社会労働委員会 第1号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/07/03
会議録
○永山委員長 これより会議を開きます。 この際一言ごあいさつ申し上げます。 このたび非才の身をもって本委員会の委員長に就任するごとになりました。まことにその責任の重かつ大なることを痛感いたしております。申すまでもなく、当委員会の所管は厚生、労働の両面にわたり、非常に広範囲なものであります。この中には緊急に解決を迫られる諸問題が多々含まれておりますが、幸いにして、委員の方々はその道に御経験の深い方ばかりでございますので、諸君の御鞭撻、御協力を得まして、公正に本委員会の運営を行いたいと存じます。ここに就任に際し、切に諸君の御支援をお願いいたしまして、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)
○永山委員長 この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。一、厚生関係及び労働関係の基本施策に関する事項、二、社会保障制度、医療、公衆衝生、社会福祉及び人口問題に関する事項、三、労使関係、労働基準及び雇用、失業対策に関する事項、以上各事項についてその実情を調査し対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求などの方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。つきましては衆議院規則第九十四条により、議長に承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
○小林(進)委員 議事進行について。発言を許されましたから、委員長にお伺いをいたしますが、委員会には、委員会開会の規則もあり、いろいろの条件もあるはずでありますが、今私は召集を受けて来たわけであります。この出席の状況を見ますと、わずかにりようりようたるものでございまして、一体、委員長はこの委員会を成立したものとみなされて今のごあいさつをされたのかどうか。一体これで委員会は成立いたしますか。ちょっと委員長にお伺いをいたします。
○永山委員長 ちょっと休憩いたします。 午前十時四十二分休憩 ————◇————— 午前十時五十七分開議
○永山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 ただいま休憩いたしましたので、今のためもう一度お諮りいたします。 この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。一、厚生関係及び労働関係の基本施策に関する事項、二、社会保障制度、医療、小衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項、三、労使関係、労働基準及び雇用、失業対策に関する事項、以上各事項についてその実情を調査し対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求などの方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長に承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。 —————————————
○永山委員長 本日公報に掲載いたしました請願十三件を一括して議題とし、審査に入ります。 まず請願の審査方法についてお諮りいたします。これらの請願の紹介議員より紹介説明の申し出もないようでありますが、その趣旨につきましてはすでに文書表によって御承知のところであります。また先ほど来の理事会におきまして、各位とその取扱いにつき協議いたしましたところでありますので、ただちに採否の決定に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 採決いたします。本日の請願日程中第一ないし第八及び第二の各請願はその趣旨妥当なものと認め、採択の上内閣に送付すべきものと決したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 その他の各請願につきましては、諸般の事情により採否の決定を留保いたします。 なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、さように決しました。 なお本委員会に参考のため送付せられた陳情書は、未帰還問題の早期完全解決に関する陳情書外二十八件であります。 以上念のため御報告いたしておきます。 —————————————
○永山委員長 次に、厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。厚生大臣のあいさつ並びに厚生行政に関する所信を述べたい旨の申し出があります。これを許します。厚生大臣渡邊良夫君。
○渡邊国務大臣 私は今回岸内閣の改造に当りまして、厚生大臣の重任を負うことになりました。厚生行政については何分にも経験に乏しく、浅学非才の者でございますが、幸いに各位の御協力御援助を得て、その任を果して参りたいと考えております。本日この機会に一言あいさつを申し述べたいと存じます。 あらためて申し上げるまでもなく、社会保障制度の確立をはかり、もって国民生活の安定と国民福祉の向上をはかることは、福祉国家の実現を期する上にきわめて重要な意義を有するものでありまして、現内閣の最も基本的な施策とされているのであります。厚生行政は、これら諸施策を推進するに当りまして、その中核をなすものとしてきわめて重要な役割を有するものであります。私といたしましても、あらゆる障害を克服して、社会保障制度の整備充実、ことに当面の問題といたしまして国民の所得保障と医療保障の実現、その他厚生行政の推進に努めたいと存ずる次第でございます。 まず、第一の問題といたしましては国民年金の円満なる実施があります。国民年金は、医療保障とともに社会保障制度確立の二大支柱をなすものでありまして、将来、国民の所得保障の分野における中核体となるべきものであり、その健全な発展いかんは、国民生活の安定に重要な影響を及ぼすものと考えられるのであります。政府におきましては、第三十一回国会において成立いたしました国民年金法により本年十一月分から支給される無拠出制の福祉年金並びに昭和三十六年四月から保険料の徴収を開始する拠出制の年金について、目下鋭意これが準備に励んでおる次第でございます。なお今後とも国民年金法の円滑適正な実施を期するとともにさらに本制度の向上充実に一段と努力いたして参りたい所存であります。 第二は国民皆保険の達成であります。医療に関する国民皆保険の達成につきましては、関係各位の非常な御努力により順調な進展をみているところでありますが、今後はさらにその完全な実現を期したい所存であります。なかんずく、その中心となる国民健康保険につきましては、新国民健康保険法の成立によりまして、一そうその普及が促進され、皆保険体制が確立されたものと信ずる次第であります。また、国民皆保険の基礎である医療体制につきましては、総合的な整備計画を樹立し、医療機関の偏在を是正し、病床不足地域の解消をはかる等、その体系的整備をはかりたい所存でございます。 なお、これに関連いたしまして、本年度設置されました医療制度調査会におきまして医療に関する諸制度等につき根本的な調査審議を行い、新らしい情勢に適合した適切な医療制度の樹立に資したいと考えております。また、結核対策の強化推進は、医療保障の一環として重要な問題でありまして、今後とも一そう強力な推進をはからねばならぬと存ずる次第であります。 次に健康な国民生活の基本となる生活環境の改善等でありますが、ことに、一九六四年のオリンピック開催も一つの契機となりまして、生活環境整備を要望する世論も大きく盛り上ってきており、今後、上下水道、し尿処理施設等環境衛生施設の整備につきましては格段の努力を傾注いたしたいと念願しておるものでございます。 さらに老齢者、身体障害者、精神薄弱者等に対する援護措置の強化、児童健全育成の強化、母子衛生施策の強化に意をいたすとともに、国立及び国定公園の整備、同和対策の強化等、国民福祉の向上に努力いたしたい所存であります。 最後に、この機会に厚生行政の長期計画の問題について述べてみたいと存ずるのでございます。政府といたしましては十年後における国民所得の倍増を目標とした長期経済計画を考えておりますが、厚生省におきましても、長期経済計画に即応し、厚生行政全般にわたり国民生活の改善向上に必要な綜合的な長期計画の作成を検討中でございます。 以上るる申し述べましたが、諸般の問題につきましては各位の御意見を十分尊重いたしまして、誠実に実行するとともに、明年度以降推進すべき厚生行政の具体的な施策につきましては関係各位の御協力御援助を得まして、できる限りその実現に努め、厚生行政の飛躍的発展をはかつて参りたい所存でありますので、ここに重ねて各位の御協力をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
○永山委員長 次に、厚生政務次官より就任のあいさつを述べたい旨の申し出がありますので、これを許します。厚生政務次官内藤隆君。
○内藤政府委員 私が今回厚生政務次官に就任いたしました内藤隆でございます。 厚生行政に関しましては私は全くのしろうとで、何の経験もございませんが、皆様の御支援、御助力によって、この任務を全うしたいと存じております。ただいま厚生大臣から施策その他についてるるお述べになりましたが、私たちは福祉国家を実現するというわれわれ現内閣の根本、基本政策に基きまして、わが厚生行政がいかに重要な任務を持っておるかということを深く考えておるのでございます。この上は皆様の御意見をお互いに尊重いたしまして、私は微力ながら厚生行政のために努力いたしたい所存でございます。どうぞ御支援、御鞭撻のほどを心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
○永山委員長 次に、労働大臣より就任のあいさつかたがた、労働行政に対する所信を述べたい旨の申し出があります。これを許します。労働大臣松野頼三君。
○松野国務大臣 今回はからずも、突然労働大臣という重責を拝命しまして、まことに至らぬものでございます。練達たんのうのものでもございませんので、どうぞ在任中はお手やわらかにお願いいたします。お許しを得まして、簡単でございますが所懐の一端を申し述べて、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。 私は、労働問題の特徴は、それがすべて人間関係の問題であるということたと存じます。従って労使の関係におきましては、そのときどきの現象に変化がありましても、その底には相互に常に変らぬ理解と信頼がなければならないと考えるものであります。 私はまたわが国の発展にとりまして、健全な労働運動が果す役割はきわめて大きいと存じますが、それだけにまたそれは民主的社会のルールに従つたものでなければならないと考えております。労働運動の現状は、この点からみまして必ずしも満足できない点がいまだかなりあると思われるのであります。 私は労使双方の間に基本的な相互の信頼の上に立って、まず土俵を守るという好ましい傾向が一層助長されるように、関係者の特段の努力を期待いたしますとともに、労働行政の面においてもその方向に力を尽して参りたいと思います。 次に、倉石前大臣のとられた日の当らない労働者への思いやりある行政については、私も全く同感であります。特に先国会で成立いたしました最低賃金法及び中小企業退職金共済法の施行は今後の問題でありますので、私はその完全な結実のために力を尽したいと存じます。またこのほか週休制の普及、勤労青少年ホームの建設等による余暇善用方策の樹立、産業災害防止対策等の確立、五人未満の事業所の失業保険加入の促進等、主として中小企業を対象とした諸施策及び日雇い労働者の福祉対策、内職問題の対策につきましても、これを一層推進して行きたいと考えております。 最後に雇用問題でございますが、最近の人口白書が示しておりますように、ここ数年の生産年令人口の急激な増加によりまして、雇用対策はきわめて重要となって参ると考えます。幸い雇用審議会がつい最近において、わが国の雇用政策全般について基本的な方策を答申されたところであり、また新内閣もその重点施策として、国民所得の倍増と雇用の増大を目ざす新長期経済計画の樹立を考えておりますので、私もこれに即応して従前の失業対策といった消極的な施策にとどまらず、むしろ産業の発展を通じて雇用量の増大を推進して行く方向で、特に職業訓練に重点を置いた積極的な対策を検討してみたいと思っております。 以上、簡単でございますが、私が現在感じておりますことを申し上げました。今後とも行政運営につきましてよろしく御援助を賜わりますよう、お願い申し上げる次第であります。(拍手)
○永山委員長 次に、労働政務次官より就任のあいさつを述べたい旨の申し出がありますので、これを許します。労働政務次官赤澤正道君。
○赤澤政府委員 私、はからずもこのたび労働政務次官に任命されました。私も実は労働法規に通暁しておるわけでもありませんし、また労働政策等につきまして、知識、経験を特に持っておるわけでもありません。しかし長く国会におりますし、また皆さんとも大へん日ごろ親しくしていただいておるわけでございますが、この国会の審議を通じまして、お互いに全国民のために何をやろうかと考えております。その目的に至りましては、私ども皆さんと立場は同じであると思います。ただ、やり方につきまして多少の意見の相違はあろうかと思いますが、皆さん方のお気持というものをよく了察もいたしまして、それを十分国政の面に反映をいたしまして、そして私の次官としての職責を全ういたしたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。(拍手) —————————————
○永山委員長 この際、閉会中審査申し出の件につきましてお諮りいたします。 本委員会には、厚生関係及び労働関係の諸問題が未解決のまま山積いたしております。従いまして、この際、閉会中も必要に応じて調査を進めることができますように、一、厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件、二、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する件、三、労使関係、労働基準及び雇用、失業に関する件、以上の各件につきまして、議長に閉会中審査の申し出をいたすこととし、なおそのほか、一、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案(勝間田清一君外十四名提出、第三十一回国会衆法第七号)二、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案(勝間田清一君外十四名提出、第三十一回国会衆法第八号)三、失業保険金の給付日数に関する臨時措置法案(多賀谷真稔君外十三名提出、第三十一回国会衆法第九号)四、クリーニング業法の一部を改正する法律案(大石武一君外九名提出、第三十一回国会衆法第五七号)五、健康保健法、労働者災害補償保険法、失業保険法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(多賀谷真稔君外十三名提出、第三十一回国会衆法第六一号)六、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部を改正する法律案(五島虎雄君外十三名提出、第三十一回国会衆法第六二号)七、職業訓練法の一部を改正する法律案(五島虎雄君外十三名提出、第三十一回国会衆法第六五号)八、船員保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第三十一回国会閣法第一六八号)九、医療法の一部を改正する法律案(内閣提出、第三十一回国会閣法第一八三号)につきまして、あわせて議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、閉会中の理事辞任の件並びに欠員を生じました際のその補欠選任につきましても、委員長に御一任願つておきたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○永山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。ただいま申し出ることに決しました閉会中審査案件が当委員会に付託されましたならば、来たる七月六日、当委員会において、国際労働機関総会における労働問題に関する件について、参考人より意見を聴取することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、参考人の選定及び手続に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○永山委員長 次に、委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。閉会中審査に当り現地調査の必要もあろうかと存じますが、この場合には、委員長において理事と協議の上、適宜委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○永山委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。閉会中、診療報酬及び薬価に関する調査をなすため、小委員十名よりなる診療報酬及び薬価に関する小委員会を設置し、また医療制度に関する調査をなすため、小委員十名よりなる医療制度に関する小委員会を設置することとし、各小委員及び小委員長の選任につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認めます。各小委員及び小委員長は、追つて指名することにいたします。 なお、小委員及び小委員長から辞任の申し出がありました場合は、その許可について委員長に御一任願うことし、小委員及び小委員長に欠員を生じました場合の補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、子のように決しました。 また、両小委員会からそれぞれ参考人より意見を聴取いたしたい旨の申し出がありました場合、委員長において適当と認めたときは、適宜その出頭を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ちょっと休憩いたします。 午前十一時二十分休憩 ————————————— 午前十一時二十五分開議
○永山委員長 それでは再開いたします。 午後二時まで休憩いたします。 午前十一時二十六分休憩 ————◇————— 午後二時二十九分開議
○永山委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 労働関係及び厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 それでは、さきに懸案となっておりました日雇い労務者の件に関しまして、労働省の見解について、労働大臣から発言を求められておりますから、これを許します。松野労働大臣。
○松野国務大臣 就任いたしましてから、過去の労働大臣の今までの行政上のいきさつの引き継ぎを受けました。その中に、いろいろなことがございますが、職安の問題及び失対事業の定年の問題がある。ちようどしかし、倉石前労働大臣も、その問題については、自分が不在中であったために、詳細には自分も承知しておらぬが、局長通達というものを出したという申し継ぎがございました。その後においてその検討をいたしましたら、局長通達というものが実は出ております。従って、局長通達が出たものを、私も大臣として引き継ぎました以上、それを前提として、当然局長のやりましたこと、過去に前大臣がやられましたことは、私がその責任を引き継ぐべきだという見解で、今日その問題を当然私の責任として引き継ぐのだという意味で、今日この席上に出て参りました。六十才、六十五才という問題がある。従いまして、これについては、そる前大臣及び現局長がやりましたことを是なりとして引き継ぐ以外になかろう、私はこういう見解で今日おるわけでございます。
○永山委員長 大原君。
○大原委員 この六月十日の質疑応答におきまして、四月一日に出しました労働省の職業安定局長と厚生省の社会局長の共同通達につきまして、今労働大臣の新しく就任されましてからの見解が表明されたわけですが、その中で、問題となりました点について、私も議事録を一応調査いたしまして、政府側の答弁をいろいろと研究をいたしましたが、どうしても私どもが納得できない、許せない点がはっきりいたしておりますので、私は、労働大臣が一応そういう御答弁になりましたけれども、問題点について御質問申し上げますから、一つ実情を理解しながら、今までのいろいろな経過がございましょうけれども、新たなる観点に立って御答弁いただきたい。きようはちようど両大臣が御出席でございますから、非常にいい機会でございますので、両大臣に対しまして、共同通達でございますから、御質問いたしたいと思います。 労働省の三治説明員の説明によりますと、六十才と六十五才、女は六十才、男は六十五才、こういうふうに年令を制限いたしまして、それ以上の失対の希望者は不適格として失対事業から排除する、こういう根拠を追究いたしましたところが、この根拠につきましては、これは労働大臣も御了承だと思うのですけれども、法律にはこの失対登録の適格者といたしましては、失業者であること、もう一つは世帯の主たる生計の責任者であること、こういう二つの規制があるだけなんです。それ以上の法律上の根拠につきましては、追究いたしましても答弁がないのと一緒に、答弁をいたしました三治説明員のお答えによりますと、議事録をちょっとそこだけを読んでみますと、「われわれの方として厚生省に提示しました考え方の基本は、現在各国で行われている勤労者の老齢年金の支給最低基準は六十才、六十五才が大体において共通でございます。日本の厚生年金では、たしか法律の附則の方で、将来六十、六十五才にするというのが理想の規定になっております。そういうふうな関係で、六十、六十五才を、勤労者が一生働いて、それ以上になつたならば、本人が特別自分の自由意思で働くのは別として、職を離れれば老齢年金の支給開始の最低年令とするというように世界共通的に年令制限がされているので、それ以上の方が失業して生活に困るという場合においては、まず第一に厚生省の方でめんどうを見てやる。」つまり、後の答弁が若干ございますけれども、各国の老齢年金が六十と六十五才であるということ、それからILO条約のいわゆる年金制度の基準が六十、六十五才になっておる、そういうところに根拠を置いて、そうしてこの基準を定めたのだ、こういう答弁なのであります。しかし御承知のように日本の実情は、無拠出養老年金は七十才から始まる。現在まだ始まつておらぬけれども、政府の案によりますと今年の十一月から始まることになっておる。それから考えてみましても、言うところの厚生年金は失対の労働者に就労したという希望者にはほとんど関係がないものであります。そういう日本の現実にはない問題を根拠にいたしまして、そして憲法二十七条には勤労する権利があるというのに、政府のやるそういう仕事の中において、行政通達をもって一方的に失対事業から六十、六十五才、そういう高齢者を排除する、こういうことは根拠がないじゃないか、こういう点を私どもは主張しておるのです。つまりこの前の質疑応答の中におきまして、社会党が私どもの考えをまとめて、この常任委員会とあとの懇談会で指摘いたしました疑義の点を解明して、そしてその点について検討して、臨時国会までにはお答えする、こういう約束であったわけです。しかし今労働大臣は、非常に引き継ぎに忙しかったせいもあると思いますけれども、概括的な答弁で答弁自体が前の約束とは全く違う。そのほかに、私どもが指摘いたしましたたくさんの根拠がございますけれども、私が今申し上げた点一つをとつてみましても、こういう疑義がある点を解明するというのに、今の労働大臣の御答弁では、これは内容的な問題は全然ない。そういうふうに既定方針を変えないのだということだけが答弁であるならば、これは国会の審議は要らないのです。従ってまず第一点、私が今指摘しました点について労働大臣の御見解を一つお聞きいたしたい。
○松野国務大臣 憲法上の問題で、これが憲法に違反するかどうかということは、これは憲法違反ではないと私は存じます。なぜかといえば、すべての事例、すべての場合に、その個々において、その能力において雇用するということはあり得ることであります。基本的にそれによって同種同能力の者を種別、性別及びその他の差別をつけてはいけない、こういうのが憲法の精神で、能力に応じて職種をきめるということは、私はこれは憲法違反ではないと考えております。六十、六十五才の問題はいろいろ疑義もございましょう。ただ失業対策事業のすべての法律、すべての精神から参りまして、やはり失業対策事業というのは事業でございますから、おのずからその能力というものは全然無だ、失業者たる者は何でもかんでも入れろという精神のものではない。これは各法律案を見ましてもない。公共事業におきましても、やはり能率をあげる事業をするということが主である、その公共事業に失業者をより以上吸収するというのが失対事業の本質である、そういう条文から見まして、また過去におきましても、この運営においてある程度局長にまかせられておりますが、その中にも失業者とは就業の意思のある者、同時に労働能力を有する者ということを過去の通達に出しております。これを累積して今日やつておるわけで、急に法律がどうだとか、法律明文にはそういうものはございませんが、あとはやはりある程度行政にまかせられている。それは局長通達というものを過去におきましても、今回におきましても、同様にこの法律に従って出したというわけでありまして、法律上私は、この問題について議論はございましょうけれども、法律違反だという精神のものでは断じてない、こういう見解を持って、過去に行いました局長の通達、ことにこれは厚生省との共同通達でございます。私になって急にこれを白紙に返すとかどうだとかいうことよりも、一応今日までやりましたことを是認して、私はその引き継ぎをせざるを得なかった、こういう意味でございます。あらためて私はこの問題を自分の所管でやりますならば、これはおのずからもう少し別の見解を述べるかもしれません。しかしそういうことよりも、引き継ぎのときにこういう事情で私は引き継ぎました次上、それを受けて立つ以外に私の今日の立場はなかろう、これで冒頭に是なりと申し上げた意味は、議論はございましょうけれども、一応私の立場として是なりとして引き継いでこれをやる次外にない、いろいろな意味で是なりと申し上げたわけでございます。一々個人的な見解を申し述べますれば、それはいろいろ議論はありましょう。本年も国民年金は七十才から実施する、その七十才まで延ばしたことはいろいろ御議論があると思います。そういうことを一々考えますればありますけれども、今日労働大臣としては、ただいま申しましたように、いろいろな議論はございましょうけれども、疑義としては私はないと思います。これが違反だとか、憲法違反だとか、職業安定法違反だとかいうことは断じてないと、こう私は信じております。
○大原委員 職業安定法の第十九条によりますと、「公共職業安定所は、求職者に附しては、その能力に適合する職業を紹介し、求人者に対しては、その雇用条件に適合する求職者を紹介するように努めなければならない。」こういう原則をうたいまして、そうして御承知の通り職業紹介所における紹介行政についての行政上の立場のワクをかけているわけです。そうして職安の窓へ行きまして一般職をいろいろ就職あっせんをしましてから、しかる後に本人が希望する場合には、この法律はいわゆる緊急失対事業において働けるようなそういう仕組みになっていると思うのです。そこで六十、六十五才でも働く意思と能力を持っているのですよ。これは全国市長会なり、東京都なり、その他いろいろな第一線の行政官庁の見解なり、それについて政府の措置に対する意見というものはあとで私が逐一説明いたしますが、そういう働く意思と能力を持っている日本人に対しまして——ちゃんと職業安定法にはそういうふうにある、その手続きをとらないで、六十、六十五以上の者について一律に——働く能力はあるのです。よほどの決意をもって緊急失対事業の登録を申し出ている者について、その先の生活保障、社会保障の制度が完備されていない、それであるのに一方的にそういう通牒をもって勤労する権利を法律上奪うということはいけないのではないか、これはあなたの方で憲法上疑義がないと言われても、総理大臣なり法制局長官を呼んでから追及いたしますが、それは憲法上の問題はもちろんだけれども、事実上そういうふうなことはあまりにも冷酷な措置ではないか、そういうことについて、私どもは今まで言っておつたんです。その質問に対しまして、三治説明員は何を言うかというと、他の外国の例を言う、あるいはILO条約にはこうなっております、それを大体の考えの基礎に置いて、だから六十、六十五才を排除いたしましたと、こういうふうなことを言っておる。一片の通牒で排除いたしましたということを言っておるのです。そういうような説明はまるつきり官僚的な答弁であつて、デスク・プランであつて、全国の市長会にしろ、第一線の機関は全部反対しているのに、私どもは実際を見ても非常に冷酷な措置であると思うのに、それを一片の通牒をもってやるのはいかぬじゃないかと、こういうことに対しまして、そういうことを言っておるのは非常に独善的な答弁である。こういうことで、労働大臣は新たな角度から、一応は引き継いだけれども、いろいろと御意見を聞いて、そうして審議を経た上で将来考えるというような弾力性のある御答弁だけれども、この点だけをとつてみましても、たくさんございますよございますけれども、これは不当じゃないかと、こういうふうに申し上げているのですが、大臣の御見解いかがですか。
○松野国務大臣 仰せのように、この十九条の例をとりまして、今回の問題は、失対事業というのは御承知のごとくやはりこれは筋肉労働というある程度のワクがきまつております。公共事業でありますから、屋内の掃除をするというようなものは非常に少い。従って六十、六十五才を職業の紹介から排除するという意味ではございません。失業対策事業にだけは——これは事業能力というものをずっと調べてみますと、非常に低下しておる。ことにこれは屋外の筋肉労働が主でありますから、そういう意味で六十、六十五才は失業対策事業には不適格である、ただしこれは守衛とかそういう職業の紹介を今回排除しておるものでは断じてございません。失業対策事業には不適格だから排除いたします。しかしその場合に、この精神は六十、六十五才の職業紹介を全然排除するというわけではないという意味で、失業対策だから、十九条は一般的な、いわゆる原則的な紹介だから、これは排除しているわけじゃない。ただ失対事業という公共事業に吸収することは——失対事業には能力が不適格であるし、今日までずっとやつて参りましても、能率が極端に非常に悪いという意味で、一応個々に調べますればいろいろございましょう。能力がある、そういう方はまたそういう方で別の道を考えればよい。だから職業紹介の窓口を全部六十、六十五を排除しているのではございません。ただ失業対策事業に使うのは、過去において、統計上非常に能率が悪いから、一応ここで線を引こう。六十、六十五以上の方が能力があるという場合は、これはまた別個の問題です。私はその辺が弾力的にやらなければいけないところだと思います。そういう意味で、あるいは過去の役人の答弁と多少ニュアンスは違うかもしれませんが、私はそういう意味で今後の運営をはかる以外にはなかろう。私が引き継ぎました過去のおぜんを目の前にして、私が今日やり得る最高限度はこれしかございませんという意味で——実は私は両局長の通達文をまだ正確に読んでおりません。従いまして、正直に言って、局長の通達だから私どものところまではおそらく質問はこないだろうとけさまで思っておつた。きよう急にきたものだから、局長通達だから局長に答弁願いたいと私は今でも思っているのです。しかし大臣の見解を聞かれれば、局長の見解と違うかもしれませんが、私に聞かれれば今のようなことをお答えするのが一番妥当だと考えております。
○大原委員 あなたはそういうことを言われるが、これは前の質疑応答のときに、次官も労働大臣も十分承知しております。戦前でいえば依命通達というものです。大臣がちゃんと判こを押して局長の名前でやつておる。これは重大な問題ですよ。あなたの引き継ぎ事項にもあった事項でございますし、局長だけでは処分できないのです。局長が起案した場合には、あるいは参事、部長が起案したかもしれぬが、そこいらはどうなっているか知らぬけれども、それは別にしまして、そういうことでやつておる。そのことについては別に追及いたしませんけれども、これはそうじゃないのです。これは局長通達といいましても大臣御承知なんです。 そこで問題は、職安法の第十九条にはそうありますし、緊急失対事業法の四条第三項には「失業者の情況に応じて、これを吸収するに適当な事業」でなければならぬことになっておる。現在の失対の事業を実際に見ておりましても、高度なのはコンクリートを打つ仕事をやつているのです。非常に技術を要する。これは長年失対事業で、日々雇用でございますけれども、終戦以来、五年以上の人が半分以上おるわけです。経験者ですから能力がある。技術のある者はコンクリートを打つことまでやつているのです。しかし実際には清掃事業とか草をむしる仕事をすることもあるのです。それだけでなしに緊急失対事業法というのは、職安の窓口を通してサービスをして、最後の手段としてこれがあるのです。政府が保障をしているのです。緊急失対事業法でやつているのです。六十才、六十五才でも働く能力があるのです。あなたのお父さんでもそうでしよう。あなたのお父さんはどうですか。年は幾つですか。これは年令制限をした方がいいと思うけれども……(笑声)だから地方公務員法でも、身分を突き詰めてみると失対は特別公務員なんです。地方公務員や国家公務員に定年制をつけることになつたら大へんなんだ。やはり法律で作るのですよ。そういう窓口で、働く意思と能力があり、いろいろな事情で入ってきた人間を一片の通牒で排除して、しかも一方、厚生省で受け取る方には万全の措置がなされていない日本の社会保障制度において、こういう一片の通牒で排除するのは冷酷じゃないか。個人の意思、能力に従ってやるならいいんだ。それにつけ加えれば、労働省と厚生省の関係はこうだと思う。つまり精薄児とか肢体不自由児とか、そういう不具な能力のない子供とか人については、特別な技能の養成あるいはそういう訓練の制度を設けて労働省の方では職業補導をやつておる。しかしそれができない一般の人については一般の職業紹介と緊急失対事業をやつておる。それを、どこにも行くところがないのに、冷酷に一片の通達をもって官僚が排除するというふうなことはあまりにひどいじゃないか、こういうことを言っておるのです。働く意思と能力がある人間だったら——六十以上の女だつてあるのですよ。失対事業と生活保護との関係については、御答弁によりましてはお話しますけれども、大臣はこのことはよく理解してもらいたい。全国の市長さんでも——中央では厚生大臣と労働大臣と分れておるが、最末端は一緒にやらなければいけない。というのは、具体的に政治の影響を受けるのは一人の人間だから、全部そういう矛盾を一手に受けるのです。だから市長さんはどういうことを言っているかというと、他の職場への収容はほとんど望めないのが実情であるが、このような状況のもとで年令制限の措置が一方的に実施される場合には、そうでなくても少い収入が全然途絶しあるいは著しく減少して、必ずそこに深刻な社会不安が醸成され、ひいては地方自治体単独の救済措置をも必要とすることが当然予想される云々と書いてある。東京都の労働局も定年制は見送りにいたしまして、通達で制限をしておる年令をこえた者の中でも十分な労働能力を備えておる人が多い、こういう見解の上に立って、この通達の実施を保留しておる。それをさらに第一線で意思と能力のある者を排除する——意思と能力のない者は別ですよ。しかしながら不具とかいろいろなものについては一貫して職業補導の制度があるんです。そういう制度の中においてこれだけをやるということは非常に冷酷ではないか。非実際的ではないか。こういうことを大臣にぜひ一つ理解してもらいたいと思うのですが、大臣の御見解を伺いたい。
○松野国務大臣 大原さんのおっしゃるような事実なら非常に気の毒だと私ども考えております。同時に、やはり事業ですから、個々にはいろいろな例がありましょう。従って局長通達を全面的に改訂するということは、私は申し上げられません。そういう個々の問題についてはなお一そう——私は今の通達が冷酷むざんな通達であるならばそれはある程度運用によって考える余地はある、こう考えております。ただ私の見解も大原さんの見解も同じですが、失対事業というのはあくまでも事業であつて、失対事業よりよい仕事に就労するまでの一時的に就労する性質のものでありますから、これが永遠に姥捨山になるのではいけない。同時にある程度の目標と事業完遂の能力がなければいけない。その二つは私も大原さんも見解が一致しておりますから、そういう意思と能力がある者で年令がこえた場合、これが今議論になっておるわけです。私はそうたくさんなケースがあるとは思っておりません。しかしながらケースがあろうがなかろうが、これは本人にとつては重要な問題であることは間違いはございません。従ってその辺はある程度おまかせいただいて円満にやりたいと思います。
○大原委員 大臣といたしましては非常に弾力性のある御答弁ですけれども、もう一つこの点は理解しておいていただきたい。駐留軍が多いところ、それから炭鉱、そういうふうな失業者の多発地域、そういうところはいろいろ調査をいたしてみますと六十、六十五才になりましても、今まででしたらむすこが収入が多かったので働かないでもよかったのです。それが非常に失業者が多くなりまして、本人もニコヨンにいくとか、あるいは他の収入の少いところへ転職するというふうなことで、これは年寄りの就労者が多いのです。呉の例を一つとつてみましたけれども、昭和三十三年中に六十、六十五才をこえまして就労の申し出をしておる人が約一割あり、二百数十名ある。これは炭鉱地帯もいろいろ事情を聞いてみますと同じなんです。つまり収入が少くなつたので世帯を分けてでも働かなければいけなくなつたのです。おじいさんとおばあさんが世帯を分けて働かなければいけない。そうすると主たる生計者という制限で働けるのです。そういう事情が失業の多発地域においては出ている。だから、こういう通牒を機械的に一律にやりますと、非常に大きな弊害を伴つてくる。失対だけでも食えない。食えないのに、いろいろな矛盾がますますここへしわ寄せになって、これを中心にして拡大してくる。だから、そういう点で、あなたは通達自体については非常にこだわつておられる。あるいは建前もあるでしよう。あるでしようけれども、本人が窓口において、私は生活保護の方を希望しているんですと言つたら、今までだったら、失対へ行きなさい、あるいは一般職のあっせんもいたしましょう、こう言つたんです。希望によって、六十、六十五才の年寄りの人に対しまして、親切に生活保護についてはお世話しましょう、こういうことになればいいのです。しかしながら、実際には失対に行っている人は、高齢者の人を調べてみると、全部生活保護へ行かない。生活保護へ行っても落ちるのです。高齢者を全部排除したら、売り食いをして、財産を全部消耗してしまつて、生活保護を受けて、そして生活保護で食うや食わずで、栄養失調で死んでいく、こういうようになっていくんですね。だから、失対へ行って働くというようなことは、内職その他ができる、若干ゆとりがある人だ。世間体もあるから、働いて、もらつているのだということがある。そういう点から、失業の多発地域とか、いろいろな実情を考えてみて、一律に年令を制限して、働く能力のある人について、高齢者だからというので強制的に一方的な措置をするということはいけない。本人の希望とか、行政上の勧奨とか指導とか、そういうことを親切にこの通達で連絡をとつてやるのだったら、これはよろしい。よろしいというより、一つの行政の指導の範囲です。地方公務員とか、一般公務員とか、社会的にも定年制ということは、労働協約とか法律上とかいうことで問題になっておるのを、最後のそういうチャンスをこういう一片の通達で、しかもぴしつとやるということは、法律の体系から見ても、社会保障制度の実情から見ても、自民党の政府は年寄りをあまりいじめ過ぎるのじゃないか、六十、六十五才以上の人をいじめ過ぎるのじゃないか、冷酷なのじゃないか、それは政府全体がやるということじゃないだろうけれども、しかしそれはひどいじゃないか、こういうことなんです。だから、失業の多発地域その他の実情に応じて、希望の域を出るべきじゃないのじゃないか、行政勧奨、指導の域を出るべきじゃないのじゃないか、こういう見解を持つのですが、大臣の見解をお伺いしたい。
○松野国務大臣 今大原君の言われたお話を聞いていて、非常にもっともだと思うのです。と同時に、今のように、もしも六十五の者が窓口で社会保障の手当も受けない、と同時に失対の求職もさせない、こういうことは、なかなかそう簡単に一人でも二人でも見のがしてはならない行政の欠点だと私は思う。従って、六十、六十五の者がもしも失対で締め出された場合は、生活保護で必ず受けとめるのだということがなければ、私は両省の局長通達というものは出なかった、この通達はおそらくそういう意味で出されたものだと思う。しかし、個々に言われますならば、おっしゃるように、おれはどうしたつてやはりいろいろな意味で働きたいのだ、しかも能力もあるんだ。こういうことについては、やはり行政ですから、考えるべきことは常にこういう方法をもって考えているので、この通達そのものを冷酷、過酷な意味で出したのではない。やはり六十、六十五の者は能力的に非常に落ちるから、この際親切に生活保護で受けとめる。今までは厚生省の方もなかなか受けとめなかった。能力がある者は働けと、逆に押し出しておったのが、今回ある程度恩情ある、あたたかい政治に岸内閣は踏み切つたという意味でこの通達が出されたもの、だ、私は実はこう考えております。不幸にしてそういう事例がなかった、その事実がなかったというならば、それは行政ですから、あたたかい手を差し伸べることは少しも差しつかえない。従って、私はその通達そのものを善意で考えておる、そういう幅を置いて私は考えているわけで、もしもおっしゃるように、どつちも受け付けない、これはだめなんだというならば、今後の運営を考えるべきだという意味で、この通達は一応お認めいただいて、そういうことにおいてこの問題の運営を一つ見ていただきたい。ことに、今日失対に入っておられる方には、御承知のように、どの程度出るか、どういうことになるか、これは今後の運営の問題ですから、どうかそういう意味で、入つた者は一応このまま排除せず、今まで通りやっていく、希望があれば、もちろんその希望に沿うようになっているはずです。どうかそういう意味で御解釈いただきたい。絶対に過酷、冷酷無比なものじゃない。しかしながら、失対事業の能率からいえば、失対事業はこういうワクがある程度なければいけないわけで、これは事業じゃないのだ。ただ、ほんとうに遊ばしておくのだというふうなことでは、失対事業の今後にも影響しますから、ある程度の区切りはつけなければいけない。こういう意味で、私はこの通達を是認することは今後の方向としていいことだと考えております。
○大原委員 大臣の御答弁は、私はそのお気持については大体了承できるんです。ただし、こういう点を一つ大臣に申し上げておきたいのです。これは厚生大臣の方も関係ですからお聞き下さい。今厚生大臣に直接御質問しておりませんが、これはうらはらの問題です。結局、労働大臣がふあつとやつて、局長がやつたやつを社会局長の方が受けとめないで宙ぶらりんになって困っているものがある。そういう一つのセクト主義というか、無責任さから出てきている。そこに問題がある。だから、そのことについて、私は厚生大臣も事情をよくお聞きいただきたいと思う。 それで、労働大臣、こういう点を御理解いただきたいのです。最初申し上げたように、私は昭和三十四年で、たとえば高齢者の中で就職をしたいという人を調べようと思って、いろいろ手配した。そうしたら、労働省の方もこれは調査がまだできていない。これは大体全国的に機械的にやつている。やつていないところもありますよ。そこで、特に呉の例で昭和三十三年のやつを一つ調べてもらつた。そういたしましたところが、制限年令に達しない人が新規求職をしている、そういう人数が二千九百五十三名で、制限年令をこえた者で新規求職を一年間にしたのが二百三名おる。それはほとんどすぐ生活保護の方へは行かない人です。わずかなんです。つまり宙ぶらりんになる人なんです。そういうたくさんの実例がある。呉は駐留軍が撤退しましたし、軍都ではありますし、そういうところをいろいろ調べてみると、炭鉱地帯も同じだと思うんですが、そういう高齢者の求職が多い。だから、そういう実情があるのだということを一つ御記憶いただきたい点が一つ。それから今大臣の御答弁によりますと、現在おる人については、運営上、指導、助言、希望、そういうものは問題として便宜をはかつていくのだ、そういう点について、初めて具体的、明確な答弁がありましたが、これは私は了承いたしました。それから新規に適格者として職を求めて、最後にここへ希望した者については、これはいろいろ運営上考えるという話です。そういう中には、大臣の御理解の範囲では、失対事業を排除して、生活保護でほとんどが救えるのだというふうにお考えになっておる。これは、そういう点についてはこういう実情があるということを一つ御指摘申し上げておきます。 それから今いろいろと大臣の方から御答弁になりました点で、今までの行政措置というのは非常に冷酷なんです。読んでみましたら冷酷なんです。それで、今の点については将来の研究課題というふうな御答弁でありました。運営上考えるとか、研究していくという御答弁でありました。しかし、この問題はそういう実情があるので、この問題については、なお私どもとしては、今まで申し上げた点を十分御理解をしていただいて、御措置をしてもらいたい、こういう一つの希望を申し上げておきます。ただ、大臣の御答弁で、現在おる者は変らないだろう、こう言われるんですが、二ヵ月の猶予期間を置いて処理するというのですから、生活保護を受けておる者はもうだめなんですよ。これは通牒を研究いたしましたらわかるんです。これはだめなんです。そういうことなんです。これは今の解釈の仕方についてはいろいろあると思うのですが、これはそういうことなんです。だからそういう点については改めていただいて、現状は希望の範囲とか勧奨の範囲を出ない、こういう大臣の御見解でありますので、これは了承したわけであります。それで現在新たに新規適格者についての問題が残つておるわけです。そこでこの通達について実際上のやり方というものが変つていけば、私は厚生大臣に対する質問はほとんどなくなってしまう。ただ一つ局長が御出席になっておりますから、局長に御質問いたしますが、私は全国の失対登録の適格者というものはどういう基準できまつておるのかという点について、各方面から資料を取りました。労働省に資料を要求いたしましたところが、何回行きましても、見せないのかもしれませんが、ない。そんなことは局長に限つてないと思いますが、ないのです。本省が適格者をきめる統一的な基準というのは、何と何と何ですか。これは念のため記録に残しておきます。
○百田説明員 全国的な基準でやつておりますものは、第一、失業者である、第二、主たる家計の担当者である、第三が今度この通達を受ける者、こういうことになっております。
○大原委員 大臣お聞きのように、今出ておるのは三つなんです。この三つ目のやつが問題なんです。第一と第二は緊急失対事業法の中にあるのです。本人が失業者であること、主たる家計の担当者であること、とあるのです。第三のは局長通達でやつたわけです。しかし各県の実情を見てみますと、いろいろ手続上の問題がございますけれども、たとえば娘の子が新中を出まして勤めに出て、七千円もらつているのです。そういたしますと、お父さん、お母さんが失対にいこうと思いましても、いけないのです。そういうところがあるのです。娘の子が、たとえばお化粧しましたり、いろんな自分の生活だけで七千円くらい都市では要るのです。それを全部生活に取つてしまつたら、結婚もするな、交際もするなということになるのです。勤めにも歩いて行けということになるのです。そういう適格基準というものを、今の社会保障制度の限界を全然無視いたしまして、じやんじやん出ておつて、そうしてこれが非常にアンバランスになっておるのです。ひどいのです。非人道的なんです。たとえばこういう例もある。恩給を四千円もらつている。しかしながらそこには非常に病人が多くて、借金がたまつているから働きに出たいといっても、年金があるからというので排除されることもあるのです。だからこれは職業安定法や失対事業法とはおよそ離れておるのです。しかも局長の方は三つの原則をはっきり言われておるのに、失対事業というのは各県においてばらばらなんです。いろいろな見解があるけれども、失対事業は主たる家計の担当者ということになっておつて、平均の扶養家族は三・七五人です。非常に多いのです。それが主として七千円か八千円です。そういう制約もあるのです。そういたしますと、社会保障制度が貧弱だから問題もあるし、生活保護の問題もございますけれども、これは非常に大きな問題がたくさんあるのです。働かぬとか働く以前の人道上の問題があるのです。だからそういう問題について第三の制約を設ける冷酷な通牒を出しておるということは、実情にも即さないし、事務的な財政上の措置もあろうけれども、しかしこれだけで問題は解決しないし、岸内閣もいろいろと強腰を言っていることなんです。だから私は失対事業については、もう一回考え直し、検討をし直して、そうして矛盾点を全部出してみて、総合的にこれを審議いたしましたら、中小企業の賃金水準とも、最低賃金法とも、生活保護とも関係が出てくる。そういう意味で、月給二倍論と言っているのだから、一番下の人にあたたかい光を与えてやつたら、国民生活は自然に上るのです。これが全部おもしになって引つぱつているのです。これを総合的に考えて、労働上の問題として、人道上の問題として、私は新労働大臣が抜本的に検討してもらつて、そうして働かぬとけしからぬとか、そういう感情でなしに、よほど思い詰めてここにいくのですから、そういう問題について拡大するというようなことはしないで、そうして実情に即した、第一線が困らぬように運用してもらいたい。新規採用する六十才、六十五才以上の者については八木委員の方から御質問がございます。ですから私はこれ以上のことについては申し上げませんが、そういう点について大臣にお聞きしたいと思うのですが、大臣の御見解を最後にお聞きいたします。
○松野国務大臣 ごもっともなお話を拝聴いたしました。なお先ほどのお話のように、現在これに入っておるものについては、特にこれを制限して排除するという意味はございません。ただいろいろの状況で能率が悪いから、本人の意思によって、こういう意味で今回こういう制度ができたから、生活保護の方がより勤労的に楽じゃないかという意味で、あるいは生活保護にいかれる方があるかもしれない。そういう程度で、特にこれによって、お前はこの制限だから既存のものまでやめてくれというような感じでこの問題が出ておるわけではございません。将来のものにつきましても、おっしゃるように生活保護にも入れない、失対にも入れないというふうなものがかりにあるといたしますれば、これは運営で改善すべきものだ、また私はできると思っております。しかし今回は厚生省と両局長の通達ですから、そういうギャップはおそらく過去においてはあったかもしれないが、今回はなからしめるために連名でこれが出たんだ、こういうふうに考えておりますし、なお失対事業そのものについては改善すべき余地が多々あると私は思っております。同時に今回は相当大幅な雇用問題、雇用の労働条件の改善ということをうたつて、私も実は雇用の拡大というものを今後の経済政策にあわせていきたいと思いますので、御趣旨のようなことを今回経済事業にあわせて、失対事業そのものをより以上高度的、能率的に生産性を上げるような構造にもしていきたい、と同時に失対事業の本質を過まらぬようにしていきたい、こういうことを勘案して今後十分一つ努力いたし、また近いうちに経済政策の雇用問題については、ある程度改めたものを出したいと考えておりますので、暫時一つ将来のものは時間をお貸しいただきたい、こう考えております。
○大原委員 今の答弁の中で、一つだけ私は大臣が誤解になつたのではないかと思っております点を確かめておきたいと思うのですが、将来の問題、六十、六十五歳の問題については、生活保護にも失対にもと言われたんだが、そうでなしに、生活保護にも職業安定法の関係の職業あっせんにもかかれないで困っておる人についてはいい、こういうことですか、そういうことについては十分考える、こういうことですか。
○松野国務大臣 失対事業にも入れない、生活保護にも入れない、職業のあっせんにも入れないというふうなことがないように、十分両省間において調整をとるべきだ、もしそういうものがあるならば運営でこれは改めるべきだ、こういう意味で申し上げたのであります。
○永山委員長 八木委員。
○八木(一)委員 ただいま大原委員が御質問になつた問題と同じ問題で、労働大臣と厚生大臣に御質問を申し上げたいと思います。 まず労働大臣と厚生大臣に同じことをちょっと御質問申し上げますが、両大臣は、国務大臣として民主主義政治、それから政党の責任内閣というようなことを、徹底的にそういう本質の通り動かれる御決心があるかどうか、総括的に伺つておきたいと思います。
○松野国務大臣 もちろん政党内閣の現在、私のおります立場は、その中におるのですから、それに従って動くことだと思います。
○渡邊国務大臣 現在の政治は民主政治でございます。すべて多数決によってこれが決定されるといいましても、われわれはやはりそこに話し合いの場というものがなければならないのであつて、少数意見も十分これを尊重いたしまして、そうしてこれが妥当なりとするところに帰結いたしましてこれを運営していく所存でございます。
○八木(一)委員 そこで短かい時間にたくさん御質問したいと思いますし、後に滝井さんの重要な御質問がありますから、私はかけ引きなんというのは一切使いません。ずばりと単刀直入に申し上げますから、両大臣も単刀直入に御答弁を願いたいと思います。今までそういう建前で昔からの大臣も昔からの総理大臣もやつておられるつもりはあったと思うのですが、実際の政治はそうじゃない。今までの政治は大部分官僚政治だ。今労働大臣の御答弁の中にもありました。前大臣の倉石忠雄君が、こういう問題について引き継ぎのときに御質問なさったときに、ちょっと行っている間でよく知らないけれども、そういうふうになつたんだろうというような最初の御説明がありました。このように倉石忠雄君というような労働大臣としては自民党の中の——これから松野さんの方がりつぱになられると思いますけれども、今までチャンピオンと言われた人があまりよく知らない。あまりよく知らないままに職安局長と社会局長の通達で実際上政治がゆがめられているわけです。そういうことであつてはならない。国務大臣というのは非常に重大な責任があるわけです。国務大臣が下僚に動かされるのではなしに、下の使つておられる専門家でありますが、そういう方方が間違つたことをやらないときにはいいです。もし間違つたことをやられたときにはこれは変えるというほんとうの意思を持ち、それを実行されなければ国務大臣というものは要らない。官僚内閣にしたらいいわけです。月給を払うのがめんどうくさいだけだ。そういうことでなしに、ほんとうにさっき言われたようなことを実行される決心があるかどうか、もう一回これは労働大臣から伺いたい。
○松野国務大臣 私がおります間に私の部下が間違つたことは絶対いたさない。同時に私が自分で承知しないことを私の部下がやることは絶対にございません。同時に私が命じて部下にやらしたことは私が全責任を負います。私がおる間は、官僚がやるという言葉は一切ございません。官僚のやりましたことは全部私がやつたことであるし、また私はめくらじやありません。それができないなら私は大臣にならない方がいい。私は就任以来、少くとも事労働省に関する限りは、私の目の届かない者は一人もおらない、こう自信を持っております。
○八木(一)委員 確かに松野さんの御答弁は非常に満足です。それが実行していただけるかどうかは今後の問題です。ところで倉石忠雄前大臣から引き継ぎを受けられたときに、倉石前労働大臣は、ほかの点ではどうであったか知りませんけれども、その点は不十分であったということは、聰明なる松野さんは御理解だと思う。あまりよく知らないというような引き継ぎをなさつている。そういう前大臣の、私どもに言わせれば非常な誤まりである、皆様方にしても聰明な率直な方であれば、誤まりであると思われる点が多分にあるわけです。そういうときに前大臣の方法を踏襲するということでなしに、誤まつた昔の責任は、これは追及したいけれども控えてもいい、誤まつたものを即座に改められるのでなければ、新しい労働大臣が今御決意になつたことがうそになる。誤まつた問題であったら即時、瞬時の猶予も許さずに変改される、そのような御決心があるかどうか。
○松野国務大臣 誤まつておりましたならば、もちろん私は私の責任の範囲内において改めることにちゆうちよいたしません。同時にこの問題は誤まつておるという問題じやなしに、運営上議論の多いところである、こう考えますから、その議論の多いところは今後の運営によって改めていく、こういう考えです。この問題はもちろん見解の相違はあります。私は全然誤まつておるという立場で今日おるわけではございません。同時にそういう意味で倉石君から引き継いだわけではございません。実はいろいろ議論があるので、自分も必ずしも完全にそれを判断しておらないけれども、こういう問題が実はあるので君よろしく頼む、こういう引き継ぎであった。倉石さんも全然知らなかったとか誤まつたという見解ではなかった。いろいろ議論があるが一応こういうことになっておるから引き継いでくれという意味でありまして、全然倉石さんが目をつぶつておつたということではなかった。たしか外遊か出張かの問題もちょっと話されました。そういう意味で、前大臣が全然この問題を目をつぶつたという意味ではございません。そういう意味で私は、今全然だめなんだ、間違つておるというならば、これは自分の責任でできるだけのことをすべきだと存じますけれども、全然私は誤まつておるとは思っておらぬものですから、問題は、疑義の多いところがある、議論の多いところがあるというならば、そこを運営において直していけるならば御了承をいただけるだろうし、そういう冷たい政治ではなかろうというふうに思って、今日ここに立っておるわけであります。
○八木(一)委員 そこで率直に御質問を申し上げておるのですけれども、率直な感じを申し上げますと、松野さんの御答弁の八割ぐらいは率直だと思うのです。ところが二割ぐらいはほかの人に気がねして、ほかの人の弁解までしておる。そんな遠慮は要りません。私どもばかりではありませんから、他人の立場を守るための仁義上苦しい言い回しをしておるということはわかりますが、そういうことをされたら審議の時間がなくなる。国民のための国務大臣ですから、ほかの同僚の、友だちのためとか、それから自分の省の一人や二人のお役人のための国務大臣ではないはずですから、率直にそういう点でお答えを願いたい。回りくどい弁護はなさらないで下さい。 そこでこの問題は、いろいろな観点から政治上の問題として非常にけしからぬ問題があるわけです。というのは、法律上の問題が一番大事だからあとで申し上げますが、政治上の問題として労働大臣がこういうことをやるということを、倉石さんの時代にはっきり国会で発言をしておらないのです。こういう労働行政の方針でやりますということは、一回も言っておらないし、予算にもそういうことは載つておらない。それを議会が開かれていない、地方選挙と参議院選挙のある間に、そういうときに通達を出した、通達を出しましたからというのは、四月一日はまだ国会はありました、そのときに説明もしておらない。これは行政事項である、行政権の範囲内であるということをそちらは御説明になるかもしれません。ところがその問題の背景には、憲法違反であるとか、いろいろな法律違反であるとかいう背景がずいぶんある。そういうことを普通の民主主義の政治の常道であったら、その場を求められて発言をせられるのが当りまえです。ところが議会というものは、お役人から見たらうるさくてしようがないところだ。うるさくてしようがないところから、それをねらつて議会のないときに、また議会のうちのうるさい連中が地方選挙でかんかんになってどうにも動きがつかないところをねらつて、いつもやられるわけです。そういう間違つたやり方がずいぶん方々にあるのです。そういうことを直さないと政治がひん曲る。そういうことの上手なお役人がいるのです。特に労働省には多い。そういうことであつてはならない。そういう点はどうお考えになりますか。
○松野国務大臣 議会というのは、お役人にとつてもうるさいかもしれませんが、大臣にとつてもはなはだ頭の痛いところなんです。それはやはり与党ばかりの中じやありませんし、いろいろな角度から、縦横十文字から見られ、十文字から突つつかれるわけです。また逆に言うならば、そう独裁的なこともできないようになっておる。そういうわけでいい面もあれば悪い面もある。これはちようど今の事態としては当然だと私は考える。同時に、労働省で私はそういう話を聞いておりませんし、突然労働大臣を拝命したのですから、過去のことは知りませんが、私がおります間、再びもしもそういうことが批判を受けましたら、私が全責任を負います。私のおる間は、かりに過去においてそういうことがあったならば、今後は絶対にないようにいたします。もしもありましたならば、全部私の責任で、私自身が全責任を負うつもりでおります。これは過去のことは、私はあったとは思っておりませんけれども、もしもそういう御批判があるならば、あとしばらく見ていただきたい。本日以来一年間ぐらいは私は大臣もしておりましょうから、その間にもしあったら、遠慮なく本日の速記録をとつて私を責めていただきたい。それは私は責任を持って申し上げます。同時にこの通達がそういうふうな非常に大きな背景があつて、実はこんな問題が大きく出るとは局長も思わなかったのじゃないかと私は思っておるわけです。たまたま通達を出したあとでこういう問題が起きたものですから、御指摘いただければもっともなことであります。直せるところは運用で直していきたい、こう考えております。
○八木(一)委員 そこでむしろ局長とか、おそらく立案されたのじゃないかと思うのですが、参事、部長から、これは少くともその点で出す経過において誤まりでありましたということを言って、労働大臣を補佐して、直ちに通達は取りやめます——またそれが正しいならばあらためて出し直してもいいのです。とにかくそのやり方においては誤まりであった、そういう補佐をしなければならないところを、おそらくはそうじゃないのですという説明をしたのだろうと思う。ほんとうに世の中をよくするために、きようここでうまく労働大臣をひつかけて大問題にするのなら、労働大臣にそういうことを言わなかった方が得なんです。そんなやり方は議会としてはいけないので、まともに話したことはまともに受けとめられて、間違つたことは正しく改められるという風習をつけなければ日本の民主政治は伸展しない。そういう意味でわれわれはひつかけることはしないで、初めから厚生大臣にも労働大臣にもこういうことがあるということを説明しておる。その場合に、この誤まつた公務員の方々が、少くとも内容についてはこれから論議します、出し方においては民主政治の建前としては誤まつておる、そういう誤まつたものであるからこれは即座に通達を撤回するということをお考えになっていただく必要があります。自分の立場がまずくてもそういうことをお考えになっていただくということが新しい労働行政としては正しいことである。そのような助言なり、そのような意見があつてしかるべきなんです。ところがこれは推察ですが、推察が間違つておつたら幾らあやまつてもいいですけれども、僕の想像はそういうことじゃないので、今まで出した経緯において、しちめんどうくさい一つも関係のない理屈をこねて、これがいいのだからどうしてもこれをこのまま取り消さないというような答弁を大臣にしてもらいたい、そういうようなニュアンスで説明したに違いないと思うのですが、その点についての経過について一つ大臣から御答弁を願いたいと思います。
○松野国務大臣 私が引き継ぎを受けたり、あるいは各局長、各部長から説明を聞きましたが、特にどうしてくれということは率直にいってございませんでした。これはこういういきさつで、こうこうこういうふうにしてこれを発令いたしましたということであつて、私もその二、三について実は質問をいたしました。それについて一応もっともな答弁がありました。それじやこの問題は特に誤まつておるのじゃないな、ただし議論は多い問題だなという話を私は省内でいたしました。これは議論の多いところだろう——実はこういう議論が出るだろうということは気がつかずに、私自身の判断でこれは議論の多いところだぞ、しかし失対事業総体から考えれば特に誤まつたとは言えない。ただしやはり議論の多いところだなという話を省内でしたので、そのとき局長も部長も自分の立場はどうだとか、これを押し切つてくれという、そんな要請は全然ございません。また、私がそんな話を聞くわけじやございません。これは私が就任以来部長、局長、全部私に白紙委任です。その意味で私は今でも誤まつておるとは思いません。ただ議論は多いが、こうまでするのは少しどうかなという疑義は実は持っておる。しかし誤まつてはいないのだから、すでにやつたのだから、行政というものは権威を持たなければならない。朝令暮改では行政はかえつて誤まることがあります。従って運営で直せるところは直していってこの趣旨を間違わないようにすればいいのじゃないか。これが私が到達した判断であります。
○八木(一)委員 そういうように御説明になって、そういうように御答弁になるところだと、私はその御説明に不十分な点があると思う。ほんとうにこの前の国会の全貌を伝えられたら、松野労働大臣は非常に聰明な人物である、民主主義者であると伺つておる。そうであればそんな答弁が出るはずはない。そんな答弁が聰明な松野労働大臣から出るところにこの説明の非常な不十分な点がある。 それでこれから所管局長なり失対部長と御相談なさらないで、私の申し上げることに御答弁願いたいと思う。たとえばこれで失対事業をやめる人、失対事業をやめなければならないはめに陥る人、また同等の人でこれから新しく失対事業に働きたいという希望の人が働けない場合、そういう場合にその方々の生活はどうなるかというような説明を受けられましたか。
○松野国務大臣 過去においてこれに入っておる方は、この問題で特に配慮するという意味はない。今後入る方がどのくらいあるか、これは想定ですから数の問題はそう正確に出ておりません。しかし過去の計数をずっと調べてみますとそう何千人という数字は私はないと思う。何百人というのはそれはあり得る数字じやなかろうか。そんな方たちはどうするか……。
○八木(一)委員 御答弁の前にちょっと……。これから失対の事業につこうとしたがつけなくて生活保護法に追いやられたとしたら、その方の生活はどつちがいいか悪いか。
○松野国務大臣 それはもちろん生活保護というのは、私の記憶では、必ずしも私の記憶が正確とは申しませんが、都市別、地域別にある程度の差がございます。稼働日数によって生活保護が高い場合もあり得る。あるいは家族構成によって生活保護が高い場合もあり得る。しかし大都市において二十日以上働けば、失対事業の賃金だけを比較すれば生活保護よりもそちらの方が高い。しかし御承知のごとく失対事業というのは天候に左右されます。定期的なものじやございませんから、今日失対事業をやりながら生活保護を受けている方もあるわけであります。そういう者が六十、六十五才の場合は非常に多いのですから、その方たちを無理に屋外労働にかり立てるよりも、今後は六十、六十五才以上の者は生活保護でやる方がよりいい。本人のためにも、国としても、労働能力からいってもよいのだという意味が、実は今回の通達の精神ではなかろうか、こう考えております。
○八木(一)委員 問題はそういうことじゃない。松野さんは頭がいいので、めんどうくさいから追及を早くのがれたいと思ってわざとそうして答えられている。最初言つたように単刀直入に言うから単刀直入にその問題だけ答えていただいたらいいので、よけいな横のことを言う必要はない。同じ者がやめられたら損になるか得になるか、ずばりと言っていただきたい。
○松野国務大臣 損になる人ももちろんありましょう。得になる人はあまりないでしよう。損になる人はそれはあるだろう。それはやはり働く者よりも働かない者の方が所得が多いというのもおかしいのですから、私は大体働かない生活保護の方が所得は低いのがほんとうだ、働く方が所得が多い方がほんとうだ、こう思いますから、失対で働く人と生活保護ではどちらが高いのだと言われれば、大体において生活保護の方が低いのだろうと想定をいたします。
○八木(一)委員 むずかしい理屈でなくて率直に国民にお答え願いたい。失対事業者というものは生活が苦しい。生活保護も苦しい。苦しい人がより減つたらその人はなお苦しくなる。そういうことで、今の岸内閣の政治は、苦しい人がなお苦しくなるような政治をやつていいのかどうか。
○松野国務大臣 それは政治としては断じていいことではありません。
○八木(一)委員 そのいけないことを今通達でやろうとしている。岸内閣としてはいけないこと、貧乏の追放をやつておられるわけですよ。そういうことはしないようなことを言っておられます。松野さんもそういうことはいけないと思っておるわけです。ところが実際にそういうことになることが局長通達で行われている。これは法律上のいろいろなことよりも一番大事なことですよ。岸内閣はそれはいけないと言っておられる。松野さんもいけないと思っておられる。そのいけないことが通達で行われる。役人の政治じゃないですか。
○松野国務大臣 もちろんその一面を言われればおっしゃる通りですが、失対事業においてはやはり能力を中心にやるのですから、能力のない方がある方よりもより以上に所得を得るというわけにいきません。従ってやはり能力のある者はより以上所得があるというのがいいということで、生活保護と失対というものはあくまで、その一面だけでおつしやれば今のような議論になりますが、能力というものを勘案していただけば、所得が多いとか少いということはあり得ないのではなかろうか。 なおもう一つ今のお話の中にありますが、そういう今働いていらつしやる失対事業者の中にも、生活保護と失対と両方受けておられる方がある。こういう方は実は両方今日並用されておる方もあるのですから、いろいろ各個人個人に調べていかないと、岸内閣がこうだ——そういうこともごさいましょう。しかしそれだけがすべてでないということも一つ御勘案いただきたい。
○八木(一)委員 それは御説明にならなくとも、家族構成などでそうもいかないということは私どもも知っておる。しかしとにかく減る者がある。もっと端的に言われればそこまで言わなかったが、では経過を言いましょう。この前の三治さんの説明では、同じ生活が確保されるからいいのだと言っておられる。そこへ来られた労働政務次官と厚生政務次官は、そういうふうに理解していたわけです。そういうことが行われておるのです。同じ収入になるのだから、働かない方が楽だろう、お年寄りに対して親心でやりましたというようなことを言っておる。これは速記録にはっきり載つている。そういうでたらめなインチキをやつて、上司をごまかしておる。減つておるのです。そこで追及したら、厚生省の生活課長から、そうではない、一割くらい下るものがあるという答弁がそこで行われた。ですから六月十日の追及までは、少くとも労働政務次官と厚生政務次官は、生活が同じに保たれると思っておつた。これははっきりしておる。特に大臣が外遊しておる、そういうようなあとの政治的責任を持たなければならぬ政務次官がそんな認識です。そういうようなことで準備が行われる。そういうようなところで局長通達が行われておる。間違つた理解のもとに局長通達が行われておるのであります。われわれの根本的な、もっと大事な立場は別として、岸内閣としても、岸内閣の国務大臣なり政務次官がわからない範囲において、岸内閣が社会保障をやるとか貧乏追放をやるというその意思に反するはずのことが局長通達で行われる。そういうことであつてはいけない。そういう間違いから発した通牒であるから、これは当然極端にいえば、そういう間違つたことをしたことに対して、労働大臣として適当な処置をとらなければならない問題である。そこまでは言いませんけれども、それが前に出したものだから、行政の措置について朝令暮改であつてはいけないというような、そういうことでしばらく待ってもらいたいとか、運営で何とかしたいということではいけない。まだ一番大事な問題を申し上げておりません。憲法違反でないと理解するなんて言われるけれども、そうではない。憲法違反であつて法律違反である。憲法違反であつて法律違反である問題が、内閣なり労働大臣が知らない、所管大臣が知らないで、一部の公務員の手によって通達で行われる。そんなことがあったら日本の政治はひっくり返ります。ひっくり返るようなことが行われておる。それを十日に追及しても、その引き継ぎが完全に行われておらない。委員会に出て来られるのは初めてだけれども、労働大臣に就任されてから数日の時間があるわけです。そういう問題を労働大臣が真剣に考えるような助言もしておらない。それで今そういうことを言っておられる。助言をしておりながら労働大臣がそういうことを言われるなら、あなたの責任です。そういう報告をちゃんとしないで、助言をしないでそういうことが行われておるなら、そういう人の責任です。そういう問題です。ですからこの問題については、これは所管局なり失対部の意見を聞かれてはいけない。そういうようなところの意見は抜きにして、国務大臣として判断されて、直ちに通牒を撤回するという決断を示されなければ、日本の民主主義は破壊されるわけです。本来の性質からいえば、ほんとうに政治をまじめに考える人であれば、この問題だけで岸内閣は即時総辞職をしてもよい問題である。政治をまともに考えれば、そのくらいの重大な問題なんです。それを運用でしばらく待ってもらいたいというくらいでは片がつかない。六月十日のときに一日待ってもらいたいという話なら、それは私も一日くらい考える御猶予は待たなければ申しわけないと思いますけれども、すでにそれから二十日間も経過しておる、そういう問題なんです。まだあと残つておる点も申し上げますけれども、そういう政治の運営という、その一点だけでも直ちに撤回をして、もしあらゆる論議をして、それがよいということであるならば、再通牒を出されてもよいわけです。誤まつた手続によって、上司に対する正確な報告なりをしないで、誤まつて出された局長通達は直ちに撤回をされなければ、民主政治が破壊されると思う。この点について労働大臣と厚生大臣、御両氏の意見を伺いたいと思う。厚生大臣からまず伺います。
○渡邊国務大臣 先ほど労働大臣の御意見といたしましては、必ずしもこれに固定されておるものではない。非常に弾力性のある発言をしておられるわけです。それで労働大臣も私も参りましてまだ四日目か五日目なのであります。これらのいきさつその他につきましては、私どもは慎重にあなた方の御意見を尊重いたしまして検討はいたしますが、今この四月一日の通牒における趣旨を読んでみますと、「就労しようとする高齢者については、その労働能力を考慮し、これに適する軽度の適職に紹介を行うほか、生活の困窮度を勘案して生活保護法の適用等を考慮することとし、一方、生活保護の適用を受けまたは受けようとする者であつて、労働の意思および能力が十分にあるものについては、積極的に適職の紹介を行い、適職がないときは失業対策事業に就労せしめるための所要の措置を講ずる」こういうふうになっておりまして、この通牒の内容が非常に幅を持っておる。しかも先ほど労働大臣がしばしば申されましたように、失業対策事業というものは公共事業、たとえば道路なり河川なりというところに集中されておる。しかもこれは非常に重労働でありますので、重労働であります以上、今までそこに固定されておりますところの就労者というものが、しかしまだ自分はそこに意思ありと認めたときには、むしろそれをまた認めていこうというのが労働省の意見のようであります。そこで働いてはおるものの、非常に過重労働でありますし、すでに労働能力を考慮する、そうした場合におきましては軽度の職業に紹介するという、こういう趣旨がこの中にうたわれておる。それでございますから基本的におきましては六十才、六十五才以上という高齢者となっておりますけれども、非常に幅を持って解釈しておりますので、それですから憲法違反とか何とかということは、行政措置によってわれわれの基本的人権というものは拘束されるものではない、かように私は考えておるわけです。もしもこれが非常な誤まりであったとすれば、あなた方の御意見というものを尊重いたしまして、これは検討いたしましょう。しかし今通牒は出ておる。出ておるが、この内容については非常な弾力性があり、また労働大臣がお話になっておられるように、決してこれが幅のないものではない。たとえば門番であれ、守衛であれ、そういうところへ就労させ得るものであるならば就労させてよい。こういう責任のある御発言でありますから、この点御了承願いたいと思うのでございます。厚生省の立場といたしましては、こういうことになりました以上は、あくまで生活保護の建前から、その就労者の生活状況、あるいは家庭状況、そういうものを勘案いたしまして、他の軽職につかせしめるときにおきましても、職安等とも十分考慮いたしまして、生活に万遺憾なきように、失対から他の軽職に転業した場合におきましても決して下らない。——全部か下らないというわけじやございませんけれども、その能力に応じた場合におきまして、できるだけの措置を講じさせたい。私どもの厚生省の立場としては、あくまで生活要保護という建前で進んでおりますので、どうかその点を御了承願いたいと思います。
○八木(一)委員 厚生大臣、読まれるときは一番大事なところを読んでいただきたい。二枚目のところの男六十五才以上、女六十才以上の者は失業計策事業の紹介適格者としないものとする、これがこの問題の中核なんですよ。このほかのものは形容詞ですよ。こういう悪いことをしようとするこをごまかそうとする形容詞なんです。幾ら文言を読まれたつて、そんなにごまかされるものじゃない。軽作業に紹介するのは当りまえですよ。紹介しないのがいかぬ。生活保護で適用を受けるのが当りまえです。その点については厚生省は、特に社会局は生活保護法を締めて、すぐ適用しなければならないものをぐずぐず文句を言って何にもしない。そういう点については自己反省して直せばいい。労働省がけしからぬことをしているのを弁護する必要は一つもない。あなたはあなたの方で、生活保護の申請があったものは直ちにこれを適用して、生活保護が少くてだめなのをよくすること、そういうことに一生懸命になればいいんです。そんな労働省の首切りなんかに加担する必要は毛頭ありません。軽作業に紹介するというのは当りまえな話だ。そんなことで労働省を弁護するようじや厚生省のあなた方の任務をほんとうに理解しておられない。でたらめなことを言ってほかの同僚をかばうなんということを考えたらいかぬですよ。あなたは国民のための厚生大臣だ。厚生省の一官僚のための厚生大臣じゃない。そういう答弁はしないようになさい。答弁のときは一番中心事項を御答弁しなさい。 次に労働大臣の御答弁を一つ……。
○松野国務大臣 これが八木さんのおっしゃるように憲法違反だ、こういう法制局の解釈とかいうものがありますれば、それは当然大きな問題が出て参りますから私も考えます。従って、憲法違反でないということは私だけじやなしに、法制局の見解というものも憲法違反ではないと私は信じて今日おるわけであります。私の労働省の見解で危いというならば、それは法制局の見解をお聞き下されば、なお私が言うより以上に正確だと思います。従って同時にこの問題がいろいろ議論のあることはわかりますけれども、全然間違つておるんだ、この失業対策事業というそのものから考えていくならば、それが間違つて全然いけないんだという見解を私はとつておりません。ただ非常に議論の多いところでありますから、その議論は後段にありますその通牒の運用によってやれるんじゃないか、こう解釈しております。
○八木(一)委員 今まで民主政治のルールの問題で申し上げた。それは論点の中のごく一部分です。民主政治家である松野さんなり渡邊さんは、ほんとうの民主政治家だったら、その点だけでも撤回すると言っていただけると思った。ところがなかなか抵抗されて言われない。やつぱり労働省の立場からかばつておられるあなたは、この点から見れば民主政治家としては及第であるとは言えない。あなたは民主政治家ではない。官僚政治の擁護者であるように思う。 次にほかの点から申し上げます。憲法の、法律の問題は一番大事な問題ですからあとで申し上げますけれども、失対事業、失対事業と言われても、一体失対事業はどういうものであると思われるのですか。失対事業株式会社の事業ではないのですよ。それをあなたの御答弁は、日本失対事業株式会社の経営者というような立場から話しておられるわけです。そういうものではないのです。公共事業株式会社でもない。それを失対事業株式会社という観点から話しておられるというふうに私どもは理解するのです。そういうような観点で理解しておられるのかどうか。
○松野国務大臣 失対事業株式会社という観点は私はとつておりません。またこれはそういう性質のものではない、こう考えております。
○八木(一)委員 時間もありますからどんどん進みますけれども、憲法の労働権の問題ですね。憲法二十七条を受けて緊急失業対策事業法というものが制定され、所管その他を受けておるわけですけれども、結局働きたい意思と能力を持っておるのに働けないのは国の政治の大きな責任である。それを埋めようとして緊急失対事業法ができているわけです。ですからあなたの言われるような生産性がどうの能力がどうのという問題は本義ではない。ただ生活保護で救うと言つたつて、これはほんとうを言つたら飼い犬以下の生活しかできない。金持のところに飼つている犬は牛肉を食つたりしているけれども、生活保護を受けている人はほんとうは人間以下の生活しか実際上できていないわけです。そういうことではなしに、なるたけ働く機会を与えてそれでやつていこうというのが緊急失対事業法の精神だ。失対事業法の第一条をごらんになりますと「できるだけ多数の失業者を吸収し、」とあるでしよう。全文を読んでもいいのですけれども、「生活安定を図る」ということが最初に出ているわけです。「経済の興隆に寄与する」ということはあとなのです。あなた方はあとの方ばかり考えている。目的は失業者を吸収して生活を安定することが一番大事なわけです。できるだけたくさんの失業者を吸収しあわせて経済の興隆をはかる。同じ金額を何も働かないで上げるよりは、やはり何か事業に寄与してもらつた方が日本経済全体としていいから、これはつけ足しなのです。失対事業株式会社の観点によると、経済の興隆とか事業効果であるとか、そういうことが先になる。そうでないことが法律の明文に明らかにされているわけです。聰明なる松野さんはそんなことをとんちんかんな理解はなさらないと思う。ところが労働省の考え方は、失対事業株式会社の営業部長であるというような考え方の人がいろいろ失対事業について考えられる。そこに大きな社会的な問題が起るわけです。できるだけたくさんの失業者を吸収しということであつて、能力が少いからそれはやめさせろというようなことはそこには一つも書いてないのです。そこを曲解して能力がどうだ、事業効果が少いから、生産性がどうだからということでそれを少くしようということ自体が緊急失対事業法の第一条違反なんだ、そう思いませんか、労働大臣。
○松野国務大臣 第一条に御指摘のように「ともに、経済の」ともにという言葉が書いてありますので、優先順序というものをあえてここでつける必要もありませんが、やはりそれは表裏一体となって考えるべきものだ、しかし失対事業は何といいましても雇用の吸収が大事ですから、そこに重点を置きながらともに経済の復興にも貢献できるような運用をやるべきだ、こういうふうな解釈をしております。あとだ先だというよりもそういう文面だと私は解釈して、まず失対事業ですから雇用の吸収が第一、しかしこれが全然無計画に、無生産ではこれはいけないのだというのが第一条の精神だ、こう考えております。
○八木(一)委員 労働大臣、率直に答えてほしいのです。労働省の立場ばかり弁護しないで——あなたの答弁の半分にはそういう気分が現われておる。松野労働大臣は将来民主政治家として発展して、岸君みたいなわからない人ではなくて、内閣を作らなければならないことを期待している向きもだいぶあるらしいのです。われわれの方は滝井さんが労働大臣の方がいいと思うけれども。そういうときにそんなこまかいことの言いわけをやられては困るのです。緊急失対事業法の文章を読んだつて、その背景の立法の趣旨を考えたつて、失業者を吸収する、生活を安定するということが前段であつて、あとの方は形容詞みたいなものであるということは、だれが考えてもわかると思う。特に労働者の福祉に対する責任を持っておる労働大臣はそういう解釈をしなければいかぬ。その期待を持たれておる労働大臣が大蔵省のこんこち役人のような答弁をなさつては、それじや松野労働大臣というのはもう労働大臣を一日も早くやめてもらわないと、世の中のために悪いということなる。そんなお気持ではなしと思うのです。松野さんはほんとうにいい労働行政をやりたいというお考えだと思うのです。だからそういうとらわれた、まわりやお隣におられる方に遠慮したようなそういう御答弁はなさらないで、率直な御答弁で、国務大臣としての自信を持って答弁をしていただきたいと思う。
○松野国務大臣 私は私のところの役人に気がねしておるものは一つもありません。ただ御承知のごとく私一個人の立場を考えて参りましても、やはり内閣という——先ほどの八木さんの原理原則のように、与党もあれば内閣の総体というものもある。同時に目の前に藤本さんもおられるのですが、やはり与党というものも私を大きく制約したり指導したりするわけです。そういういきさつももちろんこの中にあるのです。従って八木さんのおっしゃることは一面かもしれませんが、逆に藤本さん及び与党の方の中には、失対事業を便々として非能率に追うことはよくないのじゃないか、やはり失対事業といえども事業だから、建設的方向に一歩でも進めることがより失対事業の効果を現わす面だという御意見もあるわけですから、私が何も私の役人に気がねをすることは毛頭ありません。逆な立場の意見も、今日は申しませんけれども、ないわけではございません。私が政調におりますときに、政調におきましても失対事業を効率的にやれという意見が毎年々々出ておつたのです。しかしそれが直ちに六十五、六十に結びつくとは申しませんけれども、やはり失対事業といえどもこれは能率的、効率的にやることに努力することは、これは労働省の——労働省のみならず失対事業に従事する方々にとつても、より以上効果が上れば、より以上吸収人員もふえる、より以上失対事業が好評ならばそれだけ生活も向上できるのだという意味もあるのですから、どうぞ一つ表裏相勘案の上、この問題をお考え願いたい。
○八木(一)委員 そうおつしやいますが、そういうようにしろというような意見は社会労働委員会ではどこにもないのです。与党の方の発言もないわけです。与党の方は中でぼそぼそ言っておられるのかもしれません。だけれども、この社会労働委員会においてはそういう発言は私ほとんど欠席しておりませんけれどもない。ですから、国会の論議の中ではそういうものはないわけです。それから効率的と言われたのですが、そこでお考えを願いたいことは、第四条の三という項目があるわけです。「失業者の情況に応じて、これを吸収するに適当な事業」ということがある。そこで、たとえば土建事業だけしかやつておられない。ここに労働省の実に非建設的な反動的な面がある。失業者というのは前に土建事業の経験があった人ばかりではないのです。失対事業は土建事業だけでなければいかぬということは一つも書いてない。それでほかの失業者の状況に応じたものを作らなければいかぬということになっておるわけです。だから六十五の人にも適当なものを考えなければならない責任がある。それを全然さぼつておるわけです。こういうような労働省こそ効率の悪い行政をやつておられる。効率ということを考えるならば、労働省の行政について考え直さなければいけない。軽作業があるわけです。わからなければわれわれ教えてあげますよ。あるのに全然それをさぼつて、そして土建事業だけに限つて、その土建事業だつて働きたいという意思を有し、そして十分な能力のある人を一方的に六十五才、六十才でそれがないものと断定して生活が困難な方に追い込む。そういうことをやつておるわけです。どこの観点から見ても一つもよくない。労働大臣、それはいいと思いますか。
○松野国務大臣 いい悪いというよりも、現実においてこれは事業主体が地方公共団体ですから、地方公共団体で新しい計画とか新しい事業というものを申請して、労働大臣がそれを指定する。それにはいろいろ出て参りましょう。しかし今日までは主として公共事業というものが——予算の吸収率とか地方公共団体の予算内における仕事から考えて参りますと、それは何でもやればやれるかもしれませんが、やはり事業主体が地方公共団体ですから、地方公共団体における予算の配分とか予算の編成というものをずっと積み上げて参りますと、おのずから公共事業というものが今日大多数になってしまつている。公共事業の中で、もちろんいろいろな問題もありましようけれども、やはり未熟練者を吸収するにはおのずからそれに適したものが慣例的にふえてきておるという意味でありまして、それでなければいけないという断定した法律ではございません。しかし事業主体とかそういう組織の上に立って参りますと、そういう方向にいかざるを得ない、そういう意味で私はやつているのだと思う。特に労働大臣が指定して計画を立てるのですから、計画樹立については労働大臣でしようが、事業主体はそういうふうにおのずからなっておるわけです。
○八木(一)委員 労働大臣は失対事業のことは一つも言わないで公共事業、公共事業と、公共事業にすりかえようとする。あなたは利口ですが、利口ではいかぬのですよ。政治は正直でなければならぬ。失対事業ということを一つも言わないで、さっきから公共事業、公共事業と言う。公共事業と失対事業は並んで書いてあるが、失対事業の方が先ですよ。公共事業といって、そんな変なテクニックはやめてもらいたい。これは国の法律ですよ。第四条の三号、そういうことを労働省はまるで怠けておつて、そうして土建のことばかりやらしておいて、その土建のことをりつぱにやつてきて、やる意思を有する人をそれでやめさせよう。やめさせる方法で、能力のある者も、さっき大原さんも言われた通り、年令でやられるならば、松野さんのお父さんなんか即時やめてもらわなければならぬ。岸総理大臣なんか即時やめてもらわなければならぬ。自分のおやじさんのときだけはそういうことをやつておいて、そんなことはだめですよ。六十七だつて健康な人があつてどんどんやる人がある。六十三の女の人だつてやる人がある。六十五、六十なんてする必要は一つもない。さっき言つたように能力のある、意思のある人は働かせればいい。ない人は厚生省で十分やらせればいい。軽作業に充てるようにすればいい。問題は六十、六十五というけしからぬことをやめればいい。あとの問題はるる体系的に御説明になつたけれども、その中でいいことはやつてよろしい。厚生省で生活保護を一生懸命やるとか、軽作業をやらせるとか、そういうことはどんどんやつたらいい。問題は六十、六十五の紹介をしないということです。職業安定法では全部に紹介しなければならぬということになっている。それをこの問題だけ紹介しないということは職業安定法違反だ。あなたは話がわかるのだから、やめればいい。
○松野国務大臣 職業の紹介をしないわけではない。紹介はするが、失業対策事業という問題に対しての問題でありまして、紹介しないという問題ではないと私は思います。従ってこれは憲法違反じゃないと私は思うわけであります。同時に年令によってどうと言いますが、御承知のように失対事業の能率調査というものをして参りますと、六十ないし六十五で能率が下るということで、そういうところで切りたい、しかし能力のある方があるならば考えてもいい、こういうことであります。
○八木(一)委員 ですから労働大臣、攻撃を受けているという気持ではなしに率直に聞いていただきたい。どう考えても職業安定法に違反するとわれわれは思う。あなた方がどんなに弁解しようと思っても、そういうところに非常に重大な問題があることがわかるわけです。緊急失対事業法としてもそうです。憲法の問題も最後に残しているから最後に言いますけれども、法律的に見て、重大な法律にすべて違反しているわけです。民主政治のルールの上において、あなた方自由民主党が結局局長やなんかに全くなめられている。大自由民主党がなめられている。あなたなんか完全になめられている。そういう問題は、あなたと渡邊さんがやめると言えば片づく。内閣総理大臣を呼び出し、法制局長官を呼び出してする必要はない。あなたがうんと言うばすぐ直る。ほんとうに徹底的に言うば、前の誤まりも徹底的に追及しなければならぬ。そこはあなたがうんと言えば控えてあげてもいい。あなた方がうんと言えばいい。うんと言わなければ大きな政治的な問題になります。 それからもう一つ背景としてあなたに申し上げておきますが、職安の現場の公務員の諸君は非常に困っている。生活保護の方も非常に困っている。一割ほど生活が下る人が多い。あなたの場合に一割下つたつて首つりにはならぬ。ところがすれすれの生活の人が一割生活が切り詰められるということは、もう生きる気持がなくなるというところまでくるわけです。首つりが起るわけだ。あなたが決断しないために一日に一人くらいずつ首つりが起る、あるいは最後にはけが人が出る。そういうことが起るわけです。そういうことが起ることを防止できる地位にある人が、それを前にやつたことだから変えるのが恥しい、面子にかかわる、そういうことで阻止できないなら国民の国務大臣ではないです。官僚の国務大臣ですよ。しかも末端の官僚の諸君は非常に困っておる。一部の官僚の、その辺にいる二人だけの国務大臣です。百田さんと三治さんだけの国務大臣であるということを認められますか。
○松野国務大臣 私どもは百田君に国務大臣にしてもらつたわけではない。国家、国民にしてもらつた。そういうわけでありますが、ただそういう問題が起るという場合がありますならば、あるいは起るという非常なあれがあるならば、運営によってそれを直していきたい、また直し得るようにできるのだ、こう私は思うものですから、その通達を原文でどうこう言われても、現実において私はこの問題を運営によって十分心配ないようにいたします、こういうことをたびたび実はお話しておるわけであります。特に私は下僚にどうの、そんなことは毛頭考えていません。
○八木(一)委員 憲法の問題で申します。二十七条の問題については少し触れましたから、大原さんに関連してやつていただくとして、十四条の問題、松野さん、これは触れないと思いますか。触れないとしたら松野さんは日本語がわからない人だ。でなければ頭が狂つている。十四条をしつかり読んで下さい。
○松野国務大臣 十四条は御承知のように法の前に平等だということであります。それはもう法の前に平等だということは当然であります。しかしそれはこの問題と別個の問題です。おのずからいろいろ定年もある。定年制があるものは不平等か、それはそうではない。憲法の精神をうたつて法律ができておる以上は、その法律がすべてこういう意味で人種、性別とかで不平等にしてはいけない。しかしすべての問題はあらゆる法律によってある場合には制限し、ある場合には緩和し、ある場合には優劣がある、これは当然のことであつて、それはそのもの自身が何も悪平等を主張するものではなくて、そのもの自身の中においては平等だ、こういうことであります。
○八木(一)委員 「すべて国民は、法の下に平等であつて」と書いてあるんですよ。会社の定年制などと違うんですよ。緊急失対事業法は法律ですか、法律ではないですか。
○松野国務大臣 これはもちろん法律です。
○八木(一)委員 そうするとすべての国民は法の下に平等であつてというのですから、緊急失対事業法のもとに平等でなければいけないわけですよ。「人種、信条、性別」というふうに書いてあるんですよ。男女の問題は性別だ。あなたが日本語がわかる以上においては、明らかにこの十四条、二十七条に違反だ。あなたがどんなに曲解しても十四条違反であることは確かだ。それを違反じゃないと言われるのですか。
○松野国務大臣 私はこの問題が直ちに十四条違反であるとは考えておりません。緊急失対事業の中には委任されておる権限もあるのですが、法律に基く事業である。しかし事業である以上、事業能力があるということは当然であると思うのです。
○八木(一)委員 男と女との差はどこにあるのですか、男と女とになぜ差があるのですか。
○松野国務大臣 とにかく能力の差ということで、性別ということではないのです。
○八木(一)委員 六十才以上でも男女は失対事業で働いておる。女の方が日本の統計では年齢が長く生きるということは明らかである。五十九のときには男も女も働いておる。女の方が生命力が長い。生命力が長ければ労働力が多いということは一般的標準としていうべきです。逆ではないですか。
○松野国務大臣 生命力で失対事業を規定するのでなくて、能力で規定しておるのです。男女の賃金構成すべて見ましても、もちろん男女賃金というのは平等でなければならない。しかし能力に応じてその差があることは事実ですから、私は男女というより能力によって差をつけた、こう解釈すれば憲法の問題とは関係がないと思うのです。
○八木(一)委員 暑いのでどうかしているのではないですか。五十九のときには女の人も男の人も失対事業で働けるわけです。それから女の人が長く生きられる。五十九のときには女の人はあなた方の解釈によっても能力があるわけです。ところが六十になつたら女の人はがたんと下るという。六十になつたらがたんと下るという医学的根拠は一つもない。一万分の一くらいは下るかしれないけれども、男と女との差は問題にならない。——あなた相談する必要はない。日本語で解釈して日本語で答弁すればいい。五十九まで女も男も働いておる。そうすれば六十になっても六十五になっても同じでなければならない。あなたの頭が狂つていない限りそんな答弁はできないはずである。
○松野国務大臣 男女差ということで六十と五十九のことを言われますが、失対事業というものを仕事の能力と仕事の種類で見れば、男女というものはこの程度の差があることが仕事としては妥当だというので五才の差になる。そういうことはやはり男女の賃金にはあり得ると思うのです。
○滝井委員 議事進行について……。今大原さんと八木さんがことしの四月一日に出ました失業対策事業の紹介適格者と生活保護の被保護者との取扱いの調整についてという、労働省の職業安定局長と厚生省の社会局長のこの通達をめぐつていろいろ質疑応答をしておるわけです。先般の委員会においても、この問題に対する政府の統一的な見解を十分打ち合せて出てきてくれ、それまではこの通達というものはわれわれは保留だ、しかし保留といっても、こういうものは工合が悪いのだから政府はそれを再検討するのだ、こういう形になって幕が引かれたわけです。私の方から当時の官房長官である赤城さんにも申し出まして、赤城さんは、ただいまちようど次官会議があるので、厚生労働両次官とも打ち合せてこの問題は速急に大事な問題であるから相談しましょうというので、わざわざ坂田厚生大臣がその席にも行つたはずなんです。そうして労働大臣はILOの会議に行っておるので、帰つたら十分打ち合せて二十二日の臨時国会が始まるまでには何分の結論を出しますということであったのです。ところが今日の質疑応答を見てみましても、両大臣のこの問題に対する理解の仕方は非常に浅いわけです。まだ大臣になられて二週間そこそこで、生活保護法、緊急失業対策事業法あるいは職業安定法というようなこういう専門的な法律に関連をする問題にわたる答弁が多いために、やはりなかなか的確な答弁ができにくいと思うのです。しかし今までの両大臣の答弁を客観的に静かに聞いておりますと、必ずしもこの通達の基本方針の示す通りの答弁になっていない。渡邊厚生大臣も言われたように、非常に弾力的に松野さんも考えておるのでいいじゃないかというような御答弁もあるわけです。すでにこの通達をめぐつて、事業主体となる地方自治体の長は非常に苦しんでおるわけです。そういう客観的な下部の事態もあるので、この際きようの答弁の状態を十分事務当局は勘案をして、月曜日にILOの参考人を呼んでここで委員会があるわけですが、午前中は労働大臣他に用があるそうですから、当然午後には労働大臣出てこられることになるわけです。従って厚生省ともお話しになって、今までの弾力的なものの考え方を一つ文書にして出してもらいたいと思うのです。そうしないとこの通達では、これは渡邊大臣この前文の趣旨のところだけはお読みだけれども、基本方針というものは冷厳に六十才、六十五才になればもう失対事業から排除することは確実になっているわけです。そういう冷厳な文句ですから、それが今の答弁のように非常に弾力のあるものとして下部に行つたときには、受け取れないんです。そういう弾力的な御解釈で運用をなさるならば、この通達はこの通達でもよろしいんですから、 一つこの上に、この通達に対する解釈と申しますか、国会へ提出する解釈をお作りになって、もう一回意思統一をして月曜日に出していただいて、そのあなた方の意思統一をした弾力的な運用の仕方について、またわれわれがあらためて質疑を求めるものは求める、こういうことで一つきようは幕を引いてもらいたいという議事進行なんです。
○永山委員長 ちょっと速記をとめ て。 〔速記中止〕
○永山委員長 速記を始めて下さい。 それではただいまの滝井君の議事進行の点については、当局もよく研究しようと言っておりますから……。それでは八木君。
○八木(一)委員 滝井さんの質問について委員長から言われておるけれども、その通りですね。自分は言わなかったなんてあとで逃げられては困る。
○松野国務大臣 委員長のおっしゃった通りです。
○八木(一)委員 しかし私はまだ別な質問をちょっと続けます。 時間がありますから、総括的に切りかえるためのことで言いますけれども、月曜日の御答弁についても強い要請をいたしておきます。御答弁が変なものだったら、また文書で出してもらいますから。 これはさっき松野さんや渡邊さんをさんざん苦しめたり、あるいは先輩に対して失礼な文言を言つたようだけれども、しかしこれはさっきも言つたように、もっと丁寧に言えば言えるんです。しかし十時間ほどかかるといけないから、時間の節約上単刀直入に申し上げると最初に言つた。単刀直入に言つたんで、それで変なことを言つた、こういうわけです。 問題は憲法違反、職安法違反、緊急失対事業法違反であつて、生活保護法違反でもあるわけです。明らかに非常な法律違反です。もう一つは、政治的な問題としては、大臣の所信表明でも言わないし予算にも組んでないことを官僚の一部分の人によってひん曲げられて、しかもその時期は地方選挙なり参議院選挙で追及を受けないような時期に、大臣もはっきり説明をしない、労働、厚生政務次官も理解をしていないような状態においてそういう通達が行われておる官僚政治をそのまま認めるかどうかという問題が一つ。もう一つの問題は、憲法違反、法律違反というような問題をあなた方が強行するかどうか、これを強行すれば岸内閣の命取りになりますよと申し上げておきます。それから具体的な問題としては、年取つた人が気の毒だから親心で生活保護をやるという。それならば厚生省がなまけた点だけをたたくだけでいいんです。生活保護を受けたい人は厚生省に申請をすればいいんで、厚生省がぐずぐずしたり言いがかりをつけたりして生活保護法を適用しないというような現状の間違つた行政方針はやめて、ちゃんと適用すればいい。失対事業とは関係ない。問題の本質は、それにからめて首切りをしようということである。厚生省が間違つた点はどんどん自主的に直せばいい。厚生省が首切りをする点は、結局今言つたような憲法の条章により勤労権が保障されている、この緊急失対事業法ができた立法の前提を全然無視して、緊急失対事業法は失業者を吸収して、その生活を安定させるという一番の本義を忘れて、経済効率であるとか、生産性の向上であるというような緊急失対事業株式会社の社長のような、部長のような考え方で考えるというところから起つているわけです。あなたは資本主義を主張している政党の人だから、ほかの点ではそういう法律を考えても仕方がない、われわれは追及しますけれども……。ところが失対事業はそうじゃない。幾ら自民党がそういう立場をとつていても、憲法や法律で失業者を救済するために作つた法律なのです。それをそういうように株式会社に切りかえられては、日本の成文法がめちやくちやにあなた方のインチキ解釈で曲げられていく。成文法を曲げるようなことをあなた方が強行すれば、民主主義政治というものは破壊されるわけです。そういうことを今まで行なっているのですよ。それらは即時に改めなければいけない。実際問題としてそれをほんとうに解決しようと思えば、お年寄りが気の毒だと思えば、お年寄りのための軽作業を、賃金を下げないで、暮せるような労働条件を考えるのが労働省の任務である。その労働省がなまけて、事業効率を極端に下げて、土建事業だけが失対事業であるという間違つた方針を踏襲している。その事業でも、能力があつて意思があつてがんばつて働こう、少しでも人間らしく暮したいと考えている人たちを、六十才なら六十才で遮断して追いやろうということなのです。末端の職安の関係の公務員の方方や、生活保護法関係の公務員の方々は弱つているわけです。各市町村の首長も困っているわけです。そして労働者も悲観しているのです。ここで一割切り下げられるのだったら、生きる望みがないといって首をつる人も出てくる。首を切られるのはがまんできないから騒ごうというわけで、いろいろな騒ぎも起つてくるわけです。一部の人の間違つた考え方で大勢の人が悲観し、そしてその運命を遮断し、自分みずからまた騒ぎが起ることによって労働省や厚生省の末端の官僚が労働強化になり、神経衰弱になって、そこでも自殺をする人があるかもしれない。警察がこんなところにまで出てこなければならない。警察官だつてそういう大衆に反駁されるような機会を持ちたくない。ほんとうはどろぼうをつかまえる、強盗を予防するようなことが警察官の任務である。それなのにあなたたちがこういうことをやるために、警察官が本来の任務から離れたところへ動員されるというように、あらゆることが間違つてくるわけです。そういう重大な背景のあるものに対して、そういう間違つた通達を出したことを直ちに改められないならば、松野労働大臣も渡邊厚生大臣もその職にいる人ではないと思う。改められる決心がなければあした辞表を出しなさい。決心があるならば、ほんとうに国民のための国務大臣としての任務を遂行しようとするならば、いかに官僚が抵抗しても、断固としてこれを取り消すという処置を払うべきである。われわれは月曜の回答いかんによっては、この問題はこのままでは済ませません。労働大臣、厚生大臣がたよりないならば、岸信介君を呼びつけます。岸君は国民の総理大臣としてやろうと努力をされるでありましょう。その場合には労働大臣、厚生大臣の責任を岸君から追及させるところまで持って参るつもりであります。そのようなことで、安易に時間的に逃げて、いいかげんなことで終らせようと思ってもらつたら大へんであります。多数決で押し切られたときは、日本国中に大きな騒動が起るということも考えていただきたいと思います。あなたはいろいろな騒動による物事の進展を好まれておらない。しかしその騒動の起るもとをあなた方が作られるならば、そういう騒動は全部あなた方の責任であります。そういうことを十分御勘案になりまして、月曜日には今の行政上の運用というような御答弁ではなしに、この問題は撤回をするというような御答弁をなさることを強く要求するわけであります。そして一日考えられる御用意を持っていただきます。ですから、今御答弁なさらなくてもけつこうです。どうか、なまいきなことを言つたから八木とか大原というやつはしやくにさわるというような私情を抜きにしていただきたい。われわれはそれを撤回をしてもらつたら、松野労働大臣、渡邊厚生大臣の善政をほんとうにほめたたりえるでありましよう。国民のためにやつてもらいたい。国民のためにやつていただいたら、他党の人であつても、われわれは推賞するにやぶさかでありません。また労働省の百田さんも、それから三治さんも、今までのいきさつにとらわれずに、われわれの論議していることをお聞きになっておられますから、どうか大衆のために考え直していただきたい。そうして、そのために労働大臣を補佐していただきたい。百田さんは非常にやさしい心の持ち主であるということを私は知っております。それがどうしてこういうことになつたか、理解に苦しむわけです。どうか人道に徹した考え方に戻つていただきたい。そういう問題をあなた方の抵抗によって、問題が解決されることがおくれないようにしていただきたいと思う。 次に社公労働委員長にお願いしたい。これは御答弁を要求します。この問題を時間的に逃げるようなことをされたならば、私ども、労働委員長を全面的に信頼しないことになる。今後の委員会の運行はめちやくちやになるということを御覚悟願います。それで社会労働委員長は、この問題は根本的に納得いって解決するまで労働委員会を続けて開く。労働大臣、厚生大臣を逃げさせない。その答弁が不十分であったら、内閣総理をあなたの責任において呼び出して、徹底的な、根本的な解決がつくまで委員会の審議を続行させる御決意があるかどうかを社会労働委員長に御答弁願いたい。
○永山委員長 理事会の皆さんとよく相談してやりますから……。
○八木(一)委員 相談してじゃない。そんな御答弁じや困ります。それは誠心誠意申し上げておるので、国政の重要な問題を審議するのは国会の義務である。自由民主党の田中さんは国会審議に熱心であるから、賛成をされるはずです。田中さんだけしかおられないけれども、自由民主党の社会労働委員はほんとうに国会審議に熱心だ。そんなことをいやと言われるはずはない。社会党もそれを要望しておるから、全員がそうであれば、そういう決をとるのが当りまえである。またそういう要請がなくとも、委員長から、そういう問題があるから連続して審議してもらいたい、私の責任において総理大臣なり各大臣を必ず呼び出すということを積極的に委員長が言われる責任を持っておられるはずである。それを要請を受けて、なお答弁をごまかされるようであったら、社会労働委員長もその任務を全うされる人物でないということになる。委員長の御答弁を願います。
○永山委員長 八木委員の御意思を十分尊重して、やはり理事会ともよく協議して、十分御意思を尊重してやります。——滝井君。
○滝井委員 この問題はわれわれ社会党といたしましても、党の国会対策にもかけておりますし、非常に重要視いたしておりますので、内閣といたしましてもぜひ納得のいくような、しかも末端の行政機関が十分にこの行政の運用ができるような姿で解決をしていただくように特に最後にお願いをいたしておきます。松野労働大臣はけつこうでございますから、どうも……。 次には厚生行政のことを少しお尋ねするのですが、実はここ四年の間に厚生大臣が六人おかわりになつたんです。三十年三月ごろに川崎君が厚生大臣であったんですが、それから小林さん、堀木さん、橋本さん、坂田さん、渡邊さん。私は厚生大臣がかわるたびに同じような質問を一番先にやるんです。この四年間に、結局四十八ヵ月ですから、六で割ると八ヵ月しか命がない。松野さんは、ぼくの労働大臣の任期は一年くらいだろうとおっしゃったけれども、一年任期のあった大臣は長い方です。全部六ヵ月から七ヵ月、よくて八ヵ月、こういうところです。従ってあれもやろう、これもやろうというのでは、なかなかだめなんです。坂田厚生大臣は国民年金を実施することと、医療協議会の紛糾を取りまとめて何とか円満に委員を任命したい、こういう二つのはっきりした具体的な目標を持っておつたようでございます。国民年金は実際は坂田さんがやつたんじや、なくて、前の橋本さん時代にできたものをそのまま国会に受け継いで、一応一月十二日に坂田さんが大臣になってからやつたというだけのことです。その次に医療協議会はどういうことになつたかというと、これはうまくいっていない。あとでお尋ねをいたしますが、渡邊さんはきよう社会労働委員会における厚生大臣あいさつ要旨というのをお述べになつたんです。第一、国民年金の円滑なる実施、第二、国民皆保険の達成、それから結核対策の強化、推進、それからオリンピックがあるから、環境衛生を整備するんだ。それから新しい政策としては、厚生行政の長期計画、こういうところだと思うのです。厚生行政の長期計画についてはいずれ機会をあらためてゆつくり聞かしていただきたいと思います。こういうように四つ、五つと多くのものをあげておりますが、大臣の命は短いのですから、それらを全部やるというのはなかなか大へんです。重点的に坂田さんが国民年金と医療協議会の人事問題を解決するという端的、具体的に二つのものをあげられた。あなたはおそらく六カ月から一年くらいの命だと思いますが、何を一体おやりになるのか。私はこれを聞かしていただいておけばいいんです。そのほかのことは大した問題ではない。お互いに政党政治をやる上に、大臣としてこの任期中はこれとこれとは自分の男をかけてやるんだというものを教えていただけば、私たちはそれを中心に時間を節約して議論をしていきたいと思うのです。まずそれだけをお聞かせ願いたいと思う。
○渡邊国務大臣 私のやる仕事につきまして重点を一つ示せという御発言でございますが、私といたしましては、大へん欲ばるようでございますけれども、何でもかんでも一応軌道に乗せていきたい。その完成はなかなか得られませんでしょうから、一応軌道に乗せてみたい。現在年金制度におきましても、あるいはまた国民皆保険の問題にいたしましても、大へんよく軌道に乗つておるようでございます。環境衛生の面におきましては、非常に国の政策というものが上っておるにかかわらず、これに合致しないで、いつでも立ちおくれておる。私ども自由民主党が常に社会福祉国家建設ということを標傍しておりながら、一体何たる予算の内容であるかということに一驚せざるを得ないのでございます。私も来たばかりでございまして、これから皆様方の御意見等をも尊重いたし、いろいろ参考の御意見等もお聞かせ願いまして、まず第一に当面何をすべきであるかというようなことがおそらくこれは私にもわかつてくるのではなかろうか、かように考えております。現在ただ非常に問題になっておるところの医療制度の確立、国民皆保険が進行いたすとともに、いろいろな近代医学、こういったものといわゆる民主的な医療制度の確立というものはどういうふうにしていかなければならぬのか、これは今私どもの頭痛の種でございまして、今事務当局や各方面の方々の意見を徴してみたい、かように考えておりますけれども、就任早々におきまして直ちに国会が始まつたということでございまして、どれを今ここに短かき大臣稼業の——六ヵ月と申されましたが、六ヵ月あるいは三ヵ月になるかもしれません。この間にこれ一つというて取り組むというようなことで片手落ちの行政をやるということもいけませんので、できるだけ万般のものを軌道に乗せてみたい、かように考えますが、ただいわゆる世論の要望によりますものがそこに必然的に順序をつけると思いますので、そうした面に向つてこれから考えてみたい、かように存じております。
○滝井委員 万般のことを軌道に乗せる、どうもあんまりぴんとこないのですが、実は堀木さんが厚生大臣になつたとき、一体あなたは何をおやりになるのですかと聞いたら、立ちどころに言われたのです。私は皆保険の基礎的条件を整備します。これが私の就任における全力を打ち込むところであります。こうやつた。坂田さんは、私はどうせ命が短かいと思いますから、この年金を国会を通すことと、それから医療協議会の人事をうまくやることでございます。こういうふうにきわめて具体的に言つたのです。あなたは万般を軌道に乗せると言うけれども、軌道に乗つていないものもあります。今からいろいろお聞きしますが、しかしやはり何でもかんでも軌道に乗せるのでは、あまりたくさん軌道に乗るとメジロ押しになって動かぬようにもなりますし、何かあなたがこの一年ばかりの間に、あれは渡邊厚生大臣の実績として残つたものだということを、やはり日本の厚生省の歴史の上に残すことが、大臣になられたら必要だと思うのですよ。そういうように何か一つの目標をがちつとお定めになると、行政というものはおのずからそこに帰着してうまく運営されていくのではないかという感じがするのです。私は、だから大臣が就任されれば必ずこれを聞くことにしています。山縣厚生大臣以来八人か九人の大臣を経てきましたけれども、大体最近の大臣は何か一つ、二つ持って大臣になられております。あなたが何でもかんでも軌道に乗せられるというようなことでは、おそらく厚生省の役人諸君も、一体何から先に軌道に乗せたらいいかわからぬだろうと思うのです。何もかにも脱線しておるわけじゃない。国民皆保険も、それから所得補償の年金も、あなたは今りつぱに軌道に、乗つておるとおっしゃっているが、それならそういうものは乗せなくてもいい。そうすると、あなたのきようの御説明の、第一の問題の国民年金の円滑なる実施、第二の国民皆保険の達成、この二つは軌道に乗つておるならば、第一、第二にあげなくてもいいと思う。三か四か五にあげればいいということにもなる。何かがちつとしたものを持たれて、厚生大臣になられたと思うのですが、そこらあたり、もう少しはっきりお示しになっていただきたいと思うのです。一年の計は元旦にあるのですから。
○渡邊国務大臣 先ほどごあいさつの中に申し上げましたような点につきまして力を注いでいきたい、かように思っております。なおこれから十日二十日とたつうちに世論というものが相当はっきりわれわれに要望してくるだろうと思います。そうなると、何かお前は無定見のようじゃないか、世論に左右されていくのかと言われるかもしれませんが、しかし世論というものは大事であり、おのずとそこに一位、二位と差をつけながらやらなければならぬと思っております。現在の医療制度の確立なんかの問題につきましても、これは非常に大きな問題としてクローズ・アップされておるのでありますから、もちろんそういう点につきましては皆様方のお知恵をかりまして努力をいたしてみたいと思います。万般とは申しまするけれども、やはり厚生大臣として参りました以上は、厚生行政につきまして、すべてにおきましてある程度力を注ぎ、しかもそれにつきましての予算の獲得、新しい政策の確立というものを、これから秋ごろまでにかけまして検討を加えながらいたしてみたい、かように考えておる次第であります。
○滝井委員 世論の要望によって渡邊厚生行政は何をなすべきかということがおのずからきまつてくるだろう、厚生大臣としては厚生行政全般についても目を注いでいかなければならぬ、それは当然だと思います。十人十色で、それぞれお互いに個性を持っております。と同じように、坂田厚生行政、橋本厚生行政とは、おのずから違つたニュアンス、違つた特色というものが、岸第二次内閣の渡邊厚生大臣の行政にも現われて来なきゃならぬと思うのです。私はそういうものが聞きたいと思うのです。御就任になってから二週間そこそこでございますから、十分な世論の把握も、かつて新聞記者として明敏な厚生大臣もまだ民心の把握ができていないようでございますから、かすに秋まで時日をもっていたしたいと思います。秋の臨時国会が始まりましたならば同じ質問を繰り返したいと思いますから、それまでには、こういう点を渡邊厚生の特色としたいという点をお聞かせ願いたいと思います。私ノートにきちつと書いておきましてこの次にまた必ずやります。私は質問をするときには、必ず連続的に一つの問題を結論が出るまでは、八木さんと同じようにずっと追つていくたちでございます。 そこで堀木厚生大臣以来懸案となり、そうしておそらくあなたも事務引き継ぎをせられたであろう問題をこれからお尋ねしてみたいと思います。実は中央社会保険医療協議会というものがあることは、大臣御存じの通りでありまして、最近の日刊新聞あるいは週刊朝日、それから週刊現代というような週刊誌にもいろいろ書かれております。それから医学関係の専門雑誌にも、ほとんどすべて書かれておる有名な中央社会保険、医療協議会です。この医療協議会の委員を、六月の二日参議院の投票が終るとともに、一時間の後、午後七時に坂田厚生大臣は推薦の依頼をしたのです。いわゆる十二人の委員の任期が切れておつたのですが、推薦の依頼を発しました。そうしてそれを契機として現在二十四人の委員のうち三人だけが欠員の状態になっておる。で、いわゆる純粋の医師の利益を代表する者として、一人多賀さんという人が入っておることは御存じの通りです。三人欠員です。ある雑誌はこう書いております。「医療の問題を審議する審議会に、日本病院協会の代表が一人いるだけで、日本医師会の代表が三人とも脱退しているという状態は、何といってもおかしい、いうなれば免許証を持つた正式の運転手がいないので、しろうとばかりで自動車を動かそうとしているようなものである。」いわば医療協議会は軌道に乗つていないのです。大臣は万般のことを軌道に乗せられると言いましたが、まず第一に、ここらあたりを軌道に乗せる必要があります。坂田厚生大臣は、国民年金の確立と医療協議会の人事を円滑に任命をするということをスローガン、いわゆる重点施策として大臣に就任せられましたけれども、軌道に乗せることができなかったのです。幸いあなたは万般のことを軌道に乗せるということを、今おそらくこういうこともお考えになっての御説明かどうかわかりませんが、言われたわけですが、一体どういうようにして渡邊新厚生大臣は中央社会保険医療協議会、日本の医療の重大な、いわばかなめといわれる協議会を軌道に乗せますか、これを一つお聞かせ願いたいと思います。
○渡邊国務大臣 この問題につきましては、私も新聞等で拝見し、また部内からもいろいろな報告を受けておるわけでございますが、今のところは、なかなかいろいろないきさつによりまして、これがうまく運営されていない、こういう、ことはまことに遺憾である、かように考えておるわけでございます。このことにつきましては、私も最大の努力を払いまして、厚生省は主管省として厳然たるところの立場をとりまして、そして各方面の意見等をも総合いたしまして、そして何らかそこに難点があれば、これを解消すべく努力し、そしていろいろな今までのいきさつ等によって食い違いがあるとか、あるいはまた感情的なものがあるとか、こういうことならば、これを何とか解消するべく話し合いの場といいまするか、そういうような面を作つていってみたいと考えておりますが、私の力でできるかできないかわかりませんが、その方向に向つて今工夫をこらしておるような次第であります。
○滝井委員 厚生省が、主管省として厳然たる態度と各方面の意見を聞くということは、具体的にすでに任命をした多賀委員に何か手を加えて、たとえば辞表を出してもらうとか、あるいは多賀さんを日本医師会にのませるとかいうようなことなんですか。
○渡邊国務大臣 いや、そういうことではございません。いわゆる中央社会保険医療協議会の運営をいかにしたならば、この厚生大臣の諮問機関としてまつすぐな諮問機関になるかどうか、こういうことに努力いたしたいと思っております。
○滝井委員 厚生大臣の諮問機関としてどうしたならば、まつすぐな正しい諮問機関となるかということは、結局そうしますと、今までの医療協議会では、もはや現在の日本の医療報酬を審議したり、あるいは保険医の指導や監督をしたり、あるいは指定の取り消しをやる機関としてはもはや時代に相応しない、だから抜本的にあの法律を改正したい、こういう意味なんですか。
○渡邊国務大臣 これは法律によってこの審議会ができておりまする以上は、これは正しいものと存じておる次第でございます。それで結核治療の答申がありまして、十九日に、私が就任いたしました翌日に答申が参っております。この答申を私は別に否定するというか、そういう意味ではございません。大体結核治療指針そのものにつきましては、新薬の採用、こういうものに対しましては、これは日本医学会を中心といたしまして、各医療従事者というもの、あるいは被保険者やその他各方面からこぞつてこれを要望いたしておりましたから、この面につきましては、今これが一つの標準であるとして、私は医療協議会というものが法律のもとに正しく運営されておるからこれが生まれた、こういう意味じやございませんで、ただ、これは当然私ども厚生省といたしましても考えられておつたことでありまするので、私どもはできるだけ早い機会にこれを採択いたしまして、これを決定いたさせよう、かように考えておるわけでございます。ただ運用上、多少私は遺憾の点があるということは、やはり日本医師会というものが参加していない、現実的にはやはり日本医師会というものが入って、そしてりつぱな答申というものが今後あらゆる問題において出てくることを心から望んでおる、こういう現状であります。
○滝井委員 どうも大臣、少し理解が足りないようなんですが、厚生省としては、主管官庁として厳然たる態度と各方面の意見を聞いて、一つ話し合いの場を作りたい、諮問機関として正しいものにしたい、こういうことなんですから、各方面の意見を聞いて、厳然たる厚生省の態度をもって、正しいものにするためには一体どうされようとするのか、法律を根本的にでも御改正になる御意思なのか。それとも私がさいぜん申しましたように、円満にするためには、多賀委員というものを一ぺんやめてもらつて、橋本厚生大臣と日医が約束したように、また日医を通じておやりになるのか。それとも日医を納得させて多賀さんを認めさせるのか。何かそこに具体的なことがなければ、これは軌道に乗らないわけです。運転手のいない協議会が動いているのだ、こういうことが雑誌に書かれているわけです。第二段の方の御説明になりました六月十九日の結核治療指針の問題については、これはあとでまた質問をいたしますが、一体軌道に乗せるにはどうなされるつもりなのか、こういうことをお尋ねしているわけです。
○渡邊国務大臣 あなたの御質問は、中央社会保険医療協議会のことをさしているのだと思いますが、これはやはり私どもできるだけ早く話し合いの場を作るような努力をいたしたい、かように考えているわけでございます。
○滝井委員 その話し合いの場というのができないのです。というのが、日本医師会に言わしめると、団体自治を侵したのだ、そんな団体自治を侵した厚生省と話し合いはできない、どんな大臣がかわろうと話し合いはできませんぞという声明を発しているのです。そうすると、そこに何か条件を作らなければいかぬ、何か趣向を変えなければいかぬ、今まで通りではいかぬ。それを大臣どうされるのか。まず第一に軌道に乗せなければならぬのは、私はこの点だと思う。日本の医療行政、大臣がここにおあげになっている国民皆保険制度というものを順当におやりになる、あるいは環境衛生を整備せられようとするならば、やはり保健所や末端の医師の協力を得なければならぬと思います。そういう点で、具体的にどうして軌道に乗せられるのか。話し合いの場を作るといってもなかなか話し合いの場ができないのが現実です。話し合うためには、話し合いの条件が要るわけです。だからそこらをどうお考えになっているのか。私は厚生省の幕諸君は、大臣が就任されたならばこれを一番先に協議をしておるのだと思っておるのですが……。
○渡邊国務大臣 目下その方法につきまして、鋭意研究中でございます。
○滝井委員 本会議のベルが鳴りましたので、私はまだたくさんの重要な問題を御質問いたしたいのですが、あす診療報酬並びに薬価の小委員会が正式に開かれますので、この質問はそこに受け継がしていただきたいと思います。これは小委員会でございますから人数は少うございます。しかし大臣、でき得べくんば都合をつけてそこにおいでを願いたいと思います。そして委員長は藤本捨助さんだったと思います。そういう方面に非常に関心を持っておる議員が特に集まつてやるのでありますから、少し問題をこまかく、腹を割つた討議をして、この行き詰まつている日本の、いわば医療保障に重要な役割を演ずる医療協議会の問題にやはり一つの打開点を見出さなければいかぬと思うのです。そういう意味で、ぜひあす小委員会に大臣出ていただくことを要望して、きようはちょっとこれで終つておきます。
○永山委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後五時一分散会 ————◇—————