科学技術振興対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/07/02
会議録
○村瀬委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 まず、中曽根国務大臣より、科学技術行政に関する所信を承わりたいと存じます。中曽根国務大臣。
○中曽根国務大臣 私は、このたび科学技術庁長官に就任いたしたのでありますが、この機会に、一言科学技術振興に関する私の所信を表明させていただきたいと存じます。 今日、科学技術は、世界各国において産業活動と国民生活のあらゆる分野にわたって深く浸透し、その向上発展の原動力ともなっている実情でありまして、諸外国が科学技術の振興に強い関心を示し、多大の努力を傾注しておりますゆえんのものも、まさにここにあると申されます。 わが国の場合は、各国にもまして科学技術振興の重要性を深く認識し、これを強力に推進していく必要があろうかと存じます。申すまでもなく、わが国は狭隘な国土の上に一億になんなんとする人口がひしめき合っていることに加え、天賦の資源に乏しく、この悪条件を克服してすべての国民がおのおの豊かな生活を享受するためには、乏しい国内資源を最も有効に活用することと、国際競争力を涵養し、輸出を飛躍的に伸張することがその不可欠の要件であると考えられますが、このためには、その基盤となる科学技術の振興をこの際大いに推進するよりほか道はないのであります。このため、政府におきましては、その重要施策の一つとして科学技術の振興を取り上げておるわけであります。従いまして現在政府が企図しております新経済十ヵ年計画策定に当りましても、目ざましい科学技術の進歩とこれに伴い予想される産業や消費の面におけるさまざまの変化などの新しい要素を盛り込んでいく必要があると考えておりますが、これと同時に、日進月歩する科学技術の世界的動向に対処し、従来の後進性を脱却するはもちろん、一日も早く先進諸国の科学技術水準を凌駕するため、必要な諸方策を長期的並びに総合的な観点から樹立する必要があろうと考えております。 先般設置を見ました科学技術会議は、この長期的、総合的な科学技術振興基本方策の審議を一つの目的とするものであり、今回、内閣総理大臣から、十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本方策が同会議に諮問され、目下審議中でありますが、この諮問に対する答申は、わが国科学技術振興の基本路線を示すものであると考えます。従って、私としては、この答申の内容を深く検討し、答申の線に即して効果のある科学技術振興の諸施策を推進して参りたいと存じている次第であります。 次に、私が科学技術行政の当面の責任者として、科学技術の振興に関し、平素考えているところを二、三披瀝いたしたいと存じます。 第一に、科学技術の振興を推進するメカニズムの問題であります。軍事力が科学技術振興の重要な推進力となっている諸外国は別として、戦争の放棄を中外に宣言し、平和文化国家として立ち上ろうとしているわが国において、科学技術振興の推進原動力を何に求めるかということであります。私は、経済界における自由競争が科学技術振興の一つの重要な原動力であることはもちろん承知していますが、これのみでは国家全体の総合的な国力増進の原動力を造出することはできないと思います。私は、国民の総意を代表し、国権の最高機関たる国会が中核となり、学界、産業界等、各界の御協力により真に強力な科学技術振興の、原動力を造出するメカニズムが打ち立てらるべきであると考えており、幸い、科学技術振興の問題につきましては党派を超越する問題でありますので、従来にも増して一段の御鞭撻を賜わりますよう、この機会にお願い申し上げておきたいと存じます。 一方、科学技術の振興を推進するメカニズムの一つは行政機関であり、現在科学技術庁、原子力委員会、科学技術会議等がその衝に当っておりますが、これらの既設の組織を全面的に活動させて所期の目的を達成する所存であります。なお、さらに、これらの機構につきましては、あるいは科学技術庁を省に昇格せよとか、原子力局を庁に昇格させよ等の御意見を拝聴しておりますが、私も同感でありますので、御趣旨の点が生かされますよう、極力努力を払いたいと存じます。 第二に、科学技術振興をになう人的条件の整備の問題であります。科学技術を振興する上に最も肝要と考えられるのは、人的ヒンターランドの培養であると私は信ずるものであります。具体的に申し述べますと、わが国科学技術の将来を託すべきものは、科学技術者となるべき広く厚い学生層、青少年層であるということであります。しかしながら、科学者、技術者養成の現状を顧みますと、いまだ不十分な点が少くないのでありまして、現状のまま推移いたしますならば、とうてい必要とする科学技術者の確保は、できないと考えられます。従って、早急に学制の抜本的改革、青少年教育のための措置等、その必要とする施策について文部省その他関係省と検討をいたし、抜本的な措置が講ぜられるよう努力する所存であります。 なお、わが国の現状において考慮すべき問題として、官界、産業界、字界の三者一体の協力体制確立の問題があります。すなわち、たとい部分的にすぐれた研究の成果が上げられたとしても、これら相互の連係が不十分で、あるならば、わが国科学技術がその本来の使命を果すことは、不可能であるといわさるを得ません。従って、総合的、重点的に科学技術を振興するという観点から、私は、この際、官界、学界、産業界の緊密な協力体制を確立いたしたいと存ずるのであります。 人的条件の整備の問題に関連しまして、最後に私が申し述べたいのは、科学技術アタッシェ、科学技術情報センターについてでありますが、これらは、海外の科学技術情報収集の重要な機関でありますので、その質、量両面にわたる整備、強化をはかりたいと考えております。 第三に、科学技術振興を達成するための資金的条件の整備の問題であります。御承知のように、先進諸国、たとえば米国、英国の科学技術研究費の国民所得に占める比率及び政府支出の科学技術研究費の総予算に占める比率をわが国のそれに比較いたしますと、はなはだ不満足であるといわざるを得ません。すなわち、科学技術研究費の国民所得に占める比率については、米国の二・六%、英国の二%弱に比べ、わが国は〇・六%にすぎず、また、政府支出の科学技術研究費の総予算に占める比率は、米国の四%、英国の五・六%に比べ、わが国は一・七%程度であって、いずれも相当の開きがある状況であります。私としては、米国、英国とわが国の国民所得、財政規模を比較いたしまして、研究費の絶対額を右の各国並みに引き上げることは無理としても、少くとも、科学技術研究費の総予算に占める比率については、これを米国並みの四%程度に引き上げるよういたしたいと考えるのでありますが、特にこの際申し上げておきたいことは、国家的に見て重要な研究を推進するに必要な財政措置が欠如していることでありまして、今後、この点につき予算上必要な措置を講じて参りたい所存であります。 また、民間研究の促進については、従来の補助金制度の適正化のほか、民間研究に対する税制上の改善措置その他についても検討を加えたいと存じます。 最後に、一国の科学技術の水準を端的に示すものは特許発明であると考えられますが、出願の審査及び審判の現状につきましては、なお満足することができない点が少くありません。従って、この点につきましては、関係省と十分意思の疎通をはかり、改善の方向に向って努力したいと存ずる次第であります。 以上、簡単ながら私の従来抱懐している所信の一端を申し述べました。私は、従来から科学技術振興の重要牲を痛感し、そのための努力を惜しまなかったものでありますが、このたび科学技術庁長官に就任し、みずからに課せられた職責の重大性をいよいよ痛感しているのでありまして、新たなる決意をもって全力を傾注する覚悟でありますので、国会議員各位初め関係各位の切なる御協力をお願いする次第であります。(拍手)
○村瀬委員長 以上をもって中曽根国務大臣の所信表明は終りました。 この際、横山科学技術政務次官より発言の申し出がありますので、これを許します。
○横山政府委員 私、このたび科学技術政務次官に就任いたしました横山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) ―――――――――――――
○村瀬委員長 中曽根国務大臣の所信表明に関し質疑の通告がありますので、この際これを許します。石野久男君。
○石野委員 長いこと科学技術の問題については最も熱心だといわれておられた中曽根氏が、今度大臣の職につかれて、しかも、科学技術の専任の大臣になられたことは、これは非常にけっこうなことだと思って、心からお喜びいたします。その勢いで、一つせっかく抱負経綸を十二分に発揮していただいて、日本の科学技術の進展のために御努力いただきたいと思います。 そこで、ただいまはいろいろと抱負の一端をお伺いいたしました。三つの点について特に強調されたわけであります。しかも、その抱負、経綸を実施するに当っても、日本の持つ財政的能力、国家的、経済的の力の関係からする日本の事情についても勘案しつつ、ということでありました。ただ、私どもは、日本の経済的な力や財政的な力がどうあろうとも、それを、やはり積極的に各国のそれに負けないように科学技術の進展をしていかなければならぬわけですが、特に科学技術の振興に当って先ほど申し述べられたメカニズムの問題とか、あるいは人的要素の整備の問題、あるいはまた資金の問題等につきましては、特に、最近中曽根氏も最も熱意を込めておられる原子力関係の問題について、相当程度日本の経済力とか、あるいは財政的力とかいうものを乗り越えた線での努力が国家的に払われていると私は思っております。そういう部門においての成果がどうであるかということが、今われわれにとって―今中曽根大臣が抱負をお述べになったことと関連しつつ考えましたときに、考えなければならぬ問題がたくさんある、こう思うのでございます。たとえば、財政的な処置にいたしましても、他の科学技術に対する処置よりは相当程度豊富な資金量を持たしておる原子力研究所、あるいは、また人的なものについても、科学技術特別委員会等が特に強調しつつ、それの整備をするために特殊法人というような形を作らせ、また、それの成果を上げるように鞭撻しておられる原子力研究所、そこらにおいてほうとうに成果が上っているかどうかという問題が非常に大事だ、こう思うのでございます。私は、中曽根さんが今度大臣になられて、いち早く東海村の原研などもおたずねになられ、現状も御視察になって、今後の科学技術の振興と、特に原子力の研究、開発の問題についての抱負の一端も新聞紙上等でお聞きしておるわけでございまするが、そういう問題との関連性の中で、今日科学と、技術の振興をするに当って、特に原子力研究所におけるそれの方策と申しまするか、原子力研究所の機構と運営の中において、これらの科学と技術をいかに調和を保ちつつ、そして本来の目的を達成させるためにはいかにしなければならないかということについて、中曽根大臣のお考えがありましたら、一つこの際お聞かせ願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 日本の原子力政策というものは、御承知の通り、三年前ぐらいからスタートいたしまして、急速に整備をしたわけであります。従いまして、施設の整備や建設事業というものは世界にまれなくらいなスピードで進行いたしましたが、中身の充実はこれに伴っていないといううらみがございます。従いまして、これから特に研究体制の整備、管理体制の整備等につきましては力を入れまして、原子力研究所を国民の期待に沿うように充実して参りたいと思います。現在争議をやっておりますが、争議の一つのアイテムの中に、やはり管理体制の整備という問題がありまして、私も現地に行っていろいろの人のお話を聞き、また、前からいろいろ調べておりまして、確かに欠陥があると思いますので、なるたけ早く整備を行うようにいたしたいと考えております。
○石野委員 原研の成果を上げるためのいろいろな処置の中で、設備の点では非常に急速な発展をしておるけれども、運営等について、特に今お話しになったような研究体制とか、管理体制、それから人的整備の問題については、すでにもう手おくれのものがたくさんある、この際急遽それを補充し、また、整備態勢を強化しなければならぬということの御所見は、私も同感であります。そういう問題を―大臣自身が認めておられることを、一日もおろそかにすべきでない事態に置かれていると思うわけです。私は、そういう問題を何とか早く処置したいという大臣の所信を―具体的には、今日研究所の中で争議の段階まで発展してきているような問題が出ておるわけでありますけれども、私は、争議という問題としてつかまえるのでなくて、むしろ、日本の原子力の研究、開発という問題としてとらえる場合、これは争議それ自体の問題と関連しないでも早急に処置しなくちゃならないと思います。大臣は、やはり処置しなければならぬということは一応言われたわけでございますけれども、時間的な問題などで、ここであれこれ論議をしたくありませんが、大臣はそれを早急に処置するためにどういうような方法を考えておられますか、この際一つお聞かせ願いたい。
○中曽根国務大臣 短期的にやる仕事と、長期的に、ある程度時間をかけてやる仕事と二つあると思いますが、短期的にやる仕事といたしましては、管理体制に不十分なところがあると思いますので、なるたけ早い機会に、適当な時期にその欠陥を補う内部改革をやってもらったらいい。これは、しかしわれわれの方から強制するというよりも、原研の内部の問題でありますから、原研の方から自主的にそういう改革案を出してもらって、われわれと一体になってやっていけるようにしたらいいと思っております。長期的な問題は、日本の原子力というものは新しい学問ですから、どうしても研究者や学者のオーソリティがいないのです。大体、ややもすれば若い人の方が勉強が進んでいるという傾向があります。そういう点から、室長とか、部長とか、主任研究員というような者が引っぱりだこで、足りないという現状であります。特に、最近民間の原子力産業が起って参りましたので、高給をもってそちらへ全部迎えられるという可能性もあるわけであります。そういう中で優秀な人を迎えるということは、よほど根気よく、また、その環境、条件を整備してやらないといけないと思います。しかし、それが大事なことでありますから、これは時間のかかることでありますけれども、そういう優秀な人材をうんと入れるよう努力をしていきたいと思います。
○石野委員 特にこの研究体制を整備強化するに当って、人的な整備というものは非常に大事である。短期的な問題としての原研所内での問題の解決は、所内の意見を聞いて処置されるということを申されました。長期的な問題について、特に研究体制、基礎研究と申しますか、そういう問題と応用研究との関連性、それの総合的な体制の強化確立という問題に関して、特に原研内部の機構の中における人的配置がまだ整っていないということを、私たちは率直に認めなければいけないと思うのであります。こういう点について、今日では理事の方々があちこちの部長をずいぶん多く兼任されておりまするし、それから、各種部長というものは欠員が多いわけであります。若い研究員諸君が、自分たちが一生懸命にやろうと思っても、指導員がないということの訴えを率直に述べておるのが、今度の争議のもちろん主体にもなっているくらいでございまして、そういう実態については、早急に補備しなければいけないと思います。監督官庁の立場からしまして、原研内部のことだから、原研内部の意見を聞いてというようなことだけでは、せっかく七十億にも上るような予算を持っておる事情の中で、これをほうっておけないと思うのですが、こういう問題について、監督官庁としては早急にこれを整備強化させるような措置をおとりになられるおつもりがありますかどうか、その点を一つ明確にお聞かせ願いたい。
○中曽根国務大臣 できるだけ早い機会に、ただいま申し上げましたようなことを実行いたしたいと思います。 それから、私が大事だと思いますことは、優秀な、有能な、しっかりした人がいるならば、年令とか学歴にこだわらずに上級のポストにつけていいだろうと思います。特に、原子力のような新しい分野を開拓する学問の世界では、今までの伝統とか順番とかいうものにこだわらないで、優秀な人材は思い切って簡抜する方向に持っていったらいいだろうと考えております。
○石野委員 原研の問題につきましては、特に、私ども、予算の面における今日の実情についても相当注意を向けなければいけないように思うわけです。例年、国家予算の中から相当大きく予算が持たれておるわけでございますけれども、最近における実情から見ますと、毎年々々使用残の状態が出ているわけでございます。昨年度は大体二十三億の金が事実上残ったわけです。もちろん、年度越しですぐ支払いになったものが数億円あることはよくわかっておりますけれども、しかし、こういうふうに予算が残ってくることは、それ自体、研究体制をおくらしていくということになるのでございまして、もし、そういう実情が、計画の当初とか、予算の配分の当初からわかっているならば、これだけ貧乏な国でございますから、そういう予算を先にとる必要はない。こういう予算の使い残りができるという事情は、原子力委員会の最初に持った予算計画の中にそごがあるのか、それが非常に膨大なものをむちゃくちゃに原子力研究所に押しつけた結果からきているのか、それとも、原子力委員会としては妥当な予算を出しておるけれども、原子力研究所それ自体の運営がうまくいかないために予算の使用残を生じているのかということは、今日われわれが予算審議をする上からいっても、非常に重大だと思うのでございます。中曽根大臣は、こういう問題について―今日特に二十数億にも上る予算の残を生じておるし、今日われわれの聞いているところでも、残になった予算は、おそらく本年度中に使っても年度末までかかるような事情になっております。未契約の分などを見ますと、ほとんど第四・四半期にならないと契約は出てこないのじゃないかとも見られるわけでございます。そういうことになるならば、むしろ予算を削減した方がいいのではないか。特殊法人だから、予算は継続的にいつでも使えるんだというような、温床の中に育っているようなことでは、とてもとても原子力開発の問題に即応しないのじゃないかと思う。予算の使用について、今日あの原子力研究所の事態を中曽根大臣はどういうふうにごらんになられるか、一つ御所見を率直にお聞かせ願いたい。
○中曽根国務大臣 予算の使用残がありますことは非常に遺憾でありますが、われわれは毎年度予算を作りますときに、毎年度大蔵省から認められた予算でも実際は少いと思っております。そうして予算の見積りは正しいと思っております。ただ、国内的な契約や何かは割合に進行が早いのでございますけれども、外国を相手にする機械その他の契約等は、向うの事情もございまして、物を送り返す場合もありますし、あるいはいろいろ吟味をし直す場合もあったりしまして、どうしてもおくれがちであります。しかし、これは当然推進しなければならぬ分野であるとわれわれは思います。今後戒めまして、できるだけ、そういう外国その他との契約等におきましてもスムーズに進行するように努力いたしたいと思っております。
○石野委員 きょうは、こまかい予算論議をすることは避けますけれども、なるほど、外国の事情、特に輸入品などの契約がおくれたり、あるいは物が入ってくるということがおくれるために予算の使用残というものが出ておることも確かにあります。しかし、それ以外の設計仕様変更だとか、その他の事情によって相当程度予算の残っておることもやはり事実だと思います。こういう問題は、外国の事情ではなくて、むしろ、国内的な研究所運営の問題点からきておる点が多かろうと思います。こういう点については、厳に運営の当事者になる人々に対して戒めを与えなければ、これはとても改善されないだろうと思う。そういう点については、大臣はどういうようにお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 従来、管理体制の不備からそういう面もあるように私も考えます。従いまして、石野委員の御意見を体しまして、今後相戒めたいと思っております。
○石野委員 予算の使用に当って、設備のための予算と、それから、研究所本来の目的に即応させるために使われるべき人件費に対する予算とがあるわけでございます。今日原研の中で起きておる問題を見ますると、給与の問題も相当大きなファクターになっておる。この人件費の問題について、特に、特殊法人にするときには、できる限り人材を集めよということがその趣旨であったと私は記憶しておる。そういうことから見ますると、予算上に占める人件費は、―今日原子力研究というものが世界の各国から非常におくれておる、それに追いつき、追い越さなければならないという特殊な使命を持って原研が持たれておるといたしまするならば、そこでの人間的な役割、これは非常に重要だと私は思います。こういう意味から申しますると、予算の配分に当って人件費に対する配分というものに相当ウエートを置かなければならないのじゃないかと思う。今日の予算の中における人件費に対する考え方は、果してそれが妥当であるのかどうか、その点について大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
○中曽根国務大臣 原子力研究所を作りますときに、おそらく、将来原子力産業が起ってきて人員の奪い合いが起るだろう、そういうことも、当時この準備をいたしました当委員会の皆様方ともわれわれ相談し、考えまして、原子力研究所の研究要員の待遇は、ほかの一般官庁の研究要員よりも二割ないし三制程度上げてやろう、そのほか、環境も、われわれが当時見学いたしました外国の施設に劣らないだけのウエルフェアを考えてやろう、そういう理想を持って実は出発いたしまして、ある程度それは実現しておるのであります。しかし、年度の進行途上におきましていろいろな障も起ったりいたしまして、われわれの理想が一〇〇%実現しておるとは申されないのは遺憾であります。しかし、当初われわれ委員が考えました水準を下らないように、今後も努力して参りたいと思っております。しかし、現在の状態を見ますと、ほかの一般官庁の研究所の待遇よりはややよくなっておるようであります。それは現在でも確保されております。
○石野委員 他の一般官庁のそれよりもよくなっておるということですが、ある場所においてはそういう部門もあります。しかし、所によっては、かえってよくない場合もあるわけです。これは一がいには言えないと思います。ことに、大臣もよくわかっておられるように、当時、人材を集めよという趣旨は、官庁関係の給与を目標にして考えたのではなかったと思います。むしろ、民間会社が高給で技術者なりあるいは研究者を取っていくだろう、それに対抗して、なおかつ研究所に多くの人材を集めよということがわれわれの趣旨だったと思います。その趣旨からいきますると、ほとんどこれは達成せられてないといってもいいのじゃないかとわれわれは思うわけです。そういう点についての認識が明確になりませんと、やはり研究所の所員諸君が持っておる不満にこたえることができないだろう。幾ら中曽根大臣が大きな計画を持たれておっても、その所内の人々の働く場所が安全に保障されない、あるいは安心感をそこに持てないということでは、とても成果は上らないのじゃないかと思うわけです。現実を見ますと、むしろ、そういう点が非常に露骨に出てきているのじゃないかと思われます。私は、やはり、この際民間会社において同じような職場に働いている人々と比較しても遜色のないように問題を解決していかなければいけない。特に、技術者と、あるいは管理部門に働いている人々との給与の面における問題などもあるでございましょうし、特に室長とか何か、非常に高級な技術者を入れなければならぬような場合の対処の仕方もあるだろうと思います。だから、私は、大臣が言われるように、ただ他の官庁よりも若干よくなっておるというようなことでは、この問題の解決にはならないのじゃないかと思いますが、大臣はそういう点についてどういうような考え方ですか。
○中曽根国務大臣 原子力基本法を作り、また、原子力研究所法を作りましたときにわれわれが期待いたしました線を最低の線として確保するように努力いたしたいと思っております。
○石野委員 非常に巧妙な御答弁ございましたが、私は、やはり大臣は非常にまじめにこの問題を考えておられると思いますから、ただいたずらに場を逃げるための答弁だとは思いません。これは、きわめて真剣な、法の精神に沿って解決しようという意味と受け取りまして、私は、そのための努力を一つしていただきたいということを、特にお願いしておきたいと思います。 特にこの予算の使用に当って、人件費の問題がそうであると同様に、今度は、研究体制の問題と予算の使用、そうして、また運営という問題にからみまして、先ほど大臣が言われたように、原子力研究所は急速に、他の諸国のそれに比較しても劣らないくらいに設備は幣備されてきております。しかし、その設備の整備された一面において、それが全く設備されたままで稼働しないという実情が出ているわけです。たとえば、二千万円もかけて輸入した指数函数炉というようなものは、設備されたままで、これをだれも動かすこともできないという実情に置かれている。これは、大臣自身もよく現地を見てきておられるわけです。あるいは、たとえば工作工場には機械がずいぶん並んだわけです。並んでおるけれども、この工作工場は一つも動いておりはしません。むしろ、そこで作るべきものが、たとえば日立だとか東芝あたりのようなところに下請されているわけです。そして、ほとんど国産一号炉の建設なんというものは、本来ならば、やはり原子力研究所自体がそういう問題にも当るべきだろうけれども、それもできないという事情があります。また、別な面から言いますと、今度は研究者の立場から言いますならば、研究者は研究者の立場でいろいろと、たとえば、一号炉の問題なんかにつきましても、そのステップを研究員が作るべきなんです。それにもかかわらず、これは実際問題として作れないわけです。むしろ研究員から言わせると、おれはここに来て伝票を書くだけだ、仕切伝票を書くだけだ、あとはステップというものは、下請工場の態様によって作られてくるという実情になっている。これは予算使用の上からいきますと、非常なロスだと私は思いまするし、また、研究体制を整備強化するという上からいきましても、実に大きなマイナスだと思います。こういう点を、先ほど人的な問題にも触れて私はお尋ねもいたしましたが、現実にこういう問題が各所に起きておる。こういう問題については、具体的に大臣は早急にこれを整備させるための処置をどういうふうにおとりになろうとしておるか、一つ御意見を伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 設計図は、やはり原子力研究所の神原さんやその他の人々が作っていると思いますが、具体的に、ある部分品を作るとか、どうとかということは、こちらの研究も不足でありますし、あるいは関係会社の具体的な研究も進んでおるところもあると思いますので、相談をしてやるところはあるだろうと思います。しかし、全般的に見ますと、やはり研究要員がまだ不足しておりますし、研究体制を整備する上に人的欠陥がかなりあるようであると思います。従いまして、人員の充実、優秀なスタッフの増員等につきましては、今後とも努力していきたいと思います。
○石野委員 人員の件につきましては、特に急速に、体制を整えていただくように、一つお願いしたいのです。ことに、先ほど来言っておりますように、理事が室長を兼任するというような場合、どの理事を見ましても、みんな重要な部門を五つも六つも兼任しておる。この体制だけは、どうしても早く変えて、現実に、理事は運営の部門なら運営の部門をしっかり見てもらう、そして、ほかの部長や室長ははっきりと早急にその整備をされてそのポストを占めるようにしてもらいませんと、研究は進まないだろうと思うので、この点は大臣の善処方をお願いしたいと思います。 それから、私は、今度大臣が茨城の方に参られて、東海村を中心とした原子力産業、あるいは原子力都市計画法というようなものを考えているのだという非常に大きな構想を述べられたことをお聞きしたわけです。この構想は、私は非常にけっこうなことだと思います。そういう方向を積極的に考えていただきたいと思いますが、しかし、私たちとしては、特に、私は地元の者でありますだけに、そういう大きな計画を持たれる反面、必ず他面考えなければならぬ問題がたくさんあると思うのです。考えなければならぬ問題というのはどういう問題かといえば、結局、やはりこういう新しい産業、特に原子力の問題は、放射能障害の問題に対してそれをどういうようにして排除するかということが大切だと思うのであります。そういう点で、大臣はそういう問題についての対策なり方策というものをどういうふうにお考えになっておられるか、また、ああいう構想を発表されたについては、そういう問題に対する処置方法についてどういうふうな構想をお持ちの上で―そういう都市計画法というようなものは、大臣が就任中にできるような構想なのか、それとも、それはただ一つのアイデアなのか、そういう点は、やはりはっきりさしていただきたいと思うわけです。
○中曽根国務大臣 東海村の原子力研究所の正面玄関の前に行きますと、みやげもの屋が並んでおりまして「原子力せんべい」とか「原子力ようかん」というものを売っております。世界の研究所を見ましても、科学研究所の前にそういうみやげもの屋が並んでいるというところは、あまりないようであります。これを考えてみますと、日本の原子力というものは、初めは広島、長崎のエレジーから出発した。次に観光のセンターになりつつある。これを産業と学問の原動力にまで持ち込まなければいけない。一般国民の認識も、そこまで持っていかなければならない。そういう点で、国民の認識水準というものは、外国と比べるとまだまだ低いように思います。広島、長崎の悲劇は大きな国民の悲劇で、われわれの心からは消え去らないものでありますが、それを乗り越えてもっとたくましい前進をする体制に国民全体の常識を持っていく必要があるように、私は非常に痛感いたしました。そういうふうに持っていくためにも、国民に安心を与えるということが非常に大事であります。原子炉を置く場合に、たとえば関西の研究炉のような場合も、いろいろいざこざがあったりいたしましたが、これはどこに欠陥があるかということをいろいろ考えてみますと、やはり、政治の面において、国民が安心できるような体制を作ってやるという点に、われわれ反省しなければならぬ点があるように思いました。そういういろいろな点を考えてみまして、いずれ、日本には発電やその他いろいろなことも起って参りましょうし、今のままに野放図にこれをやりますと、将来取り返しのつかないような乱雑な、非能率な、不経済なものになるおそれがあるように思います。たとえば、今の東京都を見ておりますと、自動車の混雑で困っている。これを終戦直後雄大な知事が出て、雄大な仕事をしていたら、私はこんなことになっていなかったと思う。現在の東海村の辺を見てみましても、あの立地条件その他を考えますと、あるいは将来二十年、三十年後には、北九州の重工業地帯みたいな原子力工業地帯に成長していくかもしれません。そういういろいろな点を考えてみますと、やはり、将来そういうふうに発展する可能性のある地帯、あるいは原子力を中心に育てていくという地帯につきましては、今からその土地のデザインをよく考えて、立地条件に合ったような計画的な都市の造成をしていく必要があるように思うのです。たとえば、原子力研究所から出た水を処理するにしても、それを無害なものに、たとい廃棄物処理でやったにしても、そこから出てくる下水というものがいいかげんな下水では、市民は困るということになる。そうすると、原子力というものを考えた下水の一つの構造というものをわれわれは考えなければならぬということも考えられます。あるいは交通にしましても、あるいは保安にいたしましても、あるいは衛生にいたしましても、あるいは厚生の問題にいたしましても、あるいは教育の問題にいたしましても同様であります。私は、この間東海村へ参りまして前から考えておったことでありますが、おそらく、あの辺は将来原子力の大きなセンターに成長していくだろう、もし、ある人が構想を加えるならば、北の方の日立の工業地帯、それから久慈港を中心とするあの港湾地帯、それから南の方の研究地帯、それに、おそらく農業のセンターみたいなものもガンマー・フィールドを作るとか、そういうものが出てくるかもしれない。そういう二、三十年後の将来のことを頭に置いて中央がある程度の考慮をしてやった都市計画というものを考える必要がある。中央がある程度そういうふうに考えてある程度助成をしてやるとか、あるいは安全保障を確保してやるとか、そういうことをやらないと県知事も動けない、あるいは地元の町村長にしても動けないわけであります。そういうことを考えてみまして、これは国が率先して地方に安心を与えるような措置を考えてやる必要がある、そういうふうに考えまして、原子力都市計画法というような構想を実は持ったのであります。これは、先般の科学技術特別委員会におきまして委員の中からそういう御発言もありまして、委員会においても、いずれ小委員会をお作りになってお取り上げになるということも拝聴いたしておりましたので、われわれ政府側といたしましても、それに即応いたしまして、そのような準備態勢に入ろう、そういう考えでおるわけであります。大体どういう法律を作るかということは、これからみんなで集まって構想を練っていくわけでありますが、たとえば、地域を指定するというようなこと、それから、その地域内に原子力の研究施設あるいは関連産業施設の総合基本計画を立てるというようなこと、それから、原子力の研究施設及び関連産業施設の運営に必要な交通、輸送、住宅、衛生、厚生、教育等の施設の基本計画を大きく立てるということ、あるいは指定地域内における土地の使用や取得についてある程度の措置を講ずる必要がありはしないかということ、あるいは指定地域内における建物の建築や、そのほかの産業の施設の建設についても、やはりある程度の考慮をする必要がありはしないか、たとえば、こういうようなことを総合的に考えまして原子力都市計画法という構想を練っていきたいと思います。原子力委員会の中に、できましたら、そういう専門部会か何かを作りましてその構想を練って、外国の例を調べまして立法の準備をしていくという態度で進みたいと思います。これが半年後に議会に出るとかなんとかということは、今のところは申し上げかねますけれども、そういう考えを持って、一日も早くそういう法案を作るべく努力をして参りたいと思います。国会におきまする御議論等も拝聴いたしまして、われわれの方もそれに負けないように整備して参りたいと思う次第であります。
○石野委員 原子力センターとしての都市計画を国家がめんどうを見てやるということ、それは、それ自体として私どもも非常に、やはり新しい産業でもありますから、けっこうだと思うのです。ただ、やはり中曽根大臣もおわかりになりまするように、この原子力産業のセンターとして指定される地域がどういうような安全性の中に守られていなければならないか、敷地基準というものはどういうものであるかということは、非常に大事なことであると思います。これはもうわが国だけでなくして、世界の各国でもそのことは非常に重要な問題として提起されているわけでございますので、今法案をどういうふうに作ろうかというふうなことの中に、中曽根大臣は、それはわかっていることだから言わないのだということかもしれませんが、地域的にはどうするか、総合的にはどうするか、他の工業都市計画法というような、そういう考え方だけでまかせでいるわけではなかろうと思うのです。従ってそういう地域における安全性の問題についても、敷地基準というものがはっきり出てきませんと、ほかの産業都市計画のような形でたんたんとはいかないのだということの認識、そのことがはっきりしなければ、われわれ住民は安心感を持ってそういうものに協力し、進んでいくこともできないであろうと思うのです。そういう点については、大臣はわかっておるから言わなかったのかもしれませんが、ただいまの御説明の中には、ちっとも入っていなかった。そういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。
○中曽根国務大臣 こういう構想を持ちました一つの大きな原因には、安全という問題がありまして、安全ということは、先ほども申し上げたのでありますが、たとえば、放射能という問題が一番大きな問題として伏在するわけであります。そうすると、放射能の検知の施設が一キロごとに、要るとか、あるいは四キロ、十キロ、そういう範囲内において、そういう検知の施設も作らなければならない。そういう問題については、住民や公共団体の協力なくしてできないわけであります。それを、ただ野放図にほっておくというよりも、ある程度法的に規制するなり、あるいは補助してやるなり、何かそういう形によって地元の協力を得るような態勢を作り出したいというのが、この法案の背景にあるわけであります。
○石野委員 ただいまの大臣の御答弁を承わって、大体そういう都市計画法とか何とかいうものを作るについては、どうしても前段の施設としてそういうような安全に対する態勢を強化していかなければならない、こういうふうに理解して、その都市計画法といいますか、何か構想が進められるものであるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 そうです。
○石野委員 そういうことを率直に、また、真剣にそういうふうに考えていただきたいと私どもは念願するわけです。 そこで、最近、われわれは、東海村にコールダーホール改良型の原子炉の発電所ができるといううわさを聞いておるわけであります。六月五日の閣議でそういう了承をされたというようなことも聞いておるのでございますが、原子力委員会の中にある安全委員会では、まだそういう問題について審査中であって、それに対する結論も何も出ていないのだという時期に、内閣の方で、閣議はそういうことに了承を与えたとか、導入に了承を与えたというふうなことを聞くのは、われわれとしては非常に理解しがたいものがあるのです。ほんとうに、これは閣議でそういう了承が与えられたのであるのか、また、なぜ安全委員会の結論の出ていないものの導入に了承を与えたのであるのか、そういう点について、ほんとうのことを聞かしていただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 閣議で了承を与えたという事実はございません。私は、引き継ぎでも、そういうことを聞いておりません。
○石野委員 この改良型の原子炉の発電所が東海村に設置されるということが、あたかもきまったかのごとく宣伝されるわけですが、先ほどから大臣のお話を聞いておりますと、われわれの理解も、そういうふうに持つのです。原子力発電所の敷地基準というものを作ってそれに当てはまる形として発電所が設置されなければならないというふうにわれわれ理解するのでありますが、そういうようなことについては、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 もちろん、安全性及び周囲に対する放射線の考慮というようなものを十分考えてやらなければならないと思っております。現在は、東海村の海岸地帯の小松林の中に約七万坪程度の土地を確保してやる予定であるということを聞いております。
○石野委員 この、炉の購入についての問題は、われわれ聞くところによりますと、非常に急がれておるようにも聞いておるわけであります。しかし、この炉を導入するということについては、やはり今も言われたように、敷地基準というものをはっきりさせて、それだけではなく、あとは災害に対する損害賠償の問題とか、補てんの問題とか、いろいろな問題がこれに関連すると思います。そういう問題がはっきりしない前に炉を導入するなどというようなことはあり得べきことでもないし、また、そういうことをしてはいけないことだと私たちは理解いたしますけれども、政府としては、それをどういうふうにお考えになっておられますか。
○中曽根国務大臣 ただいま安全専門委員会におきまして検討中でありまして、この結論を待って、政府は態度をきめたいと思っておりますが、いずれにせよ、契約をしましても、実際建設が始まり、それが竣工するのは三年ないし四年のあとになります。その後になって原子炉が稼働してくるわけであります。そういう点からいたしましても、もし、それが安全であり、いいものであるならば、現在契約するということは決して悪いことではないと思っております。それは、三年ないし四年という期間の経過がそこにございますから、安全であり、良好なものであるならば、今日契約しても差しつかえないと思っております。
○石野委員 これは非常に重要なことです。大臣は、いいものなら買えばいいと言われますが、契約すれば、やはり契約の当事者としては、それを実行しなければならないという義務がお互いに出てくるわけです。そうなりますと、かりに、今契約するというような事情があって、たまたま安全の問題から、その安全についての保障が得られないとかなんとかいうことになりますと、その契約は破棄しなければならぬということがまた出て参ります。従って、やはりこの契約という問題は、相当程度先の見通しと、そういうものに対する安全感というものがしつかり出てこなければ、契約をしてはならないのじゃないか。ことに、それを導入するに当っての資金の問題からいいますと、やはり発電所は民間が主となってやっておるわけでありますから、資金の問題や何かについては国がなにしておっても、いろいろと言い分があると思います。しかし、国際的な信用の度合いからいいますだけじゃなくして、炉が設置される場所というものは、その発電所とは関係なく、すぐその地域の住民に対して影響を与えることになってくるわけであります。従って、こういう地域に対しては、少くとも、やはり安全度についての確信が出てこなければいけな。だから、炉自体についての安全性の問題があります。たとえば、コールダーホール型の問題についても、一番の問題点は、やはり地震に対する耐震性があるかどうかという問題である。この問題については、黒鉛の囲いをすればいいのだということがいわれておったけれども、中曽根大臣もおわかりになりますように、最近、この黒鉛の囲いの問題は相当程度問題が出てきていると思います。内部の方で黒鉛の萎縮が非常に激しくなってきて、ガタが出てきている。だから、地震よりも、むしろ黒鉛の耐震装置自体に問題が出てきているということも、最近のデータでは問題になる点があると思う。それだけではなくて、かりに、一朝災害が起きた場合の住民に対する保険制度の問題とか、補償の問題をどうするかということについても、世界の各国を見ましても、国の方で保険体制を整備するとか、補償体制を整備しなければ、まず民間会社では受けないという事情だと思います。アメリカもそうだ。それから西ドイツだってそういう形で、やはり民間は受けていないはずです。そういう事情の中で、日本だけが炉の導入については民間会社が非常に積極的であるということは、異常だといわなければならない。産業資本とか、そういうような民間会社の諸君は、自分たちでそれを入れて、何とかしてそれで自分たちが早く技術を修得し、また、そこから企業としての利益を得ようとすることはよくわかりますけれども、しかし、この新しい産業自体が持つ国民一般、人民各位に与える悪影響の問題については、もっと国がめんどうを見てやる必要があります。それを、今の大臣のお話を聞きますと、とにかく、いいものならば買っておいていいじゃないかというような、非常に安易なものの言い方をされる。中曽根さんらしくない発言だと私は思う。中曽根大臣は、大臣になる前から、原子力の問題については、裏からも表からも非常にまじめに取り組んできた方だと私たちは理解しておる。一部の産業資本の代弁者としての原子力の研究、開発ということを考えているのではなくて、国民経済の立場から日本はどうあるべきか、それは大多数の国民に対して利益を与えるものとしての原子力の研究、開発ということを主張されておったと理解しておるわけです。非常に得がたい大臣を得たと私が思っているときに、そういう問題についてはおれは知らぬぞという答弁を聞くことは意外なんで、大臣は、それについてどういうお考えを持っておられるのか伺いたい。
○中曽根国務大臣 安全性の問題につきましては、科学者の科学的検討の結果をわれわれは見まして、最後に判定を加えたいと思います。われわれしろうとがいろいろ議論するよりも、やはり権威のある科学者が科学的検討をやった成果をわれわれが尊重するということが大事だと思います。現在、安全性の問題もだいぶ検討は進みまして、あと三、四点くらい残っているそうであります。その検討が終りましたら、その成果を聞いていきたいと思います。それから、いいものなら買ってもいいじゃないかということに対しての御質問でございましたが、俗な言葉で申したのでございまして、やはり経済的採算の問題、あるいは安全性の問題、あるいは今後の日本のエネルギー資源の総合計画における原子力の地位というようなことをよく考えまして、これも科学的に検討した結果、原子力発電、あるいは原子力というものをどの程度日本の経済計画の中に織り込んでいくかということを考えながら、進んでいきたいと思います。
○石野委員 安全性の問題については、学者や、あるいは経験者のいろいろな検討の結果を尊重したいとおっしゃられました。それはそうなければならぬと思いますし、また、その答弁を聞いたことは非常にうれしいのです。と同時に、そのことは、やはり安全性の問題についてのそういう科学者とか権威者の見解を中心として炉の導入などについても考えることと私は受け取ります。従って、原子炉の導入ということについてはそういう結果を待たずして、導入の認可とか承認を政府が与えるということがあってはならない、こういうふうに私は思うのです。その通り理解してよろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 その通りであります。
○石野委員 安全性の問題について、国民大衆にどういうような安全を確保してやるかといういろいろな研究は、それぞれの学者や、あるいは権威者が結論を出して下さるし、また、それについての一般の公聴会なども、またぜひ国民大衆の中でやらなければいけないだろうと思うのです。それと同時に、今度は炉自体の安全性の問題について、特に、今度入れようとするコールダーホール型の原子炉については、コンテイナーの問題が一つあるわけであります。発電所側の言い分を今のところ私はさだかには聞きませんけれども、大体コンテイナーを入れるということは、あまり考えていないので、むしろ、別な形でその安全装置をしたいというふうに、熱管理の面とか何とかでやろうということだと聞いておるわけであります。しかし、そもそもコンテイナーという問題は、いわゆる災害が起きたときに、外部に放射能を放散させないようにして、一般の国民大衆を守るということでございますから、これはその機械の安全を二重、三重に確保した上に、なおかつ出てくるであろう不測の状態に対する処置であると理解いたします。そのことのために、アメリカでもどこでも、それが重要視されておると私たちは理解しておるわけです。日本におけるところの原子力発電所ができるに当っては、このコンテイナーの重要性というものは、特に、地震というものに対する耐震性が非常に不確実であるコールダーホール型の炉を入れるに当って、特にコンテイナーの問題は大事だと思います。従って、原発の人々が、こういうコンテイナーのあるべき姿というものを別な形に置きかえて、そして、これに対する資金を使うということは、コスト高になるとか何とかということで逃げられては、国民の側が非常に迷惑するように思う。政府は、そういう問題についてはどういうようなお考えをお持ちになっていますか。
○中曽根国務大臣 コンテイナーの問題は、目下検討中であります。われわれの方針といたしましては、あくまで安全を確保して、国民に心配がないという措置を講ずるようにいたしたいと思っております。
○石野委員 コンテイナーの問題については、あくまでも国民の安全を確保しなければならない問題でございますので、原子力発電所というものは水力や火力の発電よりもコスト安にできるんだということだけをねらいにして、ただ、設備投資や何かのコスト高になるものを、できるだけ排除していこうという考え方が企業家の中にあると思います。そういうことでは、われわれとしては安心できないのでございますから、この点は、監督官庁としては十二分に監視してもらわなくてはならないと思います。その点を大臣に一つお願いしておきたいと思います。特に、近々そういう問題が具体化してこようとしておるときに、災害補償の処置につきまして、先ほどもちょっと法案を準備中ということで、都市計画法なんかで触れられておりましたけれども、災害補償の処置について、これは一般の保険協会だとかの処置だけにまかせておける性質のものではないと思います。政府としては、こういう問題について、国家が何か補償するというような心がまえを持っておられるのかどうか。炉を導入し、原子力の発電が早急に行われようとする場合、国がそれに対して全然放置する形で、災害補償の問題についても保険協会なんかにまかせておくんだという考え方でいくつもりなのか、それについての大臣の所見を聞かしていただきたい。
○中曽根国務大臣 原子力保険の問題につきましては、当委員会からも重ね重ね御要求もございましたので、目下原子力委員会に保険関係の専門部会を作りまして、我妻栄先生が主査になりまして、昼夜兼行で外国の例等も調べてやっております。七月には委員一同をカン詰にして、二日か三日ぐらい箱根あたりで共同研究してもらう予定も立っておりまして、できるだけ通常国会に間に合わせる目途で努力しておる最中であります。通常国会に間に合えば出すつもりでありますけれども、その目途で目下努力しておる最中であります。
○村瀬委員長 石野君に申し上げますが、岡委員からも質疑の通告がありますので、その点お含み願います。
○石野委員 ただいまの、国が災害補償についての法律を用意しているということですが、われわれの委員会としても、やはりその問題を考えなくちゃならぬ問題でありますので、早急にそういう体制を作るべきだと思っております。そこで、私は、この災害補償に対する立法化の方向というものと、先ほどの問題にもまた触れるのでございまするが、原子炉の導入の問題と、また関係があると思います。やはり原子炉の導入ということは、こういう国家補償の体制が十二分にできない間にやられることは、非常に危険があると私は思います。従って、そういう体制を整備するのでなかったならば、炉の導入についても、政府としては、軽率に、お急ぎになられるような処置をなさってはいけない、こういうように私は考えるわけです。このことも、炉の導入についての前提条件として、われわれとしては、これを政府に責任的一つに感じてもらわなくちゃいけない、こう思うわけです。大臣はそれをどういうふうにお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 原子力保険の問題は、炉の契約等とからみまして、やはり非常に重要な問題でありますので、できるだけすみやかに体制を整備いたしまして国民の皆様方に心配をかけないようにいたしたいと思っております。先ほど申し上げましたように、昼夜兼行で努力をしておる次第でございます。
○石野委員 先ほどもお話がありましたように、昼夜兼行でやられて、通常国会まで出せるようにしたい、こういうお話でございますので、私は、くどいようでございまするが、そういう法案ができるまでの間、炉の導入というものは、具体的に閣議では了承したとか、あるいはそれに許可を与えるというようなことは出てこないと理解いたしますが、そう理解してよろしゅうございますか。
○中曽根国務大臣 保険とコールダーホール型を入れることは別個に取り扱いたいと思います。コールダーホール型については、採算や安全性等について、こちらの方で大丈夫であるという判定がつけば、私は許可して差しつかえないと思います。コールダーホール型が、かりにことし契約を万一したといたしましても、実際稼働になるのは三年半ないし四年後ということになりますから、その間に十分原子力保険体系を整備する時間はあると思います。
○石野委員 私は、今の発言は、中曽根大臣にしてはほんとうにあたたかみのない発言だと思うのです。先ほど来の質疑応答の結論としては、やはり安全態勢ができなければだめなんだということになるわけです。ところが、コールダーホール型の問題についてだけは、それは違ってくる。これは、どうも私は理解に苦しむ。契約だからいいというお話なんでございます。しかし、契約というのは責任を持たなくちゃいけない。その責任を持つということは、国が責任を持つこと、あるいは国の信用をかけての問題だというふうにわれわれは理解しているわけですし、また、同時に、その問題は国民大衆に影響のくるものでございまして、ことにコールダーホール型の問題については、まだまだ炉自体の安全性の問題が残っているわけでございます。不測の事態においてどうするかということよりも、もっと炉自体の問題があるわけです。そういう問題の究明が、その安全度というものに対する確信が出ないで、炉の契約などというものは、採算点とかなんとかだけではいけないのじゃないかと私は思うわけです。そうういう点では、もっと慎重な態度をとるべきであるし、また、二年先、三年先の問題であるということよりももっと大事なことは、日本の学者や技術者、あるいは権威者の中に、そう急がぬでもいいじゃないかという意見もあるわけでございます。そういうことを考えますると、私は、なぜ政府がそんなにお急ぎになられるのか、ちょうど産業資本の諸君が言われることと同じことを言われる。中曽根さんはそれと同じようなことを言われる。これはどうもおかしい。これは、ほんとうに国民の原子力、国民経済の発展のための原子力開発、こういう立場からするなら、もっと安全性の問題を真剣に考えていただきたい、こういうふうに思うわけです。大臣は産業資本の側にあまり遠慮なさらないで、はっきり言ってほしいと思います。
○中曽根国務大臣 私は、産業資本というものはどういうものかよく知りませんけれども、何も関係ございません。今まで国会議員といたしまして国家本位、また世界の平和のための原子力ということを考えて推進してきたつもりでありまして、今後もそのようにいたしたいと思います。 下世話にも、善は急げということがありますから、もし、いいことがあれば、急いでやっていいと思うのです。一番大事なことは安全性の問題でありますので、現在専門部会におきまして科学的に検討しているわけであります。その科学的検討を十分確かめてから、われわれは判断を下したいと思います。
○石野委員 何べんも同じようなことは言いませんけれども、とにかく、専門部会が結論を出すまで、なんぼコールダーホール型が採算が合おうと何しようと、やはり安全性は第一だとおっしゃっているんだから、それがはっきりするまでは、炉の導入の問題については、政府としても慎重な態度をとっていただきたい。そうして、もっともっとみんなで論議をしてその問題の機械が将来に憂いを残さないようにしていただきたいと思うのです。ぜひ、せっかちなやり方はしないようにしていただきたいということを、私は特にお願いいたしておきたいと思います。 最後に、さきにも触れられたことでございますが、原研労組が今日いろいろな問題で当局との間に問題をかもしておりまして、二回にわたるストライキもやっておるわけでございます。こういう事態の中で労働組合の諸君が要求している労働条件、特に給与の問題であるとか、あるいは労働協約設定の問題であるとかという問題については、一日も早く解決させなければいけない、こう思います。両当事者は、それぞれ中労委へこの問題を持ち込んでいることもよく承知しております。しかしながら、われわれ科学技術特別委員会の立場からいたしまして、科学技術の進捗ということを考えますると、これは、ただ単に労使の紛争という形だけで見ることはできない内容を持っていると思うわけです。冒頭にも大臣にそのことはお聞きしたのでございますが、私は、やはり労働組合の今日持ち込んでいるところの抗議文であるとか、あるいは大会の宣言というようなものを見ますると、普通の労働組合の要求とは違うんです。むしろ、経営者自身が悩み苦しむ問題を問題としてぶつけているところに問題があると思うのです。こういう事態に直面してこれを解決するのには、ぜひとも研究体制の整備、それから理事、運営者諸君に対する監督官庁の厳重なる警告と、その体制整備のための何かの処置が必要ではなかろうかと私は思うわけであります。大臣は率直に、そういう問題に対する解決策としての所見を、一つここで述べていただきたいのでございます。
○中曽根国務大臣 われわれの立場は監督官庁の立場でありますので、この争議について当事者に介入する意思は毛頭ございません。できるだけすみやかに当事者間で話し合いをつけて、現存、中労委で仲裁あっせん中でありますが、その間といえども、両方の当事者が真剣な努力をし合って、一日もすみやかに事態を収拾するように希望しております。また、そういう環境が馴致できるようにもし、われわれでできることがありましたならば、努力もいたしたいと思います。 ただ、原子力研究所に対する国民の期待は非常に大きいように思います。われわれも、それだけ非常に責任を痛感しているわけでありますが、原子力研究所は政府の財産でもなければ、理事者の財産でも組合の財産でもない、国民の財産であります。この原子力研究所に火がともったということで国民は非常に明るい希望のともしびを持ったわけであります。これが消されるということは、心のともしびを消されるように国民は受け取っていると思いますので、そういう大きな見地から、労使、管理者及び組合双方がよく話し合って、できるだけすみやかに国民の期待に沿うように善処していただきたいと希望しております。
○石野委員 今大臣の御答弁の中に、原子炉の火が消えるということは、ほんとうに国民にとっては非常な悲しみであるというお言葉がありました。われわれも、その炉の火は消したくない。けれども、現実に炉は組合の諸君の争議行為の結果として消えるという時間があったわけであります。その場合、国民は、主として炉を消したのは労働者の無謀なやり方なんだというふうに受ける面があります。しかし、私はそうでないと思うのです。大臣もごらんになっていると思いますけれども、すでに駒形理事長に対しては、組合は公開質問状を昨年十二月三日に出しておって、真剣に、心から原研の体制を整備し強化するための意見を述べております。また、今回の争議に入るに当りましても、たとえば闘争宣言だとか、抗議大会宣言だとか、抗議文だとか、どれを見ましても、みんな研究所を愛し、原子力研究所の体制を強化するために、どうも理事者の諸君がちっとも何もやってくれないということが主文になっているわけなんです。こういう問題をわれわれはこの文の中で見、しかも、彼らは切々としてそれを訴えておるという実情を私ども見ますると、これは単なる争議行為の結果ということではなしに、原子力研究所自身の運営の問題にかかってきているのです。そして、炉の火が消えたということは、決して労働組合が無謀なやり方をしたのではなくて、労働組合の諸君が原研を愛し、この原子力開発の問題をどういうふうにしてよりよくするかという観点に立つと、こうしなければ運営の衝に当っている理事者の諸君が考えてくれないというところまできていると思います。こういう題問を監督官庁である政府当局はほうっておくわけにはいくまいと思うのです。これは何とかしなければならぬ問題だ。もし労働組合の言い分が間違っているなら、労働組合に対していろいろ注意したらいいと思います。しかし、われわれの知る限りにおいては、むしろ労働組合の諸君の中で、特に若い諸君が熱意を込めてこういう意見を出しているということを考えますると、理事者の諸君に対して、もっともっと考えてもらわなければならぬ点があると思います。やはり、政府は、こういう問題を、ただよそごとのように見ておったのではいけない。どうか一つ、そういう点についてはまじめな立場で、大臣は、おれの知ったことじゃない、介入してはいけないのだというような、よそ行きの言葉を使っておってはいけないと思います。大臣は、特に原子力開発の問題について、二十世紀の原子力の基礎を作ろうとするのだということを、この前朝の時間でお話しなさっておられた。そういう基礎を作るための御努力をなさるならば、もっと裸になってこの問題の中に飛び込んでもらわなければ解決しないのではないか。うわべだけの形式的な解決では、原研に今巣くっているところのいろいろな欠点を排除すること、うみを取り出すことはできないのだと私は思うのですが、そういう点についての、まじめな態度からする大臣のお考え方を聞かしてもらいたいと思います。
○中曽根国務大臣 私は、二十世紀じゃなくて、二十一世紀の準備をするというふうに申したのでありますが、それは、やはり遠大な構想で日本の科学技術を推進しなければいかぬという考えを持っておるからであります。原研労組の問題につきましては、私も行きまして組合員の皆様にもお会いいたしまして、いろいろお話も承わりました。原子力研究所を非常に愛しているということも、私もよく知っております。われわれの分限を守りながら、極力、誠心誠意事態を早く収拾するように努力いたしたいと思います。
○石野委員 大臣は、なかなか言いにくい点もありましょうから、簡潔におっしゃられたと思うのです。分限を守りながらという言葉の中には、いろいろな含みがあると思います。分限を守りながら何もやらなくては何もならない。分限を守りながら、積極的にこの問題の解決のために熱意を込めて物事の処置をしてもらわなければいけないと思うのです。その点については、私はここであまり言いたくないのですけれども、やはり研究所の運営の問題が非常に重要だと思うのでございます。大臣はあまりそういうこまかいことをここでは御答弁は要らないと思いますけれども、私は、その運営の問題に非常に問題がある、こういうふうに理解しておりますが、大臣は私の見解とは違うでしょうか。
○中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたように、研究所の管理体制には欠陥もあると私も認めておりますので、適当なときに改革をやってもらうようにいたしたいと思います。
○石野委員 私はこれでおきます。おきますが、くれぐれもお願いいたしたいことは、原子力研究所というものは、日本の科学技術の発展のために、今日その科学と技術を総合して一ヵ所に置いておる最も代表的な場所だと思います。この場所で、もしわれわれの目的が達成されなければ、他の部門における科学技術の発展は、口で言うだけで、実際には実績は上ってこないだろうと思うのです。私は、それほど今原子力研究所は集約的に科学技術の問題点をここに集めておるところだと思います。この科学技術の集約点である原子力研究所が、ほんとうに世紀の日本の文明の先端に立って、そのセンターとして成果を上げるために今最も重要な時点にある。大臣は、そういう時点にある原子力研究所が今日争議の態勢に置かれておるということに、やはり思いをいたさなければいけないと思います。私は、そういう観点から、今回の争議は、ただ労働者が自分の団結の力を誇示するというような意味でだけこういうようなことをやっているんじゃなく、労働者は、彼らの労働条件を守りつつ、しかも日本の国民経済の中における原子力研究所の果す任務も彼らは感じ、そうして、そういう中でこの戦いのような形が出ておると思うのでございます。私は、この姿は、実にまじめな態度だと思うのであります。そういうまじめな態度を、ただ単なる物取りの争いであるというような考え方で処置されてはいけない。そういう労働者の切なる願いを、根本的にメスを入れて解決するのには、私は、今日の理事者の体系をも変えなければいけないと思う。それから、研究体制に対する人的整備問題についての、今日まだはっきりしない理事者の持っておられる考え方を徹底的に変えなければいけない、こういうように思います。それと同時に、研究所は設備だけはするけれども、ちっとも動かないで遊んでいるような設備なら、しない方がいい。それなら、この血税を投じて、大きな予算をもって設備だけするというようなことは必要ない。少くとも、一ヵ月や二ヵ月のうちに―設備はできているのだから、それを稼働するような体制を、管理、監督の面から積極的にやはり進めてもらう必要がある。私は、大臣が今日非常に大きな、二十一世紀のことを望むようなことを言うよりも、今日、現実にわれわれの血税でできているところの研究所の体制が稼働するという姿を作り出すことの方が、中曽根大臣が原子力長官として、その地位における業績を上げるかどうかのめどであろうと思うのです。それができなければ、幾ら大きなことを言ってもだめだと思う。ほんとうに中曽根氏が日本の国民経済の立場におけるところの原子力産業を考えるならば、今の原研をフルに活動さすような体制に早晩しなければならぬだろうと思う。そのことが大臣が及第点をとる唯一の点だろうと思いますので、そういう点を一つ積極的にやっていただきたい。その問題の中に、今日の原子力研究所における争議態勢解決の問題も含まれるだろうと思います。どうか、そういうようにやっていただきたいことを念願いたします。 それと、もう一つ繰り返して念を押しておきますが、コールダーホール型の炉の導入に当りましては、安全の問題に対する十二分の態勢を作らないで、政府がこの炉の導入に対する認可や、あるいは許可を与えるというようなことは厳に戒めていただきたいということを重ねて私はお願いして、一応私の質問を終らしていただきます。
○村瀬委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後三時四十分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕