八年のときとは問題にならないわけです。 一例をあげますと、名古屋市内の潮どめ工事をやる場合でも、本来言えば、政府の方の高率の補助ということで予算を組んでやっておったら、とてもあの堤防の潮どめ工事なんかはできないわけです。そこで政府であとはめんどうを見てやろう、とにかく全力をあげてとめろ、こういうようなお話だったものだから、本来市の仕事ではないのですけれども、県、市それから名古屋港管理組合、この二つが協力いたしまして、それぞれ堤防を受け持ったわけです。最初に県は業者に請負わしたところが、十人か二十人でよたよたやっているので、とてもだめだということから、自衛隊の出動要請となり、それから全土木技術の者を動員してやろうということに政府の方針が変わりまして、そこでこの三者がそれぞれ切れた堤防をみんなで分割負担して、そしてようやく食いとめたわけなんです。そういう事情がありますから、これを高率補助というような考え方でいくならば、とてもそれは地方財政でもって、たといわずかな予算でもこの堤防の潮どめ工事に出すということは困難であるから、従って建設省においても政府においても、そういう点についてはこの際きっぱりと——けさ何か新聞にも載っておったようじゃないですか、国庫負担でやるということが。もうすでにそういう方針がきまっておるならきまっておるで、正式に政府の方から一つ御答弁を願いたいと思います。あなた今高率補助の方針でいくのだ、昭和二十八年の災害に準じてやるのだ、こうおっしゃったけれども、けさの新聞で見れば、すでに全額国庫負担の方向に進んでおる、こういうことが報道されておる。従ってこの点に関する明確な答弁をいただきたい。 それから内閣の方へ言っておきますけれども、見舞金、生活資金の問題は一厚生大臣の問題ではないということを私は申し上げたい。政府としてすみやかに見舞金及び生活資金についての手当をしなければならぬということをさき強く要望したわけでありますけれども、これについてはどうか。 それから中小企業の対策については、たとえば信用保証協会を利用するなんとおっしゃるけれども、あなた中小企業を自分で経営した経験がないからそんなのんきなことをおっしゃるのだ。信用保証協会というのはなるほど機関はあるけれども、国庫から金を借りようとすれば市中銀行の信用ということが前提になる。市中銀行がうんと言わなければ絶対信用保証協会の方がオーケーしません。 それからいま一つは、先ほど信用保険の方でめんどうを見るというようなことを言っておるけれども、わずか五億じゃありませんか。どうしてそんな金でできるのです。今中金が五十億、商工中金が二十五億、それから国民金融公庫が二十五億、これを大蔵省に要求しておる。ところが大蔵省の態度はまだきまらぬじゃありませんか。そんなことで中小企業は——今水びたしになって、そして立ち上る資金がほしい、水が引いたら直ちに復興にかかろうと言っているときに、政府の方で——名古屋へ来たときには政府の方は、中小企業には百億出す、ちゃんと私はその新聞談話を持っておる。そういうことを言っておって、今日なお、十五日もたって、そうしてようやく排水の見通しがついたというときに、この中小企業金融公庫や商工中金や国民金融公庫の資金の要求をまだ大蔵省が足踏みをしておる。そんなことでどうして中小企業対策ができますか。 それから担保の問題をあなたは言われましたけれども、何ぼあなたがどんなことを言ったって、担保がなければ現実に貸してくれないのです。そうすれば私はここで、幸い政府機関というものがあるのだから、政府機関でもって、市中銀行などに依存しないで、百億なら百億の金を政府の金融機関へ預託をして、そうしてこの金で保証してやれ、こういう対策を立てなければ、この危機は乗り切れないと思うのです。窓口に行きなさい、新聞に発表された通り中小企業の人は窓口へ行くのです。担保はあるか、担保はありません、罹災者に担保のあるはずがないじゃありませんか。工場が水につかっておってどこに担保がありますか。かりに水の中に自分の土地が沈んでおる、その土地を担保に置こうとしたって、そんなものを向うは担保にとりませんよ。ですから私としては、もう方法は、政府の機関に百億なら百億の金を預託して、そうしてすみやかにむずかしい条件でなしに貸し出していく。ぼくは中小企業というものは、そうこの機に乗じて何か政府の金を一銭でも多くぶんどってやろう、そんな気持はないと思うのです。何も金をもらって夜逃げをしようというのではないのだから、みんな自分の企業を復興させようという考え方なんだから、ある程度二割くらいの危険率を見込んで、そうして思い切った対策を立てる必要があるのではないか、こういうふうに思います。今中小企業庁の方からも来たようでありますけれども、この点についてもっと明確な答弁をしてもらわぬと困ると思うのです。見舞金、生活資金、中小企業に対するところの金融対策、それからもう一つ、税金の方はいち早く手を打って指定地域を作ってずっとやっているから、これだって文句はあるけれども、さしあたって私が今要求するのは、見舞金、生活資金、中小企業対策、それから潮どめ工事の国庫負担、この四点について一つ明確な御答弁をお願いしたい。
○大沢説明員 非常事態に処しまするこの緊急な事業に関しまして、負担の問題等事務的なことでまことに恐縮に存ずるのでございますが、現在の建前におきましては、先ほど私が申し上げたようになっておるのでございます。一部の意見といたしまして、締め切り工事の負担を全額国庫負担でやれという意見も確かにあるのでございます。この点につきましては意見という程度でございまして、現在その問題が審議をされておるのでございます。内閣の中におきまして審議されておると存じまするが、目下のところこれ以上の答弁はむしろ私よりも小笠副長官にお答えをお願いいたしたいと思います。
○小笠説明員 今大沢さんからお答えいたしました高潮による破堤個所の緊急締め切りに関する国庫負担の問題を二十八年災当時よりも強くやる、こういうお話の点でありますが、その点につきましては、非常に事情がお話のように違う点もございまして、他の部分と違った事情があるとも考えられますが、今検討を加えておるところでございます。従いましてどういう結果になるか、今はっきり申し上げかねる段階にございます。 それからお話の見舞金の問題でございますが、見舞金の問題につきましては先般愛知県及び名古屋市におきまして一部救恤資金の中から出しております。ちょうど私が参っておりまして、その話に参加をいたしまして推進をいたした一人であります。政府といたしまして、従来の災害等に際しまして国から見舞金を出したというふうな先例は実は承知いたしておらぬのであります。よく議論になりますが、国からこういうものを出すということはただいまのところ考えておりません。 それから生活資金の問題でございまするが、罹災せられた方々に対する救済の問題は、御承知の通りに災害救助法を中心として運営されておるのであります。そのほかに若干の母子福祉資金その他の更生資金等があることは御承知の通りであります。この問題は、災害救助の建前が物を中心として救助態勢をとっている、こういう考え方にのっとりまして、最後のところは関係地方公共団体の起債でまかなっていく、また政府がきめられた率においてこれを負担する、こういうことに相なっておりまして、その線から問題を解決していくという以外に道はただいまのところむずかしいのではないか、こういうふうに考えております。
○赤松委員 あなたはそういうことを言っているから河野一郎さんに、政府の対策はなっとらぬといってしかられるんだよ。そんな程度の答弁なら要らぬですよ。現行法で見舞金を出した先例はない、現行法にはそれぞれ許可規定があって災害救助法などにちゃんと書いてあるから、それでやるのだ、災害救助法でもって救助ができるとあなたは考えていますか。たとえば一人に対しては五十円ですよ。五十円で一日まかなえますか。実情を申し上げますと五十円ではまかない得ない。そこで七十五円にした。七十五円でもだめなんです。百三十円かかる。米八勺におこうこを二切れつけて、ゴボウを三切ればかりつけて、それで水道料金、ガス料金その他全部入れますと百三十円かかる。政府の方は七十五円、百三十円とその間の差をどうすればいいか。その間のものをだれが負担しているんですか。その間のものは学校に収容したその学区の住民がみんなで出し合って今罹災者を養っているんですよ。あなたが災害救助法で何でもできていると思ったら、とんでもない大間違いです。一日七十五円ですよ。ところが百三十円要るんです。その間の金は、政府のやっかいにならないで、収容した学区の、同じ罹災をした名古屋の市民がみんなで金を出し合っている。もし住民が金を出すのはいやだと言ったらどうしますか。罹災者は飢え死にしてしまう、八勺の米が食えないんですから。そうでしょう。そこで見舞金というものが制度上ないとおっしゃるならば、貸付か何かの名目でこの際大幅にやったらどうですか。一人に対して五万円くらいの貸付をやったらどうですか。罹災証明を持っておる者には全部五万円なら五万円という金を貸す。さっき中小企業の話が出たけれども、政府の発表では金利はちょっと安くしてやる、返済期間は延ばしてやる、そんなことはほしくないんですよ。今中小企業は金利が多少高くても、返済期間は短くても、現実に金が借りたいんです。それと同じように、災害救助法に基くところの五十円ではとても生命は維持できません。八勺の米、二切れのおしんこ、三切れのゴボウでもって、あなた一ぺん生活してみなさい。それだっておなかがすくものだから、もっとくれ、もっとくれと罹災者の要求はきびしいのです。そのとき、実は法律で県の方は五十円しか出せないんだ、あとはこの学区の人たちで負担しているんだからがまんしなさいと言ったら、その学区の勤労奉仕をやっている人はなぐられるのです。そういう状態です。だからこの際五万円くらいの貸付資金をぽんと出すというような用意があるのかないのか。 もう一つは、この際にこそ生活保護法を活用すべきだと思う。あとで厚生大臣に申し上げますけれども、政府としても生活保護法を全面的に活用して、罹災証明を持つ者には生活保護法を全面的に適用する措置をぜひ講じてもらいたいと思う。もう災害救助法なんかいいでしょう、おわかりになったでしょう。七十五円では、米八勺、おしんこ二切れ、ゴボウ三切れにも足りないのです。それではなお足りないというので罹災者は要求するのです。要求しても学区の者がそれ以上出せますか。だからぜひこれを一つ考えてもらいたいと思う。
○八木(一男)委員 関連して。赤松委員からもお触れになったと思いますが、労働省の所管の問題で、今度の災害に関しては緊急失対事業のことが非常に大きな問題になろうかと思います。名古屋市の浸水地帯では、おそらく中小企業が立ち上れないので非常な失業者が出ると思います。また三重県や愛知県の浸水地帯の農民の人々、この方々がしばらくほとんど収穫ができないというので収入の道が断たれると思う。また私のおります奈良県におきましては、山岳地が全部道が寸断されまして、そこの産業の大部分は山林業です。ところが道が完全に寸断されておりますのと、本道が直っても、林道が全部ぐちゃぐちゃになっておりますから、木材の伐採、搬出ができない。一年か二年ぐらいにわたって住民の九割五分くらいが失業の状態に入ります。残念ながら日雇い形態でありますから失業保険も出ない。ほとんど生活の道が半永久的に閉ざされるわけです。そのときに、災害に関する緊急の失対事業を全額国庫負担で、予算に縛られないで大幅にやっていただかないと、一部では暴動が起るような非常な生活不安が起る。そういう点について、労働省は強力に考えていただかなければ工合が悪いと思う。道路の修築については、修築の技術とか修練の程度がありますから、請負業者にやらしておるところも多いようでございますが、それが普通の請負業者に、災害でもうかるような態度でやらしてはいけないと思う。ほんとうの技術者はしようがないとしても、地元の災害地の人がそういうことを担当できるように、そういうような請負業者に道路修築とか河川とかやらせるときには、現在の者を大部分雇う。技術を持ってなければどうしてもしようがない点はいたし方ありませんけれども、大部分雇うというような行政指導をされる必要があると思います。それとともに、緊急失対事業の全額国庫負担のものを大幅に財政の裏づけをして、けちけちせずに災害地に、災害の影響は一、二ヵ月でなく長く続きますから、二年、三年にわたって強力にやられる必要があると思います。それについての労働大臣のお考えを承わりたい。
○松野国務大臣 つい先日八木委員から奈良県の実情をいち早く御報告いただきまして、吉野川流域の河川がほとんどはんらんいたしまして、橋梁はほとんど流されてしまったというような非常に悲惨な状況であることも拝聴いたしました。なおこれにつきまして、復興としては当然公共事業の復興事業というものがまず始まりましょうし、現地の職を失った農村あるいは山林の方々といった現地の労力を使ってもらうように、これは公共事業の執行の農林大臣及び建設大臣に労働省としても当初から要求をいたしております。今回の予算措置におきましてもそれを含めて労働省、建設省、農林省で協議をいたしております。なお労働省だけの緊急失対につきましては、御承知のごとく非常に被害の大きいところは負担能力というものがございませんから、負担能力を十分考えて失業対策、臨時失業対策事業というものの今後の相当長期的な考えをただいま策定をいたしまして、十八日までには労働省の省議として決定をいたすつもりでありますが、今日では公共事業につきましては建設、農林両省に連絡いたしまして、現地の被害を受けました地方の労働力を全部活用していただきたい。かりに請負に出すにいたしましても、全部その方を吸収してもらいたいということはただいま連絡中でございまして、両省ともこれには異論はなさそうでございます。なお労働省だけの臨時失対につきましては、現地側とあわせまして、当分恒久的でありますので、この問題は当然臨時国会に新しく予算要求をしなければならない、こう考えております。
○八木(一男)委員 大臣の御答弁はお言葉だけですとけっこうなんですけれども、内容の問題で、全額国庫負担にするとか、予算の裏づけを完全にするとか、早急にするとか、長期間にするとか、そういう点で最大の強力な方法をとっていただきたい。建設、農林両省に申し出ても、そうならなければ労働省としてはまかりならぬというような、ほんとうに災害地の失業をした人の立場を強力に申し上げていただきたいということを要望しまして、時間の都合もありますので、赤松委員の方に質問を返します。
○滝井委員 関連して。これはあとで厚生省にもお尋ねいたしますが、名古屋で一体一日にどの程度の握り飯を作っておるかということですね。今七十五円ということですが、これは百二、三十円もかかっておるということになると、そうそう長期にわたって、災害救助法を延長してその差額を地域の住民に負担させるというわけにいかぬと思うのです。そういう点、何か政府の方に現地から報告が来ておるのかどうか。一日にどの程度の握り飯が作られているのか。
○八木(一男)委員 官房副長官にお伺いしたいと思います。赤松委員の非常に熱心な質問に対して、副長官の御答弁は実になっていない答弁だと思う。副長官ちょっと聞いて下さい。ただいまのところ、赤松先生の質問に対して、そういう考えがありませんというような答弁をなさった。そんなことでは国民はたまったものじゃないと思う。そういうことを強力に推進しますとか、そういうような答弁をなさらなければ、災害のことをほんとうに官房副長官が考えられておるとは言えない。政府は政府としてやっているつもりかもしれないけれども、現地の意見を聞いて熱心に、強力に質問した委員の意見に対して、そのようなまやかし答弁みたいなことで済ませられると思ったら大間違い。そういうお考えが国会にあるならば、これから自分の方で総理大臣に申し入れて考えてもらうようにします、そのくらいの答弁をしなさい。それについてどうですか。
○小笠説明員 今お話がありました見舞金の問題でございますが、実は先ほど赤松さんのお尋ねに対しましてお答えしましたのは、現在までの例はないということで、承知しておらぬ。ただいまそういう問題が実は部内でまだ問題になっておりませんので、そういう話を申し上げたのであります。この点につきましては、各般の角度から考えていくということについては、今度の災害につきまして可能な範囲のことはぜひとも考えていきたい、こういう考えでおります。すぐ確定的な返事ということになりますとなかなかむずかしい過程にあるのであります。だから各方面の意見を聞きまして、全体から見て可能の範囲は努力いたします。
○八木(一男)委員 赤松君の質問に対して、二十八年災害に準じてということを言われました。そういうことではなしに、赤松委員が現地のなまなましい状況を視察されて一生懸命言っておられるように、二十八年災害の特別立法の趣旨よりもはるかに以上の対策をとっていただかなければならないのです。都会地の特別災害のことも考えてもらわなければならないし、海岸の高潮による異常な災害も二十八年のときにはなかったのです。そういうものを大きく取り入れて、政府自体で推進してもらわなければ困る。与党の方には非常に申し訳ないようでありますけれども、二十八年の特別災害に準じてという言葉の中には、何か二十八年以上のことをやるかわり、二十八年の一部分を減ずるというような考え方もひそんでおるようにわれわれは考える。(「違う」と呼ぶ者あり)違えばけっこうです。ところが私の聞いたところではそういうことがあるように思う。(「上回ればいい」と呼ぶ者あり)上回ればいいが、政府はそうではない。大蔵省というとんでもない連中がいるのだ。ですから少くとも二十八年災害を上回ることを全般的にやって、それから都会地における災害のことを根本的にやって、それから海岸の低地の高潮、異常災害のことを徹底的にやって、それから今までの災害についてすべての欠点であったいろいろの産業の復興のことがある。公共土木復興事業のことはあるが、個人の生活ができないということについては、今までの災害の立法にない。それについての措置を政府みずから講じなければならない。それまでの緊急措置としては、見舞金というものは当然である。それを官房副長官は、ただいまのところそういう考えがありませんというようなことでは、政府のこの災害に対する本腰の対策にかかろうという決心が見えない。もっぱらこういうことを考えているというようなことを用意してきょうは出てくるべきである。このような決心でやらなければ国民は承知しないということを、総理大臣あるいは閣僚に強力に伝えてほしい。そして直ちに次のいろいろな委員会あるいは臨時国会の災害特別委員会では、もっぱらこういうことをやりましたというようなことを言われる措置をとっていただきたい。まだ足りないじゃないかというようなことをわれわれが言わなくて済むような措置を完全にとってくれることを政府の首脳部に徹底的に伝えて、それを推進してもらいたいと思います。それについての副長官の確固たる御意見を承わりたいと思います。
○小笠説明員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましてはできる限りのことをいたしたい、こういう考え方には間違いないと思います。ただいまのお説の点はよく上司にお伝えして、できるだけのことはいたしたいと存じます。ただ先ほど二十八年災に準じてというのは私が申し上げたのではなくて、赤松委員の締め切りの問題に関連して、それでなしにもっと検討中だということを申し上げたので、その点は私は二十八年災並みのことを申し上げたつもりではなかったのであります。
○八木(一男)委員 副長官は非常におとなしいので、私が声を荒ら立てて言うのはあれですが、でき得る限りという言葉がいけないのです。でき得る限りという言葉の中には、大蔵省という難物がいる。それが承知する程度においてということが今までの政府のやり方なんです。しようと思ったら幾らでもできるのです。今度も千七億自然増収が出る予想だ。ほんとうに徹底的にしようと思ったらできるのです。それにできる限りという前提をつけられるところに、いろいろの点で値切っていこうという魂胆が政府にあると私どもは考える。そういうことでないようにしてもらわなければいけない。できることはできるのです。できる限りという言葉は廃止して、必ずやるという言葉をいただかなければいけないと思う。その点についてもう一回副長官の答弁を求めておきます。
○小笠説明員 私は先ほど申し上げましたように、誠意をもって努力したい、こう考えておりますが、御承知の通り副長官の立場にございますので、はっきり割り切ってお答えしにくいということは御了承願いたいと思います。
○永山委員長 午後一時半まで休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後一時四十九分開議
○永山委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 休憩前の質疑を続けます。赤松勇君。
○赤松委員 きょう午前中厚生大臣がお見えにならなかったので、労働大臣やあるいは官房副長官にお尋ねしたわけでありますけれども、当面の災害救助法を発動された責任者である厚生大臣に対しまして、質問をしてみたいと思います。 第一にお尋ねしたいのは、災害救助法が発動されまして、それぞれ、たとえば医薬品とか食糧とか、ずっと県当局はこの救助法に基いてそれぞれの適用期間をきめておるわけであります。ところが実際にはもう十五日にもなります。潮どめ工事は、名古屋市に関しましては昨晩九時三十分に終ったわけですけれども、今建設省の答弁によれば、木曽川じりはなお十一月一ぱいかかる、こういうような答弁でありまして、長期にわたる、そして緊急な対策が必要である。そこで各県の知事の要請に応じて、この救助法の延長を時々刻々はかっていただきたい。これについて大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○永山委員長 この際厚生大臣より、台風第十五号による被害状況及びその対策について述べていただいて、そのあとで質疑にお答えを願いたいと思います。
○渡邊国務大臣 災害対策につきましての御報告をいたします。先般の台風第十五号による被害の状況は、お手元に配付いたしました資料の通りでございまして、人的被害四万一千五百六十一人、住家の被害五十三万九千二百九十戸と莫大な数を数えております。特に、名古屋市南部、愛知県海部郡及びその周辺地域の被害は甚大で、今なお浸水地域が残っている状況でございまして、まさに空前の災害といわれております。今回の災害に際し、災害救助法を適用しました市町村は五百六十四に及んでおり、広く被害を受けた愛知、三重、岐阜の三県は全県下に適用されております。 厚生省におきましては、今回の台風災害のような非常災害の際における災害救助、防疫並びに復旧に関する施策を総合的にかつ強力に推進するため、今回の台風発生と同時に、省内に災害対策本部を設け、目下、この本部を中心といたしまして災害対策に積極的な活動を行なっている状況であります。 厚生省といたしましては、災害発生以来被害激甚の三県に係官を派遣し、被害状況の調査、救助の実地指導及び防疫業務の指導に当らせております。このほか九月二十九日には政務次官が、十月二日には私が、翌三日には公衆衛生局長が、それぞれ被害状況視察のため現地におもむきました。さらに、名古屋市に設けられました政府の中部日本対策本部には、九月二十九日社会局長を出向せしめ、その後引き続き係官を駐在させております。 食品、飯料水、収容施設等の供与、給水班の派遣、罹災者の救出等の災害救助法に基く措置の状況、赤痢、ガス壊疽及び破傷風患者の発生状況並びにこれら疾病に対する対策を中心とする防疫措置の状況、屎尿処理施設の被害状況及びこれに対する措置の状況、医療救助班の活動を中心とする医療救護対策の状況、救急薬、防疫用資材、ガス壊疽及び破傷風抗毒素等必要医薬品の輸送配布の状況、その他日本赤十字社の救護活動状況、在日米軍、米国宗教団体等の協力援助の状況、並びに義援金品募集の状況につきましては、お手元の資料の通りでございます。 さらに、今回の台風の災害につきましては、その被害が甚大であることにかんがみ、厚生省としましては、行政上または予算上の特別措置として、災害救助法による給与食品単価の引き上げ、応急仮設住宅供与ワクの拡大措置を講ずるとともに、被災県に対する世帯更生資金割当額の増額、母子福祉資金貸付制度による住宅補修資金等の貸付ワクの増額、被災地における臨時保育所の開設、保育料の徴収減免等の措置を講ずることといたしました。また国民健康保険を実施している被災市町村に対しましては、療養給付費補助金及び事務費補助金の繰り上げ交付、特別調整交付金の交付を行うことといたしました。 このほか、厚生省に関係のあります医療衛生関係施設、水道関係施設を初めとする環境衛生関係施設、社会福祉、児童福祉関係施設等の被害につきましては、目下その詳細を調査中でありますが、これらの復旧については、それに要する費用について必要な予算を確保したいと考えております。 また、今回の台風災害の復旧について、政府においては各種被害施設の復旧費に対する国庫補助率の引き上げ及びその他の必要な措置に関する特別立法を昭和二十八年度の台風災害の際とりました措置に準じて行うこととし、近く召集される臨時国会に提出すべく、その成案を急ぐことといたしました。 厚生省におきましても、この方針にのっとり、昭和二十八年度において講ぜられました諸種の特別措置にならい、災害救助法による救助費、伝染病予防法による防疫業務費及び関係各種施設の災害復旧費に対する国庫補助または負担率の引き上げ、母子福祉資金貸付制度による貸付金の据置期間の延長、国庫貸付率の引き上げ等を内容とする必要な特別立法措置をただいま考慮検討中でございます。 赤松君の先ほどの御質問に対しましてお答えいたします。その地区の状況に応じまして延期いたす考えであります。
○赤松委員 実は同僚議員の質問もありますので、私は以下あなたときょうはいろいろなやりとりをやらないで、また臨時国会でゆっくりやるとして、ざっと要望事項を一ぺん言いますから、それに対して厚生大臣の方から責任のある答弁をしていただきたい、こういうふうに思うのです。 第一にお尋ねをしたいのは、さっきもやりとりがあったのですけれども、今現地では、愛知県はとりあえず義援金の中から罹災者に対しまして千円、名古屋市に死亡者、行方不明——行方不明まで入ったかどうかわかりませんけれども、とにかく見舞金として一万円出しているわけですね。政府の方は今日まで岸さん以下やって参りまして、相当景気のいい宣伝が行われているけれども、実際には罹災者の手には金は渡っていない。今一番金と物に困っている。物というのは住宅ですね。そこで、一万円から三万円程度の、死亡者、行方不明の者に対しましては、その程度の見舞金を政府の方で出す必要があると思うのですが、それに対してはどうか。 それから第二に立ち上り資金と申しますか、生活資金ですね。ちょうど引揚者にあるいは戦争犠牲者に政府がやったようなことと同じような意味で、この際罹災者に対して立ち上り資金を与える用意があるかどうか。もちろん個々の法律の中にはいろいろな特典があります。しかしそれを利用するにしても、一つの例をあげると、印鑑がないとなかなか受け付けないというような事態もある。実際は災害を受けた人には印鑑などあろうはずはありません。これなどはそうやかましいことでなしに処理していくというような方法を講じていく、要するに五万円程度の立ち上り資金を支給する考えはないかどうか。あるいは十万円程度の立ち上りのための貸付金を行う用意があるかどうか。 次に、災害救助法はあなたは延期すると言ったけれども、九月と十月ではその災害救助法に基くところの支給の内容が違ってくるわけです。そうでしょう。九月と十月は、つまりこの法律によれば夏と秋と分けてある。従って九月の二十六日に災害が起きたものが、今日十月になってなお罹災者は水害にあっているというような場合に、九月と十月の罹災者救済の方法は著しく均衡を失するということは、やはり制度上おもしろくないと思う。こういう点について、何か適宜の行政措置をおとりになる用意があるかどうか。それからその次に、今一番罹災地で困っておるのは、小中学校の学生がそれぞれの割合に損失の軽い学校に収容されている。ところが全校休校状態です。そこでこの小中学生に対してはすみやかに授業を開始しなければならぬ。それについて教科書あるいは文房具、そういったものを災害救助法に基いて当然支給しなければならぬが、県財政に依存しておりましてもとてもできません。従って政府としてこれらの措置を具体的に講じてもらいたい。なお、それと関連して、この子供たちはほとんどさるまた一つかシャツ一枚というような状態です。そこで、せめて小中学校の学生に制服及びシャツの上下くらいは一つ新品を全部に配給——といっても大した数じゃありませんが、これを全部に配給するようにしてもらいたい。 その次に、救助法によって援護される一日の食費は五十円なんですね。これが七十五円に上げてもらったけれども、実際に私どもが現地におって見ておると、水道、ガス代なんか含めると、大体百三十円くらいかかるのです。百三十円かけて与えるものはどうかというと、今給食用の食器を使っておりますけれども、目方にかけると大体八勺です。八勺の規定になっておる。それにおつけもの二切れ、あとゴボウかニンジンをちょっと添えるという程度のもの、これでは栄養失調になるので、栄養剤の配給をむろん考えてもらうということと、それからこの単価を引き上げてもらいたい。今のところ必要経費百三十円、今県からもらうシステムになっておりますけれども、その七十五円と百三十円の間の金は、全部収容している学校の学区の住民が負担しているのです。これは当然政府の方においても、もう県財政に依存しないで、交付金の調整なんていわないで、全額政府の方から出すような措置を講じてもらいたい。 その次に、この際罹災証明を持っておる者に対しては生活保護法を全面的に適用する。その際、生活保護法の適用についてはいろいろなむずかしい資格要件があるわけです。それを言っておったのでは救済できないから、罹災証明を持っておる者に対しては全面的に生活保護法の適用をやってもらいたい。さっきの単価の問題は、最小限度の要求として八十五円に何とか改めてもらえないか。百三十円かかるんだから、全額百三十円を要求したいのですけれども、政府の方のいろいろなあれもあるでしょうから、さしあたっては八十五円もしくは百円にあげてもらいたい。それから被服、寝具その地生活必需品の給与または貸与については、災害の深刻なため、応急的に付写した物資の量にかんがみて、少くとも現行基準より五割増額してもらいたい。 次に南部方面の惨状は言語に絶するものがあるので、家を失い、全財産を流失し、生計の道を失った者が非常にたくさんあるので、この罹災者に対しては、先ほど言った生活保護法の適用をしてこれを扶助すると同時に、これらの者に対しましては今言った生活保護法のそれは全額国庫負担の措置をとってもらいたい。 次に、児童福祉法の措置についても、同様徴収金の徴収不可能が考えられるので、この相当額は全額国庫負担としてもらいたい。 その次に、母子福祉資金の活用によって、母子世帯の更生独立の促進のための貸与金の据え置き期間の延長、貸付資金の負担割合を、国二に対し県一を、国八に対し県二の割合に訂正してもらいたい。それから倒壊、損傷した生活保護、児童福祉の各施設はその被害が非常に甚大であるから、これが復旧に要する費用は全額国庫負担にしてもらいたい。 以上が、緊急にあなたに厚生行政として要求する事項です。次に住宅建設の問題ですけれども、これは第一に、災害救助法による応急仮設住宅の設置戸数の限度を三分の二に引き上げて、一戸当り建設費八万円の基準を十万円に引き上げてもらいたい。また応急修理についても、戸数限度の引き上げとともに、現行基準単価一戸当り二万円を三万円に引き上げて、現金支給の方法をとるように措置してもらいたい。 次に災害公営住宅の建設戸数についても、住宅被害の甚大なるにかんがみて設置戸数の限度を引き上げるとともに、公営住宅法第八条の国庫補助率の三分の二を台風十三号の際は四分の三に引き上げられたのであるが、今回の災害規模にかんがみてこれを十分の九に引き上げて、全戸数を三十四年度内において措置をしてもらいたい。それから既設公営住宅の被害戸数並びに被害の程度が非常に大きいから、これが復旧費については一種は四分の二、二種は全額国庫負担にしてもらいたい。次に住宅金融公庫法による住宅復興資金の融資ワクの拡大とともに融資条件の向上をはかってもらいたい。それから日本住宅公団法による賃貸住宅、特定分譲住宅、厚生年金保険法による保険積立金の現金融資住宅、住宅金融公庫法による産業労務者用住宅のワクを飛躍的に拡大して、早くうちを建ててもらいたい。次に政府機関及びこれに類する公社、電電公社その他ですが、給与住宅あるいは宿舎建設戸数を増加し、三十五年度建設予定を繰り上げてこれを施行するよう措置してもらいたい。 以上が緊急住宅問題として政府に要望する点です。 第三に水道の施設の復旧ですが、一つは下水道法による補助率については予算の範囲内において政令で定めることとされ、現在政令が出ていない。従って従来の暫定措置では三分の二となっておるが、これを全額補助とされるように政令できめてもらいたい。それから従来の復旧については応急復旧のみに補助されていたが、災害の規模から見て、応急復旧のみでなく恒久対策についても補助ができるように考慮してもらいたい。 上水道については現行法では補助規定がないので、特別立法の上、営業施設の復旧については二分の一、上水道施設については全額を補助されるように措置をしてもらいたい。 以上が上下水道に対するところの要望です。 次に清掃関係については、大臣が報告書としてわれわれに配っていただきましたこれを読みますと、万全の措置、万全の措置といって、結論は万全の措置になっておるけれども、実際は名古屋市の現状を見ても万全の措置が講じられていない。今東京その他からずっと船の手配などもやっていただいておりますけれども、とにかく屎尿処理というものが緊急の必要条件である。特に赤痢などは、きのうおとといでもって、あなたの方に報告がきたかどうかわかりませんが、八十五人発生している。 それから私は水害地を歩いてみて、屋根の上なんかで若い娘さんやあるいは男の人たちがおしりをまくって、うんこをしたり、おしっこをしたりしている。それを見ていると、みんなかたい便などをしている者は一人もありません。それはそうでしょう。十五日間も水につかっているのですから、そんなかたいうんこなどは出そうもない。そういうふうで、さっき大臣ににおいをかいでもらったあの汚水、ああいうのがもう死体のあかとともに充満しております。この現状を放置しておけば大へんなことになる。だから厚生省は全力をあげて、全国の人と技術と物を動員して、この防疫対策のために、それこそ万全に考えてもらわなければ大へんな結果が生ずると思うのです。実はこういうような防疫作業についてはほとんど市に一任されておりますけれども、市の予算能力あるいは人員能力、技術能力、そういうものからいえば限界に達しておって、一名古屋市の力をもってしてはどうにもできません。従ってこれらについては全力をあげてもらう。以下清掃関係について要望を申し上げておきます。 第一は、浸水地区における被害家屋より排出するゴミ、畳、壁土、排水後の泥などの処理には膨大な経費を要するが、現行法では補助規定がないから、特別立法措置によって全額国庫負担の措置を講じてもらいたい。 第二に、へい獣処理に要する経費についても、浸水地区におけるニワトリ、ブタ、犬、ネコ、羊等のへい獣がおびただしい。防疫上、死体の処理と同様、緊急かつ重大な業務であるので、第一と同様の措置によって全額国庫負担にしてもらいたい。 次に赤痢の大量発生している現在、浸水地区における尿の完全処理は緊急欠くべからざるものであるから、前二項同様、全額国庫負担としてもらいたい。清掃施設復旧については現行法によれば、屎尿浄化槽についてのみ四分の三の補助となっているが、塵芥焼却所等、清掃施設の復旧については全額国庫補助の措置をとってもらいたい。特に下水道の閉塞により、下水放流が不可能となった現状においては、これが復旧には国の強力な財源措置を要望したい。 次に衛生関係については第一に医療及び助産の問題、これは大体二つに分れます。一つは救護所、臨時診療施設の設置についても救助法の対象としてもらいたい。これは当然であると思うのですが、ぜひ対象としてもらいたい。第二に、栄養剤の補給については認められていない模様であるが、今回の場合、相当長期間にわたるため栄養剤の補給が必要であるから、別に認めてもらいたい。 その次に埋葬については現行単価がおとな二千二百円、子供が千八百円の範囲となっているが、実質的には火葬料千円、それから棺代、死体輸送費、埋葬人夫賃等を含めればとうていまかなわれないので、倍額程度に引き上げてもらいたい。これは八事の火葬場に八人の人夫がおりますけれども、死体がたくさんあって焼けないで困っている。海部郡などでは自分の子供や自分の女房に油をかけて焼いておる。あるいはその辺の流木を拾ってきて死体を焼いておるというような状態で、死体の処理だけでも大へんなんです。これは警察などがほとんど死体の処理に動員されておる。今学生なども、愛学連といって全学連の下部組織ですけれども、愛学連の学生も、ほとんど名古屋大学の学生などは医療作業に従事している。他の学生は遺体の処理、死体の処理などに従事している。だんだん寒くなるものですから、この間もある区役所で言っておりましたが、棺おけが盗まれて仕方がない、どうして盗むのだろうと思ってそれをずっと追及してみると、着物がないものですから棺おけの中に寝る。まさに人間の生理の限界をこえている。だれが棺おけの中で寝たいか、そんなものを盗みたい者はだれもいない。けれどもそうしなければ飢えと寒さが防げないというような状態なんです。しかも今日棺おけというものがどんどん上ってきまして、それを自分の手に入れるということが非常に困難な状態である。その中で、普通現行単価通り二千二百円、子供千八百円の範囲ではとてもできぬし、いわんや火葬料を実際は千円しかもらっていないというような状態ではどうにもならない。これについては格段の措置をお願いしたい。事は仏の問題ですから、ぜひあなたも仏心を出してやってもらいたい。実際笑いごとでなしに、現地を見て鈴木委員長も、この間死んだ人がずっと積み上げられているところに行って焼香して参りましたけれども、全く悲惨なものであります。 その次に予防防疫、健康診断、伝染病院の国庫負担についてぜひ厚生当局で努力をしてもらいたい。それは災害に伴う予防防疫、健康診断、伝染病院に要する経費については、災害救助法の対象に加えるよう法の改正措置をとってもらいたい。また伝染病予防法による場合には十分の九を国庫が負担する特別措置を講じてもらいたい。 なお公共施設の復旧では、昭和二十八年度の災害発生時においては、教育施設については国の負担が認められたが、保健衛生施設については除外されている。今回の災害に対しては健康衛生施設についても高率の補助金制度をとられるようにしてもらいたい。なお本件については原形復旧にとどまらず、恒久対策の面にも適用されるように措置してもらいたい。 大体以上が当面緊急に政府に要求する事項でありますけれども、これについて一つ一つ、ほんとうは一問一答でもって私はやりたかったのでありますけれども、それは臨時国会に譲って、いろいろ災害のときですから政府の手落ちもある、自治体の手落ちもある、われわれも油断があったと思いますが、そのことは別として緊急の措置をやってもらいたい。以上の措置について厚生大臣の責任ある答弁をお願いしたい、こういうふうに思います。 なお一緒に伊藤よし子さんの要望もありますから……。
○伊藤(よ)委員 十五号台風の災害につきましては、私もあの当日から昨日まで現地におりまして各地を視察して参りまして、その被害の甚大なことは言語に絶するものがございます。それにつきまして、全般の問題については、ただいま赤松先生からのいろいろ御要望やら御質問がございましたので私は触れません。ただ一点、先生もお触れになりましたが、児童福祉施設についてでございます。私が各所を回っております間に一つ気がつきましたのは、保育園などが、学校ももちろんでございますが、こういう学校とか保育園、公会堂などという建物が特に被害を受けております。その中で保育園を私は特に注意して四、五ヵ所回ってみました。このような災害のときこそ託児所など設けることが非常に大切でございまして、保育園の任務は今こそ重大だと思うのでございますが、保育園が、園舎などの全壊とか半壊あるいは被害を受けているのが多うございまして、私が私立の保育園について調べましたところ、全壊や半壊いたしました保育園についての援助というものは、特に国の方ではないようでございます。この点につきまして、厚生省としては何らか災害に対します特別措置をとっていただきたいと思います。大体地方におきまして保育園をやっておりますところは、半分社会奉仕的にやっておるのが多うございまして、多くはお寺などが経営しておられますが、その経営者の自宅ももちろん破壊を受けておりますし、また保母さんの家などもそれぞれ大小にかかわらず被害を受けております。しかし私が参りましたところの付近の住民がみな大へん被害を受けておりますので、一日も早く子供を預かるようにしてお母さん方の手を助けなければいけないというので、緊急に危険な、たとえばガラスなどを整理いたしまして、もう二十九日くらいから託児を始めておりました。それで雨漏りの個所をわずかに防いで、本堂などで子供を預かっておりましたが、こういうようなところに対して、現在でも措置費が大へん低いので、修理費などというものが絶対出ないところへ、大へん大きい被害を受けておりますので、一般の国民金融公庫などにおける低利の資金というだけではとても間に合わないと思います。その点につきまして、昨日も私は愛知県におりまして、NHKか何かのラジオを聞いておりましたところ、災害地におきましては臨時に託児所を設けましたことが非常に被害者の方たちに喜ばれておりまして、お母さんや働きに出る人たちが、ようやく子供を預かっていただいたので洗たくができるとか、大へん喜んでおりました。こんなようなときこそ一そう小さい子供さんを預かってお父さんやお母さんの手を助けなければならぬと思うのでございますが、なかなか容易なことでは自力で回復できないと思いますので、こういう点につきましても、国として特別なる措置を講じていただきたいと思うのでございます。 それからいま一つは、災害を受けられた方たちの家庭の保育料の問題でございますが、こういう点につきましても全免とか、あるいは減免するというような措置を直ちにおとりいただきたいと思うのでございます。その二つの点について、特に赤松先生の問題に重ねて御質問と御要望を申し上げたいと思います。
○河野(孝)委員 災害の状況やら、それに対する当局の処置などは、先生方や当局の方々よく御存じのことだろうと思いますが、私は自分の感じたことを二、三ちょっと申し上げたいと思います。 浸水いたしましたのが、御承知のように二十七日からずっとでございますが、御承知のように、普通の災害でございますればすぐ水が引くところを、ここ二週間たちましても、まだ、見ますれば、ちょうどマッチ箱を水に浸して、それを引き上げたような、ふとんといわず柱といわず、家財道具といわず、全く見られないようなみじめな様子で地上に浮んでおるのが今の浸水家屋の実態でございまして、これに関連いたしまして、そのあとの衛生状態なども、先ほど赤松先生が言われました通り、非常に危ないところがたくさんあるのでございます。 それから先ほど赤松先生もおっしゃいましたが、ことに名古屋などでは県下の大学、高校生がこのたび非常に活動いたしておりまして、毎日水の中へ入りまして、治療方面、医療方面、物資輸送、救助を献身的にやっております。薬が足りなくなって救護所へ行っても、そこでは市から聞いていないと申しまして薬を与えてくれない。だから仕方がなしに大学生などは自費で市の中心に行きまして薬を買い求め、常にはあまり気にもとめないかすり傷でも、あの方面ではガス壊疽や破傷風などの非常におそろしい病気を懸念いたしまして、大したことのない傷でも大ぎょうといわれるくらいに治療を求めておるのでございます。就職準備やら進学準備をほうり出してもこのことに一生懸命になっております純情な学生のことを、皆さん方は一つお気にとめていただきたい、こう思うのでございます。 それから私は避難所をずっと回って参りましたが、物資やらいろいろなことは、県やら救援物資なんかで大体足りてはおるようでございますけれども、やはり老人などの哀れな様子やら、また授業を受けたくても受けられない学童などもありますが、罹災市などにおきましては、すでに新しい本は受けられなくても、みなから本を与えられまして、臨時に各古い学級に編入されて授業を受けておるような状態でございますが、私はそういうことに関しましては大へん適切な措置がとられておるのではございますけれども、堤防の仮締め切り、排水なども十一月末には海部郡南部ほとんど終るはずになっておりますが、これから問題になるのは、やはり水をかぶった被災者やら、あるいは将来の元手をなくした中小企業者やら、農地を失った農民の方たちへのこれからの政策を県民として望み、被災者としても非常に望んでおりまして、臨時国会におけるこういうことに対する政策をよくお考えになっていただきたい。私は一言、重なりますが、こういうことを要望さしていただきます。
○赤松委員 ちょっと答弁前に、私昨昨来るときに、罹災者の婦人の人から特に厚生大臣にお願いしてくれということを言われたのですが、これはあなたたちみな男ばかりでわからないのだが、女の人から恥かしいのでなかなか言えないというわけです。それは脱脂綿が一番ほしいという非常に強い要望がある。だからそういう点は考慮して至急手配をするように……。
○渡邊国務大臣 それではお答え申し上げます。ただいま赤松さん、伊藤さん、河野さんから、厚生行政あるいは建設関係の対策として、特に緊急問題についての強い御要望が数々ございました。私どもはこれらの御要望のありました全部の問題につきましてもすでに着手し、また対策を立て、しかも二十八年災のあの臨時立法をことごとく本国会に提出いたしたい、かように準備を進めておるわけでございます。このほかにも二十八年災の二十余臨時立法のほかに、御要望のありますところの問題につきましては、政府といたしましては特別措置あるいは立法措置というものを講じまして御要望に沿いたいと思っております。 ただ、ただいま赤松さんの御質問の中に、見舞金のことがございましたが、この見舞金のことにつきましては私も同感でございますけれども、関係各省、政府等といろいろ協議いたしまして、できるだけ御要望の線に沿うべく努力いたしたいと思っております。 詳細なことにつきましては、一週間ばかり向うへ行っておりまして、現地でいろいろ調査あるいは対策に不眠不休の活動を続けておりました高田社会局長がここにおられます。私も現地視察から帰りましてから、連日のごとく同様の御陳情を受けておりまして、そのつどそれらの問題につきましては政府と協議をし、あるいは中部本部あるいは閣議等におきましても出た問題でございますので、できるだけ緊急の処置を講ぜしめたい——だいばかりではないのでございます。これは政党政派を超越してやらなければならない問題である、かように決意をいたしておるわけでございます。
○赤松委員 今の生活資金の問題、生活保護法の適用については、やはり大臣からはっきり言ってもらわなければいかぬ。その他、私がこまかく質問したことは、各省のそれぞれの局長から答弁していただいてけっこうであります。
○渡邊国務大臣 生活保護法の適用につきましては、これは当然ケース・バイ・ケースによって私どもは適宜の処置をとっていきます。私どもは、生活保護法の適用は当然拡大していかなければならない、それから災害救助法の適用の内容につきましても、もっと範囲を拡大させていきたい、かように考えております。
○赤松委員 生活資金の問題はどうですか。
○渡邊国務大臣 生活資金は、もちろん私ども出す用意をしております。
○赤松委員 いつ、どれくらいお出しになる用意をされておりますか。
○渡邊国務大臣 これは今事務当局で処理させておりますから、事務当局から答弁させます。
○高田説明員 生活資金ということになりますか、あるいはいろいろなところに使われると思いますが、生業資金にもなる可能性もありますし、あるいは家屋の応急修理というようなことに使われる場合もあると思いますが、私ども今考えておりますのは、従来世帯更生資金という制度がございますが、現在この残額は非常に少うございまして、この残額ではとうてい間に合わないのでありますが、これの補正等をお願いして、この制度によって御要望の点にこたえて参りたい、こういうふうな考え方をいたしております。 三番目にお話がございました救助法の夏季と冬季の限度の区別の問題でございますが、これは、被服、寝具その他の生活必需品の給与のところにその区別があるわけであります。災害は九月の末に発生いたしまして、ずっと今日まで引き続いておって、ちょうどそれにまたがっておるわけであります。それでちょうど区切りになりますけれども、これは県当局の意向もございますので、県当局が全部冬季の基準を適用してやりたいということであれば、私どもはあえてこれを拒むつもりはございません。 四番目の小中学校生徒に対する教科書とか学用品の問題でございますが、これは災害救助法で給与をし得ることになっております。文部省の方面で現物の手配を願いまして、まだ末端まで行き渡っておらぬかと思いますが、それぞれ支給されることのできる制度になっております。 五番目に仰せになりました、たき出しの費用七十五円では不足じゃないかというふうな御質問に対しましては、実はこれは従来五十円でずっとやってきておったわけでございまして、相当長期にわたるたき出しの期間を要しました場合も、従来実は五十円でやって参りました。 〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕 ところが現地に私ども参っておりまして、今回は非常に長期になるおそれがあるということで、中央とも相談をいたし、大蔵省とも相談をいたしまして、実は七十五円まで上げたわけでございます。決してこれで十分とは申せないのでございますが、一応いろいろなことを考えましてそこまで上げたのでございまして、これをさらに上げるということはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに事務的には考えております。ただし栄養補給の問題が非常に問題でございますので、ビタミン剤のようなものをすでに現地では配る手配をいたしております。また近く、これは外国からの救恤品でありますが、百万錠ばかり——相当大量なものでございますが、着く予定になっておりますので、これも一つあわせてさようなことに対処するようにいたしたいと思っております。その他、国内を初め、外国からもいろいろ食料品の救恤品が相当参るはずでございます。こういうふうなものはプラスになるわけでございます。そこにいろいろ工夫を加えて参りまするならば、この七十五円という救助法の対象になる単価にさようなものが加わりまするので、十分とは申せませんけれども、まあまあやっていき得るのではないか、かように考えております。 生活保護法の問題につきましては、先ほど大臣がお答えになった通りでございまして、これは、罹災証明を持っておる者に対して全面的に一括適用というようなことは、生活保護法の本旨から申しましてできませんけれども、従来の災害の例におきましても、その後におきましてはふえております。今回の罹災地の模様を見ますると、当然相当大幅にふえるんじゃないかと予想されるようなところもございます。これらはケース・バイ・ケースで、先ほど大臣がお答えになりましたような精神で運用をいたして参りたい、かように考えております。それから、これと関連をいたしまして、生活保護法の全額国庫負担というお話がござでいましたが、これはただいまのところ考えておりません。生活保護が特別に多く発生をいたしまする市町村は、あえて災害だけでなく、他の原因によってもある場合があるわけであります。それらとの関連もありまするので、ただいまのところ事務的には考えておりません。 母子福祉資金の貸付、これは私どもの所管ではございませんが、母子福祉資金の貸付とか、社会医療施設、それから児童福祉施設、こういうふうなものに対する復旧の援助につきましては、先般の二十八年の災害のときにも特別立法がいたされております。先ほど大臣がお答えになりましたように、今回もさような措置を目下厚生省では考えております。 それから、伊藤先生がそれに関連をいたしまして御指摘になりましたのは、法人になっていない、もちろん社会福祉法人ではなく、財団法人にさえなっていない、純粋な個人の施設のことをあるいはおさしになっているのではないかと思うのでございますが、(「私立だよ」と呼ぶ者あり)私立というのはいろいろございまして、法人立はみな私立と申すのでございますが、社会福祉法人立等でございますれば、政府の援助の手があるわけでございますし、財団法人というようなことになりますれば、振興会等の貸付金の手段もあるわけであります。純粋に法人になっていない、ほんとうの個人の事業につきましては、私先ほどちょっと係と相談をしてみたのでございますが、いろいろな法律をめくってみまして、手がないように思うのでございます。これはもう少し検討をさしていただきたいと思います。 それから老朽住宅の問題につきまして、率を三分の二くらい、全壊流失、いわゆる住家を失った戸数の三分の二まで認めるようにというふうなお話がございましたが、これは実際の建前では各市町村ごとに三割以内ということになっております。それを先般、現地で大臣も御臨席になりまして、中部日本対策本部の会議におきましていろいろ相談をいたしまして、四割以内はこれを認めよう、それ以上であっても特定な地区においては個々の実情に応じて一つ弾力ある態度をとっていこう、こういうふうなことにいたしたわけであります。あの一番ひどい三県の地区で約五万戸、全壊流失を、概数を押えて四割といたしましても二万戸でございます。これはなかなか相当な数字でございます。さらに特別な地区において特別に相談をした場合には弾力を持っていこうということにもなっておりますので、これは負担のできない、貧しい方ということに限定がございますので、この程度の措置で現実には十分おさまって参るんじゃあるまいかというふうに現地で私どもは考えたわけでございます。 それから単価の点は、これは住宅の復興とは違いまして、応急の小屋がけというような性格を持ったものです。そこへとりあえず入っておって、そうして二年間は無償で貸す、あとはこわれてしまうような性格のものなんです。そういう性格のものでございますし、さらに営林局の方で国有林の材木等を非常に安く払い下げるというふうな措置も決定いたしておりますので、まずまず小屋がけ程度のものならいきはせぬだろうか、こういうふうな相談を現地でいろいろいたしました結果、要望はございましたが、単価の点はこのままでもいいんじゃないかということで今日まで参っておるわけでございます。 それから家屋修理の費用を、二万円を三万円くらいに上げて、さらに現金給付を認めろ、こういう御指摘でございました。この点は現地でもそういう希望が名古屋市等から出まして、いろいろ相談をしたわけでございますが、災害救助法にいう応急救助というのは、原則として現物でやる、それでなければ意味がないという性格のものでございまして、現金給付で金を配って事が済むのなら、これは問題ないわけです。全般的に現金給付ということになりますと、結局お見舞金と区別がつかなくなってしまう。従って、これは従来の災害でもそういう態度をとっておりますが、現金給付ということは避けていこう、こういう私どもの考えであり、また現地の本部の考え方も大体そういうことでよかろうということになっておるわけでございます。 その次に公営住宅とか住宅金融公庫、公団、いろいろ仰せになりました。あるいは給与住宅等の問題でございますが、これは厚生省の所管ではございませんので、所管省の方に一つ連絡をいたすことにいたしたいと存じます。 それから少し飛びますが、医療、助産というようなことにつきまして、医療救護班の費用なり、栄養剤なりの問題の御指摘がございましたが、これは先ほど申し上げましたように、救護班の費用は災害救助法の対象に十分なる費用でございます。この点は、その手当は制度としてできておるわけでございます。栄養剤につきましては、災害救助法の対象ということに今日まで扱っておりません。ただ先ほど申し上げましたようないろいろな措置で、これを実際に実現をして参ろう、こういうふうな考え方をいたしております。 それから埋葬に関連をいたしまして御意見がございましたが、これは私も現地で死体等も見て参りましたが、先般八月の改正で災害救助法の関係が、死体の捜索とかいわゆる埋葬に至る前のいろいろな経費を見ることに改正されております。従いましてそれらのものを一本にして処理をしていただけば、あるいは現在のいわゆる埋葬費だけの範囲におきましては現在の単価でもいけるのではあるまいか、かように考えておるのでございます。
○森本説明員 ただいま社会局長の答えました以外のことでお答えいたします。 上下水道の災害復旧でございますが、上水道につきましては、ただいま設置の際に補助をいたしておりませんが、今次災害につきましては高率の補助をいたす必要があると考えております。なお簡易水道につきましては、従来四分の一の補助でございますが、災害につきましては高額の補助をする必要があると考えます。それから下水道につきましては、これは建設省の所管でございますが、大体同じような方針で処理したいと考えております。 それから次に浸水地の清掃でありますとか、へい獣の処理、屎尿の処理、これらに要する費用について全額国庫負担にせよという御意見でございますが、全額国庫負担は困難かと存じますが、平生におきまする負担率以上の高率負担を予定いたしまして、目下検討いたしております。それからなお清掃関係の施設の災害復旧、これも平生の補助率以上の高率補助を考えております。 それから伝染病予防法に対する補助でございますが、これも健康診断あるいは消毒、あるいは検病、細菌検査、いろいろやりますが、これらに対する補助も特別の高率の補助を考えております。 それから前の二十八年の台風におきまして、衛生関係の施設に対する復旧費の補助が普通の補助だけでございまして高率の補助がございませんでしたが、今回におきましては他の社会施設、児童の施設同様に高率補助の災害復旧を実施いたしたいと考えております。 それから伊藤先生のお話のございました保育所の保育料の減免の措置でございますが、これも保育料の減免しましたものに対しては国庫補助を考える、こういうようにいたしたいと思っております。
○赤松委員 あと同僚委員の質問がありますから、一問一答で厚生省の当局の方針をびしっとここできめてもらいたい。それくらいに、実際災害地におりますとそういう気持になるわけです。帰っていきまして今答弁されたようなことを言ったって、それはとても罹災地の連中は承知するものじゃないのです。ただ私は考え方として、また厚生省のかまえとして、ぜひ厚生大臣にお願いしておきたいことは、岸総理を初め益谷副総理、あるいは池田通産大臣、これは大蔵大臣も兼ねて、それから大野副総裁、この諸君が来られまして向うで新聞に発表されましたことは、高田局長、あなたは新聞を見て御存じだと思うのですが、金のことは心配するな、今度は幾らでも出す、だから自治体は金のことなど心配しないで、あるだけの力を出してやれ、あとは政府がしりをぬぐってやる、こういう宣伝——宣伝にならなければ幸いなんですけれども……。そこで私は全額国庫負担ということをやかましく言っている。先ほどあなたが来られない前に船の話を出したのですけれども、庄内川の川じりをとめるのに、どうにもしようがないというので、名古屋港管理組合の持っております船七隻、これは一隻当り三千万円する、これを閉塞、潮どめに使ってしまうと、名古屋港なんか今でも機能を失っておるのに、浚渫ができないのですよ。そうして、今外国向けの貿易商品があそこで山積をしている。クリスマス用の緊急のものがある。全部キャンセルされてしまうというんです。それでも一つ思い切って、とにかくあそこの潮どめをやらなければいかぬということで、この七隻を沈める決意までしたのです。それについても、政府の方でめんどうを見てやる、船を沈めよ、あとはまたその船を作ってやる、こういうことで実は現地の人たちは決断をしている。前提が、今度は二十八年の災害に準ずるというんでなしに、二十八年の災害とその性格なり本質を異にしている未曽有の災害だ。しかも都市災害という、もう今までにない性質を帯びているので、この際は二十八年の災害の措置をはるかに上回る措置をとるんだ、こういうことを——私は新聞を全部持っておりますから、臨時国会になったら、一つ岸さん以下一人々々に、その当時の公約を実行してもらうために迫りたいと思うのですけれども、きょうはそうでなしに、ぜひそういうふうなかまえで——政府が被災地に乗り込んでこられて、罹災民もそのつもりでおるわけなんです。ところが実際には、今応急修理のことがお話に出ましたけれども、応急修理は自己の能力でやれるものはやってくれ、どうしてもできないものは何とかしてやろうということになっているわけです。ところが、この災害救助法の建前からいえば、実際には、災害救助法に基いて応急処理がされた例はあまりない、非常にわずかなもんです。だから、そんなら一体自己の能力があるとかないとかいうことは、だれが認定するのですか。この災害の中でだれが認定するのですか。一々あなた方が現地に出張して認定するのですか。だれが認定するのですか。だから先ほどからしばしば言っておられますように、今までにかつてない災害であるから、非常の措置としてやるという決意であるならば、一々認定ができないんだから——大体浸水家屋というものは今南部でしょう。それを北部の者が、浸水した、何とか応急修理をしたいから金をくれ、災害救助の対象にしてくれと言ったって、これは対象にはならない。浸水した家屋はわかっているのです。一人々々点検しなくたってわかっているのです。それは壁が何センチ残っておるとか、何センチ多く減ったとか、その認定はできませんよ。できないけれども、応急修理が必要であるかないかということは、これはだれだって現認できる。浸水したところは全部応急修理しなければ使えませんよ。そうだとすれば、災害救助法でもって応急修理ができると書いてあるんだから、これらの人に対して、たとえば屋根を張る、ぜいたくは言わない、かわらをよこせなんて言わない。現地でトタンが一枚千円しているというんでしょう。高田さんは現地に行ってこられてよく知っておられると思いますが、あなたがもし罹災者として、ああこれで排水がだんだんできてきた、何とか家を修理したい、トタンを張りたいといったときに、災害救助法によって、私は能力がないから認定して下さい、認定の上一つトタンを何とかして下さい、そんなことを罹災者は言っていられますか。罹災者はどうしてトタンを買うんですか。壁だってつけてくれとは言いませんよ。木でいいです。せめて風雨をしのげるだけのものを——風雨とは言いません、雨だけでもしのげるもの、雨だって少々漏ったっていいです。問題は、その資材を現地にやることが大事だ。ところが現実に資材はないじゃないですか。私の家もやられているけれども、あの浸水家屋の状態を見たら、家など直す人夫も、人もいないし、資材もないし、無理すれば直っても、私どもは直していないのです。その人たちは一体どうして直すのですか。自己能力があるかないかは、だれが認定しますか。この間国税庁が、私は非常にあざやかな手を打ったと思うのですが、国税当局は大蔵大蔵大臣と相談をして、浸水した家屋はもうわかっておるのですから、何町と何町と何町は何メートル浸水した、何メートル浸水の地域とその地域指定をやって、そこについては国税はこれだけ負けてやると言明している。そういう言明をして指定地域をずっと作ってしまった。これは実に手の打ち方が早かったです。あまり感心していない私も、これだけは実は感心している。あなたたちもほんとうに応急修理をさせるというならば、もう浸水家屋はわかっておるのですから、国税庁が地域指定ができるのに、どうしてあなたの方でできないのです。地域指定をして、そこへ材木を現実に持っていって、そうしてこれでもって使えということで使わせる。今農林省が国有林を払い下げて大量に放出しようと言っているのでしょう。そんなことは新聞にじゃかじゃか書くけれども、現実はちっとも来てないじゃないですか。罹災者はどうしますか、これを。だから、高田さんなどは現地の事情を一番よく知っているのだから、厚生省で地域指定をやって、ここからここまでは応急修理の必要なところ、従って災害救助法の項目に合う応急修理を必要とする地域である、こういうふうに地域指定をやって、それに必要なトタンは幾ら、木材は幾ら、くぎは幾らと——あなたは、金は出せぬ、現物でと言う。その現物がいつの日に来るのですか。来ないから、仕方なしに、たとえ千円のやみトタンでも、一枚でも買って打ちたいというのが罹災者の心理です。物さえ来ればやみなんか直ってしまう。今騰貴している物価は下ってしまうのです。問題はその物が来ないところにある。今現地の人が一番ほしいのは、銭と住宅と薬です。これは名古屋市なんかにやらせるといったって、市の力でどうしてできますか。あれだけの地域を、たとえばヘリコプターで薬をまくといっておりますけれども、その程度ではとても市民の保健衛生を確保することはできぬ。そうだとすれば、厚生省は——たとえば自発的に京都あたりから救急車を持ってきておる、厚生省は一体何をやったのだ。だから、厚生省が号令をかけて、東京なら東京から医者をどれだけ派遣するとか……。いいですか、現地では、やってはいけない医科大学の学生がやっているのです。これは緊急非常の事態だからやっているのです。だから、皆さんの方で人と技術と物を現地へどんどん運ぶ、全国から集めるという措置をなぜとってくれないのですか。自治体ではやろうにも金がないのですよ。渡邊さん、あなたは佐藤さんと心やすいからよく言っておいて下さい。私は資料を持っておりますけれども、今まで名古屋に来た金は幾らなんですか。市にやれといったって市は一銭もない。やりようがないのです。国庫負担であとはしりをぬぐってやるから遠慮なしにやれ、こう皆さんの方がおっしゃるものだから、やろうと思っても金がない。仕方がないから、この間緊急市会を開いて市中銀行から——市中銀行ですよ、政府機関じゃありません、東海銀行その他の市中銀行から五十億さしあたり借り入れすることにしている。五十億の金で応急処理をやろうとするのだが、五十億の金で一体何ができますか。これで、薬をまけ、死体を収容しろ、あれをやれこれをやれ、そんなことを言ったって何ができますか。だから私はかまえとして、昭和二十八年の災害とはその性格を異にしている、都市災害として最初のものだという認識の上に立って——これは名古屋だけではありません、三重県などもとてもひどいです。三重、奈良、岐阜、こういうところを総合的に厚生省の方でちゃんと把握して、これに対する手当をやってもらう。そして、国庫負担をなぜやかましく言うかというと、自治体には、今言ったように金がないのです。自治体は金がないのに、どうしてその自治体が金を出せますか。今までの法律の建前は、ノーマルな状態の中で法律が作られている。それはある程度自治体が出して、足らぬものは国庫でもってめんどうを見てやろう、こういう建前に立っておるでしょう。これは原則でしょう。この原則が変えられなくてはならぬ。国が全額負担してやろう、しかし県や市の方もできる限りのことはやりなさい、こういうように原則が変らなければいかぬ。依然ノーマルか状態の原則をそのまま振り回して、いや国庫負担はできません——さっきも私は建設省の政務次官に強く言ったのですけれども、木曽川の堤防がとまるのは十一月一ぱいだという。それも名古屋市は、あなたも御存じのように、市などは河川法によれば責任はない。それでも、それではいかぬというので、市と県と名港管理組合と三つが分担して、必死になって、そして学生を土のう作りに動員して、かろうじてとめたのです。これは何も市はやる必要はないのです。町村はやる必要はないのです。政府があれだけの自衛隊を持ちながらもたもたしてようやらぬのを——そんなことは今私言いたくないから言わぬけれども、その自治体が協力し、学生が奉仕して、そうしてようやく食いとめたのじゃありませんか。食いとめたその堤防の潮どめ工事については全額国庫でめんどうを見てくれといったら、いやそれは今のところまだ閣内にはそんな意見がありませんので考えてはおりませんという、これは何たることですか。国がめんどうを見てやらなければ、潮どめ工事はだれがやるのですか。あなたたち、学生をただで使っていいと思いますか。学生は一銭もくれとは言いませんよ。自治体が今まで使った金は全然災害の方に回りませんよ。潮どめ工事一本で全力を上げている。あとはどうして自治体がやっていけますか。そういうことを考えるときに、お前の方でできる限りのことはやれ、しかしあとで国庫負担してやろうという原則、岸さんが言ったように、何ぼでも金を使え、政府がしりぬぐいしてやるという原則が、実際に応急措置として打ち出されなければならぬ。生活保護法だってそうでしょう。国庫負担はできませんというのだったら、今あなたたちが幾ら市町村にやれと言ったって、市町村はできますか。大臣はケース・バイ・ケースでもって、今生活保護法をどんどん拡大するように努力しますと言ったって、あなたの方が金を出さずにどうして拡大しますか。拡大するのは市町村ですよ。市町村にその金がありますか。ほんとうに死ぬか生きるかの人は生活保護法で救うのだから、どんどんやりなさい、あとは国庫負担でもってめんどう見てやるというならば、これはある程度できる。だから私はこまかいこともずっと聞きたいけれども、ここでもってぜひ渡邊さんに閣議でもって強く発言してもらい、厚生省としても——これは厚生省だけではできません。私はあなたを責めているのじゃないのです。失礼ながらあなたの厚生省だけの力をもってしては、これだけの大災害をどうすることもできないです。政府が、内閣が、ほんとうに命を救おうという心がまえにならなければできない。今のようなあなたの方針を持って名古屋に帰れませんよ。生活保護法は拡大してやる、けれども生活保護の国庫負担はできぬ、できる限りのことはするけれども、しかしながらどれくらいやるかということは明らかにできないなんというのじゃ、現に飢えと寒さにふるえているのですから、屋根の上、天井の裏で今政府の救援を待っている人はどうしますか。だから私はここであなたにどうせよと言っても無理ですけれども、岸さんや益谷さんや池田さんが現地に来て、そうして新聞でばんばん発表したあのときの気持を忘れないでやってもらいたい。そこで、今私がずっと申し上げたのは、もう自治体では限界以上です。自治体の財政能力というものは実にしれたものです。だから、国庫でもってこれだけの負担をしてやる、思い切りやれ、一人の国民も飢え死にさすな、一人の同胞もこの寒さのために見殺しにするな、全力をあげよと、むしろ厚生省や政府が現地の自治体を叱咤してやらせるのがほんとうじゃありませんか。自治体は陳情する、大臣の方はえらそうなことを言って戻るが、実際に事務当局になると、事務当局としてはできませんという事務的な答弁しかできない。この実態を罹災者が聞いたらどうしますか。河野さんもおられますけれども、河野さんは、総理がやってきてどんなことを新聞に発表したか、あなた一番御存じでしょう。あなたは、自民党所属の議員として帰っていけますか。これは党派の問題じゃない。党派の問題ではなしに、総理大臣として国政に責任を持つ人があそこでちゃんとこれだけのことはしてやるとおっしゃったのだから、その裏づけをするくらいな——こんなものは政治倫理ですよ。人間それ自身の問題です。政治の領域までいっていませんよ。そういう意味で、ぜひすみやかに方針を打ち出していただきたい、こういうように思うのです。重ねて厚生大臣の、大局的な立場に立って今の罹災者をどうするかということに対する、主として民生関係の問題について御答弁をお願いしたいし、今あなたは幸い世帯更生資金でもって何とかめんどうを見たいとおっしゃっておる。世帯更正資金、これは全額国庫負担になるのですか——貸すのでしょう。それなら、さっき私が言った生業資金とはおよそかけ離れている。貸すのなら、いろいろ制度があるでしょう。たとえば母子福祉資金だって何だってある。私がさっき言っているのは、見舞金と生業資金を無料でくれということです。あなたは笑っているけれども、実際に現実感がないですよ、そんなふまじめな態度では。無料でくれと言ったら笑っているけれども、そんなものじゃありませんよ。もし政府があのくらいアドバルーンを上げておいて、現地に行って貸してやると言ったら、貸して下さいと罹災者が言うかどうか。こんなことを言いたくないけれども、暴動の一歩手前ですよ。そしてそういうことを期待している向きもある。だからわれわれは現地に行ってなるべく人心を安定させるように、ボートに乗って、ここまで水につかってみんなをいろいろ説得して回っているのですよ。さっきも中小企業の融資の問題で言ったのですけれども、百五十万円以上は担保が要る、百五十万円以下は担保は要らぬけれども、銀行がオーケーしない。結局は担保がなければ一銭も借りられない。罹災者に担保がありますか。中小企業の機械が水の中に入っておって、そんな担保が出せますか。それと同じことなんです。今貸付をしてやるというのではなしに、とにかく立ち上り資金としてこの際五万なら五万の金を一応罹災者に対してやっていく。建前はそうなっていないといっても、実際には引揚者なんかに対してはやっているじゃありませんか。できないことはないと私は思う。関東震災のときのことを思うのですけれども、あの関東震災のときの方が、よほど政府の手の打ち方は早かったですよ。復興院の総裁をしていた後藤新平さんの非常な英断だったと思うのです。あなたのような事務的なことを言っておりませんでしたよ。あの当時あの人は、こっちの要望する前にぼんぼん手を打っていった。今のやり方を見ていると、各省とも対策がばらばらで、だれに聞いたらほんとうのことがわかるか捕捉できない。そうして来る大臣は大臣でみんな勝手なことばかり言っている。何ぼでも金をやる、あとのことは心配するな——それで心配するなというのは無理だ。だから見舞金あるいは生業資金、生活保護法の適用による、たとい七千円の金でも今やるのだと言ってもらえば、それで罹災者がどんなに安心するかわからぬですよ。船を七隻沈めて潮どめ工事に全力をあげる、あれはたしか石原自治庁長官が行っていろいろ相談の結果、中部対策本部であの決断をしたと思う。あの措置は政治家としては実に見上げたものです。きょうの建設省みたいに、木曽川の堤防は大体十一月一ぱいで締め切る考えでおります、そんなことを言っておったら現地がおさまりますか。庄内川の潮どめ工事だって、まあいつになるかわからぬけれどもとにかく全力をあげてみます、そんなことを言って住民がおさまりますか。復興にはなくてはならぬ船である、一隻三千万円する、二億ちょっとかかるけれども、とにかくそれを埋めても——埋めればあとでなかなか堤防の改修工事がむずかしくなるのです。それでもとにかく浸水家屋やあるいは罹災者を救うために、われわれはこの船を犠牲にしてやるのだ、この決意を示したら、みんながそれを支援したじゃありませんか。よし政府の方がそこまで腹をきめるならばわれわれも一つ応援しようというので、どっと勤労奉仕隊やら学生が大挙集まってきて、総がかりになってやっているじゃありませんか。そのときに自衛隊も初めて本気になった。政府の腹がわかった、非常に真剣なものだということが初めてわかった。そうしたらどうです、うまくぐっと作業が進行して、七隻の船を沈めなくてもよくなったじゃありませんか。これが政治なんです。七隻の船を沈めなくても、それを沈めてでもやるという決意を発表しただけで、県民、市民がばんと立ち上ったじゃありませんか。そうして政府に協力して潮どめ工事をやろうということで工事は促進をして、ついに七隻の船を沈めなくても潮どめ工事がゆうべ九時三十分に完了した。あの現地の喜ぶ姿はけさの新聞に載っておるでしょう。これが政治なんですよ。何か貸付資金を考えておるとか、生活保護法については国庫負担はできないけれども、ケース・バイ・ケースでもってまあ何とかしたいと思う、しかし拡大はいたします、銭はどうするか、銭のことはわからぬ、これじゃ話にならぬ。全然話になりません。ところが生業資金をたとえば五万円なら五万円、罹災者証明を持っている者に対してはやるということを発表してみなさい、これであの付近の罹災地の経済というものはぐっと安定する。とにかく五万円というものが手に入るのだということになれば、人から金も借りられるのです。罹災証明を担保にして金も借りられるのです。そうしたら人心がどれだけ安定するかわからぬ。これが政治の要諦ですよ。あなたたちは事務をやらないで政治をやってもらわぬと困る。この際、厚生大臣のこの点についての政治家としての決意を表明していただきたい、こう思うのです。
○渡邊国務大臣 赤松さんの全額国庫負担論、これは当然のことでございましょう。特に生活保護法の全額国庫負担、これは生活保護法につきましては、八割までは何ぼこれは拡大されても現在出すことになっております。それから、これは金額に多少誤まりがあるかもしれませんけれども、水害更生資金は五万円から十万円、いろいろな名義において出ることになっております。それから私の所管ではありませんけれども、国民金融公庫のワクもこの補正予算で大きく拡げることになっております。これはあるいはひょっとすると行政措置だけでできるのかもしれません。それから例の交付税の繰り上げ支給、これも二日に六十四億を決定して、すでに渡してあるはずです。金融措置につきましては、まあとにかく地方自治体が非常に困っておられるのだから、できるだけの処置を、金がなければ何もできないことでございますから、これはできるだけその面につきましても閣議等で話し合って、国庫負担の問題と貸付の問題は、こういう場合ですから長期にして、しばらく無利子というような臨時特例を設けたい、こういうことになっておりますから、その点は御了承願いたい。できるだけ補正予算の提出がございましたならば早急にこれを御審議願いまして、政党政派を超越して、これを短期間に通していただくように、私からもくれぐれもお願いいたします。
○赤松委員 金額は五万円から十万円まで、それで長期にしてかつ無利子、これはまた国会で処理をいたしまして、あとをどうするかという点は相談するといたしまして、実際には罹災者はあとで支払いはなかなか困難になると思うのですけれども、その点は大体政府の方は腹をくくっていると思うのです。かぼそい罹災者から返してもらおうということは考えておらないだろうけれども、しかしあなたの立場としては、貸し付けるという制度である以上は返さぬでもいいのだということは僕は言えないと思う。それはお互いの良識を持って処理するより仕方がない。これは自民党と社会党あたりでよく相談して、また政府とも相談いたしまして事後の措置はやるとして、とにかく今の五万円から十万円までの貸付資金、しかも長期にして無利子という点については一つ早急に手を打っていただきたい。そういう答弁をはっきりしてもらえば、これが罹災地に伝われば罹災民は非常に喜ぶと思う。 ついでに言っておきますが、交付税の問題ですけれども、名古屋市なんかは実は黒字の団体であって、交付税はもらってないのですよ。だから愛知県には行くけれども名古屋市には来ないわけです。これなどは特別の措置を講じてもらいたい。あなたに、一体名古屋市には幾らやるように指示したのだ、こういうことを聞いたって、所管が違うからおわかりにならぬだろうと思うのですけれども、これなどもぜひ佐藤さんによく話していただいて——あそこは黒字団体で今までもらっていない。今度赤字になって参ります。だから県だけにとどまらないで、十分市の方へも回ってくるような措置をぜひ講じていただきたい。 いろいろ質問がありますけれども、同僚議員の質問がありますので、以上をもって私の質問は終りたいと思います。
○大坪委員長代理 八木一男君。
○八木(一男)委員 ただいま災害の中心地である名古屋の赤松さんから、ほんとうに実情に即した非常に熱心な御質問がありましたので、私から御質問申し上げたいこともほとんど重なっておりますから、その点は省略をいたします。ただ今御答弁の中に、生活保護の問題で八割は国が補助するということで、国庫負担するのだからという厚生大臣の御答弁があったわけですけれども、八割ならば十のうち八占めるから、それで大体処理できるのではないかというその考え方が大体間違いなんです。八割であっても、九割であっても、九割五分であっても、ごくわずかなものであっても、災害地にそれだけの生活保護世帯が多くなり、災害地自体がほかのことで財政が非常に枯渇している場合には、そのわずかの地方負担で八割出そうという国の意思が十分に現われないで、ほんとうの効果としては十対八ではなしに、十対三ぐらいの効果にしかならない。特にこういう非常災害のときにはそういうことが多いわけです。ですから生活保護の十割国庫負担というようなことを、担当省である厚生省としては政府に強力に推進をしていただかなければいけないので、生活保護法の建前があるからというような御答弁で、それは八割と二割でいいのだということではいけないと思う。特別災害に対しては特別立法をやろうというのですから、いかなる法律の建前があっても、特別の期間特別にその地点に対して処理するというのが特別立法の普通の形であります。生活保護法の建前があってもできるはずです。そういうことを推進していただくことが必要だろうと思う。 それから生活保護法の問題で、ケース・バイ・ケースと言われた。ケース・バイ・ケースと言われたことは、相当程度の調査をするということが前提になっていると私は解釈する。それではほんとうの災害を受けた人は救われない。親戚がどこにある、三等親がどこにある、家庭裁判所の扶養義務はどこにある、今でさえ、非常災害の場合でないときですら生活保護法の適用は事務が複雑で、それで非常に不親切で、ゆっくりしていて、そうして結局適用になる前の一ヵ月や二ヵ月はほとんどだめで、適用にならない間に、その前に一家離散してしまう、あるいは心中してしまうというようなことだって起りかねない。それが災害のときに、ケース・バイ・ケースということで、調査を前提とした答弁をしておられるようなことであっては、そういうことが実際的に発動できない。だから赤松さんが言われたように、罹災者証明で調査などせずにやる。期間は限ってもよろしい。何らかの期間、半年でも過ぎたら、それから調査して普通の適用になってもいい。とにかく災害のときには腹をきめて、政治判断をして、災害証明を持っている者は普通の生活保護法の適用をするというような政治をやってもらわなければ困るということ。 それからもう一つ、まとめて申します。一問一答したいのですけれども、時間がございません。これは今緊急の問題でないように思うのですが、ある意味では緊急の問題だと思う。政府の中央災害救助対策協議会、厚生大臣が副会長、総理大臣が会長で総務長官が事務長です。ところがこの恒久的な中央災害救助対策協議会が一つも動いておらない。おそらく厚生大臣が就任されてから会議を開かれたことはないと思う。そういうことであるから、こういう非常災害の被害を最小限度に食いとめることができない。その一つの事例として、たとえば無電機がない、船がない、ヘリコプターがないというようなことで、救い得る人を救えなかった事態がたくさんある。今は災害が起ってしまった、今の人を助けることが主体であるから、これはあとの問題であるとお考えになるかもしれぬが、もちろん今の災害救助を主体としてやっていただかなければいけないけれども、こういうときにやはり災害対策が非常に不十分であって、救い得る人を救い得なかったということを考えていただいて、ほんとうに一生懸命になるならば、ほかのことと一緒に考えられることですから、ヘリコプターをどこの市町村にも置いておくとか、船をどこでも準備しておくとか、無電機をいろいろなところに全部置いておくとか、そういうようなことをされなければいけないと思う。災害救助法自体の変えるべき点を考えられて、そうして今思いついた点を全部入れて改正案を出す、それで不十分だったらまた通常国会に出されてよろしい。ほんとうに災害のために一生懸命やられるなら最初に拙速をたっとんで——足りなくたってわれわれ文句を言いません。気がついたことを全部入れて一応出す、あとでまた思いついたことを入れて通常国会に出すということで、これらの災害に対しても対策を立てていただきたい。 それから災害救助法の手当は非常に小さい。府県の標準税収入の千分の三をこえたらこれを対象にするが、二十以下は半分しかしない、それから二%こえたら八十にする、それ以上は九十にするというようなことでは、集中的に災害をこうむった府県ではやはり応急対策用の金でも困る。千分の二なんてけちなことを言わないで、災害は全部国で持ったらどうか。五割なんて言わないで一ぺんに八割くらい引き上げる、もっとひどいところは十割くらいにする、そのくらいの勢いでかかっていただかなければいけないと思う。そういう点で、厚生省は特に責任官庁ですから、政府の連中がほかのことにとやかく血道をあげて忘れておるようなことがあると思いますから、厚生省は忘れないで強力にそれを推進してもらいたい。 それからすべての災害立法、さっき生活保護と見舞金という問題が出ましたが、公共土木災害の被害をどうする、農業経営の被害をどうする、中小企業の被害をどうするというようなことがあります。そういうことはもちろんけっこうで、やらなければいけない。もちろん学校のことも公共の病院のこともやらなければいけない。だけれども災害の立法のすべての根底は、個人災害については手当をするという態勢になっておらない。そこで見舞金の問題が起り、生活保護法の問題が起る。個人災害の問題であっても、こういう問題はほんとうに国の責任であって、政治の責任であって、人災であると言われているし、まさにその通りだ。であれば個人災害についての手当をしなければ、ほんとうには助からない。企業を救うこと、もちろん必要です。だけれども今の立法では個人災害、個人の被害の立ち上りを助ける立法はない。そういうことを厚生省が今度の機会に、ほんとうに手が足りなかったらわれわれ協力してもいいです、作り上げて、積極的に出される。大蔵省が何と言ったって、けんかをしてもそれを出される。総理大臣が無理解だったら辞表をたたきつけてもけんかをするというような勢いで、ほんとうの末端の罹災者の問題は厚生省の所管だ、そういうような気持で、個人災害の対策のために、たとえば返す必要のない見舞金、あるいは今言われたような無利子で長期間で貸す、そういうようなものを、今言われた以上に強力にやっていただかなければならないと思う。厚生省所管としてそういう気の毒な人を救う処置、それから災害救助法の欠陥の是正、そういうような点について強力に推進していただくような御決意を承わりたいと思います。その後のことにつきましては、もし要望通りいかないときは、臨時国会でわれわれは断じて黙ってはおらない。厚生大臣の責任を猛烈に追及するつもりでございますから、御決意のほどを明らかに示していただきたいと思います。
○渡邊国務大臣 御意見まことにありがとうございます。重々御意見の趣旨に沿いまして、せっかく努力をする次第であります。何分にも御協力をお願いいたします。
○八木(一男)委員 その通り一つ厚生大臣にお願いいたします。 それから非常に地域的に伺って恐縮でございますが、厚生省の資料の中を拝見いたしましても、私の居住いたしております奈良県の災害は、岐阜県と実態においても同じくらい、面積、人口の比率で考えますと、ある意味では岐阜県よりも被害の多いところもあり、少いところもございます。ところが集中的に東海地方の災害ということになり、伊勢湾台風という称号をとられているために、愛知県、三重県は大災害があるということは私ども十分承知をいたしておりますが、愛知県、三重県、岐阜県に集中されて、奈良県は非常に処置がおくれておるような関係にございます。そういう点で、たとえばさっきの御報告にありました通り、厚生省の係官の派遣も、三県に派遣されて奈良県には派遣をされておりません。そういう点について十分に公平に参りますように御配慮を願いたいと思います。なお京都、滋賀などほかの府県にも、それは被害の程度は少うございますけれども、あります。たとえば募金の配分等につきましても、ただ観念的に三県ということになさらずに、実態に従って公平に御処置願います。
○大坪委員長代理 滝井義高君。
○滝井委員 災害の問題はそれぞれ現地で非常に苦心をされております赤松、八木両委員から質問がございました。われわれの方としても、二十八年災害の経験にかんがみまして、それぞれその経験の上に立って新しい要素を加味し、名古屋の都市災害の救済のためにいかなる立法的な処置を必要とするかということについては、なおわれわれの党も検討中でございますし、いずれ近く開かれます臨時国会において、それぞれ厚生、労働等のわれわれの委員会所管のものについては、そのときに一つ大臣に質問をさせていただきたいと思います。 そこで先般来御質問をいたし、御答弁をいただいておりました問題について、あらためてきょうは質問をさせていただきたいと思います。 まず第一に、臨時医療制度調査会の問題です。私はいつも質問するときに申し上げますように、必ず一つの問題が結末がつくまではずっと質問を系統的に続けて参っております。先般、臨時医療制度調査会は十月の初旬を目途としておそらく委員が任命され、発足することになるだろうという御答弁があったわけです。きょうは十月の十日でございます。その目途がおつきになったと思いますが、二十名以内ということでございましたが、具体的に三者それぞれ何名ずつの委員を御任命になるのか、もう見通しがおつきになっていると思いますが、その点をまず御説明を願いたいと思います。
○渡邊国務大臣 委員の構成につきまして二十名以内と申しておりました。これは大体その程度におきまして考えております。しかしまだ具体的な人選その他につきましては、事務当局等がいろいろの方面の資料等を中心にいたしまして検討を始めた段階でございます。
○滝井委員 いや、検討を始めたと申しますけれども、大臣御存じの通り、この法律は期限付の法律なんです。二年間しかないわけです。五月、六月、七月、八月、九月ですよ。もう今月は十月ですから、今月できなければ半年過ぎてしまうわけです。この日本の医療制度の転換期に当って、そうじんぜん日を過すということは問題だと思います。一体その任命できない隘路というのは具体的にどこにあるのですか。私は政治というものはやはりガラス張りでなければならぬと思う。その隘路というものがどこにあるのかということを一つお示し願って、その隘路についてはわれわれ国会、与野党を通じて打開をはからなければならぬと思うのです。三十六年四月一日から皆保険になってしまうのですから、あとで私は質問しますが、そういう場合に、一体日本の医療制度というものがどうなるかということが、かいもくわからぬで国民を引っぱっていくというような、こんなばかなことはないのです。だからやはりそれは委員を任命して、少くともこういう方向になるのだということを示さなければ、医療国営だとか、あるいは厚生省に赤色特高官僚がおるのだ、こうなると思うのです。全くやみくもに引っぱっていくような状態です。しかしそれはやはり明らかにする必要がある。 それでこの前にはっきりしたように、甲乙二表の一本化というものはすみやかにやるのだ、こうおっしゃっておったのだが、三千万円の調査費が出て、それを検討してみると、結局三十六年か三十七年でなければできない、こういう結果が出てきた。そうしますと、一年以内にやるのだと橋本さんの時代に言っておったのが、あなたの時代になると三十六年か三十七年でなければできない、こういうように変ってくる。これでは、三十七年ではもう皆保険になってしまっている。政府自身が、三十六年の四月一日から皆保険をやりますと天下に声明して、着々と準備を進めておる。大都市の東京においては、今やその問題をめぐって非常に大きく東都政がごたごたしている、こういう時期ですよ。そういうときに、やはりこれはぴしっとした方針を厚生省は示しておかないといけない。特にわれわれのところにも要望書が参っております。国会で附帯決議をやったじゃないか、その附帯決議を一体どうしてくれるのだということが来ております。当然政府は附帯決議というものをはっきりさせなければいかぬ。これは渡邊厚生大臣のところにも、東京都の医師会長から来ておるはずです。内閣総理大臣、衆参両院議長、厚生大臣、大蔵大臣、自治庁長官、こういうところにあてられて来ておるはずです。この附帯決議というものが東京都における何と申しますか、一番大事な解決の要点なんです。ところがどういうことをそれに書いてあるかというと、「第一は附帯決議は国が解決すべきものであること。第二は早急なる国民健康保険実施に対する都民感情はとうてい附帯決議の解決を待ち得ないこと。」だから十二月一日なら十二月一日から実施するのだ、こういうことになっておる。「第三に、元来附帯決議は具体的に実施をみたり尊重された例が極めて少ないこと。」こうなっておる。自治体が国会のやること、あなた方のやらなければならぬことにこんなに信用を持っていない。附帯決議というものはつけっぱなしじゃないか、あんなものは実行されたためしがないのだということで、こういう回答を東京都の東さん、自民党が支持した東知事が医師会に対してされている。こういうように全く混迷をしておる。だから少くともわれわれが法律を作ったならば、その法律を実施することが法治国家なんです。労働組合に法律を守れとおっしゃる政府が法律を守らぬというはずはない。当然これはやらなければならぬ。二年以内の法律なんですから、だからそれが任命できない隘路があるならば、ここに隘路があるのだということをお示し願いたい。われわれはそれに向って努力しますよ。御協力申し上げます。
○渡邊国務大臣 隘路という表現よりも、私どもは医療行政をやるにつきましては、関係各団体の一致した御協力のもとにやっていきたい。そういう点につきまして、目下関係各団体あるいは関係方面のいろいろの意見の調整に、今努めておるような次第でございます。
○滝井委員 すでに大臣の手の内は、委員は二十名以内でやるのだ、三者構成じゃ、こういうことになっておるのですから、もしそれを算術的にいえば、二十名以内ですから六人か七人ずつの、三者に委員が配分される、こういうことなんです。それからやる役割りも、あなたは病院と診療所との機能についての内容の検討、医療機関の適正配置、医療機関の経営の実態というものの研究に重点を置くのが臨時医療制度調査会の役割りなんだ、こうおっしゃった。役割りがはっきりと国会で言明をされ、委員の数が言明をされ、そしてその委員の構成する内容が言明をされておる。そしてそれが進まないというなら、一体それはどこに隘路があるのかということなんです。関係団体の協力要請をして今やっておるというのは、一体どことどこの関係団体に要請をしなければならぬのですか。これははっきりしておるわけです。療養を受ける側、担当する側、学識経験者。学識経験者は団体はないわけです。だからその隘路というのは一体どこにあるか、その隘路とは何なのかということです。政治というのはやはりガラス張りなんですから、国会の協賛して作った法律を実行するに当って、それが大きな壁にぶつかっておる、これは厚生大臣、一大臣だけの力ではいかぬというなら、全部の国会があげて、やはり協力を申し上げる、これがほんとうのいき方だと思うのです。そうしないと、これは三十六年に皆保険態勢が行われるというときに、医療の実施態勢がわからぬのに、われわれはじんぜん日を送るというわけにいかぬと思うのですよ。 〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕
○渡邊国務大臣 医療関係の各団体や、あるいは学会その他いろいろな方面の意見の調整に、今努力しておるわけでございます。先ほども申しましたように、医療行政というものは、やはり国をあげて全部それに関心を持ち、あるいはまた関係を持ち、あるいはまた学識経験の深い人々が、その意見の調整のもとにおいて発足しないというと、やはりせっかく作りましたものが運用の全きを期せないというようなことがあってはいかぬと思いまして、そうして意見の調整をはかっておるわけであります。今せっかく交渉あるいは検討、あるいはまた資料の収集等を進めておりますので、この点につきましてはまだはっきりと申し上げるところの段階ではございません。
○滝井委員 それならこの前の九月二十二日の私の質問のときに、そういう御答弁をされたらいいのです。十月の初旬には発足をいたしますと、自信満々大臣の御答弁をいただいたわけです。だからわれわれは、これはいよいよ渡邊厚生行政もスクリューが回転し始めた、こう思ったわけです。それを大臣は——今は臨時医療制度調査会ですが、医療協議会も機能を停止しておる。法律的には機能を回復したかしれませんが、停止しておる。厚生省顧問の一名もまだ任命されていない。これは大臣の私的な顧問みたいなものだから、それは法律のことじゃないけれども、しかしこれはもう一生懸命やるのだということをこの前も言われておったわけです。そうするとまるっ切り大臣が御就任になったときと、状態はちっとも変っていない。だからこういう点をじんぜんとやっておると、安保問題でごたごたもめて、河野派が反対してくるということになりますと、内閣はつぶれますよ。そうしますと、あなたはまたかわらなければならぬ。何もやらないうちにかわるというのは、私はお気の毒だと思うのです。何かやはりあなたが残すところはここだということを私はこの前から言ったのです。これを解決すれば、医療行政のこのポイントを解決すれば、あなたの名前というものは日本の医政史に残る。しかしじんぜん日を送っておるとこれは解決しない。やはりやり出したなら、徹夜してでも、二日でも三日でもねばって、あなたの言われる資料を集めたり、意見の調整をしているところをやはりやらなければいかぬと思うのです。それをインターバルを置いてやっておる、これはとても解決しません。やるならやはりその相手方の団体なり学者の諸先生なりに徹夜で、すわり込みでやるくらいの勢いがなければとてもだめですよ。では一体これはいつまで待てばいいのですか。この前は十月の初旬とおっしゃったのですが、臨時国会までには解決できますか。二十六日に臨時国会が始まるまでには臨時医療制度調査会の委員の任命、医療協議会の停滞しておる状態というものを打開できますか。
○渡邊国務大臣 先般も申し上げましたように、十月初旬を目途としてやりたいという私の発言でございましたが、できるだけすみやかな機会に出発いたしたい。すでに事務的には役所内においていろいろとその準備には着手させておるわけでございます。
○滝井委員 情ないことで、国の機関で決定したその法律を厚生省が実施できない。一体その隘路というものは、具体的にどこにあるかということも、国民の代表の前に明らかにできない。こういうことは私は非常に情ないことだと思うのです。これはせっかく可及的すみやかにおやりになるというのでございますから、もう少し気を長くして、徳川家康のように、鳴くまで待とうホトトギスというわけにもいかぬかもしらぬけれども、臨時国会まで待たしていただきましょう。 そうしますと、もう一つ私聞いておきたいのは、今度あなたの方で医療金融公庫をお作りになるわけですね。予算要求をされていますね。一般会計から十億円、資金部から十億円、二十億円くらいでおやりになり、だんだん金がふえていくと思うのです。同時に国立ガンセンター、それから開業医の研修計画というのですか、こういうものがあるわけです。それからそれに関連して、ずっと前から医療機関を体系化する医療機関の整備計画というものがあるわけです。こういうものと臨時医療制度調査会との関係というものはどういうことになるのですか。
○牛丸説明員 医療制度調査会の審議の内容に関することでございますので、便宜私から答えさしていただきたいと思いますが、現在現実に医療行政として行なっていること、これは当然事務局の所管の行政の推進でございますので、ただそういうものとこれからの医療整備計画なりあるいはその他の問題との関連ということは、当然一般的な大きな方針としては医療制度調査会の審議の対象になるかと思っております。
○滝井委員 そうしますと、臨時医療制度調査会の審議の対象になると申しますけれども、これは結論が出るのはどうせ一年半ぐらい後に出ることになるだろうと思うのですが、最近の新聞その他を見てみますと、医療機関の整備計画なるものが麗々しく各新聞に出ておりますね。あれは医務局の構想なのだと思うのです。そうしますと、一方においては病院と診療所との機構あるいはその内容、病院の配置というようなものを諮問をしており、一方厚生省においてはそういうものをアドバルーンで流してしまう、こういう形なんです。そうすると、これは、あなたの方のそういう構想というものを先にどんどんお出しになってしまうと、この前医療保障五人委員会というものが医療保障の報告をおやりになって、これはいろいろ物議をかもしておるのですが、それと同じで、ああいうものが出ていくとなると、これは問題になると思うのですが、医療機関の整備計画というものを医務局でお作りになっているならば、一つ簡単にその構想を御説明願いたいし、同時に説明して、あとでわれわれに資料として配付を願いたいと思うのです。
○川上説明員 医療機関の整備計画が一雑誌などに出たのでありますが、これは実はそういうような案を持っておりまして、府県の医務課の課長会議などでその案について打ち合せをいたしておったものが流れて出たもので、現在は先ほど申しましたようにそれは案でありまして、別に決定をいたしたわけではありませんが、内容は二十五年の医療機関の整備審議会で議せられたもので、それを四十年度を目途として少し数字を是正したというような程度のものでありまして、今後臨時医療制度調査会が設けられまして審議せられる場合におきましては、さらにそういうことにつきましても御検討を願うというふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、臨時医療制度調査会というのは、厚生省の作った案を出して、それを審議してもらうところなんですか。私はそういう理解はしていなかったのです。ここではやはり自主的に今後日本の医療を一体どういう方向に持っていくかということがいろいろ討議をされて、その討議の中から具体的なものが事務当局によってまとめられていくんだと思っておったんですが、事務当局がまとめたものがそこに持ってこられる、そうしてそれが今度そのままなっていくという方法もあると思うのです。しかしそういう既成事実を作るところに問題があるわけです。だから医療保障五人委員会の案というものは、臨時医療制度調査会には持ち込んではならぬということをある団体が言っておるわけです。こういうところから厚生行政というものが官僚的だと言われるのです。だから私は、これはあなた方がそういうものを持っておっても、それを発表したり何かするというようなことになれば、これは臨時医療制度調査会というものが発足をしないうちにあなた方の既成事実がどんどん新聞に出ていく、人間というものは既成事実が作られるということは一番の痛手なんです。こういうことをどんどんお出しになると、これは幾ら大臣が一方においてえらい人を連れてきて行司のような役割をして、何とか土俵の上で相撲を取りたいと思っておっても、相撲は取れませんよ。だからこういう点が、今川上さん正直にあれは案だとおっしゃったが、その案というものができる段階になったときには、話は八分片づいておるときですから、案ができるところに問題がある。青写真ができぬところにいいところがあるのです。青写真をあなた方が作ってしまって諮問をするなら、諮問機関というものは厚生省のかかしになってしまう。あやつり人形ですよ。そういうことをやるから、なかなか医療協議会も臨時医療制度調査会も発足ができぬという結論になるのじゃないかと私は思う。今厚生省の案だったということですから、一つ早急にその案をわれわれに御配付願いたいと思います。新聞、雑誌等は見ておりますけれども、新聞、雑誌で正確でないところもありますから、あなた方からいただいた案で、次会に質問をいたしたいと思います。 そこで医療金融公庫、これは厚生省の構想としてお出しになっておるわけです。そうすると、あなた方の構想としては、医療金融公庫というものは一体どういうところに金を貸すのですか。
○川上説明員 御承知のように、公的医療機関は厚生年金でありますとかあるいは起債でありますとか、そういうものを借りて年々歳々相当整備をはかっておるわけでありますけれども、一方私的医療機関はそういうような金融を受けておりません。中小企業金融でありますとか国民金融公庫のような、比較的利子の高いしかも短期の金融を受けて、ようやく整備をいたしておるような状況であります。国民皆保険に伴いまして、公的医療機関と同じような条件のもとに医療を行なって参らなければならぬわけでありますから、特に私的医療機関には医療金融公庫を設けまして、その助成をはかりたいというように考えておるわけであります。現在は病院、共同検査施設、診療所、薬局などについて金融をはかりたいという道を考えておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、病院とか診療所とか、共同検査施設ですか。そうすると共同の病院というようなものには貸さないのですか。
○川上説明員 そういうことも考えておるわけでございますが、現在まだその金融のこまかい、どういうようなものに優先して貸すとか、どの程度のものを貸すとかということは検討しておらないのでありますが、今申しました医療機関、それは共同のものでありましても、あるいは個人のものでありましても、同じような対象に現在は考えておるわけでございます。
○滝井委員 私的な医療機関に貸す、そしてその共同のものについても貸す、こういう御意見でございます。そうしますと、そういう医療金融公庫ができて、国の金によって私的医療機関に金がつぎ込まれていく、同時に共同化が進んでいく、このことは医療機関が社会化の方向に進んでいくわけです。このことはお認めになるでしょうね。
○川上説明員 社会化と申しますと、その意味を医療の内容の向上と普及ということを一緒にして社会化という意味に解釈すれば、そのような方向に向っていきたいと考えておるわけであります。
○滝井委員 社会化の問題は、いずれ機会を改めて私は少し政府の見解を尋ねたいと思うのです。きょうは予告しておきますが、あなた方も少し社会化の問題を勉強しておいていただきたいと思うのです。 そこで、社会化というものが医療の普及向上だとおっしゃるのですが、傾向としては、私的医療機関に共同の施設を作るために金を貸すということになれば、たとえばエグザミネーション・センター、たとえば医師会のオープン・システム病院、あるいは医師会の共同病院というものができてくるわけです。そういうことは一体何を意味するか。開業医制度を温存する方向か、開業医制度がだんだんなくなっていく方向かというと、方向としては開業医制度が温存されない形になっていくことを、傾向としては意味するわけです。たとえば現在農業の法人化が行われておるが、農業の法人化とは一体何を意味するか。私的な農業経営がだんだん止揚されていく傾向を意味するわけです。たとえば日本の経済というものが、資本主義が高度化していけば、また独占禁止法が緩和されて財閥が復活するという形が出てきておることと傾向としては同じです。私のお聞きしたいのは、その場合に、一体渡邊厚生大臣は開業医制度というものをいかなる位置づけをやるかということです。医療金融公庫をお作りになり、共同施設なり個人病院に金を貸すというこの傾向がだんだん進んで行った場合に、開業医制度というものを一体どういう工合に位置づけをするかということです。これを歴代の厚生大臣は答弁をしてくれない。してくれなくて、今日本の開業医というものは引っぱられていっておる。しかもだんだん監査は強化されて、首をつって死ななければならぬという人が出てくる。十円という安い単価に締め上げられて、そして甲乙というへんちくりんな医療の報酬の中に埋没されていく、そして体よく源泉徴収されてサラリーマン化していく。今の日本の医療制度というものはこういう形です。一体その医療金融公庫ができた段階において、開業医というものをどうしようとするのかということです。これははっきりしておかぬと、三十六年に皆保険になったときには、これは何が何やらわからなくなってしまう。これを一体どうするか。大臣はこの前、皆保険になると医療国営の疑いを持たれるとおっしゃった。これは、持たれるのはなぜ持たれるかというと、開業医制度を一体どうするかという基本的な政府の手の内がわからぬからです。大臣はこの際これをもっとはっきりしてもらいたい。これは歴代の大臣も答弁できなかった。事務当局にもずいぶん尋ねたけれども、それは事務当局の私たちの答弁する問題でございません、政治家の大臣に答弁をお願いしますと言った。ところがちょうど回り回っていよいよ皆保険を目前に控える時期が来たのですから、これを一体どうするつもりですか。
○渡邊国務大臣 国民皆保険になりまして、やはり開業医の位置というものは、先般申し上げましたように、あるいは今あなたがおっしゃられたように、源泉徴収をされて一種のサラリーマン化するのじゃないか、そういう点について医療金融公庫との関係はどうかというような御質問のように承わったわけですが、私は国営とか何とかいう問題とは今ここに申しませんが、やはり医療金融公庫というものが一般中小医療金融機関に対しましても、この金融制度というものがかなり長期であって低利な金融機関として、その施設あるいは機械の設置等につきましてできましたならば、これはやはりその開業医におきましても、たとえて言いますならば、心電図の機械の一つも買えるとか、あるいはレントゲンの機械の設置もできるとか、やはり一般医療施設の向上普及、こういうことがもたらされるのではないか、かように考えられるわけであります。
○滝井委員 大臣は最近の医療の実態をお知りにならぬようです。日本の開業医が全部レントゲンを持つというような、こんなばかげたことはない。そんなものを持っておっても、どんどんレントゲンの技術は進んでいくし、レントゲンの像の読み方、それから操作の仕方がどんどん進歩していきますよ。私なんかもレントゲンは使いませんよ。そうすると、今の日本の医療報酬の中で、レントゲンの技師などを雇うような医者がいなかの医者の中にあるかどうか。ないでしょう。持っておってもアクセサリーですよ。それで共同化の問題が出てくるのですよ。一人々々が高いレントゲンを金を借りて買うようなことで——大臣は医療金融公庫でおやりになるというが、だれも借り手はありませんよ。今いなかでレントゲンを買って持っておっても、結核がだんだん減ってきて、写す患者がいない。またその写す技術もない。われわれもレントゲンを写す技術はよう持ちません。そうしますと、そういう心電図ぐらいはともかくとして、大きなレントゲンというような、あるいはむずかしい心臓外科の手術というようなものは、普通の医者ではなかなかできないので、それを一つ医師会病院とかオープン・システム制度を作って——オープン・システム制度というものは今の医療法ではなかなかできかねるところがあるのですよ。それを持っていってやろうというのが、私は医療金融公庫がそこに演ずる役割があるのではないかと思うのですよ。ところが大臣の今のお考えでは、この医療金融公庫というものが心電図やらレントゲンを私的医療機関にしてやるんだ、こういう構想ですか。それだと、これは少しわれわれも考えを変えざるを得ないところが出てくるのです。それではナンセンスです。金の乱費になるのです。どうですか、そこらあたり。今の大臣のあれでは、開業医制度は一体どうなるのだという答弁にはならないのですよ。医療金融公庫を作って心電図やら何やらを貸してやるのだというだけでは、開業医制度がどうなるのだという答弁にはならないですね。だから、問題はここなんです。政府与党がここの政策を明らかにしないところに、今の日本の医療の混迷があるのです。だから、公的医療機関と私的医療機関と二本立にしますとおっしゃいますけれども、川上さんが今おっしゃるように、私的医療機関には今金がいっていないから、これを何とかしますというならば、医療金融公庫を作らずに、同じ健康保険を扱っているのだから、還元融資をみな貸したらよい。そうすれば、医療金融公庫に人を置くだけの金が省けますよ。還元融資を開業医に貸したらいい。そして健康保険の金の中から引いたら、事務的にもっと簡単になりますよ。医療金融公庫など作る必要はない。人件費が要らぬだけ得ですよ。何人か救えますよ。還元融資をお貸しになる御意思がありますか。医療金融公庫の中にさらに還元融資をお入れになるお考えはありますか。理論的に、入れてもちっとも差しつかえない。同じ労働者の健康保険を見るのですから、公的医療機関と私的医療機関と、どこが一体違うか。違うところは、上ってきた利潤が個人の私有に帰するか、公けのものになるかという違いだけです。今の私的医療機関と公的医療機関をせんじ詰めていけば、違うのはそこだけですよ。そうしますと、あなた方が今お作りになって、大臣が言われるようなレントゲンとかなんとかならば、これはかねや太鼓で大蔵省に要求しておる医療金融公庫は迫力が弱いです。だから、その前に、大臣、医療は社会化するつもりなんですか、どうなんですか。医療制度というものを社会化していくのかどうかということです。大臣、どうですか、この点は。
○渡邊国務大臣 あなたの言う意味の医療の社会化という意味が私にはちょっとわからないのですが、先ほどから私は一例をあげて、今の中小医療機関のいわゆる体質改善というか、そういう意味において申したのでありまして、やはり中小医療機関にも長期低利の金融の道を講じさせてやりたいというのが、われわれの医療金融公庫のねらいでございます。
○滝井委員 そうしますと、中小企業に体質改善のために金を貸すと同じように、日本の開業医に体質改善のために長期低利の金を貸すんだ、ただこれだけだ、他意はない、こういうことですか。それじゃ、これは大蔵省から金をとれぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。それだけのことならば、どうも医療金融公庫で——今川上さんは社会化というのは普及向上させることだ、こうおっしゃるのですが、医療社会化というのはたくさん書いておりますから、私は社会化についてはいずれまたゆっくりやらしてもらいます。だけれども、医務局の方針は医療の社会化をおやりになるのかどうかということです。あなた方は社会化の意味をいろいろ言われておるけれども、昔から使われておる社会化なんというものは、そういろいろたくさんの意味はないですよ。今社会党が医療の社会化をやると言ったら、これは医療国営だとおっしゃっているところがあるのですよ。そういう人もあるのです。社会化ということは、本来の意味は生産手段の私有を否定するのが社会化だと私は思う。これは昔からはっきりしている。これが本来の意味だ。ところがそれが医療になった場合に、医療の社会化とは何かということです。医療制度の社会化、これはきょういろいろ御答弁ができぬでしょうから、いずれ私もゆっくり時間をかけて一つあなた方の御見解を聞かしてもらいたいと思うのですが、これは厚生省の意思統一をしておかないと、同じ社会化という言葉を使っておっても、あなたの社会化の意味がよくわからないと大臣はおっしゃっている。厚生省でも社会化と言っているのですよ。医療保障五人委員会など、堂々と社会化ということを言っております。だから社会化を国会で論議するときは、社会化という意味はこういうことだということをお互いに意思統一をして議論をしておかないと、滝井さんの社会化はわからないけれども、おれの社会化は医療の普及向上だ、こういう単純な言い方をしていると大へんな間違いが起ってくる。医療の普及向上ならば、社会化という言葉を使わないで、医療の普及向上をやるために医療金融公庫を作りますと言った方が物わかりがいい、誤解を招かない。ところがあなたの方の医療保障委員会では医療の社会化を堂々とうたっておりますよ。だから、厚生省の諮問機関がそういう答申をしているのでありますから、いずれこれはゆっくり機会を改めて伺いますが、開業医制度というものを一体どういう工合に持っていくのかという点だけは明らかにしておいてもらいたい。どういう方向に持っていくのか。今のままでほうっておいて、レントゲンや何かの金などは貸してやるが、そのままだというならば、開業医制度はつぶれます。今のままほうっておいて、ただレントゲンと心電図の金を貸すくらいならば滅びてしまいますよ。東京都の国保ができる。ボーダー・ライン層は多いし、収入は激減する。だから、今十八億か何かの金をくれといって、六億一千万で折り合うか折り合わないかでごたごたしているが、十八億何がしをくれというのは企業整備の金だと開業医は言っている。われわれが自由診療を持っておったのが、自由診療がなくなって開業医が網の中に入るというのは、いわば戦争中の企業整備だという意見です。そうすると、企業整備をされてその中に入っていくという、その中に入ったときの開業医制度というものは保守党の政策のもとでどうなるのかを示してもらわなければならぬ。これは歴代の大臣が大臣に就任するたびごとに私は言うのですけれども、示さない。しかし、もう示してもらわぬと、網の中へ入ってから示してもらったのでは間に合わない。三十六年四月一日から入ってしまうのですから、優秀なお役人をあなたの幕下に従えているのですから、これはもう示してもらわなければいかぬと思うのです。政治家として当然示すべき義務があると思うのですが、大臣どうですか。まだ就任四ヵ月で研究が足らぬとおっしゃることは、これは今度はできぬと思うのです。なぜならば、厚生大臣を引き受けたからにはそういうことも了承の上でお引き受けになったと思うのです。一番大事な主眼の問題ですからね。
○渡邊国務大臣 医療の社会化を、あなたのおっしゃられるように一部においては医療国営だといったように考えている人もあるかもしれませんが、先ほどから申し上げまするように、私どもは医療の国営ということは考えておりません。私どもは、あらゆる医療行政に従事するところの機関に対しましては、そういう角度から医療の普及徹底、向上を考えているわけでございます。
○滝井委員 開業医制度をどういう姿に持っていくかという御答弁、どうもいただけぬようにあるのですが、大臣どうですか、臨時国会までにはいただけますか。あなたの方の政党が責任のある政府なんですからね。その政府が、今の日本の保険医の未来を一体どうするかという方向をここで示すことができぬということは、皆保険を前に控えて重大ですよ。だから、それはできないとおっしゃるなら、私十一月まで待ちます。これは非常に大事なことですから。これはこの答弁いかんによっては、やはり医療制度がうまく改革案がいくかいかぬかという重大な岐路なんですから。それ以上私は申しませんが、大臣がわからなければ十一月の臨時国会まで待ちましょうか。お答えいただければお答え願いたいと思う。
○川上説明員 大臣が申されましたように、当初二本立でということは、御承知の通り現在の医療法がそういう建前にありますから、私どもも当初二本立でいくという考え方を堅持いたしておるわけでありまして、事実におきまして公的医療がどんどんできて、私的医療機関が圧迫を受けておるわけであります。そういう点で、先ほど申しましたような金融措置を講じて助成をする。従来とかく開業医師に対しましては取締りに偏しておったような気がいたします。医療法にいたしましても、医師法にいたしましても、取締り規則であります。保険でいたしましても、監査などいたしまして、相当開業医師はそういう点で不満を持っておるわけでありますから、私的医療機関をやはり助成をする必要があるということで、そのように措置を講じたいと考えますし、また医療内容を向上したい、医師の質を上げたいというようなために、研修の費用も初めて予算化を要求いたしたような次第であるわけでありまして、決して開業医を圧迫して今後の不安を起すことのないようになるべくこれを措置いたしたいというような考え方を大体持っておるわけであります。それから病院と診療所との関係がいつも問題になりまして、この面につきましても、これを何とかその機能を調整いたしたいというような考えを持っておりますが、こういうような問題につきましては、来たるべき臨時医療制度調査会で一つ取り上げていただきまして、十分御検討願いたいと考えておるわけであります。
○滝井委員 今までの医療法が取締り規則である。そこで助成政策をおとりになる、医療内容を向上する、こうおっしゃるわけです。ところが金を借ります。金を借りて、それは低利であろうと何であろうと、金を借りたら返さなければならぬのが原則です。ただでくれるわけではないでしょうから、返さなければならぬ。返すためにはどこからか収入がなければならぬ。ところが御存じの通り健康保険の収入では借りた金を返すなんという余裕は出てこない。そうしますと、あなた方が金を貸すけれども返らぬということは、同時に医療内容が向上することにもならないんですよ。なぜならば、医療内容は健康保険できめられてしまったのです。金を貸すことと全然関係ないんです。だから医療内容を向上するとするならば健康保険法自体にメスを入れなければならない。問題はここです。日本の医療をほんとうにあなた方が今言うような方向に持っていこうとするならば健康保険法を変えなければいかぬ。健康保険法は昭和二年にできた。いわゆる労務管理政策としての健康保険のいでたちを持っているんです。だからここにメスを入れなければならぬ。今川上さんもおっしゃるけれども、私はどこでも言うんですが、あなたの方の医務局に関係のあることは、医師はほとんどないんですよ。今どこに一番関係があるのか、保険局なんです。県でいえば民生部なんです。もう医者は医務局のあなたの方に用があって行くことはほとんどない。衛生部は閑古鳥が鳴いておりますよ。そして繁盛するのは保険局なんです。それは経済のがん首を握られておるからです。医療内容を向上することは、あなたの方で向上できるのではなくて、保険局が手を打たなければ向上ができないというのが今の姿です。保険局が手を打たなければ借りた金は払えないというのが現状です。だからこういう点が根本的な問題です。これを一体どうするかということ、今後の日本の医療をどうするか、日本の開業医制度というものを一体どういう工合に日本の医療の第一線に立たしめて、そして九千万の国民の医療を安んじてやらせるような姿を作り得るかというポイントは私はここだと思うんです。日本の医療制度というものは、健康保険法というものが昭和二年にできて二十九年か三十年に改正した、あれを軸として展開しておる。だからメスはあそこへ入れなければだめです。それから医師法と医療法と健康保険法とは、あなたの前の小沢さんのときに私は言ったのだが、医師と医業、医師とは何ぞや、医業とは何ぞや、医業は医者でなければできないというのが、いつの間にか療養の給付を担当するという人間でない機関がやるようになった。療養給付の担当をするといえば医療をやるということです、言葉をかえていえば。これを機関がやるようになった。機関がやるということは、医師法にはどこにも書いてないのですよ。ところがいつの間にかできるようになった。健康保険が先になり、医療法と医師法がおくれておる。このおくれておる医師法と医療法とを、進んだ健康保険法とどう調和するかということが今の日本の一番大事な点です。それをこの前から指摘しておるのですが、あなた方は臨時医療制度調査会において、そういう点についてちっとも触れていない。やろうとする項目の中に入っていない。森を見ずしてただ木だけを見ておる。それでは政治というものはうまく軌道に乗らないと思うのです。だからこれは今のようなあなたの、ただ助成政策をとりますといって十億か二十億の金を全国の開業医に貸したところで、これは今しんしん乎として進んでおるところの医療の社会化と申しますか、いわゆるあなた方のいう公的機関の医療の普及向上、この前にはまさに牛車に向ってカマキリが自分のかまを振り上げるようなものなんです。この大勢は阻止することはできません。阻止することができないならば、臨時医療制度調査会の発足も中央社会保険医療協議会の発足もできないというわけです。だから根は深い。この深い根にメスを入れるということを大臣が表明することが今の日本の厚生行政を打開する一番のポイントですよ。だからもう少し大臣は勇断を持たなければならない。蠻勇を振わなければならない。それだけの腹がまえがなかったら、あなたの厚生行政というのはあなたの任期中にはちっとも進まない。だから問題は健康保険です。健康保険にあなたが抜本的な改革を加え、そうしてほんとうの二本立で行き得る制度を作るならば私はうまくいくと思うのです。そういう点、大臣もう少し頭を冷やして、深夜静かに考えて、これだと思ったらまっしぐらに進んでいただきたい。それ以外にだめです。そうしなければ開業医制度をどうするか、社会化の問題はあなた方の方がどうも勉強不足のようですから、私は臨時国会になったらゆっくり質問しますから、一つ局長の皆さん方は十分大臣と腹蔵のない意見を交換されて、開業医制度はこうやるのだということをはっきり打ち出して下さい。それまで私は待ちましょう。 次は、もう一つ緊急な大事なことがある。これは小山さんの方の年金の申請が今どんどん進んでおります。三百万をこえる母子、老齢、傷害、これらの年金に関係がある諸君がおるわけですが、一体どの程度の申請の業務が進んでおりますか。
○小山説明員 最近の数字では、大体九月一ぱい程度のものを今調べておりますが、それによりますと、予定しております受給権者のうちのおよそ三分の一程度が市町村段階で申請を終って、受付をしております。受付をしたもののうちで、市町村で審査を終えまして都道府県の方に申達をして参りましたのが受給権者のおよそ五分程度、大体全体の情勢としては私ども見込んでおった通りのスピードで進んでおります。
○滝井委員 そうしますと、三分の一、県にきたのは五%、りょうりょうたるものですね。その原因は一体どこにあるか。私は実は私の地元の市町村役場で調べてみた。簡単に申し上げますと、事務が複雑であるということです。とにかく書類がパスするために、足の片一方ない男の人や女の人たちが、あるいは年をとったおじいさんたちが市役所に一体何回くらい行ったら書類ができるかと聞いてみたら、まず三回です。最低三回来なければ書類がパスしない。それほどむずかしいというのです。大臣は少し書類のことを見られておく必要があると思うのです。母子年金は次の書類が必要ですといって、十一種類の書類です。それから老齢者、障害福祉年金はあなたは次の書類が必要です。十種類です。これだけ要ります。これは市町村が同一であるかどうかによっていろいろ違ってきますが、とにかく一番よけい要るのは十一、それから老齢、障害は十、これだけ要るわけです。これを千円とか千五百円の金をもらう生活保護すれすれのボーダー・ラインの人といえば多く学問もない人です。そういう人たちが役所に行って書くのです。今まで一年に一回役所に行ったことがあるかないかの人たちが書類を書くのです。これは大へんですよ。日本の社会保険というものは全部事務が多い。この前も事務のために加藤という医師が首をくくらなければならぬということが起りましたが、聴診器は捨ててもペンは捨てるなというのと同じです。これは事務です。こういう事務をもう少し簡素化しなければいかぬと思うのです。私はその典型的なものを見た。実は私の近所にも小児麻痺で動けない人がおります。そこで診察をして下さいというので、まあ簡単にいくと思って、よろしい診察してあげましょうといってしたわけです。ところが何とこの一つの書類を作るのに二時間かかってもできない。これは小山さんに聞きますが、一体骨盤のひき上げというのはどういうことですか。川上さんはお医者さんですが、骨盤のひき上げというのはどういうことですか。私は近所の医者に聞いたけれども、骨盤のひき上げというのはだれも知らない。だからこういうものをお医者さんに書かせれば百人百色です。あなたたちのところにいくと、だめですといって返ってくる。一番大事なところです。すなわち「障害福祉年金廃疾認定診断書(肢体不自由用)」です。骨盤のひき上げというものがわからない。ここが書けないと、一つ大事なところが書いてないというので返ってくる。私は私立病院の外科の専門の院長に聞いてみたが、骨盤のひき上げというのは初めて聞きました。耳鼻科の医者も、眼科の医者も知らぬ。みんな知らない。市役所にいって聞いたら、さあ私たちもこの書類をよう見ておりませんというわけなんだ。知らない、書けない。だから書類が出るはずがない。医者が書けない。そして日本医師会が診察料五百円だ。私はこれを見て、なるほど日本医師席会が五百円とるはずだと思った。あなた方は公的医療機関は無料だ、健康保険だというが、患者が一人診断書を持ってくると二時間かかる。私が聞いたのですからあるいは間違っておるかもしれませんが、県にこういうことを専門にやる医者がおって、巡回してこの診断書を書こうとしたらしい。そこで何月何日はどこだと場所を指定してやってみたところが、わっと肢体不自由の人がリヤカーやら三輪車のうしろに乗せてもらってやってきたが、一人に二時間以上もかかるから、わんさとつかえてしまった。これは大へんだ、予定が狂って次の場所に行くどころではない。これが実態なんです。こんなようにしなければ、こんなむずかしいことをやらさなければ千円の金をもらえないのか、千五百円の金をもらえないのか、法律はこんなむずかしいことをやれとは書いてない。簡単に書いておる。片方の目がどのくらいだ、足がどうなっておると書いてある。ところがこれをごらんになると「躯幹・四肢関節運動筋力」こう書いて、まず首の前屈から後屈から捻転、躯幹の前屈から後屈、骨盤の左右のひき上げ、肩甲骨のひき上げ左右、肩甲骨の内転左右、肩甲骨の外転左右、それから肩の関節の前挙左右、それから肩関節の外拳左右、肩関節の後挙の左右、まだずっとありますが、こういうものを全部やって、四肢の足やら手のまわりもはからなければならぬ。もちろん左と右では機能の発達していない方は足が小さくなっておるのです。発達しておる方が大きいから、そういうことはあり得ると思う。しかしこれは手足が切れておったり目が盲に近い者が第一級です。耳鼻科やら眼科の診断書は割合簡単ですが、これは一番複雑です。川上さん、骨盤のひき上げということを御存じですか。
○小山説明員 まず原則的に事務を極力簡素化する、なかんずく申請者にかける事務的な負担を最小限度にとめる、こういう点については先生仰せのごとく非常に必要なことでございまして、私自身として今回の申請書につきましては、どういうわけでこれ以上簡素化できないかということについて納得のいくところまで確かめて作ったつもりでございます。 それからただいまお話になりました診断書の問題は、実は一番むずかしい問題でございまして、いろいろと検討いたしたのでありますが、やはり法の別表に掲げてあります状態に合うか合わないかの判断は、どうしても医師の診断によらざるを得ない。医師の診断による場合におきまして、典型的な場合は仰せの通り非常に簡単にいくわけでありますが、たとえば手足の機能がどうであるとか、あるいは、先生は耳鼻科なり眼科はそれほどでないというような御判断でございましたが、実は耳鼻科なり眼科にまた非常にむずかしい問題があるわけであります。そういうような事情からいたしまして、非常にむずかしい場合になりますと、仰せの通り一人について二時間くらいかかるという場合が実際上あり得るようであります。この点は何分にも身体障害の状況が非常に多種多様でございますので、今のところはやはりこれでいくより仕方がない。なお特にそういうむずかしいものについて、もう少し申請者の側に負担をかけないでやる方法はないかということについては、その後も研究を続けておるのでございます。 なお特にお取り上げになりました骨盤のひき上げにつきましては、私承知しておりませんので、次会まで時間をいただきまして、とくとその点調べて、次会に報告させていただきたいと思います。
○滝井委員 実はお医者さんに聞けというけれども、お医者さんもほとんど御存じないでしょう。これを出さなければ結局お金はもらえないわけなんです。これは一番大事なところなんです。ところがこれはわれわれ書けないのです。 それから関節角度計などというものを普通の医者は持たない。関節の角度をはからなければならない。市役所の方では、近所の医者でできますから簡単にこれを書いていただきなさい、こういう簡単なことなんです。先生書いて下さいといって持ってくる。患者さんを連れてこなければだめですよ。そこでリヤカーに乗せて、手も足も動かない小児麻痺の二十五くらいになった女やら男を連れてくるわけなんです。連れてきて、その人を裸にして手をあげ足をあげ関節をはかる。こういうことなんですから、大へんなことなんです。ところがこれは千円か千五百円もらうためにやむを得ぬことだと思う。しかしもっとこれはそれぞれの状態に応じて簡単にしたらいいのですよ。もう明らかに足が切断されておるということがわかれば、こんなことをやらさなくてもいいはずなんです。ところがこれはみなやらなければならぬ。だからこれを書くのにも医者はみんな講習を受けるわけじゃなし、ひょこっと持ってきて書いてやるものですから、これをおやりになるというならば、直ちに全国の整形外科の医者とか、厚生省が講習をして、こういうことをやる、外転というのはこう書くと講習をしなければ、この書類はおそらく全部出たものはまちまちだと私は思っておるわけです。それで一々返ってくる、まためんどうをかける、これは大へんです。私は特に忠告を申し上げますが、すみやかにこれを簡素化して、この要領を医師会なりを通じてもっとわかりやすくしてやらないと、とにかく一番の権威が骨盤のひき上げということを知らないのだから、この言葉一つでも大へんです。それからわれわれも学生のときに内転とか外転とか背屈とか掌屈とか習った。ところが掌屈はこうこうなる、こうやると議論をしながら医者が書いたら、知ったかぶりをする医者はこうするのが掌屈だと言っておる。そうするとそれを書いてしまう。なに、それはこうやるのであったということになると、これはみんな間違いです。間違ったことをあなた方は審査をすることになる。だからこういう大事なものはやはりしなければいかぬ、危なくて……。だからこういうむずかしいものを出すときには、主観的な立場でお役人の方は作れば、あと流しておけばいいと思うかもしれないけれども、末端の方は市役所のお役人が一々研究をするわけではない。ところが市町村役場に聞く以外には聞くところがないわけです。ところがそれで知らない、こういうことになると、じゃ市立病院あたりは無料だということだから知っておるだろうと思って聞くと、その点は知らない、こういうことなんです。だからこの点はいろいろ言いわけはあると思うのですけれども、実践をしてみて、できなければ改めなければならぬ。これはあなた方は一切の省令を出しておるけれども、書きかえて、そうして期限を延ばして、この九月から始まっておるけれども来年に延ばしてでもやりかえなければできませんよ。迷惑をこうむるのは、草深きいなかに住んでおる身体障害者が迷惑をする。だから親心があれば直してあげなければいかぬ。
○小山説明員 まず結論の方を申し上げますと、いろいろ研究いたしまして、より簡素化し得る余地があるというふうに考えますならば、これはもちろん省令で足りることでございますから、私どもいつでも直すつもりでやっております。現に今までの段階でも実施前に一つだけ、問題は違いますけれども、より簡素化できる道が発見できて、関係の郵政省、大蔵省等と協議した結果、省令を改正して簡素化することをいたしておりますので、仰せのようなことは技術的に自信ができればもちろんやるつもりでおります。 ただ特に御了解を得ておきたいと思いますことは、先生仰せの通り、患者には非常にいろいろな状態があるわけでございます。患者の中には相当の専門的な道具を備えている機関でないと、実際上診断のしにくい状態の人と、しからざる人がいるわけでございます。数から申しますと、大体普通のお医者さんであれば診断ができるというのが圧倒的な数になっているわけであります。こういうものにつきまして、一部には指定医療機関制のごときを設けて、専門医だけに診断させるようにというような専門家筋の強い意見があったのでありますが、それは一つやめたい。なるべく一般のお医者さんに手近なところで見てもらえるようにいたしたいというので、診断書を書いてもらう。お医者さんはどういうお医者さんでもよろしいという建前にしたわけであります。ただ病状なりあるいは状態によりましては、どうしても相当複雑な検査を必要とするというようなものが出て参って、そこいらの区別が実際上非常にむずかしいということから、先生仰せのような事例が出たものと思いますが、この点は今後よく指導いたしまして混乱を最小限度にとどめていくようにいたしたいと思っております。なお診断書の提出ができないために申請の時期が多少おくれるというようなことに伴う不利は、絶対に起させないということに考えております。
○滝井委員 大臣、役人というものは一ぺん自分が作るとなかなかそれを撤去しないものなんです。こういう習性を持っておる。その習性は政治家が直す以外にない。あまりこういうことにこだわっておると政治が行えなくなるのです。もちろんこういうものがある程度なければ政治の公平は期しがたいと思うのです。だから私もある程度は妥協しますが、たとえばくつ下をはくということも、身体障害者にはくつ下をはかしてみなければ、この人がはき得るのかどうかわからぬわけです。手がこうなっているわけで、君くつ下をはいてごらんといって、片手でよろしいと書いてある。だからくつ下をやらしてみなければ、実践をしてみなければ全部書けないのです。くつ下をはききりますというから、はききると思ってやって、くつ下がはけないならば大へんなことです。全部やらしてみなければこれに書いてあることはわからない。だからこれをもしこのまま実施しようとするならば、この解説書を書いて、全国の医師に流さなければいかぬ。そうしないと、これはとてもまちまちになってだめです。今私が申しますように、この障害福祉年金なりその他の認定の診断書についても一つ大臣が目を通されて、なるほどこれはある程度簡単になっておる、こういう形で私は実施をしていただきたいと思う。あやまちを改むるにはばかってはいかぬと思うのです。だからどうぞ大臣、政治的にこれをもう少しきちっと簡単にして、このくらいの金は印刷があれになったってわけがないのです。このくらいのものはそのめんどうさと時間がかかる労力を差し引いてみれば、改めたってわけはない。もう少し簡単にできるものは簡単に書いてよろしい。特にむずかしいものについては専門医にいってやらしたらいい。そういう点で大臣、これは方針をきちっと変更してやる意思があるのかどうか。
○渡邊国務大臣 だいぶあなたのお説に私も共鳴する点が多いのでございますが、よくまた事務当局とも相談しまして、できるだけ簡素化するような解説の仕方その他指導の面について考慮してみましょう。
○滝井委員 ちょっとこれを見ておって下さい。もう一つあります。今度はこれは高田さんです。これはこの前から問題にしております生活保護の医療券の問題です。現在名古屋では非常な災害が起って、今後生活保護の申請をどんどんします。同時に、赤痢その他も起り始めたのだから医療券の申請がどんどん出てくると思うのです。ところがこれがまた複雑なんです。どういうことになっておるかというと、これは高田さん御存じの通り、まず認定をするためには、この人が医療を受けることが必要かどうかということを認定をする。たとえば、併給の場合は割に簡単に料金が出てきますが、単給の場合は相当調べなければなりません。そこでまず初めに初診券をくれるわけです。そうすると今度はその初診券に医者が、この病気は二ヵ月かかるなら二ヵ月かかるということになりますと、その二ヵ月の治療の内容を書いて出さなければならぬわけです、しかも幾らの金がかかるという評価を今度は点数できちっと注射薬の名前から処方まで書いて出さなければならぬわけです。これが今の実態です。そしてこれを持っていきますと、今度は医療券がくるわけです。ところが緊急な場合は患者がこれを持ってきます。夜中にお腹が痛くなっちゃった。そして前の日にこれをもらっておった。それで医者にやってきた。ところが一回注射その他をするとなおってしまう。なおってしまうと、一方を医者がとって、一方は役所に持っていくわけです。福祉事務所に持っていくことになるのですが、これを持っていかない。持っていかないために医療券が来ないという、おそらく災害地はそういうことが今度多くなると思う。まずおなかが痛くなる、一回だけ行く、あとの医療券が来ないために請求ができないという状態が出てくるわけです。 そこで、私はこの前もあなたといろいろ事務の簡素化のことを話しましたが、第一に事務の簡素化をしてもらわなければならぬことは、診療要否意見書というところにその薬の名前を書いて、見積りなんか書く必要がないということなんです。なぜこんなものを書かなければならぬかということです。たとえば、今、この病気は三日でなおると思って、三日と書いてしまうのです。そうしますと、三日でなおらない。一週間になると、今度はこれを延長の申請を市役所にしなければならない。実にこれはややこしいのです。市役所もややこしいし、われわれもややこしい。だから、軽い病気でも、先生、一つ二十日くらいに書いて下さいということで、みんな二週間とか二十日にしてしまう。そんな医者に悪いことをさせるような制度は作るべきじゃないのです。そんなものを市役所が集計をして予算を立てているかというと、立てていないのです。そんなものをやるだけ時間と手間がかかって損なんです。だからこれは、およそ経費は、たとえば千円かかるなら千円かかると、概算を書かしたらいい。詳しく注射の名前なんか書かせたって、そんな通りにいかない。人間は生きもので変化しますから。この前も、私は、あなたの方の保護課長の大崎さんにこのことを言っておいた。これは検討をするということになっておったはずなんです。あなたになってからもう何回も私はこのことを言っておるのですが、検討しましたか。
○高田説明員 医療関係の事務の簡素化につきましては、保険の方で、日雇いその他一般健康保険等、いろいろ先生に懇切丁寧な御指導をいただきまして、私も非常に関心を持っておるわけなんですが、保護法の関係につきましても検討はいたしております。ただ、基本的に、今御指摘になりましたように、非常にめんどくさいものになっております。これは先生も御理解をいただけると思うのでありますが、保険の場合には、医療が必要かどうかということでもういいわけです。生活保護の場合には、そこに保護をする必要があるかどうかということを認定しなければならぬ。保護の必要があるかどうかというのは、幾らかかって、収入が幾らある、この差引を計算しなければならない。それで、保険とはだいぶん基本的に構造が違う。従ってその手続も違ってこざるを得ないというふうに私思うのでありますが、方向としましては、一つできるだけ事務の簡素化になるように検討を加えたいと思います。私まだ十分その中身をそしゃくいたしておりませんけれども、保護課ではいろいろ検討いたしております。ただ、中間的な報告では、いろいろ案を作ってやってみると、かえってめんどうになったり、あるいはそう大した事務の簡素化にならぬというので、いろいろ頭をいためておるというふうな話を私聞いておりますけれども、今後、方向としましては、今申し上げましたような方向で検討を加えて参りたい、かように考えております。
○滝井委員 実は、これは簡素化するということで、この書類がこの前問題になったときに出てきたわけです。ところが、これを見ると、簡素化されていない。もとはこんなものは書かなかったのです。この前の制度のときには、こんな見積りなんか全部書かなかったのです。簡単なものだったのです。ところが、簡素化するといって出てきたのが、今度は複雑になってきた。もとは初診券をやったら、すぐ医療券が来ておった。最近は、初診券のあとに来る医療券、いわゆる請求書がなかなか来ないのです。だから、私は、初診券を出すときには、当然この医療券を一緒につけてやるべきだと思うのです。そうしないと、患者は一回初診券をもらいに行って、今度は医者に書いてもらって、またこれを持って福祉事務所に行って医療券をもらってくるのです。大体医者に来るのは、これは明らかに医療券が要るから来るのですよ。だから、これは一緒に初診券とつけてやったらいい。そして、どうせこっちで初診料を請求しているのですから、そのときに初診料を請求したらいいのです。だから、これをつけてやるべきなんです。それをあなた方は別々にするのです。それから月末に来た患者の医療券というのはなかなか出てこない。締め切りは五日なのです。五日までに医師会に持っていって基金の事務所に送らなければならぬ。ところが今度はこの医療券がなかなかこない。それでわれわれの地帯では、二十五日になると、継続の患者、繰り越しの患者の打合会がある。そうして一々だれが継続、だれが繰り越し、こういうことの打ち合せをするわけです。こんなことはナンセンスです。あんなことをやらぬで、医者が継続だというものには出したらい。どうせ専門家でないわけのわからぬ人が来て聞くだけなんです。だからそういうめんどうくさい能率の上らないことはおやめになった方がいいと私は思うのです。そうすると紙だってこんなにたくさん要りはしないのです。それならば、ケース・ワーカーがこんな事務にとらわれずに、もっとかゆいところに手の届くような、世話のできる制度にすべきだと思うのです。福祉事務所に行ってこんなものをもらおうと思ったら、一日仕事、半日仕事になってしまうから、もらわない。判が一々要る。判が一つ落っこっておっても帰ってくるのです。実にややこしいのです。だから、こういう制度は、判こを押したり何かする制度ではなく、もっと簡素化して、健康保険の制度でいいと思う。初診券が出たら、あとは請求書は健康保険の請求書でよろしい。何もちっとも違っておらぬのですから。健康保険の横に生保と書いて、その生保に丸をつけて健康保険に出したらいい。同じ基金に出すのですから。こんなものを作るだけ紙代が要るだけなんです。こんなりっぱな紙で作るだけ損です。入院と入院外と色を分ける、そんなものは健康保険の請求書でやらせた方が、これよか値段も安い。こんなりっぱな紙を使って、青とか赤とか色をつけるだけ損です。初診券だけ出す、そうすれば、患者も助かるし、医者も助かる、役所も助かる、事務が簡素化する。だから、これは私、代議士になってやることはこれが目的だということをこの前から高田さんに言っておるわけです。健康保険の事務の簡素化、生活保護法の事務の簡素化、結核予防法の事務の簡素化を言っておる。されがもし健康保険なり国民健康保険、結核予防法と重なりますと、同じものを三枚も四枚も出さなければならぬ。基金へ出すのに、結核予防法で出す、それから国民健康保険で出す、生活保護て出す、こういう形になって、同じものを三枚も出さなければならぬ。そうすると、今度は税務署が来て、三重の収入があったようにしてしまう。税務署との折衝も、いや、そうじゃありません、これは一人を三つに請求しておるのですという説明をしなければならぬことになって、実にややこしいのです。だから健康保険のあれ一枚でさっと請求のできるようにしてもらいたいと思う。結核予防法も、もうあんな別にする必要はない。健康保険の会計の中に入れて、同じように健康保険で請求させたらいいのです。このくらいの英断をやってもらわなければだめですよ。そうしないと、日本の医療というものは、患者をなおすことよりかこれを書くことに医者が一生懸命になる。そうしてこれを一生懸命になってやっておらなければ、この前の加藤君のように、医者というものは診療も大事だが事務も大事だ、事務のできぬような医者なら医者をやめなさい、こういうことを言われるから首をくくる。わしは事務をやるために医者になったのではないのだ、こういうことを言いたいのだが、権力の前にそんなことを言ったら、ちょんと首を切られるから、さようでございますかと言って、泣く泣く帰ってきて首をつる、こういうことになるのです。だから、良心的な医者にほんとうに治療させるためには、事務を簡素化することです。今度は、幸い好敵手の高田さんがこれになったのだから、私これをぜひ今度の臨時国会にかけて、あなたと話し合って、簡素化してもらいたい。そうして、これは、私はすぐとは言いません。来年の四月から——新しく今印刷しておるでしょうから、四月からやってもらいたいと思うのです。前の橋本厚生大臣も堀木さんも、みんな事務の簡素化をやると言ったけれども、これが今みんな残っておる。これは大臣にもお見せしますが、大臣この事務簡素化に御賛成なんでしょうね。
○渡邊国務大臣 けっこうです。
○滝井委員 大臣も賛成だそうですから、これは高田さんと一ぺんゆっくり話さしてもらって、与党の皆さんの御協力も得て、この前は園田委員長が中に入ってまとめたのですが、一つそういう事務簡素化をやる。これは災害地で一番困るのですよ。今度は間に合わぬけれども、この次の災害に間に合うようにしておかなければいかぬわけです。医療券をもらって医者に見てもらう。そうすると初診券だけでは注射もしてくれない。医療券をもらっておるうちに子供は死んでしまうということになる。そういう点、ぜひ簡素化に御協力を願いたい、こう思うのです。きょうは一応これでやめておきます。
○小林(進)委員 きょうは大臣もお疲れのようでございますし、時間も非常に差し迫っておりますので、私はいろいろ御質問申し上げたい問題を持っておりますが、やや緊急性のあります一問だけにとどめて、あとは一つあげて臨時国会の開会に待ちたいと思いますので、いましばらくの間だけ時間をおかし下さいますことをお願い申し上げる次第でございます。 私の御質問したい問題は技工士養成所設立に関する問題でございまして、現在日本歯科技工士会が全国的な規模でただいま反対運動を続けておりまして、厚生省にもしばしば陳情も続けておりますので、大臣はその内容をよく御承知のことと存じます。私も関係者と一緒に厚生省の関係官と直接面接をいたしまして、ただいま惹起いたしております問題の内容を承わっておるのでございますが、細部の点は省略するといたしましても、どうしても疑問の残っておる点が二、三ございますので、これを一つ大臣にお伺いいたしたいと存ずるのであります。 その一つは、現在新潟県における歯科技工士養成所設立の計画についてでございます。現在新潟市関屋に二百坪の敷地で二階建の建物ができておりまして、すでに二十五名の生徒を入れて技工士の教育を行なっております。また近く補欠の募集もするということでございますが、これに対し一応歯科医師会並びに歯科技工士会の反対のため、申請は不許可になったのでございますが、それが大臣が御就任になってから、どうもこの開設が可能になるのではないか、あるいは大臣が可能のごとき言質をお与えになったのではないかということで、非常に関係者の方で心配をいたしておるのでございます。こういう財団法人または私立の養成所設立を許可されることは歯科技工法制定の趣旨に違反する、われわれはかように考えておるのでございます。申し上げるまでもなく、この法律のねらいは、歯科技工士と歯科医師とは運命共同体でございまして、共同して仕事をするのでございまして、そのため両者の数の比率というものが非常に重要になってきておることは、私が申し上げるまでもなく大臣御承知の通りであります。そのため養成所の管理権を文部省にせずして厚生省に置いてこれを管理するようになりました根本の理由は、今申し上げました歯科医師と技工士とのバランスを保つ、どうもその比率が狂って、ために失業者が出て混乱に陥ることのないようにしなければならぬ、この一点で厚生省にこの養成所の管轄をまかしてある、こういうことになっておるのでございます。昭和三十一年一月十四日までの特別技工士の届出の数は一万二千四百四十四名、全国の歯科医師の数のちょうど三分の一あるいはそれ以上になっておる。厚生省の医事課では、この比率は三分の一を適当としてその基準をおきめになっておる、かように承わっております。そうすると、現在のところではこの歯科医師とその技工士の比率はちょうどうまくいっておる、それでもまだ技工士の方が若干その比率を上回っておるという勘定でございます。しかも今日の学生の状況では、年大体七百人くらいの歯科医師が卒業し生まれてくる。技工士は二百名前後といわれておるのでございまして、若干三分の一の比率より下っているようではございますが、あえてこの状況は増加をする必要がないのではないかとわれわれには考えられるのでございます。 こういう状況の中にあって、新潟県の場合におきましては、歯科医師が六百十名に対し、技工士の数は二百三十一名でございまして、厚生省医事課における基準をかなり上回っておるというのが今日の実情でございます。このような状態の中にこの技工士養成所の乱立の端緒を作ることは、はなはだ危険であると思いますが、これに対する大臣の御所見はいかがでございましょうか、承わりたいと思うのでございます。
○渡邊国務大臣 ただいまの問題でございますが、この点につきましては私も陳情等を受けまして、それでそのときにいわゆる技工士養成所としての基準が満たされれば、これは事務当局でもそれを許してやる、大臣就任当時においてそれが一応認められなかったものが、その後認められたのじゃないかということについては、その後再申請が県を通してきたらしいのであります。今日は事務当局の方は来ておらないようでありますが、私はそういうこまかいことは知りませんけれども、事務当局の連中はその後その設備とか内容とかいうものが具備されてきておるので、それであればやむを得ずこれは許可すべきものと思う、こういうような報告は受けたのでございますが、その他手続上の問題とか、詳しいことは私は存じません。
○小林(進)委員 大臣の御答弁は、認可、許可するに値する資格基準が備わっていればこれを認める以外にはないのではないか、こういうふうな考えに立っているというお言葉でございまするが、今のように、その養成所が省令に定める条件に合っておれば、これを許可してもよろしいという建前になっているということになれば、歯科技工法という法律を作った立法の趣旨というものが、むしろ法律なきにしかずです。かえってこの法律があるために、乱立を防止すべきものが、むしろ乱立を助長するという結果が現われてきている。さようなことになりまするので、その立法の趣旨が全く失われまするから、今大臣がおっしゃったように、省令あるいは法律に定めている基準に該当すれば許可せざるを得ないのだという、そういうあいまいな法律であるならば、今も申し上げまするように、立法の趣旨が失われているのでございまするから、直ちにこれを改正いたしまして、そしてこの限られた職業の技工士というものに対して何とか生活権、あるいは職業を守ってやるというふうにしてやるというお考え、法律を改正してやるというお考えが一体ありまするかどうかをお伺いいたしたいと思うのでございます。
○森本説明員 私からお答えいたします。小林先生の御質問の趣旨は、歯科医師三名に対して技工士一名がおれば大体業務上支障がない、それから最近の歯科医師と技工士の数を見ると、大体三対一になっている、それから年々の資格をとる者も大体三対一の割合になっている、言いかえますると、技工士の需給のバランスがとれているのだから、これ以上技工士の数をふやすことは適当じゃないのじゃないかというような御趣旨に拝聴したのでありますが、この技工士養成施設の指定と申しますのは、その養成施設に入っておって卒業した場合に、技工士として働ける能力がつくかどうかという点を見て指定するのでありまして、技工士の数、需給の調整という見地からこの法律は見ておらぬのであります。ほかの例もそうであります。たとえば医師にしましても、歯科医師にしましても、薬剤師にしましても、栄養士にしましても、需給のバランスをとって、これ以上職業上必要ないからもう養成所を指定しない、あるいは学校を増設しないということは法律ではございません。自治庁の行政措置としてそういうことはあります。あるいはまた設置をするものが、これ以上作ってみても、卒業生の就職ができないから設置をしないということは事実上ございますけれども、法律上そういう建前をとっているものは他の法律でもございません。従いまして技工士の養成施設の指定につきましても、技工士の需給のバランスを考慮して指定をするかどうかという考え方は、立法の趣旨には入っておりません。この問題は技工士だけでなしに、医師、歯科医師、薬剤師、栄養士等々も同じものでございますので、この際この技工士だけについてそういうような考慮を加えるということは、法律上そういう制限を加えるということは無理じゃないかと思います。
○小林(進)委員 今の官房長の御答弁に対しては、これは一つの立法論争になりますので、私は議論をするのはやめますけれども、これは今おっしゃるように、すべての技術養成法というものには、需給調整を表面から制限するような、そういう条文はございませんけれども、法律の建前は、みんな一定の技術を備え、一定の資格を持てば認可、許可を与える、そういうような建前になっておりますが、そういう一つの法律を作るその陰には、やはりあまり資格なき者の乱立、跳梁あるいは技術の低下を防ぐ、あるいはその需給の調整ということも当然隠されているものと判断しても私は間違いがないと思う。ただ、法律技術上そういう調整を表面からすることができないから、そこに資格の面にいろいろむずかしい条件を加えて、そしてその乱立を防いでいるのが法律の建前である、かようにも私は解釈するのでありますが、これ以上の立法問題は別にいたしましても、ともかく今歯科医師だけによって生活を保っておりまするこの特殊な技工士に対して、そういう乱立をするような形でその職業を剥奪するようなやり方は、他の自由主義経済をつかさどっております通産省とかあるいはほかの省ならともかく、社会保障制度を承わって人のよき生活を守っていこうとか、没落する者を助けていこうという厚生省の大臣が、その定められた職業を剥奪するような方向に歩み出すということは、どうしてもわれわれは了承はできません。その点大臣は、厚生大臣という立場からも一つ慎重にこういう問題は扱っていただかなければならないと思うのであります。 なお、この新潟の技工士養成所の問題については、現実にはその利益がないのだ、だからこういうものは乱立の懸念もないからそう神経をとがらして心配をする必要はないのだという逆説をなす者もございまするが、私の調査をいたしたところよりますと、東京板橋に愛歯技工士養成所なるものがあって、そこに方々の歯科医師のところから技工の注文を受けてきておる。これは近代的多量生産をおやりになっておるために、りっぱに経営が成り立っておるかのように私は聞いております。現に今問題になっております新潟市にある養成所は、一般歯科医師から注文を受けまして、そうして作業をおやりになって、経営の一端にもしておられるということを承わっております。もしこういうことが公々然と行われるようになりますと、この面からもせっかく作った法律が骨抜きになって、現実に資格のない、いわゆる練習生と称する者がみな技工士をやりますから、これはもうもぐり技工士の仕事を合法的に認めてしまうような形にもなってきまするし、無資格者の乱立を来たすおそれもありまするので、こういう点はどうしても一つ大臣はいま一歩慎重にかまえていただかなければならぬと思うのであります。 時間がありませんから続けて申し上げまするが、新潟市における養成所の設立については、これは大臣御存じだと思いまするが、厚生省では右のような条件をおつけになっていると私は聞いておる。その条件の一つは、まず法人組織にして、歯友会から二名、県の歯科医師会から二名、それから、県庁の職員というか役人から二名、計六名の理事を含むことを条件とする。二番目には、設立の二年後には無償で新潟県庁にそれを寄付する、県はその後県立としてこれを運営する。三番目には、財産関係を明確にする。土地とか建物とか設備その他を明確にして法人の財産にしておく。四番目には、生徒の定数を、これは毎年でありましょう、毎年二十名以上にする。こういう条件を出して、それをのめば設立認可をしてやってもよろしい、こういうふうな条件をおつけになっているということを聞いているのであります。一体大臣はこういう条件がついていることを御承知になっているかどうか。またこういう条件が一体二年後において守られると信じておられるかどうか。伝うるところによれば一千万円という金をすでにかけているということでございます。私ども見たところでは、まだ一千万円はかかっておりませんが、数百万円はかかっておりましょう。これだけの金を出したものを、二年後無償で県に寄付するなどということは、私にはとうてい信ぜられない。一体大臣はこの申し合せをいかようにお考えになっているか、承わっておきたいと思うのでございます。
○渡邊国務大臣 建設省が認可をする条件としてそういうものをつけたかどうかにつきましては、事務当局でなければ、私はよくわかりません。
○小林(進)委員 それでは事務当局を代表して官房長官、いかがでございますか。
○森本説明員 私、存じておりません。
○小林(進)委員 それではこの問題は後日また事務当局とお打ち合せの上において承わりたいと思いまするが、こういうような条件をつけて御許可になっても、それはとうてい将来履行されるべき性質のものではない、かように私は考えておりまするので、その点を後日明確にお答えを願いたいと思います。 次に、新潟県にありまする養成所は今申し上げましたように、大臣は資格さえ備えれば認可のやむなきに至るだろうというふうな回答をお与えになっているというにもかかわらず、すでにその養成所には、厚生大臣指定、歯友会技工士養成所、厚生大臣指定、歯友会衛生士養成所という看板が麗々しくちゃんと掲げてあるのでございまするが、一体これは大臣が相当明確な言質を与えられておいでになるか、さもなければ内緒で許可になったか、まさか許可にならないしお許しにならないものを厚生大臣指定という名目をつけるはずがないと私は思うのでありまするが、この点いかなる事情かお伺いいたしたいと思うのであります。
○渡邊国務大臣 おそらくそういうことはないだろうと思いますが、もしも自由にそういうことをやっているとすれば、はなはだ遺憾なので、これは厳重に調査いたします。
○小林(進)委員 そんなことはないだろうと大臣は仰せになりましたが、実は私は証拠としてとってある写真があるのでございます。これは写真に全部とりまして、動かすべからざる一つの証拠を持ってここで論じているのでございまするから、これは私が思いつきを言っているのじゃない、確実にあるのでございますから、厳重に御処置をいただきたいと思うのであります。
○田中(正)委員 関連して。本件について質疑というより意見を申し述べます。 歯科技工士の件については、先ごろその比率等についていろいろ小林委員からもお話があったのでありまするが、これは実は非常に重大な問題であります。と申しまするのは、歯科技工士があまりにも多くなりますると、これらの者は生活ができなくなる。生活ができなくなると、どういうことを従来しておったかと申しますると、いわゆるもぐり歯科医師として世間に出て参るような格好になっておりまして、今日まで非常に弊害を生んでおったわけであります。そこで、それでは一体歯科技工士養成所がどうしてこんなにたくさんできるようになってくるか。これは単に新潟だけではないのでありまして、全国あちこちに雨後のタケノコのごとくできそうな傾向がありますが、その原因をいろいろ尋ねてみますと、先ごろ小林委員がちょっと指摘をいたしました通り、ここにおいて共同作業的に非常に安い料金でもって歯科技工をやりまして、そしてこれを歯科医に提供する。従いまして歯科技工養成所としては月謝が入る以外に、自分のところでさらに低料金の歯科技工をやる、つまり二重の利益が上るというところに問題があって、しかもこれがいわゆる歯科技工士の正しい需給状況のバランスをくずしてできるような、こういう原因がこの辺にひそんでいると思うのであります。かかる養成所で、このような安い料金でもって歯科技工をやらせるということ自体がいろいろと実は問題があろうかと思いまして、これらについては、あるいは洋裁学校等にも類似の例があり、労働省当局もいろいろ心配し取り締っているようなことがありますが、同じような原因がここにある。そして全国的にあちこちで歯科技工士養成所ができそうな傾向がある。歯科技工士が今後の生活について不安を感じている状況でありますので、なるほど現行法では需給の状況から認可を左右することができないということがありましょうが、問題の基本はこの辺にあるということを考えて、今後の運営の方針については十分お考えになっていただきたいということを小林委員とともに私は大臣に要望しておきたいと思います。
○小林(進)委員 もう時間がありませんから私はこれで終りますが、今も田中委員から懇切に大臣に要望がありました通り、今この新潟の技工士養成所の開設を非常に注目して待っているところが全国的にもあるのでございまして、これが許可になったら間髪を入れず同じく申請書を出して許可をしてもらおうと設立準備をしておるところが、私のキャッチいたしました情報だけでもすでに六カ所あります。こういう状況になりますと、先ほどから申し上げておりますように、これだけで生きている、他にもう転業の方法がない方々が全部職業を奪われなければならないのであります。あるいは今おっしゃるように、やみとか低技術でやって正当なる価格の流通を失わしめるというような結果も現われて参りますので、一つ十分御考慮をいただきたいと思うのであります。 なおこの問題につきましては、今新潟で設立の準備をしております方々と大臣とは同じ学校の同窓生でいらっしゃるとか、そういう個人的な関係で大臣にお願いをして、大臣もそういう関係で許可をしなければならないのではないかという、これはしがない巷間のうわさ話でございますのでお気にとめていただく必要もございませんが、そういう風評も出ておりますし、また設立の準備をいたしております役員の中にも、地元においてはとかくの風評のある方も含まれているというふうにも承わっておりますが、これはそれぞれ個人の人権に関する問題でございますので、これ以上は申し上げません。しかし私は、私の非常に尊敬をいたしております大臣が、しかも厚生行政を担当して最も公正に事を処そうとしておられる大臣が、そういういささかなる私情の関係において大局をお誤まりになるようなことは断じてなかろうと確信しておりますけれども、何といっても大臣の将来は春秋に富んでおりまして、官民あげて希望いたしておるところでございますので、万々そういうようなことのないように、慎重に一つこの問題を御処置下さいますことをお願いしますと同時に、事務当局に対する質問はいずれまた後日あらためてやりたいと思います。
○渡邊国務大臣 私はよく熟知しておる後輩でございます。しかし別に特殊な関係をもってやったとか、そういうことはありません。県の衛生部長なんかも、これは具体的条件さえ備えればやむを得ませんでしょうと言っておる。私も新潟へ行きましたときにも陳情を受け、東京でも陳情を受けたのです。事務的にもいろいろ聞いてみたわけですから、そういう誤解のほどはどうぞ差しはさまないように、特に特に人格者である小林先生に……。
○永山委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十九分散会