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32回国会衆議院1959/07/03

外務委員会 第1号

発言数
173
登壇者
14
会派数
2
開催日
1959/07/03

会議録

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 これより会議を開きます。  一言ごあいさつを申し上げます。  私は去る三十日に当外務常任委員会の委員長に選定されました。もちろん期待とか希望を持っていなかったのでございましたが、とにかく御好意に対しまして感謝を申し上げます。私は常任委員会の委員としては、大ていの委員会は経験を有するのでございまするが、当委員会についてはいまだ一回の経験もございません。従いまして外交問題についてはほんとうのしろうとでございますから、どうぞ皆さんの絶大な御指導と御理解を得て、この委員会の議事を円満に進行したいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)     ―――――――――――――

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 国政調査承認要求に関する件につきましてお諮りをいたします。  本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項について調査いたしたいと存じております。この旨議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 御異議はないようでありますから、さように決定をいたします。     ―――――――――――――

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 この際小林外務政務次官より発言を求められております。これを許します。小林政務次官。

小林絹治自由民主党外務政務次官

○小林政府委員 小林絹治でございます。このたび外務政務次官に任命されました。外交上のことはきわめてしろうとであります。どうぞ皆さんの絶大なる御指導をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。     ―――――――――――――

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 国際情勢等に関して調査を進めます。  外務大臣より発言の通告があります。これを許します。藤山外務大臣。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 本委員会の開催に当りまして、私から第三十一回通常国会以降の外交関係事項の経過について御報告を申し上げたいと思います。  私は去る五月十三日サイゴンにおもむきまして、同地におきましてベトナム共和国との賠償協定に調印をいたしました。ベトナム賠償に関しましては、政府といたしましてもすでにしばしばその所信を表明したところでありますが、元来ベトナムは桑港平和条約の当事国としてこれを批准いたし、同条約に基いてわが国に対する賠償請求権を有するものであります。しこうしてベトナム共和国政府はベトナム全体を代表する政府として、自由諸国のほとんどすべてが承認している政府であります。またわが国が正式の外交関係を維持しているものでございます。今回同国政府との間に調印されました賠償協定は、桑港条約に規定されましたわが国の賠償義務を履行するための協定にほかならないのでございまして、政府といたしましては右協定につき国会の十分な御審議を得る所存でございます。  なお先般ビルマ連邦政府より、日緬平和条約の再検討条項に基き、ビルマ連邦に対するわが国の賠償について再検討方を求めて参りました。政府といたしましては、ビルマに対する賠償額は他と比較して均衡を失しているものとは考えておりませんが、いずれにいたしましても、先方の言い分をも今後十分聞いてみるという目的で、最近ビルマ側と本件についての予備的話し合いを開始いたしておる次第であります。  私はベトナムを訪問いたしました後、カンボジア及びラオス政府の招きを受けましてこれら両国を訪れ、今後ともわが国との外交関係、経済関係を強化すべき方途につきまして、それぞれの政府首脳と懇談いたしたのでありますが、特にカンボジアにおきましては、わが国と同国との間の経済協力協定の実施細目につきまして合意に達しましたので、右に関する公文の交換を行いました。この結果さきに国会の御承認を得ました経済協力協定は、近く東京で批准書の交換を行いました上で、具体的実施の段階に入る次第であります。  五月末私は米国に参りまして、世界各国の首相、外相らとともに、ダレス米国務長官の葬儀に参列いたしました。多年米国の国務長官として世界平和のために奔走されました同長官の業績については、あえて多言を要さぬところでございますが、私は特に同長官が今日の日米親善のために払われました絶大な努力と献身に対しまして、ここに敬意と追悼の念を新たにするものでございます。  次に在日朝鮮人の北鮮任意帰還問題につきましては、わが国といたしましては、何人も自国に帰り、またその欲するところに居住し移転し得るという国際的にも広く認められております基本的立場に基きましてこれを行おうとするものでありまして、この自由意思に基く任意帰還という原則は、決してゆがめられてはならないのであります。この原則は、さきに日本、北鮮両赤十字代表の間で妥結を見ました帰還取りきめの中に明確に規定せられているところであります。この規定のもとに帰還業務が実施されることを期待し、かつ確信いたすものでございます。もとより本件が実施されることは、わが国の北鮮に対する従来の立場ないし関係にいささかなりとも変更をもたらすものではないのでございます。  なお韓国に抑留されております日本人漁夫の問題は、それが同胞の運命に関するものでありまして、一日もゆるがせにし得ないことでありますので、政府はそのすみやかな釈放のため、つとに赤十字国際委員会にあっせんを依頼いたしまして、その後留守家族代表もジュネーブに行かれまして、直接事情を委員会に訴え、その協力を求められた次第でございますが、政府はさらに最近、スイス駐在の奥村大使をして、わが政府及び国民が本件について抱いております強い希望と関心とを重ねて強調せしめ、その善処方申し入れをいたしたのであります。幸い同委員会側におきましても、本件に関し深い理解と同情とを示し、これら漁夫の早期釈放方に現在せっかく尽力をされているところでございますが、政府といたしましては、今後ともでき得る限りすみやかに釈放が実現されるよう内外世論の支持のもとにあらゆる努力を続けて参りたいと存じております。  次に、安保条約改定問題について一言いたしたいと存じます。本件改定の交渉は前回の国会終了後、米国側とさらに約十回の会談を重ねて参りました。改定新条約の構想中主要な点につきましては、すでに過日総理もその所信表明に際して明らかにされたところでございます。今さらにその要点を述べますれば、国連憲章との関係を規定すること、日米両国が政治的かつ経済的に共通の基盤に立ち、その協力関係を促進すること、米国の日本防衛の義務を明らかにすること、条約の運営に関してわが国の発言権を確立すること並びに新条約において、わが国の負うべき義務は憲法の範囲内であるということを明らかにすること等であります。  さらに行政協定に関しましても、その締結当時よりの情勢の変化にかんがみまして、所要の調整を行うべく目下折衝をいたしておるのでございます。  もとより現行条約といいましても、今日までわが国の平和を守るという点において重要な役割を果してきたのは事実でありますけれども、条約締結当時わが国の置かれておりました客観情勢にその後相当の変化が生じておりますので、右に応じた所要の改定を行いますとともに、今後の国際情勢のもとにおいてわが国の平和と独立を確保し得る現実的な方途としての安全保障体制を規定せんとするのが今次改定交渉の趣旨であり、新条約の目的及び性格はあくまでも平和の擁護と侵略に対する防衛に存するものであるということをここに重ねて明らかにいたしておきたいと思います。右改定交渉は必ずしも容易なものではございませんが、目下のところまだ条文を最終的に確定する段階には至っておりませんが、米国はわが政府の主張に対しまして十分理解ある態度を示しており、遠からず妥結を見るものと考えております。  第二次大戦後十余年にわたる冷厳な世界情勢、特に今日なおわが国周辺におきまする政治上、軍事上のきわめて不安定な情勢を考えますれば、平和を守る道は決して容易なものではなく、世界的にもまた局地的にも、常に現実に即した平和への保障措置を積極的に講ずる必要があると考えるのであります。  先般来ジュネーブで開催されております東西外相会議も約一カ月余の討議を経ながら、ドイツ統一問題及び欧州安全保障の問題等について双方の主張は依然として根本的に対立いたし、結局何らの進展も示しませんでした。そこでまず対象をベルリン問題に局限いたしましたものの、ついに何らの合意に至らぬまま休会に入り、近く会談は再開される模様でありますが、果して外相会議自体が何らか建設的な結論を得るに至るかいなかは、なお予断を許さぬところであります。  外相会議がその行き詰まりを打開し、巨頭会談の開催を可能ならしめるとともに大国間に平和促進のための有効適切な合意が成立いたしますことは、最も望ましいところでありますが、現状における東西間の対立は根本的な政治的信条の対立に由来するものでありますので、巨頭会談が開催されましても緊張の緩和が一夜にしてもたらされることは望みがたいのでありますが、問題の解決が困難であるがゆえにこそ、大国の首脳者による平和促進への努力が真剣に続けられることを希望するものでございます。  以上、前回の国会以後の外交問題に関しましてその経過を御報告申し上げた次第であります。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 しばらくぶりですから、いろいろお尋ねしたいのですが、時間が限られておりますので、今の御報告のうち、最初に安保条約改定につきまして少し重要な点二、三お尋ねいたしておきたいと思います。  内容に入ります前に、まず第一に外務大臣に所信をお尋ねしたいのは、今も御報告ありましたように、関係当局においては、アメリカとの間にようやく交渉が進展をして、内容がだんだん固まってきておるように見受けられるわけです。ところが、あなたは民間からお入りになり、しかも単なる外交のテクニシアンとして外務大臣についたのではなくて、日本の置かれている国際経済、国際政治における客観的な立場というものをゆとりをもってながめながら、日本の外交方針を進めることが期待されて外務大臣になられた。ところがあなたも外務大臣になられて、安保条約改定問題を預けられて交渉をしておると、猟師があたかも獲物を追うごとく、獲物にだけ熱中してしまって、ほかのものは目に入らないようになる。特に閣内、党内において藤山対米交渉に対していろいろな異論もあるので、よけいあせってこの仕事を早く何とか片づけたい、そればかりに熱中して大局を見誤まるような危惧を、われわれは外からながめていて持つのです。そのことはあなたのためにも惜しむし、日本の民族全体の運命にも重大な曲りかどに来ておる安保条約改定問題について、そういう猟師が獲物を追い、仕事師が仕事を片づけて自分の政治的地位を確保しようと、そういう根性で問題を解決すべくあまりに深刻な問題だと私は思うので、今までは、あなた方から見れば現安保条約よりは一歩改善である、前進であるというような感じを持ったそのことを国民に向って日本の安全と日本の対米閣係において自主と平等をかちとるために改定をやるのだと言われましたが、最近われわれが聞き及んでおる交渉の経過、内容を見ますと、日本の安全にはむしろ改悪である、日本の自主、平等の立場というものは、後にお尋ねいたしますごとく、われわれの聞き及んでおるところではさっぱり改善になっていないで、むしろ不平等であり、非自主性が強化されつつある、こういう危惧もあります。これは単にわれわれ社会党――野党だけでなく、世論を代表する報道関係あるいはまた国民一般の中におきましても、この危惧があるわけです。今御報告の通り、交渉がだんだん煮詰まってきたということであるならば、条文にして調印をする前に、交渉の経過と交渉の内容と、それをもっと簡明率直に国民の前に公表されて、そこで国民は具体的に自分たちの平和と運命と生活に関係のある安保条約並びに行政協定の改定問題についてじっくりと討議をして、そして国論を下から積み上げてきてしかる後に調印をすべきであるかどうか。調印をするならばどの程度の内容で調印をするのか、それをきめるべき重大な時期に来ておると私は思うのです。ですからあなたは一外交のテクニシャンとして、または党内、閣内における政治的な立場を確保するために、仕事師や猟師のような気持で木を見て森を見ざるような誤まちを犯すようなことなしに、ここまで煮詰まってきたならば、もう交渉しましても交渉の余地がなくなってきておって、条文を作成する段階にきておるということですから、そうであるならば交渉経過並びに内容、所信を国民の前に公表して討議いたしましても、外交交渉に何ら差しつかえないどころか、逆に日本の世論を背景にして、あなたは交渉して、交渉をかちとることができなかった問題について、国民の世論を背景にしてアメリカに耳を傾けしめるという政治的効果もあると私は考える。あなたは外務大臣になった値打ちがだんだんなくなってきておりますから、どうぞ一つ日本の経済的、政治的並びに今御報告があったように国際政治における平和の問題がいかに動いておるかということ、一昨年の岸・アイゼンハワー会談以来これをやらなければならない、やらなければ面子にかかわる、おれの地位にも関係するというようなつまらぬ根性でこの問題を取り扱うことを私は警告を発したいと思うのです。そういう手順でこの問題をお進めになる、最も民主的にしてしかも妥当なる今の手順をもってこの交渉を今後お進めになるお考えはあるかないか、私はその希望を申し述べながらあなたの政治家としての所信をお尋ねしたいのです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日米安全保障条約の今回の交渉に当りまして、私といたしましてはむろん日本の安全を保障するという問題は、将来の日本国民の運命の上に大きな影響がある問題でありまして、これを軽率な態度で取り扱うような意思を持っておりません。ましてや何か私が一身上の問題とも関連さして、ただしゃにむにこれが遂行をはかろうというような考え方は毛頭持っておりませんし、またそういう考え方でこの交渉を進めておるわけではございません。御承知のように今回の交渉に当りましては、すでに私は昨年の十月以来、国会、当外務委員会におきましても、相当に論議が尽されてきておると思います。またそれらの論議について傾聴すべきものは傾聴し、またわれわれの判断によってとるべきものはとり、とらざるべきものはとらざるというような気持でやっておりますことも事実であります。特にこの問題につきましては、この問題を取り上げました昨年以来というよりは、むしろ私が外務大臣就任以後外務委員会等に出席しまして、現行安保条約に対するいろいろな御批判を伺っております。従ってそれらのものを十分われわれは基礎的には考えて参っておるつもりでありまして、そう私はすべてを無視して私だけの考え方なりあるいは何か党の一部の人たちの考え方だけに左右されて、この交渉を進めておるということは全然ないわけであります。ただ外交交渉のことでありまして、そうした論議を尽しながら私としてやってはおりますけれども、やはりだんだん煮詰まって参りまして、特に草案等を作るような今後の段階に入って参ります場合に、これらのものを一々全部公表するわけには、相手国の立場もございますし、できないことは当然でございます。これは従来の外交交渉の一般的観念から申しても、やはりそういう状態であろうと思います。従いまして尽すべき議論は私ども調印の場合においてもむろんやりますけれども、調印が最終的な問題ではないのでありまして、批准等によっていろいろな議論、御批判等もいただけることであると思いますし、決して秘密的にこれをやろうとは思っておりませんが、しかしまた特に外交折衝の従来の観念もしくは相手国の気持からそれらの関連を無視してやってはならぬのではないかと思っております。そういう点において尽すべきものは十分に尽していただいて、われわれも今お話のように国民的背景のもとに、これらの交渉がいくように希望をいたしておることはむろんでございまして、そういう点について私の所信を申し上げる次第であります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私はあなたに好意を持って、期待をして民主的なる民間人としての外務大臣のよさを発揮してもらいたいと思って言っておるのに、あなたはすでに外交交渉であるから国民に必ずしも発表できないというような独善的な、官僚的な御答弁で、はなはだ私は遺憾でございます。それでは大事なことですからもうちょっとお尋ねしたいが、それでは国民一般に発表できないにしても、閣内、党内は大体まとまっておりますか。そういう自信を持っておられますか。今おっしゃるというと、調印はしても批准までの期間において、国民の反対意見があるならば耳を傾けてこれを修正し、または批准をやめてもよろしい。そういう含みのことを今おっしゃられました。あなた自身の情報または内閣のあらゆる機関を通じての情報で、今度の問題というのは――かつての小選挙区法、しかもゲリマンダ――を内容とする小選挙区法に対する世論に耳を傾けず、昨年秋の警職法に対してまた耳を傾けず、国会における多数の人々にたよって、実は民間の世論というものを無視されて強行されようとした。二つとも失敗をいたしました。今度の安保条約に対する国民の平和を念願とする抵抗というものは、これは決して小選挙区制の問題、警職法の問題に劣らない根深い疑惑と反対と抵抗を示しております。そういう中であなたはこういう国際的なしかも日本の平和と国民生活に関係のある重大なる問題を、そういう反対を押し切ってなおかつおやりになろうとしておるのかどうか。前の小選挙区法あるいは警職法の例を頭の中に想起されながら、どういう態度でお臨みになるつもりであるのか。このことについてもう一度あなたの判断を伺っておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 若干言葉が足りなかったようで誤解があろうと思いますが、むろん条約を調印してその後に変更をするということは、われわれ条約締結の当事者としてできないことはむろんでありまして、われわれとしてはそういう意味において、今日の事態において日本を守っていくということのためには、国民のために一番この方法が利益である、また将来の幸福になるという信念のもとに調印をいたすわけでありますから、むろんその以後にわれわれが何か変更するというような気持を持って調印をいたすわけでないことは当然でございます。ただ今私が申し上げたのは、調印される前に全文を公開するというようなことは、従来の慣例からいって行われることでないわけでありまして、従ってそういう問題についての批判はその後に起るだろうということを申し上げたのであります。私といたしましてむろん尽すべきは論議を尽して、今日までも私はきていると思うのであります。衆議院の当委員会におきましても、相当いろいろな問題点について従来の条約締結よりもよほど論議されたのではないかと思うのであります。一般に条約等で、このくらい問題点等につきまして種々の論議がされたことはない。私の寡聞な経験でありますからわかりませんけれども、寡聞の経験では、ないのではないかというくらいに思っております。しいて秘密を保とうというような、何か隠しているというようなつもりは毛頭ございませんけれども、やはり条約の話し合いをしていく場合における普通の慣例からいいまして、そう条約の草案ができたから事前にすぐ発表するということが可能であるか、可能でないかということはおわかりになっていただけるのではないか、こう存じております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 その程度の認識では、いつ国会にお出しになるつもりか知らないけれども、院内はもとより国全体、院外におきましても、あげて大きな対立と混乱が起きることを私は見通しとしてはっきり申し上げておきたいと思う。そういう中でこういう問題を論議されて、強行されて、それでそれらに対する政治的な責任をあなたはお負いになる決意であるかどうか。われわれは静かにここで提案をして、私の今の質問に対するあなたのお答えをいただきたいのです。それは案文の草案を、向うと最終妥結をする前に一々文章として、てにおはまで国民にこれが変らないものだといって示せと私は言っているのではない。そうじゃなくて、交渉の経過と内容について、重要な問題についてはこれを率直明らかにする、そういう意味において国民の間に安保改定の内容につきましてはまだ必ずしも徹底いたしておりません。また政府は国会を通じて答弁をしておるというようなことをおっしゃいますけれども、交渉の経過、内容等はむしろUPIあるいは日本国内の新聞その他こういう報道機関を通じて、われわれは間接的に耳に入る方が早い。それがまた真実である場合が、あとになってよくわかるのです。発見することがある。そういうような状態でございますから、この際私は提案をしたいのは、あなたが外務大臣として同時に自民党の幹部としてあなたの個人的な御意見も伺いたい。というのは、われわれ自身も今言ったようなプロセスを通じて安保条約改定の交渉並びに内容を耳にすることがありますから、われわれ自身の誤解に基く独断があってはいけない。あなたの方も国民の疑惑を率直にもっと聞く必要がある。そういう意味で国会内における論戦だけでなくて、たとえば今度の調印前にこの休会中にあなたの方も当然遊説されるでしょう。あなたが一人で出ていって北から南にわたって安保条約の説明みたいなものをおやりになった。そこでお集めになったのはほとんど少数の賛成論者ばかりだ。ですから、この際われわれを初めとし、われわれだけに限らない危惧と反対の意見を持っている者と、自民党の党員との間において静かなる討論会、研究会を大衆の前において公開的にやろうではありませんか。そしてあなた方が聞くべき意見を聞かない、聞きのがしをして調印をするというような無理をされないというためにも必要だと思うのです。警職法の例をとってみてもそうですけれども、われわれは会場においていたづらにわあわあ騒ぐというようなことでなくして、内容について国民とともにじっくり考える、こういう態度で臨みたいと思うのです。そういうことについてあなたは外務大臣としてそういうことを希望されるかどうか、あるいは自民党の領袖として個人としてで、けっこうです。きょうは総裁がおったらお尋ねしようと思ったが、総裁がおられないから、あなたは領袖個人としてでけっこうでございますから、党がまとまるならば、そういうことを希望されるかどうか。それでもなおかつおやりにならないで臨時国会か通常国会でおやりになろうとすれば、これは国をあげて激突は必至です。それをあなたが途中の民主的方法をぬいておやりになろうとするならば、外交交渉のゆえに必ずしも発表できないということでおやりになろうとするならば、国会内外における激突と混乱はむしろあなたを中心とする政府の責任であると私は思うが、それに対して責任をとる御決意があるかどうか、最初にお尋ねをいたしておきます。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 もちろん本条約の締結に当りましては、私が交渉の責任をになっておるのでありますから、交渉全部に対して責任を負うことは当然のことと思います。今お話のように私は各方面の意見を聞き、また各方面と懇談をするということに決してやぶさかでないのでありまして、昨年末以来私は東京においても各方面の方々にお集まりを願いまして、お話を申す機会を持ったのです。今お話のようにお前が話したのは賛成者ばかりでないか、残念なことには反対の御意向のあるような人は御欠席になるのでありまして、外務大臣かなんかに呼ばれましてそういう話を聞くと何か変じゃないかという気持であるのか、御欠席になる通知をいただいておったようなわけで、はなはだその機会に乏しいわけであります。先般も日本金属労働組合の決議を持って参議院の椿議員、高野さんなど御一緒においでになりました。そのときにその陳情を聞きながら私はそれについて皆さん方とお話をしたのですが、そのときにも私はこうやって少数の労働組合の幹部の方々とお話をする機会があることは非常にうれしいし、ただ私の方からお呼びしてもなかなかおいでにならぬが、あなた方がそういうふうに少数で集まって話を聞くというのは、立場が違ってどうせ議論にはなろうかもしれないが、私も出ていってお話をします。それで椿氏、高野氏は、なるほど一つそういう会を持とうかというお話もあった。その後、数日前でしたか、加藤勘十氏以下がこの問題の反対共闘会議の決議文を持っておいでになりましたときにも、私の部屋へ十四、五人おいでになりまして、そのときもそういう話をしまして、そうしてあまり大ぜいでただがやがやするのではお互いの真意も話し合えないし、こういう会ならばいつでもいい、その際も皆さん方は、こういうことは非常にいいことだと言っておったわけです。私は、私がやっておりますことを皆さんの前に出てお話申し上げるということを、決して労を惜しんだりあるいは何か特にそれを回避しようという気持は持っておりません。ただあまり大ぜいの場合でゆっくりお話を聞くような機会ができないということは、かえって問題を混乱させると思いますから、そういうような少数の方々の懇談というようなことで、お互いに立場は違いましてもお話し合いをするということは、私は有益なことだ、こう考えております。また反対をされるにしても、われわれの気持も聞いていただいた上で反対をされることは適当であるし、やむを得ないことだ、こう考えておるわけであります。決してやぶさかに思っておるわけではございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 あなたの趣旨はわかりましたから、われわれとしても内閣または党へ通じて静かなる討議をするというふうに進めたいと思いますから、内部において一つ努力をしていただきたい。  そこで今までの御答弁で私はむしろあなたに希望を申し述べたわけでございます。しかしまだこれによってその安保条約の交渉の問題を、あなたのプログラムを変更されようとするお気持はないように思いますから、少しく内容についてお尋ねをして問題を明らかにしておきたいと思うのです。  第一に、先ほど申しましたように今度の改定に対する政府のうたい文句は、日本の安全を守ること、さらにアメリカとの関係において自主平等を取り戻すこと、こういうことが看板になっておりますが、そういう立場に立って、しかも今日の情勢をながめて安保条約改定問題にかかるとするならば、われわれの理解においてまず第一になすべきものは、アメリカ軍の日本領土内からの撤退でなければならぬ、駐留の廃止です。占領軍の駐留がもうすでに戦後十何年続いておる。しかも国際情勢はそれを必要としない段階が明瞭になってきておる。そういうときに今度の改定内容によりますと、これがさらに強化されて、この駐留は継続されようとしておる、これが一点。それどころかむしろそれにプラスしてアメリカ軍との共同防衛、言いかえるならば相互軍事同盟条約の内容を持ったもの、すなわち防衛義務における双務性を明確にしておる点、しかもその内容は、日本の安全ばかりでなくて、極東における平和と安全を維持するという膨大な目標を持った相互防衛同盟条約になっておる。これは政府のうたい文句でありました平和の確保と、それから対米関係において自主平等の確保ということは、むしろ改善ではなくてはるかな後退、改悪であることは、この一つ点だけとってみても明瞭だと思うのです。しかも情勢は私が説くまでもなく、今日、日本を取り巻くアジアの諸情勢、先ほど東西両陣営の外務大臣会議または巨頭会談の経過を見ましても、たちどころに成功はしておりませんが、その緊張緩和の方向というものは、もうすでに東西両陣営内における国民的な世論として、少数の政治家の個人的な意見や感情をもってはどうすることもできないとうとうたる流れになっておる。しかも日本とアメリカとの関係におきましては、アメリカ軍が空軍、陸軍、海軍ともに日本領土並びにその周辺から撤退するべきが今日の段階である。しかも今度の安保条約改定の情勢変化の中にあなた方が言っておられるのは、日本の防衛力が強化した――われわれしろうとでございますが、聞き及ぶところによれば、その兵数において、その力において、すでに戦前の日本の旧陸軍あるいは軍部の五、六倍以上の戦闘力を持っておるといって誇示しておられる。そういう情勢の中で、さらにつけ加えてアメリカの駐留を継続せしめる、これは何ら自主平等、改革にはなっておりません。特に共同防衛の問題については、昨日もこの委員会においてわが党の加藤委員から指摘いたしましたように、日本の防衛だけではありません、他の戦争に巻き込まれる危険を生ずる内容を明確に持っておると私は思います。こういうようなことは、あなたの常識からして一体どういうふうにお考えになっておられるのか。私は、非常に反動的なまたは権力主義的な政治家であるならば、見当違いをしてそういうことを考えないとも限らぬと思うけれども、国際情勢なり国際経済の情勢というものをながめて、その角度から外交を立て直していくということを期待されておるあなたが、こういう危険にして安全を脅かし、不平等、非自主的な内容を強化していこうとすることは、私どもはどうしても納得ができない。その内容とあなたの考え方をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 安保条約の改定に当りまして、私どもができるだけ日本の立場を改善していく、そして占領当時の遺産であり遺風であったものを排除していきたいということは、当然われわれの考えて参ることでなければならぬと思います。ただいまお話のように、日本は世界の平和を念願しております。従って平和になることを希望することはもちろん、同時に平和であることを欲する日本といたしまして、極東における平和というものもまた維持されなければならないことは当然でありまして、それぞれの国が世界平和を念願しながら、自分の周辺における平和というものも考えて参らなければならぬことは当然だと思います。やはり極東の平和を保つということ自体が日本の安全なり平和を維持することになることは、これまた当然であります。また、日本の平和と安全が保たれることが極東の平和と安全を保つゆえんであろうかとも思うのであります。そういう意味におきまして、われわれ今回の改定の交渉に当りましては、当然日本の平和と安全ということを第一に考えて参らなければならぬわけであります。しかし同時に、それでは極東が不安であっていいかといえば、私は不安であっては第一義的に日本の平和と安全を確保する上においてもならないのではないか、こう考えております。そういう意味において、われわれが極東の安全と平和に全然無関心であり得ないということは当然であります。ただしかしながら、われわれはその際にみだりにわれわれの欲しない戦争に介入し、あるいはそれに引き込まれることは好ましいことではない。そのこと自体が、ある意味では極東の平和を害する場合もあり得るかと考えます。従ってそういうことが回避されるような方法をできるだけとっておかなければならぬのでありまして、現在の安保条約においては、必ずしもそうした日本の考え方によって極東の平和に対する考え方がいれられるというわけには参らぬようになっているわけでございます。従って今回、アメリカがそうした極東の平和に介入していくというアメリカの一方的なあり方に対して、事前に協議をいたしまして、日本の見方によって日本の説も主張していく、そしてそれにアメリカも応ずる態勢をとっていくということは、日本がいたずらに極東の平和という概念のもとに日本の欲せざる戦争に巻き込まれ、また日本が見ている見地を捨てるのでなくて、日本の見ている見地を主張する機会を得るわけでありますから、そういう意味において、今回の改正に当って、やはりそうした問題についての協議をして参ることによって、今お話のような不安は、私は除かれていくことになろうかと思います。それが私どもとしては改善と申し上げているゆえんでありまして、そういう立場から見まして私は決して改悪でなくて改善だということを申しているわけであります。ただ、若干穗積委員と私との間には立場の相違があるように思われますので、それらの立場の相違からくる根本的な原因というものは、必ずしも今回われわれのやっております改善においては満足されない点があろうかと思いますけれども、これはわれわれの立場として御了承願いたいと思う次第であります。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 ちょっと穗積委員に申し上げますが、今外務大臣が参議院の本会議から要望されておりますから、再出席まで一時御中止を願います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではすぐ来ていただくことを条件にして了承いたします。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 大西正道君。

大西正道日本社会党

○大西委員 アジア局長、保安庁長官、大臣にかわって次官にお答えを願いたいと思います。私は朝鮮の問題についてこの機会にお伺いしたいのであります。今わが国と朝鮮の問題は、北鮮送還の問題、それから釜山に抑留されている漁夫の送還並びに安全操業の問題、この二つは問題としては全然別個な問題、しかし共通点がありとすればいずれも人道的な問題であって、それをわれわれとしてはあくまでも人道的な立場から解決していく、こういう立場をとっているということが一致点だといえば一致点だと思うのであります。私はまず初めに、北鮮送還の問題について若干聞いておきたいと思うのであります。報道によりますと、日朝間の調印がおくれている、朝鮮の方からはすでに調印の申し入れがあったにもかかわらず、わが日赤の方ではこれに対してしばらく待ってくれ、こういうような申し入れをしているようでありますが、これは一体どういう理由によるのか、私どもは、国際委のあっせんのもとにすでに取りきめがまとまったというのであるから、すみやかに調印がされるべきものである、こういうように期待をしておるのでありますが、この辺の事情はいかがでありますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 協定は両者の間にまとまっておりまして、仮調印をいたしております。そのときなぜ仮調印にいたしましたかと申しますと、協定の中に、国際委の承認を要する部面がございますので、調印をいたしましても、これは国際委の承認があるまでは日本側に関する限りは動かないという面があるのが一つでございます。  もう一つ、国際委に持って参ります場合に正式調印をして動きのとれぬもので持っていくよりも、仮調印というふうな、やや軽いもので持っていった方が感じがいいのじゃないかという考慮もあったわけでありまして、北鮮側とも了解済みでこういう措置をとったものと私は報告を受けておったのでありますが、最近北鮮側で正式調印を急いでおりますのはどういう理由によるか、ちょっとわかりかねております。

大西正道日本社会党

○大西委員 北鮮側が急ぐということは了解ができないと言われるが、私は急ぐのが当然であって、別段了解のできないことじゃないと思うのであります。今の御説明によりますと、それは単なる事務的な問題でちょっと停頓しておる、こういうことだそうでありまするが、あるいは韓国の赤十字の代表がいろいろ向うで工作をするとか、あるいはまた米国の赤十字がこれに介入するのではなかろうかというふうないろいろな風説が飛んでおります。  そこで私の憂えるのは、何か内容につきまして、せっかく日朝間で合意に達して仮調印に運んだものが何か横やりが出て内容的に少し問題があるのではないか、そのために国際委というのが少しよろめいておるのではないか、こういう私は心配をするのでありまするが、その点は、あなたの見通しとしては心配ない、こういうふうに見てよろしゅうございますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 国際委はただいまの予定では来たる六日に会議を開きまして、この問題を討議するということになっておりますので、この際、あとごく数日のことでございますし、われわれといたしましては、国際委が結論を出します前にこれについてとやかく予想をするということは差し控えたいと思っております。韓国とか、今お話がございましたが、そうした方面からも運動がございましても、このまとまりました協定を変える意思は、日本政府にはございません。

大西正道日本社会党

○大西委員 それではこの問題につきましては、私は必ずよい結果が近い将来に招来されるものであるという期待のもとに次の質問に移ります。  いよいよ送還が実施されますと、韓国側の情報によりますと、実力でもってこれを阻止する、こういうことを言っておるのであります。このことは、かねてから韓国政府のそういう対外発表というものは、私どもはそうにわかに信を置いてどうこうという必要はなかろうかと思いまするが、しかしこのことが、私は朝鮮に帰ろうとするこの人々の意思の決定にも非常に大きな影響を及ぼすものではないか、こういうことを私どもは憂えるのであります。この点につきまして、日本政府としては、こういうむちゃな韓国の声明というようなものに対して、どのような見通し、確信を持っておられるのかこれを一つ聞きたいと思います。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 その点に関しましては、見通しと申しますと非常にむずかしいのでございまして、韓国軍隊は国連軍の指令下のもとに置かれておりますので、そういう関係から米側とも折衝いたしまして、おそらくアメリカ側といたしましても、そういうむちゃなことはさせないように努力してくれることは思いますけれども、そのときになりまして、非常に興奮しておるというふうな事態でありますと、まあどういうことになるか、これはわれわれとしても心配いたしております。ただ現実に新潟から船が出ます場合、その船がどういう航路を通っていくというふうなところまではまだ打ち合せばいたしておりませんから、そういうふうな船の航路のとり方ということにいたしましても、そういう危険を避ける方法もまたあるのじゃないかというふうにも考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 問題は、米軍の指揮下にあるからおそらくそうむちゃなことはすまい、こういうことでありまして、仰せのごとく、韓国軍は米軍の総司令官の指揮下にあるわけなんであります。従いまして、私は若干の危惧があるとすれば、すべからく日本政府としては米国政府に、この問題についてそういうむちゃなことの起らないように厳重に申し入れらるべきだと思うのであります。今、そういうこともしたいというようなお話しでありましたが、すでに米国政府に対してそういう申し入れをなさったのでありますか、この点いかがですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 正式な申し入れをしたということにはまだなっておらぬと思いますが、常時連絡いたしておりますから、わが方の気持はよくわかっておると思いますし、協定が成立いたしまして、いざ船が出るというふうになりましたら、また正式な申し入れが必要になるかと存じます。今までのところはそういう事務的な打合せであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 申し入れに対しましての米国の反響、反応でありますが、これは当然こういう正しい道理に立った申し入れというものに対しては、耳を傾けてその通りにしてくれると思うのでありますが、今のところ、あなたはこの問題に対する米国政府の態度というものに対してはどういうようにお考えですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 アメリカ側も極力努力はしてくれると私は確信いたしておりますけれども、現実にどういうふうになるかということにつきましては、まだなかなかむずかしい問題だと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 そこで、そういう形でもし調印ができれば、スムーズに朝鮮人が故国に帰るということを私どもは期待するのでありますが、ここで私が一つお伺いしておきたいことは、送還に対しての危険分担と申しますか、どの程度まで日本政府が北鮮送還に対しての責任を持つのか、この問題であります。これは非常に重大な問題であろうと私は思うのであります。この点についての見解を聞きたいと思います。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 ただいままでの打合せでは、船に乗るまでが日本側の責任でありまして、乗りましてからはすべて北鮮側で責任をとるというふうになっております。

大西正道日本社会党

○大西委員 私は、その点につきましてはもう少し考慮すべき余地があるのではないかと思うのであります。まあ船に乗るまでもっと厳格に申せば、こまかいことでありますが、領海内はどういうことになりますが、公海の上はどうなるか、ここらにほんとうに北鮮に朝鮮人を送還する、しかもその立場は人道的な立場だ、このことを通じて、これは両民族間の友好を確立していくんだ、こういう大きな目的があるわけでしょう。そういたしますと、今李承晩が実力行使をする、こういうことを呼号しているときに、船に乗るまで、これだけであとは知らぬ、あとは北鮮の責任だ、こういう態度は――私はまあそれも一つの考え方であろうかと思うが、もう少し今の北鮮送還の網本趣旨に立っての、安全に送り帰すという問題についての手は打てないものか、そういう態度はとれないものか、この点を一つ聞いておきたいのであります。乗るまでということをもっとこまかくいえば、領海内はどうか、公海の上はどうか、こういう問題であります。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 領海内は確かにこれは日本の領水でありますから、そこで問題が起きれば、日本側としても当然措置しなければいかぬ、こう考えておりますが、それよりも船の航行の安全ということにつきましては、わが方の代表部も心配いたしまして、非公式に先方と話をしておるのでありますが、その点は日本側は何も心配せぬでいい、おれの方で全部やるからというのが今までの先方の言い分のようでありまして、向うはその点非常に確信があるように見受けられるのであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 それではその問題はもう少し押し詰まってからお伺いをいたしたいと思います。  次に李ラインの問題でありまするけれども、これは二つに分けて、今向うに抑留されている漁夫をすみやかに帰すということ、全く不法な拿捕をいつまでもされておりまするが、このことと、もう一つは李承晩ライン付近における安全操業の問題であります。  私どもが前に申しましたように、北鮮送還の問題と李承晩ラインの問題は何ら関係はない、この立場は正しいのであります。しかし李承晩の方ではこれと関係をつけてさらにこの北鮮送還ということを打ち出したその直後から、日本漁船の拿捕を強化してくるとか、あるいはいろいろと危険な様相が出て参っておるのでありまするが、特に本年に入ってからも、私の記憶に間違いなければ、たしか五十二名の漁夫が拿捕されておるのであります。さらに抑留者百六十四名、これがいまだ公正なる裁判も受けず、また不法な裁判でありましてもその判決が出ておるのに、刑を終えた者もなおこれをいつまでも抑留している。最近は永久にこれは帰さぬのだ、こういうむちゃくちゃなことを言っておるのでありまするが、この抑留されている人たちを一刻も早く帰すということは、北鮮送還の問題に決して劣らぬ重大な人道問題であり、また政治問題として解決しなければならぬ問題だ。私はこの委員会におきましては声を大にして総理大臣以下各大臣にこの善処を要望して参ったのであります。ところが一向にこれが実現を見ないのはどんな理由があるのか、さらにこんな切迫した問題に対して今後どのような適切なる処置をとらんとするかこの点を聞きたいと思う。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 本年に入りましてからの漁船の拿捕状況は一月に二隻、二月に一隻、五月に一隻、六月に一隻、計五隻であります。そのうち五月の一隻は帰っておりまして、今のところ、特に最近ふえておるという傾向はございません。  それから、この漁夫の送還の問題でありますが、これはもう何と申しましても韓国側には全然言い分のない問題でありまして、当然帰すべきものを帰しておらぬ。われわれとしましてもこれは非常に重大な問題と考えておりまして、いろいろと手は打っております。国際赤十字にも政府からも頼み、もちろん日赤からも頼んでおります。また最近はスイスの奥村大使を派遣いたしまして、国際赤十字に頼んだりいたしております。また各国の世論に訴えることもいたしておりますが、何分にも先方が、北鮮問題が解決しなければ帰さぬというふうなことを申しておりますので、解決は非常に困難かと思いますが、これがわれわれの一番大きな今の関心事でありまして、できるだけの努力はいたしておるわけであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 どうも、できるだけの努力というのが、もう十年一日のごとき答弁なんであります。一向実効が上らないのであります。こういうことは、この外交の衝に当られるあなたの御態度として、あらゆる手段を尽して鋭意努力中ということでは、事は一向解決しないのであります。今お話のありました一つの問題として、ジュネーブの国際赤十字に抑留の遺家族を送った、これは私どもも涙ながらに送りました。また政府からもこれに対しての申し入れもしておる、こういうことでありまするが、その後私の聞く範囲ではナシのつぶてであります。国際赤十字が韓国に対してどういう措置をとったか、何か措置をとっておりますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 国際赤十字は確かに韓国に対して措置をとってくれておりますが、その内容につきましては発表しないでくれと言われております。確かにできるだろうとは言っております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それではこの対策について一つ突っ込んで参りますが、いつも私が言っておることは、こういう形でもってわけのわからぬ李承晩といつまでもやっておっても一向らちがあかぬ――それじゃ第三国の仲介を求めてはどうかという声もあります。国連の舞台にこれを持ち込んでいくということ、このことをなぜなさらないのですか。これだけ大きな国際的な紛争と言って差しつかえないと思うこの事態に対して、何ら打つ手がないのであります。この際何か決意をされる段階ではないかと思うのでありますが、いかがですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 国連にこの問題を持ち込むことにつきましても、目下事務的には十分検討いたしておりますが、ただ国際赤十字の方に頼んでおりますので、もう少しその成り行きを見た上にいたしたい、こう考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それから拿捕の問題でありますけれども、あなたの数の報告では、最近とみにひどくなったということはないけれども、しかし依然として拿捕が続いておるということであります。この不法な拿捕を押えるために、かねてから私も主張し、業者の間からも強い要望があり、国民の間からもその声があるのでありますが――これは前の海上保安庁の長官に次々と聞いたのでありますが、同じ質問をもう一ぺん繰り返したいと思います。現在あそこを回っております巡視艇の装備はどうなっておりますか、私の聞くところでは、ほかの巡視艇は大砲を備えつけておるが、あそこは大砲をはずしておるということである、そういう事実が今なお続いておるのですか、どうですか。

林修三法制局長官

○林説明員 その通りでございます。

大西正道日本社会党

○大西委員 その理由は、二十七年でありましたか閣議決定の線に従ってはずしておるのですね。そこで私は聞きますけれども、あなたは海上保安庁の責任者として海上における日本人の生命財産を保護する責任がある。またその任務を遂行するために、巡視艇にはそれ相当の装備をすべきことがはっきりと海上保安庁法に明記されておる、そういうふうなもとにおいてどんどんとこうして拿捕されておる。こういう現実に直面して、あなたは海上における日本人の生命財産を保護する責任が遂行できる――今日まではできた、今後そういう事態に対応して、今のような巡視艇のあり方でもって、法本来の趣旨に従った使命が遂行できるとお考えになりますかどうですか。

林修三法制局長官

○林説明員 今なお漁船の拿捕が続いておりますことはまことに遺憾に存じております。ただ当庁といたしましては政府の方針にのっとりまして、とにかく一方においてこうした不法な行為に対して外交的にも話し合いを続ける、また事柄をさらに複雑化することを避ける意味におきまして、とにかく武力を用いないでできるだけのことをしてこの拿捕を少なからしめる、あるいは拿捕をなからしめるという方向に努力いたしております。従って現在まで海上保安庁としましては、さき得る巡視船を多くあの方面に配置いたしまして、私の方としてはできるだけの努力をして李ラインの中まで入っていって、そして韓国の巡視船の動静その他もつかみ、そうしてこちらの操業をいたしております漁船に対して適切に注意を与える。そうして、こうした紛争を事前になからしむるというところに最も重点を置いてやっておるのであります。一昨年以来いろいろ拿捕もございますが、こうした注意を聞かなかった、あるいは聞いてもその通りに守らなかったといったようなところに拿捕が発生しておるという実情でもございます。さらにこうした注意を続けることにいたしまして、もっともっとこれを強化して、そうした不祥の事故の起らないように、われわれとしましては許されている範囲において全力を尽していきたい、かように考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 あなたが今おっしゃったこと、私、よく聞きとれなかったのだが、いろいろと事前に注意をしたが、その注意を聞かなかった、そういうこともあって、こういう拿捕その他が起っておる、こういうように言われたように思うのです。間違いないですね。

林修三法制局長官

○林説明員 私どもの方でいたしております。注意を十分に守らなかったというようなこともございますし、また、それを聞き得なかったというようなことのためもあろうかと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 あなたの考え方は多少間違っておると思うんです。あなたそう思いませんか。そうしますと、次々に拿捕されていくということについては、保安庁長官としては――大砲をはずしているとか、相手がいろいろな威嚇射撃をしても日本の巡視艇は逃げ回っている、こういうことに対して原因はなくして、事前に退避しろとか、あるいは用心しろということを日本の漁船にいろいろ連絡しても、装備の点でそれがキャッチできなかったり、あるいは聞いておってもすみやかに退避しなかった、それがこういう拿捕が起る理由だ、こういうように、それを非常に大きな理由の一つにあなたはあげられておるのですが、私は、そういうふうな考え方であなたが今後海上保安庁の責任者としてあそこにおけるところの、海上における生命、財産を保護されるということになりますと、国民は何とも心配でたまらぬと思うのです。だから、御承知のように、この間から西日本のまき網協会ですか、これが自衛船を出すというようなことを言っております。このことをお聞きでしょう。このことは何を意味するのですか。私どもが昨年現地を視察したときに声を大にして言っていたことは、日本政府は頼むに足らぬ、と外国人みたいなことを言っておるのであります。私は住民たちをたしなめる理由はないと思うのです。今日の前で拿捕されている。それに対して日本の巡視艇がそこをぐるぐる回って、海の中に飛び込んで逃げてこいということを言うだけで、そのまま連れていかれる。そういうことに対して、現地民としては、もう仕方がないから自衛船を作ると言うのです。大体自衛船なんということを民間の業者が考え出すことそれ自体が、これは日本の政治権力に対しての不信ですよ。当面は海上保安庁というものが何ら頼むに足らぬということの証左だと私は考える。政府の仰せであると言われるけれども、閣議の決定であると言われるけれども、一体法律と閣議の決定とどっちをあなたは順守さるべき義務があるのですか。そういうことも実は聞きたいのであります。過去のことは――あなたは就任早々ですから、今後の心がまえであります。むしろ私は、こういう状況では、現地をよく知っている自分としては、ことさら大砲をはずすようなことをして譲歩に譲歩を重ねて弱腰で向うの気まま勝手なことをさしておいては、この拿捕というようなことは根絶できないのだから、この際一つ閣議の決定を再検討してくれというようなことを、担当者としてあなたの意見を申し述べるというようなことが私は望ましいと考える。そういう考えについてはどうです。

林修三法制局長官

○林説明員 現在、政府の方針といたしましては、ことさらに韓国側を刺激してさらに問題を紛糾させるということを避ける意味において、現在までの線では、われわれとしてもその点非常に苦痛の面もあるのではありますけれども、とにかく実力による紛争といったような問題が起らないようにして安全操業をやらしめるのに、できるだけの措置をとって参っております。そうして現在までのところ、そういう意味におきまして、拿捕の数も逐年減少して参っておる。もちろん北鮮帰還その他の問題が取り上げられるに従いまして、いろいろと情勢の変化もあるでございましょう。そうしたことを考えて漁民の人たちはいろいろと心配もしておられる。従って、先ほどお話のありました民間から船を出して、現在の巡視船の足りないところを補うというような意味においてさらに警戒を厳重にするというような話も出ておるわけであります。海上保安庁といたしましては、現在の政府の方針にのっとりましてできるだけの努力をして、今後も常に注意を怠らずにさらに、今後必要とあらば巡視船増強も考えるという意味において措置をとっていきたいと考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 あなたと押し問答をしておってもしょうがないが、一つあなたに聞きます。期日は今のところはっきりしないけれども、たしか昨年だったと思うのですが、向うの巡視艇が日本の漁船を拿捕しようとする中へ日本の巡視艇が割り込んで拿捕を妨害した。ところが、それを非常におこって韓国の海上自衛艦フリゲート艦が出てきた。そうして日本の巡視艇は一晩中追い回されて、手数百発の射撃を受けてやっとこさ逃げ帰った、こういう事実が週刊誌に出ておったのでありますが、これは私はまことに重大な問題だと考える。向うの自衛隊、これは明らかに軍である。向うの巡視艇がこちらの巡視艇と単なるはち合せというのとは違うのであります。この事実はございますかどうですか。これは週刊朝日に出ております。七月十二日号でありますが、「李ラインへ民間自衛船」というのが出ております。たしか「一昨年六月ごろ、」と書いてある。「韓国警備艇は、直ちに無電で海軍の出動を要請、三百五十トン型のフリゲート艦がやって来て、一晩中、発砲しながら巡視船を追いまわした。幸い巡視船は、のがれることはできたが、千四百発余りの機銃弾を受けた。云々と書いてあるのであります。これはかなり重大視すべき問題だと思うのでありますが、この点について、この事実がございますか。

林修三法制局長官

○林説明員 当時私は海上保安庁におりませんでしたので、事実をつまびらかにいたしませんが、私が報告を受けた範囲におきましては、韓国のフリゲート艦が出てきて、そうしたことをやったということはございません。

大西正道日本社会党

○大西委員 なお一つ答弁にもはっきりした確信がないようですからお調べ下さい。私の方も調べまして、それからまた次に質問をいたします。  こういうふうな今の質疑応答をお聞きになって、政府としてはこの巡視艇の装備の問題、数をふやすということはよくわかりましたが、巡視艇の装備の問題について二十七年の閣議の決定のこの線をもう一回検討し直す、そうして他の海域に出ておる巡視艇と同じような装備で、あそこでもって正当防衛の行動をとる、私はこういう必要があるのではないかと思うのであります。これは国民の声でありますが、この点について今直ちにそれをどうこうということは言えなくても、やはりこの点の不合理性、不備ということがあるので検討すべき一つの段階にきておるのじゃないかと思うのでありますが、これは次官いかがでしょうか。局長でもよろしゅうございます。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 私、局長クラスではちょっと御返事しかねる問題でございますが、関係庁も多いので、関係庁とも相談いたしまして研究いたしたいと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 次官はいかがですか、お答えになりませんか、初答弁を一つ。

小林絹治自由民主党外務政務次官

○小林政府委員 せっかく大西委員の御質疑でございますので、私の考えを申し上げますと、なるほどそういう点は進りんで実情にかんがみまして、着々適当な方法をとらなければならぬと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 次官の非常に良心的な答弁に期待をいたしますから、何らか一つ将来いい結論を出して下さるようにお願いいたします。  私はここで一つ聞きたいのは、この間拿捕されました第二松栄丸、この拿捕を御存じでございましょう。この拿捕は今までの日本の漁船の拿捕と全然違うのであります。どういうふうに違うかということをあなたの方も十分拿捕された船の状況などは御承知だろうと思いますが、時間の節約上私から申しますと、これはシイラづけ漁業というのだそうであります。シイラづけ漁業は、大体ここらに魚がおるからそこへ網を持っていって網を敷いて魚をとるというのではなくして、これは固定しておるものだ、そして府県知事の許可を得て、年中一定の固定した場所において魚をとる漁業なんであります。第二松栄丸がこういう漁業の仕方であったのでありますが、これがこの間拿捕されたということはもちろん李承晩ラインよりはるかもう区域外である、このことはもう明らかであります。このことはこれまでの李承晩ラインの付近を遊よくしながら拿捕される、そういう拿捕のされようと全然船の性質も違うのでありますから、私は事は非常に重大だと考えるのであります。この拿捕は単なる李承晩ラインを侵したという理由でもっての拿捕とは意味がだいぶ違ってくる、いわば日本の漁業に対する明らかなる挑戦であります。こういうふうな認識がこの第二松栄丸の拿捕事件についてございますか、どうですか。アジア局長並びに保安庁の長官、どういうふうに考えておりますか。

林修三法制局長官

○林説明員 これは私の方といたしましても李ラインを侵すという問題でございませんが、比較的李ラインの近くで操業をしておったためにそういう奇禍にあったわけであります。しかしながらこれはまことにわれわれとしてもけしからぬことであるということは考えております。早速外務省に連絡しまして、この問題についての抗議をやっていただきまして、ただこの船につきましてももちろん李ラインの近くでございましたので、私の方ではそばに寄ってこの船について警告を発した事実もあるのであります。もちろんこの問題につきまして警告を発したからいいというわけではございません。私どもとしましては、これはけしからぬ行為であると考えております。

大西正道日本社会党

○大西委員 けしかるとかけしからぬとかいう問題ではないのであります。今の話であなたは李ラインの近くで操業しておったということが、何か若干こちらにも拿捕される理由のありそうなような口ぶりでありますけれども、私の申しておるように、これは府県知事の許可事業なんですよ。そういうことになれば初めからこういうことについて許可しなければいい。許可した以上、これは李承晩ラインを認めない立場であっても認めても、そういうことに関係ないということがはっきりしておる立場なんです。しかもそういうところこそ危険区域でありますから、あなたのところの巡視艇は警戒を厳にしなければならぬ。幸いにしてこの問題については警告を発したと言っておりますけれども、その警告を発したというのは言葉で表われておるので何ら力がない。武力を行使するということを何もびくびくする必要はないじゃないですか。正当防衛をやることが何がこわいですか。そういうことが何か戦力とか再軍備とかなんとかいうことに関連があるように考えるそういうこと自体がおかしいのであります。そういう正当防衛を堂々とやらなければ、ますます事態は紛糾してくる。あなたは海上保安庁長官の立場だから、これ以上政治問題を追及してもしょうがないけれども、今までの答弁を聞いておると、これまでの長官よりもあなたの態度は数歩後退ですよ。こういうことでは安全操業の問題はますます危険を感ずる、私はこういう気持であります。もう少し気持を新たにして、あなたの任務が何であるかということ、そういう本質的な立場に立って問題を検討してもらわなければ困るのであります。これは政府の方にも聞いておきますけれども、いたずらに事態を紛糾させないためだ、それじゃほかの方は大砲積んで紛糾してもいい、相手がむちゃであるから紛糾させないために何でも譲歩するという、このことが今日まで李ラインの問題を遷延させていつまでも解決していない原因だと考えております。  もう一つ私が知ったことでは、韓国の巡視艇を所管しておる韓国の海上保安庁のような機構です。そのもの自体は私の聞くところによりますと、これは日本の漁船を年間に何隻か拿捕しなければ、その運営ができないような仕組みになっておるということでありますが、この点についてあなたは何か御研究がございますか。すなわち今日あの辺に出てくる巡視艇とかあるいはその他の警備艇は、日本の拿捕した漁船を使っておる、また向うの漁船もそうです。そういう事実について私どもはよく報告に接するのであります。拿捕された船がどの程度向うでどういう方面に使われておるかということは、前の長官のときに詳しく聞きましたが、この日本から拿捕した漁船をあるいは一般の民間に貸与して、そうしてその貸し料をとってその役所の運営をやっているとかいうことを私は聞いておる。だからうがった見方をすれば、どんなことがあろうが、日本の巡視艇を年間に何隻か、ある一定のレベルまでこれを拿捕しなければならないところの宿命のそういう機構にあるのだということを私は聞くのでありますが、この点についてあなたはどういうふうなこの問題についての御研究があるかを一つ聞いておきたいのです。もしそういうことであるとすれば、これは単に、今言ったようなあなたのような立場で平和的に問題を解決していこうと申しましても、なかなかこれはできい問題であると私は思うのであります。

林修三法制局長官

○林説明員 私も最近において海上保安庁に参りましたので、あまり詳しいことは存じませんが、韓国の巡視艇の中に日本の漁船が三隻程度使われておるという事実は聞いておりますが、それ以上、ただいま御質問にございましたような点につきましては、私はよく存じておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 これで質問を終りますが、一つ外務次官に伺いたいのは、この安保条約の問題について政府の安保改定の主張の正しさというようなことを盛んにPRしておること、それはそれなりの立場でいいと思うのでありますが、実はそのために反対勢力を誹謗するようなPRの行われているということを私は耳にするのであります。最近中山正男君が書いた「赤い太陽」というもの、これは一つの小説でありますけれども、この安保改定の問題をめぐって、革新勢力、労働組合などが何か非常に国内の革命に参加して、将来の国内がハチの巣をつついたようになる、こういうことを書いておるのでありますがこれが、米国にも翻釈され、「レッド・サン」ということで盛んに週刊誌なんかにも、岸総理の文化部長中山正男なんということを書かれているのでありますが、こういうふうなことにつきまして、何かあなたはお考えがございますか。どういうふうに考えておられるか。これは多少見当違いかもしれませんが、もし御見解がありましたら、聞いておきたいと思います。

小林絹治自由民主党外務政務次官

○小林政府委員 その書物はまだ読んでおりませんから内容はよく存じませんが、大きな法案については、もちろん強い賛成もあれば強い反対もあることは当然であります。賛成の方はこれがいい、ぜひこれをやらなければならないという宣伝をするのは当然であります。反対の方は、これはとりたくないということで反対をするのであります。しかしそれによって国民にその内容がよくわかる――従来大きな法案を出すときに私ども議員として長年考えておりましたところでは、よいことだからこれは必ず通るかというと、そうはいかない。極端に言えば、悪いことでも通ることがある。よいことでも通らないことがある。そこで国民によくその内容を知らしめていわば重大な法案であればあるほどに、よく雨ざらしをして、国民にその内容をよく周知せしめて、そこで国論の多数が賛成したと認めたときに、法案を出せば必ず通る。雨ざらしをしないで出した場合にはなかなか困難があると思うのであります。今大西さんの御質疑の点ですが、私はこの安保条約の改定には反対側がどういうことを国民に告げておられるかということの内容は、詳しくは知りません。けれども反対をするのですから、いずれ多少大げさに言わなければ値打はないのであります。それで賛成の方も大げさに言わなければ値打がない。どっちもそうやっておることですから、それはとがめだてをしないで、どっちもやるだけやったらいいというふうに私は考えております。しかし私どもは国として大切なことであるというならば、よく国民に内容を了解してもらって、国論の多数に賛成を得るようにしたいものだと考えております。

岩本信行自由民主党

○岩本委員 関連してちょっとお尋ねしますが、七月六日の赤十字国際委員会での帰還問題、これは日本赤十字の提案か両赤十字の提案か知らないが、とにかくこの問題はおもなる議題になるだろうと思いますが、そういう情報は入っておりますか。一般的な会議の間にこの問題をはさむであろうというだけのことか、おもなる議題がこれであるか、その点が一つ。  それから、もちろんこれはおもなる議題になるものと思いますけれども、この国際赤十字というものが一ぺんでもって閉会されてしまうと大へんなことになるので、あくまで日本赤十字としては食い下って、たとえば継続審議になっても打ち切らせずに、この問題解決まで今度の赤十字国際委員会の会議を開かれ、それにおいて解決する、こういう熱意がほしいわけであり、それに対しては政府の方からも、そういう訓令というか指導というか、そういうことがほしいと思うわけであります。この点に対する情報というか、お考えはどうか、これをちょっとお伺いいたします。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關説明員 第一点の、六日の会議ではこの取りきめの審議が主題であるか、たまたまきまるものであるかということにつきましては、私の方でもわかりませんですが、ともかく今の予定では六日に審議するということになっております。それからこれを審議されまして承諾を得ればそれで問題はすべて済むわけであります。もし承諾を得られなかった場合にはどうするかという問題になるのでございます。われわれは今のところは承諾を得るように最善を尽せということでやらせておりまして、そのあとのことにつきましてはデリケートな点もございますのでちょっと申し上げかねる次第であります。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 質疑続行中でありますが、本会議等の関係もありますので、この際請願の審査を行います。  本委員会に付託されました請願ば、本日の請願日程に掲載いたしました通り四件であります。  この際、本日の請願日程中第一及び第二を一括議題といたします。これらの請願の趣旨については文書表によってすでに御承知のことと思いますので、趣旨の説明及び政府の所見等は省略し、直ちに採否の決定を行いたいと存じます。  ただいま議題といたしました両請願は、その趣旨が妥当だと認められますので、いずれも議院の会議に付して採決の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 御異議がないようでありますからさように決定いたします。  なお、ただいま審査いたしました各請願の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 御異議がないようでありますからさよう取り計らいます。  なお、本日までに本委員会に参考送付されました陳情書は二十件でございます。御報告いたします。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 なお、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。本委員会といたしましては、今国会が閉会になりましても国際情勢に関する件についての審査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し出たいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 御異議がないようでありますから、さように決定いたしました。  なお、閉会中委員を派遣し実情調査をする必要が生じました場合におきましては、その人選、派遣地、日数につきましては委員長に御一任をいただきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 御異議がないようでありますから、さよう決定、取り計らいをいたします。  この際暫時休憩をいたします。     午後零時三十分休憩      ――――◇―――――     午後一時十六分開議

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国際情勢に関して質疑を続行いたします。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ちょっとしり切れトンボになってはなはだ残念ですが、時間がもうあとの本会議その他でないようですから、先ほどの御答弁に対しても非常に重要な問題ですからもう少しお考えを伺いたいと思うのですが、それはその次にいたしまして、あと協議事項の問題について重要な点だけちょっとお尋ねしておきたいと思います。  協議事項は一般その他たくさん協議事項に譲られておりますが、従来、今度の改定については、行政協定二十四条の協議の場合と違って、日本側の拒否権が認められるということで、不平等条約を対等の条約にするのだという説明の内容の一つにしていたわけですが、どうもそういうことがないようで、日本語で協議といいますとこれは法律上の言葉でも、通常のヴォキャブラリーからいきましても同意を条件としている語感が強いわけですが、行政協定二十四条の場合はアメリカ側を拘束するアメリカの条約文ではコンサルト・ツゲザーとなっておるわけであって、これには同意を条件とするという意味はどうひっくり返してみてもないわけであって、相談する、または考慮する、そういう言葉の意味しかないと思うのです。ところが今度の場合においては同意を条件とする、言葉をあえていえば、コンサルトでなくてアグリーという言葉を少くとも使うところまで話が進み、相手の同意を得ておるかのごとく政府は放送しておられましたが、どうもそういうことでないようであって、いわゆる協議事項については法律上少くとも拒否権は認められていない、そういうことで一体この交渉を妥結して調印をなさろうとするのか、昨日の答弁でも法律上の拒否権が確立されておるかのごとき国民を欺瞞する答弁を岸首相その他しておられるようですが、これははなはだ重要な点であって、法律機構からいきますと、その点の経過並びに内容を明確にしていただいて、国民をたぶらかして調印に賛成せしめるようなことのないように、はっきりしておいていただきたいと思うのです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 もちろん最終草案ができておりませんから、最終的にどういう字を使うかということについて決定的に申し上げかねますが、しかし現在までの話し合いで、英語でいえば今のコンサルテーションというような字句になるかと思いますが、日本語では協議になるのではないかと思います。両方が正文になるわけでありますから、その意味において私どもは日本語は協議あるいは英語はコンサルテーションになるというように、最終的に草案はできておりませんけれども、考えていくのが順当じゃないかと思っております。ただ私どもは本質からいって協議事項であります以上は、むろんイエス、ノーが言えるわけで、協議がととのわないというのはイエス、ノーがあるから協議がととのわないわけであります。従ってその場合にそれを冒してやるということは、私は条約の趣旨に反すると思うのです。その意味においても拒否権があるということがいえると思っております。むろんそういうものを冒してアメリカがやるということは、国際的にやはりアメリカの信用を害することでも政治的に見ればあるわけでありますから、私はそういう意味に解して差しつかえないのではないかと思っております。ただ最終的に字句がきまっておりませんことは、草案を作ります段階にならないと申し上げかねますけれども、ただいままでの経過はそういうことであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは重大な御答弁でございまして、いやしくも条約でございますから、コンサルテーションを協議と訳すことは、私はそれ自身がすでに従来の法律用語からいけば意識的なる悪意に満ちた誤訳であると思う。コンサルトを協議という言葉に訳すことは、いずれにいたしましても、今のお話によりまして同意を条件としていない、あと政治的または道義的に、相手の意見を無視してやるということは友好に反するという希望的観測は勝手です。私の言っているのはそうじゃなくて、いやしくも条約文章になります以上は、その当事者がかわりまして主管がかわりましても、変更を受けることのない確固たる客観性を持っていなければならない。法律用語というものはそういうものなんです。しかも今のコンサルテーションの中には、全然アグリー、すなわち同意を条件としない、すなわち拒否権は認められない。これも明々白々たることだと思うのです。条約局長がおられますが、一体法律的にあなたはコンサルテーションに同意を条件とする、すなわち拒否権があるというふうに解釈しておられて大臣を補佐しておられるのかどうか。法制局ともお打ち合せの上で御答弁をいただきたいが、ひとまず長官がおりませんから条約局長の所信を伺っておきたいのです。重大なる欺瞞です。

高橋通敏条約局長

○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。われわれ一般的にはコンサルテーションは協議というふうに解釈しておる次第でございます。そこで協議がととのわないときにはやるかどうか、すなわち拒否権を持っておるかどうかということは、私はその条文の全体から考えるべきことだと思っておりますが、私が大臣に補佐申し上げている場合には、この場合の問題については拒否権がある協議であると考えて補佐申し上げております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 外務省はコンサルテーションを協議とお訳しになる。しかし日本語の語感で、協議というのは同意を条件としておるというふうに普通は解釈されておる。だからといってアメリカを拘束することにはなりません。私はあなたよりは英語の知識は少いかもしれないけれども、われわれが今まで十数年間に覚えた英語のヴォキャブラリーの中から、コンサルテーションにアグリーメントを条件としておるというような訳は、アメリカ人からもイギリス人からも聞いたことがない。アメリカを拘束するのは日本語の協議という言葉ではなくて、コンサルテーションあるいはコンサルト・ツゲザーがアメリカを拘束する条約の文章になるわけです。道義的には友好関係を結ぶという精神がうたわれておりますから、それは人の意思を無視して云々ということはないかもしれぬ。そこで大臣にお尋ねいたしますが、この問題は実は行政協定二十四条当時から幾たびか国会でも論議され、外でも問題になっていることなんです。ですから今度の交渉に当ってでき得べくんば同意を条件とする、その点を明確にするような、すなわち配備、装備、行動を起す場合に、日本側の同意なくしてはアメリカはできない、やるやらぬは別だ、政治的な態度ですから別ですが、少くとも条約文章の上におきましては同意を条件とする、同意の上に初めて成り立つ、こういうふうに交渉を進めるべきであったと思うし、進められた事実があると思う。その点をはっきりしていただきたいのです。同意を条件とする、同意によってという、英語に訳すならばアグリーあるいはアグリーメントという言葉にするつもりであったが、それがついに交渉ができなくて、相手の承知が得られなくて、コンサルまたはコンサルテーションになっておるのか、全然その問題については話し合っていないのか、一体どの程度の交渉をなさったのか。国民に対してはなはだしく怠慢であるか重大なる過失でございます。ですからこの交渉の経過をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 われわれは交渉の過程におきまして、むろん、例を申しますれば、核兵器の問題等につきまして協議をしなければならない。そして協議をした場合に日本側がノーといった場合には持ち込み得ないのだというわれわれの説明をいたしております。協議がととのわない場合には実行できないということをいっておりますので、私どもは今の字句上、コンサルテーションがどんな響きを出すのかあるいは協議と違うんだということについては、さらに研究をいたしてみますけれども、私どもとしてコンサルテーションあるいは協議というものが、今申し上げたような趣旨から言いまして、同意をしなければ協議が成り立たないのでありますから、当然拒否権があるものと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうであるならば当然のことですが、国民の不安を除くために、日本語で言うならば協議というあいまいな言葉でなくて同意を条件としてという言葉にする。アメリカ側の言葉では少くともアグリー、またはアグリーメントという言葉を使うように。あとになっていざこざが起きては困りますから、この点はこれから交渉を当然することと思いますが、この疑点は私一個の不安ではございません。国民多くの不安であり、多くの疑点となっておりますから、少くとも日本の国民のための外務省であるならば、日本国民の正当なる疑惑、不安を除くために、日本においては同意、しかも話し合いでは同意を条件として、同意がなければ成り立たないということができておるならば、あとは言葉を日本語では同意を基礎として、同意の上に、あるいは同意を条件として、向うの言葉はアグリーまたはアグリーメント、こういうふうに了解を取りつけるべきだと思いますが、その点をここで一つ約束しておいていただきたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私はただいま申し上げましたように、協議という問題が今申し上げましたような内容ででき得ると思っておりますので、協議という言葉で差しつかえないと思っております。しかしながらそういう御意見がありますれば、十分念頭に置いていきたいと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 時間が追ってきましたから、まだ問題は解決しておりませんが、次の機会に譲って、協議事項についてもう一点お尋ねしておきます。これは協議するときには一体いかなる機関と機関の間でやりますか、その話し合いはできていますか。これは当然すべきことでありますが、外務大臣と大使の間でやるのか、軍司令官と防衛庁長官とやるのか、国防会議議長とやるのか、あるいはまた特別の会議を設けるのか。その点をはっきりしませんと、協議のときの判断並びに協議を取りつけるところの手続上の責任は、お互いに明確にしておかなければいけませんから、あそこにしなければならない、ここにしなければならないということで、コンサルテーションは済んでおるということを言われたのでは困る。ですからどういう機関で協議をするのか、その点は交渉中に当然明確にすべきだと思いますが、明らかにしていただきたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今度の安保条約には協議すべき条項が相当ございます。総括的な協議もございますし、今申し上げたような特殊の協議もございます。従って協議機関というものはどういう形でどういうふうに作らなければいかぬかということは、私ども当然考えなければならぬ交渉中の一つの問題だと思います。条約その他ができました後に、これらの機関についても話し合いをしていくつもりであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 日本政府の考えはどうですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただ今日までやっておりますわれわれの考えからいたしますれば、何か一つ総括的な協議機関が要るんじゃないか。それはたとえば現在までの日米委員会、ああいうような種類のものが一つあって、そのほかに分科会と申しますかあるいは専門的な問題を討議する機関、その下部と申しますかあるいはそういう種類、そこいらの点についてはまだはっきりしたわれわれも構想を持っておりませんけれども、それらの問題については当然協議機関が要りますから、どういう形のものを作れば一番適当かということは当然協議して参ります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 あと一点だけ。これで打ち切りますが、一括してお尋ねしておきます。  法律上はもとより米比、米中、米韓条約と今度の日米条約とは関係ありません。しかしながら、政治的には同類のものであると思うのです。これによりますと、すべてが一九五一年から五四年の間に結ばれた条約であって、今日よりは国際情勢やや緊迫しておる空気の中、そのときにおいても、三つともこの条約第十条で期限は、予告期間一年になっております。それが日本側から、その後の緊張緩和の情勢にあるにかかわらず十年間というような、予告期間を加えると十一年間、これをみずから縛って提案された理由は一体どこにあるのか、その政治的な必要とする説明をしてもらいたい。  総括してお尋ねしておきますが、もう一つの点は、先ほどあなたは、あなたの最初の私に対する御答弁の中で、調印が最終ではないのだ、調印から批准の間に国民の要望を反映する余地があるのだ、こういうふうに言われましたが、もしこれに対して、調印から批准までの間にこれに反対をする意向または修正をする意向、こういうものが世論として圧倒的になったと見受けられたときに、反映する余地があるということになれば、一体どういう具体的なことを考えておられるのか。調印から批准までの間にこれは修正しなければならない、またこれはやめなければいけないという世論が明確になったときに、まだそれを生かす、反映せしめる余地があるから心配するな、こうおっしゃってわれわれを安心せしめるような答弁を先ほどなさいましたが、調印から批准までの間に、国民の世論を反映する具体的な方法は一体何を考えておられるのか、これについて明確にしておいていただきたい。二点でございますから、もう再質問しないで済むように明確にお答えをいただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今、後段の問題につきましては、先ほど言葉が足らないと言って私は訂正しておいたつもりでありますけれども、むろん調印が最終的でありまして、議会等で論議されるという段階があるのだという意味において申し上げたので、政府は責任を持って調印いたしました以上、それに対してすぐに修正をするというようなことは、責任を持ってやった以上はおかしなことだと思います。従って世論等は十分調印の前に、またできたものについて政府の所信を十分国民に伝える時間があることは申すまでもないという、その意味において申し上げたので、誤解のないようにしていただきたい。  期限の問題につきましては、これは種々論議があろうと思います。一方ではNATOで二十年、三十年の条約もございます。また今のような米韓、米比等の短期間の期限の形のものもございます。われわれとしては、今の日本の置かれている立場その他の事情から申し、国際情勢その他極東における諸般の情勢等を考えまして、また十年くらいが一番適当ではないかということをわれわれ……。(「以前より緊張は緩和しているじゃないか」と呼ぶ者あり)今日まだ国際間の緊張というものは、完全に緩和はいたしておりません。また世界的軍縮というものも必ずしも達成はいたしておりません。われわれはそれを希望することはむろんでありまして、あるいは国連の機構内において、国連が安全保障の組織を作りますことも非常な希望であると思います。それらのものが、今日国際情勢がいろいろ急激に変化しつつある、またスプートニクや科学兵器の発達なんかでもって非常に大きなそれが影響を持って変化しつつあるといわれながら、一方ではそういう要素がございますけれども、現実の問題として必ずしも諸般の問題がそう急速に平和、安定というような、紛争のないような事態にいくということも考えられないわけでありまして、そういう意味から考えましてわれわれは十年程度が一番適当であろうかと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 はなはだ納得いたしませんが、時間がありませんから、また他の機会に留保して、一応打ち切ります。どうもありがとうございます。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 床次徳二君。

床次徳二自由民主党

○床次委員 まず日韓問題についてお尋ね申し上げたいと思いますが、先ほど北鮮帰国問題に関しましては政府委員から答弁がありましたので、この際わが国といたしましては既定方針によりましてぜひこれを実現することを一つ強く要望いたして終りたいと思います。  次の問題は李承晩ラインの問題であります。先ほど大西委員と保安庁長官との問答を聞いておりますと、まだ政府におきましては今日におけるところの李ライン外における操業の緊迫性というものに対して十分な認識がないように思われるのであります。今日漁船の拿捕の数字等から見ますると、特に被害が増大したようには見えませんけれども、今日の状態におきましてはかの北鮮送還問題ができまして以来だいぶ韓国側の巡視船の活動というものが強化せられておるように見えるのであります。従って現実においては漁業の操業時間というものが非常な圧迫を受けておる。これが漁民に対する影響すこぶる大きく、これが民生にも実は死活問題であるというふうな状態になりまして、特に自衛船の問題まで論ぜられるようになった次第であります。従ってその環境あるいは条件の変化というものは、過去の問題とは違うのであります。従ってこの際、先ほど大西委員からもお話がありましたが、かつて海上保安庁の巡視船に対しましてそのとるべき処置として、特に実力を行使せずして漁船を保護するという趣旨のもとに、漁船保護に関する閣議決定ができておるのでありますが、これを再検討するということは当然必要なことになっておるのではないかと思うのであります。国民の世論もその情勢の推移に伴いまして非常に強くなってきておる次第であります。この点政府といたしましては単なる保安庁の立場のみならず、外交上その他広範な立場から李ライン漁船保護の対策をこの際一つ再検討をせられんことを必要とすると思うのでありますが、右に関する大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日韓間の問題のうちの李ラインの問題は、御指摘のようにまことに重要な問題でありまして、ことに日韓関係が緊迫して参りますと、とかく韓国側からのこうした妨害行為が多くなります。そこでかりにそういう事件が若干起らないということ自体が、日本漁船があまり活躍しないから起らなくなるんだ。従って漁業者の生活問題にも関係してくるという点は、私どももよくわかると思っております。従ってこれらに対する保護措置というものを十分充実して参らなければならぬことは当然のことでありまして、閣議の決定等につきましても必要な時期に再検討をいたしてみることは一つの方法だと思います。ただ国際関係のことでありまするから、両国間の感情が非常に高まっておりますときに、とかくのことがありますと、かえって誤解を生み、あるいは無用の刺激を与えるということになっても相ならぬのでありまして、そういうことを考慮しながら、今お話しのような問題についてはわれわれも考えて参らなければならぬと思っております。

床次徳二自由民主党

○床次委員 なお先ほど申し上げましたように、今日の漁業の操業状態というものは、相当緊迫された感覚のもとに行われておる次第であります。従ってこれに対処するところの保安庁の巡視船その他関係係官におきましても、従来と違った心がまえを持って対処すべきことが必要になっておると思うのであります。この見地から各省間の十分なる意思の連絡と申しますか、協議というものを行いまして、対処し得るだけの政府の態勢を作っておく必要があると思うのであります。この実現に対しまして、特に外務大臣の強い発言を要望いたしたいと思うのですが、御所見を伺います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 もちろん外務省の扱っております諸般の問題というのは、ほとんど各省全部に関係しておりますので、平素でも各省の意向を体するということが、日本の意向を外交面に反映するゆえんだと思うのであります。外務省自身が独自の立場で発言することはすべきでなくして、各省と十分連絡して参らなければならぬと思います。特に御指摘のように、この問題につきましては漁業者の生活の問題、またこれを警備する官省との関係等、いろいろ各省との連絡を緊密にしていきますことが万全策を立てるゆえんだと思うのであります。私どもといたしましては、むろんそうした各省間の協議を強化しまして万遺漏のないようにして参り、その中において外交部面としてわれわれが持ちます面につきましては、それらの各省との連絡の上で定まりました方針に対して極力それが円滑に進みますように努力して参りたい、こう外務省の立場としては思っております。

床次徳二自由民主党

○床次委員 次に日ソ問題について簡単にお尋ねいたしたいと思います。すでに新聞紙上にも論ぜられておるのでありますが、過般のソ連大使の日本の中立化に関する発言に対しましては、これは従来の外交慣例に反しましてまことに遺憾に存ずる次第でありますが、しかしこれに対する政府の態度は、直ちに声明を出されたようでありますが、新聞その他報道機関等に現われますところはきわめてわずかなものでありまして、政府がこれに対して意見を発表されたということ自体が、ほとんど国民としてはわからない状態だと思うのであります。そういう状態にありましては、今後の日ソ間の問題解決等に対しまして、むしろ大きな障害になるのじゃないか。私どもは、やはり政府としてはなすべき周知報道に関しましては、もっと十分な努力をせられることが必要かと思うのでありますが、これに対する御所見をお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 一般的に申しましても、外交関係の問題につきまして政府の方針等を周知徹底せしむることは、今日まででもやっては参っておりますけれども、もっと強化してそれをやって参らなければならぬことは申すまでもないことであります。従いまして、今後そういう問題につきましてわれわれが機を逸せず、あるいは十分外務省の見解を表明したものが一般的に見られるような状態に、できるだけ努力はして参りたい、こう考えております。

床次徳二自由民主党

○床次委員 さらに似たような問題でありますが、ソ連の大使が最近安全操業に対する意見を発表しております。安全操業に対する問題は、日ソ両国が平和条約を締結することによって解決できるのだ、かような趣旨のことを申しておるのでありますが、これは一面から見ますると、わが国民が色丹、歯舞、さらに択捉、国後等に関し、わが領土なりと主張しておることに対し、これを全く無視した見解であると思うのであります。従って、かかる状態を来たしておるということに対しましては、一にわが国の要望、わが国民の要望が内外にわたってまだ徹底しておらない向きもあるのではないかということを疑わしむるものがありますが、この際政府の方針、政府の領土に関する立場その他に関しまして、これをもっと解明にいたしまして、国民にこれに対する十分な理解を与えるということも必要であると思うのでありますが、これに関する御所信を伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日ソの平和条約につきましては、日本側として領土問題が、日本の主張が通らない限り締結できないことは申すまでもないわけでありまして、従ってその点について国民の一般に十分な理解を深めますような方法につきましては、われわれも今後ともできるだけ努力して参りたい、こういうふうに思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員 ただいまの問題につきましては、すこぶる重大な問題でありますので、政府といたしましては過去の日ソ関係の実情にかんがみまして、やはり国民に対して理解を求むべき点に対しましては、もう少し明白な説明をつけ加えることも必要ではないかということを感ずるのでありますが、今後さらに一そうの御努力を要望いたしたいと思います。  次に安全保障条約に関して一、二点お尋ねいたしたいと思います。今日まで同僚各位からいろいろと安全保障条約の改定に関して議論がありましたが、その中の一点といたしまして、相互防衛の立場から、日本が在日米軍基地に対する攻撃を受けましたときに、これに対して受けて立つということが述べられておるのでありまして、その行為たるや、当然憲法に認められたところの自衛行為の範囲であると私どもは考える。従ってこれは憲法の範囲を逸脱するものではないということになると思うのでありますが、この点に対する政府の見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。  なお日本の自衛隊が、在日米軍に対する外国の攻撃に対して、これを自衛するということ、これが自衛の範囲内でありまするならば、基地に対して反撃を加えるということは、当然自主的に対処することができるわけでありまして、これは自衛の立場においてできるわけでありまするが、これが相互防衛の義務によって課せられたものであるというふうにいたしますると、非常に別のもののように考えられて新しい問題を惹起すると思います。この点に対して世間では相当誤解があるようにも思うのでありまして、この疑念を明らかにすることをお願いいたしたいと思うのであります。私どもは、この行為は自主的な防衛の立場、いわゆる自衛の範囲内において反撃を加えるのである、従って憲法を逸脱しておらないというふうに思うのでありまするが、この点に関する政府の御見解を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 大体今床次委員が言われましたのと同じようなわれわれは考え方なのでありますが、日本の基地を攻撃してくる場合には、日本の領土を侵して参るわけでありまして、それ自体が日本に対する侵略ということになると認められるわけであります。でありますから、日本の自衛隊が侵略行為に対して、それぞれの憲法上の手続に従って行動をいたしますことは、私は当然できることだと思います。その結果がアメリカ軍の援助になる場合もありましょうけれども、日本の自衛力を行使するということにおいては、私どもは、そういう意味において自衛力の範囲内だと考えております。

床次徳二自由民主党

○床次委員 ただいまの場合におきましては、日本自衛隊の活動というものは、当然自衛行為によって発動していくという自発的のものであって、同時に結果において、それがいわゆる相互防衛的な防衛になるというふうに解して差しつかえないと思うのでありますが、御所見いかがでありますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 そういうふうに解して差しつかえないと思います。

床次徳二自由民主党

○床次委員 次に、沖縄、小笠原の問題について伺いたいと思います。沖縄、小笠原が今日わが国の施政権下にないために適用区域から除外される。しかし、将来におきまして施政権が返って参りました際におきましては適用を受けるというふうに政府は取り扱っておられるようであります。しかしこれに対しまして、とかく沖縄、小笠原がかような状態に置かれることによりまして、日本が戦争に巻き込まれるおそれがあるのではないか。場合によりますれば、NEATOの米韓、米比あるいは米華等の相互条約の結果、当然日本が影響を受けるのではないかという議論があるわけでありまするが、大体沖縄、小笠原が日本に復帰する、施政権が日本に返還せられました場合におきましては、すでに米韓、米比あるいは米華等の条約におきましては相当大きな変革があるために、沖縄が復帰したからといって、米韓、米比その他の条約が発動され、そうしてNEATOのごとき結果を当然生ずるものではないと思うのでありまするが、この点いろいろと世間におきましては意見がありますので明らかにしていただきたいと思うのであります。なお沖縄を日本が守ります場合におきましても、これは当然自衛の範囲内である、それを逸脱するものでない。従って将来復帰いたしました後におきましても海外派兵という問題は依然として起らないというふうに私は考えておるのでありまするが、この点に対する御意見を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいまの状態におきまして、条約は、おそらく施政権のあるところだけに適用されることになろうと思います。従って沖縄、小笠原は除外することになろうと思いますが、沖縄の施政権が返還されてくれば、当然安保条約の対象になってくることは申すまでもないと思います。そのときには、完全な日本の主権が行使されることになるわけでありますが、従って、ただいまお話しのような条約の影響をこうむることはない状態になることは申すまでもないと思います。そういう意味において、ただいまのお考えと同じようにわれわれは考えております。

床次徳二自由民主党

○床次委員 さらに沖縄に関しまして、新刑法が設定せられんとしておるのでありまして、この新刑法の内容に関しましては、地元並びにわが国内におきましても、相当注目をひいておることは御承知の通りでありますが、この新刑法に関しまして、外務省からアメリカに対していろいろと折衝せられました結果というものに対して、きょう新聞等で見たのでありますが、政府の意向といたしましては、今後沖縄島民のいわゆる復帰に対する各種の運動、これが合法的な場合におきましては、何ら障害を受けるものではない、政府から圧迫を受けるものでないと確信してよろしいと思うのでありますが、この点十分なるアメリカ側の意見というものを政府といたしまして、理解しておられるかどうか承わりたいのであります。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 沖縄の新刑法ができまして、その趣旨につきまして、われわれとしてはアメリカ大使館を通じて説明を求めたわけであります。むろん今回の刑法におきましては、従来の百四十四号以下新しく出ましたものを集大成したものでありまして、その中には若干の相違がありますことは、もちろんございますけれども、いいようになったところもございますし、あるいはまた重くなったところもございます。ことに被告人の問題については、被告人を擁護する措置を十分深めております。ことにただいまお話しのように、言論等につきましても、従来出版というものは、認可制でありましたのを届出制にするというようなことにもなっております。アメリカ側の説明におきましては、お話のありましたような原水爆禁止の大会であるとか、あるいは復帰運動というものが合法的に行われる限り、何らの弾圧を加えるものではないし、この刑法の対象になっているものではないと説明いたしております。私どももそうであらねばならぬと考えておるわけでありまして、なおただいまの刑法につきましては、立法院が軍政府に要求をいたしまして検討中でございます。従って八月十五日まで施行を延期しておるので、それらの経緯と見合いながらわれわれは沖縄の人たちの十分な理解と、また沖縄の人たちの意見のあるところについては十分関心を持って注意をいたしておる次第でございます。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 戸叶委員。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 時間がないようでございますから、私は二、三点だけ安保条約の問題について質問をいたしますが、今床次さんの御意見と藤山外務大臣との御意見を伺っておりまして、私は違った角度からそれに対する質問をしたいのですけれども、それには非常に時間がかかりますから、この次にそれを保留しておきたいと思います。  安保条約についての質問に入ります前に、私まずお伺いいたしたいことは、この五月の十一日から十三日までに日本で太平洋アジア港湾労働組合会議というものが行われました。そのときに、日本から各地へ招待状を出し、そして六日から一応委員会をやるので、アメリカからの代表も一人それに参加してくれということで招請状を出しました。ところがそれに対して、ルイス・ゴールドブラットというアメリカの港湾労働組合の書記長が日本の国に入国ができない、入国をさせない、日本が拒否したというような事件がございました。そのころはちょうど参議院の選挙でもあり、外務委員会も開かれておりませんで、そのままになってしまったのでございますけれども、いろいろ聞いてみますと、アメリカの方では日本への出国を許可をしておる。ところが日本の在米領事館からはこれに対して許可をせず、その後さらに日本の外務省に対して、一応断わったけれども、それに対してどういう意見であろうかというような問い合せもあったやに聞いております。この問題は国会閉会中で問題になりませんでしたので、大して大きくならなかったように思われますけれども、この港湾労働組合の方々が各地で憤慨をいたしておりまして、この問題の解決を見るまでは、日本船のボイコットでもやろうというような機運にあるということさえも聞いております。そこで、やはりこの問題というものははっきりさせておく必要があると思いますけれども、日本でこのルイス・ゴールドブラット氏の入国許可をしなかったという理由は一体どこにあるのでしょうか、伺いたいと思います。

高木謹一郎外務事務官(移住局長)

○高木説明員 ただいまの点簡単に御説明申します。外国人の入国の許可権については、入国管理局が権限を持っておりまして、あそこが許可しなければ査証を与えないことになっております。本件に関しましては、四月にゴールドブラット氏が日本に観光旅行で来たいという旅行査証を申し込んできました。これはサンフランシスコの総領事館に申し込んできたのであります。ところがわれわれ聞いておりますところは先ほど戸叶先生がおっしゃったように港湾労働者大会に参加のためである申請と実際の目的が違うということで、虚偽の申請ということでこれを却下したのであります。なおその後さらに今度は港湾労働者大会に出席のためということで再び申請をしてきたのでありますけれども、われわれとしては、最初の旅券の申請自身においてそういう虚偽の申請もあったこと、また本人が過去において、イギリスにおける労働問題についていろいろ行なったことがあるというようなことも伺っておりますが、こういう点も顧慮せられたのだと思いますけれども、入国管理局で許可しないということになって、われわれの方は査証を断わったのであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 聞くところによりますと、このゴールドブラット氏は、戦争中に日系米人の強制移住というようなことが起きましたときに、こういうような人種的差別待遇というものを廃止しなければいけないといって、盛んに日本のために働いてくれたような親日派であるわけでございます。こういうふうな人が、日本に対しての入国が認められなかったということに対して、非常に割り切れないものを多くの人が持っておるわけです。ただいまのお話を伺っておりますと、虚偽の申請をしたということでございますけれども、これはだれでもあることで、たとえばツーリストとして行きましても、たまたま自分に関係のある会議等があった場合に出ても、私は悪いというようなことにならないのじゃないかと思いますが、この点についても伺いたい。  もう一つは、たとえば私などがアメリカに行って、そうしてたまたま自分に非常に興味のある会合があったためにそれに出るということとは、虚偽ということで断わられるものかどうかということが一点と、それからさらにこの方自身が再度申請をしてきている。しかしそれに対して拒否をした。このことの理由は今おしまいごろにちょっと述べられました、過去においてイギリスにおいての労働問題で何かひっかかっているように、しまいの方がよくわかりませんでしたけれども、言われたわけでございますが、むしろこの入国を拒否したのはそういうところにあるのではないか、これを伺いたいのですが、この点はいかがでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知のように、この入管の問題は法務省の入管局でやっておりますので、詳しいことはわかりませんが、それらの点につきまして十分調査をいたしますが、なお同時に将来入管の問題については十分注意いたします。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 最初のときには、ちょうど日本で見本市が行われておりましたので、その見本市に出席したいということで申請をしたわけでございます。ですから、この点をはっきりさしておいていただきたい。藤山外務大臣の今の御答弁の中ではっきりいたしませんでしたが、なお入管等を調べましてはっきりさせるというお答えでございましたので、それでいいといたしましても、たとえば私などがアメリカヘツーリストであるとか、あるいは日本と逆の形で国際見本市などがあったときに、それに出るのでという申請をして、向うで何かの大会に出るということは、国際的な問題としていけないのかどうか、この点を藤山外務大臣にお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 こういう具体的な問題は、はなはだ御答弁がしにくいと思うのでありますが、戸叶さんがたまたまアメリカに行かれて何かの大会に出席されるというようなこと、そのことが特に悪いとも考えられません。しかしケースによっては、今のような若干詐称的なことで初めからやるというような場合もあり得ないとは限らないわけでありまして、そういう点についてはやはり注意をしなければならぬのではないかと私は考えておるわけであります。従ってそういう問題につきましては、やはり一般的に申せば、むろん海外旅行をした途中で、何かたまたま会議があってそこに出席するというようなことは、これは悪いことではないと私も考えます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今のケースを逆のケースにした場合に、日本でもそういうことはあり得ることでございます。しかも二度目には、はっきりと労働組合の会議に出るのだという申請をしているわけです。それでもなお断わったということは、やはり何かほかに大きな原因があるとしか考えられないわけでございまして、断わられた人たち、並びにその同志の人たちがはっきりさせたいことは、一体何が理由で断わられたか、何が理由で日本の政府か拒否したかということをぜひ聞いてほしい、ぜひはっきりさせてほしいということを願っているわけでございまして、この点はもう一度移住局の関係の方にお伺いいたしますけれども、イギリスの労働組合の会議に出たということが主としての理由になっているかどうか、もう一度伺いたいと思いますのと、さらにこのアメリカ人の入国に対して拒否したというような例がこれまであるかどうか。しかもアメリカの政府では日本に行ってもいいといっていながら、日本の政府でこれを拒否したというようなことがあったかどうかを伺いたいと思います。

高木謹一郎外務事務官(移住局長)

○高木説明員 私、移住局長になりましたのはまだつい最近でございますから、前のそういうような事例につきましては調べて御報告したいと思います。  それからゴールドプラットの件につきましては、先ほど申しましたように、入国許可権は入国管理局にございまして、外務省はそれに基いて査証をしているわけでございます。ただ私聞きましたところでは、本人の経歴その他についてこういうお話があったからということをつけ加えただけでありまして、それが原因になっているかどうかは、調べた上でないと申し上げられないと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 やはり今後も港湾労働組合というものの全国の大会、世界大会というものは行われるわけでありまして、この問題がすっきりいたしませんと、いろいろな面で影響が波及することもあることでございますから、この次までになお入管の方とも御相談になりまして、この問題がはっきり納得のいくようなお答えをどうぞ外務大臣はお持ちになっていただきたいと思います。御参考までに申し上げておきますことは、このゴールドブラット氏はイギリスの労働組合には出席をいたしましたけれども、御承知のようにイギリスの港湾労働組合というのは絶えずストライキをやっております。たまたまそのストライキをやっているときに出っくわしたために、まあ皆さんしっかりやれと言って激励をしたというだけだそうでありますけれども、そういうことでもなおその人が日本の国に入れないということになりますと、私は大きな問題になるんじゃないかと思いますから、この点をよくお調べになって、はっきりとした理由をこの次の委員会に持ってきていただきたいということを私は要望いたします。  それから先ほど穗積委員の質問に対しまして、今安保条約の改定に対しての反対の意見というものがだんだん盛り上ってきている、国民の意見を聞くという意味で、調印前にこれを一応国民の前に出すべきじゃないかということに対して、外務大臣はそういうことはしないというふうなことでございました。それから調印と批准との間で、反対の国民の意見が盛り上ってきた場合には、批准をしないようにするかどうかということに対しましては、いや、確信を持ってやったことだから批准に持ち込むというようなお答えでございましたけれども、そうだといたしますと、もしも調印される前に、たとえば警職法の反対のように、国民が非常にこの問題に対して反対の意思表示というものをしてきた場合には、調印についてはお考えになるかどうか。先ほどの御答弁では、調印をしてしまった場合には、批准には必ずどんな反対があっも持ち込むということでございましたけれども、調印前に多くの反対意見があったときにはどういう態度をおとりになるか、この点をお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 もちろん安保条約の改正問題については、いろいろ御議論があることも承知いたしておりますし、私どもも今日まで衆参両院の外務委員会等を通じて、大体問題点については相当論争をされ、その問題というものは、おそらく各位の持っている疑問点等を代表して皆さん方が御質問になり、われわれもそれに対して解明をしてきたことではないかと思います。そうして反対運動等があることも承知いたしておりますけれども、しかし果してそれが国民全部の反対であるのか、あるいはわれわれの言っておりますことを十分理解してもらっておる各層も、必ずしも私は少いとは考えておらないのでありまして、そういう意味において反対の意見というものを聞くことは、むろんわれわれはいつでも過去においても十分耳をかしてきたつもりでおりますけれども、しかし反対がただ起ったからということだけで、そのこと自体が全部の反対であるか、あるいは国民のある部分の反対であるか、また問題によってはそれの大小もございましょうと思います。そういう点について、いろいろそのときの状況もあろうと考えておりますが、しかし私どもとしましては、聞きながらやってきておりますから、そう国民の願望にはずれておるものを作っておるとは考えておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ただ安保条約の問題は、これは非常に国内の問題に関係があるのでございますけれども、条約というふうな名前がつきますと、どうしても一般の国民の中には、ことに末端に参りますと、自分たちと関係がないかのような感じを持つ人が多く、一方におきまして藤山外務大臣も、今回は非常に積極的に各地に、安保条約の改定は必要だということを一生懸命にPRをされている。ところが国民の一般はそういうことを知らないで、私どもがその安保条約の改定の意味するものというものを説明していけば、だんだんにどういうものであるかということがわかりますけれども、まだ浸透しないうちに、政府の方が力があってどんどんやっていってしまうというようなへんぱな状態にもなっているわけでありまして、もう少しやはり国民一般に徹底させ、浸透させた上での判断というものがなくてはならないと思うわけです。そういう意味から申し上げましても、国会でのこれまでの質疑応答なり何なりをもっと国民に徹底させ、そうして国民の意思というものをもっと聞くような方法が考えらるべきじゃないかと思いますけれども、こういうことはもう全然お考えにならないで、先ごろ二十七日かに読売に出ておりましたこの草案が最終的なものとして決定するのだ、調印するのだというお考えでございましょうか、それともまだまだいろいろな点でアメリカとの交渉、折衝をした上での案ができるのだというふうにお考えになるのでしょうか、この点を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 お説のように、各方面で安保条約の改正というものに対して正当な理解を得ておらぬ面もあると思います。従って私どもは、国会等で申し上げておりますと同時に、先般の地方選挙もしくは参議院選挙の際にもできるだけ私の考え方というものを国民の皆さん方に申し上げて、そうして理解と支持とを得るように努力してきたわけでありまして、私どもの真意を正当に理解していただきました方々は、安保条約改正は今日の場合必要であろうと感じていただいておるのではないかと私は推測をいたしておるわけであります。むろん条約作成の段階になりまして最終草案を作りますことは今後の問題でございまして、従って新聞紙上出ておりますものは、近ごろ一年半にもわたってこの問題は国会等でも論議されておりますから、頭のいい記者諸君というものは大がい現行安保条約と対比しながら、りっぱなものをみんな作成してくれるのでありまして、そういう意味において出ておりますけれども、われわれ外務省として最終草案をまだ決定はいたしておりません。しかし話し合いは十回にもわたって最近いたしておりますので問題の点については相当話し合いが煮詰まってきておることだけは事実であります。従って、むろん今後、いろいろな問題についてもまだ折衝は残ってはおりますから、それらのものを完結して、そして最終草案にまで参らなければならぬのでありますけれども、交渉が順調に煮詰まりつつあるということだけは申し上げられると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 まだ今後交渉しながら、大体発表されたようなものに近いものが出るらしいというところまでおっしゃったわけでございます。  そこで「自由評論」などで、この安保条約を締結いたしました責任者である吉田さんの意見などを見ておりましても、この条約を結んだときには、日本の場合には自衛というものがまだなかったし、自衛といいますか、自助及び相互援助という、いわゆるアメリカのバンデンバーグ決議に相当するようなものを持ってきても日本には当てはまらないために、へんぱな形の安保条約が結ばれたということが言われているわけでございますけれども、日本の政府が代々かわるごとにだんだんに憲法九条の解釈というものを拡大解釈して参りまして、陸、海、空軍に見合うようなものを作ってきて、今日ではバンデンバーグの決議を入れても大体いいんじゃないかというようなことで、今回そのバンデンバーグの決議の精神をお入れになったようでございます。この草案といわれておりますものの三条を見ますと、防衛能力の維持発展を約束しているわけでございますけれども、日本の場合にはほかの防衛条約と違いまして、特に憲法の規定の範囲内で防衛能力の維持発展ということを約束しているわけでございます。そこでこの憲法の規定の範囲内ということは、具体的に、単刀直入に言って何を意味するかをお伺いいたします。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 こうした条約を作るお互いの国の立場というものは、やはり自分の防衛はできるだけ自分で努力をするという立場でなければならぬというのが、私はバンデンバーグ決議の精神だと思います。これは独立国として当然なことでありまして、その精神をうたいますことは、お互いに何か、日本でいえば自衛力を増強する約束をしたということではないのでありまして、その意味におきましても憲法には違反しておらぬとわれわれは考えております。ことに日本の憲法はもう十分特異の立場にある憲法でもありますから、従って特に憲法の範囲内ということを、そういう意味においても、この交渉においてあらゆる角度から十分向うに説明をいたしておりますので、それを逸脱するような条約を結ぶことはないことはもちろんであります。そういう意味においてバンデンバーグ決議は生かし得るということをわれわれは考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今外務大臣のおっしゃったような御答弁だといたしますと、この中にうたわれておりますところの防衛能力の維持発展というようなことは一体どういうことになるのでしょうか、この点を伺います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいまお話し申し上げましたように、日本は自分で守る防衛能力は独立国として持っておることは当然であります。ただそれをどういうふうにして維持発展させていくかということは、日本人自体がきめていくことであります。それはそのときの財政経済の事情なり諸般の事情を考慮してきめていくわけであります。ですからそういう意味においてわれわれは考えておるわけでありまして、そのこと自体は何ら条約による義務の負担ということではないと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 条約による義務を負担するということではないにしても、防衛能力を維持発展する、自助のためにそういうふうにするということになりますと、ある程度さらに日本の自衛隊なり何なりをふやしていくということも考えられるわけでございます。そうなって参りますと、どの程度までふやしていったときに憲法の規定の範囲内ということがいえるか、そういうところまでお考えになって交渉をされているわけでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日本がどの程度に自衛力を持つことが日本の安全のために、防衛、自衛のために必要であるかということは、防衛当局その他が十分考慮しておるわけであります。現在の段階におきまして国防会議の決定方針以上に推測いたすことはいかがかと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 憲法九条の解釈によるのですけれども、憲法九条というものは私どもから言わせますと、もう徴兵制度以外は何でもできるというふうに解釈されるわけでありますが、この点は防衛論議のときに回すといたしまして、条約の適用範囲の場合に、沖縄、小笠原を入れるかどうかということが大へんに問題になって結論としては日本の施政権の及ぶ範囲内ということになったようでございます。これまでになる経過を新聞紙上なりあるいはこの委員会等においてずっと見ておりましたときに、大体沖縄、小笠原というものは入れないで、施政権の及ぶ範囲というふうになったわけでありますが、そのある過程において沖縄の施政権がもしも返還された場合には自動的に日本の条約区域の中に入るのだというようなことを言おうとしたけれども、それは結論として言わなくなったというふうなことも知ったわけでございます。私から考えますと、そういうことを言っても言わなくても同じじゃないかと思うのですけれども、施政権が返還されたときには日本の条約区域になるのだというのと、そういうことを言わずに、ただ施政権の及ぶ範囲内ということとは違うのでしょうか、違わないのでしょうか、この点を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 施政権の及ぶ範囲でありまして、沖縄、小笠原は現在潜在主権と考えております。施政権が戻って参りますれば、完全に日本の施政権が行使されることは当然であると思います。従って本条約の目的に入っておると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、そういうことを別に言わなくても同じだという結論になると思いますけれども、どうでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御質問の趣旨がわかりませんけれども、特に言わなくても施政権が返還されれば入ってくるものだということは、御説の通りであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 その問題がいろいろと議論されたものですから、私はどうしてそういうふうなことがいわれるか、むしろアメリカ側が施政権の返還ということをうたうことに非常に不満があるというふうにしか私には考えられないわけでございます。ことに十年間というような期限がつけられますと、おそらくアメリカとしてはその間に沖縄の施政権をやるという意思がないために、そういった問題を出されても応じないのじゃないかというふうに私は見たわけでございます。  そこで次にお伺いしたいことは、日本から沖縄へ在日米軍が出て行きますときには、事前協議の対象になるのですかならないのですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 事前協議の対象になると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 なるということになりますといいのですけれども、もしならないということになりますと、日本から沖縄、沖縄からは黙って行くということになって、日本が間接的な沖縄の基地になるということを私どもは心配するわけでございます。そこで今度の改定条約の中にも極東の平和と安全を守るということが書いてあるわけでございますけれども、極東の平和と安全を守るというその地域は、大体どの程度の範囲にお話合いを進めておられるか、この点をお伺いしたいと思います。重光さんとのときには大体西太平洋地域ということに言われていたようでございますけれども、今度の場合は大体どの程度を予想されているかをお伺いいたしたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 極東という問題は、この前の現行安保条約の場合でもいろいろ御議論があったところでありまして、観念として非常にむずかしい字句の使い方ではあろうかと思いますが、たとえばインドネシアまで極東に入るということは普通には考えられておらぬのでありまして、そういう意味においてわれわれは考えておるわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと大体重光さんの場合に西太平洋地域というふうに限られたような程度で、どの地域どの地域とどこら辺までおさしになるか、もう少し詳しく御答弁を願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 概念的には、ばく然とした、抽象的な極東という字のいろいろな使い方がございます。また同時に抽象的に大体極東の範囲内というものはきめられておるような感じも、おわかりいただけると思うのでありまして、北西太平洋と申しますか、そういうような種類が一応は考えられていることだと思います。まあ地域的にどの程度までがはっきり線を引いて極東ということは、若干今までの観念におきましてもはっきりいたしておらぬと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうなって参りますと、たとえば極東というような範疇に属するある地点において紛争が起きたときに、在日米軍がその地域に出動するわけでございます。その場合に、今度日本はもちろん日本の施政権の及ぶ範囲ということで日本の本土以外には出ていかないことになっているのです。ところがアメリカの軍隊が出ていく場合にも事前協議をするわけです。その事前協議も先ほどの穗積さんとのお話合いで日本にはノーと言える権利があるというふうにおっしゃっていたわけでございますが、そうだと仮定いたしましても、もしもその紛争が起きたところに在日米軍が出ていく、日本はこの条約区域の中から出ていかない。しかし日本の最近の自衛権の拡大解釈というものは、敵の拠点をつくことも、それを除かなければならない場合には、そこまで行っても自衛の範囲内だというふうな解釈が一方にあり、そしてまたこれによって隻団的な自衛権というものを持つことになるわけでございます。そうなって参りますと、日本は義務づけられはしません、そこまで一緒に行くという防衛の義務づけられはしませんけれども、日本にはそういうふうな権利が一応あるのじゃないかということで、アメリカの方からぜひ協力をして行ってほしいというような、義務をたてにとって要請されるような場合が非常に出てくるのじゃないかというふうに私は考えますけれども、こういう点についてはどうお考えになるでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 米軍が作戦行動に出動するとき紙はむろん事前に協議をして、日本がそれに対して適当でないと思えばノーと言うことは当然であります。日本の防衛――侵略が行われることがわれわれとして前提であること申すまでもないのであります。でありますから日本をほんとうに侵略から守るという意味においてそのときには考えて参るわけでありまして、そのときの事情等によって判断せざるを得ない。しかし日本が進んで好戦的に出ていくことは憲法に違反することむろんでありまして、当然そういうことはとれないと思います。しかしながら純防衛的な立場においてわれわれは当時の事情を判断せざるを得ないと思いますが、積極的に出ていくことはございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 別に積極的に出ていくとかいかないとかでなくて、私は一つの例を申し上げておるわけでございますけれども、今の政府の自衛権の拡大解釈と、日本がアメリカと集団的な自衛体制をとるということになると、もちろん条約区域というもので、日本の共同防衛ということで、日本の本土以外は出ないということが限られておりましても、アメリカが日本にはそういう権利があるのではないかというような形か何かで、義務づけないにしても非常に要請してくるような場面が多くなってくるのではないかと思いますけれども、こういう点はなお御研究になっていただきたいと思います。その点をもう少し潔く政府としても考えておいていただかないと、非常な危険な状態になるのではないか。今の藤山さんの御答弁では、日本が進んでいくような気持はないということですが、だれだって進んで攻めていこうという考えはないと思うのです。ただ紛争が起きて日本から行った場合に、そこからの報復手段として日本に来たときに、その根拠地をなくさなければならないというので日本が行っても、これは自衛の範囲だなどというような解釈を政府がしておりますので、ここのところをアメリカに利用される懸念がないかということを私は伺っておるわけでございますが、この点いかがでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私はアメリカに利用されるということはないと思います。そのときにおけるわれわれ国民の確固たる憲法上の解釈による自衛のための行動という考え方を持っておりますれば、いたずらにアメリカから利用されるということはあり得ないと思うわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 藤山さんがそうおっしゃることを信じないわけではないのでありますけれども、長い間の保守党政府の国会答弁を聞いておりますと、だんだん自衛の解釈を拡大していき、そしてまた戦力というものもいつの間にかできてしまっておるというような状況からみましても、私は私のこういう懸念が将来においてなかったという形になることを心から望むわけでございます。  次に行政協定の問題でございますが、この「自由評論」の中にも、藤山さんが行政協定は改定するがごとく、またごくわずかな点しかしないごとく、また行政協定は非常に大切なことでしなければならないけれどもというような、ちょっとつかみにくいような発言をしておられるわけでありますけれども、とにかく行政協定というのは安保条約の実体をなすものでありますから、これは安保条約の改定と相並んで改定すべきだと考える。もしも安保条約を改定するならば、もちろん行政協定も根本的に改定しなければならないと思うのです。今ドイツがアメリカとの間で行政協定の問題で三年間も取り組んでおるわけでありますけれども、こういう例を見ましても、日本だけがわずかな間にちょこちょこ改定してそれで済まされるような問題でないと思われますけれども、この行政協定の根本的な改定ということまで進まないうちは調印に入るべきではないと思いますが、この点はいかがでございましょうか。  もう一点続けて伺いたいのは、もしも今改定できなくても引き続いて改定するというならば、そういう保証なりあるいは条項なりをお入れになるかどうか。私どもとしては、もしも安保条約の改定と取っ組むならば、むしろ行政協定の問題と取っ組んだ上でこれを調印に持っていくべきだと思うのですけれども、そうでなくてへんぱな形で調印されるにしても、それじゃいついつまでには改定するなり、あるいはもっと改定を続けるんだというような条項なり、あるいはそういった保証を何らかの形でおきめになっておおきになるかをお伺いいたします。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 けさほどでありますか、あるいは昨日加藤勘十氏から御質問がありましたように、新安保条約ができますと旧安保条約が解消されますし、同時に現行の行政協定も解消されるわけであります。従って新安保条約と新行政協定を同時に調印していかなければならぬことは当然のことでありまして、そういう意味においてわれわれは同時に調印したいと思って努力をいたしております。行政協定の改定につきましては、国民生活に影響するところが多いのでありますから、むろんわれわれも全面的に検討をいたしておるのでありまして、決して何か一、二の個条だけを検討して、あとはほってあるというのではございません。各条にわたりまして、また関係各省の意見も徴しましてそして、これが交渉をいたしております。ただこれらの交渉に当りましてやはりわれわとして考えて参らなければなりませんことは、安保条約の改善ということは私はやはりいつまでもないがしろにすべき問題ではないのでありまして、たとえば今度の行政協定は変えるのに三年かかった、だから安保条約の改定も三年先でもいいのだというわけには私は参らぬと思っております。従って安保条約を改定すると同時に新行政協定を作って参りますが、現在の行政協定でも将来検討をして直すべきところは直すようなことになっておりますので、一ぺん作りましてもそれらの問題について再検討をして、また両者が合意をすればできるのでありますから、三年がからなければ完璧なものはできないということは私はない思うし、また逐次いろいろな問題を将来にわたって取り上げていくことも可能だと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 時間がないようですからやめますけれども、私は何も三年かからなければ改定できないというのじゃなくて、一つの例を申し上げただけなんです。ただ藤山外務大臣の御答弁を伺っておりますと、今度の安全条約の改定に伴って新行政協定も調印するのでこういうふうにおっしゃいますけれども、その調印が問題じゃなくて、私は内容が問題なのです。どの程度に改定するかということを伺っているわけでございまして、それには今後においても改定しなければならないような問題を残しての調印のように私は今のお言葉からは拝聴したわけです。そうだとすると非常にへんぱなものになるのであって、一体もしもことしのうちに安保条約の調印が私はしないと思いますが、もしなさるならば、そんな短い期間に一体行政協定が根本的に討議されるかどうかということの懸念を持つものですからその点を申し上げたのでございまして、時間がございませんから私はこれでやめますけれども、この点をもう一度はっきりさせておいていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 かなり行政協定の重要な問題につきましては討議の対象にいたしてやっておりますので、そうお話のように何か簡単に片づけているわけではございません。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 菊池義郎君。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 社会党の諸君が時間を超過いたしまして、私の時間が十五分に削られてしまいました。社会党の諸君は考えていただきたいと思います。  安保条約の批准を来春の通常国会まで引き延ばすという情報がしきりに飛んでおるのですが、これはわが党内閣の威信にかけても政治的生命にかけても早急に断行しなければならぬと考えておるのでありますが、これは総理だけの意見ですかあるいは大臣も同調しておられますか、どうでありますか、この点をお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 安保条約の取扱いにつきましてはいろいろの御意見はあろうかと思います。ただ私としては安保条約が交渉を進めて参りまして、そうして両者合意をいたしますれば調印をするし調印をいたしますればそれから事務的手続のなになりで批准をしていただくという方法をとっていくということでございます。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 そうすると大臣といたしましては、来春までは延ばさぬという御決意でございましょうか、どうでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 条約交渉のことでございますから、こうした条約をやって参ります場合に、初めに短時間にきまって参ります問題というものは、割合に比較的短時間できまって参ります。しかしだんだん残って参ります問題というのは、相当な時間をかけてアメリカ側とも折衝し、こちらの意向も入れて参らなければなりませんから、それにつきましてはどのくらい時間がかかるということはなかなかむずかしいところでございまして、一つの問題につきましても数回の折衝を重ねなければならぬということもございますので、だんだん煮詰まって参れば参りますほど、時間的にいつまでということははなはだ申し上げにくくなってぐる、こう考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 米国が日本以外の地域で戦う場合には、日本は参戦を拒否するようにするというのが政府の考え方で、それに条約を作られるでありましょうが、その反対に日本がもし他国と事をかまえた場合、米国が参戦を拒み得る場合もあるのでございましょうか、どうでしょうか。もしそういったような例がありますればあげてお示しを願いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日本が自衛をするということは侵略があった場合に自衛をするのが限度でございます。従って日本を侵略から守るわけでございます。安保条約は日本を侵略から守るということがアメリカに義務づけられることになるのであります。従って、そういう意味においてはお話の通り安保条約の効力が発生するときだと思います。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 そういたしますと、日本は参戦を拒むことができる場合もあるのだが、米国が参戦を拒み得る場合は絶対にないということになるわけでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知の通り日本は日本みずから事をかまえるわけにいかぬのであります。従って日本が侵略された場合にのみ初めて自衛隊が活動をするのだと思います。日本が侵略されるということを守るということはこの安保条約の元来の本質的な問題でございますので、私どもは、アメリカが日本が他国から侵略をされることを守るという義務を負います以上は当然なことだと思います。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 たとえば李ラインでもって問題が起った場合、米国と韓国との間には条約がある、日本と米国の間にも条約がある、こういう場合にはどうなるのでございましょうか。日本がもし韓国と事をかまえた場合……。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日本が韓国と事をかまえた場合ということは、非常にむずかしいことでありますけれども、日本は外国と軍事的に事をかまえることはないわけであって、外国から何か侵略を受けるという事態が起って参りましたときに、初めてそれに対する防衛の手段をすることになろうかと思います。従ってそういう防衛についてアメリカは協力をしてくれると思うのであります。それはお話のような場合には、あるいは軍事的協力でなくとも別個の意味において韓国側にその反省を促す方法も、そういう事態の起ってきます一番大きな前提としてすでに協議される事項になろうかと私どもは思っております。直接軍事行動が起ってくる前にも、そういう状態が起ってくれば、政治的にはやはり安保条約で当然常時協議をいたす対象になっておると思っております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 在日米軍の海外出動については事前に協議して、日本の防衛に関係のない出動は拒否するということになっておりますが、これが実際にできるかどうかということは、みんな国民が危惧を抱いているところでございます。米国がもし同調するならば、日本の参戦の拓否権をやはり社会党の諸君が言っておりますように、条約に明記した方がよいのではないか、危急の際においては結局大国の力に押されまして、事前協議ということが有名無実に終りがちであるということは、これまでの戦争の歴史にもちょいちょい例があるのでございます。こういう点はどうでございましょうか。これは向うがどうしても明記するということに同調しないものですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 協議の場合当然日本はノーという場合がある、そのノーというものは拒否権と同じような効力であることも申すまでもないと思います。しかしそれを無視するということはそのときの日本の国民、皆様方の決意を無視することになりますので、そういうことは起り得ないとわれわれは考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 米国本土あるいは米領だけが攻撃された場合、そうして日本領内に戦火が及ばない場合日本が事実上憲法の関係上戦いに参加できないわけでございますが、こういう場合においては日本の協力できるのはどのくらいの程度、どのくらいの範囲ということになるのですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 米国の本土が攻撃されたというような場合、条約の対象になっておりませんから、条約の範囲外だと思います。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 条約は相互防衛的なものになりますと、やはり米国領が攻撃された場合には、それは日本として全然関知しないことになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 普通にいう相互防衛条約なら、あるいはそういうような一般的なことが考えられますが、日本の今度の場合は条約地域というものは日本の施政権の及ぶところに限っておりますので、そういうところがあれされても条約は発動いたしません。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 つまりそういう場合に日本が果し得る経済協力とかなんとか、そういったようなことはあり得るかというのです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 それは条約外の問題でありまして、条約の問題ではございません。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 戦争の場合、日本は米国の核兵器を全然持ち込ませないという建前の条約を作るつもりでありますが、ソ連のごときは、在日米軍の基地にはいつでも核兵器は持ち込み得る、あるいは現在もあるかもしれぬというくらいに考えておるのでございましょう。そうして戦争となりますと、結局彼らは核兵器を持ち得るでありましょうが、そういう場合においてはどうでございましょうか、そういう場合においてはがんばることはとうていできないわけでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 岸総理が言われておりますように、日本は自衛隊を核武装しないし、アメリカ軍の核兵器持ち込みを拒否することにいたしております。従って、少くも岸内閣が存続しておる限りにおきましては、いかなる状況が起りましても、協議の場合にそれらのことについて応諾はいたさぬと考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 安保条約の改正は、わが党内閣の政治的生命にかけてもどうしても遂行せんければならぬのでありますが、反対党は実力をもってもこれを阻止すると言っております。この実力行使に対しまして、外務大臣は岸総理とどういう打ち合せをしておられますか。われわれは、この実力行使に対しましてはやっぱり阻止すべきであると考えておりますが、いかがでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 社会党もりっぱな政党でありまして、いたずらに実力行使をするということを、現在から私どもは想定をいたしておりません。十分民主主義の原理に立って審議を尽して批准ができるものと考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 それから条約の改定で、基地の拡張問題は変化することはないかどうか、ことに砂川基地のごときは裁判さたにもなっておるわけでございますが、この点いかがでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん特別に今度の安保条約が締結され行政協定が締結されましても、そのために起る基地の拡張ということは、私はないと考えております。むろん兵器の進歩その他によりまして不要になる基地もございましょうし、あるいは若干拡張しなければ応じられない基地もあろうかと思います。基地は今日まででも相当減少をいたしておりますので、安保条約ができましたから特に基地を拡張しなければならぬということはあり得ないと考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 先月九州の四県のまき網業者の代表の総会がありまして、百四人ばかり代表者が集まって李ラインの出漁問題について協議して、政府は頼むに足らないというのでもって、自分たちでもって自衛行動に出よう、自衛船までも用意しようというわけで、各県から業者あるいは船主がみんな金を持ち出してそういう自衛船を作ろうという。実にこれは悲惨なことで、自分の生命財産を自分で守らなければならぬということは、これはもう野蛮国の状態です。ちょうど昔の馬賊の跳梁ばっこした支那人の生活と同じなんでございます。これはどうしても政府として真剣に考えなければならぬ問題であると思うのでございますが、李承晩はああいう横暴な男、法律も国際法も何も無視しておる男なんで、国際法はないものであるということを自分は確信しておるということを言っておるくらいの男なんでございますが、李ラインがすでに不当である、その不当なる地域において、しかも李ライン外において日本の漁船が拿捕せられる、それを日本の海上自衛隊が、韓国の自衛隊にまさるとも劣らない実力を持っておりながら、これをそのままにして、向うの艦艇がやってくるというといつも逃げ回ってばかりおる。これは政府の威信を失墜するばかりでなく、日本の国威を傷つけ、国民の政府に対する信頼を全く裏切ることになるので、これは重大問題だと思うのであります。どうか外務大臣といたしましても総理、防衛長官とよくこの点を協議され、閣議にかけられて、自衛船など民間から出させないように政府でもって守らなければならぬと思うのでありますが、この点について大臣はどういうお考えを持っておられますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 漁業関係者の困難な立場というものは、われわれも十分了解をいたしておるつもりでございます。従いまして政府としても、それに対して適当な措置をとりたいと考えておることは当然なことだと信じております。ただ業者自身が自衛行動をとるというようなこと、あるいは今日の段階におきまして、日韓関係にいたずらな刺激を与えることについては、相当慎重に考えて参らなければならぬと思っております。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 時間が十五分しかありませんので、きょうは要点だけを簡単にお尋ねいたします。朝鮮問題のことをお尋ねしたいのですが、その前に安保条約のことについて一つだけ大臣の御所見を伺いたいのであります。  今日はミサイルと原子力の時代ですから、私どもの観点からすれば、いかなる軍事同盟にも反対であることを大臣に御了承願いたいのです。しかし保守党の立場から考えまして、今日の安保条約を二つに分けまして、大体NATOのやっている方に近いやり口で、すなわち一般的軍事同盟を結んで、基地協定は別にすることを御研究になる余地はないか。軍事協定だけでありますと、たとえば過去におきましては日英同盟のような形で、いわばこれだけならばガール・フレンド持ったようなものでしょうが、しかし基地を与えるということになれば、古い言葉でいえば、これははだ身を許すことでありますから、昔はこれを保護国というておりました。今日の言葉でいえばこれをめかけとか、パンパンとかよくいうような、そういう一面を伴うのでございます。従いまして、基地の中には――先日五島列島に行ってみますと、フォックス・トロット基地、ゴルフ・リンク基地と、驚き入った次第の基地がある。こういうことは即刻私どもはやめてもらいたいと思いますが、保守党の立場から見ましても、これを二つに分けておやりになれば、もう少しよい知恵が出るのではないかとも思われますので、これについて大臣の御所見を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今日日本の安全を守っていき、また他国の侵略から守っていくという場合に、私どもといたしましては、基地を貸与しておきますことは、やはり必要なことだと考えておりますので、そういう意味において条約の交渉を進行させております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 この問題はきわめて重大でありますから、いずれ他の機会に私どもの意見も詳しく述べて問題を明らかにいたしたいと思います。  さて、在日朝鮮人の帰国問題につきまして、外務大臣も非常な御尽力を下さっておることを多といたしますが、先日ジュネーブにおいて、日朝両赤十字の意見がほぼ一致を見たということは、御同慶の至りでございます。あの場合に、朝鮮側が無理押しをいたしまして、日本側が必要以上の線に退却したというふうに誤解されて報道されておった向きもあるようでありますが、私どもの記憶しておるところによりますと、四月一日外務大臣が当外務委員会において声明せられた趣旨と、全く同様のところに結論が参っておるようでありますから、私は日本政府が不当に退却したようにも思いません。国際赤十字のモラル・サポートを必要とするということについては、大かた世論も理解を示しておりますし、朝鮮赤十字も、日本の立場からそれを必要とするならば、自分の方もまず黙認の意味で承認しようというような良識ある態度をとっておるのでありますから、私は問題は円滑に済んだと思うのでございますが、大臣はいかがお考えでしょうか。さらにその後ジュネーブにおける国際赤十字が、この問題のモラル・サポートに対して多少逡巡しておるというようなことが、一部の新聞に伝えられておりまして、私どもは憂慮いたしておる次第でございます。赤十字国際委員会を人道問題の時の氏神に選んだのは日本政府側でありまして、日本赤十字が国際赤十字にそのあっせん方を頼みまして、国際赤十字の許しを得て、その事務所の一室まで借りて、いわば日朝両赤十字が話し合いをして握手までして、そして意見が一致したので仲人のところに頼みに参りましたところが、その仲人が今さらわしゃ知らぬと言って逃げ出すというようなことでは、極端な言い方をしますと、仲人詐欺のようなことになってしまうわけでありますので、まさかそういうことはあるまい。そして日朝両赤十字が、帰国問題について婚約を結んだどころでなくて、もう妊娠しておるんじゃないかという人がおるくらいで、すなわち十万の朝鮮人はもう身支度を整えて、帰国船に乗ろうとする準備も整えて、そこまでジュネーブの赤十字国際委員会の暗黙の支持のもとに、そして世界環視の中でいたしたその妥当な結論が今になってその仲人は足なえて逃げてしまう。悪いごろつきのおやじがいるから、どうもああいうごろつきのおやじのいる媒介人はごめんこうむると言って逃げ出されたのでは、一体人道の責任いずこにありゃという声が起ると私は思います。これに対して報道は、ただ一部の民間の伝えている報道でありまして、私はまさかジュネーブの赤十字国際委員会が、そのような勇気のない、また良識のない態度をとるなどとは、現在夢にも思っておりません。赤十字国際委員会の名誉のためにも、また日本政府及び日本赤十字が、事前に赤十字国際委員会と十分な連絡をしておるであろうということも、これは当然予想されることでありますから……。数日前外務大臣が、何か悲観論をお述べになったような新聞記事が出ておりましたが、それは一体どういう根拠に基くものであるか、あるいはまた不正確な記事であるかもしれませんので、一つ大臣の今日の段階における誠意あるお考えのほどを伺っておきたい、こういう次第です。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 最初の御質問であります、日本赤十字と北鮮赤十字との間の交渉関係でございますが、私どもは、ただいま帆足委員の言われましたように、日本の立場については最初から一貫した、不動の態度でいっておると思います。何か日本側が非常に譲歩したような報道もございますけれども、私どもはこの自由意思による帰還の国際赤十字介入に対しての問題につきましては、譲歩いたしておりません。そう申せば、北鮮の赤十字側においても、やはり朝連の名簿を使わなくてもいいというところまできております。こういう問題の話し合いのことでありますから、問題の実際的取り扱いについては、お互いに若干ずつ譲っているところはございますけれども、日本の主旨を譲ったことはないと考えております。  今回締結されました両者の協定は国際赤十字の承認を得ることになっております。国際赤十字が初めから慎重であることは、国際赤十字の立場として当然であったかと思います。従いましてこの問題の推移に当りましても、できるだけ国際赤十字という立場において慎重な扱い方で、むやみな動き方はしておらないのであります。従って国際赤十字がどういうふうに考えているかということを判断いたしますことは、国際赤十字の組織の上からいいましても、あるいは国際赤十字の今申した態度から見ましても、なかなかむずかしいのでございます。いろいろ道聴塗説はございますけれども、私どもはまだ悲観も楽観もいたしておらず、終始熱意を持って国際赤十字がこの問題を、その本来の使命において十分扱ってくれることを待望いたしております。数日前私が閣議等で、何か発言したように伝えられておりますけれども、決してああいう発言はいたしておりません。当日閣議において、北鮮問題に関する発言は一切いたしておりませんので、何らかの誤報であったかと存じております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいまの外務大臣の御答弁を承わりまして、現在の段階において道聴塗説に耳を傾ける必要はなかろう、大体予定のコースで進行しているということを伺いまして、意を強くする次第でありますが、一そうの御尽力を願いたいのでございます。と申しますのは、もともとこれは日本側の置かれた微妙な国際的状況の必要から、仲人を国際赤十字にお願いしたのであって、むしろ日本側の必要からこれは頼んだことでありますから、日本側の方からこの仲人を説得する責任が当然出てくる。もしこれができなければ、責任は当然日本側が負わねばらぬという論理になるのでありますから、民間の世論もそれぞれ適切な方法で国際世論の啓蒙に御協力いたしますので、一段の御努力を願いたいと思います。今日、日本政府または特定の勢力が、朝鮮人をわざわざ追い帰そうとしているなどということを信ずるものは、東京駐在の大公使の間でも、また韓国居留民団自身が、だれよりもよくそういうことのないことを知っておる。これはもう一点の疑う余地のない事実であって、ただ朝鮮の諸君がふるさとに安住の地を見出そうとしておる。というのは、南鮮には帰れないのですから、社会主義国であるけれども、生活のできる北朝鮮に参ろうというだけの単純な事実であることは火を見るよりも明らかでございますから、一段と御努力を願う次第でございます。  それから柳公使が帰還船が出るならば陸海空軍をもって爆撃するというような、かわいらしいことを言っておりますが、一国の自称大使としても、かわいらしさの度が過ぎはしないかと思うのであります。従来の国際慣例によりますと、こういう暴言を吐いた公使には召還をしていただくということが慣例になっております。しかしこれは外務大臣が御召還なさらなくても、どうやら韓国の国会で満場一致、不信任の決議をいたし、また韓国居留民団が、このような知性の低い柳公使はわれわれのつらよごしであるからお断わりしたい。もう内外相待って自主的に御処理されたようでありますから、それらのことを勘案して、外務大臣はおとなしくがまんをされておられることと思いますが、ちょっと御所見のほどを伺っておきたい。また李承晩大統領は、帰還船、人道のための赤十字船が出ますと、目にものを見せる光栄を一つ味わせてあげる、こう言っておりますが、その光栄は李承晩氏の頭がぼけているということを知らせる光栄になることをわれわれは心配して、そういうことにならないことを韓国の品位のために希望しておる次第でありますが、国際環視の中の赤十字のジュネーブの会談をめぐって、このような暴力的言辞がひんぴんとして繰り返されるというならば、一体自由主義諸国と手を握るという外務大臣のお考えは、果して韓国に適用し得るかどうか。自由主義諸国と手を握るということは一つの論理でありますが、李承晩殿が自由主義諸国の範疇に入るかどうか、私はもはやこれを疑問に思わざるを得ないと存じておりますが、外務大臣のこれについての御感想を伺っておきたいのであります。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 北鮮帰還の問題等を通じまして、韓国側もしくは関係者がいろいろな言辞を吐いておりますけれども、私はできるだけ日本はこの際おとなの態度でもっていくのが適当であろうかと思って、そういう意味におきましておとなの態度を続けていっておるわけでございます。なお今後の問題等につきましては慎重に考慮して参りたいと思っております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 この問題をめぐりましてまだ重要な二、三の問題がございまして、援護局長及び入国管理局からも長時間御出席を願っておって恐縮でありますが、この次に申し上げます。特に今までの例によりますと、支度金を帰国者に出しておる問題などもありますので、これも研究の余地がございますから、この次までに御研究下さいますことをお願いします。

小澤佐重喜自由民主党

○小澤委員長 次会は来たる十日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。     午後三時五分散会

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