運輸委員会 第4号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/09/10
会議録
○平井委員長 これより会議を開きます。 国鉄の経営に関する件について、調査を行います。 質疑の通告がありますので、これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 御承知のように、新聞その他巷間伝うるところによりますと、国鉄志免鉱業所民間払い下げを強行するというような態度が強くうかがわれるわけでございますが、しかしながら、今日まで、楢橋運輸大臣は、社会のもろもろの疑惑が発生することによって、ここに国民が非常に大きな関心を持っておるわけでございますから、そういった社会の疑惑を解消するために、この問題の取扱いについては、慎重なる態度をとらなければならない、こういったことを、今日までしばしば就任以来言明をせられておるところでございます。私どもも、そういった大臣の良識ある態度に対しましては、満幅の敬意を表するとともに、またそういった政治的配慮に対しましては、非常に大きな期待をもって見守って参ったわけでございます。しかるに、ここにおきまして、先ほど申し上げましたように、いろいろ強行方針等が取りざたをされておりますので、私は、現地におきまする関係住民、あるいはまた従業員等の不安、あるいは今日また石炭産業が非常に大きな危機に直面いたしておりまするので、そういった関係方面におきましても、先ほど福岡県会からも、県民の代表から石炭産業の危機をいかに打開すべきかというような陳情もあったようでございまするが、そういう社会的の立場からもきわめて重要な問題でございまするので、この際一つ大臣の御所感を承わっておきたいと思います。
○楢橋国務大臣 ただいま河野委員からお話がありました志免鉱業所の問題でありますが、これは御存じのように、私が就任した当時におきまして、八百万トン説と千二百万トン説とが対立といいますか、そういう問題が起っておりまして、組合側から推薦されました調査委員の方々を国鉄側も受け入れまして、あわせて青山調査団と在来の調査団と並行して、あるいは合体してこの問題の真相をきわめるという段階のときでありましたので、私はそういう段階のときにおいて入札を敢行するということは妥当でないという見解をとっておりましたので、河野委員の御指摘のようなことを声明もし、またお話も申し上げたのであります。その後両方の調査団が行かれまして、調査の結果の報告がありました。その千二百万トンと八百万トンという数量の問題についての、一致した意見の結論には到達をしなかったようでありますけれども、両方の調査団がそれぞれの自分の良心に基き、精密なる調査をした報告が国鉄当局に出されておりまして、その報告を私は先般も概略実は国鉄から報告を受けておるのです。そういう段階でありまして、従ってその数量の一致点は見出せないにしても、双方の出しました調査報告というものを尊重して、しかるべく手続等においてそのままを出していくということによって、その数量に対する問題、社会的疑惑という問題は、私は大体において解消するものと思っておるのであります。そういう観点でありまして、従って国鉄が本来行政管理庁の勧告を受け、前内閣の永野運輸大臣から出しました分離の決定、それについては私もその政策を踏襲いたしておりますから、大体の客観的情勢等が成熟いたしましたら、国鉄からまた、どういう方法で入札するか、あるいはどういう価格の算定をやるかということの報告を受け、しかる後に態度をきめたい、こういうふうに思っておるのでございます。
○河野(正)委員 大臣が世間の疑惑を解消するために、あるいはまた今日国民がいろいろ重大な関心を持っておりますから、そういった意味で納得ずくの政治的配慮を加えるということでいろいろ御努力願っておりまする点に対しましては、私どもも心からなる敬意をささげたいと存じます。ただいま大臣からも御説明ございましたように、なるほど臨時調査団が現地調査を行なって、そうしてその意見は、調査結果というものは一致するに至らなかったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、その結果が大臣に報告をされたところでございます。なるほど今度の場合には組合が推薦する委員も三名参加をして、そうして従来の青山委員会の構成から申し上げますると、若干進歩ではございましたけれども、しかしながらなお今回の臨時調査団の構成に対しましても、私どもは非常に大きな疑問を持っておるわけでございます。本来から申し上げますならば、従来の青山調査委員会に対しまする調査に対していろいろ世間の疑惑もございまするし、私どもも非常に大きな不満を持っておったわけでございまするから、従って、今回の臨時調査団というものは、少くとも従来の性格からさらに進歩をした、具体的に申し上げますならば、公正を期するために、そういった立場から委員会構成というものを考え、そして少くとも前回の青山調査委員会の世間に与えておるところの疑惑を一掃するという形で行われなければならなかったと私は思いまするけれども、不幸にして、結果的にはその委員会の調査委員の中に若干組員推薦の委員が加えられましたけれども、その臨時調査団の構成の大部分は、依然として青山調査委員会の構成分子であったということ、従いまして、私どもは今回の調査に対しましても納得が参りませんし、なおまた先ほど申し上げますように、その結果につきましても、私どもは了承を与えるわけには参りません。なるほど大臣がおっしゃいますように、調査結果は一致した意見ではないので、その中でそれぞれの意見を十分公正な立場から政治的な判断を下したいということでございますけれども、しかし、すでに御存じの通り、千二百万トンという埋蔵炭量の問題は、これは単に反対の立場をとっておりまする側からそういった数字を示して参ったのではなくて、現地の技術者が通産局とも十分折衝の結果千二百万トンという積算の数字が出て参ったということになりますならば、単に臨時調査団の意見の相違のみならず、通産当局におきまするところの意見と国鉄当局におきまする意見の相違というものは当然生まれてくることが私は当りまえであるというふうに理解をいたすわけでございます。 そこで大臣にお尋ね申し上げたいと思いまする点は、ただいま申し上げましたようないろいろな疑惑があるわけでございますから、そういった疑惑を一掃するために、関係する大蔵、通産、経済企画庁、こういったような各省の意見を十分聴取をして、今後公正なる政治的配慮を加えるべきだというふうな御所見を大臣もしばしば今日まで述べられて参ったのでございまするが、今日もさような御所見でございまするかどうか、この点を私はこの席をかりまして明らかにしていただきたいと考えております。
○楢橋国務大臣 ただいま河野委員のお話のように、青山調査団と、それから組合から推薦されました調査団はおのおの公正な立場からそれぞれの信念に基いて調査報告が出ておるのでありまして、その調査報告を両方とも、つまりなまのまま専門家の判定を受けるということが一番妥当な方法であると私は信ずるのであります。しこうして、今御指摘になりました一体これをどう評価するか、あるいはどういう算定をするかというようなこと、こういうことは、当然に関係官庁であります通産、大蔵その他の関係各省との間の連絡をとり、連絡会議を開きまして、少くとも数量等も疑惑の残るような扱い方はすべきでないという信念のもとに、今御指摘のような一つの方法をとってこの問題を公正に取り扱いたいということを申し上げます。
○河野(正)委員 すでに大臣も、元大臣でございました永野さんからいろいろ当時の事情等もお聞き願っておりまするので、私からあらためて申し上げるまでもないと思いますが、先般永野さんが運輸大臣当時出されました分離承認書でございます。これは永野さんもこの委員会で強調せられておりますように、分離ということは、志免鉱業所を国鉄の経営から分離することであって、そのことは直ちに民間の払い下げを意味するものではないというようなことで、永野元運輸大臣は本委員会におきましてもその考え方を明確にされたわけでございます。 そこで私は、その問題と関連しまして、一言大臣に御所見を承わって参りたいと思いますることは、すでに御承知だと思いまするけれども、今日石炭産業がきわめて重大なる危機に直面をいたして参っておりますることは私どもがあらためて申し上げるまでもないと考えております。そこで、通産省は新しい石炭対策として筑豊炭田の総合開発を企図して参っておるということを表明をいたしたのでございます。いわゆる公団方式――これはたまたま永野元運輸大臣も公社、公団というような表現をせられましたが、通産省におきましても、公団方式で筑豊炭田を開発したい、その構想といたしましては、現在あまり掘られておらない下層部の石炭を鉱業権者より提供さして、公団が一括して採掘しよう、総合開発をしていこう、しかもそういった構想を通産省としては来年度の重要施策として予算折衝その他に努力をして参る、こういった構想を通産省当局は明らかにいたして参ったのでございます。これは永野さんの構想と相前後いたしまするけれども、たまたま公社、公団方式につきましては一致した点がありまして、私どもは永野さんの烱眼に対して心から敬意を払っておるのでございますが、こういったように、時の通産省が今日行き詰まっておりまする石炭産業の危機打開のために公団方式を採用しよう――御承知のように、今政党政治でございます。責任政治でございます。そこで、こういった通産省当局の方針というものは、今日岸内閣の方針である、かように考えましても私は過言ではなかろう、こういうふうにも考えております。そこで、志免問題に対しましては、これは新しい問題ではありませんで、永野さんが就任当時表明された構想であり、たまたま相前後いたしましたけれども、こういった方針が通産省から打ち出される、こういう情勢でございますが、私どもが非常に大きな良識を期待いたしまする現楢橋運輸大臣としては、こういった通産省、並びにかつて永野運輸行政時代にとられて参りました方針に対しましてどのようにお考えいただいておりまするか、一つこの辺の御所見を承わっておきたいと思います。
○楢橋国務大臣 永野運輸大臣が公団方式をもってこの問題を解決するというようなことを決意されたということは、私はまだ寡聞にして承知いたしておりません。一つの方法としてあるいはそういうことを思いつき的に永野さんが言われたかもしれませんが、現在の段階におきまして志免炭鉱を公団式に持っていくということに対して、私がそういう方針を持っておるかとおっしゃいますれば、そういう方針は持っておりません。やはりこれは総合開発はすべきものであるけれども、私の考えといたしましては、これを国鉄が出資して公団方式でやるというようなことは、諸般の情勢上私は不可能だと見ておるのでありますから、在来政府が立てました――永野さんはそういう方針を政府の方針としてとられたかもしれませんが、やはりこれは総合開発の線に沿うてしかるべく行き詰まった山を打開し、少くとも失業者を出さないような段階にこれを合理的に経営していくという方針のもとにこの問題を処理するということが一番妥当ではないかということを考えておるのであります。
○河野(正)委員 ただいま結論的には永野構想よりもむしろ合理的な経営ということに重点を指向してこの問題の解決に当りたいということでございますが、それも私はけっこうだと考えます。問題は従業員の身分が安定し、また炭田に関係をいたしまする関係住民の生活環境が安定をするということがねらいでございますから、その構想のいずれかは別として、たまたま通産省ではことしの五月筑豊炭田の総合開発を企図し、その構想は公団方式でいきたい、しかも来年度の予算編成に当っては重点施策として鋭意努力をするというふうな見解の表明もございましたので、今日の政党政治、責任政治という中では、私はやはりそういった点に対しましても閣議の一員として当然尊重せらるべきではなかろうかというようなことから大臣の御所見を承わったのでございます。 なるほど従業員の身分等につきましても合理的に、非常に大きな御配慮をいただいております点につきましては敬服をいたします。ところが、御承知のように今日石炭産業がきわめて重大なる危機に直面し、福岡県だけでもすでに、先ほど陳情もございましたように、今日までの石炭不況の慢性化によって離職した総数が三万二千九百人、今後の推移によって見込まれまする離職者が二万三千七百人、福岡県だけでも五万五千六百人に及ぶ失業者が石炭産業の危機のあおりを食って、そのしわ寄せのもとにそうしたたくさんの失業者が出てこようというふうな実情でございます。そういたしまするとこの民間払い下げが行われ、そうして一貫しましてはそれは総合開発を行うということでございましょうが、民間に払い下げる形によって総合開発が行われ、しかもその中で全然出血を見ずに済むかどうかという問題、この点私は現地の実情を十分承知いたしておりまするし、また現楢橋運輸大臣もかつては石炭企業に参画された経験もあるという御理解あるお話も承わって参っておりますので、十分現地の実情等につきましても御理解がいただけておるというふうにも判断いたしまするが、ただいま結論的に申し上げますように、民間払い下げを中心とするところの総合開発によって失業者を出すことがないで済むのか、果して失業者を出さない形での合理化ができるものであるのか。私は、今日の情勢というものは、今までいろいろ論議されました時点よりも非常に情勢の変化が起って参りまして、深刻な状態でもございますので、やはりこの問題につきましては情勢の変化という形でこの際一考も二考も要すべき問題ではなかろうかというように判断いたすわけでありますが、この点に対しまして大臣はどのような御所感を持っておられますか。その辺も明らかにしていただきたい。
○楢橋国務大臣 河野委員も私も福岡県選出の議員でありまして、先般も県会その他において超党派的に北九州の炭鉱の悲惨な状態等の陳情を受け、かつまたこういう炭鉱に従事しておられる労務者並びに関連地区の人々の生活をどうして安定するかということは私ども非常に深刻に心配をいたしておるのであります。この志免炭鉱の問題も、ちょうどこれが青山調査団によって勧告を受けました当時からいいますと、石炭界というものは非常な深刻な不況に見舞われておりまして、今御指摘のような多数の失業者等も出ておるような状態であります。また志免鉱業所もその後の業績を見ますれば、四億以上の赤字を出しておって、おそらく今度は十億くらいの赤字を出すのではないかというような深刻な段階にきておりますだけに、国鉄それ自身の本来の使命である輸送業務に専念するという第一の大きな柱と、こういう付帯的な仕事をかかえておって大きな赤字をかかえておる、しかも石炭は掘ればなくなるのですから、なくなれば新しい地点に拡大しなければならない、つまり新鉱区をどんどん拡大しなければならない。そういうものに対する限界線等々もあって、ここに公団の方式であるとかあるいは総合開発であるというような、また志免炭鉱をめぐる問題の課題はそこに重点があるのでありますから、この志免炭鉱の処理によって起る労務者をどうするかということは、私も非常に心配をいたしております。先般も社会党の勝間田委員長並びに河野さんがお見えになったときに申し上げましたように、この問題解決の一番大事なことは、いかにして労務者を安定せしめるかという点にあるということを一方に考える。一方には国鉄の合理化の線に沿うてこの問題をどう処理するかという二つの柱があって、その柱の調節をはかることがこの問題のキー・ポイントである。従ってこれを処理するに当りましても国鉄当局にも、この労務者をたとえばどういうふうに配置転換し、できるだけ国鉄に戻りたい人は国鉄に戻す。なおたとえば新しい経営体に受け入れられる場合には、その受け入れるべき経営体の人々との間に労務者の身分について十分なる配慮を、客観的情勢がこういう事態でありますから、払うようにしなければならないということを懇談をいたしておるような次第でありまして、河野委員の御心配は、私も同じ地区の人間でありますからそれは痛切に感じておりますので、十分なる配慮をもってこの問題を善処いたしたいと思っておるのであります。
○河野(正)委員 いろいろ御努力願っております点等に対しましては敬意を表しますが、ただ、今大臣が答弁されました一節が、ちょっと認識が誤まっておられるのではなかろうかという点が一点ございますし、そのためここの問題の慎重な配慮がかえっておくらされるということになりますと、これは結果的には非常に問題でございますので、その点だけ一点御指摘を申し上げておきたいと思います。それは、ただいま大臣が仰せられました赤字の問題でございますが、もともと風波の立たない平和な時代におきましては、最近の話でありますが、当局側の、あるいはまた行管の勧告等に基いて徹底的な合理化をはかりなさいというような勧告等もございますし、当局側もやはり将来の問題等を含んで、ぜひとも従業員も経営の合理化に協力してもらいたいというふうな要請等もございましたので、従って従業員の諸君は今日まで能率を上げ、あるいはまた一部の方々は涙をのんで実は長い間住みなれた山元を離れて配置転換に応じたというふうな人もたくさんございまして、昨年、一昨年は御承知のように三億前後の黒字を出したというのが実情でございます。ところが、なるほど昨年は赤字が出たかもわかりませんけれども、それは国鉄当局が、安心をして従業員が増産に励めるような環境に置かなかった、いわゆるもう事業生命が短かいので民間に払い下げるのだというようなことで、従業員を非常に大きな不安に陥れた。そこで、これはいろいろ異論もありましょうけれども、実力行使その他によって増産がはばまれた、そこに赤字の原因があるわけでございます。従って、この赤字というものは当然起るべくして起ったということでなくして、国鉄当局がいわゆる国民の世論、あるいは現地住民の世論、従業員の世論を無視して民間払い下げを強行しようとした、その不当なる態度によってこの赤字が生じたということでございますから、私はそういった赤字をもとにこの問題を処理すると言われることにつきましては断じて承服するわけには参りませんし、もしそうだといたしますれば、国鉄は作為的に、たとえば最近の当局側の談話によりますると、閉山もあり得るというような、今日まで営々として七十年の間生産増強に努力して参りました従業員の意思を無視して、そういう不当な談話を発表されるような状態でございますが、そういったことを作為的にやって、そうして現地の従業員が生産を放棄する、そうして赤字を出させておいて、赤字が出ておりますから民間に払い下げをしたいというふうな、一つの演出が行われる傾向というものも当然出て参りますから、今日まで出てきた赤字というものは、さっき申しましたように、事業生命なりあるいは経営によって出てきた赤字ではなくて、国鉄当局が不当な民間払い下げを強行しようとするところに、今日赤字が出て参ったということを一つ大臣は十分念頭に置いていただきたい。そうして今後の政治的な配慮を加えていただきますことを私は強くお願いいたしておきたいと考えております。 それから、さらに大臣にお尋ねをいたしておきたいと思いまする点は、今日国鉄当局は非常に世論を気にして、いわゆるPR活動というものを非常に露骨にやっておられるようでございます。最近出されましたいろいろな刊行物もたくさんございます。「志免炭鉱問題の焦点」であるとか、あるいは「志免炭鉱をめぐる新聞論調」であるとか、あるいは新しいところで「志免炭鉱の真相を衝く」とか、そういったいろいろな活発な――活発というよりも私どもに言わせますならば、そういった刊行物を駅々の弘済会の売店に置いて無料で配布をするというように、きわめて露骨な態度で行われて参っておりす。私は、そういったような世論を非常に気にした形で当局側がPRに専念をされておる、このことはかえって志免問題の背後におきますところの疑惑というものを裏書きするのではないかというふうな気持が強くいたすわけでございます。そこで、先ほどから大臣もしばしば強調されますように、世間の疑惑を一掃するという形で鋭意努力して参りたい、そういう形で政治的な配慮を加えて参りたい、そのことにつきましては私どもも深く敬意を表しますが、こういった具体的な一例から見て参りましても、今日なお国民はこの問題の推移に対して非常に大きな疑惑を持っておるということを、残念でございますけれども強調せざるを得ないと思うのでございます。そこで、このことは言葉をかえて申し上げますならば、国民がさらに今日この問題に対して疑惑を持っておる。そこで大臣としてはそういった世間の疑惑を今後解消するためにさらに時間をかけて努力していただかなければならぬと思うわけでございます。大臣はそういった疑惑を解くためにさらに大きな努力を今後していただくものと私どもは確信しておりますが、これに対しますところの御所見も私はこの席上ではっきり承わっておきたいと考えます。
○楢橋国務大臣 河野委員のおっしゃいました、赤字がだんだん大きくなったからこれを払い下げるという意味でありませんので、御存じのようにこの譲渡させるという基本方針は、国鉄本来の運送事業、運輸事業に専念するということを基本原則として立てて、アウトサイダーのことはやめろという行政管理庁の勧告を二度も受け、経営合理化審議会からもその勧告を受け、そういう線に沿うてやっておって、その折衝中に志免炭鉱をめぐる大きな世論というものがやかましくなっておるような次第でございます。従いまして、私の考えといたしましては、赤字があるからこれを急速に払い下げるという立場をとらしておるのではないのでありまして、ことに先般私が国鉄当局にも勧告をいたしましたことは、これは入札するからもう山の保全行為なりその他は投げやりにやっていくというような行動は寸毫もとってはならない。言いかえてみれば、入札する場合における譲渡価値を減少するようなことは厳に慎しむべきことであるから、その点については山の経営というものには全力を注がなければならぬということを私は勧告しておるような次第でございます。また国鉄の収益であるとかあるいは黒字になったとかなんとか言っておる報告中にも、私、多少分析してみますると、たとえば鉱害に対する積立金であるとか、普通の会社のやっておるところの減価償却に対する厳密な計算に基く黒字というような問題を実は計算しておらぬ点等もありますので、その点私からも指摘をしておるのであります。 また、国鉄がPRをやっておることは不都合ではないかというような、あるいは疑惑を招くのじゃないかというお話もありますけれども、私は、やはり国鉄としては、志免炭鉱に対する国鉄の立場、国鉄の正しい見解というものを公正な意味においてできるだけ国民に知らしめて、これによって厳正な批判を受け、また世論の共鳴を得るということをやることは、これは国鉄として当然な筋であると実は思うのであります。これが疑惑がまだあるから、当分の間この問題について疑惑を解くために時間をなにしたらというお話もありますけれども、疑惑の一番中心は、私に言わしめますれば、第一に千二百万トン、八百万トンという、この問題が一番大きな世論を呼んだ問題でありますが、この問題は国鉄側も組合側の委員等を受け入れられまして、双方において厳密な調査をされ、それが厳正な批判を受けるという立場に材料を提供するということになっておりまして、さいぜん河野委員の御指摘になりましたような、つまり各省間のまた公正な立場による算定方法その他等をとらしめるということによって、この問題を処理してりいきたい、こういうふうに考えますから、どうぞ御了承を願います。
○河野(正)委員 先ほど言葉がちょっと足りなかったから誤解を招いたと思いますけれども、国鉄当局が国民にこの実態を知っていただくという形でPRされることにつきましては、異論ございません。ただ私が申し上げておきたかったのは、そのPRの仕方の中にきわめて一方的なものがある。たとえば行管の勧告等におきましても、当局側に有利な勧告についてはPRされておりますけれども、当局側に不利な勧告につきましては、このPRの中から除外をされておる。私は、国鉄当局は官庁でございまするから、少くともPRされるならば、有利であろうがなかろうが、すべてざっくばらんに国民の前に資料を投げ出して、そして国民の正しい判断を願うということでございますならば、異論ございません。その点は大臣の御所感と全く同感でございます。ところが、私どもがいろいろ読ませていただきましたところが、自分の方に都合のよいような点については強調されておりまするけれども、不利だと思われる点につきましてはどうも啓蒙が除外されておる。この点、毎日新聞の投書欄にも国鉄当局がお書きになりましたから私の方でも反駁をいたしました。一例でございますけれどもそういった実例がございますように、どうもお役所のやられるPR運動にしては片手落ちな一方的過ぎるPR運動が行われておる。それでは国民は正しい判断を加えることはできません。そういう中から国民が判断を下そうとするならば、その判断というものがむしろ誤まられるおそれがありますので、そういった点を私は御指摘申し上げたつもりでございます。一つ御了承願いたいと思います。 それから、さっき大臣のお言葉にもございましたように、志免鉱業所は、法律的には別といたしまして、実質的には私ども国民の財産であり、国有財産であることは御承知の通りでございます。そこで、先ほど大臣も仰せられましたように、埋蔵炭量は国民の関心の的である。しかしそれが八百万トンか千二百万トンかでは国有財産の評価というものが非常に違います。評価が違うということは国民があるいはそこに損失をこうむるかもしれないということでございますから、その点につきましては国民も重大な関心を寄せていることでございましょう。そこで、もちろうそういった埋蔵炭量の問題につきましても、国有財産の評価でございまするから重大なる問題がございます。ところが私は、この民間払い下げを行いまする時期いかんによっては、この評価というものを非常に左右する要素があるものと考えております。たとえば石炭産業の好況時代には価値も高まりまするけれども、今日のように石炭産業が斜陽産業といわれる非常に重大な危機に置かれておりまするこの情勢のもとでこの問題が処理されるということは、私は国民の財産に対して非常に大きな損失を与えるものではなかろうかということを考えるわけでございまして、その点は先ほど大臣も、譲渡価値を減殺するような行為はやめてもらいたいというような勧告を国鉄当局にやられているようでありますが、そのことに対しましては私ども心から感謝をいたします。ところがそのことがこの民間払い下げを行いまする時期におきましても非常に大きな関連を持って参りまするので、そういう立場からも私は今日この問題が強行されるということは適切ではなかろうということを御指摘申し上げておるわけでございます。そういった、今日石炭産業というものが非常に重大な危機に直面しておるというふうな情勢の中でこの問題を処理されることが適切であるかどうか、この点は大臣が所管大臣でございまするから、私はそういう点に対しましても大臣の良識ある御答弁をお願いいたしておきたいと思います。
○楢橋国務大臣 今お話がありましたが、今の情勢をそのまま放置すれば相当深刻な事態に陥るというのが志免の運命でありまして、志免鉱業所は今後生命を保つためにはどうしても、限局された鉱区をむしろ総合的な線に乗せることによって山の埋もれた資源はみずから開発もでき、労働者の人々もその中に投じていくことができるということになるのであります。従って石炭鉱業界全体の不況中にこの問題を処置するのは遺憾ではないかという御議論もありますけれども、私の考えといたしましては、現在立てられた国鉄並びに行政管理庁の方針は、客観情勢等そういうこともございますけれども、そのまま遂行するのが妥当であるという情勢判断をいたしておるのでありまして、そういう線に沿うていきたい。ただその値段その他については、さいぜん申し上げたようにすべて客観的に厳正公平にやり、国民の疑惑を持たないような方式をとらせるということに持っていきたい、こういうふうに実は考えるのであります。
○河野(正)委員 ただいま大臣は、行管の勧告等もあるので、従ってこの問題の処理は当然やるべきだ、こういう御説でございますが、私はなるほど行管が再度にわたって勧告したことについては否定は申し上げません。ところが行管が勧告いたしました当時の時点と、今日重大危機が叫ばれておりまする石炭産業の危機の時点とは、私は時間的には非常にタイミングがはずれておるというふうに考えております。そこで、もちろん政府当局でございまするから行管の勧告に対して尊重されるということは当然のことかもしれませんけれども、しかしその勧告というものが現在の時点なりあるいは情勢に適応しておるかどうかということにつきまして、私はやはり大臣から適切な政治的な御判断を加えていただかなければならぬというふうに考えるわけでございます。そういった意味から考えますと、なるほど行管の勧告は再度にわたって行われたけれども、私は今日の時点においてこれを強行するということは適切ではない、そのことはひいてはいわゆる財産上の問題でございますから、国民に対して非常に大きな損害を与えるのだというようにこれを見ておるわけであります。そういった意味から、私は少くとも今日の石炭危機の問題を切り離してこの問題の処理というものは考うべきではないというふうに考えるわけでありますが、一つその点に対しましてもう一度大臣の的確な御答弁をお願い申し上げておきたいと思います。
○楢橋国務大臣 国鉄がこのまま経営を継続していくということから起ってきます志免炭鉱の運命的悲劇といいますか、そういうことを非常に深刻に心配をいたしておるものでありまして、先般も国鉄当局が、私の旅行中でありますけれども、場合によっては閉山しなければならぬような運命になるかもしれないというようなことすら深刻に言っておるような情勢でありまして、従って何とかこの山の生命力を持たせて、失業者も出さず、また国鉄としても合理化の線に沿うてその使命を果すという点に妥結点はないかということで実は苦慮しているのであります。従って客観情勢が変化したからやめて国鉄がそのまま続けていったらどうかという御議論もありますけれども、それから起ってくる諸般の、国鉄自体の持っております志免炭鉱に対するいろいろな悩み等から申しますと、私はあまりそれをすることによってかえって労務者その他志免炭鉱の運命に大きな影響を与えるのじゃないかと思います。そういうことを実は心配をしておるのであります。しかし私としては、できるだけ志免炭鉱の生命をどういうふうにして保つことが一番いいかという考え方から、やはり総合的な観点に立って、一方には労務者はできるだけ国鉄に吸収するものは吸収するし、あるいは残るものは総合開発の点から生命力を持続し得る、拡大し得る観点においてこの山の生命をつないでいくということが、かえって周辺の住民の人にも労務者のためにもその方が幸福ではないかということを考えておる次第でありますから、どうぞ御了承を願います。
○井岡委員 関連して。大臣にちょっとお尋ねいたします。大臣は運輸大臣であると同時に国務大臣なんです。従って国鉄の問題だけでなしに、今石炭産業がどのような状態にあるかということは国務大臣として考えるべき時期にきておるのではないか、こう思います。従ってそういう時期にこれを払い下げる、こういうことが果していいかどうか、石炭産業に対して大きな混乱を起しはしないか、こういう問題を考える国務大臣としての責任があると思います。先ほどからの御答弁を聞いておると、国鉄大臣になってしまって、一向に国務大臣としての責めを果しておらない、こういうように考えるのですが、その点どうですか。
○楢橋国務大臣 国務大臣として私は考えを述べておるのであって、別に国鉄大臣として述べておるのではありません。
○井岡委員 おかしいじゃないですか。私の聞いているのは、石炭産業が非常に困難な時期に当面をしている、しかも非常に大きな混乱状態を起している、こういう場合に直ちにこれを払い下げるという方向が石炭産業全体に対して及ぼす影響はどうか、こう聞いているのです。あとの言葉じりをつかまえてそういう不謹慎な答弁をすることはけしからぬと思う。
○楢橋国務大臣 別に私は委員のお言葉を何か言っておるわけではありませんので、私の考えとしましては、先般からずっと国鉄が持っておりまする志免炭鉱を払い下げる方針等についてしばしば言明しています。また志免炭鉱の経営の状態あるいは限局された鉱区、非常に行き詰まった段階、これをむしろそのまま存続せしめることがかえって私はいろいろな意味において悲劇になるのではないが、むしろこれをどういうふうに打開していったらいいかということについてさいぜんからるる申し述べておるのでありまして、石炭鉱業界がもちろん不況でありますから国鉄だけはどういう犠牲を忍んでもこれをやっていくということをいえるものでもありませんし、従って国鉄があるいは人員整理をやるとか、あるいは山の鉱区その他の関係で総合開発ができぬから、場合によっては閉山するというようなことをやることによって、かえってまた炭鉱界に与える影響等も大きいのでありますから、いかにしてこの山を合理的にコスト安くしかも炭鉱界にも貢献していくかという線に沿うてこの問題を処理すべきであるという見解を申し述べたのでありまして、決して私は石炭鉱業界を無視してこの問題だけを独走して考えておるというわけではありません。
○井岡委員 そうすると、この問題に対しては大臣は慎重に取り扱っていきたい、いわゆる国鉄の経営の問題と石炭鉱業界の問題とにらみ合して慎重に取り扱っていきたい、こういうように理解していいのですか。
○楢橋国務大臣 もちろん慎重に扱うことは私は考えておりますが、それはやはり合理的にその問題を処理するという意味において慎重にやりたい、こう思っております。
○井岡委員 その慎重にやる、合理的にやる、まあこれはいろいろの言い方はあるでしょうが、現実に起っておる問題は、盛んに国鉄当局はみずからの意思を強行するためにPRをしている。そのPRというものはこれを廃山にしなければいけないのだ、これは一種のどうかつだと思うのです。従ってそういうものに対して大臣は先ほど施設その他に勧告をしたように慎重に取り扱い、合理的に取り扱うという立場をとるならば、こういうどうかつに対してもやはり慎重にやるように注意をなさることが、私は国務大臣としての責任だと思うのですが、この点はどうなんですか。
○楢橋国務大臣 国鉄がどうかつの意味で言っておるかどうか私は知りませんが、少くとも国鉄としてはあの山の経営その他についてしばしば声明いたしておりますように、どうしても総合開発をやらなければこの山の生命を保てないのだという見解を持ち、また青山調査団その他もそういうような見解等を持っておるのでありまして、客観的情勢が非常に悪くなりましたから御説のような議論も出ますけれども、国鉄がこのままこれを経営していくということについて幾多の至難があるということを国鉄はしばしば言っておる状態でありまして、そういう点をやはり私としては尊重し、かつまたここに働いておる労務者の人たちをどういうふうに一つ安定させる方向に持っていったらいいかということを高い見地から考えて実は御答弁申し上げておる次第であります。
○久保委員 関連。運輸大臣にお尋ねしますが、今のお話ですが、国務大臣として石炭産業対策というか、あるいはエネルギー対策について政府は確固たる方針が今日できているのでしょうか、この点一つお伺いします。
○楢橋国務大臣 政府におきましても石炭鉱業界の非常に深刻な不況の状態等を考えまして、一体エネルギー源というものは重点をどこに持っていき、またこの問題の解決にどうしたらいいかということで、政府与党等におきまして石炭対策について根本的な案を今立てつつあるという段階でありまして、そういうことをいたしております。
○久保委員 先ほどの御答弁で何か確固たる方針をお立てになった上でやはり従来の方針通り国鉄から分離するというふうに御答弁なさっておるのですが、どうもその点は大臣としてははなはだ不見識じゃなかろうかと、こう思うのです。いわゆる国家の政策として、エネルギー対策なり、石炭対策なりが確固としてできたその一環として考える情勢が今日なんです。去年あたりは別として、今日の情勢ではそれが一番重点です。その重点を抜きにして従来の方針が正しいからやるのだというのでは、先ほど井岡委員からお話があったが、単なる運輸大臣としての御答弁にすぎない。これでははなはだ不見識ではなかろうか。いかがでしょう。
○楢橋国務大臣 さいぜんからしばしば申し上げておりますように、日本の石炭鉱業界等の情勢及び国鉄の持っております今日の使命並びに志免炭鉱の持っておる特殊な性格、同時にこれに対する国鉄が配慮しておる一つの労務者その他に対する処理方針、そういうようなものをすべて勘案して私は実は皆さんに御答弁を申し上げておるのでありまして、従って今石炭産業界の不況によってこの志免問題を一体どう処理するかというお尋ねでありますけれども、さいぜんから私が説明を申し上げておる点で御了承がいくと信ずるのであります。
○久保委員 それは運輸大臣、独断でありまして、お話がだいぶ違うのであります。それは先ほどから繰り返し申し上げるように、今日の緊急な問題は石炭対策なんです。エネルギー対策、こういうものができて初めて国鉄の経営と志免炭鉱をどうすべきだというふうに考えるのが政府の責任ではなかろうかと私は思うのです。なるほど国鉄自体の考えは経営合理化という名のもとに、国有財産を売り払ってしまえばいい、うるさいから早く始末をつければという国鉄の考えでしょう。少くとも政治の上ではそれは許されない情勢ではなかろうかと考える。だから私はあなたに申し上げたいのは、あなたの政府あるいは与党と御相談なさって、はっきりしたエネルギー対策ができてその一環としてやはり志免対策を考えるべきじゃなかろうか、それまではあなたの言うように十分慎重に考慮するというのはその点ではなかろうかと思うのです、どうでしょう。
○楢橋国務大臣 さいぜんから申し上げておりますように、同じことを繰り返すようでありますが、私の考えといたしましては、今の情勢下におきましてもそういう処置をとることが一番妥当なものである、こういう見解を持っておるのであります。
○久保委員 とにかく岸内閣に忠告しておきますが、そういうものができないうちにこれをやるというところに、やはり今までの疑惑を一掃できないということを一つ御記憶を願いたい。 それからもう一つお伺いしたいのは――その前に、総裁がおられますから国鉄にお尋ねしましょう。四日ですか、これは吾孫子常務理事が新聞記者にお話しした内容です。先ほどのお話にも出ておりましたが、閉山もあり得るということは国鉄の公式見解ですか。
○十河説明員 志免の状態は皆さんもよく御承知の通りでありまして、一昨年は五十一万トンでありましたが、坑内の条件がだんだん悪くなり、昨年は三十六万七千トンに落ちました。本年はまた三十万トン前後に落ちる形勢にあるのであります。これは先刻いろいろお話のありましたような問題のために、多少出炭が落ちたということもあります。そういうこともありますが、全体において坑内の条件がだんだん悪くなった。それゆえに、そういうふうに出炭が落ちて参ったのであります。それを五十万トン以上掘っていたときと同じ人数で、同じ設備で、同じように金をかけて出炭を継続しておるところに、従業員もこれではいかぬ、将来どうなるかしれぬという不安があるのであります。それが石炭危機の起る前のことであります。石炭危機が起ってから後は、その不安は一そうはなはだしくなったと思われます。その証拠には、地方の方も、従業員も何とか早くこの問題を片づけてもらいたいということを絶えずわれわれのところへ手紙でもってあるいは口頭で陳情して参ったことから見ましても、従業員がいかに不安におびえておるかということが察せられるのであります。それでありますから、石炭業界をいかにして立て直しをするかという国策は、どういうふうに決定するか存じませんが、いずれにしても、さしあたって行き詰まった志免を何とかして総合開発をして、これを命を延ばすということは、国のためにも、従業員のためにも、国鉄のためにも私は最善の方法だと思うのであります。もしこれを実行しないならば――廃山なんということはまことにやりたくないのであります。せっかく総合開発をすれば生き延びられるのであります。その生き延びられる方法をとらないと、遺憾ながら廃山しなければならないようなことになるかもしれないということを、私どもも非常な不安を持って見ておるような次第であります。国鉄は国民の国鉄であり、国鉄の財産は国民の財産でありますから、これをどう処理していくか、ということは、国民に十分に納得を得た上でなすべきことだ、こう考えますので、われわれの意見を率直に国民に訴えて、御理解を得たいということを努めた次第であります。
○久保委員 総裁、閉山なんというのは、公式見解でありますかという質問なんであります。その点だけお答えをいただきたい。 もう一つ、続けて申し上げます。あなたの今の御説明では、出炭状況が悪くなるから閉山だ、これは新聞記事から見ると違う。入札がとうてい困難だ。脱落者が出た、あるいはこちらの見積り価格よりだいぶ下回ったということでどうにもならぬ場合には、これは中小炭鉱には譲渡しないで廃山だという新聞記事なんです。だいぶ筋道が違うのですよ。 もう一つ、お話し申し上げますが、出炭がだんだん減ってくるというが、先ほど運輸大臣から保全については十分やっておるというのだが、この売山問題が出てから必要最小限度の費用さえこの志免鉱業所には投入をしない。これではとうてい普通の炭鉱でも持っていけないのが道理であります。出炭能力が低下するのは当りまえ、そこへ持ってきて、あなたが無理にでも禿山だ売山だということになりますならば、従業員の不安はつのり、坑内は荒れる一方だ。これではだれがやったって出炭は低下するのは当りまえだ。だから先ほど運輸大臣から命令があったそうだが、保全についてりどれだけ手当をしておるのか、この点についてもあわせて伺いたい。
○十河説明員 保全につきましては、必要な程度の保全を実行いたしております。その点は決して不安がないと私は信じております。 閉山が公式の見解であるかどうかというお尋ねでありますが、何も閉山をするということを言ったのじゃない。閉山をしなければならなくなるように追い詰められるかもしらぬぞということを言ったのであります。それは公式の私の信念であります。 〔「今さらそういうことを言う必要はない」と呼び、その他発言する者あり〕
○平井委員長 御静粛に願います。
○久保委員 今保全についてはやっておるとおっしゃったが、それでは今年度どの程度の金を出して、去年幾ら出したか。
○吾孫子説明員 おおむね五千万円程度の金を出しております。
○久保委員 五千万円くらいの金で保全ができるかどうか、これは常識で考えてもわかるでしょう。いかがでしょう。
○吾孫子説明員 ただいま五千万円と申しましたのは、機械の取りかえ等のために必要な工事経費でございまして、そのほかの現状の規模で出炭を続けていきますために必要な保守のための費用は従来通りつぎ込んでおる次第でございます。
○久保委員 現地の状況を見れば、これはわかることでありますから、委員長にあとでお話しします。 それから次に、閉山するように追い込められるかもしれぬというのは公式見解ですな。――それでこの事情変更があれば、いわゆる三社指名競争入札が運輸大臣から指示される。そのうち一社が脱落した、あるいは二社が脱落したというような場合は、当然運輸大臣に再度伺いを立てなければならぬはずだが、こういう見解を前もって発表することは国鉄の立場としていいのですか。
○十河説明員 三社のうち、一社もしくは二社が脱落しておるという事実はありません。今日は八月七日に提出されました臨時調査団の報告を三社に説明いたしまして、三社からいろいろ質問があってそれに答えておる。目下三社とそういう点において折衝をしておるという状態であります。
○久保委員 ところでこの九月四日の吾孫子常務理事の談話ですけれども、その中に入札には脱落するものがあるかもしれないと書いてある。脱落したときには再度運輸大臣に伺いを立てるはずです。そうでしょう。
○吾孫子説明員 四日の日の談話をお話しになっておりますから、私がしゃべったことがもとになっておりますので、御説明を申し上げたいと思いますが、大ぜいの方の前でいろいろお話ししたことでありまして、必ずしも新聞記事に書かれておりますことが、私の言葉通りでないことはもちろんでございます。その際に、炭業界の事情も非常に悪いし、大手筋の会社でも入札に応じられないというようなところも出てくるのではないか、そうなったら一体国鉄はどうなさるのですか、こういうような質問が当然のこととしてございました。それで私は、ただいま総裁も申されましたように、現在のところそういうことは何もない、三つの会社に対して、いろいろ調査団の結末の内容等について説明をしておる段階でございますが、万一いろいろな事情から大手筋に入札することができないというようなことになった場合には、これは前の運輸大臣の御承認も、従業員の処遇のことは十分考えろという御要望もついておりますし、それらの点から考えまして、中小炭鉱に譲るというようなことは国鉄としてはやりたくないと思っております、しかしそうなりますと、先ほど総裁も申し上げましたように、志免の収支状態というのが非常に悪うございます、石炭の値段もどんどん下って参りますし、毎年十億からの赤字が出るというようなことになれば、おそらく志免は閉山すべきであるという議論が内外から強く起ってくるであろうと私は思います。そういうふうに申し上げた次第でございます。それが記事にそういうふうに書かれたわけでございます。
○久保委員 とにかくこの新聞談話からだけ見ると、青山調査委員会の調査を国鉄側から見ますと、はっきり言ってまるで入札に加わる方の考えですね。たとえば下層炭は炭量から除いていくとか、あるいは、このあなたの談話からいけば、いわゆる直接経営に関係のある資産だけ譲渡の入札価格にする、価格をどんどん下げていく。売る方の側でなくて買う方の側に立ってあなたと青山調査委員会はやっている。こういうことで果して国民の疑惑が解けるであろうか、これを一つ考えてもらいたい。 これは運輸大臣にお尋ねしますが、あなたは先ほどの御答弁では関係各省と打ち合せをして評価をやっていくとおっしゃいました。もう一つは、二つの意見があるからこれは厳正に見ていきますと言うが、どちらをどういうふうに国鉄から伺ったのですか。国鉄はいわゆる青山調査委員会の結論、これを正式なものとしたのか、そのほかに少数意見としてこれがあるということできたのですか、どっちなんですか。
○楢橋国務大臣 これは青山調査委員会の結論ということでなくて、青山調査委員会の結論もそれから組合側から出されました調査委員の結論も平等といいますか、扱いを差別してやるというのでなくて、そのままを受け入れてそれを処理したい、こういう考えでおります。
○久保委員 そうしますと両方の意見を受け入れて御検討なさるわけでございますか。
○楢橋国務大臣 つまり両方のものを専門家に提出して、そして専門家の批判に待つ、たとえば通産省あるいはその他の関係省を呼びます場合でも、調査を全部そのまま、なまのまま出しまして、それによって批判を受ける。計算方法とかいろいろな算定方法等がなかなか専門的なもので、私らも実は正直言うとあまりむずかしくてわからないのです。だから組合側から出されました調査も、それから青山調査団が出されました算定方法も、専門の判定する人にそのまま出したらいいというのが、私が国鉄に指示するときの一つの方針なんです。
○久保委員 先ほどの保全のための資金投入でありますが、われわれの聞いた額とはだいぶ開きがありますので、これは後刻調査をしなければならぬと思います。 それから最後に委員長にお願いしたいのですが、国鉄の最近の動向をごらんになっても、直接経営に必要なものだけの資産で評価して払い下げるというように切ってくる、片方では閉山というようなどうかつも用いている。それからもう一つは、楢橋運輸大臣からも御答弁があったが、不満足であります。結局政府並びに与党は総合エネルギー対策というものもできていない。その中でこの志免だけを独走させるというのは大へん疑問がある。ましてや炭量調査でも両方の意見がなまのまま出てきております。解決の結着の点はまだないというときでありますから、これは本委員会でもよろしく現地調査の必要があると思う。いずれ後刻理事会でも開いて御相談をしていただきたい。われわれの方は調査をやってほしい、こういうことであります。
○平井委員長 承知いたしました。 警察庁江口警備局長に質問のある方は先にお願いいたします。――河野正君。
○河野(正)委員 時間がないようでございますから、警察庁の方に若干質問を申し上げてみたいと思います。 先般、中闘地方本部現地の執行委員六名の方々が強要罪ということで不当逮捕せられたのであります。この際は時間もないので、そういった点をいろいろと追及することはやめまして、いずれ機会を見つけてやりたいと思いますが、先ほど吾孫子さんのお話の中にもございましたように、もし民間払い下げに同調しなければ売山もあり得るぞ、私はむしろ吾孫子さんのそうおっしゃることの方が強要罪ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。民間払い下げを承知しなければ売山するぞ、これは明らかに強要であります。強要罪の定義については申し上げませんが、そういった問題等もございますので一つだけ警察庁の方にお尋ねを申し上げておきたいと思います。と申しますのは、すでに新聞等に出ておって御承知のことだと思いますが、九月四日の志免鉱業所の所在地である同郡で警察の機動隊が、〇〇鉱業所正門という看板を掲げて、〇〇鉱業所を対象にして演習を行われましたことは御承知のことであろうと思います。今日志免問題が非常に重大な時点に到達しておることは周知の事実であります。しかもそういう事態の中で、志免鉱業所の所在地でありまする同郡で、警察の諸君が百数十名集まって発煙筒をたき、はち巻をして、そうしてつぶてならぬぬか袋を投げ合って演習をされたということは、対象が〇〇鉱業所正門という看板も出て参っておりますし、今日重大な事態でございますので、労働組合に対する一つの挑発行為である。のみならず、こういったことが対社会的に及ぼしまする影響も非常に重大なものがある。時期もそうでございまするし、想定も〇〇鉱業所というものが行われておる。しかも問題の渦中にありまする志免鉱業所の所在と同じ郡の地域で行われておる。その対象なり、選びました地域なり、あるいは時間的問題なり、そういった点を考慮いたしますると、この問題は、直接ではありませんが、間接的には不当弾圧という一つの行為だというふうに考えまするが、その点はいかがですか。
○江口説明員 お答えをいたします。福岡の警察本部の機動隊が、ただいまおっしゃったような演習をやりましたことは事実でございます。ただ、ただいま御指摘になりました、どうして志免鉱業所のある同じ郡でやったかという事柄でございますが、私もかつて福岡に勤務いたしたことがございますのでよく地理は存じております。けれども、これは警察の射撃場でありまして、一般から秘匿して刺激をしないように、見えないいなかの方でやろうという意味で選んだそうでありまして、同じ和白の射撃場を選んだことは、たまたま志免鉱業所と同郡であるかどうか知りませんが、別におかしいというふうには思っていないのであります。 それからもう一つは、特に演習をやったというふうにお考えになりますが、これは特に新聞に出ましたのでもっともなことかと思いまするが、これは毎月機動隊の一つの教養訓練の義務として何らかの機動演習というものはやっております。たまたま今度の場合、ああいうものを書いたということと並んで一般にわかりましたので、ことし初めてやった、あるいは数年来やらなかったことをやったというふうにお考えになるかもしれませんが、これは月例の一つの教養訓練だというふうに、これは事実でございますので、おとり願いたいと思います。 最後に、〇〇鉱業所ということにつきましては、実は昨日も、これは三池鉱業所を目ざしてやったに違いない、そういうふうに思わぬやつはばかだ、と私やられたのでありますが、私は別に三池鉱業所とも思ってないし、志免鉱業所とも思わない、こう答えたくらいでありまして、これがああいうふうに取り上げられて組合の方々を刺激したということにつきましては、やはり何も鉱業所という名前を使わなくても、学校でもよろしいし、部隊でもよろしいし、とにかく何かの目標というものを置いて、ここの辺でこういうことがあればこういうふうにやったらどうだというような気持で機動隊長が書いた。しかしこれがこういう問題になったということについては、はなはだ遺憾であって、将来やる場合につきましては、そういうことも十分考えてやらなければいかぬ、こういう反省をしております。
○河野(正)委員 いろいろ釈明をされたわけでありますが、さっきも申し上げましたように、条件は、私どもが主張いたしますように、すべて整っておる。と申しますのは、地域から申しましても、志免鉱業所がございます同じ粕屋郡、それからあの演習の看板には〇〇鉱業所正門ということが明らかに書いてある。第三には時点の問題でございますが、国鉄志免鉱業所はきわめて重大な事態に到達しておる。そういう時点の中で行われる、なるほど局長は月例演習だとおっしゃいますけれども、月例演習なら月例演習でもう少し常識的にやる方法があったろうと思います。ところが、ただいま申し上げますように、どこからながめても、地域から見ても、あるいは対象物から見ても、時間的な時点から見ても、特定の労働組合を対象としてやられたというようにしかこれは常識的には判断できぬわけです。これは常識をらち外に置けば別でしょう。少くとも常識をもって解釈されるならば、当然そのように私は主張せざるを得ないのでございます。やったことは仕方ないことでありますけれども、これは単に挑発行為だけではないのです。ああいうことがテレビに出てきたり、ニュース映画に出てきます。私どもテレビで拝見させていただきました。そういたしますと、対社会的に及ぼす影響というものは非常に大きいと私は思うのです。これは労働組合が抗議を申し込んだかどうかわかりませんけれども、私どもは労働組合ではございません、地域人でございますが、われわれ社会的にも、ああいうことをやられますと、非常に疑問を抱かざるを得ないということでございます。そこで、そういうことを指摘されて、いや、月例演習でございますというようなことでなくて、もっと国民の意思というものを尊重して、愛される警察としての演習をやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○江口説明員 私がただいま答えましたことはすべて事実でございます。労働組合だけではなしに、現に昨日も国会議員の方々が多数おいでになっておりまして、これは明らかに三池を目ざしてお前たちはやったのだという抗議を受けているくらいでございまして、別に志免とか三池とかいうふうに考えてなかったことは事実であります。それから月例でありますことも事実であります。従いまして、今後もちろん訓練はやらなければいかぬのでありますが、そのやり方あるいは秘匿の方法等につきましては、やはり刺激をしないようにやらなければいかぬということは、私どもとしても十分反省をいたしておるわけでありまして、私も昨日そういう意味の電話を現地にしておいた次第でございます。
○河野(正)委員 すでに他の同僚委員からもいろいろ大臣に質問が行われて、大臣の所感は述べられたわけでございますが、時間もございませんから、最後に一点大臣にお願いを申し上げておきたいと思います。 私が冒頭に御指摘申し上げましたように、大臣から、この民間払い下げ問題に対して慎重に取り扱うというふうな言明をたびたび私ども承わって参りました。ところが、どうも最近の状態を見て参りますと、やや慎重さというものが欠けてきて、国鉄側の意思の方向に多少なびかれたのじゃなかろうかというような印象を持つのであります。と申しますのは、先ほど同僚委員からも指摘されましたように、慎重に考慮を払うというからには、今後日本のエネルギー政策をどういう方向に持っていくべきであるか、あるいは今日の石炭産業の危機に直面して、この志免鉱業所をどう配慮すべきであるか、あるいはまたこういう時点の中で民間払い下げを行うことが従業員並びに関係町村に対して適切であるのかないのか、そういったいろいろな総合的立場から慎重に事が運ばれなければならぬと考えております。ところが、質問をだんだん行なって参りますると、行管の勧告がある、あるいは、大臣は単に運輸大臣のみならず、国務大臣である、国鉄大臣ではございませんよという同僚議員の指摘もございましたが、そういったもろもろの立場から、単に国鉄がそういう既定方針を示しておるので、あるいは政府がそういう既定方針を示しておるのでそういう方針を貫くことが妥当であるというようなことでなくて、大臣は、国民の大臣でございまするから、ことに国鉄当局の監督官庁でございまするから、十分慎重に考慮を払うというからには、今日の社会情勢あるいはまた石炭情勢、そういうもろもろの情勢を十分把握して、その上に立って、最後に政治的な配慮を加えていただかなければならぬ。これはもう大臣は常識的な方でありまするから、当然お考えになっておると思うのでありまするけれども、どうもそれに対する確信のほどが不明確であるというふうな印象を私どもも受けるのでございますが、最後に一つ、そういう点に対しまする明確な、私どもの納得のいくような、国民の納得のいくような御答弁をお願いいたしておきたいと考えます。そこで私ども納得いたしますれば、これで質問は打ち切りたいと思います。
○楢橋国務大臣 私が慎重な態度をとるということを申したときは、御存じのように国鉄が、露骨に言えば十河総裁が四百万トンごまかしておるというようなことが相当やかましくたたかれておりまして、またいろいろな大きな問題がありますので、こういう国民の財産を、こういうことがあるにかかわらず強行して入札するというようなことは妥当ではないという見解をもつて、国鉄に私指示を与えまして、従って組合側からも出されました調査委員団と、それから青山調査団、これは併用して、厳密に調査して、その調査報告を尊重してこれを判定するということが疑惑を一掃するゆえんであるという見解をとっておるのであります。 ただいま河野委員が御指摘になりましたように、志免鉱業を払い下げるという問題について二つの観点がある。一つは、あそこに働いておる労務者の人たち、この人たちを一体どうしたら安定させられるかということ。またあの志免鉱業の持っておる特殊な性格。この特殊な性格は、御存じのように、ああいうふうな限局されたところで相当総合開発されなければならないような断層があって、追い詰められておる企業形態をどう打開していくかという大きな問題があるのでありまして、一方では、行政管理庁の勧告等の、本来の、本筋の問題等もありますし、また今御指摘のありましたような客観的な情勢の変化等もありますが、そういうことを顧慮して、一体この二つの柱をどう調整したらいいかということを判断して、私はこの問題に対する態度をきめたいと実は思っておるのでございまして、今御指摘のありましたように、別に私が何か急に心境の変化を来たしたという意味でなくして、やはり積み上げて、客観的情勢をよく分析して、二つの柱がいかに並立してしかも問題を解決するかという線に沿うて問題を処理したい、こういうことであります。
○平井委員長 次に、陸運に関する件について引き続き調査を行います。 質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。――關谷君に申し上げます。質問者がつかえておりますから、簡略にお願い申し上げます。
○關谷委員 だいぶ質問者がたくさんあるそうでありますが、時間がありませんので簡単に、大臣に一、二点お尋ねを申し上げたいと存じます。 最近新聞を見ておりますと、大臣が、東京都のタクシーの免許に、個人営業以来でありまするが、タクシーの免許というようなことについて、いろいろ新聞で発表しておられるのでありますが、私は古くから運輸委員をいたしておりまして、新聞に出ております大臣の談話を見ながら、どうも妙なことだという気がするのであります。これは新聞がほんとうであるか偽わりであるか、わかりません。しかしながら大臣が増車の割当について、個人免許に一千台、新免に一千台程度やるのだということも発言をしておられるようでありますが、大臣がそういうことを発言せられるということは、私はおかしなことだと思うのであります。どうしてかというと、これは陸運局長の権限であって、大臣が直接やるべきことではないのでありますが、これは陸運局長と相談をしてこういうことを発言をしておられるのか、大臣が思いつきばったりにそういうことを言われておるのか、この点を一つ伺ってみたいと思います。
○楢橋国務大臣 別に陸運局長と相談して私が意見を発表しておるわけでもありません。また千台ということも、これは新聞記者からのいろいろな質問がありまして、二千八百台全部個人でやったらどうかというのが運輸関係の新聞記者からの圧倒的な意見でありますが、これは私の考えとして、増車に対する社会的情勢等を判断し、要求を曲りなりにも満たす方法としては常識的に言って千台くらいのものを目安として、これに資格条件が備われば千台くらいまではやったらいいんじゃないかという私自身の個人的見解を述べたのでありまして、従ってその条件に沿わなければあるいは五百台になるか三百台になるか知りませんが、そういうことを申し上げたような次第でありまして、その他の増車をどういうふうに配分するかというようなことについては、別に私は明確なことを――談話というよりも雑談的に話したことがえらく大きく取り上げられたわけであります。
○關谷委員 大臣といたしましてはまことに軽率な発言であります。将来慎しんでいただきたいと思います。これから局長がいろいろと審査をいたしまして、個々一つ一つ審査をして来年までかかろうかというのでありますが、それだけ苦労をして、資料を集めて判断をしなければなりませんのに、大臣からそのような発言がありますと、上司がそういうふうな気持を持っておるならというので局長の判断を迷わすことがある。そのためにもしもこういうふうなことで一千台という数にしなければならぬという気持になって、資格が備わっていても備わっていなくても許可するということになりますと、事故防止ではない、事故を増発することになります。大臣の発言は、春秋の筆法をかりて言いますと、事故を増発させる発言である、こういうことになりますので、将来こういうことは慎しんでいただきたいと思うのでありますが、大臣、どうお考えになりますか。
○楢橋国務大臣 えらいおしかりを受けましたが、やはりこのタクシーの問題について、私は行政の担当者としてどういうふうに考えるかというようなこと、これは關谷さんも御承知のように、新聞記者に聞かれればそれが全然何もないと言うわけにもいかないからそういう話をしておるのであって、自動車局長にもそれを私の意思によって強要するとか何とかいうことではなくて、僕は大体こういう考え方を持っているのだということはあとで呼んで話をしたのでありますが、自動車局長が資格のないものを千台だけ必ずやれというようなことは絶対に申す筋合いでもございませんし、目安としては僕はこういうことを考えているのだということであります。そういうことで御了承願います。
○關谷委員 だいぶ大臣の御答弁は苦しそうでありますので、この問題はその程度でやめます。 もう一つ、これは大臣にお尋ねするのがいいかどうかわかりませんが、白タクの運転手が陸運局員になぐられたという事件が新聞に出ておりますが、こういうことこそ監督の地位にある大臣よく御承知だろうと思います。係官が暴行を加えておるということですが、こういう不都合なことがあったのですか、なかったのですか。
○梶本説明員 当日の模様を陸運局から聞きました点を御報告いたしますと、当日は四班に分けてそういう監査をいたしております。新聞に出ました篠原なる者は新宿区域を担当いたしております。それで現在の東京陸運事務所の次長のもとで班員の一人となって新宿区域を担当しておったのであります。いろいろ事情を聞いてみますと、そのなぐったという時刻には当人は現地に行っておりません。これははっきりわかっておりますが、四ツ谷の来々軒という中華料理店において四人そろって運転手も入れて五人で食事をしておった。たまたまちょうどそのときにテレビがかかっておって「事件記者」というテレビをやっておった。そのテレビを見ておったということまではっきりいたしております。その後本人は四ツ谷から地下鉄に乗って、三軒茶屋に住んでおりますので帰っていった、こういうことでございまして、本人が新宿で白タクの方をつかまえてなぐったというふうなことは毛頭ございません。また現にこういう取締りをやっておりますときに、しかも新宿のようなところで、ただ一人で単独で白タクを尾行してそういううわさになるような事柄をするとは現在の情勢ではとうてい考えられません。その後一般紙等におきましても非常に大きく問題が取り上げられましたので、慎重に事実を検討いたしました結果、こういう事実は全然ございませんことが今日はっきりいたしております。
○關谷委員 事実ないことがあるかのごとく報道せられたということでありますが、これはどういうふうな理由かわかりませんが、そういうふうなことは確かめられたか。なお今後こういうふうな取締りを行う士気が阻喪いたしますし、重大な影響を及ぼしますので、よく調査をして、そうして本人の名誉のためにもこういうことはほっておいてはいけません。その点について役所としてどういう措置をとられたか、その点を伺っておきます。
○梶本説明員 まことにただいま先生お話の通りで、家族等に与える影響も想像以上に非常に深刻な打撃を与えたようでありまして、当人の子供さんが学校で、あなたのお父さんは人をなぐったそうだというふうなことを言われて、たまたま女のお子さんであったために学校から泣いて帰ったというような事実もございましたし、また当人の奥さんが近所に買いものに出かけましても、いろいろな眼でながめられるということはとうてい耐えがたいというようなことをわれわれ聞きまして、陸運局長と自動車部長がさっそく当人の家に参りまして、最近の模様を伝えていろいろと申しわけなかったと言って、陸運局長並びに自動車部長が上司としての立場から家族におわびに参上いたしたこともございます。それから担当の警察、それから警視庁に対しましては、陸運局長が事情を申し述べて、警察の方でも了承してくれておるということでございます。ただこの事件によって私どもは、局員並びに事務所員の士気が非常に阻喪するかもしれないということをおそれたのでありますが、ただいまのところそういう気配は毛頭ございませんで、陸運局並びに陸運事務所員は非常に張り切って白タク問題と取り組んでくれておりますので、この点は非常に喜んでおるわけでございます。
○關谷委員 そういうふうなことで世間が非常に誤解しておるようでありますが、そういうふうな誤解を解く方法を一つ早急に考えて、それを次の委員会で御報告を願いたいのと、今この白タク取締りのために、陸運事務所、陸運局の人員が不足であるということは私たちよくわかります。そうしてそういうようなことに対する経費が一切ないというようなことで非常に困っておって、人員不足で土曜、日曜みんな出かけて行ってやっておるというような状態であるということを聞いておりますし、費用は自分の手弁当でやっておるというようなことでありますが、こんな非常事態においての人員とか――人員は仕方がないかもわかりませんが、経費等については、何か考えておられますか。
○梶本説明員 まず人員の面でございますが、ただいまお話の通りでございまして、旅客二課、つまりハイタク関係だけを所管しております課員というものは、課長以下わずか十二名でございます。十二名の局員で山積する書類を前にしてこれを迅速に処理するということは、とうてい人間わざでは考えられないような状態でございまして、これはわれわれとしてもとてもほうっておくわけにはいかないというので、実は自動車局の方から東陸の方へ十四名人員を派遣いたしまして、きょう付で発令になりました。そのほか予算の許す範囲において常勤労務者を現地において採用するというふうな方法をとりまして、課長以下五十五名という陣容にいたしたわけでございまして、これ以上のことはただいまのところではでき得ない状態でございます。御承知の通り自動車局自体がもう仕事にあっぷあっぷしておるような状態でございますので、非常に困っておるわけでございます。とにかくそういうことで、五十五人の旅客二課員でこの問題を処理するということでございます。 なお実際の免許等に当りましては、机の上の聴聞と同時に現地調査というものをやらなければいけないわけでございます。これは個人タクシー申請の場合も法人申請等の場合も同じでありまして、現地調査をやって果して申請通りの実地の状態であるかどうかということを確かめなければならないわけです。この個人タクシーの申請は本日で締め切りになりますが、おそらく六千件をこすと考えております。そうなりますと、杉並で出すのもあれば文京区で出すのもあり、あるいは荻窪で出すのもあれば江東区で出すのもあるということで、東京都二十三区、あらゆる地区から申請が出されております。それを一件々々見て回るということはとても神わざでなければできないのではないかと思うくらいでございます。現在東京陸運局の自動車というのは局長車を入れましてわずか三台でございまして、三台の自動車でこういうようなことはできませんので、これは本省の方の会計課なり文書課の方が事情を了としてくれまして、本省の方の車を差し繰り、それを陸運局の方に回してその調査のために充てる、こういう方法をとることにいたしております。今回の東京都二十三区のハイタク問題につきましては、自動車局はもちろんでございますけれども、運輸省全体として応援態勢をとっていただいておりますことを、自動車局の部長といたしまして非常に喜んでおるわけでございます。なおこれでも定員予算等はもちろんまだまだ不十分だと考えておりますけれども、とにかくでき得るだけのことをして、すみやかに事案を処理いたしまして御期待に沿いたい、かように考えております。
○平井委員長 土井直作君。
○土井委員 時間が非常に切迫しておりますので、十分な質疑はできませんから次会に譲っていただきたいと思いまするが、せっかく委員長の御好意によって、発言を許していただいたので、きわめて簡潔に私の質問の要点だけを申し上げてみたいと思うのであります。 ただいま關谷委員から大臣に対しまして、与党的な立場で御注意をされておったのでありますが、大臣が、個人営業許可に対するあの考え方の上に立ちまして、自動車運送協議会の答申に基く二千八百台の増車に対しまして、これを個人免許一千台、新免一千台、あるいは既存業者に対して八百台という数字を出した。このことは、それから後における大臣と事務当局の――まあ事務当局がむしろ大臣に詰め寄ったという形になっておりまするが、一体大臣はこれに対してどういう考え方であるかということについて、今關谷委員が質問したことに答弁されておるようなことで、あれは記者会見の席上で雑談的に話したものであるというようなことで、何かそれを取り消し否定するような言辞がなされたのであります。ただわれわれが多少遺憾に考えまする点は、いやしくも大臣の一言一句というものは、それがいろいろな面において非常に大きく波及するのでありますから、割当の台数をきめた事務当局と話をしたら、それはどっちでもよろしいのだというようなことは、大臣の権威を失墜することになりはしないかと思うので、こういう点についての発言は、前に關谷委員から言いましたように、慎重な態度をもって臨んでいただかなければならないと思いまするが、その点についての大臣の御見解はいかがでございましょうか。
○楢橋国務大臣 ただいま關谷委員にもお答え申し上げましたような考え方でありまして、土井さんの御注意もありますから、十分に気をつけてやります。
○土井委員 個人営業を許可するということについて、前回の委員会でその調査の資料を提出するようにということを事務当局の方へ話しましたが、その出された資料はこれですね。
○梶本説明員 それでございます。
○土井委員 これによりますると、免許に対するところのそれぞれの功罪を羅列しておりまするが、当局のこれに対する一定の見解が表明されておりませんけれども、一体それはどういうことを意味しておるのか。たとえば、個人営業を免許する場合においての「審査にあたっては、道路運送法第六条に規定する免許基準に適合するかどうかが検討されることは勿論であるが、特に、申請者の」とこうあって、経歴とかあるいは運転技術の問題とか、人物、一般教養、賠償能力、こういうようなことをここに羅列しております。その次の面におきましては、それぞれ反対、賛成の資料が出されておりまするが、当局としての見解はどういうところにおありになるのか、この点を明確にこの条項に従って一つ示していただきたいと思います。
○梶本説明員 どういうふうな制度方針等におきましても、それだけで絶対に欠点のないというものは私ないと思います。個人営業の問題もやはりその一つではないかと思いますが、個人営業についての、もちろん一般人等を中心といたしますところの賛成論、また一部のジャーナリズムにおけるような反対論、いろいろなものがあるわけでございまして、会社組織でやるものが絶対に欠陥がない、また個人営業でやるものがすべていいことばかりで何ら悪い点がないというわけのものではないと思います。従って、やはり長所、欠点というものをいろいろと検討をしてみなければ言えないことだと考えております。そういうわけで、われわれ事務当局といたしましては、この問題が起りましてから、いろいろの方面で発言されました内容をつぶさに検討いたしました結果、今お手元に差し上げておりますような、賛成論の論拠はこういうことである、反対論の論拠はこういうことであるということを書いておるわけでございます。その長所、欠点がどちらの制度にもございますが、そういったことがあることを正直に認めた上で、最近の世論の動向を察知して業界に新風を吹き込むという大方針のもとに個人営業に踏み切った、こういうわけでございます。従って、幾ら世論がそういったことを言っておるからといって、現在ございます道路運送法第六条の免許基準は消えてなくなるのかというとそうではございません。やはり六条の免許基準というものは厳然として生きておる、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。その点も御了承をいただきたいと思います。
○土井委員 私の御質問申し上げておりまする事柄は、この前關谷委員から、個人免許をする場合における具体的な資料を今整えつつある、従ってそれを早急に提出するように、こういうことであった。ところがただいま手元に参っておりまする資料は、いわゆる世論調査のような形のものであって、反対論だはこういうような反対がある、賛成論にはこういう賛成の意見がある、こういうことをここに羅列されておるのであります。ただいま局長が言いますように、いわゆる個人営業を許可するという大方針というのですが、これは大方針かどうか、あまり大方針でもなさそうでありますが、とにかく大方針を打ち立てた。従ってその大方針の根拠となるべきもの、言いかえれば個人営業に対してはどういう資格とどういう条件を備えなければ許可するかしないかということについての事務当局の見解を表明してもらいたいというのであって、世論のアンケートだけを示してもらいたいということではなかったはずだと思うのです。事務当局はどういうような根拠に従って個人営業を許可しようと考えておられるのか、その点を具体的に説明してもらいたい。たとえば、ここに書いてありまするように、経歴及び職歴というものが一体どういう経歴とどういう職歴なのか、それからその年月の関係とか、運転技術の優秀性というものはこれは無事故であるとか、それも何年間の無事故であるかというようなことが問題になるだろうと思う。また人物及び順法精神、もとより人物の考査並びに法を守るという考え方は当然でございますが、その考査の関係などが具体化されなければならないはずである。それから抽象的には一般教養というような問題でありまするが、一般教養というものは学歴を基準とされるのであるか、あるいはその人の――小学校しか出ない人でもりっぱな人がおりますし、大学を出てもへにもならぬような者もおるのであって、言いかえれば教養の範囲は一体どこに基準を置かれるのかということが大きな問題である。賠償は金額の問題でありますから、その仕事の上からくる利益をもって充てるというのであって、その賠償の基準も明確にしなければならない、こう思うのでありますが、こういう具体的な内容について事務当局はどこまでこれを十分研究調査して立案されておるかということをお聞きしておるのです。
○梶本説明員 根本的には八月十一日の大臣声明、これが個人営業を認めたわれわれの方としての大方針でございます。事務局といたしましては、今先生のお話の五つの点を特に免許に当っては考えていかなければならない、かように考えておるわけでございます。経歴、職歴というふうなことは、運転手を何年やっておったとか、それからトラックの運転手であったか、自家用の運転手が長かったか、あるいはタクシー会社を転々としてかわって歩いて一つの会社に長く腰を落ちつけて仕事をするような人であったかというふうなことがこれに当るわけでございます。運転技術の優秀性は、言うまでもなく事故を起したとか起さなかったとか、それが責任事故であったかというふうなことが運転技術の問題になってくるわけでございます。それから人物、順法精神は、これは読んで字の通りでございまして、やはりこういった免許事業においては何よりも法に従っていただくということが根本的な問題でございます。それから一般教養についての学歴とそういった人格識見の問題とは先生のお説の通りでございまして、私どもとしてその間の概念の混同はいたしておらないつもりでございます。ただ別に義務教育を受けられただけの方たちだからどうのというようなことは毛頭考えておりませんことをはっきり言明しておきたいと思います。それから賠償能力の問題は、一番大きな問題として事故があった場合にその賠償能力がないじゃないか、大企業であればそういった能力もあるし、十分のこともできるのに、個人営業なるがゆえにできないじゃないか、そういった場合の被害者の立場等を考慮したらどうか、こういったことが非常に有力な論拠でございますが、この問題につきましては、御承知の自動車の保険制度もおいおいと完備いたして参りましたことでもございますので、そういった点も戦前におけるような状態ではなくなった、かように考えておるわけでございます。そういった点が道路運送法の第六条の免許基準以外にわれわれとしては考えていかなければならない問題だ、かように考えておるわけでございます。
○土井委員 実は個人営業という問題についてのこれを許可してもらいたいという側の考え方というものは、最近御存じの通りホワイト・タクシーのようなものがどんどんできて、順法精神でなくて違法行為がどんどん行われておる。ところがそういうものを弥縫することのために何か個人営業というものが許可されるように錯覚を起しておる面が相当あるのであります。従って今までのようなやみタクシーやあるいは今強行しておりますような白タクシーのようなものに許可する意思があるのかどうか、こういうような点をこの際明確にしてもらわないと、せっかく陸運局でもって白タク取締りをやっておるものが、それが何か肩がわりをして個人営業が許可されるがごとき錯覚を起すということは大きな問題だと思いますので、この点を明確にしていただきたいと思います。
○梶本説明員 たとえ話をあげて非常に恐縮でございますが、私は最近のタクシー業界の問題は、噴火口を二つ持った火山のようなものと考えております。一つの噴火口からはいわゆる個人営業獲得という火をふいて、片一方の噴火口からはいわゆる自家用の共同使用という形態、あるいは共済組織等、いろいろの形態、ニュアンスはございますけれども、いわばもぐりという、こういった火がふいておる。この二つの噴火口からふいておる火に運輸省がどういうような態度で臨むか、こういう問題だと思います。われわれとしては片一方の噴火口の火というものは、やはり道路運送法によって正規の免許権を獲得して天下晴れて営業を続けたいというあくまでも法律と四つに取り組んだ問題と考えております。これが個人営業の問題でございます。片一方の方は、最初から法律を無視して、それによるところのもぐり営業でございます。従ってこの二つの噴火口から出ている火は、一見しますとどちらも火をふいておりますから混同されがちであります。また事実私どもの誤解かもしれませんけれども、意識的にこの問題を曲解し、混同しておる向きもあるやに見受けられるのでございますが、われわれ事務当局としましては、完全にこの二つの概念は別の問題である、かように考えております。従ってわれわれとしましては、片一方の噴火口からふいている火については、大臣の声明通り十分にこの問題を取り上げていこうじゃないか、こういう一大方針を決定したわけでございます。片一方の白タクのもぐり営業に対しましては、やはり現在の道路運送法の建前上、われわれとしてはあくまでも取締りを続けていきたい、かように考えております。この問題はわれわれとしましては混同しておらないつもりでおります。
○土井委員 私の質問申し上げているのは、その二つの問題を議論しているのじゃなくて、白タクをやっている、いわゆる違法行為をやっているものは、この条件の上から見ましても順法精神というものにはずれているのだから、こういうようなもののメンバーは許可されないものだと考えるのだが、これは簡単にそういうものは許可いたしませんということだけを聞けばいいのであって、噴火口のことは別でけっこうでございます。それはどうされるのですか。
○梶本説明員 先生のお説の通りでありまして、われわれもさように考えております。
○土井委員 それではそういうものは許可されないものと解釈をいたして差しつかえないですね。――もう一つ、個人営業に対する経歴及び職歴の関係の上において、局長非常に適切な答弁をしていただきましたが、これは心すしも現在タクシーをやっているものだけではなくて、トラックその他をやっておったような人々でも、優秀な人は許可するということを考えて差しつかえがないかどうか、これはいいのですか。
○梶本説明員 これは運転手に新しい夢を持たす、こういう立場からの方針でございますから、先生のお話のようにお考えいただいていいと思います。
○土井委員 それから事実上の問題として、運転技術の優秀性という問題が出ておりますが、運転技術の優秀というのは、年月的に見てたとえば一年や二年だけでは算定することは相当困難なことだと思います。期間的にいうと、かりに八年で非常に優秀な者もあり、あるいは十五年かかっても技術的には優秀でない者もいるでありましょうが、大体の年月の基準はどういうところに置いているのでしょうか。たとえばわれわれのところにいろいろ陳情してくる連中の話を聞きますと、二年か三年運転している者が個人営業許可を与えてもらえるような気持を持っております。そういう者がたくさん申請をしているはずだと思いますが、ただ運転技術の優秀性という問題の基準が、年月的に見て、たとえば警視庁の優というようなものがタクシーなんかに書いてある、その優良運転手、あるいはまたそれが十年なり十五年なり無事故であるというような者、あるいは事故の場合でも他動的なものと自動的なものとありましょうが、自分からの事故でないという場合、そういうようなことは調べるであろうと思いますが、年月の関係はどの程度をもって基準とされるおつもりであるか、これはできれば具体的に御発表願いたいと思います。
○梶本説明員 年月の関係につきましては、まだきょうの段階ではお話し申し上げるところには参っておりません。参っておりませんというのは、これは問題を回避するというのじゃなくて、きょう実は先ほど申し上げましたように締め切りで、きのう一日だけで八百件個人申請の受付が陸運事務所になされているという状態で、果してきょうの夕刻までにどのくらいになりますものやら、想像もできないような状態でございます。従いまして、年限が何年ということを締め切り前に天下に宣言することは、二千八百というワクが限られている現在、これは私、事務的には申し上げることが不可能な段階だと考えております。
○土井委員 それはもっともな話だと私は考えております。そういう能力の関係についての時間的な関係というものを、当局としては今対社会的に発表することはできがたいでしょうけれども、ただ問題は、許可の基準としては十年なら十年、そういうものを置いているのでしょうね。
○梶本説明員 その点は、お話の通り十年にするか八年にするがいいかということは、実は警視庁といろいろ相談をいたしております。せっかく警察当局の方で優マークというような制度を作っておられますので、あれもわれわれとしては大へん参考になることだと考えております。
○土井委員 それから、この前の委員会で私も質問を申し上げておったのでありますが、反対的な立場という意味ではございませんけれども、個人営業をやった場合において起り得るいろいろな悪条件が想定されるわけであります。そういうようなものが具体的に起った場合においては、これはもちろん運輸大臣が責任をとらなければならないが、直接的にはその衝に当っている担当局課長の諸君がとられなければならないわけであります。大臣はときによってはやめられる場合もあるし、それから担当の局課長の方々は転職されるような場合もしばしばあるのでありますが、そういうことについての責任の所在というようなものをもっと明確にしてもらわなければ、たとえば反対論の中にも雲助タクシーのごときものが起ることをおそれておりますが、今は多くの場合お客さんが強盗をやっているので、運転手が強盗をすることはない。戦前は運転手のほかに助手台に助手が乗っておりまして、かよわい婦人であるとかあるいはいなか者などが、すぐ一町か二町先のところを知らないで乗るというと、その間をぐるぐる回って料金をよけい取るということがしばしば行われた。これは個人営業の場合でもそういうことが行われると思うのでありますが、そういう点についてのもっと適切な取締りの具体的な方法、たとえばそういう事態が起ったならば直ちに取り消すことができるかどうか。現行法の中でそれができるかどうか。個人営業というものを許可した後において、そういう個人が不祥事件を起した場合においては、直ちに取り消すことが現行法の中でも可能かどうか。もし取り消すことができなければ、それを取り消すような法的措置をとるお考えがあるのかどうか、この点をお伺いいたします。
○梶本説明員 そういった不祥事件が起りました場合には、現行法のもとにおきましても免許を取り消すことができると考えております。
○土井委員 実はタクシーの問題については以上で終りですが、次に私が御質問申し上げたいと思います事項は非常に長いことでございますので、この機会には時間的にやれないと思いますから、次の機会まで保留さしていただきまして、本日はこの程度で私の質問を終ります。
○平井委員長 それでは再び国鉄の経営に関する件について調査を行います。 質疑の通告がありますので、これを許します。池田禎治君。
○池田(禎)委員 時間がないそうですから私は簡単に御答弁をいただくならば簡単にするが、ただし皆さんの方でそれができない場合は残念ながら続行いたしたいと思います。 まず運輸大臣にお尋ねいたします。実はこの問題についてはこういう公開の席で申し上げたくない。なぜかと申しますと、これは今まで社会党と自民党と政府との間で折衝してきた問題である。それは昨年の警職法をめぐる国鉄の処分の問題は、あの国会におきまして両党の話し合いによって解決がついた。この問題は十分なる考慮を払う、こういう政治的な了解があった。従ってこの委員会では公式にはこれを取り上げなかった。両党の国会対策委員長並びに幹事長、書記長会談、あるいはまた個別的には私どもが時の運輸大臣永野護、あるいは官房長官の赤城、労働大臣の倉石、これらの人々を入れて、どういう形においてこれを解決するかということは政府の労働関係閣僚会議において十分善処しよう、こういうお話がありました。従ってこれは公式には本委員会では取り上げておらないのでありますが、そのときの運輸大臣は、ごく素朴な言葉で表現しますならば、どういうことでそういうことをするかということを苦慮している、そこで私はこれに対しまして、はなはだ卑近な例を申し上げて恐縮ですが、皇太子殿下の御結婚もあって罪を犯した人間でも大赦をするじゃないか、こういう機会にこういう問題に当ったらどうか、それはきわめて名案であるということで、永野運輸大臣は、この研究を続けて関係閣僚と善処したい、こういうお話でありました。これにはもちろん自由民主党の関係者も入っておることでありまして、私どもは記録にはとっておりませんが、確実な生き証人もおることであります。後に永野運輸大臣はおやめになって、そうして重宗運輸大臣に引き継がれたかどうか知りませんが、こういう政治的な話し合いということについて運輸大臣は承わっておるでありましょうか、どうでありましょうか。そのことをまず承わりたい。
○楢橋国務大臣 どうもちょっとその話は聞いていないのですが……。
○池田(禎)委員 それでは当時の経過について、あなたは前任者にお聞きになるお考えがあるかどうか伺います。
○楢橋国務大臣 それはお聞きいたします。
○池田(禎)委員 それでは、次に国鉄総裁にお尋ねいたします。今度九月の二十二日からダイヤの全国的改正があるのですが、これに対して乗務員からきわめて強硬な反撃の態度が出て、場合によっては列車の大混乱を来たすかもしれないということが新聞に伝わり、私どもも承わっております。私はこの際一方的な見解だけしか申し上げませんから、私の申し上げることが違うというのならしからずとお答え願いたい。こういうダイヤ改正について組合との間に何ら話し合いが行われていない、一方的に強行されようとしているということであるが、こういうことにつきましては当局としては十分説明もし、了解のもとに実施するというお考えがありやなしや。そのことをまず伺います。
○十河説明員 十分団交をやって話し合いで円満に解決をつけたいと考えております。従来もそういう方針でやって参りましたが、今後もそういうつもりでおります。
○池田(禎)委員 私はあなたの一言でけっこうです。しかし二十二日からというような事態ですから、これはきわめて緊急かつ迅速にお手配を願いたい。私ども不敏ではありますけれども、一昨年の国鉄と組合との紛争におきまして、国民の迷惑、国家の混乱ということを思うて、私どもは政治家としてあるいは泥をかぶってでもこの事態を解決しなければならぬということで、組合側もずいぶん不満もあったけれども、これは社会党に責任をもってまかしてくれということで、当時は岸、鈴木会談をもってあの事態の収束をはかった。本来ならばこういうことは政党のやるべきことではなくて、労使間の全き英知と誠意をもって解決さるべきものであって、このようなことを国民に転嫁さすべきではない。私の信念は不動であります。従ってこの問題については、組合に対して十分な了解と納得の上にすみやかに実施されるよう要望いたしますが、重ねて総裁の決意を承わりたい。
○十河説明員 私も熱心に今お話の通りにやりたいと思っております。ただここに問題は、話し合いが進行中に実力行使が行われるようなことがあってはいけない、話し合いと実力行使を同時に並行してやるということはちょっと無理じゃないかと考えております。
○池田(禎)委員 私は条件は要りません。私もまた組合に対してそういうことのないように十分話もし、そうして円満な妥結のつくことを望みます。そういう努力はあなた方だけが努力するのではない。組合にもお願いするのです。従ってそういう点は誠心誠意すみやかに団交に入っていただきたい。このことを重ねてお願いいたしますが、よろしゅうございますか。
○十河説明員 もちろん十分努力いたしますけれども、実力行使の行われておるもとで団交をすることは困難だと思います。
○池田(禎)委員 だから実力行使を避けるようにして、そうして事前の話し合いをするように私どもも努力すると言う以上は、あなた方も、そういう注釈はおやめになってなさったらどうですか。お互いの言い分もあろうけれども、もうこれ以上最善というものはないのだから、お互い英知を尽してやるのなら、あらゆる角度から努力というものは続けられていいと思っております。 もう一点総裁にお尋ねします。今運輸大臣に私が質問をしたことは、これは内閣の改造はありましたけれども、岸内閣のもとにおいて警職法の問題を妥結するということについて政治的な会談をあらゆる角度からやってきたことは事実です。議院運営委員会に、非公式でありますが、あなたと官房長官においでをいただいて、そうして七月の昇給時における訓戒、戒告等については深甚なる考慮を払う。当時あなたも御了解をいただいたと思っております。このことにつきまして今運輸大臣にお尋ねしたら、聞いておらないということですから、これはすみやかに政府の問題として関係閣僚の間で御善処願いたいこういう問題について政府並びに関係閣僚の間においてそういうことがきめられている場合におきましては、こういう意思で尊重していただく御用意があるかどうかお尋ねしたい。
○十河説明員 いろいろな話は世間に伝わっておりますが、私どもははっきりした政府の態度、方針、監督官庁からの命令によって行動いたしたいと存じております。
○池田(禎)委員 私は命令もけっこうですが、あなたがかつて国鉄総裁の権限において勇猛果敢なことをおやりになって、さすがに十河さん、長年国鉄のむだ飯を食っておらないと思ったこともありますが、最近あなた方は監督官庁々々々々と何か逃げておる。やはり何十万という従業員に処するときには、悪い方向でなければあなた方は独断専行することもあり得る。それがあなたのように広い角度を持って従業員に接している人には望ましいと思う。いたずらに過ぎ去ったことで混乱を招かぬように、そういうことによる従業員の生活苦というものは親心として考えていただきたい。このことはあなたにあえて規制すべきものはないが、私は要望いたしておきます。もちろん政府としては、楢橋運輸大臣のお答えの通り、すみやかに関係閣僚間において御善処願いたいと思います。このことを要望して私の質問を終ります。
○平井委員長 次に、第二次朝鮮人帰還に伴う運輸行政の問題について調査を行います。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。 高橋清一郎君。
○高橋(清)委員 受付が今月の二十一日から、集結が十一月の七日、乗船開始が十一月十日の予定になっておりますこの在留朝鮮人の北鮮帰還問題につきまして、いろいろ関係者にお尋ね申し上げたいのでありますが、地元の新潟県といたしまして、特に個人的な言い分でございますが、地元の代議士といたしまして、いろいろこの問題に関連いたしまして端摩憶測がたくましゅうされ、場合によっては、たとえて申しますならば騒擾事件があるのではなかろうか、あるいは個人財産に影響をもたらすような事態が招来される心配があるというようなことで、非常に反面こんばいしておる状況下のこの際でございますので、これからお尋ね申し上げますことにつきまして、一つはっきりした御答弁を願いたいのであります。 一番初めに陸上輸送についてであります。帰還を希望します朝鮮人は、日本各地に転在しているわけでありますが、彼らを新潟港まで輸送するための輸送計画をまずとりあえず具体的に説明していただきたいと思うのであります。
○山内説明員 在日朝鮮人の帰還の問題につきましては、ただいま先生からお話のありましたように、第一船が十一月の上旬ごろ出るというようにわれわれは伺っております。それからまた帰還受付の開始が九月二十一日ごろであるということもお話の通りでございまして、われわれといたしましては、この受付ができますと大体輸送量が確定いたしますので、そのあとで具体的な輸送計画は立てたい、かように考えております。ただ国鉄の輸送量から申しますと、月間の輸送人員が約四千人でございまして、一船千人で四回、一回千人の輸送となるわけであります。この程度の輸送でありますと、一般の輸送情勢からいいましてそう困難なことはない、十分円滑な輸送ができるというふうに考えております。
○高橋(清)委員 帰国の希望者でありますが、いろいろ仄聞するところによりますと、朝連側では十一万から十四万人はあるだろうと言っておりますし、民団側ではそうではないのだ、ごく少数だというふうに見ておるわけでございますが、政府当局では、これはどなたの御管掌でございますかわかりませんが、どの程度の員数と想定しておるかということであります。
○山内説明員 総数につきましては、私の方では輸送要請を受けまして輸送計画を作る側でございまして、それは入国管理局だろうと思うのでございますが、まだはっきりいたしておりません。ただわれわれが現在日赤の方で聞いておりますのは、大体月間の輸送人員が四千人、一般の乗客千人という程度で伺っておるのでございます。二十一日受け付けますとはっきりいたすということで、それ以後輸送計画を立てるというふうに用意をいたしております。
○高橋(清)委員 申請します有効期間は、大体今のところ一年三カ月だというふうに聞いておるのでありますが、実際でございますか。――厚生省がまだ参らないようでございますから、それでは別の関係者からお尋ね申し上げたいと思います。 海上輸送についてでありますが、この帰還船は北鮮側の船舶を使用すると聞いておるのであります。その場合、乗船、積荷につきまして港湾の管理者または港湾運輸事業者に対する手配の状況及びこれらに要する費用の負担につきまして説明していただきたい。 また帰還船の入出港の誘導であります。この入出港の誘導につきましては、特に冬季間がむずかしいのであります。冬の場合におきます誘導というものはきわめて困難視されておるのでありますが、特にこの点につきまして御開陳をお願いしたいと思うのであります。 それから航海中の護衛は海上保安庁の船艇を使用するのであるかというようなことについてであります。
○松野説明員 ただいま御質問の点の中で、海上保安庁に関する部分につきまして私からお答えしたいと思います。 まず水路の嚮導について申し上げますが、御承知のように新潟港は強制水先制度にはなっておりません。しかし水先人はおりますので、一般的に申しますれば、もし船長が港湾事情に不案内であるということでありますれば、水先人を招聘して水先をするというのが通例でありますが、今回の帰還輸送船に関しましては、特に在日朝鮮人帰還協定の付属書の第五項におきまして、帰還輸送船は水先人を招聘するということを特に定めておりますので、水先、つまり水路の嚮導につきましては特に私の方の船艇でやろうということは、今のところ考えておりません。 なお、もし不測の事故が起るようなことも考えられますので、新潟港の周辺におきまする海上の警備につきましては、海上保安庁の船艇をもちまして特別な警戒措置を考えております。なおこの特別警戒につきましては、私どもとしては、目下のところでは巡視船四隻、巡視艇六隻、ヘリコプター一機、これだけをもって警戒を実施する、かように現在のところは考えております。
○高橋(清)委員 先ほども申し上げたのでありますが、冬季間の誘導については自信がございますか。
○松野説明員 むろん冬季間におきましても新潟港は一般船舶も出入しておりますし、水先をとってやればできると考えております。
○高橋(清)委員 厚生省は参りませんか。
○平井委員長 厚生省は今呼んでおりますから、ちょっと休憩して陳情を聞いてくれませんか。――それじゃ速記をとめて。 〔速記中止〕
○平井委員長 速記を始めて。
○平井委員長 それでは質疑を続行いたします。 国鉄電化について質疑の通告があります。これを許します。久保三郎君。
○久保委員 幹線電化五カ年計画についてお尋ねしたいと思います。 幹線電化の対象の線は東北、山陽、鹿児島、北陸、常磐この五線だと思いますが、それに間違いございませんか。
○關説明員 それに間違いございません。
○久保委員 そうしますと、最近の情報によりますればこの五ヵ年計画は大体一年くらい延びるであろうというお話でありますが、その内容について御説明願いたい。
○關説明員 お答え申し上げます。幹線電化五カ年計画につきましては、三十年の十一月に幹線電化調査委員会から勧告が総裁にございまして、それでおおむね十カ年間に国鉄の幹線三千三百キロを電化するのが非常によろしいという御勧告がございまして、その第一着手として、その十カ年のうちの半分の千六百六十七キロを五カ年間で大体やるということでこれが国鉄の五カ年計画に織り込まれたわけでございます。それでその後この幹線電化に注入されました金が大体二百七十億余でございまして、全体の予算が五カ年計画千六百六十七キロでもって八百五十億、そのうちの約三分の一がつぎ込まれたにすぎないということで、この点は当初の計画に対して大へん申しわけないのでありますが、五カ年計画全体が五千九百八十六億ということでスタートしましたが、その後国鉄財政の問題からこれが投資不足になりまして、約五百億近くが五カ年計画として三十四年度までに投資不足になっておりまして、それが電化の方にもしわ寄せになっております。そのために当初の計画の通りには進行いたしておりません。ただいままでに五カ年計画に乗っておりまして、完成しました区間が百六十九キロございます。そうして現在幹線電化計画で着工中の区間が約九百八十キロとなっております。これが両方足しまして残り約五百キロばかりがまだ未着工の状態にあるということでございまして、これを予定通りやりますためには年々大体二百億程度の工事費をつぎ込まなければならないということで、従来から電化に注いでおります金から申しまして、これは相当積極的に努力いたしましても、多少の延びは覚悟せざるを得ないのじゃないか、こういうように考えております。
○久保委員 そうしますと、大体一年くらいでなく、もっと延びるというふうにとれますが、そうですが。
○關説明員 とにかく電化そのものが国鉄の経営改善に非常に裨益するところが大きいわけでありますから、できるだけその延びを少くすべく努力したいと思っておりますが、国鉄が使い得る予算によって決定いたすわけでございますから、この点国鉄の予算獲得について特段の御援助をお願いしたいと思います。
○久保委員 それでは話をかえてお尋ねしますが、大体五線のうち国鉄の理事会で東北、山陽最重点ということを指定して、その早期完成を目ざしてやる。北陸については北陸隧道の完成が三十六年四月ということで、これに合わして電化をやっていく。そうしますとあと残る常磐は何の目標もございません。鹿児島の方は地元の起債、利用債の関係があり、完成年度が区切られるということになりますと、そのしわ寄せが常磐にくるということになりますか。
○關説明員 今の御質問の東北、山陽に最重点を置くということが理事会で決定したということでありますが、私そういうふうなことが正式に決定されたということはまだ承知しておりません。ただ現在東北線が福島までの電化工事を続行中でございまして、これが本年度内に大体でき上るというような状態になっております。それから引き続き仙台までの工事着工中でございます。山陽線につきましては来年の十月までに岡山までの電化が完成予定でありまして、一方下関小郡間の西の方から進めてくる電化工事も現在続行中でございます。これは再来年の春ごろまでに大体電車運転を始めようというようなことでやっておりまして、その他の中間の区間についてはまだ着手しておりません。それから鹿児島本線の電化についても、これは大体再来年の春ごろという予定で現在進めております。常磐線につきましても、これも同様に東京付近の衛星都市というような形で水戸がございます関係で、当然東北線と同時に早く着工して完成させるべき線でございましたが、御承知と思いますが柿岡に地磁気観測所があり、直流式で電化しますとこの歴史のある地磁気観測所を移転しなければならぬということで、何とか世界的にも意味のある地磁気観測所を移転させずに電化する方法はないかということで鋭意検討いたしておりましたが、たまたま交流式の電化をすればこれに差しつかえないということがわかりまして、そのために着手がおくれたわけであります。これは着手したからにはできるだけ早く完成して効果を上げ、皆さんの利便をはかるようにするのが当然の務めでございますので、これも鋭意進めたいと思っております。
○久保委員 幹線電化五線のどれを優先的にやるべきかという観点ですが、これは限られた財源だとすればおのずから比重の差はあると思うのです。その場合にお尋ねしたいのは、常務理事が電気局長時代にも、利用債がなければこれの促進ができないということを言明されておったように私は聞いておるのです。地方自治団体によるところの地方債は、先般これをやらないことに方針として決定されております。最近はその地域にあるところの会社、工場を中心に何か負担をさせておる。これはもちろん可能ならばいいのですが、それが条件でその地方の開発ができなかったり経営の近代化ができないということでは困ると思うのです。ことに東北、常磐の両線は同じつながりがあります。その場合、経済効果なり輸送量なりあるいはそれに対する輸送力という観点から検討していったらどうか。ところが今のお話だと、着工がおそくなったから頭打ちになっているというお話ですが、現在常磐線の輸送一つをとってみても東北線と比較してどんな差があるか、あなたよく御存じだと思う。 そこで私が言いたいのは、そういう政治的な配慮や何かでなくて、厳正な目で見て、国鉄自体の運営から見てなすべきものは促進していくのが当然ではなかろうか。ところが先般も監査委員会が指摘されたように自主性がなくなっている、こういうように思うのですが、その点はどうでしょう。
○關説明員 最初の御質問の利用債の件でありますが、先般自治庁からのお話もございましたし、地元の熱意の現われとしての利用債という考え方はあるでしょうが、幹線電化については、これは地元の負担があるとかないとかいうことでもって幹線電化をやるとかやらないとかいうことは毛頭考えておりません。幹線電化については、これはあくまで国鉄全体のものでありますから、自主的に考えてやっていきたいと思っております。ただ幹線電化計画にありませんところの支線については、今のところは幹線電化一本で進んでおりますから、これについては全額利用債で負担という場合は考慮に応じられるという方針をとっておりますが、幹線電化については利用債の負担のあるなしによって甲乙をつけるということは毛頭考えておりません。 それからもう一つ常磐線の着工がおくれたからあと回しにするというふうにおとりになったようでありますが、これは私の言葉の足らないところがあったかもしれません。常磐線は着手はおくれましたが、それを取り戻すようなスピードでやるかどうかということは、それは一に国鉄全体の予算ワクが電化にそれだけスピードを上げられるように入れられるかどうかということにかかっておりますために、やはり常磐線を進めるのもほかを進めるのも同じスピードであれば、おそく着手した方がどうしても開通はおそくなるということはやむを得ないかと存じております。 それからその工事の進め方の重点の置き方について自主性がないじゃないか、政治的に動かされはしないかという点でありますが、これは私ども多少動かされているところがございますかもしれませんけれども、私どもとしてはあくまでも自主的に国鉄が選びました最も重要であるという線区から順次手をつけていきたい。しかし御承知のようにどの線もみな輸送が行き詰まり、また東海道線の電化によって煙のないという旅行の快適さを皆さんが非常に味わわれて一刻も早くやれということが各地方の御要望でございますので、限られた予算ではこれか全体の御要望にまことにささやかしか応じられないという事情については私も同様遺憾に思っておりますが、この点について国鉄予算財政自体がなかなか楽にならないためにこういうような皆さんのサービス改善もできにくいという点についてどうぞ深い御理解をお願いしたいと思います。
○久保委員 そこでお尋ねするのですが、今三十四年度は幹線電化に投入する資金が総額幾らですか。
○關説明員 約八十億であります。
○久保委員 常磐線には幾らですか。
○關説明員 八億でございます。
○久保委員 一割ですな。それでは公平に見てもその額だけではどうかと思いますが、工事の順序もありましょうから、そういうこと自体に問題がありはしないかと思うのです。しかも輸送量というものと輸送系統というものとを考えた場合にこれはもう少し考えてもらわなければいかぬ。最初あなたの方で出した計画は九十七億出したのです、予算確定前は。ところが今お聞きしますと八十億です、今後どうなんですか、八十億のワクは広げられる可能性があるかどうか。
○關説明員 例の予算を編成した今年度の当初において収入見込みが非常に悪かったものですから、国家予算に対して電化を押えて八十億で配賦しておりましたが、その後の収入状態を見ましてもっと促進させ得るものであれば、全体的に見てできればしたいと思っておりますが、今のところまだその点について幹線電化に追加していくということはわれわれの中では討議されておりません。
○久保委員 当然討議する必要があると思うのでありますが、近く討議する用意がありますか。
○關説明員 近く今年度の予算についての審議をすることにいたしております。
○久保委員 その際は今私から申し上げたようなこともぜひ勘案してもらわなければならぬと思います。 そこで続いて、幹線電化ではなくて、關常務理事の関係のことでありますが、投資管理について一言お尋ねいたします。投資管理が不十分であって、貴重な国鉄の財産が空のままになっておるというものがあるのですね。これについては今までも十分関心を払ってやっておるようでありますが、この間の台風がございました。各河川とも増水し、たとえば常磐線の利根川の橋梁は、ために交通ができなくなった、一日半ほど輸送が途絶した。ところがその上手には新しい鉄橋ができて、この新しい鉄橋は何億かかって作ったんだかわかりませんが、これがまだ使用できません。使用できない原因は、一番先にやらなければならない土地買収の問題が、一番あとになったからだ。こういう投資をしていたんでは、幾らやっても国鉄の経営はうまくいかない。これに対して国鉄の常務理事会はどういう反省をしておるのか。
○關説明員 今の常磐線の鉄橋のところの工事につきましては、その具体的な事情は私関知しておりませんので詳しく申し上げるわけにいきませんが、現在あらゆる工事において用地買収という問題が一番難関でございまして、これについてはできるだけ円滑に、しかも地元の方々にあまり不満を持っていただかずに、しかも工事に支障ないように進めるように、あらゆる努力を払ってきたつもりでございますが、今後ともそういうことで、全体の工事の投資効果というものを、できるだけ歩調を合せて上げていくように進めるつもりでございます。
○久保委員 今後注意するだけでは困るのです。概念的な抽象的な話であって、そんなことでは経営はできないと私は思うのです。チェックするならするということで、チェックする機構はどこにあるのであるか、それが足りなければどうするのか。これをやらぬでは、せっかく――三億か四億おそらくあの橋にかかっておるでしょうが、こういうものが、長年できたままでほっておかれる。水害のときには、これが完成していれば、増水しても交通途絶しなくてもよろしい。一企業会社ならつぶれてしまう。片方でこういうことをやって、片方では志免炭鉱を売り払うというような小さいことばかりに目を注いで、自分の損をすることを考えない。損をすることを防ぐことがまず第一だ。それをやっていない。それに対する反省は最近理事会でやっていますか。
○關説明員 お尋ねのような問題につきましては、先般国有鉄道ができましたときに、経営調査会の勧告に基きまして、監察局というものを国鉄内に置きまして、日常の業務の監査、会計監査、投資監査というようなものをやっております。また運輸大臣の御任命になりました監査委員会がございまして、ここでも第三者としての立場から業務監査をやっております。これについては、一年に一度これの監査報告というのが相当膨大なものが出まして、これについて逐条御注意がございます。その他監察局の中で、日常、時々刻々にそういう問題について監査いたしておりまして、お話の問題についても、主管の方には連絡が十分いっているものと思いますが、今後とも注意いたしたいと思います。
○久保委員 時間がありませんからもう簡単にしますが、いずれにいたしましても、あとからチェックしたって何にもならぬ。できたあと見て、ああこれはまずかった、この次はやらぬという、そんなチェックの仕方だったら、だれにもできます。今御説明になったのはあとからのチェックだ。事前チェックはできないんですね。この点は一つ改善することを考えてみたらどうか。こういうところに力点を置いてやっていくのがほんとうだと思う。経営合理化とはかかるものだと考える。どうぞ一つ十分考えていただきたい。
○關説明員 ただいまの事前チェックでございますが、これについてはいろいろな問題がございます。一番最初にお話がありました用地買収につきましては、これは建設省との関係もございますし、土地収用法というような問題もございますが、なるだけそういうようなことをせずに、御理解のいくようにやりたいということで、この問題については現在建設省と打ち合せ中でございますが、なお事前のチェックにつきましては、今後とも御趣旨に沿って進みたいと思います。
○久保委員 最後に運輸大臣に一つお尋ねしたいのですが、運輸大臣就任以来、国鉄の経営についてはいろいろお考えがあるようであります。たとえば先般監査委員会が報告された。その中で、自主性を保つ、あるいは国家の援助を要求しろ、こういうようなことが大体二つの柱のようであります。このことはもちろん大事でありますが、そのほかに、今私からも質問しました幹線電化一つとりましても、にっちもさっちもいかない。ましてや東海道新線の資金目当ては来年度どうするかということも、これはおわかりにならないのじゃないか。このままでいくと、国鉄の五カ年計画というものは大体十五年に見ればいい。これはさっぱり推進しないのではないか。そこで私がお尋ねしたいのは、あなたが在任中、少くとも基本線である国鉄の公共性と独算制というものの調和をどこではかるかということを、勇気を持ってやっていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○楢橋国務大臣 久保委員の御指摘の通りでありまして、国鉄は御存じのように、公共的な性格の割引だけでも五百億近く負担しておる。一方では、採算のとれない新幹線の要望もあり、新線の要望等もあるというような状態であります。一方では、公共企業体としての独立採算という課題を課されておるのであって、従って、国鉄という性格をここにはっきりさせなければ、今御指摘のように、五カ年計画では新幹線でも大きな山に乗り上げることは明らかでありまして、つい三日ばかり前に、石田礼助氏の監査委員会の報告を私詳細に承わりましたので、国鉄が今申し上げたような二律背反的な立場に立っておるということを、一体どう調和をするかということについて、この間の農林水産物資の特別割引の問題等をめぐって、私も閣内において強い発言をいたしておりまして、経済企画庁長官が幹事役となりまして、大蔵大臣その他を入れまして、一つ全体の運賃体系並びに性格の追及という問題に取り組むように推進をいたしておりまして、御指摘の趣旨に沿うて極力実現したいと思っております。
○平井委員長 次会は来たる十月五日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十九分散会