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31回国会参議院1959/03/24

予算委員会第三分科会 第2号

発言数
145
登壇者
15
会派数
4
開催日
1959/03/24

会議録

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) それではただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。日程の順に従いまして、昭和三十四年度一般会計予算同特別会計予算並びに政府関係機関予算のうち、農林省所管を議題といたします。最初に政府から提案の御説明をいただきます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 昭和三十四年度農林関係予算案についての概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計における農林関係予算案の総体について申し上げます。  農林省所管合計といたしましては、九百二十八億百万円となっております。これに総理府所管の北海道関係公共事業費九十三億九千四百万円、離島振興関係経費十五億千八百万円、原子力平和利用等に要する経費一億円及び農林漁業基本問題調査会に要する経費一百万円、労働省所管の農林関係公共事業費一億七千五百万円、建設省所管の農林関係営繕費八千九古万円、大蔵省所管の農林漁業金融公庫出資金七億円並びに文部省所管の麦製品学校給食費十五億七千百万円を加えました農林関係予算合計は、一千六一億五千百万円となり、これを昭和三十三年度当初予算に比較すると金額に驚いて五十五億一千六百万円の増となります。  かように関係予算におきまして増額をみましたおもなものは、公共事業費において五十八億八千四百万円、糸価安定特別会計繰り入れにおいて二十倍円、日本蚕繭事業団出資金十億円、牛乳乳製品学校給食及び調整保管において八億三千百万円、農林漁業金融公庫出資金において七億円、一九六〇年世界農業センサスにおいて六億四千四百万円、人件費において九億三千三百万円等であります。この反面減額になったおもなものは、非補助小団地等土地改良事業助成基金出資金において六十五億円、酪農振興基金出資金において五億円等であります。  次に本予算案編成の重点について申し上げます。  第一に、農業生産基盤の拡充に関する経費についてであります。土地改良事業、開拓事業等の農業生産基盤の拡充に要する経費といたしまして三百四十億四千五百万円を計上いたしました。1、まず土地改良事業の拡充に面する経費として百八十六億四千二百万円を計上し、その推進をはかることといたしましたが、(一) このうち新たに水系開発事業といたしまして三十二倍九千一百万円を計上、水系全般を一体とした総合開発を目標として国営事幸と関連県営事業の進度の不均衡を是正し、その効率的促進をはかることといたしましたが、この構想の下においては特定土地改良工事特別会計において実施中の四地区、一般会計において実施中の国営十地区及び県営事業二十八地区を含み、それぞれ事業の推進を片かることといたしました。(二) 次に、水系開発事業以外の一般土地改良事業につきましても、その計画的推進をはかるため百十九億四千九百万円を計上いたしましたが、そのうち特定土地改良工事特別会計事業につきましては、継続実施中の七地区の計画期間内の完成に努めるほか新規三地区に着工いたすこととし、一般会計の国営地図につきましては、ダム、頭首工等の施設を有する地区及び早期効果の発生可能な地区に重点を置くとともに、新たに六地区に着工するほか、全体設計実施地区として七地区を採択することといたしました。また県営事業につきましては、特に完了予定地区、他事業関連地区、部分効果発生地区等を優先することとしております。団体営事業につきましては、国営、県営等の基幹工事に直接関連する末端工事の早期完成と、積雪寒冷等特殊地帯農業振興計画の達成に重点をおきますほか、前年度創設されました非補助小団地等土地改良事業助成基金による非補助低利融資を大中に拡大することといたしました。土地改良に関する調査計画といたしましては、二億二千三百万円を計上し、大規模新規四地区について調査を開始するほか、特定河川につき水系開発基本調査を行うことといたしました。(三) 次に愛知用水事業につきましては、国費二十二億円を計上、篠津泥炭地開発事業につきましては国費十二億一百万円を計上、それぞれ工事の進捗に努めております。2、干拓事業につきましては五十七億四千九百万円を計上し、八郎潟その他の継続実施中の地区につき特定土地改良工事特別会計による計画期間内の完成を確保するとともに、さらに新規三地区に着工するほか全体設計実施地区として新規一地区を、調査計画地区として新規三地区を取り上げることといたしました。3、防災事業につきましては、海岸保全、防災溜池、老朽溜池、地すべり防止事業等に重点を置き、その計画的推進をはかることといたしました。4、次に、畑地土地条件の整備をはかるため、畑地土地改良事業に要する経費として四億九千八百万円を計上し、地下水の開発利用調査や畑地灌漑事業を実施するとともに、同事業に対する現行補助率の引き上げを行うことといたしました。  また農地集団化事業を促進するため七千五百万円を計上し、従来の交換分合、換地計画に加え、集団化事業と関連する農道事業に対して助成を行うことといたしております。5、開拓事業につきましては、これが刷新強化をはかるため、七十七億五千九百万円を計上し、次の施策を講ずることといたしました。(一) まず開拓計画につきましては、新開拓方式に基き調査計画を進めることといたしまして、特定農地開発事業地域については新規四地区、市町村農地開発事業地域については新規約四十地区の調査を開始することといたしました。(二) 開墾建設工事につきましても引き続きその促進をはかることといたしておりますが、国営地区については新規五地区に着工するとともに、新規四地区の全体設計を実施することといたしました。(三) 新規入植につきましては、入植戸数を一千七百戸とし、入植営農の質的向上を目標として基本営農類型適用地区の拡大をはかることといたしております。また営農不振の既入植地に対しましては、開拓営農振興臨時措置法に基く振興計画をもととして建設工事、開墾作業、土壌改良事業の遅延を取り戻す等所要事業の計画的推進をはかりますとともに、旧債の借替とこれに伴う利子補給、振興対策資金の融資枠の拡大及び中央開拓融資保証協会に対する政府出資の増額等の措置を行いますほか、営農指導員を増員して指導を強化することといたしております。6、なお、以上のほか災害復旧事業費として、六十二億八百万円を計上いたしまして過年災について極力残事業の解消に努め、三十一年災までについては三十四年度において完了いたすこととなっております。  第二に、畑作営農の改善に要する経費についてであります。1、まず、畑地土壌生産力の低さを打破するため継続実施中の諸施策に加え、新たに畑地地方の培養保全に関する総合的な基本調査を行うとともに、従来放任せられていた畑地土壌病害虫防除事業を強力に推進するため、主要畑地の検診調査と被害激甚地の防除を実施するに必要な農薬及び防除機具に対する助成を行うこととし、これらに必要な経費一億三千二百万円を計上いたしました。2、さらに畑作営農のための施策として別途農業改良普及事業において新たに畑作農業総合指導施設を設置いたしますほか、寒冷地帯の畑作改善対策といたしましては、前年度に引き続き大型トラクターの導入を行うとともに、北海道における寒冷地農業振興資金の貸付については貸付ワクを十二億円に増額することといたしました。また寒冷地適作物として有望なテンサイの振興をはかることとし、新たに東北地方に、テンサイを導入するための試作に対して助成することとしております。またテンサイ及びテンサイ糖業の改良発達をはかるため新たに特殊法人日本てん菜振興会を設置してこれに政府出資を行うとともに、寒冷地以外の暖地につきましてもその導入に必要な試験研究に対し別途助成措置を講ずることとし、これらに必要な経費として二億三千九百万円を計上いたしております。3、以上の経費のほか、畑作改善の関連施策といたしましては、畑地土地改良事業や畜産の振興に意を用いますとともに、試験研究につきましては、地域農業試験場の畑作部及び畑作総合試験地の運営に必要な経費を、また農業改良普及事業につきましては、前年度に引き続き畑作関係特技普及員の増員に必要な経費を計上し、さらに農業改良資金につきましては、園芸作物優良種苗導入事業等を対象事業として取り上げることといたしました。  第三に、畜産振興対策に要する経費についてであります。1、まず酪農対策につきましては十五億五千六百万円を計上し、飲用乳等の学校給食の拡大(四〇万石)のほか、新たに余剰乳製品の調整保管の補助並びに消費普及啓蒙事業の推進を行う等、牛乳乳製品の生産と消費の均衡をはかるための施策を拡充するとともに、全国七百八十地区における酪農経営改善安定計画の樹立指導等、酪農振興法改正法の施行に必要な経費について助成を行うことといたしております。2、次に家畜の導入につきましては、四億二千二百万円を計上し、寒冷地帯を対象とする家畜の国有貸付、有畜農家創設事業及び畜産による中小農振興対策による家畜の導入並びに世界銀行資金によるジャージー種乳牛の導入を引き続き実施して参る所存であります。3、飼料対策につきましては、二億五千八百万円を計上し、その拡充をはかることといたしておりますが、とくに草地改良及び自給飼料対策につきましては、高度集約牧野造成改良事業の拡大実施を行いますとともに、新たに、大規模草地改良を行うための必要な調査設計の直轄実施、農業改良資金制度による飼料畑の造成または更新のための資金の低利又は無利子貸付等を新規事業として取り上げ、飼料自給度向上のための施策の充実を期することといたしております。以上のほか、農家の購入飼料の需給安定対策につきましては、飼料需給安定法の適切な実施をはかるため食糧管理特別会計における飼料の輸入量を増加するとともに、政府売却基準価格につきましては、畜産物価格の下落傾向を考慮し、今後適正な水準に定めたい所存であります。4、家畜の改良増殖及び衛生対策につきましては、八億千四百万円を計上し、従前の施策に加え、新たに乳牛の経済能力検定事業、種鶏場及び孵化場の登録事業、家畜保健衛生所の家畜衛生車の設置等につき助成を行いますほか、前年度着手した国立の種畜牧場の整備強化を進めるとともに、寒冷地和牛指導施設及び豚産肉能力検定施設を新設することといたしております。  第四に、蚕糸業の安定に要する経費についてであります。1、まず、養蚕経営の合理化対策につきましては、三億七千百万円を計上し、養蚕の生産性を高め繭の生産費を引き下げるため、新たに年間茶桑育指導地の設置助成を行いますとともに、繭の需給事情に即応して養蚕農家が行う桑園の整理転換につき助成を行い、養蚕技術改良対策の強化等と相待って長期にわたる養蚕経営の安定をはかることといたしております。2、次に繭糸価の安定対策につきましては、一般会計から糸価安定特別会計へ二十億円を繰り入れますとともに、繭価を適正水準に維持する目的で設置される日本蚕繭事業団に十億円を出資し、繭糸価安定の強化をはかって参る所存であります。  また、生糸の需要増進対策につきましては、一億円を計上し、従前の米国における消費宣伝事業及び市場調査を一段と強化拡充して参ることといたしております。  第五に、農林畜水産物等の価格安定その他流通改善及び輸出振興対策に要する経費についてであります。1、まず、食糧管理特別会計における米麦の管理を継続して参ることはもちろんでありますが、その他の主要農産物飼料等につきましてもその価格安定をはかりますため一般会計から同特別会計農産物等安定勘定へ十億円の予算繰り入れを行うことといたしております。2、つぎに、農林畜水産物の流通改善対策につきましては、新たに臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会を設置し、また青果物の市況速報を整備して生産者の出荷調査に資するとともに主要品目についての産地事情調査を行う等のため千三百万円を計上いたしました。このほか家畜及び食肉流通の改善のための施策を確立するため調査検討を行いますとともに、別に述べますように水産物及び木炭について流通調整対策を新たに講ずることといたしております。3、農林水産物の輸出振興につきましては、生糸の海外消費宣伝事業のほか、輸出農林水産物の需要増進対策のため七千五百万円を通商産業省に計上し、海外市場調査及び宣伝事業を強化することといたしております。  第六に、森林資源の育成に要する経費についてであります。1、まず林野公共事業費につきましては、治山事業費に四十四億四千九百万円、造林事業費に二十九億三千百万円、林道事業費に二十五億九千九百万円を計上いたしております。これらのうち治山事業につきましては、復旧治山事業にあわせて予防的治山事業を拡充することとし、造林事業につきましては、林種転換を主とした拡大造林に重点を置き、また、融資造林事業の伸展をはかるため農林漁業金融公庫の貸付条件を改善することとし、これに要する資金として、一般会計より、七億円を公庫に出資することといたし、林道事業につきましては、奥地林開発を中心に林道網の整備を行うとともに、国有林野事業特別会計において新たに七億八千九百万円を計上し、民有林関連林道の開設を森林開発公団に委託して実施することといたしました。なお、以上のほか、林業関係の災害復旧事業費に五億三百万円を計上いたしております。2、次に保安林の整備につきましては、これが整備と維持管理に重点を置くこととし、水源林造成事業に一億三千二百万円を計上いたしましたほか、保安林の指定に伴う補償を実施することとし、これがため必要な調査を都道府県に委託することといたしました。3、その他の林業関係の主要経費につきましては、まず、林木品種改良事業に千三百万円を計上し、林木の新品種育成のため年次計画に従って都道府県に対する必要経費の助成を行いますほか、林木育種場の運営費を一括国有林野事業特別会計に計上し、林木育種場支場ニカ所の新設を含めて育種事業の推進をはかることといたしました。また、木炭関係につきましては、四千八百万円を計上し、前年度に引き続き木炭生産指導を行いますほか、新たに木炭の流通の合理化及び生産者所得の安定をはかるため、系統利用機関等が行う流通調整事業に対し必要な助成を行うことといたしました。  第七に、水産業の振興に要する経費についてであります。1、まず、沿岸漁業の振興につきましては、沿岸漁業における生産力を維持増強し、漁家経営の安定をはかるため、三億五千四百万円を計上し、前年度に引き続き、水産資源の保護増殖のための助成及び漁業共済制度の試験実施に関する調査委託を行いますほか、沿岸漁業に対する依存度の高い海域につきまして総合的な沿岸漁業振興対策を拡充実施することといたしております。2、次に漁業の生産条件の整備につきましては、国際漁場の確保と未開発漁場の開発についてその発展をはかり、また、漁港整備計画に基く漁港の整備事業を計画的に実施するため四十三億二千二百万円を計上し、継続三百八十二港及び新規四十八港について事業を実施いたしますほか、水産庁に漁港部を新設し、漁港関係の調査等の充実をはかることといたしました。なお、このほか、漁港関係災害復旧事業に七億六千四百万円を計上いたしております。3、水産物の流通改善及び需給の安定につきましては、千七百万円を計上し、従前の施策に加え、新たに魚獲が季節的に一時に集中する大衆多養魚について価格の安定と系統利用の促進をはかるため、系統利用機関が行う流通調整事業に対し必要な助成を行うことといたしました。  第八に農山漁村の振興に要する経費についてであります。1、新農山漁村建設総合対策につきましては、既定計画に従って特別助成事業の新規計画樹立地域を九百八十五地域、事業実施地域を二千地域として事業の推進をはかることとし、これに必要な経費三十三億円を計上いたしております。2、一般助成事業のうち、小団地開発整備事業等につきましては引き続き拡充実施するほか、新たに農山漁村僻地における電気導入事業を促進するための助成を行うごとといたし、これらに必要な経費として四億九百万円を計上いたしました。3、農山漁村青年の自立を促進し、農山漁村の振興に資するため、農山漁村青年対策を強化することとし、農村建設青年隊、農村建設班等の事業を継続実施するほか、新たに農業について中央及び地方に青年研修施設を、また漁業について地方に研究器械をそれぞれ設置することとし、これらに必要な経費として、二億五千四百万円を計上いたしております。  第九に、海外移住の推進に要する経費についてであります。  海外移住につきましては、前年度と同様一万への送出を目標といたしておりますが、三十四年度は地方における移住事業活動を拡充強化するため、都道府県に専任職員を新設するとともに、地方海外協会に対する補助を農林省に一元化してその充実をはかることといたしました。また移住に関する系統資金融通の円滑化をはかるため、農業拓植基金の設置に対して助成を行うこととし、これらに必要な経費一億二千九百万円を計上いたしております。  第十に、農林水産業諸団体の活動促進に要する経費についてであります。  1、まず農業委員会の関係におきましては、その組織及び活動を維持するに必要な経費十億八千六百万円を計上いたしましたが、このうち新たに二千二百五十の農林漁業地域を対象として農業委員会の農家台帳整備に要する経費を助成することといたしております。2、次に、農林水産業協同組合関係につきましては、その検査指導に必要な経費一億二千九百万円を計上するとともに、連合会の整備促進対策及び不振単協の整備強化措置を既定計画に基き推進いたしますほか、三十四年度は、新たに、農林漁業組合職員の養成講習事業に対する助成及び農業協同組合中央会の監査士設置に対する助成を行うことといたしております。なお、三十三年度発足しました農林漁業団体職員共済組合に対しましては、給付に要する経費の一部と事務費を補助するため一億四千七百万円を計上いたしました。3、農業共済団体につきましては、損害評価に関する団体の機能の充実と職員の給与の改善に重点を置き、二十三億五千二百万円を計上いたしております。  第十一に、試験研究、統計調査及び技術普及の強化に要する経費についてであります。1、まず、試験研究につきましては二十億九千九百万円を計上し、新規研究項目の追加、前年度に引き続く畑作試験部門の整備、放射線育種試験照射場の新設並びに研究管理協議会、試験研究運営調整費の設置等試験研究管理体制の強化等を行うこととしております。2、次に農林水産関係技術普及事業につきましては園芸、畜産、機械化関係特技普及員五百三十人、生活改善普及員九十二人、開拓営農指導員五十人の増員及び沿岸漁業改良普及員四十八人の新設等により、技術指導の充実向上をはかることといたしましたほか、農業及び林業普及所運営費の充実、蚕糸普及員の機動力強化及び待遇改善、畜産林業技術の普及指導の濃密化等を行うこととし、これらに必要な経費として三十一億八千二百万円を計上いたしました。3、また、農林水産関係統計調査につきましては、既定の調査統計に加え一九六〇年世界農業センサスを実施して農林施策に必要な基礎的統計資料の体系的整備をはかることといたしております。また、これらの統計調査の充実に合せて能率増進のため機動力の強化をはかることとし、これらに必要な経費といたしまして十五億八千九百万円を計上いたしております。  第十二に、農林漁業基本問題に関する調査の促進に要する経費についてであります。  現下のわが国農林漁業が生産性の向上、経営の改善、就業構造の近代化等の基本問題に当面していることにかんがみ、わが国農林漁業の現状と将来のあり方に検討を加え、農山漁家の生活の安定に資するための基本的施策を調査審議するため総理府に農林漁業基本問題調査会を設置するとともに、これに伴い、基本的な重要事項について調査、企画立案に当る所要の人員の増加を行うこととし、これらに必要な経費として三千三百万円を計上いたしております。  次に昭和三十四年度の農林関係特別会計予算案について申し上げます。第一に、食糧管理特別会計について申し上げます。この会計は昭和三十三年度より六勘定に区分し、収支損益を明確にしてその処理運営をはかってきたのでありますが、今後も一そうその適正化に努力いたしたい所存であります。三十四年産米の集荷数量は四百八十万トン、国内麦の買い入れ数量は百二十六万八千トンと予定し、また国内米の政府買い入れ価格は、予約減税の廃止に伴い、従来の減税に見合う額を事前売渡申込加算金に加えることとし、これを含めて百五十キロ当り一万二百五十円とするとともに消費者価格は据え置きといたしましたほか、米麦の管理につきましては従来の方針を継続して参ることといたしております。  外国食糧の輸入は、国内米麦の生産量及び持越量を考慮し、需給上必要な限度の買付を予定いたしております。農産物等安定勘定につきましても前年度に引き続きその買い入れ費を計上いたしておりますが、特に甜菜糖につきましては砂糖消費税の一部を関税に振りかえるごとによりまして、甜菜糖業の自立振興が可能となるよう措置することとし、輸入飼料につきましては別途申し上げましたように畜産政策の進展に応ずる方針をとることといたしました。  なおこの会計の損益見込みにつきましては国内米、国内麦、輸入食糧の各勘定を通じまして三十三年度約三十七億円、三十四年度約二十八億円の損失を見込んでおりますが、調整資金は三十四年度当初なお約四十六億円の残がありますので、一般会計からの繰り入れば行わないこととし、農産物等安定勘定につきましてのみ前年度同様十億円を一般会計から繰り入れることといたしております。  第二に、農業共済再保険特別会計について申し上げます。このうち農業勘定は、前年度予算に比べ六億二百万円の減少となっておりますが、これは三十三年度の推定引受実績を基礎においたこと等のためでありまして、これにより一般会計からの受入額は五億五千万円減少し七十四億七千五百万円となっております。家畜勘定につきましては、前年度に比べ五億七千万円の増加となっております。従来は牛馬につき死廃部分の最低共済掛金の二分の一を国庫負担いたしておりましたが、三十四年度からは死廃部分の共済掛金の二分の一を別に定める金額を限度として負担することとし、また乳牛については加入奨励金として乳牛の病傷部分に対する掛金率の上昇部分の一部を補助することとしたのでありまして、これにより一般会計繰り入れば二億八千万円を増加しております。  第三に、国有林野事業特別会計につき申し上げます。この会計は三十四年度より林力の増強を経営計画に従って実施することとし、経済発展による需要の増加に対応し、生産基盤の拡充を行い、なおその資金と組織を活用して民有林林政への協力をいたすこととしております。三十四年度における伐採量としては千八百万立米、前年度千七百万立米を予定し、歳出面におきましては林道、造林、治山事業及び官行造林等にその主力を注ぐ一方、林政協力といたしまして国有林と関連する民有林林道の開発、従来一部一般会計の負担で実施いたして参りました林木育種場の運営等を行うほか、三十三年度剰余金見込額の一部を林政協力のため一般会計に繰り入れました。これに伴い一般会計より農林漁業金融公庫に出資を行い、長期、低利による融資造林の促進を行うことといたしております。  第四に糸価安定特別会計について申し上げます。この会計の歳出は、前年度に比べ大幅の増額を来しておりますが、これは現在両糸価格の安定に関する臨時措置法に基き日本輸出生糸保管会社が保有する三十三年度の春蚕及び夏秋蚕繭にかかる生糸につき政府買い入れ期限の到来する九万三千俵分の買い入れ費のほか、借入金の返済、その他管理費を含め歳出の増加を要するためであります。これらの財源といたしましては、証券発行及び借入金二百七十五億円のほか三十三年産生糸及び繭の買い入れのための経費の支払財源の一部として一般会計より二十億円の繰り入れをいたすこととしております。  なお三十四年産繭及び生糸につきましては、別に設置される日本蚕繭事業団の事業と相まって三十三年度と同様の方針により繭糸価格の安定をはかりたい所存であります。以上の各特別会計のほか、特定土地改良工事特別会計、開拓者資金融通特別会計につきましては別途御説明申し上げておりますが、森林火災保険、漁船再保険、自作農創設特別措置、中小漁業融資保証の各特別会計につきましては、前年度に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。  次に、昭和三十四年度の農林関係財政投融資計画について御説明申し上げます。  昭和三十四年度における農林関係財政投融資計画は四百三十九億円でありまして、そのおもなるものは次の通りであります。1、まず農林漁業金融公庫につきましては、三十四年度の貸付計画として四百三十二億円を予定いたしております。この原資計画といたしましては、産業投資特別会計からの出資七十億円、一般会計からの出資七億円、資金運用部等からの借入金二百十五億円、回収金等百二十億円、計四百十二億円であります。なお、融資造林事業促進のための一般会計からの出資、非補助土地改良事業低利融資の拡大等につきましては、さきに申し述べた通りでありますが、このほか三十四年度は自作農維持創設資金を百億円と大幅に増額いたしております。2、次に開拓者資金融通特別会計につきましては、三十四年度の貸付計画は、営農及び共同施設資金五億七千百万円、振興対策資金二十三億八千百万円、農地開発機械公団地区営農資金二億七千百万円となっておりますが、この原資計画は、資金運用部等からの借入金二十八億円、その他回収金等でまかなうこととしております。なお、開拓営農振興対策の一環として不振開拓農家の償還能力を考慮し、本会計における償還金回収率を引き下げることといたしております。3、特定土地改良工事特別会計の総事業費百十二億一千八百万円に見合う資金計画は、資金運用部からの借入金三十億円、一般会計からの繰入金七十億八千二百万円、その他十一億三千六百万円であります。4、愛知用水公団事業の三十四年度総事業費百十二億円に見合う資金計画は、国費二十二億円、資金運用部八十一億円、その他九億円であります。5、森林開発公団の三十四年度総事業費二十三億一千八百万円に見合う資金計画は、国費四億五百万円、資金運用部五億円、関連林道収入七億八千九百万円、その他六億二千四百万円であります。6、農地開発機械公団事業におきましては、三十四年度の国営干拓事業に対します土木機械の貸付事業等のための資金三億円を資金運用部から借り入れすることといたしております。以上をもちまして、農林関係一般会計予算案及び特別会計予算案並びに財政投融資計画の概要の御説明を終ります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) この際お諮りいたします。  他の分科会担当委員の諸君から、質疑のためこの分科会で発言を求められました場合には、これを許可することにいたしたいと存じますので、あらかじめ御了承を得たいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) 御異議ないと認めますので、さよう取り計いをいたします。  続きまして、ただいまの説明に対し、御質疑のある方は順次御発言を願います。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 三浦農林大臣以下農林省の皆さんが、日本の全人口の過半数を占める農村の問題について、たえずその行政の円滑化のために努力していただいている点は、私、まず冒頭に厚くお礼を申し上げます。  ただ、しかし、私たち農村に育ち、また農村で実際に生活して参りました者から見ますと、まだまだこの日本の農政というものはいろんな問題が残っていると思います。そういう意味で、私、二、三の問題について質問してみたいと思います。  まず、この説明を聞きますと、ことしの農林関係予算は千六十三億、三十三年度の当初予算に比べて五十五億程度ふえているようでありますが、これは国家予算の総体的なパーセンテージから見ますとどんなになっておりますか。一つ、ここ三年ぐらいの間の国家予算の中で占める農林予算、それから各年度ごとにふえている。パーセンテージですね、こういうものをちょっとお聞かせいただきたい。

齋藤誠農林大臣官房長

○政府委員(齋藤誠君) ただいま三十三年度と三十四年度の資料がございますので、後ほど前三カ年につきまして御説明申し上げたいと思いますが、三十三年度におきましては、御承知のように一千八億でございまして、その中に占めるパーセンテージは七・七%でございます。それに対しまして、三十四年度は一千六十三億五千万円でございまして国の総予算一兆四千百九十二億四千八百万円に対しましては、七・五%と相なっております。  今、三十三年、三十四年を申し上げましたが、三十二、三十一、三十年と申し上げますと、三十二年は、農林関係予算八百九十五億で七・八六%。三十一年は八・三七%。三十年は九・五%、こういうことに相なっております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 私は、日本の農村が、非常に御承知の通りな地形の中で山村地帯が多うございます。従って、実際に農業を経営する場合に、平地の農家はある程度野菜を作りましても、米を作りましても、ある程度耕地面積なりあるいは農耕の方法なり相当近代化しつつあると思うのです。特に山村地域ですね、こういう地域の農耕方式というのは、依然としてこいたごをしょって山坂を登っていくと、こういうような非常に苦しい経営をされていると思うのです。ですから、農林省の施策の重点は、大体どういうふうな方針でこの農村の平坦部、農村というか、山間部と平坦部の農業経営に対する方針をお持ちになっているのでしょうか。私はどうも高知県とか、山梨県とか、方々回りましても、非常に斜面の上に畑を作り、そこで耕している。農道もほとんどない。従って、全部肩にしょって仕事をしなければならぬ、こういうふうなのが実態だと思うのです。そういうところにこそもう少し配慮をめぐらすのが大事ではないかと常々思っているのですが、そういう基本的な経営に対する国としての施策というものは、どういうふうになっておるわけですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは鈴木さん御指摘のように、従来の農業政策の行き方は、やっぱりここ終戦後の日本の置かれた事情にもよることだと思いますけれども、やはりどうも食糧の生産性を高めるということが非常に重点に強く打ち出されておる。従いまして、同じ土地改良等におきましても、やはり広大な地域に力を入れて、そうしてその生産性を高めてきたということは、これは争うことはできない傾向であったと思います。しかしながら、いつまでもこういうようなことをやるわけにも参りませんし、今御指摘にありました山間部方面の経済力はどうしても弱いわけでございますから、そこで今後の対策としては、その方面に力をいたさなければならぬ、こう考えてきておるわけです。本年度特に取り上げました問題は、御承知の通り東北もしくはその他の地区でもございますが、非常に国有林の多いところ等におきましては、先ほど御説明申し上げました通り、林道の普及もまだ十分にいきませんので、これは国有林の事業と民有林の開発と相並んで、これを進めるという意味で、関連林道等の施設を拡大していきたい。これも山村振興の一つの対策であろうと思うのでございます。  それからその次に申し上げたいことは、従来各種の振興方策がございまして、ことに畑作振興、傾斜地の振興等があるわけでございますが、この面におきましての進捗度というものも十分じゃございません。しかし今年は特に小団地の土地改良のなにを三分五厘の低利資金でもってやれるという制度を開いたのでございますが、これは三分五厘の低利資金ではございますけれども、もう一歩進んで相当の助成を伴った土地改良を促進するということも必要でございますが、われわれとしましては、昨年は二十七億程度の資金を今度は六十五億程度に拡大しまして、そうして小規模の土地改良等の経費に当てていきたい、これは主として山間部その他小団地の土地改良でございますから、これを役立たせたい、こう考えております。それから同時に、詳しいことはまたお尋ねによりまして当局からも説明させますが、畜産の振興、なかんずく酪農振興等は、やはり山間部の営農改善経営の、農家経済の安定のために役立つものでございますので、これを援助して参りたい、こう考えておるわけでございます。すなわち、林野の行政、第二段には今のような小団地開墾等の促進による営農改善、第三段には主としてまず畜産を加味したものにしていく、それから同時に本年は特に畜産関係におきましては、草地並びに牧野等の改良を特に打ち出したのでございますが、これらによって家畜の導入なり、同時にまた酪農の経営を安定させるということに着眼して、今度一歩を進めたわけでございます。同時に別途にまた本年は畑地の関係におきまして、土地の土壌調査、さらに土壌の改良、さらにまた北海道、東山地区等々におきましても、畑作の営農改善の計画等を立てさせておりますから、これらを重点的に山地地帯における施設の拡充に資していきたい。それからしばしば予算委員会等でも御指摘がありました通り、開拓地等は非常に不振地区が多いわけでございまして、今年は特に不振地区に対しましては、建設事業、あるいは電気の導入、低融資等の関係につきましても改善を加えまして、こういうことを合せて取り行っていきたいと、こういうふうに考えております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 いろいろと山村部の対策についてお考えになっておるようで、非常にけっこうでありますが、しかし私は基本方針として、総花的にお考えになることは、これは一番大事でございますから、そのことは否定いたしませんし、その方針でもって逐次やっていくことはけっこうですが、しかし盛りだくさんになってしまって、結果からみて焼石に水のような形で終ってしまっておる。だから何か重点的な施策を何カ年かの計画で逐次やっていくというような方法を具体的におとりになったらどうかと思うのです。理想は確かにあなたの言われたように、広範な理想をお持ちになっていいのですが、現実問題として、もう耐えられない気持を農村では持っておりますね。これは二、三男坊が親父のあとをついで百姓になり手がない、相続人でもそういう気持、二、三男坊は土地がなくてどっかへ出かけていく、こういうような実情であろうと思う。特に私は山梨ですが、山梨なんかの実情は、特に他の県と比べて産業経済の立ちおくれておる県ですから特にそうかと思いますが、この零細農家では、転落農家では、百姓が自分で米を買って食っておるというような形ですから、そういう農村地帯に国の政治の中で何か絶えず希望を持たせるような政策がありませんと、もう農業に対する意欲というものを全然なくしてしまうと思うのですね。ですから、もう少し規模を小さくして、具体的に促進できるような方法をおとりになるお考えはないのですか。またこの際新農村五ヵ年計画が樹立されて着々おやりになっておるようでありますが、たとえば山間部の方へ行きますと電話がなくて非常に困る、最近有線放送電話施設というのが盛んにやられておりますが、これに対する補助金等をみましても、まだ私は不十分ではないかと思うのです。特に電電公社がおやりになっておる農村公衆電話というものも最近非常に喜ばれておるのです。こういう問題についても電電公社当局と絶えず連繋をとって、病人が出ても医者を呼ぶのに二時間も三時間もかかるというようなことで、実際尊い人命を失ってしまうということがあるのですが、そういう私はほんとうに見捨てられた地域に対する何か国の政治の恩恵というものを現実的に反映してもらいたいのですね。これは非常な苦しみの中でやっておるのです。後ほどまたちょっと触れたいと思いますが、一生懸命蚕を飼ってやっていると、途中で状況が悪くなったということでまた転換しなければならぬということで、そういうふうな具体的なしわ寄せが、現実にこういう問題がそういう山村にも響いておるのです。逆に政府のあたたかい政策ということになりますと、幾ら待っていても見殺しにされてしまうのではないかという切実感を持っておるのです。ですからそういう点、せめて交通通信の不便なところには、もう少し農林省として積極的にそういう施策をして野良から帰ってきて非常に不便な生活をしている人たちに、そういう文化の恩恵に浴するような方法として本来は郵政省の使命かもしれませんが、そういう点を農村五ヵ年計画の中でお立てになって、農林省としては、もう少し積極的におやりになったらどうか、私はそういう気持もあるわけであります。今大臣のおっしゃった理想は私はいいことですし、また現実的に着手されたことについては敬意を表しますが、もう少しぴりっと響くような施策を何かおとりになれないものですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 先ほども御指摘になりましたことですが、二年前からやっております新農村建設計画などは今御指摘になったような町村を対象にして、まさに総合的に進めるべきだと思います。そこに先ほど申し上げましたものを付加して、その当該の村の中堅分子によって運営されていくというのが望ましい姿でございまして、現にそれらの地区における青年の人たちの活動というものは非常に顕著な例もありますので、考え方としましては、われわれの方としましては、今後これらの問題と取り組みまして、われわれとしては基本的な考え方としてそういう方に持っていきたい。往年昭和の初年度には経済更生運動という一つの大きな民間側の自主的な運動に即応して特別助成もいたした、そうして難局を打開したようなことがございますが、今御指摘になりました、あるいは無電話部落の解消、これは実は農林省等も非常に主張しまして、党の政調を通して電電公社方面に計画の拡大をお願いするというようなこともいたしておるわけでございます。それから同時に、若干ではございますけれども、電気導入施設を農林省自体としても助成したのもそういう一環でありまして、こういうようなものを総合的にして、その中核をなすものは新農村建設のようなあのような計画にしておいて、そして政府の財政支出もあるいは投融資も、同時にまた各省にわたるそういう計画も総合してこれを建て直すということにもっていきたいと考えておるわけでございます。これらは、今後拡大して参ります場合には相当な国の財政の支出等も予定しなければなりませんので、あの調査会等で一応の基本的な考え方をとりまとめて、具体的にそういうものを下に及ぼすような考え方で進みたい、かように考えておるわけでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 私は国家予算の中に占めるパーセンテージを先ほどお尋ねしたのでありますが、なるほど当初予算に比べてその額はふえております。しかしながら、総体的に予算の占めるパーセンテージというものは、三十三年度から比べても〇・二%というのは低くなっておる。ましてや昭和三十年当時の九・五%から比べますと、これはもう年々歳々減っているのですね、これを見ると、九・五%からずっと減ってきて七・五%になっているという、こういう事実ですね、これは。農政というものに対して国が本格的な力こぶを入れていくとするならば、総予算の中で占めるパーセンテージがこんなに年々歳歳少くなっていくということは納得できませんよ。あなたが努力されたことは私は認めますけれども、政府全体として農政に対する考え方というものがなまつちょろいと私は思うのです。少くとも年々歳々前進していくならばいざしらず、後退していくというのは、私は予算の組み方に対してまことに納得ができない。こういうのはどこに原因があるのですか。あなたは担当大臣として、大きな理想を持ち、また、現実に塗炭の苦しみにあえいでいる農村を救おうという施策をお立てになっていると思うのですが、そういう意見が自由民主党の農村政策としてなぜ積極的に出せないのですか。私は非常に奇異に感ずるのです。こんなばかな話はないのですよ。幾ら理想を説いてみたって、これじゃ国民は納得しません。どういうわけですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは、農林予算の実質的な変遷を一面においてごらん下さるとわかるのでございますが、往年の予算の相当分を占めたのが、二十八年災処理の継続の事業等が相当に大きかったというのも影響しております。それから同時に、土地改良等につきましては特別会計等に移した分もあるわけでございます。しかし、御指摘になった通り、総予算の比例の下っておることは、これはもういかに弁解しても否定できないことでございます。私の努力の足りぬ点ももちろんございますが、一つはやっぱり政策の重点と申しますか、社会保障等の面に相当の金をだんだんつぎ込むということ、それからまた減税、国民の負担の軽減との見合について相当やっぱり変ってきているということこれはまあ否定できないだろうと思いますが、われわれとしましては、もう少し拡大し、さらにまた思い切った施策をするのじゃなければ、農山漁村方面の経済事情が悪化して、救うべからざる地位に落ち込んだときになってくると、これは手がなくなりますので、われわれとしましては、今の鈴木さんの御指摘になったように、事前にもっと確固たるものを打ち出したい、こういうことで、今後とも極力努力を払って参りたい、かように考えております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 私たちが毎年予算を審議する場合に、去年も指摘をし、ことしも指摘をし、その前も指摘すれば、歴代内閣大臣がそういう答弁をされておるのですよ。来年は一つやりますと、御期待に沿いますと、こういうことを言っておきながら、ふたを開けて見ると、こういうわれわれの期待に反するような、またあなた方の期待に反するようなものが出てくる。これは税金をどうこうといったって、例の法人の税金の問題にしても、あなたが本会議のほうでいろいろ答弁されておりましたが、一般の中小企業なんか、これは法人組織なんというのは、厳密に言っていけばいろいろ問題があるんです。それにもかかわらず、農家にだけそういう無理な法解釈を押しつけられて易々諾々としているようなことじゃ、これはもってのほかだと私は思うんです。まあすでに決定されてここへ出てきているんですが、農業予算というものが非常に少ない。これではあなた方の言われていることが実現できないと僕は思うんですね。これはあなたが今努力するということで、これ以上私はもうどうにもならんと思いますけれども、ひとつもう少し国全体として重点施策の中に入っている農政に対して、予算というものを思い切って取ってもらいたい。思い切って取れないかもしれません。まあ社会保障もやるし、いろいろあるかもしらんが、総体的に農民が沈滞をしてどうして今のもやもやしたものを突き抜けていくか、こういう気持があるときに、多少なり国家予算の総ワクの中から見て農林施策というものが前進しておるという姿が出なければたとえば〇・一%でもこの予算というものがふえていくならいざ知らず、なんですか、五年間の間に毎年毎年減ってしまった。極端に言うと、二%も減っているじゃないですか。そんなばかな話はないですよ。だから、もうちっと自民党としても、農民の問題についてはよく言われているので、こんなばかげた予算を編成されては非常に迷惑だということを申し上げて、私は、今後の内閣全体としての御努力とあなたの積極的な御推進をお願いしておきたいと思います。  それから、きょうの新聞にも出ておりましたが、農地の確保の問題でありますが、これは非常に大事なことだと思います。ですから、この御推進はけっこうだと思うのでありますが、ただ、よく最近まで言われておりました旧地主階級が昔解放した土地の補償をしてくれないかと、こういう動きがあるようであります。これらの問題については今農林省としてどういうお考えでありますか、補償する意思があるですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これはもうしばしば私からも言明しました通り、それから従前の農林省も方針を明らかにしております通り、かつてありました農地の解放は、これは合法的で合憲的にやっておることでございまするし、同時に補償等につきましても二十八年の十二月二十八日の最高裁の判決もあるわけでございまして、われわれはこれを支持して参る。したがいまして、農林当局といたしましては、補償をし直すというようなことは、もしくは補償に代るような制度を新しく取り入れるという考えはございません。ただ、今出ておりますものは、やはりあれは近年一番のあれだけの一つの社会的革命とも言うべき事態であったわけでございますから、そうしますと、いろいろな問題が起きておることは御承知の通りであります。したがいまして、その面にまあ心やりをやる。それには事情を調査してみたいと、こういうようなことでもあり、そうしてこの事情を調査した結果いかような考え方をすべきかどうかと、これも全然予定をしておらんわけでございまして、補償するとかせんとか、あるいはどういうことをやるとかというようなことをせないで、もう少しこれを冷静に調査をしてみたいと、こういう考え方であの調査会等も出ておるわけでございますが、農林省としましては、今御指摘になったような補償するような考えは絶対にございません。

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) この際申し上げておきます。農林省の大臣以下各関係の長官、局長のほかに、大蔵省から担当の高木主計官が来ておりますので、申し添えておきます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 それから、三十二年度の決算検査報告というのを会計検査院からいただいておるんですが、この内容を見ますと年々のことでありますが、農林省関係に対する指摘事項が非常に多い。しかもその内容を見てみますと、絶対許すことのできないような内容があるわけであります。おそらくこれは決算委員会の方でいろいろ問題を提起しておると思いますが、私はきょうはその詳細なことは申しませんが、少くとも農林関係の予算の中に、国の補助にかかるというこの費用の使途について、こういう多数の批難事項にあげられるということは、これは許すことのできないことだと思うのです。さなきだに少い農政予算の中からこういう事態が起きてくるということは、国民として許すことはできません。皆さんは年々歳々のことでありますから、これを多少改良すべき点は改良すべき方向には行っておると思いますが、現実にこういう事態が次々に発生することに対して大臣はどういう責任を感じておられるか。そうしてこの原因をどう分析されて、それに対する対策はどう立てられておるか、これを一つ。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 検査院等からの御指摘のように、農林関係のこの批難される事項は、一般公共事業費の助成の問題、それから共済保険の関係のことあるいは食糧管理特別会計のこと、それから国有林野関係等でございまして、百四十四件、二億円余の金高について指摘を受けておるのでございます。実は三十一年度の場合におきましては六百件以上にもわたりました。それが三十二年度になりますと件数は百四十四件に減って参っておりますけれども、依然百件に余るこういうように批難事項を受けておりますが、これは非常に国民に対しましてももちろんでございまするし、ことにわれわれとしましては、行政庁としましては、国会に対しましても遺憾に堪えないわけでございます。これは実は農林省におきましても、早期に調査し、その実体を明らかにするような研究方法を改めまして、そして事前に早くこれを予知する。そして同時にその間に指導の徹底を期したいということで改善の方途を加えて参ってきておるわけでございます。同時に御承知の通り、これを農山村関係ものは非常に多岐多端でございます。のみならず町村等におきましては、事務になれないために相当あるわけでございまして、これらにつきましては常時われわれとして指導啓蒙していく。同時にまた取扱いする職員等につきましても、法規についての練成であるとか研修であるとか、あるいは事務の修練ということにつきましても、それぞれあるいは講習所を設けたりあるいは研習会を開いたりして事務と人間の陶治ということで、両面にわたって改善を加えてだんだんきておるわけでございますが、未だにこれは根絶できないことは非常に遺憾であります。で、私もかつて農林省の職員としていたことがあるのでございますが、実はこれはもう国民とのつながりが非常に深いものでございますから、従前とても非常に綱紀を粛正維持していくということ、それから執務の厳正をとるということは過去におきましては伝統的なことで努めてきたのでございますが、未だかように根絶しないのは遺憾でございまして、われわれとしまして一そう督励も重ね、同時にまた事務の刷新と同時にこれを担当しますものの人物の陶冶鍛練ということに注意しまして、そして同時に関係します国民の人々にも迷惑をかけないようにして参りたい、こういうことでございます。この点を御了承いただきたいと存じます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 私は一千数百億の予算を執行するわけですから、さらにそのほかに財政投資の面もあるわけでございまして規模の大きいこともわかります。しかし、こういう事態が不可抗力的に発生したものは、これは神様でない限り間違いがあるでしょう人間は。そういう点を指導啓蒙して、そういうことのないような対策を立てることは当然でありますが、しかし、内容を見ますと、公共事業に対する国庫補助の使い方等についても全くその目的に沿わないようなものをやってみたり、それから災害事業とは認められないような改良工事を平気でやっているようなことをしているのです。これは今年だけではなくて毎年指摘されている、こういうことは私は不可抗力とは言えないと思うのです。これは明らかに農林省の機構の欠陥があるのではないですか。人間を訓練するということはけっこうですからやっていただいてけっこうですし、やってもらわなければならぬと思いますが、今の農林省の組織の中で、今大臣のおっしゃったような、事前にそういうことのないように組織的な検査制度といいますか、そういうものはどうなっているのですか。私は不思議でたまらないのですよ。不可抗力ではないのですよ、これは。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 実はこの内容をよく御検討いただくとわかるのでございますが、農林省みずからやっているいわゆる直轄事業そのものには非常に少い。これは幸いなことでございます。多くは助成、補助事業にこの批難を受ける、こういうことでございまして、補助する場合の取扱い等につきましては瑕疵があるということもこれは絶無ではないと思うのです。ただ相手方が公共団体もしくは関係の農民の団体等でございますので、その方面にやはり事務の練熟しないという点、ことに災害当時等におきましては人夫賃の整理等が往々にして不十分である。これがつまりあとで爬羅剔抉されまして、そうして違法であるという批難を受けることが多いわけでございまして、これら等につきましては、実はわれわれだけではこの制度の改善ができない面もありますので、やはりそういう場合には公共団体方面に対しましても適切な指導をしつつ誤まりのないようにさせませんと、助成するためにかえって町村長その他が刑事事件に触れるようなこともあるものでございますから、われわれとしては十分に注意していきたいということです。  それから上段の機構の整備でございますが、まあ一時はこの意思決定をする係も金銭出納をする係も同じ者がやっていた。世俗の言葉で言うならば、どんぶり勘定みたいなことでしておったということがこれはあったと思います。今日では意思決定をする者と支出をする者と検定する者と、だんだんこれを分けて参りまして、その弊害が避けられてきている。さらに機構改革となりますけれども、現在の六局、それから膨大な外局を持っているわけでございますが、その内部におきます組織は、少くとも金銭の出納等に関します限り、意思決定をする者と出納の責任を負う者と、同時にその最終的な決定をする前に監査的な機能を持つ者と厳格に分けて、そうして執務の適正を期したい、かように考えておるわけでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 そうしますと、組織機構上の欠陥はないというのですか。それとも欠陥があればその点を是正しようとするお考えかどうか。これはもちろんあとからちょっと触れますが、公共事業費等の補助については国庫負担の分と地方自治体の占める分と合わさってやっていくと思うのです。ですから、もちろんこれは地方自治体の協力を得なければならぬわけですが、少くとも国家が補助する金については、その使途が公正、妥当、適切にやられるように、これは重大責任を持つのはあなたのところでしょう農林省でしょう。そういうことが地方自治体との関連の中で組織的にどういうふうになっているのか。要するに、私は人為的な面もあるかもしれませんが、相当部分はやはり機構上の欠陥があると思うのですよ。こういう問題については。ですから監査組織にしても、流れた橋をすでにかけてあるやつを今度水害によって流れたごとく見せかけて、それに対して予算を要求していく。そうしてそれに対して補助金を出すというようなことが、去年か三十一年度かにありましたから指摘されているのです。こんなことは監査組織というものがはっきりしておれば絶対に免れることなんですね。ですからそういう農林省と地方自治体との監督指導という立場がどうなるのか、それから農林省自体としてやられる直轄工事の問題もありましょうし、機構内部における監査組織といいますかこういう点をやはり整備せぬと問題があると思うのです。要は人間、事業は人ですから、人に適材を得るということが大事でありましょうが、やはり人間のやることですからあやまちもある、その点をカバーしていくのがやはり組織の完備だと思うのです。そういう点で私はやはり機構の改革の必要があるというふうに見ておるんです。これはただ単に農林省だけでなしに、各官庁ともたくさんあるわけですが、特に農林省の場合には多過ぎるんですよ、これは。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 最近におきまする災害の調査等につきましては、農林省のものばかりでなく、大蔵省の財務局の方面と共同調査をするということで、その弊害が非常に避けられて参りました。これは機構の一つの改革と申しますか、運用上の改善であります。それから部内におきましてもいろいろの職名のものがございますが、考査官であるとかあるいは副考査官、それから地方の農地局にも監査官等を置いておりますが、たとえば地方の農地局の監査官は十四人程度置いている。それから食糧庁におきましても八人、それから補佐が八人、林野庁におきましては九人、営林局におきましては五十一人の監査官を置いている。補佐官を入れますと九十三人、こういうようなことでやはり監査事務を厳正にしておる。(鈴木強君「少いなあ」と述ぶ)まあ今、少いとの御指摘でございますが、こういった面の職員はなかなか取りにくいということはこれは御了承をいただけると思うのです。同時にまたお互いにただ単に爬羅剔抉するということでも庁内の空気もこわすわけでございますからして、必要な要員は置かなきゃならぬ、こういうことにしておる。先ほど申し上げました通り、特に早期に町村の方面にどういうふうに、まあ助成金等は、いっているかというようなことの調査もさせておる、そういうことでやっております。先ほど言うた通り、ことに金銭の出納を伴います場合には、ダブル・チェックの制度をとりまして、そしてやるということは必要であると思うし、それから町村の方面の執務の指導はぜひともやっていかなきゃならないということで、だんだんまあ六百四件あったものがとたんに百四十四件まで減ってきたというのも、これは努力の現われだと思いますが、根絶するように今後とも努力して参りたいと思います。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大臣のお考え方の中に私は大事な問題があると思うのですが、これは九十三名ですか、今監査というか監査的な要員があるそうですが、それじゃ私は非常に少いと思うのです。なり手がないとおっしゃいますが、この制度というのは何も悪いことをするからこれを摘発していくのだということじゃないのですよ。一つの考査的なやはり建前をもって、絶えず指導監督をしていく、要するに相談相手になっていくということだと私は思うのですよ。そういう意味のやはり監査というものの見方が非常に最近誤解されてきているんですよ。私は戦前のようなあげ足とりのような悪いことをしているやつを摘発していくんだという監査には反対なんだ。私はそれよりもむしろ絶えず考査的に指導育成してお手伝いしていく。よくその推進の話相手ですな、相談相手、こういう意味の制度でなければいかぬのです。それが監査という何かえらいような特権をもって地方へ行ってえばりくさったりするから、地方からきらわれてくる。だからそういうところへ行き手がなくなるという、そういうものじゃないのです。私はもう少しこれだけの膨大な組織を持つ予算を執行する省として、九十三名程度の私は監査要員だとすると、これは非常に少いと思います。もう少しそういう陣容を強化して、絶えずその考査的なものをやっていくという中に、この事故が未然に防がれていくのです。なるほど四百何件から百何件に減った、これはいいじゃないかとおっしゃるけれども、そんなことはとつくの昔にやるべきであって、自慢にも何にもなりません、今ごろになって。ないのが当りまえであってあるのがおかしい。これは人間のやることですから、私はさっきから言っているように、無理なことを言っているのじゃない。そういうものをなくしていかないと、われわれ予算を審議していくに当って、またその中に何億かのそういう批難事項にあげられる不正の指摘がされることになったら重大問題です。私はそういう意味で、この問題を取り上げているわけであります。機構的な不備、欠陥等がありますならば、さらに私はもっと研究して監査制度といいますか、そういうものについても、もう少し私は省全体としてお考えをいただいて、適切な措置をとっていただくように、特に私はこれはお願いしておきたいのです。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 先ほど、なり手がないという意味じゃなかったのです。これはなかなかかような人件費は取りにくいという苦心をまあ申し上げましたわけなんです。同時に監査組織を強化し、そうして適正を期するということについては、当局としましては異存がありませんのみならず、その線に沿うて今後も整備して参りたいと、こう考えます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 その次にお尋ねしたいのは、さっきも説明の中にありました農業共済団体の職員の身分の問題ですが、これは御承知の通り非常に不安定で、今この団体から相当意見も出ていると思うのです。これに対して私たちが聞いているところによりますと、共済保険関係の予算として、特に事務的な費用になると思うのですが、百二十七億円をぜひ確保してもらいたい、こういう要望が農林省にもいっていると思う。大臣もこれをごらんになっていると思うのですが、ことしはこの予算についてはどうなっているのですか。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) 農業共済関係の事務費予算につきまして、年々この増額方の要望のありますことは、私どももその趣旨を体しまして、実現方の努力はいたしているわけでございます。本年度の場合におきましては、特に人件費につきまして、他の関係団体の職員との均衡もはかります趣旨からいたしまして若干の増額をいたしたのでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 何ぼですか、その増額は。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) 昭和三十四年度は、一カ月一人四百五十円でございます。これは新号俸におきまする約一号分弱に相当する額でございますが、このために総経費といたしましては八千四百六十七万五千円を計上いたしたわけでございます。その他共済事務費関係では、あるいは家畜共済におきまする診療所の整備でありますとか、あるいは麦の損害実査をいたします経費などがありまして、それらの関係につきまして、若干の額を増額いたしております。しかしながら(鈴木強君「若干て幾らですか」と述ぶ)八千四百六十七万五千円でございます。総体では国の事務費補助の増額は約二十三億円になっております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 その人件費の面で多少、一人四百五十円程度ふやしていただいたことは非常にありがたいことだと思うのですが、しかしこれらの共済組合の職員諸君が切実に要求しているものは百八十七億だと私は思うのですね。従ってその二十三億ということですと、全然問題にならないのですがね、これはどういうふうになっているのですか。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) 百二十七億と申しますのは、これは農業共済全体の独立しての要求でございまして、事務費だけでは、ございません。その中で事務費に相当いたしますものは約二十三億でございます。あとはいわゆる支払金に対しまする国庫の分でありまして、事業費に相当いたします。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 そうしますと、全体の予算は幾らになっておりますか。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) 昭和三十四年の農業共済関係の全体の予算は百八億五千四百万円でございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 それからこの職員給与の改善を今多少増額をしていただいたようですが、定期昇給というのは今ないのでしょう。ことしはこれはどうなりますか。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) これは各団体でそれぞれ基準を設けまして処理をいたしておるのでございまして、特に国費補助の面から定期昇給というような考え方で予算をつけるという方法はとっておりません。年々若干ずつ改善をはかって参っておるわけでございます。共済個人の場合は三十三年度、今年度の秋若干改善をいたしたわけであります。予算との関係におきまして、可能な限度におきまして年々若干ずつの改善をいたしております。そういう実情にあります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 あの定期昇給の分はほとんど見られておらないと思うのですね。ですから、こういう点も若干の増額をするということなんですが、それが幾らになるかはっきりわかりませんし、やはり農業共済団体職員の身分を安定してやるという方針を農林省としてもお持ちなんですか。たとえば雇用とか任免とか、そういったような規定も整備してもらいたいという切実な要望もあるわけですね。そういう点と合せて今後これらの職員に対する身分の安定政策というのはどういうふうにお考えになっているのです。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) 各団体通じまして一つの統一的な基準を持ちまして身分安定の措置をとって参るということは、現在の段階では私どもといたしましても実際問題としては非常にむずかしい問題になろうかと思っておるわけでございます。ただいま申し上げましたように、現実には国費で二分の一なりあるいは三分の一なりの補助をいたしておりますものにつきましては、国費の裏打ちがどの程度に裏打ちされて参るかということによりまして、実際の待遇が変って参るのでございます。年々そういう方法によりまして逐次改善をして参るということに努力をいたしておるわけでございます。ただこれは十分御承知のことでございますが、農業団体関係職員全体を通じましての共済制度につきましては、昨年法律を作りまして、本年の一月一日から実施をいたしております。すでに事業開始をいたしまして約二十八万人程度が恩恵を受けておるわけでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 この際大臣にちょっと今後の問題がありますからお尋ねしておきますが、これらの職員の身分を安定するということは一番大事なことだと思うのですが、今お話を聞きますと、国の補助を支給するのと、それからそうでないのとあるわけですから、基本方針というのはきめにくいと思います。しかし、こういう形で放置することもこれはいけないということは大臣も同じと思いますから、何とか近い将来に、これは日は限定できませんでしょうが、身分の安定を期して、雇用関係とかあるいは昇給の問題等についても合せて各般の安定策というのを十分御検討をしていただくことを私は期待するわけなんですが、大臣はどうお考えになりますか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 農業団体におきましても、これは団体によって区々でございますことは御承知の通りでございます。まあ農業協同組合等でございますると、みずからいろいろな事業を経営しているということで一番これはいいわけでございますが、この内部を見ましてもなかなか不十分である。ことに共済事業等の場合には負担が相当重いものでございます。同時にまたいわゆる収益事業というのは全然ない、こういうことでございますから、おのずから待遇が悪いわけでございます。当初この事業が想定される場合におきましても、ある程度の発達の過程までは国で助成をしてほしいというので、この道を開いたのでございますが、だんだん拡大するに伴いまして職員も拡大する、そしてその給与等も変って参るということで非常な苦境に入っているわけであります。ことに共済組合等は年来手遅れになっておりましたので、それでことしは何とかして苦干でも前進させたいというので経済企画庁も熱心に努力しましてこの程度になったのでございますが、できまする望ましいことは、各団体等に均衡を得た、同時に農村に働いているのでございますから、均衡を得た待遇を受けるということが望ましいわけでございます。われわれとしましてもこれは検討してはみたいと思いますが、財政の関係等もございますので、にわかに画一的な非常な安定したものを得られるということは困難であろうとは思いまするが、われわれとしましても十分にこれは考究して今後の改善の道を求めたい、かように考えます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大臣の御意見了承いたします。今後一つ努力していただきたいと思います。それから同じような問題で農業委員会のことなんですが、これは二十六国会で改正になりましてその目的が明らかになり、しかもその目的を達成するために努力を非常にしていただいていると思うのですが、聞くところによると、どうも農業委員会の機能が十分に発揮できない、これは特に委員会の事務費関係が多いと思うのですが、そういう状態ではせっかく作られた農業委員会というものの使命を殺すことになると思うのですね。もう少しこの委員会に対する積極策というものは立てられないものですか。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) 農業委員会の運営はただいま御指摘のように私どもといたしましても非常に苦心をいたしておるのであります。来年度の予算編成につきましても、農業委員会の予算は率直に申し上げますと、最後まで残りました最もめんどうな問題であったのでありますが、私ども基本の考え方といたしまして昨年の国会でございますか、農業委員会法を改正いたしまして、これにいわゆる今後の農業振興計画の樹立推進という仕事を新しくつけ加えたのであります。この案といたしましてはこの事業の推進を中核にいたしまして、いわゆる農業委員会がとかくありがちな一種の何と申しますか政治的な動きだけに走るというようなあり方ではなく、実際に振興計画の樹立等を通しまして、農村に、地に足のついた仕事を進めて参りたいという考え方でおるわけであります。三十四年度の予算の中では、新らしく農家台帳の整備という仕事に相当の経費を注ぎ込んだわけでございますが、この場合の考え方も、いわゆる今後の農業委員会のあり方といたしまして、そういう方法と手段を通しまして、実際に地に足をつけて仕事をしてもらうというふうに考えたわけでございます。農業委員会の予算は組合数は市町村合併等で相当数減ったのでありますけれども、総予算につきましては前年度を下回らない額を計上いたしたわけであります。われわれといたしましては、農業委員会の活動推進については非常に苦心をしながら努力はいたしておるわけであります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 今お話の中に政治的に農業委員会が利用される、それは絶対あってはいけないことだと思うのですが、ですから、そういう面の指導はあなたの方でおやりになっておられるわけでありますが、特に今お話の中にありましたように、振興政策に対する推進は農林大臣が諮問されて、それに対する答申も出ていると思うのです。その答申を生かすために農業委員会が活動しようとしても、これはうまくいかぬ。もちろん今運営上、政治的に利用されるとか、政治的に動きやすいとか、そういうことは現につつしんでいただくことは、行政的に指導していただくことは当然でありますが、だからといって活動ができないということであっては効果がないわけでありますが、これらの委員会活動に対して、もう少し予算等も増額をして、思い切り活動できるような態勢を作ってやらなければいかぬと思います。多少町村合併によって委員会の数は減ったかもしれません。しかし一面事務量を見るとずっとふえていますよ。個人一人を見ましても、私たちのところにこんなにたくさん陳情書が来ていますから、農業委員会からも、それが異口同音に、事務員が非常に少くてやれないということを訴えておるわけでして、期待をしておったのですが、昨年を下回らないということで、われわれとしては非常に不満足です。もうちょっとやることはたくさんあるわけですから、御困難なことは私了承できますけれども、もう少し本腰を入れて活動ができるようにやって下さい。大臣はわざわざ諮問して答申が来ているでしょう。その答申を読まれたでしょう。その答申を推進するために、やはり裏づけをしてやらなければいかぬじゃないですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは農業委員会には諮問いたしました。これは基本問題について取り組んでほしいということが骨子でございますから、今後これを取り上げて参りたいと思う。ただ私、この農業委員会がだんだん発展しまして、今日農業会議所のようなことに変ってきたのですが、これは御承知の通り、農業会議所の法制というものは、これは御承知の通りでございましょうが、むしろ欧州の大陸系の法制なんで、英、米の方では協同組合を中心にしている。ところが農業会議所の法制は大陸系統の法制でございます。ところが日本の方での農業会議所の方の考え方は政府の助成も必要ではございましょうけれども、自分でもって負担するという建前になっておらぬのですね。それですからここに一つの欠陥があると思うのです。ドイツ等にありまするランデスカンマー等も公益的な働きをしております。しかし日本の発達してきた農業会議所等と比べてみますと、非常に径庭がある。このかけ隔てが多い。それで私はいろいろ幹部等につきましても相談しておるのですが、農業委員会等は、これは御承知の通り、政府の補助機関的なものからだんだん発展してきた。もしもほんとうに農業委員会が農業会議所というものを改組してそして、公益的な農村方面の仕事をやるというのであったら、これはやはり一段ともっと考究しなければならぬのじゃないかと思います。しかし、この方面での自分たちの働きに対しまして国の助成をほしい、国の援助がほしいということには変りはないのでございますが、本質的にはこれらの法制等も十分に考え直していきたいと思うのですが、しかし、今のところ、まだ農村方面ではそこまではまだ空気が熟しておらぬと思う。そこで押しつけがましい仕方をしても十分にいきませんから、今後よく農業会議所の指導的な立場をとっておる方々とも話をし、関係の人たちのだんだん了解も得て、これを改組しほんとうにふさわしい農業会議所的なものにしていきたいというのが私の基本的な考え方であります。同時に国の助成等も、もちろん考えなければならぬことでございますから、あわせて検討し、考究し、同時に改善をはかりたい、かように考えております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大臣のお考えも基本的な委員会のあり方に対する御所信も含まれておりまして、これは傾聴に値すると私も思います。そういった法制度の改正等は、日本の農業の実体に即しませんと、あなたが御指摘になっておるように問題があろうかと思いますから、これを非常に慎重に御検討していただきませんと困りますから、この点を一つ今後の研究課題として十分農林省として御検討していただくように要望しておきます。  時間がなくて恐縮ですが、最後に一つ移民対策についてお尋ねしておきたいのですが、海外への農民の移住は非常に大事なことと私は思います。特にアメリカあたりを回ってみまして、例の短期移民の御苦労等につきまして、私たちは現実に目で見てきております。昨年もこの問題について農林省の意見を伺ったのですが、どうもまだ日本の農業移民については基本的な対策が立っておらぬと私は思う。もちろんこれは一般国民の海外移住の問題と大きな関連があるわけですから、ただ単に農林省だけの問題ではないと思いますから、政府全体として、国全体としての基本的な海外移住の方針をお立てになることは当然でありますが、そういう中にあって、いわば暫定的に短期移民なんかをやっておられると思うのです。こういう人たちの動向等について昨年も私は要望しておったのですが、やはり出先と、これは外務省の方の管轄になるかもしれませんが、そういうところと連係をとって基本方針を検討すると同時に、今やりつつあるこれらの移民政策に対して、もう少し私は根本的な対策を立てる必要があろうかと思います。具体的に時間がないから言いませんが、多少私の言い方がぴんと響きませんかもしれませんが、実際カリフォルニアあたりでやっておる姿を見ますと実にひどいものです。これは最近何人か送還されたということもございますけれども、実情は私はただ単にそれらの人が素行が悪かったとか、行き過ぎがあったということでなしに、ほんとうに気の毒に思うくらい、実体を見ますと直観的に感ずるんですね。これは移民はさせるがあとはあまりめんどうをみないということであってはいけないと思う。そういうところの欠陥もあろうと思うのです。ですから、農林省として多数の農民を海外に移住していただく、これはやっていただかなければならぬことと思いますが、そういう方針というものは、きちっとおきめになっておられるのですかどうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 今御指摘になったのは、短期移民を主として御指摘でございましたが、これはやる前に相当やはり予備調査もしたり、連絡を取って、そうして向うでの働く条件等をみましてやったのでありますが、やはり現地におきますると多少そこに差が出てくる。賃金の決定につきましても労働条件についても、そういう事実があろうと思うのです。これは今後とも常時連絡の方法もございますから、そうしてその実情をよく見て、今後短期移民に出します場合でも痛ましいことがないように努めていきたいと思います。なお私のほかに担当の局長からも説明いたさせます。  次に一般の移住民の問題でございますが、昨年八月ごろ、移住対策につきまして関係省の間で話を取りきめまして、そうして若干の説明を加えました通り、来年度からは移住の内地関係の仕事は農林省が一元的にやるということにいたしました。すなわち募集それから選考、訓練、これは農林省でやるということ。それから同時に、出ます場合にやはり郷里との経済関係を清算してやらなければならぬわけでございます。これは満州移民等につきましては特段の配慮をしたのですが、今後におきましても同様でございます。出かける人が若干の田畑を持っておる。そのほかに宅地を持ったり、あるいは山林を持ったりしておるわけでございますが、これらの問題をきれいに処理してやらないと安心して行けないということ、こういうことでございますので、これらにつきましても農林省が責任を持って世話するということにしたわけでございます。その一つのものとしては、まあ出ていく場合に耕作地でございますと、自作農の創設資金を運用しまして、そしてあとを引き受けさせる人に、場合によると負債まで持たせる、そのかわり田地は移譲させてやる、そのほかの宅地、山林等については今度別途の移住基金等の方面の裏づけによって、そして負債整理もさせるというような、こういうこともさせたわけでございまして、若干の経費でございますが、本年は三千万円程度でございますが、移住資金に対する一つの保証制度を開いてきたわけでございます。同時にこの移住協同組合等もだんだんできてきておりますが、これらは土地の購入までして、そして準備して入っていくことにもしたわけでございます。従来は一切外務省の移住局でやっておったのですが、実際この問題では外務省の人たちを非難するわけじゃございませんけれども、そういう方面になれた人はおいでにならぬということもあったわけです。今度は外務省の移住課長にはこちらで練達の者を向うに転出させる、同時に内地の関係のことは一元的に農林省で世話してやる、こういうことにしたわけでございます。御承知の通り、オランダあるいはイタリア等では厚生省ということで、一元的に大々的にやっておるわけでございますが、今度の改正によりまして、やはり移住の進め方は一つの新段階に私は伸びたと思います。今後これをもっと整備して、そして一万人を目標としてのなにを、とにかく日本人を歓迎してくれる方面にはぜひ出していきたい、こう考えるわけであります。なお、短期移民等についての御視察等のことについてはわれわれも心配しておりますが、この問題についての扱い方については振興局長からお答えさせます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 ちょっとその前に。私はワシントンで農業次官というのですか、向うの政府の方と会ったことがありましたが、そうときに、日本の人口問題に関連をして、アメリカが相当広大な土地を持っておるのです。一億七千万ぐらいしかおらぬのですから、何とか日本の移民を積極的にやってもらえないかという話しをしたことがあったのです。そうしましたら、そのときにやはり日本人は島国根性を持っている、一旗あげて日本に帰る、こういうふうな思想を持っているのじゃないか、こういうことを向うで言っておりました。私は、いや、それは昔は、移民制度というものがやられた当時、多少そういう傾向があったかもしれませんが、最近においてはそうでない、アメリカに来て星条旗のもとに土になろうという、やはり固い決意を持っていきたいという人たちがいるのだから、こういう話しをしましたら、そういうふうになれば、それは土地はありますよ、こういう話しを非公式に伺ってきたのですが、大臣のお話しの中にもありましたように、やはり出ていく人たちが日本にまた帰るなんという気持を持たないように、やはり向うに行って積極的に協力していく、永住していくという態勢を持たせるための施策が欠けておる、その点は三千万円ことし予算を計上されておるようですが、これは非常に不十分であって、これからどの程度の移民計画があるかよくわかりませんが、それとの関連で三千万円が多いか少ないか論じなければならぬ、そういうことが出てきたことは一歩前進だと思います。だから大臣の御所見と私も同じなんです、考え方は。そういう意味で積極的にやっていただきたい。で、これは日本政府の窓口というやつが幾つも分れるということはまずいと思う。ですからこれは移民局を作ろうという意見も、移民局というか、移民省ぐらいを作ったらどうかという意見もあるぐらいなんです。そこまで発展するかどうかは別といたしまして、やはり政府全体として、この移民問題に対して積極的にタッチしていく、たしか御指摘になったように全然農民のことを知らぬ人たちに窓口をまかしてやったって、これはうまくいくはずがない、その人たちの心情というものもぴんとこないんだから。その人事の交流をおやりになったことはけっこうです。できればもう一歩進んで移民省というようなものを作って、大々的に海外に向って日本の人口問題と関連しておやりになることを私は大臣に期待したい、そういうことは全然お考えになっておりませんか。それから短期移民の問題について、今三年間ですね、三年たつと原則的にこれはどうなるんですか、向うに永住したいという人たちはそのままおれる、それから日本に帰ってこようという人たちは日本に帰ってくる。ただ私が心配するのは、永住する人たちはいいが、日本に帰ってくる場合にアメリカの農業というものは機械化ですよ、トラクターを動かして、野良に行くにも自動車に乗って二町も三町も先まで行って、平均二百町歩ぐらいの耕地面積を持っておるんですから、そういう土地で習得した農業技術というものは、日本に来た場合に当てはまらないと思うんです。だから原則的に永住できるような仕組みに立ってやっていただいていると思うんですが、そういう点はどうなっているんですか、この点もさっきの質問にあわして答えていただきたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 前段のお尋ねでございますが、これは日本の国策としてどうしても移住政策を推進しなければならぬと思う。しかしどうも海外とのやはり外交折衝で。ございますから、日本の現状からいいましても、外務省を抜きにしてやるという考えはわれわれもありません。今のところ農林省では渉外的な折衝は外務省にお願いする、しかしその実体的な方面は農林省が責任をもってやろう、こういう態勢でございますが、これはもうしばらくたったならば、必ず実績をあげてくると思う。しかし移住民の国策というのは非常に大きいんですから、それはもうオランダあるいはイタリア等でやっているくらいに規模も広大にして、ほんとうに雄健な政策を展開するということは私はお説に賛成でございます。また移民省を今すぐ作っていくというところまでには……万トンの移民船を国で作るということすらまだ実現しない段階ですから、もう少し内部の問題を固めるということと、将来の問題としては、お説に賛成でございます。

増田盛振興局長

○政府委員(増田盛君) 先ほどお尋ねのアメリカに派遣します農業労務者、いわゆる派米労務者と称されておりますが、そのことに関しましてお答え申し上げます。昭和三十一年に実務が開始されまして、千名カリフォルニアに渡ったことは御承知の通りでございまして、現在若干帰国者を出しましたけれども、現地におきまして就労いたしております。今年の九月以降逐次三年の期限に達しまして帰ることになっております。先ほどのお尋ねの中に、現地で永住するというお話もございましたが、実はこれは当初の建前からいきまして短期労務者として渡米しております。従いまして契約は六カ月ごとに更新いたしますけれども、最高限度三年というこれは約束になっておりまして、従ってその期限が到達いたしますと、逐次帰国する建前になっております。これに関して農林省の担当は、御存じの通り、募集、選考並びに研修、それからこれの送出並びにカリフォルニアにおきますいろいろな指導あるいは援助、こういうものが外務省の所管になっておるわけでございますが、両省一体になって、この事業を推進するために現在まで努めておるわけでございます。それで三十一年に千名送出いたしたのでありますが、その後当方の国内事情によらずしてアメリカ側の事情、特に労働組合等の問題がございまして、一時中断いたしました。そして三十二年の送出者の分としまして三十三年に二百五十名第二陣として現地に送りまして、そこで一番実は問題になったのは第一陣に初めて参りました千名でございますが、このアメリカにおける現地の労働需要というものがどういう性質であるかということに対する検討は、当時私どもの間には十分ついておったんですけれども、それに対する県庁ないしは地方海外協会あるいは国際農友会等のいろいろな機関を通じまして、青年諸君に対する周知徹底に対して一部欠けたところがございました。一部といいますが、むしろ特定の県でこういうPR、趣旨徹底に欠ける点がありまして、一千名の中には、アメリカに勉強に行く、あるいは何か見学に行くのだということで、実は安易な気持でりっぱな服装をして、カメラを持ってアメリカに行った。こういう者があったのでございまして、従いまして、集団的な脱法事件その他のトラブルは、特定の府県に集中して起っております。もちろんこれは契約無視、雇用主であります相手方の農場の特定の事情もあったことはくみ取れるのでございますが、やはり特定の県に起っておるということでございます。一千名のうち、現在までいろいろな事情で帰国している者が約百三十名でございますが、そのうちいわゆる就労拒否先方のグロウワーの協会から、栽培者協会から就労の拒否によって、帰国いたした者が約三十名、あとの百名は、大体妻帯者等の家事の事由、それから病気でございます。こういう点に関しましては、外務省の補助職員が派米協議会から現地に七名程度派遣されておりまして、終始アメリカの政府側並びに栽培者協会の協会側、この協会が二十くらいカリフォルニアにございますので、これに対する折衝がいろいろございます。こういう点を担当しまして、現在まできわめて熱心にめんどうを見ておるのでございまして、幸いにいたしまして、第二陣で行きました二百五十窯に関しましては、現在までは、そういうようなトラブル等に関しましては、全然こちらの方で聞いておりませんので、きわめて慎重に参っておるだろうと思うのであります。ただし問題は、アメリカ側がなぜ日本の労務者を需要するかという根本問題でありまして、先ほど、アメリカの進んだ高度のトラクター等の近代化農業の話もございましたが、端的に申し上げまして、カリフォニアの農場主が日本の若い青年農業者をなぜ必要とするかという点は、これは全く機械化農業そのものじゃないのでございまして、彼らの農業労働者がやる普通の機械化農業の場合におきまして、通常の場合にはなはだできにくい、いわば、機械化という点から見ますと、何と申しますか、非常に肉体労働的な、肉体そのもののむき出し労働、いわゆる果樹栽培などに見られるような、ああいう腰を曲げた、日本ではどこでも見られるのでありますが、そういう労働でございます。従いまして、そういう労働が中心であるということに関しましては、私ども、その後の経過にかんがみまして、十分趣旨を徹底させております。幸いにいたしまして、二百五十名をもって、一たん中断いたしました派米事業も、最近いろいろな方の御努力によりまして、再開機運もございまして、第一陣が百十六名でございますが、今月の下旬にカリフォルニアに参ります。これは、すでに前から待機中の人々をもって充当するわけであります。いろいろむずかしい事情がございますので、最近におきましても、再開の事情等に関しましても、確実な見通しを得なければ、私どもも発表しない建前になっておるのでございますけれども、おそらくこの百十六名を再開の皮切りといたしまして、相当多数の者が後続といたしまして参ることになろうかと思います。そしてこれが結局、現在残っております九百名余りのカリフォルニアの現在働いております者と逐次交代して就労する、こういうことになっておるわけであります。私ども、現在がこの事業のちょうど最も大事な時期じゃないかということでありまして、私どもの施策も慎重にやりますし、特にこの青年派米の任務につきます青年労務者、農業者の方々も、非常に大事な期時だということを十分認識いたしまして、この事業に従事されるように切望して、指導いたしておるわけでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 今、一人政府から補助幾ら出しているのですか、向うに行くまで。

増田盛振興局長

○政府委員(増田盛君) 派米事業に関しましては、農業者自体に関しましては、直接の補助はいたしません。これは、行き道は移住会社から資金を借り、帰りは自分で働いた金で帰るという建前になっております。ただし、これを援助するためにいろいろな費用が要ります。そのために派米協議会というものが設置されまして、本部が東京にあり、支所がカリフォルニアにあるわけでございますが、これに対する費用は大体農林省関係が一千万円、外務省関係が大体千五百万だと思いますが、合せまして二千五百万円でありますが、これの援助をする職員に対しましては、全部乏しいながら国の負担として、国でめんどうを見ておる。こういうようになっておるわけであります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 その費用の問題について、やはり根本的な原因の一つになっていると思うのです。それで、一昨年の六月、今あなたがおっしゃったCIO、AFLの傘下の農業労働組合が、この短期移民に対して、ものすごい反対闘争をやっておりました。私は、当時ミニー会長にも会って、いろいろ意見を聞いたのですが、そのときに、彼らは非常に誤解しまして、来ている連中が貯金していると言うのです。向うは、一般勤労者は最低賃金一時間一ドルですね。農業労働者は八十セントなんです。その二十セントの差があるので、一般労働者と同じように、二十セントの賃上げをしてくれと、こういう要求を向うの労働組合がやっておった。そこへもってきて、日本の短期移民に入ってくる連中を見ていると、もらう金はどんどん貯金をしておる。あれじゃ、彼らはまた貯金して持って帰るのだろう。こういうようなことと、一つには、この日本から入ってくる人たちのために、農業労働に従事しているアメリカの農業労働者がどんどんどんどん自分の既得権益を侵害されて、安い賃金の連中にどんどん入ってこられちゃたまらないと、こういうかけ引きからああいう闘争が出たのですね。聞いてみますと、貯金するということは、何も向うの考えているようなつもりでやっているわけじゃないのですけれども、従来日本移民というのが、貯金して、さよならと帰ってきてしまうということがあるわけですね。やつらまた金もうけに来たのだとこのような思想を持って反対闘争が行われておるのですね。そういうことが幸いにして理解されまして、一時下ったのですよ。あの闘争は中断したのですが、そこで問題になるのはやはり行っている人たちが、いわば国策に一つは順応して行っていると思うのですね。そうであれば、移民会社にすべてをまかしているということじゃなしに、それは移民協会というのですか、これのあることは、私も知っておりますけれども、これだって、現実的に移民される人たちに対するめんどうをどれだけ見ているか、財政的にですね、ということになりますと、やはり不十分なんですね。ですから、結局自分が借金をして渡米旅費を作る汽車賃、飛行機賃なり、あるいは船賃を作って行くというのが実態だと思うのです。そういうところに、心にもない憶測をされて苦しんでいる実態があるのです。農業経営の実態というのも、私見てきましたけれども、あなたのおっしゃるように、イチゴ畑に入ってやっている人あるいは野菜畑でやっている人もありますよ。しかし、総体的にアメリカの農業というものは機械化経営です。ですから、野菜をまき、イチゴを植えるまでのやり方にしても、日本のように、くわでこちこちやっているわけじゃないのです。経営の規模というものも、やはり機械化の方向ですから、その勉強をされてくる人たちが、三年でぼっと帰ってきてしまう。これは実に意味がないと思うのですね。ですから、これは行く人の心がまえですから、そういった意思の不徹底があったということは、これは重大問題であって、今後再びあっちゃいけないと私ども思いますけれども、少くともカメラをかけ、洋服を着るというのは当りまえで、日本の労働者が貧しいから、人の格好を見るとねたみたくなるので、そのくらいのことは当りまえですよ。何もその人たちが物見遊山に行こうという気持で行ったのじゃないと私は思います。しかし、まあ心がまえとしては、確かに向うに行って、相当恵まれた環境の中でやれるのじゃないかという相当希望を持って行きますが、そういう人たちが現実に顔をまっかにして、しかも、それは世話役もないのです。非常にさびしい生活をしておりますよ。在留邦人の人たちにも私は言ってきたのです。せっかく日本から来ている短期移民の人たちに、もっと在留邦人の人たちがあたたかい手を差し伸べてもらいたい。親切にしてくれないので、非常に孤立感を感じておる。そういうことで、多少、先ほども言われたように、乱暴をするというような非難を受けている。ですから、安定してそれらの人たちがやれるように、施策を政府がもっと積極的にやるべきで、私は、三年で帰ってくるという問題について、これは農林大臣の意見を伺いたいが、重大問題ですよ。せっかく機会を得て向うに行きながら、しかも、向うでは労力が必要なんです。いずれまた新しい人が行くのですから、それよりもやはり長くいる人たちがなれた仕事をやっていくということが向うの経営者にとってもいいし、さらにどんどん出していくような施策を講じないと、後退するだけだと思う。せっかく短期移民でも一つの道が開けたのですから、こういう問題に対する取っ組み方が足りないと思う。そこに一元的な移民政策というものをやりたいというあなたの構想としては、移民省あたりを作って、もっと積極的な施策をしていくということをやらないと、今のところでは行き当りばったりで、だから向うでいろんな結果が出てきておる。もっと長期にわたる本格的な政策を立てて、これらの人たちが安んじて仕事をやれるように、場合によっては、向うの星条旗のもとで命を終えてもいいという人もあるかもしれませんが、こういう気持があるのですから、もっと積極的な施策をやってもらいたい。三年で帰って来る人たちも、十分検討して、向うと折衝して、できるならば向うに永住できるような方途を講じてもらいたい。この点はどうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 現在は、一つのテスト・ケースとしてやっておりますから、これらの事態をよく見て、恒久的なものに進めたいと、こういうふうに思っております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 三年たっている。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 今後ともそれを恒久的なものにしたいというふうに取り運びたいと思います。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 専門家の北村委員がおりますから、まだ蚕糸業とかいろいろな問題がございますが、私はこれで終ります。

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) それでは、午前中はこの程度にいたしまして、休憩したいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) それでは、午後は二時から再開いたします。暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩    ―――――・―――――    午後二時十七分開会

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) 休憩前に引き続きまして、第三分科会を再開いたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今度の予算を拝見しまして、大体この予算総額から言って、午前中の鈴木委員の質問にありましたように、国家予算全体からいけば、その占める比率は低下してきている、こういうことを指摘しておりましたが、私はやはり、それと並行して、融資政策に変ってきている。融資というものが相当重点的に考えられてきているということは、農林中金の余剰金の問題、あるいは農林漁業金融公庫の充実の問題等からして、これは確かにその点は言い得るのじゃないか、こういうふうに考えているのでございますが、ところが、その融資政策なり何なりに切り変ったこの金融問題が、実際にそれではその農民のためになっているかどうか。こういう点について、私はやはり大きな問題が残っいるのじゃないか、こういうふうに考えられるんでございます。  そこで、まず農林中金の問題からお伺いしたいのでございますが、系統金融が単協、信連、中金と、この三段階を経た機構の中で、一般銀行に比べてコストが割高になる。そうしてまた、一般銀行の貸出金利よりも中金の金利が割高になる。こういう問題について、一体政府はどういうような考え方でこの問題に対処していこうとしているのか、このことをまず第一にお伺いしたいのでございます。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) ここ数年来の豊作と申しますか、恵まれた生産条件が幸いいたしまして、系統金融も、非常に各段階を通じて充実をして参ったわけでございます。単協の貯金にいたしましても、大体昨年末で五千六百億程度になっておりまするし、信連、中金とも、それぞれ資金量の充実が非常に目立って参っておる。従いまして、各段階を通じまして、いわゆる自まかない態勢が非常に整って参ったわけでございます。同時に、系統金融全体を通じまして、特に今後の運用のあり方等につきましては、十分検討しなければならない問題を多数はらんでおるわけでございます。基本的な考え方といたしましては、農家の経営、生活を通じましての余裕金と申しますか、一時金融機関に預けます金は、できる限り農協系統を利用していただく。それをそれぞれ信連、中金を通じまして系統的に運用をして参るということになるわけでございますが、お話の、ごとく、農協系統の金利コスト等も、必ずしも、他の一般金融機関に比較をいたしまして、一がいに割高であるというわけではないのでございますが、預金を吸収いたしますために、ある程度の利息を払わなければならぬということは、これは実態でございます。一面系統金融の頂点にありまする農林中金といたしましても、その資金の運用につきましては、できる限り、系統内部におきまして、あるいは農林関係団体等においての資金需要に応じて参るということは当然のことでございまして、基本的の建前として、第一次的にその資金の需要を満たすということがその使命と考えられるわけでございます。同時に、相当量の余裕金も現実にございますので、これは、関連産業貸付あるいは銀行貸付としての運用によりまして、できる限り有利に運用いたしまして、資金効率を上げて参る。従いまして、各系統の末端からは相当の金利で預かり、これをただいま申し上げましたような運用方法によりまして、できるだけ効率的に運用いたしまして、全体の効率を上げて参る。また、そのことが農家からできるだけ有利に預かり、また貸し付ける方も、できるだけ農家にとって有利な条件で運用のできることになるのではないか、かように考えておるわけであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今、抽象的に答弁されておりますけれども、現実の問題として、中金の系統内融資というものは、二十九年、三十年あたりからだんだん減ってきていることは御存じの通りです。従って、余裕金が系統外へ融資されていることも御存じの通りですが、そこで、今言われておりまするように、農民の零細な貯蓄によってできたものですから、農民に還元されることが正しいと言いながら、それだけでは、コストの問題から簡単にいかないので、系統外融資にも有利に持っていくようにしたい、こういうことのようでございます。なお、系統外へ持っていくために、関連産業に融資した場合において、ひいては農民、漁民に帰ってくるんだという、この考え方が一つ言われておりまして、まあ系統関連産業――農林漁業の関連産業に融資をする、こういうことで、系統外に出ているのでございますけれども、これも私は、一面には、関連産業に行ったから必ずしも簡単にそういうことには、農民に帰ってくるというふうな形にはならないのじゃないか。いわゆる関連産業であっても、肥料であろうと、農薬であろうと、あるいは製糖関係にいたしましても、大企業の合理化が進んで、企業採算というものがよくなれば、ひいてその原料である農産物を生産している農民から高く買ってくれることになるんだからという理屈も一応あるのでございますけれども、それはめったにそういうことはない。これはまあ、事実いろいろな経験からしてないと思うのです。  それからもう一つ、大量に融資しますから、融資する相手の企業に圧迫を加えて、それを条件付でまあ農林漁業に有利に導くことができるのじゃないか、こういう意見もあるようでございます。しかしこれも、あくまでも農林中金が元利を確実に回収する、こういうことの圧力にはなるかもしれませんけれども、その大量融資によって圧力を加えたことが、農民に直ちに帰ってくる、こういうことには考えられないのじゃないか、こういうふうに思う。ですから、考えようによっては、関連産業にばかりでなしに、もっと資金コストだけを考えていくならば、関連産業以外であっても、高い利子で借りてくれるところに貸した方がいいじゃないかと、こういう理屈が出てくるのであります。従って、そういう理屈だけでは、私はやはり農林業そのものが非常に収益性が低いし、生産も長期にわたる、経営が零細である、こういうような点からいって、資本効率が悪いのですから、そういう経済性の低い農家経営というものと、大企業集中ということからいきますというと、現在すでに問題にされている農家の所得と、それから他産業との所得の開き、こういうものをより拡大していく結果になって、決していい結果にこないのじゃないか、そういう感じがするのです。従って、私はやはり農林中金の資金というものは、やはり農民に使われることが最も望ましい、こういうふうに私は考えておるのであります。しかしながら、今言ったように、コストの面からいうというと、簡単に農民に、信用程度の低い農民に中金の金は借りられないというのが現実でありますし、また採算制をとっておる中金にしてはやむを得ないことだと思うのだが、そこでやはり政府は、この系統金融に対して何らかの一つの方法というものが考えられるべきでないかと、こういうふうに思っているのです。ですから、そういうような点からして、相当中金も余裕金というものを持って、一体どう運営するかというところにやはり来ている、従って、まあここで農林大臣としては、金融政策として一体どういうふうな方向に持っていこうとしているか、これを一つお伺いしたい。

須賀賢二農林省農林経済局長

○政府委員(須賀賢二君) 大臣からお答えいただきます前に、ちょっと事務的なことを申し上げておきたいと思いますが、農林中金のここ数年来の貸付の傾向といたしまして、系統内貸付が漸減をいたしておるような御指摘が、ございましたが、これは必ずしもそうでないのでございまして、先ほど申し上げましたように、基本的な建前といたしましては、系統内の資金需要を優先的に充足をして参るという運用をいたしておるつもりでございます。現実に所属団体に対する貸付額も、三十一年はピークが五百六十一億でございますが、三十二年はこれが七百四十四億、三十三年におきましては最もピークでありました時期には七百七十三億という額になっておるわけでありまして、できる限り系統内の資金需要に応じて参る考え方をいたしておりますことは当然でございます。  なお、ただいま御指摘の中に、系統金融に対して国で何らかの援助と申しますか、必要なるささえの措置を講ずべきでないかという御指摘があったのでありますが、この問題は現在の農林漁業金融全体の一つの体系といたしまして、系統の資金を使いますものについても、あるいは自作農創設の金でありますとか、あるいはテンサイ融資の金でありますとか、あるいは開拓の金でありますとか、それぞれ制度金融として特別の利子軽減、あるいは債務保証等の措置を要するものにつきましては、その措置を講じておるわけであります。現在農林中金から貸し出しておりまする系統内貸出額の約四割程度は、こういうささえを受けているわけであります。そうでない一般を農林漁業の貸付につきまして、財政的な特別な措置を講ずべきかどうかという問題は、根本的な問題に触れるわけでございまして、われわれといたしましては、一方において財政資金を投じておりますものにつきましては、農林公庫を通ずる農林漁業資金がございますので、それらの関係において十分検討しなければならない問題ではないかと思っておるわけでございます。昨年来、農林省の中にも国会からの御要請もありまして、農林漁業金融に関する特別の協議会を設けて鋭意検討いたしておるわけでございます。ただいま御指摘のような点も、われわれ目下検討しております問題の一つになっておるわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 大臣どうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 抽象的な議論になって恐縮でございますが、日本の農家の経済の実態を考えます場合に、やはり低廉な利子でなければ、その経営の改善の上からも、あるいは農家の経済生活そのものを支持する上からも、これは十全を期し得ないことは当然でございます。従いまして、農林金融を考える場合に、低利な金融をするということは、第一にわれわれとしては念頭に置かなきゃならぬ、こう思うものであります。しこうして、この系統機関の内部の金融の実態を見ますると、合理化によってコストを下げるということも必要でございますけれども、これは限度があろうかと思います。同時にまた、預貯金をしますところの農民側からいいましても、相当やっぱり高い利子はほしいのでございますから、この調和の関係におきましても困難があろうかと思いますが、しかし経営の面から見まするならば、やはり系統機関の内部におきましても極力合理化して金利を下げていくということが第一条件でなければならぬ。従いまして、先ほど経済局長が申し上げました通り、指導方針としましては、現行の系統機関の内部の合理化は常に推進していかなければならぬと思うわけであります。同時に、県信連等に集まりました金でございましても、一がいには申されませんけれども、必ずしもこれを系統機関の中央機関に持ってきておるとばかりは言えない。つまり利益を、他の有利な方面にこれを運用したいという色彩が出ているだろうと思うのでございます。それからさらにまた、中央金庫に集まりました金につきましても、相当の金がコンスタントに余裕金としてある、まあおそらく一千億程度の金はありはせぬかと思うのでありますが、これの運用につきましても、ただいま北村委員の御指摘のありました通り、建前として、非常に金融事情の悪いことでございますから、農村にこれを供給するということが建前でございますけれども、この運用自体を有利に考えていくということも工夫しなきゃならぬことであろうと思うのです。従いまして、まあ米のちょうど収穫期等に至りますると、相当な金が一時入ってくる。これを逆に逆オペレーションといいますか、日銀方面のむしろ運用にある程度まで持っていくような事態も出てくるわけでございます。でございますから、われわれとしましては、この系統機関の何は、なるべく農村に還元し、その経済の伸展に寄与しなきゃなりませんけれども、中央金庫におきますこの余裕金の運用並びに金利を低くするという見地から、さらに利益率を高めるということについては、従来のしきたりだけを考えていくわけにはいかぬ、一面においてはそれを工夫しなきゃいかぬのではないかと思うのであります。さらに千億程度に上っておりますと思いますが、これらの余裕金を農村に合理的にこれを持ってくる場合には、今、経済局長が説明しましたある程度の分は、国の金利補給等によって農村にこれを還元しているのでございますけれども、事情の許す限りは、この方面につきましても金利政策を勘案しつつ、必要に応じてやっぱり利子補給等の道を講じて、これを農村の窮時に充てるという方向はとらざるを得ないのじゃないかと思うのでございます。要はこれらの事態に応じまして、そして農村方面にいかような資金に、こういうような面で持っていくかというようなことを十分勘案いたしまして、そしてだんだん取り進めたいと存ずるのでございます。過般、北海道の寒冷地帯に対する畑作振興のためには、院議によって修正等の措置も講ぜられたのでございますけれども、一面においては非常にアンバランスになったわけでございます。しかしわれわれといたしましては、これらの金利問題等は重要でございますので、今後とも十分に各部門に分って精細に検討を重ねて、金利の低減と、同時にまた系統機関の資金の運用等につきましても保護をしていきたい、かように考えておるわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今の説明を聞いておりまして、どうも系統金融と制度金融を混同して、一緒に答弁しているように伺えるのです。そのように系統金融と制度金融が今どうも混同してきている。錯綜してきている。これが今の実情だと思うのです。今の答弁をお伺いしてもそういうふうにお伺いできる。それで、そもそも制度金融としての政府資金、政府出資、あるいは借入金による公庫資金、このものが現在では自作農維持資金等のように個人融資というものが制度金融でやるようになってきましてから、どうもそこら辺のところが、中金とそれから公庫との金融の混淆が起ってきたのじゃないかと、こういうふうに見れるのです。で、私はこの系統金融でいっておる場合、これはやはり中金の金は農民が借りるとしても、やはり相当企業性を持った農家が私は主として借りるのじゃないか。こういうふうな感じがするのです。ですから、この短期の営農資金としてのそれでやっていける農家というものが、この中金の短期資金というものを利用できる面というものは、やはり相当あると思うのです。だけど、そういう面はそういう面で生かしてもらって差しつかえないのだが、ところが公庫のこの制度資金というものは、これはやはり相当考え方を変えなきゃならないのじゃないか。政府出資なり何なりによって、やはり長期の低利資金、しかもこれが私はやはりもっと思い切ってこの制度金融というものを強化しない限り、今までの農業の所得の低下というものについてこれを補なっていくということは、所得の較差というものを縮めていくということについては、とてもできないのじゃないか。こういうふうな感じをしているのでございます。ところが、今年度の公庫の資金内容を見ましても、四百三十二億の貸付計画があるようでございますが、これに対して無利子の政府出資が七十七億、それから借入金、資金運用部資金からのが二百十五億ですか、それから回収金が百二十億、これで四百十二億を予定しているようでございます。こういう中を見ましても、これは公庫側から言わせれば、当初予算編成の時期に、主張としては政府出資を二百四十二億を要求しておる。そして借入金はなるべく少くして、百八十六億ですか、それから回収金は現在の自作農維持資金なり、あるいはその他の開拓関係の資金にしても、回収が非常に悪いという点から非常に低く見て九十八億、これでまあ五百二十六億の資金計画を、貸付計画をしておったわけでございます。これが入れられないので、先ほど申したような形になって六分五厘と思いましたが、資金運用部資金からの借り入れというものが非常に多くなっている。これは私はやはり公庫というものが非常に苦しい立場に追い込まれて、そのために借入金のコストなんかも昨年に比較して、三・五二%のものが三・六八%に上昇をしている。その上昇した借入金のコストは結局は公庫としては資金運用の面からいってこれをどうしても持っていくところがなくて、借入金のコストの上昇部分は、代理店の手数料を引き下げてもらうより方法がない、こういうようなことではっきり出ているわけですね。でありますから、私は農林漁業金融公庫の制度金融というものを、やはり思い切って政府出資というものをここで大幅に拡大すべきだ。そしてこの制度金融としての資金コストというものをあまり追い詰めない形で、思い切ってやはり農民に長期の低利資金というものを出すべきじゃないか、こういう主張なんです。そこで、系統金融との違い方は、系統金融の中金の金は、やはり相当農家としても短期資金で運営のできる人が借りる。それ以外の資金の足りない分については、先ほど言っているやはり利子補給という形でもって中金の資金を運用する、こういう形でもっていく以外にないのじゃないか、こういうふうに考えておるのです。従ってやはり中金は公庫よりも若干利回りからいっても高い率である。公庫はさらに経営として成り立たないようなところまでいく資金にならなければならない、こういうことでございますから、まあ農家がコンマーシャル・ベースに乗らないようなところまでこの公庫が融資して見てやる、こういうふうな考え方を持っておるのですけれども、ここら辺の点からいって、最近の農業金融公庫の地方の支店等が出まして、コストを切り下げるために努力をしてきている。また、農林中金の支店との競合というような問題も起って、お互いに何か競合しているというような形では、これはやはり混乱が起るので、そこら辺のところをはっきりさせる段階に来ているのではないか、こういうふうに思うので、実はお尋ねしているのです。どうですか、今度の公庫の要求等について応じられなかったのは、どういういきさつなのか。私はもっと政府資金というものを、はっきり大幅に政府出資を大きくして、そうして公庫の性格というものをはっきりさせる。これはやはり中小企業金融公庫より以上にこの農林漁業金融公庫の方を特異な立場で見るべきである、こう思っているのですが、所見を伺いたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 政府金融等につきましても資金量を拡大しまして、そして今の利子のつかぬ金を投入しましてそうしてもともと公庫の持っておる使命の達成並びに徹底を期したいという所存はもうお説の通りであります。同時に、農協の系統機関の金融につきましても合理化を積み重ねていって、そうしてなるべく金利の低減化をはかっていくということも当然のことでございますから、両々相待って農村における金利の低減をはかっていきたい、かように今考えている次第でございます。同時にまた、公庫の金融もだんだん多辺的になりまして、勢い資金量が足りないということに関連して系統機関の金融を利用するということでございますので、北村委員の御指摘になりました通りある意味での混淆をだんだん生じてきたということは、いなめない事情だと思うのでございますが、しかし、公庫の金融自体はもう性格上はっきりしておりますから、その方面につきましては趣旨を没却しないように、財政投資の拡大によって公庫の使命を十分に達成するように今後とも心して参りたい、かように考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 その考え方は非常にけっこうでございますけれども、三十三年度の政府出資が八十億、今度の場合七十七億です。しかも七億というのは国有林野特別会計から繰り入れるものである。繰り入れる分が入っておる。実質的には、昨年より十億出し惜しんでいるわけですね。それから借入金は昨年は百十五億です。これが今度の場合、二百十五億、資金運用部資金の借入金ですね。これが二百十五億、こういうふうになっているのです。約倍にこの借入金がふえている。従って借入金でやれという、こういう傾向がはっきり強くなってきている。ですから、私は今大臣のおっしゃった考え方は、その通りけっこうなんですけれども、実際にそのようになっておらない。これは私はここに大蔵の主計官もおられるのですが、ここの説明をどういうふうにされるのか、ちょっとお伺いしておきたい。

高木文雄大蔵省主計局主計官

○説明員(高木文雄君) 農林公庫の三十四年度の資金計画につきましては、御指摘の通り、無利子の金と運用部その他の有利子の金との割合は、三十三年度に比べると無利子の資金のウエートが低くなっているのは事実でございますが、この割合をきめました根拠は、農林公庫の資金コストを見ましてそうしてどうにかやっていける一ぱい一ぱいのところを見たわけでございます。その場合に三十三年度に比べて三十四年度の方の無利子のものが下りました理由は、主として農林公庫の事務費その他の経費を切り詰めることが可能になりましたので、無利子の金を若干減らしましても、従来とほぼ同様の低利で貸付ができるという考え方でございます。  なお、御質問の要点としましては、全体として農林公庫からする金利の低下をはかっていくべきではないかということがあるかと思いますが、これは必ずしも農林公庫だけではなくて、中小企業その他につきましても同様な要請があるわけでございまして、三十四年度の問題といたしましては、無利子の産業投資特別会計からするこれらの特殊機関に対しまする出資額は三十三年度の約二百八十億から三百八十億に約百億ふえておるわけでございますが、なおかつ各方面に非常に需要が強いために、必ずしも農林公庫の方に十分に回らなかったというのが実情でございます。農林漁業についての金利水準をもっと低くすべきだろうということについては、かねがねからも問題でございますので、今後とも検討いたしたいと思いますが、問題は一般会計から産業投資特別会計を通じて出しますところの原資の余裕をどう見るかということでございまして、本年度といたしましては、昨年度よりも百億ふやす程度が一ぱい一ぱいであるということから、農林公庫につきましてもこの程度の投資しかできなかったわけでございます。われわれの方といたしましても、財政投融資によりますところの各機関の金利水準の問題は、非常な大きな宿題の一つになっておりますので、今後とも研究を続けていきたいと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 今の説明はどうも産業投資特別会計の百億をふやしたというのですね、ふやしたのだが、ふやしたのなら農林関係も無利子の政府投資が若干でもふえておるのならいいのだけれども、昨年より減っておるというのは、ほかの方との都合でどうも農林の方がふえなかったというのだけれども、これはどう説明を聞いても、私は納得できない。ほかの中小企業金融公庫にしても、そのほかの資金の要求も非常にあってというのだけれども、それだけふやしたならばこれはどこから考えてみても、おこぼれ程度の一割程度ふえたものが、ここに出てこなければならないのじゃないか。しかも、これははっきり言っておるように、経済指数の中でも、やはりわざわざ鉱工業と農林業というものをあそこに引き合いに出して、そうして政府でも農林業とそれからほかの産業との較差があるということを明確に言っておるわけですよ。そういう経済指数の分析の中から、私はやはり農林業そのものは、まだまだ産業としての体裁をなしていない面が非常にたくさんある。そういうふうな点からいって、もっとやはり政府は思い切ったあたたかい低利資金というものが農林に回さるべきである、こういうふうに思うのだが、もとの産業投資特別会計の資金が百億程度ふえておるにかかわらず農林関係は逆に減っておる。これはやはりちょっと説明されても、私ども納得がいかない。それからまた、金利全体の問題について、これはまあ一般質問の大蔵大臣に対する質問の中でもはっきりしておるように、日本は非常に金利が高いということは、はっきりわかっておるのですから、全般に金利を引き下げるという問題は、これは農林だけの問題ではないのですが、特に農林は採算の面からいって、資本効率の面からいって非常に悪いのですから、そういう悪いという面における保護政策、補助政策というものがはっきりしておるならば、こういう面にもやはり現われてくべきじゃないか、こういうふうに感じておるのですがね、その点はどうも納得がちょっとできないのです。従って私はここで大臣も説明されておりますが、相当つらい説明であった。昨年度よりは資金内容が非常に悪くなっているのですから、公庫においてもはっきりしているのですから、これはどんなに弁解されても現実に数字がそういうふうになって公庫としてもいろいろやった結果、どうにかいけるという線でこういうふうに政府出資も少くしたのだ、こういうことのようですけれども、これは私はやはり農林漁業金融公庫そのものが成り立つ、成り立たないということももちろんありますけれども、農林漁業金融公庫の使命というものをやはり没却して、公庫だけの成り立つ、成り立たないでもって論議されても、これは私は的はずれになるのじゃないか、こういうことを感じまするので、これは一つ来年度等においても、この点はもう私は強力に要望しておきたい、こういうふうに思っておるのです。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 蚕糸政策についてお尋ねをいたしたいのですが、昨年来、繭、生糸の暴落に対処いたしまして、第一次の生糸買い上げ資金として百億を、第二次としてさらに百億を増し、その上繭の買い入れのため五十億というように、まことに迅速果敢な処置をとられた。これに対しまして私は政府当局の御努力に深い敬意を払うものであります。ただこの運用の面においてこれほどの資金を持ち、また法の命ずるところに従って活動を開始したのであるにもかかわらず、残念ながらその行うところに自信を欠いておったのではないか、その証拠には、第一回の百億買い上げの際には、業界の反対を押し切って割当買上げをしたが効果がなかった。これではいけないというので、今度は百億を増したとき無制限買い上げという業界の要望をいれて発足した。効果は明らかでありまして、糸価は十九万、最低値段を補償するに足るだけの価格に復活したのであります。もとより無制限と申しながら金融総額に限度がありますので、もとよりこれだけの金で大勢に抗することはできるはずもない。世界的な不景気、他の繊維が非常に安くなっている際であるから、その買い上げ効果のある間に、すなわち買い上げ金融の薬がきいておる間に、然も繭糸価安定法には明らかに重大な財界の変化に対しては、年度中途においても価格の変更をすることができる道が開いてあるので、無制限買い上げにより効果をあげつつなお買い上げ資金がまだ不足を訴えるに至らざる前に価格の引き下げに当るべきであったのに、しかもわれわれはこれを進言したのに、それをあえてしないで、そうしてまたしても一方的に政府が割当買い上げということにしてしまったとたんに、すぐ暴落した。せっかく価格維持できたものが、政府施策に協力した製糸家にも不測の損害をかけたことは遺憾である。その結果、養蚕家の夏秋蚕は千四百円で買い上げは無理となり千二百円を維持しようということになった。私は当然のことであったと思うのです。ただ私は初めになぜ繭千四百円、生糸十九万を維持しなければならないと主張したかというと、それは三十三年度の補償価格は現存しているので、糸価安定法によって当然出動すべきものが出動したのである。しかしながら一方財界は依然として不況を訴え、その上他方には他の繊維が安値をもって市場に流れているのだ。これではとうてい、二百五十億をもってしても困難だということはわかるわけです。従って、その間に価格を引き下げるべきであるのに、それをしないで、そうしてただ割当制限、割当買い上げというようなことをした。そうだからせつかく政府が迅速、果敢に、きわめて適切なる措置をとったと思う二百五十億の買い上げ融資も、その後世論はきわめて冷酷な批判を下し、これを失敗だといっておる。これがため政府も自信を欠いておるか、さらに引き続いていろいろとうろたえた処置をとられたことに私は少からず遺憾を感ずる。私はあれで十分成功なんだ、決して失敗でない、何も十九万千四百円を永久に維持すべきものでもない、ただ春繭が出るときになって急に下げたのでは、経済力の乏しい養蚕家の基礎を崩壊せしむるものだから再生産への備えのためにある程度時間をかせぎ、一時を忍んで、その後に対処するだけの時間を与え得たことで十分目的を達したと思う。しかるに行うところに自信を持たない政府当局は、世間のいろいろいうことにうろたえてか、あるいは減産を訴えたり、あるいは保管をした繭の委託に当りましても、驚くべきことに入札というようなことから――政府は生糸の生産費がおよそ四万円くらいかかる、保管中の経費を差引くも二万円はかかるということは常識的に知っておられるのに、一円の入札にさえ落札している。これは一体どういうことだ、おそらく政府の財産を処置するときには入札によらなければならないという大蔵省の見解に支配されたのであろうけれども、それとて指定入札という方法もないではない。一体この繭糸価安定法は輸出生糸の振興をはかるごとと、養蚕その他蚕糸業経営の安定に役立たせるためだということが法の精神にちゃんとうたってあるにもかかわらず、とうていできることのない一円価格で委託をするとは何たる暴挙だ。さきに御所の建築の際に五千万円かかるものを一万円でやったというので世間はかなりの問題を起した、これはやり直した。ところがその御所のは五千分の一だが、蚕糸局の仕事は驚くべし、実に二万分の一だ、二万円かかるものを一円で落したのだから、こういうばかげたことをやるのは一体どういう信念の上に立っているのだ、莫大の金を使って、業界の安定を計ろうというのに、とうていできない製糸業者にこれを行わしめやむことなく引受けた製糸業者の苦境は容易ならざるものでありましょう。そこに働いている労務者は、他の労務者から比べて非常な手薄な待遇でなお甘んじておるのに、その上こういうできないことをあえてせしめる、そしてその苦しみを、その関係者に与えるということが、果して繭糸価格安定法の精神に沿うものと言い得るか、本来輸出振興を主として対象とするのだから、輸出生糸業者に多く与えるのが当然でありましょうけれども、また国用製糸業者も今回の糸価安定法の発動により繭価が実勢価格よりも上回っておる影響を受けておりますから、その方にも同情し、また玉糸同業者にも心を寄せて、これを適当に分けるため別々に入札の方法をとるという方法でも悪くはなかったと思うのに、それさえしないで、実に混乱に混乱を重ね修羅場そのものの場面に目を掩わしむるようなことを政府があえてしておる、それは政府は一万円、あるいは一万五千円で引き渡したよりは競争入札により、それより低い五千円なり一円でやったら、政府はかりに収支総体において損害があった場合も損害は少くなるでしょうけれども、今日は政府の損害を少くする、多くするという問題ではなくて、業界の安定にどうしたら役立つかということを考えるのが当然だと思う。あたかも戸板店を張っている小商人のやるようなことを政府がやって、あえてして顧みないということは、はなはだ遺憾だと思うのですが、過去のことをあえて追及するのではありませんが、それもひっきょうたくさんの金を使って、すぐ効果が現われないということにあわてふためいてか、ついに糸価安定法の精神と全く背馳した行動を政府自身がとったということは政府としては深く顧みる必要がある、これがお尋ねの一つである。  いま一つは繭が下っていかぬから保管させたのはけっこうなことです。ところが保管したものが、これも業界の安定のためだから業界全体の了解のもとに協力させるように指導すべきなのに、また業界も反省をしなければならぬ点が数多いとも思いますが、政府の努力も足らなかったためか、協力すべき製糸並びに養蚕家が逆に対立抗争の状況に落込んでしまい、養蚕家と製糸家の間で、円満な解決のできるものを、さきの通り競争入札によって非常な混乱を起して、そうしてその結果は養蚕家が喜んでおるかといえば決して喜んでおらない。当時生繭で売れば千四百円手に入ったものを、政府の御指導に基いて、それに共鳴して乾繭をしたものは、乾繭試験挽の結果著しく損耗が多く聞くところ一貫目当り三、四十円ずつ損をしておる、なまで売った者より乾繭にしたので三、四十円も損をしておる、政府は当然二万内外を委託費に支払っていいものを、極端な競争入札をさせたために政府の負担は非常に少くなっておる。それを融通せよということはできますまいけれども、養蚕家が政府の言うことを聞いたために三十円、四十円の損をしておる、これに対しては同情をもって解決に当ろうとなさるご意志はないかこれはおこの道は困難でありましょうが、気の毒だというお感じは当局としてお持ちになるだろうと思うかいかが。気の毒でないと言えるか実に気の毒だ。このままにしておけば、政府が今度作られる蚕繭事業団を作りまして、乾繭をやるように勧めましても、養蚕家はなかなかがえんじない。政府の言うことの裏をかいた方が利益があって、政府の言うことに従ったものはかえって損害を受けるということになったのでは、困ったことだと思っております。要するに、政府がせっかく最初の踏み出しはよかったのにその運用を誤まって、あるいは業界との連絡を欠いておったのか。もちろん業界の一人々々がみんな好いとは言いえません。しかしながら養蚕家には養蚕団体あり、製糸家には製糸家の団体がある。せめて団体とひざを交えてじっくり話せば、私はこれほどの間違いはしないで済んだのではないかと思う。過去をかえりみまして将来を思うときに、深く反省を願いたい。と思うのですが、いかがでございますか。  その次には、現状のままでいくと、糸価安定法というものは、廃案になさるつもりかと疑わざるを得ないがどうか。なぜ私がそういうことを言うかというと、繭価千円糸価最低十四万円に引き下げた。恐らく糸価安定委員会において了解して下げたことと思います。繭が千円になり、生糸が十四万、と下値を下げたときは上値も下げることが当然であるのに、どうして上値を下げないのか。このままにかまわぬでおくと、安定どころか非常な不安定となる。すなわち値下、生糸は十四万円上値は二十三万円。わずか十四、五万のものを売るのに九万からの開きをおいて、そうして安定とはどういうことです。これは自由放任ということで、安定ではない。してしかも糸価安定に関する臨時措置法を見ますると、第六条により政府時価で随意に売ることができると書いてある。そうするといつ政府が発動し、いつ売るのかということで業界は常に非常な不安です。それがために商売をする者は安心して仕事ができない。政府がいつ売り出すかわからないということで非常に危険だ、故に私は政府がこの糸価安定法で上値と下値をきめて置きその他は自由に国民の経済活動、生産意欲を高めようとしなければならない、その間は関係業者の自由意思にまかせて置けばおのおのがそこに計画をたて、あるいははずれることもあろう、あるいは当ることもありましょうが、そこが自由経済の妙味である。ところがこの第六条でいつ売り出すかわからないということになれば、おつかなくて心配で手が出せない。これはいかないと思うが、いかがですか。このままで、法律を改正する必要がないのか、かりに法律はこうなっておっても、運営上この六条の発動に対しては繭糸価格安定委員会に諮って売値と概数を定めることと断じて政府が勝手に時価とはいえ売出すようなことをしないということにすべきであると私は思いますがいかがか。近来とかく権力主義、権力主義というようなことを議会のあらゆる委員会においてその声を聞くのですが、これもこのままにしておくとこの商売が権力主義に堕するというおそれが多分に出てくる。自由経済といっておりながらいささかも自由でない、不自由至極だ。これでいいかどうか。  それから今一つは生産制限でございまするが、これも私はうろたえ過ぎた結果ではないか。これだけの大きな仕事をするのに、しかも世の中の情勢が非常に悪くなってきた場合、政府といえども十九万円をいつまでも維持するという考えがあったはずはないと思う。さればこそ今日のごとく十四万円に適当に引き下げておる。引き下げたとたんにもう需要はどんどんふえておる。絹織物は二十八年には統計を見ますると千七百万ヤールしか出ておらなかったものが、三十三年には六千四百万ヤールも出ておる。ほとんどこの五年半ばかりの間に四倍になっておる。最近聞くところによると、価格を下げてから著しく輸出絹織物が需要を増しまして、ことに従来は軽目織物ばかりであったのに、最近は高級織物が出てきておる。この分でいくと輸出生糸の三倍ぐらいの量を絹織物として出すことも必ずしも遠い将来ではあるまいということさえも言われておる。非常な朗報と、私はまことに蚕糸業界に春風が吹いてきたと喜んでおるのでございますが、それとても先ほどの自信を欠いたやり方のまた一つの例として、政府持ちの繭を委託生糸にいたします際に、四月までにその生糸を納めろという約束があったのに、これを急遽五月に直し、さらにまた聞くところによると八月ころまでに延したということである。そういうことを一方的にがたがたやりますから困ったことである。こういうふうになりますと、せっかく絹織物が頭を持ち上げてきたものを、安心してこの仕事ができず、原料の入手ができないというようなことになると、せっかく発展しかけました、そうしてさきには迅速果敢な活動でお作り下さった糸価安定の大きな精神が崩れてしまう。非常に遺憾に思うのでございます。これがためには私はすみやかに糸価安定委員会を開いて、政府の持っております十万俵の糸も、今なら五万俵政府持ちになっているのは二十三円にならなければ売り出すことができないでしょうが、保管会社に委託しておりますもの、この分だけでも政府は運営の面から糸価安定委員会を早く開いて売値を定め、安心して業界が斯界に安心して活動のできるようにしてやることがよくはないかと思うのですが、いかがでございましょう。これに対して局長からでも、また大局については大臣からお言葉をいただきたいと思います。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) いろいろの問題について御指摘があったわけでございますが、順次お答えいたします。  最初の入札の混乱の問題、なぜあのようなばかげた方式で入札をやったかというきついお叱りだったようですが、これにはいろいろ私どもとしては考え方があるわけでございます。随意契約より入札の方がよかったのだという気持でやったわけです。いろいろその理由はございますけれども、ただいまお話がございましたようないろいろの御批判を率直に受けまして、将来のためにいろいろ参考にさせていただきたいと思っております。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 将来はいいのですが、そのやったことが糸価安定法の精神をくんだやり方になっているか、もし大蔵省あたりと御相談になれば、政府財産を処理するときにはこうだということになれば、それに従うことは先にも申した自信を欠く蚕糸局の人としてやむなかったかもしれません。しからばこういう特別法をもってその事業を保護するためにできているのだから、そういうおそれのないような一項を加えて、すなわち養蚕にも、製糸にも経営の安全を脅さぬ方法を取り得るだけのゆとりを、あなたの方で持たなければやろうとしてもできないではないか、将来の参考にするというても徹底しない。顧みてまずかった、今度はああいうことのないような方法を考えたいというのか、あれで差しつかえないというのか、それをはっきりしていただきたい。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) 私ども一概にあの方法が、取らなかった随意契約の方法よりあるいは指名入札という方法よりもまずかったということは、こういうことは初めてでございますから言えないと思うのでありますが、結果といたしまして落札を見ますと、大体輸出関係の機械生糸には七割、その他玉糸に四、五%、それから残りのものが国用糸に回っていて実際の生糸の需要の割合と大体一致しておったというような結果が出ておりまして、そこでこういう方法はことしは蚕繭事業団というようなものも生まれて繭を扱うというようなことにもなりますので、こうしたことはさらに今言われたような御批判も率直に受け入れて研究をさしていただきたい、こう思っております。  それから第二段の保管の、これは減耗を政府なり保管会社が負担するのがしかるべきだ、こういう御意見かと思いますが、これは保管会社が繭を買い取ります。場合には、保管経費でありますとか、倉敷でありますとか、金利でありますとか、あるいは乾繭の費用というようなものは考えておったわけでありますが、減粍というものについては買い取る保管会社が始末をする金の中には考えていないわけです。これは減粍は当然養蚕団体の負担であるという形で予約をして参ったわけです。そこで私どもは当然この減粍の問題が、善良な管理者の注意を払って保管をしておりませんと、減耗の問題が起るということが予想されますので、昨年のたしか十月でしたか、九月でしたか、記憶がちょっとないのですが、保管者は保管をしております農業団体に対して特に警告を発して、減耗があってあとで始末ができぬということにならぬようにという注意をしております。ところが今御指摘があった三十円というお話がどこからかよくわからないのでございますが、たしか減耗はあります。私ども数年前に理論的に長い間保管をしたならば糸歩がどれくらい減るだろうか、あるいは繭価格がどれくらい下るだろうかという研究は多少ございますけれども、必ずしも的確なものだということは言えないかもしれないのですが、今回の減耗を、これも蚕繭事業団の活動というようなことがあるわけですから、将来に備えて、また今の段階では、お話しましたように多少政府があるいは保管会社が見るというべきものではないという考え方を私ども持っておるわけです。さらにどういうわけでこういう減耗が起るかということを詳細に調査をいたしております。  それから、その次の安定法を廃案にするのか、こういうお話ですが、これはことしの初め最低価格の改定をいたしますときには当然あれに見合う最高価格――法律による形式的な最高価格だけでなくて、実質的な最高価格というようなものを考えてしかるべきだったと今からは言えるわけですけれども、当時あのような値下りの時代に、政府が売れるんだ、売り出すんだというようなことは、むしろ避けた方がいい、こういう気持でそれには触れなかったわけですが、その次の御質問とも関連するのですが、確かに臨時措置法の意図というのは時価で売り出せる、これは形式的に申せば、安定審議会ということにかけないで政府の判断でできるという形にはなっておりますけれども、それではいっどんな数量をどういうふうに売り出すのだということで市場に不安を与えますから、これは近く原則としては三月中に来年度の価格安定審議会というものを開かなければならない制度になっております。これにかけてそうしたようなこともきめていく、こういうふうに考えておるわけであります。  大体以上のようなことでございます。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 また第一戻りますが、無制限競争入札がまずかったかまずくなかったかはわからないというように私は聞えたのですが、入札のやり方が非常にまずかったと私は思うのです。第二の、農民の方の負担が減耗の分は別として、これは農業団体からもらった資料ですが、これが間違いがあれば別ですよ、養連からきのう持ってきて私に見せたものです。この繭の処分が製糸家との契約というようなことであれば、養蚕家の方の集荷手数料というものは三十円くらいは養蚕家の収入になる。そこへ繭価格が一段落ちるため損害が二十円加わる、減耗だけでなしに長く置いたためか、あるいは生でやったときよりは乾燥が悪かったかなんか知らぬが、平均して一等格落ちたので二十円違う。そこへこちらの方の減耗による損害が出る。これらのことは、業者間の円満な随意契約というようなものができれば、その間にこのくらいのものは養蚕、製糸の間で融通し合うことができる、それができない。困ったことである。将来どうしてもできないならば、これらはいずれこの事業団ができるだろうから、まあ長い間に事業団の方ででも特別な同情のある、道を開いてその損害をなんとかしてやらねば養蚕団体が立ち行かなくなるということを訴えて来た。それに政府の言うことを聞いた者が聞かなかった者より損をした結果になったということになっては、どう理屈をつけても納得いかない、それも無用の団体ならいい。今後とも政府がこれを利用し、有力なる指導機関として大切だということならば、それが成り立つだけの心配をしなければならぬのじゃないか。そういう心配は必要なしというのか、何かこれは方法を講じたいという考えを持つかどうか。  いま一つは、過般の入札がまずかったか、まずくないかわからないと言うのでは私は承知できない、つまり糸価を維持し、繭価を維持しようというのは、一つは暴騰暴落をなくして輸出振興をはかると同時に業者の経営を安定させたいというのが大切なねらいである。政府の持っているものを加工してくれる加工料がどんなに安くても、相手の経営がどんなに悩もうとも、そんなことはおれは顧みないんだ、そういう気持では大蔵省がやるならばまだしものこと奨励指導の立場にあり、それがためにこそ二百五十億も政府の融通をあえて大蔵省に訴えたりしながら、その監督指導の立場にある蚕糸局がこういう入札のやり方で、果して製糸経営を安定に導くことができるかどうか。これが指導奨励の立場からまた糸価安定法の精神の上からも私は製糸業者の上にじゅうぶん配慮を重ねる必要ありと思うのですが、いかがですか。そういうことは別問題ですか。入札のときにはどんなに安かろうが、どんなに相手が困ろうが、経営が破局に導かれようが、かまわないというのがそれが蚕糸局長の意見であるかどうか。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) 最初の御質問の減耗の問題ですけれども、これは保管方法のいかんによっては減耗が非常に出る、あるいは出ないということがあり得ると思うのです。これは事実また小山先生の長野においては保管方法がいいので減耗は出ていない。そこで一概に減耗が出たものを全部を何か見なければならないという理屈には私ならないと思います。それから千四百円で売った者との均衡がとれないじゃないかという問題は、むしろ、ほかの者が千四百円で実際に製糸に引き取っておったということは、千四百円で保管した者があったからこそでありまして、それは養蚕団体の内部においてフールして、むしろ解決をするのが本筋だと私は思います。ただ、将来の保管、蚕繭事業団体との問題もありますから、今おっしゃるように糸歩の減とか繭格の低下とかあるわけですが、どういう保管でどういうふうになったのかということはいろいろ調べて将来の参考にしなければいかん。今まで私どもが見たところでは、これを政府が見なければいかんということには結論はならないと私は思います。  それから入札の問題ですけれども、これは率直に申し上げまして、ああいう入札価格、これは公表しない建前になっておりますが、平均で見て一万四千円ぐらい、こういうのが出たわけですけれども、確かに低いわけです。あのような熾烈な競争が出るというような場合には、私は逆から見て、随意契約というようなことではほんとうの意味の公平がこれまた達せられなかったのではないか、こういうふうにも思います。そこで、あの入札は大蔵省から強制されてやってまずかった、こう言えとおっしゃるばかりのようでございますけれども、私どもいろいろのことを考えて、私どもの判断で入札をやったわけであります。そして必ずしもあれが失敗だったというようには私ども思っておりません。  また、製糸の安定ということをお前は考えないのかというお話でございますが、もちろん、私ども、製糸に限らず、養蚕、これの安定ということで日ごろ仕事をしておるわけであります。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 どうも私の気持がまだよくわからぬ。それは、あなたは、製糸、養蚕の経営を指導奨励する立場にあるわけです。その指導奨励していく上からも糸価安定法というものが必要で、国会の承認を得てああいう法律ができておる。この法律はすなわち業者の経営の安定ということが大事であり、またそんな法律がなくても指導者の立場からしても、それは常に心がけねばならない。かりに他の入札を見ましても、地方あたりでは土木なんかの入札でも、あまり安いのには落さないということさえある。最低元札というものをきめて、それより二割低いところ、予定価格の二割低いところぐらいより極端に安いのは、結果が悪い、業界を苦める、将来に悪いものを残すというので落札ない地方の自治体でさへこの親切だ、一定の下値標準をそれより低いのはむしろ無理がくるからいかん、無理を政府がしいるというのはよくないという議論さえも各方面に起きておる。いわんや、特別法をもってその事業を保護しようとしておりますのに、その値段が幾ら安かろうがそれは国は顧みて悪いとは思わない。それではその事業を助けるということにならぬじゃないか。そうまでして政府の損害を軽くするということにきゅうきゅうとしなければならぬ道理はどこにある。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) 私ども、入札をやってあのような値段が出るということは、予想しなかったわけであります。そこで、今お話のあるように、地方庁で行うような、工事関係の入札の場合に、最低限を確保するという方法をなぜやらなかったかという御質問だと思いますけれども……。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 そうでないんですよ。やらなかったじゃない。そういうことさえもあるのにああいう安値で渡しながら、あえて顧みないと悪かったとは思わないというに至っては私は承知できないというのです。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) そこで、その最低の価格を決めておくという方法もあるわけですけれども、私どもそれは一度考えたことがあるのですが、納入期日等が国営検査規格でもっておさえられるということでその最低をおさえるというようなことは必要がなかったわけです。そこで、ああいう入札の条件に従ってやれば、たとえどんな安い値段が出ても、その人は落札だということになってくるわけです。ただ、私どもがそういう不幸な値段を入札されるような製糸がおられるということは予想をしていなかったわけです。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 どうもそれは強弁なんですね。あなたは納める生糸は生糸検査を経て納めるのだから心配ない。それは、あなた、自分の取るものに対して心配がないというだけの話で、相手を監督し相手を育成しようという業者になしがたきことを、あえてなさしめた結果になる。これはまずかったということを、すなおに考えられなければならないと思うのに、それでいいのか。糸格の問題とは別問題です。安くさせたから悪い糸でも納めるというのなら、その方面で国家が損する。それじゃいけないからそれで検査済のものを取る。これは自分を擁護するための話である。相手のために親切な考慮を払ったとは言えない。経営を安定に導こうという考慮は一つもないじゃないか。それでいいのか。過去は問わないが、今後は当然考えるべきだ。今後にもあろうと思うから、深くあなた方の立場とそうして法の精神に許づき、いやしくも事業の指導監督の地位にある者は、そのくらいの考えがなくては指導はできない。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) 小山先生の言われるお気持は私どもも同じように持っているわけです。それだからこそああいう方法をとったとも言えるわけです。と申しますのは、個々の製糸の加工賃といいますか、あるいは適正な加工賃の判定というものは、なかなかむずかしいわけです。むしろ入札をすれば個々の製糸が自分はこれだけならやっていけるんだというものが常識的には出されるということが期待されるわけです。そういう意味で製糸の安定ということが私どもが今回とった措置についても前提となっておるということはひとつ御了承願いたいと思います。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 それならば、最低どのくらいという常識的な元札というものがあったほうがよかったと私は思う。そうしてそれは輸出とそれから国用とは別でもかまわない。  そこで、いま一つは、これは相談ですがね。できたことをいろいろ言うのじゃないが、私は方法の一つとしては、多くの人の意見をまじえてそれは輸出生糸を作る者から言えば、輸出生糸のためにやったのだから輸出屋へよこせと言うでしょう。そうはいかない。国内におけるところの業者にあまねく何とかして国内の製糸業者にも考えてやる。けっこうな話。それならば、国用は国用の団体があり、輸出には輸出向の団体がある。その団体に責任を持たして交渉をするということもあるであろう。玉糸は玉糸の団体がある。業者は悪いことをするものだとばかりきめこんではいかないと思う。大ぜいの中に悪い者もあろうが、いやしくも団体として動くには断じて非常識なものではない。そういうものともよく議を練ってやったならばこういう間違いはなかったろうと思うんですが、それらとはよく御相談になった上でのことでありましたかどうですか。もしそういうことの手続をしなかったというならば、将来は一つこういうような場合には考えて、一考を要すべき一つの問題ではないかと思うが、いかがでございますか。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) 私ども業者の意向も聞きまして、それからはまたこのことに限らず、いろいろなことをやる場合に必要がある場合は、業者の意向を聞いていくということは原制だと思っております。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 そこで、業者にお聞きになったときに、業者はこれで満足したとは言わなかったでしょう。そこが私は形式的じゃいかぬと言うのです。できるだけやはり真心をお互いに尽してやる。こういう大きな問題、しかも二百五十億も政府が使ってやるということは、業界全体を生かすためにあえて行なったことなんだ。しかるに大局的には非常にいい働きを国家がしてくれたにもかかわらず、一部分の処置の悪いことから、不満が業界に満ておるというのは、返すがえすも遺憾なことです。どうか一つ、ことに税務署とあなた方は違う。税務署といえども今日は根こそぎはやりません。それじゃ根こそぎどころではない。できない仕事をあえてしいた結果になっている。初めからそういう意図のもとになさったのではありますまいが、結果においてそういうことになったので、こういうことを繰り返さないように、今後は十分御注意になって御考慮になる必要があると思いますが、どうですか。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) 率直な御批判で、よく私どもも将来のために考えさせていただく材料にいたしたいと思います。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 次に、繭価安定法は廃案にはしないで、近いうちに何とかしょうとのこと、実は私は一応こうも考えたのです。これはもう生糸の価格維持は困難だから、繭一本に持っていくということも一つの方法としてお考えかなと思ったのですが、そうではないのですか、やはり糸価安定法はあくまで貫くと……。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) 繭一本にするというような考えは今の段階では持っておりません。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 それならば今度それと関連いたしまして、臨時措置法の方の第六条ですが、これは随時あなたが幾らでも売れるということになっている、時価によって売れるというので、その数量もあなたが大臣の認可を得て、あなたがやる、これは非常な不安なんです。そこであなたの先ほどのお言葉では、近く糸価安定委員会でも開いて、その不安のないように、そうして最高も最低も適正なところに早く改める外、政府売出し生糸の値段も数量も安定委員会に相談すると伺いましたが、それでいいのですか。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) 近く来年度の価格をきめる安定審議会を開くわけでございますが、その場合に、今おっしゃられたようなことをはっきりきめておきたいと思います。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 今度は大臣にお尋ねいたします。昨年来蚕糸界は非常に混乱しましたが、幸いやや安定いたしまして、最近は輸出絹織物は非常に出るようになってきた。従来は日本の蚕糸政策は生糸で輸出することであったが、今日では、もう生糸よりも織物の方が量が多くなった。それで今後はおそらく今の輸出量の三倍になることはあえて困難なことではあるまいということを、業界の人からわれわれは最近よく聞くのですが、ただ私のおそるるところは、こう飛躍的にまた織物が出て参りますと、今度はアメリカの方で、アメリカの業界から輸入税の引き上げであるとか、いろいろな難問題が出てきはしないか。これがために、私は昨年これを予想して、予算委員会において外務大臣は常に経済外交を訴えている方であるから、アメリカにはないもので、アメリカに入っている絹織物で、フランスやイタリアから入っているものの中には、アメリカの好まざる中共の糸が何ぼか入っているが、日本から送る絹織物には全然共産圏のものは入っていないのだ。一筋もそれを日本のものに関税を上げるようなことは、はなはだ遺憾である、十分に事情を尽して、この点の心配のないような手を打っていただく必要があるということをお訴えいたしましたが、この点引き続きお骨折をちょうだいいたしたい。これは非常に大きなことで、せっかく伸びかけたものを、もしまた関税でぽかり頭をはたかれると、その体制をくずすことになりはしないか。  今一つは、従来は軽目織物だけで格別のことはありませんが、最近は高級の織物がだいぶ出ていくようになって、これは喜ばしいことでありますが、さらにこれをもって満足できない。一そうよくするためには、アメリカ、フランス、イタリアなどから染色加工の技術を大いに導入しなきゃいかん。これを考えますると、生糸、繭の生産は、農林大臣のお手元で御指導できますが、織物に至っては、これは今後もやればできましょうけれども、現に通産省の方に属しておる織物業者はたくさんありますから、これらを動員して、そして日本の輸出絹織物、生糸を、十万俵もためてある、ああいうものを材料にして試験研究を重ねていくならば、日本の絹織物としての輸出が飛躍的に増高するであろうと思う。これがためには農林大臣のお立場から、通産大臣とじっくり御相談になりまして、今出ておる絹織物の処置ばかりではない、将来の日本の織物発展の上から、養蚕業者にも好影響を与えることとなるので、ここ一番主軸となって、農林大臣から通産省に呼びかけてお働きを願い、農林省、通産省、外務省、三省一体となって、日本の絹織物の発展のためにお力を得たいと思いますが、いかがでございましょう。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) この絹織物の輸出の増進のことでございますが、きょうもちょっとたまたま昼の時間に通産大臣にお会いしましたが、通産大臣もこの問題は心配しておりました。すなわち日本、わが方の輸出業者が往々にして値引きをする、そして不当な乱売をする、不当な競争をやる、ここに一つの欠点がある。むしろ適正な価格を維持しつつ、そして一そう増進するということは、むしろアメリカの事情に適すると、こういうのですね。  そこで通産大臣との話はもう少し広い問題も含まれてございましたが――と申しまするのは、絹織物のほかに、農林省は水産物その他林産物等もございますので、これらを多分に含んでおる問題でございましたけれども、通産大臣と、とくと実は懇談申し上げたわけでございます。通産大臣においても、この事情をとくと御了解して下すっておりますから、両省とも、今後とも協力しまして、通産省にもお骨折り願ってその増進に努めたいと、こう考えております。  なお、後段の絹糸を使います染色その他織物の改善の問題でございますが、先ほどの説明にありました通り、通産省所管に農林省関係として予算も計上しておりますし、それらの問題につきましても、同様に通産大臣との間に緊密な連絡をとりまして、御指摘になりましたように進んで参りたい、かように考えております。

小山邦太郎自由民主党

○小山邦太郎君 ただいまのお言葉で満足いたすわけでございます。ことに予算の面にも、ただいま伺ったところによると、通産省と御相談の上、通産省にその予算をより多く計上するように御努力いただいて、大へんに仕合せのことに思いまするが、なお御参考までに申し上げておきたいと思いますことは、先年は横浜に絹織物試験所があれは多分農林省の管轄でありはしなかったかと思うのですが、今は繊維試験場となって通産省の管轄になっている。せめて横浜にあるからと思って、横浜に行ってみましたところが、実に寂莫で、絹糸なんか一本もありはしない、あるものは化繊ばかり、しかし技術者に聞いてみますと、化繊との交ぜ織なり、絹を動かしてみたいという気持には相当の熱意を傾けて訴えておられたのでございます。ぜひこれも一つ御参考にお願いいたします。その部門が拡張されることは、やがて養蚕家のために減産どころではない、まだ繭はそう高くは売れまいが、千二百円なり三百円ならば、どんどん作ってもよろしいということに私はなるのではないかと思う。これらを考えると、この自由経済のもとにおいて政府は安定経営を目ざして大きなワクをきめ、そのワク中で安定帯を作るのはいいが、その他のことはもっぱら業界の人の利害、判断にまかせて、あるいは進め、あるいは退くとも、業界自身の考えに任せる方が、現にことしは桑を抜くと補助金をくれることでありますが、それは一時その必要があるようにも思われたかもしれないが、他日必ず悔を残す。他に適作があれば抜くのもよいが、桑でなければいけないというような傾斜地には、やはり今日といえども奨励して植えさせることが大切ではないか。私は本院の後藤君や衆議院の方では佐藤洋之助君などとともに、最初大蔵省はなかなか承知しませんかったけれども、幸いに桑の植付けにも補助金が出るようになってまことにけっこうと思います。どうも桑のことは一年や二年ですぐできるものでない、三年経って一人前になる。従ってちょっと悪いからといってすぐ抜けの、ちょっとよさそうだからといって植えろというようなことは、よほど慎んでいただかなければならぬ。これは私の意見として御参考までにお耳に達しておく次第でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 二、三点お尋ねをしたいのですが、ごく最近まで日本からも農業技術について貢献しておりましたが、昨年の実績でお隣の中国、あなた方は中共といわれるが、正式には中華人民共和国、私は中国といいますが、中国の食糧が一昨年に比べて倍になっておる、これは倍になった理由はいろいろあると思うし、試験田のやり方もありましょう。一反に三十石も四十石もとれたというやり方もありましょうし、それから合作社から人民公社になったという点もありましょう。あるいは肥料の増産その他にもあると思うのですが、とにかく一年間に食糧が倍になったということは、私はまあほかにあまり例がないんじゃないかと思います。まあ政府の増産五ヵ年計画、それから社会党も五ヵ年計画の中で食糧増産のことを考えている。しかしこれもやはり五年間かかって二割という程度低かった、あるいはおくれておったとはいっても、とにかく一年間に食糧の総生産量が倍になるということは非常に大きな事実だと思うのです。佐賀県の農事試験場ではあの深耕、多肥、密植、集約労働という中国のやり方を試験的にやってみようと、こういうことがことし行われようとしておるように聞いております。私はこの試験田で三十石、四十石とれたやり方の中に非常に感心をしたのは、迷信打破という、従来の日本の考え方でいうと、一反のたんぼには十俵かあるいはせいぜい十一、二俵、こういうとにかく既成概念を打破しているのだ、こういう点がありますことは非常に参考に私にはなったわけであります。食糧の増産あるいは農業政策についていろいろやっておられる、しかしそう大きな変化はない。量的な変化があるかもしれませんけれども、質的の変化は現在おやりになっているところ、あるいは考えられておられるところにしても、そうないように考えるのでありますが、一昨年から去年にかけて、食糧増産について倍の成績をあげて参りましたお隣の中国の実績から考えて、日本の農業政策について考えるべきものがあるのではなかろうか、こういうことを考えますが、農林大臣なり、あるいは農林省としてお考えになっているところがおありになるかどうか、一つお伺いいたします。

小倉武一農林水産技術会議事務局長

○政府委員(小倉武一君) お話の中国の最近の農業の生産発展状況は、必ずしも私ども十分詳細に承知しておりませんのですけれども、その中で特に水稲の試験田についての飛躍的な増産ということについては、新聞紙その他によっていろいろ報道されておりますので、私どもも非常に関心を持って、多少そういうような報道を通じてでございますが、調べておるのでございます。お話のように、純粋な試験で、いわばデモンストレーションでございますから、実用的な価値云々については、これ、にわかにどうこうするというわけじゃありませんけれども、お話がございましたように、ともかく従来の既成観念を打破するというおそらく大きな目標はあるのだろう、そういう意味で私ども試験研究なり指導をする場合も、固定観念を打破して飛躍的なことをやるためには、こういう思い切った試験研究なり、そういう調査をしてみるというようなことについては、教えられるところが多分にあるというように思います。試験田のやり方については、これは技術的な問題で、必ずしも今お尋ねがございませんですけれども、若干わが国とは事情が違っておりまして、まず第一に中国の米は御承知のことと思いますが、日本種と非常に違いまして、いわゆる外米の和という種類でございまして、日本の品種とはタイプが違っている点が一つ基本的にございます。それから中国の肥料のやり方といたしまして非常に深耕する、そうして、たとえば深耕して新しい土壌を入れますために土作りと申しますか、土で作っている家とか、へいがあるようでございますが、そういう古いものを多量に投じて水田を造成するというようなことをやっておるようでございます。地方も従って非常に肥えておるということもあるように見えるのであります。なお移植も日本と違いまして一回でなく、おそらく二回くらいやっているようでございます。そういうことで非常に収獲のときには密植になっております。相当な成果を試験田としてあげているというような実情でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 技術面については、あるいは食糧政策の面につていは、農林省の中で御担当なり、あるいは責任者だと思うのですが、そういう、あまりに勉強の不足に驚き、また国の呼び方も中共か中国かということで争って正しい呼び方に直そうというときに、御答弁の中から古いシナという言葉が飛び出したりして、全くおそれ入る。それから試験田のやり方少しは御存じのようでございますけれども、問題は食糧政策全般、あるいは農業政策全般についてお尋ねをいたしておるときに、大へん失望をした答弁をいただいて、大へん恐縮に思います。ここで私は事実なり経過なりを述べて教育をしようという場ではございません。農林大臣にお尋ねをしてこの問題終りたいと思うのですが、とにかく先ほど申し上げるように、技術の面もありましょう、それから農業経営というか、あるいは経営主体になっております共同組織の面もあると思うのです。合作社から人民公社に変ったのがどういう工合に違ったのかということをここで長々と述べている時間もございませんが、それから農業政策全般としてこれはやっぱり問題といいますか、教訓があると思います。  それからなお今、既成概念を打破していくということを申し上げましたが、近代的なやり方、これは農業だけじゃなくて、製鋼あるいは石炭を掘るについても、全部についてそういうことが行われておる。私はそういう点は参考になると思いますが、近代的なやり方と、それから中国の古いやり方というものを結びつけてそうしてやっていこうというやり方を至るところでやられている。日本の農業技術も導入し、昨年御承知でしょうけれども、農根部長、日本でいう農林大臣自身が日本に来て勉強したわけです。非常に何というか、真剣に、食糧問題についても、農業問題についてもやられておりますが、その結果は、とにかく一昨年よりも昨年の方が倍食糧増産ができた、これは米だけではありません、あるいは麦それからトウモロコシ、みんな含めてです。それから今お話が出ておりましたけれども、水稲種が違うという話しでありますが、いろいろあります。北の方も南の方もありましょう、それからなおついでに申しますが、綿なんかにしても、従来は北の方の綿は繊維の短かい綿だといわれた、それが必ずしもそうではない、繊維が長くなっているし、あるは綿が人間の背たけ以上になってきたりしている。そういうのを見ますと、従来のやり方だけでなしに、ヤロビ農法を取り入れられておるだろうし、品種の改善も取り入れられておる、いろいろなものが結合した結果だと思いますけれども、とにかく一年間に倍になっている。この実態は、私は日本の政治の場合についても大きな参考になると思う。事実、経過をお話し申し上げるあれはありませんけれども、日本の食糧生産あるいは農業政策についても、こういう例も参考にしながら前進といいますか、画期的な政策を推進を願いたいと思うのですが、農林大臣としてお考え、御抱負等があればお伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 今技術会議の事務局長の小倉君からこれに対する説明をいたさせたのでございますが、農林省は不幸にしてまだ中国の実態を把握するだけのデータは遺憾ながら持っておりません。同時に、既成観念を打破せいということでございますが、従来の経済理論もしくは農業の経済理論から見ましても、相当既成観念では理解できないぐらいの飛躍的な成果だと思うのであります。日本におきましては、御承知の通り明治の産業革命以来作物と申しますか、食糧の増産等につきましては、西洋の方のメソッドを採用して、そうして積み上げて今日に至ったことは御承知の通りであります。従って、明治の初年の生産量から見ますと、一世紀かかって倍加して参った、こういうことだろうと思うのであります。われわれとしましては、この品種の改良であるとか、あるいはまた、総合的な試験研究は常時怠らず、かつまた、先覚のあとを追うて今日もだんだんと進めて参っているのでございますが、立場としましては、やはり近代科学を採用して参るということを堅持しており、従いまして、今日では原子力等の平和利用の一環としましてアイソトープを使用して試験研究を進めるということ、さらに今度は放射線等につきましても若干の施設を加える、従来の試験研究の方法等もだんだん変えて参る、こういうふうにいたしているのでございますが、今吉田さんの御指摘になりましたことは、まだ十分にわれわれとしましては把握しかねるものでありますけれども、これらの問題は、日本の今後の農業政策等の発展のためには十分に考慮しなければならぬことと考えております。かつ、当局におきましては、農林漁業の観点につきましては、基本的な政策を生み出して飛躍的な進歩発展を期待しておりますから、今御指摘になりましたようなお気持といいますか、御意見等は十分に取り入れて、今後の農業改新に努力して参りたい、かように考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 これは大臣から御答弁いただかなくてもいいのですが、佐賀では同じようにあれをやってみようということですが、中国での飛躍的な増産についてのやり方を、調査あるいは研究してみようという御意向が農林省におありになるのかどうか、その点だけ。

小倉武一農林水産技術会議事務局長

○政府委員(小倉武一君) ただいまのお話は、中国のやっております水稲の試験田のことだと思いますが、農林省といたしましては、それをやってみようという気はございませんのです。まだ実は詳細な試験設定その他成果の内容は、技術的に責任あるものが検討したものがございませんのです。それから先ほどお話ししましたように、非常に密植になるものですから、どうしてもいもちの心配が出てくるわけです。日本稲でありますと、いもちに対しては郡に比べまして弱いものでありますので、その点に非常に関係があるのじゃないか、中国の和でございますと、ものによりましてはいもちについては非常に強いものがある。そのことは日本でもわかっております。和ではまだ日本で試験する価値もございませんし、純粋の日本稲で中国で日本以上の成果を上げているというふうなことがありましたら、むろん同じような研究を進めてみる価値がございますけれども、今のところそういう事情でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 問題の中の農業経営の規模といいますか、農業の経営組織の問題については、あとで課税の問題と関連してちょっとお尋ねをいたしたいのですが、これはあまり事実を知らぬということですから、ここで論議なり質問しても仕方がないと思います。  問題が全然別の問題でありますが、韓国抑留漁夫の釈放について、二人の留守家族代表が二、三日中にジュネーブの国際赤十字の会合に参ろうといたしておりますが、これはいわば民間と申しますか、家族が自分でジュネーブヘ行きたいと、こういうことですが、政府と申しますか、問題は漁業問題に関連をいたしますので、農林省としても政府部内の一部局として方策をお持ちだと思うのでありますが、家族やあるいは赤十字だけにまかせるのでなくて、政府としてどういう方策をおやりになっろうとするか、この際承わりたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは実は日韓会談以来、常時韓国側の代表と折衝いたしまして、そして参ったのでありますけれども、遺憾ながら向うの同意並びにこれに対する積極的な協力を得られないままに、推移して参ったのでございまして、たまたま北鮮にその人々を帰還させるということにつきまして、そしてまあ国際赤十字のあっせんを借りるということになったのでございますから、その際に合せてこの問題を中立的なその機関に委託する、同時にまた事は人道問題に関する重大なことでございますので、先般外務大臣を通じまして国際赤十字の方にこれを持ち出して、その協力を借りたい、こういうことでございます。日韓漁業交渉を初めその他日韓交渉の過程におきましては、熱心にこの問題につきまして韓国側の反省を促し、同時にまた、帰還等につきましても努力したのでございましたけれども、それのみをしては進みませんのでそこでたまたま今回の機会を得てこの問題も総委嘱して参った、同時に派遣されました人々から、ちょうどいい機会であるからというので、その家族の実情あるいはそういう方面について、あるいはお話した方が適切である、こういうことであったものでありますから、関係の民間の団体では、この機会に二人の婦人の方を派遣する、こういうことになったわけでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 まあこの問題については国際赤十字まかせではないか、国際赤十字にたよろうという実情でありますことは、私もわかるのですが、そのほかに今度のこの抑留漁夫釈放問題につきまして、韓国側から大村収容所に収容しておる朝鮮人の釈放問題と関連をして考えるかのごとき新聞記事での談話等がございましたが、それらの点について政府として何らか考えというのですか、具体策を出すという意図、あるいはあれは何にもお持ちにならぬわけでしょうか重ねてお伺いいたします。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) この問題は、直接にわれわれがその方面の関連におきまして農林省は折衝いたしておりませんので、遺憾ながらその事情をつまびらかにいたしておりません。ただ、農林当局といたしましては従来の日韓交渉等の関係もありますので、外務省を通じましてそしてその折衝をゆだねておった。同時にまた、外務省に対しましては、熱心にもうほとんど不断の努力を払いつつこの問題の推進をはかってきたわけでございますが、それ以上の事情はちょっとつまびらかにいたしません。もしも何でしたらその方面の方に御連絡を賜わって御答弁をしていただくと、こういうことにしていただきたいと思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 まあ所管が違うというか、対外折衝については外務省がやる、気持はわかりますが、問題は船員のことでございますから、農林省にも農林大臣にもお尋ねをしたわけであります。これは農林省の所管の問題でありますが、今度の抑留漁夫の釈放問題に関連をいたしまして、抑留されておる釜山の状態の問題にあらためてなって参りましたが、なおその実態が大へん人道的にも問題だということで、赤十字に訴えられたわけですが、その穴埋めと申しますか、釜山における生活の実態から月々慰問品を送らなければならぬ、見舞金等をもらっておるわけでありますが、送らねばならぬ慰問品等の実態から、今いただいておる見舞金等では足りないという実態でございまいまして、見舞金なり、あるいはその抑留船員の何と申しますか、処遇の改善について要望が出ておるはずであります。農林省にも出ておるし、大臣も御承知だろうと思うのですが、その処遇と申しますか、見舞金なり処遇については、これは農林省水産庁の所管事項だと思います。これについてどういう御方針でありますか、承わりたい。

奥原日出男水産庁長官

○政府委員(奥原日出男君) 韓国に抑留されておりまする漁夫の援護の問題に関しましては、かねてから日韓本部を中心にいたしまして、見舞金及び差し入れ費の増額等の要請を受けておるのでございます。われわれといたしましては、目下この問題は、政府部内で大蔵省との問にお話し合いをいたしておる段階でございます。まだ今日のところ結論に達しておりません次第でございますが、不日何らか援護強化の線に即しました結論を申し上げ得ることに相なろうかと思うのでございます。なお、あの方面に出漁いたします漁船につきましては、これを普通保険のほかに、拿捕に対しまする特殊保険及び乗っておりまする漁夫の給与に関しまする給与保険、これに付保することが適当であるとかように考えるのでございます。そういう意味におきまして、過般拿捕に関しまする特殊保険につきましてその保険料を半額に減らす、こういうことに決定をいたし、すでに通達を申しました次第でございます。これによりまして同時に船主が、搭乗漁夫に対しまする給与保険に付保し得る保険料の負担力も出て参るかと存ずるのでありまして、この方面に対しまする出漁の安全、あるいは漁夫の給与の確保ということについて百尺竿頭歩みを進め得るかと、ただいまかように考えておるのでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 今まあ援護強化について大蔵省と折衝中だということでありますが、農林大臣出ておられますので、援護強化の必要はお認めになっておる。具体案は水産庁から大蔵省に折衝中であろうと思いますが、省として、あるいは大臣として援護強化の方針には間違いがないのだろうと思うのですが、大臣の御所見を承わりたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 今水産庁の長官が申し上げました通り、差し入れと申しますか、抑留者に対しまする見舞金の面につきまして、具体的な折衝を今大蔵省とお話して、きょうも大蔵大臣ともお話し合いを進めておるわけでございますが、近く相当の強化された線でもって解決することじゃないかと、これを期待しております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 そういたしますと、水産庁長官に伺いますが、差し入れ費、見舞金等についても従来では実情よりはやはり足らぬと申しますか、そういう点は認めていただいて、そして実際とそれから政府からの補助と申しますか、援護される金額との差額をさらに出していただくような折衝をしておる、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。

奥原日出男水産庁長官

○政府委員(奥原日出男君) 現在抑留漁夫の差し入れに対しまして政府が補助いたしております金額は、年間を通算いたしまして五万四千円でございます。過般日韓対策本部におきまして実態調査をいたしておりますところによりますれば、実際かかっております金は月一万円を少しこす、こういうふうな調査が出て参っておるのでございますが、さらにその実態を確実に把握いたしまして、実態に即しました差し入れ費の補助をいたしまするように、大蔵省と打ち合せをいたしておるところでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 ですから、実態を調べて、その実態に即して交渉することだけれども、年間五万四千円では実際をカバーするに足らぬ。だから継ぎ足しが一万円か幾らになるのか、そこのところをもう少し正確に調べて、その差額をさらに出すように折衝をしておるのじゃないか。私どもから言いまするならば、その実態から言いまするならば、その差額は今後ふやして出るものだと了解してよろしいものか、こういうことです。

奥原日出男水産庁長官

○政府委員(奥原日出男君) これは政府部内でなお打ち合せておる問題で、まだ結論が出ておらない次第でございますが、水産庁に関する限りにおきましては、現在よりも差し入れ費の補助を強化しなければならないのではないか、こういう線で打ち合せをいたしておる次第でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 増額はわかりますが、増額を主張しておられるのは水産庁としては年額五万四千円、それから実際が幾らかかっておるか。この日韓対策本部のあれからいいますと、年間十二万円、その十二万円の資料をもって確かめて大蔵省と折衝したいけれども、実際に要っておる額に近いものを出すように大蔵省と折衝しておるのだ。あるいは大蔵省としてもふやさなければならぬという点は認めていただいておると思うのですけれども、その認めていただいておるものは、実際にこれだけ必要なものは出さなければならぬじゃないか、こういうことで御折衝を願っておるのじゃなかろうか。というのは、前にはこれは一括して、個人でなく見舞品を送られたこともあったようでございますが、そういうのはやめて、実際にふだんの実態からいって差し入れを行わなければならない。そうしないと人命にもかかわるし、栄養失調にかかってなくなった者もおります。その送らなければならないという点は、政府としても認めていただいておる。この五万四千円では足りないから、実際に要るものをカバーしてやろう、こういうことで御折衝願っておると思いますので、そうするとそれが月に一万円になるかどうか知りませんけれども、実際に要るものは出さなければならない。こういうことで折衝を願っておる。あるいは大蔵省においてもその精神は大体了承しておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

奥原日出男水産庁長官

○政府委員(奥原日出男君) 水産庁に関する限りは、ただいま先生のお話しの通りの線で折衝をいたしておる次第でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 もう一つは、今の保険問題ですが、保険料を半額にしていただいたということでかけやすくなったという点はありましょう。ところが、小さい船に至ってはなおさらそうですが、その点は認めていただいて、その保険にかわるべきものをいただいているわけですけれども、李ラインの中に入らない、あるいは釣りに出ますものは対馬、その他から言うと、一本釣りでも、その心配がなくて出ていってつかまったりいろいろあるわけです。従って保険に入れということはずいぶん奨励しているが、実際は入らないものがおる。従って保険に入らなかったからといって、保険給付がもらえない。そこで代替的の方法を講じてもらっているわけであります。その金額は今のところ一万円ということです。それから従来は大きいところについては、保険に入らないもの、あるいは自家保険でやっているという大きいところについては、この前お願いしたときには、大きいところで入り得るところで入らなかったところのものについては、これは知らん、ところがその後実際やってみますと、この危険性がないところに行く云々という点もありまして、金額と、それから保険に入っておらないものについて大小によって差別をつけるということに、若干やはり実情に沿わない無理な点があったようで、その点についての改善の要望も出ておりますが、これについては水産庁としてどういう工合にお考えになりますか、承わりたいと思います。

奥原日出男水産庁長官

○政府委員(奥原日出男君) ただいまお尋ねのございました第一の点、保険に加入していない船、これは大型の船でなしに、対馬等を根拠にいたします小船が多いのでございますが、この船の拿捕された乗組員に対しまする見舞金は月一万円出しているのでございます。こういう点も合せて大蔵省と打ち合せを現在いたしている次第でございますが、ただ、今日の国内におきまする生活援護の体系の中におきましては、抑留漁夫に対します現在の一万円という給付は、特例に属するものでございまして、その点でなお増額については政府部内におきましてもよく検討をいたし、打ち合せを重ねなければならない点があるのではないか、かように考えている次第でございます。  第二のお尋ねの大きな企業者、これは自家保険をやっておって保険に入っていない、こういうものに対する問題でございますが、これに関しましては、拿捕された場合におきまする見舞金につきましても、一般の零細な漁船の経営者と区別いたしまして、たしか二分の一程度の金額を交付しているにとどめている次第と思うのであります。しかし問題は、これらの企業者も過般保険料の引き下げをいたしましたことでもあり、この際ぜひとも特殊保険及び拿捕保険に入らせるということが適当である、かように存じているのでございますので、そういう指導を強化いたすことにいたしているのでございますが、最近大会社関係におきましても、現に保険に加入しつつある、こういう傾向にある次第でありまして、できる限りその間のアンバランスを来たさないように措置して参りたい、かように考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 援護の強化については、大臣としても努力するということですし、大蔵省と折衝中であるが、不日強化された案を示すことができるだろう、こういうお話しでございますから、その点については農林省、水産庁の御努力をお願いをいたしまして、この点については質疑を終りたいと思うのですが、ただ、これは韓国抑留者のこういう家族援護につきまして、三年ほどになりますか前に、やはり予算委員会のたしか分科会であったと思いますが、お願いした後に北海道に参りまして、北海道の、これは何といいますか、安全操業と言っているのですが、大へんまああいまいな表現ですが、いわば歯舞、色丹、択捉、国後等の沿岸でコンブをとったり、あるいはカニをとったりしている漁民、この北海道の沿岸漁民の、あるいは拿捕されましたり、いろいろいたしました漁民についての援護については、何ら施策がないじゃないか。そこで私は率直に申し上げます。そのときの言葉を率直に伝えますが、あなた、国会議員で福岡から出ているからといって、韓国関係ばかりやっておってはどうにもならんじゃないか。北海道のこともやってくれなければと、実は北海道の漁民の代表にも言われたのであります。それから、これは事情が複雑で、あるいは引き揚げてくるときに、政府の方針で引き揚げて、何にも持ってこなかった、こういったような事情もありますから、事情は若干違ったり、あるいはお見舞とか補償とかという性格が若干違ったりいたしたりしますが、しかし何もされていないで、要望が出ていることも事実です。それから同じような点は中国抑留船員についてもあるわけであります。しかも中国の場合には、相手の国は違いますが、韓国に抑留される船員と同じ、これはいわゆる船主であり船員であるわけであります、以西底引関係の。韓国関係といいますか、李承晩ライン前後の場合にはこういうあれがされる。ところが中国に参りました場合には、全然そういうことがないというところに、多少の矛盾もございまするし、要望も出ていることは御承知の通りだと思うのですが、多少事情は違うが、他の国の関係であるいは抑留をされましたり、あるいは船が、何といいますか、没収をされたりしたものについての処遇について、水産庁及び農林省でどのように考えておられますか、あわせて承わりたいと思います。

奥原日出男水産庁長官

○政府委員(奥原日出男君) 中共に抑留されておりまする漁夫は現在百五十三名ございますが、またソ連関係に抑留されておりまする漁夫は現在六十七名おる次第でございます。で、これらの漁夫について、韓国に抑留されておりまする漁夫と同様に見舞金を出すべきではないかという問題は、かねてからの懸案でございました次第でございますが、現在こういう問題をも含めまして大蔵省との間に話し合いを進めております次第でございます。先ほど申し上げました諸般の給与、援護強化の問題の結論とあわせまして、これらの問題に関しまする結論を不日得まして御説明を申し上げ得る段階に至るものと、かように考えておる次第でございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 わかりました。御答弁に感謝して、他日御報告いただくときを待ちたいと思います。  最後に、農業法人の課税問題につきまして統一見解が出て、その統一見解の解釈をめぐって三月の十三日ですか、衆議院の農林水産委員会で質疑がなされております。統一見解でも第三項の実態に即して云々というところで、なおその解釈をめぐっていろいろ意見が述べられた。それから三十一年までについてこれを取り消しということをしないで認める。そうすると三十一年まではいいものを、三十二年には認めないということは理由がないではないか。こういう質問に対して三浦農林大臣は、やはり「三十二年度から認めないということは理由がないわけでございますね。そういうことでございますから、どうも大蔵当局のやっておりますことを部外の私がかれこれ申し上げてその判断の是非をただすわけには参りませんけれども、この事情をお伝えして、善処を促すということはいたすべきだと思います」と、こういう回答がございました。実態に即して、地方の税務署といいますかで、実態調査の上でどうするかということをきめる、あるいは取扱い、これに対して農林大臣は三十一年までは法人として取扱い、あるいは法人の所得税を課すのだから、三十二年度についてもそれでいいじゃないか、こういう御見解が述べられたように承わるのでありますが、その後の折衝の結果、大臣が十三日述べられた通りになっておるものと了解してよろしいのでありますか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) その翌日、農林、大蔵さらに相談しまして、法制局等の意見も徴しまして、そうして農林政務次官の石坂さんから御答弁を統一的に申し上げておいたわけであります。さらにそれを裏書きしまして、大蔵政務次官も同意であるということで、一応農業法人の課税問題は、衆議院の農林委員会に御了承を得た、こういう経過になっております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 そうしますと、実は経過を会議録でうかがいながらお尋ねをしているので、その点は少し詳細を知らないでお尋ねをする失礼があったと思うのですが……。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 農地局長が来ましたから、場合によっては説明さしてもよろしゅうございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 統一見解で通牒が出されたとして、三十二年の所得について、これから課税をいたしますものについて、農林大臣の御答弁のように同様に取り扱われるものと了承してよろしいでしょうか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは正確に言わないと誤解を生じていけませんから、農地局長が参りましたから、まず大蔵、農林が統一的見解として発表しましたものをお示ししたことを申し上げて、さらにそれに対する最終的な了承、打ち合せの答弁要旨を御説明申し上げて御了解を得た方が適当だろうと思いますから、農地局長に説明させます。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) 農業法人の課税上の取扱いについての問題でございますが、これは実は従来しばしば意思がございましたので、先般大蔵省と農林省で考え方を統一いたしまして、見解を述べたような次第でございます。これは、前に意見がございましたのは、特に国税当局方面におきまして、農業法人が農地法の違反をしているので、これについては法人課税をすることはできぬというようなことが言われているわけでございます。これにつきましては、われわれといたしましては、法人が法律上登記が済みまして、設立されておりますれば、これは有効な法人として認むべきであるという考えを持っておりましてこの点につきまして、法制局も中に入れまして、三者で話し合いました結果、農地法の許可を受けておらぬ、たとえば賃借権を設定しておりますとかあるいは請負契約をしているというような場合で、許可を受けないでやっております場合でも、登記の受付がありまして、すでに設立されている法人につきましては、これは法人として有効に存立しているのだという点で、まず見解は一致したわけでございます。それからもう一点、これは一般論でございますが、法人としてあるものについては、通例の場合には法人税を課すのだ、これは一般論として当然のことでございます。具体的な問題としまして、いわゆる問題になっております農業法人についてはそれじゃどうかということにつきましては、農業法人につきましては、これは、先ほど来申し上げますように、農地法の実は許可を受けまして、賃借権の設定をしたり、あるいは請負契約をしているものは、現在問題になっておりますものにはございません。一応農地法の許可なしに実はやっております、そういうような場合には、一応所得の帰属というものは、それは個人にあるだろうと推定される。一応はそういうふうに推定される。しかし、そういう場合でありましても、実態が法人として経営をしているというような場合におきましては、それは、農地法の違反ということがあっても、経営の実態が法人として農業経営をやってるという場合には法人税を課したらいいだろうし、相変らず農地法の違反をし同族会社であって、たとえば、従前とほとんど同じな個人経営をしているというような場合には、これは個人として所得税を課したらいいだろうというような課税の問題におきましては、農地法の違反でありますれば、一応個人に所得が推定されるというふうに見られるけれども、実際の場合には、経営の実態をよく見て、実質課税をしたらいいだろうというふうに見解は統一したわけでございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 関連して……。今のお話だと、実態を見てやるということですが、法人というものは名ばかりであって、いわゆる法的なものに何も価値ないということになりますか、実態を見るという場合のあれは。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) 実態を見てと申し上げましたのは、実際の農業経営が今の問題になっておりますのは大体一法人でございます。数人集まってやるわけじゃございませんで、一応一法人でやっておりますが、経営の実態が、もうすでに会社として果樹園なら果樹園を経営するという形になりまして、所得がほとんど会社に帰属しておる。そして個人につきましては、給与を払うとか、報酬を払うという形で実際が経営されている場合であれば、実態は法人として見ていいだろう。ただ、法人となっておりましても、ほとんど従来の通り個人の経営を何ら変らぬという経営の実態であれば、個人として課すのがいいだろうという見解でございまして、実質の判断が、法人であるか個人であるかという判断については、これは国税当局が調査をいたしまして、その上で判断をするということになっております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 どうも法的に考えてみますと、たといそれは非常に小さいものであっても、法人として届出をしてあれば、法人としての解釈をすべきで、たとえば、今お話のあったところの果樹園、果樹園といいましても、一町ぐらいの果樹園のほかに、あとは水田を持っておる、あるいは何かの耕地を多少持っておって、とてもこれはあれしたのでは、零細農家だから、かなわないから、家内全部がそろって一応法人とての形式だけは整えて、そうして農業経営の収入の面及び経営の面において、何とかして滅びゆくところの家族制度を確保しよう、農業経営というものを何とか押えていこうというのでやっているのが、今のあなたのお話の問題の対象になるわけです。それを法人とする必要がないじゃないかということなんですか。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) その点は、私どもは、今法人なりにつきましては、実は実態の調査、あるいは共同経営、収支計算まで共同でやっているというものにつきまして実は調査しておりすが、今問題になっております鳥取、徳島等の二口一法人につきましては、実は問題の起きました原因は、われわれの見るところでございますが、これは大体課税の面からしまして、個人と法人の課税上の違いということから、この二月一法人というものが起きてきたというふうに実はわれわれは見ております。それで、税を離れまして、経営の問題として見まして、農業経営上、法人という形で農業経営をやったのがいいのか、あるいは今の農地法が前提としております自家労力を中心にしました個人中心の自作農がよいのかということは、非常に議論のあるところでございまして、いろいろ農業法人ということについて言われておるのでありますが、一つは、数戸集まって、土地なり何なりについて賃借権を設定するとか、共同出資をするとかいうような、数戸集まった共同経営式な農業法人というものと、二戸一法人というものが、実は混同されて議論されているのではないかというふうに私どもは思っております。それで、税の面を離れまして、経営上農業法人というものをどういうふうに考えたらいいかということにつきましては、これは非常に検討を要する問題でございます。それで、先ほどから申し上げておりますように実は調査をするのでございますが、共同経営式な方法で、実は法人という名前はとっておりませんが、共同経営式のものでやっておられるところも、数カ所実は開拓地にございますが、今の二戸一法人というよりも徹底した形のものだろうと私は思っておりますが、そういう形のものもございます。それから、今問題になっております一戸一法人というもの、それから、おそらく農業法人と考えられますのは、数戸のものが集まって別個の農業法人というものを作るとか、いろいろなそういうものが考えられるだろうと思っております。  そこで、今問題になっております一戸一法人は、われわれ農林省といたしましては、大体の考え方としましては、課税面のいわゆる中小企業の法人なりと一緒でございまして、課税面からこの問題が起きてきたのであろうと実は私見ております。それでわれわれは、税の問題につきましては、大蔵省当局に、個人の場合と法人の場合との課税のアンバランスを直してほしい。せんじ詰めて参りますれば、専従者控除の問題になって参りますが、これにつきまして、法人と個人との課税のアンバランスを直すべきである、直してくれという交渉を今後も実は強力にやっていこうと考えております。それから、法人全般の問題につきましては、これは、農地改革で小作地を解放いたしましてせっかく自作農を作ったのでございますからして、今後その農地がまた個人の手から離れて従来のような土地兼併になりましたりあるいは不耕作地主ができたりするというような、現在のままの商法上の会社ではそういうふうに考えられますので、それでは私どもは、せっかく作った農地法の精神からして非常に矛盾したことになりますので、今後の問題といたしまして、数戸の集まりました共同経営がいいのか、あるいは別に農業法人というものを作るのがいいのか、これは実は協同組合等にも相当関係がございますので、この問題につきましては、実は慎重に検討しまして、その上で結論を出したいというふうに実は考えております。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 実はこれからの専従者控除を認めてもらいたい、これはけっこうです。それから、共同経営の形態が協同組合でいくか、あるいは法人という形を取り入れてやるか、これも今後研究してもらうこと、けっこうです。その中に、今、農業の飛躍的な生産力の増大のために、農業経営の規模なりあるいは組織という問題もあると思うんですし、これはまあ大いに研究を願いたいと思うし、先ほどは、実は中国の人民公社の例を引いて、御抱負がおありになりますかと言ったら、まあそれはあまり今のところないと、こういうお話、さしあたりのとにかくその農業法人の課税問題ですが、このどうも結論がわかりかねるので、そこのところをお尋ねをしておるのですが、私ども、まあ率直な感じを先に申しますと、中小企業の場合に、あるいは酒を作っている、あるいはしょうゆを作っている、あるいはお菓子を作っている。これはあなたたちから言うと、一世帯といいますか、あるいは一経営一法人というような、これは農業の場合とあまり違わない。ところが、それは認められておって、農業の場合だけ認めぬ。法人としては登録業種として認めたけれども、課税の場合だけは、これは法人だが、あるいは税務署から言わせれば、脱税の目的、税を軽減するだけの目的でやっているんじゃないか、こういう言い方を大蔵省は言う。大蔵省が言うのはわかるけれども、農林省も一緒になって認めぬという点には、私どもは、これは納得のいかぬところです。それから、実態を調べて云云ということだけれども、その実態を調べるのは、国税庁が調べるのにまかせている。これはまあ、徳島の例や、あるいは鳥取の例等はだいぶん述べられているようです。ここでは言いませんけれども、その例はひどいものだと言うけれども、実際には法人の所得じゃなくって、個人の所得を申告せいというような強力な調査を――これは調査なのか強制なのかわけはわからぬ。実態は強制に近かったろうと思うのですが、それをその同じ国税庁あるいは税務署が調査するにまかせる。あれも、ひどいのは調査はせぬでしょうけれども、末端では、これは調査せいということになれば、税金がふえることは望ましいことだから、それは、法人としての所得というよりも、個人としての得得を調査するにきまっていると、まあわれわれから言えば言える。それは、まあ問題の点はそうたくさんあるわけじゃありませんが、農林省も一緒になって調査するというのならまだわかる。しかし、あくまで国税庁の調査するにまかせると、こういうことで問題を解決すると考えているのは、私は甘いと思うんです。この点についてどうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) あたかも農林省はしり馬に乗って、今の法人税をとらせないというふうな考えじゃないかというふうな印象を受けるのでございますが、実はそうじゃないんです。というのは、農業法人の問題は、いやしくも農地法上の許可等がなければ、これは否認しておった。しかし、法人そのものの実態を見る場合には、それは不当であろうということで、だんだん取り進めて参ります。同時に、御承知のように、農業法人として成立しておるものは、有限会社の商法上のこれは法人なんです。そこで、これらを見る場合に、総会も開かない、商業帳簿も作らない、あるいは日々の帳簿も作らないということで、どんぶり勘定でやって、法人の名前はとっているけれども、従前通りの私経営と何ら変らないということがあるということがここの問題になったわけでありまして、これらの問題は、税法の関係上どう見るかということにつきましては、これはどうも、やはり国税庁等の見るところをわれわれとしても尊重すると、こう申しますか、それを国税庁におまかせするもやむを得ないことだと思う。これがつまり最後の帰結になったわけでありまするが、最後に問題になりましたのは、三十一年度までは、とにかく法人税として取ったものは認めよう。しかし、三十二年度からは、それは御破算だぞと、こういう問題ができまして、それは農林委員会等で論議になりまして、いやしくも三十一年度で農民の法人税を認めたということであり、それが三十二年度においても実質がちっとも変らぬならば、依然やはり法人税を取るべきことじゃないかということで、最終的にやはり意見を調整して、先ほど農地局長が説明申し上げた通りな結論に統一しまして答弁をしたわけでございまして、われわれとしましては、ただ単にしり馬に乗って、その利益を害するというようなことはしておりませんから、その事情を一つ御了承いただきたいと思います。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 これはまあ、しり馬に乗ろうという気があったということは申しません。なるべく乗るまいとして、多少抵抗された点もわかります。しかし、全然農地法上認められておらぬ法人だから、これを法人として認めない。しかし一番最後の、三十一年度まで合法的に認められたものを三十二年度以降認めぬというのは理由がないんじゃないか。それで、三十一年度、法人の所得税を納めてきたんだから、そこで、三十二年度以降も、法人課税を認められるようにしたい、事情をお伝えして、善処されるようにしたいと、言葉はやわらかいけれども、その通り聞きますと、大臣はそう言われる。ところが、その統一見解の解釈云云ということになれば、実態を見てということになりましょう。実態を見てということになれば、三十一年度までは法人の課税を受けてきたけれども、三十二年度以降は、あるいは法人の課税にならぬかも上れぬ、そういう面が出るかもしれぬ、こういうことを言われているでしょう。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) そうじゃないんですよ、それは。というのは、三十一年度法人税として認めたと同じような事態であるならば、三十一年度以降も同じじゃないか、そうだという答弁をしているのです。そういう点は、石坂政務次官が統一的な見解をさらにまとめまして答弁をしておるのでございますが、そこで大体筋道が通っているわけでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 どうですか、農地局長。三十一年度まで法人課税を受けたものはその後三十二年度、三十三年度分についても同様に取り扱う、こういう大臣の答弁ですが、それでよろしゅうございますか。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) 大臣がこの前農林委員会でお述べになりまして、その上で、そういう精神で大蔵省と話すということをたしかその速記録では計っておられると思います。その後大蔵省と見解の統一をいたしまして、石坂政務次官から答弁をいたしております。その答弁は、実態を見てやろうという意味のことでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 そうすると、大臣の答弁と、局長の答弁とやはり違うじゃないですか、少し。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 実態は、法人の経営をしているか、個人の経営をしているかやはり実態を見なければならぬのは、これは当然のことだと思います。ですから、農林委員会におきましても、その実態を見るということについてこれを否定し、もしくはこれを排斥するような御議論がなかった。やはり実態を見るということは、当時これは是認されておったと思うのです。ただし、その場合といえども、三十一年度ではそれをやっておりながら、三十二年度になってから、今度は法人の課税はしない、個人課税だということでは条理は通らぬ。その点はどうだということで、さよう両省間で話せということでございましたので、最終的な統一をしたわけでございまして、その法人税を課すべきか、あるいは個人税と見るべきかは実態を見るということは、前々からのことでございまして、別段これを変更したというわけじゃございません。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 大臣の御答弁によると、実態を見ることは、三十一年度までも実際やっていたと、こういうことですが、実態というものを法上から言いますと、これは、議論が農林委員会で言われておりますけれども、ナシの作り方、これが変ったとか変らぬとか、こういう問題じゃありません。やはり法上個人であるのか、あるいは法人であるのか、問題はそこだと思うのです。それは、ナシの作り方が、あるいは、ミカンの作り方が変るとか変らぬとかという問題ではなくて、問題は法人――これは、法律上からいえば、私法人と何ら変りない一権利主体ですね。法人であるかないかというあれから言うと、法上の取扱いが法人になっておるかどうか。その実態からいうならば、三十一年度でも法人、三十二年度だって法人です。あとは、ここに書いてあるように、その所得の享受者が法人であると認められる場合は法人として課税することが相当である云々ということだろうと思うのですが、まあ帳簿が整っておるかどうかという点になりますと、私どもは、実際を知りませんから、わかりませんけれども、実態というのが、豊作だとかあるいは生産だとか、そういう自然的な状態の実態を言うのではなくて、手続上といいますか、これは法上の取扱いがどうなっておるか、こういうことだと思う。その自然科学上の実態でなくて、法上の実態が三十一年度も変らぬ、三十二年度も変らぬということになれば、これはやっぱり三十一年と同様、その法人税を課すべきだ、こういう御答弁だと思う。その法人ということの実態は変っておらぬ。これはそうだろうと思う。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは所得の帰属が法人と見るべきか、経営の実態上個人と見るべきかが、これが要点なんです。われわれとしましては、それは税法で定むるところの方式に従うことは、これはやむを得ない、こう考えておるわけでございまして、その法人並みのものが個人の所得に帰属するものを法人なりと、かりに擬制的なことをしても、これは理論的にも認められないし、同時にまた、法人の所得に帰属するべきものを、それがまた正規の法人の運営上きちんとなっているものを個人の所得とするということも、これまた不当でございましょうから、それらの経営による所得がどこに帰属するか、つまりその実態を調査するということが要点であろうと私考えておるわけであります。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 まあ大臣の言葉のあげ足を取って言ってもしょうはないですから、今言われました所得の帰属が云云という点が一番の問題のところだと思うのです。そうすると、農地局長にお尋ねをいたしますが、所得の享受者が法人であると認められる場合は云々といっても、普通の法人の場合には、あるいは書類によろうとあるいは何によろうと、会社のような場合に一応法人に所得を帰属するといわれるように、初めなっているあとは、たとえば配当なり、あるいは賃金なり、これはまあ分れてもいい、結局は個人に帰るわけです。そこで、最初の帳簿上のあれが、全然帳簿がなくて、さっきどんぶり勘定と言われましたけれども、なければ別ですが、言われているような徳島あるいは鳥取ですか、こういうところで、そういう一応の法人としてのとにかく経理、帳簿というものはあるだろうと思う。そうすると、ほかの中小企業、農業以外の中小企業の場合にも、その実態に変りないと思う。それに農業だけどうして――とにかく徳島あるいは鳥取の場合については、所得は法人に帰属しないで、個人に帰属しておるとして考えられるのか、その他の場合については、それが法人に帰属する、こういう工合に税務署は見てやっているわけですね、実際に。そこに私は理論の納得のいかぬところがある、原則はいいです。原則はいいが、やはり具体例について、農林省なら農林省として、共同調査でもして、そうしてできるだけ他について行われているように取り扱う、あるいは認定をするというように協力をされるならば、これはわれわれもわからぬことはない。わからぬことはないけれども、まあ所得の享受が云々という原則論だけで、あとどうなるかは税務署にまかせるという、こういう態度は私はやっぱり、農民なりあるいはわれわれを納得させるところではなかろうと思うのです。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 中小企業の方の御引用で、ございましたが、これはもう御承知の通り、かつては生活協同組合等の名前でもって、そうして脱税組合を作ったという例があるわけでございまして、これらのあれを農業法人に持ってくる、こういう考えは実はありません。同時にまた、先ほど来申し上げました通り、これは商法上の有限会社の組織でございますから、そこにやはり国税庁等も何にも、帳簿を備えないで――一応帳簿を備えておったらというこういう、仮定で吉田さんは御指摘になっておりましたが、まあ帳簿も備えて、完璧でなくても、完全でなくても法人なりの運営をしておるということであれば、これは農業法人として法人の課税をすべきじゃないか、われわれの方は、むしろそういうふうな主張に立って、この問題を推進したわけでございます。しかし、帳簿も備えず、あるいはそれらの法人を運営するに当りまして、何にもどうもしていないということにつきましては、どうもわれわれも、いかに農民の保護をしていきたいといいましても、理論として通りませんですから、その点と区別して考えなければならぬかと考えておるわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連。その問題について、私もまあわからないわけじゃないのですけれども、ただ、やはり方針として、個人課税と法人課税でもって相当の開きがある。これに対して、農業の専従者控除をやろうという基本線が、農林省としてこれを強力に押すということの腹がきまっておるとするならば、私は、この有限会社としての登記をした法人――これはまあ登記をする場合に、農地法の許可がなくても登記はできるわけでありますから、会社はできる。そこで、できたものについて、実質課税主義で行くといった場合に、農林省の指導としては、法人課税になる場合には、かくかくの書類なり何なりというものが必要だ、実体的にこういうものが必要なんだ、そういう気持でもって、現在ある法人に対して法人税を課税するような指導をするのか、実質課税主義だからといって、税務署の判断にまかせたままでほうっておくのか、ここに行政府としての指導面における違いというものが非常に出てくると思うのです。そこで、農林省としては、大臣は、法人として登記してある以上法人税を課すべきである。また、実質的にも、最終的にはっきりいかない面が出てくる。これは、吉田さんは中小企業の例を出しましたけれども、中小企業の場合は、会社名でもって銀行から金を借りるにしても何にしてもできる。しかし、農業法人の場合、登記はするけれども、実際には、農業協同組合から金を借りるときには、個人で借りることにしておる。こういうところから、個人の名前でないと金を借りられない。こういうような、いろいろな面で制約があるものですから、完全に法人としての形をなかなかとれないのが、実態であると思う。それを実質課税主義でやるのだということになってしまうと、せっかく農林省で考えておられる、法人税を認めて、法人税を課するという方向でいくのだという方針が、私は、やはり国税関係に押されてしまって、実質課税の方か強くなってしまうのじゃないか、こういうことを憂えるのです。従って私は、農林省が、個人課税と法人課税の上において差があるということははっきりしておる、これは不合理である、しかも、今後専従者控除というものができるとするならば、これは無理して個人の法人というものを作る必要ないですから、そのときには、現在できている法人も、もし税金だけが目当てだったとするならば、自然に解消するだろう、なくなっていくだろう、こういうように思うのです。従って私はそういう腹が農林省できまっているとするならば、行政の指導面からいっても、また国税当局に対しても、私はそれを強力にやはり主張し、それからまた、行政面においての指導もそういうふうにする。従って、国税当局が来たときには、かくかくの書類を整備する、それくらいの指導があってしかるべきだ。そういう背景の中で、農業の専従者控除というものを強力に推し進める、こういうのなら理屈がはっきり通るし、また、法制局の見解からいたしましても、法人というものは登記して一応認めておるのだから、法人課税ということは、まあ実質課税主義ではあるけれども、成り立つということも言われておるのですから、従って、まあそういう立場で指導もしてもらいたいし、また、大蔵当局との話もつけてもらいたい、こういうふうに思うのですが、そこら辺のところをどういうふうに、話し合いがついたついたと言うのですけれども、最終的に実態に応じて実質課税主義で行くのだということになるというと、聞いているところをそのまま理解するというと、何か今できている法人は全部だめになってしまうと、まあ農地局長の言っている、実際的に数個の農家が共同でやっているような、こういう実質的な法人でなければ、またそういう体裁を整えた法人でなければ、法人税というものが課せられないのだと、こういうふうな意味に聞えるのです。ですから、そこのところをはっきり一つしていただきたい。私は、少くとも農林省の、農林大臣の今考えられている趣旨というものは、そういう方向で行くべきではないかと、こういうふうに思うのですが、その点、どういうふうに考えられておるか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 実は、専従者の課税等の問題でありますが、これは、立法論としてはそうあるべきかもしれません。しかし、現在の法制のもとにおきましては、これをかりに、法人に土地の所有を、農地法の関係でもってこれを改正し、もしくはそういうようなことをするということでありまするならば、これは非常に大きな問題でございまして、この点は、まだ実はこされておらぬわけであります。われわれとしましては、法人として農地をただ持つということを、ただ単にこの課税の問題だけで商量して決定するわけには参りません。土地制度そのものに非常な影響を及ぼすものでございますから、これは考えさしていただきたいと思う。ただ現行の実際問題としまして、賃貸をしたり、あるいは請負という形式によって、そして事実上出てきている問題の具体的な解決でございますから、われわれとしましては、先ほど申し上げたような線でもって、個々のケースとして解決するほかはない、こういうように考えておるのでございまして、北村さんの説でございますと、国税庁等へ一々の問題につきましても農林省が申し出をして、合理的な解決をするようにせいと、こういうようなことでございますけれども、今申しましたような基本線がきまっておりますような場合には、私は、これをもって十分じゃないかと考えておるようなことでございますが、さらに税法の問題、さらにまた基本的に、法人が農地を所有し得るかどうかという、制度的にものを考えるという場合におきましては、遺憾ながら私は、今直ちにそれには同意いたしかねる考えを持っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 農業法人というものを認めて、そして自作農主義というものをくずすようなことを私は主張しているのではない。特殊法人であって、なおかつ自作農主義の精神というものを没却しないで、この共同経営ということはあり得る、土地そのものを出さなくても、耕作権というものの経営の共同化ということから言って、私はあり得ると考える。従って私は、何も、農業法人というものは認めるから農地制度というものをくずしてやれと、こう言っているのじゃないのです。その点は、まあ誤解されないようにしていただきたいと思うのですが、そうでなしに私は、やはり今の税金対策としての当座の問題としてこの問題を処理する農林省の考え方、これは、農地法の自作農主義をくずすような農業法人というものは、私ども賛成しないし、また好ましくないということははっきりしておる。従って、これは農業の専従者控除というものができれば、そういう自作農主義に基く、農地法の精神に基くこの農業法人、それに反するような農業法人というものは、私は自然になくなるだろうと言っているんです。従って、それ以外の、その農地法上の大きな問題であるし、また、今後の農政上の大きな問題である農業の経営の合理化から来るところの、近代化から来るところの経営共同化という問題については、これはまた、大臣のおっしゃるように、時をかせいで、じっくりこれは検討してもらうのはけっこうなんです。ただ、当面の問題としての法人の問題を解決する場合に、税金対策として起った法人なんだから、そういうふうに判断されている個人の法人というものに対して、農業の専従者控除というものを推し進めるという気合いさえあれば、私は、今そう厳格に、農業法人というものを実質主義だということでもって――ほかの中小企業なり何なりにもうやはり実質課税主義で行かなければならない、これは農業、中小企業にかかわりなくあるわけでございますが、実際には、中小企業には、実質課税といいながら、法人とはいいながら個人経営と思われるものにも法人課税を行なっておる。この実態から言って、農業の法人についてのみそう厳格に実質課税実質課税といってやるべきじゃないじゃないか。しかも、この農業の納税者というものは、もう非常に限られているんです。農民の中で、何十万も税金を払う納税者というものはいないんですよ、これは。果樹地帯の相当粗収入で三百万も四百万もあって、百万円以上もあるというような農家でないというと、これは大した、農業法人にしたからといって、利益はないですからね。だから、これを認めたことによって全国的に非常な勢いで広がる。まあある一部は私は広がるんじゃないかという想像はつきますけれども、とんでもない大きな、全国的に波及をする、こういうようにも考えられない。その間に、農地局長の言っておるように、専従者控除というものを推進するならば、私は問題が解決するんじゃないか。当座の問題として解決する。こういうふうに私は判断しておるから、そこら辺のところの農林省の腹を先ほどからお伺いしているんです。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) 統一見解をきめましたのは、実は、この問題になっております農業法人につきまして、農地法違反だから法人税は課せられないというような主張が、実は国税当局方面において強かったもんでありますから、その点について、これは農地法違反ということで、それを個人だ法人だと言うことはおかしいじゃないか。やはりそれは、経営の実態がどちらであるかということで判断をすべきじゃないかということから問題が起りまして、一応法律違反ということがあれば、それは一応は個人と推定はされるかもしらぬが、やはり実態を見てやるということについては、第二次、第三次産業の法人課税と一緒に、実質課税という原則で行ったらいいんじゃないかということで、それは見解の統一をしたわけでございます。それで、それじゃ農林省としまして、どういうものが法人だという指導をしたらいいんじゃないかというお話でございますが、これにつきましては、実は、われわれとしましては、農地法上、やはり今の現段階におきましては、これを賃貸借なり請負というものをどんどん許可をしていくという立場には、今の農地法上からどうしてもとれないという見解をとっておりますので、これにつきましては、今できております農業法人につきましては、契約の内容を、これは部分的な請負とか、あるいは機械をもって農作業の一部をやるんだとかいうような契約の内容を変えて、農地法に直接抵触しないというような形の農業法人も、これは考えられるんでございますから、そういうようなふうに指導をしていきたい。そして、先ほど大臣がお述べになりましたように、これは実は農地法全部の問題にもからんできますし、問題によりましては、農協法自体にもこの問題は非常に実は関係がございます。でありますので、少し時間を借りまして、この問題を根本的に、農業経営の面からしてどうだということにつきまして検討をその間していきたいという考えでございます。

吉田法晴日本社会党

○吉田法晴君 北村さんからも御指摘がございましたが、先ほどの大臣の答弁の中に出てきました企業組合の例を引いて、同じようなという工合に答弁されたんですが、しかし、企業組合のときにも、やっぱりあれは脱税の方法だということで禁止をしたために、要するに中小企業の協同組合の発展には、やっぱり一つの大きなブレーキになったと思うんです。ですから、農業法人の、この法人のあれについてのどういう工合に指導すべきかという点について、今多少述べられましたけれども、この経営の形態農業の今後の方針と関連をして御検討いただく点もありますが、私ども、その端的な感じを出しましたのは、やっぱり大資本としての会社組織、株式会社その他でやっておる大企業、これに対するとにかく法人の課税、それを中小企業や、あるいは農業、特に農業についてはそういう法人の課税は認めないんだと、こういう言い方が大蔵省からされてきたんじゃないか。それを法人の形をとっている農業形態のあり方を指導をして、そしてよくしていく、あるいは方向を与えていくということなしに、実態を見てどうだという、しかも、その実態の調査を国税庁や税務署だけにまかせて、そして、せっかく、少くとも資本主義的な農業をやっていこうという、これは税金が直接の原因にはなっておりますけれども、農業をやっていこうという努力に対して、その芽をつむことになる。あるいは、農業に対しては、被支配的な生産関係として税金が高いのは当りまえだという、こういう体系をそのまま承認するというか、あるいは押しつけられるのに農林省としても、いわば負けたというか、賛意を表した形にならぬように一つ願いたい。こういうことを私、申し上げたわけであります。そういう意味においては、今後の専従者控除なり、あるいは農業課税の妥当な地位を求める点も必要でありましょうが、経営の規模としての共同化の方向によって、資本主義的な、くだものだとか、ほかにもあると思うんですが、それの何といいますか、経営が立っていくように、発展するように、課税についても軽減をしてもらいたいという素朴な、やはり農民の要望というものにはこたえていただきたい。  それから今度、特に具体的な問題について、税務署だけにまかせるということでなくて、実態調査についても、農林省としてできるだけ協力するというか、弁護する方向を与えられるについては、私は協力していただきたかったと思うんですけれども、私は今後の問題だから、もし、そういう余地があるならば、一つ努力をお願いしたいと申し述べて質問を終ります。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) 御趣旨、よくわかりましたので、この問題が将来の経営の合理化の目であるかどうかということ、これはいろいろ実は問題がございますが、われわれもその点につきましては、十分検討いたしたいと思っております。  それから最後に述べられました調査等の問題、実はわれわれ、県を通していろいろな調査をやっております。なるべく御趣旨に沿うようにしていきたいと思います。

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) この際お諮りいたします。ただいま議題になっております農林省所管予算の審査につきましては、なお御質疑が相当おありのようでありまするし、他に質疑通告の発言者もございますので、残余の質疑は、明二十五日午前中引き続いて行うことにいたしまして、本日はこの程度で散会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森八三一緑風会

○主査(森八三一君) 御異議ないようでございますので、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十六分散会

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