社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 192 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/09/21
会議録
○永山委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、これを許します。小林進君。
○小林(進)委員 ここ数年どうも労働省の労働行政が、労働省設置法第一条にうたわれております労働者に対するサービス機関としての趣旨を逸脱いたしまして、むしろ労働者を圧迫する警察的な立場をおとりになっているのではないかというような感じをわれわれはしばしば受けるのでありますが、ともかく労働盾が反動化されつつあることだけは、もう世間一般周知の事実であります。そういうような労働本省の反動化といいますか、右寄りの形が全般的に普及いたしましたその結果は、全国各地において労働諸法規違反の行為がたくさん起きておるのでございまして、私はその一つの例としてまことに黙過することのできない事例を持っておりますので、その例をここで一つ申し上げまして、労働大臣並びに関係局長のこれに対する明確な御判断をお聞きしておきたいと思うのであります。 その事例と申し上げますのは、東京都千代田区有楽町一丁目十三番地に本社を持っております電気化学工業株式会社の青海電化工場に起っております不当労働行為についてお伺いいたしたいのであります。新潟県の青海町というところに工場がございまして、約四千名の工員を有する会社でございまして、セメント、石灰窒素等を主たる製品とする会社でございます。その会社において、労働組合と会社が一体になって労働者に不当な労働行為を行なっておる。あるいは町政の壟断をし、独占禁止法に違反するような疑わしい行為をも行い、労働者の信条の自由、基本権の自由、政治活動の自由も会社と労働組合が一体になって奪っておる。会社の利益のために町の政治までもその会社が支配をいたしておりまして、自治権の自由をも剥奪しておる。特に選挙の干渉、それから勤労課等が労働者を一々呼び出しまして、選挙運動あるいは選挙干渉を露骨に行なっておるという事実、あるいはまた会社の社宅係等が労働組合員の私的生活までも監視をしたり、尾行しておる、こういう事実が露骨に行われており、工員相互、組合員相互の密告等の制度も会社によって招来をせられて、まことに徳川時代を思わせるような暗黒政治でありまするが、これが今日松野労働大臣の労働行政のもとにわが日本で今日現在行われておるという事実でございまして、こういう問題の発生を申し上げますると、少し話がくどくなりまするけれども、問題を正しく理解していただくために、その事件の発生を申し上げたいと思うのであります。 終戦後長い間にわたってこの工場において行われておりましたこういうような事実がそもそも今日明らかになった問題の発生は、この青海の町に昭和三十三年、昨年以来明星セメント株式会社が新設さるるために工場の敷地を物色した、こういうことから始まっておるのでございまして、この青海町は石灰石が無尽蔵にあるのでございますが、青海電化と明星セメント会社の間に用地の買収をめぐり見苦しい争いが昨年来生じて参りました。これについて、大青海町を建設するためにはどしどし新設の工場を誘致した方がよろしいではないか、明星セメント会社もこれは設立さした方がよろしいという派と、やはり青海電化だけを守って、他の工場の進出を妨害すべきであるという派が二つに分れたのでありまして、農地委員会はもちろんでございまするが、この青海町並びに近郷に住んでおりまする者は、親戚、縁者、骨肉の間にも二派に分れて相争うというふうな状態が起きてきたのであります。その状態の中にあって、青海電化の労働組合は昨年の五月二十八日に大会を持ちまして、大会で企業防衛、生活権擁護という名のもとに、ここで全く労使一体となりまして、明星会社の設立に反対をするという決議を行いました。そして活動を開始いたしたのでございます。それに至るまでの青海電化の労働組合の訴えは、これはもちろんもう労働省でもお調べになっておりますから、内容はよく御存じのはずと思いまするけれども、職場内においては労働組合に発言の自由もない、尾行や監視が日常茶飯事のように行われている、こういう会社の実態であります。これはもうお知りでございましょうから、私は詳しく説明することは避けますが、そういうふうな中にいよいよ大会の決議が行われたのでございます。やがて数カ月を経過いたしまして、昨年の十二月ごろでございますが、所在不明の電化従業員革新同盟と称する名義付のビラが工場内にばらまかれた。これは組合の大会の決定を誹謗しているような文章で貫かれたビラでございます。そこで労組の中央委員会で調査委員会というものが設置をされました。越えて三十四年の三月十日——従業員の疑心暗鬼がますますどうも強くなって会社が暗くなって参りました。そうでございましょう。大会を誹謗するような所在不明のビラがまかれていよいよ職場の中が暗くなったのでございます。そこで今申し上げました三十四年三月十日に職場を明るくする会というものが少数の労働組合員によって作られたのであります。その職場を明るくする会というのは、明星問題や選挙には全然関係しないということを確認しながら、ただ職場を明るくするということを目的に設けられた。そういたしますと、四月十八日に労働組合の中央委員会が設けられて、調査委員会の報告に基いて翌十九日懲罰委員会にこの職場を明るくする会の組合員を付しまして、翌四月二十日に中央委員会は挙手の採決で、統制違反者として職場を明るくする会に関係をいたしました幹部を権利停止一年ないしは半年間の処分に付したのでございます。ちょうどこの四月の二十日は県会議員の選挙が行われている最中でごさいましたし、続いて町会議員の選挙が行われました。この青海電化からも町会議員や町長に多数立候補いたしておりまするので、選挙の最中ではあり、これはこのままにしておったのでありますが、ようやく選挙も済みました六月の三日に、今度は会社側の方で、職場を明るくする会は明星派、すなわち明星セメント派の策謀に踊らされたものであり、これに乗ぜられたものであって、これは会社の経営方針に反するものであるとして抜き打ち的に懲戒処分を発表いたしたのでございます。ここにまず一つお伺いしたい問題があるのでございます。その結果、懲戒、解雇になった者が一名であります。それから出勤停止十日間加える減給十分の一が二名で、この減給一割は無期限でございます。次に減給一割が四名、これは一カ月であります。計七名の処分が会社側によって発表せられたのであります。以上の処分につきまして、六名の者は懲戒処分無効確認の訴えを提起し、新潟地方裁判所において目下係争中でございます。しかるにこれに対して組合は、今度は越えて八月の四日、こういう裁判で争うがごときは改悛の情なき者とみなさなければならないとして、右の六名を除名にしてしまったのであります。すなわち組合規約四十九条、五十条違反、こういうことなのだそうでございまして、これを除名にしてしまった。そういたしますと、今度は会社は組合に呼吸を合せまして、会社と組合との労働協約第十条、会社側は組合から除名された者を解雇する、ただし会社が不当と認めた者はこの限りではない云々のこういう協約に基いて、懲戒者六名を八月の八日付をもって解雇してしまったのであります。ここで解雇を受けた者は権利保全の仮処分の訴えを起している。これが現在までの事実の真相でございますが、われわれがこの問題を調査していきますうちにいろいろの不当弾圧の、不正な事実のあることをわれわれは明らかにすることができたのであります。 第一番目に、会社と労働組合の役員が一つになって、全く労働組合法に違反する行為のない者を処分している、こういう事実をまず明らかにいたしました。会社は、最初は会社の経営方針に違反をするという理由でこれを懲戒に処したのでありますが、次にはこれをあらためてユニオン・ショップを建前にして処分をしておるのでありますが、この処分の仕方に一貫性がないのであります。こういうことを労働省は一体どういうふうにお考えになっているか。ともかくこの会社側の懲戒には、具体的にどんな行為をしたからそれがいわゆる解雇に値するというふうなことが少しも書いてない。そこで、ここは糸魚川の労働基準監督署の管轄になっておりますので、労働者側はその監督署に訴えて出た。ところが基準署でも具体的な理由がわからないので、何度も会社に問い合せをしている。一体何でこれを首にしたのかという問い合せをしておるのでありますが、ここは私よくわかりませんけれども、大体いつもなら何か即日署長から、解雇に値するという認定書の出されるのが通例のようでございますが、これは皆さん方の方が専門でございますから、お聞きしたいのでございますが、そういうふうになっているのだそうでございます。ところがこの事件に関する限りは十日以上もたつが認定がおりない。会社から出た申請書が宙に浮いている。そうしてこんな政治的含みのあるものはどうも糸魚川の監督署でもって処置できないということで新潟の基準局にこの問題が送付せられておるということでございます。この問題も私は基準局長にお伺いしたいと思うのでありますが、こういうことについて、一体こんな事実があるかどうか。われわれの情報では、どうも基準局では認可をされなかったので、会社の方ではまた方針を変えて、今度は解雇手当を出して処分をした、こういうようなことを聞いております。なおこの町は町会議員が二十六名おりますけれども、この二十六名の過半数の十四名が会社の部長、課長クラスが占めている。町長もまたこの青海電化から出ているということでございます。このために選挙の投票は、全部じゃありませんが、怪しげだと思うやつはみんな組合員に署名捺印までもさして投票せしめているということでありますが、一体こういう事実があるかないか。なおしかしこういうことが一体許されることかどうか、お伺いしたいのでございます。他の候補者がそこに演説に行きますと、聞かせない。そういうようなことは一体会社として許さるべきかどうか。これはもうわが党の候補者はみんな経験していることでございまして、聞かせないのであります。立ちどまって演説なんか聞いていると、これは処罰に値する行為だということで、聞かせない。これは決して社会党だけじゃない、自民党も同じでございます。自民党、社会党ともに、会社側の推薦せざる候補者の演説を聞くことは相ならぬということで聞かせない。どうもこういうことが公然と行われていることを、労働省は今まで——だんだんお伺いいたしますけれども、まさかお知りにならないということは私はないと思うのでございますが、私があまり自説を言っているようでは悪いから、ここに私は資料を一部持っております。時間もありませんので簡単に一、二の事例を申し上げてお伺いいたします。 一つは選挙運動に関する事例であります。これは、青海工場の電気工作係をしておる小川金明さんという人の公述書でございます。これによりますと「工場の部課長級から町議会議員の候補予定者を十四名を立て、議員の過半数をとって明星セメント反対を一切に押し切ろうと選挙運動に狂奔し従業員は勿論家族票まで調べて投票を強要し甚だしきものは捺印までとるという有様である。上役からは白眼視され周囲からは常に警戒されているということは実に不愉快なことである。然し自分の生活のことを考えれば、反抗も出来ず本日まで我慢してきた。自分は会社には絶対に協力するのだといっても信用せず、最近ではいよいよその度を増し同僚が「君が若し本当に電化に協力するならば投票を棄権し入場券を持って来い、それによって君が協力したかどうかはっきりする」とまで言うようになった。」こういうようなことで、これは選挙干渉の一つの事例でございます。 中には、当局側の圧迫で気違いになったという事例がございます。これを一つ簡単に申し上げますると、元青海電化工員の八木ユキエさんという二十一才の御婦人が気が狂っちまった。大へんなことであります。「昭和三十三年三月電気化学工業株式会社青海工場第二工場用地として土地を提供しました。その時の条件として同年七月、四女ユキエが同工場工員に採用されました。昭和三十三年六月明星セメント株式会社の工場敷地として、土地の売買契約をしました。電化の従業員の小野清一郎、山崎健太郎、八木正義、八木良雅、元電化従業員で親戚の水沼徹等が代々連日連夜来宅し「電化の従業員でありながら、明星に土地を売ったのは怪しからぬ、明星との契約を破り電化と契約せよ」と迫られました。そのために仕事も出来ず夜もねむれない有様でした。「電化に勤めていながら協力しなければためにならないぞ」とか「会社を首になるぞ」とかおどかされ、ユキエは気が狂ってしまいました。家の者にも誰にも物も言わず、室に閉じこもって外に出ず医者に見て貰うよう色々すすめても一言もしゃべらず聞き入れません。」「三十三年十月末会社から解雇されました。今では少し落ちついたようですが、又重くなっては困るので親類の人も近ずかないことにしています。」これは気違いになってしまった。 それからこれは政党役員になったので圧迫されたという事例であります。同じく青海工場の経理課の松沢衛という人でございますが、これは自民党の支部の青年部長になったので圧迫を受けた事例でございます。これは長いのでありますけれども、こういうことも書いてある。「町内に五百名にのぼるといわれる監視員が配置され、まるでソ連のゲー・ぺー・ウー的な組織が完備されているのです。たまたま昨春以来自民党青年部の結成に努力し、時あたかも衆議院議員の選挙等もあり、これを機会に準備を進めて参りましたが、前述の通り明星問題が出てからこの件は、工場誘致賛成派の差金で動いているものだ、と云うような見方をされるようになりました。」「青年部結成の問題が電化社の上層部に知れると早速、池田勤労係長は私を勤労二階応接室へ呼ばり「自民党青年部の結成の運動は、反電化的行為であり工場誘致賛成派である。君も来年は昇格する順番になっているので会社に忠誠を尽くさないと、君の立場が不利になるから君の立場を悪くしないように、こちらでお膳立をするから会社に協力してもらいたい」等目の前に餌をぶらさげられて協力方要請された」こういうことを言っておるのでございます。 なお次は、今度は細君の教職を剥奪をするという脅迫が行われているのでございまして、これは工員の八木四之吉という人でございますが、これに対して会社側はこういうことを言っている。「それは君一人だけならよいが奥さんが学校へ勤めていることだし、今勤務評定というものもある。奥さんの方へもひびいて行って勤務評定に引掛けられて首になる様な事があれば大変だから奥さんの事も考えてやってもらいたい。それからまた別に行をあらためて、「それは電化が今の青海の教育委員会並に町制をぎうじっているから簡単に考えているが」いつでも首を切ろうと思えば首を切ることもできるのだということを考えておかなければだめだ、こういうようなことも言われておるのでございます。 なお次の事例といたしましては、社宅内における封書収集の件、これは同じ敷地の中に工員の社宅がございますが、その社宅へ参ります個人あての封書を集めてやる。中に何が書いてあるのかな、開いてみなさいなどということを言われている。これは一々御説明申し上げると時間がありませんが、こういう事例もございますし、なおこういう状態でございますから、役員立候補に対する干渉などというものは日常茶飯事のように行われている。これは昭和三十四年の五月十一日でございますが、高尾という係長が伊藤君という工員に、「伊藤君中央委員に出るな、何も言わずに」、伊藤が「何ゆえですか」と聞くと、「君が出れば職場が暗くなる」こういうようなことで、みな役につくことを当局側はやめさしたりしておるのでございます。 なお次の事例といたしましては、妻への迫害というのがございまして、これは青海町大字須沢の松沢ミツエという方です。この方は昭和二十年の四月電気化学工業株式会社青海工場の工員として入社し、庶務課のタイプ係として勤務いたしました。タイプ三級の資格があります。それが「昭和三十三年十月、夫松沢衛が自民党青海町青年部長に就任し、その党が工場誘致賛成派だということで、会社の上役から迫害を受けるようになりました。ついに昭和三十四年一月十九日に中村係長から講堂と第三会議室の掃除を命ぜられました。昨年十月以来同僚からは村八分にされ、今また掃除婦にまで落され、くやし涙にくれました。がまんし切れず、二十日から欠勤しました。」こういうわけであります。タイプ係をやめさせられまして、とうとう掃除婦にまで転落をして、同僚から話もされない、村八分にされてしまった。こういうことが行われておるのでございます。これが自民党の青年部長になったからということです。こういう例をあげていると枚挙にいとまがございませんが、これが現実に今行われているという状況でございますが、大臣並びに労政局長、基準局長のそれぞれのお考えをお伺いいたしたいと存じます。
○松野国務大臣 明星セメントと電気化学の問題は、長い間敷地買収問題をめぐりまして相当深刻な両者の争いがございました。一部のものは経済事案でございますので、公取で、不公正取引ではないか、あるいは不公正な競争ではないかという疑いで、たしかこれは電気化学及び明星セメント両者から関係の事例をすでに聴取しておる段階だと私は承知しております。内容はやはり今日のセメント業界における過当競争という意味で、一部は工場誘致を反対する、一部は当然必要だというわけで工場新設をする。敷地の内容を見ましても、まことにぶちのような敷地買収が今日行われておると私は承知しております。これは見方は経済的問題でございますので、労働大臣として是非を議論するわけには参りません。なお小林委員のおっしゃった大部分のものは選挙の問題のように考えます。これは当然選挙法の問題というのが一応外面的の問題になりましょう。ただ労働省として関与いたしますことは、職務を利用して不当な差別待遇をする、あるいは職務を利用して職務以外の命令権限を行使する、その結果その待遇及び労働条件を差別するという場合には、これは労働法によりまして労働大臣の所管になるわけであります。ただいまいろいろな事例をおっしゃいましたけれども、その一点だけは労働省として関与しなければならぬ問題だと私は考えております。 なおもう一つ、ただいまの六人の方は、ただいま裁判中のようでありますから、裁判の結論が出なければ、具体的な事例を私はとやかく言うわけには参りません。従って現実にこの問題の詳細なことはまだ私は報告を受けておりません。ただいま小林委員の非常に明細な報告で非常に傾聴すべきことだと思いましたが、現実には私は受けておりませんので、所管の局長からその問題についてお答えいたさせます。
○亀井説明員 青海電化の工場の労使関係を主体としますいろいろな問題につきまして、私らも地元の新潟県から報告が参っております。小林先生の言われましたいろいろな事例、政治的ないろいろな問題とかあるいは職場における職制の圧迫とかいろいろな事件につきましては、実は具体的な報告は受けておりません。ただ事件の経過、処分問題、こういうものを中心としました経過につきましては報告を受けております。問題は組合内部の統制違反であるかどうかという問題が一つ大きな問題であります。それとまた会社がユニオン・ショップ条項をもってそれを解雇した、この二つが労使関係としては大きな問題になるのじゃないか。具体的には今大臣から御答弁申し上げましたように、裁判所の問題になっておりますので、私らからそれに対する具体的な判断を申し上げることは差し控えさせていただきたい、かように思います。組合のいろいろな手続を見ますと、合法的な手続をもちまして除名あるいは権利停止というような処置がとられたようでございます。また会社としましては、労働協約の第十条に基きますユニオン・ショップ条項というものをもってその除名されました者を解雇しておるというふうな事実だけをとってみますと、一応その筋としましては合法的なものではないか、ただ問題が具体的な事実の判断になりますと、これは裁判所で目下判断をされておることで、それ以上のことは差し控えさせていただきます。
○堀説明員 ただいま御質問のありました件のうち、基準法二十条関係の解雇問題につきましては、労働基準監督署において所掌しておる問題でございますので、私からお答え申し上げます。 この青海電化の山岸利春という警備員に対します懲戒解雇の認定申請は六月に糸魚川の労働基準監督署に提出されて参りました。この二十条というのは、先生御承知のように、使用者が労働者を解雇しようとする場合においては三十日前に予告をしなければならない。それから予告をしないで即時解雇する場合においては三十日分の賃金を支払わなければならないという条文でございます。ただし天災地変等の場合、それから労働者の責めに帰すべき事由があるような場合において監督署の認定を受けた場合にはこの限りでない、こういうことになっておるのでございます。そこでこの二十条の即時解雇をやってよいかどうか、この認定につきましては、われわれ労働基準監督機関といたしましては、大体解雇する場合においては原則的には一月前に予告するか、一月分の賃金を払うというのが原則でありまして、これに反して即時解雇を行うというような場合には、労働者を一日もその職場に置いておくことができないというような客観的理由がなければ認めない、こういう方針で今日まできております。そこでこの六月に出て参りました解雇の認定の中には、いろいろ規律を乱したとか、上長の指揮を聞かなかったとか、その他いろいろなことがありましたが、その事実が必ずしも具体的に書いてなかったわけでございます。従いまして、申請書は出て参ったのでありますが、監督署ではもう少し具体的な事実をほしい、こういうことで調査をしておったわけでございます。そのうちに八月六日になりまして、会社側からこの除外認定の申請は取り下げる、こういう通告がございました。それと同時に除外認定の申請は取り下げて、八月までの賃金、休業手当は支払う。それから同時に一月分の解雇予告手当は支払うということで、これは供託をしたということの連絡がございました。従いまして、われわれの方からいたしますると、基準法二十条の問題に関する限り取り下げがありまして、八月六日に、それまでの賃金、休業手当、それから解雇予告手当、これらが供託されて解雇があったということに承知しておりますので、基準法の二十条の問題ではない、このように考えている次第でございます。
○小林(進)委員 私はまず大臣にお伺いいたしたいということは、今も申し上げましたように、そういう公取に違反するかどうか疑わしい工場——私は明星セメントと関係ありませんけれども、そういう誘地の問題や土地買収の問題に経営者が労働組合を利用して、そうしてどうもそういう反対運動にせき立たせることが、これはいわゆる職務以外の仕事を強要している行為であります。これは私は不当労働行為ではないかというふうに解釈をするのでありまするけれども、この点をどのように解釈されるか。 いま一つは、やはり労働組合が会社と一体となって、それは何とかいうスローガンを掲げて、企業防衛、生活権擁護というような、これはスローガンとしては労働組合の持ちそうなスローガンでありますけれども、会社と一体となって、会社の利益を擁護するという、こういう組合運動は、一体組合として正しいのかどうか。それは労働者が自由の意思に基いて会社の企業を守ることもいいでしょうけれども、労働組合としては、私は何か別の名前で、別の目的ならよろしいでしょうけれども、組合というものはやはり労使相対決していくところに、私は組合の本来の意味があると思うのですが、こういう問題は一体どうか、一つ解釈をお伺いしたいと思います。 それからいま一つは、これは大臣にもお伺いしたいのでありますけれども、私ども一生懸命で研究中でありますから、決してきょうこれで私は下るわけじゃございません。われわれはもっとこの問題は大きく取り上げて、戦いの第一弾を放ったにすぎないのでありますから、一つわれわれもまだ研究が足りませんからなんでありますが、これは糸魚川の、そういう下部、末端の公務員、行政官を誹謗するようで悪いのでありますが、真意はそこにあるのじゃありませんから、誤解のないように願いたいのですけれども、あまり青海電化の中の監督を十分におやりにならない。これは私が直接聞いたのではありませんけれども、これはいろいろな問題があります。これはどこへ視察調査に行っても、どうも職員が足りないので会社の監督を十分にできないということは、どこへ実情調査に行っても言われるところであります。手がなくて行けなかったのだろうと思いますけれども、何しろ大きな工場にはそういう不当な労働行為があると私どもは考えませんので、ついどうも手抜きをいたしましたというようなことを話をしておられたということを言われた。ところがこの青海電化には、実際われわれの知っている範囲でも、けがをして働き得ないようなものが、百三十数件の事故を起している。手をけがしたり足をけがしたりしたけれども、会社がやはり無傷で、けがでもないというと労働省の何というか、表彰だかをもらえるということで休みの者も出てこい出てこいということを言われる。会社の体裁を作るためにそういう足をけがしたり、手をけがしたりした者がみんな無理に会社へ出勤しているというのです。こういうなまなましい事実が幾つもある。そういうことを、これは私が直接調査に行ったのじゃない。今月の終りに一つ拝見に参りますけれども、われわれの仲間がそういうことを聞いている。そういうわけで、まさかそんなひどいことが行われているとは思いませんでしたけれども、何しろ大工場ですから、労働管理が十分いっていると思って、つい手抜きをしたという言いわけがあったということですが、そういう真相が一体あったのか、お知りになっておるのか、以上大体お伺いいたします。
○松野国務大臣 労働組合法及び労働関係法の趣旨といたしまして、常に使用者と対決をしろ、一緒になってはいけないということではなく、組合は使用者と対等の地位に立つ、これが労働組合法の趣旨だと考えております。一緒になってはいけないとか争わなければいけないという問題ではなしに、ともに日本経済の発展に寄与するという目的については労使ともに一致しなければならないという一致の場面もあります。従って今回の問題も、その事例にとらわれるわけではありませんが、私がかねてから拝聴しておりますことは、電気化学の青海工場の従業員というものはほとんどその青海工場の近くにおられるか、または所有地を、個人の財産をお持ちの方です。その個人の財産を、一方明星セメントは個々に買収の承諾を得るというわけで、個人の財産をめぐって両社の間で買収及び被買収という問題が起っているということであります。ただそれが組合運動として行われているかどうかということとは別個の問題である。個人財産を売ることに賛成するかしないかということが、両会社間の農地買収の問題についての今日の問題点であります。これをいかなる方法で阻止するか、これをいかなる方法で抱き込むか、これは両社ともに非常に大きな長い争いでありまして、片一方がいいとか片一方が悪いということではなしに、そういう争いが非常に激化しているという意味で、結局会社の身分を拘束する、いわば向うへ売ればお前を首切るぞという話もございましょうし、逆にお前がこれを売ってくれればおれの方に雇うぞという問題も、両々あると私は聞いております。 従ってこれは個人の財産という問題は別として、争いが非常に激しいものだと思いますが、労働組合としてこれを取り上げるか取り上げないかということは労働協約には特に明記してないように私は聞いております。あとは組合員の自主的な問題あるいは組合員相互の問題あるいは会社の社員という立場で、会社の利害をどの程度まで拘束するかという問題に帰するのではないか。その点の認定がなかなかむずかしい問題でありますから、どういう言葉を吐いたか、どういう圧迫を加えたか、あるいは労働組合に対してどういう干渉をしたかというその事例できまるのではないか。従って、いろいろな証拠物件が私のところに来ておりませんのでわかりませんが、それは裁判所で判定される、各種の証人を呼び、資料を読み、証拠を調べながらどういうことをやったかということはわかると思いますが、今日即断をいたしかねるという立場で、労働省としても非常に関心は持っておりますけれども、私どもが立ち入ってその職務の権限というものを発動するわけには参りませんので、裁判所で今やっておられるという判例を待つ以外に私たちはなかろうかと考えております。
○堀説明員 青海電化の基準法二十条に関する解雇問題につきましては、先ほど私が御答弁申し上げましたように、報告を受けております。その他の問題につきましては、これは私も大工場、中小工場の区別なく、その地におけるところの重点的な産業については監督を行なって基準法の条章を確保するということが当然われわれのなすべき仕事である、かように考えておる次第でございます。青海電化につきましてもその意味におきまして、糸魚川監督署において監督は実施していると思いまするが、なお先生お話のような事実がもしありとすれば、問題はあるように思います。この点はよく調査をするように現地に連絡いたしたいと考えます。
○小林(進)委員 この問題はなかなか、きょう一日お伺いしてそれで解決する問題でもございませんし、特に一つの会社がその町の町長並びに町会議員の過半数を占めて、町の行政を壟断するなどということも、これは全く地方自治法を作るまではおそらく政府も国会も予測しなかった新しいケースだと思うのでございまして、こういう問題はきょうも実は自治庁の長官にでも来ていただいてお伺いしたい点でございましたが、どうも手続が不備でそこに至りません。 [永山委員長退席、五島委員長代理着席〕 それは別にいたしましても、私が先ほど事例として申し上げました労働組合に対する会社、経営者の選挙干渉から、政党役員になったがために住いの圧迫をするとかあるいは役員に立つことを阻止するとかという、こういうあらゆる事例は、私は労働省、労働大臣としても決して等閑に付していただいてはならない問題だと思いまするし、今申し上げました労働基準監督局の監督に関する多くの問題もまだ残されておりまするので、以上の点は一つわれわれもこれから調査いたしますが、労働省におきましても私が申し上げました点は一つ速記録などで明確にお調へおき願いたいと思います。この次またあらためて私はお伺いいたしたいと思いまするから、書面で回答をいただければさらに幸いと思います。 以上をもちまして私の質問を終ります。
○五島委員長代理 次に多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 現在、炭鉱の危機が非常に叫ばれ、毎日の新聞にその炭鉱離職者についての救済対策の欠如が言われ、そうして民間においては黒い羽根運動が展開されて、これが愛情ある多数の協力によって展開をされておるような状態であります。 福岡県が出しました炭鉱離職者の生活実態というパンフレットを見ましても、その見出しだけをわれわれが拾い読みいたしましても、たとえば貧乏子だくさんという問題が掲げられておる。あるいはまた教育が虫ばまれているという見出しが出されております。さらに、生活保護率が全国平均の二十倍であるという数字を掲げております。さらにまたこんな収入で生きているということを書いて、そうしてその悲惨な生活状態を書いております。さらにまた、食ったり食わなかったり、こういう見出しがあって、ほとんど米を食っている者が少く、米といっても大半は加州米ないし外米である、そうして三食食っておる者は少くて、二食であるということを報じております。さらにまただんだん家具がその部屋から消えていっておるという状態も掲げております。畳の上にも雨が降るという見出しがあって、青空部落というものがあるということを書いておるようでございます。さらに、貧民病が広がっているという見出しのところには、いわゆる貧民窟特有の皮膚炎、結膜炎、トラホーム等の伝染病には住民の大多数がかかっている、これは栄養不良による皮膚の抵抗力の減退と、不潔な皮膚と、治療しないままにほっておくということが重大な原因である、こういうように報じております。さらに借金もできなくなってと、こういう見出しも見えております。さらに、ボタ山の陰にあえぐ人々という見出しで、ボタを拾って一家七人で生活しておる、こういうことも書いております。あるいは、あすは何を食べたらよいのか、こういう見出しのところもございますし、また無灯火部落のことも書いております。単に炭鉱離職者だけでなしに商店も生活保護を受けておるという実態も書いております。あるいはまた集団的な生活保護法の適用者がおる、こういうことも報じております。さらにしょうゆ御飯におかずなし、こういうテーマで取り上げておるところもございますし、組合運動に手を出すなという中小企業の労使関係をうたった点もございます。さらに賃金は未払いで、現金の支給がなくて、そうして八人で、一日麦一キロ、こういう配給しかない、こういうことを報じてもおりますし、ボロ鯨の肉という見出しでその生活の実態を訴えております。こういうように非常な悲惨な生活の実態を現出しておるわけでありますけれども、池田通産大臣も当初は、石炭については勉強させていただいております、こういうことでございまして、われわれもそれを正直に受け取っておりましたけれども、いまだ数カ月たつのに何らの石炭政策に対しての通産大臣としての、また通産省としての御意見発表がありません。 〔五島委員長代理退席、田中(正)委員長代理着席〕 ここの局長等が各地において新聞談話等で話しておりますけれども、それも最近では箝口令がしかれて、通産省としてはまだ何らの意思表示及び見解の発表をしてないということを蚕ねて大臣がおっしゃっておるような現状であります。これは私たちが推測いたしますと、貧乏人は麦を食え、あるいは中小企業の一人や二人は死んでもいいという、やはり池田さん本来の経済政策の現われではないかと思うのです。おそらく通産省が石炭政策の発表をなさるころにはもうつぶれていく、炭鉱はほとんどつぶれてしまい、首切られる労働者は首を切られて、そのあとに石炭政策の発表が行われるのではないか、こういうことを私たちは憂慮しておるのであります。ところがそれにまねてか、松野労働大臣の方から一向総合的な失業対策という問題についての発表もされないし、その実施も行われていない。大臣は就任のときの所信表明において、われわれは失対事業よりも雇用事業だということを盛んに強調されておったわけでありますが、雇用対策どころか、失対についても私たちは何らまだ見るべきものがない、かように考えておるわけであります。そこで社会不安がだんだんひどくなって参りますし、私は率直に言って、米騒動というような事態も起らないとも限らない、こういう状態になりつつあるということを非常に心配しておるわけです。現在農家等において作っておる蔬菜等を平気で持っていく、農家の人々がおっても平気だそうです、そういうような実態になっておる、食えないのだからしようがないじゃないかという、非常に気持もすさんだ状態になっておる、こういうことを聞いております。ですからこのままでいきますと私は大へんな事態を生ずると思いますし、また市町村においても現在の失対のワクあるいは条件ではとうていその負担にたえ得ませんから、ワクの増大ということもあまり考えられていない、こういう現状であります。そこで私は、岸内閣が日本経済の異常な躍進に小おどりして所得倍増論を唱えておるわけですけれども、わずか五万や六万の失業者の救済ができないということは、率直に言って政治の貧困だと思う。毎年九十万人からの雇用が増大をしている中で、炭鉱離職者のわずか五、六万の失業者の救済ができない。しかも手をこまねいてじんぜん日を送っておる、一方においては、一主婦の叫びから黒い羽根運動が展開をされておる、こういうことは私たち政治家として非常に恥かしい気持にならざるを得ない、こういうように考えるわけですが、大臣はこれについてどういう御所見を持っておられるか。さらにまた先般の参議院の社会労働委員会では、新聞によりますと、石炭産業の中で離職者を吸収するんだということを言われておる。この真意ははっきりわかりませんけれども、こういった考え方を持っておられるならば、これは精神はともかくとして、現状を全く無視された、石炭の実態を知られない議論ではないかと考えるわけです。これらの点についてます所見を承わりたいと思います。
○松野国務大臣 石炭の離職者につきましては、私がいろいろな会議で、あるいはいろいろな方にお話をいたしました。その第一としては、経済政策というものを確立することが石炭の雇用者にとっての一番の安定策である。第二番目には、石炭産業が今日不況だからといってみな失業者にされては困る。今日の石炭産業にしても、一般の公務員にしても、産業というものには五%前後の自然減耗がおのずから出てくる。従って、そういう意味に考えるならば、石炭産業の自然減耗というものと今回の離職者と有無相通ずるためにも、石炭産業そのものの雇用の増大に大いに努力してもらわなければならないということを第一段階に話しました。もちろん今日、三十万という多数の者がすべて今の石炭の産業構造の中で生きていくことはなかなかむずかしいだろう、従って、それ以上に出た場合において、政府としては他の産業にこれを吸収することが一番いいんだ。緊急あるいは臨時的なものよりも常用的雇用を求めることが労働大臣としては当然なことだという話で、次に他の産業についての雇用の道を開きたい。しかし、その過程においてある程度のものは緊急失対事業を臨時的にやらなければなるまい、実はこういう三段がまえの話を私はいたしました。労働大臣としては緊急失対ばかりをふやせばいいというわけには当然参りませんので、あらゆる面において雇用の増大をはかってもらいたいということでそういう話を私はいたしたわけであります。三十万の全部を石炭産業の中で常用雇用として抱えろというのは、今日の石炭の実情ではむずかしいと私は考えております。のみならず政府としてもある程度の整備計画をきめまして買い上げ問題を数年やっておって、ことしも延長してくれという陳情がある時期でありますから——石炭が斜陽産業だということは私も認めておるわけであります。ただその斜陽的産業をどの程度までで食いとめて、今後石炭産業としての安定した地位を確保するかということを産業政策として明らかにしなければならない。長い目で見ますと、雇用者及び労働者が不安だという意味で、産業政策の確立を願いたい、実はこういうふうな順序を追って話をしたわけであります。その中の一つが大きく出たわけで、特に私が誤解を招くような言葉を話したわけではございません。 今日の緊急な離職者の問題は、何と申しましてもその地方に事業を興すということを考えなければなるまい。ことに石炭地帯というのは集中しておりまして、石炭産業によって中小企業が栄え、野菜屋が栄え、酒屋が栄えるというふうに、すべてのものが石炭中心に興っておるのでありますから、石炭がつぶれれば、雇用者だけにあらずしてその周囲のことも考えなければならないと考えまして、その地方に事業を興すことにまず思いをいたすということで、先週予備金で決定しました二億円というのは、これは主として石炭地帯の鉱害復旧という恒久事業を興し、これに相当数の雇用者を吸収してもらいたいというのできめたわけであります。これだけではもちろん足りませんので、あくまで他の産業に転業を認めるという意味で、公営職業紹介というものを始めまして、石炭の離職者をぜひ関西地方においても雇用者として優先的に御協力願いたいということで、実は私も公営職業紹介の一端をになって、先週関西にも話に参りました。これはすでに各所において事例がございます。あるところでは災害復旧の河川改修に石炭の方に働いていただいたところが、非常によく働いていただいた。しかも、今日いまだにその雇用が継続しておるという事例もございます。石炭の方は何と申しましても長い間筋肉労働としては鍛え上げた方でありますから、他の筋肉労働者に比べれば優秀な労働力を持った方だという観点から、ぜひ一つ離職者を優先的に各産業にお願いをしておるわけであります。従って、石炭産業だけでやれとおっ離した意味では毛頭ありません。そのほかに特に他の産業に就職されるにつきましては、手に仕事を持たれることが非常に有利なことだという意味で、職業訓練というものを始めまして、田川、飯塚、直方とか、いわゆる今日の石炭の問題の地区を中心にした職業訓練所というものを、早期に覚えていただくように設けたいというのが先般の予備金の決定であります。従って、私はいたずらにじんぜん日を送っておるわけではございません。今日予算と私に与えられた権限は最大限に利用いたしまして、そうして石炭の集中的失業者に集中的な予算の配分をしておるわけであります。第三・四半期におきましてももちろん、失対事業という予算があるならばこれを福岡を中心に配分いたしたい。福岡の知事及び市長方からの陳情によりますと、やはり地元負担金がなかなか膨大になるので、これだけでは実は吸収できないという話もございまして、先般閣議の席上で自治庁の長官にも依頼をいたしました。自治庁長官も今の予算で可能な最大限までは地方財政の裏づけをするという確約も得ておりますので、今回の措置は十分この予算で消化できると私は信じて、より以上の失対とかあるいはすべての予算を石炭の問題の地帯に集中的に今日配分をしておるわけであります。 なお、石炭という問題はなかなか長い問題でありますし、また大事な基本産業であるだけに、その対策も緊急だけで間に合うと思っておりません。将来長い目で考えるならば、相当大きな政府の力が働かなければできない。現実の実情につきましては、一番悲惨な田川、直方、三池の三地区に政務次官を派遣しまして、飾られた視察にあらずして、ほんとうの姿をつい先週見てきていただきました。もちろん炭鉱の方、家族の方、子供の方みんなに直接話をして、一番悲惨なところを赤澤政務次官に約三日間見てもらいました。その報告も伺いますと、私たちはこの問題はそうそう簡単に片づく問題と考えておりません。これはおそらく労働省としてはことしの一番大きな問題の焦点に掲げておるわけであります。政府部内では全部一致した意見が出ないから、私は言葉を濁すかもしれませんが、私に与えられた範囲においては最大限にやっておるつもりであります。もちろん今日の予算の点、すべての足りないところは、今日の私の能力及び私の権限では手が届かなくて残念でありますけれども、精神としては今日はこの問題を最大の焦点として考えております。
○多賀谷委員 大臣の石炭産業に吸収するという意味は、精神はわかるわけですが、現実問題として果してそれが可能であるかどうかという点について私はかなり疑問があると思うのです。それでこの点について、今実際自然減耗で、どんどん募集をしておるというような状態と考えられておるのかどうか、あるいはまた、時間もありませんから議事を簡略に進める意味において申し上げたいと思いますが、当日の参議院社会労働委員会では、まず石炭産業の中で配置転換や他社への吸収をはかるべきだ、近く労働省から警告を発したい、こういう新聞の記事でありますが、見解が述べられた、こういうふうに書いてございますが、これはその事実はその通りであるかどうか、またこのお気持はどういうお気持か、これをお聞かせ願いたい。
○松野国務大臣 その警告という言葉が少し、私は警告という言葉を申し上げた意思はございませんし、おそらく速記録を取り寄せてみますると、警告ということはなかろうと思います。ただその中で私の念頭にありましたことは、中小の炭鉱について退職金も払わない、給料も払わないで追っ放してしまうというふうなものは、労働基準法から考えても、何らかのこれは措置をしなければなるまいという話が、あるいは警告という言葉になったか、そういうふうに新聞社の方がお聞きになったかもしれませんが、そういうことと関連して御答弁をいたしました。それは中小で退職金も払わない、俸給も払わない、いつの間にか何だか雇用なのか非雇用なのかわからなくなってしまという中小の炭鉱もあるのだという話のときに、それは非常に困ったことだ、やはり雇用契約を持って、労働基準法もあるのですから、それについては労働省としては何らかやっていかなければなるまいという意味で、あるいはそのときに警告とい言葉を言ったかどうか知りませんが、大企業の内部において、すべて石炭の雇用を吸収しろ、しからざれば警告するという話じゃありませんでした。そういう趣旨じゃありませんでした。それは質問者の方にも二つの問題があったわけであります。従って今日やはり石炭業者そのものの中におきましても、非常に連帯的な大きな動きが起きておりまして、ただ一つの炭鉱だけを焦点にするわけにはいかない。石炭協会内部におきましても、最近は相当相互的な横の動きがあって、ある程度私の趣旨に沿うような方向に今日いっておると私は拝聴しております。もちろんまだ結論は出ておりません。従って石炭産業お互い同士、おれはよその会社だから知らないということでなしに、お互い全部——もちろん全部が悪いのですが、悪い度合いが違う。非常に悪い石炭もあれば、ある程度経済状態がいい石炭もあるのですから、いいところはそういう悪いところをある程度雇用面においては助けなければ無理じゃないかという意味を私は申し上げたのであります。そう四角四面にどの会社、どの会社といことは差し控えますけれども、そういう気持を私は今でも持っております。ただ警告の話は多少違っておりまして、中小企業では俸給も払わない、雇用も少い、退職金も払っていない、そういううやむやな問題については、何らか私の方でもその場合にはその問題を処理しなければなるまいという二つの問題がありまして、ただしかしその新聞紙面は少し私は違っておると思うのです。私もさっそく実は速記録を取り寄せて調べましたけれども、そういう趣旨ではございません。
○多賀谷委員 実は今大臣は、経営者内部でも連帯的な動きがある、これを雇用の面にも及ぼしたい、こういう御意向のようでした。私は非常にけっこうだと思うのです。現在一般炭の山と原料炭の山では非常に状態が違いまして、原料炭の山はむしろ増産態勢に入ってきておる。ある山のごときは、かなり大手でございますが、日曜に出勤をして、一つ公休返上をして増産をしてくれぬかという申し入れもあったという事実、組合の方はそれをけっておりますけれども、そういう動きすらあるのですから、私はそれはできない相談ではないと思う。ですからそれは大臣がそういうお気持であるならば、私は率直にそのお気持を披瀝されて、そういう御指導をなされば、私は決して不可能ではないと思うのですが、業界の方にもそういう御指導をなされるつもりであるか、ただ委員会だけでお話しになってもどうにもならないのでありまして、業界の方にそういう指導をなされるつもりであるか、また政府としてもそういうお考えであるか、お聞かせ願いたい。
○松野国務大臣 業界に指導という言葉が——言葉は指導かどうか知りませんが、業界のその当事者の方、私のところに会いに来られる方には、みんな今のような気持を申し上げております。ただ業界の大会とか、そういう意味ではございません。私のところに来られる方はみな同じような話で、お互い相互産業という意味で石炭の雇用問題は御解決願いたい、また新しい雇用をなされる意味においても、ある意味においては熟練工なんです。石炭の過去における経歴者、その意味においても労働条件、労働力というのは上質のものが得られるじゃないかというふうな場合は、事ごとに、事あるたびに私は実は申しておりますが、私が命令を発動するという権限が果して私にあるかどうか、それにまた私が雇用の強制をするわけには参りません。その言葉はうまくないかもしれませんが、私に与えられた範囲においては最大限に、また私の方の労働省の局長、事務当局を通じまして、同じような趣旨で今日やっております。
○多賀谷委員 私は、いつも政府の政策として発表され、また大臣がこういう委員会でそういうお話をされる以上は、かなり積極的にやってもらわなければ困ると思う。ただ相談に来る人にそういう意を伝える程度では、私は実際問題として行われないだろうと思う。現実そういう方向に残念ながら雇用問題はいっておりません。ある会社でも、A、B、Cと炭鉱があれば、Aという炭鉱は老朽山である、あるいは一般炭の山である、そうすると、BCに移動することを好まないのです。それはなぜかというと、若い労働力を雇ってきた方がいいから、同じ会社内部でも現実はそういう状態なんです。ましてや他社の者を自分のところでかかえるというようなことは、今の石炭経営者の頭ではやり得ないし、やらないだろうと思う。ですからこれはいやしくも大臣が委員会でその政策の一環として、大きな柱として言われる以上は、それの指導をしていただかなければ私は効果がないと思う。言われてもほとんど実際行われないだろうと思います。
○松野国務大臣 私としてももちろんそのような方向に指導もいたしますし、私の権能がある限りやります。同時にこれは組合内部におきましても、いろいろな議論があるかと私も実は拝聴しておるわけであります。やはりみんな今日非常に隆盛な産業とはいえませんから、おのずから組合内部においても新しい雇用ということは、お互いの労働条件、あるいは企業の採算ということも、それは組合も非常によく研究しておられるでありましょうし、私は、一々この組合はいい、この組合は悪い、この会社はいい、この会社は悪いと個々に言うならば、これはある程度可能、不可能が出て参りましょうが、石炭業者すべて一律に私が申し上げますには、おのずから私の言葉、私の働きというものもそういう場面に局限されるということも仕方がなかろう、全部に私が政策的にやるということは、強制雇用を私が権限でやるというわけには参りません。私の気持としては、私が苦労したのは離職者のことであります。一人でも離職者を少くしてくれ、この気持は、あらゆる機会に私は自分の気持を貫いて参りたい、それには石炭業お互い横の連絡も考えていただきたいというのが当然じゃなかろうかと思っておりまして、今後も御注意に従って、私のでき得る限りあるいは私の職務、権能のある限りその問題を進めて参りたい、また私でできなければ他の閣僚の方にもお手伝いしていただいて、同じ方向に進んで参りたい、こう考えております。
○多賀谷委員 今離職者対策をいかにするかという大きな問題の前に、私はその離職者の出ることを防ぐということが最大だと思います。ですからこれを積極的に一つおやりになっていただきたい。私は、組合内部に問題がある、こう言われますけれども、組合内部は問題ないと思います。それは、そういう話は一回もない。ことに同じような大きな組織を組合は持っているのだし、その組織内で動かすということになれば、喜んで組合は引き受けるわけです。それでなくて、あるいはそういうことは万々ないでしょうけれども、新しい別個の労働力を入れるという場合においては、あるいは組合はそれについてかなり長期計画を出すとか、将来についての保障をせよ、こういう問題が起るかもしれませんけれども、今他社に働いている同じ炭鉱労働者を自分の会社に入れるということについて組合が反対するということは私はないと思う。ただ大臣が頭の中でそういうことがありはしないだろうか、こういうように考えられて頭のよさを示された点については、そういう感じもないことはないでしょうけれども、現実はない、私はこういうふうに思います。 そこで一つ努力していただきたいと思いますが、今でも募集をしておる炭鉱がある。こういう不況のときでも募集しておるのは今でもあるのです。ところがそれは、先ほど警告という問題が出たと思いますけれども、とにかくその炭鉱に行きますと、その炭鉱は三カ月ぐらい賃金が未払いなんですね。ですからそこの炭鉱に入坑しましても、三カ月後にならなくちゃ賃金をもらえない。そこで募集をしておるものですから行くわけですね。そうして働いておるうちに、これは賃金は三カ月後だそうだというので、一週間ほど働いたらやめてしまう。そのことをいいことにして、現実には営業を続けておるのですよ。はなはだしきは、そういう炭鉱に職業安定所がそのあっせんをしたということもあります。現在私は、今の段階では実はまだそのことは聞いておりませんが、三十年にはそういう例が非常に出たわけです。しかし私は今の段階で職業安定所があっせんをしたということは聞きませんけれども、そういう形態で賃金を払わないで使っておるという状態が現実にある。ですから、こういうものについては私は、それこそ警告をすべきであるし、また基準局や安定所を通じて、そういうところについては重大な処置をとっていただきたい、こういうように考えるのです。この点について……。
○堀説明員 最近の不況の状況が原因になりまして、中小炭鉱におきまして賃金の不払いを生じつつあるところが出てきているということは、御指摘の通り事実でございます。これはただいま大臣が御指摘になりましたように、政府として総合的な対策をとって、その一環として解決さるべき問題であると思いますが、われわれ基準監督機関の側といたしましても、やはり賃金はあらゆるものに優先して払われることが必要である、こういう観点から、不払いの場合に、その支払い計画を提出させて、これをなるべく解消させるという方向で、監督機関としては努力を続けております。 なお安定所との関係でございますが、最近におきまして、このような状況にかんがみまして、監督署、安定所等との間に常駐の連絡の会議等も設けまして、この関係につきまして今のお話のような不合理がないようにいたして参りたい、このように考える次第であります。
○多賀谷委員 賃金が払えないものですから、主食だけを一かた働けば幾らとくれるわけです。それに対して労働組合の方は憤りを感じて、中には坑内で倒れた人もある、そこで組合を作ってそれに対抗しようとした、ところがその組合を作った連中を解雇をして、新しい労働力を持ってきた、賃金も払わないで、新しい労働力を持ってきて、社宅を追い出そうとした事件がある。これは名前は申し上げませんが、現地に聞かれれば十分おわかりです。こういうようなひどい炭鉱があるのですから、一つ十分厳重に取り締ってもらいたい、私はこういうように考えます。 そこでもとへ返りまして、先ほど大臣は、その地域において、すなわち不況地域において事業を興すということが肝要である、こうおっしゃいました。私はこれは非常にいいことだと思うのです。ビヴァリッジも、労働者をして、新しい仕事を求めて彼らの家庭を去らしめるよりも、労働者のところへ仕事を持ってくる方が一そうすぐれておる、こういうことを言っておる。ところが、その地方に事業を興すということは非常に大きな命題で、よかったのですが、お話しになった実際のことはみみっちく、鉱害復旧事業と、こうおっしゃいましたから、私は非常に期待がはずれたわけです。大臣のテーマは、不況地域に事業を興すのだ、こうおっしゃいましたから、これはかなりいい構想で、かつての英国の特定地域の改良法案とか、あるいは最近の工業配置法案とか、あるいはアメリカの不況地域再開発法案、こういう構想ではないか、こういうことで期待をしましたところが、出された問題は鉱害復旧、そして大体国の費用が二億円、地元負担が一億七千万円で、二千五百人ほど使うという、こういうえらいみみっちいお話で、いささかがっかりしたわけです。そこで地方に事業を興すというものの考え方、不況地域に新しい事業を興す、これは政府が相当の努力をしなければできないと思います。英国やあるいはアメリカのように、現在かなり完全雇用であると言われておりますところでも、地域的な失業者は非常に出ておる。労働力の移動ができない。こういうことについて、法律を作ったりその他の措置によってやっておるわけですが、これについては、大臣はどういうふうにお考えですか。
○松野国務大臣 鉱害復旧を先般閣議決定しましたのが、これがまず第一段目のロケットであります。それから第二段は、この年末までに、もちろんこの予備金で間に合わないというときには、さらにこれに継続して問題を解決していこう、実は最終的に三段目が、来年から、九州にはいわゆる九州地方開発促進法という法律もあり、地域的に開発法というのがありますから、それにあわせて、失業者の吸収も必要でありましょうが、その事業そのものも、やはりその地方に有効な事業を行うことが都合よかろうというので、それが実は最終的な三段目のロケットになるわけでありますが、私が申しますのは、その三つを含めて申し上げたわけで、鉱害復旧だけでいいという意味では毛頭ございません。さしあたり本年の予算内でできる、あるいは本年予算の計画の中に鉱害復旧が入っておりましたから、これを進めて雇用者を吸収しようという意味でありまして、もちろん大きな事業計画といえば、本年の予算ではとても間に合いませんので、三十五年度予算の編成に着手しておりますから、地方開発計画とあわせて、雇用計画をその地方に進めて、その事業を興そう、さしあたり北九州で申しますれば、鉱害復旧も必要でありましょう、河川改修も必要でありましょう、道路もありましょうし、港湾もありましょうから、そういう恒久的な大きな公共事業を北九州及び集中的な平や北海道に持って参りたい、こういうのが実はすでに石炭対策としての私の構想の中に入って、各省にもただいま連絡しているわけであります。従って鉱害復旧だけが、恒久産業あるいは地元産業の開発ではありませんので、さしあたりこの第一段の緊急対策として、鉱害復旧と職業訓練と広域職業紹介というものをやったが、これが最終ではございません。本年予算あるいは本年の可能な限度という中で、緊急対策の中でやったわけであります。その辺は、どうぞ一つ私の説明が足らなかったところはあらためてつけ加えさせていただいて、御了解願いたいと思います。
○多賀谷委員 そこで労働力の慢性的な過剰地帯ですね。これについて新しい産業を起すように政府で援助する、こういうものの考え方はないのですか。今各国で行われているのは、新しい産業の誘致、古い産業から新しい産業へ労働力を移動さす、こういうことが非常に問題になっている。しかも労働力の移動というのは、政府がかなりやりましても、あまりうまくいかない。ですから、どうしてもその地元で吸収しなければならぬ、吸収する産業を興さなければならぬということが言われているわけです。これについては、どういうお考えですか。鉱害復旧なんか逃げないから、そうしてこれは恒久的な事業といいましても、大臣も御存じでそういうことをお話しになっただろうと思いますが、効果のある事業ではありますけれども、そういう産業ではないし、そうしていわば補償的なものですから、これは当然やっていただかなければならぬと思いますし、またすぐ効力の現われるものですからけっこうですけれども、そういう他の新しい産業を誘致する、それに政府が援助する、こういうものの考え方はないのですか。
○松野国務大臣 今回たまたま政府が長期の経済計画等の策定をするということでありますし、私の方の労働省としても、長期経済計画に合せた労働雇用の長期計画をただいま省内で準備しています。これはもちろん多賀谷さんおっしゃるように、雇用の長期的な安定をはかる意味で、もちろん日本全部の総合的な雇用であると同時に、地域的な積立がなければ、日本の総合雇用対策というものは立たないのではなかろうか、こう考えて、地域的及び産業別に分けまして、長期経済計画に合せる雇用の長期計画というのをただいま策定いたしております。その基礎は、あくまで地域的なものと産業的なものとかみ合せて、その地方にどういう産業が起るか、これにはどの程度の雇用が吸収できるかということを合せながら産業計画と合せていくことが、一番安定したものではなかろうかというので、目下そういう方向に労働省のすべての労働経済を集中的に検討しておりまして、いずれ皆さん方に御発表できる機会もあるかと存じます。まだそこまで策定は全部完了しておりませんけれども、方向は多賀谷さんの御指摘のように、地域的な雇用というものをまず焦点に考えて参りたい。なおある程度雇用の移動ということも考えなければならない。ある程度考えなければ、これはいきなり雇用のところに全部産業を持ってきてという——産業立地条件も考えなければならないし、その雇用の移動のために必要があるならば、ある程度の失業保険法あるいは失業保険の中に、転業資金とか移動資金というようなものを考え合せながら、雇用の移動の方を考えていかなければならない。この二つを実はあわせ今度の経済計画の中に入れたいと考えておるわけで、今日まだそうこまかいことまで御説明できませんけれども、私の方向は多賀谷さん御指摘のような方向にぜひ日本の雇用政策というものを確立して参りたい、こう考えております。
○多賀谷委員 日本の雇用問題というのは、不完全就労の問題もありますけれども、やはり地域的な労働力過剰地域ができてきておるという点は、私は非常に問題であると思う。ことに炭鉱地帯とか、駐留軍がおりました地域というのは、そういうことが言われるわけです。ですからこれは、私は労働省あたりで積極的にこういった方向で努力していただかなければ、通産省あたりになりますと、効果のよい、能率のよいというところに工場を集中する、こういうことに重点がどうしてもいきますから、労働省あたりでこういう問題はやっていただきたい、かように思うわけであります。しかし大臣のお話ですと、ぼかして私の言う方向だとおっしゃいましたけれども、えらく抽象的なお話をされますが、不況地域再開発法のようなものを考えられておるかどうか、こういうことも的確に御言明願いたいと思うのです。その方向でというようなことでは満足できないのです。
○松野国務大臣 さしあたり今日は、私のみならず政府全般として、炭鉱の離職者というのはいわゆる雇用問題の焦点でありますから、この方向については今日すでに着手いたして、そうして地方の炭鉱労務者及び離職者対策というものは集中的にその地方開発の中に入れて、今日政府は前進しておりますが、その他の地域はどうかと言われますと、まだ今日産業政策及び長期計画がきまりませんと、どういう産業が今後発展するか、どういうふうに輸出入の貿易との関連があるのか、まあいろいろございます。そのほかにもう一つはっきりいたしましたのが、実は農林大臣がたびたび話しておられます農業の過剰人口の問題も相当長期的な不完全雇用でありますので、これを完全雇用の中に吸収して参りたい。産業構造を見ましても、日本は第一次産業の農業が非常に多い。諸外国の中でも、一番とは言いませんけれども、インドあたりはもっと多いのですが、近代的な国家の中では日本はまだ四二%ぐらい農業に雇用者が集中しておるということは、農業政策の圧迫にもなりましょうし、また不完全雇用者というような者を常に農村にかかえるということも、これはよいことでありません。この一環として農林省で二、三男対策、私の方では農村の不完全就労の吸収という立場でこの対策を来年度予算の中に組み入れたい。実は両省では一致しておりますので、これも一つ地域的な対策の一つとして私たちは発表しても間違いないのじゃなかろうか、こういうふうに考えて、いろいろな場面を考えながら今日まで検討しております。
○多賀谷委員 私は不況地域の再開発法とも言うべき、あるいは工業配置法とも言うべきものの考え方は、残念ながらいかに炭鉱離職者対策に集中をしておるといっても、今の政府の考え方から見出すわけにはいかないのです。あまり農業の所得の格差の話をしておりますと時間がないものですから略しますけれども、どうもそういう考え方を残念ながら現在の政策の中でも見出すことができない、こういうように考えるわけです。 そこで私は続いて質問をしたいと思いますが、職業訓練といいましても、問題は日当だと私は思うのです。率直に言いましても、職業訓練をするといっても手当をやらなければ生活できないのです。ここに私は問題があると思うわけです。ですからこの問題を解決をしなければ、いかに職業訓練所を設けても意味がないと思う。なるほど若い労働力ですと、私は職業訓練というのは非常に意味があると思う。ところが問題は、今三十才から四十才あるいは四十五才というのは中年です。少くも三十才から四十才の人間を対象にして職業訓練をしなければならぬ。これはみな世帯主です。この世帯主を対象にして職業訓練をしなければならぬということになりますと、一体日当やその他の問題はどうするのか、これはできません。いかに職業訓練所を作りましても、若い労働力なら来ますけれども、世帯主は来たくても来れない。これは一体どういうふうにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。ベルギーでは、やはり日本と同じように、一万九千名からの炭鉱離職者が出るという。そこでベルギーでは六カ月間訓練をする、その六カ月間職業訓練をする間に、やはり一律に日本の金で二万円程度の金をやっておるのです。ドイツは御存じのように、石油の関税をさらに増加しまして、その関税の額が三億マルクといいますから二百五、六十億ですか、この金額をもって転業資金とかあるいはその他の職業についた場合、所得の少い場合に当面の所得補償あるいは失業手当、こういうものを出すことにしておる。ところが日本ではいくら職業訓練所を作っても、私はその手当の問題を解決してやらなければだめだと思うのですが、それについてどういうお考えですか。
○松野国務大臣 ただいまの失業保険法は、もちろん勤続年数によりますけれども、大体平均しますと、六カ月ということが失業保険の限度であります。職業訓練の場合になりますと、あるものは八カ月、あるものは一年、もちろん四カ月という短期のものもございますけれども、大体失業保険の六カ月の限度内では職業訓練所に入りましても生活ができない、従って途中で退所するかあるいは最初から入らないという傾向がございますので、職業訓練所に入った場合には、ある程度失業保険法の運用あるいは一部の改正ということが出てこなければできないのじゃなかろうか。またもう一つは、かねてから御心配いただいております、つい先般来皆さん方から非常な強い御意見が出ました登録失業者につきましても、職業訓練ということに希望があって入所したいという方がありますならば、これもやはりある程度日給、手当というものを与えながら漸進的に雇用の道を広げるという方法も考えなければならないと存じますが、これは臨時失業対策法の、法律そのものの問題がありますので、これはいずれ皆さん方に法律の問題として御相談しなければ、私がここで独断的にこれを改正するとか、大丈夫だとか言えませんけれども、そういうこともあわせ考えてやらなければ多賀谷さん御指摘のようにできないかと存じます。ベルギーと同じように日本もやれることを総合的に考えておりますので、まだその発表まで参りませんけれども、非常にいろいろなことをおっしゃいましたけれども、そのうちの一、二のものは私の所管外のものもございますので、近いうちに関係大臣と諮りまして、おっしゃるような趣旨のように私はぜひ努力して参りたい、こう考えております。具体的に何だと言われますと、私の所管外の話で困りますけれども、ただいまおっしゃった中にも、非常に傾聴すべきものもあるし、私ども実は考えているものもあります。しかしこれは私の口から言うと多少影響がよけいなところに出てしかられますけれども、しかしおっしゃるような方向に段階的に私は進めて参りたいと思います。一、二のものは関係各省に連絡をしているわけです。まだ結論が出ませんので、私は今日ここで明言ができませんけれども、おっしゃるようなことを関係各省に連絡しております。失業と訓練と、もう一つは離職者に対する対策という中におきまして、総合的に考えなければならぬものも私はあると存じます。
○多賀谷委員 失業保険の一部を改正するというのはどういうことなんですか。その失業保険中に訓練を受けさすというのですか。それとも延長するというのですか。それとも切れた人はどうするのですか、そういう点を一つ明確に御答弁願います。
○松野国務大臣 第一は、失業になったらすぐに入所ということを考えていただきたい。もちろん時間的にずれがありましょうから、その位置とその方向がきまるならば、切れたあとでも職業訓練所に入所中の者について失業保険の継続的支給という考えであります。切れてしまったものが今から入るんだというのではおそ過ぎるから、できればなるべく失業保険中に訓練を受けてもらいたい。入ってから切れた場合には失業保険というものを伸縮させることが一番妥当ではないか、そういう考えであります。もちろんこれを全面的に吸収できるかどうか、保険経済の問題もありますので、ある程度私は失業保険法の改正ということで、この問題を解決することが一番妥当じゃなかろうか、こう考えております。
○多賀谷委員 それは今からの人はけっこうです。私はそうしていただきたいと思う。ところが今現在あそこに何万の人間が停滞をしているわけです。これを他の産業に吸収する、これがまず第一先ですよ。今からの人も必要だけれども、今までの人が必要ですよ。ですからこれについて、訓練手当といえばちょっと名前は必ずしも妥当でないかもしれませんけれども、その手当をやらなければ意味がないですね。ですから今後の対策としては、私はそれができればかなり職業訓練が徹底すると思いますが、問題は今停滞をしておる失業者をどうするか、これについてはどうですか。
○松野国務大臣 ただいま、これは福岡の例をとりますと、すでに失業保険の切れた方、あるいは失業保険の継続中の方、あるいは今後離職者となられる予想数、三つの段階が今停滞の中にあるわけであります。もちろんどれをどうだというわけに参りませんけれども、できれば失業保険の受給中の方がこの対策の対象となることが一番妥当じゃなかろうか。将来離職者というものは私たちは考えておりません。さしあたり今日失業保険の継続中で、そうして新しい職業について訓練を得たいという方をまず優先的にやるべきじゃなかろうか。もちろん、実は今北九州を調べますと、離職者のある方は、自分で自営をやりたいという方も出ております。従って離職者がすべて再雇用というわけには、年令的にそれは違います。そういうものを勘案して考えまして、失業保険の受給者でさらに新雇用に求めたい、職業訓練もやりたいという方が今日の一番切実な問題じゃなかろうか。古い人をほうっておいていいというわけじゃありませんけれども、古い方は古い方なりに相当自営業に転業された方も——古いほど転業が多いのです。新しいほど就職希望が多いのです。統計を調べて参りますと、やはりことし離職されてただいま保険の継続中で、新しい道を求めたいという方が、今日実は非常に切実な中核体をなしておると思いますので、そういう者を対象にやって参りたい。古い人はいいのだというわけじゃありません。古い方は古いなりにおのずから自営その他のパーセンテージが上になっております。一番大事な問題は失業保険受給中の方で、将来の転業及び生活の面を心配されておる方が統計的に一番多いのですから、それを対象に考えて参りたいと今日念頭に考えておるわけです。きめたわけじゃありませんが、どれが一番いいかということはもちろん今から検討いたしますが、私個人の念頭からいうとそういう報告を受けておりますので、ここを中心にやればいいと考えております。
○多賀谷委員 しかし私は今失業保険を受けておる人、これはけっこうだと思うのですが、問題は失業保険の切れた人も現実は、労働力が古いという意味じゃないのですから、ただ早く解雇されて政策が間に合わなかったということですからね。その人たちだってほとんど再雇用を希望しておると私は思います。そうしてことに拾い仕事といいまして、臨時の仕事がなくなってきた。ですから結局訓練を受けて再雇用をしてもらいたい、こういう希望が相当強いと思うんですよ。ですから私は失業保険でその再訓練をする、こういうことはよろしいと思うのですが、このアイデアを一つ延ばして、今離職をしておる者を再訓練する場合に、やはり訓練手当というものを出す方を考えていただきたいということですね。これをしなければ労働力の移動というものは非常に困難だと私は思うのです。 それからもう一つ、転業の話をされましたね。これは自営業だと思うんです。私は転業についても第一に、訓練と言えるかどうかわかりませんが、その職業についての補導が必要じゃないか。これはどのくらいかかるかわかりませんけれども、やはり補導が必要じゃないか。それからそれについては転業資金というものを見てやる必要がある。この点についてはどういうようにお考えですか。
○松野国務大臣 過去におきましては転業資金というような問題も非常に手抜かりな問題が大へんございました。大体を言いますと、退職金というのが転業資金に当てはまるのが、一般の健全な産業ではそうなるべきものだと私は考えております。今回石炭のような場合、特別な経済不況に見舞われて、しかも非常に多数の場合ということになれば、これは会社ももちろんその責任の一端を負わなければなりますまいし、政府もただ安閑としているわけにはいきますまいから、おのずから新しい政策として考慮すべき問題だとは考えておりますが、ただ私が今日ここでどうだと言うには、まだ各省間の意見が一致しておりません。
○多賀谷委員 労働省としてはどういうつもりですか。
○松野国務大臣 会社としては責任を負うべきものだ、政府としてもこれについては何らかの手助けをするべきものだ、ここにどういう機関を作るのか、あるいは新しいファンドを作るのか、いろいろな構想が出てくるかもしれませんが、そういうことを相勘案してこの問題を検討しなければなりません。健全な企業ならば退職金というものは当然転業資金に当てはまるべきものであります。ただ退職金も出せない、あるいは俸給も遅配だというような、こういう特別な立場に立った、しかも相当社会的に影響のある産業という意味ならば、これは政府も何らかの対策を考えるということが妥当ではなかろうかと考えておりますが、まだ私一人の口から言うわけにも参りませんので、私自身は何らかそういうものも構想の中に描いております。
○多賀谷委員 かなり退職金のもらえるような炭鉱の場合は非常にいいのですが、こういう炭鉱は大体買い上げの対象にならぬのですね。現実に今必要とされているという場合には、買い上げの対象としての離職者の場合はそういう状態にはないと思うのですね。一例を申し上げますが、筑豊炭田に加茂炭鉱という炭鉱がある。この炭鉱は買い上げられまして、事業団が支払った金額が三千六百万円ある。ところが鉱害の補償があります。これは大臣御存じのように鉱害復旧による補償でありますが、その復旧分が千六百九十三万、さらに打ち切り分というのがありまして、これが大体二千万、そこでその事業団が支払った金額から鉱害の分だけは優先的に差し引きますから、マイナスの九十一万円、こういう状態になっております。ですから労働者の債権は全然もらえない。労働者の債権が幾らあるかと言いますと、ざっと二千万円あるのです。二千四十三万円の労働者の債権がある。従業員が三百三十人くらいですから、一人七万円近い賃金債権があるのです。一銭ももらえないのですね。現実はこういう事態なんですよ。賃金優先支払いどころか退職金も何ももらえないのですよ。一銭ももらえない。賃金ももらえないのです。こういう現実なんですね。未払い賃金ももらえない。さらにまた退職金ももらえない。この炭鉱は割合に古い炭鉱ですから、十五年、十六年勤めた人がある。この連中が一つも退職金をもらえない。こういう状態が現実に起っておる。ですから退職金で転業をしたり移動をしたらいいというが、現実には今の筑豊炭田、あるいは常磐炭鉱あるいは北松炭田あるいは宇部炭田の一部において行われている炭鉱買い上げによる離職者という問題は、こういう悲惨な現実にある、こういうことを考えていただきたいと思います。ですからこれを対象に対策というものが練られるべきではないか、こういうように考えるわけですが、これについてどうですか。
○松野国務大臣 炭鉱買い上げは、おのずからそこの資産及び埋蔵量によって買い上げ料というものがきまるのですから、その経済的法律と今日の労働法と必ずしも一致しないところが、御指摘のようなところが出てくるのじゃなかろうか。しかしすべてが何もかもこの通りの状況だとはいえませんので、やはりある程度の資産内容がいいものは、もちろんすべてがゼロになってしまうというわけではありません。もちろん退職金というものが含まれてこれを買い上げるという規定になっているのです。少くとも退職金及びそういうものが含まれて計算され、一応そこの買い上げ価格というものに入るわけです。ただその会社が非常に不良だったために、そういう他の債務の方が優先するということは、これはあるかもしれません。全然その退職金というものを払わないのだという基準で、買い上げの合理化法というものができているわけじゃございません。たまたまその会社の炭鉱はほかに優先的債務が多かったからとうとうもらえなかったという事例がおそらく御指摘の鉱山にはあるかと思いますが、全部が全部だというわけじゃありません。おのずからやはり退職金というものを勘案して合理化法というものが買い上げ価格の決定の一つの基準にはなっていると聞いております。しかしおっしゃいました加茂炭鉱の事例については、基準局の方でよく調べて私の方からもう一度御答弁するか存じませんが、ただいま加茂炭鉱のことについては私は聞いておりません。
○多賀谷委員 大臣、現実に鉱害復旧費を除いたら全然労働者に払う金額がないといった場合に、どうされますか。この炭鉱は去年の八月に大体買い上げの折衝をしておる。そして労働者は去年の八月に首切っておる。もちろん失業保険をもらいました。しかし労働者の方は債権がありますから、どうせいずれ払ってくれるだろうと思って待っておった。失業保険も全部切れておるのです。そうして自分で期待をしておった、長い間坑内で働いた賃金というものはもらえない。こういう場合において、大臣が労働者であったらどうしますか。現実これはどう処理したらいいですか。
○堀説明員 これは石炭合理化法制定の際に問題になったところでございます。そこでただいまお話の事例については私も今初めて伺いますので、これはさっそく調査いたしたいと思います。合理化法の三十三条、三十四条等によりまして、いろいろその関係の規定がございます。また賃金につきましては三十四条といたしまして事業団が代位弁済するというようなこともあるわけです。この点は合理化のための事業団の事業の一つでございまして、通産省の方でその監督はしておるわけでございまするが、現実にただいまお話のような事例がありましたことは初めて伺いましたので、この点は通産省と連絡いたしまして調査いたしたいと思います。
○多賀谷委員 全く法律はあっても適用されないのです。代位弁済するといいましても、代位弁済する資金がないのです。これはどうにもならないのですよ。しかしこういった事案は幾らでもあるのです。ですから退職金なんかまるまるもらったというのはほとんどないのです。こういう状態である。こういうことを一つ考えて、これについて私は何らか賃金債権の優先をして、それを見合いに政府でも代位弁済をするという方向を考えられなければ——これはまだ労働者に知らしてないのです。知らしますとこれは大騒動が起るのです。私はこの写しをもらってきたのですが、おそろしくて話ができないのです。これをもらうためにこの労働者は一年間待っていたのです。ですからこういった問題を今後どう扱うか、今後多く出てくると思うのです。ですから私はそういった労働者を対象の政策を組んでもらいたい、かように思うわけです。そこで、転業資金も将来においては政府として貸すようになるわけですか。
○松野国務大臣 非常な不況な産業として石炭というものも整備する以上は、何らかの形でこの問題も解決しなければなるまい。ただいま多賀谷委員の御指摘のような事例がますます出てくるならば、当然そういうものも対象として考えねばなるまい。ただしこれはあくまで経営者も普段からの経理上の問題としてある程度の負担をしなければならない。退職金はすべて政府が持つんだというので、非常に野放図な経理をやられてはたまりません。何らかのブレーキをかけまして、政府としてもこれに手伝いをしていきたいというのが今後の問題です。過去のいろいろの不合理な問題がおそらく——ただいまのお話を聞きますと、私も実は心配になってきたわけで、その事例は初めてお聞きするわけです。そういうことも各省とも関連がございますので、よく検討して考えて参りたい。おっしゃるように何らかの形で——賃金優先ということを労働省ではかねてから考えておりますけれども、民法の改正か何かないとなかなかできない。民法の改正になりますと、やはり企業内の債権債務あるいは融資、金融いろいろな面に関連して参りますので、労働省だけの法律改正じゃございませんけれども、これはかねてから労働省が主張しておる賃金の最優先、もちろん優先の方には入っておりますけれども、まだ優先がもう一つ先にあるものですから、順序がほんとうの最優先の言葉通りになっておらない。労働省としてはあくまで最優先という気持はかねてから変っていません。しかしこれは民法の規定の改正がないとできないものですから、労働省だけであるいは労働大臣だけでこれをするとかせぬとか言えませんけれども、私の方は賃金の最優先、ことに賃金という労働者の債権を守るためには必要だと思っておりますけれども、これは政府部内の関連省ともまだ調整が済んでおりません。そういうものも私は必要のような感じを抱いております。
○多賀谷委員 第二の問題は、私は住宅の問題だと思います。昭和初年の不況のときは、炭鉱から追い出されますと、その離職した人はほとんど炭鉱地帯を去っていったそうです。ですから人口も減る。小学校の子供も減ったそうです。ところが今日はそういう状態にないわけです。結局一つは職業を見つけることが困難であるということと、もう一つはやはり住宅である。住宅問題というのが一番大きな深刻な問題ではないかと思うのです。ことに今炭鉱に住んでおる人々は、親子三代にわたって住んでおるという。それは昔は筑豊やその他の炭田にはいなかったかもしれない、あるいは鹿児島や宮崎やその他の地区から集まったかもしれないけれども、もう親子三代、代々炭鉱に労働者として働いておるという人たちは、移転先がないわけです。もう一つは、終戦後食糧と住宅を与えるということで人を集めたわけです。ですから引揚者等の方が非常に多いわけです。ですから食糧と住宅を与えるということで人を集めたものですから住宅のない人が集まっておる。ですからこれを移動さすということになりますと、どうしても住宅という問題を解決してやらなければならない、こういうふうに考えるわけです。そこで聞くところによりますと、パイプ住宅のような話もありますけれども、私は家族と別居をして職業を求めても、これは家庭の悲劇を増すだけだ。最初のうちは仕送りはしておりますけれども、そのうちに仕送りが途絶える、こういうようなことにもなるわけです。そこで私は住宅政策というものは災害対策のような考え方をなさったらどうかと思うのです。災害のときには、第二種公営住宅は三分の二国が補助してやるわけです。三分の一はその地方公共団体で見ておるわけです。ですから私は災害時における公営住宅的な考えをもって政策を進められたらどうか、こういうように考えるわけですが、この点どうですか。
○百田説明員 今御質問の住宅の問題につきましては、炭鉱地域における離職者を移動するという観点から、お話のあったように家族ともどもということになると絶対に必要なことだと思います。さしあたりの措置といたしましては、工事現場の飯場の建設ないしは簡易住宅の建設というようなこと、また今お話の出ましたパイプ住宅というようなこともわれわれはぜひやっていきたいと思いますが、家族の住宅ということになりますと、やはり一つは一般住宅対策ということと結合してやる必要があろうかと思います。計画的にどこに何人ということが可能であります場合におきましても、これを直ちに建設して云々ということは非常に困難であります。従いましてわれわれといたしまして今考えておりますことは、一つは駐留軍対策のときに実施いたしましたように、さしあたり第一段階としてはその職場の飯場なりそこの住宅というものに入ってもらう、現在やっておりますのは、そういう形でやっております。ところが都市地域におきましての場合には、駐留軍の場合のように、一定の住宅の見つかるまでのたまりといったようなものを駐留軍については日吉に建設いたしております。ああいったようなものを考えまして、第二段階の措置といたしまして、そうしたものが非常に多くなった場合に、今お話しになったような第二種公営住宅との結合ないしは失業保険、福祉事業による住宅対策といったようなものを考えていきたいと思います。あらかじめ住宅と職場をここに幾らということを予定することは非常に困難な状況にありますために、われわれといたしましてはそういう準備だけは進めておるわけであります。
○多賀谷委員 これはやっぱり住宅問題を解決してやらなければ、労働力の移動というのは非常に困難だと思うのです。これは率直に申しまして一種の災害ですから、災害のときには国が三分の二見るわけですし、あとの三分の一をその地域の市町村に見させるというのが困難ならば、別な方法で今問題になっておる炭鉱の援護協会でも何でもけっこうですから、それが負担する。こういう構想を持って住宅問題の解決をしなければ、幾ら政策を口で言ってみても、やはり不況地域において労働者が停滞をして、慢性的な労働力過剰の地域が出てくると思う。これは解消できない。ですから住宅問題については、労働省で真剣に考えていただきたい、かように思うわけです。
○田中(正)委員長代理 午後二時まで休憩いたします。 午後一時三十二分休憩 ————◇————— 午後二時十四分開議
○永山委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。 質疑を続行いたします。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 次に私は公共事業の失業者の吸収率についてお尋ねいたしたいと思うのです。今度鉱害復旧事業として三億七千万円の予備金支出があったわけでございますけれども、これをしさいに検討すると、二千五百名の就労をするというけれども、実際は、今度の三億七千万円で失業者就労人員が増加した分というのは千七百名ではないか。それが、従来の失業者の吸収率が農地においては一三%から二四%に上ることにして、それによって約七百八十名の増を見て、そして二千五百名という数字が出ておると思うのです。果して鉱害復旧のような特殊的な事業において吸収率が上るかどうかというのには私は非常に疑問を持っておるわけですけれども、これについてどういうようにお考えですか。
○百田説明員 御指摘のようなことはあろうかと思います。公共事業自体につきましても、現在吸収率をきめておりますが、従来の石炭離職者の吸収につきましても、いろんな事情からいたしまして必ずしも十分にいってなかったということは確かに事実でございます。しかしながら、一方において相当な国費を出しながら、片一方においてそういう仕事があるのに吸収をしないということは不適当でございます。やはり、われわれは、新しく予算を追加支出すると同時に、従来の十分にとった吸収そのものも、もう少し行政措置によって強力にやっていく必要があるのではないかということは一般公共事業についても考えておるわけであります。鉱害復旧事業におきましても、これは通産省でいろいろとその具体的な吸収の見通し等もつけられたわけでございます。それに基きまして、そういう趣旨のもとにやったわけでございます。全部が全部従来の率による新規吸収というわけではございません。
○多賀谷委員 私は、従来の事業を継続していくのでなくて、新しい事業としてならば吸収率を上げるということも考えられるわけですが、今までの事業の継続分について吸収率を上げているわけですね。ですから、今まで働いている人はやめていかなければならぬという状態になるんですよ、今の吸収率の上げ方というものが。増加分についてのみ吸収率を上げておればそういうことはありませんけれども、そうではなくて、すでに上期から施行している事業について吸収率を上げているのですから、実際としては、私は、七百八十数名の人間というのは吸収できないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。これについては、二千五百名という数字があげられておりますから、私は、一つ責任を持ってこの二千五百名の吸収をしてもらいたい、こういうふうに考えます。 それから、公共事業全般について労働者の吸収率が非常に悪いのでありますけれども、私が労働者と申し上げますのは職業安定所あっせんの労働者の意味でございますが、これについてはどういうような処置をお考えになっておるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
○百田説明員 安定所の紹介する失業者の吸収率が公共事業において悪いという問題については、一つには、地理的な問題、あるいは労働者の能力がこれに適合しない、あるいはその他の問題もあるかと思いますが、労働省といたしましては、まず第一に、本年の四月に決定いたしました措置に基きましても、どうしてもここまでは吸収してもらわなければ困るということで、今度の対策もあわせまして強力にやっていきたい。そのためには、地域的に遠隔地に就労させなければならぬという問題につきましては、たとえば輸送費の問題あるいは簡易な飯場の問題といったものをあわせて考えていく必要がございますので、これに対する措置は、不十分ではございますが本年度においてもいたしてあるような次第でございます。しかしながら、単なるかけ声だけではだめでございますので、下半期において新しく事業が拡大する面も相当ございますので、仰せの通り、今までやっておった分についてはそれをさらにということは困難ですが、拡大する分につきましては、そういうふうな措置をあわせ講じまして、最善の努力をいたしたい、こういうように考えております。
○多賀谷委員 大体、今公共事業全般として安定所あっせんの失業者の吸収率はどのくらいになっておりますか。
○百田説明員 ただいま詳細な資料は持っておりませんが、御承知のように、市部、郡部によって違っておりますし、技術者とか有技能者とかいった立場でも違っております。われわれの期待するところよりもはるかに下回っておりまして、平均が六〇%としますと、二、三〇%、こういうような程度であります。これは主として地理的な関係であります。
○多賀谷委員 実は、役所によりますと、こういうことを言ったらどうかと思いますが、事後承認というような形で、あるいは失業者であるからというので入れた場合もありますし、統計というものは必ずしも正確ではありませんけれども、私はこの際、百万円なら百万円の費用単位の労働者の吸収率を、熟練、未熟練と分けて一つ出してもらいたい。たとえば、河川なら幾ら、港湾なら幾らという表があると思いますから、これを出していただきたい。それからさらに、事業別の、職業安定所あっせんの失業者の吸収率を一つ至急に出していただきたい。これをお願いしておきます。 それから、今まで非常に問題になりましたのは、政府が出しました失業対策事業というのが、結局、絵にかいたもちどころか、むしろ非常に欺瞞的なものであったというのが、今まで合理化法案のときでも問題になったわけですね。国鉄も見えておりますけれども、問題になっておりますのは、いつでも例に引き出されますのは、川崎—油須原線です。合理化法案が出ましたときに、川崎—油須原線という鉄道の新設が失業対策事業として大きくクローズ・アップしたわけです。そのときに西田労働大臣は、ピーク時には三千名使うということを国会で答弁されたのですが、実際には現在三名しか使っていない。それはお茶くみ三名というんですが、失業者は三名しか使っていないのですよ。結局よそから労働者を雇ってきて請け負いがやっておるという実情です。これは労働省にその責任の大半があるのです。実は、労働省の方で失対の予算を組んで鉄道の方へ移管するというお話があったのです。ところが、そのことが後においては結局国鉄独自の予算ということになったものですから、国鉄の方でも、そういう経緯がありますから、失業者の吸収ということについてはあまり考えなくてもいいという線が出ておるのではないかと思うのですが、こういうことのないように一つ努力していただきたい、かように思います。 次には狭義の失対事業でございますが、これを一つ全額国庫負担をされたらどうかと思うわけです。これは、法律ができておって、第九条に、「失業対策事業は、国が、自らの費用で、又は地方公共団体等が、国庫から全部若しくは一部の補助を受けて、実施する。」、みずからの費用で、全額持ってもいいという建前になっておるんですから、この法律があるにかかわらず、今まで全額持った例がないというのは非常に遺憾に思うのです。失業者の発生状態の平均以上出ております地域については全額国庫で負担する、こういう考えを持たれていないかどうか、これをお聞かせ願いたい。
○松野国務大臣 今日でもある程度高率適用というワクでやっており、三分の二か五分の四までの適用ということは、地方財政を勘案してその趣旨に沿ってやったものだと存じます。もちろん、全国で府県で約五つ適用をしております。市でももちろん今日まで相当数高率適用しておりますが、全額国庫負担というような考えは、まだ今日私は持っておりません。なぜかと申しますと、事業主体が、国が事業主体になるよりも、市町村が事業主体でやることが、その町村に当てはまった必要な仕事をするのに適するのじゃなかろうか。もちろん、大きなものから小さいものとございますけれども、その地理及び必要の度合いを一番よく知っておる県及び市町村が事業主体になって自分の県内及び行政区域内の仕事をすることの方が能率的に妥当だと考えて、政府が全部やるところまではいっておりませんが、補助率の適用の引き上げということは、今日でも高率適用が考えられて実行しておるわけです。それと同時に、緊急な場合及び非常な場合には、市町村にその財源の裏づけをするということを今日でもやっておるわけで、国が直接やるということは、事業主体そのものに問題もございますし、果して国の責任でその事業を選ぶかということもございますし、そういうようなことで、今日は事業主体は地方団体が妥当じゃなかろうかというふうに考えております。
○多賀谷委員 実は、失対法は、国がみずからの費用でという場合と、地方公共団体が国家から全部補助を受けてということも書いてある。ですから、事業主体は、私は今まで通り公共団体でいいと思うのです。ですから、全部補助を出してという、こういう適用をされたらどうか、こういうことを言っておりますし、また、ある限度以上やった分について全額国庫負担でされたらどうか、こういうことを言っておるわけです。なるほど高率補助がございますけれども、現実の問題は、福岡県で例をとりますと、福岡県はあります。ところが、市に例をとりますと、大牟田、田川、直方程度で、あとは高率補助の適用は受けられません。鞍手町のごときも、やりたくても高率補助の適用を受けられないというのは、そのほかにシビヤーな条件があるわけです。ですから、町村としては、どんなにやりたくても、高率補助の適用を受けておる事業をやるという状態には財政上立ち至っていない。ですから、かなり財政が豊かなところはいいのですけれども、豊かでない市町村は高率補助の適用を直接受けられない、こういう状態になっておることを一つ考えていただきたい、こういうふうにも考えるわけです。
○百田説明員 失対の補助の問題につきましては、お話のように、法文上は第九条におきましてそういうふうになっております。いかなる場合に高率補助をするかということになってくるわけです。現在、福岡県におきましては、お話のように、三十三年度において約二千万円の高率補助適用追加分を出したわけでございます。失対の財源といたしましては、大臣からもお話がありましたように、普通交付税について相当程度市町村の財源を見ておるわけであります。それと同時に、高率補助制度におきましては、基準財政需要額に比較いたしまして一定率以上の失対事業の負担をしておるというところにつきましては、現在そのこえる部分につきまして高率補助をいたしておるというようなことになっております。お話のように、県におきましては今のような状態でございますが、筑豊地区におきましては、現在たしか直方地区、他の地区におきましては大牟田市がこの適用になっておるわけであります。われわれといたしましても、この高率補助制度のやり方自体につきまして検討を加えておるわけでございまして、特に今回のように多数の人が筑豊地区に出る、一地方の財政では相当困難であるというような問題もございますし、福岡県では全額補助にしてほしいということでございますので、その財政状況について、自治庁——われわれもそれに重大な関心を持っておりまして、われわれはまず高率補助をしてもらいたいということで現在内部で相談いたしております。現在自治庁が責任を持って福岡県の財政についての検討をしておるというような段階であります。
○多賀谷委員 問題は、町村あたりで失対をやりたい、しかも高率補助を受けたいというのが受けられないという実態。これは八十名という限度があって、八十名以上をしなければならない。ところが、八十名以上やる余裕は町村としてはないのです。こういう貧弱町村がある。そこで、問題は、八十名をこえなければできないことになっていて、結局四十名か五十名に終ってしまっておるから、そこでその高率補助の適用を受けられない、こういう実態なんです。これも一つ考えていただきたい、かように思っております。 次に、例のマル石の復活です。結局、炭鉱離職者の場合は、現在の日雇い登録という制度の特例を設けていただきたい、こういう考え方。これは、合理化法案のときに、今までの日雇い登録労働者というのは一世帯から一人、こういう原則があったけれども、これは不適当であるというので、全員炭鉱離職者は日雇いの登録ができるという制度ができておったのですが、現在なくなっております。そこで、現在の抽出調査でございますけれども、たとえば福岡県の抽出調査によりますと、大体、生活保護法の適用を受けておる人で、稼働労働力があるのが八七%いて、そうして労働力のないのが一三%という現状で生活保護を受けておるというのです。八七%も稼働労働力があって生活保護を受けなければならぬというのは、これは私は労働省の責任だと思うのです。厚生省としてはよく見てやっておるわけです。八七%も稼働労働力があって、それが生活保護法の適用を受けなければならぬというこの実態は、私は労働省の責任は大きいと思うのです。しかも、そのうち、労働力が一世帯二人ある場合が二四%、一世帯三人ある場合が七%という数字が出ておるのです。ですから、少くとも三一%の人は、あなたの方の失対登録の今までの条件でいきますと一人しかできないというわけです。三一%は全然恩恵を一人しか受けられない、こういうことになりますから、このマル石制度の復活ということをぜひやっていただきたい、かように考えるわけです。
○百田説明員 この点につきましては、いつかもこの委員会で御答弁申し上げたと思いますが、そういうふうに考えたいと思っております。ただ、先ほど大臣からお話がございましたように、石炭離職者につきましては、一般失対で吸収していくということは適当ではないんじゃないか、従って、何か、今の適格の基準の問題につきましても、補助率につきましても、あるいはまた資材費等の関係につきましても、やはり特別にここに考えていく必要があるのじゃないかというふうに事務当局としては考えておるわけでありまして、これらの点につきまして政府部内で目下研究調査中であります。
○多賀谷委員 一体いつやるのですか。私はこの質問をしたのは一年ほど前だと思うのです。そして、あなたは、やりっますと、こうっいうことでした。ですけれども、今まで相当の期間がたっておるにもかかわらず全然行われてないのです。これは簡単なことなんですよ。昭和三十年の合理化法案が出ますときには、全員失対事業にもいけるようにしますということで出発したのです。そのうちになくなったわけです。それで、この復活というのは、それほ公共事業の問題もあるでしょう。公共的な産業への吸収もあっるでしょう。しかし、こういう簡単なことがなぜできないのか、非常に不思議に思うのです。
○百田説明員 石炭離職者について今の形のままでやりますことは、一般に対するいろいろな影響、ほかにも波及することにもなりますし、これを全部やるということになりますと、これは非常にむずかしい問題になって参りますので、われわれは、できればこれを区別してやっていきたい、こういうふうに考えておりますために現在まで実施しておりませんが、早急にそういうふうな考え方で実施したいという気持は持っております。
○多賀谷委員 これは初めて行うものではなくて、すでに昭和三十年の合理化法案が通過する際にそういう言明をされた。そういう制度があったわけです。その制度があったのに、勝手にあなたの方で取り消された。ですから、この復活というものは、私たちから言うならば、昭和三十年の合理化法案が通過したときの条件を守ってもらいたい、こういうことです。こんな簡単なことをなぜ遷延しておられるのか、私は非常に理解に苦しむわけです。 さらに、大臣に申し上げたいのは、今までいろいろ承わったのですが、問題は、私は可及的すみやかにやらなければだめだと思うのです。これが問題だと思うのです。来年度の予算というのは、なるほど今予算折衝をされておりますけれども、四月一日から出発する問題じゃないと思うのです。少くともこの十月ごろからやらなければ間に合わない問題ですよ。一方においてはどんどん買い上げは進捗しております。さらに、買い上げもすでに締め切った量以上に申請が出ておる。こういう状態の中で、しかも大手では首切りが起っておる。早く対策を樹立しなければならないと思う。来年の予算までに緊急にやる仕事があると思う。一体いつから出発されるのか、総合対策というのはいつ出せるのか、これを御明示願いたい。
○松野国務大臣 応急対策としては、さっそく三十四年度の失対費用につきましては緊急に他の調整を繰り合せて集中的に石炭の離職地域に持って参ります。なお、つい先週決定しました予備金支出もすみやかにこれは実行いたしますから、九月、十月、おそらく十月中には予算の消化が全部できると思っております。もちろん、中には建築という問題がありますから、建築のものは多少時間がかかるかもしれませんが、現在できるいわゆる鉱害あるいは公益事業というのは、さっそく十月中にはその効果が現われると思っております。従って、可及的にということは、私も実は可及的にと思っております。この成果が十月、十一月には出てて参りまししょう。その成果を見て、さらに足らないところを補って今年は参りたい。従って、すべて来年の予算にゆだねるということではございません。緊急対策はすでに予備金支出によって十月、十一月に成果を上げる。その結果を見て、十一月、十二月はさらに新しい予算あるいは予備費の問題も出て参りましょう。また緊急な対策を続ける。いわゆる恒久ということは第三段目に出て参りますが、これは三十五年予算でなければ見通しと成果というものは出て参りません。三十五年予算は政府は年内にきめるという方針を立てておりますが、部内で固まらなければ予算計上にはならないかと存じます。従って、臨時対策も恒久対策もともに一応年内にきまらなければ来年の四月に間に合いませんので、年内に臨時的なものも恒久的なものも、ともにきめなければならないということになっております。
○多賀谷委員 さらに申し上げたいのは財源の問題ですが、財源の問題については、私は、その利益を受ける人々がかなり負担をすべきであると率直に思うわけです。利益を受ける人々というのは、残った炭鉱の人々もそうでしょうし、あるいは重油の問題もあると思うのです。また重油を使う側の問題もあると思うのです。ですから、そういった利益を受ける人々の負担並びに政府の補助金と相待ってこれを行うべきである、こういうように考える。昭和三十六年度以降の合理化法案の財源が御存じのように昭和四十二年まで残っておる。これの使い方についていろいろ論議をされておるわけですが、こういった財源もやはり総合的に有効に使うように研究をしてもらいたい、かように要望をしておきます。 次に私はベンゾール中毒問題についてお聞かせ願いたいと思います。最近の新聞に毎日のように職業病たるベンゾール中毒の問題が出ない日はないくらい出ております。それから、ラジオの国民の声として朝七時前に行われております投書欄の声も、非常にこの問題を取り上げておる。結局、一体政府並びに政治家は何をしているか、一口に言いますとこういうことですね。ですから、われわれとしては、この対策に万全を期さなければならない、こういうように考えるわけです。 そこで、時間もありませんのであまり深くは聞きませんけれども、ベンゾール入りののりというものについて、一体従来どういうような処置をとってきたのか、こういうことを一点お聞かせ願いたいと思います。 さらに、ベンゾールのりあるいはベンゾールそのものを使っておる雇用関係にある労働者、すなわち工場等についてはどういう処置をされておるのか、それから、今問題になっております家内労働者といいますか、雇用関係にない労働者についてはどういうような対策をとられつつあるのか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。
○堀説明員 ベンゼンにつきましては、これを常時使っておりますると、あるいは白血球の減少であるとか、あるいは頭痛、目まいから、さらにいろいろ局所の障害を起すというような重篤の症状を来たすものでありまして、これの予防につきましては、まず第一に、労働基準法の適用対象である事業場につきましては、この一年以来労働基準局における職業病予防対策の最重点をここに置きまして、各地の基準局、監督署をして監督指導さしておるところであります。 これにつきましては、第一に、環境測定を実施いたしまして、ベンゼンを使用しておる事業場について、果してベンゼンの有害ガスがどの程度にあるのかという測定をいたしまして、これが一定限度以上ある環境におきましては、環境の改善のため、あるいは通風あるいは換気施設というようなものの整備を行わせておるところでございます。それから、第二番目に、ベンゼンを使う作業に従事しております労働者につきましては、健康診断を励行して、その早期発見に努めるということを実行したわけでございます。それから、第三番目に、原料であるベンゼン、特にベンゼンのり等につきましては、 この中に含まれておりまする毒性がどの程度であるかということをはっきりさせるために、なるべくこれに対して表示を行わせるということ、それから、できれば、ベンゼンのり等につきましては、これにかわる代替品を使用させる、こういうことを中心に指導をしてきたところでございます。 しかして、特に最近東京都内において問題になりました、ベンゼンのりを使っておる方々が職業病を誘発するという問題につきましては、基準法の適用労働者だけでなしに、基準法の適用のない家内労働者も非常にあるわけでございます。そこで、労働省といたしましては、このような事態にかんがみまして、ベンゼンのりを使用する小規模事業場の労働者、それから家内工業の従事者を対象といたしまして、労働環境改善のための巡回指導を実施するということにいたしまして、実はこの十六日から毎日実施しておりまして、ただいまも実施しておる状況でございます。その環境指導におきましては、一方において東京都衛生局において健康診断のための巡回検診を行なっておられますが、これと対応いたしまして行うものでございまして、内容は、労働環境の測定を行う、それから、労働環境改善のための技術指導を行う、それからさらに、現在使用しておりますゴムのりの内容の分析を行う、あるいはその他労働環境改善と一般健康についての相談に応ずるということを現在無料で実施しつつあるわけでございます。 このようにいたしまして、家内労働者につきましても労働基準法の適用事業場に準じまして今後指導を強力に行う方針でございますが、これと並びまして、やはり問題は、これは通産省との関係もございますが、ベンゼンの多量に含有されておるのりを使用するところに問題があるというふうにわれわれも感じております。そこで、これにつきましては、東京都におきましては主要メーカーを最近集めましてベンゼンのりにかわるべき適当な、毒性の少い接着剤を使わせるように呼びかけて指導を行なっているわけでございまするが、これは実施されている場合もありまするし、あるいは、そのような指導を受けてレッテルを張りかえたが、やはり毒性のあるものが出回っておるというような声も耳にしておりますので、これにつきましては、巡回指導その他を通じまして、現在使っておりまするいろいろなのり製品がございまするが、これを回収しておりますので、その内容の分析をなるべく早く行いたい、このように考えております。その結果を得ましてさらに第二段の措置を考えてみたい、このように思っている次第でございます。 それから、健康診断の結果起ります、要するに療養を要するというような症状の方々につきましては、基準法の適用事業につきましては、労災保険によりまして、あるいは基準法そのものによりまして、使用者に療養させるということをやらせるわけでございますが、家内労働者については、これは遺憾ながら現在ではこのような法的根拠がありません。そこで、これにつきましては、厚生省と連絡いたしまして、医療保護を弾力的に実施してもらうということでお願いをしてありまするが、厚生省におきましても、この医療保護を弾力的に行う問題につきましては、今いろいろ実施方法を検討しておられまして、近く実施に移されると聞き及んでおります。 それから、以上のようなことが応急の対策でございまするが、やはり、私は、今後におきまして、問題は、この家内労働者につきましても法的規制を行うような根本的な対策も考えられると思うのでございまして、この問題につきましては、この秋のうちに、学識経験者その他関係者にお集まり願いまして、家内労働の問題について調査及び法制等の問題について検討を行う調査会をなるべくすみやかに発足を願いまして、この恒久的な問題については御審議をわずらわし、その結果を待ってさらに抜本的な対策を立てる、このように考えておるのでございます。
○多賀谷委員 このベンゾール慢性中毒というのは、放射線障害による血液病に似た症状を呈する、こういうことが医学雑誌に書いてあります。そうして、ベンゾールは骨髄を冒し再生不能性貧血を起すのであるが、患者の顔色が悪いこと、皮膚に斑点ができること、頭痛、食欲不振などを訴えてくる、白血球及び血小板の減少が著しい、赤血球もまた減少する、こういうことが書いてある。そうすると、結局治療というものは輸血なんですが、これは非常に費用がかさむと考えるんですが、一体補償問題については厚生省の医療保護という弾力的扱いをしてもらうということで足りるのでしょうか。
○堀説明員 先ほど申し上げましたように、労働基準法もしくは労災保険の適用を取ける従業員につきましてはこれは労災の面によって療養のため必要な措置をなさなければならない、このように考えます。その方針で今後も処してもらいたい、このように考えます。 それから、家内労働者については、先ほど御説明をいたしましたように、現在その根拠法規がありません。従いまして、応急対策としては、厚生省に対して医療保護の弾力的適用を求めるという方針で、厚生省に検討をお願いしておる段階でございます。恒久問題としては、家内労働法問題を調査審議することによりまして、将来あらゆる問題をひっくるめた総合的対策の樹立を検討しなければならない、このように考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 問題はやはり将来の家内労働法の問題ですが、私は、法律を作る前に、現在の労災法の適用を受けさしたらどうか、こういうように思うわけです。たしか、けい肺の場合も、一人親方といって、雇用関係にない労働者の適用を受けさせた便宜的処置があったと思うのですが、このベンゾール中毒の場合もそういう適用を受けさせたらどうですかね。
○堀説明員 けい肺の場合につきまして、石工等についてそのようないわゆる組合を作らせて擬制を行うというような措置をとった例もございます。ただ、家内労働者についてこの擬制を行なって労災保険料を納めさせるということになりますと、やはり保険料の分担というような問題が生じてくるわけでございます。これらの問題もありまするし、また、石工等の場合と違いまして、家内労働者は、御承知のように現在全国で大体八十数万存在するのではないか、このように伺っておりますが、これらと関連いたしまして法律的にいろいろな問題を生ずると思います。現状では、この問題について検討はいたしまするが、非常な困難を伴うと思います。従いまして、現状におきましては、やはり、基準法その他に基く法的な保障が得られないものにつきましては医療保障を弾力的に行う、この方法が最も手っ取り早い方法であろう、このように思います。
○多賀谷委員 その問題はちょっとあとにしまして、大体空気中の恕限度はどのくらいですか。
○堀説明員 空気中の恕限度は、実はここ数年前までは百PPMというものを恕限度にしておったのでありますが、百PPM以下でありましても、やはりこれを長期に使っておりますとこのベンゼン中毒症状を起すというような事例が報告されておりますので、実はこの一年来は百PPMを大体二十五PPMくらいに下げるというところに目標を置いて指導を行なっておるところでございます。
○多賀谷委員 普通の工場にはこういう中毒症状は起っていませんか。
○堀説明員 普通の工場におきまして最も徹底的にこれを行うためには、局所吸引排出装置というような装置を行いますると、この恕限度ははるかに下回るわけでございます。問題は、このような装置を行う資力がないような小企業及び家内労働者にあると考えるわけでございます。これにつきましては、通風、換気を励行することによって、空気中に含まれておるベンゼンのガスを相当減少させることができるわけでございますが、やはり、これを常時行うというような点についてはなかなか励行も期しがたいと考えられるわけでございます。中にはよく励行しておるところもございますが、やはりこれは、根本には、一つはベンゼンというものの毒性に対する労使双方の理解をさらに深めていくPR活動が必要ではないかと思っているわけでございます。従いまして、そのPRを強化させることによって、今のようなことを、いろいろ苦しい面もありまするが励行していただくということをまず第一に行わなければならないと思うわけであります。しかし、それと同時に、やはりベンゼンのりのうちに含まれておりまするベンゼンの量というものを減らす、そうして比較的通風、換気の悪いような環境におきましても今のような恕限度を上回るようなことのないように環境を改善していくことが必要ではないか、それと同時に、材料を改善していくことが必要ではないかと思うわけでございます。この面につきましては、ただいま、メーカーに対しまして、ベンゾールにかわる代替品を使ってはどうかということを強く指導しておるわけでございます。これと同時に、現在の実施状況について巡回指導その他を利用いたしまして内容の分析その他を現存行なっておりまするので、これらの成果をにらみ合せた上で、必要とあらばさらにもう少し強い規制を考えていきたい、このように思っているわけでございます。
○多賀谷委員 各国の法制を見ますと、最低賃金法の出る前に主として家内労働法というのが出て、家内労働者の低賃金を規制するという面から最低賃金法はむしろ出発しておるようでございます。その中で、西ドイツ法なんかを見ますと、連邦政府は議会の承認を経て従業者の生命、健康、風紀に対し重大な危険を伴う家内労働を法律、命令によって禁止することができる、こういう規定を設けておる。私は、環境を変えるといいましても、環境指導というのはどうしても限度があると思うのです。工場あたりでも資力のないものはできないというくらいですから、ましてや、内職とか、専業にいたしましてもそういう形で行われておる場合に、環境を変えるといいましても、私は不可能ではないかと思う。あるいはまた、そういう仕事は自分の家庭でしないで、どこかのいわば寄り場というものを別に作りまして、そこでやるかというような問題も起るでしょうけれども、実際問題としてはこれはあまり成果を見ないのじゃないか。そこで問題は、ゴムのりの使用禁止、あるいは、使用禁止という点までできなければ、家内労働に出すことの禁止、どっちかを選ばなければならぬと思うのです。収入の面はありますけれども、これは別に考えなければならない問題として、事人命に関する問題を扱う場合に、単に収入がいいからということだけでは済まないと思うのです。ですから、これについてはどういうようにお考えですか。
○堀説明員 実は、ベンゼンのりの問題につきまして、私どもも、これを使っておられます実際の主婦の方その他にもお会いしていろいろ御懇談を申し上げたのでありますが、率直に申し上げまして、これにつきまして私どもが最も頭を悩まされる問題は、その会見の際におきましても、主婦の方は、これを禁止するというようなことによりましてわれわれの職場をなくなすということは絶対にやってもらっては困る、こういう非常な切実な叫びをなされたのでございます。しかしながら、この点につきましては、ただいまお話しのように、これを常時使っておりますと非常に重篤な職業病を起すというようなことになると思います。ただいまのような、職場をなくさないということと、今のような、毒性を持つ材料をいかに措置していくかという、この二つの面から考慮しなければならない、そこにわれわれの最も頭を悩ましておる問題があるわけであります。 そこで、現在の措置といたしましては、まず第一段といたしまして、メーカーに対しまして、ベンゾールを含むのりは使用を行わないで、かわりののりを使ってもらいたいということを現在呼びかけて指導しておるわけであります。そこで、果してこれらの措置が円滑に行われておるかどうかという問題につきましては、先ほども申し上げましたように、巡回指導その他によって、現地に参りまして、現存使われておるのりの分析その他をやりつつあるわけであります。これらをにらみ合せまして、ただいまのような根本にある職場を奪わないということとからみ合せながら、これにかわる代替品を使わせていくという方向に向って検討を行いたい、このように考えます。
○多賀谷委員 トロールを入れてベンゼンのかわりにするというお話もありますけれども、実際はベンゼンの方が早くかわくから能率がいいわけでしょう。だから、これは実際問題としては私はできないのじゃないかと思うのです。できないというのは、従業者も毒性を知っておりながらベンゼンの方が能率が上るからそちらを選ぶ、こういう方向に行きはしないかと思うのです。ですから、ベンゾール入りののりは全然製造しないのだ、ここまで踏み切らなければ今のことはできないと思います。これは一体どちらの方向へ行っておるのですか。
○堀説明員 ベンゾールの入ったのりを製造しないということは望ましいことであると思います。そこで、これらの問題について目下通産省ともいろいろ協議をしておりまして、現在のわれわれの呼びかけは、ベンゾールの入ったのりは作らないで、かわりのものを配給してもらいたいということをメーカーに呼びかけております。そこで、この第一段の措置が果してうまく行われるかどうかということとにらみ合せながら、しからば、その次に、これだけでも工合が悪いときには、さらに、ただいま言われましたあるいは使用を禁止するというような法的措置を講ずることも必要になってくるかもしれませんが、問題は、これを一気に禁止することによりまして職場を奪うということが起きないよう代替品を使わしていく、そのかわりに、その裏づけとして、ベンゾールの入ったのりは製造しないように、こういうことを目標にして現在指導を行いつつあるわけでありまして、この実施状況をもう少し分析してみまして、必要とあれば第二段の措置も検討してみたい、このように考えております。
○多賀谷委員 ベンゾール入りのゴムのりの使用禁止ということはできるのですか。まず技術的にできるのですか。それから、能率を非常に阻害するのですか。また法律上はどうなんですか。
○堀説明員 実は、ベンゾールのりを使わないで他の代替品を使うということになりますと、能率は確かに悪くなります。そこにまた一つの問題があります。しかしながら、能率は落ちても、このベンゾールのりを常時使っておることによって生ずる悲惨な状態というものを考えますならば、やはり若干の能率の低下は忍ばなければならない。そこで、代替品を使うように指導していきたいと考えておるわけであります。 それから、その次に、法律的にどうかという問題でありますが、法律的には、労働基準法の適用事業場につきましては、安全衛生規則その他によりましていろいろな規制を行うことは考えられます。しかし、家内労働も含めてどういうふうに処置していくかということになりますと、法律的にもいろいろな問題があります。ベンゾールそのものは、のりを別にいたしますれば、たとえば御承知のように塗装関係の事業であるとか、その他各工場、事業場において現在広く使用されておりますので、ベンゾールそのものを禁止するということは、これはできないことでございます。従いまして、しからばベンゾールを含めたのりを製造するという場合にこれを禁止することができるかどうかという問題になるわけでございますが、これは技術的にいろいろむずかしい問題があるわけであります。これらの問題も総合いたしまして、技術的、法律的にいろいろな困難がありますが、われわれといたしましては、まずメーカーに対しまして、ベンゾールのりは配給しないで、かわりになるようなのりを配給してもらいたいということを呼びかけておりますので、この成果を見定めながら、今のいろいろな技術的困難あるいは法律的困難がありますが、第二段の対策が必要ならばさらに検討して参りたい、このような予定で現在指導を行なっておるわけであります。
○多賀谷委員 これは、のりだけでなくて、塗料なんかの被害は出てないですか。
○堀説明員 のりでございませんで、ヘンゼンそのものを使うことによって、やはり密閉された環境においてこれを使用する場合に中毒を起したというような事例はあります。これは労働基準法に基く安全衛生規則その他によって現在も指導を強力に行なっております。それに反すれば基準法違反になりますので、基準法の適用のある工場、事業場においては、防護基準等を設けて、これに従わせていくということによって防止をなし得るものと考えております。
○滝井委員 関連して。あとで私も少しベンゾールのりのことを聞きたいのですが、今ちょうど私の聞きたいと思う問題に触れておりますからお尋ねしておきたいのですが、業者の方に代替品を使わせるということを盛んにおっしゃっておるのです。ところが、その代替品だといって持ってきたものを使ったならば、また中毒が起ったという例があるわけです。そこで、今度はそれをどこかで分析をしてもらいたいというので大学その他に持っていきつつあるわけです。ところが、これがなかなか簡単に分析がいかないというような問題が出てきておるらしいのですよ。こういう点は、やはり労働省の方で、そういう代替品が出たならば、通産省と十分協議されて、これは大丈夫だということで、労働省なり通産省の検印を押して使わせるようにしなければいかぬのではないかと思うのです。そうしないと、代替品を使え使えというので、これは代替品だといって商人が持ってきた、使ってみたらやはり依然としてベンゼンが入っているのだ、こういうことではちょっと困ると思うのです。そこで、何かわれわれの調査した——京都だったか兵庫だったか、そういう問題がありまして、婦人少年室の方で、さてどこかの研究所に持っていってやってもらいたいのだが、これはなかなかすぐにはできないのだと言われて困っているという話を聞いたのです。こういう点は、やはりある程度労働省なり通産省なりが責任を持たぬと、さいぜんあなたが言われたように、ヘップ・サンダルを張るのにベンゼンなら非常に乾燥がいい、代用品にしたら乾燥が悪くて三割なり四割の能率の損になる、こういう問題があるわけです。ですから、やはりその点賃金の問題にも関連するし、代替品をやらせるならば、ある程度あなたの方で責任を持つ、どこかの官庁で責任を持つというふうにしなければいけないのですが、そういう点はどうですか。
○堀説明員 ただいまのお説はまことにごもっともでありまして、われわれとしてもその方向で検討しておるわけでございます。問題は、その使用される場所が家内労働という非常に発見しにくい環境にあるということであります。そこで、われわれといたしましては、今のレッテルを張るというような方法は今後ぜひやらせたい、このように思っておりまするが、それと並びまして、先ほど申し上げましたように、現在行いつつある巡回指導等におきまして、各現場で使用されているのりを回収いたしまして、この内容を分析するという作業を現在やっておるわけでございます。 それから、これを大学等に持っていってもなかなか時間がかかるというような声も聞いておりますので、労働省付属の労働衛生研究所にもこの作業を頼んでいたしております。現在回収いたしましたベンゾールのり等をこの労働衛生研究所等においても分析する作業を進めたい、このように考えておるわけでございます。
○五島委員 関連して。家内労働法の問題が出たわけですけれども、ずっと前の国会からこの家内労働法の問題が非常に重点的に抽出されつつあるわけでありますけれども、家内労働法というその法の中に包含せらるべき人員は、まだ労働省ではつまびらかになっていないのではないかと思う。その調査した結果は大体推定四十七、八万人だというふうにいわれておるわけですけれども、まだその正確なところは明らかでないというような答弁でした。ところが、このベンゾール関係の、印刷物、あるいは今のケミカル、シューズとか、あるいはビニールの靴、これら中小零細企業を取り巻く家内労働者がどのくらい全国におるかというようなことの推定はどうでしょう。 それから、今基準局長が説明されたように、東京都内は十六日からもうすでに行われているらしいのですけれども、二十二日までですか、一週間の間にこれをやるのだというのですが、こういう把握しがたいところの家内労働者の実情調査が一週間でできるかどうかということです。そうして、東京都だけではなくて、関西あたり、特に滝井さんやここの永山委員長や、その他藤本委員などが兵庫県に調査に来られて、そのときは滝井さんが言われたように婦人少年室長も来られたわけです。それから県の衛生部も来られて、このベンゾールの問題に話が入ったわけですけれども、なかなか把握ができないのだ。そうして、さいぜん言われたように、これを措置するのは非常にむずかしい。それから、五十名以上の職場には衛生管理者があるけれども、五十名以下は何か一年について一人に五百円ばかり業者が出すのだ、ですから五十名以下の零細企業ではなかなか金を出して従業員の健康診断などはできない。そこで労働基準局としてはこれに、積極的にこれをやれというわけにはいかぬ。それからまた、業者は金を出すのがきらいだし、従業員は病気を発見されるのが困る、病気を発見されたら直ちに失業というような問題になっていく、そういうような立地条件があるから、非常に問題が困難だ。しかもそれ以下の家庭で奥さんたちが、これは婦人少年室にも関係があるでしょうけれども、奥さんたちが生活の足しにこれをやっておられる。そうして知らず知らずの間に中毒をしていかれる。そして特に兵庫県はゴム産業が特異産業になるわけです。ところが労働省では東京地区を一週間やって、そうして第二段の措置をとるのだと言われるけれども、東京都を調査されて、調査の結果ベンゾールがどれだけ含まれるか、そういう傾向だけを見るために、全国の趨勢を見るために東京都内だけをやっておられるのか、あるいは全国的にそれを指令して、もうすでに死んだ人もあるらしいのですけれども、そういうような全国的な配慮はされないのかどうかという問題、それを非常に雑駁ですけれども、お願いします。
○堀説明員 全国の家内労働者につきましては、労働基準局あるいは婦人少年局等におきまして、これは大体大まかな調査でございますが、数の把握等はいたしております。これはこの前にも申し上げたと思いますが、大体世帯数で四十数万、それから労働者の数にいたしますと、約八十万程度と思います。しかしこれにつきましては、まだ詳細にもう少し業種別に掘り下げました調査を行いませんと、その概要がつかめませんので、引き続きましてその内容をもう少し掘り下げた調査を実施したいと考えまして、現在これを検討しておるわけでございます。 なおその中でベンゼン関係を使っておるのが何人かというお話でございますが、基準局の調査では、全国的な調査がベンゼンという工合に限定して出ておりません。たとえばこの家内労働世帯につきましては、皮革、ゴム製品等の製造業となっておる世帯の数が約三万五千ぐらいでございますが、その中でどの程度がベンゼンに該当するかというような調査がございません。なお婦人少年局の方でもしございましたならば後刻御答弁があると思いますが、大体以上のような状況でございます。 それからただいま実施しております東京の巡回指導は、これはあくまでも第一段の措置でございまして、この第一段の措置状況を見定めた上で、さらに同じようなことを実施する、あるいはまた趣きを変えました方法でこれを改善して実施するということも検討したいと考えております。同様に、たとえば大阪であるとか兵庫であるとかいうような、御指摘のようなこの関係の業態が集まっておりますような地区におきましては、東京と同様なことを、これはサービス的に実施いたしたいと考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 私は基準法の適用される工場と、基準法は実際は適用されるけれども、監督できないような家内工業といいますか、零細工業の場合、それから雇用関係にない、いわゆる家内労働者の場合とを区別してこの問題を扱うと、私は職場を失うと思うのです。ですからベンゾールというのがそんなに有害になり、ことにベンゾールのゴムによってそれだけの非常な患者が出ておるという場合なら、私はむしろベンゾールののりを全面的に禁止したらいいと思うのです。それによって若干コストが高くなるということは、これは全国民が負担をすればいいのであって、若干コストが高くなってもやむを得ないと思うのです。ですからのりについてはベンゾールを入れない、こういうことを私はむしろ行うべきであって、工場なら管理がいいからいい、あるいはそれは家内労働に出したら環境が悪いからできない、こういうことをしますと、職場を失うという状態になると思うのです。ですからこの点は私はむしろ取扱いとしては一般の工場もこれは遠慮してもらいたい、こういうように進められていったらどうかと思うのですが、その方向に行っているわけですか。
○堀説明員 今後の問題として、第一段の措置は、われわれも先ほど申し上げた通りでございます。ただいまのような有力な御意見もわれわれは拝聴しております。この問題につきましては、通産当局ともさらに検討いたしまして、またわれわれの行なっております巡回指導等におけるこののりの分析等の成果も近いうちに出て参ると思いますので、それらの問題もからみ合せて、ただいまのような有力な御意見もありまするので、通産省と十分協議いたしまして、今後の問題をさらに検討していきたいと考えます。
○多賀谷委員 次に家内労働法ですが、賃金は最低賃金の関連事項として若干家内工賃というのは出ましたけれども、衛生環境の面、労働者保護の面から、家内労働法というものを作られる意思があるかどうか、これは大臣からお聞かせ願いたい。
○松野国務大臣 家内労働の実態把握といたしまして、家内労働は主として、かりにこの問題で私が焦点と考えますのは、やはり安全と衛生面を家内労働としては保護法的な意味で包含をいたしたい、こう考えております。もちろん一番大事なものは賃金でありますが、家内労働の保護法に賃金まで加えるよりも、今日最低賃金法という法律が通りましたし、これに準拠して家内労働も適用ができますので、一応私が今日考えております家内労働というものは、安全、衛生面の主として保護的な意味で、安全の保護、衛生の保護という観点から家内労働法を検討をいたしたいという意味で、学識経験者に依頼をいたしたいと考えております。
○多賀谷委員 さらにその場合、今の労災的な補償面ですね、これは加えられる必要があると思うのですが、これはどういうふうにお考えですか。
○松野国務大臣 もちろん労災的補償というのが安全と衛生の保護でありますから、これはおのずから今日の労災保険法、直ちにそれを適用ということになるかどうかそれはわかりませんが、いずれにしましても使用者というのもありますし、政府としては国民の衛生及び安全の管理もございますので、そういう観点からこの問題を解決すべきものだというので、その具体的構想はいずれ学識経験者の御答申を得て私は実行したいと思いますけれども、私の考えは、おっしゃるように衛生も……(多賀谷委員「補償も入るのですね。」と呼ぶ)補償、衛生それから安全というものの保護を主体としてやるべきだと考えております。
○多賀谷委員 できるだけ早くこの問題を解決していただきたいと思いますし、また現状の問題については私は早急に手を打っていただきたいと思います。 それからこれに関連してヘップ・サンダル工組合というのが何か協同組合に対しての団体交渉の申し入れをしたけれども、雇用関係にないというので拒否されたということを新聞で見たのですけれども、一体労働省ではどういうようにこれをお考えになっておるのか。労働組合法の労働者というものは、これは雇用関係がなくても労働組合ができる、われわれはこういうふうに考えておったのですが、どうですか。
○亀井説明員 具体的な今の問題、私らもまだ十分地方からの報告も受けておりませんので、ここで御答弁申し上げるわけにはいきません。まあ労働組合法にいいます労働組合というものは、やはり使用者との関係におきまして、労使関係というものを前提としての労働組合というふうにわれわれは解釈しております。
○多賀谷委員 しかし解雇された者でも労働組合というものはできるでしょう。
○亀井説明員 そういう具体的な問題ではなくて、全体が雇用関係にない者が組合を作った場合に、使用者との間にどういう関係になるかというところまでは労働組合法はいっておりません。ただ個々の企業の中で、その企業以外の者が含まれる、あるいは企業から解雇された者が含まれる、こういう場合におきましては当然労働組合法は予定されておるのでありまして、ただ全体として労働者が使用従属関係にない場合には予定してないということを申し上げたわけであります。
○多賀谷委員 労働基準法は確かに雇用関係を前提にしているのですが労働組合法というのは必ずしもそうではないでしょう。基準法とでは、同じ労働者の定義が違うと私は思うのですがね。組合法の場合はそうでしょう。ですからこの場合にも、法律的にいうと、当然団体交渉ができる、こう解釈すべきじゃないですか。
○亀井説明員 もちろん労働者の定義は同じでございます。労働の対象として賃金を得ている者、これは労働組合法でも何ら変りはないのです。労働者という観念は、そういう意味です。だた労働組合法制定の当初の精神としましてはそういうものは予定してなかったということを私は申し上げたのでございます。それからそういうものが組合法から排除されるかといいますと、そういうものを禁止する規定は組合法にはないわけです。それは結社の自由という一つの観念から出てきまする考え方としてそういうものはあり得る、存在は認めるというだけにすぎないのです。
○多賀谷委員 具体的にはどうなんですか。
○亀井説明員 組合法上の労働組合を作りまして、果してそのものの法律的な効果というものがすぐ出てくるかどうか、すなわち使用者という一つの対象がないために、出てくるかどうかという問題は別問題としまして、結社の自由に基く組合を作る、これはできるわけであります。
○多賀谷委員 そうしますと、今の組合法上の組合を作れるわけですか、作れぬわけですか。
○亀井説明員 法律上効果が出てこないのではないかというのであります。というのは、使用者としての相手方がいないという意味でございます。
○多賀谷委員 使用者がいない、こういう意味ですか。組合法上の組合は作れるけれども使用者がいないから、労働組合法上の大部分の規定は適用できない、こういう意味ですか。
○亀井説明員 ですから、さっき申し上げましたように、組合を作りましても法律的な、労働組合法でいういろんな保護の規定というものの相手方がいないという意味で、作っても効果がない、法律上の効果がないということであります。
○多賀谷委員 組合法上の組合はできるわけですね。作れるわけですね。
○亀井説明員 組合法上正確にいろんな保護の規定を前提とした組合としての組合は作れない。というのは、労働組合法といいますのは、憲法二十八条に基く結社の自由の一つの具体化の法律としましていろんな保護規定が作られております。その保護規定の対象となる組合としてはこれは無理ではないかという意味でございます。
○多賀谷委員 そうしますと、二条組合はできるのですか。
○亀井説明員 ですから、ここにございますように、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる」云々とございます。この労働条件の維持改善ということは、結局相手方のあることでございます。使用従属というものを前提としての考え方、先ほど申し上げましたように、労働組合法制定の基礎は、そういうものを前提としての考え方、従ってこのあらゆる条項をごらんいただきましてもおわかりになりますように、こういう前提で労働組合法というものは制定されておるわけであります。従ってそういう単なる結社の自由によって作られる団体というのは、これは自由でございましょう。ただ労働法でいいまする、そういう労働法で保護されておる、保護を対象としまするそういう労働組合というものは、今申しますように使用従属関係のない組合は無理であるということを申し上げたわけであります。
○多賀谷委員 労働委員会に提訴すれば受けつけますか。
○亀井説明員 これは資格審査の問題にかかって参りまするので、おそらく第二条の解釈からいってなかなかむずかしい問題があるのではないかと思います。
○多賀谷委員 しかし雇用関係が切れておる場合も実際受けつけておるでしょう。雇用関係が切れておる者だけの組合でも、実際は労働委員会は受けつけてやっておるでしょう。
○亀井説明員 これはいろいろな問題、たとえば不当労働行為その他の問題につきましては、あるいはそういう場合もございましょうが、労働条件そのものについて、たとえば調整の手続その他を利用するというふうなことは、これは雇用関係が切れておりますからあり得ないわけであります。不当労働行為の権利関係というものは、雇用関係が切れようが切れまいが、やはりそこに原状回復という問題も出てきましょうし、あるいは過去におけるいろんな使用者の責任という問題も出てきましょうし、それは当然出てくるものと考えます。
○多賀谷委員 どうも明確でないのですが、今起っておる場合の問題というものは、やはり都労委としてそう厳格に言わないで、何らかの形であっせんをされてしかるべきだと思うのです。それについてどういうようにお考えですか。
○亀井説明員 都労委で今問題になっておりますので、具体的に私がここで意見を申し上げることもいかがかと思います。問題は、いろいろなそういう紛争の事実の認定の問題でございます。都労委が、その事実の認定をどういうふうに判断するかということできまって参るわけであります。問題は、そういう紛争がどういう場で解決されるか、あるいは都労委が正式にはそういうものは受理し得ない、そういう場合におきましても、あるいは別な角度から、社会的な問題でありますから、それに対して勧告あるいは何らかの措置をとるということはあり得る。ただ部労委が具体的に意見をきめていない状況でありますので、今ここで私からそれについてお答えするということは差し控えたいと思います。
○多賀谷委員 むしろ私は、こういった問題は、なるほど労使関係といえば労使関係ですけれども、労働省としての指導をされてしかるべきではないかと思うのです。考え方が違えば別ですけれども、私はそういうように考えるわけであります。そこでこの問題は、その後の進展を見てまた質問をいたしたいと思います。 次に、私は労働大臣に一言だけお聞きいたしたいのですが、これは九月十一日の閣僚懇談会で、全逓労組に対して二百五十円というのを支給しないで全特定と全郵政について支給するということがきまったやに聞いておる。これは新聞に翌日出ておりましたが、これはどうしてそういうような状態になったのか、これをお聞かせ願いたい。と申しますのは、寺尾郵政大臣は、さきに参議院の方を通じて、全逓にも支給するということを言われておるのです。ですから、それがなぜこういうように変ってきたのか、これは私は大きな問題だと思いますが、一言これをお聞かせ願いたい。
○松野国務大臣 九月十一日かどうか、私も正確に記憶いたしませんが、郵政大臣が、仲裁の裁定を実行したい、それには全特定の二百五十円は仲裁裁定が出ている、団交もほぼ済んだ、支給をしたい、こういうお話がありましたから、それは、仲裁はなるべくすみやかに実施していただくことが精神でありますからけっこうでございましょうという話をしたように私は記憶しておりますが、その後郵政大臣から、全逓については仲裁が出ておらない、これは今回の問題として一緒に解決もできないようだという話がありまして、主管大臣でございませんから私も詳細なことはわかりませんが、そういう報告を受けて、私もそれを了承したような記憶を持っておりますが、いきさつはそういうもので、私の方が主管ではございませんので、郵政大臣からそういう話を拝聴したというだけであります。
○多賀谷委員 主管ではないと言われますけれども、公労法上の主管は労働省ですね。あなたの方ですよ。ですから、問題は、公労法上に起きた問題ですから、支払いは実際には郵政大臣がやるでしょうけれども、それは当然あなたの方の主管、といえば問題がありますが、当然関連のある問題だ、かように思うわけです。そこで結局は四条三項を履行してないということから問題は発しておる。ただそういたしますと、四条三項そのものが、これは議論はありますけれども、九十八号条約に違反するという問題が起っておる、そうして九十八号の第二条に違反をしておるのだということが、適用委員会の専門家会議で指摘をされた。しかも単に団体交渉だけでなくて、実際賃金の面にもこれが差別的取扱いになるということになりますと、私はますますその条約違反の問題が大きくなると思うのです。これは一体どういうようにお考えですか。私は、寺尾郵政大臣がさきに四月にはこれは全逓にも出すということを言っておきながら、今度は全逓には出さない、こういうふうに変言をするというところに問題があると思う。恣意的に政府の考え方一つによってぐらぐら変るような性格のものじゃないと思うのです。この点についてどういうようにお考えですか。
○松野国務大臣 九十八号は団体交渉権の問題ですが、九十八号の違反ということは指摘もされておりませんし、政府はいまだに九十八号違反だとは思っておりません。もちろん議論が国際的にあればそれは御自由でありますが、今のところ何ら九十八号の問題は議論はございません。四月に寺尾郵政大臣が何と御答弁になったか、ちょっとただいま速記録が手元にございませんし、そのときの引き継ぎも何もございませんでした。なおこの問題を差別待遇といいますけれども、これは団体交渉及び仲裁裁定という公労協の基本の法律によって手続をするのでありまして、特にだれを差別待遇するのだとかどうするとかいうことはあり得ない。同時にそれは各企業体別によって賃金構成が違っておりますから、仲裁裁定そのものでも、裁定が必ずしも各企業体同一に裁定が出るものではございませんし、各企業体ごとに裁定というものは出るものでありますから、裁定が出たたびにその裁定を忠実に守ることが今日公労協及び労働大臣、政府に課せられた使命でありますから、それを忠実にやる以外に今日はなかろう、こう考えておりまして、特に差別待遇ということは、その問題とは別個の問題だ。団交及び仲裁できまる問題はその仲裁及び団交の結論が一番公平なものだ、こう解釈する以外に、仲裁そのものを批判するのは私としては少し話が前後するのではなかろうか、こう考えております。
○多賀谷委員 ですから一方仲裁裁定ができないのですね。それは団交を拒否をしているからです。問題はやはり団交を拒否しているというところから出ておるのですね。結論的に言いますと、やはり差別的取扱いになるのですね、いかに文理解釈をしましても……。そうすると一方は仲裁裁定が出されておる。ですから予算の移流用ができるということになれば、あなたの方は補正予算でも組んで全逓にはやれるのですか。当然労働大臣としては移流用が予算総則によってできないということになれば補正予算を組まれるのか、これは当然お確かめになったと思うのですが、どうですか。
○松野国務大臣 差別待遇というわけじゃありません。団体交渉権を回復されれば、それは当然団体交渉権によって仲裁ができるのでありますから、そういう前提だからどうだという意味ではなしに、違法組合で団体交渉権というものはない。また団体交渉ができないという立場がお互いにあるわけでありまして、そのほかに差別という意味は毛頭ないと私は考えております。
○多賀谷委員 しかし現実にはもらう方ともらわない方と出るのですから、これはどう考えても差別的な取扱いと考えざるを得ないのです。形式論としては仲裁が出ていないから予算総則で移流用ができない、こうお話しになるだろうと思う。しかしそれは政治じゃないと思うのです。移流用ができなければ、一方は補正予算を組んで当然次の臨時国会に出すという処置が初めてなされて、相待って労使関係というものがうまくいくわけですね。それを一方においては閣僚懇談会でおきめにならないで、一方だけ仲裁裁定が出ているから出そう、こういうことでは片手落ちじゃないか、こういうことです。しかも違法組合であると言われましたけれども、私は非常に問題があると思うのです。九十八号条約の問題は議論になっていない、こうおっしゃいますけれども、議論になっておりますし、その条文を指摘されておる、これについてはどういうようにお考えですか。あとの方はよいですが、前段だけでけっこうです。
○松野国務大臣 九十八号の問題について疑義が出た、あるいはある程度適用違反ですか、そういうものが出たという話は聞いておりますけれども、結論的にこれが違法だとか、あるいはこれがどうだとかということは最終的には出ておらない。経過的にはその問題が出たということは承知しておりますけれども、最後の結論においてはこれが違法だという結論は少しも出ておらないという結論だけを実は申し上げたわけで、あえて、仲裁裁定が出たものはすみやかに出していただきたい、これはもう当然なことでありますから、その実行をするということですからけっこうですと承わっただけであります。特に私の方では、予算の内容まで関与しているわけではございませんので、あるいは全逓についてどういう処置をとるか、これは主管大臣のお話を拝聴してから私の返事をしなければならぬ、こう考えております。
○多賀谷委員 公労法の担当はあなたでしょう。公労法の運営から出てきている問題でしょう。ですから当然あなたとしては、この全逓の問題については、どう扱うかという質問があってしかるべきでしょう。また閣僚懇談会としてもやはりそのことを検討しなければならぬわけでしょう。それを言っておるわけですよ。
○松野国務大臣 すみやかに正常なる運営をされて、そうして団交権を回復されて、そうして仲裁の実行をしてもらう、これが一番正しい道で、今これを私がいろいろ言えば組合干渉になる。ですから私としては差し控えなければならぬことでありますから、願わくばそういう平等な立場でお互い話していけるような形になりたいと希望しておりますけれども、これ以上私が組合に干渉がましいことを言うこともよしあしですから、組合の自主的な判断と、そうして私たちは法律を守る以外にないのですから、与えられた法律を守るということ以外しか今日ただいまは言えないのではないかと私は考えております。
○多賀谷委員 そうすると補正予算において、全逓労組の仲裁裁定に見合うべき二百五十円を支給するということは現在考えていない、こういうことなんですね。
○松野国務大臣 二百五十円支給する仲裁も出ておりませんし、果してそれが可能なように予算が組んであるかどうか、私も全逓及び郵政省の予算の内容を知りませんので、私は予算の金額の内容までは関与しておりませんし、今日もいまだに存じておりません。
○多賀谷委員 そうしますと、予算処置はしないということなんですか。
○松野国務大臣 郵政大臣がどういう御判断をなさるか、予算のことですから主管大臣に御判断願うことを第一にして、その以後に私にまた御相談があれば御返事をしなければならぬ、私としては郵政省の予算を組んであるとか、組んでないとか、移流用するとかせぬとか言う権限もありませんし、そういうことも知っておりません。
○多賀谷委員 私は次の機会に法制局長官に来ていただいて、公労法上の四条三項の問題を中心にして、九十八号に違反するかどうかということについての法制局としての言明を願いたいと思う。これはILOの側で指摘をされたということについて、われわれは国内法を立法した立場から非常に関心を持たなければならぬと思う。これがわれわれの独自の見解において果して違反しておるかどうかということは研究をしなければならぬと、かように考えるわけです。よその方から、これは条約に違反しているんだと言われているのですから、少くともわれわれ立法府におる者としては、これに対してほんとうに違反しておるかどうかということの研究をする必要がある。ですからこのことについて次の機会に、来月でけっこうですから、法制局長官に来ていただいて、現在の段階において政府はどう考えているかという言明を願いたい、かように考えます。
○永山委員長 大原君。
○大原委員 最初に労働大臣にお尋ねするのですが、今多賀谷委員の方から全逓の問題がありました。私はこれから国鉄の労働政策の問題、若干営業上の問題もありますが、それから教組の専従問題について、簡潔に質問したいと思うのです。 労働大臣は国鉄の総裁とか、文部大臣とか、郵政大臣とか、そういういわば使用者側ですね、労働運動における使用者側当局ですね、そういうものに対しては労働法上も設置法上も、第三者の立場にあって、まあそれは内面はどうか知りません、資本家の結びつきがあるかどうか知りませんけれども、第三者の立場に立って、そうして正しい労使の慣行を作る、こういうことについて大きな責任を持っておられると思う。今の御答弁を聞いておりまして、私は国鉄の問題、専従の問題について質問をいたします前提として、労働大臣の立場について一つ御見解をお聞かせいただきたい。
○松野国務大臣 もちろん労使間のよき慣行を作り、労働者の権利と利益というものを私どもは守るべき立場にある。そしてよき慣行を作るということが私に与えられた行政上の使命だと考えております。
○大原委員 きょうは国鉄総裁お見えになりませんか。
○吾孫子説明員 国鉄総裁はちょっと都合がございましたので、私が代理で参りました。
○大原委員 端的にお尋ねいたしますが、これは国鉄の広島の地本を中心とする不当労働行為の問題なんですけれども、国鉄の当局は労働政策と営業政策とからませて、経営合理化の施策として作業所を閉鎖したりあるいは継続したりする、第二組合だから継続する、第一組合の者ががんばっておるから閉鎖する、こういうふうな御方針をおとりになっておるのですかどうですか、その点についてお伺いいたします。
○吾孫子説明員 国鉄は今いろいろな意味で経営の建て直しをしなければならぬ時期になっておりますので、いろいろな政策を次から次へととっておりますが、そのことと労組に対する取扱い方というようなものは別に考えております。お尋ねのように結びつけては考えておりません。
○大原委員 もう一つお尋ねいたしますが、たとえば職員の人事について、君を転勤させる、もし国労を脱退したならば転勤させない、あるいは臨時職員の昇格を、第二組合に入れば昇格させるけれども、させない、そういうふうな方針で人事をおやりになっていますか。
○吾孫子説明員 お尋ねのような政策はとっておらないはずでございます。
○大原委員 もしそういうふうな政策を具体的にとっておるということで労使の慣行がじゅうりんされたり、感情的になったり、あるいはいろいろな問題が発生したり、そういう事実があるとすれば、私が事実を指摘しましたらどうされますか。
○吾孫子説明員 労使関係の問題というのは時としていろいろ感情的な問題がそこにからまってくることもございますので、地方ではそのようなことからいろいろ問題があるかのごとく思われるような場合もないとは申せませんけれども、私どもはふだんも厳重に注意をいたしておりますので、そのような事実はないはずでございます。
○大原委員 昭和三十四年二月十二日大島自動車営業所弘田助役は安下庄派出所におもむき、所員四、五名に対し経営合理化の施策として同派出所を廃止し全員本所に引き揚げることになるであろう、君たちが国鉄労働組合にいたのでは阻止することはできないが、職能ならば当局も協力的なので善処できるから、将来のことも考えて職能労働組合に加入した方がよろしい、こういうふうに勧誘している事実があります。 もう一つは「昭和三十三年十一月の末ごろ大島自動車営業所運転士西川喜昭が運転事故(脱出事故)を惹起したが、その事故処理に当って自動車事務所運転事故係課員一級花本政一(当時は組合員、現在海田市営業所助役)は路面陥落として処理し、本人の責任事故にしないことを条件として国労脱退と職能加入を勧誘した。その西川運転士が、海田市自動車営業所に転勤を希望し、自動車事務所人事課員米川貢に申し述べたところ、国労にいる限り転勤させることはできないと脅迫し、国労脱退と職能加入を勧誘した。」 「昭和三十四年一月十七日夜、秋吉自動車営業所長茶谷可夫は、自動車事務所岡田車両係長、奥永運転係長とともに宮野温泉で飲酒し、その席上に国労組合員数名を招致し、その席上、営業係小田福美に対して、所長が国労脱退を勧誘した。 秋吉自動車営業所浦山助役は、臨時職員に対して、職能に加入した順序で職員として採用すると言明し、これは自動車事務所人事係の方針であると言明し勧誘した。」こういうふうに事実をあげられておって、私も一部はいろいろ調査いたしましたけれども十分調査いたしておりませんが、これについて今原則的なことをあなたは否定なさったのだけれども、この点についてどういうふうにお考えですか。
○吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように、国鉄の現在の経営状態を改善いたしますために、これは自動車のみに限らずいろいろ業務機関の整理統合というようなことをいたさなければなりませんので、そういうような処置をあちこちでとっております。その際に労働条件にこれがいろいろ影響を及ぼすというような場合にはもちろん団体交渉もいたしますが、単なる管理運営上の業務機関の配置その他をどうするかというようなことについては、これは本来から申しますといわゆる団体交渉の対象ではないということになっておりますので、しいて団体交渉はしないでもよろしいという建前をとっておりますけれども、しかしこういうようなことについてはできるだけ従業員の皆さんの理解を得るということも必要でございますので、お話のような業務機関の整理とか統合とかいうようなことが起りますような場合には、できるだけ事前に話をさせるようにいたしております。その話の間であるいは誤解を生ずるようなおそれのある言動があったかもしれませんけれども、いやしくも不当労働行為というような疑いを受けるようなことのないようにということは、常々注意をいたしております。ただいまいろいろ御指摘ございましたが、それらの一つ一つの事実については私どもも詳しいことはただいまのところまだ承知いたしておりませんが、そのような法の禁じておるような行為を管理者側の者がいたすことは万々ないはずであるというように確信いたしております。
○大原委員 「昭和三十四年七月十二日、横川自動車営業所柏村運転係は川本自動車営業所に助勤中、鈴木清の引っ越しのためトラックの借用で横川自動車営業所に帰所し、用品倉庫北側を通行中、田中所長と出会ったので、用件を申し述べたところ、所長田中は、鈴木は知らぬが話によっては貸してもよいと述べ、柏村はいつまで国鉄労働組合にいるのだ、国労にいたのでは将来損をする、仲よくするため職能に加入せよと述べた。柏村本人は、助勤の済んだ後に考えさせてくれと言ったが、所長田中は、川本営業所は全員国労だが、心配するな、おれが引き受ける、昇給も落され損をしているが、そのことも職能に入れば考えてやる。家族のことも考えて私の言うことを聞けと、国労脱退と職能加入を説得し、かたわらに立っていた助役武良敬喜及び第二組合幹部押尾に手で合図をして、脱退届と職能加入の用紙を提出させ記入させた。」こういうふうに事実があげられておるのでありますけれども、先ほど私が指摘いたしました事実と、そういうものが営業政策と労働政策、人事その他の管理が混乱をいたしまして、そういうふうになりましたならば、職場の態勢あるいは仕事をする態勢というものが利用者に対して決してサービスする態勢にならない。そういうことが混乱をして感情的に職場の対立を起して、事故をたくさん起すとか、事故の原因になったりいたしまして、私は決して国鉄が国民に奉仕するような、サービスできるような態勢にならぬ、こう思うのです。労働大臣もそういう点についてはお願いしたいのですけれども、労使の慣行というものは一々の局面を見て感情的に取り上げたり、政治的に取り上げないで、長い目で見ていかなければならない。そうして労働運動には規則があるのですから、それを踏みはずしておればどこかに私は蹉跌が出てくると思うのです。そういう点は少くとも錯誤を犯しながらも発展していくものである。そういう点において、営業を労務政策に直ちに取り入れて、第二組合に加盟した者がおったならば出世さしてやる、そういう感情的な人事面にわたるような不公平な取扱いをするということは、公共企業体としていわゆる半ば国の責任で運営しておるそういう機関が、こういうふうな労務政策の範を他のそういう企業体に示すというふうなことはけしからぬと思うのですが、その点はどうですか。もう一回重ねて事実をあげましたので、あなたの御所見を伺いたい。
○吾孫子説明員 ただいま御指摘のございました事実が、果してその通りであったかどうか、ただいまのところ私もわかっておりませんけれども、根本的な考え方につきましては先生の言われる通りでございまして、ただ私どもとしましては、国鉄の経営方針なり営業政策というようなものは、十分に従業員の諸君に理解していただくということは必要であると思いますので、現場の管理者としてはいろいろな機会あるごとにそういうような話はいたしておるかと思いますが、それが範囲が逸脱して組合の組織に介入するようなことを言ったりするというようなことは、厳に私どもも戒めておる次第でございます。ただしかし、いやしくもそのような——それが事実そのままでないにいたしましても、外からごらんになった際に、何かそういうような不当なことが行われておるんではないかというようなお疑いを受けるだけでも、まことに遺憾なことと存じますので、今までも注意はいたしておりましたが、今後もなお一そうそういうようなことのないように注意をいたしたい、さように考えております。
○大原委員 簡単にもう一つ例を申し上げますと、第二組合の発生している各営業所においては、忘年会と称し、あるいは花見と称し、新年宴会と称して、組合員を集めては酒食を提供して所長、助役がこういう工作を行なっておる。これは具体的に事実をあげますと時間がかかりますから申し上げませんけれども、そういうふうにやっておる。そういう事実があるのです。それから超過勤務手当については、第二組合に対しては架空に支払って、国労対策費として処理しておる。こういう例も指摘されておる。これは組合員、労働者が指摘しておるのですから、これは実際にそういうことを実施したと同じような影響があるのです。作業上、心理上、仕事をする上においてそういうことがあったわけです。超過勤務手当とかあるいは資材費なんかをそういう労務対策に使うというようなことは、あなたの方は許しているのですか。
○吾孫子説明員 職場でもっていろいろな会合があるということは、これは第二組合と呼ばれております職能労連に限らず、国鉄全体を見ました場合には、国鉄労組の方でも、あるいはまた動力車労組の方でも、それぞれ現場でいろいろな会合をやっておることはあろうと思います。従いまして、第二組合だけに限ってそういうことが行われているということはまずないと思うのでございます。それから超勤手当を国労の対策費に使うというようなお話が今ございましたけれども、そういうようなことはもちろん私どもとして認めるべき筋合いのものでもございませんし、そういうようなことは許さない方針でおる次第でございます。
○大原委員 私は国鉄の中の慣行はわからないのですが、たとえば助役の超勤手当を架空につけて賃金を稔出して臨時人夫に支出したり、あるいはこういう労務対策費に支出する、そういうことは慣行上許しているのですか。私は時間がないから具体的な例はあげませんが、そういう例があるのです。
○吾孫子説明員 そういうようなことは許しておりません。ただ広島でそういうことが事実ございましたときに、一回でございますけれどもそういうことがわかりましたので、直ちに処分をいたしております。
○大原委員 時間もありませんので、事実に基いて簡潔に労務対策と営業政策について指摘いたしたのです。それでたとえば課長とか所長とか係長とかいう人は、当局が出した方針が、労務対策と営業対策は末端へいったらくっつくもんだから、自分の保身のためにこういうことをやるのですよ。やって点数を上げるのだ。これでは国鉄の経営自体が乱脈をきわめるということになる。これでは民衆のために奉仕するとかサービスするとかいうことはできないことになる。正常な労使の慣行を作るというようなことは、これはそういう好きとかきらいとか思想とかいうことをこえて、労働運動発展の法則があるのだから、それについて一々主観的な判断を当局がやって、それによって職場を混乱に陥れたり、不正が公然と行われたり、そういうことは許されないと思う。私は具体的な事実をあげましたけれども、他にもまだたくさんそういう事実があります。私は次の機会にはもう少し新しい事実をあげます。私があげた事実について調査をしていただいて、これに対するもう少し責任のある——あなたは原則的なことを言われたけれども、責任のある見解を表明してもらいたい。たとえば超勤手当をほかの方にもやっておるというようなことが、こんなことが公然と行われておるのだったら大へんです。労働大臣はそういうことを許してもよろしいのか、こういうことになってしまう。人事管理とかその他全般、総合的に労務管理に集中してやるというようなことは間違いです。営業政策は営業政策、労務政策は労務政策でおやりになったらよろしい。組合がどうこうというような問題じゃない。事実こういうような不当なことがあるから私は指摘している。こういうことはどういう立場に立とうが正しい労使の慣行じゃない。これは非常に大きな疑問を残す。歴史的な疑問を残す。そういうことになっては取り返しがつかないので、そういう点で私は厳重に警告しておきます。次の機会に国鉄総裁に出てもらってこの問題については質問を継続いたすことを保留しておきます。こういう事実をお聞きになりまして、労働大臣どうですか、御所見をお聞かせ下さい。
○松野国務大臣 労働組合法の第七条に不当労働行為というものが明確にされておりますから、使用者が特に金銭をもって組合に干渉するとかあるいは切りくずしをするとかいうことは厳に禁止されておる問題であります。またただいまの質疑で明快でございませんが、そういう事例があればもちろん不当労働行為だと私は思います。
○大原委員 労働大臣は、郵政大臣でも文部大臣でもあるいは国鉄総裁でも、やっぱり当局なんですから、同じようにいつも近い関係ですからびしびしと是正してもらわなければいかぬ。そういう御決意おありですか。
○松野国務大臣 今の話は実はきょう初めてお聞きしたのです。今話を聞いていて、もしそういう事実があれば大へんだと思っておるので、いずれ国鉄の方から事実の内容の報告があると思いますが、私はぴしぴしやるつもりでおります。
○大原委員 専従の問題を簡潔に労働大臣にお聞きしますが、教職員の専従問題が、きょうは文部大臣がちょうど都合が悪くて見えておらぬらしいのですけれども、全国の教育長会議で決議されたという。これはいろいろ聞けば文部省あたりから火が出ている、こういうふうなことなんですけれども、しかしそれは政治のことですから、いろいろあるでしょう。そういう点からいろいろ発展をいたしました。それでこの問題は非常に広範な問題を含んでいる。条例でやるか、法律で一般的にやるか、個別的にやるか、全面的にやるか、あるいはどの範囲をどういうふうに制限をするか、ILO条約との関係はどうするのか、たくさんあるのですけれども、たとえば文部大臣の談話はもちろん勝手に言ってもよろしい。しかしながら、文部大臣の談話とかあるいは労働大臣の談話とかでいろいろ立場やニュアンスが違いまして、やはりいろいろな方面でいろいろに受け取られておる。従って、労働大臣としては、これは非常に大きな問題でもありますので、やはり統一した見解をまとめてもらって指導してもらうことが必要ではないか、こう思うのですけれども、労働大臣の御所見はいかがですか。
○松野国務大臣 おっしゃるように、そういうふうな感じも私は持っております。同時にこれは私の主管外に少しぴしびしやり過ぎていろいろ波乱を巻き起しておりますが、これは少し私の方がぴしぴしやり過ぎた一つの例であります。実は私の主管というわけでありませんで、たまたま発表は内閣の官房長官が発表しましたが、それは主として閣議の席上でやりましたから、国務大臣という意味で、おっしゃるように統一的見解というものを政府が立てるべきじゃないか、私は実はそういうふうな感じを持っております。しかし、具体的にどういうふうに統一するかということはまだこれからの問題で、実はどういうふうになるかということは各省に関連の深いことで、労働省だけでこれが結論が出るものじゃありません。従って、私もこういう問題は大事な問題でありますから、各省共通の立場で、公平な立場で、一省に甘くなったり一省にからくなったりしちやいけない。公平な国家公務員及びその運営を期したいという、私は気持を持っておりますが、ただいま各省間でまだ連絡が済んでおりませんので、もちろん結論が出ておりません。
○大原委員 たとえばある県だけで条例でやるとか、あるいはある関係職だけで、たとえば教職員なら教職員だけでやるとか、あるいはここはやってここはやらぬとか、そういうふうなまちまちな形で——憲法の問題については、ILOの団結権の問題についてはまた日をあらためて御質問いたしたいと思いますが、こういうばらばらな形でなさるべきじゃない。こういう労働問題についてはそう考えますけれども、労働大臣の御所見はいかがですか。
○松野国務大臣 私としてはやはり平等な立場で、平等な範囲でやりたい、こう考えております。しかし、おのずから地方自治になれば自治庁長官の御意向もありましょうし、文部省については文部大臣の御意向もありましょうから、まだそういうものは調整しておりませんので、政府で統一見解というわけに参りませんが、労働大臣としてはやはり同じような立場でやられることが望ましいと私は考えております。
○大原委員 人事院の人見えておりますね。私はある常任委員会の人事院総裁の御答弁を聞いたのですが、これは人事院の見解だと思うのだが、大体公共企業体労働関係法とか、公務員法における労働関係の問題、労働運動に対する規制の問題は、歴史的には憲法で保障されておったのですけれども、政令二〇一号その他ずっと計画的に出て参りましたが、しかし憲法はやはり基本法として生きておる。それは幾ら公共性を持った経営体であっても、たとえばイギリスだったら社会主義政策が、ずっと国営の方針なんかが各分野に進んでおる。そういうようなものを一々規制を加えておるかというと、公務員はもちろん、そういう現業の関係まで加えていない。もしいろいろな規制を加えるという場合には、別のたとえば人事院を作るとか——人事院は政府の政策で危なくなっておるから、淺井総裁ははっきりしたことをよう言わなかったと思うが、人事院の制度を作るとか仲裁裁定の制度を作るとか、そういうことで団体交渉を制限したりあるいは団体行動権を制限した場合には保護するようにできておる。そういう原則があるから言いのがれができておる。もちろん今のような現状では憲法違反であるけれども、そういう関係で発達しておる。そういう点については、人事院は人事院規則で専従制限をする。国家公務員、これは教職員も国家公務員の中に入っておる。そういう均衡上の公平な取扱いの原則から言えば、地方教職員の問題も同じです。そういう点から言えば、労働基本権に関する憲法の規定と、そういうものから、これは国際的のILO条約の八十七号にも規定してあるけれども、そういう点を明確にして、そうして人事院ははっきりそうした見解を示すべきである。そうでなければ、第三者機関としての存続の値打は全然ない、こういうふうに思うのだが、人事院の総裁の答弁は非常にあいまいでしたけれども、人事院の見解はどうなんですか。
○村上説明員 これは憲法で団結権が一応保障されておりますが、国家公務員の場合には、やはり公務の特殊性、こういうものがありまして、国家公務員法の一条を見ますと、ここでは公務の民主的かつ能率的な運営を国民に保障する義務が国家公務員にあるわけです。そうしますと、そういう公務の民主的かつ能率的運営を保障しなければならない職員の一つの団体的な活動というものは、そういった面において若干の制約を受けるのはやむを得ないんじゃないか、こういうように考えております。
○大原委員 だから人事院とかあるいは仲裁裁定とかいう制度を設けたのだけれども、仲裁裁定は最近は尊重するという方針を政府はきめておるけれども、今まで五回も六回もやっていなかった。人事院自体もそうじゃないですか。人事院はいろいろな物価の変動その他に応じて勧告することになっている。それが自主的な機能を失っておるではないか、失っていないんだったらそれでよろしいけれども。だから労働基本権というのは、やはり公共の福祉とかいわゆる公共性という問題でこれは制限を受けるといっても、労働基本権自体の内容というものは、労働者の権限の保護というものは一貫して不動のものなんだ。近代法ではほとんど基礎になっているのだ。だからそれをしも侵害されるようなそういう状態を看過されるということは、これは憲法の趣旨からいっても、あるいはそういう特別法ができた趣旨からいっても不当じゃないか。それについては人事院としては、この答弁を見てみると、人事院総裁は国務大臣の補佐的な役割で国会に出ておるのだから、大臣の答弁の領域を侵さぬということを言っておるけれども、そんなことを言ってはだめだ。そういう自主性のないことでは、正当な労使の慣行なんかできませんよ。これはどういうことなんですか。憲法といわゆる教職員や地方公務員の団結権、これには関係があるかないか。その点人事院の見解を聞かしていただきたい。
○村上説明員 今人事院の場合は、一般職の国家公務員を対象にしておりますが、ここで考え方ということについて申し上げることはちょっとできかねるんじゃないかと思います。
○大原委員 それは国家公務員や、それから国家公務員である国立学校の職員、そういうものについては、やはり人事院規則で規制しているのです。だからその例に従ってやはり地方はやるのです。地方人事委員会というものがあって、ちゃんとみな密接な連絡をとって指導しているのです。それを大体逸脱しないのです。やはり均等に扱えとか公平に扱えの原則はあるのです。待遇上でも権利の上でも労働慣行でもそうです。そういうものからおのずから出てくる。だからそういうことで逃げちゃだめです。所見を一つ伺わしてもらいたい。
○村上説明員 これは専従の問題について申し上げますと、やはり法の第一条に入って参りますが、これは国家公務員のよるべきといいますか、根本基準、こういったものを一応打ち出しておりますが、その中に公務員の福祉及びその利益を増進するような保障というようなものも一応そこに打ち出しております。そういったところから、やはり公務員につきましても、どういいますか、公務員の利益とか福祉、こういったものは一応尊重されなければならない、こういうようなことは法の一条でうたっております。
○大原委員 今の答弁はまことに不満ですけれども、また別の機会にあらためて質問したいと思います。 労働大臣に最後に御質問いたします。最初に御質問いたしましたが、こういう労使の慣行というものは、やはり原則を踏みはずしてはいけないし、そうして現行の憲法の趣旨もあることだし、そういう面から考えてみまして、やはりだれかがどこかでごそごそとやって、しかも感情的に取り上げられた、政治的に取り上げられた、そういう印象でやるということはこれはいけないことである。これは直接労使の当事者がそういう問題についてやり方を誤まる場合があっても、労働大臣としてはそれらの問題を同じ閣内、同じ政党出身ではあるけれども、やはり労働大臣の職務に従って、正しい労使の慣行に乗せていく、こういう面から、そういう点についてははっきりした見解を持って臨んでもらいたい。そういうことが日本全体の——部分的にはいろいろ問題はあるけれども、全体のそういう労働問題に対する正しい考えを進めて、恣意的な感情的なこういう労働問題の取扱いにならぬように対処しなければならぬ、そういう点で、きょうは各方面から御質問したいと思って用意をいたしておきましたが、時間の関係上、最後に労働大臣の御所信をお伺いいたしまして終りたいと思います。
○松野国務大臣 労働大臣としては、やはりよき労働慣行というものを積み立てながら、一つ一つを明確にしながら進んでいくことが一番労働問題は正しいことだ、いたずらに法律をいじくってみましても、それがよき慣行に合わなければ実行できない、同時に法律がある以上、その法律に従ってよき慣行を作って参りたい、両々相待ってこの問題は解決すべきだ、一時的なものとか、目の前のものにとらわれず、やはり過去を見ながら、将来を見ながら、よき慣行に従って進みたい、私はこう考えております。
○大原委員 ただ一つ、この専従問題を地方で条例やその他簡単に作って、ここに一つの大きな問題が起きるというようなことになれば、これは大きくは憲法の問題にも関係すると思うし、この点についてはきょうは時間が短かかったので、十分こちらの所見を述べて究明できませんでしたが、その点は一つ十分御注意いただいて、慎重の上にも慎重を期してもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終ります。
○永山委員長 滝井義高君。
○滝井委員 ベンゾールの中毒の問題と炭鉱失業者の住宅の問題だけ、時間がありませんから簡単に二点質問をしたいと思います。 まず第一のベンゾールの中毒の問題ですが、これはさいぜんから同志の多賀谷君がるる御質問をいたしました。私は重複しないように一、二の点についてお尋ねしたいと思います。 最近、国政調査で京都や大阪や兵庫に行く機会を得ました。今末端の労働関係の各機関が非常に精力的にやられておるのは、大きくいって四つあるようでございます。一つは産業災害をどうして防止をするかということです。二つは最低賃金制度を具体的にどういう工合に実施していこうかという問題が第二にあるようでありまして、第三番目は、全産業に週休制を打ち立てたい。四番目が、女子年少労働の保護ということが、当面末端の労働行政を扱っておる官庁の精力的にやっておられることであるということを見て、非常に心強く感じたのですが、特にその中で四番目の女子年少労働の問題です。労働省の末端機構の中で——婦人少年局長お帰りになったようでございますが、この婦人少年室というのがあるのだが、どうも三人か四人で、独立の役所を持たないのです。しかも独立の役所を持たないばかりでなく、この役所は機動力がない。室長さんあたりがこつこつ足でかせいでいくか、電車で行くという姿であることがわかったわけです。ところが今一番問題になっておるこのベンゾールの中毒というものは、家内労働に実に多いということなんです。これはもちろん労働基準局も精力的にやっていただかなければならぬが、何といっても零細な五人未満の家内労働にこれが多いということになると、婦人少年室の活動というものがやはりこういうところに注がれなければならぬ。ところがそれが機動力がないし、人数も少い、独立の官庁も持たない、どこか基準局のすみに間借りをしておるという姿なんです。私はやはり日本においては九千万の国民の中で半数は婦人だ、しかも有権者でするなら二百万人以上婦人が多いのだ、こういうことから考え、最近における日本の雇用の状態を見ると、非常に婦人が伸びておる。一年に約五十万ずつくらい婦人の雇用が伸びておる。こういうことになると、日本の今後の労働問題というものは非常に大きなところにも出るが、こういう弱小のところに出ていく。しかもそれが中小企業の労働争議というものが非常に先鋭化しておるけれども、その争議さえもやれないところのかよわい層というものが、いわば大海に現われた氷山の露頭は上にあるが、その下にもっと争議もやれないかよわい層があるということなんです。こういう点から考えて、まず婦人少年室のあり方について、松野労政というものが再検討をする必要があると思うが、労働大臣、予算編成期を前にしてどうお考えになっておるかということ、まずこれを一つお尋ねしておきたい。
○松野国務大臣 婦人少年局というのは、日本の行政官庁では労働省がただ一つといっていいくらい婦人問題を取り扱っておるわけでありますが、開設以来歴史が浅いために、必ずしも他の省ほどはなばなしい拡充は進めておりません。しかし、大なり小なり毎年々々予算の拡充を進めておりますが、ことに三十五年度の予算におきましては、婦人少年局の予算というものは相当大幅な拡充を労働省でつい先般決定いたしました。いろいろな場面に婦人少年の問題が出て参りますが、考えてみれば、だんだん婦人の労働力というものの質の向上、あるいは年限も長期化する、ある程度定着した労働力になりつつあるというのが今日の日本の雇用関係の大きな特徴になって参りましたので、今までの臨時的な労働力という考えから恒久的な、しかも相当技能的な労働に婦人労働が前進してくるということを考えながら、もちろん職業訓練の中にも婦人というものの場面を広げていく、できるならば婦人の職業訓練所という専門のものも来年度予算には計上したいというふうな計画を進めておりますが、先ほど御指摘のベンゾールの問題も、主としてこれは、家族労働といえば婦人が対象になって参ります。あらゆる面において婦人少年の働く場面はふえなければならない。今日はほとんど労働基準局の一室を借りまして、婦人少年室というのが各所に駐在をしておりますが、この二人、三人の定員ではとてもできませんので、今日は非常に理解のある方も出て参りまして、婦人少年の民間の志願による相談員、あるいはいろんな場面を御相談していただくような機構も大都会には出て参りまして、行政的な拡充をすることも当然でありますが、こういう理解の上に行政の拡充を進めていくことが一番いいのじゃなかろうか、こう考えて、来年度の予算においても、実は省内におきまして、婦人少年の問題は相当画期的な大幅のものを計上するように、すでに大蔵省には予算要求をいたしました。
○滝井委員 実は今民間のこういう婦人少年問題に非常に関心の深い方の御協力というお話がありました。なるほどこれは協助員というようなものができております。二十人か三十人いらっしゃるようでありますが、何せ手当が年俸千円なんです。しかも婦人少年室自身が電話料がないというわけなんです。たとえば市外に電話をかけようと思っても、さて三十円の電話料をどうしようか、こういう悩みを持っておるらしい。でははがきで、こういうことになるらしい。だんだんしておると、その五円のはがきの通信費もなくなる、こういうことらしいのです。こういうことでは年々五十万以上増加をしている、特に第三次産業を中心として最近は製造業にも増加を始めているのですが、そういう婦人年少の労働問題というものがクローズ・アップされている段階で、こういうことでは私はどうにもならぬと思うのです。協助員は協助員で、民生委員とか指導員とか、そういう人もたった千円くらい、月千円だったと存じますが、こういう点、やはり今私は労働省の一つの盲点になっているのは婦人少年の問題だと思うのです。婦人少年の問題をもう少しやはり積極的に推進をしてもらう必要があると思うのです。そこで私は、あとで石炭の問題もあるので、岩尾さんと田代さんに来ていただきたいと思ったが、岩尾さんだけお見えになっておるのですが、岩尾さんは労働省と厚生省の担当ですが、実は今お聞きの通り、婦人少年室の問題、年々五十万人をこえる婦人労働者が最近ふえておるのです。ところが、この婦人少年室は基準局に間借りをしておる。行ってみますと、定員が三人か四人です。日本の人口の半分は女性なんです。しかもこの女性が、今われわれが問題にしようとするベンゾールの中毒その他にかかっておる一番対象者なんです。あるいは鉛の中毒だってそうです。そうしますと、なるほどわれわれオリンピックも必要です。オリンピックも必要だけれども、その前にわれわれはやらなければならぬところがあるということなんです。オリンピックで莫大な金を使う余裕があるならば、まず日本の婦人を救うためにその金を回してもらいたいということをむしろ言いたいくらいの気持があるのです。そういうと、まあオリンピックはオリンピックなんだからというけれども、国民の財布から出る金は一つなんです。一つのがま口から出ていくのですから、一体大蔵省としてはこの婦人少年室のあり方というものをどうお考えになっているのかということです。わずかの、スズメの涙ほどの予算をやって、通信費も電話料もないということでは大へんだと思うんです。しかも日本の産業というものが、特に輸出産業、玩具あるいは検温器、あるいはもっといえば、アメリカに行くこうもりがさの骨というようなものは、やはり家内労働を中心に仕組まれてきておるわけです。そうすると、その一番安い三銭か五銭の費用でやっておるというものについて、私はやはりもう少し思い切った予算を出して、そして確立する必要があると思うのですが、あなたの方は一体どうお考えになっているのか。実は局長に来てもらいたかったのですが、局長は予算の何かあるというので岩尾さんに来てもらったのですが、それをどうお考えになっているのか、大蔵省自身のお考えもこの際お伺いしておきたいのです。
○岩尾説明員 実は私今回かわりまして担当いたしまして、昨年の経緯はよく存じ上げておりません。今後の問題につきましては、いろいろ先生のお話もございますし、労働省の方からもいろいろな話を聞いておりますので、よく検討いたしたいと思います。ただ全体何といいましても、いろいろな点で要求も出ておりますし、すべてを満足させるということはできかねますので、その辺はよく検討したいと思います。
○滝井委員 岩尾さんは鳩山さんとかわられてからあまり日にちもたっていないので、ここでどうだということはなかなか例年の事情もよくおわかりにならぬと思いますので、それ以上言いませんが、とにかく婦人少年室というものが冷遇をされているということだけは一つ御記憶になっておいていただきたいと思うのです。 そこで問題は、私は最近実はベンゾールの中毒らしい一人の女性を私の国で見たわけです。だんだん調べてみますと。大阪に行っておったわけです。いなかに療養に帰ってきているわけです。非常な激しい、再生不能の貧血なんです。原因はわからない。大阪に行って何をしておったといっても、なかなか言わない。いや、私は女中さんみたいな工合に働いておりました、こういうわけなんです。ところがそれが非常に激しい貧血なんです。だんだん調べてみると、どうもやはりビニールの袋張りか何かの、ビニール加工場か何かに働いておったような見当がつけられた。そこで私は、これはと思って興味を持ち始めて見ているうちに、がぜん新聞にベンゾール中毒問題が浮び上ってきた。こういうように今や家事使用人として行ったものが、いつの間にか家事使用人ではなくて、その家庭でベンゾールの袋張りをやっておるという事態も起りつつある。そうして病気になればみないなかに帰っておる。そうするといなかの医者は、これは簡単な肝臓か何かの障害の貧血だろう、こういうことで片づけてしまう。実はベンゾールがサンダル靴その他に使われ始めたのは去年じゃない、三年くらい前から使われ始めている。従って中毒というものは、どんどん使えば半年かそこらで起ってくるわけです。しかも明らかに潜伏状態が見えてくる。潜在性の貧血状態が現われてくる。専門家が見たらわかるはずなんです。ところが今から三年前に使われたものが、今日になってそれが社会、政治の日程に上るのは、今まで一体それらの中毒患者はどうしておったのだという問題も同時に起ってくる。こういう問題について、最近家事使用人の調査等も婦人少年室でやられておると聞いておりますが、そういうベンゾールの中毒の問題が、婦人少年室等で一体三年前ごろから使用されておったのに話題に上らなかったかどうかという点です。こういう点、婦人少年室の方で御答弁あれば一つお示し願いたいと思います。
○谷野説明員 婦人少年局におきましては、かねてから家内労働者の問題につきまして調査を実施いたしておりまして、今日まで大体調査を三段階に分けていたしたのでございますが、大体におきまして労働条件に主体を置いて調査をいたしておりましたために、三回の調査の過程におきましては、ビニール、サンダルのベンゾール中毒につきまして被害者があるということを発見できなかったのでございます。大へん申しわけないのでございますが、新聞の発表によりまして初めて承知いたしましてびっくりいたしましたわけでございます。
○滝井委員 実はあなたの方の末端の機関でも調査をやられておるのです。これは京都でございましたか、私聞いたのですが、特殊の健康診断を八百人についてやった。ところがその八百人の中の三割三分がベンゾール中毒の異常者であった。五百四十人について調査したところが百二十七人が鉛中毒のおそれのある異常者であった。こういうことを基準局等ではっきり指摘しておるわけです。婦人少年室長さんの報告でも、ベンゾール中毒が内職婦人に出ておる。特にセロハンの袋張りというところに出ておるのだというお話も聞いたのです。けい肺は多分一一%くらいです。新聞等によってもベンゾールの中毒は二割五分くらいになっておる。けい肺よりも多いわけです。これに潜在性のベンゾール中毒患者を加えますとはるかに多いものになると思う。こういう事態が起って参りますと、もはや労働省だけではこれはどうにもならぬです。従って各県における厚生省医務局所管の衛生部を動員して、保健所とお宅の方の基準局の末端、そして婦人少年室、これらの三者ないし四者が協力をしながらこの問題の大々的な予防運動を起す以外にもはやこれはとてもやれぬと思う。しかもサンダルの製造その他は相当第三国人等もやられておる。そしてそれが零細な家内労働にクモの網のように分たれているということになると、これはしゃくし定木の行政ではなかなか把握が困難です。従って当然婦人少年室における協助員、それから保健所、開業医、それからあなたの方の基準監督署、これらのものが一体になってこのベンゾールの惨禍を防ぐという方向に持っていかなければ、一たび貧血を起して重態になってくれば、生活保護だ何だといって医療扶助をやるのだといっても、先ほどの多賀谷君に対するあなたたちの答弁のように、断然やりますといって弾力的に医療扶助をやってくれればいいが、それはなかなかやれない。これが長期の治療を必要とし、しかも輸血を中心とした治療になってくるとますます困難になり、原子病と同じになってしまう。鉄は熱いうちに打てと申しますが、今のように世論がベンゾールについて盛り上ったときにすみやかに対策を講ずる、そして別に法律は安全衛生を中心とした家内労働者に、松野労働大臣が言われるようにやってもらわなければなりません。しかし、この法律は臨時国会から通常国会にかけてすぐにうまくいけばいいが、予算の関係その他もあって簡単にいかぬという場合もあり得ないとも限らないと思う。従ってその前にまず病気の実態を把握して、潜伏者が一体どのくらいあるのだ、明らかに治療を要する者はどのくらいあるのだということを把握したならば、それに対する具体的の数字の上に立って、生活保護をどうする、医療扶助をどうする、それから他に何か方法があれば国が金を出してやるならやる、こういうことが具体的に立法措置の中に盛り込まれてこなければならぬと思うのです。そういう点で、もはやこれは労働省だけの仕事でなくて、当然厚生省にも呼びかけて、政府全体としてすみやかにやってもらわなければならない。しかもこれは内職をしている婦人だけの問題ではない。すでにその内職をしておる場所に住んでおるかわいい子供に及んでおる。子供の問題というのは外に出てこない。この子は大かた母親の栄養が悪いから貧血するのだろう、あるいは人工栄養だからだろう、こういう形で発見されないままに放置されておる。従ってこの問題についてはそういう総合的な施策を政府としてすみやかにやる必要があると思いますが、あなた方の一省だけではなくて、厚生省その他通産省等にも呼びかけてやる御意思があるかどうか。
○松野国務大臣 滝井さんのおっしゃるように、これは労働省だけの問題としては解決ができない。ただ労働省は労働省の立場で最善を尽します。同時に、つい先般もお話ししました巡回相談というものに東京都の衛生局の非常な御協力をいただいて、ただいま正確な病状といったものの統計を出しているわけであります。もちろん厚生省には医療扶助のみならず、医務局及びすべての衛生機関の御協力を願いたい。労働省は基準局及び婦人少年局または労災病院等、すべての関連が深いものでありますから、今日その方向に努力しておりますが、さしあたり東京都は東京都の衛生局が今日われわれのこの気持に即して現地において巡回相談として統計と病状の審査をやっていただいておる。私の方もできるだけやりますが、やはりこれは全部の関連が深いことでありますから、その方向に私も各省大臣の御協力を仰ぎたい、こう考えております。
○滝井委員 ぜひすみやかにそういう形をとっていただきまして、潜伏性のベンゾール中毒者に対しても、軽いうちに適切な措置をとっていただくように要望いたしておきます。 次は炭鉱労働の問題でございますが、多賀谷君がいろいろ触れましたので、二十分の約束でございますから、簡単に住宅問題だけをお尋ねしたいのですが、実は現在石炭鉱業の合理化によって買い上げられた炭鉱の労働者には移動資金というものがつくわけです。あれは多分一万円か一万五千円の移動資金がついたと思います。それが第一次は五月の十五日から八月の十四日までの三カ月間だったと思います。一応期限が……。そういう張り紙が一応買い上げられた山には出ておったと思います。しかし実際はあれは六カ月間ですから、もう少しあると思います。そこで御存じかどうかわかりませんが、石炭鉱業の合理化によりますと、全部の炭住を買い上げるとは限りません。現在移動資金をもらえる対象労働者というものは、炭住の買い上げられた労働者だけがその移動資金の対象になるわけです。そうすると、山は買い上げられたけれども、炭住が買い上げられないと移動資金の対象にならない。そこで山は買い上げられたが、炭住が買い上げられなかったという労務者は移動資金も何ももらえないので、炭住に定着せざるを得ないのです。これについて、なぜ移動資金をやらないのかということです。炭住が買い上げられなかった労務者になぜ移動資金をやらないのか、この点に対する政府の見解を伺いたい。
○百田説明員 ただいまの御質問の点は、例の石炭鉱業整備事業団におきましてそういう特別の措置をとったわけでございます。そこで一般的に申し上げますと、失業保険の受給期間中におきましては、他の地域に就職のために移転するという場合には御承知のように移転費の支給があるわけであります。現在石炭鉱業整備事業団のやっておりますものでは、今申し上げたような方針でやっておるわけであります。もちろんこれでは不十分でございますし、先ほどから大臣よりお話がございましたように、今後当該地域で就職することが非常に困難だ。従って、できるだけ他地域に就職をさせるように、現在積極的に努力はいたしております。それらの点につきましては、現在において不備な点もございますので、さらにこれを拡充するような方法も考える必要があるということで、内々検討はいたしております。ただいままで約四、五百のものについての移動につきまして、これは出かせぎでございますけれども、大体は就職したところでその旅費のめんどうを見るといったようなことになっております。そして、それをもらうためには、県等でいろいろめんどうを見た事例もございますが、さらにこれが相当大量になって、しかも各地に積極的に就職を勧奨するということになりますと、今申し上げましたようなことだけでは不備でございますので、この点につきましての補う対策はいろいろ検討をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
○滝井委員 もう火は燃えておるわけですから、この燃えておる火を消さなければならぬわけです。炭住を整備事業団が買い上げる条件というのは、まずAという炭鉱が買い上げられたならば、そのAという炭鉱に働いておった労務者が、その炭住の中に全部入っておらなければ、この炭住は買い上げないわけです。ところが、これはその石炭鉱業合理化法の盲点なんですが、合理化法というのは、御存じの通りAならAという鉱業権者が、自分の鉱区を全部一括して買い上げてもらわないのです。最近はこれを四つか五つに分断をして買い上げてもらうわけです。そうして買い上げてもらった隣の鉱区に、すぐまた新しく鉱区を掘ってしまう。掘って、そこに労務者が要るので、今度それを自分のかつて使っておった労務者を自分の新しい炭鉱に使うわけです。そうすると整備事業団がこれを買い上げようとすると、そこに入っている労務者は買い上げた鉱区の労務者ではなくなるわけです。違った人が入っておるわけです。従ってこれは買い上げないということになる。買い上げた炭鉱の労務者でなければだめだ。ところが鉱区を分割したのですから、別な労務者が入っておるから買い上げない、こういうことになる。すなわちこれは鉱業権者がみずから別な鉱区を設定して炭鉱を開いたために、善意の労務者というものは、炭住が買い上げの対象にならないために移動資金がもらえぬ、こういう事態が起ってきておるわけです。これは全く労務者には罪はないのです。政府が移動資金を出すというのは、その炭住から、労務者にどこかに出ていってもらうために出すのでしょう。しかもあれは、百五十キロか何か、遠方に行けば行くほど金がよけいにつくのです。どうもこういう政策をおとりになっておるのには僕は反対なんですが、もし労務政策が、炭鉱労務者をとにかく四散させる——労務政策として、あなた方が散らばしてしまうためにとったということを私聞いたのです。私は反対だといって怒ったのですが、そういう理論でいくとするならば、買い上げられなかった炭住の労務者も、移動するならば当然これはやるべきです。ところがこれをやっていない。これをやらないと労務者は動けないから、いつまでもそこにおるということになる。これはどうですか。当然私は、山が買い上げられたならば、そこに労務者がおっても仕方がないから移動資金を出すのだという理論からいけば、炭住は買い上げられなくても出してもいいんだということになる。居住権がなくなるんですから……。
○百田説明員 ただいまのお説はごもっともでございますが、このさしあたりの——さしあたりと申しますか、この制度は、本年の始めから石炭鉱業百万トン追加買い上げのときに、整備事業団としてこういうあれをおとりになったわけでございまして、その目的といたしますところは、やはりその行い得る事業の範囲ということは、おのずから整備事業団の目的に制約されることは当然でございます。離職者対策として、今申し上げました一つの職業の転換対策としてやるというものにつきましては、これのみに依存するということは困難でございますので、先ほど私が申し上げたような措置を今後検討するということが必要ではなかろうか、こう思います。
○滝井委員 実は問題は、今あなたがおっしゃるように、整備事業団の仕事としてこれをおやりになる。一体その金はどこから出たのかということなんです。移動資金のお金は——離職金も同じですが、整備事業団が出す。そのお金はどこから出たのか、それは御存じありませんか。
○百田説明員 これについて私も詳細は存じませんが、石炭鉱業権者の納付金から出たものということであります。
○滝井委員 私もおそらく、開発銀行の九分の利子を六分五厘に負けて、その二分五厘の利ざやと、トン当り二十円の納付金が寄ってできているものだと思うのです。そうしますと、問題はここにあるのです。こういう石炭業者の出した金で国が労務政策をやろうとすると、間違いが起る。現在整備事業団というものはそれだけの金しかない。非常にきゅうくつなんです。だから、将来これを労務政策として遂行しようとせられるならば、私は別個に、一般会計の中から労務政策費としてそういう移動資金その他は——国が国策によって移動せしめるのだし、国策によって炭鉱を買い上げるのですから、国が当然一般会計からそういう移動資金というものをきちっと整備事業団にあてがうべきだと思う。そうしますと、一視同仁、買い上げられようと買い上げられまいと、炭鉱が買い上げられさえすれば、その炭住から移動していく人にはみんな金が出ていく。それが現在ないところに問題があるわけです。整備事業団というものはいわば赤字を出してはいかぬというので、非常にシビヤーな会計のやりくりをやっておるわけです。きょうは主計官がおらぬのですが、こういう点をもう少しはっきりさしてもらいたいと思うのです。——石炭局長、ちようどいいところにお見えになったのですが、今炭住を買い上げられなかったものには移動資金がいかぬわけですが、移動資金の金というものは一体どこから出ておるんだ、こういうことで、納付金と開発銀行の利ざやでやるんだ、こういうことですね。そうしますと、事業団の運営はその金でやるので非常にきつくなっておる。労働者を移動させるということ、あるいは炭鉱を買い上げるというようなことは国策でやったんだから、この際国がそういう移動資金とかいうようなものは出すべきだという主張なんです。あなたの方はそれをどうお考えになるかということですね。実は大蔵省の田代主計官に聞きたいと思ったのですが、今いらしておらぬので、あなたの方から御見解を承わっておきたい。
○樋詰説明員 ただいまの滝井先生のお話は、こういう石炭がエネルギー政策の中で方向転換せざるを得なくなった過渡期における離職者というものを、できるだけ分散させるといったような場合の費用については、事業団に買い上げられなかったものも含めて、国の方で直接見るべきでないかという御趣旨のようでございますが、実はわれわれも事務的には、ぜひそういうことをやることによって初めて今後の石炭政策を進め得るのじゃないかと考えまして、現在予算を要求いたしておるわけでございます。しかしこれが最終的にどうなるかということにつきましては、これからさらに折衝しなければならぬと思いますが、われわれといたしましては、とにかく全力を尽してわれわれの希望が達成されるように、今後努力していきたいと考えております。
○滝井委員 岩尾さんも出ておりますが、これは労務政策に関係があるので、同じことがずっと出てきますから……。今の移動資金は、通産省としては事務的には国で見るようにさしたい、こういうことでございますから、労働省もぜひ御協力になっていただきたいと思うのです。 今のは買い上げなかった場合ですが、今度は炭住を買い上げた場合には、なるほどその労務者が移転をすれば移動資金がつくことになりますが、この買い上げた場合に四つの場合があるわけです。まず一つは、すでにその炭住を自分の所有にしてしまった人がおります。これが一つ。それから二番目は、金があったら今から買おうかなと思っておる人がおります。それから全然買えないという人が住んでおります。そういう三つのものは、まだ移動するか移動しないかの意思が未決定です。しかしこれから私はもう買い上げになったら移動しますという人もおるわけです。こういう四つの場合がある。一番最後の買い上げになって移動する人は、これは文句ございません。移動資金がもらえるわけです。ところがまず第一番の炭住を自分の金で買い上げた人、これには一体移動資金をやるのかやらないのかというと、現在はやらないのです。そうすると、政策というものは炭鉱と縁がなくなれば移動資金をやるわけですよ。ところが炭住を自分で買い上げた人はもう炭鉱と縁が切れておるわけです。なるほどそこの炭鉱の土地にはおるかもしれぬ。炭鉱は政府が買い上げて、炭住は滝井義高なら滝井義高が買い上げたのですから、私は炭鉱とはもう縁が切れたわけです。縁が切れたということは移動したと結果は同じです。当然これには私は移動資金を出すべきだと思うのです。ところが現在出されていないのです。この点は一体どう考えるかということです。これは移動したと結果は同じです。迷惑をかけていない。
○樋詰説明員 御承知のように事業団の現在の財政は納付金と、それから二分五厘の金利の免除、この二つだけで現在予定しております山を買うということと、それから現実に炭住を明け渡して出ていっていただくということで一万五千円払うというところが、現在ほぼ予算的に一ぱい一ぱいになっております。そこで現在のままの姿で、すでに買っていただいた人にまで迷惑をかけてないのだから、立ちのいたも同じじゃないかということで、一万五千円を払えという御主張をいただきましても、今すぐここでごもっともですというふうには申し上げかねると御返事するよりしようがないと思います。
○滝井委員 それは差別待遇になるわけです。同じ炭鉱労働者で、出ていった人にはやるのだ。しかし家を買ったら出ていったと同じでしょう。すなわち整備事業団の家におらなくなったという点については同じです。整備事業団の家におるからこそ困るので、だから一つ出ていって下さい、出ていった人には一万五千円上げましょう、こういうことです。炭住は一万五千円より安買える。一万五千円あったら二棟買える。だから自分で家を買い上げたのですから、結果は整備事業団に迷惑をかけてないわけです。そうするとその人が一万五千円をもらって出ていきます。出ていって、その一万五千円であとで炭住を買いましょう。買ってまた四、五日して帰ってくることは可能です。それを防ぐ方法はないはずです。百五十キロも出ていけば二万円くらいになるのだから、出ていって、そして別の人に頼んであとの家を買うてもらう、買うてもらってまた十日くらいして帰ってきたらいい。これは脱法行為になるかもしらぬけれども、現実にはそれは可能です。そういう脱法行為をさせないためにも、買い上げた人には一万五千円なら一万五千円をおやりになることが必要じゃないか。それが公平ですよ。それがそうできないならば、その次の第二の問題も同じような結果になってくる。第二の問題は今から買おうとしておる。これはどういうものかというと、移動資金をもらって出ていきます。出ていって買ったらいい。整備事業団は安く売るのですよ。十万円しておったものが今一万五千円、二万円で鶏小屋なんかに売られておる。だから自分が買う必要はない。だれかの名義で買ってもらって、四、五日して入ったらいい。そうすると移動資金がもらえるのです。こういう矛盾のある政策が出てきておる。それならば炭住をただでやるか、移動資金を一万五千円やるか、どちらか選択しなさいという政策を出した方が合理的だと思うのです。そういう政策が合理的ならば、買うた人にも一万五千円やらざるを得ない。そうでなければ労務政策は立たない。なぜならば、一棟の社宅の中には金を持っておる人もおります。それから全然金のない生活保護の人もおるのです。炭住は五軒住まいの長屋です。そうすると一軒が激しく暴風雨か何かで屋根がこわれて雨漏りが始まります。これは整備事業団の炭住だから扱うことができない。ところがこれがその人の所有になると、みんな上っていって修理してしまう。しかし他人の所有だから上って修理ができない。だから青空会といって、天井をのぞく会ができておる。生活保護で修理を市に申請して補修費を出してもらいたいといっても、補修ができないで困っております。こういう実態があるわけです。それじゃ全部売ってくれませんか、よろしい、安く売りましょう、こういうことなんです。しかし君らが出ていったら一万五千円やるぞ、こういうことです。ただでやるか、一万五千円をやるか、どっちかを選びなさいといった方が政策としては親切であり現実的なんです。こういう政策がとられていないのです。しゃくし定木に、出ていかなければ金をやらぬ、こういうことです。しかも三カ月以内に期限を切っておる。私はこんなばかな労務政策というか移動政策はないと思う。これは底が抜けておるのですよ。労務者というものは一たび家を持てば、必ず熱心に仕事を探してどこかにつくようになります。家がないから浮草のようになる。家を持てばそこにブタも飼おうし鶏も飼おうし、植木鉢もいじる。こういう形で安心立命の地を得るようになる。山の中の三軒家のワラぶきであっても根がはえてくる。根がはえて、ここでは食えぬなと思ったらそこで一万五千円で売ったらいい。一万五千円持ってどこかに引っ越していかなければならない。引っ越しの金はきちっとできる。どうせ価値のない炭鉱を政府は納付金と開発銀行の金を出して、四千万も五千万もかけて買い上げておる。そうすれば山が終る店じまいのときに、未払い賃金をかかえてどこに行っていいかわからない労務者に、家一軒くらいやってもいいでしょう。終戦後日本の建設に、産業の生産に尽してきた労務者に家一軒ぐらいやりましょうといって、何ぼ保守党ががんこで血も涙もない政策だって、このくらいの政策を出してもいいと思う。それをやらない。だから私はそれを主張しておるわけです。移動する者には金をやってもよろしい。しかし移動もしない、家をほしいという者には家を金のかわりにやりなさい。これは簡単なことですよ。今炭住を買い上げられたものを見てもわずかなものです。それから全然買い上げにならぬものについては、これは、これは家を無料でやるわけにいかぬから、移動資金だけやって出てもらう、こういう現実的な政策をおとりにならぬと、しゃくし定木に三カ月以内に出ていった者には一万五千円やるんだ、これだけであとはだめだということでは現実に即応していない。だから現実に買いなさい、買おうというが、さて生活保護者なんかどうするか、足並みがそろわない。それならば無料でおやりになった方がいい。そうして無料でおやりになった分の穴が整備事業団にあくならば、その部分は政府が補てんをしていく。私は、まず当面炭鉱の対策としてとられなければならぬものはこれだと思う。そして住居が安定をしたならば、その次の段階で緊急対策としてとられなければならぬものは、鉱害復旧の繰り上げとか、あるいは公共事業だ、こういうことになる。住宅を安定してないところで仕事をしたってだめです。浮き腰立って、いつ電気が切られるか、いつ水道が切られるか、いつ出ていけと言われるかわからないというので、みんな戦々きょうきょうです。だから、われわれはこの前樋詰さんのところに行って、少くとも当分の間は強硬な炭住の追い立ての政策はとらぬ、こういうことにして下さいとお願いして、今そういうことになっている。なっているけれども、これは整備事業団が困っている。いつ一体先生見通しをつけてくれますかと困っているわけです。そこで私は特にきょうはこの問題を取り上げたんですが、すみやかに一つ、山は買い上げるが、炭住は買い上げない場合でも移動資金はやる。それから買い上げた場合に、炭住を無料でやる場合には移動資金は出ません、出ていく場合には移動資金は出ます、どちらでも御自由にお選びなさい。これの方が簡単でわかりやすく合理的ですよ。どうですか、こういう政策はとれませんか。そして、その分については、整備事業団に金がないならば、こんな大政策を遂行するんですから、今年度末、すなわち来年の三月三十一日までには二万七千五百人の炭鉱失業者が当然出てくるということがあなた方の予想です。筑豊炭田では一万一千以上出ます。しかも今年は百万トン、来年また二百万トン追加するということになれば、筑豊炭田で三万、四万出ますよ。そうしてその人たちが炭住を一万五千円でおっぽり出されて、その金を持って、どこかわからない農家の納屋か何かにちょっとおる。また追い立てを食うということで、これはジプシーの民です。故郷に帰ろうたって、帰るところがない。そういう日本人を作ることは私はいかぬと思う。だからやはり私はまず住居を与えて、安定さして、そしてじっくり一体今後の自分の生活の道をどうするかということを考えさせる。考えがついたら、それを売ったらいい。買手は幾らもおりますよ。だからそういう点を一つこの際積極的に私は考えていただきたいと思うのです。ちょうど予算編成期ですから、今あなた方が政策を打ち出さなければ間に合わない。どうですか、この点。
○百田説明員 ただいまの滝井先生の御意見、非常に傾聴に値するものがあると思いますが、われわれが先ほども申し上げましたのは、一つは集団的に失業者が同一地域に発生するというような場合に、先ほど大臣から話がありましたように、あるいは多賀谷先生から話もありましたように、その地域の開発ということは、産業転換の問題として非常に重要な問題になるわけですが、直ちにこれが実施に移されるわけのものじゃないわけです。従いまして、できるだけ他に適当な就職口がある、あるいは他産業に転換の機会があるという場合には、積極的にこの方面にあっせんをする。その場合におきまして、そこに移動する場合に資金がない、旅費がないというようなことのために、せっかくのそうした就職口が得られないことがないようにという見地から、受け入れ先における、あるいは住宅の問題あるいは行く場合の資金の問題等につきまして、現行の制度でいけるか、あるいはこれに不備な点がある場合には、それを補足的にさらに拡張して考えていかなければならぬ、こういう問題を検討しなければならぬということで、申し上げた次第でございます。 と同時に、今お話しになりましたこの整備事業団が移動資金をやるということは、一つの炭住政策と申すのもおかしいのでございますが、そうした問題でございます。整備事業団としてはやはりそういうものを買って、できるだけ早くこれを処分するといいますか、そういう必要性があることからして、こういう制度を作ったわけであります。おのずからそこには滝井先生のおっしゃるように、これのみをもって労務政策のすべてに奉仕し得るものではないということは、われわれも承知いたしております。そういう意味合いからいたしまして、われわれは先ほど申し上げた意味を含めまして、政府部内におきましてこの問題についてそれぞれ案を出し合って検討しているような段階にあるのでございます。
○滝井委員 その点は、こういう説明をしたら一番わかりやすいと思う。整備事業団は炭住を買い上げた。だからこれを早く明け渡してもらいたいために、そういう移動資金を出す。移動資金を一人一万五千円出せば、五棟あれば七万五千円になる。だから、七万五千円以下、一棟一万円以下でやるのですから、これは結果的には整備事業団としては得なんですよ。一棟一万五千円ですから、五人労働者がいれば七万五千円払わなければならぬものが、一万円で払い下げているから、出ていったあとは一万円で片づく。差し引き六万五千円のもうけになる。これは簡単な算術ですよ。ぼくらが幾ら説明しても、あなた方はがんこだからわからない。そういう行政ではいかぬのです。弾力ある行政をとりなさい。出たい人には一万五千円やる、おりたい人には炭住を上げなさい。これで一万五千円あれば一棟全部自分のものになってしまう。そういう点をよく御検討になっていただきたい。買うときは鉱業権者からは十八万円も出して買っている。ところが今度払い下げるときは鶏小屋ですよ。みな倉庫を建てるために買っております。そのときは一万円かせいぜい二万五千円くらいにしか買っていない。だから労務者に払い下げるときにはもっと安くしたらいい。ただ問題は、土地なんです。炭住は大して問題ではない。土地をどうするかという問題が出てくる。土地だけは、たとえば地方自治体に払い下げるときには、炭住の評価をゼロにして、土地代を高くして、土地だけをやれば、ただでやったことになる。帳面の力は、炭住はそのとき一万円にして、土地を四万円、全部で五万円と価額評価をしておけば、会計検査その他はきちっと通りますよ。そこらあたりをもう少しあなた方御研究になってこの政策というものはやる必要があると思うんです。そうしなければ、労務者に一万五千円くらいやって、遠い所に出ていけといっても無理ですよ。静岡県へ行ったけれども、行ってみたら、みなだめだといって帰ってきている。最近はそうでもないようでありますが。だから住宅をとにかく当面与える、与えてその上で仕事をどうするかということを考えてやる方が私は先決だと思うのです。これは今どうするという御即答はできないと思いますが、しかし大事な予算編成期ですから、そのくらいのお金は政府は当然出すべきだと思うのです。炭鉱業者には開発銀行の金を貸して炭住を作らしたのでありますから、今の段階では労務者にただでやっていいですよ。長い間炭鉱の中で搾取された労務者に、炭鉱が終るときにはのしをつけて国が家くらいはやるという、こういう政策は社会党ならすでにやっている。なんぼ自民党でもそれくらいのことはやれると思う。あなた方がそれを言いさえすれば、自民党でもやりますよ。ぜひ一つそういうように実現をしていただきたいと思う。松野さんがおらぬようになってしまったけれども、おれば、松野さんの最後の締めくくりの答弁を得たいと思ったのですが、どうですか、あなた方はそれをやる意思がありますか。これは半年以上前から主張していて通らない。私は労務者には、当然そうなるものだと理解をして、炭住は無料でもらえるか、それとも一万五千円か、どっちか自由選択だということを説明しておった。樋詰さんにもそういう主張をしておったんですが、それでそうなるかと思ったら、今度公示というか整備事業団で出した公告を見ると、そうなっていない。五月十五日から八月の十四日までに出た人にのみ一万五千円上げます、こうなっている。私はこれは一番大事な点だと思う。はなはだしい鉱業権者は、未払い賃金のかわりに炭住においている。たとえば未払い賃金が五千円あったとすると、一カ月三百円だから、君は一年五カ月おることができる、こういうことをしている。そういうものはやはり私は全部無料でやるべきだと思う。たくさんな未払い賃金があって、もらえない、多賀谷君の言うように、加茂炭鉱のようなものはこれからざらに出てきますよ。この点どうもはっきりした御答弁をいただけぬようでありますが、最後に一つ御答弁をいただいて、ここで要望をして打ち切っておきたいと思います。
○樋詰説明員 先生の御意見、一々ごもっともでございますが、最後にお話のございましたたとえば借地をしているのもございます。そういうところのものはこれはとにかく事業団としても早く炭住を処分して、さら地にして元の地主に返す、そうでないといつまでたっても地代を払わなければいかぬという問題もございますし、それからこの一万五千円の移動資金というものは、これは先生よく成り立ちを御存じのように、私は前に国会でこういう趣旨を申し上げたときにも、産炭地帯にいつまでも居着いておられるということは非常に職を探すのにむずかしかろうということで、むしろ産炭地帯から移動される方に差し上げたいということを申し上げたこともあったわけであります。ただしそのときに、産炭地帯というのはどこまでをいうのか、五十キロか百キロかいろいろむずかしい問題もあります。たとえば九州から出なければいけないのかというようなことで、非常に段階が引きにくいという問題もございましたから、結局は事業団として買い上げた炭住を早く処分したいということを片っ方に目的として持っているために、炭住をあけていただいた方にということになったわけでありますが、これが結果的にいろいろな問題を起している点は御承知の通りでありまして、われわれもこれで労務者に対する対策が十分だというふうには思っておりません。これにつきましては先ほど百田局長からも申し上げましたように、石炭鉱業全体についての対策というものは、関係各省が集まりましていろいろと相談している最中でありますので、できるだけわれわれ事務当局としては不合理のないような線で問題を解決する方向に努力していきたい、こう思っておりますが、事務当局として責任を持ってどうこうということが申し上げられない点は御了承いただきたいと思います。
○滝井委員 大蔵省の岩尾さん、今お聞きの通りでございます。この炭住に住んでおる労働者に対する移動資金というのは整備事業団の金でやっておるわけです。これは当然国の労務政策としてやるのですから、国が一般会計からやはり出すべきだと私は思うのです。そういう点で今労働、通産両省はお宅の方に要求したいと言っておるのですから、一つ十分実情把握の上御検討願いたいと思います。以上で終ります。 —————————————
○永山委員長 この際小委員会設置についてお諮りいたします。 閉会中審査案件の審査のため、小委員二十五名よりなる閉会中審査小委員会を設置いたしたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決します。 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認めます。 それでは小委員は 大石武一君 大坪 保雄君 大橋 武夫君 亀山 孝一君 齋藤 邦吉君 田中 正巳君 田邉 國男君 中山 マサ君 八田 貞義君 藤本 捨助君 古川 丈吉君 柳谷清三郎君 山下 春江君 亘 四郎君 伊藤よし子君 大原 亨君 岡本 隆一君 小林 進君 五島 虎雄君 多賀谷真稔君 滝井 義高君 堤 ツルヨ君 中村 英男君 八木 一男君及び私とし、小委員長には委員長の私が当ります。 なお、小委員辞任の申し出及び小委員に欠員を生じました場合の補欠選任につきましても委員長に御一任を願っておきたいと存じます。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
○永山委員長 御異議なしと認め、さように決しました。 次会は明二十二日午前十時十分より理事会、十時二十分より委員会、十時三十分より閉会中審査小委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十五分散会