予算委員会 第12号
- 発言数
- 240 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1959/03/17
会議録
○委員長(木暮武太夫君) ただいまから、委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について、御報告いたします。 千田正君、紅露みつ君、上條愛一君、田中啓一君が辞任し、その補欠として、それぞれ竹中恒夫君、新谷寅三郎君、藤田進君、鶴見祐輔君が選任せられました。 ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) 次に、理辛の辞任について、お諮りいたします。 松浦清一君より、理事を辞任したい旨の申し出がありました。これを許可することに、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木暮武太夫君) 御異議ないと認めます。これを許可いたします。 次に、ただいまの理事の辞任に伴い、理事の補欠互選を行いたいと存じます。この互選は、成規の手続を省略して、前例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木暮武太夫君) 御異議ないと認めます。 それでは、委員長より、栗山良夫君を理事に指名いたします。 ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) これより昭和三十四年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算を一括して議題といたします。 先刻、社会党の御要求によりまして、委員長及び理事打合会を開き、本日の委員会の運営について協議をいたしました。その結果、本日は、まず冒頭に、昨日散会前に、八木君の質疑に関連して、二、三の委員より質問があり、それに答弁されました防衛庁長官、内閣官房長官及び法制局長官に対して、さらに、その真意を質すため、特にワク外として二十分の質疑時間を設け、質疑を行うこととし、引続いて一般質疑を続行することに決定いたしました。 よって、まずその質疑を行うことにいたします。
○矢嶋三義君 事、重大でありますので、慎重にお答えいただきたいと思います。 まず、第一番にお伺いいたしたい点は、今、政府は、安保条約の改定交渉をしているわけでありますが、これは、日本国憲法のワク内制約下において、事を進められている、かように考えますが、いかがですか。
○政府委員(赤城宗徳君) お説の通り、日本の憲法の範囲内で、日米安全保障条約の改定を進めているわけであります。
○矢嶋三義君 官房長官に、重ねてお伺いいたしますが、条約を他国と締結する場合には、憲法が優先をする、かような態度を岸内閣は堅持しているものと思いますが、念のためにお答えを願います。
○政府委員(赤城宗徳君) 憲法と条約との関係につきましては、法制局長官から答弁いたしますが、二国間の条約等を締結する際において、日本の憲法の許す範囲内において条約を締結するということが、これは当然とるべき措置だと、こう考えております。
○矢嶋三義君 次に伺いますが、そのことは、当初、日本国憲法が制定された当時、自衛権はないという、議論も、当時の吉田総理はされました。その後、自衛権はあると変り、さらに、時間の経過とともに、戦力に至らぬ実力、これは持てるという解釈もありました。さらに自衛のための最小限度の戦力は持てる。そうして今、岸内閣になって、自衛のため戦力として、小型核兵器は、憲法上保持できるが、政策上持たないんだ、かように、非常に憲法第九条の解釈が、拡大解釈されてきつつあります。そして昨日の質疑応答がなされたのでございます。その点について、ここに、昨日、答弁された各位から、明確なお答えを願いたい。 それは、日本に駐留している米軍が、原水爆を日本の国土に持ち込むことは、日本が政策上としてこれを拒否する、しかし米駐留軍は、日本国憲法の制約を受けないから、原水爆等を持ちこむことは、憲法の規制を受けない、こういう、昨日答弁をされていますが、これは、何かの言い違いではないか、かように私は考えるわけでありますが、重ねて明確に、一つ御所信を表明していただきたい。
○政府委員(林修三君) 昨日、その点は、最後に防衛庁長官からお答えしたところでございますが、あの通りだと、私ども考えております。 つまり憲法第九条は、日本国は、戦争を放棄する、あるいは武力による威嚇、武力の行使等をやらないということを規定しております。その文面において、自衛権は否認しておらないということであります。第二項は、そういうことの裏付として、日本国は、いわゆる自衛のため必要最小限度を越えるような陸海空軍その他の戦力を保持しない、国の交戦権は認めない、こう書いている。これは、この条文をおよみになってもわかります通りに、あくまで日本国のことを書いているわけであります。日本に、条約上外国の軍隊が駐留いたします際に、その外国の軍隊の適用については、その憲法九条は、全然関知しておらないところでございまして、それは別問題でございます。 これについては、結局、条約を結ぶ際に、どういうことをするかということが問題になるわけでありまして、これは、もっぱら条約問題であります。憲法の九条は関知してないところだと、かように考えます。
○矢嶋三義君 防衛庁長官の答弁を求めます。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答えいたします。 昨日、私も同様な答弁をいたしましたが、憲法の解釈につきまして、ただいま法制局長官が述べましたのは、政府の統一的解釈と御理解をいただきたいと思います。
○矢嶋三義君 それでは、明確にお答え願いますが、米軍は、今、日本に駐留しておりますが、原水爆を日本国内に持ち込むことは、日本国憲法に抵触しますね。
○政府委員(林修三君) その点は、ただいまお答えしたつもりでございますが、憲法第九条は、日本の持つべき戦力、あるいはその自衛のために必要最小限度の実力と申しますか、これに関しての制約を規定しているものでありまして、それ以外のものに、何も触れておらない、外国の軍隊のことについては、触れておりません。 従いまして、今の駐留米軍が、日本にそういうものを持ち込むか持ち込まないか、これは、法律論じゃございませんが、政策論として、総理は、そういうことを拒否すると言っておられるわけでございますが、そういう問題は、これは、条約なら条約の解釈論として出てくるわけでございまして、憲法論ではございません。
○矢嶋三義君 日本国、この四つの島には、原爆水爆は持てないわけです。憲法上持てないのですね。だから、そういう兵器を日本国とアメリカとの条約によって、アメリカが持ち込むことができない。米駐留軍といえども、日本の憲法上持つことのできない原爆水爆というものは、絶対に持つことができないものと解釈いたしますが、どうですか。
○政府委員(林修三君) その点は、もう二回にわたってお答えしたつもりでございますが、憲法九条は、米軍の実力が、いかにあるべきかということは、全然規定しておらない、日本国の保有すべきものについての規定でございます。 従いまして日本の憲法は、日本の自衛権、自衛隊、あるいは自衛的な実力と申しますか、自衛隊という固有名詞ではございません。いわゆる普通名詞としての自衛力、こういうものについてこそ制約をしておりますが、日本にあるか外国の軍隊につきまして、これはもちろん、条約上の根拠で外国の軍隊はいるわけでございますが、そういうものにつきまして、憲法は、いかなる範囲の装備は違憲である、いかなる範囲の装備は合憲であるかというようなことは、全然規定しておらない、つまり憲法は関知しておらない、こういうことでございます。
○矢嶋三義君 日本国とアメリカ国と締結している条約というものは、これは原水爆は持てないということを含んでいると思うのです。でなければ、日本国は憲法上保有することのできない兵器を持ち込んでもいいような条約を結ぶということは、憲法違反の条約を結んだということになるのじゃないですか。
○政府委員(林修三君) 駐留米軍の戦力というものを憲法上いかに評価するかということは、御承知の通り、安保条約締結の当時においていろいろ議論のあったということでございまして、当時における政府の見解と――当時は吉田内閣でございましたが、吉田内閣の見解も現在と同じでございまして、憲法九条二項にいう戦力には駐留米軍のものは入らない。従って駐留米軍の戦力がどういうものであっても、それは憲法問題にはならない、こういうことをお答えしているはずでございます。その見解は今でも同様でございます。従いまして、今の安保条約と憲法九条、安保条約に基く米軍の実力と、それら憲法九条の関係は、直接の関係はないのでございます。 そこで、今までもよく議論が起っておりますが、安保条約の上では駐留米軍の装備を制限する規定がないではないか、これではいけないではないかという御議論が、むしろ社会党からしばしば今までも外務委員会、内閣委員会等であったわけでございます。これに関しましては、一昨年でございましたか、岸・アイク共同声明におきまして、いわゆる米軍の使用、配備についてはお互いに日米安保委員会等で協議していこう、こういうことが一つの共同声明で合意をされた。これでもまだ条約ではないから危ないではないか、こういう御議論でございまして、今の新しい安保条約の改定におきましては、いわゆる米軍の行動あるいは装備というものは両者の協議事項でもっていこう、こういうことが今考えられておるわけであります。つまりこういう問題は、お互いの国の合意できめるべき問題だ、憲法九条の関知せざるところである、かように考えます。
○矢嶋三義君 伊能長官に伺いますが、米駐留軍というものは日本を守るためにおるわけです。安保条約としては、日本を守ってもらうために日本がお願いして駐留していただくことになっているわけです。それで、あなたは自衛隊を持っておられる、この自衛隊と米駐留軍とが一緒になって日本を守ってやる、自衛しているわけです。この四つの島に持てるところの実力というものは、日本を守るために、自衛のための最小限の力を持てることになっておるわけです。それ以上のものは憲法上持てないわけですよ。だから自衛隊と米駐留軍とを合せたものが、日本の自衛のために必要な最小限の力でなくてはならぬと思うのです。それを上回るところの戦力、自衛力というものは憲法上持てない、憲法は条約に優先するのですから持てない。かように考えるのですが、長官の御意見はいかがですか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。 しばしばお答え申し上げましたように、わが自衛隊は、憲法九条に規定しております防衛上、自衛上、最小限度の力を保持するということを私どもは認められておると考えておりますが、その内容につきましては、御承知のようにきわめて微力でございますので、現在の国力、国情に応じまして漸増の方針をとっておるわけでございますが、しかし、この力をもってしてはとうてい日本を守ることができない、かような観点から、アメリカの援助を受けるため日米安全保障条約を締結をしておる。しかしながら、われわれとしては、日本自体の立場において、憲法上、自分の自衛力、日本の自衛力というものは防衛上最小限度のものを持たなければならない。しかしそれすら持てないということで援助を得ておるということで、アメリカの問題については、ただいま法制局長官が答え九通りであります。
○委員長(木暮武太夫君) 高田君何ですか。
○高田なほ子君 関連して。
○委員長(木暮武太夫君) 矢嶋君、よろしゅうございますか。
○矢嶋三義君 けっこうです。
○委員長(木暮武太夫君) 関連質問どうぞ、簡潔にお願いいたします。
○高田なほ子君 林長官と防衛庁長官を両方からお答えいただきたいと思います。 法制局長官の御説明は、憲法第九条と自衛隊の問題でございます。すなわち、ただいまの御説明では、憲法第九条は自衛権を否定してはいない。そうしてまた、自衛権行使の場合の最小限度の戦力は持ち得る。しかしこの自衛権の行使に当っては、ただいまの解釈では、武力行使をしないということをここで明確に説明されたわけです。武力行使をしない。このことは、今私筆記していましたが、明確にされている。これは国内の制約であって――今度は第二段です。このことは国内の制約である。従って外国軍隊の駐留等については、外国軍隊の駐留、また米国軍の持つ戦力等については、憲法の規定には何ら触れておらない、こういう御説明があったわけです。第三段階として、従って、米国の武力行動等については、これは憲法上の問題ではなくして協議事項になる問題である、こういう説明をされているわけです。 そこで私は御質問申し上げたいことは、自衛権と自衛権の行使という問題については、これは区別して考えなければならない問題である。われわれ個人でも自衛権は持っております。しかし個人の自衛権は、やはりそれは限界がある。国の自衛権は、今申し上げたように憲法の範囲内における自衛権の行使であって、これは武力行使はしない憲法九条が規定していると、こう言う。ところが、こういうような国内の制約があるにかかわらず、アメリカの持つ戦力について憲法の規定がないといって、武力行動そのものについてこれから協議するということになれば、これは明らかに前段として確認するように、二国間の条約の取りきめは、わが国の憲法の範囲内に限るという赤城長官の御答弁をわれわれは了承をする。武力行動ということは、これは国内法の規制するところによって武力行動はしない、こういうふうになって参りますと、武力行動について国際間の協議をするということは、これは憲法第九十八条のいわゆる憲法が国際条約に優先するというこの原則をはずす結果になるのではないか。すなわち両国間の武力行動の協議そのものが憲法違反になるのではないか、こういうふうに私は解釈するのです。しぼりますと、今後二国間の武力行動について協議をするというこのことは、憲法には触れないというけれども、明らかにこれは憲法に関連のある問題であるとしなければならないという結論になります。この点どうですか、お答え願います。
○政府委員(林修三君) 第一段の憲法第九条、この一項のことだと思いますが、それにつきまして私の申し上げましたことについて、ちょっと苅田先生誤解がおありのように思いますから、その点を少し補足しておきたいと思います。 私の申しましたのは、憲法九条一項は要するにこの条文を見てもおわかりの通りに、戦争、武力の行使あるいは武力による威嚇を国際紛争解決の手段としては永久に放棄するということを言っているわけでありまして、この範囲においては自衛権を否定しておらないという説がここから出てくるわけであります。自衛権を否定しておらないということは、たとえば外国から武力侵略を受けた場合に、それを排除するために必要な武力行動ができるということであります。それはもちろん、場合によっては実力を使う、武力を使うこともその範囲に入るわけです。先ほど、戦力あるいは武力による威嚇を日本が放棄するといった意味は、国際紛争解決の手段としては云々という憲法九条第一項の規定を私は当然含めて申し上げたつもりであります。この点が第一の問題であります。 そこで日本としては、外部から武力攻撃を受けた場合に、これを排除するために必要な限度においての実力行動はできるわけでありますので、しかしまた、それを裏づけるために、それに必要な限度においては自衛力も持てる。今の自衛隊はそこまでいっておらないことは、これはもちろんでございますけれども、現実としては二こまで持てるということに考えておるわけであります。現在における日本の防衛のためには、日本の自衛隊では足りないので、結局アメリカの軍隊に駐留してもらって、ここで日本の安全をはかるということでございます。で、アメリカの軍隊の性格、日本に駐留するアメリカの軍隊につきましては、先ほども申し上げました通りに、これはいかなる行動権を持つか、いかなる装備をするかということは、もっぱら条約の問題でありまして、憲法九条は、アメリカ軍がどうあるべしということはどこにも規定しておらないのであります。従いまして、米軍がいかなる装備を持ち、いかなる行動をしても、これは実は日本の憲法違反とか違反でないとかいう問題は起らない。従いまして、現在の安保条約のような形の条約を結びましても、これは私ども、日本として憲法違反のものとは考えておらないのであります。従ってこれは、憲法九十八条等の解釈から申しましても、日本は憲法の範囲内においてこの安保条約を結んでおるわけであります。その安保条約に暴いて駐留しておる米軍が、いかなる行動をし、いかなる装備を持つかということは、もしも規定するとすれば条約で規定すべきことであって、現在の条約には御承知の通りに、第一条に米軍の行動範囲が規定されておりまして、配備のことは三条で行政協定に譲っております。それ以外のことについて規定がないのは危ないではないかという御議論がありますが、いろいろ改定問題が起っておるから、こういうことは条約上問題にすべきことであって、日本の憲法に違反するとか違反しないとかいう問題は起きない問題である。従って安保条約というものが憲法違反になるものではない、かように考えております。
○矢嶋三義君 官房長官にやや具体的に伺います。あなたがたの見解をもってするならば、日本国憲法上持てない戦力、たとえば原水爆のようなものは持ち込んではならぬということを、安保条約改定の場合に明記する必要があると思うのですが、いかがですか。
○政府委員(赤城宗徳君) 原水爆のようなものは持ち込めないことを条約に書いたらどうかということでありますが、そう具体的に書かぬでも、当然そういうことになると思います。実は私もあまり勉強していないのですが、現在の安全保障条約の前文の中にも、「アメリカ合衆国は、平和と安全のために、現在、若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持する意思がある。但し、アメリカ合衆国は、日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従って平和と安全を増進すること以外に用いられうべき軍備をもつことを常に避けつつ、」、こういうふうに現在の安全保障条約には、攻撃的な兵器等なるものは持たぬということが条約の前文の中に書いてあります。でありますから、改定のときには、具体的にこういう原水爆の問題ということを書かぬでも、こういう趣旨を書けば、その中に原水爆等を持ち込むということができないようになるというふうに私考えております。
○矢嶋三義君 それではもう一つ具体的に伺いますよ。それは、憲法上待つことのできない戦力、兵器は、日本の国内にあってはならぬ、そうだと思いますが、どうですか。
○政府委員(赤城宗徳君) 日本の自衛隊において、今おっしゃるような装備等を持つことは厳に慎しまなければならぬし、禁ずべきことだと思います。ただし、条約の問題については、そういう問題は協議事項といたしまして、そういうことがないような措置を政治的にとる、あるいは協議の場合に行政的、政治的な措置をとるということに相なろうかと思います。
○矢嶋三義君 不明確である。憲法上、憲法と安保条約との関係は、憲法は優先するのですから、憲法のワク内で安保条約を結ぶのですから、憲法上持てない戦力、武器というものは日本は持てないのですからね。だから日本の国内としてはあってはならぬわけです。だから明確に条約に書いておかなければ危ないじゃないですか。
○政府委員(赤城宗徳君) それは条約の中において、日本の憲法の範囲内において安保条約の取りきめをするということに相なろうかと思います。そうなれば当然この結果から出てくるものは、今おっしゃられたように、日本の憲法において禁じられているようなものは協議の上においてそれは持ち込まないというふうに考えております。
○矢嶋三義君 条約に明記したらいいじゃないですか。
○政府委員(赤城宗徳君) 条約の中には、憲法の範囲内において、ということで含まれる、こう思います。
○政府委員(林修三君) ちょっと今の官房長官の御答弁に補足いたしますが、官房長官が言われた趣旨は、おそらく、いわゆる日本の憲法の範囲内ということは、もちろん、日本の負うべき義務のことでございまして、米国のものを日本の憲法によって縛るわけにはいかない。これはあくまでも条約の問題として解決すべきものであろうかと思いますが、条約の問題については、先ほどから申しておりますように、これは、装備の変更等については協議事項に持っていくということで、全体として日本としてあまり好ましくないような装備が日本において持ち込まれることを防ごう、こういう御趣旨は実現されるのではないかと思います。先ほどのように、いわゆる憲法九条で、この範囲の実力は持てないということは、あくまで日本の実力、日本の持つ自衛隊と申しますか、自衛力の問題でございます。日本におよそそういうものがあってはならないというのは、憲法九条ではそういうことは書いてないわけでございます。米軍あるいは英国軍、どこの軍隊でも同じでございますが、要するに、日本に駐留を認められた軍隊の実力は、もしも制限すれば、あくまでもこれは条約問題で、憲法問題ではない。安保条約を日本の霊山法の範囲内に結ぶということも、日本の負うべき義務が日本の憲法の範囲内ということでございます。もちろん、アメリカが負うべき義務はアメリカの憲法の範囲内、こういうことにお互いになるわけだと思います。
○矢嶋三義君 今のに関連して、防衛庁長官に伺いますが、昨日私は、日本国憲法で認められていない、たとえば原水爆のようなものは、日本に持ち込むことはできない、憲法の制約を受ける。たとえばそれが米軍であってもいけないのではないか、こういう質問に対して、あなたはこう答えた。アメリカがそういうものを持ち込むかどうかの問題については、日本の憲法には規定しておりませんので、その点はわれわれの関与するところでありません、と答弁しておる。これは自由に持ち込めるということなのですか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。 昨日の答弁にありますように、アメリカの装備につきましては、私どもとしては関知したところではない、しかしながら、条約において今後配備、使用についてどういう協議をするかということは、今後の日米安全保障条約改定の問題かように考えております。
○矢嶋三義君 では栗山さんにかわりますから。 ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) 委員の変更について報告いたします。 松浦清一君が辞任し、その補欠として田中一君が選任せられました。 ―――――――――――――
○栗山良夫君 日本の安全のためのただいま問題になっておりまする議論は、きわめて重大な内容を持っております。私は、憲法のすみずみをいろいろと解釈をされて、その発言を合理化しようという努力を盛んにしておられる政府並びに政府委員の態度を、きわめて遺徳とするものであります。それで、率直に一口お聞きをいたしたいことは、先ほど来、また今国会における本会満、予算委員会においてもすでに述べられたことでありますが、憲法第九条による日本の自衛の力というものだけでは、日本を守ることが不十分である、今日の自衛隊の力だけでは守ることが不十分であるから米軍の力を借りるのであると、こういうことがしばしば言われたのであります。この米軍の力を借りる、しかもその借り方については、ただいま御議論のあった通りでありますが、そういう解釈をだんだんと進めて参りますと、わが国の自衛の真の目的は、日本の国内にいかなる戦禍も及ぼさないような、真に平和な国土にしたいという念願であったのでありますが、それがくずれて、完全に米軍と日本の自衛隊とが一体になって、戦力を持つところの大きな軍隊というのもが駐留する、こういうことに結局最後には発展をしていくのではないか。これが国民の非常におそれておるところであります。あなた方がいろいろと解釈を拡大しつつ今日まで参られましたが、この拡大というものがどこまで進んでいくのか、これが国民の非常にただいまおそれておるところであります。そこで、一点きわめて明確にしていただきたいことは、先ほど防衛庁の長官がおっしゃいましたように、自衛戦力というものをだんだん拡大していきたいとおっしゃるのでありますが、これはどの程度のことを最後にお考えになっているか。それからまた、米軍の日本への持ち込みは、言葉の裏をだんだんと考えてみますというと、原水爆も時には持ち込まなければならぬという情勢がある、そのときに備えていろいろと言を左右にしておると、こういう印象をわれわれが強く受けるのだが、そういうことを実際に最終的にはお考えになっておるかどうか。これは解釈の問題でなくて運用の問題でありますが、防衛庁長官はどういう工合にお考えになっておいででありましょうか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。私は、かねて、わが国の自衛力の保持につきましては、国防の基本方針に基きまして、自衛上必要最小限度ということを申し上げ、当面の目標といたしましては、すでに栗山委員御承知のように、昭和三十五年度、一部昭和三十七年度を目標といたしまして、陸上自衛力十八万人、海上自衛力艦船にして十二万四千トン、航空自衛力千三百機、これが当面の目標でございます。将来の目標といたしましては、御承知のように、現在の世界情勢、これは、世界のあらゆる人数が平和を希求し、平和を求め、平和のためず、現実は必ずしもそういう方向に急速に進まないというような状況から、なお日本の自衛力としてもある程度のものを漸増して参らなければならぬ。しかしながら、世界のいずれの国といえども、私は、自分一国で自分の国を完全に守り得るというような所は、現在のところ、ほとんどないのではないか。従いまして、現在の世界の趨勢は、集団安全保障態勢の確立によって国際連合を中心とする集団保障態勢の確立、この方向に逐次進んで参る。日本も国際連合に加盟をし、集団安全保障態勢によって日本の平和と独立を守りたい、こういう考えでおりますが、一応最小限度の自国の自衛力、もちろんこれによってみずからをみずからひとりで守るということではありませんが、最小限度の自衛力については、次期の防衛力の装備をいかにするかという問題等、目下研究中でございまするが、これについては、かねて本委員会その他で私から答弁を申し上げておりまするが、人員の増加もさることながら、人員の増加よりも装備の質的改善、日本の実情に徴しますれば、日本をめぐる海域における対潜装備の充実、また、航空機を中心としたミサイルその他の研究、装備というような方向に努力をいたして参りたいと、かように考えておりまするが、次期防衛整備目標の内容については、目下検討中でございます。 次に、第二段の御質問といたしまして、現実の運用政策の問題として、原爆、水爆のような大きな攻撃的な兵器をほんとうに持つ気があるのかどうかというお話でございまするが、この点については、洋内閣としては、しばしば声明をいたしておりまするように、私どもは一切そういうものは持ち込ませもしないし、みずから持たないということをはっきり申し上げておる次第でございます。
○栗山良夫君 そこまではっきりと決意をお持ちになっておりますならば、国民が一番心配をしておるところでありまするから、条約の中にこれを明確に書くということを、なぜおっしゃるわけにいかないのでありましょうか。抽象的に条文を引用されて、これがあるからしておそらくアメリカ軍は持ってこないでありましょうというような想像的な言辞では、国民が安心し得ない立場にある。なぜこれがはっきりと規定の上に明らかにされないのか、その理由を伺いたいと思う。
○国務大臣(伊能繁次郎君) 条約締結の問題に関しまして私から御答弁を申し上げることは、所管外のことでございまするから、申し上げませんが、ただいま私が申し上げたような趣旨において、今後の日米安全保障条約というものは、その使用、配備等については両国間の協議ということで処理をせられるものと、私はかように解釈いたしております。
○栗山良夫君 結局、あなたの言葉をもう一ぺん確認いたしまするというと、日本国憲法第九条による自衛力というものは、しばしば解釈せられておる通りに、どれほどその拡大解釈をしようと思いましても、一応の限度というものがある、このことはお認めになりますですか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答えを申し上げます。具体的な、どこまでがどうということにつきましては、世界の客観的な情勢――緊迫した情勢あるいは緩和された情勢等――によって変更はあろうかと思いまするが、ただいまのお尋ねの一般論としては、御指摘のごとく、憲法第九条に定められましたように、自衛上必要最小限度の防衛術力を持つということで私どもは考えております。
○栗山良夫君 ただいまの言葉の中に、非常に大きな問題が隠されておるのは、将来世界情勢がどういう工合に発展するかわからないと、従って、ただいまではあの程度の自衛戦力でがまんしておるが、しかし、それでもなおかつ増加をしたい、だけれども、世界の情勢がどんどんとさらに発展をしていくならば、それについて自衛力というものはとめどもなく発展をしていくこともあるかもしれない、こういう意味の御発言であったと私は思いますが、さように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。私は、さいぜんもお答え申し上げましたように、一国が独力で現在の情勢において国を守るということは、ほとんどいずれの国においても困難であろうということを申し上げましたように、わが国において、みずからの力でみずからを守るような自衛上の装備をするということは、経済上の国力の観からも国情からも不可能であると、かように考えておりまするので、さいぜん来申し上げておりまするように、他国の援助もしくは国際連合による集団防衛態勢というような方向に進んでおりまするが、私ども、御指摘のごとく無制限に自衛力を拡大するというような考えは毛頭持ちませんで、常に国力、国情に応じて最小限度のものを持ちたいと、かように考えております。
○栗山良夫君 要するに、一つの制約を受けるのは経済力であるということをおしゃいましたが、ですから、大体の帆模はわかるわけです。そうすると、もう一つ、あなたの言葉の外に含まれている重要なことは、憲法をあなた方お守りにならなきゃならない。従って、憲法の制約を受けながら自衛力というものを保持していく。しかしながら、それでは日本の防衛というものはできないから、二国間の条約あるいは他の集団的な共同防衛態勢をしいてするのであると、こうおっしゃったが、その共同防衛態勢をしくときには、世界に起り得る不幸なできごとに日本が入って、しかも、日本を含めて共同防衛の立場に立つときには、日本の国内に、必要とする装備、必要とする戦力というものを保持しなければならぬ、こういう理屈に発展していくではありませんか。そういうことになりませんか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お尋ねの点でありまするが、私どもは、さような場合に、憲法九条の解釈として、常に、憲法九条が規定する日本の自衛力につきましては、憲法の規定する範囲をあくまで守って参りたいということでございます。(関連」と呼ぶ者あり)
○委員長(木暮武太夫君) 荒木君何ですか。関連質問ですか。……許します。簡単に一つお願いいたします。
○荒木正三郎君 私も防衛庁長官の答弁については非常に不満足であります。それで、関連して尋ねたいと思いまするが、先ほど防衛庁長官は、日本に駐留しているアメリカ軍の装備については、日本政府の関知するところではないと、こういうお話でありました。それから、山口、矢嶋委員の質問に対して、自本に駐留しているアメリカ軍が原水爆をかりに持ってきたとしても、これは憲法に抵触しないんだと、こういう答弁があったわけなのです。そこで、われわれが一番問題にしているのは、アメリカ市が原水爆を持ってきても差しつかえないと、そういう内容の日米安全保障条約というものを政府が結んでおる。これは国会も承認をしておるわけですが……、そういうことが憲法違反にならないか。言葉をかえて言いますと、原水爆を持ち込んでも差しつかえないような安保条約を日米の間に結んでいる、この政府の行為は、憲法違反にならないかというのが私どもの考え方であります。(「九十八条違反だ」と呼ぶ者あり)で、私どもが先ほどから質問している点も、またその点にあるわけです。日本の憲法が原水爆を持つということを禁止しておるということは、政府もしばしばこれは言明しているところである。ところが、日米の間に結ばれている安保条約によっては、原水爆を日本に持ち込むことができる、こういうことになっておるわけです。それでは、憲法に禁止している原水爆というものを、条約という形において日本が間接的に保有すると、こういうことになるわけです。そういう安保条約を結んだ行為、政府の行為は憲法違反になるのじゃないかというのが、われわれの考えであります。孝の点について、先ほどの御答弁は明確を欠いている。こういう原水爆を持ち込めるような、安保条約を結んだ日本政府の行為は、憲法違反にならないか、こういう点であります。
○政府委員(林修三君) この点は、実は安全保障条約のときには、もちろん原水爆の問題はございませんでしたけれども、一般的に、いわゆるアメリカの駐留軍の戦力というものが、日本の憲法の九条と関連があるのじゃないかという御質問がずいぶんあったわけでございます。これは、当時から憲法九条二項に言っているのは、日本の持ち得る範囲、あるいは禁止される戦力のことである、アメリカの戦力のことについては触れておらない、従って、安保条約に基いて日本に駐留する米軍が、どの範囲のものを持つかということは、憲法の直接関知するところではない、従いましてこの安保条約自身が、日本の防衛のため日本が自衛権を持ち、日本の安全が保障されるという建前からの一つの安全保障態勢でありまして、こういうものを結ぶことは、日本の憲法のどこにも違反するものではないということを当時の安保集約のときにも繰り返し政府は述べているわけでございます。その限りにおいては、現状においても事態は変っておらない、かように考えるわけでございます。原水爆等についての禁止の保証がないではないかということは、最近いろいろそういう議論がございますが、今の安保条約の明文から言えば、これについては明文はないが、それは危いではないかという御議論がございまして、いわゆる岸、アイク共同声明となり、安保条約の改訂の問題として、それを条約上どういうふうに取り上げるかということが問題になっておりますが、ああいう条約を結んだということ自体は、私は日本の憲法のどこにも抵触するところはないと考えております。
○国務大臣(伊能繁次郎君) 私が昨日矢嶋委員にお答え申し上げましたのは、日本国憲法九条において規定するところでは、関知するところではない、日本国憲法の九条の解釈上、そういうものについては何ら規定していないから、何ら関知するところではない、かように申し上げたわけでありまして、ただいま法制局長官の申し上げたところと何ら矛盾いたしておりません。
○荒木正三郎君 もう一点……
○委員長(木暮武太夫君) 荒木さん、関連質問ですから申し上げますが、一つ簡単にやって下さい。一問目ですから、なるべく簡単にやって下さい。
○荒木正三郎君 委員長がたびたびそういうことを、言われるのは私は了承しがたい、私は、社会党にある、一定の時間が割当をされて、その範囲内でやっている……。
○委員長(木暮武太夫君) 関連質問は範囲内ですか……。
○荒木正三郎君 ワク外でやっているのですか。ワク外でやっているのなら委員長の言うところに……。
○委員長(木暮武太夫君) それですから、お許ししますから、関連質問だから、ほかにも機会があるのですから、なるべく簡単におやり下さいということです。
○荒木正三郎君 これは伊能長官にお尋ねいたしますが、先ほども申し上げた通り、原水爆を持ち込めるような安保条約を締結するその行為が、憲法に抵触するのじゃないか、こう言っているわけです。長官もおっしゃった通り、安保条約の明文には、装備の内容については触れていないわけです。先ほど法制局長官は、共同声明の形において声明をした、そうしてこの装備についても日米両国間において協議するのだということです。しかし、今の結ばれている安保条約では、原水爆を日本に持ち込んでも憲法上は抵触しないのだ、ただ政府がそれを拒否しているだけだということです。ですから政府の考え、あるいは政策が変ってくれば、アメリカから原水爆を日本に持ってきても、これは憲法上は何ら抵触しないのだという結果になる、そういうことになればこれは非常に重大な問題だ。というのは、日本の憲法は明らかにそれらは持つことができないというふうに禁止している、禁止している憲法を持っている日本が、条約という形において日本がアメリカの駐留軍を通して原水爆を持つということは、これは容易ならぬ私は問題であると思う。そういう条約を結んだということは、憲法違反になるのじゃないか、また、栗山委員等からも再三お話があったように、そうであれば、条約の中に原水爆は禁止するのだという明文を少くとも書かなければならぬ。かように考えるわけです。そういう条約を結んでおる行為自身が憲法違反になるのじゃないか。こういう質問ですから、その点についてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(伊能繁次郎君) 現行日米安全保障条約の当時の経緯につきましては、さいぜん法制局長官から御説明を申し上げた通りでございます。従いまして、しばしば申し上げておりまするように、憲法第九条は日本の自衛力について規定しているものである。従って、アメリカの装備を何らこの内容において規定しておるものではない。従いまして、御指摘のような点につきましては、今後目下折衝中であります日米安全保障条約の内容においていろいろ使用、配備等において協議せられる。その内容等については、条約上の責任大臣である外務大臣からお答えをせられることと存じ、私、この点まで主管大臣でありませんの、答弁することは行き過ぎであろうと思いますので、答弁は差し控えたいと思います。
○委員長(木暮武太夫君) 外務大臣につきましては、先ほど私から先刻の委員長理事の打合会を御報告申し上げましたように、社会党の方からの申し出によりまして、別ワクで二十分、重大な問題だから、この質問をやるというときに、社会党のお方の方から百歩長官と、防衛庁長官と、それから林法制局長官の三人の方の出席を求められて、それで話がついたものですから、昨日の矢嶋さんの質疑に対する外務大臣の答弁は保留されて、この次に出たときに答弁をするということになって、御了承を願っておるものですから、今は外務大臣が出ておらぬ、この質疑につきましては、今の官房長官、防衛庁長官、法制局長官三人でよろしいということで話がきまっておりますものですから、これを進めております。
○矢嶋三義君 その点については、確かに委員長が百われた通りです。しかし、いよいよ始めるに当っては、きのう三者の答弁に関連して、きょう究明するのだが、話が外務大臣に及ぶから、外務大臣すぐ出席するようにしてほしいということを事務当局に通知をして、事務当局から連絡をとってもらっているのですよ。だから外務大臣、どうしておいでにならないのかと不思議に思っておるのですが、おいで願いたいと思う。
○委員長(木暮武太夫君) それじゃ外務大臣に連絡はいたしますが、先ほどのお話し合いの通り、防衛庁長官も法制局長官も官房長官もここにおりますから、栗山君一つ質疑を御継続をしていただきます。 高田さん何ですか。
○高田なほ子君 荒木さんの質問に関連して一問だけ聞かして下さいと私は言っている。それで栗山さんもよろしいと言われておるのです。
○委員長(木暮武太夫君) それから、今、荒木委員のお話のなかに誤解があったようですけれども、関連質問は、委員長としてはワク外として取扱っておるわけです。ですから、どうぞそういうお気持になっていただきたい、ワク外だからといってあまり長くなっては困る。こういうことで、関連質問だから短くと、こうお願いしたわけです。関連質問なら簡単に許しますから…、どうぞ高田さん。
○高田なほ子君 今の荒木さんに対する御答弁は、私、納得しません。了承できない。そこで、それについて関連するわけですが、外国の軍隊か御自分の勝手な戦力を持ち、装備をすることは、わが国の憲法がこれは規定外であることは、これは明らかになっておる、当然であります。しかしながら、この装備を使用する問題については、アメリカが日本の国土外においてどんな装備をされてもこれは御自由でしょうが、わが国の主権の及ぶ範囲内におけるこの装備、使用、外国軍隊の装価、使用というのが無制限に許されるということでははないだろうと思う。すなわち、わが国主権内における装備、使用についての制限がある。どういう制限があるか、これを明確に言ってもらいたいことが一つ。あと一つ、続いてもう一問、憲法の拡大解釈が行われていることは、今質問によって明らかでありますが、内閣は、憲法の定むるところに従って、国務を執行しなければならないという制限規定があることを、きのう私ははっきり九十八条で言いました。そこで、国務を執行する際に、憲法上の制限をはっきり規定する機関は一体どこかということ。内閣がお手盛りで勝手に拡大解釈するからこういうことになるので、国務執行上における憲法上の制限を明確に判断する機関と、責任はだれが持つのか、この二問。
○政府委員(林修三君) 最初の問題の、いわゆる米軍の行動範囲の問題でございます。あるいは装備の使用の仕方の問題でございます。もちろん米軍がいかなるものを持つかということは、これは米国の憲法の制約がある。ほかは、米国としては自由だと思います。また、米軍の行動については、米国も国連憲章に入っておりますから、国連憲章に従うことも当然だと思います。原則としてはそういうことだと思いますが、日本に駐留米軍がおります場合の、その駐留米軍の行動、あるいは配備、装備等は、これはあくまで条約上の問題でございまして、日本が駐留米軍との間に、米国との間にいかなる条約を結ぶか、あるいはその条約に何か規定があるかないかということできまってくることでございまして、それは先ほどから申し上げた通りだと思います。 もう一点の、いわゆる憲法解釈の問題でございますが、これは内閣ももちろん国務を執行いたします。これについては、もちろん憲法の範囲内でやることは当然でございます。やはり国会も立法なさる、これももちろん憲法上の範囲でやっておられることも当然だと思います。またしかし、結局これはおのおのの国の機関がそういうことをやります場合には、おのおのみずからの解釈、最も妥当と信ずるところの解釈によってやるわけでございます。ただこれについて、いわゆる法律上の係争事件が起って、これが裁判所に係属する、裁判所に係属する場合においては、憲法八十一条に御承知の通りに最高裁判所は、法律、政令あるいは行政処分等が憲法に違反するかどうかということを判定し得る権限を持っております。これはあくまで司法事件、司法権の作用でございますから、具体的な訴訟事件を通じてここにいった場合には、裁判所ができるということ、その前においては、それじゃだれもできないかということでございますが、これはおのおのの執行機関、あるいは立法機関がみずからの解釈、みずからの判断に従って憲法に違反しないように行動すべきものだと、かように考えておりま。
○高田なほ子君 今の答弁は、私の質問でない答弁をしているのですよ。的をはずれている答弁です。第一問は私そんなことを聞いているのじゃないのです。
○委員長(木暮武太夫君) 何か答弁間違っているという……。
○政府委員(林修三君) 私は実は御質問の趣旨をお答えしたつもりだったのでございますが、つまり米軍の行動について、何らか日本の国内において規制の方法があるかという御趣旨だったと思いましたので、これは、米国はおのおの一つの主権国でございます。主権国は主権意思に基いていろいろな行動があるわけでありますが、しかし、よその国の所に来てやる場合にはそれだけでなくて、結局条約上の根拠ということになります。条約上どういうことが認められ、あるいはどういうことが認められておらない、あるいはどういうことが公認されておるか、こういうことに従って米軍の行動、あるいは装備というものが自然にそこできまってくる、かようなことだと思います。
○高田なほ子君 そうじゃないのです。長官聞いて下さい。今の条約上の問題だということは、さっきから私伺ってはっきりわかっているのです、そんなことは。
○委員長(木暮武太夫君) 高田さんわかるように一つあげて下さい。質問に合うように答弁しなければいけません。両方違うのだ。どうぞ一つ。
○高田なほ子君 重ねて質問いたします。 アメリカの持つ戦力、それからそれの行使、この問題についてはわが国の憲法の規定外にあるということ、これははっきりしておる。しかしながら、アメリカの持つ装備並びに装備の使用、これらの問題がアメリカ以外の土地、すなわち日本の主権の及ぶ範囲内において、外国軍隊の持つ装備を使用する場合には、おのずから制限があるだろうというのです。そしたらあなたはその制限は条約上の問題だから、憲法は関知するところではないと、こう答えている。しかし、それは私は間違いだと思う。憲法の九十八条は、二国間に締結される条約よりもわが国の憲法が優先しなければならないと、はっきり条約そのものがわが国の憲法によって制限されることが書いてある。そのことはあなたも認めている通り。だから条約の問題だ、条約の問題だと言われるけれども、二国間において締結される条約については何らかの制限があるはずじゃないかということを私は言っている。どういう制限があるのかということを言っている。(「その条約が違憲なんだよ」と呼ぶ者あり)
○政府委員(林修三君) これは、私そういう御趣旨と思って先ほどの御答弁をしたつもりでございます。結局憲法九条は、日本の自衛権、あるいは国際紛争解決の手段としての戦争等の放棄、あるいは日本の保持を禁止される戦力、あるいは持ち得る自衛力の限度、こういうことを規定しておるわけでありまして、ここには米軍のことについては何も規定がないわけでございます。そのほかにも米軍のことについては何も憲法には規定がございません従いまして、米軍の装備、あるいは使用等につきましては、憲法の関知せざるところであるということは先ほどから申し上げている、もしもこれを制約するとすれば、これは条約の問題であるということを申し上げている。条約の内容をどうきめるかということであれば、憲法との関係はそこでは出てくる部面はないわけであります、
○高田なほ子君 条約に憲法が出てこないなんて、そんなばかなことがありますか、冗談じゃない。
○栗山良夫君 私は、今の御論議を聞いて非常に不満足でありますが、最後に一言だけ伺っておきます。 それは、憲法九条による自衛力には一応の制約がある。そこで、あなた方は条約上の問題として、米軍がいかなる装備を持って日本へ参ろうとも、これを受け入れようという態勢がある。そのことが回り回って憲法第九条の精神に反するわけであります。従って、あなた方は、法律の一条々々をいろいろと拡大解釈しながら力説せられておるが、今、私が申し上げましたことによって、政治上の責任というものは全然お応じになりませんか。憲法第九条というものは、わが国の平和と独立を守るための非常に重要な規定であります。しかも、その規定をこわすことができないので、条約上という逃げ口上を作りながら、いかなる軍隊が日本へ参ってもこれを受け入れよう、そうして自衛力――日本の自衛隊プラスアルファでもって、日本の国土を防衛すると称する膨大な軍隊を日本に置こうというのであります。これは明らかに憲法第九条の精神に反するわけであります。行政府は、条文もさることながら、憲法の精神に対してこれを実行していかなきゃならぬ政治責任があります。その政治責任をいささかも感じないので、私はこの点につきまして、もういつまでやっておりましても、あなた方のこういうわけのわからぬ議論を聞いておる時間の余裕がありませんが、最後に、この点について官房長官、法制局長官、防衛庁長官のお考えを伺っておきたいと思います。
○政府委員(赤城宗徳君) 条約の締結は、憲法の趣旨に沿うて締結さるべきものと、こう考えております。
○栗山良夫君 それはどういう趣旨だ。
○政府委員(林修三君) 政治責任のことについては、私がお答えすべき限りでないと思いますので、私は、憲法の解釈の問題でございまして、憲法の解釈の問題につきまして、先ほどから申し上げた通りでございまして、それが、日本にいかなる程度の米軍が駐留するのが妥当であるか、しないか、というとは、これはもっぱら政治問題でございまして、政策的に決定さるべきもので、私は憲法論を申し上げておるだけでございます。(「そうじゃない、政治責任を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)
○委員長(木暮武太夫君) 私語を禁じます。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答えを申し上げます。ただいま官房長官が申し上げましたように、私どもとしては、憲法の条章を守って国内の自衛の任に当りたい。従いまして、政策上の問題といたしましては、攻撃的な原爆、水爆のごときは持たないということを明言いたしておりまするので、この点については、私ども十分憲法の趣旨に沿って参りたい、かように考えております。
○委員長(木暮武太夫君) 八木君、こちらへ来て下さい。
○八木幸吉君 米軍の装備と憲法とは無関係である、これは条約上の問題であるという法制局長官のお答えは、きわめて明快で、私は納得をいたします。現在の安保条約と自衛隊とは、行政協定二十四条を除きまして、法律的には無関係である、かように考えます。しかしながら、改定されようとする安保条約におきましては、バンデンバーグの決議の関係で共同防衛的な性格を持って参ります。そこで、自衛隊と憲法とこの条約と、三つの関係において大きな問題が起ってくるわけであります。その問題の中心点は、一つは、政府の憲法九条解釈におきましても、その二項が自衛のための最小必要限度、こういうことを言っておられますので、その自衛のためという範囲を逸脱するかどうかという問題が一つそこに浮かんでくるわけであります。そこで私伺いたいのは、端的に御返事をいただきたいのでありますが、極東の安全と平和のために米軍が出動をいたしましたときに、共同防衛の建前から、少くとも補給業務等について米軍からの自衛隊の協力を要請されたと、こういう場合に、自衛隊が、自衛隊それ自身として補給業務に協力いたしますと、編成装備された自衛隊が作戦行動をする、米軍に協力するということは米軍の戦争行為に協力することであって、自衛の範囲を逸脱し違憲の疑いが政府の憲法解釈をもってしてもあるのではないか、そこを政府はどういうふうに説明をされたかというのが質問の第一点であります。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。お尋ねの点は日米共同防衛と申しますのは、日本のための共同防衛ということを私どもは考慮をして安全保障条約の締結に当ることと存じまするが、米軍に対する協力というようなことについては期待をいたしておらないのでございます。
○八木幸吉君 機能の質疑応答でも明らかになりましたように、極東の安全と維持のためにという一項は今でもありますし、新条約でもあるだろう。そこでその問題は事前協議で、イエスと言うか、ノーと言うかということは事前協議事項になる、これが外務大臣のお答えである。私もさようだと思います。そこで事前協議のときにノーと言えば問題は起らないのでありますが、アメリカがバンデンバーグ決議を持っておる関係で私はノーと言えない場合があるし、ノーとばかり言っておったのではアメリカが納得しない。そこでイエスと言った場合に、これが購買関係であるならば別でありますけれども、組織体としての自衛隊が協力するということは、政府の憲法解釈でもそこに疑問の余地が起るのではないか。それをどういうふうに政府は一応の説明をつけられるかということが私の伺うところであります。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。イエスかノーかという仮定の問題についてでありまするが、われわれとしては米軍の使用、配備等については事前協議をするということで、日本軍の問題についての協議事項ということには規定しておらない、かように考えております。
○八木幸吉君 規定があってもなくても私は事前協議の中に入ると思う。そこで私が唯一の政府のまず逃げ道と申しますか、これに対するジャスティファイする気持は極東の安全は即日本の安全である、即自衛であるということ以外に私は説明がつかぬのじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) 極東の安全と平和と申します場合において、私どもとしては、日本が侵略をされる、日本が攻撃を受けた場合ということを前提に考えております。
○八木幸吉君 そうあわてずに、私の言うことをよく聞いて、極東の安全即自衛即合憲と、これで政府としてはいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(林修三君) これは今防衛庁長官から工お答えがございました通りに、いわゆる現在の安保条約では極東における云々ということは、これはもちろん米軍の行動についてのことでございます。新しい安保条約でどういうとになるか、かりに入りましても、やはりこれは米軍のことだと私たちは思っております。日本の自衛隊は日本の憲法及び日本の自衛隊法に基いて行動するわけでございます。日本に対して直接あるいは間接の侵略があった場合に自衛隊は行動するわけでございまして、いわゆる米軍が極東の平和と安全というために出動する場合について直ちに日本の自衛隊がそれに協力するということは、おそらくこの条約では直接に出てくることでは私はなかろうと思っております。いま一つのお尋ねの極東の平和と安全即日本の自衛と言えるんじゃないかというお話でございますがこれは場合を分けて考えてみなければ私にはわかりません。仮定の場合としてあるいはそういう場合もあるかもしれませんが、そう言えない場合もありましょう。しかしいずれにいたしましても日本の自衛隊は日本が直接にあるいは間接に侵略された場合にしか動き得ないわけでございます。それ以外に米軍がよそに出て行くことを応援するということは、いわゆる米軍の環として米に協力して、これを応援するということは、日本の憲法あるいは自衛隊法からできないことだ、かように考えて、おります。
○八木幸吉君 今のお答えは、ここでは一応了承されるでしょうけれども、アメリカの上院にでも持っていったら問題にならぬと思う。ところがこの問題はアメリカの条約との関係でありますから、バンデンバークの決議の趣旨からいって、私はさようなことにならぬと思いますが、町間の関係で納得はせぬけれども、この問題はこの程度にいたし、おきます。 次に、昨日も伺ったのでありますが、最低限度の方でありますが、最低限度はやはり一木と日本のためにある米軍と寄せた力、これは軍隊の性格でなくて、内容の実力、現に向うが陸上の兵力か減らしましたら日本の方はふえてゆく、だんだんスライドして、向うが減れば日本がふえてゆくというんですから、日本の国力が非常に発展をした場合に、今の駐留軍が全部出てしまったら、日本がちょうどそこに真空の間に空気がふえてゆくようにふえてゆく、そうすればこれはプラスしたものが最低限度で、結局最低限度というものは無制限で自衛隊のための最低限度ということが無制限であるならば、これは戦力でないということに政府はお使いになるんですけれども、官房長官が言われたように、自衛のための戦力ということに結局はなってしまうんですが、これはもうきのうもやったことですから、きのうからお考えを変えられたか、相変らずだ、というだけでけっこうでありますから、伺っておきます。
○国務大臣(伊能繁次郎君) 昨日申し上げましたところと考えは変っておりません。
○八木幸吉君 それでは、これはまた内閣委員会で私ゆっくり伺うとして、最後にもう一点だけ伺います。それは日本が核攻撃を受けた場合に、日本は米軍の制御力によってこれを防ぐんだ、つまり原子兵器の攻撃には米軍の力によって抑制する、こういうことを長官もおっしゃっておりますし、岸総理も、津島長官も、鳩山さんも、小瀧さんも同じようなことを言っておられるんですが、これは結局米軍が原子兵器をもって原子攻撃を防ぐ、こういうことを意味していると思うんですが、さようでありますか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。この点につきましては、岸内閣の基本的な方針といたしまして核兵器を米軍が持ち込まない、また持ち込ませない、日本自身も持たない、かような考え方からそれがかような核戦争を防ぐ最大のいい方針ではなかろうか、かように考えておりますので、私どもとしてはさような事態の起らないために核兵器を持たないということを方針といたしておるわけでございます。
○委員長(木暮武太夫君) 八木君に申し上げますが、別ワクの二十分が経過しましたから、御注意申し上げます。
○八木幸吉君 これでおしまいです。長官は原子兵器の攻撃に対しては米軍の力で抑制する、こういううお答えがあるわけですね。ところがもう少し問題を明確にするために申し上げますが、岸総理は三十三年の三月三十一日と思いますが、飛鳥田氏に対する答弁で、そういう――核兵器のことですが、「そういう兵器でもって侵略を防ぐほかはないというような場合において、アメリカの軍がそれを用いるということについては、これはやむを得ないことではないか」、これは岸さんのお答えです。それから津島さんは、「それは協議することになっているから、その事態に応じて考慮する問題である。」それから鳩山さん、これは故人だからちょっとここで言うのも何ですが、「自衛の見地から必要なら、やはりそういう兵器のあることは必要と考えますので、国際情勢を慎重に考慮して決定したいと思います。」、まあ小瀧さんはもっと強い言葉を言っておられますけれども、要するに核攻撃に対しては核兵器でもって防御する、米軍が。めったにそういうことはないだろうけれども、そういう事態、非常の事態には、それよりほかにやむを得ないのじゃないかということを意味すると思うのですが、それをはっきり一つ言っていただきたいし、もしぼんやりしているようだったら、もう時間がきましたから、内閣委員会で私ははっきりいたします。
○国務大臣(伊能繁次郎君) その点につきましては、総理も他に方法がない場合云々というような際に、やむを得ず、敵地を防衛のために攻撃をする場合もあるというような答弁もいたしております。また私どもとしては、核の問題については米軍が、日本内地に核攻撃を受けたという際には、米軍の抑制力に期待すると申しますのは、米軍全体の抑制力に期待するということを、これは常に申しておる次第でありまして、日本国内から核兵器を使うということについては考えておりません。
○八木幸吉君 納得しませんが、次の機会にいたします。
○委員長(木暮武太夫君) 栗山君、何ですか。
○栗山良夫君 先ほど理事会のときにおきましても、いろいろと話題になったのでありますが、ただいま問題になりました昨日の官房長官、防衛庁長官並びに法制局長官のこの委員会における発言は、従来国会で行われた発言とは全く異なった新しい発言であります。従って、私どもも非常に重要視をいたしておるのであります。その重要視は、少くとも日本国憲法、日本国平和憲法の理想としているその精神を著しくじゅうりんする解釈である、こういう意味において重要視をしておるのであります。そこでわれわれといたしましては、やはりこのままでこの問題を見逃すわけには参りません。岸総理大臣あるいは藤山外務大臣の御出席を求めて、そうしてこういう拡大解釈というものを岸内閣として一貫してとっていくのであるかどうか、このことを明白にして参りたいと思うのであります。これは国民にもわれわれは知らせる義務を持っております。そこで本委員会は、先ほどの理事会の申し合せによりまして、問題がなく三長官の答弁についてわれわれが理解できるならば、直ちに平林委員の質問に移るという約束をいたしましたが、こういう重大なことで、われわれといたしましては納得をいたしかねる、理解をいたしかねる問題でありますから、暫時委員会を休憩せられて、そうして理事会に移していただいて、自後の取扱いについて御協議をいたしたい、かように考えるわけでありまして、動議を提出いたします。
○委員長(木暮武太夫君) ちょっと速記をとめて。 午後二時五十三分速記中止 ―――――・――――― 午後三時十一分速記開始
○委員長(木暮武太夫君) それでは速記をつけて下さい。 先ほどの理事会の通りに進行いたします。 前回に引き続いて一般の質疑に入りたいと思います。 平林剛君の御登壇を望みます。(「動議を下げないうちに議事進行はできないよ」「動議はどうなったんですか」と呼ぶ者あり) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(木暮武太夫君) 速記をつけて。
○栗山良夫君 私の動機についていろいろと紛糾しましたが、これは理事会に出ました者お互いに少し言葉の足りないところがあったようでありまして、受け取り方が違っておるようであります。われわれは自分の考え方が間違っていたとは思っていないのでありますが、しかしけさの理当会でお約束をいたしました点、一つ申しますと、三人の所信をただした結果、われわれが理解をし得ないものであった、そうしてさらに首相あるいは藤山外務大臣等の出席を求めて事態を明らかにしなければならないようになったときには、質問時間のきめられたワクの外に、若干のワク外の時間を設けて、そうしてなるべく早い機会にこれを行うと、こういうことをきめてもらいました。だからその点を確認していただけるならば、そのことについて後刻開かれる理事会において具体化をしていただければけっこうでありまするから、その点を確認願えれば私の動議を取り下げます。
○委員長(木暮武太夫君) 栗山君にお尋ねしますが、今の御発言は、今あなたから御発言になった動議ですか、これをまあよく御懇談の結果、ここで撤回をして、きょう散会後、委員長、理事の打合会があるから、よくそこで和気あいあいのうちに相談したい、こういう意味なんでしょう。
○栗山良夫君 その白紙ということでなくて、先ほどの理事会でその点は委員長の報告にははっきりなかったけれども、お互いに確認し合ったことだから、そういうことを含んで理事会を開くということであればいいわけです。(「それでいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
○委員長(木暮武太夫君) よろしゅうございますか。(栗山良夫君「条件というとかた苦しいですが、そういうことを含んでそれは意見が一致しているんですから、この点は。森さんもそれは確認されているんですよ」と述ぶ)私語を禁じます。 栗山君にお答えしますが、栗山君の御発言の趣旨はよくよく了承をいたしまして、きょう散会後の委員長、理事の打合会でこの問題よくご相談したいと思いますから。(「異議なし」と呼ぶ者あり) ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) 平林岡君の御登壇を願います。
○平林剛君 ごく最近、東京のある新聞が、上野の不忍池周辺に、都心の新球場建設、いわゆる屋根付の球場を建てる計画が進められていることを報じております。この中心人物は、元大毎オリオンズの黒崎貞治郎氏、及びこれにタイ・アップする人たちでありまして、正力松太郎氏の新宿球場の構想を押えてこれが実現することは、大へん野球ファンの関心を呼んでおると、その実現が決定的な話として書かれておるのであります。私は、このことに関連をいたしまして、国有財産の処理をめぐる国民に知られざる予算、官僚だけが知っている予算につきまして、質疑を行うことにいたします。 大蔵大臣は、国有財産法第七条によりまして、国有財産の総轄をすることになっております。現在、最高裁判所が、書記官研修所として使用しておる台東区茅町一丁目十一番地、上野の不忍池に近い旧岩崎邸跡に、いわゆる建築交換の計画を進めておることを御存じですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今朝そういう話を事務当局から伺いましたが、別に進んでおるようには伺っておりません。それに類似の話のあることは伺っております。
○平林剛君 旧岩崎邸が、建築交換に付せられるということについての正式な報告は、今日まで聞かなかった、けさそれを話として聞いた、こう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 交換建築という話としては聞いておりませんが、最高裁の方で、その土地についての評価を、事務当局が委嘱を受けて、大蔵事務当局で評価をしたという話は聞いております。
○平林剛君 会計検査院にお尋ねします。会計検査院は、建築交換についての通知を受けましたか。受けたとすると、いつのことでありますか。
○説明員(上村照昌君) お答えいたしします。ただいまの件については、通知を受けておりません。
○平林剛君 もし、そうだとすれば、これは国有財産法第二十七条第三項の違反となります。大蔵大臣にこの正式な通知がなかったことも、国有財産法第十二条の違反となると私は考えるのであります。いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まだ正式な交換をするということで大蔵省は協議も受けておりません。従いまして、話が具体化いたしておりますと、今の法律に抵触するということになるだろうと思いますが、どの程度具体化しておりますか、私どもの方としては、その具体的な話は一切受けておりません。
○平林剛君 最高裁判所の事務総局経理局長栗本一夫さんから、大蔵省管財局長に対し土地建物の交換について、交換による土地建物の取得の意思を通知をするとともに、土地評価を依頼した旨の連絡をしたのは、昭和三十四年一月七日であります。これの前に、大蔵大臣がその相談にあずからないということは、明らかに法律に抵触をする。最高裁判所は、東都起業株式会社との間に、旧岩崎邸を建築交換するための覚書を昭和三十三年十二月八日結んでおるのであります。大蔵省に報告をする以前に、すでにこの契約が結ばれておるのであります。 最高裁判所の責任者の方にお尋ねをいたします。国有財産法第二十七条第三項によりますと、会計検査院に対して、事前に通知することが義務づけられております。これをなぜ怠ったのでありますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) お答えいたします。評価依頼を関東財務局にお願いいたしましたことは、御指摘の通りでございますが、評価依頼の段階では、まだ大蔵省に対する協議ということになっておらないと考えましたので、通知をいたさなかった次第でございます。
○平林剛君 私は、大へんこれは最高裁判所の責任者にいたしましては、法律の解釈を間違えておるように思います。すでに、昭和三十三年十二月八日に結んだ覚書は、明らかに法律上の手続を踏んでおらない、私はそう認定するのであります。土地建物交換に関する覚書を結んだ東都起業株式会社は、どういう会社でありますか。また、覚書の内容とは、どういうものでありますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ちょっと精確な資料を用意して参りませんでしたので、自分の記憶のあります範囲内においてお答えいたしますが、東都起業株式会社は、結局、本件の土地を取得いたそうという希望を持っておるのでございますが、取得いたしました暁におきましては、そこへ都民のリクリエーション・センター式のものを建設いたしたい、かように考えておるようでございます。東都起業につきまして大体われわれの知っておりますのは、その範囲内であります。もし御質問ございましたら、なおお答えいたします。
○平林剛君 東都起業株式会社のことについては、あなたより私の方がよく知っておるのです。あなたも、きょう全部をお話しになりませんけれども、すでに定款その他は、あなたの方で、大蔵省に対しても連絡が済んでいるのじゃありませんか。もっと具体的にお話をいただきたい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 定款を本日持って参りませんでしたので、もちろんわれわれの方に入手いたしておりまするが、ただいまちょっと記憶いたしておりませんが、今申し上げましたように、本件土地を取得いたしました暁におきまして、そこへ都民のリクリエーションセンター式のものを作りたい、かような目的のもとに設立された株式会社でございます。
○委員長(木暮武太夫君) ちょっと政府側の方に申し上げますが、書類がなければ、自動車ででもちょっととってきて、わかるようにして、質問に対して答弁を親切にやって、予算の審議をなめらかにどんどん進めていくようなことを私希望しておりますから、一言申し上げます。
○平林剛君 東都起業株式会社は、今お話のような趣旨だけの定款を持っているものではありません。これは、不動滝の管理運用、貸しビル、貸しアパート経営、前各号に関連する一切の業務、これとあわせて行うことを目的として、設立をされた会社でありまして、お話のような、ただスポーツだけのものではない、あなたは、その点をもっと率直に御答弁になりませんと、私はあとからもっと追及しますよ。東都起業株式会社は、すでに移転先の土地として、世田谷区廻沢町に、約一万五千坪を買収して、昭和三十三年十二月二十七日仮登記を済ませておるのであります。旧岩崎邸を建築交換することによって最高裁が受ける財産は一体どういうものでありますか。その具体的構想についてこの機会に明らかにしていただきたい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 最高裁と東都起業との商に話し合いが進められて参りまして、結局最高裁として本件交換が成立いたしますれば、受けます財産は、司法研修所、書記官研修所、調査官研修所、この三つの研修所が最高裁の今現在管轄にございますが、その三つの研修所の建物並びに寮並びに書記官研修所は、御承知の通り現在本件の土地の上にございまするので、その書記官研修所の土地、かようなものが最高裁としては受ける予定であった次第でございます。
○平林剛君 われわれはただいま予算の審議をいたして、国民に知らざる予算についてのお尋ねをいたしておるのであります。だからその建物の構想という私の質問は、同時に具体的にその総額が幾らであるか、どういうものであるか、そういうことを国民の前に明らかにする必要が私、あると思う。それをもう一度お尋ねします。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 交換でございますので、結局本件土地の評価がどの程度になりますか、その価額と見合いまして三つの研修所並びにその敷地の建物を決定いたしたい、かように考えておりました。現在大体の構想は持っておりますが、具体的の段階にはまだ入ってない次第でございます。
○平林剛君 具体的な構想に入っていないで、なぜいろいろなことを……、私、承知しているのです、書記官研修所は土地一万五千坪で、計五億八千万円の計画が立っておる。司法研修所は建物二千坪、それからこれに合宿所が付加わりまして二千五百坪、計三億四千五百万円の予算となっています。調査官研修所は、世田谷の研修所敷地内に建設するものでありまして、建物は一万三千坪、九千九百八十万円、合計十億二千四百八十万円の計画になっておる。あなたは国会に来て、もう少し丁寧な説明をしないとだめですよ。私の言ったことに間違いありませんか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 具体的の段階まで入っていないと申し上げましたが、入っていないと言えば入っていない状態でございまして、もちろん評価依頼に関連いたしまして、今季林委員から御指摘になりましたような、大体もし十億程度で交換ができるならば、その程度の建物を建てたいという希望の、さような書面を評価依頼書に付けて大蔵省へ出したと思っております。
○平林剛君 大蔵省に出す前に、先ほど私が指摘したような覚書が結ばれているじゃありませんか。その覚書の内容を先ほどお答えになりません、この機会に明らかにして下さい。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 覚書の内容は、三研修所の寮それから書記官研修所の敷地という程度のことしか書いてございませんので、値段は決して書いてございません。それはやはり先ほど申し上げましたように、交換金額、つまり交換の金額がどの程度になるかということは、大蔵省の評価を待たなければ最終的にはきまりませんので、具体的には書かなかった次第でございます。結局われわれの方といたしましては、三研修所及び寮、敷地、さようなものを交換の対象にして、固定財産にいたしたいのだということだけを覚書に書き込んだ次第でございます。
○平林剛君 念のため申し上げます。ただいまの答弁に間違いありませんか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ただいまの答弁に現在の記憶では間違いございません。
○平林剛君 土地、建物に関する覚書には、はっきり額が書いてあります。最高裁を甲とし、東都起業株式会社を乙としてこの建物を引き渡す。いろいろな土地建物、これを明記し、この中には乙が甲に対して下記物件を引き渡すものとし、その価額は九億五千万円を下らないものとすると書いてある。ただいまのあなたの発言は私、念を押したんだけれども、そういうふうに国民に知らざる予算を、膨大な金額として契約を結んでおる、まことに遺憾ですよ、あなたの態度は。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) おしかりを受けまして恐縮でございますが、私今三つの研修所が、どのくらいの金額かということが書いてあるかという御趣旨に承わりましたので、金額は書いてございませんと申し上げましたが、すべて交換の結局成立いたしました際には、われわれの方としては、九億五千万以下では交換はできないということは確かに書いてございます。総額、われわれの方で下り得ない金額ということは、確かに今御指摘のように九億五千万と書いてございます。
○平林剛君 大蔵大臣に。お聞きの通り最高裁判所が建築交換によって得ようとする財産は、総額十億円に上回るのであります。私はこの建物が必要であるかないかを議論しておるのではありません。また建築交換によって得たところの土地がどういう目的に使用されるか、それがあなたがお話しになった以外のものであるかどうか、これも議論の別であります。私の言わんとすることは、こういう十億円をこえるような予算は、本来であれば予算の中に組み入れられて、国会の審議を得て初めて実現をすべき性質のものである、しかもこういうことが行われるのを、国民の知られざる予算、お役人だけが知っている予算、こういうのであります。財政法第九条は、原則としてこれを禁止しております。いわゆる建築交換につきましては、国有財産法第二十七条及び同特別措置法第九条の四によりまして、その特例は認められておりますけれども、これを乱用することははなはだ問題がある。特に十億円をこえるというような予算を必要とするものは、やはり国会の審議を得て、その審議を得るために予算に含めるべきものだ、私は国民の代表としてさよう考えるのであります。大蔵大臣はいかがお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 建築交換の話がいろいろ出ております。私も大蔵大臣に就任いたしましてその種の話を二、三聞いたのであります。いろいろ事務当局に話しをしてみますと、最近はさような扱いはしておらない、特に小さなものについてはそのようにいたしますが、重要な非常に価額の大きいものにつきましては、特にかような問題は御指摘の通り国会の審議を得ることが適当だと考えられる筋のものでございますので、この扱い方を特に慎重にいたしたいということで、最近におきましては非常に交換建築という問題は実際問題としてはあまり行われておらない、ことに今回の問題のように、十億というような多額の金額ものにつきましては、扱い方は当然慎重に扱わなければならないものだと、かように考えております。
○平林剛君 私の得た資料によりますと、昭和三十二年三十三年度におきまして国有財産の交換は十三億八千万円でございます。建築交換につきましては、昭和三十二年三十三年度において総額十億一千八百万円、ただいま私が指摘した十億円を除いてこれだけあるのであります。これが最近の官庁における流行であります。ただいま大蔵大臣は、最近はこういうことはしていない、慎重に取り扱うべきだと言いましたが、本問題につきましては、岩崎邸の建築交換につきまして、省議ではこれを認めないと決定しておるのではありませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の岩崎邸の問題につきましてはこれから十分考えなければならない問題だと私は思いますが、ただいままでのところ評価の依頼を受けておりますが、まだ評価事務も完了いたしておりませんし、またその扱方について最高裁に大蔵省的な見解もまだ申し上げておらないというのが現状でございます。先ほど来お読みになりましたように最高裁から大蔵省が評価についての依頼を受けている、その際に関係の書類も一緒につけてあるようでございます。ただいま私もその書類を見たわけであります。聞いてみますと、まだ評価もいたしておらないようでございます。この扱い方について最高裁に対しても大蔵省的な見解もまだ述べておらないというのが現状でございます。十分注意するつもりでおります。
○平林剛君 ただいま私が指摘したような問題は国会の審議を経て行うべきものであると、こうあなたの態度は、はっきりしておると理解いたしますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 原則といたしましては先ほど申した通りでございます。
○平林剛君 国民に知られざる予算が最近増加しておる傾向は大へん好ましくない、私はそう思うのであります。これはどうしても筋道に返すべきだ、ところが現在国有財産法並びに国有財産特別措置法を読みますと、こういうことが合法的に行われるような形に修正されておりまして、このために各官庁はこぞってこのようなやり方をする。私は交換全般が悪いというのじゃないのです。ある場合には国の機関の中においてそれぞれ交換をし、それが国家に貢献するという度合等によってはそれを認めているのであります。しかし今回のように民間と、またはその特定の利害を持つ会社等の中において国民に知られない間に二十数億円というような契約が行われ、国民の知らないうちに国家の建物が作られていく、やはりこういうことは十分慎重にやるべきである。そこでまず大蔵大臣にお尋ねしますが、国有財産特別措置法を改正する用意があるか、もしあなたが用意がないというなら私は議員立法をもってもしなければいかぬ性質のものだと考えております。同時に交換についてはこれを金額を制限して行わせるべきだ、こう思いますが、この二つについて政府の態度を明らかにしてもらいたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 本来この国有財産の土地で各省で管理しておりますものが不要になりますれば、これは大蔵省所管に移る、大蔵省において一括してこれを処理いたしますならば予算との関連においても間違いはないはずであります。ところが各省におきましても一応その用途が変ってもその次にその土地を使いたいということで、なかなか見込みがたたない、ここに一つの問題がある。この点が各省の協力を得ないとどうも土地の管理運用は十分にはう芸くいかない。それからもう一つは、最近はこの営繕関係の予算要求が非常に多いのです。膨大なんです。ところが財政のあり方から申しまして、やはり一般財源でこれをまかないますために各省の需要にはなかなかこたえ切れないものがある。そういうところで今の建築交換という非常に手っとり早い方法を、まあ三十年前後といいますか。あるいは戦後において、これも、もう二十八、九年時分のことだと思いますが、三十年を境ぐらいにしてその前後において非常にこれを利用されていたということがあるように見受けるのであります。従ってこの点では十分営繕関係の費用を、予算を多額につけて、そうして各省の要望にこたえることができますれば、この種の事柄も行われないだろうと思いますが、なかなか歳入歳出の関係で、そうも参りません。ことに今回の最高裁判所の処置についてはいろいろの意見があると思いますし、非常に多額でございますので、私どももこの扱い方はよほど慎重に扱うつもりでございますけれども、最高裁所管の全国各地の裁判所の建物やなんかは相当古いものでございます。ことしなど少しは予算も、営繕費もふえましたけれども、それにいたしましても非常に不十分である。従いまして非常に少額の金額でありますと、この建築交換というものも非常に便利だということが言えるだろうと思います。しかし本来から申しますれば、幾ら償却いたしましても建築交換ということがあまり利用されることは望ましい方法ではない。ことに財産管理、これが非常に厳正である今日の法制から申しますと、この点は私どもも十分今後工夫をしていかなければならないと思っております。ことに二、三年前からこの点について国会からもいろいろ御意見が出ております、指摘されておりますので、先ほど私ちょっと口をすべらしましたように、私就任いたしましてからのこの種の扱い方については非常に厳正に、また厳格に、あまり融通のきかないような方法でただいま処理をいたしております。
○平林剛君 私の質問に的確にお答えになったわけではありません。私は国有財産法の特別措置法については検討する必要があるじゃないか、こういうことをお尋ねいたしたのであります。そうしてまたその建築交換についての金額を制限せよと具体的な提案をしておるのでありまして、これについて御意見を聞きたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申しますように、金額について一つの制限をするということ、これはただいまいろいろ工夫している最中でございまして、全然検討をしておらないわけではございません。検討中でございます。
○平林剛君 大蔵省にすでにこの内規があるわけであります。私はこの内規をもっとはっきりさせて、厳正に処理するように政府が再検討することを要望いたしておきます。 この問題に関してもう一つお尋ねをいたしておきますが大蔵省管財局の発行した国有財産白書によりますと、大蔵省が国有財産の総括機関として各省各庁の財産の使い方を実地に検査した結果、昭和二十六年ないし三十年度に未利用、不要の財産を大蔵省に引き継ぎを要すると認めた行政財産が土地は百九十六万坪、建物は七千六百五十九坪あると書かれておるのであります。しかるに各省各庁が引き継ぎを承認したものが、建物は別にいたしましても土地はわずか十五万坪だけ、依然として自分の手持ちに持っている、今日のような問題が流行として起きてくるというのはここに最大の原因がある。国有財産の交換にからまる町のうわさというものは絶え間がないのです。私はこの質問は十分でやろうと思っているからこまかいところまでいきませんけれども、町のうわさは絶えない、いろいろ耳にするのであります。こういう現状にかんがみて、要らない土地を、不要になった土地をいつまでも各省官庁に持たしておく必要はない。特にこの筆頭は厚生省文部省、農林省運輸省、総理府、通商産業省それぞれ持っているわけです。質問の通告はいたしませんでしたけれども、各省各大臣ここにおられる人は、一体どうしてこれをいつまでも保有しておこうとしておられるのか、これをお尋ねします。いる人だけでいいです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま平林さんの言われる通りです。これは未利用並びに、もう用途を廃止しておりますような国有財産は早急に整理いたしまして、大蔵省に所管がえすべきものでございます。過去におきましてもそういう事柄を交渉いたしておりましたが、なかなかいろんな理由を設けて実現しておらない、ただいま御指摘になった通りであります。大蔵省といたしましては、その基本方針はどこまでも未利用なりその使途を廃止したものにつきましては、実情を調べまして、大蔵省の所管に移して、そして国有財産の一般管理、運用という立場で措置して参りたい、かような考え方でございます。
○平林剛君 大蔵大臣は国有財産の総轄大臣としてさよう考えておりましても、各省各庁の大臣が協力しなかったら何にもならないじゃありませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 十分協力を願っております。
○平林剛君 私はこの問題につきましては、しかるべき近い将来に再検討をする必要がある。そして今あなたのお話のように、協力してもらうという措置を具体的にとってもらいたい。とらなかったらまたあとで適当な機会に責任を追及いたして参ります。 次に、経済政策全般についての質疑を行いたいと思います。大蔵大臣が今日まで財政演説、あるいは本委員会における予算の説明、今日までの経済政策に関する質疑応答を通じまして喜ばしいことは、矢嶋三義議員からは、まずA級の大臣であると指名をされておるのであります。新聞その他の批評でも、岸内閣の優等生である、こういう批判がございまして、けっこうなことであります。確かにそつのないことも岸総理大臣に最近はよく似て参りました。しかし私は国民に信頼される政治家、あるいは政府としては、民主政治と政党政治のものにおいて責任をいかに重んじるかということが一番大事である、かように考えておるのであります。特に経済政策の衝に当る者は、国民経済と国民生活に与える影響がきわめて大きいのでありますから、同時に責任も大へん重いと思うのであります。ところが私は今日までの経済政策に関する論争を聞いておりますと、何となくこの点が明確でないように思うのであります。大へん素朴なる質問で恐縮をいたしますけれども、一体大蔵大臣はどういうときに責任を感じて、またそのゆえに自分はやめると、こういうような引責辞職をなさるのであろうか、一体どういう問題が起きたらあなたは国民に対しておわびをして職を去られるか、経済論争というものはどうも白か黒かということがありませんから、大がい白か灰かということの程度に終る。そういう点で、私はこの点に素朴な疑問を感じておるのであります。大蔵大臣の責任感の度合をはかるために、あなたの御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ひとりまあ大蔵大臣といわず、政治家としての責任というものは、これは責任のない政治、それこそは国民の信頼をかち得ない政治ということになるんだと思います。従いまして政治家として一番大事なことは、担当しております仕事についての全責任を負うということは、これはもう当然のことでございます。ことに基本の問題について、あらゆる衆知を集めて参りますが、万全を期していく、まあこの考え方でなければならない。ことにただいま大蔵大臣としての責任は何かということを御指摘のようでございますけれども、私は大蔵大臣であります前に、とにかく政治家たらんとするものでございまして、その言行一致とでも申しますか、そういうことが第一に大事なことだと、これこそ信を得るゆえんだと、かように感じております。ことに大蔵大臣といたしましては、経済につきまして一つの基本政策を樹立いたして、その政策の推進と、またその成功を心から願っておるものでございまして、そういう意味で万全を期していく、そこに私自身が責任を感ずるものがあるということでございます。
○平林剛君 私は経済政策につきましては、国民生活の安定ということと、経済の順調な発展を願う意味におきましては、与党と野党といえども大体その方向は変らないものだと思うのであります。ただ私どもが政府と根本的に見解を異にいたしますのは、その重点施策の、重点をどこに置くか、こういだう違いだけであります。従ってこれを別にいたしますと大蔵大臣、経済閣僚としての責任は、一つは当初の財政経済に対する見通しを誤まった場合、もう一つは当面する情勢に適切な対策をおくらせて、怠って、国民生活に重大な混乱を与えた場合――昨年の経済情勢のもとでは、私はタイミングの問題だと思うのであります。昨年社会党は、いわゆる不況対策として内需関係を含む補正予算の要求をいたしましたが、今年の予算書を読みますと、一部社会党の主張を含めて、結局ある程度の積極政策をとらざるを得なくなったのではないか、こう見られるのであります。わずか半年、予算を編成する時期に比較をすると、二、三カ月の間に日本経済の評価がこんなに変ってしまった根拠を一つ示してもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの点については、昨年大蔵大臣に就任以来、機会あるごとにお尋ねを受け、機会あるごとに同一のお話しをいたして参ったものであります。ことに平林委員に対しては、大蔵委員会を通じてしばしばこの点についてお話しいたしたように思います。この機会に重ねて私の見方を御披露いたしておきたいと思います。御承知のように投資過大その他によりまして金融の引き締めを余儀なくし、三十三年度は大体経済を引き締める方向に向わしたのであります。その当時、三十三年の経済動向については、おおよそ三十三年度予算編成の際に、経済の推移を想定をいたしまして、予算案を作成し、その成立を期して、そうしてそれができ上って、それを実行に移した次第であります。ちょうど昨年の夏から秋にかけまして調整過程をようやく終ろうとした時分、その時分に不幸にして、社会党の諸君と私どもの考えとは基本的な相違があった。当時においては、社会党の皆さん方は二重なべ底だ、いわゆるなべ底景気だというが、二重底なんだ、さらにこの状態ならばもっと激化し、結局これは立ち直ることも困難になるであろう、こういう際こそ内需を喚起すべきだというのが社会党の皆さんの御主張であったと思います。私は大体三十三年度予算で想定したような経済情勢の推移をたどっているから、今後は必ずこれが立ち上っていくと、従って経済に対して、財政の面から特に刺激を与える、一時的な喚起をするような刺激を与えるような政策はとるべきではない、むしろ三十三年度予算を完全に実施すべきが本来であって、そのことが経済の着実な成長をささえるゆえんだということを強く主張いたしたものであります。幸いにいたしまして、三十三年度予算を完全に実施する方向で予算の実行計画を立てましたところが、大体私どもが見るように、経済はその上昇の傾向をたどっておる。あるいは三月には明るくなるだろう、あるいは秋には、昨年の秋には上向くだろうと、こういうような表現の相違はございますが、とにかく三十三年も秋になり、さらに暮れなり、新年を迎えるとともに、明るい感じが経済界に漸次浸透してきたことだけは事実であります。そこで今度は、三十四年度の予算を作るに当りまして、ただいま御指摘になりますように、今回の予算は非常に積極性を持ったものだ、それこそ、社会党が主張しておるような、刺激のある予算だと、こういう批判を社会党の方はしておられるようでありますが、私どもは、この予算は、経済に相応する予算を作るということが大事なことなので、どこまでも経済自身に対しては、財政としては強い刺激を与えることは避けなければならないが、同時に、経済自身が成長するという場合には、それに対応する予算で、その成長にじゃまにならないようにすることは、これは望ましいことだ。しかし、非常な短期間にこれを急に膨張さすような予算は作るべきではない。同時にまた、一般的な問題で申せば、下降するような場合には、やはり財政的なある程度のささえが要るのではないか。まあこの考え方から見ますと、三十四年の経済成長率を十分調査いたしました結果は、六・一%程度の成長が期待できる。それにふさわしい予算として、今回のような予算総額を決定しておるのであります。 基本的な問題で、内需喚起という、この御意見でございます。経済を成長いたします場合には、一体何かと申せばもちろん今日の時代に、飢餓輸出なぞ考える政治家は一人もないと思います。国民を窮乏のどん底に置いて、国際収支だけこれを好転さすというような政治をする人は、もちろんないと思う。経済を成長発展さすということは、とりもなおさず国民生活を向上さすということなんで、国民生活が向上いたしますならば、内需も喚起されるでございましょうし、賃金ベースだってどんどん上っていく。経済の発展が大きくなりますれば、もちろん賃金だって二倍にも三倍にもなっていくのだ。これを相当の期間をかけて着実に経済を成長さす。そういうように国民の生活を向上さす。これが私どもの願いであり、ねらいであり、また政治の目標である、努力であるということをいつも申し上げておるのであります。私は、その意味におきましては、いろいろの御批判はあることだと思いますが、今日の予算なり、また経済の今後の活動、これについての見方としては、十分確信を持っておる次第でございます。
○平林剛君 確信を持って経済政策を行なっている者が、あるときには景気が秋に上向くと言い、あるときには三月ごろだと、これが私は、その責任を感ずる者としての立場ではないじゃないか。そんなら、評論家や高島易断の見通しとそんなに変りはしない。経済政策においての論争も、結局そういうことだと思う。どうも、一生懸命やる気持がないのですよ。そういう程度のものではないのじゃないか。私は大蔵大臣に、そういう意味で、責任というものはどういうところに感ずるのかお尋ねをした。答弁があるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 経済のことでございますから、ただいま言われますように、三月になればどうなる、四月になればどうなる、大よそといいますか、空気というよりも、もっとそれは現実性を持つものではございますが、ただいま御指摘になりますように、九月になればどうだとか、三月になればどうだとか申し上げましたことについては、これは、大よその経済の動向そのものを示しておるのでございまして、そろばんをはじいたとか、あるいは尺度ではかったようにはなかなかいかない、その点は御了承いただきたいものだと思います。
○平林剛君 もう一つ、経済政策が最近、ただいまのようにあいまいな形で、確信あると言いながら、そのつど他の理由に籍口して責任のがれをしてきておる態度と、もう一つは、自由民主党内における一つの派閥といいますか、主流、反主流のいろいろな動きによって動かされておる。本来の経済政策で動いていないという感じを強く持っておるのであります。これは私の批判であります。特に昨年の臨時国会で、社会党が政府に、不況対策としての補正予算を組むべきことを要求したとき、政府部内でも、池田国務大臣を初め、内需喚起論が高かったことは、御承知の通りであります。岸内閣の大口スポンサーとしての経団連、経済同友会、日本商工会議所等の三団体の代表が、自民党の臨時財政経済特別委員会に、政府の輸出振興一本槍の経済政策を改めて、内需喚起策をあわせて取り上げるよう要望したことがありました。これも御承知の通りであります。具体的には、道路、港湾など、産業関連施設の整備を初め、電力、鉄鉱、石炭、造船など基幹産業、中小企業設備の近代化資金の拡大、これを要求し、これは補正予算が必要だ。これも一つの言わば不況対策なんだ。ところが、政府は、とうとう昨年はこれを実行しなかった。こういうことも結局私に言わせると、ことしの予算に組まれておる。去年そういうものを持った方がよかったのか、ことし持ったのがいいかということは、いろいろ起きている現象によって批判はされますけれども、本年度の予算は、この自由民主党内における一つの意見が実現したものと、こう理解してようございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨年の内需喚起論、これは、先ほど私が簡単に批判いたしましたように、経済の動向に対して刺激策をとれという意味の言い方だったろうと思います。そういうような一時的な刺激政策はとるべきでないというのが、私どもの考え方でございます。今回の予算が膨張いたしておるという点は、そういう意味の不況対策というよりも、この経済が発展していく、その場合に当然対応する、これにマッチしておる予算という考え方でございます。ちょうど健康状態になおって参りますと、健康を回復する場合に、非常に食欲も出て参ります。ちょうどそれと同じように、経済自身がこの上昇発展の過程におきまして、やはり財政、予算は、これを十分まかなうといいますか、そういう要求にこたえるものでなければならぬ。そういう意味の予算でございます。
○平林剛君 結局言葉の問題ですよ。タイミングをずらしているだけにすぎない。党内の事情がこういうことになっておる。私はやはりそう判断をせざるを得ない。今日の段階において判断した場合、昨年社会党の要求した程度の補正予算を組んで、苦境にあった中小企業者の救済や失業者に対する援助措置をとったといたしましても、日本経済の基調がくずれたと私は考えられないのであります。結局経済界の言い分だけをことしの予算に政策として盛り込んで、政府の経済政策の失敗によるほんとうの犠牲者は捨て去られておった。放置されておった。私はそういう結果になっておると思うのですよ。いかがです。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも平林さんと私は、経済の考え方が基本的に違っておるから、見方がどうしても変ってくるのではないかと思います。私どもは、あくまでも自由経済の理念に立っております。今日計画は持っておりますが、統制的な考え方は毛頭持っていない。そこらに非常な基本的な相違があるのではないかと思います。たとえば内需を喚起するならば、これが計算の上で、ソロバンではじいて、経済にどういう影響があるか、どういうように発展していくか、こういうようなおそらく一つの構想を持っておられることだと思いますがそのこと自身は一時的な刺激であって、望ましいことではない、私どもはこれを実は申しておるのであります。やはり経済が発展いたします場合に、これが自然的な力、その力のもとにおいて、そうして着実な発展をするということを期待する。そうして長期経済計画の線に合していくというような考え方で私どもは経済に協力いたしておるのであります。この点は、どうも基本的なスタート・ポイントが相当違っておりますので、どうも話が食い違ってくるのではないかと、かように私は思います。
○平林剛君 昨年の不況、政府の言葉でいえば、景気の停滞によって一番苦しんだのは、結局操業短縮による失業者や、あるいは賃下げ旋風に会って生活の低下に苦しんだ労働者である、そういう結果になっておるのであります。ことしの政府の財政経済の方針には、自由民主党の表看板であった完全雇用のスローガンが姿を消しておる。ことしの予算は、完全雇用効果の少い予算だという批判が強いのであります。政府の経済成長率六・一%を前提とする対策では、今後雇用問題は解決できないんじゃないか。少くとも七%か八尾程度の成長率が必要である、こういう意見がございます。雇用の増大について、政府は一体どういう見通しに立っておられますか。この予算で、雇用の増大は具体的にどういう変化があるか、具体的なプランがきまっているか、これをお答え願いたいと思います。これは、大蔵大臣のほかに、経済企画庁長官からもお伺いいたしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政治の面におきましては、いろいろなことが言われますが、雇用問題は大きな政治の課題であることはもちろんでございます。これは、保守党内閣であろうが、社会党内閣であろうが、それは同じように、完全雇用というか、これを目標にしての政治を推進しておるのであります。経済一般の問題といたしましても、経済が成長するということは、雇用面において非常に変ってくるということは当然であります。今回の予算で、特に私どもが指摘することができますことは、非常に多額な、四百億以上に上ります公共事業費の増額、これこそは、就労の機会を与えておるものでございまするし、また、財政投融資計画におきましても、昨年に比べ、一千億以上にこれが増加をしている。これなども、この雇用面に必ず役立っものであると、私どもは固く信じております。先ほど賃金の問題のお話が出ておりましたが、三十三年は低賃金にあえいだとか、あるいは中小企業が非常に苦しい立場にあったと、確かに中小企業や一部産業の面においては、あのなべ底景気の際には、非常に苦しんだことだと思います。しかし、賃金の問題に関する限り、この景気いかんにかかわらず、賃金の値上げは、年末といい、あるいは春といい、それぞれの機会に行われておる。その点は、皆様方よく御承知であると思います。
○国務大臣(世耕弘一君) 雇用の点についてお尋ねがございましたから、簡単にお答えいたします。三十四年度の生産活動の上昇を期待いたしまして、雇用の増大の見込みは、大体建設公共事業で十八万人、財政投融資関係で三万人、一般生業で二十万人、サービス業、すなわち第三次産業で三十万人、前年度と比較いたしまして、七十余万の増を見込んでおるわけであります。
○平林剛君 時間がありませんから、この問題については、また別な機会に申し上げますが、昨年の経済成長率と比較して、今年は七・四と見通しながら、七十余万人増程度の雇用では、まことに数字からいきましても効果が薄いのではないか。結局これは、成長率をもう少し高める必要があるのではないか。このことについて大蔵大臣はお答えがありませんでしたけれども、どうお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 成長率を高め、しかも、堅実な経済の発展が期待できますならば、それにこしたことはございません。しかし、数字の上で幾ら成長率を高めましても、実勢力が伴わないような場合には、また、それが水増しであるような場合には、それこそ計画しただけのプランに終るのであります。私どもは、生きた経済、現実の問題でございますので、心から願っておるにいたしましても、力相応に経済の発展を願っておる。また、それのためにふさわしい予算を作っておるというのが現状でございます。
○平林剛君 ただ、経済政策を担当する者によって、ものの見方が違ってくるわけであります。その結果が将来国民生活にどういう影響を与えるかということになり、責任問題が出てこなければならぬ。あなたがそういうふうにはっきり言うならば、最近自由民主党の内部で、今年の予算と経済成長を批判し、政府は不当に経済の成長率を押えている、こういうことを唱える者がございます。池田さんも、昭和二十六年から三十一年の六カ年間に、約五兆円の設備投資を行なった結果、国民の総生産は四兆五千億円ふえた。ところが、その後三年間に四兆四千億円の設備投資をしているのに、国民の総生産は一兆二千億しかふえていない、これは、政府が緊縮政策あるいは消極政策をとって操業率を不当に押えているからだ、こういう説もあるわけであります。これは、明らかに今日の段階における政策の進め方が違っておる。政府のいわゆる新長期経済計画に対しましても、実力のついた日本の経済を不当に押えていると見る人もあるわけであります。経済政策につきましては、結局これは、先ほど申し上げた通り、積極か消極かという違いだけが論争点でありまして、その見通しのズレは、担当者の評価になって、くるわけであります。この説に対して、後学のために、大蔵大臣の見解をお聞きしておきます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 池田君の説をたびたび引用されますが、一番都合のいいところだけを引用しておられるようであります。と申しますのは、別に政府は今の経済を不当に圧迫はいたしておりません。今日の設備の状況で、これをもっと増強度を高めることができますならば、新しい設備投資をしなくても、もっと経済は発展するのであります。ただいまのような抽象的な御議論は別といたしまして、池田君は何と言っておるか。三十四年度の予算、財政投融資計画は適当だということを言っておる。この二百が最も大事なポイントでございまして、先ほど来お話になりますことの抽象的な御議論でなしに、大事な、池田君の指摘しておるこの点を御議論になりますれば、ただいまおっしゃるように、非常に意見が違っておるというような質問は出てこないはずでございます。問題は、三十四年度の財政計画なり予算計画が三十四年度の経済にふさわしいものであり、これを完全に実行することによって、三十四年度の経済も成長が期待できる、これが今日の経済の実情からふさわしいものだという結論が出ておる。そのドクター池田としての診断はそこにあるのでありまして、どうか御了承いただきたい。
○平林剛君 先般、この予算委員会の参考人として木村禧八郎氏は、わが国の雇用問題の深刻化を指摘いたしまして、設備が余って、物が余って国民が不幸になっている、こんな矛盾した話はないと述べられたのであります。そうして一般会計、財政投融資を通じて、豊富の中の貧困を打開せよ、せめて七%ないし八%程度の財政経済政策をとることが必要だと、こう述べておるのであります。将来のために記憶をしておいていただきたい。しかるに、政府のガソリン税であるとか、電気料金など、いわゆる公共的物価をつり上げておることは、輸送費にはね返ったり、あるいは基本価格に互いに関連をして、今お話の経済成長率を阻害することにならないか、隘路にならないか。私はこれは政府の経済政策における一つの矛盾ではないか、こう考えるのですが、いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 別に私は矛、盾ではないように思いますが、ガソリン税がいろいろ議論の対象になっておるようでありますが、いわゆる大衆課税として庶民にはね返ってくるのじゃないか、こういうような御意見をしばしば聞くのであります。今日、道路整備の必要性というものは、これはいずれも指摘されるところでありまして、道路は直せ、ただその財源はガソリン税以外の方法はないのかということに実は尽きるように思うのであります。かように考えて参りますと、ガソリン税を増徴さすだけの負担力ありやいなやというところに落ちつくのであります。もちろん税金でございますから、税金を納めなくて済むような方法があれば、それに越したことはございません。しかしながら、国の仕事は税によってまかなっていくというのが本来の建前でありますし、ガソリン税は道路整備のための目的税というよりにもなっております。だから、どうしても道路を直すのだからといって、このガソリン税を増徴する、負担力のない場合でございましたら、これはもちろん避けなければなりません。幾ら道路が必要だと申しても、そこまで引き上げるべきではないと思います。私の見るところによりますれば、このガソリン税を引き上げましても、負担力ありという実は見通しでございます。そうして、なおこれを引き上げた場合に、直ちにこれが運賃にはね返って、大衆の負担になるかどうかという問題でございますが、ガソリンは、運賃を決定いたします場合の一つの条件であることはもちろんであります。しかしながら、他面において道路がよくなるとか、あるいはまた、オイルだとか、あるいはガソリンの消費量も変って参りましょうし、また、最近の自動車そのものの代価も安くなる、あるいは修理費があまりかさばらないようになるとか部品品が安くなるとか、いろいろ経常費の方の負担減の面もあるわけであります。そういうことを考えて参りますと、これが直ちに運賃に全部を転嫁しなければならない、こういうようなものだとは私は考えないのであります。もちろん運輸業者のうちにはいろいろの立場の者がございますから、よくガソリン税を引き上げた場合に、業界の非常な負担になるかどうか、十分検討いたさなければなりませんが、今日のこの程度のガソリン税の引き上げならば、私は運賃に占める場合でも二%ないし三%というきわめて低率のものでありますし、ただいま申すように、他に負担減のものもありますから、そういう意味で、これは適当な値上げだと確信いたしております。 そこで問題は、電気料金であるとかあるいはバス運賃が上ったとか、その他税を納めないいわゆる中小企業なり、あるいはボーダーライン以下の人たちが非常な負担を受けるのじゃないかというような御指摘もあるのであります。しかし、総体としての国民所得の伸びを計算し、同時に、今回の減税に当りましても、物品税や入場税等におきまして、いわゆる税を納める人も納めない人も同じように利益を受ける面もあるのでありまして、十分に総合品的な施策のもとにおきましては、いわゆる政策的な矛盾というものはなくて、私どもは雇用の面においても、また、生活向上の面においても十分考慮したただいまの税の問題を取り上げていく、かように思っていのるであります。なるほどガソリンだけなり、あるいは電気料金だけなりお考えになりますと、その面では現にふえたじゃないか、現実にふやしておいて一体何を言うのだというおしかりがあろうかと思いますが、政治でございますから、全体の総合的な観点からやはり批判を下していただきたいものだ、かように思います。
○平林剛君 来年のことをいうと鬼が笑うといいますけれども、ことしの予算を見ますと、経済の成長率、あるいはたな上げ資金の取りくずし、その他財源的に何か行き詰ったような感じを受けるのであります。政府の思惑通りに輸出も進展をせず、景気も本質的な回復がなかったとすれば、三十五年の予算は結局財源難に苦しむのではないか、こう見られるのであります。 そこで、結局政府としては、明年度の予算編成のことを考えると、公債政策とか蓄積の取りくずしとか、何かしなければならぬというふうに判断をせられるのでありますが、従来の政府の考え方を変えないかどうか、変えざるを得なくなるのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ことしの予算を作ります場合に、支出の面におきましても当然来年度、三十五年度の予算編成の際の負担になるような当然増もございます。また、御指摘になりましたように、過去の剰余金なりあるいはたな上げ資金を取りくずしたという意味で、財源もよほど変ってくる。こういうことで三十五年度の予算は一体どうなるか、もちろん一応想定をした上で三十四年度の予算を組んだ次第であります。一部におきまして、ただいま申し上げるような理由から、三十五年度は非常に困るだろう、公債政策か何か特別な政策に転換しなければやっていけぬのじゃないか、こういうような御指摘のようにうかがえますが、私もしろうと大蔵大臣とはいわれますけれども、三十四年度の予算を作ります際には、三十五年度の程度、それも五十年先だとかいうのは別でございますが、次年度ぐらいは一応見当つけて、三十四年度の予算を作っている次第でありまして、この点は自然増収もございますし、また、所定のように経済が成長して参りますならば、その点はもっと、専売益金にいたしましても相当増額が見込み得るというようにも考える次第でありまして、今日の段階で数字など申し上げる次第ではございませんけれども、ただいま申し上げましたように、当然増が、もう動かすことのできない当然支出が三十四年度予算において計上されておりますから、そういう面だとか、さらにたな上げ資金その他の取りくずし等をも勘案して、三十五年度の予算についての一応の考え方の上で、三十四年度予算を作った次第であります。
○平林剛君 きのうある人と話をしたのでありますが、最近の政府は、何か今後のことについて質問しても、ただ場当りの答弁をするだけで、積極的に自分の今後の政策を発表しない、これが官僚内閣の特質だということを話をしたのであります。来年度の予算編成のとき、あなたは何ですか、専売益金の増とかその他の増加程度でもってこれからの予想される支出増をまかなうことができると判断をされ、その程度のことをお考えになっているのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの段階ではその程度でございます。
○平林剛君 それで確信を持ってことしの予算を組んだなんというのは、どうも私どもあなたの腹の中はわからない、まことにあやふやな予算である。ことしの予算はそんなものだという認識を私は国民の代表として受けとらざるを得ない、まことに優等生の名を差し上げるわけにはいきません。私は、今後の経済の見通しを考えますと、明年度は歳出増加とにらみ合せて、その財源確保のために、先ほど指摘いたしました国有財産の処理を総合的に検討すること、租税特別措置法を再検討すること、第三としては、補助金について徹底的な合理化をはかること、第四は、防衛負担金の削減などが必要になってくるのではないか。特に補助金の政策につきましては、私は本来はこの委員会で真剣に議論すべき性質のものである。しかし、なかなかこういう地味な問題は押されてしまって、ゆっくり話しをする時間がございませんために、私ども、義務を忠実に果しておるとは考えられません。しかし、そうかといって、今日のように、大蔵省のお役人が政府部内で検討するというだけでは、現下の不合理を徹底的に是正することはできない。また、政治家にやってもらう特別の委員会を作っても、私はこれはいろいろな因果関係があって困難ではないか。そこで、来年度の予算編成の財源に関連をして、私は学識経験者その他国民の代表をもって構成する審議会を作ったらどか、こう思うのであります。具体的に提案をいたしたいと思うのでありますが、あなたのお考えはいかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま三十五年度予算――来年度困るであろうから、こういうところをやれといっていろいろ御指摘になりました。その中の一つに、防衛庁の費用を削減しろということがございましたが、これなどは別に可否の議論をするまでもなく、はっきりその立場の違うことでございますから、これはもう批評の外に出していただきます。その他の問題で補助金の整理であるとか、あるいは租税の特別措置の整理であるとかにつきましてはこれは特に財源捻出のためからそういう措置をとるということでなしに、もうこれは行政の基本的問題でございます。ことしにおきましても、補助金等の整理、あるいは行政費の節約等もいろいろ計画いたしまして、なかなか思うように参りませんが、しかし最近は、ただいま平林委員も御指摘になりますように、国会内部におきましても補助金等のあり方についていろいろ御批判をいただくなり、政府としてもその補助金の整理にはもっと力を入れ得るようになったかと思います。これはやはり、その補助金が乱造というか、乱用されるようなことがあっては相済まないのでありまして、そういう意味で尊い国費でありますから、十分その目的を検討したり、あるいはその補助のもうすでに目的を達したものであるとか、あるいはまた、少額の補助でありまして十分効果を上げないものだとか、いろいろ考えて参りますと、補助金整理の方向というものはまあことし一年で相当私も工夫したつもりであります。従いまして、今後は御指摘のように、一そうこういう点でも考えて参りたいと思います。あるいはまた、税の特別措置の問題、これはまあ今回も三つばかり取り上げまして、まあ平年度の計画からすれば百七十数億円でございますので、まだ大きいものだとは思いません。三十二年度に実施した租税特別措置の整理などは相当多額平年度三百億を上回るような税の特別措置を整理したようでございます。最近の動向等から見まして、これは一つ残された大きな問題だと思います。しかしながら、これなどはそれぞれの目的がありそれぞれの時期において必要上生まれておりますものでございますから、ただ単に、税の特別措置だから全部やめるとい今わけになかなか参りません。これはよく内容等を検討してその実情に合うように、これも補助金整理と同じように実は合せていきたい。これは平素の行政のあり方、完璧を期するという上におきまして当然なさねばならないことでございます。また、人件費等にいたしましても、これは過大な膨張などをなすべきものでなく、尊い国費を使うのでございますから、その点では真剣に取り組んで、いやしくも人員を膨張させるようなことなしに、十分行政能率を上げていくようにこの上とも考えて参るつもりでございます。
○平林剛君 次に私は、政府の資本蓄積の政策と国民所得の分配の関連についてお尋ねをいたします。若干めんどうになりますが、質疑を通じて、最近の所得格差、生活格差、貧富の差の拡大が見られる矛盾を明らかにして参りたいと思います。 政府は、経済基盤の強化、体質改善と称しまして、国家権力をあげて資本の充実、蓄積に力を入れておることは御承知の通りであります。これを確かめるために若干質疑をいたします。 戦後、財政投融資を通じて、いわゆる亀要産業に供給された融資総額は幾らになりますか。大蔵大臣がお答えになってくれればまことにりっぱな大臣であるし、事務当局の方からお答えになってもけっこうであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど特別措置の問題で申し上げましたのが、ちょっと数字が間違っておりますから訂正さしていただきます。三十四年度の特別措置の整理、平年度百三十二億ということでございます。訂正さしていただきます。 昭和二十六年に開銀を設立いたしましてから三十三年度までの同行の融資額累計並びに国から同行に対する投融資をいたしました額の累計を申し上げます。 融資額累計は四千四百七十七億、うち電発への出資五十億及び合成ゴムヘの出資十億円、計六十億円を含んでおります。そこで、この四千四百七十七億円は、電力関係が千九百四十億、それから海運関係が千百五十四億、石炭三百四十一億、鉄鋼百九十五億五千万、その他八百四十二億五千万円、かようになっております。 それから国からのこの同行に対する投融資の累計でございますが、政府の出資は三百十億、政府資金借り入れ二千二十二億、合計二千三百三十二億、こういうことになっております。
○平林剛君 最近の残高についても説明をして下さい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 最近の同行融資残高、三十四年二月末現在、復金、見返資金の承継貸付、MSA資金貸付を含めて次の通りであります。開発資金貸付三千三百六十五億、このうちMSA資金貸付二十六億円、見返資金の貸付承継は千九十七億、復金貸付承継百五十七億、計四千六百十九億ということでございます。
○平林剛君 資本蓄積政策に無視することのできない税制上の優遇措置は、昭和二十五年以降、総額は幾らになっておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは昭和二十五年から二十九年くらいまでは比較的少いのでございます。これは当時の情勢で御想像がつくことと思いますが、最近はいろいろ目的から金額がふえて参りまして、三十年くらいから申してみましょう。三十年が八百六十一億程度、それが少しはふえた年もございますが、最近におきましては大体一千億程度になっております。
○平林剛君 二十五年以降の累積総額は幾らですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 二十五年から総額は七千四十七億という金額になっております。ただ申し上げておきますが、少し古いところの数字はちょっと自信がございませんから、その点お断りいたしておきます。
○平林剛君 私の質問した数字につきましては、後ほど資料で御提出を願いたいと思います。 そこで、ただいまのように租税特別措置法による免税所得、準備金及び引当金、総計する約七千億円をちょっとこえる。また、財政投融資を通じていわゆる重要産業に供給された融資総額も四千五百億円に近い。こういう措置に合せて財政上における重点施策全般を通じて戦後日本の資本蓄積が世界の中でもぬきんでて高い、こう言われておるのであります。政府が経済の底は思ったより深い、こういうことを自慢をするゆえんはこういうところにあるのであります。私は一体この資本蓄積というものはどこまで続けるのかという疑問を最近感ずるのであります。世耕さん、並びに大蔵大臣、また通産大臣もお答えを願いたい。
○国務大臣(世耕弘一君) 資本蓄積の問題についてお答えせよとのお話でございますが、非常にむずかしい問題で、長く御説明を申し上げれば納得のゆく点が多かろうと思うのであります。そこで、ごく簡単な点から、いわゆる資本蓄積の有効限界ということについてお話し申し上げますなれば、いわゆる設備投資、在庫投資並びに個人消費に充てるもの、あるいは財政面に使われるもの、輸出面に活用されるもの、こういうことが一応骨子として現われてくると思うのであります。ただ問題は、先ほど来大蔵大臣が御説明あったと思いますが、経済は生きものであると同時に、日本の経済はある意味において体質改善を要するような弱体面が多い。そういう関係から、ある場合においては体質改善の一部分に多くの欠点を見出したならば、そこに重点を置いた施策を施さなくちゃならぬ。また一面において、労働問題のようなきわめて微妙な動きをする問題に対しては、賃金対策もおのずから講じなくちゃならぬ。で、企業と労働、これがまた経済成長の上に大きな役割を果す、かようにも考えられるのであります。そこをうまくあんばい、調節するところに企画庁の使命があり、経済対策の非常にむずかしいところではないか、かように思うのであります。一応この点だけを申し上げておきます。
○国務大臣(高碕達之助君) ただいま手元に数字は持っておりませんが、大体アメリカとかイギリスはすでに相当古い国でありますから、相当資本の蓄積ができておりますから、大体一五%程度だ、こう思いますが、日本とドイツ――ドイツは大体二四%、日本は二五、六%と私は考えておりますが、これは戦後ドイツにいたしましても、日本にいたしましても、戦争のために非常な大きな破壊を受けた。それからもう一つは、振興にだんだん進んでいかなければならぬ、こういうような関係で今のところ二五、六%でありますが、最終的に申しまして幾らがいいだろうということになれば、やはり英米のようなくらいに一五%程度に落ちつくというところに持ってゆくことは当然であろうかと存じております。
○平林剛君 私は資本の蓄積の限界というか、今日の政府の資本蓄積政策というものは限界に達しておる、こういう判断をいたしておるのであります。もちろん資本というものは、たくさん蓄積されればそれがいいにきまっているけれども、これには国民生活とやはり重大な関連を持ってもらわなければ困る。資本の蓄積が国民経済の安定成長をはかってその生活にはね返ってきている、こういうことであれば私らこんな議論しないんです。ところが、昭和二十五年における一人当りの国民所得は四万六百五十九円でありまして、昭和三十三年、今日は九万二千二百二十円、わずか二・三倍になったにすぎないのであります。これと比較をして蓄積力の評価としてあげられる幾つかのものを参考のためにお聞きしたいのであります。産業設備投資、これは昭和二十五年と比較して一体何倍になっておりますか。もう一つは、全国銀行の預金残高、これも蓄積力の評価として見られますが、同じ基準で二十五年と比較して何倍になっておりますか。もう一つは、株式の払込金、これも蓄積力の評価として比較をできると思いますが、これは昭和二十五年と比較をして一体どうなっておりますか、この三つの数字について御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御質問でございますが、ただいま二十五年に比較しての数字をあげるようにという御趣旨でございますが、ちょっと二十五年の数字がございませんが、まず、最後にお尋ねの資本の状況は私の方の関係でございますから、一応申し上げます。いわゆる主要企業につきまして、これは大体証券取引所に上場されておりますような会社についての調べでございますが、昭和三十年からの数字を申し上げます。昭和三十年におきましてのいわゆる自己資本、これはいわゆる株式資本でございますが、これは五百九十七社ございまして、その自己資本の総額は一兆八千六百一億円でございます。これが三十二年になりますと、会社の数は少し減っておりますが、五百七十九社につきまして二兆三千二百二十九億、こういうことになっております。
○政府委員(大堀弘君) 産業施設についての投資額の比較について申し上げます。民間の施設につきましては、二十五年度が三千八百九十九億円であります。三十二年度が一兆六千七百三十八億円。三十三年度見通しは経済計画に書いてございますが、約一兆四千億台と考えております。政府の固定施設につきましては、二十五年度が二千四百四十億円、三十二年度が八千三十六億円でございます。これにつきましては、もちろん相当物価が変っておりますから、そのまま生産能力の比較とすることについては疑問がございますが、金額で申しますとさようなことになります。
○政府委員(石田正君) 昭和二十五年末におきまするところの全国銀行預金の数字は一兆四百八十五億ばかりでございます。それに対しまして三十三年の十二月末の数字は六兆四千八百四十億と相なっておる次第でございます。
○平林剛君 先ほど私が指摘いたしましたように、昭和二十五年における一人当りの個人所得は、現在と比較をすると現在は二・三倍になっておる。ところが、資本蓄積の評価力、これは産業設備投資は約五倍以上になっておることが今の説明でおわかりだと思うのであります。全国銀行の預金残高もこれは六倍以上になっておる株式の払い込みは、これは政府と私の持っている資料と多少食い違いますが、これも五倍以上になっておる。すなわち、今日の日本経済は、国民生活水準の犠牲において行われた蓄積がちゃんと国民生活の水準にはね返っていないのです。国民生活の水準の犠牲において強化をされていることが、この数字をもって明らかになっておると私は思うのであります。従って、現在は有効需要を高めて生活水準を高めるべき時期ではないか、こういう結論に達して、これは政府にぜひ実行すべきだということを言いたいのであります。大蔵大臣、私の具体的な数字をあげて、現在まことに矛盾があるではないかということについて何とお考えになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今、政府委員から説明いたしましたように、同一物価でないというところにもいろいろ問題があると思います。しかしながら、非常にふえておることだけはこれはもう事実でございまして、そこで、この蓄積が一体どこまでやったら今度は消費の面に向ったらいいかというような点のお話でございますが、やはり総体といたしまして、経済そのものが堅実性を維持するという意味に立ってのいろいろな工夫をいたして参らなければならないものだと思います。ことに一国内の経済だけではなくて、やはり国際的な経済活動をいたしております関係を十分考慮に入れます際には、お互いに十分その蓄積にも努力し、しかも、国際経済競争にもひけをとらない強固なものにしていく必要はある、こういうふうに思うのであります。ただ金額が多いだけで、これでもう強固だと、もともとこの資本そのものは、使ってこそりっぱな資本として役立つのでございますから、これを眠らしておく筋のものでないことは私どもにもわかりますけれども、先ほど来言われますように、これだけ金が蓄積ができた、資本なり、あるいは設備なり貯蓄なり、そういうものが増強されたから今度はそれを国内消費、有効需要の方に向けるんだ、ただ単にそれだけの議論では私どもも首肯しかねる、かように思うのであります。先ほど来、資本蓄積の限度はどう考えるか、それでこれだけのものがちゃんと維持されれば十分じゃないかという御指摘のようでございます。しかしわが国の経済の過去の波動をごらんになると、一年において、国際収支の面だけで申しましても、五億ドルの赤字ができるかと思えば一年に、五億ドルの黒字になるという非常に変動性のある経済でございます。なるほど、根強いものがあるといっても、やはり十分私ども経済のあり方については考えて参らなければならぬものだと思います。また国内消費の面においては、昨年のような経済不況の際におきましても国民消費の面は着実に伸びているということ、そういう状況にあるこの事実も見のがせないのでございまして、ただいまおあげになりました数字だけから、直ちに国内需要を喚起しろという議論には、私は結論としてはそう簡単には賛成いたしかねております。
○平林剛君 大蔵大臣ともあろう方が数字と取り組んで具体的な経済政策の方向をきめないというばかなことはない。感じだとかなんとかいうことを言ってこれはごまかすことですよ、国民を。特に今、国民の消費についてあけられてそれはいいじゃないかと、こう言うけれども、これももっと具体的に内容に入らなければならぬはずです。この国民消費として現われている数字というものは、どういうものの全般的評価であるかという分析がなくてはならない。ところが、政府の経済白書によってわかりますように、最近数年の平均で、個人所得の増加は三二%、法人所得の増加率はこれも三倍に近い八九尾、個人よりも法人の方がいかに所得の増加率が高いか、また個人所得でも、財産を持っておる人の所得は賃貸料の所得は六六%も増加している。利子所得を持っている人は八三%もふえておるんですよ。ところが、勤労者はわずか一七%ふえておるだけ、農家は一五%しかふえていない、こういう所得の率の増加、こういうものの総体が今日の国民消費に現われておるわけです。これではっきりするように、いわゆるある程度豊かになったものがあるかもしれない。しかし、貧乏になっておる人もどんどんふえているということも言えるんですよ。私はこういうことをよく政府が検討して行き届いた整理を行なってもらわなければ国民はかわいそうだ、こう考えるのであります。そこで今日、日本の資本蓄積が相当程度積まれたことは、これは政府と民間資本家の結びつきが非常に強く、同時にまた、日本の資本家が非常に政府の資金をたよりにする、こういうところから今日のような状態になったと私は思うのであります。戦後資本の蓄積と経済復興が世界で目ざましいのは西ドイツと日本であります。これがよく比較されますけれども、同じ敗戦国でも、日本と西ドイツの蓄積の方法は著しく違っておるのです。日本はインフレ型で高い蓄積率を示し、西ドイツは非インフレでもって蓄積をしてきている。日本は借入金の依存で蓄積をし、西ドイツは自己蓄積型で育ってきている。日本は企業が国家資金に依存する割合が多いということと、大企業が配当をさいて利益の社内留保に努めることも消極的だ。こういう点もはなはだ違っておるのであります。特に、私、最近遺憾にたえませんのは、資本家の交際費の乱費が目に余ることであります。参考のために、交際費と配当金の比較を調べてみましたら、昭和三十年に配当金を九百二十九億円やっている、ところが、交際費の方は七百二十億円出しているのですよ。昭和三十一年度に配当金は千百八十九億円である、ところが、交際費として使った金は七百五十億円。昭和三十二年に至りますと、配当金は千九十四億円に対し、交際費が八百億円。これは日本の企業資本家というのは政府に頼ったり、政党に結びついて、何かすることばっかりはよく覚えているけれども、自分で資本の蓄積をはかり、自己資本を充実する能力というか、努力が欠けているところが戦後の企業資本家の最大の欠点だ。これは今日の交際費の実情にも現われている。私は民間における交際費の乱脈なことが今日料亭やキャバレーを繁昌させ、いわゆる社用族を増加し、官庁との結びつきで汚職の競争になっている。いわゆる低所得層に対しては、こういうことが一方にあるものだから、相対的に貧困を感じさせているのであります。こういうことを解決することがあなたの方の政策でなきゃならぬ。私は、交際費に対する現行課税をもっと徹底的にする必要がある。このために法律案の再検討が必要だ。こういうことを要求いたしますが、あなたのお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今、いろいろ示唆に富んだお話がございましたが、どうも見方が少し片寄っていやしないかと思いますので……。個人所得の伸びと法人所得の伸びとの相違など……なるほど事業家、法人と申しますと、直ちに大企業など考えられて、いかにも大企業中心の経済政策をやっているような印象を一部で受けるのでありますが、最近の個人経営の法人なんというのは非常に活発でございますが、従いまして、いわゆる個人所得として考うべきものが法人所得の方にかわっているのです。これが非常に多いのです。いわゆる法人というものの実体が非常に変っていること、これは少し御訂正を願いたいものだと思います。 同時にまた、ただいまのお話のうちに、わが国の産業が国家に依存している、これはもう確かに少し依存し過ぎていやしないかと思います。ドイツと比べられましてのお話、相当私どもも首肯できる御指摘であったように思います。しかしわが国とドイツが、いわゆる戦後の復興について非常なめざましい発達をしたというのは、政府の施策もさることですが、何といっても、民族的な勤労性とか、貯蓄性の高い点が今日のような復興を来たしたゆえんだと思います。この点で、同時にその国民の勤労性なりあるいは貯蓄性の商いものに政府がこたえていくということだけで、別に政府がそう自慢する何もない。それこそ国民の、日本民族の優秀性を世界に誇り得るのだと、私はかように確信をいたしております。 そこで、今度は交際費のお話が出ております。また、法人の問題について、ただいまその配当と交際費の関係でいろいろのお話が出ておりましたが、特に最近の問題として議論されておりますのは、法人に対する課税と申しますか、企業に対する課税のあり方、この税のあり方がいろいろ問題を引き起しておるように思うのであります。ただ、今、出てきております交際費を押えろとか、あるいはそれに対して税金をかけろというだけではこの問題は解決しないように思うのであります。最近政府におきましても、また逃けるとかごまかすのだと言われるかもわかりませんが、企業課税のあり方というものについて真剣に取り組んでみなきゃならないという状態に今置かれていると思うのであります。先ほどお尋ねの中にも、租税上の特別措置の問題が出ておりましたが、そればかりでなく、法人税やあるいは法人事業税のあり方も問題ですが、たとえば償却の問題にいたしましても、また社内の留保の問題にいたしましても、いわゆる経費と税金との算定等においてもいろいろ工夫していかなきゃならないものがあるように思います。あるいは配当課税の問題、これを一体どういう段階においてこれを扱うかとか、いわゆる企業課税全般についてのあり方、これが非常に会社経理の面にいろいろな影響を与えているということも見のがせないのであります。こういう点も根本の問題として私どもは取り組んで参りたいと、かように考えております。部分的の問題に対するお答えよりも、ただいま申し上げるような基本的なものの考え方を御披露することが、御指摘になりました御意見に答えるゆえんではないかと思う次第でありますので、一応考え方を申し上げます。
○平林剛君 ただいまの答弁は全くあべこべのことを言っておるのです。企業課税のあり方について検討するという政府の考え方は、資本の蓄積にあるのです。私が今、政府に対して求めている答弁というのはこれと全く別なことです。あなたは企業課税に巧妙にすりかえられておりますけれども、これは私は、また別の機会に大いに議論をしなきゃならぬ点だと考えます。 いずれにいたしましても貧富の差が大へん国民の間に増大しておる現状におきまして、私はその立場からも影響することしの外貨予算について、こういうことからも一つ考えていかなきゃならぬ要素があるのではないか。ことしは、近く外貨予算が組まれるようでありますが、どういう心がまえでこれを編成されようといたしておるか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) 最近の経済の動向から見ますというと、在庫調整等が予定のごとく進みまして、生産の状況はきわめて順調に進んでおるようでありますから、この状況で参りますというと、来年度は予定の六・一%の生産の増加ということは十分見込まれるという見込みがついておるわけなんでございますが、御承知の、昨年は相当大きな輸入外貨の予算を組んでおりました。ところが、これが予想よりもずっと減りまして、大体二十四億五千万ドルくらいで済むだろうと思っておりますわけでありますが、来年度は少くともこれを二十九億ドルの輸入にもっていこう、こういう考えで今進みつつあるわけなんでございます。従いまして、現在相当枯渇せんとしておる在庫の原料品の購入につきましては相当幅を大幅に広げていきたいと、こう存じておりますが、それにいたしましても、先ほど平林委員の御指摘のごとく、また大蔵大臣が御答弁いたしましたごとく、消費の方はこれは順調に進んでおりますが、その中にも、順調に進んでおると申しますけれども、やはりこの高給所得者と低給の所得者との間には相当な相違があるだろうと、こう存じまして、できるだけぜいたく品等の輸入はこれを押えていきたい、こういう考えでおりますが、過去の実績から見ますというと、総輸入に対しまして、大体一号くらいのぜいたく品が入っておるわけでありまして、それで多いときでは一%半、昨年は輸入が非常に減りましたから、輸入に比較いたしましては一・四%くらいにふえているようでございます。これを大体一%くらいにとどめていきたいという考え方でおるわけでございますが、それにいたしましても、ぜいたく品で、番多いものは何かというと、台湾のパイナップルのカン詰であるとか、イギリスの毛織物、自動車、こういうものでありますが、パイナップルのカン詰はやはり台湾と貿易いたします上にはどうしてもそれは買わなきゃならぬ、こういう状態でありますので、またイギリスの日勤市にいたしましても、毛織物にいたしましても、これはあちらに売ります関係上、貿易の協定上、ある程度のものをとらなければだめだと、こういうふうな点もありますものでありますから、これを全然切るというわけにはいきませんが、大体におきましては、このぜいたく品というものは逐次押えていきたいと、こういう方針で進みたいと思っております。
○平林剛君 現在、日本国民の大多数は、私と同様に、政府の資本蓄積の政策と合理的配分に対して大きな矛盾を感じておるのであります。これを知っているか知らないかは別でありますが、数字をもって示すことができるかできないかは別であります。感じとして、今日の岸内閣に対してそういう強い感じを持っておることを十分知ってもらいたい。また、設備が余り、物が余っておるのに、現在の日本の産業資本におきましては、操短をしたり、ただ日本経済の基盤強化という名のもとに、不当に一般国民の生活水準を押えて、おるということも事実であり、これに対してもたくさんの埋もれた声があるのであります。私は、今日の段階は、先ほど大蔵大臣がくしくも言ったけれども、まさしく国民のこの苦悩と、それから生活水準の低下にかかわらず輸出増強一点やり、それが経済の復興をもたらすものだということでおやりになっている政策は、ある意味ではハンガー輸出を実施しているものだ、こう見ております。同時に、国民に対しては、いろいろな名目をつけて耐乏生活をしておると、こういうことも大多数の国民の側からは言えるのであります。私は、もしなお政府が、今日の政策が日本経済や国民生活全般の利益だと、こういうことであるならば、政府みずからもその範をたれて、ただいま指摘いたしましたような点につきましては、これを率直に改めて、そして政治に現わすような態度をとるべきことが必要である、そう考えるのであります。そして同時に、一体どれだけわれわれが忍耐をしたら今後国民生活はどうなるのかという点を一つわかりやすく、国民に希望を持たせるような政治をとるべきであるということを考えるのであります。その確信がなくてまたその見通しがないならば、それができないでいるのが資本家中心の経済政策だ、岸内閣の経済政策はやはり資本家中心だと批判されても、これは一言の、言葉を返すこともできないのじゃないか、こう考えるのであります。私の持ち時間は終りまして、なお防衛施設の問題その他について質問したいことがあったのでありますが、最後にこの点を聞いて私の質問を終りたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘のように、また私どもがしばしば申し上げますように、政治の目標は、もうどこまでも国民生活を向上さし、もっと住みいいというか、もっと豊かな生活のできるような社会にすることが私どもの政治の目標である、これはもう申し上げるまでもないところであります。ただ、社会党の諸君も同じようなねらいをもって政治を遂行なさるであろうと思いますが、不幸にいたしまして、私どもと日本社会党の諸君とはその歩み方が違う。しかしながら、目標とするところのものは同じだと思います。そこで、私ども考えておりますのは、どこまでもその長期経済計画の線はこれを守っていきたいという考え方でございますが、経済を成長さすこと自身がこれは全体の利益になるんだと、これは必ず全体に返っていくものだと、そうすることが真の国民生活の向上に役立つんだと、まあ実はこの強い信念で政治を遂行いたしておるのであります。今日の状況におきまして、私など別に飢餓輸出と、国民に耐乏をしいて、そうしてその国際収支の面だけを黒字にするというようなばかなことは考えているものではございません。ございませんが、今日の経済自身は一国経済ではないんだとこれはやはり国際経済の一員として、その国際経済競争にひけをとらないように、十分りっぱな、強い経済にこれを育成していくんだ、そうしてこれが国内の消費の面におきましても、国内で働く全般の大衆にいたしましても生活を向上さすことができるんだと思うのであります。期限こそここにお約束いたしませんが、今日の給与を二倍にし、三倍にする、それだけの生産性を持つ経済、そういうものを作る、それが私どもの希望でもり、政治の目標である、この一事を御披露いたしましてお答えといたします。
○平林剛君 これで終ります。
○委員長(木暮武太夫君) 平林委員の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) 次に、田村文吉君。
○田村文吉君 質疑を始めます前に、要求大臣の中に大蔵大臣が落ちておりますので、大蔵大臣、もし御都合がおつきになりましたら、しばらくお残りいただきたいと思うのであります。(矢嶋三義君「ちゃんと入ってますよ」と述ぶ) それから、内閣官房長官、お見えになりますでしょうか、内閣の力、どなたか代表なさって御答弁願えるでしょうか……。 それでは、すでにお聞き及びにもなっていると存ずるのでございまするが、新潟地方の信濃川をはさんで左岸、西新潟、すなわち旧新潟市内でありまするが、及び右岸の東新潟、すなわち工場地帯でありまするが、その両面が、海面にわたりまして、約十六キロ四方にわたり、実に驚くべき地盤の沈下が起っておるのでございまして、いわゆる国土保全の上から申しまして、また地方住民の安定のためにも、非常に大きな問題になっております。これは非常に各省に関係がございますので、大へん夕刻、時間のおそいときにお残りいただいて恐縮でございまするが、お聞き取りいただいて、それぞれの御答弁をいただきたいと思うのであります。 どんなふうに地盤が沈下しているかということを簡単に申し上げますと、すなわち西新潟の旧市街でございまするが、 〔委員長退席、理事小柳牧衞君着席〕 昭和二十八年の一月には、平地で海面上二メートル五十あったのでございまするが、三十三年度末になりますると、一メーター二十に減っているのでありまして、大よそ一メーター三十センチ下っておるのでございます。東新潟の新市街では、同じときに二メーターありましたものが、七十センチないし一メートルということになっておりまして、大よそ一メーターないし一メーター三十低下しております。すなわち一年間に平均いたしますると、約二十センチの地盤が低下しているということになっているのであります。これだけでも実に戦慄すべきことでありまするが、さらに驚くべきことは、当初の二十九年は、わずかに五センチ程度の低下であったのでありまするが、年々加速度的に増加、激増いたしまして、三十三年には四十センチないし五十センチも低下したということになっているのであります。現在平均の標高がわずか一メートルないし一メートル三十センチしかありません。新潟市はこのままでほうらておきまするならば、二年間のうちには人家の大部分も、工場も海水に浸るというような二とに相なるのでございまして、住居もできなくなり、作業もできなくなる。こういうまことに悲惨な状態で、戦慄すべき状態であると思うのであります。もしこれが火災でありまするならば、そのあとの再建等につきまして、打つ手はあるのでございます。また、じき復活することも考えられます。また、水害でありましても、その一年こっきりで、その翌年にはこれを復旧するということも割合に簡単にできるのでありまして、大震災のごときものでありましても、これは復興するということは、二、三年たちましたらばそれができるのであります。ところが、今のような地盤沈下の場合になりますというと、永遠に復活の方途がないのであります。地盤をもとのように上げ直すという手はないのであります。やがて新潟市は、このままでおきますれば、二、三年、あるいは、十年までの間には、新潟及び付近のすべてが水底に沈没することさえ考えられるのであります。そこで、この原因の探求につきまして、一昨年来、運輸省第一港湾建設局で調査に乗り出してこられて、ついで建設省でも、通産省でも非常に問題を重視されまして、それぞれの機関を通じて調査を始められました。衆議院の科学技術振興対策特別委員会、また本日も商工委員会において参考人をお呼びになって御調査をなさっているのでありますが、大体この原因でありまするが、その原因は今月の上旬までには何とか大体の見当がつくというふうに、在米報告されてきておったのでありまするが、これにつきまして、通産大臣並びに建設大臣はどういうふうの解明が出てきておりましょうか、これをまずお伺いいたしたい。
○国務大臣(高碕達之助君) 新潟の地盤沈下はまことに重大な問題でございまして、これは主として科学技術庁が中心になりまして新潟地盤沈下特別委員会というものを作りまして、この原因の究明に、科学的の究明について今努力しておるわけでございますが、何しろ地下六百メートルという深い所に起る現象でありますものでありますから、今六百メートルないし千二百メートルの調査井戸を作りまして、地盤沈下の状態を調べておるわけでありますが、科学的に申しまして、まだ――やはりこれは、あの近ごろ発達いたしましたガス工業――地下ガスを取ると一緒に水を揚げる結果であるとかということには常識的にはだいぶその議論に傾いておりますけれども、科学的に、それでははっきりそうであるかということはいまだにまだ判明していない状態でありまして、大体井戸が、最後の井戸ができ上りましたのは二月の末でございますので、まあ二カ月くらいたてば、大体の見当はつくだろう、こういうことになっておるのでありますが、ただいまのところ、常識的にはどうしても近来発達したあのガス工業ができてから、御承知のごとく五十センチという一年間に大きな沈下を来たしておるのでありますから、そういう意味におきまして新潟市内におきましても、四十ばかりの井戸が今日自発的に一応とめて、そうして地盤の沈下がどうなるだろうというふうなことを今実際見ておるわけでありますが、そういうふうな点につきまして、おそらくは今月あるいは来月くらいまでの間には確実なる原因を把握したい、こういう所存で進めておるような状態であります。
○国務大臣(遠藤三郎君) 新潟の地盤沈下の問題につきましては、私どもも非常にこれを直視しております。しかし、何にいたしましても、原因を探求することが第一でありまして。今、通産大臣からお答えがありましたように、政府部内各省協力をしまして、科学技術庁を中心に一日もすみやかに原因が明らかになるようにしたい、その原因が明らかになったところで恒久的な、将来心配のないような対策を講じたい、こういうことで今進めておる次第でございます。
○田村文吉君 官房長官お見えになりましたそうでありますから、特に私は官房長官にこの問題について意にとめていただいて今後の対策を御検討願いたいと考えております。私の承わるところによりますというと、先月、科学技術振興対策特別委員会で報告されたところによりますというと、大よそ三月の上旬には大体の結果がわかる、こういうふうに聞いておったのでありますが、その問題はいまだにわかりませんですか。
○政府委員(赤城宗徳君) 新潟の地盤沈下の問題は、ただいまお話しの通りであります。それにつきましては、先ほど通産大臣、建設大原から申し上げましたように、また田村委員の御承知の通り、昨年緊急的に運輸大臣が現地調査しまして、予備費から金を支出して応急対策したのであります。恒久対策につきましては、通産大臣が、科学技術庁の長官が今答弁されましたように、科学技術庁に新潟地盤沈下特別委員会を設けておりまして、御承知の通り鋭意検討を続けて結論を出したいと思っております。三月ごろまでというめどは、今ついておりませんけれども、なるべく早い機会に結論を出すべく検討しております。
○田村文吉君 ただいま通産大臣から――天然ガス、今のメタンガスの採取ということによりまして非常に産業が振興しておりますので、私どもその産業を何とかしていためないでいくことについては非常に同情的な考えをもってものは考察して参りたいと考えるのでありますけれども、いかんせんもう一両年のうちに新潟の市全体が海の水につかる、こういうようなおそれがあると思うので、これは河とかして応急に対策をなさなければならない。ことに私も産業人でありまする限りにおいて非常にそういう点については理解を持っておりますけれども、しかし、これだからといって他のあらゆる産業も仕事をやめなければならず、市民も安住の地を失うというようなことにしておくわけにはいかないと思います。そこで、今原因を御探求になっておるようでありますが、毎日天然ガスのためにくみ揚げておる水の量は六十万立方メートルといわれておるのでありますが、この数字は大体通産大臣はお認めになっておりましょうか。
○国務大臣(高碕達之助君) 大体ただいまの六十万立方メートルということは認めております。
○田村文吉君 そこで、六十万立方メートルというと、丸ビルの容積はどのくらいあるか知りませんが、おそらくはそれの二倍か三倍の容積の水が毎日地下からくみ揚げられておる、こういうことなんです。それで、いろいろ科学者の方々が御研究になりまして、原因を御検査なすったのでありますが、原因は天然の地殻の変動であるというようなことは、いろいろ検討したけれども、それは考えられない、やはり人工的に起るものであろう。たとえば港湾の浚渫が近年はなはだしくなったから、それも原因の一つではないか、あるいはまたあの辺がみな湛水池がよく排水されますために乾田地になった。そういうことのために地盤が締まったのではないかというような意見も聞かぬではありません――聞かぬではありませんが、今御確認になりましたように、一日六十万立方メートルもの水が毎日々々休むことなく上げられているとすると、どうも大体の原因はそこに持っていくというのが常識論なんです。でこの問題が一年、二年、三年たってもよいという問題であれば、私はそれも技術者を尊重してその御意見に従わなければならぬと思うのでありまするが、今日のように、せっば詰まって参りますると、そういうゆうちょうなことは言っておられない状態であろうと思うのであります。でございまするから、まず一番怪しいと思う天然ガスの――いわゆるメタンガスの採取をまず禁止する。また、港湾の浚渫が疑わしいというなら港湾の浚渫もやめてみる。こういうようなことは応急に手をお打ちになるべきではないだろうか、こう考えるのであります。そう相なりますると、今までそれをもって企業として事業をお営みになっておりました天然ガス採取関係の方々には、非常な損害を与えられることになるのでありますので、私は通産大臣にまず伺いたいのですが、何とかしてとめるものはとめる。従って、その損害に対しては、万一他日そうでないということになれば別でありますけれども、大体そういうことで近く一カ月かそこらで結論がつけられると思うのでありますが、その場合には、企業者に対して損害を補償してやるというようなことが、いわゆる工業権を尊重する意味において必要になってくるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるのでございまするが、通産大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(高碕達之助君) 原因がはっきりわかりますまでは、まだはっきりしたことは申しかねますが、大体お説のごとく、常識的に考えて、あの多量の水をくみ上げることが地盤沈下の原因だろうということは常識的に考えられるわけでありますから、さしあたりの問題といたしましては、現在多数の天然ガス利用の工業が新潟方面に向って発展したい、こういう希望がありますけれども、これは一応差しとめて、ほかの付近に行け、こういう指導方針をとっております。同時に新潟市内の問題といたしましては、非常に重大な問題でありますが先ほど申しましたごとく、中止した井戸数は六十本でございますが、これを全部とめてしまうということになれば、新潮市の方々がガスなりそのほかの仕事に、市民に迷惑を及ぼしますから、その場合には一応とめて、遠方からでもそのガスを持ってくるというふうな方法を講じていきたい。それも御承知のごとく、多少地盤が沈下しても差しつかえない場所もあるわけでもありますし、また、ガスをとることによって地盤が沈下しない、つまりメタンガスでないガスもあるわけでございますから、そういう付近から多少費用がかかりましても相当なハイプを引いてもらって、これを今の工場を動かすというような方法を講じていきたいと、こう存じておるわけでございまして、今さしあたって、現在のガス工業者を政府の費用をもって補償するとかということまではまだ考えておりませんのですが、その点につきましては、十分検討を加えていきたいと思っております。
○田村文吉君 ガス工業権者並びにガスを使っている人及び市民の人たちがよく協調をして、部分的にもとめるものはとめて原因の探求をやる、こういうようなことは、大へん私は美しいことではあると思うのであります。しかし、その結果がどうしてもガスのために起ったものであるという、そういうような場合に、工業権を持っている人に対しては、これは政府が補償するとか何かしてやらなければならぬと思うのでありますが、それは確定した――やがて一カ月か二カ月のうちにはわかると思う、その場合における通産大臣のお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(高碕達之助君) ただいままだその結論がわかっておりませんですが、私はやはり政府として考える問題は、これはまだはっきりわかりませんが、税にアメリカにおいてはああいった場合に、排出した水と同じ量の水をもう二度地盤地内に注ぎ込むという方法で防止していることもありまし一このことは、もうすでに日本国内におきましては、尼崎において実験をしたわけでございますが、尼崎の実験はまだ完全に成功いたしておりませんですけれども、そういったような根本問題をやはり科学的に、技術的に検討を加えたい、こういうふうなことは今考えておりますがこれは一、二カ月先にこの結論がきまってからというときになってどうするかという問題は、十分検討を加えて考慮いたしたいと思っております。
○田村文吉君 原因の探求並びに当面の措置についての通産大臣のお話は了解いたしましたが、とにかく上ってしまった地盤は永遠にこれは上けるという手はおそらくはできないのではないか。今尼崎の例をお話しになりましたが、なかなか六百メートルの上へ水を注入して地盤をもろに上げていくということはなかなか私はできないのではないかと思います。そうすると、結局オランダのように、日本のある地方は海よりも低いところで営みをやっていかなければならない。そういうことが絶対に必要になってくる。そういう場合には、当然まず海岸のかさ上の、あるいはまた、信濃川の両岸のかさ上げをする。また、それに入っております栗の木川、新栗の木川の二本の川が東新潟にございますし。また、西新潟にはそれぞれの堀がございますが、それで、そういうようなところで船の交通はとめるわけに参りませんから、閘門を作りまして、そうして排水をやる。そうしてまあ海よりは低いけれども、水によって悩まされることはなしに済ませるようなことを考えなければならぬ、こういうふうに私は考え乙のでございます。そこで、ゆうちょうに五年、十年と待てるものならばよろしいのでありますが、また一年か二年のうちに五十センチずつ下っていく。もっとスピードが早くなるかもしれない。かりにガスが原因であって、ガスをとめられたとしても、しばらくの間、一、二年の間はやはり下るであろう。そういうような緊急差し迫った場合でございますと、一日も早くこれがかさ上げであるとか、閘門であるとかいうようなものをやらなければならぬ。もしそれが半年おくれますと、おそらくは五十億ぐらいの金はすぐよけいかかる。一年おくれれば百億の金がよけい要る。こういうようなことが当然に考えられる現在の状況にあるのであります。そこで私は建設大臣に、また、港の問題として運輸大臣にそれぞれ――この問題はひとり新潟市だけの問題でなくて、あの付近の田畑すべてがやはり影響を受けておるのでありますから、こういう問題に対してはどう処置をするか、これは私は、どうしても総理大臣にかわる官房長官から総合的にこういう問題についての御決意を承わりたいのであります。各大臣から処置がございますならば、その処置を伺いたいし、総括的にはどうしてもやらなければならないという現状にあることを御認識をいただきたいと思うのでありますが、官房長官はどうお考えになりますか。
○政府委員(赤城宗徳君) 全くお話の通りで、これは各省にまたがっている問題でありますが、これを統括した総合的な方法において万全の措置をとりたい、また、どうして、もとらなくちゃならぬ、こう考えております。
○国務大臣(遠藤三郎君) 御承知のように、あの地盤沈下の問題は、その対策といたしまして、港湾の部分は運輸大臣が所管いたしております。私の方では主として川の方の堤防の問題をやっておるのでありますが、三十三年度におきましても約八千五百万円程度の工事をやりました。三十四年度の予算におきましても、約四千五百万円程度の工事をやる予定になっております。しかし、これは将来永久にわたっての根本的な施設と申し上げることはできないのであります。とりあえず、大きな浸水がないように、その安全をはかる程度の施設でございます。先ほども申し上げましたように、その原因がはっきりいたしましたならば、それに応ずるところの、将来永久に安心のつくような工事をやる必要があると思うのでありますけれども、さしあたり、当面の問題として心配がない程度の工事を進めておる、こういうことでございます。なお、今お尋ねの間門の問題等についても、これは十分考えてみたいと思います。閘門の問題もあわせて、今あそこでやっております河川の方は、栗の木川、新薬の木川、通船川、あの三つの河川の堤防のかさ上げをやっております。それをできるだけ早く一つやって参りまして、そして皆さんの不安を除くようにしたい、こういう考えでございます。
○国務大臣(永野護君) 新潟の地盤沈下の問題は、私、昨年の秋現地を見まして、聞きしにまさる緊迫した問題だというふうに痛感いたしました。帰りまして、すぐ大蔵大臣にお願いしまして、六億八千万円のとりあえずの予備費を出してもらいまして、昨年の冬までに応急手当をやったわけでありますが、さらに、三十三年から三十五年までの三カ年間に、先ほど田村委員が御指摘になりましたように、年五十センチの地盤沈下があるものと想定いたしまして、二十三億円の総合計画を立てまして、昭和三十三年度から実施したわけであります。その事業費は、昭和三十三年度は三億七千万円、三十四年度は六億一千万円で、私どもの所管となっておりまする港湾関係だけは、年五十センチ沈みましても、とにかく波が打ち込んでくるのを防ぐだけの設備はする計画を、今実行に移しております。 少し数字がくだくだしいのでございますが、防波堤は、全長三千八百十九メートルのうち、三十三年度分で五百八十一メートルだけ、これは一メートル半だけかさ上げいたしました。それから三十四年度においては、引き続き八百七十一メーターを、同じく一メーター半のかさ上げをいたします。それから県営埠頭と臨港埠頭の岩壁につきましては、全長が四千五百十五メートルあるのでありますが、このうち、三十三年度に千七百八十メーター、これは一メーター半かさ上げを行います。三十四年度には、三十三年度においてかさ上げしました部分をさらにもう〇・五メーターだけ継ぎ足しを行いますとともに、別に約二千メーターに対しては一メーター半のかさ上げを行う予定にいたしております。信濃川の河口の護岸につきましては、全長五千六百二十三メートルに対して、三十三年度は二千四百メーターを一メータ半かさ上げをいたします。三十四年度には、三十三年度で一メーター半上げました上に、さらに〇・五メーターの継ぎ足しをいたしますとともに、新たに約二千メーターに対して一メーター半のかさ上げを行うことにいたしております。なお、海岸につきましては、全長四千五十一メーターのうち、三十三年度に千九百四十五メーターに対して防潮堤の新設あるいは補強を行いまして、三十四年度に三十三年度に施工しました部分に〇・五メーターのさらに継ぎ足しを行うとともに、別に千メーターの防潮堤の新設または補強を行う予定にいたしております。これは、現にとりあえずの応急施設といたしまして実行しております工事の大要でございます。
○国務大臣(三浦一雄君) 新潟周辺の農地は低湿でございますけれども、地盤沈下に伴いまして、その影響はだんだん出て参ってきたのでございます。そこで、当省といたしましては、三十三年度にとりあえず亀田郷を中心といたしまして調査を開始いたしまして、すなわち、排水路の測量、あるいはこれはもう排水設備をしなきゃなりませんので、それらの実施調査をいたしておるのでございまして、これによりまして、農業施設に対する影響の実態を調査続行中でございます。なお、この経費は、三十三年度におきまして予備費が三百万円を費したのでございます。来年度におきましても、さらに八百万円の予算を計上いたしておりまして、引き続き亀山郷の調査を進めるのほかに、新たに新井郷川沿岸方面につきましても、この地区を実態調査を拡大することにいたしております。この調査によりまして、排水口を作るとか、あるいは排水施設を完備して、これに対応する策を講じなければならぬと考えておりますが、実態調査の成果を待ちまして基本的な対策を立てたいと、こう考えております。
○田村文吉君 建設大臣の御答弁の中に、原因がはっきりした上でというようなお言葉があったのでございますけれども、実はその地元の状況は、そういうゆうちょうなことは言っていられない状況に差し迫ってきている。今たまたま冬の渇水期でございますので、やや水は引いておりますから、よろしいのであります。いよいよ融雪期になりまして水が出て参りますると、大部分の民家の床下へ入るということは間違いないのであります。そういような状況になっておりますので、先刻もお話の中に、予備金を支出してそうして応急の手当をやったと、こういうお言葉であったのでありますが、私は、川の支流の上流に一個々かさ上げをするということは不可能だろう、どうしても新興の木川、栗の木川、ゴサイ堀とかいう所に閘門を作って水をかき上げるという以外には方法はないと思っている。また、海岸地帯は海岸地帯として、運輸大臣が――仏、海岸決壊の問題がやはりこの問題から大いに基因しているのじゃないかと考えておったのでありまするが、十分お考えになっていらっしゃるようでありまするから、その点は安心したのでありまするが、海岸及び信濃川の河口ですね、これに対しても応急のやはり策を施していただきたい。 担当に金が要るのであります。先立つものは金でございますから、大蔵大臣に、これは必ずやるということについてどんな補正予算を出してでもやらなければならぬうという考えで、一つ総理大臣とともに心々、合わせてやっていただきませんことには、三十万の住民と十六キロ平方の国土というものが失わに努力をいたしておるにもかかわられるということをお考えいただいて、特に一つお願いしたいのでありまするので、大蔵大臣の御所見と、それから私は、建設大臣に、重ねてもう少し恒久対策を一日も早くおやりになるべきじゃないかということを、御所信をはっきり伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 新潟の地盤沈下につきましては、昨年予備費から四億二千万円出しまして応急の措置をとりましたが、三十四年度におきましては、その残工事と申しますか、一応の形が整うように五億六千万円の予算をつけたのでございます。私ども、この予算でまあ足りるか足らないか、今後の問題と思いますが、今当面しております防波堤その他かさ上げの費用には、一応これで関係各省のものがまかなえるという実は見当をつけておるのであります。 地盤沈下に非常に深憂というか、憂えている、また心配しておられる住民のことを考えますと、これはほうっておくわけには参りません。私は、昨年、三十三年に予備費で四億二千万円出しました際も、ちょうど冬の時期にこれが差し迫っておりますので、どうかその冬期前に一応の工事が完成できないかといって、特に工事を督励しておったのであります。今回の三十四年度の予算の消化につきましても、各省を督励して参るつもりでございます。また、幸いにして、四月初めになりますと、私も現地に出かける機会があるように考えておりますので、そういう際にはとくと実情も視察して参るつもりでおります。 〔理事小柳牧衞君退席、委員長着席〕
○国務大臣(遠藤三郎君) 三十四年度の予算にも、事業分量として四千五百万円程度の予算をつけてございます。これで大体応急の工事としてはまあ心配がないような施設ができ上ると、こう思っております。ただ、将来四十センチずつも毎年沈下していくようなことになりますと、数年の後にはまた対策を講じなければならぬようなことになるかもしれません。従って至急に原因を探求して、その地盤沈下の問題を根本的に考えていかなければならぬじゃないかと、こう思っております。しかし、当面の応急施設としては今考えております三十四年度に編成いたしましたその予算で十分やれる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田村文吉君 各大臣、特に総理大臣の御善処を要望いたしまして、この問題に対する質疑は終ります。 次に、私はお尋ねいたしたいのでございまするが、これは事あらためて申すまでもないことでございまするけれども、人口が中央にだんだん集中して参りまして、東京の人口はやがて一千万にも達しようというような状況に相なっております。こういうようなことは、実は国土を保全する上からいって、非常に心配すべきことであると私どもは憂えております。ことに道徳的の方面から申しましても、いわゆる社会悪がどんどんと都会地において進んでいくと、こういうことを心配しているのでございまするが、これはむろんお認めになっておると思いまするが、何かこれに対して官房長官は、こういうことをやる、こういうことによってこれを防ごうというようなことをお考えになっておりまするか、お伺いいたしたい。
○政府委員(赤城宗徳君) 自由主義経済政策をとっていますので、必然的に人口の都市集中ということは免れないと、こう思っています。しかし、今お話しのように、都市集中あるいは中央集権的な形になることは、経済的に見ましても、あるいはまた文化的、あるいは今お話しの道徳的に見ましても、これは好ましいことじゃないと私どもも考えております。 そこで、すべての問題が人口問題に帰一しておるでありますが、やはり人口の分散ということが考えられなくちゃなりませんが、それにはやはり地方において人口を収容する力を持たせなくちゃならぬ。人口の収容力を与えなくちゃならぬ。そういうことから考えまするならば、やはり地方の開発といいますか、今やっておりますこともその一つでありますが、経済企画庁で全国の経済開発計画を立てております。あるいはまた、法律で通っておりまする北海道開発計画とか、東北開発計画とか、あるいはまた、今度法律に出ておりまする九州開発計画とか、こういうことで地方の開発をはかり、また工場等も適地に分散するということによって、工場誘致というようなこと等によりまして、都会への人口集中を少くしていくと、こういうことが今とっておる政策でございます。 結論的に申し上げますならば、地方においてそれぞれの人口を収容できるような開発計画あるいは経済生活の向上と、こういうことを総合的に考えて都市集中を防ぎたいと、こういう方針を進めておる次第でございます。
○田村文吉君 ただいま官房長官のお話で、なるべく地方の産業を興し、地方を住みよい所にして、そうして人口を分散させるという抽象的なお考えはわかるのであります。ところが、それに対する政府の施策というものが一体どういうふうに現われておるか。反対に申し上げるというと、マイナスの方策さえ行われているじゃないか、こういうことを考えるのであります。 第一は、私は文部大臣に伺いたいんでありまするが、地方にたくさんの大学ができたのでありまするが、どういうものか、地方の学生生徒はみんな地方の大学をきらって、東京の私立大学でもいいから、都会、東京へ出たい、こういうようなことになる傾向はひどいのであります。そこで、なるべく地方で人口を吸収する意味からいっても、学生生徒を地方にとどまらした方がいいじゃないか、こういうふうに考えるのでありまするが残念ながらいい先生がおそろいになれぬので、東京でありまするというと、私立大学にいたしましても、みんなそれぞれ官立大学のいい先生方をアルバイトに来ていただいたり、何か方法があるのでございますけれども、それがいなかじゃできない。でありまするから、なかなかりっぱな先生を得ることは困難だ。いわんや生活、民度が低い地方に先生はお行きになることはお好みにならぬ。こういうふうにして、とうとうとして学生生徒はいなかから都会に集まってくる。こういうようなことになっておるのでありまするので、私は、ただむやみに地方に大学が数あればいいという今までのやってきたことは間違いなんだ。むしろ地方の発展させようという所に文化センターのようなものを作りまして、そこには学者も住みよく、暮しよくできるようなりっぱな大学を作ってやるということが、ヨーロッパあたりでもたくさんその例を見るのでございまするが、そういうような考え方に立って、もっと学生生徒というものを地方の文化センターに集めると、こういうようなことをお考えになれないものか、こういうことをお伺いしたい。
○国務大臣(橋本龍伍君) ただいま田村委員のお話のございました点はまことにごもっともでありまして、平素できるだけ留意をいたしたいと考えておるところでございます。現在、御承知のように大学が総数、全国で五百三ございまして、学生の定員が約六十五万でありますが、その中で二百二十六が東京、京都、大阪にありまして、約四十一万ぐらいの学生であります。こういったようなふうの形を、なるべくならば地方にも分散をさせたい。これは別に、いわゆる試験地獄解消という面からいっても、まあいろんな意味があるわけであります。ただ、この国立大学につきましては、地方に相当重点を入れまして、七十二の国立大学のうち、東京にありますのが十三校でございます。ただ、私立大学は、種々の事情から大都市に偏在しておるのが、ただいまお話しになりましたようなところでございます。 ただ、都市集中を避けるようにいろんな方面で留意をいたしておりまするが、大学はそれぞれの歴史と伝統の上に発展をいたして参っておりまするので、現在のところ、私立大学等を考えますると、やはり地方分散というようなことがなかなかむずかしい。そこで、今日文部省といたしましては、ただいまお話のような点を留意しつつ、地方におきます新制大学がそれぞれ地方の文化産業等の特色を生かしながら発展をして参りますように、その整備充実に心がけておるような次第でございます。なかなか、一朝一夕には参らぬと思います。ことに、ただいま御指摘のございましたように、東京、大阪のような所でありますと、講師を得るのは容易でありまするけれども、地方では非常に苦心をして一人々々の方をおいでを願わなくちゃならぬというような点が、地方の大学の充実にも非常な困難を来たすのでございます。文部省といたしましては、地方大学の充実に骨を折って参りまするが、基本的にはやはり産業の育成と相待ちまして、地方でやはり相当高い文化生活を享受することができ、それからやはり学生たちが卒業をしてその場で相当就職もできるといったような、産業のセンターと文化のセンターとが一緒になったような地方都市の発展というものを総合的に心がけて参りませんと、なかなか文部省関係の施設の充実だけでは十分ならぬと思っておりますが、文部省といたしましては、当面、地方大学の充実にはできるだけの骨を折って参りたいと思っております。
○田村文吉君 ただいま文部大臣から御答弁がございましたが、重ねて御答弁をお願いしないでもよろしゅうございますがですね、何とかして地方に大学教授が楽に住まわれて、地方ならば安楽に行けるのだというようなことを考えて予算をお組みになって、しかも、地方は各県にほとんど大学がございますが、必ずしも各県の大学を大きな大学にみなする必要はない。ある地ある地に文化センターをお作りになりまして、そしてそういうところの大学教授というものを優待する方法を考える、こういうことはおできになるのではないか。これはまあ参考までに意見を申し上げておきます。 次に、今のお話の中に、やはり地方に産業というものが分布してこなければ困るのだというお話、ごもっともなのでございまするが、残念ながら、地方に産業を分布するような方途には今の内閣の方針はいっていないのであります。その一つ、一番強い例を申し上げますというと、私はこの委員会で再び三たび申し上げたのでありまするが、電力料金であります。たとえば、東北電力の料金と東京電力の料金とを比べてみますると、電灯料でさえ一割以上東北の山の中。方が高いのであります。それから動力料も一割四、五分高いのであります。あべこべに東京の方が安いのであります。北陸電力も、先般新しく誘致する工業に対しては電力料金を上げ、在来のものに対してはこれをなるべく据え置く、こういう方針をとっておられたのでありまするが、最近聞くところによりますると、電力料金、新たに誘致する産業に対する電力料金を下げなければ電力の需用がないのだ、こういうことさえ聞いているのであります。こういう電力行政が地方に非常に不利な状態に置かれているようなことでは、昔の自由主義社会において地方の電力料が安いからどんどん産業を地方に行って起したというようなことは、もう今日では絶対に望めなくなっております。肥料を一つ作るにも、川崎やあの辺で作る肥料工場の方が、山形県や新潟県の山の中で作るものよりは、安い電力料金で肥料ができるのであります。こういう矛盾した方策を作っておきながら、地方に人口の分散をするということをお考えになっても、これはせっかく官房長官がお考えになっておるけれども、政府の施策はそこにいっていない。こういう点につきまして、私は、通産大臣は十分この点については御承知のはずだ。御承知のはずで、私は非常に残念に考えておるんでありますけれども、都会に人間を集めるように集めるように、産業を都会に集めるように集めるようにと進んでおられる今日の経済政策に対しては、根本的に考え直していただかなければならぬ、こう考えるのであります。御意見はどうでしょう。
○国務大臣(高碕達之助君) この電力料金につきまして、大体この平均料金から申しますというと、東北地方の方が、電灯料金におきましても、東京よりも比較的安くなっております、平均料金にいたしますと。で、また同時に、電力料金も、東京と比較いたしまして、三円八十一銭に対して東北が三円十三銭と、こういうふうになっておりますが、東北地方の方はある一部分のものでは非常に安いものがあると、こういう結果になってきておると存じておりますが、いずれにいたしましても、工場をできるだけ地方に持っていくということにいたしますには、これは地方の方をせめて電力料金でも安くするということが必要だといわれておりますが、先般、電力料金調査会というものを作りまして、これの答申をとりますると、やっぱり答申でも原価主義ということをやかましく言うわけでありますから、それからいたしまするというと、政策的の料金はこれはうまく持っていけないわけでありますが、こういうふうな点になりますると、人口配分という国家の高所大所から考えましての大きな問題になりますから、そういう問題はやはり内閣全体としてやっぱり一応考慮を加えてみたいと思っております。
○田村文吉君 まことに残念なんでありまするが、原価主義ということを見ますると、東京のように電灯の需用家及び電熱器、洗濯機、そういったものの累積しているようなところでは、電線の延長も短かくて済むんでありますから、結局都会地が電力料金は原価は安いのだ、こういうふうに結論が出てくるのでありまして、今仰せになりました材料は、公益事業局のお間違いではないかと私は思うのでありますが、確かに電灯料金は割方東北方面は高いんです。それから私は自分で産業を営んでおりまするから十分わかるのでありまするが、千葉県で営んでおりまする工場と、新潟県で営んでおりまする工場とでは、同じ程度の電力を使って同じ仕事をしておりまして、一割五分から電力料が高い。新潟県の方が高い。これは私どもはもう十分にですね、公益事業局では御承知になっておるんで、こんなことを今になって、これはそうでないというような数字をお出しになるということは、非常に…。私は昨年もこの席で十分討論しましたのでおわかりになったはずで、これはきょうはその問題を深く触れるつもりはありません。ありませんけれども、電力行政についてもそういうことをお考えにならぬでおいては、地方に人口を散布するというようなことをお考えになってもできない。できないから、これはどうしても一つそういう点までお考えになって国土計画をお立てにならなければならぬ、こう私は思うのであります。今その料金が東京の方が高いのだ、向うが安いのだというお話がありましたが、ちょっとこれだけ私はふに落ちないものですから。
○国務大臣(高碕達之助君) 申しわけありませんでした。ちょっと私は東京と見違っておりましたが、電灯料金は確かに東北の方が高うございまして、東北が十円九十一銭に対して東京が十円六十二銭、これは平均でございますが、そういうふうになっております。電力の方は私どもの手元にあります……。
○田村文吉君 それは特殊電力ですよ、あなたのおっしゃっているのは特殊電力が安いというのですよ。
○国務大臣(高碕達之助君) 平均です。
○田村文吉君 違うんです。そういう点をよく一つ公益事業局長、大臣にお教えしなければだめですよ。
○委員長(木暮武太夫君) 発言ありますか。
○政府委員(小室恒夫君) こまかい点でありますから、私から御答弁申し上げます。 大口の産業用の電力料金でありますが、平均といたしましては、三十二年度を通じてやはり東北の方が安いのでございます。二円三十九銭、それから東京の方が三円四銭、これはごく最近、御要望もございましたので、非常に詳細に個々の需要家に当って調べたのでございます。ただこれは平均でありまして、業種によっては確かに東北の方が高いものがございます。たとえば化学工業とか、ごく若干でございますが、東北の方が高い。これは東京地域にある非常に大きな工場の特約料金の関係その他でそういうことになっております。今のは一つの例でありまして、二、三そういう事例があります。ただ平均としては、大臣が先ほど申し上げましたように東北の方が安くなっております。
○田村文吉君 この問題についてよくお調べいただきまして、一つよく大臣が参考資料となさる場合に、これは非常に重要なことなので、山の中の雪の降るところへ、だれが好んで、電力料が高いところへ持って行く人があるわけがない。こういうことは実業人でいらっしゃる通産大臣はよく御承知なんですから、私がくどいことを申し上げるまでもないのであります。そういうような点をはからないと、いかに総理大臣が地方に人口を散布するために努力しておりますとおっしゃっても、実は反対々々と手が打たれていく、こういうことになりますので、一つ特に御注意を喚起したい。 では第三番目に、私は自治庁長官にお伺いいたしたいのでございまするが、それは住民税の問題でございます。ここにこまかい例をあげてどうこう申すわけでありませんが、大体中流の収入のあるサラリーマンの東北の方面におきまする住民税の支払い額と、それから東京における支払い額を比べまするというと、東北方面の方が大体二倍になっておる。これは非常に矛盾千万な話なんでありまするけれども、約二倍の税金を払う。なぜそういうことになっておるのかというと、いわゆるオプション・ワンとオプション・ツウの問題、これを地方には財源がないから仕方がない。無理でもオプション・ツウをとって、そうして皆さんから住民税を払ってもらわなければ、この村が立ち行きません、この町が立ち行きませんということでやっておる。ところが、都会の方は何とかかんとか言いながらも金が非常にたくさん入りますから、いわゆるオプション・ワンでお取りになっている。その結果はどうだというと、住民税が東京の方が半分である、こういう矛盾をお認めになっていると思うのでありまするが、こういうことは、地方を住みよくしてやろうとか、地方を開発してやろうということを幾らお考えになっても、こういう矛盾があったのではできない。この点はどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(青木正君) お話のように、住民税につきまして第一課税方式をとっておるところと第二課税方式をとっておるところと非常に相違があるのであります。従来は非常にその相違がはなはだしくありましたので、御承知のように昭和三十二年度からいわゆる準拠税率ということで、第二方式ただし書きをとった場合も、第一方式に近寄るような方式に改正いたしたわけでございます。改正いたしましても、なおかつお話のように準拠税率のままをとったところもあり、またそうでないところもありますし、また、準拠税率によりましても、やはり第一方式の場合と相当に相違がある。このことは従来各方面におきまして、しばしば指摘された問題でありますし、ことに地方制度調査会におきましても、こういう不均衡のないように、なるべく第二方式に統一する方向で検討すべきであるという御意見を受けておるのであります。それから先般の税制懇談会におきましても、お話のような問題が取り上げられまして、所得税改正に伴う住民税の影響は三十五年度から出てくるわけでございますので、昭和三十五年度までに、その点について十分検討せよという御意見が出ておるのでありますが、従いまして、私どもといたしましても、今般設けられることになりました税制審議会におきまして、お話の点を十分考慮いたしまして、できるだけ第一方式と第二方式との差のないように検討して参りたい、かように存じておる次第であります。 ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) ちょっとお待ち下さい。 ただいま委員の変更がありましたので、この際御報告申し上げます。 柴田栄君、後藤義隆君が辞任し、その補欠として、それぞれ川村松助君、林田正治君が選任せられました。 ―――――――――――――
○田村文吉君 今、自治庁長官のお話は、何とかしょうというお考えでお進みになっていることはわかりますが、そういうことをまつ正直にやれば地方の財政は成り立たぬ、貧困町村では方法がない、こういうことから限度以上の課税をしてやっている、こういう実情なんでありますから、まあなるべく早く都会地へ移住しようと、こういうふうになるごとでございますので、何とかこういう問題については方法をお考えになって、交付税のあるいは積雪寒冷地帯に対する補正係数をもっとふやすというような方法で、地方交付税の方法で調整するようなことが重大ではないか。今の補正係数の問題、時間がありましたらば……、在来の日本の政策が、常にいわゆる表日本の方に重くて、裏日本の貧弱地帯に非常にすべてが軽い。もうあらゆる政府の機関の出張所をごらんになってもわかるのでありますが、裏日本にはほとんどない、みなすべては表日本に行っている。こういうようなことで、補正係数などはよほど根本的にお直しになる必要が私はあると思う。こういう点が在来ないではないけれども、きわめて微量なんで、こういう点を思い切っておやりにならないというと、地方の方ではどうしても税をよけいとらなければならぬ。ならぬから、そこにいる住民はいたたまれないで東京に逃げる、こういうふうになると思うのであります。どうかこの点については、官房長官も十分に一つ御納得下さいまして、政策をお進め下さるようにお願いいたしたいのであります。 時間でありますから、これで私の質問を終ります。
○委員長(木暮武太夫君) 田村委員の質疑は終了いたしました。 明日は午前十時より本委員会を開くことにし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時十九分散会