法務委員会 第9号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/03/10
会議録
○委員長(古池信三君) これより本日の法務委員会を開会いたします。 まず最初に、検察及び裁判の運営等に関する調査をいたしまして、少年犯罪対策に関する件を議題といたします。 本件の調査につきましては、ただいま岸内閣総理大臣が出席されております。少年犯罪対策の基本方針等につきまして質疑の通告があります。これを許します。
○宮城タマヨ君 お忙しい中、御出席おそれ入ります。 少年法を中心にいたしまして、数点お伺い申し上げたいと存じております。 最近少年の犯罪が非常にふえまして、私ども、常識といたしましては、犯罪件数は十万と言っておりましたが、最近当局の発表いたしましたものを見ますと、もうすでに十五万近くなっております。これはゆゆしい問題だと思っておりますが、それにつきまして、何か内閣の力で手を打っていらっしゃるでございましょうか。その点につきまして、総理大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 少年の犯罪が激増しておるということは、統計にも別われておりまして、私どもも、きわめて憂慮すべき事態であると考えております。 これに対する対策といたしましては、これは、私から申し上げるまでもなく、それらの少年がかくのごとき犯罪を犯すに至る原因なり環境を調べてみまするというと、いろいろと、われわれとして、一般政治の面において考慮しなければならぬ面が少くないと思います。貧困な家庭の状況であるとか、あるいは育っておるところの家庭を中心としての環境であるとか、あるいは社会一般のいろいろな刺激するような刊行物や、あるいは映画等の影響であるとか、いろんな面があろうと思います。従って、これらの対策といたしましても、一つの方法でこうだというようなことはなかなかむずかしかろうと思います。 そこで私は、内閣に、青少年問題について、関係の各省やその他の人々を入れた協議会を設けまして、ここにおいていろいろ少年に対する対策を考えて、少年の非行化の方向におもむいていくことを未然に防ぐような措置を総合的に考究して参っておりますし、今後もこれについて、もう少し強力にそういう施策を進めていきたい。同時に、ずいぶん世間を驚かすような凶悪犯罪を犯した少年の過去を見ますというと、何回か警察にその他の犯罪でもって連れていかれ、いわゆる累犯といいますか、そういう犯罪を重ねているうちに、凶悪の犯罪になるというような事例も少くないと思います。こういう意味から申しますというと、もう少し犯罪のことについて総合的に、あるいは科学的に研究を進めて、そうしてこれに対する対策を講ずる必要があるのじゃないか。今度法務省にそういう意味における総合研究所を設けまして、特に科学的方面からそういうことを研究し、これに対する各機関の少年に対する取扱い等につきましても、それを一つ基準として、犯罪の予防になお一そう強力に力を注いでいきたい、こう思っております。
○宮城タマヨ君 ただいまのお話の中にごさいました問題につきまして、青少年協議会でございますが、この青少年協議会は、何かおしまいになりそうなうわさもございますが、これは、今のお言葉でございますと、まだやつぱり引き続き内閣にあるわけなんでございますね。そこで引き続きお願いしたいのでございますが、これは私は、消滅する段でなくて、もっともっと強力にしていただきましたらという願いを持っております。そこで、協議会でなしに、これを審議会にしていただいたらどんなものかと思っておりますが、御意見いかがでございましょうか。
○国務大臣(岸信介君) お話の通り、私は、この青少年問題協議会を決して廃止するつもりはございませんし、むしろこれを強化して、大いにこの問題に関する有力な意見を取りまとめていくようにいたしたいと思います。今直ちに審議会にするという考えを持っておりませんけれども、しかし、将来の問題として、これは私は恒久的に置きたいと思いますから、さらにその構成等についてもなお検討を加えて、これを強化することについては、今後研究して参りたいと思います。
○宮城タマヨ君 それから、映画のお話が出ましてございますが、これは、ほんとうに映画の悪影響ということは、みなもう心痛している点なのでございます。ところが、今日では、検閲制度がございませんで、そこで、大体から申しますと、野放しになっている。これが私は、今日の青少年問題の悪化に非常に影響を持っていると存じておりますが、ごく最近下町の方でありました通り魔でございますか、あれが、よく調べてみますというと、ちょうど二、三日前に映画を見まして、その映画で、鋭利な刃物を持っておりまして、それこそうしろを向かないで、すれ違うときに刃物をもって、顔を向けないで切りつけるということをいたしたので、一人は、小学生が死にましたのでございますが、あとの二十人も、みんなそれぞれ大なり小なりけがをいたしている。これをやつっぱり当局も調べましたら、二、三日前にちょうどそれと同じ映画を見たのだということがわかったということを聞きましたのでございますが、顔を向けないので、今もって逮捕できないようでございます。そういったような最近のむごたらしい例がございまして、映画というものを何とかして一つ取り締っていただけないものかというように考えておりますが、御意見いかがでございますか。
○国務大臣(岸信介君) 戦後いろいろなことが自由になりまして、これを統制するとか、政府の意思でどうするということはなかなかできないようなことになっておりますが、映画につきましては、御承知の映倫というものがございまして、これに対して政府の方から、いろいろ意見として今弊害等を相当強調して、その反省を求めております。最近におきましては、この映倫の活動によって、よほどよくなりつつあるとは思います。しかしまだ、われわれから見まして、決して望ましい姿ではないと思います。 なお私、先日来私自身がしみじみ、感じますことは、テレビを見ておりますというと、ずいぶんいろいろなテレビに出るところのものが、形は違いますけれども、いろいろな殺人、中には、巧妙な一つの犯罪を教えるかと思われるほど詳細なことがテレビに出ております。こういうことが青少年に与える影響というものは、私は非常に大きいと思う。そういう点に関しましては、これは、各テレビ放送をされる方々で十分に一つ自制し、その影響力というものを考えていってもらいたいというようなことをしみじみと実は感じておるわけでございます。
○宮城タマヨ君 テレビのお話が出ましたが、私もしみじみそのことは日々に感じておりますことでございますが、ことに母親の立場を持ちます私ども婦人が、母の声としていろいろ立てなければならないこともあると思っておりますけれども、一方また、何とかしてその取り締りの方法というものはございませんものでしょうかと私は考えておりますが、今の御説明でだんだんわかって参りましたけれども、一つこの点は、テレビなり映画なり、特にお考え願いたいということをお願い申します。 それから、次は警察のことでございますが、警職法は、あの通りに、国会の審議に至らなかったのでございますけれども、あの三条の二項でございましたか、青少年を、子供たちを、必要に応じては、五日間くらい警察にとめおくことができるという、これはもう新たな、非常に驚くべき条項が入っておるのでございます。私の願いとしましては、子供を一ぺん警察の門をくぐらしたということで、非常に新たな悪影響ができる。だから、子供をどうしても警察の門をくぐらせないという方法はないだろうかということ、ことに、私ははなはだ妙なことを申しますけれども、岸総理は、ほんとうに子供をかわいがって下さり、子供の問題について特にお考えいただけておりますと私は信じまして、喜んでおります。それで、一つこういう点について、私、格段の御施策を願いたいと、お願いするわけなんでございます。まあ十分な研究は積んでおりませんけれども、アメリカにおきましても、大きい都市にはシティ・マザー、市のおっかさんというものがあって、これは、警察のかわりに市のおっかさんが、ほんとうに平服を着まして、わが姿のままで、ただ職務上の権限はひそかに隠しておりながら、子供を市に連れていって、市の部屋において子供を調べておりますが、ヨーロッパにおいても似たり寄ったりの制度ができておりますけれども、この市のおっかさんを、だから私は、これをお母さん警察と言うてもいいと思いますが、日本でも、どうしてもこういうことに小さい子供を扱う——たとえ犯罪児といえども、扱うものは、やはりおっかさんらしいものに扱わせて、警察の門を一ぺんもくぐらせないような工夫というものは一体ございませんものでしょうか。これは私、長年の問題っておることなんでございますが、このおっかさん警察というか、市のおっかさんというか、言ってみると、国のおっかさん格の人がやわらかく子供を扱っていただくということは、私の願いたいことでございますが、総理大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(岸信介君) 宮城委員は、この点については、いろいろな御体験を持っておいでになることと存じますが、今おあげになりましたように、少年に警察の門をくぐらせるということが、心理的に、またその子供の考え方に非常な大きな影響があるという事実は、これは無視できまいと思います。ただ、犯罪を犯すおそれがあったり、あるいは他から迫害されたりする場合に、これを事前に保護して、その危険を除いてやることも、これもまた国としては考えなければならないことでありまして、それを警察官に扱わせることが適当であるかどうかという問題になると思います。もちろん、警察官の教養を高めて、その場合において、一般の刑事犯罪人と同じような取扱いをすることがないようにしていくことは当然のことでございますが、さらに、日本にも婦人警官というものがございますから、そういうものに扱わせるというようなことも考えなければなりますまいし、また、今おあげになりましたアメリカのシティ・マザーというような制度についても、一つ日本にこういうものを取り入れる場合にはどうしたらいいか、取り入れられるかどうかというような点に関しまして、十分一つ研究をいたしていかなければならぬと思います。いずれにしても、とにかく犯罪を、少年の非行化を防止するために、必要な国家の措置というものは、やはりこれは講じていかなければならない。それを現在警察官に扱わしておりますということは、いろいろな沿革上の理由もありましょうし、また予算等の関係もございますし、いろいろな点があると思いますが、今御指摘になりましたような、これは、少年の心理的に及ぼす影響等を考えてみますというと、この問題については、なお慎重に一つ政府としても検討をし、研究をして参りたいと思います。
○宮城タマヨ君 もう二つ、ちょっとお願い申し上げたい。 この少年法全般につきましてでございますが、この少年法を一ぺん御破算にして、もう一ぺん立て直しをしていただきたいと私は願っておりますが、内閣におきましてそういう議は持ち上っておりませんでしょうか、どうでしょうかという点でございます。たとえて言ってみますというと、一番問題になりますのは、おとなの場合でございましたら、幾ら今日教育刑だと言いましても、やはり刑の量定によって処分されるのでございますが、子供の場合は、どこまでもこれは教育刑でなくて、保護教育、矯正教育をしなければならない。それにつきまして、この刑の言い渡しをいたします裁判所と、それから刑の執行をいたします法務省というものと、これは二本立てになっております。それで、言ってみますと、裁判で調べましたこれは、犯罪事実だけでなくて、おもに環境教育というようなことも非常に重点を置かなくちゃならぬ、また、置かれていると思っておりますけれども、その後の刑の執行におきまして、判事はちっとも関与しないという現状なのでございます。たとえば、この間のんだくれの父親を殺しましたあの娘でございます。十六歳ニカ月でございます。それは少年院に送られております。これは、裁判の決定は、少年院送りという保護処分でございましたが、この保護処分についても、この決定についても私意見がございますが、それはともかくといたしましても、少年院に送られましたその少年について、判事が一度もその後の様子をごらんにならないし、また、なる必要も法律上はございませんから、そうすると、一体徹底して更生保護を願っている者は一体何か、どの機関であるかということになると思いまして、これは、国家としては非常に無責任なことじゃないか。つまり保護を要します、また教育を要します子供らに対して、私は、これは国家的にいえば非常に残念なことじゃないかというように思っておりますが、これにつきましては、やはり少年法を全面的に改正していただいて、一ぺん御破算にして、やり直しをしていただきたいように思っておりますが、御意見いかがでございましょうか。
○国務大臣(岸信介君) 現在の少年法につきましては、今御指摘になりましたように、審判と執行の機関が違っておるということから生ずるいろいろな問題であるとか、あるいはさらに、適用範囲をもう少し年令を下げて拡大したらいい、あるいは検察官の関与の道を開いたらいいとか、いろいろな議論も私ども従来聞いております。しかし、一番大きな問題は、今の本来の少年法の目的が他の成人に対する場合の刑罰等と違って、特に保護更生をせしめるということに中心を置かなければならぬ精神のものであろうと思います。これについても、根本的に一応御破算にして、立て直したらどうかという根本的な御意見でございます。これは実は、旧少年法と今の少年法との違いも御承知の通りでございますし、その根拠は、さらに憲法にまでさかのぼる点があると思います。これらもまた、新憲法下における司法制度のあり方というようなものにも関連を持つことでございますので、一つこの問題は、大きな問題として、政府としては、根本的に各方面から一つ検討をしなければならぬ。また、各国における少年法に関する諸立法等も十分に一つ検討して、将来これを検討して参りたい、こう思っておりますが、しかし、現在の法律上の欠陥として指摘されておるようなことにつきましては、何らか、まだ、私は、行政措置におきましても、取扱いの方法にしても、もう少し連絡なり方法、実質上に目的を達する方法もあろうかと思います。執行機関と審判機関が全然別だという今のお話のように、全然離れておるということを、実際の扱いとして、もう少し連絡をとれる方法も、これは扱いとしては、法律の建前は別として、考えられることでありますから、そういう点については、法律改正前におきましても、ある程度の欠陥を是正するように運用していくことを考えていきたい。根本的な問題は、先ほど申し上げましたように、いろんな方面に影響しますから、一つよく検討いたしまして、その上で結論を出したいと、こう思います。
○宮城タマヨ君 もうちょっと伺いたいのです。 日本で申しますと、厚生省関係の草生保護の子供たち、それから法務省の犯罪少年、それから労働省の労働少年、それから文部省の下の方の子供たちの教育に使います費用を、ここ数年間私計算してみましたら、日本の国がそれらの子供たちに使っております費用は、全国費のわずか三%に足らないものであります。私は、これをよくスズメの涙と言いますけれども、スズメの涙ほどでもない、ほんとうにわずかな費用を子供に使っておる、それでいい子供を作ろうということは、少し虫がよ過ぎるのではないか。これは、アメリカ、ヨーロッパの方を大体調べてみますと、スイスなんかは四〇%以上子供のことに使っておるようでございます。私の調査に間違いございませんでしたらそうでございます。それで、そういうことは今の実情としてはできませんけれども、もう少し私は、政治の面において、そしてほんとうに国費のその使途に関して、もっと子供を重大に取り上げていただきたいということを、これは私、総理に特にお願い申し上げたいことです。 それと、いま一つは、これは長年台頭したり引っ込んだりしますけれども、法務省の子供は、犯罪少年というような焼印をつけることはいけないがら、労働省の労働少年、それから法務省関係、厚生省関係、それから文部省関係、そういう子供たちについての問題だけをひっくるめて、一つの児童省といいますか、少年省といいますか、一つの省を立ててすべきじゃないか。これはまあやはり、欧米各国のやり方を必ずしもまねてということではなくて、そういう声がもう数年前から、もっと前から起っておるようでございますが、しかし、これはむずかしいことで、その議論も消えたり台頭したりておりますけれども私は、自分の長年心血を注いでやっておりますこの犯罪少年、つまり法務省関係の子供だけから考えますと、これは、もっとぼかしていく意味合いにおきまして、もし少年省とか児童省というようなものか打ち立てられまして、その中にひっくるめて、その問題の子供を入れて、ただきますというと、非常に私は子供らの将来に仕合せではないかと思っておりますが、いかがでございましょか。
○国務大臣(岸信介君) お話の通り、われわれ少年問題を考える場合におきまして、それが成人して、社会人としてりっぱな働きをするように、長いそれらの少年の将来の人生というものをりっぱにし、幸福にするということを願って、すべての施策が行われていかなければならないということは、言うを待ちません。それで、少年は特に感受性が強いものでありますから、いろいろ、先ほど申しました警察の門をくぐるというような問題にしても、あるいは、一度何らかの形であやまちを犯し、犯罪をしたという何に対して、何か犯罪人というような烙印を押して、それを一生涯背負うていかなければならぬというような運命にすることは、これは、少年問題を扱う場合においては大事な問題として、われわれが常に心がけなければならぬ問題だと思います。そういう意味において、むしろ児童省とか少年省とかいうような形において、少年問題全体を一つ引っくるめて、あらゆる面からこれを施策していくことが望ましいのではないかという御意見でありますが、私は、そういう意味において非常に望ましい点があると思います。ことに先ほどお話がありました予算の点に関しましても、やはり各省にいろいろな仕事が分れておりますというと、自然予算を取ることにつきましても、これが分れ分れになる。これの執行につきましても分れ分れになって、その効果を十分に発揮するということがむずかしいというような点もございますから、そういう点においては、確かに児童省とか、そういうまとまりということは望ましい形だと思います。しかし、同時に、今日日本がこういうふうに分れておりますことは、単に沿革的にそうなっているというだけではなくして、やはり少年教育のことをやっておる文部省というものが、教育に関しては格別の知識や経験を持ち、また全体を考えていくという、そうしてその一環として少年の教育問題なり、少年というものを扱っていくという立場がありましょうし、あるいは厚生省にしても、あるいは法務省にしても、それぞれの立場からそういうふうに全体として見ていくべき面もまた私はあると思うのです。ここが行政機構の改革問題を論ずる場合にいつも問題になるわけでありまして、ただ単に、役人の権限争いであるとか、なわ張り争いというような問題であるならば、それはもちろん、反対が強くても断行してもいいわけでございますけれども、十分に行政の効果をあげる上において、どういう機構をとったことが一番望ましいかという点につきましては、ただ一方だけを見て直ちに結論を出すわけにはいきませんから、児童省の問題につきましても、御趣旨のような点についての私は非常に大きな利点があることは認めますが、さらに行政機構全体の問題に関連をいたしますので、今直ちにここで、児童省がよろしいからこれをやりますということを申し上げることができないのでありますが、御趣旨の点については、私も共鳴するところが少くありませんのでなお、そういうことを取り入れて、研究を続けて参りたいと思っております。
○宮城タマヨ君 新聞記事でございますが、私は、最近子供が親を殺したとか、お友だちを殺したというような記事が毎日々々出て参りまして、非常にこれは困ったことだと思いますし、それから、この間も、父親殺しの直後なんかは、皆さんもう、わが家の茶の間でも通りでも学校でも、おもしろおかしく、話が大へんはずんだというようなことを聞きますと、これは困ったことで、そして自然に、わが子供も油断していると首を締めるというようなことになりましたら大へんだ、そういう話もつじに散らばっていたようでございますが、これはもう大へんなことで、今日新聞の検閲なんということももちろんございませんからでございますけれども、何とかこの新聞記事はそういうことを伏せて、できるだけ子供らにいいものはとり上げるというような何かございませんものでしょうかと思っておりますが、この点は一つ内閣で私は御研究願いたいと思っております。総理への質問は、これだけにいたしておきます。
○国務大臣(岸信介君) 今、新聞特に社会面のお話がありました。私どもも、ずいぶん同じような感じを持っておる者でありまして、ただ、新聞は、事実をできるだけ正確に、正しく、早く報道するという意味から、社会的にそういうような残虐な行為や犯罪的なことが多いというと、自然新聞にはそうなってくると思いますが、ただ、新聞のとり上げ方につきましては、私、いろいろな機会に、新聞の編集の方やあるいは社会部の人々とも同じような感想を持って話しておりますが、私最近見ますと、大ぶん大新聞は、子供婦人に関する特別欄を設けて、いいことを書くとか、あるいは社会面においても、いい、ほほえましいような記事を載せておるとか、あるいは少年等につきましても、よく何かあるわけですが、その場合、特に名前を秘して年令だけを書いてある。ところが、これが間違って名前を書いたために、いろいろな悲劇が起ったような事例も私は知っておるわけでありますが、これはやはり、報道関係、新聞関係の良識に待って、そういうふうになっていかなければならない。これは、今われわれ新聞を統制するわけにもいきませんし、またそういうことが、角をためて牛を殺すようなことになる恐れも多分にありますし、やはり新聞編集の方面に当る人々の良識を特に喚起するほかはないと思います。また、われわれも、機会あるごとに、そういうことに注意を喚起するように話はしております。
○委員長(古池信三君) 内閣総理大臣に対する質疑は、これにて終了いたしました。 宮城委員に申し上げますが、ただいま法務省からは、愛知法務大臣のほかに、福原保護局長、竹内刑事局長、佐藤矯正局総務課長が出席されております。渡部矯正局長はちょっと差しつかえがあって、欠席をされておりますから、どうか御質疑を続行して下さい。
○宮城タマヨ君 法務大臣に伺いますが、今、総理大臣にも伺いました点でございますが、少年法の決定機関と執行機関が別でございまして、そのために非常に、少年矯正保護という面から申しますというと、問題がいろいろ起って来るのではないかというように思っております。この点について、今総理の御意見を伺いましたけれども、法務大臣としましたら、これは、少年法をどうしても早急に一つお手入れをなさるお考えはございますでしょうか、どうでございましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 原則的な考え方は、ただいま総理から申し上げた通りでございますが、なお、法務省といたしましては、そういった考え方に基きまして、できるだけ関係の資料を十分に検討いたしまして、一番妥当と思われる結論を出したいと思っておるわけでございます。それにつきましては、実は制度の改善策といたしましては、青少年について特殊な裁判所を設けて、これらの問題を解決することも一つの方法ではないかと考えているわけでございまして、そういった観点から、たとえば、アメリカの各州の少年裁判所法、それからイギリスの児童少年法並びに西ドイツの少年裁判所法等をただいま十分参考として検討を進めておるような次第でございます。
○宮城タマヨ君 その資料の調査、そして実際のこの機構改革ということになります時期というものは、予想がおできにならないのでございましょうか。私から見れば、待ち長くて仕方がないのでございます。
○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともでございまして、私どもとしても、できるだけすみやかに結論を出したいとは思って、おりますが、何分、先ほど総理からもお答えいたしましたように、ずいぶんこういろいろの観点から検討しなければならぬ点が多いものでございますから、今的確に、いつまでに法案を作成して御実議を願うかというところまでは、ちょっとはっきり申し上げ切れないわけでございます。
○宮城タマヨ君 具体的な問題でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げました父親殺し、あの娘でございますが、あの娘の審判は家庭裁判所の少年部で、つまり少年院送りと決定をされて、今は少年院で勉強しておりますようでございますが、一体この処分は、これは裁判所でされた処分で、私ども何とも申すべき筋合いのものではございませんが、事少年に関して、やはりこれは父とし、母として、世間よいろいろ考えておりますし、私ども永またその立場を持ちながら、あの決定については少し不服なんでございますが、法務大臣の御意見を伺わせて下さい。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまもお話がございましたように、これは、現行の制度のもとにおいて公正な審議が行われたものでございますから、私として何とも意見を申しかねるわけでございますが、同時に、あの少女が送られて現在おりまする所、その環境やその後の状態等につきましては、私も常に様子を聞いておりまして、重大な関心を持ってその推移を見守っておるわけでございます。制度の改善の問題につきましては、意見も先ほど申し上げましたように持っておりますけれども、あまりにも具体的な身近な問題でございますので、あの、決定についてとやかく申し上げることは差し控えたいと思います。
○宮城タマヨ君 私は、本筋としましたら、あれはどうしても、検事の意日にもあったようでございますが、逆送すべきで、逆送して裁判に回す、そして裁判の決定によって少年法の五十五条、これはもう一度家庭裁判所に戻すことができることになっておりますから、あの五十五条を使いまして、ちょっと周り道をしたようでございますけれども、事この尊族殺について、それをただ保護処分にしてしまつて、少年院に送るということについてのいろいろな逆効果があったのじゃないかというように私は考える節もございます。というのは、あの少女が少年院に送られましてから一月くらいしまして、私様子を見に参りました。そうしたら、もう全く百五十人の少年院の娘たちは、いい子になって卒業して家庭を持ち、母となろうと決心して精進しているやさきに、父親殺しの子供が参りましたというので、まるで水の中に油が落ちたような存在のように取り扱われ、それで娘たちも、何か精進しているさなかに、あの父親殺しと一緒に寝起きして勉強するということなんて、非常に低下したような感じを持ったらしいのでございます。一方また、入りました娘に会って聞きますというと、もうとても居心地が悪い。みんなからは白い目で見られるし、特にあの娘は目に一丁字もない子供でございまして、全く見かけはちょうど二十以上の、まるでおかみさんのように世話女房式の子供でございましたが、そういうふうで、いろいろそぐわないなりに、みんなの世話をしましたりするけれども、ほんとうに水に油の存在が長く続いたようで、苦しがっておりました。だからこれは、私は、やっぱりあの処分には、終始その道の専門家たちが集まって、ただ裁判、少年審判という形に、筋だけにとらわれないで、その子供のためにどうすればいいかということ、一人の娘を救うために、私はもっともっとすべき努力があるのじゃないかというように考えておりました。あれは、私から言わせますと、やっぱり五十五条によって、もう一ぺん少年審判に付せられまして、それから私は、やっぱり個人のいい家庭にでも送りまして、ああいう団体に、つまり少年院のようなところに送るなんということは、両方ともに私は残虐じゃないかというように思っておりますが、そういったような意味合いから言いましても、どうしても少年院法を改正していただいて、これは決定と執行を一体にしていただかなければ、いろいろな点で不都合が起るのじゃないかというように考えております。これは、私のはなはだおこがましい意見でございまして、法務大臣からお答え願うという意味ではございませんから、御了承下さいませ。 それから、今総理大臣からお答え下さいましたが、私にしてみれば、非常に私の大きい関心でございますので、少年省、児童省というようなものを日本の国の内閣に作ったらどうかということについての法務大臣の御意見をいただきたい。
○国務大臣(愛知揆一君) この点につきましても、政府といたしましては、先ほど総理からお答えいたしました通りでございまして、確かに少年を対象といたします各省にわたる行政が統一的に行われることは理想であると考えておるのでございまして、そういう点だけを取り上げてみますと、児童省というようなものも確かに考えられるかと思います。しかしながら、それぞれの専門的の立場でもって少年問題を取り扱うという点から申しますると、現行の制度の方がいいのじゃないかと考えられる点もあるわけでございまして、たとえば、犯罪の捜査といったような面を取り上げて見ましても、特に少年に対する犯罪捜査機関というものを現在の捜査機関から分離して、これを家庭省あるいは児童省の中の一部に置くということにいたしますと、人員や施設の上できわめて多くの経費を必要とするということも考えられましょうし、また、能率的、合理的な活動という面からしても、好ましくないのではなかろうかとも考えられるのでございます。そういった点を彼此勘考いたしまして、これは将来の問題といたしまして検討を続けたいと思いますが、先ほど御指摘のございましたような青少年問題協議会をさらに強化するというようなことの方が、さしむきのところとしては効果もあり、また欠点も少いのじゃないか、まあ私としてはそういうふうに考えておるわけでございます。
○宮城タマヨ君 法務大臣と保護局長に伺います。 あの少年刑務所が十一ございましたのが、私の任期中に二つつぶれまして、今は九つ、少年刑務所がございます。その収容者は、今まことに喜ぶべき、全部で千人ちょっとでございます。もうほとんど人数は少くなりまして、少年で刑を受けておる者はわずかになりましたが、ここのところ一息で、私の願いは、これは、少年院にみんな二十歳以下の犯罪児は入れることにしまして、その前科者だという焼き印を押すことは、私はごめんこうむりたいと思っておりますが、お二方の御意見を伺います。これは私は、少年院の処遇につきましては意見がございますが、今の少年院は、一方見方によりますというと、少し私は甘過ぎる点もあるのじゃないか。もっと強い、そして苦しい、窮屈な教育をしても私はいい点もあるのじゃないか。ただ逃走をおそれて、ほんとうに大事に大事にしていくというようなことは、これはどういうものだろうか。そこで私は、実際は少年刑務所の処遇と同じような処遇を少年院でしてもいいから、ただ受刑者で前科者だという焼き印は、二十歳以下の子供に押したくない。このことは、やはり子供の将来にいろいろな差しつかえがございましょうが、まあ就職につきましても、それからことに結婚ということになりますと、非常な私はこれは難問題ができるのじゃないか。結婚に失敗いたしましたら、その子供はもう一生涯うだつが上らない。そこで私は、どうしても二十以下の者には、少年院を強化して、非常に強い教育をして、今の刑務所に劣らないだけのことをしてもいいですから、刑務所へ入れないような工夫がありたいと願われますが、大臣と保護局長に御意見を伺います。
○国務大臣(愛知揆一君) その点につきましては、何と申しますか、ざっくばらんに常識的に私の所見を申し上げたいと思うのでありますが、率直に申しますと、まあいろいろな関係からと思いますが、刑務所に入れられてしかるべきような者が少年院に相当おるというような感じも私しないでもないし思うのであります。この施設に対して入れらるべき者が、何といいますか、グレイドが一つずつずれているような感じが常識としてしないようなこともないような私、感じもいたしますのでありまして、ただいま御指摘のような点につきましては、十分考えていかなければならないと思っております。ただ、この際申し上げたいと思いますのは、少年院の矯正官諸君が、非常に恵まれない条件下に、非常に重大な責務を負わされております点は、日ごろから私も非常に同情いたしておるような次第で、今度の三十四年度の予算におきましても、わずかではございましたけれども、たとえば、超勤の手当等につきましては、十分とは参りませんが、できるだけの配慮をいたしたようなわけでございまして、一面において一つ矯正官等の職員の待遇の改善を背景にした、これらの職員の人達にも、この重大な仕事についての情熱と工夫をこらしてもらいたいということも、私大切なことであると考えておるようなわけでございます。ただいまお話のございましたような点については、十分一つこれからも工夫をして参りたいと思いますが、特にやはり今回設立を予定をしておりまする法務総合研究所等におきましても、そういった点について実証的な、つまり教育の効果がどのくらい上るか。あるいは現在のやり方であった場合にはその効果がないか、あるいはかえって逆効果になるかというような点についても、この研究所としての大きな仕事として取り上げて参る。これをその施策の上に現実に反映するようにいたしたい。まあ意気込みとしては、そういうような意気込みで考えておるわけでございます。
○政府委員(福原忠男君) 御指摘の少年刑務所、それから少年院は、ただいまは矯正局の御所管で、私の直接の関係ではございませんが、私もやはり少年保護関係の職責を持っておりまするので、特に保護局長ということでありまするので、私の意見を述べさしていただきます。御存じのように、私のごとき戦前派から申しますと、少年刑務所と少年院というものとは、はっきりと所管も変っておりまして、従来少年刑務所は一般刑務所と同様に矯正局、そうして少年院は保護局の所管でございましたが、戦後かりにも対象者を収容するという、その収容の面に非常に力を置き、人権尊重の面から、このような形のものを統一して矯正局で所管するということになったことは。宮城先年御承知の通りでございます。従って、少年刑務所に収容いたしましても、もちろん御承知だと思いますが、法令の適用につきましては、これはいわゆる前科と見なさないことと、法文にも明文がございますので、少年刑務所に入りましても、やはりこれは成人と同じような前科者扱いをするということは、法令で禁じておるわけでございます。しかしながら、事柄の性質上、どうも少年刑務所という名前が名前でございますから、そのような世間的に差別的なものが何かそこに生まれるんじゃないかと思います。そういう点から考えますと、少年院というものはあくまでこれは刑ではございませんし、これに収容されておる者については、やはり世間でもこれをいわゆる前科者というようなことには考えていないと思います。従って、私は、この少年院というものを、宮城先生御指摘の通り、徐々に今の体制では処遇を強化して、そうして少年刑務所的なものをかなり取り入れて、修養の面に重点を置いての処遇ということが考えられてしかるべきかと思います。しかし、とにもかくにも現在のところでは、少年院というものが何か刑務所とどういうふうな点で異質なものであるかということについて、必ずしもはっきりしないところもございますので、おそらく先生もその点を御指摘になっておるんだろうと思いますが、これについては、先ほど大臣からも話がありましたように、法務総合研究所の一つの課題になるものと考えておる次第でございます。
○宮城タマヨ君 法務大臣に御意見を伺いますけれども、今の少年刑務所や少年院が矯正局に属しておりますが、しかし、まあ少年刑務所のことはちょっとたな上げをいたしますけれども、少年院はやはり保護局に属した方が、これは仕事の性質上、また仕事をする上に非常に右利じゃないかというように考えておりますが、これもまた機構改革の問題にも関係して参りますから、そうたやすいことではございませんですけれども、筋としたら、どうしてもそこにいかなければならぬと思っておりますが、いかがでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) 実は、率直に申しまして、ただいまその御質問に対しまして的確にお答えするだけの用意を私いたして参りませんでした。そういう御意見につきましては、今後あらためて研究さしていただきます。ただ、従来のやり方としては、ただいま保護局長から御答弁申し上げましたように、収容するという点、それから収容施設であるという点に着目して、たとえば予算なり営繕なり、そういった面があるいは大きくクローズアップし過ぎていたのではないかと思いますが、その点は、あらためて一つ研究させていただきたいと思います。
○宮城タマヨ君 時間を取って相済みません。もう一点、一つ法務大臣に伺いたい。 今、刑務所の中でお母さんの受刑者が子供を生んでおります数がおわかりでございましょうか。また私は、もうやかましく、刑務所の中で子供を生ませないように、また、あそこで育てさせないようにということを、もうたびたびの委員会で発言いたしておりますのでございますが、現状はいかがでございましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 宮城委員の御意見は、私もしばしば拝聴いたしております。現実にただいま栃木、和歌山等でどれだけの出産がありましたか、ちょっと私、手元に資料を持っおりませんが、私が現実に、たとえば栃木の刑務所等を視察いたしましたときにも、数名の生まれたばかりの子供を収容いたしておりました。これは御承知のように最長期間一年で外へ出すことになっておりますが、ただいまその数の点ははっきり申し上げられませんが、後刻お答え申し上げることにいたします。
○宮城タマヨ君 これは一つ法務大臣、その他法務省の関係当局の方に特にお願いいたしますが、中には刑務所から外へ出して、つまり執行停止にするとか、特別な便宜をはかって外で生ませるようにしておりますところも以るようでございますが、もし、そういう特典が与えられるようでございましたら、全部の受刑者に対して、ことに子供を刑務所の中で生まないように、それから一年間お母さんに世話させるといいますけれでも、いつかも申しましたが、一年間が一番子供の大事な時期で、感受性の強いということは、学者が証明していることなんだそうでございますから、この点について、私は特に法務大臣の一つ御研究と御処置を願いたいというふうに考えております。ことにこれから婦人補導院ができまして、あそこで私は子供を生む人ができるんじゃないか、すでに調べましたら、子供を連れて入っておるものがございますようですが、これは一つ、この問題については特別に調査と御研究を願いたいと思っております。お答えは必要ございません。私はきょうはこれだけにしておきます。
○委員長(古池信三君) 本問題につきましてほかに御質疑はございませんか。……それでは本件に関する本日の調査は、この程度にとどめます。
○委員長(古池信三君) 次は、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 前回に引き続いて質疑を行います。御質疑のある方は、御発言を願います。
○亀田得治君 毎年裁判所の定員の問題が出るわけですが、あるいは若干質疑がすでに済んでいるかもしれぬですが、今回の法案として出ておるのは、判事補の二十名、これをふやすということになっておりますが、そういうふうに落ちついた経過ですね。おそらく大蔵当局と相当折衝されてそういうところに落ちついたものと思いますが、その辺の少し詳しい説明をまず伺いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいまの御質問に対して私からお答え申し上げます。裁判所におきましては、年々増加いたします事件に対処いたしまして、職員の定員の増加を七願いしているわけでございますが、由は財政当局との折衝におきまして、九かなか私どもの希望する通りの増員か得られないような実情でございます。裁判所の仕事の関係上、裁判官の増員と、それからそれに見合うところの書記官等の増員が必要になるわけでございますが、裁判官につきましては、一ぺんに増員ということもなかなか参りませんので、本年度におきまして当初百数十名の増員を計画いたしたのでございます。ところが、一方において御承知のように裁判官には現在相当数の欠員もございまして、その充員について一方努力いたさなければならないような実情でございます。そういうような実情から増員の要求がなかなか許されがたい現状でございまして、結局認められたのが判事補二十名増員ということになったわけでございます。判事補二十名の増員ということは、私どもにとりまして、まことに満足すべきものではないことは申すまでもないことでございますけれども、ともかくも、これによりまして第一審強化の線に沿いますところの人員をふやすこと、また、裁判の迅速化ということに役立てたいという考えでございますが、この数が実を申しますと欠員を埋めていくという上において二十名というような数に結局落ちついたようなわけでございます。そういう関係から書記官補につきましても、実は当初は三百名ばかの増員の計画をいたしたのでございますが、裁判官の増員がそういった程度にとどまってしまいました関係上、書記官、書記官補の増員は、結局予算上においては認められませんでした。これは先ほど申し上げましたように、相当数の裁判官の増員に見合わなければならない関係上、判事補二十名の増員というだけでは、これに見合うだけの書記官、書記官補の増員ということが困難になったわけでございます。私どもといたしまして、現在の御承知のような裁判所の事件の多い実情から申しまして、裁判官、それから書記官、誤記官補の増員につきましては、今後一そう努力いたしたいと存じております。
○亀田得治君 現在裁判官の定員の不足、これが相当ありますが、まずそれを充足させて、それをやってからだ、そういうことを大蔵当局がおっしゃっているわけですか。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 大体御指摘のように、裁判耳に欠員がございますと、その欠員をかかえながら、予算上の増員要求ということが非常に困難になるわけでございます。
○亀田得治君 いや、困難になるから、それで裁判所の方針は、その欠員になっているところをどうする方針なんですか。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいま申しました相当数の欠員をかかえているわけでございますけれども、それについては今後充員をして参る計画をいたしております。その計画の数字的な面につきましては、人事局長からお答えいたします。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 昭和三十四年、ことしの一月の十五日でありますが、現在の裁判官の欠員を申し上げますというと、判事が六十四名、判事補が二十名、簡易判事が四十五名であります。合計して百二十九名の欠員があるわけであります。これを三月三十一日までにさらに定年あるいは死亡、転官、任期終了、それから判事補から判事になるといったような減少の点を考え、さらに検事から、あるいは弁護士から判事に、裁判官になる者、それから選考によって簡易判事になる者、元判、検事であった人から新たに簡易判事になってくる人等をかれこれ差引きいたして推定上の数を出しますというと、三月三十一日現在で判事が大体七十九名、判事補が三十九名、簡易判事が四十五名、合計して百六十三名くらいの欠員になるわけであります。そういたしまして、この現に御審議を願っております定員法の改正によりまして判事補が二十名ほど加わるといたしますのと、それから六月の三十日までの減少及び判事補から判事補十年を経験いたしまして新たに判事になる者、それから判事補から簡易判事に切りかえ得る者等をそれぞれ差し引きいたしますと、大体六月の三十日現在で判事が九十三名、判事補が九十六名、簡易判事が九十六名、合計二百八十五の欠員の数が一応考えられるわけであります。ところで、それを六月三十日までにまず判事になる者が判事補から二十三名、それから簡易判事、判事補から三十八名、弁護士から従来の実績からいいまして一名、検事から一名、合計六十三名くらいが判事に補充し得る見込みであります。従いまして六月三十日現在では検事は三十名くらいの欠員になろうかと思います。それから判事補におきましては、現在司法修習生でありますが、この三月に司法修習生を終えまして、そして新たに判事補に採用し得る者、すなわち判事補に採用を希望しておる者が九十名ほどありますので、それと従来の実績から推定しました検事から一名、弁護士から大体五名くらいの判事補志望者が予想されますので、これと合せまして大体九十六名程度の判事補を補充し得るのではないかと考えられるわけであります。そういたしますと六月三十日現在では、どうにか判事補はこの定員一ぱいに充員し得るというふうに考えられます。ところで、簡易判事でありますが、簡易判事は九十六名の欠員中従来の実績から弁護士から六名を予想されます。それから元判事から大体四名程度の採用が予定されます。それから三年以上の判事補から簡易判事に切りかえる者が三十名ほど予定されますので、合計四十名ほどを補充できます。その結果五十六名ほどの欠員になろうかと思われるのであります。従いまして六月三十日現在の情勢をもう一度繰り返して申し上げますと、判事が三十名ほど欠員、簡易判事が五十六名くらいの欠員になろうと思います。欠員は昭和三十四年度中は、弁護士または検事からの転換等で、多少のものはまかない得るかとも思いますが、今までの実績でいきますというと、やはり相当部分が欠員となって三十四年度は終るのじゃないかというふうに考えられます。そこで最高裁判所といたしましては、弁護士連合会に積極的に働きかけまして、弁護士から裁判官になることについての種々の隘路を検討いたしまして、何らかそこに解決策を求め、そしてできるだけこの充員に努力いたしたいと思っておるわけであります。 なお、つけ加えて申しますというと、司法研修所の卒業生が順次大量出てくるようになりました。第一回の卒業生が今度初めてことしの六月に七十各近く判事に任官し得るようになりました。来年度になりますというと、すなわち昭和三十五年六月三十日現在になりますというと、約七十九名すなわち八十名近くの判事補が判事に任用し得る資格を取得するようになりますので、昭和三十五年六月ごろになりますというと、判事は十分欠員をまかない得る程度に達し得るわけでありますが、簡易判事につきましては、まだこの計算で申しましても十四名程度の欠員はやむを得ないのじゃないかというふうに考えられております。大体の充員の目標の詳細は今申し上げました通りでございます。
○亀田得治君 この判事の方ですが、今年中に棚当欠員が少くなって、来年は八十名くらい資格者が予想される、こういうことになりますと、そうすると来年は当然判事の定員というものはふやされる、そういうふうに理解していいのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいま自然減耗の点を申し上げませんでしたが、昭和三十五年六月までには、定年退官によるものが大体二十八名くらい出る予定であります。その他死亡とか転退官、任期終了等合せますというと、やはり八十五名くらいは欠員になってくるのじゃないか。それを大体昭和三十五年度に十年の判事補の経験を持ったすなわち判事に任用し得る者が大体その程度おりますので、まあ計算上はどうにか一ぱい一ぱいになるのじゃないかという程度の計算であります。
○亀田得治君 この弁護士からの補充といいますか、そういう点があまり考えていても実際は行われていないわけですね。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) そうであります。
○亀田得治君 先ほどからの御説明を聞いていても、実績がそういうふうになっているからかもしれませんが、大体弁護士からのものを考えないで、研修生から判事補といったコースで判事を充足していく、そういう方針でないかもしれぬけれども、結局そういうふうにならざるを得ないというふうな考えなんでしょうか。その辺のところはどういうふうに……。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 現在の状態からは、そういう考えはないわけであります。
○亀田得治君 しかしそういうふうに察際固まっていきますと、法曹一元といっても、これはただ特殊な上位の裁判官などについて若干行われるということであって、司法部全体についてはそうはならないのですが、ともかく中身と表向きの法曹一元といったような美名と違うようなことを、これはどういうふうにお考えでしょうか。私はこのままずっと放っておけば、結局法曹一元といったようなことをいっても実態が伴わないと思うのです。ただそういうことを理論上否定するわけにいかないから言うておるだけで、まあ仕方がないのだ、そういうふうなお考えなのか。そうでないとすれば何か具体的な努力をしなければ私はいかぬのじゃないかと思うのです。幸い、私は定員というものが足らないそういう過程においてこそほんとうに努力すればできるのだと思いますし、これがもう固まってしまいますと、言うべくしてなかなかできませんよ。その辺のところを最高方針というものはどういうふうに立てられておるものなのか、忌憚のないところを……。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) まことにごもっともな御意見でございます。今日の裁判所法の制度によりますれば、判事は必ずしも判事補に限るわけじゃ、ございません。判事補でも、検事でも、弁護士でも、それぞれ十年の経験があれば、判事の任命資格を得るわけでございまして、その考え方は、必ずしも判事補にのみ判事の給源を求めるということではないと存じます。しかしながら、その判事の任命給源としてはそういうふうに検事、弁護士を含めて考えられながら、実情はなかなかそう参らない。これはやはり判事の地位に対する実質的な何と申しますか、裏づけに欠けているところから、そういうことになるのであると存じます。たとえば判事の報酬にいたしましても、また、判事の日常の職務態様と申しますか、そういったものにつきましても、今日の状況におきましては法制はありながら、これを検事、弁護士から判事を求めるということが非常に困難な実情でございまして、そういう実情から判事補が判事になるというのが、あたかも原則のような形をとらざるを得ないようなわけでございます。私どもといたしまして結局判事には、やはり法律家の中から最もすぐれた人たちを選んで判事にすべきものであるというふうに考えているわけでございます。それについてただいま申し上げましたような現状には、いろいろな困難があるわけでございますけれども、私どもその困難の一つ一つを何とか解決いたしまして、将来はそういう法律家の中からほんとうに選ばれた人たちが判事に任命されるという実際の体制を整えたいというふうに考えておる次第でございます。
○亀田得治君 それは在野法曹からできるだけ判事になってもらいたいと思っても、在野法曹の方でその気持にならなければだめなんです。その点はどういうところに欠陥があるのですか。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 結局裁判官の増員をいたそうと思いますというと、現員に欠員がありますというとどうしても増員が困難であります。従いましてまず現定員につきましてできるだけ補充をいたしますと同時に、現在裁判官は事件あるいは人数の割合におきまして、ドイツあるいは西独を考えましても、あるいはアメリカの状況を考えましても非常に少い、すなわち非常に重い負担を背負ってやっておるわけであります。従いまして事件も非常に審理が延びるといったようなことで、いろいろ論議をかもしているような次第であります。そうですから、どうしても裁判官の定員を相当の数増員する必要があるのでありますが、ただいま説明いたしましたように、現在の定員を埋めるのに、昭和三十五年度までかからないというとどうにもならないというような状況でありまして、まして相当の数の裁判官を増員するということになりますと、補充源は全く在野法曹、あるいは検事というところに限らざるを得ない状態であります。ところが、在野法曹から裁判官に誘致するということは、実は裁判官の現在の報酬は弁護士の収入に比べまして著しく低い。そういったことが主たる理由になりまして、弁護士から裁判官に採用を希望する人は非常に少いということで、裁判所といたしましては、非常に現在の裁判官の事務負担の過重を解決するために、それが一番悩みになっているわけであります。
○亀田得治君 それが悩みで、原因であれば、その点を解決しなければ法曹一元化というようなことは、もう看板をおろしてしまった方がいいのですがね。どうしても法曹一元という理想を実現していくのだというなら、何かもっと大胆な、思い切った政策というものが出てこなければいかぬわけですね。これは別の裁判官の報酬に関する法案が出ておりますから、そこでももう少し本格的に検討してみたいと思っている点があるわけですが、一般行政官に比較しても、最初は非常に開いておったものが、だんだん縮められてきておるというのが、具体的に出ている数字ですね。こういうことをやっておって、在野法曹からの補充がむずかしい、こんなことを言っても無理だと思うのですよ。応じない在野法曹に原因があるのではなしに、裁判所側といいますか、そっち側に私は原因があると思うのです。責任というか、責任といってはなんですが、原因のおもなるものは、それはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(津田實君) 制度のことに関係いたしますので、法務省からお答え申し上げます。ただいま御指摘のように、法曹一元が非常に理想的なものであるということについては、もはや今日におきましては異論がないわけであります。しかしながら、現実の問題におきましては、なぜ法曹一元が実現できないか。まあ非常に少部分で、一元と申していいかどうかわかりませんが、ごく少数の高級な判事あるいは検事に在野法曹から人を選ぶ、あるいはごく経験年数の浅い弁護士から判事補あるいは検事に任官するというようなことは、ただいまでもございますけれども、大方の大勢が法曹一元になっていないことは御指摘の通りであります。しかしながらこれにつきましては、過去十数年にわたりまして、いろいろ日本弁護士連合会等とも話し合いがなされたわけでありまするけれども、あるいは裁判所側、あるいは法務省側から、切にこれらから適任者の推薦を求めたということもあるわけでありますけれども、現実にはやはり弁護士から判事あるいは検事になるものがない。非常に少いということになっておるわけであります。そこで、これはもはや現在の制度のもとにおいては、とうてい困難であるということに考えざるを得ないわけでありまして、その困難な事情はどこにあるかと申しますると、これは一つは待遇の面でございます。待遇の面につきまして、やはり現実に在野法曹すなわち弁護士の収入と、判事あるいは検事の収入とに相当の差異があるという点、その次には、仕事の内容自体が複雑かつ責任が重大であって多忙であるというような事柄が一つ。それからもう一つは、何といいましても、任官いたしました以上は、任地等につきましてある一定の場所に固着することが許されないというような、そういうような三つの点がやはり在野法曹から任官する方がないという原因になっておると大体考えられるのであります。そこで、問題は一つ一つ解決していかなければならぬ問題でありますが、まず第一に、待遇をよくするという問題でございますが、これは何にしても異論がないわけでありますが、待遇をよくしただけで、必ずしも裁判官あるいは検察官に志願者があるかというと、そうではない。やはり仕事の内容を改善しなければならぬと思う。今日のように裁判事務、検察事務が非常に多忙をきわめておりまして、非常に心労をしなければならぬという状態におきましては、とうてい好んでこの地位につく人はないだろうということも考えられるのでありまして、この面は手続法等の面におきまして、相当の変革をいたさなければならぬと思うのでありますが、必ずしも熟したわけではありませんけれども、たとえば裁判官につきましては、ほんとうの裁判事務に専念させるということにいたしまして、相当数の調査官をこれに付するとか、あるいはその他それ以外の裁判所職員を充実するとかという方法もあります。検察官につきましても、同様な方法がある。そういうふうにいたしまして、やはり高度の裁判事務についてそういう判事を使う、あるいは高度の検察事務について検事を使うというようなことがやはり必要になるかと思うのであります。そういう意味におきまして、やはり判事なり検事の手を、ある程度すかすような手続面における立法措置を考えなければならぬ。それから第三の任地の問題でございますが、この点はやはり公務員として任官いたします以上、これはやむを得ないことだというので、この点は救済策というようなものはないかと思いますが、この点は待遇の面、たとえば子弟の教育施設を東京その他主要教育地に置くというようなこと等によってやはり解決していかなければならぬというふうに考える次第でございます。それらの全部の点を総合いたしまして、前提条件を一つ一つ解決した暁でなければ、法曹一元は完全に実現しないというふうに考えておる次第でございます。 一方また、現在におきましては、ただいま御指摘のように裁判官の給源といたしましては、判事補の制度でありますが、裁判官を各法曹の中の最優秀者、最適任者を求めるということになりますと、判事補のゆくえということが非常に問題になる。判事補を十年いたしましても、必ずしも判事に補充されないというような事態が生じた場合に、果して判事補になる者があるかというようなことが出てくると思うのであります。そういう意味におきまして、やはり将来の理想の姿は弁護士、検察官から判事に選ぶ、あるいは法律学者というようなもの、そういう法曹のうちの最優秀者、最適任者を判事に選ぶという形にしなければならないというふうに考えられるわけでありまして、その際における判事の報酬なり待遇をいかにすべきかということ、これは現実の問題として、非常に高額あるいは好遇を与えても何人もこれを怪しむ者がないということになろうかと思いますが、現実の裁判官、判事の報酬を画期的に上げることができない原因が、やはり判事補から判事の給源を求めておるという、いわば昇進制度によって判事が生まれてきておるというような現実にも、大きな関連があるというふうに考えておる次第であります。
○亀田得治君 非常に詳細な御説明がありまして、私もそれは同感だと思います。そこで、そういうふうな考え方は最高裁も同じだと思いますが、何かそういう考え方に立って、政府の方と財源問題等についてほんとうに論議がされているのかどうか。ちょっと小出しに何名ふやしてくれ、いやそれはいかぬ、二十名ぐらいにしておけ、じゃそうしようか、これでは焼け石に水のようなことを毎年繰り返すことになるのです。私はいつかほかの問題に関連してもこれは申し上げたことがあるのですが、やはり日本の司法制度なら司法制度のあり方から見て、これだけのものはどうしても要るのだといったようなものは示されなければいかぬ、それをわれわれ要求しているわけですが、実際はそれに対する財政の裏づけはこうなんだ、だからこういう問題はもし司法部と政府とが意見が合わない場合には、合わないままで国会の論議にかけてもらうというぐらいにやってほしいのです。折衝の過程において適当にそこが処理されるのですから、やはりほんとうに浮び出てこないわけです。今回の二十名に落ちついた過程において、一体そういう根本的な立場に立った論議というものがされておるのかどうか。できるだけ取りたいのだという程度では、これは大蔵省としては、そういうところのかけ引きは、適当に値切ることが上手ですから何に本ならない。そういうことをやっておったのでは、やはり裁判官になろうかという人もやっぱり希望を持たないです。ことしはだめであっても、日本の司法部はこういう理想を持ってやろうとしているんだということが世間にわかれば、そういう方針ならむしろ積極的にわれわれも入っていって一つ努力しようという気持にも私はなるかと思うのですね。何かこう現状の非常に高い地位を認められておりながら、少し頭が低過ぎるように思うのですね、あまりいばり過ぎても困りますけれども。当然なことはやはり裸のままで出してもらわなければならぬ。そんなことはされたのですか、今度の予算折衝で。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) まことに適切な御指摘でございまして、実は今津田部長からも申しましたように、裁判所内におきましても、法務省内におきましても、この問題についてはかなり深刻に考えてはおるのでございまするが、さて具体的な案としてどうしていいかということにつきましては、その案をひっさげてとことんまで戦っていくというような自信のある線が実は正直に申し上げましてできておらないのでございます。そういうような関係からいたしまして、毎年裁判所の主として予算の場合にそれが出て参るわけでございますが、きわめてイージー・ゴーイングな予算の折衝が繰り返されておりまして、従いまして、こちらの腹がきまっておりませんから、財務当局といたしましてもこれにろくな予算はつけてくれない。ただいたずらに折衝を繰り返して、ごくわずかなものを与えられるという程度にとどまっておるわけでございます。今回の予算につきましても、まさにそういう感がいたすわけでございます。これはどうしてもやはり基本的な線を出しまして、これに十分な予算の案もつけまして、これを主として予算面にかなり大きな抵抗があると思いますが、その案に自信がございますれば、裁判所としましては、御承知の二重予算の制度もあることでございます。とことんまでやれるのでございますが、先ほど申しましたような自信のある案ができておりません結果、龍頭蛇尾と申しますか、非常に大きな要求をいたしましても、それが貫徹しないで終っておるという実情でございます。これを打開いたしますためには、御指摘の通り、裁判所だけでやきもきいたしましても、これはなかなか実現が困難と思います。現在の制度のもとにおきましては、法務省に法案の立案は担当してもらうという形になりますが、もちろんそれに関係をいたさなければなりませんが、そのほかあらゆる方面の方のお知恵を拝借いたしまして、ここに基本的な線を打ち出したいというふうに考えるわけでございます。まあその具体案といたしまして、どういう方法をとったらよろしいかということも、さしあたりの問題になろうかと思うの広ございます。この点はただ頭の中でわれわれがやきもきしておるだけでは困りますので、ぜひこの問題を具体化したい、できるだけ近い将来におきまして、これを具体化したいというふうに実は考えておる次第でございます。
○亀田得治君 それはしかし法務省もさることながら、これは最高裁自体の一番大事な仕事じゃないかと私は考えるのですね。これは閣内における発言とか法案提出権とか、そういうこと肝法律上は最高裁にはないわけですが、しかし、法務省が代弁するにしたって、御本尊自体がはっきりした自信のあるものを持っていなければ、それはなかなか軌道に乗りませんよ。で、そういうことが最高裁に偉い人がたくさんそろっていてできておらぬというのは、ちょっと納得いかないのですね、まあそれほど忙しいのかもしれませんが、しかし忙しいのにまかせてやみくもに仕事をしておったって仕事はたまるばかりで、むしろ忙しいことの抜本的な対策というものを考えなければいかぬ、本気にやる気なら、私はそんなに時間もかけないでも、各専門家がそろっているわけですからできると思うんですけれども、そういうものに基いて主張をして、ほかの行政官庁の道路政策にしたって、あるいは最近の社会保障に関するいろいろな制度にしたって、やはり相当長期の見通しと計画を持ってこれはみんな主張しているわけですね。私はちょっと今の事務総長の答弁では、はあ、そんなものないのですというようなことでは、ちょっと不満ですが、そんなことは最高裁の裁判官会議あたりで、一体まあ大綱のようなものでも議題になったこともないのですか。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 私からその方面の若干事務的なことにわたりますけれども、経過について申し上げます。実は新しい憲法ができまして、当時司法制度を根本的に改正するということになりましたのでありますが、終戦直後のまだ憲法改正草案要綱の発表前に、すでに当時の司法省、大審院、弁護士会等の間におきましてその問題が検討されまして、最初に出たのがやはり法曹一元化の思想であったのでございます。その後新憲法のもとに司法制度の新しいあり力が検討されまして、先ほど申し上げましたように、裁判所法の立案成立ということになったわけでございますが、先ほど申し上げました判事の任命資格ということについて、裁判所法に盛られております思想は、やはり法曹一元化に基くものでございます。先ほど申し上げました判事の任命資格という規定はその思想が裏にあったわけでございます。その後それがそういう方向にまだなかなか実現に至りませんで、今日のような状況にはなっておりますが、その間にその問題を絶えず検討されてはきて参ったのでございます。これはひとり裁判所の問題ばかりじゃございません。弁護士会それから法務省筆の関係もございますので、いろいろそういう問題を検討する会合がございまして、幾たびかそういう話し合いがなされております。たとえば日本弁護士連合会におきましても、そういう調査の委員会を設けまして、法曹一元化についての検討をいたしております。また裁判官、検察官、弁護士を含めました日本法律家協会というのがその後できまして、その会におきましても、法曹一元ということについての検討をいろいろな角度から加えてやっております。そういう検討の間に法曹一元を実現するための方策がかなり具体的に検討されているわけでございます。従って、そういう機運はこの間にようやく熟しつつあるようなわけでございまして、なるほど最高裁判所がそういう意味で、そういう点について具体的な案を今日裁判所として示すというところまでには、まだ現在の段階は至っておりませんけれども、そういうわけで、裁判所もともにその法曹一元化の問題点の究明、並びにその実現のための方策についての検討は加えているわけでございます。裁判官がそういう重要な職責を果す上において、先ほど申し上げましたように、法曹の中から優秀な人が選ばれなければならないという考え方、これがまさに新しい憲法のもとにおける司法制度の思想であると存じますが、とかく旧憲法時代の惰性もございまして、何と申しますか、裁判官がやはり一つの昔の言葉でいえば官吏、官僚と申しますか、そういった身分のように解されるという面があったのでございます。そういう裁判官に対する観念を改めて、この裁判官をほんとうに法曹の中から選ぶという考え方、そういう観点に立ちまして、この問題が解決されなければならないというふうに考えております。今日そういうふうな物の見方、裁判官に対する物の見方というものがようやく熟しつつあるように思うのでございます。 そこで、ただいま申し上げました、総長からも申し上げましたように、そういった機運が熟し、ようやくそういう態勢をとり得るというような情勢に立ち至りつつあるというふうに私ども考えているわけでございます。ただいま総長が申しましたように、早急にそれを具体化して、裁判所の意見としてはっきりしたものを打ち出したいというふうに考えるわけでございます。たとえば法曹の中から裁判官を求めると申しましても、先ほど来出ております報酬の額であるとか、あるいは任期十年の裁判官に対する恩給制度、これは全く不備な状況にございます。さらに日常執務に必要なたとえば物的施設、部屋のことにしても、あるいは自動車等のことにいたしましても、きわめて不完全な実情でございまして、これはほんとうに法曹の中から裁判官を選ぶというはっきりした観点に立って一つ一つが解決されなければならない問題になっているわけでございます。それについての具体的な方策というものが、ようやくここで固め得る情勢になって参ったというふうに私どもは考えている次第でございます。
○亀田得治君 そういうふうな情勢になっておればけっこうですが、しかしこれは私が質問したから多少そういうふうに色をつけておっしゃるのじゃないかと思いますが、実情はどうかといいますと、先ほど最初に御説明があったように、結局は研修生、判事補というルートが大部分なのです。今御説明のような情勢は、あるいは多少話は出ておるかもしれないが、決してそんな空気に全体がなっているとは私は思わない。まあともかく相当頭のいい人がみんなそろっているのですから、これは一つ計画を立ててみようと思えば、そんなにむずかしいことはない、資料も大体皆さん持っておられる。日本の裁判制度をがっちりするには裁判官の人員何名、どことどこに欠陥がある、これは何名にすべきである、一々積み上げていけば全体ができる。待遇はどうあるべきか、その予算の裏づけがあろうがなかろうがどうでもいいのです。ともかく一つの理想案というものを出してみなければわからぬです。それはいろいろな外国の例等もあるだろうし、弁護士の実際の収入状況等もおよそは把握されているでしょうし、それを出して、もっとも人がふえれば法廷の数等も要るでしょうが、しかしこれだって、どこに幾つの法廷が不足だといったようなことはすぐ計算ができる。それらに対する、これだけのことをしたら予算は幾ら幾らかかる、これは一ぺんにやるのは大へんだろうから、じゃ五カ年計画でやるなら最初はこうだ、こんなことは立案する気なら私は一週間もあれば実際のところできるはずだと思う。できませんか。私が今四つほど大まかな項目に分けて申し上げたのですが、私たちそういうものを出してもらって、その一環としてこの二十名の増員を審議するなら、審議するしがいがあるのです。どうですか、事務総長それはできませんか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 一週間というお話でございますが、これはやはり相当重要なことでございまして、そういうことをまた申し上げますと、いつまでも、下手な考え休むに似たりという言葉がございますが、そういう結果に陥りかねないのでございますが、ぜひこの問題は先ほども申しましたように、できる限り早急に何とかいたしたい、これは私だけでございませんで、おそらく裁判所におります者の全部の熱烈なる考えであろうと思いますので、私どもも微力ながらできる限りの努力をいたしたいと考えます。
○亀田得治君 それでは基本的な問題は、一応関連している問題ですから、本日のところはこの程度にしておきますが、裁判所職員の方の関係、これの欠員状態と、そしてその点の欠員補充の見通しとか、あるいはさらに裁判官の増員を大蔵省に求めた以上は、当然それに関連して職員というものはそれに当然くっつくわけですから、それを求めているはずですが、その辺のところはどういうふうに今回の折衝ではなっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 一般の職員の問題でございますが、今日法律上定められている定員が一万九千九百一名となっております。そのほかに常勤労務者あるいは臨時用人があるわけでございますが、法律上の定数はただいま申し上げたような数字でございます。裁判所の中にもいろいろな職種があるわけでございますが、裁判官とともにやはり事件を扱います書記官、書記官補、この増員がやはり裁判所としては事件の処理の上で一番問題になるわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、三十四年度の予算の当初におきまして、裁判官の百数十名の増員、それに見合って書記官、書記官補の増員三百名余を計画いたしたわけでございます。しかし、実際に予算に認められましたのは、先ほども申し上げましたように、判事補二十名にとどまりまして、裁判官の増員がないために、それに見合う書記官、書記官補の増員は残念ながら認められなかったわけでございます。その他の職員につきましても、裁判官以外の職員総数で当初は千八百名ぐらいの増員を計画をいたしておりましたが、他の職員につきましても、財政上の現状等から要求が認められなかったのでございます。裁判所の仕事は御承知のように年々増加して参りまして、職員が非常に負担もなかなか楽ではございませんので、私どもといたしましては、今後とも増員に努めて参りたいつもりでございますけれども、先ほども申し上げたような理由から、書記官、書記官補を初めとする他の職員の増員が今度は認められることなく、今回のような予算になった次第でございます。
○亀田得治君 現在の欠員はどうなっていますか。職員関係で。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 書記官、書記官補、これで九十一名でございます。それから家庭裁判所調査官、調査官補が欠員二十名でございます。それから事務職員の欠員が七名でございます。 以上合計百十八名、これが裁判所一般の職員の欠員でございます。
○亀田得治君 この百十八名の欠員は来年度中にはどういうふうになる見込みですか。現在の職員でさらにやめるのもあるでしょうし。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 現在採用されております職員は、これは外部の一般中小企業の給与状況との関連もあると思いますが、ほとんど自然減というものは非常に少い。すなわちやめる人が非常に少いわけであります。大体欠員が百十八名のほかに非常にたくさんできるということはあまり予想がされぬわけであります。ところでこの欠員のある職種は裁判所書記職、裁判所調査官職種があるのであります。これらはいずれも裁判所の裁判所書記官補採用試験、裁判所調査官補採用試験というのを毎年やっておりまして、昨年の八月から十月までにわたりまして実施いたしました。その採用候補者名簿がそれぞれありまして、その中からいずれも充員し得るようになっておるわけでありまして、大学の卒業が三月の終りになりますから、卒業後直ちにこれらは大体補充される予定であります。
○亀田得治君 それから臨時職員というのは今何名くらいありますか、一万九千九百一名の定員のほかに。定員外の者を全部言って下さい。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 常勤労務者が百二十八名、それから非常勤技官、これは医者でありますが、三十五名、そのほかに臨時職員が九十六名ほどあるわけであります。
○亀田得治君 これは合計約三百名くらいになりますが、これはどうなんですか、大体定員内の職員と同じような仕事を事実上はやっているはずなんですがね、せめてこういうものを定員化してやる、これくらいのことはできなかったんですか。ほかの行政官庁でもみんなやっているわけですがね。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) これは本年度におきましては、各省庁全般の方針といたしまして、定員化は行わないというふうなことになりまして、裁判所も最後まで一応は要求いたしましたけれども、そういった各省庁全般の一致した扱いということで、裁判所だけがやるというわけにいかないのが実情であります。
○亀田得治君 そういう申し合せをどこでしたんでしょう。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) これは申し合せというわけではなくして、これは大蔵省を通じて、そういう扱いということが大体知らされたわけであります。
○亀田得治君 それは知らされただけじゃ工合が悪いんですね。やはりこんなことは何でしょう、例外現象なんですからね、気持よくやはり働けるように努力してやる。なるほど大蔵省は一応そういう方針を出したようですが、各省とも職員組合等が努力をしているようですが、最高裁の方じゃそういう点はもうあきらめてしまっているんですか。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) もちろん最高裁判所といたしましては、この定員化に努力をいたしたわけでありますけれども、結局本年度は各省庁ともこの定員化を行わなかったわけでありまして、最高裁判所もやむを得ずその要求がいれられなかったのをのまざるを得なかったという状況であります。
○亀田得治君 そうすると、ほかの各省で若干でも定員化の問題が具体化してくるということなら、裁判所としても少くとも同じ比率くらいの措置はしてもらわなければならぬ、こういう考えはやはりあるわけでしょう。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 当然のことであります。
○亀田得治君 それじゃ一つ、これはもう少し努力するように、この点はしてもらいたいと思うんです。そのために予算全体の成立がおくれるとか、そんな大ごとな問題に私は発展するほどの問題じゃないと思います。
○委員長(古池信三君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(古池信三君) 速記を起して下さい。 本法律案につきまして、別に御発言がなければ、本日の審査はこの程度にいたします。 —————————————
○委員長(古池信三君) 次に、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。 前回に続き質疑を行います。御質疑の方は御発言を願います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(古池信三君) 速記を起して。
○亀田得治君 私の質問は、結局この俸給の問題に関連して起きている裁判官と検察官の関係の問題、裁判所の性格なりあり方の問題、こういうところに集中していたしたいと思っているのです。これは質問の過程で当然出てくることだと思いますので、先にお聞きしておきますが、例の三者協定というのが今度の問題についてできているわけです。まあ新聞とかいろいろなものでこれは伝え聞いているわけですが、何かそういう協定書というものがあるのですか。これは事務総長か法務省、どっちでもいいのですが……。
○政府委員(津田實君) この法律を立案し提案いたします過程におきまして、協定番を作りましたことは事実であります。
○亀田得治君 それはだれとだれが御署名になっておられるわけですか。
○政府委員(津田實君) 最高裁判所事務総長、法務事務次官と大蔵事務次官であります。
○亀田得治君 協定書を一つ資料として、そのままのものを配布してもらいたいと思うのです。今ありますか……。 それからもう一つは、これもまあ私たちの部分的には多少は知っているわけですが、できるだけ広い範囲で外国における事例ですね、これを整理して出してもらいたいと思うのです。裁判官、検察官それから一般の行政官、それから立法府の長といったような最高のレベルのところの比較ですね、それができるようなもの。それから、最高だけではいけないでしょうから、大体私たちの比較の便利になるようなものですね、現在集まっている範囲の資料でいいですから、整理をして出してもらいたいと思います。
○高田なほ子君 資料をちょうだいしたいと思います。今度の定員法で、今亀田さんの質問として下級裁判官の問題に触れたわけですが、私一部これは拝借してきた。東京地裁の配置状況だけいただいているのですが、これを見ればいろいろ問題点が出てきているようですが、これは下級裁判所の職員配置定員規程の別表というようなものがあるのじゃないですか。あれば一つ……。これはこの間直接あなたの方に資料を要求しまして一部だけ私ちょうだいしてありますが、どういう工合に配置されて、どういうふうにこの事件が処理されているかという問題は、ずいぶんこれは基礎的な大切な資料のように私思いますので、できればこの別表というのは資料としてこの委員会に出していただく方がいいのじゃないかと思う。先ほど亀田先生からの御発言のように、定員の問題等については科学的にかつ合理的に積算の基礎をちゃんと研究されて、全体の計画をお立てになるべきではないかというような御発言もありましたしいたしますから、できればこれを一つ出していただきたいと思っています。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ただいま御指摘の定員の配置規程というのは、最高裁判所の規程としてできておりまして、これには各裁判所の定員を配置する数が出ておりますが、非常に何と申しますか、ページ数が多いものでございますことと、それからもう一つは、これはそのときそのときの事件数に応じて定員配置は変えておりますので、恒常的に何年も一定しているものでないわけでございます。その計算の基礎は、まあできるだけ御指摘のございましたように、科学的ということで考えていきたいわけでございますけれども、もう一つこれを突っ込んで、科学的、客観的な基準を立てたいというふうに考えております。そういうわけで、規程は実は大部であることと、それから都合により変りますものですから、実は私の方でもたくさんは用意して手元にございません。各裁判所に事務処理上必要な部数を作りまして配布しておるわけでございます。
○高田なほ子君 これは定員の適正配置ということで裁判の仕事も迅速化されるのだと思うのです。やはり定員がどういうふうに適正に配置されるかということについては、お互いに一つの知識として知っておく必要があると思うのですね。そういうような意味で、かなり膨大な資料にわたるのではないかと思うのですが、これはぜひ一つお見せいただきたいと思います。もし、その部数が少い、ということであれば、自民党さんの方に一部とか社会党の方に一部とか、そうしてこれを委員同士で回覧するという方法だってあるわけですから、そうごめんどうに思われずにお出しいただければと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) その程度の部数でございますれば、差し上げられると思います。
○高田なほ子君 もう一つ、検察審査会職員の配置定員規則別表、これも一つ資料としてちょうだいしたいのですが、これはいかがでしょうか。やはり今の程度お出しいただくくらいでよろしいのですが。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) ちょっと私今はっきりあれでございますけれども、調べまして、できましたら差し上げたいと思います。
○高田なほ子君 どうぞ一つよろしくお願いいたしたいと思います。
○委員長(古池信三君) ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(古池信三君) 速記を起して下さい。
○高田なほ子君 先ほど御説明があったことで大へん疑問に思われる点なんですが、書記官あるいは書記官補等を含めた裁判所に働かれる職員の方々、こういう方々の増員要求をされたことが先ほどお話の中にありました。その増員要求の人員数は千八百名という、これはかなり大人数の要求がされたわけであります。この要求をされるについては、現場の仕事が迅速にいかない、最低千八百名ぐらいの増員が絶対に必要だというような観点にお立ちになって増員要求をされたのだと思うわけなのであります。ところが、御報告によると、大蔵省はこれの財源を出ししぶって、ついに一名の増員も認めなかった、こういうようなお話なんです。これはどうも私ども文部関係でもってこういう定員の問題の論議をたびたびするわけですが、一人も増員を認めなかったという例は、まず私の知る限りではないのです。なぜ裁判所の職員に限ってだけこのような過酷な措置を大蔵省がするのか、はなはだ私はふに落ちない。最高裁の方の発言が弱いのか、それとも法務省が受け売りをして大蔵省の方に折衝なさるようになっているのかどうかはわかりませんけれども、どうもこの交渉経過というものについてふに落ちません。交渉経過を御説明いただいたのですが、そんな千八百名も一ぺんに切られたら、あとどうするのだという疑問が残るわけです。はったりの増員だかなんだかわかりませんが、そこらの説明をしていただきたいと思うのですが。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 裁判所の予算の折衝は、これは最高裁判所が大蔵省といたすわけでございます。この点につきましては、法務省は関係をいたしておりません。私どもの予算の折衝でございますが、ただいま御指摘でございましたように、裁判所が微力でなかなか大蔵省を納得せしめ得ないということは、まことに私ども遺憾に存じておる次第でございますが、千八百名、先ほど申し上げました数でございますが、これはもちろん私どもがある推算の基礎によって出した数字でございますけれども、これは、絶対と申しますか、これがなければ裁判所はとてもやっていけないという意味を持つわけでもございません。これはやはり相対的な問題でございます。ただ、私どもといたしまして基準に出しております数字は、現在の増加して参りました事件数に応じ、しかも、今日御承知のように、相当裁判の期間がかかっておりますが、その期間をできるだけ短縮して合理的な訴訟事務の運営に持っていきたいという意味の数字でございます。で、実は、そういう問題を解決するためにいろいろな措置が必要なわけでございますが、たとえば施設であるとかいうようなことも、もちろん関係してくるわけでございますが、人員の面においてそういう計算上の数字を出しているわけでございます。従って、全部削られたら一体どうなるかということになりますが、結局、もとは先ほどの問題に戻りますが、裁判官の充員が今日の制度のもとにおいて十分な見込が立たないということになりますと、やはり結論としてはこういうようなことにならざるを得ないわけでございます。どうしてもやはり根本は、裁判官の充員、増員ということに何らかの解決を見出さなければ、結局、裁判所は今のような状態を続けざるを得ないというふうに考えられるわけでございます。
○高田なほ子君 失礼な申し上げようですけれども、千八百名も要求して全部切られるということは、少し御遠慮になるのではないですか。もう少し強引に交渉をなすった方がいいんじゃないかと思いますが、これは私の考え方ですが、こういう結論が出るまでの交渉経過というのはどんなふうな交渉がされるわけですか。二、三回の交渉で、もうおしまいになるんですか。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) この増員の要求は、所管の各局がございまして、それぞれがいろいろな理由から増員の要求を出すわけでございます。最高裁判所の事務局で扱うわけでございますが、民事の関係、あるいは刑事の関係、まあいろいろな関係から要求を出すわけでございます。それが予算の交渉の経過におきましては、大蔵省の担当主計官の方と各局ごとに交渉いたしまして、折衝いたすわけでございます。
○高田なほ子君 本年度は、大蔵省の基本方針として、こういうような必要限内の増員要求は認めないという基本方針は出しておらなかったと私思うんです。ほかの省の方は詳しく調べる余裕はございませんが、どうもほかの方も全部認めないというのではなさそうですが、これはどういうことなんでしょう。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 私どもの折衝いたしまして承知した範囲でございますけれども、定員増は原則として認めないというのが大蔵立局の方針であったと承知いたしております。
○高田なほ子君 そうしますと、事件が非常にふえてきたというこれは、裁判統計の中にもたくさん事件のふえてきたことが出ているわけで、そこに持ってきて二十名の判事補だけ認めるということになれば、今度は裁判をするのに判事補だけふやしたってこれは話になりませんから、結局、一般の職員というものの肩の上に大へんな労働というものが過重してくる結果になるのではないですか。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 事件の増加によりまして、裁判所の仕事が増加することは御指摘の通りでございますが、裁判所の仕事の性質上、相当数の裁判官、それに見合う相当数の書記官、書記官補というような増員の形になりませんと、それに対処する態勢ができないわけでございます。このたびの判事補の二十名でございますが、これはいろいろ充員関係等とも見合って、ようやく認められた増員でございますが、この二十名の増員では、結局一審の合議体をふやすとか、多少の裁判の迅速化ということには役立ちますけれども、ただいま申し上げたような意味での態勢を整えるというだけの数にはなっていないわけでございます。従ってこれに見合う書評官、書記官補の増員が認められなかった、見合う数としては書記官、書記官補の増員が認められなかったわけでございます。
○高田なほ子君 まことにどうもお気の毒の至りで、俸給は上らない、そこにもってきて人員はふやさないということになれば、一人々々の肩の上に労働が加重されてくるということで、まことにお気の毒にたえないんですね。何とかこれは大蔵省に認めさせるような方法というものは別にないものでしょうかね。これは実際のことが大蔵省はわからないんじゃないですかね。どうなんでしょう、これは。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) まあ私どもといたしましては、大蔵省との折衝におきまして、できるだけの資料を整えて説明を尽しているわけでございますけれども、やはり大蔵省には大蔵省の財政上の立場もあるわけでございまして、まあ私どもの折衝が大へん力が至りませんということは、まことに遺憾なんでございますけれども、そういうようなわけで、今回のような予算になったわけでございます。
○亀田得治君 最初に最高裁の事務総長の方にお聞きしますが、この裁判官の報酬等に関する法律、この法律に基いて、各裁判官の給与がきまっているわけですが、現実に各判事の報酬を幾らときめる、そういう措置は従来最高裁判所だけでおやりになっているのですか。実情をお伺いしたい。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) くわしいことは人事局長からお答えいたす方が適当と思いますが、仰せの通り、どの判事にどの号俸の俸給を与えるかということは、この法律の第三条にもございますように、最高裁判所が定めるということになっておりますので、この点につきましては、最高裁判所の中で、一つの内部規律といたしまして俸給の基準というようなものを作りまして、それによってやっているわけでございまして、これにつきましては大蔵省当局、あるいはその他の官庁とは全然関係なく、裁判所が独自の見解でやっております。
○亀田得治君 法務大臣の時間は四時間半ですね。じゃ先に法務大臣にお聞きしますが、例の協定書というのができておりますが、私はこういう協定書は、この裁判官の報酬等に関する法律、この中で認められておる最高裁判所の俸給に関する格づけの権限ですね、こういうものを侵害するものじゃないかと思うのですが、これは最高裁当局にも聞きたいところなんですが、法務大臣、お急ぎのようですから、先にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これは協定書というものができました経過等を御説明いたしますとよろしいかと思うのでありますが、この法律案を作ります過程におきましては、ずいぶんいろいろ慎重に審議をいたしたわけでございまして、その過程におきまして、私の承わっておりますところでは、最高裁判所の裁判官会議の了承を得られて、事務総長がこの協定書に参加されたわけでありますから、これはいわば話し合いのその結果をここにとりまとめてあるわけであって、結論としてこれは裁判所の独立というものを侵害するという意図で作られているものではないということは、はっきり申し上げられると思います。従ってこの協定書というものは、三者の意見が合致されたところをここにつづったものでございますから、裁判所の同意なくして、あるいは一方的に、あるいは押しつけがましく作られたものだということであるならば、それは今御質問のような疑念が出てくるかと思いますが、この経過から申しますと、そういうことではないわけでございます。
○亀田得治君 そうはちょっといかないと思うのですかね。ちゃんと判事の報酬に関する取扱い方というものは、この法律によってきまっているわけですから、それしか効力を持っていないはずです。だからそういう何か申し合せをして効力を持たそうと思うので知れば、一方にこういう法律があるわけですから、検察官の場合には、これは法務大樹が大蔵大臣と協議してやっていくように、ちゃんと明記してあるし、これはもうことさらに別にしてあるわけですね、正確に。だからこれは法律を変えなきゃ、この改正法による特号ですか、特号の格づけはこういうふうにしてやる、こういうことは重大なことですからね、法律に書かないでこういうことをやっても、私はこれは無効だと思うのです。有効だという見方に立とうとするなら、これは法律上の最高裁の権限のやはり侵害になります。法律はこれは永遠のものなんですから、改正されるまでは。現在の最高裁の当局者がどのように了解を与えましょうとも、これはまたまた変るかもしれんし、だから法律を扱われる専門家の方々がおそろいになって、なぜこういうことをされたのか、経過等はどうも詳しく私なんか承わっておりませんがね。出てきた結論だけから見たら、はなはだもってふに落ちないのです。これじゃ。裁判所の権限を侵害するものでないと思うと最高裁の了解も得てやったのだから、ないと思うというわけでしょうか、本来ならばこの格づけの問題について、特に法律にきめてなければいいですよ、きめてあることなんですから。裁判官の報酬に関する法律の中にはっきりときめてあるのだから。で、従来も、最高裁に今お聞きしたように、その通りおやりになっていることなんです。それと別個のことをきめようということであれば、これは法律にきめなければだめなんです。もう一度もう少しそこを詳しく見解を承わりたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) この協定書はどういうものかと申しますと、法律が制定せられた場合の運用の基準について、こういうふうに基準として定めましょうという意思が合致したものでございますから、法律施行後の運用基準をきめよう、こういう性格のものであると思います。そうして、この運用の基準について、最高裁としてはこういうことでやろうという意思表示が、ここに三者の間で成立をしたものですから、そこでそれがこの協定という形になっておるわけでございます。従って、これは法律に違反するもの下はないかというような御趣旨のお尋ねでございましたけれども、この協定書の性格というものは、あくまで法律ができたあとの運用の基準というものをあらかじめこういうふうにやるつもりであるということを書いたものでございまするから、その点については、いろいろと御議論もあろうかと思いますけれども、これは御承知のように行礼府内の、たとえば各省間の問題でありますれば、非常に御理解がしやすいがと思うのでありまして、たとえば、通産省あるいは大蔵省と法務省との共管の法律案というような場合には、よくその成立の過程において、関係省の間で、施行後においてはこういうふうな運用にいたしましょうというようなことをあらかじめ相談し合うことは、よくある事例でございます。で、それとこれとは多少違いますのは、最高裁判所は独立の機関でございますから、先ほど申しましたように、行政府が一方的にどうこうするというようなことが行われたのであるとすれば、これは司法権の侵害、あるいは裁判所の独立に対する侵害ではないかというような御議論も出るかと思いますが、しかし、その点については、裁判所の意思表示も、この上にあるわけでございますから、たとえば国会と政府との間におきましても、ものによれば協定をするということもあり得るわけです。これは立法府と行政府との間でも、そういうことは私はあり得ると思うのであります。で、そういう関係から、私はこれは先ほど申しましたような結論として見解を持っているわけでございます。
○亀田得治君 各省間の共管の事項ですね、そういうものについては了承できます。ところが、大臣もおっしゃったように、これは共管事項ではないのみならず、特に憲法上非常にその独ウというものを尊重する立場に立っておる最高裁の内部の問題なんです。だから、その点があなたがおっしゃった共管事項とは全然これは私は違うと思うのです。だから、そういうものは一つの例には私ならないと思います。そうすると、最高裁の権限内だけのものだということははっきりしておる。で、そういうものについて、最高裁の長官が、法律制定後こういうふうに運用するつもりだと、最高裁だけがおっしゃるのは、私はいいと思うのです、参考に聞かれた場合には。だけれども、何か一つの契約、一種の協定、こういう格好になってくれば、これは明らかに最高裁の運用にやはり関連してくることになります。これは明らかな干渉です。物事はやはり小さいところが大事だと思うのですよ。三権分立というような問題については、よほどお互いに注意していかないと、こういうものがたまたまある。それを見のがしておけば、そういう政治的な情勢になった場合に、こういう先例というものが、またものを言うのです。そうして、三権分立の秩序が乱されるという大きな突破口にならんとも限らぬと私は思うのです。そういう意味で、事柄自体よりも非常に重大な意味を持っているのではないかと実は思っておるのです。これは一体こういう大事なことですが、次官の方と事務総長だけがこういうふうに署名されたという形式の点ですね、これは法務大臣も御存じなんでしょうが、なんでこういう形式になったのでしょうか。普通は、それを代行する人がちゃんと署名するのが普通じゃないですか。
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一段のお尋ねでありますが、私は先ほど来申し上げておりますように、今御懸念のような意図をもって作られたものではないということを作成の過程における問題として、まず第一に明らかにいたしておきたいのであります。 それから、形式が次官と事務総長という形式、これは格別の私どもは意味を持ったつもりはございません。要するに事務的な、先ほど申しましたような経緯でございますから、運用の基準についての心がまえと申しますか、そういうことをそれぞれが意思を決定して、三者合意をしたのでありますから、事務の最高の責任者の間で協定書が作られたということは、私もよく承知いたしております。格別の意味はございません。
○亀田得治君 法律上は、最高裁の判事の俸給の格づけについて、最高裁判所長官だけがこの権限を持っている。で、そのほかのものにないのに、こういう協定書があれば、やはり協定書を理由にして、場合によってはちょっと最高裁のやり方に文句を言うといったようなことになりやすいのじゃないですか。最高裁の方でいろいろな内部情勢からみて、この通りはいかないという判断が出てきた場合に、法律上与えられた権限で最高裁長官が処理していく、そのことを認めるわけですか。最高裁長官はこれと違ったことをやったって、別に法律違反じゃないでしょう。その点はどういうふうにお考えなんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは法律違反というような問題は起さないと思います。かりに、この協定に反するようなことが行われましても、それは法律違反にはなりません。それから、その点は私からお答えするよりは、裁判所側からお答えを願った方がいいかと思いますが、私の理解しているところでは、給与の具体的な、どの号をたれにアプライするかということは裁判所長官はおできにならないんじゃないかと思いますが、その点は、私不明確でありますが、裁判官会議じゃないかと思います。で、そういったような裁判所の独自のあれがございますから、しかし実際上、それは裁判官会議が補佐し、事務的な最高の責任である方と協定を作ったということに、経過的にはなっておると思います。 それから、さらに付言いたしますると、法務省と最高裁判所との関係ということももちろんございましょうけれども、大蔵省との関係において、たとえば、特別職の給与等については、たしか大蔵大臣が管理をするというような規定もあったのではないかと思います。そういうわけで、この関係が、先ほどお話がございましたように、これはただ単なる行政官庁相互間の申し合せとか協定というものとは、私はあくまで性質が違うと思います。要するに、裁判所の方では、こういうふうにやろうと、それでよろしいということであったので、その意見というものがこういう格好において現われているものであると、こういうふうに私は理解しておるわけであります。
○亀田得治君 従来の前例として、最高裁の権限に、法律上まかされていること、そのことについて、こういう協定書のようなものを作られたことがありますか。
○国務大臣(愛知揆一君) その点は、私就任いたしてからはございません。その前の例は私存じません。
○亀田得治君 以前はどうでしょう。
○国務大臣(愛知揆一君) 以前は私わかりません。
○政府委員(津田實君) 私も協定書を作成したということは聞いておりませんが、事実の存否については必ずし本正確に申し上げられません。しかしながら、財政、つまり予算の範囲内において、いろいろその予算折衝の過程において、あるいは予算確定の過程において、大蔵省と最高裁判所といろいろ話し合いをして、運用の基準を話し合いをしてきめたということは、私どもはあるというふうに聞いております。
○亀田得治君 それは具体的にどういうようなことですかね。こういうことが、やり方を間違えますと、事実上やはり財政面から行政府が最高裁のあり方に干渉していく。もちろん最高裁といえども、財政を無視して何でもかんでもやれるわけではないのですが、三権分立の立場というものは、やはり財政上のある程度の最高裁の主張というものを認めてやろうということが、財政法上でも多少そういう考え方は、はっきり書いてなくたって、背後にあると思うのですよ。普通の行政官庁の予算査定をやるようななことをぐんぐんやっていけば、これは事実上そういうところから性格というものはくずれていくおそれがやはりある。そんなことがあったって職務の執行はまた別だと言えば言えるわけでありますが、その辺のあり方は、よほど私は注意しなければならぬと思う。だから、従来どういう場合にどういうふうなことがなされたのか、この機会に私少し知りたいと思いますし、もしそういうこでお互い何げなしにやっていることが非常に禍根を生ずるじゃないかということなら、これは改めなければならぬことだし、正確にそれを一つ、これは次回まででもいいですが、ちょっと調べて出してもらえませんか、どういう機会にどういうことがあったということを……。
○政府委員(津田實君) 最高裁判所の規則で、裁判官に対する暫定手当等の支給に関する規則、あるいは裁判官の報酬の特別調整額に関する規則というものが出ております。その中に、たとえば特別調整額と申しますのは、俗に管理職手当と言っておるわけです。それにつきまして、その額を百分の十二ということは、ルールできめているわけでございますね。しかし、その背後には、百分の十二として、しかもその総数はどれだけであるということは、大蔵省と当然協定されておるということは考えられるわけです。また、事実協定されておると私どもは聞いているのです。この関係におきまして、検察官の特別調整額についてもやはり大蔵省と協議してきめて出るわけでございますから、そういう意味におきまして、最高裁独自できめるということでございましても、そのルールの背後には、財政当局との協定がなければ、ルールをきめることが具体的にできないというようなことになっているのだというふうに私どもは理解しておるわけであります。
○亀田得治君 それは、最高裁自体は独立の財源がないわけですから、引き出してくる以上は、ある程度の話し合いとか了解というものは、当然必要ですがね。しかし、その場合に、あくまでもやはり最高裁の意見というものがずっと中心になっていって、そうして大蔵省の了解を求めていく、こういうものでなければ私はいかぬと思うのです。そういう形式のものでなければ……。ですから、その点も、まだほかにもございましたら、ちょっと整理して出してもらいたいと思います。ところが、今問題になっている協定書のようなものは、今までないということになると、これは全く対等に三軒が署名をして、これだけを見れば、一つの契約書ができたような格好で、肝心の報酬に関する法律で認められた最高裁判所の権限ですか、それが実質上変更されておる。先ほど法務大臣は、これは法律通りやってもらったって違法じゃないと、そうおっしゃっているからいいのですが、そういうものなら、私はこういう形は残さぬ方がいいと思う。こういう形式には非常に大きなこれは疑問を持っているのです。それで、私はこの原文の写しというものを見たかったわけなんですが、これは一つ最終的にこの問題の処理がつくまでに、十分検討してほしいと思うのですがね。なかなか頭のいい愛知法務大臣の時代にこういうものが残されたというのでは、非常に遺憾だと思うのですよ。 それでは本質論に入りますが、裁判官優位の問題ですね。これはまあすでに言い古されているように、第二国会で非常に議論された点ですね。非常に激論をされた結果、ともかく裁判官は検察官よりもよい待遇をしよう。しかも大事なことは、その当時は財政上等の理由もあって、多少の差しかつけてない。しかし、将来はもっとその点をはっきりしたものにしていこう。だから、第二国会当時は、優位性を認めながらも、いろいろな財政上の理由で、多少の差をつける。しかし、その当時の議事録でいけば、将来は開いていくのだぞというふうな意味にとれる結論で処理されておる。これは検察官側にはもちろん反対の意見がその当時あった。しかし、議論したけれども、結局はそれは通らなかった。そういう立場でこれはずっときているのですが、この第二国会で論議の末確立された一つの方向ですね、これを法務大臣は正しいと思っているのか、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっとこれは詳しく私の気持を申し上げなければならぬと思うのであります。憲法上優位の原則が規定されてあるかどうかというような点については、前回大川委員の質問に対しまして詳細に御答弁申し上げましたから、まずこの点は別といたしまして、私はこう考えているのであります。第二国会以来の優位の存在ということについては、私もこれに別に異論があるわけでも何でもございません。ところが実際問題として、当初は、たとえば一万円に対して一万四千円というような相当の格差がありましたが、その後一般国家公務員のベース・アップが再々行われるようになって、昭和二十六年のとき以降におきましては、もうトップが同じになってしまった。この現状に対しては、私は、何とか今回の改正のときに、多少でももとへ戻したいと存じまして、私は私なりにずいぶんの努力をしたつもりであります。その結果、最初のどこの案というところまでは別といたしまして、一時、今回の改正案につきましては七万八千円というものが最高であって、そうして一般国家公務員についてはこれを一等九号と呼び、それから判検事を一号と呼ぶという案が、これはどこの案ということでもないのですが、率直に申せば、大蔵省を中心とする特別職の要するに給与と一般国家公務員との給与の関係を担当する大蔵当局でそういう案が出たのであります。それに対しまして最高裁判所からは、判事と検事との格好が両方とも一号というのでは困る、自分の方は一号であるが検察官についてはこれを特号と呼ぶようにしてもらいたい、こういう非常に切なる御要請がございました。ところが、私自身検討して見ましても、そういうことにすれば判事優位の格好がつくかもしれませんけれども、同時に、今度は検察官というものが一般国家公務員よりは下目になることになります。これはまた困ったことで、一般国家公務員は一等九号というのが、いわば呼び名とすれば一号なのでありますから、その一号よりも以下で検察官がそこに到達するのは特別の場合でなければいかぬということを作られることは、これはまたバランスがとれない。そこでいろいろと関係の筋と折衝いたしまして、それでは法務省の見解も尊重して、八万円という一つ上のランクを判事につけよう、ただ、これは六十三才以上というような、何かそこに制約をつけてほしいというのが財政当局からの要請でございました。ところが、それを法律などに規定するということは私もいかがかと思いましたので、そこで、さっき申しましたような経過で、こういう協定書というようなものも実はできたわけなのであります。そこで、昭和二十六年以降この法律で、現在に至るまで判事の優位というようなことは実額においては全く同じなのでありますから。それに比べれば従来は六十三才の人でも六十四才の人でも判事さんは到達し得なかった特号というものができるということにおいて、もちろん満足すべき結論ではないにしても、これを昭和二十六年以降今日に至るまでの制度とをお比べになってみれば、判事の優位というものが保てたと、私はこういう確信を持っているのであります。ただ、それをどういうことでございますか、その経過なり、われわれの考えましたことが正確に理解がされてない面もあるように思いますのは、率直に言って私も残念に思いますし、私の努力が足りなかったかと思いますが、今申しましたように、従前に比すれば、少くとも歩判事の立場というものは私は優位性というか、失地を回復したものであると、私はもうこれは確信を持っておるわけであります。もちろん十分でないということはわかりますけれども……。その点が一つと、それからもう一つは、検察官の立場と一般国家公務員の立場というものが、せめて同格であってほしいと考えるのは、私は当然過ぎるほど当然の考えではないかと思いますので、その両者の関係をよく検討いたしまして、この案にいたしたわけでございますから、さように御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○亀田得治君 この裁判官の優位性ということについての第二国会当時の結論ですね、これはやはり筋としてはお認めになるわけですか、そういう点、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) その点については、私は、憲法上裁判官の報酬が一般の政府職員よりも上級でなければならないということが規定されておるものではないと思います。従って、憲法上格差がなければならぬという原則があるのだとする説に対しては、私はそうは思わないのであります。しかし、実際問題として裁判官というものの立て場あるいはその職責あるいは国民に対する関係、さらにはまた、裁判所の独立という点から申しまして、裁判官の報酬というものが、できるだけ高い方がいいということについては、私もはっきり考えておるわけでございます。第二国会当時の考え方というものを、私は否定いたしません。
○亀田得治君 これは裁判官の場合も検察官の場合も、一般行政官に比較して低いのです、実際いろいろの事情を検討してみたって。だから、裁判官も検察官もひっくるめて、もう少し一処の行政官との俸給の点を検討する必至がある。で、問題は裁判官と検察官の何か争いのように出ておりますが、そうじゃない。問題は二つあるわけですよ、その点。ところが第二国会当時には、やはりいろいろ論議の末、裁判官を優遇する、しかし検察官も重要だ、この考え方を明確にされておる。重要だというのは、両者をひっくるめて一般の行政官に対して言っているわけですね、ところが、その後のずっとこの制度の改正によって、その二つの問題ともが脅かされてきているのが現状なんです。だからその点を法務大臣が相当努力されて、そうして引き上げられた、その点は私たち多とします。しかし、実際はこれはもうはなはだ不満足です。で、これは前から言われておったことですが、問題がこういうふうに表面化してきているので、私たちとしても、こういう機会に何とかもう少し考え方だけでもすかっとして、そうして将来はやはりそういう方向に向って裁判官なり検察官の立場というものを考えていくべきである、こういうようなことをやっぱりはっきりさせたいと思うのです、われわれ特に私ども法務関係の仕事を国会でやっておる者としては。実はそうなりますと、これは一般公務員と検察官と裁判官とこの三つの問題です。だから、ぜひこれは、考え方自体が認められるものであれば、総理大臣あたりにもこういう点をはっきり私は実はしてもらいたいと思うのです。やっぱり問題になったときに、これは方向だけでもはっきりしてもらわなければならぬ、そういうふうにはっきりしてもらえば、来年なり再来年なり、毎年いろいろな折衝があるわけですから、その際に一つのよりどころになっていく。私は、そういう意味で今まで最高裁も法務省も一生懸命それなりにおやりになったんだろうと思いますが、出てきた結果というものは、だんだん司法部というものの影が薄くなったということは事実です。そういうふうに、この問題に関連して私は思っておりますが、これは一つ、委員長、できましたらば、総理大臣にも考え方を明確にしてほしいと思っているのです。裁判官と検察官と一般公務員の待遇という問題ですね。第二国会当時の考え方——まああまり第二国会にこれはこだわらなくてもいいかもしれません。今の時点なら時点での考え方でいいのですがね。そうしませんと、それは先ほど法務大臣がおられないときにもいろいろ議論になったのですが、待遇が悪ければやはり司法部には人はきませんよ。めんどうくさい仕事なんですから。それはあなた、ろくに待遇もしてくれない所へめんどうな仕事に好んで突っ込んでくるのは、それはよほどその仕事自体が好きな人です。その三者の関係ですね。私の意見は今申し上げたのですが、これは法務大臣もそういう考え方自体は御同感だと思いますが、憲法の条文からそういうことが当然出てくるとか、出てこぬということは別にして……。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの亀田君の御所説に対して、私は全面的に賛成なのであります。それで、今御指摘になりましたように、これは三つの関係があるということは、少くとも法務大臣の私の立場においては、十二分に考えていかなければならぬわけでございまして、具体的に言えば、判事、検察官の待遇の改善ということについては、今後ともあらゆる機会に努力を傾倒して参りたいと思うのでありまして、これをいわば司法の両翼の中における判事と検事の争いであるとか、あるいは判事は検事と同格がごめんだというような感覚でこの問題が世上にうわさになりましたことは、私は非常に残念でたまらないのであります。私はこの両翼が相協力し合って、そうして法務大臣を御信頼になり、大いにサポートしていただいて、そうして判検事の待遇の改善ということを考えなければならぬというのが私の信念なのであります。ところが、世上伝えられるところでは、そうでないことは御承知の通りでありまして、私といたしましては、一面に非常に残念に思いますが、要するに、私の力とその他が足りなかったために、こういうふうに世間を騒がせて、まことに申しわけないと思っておりますが、たまたまこの法律案が成立する過程におきましても、実は率直に申しまして、一般公務員のベース・アップがどんどん進んでくるものでありますから、私としては、今後いわゆる任用制度の問題等ともあわせまして、判検事の待遇の改善をぜひ考えたいと思っていたやさきに、まあいわば下から突き上げられた。そうして辛うじて判事の優位を保とうとした努力の結果がこういうことになった。同時に、一般国家公務員との関係においても、決して満足ではないけれども、最低の線よりは退かないで済んだということで、現状においてはこれでいくよりほかしようがないということになったわけでありますが、この問題は、法律案作成の過程においても、たとえば普通ならば、一回の閣議でさっと通りそうなものであったのが、私どもいろいろの折衝に手間取りましたし、閣僚諸公も非常な関心を寄せたために、法律案の作成が非常におくれ、閣議決定もおくれ、従って国会に提出する時期もおくれた、この点遺憾に存じますが、それだけにこの問題は政府といたしましても非常に大きな関心をこの機会に呼び起したわけでありますから、今申しましたように、これは給与だけの問題としてこちらだけ高くしろというわけにも参らぬ点もあるかと思いますから、これは任用制度あるいはその他の点においてすっきりした、何人も納得させるようなものにおいてこの問題に対しての改善策を打ち出していかなければならぬと思うのでございます。幸か不幸か検事長あるいは高等裁判所長官、これらの間には、御承知のように法律上俸給の格差もあるわけでございますが、その格差は格差として、今度は下からだんだん突き上げられて参りますから、どっちみち認証官の報酬並びに俸給の改善に迫られてきているわけでありますから、そういう時期でもありますから、早急にこれらの点については抜本的な対策を私は講じて参りたいと思っておるわけでございます。不満な所の、いわばコップの中の争いみたいにしていることは、非常に私は残念でございまして、あくまで大局的に筋の立つ基礎の上に待遇の改善ということをやっていきたい、こういうふうに今後の態度としては考えておるのであります。
○亀田得治君 一般行政官に比較して判検事の方が相当待遇がいい、こういう結論が出ますと、問題はだいぶ緩和されてくるのです。双方とも低いものですから、やはり隣のことを言いたくなる。だから、そういう点はこれはもう法務大臣と私と全然意見が合っているのですが、そこでもう一つは、それじゃそういう考え方に立って判検事の関係をどうするか、これは端的に言って、今下の方の俸給に手をつけたわけですから、当然いずれは最高レベルのところにも手をつけなければならぬようになるわけですが、それは全体に通じての考えですが、私はやはり一段ずつ差をつけておく、しかしそれは判事も検事もずっとよくなるのであるから、そんなに問題は起らぬと思います。しかし段だけやはりつけておく、これが私、諸外国の例等も今お願いしておいたのですが、大体今まで聞いておる常識ですが、これは職務の内容からいっても、やはり検察官、弁護人が対等で論議をする、裁判官がだれの支配も受けないでそれを判断をしていく、そういう地位ですから、これはやはり一段格差をつけておく方が常識にも合うと思うのですよ、端的に言って。こまかい法案のことはまああなたお急ぎだから触れませんが、考え方はやはりそうでなくては私はいかぬと思うのです。その点、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどもちょっと触れたのでありますが、私は認証官の待遇の改善ということも、ぜひこれはやらなければならぬと思っておりますが、その際に、たとえば高裁長官と検事長との現在のような格差というものについては、私の考えとしては、これを存置する方が妥当であろうと考えます。 それから一般的な問題でございますが、これはやはり先ほど来申しておりますように、今度は判事と検事との関係で申しますと、やはり任用制度をこの際改善すべきじゃないかと思うのでありまして、その任用制度のすっきりした形の上においてこそ、だれしも納得のできるような給与の体系というものが私は確立されるのじゃないかと思うのであります。現在のような状態で、ただこっちが高い、お前が安いというだけでは、これはあまりにも小乗的な考え方ではないかと思います。任用資格が相当改善されて——現在でも任用制度は違うじゃないかという御意見もあるようでありますが実は私見をもってすれば、大した違いはないのでありまして、やはりこの点にメスを入れていって、そしてなるほど判事の任用資格というものはこういうものであるのだということを確立すれば、これは世間の人がみんな納得してくれると思うのであります。国会に法案を出しましても、皆さまでよく御理解をいただけることと思うのでありまして、私はその方向へ進んで参りたい、こういうふうに考えております。
○亀田得治君 その任用制度の改革と相待ってというお話ですが、ともかく最高のレベルのところ、この点について格差をつけておくのはやはり必要だと思うということは、はっきりおっしゃっておる。私はもう理論は一緒だと思うのです。最高が格差がついて、下の方が格差がつかぬということは、これはあり得ないのでね。まあ格差の幅の問題はあるかもしらぬが、格差自体はそれはもう当然なことにこれはなってくるのですがね。そこの原則的な考え方だけを承わっておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほど来申し上げておりますように、今回の案におきましても、最高のところの特号というものにおいて、実際一つ上のクラスを作っておるということも、先ほど来申しておりますように、不満足であるが、従来に比べて一段とはよくなったのではないかと私は考えております。それからもう一つ、この下の方というお話でございますが、判検事の初任給というものについて格差をつけるということは、これはちょっと今の制度ではむずかしいのではないかと思いますが、なお、これらの点はよく任用制度の問題とあわせて検討いたしたいと思います。
○亀田得治君 まあよく判事も検事も同じ学歴もあり、試験も大体同じであるといったようなことを言われますけれども、私は、やはり重視してほしいのは裁判官の仕事自体だと思うのですね。これは非常にやはり困難な仕事ですよ。全く自分一人でやらなければならない。検察官の場合であれば、これは制度上も一人じゃないです。場合によっては法務大臣から指揮も受けるわけですし、そういうこともはっきり法律上認められておる。だから検察官はこれは審判官じゃない。審判官がほかの人と同列だというのは、これはやはり合いませんよ、常識に。どなたがなろうと、私はやはりそういう審判官の立場は一段上にするのか当りまえである。国会でも議長がやはり一種の審判官です。いろんな意味でやっぱり最高の待遇を与えられるわけですからね。しかし経歴からいって普通の議員の方でもっとりっぱな方があるかもしれない。そういう点は、やはり一つはっきりした一つの原則として認めてもらいたいと思うのですね。それをあやふやにしておくと、やはり検察官側からいろんな意見が出やすいと思うのです。もう日本の司法制度はこういう考え方でいくということを明確にしてしまえば、もうそんな議論は終ってしまう。しかし全体は判事も検事も引っくるめて、もっと高くしなければならぬ。こういうことで、もうすっきりするのですがね。法務大臣はどちらかというと検察官側に近いですからね、通常の仕事の折衝が。だからどうしてもそちらの気持なり立場というものを、これは人情として考慮されるのだと思いますけれどもね。私はここは非常に大事なことだと思うのですがね。だれかがこれはやはりはっきりしなければならぬことだと思っておりますかね。非常に筋を通される愛知さんですから、そういうときに一つ私はそういう考え方を、この際はっきりしてほしいと思っているのです。
○宮城タマヨ君 ちょっと関連して。どなたに伺えばいいのですか、二十六年に一般の公務員と判検事とは同じ格になったということを、私も法務委員として今さらこんなことを言うのは大へん怠って恥かしいのですけれども、そのときのいきさつを、一つお話し下さいませんでしょうか。
○政府委員(津田實君) はなはだ申しわけないのでございますが、そのときの事情につきましては、いろいろ調査いたしましたけれども、必ずしもつまびらかではございません。まあいろいろ想像をある程度加えてのことでございますが、もう一格上ということを主張したような形跡はあるようでございます。それは予算折衝の過程において、たとえば四万円という額を主張したような形跡はあるようでございますが、それがいかなる経過で三万七千円という一般行政職の十五級四号と同じようになったかということは、必ずしもつまびらかでございませんですが、その当時は占領下でもあったような関係もございますので、そこのところは実は今よくわからないわけでございます。
○宮城タマヨ君 もう一つよろしゅうございますか。最高裁の次長さんに伺いたいのでございますが、これは二十六年から今ちょうど八年間そのままになっておりまして、何も文句なかったんでございますね。判事の方で。そして今度は裁判官会議にかけて、この問題は解決なさったんでございましょう。そのあとでこの問題が起ったんでございますか、判事の方から。その点を伺いたい。
○最高裁判所長官代理者(内藤頼博君) 昭和二十六年の、ただいま御指摘ございました改正の以後に、幾たびかベース・アップによる改正がございました。その間、判事と検事との格差ということは、昭和二十三年以来の格差を守ってきたわけでございます。判事の上に特号というものがつきましたけれども、それに応じて検察官の方は特一号と申しますか、特号の上にさらに特号をつけたというわけで、検事の一号はやはり判事の二号ということになってきたのでございます。今度の案におきましては、判事の一号がすなわち検事の一号という形で最初案が出ましたので、裁判所といたしましてはこれに反対をいたしまして、そうしていろいろ経過がございましたが、ともかく特号というのをつけられたのであります。ところが、その特号というに対して、これは法務省のお考え、大蔵省もそうだったと思いますが、まあ法務省のお考えとして、六十一才以上ということを法律にどうして本規定するということを、法務省当局で君われたのであります。私どもは、そういうことを法律に規定することは絶対に反対ということで参ったのであります。その間にいろいろ折衝もございましたが、どうしても六十三才以上ということで法務省当局の主張も強くて、最後には協定をする、しなければこの特号はつけられないということになったわけでございます。そういう協定を結びますことは、先ほども亀田委員から御指摘のありましたように、裁判所としても実は応じがたいところであったんでございますけれども、実は、私どもとしては法律を立案する——、こういう法制についての立案、提案ということが法務省で、政府の方で扱っておりますので、結局その協定に応じたわけでございます。実は、先ほど法務大臣からもその経過がお話がございましたが、また、押しつけがましいことではなかったようにおっしゃったんでございますけれども、実は、私ども事務折衝の上では、ずいぶん苦慮をいたしたのでございます。もし、私どもがほんとに何でもなくこれを了承していれば、第一、協定の必要はなかったでございましょうし、六十三歳以上ということを法律に規定することを私どもの方で反対することもなかったでございましょう。またさらに、私どもの方でそういうことをそれほど了承しているならば、財政当局の大蔵省と裁判所との間で話し合いがつけば足りることでございます。しかし、そこに法務次官が協定に入っていることから見ましても、いかに私どもの方で忍ばざるを得なかった経過であったかということがおわかりいただけることと存じます。結局、この法案に特号をつけて改正案を出す上において、その協定が必要であるということになりまして、事務総長から裁判官会議にそれが報告されまして、裁判官会議ではその報告を聞いて、その処理を総長に一任されたような格好でありまして、それが協定を結んだ経過であります。
○委員長(古池信三君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(古池信三君) 速記をつけて。
○亀田得治君 事務総長に今度はお願いしますが、まあいろいろ事情があったようですが、事情があったにしても、こういうものに判を押されるというのは、私は、在野法曹の一人という立場から見ても納得いかない。そういう困難な折衝の状況そのものを、国会なら国会等に出してもらうべきなんであって、いやしくも最高裁ともあろうものが、こういうものに判を押される……私は、はなはだ心外なんですがね、これは。大して価値のないものだということにこれは私はなると思うのですけれどもね。まあ最終的にこの法務委員会で皆さんの意見で御決定になるわけでしょうか、いかようになろうとも、一たんこういうものが作られるということは、最高裁の私は不名誉だと思う。一つ、事務総長の忌揮のない心境のほどを承わっておきたいと思うのです。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 協定書を作成いたしましたいきさつは、ただいま内藤事務次長から申し上げた通りでございまして、私がまことに至らないために、そういうものを作りました結果、裁判所側の非常な不満が国会方面へまで出て参るようなことになりまして、国会の御審議を非常にむずかしくいたしてしまいまして、この点は、私として非常に申しわけなく思っている次第でございます。ただ、先ほどの内藤次長の話をもう少し補足いたしますると、結局、この協定の効果というものにつきましては、私自身も、先ほど亀田さんから仰せられましたように、その法律上の性質あるいはその拘束力というようなものにつきましては、非常に疑問を持っておりましたが、ともかく、そういう形を——そういう内容の、また、そういう形式のものを出しませんければ、法務省としましては、最初に立案いたしました判事、検事、一号、一号という全く対等な案で出さざるを得ないということを申しましたし、大蔵省当局は、さらにもう一回り強く、それならば検察官の俸給に関する法律だけは出すが、裁判官のは出さないことにしましょうという非常に強い話がございましたので、これは今仰せの通り、一号、一号の法律が出て、国会の場においてこれか大いに論議されるということも一つの考え方でございます。それから全然法律が出ないで、なぜ裁判官の法律だけが出てこないのかということを国会でお出しいただきまして、そこで裁判官の職責あるいは検察官との問題、あるいは一般職との問題をここで大いに展開していただいて裁定をしていただくということも一つの行き方と思いますが、私といたしましてはいろいろの面を考えました結果、やはりその効果はどうあろうとも、一応この協定の線をのみまして、全然法律の上には何らの拘束のない法案が国会に出るということが、諸般の事情から考えまして、一番適当ではないかというふうに判断いたしました結果、今回のような提案の形式になったわけでございます。この特号ができますにつきましては、またいろいろな方面で非常に心配をして下さった方もございまするし、愛知法務大臣も確かに最後の段階におきましては、検事を一般職と同列に引き上げる、裁判官は一般職よりもさらに引き上げる、こういう点では非常に御苦心をいただいたというふうに私も見ておりますが、そういうようないろいろな点がございましたので、はなはだ不本意ではございましたが、その経過を裁判官会議に御報告いたしまして、あとは私に御一任いただいた、こういうような形になっております。いろいろ考えてみまして、私自身としてもただいま非常に反省をいたしている次第でございます。
○亀田得治君 こういう協定を作らぬければ検事の方の法律だけ出して判事のやつは出さぬ、そんなことを言うのはそれは脅迫ですよ、それは大蔵省のだれがそんなことを言ったのですか。そういう具体的な事態をやはり国会というものはただしていかなければならぬ、だれがおっしゃったのですか、森永さんですか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 私の折衝いたしましたのは村上次長であります。
○亀田得治君 私は一つ村上次長を次回の委員会でぜひ呼んでもらいたいと思います。これは村上次長に直接質問しますが、しかし、最高裁自体として、そんなことを言われて引っ込むというのは、私は納得がいかぬですね。一体、検察官の俸給のやつだけを出して、裁判官の方をほうって置く、それが一般の行政官よりも低い、そんな状態で国会の審議にかけられてそのまま通っていくというふうにお考えですか。もしそんなことを大蔵省と法務省がおやりになったって、筋が通らぬですよ、全然。まことに平生から筋の通った仕事をされている皆さんが、そんな程度のことでがたつくということは、私はふがいないと思う。それだけのことなんですか、もっとほかに最高裁の予算問題等について意地悪するとか何とか、そういうこともあったのですか。あったとしたら、もう重大ですから、この際洗いざらいに……。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) その他の関係においては何もございません。
○亀田得治君 それじゃそんなにびくびくする必要ないんじゃないですか。さっきからお聞きしておると、どうも法務省や大蔵省がだいぶ脅迫めいたことをやったのじゃないかというふうな感じも若干するわけですがね。あまり内輪げんかしてもらうようなことは、こっちも言いたくないのですけれども、しかし、これはやはりがんばってもらわぬといかぬですよ、もっと。一応この程度にきょうはしておきます。あとのこまかい点は次回に譲ります。
○政府委員(津田實君) ただいまの法案の提出の経過につきましてお尋ねがございました点につきまして、私どもの立場を一応申し上げておきます。私どもといたしましては、御承知のように、この法案は本年の十月から暫定手当の一部を本俸に繰り入れるという内容でございます。また初任給につきましても、わずかながらもこれを増額するということになっております。それは一般職について行われるわけでありまして、当然、裁判官、検察官についても行われなきゃならぬわけであります。私どもといたしましては、いかなる形においてもこの両法案を出さないということを全然考えたことはございません。大蔵省であるいは一部そういうことを言ったものもいるということはあるかもしれませんが、それは私どもおそらくそういうことはないんじゃないかと思うのです。私どもは、いかにして法案を裁判所の同意を得て提案するかということについて非常な苦慮をいたしたというのが実情でございまして、その過程において、一つ具体的なことを申し上げますと、判事一号、検事一号という名称の問題に相当帰着してきたわけです。第二十六国会以来、判事も検事も特号といい、あるいは特二号といいながらも、七万五千円と、最高額か同額を給与され得ることになっておる。それにつきましては、一般行政職との関係において、検車だけが特号という名称は、はなはだもって行政職との関係において困るということができましたが、今度の法律案は、この一般職の上に二号継ぎ足すということになる。一般職は一等級七号七万二千円が最高であった。その上に一等級の八号と九号と、二号足すということになる。ところが裁判官、検察官の報酬に関する法律は、いずれ本一号、二号というのが高額になっておりまして、下へ番号がふえるごとに格が下ってくるということになりまして、この上に二号継ぎ足す。しかも行政職のように八号、九号というふうに号を追っていくわけにはいかない。そこで、この上に継ぎ足すにつきまして、現在の一号格を下へずり下げなきゃならぬという問題になったわけであります。そこで、この機会におきまして、一般行政職と検察官の方の名称、呼称の違いというものは当然是正しなければならぬということで、一号、一号ということで七万八千円を呼称しようと、こういうことになったわけであります、ところが一号、一号と申しましても、判事は七号までしかありません。検事は十九号まである。法律は違っておるし、表も違っておる。従って単に呼称の問題だけならばその点によって、一般職が九号といい、検事は一号といい、判事が一号といっても、そこに別に格差という問題はないということで、私どもはこういうふうな一号一号の立案をしようということになったわけであります。それにつきましては、最高裁当局の御了承は得られない。そこで、今度はそれでは番号を一般行政職と同じように逆にして、検事は十九号をもって七万八千円とし、判事は七号をもって七万八千円にするということはどうであろうか。将来その上にさらに継ぎ足すという、ことになれば、判事については八号、九号、検察官については二十、二十一号というふうに継ぎ足せばいいから、将来の改正に当っては非常に便利であるというようなことについても最高裁当局の御了承を得ようとしたのでありますが、その点については御了承は得られなかったという経緯をもって、それではということで、やはりもとの一号、一号にして判事の特号を設けることになったのですが、特号を一般行政職の格の上に設けることにつきましては、先ほども法務大臣が申しましたように、いろいろな問題点があって、苦心をしたということになっております。私どもといたしまして、検事の俸給の法律のみを提出して判事の報酬の法律を提案しないというようなことは毛頭考えておりませんし、政府にかような提案権がある以上は、さようなことができるはずもございません。もちろん政府の責任となることでございますから、さようなことは絶対にするつもりはございません。その点は、法務省側の意見はさようであったということを十分お認めを願いたいと思うのです。
○委員長(古池信三君) 別に御発言もなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。 なお、この両法律案につきましては、先ほどの委員長及び理事打合会におきまして、次回の委員会の際に懇談会を開き、参考人の意見を聴取することに決定いたしました。なお、その人選等については委員長に一任されましたので、さよう御承認をお願い申し上げます。 次回の予定を申し上げます。次回は三月十七日火曜日午後一時より法務委員懇談会を開会いたします。右懇談会終了後、法務委員会を開会いたしまして、現在当委員会に付託されております三法律案及び請願並びに調査案件の審議を進めたいと存じます。同日午後零時五十分より委員長及び理事打合会を開会いたします。 本日は、これにて散会、いたします。 午後五時七分散会 —————・—————