社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 158 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/07/06
会議録
○田中(正)委員長代理 これより会議を開きます。 国際労働機関総会における労働問題について調査を進めます。 本日は、まず先般の国際労働機関総会において取り上げられました諸問題につていこの会議に参加されました労働者代表瀧田實君、使用者代表三城晁雄君の両君を参考人として、また日本政府代表大島靖君に説明員としてそれぞれ御出席を願いましたので、これより種々御意見を承わることにいたします。 本日は御多忙中のところ御出席いただきましてまことにありがとうございました。 それでは順次御意見の御開陳をお願いいたします。まず瀧田實君にお願いいたします。
○瀧田参考人 瀧田でございます。順序は政府からだと思っておりましたが、私の方が先だそうですから……。 ILOの第四十三回国際労働総会に出席した労働者側の代表として承知しておる点を全般的に意見を述べればいいのですが、時間の関係もありますから、日本の国内で特に問題になった点、あるいはこのことはぜひともこの機会にお伝えしておいた方がいいだろうと思う諸点について集約的に申し上げたいと思います。 ILOの第四十三回国際労働総会は、あたかも四十周年の記念式と一緒になったわけでありますが、御承知のように参加国としては八十万国でありますが、出席した国は七十五カ国、各国の代表、顧問等を含めて九百余名が出席したのであります。ILOの問題については、日本の国内において、政府あるいは国民等の間においても、これは単なる労働問題の討議場所のごとくに理解されておるのでありますが、そういうように狭義にILOというものを理解すべきではなくて、会議に出席した雰囲気あるいは国際的な各国の情勢判断等をする場合には、これが単に労働問題の一分野というふうに考えないで、もっと大きな世界的な経済の動きの問題にもうすでに問題が集約されてきておる。見方によっては国連というのは、非常に政治的な場所においていろいろ意見を述べられておりますが、経済問題の方において、ILOの場所において多分に論議されているという段階になっているように考えます。その点で私はILOに対する認識というものを政府あるいは国民も、し直す必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。 印象的な点を申し上げますと、どんな点からそれを感ずるかということでありますが、ことしは御承知のようにモース総長の報告は雇用問題を中心にしてなされて、それについて各国の代表から一般討議がなされた。しかしこのモース総長の報告は集約的に雇用問題にしぼられてきているわけであります。総会の流れ――七十五カ国出席しておりましても、流れとしては、どうしても民主主義国、自由諸国というものが一群をなし、片方においては、ソ連を中心とする共産諸国が一群をなす。この二つの国家群の流れの間に後進国あるいは新興国の一群が動いておる。雇用問題を論議する場合にここで非常に注目すべきことは、雇用問題を中心にして世界の労働経済を中心に議論をいたしますと、共産主義国は雇用問題、失業問題にはあまり頭を悩ませなくてもいいわけであります。それが集約的に議論される問題が雇用問題になりますと、勢いその欠点あるいは国の悩みというものは、いわゆる資本主義国、それを別の表現として民主主義国、自由諸国といっておるわけでありますけれども、こっちの方がどうしてもあらがよけい出てくるわけであります。そういう場所、あるいは問題の取り上げ方でありますから、日本の国内においても、雇用問題について西欧諸国あるいは日本ほどの大国であってしかも工業国であるような国柄、近代国家の列に伍しているような国柄としては、答えるだけの政治的なものはふだんなされていなければならない。しかし御承知のように、この点は日本は表面的な説明はかなりできますけれども、内容的な問題になりますと非常に寒心にたえないものを持っておりますから、今後のILOの問題については、以上の点は特に注意してもらいたい点だと考えます。ソ連の代表を中心とする共産主義の諸国の諸君は、特に後進国ないし新興国の諸君に対して、非常にアピールする演説をやるわけであります。日本の政府の代表、労働代表もそういう点はやはり理解すべき点でしょうが、毎年々々代表が変っておりまして、ことしはだれが行くのかというようなどろなお式の代表しか送っていないわけであります。ああいう国際舞台、しかも非常に政治的なものを含めてその国の意見を発表し、国際的な動きをする場所において、今のような日本の国内の理解の仕方あるいは対策でいいのかどうかということについては、私はもっともっと積極的な努力をしなければならない、過去の反省がなされなければいけないというように思うわけです。国会だけ何とかつくろっておけばいいとか、あるいは国際会議の総会だけは何とかやり過ごせばいいという性質のものではなくなってきておるということをまず全般的な問題として明確に申し述べておきたいと思います。 次に総長報告がなされて後、倉石労働大臣は――現職の大臣として出席されました倉石労働大臣の政府としての演説は、いわば当りさわりのない演説だったと思いますが、そのあとに使用者側の三城代表が演説され、その翌日私がいたしました。私は雇用問題について触れ、それから最賃の問題に触れ、次に条約の批准問題について触れました。倉石労働大臣はILOの総会において、ILOの第八十七号条約というものは批准をいたします、しかしそれについては満たされるような条件が国内にありますから、その解決を待ってという意味のことを言われたのであります。これは表面ははっきり言っておられませんけれども、いわばこれは公然の秘密のような格好になっておる全逓の問題が隠されておることは、これは日本の国民でなくても外国の諸君もみんな知っておるわけであります。条約は批准するとは言いながら、条件が満たされればという表現で、それで終られたわけであります。私はそのあとで、このILOの総会の会期中に何とか政府としては批准の措置をとられるであろうことを強く期待し、要望するという意味の意見を発表いたしました。これは条約批准についての総会の演説であります。それから最賃法については、現在最賃法は業者間協定が中心になっているから、業者間協定だけで、あとの諮問機関として設置される最低賃金審議会というものを活用しないならば、最低賃金法というものは有名無実のものである、従って、今後の最低賃金審議会の運営というものは、ほんとうに業者間協定ではしなに、業種別、職種別、地域別の賃金、やがては全産業別の最低賃金をきめるということであるならば、現在の最低賃金法というのは生かされてくるであろう、これは現在の法律そのままをすぐいいというふうには認めるわけにいかないのだ、これは一つの踏み台、足がかりとして、一切は今後にかかっているのであるという意味のことを発言いたしました。 ここで皆さんが特にお聞きになりたい点は条約批准の問題だと思いますが、会期中に、日本政府が何らか条約を批准すべきである、いたしますということで、時期と方法を明確にされたいと思っておったのですが、とうとうそれがなかったわけであります。一方においては、日本の河崎公使が理事会の議長に立候補している。これは率直にいえば、理事会の議長の問題というのは、国内的に見ると、これは批准の問題と刷個の問題であるというふうに理解されておりました。だからこれはあまり取引の材料にすべきでないという意見が国内的にもありましたし、私自身もかなりそういう考えを持っておったのであります。けれどもジュネーブに行って各国のいろんな人たちに会って聞いてみると、なかなかそれはそう形式的に別個のものであるとは言いがたい状態でありました。というのは、その国の労働組合がこぞって反対するような、そういう国柄の代表というものは理事会の議長にはふさわしくないという、過去の経過的あるいは慣行的な認識であります。従って形式からいえば、理事会の議長に反対するということは、何だか取引の材料として、問題が別個のものを無理にひっからめているようにとられるかもしれませんけれども、そうではないのがジュネーブの大多数の認識であったのではないかと思うのです。 それで条約の適用の委員会があるわけでありますが、その委員会で八十七号条約を批准するということも問題でありますけれども、九十八号条約を日本の国は批准していながら、実際は違反しているではないかという論議が出たのであります。国内では、これは報道関係その他においても、政府が違反したということを決議されたという報道も一応なされたのでありますが、正確にいえば決議はされておりません。しかし九十八号に違反しているではないかという意見の開陳は労働側の委員から出されております。日本政府では、そのことをもって、いや九十八号は違反したという決議がなされていないから何ともなかったのだというふうに、国会、国民に御報告になると、これは大きな内容的な誤まりであります。実質的にはそういう決議がなされなくて、そこまで言われておるような国柄というものは、実際は違反しておることをはっきり指摘されていると見ても差しつかえないのではないかと思います。この点を認識しないで、決議かなかったから、日本の国は公労法の四条三項の問題についても問題はなかったのだというふうにとられると、これはあまりにも形式的な表面的な報肯にすぎないのであって、この点は私は、決議はなかったと言いますけれども、実質的には日本の違反というものは明確に指摘されておることだ、そのことを日本政府としては、各国の認識はどうであるかということについての認識を誤まらないために、この機会にその点をはっきりしておきたいと思います。 それで倉石労働大臣がお帰りになるときに、われわれは食事をともにしたりしていろいろお話し合いしたわけでありますが、あのときのジュネーブの状態というのは、これは国内で認識しておるようなわけにいかぬ、というのは、全逓の問題は日本の国内で政府と労働者とで解決すべき問題であって、国際条約というのはもっと高度な、もっと国際的な問題でありますから、必ずしも全逓の問題にこだわらないで批准しなけれぶいけないのだという、そういう認識は倉石労相自身も非常に強く持たれたはずであります。この点はいろいろな機会にそういう意味のことを漏らしておられたわけであります。一方国内において問題であった宝樹君は労働側の顧問になって出席しておられたわけでありますが、この問題はこの機会をのがさないで何とか解決しなければならないという認識に立っておられたわけであります。いわば政府側も労働側も、このILOの四十三回の会期中には何としても批准をすべきである。この機会をのがさずにつかんでしまわないと、理事会の議長の就任の問題も棒に振ってしまわなければならぬというようなことで、政府の方は閣議でしばられており、全逓の方は機関の決定でしばられており、両方あまり幅がないのであるが、これはこの機会をのがさず解決するという認識だけは双方持ち合って、そうして国内にそれぞれ持ち帰って、閣議の決定をもう少し緩和してもらいたい、全逓は何らかの妥協の条件があるならばそこらで十分話し合ってもらいたい、双方があの機会をのがさないということについて一致した見解のもとに帰国してもらったわけであります。 ところで心配しておった閣僚の入れかえ等がちょうどあって、そのジュネーブのだいぶんまともな考えになった状態というものは、帰ってしまったらどこかへ飛んでしまったというような状態のように見受けられたのであります。私どももこの機会をのがさずに、解決されたいという電報を労働大臣に打ったのであります。ところがその電報も間違えまして、石田労働大臣なんて打ったものでありますから……(笑声)日本の閣僚というものはそれほど選考が目まぐるしいということで、あとになってみたら松野さんになっておった。(笑声)ILOのときと国内とでそれほど認識が異なり、条約の適用については同じように向うへ行くとこれはやらなければならぬということになっておるのでありますが、こっちへ帰ってしまうと国内のいろいろな勢力に押されてしまって、その空気がどこかへなくなってしまうというようなことのために、せっかくの機会、私どもは六月の二十日がぎりぎりの期限と考えて、日本の国内から何かいい返事がくるだろうと待っておったのでありますが、二十三日になって、理事会の議長の立候補は取り下げるという訓電のようなものがきたようでありました。 この理事会の議長というものについて、国内においては、比較的軽く見られておるようでありますが、向うへ行ってみるとこれは大へんな要職であります。国際舞台としては国連という場所がありますけれども、ヨーロッパにおいてこのILOの総会というものは、やはり四十年の歴史を持っておりますし、大臣の出席でも各国から三十六名かの大臣が出席しておるような会合であります。平代表席にもかつてのフランスの首相であったラマディエ氏が出席していて、やはり老骨にむちうってあの会議で奮闘しておるのを見るわけであります。こういう点を見ますと、この理事会の議長というものはもっともっと評価しなければならない。特にとれを出したり引っ込めたりするような政府の見解は一体どこにあるであろうかということを考えて、まさに醜態といわざるを得ないというよぅに考えたわけであります。なぜかといいますと、理事会の議長の立候補というのは、かつて出して引っ込めた例がありません。これは国内においては、そういう問題を持ち出す労働組合が悪いのではないかという御意見も確かにあります。しかし政府みずからも言われておるように、全逓の問題は国内問題であるとおっしゃるならば国内で処理をすべきであって、条約は国際問題として取扱うべきものであると思うのであります。政府もみずからそういうふうにおっしゃるならば、国内で処理するべきである。言いかえますと、この理事会の議長はとれたのであります。それは通常国会なら通常国会の何月に批准するという時期を明らかにすれば、いわゆる満足すべき政府の意向が表明されたということであって、労働側は各国全部賛成したのでありました。そうしてそこで批准すべしということを言っておいて、批准する時期までに全逓と国内でじっくり話し合う期間があったのであります。その期間を無視してまで理事会の議長を下げるということは、単に出したり引っ込めたりという、そういう言葉だけではなしに、日本の国が国内で非常にまずい状態になっておるということを外にさらけ出してくる。労使は対等であるべきでありますけれども、政府というのはそういう問題を国内で処理することが各国の立場であります。従ってこういう問題をあすこで解決できなかったというのは、やはり政府側にとって好ましくない状態だった、醜態と言わざるを得ないように私は考えたわけであります。この点は今日でもなおおそくないのであります。やはり批准ということは早くされまして、そして批准の時期までに全逓と十分何らかの条件を見出して解決をしてもらいたい、こういうふうに思います。これはアメリカにしてもイギリスにしても、それからドイツあるいはソ連、世界の大国あるいは非常に重要な位置を占めている国柄の動きというものは、もっと大局的な見地に立って国際活動をしております。私は率直に言わせてもらいたいと思いますが、日本のILOに対する態度というものは、自分の国に火の粉が降りかからないよう、それを払いのけるだけに一生懸命の状態が日本の国の状態ではなかろうかと思います。これは少くとも日本ほどの大国であり、工業国であり、しかも相当の高い文化水準を持っている国としては、もっと自分の国以外の世界の動向について、日本の意見をどういうふうに述べるかというところまでいかなければ、私はふさわしくない態度だというふうに思うのであります。そこまで日本の地位がいっておるのであります。これは私の例を一つ取り上げてもいいのですが、今度四十三回の総会――私はILOの総会には経験を持っておりません。それでも、言葉が不十分でも運営委員会の委員を振り当て、決議委員会の委員を振り当て、労働側のビューローの中に入れるのであります。世界十カ国の代表の中に最高メンバーの日本の代表というものを加えるのであります。日本の政府の代表が理事会の議長に推されようとしておる、しかもアジアからぜひ今度出てもらいたいというのが各国の要請でありました。それがひっくり返ったために一夜にしてスエーデンの代表を送らざるを得なかった。そのスエーデンの理事会の議長を推薦するために、皮肉にも河崎公使が推薦演説をしなければならなかったとは何たることかということを私は日本の国民として考えざるを得なかったのであります。この点を考えまして、こういう問題は再びこういう醜態を繰り返さないために、国内の問題は国内であくまで政府は責任を持ってやるという建前に立って、国際条約というものは国際的な関係において常識的な解決をするという態度を、私はこの委員会の方にぜひお願いしたいと思います。集約的に申し上げれば、国際条約というものは大きな川の流れだというのか私のかねがねの考え方であります。そして現在の国内における法律四条三項をやめるという問題は、その川の流れにくいを打ち込んでいることになっているのではないかということです。その大きなくいが打ち込まれているために、そこにいろんなものがひっかかる、ごみがひっかかる、水があふれる、あるいはその川にいろんな故障が起ってくる。そうしてその起った状態だけをいって、その川の流れをどうもまともに流そうとしていないのが日本の国内法とそれから国際条約との関係であります。私はあくまでも国際的な条約というものは大きな川の流れと見て、それをさえぎるくいを取ることによって、労使関係は正常になっていくのではないか、その中にまた労働組合は川の流れを無視しないような社会的な責任を感じていくべきである、それを国民が批判すべきである、こういうことでなければ、国際関係と日本の国内の法律関係というものは順調にはいかなくなるのではないかということをつくづく感じたわけであります。 そのほか議題については幾つかの議題がありますが、これは三城代表、あるいは大島代表も来ておられますので、そちらの方から詳しくあると思いますが、漁業労働者の労働条件に関することが一番具体的に取り上げられました。あとは大体第一次討議が多かったわけであります。放射線からの労働者保護の問題、技術者、管理職員その他を含む非筋肉労働者の諸問題、産業的及び全国的段階における問題を含む公けの機関と労使関係との協力の問題、こうしたことは来年も引き続いてやられるわけでありますが、漁業労働有の労働条件については三つの柱で明確に決議されました。それは漁船関係り労働者は雇用契約について国際的な一つの基準、基本条件を設けるということ、最低年令を設けるということ、健康保険についての大体の条件を設けるということ、こういった日本の海運界における今後のあり方についても大きな影響力のある問題が明確に決議されておりまして、その他の問題は来年に持ち越されておりますから、これは他日また具体的になってくると思いますが、一つ非常に興味のある議論がされましたのは、これは主として決議委員会でなされましたが、各国とも青少年の教育問題には非常に頭を悩ましておるようであります。青少年にいかにして希望を持たせるかという問題がありますが、せんじ詰めるところ各国が悩んでおる問題は青少年に対して雇用の機会をしっかり与えることと、職業訓練をどうするかということが非常に議論されました。これについては共産主義諸国は非常に進んだやり方をしておるように報告しておりますが、比較的散漫なのはいわゆる資本主義国のように印象を受けました。これはもっと突っ込んで内容的に吟味してみなければ、なかなか表面的な報告だけでは私は評価できないと思いますけれども、国際的には青少年の職業あるいは訓練の問題は重要な課題になりつつあると考えます。 以上をもって、時間が過ぎましたので、私の意見を述べる機会を一応これで終りたいと思いますが、どうぞ一つ八十七号条約、それから九十八号と関連する国内の法律の問題は問題として、これは国内で十分処理する態勢をとりながら、国際的な関係においては早く条約を批准する時期を明らかにしてもらいたい。それによって来年度は理事会の議長を日本の国でとってもらいたいと私は思います。おそらく日本が来年も理事会の議長に立候補するならばスエーデン代表も私はその返礼の意味で推薦するだろうというふうに確信をするのであります。ですから少くともここ半年くらいの間に解決されるように御努力をお願いいたしたいと思います。これで終ります。(拍手)
○田中(正)委員長代理 次に本総会に使用者代表として御出席になりました三城晁雄君にお願いいたします。
○三城参考人 ちょっと委員長にお諮りいたしますが、私から今すぐ御報告申し上げてもいいのですが、だいぶ政府側に対する御批判がありましたので、直接大島代表からその問題についてお話しになった方が工合がいいのじゃないか、私は最後に申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田中(正)委員長代理 やはり順序に従ってやっていただきたいと思います。
○三城参考人 それでは委員長のお指図によりまして……。労使というお話がありましたが、実は今度のILO総会において日本に関する限り普通の意味における労使でなくて、政府対労働組合というような実態でありましたので、いささか私はわき役のようなことになったのであります。瀧田さんからいろいろ詳しいお話がありましたが、問題点は主として皆様方の御関心の点は、条約問題とそれに関連して議長問題であったように了解いたしております。ただことしの総会におきまして、ほんとうの意味における自由使用者側といたしまして非常に重要なる事件が起ったのであります。これは国会あるいは政府方面におきましても、かなり将来にわたって御関心のことかと思いますので、ちょっと前座としてその点を御報告申し上げます。 御承知のように、五年ほど前にソ連圏諸国がILOに入りましてから、われわれいわゆる自由諸国の使用者側というものは極力この排除に努めてきたのであります。しかしながら総会に関する限りは、これを排除し得ないということに実はぎまってしまって、ILOにおいては、一度きまったことは再びこれを問題とすることはできないということになっておりますので、一応泣き寝入りのような形になっております。しかしながら幸いにして総会の委員会におきましては、それぞれ労使の委員はそれぞれのグループが選ぶということになっております。これは御承知のようにILOの三者構成の独立性ということに基因しておりますが、それによりまして、過去四年間、使用者側ではソ連圏のいわゆる使用者代表なるものを委員会から排除して参りました。大体においてこれは成功して参ったのであります。しかしながらそれを排除するために、総会の会期ほとんど終りまでこの問題に関連して手続上の論争などを重ねるので、どうしてもこれでは総会の運営がうまくいかぬということで、昨年理事会において何とかうまい方法はないかということについて研究した結果、通称アーゴ委員会を設けて、ILOの委員の任命について新しい制度を設けるという結論に達し、これも理事会において私どもは極力反対いたしましたけれども、多数をもって通過いたしました。これによりますと、各自グループにおいて推選したところの委員会のメンバーに漏れた人は総会に対して異議を申し立てることができる、すなわちソ連圏側は異議を申し立てる。その場合に、従来はその異議をまたもとのグループに持って帰って再審したものでありますけれども、グループに持って帰らないで特別の総会外の小委員会を設けてそれに付記する。この委員会の決定は最後的であって、本会議において論議することもできない、こういうふうになったのであります。そこで外国の裁判官であるとか、あるいは外交官であるとか、そういう人を三名ほど任命しまして、そこに今回預けたのであります。預けた結果、直ちにこれがソ連圏使用者側を各委員会に配属して参りました。この配属される見通しがついたのに対して、どういうふうな態度をとるかということをわれわれは非常に研究いたしました結果、この委員会は正当なものと認めぬということで、自由使用者側は一せいに退場する。ソ連圏使用者側代表が委員会に顔を出した瞬間に、声明を出して一斉に退場するということをきめたのであります。これは国会において社会党方面がよくおやりになることを、われわれが……(笑声) 〔発言する者あり〕
○田中(正)委員長代理 静粛に願います。
○三城参考人 ところが幸いにして自由諸国、約五十カ国でありますが、足並みがそろいまして、その通りに実行いたしました。そこで三者構成の委員会が二者構成で進められたわけでありますが、一体こうしてびっこででき上ったものに対して、本会議においてこれを認知するかどうかということ、われわれはとにかく手を切ったあとの者であるから、親子関係を認知するわけにはいかぬ、こういうような態度をとろうということで、一応本会議においても、関係報告書が本会議に出た場合はみな退席するという案もありました。しかしながらそれも少しひどいじゃないかという意見もありまして、結局多数決によって、ことしの総会に関する限りは、委員会から持ってきた報告に対しては是々非々の立場をとって各自自由にボートするということでおさまったのであります。実際はほとんど棄権であります。それから棄権しなかった人もありますが、そういう人はほとんど棄権さえしない、沈黙をもって終ったというような使用者代表もありました。この問題は、ひいては延長すれば来年、再来年と継続して起る問題でありますし、ILOの根本組織にも関連する問題でありますから、来年の総会までには各国の経営者団体を中心に使用者代表の態度というものをかなり徹底的に研究し、そしてこれをまた持ち寄って最後的に自由使用者団の態度をきめよう、こういうことで別れております。万一、あるかなり過激な国の使用者の意見のごとく、来年から使用者代表なるものをもう送らないというようなことになりますと、これはまた労働側にも影響してぐる。御承知のようにILOにおいては、使用者側がない場合においては、労働者側の投票権というものはないのでありますから、結局政府間の団体ということに事実上変っていくわけであります。政府間の団体としてやっていくがいいかどうかという問題は、ILOとしては非常に重要な問題でありますから、国会においてもあるいは政府においても、この問題については一つあらかじめ御研究おき願い、またわれわれ使用者団体方面にも何らかいいお考えがありましたら一つお教え願いたいと思います。 さて、それは前置きでありまして、肝心の条約批准の問題に関しましては、最初にILOの理事会においてこの問題が取り上げられました。理事会においては、御承知のようにこれは十一月の理事会まで持ち越しということになりました。私は、ことしは理事会の結社の自由委員会のメンバーでありましたけれども、日本の問題を取り扱う場合においては、政府だろうと労使だろうと日本人は退席するということになりました。いよいよ日本の問題ということになりましたときに、私は議長から退場を命ぜられまして、それが済んでからまた呼びにこられるというわけで、この委員会のほんとうの論議の様子は実はわからないのであります。どのくらいこの問題について、理事会の結社の自由委員会の人たちが日本を強く批判したかどうかということは、私は全然わからないのであります。ただ結論はああいうふうで、一応持ち越しということになりましたが、この結社の自由委員会というものに対しては、ILOは非常に力を入れております。それから使用者側としましても、これは非常な熱の入れ方であります。なぜかと申しますと、結社の自由委員会の一つの重要な使命は、共産諸国に対するILOの一つの宣伝あるいは指導ということがねらいでありまして、御承知かどうか知りませんが、ソ連は結社の自由条約をすでに批准いたしておりますけれども、国内はああいうふうに依然として強固な全体主義で動いております。そういう国で結社の自由の条約を批准するのはおかしいということで、一つこれを強く批判しようという熱意を使用者側も持っておるのでありますから、この問題は労使の関係では実はないのであります。そこで日本の問題に関しまして、結社の自由委員会の使用者側のメンバーに私どもは何らか一つ工作をするという余地もなきにしもあらずでありますけれども、今申したように、この問題に関しては使用者側がむしろ急先鋒でありますから、私としては非常に微妙な立場であります。日本の問題に関する限りは、結社の自由を少しくらいゆるめてもいいんじゃないかということはなかなか言えない立場に実はあるのであります。大体そういうことです。 それから総会におきましては、この八十七号の問題よりは九十八号の問題が、今瀧田さんの言うように重点であります。私はこの条約委員会にはデピュティ・メンバー――デピュティ・メンバーといいますと、必ずしも出帯する必要はないのであります。正メンバーが欠席のときは引っぱり出されるというくらいの軽い意味であります。私どもの方では顧問の数が、政府代表団のように多くないものですから、なかなか手が回らない。そこで私はデピュティ・メンバーとして必要に応じて顔を出している。ちょうど二回とも私が顔を出したときに、日本の問題が起っておったのであります。労働側から攻撃がなかなか盛んでありまして、ちょっとそれを聞いておりますと、まず日本は裁判所の被告という感じが実はしたのです。ところがこれに対しては、政府側もあるいは使用者側も、だれも一言も発言しませんでした。ただ大島代表が日本政府を代表して、一言これに対して弁明をされ、あとはもうノー・コメント。そこで私の受けた印象としては、これは実際問題として委員会の論議にはならなかった。ただ労働側から一方的に強い発言があったということで、それじゃ使用者側あるいは政府側みんなの意見はどうかということを議長は諮りもしないのであります。ただ最後に、労働側の発言と大島さんの発言に対して、議長が関係条約のすみやかなる批准を希望するということをこの委員会の結論としたらということを諮ったように私は感じたのであります。そこで、かつて問題になりましたように、そこで条約違反という結論が出たというふうには私はとりませんでした。あとでまた記録を見た場合に、若干そういう疑いのあるような表現の記録が実は出ておったのでありますが、これはあとで政府代表の方で折衝ざれた結果、この記録は若干誤まりであったということがはっきりしたのであります。従いまして条約違反という結論が出たとは申されない。ただ気分の点においては今申し上げたようなことで、見ようによっては日本が大いに批判されたともとれますし、また見ようによってはノー・コメントであったともとれるのです。何とも申し上げられないような微妙な姿であります。 それから総会の本会議においては、小委員会の報告書が一括各国のものとしてかなり分厚いものが出されたのでありますが、これに対しても日本の問題に関連してだれも論議した者はありませんでした。ただ、大島代表からあとでお話があると思いますが、大島代表が立って、日本の立場はこうだということを簡単に言われた程度で、これまたノー・コメントであります。従ってILOの総会としては、日本の問題をそう大きく取り上げたという結論には直ちに達し得ないように私は感ずるのであります。 それからこの条約の問題に関して、日本の総評の提訴の問題でありますが、これに関連して議長選挙の問題がILOにおいて非常にやかましくなりまして、私ども使用者側としましては、最初日本政府は、この問題は、瀧田さんがお話しのように、別個に取り扱うという方針だということを強く印象づけられて、われわれも、日経連におきましても、また私個人としてもとれは別個の問題だ、この問題について議長を選ぶとか選ばないとかいうことは、これはこれは筋違いだという強い確信を持っております。従いましてジュネーブに参りましても、私は理事会の使用者側の連中に対しては、日本政府はこれはやるというつもりでおるから一つよろしくということを言っている。それから使用者側も日本からぜひ選びたいという強い希望がある。また河崎氏個人に対しては、かつて先生がILOの海事の総会の議長をやって、非常な名議長ぶりであったということで、その会議における指導的役割をやった。イギリスの使用者側の代表なども、河崎個人に対しては非常に敬意を表して、日本から今まで理事会の議長も出ていないことだから一つ出してくれ、アメリカの使用者側代表などは大いにやろう、こういうことで使用者側の理事団というものは、単に私に対する友情からではなくして、もっと客観的に河崎氏を議長に立てたいという熱意を持っておりました。 そういうわけで、その後労働側に理事団がどうしてもこれを取引にするという形勢が見えた場合に、これはどうするかということで使用者側が論議いたしました結果、これは取引にされてはいかぬ、労働側にこういうことを前例として議長の選挙を左右させるような悪例は、ILO四十年の歴史にない。こういう悪い例を作るということはよくないという意見がかなり強くその反面に出た。理事会においては、三者構成で満場一致で今まで推薦しておる例であるから、ここで多数決でやるという例毛またよくないという議論も出てきた。いろいろ論議しておりますうちに、結局政府理事団も、大体において、かりに労働側が横車を押しても、これを排して河崎氏を推そうというふうに固まっているという情報があった。使用者側としては、満場一致でないという悪例を作ることと、労働理事団がそういうものを取引にして、河崎議長選挙をはばむという悪例と、どちらが悪例かといえば、ILOとしては、むしろ多数決でやるという悪例を選ぶということが結論だった。最後までわれわれは河崎氏を推すつもりでおりましたら、前々日くらいになって、日本政府の方から引っ込めの訓令が来たということで非常に困りました。困りましたが、日本政府が引き揚げられるということであればあえてそれをとめる必要もない。従ってこれは一つ緊急にまた考えようということで、私どもの理事団の団長であるフランス人は、労働側の団長あるいは政府側の団長、それから現理事会議長、そういう首脳者の会議において、これは気の毒なことであるし、本人については何らの異議もないから、今年の日本の当番を来年に持ち越したい、そうして、来年の当番を予定されたヨーロッパから今年これを出して、一年間お預けということで一応いこうというようなことになったということを、われわれ使用者の理事団に報告がありました。来年もし日本政府がそういうことであれば一つ全面的にサポートしようということが満場一致で、私ども別れたわけであります。これは何ら修飾のない真相であります。御参考に御報告を申し上げます。 まだほかに若干問題点もありますけれども、大島さんのお話もあり、また皆さんから具体的の御質問でもございましたら、それに応じてお答え申し上げます。簡単ながらこれで終らせていただきます。(拍手)
○田中(正)委員長代理 次に、本総会に政府代表として出席されました大島靖君にお願いいたします。
○大島説明員 今回のILO総会に政府代表といたしまして出席いたしました大島でございます。先ほど来瀧田さん、王城さんから総会の模様についてお話がございましたが、私から重複を避けまして、総会の一般的な問題について若干補足説明を申し上げます。かつ、条約の適用の問題と議長問題について、私から事実と私の見解を申し述べたいと思います。 この総会のことし特有の議題といたしましては、第一に漁業労働条件の問題、第二に職場における衛生サービスの問題、第三に放射線の影響から労働者をいかに保護するか、第四に労使団体と政府との間の協力関係の問題、第五に、ノン・マニュアル・ワーカーズといっておりますが、非筋肉労働者、このホワイト・カラーの労働者の諸問題、こういう五つの議題がこの総会の問題であったわけであります。 第一の漁業労働条件の問題につきましては、その最低年令、それから健康診断、雇用契約、この三つの問題について、今年条約が新しくできたわけであります。これは昨年の総会以来の引き続きの、今年は第二次討議で終局的に条約ができた。 第二の職場における衛生サービスの問題につきましては、これまた昨年予備討議をやりまして、今年は第二次討議、そこで職場における衛生サービスの実施方法、組織、機能、人員、設備といった衛生サービスの諸問題についてのあるべき姿を、勧告という形でことしまとめ上げた、すなわち新しい勧告がまた一つできたわけであります。 それから第三の放射線の影響からの労働者の保護の問題につきましては、ことし新しく出た問題でありまして、第一次討議で、来年もう一度やりまして、本格的にでき上るはずであります。この問題につきましては、条約で規制するか、勧告の形でいくか、これが問題であったのでありますが、結局のところ条約と勧告の両建でいこう、条約の方で大綱を定めて、勧告で詳細補足しよう、こういう形で放射線の影響からの労働者の保護、その実施方法でありますとか、あるいは具体的な保護措置、教育、訓練の問題、健康診断の問題、あるいは放射線の最大許容量の問題、こうした問題について大体のとりまとめをやりまして、来年もう一度第二次討議によって条約と勧告ができる予定になっております。 それから第四の労使団体と政府の間の協力の問題、これは各国の経済の繁栄、労働条件の改善、生活水準の向上、こういったことを目的として、労使団体と政府との間の協力関係はいかにあるべきか、こういう問題を勧告の形でまとめ上げよう、こういうことがきまりまして、来年再び総会でこの問題が論議されまして、そこで新しい勧告ができ上る予定になっております。 それから第五のノン・マニュアル・ワーカーズ・ホワイト・カラー労働者の問題につきまして、これはここで何らかの結論を出そうという形ではなしに、ホワイト・カラー労働者の各種の重要問題の所在を探ろう、こういう意味で、一般討議という形で審議が進められまして、ホワイト。カラー労働者の職業訓練の問題、失業の問題、あるいは老齢化の問題、保健衛生の問題、こういった問題について、今後ILOとしても長期計画でもってこれらの問題について研究を進めていく、こういうことが決定になったわけであります。 以上五つの問題が今回の総会の特有の問題であります。そのほかにこれは例年の同じ問題でありますが、来年、すなわち一九六〇年のILO予算、総額約九百六十一億の予算が決定になりました。 そのほかに、先ほどお話の出ました条約、勧告の適用委員会の報告の問題であります。この条約、勧告適用委員会、俗にアプリケーション・コミッティといっておりますが、この委員会におきましては、まず第一に各国においてすでに批准されている条約、これがいかに実施、適用されているか、それから第二に、ノン・メトロポリタン・テリトリー、非本土地域と訳しておりますが、昔でいえば植民地のことであります。このノン・メトロポリタン・テリトリーにおいて条約がいかに適用されているかという問題、これが第二、第三はまだ批准していない条約あるいは勧告、これは別に拘束されるものではないが、この未批准条約と勧告についての一般討議――この前の、すでに批准した条約の適用状況については、各個のケースについてやるのでありますが、これについては一般討議、それから第四に、条約、勧告が新しくできますと、各国の権限ある機関に政府はこれを提出しなければならないとい義務がある。権限ある機関と申しますのは、日本で申しますと国会で、国会にこれが履行されているかどうか提出する義務がある。以上四つの部門に分れて審議が進められるのであります。 この委員会において、公労法の四条三項と条約の八十七号、これは結社の自由、団結権の自由、それから条約九十八号、これは団結権並びに団体交渉権の条約、この二つの条約との関係が若干論議されたのであります。先ほど申しました未批准条約と勧告についての一般討論の際に、労働側から、日本政府は八十七号条約を批准すると約束しているけれども、これはどうも疑わしいのではないか、こういうふうな意見ないし質問が出まして、これに対して私から、先般総会の本会議において倉石労働大臣から、日本政府は去る二月閣議において、八十七号条約批准の基本的な方針を決定した。この批准に必要な国内的条件は、いずれ近い将来において満たされると思うので、この条件ができれば批准の運びになることであろう、こういう趣旨の所信表明があった、この点について私から説明してそれで終りであります。その間五、六分ないし数分間であったろうと思います。それで八十七号の問題は、そういう応答で終りました。 次に既批准条約、すでに批准している条約と国内法との関係、これについては、ことしは世界各国百十九件の事案がこの委員会に出ております。その百十九件のうちの一件が日本のもので、条約九十八号の二条と公労法四条三項の関係であります。御承知の通り、九十八号条約の第二条と申しますのは、労使団体が相互に不当干渉しては困るから、これをしないように適当なる保護措置を講ずべきである、こういう趣旨の規定であります。そこで私は劈頭日本政府の見解といたしまして、わが国におきましては、公社ないし公営企業の労働者の解雇については、解雇事由が法律で定められておる、従って無制限な解雇は行われ得ない、すなわち違法行為をやったとか、そういう場合は法律にはっきり書いてありますが、無制限、自由にこれを解雇することはできないということが一つ。それから第二の点としましては、御承知の通り公労法で労働組合法七条が適用になっておるわけであります。労働組合法七条は、言うまでもなく不当労働行為の制度であります。従って公社ないし公営企業の労働者についてもこの不当労働行為の適用、すなわち組合員であること、あるいは正当な組合活動を事由として解雇したり、あるいは団体交渉を拒否したり、そういうことは禁ぜられており、もしそういうことがありますれば、これに対する特殊の救済措置が加えられる、こういう二点がありますので、九十八号二条にいう不当干渉に対する適切なる保護措置というものは、日本国内においては十分とられておるところである、こういう趣旨の日本政府の見解を私から表示いたしたのであります。これに対しまして労働側から、労働組合の代表は宝樹さんのほか二名だったと思いますが、全逓の解雇は不当である、これは取り消すべきだ、ないしは四条三項は不当干渉を生ずるおそれがあるから廃止すべきである、こういう見解が開陳されております。これに対しまして私から、その質問ないし意見に対して一一、日本においては不当労働行為制度の適用がある、ただし不当労働行為の制度があるからといって、すべての場合に使用者は解雇できない、あるいは団交拒否ができないというものではない、それから、そういう場合解雇された労働者というものはアピールすればいい、要するに、そういう特殊の救済措置があるのだから訴え出ればいい、そういう措置は不当労働行為の制度としてちゃんときめられている、こういうことを説明いたしまして、最後に結論といたしまして、わが政府としては九十八号二条に抵触するものではないということを申し述べたのであります。最後に委員長が、日本政府も四条三項の条文を廃止したいと言っておるが、それはまことにけっこうなことで、この該当条文が近い将来に削除されることを希望する、こういう旨の発言がありました。私としては、それで 一応両者の言い分が開陳されて、それがさらに専門委員会で審議される、こう思っておったのです。ところが東京におきまして、一部この委員会で四条三項が九十八号二条違反であるという決定が出たかのごとき誤解があるということを聞きましたので、委員会の席上私からあらためて委員長に対しまして、この四条三項が近いうちに削除されることを希望するということは、委員長としては単に日本政府が四条三項を近い将来廃止したい、こう言っておるから希望するという、単なる希望表明にすぎないのであって、委員会としては何らの結論を得ておらず、すなわち、四条三項と九十八号二条との間の関係については何らの結論を得ておらす、これはエキスパート・コミッティ、すなわちこういう条約の適用関係について各国から法律の専門家を集めて専門委員会を常置いたしまして、ここで詳細検討する委員会でありますが、このエキスパート・コミッテイにおいて、今回日本政府が開陳した意見と、労働側の開陳した意見、この両者を慎重に検討して、法律的な見地から再検討すべきもの、こういうふうに理解するがどうかということを念を押したのであります。これに対して委員長から、それはその通りである、この結果はエキスパート・コミッティに送付されるものである、これが通例の手続である、こういう返答がありました。そういううわさが東京であるということを聞いたのでありますが、そもそもこのアプリケーション・コミッティでこういう問題について直ちに結論が出るというようなことは、およそ常識で考えられない。世界各国百十九件もありまして、委員会の開かれたのが第二週から始まって第三週にはもう終っている。非常に忙しい委員会であります。ここでは両者の意見が開陳される、こういうことなんです。従ってこの委員会から総会に提出されましたレポートの中にも、私からその点、念のために明らかにいたしました点は、日本政府が言っている通り、こういうふうにレポートの中には記載されております、誤解のないようにということ、すなわち、その直前に政府のステートメントとして、日本政府は四条三項の問題を検討しているけれども、これはあくまでも九十八号条約の問題とは全然別個であるということ、それからこの問題については必要な国内諸条件が満たされることが前提であるという点を日本政府としてのステートメントで記録されております。またそれを受けまして、アズ・プロポーズド・アズ・ア・ガヴァメント、政府の言う通り、こういうふうに前段のステートメントを受けているわけであります。しかし念には念を入れよということがありますから、そのレポートが総会に提出されましたときに、私からあらためて本会議で同じことを言いまして、何らの結論を得ていない、そういうふうに了解するということを声明いたしまして、もちろん労働側からも何らの反論もなくそのまま採択された。アプリケーション・コミッティの経過の詳細な事実については以上の通りでありまして、全会期中日本の問題が総会で論議されましたのは、今申しましたように、六月の三日から二十五日まで二十三日間あったのでありますが、この条約の関係で論議されましたのはわずかに数分ないし十数分間、こういう状況であったことを御了解願いたいと思うのであります。 なお、提訴問題はもともと総会とは全然関係のないことで、これはILOの理事会において処理さるべき問題なんでありまして、この理事会に結社の自由委員会というのが付設されておりまして、これが総会の始まります前、すなわち五月二十六日に開かれまして、この委員会には同じく二十数件各国の問題がかかっておりますが、それらと一括して日本のケースも審議されまして、その結果がレポートとなって五月三十日の理事会の本会議に提出されました。それは先ほど来お話もありましたように、日本のケースについては十一月の理事会まで審議を延期する、こういう内容であります。そのレポートが、総会の終りました二十六日にもう一度理事会の本会議が開かれまして、そこでもちろん何らの異議なく採択された。すなわち提訴問題につきましたは、去る二月の理事会で今回の理事会まで審議が延期された、さらにこのたび十一月の理事会まで審議が延期された、こういうことであります。 なお理事会の議長問題につきましては、これはかねてから日本政府から理事会議長に出てはどうかという各方面の慫慂がありまして、日本政府としても理事会の議長はILOとしても事実上の最高機関の地位でありますので、それはけっこうということで、かねて立候補いたしておったのであります。ところが労働グルーブの方で提訴問題とからんでなかなか賛成しがたい状況にあったようであります。日本政府といたしましては、議長問題と提訴問題というものは全然別個であるという見地を堅持して参っておったのでありますが、何しろ労働グループの方がなかなか賛成困難な模様でありますので、日本政府としてはILOの理事会の議長というものはやはり三者構成というのがILOの非常な大きな基本になっておりますから、円満なる見解一致という姿で選ばれるのが妥当である、こういう見地からして、この際立候補を辞退する、こういう方針が決定になりまして、訓令が参りまして河崎公使から直ちに申し入れまして、急遽そのかわりにミシャネックという人が議長に選出された。その点先ほど来お話がありましたように、醜態云々というお言葉がございましたが、醜態という感じは全然いたさないのであります。むしろILOとしてはやはり三者構成の基本を持っているわけなのですけれども、その点で三者の円満な同意のもとに選出される、これがほんとうの姿であります。しかし幾らいっても賛成しがたい、これはいかんともしがたいのでありまして、その場合はいさぎよくこれを辞退するということでありまして、しごく淡々としたものであります。 大体以上のように総会が経過いたしました。並びに理事会につきましても、ただいまお説明申し上げた通りであります。以上で私の説明を終ります
○田中(正)委員長代理 以上で説明は終りました。 質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。小林進君。
○小林進委員 それではまず第一に、使用者代表の三城晁雄さんに約四点ばかりお伺いしたいと思うのでございますが、先ほどのお話の中に、ソビエトの使用者代表を排除することで非常に終始御苦心をされたというお話がございましたが、ソビエトの使用者を各国の使用者が排除したいというお気持は何かわかるような気持がするのでございますけれども、一つ日本の使用者側の口を通じて、その具体的な理由をわかりやすくお話し願いたい、これが第一点でございます。 第二点では、先ほどのお話で、今度のILO八十七号の批准の問題は政府側と労働者側の問題で、使用者は第三者、調停者の立場に置かれたのであるからというようなお話があったと思いましたが、なお続いて、何か日本の使用者の立場からはいま少し自由をゆるめてもよろしいのではないかというふうな考えもあったが、何か日本の政府の立場もあって、それを明快に意思表示もできないというようなお話があったと思います。この自由の問題について一体日本の使用者側は政府のやり方に対してどんな工合にお考えになっているのか、その点もいま少し明確に御説明を願いたいと思います。 第三番目の問題といたしましては、やや抽象論になりますけれども、この国際労働機関に御出席になりまして、各国の使用者側の方々とそれぞれ席を同じうせられて、そこで日本の使用者として、現在の日本の労働行政が各国に比較して進歩的である、あるいはややまだ反動的であり封建的な残滓を残して、少しおくれているところがあるというふうにお考えになったかどうか、これは率直に、世界の対労働政策と日本の使用者のあり方についてお感じになったところをお教え願いたい、かように考えております。 以上、さしあたり三問に限ってお伺いいたしたいと思います。
○三城参考人 それでは、ソビエトの使用者を自由使用者団が排除する理由という御質問でありますが、これは御承知のようにILOは三者構成ということで、政府を中心に労使がバランスをとってやるということが建前なのであります。その三者構成の根本の精神と申しますか、これはそれぞれ独立である、労使が政府に対して独立であるということであります。もし政府に対して労使が従属的な立場でいくといたしますならば、この三者構成は形だけで死んでしまう、そういう意味において使用者側の自由というものがILOにおいては憲章において強く保障されておる。しかるにソビエトの共産圏の使用者なるものは、自由使用者側の判断するところによりますと、これは政府に従属しておるというかあるいは党に従属しておるといいますか、要するに共産国においては、労働者も使用者も政府も三位一体であるというふうに見ておるのであります。これはソ連圏の人たちのILOにおける言動、あるいは説明によってはっきりと出ております。そういうわけで、もし使用者として自主的な立場をとり得ない使用者なるものがわれわれの仲間に入って、そうして委員会においてもこれが正規の委員として票を食うということになりますと、かりにボートをとった場合に、自由使用者側は自由使用者側の自由な立場で意思表示をしますけれども、かれらがソ連の政府の指図によって意思表示をするということになりますと、この労、使、政府、三者のバランスというものがくずれてしまう。従って、そういうふうなものはわれわれ使用者側のメンバーとして認めるわけにはいかぬ、簡単に申しますとこういうことでございます。 それから、結社の自由に関して、もう少し自由を与えてもいいような気持で使用者側はいるんじゃないか、しかしながら、国内情勢あるいはその他によって、それが十分言えないんではないかというような印象を受けたというお話でございましたが、それは実は逆でありまして、結社の自由委員会なるものに対して、日本においてはいろいろな国情というものがあるから、ある程度の制約というようなものも場合によっては必要ではないかと私がかりに思ったとしても、結社の自由委員会を中心とした自由使用者側の考え方というものは、非常に結社の自由条約を尊重している建前上、日本の特殊性というものを言おうとしても言いにくいし、また、言ってもなかなか理解しにくいものがあるんではないかということであります。 それでは使用者側として、問題の四条三項などについてどう考えるかというような御質問のように理解しましたが、これは、労働問題懇談会において使用者側のメンバーが正式に発言しておられる線をわれわれはとっておるわけであります。すなわち、客観情勢ができ上れば条約をすみやかに批准していい。理想としてはこの条約は批准すべきであるが、日本の国内情勢がそれにアダプトするというような状態も一応考える必要がある。ことに問題が公益事業の関係でありますので、そういう立場からある一定の条件を置くことはやむを得ない、こういう考え方であります。 それから、日本の労働事情が国際基準においてどういう状態にあるかという御質問でありましたが、これはなかなか簡単に申しにくいことでありまして、ILOには八十カ国の参加国があるのであります。どの辺を標準にしてものを言うかということによって非常に異なる。大体においてこの八十カ国の平均をとりますならば、日本は非常に進んでおると思います。しかしながら、十大産業国の十カ国を平均にとりましたならば、私は必ずしも現在進んでいるとは思わない。法律その他においては、部分的には非常に進歩しておるところもありますけれども、部分的にはまだそこまでいっていない点もあります。運用の面においても、大工場においては、先進国に劣らないような条件が満たされておるところもありましょうけれども、多数の中小企業においては、なかなかそこまでいっていないというところがかなりあるんではないかと思いますので、この問題は一律に、簡単には申し上げられない。しいて申しますならば、今申したように、全体平均からすれば上の方だ、しかしながら、特に先進十カ国を取り上げて言いますれば、必ずしもまん中というところにはいかないんじゃないかと私は感じております。
○小林(進)委員 今の第二番目のお話、私の聞き違いかもしれませんが、先ほど、日本の立場からは自由を少しゆるめてもいいではないかということを言うわけにはいかぬので云々というようなお話がありましたものでありますから、どうも日本の使用者の中にも相当ものわかりのよい方もいらっしゃる、こう思いまして、私は期待を持って御質問をしたわけでありますけれども、今のお答えでややわかったのでございます。 いま一歩進みまして、今のILO八十七号批准の問題、今若干お話がありました。公労法四条二項のお話もございましたけれども、日本の使用者として批准は早期にやるべきというふうにお考えになっていらっしゃるならば、その根拠をいま少し具体的にお伺いいたしたいと思います。
○三城参考人 きょうは実はILOの総会の報告というようなお話で参ったのでありまして、国内問題である四条三項と批准の時期、そういう問題については実はあまり考えて参っておりませんし、またその問題になりますと、同じ使用者側とはいいながら、私よりはまだほかに日経連の首脳者などもおりまして、お答えする機会があるかと思います。私はきょうはILOの立場からの御報告で終りたいと思います。
○小林(進)委員 それでは別な角度からお尋ねをいたしたいと思うのでございます。瀧田参考人の御説明を伺っておりますと、倉石労働大臣が途中でこちらへお帰りになる前に、晩餐会でありますか、何か食事をともにしながら懇談をされた、そのこだわりのない話し合いの中で、労働大臣も、国際条約と国内問題とは別個に考えて、やはり条約は条約として早期に批准ないし措置すべきものであるというふうな意見を述べられて、その点においては意見を全く一にしていたというふうなお話があったのでございます。前倉石労働大臣のように、日本の使用者代表も、会議空気になれるに従って、国内においてお考えになっていた気持が若干ずつ変るようなことがなかったかどうか、これを実はお伺いをしたかったのであります。申し上げるまでもなく、倉石労働大臣は、国際会議に行かれる前は、われわれしばしばこの問題でお伺いをしたのでありますけれども、全逓労組が公労法四条三項に違反している、これは国内秩序上いかぬ、こういう考えを信念として持っておられた、労働大臣なり政府の考え方は国際社会に臨んでも正しく通ずるものであるという確信を持って行かれた、確信をして、その理論を持って総会に臨まれたのでありますけれども、今お伺いいたしますと、その労働条約の総会においては、全逓労組は国内法に違反しているから、それを排除するまでは批准をしないというようなことを明確に打ち出されない、ただ、国内の条件が満されるまでは云々というふうな非常にぼけた、あいまいなことで批准の時期も明確にされなかったということでありますけれども、私は、労働大臣の国際会議におけるその説明さえも気にいらない。われわれのところに出たときには全逓労組というものを明確に打ち出して、国内法に違反している限りわれわれは断じて批准しない、こう言明しておられる。これはあくまでも国際場裏に通ずる正しい理論であると確信を持っておられた。その確信をしておられた労働大臣が、国際総会まで至るとややその確信はゆらめいて、そういうことを明確に総会で打ち出すまでの演説もしていられない。しかも、その帰る直前のそういうなごやかな会合の席上においては、国内問題と国際問題とはもはや別個に考えて、国際問題は国際問題として早急に措置すべきものであるというところまで、あの頑迷と言ってははなはだ失礼でございますが、労働行政における日本の資本家側のエキスパートと言われている倉石さんが、そこまで気分的、精神的に考え方が変化をしてきている。そういう変化が使用者側のあなた方に出てこなかったかどうかということは実は私はお伺いをいたしたいのであります。その最後の労働大臣との懇談会ですか、晩餐会に出席されたのかどうか、あわせてそういう気持の変化がなかったかどうかということを、いま少し具体的にお伺いいたしたいと思うのであります。
○三城参考人 前労働大臣がILOの場においてどの程度に心境の変化をなさったかということは、私はよく実は承知いたしておりません。今の懇談会にも実は私も出ましたけれども、瀧田さんは倉石さんと隣り合せで話しておられましたが、私は反対の方におりましたためによく話す機会もありませんでした。それから会場におきまして、私は先ほど申し上げました通りに、使用者側の重大問題で東奔西走いたして、実は倉石さんとも御懇談する機会がほとんどなかった。そういうわけで、どういうふうなお気持でお帰りになったかということすら私はわかりません。のみならず、先ほど申しました議長問題についても、そういうわけで私は最後の二十三日まで実は日本政府の方針なるものをよくつまびらかにしておらなかったくらいであります。ただILOの場において私自身の心境の変化がないかというようなお話でありますが、私はILOの総会に出席いたしますことこれで連続七回であります。従いましてことし総会に行ったからどうというようなことはないのでございまして、ILOの総会に行きますと、私は自分の事務所に行ったような感じがいたしております。そういうわけで、特別にどうということもありません。ただ条約批准の問題に関しましては、何もことしに限らず、先ほど申しました通り、世界の自由使用者側は極力あの条約を支持しているわけでありますから、できれば国内事情が許せばすみやかに批准してもらいたいという個人的考えは持っております。別に変化でもないのでありまして、前からそういう考えであるということを申し上げておきます。
○小林(進)委員 なお残余の質問は、何か労働大臣がここに御出席になるそうでございますから、労働大臣に御質問をすることにいたしまして、三城さんに対する質問はこれで終りたいと思うのでありますが、ただいま一点だけ大島政府代表に私はお伺いいたしたいと思うのであります。 実は今の御報告を承わりまして、私は非常に落胆をいたしました。落胆をいたしたということは、ILOの九十八号ないし八十七号の問題を、何かお話の中に、これは実際かもしれませんけれども、努めて軽く取り扱おうというお考え、数分ないし十数分で終ってしまった――私は時間の長短を言うのではありませんけれども、そういうことで軽くいなされている考え方が私は非常に残念にたえないのでございまして、これは日本の全労働者、官公労だけじゃございません。民間労組も含めて、一体この九十八号ないし八十七号を国際労働機構総会においてどういうふうに扱われておるか、これは資本家側はもちろんでございましょう。労働者側にしましても、これは実に自分たちの生涯に関する基本的な重大問題でございますから、それは労使、政府側を通じて、一体どれだけこの問題を真剣に討議をしたか、どれくらい重要視してわれわれを守って下さるのかと思っているにもかかわらず、そのさなかに、どうもほんの軽くいなされて、数分か十数分かで問題なくたんたんと終ったごとくお話しになることは、これは少しわれわれ大衆といいますか、働いている者の願いというものを非常に軽視されておるものの考え方ではないか。それが数分、数十分であろうとも、むしろ反対に、労働の基本に関する問題である、自由に関する問題である、こういう問題だから私どもは真剣に考えて参りました、こういう御説明を実はお願いしたがったのでありますが、それはそれぞれのものの考え方ですが、私は非常に落胆したということを申し上げておきます。 大体今のようなお話は、国会特有の答弁でなくて、大島さんみずからも新しい労働大臣、政府にもそのまま御報告になったと存じますが、これに対して政府側はそのあなたの御報告を一体了承せられているかどうか、一つお伺いをいたしておきます。
○大島説明員 ただいまの小林先生の御質問でありますが、私もこの提訴問題ないし条約九十八号ないし八十七号との関連の問題、もちろん先生のお話の通り非常に重要な問題だと思うのであります。従ってアプリケーション・コミッティにおきまして、労働側から意見ないし質問がありました点につきましては、一々私からお答え申し上げておるわけであります。ただ時間の点につきましては、これはどうもいたしかたないのでありまして、日本の問題について、先ほど百十九件ありますと申し上げたわけでありますが、別に時間が制限されておるわけではないのでありまして、たとえばソ連ないし共産圏諸国のこういう問題につきましては、非常に熱心に、しかも労働、政府、使用者各方面から意見が出まして、一時間以上もやっておる。別に制限されておるわけではないのでありますが、ただ事実としてはそういう短時間で終ったということ。ただし問題の重要なこと、ことに労働組合としては非常に御関心を持っておられるこれらの点については、私どもも十分了承いたしておる。 なお私の報告について、東京の政府に報告した際の感じでございますが、別にどういうこともなく、淡々と聞いていただいた、こういうことなのであります。私は出先へ政府代表として行っておりますので、訓令通り動いてきております。その点別にどうこうはございませんでした。 なお先ほどちょっとお話の出ました倉石大臣の懇談云々の点につきましては、私は終始倉石大臣のそばにおったわけでありますが、別にそういうふうな、国際的、国内的と切り離してというような発言はなかったと思います。おおむね終始にこにこしておられたことは事実でございます。あまり多くしゃべられませんでした。そういう発言はなかったと存じます。
○瀧田参考人 ここに倉石さんがおられれば私どもは話しやすいのですが、しかしおられないからといって事実を曲げて話すわけにいきませんが、今小林委員から倉石労相が別個の問題であるというようにお話になったというような御質問があったのですが、別個だ、そういう言明はございません。これは大島代表の言われる通りであります。ただ国内で考えておったような認識は、ジュネーブに行ってはむずかしいのではないかという印象を受けておられた、それだけは言えたと思うのです。それで国内に帰って、この機会を逃がさないで何とか解決しようということについては、労使の意見は一致した。それだけの認識は一致した。この理事会の議長の立候補が最後のぎりぎりのところ二十三日くらいだ。だから二十日までに国内で何とか是正しなければならないというような認識は、労働大臣、宝樹君両派一致していた。そうして急速帰ろうということになったわけですから、そういう認識の一致を申し上げたのです。 それから非常に重要なポイントだと思うのですが、事務的に報告すれば、それはエキスパート・コミッテイの方に問題が回付されて、そうして日本政府が今四条三項の問題についても検討中である、これで終りであることは確かなんです。しかしそれが何らの事がないということならば、理事会の議長の要職を下げるはずはないのです。ILO四十年間の歴史の中で、理事会の議長を立候補して下げたということは、よほどのことでなければ私は下げないと思うのです。労働側がそういうけちをつけるからだという議論が国内にはあるわけです。しかし労働側が、そんなにけちをつけても、あそこでは通るものではありません。なぜならば、私は実例を言いたいのですが、労働側のキャプテンは御承知のようにイギリスの労働代表であるサー・アルラレッド・ロバートです。彼は国際労働問題については国際的な権威です。彼が一たび発言するや、彼は労働側のグループを率いておるだけでなしに、労使、政府を含めて、彼の言は傾聴に値する意見が出されております。彼はそのためにイギリスでサーという称号をもらった人であるわけです。ILOに二十年間仕事を継続して、一生涯ささげてきている立場の人です。ですから彼が非常にこの問題について強硬であったということは、過去の歴史を通じて、やはりこれは許せないというしっかりした経歴からの認識、国際情勢の見方の彼の見解が、やはり、明確に出ていると思うのです。そういう経験者で、しかも何人も彼が発言したときに傾聴に値するというような人が、そうべらぼうに日本のことだからとサポートすることは考えられない。それをイギリスの国民感情に結びつけたりして、日本のことを妨害しようとしているということは、あまりにも誤解だと思う。彼は長い間の国際労働運動あるいはILOの長い歴史の経験者として、しかもイギリスの国内においても相当尊敬されておる人として、これは許せないことだということにおいて理事会で強力に発言したことが、ついに議長を引っ込めざるを得なかった経緯だと思うのです。ですから何らの事がなしということで事務的に片づけるにしては、このことはやはり重大な要素が入っている。だから、形式的にものを報告する場合と、ほんとうに実質的に内容を十分翫味して、問題を報告あるいはそしゃくするのとは違ってくるのではないか。それからまた政府が、議長の問題と条約批准問題は別個であるという見解を今日までずっと貫くならば、これは議長を引っ込めるはずはなかった。この点のロジックを一体どう合せるのかということになると、やはりここには無理があるように私は思うのです。ですからやはり国際労働条約は、先ほどのように筋道を立てながら、国内の問題は国内において処理するという政府の賢明な努力をなさなければならない。そのことによって、この四十年間になかったような措置をとったことを早く私は払拭してもらいたい、こういうふうに思います。
○小林(進)委員 ただいまお話を承わりましたが、非常にごもっともであります。 最後の一問でございまするが、これは大島さんに一つお伺いしておきたいと思います。結論として、大島さんはやはり八十七号の批准は、日本政府側としては時期を定めて早急に批准すべきものであるというふうにお考えになったか、やはり国内の労働情勢が政府の思うままに動かない限りは無期限でよろしいというふうにお考えになったかどうか、この点が一つ。いま一つは、次の第二問に引っかかりますが、来年の総会においては多数決でやろうとすればやれるのだと先ほどお話がございましたが、多数決で理事会の議長に河崎公使を獲得すべきだ、こういうふうにお考えになっているかどうか。やはり今のように全会一致でなごやかに議長をもらった方がいいのだということで、そういう国内法の改定にからまる取引の材料にすべきではない、堂堂と戦うべきである、こういうように政府側の態度を決すべきであるか、この点総会を終えて帰られた所見を承わっておきたいと思います。 それから使用者の三城さんですか、使用者の方にもソビエトの代表を入れるようだから、来年から出席するのはやめようではないかという意見もあったということでありますが、日本の使用者側代表として、日本の使用者も出席しない方がいいというふうにお考えになったか、ソビエトの代表が介在することによって日本の使用者側は一体将来どうあるべきかということに対してお考えになったか、その御所見を承わっておきたいと思います。
○大島説明員 お尋ねでございますが、私はそもそも今度ジュネーブベ参りましたのはILO総会に対する政府代表でありまして、理事会の代表ではございません。従って議長問題についての関係は、これは理事会のことでございますから、総会には別に何らの関係がないのであります。ただ先ほど理事会議長の問題、あるいは理事会の問題についてのことを便宜私から御説明申し上げたにすぎないわけであります。 なお来年の方針でありますが、これはどうも私から来年のことを申し上げるのはいかがかと思いますが、ただ今回の日本政府の議長辞退の理由は、先ほどちょっとお話がございましたが、本来提訴問題とは全然別個の問題である。ただし一方において、この議長というものは三者構成の建前からして円満に選ばるべきものである。もともと各方面の御慫慂によって立候補したわけであります。その場合これに異議があるならば、何もこだわる必要がないというのが辞退の理由になっております。以上でお答えといたさせていただきます。
○三城参考人 ソビエトの問題に関してどういう態度をとるかというお話でありますが、今年の総会に関する限り私個人と申しますか、日本の使用者代表としては、いわゆる強硬派に属しないで、どちらかといいますと、穏健派のグループに入ったのであります。従いまして委員会は脱退ということに賛成しましたけれども、本会議においては是々非々の態度を主張いたしました。来年のことは、今年の代表が来年のことを申すということもはなはだ僣越でありますし、また事実上これは非常に大きな問題でありますので、まだ日経連首脳者にも実はこの問題について報告は十分いたしていないくらいであります。追って研究したいと思います。
○田中(正)委員長代理 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 まず私は事務的なことから聞いていきたいと思います。 主として大島政府代表にお聞きいたしたいと思いますが、九十八号条約違反の問題がILO条約勧告適用委員会の専門家会議において指摘をされております。われわれが入手いたしました、その報告書によりますと、当委員会は、公労法四条三項および地公労法五条二項に、労働組合の役員はその労働組合を構成する組合員が所属する事業体に、現に雇用される者でなければならないと規定していることにつき注意を払った。 この規定により、労働組合の役員を解雇された場合、その労働組合は新たな役員を選任しなければならないこととなる。当委員会は、この規定が、それらの事業体における使用者の側の介入をゆるすものであると考える。 そして特に、労働者団体がいかなる干渉からも適当な保護を与えらるべきである、と規定する本条約第二条の完全な適用を確保するためには、ここにあげた諸規定を廃止もしくは改正することがのぞましいと考える。 日本国政府が、次回の報告において、これとの関連において採用しようと考える措置について報告することを期待する。こういう専門家会議の報告書が、条約勧告適用委員会の席にレポートとして出されたという事実がありますか、これがどのような様子であったか、お知らせを願いたいと思います。
○大島説明員 先ほど申し上げましたように、専門委員会がもっぱら法律的、専門的見地からして、世界各国の条約の適用状況を調査いたしておりまして、それが毎年エキスパート・コミッティのレポートとして総会に提出されるわけであります。本年のレポートができましたのは、総会の始まる大体直前でありまして、その中に今申しました日本のケースが入っておるわけであります。エキスパート・コミッティが本年検討いたしました数は、約三百に近いものであったろうと思います。その中で専門委員会が指摘いたしております点は、今お読みになったような点でありますが、最もポイントとなります点は、これらの規定が、要するに使用者側の妨害行為を容易ならしめるかもしれないという疑いを持っておったことは事実であります。ただしこのエキスパート・コミッティというのも、各国非常に種々雑多な法制を調べ、かつ条約との関係を調べていくわけでありますから、必ずしも誤まりなしとは思えないのであります。ことに現在ILO事務当局としても、各国の法制の英訳ないし仏訳が必ずしも十分に、完璧にそろっておるとはいえないことは事実なんであります。この公労法を読みまして、労組法の適用が公労法関係の労働者にもあり、従って労組法七条の規定がここに適用になるということについて知っておったかどうかについても、私は承知いたさないのであります。しかしエキスパート・コミッティがそういうふうな疑問を持ったということについては、レポートの中に出ておるわけであります。従ってこれに対して総会の適用委員会において政府側の意見を述べるその中にも、今お読みになりました中にも、次回のレポート――次回のレポートといいますのは、一九六〇年のレポートにおいて政府の見解を述べてもらいたい、こうエキスパート・コミッティ自身がいっておるわけであります。次回のレポートというのは、来年であります。そこで述べればいいわけなんでありますが、今度の総会の席上において、コミッティにおいて私から直接政府の見解を表示した、こういうわけであります。
○多賀谷委員 先ほど、専門家会議に再検討してもらいたいという、いわば動議を出した、こういうお話でありますが、それは九十八号の問題について大島代表からお話があり、さらに日本の労働者顧問の宝樹さん、あるいはクール、あるいはハルウォース、こういう人々からおのおの意見が述べられたときの状態ですか。
○大島説明員 その日の翌々日の会議であったと思います。
○多賀谷委員 あなたが専門家委員会に再検討するかどうかを知りたい、こう述べられたときに、議長の方はその動議を取り上げたというような状態でなくて、普通の手続でいくと、本委員会の報告が採択されたあとで専門家委員会べ送付されます、そうしてその際政府並びに労働者が表明した見解も記録されております、こういうことで直ちに議長としては、専門家委員会が指摘しておる法律条項について政府がすでに廃止しようとしておるようだから、そのように撤回されることを希望する、こういう表明があったようですが、これを専門家委員会に再度付議するというのは、動議が取り上げられたというわけでなくして、普通の慣行のように考えるんですが、その点どうですか。
○大島説明員 お話の通り、これが通常の手続なのであります。従って私も特に日本の問題をエキスパート・コミッティにおいて再審査してもらいたいという動議を出したわけではないのでありまして、もともと、私も数回ILO総会に出ておりまして、そのたびに必ずアプリケーション・コミッティには出席いたしております。この委員会の性質として当然そういう結論を出すべきものではないということが常識なんでありますが、ただ先ほど申し上げましたように、その当時、直後におきまして東京方面で一部誤解があるかに私聞きました。私自身としては特に必要もないと思ったのでありますが、念のためにそのことを議長に念を押したわけであります。その通りであるという議長のお答えでありました。
○多賀谷委員 さらにその提案を総会でもされたわけですか。
○大島説明員 さようでございます。
○多賀谷委員 実はわれわれ国内におった者は、その再検討してもらいたいという大島代表の動議に対しては、何ら労働者側からも、他の委員の方からも意見がなかった、だから、それについて意見がなかったのだから、それは当然異議がなかったものである、こういうように報道されておるわけです。それがかなりのポイントのようにいわれておるわけです。今お話を聞くと、それは普通のルールであって、大島代表の発言に対しては異議があるというような性質のものではないようですね、その点どうですか。
○大島説明員 先ほど申し上げましたように、私はこの日本のケースを特に専門委員会で取り上げてもらいたいという動議を出し、頼んだわけではないのでありまして、もちろん当然のことでありますが、当時私がジュネーブで承知いたしましたのでは、誤解がある、こういうお話でありますから、念のために、確認的にこの点念を押したわけであります。法律でも創設的規定とか確認規定とかありますが、当然のことではあるが念のために確認し合った、こういう意味合いでそういう発言をいたしたのであります。
○多賀谷委員 瀧田さんにお尋ねいたしたいと思いますが、実は委員会においても、また総会においては、その委員会報告として、「本委員会は、各見解を附して専門家委員会の引用した法律条項が、政府の提案した如く削除されるだろうという希望を表明した。」この「政府の提案した如く」という言葉が、もと入ってなかったのをあとから入れられたとかなんとかいろいろありますけれども、まあこの経緯は、正式のものでありませんからわれわれは別に問いませんけれども、とにかくこういった希望の表明がなされておる。しかも、その委員会においては、外国の労働者側から、労働者の代表的な人々が口をきわめて、日本が本条約九十八号の適用を保障しなかった、こういうことを言っておる。そのあと議長としてはそれを取り上げて、政府も改正する、廃止するといっておるのだから、専門家会議が指摘した法律条項は、政府がいっているように削除することを希望する、こういうようにおだやかに言ったように議事録を見ると承わるわけです。そこでおだやかには言っておるけれども、私は国際場裏においてきめつけるということは、やはり国際信義の問題もありますからあまり適当でない、そこでこういった処置は、もう国際的場裏においてはかなり大きな警告ではないか、こういうように考えるわけです。それについてどういうようにお考えですか、お聞かせを願いたい。
○瀧田参考人 私は決議委員会、運営委員会には皆出席しておりましたから、その限りにおいては全部のメモを持っておりますが、ほかの委員会においては、顧問から各報告を全部提出してもらって持っております。しかしその点に関する限りはかなり顧問に詳しく確かめておりますが、今御質問の趣旨と解してよかろうと思います。あの場合においては、国家の内政干渉的な、主権を侵すようなことについては、かなり大事をとっておるわけであります。ですから、そこでこれをこうすることを希望するなんという、そういう言葉が出たときは、相当に強いものと思って差しつかえないように理解できると思うのです。日本政府も言っておるのだからこれを削除することがやはり好ましい、それだけ言っておけば政府としてはやるだろう、こういう意味に私はとっております。それが決議でなかったのだから、あれは何でもなかったのだというような性質のものでは毛頭なかろうと思っております。
○多賀谷委員 実は私たちも不勉強でありましたが、九十八号違反という問題は、かつて質問したことがあるのです。公労法四条三項あるいは地公労法五条三項が違反ではないかという質問をしたことがありますけれども、政府は今大島説明員が述べられたごとくさらっと逃げられたわけです。そこでそれ以上追及しなかったわけですが、ここに、はからずもよそから九十八号条約に違反してはいないかということが指摘された。われわれ国内の者としては非常にはずかしい思いをしておるわけです。ところが専門家会議で指摘しております。その内容をながめてみますと、なるほどこれは法律そのものが条約に違反していやしないか、労働組合法の七条に不当労働行為の救済として救済規定があるけれども、その後われわれが専門家会議で指摘された内容についていろいろ検討してみますると、公労法、地公労法は九十八号そのものにずばり規定が違反しておるのだ、こういう感じを受けざるを得ない。このことは各国の労働者側委員は同じように受けており、使用者はどういう気持であったかわかりませんけれども、労働者側委員としてはそれと同じようなことを極言しております。そして政府側の代表としてあなたがいろいろ弁解をされており、あるいは釈明をされておるが、「政府側の返答は満足のゆくものではない。事実使用者は一部の幹部を追い出すための労働組合を強要しようと努めている。これは条約九十八号に違反するものである。日本の労働大臣は五十九年三月二十七日の議会において、」これは日本の議会でありますが、「全逓がその現在の幹部を維持している限り条約八十七号の批准は困難であるだろうと、みずから発表している。しかし果して日本政府が条約九十八号をそれに違反する法律条項を削除して、適用する意図をもっているかどうかを確かめるべきである――かくしてはじめて国営企業の労働組合、とくに郵便労働者の労働組合は、このような企業の使用者および政府による介入行為から擁護されて、運営することができる。本委員会は日本が条約九十八号の一条の適用を保障しなかったと、委員会報告に記録すべきである。」こういうことが記録をされておるわけです。ですから、向うに行かれた感じは、なるほどILO総会としての三者構成の決議ではなかったけれども、日本としては相当指摘をされて反省をし、どうしてもその法律の改正はしなければならぬ。しかもそういうことになりますと、九十八号というのは、すでに六年前に批准した条約でありますから、その条約違反の疑わしい法律条項に抵触を理由として組合役員を改選を強要するということ自体反省しなければならぬと思うのです。ただ条約を批准すればいい、あるいはまた法律を改正すればいいという問題ではないように思いますね、指摘をされた事項が正当であるとするならば。これについてどういうようなお感じで帰られましたか。
○大島説明員 御承知かと思いますが、条約八十七号と条約九十八号の関係につきましては、条約八十七号の方は、結社の自由そのものについての規定であります。それから九十八号の方は、これを補足いたしまして労使団体の団交の自由についての規定であります。従って相互に不当干渉するというようなことについての適当な保護措置が必要である。こういうような意味合いであります。従って専門委員会のレポートの中にも、メイ・ファシリテイト・アクツ・オブ・インターフィアランス・オン・ザ・パート・オブ・マネージメント、要するに使用者の側における妨害行為を容易ならしめるかもしれない、こういうふうな疑いを持っておるわけなのであります。従って、この点については労組法七条の規定をもって十分な保護措置と見られる。その後の条文自体が結社の自由を云々ということは、これは八十七号の問題であろうかと存じております。 それから第二の、今お読みになりました労働者側の発言でありますが、これは私の答弁が満足すべきものでないということは、どうもいたし方がないのでありまして、これは労働者側の発言であります。率直にいって並行線であったということでありましょう。 それから最後の、日本政府が九十八号を完全に適用していないことを委員会はノートすべきである、こういうことであります。この点なんかは、あるいは誤解の種になりはせぬかと思うのでありますが、そのくだり全部は労働側委員の発言であります。ただしこのレポートの書き方といたしましては、クォーテーションをつけてないわけなのです。ずっと発言に続いて、別個の文章なのでありますが、これは労働側の発言であります。その発言そのものはここに記録されておるのでありますが、労働側が要望したように日本政府は九寸八号を完全に適用していないという事実について、委員会は何らのことを記録いたしてないわけであります。
○多賀谷委員 専門家会議のリポートは、その規定そのものが使用者の側における干渉の行為を容易にする、こういうことを言っておるのですけれども、問題はやはり規定ですね。条項そのものをさしているのですね。ですから大島代表の考え方とは違うのではないか。専門家会議の方は、規定そのものが容易にするじゃないか、こう指摘しているのですから……。なるほどあなたが適用委員会でおっしゃっておるのはそうでありません。今おっしゃったように言っておられますけれども、しかし専門家会議のは、その条項そのものがその干渉行為を容易にする、こういうことをいっておるのですね。やはりこの条項そのものが問題じゃないか。そこで組合法の七条を出して、これで保障されていますよ、こういうことはどうも当らないのじゃないかと思うのです。ただ委員会としては、もうすでにこの八十七号の関係で、公労法、地公労法は改正すると言っておるから、あえて指摘しなくてもいいのだろう、こういう問題で、二重の問題が出ておるけれども、九十八号の方はそれほど強く言わなくても、八十七号の関係で削除すると政府は言っておるのだから――私、議事録しか見てないのですけれども、こういう意図が非常に現われていると思うのです。その点は一つ大島代表なり瀧田代表から重ねて答弁願いたいと思う。
○大島説明員 専門委員会のリポートの中に、その四条三項の規定が妨害行為を容易ならしめるであろうということは書いてあるのでありますが、今申しましたように、かりに容易ならしめるといたしましても、労組法の七条がありまして、不当労働行為の制度でそれを防いでいる。そこで規定そのものを云々ということは、これは純然たる八十七号の問題なのでありまして、従ってそこに八十七号と九十八号との問題はおのずから別個の問題である。八十七号はまだ批准いたしておりませんが、この八十七号の条文に四条三項というものが抵触するであろうということは、労働問題懇談会の答申においても指摘されておる。九十八号については労組法の七条の条文で、かように承知いたしております。
○多賀谷委員 前段にお話しになったことは、専門家会議の私が解釈したようにお話しになり、後段はすらっと、今度は逃げたような感じを持つわけですよ。このジス・プロヴィジョンというのは日本の法律の条項でしょう。日本の法律条項というのは、八十七号のことでなくて、公労法、地公労法のおのおのの四条二項なり五条三項の規定を受けているわけですからね。ですから専門家会議の方はやはり日本の地公労法並びに公労法と指摘しておるのです。そのことをごっちゃにされますと、われわれとしてはせっかくおいでを願って、公正に判断をしていきたいと思って委員の方に御出席願ったわれわれの意図がくずれることになりますから、その点はっきりしていただきたいと思います。
○大島説明員 私としては実にはっきりいたしておるつもりなのでありますが、そのジス・プロヴィジョンですか、これは四条二項をさすことは仰せの通りであります。ただ一方において労組法の七条の適用があるのだから……。九十八号条約の二条と申しますのは、先ほど申しましたように相互の妨害行為を排除するために適切なる保護措置が講ぜらるべきである、これが二条の趣旨なんです。従ってそれについてはちゃんと保護措置が講ぜられてある、これが日本政府の見解である、さように御了承願います。
○多賀谷委員 専門家会議の方は労組法については何ら触れてなくて、また保護措置を講ずべきであるという九十八号の二条の解釈も、そういう解釈をするから、基本的なかような結社の自由とか団結権の問題あるいは団結権とか団体交渉についての原則の適用に関する条約の解釈をあやまつのではないとか思うのです。これは私が申し上げるまでもなく、条約といいましても、これはむしろ国際的なILO憲章に基いて作られたものです。ですから普通の労働条件のような、基本的な問題をさらに具体的にしたという条約とは違うのですね。ただ憲章でありますと、単に道義的責任ということだけで逃げられるから一つ条約にしようじゃないかというので、御存じのような経緯で前の結社の自由とか、あるいはまた今指摘になっております団結権、団体交渉の擁護に関する条約というのができたのですから、こういう基本的な条約というのはそんなに字句にこだわって解釈すべきじゃないと思うのです。根本的に日本政府は間違っていると思うのです。この点一つ瀧田さんからも意見を伺いたいと思います。
○瀧田参考人 さっきから言っているので、もう大島代表にこれ以上言っても無理じゃないかと思うくらいはっきりしている。九十八号の問題についてはやはり違反だということは、専門家会議では決定的だというふうに言ってもいいのじゃないかと思うのです。しかし八十七号条約の問題を今政府は、ある程度必要条件を満たして批准いたしますと言っているから、その問題は片づくんだ。いわば、さっき言ったことでたとえれば、ここに川の流れに逆らってくいを一本打ってあるわけです。そこへひっかかって全逓の問題がまずくなっている。このくいを取れば流れるのだから、そういう意味で九十八号は割合薄らいでいますけれども、九十八号だけ厳格に専門家会議にかければ、日本政府は法律の点においては誤まりがあるということは決定的だと言っても過言でないと思います。
○田中(正)委員長代理 大原亨君。
○大原委員 大島政府代表に一言だけ御質問いたします。私はあなたが総会で御発言になりました事実について一つだけお尋ねいたします。それは「総会における日本に関する報告」の中に「政府代表は次の如く返答した。政府は、法律の特に労働組合法の第七条によって」云々とずっとありまして「最後に法律にもとづき、労働組合活動を行ったかどで解雇された労働者は、規定された手続によって事実が立証されたならば復職されることができる」こういう発言があるのです。私はこういう事実を指摘をいたしたいと思うのですが、それに対するあなたの考えを……。というのは、藤林あっせん案が出まして、国鉄の役員の交代がなされました。しかし地方におきまして、地方本部においては役員の交代のなされないところがありました。それから機関車労働組合はあっせん案を拒否いたしました。事実上首を切られた人が中央幹部の役員になっておりました。それから昨年三月に全逓の野上委員長が解雇されました。それ以降、そういう条件のもとにおきましては、公共企業体の調停委員会に、中央でも地方でも――地方におきましては特にそういう事実があるのですが、ずっと中央、地方同じです。そこに国鉄の当局側の出席を求めて、そういう不当労働行為やあらゆる労使間の問題つにいて調停あっせん等の仕事を進めよう、こういうふうに公共企業体の調停委員会が作業を始めるときに、日本の使用者側の代表が、相手の組合は団体交渉をして労働協約を締結する能力のない組合であるから、従って、公共企業体の調停委員会に出席して調査とかあるいは審議に応じてもむだであるから出席をしない、こういうことを言いまして、そしてあなたは、この第七条によって不当労働行為云々の問題について言っておられますけれども、事実上そういう機会はシャット・アウトされておった。これは「政府代表は次の如く返答した。」そういうこととは事実が反しておるのではないか。あなたは事実に反したことを国際舞台であるところのILOの総会でお話になったのではないか。この点について一つあなたのお考えをお伺いしたい。
○大島説明員 私がその席で説明ないし質問に答えましたのは、先ほど申し上げましたように、労組法七条の不当労働行為の制度がある、ただしこれはすべてのケースについて使用者が何でもかんでも解雇できない、団交拒否ということができないというものではない、組合員であること、正当な労働組合の活動、こういうものを理由にして解雇したり、団交拒否はできない、こういうことをるる説明いたしたわけであります。と同時に、解雇された労働者としては、またそれに対しての特別救済手続というものが定められておるわけでありますから、そこへ訴え出ればいい。また裁判所べ訴え出てもいいわけでありますが、そういうことを訴える。もし事実が確認されれば、すなわち、たとえば解雇された事由が正当な組合活動であるとか、そういうことであれば、それは当然復職されるというような形になるのは現行法の建前であります。そのことを私から申し上げたわけでありまして、その点は現行法の解釈としても、また事実そういうふうなことが立証されるならば、当然復職される、かように存じております。
○大原委員 今の点は、話を散漫にしないように御答弁いただきたいのですが、私はやりとりするだけの問題でなしに、あなたが言われたことがやはり日本の国内に行われておる事実と反しておるのではないかという点を言っておる。その点は労働組合法の第七条をあげて、不当労働行為の問題をあげて、労働法の法体系のもとにおける不当労働行為が、規定された手続によって事実が立証されたならば復職させる、こういう道があるのだということを言っておられるのですよ。あなたは裁判ということを説かれたけれども、そうでなしに、あなたのこの答弁あるいは受け取る側のことからいえば、第七条に基く不当労働行為、これの救済措置は公共企業体調停委員会になっておるわけです。事実は日本国内においては、私は地方公共企業体の調停委員をやっていたけれども、そのときには、私が事実あげるようなことを契機にして、一切調査や審議に応じなかったのだ。そうしたら、そういうチャンスを与えない、それは政府の見解だということもはっきりした、政府の見解がきまってからそうなったのですよ。そうすると、不当労働行為についてそういうように取り上げる機会を失わせておいて、第七条があるから云々というような、そういうごまかしの答弁を国際舞台においてされるというようなことは、それは事実に反した御答弁じゃないですか。その点に焦点をしぼってお話し願いたい。
○大島説明員 私は個々の事実の詳細については別に承知いたしておりませんけれども、法律の建前としては、あくまで労組法七条の適用によってそういうことはしちゃいかぬ、もしそれについて争いがある場合は特別の救済手続すなわち不当労働行為の救済手続というものが規定されている、またこれを利用しようとすればそれは十分利用できる、こういうふうに私は了解いたしております。
○大原委員 これは水かけ論じゃないのですよ。あなたは政府代表で実際に行かれたのだから、そうして責任ある言明をしておられるのだから、そのことについて労働者側が反論しておるけれども、そこまで突っ込んでいなかった。そこであなたの返答が一応その点だけについては了解されているようになっているのです。たとえば仲裁裁定のときにとった政府の態度だってそうでしょう。全逓だけのけておいたでしょう。政治的にもそうです。全逓だけは裁定を出さなかったでしょう。そういうことで、公共企業体の調停委員会の場所で不当労働行為について審議しようと思っても、何回当局を呼んでも、団体交渉の結果を労働協約にまとめることができないので、あらゆるそういう審査については、正式に当局が代表を送って、そうしてそれに協力するわけにはいきませんといって、ずっと拓否し続けられたのだ、そのことを私は知っている。実際やっているのだ。そうすると、あなたの言われたことは、第七条云々で不当労働行為に対する救済の措置はあるのだ、復職もできると言われたことは、普通の裁判以外に、労働法で不当労働行為の救済措置を講じているのは、それには立法の趣旨があるのです。意義があるのです。ILOはそのことをいっているのです。あなたは事実に反したことをここで返答なさって、国際場裏において、その事実に反したことでそれを切り抜けようとした、こういうふうに私は指摘している。あなたのさっきの答弁ではますます不明確になるばかりだ。もう一ぺん御答弁願いたい。
○大島説明員 この不当労働行為の救済手続の際におきまして、場合によりましては和解というようなこともあり得るようになっておりますから、この和解というような手続につきましては、これは労使双方受諾するも拒否するももちろん自由なんです。だからといって不当労働行為の救済手続そのものについては、これは疑いがある場合においては労働側としては自由に提訴できるだろうと思いますし、提訴があればその該当機関としては判定を下していく、こういう制度が建前でもあり、また事実行われている、私はそういうふうに確信いたします。
○大原委員 一言だけ言っておきますが、仲裁裁定の際における政府の能度は、全逓だけまま子扱いにしましたね。そういうことが調停委員会におきましても調査とか審議に協力しないことになるのですよ。そうすると、労、使、公益の三者で構成している取り上げるかどうかという問題を審議する総会におきましては、この問題は取り上げられない。そういう場所を締め出しておいて、そうしてあたかも第七条によって救済措置があるかのごとき、そういうことを国際舞台において公言しているということは、あなたは事実に反したことを言っているのだ、そういうことを私は指摘しているのだ。その点は許しがたいというのですよ。国際的にそういうことは背信行為です。これは私は実際そのことを経験しているのだ。それより、実際当局が出席しなかったら、そういうことについては公平なことは調査も審議もできないのだ。そうすると総会では取り上げられない。そういたしましたらこの作業は進まないのだ。あなたは国際舞台において非常に重大な発言をされておる。この一点だけでも私はそういうふうに確認する。私は、その事実について確認してあなたに御質問したのですから、あなたの答弁については全然満足できない。これは非常に非難をさるべきことだと思うのです。これは許しがたいことだと思うのです。一応私の質問は終っておきます。
○田中(正)委員長代理 これにて参考人に対する質疑を終ります。参考人各位におかれましては、お忙しいところ御出席下さいまして、まことにありがとうございました。 午後二時まで休憩いたします。 午後一時十分休憩 ――――◇――――― 午後二時三十四分開議
○田中(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を再開いたします。休憩前の質疑を継続いたします。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 まず松野労働大臣にお尋ねいたしたいことは、政府は、聞くところによりますと八十七号条約批准の前提として、全逓労組の役員改選の問題を前提条件に置いておると聞いておるわけですが、大臣はどういうようにかつての閣議了解ですか、決定ですか、その事項を了承しておられますか、これをお伺いしたい。
○松野国務大臣 全逓の違法的今日の状況を正当化するものにあらず、あくまで八十七号条約というものの批准については、当然国内法の整備と同時に、国内の今日の労使間の完全な正常化というものをともに行なって、これを批准すべきだという閣議の意向だと私は承知しております。
○多賀谷委員 全逓の不当性を正当化するものにあらず、これは一体どういうことですか。私は全逓の役員改選を前提条件にしておるかどうかと聞いておるのですが、それについてはどういうように御判断になっておられますか。
○松野国務大臣 全逓組合の違法状況を正常化する趣旨のものではない、同時にこれを正常な姿に戻して、可及的すみやかにこの問題を処理した上に批准すべきだということが閣議の意向でございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、全逓の役員の状態を正常化するということが条件ですか。
○松野国務大臣 全逓の違法的状況を正常化するという意味のものではこれはないんだ。従って前提条件というか、全逓の組合の問題を正常化することということを強く願って、そうしてそういうものが解除した後にこれを批准すべきだ。だから条件というよりも、そういうものを期待する、それを望む、そういうものを全部解消したいということがこの閣議決定の趣旨でございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、条件ではないわけですか。どうもはっきりしないのです。各労働大臣に――倉石前労働大臣に聞きましても、どうも私ははっきりしないし、だんだん変っていっているようにも考えるのですが、その点どういうようにあなたは現在御判断になっておりますか。
○松野国務大臣 全逓の違法的状況を解除するというものが、必ずしも政府が期待する――それを阻止しなければならないとかいう束縛的な意味のものでなしに、これを批准するについては、当然そういうものが解除された後に批准するということになりますから、ある意味においては条件と御解釈になるのもこれは御自由でありますが、政府から全逓の違法性をどうだとか、早くしろとか、そういう干渉がましい趣旨のものではない。政府からいうならば、そういうものが解除してからというのですから、ある意味においてはそれを実行するために一つの前提にはなりましょう。一つの問題点にはなりましょうが、直ちにこれがどうだ、政府が干渉がましい意味の条件ではない。ただし批准するにはそういうものは解除してもらいたい、こういう意味であります。
○多賀谷委員 そういたしますと、全逓の役員の問題を解決しなければ批准しない、こういう意味ですか。
○松野国務大臣 そういうものが解除された上ということが閣議の趣旨でございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、時間的に申しましても、全逓の役員の問題が解決した後、あるいはまた、条件という言葉にこだわっておられるようですけれども、全逓の役員の問題が解決しなければ批准しない、こういうことと了承してよろしゅうございますか。
○松野国務大臣 そういうものが処置された上で、この批准の手続をとりたいというのが政府の方針でございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、昭和三十四年二月二十四日の寺尾郵政大臣、さらにまた岸総理の答弁とは食い違いが生じておる、かように私は考えるわけです。今お話しの点は、三月十日に、参議院において光村委員の質問に対して、倉石さんは、今松野さんがおっしゃいましたのと同じ答弁をされておるのです。しかし私は、これは二月二十四日の予算委員会の河野さんの質問に対する答弁とは違っておると思うのです。その間に非常な差がある。強く申しますならば、これは大臣の食言ともいうべき大きな差を見出すのです。岸総理は、これは閣議決定というものではない、こういうことをおっしゃいましたし、また寺尾郵政大臣は、私はそういうことを了承するけれども、それは批准というものと結びつけては考えていないのだ、役員の改選問題は期待はするけれども、これは批准問題と結びつけてはいないということをはっきりおっしゃった。そういたしますと、今松野労働大臣がおっしゃいますことは、明らかに批准と結びついておる。これは大きな食い違いではないでしょうか。これはどういうように理解されておりますか。
○松野国務大臣 いかなる答弁がそこにあったか知りませんが、労働大臣としては、ただいま申しましたようなことが私の引き継ぎ事項であり、なお、速記録を私も拝見いたしましたが、ただいまの答弁と倉石労働大臣の答弁とは差はなかったと私は記憶いたします。その他の大臣におきましては――私もよく速記録を拝見しませんけれども、私がただいま申しましたようなことは、実は予算委員会における河野密さんとの応答の精神と少しも違っておらないと私は承知しております。
○多賀谷委員 批准と結びついていないということと、批准をするためにはそういうものが解除されなければならない、こういうこととは私は明らかに違うと思います。少くとも、閣議がある線を出しました、すなわち二月二十日に線が出ました後の二月二十四日の予算委員会では、そういう答弁がなされていないのですね。この点はその後変られたのではないか、あるいはまたそのときに閣議で決定をし、あるいはきめたことを、後になってくつがえしたのではないか、あるいはそのときに閣議が決定したことを、当時、伏せておいて、あとになってはっきりさせたのではないか、どうもこういうふうに私は疑わざるを得ません。その間、少くとも政府の考え方は、最初労働問題懇談会の結論が出た当時に閣議で決定ないし了解された事項と違っておる、あるいは決定、了解をしておったけれども、国民にはそう言わないで、ごまかして、そのあとになって全貌をはっきりさせた、これはどちらかですね。これについてどういうようにお考えですか。速記録を見ても、とにかく答弁が違っておるのです。
○松野国務大臣 閣議の決定と当時の状況は、すでに政府及び労働大臣から正式に、たしか労働大臣からその問題を発表したはずでございます。私も当時閣議のその会議の席に参列いたしておりましたから、その趣旨の内容は別として、その空気とその方向は私も同じように承知しております。ただ言葉の表現がいろいろございまして、直ちに全逓の違法状況というようなものをなくす、全逓のそういうものを早く解除してくれ、そうして国内法を整備して、その上で批准するということは明確になっております。ことにその中の国内法の整備ということは、これはどの大臣も一致して答弁されております。同時に今日の正常化ということも一致して答弁されております。その正常化のニュアンスが、あるいは各大臣によって多少違ったかもしれませんけれども、しかしその問題は、常に二つ関連してすでにきまったことでありますから、この大筋は、私はどの大臣の御発表も間違っておらないという意味で、今日引き継ぎをし、今日御答弁を申し上げておるわけであります。
○多賀谷委員 どうも理解できないのですが、速記録を読みますと、昭和三十四年二月二十四日の衆議院予算委員会の会議録ですが、寺尾国務大臣は、「私は郵政業務を担当いたしまする責任者といたしまして、全逓に対しましては、公労法第四条第三項に違反するいわゆる非合法組合という形というものは、できるだけすみやかにこれを一つ解消して、正規の代表を選ぶべきであるということを常に要望して参ったことは御承知の通りであります。従いまして私の考え方といたしましてはこれを直ちに批准というものと結びつけて考える立場に私はないのであります。ただ政府がこのILO批准に関しまする問題についての方針というものを打ち立てました以上は、私は当然これを認め、また従っていかなければならぬ立場である、かように考えております。」このあとの項の、認め、従っていかなければならぬというのは、批准をし、それから国内法の整備をするという意味のように、前の質問からはとれるわけです。そこで、結局直ちに批准というものと結びつけて考えないのだ、こういうことを言っておるのです。ですから、これは私はきわめて重大であると思う。そのことを後になってくつがえすような答弁がされておる。これは非常に遺憾であると考えるわけですが、この点、私は、当時の閣議の決定でありますか、了解でありますかわかりませんけれども、当時の閣議の内容がどうであったのか、これを、私はこの際はっきり究明しておきたいと思います。問題点をはっきりしておきませんと、今後いろいろ、いや言ったのだ、いやそうではないのだ、こういうことになりますので、私たち非常に困ります。ただ当時は、希望はするけれども、それは批准とは一応結びつけて考えていないのだということは今読みました郵政大臣の答弁にもはっきり書いてあるのです。ですから、少くともこの予算委員会の席におりました者の感じはそうです。社会党から言うならば、あれは批准と関係ないのだといってみなその席から帰ったのです。ところが後になって、いや、そうではない、批准は必ず全逓の役員問題が解決しなければやらないのだ、こういうことを倉石労働大臣は言われておるというので、われわれは非常に驚いたわけですが、その閣議の内容をもう一度はっきりさせてもらいたい。
○松野国務大臣 ある程度その当時のものはありますから、問題点だけ申し述べます。 公共企業体等労働組合が国内法規を誠実に守り、正常な労働慣行が確立されるよう諸般の施策を講ずるものとする。なお本条約の批准が全逓労組の違法状況を正当化する趣旨のものでないことは当然であるので、条約批准の手続はその労使関係が正常化されるまではとらないものとする。すなわちこれは、可及的すみやかにとった上に批准の手続をとるものとするということは明らかになっております。
○多賀谷委員 では、松野労働大臣が今読まれた通りであるとするならば、少くとも二月二十四日に大臣がおっしゃったことは、これは食言である、こう言わざるを得ないのです。私たちが受けた感じ、または速記録を見た今の状態でも、少くとも批准というものと結びつけて考える立場には私は立っていない、こういうことをはっきりおっしゃっておりますから、これは私はきわめて重大な問題と思いますが、こういった食言が行われるところに、私は、労使問題というのがはっきりしないで、常にもやもやしている、こういうように申し上げざるを得ないと思うのです。そこで私はそのことを前提に、一応質問を続けていきたいと思います。 今度のILO総会の前にありました条約勧告適用委員会の専門家会議で、日本の公労法並びに地公労法の四条三項並びに五条三項はILO条約九十八号第二条に違反しておる、こういうことが指摘をされたわけです。そこで先ほどからわれわれは、総会に行かれた労使、政府のおのおのの代表者を招いていろいろ聞いたわけでありますけれども、もし専門家委員会がそういう結論を出したといたしますと、これは私は非常に重大な問題であると思う。そこでこれについては政府がどういうようにお考えであるのか、まずその法律的な見解をお伺いいたしたいと思います。
○松野国務大臣 すでにこれは昭和二十八年に批准をいたしておりまして、批准当時の提案及び質疑の関係において、国内法に何ら抵触せずという前提のもとに、これはすでに満五年前に批准を受け、日本の国会を通じてやったわけでございます。従って私の方は少しも疑義はない、こう考えております。なおこまかい条文につきましては、御必要があれば政府委員から答弁いたさせたいと存じます。
○亀井説明員 この専門家委員会の意見というのは、けさほど大島政府代表からお話もございましたように、ILOの年次報告を作ります際に、各国の既批准条約につきます適用状況を調査するための専門家の集まりでございまして、ここで指摘されましたものが総会にかかり、さらにそれが条約勧告適用委員会の討議の対象になるという筋道は、けさほどお話になった通りであります。本年の総会におきましても百十九件、各国の既批准条約の問題について指摘をされたようであります。その中に日本が一件入っておる。この訳いかんでございますが、この専門家委員会の意見も、完全に違反するという断定的な結論は出していないのです。これは英語の本文をお読みになればわかりまように、より完全な適用をするにはという表現をいたしております。フーラーという言葉を使っております。そういうところを見ますと、一つの問題の提起であることは確かでございますが、四条三項が完全に九十八号条約に違反しているというような指摘はいたしておりません。
○多賀谷委員 違反を完全に指摘はしない、こう言っておりますけれども、しかし大体国際的なこういう勧告をするなり、あるいはまたいろいろなサゼスチョンをする場合に、そうはっきりきめつけたような言葉は使っていない。これは何もこの場合だけでなくて、いろいろな場合にもそういうことが言えると思うのです。非常に遠慮をして、お互いの立場を考えながら発言をしている。こういうことが言えるし、また発表しておる、あるいは報告書を作っておる、こういうことが言えるのではないかと思うのです。しかしこの専門家会議で指摘されたことは、明らかに公労法四条三項及び地公労法五条三項というものが、この使用者側の干渉を容易にするものだということを言っておるわけです。この法律条項そのものが、九十八号に違反しておるんじゃないかということを指摘しておるわけです。ですからこれが条約に違反してないということを抗弁されるならば、それはどういうところにその理由があるのか、それがよくわれわれは納得できない。先ほどから大島代表が言われましたように、どうも専門家委員会で指摘しておることと、また政府側が言っている釈明とはぴったり合っていない、こういう感じを私は持つわけです。これは大島政府代表がみずからおっしゃったことですが、当然国内の政府の方で見解を統一して出されたものであろうと思いますので、さらにその見解を私はあらためて聞きたいと思います。
○亀井説明員 九十八号条約は御承知の通り八十七号、結社の自由委員会、これは一般的な結社の自由についての保障の条約でございますが、それを補足する趣旨で、ILOにおきましてその翌年にこの条約が採択されたのでございます。この条約の趣旨としますことは、あくまでも労使団体におきます自由といいますか、相互不介入あるいは相互の干渉から保障する趣旨でございます。従ってそういう趣旨から申し上げますならば、けさほど大島政府代表が御説明いたしましたように、条約勧告適用委員会におきまして政府側から提出いたしました理由が、そのまま政府としてのこれに対する見解でございまして、具体的に申し上げますと、専門家委員会が懸念をいたしておりますように、経営者の恣意的な干渉によって組合に干渉しているというふうなことは、現在の日本の現行法においてはとられない建前、すなわち具体的に申し上げますと、各事業法におきまして、解雇をいたします場合には法律で制限されております。法律で規定されております事由以外では、解雇はできないという建前になっております。それが第一点。第二点は、公労法の三条の規定によりまして、労組法の七条が適用になっております。すなわち不当労働行為という制度によりまして、そういう不当な解雇に対しまする保護がなされております。こういうふうなことから見まして、現行の労働法の中におきましては、十分九十八号の趣旨を生かすだけの法的な措置が日本国においてはなされておるというのが、われわれの見解でございます。
○多賀谷委員 別に恣意的な使用者の解雇によってということは書いてありませんよ。それはあなたの方はそういうように解釈しておるのでしようけれども、別に業者が恣意的に解雇をした場合というようなことはどこにも指摘されてない。結局法律そのものがいけない。すなわちこの規定によって労働組合の役員を解雇された場合、その労働組合は新たな役員を選挙しなければならない、こういうことを言っているのですね。このことを言っているのですよ。ですから私は法律そのものが九十八号の二条に違反している、こういうことになると思うのです。あなたの方はそれはそうでなくて、法律の根拠に基かないで恣意的にやった場合をさしておるのだ、そういうことを言っているんじゃないのです。この法律の条項そのものが、そういういわば経営者の介入を許すような、あるいは容易にするようなものになるから、こういうことを言っているのですよ。
○亀井説明員 この専門家委員会の意見、今朗読ございましたように、この規定は前記のごとき企業の経営者による干渉を容易にするものであるかもしれず、これはメイという言葉を使っております、そういう表現でやっております。ところが今申し上げますように、日本の現行労働法ではそれすらできないのであります。従って九十八号の精神は十分に現行労働法で守られておるというのが、われわれの主張でございます。
○多賀谷委員 これはメイという字を、かもしれないというふうに訳しておりますけれども、これはそういう余地がある、できるんだという考え方、その可能性があるということを指摘しておるのです。ですから、その規定によって解雇された者は日本の法律によって役員になれないのだから、役員を改選しなければならぬじゃないか、そのことがいかぬのだ、こういうふうに言っているのですよ。解雇自体よりも、解雇をされた場合には役員の更迭をしなければならぬ、そのことが干渉になるのじゃないか、干渉を容易にするものじゃないか、こう言っているんですね。ですから、ものの考え方は、役員が変る――解雇は解雇だ、しかし役員が変るなんということは考えていないんですね。そういうものの頭、解雇によって役員が変らなければならないということ自体が、これは九十八号の二条に違反しているのだ、こういうことを指摘しておるんですよ。あなたの方で勝手に解釈したら困るんですよ。
○亀井説明員 今のお説は、私は八十七号条約の問題だと考えております。従いまして、八十七号条約の問題につきましては、ただいま大臣からも御説明ございましたような趣旨で、われわれとしては四条三項を削除したいということで、その準備を今われわれのできますことはいたしておる次第でございます。九十八号条約は、この八十七号条約を補足し、あるいは補完するための条約でございまして、今の四条三項はもっともとに戻りまして、八十七号条約自体の問題だというふうにわれわれは解釈しております。
○多賀谷委員 この条約ができた経緯については、先ほど少し述べたわけですけれども、これはいわば労働憲章的な条約ですね。ですから、普通の労働条件に関する条約のようなものではないのです。これは基本的条約です。いわば、この労働憲章が憲法とするならば、さらにその中間的な労働基本法ともいうべきものである。その下にまた幾つかの法律ができてくる。こういう性格の、いわば憲章に次ぐ、いな憲章の内容をさらに具体化した、いわば基本条約です。ですから、私はそういった解釈をすべきでないと思うのです。そのことは私が言うだけでなくて、現に専門家委員会が指摘しておるんですよ。これはしろうとじゃないでしょう。これは各国の法律家を集めたぐろうとの場ですよ。くろうとの場でしかも専門家が指摘をしておるんですから、それを日本政府の一役人がそれを曲げて解釈するなんという、こういうこと自体が、国際的な感覚をなくしているその最も指摘されてもいい点ですね。ですから、私はこの解釈というものは、すなおにやはり日本政府として受けるべきである、かように考えるのですが、労働大臣、どういうようにお考えですか。
○松野国務大臣 九十八号条約の批准のときの状況と当時の審議過程におきましても、九十八号と同時に八十七号条約を早く批准すべきだという意向があった。政府もこれに向って検討いたします。――当時は小坂労働大臣だったと記憶いたしますが、そういう質疑のときに、九十八号についてはほとんど疑義はございませんで、満場一致でございました。何も疑問は国内法にはなかった。ただそのときに、八十七号を基本的問題として促進すべきだというのが、九十八号条約の審議の過程のほとんどすべてでありました。従って政府としても、そのとき以来、八十七号条約の批准ということを考えて労働問題研究会というものを作り、今月の二日に答申をいただきましたから、それに従って批准をするという方向に強く打ち出したわけでございます。従って、九十八号についての疑義というよりも、今日は八十七号についてどうするか、おそらくこの問題とこの間のILOにおける関連的な意味が非常に深かったと、私は政府代表から聞いております。従って、九十八号の違反だという考えは私どもは毛頭ございません。それはすでに国内においても議論され尽して済んだこと、しかし新たな意味で、この問題が提起されたということが、八十七号と関連して九十八号がまた一つの意味において一つの提案を受けたということはございますけれども、九十八号の問題についての疑義というものは、私は毛頭考えておりません。八十七号条約についての疑義は、これはございましょう。しかしすでに批准した九十八号についての疑義というものは、今回の問題についてもなかったと政府代表から報告を受けておる。おそらく午前中において質疑あるいは御報告は出たことと存じております。
○多賀谷委員 大島説明員はどういう報告をしたか知りませんけれども、九十八号についての専門家委員会のその指摘があり、そのことが適用委員会において論議をされておるでしょう。その報告がさらに総会においてなされておるんですよ。今八十七号は問題になっておりますが、次の理事会ということで問題になったのは今度は九十八号であったということは、各三人の委員がおっしゃったわけですよ。あなたは問題なかったと言うのは、大島説明員はどういう報告をしたのか、またあなたはどういうふうに受け取られたのか。
○亀井説明員 要するに、九十八号について疑義がございましたから、これは日本の政府代表が説明をし、そしてこの問題については一応そういう違法だという指摘はなかった、こう聞いております。
○多賀谷委員 それはILOという三者構成について、三者で決議をするという形はなかったけれども、専門家会議でそれは指摘をされ、そして四条三項、五条三項については、政府も八十七号を批准をするについて廃止するのであるからということで、いわばそういうようにおやりなさいということで、結局この会議は終っておるのです。私たちは九十八号が、少くとも各国の専門家によって構成されている専門家委員会で指摘を受けたということは、国会としても重大に考えなければならぬ問題であると思うのです。あなたは九十八号条約が批准された委員会での速記録を読まれたかもしれません。それは外務委員会でかけられた。そうして、当時労働委員会としてもなるほど合同審査はしました。しかし私たちは不勉強でありまして、その指摘ができなかったのです、残念ながら。その後私は九十八号の二条に違反してはおらないかということで質問したこともありますけれども、どうも私たちも政府の答弁にいわばごまかされたといっては語弊がありますが、政府が上手に答弁されたものですから、一応それ以上追及しなかった、こういう経緯なんですね。それを、はからずもほかの方から九十八号に違反しているじゃないかという指摘があったら、われわれとしては謙虚に、率直に反省していかなければならぬ問題であると思うのです。でありますから、この今までわれわれは問題なかった、あなたが問題なかったと思っておるのが指摘をされたのですから、当然国会としてもまた政府としても問題にして研究しなければならぬわけでしょう。一体条約違反の疑いのある法律というものの効力はどういうようになるのですか。
○亀井説明員 本年の総会におきまして専門家委員会から指摘されました件数は全部で二百五十六件ございます。それらのうちの一件として日本が指摘された。そうして、条約勧告適用委員会にはその中で百十九件、これが事実でございます。そこで、多賀谷さんは専門家委員会の結論を非常に重要視されておりますが、もちろん事務的にはこの問題がゆるがせにできない問題がございますが、ただそれが全部のILOの意思であるかどうかという点については、われわれとしてもまた別に考えなければならぬ。すなわち、具体的に申し上げますと、総会におきましては専門家委員会の意思がそのままの形で採択されておる、これは大島政府代表から先ほど御答弁があった通りでございます。そういう意味で、ILOで四条二項が九十八号条約に違反しているのだというはっきりした結論が出ますれば、われわれとしても憲章の命ずるところに応じまして、それは考えなければならぬ、あるいは措置をしなければならぬ問題も生ずるのでございますが、ただ単に専門家委員会の結論それだけを取り上げて――しかもこれについては条約勧告適用委員会も結論を出しておりませんし、総会におきましても出していないという現実の上に立ちましては、直ちにわれわれとして専門家委員会の意見を承服することができないのでございまして、政府はそれに承服できないからこそ、条約勧告適用委員会において大島政府代表は日本政府の意見を申し述べておるわけであります。その意見を申し述べたことに対しましては、総会におきまして委員長から明確に報告があり、日本政府からこういう意見の開陳があったということは明らかに記録に出ております。これが明らかに日本政府の見解でございまして、専門家委員会の意見がそのままILOの意思であるというようにはわれわれは考えておりません。
○多賀谷委員 はっきりすれば憲章に従って順守します、これは一体ILOの常任理事国である政府の、しかもその担当者である労政局長の言葉ですか。きめつけられなければやらぬぞ、専門委員会で指摘されたくらいではおれはやらぬ、ILO総会で日本は九十八号条約に違反しておるという決議がなされなければおれは知らぬ、こういったことで一体国際舞台に出て日本の代表者としていろいろな問題について発言できますか。そういうような政府では発言力がないでしょう。私はこれはきわめて重大な問題だと思うのです。一体労働大臣はどういうようにお考えですか。はっきりきめつけられなければ日本はしないんだ、こういうような態度で行かれるのですか。
○松野国務大臣 九十八号条約について疑義があったとか、いろいろな報告を受けておりますけれども、特に違反だと政府は考えておりませんし、同時に、いろいろな国内事情もございましょうから、ILOで議論があるならば、ILO自身でもう少し検討していただきたいと思うのであります。条約適用委員会でどういう審議があったか、私も一応の概略は報告を聞いておりますけれども、そんなにこの問題で一日も二日も議論されたという報告は受けておりません。従ってそれはILO自身も、日本の国内法と状況をもちろん十分観察していただいた上で、さらにより以上の御研究を願うべきだ。私は別に専門家委員会で議論になったからどうのという考えでなく、もう少し向うも日本の国内の事情をお調べいただくでしょうし、日本政府代表もそれについて意見を言う機会があってしかるべきだ、しかる後に結論が出るだろう、こう私は考えておりまして、まだそこまでこの問題は進んでおらないのですから、もう少し冷静に考えていいのじゃないかと私は考えております。
○多賀谷委員 一日も二日も日本の問題を論議されなかった、こういうふうに思い上ってはいかぬですよ。日本のような国の問題を一日も二日も国際舞台で論議されてたまるものですか。また論議されるような機構じゃないですよ。しかし少くともリポートで日本の問題が指摘されて、しかも条約に違反している法律があるのだなどということを指摘されたら、われわれほんとうに謙虚に反省しなければならぬですよ。実際そういうことがなくて、そうして大島代表は淡々として終った、こういうことですが、よその国の労働者が適用委員会であれだけ口をきわめて言えば、これは重大な問題と考えなければいかぬ。少くとも適用委員会の総会に出された報告書を見てごらんなさい。あれだけ口をきわめて、しかも各労働代表の大立物が話しているのですから、私は率直に耳をかさなければならぬと思うのです。その態度というものが、私は国際的な労働関係だけでなくて、国内の労働関係を処理するにふさわしくない政府だと思う。そうしてこんな態度で労使間で対立しておったら、国内の問題だって何ら解決しません。適用委員会で指摘をされたけれども、いや、それはそうではない、それはこうだ、あるいは三者で決議されていないじゃないか、こういうように突き詰めていかなければ、あるいは三者構成の決議が日本のためになされなければ従わぬというようなセンスでは、今後の日本の外交は私は勤まらないと思うのですよ。松野さんは、何も労働大臣でなくて、今後外務大臣になられる場合もあるでしょうし、その他いろいろな国務大臣にもなられる場合もあるでしょうけれども、こういう感覚では私はもう一年生の大臣として落第だと思うのです。少くとも心を新たにして、こういう問題こそ松野さんのように新しい感覚で、しかも一応改造ではありますけれども、フレッシュな立場で出てこられておる。今までの経緯はあるでしょうけれども、事情が変った、こういうことで処理されるのが適当ではないか、かように私は思うのですが、どうですか。
○松野国務大臣 私の新しい感覚といいましても、私も一個人として微力なものでございますし、閣議において決定され、与党において決定され、議会において決定されたその範囲内で私はやるのでありまして、この問題は、多賀谷さん御承知のごとく、政府からも代表がジュネーブに出るし、労働者代表も出るし、使用者代表も出て、おのおのの方がいろいろな感覚で議論し、またともに会議をして今日帰ってこられたわけであります。従って私は、これは全然何もなかった、ほうっておくのだという趣旨ではございませんが、その専門家会議で議論が出たから直ちに日本の国はこの法律に違反しているのだという判決は少し早過ぎる。ILOにおいてもまだ議を尽さないこともございましょうし、政府代表もまた発言する機会もなかった。だからお互い意を尽してこの問題をやるのであって、ただ指摘されたからどうするのだ――それを全然無視するのではありませんが、私たちもそれを考えなければいけないと思います。しかし直ちにそれによって国内法をどうするのだというところまでは今日違反していないと私は思うのです。疑義があるなら、その疑義をもう一度私の方も検討する機会があっていいのじゃないか。国際問題ですから、十分考える準備と時間は政府にあってしかるべきじゃないか、こういう趣旨で私は申し上げているのであって、私は頑迷固陋で耳をかさないという意味ではございません。直ちにやれというから、それは少し早過ぎる、もう少し政府に考えさせていただきたい、ILOでももう一ぺん継続審議なり議論をされることもあるだろうという趣旨で申し上げている。全然ILOを軽視するとかという意味ではございません。今日政府代表のすべての報告を見ると、これはまだ議論をし研究をする余地があるという意味で私は申し上げているのであります。
○小林(進)委員 私は労働大臣にただいまの御質問に関連してお尋ねしたいのでありますが、これは午前中われわれの報告を聞いたところによりますと、倉石前労働大臣も、何かジュネーブにいられるうち、だんだん心境が変ってきたというふうにとれるような状態になられて、こちらに帰国される前日には、日本の労使代表と一緒に飯などを食べながら意見の交換もやられた。そのときにこういう倉石前労働大臣の話があった。このILO八十七号の問題は国際問題であるから、国内問題にこだわってこれをおそくすべきではないというふうな意見があって、加えて、帰国早々なるべくこの問題を国際問題として促進したいという意見も吐かれたし、こういう心境で帰ってこられたと思います。私は不幸にして前労働大臣とは直接ひざを交えてその報告を得たわけではございませんから、若干言葉のニュアンスが違っているかもしれませんが、そういうお話があったそうであります。そこで一体そのお話が引き継ぎとして直接松野さんにあったかどうか、これが一点であります。それからいま一点、これは労働大臣として、やはりILOの問題はまた来年何か河崎公使の理事会議長就任の問題もあるらしい。これはそれとこれとは別だとおっしゃられれば別でありましょうけれども、先ほどのお話では政府側は別だという。労働側では別じゃないという意味の報告を承わりましたが、それまで待って、来年またこの議長は過半数で争ってでもとるようなお考えでいられるのか。それまでには時期を見て国内法の解決をして、少くとも来年の総会では再びこういう問題を繰り返さないように、できれば理事会の議長も三者それぞれ全会一致で日本から一つ議長を送り込みたい、こういうような考えで早く事態を収拾したいというお考えを一体お持ちになっているのかどうか、そこら辺をお伺いしたいと思います。
○松野国務大臣 倉石前労働大臣の引き継ぎには小林さんが言われたような趣旨はございました。内容に飯を食ってどうとかいう具体的な話はございませんでした。ただILOに行って、そうしてやはり早くILO八十七号の批准を捉進したいという気持で自分はおる、その前に一番障害になるのが実は全逓の違法的行動だから、これを正常化して――今日違法なんだから、これを一つ早く違法を合法にしたいということとあわせて批准を捉進したいという言葉を、引き継ぎのときに受けました。同時に来年においては、これは私の見解ですが、ぜひ満場一致で日本の河崎公使が議長になるような状況を作りたい、こういう気持で今日おるわけであります。特にILOの八十七号と河崎公使をからみ合せばいたしませんけれども、しかし状況は今日そういう状況になったことも、これも一つの否定できない影響はございますので、そういうものも来年までには正常化して、そうして河崎公使は来年は満場一致――過半数ということは私たちはやりたくない。すでに過半数という悪例を作ることを遠慮いたしましたのがことしの事態の趣旨でございますから、私たちは国際場裏に立ち向って、もちろん議長というものは大事な職責である、名誉であるとは存じておりますが、やはり国際慣例とかよい国際の風習を乱すようなことを日本はすべきではない、遠慮しながら実は来年はという考えを持っておるのですけれども、それにはやはり政府もあるいは全逓組合も、ともどもに今日のこの状況を打破するという方向にいかなければ、私はなかなか進まないだろう、こう考えております。
○多賀谷委員 条約違反の法律の効力はどうなるのですか。これは大臣どういうようにお考えですか。
○松野国務大臣 条約違反の法律というのならば、おのずから国内法をおそらく直さなければいけません。条約違反の法律ならば、国内法を直すという手続をすることが、国際信義に対する忠実なことでございます。しかし条約違反だと私たちは今日思っておらないのです。もし条約違反だというなら、それはそれ相当に国内的な法律というものを考えなければいけません。私は個人的にはそういう見解を持っております。
○多賀谷委員 条約違反の法律は直すのが当然ですが、直さない間の法律の効果は、一体有効ですか無効ですか。
○松野国務大臣 国内においては当然国内法が優先いたしますから、もちろん有効でございます。
○多賀谷委員 外務省もそうですが。
○鶴岡説明員 ただいまの問題は私の管掌以外でございますので、条約局長に答えてもらいたいと思うのでございますが、お許しをいただきたいと思います。
○多賀谷委員 条約違反の法律が国内に関する限り有効だというのは、どこにそういう説があるのですか。
○松野国務大臣 少くとも今日まで条約違反という法律は日本にはございません。しかしそれは非常に疑義があるというようなことがあって、国際の問題をどこで、裁判するのだというなら、国際司法裁判所というものにこれを提訴する以外にございますまい。しかし国際司法裁判所においては、日本でもたびたび提訴いたしましたが、なかなか判例も出てこない。もしその判例が出たら、当然国内法というものはある程度修正しなければなりませんが、国内法というものがある以上、国内法が優先するのが当然じゃないかと思います。
○多賀谷委員 金森国務大臣と、新憲法制定の当時に、国会でいろいろ論議があったのです。すなわち憲法の第十章、最高法規の規定でございますが、第九十八条の二項に、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」こういった条文があるわけです。そして条約と憲法の問題は、これは御存じのように学説もいろいろある。しかし今日において条約と法律の効力については争いがないのです。少くとも新憲法下においてはその議論はないのです。そして条約に違反する法律というのは無効だ、効力は条約が上である、こういうことは確立されておるのですよ。当時少くとも国会ではそう答弁になったし、また後法、先法の関係、すなわち条約があとにできたというときは、これは当然国内法は改正されたものだと考える、こういうような答弁も当時の憲法改正の委員会、あるいはその後の委員会においても現われている。でありますから、大臣は新説を発表されては非常に因るのであります。やはりそういうようになっておるのですから、これが条約違反であるという問題になりましたら――これは若干仮定の問題もあります。九十八号そのものの問題は少し言葉が過ぎるかと思いますけれども、少くとも条約違反ということがはっきりした以上は、これは無効である、こう言わざるを得ないのですが、その点はどうですか。
○松野国務大臣 多賀谷さんお読みの趣旨と同様に、国際法が先にできた場合は、国内法の成立ということが国際法違反ということで拒否されましょう。従ってそういうものができてこない。国際法ができて国内法ができるときには、当然そういうものはでき得ない。国会で審議をして成立することはできない。なぜならば、国際法違反だということで成立ができないでしょう。従って法律になる前に、あるいはなったあとで、この問題はおそらく今日までもたびたび、議会にある法案が出て、国際法違反のために審議未了なり却下されるなりしたことがあるのです。われわれが記憶している中にもたくさんございます。従ってそういうものが併立するということはあり得ないけれども、万一何かの場合にそういうものがあったという場合ということでありまして、今日日本におきましても、新憲法ができて以来いろいろな問題が出て参りました。しかし国際法違反だという疑いで審議未了なり却下されたり、あるいは途中でこれをやめたりしたこともあるのですから、そういう意味で憲法と国内法及び国内法と国際法というものは、いろいろな場面にからんで参りますけれども、これは仮定の問題で私はお答えしたわけで、そういうものがかりに現存するならば、それは当然国内法を修正するか、あるいはそういう疑義があるならば、修正するまでは国内法というものが優先することが妥当だ、こういう一つの常識論で申し上げたわけです。私も日本の憲法は、国際条約を非常に尊重するというきつい文章があることも、実はかねがね記憶しております。しかし、これはいろいろな場面で議論をいたしますけれども、今日まではそういうような現実はなかった、そういう意味でお答えしたわけであります。
○多賀谷委員 しかし実際問題として、ここにやはりその疑いがあるということの指摘、それが起りつつある。そこで議論をしていても仕方がありませんから、ちょっと手続を聞きますけれども、これは労政局長でけっこうですが、条約違反の疑いある法律、これはいわば申請者からいうならば、違反がある、こう考えて、その法律の無効は日本の裁判所でやりますか。
○亀井説明員 条約の解釈につきましては、法制局が政府としては解釈権を持っております。ただ問題がILOの舞台で争われる場合におきましては、今申しましたように専門家委員会の指摘、条約、勧告適用委員会あるいは総会という形でILOの意思が決定される。労働条約ですから、おそらくILOが第一にそういう問題を判断すべき機関だと私は思います。それに対してなお不服であるという場合に、国際司法裁判所という問題になってくる、これが一応の手続としての順序だろうと思います。この問題は先ほど来申し上げますように、まだILOの意思として違反であるという決定がなされていないのでございます。従ってそういう決定があれば、大臣が先ほど御答弁申し上げましたような問題として処理されなければなりませんが、われわれとしてはまだそういう事態に立ち至っているというふうには考えておりません。
○多賀谷委員 具体的な問題から一般的、抽象的な問題をお聞きしておるので、答こえにくいかと思いますけれども、そうでなくてこの四条三項というものが九十八号条約に違反しておるのだ、こうある人が考えたとします。そこでこの関係者は日本の裁判に対して、これは条約違反の法律だから無効であるという訴えができるかどうか。
○亀井説明員 よくそこまで勉強はしておりませんが、おそらくむずかしいのじゃないか、条約違反という問題を取り上げての訴訟は成り立たないのじゃないかと私は考えます。
○多賀谷委員 国内法の効力を審議しておるのですから、条約違反という問題もやはり裁判所ができるのじゃないか、あるいは裁判所としてはどういう見解を出すかわかりませんけれども、できるのじゃないかという気持を持っておるわけです。これは今後ともわれわれは研究していかなければなりませんけれども……。 そこで私は九十八号条約違反の疑いがあるということを指摘されたということは、きわめて重大であるし、今まで批准されていない八十七号でもあれだけ問題があったのですから、私は少くとも疑いのある法律の強制はすべきでないと思うのです。九十八号条約違反の疑いありということを、とにかく権威者の集まった一つの機関においてきめられた。でありますから、その疑いのあるというこの国内法の順守を迫って、そうして全逓の役員の改選を条件に批准をする、こういうことは私は政府としてなされる措置ではないと思うのです。これは十分慎まなければならない問題であると思う。しかもこの四条三項という法律はまるっきり死文化しておるのですよ。一体大臣はどういうようにお考えですか。
○松野国務大臣 ILOのただいまの九十八号と国内法の問題ですが、ILOの専門家委員会というのは国際司法裁判所のごとく、一つのそういう意味でできたものではなくて、またILOの精神そのものがそういうものではない。従って国内法の制約を一々ILOで決定してそれを守らなければならないという性質のものでは、ILOそのものがないのじゃないであろうか、お互い相互間の国際的の信義を守りながら、そしてこれを実施していくというのが各国の自主的な尊重と精神にあるべきものだと考えます。直ちにこれは国際法に疑義があるから守らぬでもいい、それは少し早計過ぎるんじゃないか、もしそういうことであれば藤林あっせん案なんというものは出るのがおかしい。これは藤林あっせん案というものが出て、今日それが今まで順守されておるのですから、それを一部の組合が守らなかったといって放置するということは法治国としてあり得ないことだ。ただ疑義がある――疑義があるというのはILOの専門家委員会だけの話で、すべてが疑義があるといったわけではなく、そういった一つの指摘事項について私は国内法を順守するとか何とか、それは私は議論の外じゃなかろうか、それは議論の外だと私は断じて考えております。
○多賀谷委員 議論の外ではないでしょう。結局八十七号の場合はまだ批准をしてないという問題がありました。しかしそれにつきましても、これは国際労働機関の憲章にある事項であるからというので、この批准をしてないものについても理事会としては日本政府に要請をしたわけですね、八十七号条約を批准するようにという。ですから私は九十八号の問題だって同じ問題だと思うのですよ。ただ三者会議で決議をされていないというだけですよ。少くとも指摘があっておる。でありますから、四条三項というものが九十八号条約に違反するかどうかという疑いをかけられておるのですから、このことを私は強制して八十七号条約の批准の前提条件にすべきじゃないと思うのですよ。しかもこの四条三項というのは、この法律は守られてないのですよ。まるきりナンセンスな法律になっておる、現在の運営が。そうでしょう。「公共企業体等の職員でなければ、その公共企業体等の職員の組合の組合員又はその役員となることができない。幾らでも組合の組合員になっておるじゃないですか。現在政府は黙っているでしょう。組合の役員に、組合員に、幾らも解雇された者、非職員がなっておるのですよ。役員にもなっていましょう。藤林あっせん案のごときは、苦労されたのをわれわれはけなすわけじゃないけれども、書記長はいいけれども委員長、副委員長はいかぬという、そういうナンセンスなものがどこから出ますか。四条三項の解釈からなんてどこからも出てこないのですよ。今まで四条三項が守られた法律なら私はいい。守られない法律なんです。今まで守られないからどこも提訴されたところが非常に苦労をしておる。最初は東京地方裁判所の千種判事が苦労をされて、結局千種あっせん案というものが出された。そうしてそれは被解雇者、三役の話し合い出席は自主的に遠慮してもらいたいということで終った、これは問題をあとに残して終りました。それからまた今度は藤林あっせん案というものが出た。さらにまた東京地方裁判所も、機労の団体交渉拒否は不当労働行為であるという提訴に対しましては、これまた非常に苦労をされた。苦心のあとの見える判決があって、被解雇者を含む組合は憲法上の組合であるが公労法上の組合ではないという、きわめて理解のしがたいこの判決を出さざるを得なかったわけですよ。これはわれわれ立法者としてもまた政府としても十分反省をしなければならぬ。四条三項というのは解釈できないのですよ。しかも委員長、副委員長はいけないが書記長ならいいという解釈はここからは出てこない。一般の組合員はよろしい。何人もおりますよ。解雇された者が組合員に何人もある。しかしどうにもならないのですよ。政府も認めているんですよ。ですから、四条三項という守られない法律を、何でこの際八十七号という基本的な条約批准に当って前提条件にするというのか、間違っておるんじゃないんですか、これは一体大臣、どうなんですか。
○亀井説明員 法律的な問題を含んでおりますので私から申し上げます。多賀谷先生の御質問には二つあったと思います。一つはILOにおきまする勧告適用委員会の問題――専門家委員会の結論というものにおいて疑わしいという結論が出たのであります。その疑わしいということに対して政府はどういう処置をとるべきかという御質問でございます。専門家委員会の出しましたいろいろな御指摘につきまして、条約勧告適用委員会で論議をしました記録をずっと調べてみました。その中におきましては、条約勧告適用委員会が明らかに専門家委員会の意見が正しいというふうに見た場合におきましては、その該当国に対しましてやはり具体的な決定をいたしておる事例がたくさんございます。今回の場合は、先ほど来申しますように、そういう決定がなされていないのでございます。総会においてもそうであります。従って専門家委員会の結論がそのままILOの結論である、従ってそれに対して政府は何らかの措置を講ずべきだというふうなことは、少しまだ早いのではないだろうか。先ほど大臣から御説明ございましたように、ILOにおきましてもまだ十分日本政府の意見というものは聞き尽していない、そういうこともありますので、今後引き続き専門家委員会におきまして検討されるだろうというふうに私は考えておるわけでございます。 第二点の四条三項が守られていない状態ではないか、あるいは藤林あっせん案において委員長、副委員長だけ解雇されない者を入れて、それで組合の正常化というものがなされております。これは明らかに四条三項というものを無視した行き方ではないかという御質問であります。あの当時のいきさつにつきましては種々私その当時御答弁申し上げた通りでございまして、あの際におきましては労働組合の正常化というものは違法状態、つまり四条三項を完全に順守すべきだ、すなわち四条三項の規定を貫いていく、一人も解雇された者が組合に残ってはいけないのだというふうな問題をとらまえての当時の問題ではないのであります。すなわち団体交渉をいかにして早く再開していくかという問題が労使の紛争のもとでございます。そこで団体交渉を拒否するについて正当な事由があると判断をいたしまして藤林あっせん案というものが一つ出たわけでございます。すなわち、つは代表者に解雇されない者がいないために、団体交渉してもその法律的効果がないじゃないかということが一つの団体交渉を拒否し得る正当な理由かということで、われわれとしましては藤林あっせん案は結局この団体交渉を拒否するに正当な理由があるかないかというその限界を一つとらまえたというふうに当時理解し、その点につきましては先生方にも種々御説明を申し上げた次第でございまして、それだからといって、国鉄の労働組合が完全に違法状態を脱しておるかというと、そうではない、これは御指摘の通りでございます。四条三項違反の状態である。しかし団体交渉をするについては、これを拒否し得ない正当な理由がある、すなわち委員長、副委員長、組合を代表し得る者は解雇されない者である、そういう解釈をわれわれはとりまして、そういう意味で、結局これは正当な理由があるかどうかという価値判断の問題で、その限度であれば、拒否すれば一応正当な理由がない、そういうことは理由づけは別でございますが、第一に、東京地裁の判決におきましても、結論してはわれわれと同じ――理由づけはわれわれもだいぶ異論はありますが、結論としてはそういう形であるというのが実態でございます。
○多賀谷委員 実態はよく存じております。しかし、法律論としては立たぬでしょう。四条三項を固執されておるが、四条三項は死文化しているんですよ。とにかく解雇された職員で組合員は相当おります。役員もおる。しかるにこれは守ることができないのですよ。いわば悪法です。しかし、政府はこれを運用するのに、守られない状態になってもやむを得ぬというような運用の仕方をしておる。いわば放任されておる。あるいは認められておる。しかるに、なぜ全逓の場合だけ固執されるか。さらにまた九十八号の条約違反として非常に指摘をされておる条項でしょう。指摘をされている条項をあくまでも固執をして、次の条約批准の前提条件にするなどということは、私はどうしても理解できないんです。これは率直に言いますと、面子だけですよ。ですから、むしろ今までの経緯からいうならば、今までの大臣はいろいろな経緯がありましたからやむを得ないにしても――ことに倉石さんは、この四条三項を自分が労働大臣のときに削除することをやってみせると、非公式ですが約束された。ところが、これはうまくいかなかったんです。これは前倉石労働大臣が最初労働大臣になりました昭和三十一年のときであります。そこで私は、今までの経緯がありましたから、やむを得ないにしても、新労働大臣は新しい観点からやられてしかるべきだと思うのです。九十八号などは今まで出てこなかった。これが突然指摘されたのですから、情勢が変っておりますよ。労働大臣の決意を再度伺いたい。
○松野国務大臣 今いろいろほめたりけなしたりされましたけれども、少くともこの問題については、すでにきまった一つのレールがあるのですから、私がいきなり閣議決定の問題をどうこうするという立場でもなければ、権能もないことで、それを是なりとして私は引き継ぎを受けたのですから、すでに過去の問題というとおかしいが、大方針はすでにきまった問題で、私はそのレールの上を走るだけが引き継ぎ事項なのです。また私自身において判断し得る要素というものはこれには非常に局限されている。また、私自身もこれを大きく変更することは不可能であります。すでに私はその上に引き継ぎを受けたのです。同時に四条三項の問題は、倉石大臣がたびたび議会でも御答弁のごとく、このいきさつは、いろいろな問題で当時非常に激しい労働運動のさなかであったから、ある意味においてはこれが必要だったという国内情勢のもとにできた法律だということは、実はたびたび議会及びすべてで御答弁になっておられるのであります。従って、そういう情勢と今日の情勢とはある程度変って参りましたけれども、しかし、今日まだ法律改正がならなければ、おそらくそういう違法組合があるならば早くこの法律に従っていただきたい。そして早い時期に、新しい意味で八十七号の批准という建設的な労政に日本も踏み切って参りたい。しかし、それにはやはりお互い協力しなければならない立場にある。一方だけが協力し、一方だけがわがままを通すというようなことがもしかりにありましたら、これは私はいい例ではないと思う。そういう意味で、今日全逓問題というのがたまたまその一つの障害になっていることは事実でありますから、これも政府及び企業体も、ともにあわせて将来のILOの八十七号のために協力することが私は一番妥当じゃないかと思う。今回のILO会議における政府代表の帰京の報告、あるいは資本家代表の報告、あるいは瀧田労働代表の報告も、三人につぶさに承わりました。精神においてはみな一致しております。同じような報告であります。従ってただ一つの障害が目の前にあるのですから――私は全逓の方も現行法を守っていただくことにおいて何も問題はなかったと思うのです。その違法性を直ちに妥当にするということは、これはむずかしいと思うのです。そうして、今回はことに労働問題懇談会からの答申がありましたから、政府は踏み切ったのでありまして、当然政府の一つの方向というものは今日急にできでたものでもなし、過去においてこの方向に努力して参ったその集積が、今日この立場になっていよいよぎりぎりのところに来たのですから、これは両方とも考えるべき時期にあるのじゃないかと私は考えております。
○多賀谷委員 実は私はさらに外務大臣に対して、最も名誉あるILO理事会議長を放棄せざるを得なかったこの問題について質問したいと思いますけれども、大臣が見えておられませんので、これは次会に保留して、私は一応質問を終ります。
○田中(正)委員長代理 滝井義高君。
○滝井委員 ILOの問題で、今非常に法律論的なことを多賀谷君からいろいろ質問がございました。大体政府当局のお考えになっているところはよくわかりました。そこで少しく常識的にわれわれがどうしても知っておかなければならぬ点だけ一、二点大臣の見解をお伺いいたしたいと思いますが、ことしの二月に労働問題懇談会が答申をしてから、とにかく政府は公労法の四条三項を削除するという方針は決定をされたわけです。そして同時にいろいろ前提はありましたが、とにかく批准をするということもはっきりしてきておるわけです。一体いつの時期に批准をされるのか、これを一つ私はもう一回明白にしておいていただきたいと思うのです。
○松野国務大臣 国内法の整備と正常な労働慣行とをあわせて確立して、そして批准をいたしたい、こう考えております。
○滝井委員 そうすると国内法の整備をやるためにはどの程度の時日がかかりますか。
○松野国務大臣 国内法の整備というものは各省にまたがっておりますので、各省と打ち合せをして、そしてなるべく早い時期にという考えを実は持っております。
○滝井委員 早い時期ということでなくて、およその目途はあるはずだと思うのですよ。これはもうきのうきょうの問題じゃないのですから。今年の二月、すでにILOに関する正式な労懇の結論が出る前に、石井報告というものも出ております。あのときから、国内法の問題についてはいろいろの問題が整備されなければならぬということは石井報告の中にも出ておりました。従って労働省当局としては、ILOの総会に臨むに当って当然鋭意その準備はやってきておったはずです。もし今年ILOでうまく話し合いが出ていけば、直ちにこれは批准しなければならなかったはずなんですよ。もしかすると今度の臨時国会でも問題になったはずなんです。従って今の松野さんのような答弁ではどうも受け取れぬと思うのです。これは私は初めてなったからどうだというのじゃないのです。こういう行政というものは継続しているものなんです。従ってあなたが大臣になろうとなるまいと、事務当局としては当然準備しておかなければならぬものなんですよ。従ってその時期はおよそいつごろなのか、これはやはりここにある程度明白にしてもらわなければならぬと思う。
○亀井説明員 この問題につきましては、二月二十日閣議で政府の方針がきまりましてから、その後各省の関係次官会議を数回にわたって開いて、国内法規の整備の問題につきましては検討を加えておるわけでございますが、まだ結論としましては得られておりません。まだその次官会議を継続してやっておるという段階でございます。
○滝井委員 そうしますと、そのおよその見通しもつかないということですか。
○亀井説明員 いろいろ各省におきましては意見もございます。その意見を調整するにつきましては、なお日数がかかるのじゃないかというふうに考えております。
○滝井委員 日数のかかることはわかるのですが、あなた方もずいぶんいろいろ法律を作られるいわば専門家なんですから、われわれだって大体この法律はどのくらい日にちがかかるということはおよそきめて、法律の作業というものはやるのですよ。議論をして法律の作業をやる。大体どの程度を目途にしてやるのだということは、われわれあなた方に比べたらしろうとでも、もうすぐわかる。いわんやあなた方はああして石井報告が出、閣議決定があってから、今松野労働大臣から言われたように、国内法の敷備ということは一つの大きな大前提、いわば第一条件になっておるのです。閣議了承の事項の中にもきちっと書いてあるのです。従ってその準備を、やはりある程度の目途を立ててやっておらなければ、批准の時期というものははっきりしてこないのです。だからこの点は、大体あなたの今までの長い役人としての経験というものは、同時に法律を作る経験をも身につけておるわけですから、その体験から見て、どの程度かかれば国内法の整備ができるのですか。
○亀井説明員 今回の八十七号条約を批准する前提としての国内諸法規の整備の問題は、非常に多岐にわたっております。特に事業法の改正という問題までに及んでおりまするだけに、公労法の改正という問題だけで処理できない面もたくさんございますので、単に一つの法律の改正という問題でわれわれが一応目標を立てて参りますのと若干違って参ります。それほどむずかしいいろいろな条件があるわけでございます。私としまして、いつまで、あるいはいつを目標にしてというふうなことをちょっとここでは申し上げかねます。
○滝井委員 そうしますと、国内法の整備の見通しは今立たない、いわゆるどの程度の時間がかかるかという見通しは立たない、こう理解して差しつかえありませんか。
○亀井説明員 見通しとしましては、今申しましたもう一つの条件との関係も出てこなければならないのでございますから、そういうふうなことも考え合せながら、われわれとしましてはその準備を進めておるわけでございます。閣議の了解は、二つの条件が同時に満足されるときにというふうな決定でございます。われわれ事務当局としましては、閣議の御方針に従いまして、その準備を進めなければならぬという一つの制約がございます。従ってそれとの関連において今後の法律の改正というものをやらなければなりません。しかしそれにはやはりおのずからの目標というものが自然に出てくるだろうというふうに私は考えます。
○滝井委員 そうしますと、どうですか、事務当局というものは、いわゆるあなた方の言う全逓の違法状態というものが解消するまでは法律作業はやらないのだ、サボるのだ、こういうことなのですか。
○亀井説明員 そういうふうにとっていただきますと、私の答弁に少し言葉が足りなかったかという気がいたしますが、われわれ純事務的な立場からこの国内法の調整という問題と取り組んでおるわけでございます。しかしそれが今申しますようなやはりもう一つの条件というものがあるわけでございますから、国会にかりに国内法の調整だけの問題を、改正案を出しましても、国会で果してそのまますぐ御審議いただけるかどうかという問題もあるわけでございます。そういうふうなこともやはり大臣に御判断をいただかなければならぬ問題でございまするし、そういう問題も考慮しつつ、事務的な準備を進めているわけでございます。
○滝井委員 私は純法律的に法律作業をやるのには一体どの程度かかりますかということをあなたには尋ねたのです。それを全逓の違法状態とか、国会の審議の状態とか、そういう政治的なことをお尋ねしておるのじゃないのです。一体国内法を整備するという、その整備をする法律が、あなたの考えでは何本かあるでしょう。だから、そういうものを、あなた方の今お考えになっておる何本かの法律を整備するための時間というものはどのくらいおかかりですかと、こういうふうにすなおに聞いておるのですよ。すなおに一つ答えていただけばいいのです。それから先のいろいろな曲りくねった盤根錯節のことは松野さんに聞きますから……。
○亀井説明員 これは公労法だけの問題じゃないのですから、しかも内閣全体、すなわち関係の次官会議でいつまでという目標を立てて現在やっておるわけでもございません。私がほかの省の法律の国会提出時期までここで申し上げるということは、ちょっと差し控えさせていただきたい。しかし、われわれの所管でございまする公労法の改正につきましては、これはまあ技術的な改正でございますから、そう時間もかからないで原案ができるというふうに考えております。
○滝井委員 こういう国内法を整備する時間的な問題さえも労働省当局が国会に明白にしないというむしろ非民主的なあり方、これは私は心に銘じておきます。 次には、もう一つの条件というものは全逓の違法状態なんですね。これは大体いつ解消するとお考えなんですか。
○亀井説明員 これは先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、政府でいつまでに正常化しろという筋合いのものではございません。全逓労働組合が自発的にみずからの反省のもとにおいて現行法を守るという態度をきめられるときでございます。その時期につきましては、私としましては言うこともできないわけでございます。
○滝井委員 御存じの通り、もうすでに全逓の改選が行われたわけですね。まあ方針は、今の三役がそのままなるように多分決定しておるのだと思うのです。そうしますと、また一年ずっと今の役員でいくことになりますけれども、さいぜん松野さんは、来年は公使か大使か知らないけれども、まあ公使が議長になるような状態を作りたい、こういうことをおっしゃったわけです。ところがこれはやはり四条三項を削除して、国内法を整備して批准をしておかなければ、これは同じことを繰り返すことになるのです。そこでこれは何か打開する道を作らなければならぬと思うのです。あなたとしては、国内法の整備と全逓の違法状態が二つの前提条件だと言って、どちらも動かないということになれば、これは来年も同じことを繰り返すことになるわけです。そこで、今後九十八号の条約と四条三項の関係というものは、ILOの総会の議論の空気その他から見て、一応それは条約専門家委員会というものは、四条三項が九十八号に抵触しておるとは断定はしませんでしたけれども、とにかくやわらかい形で、すみやかに四条三項を改正してくれという希望的な形で述べております。そこで、こういう国際的な空気の中における日本の孤立的な状態と申しますか、そういう状態はやはり打開しなければならぬと思うのです。こういう状態の中で、一体あなたはどこから打開の糸口を見出していこうとされるのか。おれは倉石前労働大臣からこの二つの条件を受け継いだのだから、こんりんざいこの二つの条件は動かせないというものでもないと思うのです。天の雲も動いておるし、川の水も流れておるし、万物は流転しておるのだから、政治は生きものなんだ。生きものの政治だとするならば、倉石という生きものから松野という生きものに受け継いだこの政治の生きものというものも、やはり動いていいと思うのです。そこであなたは一体どこに糸口を求めていくかということなんです。これだけ私は聞いておけばいい。あなたは糸口がないといえば糸口を見出す誠意はおそらくあるだろうと思うのです。そこらあたりをこのままずるずるといくというならば、労働大臣になった価値がないでしょう。これはやはり一生一代の、松野頼三は生まれつきから政党人の子供で、母親のからだの中に入ったときから政党人なんだ。あなたのお父さんに言われたことと同じことがあなたに言われる。その政党人がこの際この難局に直面して何か打開の糸口というものをお求めになることは当然です。一体どこからお求めになるのか、私はきょうはそれを聞かしていただきたい。
○松野国務大臣 私も何とかこの問題を解決したいと思いますが、ただこの二つの条件だけは私にはめられた一つの大きな鉄の輪みたいなものですから、その上に立って私は実は苦労しているわけで、このことは全逓の問題も不変なものでもなかろう、ことに組合ですから、組合の意思の決定は年に一回か二回か、それは民主的に行われるでしょうが、私の方も法律というものは改正されるまでは動かし得ないという強いうしろだてのもとに立っているのですから、私の方もその範囲内でできることについては努力いたしますが、全逓の方も、これは法律じゃないのですから、組合意思と、あるいは大きな労働問題に対する日本の窓口をあける一つの先駆者になり得るかもしれないのですから、それを両方ともにこの問題を解決すべきだ。といって私がどうするこうする、この二つの条件を私が動かすことはできないのです。これは動かすことはできない。その上に私ができる範囲というものはおのずから出てくるものですから、それは私と同時に全逓にも考えていただきたい。そういうものをうまく解決した上で、来年はそういう問題の国際的立場に日本も踏み出していきたいというので、踏み出すことが先にあらずして、国内問題を改正してすべて正常化してから、来年は国際的立場において前進して、議長問題も願わくば解決したい、こういう意図であって、ある程度希望的かもしれませんがそういう気持で私は今日やっておるわけで、どうこうするといっても相手のあることでありますし、ことにこれは私にきめられた二つの大きなレールですから、汽車がこのレールを踏みはずすわけにはいかないのじゃないか。この上でいつ出発するか、前にころがっている石をどうやってどけてくれるか、あるいは私がどけるか、そのどけ方は今後の問題でしょうが、やはり汽車の出発の前にレールを正常に動かすためには、全逓の組合も私は日本のために考えてもらいたい、こう考えております。
○滝井委員 松野大臣、お帰りになってきのうの朝日新聞の社説をお読みになるといいのです。帰って一回よくお読みになっていただきたいと思います。朝日の社説の最後には、国際的には日本の労働条件それから労働慣行については、ともすれば不当な低賃金はないか、不当な労働者圧迫はないかと世界は注目をしておる。よほどこれは正々堂々といかぬと世界に日本の政府はおそらく批准を引き延ばすのではないか、いろいろのことをやって引き延ばすのではないかという印象を与えるおそれがある。この際やはり適当な時期に、あんまり全逓の問題にこだわらずに誠意を示す必要があろうということを書いています。私けさ涼しい頭で読んでみましたが、なかなか論理が通っておるのです。時期は来年を待つ必要はないと思うのです。ことしの十一月には多分理事会があると思うのです。そうしますと、その理事会でまたこの問題が持ち出されて、日本がみんなから非難を受ける可能性があるのです。そうでなくてさえ日本の低賃金とダンピングというようなものは、多くの世界の有識者の指弾を受けておる状態なんですから、そういう点からこの際やはり虚心にこの問題というものを大臣はやはり考えていただきたいと思うのです。私はこれ以上申しません。こまかい法律論や条約に関する論争というものはいろいろあると思います。しかしこれはお帰りになって、一回きのうの朝日新聞をお読みになって、深夜静かに一人でお考えになって、何か打開の糸口を見出していただくことをこの際希望をいたして、私の質問を終っておきます。 ―――――――――――――
○田中(正)委員長代理 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。まず労働大臣より失業対策事業に関する件について発言を求められておるので、これを許します。松野労働大臣。
○松野国務大臣 今回の通達は、失業対策事業運営の必要上、屋外作業において必要とされる通常の労働能力の限界について年令基準を定め、高令者が、生活保護によって老後の生活の安定をはかり得るよう、失業対策事業と生活保護との調整を行うこととしたものでございます。 今回の通達による年令基準を越える者のうち、生活扶助の適用を受けることができない者で、やむを得ず就業の機会を求める者については、職業安定機関の全力をあげて、その者に適した軽易な職業べのあっせんに積極的な努力を傾注する一方、授産施設の活用等、社会福祉事業においてもその施策の充実を期する所存であります。 かような努力によっても、なお、就業の道を得られない者については、やむを得ない措置として、すでに定める紹介適格要件を備え、かつ屋外作業における通常の労働能力を有すると認められる場合に限り、当分の間失業対策事業の紹介適格者として取り扱うものといたす所存でございます。
○田中(正)委員長代理 この際暫時休憩いたします。 午後四時八分休憩 ――――◇――――― 午後四時二十分開議
○田中(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を再開いたします。質疑に入ります。通告がありますので順次これを許します。大原亨君。
○大原委員 ただいま労働大臣の方から、懸案となっておりました失対事業からの高齢者排除につきましての労働省のお考えの発表がありました。念のために二、三御質問申し上げますが、失対事業の登録者の中で、現在の適格者の者については今回の通牒でいろいろ書いてございますけれども、行政官庁としては本人のためを考えあるいは本人の希望を尊重するという基本的な態度に立って勧奨の域を出ないのだ、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○松野国務大臣 すでに登録をされている方に関しましては、今回は特に排除するという意思はございません。本人の御意思と本人の状況と能力を見まして、無用の摩擦を避けるようにしたい。定年によって首を切るというふうな考えは毛頭ございません。
○大原委員 それでは今日以後新規登録希望者の問題、これは通牒で四月一日以降となっておりますが、新規登録希望者の処理につきましては、労働大臣の御答弁によりますと、生活扶助を受けるという問題について本人の状況を聞いて進める、あるいは職安に十分これを督励いたしまして軽度の作業をする、こういう御説明でございますけれども、つまり本人が希望いたしまして生活扶助を受けたい、そういう人以外の人につきましては、本人に働く意思と能力があるならば失対事業に従事することについては道を閉ざさない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
○松野国務大臣 本人の意思と能力を十分尊重いたしまして――生活保護を受けられないということは、生活扶助の方は能力があるから働け、こういうふうに非常にギャップが今日までできておりましたので、そのギャップを埋めるために今回の調整をいたしたわけでございます。同時に、かりに六十五才といいましても生活扶助も受けられない、そういうふうな条件があります場合には失対事業におきまして今後とも善処して、そうしてこれを収容する。その前にできるならば軽作業についての紹介をするとかあらゆる道を開きまして、しかる後になお道がないときには、これは失対としてその能力さえあるならば、私の方でこれを閉ざすという意思はございません。
○大原委員 念のために申しておきますが、今日までいろいろと適格登録者をきめるまでの間に、時間的にもいろいろと相当長い間かかったようでありますが、そういう今回の措置のために年寄りの人が特に最終的な道を選ぶ、失対の適格者として登録を希望する、そういうことについて時間的に長くかかったり、あるいは手続が煩瑣になったり、そういうことについては十分一つ留意されて、そういうことがないようにしてもらいたいと存じますけれども、その点について労働大臣の御意見を伺います。
○松野国務大臣 今まではいろいろありましたでしょうが、今回厚生省と労働省と特に調整をいたしまして、そういう道を迅速にする。なおかつ労働省所管の中におきましても、職業紹介とか登録というものも相当簡素化いたしまして、今後こういう通達が出ます以上、かえってある意味においては事務の促進もできるのではないか。今まで非常に通達の現われていない事務的な煩瑣の問題がございましたが、今回ある意味においてはこれによって促進されるということも今回明確にする、どうぞそういうふうに御心配はないようにという意味でございます。
○田中(正)委員長代理 八木君。
○八木(一男)委員 今大原委員の御質問によりまして、文書の回答の点について明らかにされたわけでございますが、一つ要望を申し上げておきたいと思います。この前この問題について論議をいたしましたときに、緊急失対事業法の第四条第三号のことを申し上げました。今まで緊急失対事業法が土建作業にほとんど限られておったということでございますが、たとえば事務をしていたものが失業した場合に、土建作業ということもそれはいたしますけれども、そうじゃない方がいいような状況があるわけでございます。また高齢者の場合とかそういう場合で、土建作業ということに限らないで何か統計を作る、そういうときの事務能力を持っておる失対事業であるとか、あるいは高齢者のための公園の軽い清掃作業というようなことで国際観光客を集めるとか、あるいはまた都道府県の中心部に何か道案内のような、すわってできるような仕事、そういうサービス失対とか、そういうようなものも発展的にお考えになる必要があると思いますが、どうかそういう点についてお考えになっていただくと同時に、それが軽作業だからといって今の基準より下げたような賃金、労働条件ではいけないのであって、当然今の賃金以上のものであって、賃金は当然将来上るべき問題も考慮した十分――十分ではないけれども最低に食えるような賃金において、そういういろいろな人に適当した軽度の失対事業を積極的にお考えになっていただきたいと思いますが、それについて労働大臣の御意見を伺いたいと思います。
○松野国務大臣 失対事業法の条件もございますが、そういう趣旨に沿いまして、ただいま八木さんが言われたようにいろいろな面においてさらにこれは研究させていただきたい。ただしその場合に賃金を安くするということは、これは失対事業そのものからできませんので、もちろん賃金を安くするという考えはございません。そういう事業が果して見つかるかどうか、これは非常にむずかしい問題でございますが、私は就任早々でございますが、なおよく研究させてその方向の道を求めたい、こう考えております。
○八木(一男)委員 さらに緊急失対事業法の第一条の問題でございまして、この間松野さんといろいろ意見交換をいたしましたが、緊急失対事業法の第一条では、前段は略しましてできるだけ多数の失業者を吸収し、その生活の安定をはかるとともに経済の興隆に寄与することを目的とするとございます。それで前段の方が大部分の意味で、後段は付属の意味だと私は考えておりますが、それにつきまして松野さんは、相当後段も重視したお考えをとっておられたようでございます。この点につきましてはこの前に論議をかわしましたので、さらに私どもの意のあるところを含んで御検討をいただきたいと思いますが、ただこの後段だけにとりましても、幾分は考えていただかなければならない点があると思います。経済の興隆に資するということは、失対事業の効率ということは、いろいろの会社のような意味の効率を上げるということではないと思います。というのは就職することができない、それで就職の意思がありながら職業紹介もうまくできない、何も収入がない、生活保護を受けなければならないということになると、国民の中にそういう人の労働の意思と能力が使われないということになる。従って失対事業というものが行われてそういう労働が使われる。現にそういう労働が使われて道がよくなっていくということが日本の経済の興隆に役に立っておるわけです。ですから失業対策事業として、ほかの土建会社のやる事業に比べて効率が悪いとか何とかいうことではない。国家の全体のことで、働く意思と能力のある人を無理に働かせないで生活扶助をあげるよりは、とにかくその失対事業としての効率が上ろうが上るまいが、その人たちの労働力を使っていただいて、道がよくなるとかあるいはりっぱな統計ができるとか、あるいは公園がきれいになるとか、そういうことによって産業道路がよくなったから産業が振興する、公園がきれいになったから観光客が来る、統計ができたからりっぱな施策がそれで作り上げられるというようなこと自体が経済の興隆に役立つわけです。ですから失対事業としての中の効率が上るというような考え方は、緊急失対事業法としてはとるべきではない。緊急失対事業法の前段はあくまでも国が、勤労の権利を完全雇用政策がうまくいかないために保障できなかったという、いささかの埋め合せとしてある。そのいささかの賃金の少い、多くしなければなりませんが、多くしたとしても、少いこの賃金で働かせるのを、できるだけたくさん働かして、できるだけたくさん吸収するということ、そしてとにかく働く労働力をむだにしないで、その人に何らかの仕事をしてもらうことによって、国全体の経済の興隆がはかれる、そういう意味に後段は解釈すべきだと思うのです。それが往々にして、緊急失対事業だけの中で事業効率が上る、上らない、従って、労働能力がどうだ、こうだということが、非常に末端の末端の、意味をなさないことが一番先頭に今までの考え方に出ておった、これは私は誤まりであると思います。この点について非常に労働行政に熱心に当ろうという決心を披瀝しておいでになる松野さんに一つお考えをいただいて、そういう点について、小さな意味の株式会社のような事業効率じゃなしに、労働力をできるだけ緊急失対事業に、今完全失業者になっておる方は全部登録して、それに何らかの仕事をしてもらう。そこで賃金と仕事の量が合わなくても、遊んで生活保護を受けるよりは国全体の経済の興隆がはかられるという意味で、こういう緊急失対事業のことについて考えていただきたいと思います。その点について松野さんの御意見を伺いたい。
○松野国務大臣 おっしゃるように、緊急失対事業でございますから、遊休労働力の吸収をまず本務とすることは、これは私は異論はございません。ただ御承知のように、あわせて「経済の興隆」こう書いてありますから、その精神はかたく言えば、両々同じ条件だということも趣旨でございましょうが、しかし緊急失対そのものの性質から言うならば、やはり遊休労働力を何とかして雇用の方向に求めるための中間的な一つの作業だ、こういうふうな趣旨で、必ずしも一般のものと同じように労働をやれといったって、それは条件も違いますし、年令も違いますから、私はそういう過酷な意味ではございません。できるならば、ただ遊んでいるだけではいけないんだ、ただぶらふらして能率は全然上げなくてもいいという、情民を作るという精神でなく、やはりある程度の事業効果というものを上げてもらいたい。しかしそれをノルマのようにあるいは賃金を確保するとか、そういう条件のものではないというのが第一条の趣旨だと思いますので、八木さんのおっしゃることと私の言うこととはそう差はない。全然一致とも言えないが、そんなに離れたものではない。いつも常々かたいことばかり言うわけではございません。私もその気持を持って、産業大臣と違います、労働大臣ですから、やはり労働力の一時のプール、再就職への道という意味で温情をもってやって参りたいという意味でありまして、今回の通達もそういう精神を没却した意味ではございませんので、どうぞ今回はこの通達を是なりと認めていただいて、そうして運営もよく監視していただいて、その上で私の気持をよく生かしていただきたいと思います。
○滝井委員 関連して。ちょっとこれは末端に行ったときに混乱するといけませんから、一つだけ念を押しておきたいのですが、それは現在すでに登録をされて失対に出ておる人、あるいは新しく登録をされて今度失業対策事業につこうとする、この二つの場合において、それぞれ意思と能力を見てやる、この本人の意思と能力の見方なんですが、現在働いておる人たちについては二カ月以内に漸次、どうです生活保護にいきませんか、あるいはこのまま働きますかと、こういう程度の言い方なんですか、現在やっているのは。それが一つ。 もう一つは、新規登録の人は、まず先に登録を受けに来る。そうしますと、あなたは家計の状態、からだの状態はよろしゅうございますか、十分失対で働けますかと聞いて、私は働けます、生活保護よりこちらが希望です、こういうことであれば、素直に登録適用者として受け入れてくれるのか、まず、君、市役所に行ってきたまえ、こういうことになるのか、末端における取扱いの問題というか、いわゆる現在働いておる人に対する具体的な指導の仕方、それから、これから働こうとする者の具体的な指導の仕方、ここらあたりを一つ明確にしていただきたいと思います。
○百田説明員 今回の通達の趣旨としますところは、申し上げるまでもなく、従来生活保護に向けられなかったという、労働能力に乏しい高齢者につきましても、現在失対事業に入っておられるわけでございます。従いまして、そういう方々で特に家族数が多いといったような場合には、むしろ生活保護の方がいいという場合がございますので、そういう方々にはむしろ相談相手となって、生活保護の適用を受けられるようにこちらから勧奨していくこういうことでございます。 第二の点、新しくなった者の労働能力の見方その他につきましては、本来ならば体力検定でございますとか健康診断といったふうなものが必要となって参りますが、少くともこの点につきましては、現在の失業対策事業の本旨から見まして、常識的に、そうした労働能力のある者については、やむを得ざる処置としてやっていきたい。その間におきましても、できるだけ何か安定機関として、軽易な労務があれば紹介を継続していきたい、こういうふうにしていきたいと思います。
○滝井委員 そこらあたりの取扱いがぴんとこないのですが、わかりやすい言葉で言えば、失対労務に出ようとする人の自由な意思によって、少くとも能力がある限りにおいては、どちらでもあなたの得と思われる方をお選びなさい。こういう言い方でさしつかえありませんか。生活保護が得ならば生活保護においでなさい、失対労務に出ることが得ならば、あなたは能力があるんだから失対にお出なさい、今の言い方はこういうことになるのですか。
○百田説明員 今回の通達の趣旨というのは、一定の高齢者については、現在の失対事業から見ると少し無理じゃないかと思われる点が多いわけであります。ただ従来は生活保護を受けられなかったために、非常に酷な場合もあったのじゃないか、従いまして、失対事業の本質からいいましても、通常の雇用に復帰し得る人を、先ほどお話しのようにここで受けとめてその間やっていくというのが本旨でございますので、こうした方々については、できれば社会保障へ行くというのが私は本筋だというふうに考えるわけでございます。ただ現在そうしたあれがないために、まず第一に私はそういう方については生活保護、生活保護を得られない方々につきましては、そこにブランクができますので、労働能力のある限りうちで失対事業を紹介していく、こういう趣旨でございます。
○滝井委員 生活保護法の第四条で御存じの通り、能力と持っておる財産を全部活用しなければ生活保護に受け入れてくれないわけですね。だから、六十五才になって働く能力がある、しかし財産は何もない、これならば、能力の方はお宅で遠慮してくれ、こういえば、市役所、県の福祉事務所は受け入れてくれることになるわけです。これは財産がないのですから。しかし財産がある限り、売り食いのできるだけ売り食いをしなければ受け入れてくれないのですよ。だからその場合に、よほど自由選択なら自由選択ということをはっきりしておかないと、市役所に行ったけれども財産を売れ、こうなると困るのですね。だけれども、そういう場合には当然これは失対に入れる、こうなると自由選択ということになる、それでよろしいかということです。
○百田説明員 自由選択という言葉は別といたしまして、現在六十五、六十以上は、生活保護の要否を決定するに際しまして、就労の指示はしない、生活保護を受けられるか受けられないかは、財産があるとかないとか、別の条件があると思います。しかしここで生活扶助を受けられないというのは、今おっしゃったような意味のことでございます。いわゆる失対適格者にしていく、こういうことでございます。
○田中(正)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十分散会