外務委員会 第5号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/10/15
会議録
○小澤委員長 それではこれから会議を開きます。 国際情勢に関して調査を進めます。外務大臣から発言の通告があります。これを許します。藤山外務大臣。
○藤山国務大臣 私は先月十日に日本を立ちまして、第十四回国連総会に出席する目的を持ってニューヨークに参りました。その後ワシントンに参りまして、ハーター国務長官と会見をいたし、さらにメキシコで開かれております中南米の公館長会議に出席をいたしました。最後の一日を出席いたしまして、中南米に関する事情報告を中南米公館長より聞いた上で、さらにアメリカに参りまして、今回のフルシチョフ・アイク相互訪問の出発点に当っておりますこの時期におけるヨーロッパ各国の、ソ連に対する感触を聞いておきますことが、今後の外交運営に必要であろうと思いまして、メキシコからニューヨーク経由ベルンへ参りまして、ベルンでイギリス、ドイツ、フランス、ソ連等の大使を集めまして、ヨーロッパから見たこれらの状況についての意見の交換をいたして、去る四日帰朝をいたしたわけであります。 今回の国連総会は、比較的大きな問題がない総会ではないか、フルシチョフ。アイクの相互訪問を背景にして、そうしてそれを見守っていく総会ではないかというふうに一般的にも考えられておりました。ただその間に問題となりますものは、アルジェリア問題が相当の議論の対象になるというふうにも考えられておったわけであります。御承知のように総会直前に、ラオスがラオスの問題につきまして国連に提訴をいたしました。この問題は、あるいは総会を通じて相当の問題になる問題ではないかと思われましたが、国連が調査団を出すことによりまして、一応事態の収拾を遂げましたので、今後の調査団の報告等に基きまして、どういう措置をとり、あるいはどういうことを国連自身がきめて参りますかということは、今後の問題になっております。そういう状況でありますので、当面一番の問題はやはりアルジェリア問題と相なると考えておりましたが、御承知のごとく十六日にドゴール大統領がラジオを通じまして大統領声明を出しました。その声明は、すでに皆様方御承知の通り、従来認めておりませんでしたアルジェリアの完全独立ということを三つの解決案の一つとして認めたと思える声明をいたしたわけであります。でありますから、これを端緒にして、何か話し合いのうちに問題の解決をはかっていく道が開けたという感じが、国連の内部における全体の感じでございます。また同時にFLN側におきましても、この問題につきまして、このドゴール声明を手がかりとして何か新しい方法を考えるという議論もあったようであります。従いまして初め非常な激しい論争を予想されておりましたのが、今後実際問題の解決の方法をどういう段階を迫って進めていくかということを、ドゴール声明を手がかりにして、あるいは出発点としてと申しますか、考えていくというような状況に心持が動いて参っておるわけであります。 そういう状況でありまして、今回の総会といたしましては、現在特に激しい論議を呼ぶというよりも、むしろ実際問題の解決の方向に国連としてのどういう考え方をするかということになっております。ただフルシチョフ首相が総会におきまして、軍縮に関する演説をいたしたわけであります。同時にフルシチョフ首相は、その後にその問題を国連に提議するということで、締めくくりをいたしたわけであります。ソ連代表団からは、軍縮問題全般についての議題を提案して参ったこと御承知の通りでございます。国連内におきましては、率直に申し上げて、フルシチョフ首相のこの演説に対しては、相当みんな多大の期待を持って予期いたしておりました。それを賛成すると賛成しないとにかかわらず、何か画期的な意見というものがあるいは出るんではないか、反対の立場からいっても画期的に、賛成の立場からいっても、何か目新しい議論が出るんではないかというような予想をいたしておりましたが、フルシチョフ首相の演説そのものは、必ずしもそういう特別な反対を呼び起すような目新しいもの、あるいは賛成を呼び起すような目新しいものというようなものが特に出なかったことはあの演説全体をお読みいただいて、そうだと思います。従いましてその意味においては、もう少し何か言われるんじゃないかというような期待に対しては、若干期待に反したような感じを持ったことは事実でございます。 ソ連が決議案を出しましたが、御承知のようにソ連はパリティ方式による軍縮委員会というものを主張いたしまして、その意見が英米側にもいれられて、十カ国委員会というものができました。これが国連のワクの外におきまして、委員会が進行していくという形になっております。国連側におきましては、むろん実際の軍縮問題は、十カ国委員会等で大国が話し合わなければ、ほんとうに解決しないということは考えておりますけれども、しかし軍縮自体の問題につきましては、やはり世界大戦に影響を持つ問題でありますので、従って国連内のいわゆる小国と申しますか、多数国においても、その成り行きについては注目しなければならぬということは当然のことであります。従って十カ国委員会ができて以来の趨勢として、あるいはパマーショルド事務総長にオブザーバーとして十カ国委員会に出席してもらう、あるいは十カ国委員会の進行、審議状況を絶えず国連に連絡してもらうとかいうような意味において、国連側における希望がありましたことは御承知の通りであります。従って今後国連内におきましても、当然軍縮に関するソ連提案を基礎としていろいろな論議が行われると思いますけれども、要は、決定的な意見を国連内できめて、十カ国委員会に押しつけるというよりも、十カ国委員会の決定を見ながら、それに対して批判をしていく、あるいは関連の問題については意見を吐いていくという立場に国連としては進んでいくのではないか、こういうふうに私ども見ております。 なお、日本は今回経済社会理事会に立候補いたしました。昨年の秋以来、本年末をもちまして安保理事会の非常任理事国を退任することになりますので、国連の何らかの機関に貢献することは、日本の立場としても適当であり、しかもそれは経済社会理事会という理事会が、一番現在の日本の立場からいって、国連活動に貢献し得るのではないかと考えましたので、昨年以来立候補の意思を持っておったわけであります。たまたま本年六月にインドが経済社会理事会への立候補をいたしました。御承知の通りアジアからパキスタンが出ておったわけでありまして、パキスタンの後任として日本が立候補いたしておったのでありますけれども、さらにインドが立候補いたしたわけであります。そこで、インドはすでに信託統治理事会の理事国に当選して活動しておられます。二つの理事会に出るということも、必要ではございましょうけれども、しかし、日本は経済社会理事会だけにすでに立候補しておるのであるから、なるべくならば話し合いの上で日本を推してもらうようにという話はインドといたしましたけれども、インドにおきましても諸種の事情もあったようでありますが、最後まで競争しよう、むろんこれらの国連内における諸機関の役職員あるいは構成についての投票の際には、それを競争したからといって特に何か両国関係に非常な影響を及ぼすような問題ではございませんし、プェア・プレイのもとに競争することも必要なことでありますので、両国ともそのままのよき了解のもとに、経済社会理事会の席を争うことになったわけであります。御承知の通り先般の投票におきまして、第一回、三分の二はインドも日本もとれませんでした。六回投票後にインドが辞退することによって、日本は当選することになったわけであります。 なお副議長に立候補いたしておりましたけれども、これは委員会の委員長割当の関係もございまして、アジア関係でいろいろ問題がございますので、日本としてはその立候補を取りやめました。その結果として委員会委員長の割り振り等が円満に参りました。この委員会の委員長等は、日本が副議長の立候補を辞退いたしましたことによりまして、全部無競争で行われることになりました。その意味におきまして、副議長の立候補を取りやめることになりましたことは、国連加盟各国の好感を呼んだと考えております。以上が大体かいつまんだ国連に関する報告であります。 次に、八ーター長官とワシントンにおきまして会見をいたしました。安保条約に対する基本的なわれわれの考え方をバーター長官に、昨年ダレス長官に申した通り話をいたしますと同時に、国際情勢その他フルシチョフ・アイクの相互訪問というような点につきましても懇談をいたしました。 なお、日米間には、今日経済問題で若干将来、アメリカも大統領選挙の年にもなりますし、また日本の輸出商品等の急激な輸出増加ということもあり、また対米貿易がほぼバランスをつくような年になって参っておりますので、日本品の輸出に対しましていろいろアメリカ内におきましても今後諸般の問題が起ってくることがあり得ると予想されます。それらの問題について十分懇談をして、ワシントン政府の対処を希望したわけでございます。 メキシコに参りまして中南米国公館長会議に出ました。日本と中南米各国との間には政治的には特に問題はございません。主として経済関係の問題をいかにして増進していくかという問題でございまして、それらの点につきましては、中南米二十カ国の間でいろいろ経済事情も違っております。従って日本の経済協力、あるいは提携、あるいは輸出貿易の振興等については、それぞれの国の経済事情で、インフレーションの起ってきておるような状態の国もございますし、そうでなくて石油等の関係で非常にインフレーションではないけれども高物価であるというような国もあります。それらの実情に対応して今後日本の経済外交を展開して参らなければなりませんので、それらについての現地大使の十分な意見を聞いて参りました。あわせて移民の関係につきましては、今日中南米と相当緊密に話し合いをして参らなければならず、また御承知のごとく日本の移民の諸君が非常に忠実に、あるいは芦のような出かせぎ的立場でなくして、十分その国のよき市民として活動するようになってこられておりますので、従ってそれぞれ受入国の成果も逐次上ってきておるように思われます。でありますから今後日本移民を送り出します問題等につきましても、むしろ相当な受入国側における希望もあり、あるいは受入国側も日本移民を歓迎し得るような状況にもなってきております。これらについて対それぞれの国におきます移民の援護措置なり、あるいは日本の国内からよき移民を出しますための現地側から見ましたいろいろな希望条件等も聞いてきたわけであります。それらは公館長会議を通じていろいろ事務的にも議論されたのであります。政治的問題としてもそういう問題を聞いてきて、今後に善処する材料を得たい、こう考えたわけであります。 なおアイゼンハワー及びフルシチョフ首相の相互訪問ということは、ちょうど私が向うにおりましたときにフルシチョフ首相がワシントンに着かれたのであります。アメリカとしては今日までいろんな人がソ連に行ってみて、そしてどうもフルシチョフ首相がアメリカの実情なり、あるいはアメリカの国民生活の状態なり、その他考え方というものを十分知ってない、誤解も相当にあるようだ、従ってある時期には一ぺんフルシチョフ首相自身を呼んでみることが、それらの誤解があるとすれば解き得るゆえんであり、そういう信頼を得、アメリカを視察させることが至当であろう。ことにミコヤンがアメリカに行ったその結果は、必ずしも悪くなかったというような考え方もございます。その上に立ちましてアイゼンハワー大統領が特に何か問題を解決するために会見するのでなくて、広くアメリカ一般を見てもらいたい、それがやはり将来の基礎となるという立場で招待されたように思います。従ってアイゼンハワー大統領としては、アメリカ国民のこの点についての指導と申しますか、国内に対しては、自分が呼んだ賓客であるからできるだけ丁重に、できるだけ親切に、また視察の個所その他等についても各地できるだけ希望に沿えるように見せて、そうして交歓をしてもらいたいという考え方のもとに、アメリカの世論に訴えておったと思います。でありますから、一般的にフルシチョフ首相に対して非常な厚遇をした。また希望があるところはできるだけ見せるようにしたということであったと思います。このフルシチョフ首相の訪米というものが、むろんアイゼンハワー大統領がさらに訪ソをするということによって一体になりまして最終的結果は出てくるということにもなろうと思います。がしかし、今日までのところ、むろんアメリカ国民の最初の印象というもの、ワシントン空港に着いたときの状態は、何と申しますか、こわいもの見たさといいますか、おっかない人がどういうふうにいろいろあれするだろうかというような興味はあるけれども、何かおっかないというような、そうしてどういうことだろうというような心配をして迎えたと思います。特に空港におきます月ロケツトの問題についての説明は、相当にアメリカ国民を刺激したように思います。その後フルシチョフ首相は月ロケットの話をほとんどしておりません。そういう点については、フルシチョフ首相も、アメリカから自分が呼ばれているという意味におきまして——むろんフルシチョフ首相のことですから率直にいろいろ議論もし、あるいは時にけんかになるくらいな激論もしておりますが、同時にアメリカ国民に対してやはりアメリカのいいところは相当ほめているというようなところもあるのでありまして、そういう点についてはフルシチョフ首相もアメリカにおいてなかなか、いわゆるそつなく行動をしておられたように思います。従って一般的な印象からいえば、そうした空気の中で回られまして、そうして帰りがけには、何か一般的印象としても、これはよかったことだ、こういうことがやはり相互の不信感を除去するに役立っていくのだ、まあ何と申しますか、非常におっかない、何かこわいのが、普通というか、そうおっかないわけでもないのだというような印象は一般に受けたと思います。 ゲッチスバーグで最後の二日間話をされたわけであります。どういう話をされたかということは、これは非常にむずかしい判断の問題だと思いますが、しかしわれわれが承知する範囲におきましては、共同声明あるいは両巨頭のプレス・コンフアレンス等を通じて見まして、その問題の焦点に当りますものがベルリン問題を中心としたドイツ問題であったということは、間違いないようであります。他の問題については時間がなくてそう十分な話し合いはできなかった、まあおそらく第一回の会合としてはそうだと思います。またわれわれの推測し得る範囲内におきまして、アイゼンハワー大統領は、ソ連が昨年十一月に提議した期限付のああいうベルリン問題解決に対する案というものは、またその期限が延ばされはいたしましたけれども、ああいう期限付のような威嚇的な立場においては、この問題の話し合いには入れないのだという立場をとられたのであります。しかし究極よく話し合った結果、ソ連側も期限をつけることをやめた、アメリカ側も期限はつけないけれども誠意を持ってこの問題に取り組んでいくというから、決してごまかしでなく安心してもらいたいということで、御承知のような期限をつけないということをソ連側が認め、またソ連側もアメリカが期限をつけなくても誠意を持ってそれを話し合っていくという点だけは、ある程度事実そういうふうに結論がついたと思われております。むろんこれを共同声明に載せる載せないで若干の意見の食い違いはあったようでありますけれども、終局の相互の記者会見において、その点をある程度明らかにしているというような形で落ちついたように聞いております。そういうことでありまして、その点今回わずかに二日間であり、また目的が何か問題を解決するためにアメリカに呼んだのではないのでありますけれども、ゲッチスバーグの会合自身の中で、少くともベルリン問題に対する話し合いの糸口が見つかった。またそういうこと自体が外相会議、あるいは巨頭会談への道を開いたのだということで、一般的には成功であったというふうに認められておるわけであります。そういうような状況で、今後これらの空気をいかにして進めていくかということが、それぞれの両巨頭なり、あるいはドイツ問題にすれば、その関係国の問題であろうかと存じております。大体ヨーロッパから見ましてもその相互訪問自体は適当だった。ただドイツ方面から見ますと、ベルリン問題は自分の問題だ、アデナウアーがつんぼさじきのままで二人だけで話をきめられたのでは、自分の国の問題がどうきまるにしても困るというような感情から、従って何が話されたかということについては、相当心配をしております。ことに何か東独の問題ともからんで若干の理解が進められておるということがあるとすれば、それは大へん心配なことだというのがドイツ側の見方、またドイツとフランスとの関係からいいましても、フランスはそういう点について関心を持っていると思います。イギリスとしますと、マクミラン自身が二月にソ連に行っております。従って、これはむろん選挙等もありましたから特にそういう強い言い方で、自分がソ連に行ったことがこの道を開いたのだから、おれの道を開いた功績は高いものだということをしきりと選挙戦を通じて言っているような状況でございますから、相互訪問については相当に好感を持って見ておるようでございます。以上簡単でありますけれども御報告を申し上げます。
○小澤委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。岩本信行君。
○岩本委員 北鮮帰還問題でお尋ねするのですが、その前に一つお尋ねをしておきたいことがあります。きょうの委員会へ、渡邊厚生大臣の出席を五日前に要請しておいたわけでございますが、問題は厚生省管轄の仕事として重大な北鮮帰還問題、あるいは災害対策問題、援護施設の問題等々、非常に重要な案件があるわけでございます。しかるに何か出張をしたということでございますが、ようやく開かれた外務委員会、しかも急を要する問題ということで要請をしておいたのに、きょうは出張だということですが、国権の最高機関である国会での質問に対しては、出席して答える責任がある。その場合に、きょうの出張というものは次官とか局長とかしかるべき人があると思うのだが、国会への出席以上にきょうの厚生大臣の出張というものは重要性があるものかどうか。そしてまた正式の通告に対して、委員長に了解を求める措置があったかどうか。こういう点、それからもしその間に了解も求めずに出ておる、こういうことであれば、委員長としては今後どういう措置で政府に対応していくか、こういう点についてまずお尋ねをしたいと思います。 同時に日赤ですが、これは参考人でございますけれども、日赤の今日置かれておる重要な立場、こういうことで日赤自身は大活動をしなければならぬし、国会その他国民全体の協力を必要とするときにおいて、五十分たってもいまだに出席がない、これらについても、今この時間の現在においてどうなっておるか、ここをまずお尋ねいたします。
○小澤委員長 私からお答えしますが、御承知の通り五日前に通告がありまして、所定の手続をとった事実は相違ありません。しかしながら今日の旅行については何ら話がありません。これをどうするかという問題についてはよく事実を調査した上で適当に善処したいと考えております。 日赤の問題は、今副社長は各公使を所要の問題で訪問しておるそうであります。その用件を済ました上で必ず当委員会に出席するという答えになっております。
○岩本委員 副社長だけを要求しておるのじゃなく、むしろ社長を要請したのであって、これまた実に残念な行き方だと思いますから、今後御注意をお願いいたします。
○小澤委員長 承知しました。
○岩本委員 そこでお尋ねを申し上げますが、日赤関係もございますが、それに対する政府のお考えを聞きたいと思います。だんだんの各方面の努力によって北鮮帰還というものが実現することになったわけでございますが、今日事実上は停滞しておって、一つも進行しない、こういう姿にありますことはきわめて遺憾でございます。そこできょうはまず当然のことではございますが、当然のことながらどうしても尋ねておかねばならないことがございます。それは今回の帰還ということについては、ジュネーブ及びカルカッタの協定、こういうものを政府及び日赤は順守するということに間違いはないと存じますけれども、この際その点を必要上はっきりさしておきたいと存じます。お答えをお願いいたします。
○藤山国務大臣 むろん国際赤十字との関係、あるいはカルカッタにおける協定に調印しました以上は、それを重んじ、また準拠してやることは当然でございます。
○岩本委員 そのことはきわめて当然であります。しかし今日朝鮮民主主義人民共和国の赤十字会が日赤の「帰還案内」は協定違反だ、こういうことで通告がきておりますが、それに対する日本側の見解はどうあるか、この点は日赤でないと答えられませんか。
○伊關説明員 この点につきましては、おそらく本日くらいに日赤の見解が北鮮赤十字に対しまして電報で打たれることと思います。私から大体の問題点につきまして申し上げますと、いろいろの点を北鮮赤十字の電報はあげておりますが、一番の問題は三つぐらいございまして、一つは意思の確認ということをなぜやるか、これが協定違反である。それから新潟センターにおきまして、出港直前に国際委も立ち会いましてもう一度意思の確認をやる、これも協定違反になる。それから見送りとか面会等の制限、ガイド・ブックでは禁止というふうな言葉が使ってございますが、これが協定の精神に反するというふうな点、この三つが重点になっておるかと存じます。 意思の確認ということにつきましては、これはおそらくその中身につきましての議論があるんじゃないか。北鮮側が考えております意思の確認ということは、なぜ北鮮に帰るかという動機、どういう事情でもって北鮮に帰るかとか、あるいは思想系統がどうであるとか、過去においての犯罪経歴があるかとかいうふうなこと、あるいは南か北か、本籍を尋ねるとか、親類がどっちにおるか、そういうふうなことを意思確認の中身というふうに北鮮側では考えておるんじゃないか。日赤の方はそういうことは考えておらないのでありまして、意思の確認というのは、要するに日本にとどまることも、北に帰ることも、南に帰ることも自由である。そういう三つの道があって、これを自由に選んでおるかどうか。それから、一たん自由意思で選びましても、また自由にこれが取り消せる、こういうことが徹底しておるかどうかということを日赤としては考えておるのであります。ですから、中身にむしろ食い違いがあるのではないか。そういう点について、十分今度の電報で説明いたすことになろうと存じます。 それから意思の再確認という点につきましては、これは最初にやりまして、また出発直前にやるわけでありますが、これはある意味におきまして、日赤から見ますと念を押すという点もございますし、もう一つ国際赤十字というものが、この日赤の機構の運営が適正であるかどうかということを確かめるという使命を帯びているわけであります。その運営が適正であるかどうかということは、自由意思が確保されているかどうかというのが一番重点でございます。そうしてそれを確かめます唯一のチャンスといたしまして、国際赤十字は現在二十数名の人が見えておりますが、これが全国の窓口というものは三千幾らございますので、それを全部回って一々見るというわけにも参りませんので、そこで出港直前のその最後の意思の再確認を日赤がやりますときに、これに立ち会って、そうして最初と同じような意味におきまして自由意思が確保されておるかどうかという点を日赤が再確認をしますのを見ておりまして、これを確かめる、そういう意味が一つあるわけであります。 それから、その次の見送りとか面会とかいうような問題は、現在の情勢が実力でもって帰還運動を阻止するというようなことも伝えられておりますので、これはもっぱら帰ります人たちの保護、秩序の維持という観点からきめられておるのであります。ですから情勢が改善されまして、帰国者の保護とか秩序の維持ということに支障がないというふうな事態になりますれば、おのずから取扱い方も変ってくるのじゃないか、こういうふうに考えております。
○岩本委員 ただいまの御説明及び従来の経過を見ますと、見解の相違の生じたおもな点というものは、まず第一は日本側でありますが、日本側は安全保護あるいは秩序維持、こうしたことが過敏になり過ぎておるという点にあろうと存じます。しかしながら今アジア局長の説明にありますように、たとえば面会、外出——意思の確認の問題は重大でございますから別の問題といたしましても、安全が保たれ秩序が維持できる、こういう形のもとにおいては、ああいうふうに断固いけないというふうに書いてありますと、これは行き過ぎであろうと存ずるのであります。従いまして情勢に応じて修正し得る、こういうことにいくならば話は別になろうかと存じます。また北鮮側の食い違いは、主として人権主義あるいは人道主義毛こういうことに対する拡大、要するにそれの理想点の頂上をいく、こういう点において食い違いがあろうかと存ずるわけでございます。しかしながら冒頭申し上げましたように、何とかその誤解のすべてを一掃いたしまして遂行ができる、こういうところに持っていかなければならない、かように存ずるわけでございます。その解決策といたしましては、とにかく「帰還案内」というもの、私どもはこれは帰還手続のいわゆる解説のようなものであろうと思うのであります。帰還業務手続の解説、こういうふうに考える場合においては、その解説が誤まりとられる場合においては何べんでも修正していっていいのじゃないか、行える方行える方へと修正していっていいのじゃないかというふうに、いわゆる「帰還案内」というものは法律でもない、親則でもない、要するに業務手続の解説、こういうふうに私どもは考えまして、その通りに解するわけでございますから、従いまして、運営上こうすれば順調にいく、ただし協定には違反しない、こういうことであれば、あの「帰還案内」というものは適当に時期に応じ、秩序に応じ改めてよろしい、こういうふうに解しますが、その点に対するお考えはどうですか。
○伊關説明員 「帰還案内」と申しますものは仰せの通り法律的な意味という点から申しますと、それほど重きを置くべきものではないと思います。日韓間の協定、これは非常に大事なものでございます。これに対する説明にすぎないと存じますが、ただし私はこの「帰還案内」そのものを変えなければならぬという議論につきましては、これはごく簡単に書いてございますので、その読み方にもよるのじゃないかと存じますので、必ずしも変えなければ先ほど私が申し上げたような点がはっきりしないということではないのじゃないか。面会、外出等の点につきましても、これは裏を読めばそういうふうな意味も出て参ります。この際特に変えなければならないというふうなこともなく、実際面でもって問題は解決するのじゃないか、こういうふうに考えております。
○岩本委員 必ずしもあの文書を変えろということではなく、あそこに書かれてある、この面はこういうふうに解するのだ、こういうことで、要するに解説の解説というものを次から加えていけばよいのだろうと思うので、そういう方向に持っていっていただきたいと思うわけでありますが、いわゆる意思の確認ですが、これの点について、たとえば案内所を私どもが見ましても誤解を生む点があるわけです。それは国際委というものは、日赤の機構そしてその機構の運営というものが適正であるかどうかというのを監察する、こういうだけの立場であろうと思うわけでございます。しかるに国際委が再確認をするんだ、こういうふうにあの案内書を見てもとれるのであります。それは非常な誤まりでありまして、あくまで再確認が悪いといたしましても、かりに日赤がやるのだ、こういうことにはっきりすれば、これは非常に違ってくると思うのでありますけれども、とにかくあの案内書を見ますと国際委が再び確かめる、こういうようなふうにとられるのありますから、そういう点ははっきり誤解がないようにいずれかの方法ではっきりすべきであると、かように存じます。従いましてすべてを総合いたしまして、しからば今のような誤解を解ける方法、それから納得をしてもらえる方法、それらについて政府としてはどういうふうに今後をやっていくか、こういうことについてのお考えをちょっと漏らしていただきたい。
○伊關説明員 この「帰還案内」を見ましても国際委がじかにやるというふうにとられるようには書いてないんじゃないかと存じますが、実際のやり方といたしましては、国際委がじかに質問をするというふうな形はとりません。日赤がやるのでありまして、国際委はそれに立ち会っておるという形になるわけでございます。
○岩本委員 見る人によって違うと存じますけれども、国際委があたかも再確認をするごとく書いてあるわけです。たとえば赤十字国際委員会代表が同席するのは、日赤の登録機構によって、帰国者が、みずからの自由意思に基いて帰国を決定する公正な機会を得たかどうかを再び確かめるものである。こうありますから、アジア局長の答えるように解してもできないことはないし、また国際委が再確認するごとくにもとられるわけでございます。これらはいずれの方法でか、はっきりと誤解を解く必要があろうと存じます。たとえば特別の一室、こういうことが誤まり伝えられまして、密閉された一室だというように考えておるわけでありまして、特別の一室というようなことは、これは誤解を招く、誤解を製造する行き方だと思うのであります。すなわち、静ひつな環境においてこういうことになればおのずから解決すると存じますが、それらをおしなべて、いずれにしても納得のいける手段、こういうものに最善の努力を払っていただきたいことを私からは申し上げておきます。あとで帆足君からそれらの点についてさらにお話があると存じますから、私はこの程度にとどめます。 次に厚生大臣代理の方もおいでですから厚生対策についてお伺いしますが、生活困窮者がすでに仕度をして衣類などすべてを取りまとめて出発の態勢にある。しかしながら不幸にして初めての船で帰れるというものが二月も三月もおくれるということがあるいは起るかもしれないという今日の状態において、そういう特に生活困窮者に対するところの援護策を今からあらかじめ考えておられなければならない。たとえば冬に向って外套もない、そういうような面について、ただいま援護策をとっておる方法と及び今後のそれを強化する考え方についての厚生省としての意見をまず承わりたいと存じます。
○河野説明員 私ども日赤と緊密な連絡をとりつつ準備をして参っておるわけであります。先ほど外務省からお答えがございましたように協定の正文並びに趣旨に従って極力誠実にその業務を進めたい、こういう考え方で今まで参っておるわけであります。今お尋ねのように早まっていろいろな準備をしてしまうということになりますと、お互いに困ったような事態が生ずるおそれがございます。そういうことのないようにということで府県、市町村を通じましてお話をいたしておるわけであります。私どもといたしましては、定められた通りに送り出しができるという態勢で準備いたしておるわけであります。その態勢に乗っからないで別の手段を選んだというふうなことでございますれば、これはおのずから別の問題でございまして、帰還の問題それ自身としてはちょっと扱いにくい問題である、生活困窮者云々の問題、ことに生活保護法の適用を受けておる方々の問題につきましては、それぞれ生活保護法で引き続き援助ができる、かように考えておる次第であります。
○岩本委員 十分な援護対策でありますから、さらに一つ強化していただきたいことをこの場合に申し上げて要望しておきますが、たとえば今年度予算としても三月まで生活保護費が計上してある。だからして生活保護を受けておる人が帰るのであるから、そういうものを繰り上げてもそういう費用に振り向ける、こういう手段について考える考え方はないか、この点を一つ。
○河野説明員 生活保護法を直接私は所管いたしておりませんので、お答えするのはいかがかと思いますが、私ども承知しておりますところでは、予算がかりに一定額計上されておりましても、生活保護は生活保護の体系において処理するということになろうかと思いますので、特別にそのために繰り上げるというふうなことでなしに、むしろ生活困窮の実態に応じて措置をするというふうなことになるのではないかと考える次第であります。
○岩本委員 地方自治体は、その自治体に現実に朝鮮の諸君が住んでおる。そうして現実にその地方自治体の居住地から引き揚げる、こういうことで非常に理解を持ち、同情を持ち、援護資金等を計上して払い出してもよろしいと考えておる団体があるわけです。ところがもしこれを計上すると、これは富裕県である、富裕な市であるということで起債をかげんされるおそれが多分にある。そこでそういうようなことになったなら痛しかゆしでもって、援護の精神は十分あるけれども、計上することにちゅうちょする、こういうことを言うわけでございます。これに対しては外務省が答えるわけにもいくまいが、とにかく厚生省としていわゆる援護問題であるからして、この起債関係その他についてそういうことのないようにということを責任を帯びて交渉してもらう、そういう用意があるかどうか、この点をお伺いしたい。
○河野説明員 私ども常識的に判断いたしまして、そういうふうなことを地方自治団体でやったがゆえに富裕県であるとか、富裕市町村であるとかというふうな理由で、今後の起債その他の措置を考えるということはあり得ないのではないだろうかというふうに考える次第でございます。なおこの点につきましては自治庁ともよくお話し合いをいたしたいと思います。
○岩本委員 あり得ないのじゃないかといったって、ほんとうにあるのです。そこで一つよく折衝する、けっこうなことでございますが、これはきょうにも折衝してもらう。こういうことでないと、地方自治体は実はちゅうちょしている。現実に自治体の人から聞いたわけでございまして、折衝された結果はどうなったかということをお答え願いたい。 そこで日赤の総務部長がおいでのそうでありますから一言伺いますが、朝鮮民主主義人民共和国赤十字会というものが協定違反だとして指摘して参りました。その電文の中に、四月二十二日のジュネーブにおける会談においてのことが書かれておるわけでございまして、いわゆる意思確認の問題でございますが、四月二十二日のいわゆる交渉のあり方、たとえば日赤はどういっで、北鮮赤十字会はどういったんだ、意思確認の問題でございますが、その日のやりとりだけについてちょっと御説明願いたい。
○小澤委員長 この際お諮りいたします。北鮮帰還問題について日赤副社長葛西君及び帰還総務部長小沢辰男君を参考人として出席願うことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。日赤小澤帰還総務部長。
○小澤参考人 葛西副社長が参りましてお答えを申し上げなければいかぬのでございますが、けさからいろいろ問題がありますので、大へん失礼とは存じますが、私かわりましてお答えを申し上げたいと存じます。 四月二十二日の第五回会談につきましては、それまでに実は意思の確認というような言葉なり、その内容なり、その意味なりをめぐりましていろいろと折衝があったことは御存じの通りでございます。二十二日の第五回会談におきまして、とにかくその内容を確定して、この問題にピリオドを打ちたいというような北鮮の代表からの提議がございました。それが第五回の意思確認をめぐっての会談でございます。 その際に北鮮赤十字の方の言いましたことは、意思の確認ということでわれわれが反対をしてきたのは、次のような四つの内容を持つ事項をいろいろと問いただすというようなことでは、絶対に賛成できないのだということを申したのでございます。その内容と申しますのは、帰国希望者の帰国の動機であるとか、あるいは帰国の理由であるとか、あるいは彼らの思想であるとか、そういうことは問いただすことをしない。それから第二番目に、帰国希望者の故郷はどこであるのか、すなわち出生地はどこであるか、あるいはまた親戚はどこにいるのか、それが北半分か、南半分かというようなことについても、これも聞かない。それから第三番目に、帰国希望者が所属しておる組織、すなわち日本においていろいろな組織があるが、その組織に所属している、そのどういう組織に所属しているかは一切問い合せたり問いただしたりしない。それから四番目に日本の法律に違反したために処罰されたことがあるようなその経歴の有無をいろいろと問いただしたり質問したりするようなことはしない。この四つの事柄を内容とした確認というようなことは、絶対にわれわれは了解できないというようなことでございまして、それに対しまして私どもの代表の方から、あなたがおっしゃるような、今申し上げました一から四までのようなことは絶対にわれわれが問いただす意向を持っておりません。そういうようなことを内容とした意思の確認ということを今までいろいろと申し上げたり議論したり要求したり主張したのではないのですということをはっきり申し上げまして、ただ日本が今までいっておったのは、日本に残りたい者、あるいは朝鮮の北鮮なりあるいは南鮮なりに帰りたいというような、そういう自由意思だけをいろいろ念を押すといいますか、問いただすといいますか、確認するということであったので、それで差しつかえないのか。もしそうであるならば、あなたの今言われたことは全くその通りだというふうに私どもも同意いたしましょう、こういうふうに申し上げまして、それでこの問題については終っておるのでございます。 なおその際に、意思の確認という言葉の問題につきまして、北朝鮮の代表の方から、この言葉は実は自分たちの方では非常に評判の悪い言葉である。だからその言葉をあまり使わないで、実務手続というような言葉にしてほしいというようなことが希望といいますか、そういうことがございましたが、われわれの方では、いや、しかし意思の確認の内容がそういう内容であるというふうに両者で一致しておるなら、この言葉は私の方ではいろいろな意味で誤解を与えないようにするために必要なことなんだから、ぜひその点は日本の方で使うことを考えてもらわなければ困るということを、私どもの代表からお答えをいたしたのでございます。そうしてこの五回会談におきまして、意思の確認の問題というものはその内容をはっきり両者で定義することによって解決を見たのでございます。そのときに、終了後も異口同音に、これが早くわかっていたならば問題がなかったことだったということで両者談笑裏に終ったように私どもは記憶いたしておるのでございます。
○岩本委員 四月二十二日の話し合い、四つの事項はやらない、それ以外の方法では自由意思なりやいなやを尋ねる。こういうことで、ただし確認という言葉は使ってくれるな、しかし私どもの方の日本としては言葉はどう使うかわからぬが、そういう意味で、その他のことについては尋ねます、こういうことで了解がついている、こういうお話でありまして、ついておるとするならばこの間のような電文は起らないものと考えるわけでございますが、そういうわけであるならば、朝鮮赤十字会に十分納得がいくような努力を払われたい、かように存じます。 私の質問は一応終ります。
○小澤委員長 帆足計君。
○帆足委員 ただいま岩本議員からるる申し上げたことに対する政府の答弁を承わりますと、よほど問題の解決に進む面もありますけれども、なおかつ不十分と思われる節もあるように印象を受けたのでございます。今次の十万をこえる在日朝鮮人の帰国の問題は、民族の大移動ともいうべき大きな仕事でありまして、藤山外務大臣が人道の見地からこれに踏み切られたことは、政府にとりましても白星であったと、だれしも党派を越えて批評している問題でありますから、ぜひとも人道と人権の見地から円滑にこれを実現するようにしていただきたいし、特にこの困難な課題は、過去の日本軍国主義の落し子ともいうべきものでありまして、過去の植民地政策の跡始末という点から見るならば、朝鮮の諸君がいろいろ申されようとも、日本国民としては、一種の贖罪のような気持も含めて、この問題を円滑に、また友情をもって解決するという態度が望ましいと私は思うのでございます。特にこの矛盾に満ちた国際情勢と、また矛盾に満ちた運命の中で苦しんでおる隣邦の友に対しては、南北いずれを問わず、その国民に何の罪もないわけでありまして、国際的矛盾の中に苦しんでおる友人に対して、与党の中からもこれに理解と同情を持たれまして、政府と折衝をして御努力されておる岩本議員のような方もありますし、また当外務委員におきましては、多くの同僚議員の方々がこうして問題解決のための時間を作っていただいておるということも、われわれ感謝にたえぬところであります。日本に、民間にも、政府の意見で間違っておる点や不十分なところがあれば、やはり義人がいて、天野屋利兵衛がいて、その解きほぐしに努力するということは必要なことであって、政府が何もささたる施行規則にとらわれて、官房長官が談話を発表されたり何かしなくても、外務委員というものがあって、その外務委員の審議を通じて、論理的な質問や要望に対しては、やはり厳粛な態度で日赤や政府当局もこれを参考にされる、またその声を聞かれるということは、私は民主政治の要諦ではなかろうかと思うのでございます。きょう厚生大臣がお見えにならないことはまことに遺憾であるということを岩本議員から御注意申し上げましたが、われわれも全く同感でありまして、また日赤に対しましては、やはり同じく出席を要請しておりましたが、正式の参考人としての手続がなされてなかったかとも思いますが、委員長におきまして御注意下されれば幸いと思います。 この問題は人道と人権に関する問題でありますから、まず外務大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、岩本議員が申されましたように、ジュネーブ・カルカッタ協定そのものをどうこうしてくれというならば、私は言う方が無理であろうと思います。もしそういうことが起ったならば、官房長官が声明を出されるということも私は至当なことであると思う。あの協定を読みますと、さすがに御苦心の跡もあって、ジュネーブ・カルカッタ協定は、だれが見ましても、これはおそらく李承晩さんが見ましても公平になっておると思います。従いましてジュネーブ・カルカッタ協定に対しては、この大原則に対しては、——その大原則の趣旨は人道と人権の問題でありますが、これはゆるぎなきものと私ども考えておりますが、外務大臣もそのようにお考えになっておられるか、それともあの原則に不満があるから、多少その原則も直したいというお考えであるか、一応そのことを伺っておきたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 今回の問題は、御承知のように居住地選択の自由という国際通念に基きます考え方からして、これを取り上げて参ったわけでございまして、国際赤十字を通じての日赤当局と北鮮赤十字との話し合いにおきましても、その原則を貫いて両者合意に達したものと思っております。従ってあの協定自身が、当時も今も別に特に不適当なものとは政府としては思っておりません。
○帆足委員 外務大臣のただいまの御答弁はまことに満足であります。ただそれを日本の現実の事態に適応させる、法律でいえば施行細則のような問題であろうと思う。そうであるとすれば、この「帰還案内」は、岩本議員の指摘しましたように、ガイド・ブックほどのものにすぎない。従って実情に即して、この原則がよく適応できるように——これは複雑な環境の中における集団帰国の問題でありまするから、政府並びに日赤がよかれと思って作りましても、また思いがけないところにちょっと行き過ぎがあったり、また無理があったりすることも当然でありましょうから、私は、日赤がもう少し、人道は自分の専売特許のようにお考えにならずに、朝鮮人世話人側の声も聞き、また帰国協力会には岩本議員並びに各団体の代表もおって協力しておるわけでありますから、内面連絡をよくすればこういうことにならなかったと思う。日赤の諸君は、ややもすれば、自分らは蒸溜水の中において仕事をするから、民間の諸君の声は雑音である、あれはばい菌であるというような、独善的な傾向がなかったとは、私はいえないと思う。島津社長は、あのように見識のある、いわば英国型良識のある紳士でありまして、だれしも尊敬しておりますが、日赤のあとの連中は昔の小役人であって、どうも小役人が少しちょろちょろし過ぎるというのが一般の世論でありますから——笑ったりなどしないで、これは大きな問題なのです。今年におけるビッグ・フアイブの一つくらいになるほどの、政府としては大きな仕事なのですから、もう少し厳粛な態度で世論の声に謙虚に仕事を進めていただきたい、こう思う次第でございます。 そこで外務大臣にお尋ねいたしたいのは、ジュネーブ・カルカッタ協定を日本に適用いたします場合に、私は、過去の例において三つの例があると思います。一つは、戦争中の捕虜の送還の形式でございます。一つは、内乱下における、たとえばスペイン等における収容所の人々の強制送還の方式でございます。もう一つは、今度初めての例といわれておりますが、自由なる居留民の集団帰国のお世話をする、こういう仕事でありますが、外務大臣は、在日朝鮮人の大部分の方々を自由民とお考えですか、それとも単なる収容所的難民とお考えになっておりますか。普通の自由民とお考えになっておりますか。これは非常に重要なことですからお尋ねしておきたい。
○藤山国務大臣 この問題を当初より取り扱います場合、むろん今日日本が戦時下あるいは戦争状態にあろうとはだれも考えておりませんし、そういうことを考えて処置して参ったわけではございません。従って自由に生活している外国人が自分の行きたいところに行き先を求めるという場合に対処していくということであること、むろんでございます。
○帆足委員 在日朝鮮人を捕虜または強制収容所の収容者とお考えにならずに、現実に即して自由なる居留民であるというただいまの外務大臣の肯定的な御答弁に私ども満足をするものでありますが、そうしますると、これは、現在でも三々五々の帰国は自由でありまして、現に昨年のウィーン・フェスティヴアルのソ連船では十名の朝鮮の青年が帰国しておるのでありますから、自分の費用で帰るなら、今日でも自由でありまして、帰還協定もヘチマもないのであります。ただ集団帰国のお世話をするというところに、おのずから集団の秩序も必要ですし、保護も必要ですし、また多少の便宜も必要でありまするし、また集団帰国でありますると、それがやはり政治問題になって、摩擦を起すおそれがあるというので、これが人道の原則に即しておるということを国際赤十字に監察していただいて、そのモラル・サポートのもとに事を行う、私はこういう概念と思いまするから、はっきり外務大臣にお尋ねいたしますが、これは私はジュノー君に言ったのですが、あなたはスぺインの内乱の専門家である、スペインの内乱のときに活躍した専門家で、赤十字の方々は大体捕虜送還のエキスパートです、しかし朝鮮の居留民の方々はフリー・ピープルである、そう言ったらジュノーさんはフリー・ピープル、プリー・ピープルと卓をたたいて、彼も共鳴の意思を表明しました。最初からそれがはっきりしておりますれば、あとの問題は互いに協力し合えば、秩序と安全を保つ問題は緩急よろしきを得る運営の問題でございます。しかるにこの「帰還案内」を見ますると、確かに無理な点がある。前回も参議院の御答弁におきまして、良識ある外務大臣は、確かに「帰還案内」には行き過ぎのところがあると言われました。私は、これは率直な御答弁だと思う。行き過ぎの点は形式の点と内容と両方ありまして、形式の点から先に述べまするならば、英文で国際赤十字に提出したものと日本文との間に非常な隔たりがある。たとえば、最初の申請書のところで、英文では申請書を出したらやがて通知を差し上げますからお待ち下さいと書いてある。日本文はどう書いてあるか。申請書を出したあとは静かに待っておればいい。静かに待っていようと、晩酌で一ぱい飲んで待っていようと自由である。そういう余分なことが書いてある。最後のところでは、新潟の宿泊所にじっとしておるのは、そして外出できないのは、お前らは手続をするために来たのであって、見物するために来たのじゃないと書いてある。ところが英文には、国際的文献においては、そういう不作法なことは一言も書いてありません。英文ではただ、帰還手続等のたくさんの仕事があるから、それで外出はできないことになっておる、同時に、それは治安と保護のためにそのようになっておるのです、こう書いてある。私はそれにも問題はあると思いますけれども、英文の方がはるかによくできている。一体赤十字の連中は憎まれ口のエキスパートであるかどうか。何のためにそういうことを国際的文献で——汽車賃はおれが出してやったから、新潟にはお前らは見物に来たのじゃない、デパートにも行っちゃならないのは当りまえだ、そういう意気込みというものが、親切心の欠除というものが、この問題の紛糾を生んだ一つの原因であるまいか。 しかしこれは形容詞の問題でありますから、第二の問題といたしまして原則の問題に移ります。まず第一に、自由民の集団帰国ということになりました。それならば私は話はわかると思うのです。自由民の集団帰国でありまするから、政府として捕虜を取り扱うような無体なことはしてならない。しかし、そこにまた一人のけが人でもできれば大きな国際問題になりますから、そこに御不自由はあろうとも、秩序と統制と安全の保護というものが必要になります。それならば、その真心が通ずれば、帰国朝鮮人側の世話人も、朝鮮総連の諸君も、自治的に協力の態度を示してくれるものと私は確信いたします。そういう見地からこれを見ますると、まず第一に面会、外出は全然できないと書いてある。そのできないという意味が、福岡で汽車に乗りますると、おおむね大阪にたくさんの親戚がある、長年会ってないおっかさんがかけつけてきても全然面会ができない。それどころでなくて、日本の文章では一たび汽車に乗ったならば、もはや外部との接触は断たれることになる。私はだれしもこれはスリルを感ずると思う。一体ガイド・ブックというものは探偵小説の筋書きであるかどうか。私が同僚各議員の御了解を得たいことは、国情の違った遠くの国から電文で、しかも朝鮮訳でこれを読むとき、朝鮮の諸君が憤慨することも、良識ある諸兄には御理解を願えるのではないかと思う。もはや外部との接触は断たれることになる。これが英文ではどうなっておるかと申しますと、もはやという言葉は入っておりません。汽車に乗ってから親戚や友人に会えないことになっておるが、これはあり得べきトラブルから保護するためである、こうなっておる。日本文の与えるところの衝撃と英文との間に、これほどの隔たりがある。私は、朝鮮の諸君を保護して国へ帰そうというのに何を四の五の朝鮮の諸君がぜいたくを言うかという世論が、あまねくマスコミになっておりますことをまことに残念に思っております。これは他国の国民がいろいろ抗議を言うときには、何かわれわれと違う心理なり立場なり、また苦情があるのではなかろうかといって耳を澄ますのが、大国の襟度であり謙虚さでなければならない。従いましてわが外務委員会におきましては、こういう事実をよく調べまして、これはやはり良識ある外務大臣と相談して解きほごすべき課題である、このように考えましてきょうは時間をいただいて聞いておるわけでございます。 そこでまず第一の、もはや外界との接触は断たれることになる。これは人権擁護局に私は確かめましたところが、人権擁護局も明らかにこの日本文は、これでは行き過ぎのところがある、自分も法務大臣に話をしようと言った。法曹界の権威である前弁護士会会長の長野国助氏も海野晋吉氏も、自由人権協会も青年法律家協会も、あげて法律家はこれは行き過ぎである、こういうことではだれでも心配するであろうと言っております。従って政府が何らかの形でこの点を修正されるということは、当然のことであろうと思う。もしこの原文が、治安の状況や保護の状況などがあるから、状況の緩急に応じて、外出も面会も制限されることがあるであろう、しかしそれについては帰国世話人とも相談する、これならば私は良識ある言葉だと思う。しかるに何ごとぞ、一たん汽車に乗ったならば、もう大阪でも名古屋でも、おっかさんがかけつけても会うことができない。もはや外界と遮断されるであろう。これでは私はいけないと思う。こういうことで朝鮮の諸君が新潟の港を出たならば、石をもて追わるるごとくふるさとを出でし悲しみ消ゆるときなし、こういう啄木の歌とそっくりになると思う。この問題は、おおむね外務大臣が御理解下さったことと思いますから、次に移ります。 第二には特別な密室ということ。これも岩本議員が指摘された通りですが、外界から一切遮断されて、九州の果てから汽車に二日間ゆられて、今度は三泊四日の新潟の宿泊所では全然外に出ることもできない、のぞくこともできない、だれに会うこともできない、こうなっておる。そうして、あげくには特別の密室があって、最初に会う人間は、最初に会う人類は日赤が現われてくるであろう、こうなっておれば、これではブラック・チェンバー物語で、世にも不思議な物語ということになる。しかし英文ではそれほどになっていない。英文では特別の部屋で日赤の人が会って出国ビザを渡すとき、これが最後の手続である、こうなっておる。それならば私はまだ多少理解し得る。従ってこれは密室でなくして、開放された静粛な環境の受付部屋である。これが当然であると思う。受付部屋で出国査証を渡すからそのように心得てもらいたいというなら、話はわかる。それが特別の密室があって、そうして最初に会う人類は日赤であろうというような書き方はいけないと思う。そこでお尋ねいたしますが、先ほども特別の密室という解釈は承わりましたから、そういうことでない、密閉した部屋でないということは了承してよろしいものか、一言だけ、これは議事進行上確かめておきたいと思いますが、ブラック・チェンバーでないということを確言していただきたい。
○小澤参考人 新潟センターにおける、先生のおっしゃったような出国証明書を発行する手続の部屋は、決して密閉された密室ではございませんので、おっしゃる通りでございます。
○帆足委員 小澤君の答弁は大へんかわいらしいけれども、実際は現場に行ってみたら密室になっておりました。設計係も困っておりました。しかし聰明な政府の方から指令が来て、今や部屋の構造が変ったというようにラジオ録音でも承わりました。これはやはり日赤の怠慢であったと思います。最初からそうなっていたのではない。従って注意を受けるような不幸な結果になった。 それから、これも外務大臣が一カ月もお留守であったときのできごとですから、私はあえて外務大臣を責めるわけではございませんけれども、日赤がもっとしっかりすればこういうことにならなかった。問題はこうしてだんだん解決して参りましたので、今度は意思変更、意思再確認の問題ですが、これが一番御承知のように困難なことで、この言葉の定義については先ほどお伺いして非常に参考になりました。すなわち、再確認という意味は、一つは調査選別、根掘り葉掘り聞く、こういうこともあるでしょう。それからもう一つの意味は、単に手続の公正を保つために、これはあなたの意思ですかということを形式的に聞く。そして手続の公正をちゃんと整える、こういうこともあると思います。第三の意味は意思の変更がいつでもできる。これは自由意思でありますからフリー・チョイス。従いまして、もうこれで最後の手続ですが、意思の変更はありませんかという意味で確かめる。私は三つの場合があると思います。第二、第三の問題については、善意でなされることである限り、私は朝鮮の代表ともっと話し合ったらよかろうと思います。そしてまた問題点を掘り下げて、できれば了解し合う方法を発見する。第一の問題は日赤もよく御理解されて、そういうことはしないということになっております。私はここで御注意を促しますが、たとえば結婚の場合におきましても、キリスト教の結婚では牧師が、なんじこのおとめを愛するや、こう言う。愛するどころじゃない。もう千べんも接吻したあとで牧師に頼んだのに、何をけしからぬことをわれわれに再確認するかということもあるでしょう。その程度のことならば、話し合いで解決する。しかし、お前は何月何日にだれにそそのかされて接吻したか、あるいは言葉のうまいやつだから、うまく言われてお前は接吻したのであって、実際はうまくいかないのじゃないかなどと聞かれたならば、これは大へんよくないことだろうと思います。問題はこういう問題でありましょうから、そういう人の良心に傷を与えるようなことはしないこと。形式上の手続の公正を保つだけのことは、こういうことではいかがであろうということで、これも良識に従って話し合うならば解決すると思います。そこで結論といたしましてお尋ねいたしますが、最後のいわゆる密室がやめになりました。そしてこれは受付部屋で家族単位に、これが最後の手続です、よろしゅうございますか。またはこれで全部書類の手続は終ります。そして出国査証を渡すのですが、そういうことになるとするならば、国際赤十字が出てきて再確認について四の五の言うわけではなかろうと私は思う。これについては先ほどアジア局長から御答弁があったが、帰還協定に次のごとく書かれておるわけです。国際赤十字の任務といたしましては、前記の登録機構の運営が適当であるかどうかを確かめるよとにする。確かめるという言葉も登録機構が適当であるかどうかを再び確かめると書いてあるだけなんです。これは意思の確認とは私は書いてないと思うのです。それをなぜ意思の再確認々々々と言われるか、私は理解に苦しむ。そこで日本文を見ましたところが、日本文には主語が見当りません。一体赤十字は英語が下手くそかどうか。それなら英語の夜学校へでももう一ぺん通う必要がある。というのは、これは驚くべき訳語になっております。最後のところは、赤十字国際委員会代表が同席するのは、日赤の登録機構によって帰国者がみずからの自由意思に基いて帰国を決定する公正な機会を得たかどうかを再確認するためである。岩本議員が指摘されましたように、卒然としてこれを読みますと、帰国朝鮮人に向って国際赤十字が意思を確かめる。通訳は国際赤十字の通訳である、こういうふうな誤解を招くおそれがある。現にそのようにわれわれは過去においては理解しておったわけです。ところが英文を見ますと全く違います。英文を見ますと逆でありまして、赤十字国際委員会代表が同席するのは、日赤の登録機構によってと書いてないのでありまして、英文によりますと、主体となるのは日赤の登録機構でありまして、国際赤十字が代表するのは日赤の登録機構が、となっております。登録機構が帰国者にその自由な機会を与えておるかどうかを確かめるためである。こういうふうになっておる。従って国際赤十字が帰国朝鮮人をつかまえて四の五の言うのではなくて、日赤を監督するのです。監督されるのは小澤君の方であって、朝鮮の諸君じゃないのです。そういうふうにはっきりなっておるものをなぜこういうあいまいな表現をせられたか。これはおそらく悪意のない誤訳か訳文の不十分にすぎないと思います。従いましてこの問題については結局こういうことに理解してよいものか。私は英文に照らし合せて理解しますが、第一に、密室、そういうことではなくて、幽閉された部屋ではなくて、静粛な環境の受付部屋。それから赤十字国際委員会がやるのは朝鮮人を確かめるのではなくて、日赤の登録機構が適正に運営されているかどうかを確かめる。第三に、この部屋で行うことがはっきり書いてある。これが実際的には意思変更の最後のチャンスであろうが、そういう趣旨でここで出国査証を渡すと書いてある。従ってこれで手続の全部が終ります、よろしゅうございますか、そういう意味で、すなわち意思変更のチャンスは実際的にはまだあるのですが、機構的にはこの機会をおいてない、そういうことの注意を促して、そうしてそこで家族単位に静かに最後の出国査証を渡す。この私の今の解釈で疑義の余地はないと思うのですが、ただいま申し上げましたことに私の方に誤解があるかどうか、これを一つ確かめておきたい。
○小澤参考人 新潟に起きまして国際委員会の代表が立ち会いますのは、先生もよく御承知の通りと思いますが、赤十字国際委員会の第三条に基く任務を遂行するためでございます。しかしながら協定にもありますように、また協定の交渉の際に両者で合意をいたしておりますように、国際委員会の代表は実務には関与いたしませんので、従いまして直接朝鮮人の諸君にいろいろ問いただすことは全くございません。先生のおっしゃる通りでございます。「帰還案内」の文句もそういう趣旨でできておりますので、決してこの文句は赤十字国際委員会の代表が直接確認をするという解釈には私ども考えておらないのであります。もちろん日赤のやることが適正であるかどうかを確かめるわけであります。
○帆足委員 小澤さんのただいまの御答弁で大部分の難問は片がついたのではないかと思います。そうだといたしますと、この期に及んでその帰還問題のなれそめの初めはどうだこうだということをここで再確認する、こういう言葉も入っていない。ここで日赤が聞くとすれば何を聞くかというと、もし本人が帰国の意思を変更したいのならば、それが実際上最後の機会であるから、この場合にはその旨を日赤の代表に通知する必要がある、こう書いてある。このとき日赤は確かめなければならぬ。また親切心で言わねばならぬことは、これで手続のすべてが終ります、出国査証を差し上げますがよろしゅうございますか、そういうことであって、意思の再確認のことすら一言も書いてないのです。従いまして、この点につきましては、きょう電報をお送りになるときに、野党たるわれわれが行政官庁のする実務のことで三権分立ですからとやかく申しませんが、与党たる岩木議員に内面的に御相談になって、そうしてあやまちなからぬことを、きょうの外務委員会の結論をこれに織り込んでいただくことを私は御要望いたします。 ただいまのようなことで、最後には国旗の問題が残っておりますが、条文を読みますと、国旗のことについては、見送りの者とか、プラットホームに国旗を立てていいとか悪いとかいうことは一つも書いてない。これは良識の問題でありまして、オリンピックの選手を迎えますときにも、やたらに大きなものを立てて交通妨害になっては困りますから、その辺のところは世話人が駅長と相談して、良識に基いて行うことが慣例になっておる。ただ英文を見ますと、汽車に乗ってから国旗を差し出してはならぬと書いてある。大きな旗を差し出しますと、汽笛一声出ますときに、直ちに電柱にぶつかったりいたしますから、これは鉄道規則の問題である。ハンカチを振ろうと、ズロースを振ろうとそれは個人の基本的人権であります。ましていわんや国旗の問題は厳粛な問題でありますから、他人がとやかく言うべき問題でなかろうと思う。大きな旗を振り回したり、汽車の胴体に旗をくっつけるとすれば、これはいろいろなことの標識にもなりますし、また交通信号を誤まることにもなりますから、それは鉄道規則の分野であって、国旗の問題で他国の自尊心を傷つけるような発言をする必要はごうもない。これは外務大臣が御理解を持たれる以上、話し合いで解決する。ただいま来岩本議員から懇篤な御質問があり、また私どもから御質問しました趣旨によりまして、これならばよほど話し合いは進む可能性がある。もちろん国と国とが違います以上、意見の相違はありますが、それを同じ基盤の上で話し合いをする。何より大事なことは、今次の朝鮮人の帰国問題が捕虜送還でなくして、自由民の集団帰国方式であるということを外務大臣が本日の委員会において確言されたということが、問題を明るくするこれが根本であった。同時にジュネーブ協定を一言一句直そうと双方しておるのじゃない。ただ帰還案内というガイド・ブックを論議しておる。ガイド・ブックのことに椎名長官ともあろうおうような人物が、これは一言一句変えないということを——私はそう言うたとは思いませんけれども、うちの娘がお父さんラジオでそう言っておったわよと言っておりましたけれども、それはそんなことはない。何か聞き違いであろうと思う。従いましてあとの取扱いは、これは法律でもありません。施行規則でもありません。赤十字のお書きになった解説文にすぎないのでございますから、あとの取扱いのことは、またおとなたちの話として取り扱っていただくこととして、運用の面においては実際はどうなるのかということについては、先ほどの岩本委員の質問でだいぶ解決し、私の補充質問で、あらかた見当がつきましたので、これらの協力会とか、また社会党の中のこれに参加しておる僚友の人が、与党の方のこの問題に専門の知識を持っておられる岩本委員とかで、赤十字と相談いたしまして、そうしてまた朝鮮の諸君の帰国人世話人側の意見も聞いて、そして了解がつきましたならば、これを手続の上でどうするか、こういうことに持っていけば解決に近いのでなかろうかと思います。こちらの申すことだけを申したようでは恐縮でありますから、外務大臣から大体そういう心組みでやる。外務大臣も御理解下さることを御確言願いまして、最後にただいま二百名前後申請者があると言いますけれども、小さな船でもいいから送れなどということを葛西さんがよく言うのです。これが日赤の悪いくせでありまして、実際今、日本と朝鮮民主主義人民共和国の間には、まだ不幸にして国交の回復ができておりません。そのときには、県人会のような形で、外国へ行くと日本人会というものがあります。それが民間領事のような仕事をしておるわけです。従って朝鮮総連との双方の納得なくして、私は帰還船に多くの人が乗るということは困難だと思います。またその中にはニュースによりますと、出来高払いで金をちょうだいして帰るという偽装帰国者が相当の数まぎれ込んでおるということをさる筋が伝えておるようなことでございますから、こういうことを真に受けまして、万事これで第一船を出すというような非常識なことをお考えにならずに、ただいま来のような外務大臣の良識に従いまして、朝鮮民主主義人民共和国の赤十字と相互の理解をお互いに深くし、また帰国人世話人との理解も深くいたしまして、一つジュネーブの原則に従って、純粋の人道と人権の問題として当初の外務大臣の踏み切りの通りの御精神で解決していただくことを要望いたしまして、私の質問を終ります。
○小澤委員長 菊池義郎君。一応発言は許しますが、実は外務大臣は十二時半に所用があるということでありますから、そのお含みで御発言を願います。
○菊池委員 安保条約の改定について残された問題は、期限の問題だけですが、本日また首脳会談も自民党内において行われる模様でありますが、一般国民は、この問題について非常に疑問を抱いている。これくらい不可解な問題はないといって、問題にもならないことが問題のごとく取り上げられて、そうしてこれが党内の騒ぎになっておる。そのためにこれについても問題があるだろうかという疑問がますます深くなってきておるのでございますが、十年の期限内でも、一カ年の予告で改定の協議に入ることができるという一項というか、一つの条文でも取りつけてもらいたいというのがある一派の意見でありますが、それについてお伺いいたしますことはこの十年の期限内において、この条約を改定しなければならないような国際情勢の変化があり得るものと大臣はお考えになりますか、この点についてお伺いしたい。もちろん国際連合が強化されて、列国が相互防衛の条約を結ぶ必要はないなんというようなこともありますけれども、われわれはこれを予想することはできないと考えておりますが、そのほかに何か国際情勢の変化によって条約を変えなければならぬような事態が起り得る場合があるとお考えになりますか。
○藤山国務大臣 私といたしましては、自由民主党の内閣のことでありますので、五月二日の総務会の決定の線に沿って交渉を進めております。ほぼその意向に応じて交渉が妥結しつつあるわけであります。特に現在何か変更をしなければならぬというふうには考えておりません。
○菊池委員 社会党の諸君はほとんどみな親ソ、親中の諸君でありますが、わが自民党の中にも親米派があり、親ソ派があり、新英派があり、新独派がある。いろいろであります。もし私が親ソ派の議員であって、しかも自民党内の巨頭の一人であって、私が将来政権を握る見通しがついたといたしますならば、こういう問題については私は根強く食い下って、そうして必ずこの協議によるという条文を入れさせます。そうして米国との間に、自分が政権を握ったならば、直ちに交渉を進めて、そうして条約を改正して、中ソ両国が好むように改正して、さらにまたもしも自分が政権をとっておる最中に期限がきたならば、米国はいかにこの条約を継続しようとしても、絶対に自分はこの条約を結ばないというように踏み切ってしまって、日本を中立の立場に追い込み、そうしてソ連、中共の衛星国に持っていくというようなことをやるでありましょう。こういう点については大臣はどうか十二分にお考えになって、そうしてこの問題については絶対にある一派の主張のごときはいれるべきではない。断々固として自信を貫くべきであるど私は考えておりますが、いかがでございましょう。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げました通り、私といたしましては、総務会の線に沿いまして交渉をいたしまして、ある程度話し合いがついております以上、その線をくずそうというようなことは今考えておりません。
○菊池委員 そうしますると、その意見はいれる必要はないとお考えになりますか。
○藤山国務大臣 党内個々にどういう意見があるかにつきましては、いろいろ御意見があろうと思います。しかしながら、総務会の決定もございますことでありますから、それが変更されない限り、そういうものを交渉の対象にしようとは現在考えておりません。
○菊池委員 現在期限についていろいろ文句を言っておる人たちは、かつて安保条約の審議の際に青票を投じた人であり、また出席しないで棄権した人がまじっておるということを大臣は御存じでございますか。
○藤山国務大臣 当時青票を投じた方があるという由でありますけれども、個々の方々がどういう投票をしたかにつきましては、必ずしも十分詳しく存じておりません。
○菊池委員 総理が調印をかねてこのことについて調整すべく渡米するなんということは、不見識もはなはだしいものであると私は考えておるのでございます。世界の物笑いであります。そういうことは米国の感情を害すること、はなはだしいと考えておる。それで大臣といたしましても、このことについては総理に十分に進言していただきたいと思うのであります。 なお大臣は、前に、期限は十年となっておっても途中でもって改正ができるようになっておるということを言われたのでありますが、そういうことが新聞に載っております。あの条文の原案のどこからそういう解釈が生まれるのでありましょうか、この点をお伺いいたしたい。
○藤山国務大臣 原案に何か途中で改正するようなことができるようには書こうともまだ考えておりませんし、書いてもございません。おそらく本条約の文書作成の段階においては、書かないでいくつもりであります。ただしかし、両締約国の友好関係によりまして、事情が変ったからお互いに相談しながら変えていこうというのならば、いつでも変えていけるのでありまして、それは当然のことだと思います。現に現行の安保条約にいたしましても、話し合いのもとに改定をいたしておるわけであります。当然のことを特に書く必要はないと考えております。
○菊池委員 両国の合意によってこの条約を改廃することは自由自在にできる。それにもかかわらず、なおかつ条文の中にそれを書き入れる、その協議のことを書き入れるという真意が一体どこにあるか。掘り下げて考えてみると、先ほど私が申し上げたような、ああいったようなことを考えるほかに考えようがないことになるのです。それでありますから、こういう党内の意見というものは実に危険千万であると私は考えております。でありますから、こういう意見に対しましては、絶対耳をかす必要はないと私は考えております。 それから大臣は、砂川事件に対する最高裁判所の判決があるにせよないにせよ、政府は牢固たる信念を持って調印を急ぐべきであると考えておりますが、この点についてどういうふうにお考えですか。
○藤山国務大臣 条約交渉をいたしておることでありますから、条約が両者の妥結を見るに至りますならば、当然調印すべきでありまして、政府としても、憲法上の解釈等も今日はっきりしておりますので、安保条約が合意に達すれば当然調印すべきものだと考えております。
○菊池委員 なお念のためにお尋ねいたしますが、最高裁の判決は、地方裁の判決をくつがえすことはもちろんであると私は予期しております。万が一にも最高裁の判事連中の頭が左巻きになってきて、安保条約を憲法違反であるなんてきめた場合は、この条約の効力はどういうようになるのか、有効か無効か、そういう点について、どなたでもよろしゅうございますから御意見をお伺いしたい。
○藤山国務大臣 いかなる判決が出るかを予想して意見を申し上げることは差し控えたいと思います。
○菊池委員 これで終ります。
○小澤委員長 床次徳二君。
○床次委員 私はこの際、外務省に十分な検討を願いたいという意味におきまして、質疑を二点申し上げます。沖縄に関係している問題であります。 第一は、沖縄の周辺におけるところの米軍の演習場の問題でありまして、最近枕崎の漁業無線海岸局が傍受したところによりますと、沖縄の周辺に米軍の演習場が十四カ所に拡大されたということを電信では報じているのであります。ところが、今度演習場にされるという海域はカツオ・マグロ漁業の無二の好漁場でありまして、現在水揚げされるところの漁獲の大部分はこの地方に依存しているのであります。またそればかりではなしに、フィリピンまた台湾方面に出漁いたします場合におきましてはここを通るのでありまして、交通路としてやはり非常に大事なところでありまして、もしもここに演習場が設置されることになりますと、操業の禁止ばかりでなしに、南方漁場におもむくのに非常な不自由を受けるのであります。この点、カツオ・マグロ漁業の大きな障害になる。これは全国的な影響があるのでありまして、しかも近時、李ラインその他によって漁場の圧迫を受けている際におきまして、重ねてかかる圧迫を受けるということに対しましては、実に水産業界としては忍びがたいものであるのでございます。しかして問題は、この演習場の設置が米軍の一方的行為によって決定されて、そうしてラジオでもって放送されており、電信で放送されているという経過ということ、それがまことにふに落ちないのであります。演習場設置が大体どういう経過で設置されることになったのかということについて承わりたい。おわかりでなければこの点調べておいてもらいたいと思うのであります。 なおこの問題に対しまして、日本の水産業として、また地元の鹿児島県として、非常に大きな影響を受けるのでありますが、本来が公海でありまして、公海の自由を原則として持っておりまするところへ、またかかる漁場のあることを知りながら演習場を設置するということに対しましては、まことに納得のいかないものがあるのであります。すみやかにこの演習場は撤廃せられるように一つ交渉してもらいたいということが今日の重要なる要望であります。 なお、あわせてお願いいたしておきますが、これの撤廃方を要望いたしますにつきまして、それぞれの順序があると思うのでありまして、何分にも今日は単なる一方的なラジオの電信によって受け取るという関係でありますが、この点に対しましても、非常に慎重なと申しますか、十分納得のいく方法によりまして、その廃止方に対して手続をする必要があると思うのであります。仄聞するところによりますと、外務省にも非常におくれて通知が参っておったかのように承わるのでありますが、こういう点に関しまして、一つ今後漏れのないようにと申しますか、撤廃の趣旨が十分に立ちまするがごとき処置をすみやかにとっていただきたい。何分にも演習場の設置というものが目睫の間に迫っておりまして、多分十月の二十九日から始まるようでありますので、地元の漁業と申しますか、日本の水産業に影響のない処置をとっていただきたい。適当なときにすみやかに一つ御答弁をいただきたいと思うのであります。 それから、次に、やはり沖縄の問題でありますが、実は過般、沖縄に新刑法が実施されんとしておるのでありまして、これに対して非常な反響を巻き起したことにつきましては御承知の通りだと思うのでありますが、この新刑法が実施されるということ、そしてその内容につきましては、すでに論議になっており、今日関係方面におきましてそれぞれ検討中でありまするから善処されることと思っております。その実施が延期されておるということに対しましては、よく理解ができるのでありまして、すみやかに適切なる形においてこれが実施せられるよう要望しておりますが、この際特に伺いたいと思いますることは、この新刑法の実施に当って問題を起しました一つの原因といたしましては、言葉です。沖縄におけるところのいわゆる公用語が英語に限られておるという問題なのであります。今回の新刑法の実施に当って、日本文でもって訳された案文において英語と非常に異なるところの誤訳があった。その誤訳そのものも大きな紛争、誤解の原因になったということ。すなわち、逆にいわゆる公用語として日本語が使われておらなかったということが明らかになったのでありまして、この点に関しましては私ども非常に疑問を持つのであります。今日沖縄住民はことごとく日本語を使用している。米国関係だけが英語を使って、英語でもってやっている。占領行政中でありますならばいざ知らず、今日の時代においてなお英語のみが公用語として使われるということに対しましては、非常な疑問を感ずるのでありまして、この点に関しましては、当然日本語もあわせて公用語として使うべきものではないかと思うのであります。この点政府におきましても、すみやかにアメリカと折衝して善処されることが必要なんではないかと思うのでありまして、ただいま関係の責任者等がおられないので御答弁は困難かと思いますが、十分一つ御研究を願いまして、適当な機会に御答弁をいただきたい。何分第一の問題等は時間を急ぐものでありますので、その処置、てんまつ等につきまして、文書その他でもよろしゅうございますから御回答いただきたい。なお、これは当然善処していただいて、その要望の趣旨が貫徹せられますよう要望する次第でありまして、御答弁ができなければいずれあとでお願いいたします。
○高橋説明員 ただいま御指摘の点は直ちに研究をさしていただきまして、後ほど答弁さしていただきます。
○小澤委員長 この際お諮りいたします。先般李ライン問題を視察した派遣委員の報告を聴取いたしましたが、本日詳細な報告書が提出されましたので、本報告書を本日の会議録の参照として記載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定いたします。 それでは、本日はこれで散会いたします。 午後零時四十四分散会 ————◇—————