国土総合開発特別委員会 第2号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/07/03
会議録
○寺島委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。理事志賀健次郎君、理事丹羽兵助君及び理事亘四郎君より理事を辞任いたしたいとの申し出がありますので、これを許可し、その補欠選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺島委員長 御異議なしと認め、 島村 一郎君 野田 武夫君 二階堂進君を理事に指名いたします。 —————————————
○寺島委員長 次に、村上北海道開発庁長官、大森北海道開発政務次官より発言をいたしたいとの申し出がありますので、この際これを許します。北海道開発庁長官村上勇君。
○村上国務大臣 ごあいさつ申し上げます。 私、今回はからずも北海道開発庁長官を拝命いたしたのでありますが、もとより不敏不徳でありまして、この重責を果し得るかどうか、いささか不安であるのであります。しかしながら、この北海道の重要性にかんがみまして、あくまでも私の総力をあげて勉強して参りたいと思っております。幸いにして練達堪能な委員皆様方の御支援によりまして、このふなれの私がこの職責を全うさしていただきますならば、非常に仕合せに存ずる次第でございます。どうぞ今後ともよろしく御指導、御鞭撻のほどを切にお願い申し上げまして、はなはだ簡単でありますが、ごあいさつにかえる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○寺島委員長 北海道開発政務次官大森玉木君。
○大森政府委員 今度私がはからずも北海道開発政務次官に就任いたしましたので、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。 私はもとよりあまり利口な方でもないのであります。しかし、これから一つ勉強して、そうして北海道の開発の重要性にかんがみまして極力その任を全ういたしたい、かように考えております、さらに今後皆様方の御支援、御鞭撻がまことに多いことと思うのでございまして、この点も何とぞよろしくお願いを申し上げます。私は今後は一そうの努力をいたし御期待に沿いたい、かように考えておりますので、どうか将来よろしくお願いいたします。(拍手) —————————————
○寺島委員長 これより国土総合開発に関する件について調査を進めます。 この際、さきに四国地方に実情調査に参りました竹谷源太郎君より発言を求められておりますので、これを許します。竹谷源太郎君。
○竹谷委員 私ども数名の本委員会の委員は、去る六月八日から八日間、四国地方の実情調査に参りまして、その調査報告につきましては、委員長の手元に文書をもって差し出してございますので、参考のためこれを会議録に掲載されるよう、委員長においてお取り計らいをお願いいたしたいと存じます。
○寺島委員長 ただいまの竹谷君の御要求の通り、これを会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○寺島委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○寺島委員長 この際御報告申し上げます。本委員会に参考送付せられました陳情書は、北海道東北開発事業の拡充強化に関する陳情書外八件でありますが、さよう御了承願います。 —————————————
○寺島委員長 次に、菅野経済企画庁長官より発言を求められておりまするので、この際これを許します。経済企画庁長官菅野和太郎君。
○菅野国務大臣 このたび私は経済企画庁長官に就任いたしましたので、この機会に所信の一端を申し述べて各位の御協力をお願いしたいと思うのであります。 長期にわたるわが国経済の安定的発展をはかり、あわせて国民生活の安定と向上を期するためには、長期経済計画の推進とあわせ、経済、社会、文化等の諸施策の基盤となる国土の総合的な開発をはかることがきわめて重要であることは、今さら申し上げるまでもないと存ずるのであります。 従いまして、経済企画庁といたしましては、国土総合開発法等に基きまして各種の開発計画を策定実施中でありますが、国土総合開発は、計画の段階から実施の段階を通じて、常にわが国経済との関連に留意しつつ、総合的に、かつ効率的に推進することが必要でありますので、実施官庁である各省間の事業調整に努めつつ今日に至っておる次第であります。さらに、最近とみに注目を集めつつある既存の鉱工業地帯の整備の問題につきましては、その発展を阻害している交通施設、用水、土地などの隘路の打開に努めますとともに、経済発展のおくれている地域に対する道路、港湾等、交通施設を中心とする産業立地の整備をはかり、資金面におきましても、地域間の均衡ある発展に資するよう配慮して参る所存であります。このほか、離島振興等寸につきましても、国土総合開発の一環として十分配慮して参りたい所存であります。 つきましては、委員各位におかれましても、国土総合開発の重要性にかんがみまして、今後とも一そうの御協力を切望する次第であります。(拍手) —————————————
○寺島委員長 竹谷君より発言を求められておりますので、これを許します。竹谷源太郎君。
○竹谷委員 私は、簡単に企画庁長官に一、二御質問しておきたいと思います。 まず第一に、今国会における総理大臣の所信表明の最後に、今経済企画庁長官が述べられた経済の安定的発展と成長という問題について述べられておった。これは非常に抽象的で、きわめて短かい、言葉足らずの所信表明でありますが、とにかく、新しい要素を織り込んだ長期経済計画を樹立して、経済の適切な発展と国民福祉の向上とをはかっていきたい、こう言っておるのであります。ところで、参議院の選挙中に、岸総理は、所得倍増論を述べられた。その後あまり言わなくなって、そしてこの所信表明では倍増というようなことは具体的に出ておりません。しかるに新大臣の、ことに経済閣僚の新聞記者に対する談話もしくは発表においては、あるいは十年間に倍増する、十年以内にこれを倍増するなど、いろいろのことが報道せられ、また、閣議においてもこれが議論になって、そういうような政府の計画が確認されたかのような報道がなされておる。それから本会議もしくは委員会における答弁においても、それを裏書きしておるのであります。この問題の主管大臣はあなたでございますが、政府の長期経済計画に関する方針は閣議でどの程度の決定をみたのであるか。これは国土総合開発上きわめて重要であり、また密接な関連を持つものであるので、この際ただしておきたいと思います。
○菅野国務大臣 総理の所信表明並びにその他の会合における所得倍増論、長期計画と申しますか、について、いろいろ本会議などでも御質問があったのでありますが、総理の所得倍増論という意見については、私も同感であります。総理は、十年計画というように最初話されておったと思うのでありますが、本年度における経済成長の情勢から見ますと、十年たたなくとも所得倍増ができるのではないかというような予想をわれわれといたしましてはいたしたのであります。従いまして、十年計画という言葉も長期計画という言葉にかえたのでありまして、それは、所得を倍増するがためには何年かかるか、十年かかるか、あるいは十年以内でできるか、あるいは都合によっては十年以上もかかるかもしれませんが、とにかく一日も早い方がいいのでありますからして、その計画を立ててくれという総理の言葉でありましたので、目下私の方で、この所得を倍増するについてはどういうような計画を立てていくべきかということを立案中であります。まだ具体的にその案ができないのでありますが、この前五カ年計画の案を立てましたときも、大体二年用意がかかっております。従いまして大体その五カ年計画の案を参考にし、また目下経済企画庁では三十年後の経済展望について研究いたしております。それの中間報告が大体本年度末か来年の春ごろにできるのじゃないかと思うのでありますが、それも参考にいたしまして、そしてこの所得倍増の長期計画を立てたい、こう存じておるのでありまして、まだ具体的にその案ができ上っておるわけではありません。立案せよということについての総理からの指令があった次第であります。
○竹谷委員 この経済の成長発展の問題は、単に総理ないし経済閣僚だけの所管事項にわたるのみならず、およそ国政全部に関係する問題であり、各省庁全部に関連を持つものであるので、岸総理が個人的に、経済企画庁長官に案を立てよ、こういって命令を出しただけなのであるか、それとも、閣議として、政府の方針として何らかの経済成長に関する政策なりあるいは計画なりの決定を見たかどうか、それを私は具体的に尋ねておる。
○菅野国務大臣 この所得を倍増するについて長期計画を立てよという命令があったのでありまして、私どもで案ができますれば閣議にかけて、そしてもちろん、これは農林省、通産省、大蔵省、建設省、各省もみな関係がありますからして、そこで各省と今後はいろいろ打ち合せをして、そして具体的な案を立てるということになると思うのでありまして、今申し上げました通り、私どもでどういう方法で今度案を立てるかということを目下研究中でありますからして、これができ次第閣議にかけたい、こう考えておる次第であります。
○竹谷委員 そうしますと、これは政府の政策ではなくて、行政官庁間の、あるいは総理大臣と他の所管大臣との間の一つの内部的なやりとりにすぎない、話し合いにすぎない、それは何ら政府の政策としてまだ決定はしておらぬ、こういうことでございますか。
○菅野国務大臣 それは総理の所信表明にも言われております通り、所得倍増の長期計画を今度立ててやるということを言明されておりますからして、これはもちろん閣議でみな承認したことであります。従って、もちろんこれは政府の政策としてやることであります。
○竹谷委員 そうすると普通の官庁のいろいろな事務を一応立案してごらんなさいというものであって、ある政策を内部的に考えてみろ、企画庁の仕事であれば、企画庁長官から局長なり課長に、こういうことを一つ考えてみて内内の案を作ってみてくれ、こういう意味と同じようなことを総理大臣が企画庁長官に話をした、こういうことですか。
○菅野国務大臣 企画庁長官個人じゃない、閣議で私に話があったのでありますからして、個人的に私に話があったのとは違います。なおそこで総理がこういう所得倍増論という意見を持つに至ったのは御存じの通り、今経済企画庁で案を立ててもう実施して二年目になるのでありますが、あの五カ年計画によりましても、大体十年たてば一・八八倍になることになっておるのであります。でありますから、現在の五カ年計画でさえも、十年たてば大体二倍近くの国民所得になるという予想ができておるのであります。そこへ持ってきて昨年からの日本の経済が非常な発展をしてきたのでありまして、これは本会議でも申し上げたことでありますが、たとえば昨年の昭和三十三年度における鉱工業生産物の増加率が大体〇・七%と予想しておったのが、昨年の実績を見ますと、三・一%の増加になっておるというようなことで、最近日本の経済の発展が非常に躍進しておるということからして、これは五カ年計画でも、当然十年たてば一・八八倍になるのであるから、今の経済の躍進ぶりから見れば、おそらく十年たてばもう倍増はできるのではないか、そういう予想を総理は大体いたしたと思うのです。そこで所得倍増論という意見が出て、そしてそれについて現在の新しい日本の経済の躍進をもととして一つ新しい計画を立てたいということを考え出された。われわれ一同もそれに賛成をいたしまして、それでは一つ所得倍増についての計画を立てようということで、閣議でみな承認した次第であります。
○竹谷委員 そうすると、この問題は、経済を伸ばす計画の案を作ってごらんなさい、こういうことです。そんなことなら、何%かずつ国民所得は、明治以来、戦前においても四%、その後はかなり高い率で成長してきた実績があるので、その数字を当てはめて計算さえすればすぐ計画はできるので、何も政府がそういう計画を立ててみろとかなんとかいうことを、まるで確定的な政策のように国民に誇示するということは実際おかしいことなんです。これは長期経済計画の見通しを作るだけのことであって、六・五%ならば十年間で一・八倍くらいになる、七・二%ならば二倍になる、九%なら三倍になるとか、これは算術をすればすぐ出てくるところのものであって、そんなものは政策でも何でもない。一つの官庁内部における立案にすぎないのであって、その立案を、あたかも当然それができるんだ、岸内閣がやれるんだというような印象を与えるような言いぶりをすることは、これは行き過ぎで、いたずらに景気過熱といいますか、それを助長するだけで、何のことはない。政府が政策として述べる場合は、こういうふうにやってこうしてやるんだというところでそれが初めて政策と言えるのであって、計画を算術の上でそろばんをはじいて、あるいは今日は電子計境機を用いますし、あるいは科学的な手段方法がありまして、それは産業連関表とか、あるいはリニア・プログラミングとか、その他いわゆる経済学の算術で計算する方法は幾らでもある。そんな計算は政策ではありません。所得を倍にするには、財政についてはこれこれ、金融についてはこれこれ、産業の設備投資についてはこれこれ、公共事業はこれこれ、国土開発はどのようにやる、その結果このように成長するという政策によって経済成長が行われたら、初めてそれは政策と言えるが、自然のままで発展してそれを計算するだけでは、これは政策とは言えない。官庁の事務にすぎない。あなたの今の答弁を承わると、これは単に政府の腹の中の考えを計算してみよう、立案をこれからしてみようというだけで、一体どのような政策をやるのか、具体化しないものを、国民にいたずらに景気をあおるような、そしていい調子になって資本家などが過剰の設備投資をしたり、今金融正常化をやろうとするのに逆行するような経済上の事態を起す危険が非常に多いのであって、今あなたからお聞きしますと、十年なりあるいは五年なりのうちに日本の経済を倍に成長させるというような政策は何らないのです。電子計算機で算術を置くだけのことにすぎないならば、これはいたずらに人心を惑乱してインフレを助長する、あるいは経済界に混乱を来たし、非常に危険な、政府が国民を幻惑して迷わすところの言動と私は批評せざるを得ないのであるが、経済企画庁長官としては、安定的な、りっぱな健全な日本の経済成長をはからなければならない任務を持っておる。そういう立案をしなければならない、その政策の実行の中心とならなければならない所管大臣として、非常にこの問題は危険な政府の行動である。単に人気取りに言い出したようにわれわれは感じる。国民はそうは思わない。いたずらに浮華軽佻の経済的な思惑に走るといようなことがあれば、日本の安定的経済成長に非常に障害を来たす危険がある。そのいう政府の考えは、それを具体的にどのような政策によってやるかということをきめて、それを発表して国民の協力を求めるという方向でいかなければならぬのじゃないか。これは管野さんを責めるのではない。政府全体として、こういうことに経済閣僚がみな非常に調子に乗って、上調子な態度で新聞あるいは国会において言動を発表しておるということは軽率のそしりを免れないと思うのだが、学者であり、また十分科学的な研究と論拠の上に立ってこの問題の処理に当ろうとする企画庁長官としては困ったことだと思っていはしないかと思うが、あなたはいかがでございますか。
○菅野国務大臣 先ほど申し上げました通り、国民所得倍増論ということは、最初岸総理は十年という目標で言われたのでありますが、先ほど申し上げました通り、閣議では、十年もかからなくてもあるいはできるのではないかというようなことで、十年ということを削って、長期という言葉にかえたのであります。そこで、国民所得を倍増する——かりに十年といたしましても、十年に倍増するということが誇大妄想狂的なことになりはしないかというような御心配のようでありますが、それは先ほど申し上げました通り、五カ年計画でさえも一・八八倍になるのでありますから、それをとにかくもっと早く国民所得を倍増するようになり得るように、ことしにおいて経済事情が非常に伸展してきたというところから、こういう案が考え出されたのであります。そこで新しい経済力によって所得倍増の計画を立てるということであるから、もう目標がはっきりしておる。国民所得を倍増するという目標を立てるということはいいことで、一つの政策だと思います。これはたとえばソ連がアメリカの産業に追いつくために七カ年計画を立てる、あるいは中共が英国の産業に追いつくという目標で十カ年計画を立てるということで、それぞれ案を立てております。そこで、国民所得を倍増するということについて、どういうように——たとえば農業なら農業の方のどういう政策を取り入れればそれができるか、あるいは財政計画をどうしていくかということは、これから研究することでありますが、大体これは可能であるという見通しをつけておるからこういう政策を立てておるので、これが初めから可能でないならば、それは岸総理といえどもこういうことは言い出さないと思うのです。これが二、三年前の情勢であると、国民所得を十カ年で倍増するということについては私自身も自信を持ちませんが、昨年からことしにかけての日本の経済の伸展から見て、これは必ず倍増ができるという、私自身もそういう自信を持っております。そこで、それによって一つこの岸内閣の新しい政策を立てていこう、従って、たとえばエネルギー資源の問題などもたちまち問題になると思いますが、今まで立てておるエネルギー資源の見方を変えて、今度は、国民所得の倍増というものについては、エネルギー資源の問題をどういうようにこれからやっていくかというようなことで、これから個々別に具体的に新しい政策を立てて、皆さんの御賛同を得て実施するという順序になると私は思うのであります。従いまして、今竹谷委員のおっしゃっておられることは、第二段としていくことであって、そこでそれぞれ農林省の政策、あるいは通産省の政策、あるいは建設省の政策というものができ上って、皆さんの御賛同を得て実施するという順序になっていくのであって、今のところでは、その国民所得を倍増することについての、そういう計画についての立案をしようということで、私の方で目下立案を考えておる次第でありますから、これによってまた具体的に政策を立てていくということに相なるというように思いますから、さように一つ御了承願いたいと思うのであります。
○竹谷委員 政策々々と言いますけれども、何ら政策じゃないのです。これは十年あるいは何年という期限ははっきりきまっていない。いつの日にか日本の経済が倍に成長することは当りまえのことで、そんなことならば政策でも何でもない。これは見通しにすぎない。それよりも、十年かかるところをこのような政策によって七年でなし遂げるとか、八年でなし遂げる、あるいは十年間で、普通の計算では二倍であるが、三倍にするにはこれこれをしなければならぬ、あるいは二・五倍にするにはこれこれということで初めて政策であって、見通しとして何年間の後には倍になるということを言うのは、政策でも何でもなく、当然の成り行きをただしゃべっているだけで、これを政策として誇示することはおかしい。逆にそれが経済界を悪い方に混乱させはしないか、こういうことが心配される。私はそれを憂えており、またそういう場当りのはったりのことは、百害あって一利ないのであって、そのためにこつこつと経済企画庁が膨大な金と人を使って、また学識経験者等を動員していろいろな研究機関を持ってやっておるのであって、それは当りまえのことである。それをことさらに、十年に倍にすると言うこと自体が、きわめて政治的である。害のないことであるならばけっこうですが、経済界に害を及ぼすおそれがあるのじゃないかということを心配する。その点全然害がないのかどうか、その点を承わりたい。 もう一つは、昨今の経済の発展の状況を見ると、これは十年で倍になるとおっしゃいますが、このことは何も今年だけで将来の十年を予測することはできないのであって、昭和三十三年度から三十七年度に至る五カ年の長期計画を六・五%としたところが、がぜん去年おととしはそれが非常に落ちてしまって、一・八%しか伸びなかったという事情もあるので、半年や一年の景気の状況によって十年間を予測するということ自体がおかしい。それからまた、一時何らかの世界的なあるいはその他の事情によって経済成長率が少いといってそう心配することはない。私どもは二、三年前から、十年のうちには倍になるということは当然予測ができたことであった。今年に入って初めてそうなったのであって、去年は青くなってしまって、五カ年計画が遂行できない、そういうことで、結局自然に経済が伸びていくことで喜んだり悲しんだりしておる。それよりも、確固たる政府の政策によって、十年間にこの政策によってこのように伸びていくのだ、こういうことで初めて経済成長に関する政策と言えるのであって、今こうだからこういう見通しができるということは、政策ではなくて見通しである、机上の計画にすぎない、こう私は思うのです。菅野さんはそれでもなお政策だと言うのか。一体これが政府としてやろうという具体的の政策と言えるかどうか。立案することそれ自体が政策だなんということは、こっけいにすぎない。これは事務にすぎない。日常計画を始終やって、大臣の命令を受けて、それぞれ局長や課長は、命令があればこれをすぐ出せるようにということで事務的な準備を整えておるのであって、そんなことは政策でも何でもない。それよりももう少し安定的成長ということを——池田プラス佐藤イコール安定的政治、片一方は積極、片一方は消極で、プラスして安定的成長となるというような答弁をしておりますが、そういうまやかしの抽象論で、そして将来をえがいた見通しに立った、単なる自然の発展の見通しから割り出して議論するということは、非常に具体性を欠いた、科学性のないことだ。そういうふまじめなことを、いやしくも一国の政府の政策として述べるということをせずに、もう少し具体化されたりっぱな案を持ち、その計画を実施するためにはこれこれの予算、これこれの財政措置、こういう事業をやる、こういうふうに持っていって初めて政策と言える。こういう観点から、企画庁長官としてはほんとうの腹はどうお考えなのか。こんないいかげんな経済問題の取扱い方でいいかどうか、もう一ぺんお尋ねしておきたい。
○菅野国務大臣 私は、やはり政治をとる上においては、国民に一つの喜びを与え、そして国民を激励するというような政策を立てることが、政党として必要ではないか、こう思うのです。岸総理が国民所得倍増諭ということを言われたのも、やはり日本人に一つの将来の再びを与え、そしてまた、各人のそれに対する努力を促すという意味で言われたと思うのでありまして、これは岸総理の心理を想像して申し上げておるのですが、そこでこの国民所得倍増論ということは先ほど申しました、不可能のことをただやたらに大げさに言うたとすれば問題でありますが、今のままほうっておいても一・八八倍になるのでありますから、それをもう少し速度をかけてやりたいというのであります。今のままでいけば十二年で国民所得が倍増になりますが、それを十年なら十年、あるいは八年なら八年で国民所得が倍になる、それには国民がこれだけ努力をしなければならぬ、産業方面でこういう努力をしなければならぬというように示していくのが私は政治だと思うのです。でありますからして、ただ自然のままにほうっておけば、今お話の通り十二年で今のままでも国民所得は倍になる。しかし、それよりももう少し一歩力をかけてやっていくというところに政治の行き方があると思うのでありまして、そういう意味で岸総理が発言されたと思いまするし、私の方も、先ほどから繰り返して申し上げておりますが、経済企画庁で最近における経済の躍進の調査を見ても、国民所得の倍増ということは決して不可能じゃないというように、もう数字的に言えると考えられます。そこで、岸総理から立案せよということでありますから、立案してもできないことであればお断りしますが、私はできるという確信を持っておりますから、そこで私の方で目下いろいろ立案をいたしておるのであります。立案によって、具体的ないろいろの政策などはまた追って各省から案が出されることと思うのでありますが、私の方はただ案を立てるところでありますから、案を立てて、その案によって、通産省なり、あるいは大蔵省なり、あるいは農林省でいろいろな計画を立ててもらうという段取りになると思いますから、どうか私たちの案ができるまでしばらくお待ちを願いたい、こう存ずる次第であります。国民所得の倍増ということが、インフレを起したりするようなことであれば、もちろん、それを抑えることはわれわれの政策としてとるべきであります。従って、安定成長という意味は、インフレを起さずしてわれわれの生活の向上することがねらいでありますから、国民所得を倍増いたしましても、インフレになって物価が倍になれば、何も役に立たないのであります。そういう意味で、一つ国民の生活の向上ということをねらってこの国民所得倍増の計画を立てていきたい、こう考えておりますから、その点において皆さん方の御協力を特にお願い申し上げたいと思うのであります。
○竹谷委員 どうも管野さんは、政治家として、あるいは学者としての良心に基く答弁をなされない。平行線をたどっておりますから、この程度にいたしますが、要するに今の質問応答ではっきりしたことは、これは経済の見通しなんだ、それに多少の修正を加える、そのときに初めて政策として出てくる。十年間に一・八八倍、これが二倍になるというのは、そこに新しい政策が入らなければならない。そこで初めて政策ができる。それ以前は単なる見通しの立案にすぎない、こういうことがはっきりいたしました。だから、岸内閣は当然所得を倍増するという印象を国民に与えておるのは誤まりであって、一・八八倍には少くともなる。もう〇・一二%だけ伸びるように多少の修正を加えた案を作ってみたい、できればそれを政策にしてみたい、それが一年後になるか、三年後になるか、そのときに初めて政策というものが現われるので、まだ政策でも何でもない、ただ倍になりそうだという見通しにあるということだけははっきりいたしましたので、これはこれで質問を打ち切ります。 もう一つお尋ねをし、また経済企画庁長官の所信を伺っておきたいと思いますことは、昭和二十六年以来北海道の開発、引き続いて数年前より東北の開発の実施に入っております。そこへ九州、四国の開発もやらなければならないというので、院における決議もなされており、各党においてそれぞれの党内の九州、四国の特別委員会等もできて研究がなされておるのでございますが、さてそこで東北や北海道にあります北海道東北開発公庫、あるいは東北開発会社というような政府機関がございまするが、これの運営が、当初われわれが心配した通りなかなかうまくいっておらない。いろいろありまするが、根本は、これらの公庫もしくは会社の当事者に対して全権を委任する、しかし全面的な強い責任を持たして真に東北や北海道の開発のために心魂を打ち込んでやるという熱意にそれらの当事者が欠けておるのか、あるいは熱意が消滅するような政府の仕打か、いずれかによって、どうも活発な運官がなされておらない。それは人事の面においても、あるいは事業の実施会社、公庫の事業方針あるいは具体的の仕事の決定等に対して、あまりに政府の干渉が多い。事務官僚からも、また裏に政治のひもがついた小じゅうと的な干渉が非常に多くて、うっかりするとそれが発展をして汚職、疑獄の疑いが起ってくるような心配があるのであって、これにつきましては、歴代の企画庁長官にわれわれは厳重な注文をつけておるのでございますが、特にあなたは学者でもあり、良心的に、東北、北海道の開発のために真にこれらの公けの機関が全機能を発揮し得るように格段の御配慮を願いたい。そうでないと、かつての東北興業株式会社のごとく支離滅裂になってしまう。役人の古手の隠居所になってみたり、あるいはその運営がずさんきわまるものであって、一部の政治家の食いものになる。こういうような点について、北海道や東北の人々に非常な不満と不信の念がだんだんと起りかけておる。今にして悪の芽をふさいで、真に開発に役立つようにするのでなければ、こんなものはやめてしまえというようになりはしないかということを心配するのですが、この点について十分御検討の上、これらの施策がりっぱに所期の目的が達せられるように、十分御研究の上、適切なる施策と指示を与えて、りっぱに運営していってもらいたいと思うものですが、これに関する菅野さんの御見解を承わっておきたいと思います。
○菅野国務大臣 東北開発その他のことにつきましては、一応所管の局長から事情を承わっておるのでありまして、私の承わったところにおきましては、非常に順序よく運んでおるようであります。しかし今竹谷委員の御注意の点は、私としては十分拝承いたしまして、今後私も実態についてなおよく検討していきたい、こう存じておる次第でございます。 —————————————
○寺島委員長 なお、岡部経済企画政務次官より、一言ごあいさついたしたいとの申し出がありますので、この際これを許します。経済企画政務次官岡部得三君。
○岡部政府委員 このたび私、経済企画政務次官に就任いたしました。つきましては、皆様方に今後ともよろしく御指導を願いたいと思いますし、また、私自身もまことにふなれなところに参りましたので、大へん皆様方にお世話になることと思いますが、どうぞ一つよろしくお願いいたします。(拍手)
○寺島委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十三分散会