予算委員会 第10号
- 発言数
- 118 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1959/03/14
会議録
○理事(小柳牧衞君) ただいまから委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について御報告いたします。 三月十三日、横川正市君が辞任し、その補欠として荒木正三郎君が、上條愛一君が辞任し、その補欠として戸叶武君が、中山福藏君が辞任し、その補欠として豊田雅孝君が、本日羽生三七君が辞任し、その補欠として小柳勇君がそれぞれ選任せられました。
○理事(小柳牧衞君) 次に、昭和三十四年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算を一括して議題といたします。これより一般一録第十号質疑に入ります。松浦清一君。
○松浦清一君 きょうは、大蔵大臣、運輸大臣、通産大臣、労働大臣等の御出席を願いまして、日本の計画造船に関する問題、また、フィリピンに対する高速貨物船の輸出に関する問題、また、ILO条約あるいは勧告の批准等に関する問題について御質問申し上げたいと存じます。 計画造船についての御質問を申し上げる前に、一言お断わりを申し上げておきたいのですが、今度の国会が始まりましてから、衆議院等におきましてこの問題が取り上げられまして、たびたび論議がされておりまするが、きょう私が計画造船について御質問を申し上げまする事柄は、社会党の大会の決定に基く海運政策に従いまして御質問申し上げるのであって、今までの質疑の過程で、そり言ってははなはだ失礼ではありまするけれども、しろうと判断に基く質疑が行われ、これに対する大蔵大臣、運輸大臣等の答弁がなされておりますが、そういう質疑に顧慮することなしに、本日の私の質問が、社会党の政策であり、社会党を代表する海運政策に対する質問であるとお考えの上で御答弁を願いたいと存じます。 まず第一に、わが国の海運の現状についてお伺い申し上げまするが、現在のわが国の海運の船腹保有量は、昭和三十三年十一月末日におきまして、合計五百二十一万総トンであります。これは、昭和十六年末の商船保有量の八割にしかなっておりません。さらに、世界の船腹は、毎年飛躍的に増加しつつありまするので、この伸びを勘案いたしますると、その回復率は、戦前の六割程度にしかなっておりません。これに引きかえましてわが国の鉱工業生産の回復率は、昭和九年、十年ごろの平均に対して二七五%の回復を示しているのであります。この鉱工業生産の回復に比べて、現在の日本の船舶はまだ少いのであります。このために、一昨三十二年度における日本船による貨物の積み取り比率は、輸出におきまして五七%、輸入におきまして四〇%であります。昭和十四年における輸出七〇%、輸入六〇%に比べてみますると、はなはだしくその比率は低下をいたしているのであります。このことは、国際収支の上に甚大なる影響を及ぼしまして、英国、ノルウエー等が運債収支による年三億ドル以上の黒字となっているのに引きかえて、わが国は一億四千万ドルの赤字となっているのであります。このことが国全体として国際収支悪化に大きな原因となっていると思うのでございまするが、大蔵大臣、運輸大臣は、このことをどのように把握をしておられるか、まず冒頭にお伺い申し上げたいと思います。
○国務大臣(永野護君) お答えいたします。 日本の海運界の現状に関しまする松浦委員の御質問は、全く御同感でございます。日本の産業の伸びと海運界の伸びとが歩調が合っておりません。従いまして、私どもでも、昭和三十七年度には、少くともあと二百万トンの船腹がありませんと、日本の鉱工業生産の伸びに追っついていけない、原料の輸入、製品の輸出ができない、こう考えておりまするので、造船計画はずっと継続して参りまして、理想的のトン数まで参りませんまでも、国際収支の赤字を多少でも少くするように努力していきたいと念願しております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日本の海運政策の基本的問題といたしましては、ただいま松浦委員が御指摘になりましたように、輸入輸出貨物についての大体の邦船による積み取り目標というものを計画いたしております。また一面、長期経済計画の発展に即応して、その積み取り目標の数量もふえて参るのでございますから、今日の保有量でこれは不足しておる。これは御指摘の通りだと思います。ことに海運関係の回復率は、いろいろの見方があると思いますが、他の経済の伸びに比べまして低率でありますことは、この戦争によりまして根こそぎ壊滅した、そういうものが新規にスタートしておる。他の生産部門等におきましては、爆撃その他によりましての被害甚大とは申しましても、何らかの手がかりは残っておりますが、保有船腹の根こそぎの破壊、同時に、その資産についての補償等がない、新規にスタートしておる、そういうところに非常に海運界の伸びが思わしくないものもあると見受けるのであります。こういう点は、わが国海運界が戦後そういうようら甚大な影響を受けたにもかかわらず、よくも業界並びに従業員諸君の協力によってここまでも回復したものだ、こういう感を実は強くいたしておるのであります。そこで、私ども政府といたしましては、どこまでも経済成長の長期計画に合せて、この邦船による貨物輸送の基準をその目標に達成するように船腹をふやしていかなければならない、かように考えております。国際貿易の面におきましてのいわゆる運賃収入その他が国際収支の面に重大な影響を持つことは、これは御指摘の通りであります。こういう点から見ましても、私どもは、国際貿易関係を好転さす意味においては、わが国海運のもっと発展を期待しなければならない。また、そういう意味において力をいたさなければならない、かように考えております。 ただ、三十二年の海運関係の収支状況は、三十二年が特殊事情のあったことを考慮いたしまして、三億八千万ドルにも上る赤字というものは、これは経常的なものではない、かように考えますが、それにいたしましても、金額的には三億八千万ドルは非常に大きなものでございましたが、これは三十二年の特殊事情によるものだと私どもは解釈をいたしております。しかし、それにいたしましても、今日の状況のもとにおいて、やはり外国船に支払う運賃は相当多額のものを占めておる。一億ドル以上のものをとにかく支払わなければならない現況でございますから、海運界の今後の発展の方向といたしましては、そういう意味で政府も力をいたさなければならない、かように考えております。
○松浦清一君 最近の海運市況を見てみますと、昭和二十五年の暮れから二十七年の春ごろまでのいわゆる朝鮮事変ブームの後に極端な不況に陥りまして、ただいま大蔵大臣、運輸大臣が御答弁の通りでありまするが、その後少しは回復をして、三十一年から三十二年の春ごろまでは、いわゆるスエズ・ブームといわれる好況が続きまして、三十二年の春ごろから急激に悪化をいたしております。昭和三十三年は、戦後最悪の水準を低迷しておるといわれておるのであります。好況時と不況時の運賃を比較すると、はなはだしいものは五分の一程度まで下っておるといわれております。このために、企業収益がはなはだ激減をいたしまして、最近においては、借金の元利支払いも非常にむずかしくなっておる。そういうようにいわれておりまするが、計画造船に関係のある船主の現在における利子の未払い、また、船価の未償却高はどれくらいになっておりまするか、数字をもってお示しを願いたいと存じます。
○国務大臣(永野護君) お答えいたします。 船価の未償却額は、利子補給対象会社に対する調査によりますると、三十三年三月末におきまして、約四百十三億九千万円に上っております。なお、その後も累増の傾向になっております。もっともこれは特別償却を加えておりまするので、今の四百十三億九千万円を内訳にいたしますと、普通償却が二百七十二億、特別償却が百四十一億でございます。なお、借入金償還の延滞額は、現在同期におきまして、財政資金が約六十一億円、市中資金が約百二十三億円、合計百八十三億円が延滞いたしておるのでございます。
○松浦清一君 私が持っております資料によりまするというと、昭和三十三年九月末、五十三社の計算で、開銀融資が千三百十八億円、それから市中借入金が九百六十八億円、合計二千二百八十六億円の借金がある、こういうことになっております。このために支払っている金利は年間約百八十億円、それから、運転資金の借入金の金利を含めると、金利だけで年間二百億を上回っておる。こういう資料があるが、あなたの今おっしゃったものとちょっと違いまするけれども、その方が確実でございましょうか。
○国務大臣(永野護君) お答えいたします。 私がただいま申しましたのは、昭和三十三年の三月でございますので、今、松浦委員は九月というお話で、その間に多少の食い違いがあるのかと思いますから、さらにもう一ぺん取り調べたいと思います。
○松浦清一君 三十三年の三月の現状が今あなたのおっしゃった数字で、それから九月現在は、開銀融資千三百十八億円、新借入九百六十八億円、合計二千二百八十六億円が三十三年九月末における五十三社の借金だ、こういうことですが、それは間違いございませんか、三月と九月と大分開きがありますけれども。
○国務大臣(永野護君) 松浦委員の数字は間違いないと思います。
○松浦清一君 こういう借金がございますという原因は、言うまでもなく、先ほど大蔵大臣がおっしゃったように、戦争のために日本の海運というものはほとんど壊滅をした。外国の戦争被害は少かった。しかし、イギリスのように、戦争被害のあった国でも、戦時災害補償を国から受けておる。日本の船は、当時の金にして二十五億円の戦時災害補償が打ち切られた。それを現在の時価に換算をいたしまするというと、五千億円になる。外国は、英国、アメリカを初めとして海運国は、戦争の被害をこうむらないため、またこうむったとしても、国の補償を受けて自己資金で船を作ってきた。日本の船はなくなって、ほとんど開銀、市中等の他人資本で船を作ってきた。そこに国際競争上の非常な困難な事情が日本の海運には伏在をしている、こういうことだと私は思うのです。それを英国の海運と比較をしてみまするというと、船を作った初年度における金利負担が一カ月一トン当り日本船は一・八九ドルに対して英国船はわずかに〇・三一ドルだ。年間にして日本船は約八千万円に上る余分の負担を英国海運に比べて背負っておる、こういう形になっております。こんな実情を運輸大臣はどういうふうにして外国海運と競争せしめていくかという、大げさな言い分であるかもしれませんが、このままほうっておけば、日本の海運は外国との競争に負けて、そして壊滅をしなければならぬ。海運市況が非常に好転して参りますると、どうにか息がつなげまするけれども、非常に悪化して参りますと、外国との競争に負けてしまう、こういう形になるのですが、これをどうしててこ入れをしていくというお考えでありまするのか、それを伺いたいと存じます。助成に対する具体的の方策については、後ほどだんだんと伺っていきます。
○国務大臣(永野護君) 日本の海運界が戦争によって壊滅いたしまして、政府の借金によって立ち上ったために、その利子負担が非常に大きな重荷になっておるということは、松浦委員のお説の通りであります。従いましていろんな助成策の中で、まずこの金利負担を軽減することが何よりも急務だと思いまして、実は来年度の予算、三十四年度の予算に二十一億八千万円の利子補給を考えたのであります。と申しまするのは、申し上げるまでもなく、あの利子補給の法律は、まだ生きておるのでありまして、海運界が好況でありましたときに、その年の事情に即しまして、行政措置でその補給をとめておるだけでありますから、その事情が変った今日は、利子補給のあの生きておる法律の発動を求めたいというつもりで、二十一億八千万円の予算を組んだのでございますけれども、予算編成上いろんな過程から、遺憾ながら本年度はその目的を達することができませんでしたことは、運輸当局といたしましては、まことに遺憾に存じております。ただ問題は、この助成策を政府が講じます前に、海運業者自体にもいろいろと反省もしてもらわなければならず、改善もしてもらわなければならぬことが多々あるのでありまして、これは海運造船合理化審議会の答申案にも出ております。そうして海運業者もだんだんこの点に自覚してくれまして、経費面の節約は、いろんな意味における経費を総合いたしますると、年間約八十億に達する節約を今現にやってくれております。また、業者間の営業上の無用な競争を避けるために、いろいろな具体的の方策もできております。しかし、まだ非常に十分だとは言いかねるのでございますけれども、業者間の自粛自戒が十分にできましたのならば、それに対応する政府の助成策を必ず実行していきたいと思っておるのでございまするが、その中の一番まず取り上げる問題は、利子の問題だ、こう考えておるのでございます。
○松浦清一君 三十二年の八月十四日に、現在の日本の海運をこのままに捨てておくわけにはいかぬ。海運市況が非常に不況になってきて、たとえば赤字が出て、そうして利子の支払いも十分できない。あるいは船価償却もできないというような状態であったとしましても、もしも日本の船が足りなければ、冒頭に申し上げましたように、日本の国を中心として輸出をされる貨物あるいは輸入される貨物が、外国船に積まれて、そうして終局的には、運賃による国際収支の赤字を出してくる。海運による国際収支の関係から申しまするというと、現況において赤字であるなしにかかわらず、日本船で日本の貨物を運ぶためには、どうしても日本の船を強化していかなければならぬ。強化していくのには、船主自体においても自粛合理化をしなければならぬ、こういう建前から、中村運輸大臣時代に、海運造船合理化審議会に対して、今後の船腹の拡充並びに海運企業の経営基盤の強化に関する方策についての諮問をいたしております。その諮問に対して一年たった昨年の八月十二日に、この海運造船合理化審議会から現在の永野運輸大臣に充てて答申が出ております。その答申を見てみまするというと、非常にもっともなことがたくさんに書いてある。現在の日本の海運が日本経済の中に持っておりまする基調、それから海運の必要性、また海運が国際的な市場において外貨を獲得している一つの手段である、こういう観点から、それに対して助成をしなければならぬ点、あるいは自粛をしなければならぬ点、そういうことが、具体的に指摘をされております。この海運企業基盤合理化方策に対する答申案の冒頭に、こういうことが書いてある。「日本経済は、必要な原料、資材を海外より輸入し、これを成品化して海外に輸出する加工貿易を支柱として発展して来た。経済がかかる形態をとる限り、海運を中心とする貿易外収支が我国の国際収支の改善に及ぼす影響は大きい。」と、これは与野党にかかわらず、政府であろうとなかろうと肯定のできる、海運の問題を考える場合の基本観念であろうと思うのであります。そういうことを冒頭に書いて、企業基盤の弱点として措摘をしておりまするのは、「船舶の建造資金の大部分を借入金に仰がざるを得なかった結果、その自己資本率は今日においても二七%に過ぎず、内部蓄積を図る前に金利の支払と元本償還に追われて、なお及ばない実情にある。戦後二回にわたる好況を経たにもかかわらず、四百億円にのぼる累積未償却を残している状況で、企業基盤の弱態は、我国海運企業一般を通じての特徴となっている。」と海運の重要性とその企業基盤の弱点をついておるのであります。そういうことが書かれまして、具体的な企業自身の自粛の点については、一般管理費として「人件費以外の一般管理費については、特に、接待費、儀礼的贈答費、式典費用、つきあい的広告費、高級自動車の購入費、出張旅費その他の類似費用の全廃又は徹底的節約を図り、少くとも全体として一割程度の節約を行う必要がある。」、こういうふうに指摘をいたしておりまするが、この点についてどの程度の節約ができましたのか。先ほど運輸大臣は八十億程度の節約ができたとおっしゃったのですが、もう少しその辺の詳しい経緯について御説明いただきたいと存じます。
○国務大臣(永野護君) 先ほども申し上げました大体七十九億円の節約でございますが、そのこまかい内容は政府委員からお答えいたさせます。
○政府委員(朝田静夫君) 今御指摘の通り、昨年八月の海運造船合理化審議会の答申に基きまして、運輸省といたしましてとりました措置を御説明をいたしまして、その間の各費目におきまする企業合理化、主として経費節減を主軸といたします節約の状況を、御説明をいたしたいと思います。 まず答申後、直ちに運輸大臣名をもちまして、日本船主協会を通じ、各海運企業に対しまして、その実施要綱を定めて通達をいたしたのであります。特に利子補給対象会社に対しましては、経費節減措置要綱といったものを指示いたしまして、三十三年度の下期より毎期経費の使用計画といったものを提出いたさせまして、これを承認いたすと同時に、その実施の監査を行うことといたしておるのであります。昨年末、この合理化審議会の中に海運企業の合理化審査会、こういったものを設けまして、これに合理化経費節減計画を諮問いたしまして、その計画を一社一社個別的に当りました結果、おおむね妥当であるという答申をいただいておるのであります。その計画につきましては、ただいま大臣から御答弁を申し上げましたように、総額といたしましてこの絶対額は七十九億六千百万円、こういうことになっておるのであります。船舶がその間に、基準の年次と比べますというとふえておりますので、運航費、船費といったようなものは絶対額として増大せざるを得ないというようなことになっておりますが、船員費につきまして七億、一般管理費につきまして四億六千八百万円、役員報酬につきましては八千六百万円、こういったもの及び陸員給与につきましては四億一千七百万円といったものが絶対額として節約される計画になっておるのであります。そういったものを差引き合計いたしますというと十一億六千七百万円、こういうことになりまして、その間にオペレーターとオーナーとの従来の因縁からくるところのコマーシャル・ベースでない用船料といったものも好ましくない事態と考えられますので、借船料といったものもコマーシャル・ベースに引き戻すという努力をいたしますものが、非常に多額に上っておりまして、それが九十六億八千七百万円、金利は借入金が増大をいたしまするのに従いまして当然増大をいたして参りますので、これは二十八億九千三百万円ばかりの増加になっておりますが、それを差し引きますというと、先ほど大臣が申し上げましたように約七十九億、こういうことになっておるのであります。
○松浦清一君 七十九億円の節約額は、大体運輸大臣が考えた目標額に達しておるとお考えでございますか。
○国務大臣(永野護君) 大体満足すべき数字だと考えております。
○松浦清一君 さらに、一般の管理費のほかに「企業間の協調態勢の確立」という項目を設けまして、「企業自身の内部的合理化努力と平行して、オペレーター間の過当競争の防止又は排除のため、企業間の協調態勢の確立が必要である。」、「既に郵・商・三井による三社協定、その他のオペレーターによる五社会及び六社会の協調により、相当の協調態勢が実施されようとしているが、しかし、なお徹底を欠くうらみなしとしない。今後具体的計画を樹立するとともに、確実、且つ、徹底的に実行されなければならない。」、こういうことが答申されておりまするが、三社協定、五社会、六社会等の協調態勢が具体的にどのようになっておりまするか、御説明願いたいと存じます。局長の方が数字を知っておるから、局長でけっこうですよ。
○矢嶋三義君 先ほどの松浦委員の質疑に関連して資料を要求いたします、松浦委員の質問さっき済んだようですから。さっきの点ですがね、それは海運業界ですね、業界から政党並びに政治団体、それから個人の政治的後援会等に昭和二十九年以来行われた政治献金の表をあすまでに出していただきたい。これは裏口の方はできないでしょうから、表口だけでけっこうですから出して下さい。(笑声)
○政府委員(朝田静夫君) ただいまのお話しの三社会、五社会、六社会の企業間の協調態勢の強化としてとられました措置は、定期船部門と、不定期船部門と、その他の事項と、こういった三つの点に分けられると思うのでございますが、その提携要領といたまして、実施をいたす方法といたしましては、まず配船調整、たとえば、三社会におきましては、ニューヨーク定期航路の問題の配船調整をはかる、あるいは、バンコック航路におきまする中旬、下旬船の調整をする、あるいはまた、共同市場の埠頭とか、あるいは上屋の使用を共同的に借りるというような点を各社ともに具体計画を立てて、外国において措置すべきものも進めるようにいたしておるのであります。不定期船につきましては、長期にわたりまする大量貨物の共同引き受けをやろうと、こういうことで、定期船の帰り荷になりますところのベース・カーゴー、あるいは純粋の不定期船に属しまするところの大量な鉄鉱石のようなものの共同引き受け、こういったことによって安定帯運賃をそこに設定しようという努力をいたしておるのであります。五社会、六社会も、大体提携要領は三社会に準じて、特に五社会につきましては定期船部門がございませんが、その他の提携要領は今申し上げました三社会の要領に準じて努力をいたしておる状態でございます。
○松浦清一君 その状態は政府といたしまして大体満足のできる状態であるかどうか、海運局長から。
○政府委員(朝田静夫君) 私どもといたしましては、いまだ満足すべき状態でない、なお努力を続けていきたい、こういうふうに考えておるのであります。
○松浦清一君 さらにもう一つ、答申の点を読み上げてみまするが、こういうふうな日本海運企業の弱点と申しますか、そういう点を克服するためには、国際競争におくれをとらないような政府の助成策が必要であるという項目を設けて答申をされております。それは「企業の合理化努力と企業間の協調等は、企業基盤強化のため絶対に必要ではあるが、諸般の情勢を考慮すれば、これの情勢のみでは基盤強化の達成は困難である。企業の現状より見れば国の助成を考慮すべき段階にある。」として、「具体的助成策としては、次の諸策がすみやかに政府において取り上げられ具体的な検討に移されることが望ましい。」こういうことが指摘されております。その具体的の方策として、金利負担低減のための助成策、それから「市中融資に対する利子補給制度の復活、開発銀行金利の引下及び棚上、市中融資の開発銀行への肩替り等の諸策について検討が行われ有効妥当なものがすみやかに実施される必要がある。」こういうふうにいっておりまするが、その開銀利子の引き下げあるいはたな上げ、市中銀行融資に対する利子補給制度の復活、また市中融資の開発銀行への肩がわり、こういう一つ一つについて政府がどのように努力をされたか、また本年度の予算案にどのようにそれが勘案されているか、大蔵大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど海運関係が重要な役割りを持つことは十分御意見と私どもも同感でございます。そこで従来から日本海運の再建につきましては、各方面でいろいろ意見の具申もあり、また政府もそういうことで特に思いをいたしまして、御承知のように開銀を通じての低利の融資を主体にいたしておるのであります。開銀融資は大体六分五厘でありまするが、これがいわゆる電力その他重要産業部門と同様の利子、低利で融資をいたしておる、市中金融等におきましては一般産業並みの金融でございますから、大体一割程度の金利になっておると思います。そこでこの金利が海運業にとりまして非常に重い負担だということで、かつて利子補給の法律ができまして、助成方策をとって参ったのであります。松浦委員はその道の専門家であられますから、海運界がどういう状況におかれておるかということをよく御理解であり、また国策として海運助成の必要ということを十分御理解もいただいておると思いますから、率直に実情を申し上げていいことだと思いますが、この海運界の特殊事情については一般的な考え方から見まして、この専門畑にあられる人ほど十分の理解を持っていない向きも多分にあるのではないかと思う節があるのであります。たとえばこの利子補給の法律案を作って、海運助成をいたしましたにつきましても、これが基本的国策としてかような法律が作られたのではなくて、特殊の性格を入れてかような法律が作られたかのような印象を一部に持った向きもあるのであります。私自身、当時この法律に関係があるということで、そういう意味の批判もしばしば受けて参ったのであります。しかし、私はさような点は松浦君のようにその道についての深い権威者であり、同時に理解者の方が、こういう国会の審議を通じて実情を明らかにされることは非常にいいことではないかと思うのでありますが、かような点が海運助成策を実施する上において、なかなか勇気を必要としておるのではないかと思います。私どもが今日まで採用いたしております海運助成方策は、金利の面において、開銀融資で、特別な、六分五厘という、電力や石炭並みの金利方策を採用しておる、これが海運の重要性について、私が考えている、現状において考えられるもののように実は思うのであります。しかも、開銀を通じてする融資量と、一般金融機関を通じてする市中金融との比率は、海運関係においては非常に重点を開銀融資においている一事をもっていたしましても、海運についての深い理解と助成をしているということを言い得るように思うのであります。同時に、また、船価自身が、やはり国際的な船価水準、それの上か下かということも、日本海運を取り巻く事情に対応する場合に、対策を立てます場合に、船価が一体どういうことになるのかということも私どもは考慮しなければならない点だと思うのであります。そういう意味で、鋼材の非常に高かった時分に、鋼材の規格品についての特別な割引方策をとるとか、いろいろ金利以外にも助成方策を講じておった、これを一つ御了承おき願いたいと思うのであります。そこで、ただいま御指摘になりますように、開銀の六分五厘自身が海運業界にとっては高い。だからこれをさらに五分程度の安いものにしたらどうか、こういうような意見の一部にあることも承知いたしております。あるいはまた市中銀行からの融資、この金利と開銀金利との差額、これを法律に基くように、やはり差額を補給してもらうことはできないか、こういう意見のあることも承知いたしております。さらにまた在来市中金融から融資を受けている金額を、利子の低い開銀に肩がわりができないか、こういうような強い御要望があることも伺っております。しかしながら、そのいずれもが今日は実現を見ておりません。ただ、第一点の、市中金融と開銀融資との比率は、できるだけ開銀融資の方に重点を置くことにいたしまして、その率も在来考えました八対二の割合以上に引き上げられて今日はおります。しかし利子補給は、今日の海運状況そのものから見まして、直ちに利子補給を復活する要ありやいなや、これは私どもがもう少し検討を必要とするものではないかと思っておるのでありますと申しますのは、海運界は、なるほど最近は低運賃で悩んでおりますが、昨年来のいわゆるなべ底景気からも抜け出まして、海運界が少し上向いた、こういうことは世界的情勢でもあるのであります。さように考えますと、今後の情勢次第によりましては海運界にも希望が持てるんではないか。三十二年の時分のお話を特にあげてこられますが、これはまあ特別な事情があったのでございますから、三十二年に引き続く三十三年としては相当苦しいものがあったと思いますが、経済そのものが立ち直って参りますと、海運界の運賃レート等も上向きの形になるんではないか、こういう基本的産業につきましては恒久的な、開銀融資の金利六分五厘というものを基準にいたしまして、その年々の景気にあまり左右されないように、長期な経営計画のもとに経営を進めていただきたいと実は考えるのであります。最近における金利の払いの状況その他等を見たり、あるいは各船会社の益金が、償却前においてある程度益金が出る、黒が出る、こういうような営業成績を示しております際にも、さらにその金利の問題にまで話を突き進めていきますことは、私はまだ政府としてはもう少し研究の余地があるんではないかと実は考えておるのであります。過日、衆議院におきまして、この点についての質問があり、政府は金利引き下げについて考えておりませんと、きわめて簡単なお答えをいたしましたが、これは簡単なお答えでありましたために言葉が不十分でありまして、まことに冷たい感じを与えたかと思いますが、私どもは、海運の持つ使命の重大性から考えまして、十分業態については理解を持っておるつもりであります。しかし、ただ一時的な現象、それによりまして基本的政策を左右すべきではない、ことに、他の産業との関連等について考えました場合に、海運界の特殊性をどの程度まで他の産業と区別して考えられるかというような点まで考えて参りますと、この際に直ちに金利についての措置をとる、こういうことを申し上げるのは少し時期が早いと、かように考えましてお答えをいたしたのでありましたが、言葉が非常に不十分でありますから、非常に固い意見のように聞かれたり、あるいは冷たい意見のように聞かれたかと思いますが、もしそういうことがあれば、この点では私がただいま補足いたすような気持でいることを御了承いただきたいと思います。また、一般金融の融資金額を開銀の方に振りかえてくれろ、これも強い要望がございますが、御承知のように開銀資金には適当な一つのワクがあり、そのワク内においての融資計画をそれぞれ立てておりますために、年度途中においての融資ワクを変更することがきわめて困難な実情にある、そういう意味でただいままで実現いたしておりません。 せっかくのお尋ねでございますが、その三点ともただいままで実行されておりません。しかし、私重ねて誤解のないように申し上げたいことは、海運界の持つ重大な使命なり、また、今日当面しているその苦境等については十分の理解を持っておるつもりでありまして、そういう意味で今日特に、海運界自身が自主的にみずからが経営努力によって経営の内容を改善されることを、これを特に強く要望し、そういう意味で、運輸当局が先ほど来説明するような数字が出て参っておるのであります。同時にまた、全般といたしましても低金利の方向に金融機関を指導いたしておりますから、これは海運だけが利益を受けるわけではございませんが、全般といたしましても金利はやや下向いている、こういうことも、業界の経営努力と相待って、海運の立ち直りには効果をもたらすものではないか、かように考えております。
○松浦清一君 ただいまの大蔵大臣の御説明によりまするというと、造船に対する開銀融資の金利が六分五厘だ、電力その他の国内産業に対する――造船以外の産業に対する利子も六分五厘だ、それは当然だ、こういうような、それほど冷たい言葉ではありませんでしたけれども御答弁になった。ところがこの委員会で先般わが党の中村委員が指摘をいたしましたように、国内市況というものは時の政府による政策によって支配される面が非常に多い。ところが海運は日本の政策の及ばない――日本の政権の及ばない国際市況に支配されるという環境に立っておるのでありまするから、言いかえまするならば、外国の船と競争をいたしておるのでありまするから、その点については特別の配慮が払われてしかるべきだと思うのであります。その点を考慮して、日本以外の外国ではあらゆる産業に優先して海運に対する助成策をとっておる。少し長くなりまするけれども、この機会に政府並びに国民全体が認識をしていただきますために、外国の助成の方法について若干資料に基いて申し述べたいと存じます。 アメリカあたりが定期航路の補助についてどうやっておるかといいますと、一九三六年、商船法の運航補助規定によりまして、現在三十三航路、十五社、三百九隻の指定航路に対して一九五七年から八年度の予算決定額が八千五百万ドル、三百六億円を無償で航路補助をいたしておる。それからフランス、世間で考えられておりますフランスは海運国としては後進国でありますが、これまた一九五七年までの運航補助予算が各年五十三億八千万フラン、邦貨に直して四十六億円、それからMM社に対する一九五七年度の補助額が、予定しておりました十六億円から、十八億フランですね、三十三億フラン、邦貨に直して二十八億円が増額をされて、計七十四億円が航路補助として支給されておる。またイタリアがやはり七十二億一千七百万リラ、邦貨に直して四十二億円が航路補助として交付されておる。造船補助に至っては、アメリカが一九五七年から五八年度における交付決定額が三百万ドル、邦貨に直して十一億円、これは前年度からの繰越額が一億ドルありますから、合計をいたしまするというと三百七十一億円の建造補助がなされております。それからフランスの建造補助は、現行の造船補助法を一九六三年まで五ヵ年間延長いたしまして、各年百六十億フラン、邦貨に直して約百三十八億円、これが補助金、しかも本法によって政府は百八十万総トンを建造する計画で、これに要する建造船価合計三千億フラン、邦貨に直して約二千五百八十億円の半額を政府が融資をしておる。またフレンチ・ラインの五万五千トンの豪華客船の建造に対してその建造価額の二百七十三億六千万フラン、約二百三十五億円のうち、建造補助金として七十六億六千万フラン、邦貨に直して約六十六億円が補助されております。またイタリア、イタリアもフランスと同じように海運国としては後進国でありまするけれども、一九五四年タムブロニ法によって船価の二二%が補助されておる。それからベルギーのようなところでさえ、一九四八年の海運助成法によりまして、船主が新造または購入をする場合、補助金として一カ年四百五十六万ドル、約十六億円が十カ年間にわたって補助をされております。それから利子補給に至りましては、フランスでさえ一九五四年三月付の規則によって、造船資金の金利は五分に引き下げられておる。それから一九五五年以降は、四分五厘に引き下げられておる。イタリアは同じく一九五四年のタムブロニ法によりまして、船主の造船資金に対して五ヵ年間下五%の利子補給が行われておる。アメリカにおける融資保証は、一九三六年の商船法の抵当援助規定によりまして建造補助を受けないうち、前に申上げました建造補助を受けないうち、外航船の新造に対し、船主は建造価格の一割二分五厘ないし二割五分を即金払いしさえすれば、残額は年利三分五厘の二十カ年年賦払いで政府より貸し付けされておる。ドイツは一九五〇年の再建融資法によりまして、船価の四〇尾を財政資金より年利四分で長期融資されておる。しかも融資額は、戦時喪失船の代替以外には、船価の二〇%である。一九五六年までの融資総額は四億七千五百万マルク、日本金に直して、四百七億円であって、そのうちの一千三百万マルク十一億円しか政府には償還されていない、日本と同じような事情にある。インドでさえも、船を作る貸付利子は年三分であります。 このように申し上げて参りまするというと、大体およそ船を持っておる外国では、船舶建造に対する利子は、三分五厘ないしは五分であります。戦争の被害を受けない、そして自己資金で船が作れる、足らないものは金を借りる。その足りない部分に対して、借りた金の利子が三分五厘ないし五分の利子で、しかも特定の航路によっては、多額の補助金が政府から交付をされておる。そういう船と日本船と競争しておるわけです。日本の政府のこの競争に打ち勝たしめる政策としては、国内的に物の価格を決定するというような政策をとることはできないのでありまするから、どうしても海運に対する利子あるいは航路に対する助成を強化しなければならぬと思う。ところが、ただいまの大蔵大臣の御答弁によりましても、今までの運輸大臣のお話によりましても、計画造船の必要は認める、外国と競争しておるという現実も認める、何とか助成をしなければならぬということは考える、しかし、ただいまのところそれを実現するに至っていない。将来は申し上げましたような外国との競争に打ち勝っていくための海運に対する助成について、この予算では不可能かもしれぬ、この予算では不可能かもしれぬが、できる方法がほかにはあると思うのです。その方法について、私は具体的にここで指摘をいたしませんが、積極的な勢力をされる御意思があるかどうか伺っておきたいと思います。
○国務大臣(永野護君) 金融財政上の措置の問題につきましては、大蔵大臣から御答弁になるべきでありますが、私は一般海運政策の上から一言申し添えておきたいと思うのであります。運輸行政を担当いたします者といたしましては、ただいまの松浦委員が冒頭にお述べになりましたように、社会党の総意を代表してはっきりと今のような必要性をお認め下さいましたことは、運輸当局としては非常に心強く感ずる次第でございます。すでに御承知のように、今の金利政策につきましても、本年度は二十一億八千万円の予算を盛ったんでありますけれども、いろんな関係から力及ばず、それが握りつぶされたのでありますけれども、今の松浦委員のお言葉に力を得まして、さらにこれを継続して、その本来の面目を取り戻す努力を続けていきたいと思います。ただ一番最初に申しましたように、政府の対策を実行いたします前に、業界自体の面におきましても、まだやってもらいたいことがあるのであります。最初に経費の七十九億の節約は、一応満足すべきものであるとお答えいたしましたけれども、実は、それ以上大きい問題がまだたくさん残っております。あの無数に分れておる船主の間の、少くとも系列化くらいはやってもらいたい、こういうことを念願しておるのであります。事実その方面に努力もされたらしいのでありますけれども、いまだその実効は上っておりません。従いまして、政府が努力いたしますのと並行いたしまして、ぜひとも業界自体も一そうのその面における努力を続けていただきたいと思います。そして民間業界と政府と両々相待って、ただいま松浦委員のおっしゃったような理想的な海運行政の運営をやっていきたいと、こう考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 運輸大臣のお答えで十分かと思いますが、金利についてもう少し私からもお話しをいたしておきたいと思います。 日本の金利は御承知のように非常に高い金利水準でございます。これはもう船舶といわず、電力にしても石炭にしても重要産業、実は軒並みに非常に困っておるということでございます。そこで、まあ開発銀行等は重要産業である海運であるとか電力であるとか石炭であるとか、あるいは特殊機械等について、特に安い六分五厘の金利で融資するということを考えております。先ほど市中金融は大体一割程度だと申しましたが、私どもの手元にありますところを見ますと、一割以下九分八厘ないし九分五厘程度でございますから、一般金融から見ますと、海運金融はまだ安いということのように思います。それにいたしましても、外国に比べますと非常に高い、イギリスやアメリカ、またインドの例が出ておりますが、インド等も非常に低金利の国でございますから、こういう国と比べますと格段の相違でございます。そこで、こういう金利の安い国と競争すること、これはひとり海運ばかりではなく、機械にいたしましてもその他の産業にいたしましても、日本産業は非常に苦しい思いをいたしているのであります。こういう意味では輸出につきましてのいろいろの方策を講じまして、競争可能なような方法をとっている。この点は御了承がいただけるだろうと思います。海運の場合におきましては、どこまでも船価そのものが国際船価としてきまり、金利の安いイギリスやアメリカが基準になって船価がきまるので、日本海運は非常に困るのだということ、この御指摘もわからないではございませんが、レートの問題はひとり金利ばかりじゃなく、船価そのものも非常な影響のある問題でございますし、一般経常費等もそういう意味ではこの船価に合うか合わないかという基準にもなるわけでございますから、ひとり金利だけでは実は話はつかないだろうと思います。そこで、この高い金利の日本におきまして、金利を下げていくような努力を政府自身はいたしておりますが、なお目的を達しておらないが、この点は日本の金融の持つ力そのものが実は非常に弱い。日本産業から見ますと、金利の安いことも必要だが、やはり金融の量といいますか、質よりも量をまずまかなってくれという強い要望が今日あるのであります。いわゆるその金融の量というか、額の方でも非常に不十分である。こういうことで、ただいま思うように参っておりません。この点はまことに遺憾に思います。しかし、金利は冒頭に申しますように、国際金利水準にさや寄せするように、あらゆる機会に努力して参りますし、また、特殊産業についての特別考慮は、過去においても払われておりますが、この考え方は持続されるものであることを一つ御了承願いたいと思います。海運政策の助成方策として、各国のとっております実例等を詳細にお述べになりました。各国とも七つの海が競争相手でございますから、そういう意味でいろいろ工夫をいたしておるのであります。今回私どもにおきましても、金額はわずかでございますが、三国間航路補助というような新しいものも実は工夫いたしております。これは恒久的なものにはいたしておりませんが、この成績等によりますれば、やはり助成方策の一助としてこの種のことも考うべきではないか。海運の特殊性についての考慮、まあこういうことは一つ考うべきじゃないかと思いまして、金額はわずかではありましたが、取り上げたような次第であります。今後とも海運の持つ重大使命にかんがみまして、また、国際収支の面等から見ましても非常に重要な役割をいたしておる海運、しかも外国と競争しなきゃならない海運、こういう点にも思いをいたして、十分海運の育成には協力して参りたいと、かように考えておる次第であります。
○松浦清一君 私は言葉がおそいので、すでに時間の三分の二を食ってしまいましたから、これからフィリピンに対する輸出船の問題について、少し早口に質問をいたしますから、よくお聞き取りを願って、端的に御説明を願いたいと思います。昨年の暮れにフィリピンからわが国に対して十二隻ないし十八隻の高速貨物船の注文があったということでありますが、その注文されるまでの経過について、通産大臣から御説明願いたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) 目下この高速船の問題につきましては折衝中でございますが、大体には一そう当りが一万一千五百トンの船でございまして、それで、これを十二隻今折衝中でございます。価格は一隻当りが三百六十万ドルになっております。ただいまこれの折衝をいたしております。造船所は浦賀ドックが六そう、三菱三社で三そう、日立が二そう、まだ一そうだけは、ただいま函館かどこかきまっておりません。こういう状態であります。 その支払い条件につきましては、フィリピンの政府は一五%の頭金で、あとは長期の延べ払い八年、こういう話があったのでありますが、いろいろ折衝いたしまして、現在のところ、わが国といたしまして最少限度船舶の輸出につきましては三〇%の頭金をもらって、そして七年というのが一番長いのでありますから、これ以上の条件は出さないということで折衝いたしておるわけになっておりますが、つい最近におきまして一五%の頭金、これは最初注文のときに七%払い、引き渡しに七%払う、そのほかに輸出代金の保険料として、これは一・一%要するわけでありますから、それを加えて合計して一五%になりますが、そのほかに造船中の金利の差、これは御承知の造船の注文は初め注文のときと、それから工事に着手するときと、進水のときと、受け渡しのときと、これを四回に分けるのを二回に分けておりますから、そのときの金利の差が一・七%ないし一・八%でありますから、合計いたしまして一七%の頭金を取る。そのほかに船舶の受け渡しと同時に一二%、つまり残りの八五%の七分の一でございますが、それが十二%でございまして、それだけの支払い手形、それは向うのNDCの会社が振り出しましてそれに対してフィリピン政府が裏書をしている、保証しているその手形をもらって、その手形を一二%取りますから、合計いたしますとこれで三〇%のダウン・ペイメントとなりますから、それならば日本政府は、これを輸出を許可してもいいと、こういうふうな状態で目下交渉中でございますから、その一二%の手形がキャッシュになる、アメリカの銀行の支払地になっておりますから、これはキャッシュになるということは確かであるというならば、日本政府はこれを輸出を許可しよう、こういうことで今折衝中でございます。
○松浦清一君 私は、向うから注文があったその経過を聞きたかったのです。岸総理とガルシア大統領と去年の暮れどこかでお会いになって、そしてインドネシアに対する船舶賠償の話をインドネシアの方と話をしたのと同じように、最初どこかでこそこそと話が出て、そして実現をした。こういう話を聞いておるので、その経過を聞いたのです。しかし、あなたが何もかも経過をぺらぺらとしゃべってしまったから、もう聞きませんけれども、時間がありませんから……。また、きょうの新聞を見ますると、大蔵大臣と通産大臣がきのう最終的な打ち合せをして、そうしてフィリピンの開発公団の総裁ですか、のところに、今あなたがおっしゃったような条件を持って回答しに行った。そうして一二%の手形が向うで現金がすぐにできるかどうかというところで話がとぎれて、そのままになっておる。こういうことがきょうの新聞に出ているわけなのです。これは後ほど私は質問をいたしますけれども、日本にとってはきわめて重要な問題だ、日本の海運にとってはまことに重要な問題だ。その重要な問題が、これは新聞の報道でありまするから確かに承わりたいのですが、大蔵大臣と通産大臣が相談をされて、そのときには運輸大臣は相談に乗らなかったのかどうかということなんです。船舶の建造は、輸出の許可は通産大臣だけれども、建造の許可を与える権限は運輸大臣にある。しかもこの船をフィリピンに輸出をすれば、一番大きな影響を受けるのは運輸大臣が所管をしている日本の海運なんです。だから、本筋から言うならば、大蔵大臣と通産大臣と運輸大臣とが腹を割って話し合った協議の結果でなければ、日本の態度をきめてはならぬと思う。運輸大臣が参加されたかどうか、承わりたい。
○国務大臣(高碕達之助君) 経過につきましては、昨年の七月か八月ころだと私は記憶いたしておりますが、はっきりした日にちはよくわかりませんが、その当時フィリピン側から、船舶を十二そうないし十八そう買いたいと、それは賠償で買いたいと、こういうふうな申し出があったのでありますが、そのときに、これは賠償としては困ると、しかしながら、これは相当の期間延べ払いで交渉に応じてもいいと、こういうふうなことを回答いたしておったわけでありますが、そういうふうなことによりまして、延べ払いの条件をどうするかと、こういう話が当時あったのでありますが、それは日本の船舶の注文を受け取った人間が来たときに初めてわれわれは回答することにするからと、こういう話で、条件等はその当時話していなかったわけであります。その後、この話が民間との間に進められてきたのでありますが、つきましては、日本政府といたしましては、この高速度の船を外国に輸出することがいいか悪いかというふうな問題で相当の議論もございましたが、その結果、運輸大臣も入り、それから閣議の了解事項といたしまして、ともかくもこれは、日本がもし注文をとらなければ、ほかの国が注文をとるのだから、輸出振興の面からいけば、これは注文をとるべきものだということがそのときにきまったのであります。ただし、その支払いの条件につきましては、これは大蔵省と通産省の間で話をつけなければならぬ問題でありまして、通産省といたしましては、できるだけ緩和した条件で輸出振興をいたしたいと、こういう考えでおるわけでございますが、大蔵省はそうはいかないと、こういうようなことで、大蔵省と通産省の間で話し合いがつかなかったのでありますが、それが一両日前に大蔵大臣と話をいたしまして、大蔵大臣が、三〇%程度のものは頭金で入るということならよかろうと、こういう話で、この問題につきましては大蔵大臣と私と話したわけで、その席上には運輸大臣は関係いたしておりません。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま通産大臣からお答えした通り、この重大な影響のある輸出船舶の問題でございますので、これがフィリピンであるということで、特に閣僚が集まりまして、もちろん運輸大臣もその所管の立場から、いろいろの御意見を出されております。そして、最終的にこの問題を取り上げるということにいたし、今回新聞に出ておるように、三省の事務当局を集めて、在来から輸出船舶の際につけております条件等を勘案いたしまして、適当だというふうに考える条件を、今新聞が報道しているようなものを、通産大臣から私どもは相談を受けた、こういう事情になっております。 この機会に一言つけ加えさせていただきたいことは、わが国のこれは宿命的な問題になるのでございますが、ひとりフィリピンといわず、いずれの国に対しましても、外国船の注文をずい分受けております。日本の国内造船所で外国の船を注文を受けてどんどん作っておりますが、この作りました船が、広い意味においてわが国海運といわゆる七つの海において競争を展開しておることは、もう御指摘になるまでもないのでございます。そういう意味の一般的な考え方に立って今回の輸出船舶の問題を考究したばかりでなく、特に相手がフィリピンであり、高速度船であり、ほんとうに国内海運業と競合するようにこれが使われるというような意味で、運輸大臣からも特に強い発言があり、これの扱い方については、十分慎重に取り扱って結論を出したつもりでございます。それだけつけ加えておきます。
○松浦清一君 運輸大臣に伺いますけれども、フィリピンはこの船をニューヨーク航路に使用するのだという話が伝えられておりますが、何か根拠がございますか。
○国務大臣(永野護君) この船の性能から申しまして、ニューヨーク航路以外に使ってペイする航路は一応見当りません。従いまして、フィリピンとアメリカの関係から申しましても、一定の基本の荷物がございますから、必ずニューヨーク航路に入れるものと観測されるのであります。従いまして、先ほど運輸大臣はちっとも相談にあずからないのかというお話があったのでございますが、御相談にはあずかったのであります。昨日は相談にあずからなかったのでありますけれども。そのときに私は、これは困ると、日本の運賃収入の二五%、年間二百億円という収入を上げておりまする日本海運の生命線ともいうべきニューヨーク航路に、やっと十四次造船までで十七ノットのスピードの船が四十隻ばかりできて、ほっと息をついておりますときに、十八ノット以上のものが十二隻も一度に加わるということは、一番大切なる生命線のニューヨーク航路に影響を与えるのでありまするから、私は運輸大臣としては非常に困ると、こう一応申したのであります。ところが、フィリピンは非常に具体的に、日本が作らなければ、ドイツではこうだ、ベルギーではこうだというほかで作る条件、しかもその条件は、日本よりもいいのであります。従いまして、日本が断わればフィリピンが船を作らないのならばよろしいのでありますけれども、ほかの国で作られるとなお困るというのが一点。それからもう一点は、フィリピンの方は日本で作るか作らぬかということを考慮する余地があるのでありますが、それ以外の世界各国の船主が太平洋航路に入ってくることは拒むことはできないのでありますから、そこで運輸省といたしましては、とりあえず、これがとめれられるものならばとめたい、これが第一であります。それから、どうしてもこれがとめられないとなるのならば、どういう船が出てきても日本の海運が自立のできるような対策をこの機会に講じたい。その具体方策は、松浦委員が先ほどから申されましたことに尽きております。尽きておりますが、それを閣僚懇談会でもよく申しまして、どういう船が出てきても日本の海運業は自立ができるということを考えるべきではないかということを申し上げて、まあ私から申しますると、そういうことの了解を得られるということを前提として、この船を作ることもやむを得ないでしょうと、こういうような意味の受け答えをしておるのであります。
○松浦清一君 日本海運の行政管理をやっておられる運輸大臣が、経済閣僚懇談会の中で、一応海運関係からの立場を主張されたという、そしてもしこの船がニューヨーク航路について日本船と競争しなければならぬということになれば、それとの競争にたえ得るよりな日本海運に対する方策を講じなければならぬと、こういう御答弁がございましたので、この点は非常に私は満足です。しかし、もしこの船がニューヨーク航路に就航するとすれば、日本の経済と海運に及ぼす影響というものを、もう少し掘り下げて検討する要があると思いまするので、この点について具体的に私は質問をいたしたいと思います。ニューヨーク航路は、ただいま運輸大臣がおっしゃいましたように、日本の外国定期船航路の運賃収入のベスト・テンの筆頭であります。ニューヨーク航路だけでも、外国航路全体の運賃収入の二五%を上げている。それから、それに付随して、穀物の積み出し港であるアメリカ東海岸のガルフ航路から全体の一〇%の運賃収入を上げておりますから、フィリピンがこの船を使えば、単なるニューヨーク線だけでなしに、ガルフ航路にも日本船と同様に、就航することは間違いないと想定されます。そうすると三〇%の運賃収入を日本船が上げておるのですから、これは日本船の大脅威になるのみならず、ニューヨーク航路全体に非常に大きな混乱を起すと思います。先ほどからおっしゃっておりますように、もし日本がその注文を拒絶すれば、あるいはドイツあたりに注文されるかもしれない。そこで、私は原則論としては運輸大臣と考えを同じくします。これは拒絶できぬと思います。できぬと思いますから、それに対して日本船がその競争にたえ得る競争力を持つにはどうしたらよいかということが、具体的に問題になってくるわけであります。この航路で日本が使っておりまする船は、大体速力は十六ノットないし十七ノットですね。それからきょうのある新聞によると、フィリピンに輸出する船は二十ノットと書いてありますけれども、大体十八ノット強と私は想定しております。十六ノットないし十七ノットの日本の船と、十八ノット強の性能を持つ高速貨物船との競争が、同じ条件であっても日本に不利であるということは、これはしろうとでもわかるのであります。さらに、日本船に対する打撃というものは、フィリピンの船の速力性能のみならず、アメリカは現在二十ノットの速力を持った高性能船を九隻使っておる。その他の外国船を含めて、合計五十二隻の外国船と、四十八隻の日本船とが競合をしておるというのが今のニューヨーク航路の実態なんです。御承知の通りアメリカの船は、先ほどからるる申し上げましたように、アメリカ以外の国との競争には絶対に負けない、大きな、世界に比類のない国の庇護を受けて、そしてアメリカ船はやっておる。二十ノットのアメリカ船と、十八ノット以上の性能を持った日本から輸出されるフィリピンの船と、日本の船と競争しなければならぬ、こういうことになるのでありますから、それに対する競争にたえ得る助成を与えるということは、観念であってはならぬと思うのです。どのようにすればこの競争にたえていかれるかということを、一つ日本の経済面から見て通産大臣から、海運の面から見て運輸大臣から御答弁願いたい。
○国務大臣(永野護君) 御指摘の通りでございます。そこで、先ほど申しました閣僚の懇談会の席でも、アメリカの二十ノット、フィリピンの十八ノットに対抗して、日本海運が自立していきますためには、日本もやはり二十一ノットの船を作ってこれに対抗していく以外に仕方がないじゃないかという発言を私しておるのでございます。御承知の通り、松浦委員に対して申しますのは、釈迦に説法以上でありますけれども、二十ノットの船が今のようなそろばんで運航できるかどうかということは非常な疑問であります。疑問どころではない。むしろ、とうてい引き合わぬということがはっきりしておるのであります。そこで世界各国どこの海運業に対しても競争し得るというためには、やはりよその国か二十ノットの船を持ってくるならば、日本も二十ノットの船を作るとして、そして二十ノットの船のそろばんを合わせるといことを政府としては考えなければならぬと、こう考えて、日本でも二十ノットの船を作るべきだという主張を私いたしたのでございます。ただ、これはかなり問題が大きいのと、そして大体そろばんが合わないということは、大体論としてわかるようでございますけれども、具体的にどの程度の赤字になるか。そうしてどういう形式でこれを助成をいたしましたならば海運の自立ができるかという具体案について検討を加えております。これはただフィリピンの船にかかわらず考えなければならないことであります。すでに御指摘の通り、アメリカは二十ノットの船を動かしておるのでありますから、フィリピンが十八ノットの船を作るからというだけで、日本の海運が二十ノットの船を持つべきだということを言い出したわけではございません。けれども、少くも現実の問題といたしましては、フィリピンが、新しく十八ノット以上の船を十二隻入れるということは、日本の海運基本政策を検討しなければならぬ、真剣に考えなければならぬというところに追い詰められた機縁になっておる、こう私は考えております。従いまして、今まではフィリピンの十二隻の建造計画が主として条件――大蔵省の担当方面の金融上の交渉がまとまっておりませんでしたから、その追い詰められた一番大きい要素となっておりまするそのフィリピンの十二隻の商談ができるかできないかということを見守っておったような状態であります。これがいよいよできるとなりますと、先ほども申し上げましたように、日本もそれに対抗するだけの船を持たなければならないという問題を、現実に真剣に考えて、この問題と取っ組んでいかなければならない、こう考えております。
○松浦清一君 ちょっとただいま答弁をいただく前に、もう一点お尋ねします。 私の計算によりますというと、この船をフィリピンに輸出することによって、国際収支勘定において、この輸出船が三百六十万ドル、大体今のところ一隻三百六十万ドルぽっきり、日本の国は、受け取ることになる、一隻輸出すれば。ところが船の耐用年数は、大体これらの船で二十年ということは通り相場でありますから、これをもし国内船として建造して運航した場合に、過去五年間のニューヨーク航路の平均運賃収入は、一年に三航海半するものとして、平均約百七十万ドルの運賃収入が日本船においてあるわけです。そうすると、二十年間ですべて運賃収入が三千四百万ドルになるわけです、これは概算ですが。ところが、船を一隻作って輸出すれば三百六十万ドルの手取り、日本船を作ってこれをニューヨーク航路に就航させれば二十年間で三千四百万ドルの手取り、そうすると差引して三千四十万ドルの、わかりやすい言葉で言えば日本が損になる。船を作って売るのと、それから日本船を作ってニューヨーク航路に就航させるのと、勘定すれば、そういうことになる。政府は昨年あたりから経済基盤の強化をしなければならないということを非常に強調されて去年は経済基盤強化何とかいう法律を作ったりしてやっておるわけです。そのことについては、神経を使っておるわけです。そして外貨の獲得に血眼になっておるということは、これは今の政府にあらずとも日本の経済基盤強化についてものを考える者は、たれも否定することはできない問題であります。ところが今言ったような計算になるのでありますから、これは一隻当りでありますが、十二隻として計算すればこの十二倍になる。二十年間にわが国の損失は邦貨に直して一千三百十三億二千八百万円の損害になる。もしも私のこの推定計算が間違いで、しかも近視眼的な私の考えの見方であるというならば、それはそうでないという具体的な根拠を大蔵大臣なり、通産大臣から一つ私がわかるように御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御計算は、これは私は概算として正しいとは存じます。しかしそれはどうだと言えば、日本がその船をフィリピンに供給しなかった場合にフィリピンは船を作らない。それでそのフィリピンが作るだけのその船と同様なものが日本に全部ころげ込んでくる。こういうことになればただいまの御計算はそれは正しいと私は存じます。しかしながら、日本がフィリピンのためにその船を作らなかった場合には、フィリピンはやはり同様の船をヨーロッパにおいて買うということは既定の事実としてやっておるわけでありますから、そうすればやはりどうしても日本が造船業として立っていきます上におきましては、フィリピン以外の国の船は一トンが十万円――これは十二万円についておりますが、十二万円の船なれば、ただいま作り、日本の造船業を振興せしむるということは輸出振興において必要だ。こういうわけでありますから、そういう意味から申しますると、日本が手をつかねてそういうようなものを注文を取らなければ外国へいってしまう。こういう点から考えまして、私どもは現在においてこれを取るとこうきめたわけでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今通産大臣がお答えした通りでございます。今の目の子勘定の金額が正しいか正しくないかは別といたしまして、そうして日本が持てば運賃収入が上る。これは日本の立場から見れば船を作って送り出すよりもその方がいいだろう。こういう御議論のように聞くのでございますが、フィリピンが船を作らない場合であれば、これは大へんそういうそろばんが立つだろうと思います。しかしフィリピン自身も他国の船によって荷物を運ぶよりも、みずから船を持つ方が有利だと思うからやはり作る。作る場合において日本で作ろうか、どこで作ろうかというような話でございますから、そういう点を考えないと、今のそろばんだけからフィリピンのやつをやめて日本で船を作れという議論にはならないだろうと思います。 〔理事小柳牧衞君退席、理事西田信一君着席〕
○松浦清一君 いや、そのことは私もわからぬことはないんですよ。日本がもしいやだと言えば、これはドイツに注文して作るか、どこで作るかしれませんけれども、どっかに注文してフィリピンが船をほしければ作るだろうと思うんで、それは一応肯定するとして、先ほどから運輸大臣がおっしゃっておられるよりにアメリカが二十ノットの船を作って、さらにフィリピンが十八ノットの高速船を使う。日本の船は十六ノットないし十七ノットで競争にたえられぬから、競争に弱いから同じような十八ノット以上二十ノットの船を作る必要があると、そういう私は立論をしているんじゃない。今、日本の四十八隻のニューヨーク航路に就航している船を全部十八ノットの船に作りかえるなんというそんな、ばかなことはできないと思うんです。十七ノットの船でも、これらの船でも競争にたえ得るのにはどういう具体策を講じたらいいか、こういう政府側の考えを私は尋ねているんです。先ほどから計画造船の必要を認め、海運に対して特別の助成をしなければ外国との競争に勝てぬ。荷物を外国船に積まれて、そうして国際収支の上でこちらは支払い超過になっておる。これを何とかしなければならぬということはわかっておるけれども、それに対しての具体的方策というものが述べられていないわけですね、ああもしたい、こうもしたいということは観念的に述べられましたけれども、それではやはり困るんですよ。しかも私は非常におおらかな気持で、もうすでに本年度の予算は実際問題として、与党がこれは多数でありますから、社会党が反対しても通るでしょう、予算の修正をするということは、これはできぬかもしれぬ、実際の問題としてですね。そうなれば本年度の提案されておる予算以外にこれらの競争に打ち勝ってゆける方法があるのではないか、それは私はここに具体的に申し上げることは控えます。控えますから、それらの方法について努力をするんだということを大蔵大臣や運輸大臣がここで言明をいただければいいわけなんです。遠慮することはないからはっきり言って下さい。
○国務大臣(永野護君) 日本がどういう競争者が出てきてもそれに負けないで自立運営ができるかということにつきましては、いろいろな案がありますけれども、しかし、結局はみんな国の財政政策に関係することでございます。単に知恵ばかりではなかなかできないのでありまして、必ず裏づけにする財政措置が必要となるのでございます。そこで先ほど私繰り返して申し上げましたように、いろいろな計画は立てて現にやっておりますが、そして今年度の予算に一応その金融財政措置を提案したのでありますけれども、残念ながら本年度の予算にはそれを盛ることはできませんでした。しかし、今の社会党を代表しての松浦委員の御発言には大いに力を得まして、それで、へこたれないで、継続して私の努力を続けて参りたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどお答えしたことで一応尽きておるかと思います。海運界の現状等を見まして、現状が非常に短期間の問題だと考えましても、やはり基本的な方策の必要なことは先ほどからの御意見でよくわかるのでございます。私どもも十分理解を持ちまして、いろいろ工夫をしていかなければならないと思います。先ほど来おあげになりました開銀の金利が六分五厘よりももっと安くならないかとか、あるいは普通金融機関からの融資を開銀融資にかえるわけにはいかないかとか、あるいは利子補給のあの法律をまた働かすわけにはいかないか、こういう点であるとか、あるいは企業体自身が工夫をする余地はないか、ことに企業体相互間の競争――過当競争を防止する方法はないかとか、いろいろ先ほどからお話が出ておりました。さらにフィリピンの問題がこれにもつけ加わって御意見が出ておるわけでございますが、フィリピンの船にいたしましても、日本の造船所で作ることによって、やはりこれは今後の問題でしょうが、まあ兄弟つき合いのできるような方法も工夫の余地もございましょうし、せっかく輸出した船が全部が全部敵に回らないような経営上の工夫ももちろん可能だろうと思いますし、あらゆる面について工夫をこらさなければならぬことだと思います。ただ金融の問題についてそれじゃもう直ちに金利を下げるか、また市中金融のものを開銀に直ちに切りかえてくれるか、こういうような具体的なお尋ねになりますと、今日まだその結論を出すのは早いということを実は私申しておるのであります。松浦委員はそれらの点について非常に私どもの立場についても御理解のあるかのような御発言に聞けるような抽象的なお尋ねでございますが、問題の所在は非常に明白でございますので、運輸当局ともまた通産当局とも、輸出船をも含めて、総体として日本海運の強化なり、これを推進することについてはもちろん今後も十分検討を続けて参りたい、かように考えております。
○矢嶋三義君 議事進行について。申し合せによってこの委員会を運営して、私の党では松浦君を質問者に立て、非常に内容のある質疑を展開しているのですが、見ますと、だんだんと土曜日の関係か議員が少くなっていくが、これはそれぞれの会派の理事の方のそれぞれの立場があると思います。私たちの党内でも党の方針があって、協力しすぎるじゃないか、そういうのがよろしいのかという批判もあるわけです。見ますと、自民党さんが委員長を含めて六人でしょう。六人だと二五%しか出ていないわけです。私のところは今質問者を含めて七名、これで四六%、緑風会が二人で、これが一番いい、五〇%、無所属は一人で、ですから一〇〇%、それから第十七はきていないから〇%、これを平均しますとね、三五%なんですね。だからね、これを私ら協力することは協力していいんだが、与党の方はどういうお考えになっていらっしゃるのですかね。それぞれ党の立場がありますから、私の党の代表の松浦さんを立てて質問していただいているのですが、もうちょっと良識で認められる程度に充足してやっていくか、一応ここで休憩して、そして昼食でもとって充足してやるかしないというと、私ども社会党の代表として党に帰れないのですがね。従って、充足してやられるか、ここで休憩して昼食して、その後委員をある程度充足してやるか、いずれか委員長において適当な方法をとられたいという議事進行の提案をいたします。このまま松浦氏に質問させるわけに参りません。
○理事(西田信一君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(西田信一君) 速記をつけて。これにて一時間休憩をいたしまして、一時半より質疑を続行いたしたいと思います。暫時休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ―――――・――――― 午後一時四十四分開会
○理事(西田信一君) ただいまから委員会を再開いたします。 休憩前に引き続いて、松浦君の質疑を続行いたします。
○矢嶋三義君 議事進行について。 委員会の権威のために、念のために伺いますが、委員部の方から答弁していただきたい。委員長事故あるときは理事はだれでもいいものかどうか、どういうふうにあなた方は国会法を解釈しているのか。現在委員長席に着いている西田さんが適任とか適任じゃないとか、そういうことを言っているのじゃない。委員長を出している与党の予算審議に対する基本的な心がまえを私はただしてみたい。そこで、委員長が事故があるときは、いたし方がないと思うのですが、第一の代理がかわって、第二の代理がかわって、今第三番目の代理なんですね。一体国会法の運用上から、そういうことでよろしいと考えているのか。委員部当局の見解を承わりたい。
○参事(若江幾造君) 参議院規則の第三十一条の第三項に「委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、理事がその職務を行う。」とありまして、従来から先例によりまして、この場合には、委員長が委託された理事、その理事の方が委員長の職務を行うことになっております。で、きょうの場合、理事である西田先生が委員長の委託を受けられたものと、そういうふうに解釈しております。
○矢嶋三義君 委員長は、理事のだれかに、私のあとを頼むと委嘱するわけですね。権能を特定の理事に委託していくわけです。だから、委員長が病気のあった場合は、委任された理事がやられる。それが二人、三人とかわるのは、私は熱意を疑うのですよ。ここに問題があると思う。木暮委員長から第一理事に、第一理事が第二理事に、第二理事が第三理事にと、これは予算審議に熱意がない証拠ですよ。私は、社会党を代表して、午前中なぜああいうことを申したかというと、第二番目の委員長代理がきょうはお帰りになったが、どうも僕は腰前がおかしいと思ったのだ、院外に出て行かれるのを見て。当時私は忘れもしないのですが、十一月四日午後四時四十八分ですよ、岸さんがここから退場されたのは、前国会で。僕はそのとき、その腰前がおかしいと思って食い下った。ところが、剱木君がトイレットだと言う、その応援のもとに出て行かれた。それは、ちょうど午後四時四十八分に岸さんが行かれた。四十九分には、椎熊君が本鈴のベルを入れると同時に議場内に入った。一分しか違っていない。これは、なぜそういうことを言うかというと、第二番目の委員長代理も院外に出られたのじゃないかと、これは推察するわけですよ。委員長が故障で、第一、第二で、あなたが第三番目ですね。私は、委員数が足りないから、やはり予算審議の権威上、また私ども、党に帰って立場があるので発言したわけですが、ここに定足数が充足されたから、大事な予算ですから、審議するのはもちろんけっこうです。しかし、開会されてから、すぐまたずるずる出て行ってしまって、今度は豊田君が質問するわけですが、そのときに、また六、七人とかいうことになったら、はなはだ好ましくないと思いますので、それをお聞きとりの上、委員長は運営していただきたいと思います。
○松浦清一君 私も、割当てられている時間の外で、午前中の私の質問に対する終末の情景について、委員長にちょっと御注意を申し上げておきたいと思うのです。大体予算委員会における野党側の質問というものは、大臣に対する一問一答の形をとって、そうして政府の政策を批判し、そうして建設的に国政が運営されるように警告をしていく、こういうのが野党代表の政府に対する質問の慣例なんです。ところが私は今朝、午前中に、非常に建設的な意見を述べている、野党が政府を攻撃し、そして戦闘的に質問するような場合には、何か問題が起るかもしれぬということで、与党委員諸君は多数動員されてくる、しかし、日本の国政を憂い、日本の経済と海運の将来のあり方について建設的な意見を述べるときには、与党の諸君は出席をしない、こういう傾向は、はなはだ本委員会の権威のためによろしくないと思う。与党の諸君はもちろん、委員長におかせられても、将来このようなことのないように十分御注意を願いたい。もしも与党の諸君を動員しなければ野党の質問に対抗ができない、こういうのであれば、これは質問者をかえて、もっと戦闘的な人をここへ送っても差しつかえない、その点、十分御注意を願いた い。
○理事(西田信一君) 御趣旨は十分了承いたしました。
○松浦清一君 ほんとうですよ、忘れないように言って下さい。 私のあとに残されておる時間は五分しかありません。ILO条約の決議並びに勧告の取扱いについて、労働大臣、運輸大臣にお尋ねをしたい点が十五、六項目ここにございます。しかし、これを通常の状態で一問一答いたしておりまするというと、とうていこれは時間がありませんから、ここに用意をいたしております項目を一応全部申し上げますから、それをメモをしていただいて御答弁を願いたいと思います。五分で終るつもりです。御答弁の時間は一時間かかってもよろしいですから、メモをして置いてお答えを願いたい。 まず第一に、ILO海事特別総会の決議並びに勧告の取扱いについての問題であります。関連して、海事総会以外の総会において決議されたり、勧告されたりしたことの取扱いについて伺います。申し上げるまでもございませんが、一九一九年のベルサイユ条約第十三編によってILOが創設されてから、昨年の四月の第七回の特別海事総会が開かれるまでに至りまするまで、四十年の歴史をILOは持っておることは御承知の通りであります。この間、わが国はILO憲章に賛成をして、会議が開かれるたびに国費を使って代表を送っておる、昨年、第七回の海事特別総会に至るまでの海事関係の決議と勧告は幾つ出されたのでしょうか。そうして私の記憶によりますと、条約が二十七、勧告が十五ということになっています。このうちで批准をされたものは幾つか、これをまず最初にお伺いしたい。 それから第二には、ILO憲章第十九条の第五項及び第六項によりまするというと、条約または勧告はILO事務局長からその認証謄本を、この批准を求めるために各加盟国に送付される、今までわが国においては批准するしないにしろ、政府はいかなる権限ある機関に、この第十九条第五項、第六項は、加盟各国は決議や勧告をその国の権限ある機関に付議しなければならぬということを規定しております。それはいかなる権限ある機関に、いかなる方法で付議してきたかということをお伺いいたしたいと存じます。これが第二。 第三は、今までは船員の労働行政を担当する運輸大臣たる永野さんでも、おそらく私も調べてみなければわからなかったのですけれども、幾つの条約、勧告がなされておるかということについての御記憶はなかろうと思うのです。そうしてその決議や勧告が、どのようにして取扱われてきたかということの経緯についても、おそらく御存じないのではなかろうかと思うのであります。それほど海事特別総会の決議、勧告のみならず、全体の決議や勧告が、わが国においては非常に軽視されてきておるということは、労働大臣もこれは否定することはできぬと思うのです。労働大臣は今まで、今国会が開かれましてから、この問題に対する質問に対して、しばしば答えられておることは、条約八十七号についても国内法を整備の上で批准をしたい、いろいろ関連する国内法があるので、それを十分整備する方法を講じた後、批准するような扱いをしたい、こういうふうに説明をいたしておりまするけれども、ILO憲章の第九条第五項、第六項の規定は、その国の権限ある機関に付議しなければならぬということが規定されてありまするから、最終的に国会に諮って審議をした後、批准されると決するか、批准しないと決するかは別として、これがいわゆる権限ある機関に付議しなければならぬということは当然であろうと思われるが、労働大臣はどのようにお考えになっておるかということを伺いたいと思います。そうして今までは政府において批准すべしと行政官庁で決定をした後でなければ国会にかけられていない、それが当然の扱いだと今でも考えられておられるかどうか、それを伺いたいと思うのであります。 さらに、私は最近問題になっていることを伺いたいのですが、ILOでは九五三年に覚書を決定しましたが、各国政府の中には、その解釈をゆがめることによって、なお正しい手続をとらないものがある、こういうことで一九五七年のILO総会では、このようなやり方をとる政府の態度を是正する必要があるとして、その作業を条約勧告適用委員会に命じまして、最近その委員会では改正案の作成ができたと報ぜられております。これはこの三月に開かれまするILO理事会の検討を経まして、本年六月のILO総会で採択される手はずになっております。しかも日本の政府代表として向うにおる河崎公使が出席をして、この総会の議長になるということも内定をしておるということであるが、それはほんとうであるかどうかということを伺いたいと思います。この改正案がおそらく理事会で承認され、総会を通るものと予想されますが、その内容として指摘をいたしておりますのは、その加盟国がどのような具体的な方策をとるのか、何らかの措置もとらないのか、決定を延期するのか、こういうことについての意見を述べるべきであるといたしております。予定されている通り、河崎公使が政府代表となった場合、この覚書に日本はどのような態度で臨もうとしているかということを伺いたいと思います。 その次には、それを国会の討議に付すべきであるということが、この覚書の改正案として決定をしております。従って、このようなILO憲章第十九条の規定する国会提出の形式についての国際的な統一解釈から申しますると、今まで日本の政府がとってきた決議、条約、勧告に対しての取扱い方は誤まっておると、今までの覚書によっても思いまするが、労働大臣はどうお考えになりまするか、伺いたいと思います。海事総会決議、勧告等に関係がありますから、運輸大臣の御所見も伺いたいと思います。また、国会に付議することが政府の責任である限り、当然、議案として国会に提出すべきでありまして、現在のように政府部内で方針としてきめられたことが、しかもILOの事務局長あてに報告された文書が、その写しが議員のボックスに放り込まれているということが今までの取扱いの実態でありますが、これはすみやかに変えて、そして十九条に規定する通り、権限ある機関、すなわち国会に直ちに所定の期間内に付議すべきだと思いまするが、政府はそういうふうに態度を改める御意思があるかどうかということについて伺います。このようなやり方では、また本年中にILOから手続の是正を求めてくると思いますが、労働大臣、運輸大臣は、この条約や勧告を批准することは大へんむずかしそうにおっしゃるけれども、やろうと思えばできることもあります。法律を改正したり、あるいは予算措置を講じなくても、やろうと思えばやれることがあります。それは昨年四月の海事総会で決議をされました医療助言に関する勧告であります。その内容については、運輸委員会におきまして運輸大臣に十分御質疑を申し上げたいと存じまするので、時間が切れましたから、ここでは省略いたします。 要するに、総括をいたしまして、今までの日本政府のILO条約の批准に対する取扱いはILO憲章第十九条の規定に合致しておらぬ。将来改正する要がある。しかも、申し上げましたように、本月のILO理事会においては、この取扱いについての覚書が改正せられる予定になっておるのでありまするから、それに対して政府の態度、その改正覚書に対する政府の態度、それを明確に労働大臣から伺っておきたいと思います。
○国務大臣(永野護君) お答えいたします。私は海事関係の点についてお答えいたします。ILO海事特別総会の決議並びに勧告の取扱いについてでございますが、これまでILOで決議されましたもので、海事関係のものは二十七になっておるのでありますけれども、日本政府は、そのうちの八条約だけすでに批准しております。残余の条約につきましても、できる限り御趣意に沿うように国内法を制定するよう今日努力を続けて参っております。また、昨年のジュネーブで開催されました第四十一回の総会における勧告は、一年以内に権限のある機関に提出することになっておりまするので、五月までの間に外務省を通じまして国会に提出する運びになっております。 それから運輸省に関係のあります医療助言の無線電報のことにつきましては、これは郵政省と――今は逓信省ですか、と打ち合せいたしまして、できるだけ御趣意に沿うように交渉をしておりますので、たぶんそうなると思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) ILO条約につきまして、ILOで申しておりますように、憲章第十九条五項で、決議や勧告はその国の権限ある機関に付議しなければならないと、こういう工合になっております。条約及び勧告は、条約の批准が可能と考えられるとき、または勧告の規定を実施することが適当と認められるときだけに限らず、すべての場合に権限のある機関に提出しなければならない、こういうことでございます。そこで政府は今のような趣旨にのっとりまして、前年の総会で採択されました条約及び勧告は、必ずその次の通常国会に、権限ある機関でありますから国会に報告をいたしてございます。それは全部今日までやっておりますが、もちろん御承知のように、日本政府が戦争中ある期間脱退いたしておりました。従って、脱退中のものはさような手続になっておりませんが、昭和二十六年に復帰いたしましてから今日まで、条約は十件、勧告が十九件ございますが、それは手続に従って報告を国会にいたしておるわけであります。八十七号条約は、従ってわが国が脱退中でありますので、今のような手続はとってございません。 それから批准前の手続につきまして、こういうやり方でいいかと、こういうことでありますが、御承知のように、ILO加盟各国の中では、日本のように国会に提出をしておらないところもあるようでありますが、日本政府は、このILO憲章がいっておりますように、権威ある機関に報告しなければならないとなっておりますから、先ほど申し上げたようにいたしております。従って、これからもやはりこの方式に従って国会にそのつど御報告をいたすつもりであります。今年の理事会で、わが国の河崎ジュネーブ駐在公使が理事会の議長に擬せられておるようでありますが、その議長に就任いたしまして、かりにそこで問題になります先ほどお話のような件につきましても、従来通り日本がやっておりますことに、国際的に間違いはないと思っております。 それからこの報告のやり方につきまして、これは政府のことよりも国会運営の問題でございまするが、議案として付議するという性質のものではありませんで、ILO憲章の申しておりますように、権威ある機関に報告するということを、こういうことを政府は義務づけられておるので、その義務の通り履行しておる、こう存じております。
○松浦清一君 もう一問だけ。労働大臣、あなたは、国会に報告する、報告するということを、何回も今までも繰り返しておっしゃられますけれども、これは私が申し上げるまでもなく、あなたよく御承知だろうが、憲章の十九条の第五項には、「各加盟国は、立法又は他の措置のために、総会の会期の終了後おそくとも一年以内に」「権限のある機関に提出することを約束する。」とある。報告するということと、権限ある機関に付議するということとはどう違うのですか。私は非常に違うと思うのですけれども、あなたはどう考えるのですか。私は、時間がありませんから、あと質問しませんけれども、それを明確にしておいて下さい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 日本の国会法では、御承知のように、議案を国会議員も提出いたします、政府も提出いたしますが、ただいまILO憲章に期待いたしておりますのは、これは一つの見本でありますが、こういう形で政府から国会の両院議長に御報告をいたして、そうしてこれこれの条約、これこれの勧告がありました、これについて政府の現在の考え方はこういう次第であります、そういう政府の意見をつけて議長に報告いたしておる。これがILO憲章で期待いたしておる事柄であって、私どもも、ILOのやり方で、これでよろしいと、こういうふうに理解をいたして、ずっと続けてやっておるわけであります。
○理事(西田信一君) 松浦清一君の質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○理事(西田信一君) 委員の変更について御報告いたします。 秋山俊一郎君、杉原荒太君、大沢雄一君、小山邦太郎君、石坂豊一君が辞任し、その補欠として後藤義隆君、中野文門君、柴田栄君、高野一夫君、山本米治君がそれぞれ選任せられました。
○栗山良夫君 議事進行。先ほど開会のときに、定員が非常にやかましく言われまして、委員長は克明に委員の数を数えられて開会を宣せられましたが、今、委員の異動報告を聞きますと、そのときに委員でない方が入っておりますが、これはどういうわけですか。
○理事(西田信一君) お答えいたします。手続は済んでおりましたが、私の報告は、質疑中でございましたので、ただいま御報告を申し上げたのであります。御了承を願います。 ―――――――――――――
○理事(西田信一君) 次に、豊田雅孝君の御質疑をお願いいたします。
○豊田雅孝君 まず、文部大臣にお尋ねをいたしますが、私は、前の国会の予算委員会におきまして、岸総理にローマ字問題について質問をいたしたのでありますが、山岸総理はその際、国字としてローマ字を採用するという考えは持っておらぬという答弁であったのでありますが、文部大臣もこれと同一の御見解だというふうに承知をいたしてよろしいか、この点をまずもってお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 同様でございまして、国字としてローマ字を採用する意見は持っておりません。
○豊田雅孝君 そういう御答弁だと、事実についてお尋ねをいたすのでありますが、文部官僚の中には、特にこの際名前を秘しますけれども、ローマ字論者がおりまして、地方の巡回講演あるいは教育指導の際に、現在の国字を否認するような言説を吐きまして、これがために国語教育にはなはだしい不安を与えておるという事実があるのであります。御承知かどうか知りませんが、文部省の現職にある者が個人的見解をもちましてかような重大なことを指導するということは、非常に行き過ぎではないかと考えるのであります。これに対して文部大臣の御見解を伺いたいのであります。
○国務大臣(橋本龍伍君) 国語の問題、国字の問題はきわめて重大な問題でございまするので、ただいま豊田委員からせっかくのお話でございますけれども、ローマ字を国語として採用するとかしないとかいうような問題につきまして、さような重大な問題について、きまってもいないようなことを何かふれて歩くということはちょっと信じがたいのでございまして、どうもさようなことはあるまいということを私は固く信じておるのであります。
○豊田雅孝君 これは、特に文部大臣から部内を一度調査をしていただきたいと思うのであります。こういう言動を現実にしておる人がいることは事実であります。これは、ただ一人にはとどまらないようであります。ここで名前だけは今日は秘しておきまするけれども、とにかく文部大臣は一度調査せられまして、また次の機会にその調査の結果に対しまして質問をいたすごとにいたしたいと思います。 国字を存置していくという方針であります以上は、今日の小中学においては習字教育というものが非常に軽視せられておると考えるのであります。また、時間的にも制限せられる。そういうような結果からいたしまして、小中学における習字教育が非常に不十分である。そういう結果から、父兄は、御承知の通り、子弟を町の書道塾に通わせてそれを補っている者が多々あることは、御承知の通りであります。ところが有産階級はこういうことができますけれども、無産階級はそういうことはできない。果して今の小中学の習字教育が現状のままでいいとお考えになっているのかどうか、これに対しまして御見解を伺いたいのであります。
○国務大臣(橋本龍伍君) この国語、国字の問題はきわめて大切でございまして、御承知の通り、そういう観点からいたしまして、義務教育の面については当用漢字、新かなづかいという面で簡素化をはかりましたか、それを十分にのみ込ませて、そうしてさらにその上の高等の段階において古曲の知識も十分持たせるようにいたしておるのであります。 従いまして、この正確な国語を話し、国字を書くということは非常に大切でございまして、戦後の教育課程を検討いたしました結果、豊田委員のお話のような、御質問のような弊もございまするので、今回の教育課程の改訂の際に、この習字教育についてはさらに一そう念を入れることにいたしまして、小学校の低学年から、硬筆、これは初めは鉛筆、それから、だんだんにペンも入りますが、硬筆による習字を十分に指導いたしまして、その上、小学校の第四学年以上の各学年におきまして、必要に応じて毛筆による習字を学習させるようにいたしました。それから、中学校の第一学年では、すべての生徒に毛筆による習字を学習しなければならないことにいたしておるのでございます。で、この新しい教課程は、相当広範な部分がございまするので、小学校については三十六年度から、中学校については三十七年度からこれを実施するつもりでございまして、総体にわたりまして習字教育を従来よりも念を入れてやることにいたしております。
○豊田雅孝君 ただいまの御答弁によりますと、従来に比べればやや習字教育に力を入れられるということでありまするので、いささか従来よりはましだということになるかもしれませんが、現在の国字を保存する以上、硬筆のみならず、毛筆による習字教育ということは、現状より将来を考えまして、非常に重要だと考えまするので、この線で今後一そう御検討になり、また強力にその方針の具体化に推進していただきたいということを、ここで強く要望をいたしておきます。また、今後の推移のいかんによりまして、あらためて質問をいたすことにいたします。 次に、大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、金利政策についてしばらくお尋ねをいたしたいのであります。 日銀の公定歩合を二月の十九日から引き下げたのでありますが、そのコール・レートの動きを見ますると、かえって高くなってきておるのでございます。これを具体的に見ますと、一月の上旬あるいは中旬あたりには一銭九厘ないし二銭であったものが、公定歩合引き下げ後かえって高騰して参りまして、最近は二銭四厘になってきておるということを、いかに大蔵大臣はごらんになっておるか。要するに、公定歩合引き下げの時期が、この事実から見まするというと、おそ過ぎたのではないか。この意味で、引き下げる時期をあやまったのではないかという考え方が出てくるわけでありますが、これにつきまして大蔵大臣の御見解はいかがでございましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 豊田委員はこの方面の専門でございますから、よく御承知のことだと思いますが、今回の金利引き下げ、これは時期といたしましては、相当長期にわたる見通し等を立てまして、私は適当だったろうと思います。ただ、きわめて最近は揚超の時期でありますので、コール・レートか少し高くなっておる。特殊な短期のその状態から、かようなことになっておるのじゃないかと思います。
○豊田雅孝君 ただいまお話しのごとく、現在、揚超の関係からコール・レートが強くなっておるということでありますが、これは予想のつくごとで、毎年あるわけなんであります。むしろ、二月十九日ごろやられるならば、四月になって今度払超になってくるときを見込んでおやりになり、そのときむしろ二厘くらいぱっと下げられる方がよかったのじゃないか。そうでないと、かえって二月の十九日あたりが一番悪いときじゃなかったか。おそ過ぎたかあるいは早過ぎたか、こういりふうに思うのでありますか、この点について大蔵大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 公定歩合を引き下げました時期については、いろいろな批判があると思います。早過ぎたか、あるいはおそ過ぎたか、いろいろの意見があると思いますが、金融の公定歩合の扱い方を日本銀行に扱わしております関係上、また、もちろんその責任は政府においてとるつもりでございますか、日本銀行との話し合いの結果あの時期にいたしたのであります。私どもは別に、時期として不適当であったと、かようには考えてはおりません。
○豊田雅孝君 あまり釈然といたしませんけれども、次の問題に移りますが、それでは、この日銀の公定歩合は市中金利をリードする建前をとるべきものであるか、あるいは市中金利に追随すべきものか、このいずれの立場をとるものを是とせられておるか、この点、大蔵大臣の御見解を伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) その点は、一がいにはなかなか言いにくいと思います。まあ、たとえば公定歩合の過去の引き下げの際におきましては、相当政策的な意味を持っていたのでございます。しかし、今回の三度目の引き下げになりますと、いわゆる引き締めの際にとりました引き上げ、それが旧に返って、一応もとに復しておるのでございますから、特に意図的なものはなかったように思います。先ほどお話にありますように、コール・レートも非常に下っていた、その実勢力に合わしたということがいえるのではないかと思っております。
○豊田雅孝君 市中金利に追随していく行き方を、どちらかというと、おとりになろうというようなお考えかと思うのでありますが、こういう考え方で参るといたしますと、景気も好転し、自然資金需要も多くなるというような情勢から見ますると、日銀の公定歩合の引き下げは今後困難になるのではないだろうか。追随一点張りの行き方でいっておりますと、そういう場合が出てきはしないかというふうに考えるのでありますか、もしもそういうことたといたしますると、先般の日銀公定歩合引き下げをもっていたしましても、なおかつ日本の公定歩合は六分九厘くらいになるわけでありまして、アメリカの二分五厘、あるいは西独の二分七厘五毛、あるいは英国の四分に比べても非常に高いということになるわけでありますが、この国際的な金利に同等に持っていくということは、これはなかなか問題かもしれませんが、しかし、極力これに近づけていくということは、世界的に高水準にあるといわれております日本の金利体系を是正し、そうして産業の国際的競争力をつけるという見地からいたしまして、最も必要なことだと考えるのでありますが、しからば、今後どういう方法で漸次国際的な金利まで近づけていごうというふうにお考えになっておりますか、その具体的な措置あるいは手順、こういう点につきまして伺っておきたいと思うのであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申しますように、市中金利に追随すると、金融状態に追随するというばかりでもなく、また、政策的意図で利子を左右するわけにもいかないということを実は先ほどお答えいたしたのであります。しかし、両方とも合して、金融状態に対応していかなきゃならぬと思います。そこで、この金融機関自身の姿勢を正すと申しますか、もう少し合理的な金融、正常化された方向をはかることが、もっと金利を低下さすゆえんではないかと思うのであります。まあ別にその資金を豊富にするまでもなく、そういうような方法が考えられるたろう。まあただいまのところは、金融機関の姿勢を正すことを第一の措置といたしまして、努めてその方へ努力さしておる次第でございます。
○豊田雅孝君 もう少しこう具体的に伺いたいのでありますが、この状態で参りまして、この預金金利を引き下げる、あるいはこの支払超過に転じまする四月ごろに公定歩合をさらに引き下げるというようなことに対するお考えはいかがでありましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの金融姿勢を正すという面から見まして、預金金利を今のように高くしては困るだろうと、ちょっと下げなければならぬだろうと、こういうような意見が出ておることは御指摘の通りであります。しかして、私どもただいまの情勢を考えてみますと、もっと貯蓄は奨励したい気持が多分にあるのでございます。そういう意味から申しますと、今日の貸出金利、いわゆる公定歩合の引き下げ状況等から見まして、預金金利の率が高いのかどうかと、かように考えて参りますると、経営努力によりまして、まだもちろんこのままやつていけると、かように実は考えておりますから、今すぐ預金金利を下げるというような考えには発展をいたさないのでございます。しかし、抽象的な概念的な議論をいたしまするならば、必ずしも金利がどんどん下っていくという場合におきまして、預金金利を今のような状態にとどめることのできないことは、これは私どもにもわかっておるのでございます。問題は、時期に関連してのお尋ねでございますが、ただいまのところ、その四月の月にどうするとかいうようなことは具体的に考えておりません。また、公定歩合の問題でございますが、この公定歩合の問題は、結局資金の需給の関係であるとか、あるいは物価の動向であるとか、経済の動向であるとか、十分勘案して、このアンバランスの適正なあり方を考えていかなければならないのでありまして、できるだけ国際水準にさや寄せすると申しましても、わが国の金融なりわが国の経済には特殊な情勢がまき起るのでございますから、一本やりというわけには参りませんで、金利のあり方は絶えず金融の実情なり経済の実勢を十分に見きわめて、これに対応するような金利のあり方というような考えで参りたい、かように思っておる次第でございます。
○豊田雅孝君 そうすると、結論的には漸次金利を下げていくというお考えには間違いなく、また、それに対してあらゆる努力を尽していこうと、もう少し具体的に伺いたいのでありますが、しかし、次の問題もありますから、この程度にいたしますが、そのお気持はさように承知していいかどうか、この際、あらためて伺っておきます。
○国務大臣(佐藤榮作君) その通りでございます。
○豊田雅孝君 次にお尋ねいたしたいと思いますることは、この金利のアンバランスの問題であります。これは具体的に言いますというと、政府の関係金融機関、これは開発銀行、輸出入銀行、中小企業金融公庫、国民金融公庫、あるいは商工中金、いろいろあるわけでありますが、この大企業中心の金融機関、それから中小企業専門の金融機関、これを金利について比べて見ますると、開発銀行の金利は年九分、輸出入銀行の金利は四分ないし七分五厘くらいでありますが、これに比べますると、中小企業金融公庫、国民金融公庫等は、今回年利を三厘引き下げようという方向に向いておりますが、なお、かつ、これでも九分三厘であります。相当そこに開きがあるわけでありまして、競馬は強い馬に重いおもりをかけて走らせまするけれども、この金利問題は、逆に弱いものに重いおもりをかけて走らしているということになっているのでありますが、しかもこれは、営利的な普通金融機関ということではなく、政府資金を導入している政府関係の金融機関で、しかも今のようなきわめておかしな結果になっている。これらにつきまして、大蔵大臣はどういうふうにお考えでありましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘のように、この点は私ども考えましても、少し是正すべきじゃないかということを実は考えたのであります。御承知のように、開銀の金利は今回実際下りませんけれども、中小企業関係の三公庫につきましては、わずかではございますが、三厘ずつこれを下げた。そうしてこの差が幾分か近づいてきた、こういう処置をとったのでございます。で、御指摘のように、大企業について特に考慮をし、中小企業に対して考慮が払われないというのでは必ずしもないと思います。御承知のように、金利のあり方といたしましては、やはり金額の多寡であるとか、期間の長短であるとか、あるいはまた、いろんな問題を考えまして、金利が考えられるのでございます。信用度などももちろん考慮に入れなきゃならない問題だと思います。それにいたしましても、中小企業関係についての金利が、開発銀行の特殊金利に比べて、あるいは輸出入銀行の特殊金利に比べて、あまりに差のあることは望ましいことではないということで、まあ今回三厘程度これを近づけたという措置をとったのでございます。今後のあり方といたしましては、機会あるごとに、こういう方面にも私どもが努力をしていかなくちゃならないことだというように考えております。
○豊田雅孝君 今の御答弁の線そのものについては、それでいいのであろうと思うのでありますが、従来の努力を見ておりますというと、実にマンマンデーでありまして、今後、今のお考えの線を端的に打ち出されることにつきまして、十分な御努力を願いたいということを要望いたしておきます。 もう一つおかしなことがあるわけなんでありますが、これは中小関係相互間にまた金利のバランスを欠いておるという点であります。これは御承知の通り、中小企業対策の根幹は、中小企業の組織化にあるということは、自民党の政策にも、これはもうはっきりしておりまするし、また、総理以下関係大臣の施政演説などにもはっきり出てきているのでありますが、ところが、実際を見まするというと、組織化の焦点にある組合に貸しまする金利というものが、個人なり、あるいは会社に貸す金利より高いということは、これは非常に不合理な結果になってきているのであります。これは中小企業の組織化が進まないのは当然だということになるのであります。少くとも組合と、あるいは個人と同一の金利にすべきだ。少くとも同一の金利にすべきだと思うのでありますが、逆になっている点につきましての御見解はいかがでありましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっと私は実情というか、お尋ねについて、その御要旨が聞きとりにくかったのでありますが、組合を対象にして貸す場合の金利と、組合員でないというか、普通の企業体に、あるいは個人に貸す金利と比べて、組合に貸す場合の方が商い、こういうお話でございましょうか。
○豊田雅孝君 大体そうです。
○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆる三公庫を通じて貸すような場合においては、ちょっとそういう事情がわかりかねるのですが、今言われますのは、三公庫が組合に貸す場合と、他の金融機関が貸す場合との相違ではないかと思うのですが、そういう意味でしょうか。ちょっと実情がわかりかねますので……。
○豊田雅孝君 特にこの際お尋ねしておりますのは、政府関係金融機関相互間の金利のアンバランスを主として取り上げておるわけであります。そうすると、中小企業金融公庫、国民金融公庫の金利は、今度下げまして九分三厘になるわけであります。ところが、組合のみに貸す商工中金の金利は下げてみてもなお九分六厘くらいになる。そこにアンバランスがあるわけでありまして、従来もアンバランスがあったのでありますが、その是正する線でいくことはけっこうでありますけれども、また、今度は、中小企業金融公庫等の個人に貸し出す金利の方がもう一度下ってきた。そうすると、これは堂々めぐりでありまして、いつまでたっても組合、要するに組織化をした方が借りる金利が、個人として借りる場合の金利よりも、しかもこれは政府関係金融機関から借りる場合に、いつも不利になる。これでは組織化したこともばかばかしいということになりまして、極端にいえば、政府資金自体によって組織化を、妨害とまではいえないと思いますが、結果的にはそういう結果になっておる。ここに非常に問題があるのだが、この点についていかにお考えでありましょうか、こういう意味でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今の商工中金と他の二公庫との間に、今回下げましても商工中金は九分六厘、その他の方は九分三厘ということでございますが、なお三厘の差がある。これは先ほど申しますような基本的な考え方で、順次これを指導していかなければならないと思いますが、そこで今度は組合に貸される場合ですが、この組合が借りる公庫である場合において、それから中金である場合においてその差がやはり出てくるのだろうと思いますが、そういう意味ならば、一応了承できますけれども、しかし、ただいま言われますように、同じ機関から金を借りる場合に、組合の方が個人より割高だというようなことがあっては相済まないことだと思います。これは今後、私ども十分研究して参りたいと思います。
○豊田雅孝君 問題は、組織金融の専門的な金融機関の金利が、そうでない他の政府金融機関の金利よりも常に高く置かれるということでは、組織化の推進上非常に問題だと思うわけであります。この点について、これが普通の金融機関と政府金融機関との関係などならばまだしもなんでありますが、ともかく政府機関の金融機関で、しかも政府資金の導入を相当しておるところにおいて、専門的に組合を扱っておるところの金利が、しからざる金融機関の金利よりも常に高く置かれておるということでは、これは組合を作るということの妙味といいますか、魅力といいますか、何もそれだけで組合を作る、作らないという問題ではないのでありますけれども、しかし、現在のような金融のやかましい際に、金利的に組合の方が少くとも専門の金融機関から借りようという場合に不利だということは非常に問題だと思うのでありまして、それにはいろいろ問題の所在はありましょうけれども、結果的に見るというと、これは実にまずいじゃないかということなのでありまして、この点について、今後どういうふうにお考えになるか、それを伺っておきたいと思う。
○国務大臣(佐藤榮作君) 同一の機関から借ります場合に、組合と個人との間に非常に差があるというようなことがありましては、これはおもしろくないと思います。いろいろな事情があることだろうと思いますが、十分一つ研究して、特に組合等の育成強化には力をいたしていきたいと思います。
○豊田雅孝君 同一の金融機関から借りる場合には、組合と個人ではおそらく区別はないだろうと思うのでありますが、それが組合専門の金融機関から組合が借りる場合、それからしからざる金融機関から個人なり会社が借りる場合に、ここに非常に違いがあるのでありますが、要するに、組合の中央金融機関である以上、これの金利が少くとも他と同等程度になるようにぜひともこれはお考えを願いたい。この点について、積極的な手を考えていただきたいということを要望するのであります。 大体まあおわかりだろうと思いますから、一つ今後の御検討と御努力を期待いたしまして、次の問題に移ります。 通産大臣にまず伺いたいのでありますが、前に、中小企業団体組織法が通りました際に、事業協同小組合というものを作ることになりまして、これに対しては特別の金融措置と税制措置を講ずる、要するに、零細企業対策として税金の面から、それからまた、金融の面から特殊の措置を講ずるということになっておったのでありますが、その後、依然としてこれが実現をしておらぬのであります。それで、これは私の一つの私案なのでありますが、金融措置としては、どうしてもこの際、社会政策的な零細企業金融対策というものを一歩確立しなければいかぬのじゃないか。これにつきましては、一定の金額を、限度を限ることは限るといたしまして、それに対しては信用保証協会が無担保あるいは無連帯保証で信用保証をつけていく、それで不安もあるかもしれませんから、信用保険公庫が再保険をつける。かくいたしまして無担保、無連帯保証で一定の零細金融までは保証料、保険料等はほとんど取らぬような行き方でやっていくということがまず必要なんじゃないか。この行き方をやりませんと、政府資金をいかに導入いたしましても、中小企業の半分以上あるいは三分の二以上ぐらいは入っていきますけれども、それ以下には政府資金を導入いたしましても入っていかない。ここに非常にまた不公平、アンバランスが出てくるわけでありますので、そういう点でこの実情を調べてみますると、どうも小さいものにでもあくまで担保を取る、あるいは連帯保証を要求する。ところが、事業自身はうまくいっておるという場合には、必ずしも担保あるいは連帯保証をとらないで信用保証をつける、これに信用保険公庫の再保険で貸し出しをしていくということが非常に必要ではないかというふうに考えるのでありますが、この点について、御意見はいかがでありましょうか。
○国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、せっかく事業協同小組合の組織ができましても、さっぱりこれは発展しないわけで、今日までわずか四つしか組合ができていない。貸付金額が十五万円だ、これはどこにそういう欠陥があるのだということになれば、これは一つは組合員というのが、いかにもこれは小さい、御承知の従業員三人というふうに、ごく小さいものでありますから、そういうふうなことが、そういう組合というものの組織の利用をよく知らない、PR運動が足りないということが一つだろうと思いますが、同時に、この組合を作ってもそんなに大きな利益がない、興味がない、こういうこともその原因だと思うのであります。そのおもなるものといたしますれば、やはり組合を作っても、信用保証協会が保証してくれても、やはり連帯の責任をしろとか、あるいは担保をとれとか、こういうようなことを言われる結果だろうと思うのでありまして、そういうことのないように政府の方では指導しておるわけでありますが、それが実行されていないことは非常に残念でありますが、今後そういうようなことについてできるだけ手続等も簡単にして、そのかわり金額は十万円以下にするとか、大きな金額でなく、金額に相当の限りをつけて、お説のごとくできるだけ簡単にして、そしてもういろいろな条件をつけないで、保証協会の保証があれば貸す。保証協会はそれを保険公庫に再保険する、こういうふうに進んでいきたいと思っておるわけであります。
○豊田雅孝君 大体けっこうでありますが、念のためさらにお尋ねしておきたいのでありますが、信用保証をつけるけれども、つけるときに担保なり連帯保証をとるという傾向がありますために、絵にかいたもちになりますので、そういう点で信用保証につける場合に、担保がなく連帯保証がなくてもいけるということをおやりになるという意味に了承してよろしいかどうか、その点を念を押しておきたいと考えるのであります。
○国務大臣(高碕達之助君) ただいまお説のごとく、無担保、同時に、連帯保証ということがなくて実行でき得るように指導していきたいと存じております。
○豊田雅孝君 けっこうでありますが、同時にもう一つは、保証料、保険料をこう取られますと、またさなきだに割高の金利で悩んでおります零細企業がいよいよ苦しむわけなんでありますので、そういう一定金額以下の零細金融に対しましては、保証料、保険料は国家がとにかくあれだけ補助しておるものなんでありますから、将来の予算措置におきまして、保証料、保険料を取らぬでもいけるということを同時にお考えにならなければと思うのでありますが、その点についての御意見と、あわせて、零細企業に対しまする対策といたしまして、もう一つの税金面でありますが、これは、零細企業は、資本所得というよりも、むしろ労働所得が主なんでありますので、労働所得に対しましては御承知の勤労控除がある、そういう点から考えますと、そういう特に零細階級に対しましては、今後一種の零細企業控除という特別控除を勤労的要素に重点を置いた考え方でやっていく必要があろう。この零細企業特別控除と、今申しまする無担保、無連帯、しかも、保証料、保険料なしという行き方で初めて零細企業は救われてくると思うのでありますが、この両点につきまして御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく、現在、保証料といたしまして、これは三%取っております。再保険の場合には、五十万円以下のものはこれは安くして七厘、五十万円以上は一分三厘、こういうことになって、小さいものほど幾らかずつ安くしておるわけでありますけれども、この保証料というものは、私は将来なくしていきたいと思います。これは実行できると思うわけでありまして、今の信用保険公庫に対する政府の出資は現在四十億円になっておりますが、これは無利息でありますから、そのほかに地方の方が九十億、信用保険公庫の資金をもっとふやしていけば、これはそれだけ信用保証協会の方でも収入が多くなるわけですから、必ずしも三分の保証料は取らなくても済むようになるだろうと思いますから、だんだんそういうふうにこれを下げていきたいと存じております。なお、この金融上と相並んで税制上に零細企業に対して特典を与えたい、こういうようなことになっておりますが、これはまだなかなか実行困難な点があるようでございますが、しかしながら、零細企業には、一般勤労者の勤労所得に対する控除というものは実際の個人企業者になりますれば差し引かれていないわけでございますから、それなんかの点につきましても、これは大蔵省の方で十分御検討願いたいと思って、今検討中なのであります。
○豊田雅孝君 保証料、保険料を漸次引き下げるということははっきりいたしましたが、むしろ零細金融の一定金額以下のものには保証料、保険料を取らぬというところまで行かんといかぬと思うのでありますが、その点いかがでありますか。
○国務大臣(高碕達之助君) 将来政府資金を大幅に増資いたしますときに実行はできると思いますが、なるべく取らぬように方針はとっていきたいと存じておりますが、それじゃいつから取らぬようになるかということになりますれば、まあできるだけそれに近寄るように努力いたしたいと考えております。
○豊田雅孝君 そうすれば、その問題はその程度にいたしまして、零細企業控除、この点について、これはまあ大蔵省との関係もありましょうから、ここで押したりついたりしておりますと、だいぶ時間が限られておりますので、一つ通産大臣からただいま申しましたような線においてぜひ実現方をおやりになりませんと、事業協同小組合制度に対する特別の金融並びに税制措置と言うても、他にちょっと考えることがないと思うのでありまして、法律がああなった以上は、ぜひこれを実行なさいますように、そうしてまた、大蔵大臣もやかましく言われませんでこれを一つ実現するようにおおらかな気持でお進みになりますことが保守党のために非常に必要だと思いますので、特にその点を申し添えておきます。 次に伺いたいと思いまするのは、最近、大蔵当局の方では、間接税増徴の方向へ持っていこういこうとする傾向がありまして、また、その方面の学者などもそういうふうに行く向きが多いのでありますか、しかし、私は、これに対しまして非常に大きな錯覚が一つあるのじゃないかと思うのであります。これは大蔵省で所管せられておりまする商品といいますと、もうほとんど金ばっかりでありまして、商品といえば、たばこと酒というようなことになるのでありますが、たばこのような専売品、あるいは酒のような統制商品になりますと、これは税をかけましても、あるいは増税をいたしましても、消費者に割に楽に転嫁が行くわけであります。しかし、一般の自由商品になりますというと、これは間接税をかけましても、消費者に転嫁できる建前でありながら、実際的には転嫁ができないで、弱小の資本でしかも過当競争をやっておる業者自身がかぶる。結局、間接税だとは言いますけれども、業者の弱さから、実質的には間接税でなくて、直接税的なかぶり方をしなければならぬ。ここに非常にむずかしい問題があるわけでありまして、これは日本の特殊事情でありまして、外国で間接税がうまくいっておるから日本で間接税がどんどん新設せられ増徴せられてもうまくいくというふうに私はいかぬと思うのであります。そこにおいて、この間接税というものについては非常に慎重なる態度をとらぬと、ねらいと事実が違ってくるということになると考えるのであります。こういう点を考えますると、結局、日本では間接税ということにはなっておるけれども、納税義務者の直接税になり、その結果は所得税ないしは法人税、そのほかにもう一つ事業税というものを考えて参りますると、大体三重課税に実質的にはなっておるということになるのでありまして、ここで間接税の典型的な物品税だとか、あるいはガソリン税だとかいうものが非常に問題になってくると考えるのであります。そういう点におきまして、物品税というものはこれを一応撤廃いたしまして、何らかもっと公平な税制に変えるべきじゃないか、この点について御意見を伺いたいと思うのであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 税制の根本的なあり方についての意見を徴されているように伺ったのでございます。わが国の財政需要、これはまあ税でまかなっておる部分が大部分でございます。これはまあ、御承知の通りでございます。そこで、戦後の財政需要等から見まして、いろいろの税が次々に課せられ――まあ体系を与えたものがいわゆるシャウプ勧告であるということが言えると思いますが、その後の実施状況等から見まして、相当基本的な問題を包蔵いたしておるように思います。ただいまのまあ間接税を全部やめろとまではおっしゃらないか、非常に大幅に間接税についての批判を下されましたが、まあこれについての意見は、一面学者などとるべしという議論もあるし、小売課税を特に強く主張する者もあります。そういう議論は、まあしばらく預からしていただきまして、根本の問題としては、私ども今回税制調査会を設けて、そうしてじっくり期間を与えて、基本的な税のあり方を一つ考えてみようということを実は申しておるのであります。この税制審議会においては、ただいま御審議をいただいておるのでございます。しかして、それまでの大体の形から申しますと、わが国の税収入ではやはり直接税か一番その根幹をなしております。従いまして、その面の負担が非常に重い。国民的批判も非常に強い。事実この戦後の二、三年の間の税を見ますと、確かに国民負担に対して重いように思いますので、その面の軽減方法をしばしば、累次にわたりましてとったわけでございます。しかし、もう今日になりますと、ただいま申すような基本的な問題について考えなければならないだろう。先ほど来組合の点についてのいろいろのお話が出ておりますが、まあ税のあり方はどこまでもその負担力に応じての公平な税でなければならないことは、これはもう第一の要素であろうと思いますし、そういう意味で考え直してみる。いろいろ政策的な税法上の特例等も設けておりますが、これなどももう一度検討すべきではないか。そういうふうに考えて参りますと、いろんな全体としての負担が重いという意味で、所得税をもっと軽減しろという御議論ももちろんございますが、今日の税の実際から見て、特に考慮を要すると考えられるものは、おそらく企業課税のあり方であるとか、ただいまお話しになりました間接税のあり方であるとか、あるいはまた国税と地方税との関係、これを税源の関係から分配して見るとか、まあこういうような問題が今後特に考究を要する問題であるように思っておるのでありまして、そういう意味で税制調査会が誕生しまして、そうして相当の期間をかけても差しつかえないから権威のある答申を得て、これによって一つ税制をもう一度見直してみよう、そういうことにいたしたいもんだ、かように考えておるのであります。
○豊田雅孝君 将来税制審議会にかけまして、合理的な税制をいよいよ本格的に考究せられようという段階にありまするだけに、特にただいま申し述べましたわが国のこの特殊事情――外国で成功しておるものが必ずしも日本で成功するというわけにいかぬのでありますから、その点について特にお考えになるように、その面からはこの間接税というものが理論的にはいいようであって、非常に実際的には逆の方向に向いていく結果が出て参りますんで、この点を特に御研究願うように強く要望いたしておきます。 と同時に、伺いたいと思いますのは、この高級織物の物品税、それからガソリン税の引き上げ、これがあまりにも現在不評であるということは大蔵大臣が最もよく御承知だと思うのであります。そういう点から見まして、現在の国会内外からの強い反対に対しまして、大蔵大臣は率直にどういう見通し、対策をお持ちになっておりましょうか。これを一つ端的、率直に伺っておきたいと思うのであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) ガソリン税並びに物品税の改正につきましては、私ども慎重審議いたしまして、結論を出したのでございまして、一部のこれの修正論者の方々は、世論が非常に修正を支持しておる、こういうようなお気持のようでございますが、私どもの見るところ、ことに最近一部においてこの修正の意向があるやのことが出て参りまして以来の各種の報道等を見ましても、原案を強く支持しておるようでございまして、言われるように、各方面まことに不評だとは実は考えておりません。私どもはただいま予算審議の最中でもございますし、この原案を作りますまでは、非常に各方面からデータも集めて、精査して結論を出しました。相当の期間を要しましたが、今日結論を得ております現状におきましては、これは原案の成立を強く期待いたしておる次第でございます。
○豊田雅孝君 このガソリン税によりまして道路の整備計画を進めていとうというようなこと自身が、私どもはまあどうかと思うのでありまして、一兆円に上る道路五ヵ年整備計画というようなことになりますというと、これはむしろ今日の金融情勢からいえば、道路公債を出して、それによって堂々とやられた方がいいのじゃないか。一部の業者に負担――これもさっき申しました間接税的なものですから、自然転嫁ができるはずのものが、一部の業者負担になる。こういうようないき方によるみみっちいいき方でなくて、堂々とした道路公債によるいき方でいかれるのがいいのじゃないかというふうに考えるのであります。この点いかがでありましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 揮発油税を目的税にいたしまして、この揮発油税によって道路整備をするという基本的な考え方をいたしております。今日までのところ、一兆円に上る五ヵ年道路計画、この政策は必ず御賛成また御推進を願えるものだと思いますが、問題はその財源をどこによるか、ただいま申し上げますように、目的税にしておる揮発油税でこれをまかなうか、あるいは一般国費でまかなうか、公債等によってこれをまかなうかということでございますが、いろいろの場合にいろいろの問題があることではございますが、ただいま増徴いたします程度の揮発油税の増徴を、これは負担力があるのかないのかという点で十分私ども精査いたしたのでございますが、この程度の事柄ならば負担力ありという実は結論を出しまして、今日目的税であるこの揮発油税の増徴、それを根幹にしての道路計画を推進することにいたしたのであります。これより以上の増徴をいたしますことは、その負担力の点等から見まして、また事業等に対する圧迫も大きいというので、一部は国費によりこれをまかなっていくという措置をとったのであります。道路公債の問題につきましては、いろいろの御議論のあること、すでに御承知の通りでありますが、私どもは今日の国内の状況からいたしますと、やはり通貨価値を安定さすことに第一の主眼点を置くべきだ、こういう意味で、大幅な道路公債などを発行する時期でないということで、この点を採用いたさなかったのであります。外国等の例を申し上げることは、直接日本の事情と違いますから、これは比べものにならないという議論もあるかと思いますが、道路の整備等は各国ともガソリン税によりまして整備いたしております。その考え方は、同じような気持で出発いたしておるものだと思っておるのであります。今回の一兆円五ヵ年道路計画にいたしましても、全部が全部ガソリンによる整備でもございませんので、そういう点も御了承お願いしたいと思うのであります。
○豊田雅孝君 ガソリン税の引き上げ、あるいは高級織物物品税等税源といたしまして考えましても、それほどこだわられるほどのものでもないように全体からはみられるのでありますが、むしろ租税特別措置法を全廃せられまして、あれによって、全廃すれば当然八百億ないし千億の財源は出てくるのでありますが、終戦後の混乱期においては、ああいう租税特別措置法によります内部蓄積の推進ということも必要であったかと思いまするけれども、もはや今日のような安定期に入りますというと、ああいう租税特別措置法的な行き方というものは、一部に非常な利益を与えるが、一部には全く絵にかいた餅になる。こういう点も非常にアンバランスになってきておるのでありまして、むしろ、今申す租税特別措置法を廃止することによりまして大きな財源を見出される。それによって、今申す特定の者をねらっていくような行き方の税、たとえば物品税、ガソリン税、あるいは木材引取税、こういうものは廃止するということが、私は今の安定期に入っておる日本の経済から考えますると適当だというように考えるのでありますが、この点はいかがでありましょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 租税特別措置というものはいろんな理由から生れておるものでございますし、産業育成であるとか、あるいは輸出振興であるとか、あるいはまた各種の準備金等の問題になりますと、会社経理上当然だと首肯すべきいろいろなりっぱな理由があるのであります。ただ、特別措置法であるがゆえにといって、簡単にこれを廃止するというわけにはいかないと思います。問題は、税に関します限り、公平な税負担であるか、あるいは負担力があるかないか、こういう点を特に重点において考えていかないと税制はでき上らない、こういうように実は思うのでありまして、今回のガソリンの場合におきまして、これはいろいろ議論の存するところではございますが、業界自身においてこれだけの負担力ありやいなや、こういう問題が一つあるわけでございますが、私どもは、そういう意味においては、やはり負担力ありと実は考えておるのでありますし、また直ちにこれが大衆の負担にすぐ返っていく、こういうものであるかどうか、これも私ども検討いたしましたが、そういうものではないような結論を出しておるのであります。 高級織物等についてのいろいろな御議論がございます。これは、新規課税ではないかというようなお話もございますが、他のいわゆる高価な豪奢品等について税がかかっております点を考えてみますと、やはり公平な分配と申しますか、公平な税のあり方という点から見のがすことができないように思うのでございます。
○豊田雅孝君 もう一点。ただいま税の負担力の点をるる申されましたが、大体今の物品税なり、あるいはガソリン税なり、こういうものをかけられておる一番主なる対象になっておるのは中小企業関係でありまして、こういうところに税負担の余裕があるというふうに私どもはちっとも考えぬのであります。そういう点においては根本的に今後お考えになる必要があると思うのでありますが、時間がないようでありますから、もうこれ以上きょうは申しませんけれども、将来税制審議会等で検討せられますときには、特に税負担について考慮をめぐらすということになればなるほど、所得税ないしは法人税のほかに事業税で二重課税、さらに物品税、ガソリン税、木材引取税等による実質的な三重課税、こういう点については、税負担の点から最も考えなければならぬと思いまして、大いに今後根本的な、基本的な御検討を願いたいということを強く要望いたして質問を終ります。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの点ですが、今回の物品税の軽減に際しましては、ただいま御指摘になりますように、中小企業の製造にかかるものであるとか、中小企業者の負担軽減というような意味で、大幅に物品税の軽減をはかっておるのでございます。ただいまは、新税あるいは増徴する分についての御批判のように思いますが、間接税のあり方等については、御趣旨の点なお研究するつもりでございます。
○矢嶋三義君 議事進行について。先ほどわが党の栗山委員の議事進行に関する取扱い方のいかんというものは、今後のわが参議院の委員会の運営に非常に大きな影響を及ぼすことはもちろんのこと、発言した栗山君並びにわが日本社会党の名誉にも関する問題でありますから、この際私は明確にしておかなければならぬと思います。三分間で終りますから聞いておって下さい。 まず、委員長は、午後の委員会を開会されるに当って、一部の人を定足員数として取り扱われた。すなわち、委員として取り扱った。しかし、その時点においては、委員差しかえ確認書は来ていなかった。そこで、質問を継続しておって、途中で、その確認書が来たから、松浦君の質問終了後にそれを読み上げた。そこで栗山君から議事進行の発言があった。これが経過です。それに対して、課長がここに飛んで来て、そして栗山君の発言は誤りだと指摘され、話し合っているうちに、委員長は議事を進行されたわけです。これが経過です。そこで、これは明確にいたしたいと思います。確かに各党の委員を入れかえるときに、事務当局に届ければ、そこで何々委員の資格は確保されます。しかし、当該委員会において委員として認められ、委員数に数えられ、発言が許可され、採決に加わる、委員としての権限の発動ができるのは、その委員会において委員長がその差しかえを確認し、委員に披露した後でなければできないことは明瞭です。たとえば、それなら私が大蔵委員会に行って腰かけておれば、あなたのところに矢嶋は大蔵委員になったという確認書が来ていないのに、私がすわっておれば定足数に数え、発言を認め、採決に加わらせますか。絶対課長の説明というのは誤りだと思う。だから、わが栗山委員はそれを指摘した。それに対して課長は、栗山委員の議事進行の発言は誤りであったようにここに来て指摘された。その問題が解決しないままに、委員長は、文書が来ていなかったから、質問の途中に文書が来たから今読み上げた、こういうふうにあなたは発言されて続けていかれた。これは明らかに誤りです。念のために言いますが、私は委員部長のところに行って討論して来た。こういうことでよいか、委員部長は、私の意見の通りだよと言った。だれが考えてもそうです。これは、速記に残っておらなければこういうことは言いませんけれども、速記が残って、栗山君が誤った議事進行の発言をしたような形になっておるわけですから、ここで課長並びに委員長は、遺憾の意を表し、釈明してもらいたい。委員になれることと、その委員会において委員の定足数に数えられ、発言が許され、採決に加わる委員の権限の発動とは違いますよ。委員長が確認し、披露してからでなければできませんよ。それを栗山委員は指摘した。はっきりしなさい。
○理事(西田信一君) お答え申し上げますが、ただいま確認いたしましたところ、差しかえの手続は済んでおりましたが、私のところに、質疑中でございましたので、報告の連絡が時間的におくれましたが、質疑が――松浦君の質疑が終了いたしましたので委員の差しかえの御報告を申し上げまして、そして発言者にも御了解を求めまして、御了解を願いますと申し上げまして議事を進行いたしたわけでございますから、そのように御了承を願います。
○矢嶋三義君 今後のこともありますから、ピントをはずさずはっきりいたしましょう。定足数がそろったからといって始めたわけですね。だから委員としての定足数に数え、委員としての権限を発動されてるわけですね。そのときに委員が変ったという通知があなたのところにきていないということを、あなたはさっきおっしゃったのです。そうでしょう。あなたおっしゃったわけですよ。そのときは書類が来ていなかったから今読んだんだということを、あなたはさっきおっしゃった。あなたのをところに、これこれの人がこれこれの人にかわったという通知があなたのところに来て、あなたがそれを確認して、初めてその人はこの委員会における委員としての権限が発動でできるのですよ。あなたはその人を定足数に入れ、発言を求められれば許可する、採決があれば採決に参加させるのですよ。あなたのところにその確認書がこない前に、この委員会で委員としての権限を発動できませんよ。これは事務局に届け出ることによって、その人は予算委員という資格を確保する。しかし委員会におけるなにはできませんよ。それなら私はさっき言ったように、文教委員会に行ってすわってるですよ。矢嶋が文教委員としてかわったという通知があなたのところに来ていない、それで私がすわっていれば、私を定足数に数えるのですか。発言すれば「矢嶋君」と言って許可するのですか。はっきりしてますよ、それは。だから課長は事務当局に届け出ることによって委員となり得るということと、その委員会における委員としての権限が発動できる、すなわち委員長は定足数に数え、発言を許可し、採決に参加させる、それと混同してるんですよ。委員長自体が、この委員がかわったということを確認できぬで、この取扱いはできませんよ。だからさっきの栗山委員の議事進行の発言は的確なんですよ。誤りだというような印象を与え、それが速記に残ったということは、今後の委員会の運営にも影響があるし、栗山君自身の名誉に関することです。だからこの点は課長、はっきり遺憾の意を表していただきたい。それからまた委員長におかれても、盛んにここで、僕のところで鈴木理事が、特に定足数がなくちゃいかぬ、人数がなくちゃいかぬ、それを二十三人だ、定足そろったというのでお始めになったわけだから、あなたはそれを定足数として認めたわけです。ところがそのときあなたのところに確認書がなかったわけですね。だからほんとに遺憾の点があるということを言っておいてもらいたい。速記に残っていなければ私はこういうことは言わないのです。今後いろいろな場合に、確定解釈しておかないというと問題が起るわけだから私申し上げておるのですから、その点両者から釈明しておいて下さい。
○理事(西田信一君) 私からお答え申し上げますが、ただいま確認いたしましたところ、こちらのところまでは参っておったそうでありますけれども、しかし何か名前の書き違いがあってそれを直すためにちょっと持ち帰ったということでございました。私は報告の時間はおくれましたが、今委員のさしかえは委員長において確認されておりまして、報告の時間がおくれたという事情でございますので、御了承願いたいと同時に、委員部からその間の事情を一つ説明させます。
○矢嶋三義君 ちょっと待ちなさい。こだわる必要はないですよ。国会法に参議院規則の運用の規定が明確になればいいのですよ。私はきょうのは遺憾だとは言わぬ、遺憾というのじゃなくて、運用が明確になれば、さっきの課長の解釈は間違いですよ。栗山君のところに走ってきて栗山さんの発言が何とかということで書き違ったとか直すとか、そんなことは関係ないですよ。委員長はそれを確認したらなぜその瞬間に披露しなかったのです。質問が始まったから披露できなかったのですか。その点は委員長に遺憾な点があるわけです。率直に認めておきなさい。そうでなければいろいろな場合に委員がかわった云々という問題が起る。昔は御承知のように議院運営委員会で一ぺんきめなければ差しかえできなかったのです。だから国会末期になってそういうことがあって議院運営委員会を頻々と開くのがめんどうだからというので、事務局に届け出ることによって委員の資格が取得できるように変更してきたのです。だから国会末期になって定足数があるかないかということはいろいろなことになってくると、これは運用が非常に紛争のもとになるのですよ。だから明確にしておかなければいけないので、私はこの見解は、委員部長にさっき会って確認してきたのです。はっきりしているのです、それは。だからさっきあなたが栗山さんにとった態度というのは適当じゃないですよ。時間をかけることはないのだ、はっきりしなさいよ。
○参事(若江幾造君) 先ほど申し上げましたが、委員の変更は、変更の通知書を議事部の方で受理しましたときに委員になる、そういうふうに事務局では解釈しております。で、後段の委員会での委員の権限の発動は委員会で委員長が報告しなければそれはできないのだとの御説でございますが、私どもは委員長にその通知を見せまして、委員長がそれを確認なさったときに委員会において当該変更は効力を生じて委員の活動をなし得る。で、委員会において委員長が一般に御報告なさることはいわゆる報告でございまして、適当な機会に、なるべく早く委員の皆様にそれを周知させられる、そういうことだと解釈しております。
○矢嶋三義君 お二人方、皆さん、帰りたがっているのですよ。何をこだわっているのですか。こんなことで面子が立つとか立たんとかいう問題じゃないじゃないですか。私は大きな声を出しますよ。委員長はさっきあの問題になったときに、あの前に書類が来ていなかったから読まなくて、質問中に来たから読んだとおっしゃったじゃないですか。明かに速記に残っているのですよ。来ていなかったのでしょうが、来たらなぜ読まないのですか。
○千田正君 議事進行。ただいまの解釈は委員長においても十分に御了解なったと思います。それは議事運営規則その他に多少、今矢嶋委員の質問の通り了解ならない点がある。ちょっと速記をとめて……。
○理事(西田信一君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○理事(西田信一君) 速記つけて。 ただいま矢嶋委員から御発言のございました、委員差しかえの報告の件につきましては、私、委員長として、若干不なれな点もございまして、報告の時間が若干おくれましたために、いろいろ疑義を起しましたことは遺憾でございますが、将来そういうことのないようにいたしますので、御了承を願いたいと思います。 豊田君の質疑はこれで終了いたしました。次回は、十六日午前十時より委員会を開きます。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十一分散会